テイルズオブバトルロワイアル2nd Part2

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730名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 21:24:11 ID:pi3B7DygO
投下乙です!息子チームも父チームも平和モードすぎて吹いたwww
731名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 22:07:03 ID:DKggXbEYO
投下乙!
親子揃って平和っぷりを披露しやがってwwww
732名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 22:31:50 ID:kdWka6C6O
投下乙!
すれ違いこえぇww
押し付けた善意は悪意にもなりえるんですね、わかります
クラトスwwww
733名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 22:57:15 ID:QiZnuiX50
さて、投下をしようか。
734聖魔の瞳 1:2008/09/07(日) 22:58:37 ID:QiZnuiX50

白み始めた空の下で、ボクとエルレインは岩場を登る。
もしも敵が襲ってきたら、障害物も何も無い谷間だと逃げも隠れも出来なくなるから。
それに、正しい現在地を把握しておきたかったから、今のうちに高い場所に登っておきたかった。
恐る恐る提案してみたんだけど、意外なほどにエルレインは快諾した。
カイルって人たちを探しに行くんじゃないの? って、思わず言っちゃいそうになるぐらいに簡単に。

無造作に鎮座する大きな岩を幾つも乗り越えて、ようやく視界が開ける場所に着いた。
右手には薄っすらと平原と川のようなものが見えて、左手には未だ黒々とした海が遠くに見える。
振り向くと、衣服に足を取られたのかエルレインが少しだけバランスを崩しそうになっていた。
反射的に差し出したボクの手を、受け取ったエルレインは優しく微笑んで見つめていた。
そのまま一気に引っ張り上げようとして――流石にそれは出来なかった。
(……ヴェイグやユージーン、ティトレイなら、軽々と持ち上げられるんだろうな)
ちょっとだけ、自分の身体がまだ少年であることに、ボクは腹立たしさを覚えた。
体勢を持ち直して登ってきたエルレインは、「ありがとう。マオ」と、変わらない優しさだった。

丁度ボクらが登り終えたタイミングで、東の空が明るくなった。
日の出の眩しくない太陽が、薄っすらと白んでいる周囲を明るく染め上げていった。
その光景は、あたかも今から『世界』が始まるかのようだった。バトルロワイアルの世界が。
735聖魔の瞳 2:2008/09/07(日) 22:59:49 ID:QiZnuiX50

――でも、現実はそうじゃないんだ。

不意に、そんな考えがボクの頭の裏側を掠めていった。
ボクらが焚き火に当たっていた間も、きっとバトルロワイアルは続いていて……そして。
一筋、夜が忘れていった風が吹き抜けて、寒々しさと……不安を、ボクに残していった。

ヴェイグ。冷静そうで全然そんなこと無いから、クレアさんを探して無謀な戦いをしてないかな……
クレアさん。この人も見かけと違って凄く行動力があるから、誰か止める人間がついていないと……
ティトレイ。ここに居なかったのはボクらにとっては不幸だけど、でもティトレイだけでも助かってよかったのかも……
アニー。アニーは優しいから、きっと傷ついた人々を助けに走り回ってるんだろうな。
アガーテさん。ミルハウストに抱かれながら死んだのに、こんな場所に呼び戻されるなんてあんまりだよネ。
ユージーン。キミは……キミは、誰かが生きるために自分を投げ出せる人間だから……だからきっと――

「マオ? ……泣いているのですか?」
エルレインが不思議そうにボクの顔を覗き込んでいる、その輪郭だけが見えた。
慌てて、腕で拭った。そんなのじゃ止まる気がしなかったけど、それでも拭った。
そんなボクをエルレインは、後ろから抱きしめた、んだと思う。

服越しにヒトの体温が伝わってきて、それはボクの不安を、少しだけ落ち着けさせてくれた。

しばらく経って、ようやくボクは、エルレインの顔を見れるぐらいに落ち着くことが出来た。
その表情は、相変わらず聖女のような微笑みを湛えている。
「……ありがとう。エルレイン」と、そう声をかけても、決して崩れることは無かった。

736聖魔の瞳 3:2008/09/07(日) 23:01:31 ID:QiZnuiX50

改めて、ボクは周囲を見回した。
今まで全く気がつかなかったけど、ボクの背後には凄く大きな山がそびえ立っていた。
推測だけど、30フロアぐらいの道のりがありそうで、ボクの世界にある獣王山よりも高そうだ。
そんな山を見ながら、エルレインはなんだか怪しそうな礼拝をしていた。
宗教というのは良く分からないけど、そういう戒律みたいなものがあるのかもしれない。
エルレインの信じるフォルトゥナというのは、蒼獣信仰よりも変わってることは恐らく間違いないなと思った。

とりあえず、エルレインの奇行のことは一旦忘れて、周囲の状況を整理しよう。
東は、ずっと山脈が続いている。逃げるには有効だけど、それはボクとエルレインの目的とは合わない。
南は、谷を抜けた先に川と、さっきは見えなかったけど橋のようなものも見える。島の中央を目指すなら南だ。
西は、大きな山がそびえている。これに登れば島の全域が見えるけど、あまり賢明な道だとは思えない。
北は、海と小さな平原がある。改めてよく見ると、ここから少し離れた森の合間に家のような建物がある。

(うーん……南に向かうほうが道は広がるけど、まずは北の家を調べるのも良いかな)
どっちが安全なのかは全く分からないんだから、ボクはとりあえず近場を当たってみることにした。
ようやく礼拝を終えて一息ついているエルレインに北に向かう提案をすると、やっぱり彼女は快諾してくれた。
737聖魔の瞳 4:2008/09/07(日) 23:02:34 ID:QiZnuiX50

エルレインを前にして岩場を降り、しばらくの間歩くと……確かに森の中に家があった。
それは、落ち着いた雰囲気というか、なんだか堅苦しい感じのする洋館だった。
一見すると自然と調和しているようでいて、しかしどこか線を引いているような、そんな空気をボクに感じさせた。

中に入ろうと古めかしい扉の側によったボクは、足元の靴跡に気がついた。
玄関口には、それほど時間が経っていないと思う、乾いた土が付着していた。

(誰かが、ここを訪れている!)

その事実に気がついたボクの心臓は、一瞬で恐ろしいほど活発に動き始めた。
全身の毛が逆立っているような気がした。『敵』かもしれないから、それも無理なかったけど。
急に喉の渇きを覚えて、ボクは一旦、扉と間合いを置くことにした。

支給品の水を一口飲むと、少しだけ冷静さを取り戻した。
エルレインが近くの木をまじまじと眺めていることに気がつくぐらいには。
「どうしたの? 何か見つけた?」
そう小声で囁くと、エルレインは木についた不審な傷痕を指差した。
それは、人工的な窪みだった。まるで矢が刺さった後のような、そんな窪みが木につけられている。

(戦いの痕!?)そう思ったけど、それは少し違う気がした。
ここで戦いがあったなら、他の木にはついていないというのは変すぎる。
仮に二本で決着がついたのなら、今度は周囲に血痕が残っていないとおかしくなる。

でも、ここに人が居たことはまず間違いない。
それだけでも、入る前に気がつけたのは幸いだった。
738聖魔の瞳 5:2008/09/07(日) 23:03:34 ID:QiZnuiX50

――それなら、どうしよう?
エルレインは相変わらずで、こういった相談には絶望的に向いてない。
じゃあ……。ボクはちょっと考えた後、木の根元にあった石を手に取った。
そして、丁度良い窓ガラスを探した。

中に人が居るなら、窓ガラスの割れる音に反応しないわけが無い。
洋館の中に入るのは、何も動きがないことを確認してからでも遅くは無い。
何せボクも――恐らくエルレインも、接近しての戦いは苦手なんだから。

そこまで考えたボクに、不意にあるものが襲い掛かってきた!!

匂い。
それが襲い掛かってきたものの正体だった。
何故、すぐに気がつかなかったのだろうか? ボクらしくも無い。
ボクの鼻腔をくすぐる……あの匂いに!!
それを脊髄が認識した瞬間、ボクは石をポケットに突っ込んで駆け出していた。

(アーッハッハッハ! なんだ、エルレインの奇行を馬鹿に出来ないじゃないか)

そんな、心中の冷静な自分は、今この瞬間は何の役にも立たない虫けらだ。
優先されるのは、そう……ヴェイグたちとの旅でついたヘンテコな癖。直す気もサラサラ無い世間一般で言う悪癖。

“つまみぐい”
739聖魔の瞳 6:2008/09/07(日) 23:04:29 ID:QiZnuiX50

もはや躊躇の必要は無かった。
たとえ、洋館の中に居るのがブルーベリージャムをムシャムシャ食らうサレだったとしても。
たとえ、そのうえワインを飲むワルトゥと音もなくナイフで切り分けるミリッツァと共食いするトーマが同席していても。
たとえ、更にオマケにそれが2セットぶん、合計8人による食事会だったとしても。

この匂いの状態を考えると、ミッションは既に遂行不可能の恐れもある。
本能とも言っても良いレベルで、ボクは無音で扉を開けて真正面から強襲を行った。


☆ ミッション:時間内に食せ! 誰かが作ったブランチ ☆



【マオ 生存確認】
状態:HP100% TP100% 不安感(小) エルレインを警戒(現状の扱い方は理解した)しつつ、少し信頼
所持品:忍刀・東風 エクスカリバー ファルステヴェルン 拾ったピクルスストーン
基本行動方針:ヴェイグたちと合流してサイグローグと戦う
第一行動方針:つまみぐいを敢行する
第二行動方針:仲間になりそうな人を探す
第三行動方針:カイル・デュナミスが気になる
現在位置:A4 モリスンの家(現代)の玄関


【エルレイン 生存確認】
状態:HP100% TP100% 未知への不安と苛立ち
所持品:???
基本行動方針:カイル・デュナミスの死
第一行動方針:カイルとその仲間達の抹殺
第ニ行動方針:罪無き弱きヒトを幸福へと導く
現在位置:A4 モリスンの家(現代)の庭
740名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 23:05:46 ID:QiZnuiX50
投下終了。
本当に前半と後半で同じ作者が書いているのか? という疑問は受け付けない。
741名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 23:09:32 ID:O35aVQ3d0
乙。だが夢のフォルスやめろwww悪夢が蘇るwww
742名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 23:11:30 ID:i+xU+5it0
乙!
クラトスの救いの神来た!!
四星×2戦とかwww
ってかマオ、ヒルダのこと忘れんなwwwww
743名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 23:13:11 ID:1odF9P+DO
投下乙です
前半のマオの独白にホロリときて、後半の奇行に大爆笑させてもらった
つまみ食いwww
744名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 23:19:32 ID:ssYI5ZHpO
乙です!
ヒルダ忘却したマオに噴いたw
かわいいよつまみ食いマオかわいい…!
ブルーベリージャムムシャムシャってwww
そういやマオってユージーンをキミって呼びましたっけ?
745名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 23:22:35 ID:O35aVQ3d0
>>744
ユージーンを「キミ」って呼ぶよ、ちゃんと。
マオの仲間思い出し描写が絶妙に予知してて泣ける…だがヒルダ涙目w
746名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 23:51:48 ID:aUQkLkm3O
パソコンだとアクセス制限とかでるので
こちらで投下してみます。
747まっくら山の中:2008/09/07(日) 23:53:16 ID:aUQkLkm3O
「そうなんですか、フォッグさんの居る世界では
そういう人も珍しくないんですね。」
フォッグとカイウスは、まずお互いの世界について
情報を交換していた。
お互いを知らなくては行動するうえで不便だからだ。
「おぅ。ところで、坊主が持ってるのは何だ?」
ひとしきり情報交換が終わったところで、
フォッグがカイウスの首にかけてある
ペンダント…のようなものを指を指した。
「これは、母さんの形見でペイシェントっていう石で
作られてるんですよ。」
「母親の形見か。坊主はアレだな。」
「母親思い、ですね?」
カイウスは足りない言葉をフォローする。
そして真剣な顔をして言う。
「レイモーンの民がこれを使うと、獣化と言って
自分が獣の姿に変わるんです。」
「おぅ、そりゃすげぇな。」
意味を理解してないのだろうが、
とりあえずフォッグは返事をしてみせた。
「初めてのころは、暴走とかしちゃったんですよね…
それくらい、危険な力なんです。」
「まぁアレだ、使わなきゃいい話だろ?」
「簡単に言いますね…」
マイペースなフォッグに、思わずため息がこぼれる。
(フォレストさんみたいな人かと思ったけど、
なんか違うんだよなぁ・・・オレも年とるとこうなんのかな?)
等と緊張感のない思考が出てくるあたり、
緊張をほぐそうと彼なりに
頑張っているのだろう、と思うことにした。
748名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 23:54:34 ID:aUQkLkm3O
「ところでフォッグさんはこれからどっちに行こうと思います?」
「まず、北に山を下りるのが良いんじゃねぇか?」
ランタンがフォッグの分しかないために、
カイウスはフォッグに身を寄せなんとか地図を見る。
「えっ?南へ行ったほうが人を探すには―」
「確かに人を探すには良いかもしれねぇが、
近くに城があるだろ?そこを拠点にして
参加者を殺す奴がいる可能性もある。
砂漠の方に南下していったとしても、無駄に疲れるだけだろ?」
「あ…」
さすがに軍のボスをやっていただけに、
フォッグの考えは的を得ていた。
「まだ禁止・・・なんとかも広がらねぇうちは、端で
安全にしていたほうが良い。で、ゆっくり
家のあるほうを目指して人を探せばいいんじゃねぇか?」
「わかりました。それじゃあとりあえずオレの支給品を
確認して、明るくなるまで待ちましょうか」
「おぅ。」
749名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 23:58:17 ID:aUQkLkm3O
良いのが入っていますように、と数回ブツブツ呟きながら
ガサゴソとザックを漁る。
「ん・・・とこれはスタンドファーム、か。
吹っ飛ばなくなるアイテムですね。っと、まだあった・・・」
細長い感触のものをザックから取り出すと、
横で見ていたフォッグが笑い出した。
「なんじゃそりゃ、武器なのか?」
「いっ一応剣ですよっ!笑わないでくださいよ!
…まぁ、攻撃力はブロンズソードよりも悪いですけど」
中から出てきたのはマゴノテだった。
そして最後の一個を取り出し、フォッグに見せる。
「え、これってフォッグさんの武器じゃ…」
「おぅ、坊主が持ってたなんてラッキーだな。」
「じゃあ、これはフォッグさんが使ってください。」
「俺様はいいんだけど、坊主はそんなんで戦えるのか?」
マゴノテのほうを見て、再度笑う。
「しっ失礼ですね!これはかゆい所に届く便利な剣で…あ…」
何真顔でマゴノテの説明なんかしてるんだ、と顔が赤くなる。
やっぱりおもちゃじゃねぇかと笑われて
しばらくは顔が元に戻らなかった。
750名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 00:00:12 ID:ldN9J9h4O

「うん、少し明るくなってきたしそろそろ下山しましょうか。」
「おぅ!ふもとまで競争だ!」
「えっあ、ちょっとフォッグさん!危ないですよ!」
”ごうかいさん”だなぁとカイウスは苦笑した。
(まぁ、軍人さんだし大丈夫だよな…?)

【カイウス・クオールズ 生存確認】
状態:鼻に擦り傷、手が少し痛い、TP100%
所持品:サック一式(ランタンなし)、スタンドファーム、マゴノテ
基本行動方針:サイグローグを倒す。
第一行動方針:フォッグさん待って下さいよぉ…
第二行動方針:ルビアを探したい。
現在位置:B3、山中
【フォッグ 生存確認】
状態:HP、TP100%
所持品:聖杖ユニコーンホーン、パナシーアボトル、メガグランチャー(カイウスから貰いました)
基本行動方針:リッドの仇を取る。
第一行動方針:俺様が一等賞だ!ガーッハッハッハ!
第二行動方針:キールやチャットが心配。
現在位置:B3、山中


(スタンドファーム、マゴノテはテンペストに登場したアイテムです。前者はアクセサリー、後者は片手剣の部類に入ります。)
751名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 00:02:35 ID:aUQkLkm3O
情報欄に漏れが…

【カイウスとフォッグはお互いの世界について深く情報交換しました。】



投下終了です。
テンペストが好きなので書いてみたものの、
あまりテンペストのことについて書いてないなぁと思ったり…orz
あと、何かありましたらお願いします。
752名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 00:03:51 ID:aUQkLkm3O
タイトルと番号も漏れてましたorz
やっぱ携帯駄目だ…

そして前に投下したマオエルの方、進路被ってすみません…
753名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 00:09:58 ID:M+YWYMeaO
投下乙です
フォッグごうかいさんっつーかお子様wマゴノテとかおたま並のハズレだしw

あと気になったのですが、カイウスがペイシェントを持ってるのはなんででしょう?
支給品ならマゴノテ、スタンドファーム、メガグランチャーで3つだし……
持ち込み品の場合、Tの話の最後でペイシェントは無くしているので、カイウスの参戦時期はED前?
754名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 00:14:12 ID:MIhx4JA+0
投下します。
755名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 00:21:21 ID:X9TkbSzi0
…支援?
756No man cell and two man cell. 1:2008/09/08(月) 00:21:43 ID:MIhx4JA+0
安全な場所、と口に出したものの彼にそのアテがあるわけではなかった。
数秒の黙考の末、「仕方あるまい」、そう呟いて彼は先ほどまでの足跡を引き返すことにした。
絶対のサンクチュアリなど保証されていないこの島で、『自分が通る際に何もなかったから』以上の根拠は今の彼には見つけられる気がしなかったのだ。
そして、足を止めるべき場を見つけられないまま、幾ばくか歩いた時だった。
腕の中の少年が、不意に身じろぎして、瞼をふるわせた。

「……ん……」

「エミル、気がついたか?」

呼びかけながら、足を止める。
傷になるべく障らないように跪き、彼を横えたその瞬間……、

「マルタ……っ!」

「ぬおっ!?」

演目を開始した操り人形よろしく、突如跳ね起きたエミルの頭が、リヒターのそれを猛スピードで掠めた。
思わず飛び出すイヤな汗。
もしアレが直撃していたら脳震盪では済まないかもしれない、という恐ろしさを覚えつつリヒターはエミルの肩をぐっと押さえた。
焦点を結んでいなかった瞳に、彼の姿が映り込み、やがて、

「リヒターさ――おい、あのガキはどこだ!? いや、それよりもマルタは……痛えっ、何しやがる!」

一瞬宿った理性的な色をあっという間に塗り替えた緋色が、リヒターを見て声を荒げた。
が、対するリヒターは冷静なものだ。少年の体に刻まれた傷へあえて指をねじ込み強引に黙らせ、言う。

「マルタなら見ていない。それより、落ち着け」

「落ち付けだと!? こんな状況で落ち着いてなんかいられるかっ、早くあいつを――ぐぁ!」

二度目の悲鳴も発生過程は、直前のものと同じくである。
ただし、今度の場合は力の入れ加減が段違いだ。
ようやく、恐慌状態だった紅い瞳に光が差した。
それを見届けて、再び赤毛のハーフエルフが語りかける。
757No man cell and two man cell. 2:2008/09/08(月) 00:23:01 ID:MIhx4JA+0

「……落ち着いたか?」

「ああ、クソお優しい誰かさんのおかげでな!……悪いが急いでるんだ、話なら手短にしてくれ」

痛みのためか涙を浮かべながら、険しい顔でエミルの本性が、ラタトスクが応じた。
応じながら、青年の肩を借り―されど、その傷からは考えがたいほどの確たる足取りで―彼は、再び大地を踏みしめる。
それを確かめ、リヒターはゆっくりと肩を引く。プライドの高い精霊に、気遣ったことを悟られぬくらいの自然さでもって。
そうして、彼は選び選び言葉を紡ぐ。

「用件は三つだ。まず一つ目。……ここに来るまで、お前はどこにいた?」

「ギンヌンガ・ガップ。エミルの方はパルマコスタだ」

「俺と同じ、か。ならば話が早いな、二つ目だ。俺とお前がここにいる場合、封印はどうなる?」

一瞬、ラタトスクが黙り込む。返事の代わりに、彼は立ち尽くしていた足を踏み出した。
リヒターもそれに倣い、少年の姿をした精霊と伴だって歩き出す。

「魔族どもが狂喜乱舞しやがるっつーのは間違いねぇな。つってもすぐな訳じゃねえ。
センチュリオンたちがいるし、扉も一旦は封じ直したしよ。……ちょい待て、イグニスがいるだと?
ちっ、確かにいやがんな。北東、か」

エミルが声をあげたらしく、視線を遠くするラタトスク。
川の上流をさらに越え、その向こう山並みさえまでも射抜く険しさにリヒターは思わず彼の肩を引く。
そうでもしなければ、この激しい気性の精霊は怪我も忘れて走り出してしまう気がしたからだ。
案の定、少年に宿った瞳の光は、燃え立つ炎の色でもって再び揺れ惑っていた。

「リヒター。止めるってのか、だったら容赦は……」

精霊は傷ついた腕を武器に伸ばす。
仕方なしにリヒターは、彼のむき出しの肩から、手を離す。
目覚めたとはいえ、気を失うほどの傷をおった少年をこのまま行かすわけにはいかないのだ。
かといって、こちらが斬られるわけにもいかない。
リヒターは、爛々と輝く真っ赤な瞳へ強い視線を返しながら思考し、口を開いた。
758No man cell and two man cell. 3:2008/09/08(月) 00:24:02 ID:MIhx4JA+0

×・×・×

――時間と川は、わずかに遡る。

朝日が差し込む林の中でくたびれ果てた男性の声があがった。

「……やれやれ、すっかり明るくなってしまったか。ルーティ、さすがにちょっと休憩にしないか?」

「じょーだん! アトワイト見失ってなるものですか」

彼の提案を一蹴し、なおもあたりをがさごそ探っているのはスレンダーで健康的な肢体へ、動きやすさ重視の軽装(※ただし残念なことに生乾き)を纏った少女だ。
自身と同じように夜通し林の中を移動し続け、あるかなしかのものを探していたのに彼女はこの元気とは。
全く年はとりたくないものだね、と内心呟き、彼はもう一度刺激的な服装の少女へ呼びかける。

「もう十分見失っていると思うがね。それより」

「なによ?」

「少し静かにしてくれ。君の声は、少々どころでなく、目立つぞ?」

「鳴子だらけのあんたにだけは言われたかないわよ、おっさん……」

「おっさんだと、失礼な。私はこれでもまだ29さ……ルーティ?」

まだ20代のクラースは抗議の声を上げかけ、ルーティの視線が林を抜けた先へ釘付けになっていることに気づいた。
あわてて彼女の目線を追えば、――ああ、なるほど。
木々の向こうの川岸を上ってくる人影に気づいた二人は、どちらが言うでもなく自然と藪に身を潜めることにしたのだった。

×・×・×

「勇気は夢を叶える魔法。だがな、蛮勇たることだけが勇気ではないぞ。
お前が『今叶えたい、叶えねばならない夢』は一体なんだ?」

手負いの、獣。
そう表しても間違いないほど余裕のない殺気をまき散らす少年をこれ以上興奮させないように。
リヒターは努めて冷静な口調で呼びかける。

「そんなの聞くんじゃねえよ! マルタを助けて、早くギンヌンガ・ガップに戻る以外に何があるってんだ!」

苛立ちを隠そうともせず、少年の姿をとった精霊は叫ぶ。手に力が籠もった。白刃を抜く。

「だったら、なおのことお前一人で行くのは下策だ。
三つ目の問い……いや、提案だ。マルタを助けたいのだろう? 俺と来い、ラタトスク」

陽光の下、瞳と刃をぎらつかせた少年へ、武器ではなく空っぽの手のひらを差しだして青年が言う。
精霊はしばしその手と傷ついた己とを見比べ……、どこか気恥ずかしそうに、怒鳴った。

「……ちっ、仕方ねえ。お前も連れて帰らねぇと帰ったって意味ねぇしな。一緒に行ってやるよ。
だがな! まずはマルタだ。
――マルタ、今は僕の守りを持ってないんです。だから、早く行って守ってあげなければいけないんです!
でも今の僕では、きっとマルタを守りきれない。リヒターさん、僕と一緒に来てください。マルタと僕と、三人で一緒に帰りましょう!」

怒鳴る声が、一転、必死に訴える声になった。
若葉色の瞳を持った少年は、頬を紅潮させながら言い終えると差し出されたままだった青年の手を取る。
759No man cell and two man cell. 4:2008/09/08(月) 00:25:28 ID:MIhx4JA+0
×・×・×

リヒターと組むことを決めたエミルへ、最初に施されたのはエルフの血を引く者にのみ与えられた力――魔術による癒しだった。

「……なんか、ずいぶん効き悪いですよね。これってやっぱり……」

「マナが希薄なせいだろうな。すまないな、エミル」

「えっ、いえ、リヒターさんのせいじゃないですよ。それよりリヒターさんこそ、大丈夫ですか?
さっきから結構、魔術使ってますよね?」

「心配するな、エミル。……痛むところは?」

「もう平気です。ありがとうございます。
……ところで、ずっと気になっているんですけど……」

川原の手頃な石に腰掛けて治療を受けていたエミルは礼を述ると、一転して声を潜めて尋ねた。

「いますよね、さっきからずうっと」

歯切れの悪い言葉に、リヒターが目で頷いた。彼が立ち上がったのに引き続き、エミルもまた腰を浮かす。

×・×・×

「……あたし、やっぱりおっさんが吊してるソレのせいだと思うわ」

「いいや、君の声のせいだろう。さて、どうするかね?」

「わかってて暢気にに回復してたーてっことは、あちらさんも殺る気なしと見たわ。
 それにさっきのアレ、おっさんのいう『法術』でも『晶術』でもないみたいだし?」

「確かに、気にするなと言うのは難しいな。――出よう」

がさり。あえて茂みを鳴らして、クラースとルーティは立ち上がった。
760No man cell and two man cell. 5:2008/09/08(月) 00:27:06 ID:MIhx4JA+0
【エミル・キャスタニエ 生存確認】
状態:HP80%、TP95%、マナの希薄さに困惑、主立った傷は治療済み、マフラーなし、マルタと封印の件で焦り気味(現在は非顕在)。
所持品:クィッキー、紫電、???
基本行動方針:マルタ、リヒター、イグニスとともに一刻も早く元の世界へ帰還する。
第一行動方針:目の前の人物への対応。
第二行動方針:マルタ、大丈夫かな……?
第三行動方針:イグニスが気になる。
現在位置D5北・川原

【リヒター・アーベント 生存確認】
状態:TP45%、健康
支給品:ストライクアクス、エバーライト、???
基本行動方針:ゲームに乗る気はない。ギンヌンガ・ガップの封印に戻りたい。
第一行動方針:目の前の人物への対応。
第二行動方針:元の世界に帰る方法を探す
第三行動方針:イグニスはどうにかしなければまずいな……。
現在位置:D5北・川原

【ルーティ・カトレット 生存確認】
状態:HP100% TP100% 半乾き濡れ 真剣
所持品:強力グミセット BCロッド
基本行動方針:死にたくはないがゲームは乗りたくない。
第一行動方針:赤毛の男が使っていた術が気になる。
第二行動方針:とりあえずクラースについていく。
第三行動方針:スタン、アトワイト達を探す。
現在位置:C5

【クラース・F・レスター 生存確認】
状態:HP100% TP100% 徹夜での野外活動によりお疲れ
所持品:ピヨノン 破魔の弓 グミセット
基本行動方針:ゲームには乗らず仲間を集め打開策を図る
第一行動方針:赤毛の男が使っていた術が気になる。
第二行動方針:ルーティと行動を共にする
第三行動方針:クレスとすずの他、仲間になりそうな相手・アイテムを探す。
現在位置:C5
※クラースはすずが近くにいたことを知りません。
761名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 00:30:57 ID:MIhx4JA+0
以上です。実は、近くにいたもう一組も含めて書いてたんですが、
先を越されて涙目でしたー。
削ってしまったところとの兼ね合いとかでおかしなところがあるかもしれません。
お手柔らかにお願いします。
762名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 00:34:56 ID:0wi3yXGl0
投下乙です
ラタ様は落ち着こうwしっかり諭してくれるリヒターかっけえな
ルーティ&クラースはエミルからすず&アトワイトの情報とか得たら修羅場になりそうw
763名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 00:36:52 ID:HSTPbIo9O
皆投下乙です!
マオレインはクラトスの助けになるのか?チェルシーはエルレインの抹殺リストに入って無さそうみたいだし。
豪快さんチームも平和だなぁ…カイウス、ズガンされないようガンバれww
エミルとリヒターは無事に合流出来たみたいで何より。エミルとラタ様はマルタマルタ言い過ぎww
764名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 00:49:06 ID:MM34m7xoO
皆様投下乙です
序盤はニヤニヤする展開が多くてヤバいw俺キモイw

ところでキャラクター能力に関する質問はここでいいんだろうか?
765名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 00:52:37 ID:fuBGUJh/0
>>764
いいと思うよ
766名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 00:53:41 ID:RgPaVojEO
投下乙です。
チェルシーに続いてマオども爆笑させてもらいました。
カイウス含めがんばれちびっこ!

ルーティさんはスタン行きのフラグもきたかんじがwktk
767名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 00:58:42 ID:MM34m7xoO
>>765
ありがとう

ディストについて聞きたいんだけどさ、まとめの譜術が使えるはず、って本当?
携帯アプリかなんかでディストには譜術が無かったから、てっきり使えないものだと思ってたんだけど
書き手依存?
768名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 01:08:38 ID:0wi3yXGl0
>>767
そこらへんは推測の域を出ないからなぁ……使えてもおかしくないし、使えなくてもおかしくない。
まあ使えたとしても、あんまり強力なのは使えないだろうね
769名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 01:16:55 ID:ldN9J9h4O
>>753
すっかり忘れてました…
一応、ルビアと同じED後のつもりでしたが…。

っていうか獣化にペイシェントは必要無かったかorz(たしかフォレストは持ってないし)
ってわけで修正版行きます
770まっくら山の中 1 修正版:2008/09/08(月) 01:18:58 ID:ldN9J9h4O
「そうなんですか、フォッグさんの居る世界では
そういう人も珍しくないんですね。」
フォッグとカイウスは、まずお互いの世界について
情報を交換していた。
お互いを知らなくては行動するうえで不便だからだ。
「おぅ。そういえば、坊主はレイモーンの民と人間のハーフって言ってたが、レイモーンの民ってのは何だ?」
ひとしきり情報交換が終わったところで、
カイウスの言う『レイモーンの民』とは
何なのか、という質問が出た。
「レイモーンの民は、獣に姿を変えられる種族なんですよ。」
「つまり、坊主はアレだな。森の…」
「クマさんじゃありませんっ!」
どうしてそうなるのかなぁ、などと呟き、
一呼吸置いた後真剣な顔をして続けた。。
「獣化すると姿だけじゃなくて、身体能力も上がるんですよ。」
「おぅ、そりゃすげぇな。」
意味を理解してないのだろうが、
とりあえずフォッグは返事をしてみせた。
「初めてのころは、暴走とかしちゃったんですよね…
それくらい、危険な力なんです。」
「まぁアレだ、使わなきゃいい話だろ?」
「簡単に言いますね…」
マイペースなフォッグに、思わずため息がこぼれる。
(フォレストさんみたいな人かと思ったけど、
なんか違うんだよなぁ・・・オレも年とるとこうなんのかな?)
等と緊張感のない思考が出てくるあたり、
緊張をほぐそうと彼なりに
頑張っているのだろう、と思うことにした。
771名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 01:22:34 ID:ldN9J9h4O
修正版投下終了です。

もう間違いはないかと思われますが、
なにかあれば言ってください。
772名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 01:27:56 ID:ZL91IIm+0
いつの間にか容量が490超してるのな
どなたか新スレ立てるのお願いします…
773名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 01:39:01 ID:z+jlWf1o0
おk、やってみる
774名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 02:01:36 ID:z+jlWf1o0
遅くなりましたが立てました。テンプレも貼っときました。
間違いがあったら訂正お願いします
http://game14.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1220805590/
775名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/11(木) 01:55:49 ID:nCc7vQHC0
おちた?
776名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/11(木) 21:32:06 ID:ILA67KvkO
まだ
777名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/11(木) 22:20:04 ID:TVkN7Uiv0
いっそ埋めるよ。そのほうが落ちるの早くなるだろ。
つーことで、適当な奴に適当にバトらせる、適当なのを書いたので適当にネタとして楽しめ
778エキシビジョンマッチ 1:2008/09/11(木) 22:21:23 ID:TVkN7Uiv0
耳を劈く銃撃音が、深き闇が支配する樹海に響き渡る。
「チィッッ!!」銃撃犯が舌打ちをする。まだ酒よりもメシを好む年代の少女だった。
樹木に鉄の一撃が二度…三度……十度……三十度打ち付けられ、人を殺す雨が寸時、止む。
赤髪の少女は、目にも留まらぬ早業で両手に持った銃のマガジンを入れ替える。そして再び始まる、徹底した銃撃。
少女は、怒りに震えていた。血が滴る彼女の脇腹を見れば、それも已むを得ないことだ。
そして樹木を壁にして隠れているのは、かつて天上王と呼ばれた異能の天才、ミクトラン。

彼が奇襲をかけた相手は、余りにも凶悪な火砲を抱え込んでいたのだ。だがそれは、彼にとっては嬉しい誤算にも変ずる。
あの少女を仕留めれば、自分の武装は更に強化されることだろう。開始直後の今、それは大きなアドバンテージだ。
ゆえに、奇襲に失敗した絶対的不利な状況下で、彼は木の陰に隠れながら反撃の機会を窺っている。
だが、彼は少々焦りを覚え始めていた。あの少女の銃撃速度は、常軌を逸している。
ものの数分。それだけで、既にミクトランの耳による試算で、800は超えている。
自動小銃の如き速射力で、あの少女――イリア・アニーミは二丁拳銃で銃弾を撃って、撃って、撃ちまくっている。
これは不味い。弾丸の無い銃など何の価値も無い。だが、迂闊に飛び出せば天上王とて蜂の巣になる。
ベルセリオスを持たぬ天上王は、晶術を使えぬまま膠着状態を強いられていた。

イリアは、疲れを見せるどころか益々加速して銃弾を消耗していく。
元々トリガーハッピーの気がある彼女は、ミクトランへの純粋な怒りもあって留まるところを知らない。
樹木の表面が鉛色になるほどの勢いで撃ち続ける。時折、狂ったように甲高い金属音が響きわたった。
ミクトランは、顔を覗かせることすら出来なかった。こうなれば樹木の裏に張り付き、弾丸が尽きるのを待つしかない。
幾ら常識外れの速射力があっても、銃弾が無くなれば何も出来ない。後はこの剣で切り殺すのみ。
このまま撃ちつくしてもらったほうが、今は有難かった。銃弾が尽きるのは残念だが、仕方あるまい。
そのまま膠着すること数分。ついに機会が訪れた。


あれほど鳴り響いていた銃撃音が、パタリと止んだ。
779エキシビジョンマッチ 2

(撃ち尽した!)ミクトランが、そう確信したその時。
「――フリーズ…ランサーッ!!」少女の叫び。そして樹木に伝わる衝撃、ミクトランの肌に突き刺さる冷気。
天術。彼女の世界で稀に持つ、神々の魂を持って生まれた人間に宿る不思議な力。
それが氷の銃弾となって、ミクトランの隠れる樹木に襲い掛かる。
激しい銃撃で熱せられた樹木に、突如として襲い掛かった冷徹なる銃撃。

「これで終わりよッ、アクアレイザー!!」
イリアの銃から放たれるのは、研ぎ澄まされた水弾。
それは脆くなりきった樹木を易々と貫通し、予想外の攻撃続行に動けなかったミクトランの身体をも貫通していった。
(――グッ!?)不意に襲い掛かる痛みが、貫かれた事実に気づかせる。
予想を遥かに越えて、敵は遠距離戦を得意としていた。ミクトランの敗因はその見誤りだった。
あの少女は、最初から魔法弾を撃つことが出来るにも関わらず、あえて愚鈍に銃弾を撃ち続けていたのだ。

――何故か!? そんなことは決まっている。

口中に溜まる血液を吐くミクトランの眼前には、砲口を向ける赤髪の少女が立っていた。

1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15
かちゃかちゃ じゃきん
16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30

ひとしきり撃ち終え、満足げなイリア。
目の前には、吹き飛んだ頭だった何かと、胴体だった何かがあった。


【イリア・アニーミ ストレス解消確認】
状態:HP70%、TP65% 腹部に剣撃を受けた(血止め済み)
所持品:パニッシャー(二丁拳銃)装填数15(残弾0) 弾薬なし フランヴェルジュ ミクトランの支給品袋
基本行動方針:最後まで生き延びる。襲い掛かってくる敵は殺す。
第一行動方針:ルカたちと合流する。
現在位置:D1(ガオラキアの森)の空のマガジンが100個以上落ちてる場所

【ミクトラン 死亡】


☆ 特に意味の無い埋めなので、別に何も起きやしませんから勘違いしないよう注意 ☆