ストーリーを教えてもらうスレ part31

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1名無しさん@お腹いっぱい。
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450KBを超えたら次スレが立つまで書き込みを控えてください。

自分でやるのが面倒、手に入らない、時間がない、お金がない、などの理由で
ストーリーを知りたいゲームのストーリーを教えてもらうスレです。
発売して半年以内の新作について語る際は名前欄に
タイトルと新作ネタバレ用の共有トリップの #新作ネタ をつけて下さい。
新作のネタバレを読みたくない人は ◆l1l6Ur354A に要注意。
またリクの際は、正確なタイトルとハード名を付記して下さい。
まずはまとめWiki↓で既に書かれていないか、既にリクエストされていないか調べてからリクしましょう。

ストーリーを教えてもらうスレ暫定Wiki
http://www8.atwiki.jp/storyteller/
携帯電話の場合でもこちらのURLから行けば表示は崩れますが見れます
http://www8.atwiki.jp/storyteller/pages/2.html

・スレに書き込まれたストーリーのまとめWikiへの収録作業や
まとめWiki中の未解決リストの更新作業は、スレ内の有志によって行われています。
手の空いた方がいらっしゃったらご協力をお願いします。
編集方法の説明はこちら。:http://www8.atwiki.jp/storyteller/pages/18.html

・作業を行ってくれた方は、「>>○○まで収録作業したよ」
「>>○○までのリクを未解決リストに反映したよ」などと
スレに書き込んでくれると、次に作業をする者にとって
どこから作業すればいいのかわかりやすくなるため助かります。

1レスでストーリーの概要を知りたい方は↓でどうぞ。
ストーリーを要約してもらうスレ
http://game12.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1145367885/l50

前スレ
http://game12.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1175359277/l50

ストーリーを書く際の注意、関連スレ、未解決リストなどは>>2-10
2名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/26(土) 17:25:30 ID:TAfrJ0560
ストーリーを書いてくれる方へのお願い。
・要望に出ているゲームのストーリーはどんどん書いて下さい。 
 ただ要望に出ていないものは敬遠される傾向にあります。
 レスは期待しないで下さい。それでも良いというならどうぞ。
・この板は一般板なので18禁のゲームのストーリーの要望、紹介はご遠慮下さい。
・名前欄に作品名を入れてもらえると、まとめやすくありがたいです。
・時間を置いて数回に分けて投稿する際には、最後に「続く」と御書き下さい。
 そうする事でストーリーの投稿の混交を防げます。
・発売して半年以内の新作について語る際は名前欄に
 タイトルと新作ネタバレ用の共有トリップの #新作ネタ をつけて下さい。

・これを書こう、と思われた際は「○○○○を書きたい」と意志表明し、予約していただけると、
 投稿の重複が防げて大変ありがたいです。
 また、書くのはよそう、と思われた時には面倒でも予約の取り消しを御願いします。
・勝手ながら、予約から3ヶ月以上経ったものは予約無効とさせて頂きます。
 同じく、最終投稿から3ヶ月経ったものも権利失効とさせて頂きます。
 都合により取り消しが出来ない場合の長期間にわたる放置を防ぐ為です。

関連スレ
(漫画サロン板)
ストーリーを教えてもらうスレまとめサイト(現行スレへのリンクもあります)
http://malon.my.land.to/

(ギャルゲー板)
ギャルゲーのストーリーを教えてもらうスレまとめサイト(現行スレへのリンクもあります)
http://www.geocities.jp/galge_oshiete/

(女向けゲーム一般板)
http://game9.2ch.net/test/read.cgi/ggirl/1129714798/

(エロゲネタ板)21才以上の方のみ!
エロゲのストーリーを教えてもらうスレまとめサイト(現行スレへのリンクもあります)
http://www.geocities.com/erog_story/

(女向けゲーム大人板) 21才以上の方のみ!
BLゲースレhttp://game9.2ch.net/test/read.cgi/gboy/1095410605/
乙女ゲースレhttp://game9.2ch.net/test/read.cgi/gboy/1157949089/
3名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/26(土) 17:46:19 ID:dQOUqM9U0
3げt
4名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/26(土) 17:48:30 ID:syoLHyCwO
何、気にすることは無い
5未解決一覧:2007/05/26(土) 21:01:17 ID:G1LYBqDK0
●未解決分 ≪part30の525までの時点でのリスト≫
※複数の機種で出ているものも、便宜上、一つの機種の欄にのみ書かれています
■PS3  ・アーマード・コア 4 ・機動戦士ガンダム Target in Sight ・GENJI -神威奏乱- 
・RESISTANCE(レジスタンス) 〜人類没落の日〜 
■PS2  ・アークザラッド ジェネレーション ・悪代官2 ・雨格子の館 ・イースI・II ETERNAL STORY(既出部分の続き) 
・エヴァーグレイス2 ・X−FIRE ・over the monochrome rainbow ・鬼武者 3(クリア後の本田平八郎編) 
・カウボーイビバップ追憶の夜曲 ・歸らずの森 ・神業−KAMIWAZA− ・仮面ライダー正義の系譜 ・ガンサバイバー3 DINO CRISIS 
・ガンバード1&2 ・機甲兵団J-PHOENIXコバルト小隊篇(同梱のOVAの内容も含めて) ・機動新撰組 萌えよ剣 
・機動戦士ガンダム クライマックスU.C. ・GUILTY GEAR X ・GUILTY GEAR XX ・九怨 ・九龍妖魔學園紀 re:charge 
・Kunoichi -忍- ・グランド・セフト・オート3 ・グランド・セフト・オート・バイスシティ 
・グローランサーIV Return(既出のフレーネ・イライザ・LN型以外のシナリオを) ・ゲームになったよ!ドクロちゃん ・決戦3 
・喧嘩番長 ・GENJI ・五分後の世界 ・COMBATQUEEN ・XIII [サーティーン] 大統領を殺した男 
・サーヴィランス 監視者 ・THE はじめてのRPG 〜伝説の継承者〜 ・侍 ・サムライウエスタン 
・THEロボットつくろうぜっ!〜激闘!ロボットファイト〜 ・ジェネレーションオブカオス3 ・忍道 戒 ・白中探検部 ・真魂斗羅 
・ステラデウス ・スペクトラルフォースクロニクル ・スペクトラルフォースラジカルエレメンツ 
・聖剣伝説4(あらすじは知っているので詳細に) ・絶体絶命都市(既出部分の続き) ・ソニック ヒーローズ 
・第3次スーパーロボット大戦α〜終焉の銀河へ(主人公ごとのエピソードを) ・月の光 〜沈める鐘の殺人〜 ・超時空要塞マクロス 
・テイルズ オブ ジ アビス(セシルとフリングスのサブイベントの詳細) ・ティンクルスタースプライツ-La Petite Princesse- 
・デストロイ オール ヒューマンズ! ・天空断罪スケルターヘブン ・ナノブレイカー ・ナムコ クロス カプコン(既出部分の続き) 
・ハードラック ・バイオハザード4のエイダ編 ・鋼の錬金術師(翔べない天使、3神を継ぐ少女) 
・爆炎覚醒 ネバーランド戦記 ZERO ・花と太陽と雨と ・バルダーズゲートダークアライアンス2 ・半熟英雄4 
・ヴァンパイアナイト ・彼岸花 
・ファイナルファンタジーX-2 インターナショナル+ラストミッション(ラストミッションの部分、シンラ君の正体) 
・PHANTASY STAR UNIVERSE(出来ればオンラインの分も) ・フェイズパラドックス ・不思議の海のナディア 
・ベルセルク 千年帝国の鷹(ミレニアム・ファルコン)篇 聖魔戦記の章 ・ペルソナ3(既出部分の続き) ・ペルソナ3フェス 
・ヘルミーナとクルス~リリーのアトリエ もう一つの物語~ ・亡国のイージス 2035 ウォーシップガンナー ・ぼくのなつやすみ2 
・炎の宅配便 ・魔界戦記ディスガイア2(エンディング全部) ・ミスト3エグザイル ・ミッシングパーツ 
・名探偵エヴァンゲリオン(詳しく) ・メダル オブ オナー ヨーロッパ強襲 ・METAL GEAR SOLID 2(SNAKE TALESの部分の続き) 
・メタルサーガ砂塵の鎖 ・遊星からの物体X episodeII ・ラーゼフォン 蒼穹幻想曲 PLUSCULUS ・ライゼリート 
・リーヴェルファンタジア 〜マリエルと妖精物語〜 ・龍が如く(既出部分の続き) ・RULE of ROSE 
・ルパン三世 ルパンには死を、銭形には恋を ・レイジングブレス ・紅忍 血河の舞 
・ローゼンメイデン ゲベートガルテン(できれば詳しく、原作を見ていない人間にもわかるように) 
・ローゼンメイデン ドゥエルヴァルツァ(できれば詳しく、原作を見ていない人間にもわかるように) 
・ワイルドアームズ ザ フィフスヴァンガード
6未解決一覧:2007/05/26(土) 21:02:15 ID:G1LYBqDK0
■PS  ・アークザラッドII(詳細に) ・アークザラッドIII ・アンシャントロマン 〜パワー・オブ・ダーク・サイド〜 ・…いる! 
・エイブ・ア・ゴーゴー ・エースコンバット ・エクサフォーム ・エコーナイト#2 眠りの支配者 ・オウバードフォース 
・逢魔が時 ・カウボーイビバップ ・火星物語 ・学校のコワイうわさ花子さんがきた! ・GUNばれ!ゲーム天国 
・機動警察パトレイバーゲームエディション ・ギルティ・ギア ・クリックまんが クリックのひ ・黒い瞳のノア 
・慶応遊撃隊外伝蘭末ちゃんの大江戸すごろく ・ゲゲゲの鬼太郎(バンダイ) ・ゲッターロボ大決戦 ・ゲッPーX ・幻想水滸外伝1&2 
・公開されなかった手記 ・高2→将軍 ・サーカディア(既出部分の続き) ・サイバーボッツ ・サイレントボマー ・サンパギータ 
・シュレディンガーの猫 ・すべてがFになる ・SPRIGGAN 〜LUNAR VERSE〜 ・聖霊機ライブレード ・奏(騒)楽都市OSAKA 
・蒼魔灯 ・ダークメサイア ・黄昏のオード ・TILK-青い海から来た少女- ・テイルコンチェルト ・デザーテッドアイランド 
・天使同盟 ・東京ミュウミュウ 登場新ミュウミュウ!〜みんなでいっしょにご奉仕するにゃん〜 ・ドラゴンシーズ 
・トルネコの大冒険2 ・トワイライトシンドローム ・ナイトアンドベイビー ・2999年のゲーム・キッズ ・人魚の烙印 
・バイオハザード(GC版との相違点を) ・バウンティソード ダブルエッジ ・PAL−神犬伝説− ・バルディッシュ 
・BAROQUE▲SYNDROME ・ひみつ戦隊メタモルV ・forget me not パレット ・プラネットライカ(既出部分からの続き) 
・ベアルファレス ・ポポローグ ・ポポロクロイス物語2 ・ボルフォス ・マーメノイド 
・御神楽少女探偵団&続・御神楽少女探偵団〜完結編〜 ・ミザーナフォールズ ・ミスティックアークまぼろし劇場 
・ミスティックドラグーン ・厄 友情談義 ・厄痛 呪いのゲーム ・夜想曲2 ・聖刻1092 操兵伝 ・竜機伝承 ・リングオブサイアス 
・ルパン三世 カリオストロの城 −再会− 
■PSP  ・イレギュラーハンターX ・エースコンバットX スカイズ・オブ・デセプション 
・Grand Theft Auto Liberty City Stories ・新天魔界 〜GOCIV アナザサイド〜 
・新世紀エヴァンゲリオン2 造られしセカイ -another cases-(隠しシナリオも含めた各シナリオをエンディングまで)
・テイルズ オブ ザ ワールド レディアント マイソロジー ・VALHALLA KNIGHTS -ヴァルハラナイツ- 
・ブレイドダンサー 千年の約束 ・ヘブンズ ウィル ・ポポロクロイス物語 ピエトロ王子の冒険 
・魔界戦記ディスガイア PORTABLE(追加された「エトナ編」を) ・METAL GEAR SOLID PORTABLE OPS(詳細に)
7未解決一覧:2007/05/26(土) 21:02:56 ID:G1LYBqDK0
■Wii  ・ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス ・ネクロネシア ・レッドスティール ・ワンピース アンリミテッドアドベンチャー
■GC  ・ガチャフォース ・神機世界エヴォルシア ・ターミネーター3:ザ・レデンプション 
・biohazard(リサ・トレヴァーについて) ・バイオハザード 0 ・PHANTASY STAR ONLINE EPISODE III C.A.R.D. Revolution 
・ポケモンXD 闇の旋風ダーク・ルギア 
■64  ・シャドウゲイト64 ・爆裂無敵バンガイオー ・ポケモンコロシアム 
■SFC  ・アイ・オブ・ザ・ビホルダー ・アルバートオデッセイ ・アルバートオデッセイ2 ・ウィザップ! ・エルナード 
・エルファリア2 ・ガンハザード ・奇々怪界―月夜草子― ・奇々怪界―謎の黒マント― 
・機動戦士ガンダムF91 フォーミュラー戦記0122 ・機動戦士ガンダム CROSS DIMENSION 0079 ・GS美神除霊師はナイスバディ 
・ざくろの味 ・Secret of Evermore(SNESソフト。日本未発売) ・シャドウラン ・少年忍者サスケ ・神聖紀オデッセリア 
・神聖紀オデッセリアII ・セプテントリオン ・ソウルアンドソード ・大貝獣物語2 ・ファイナルファイトタフ 
・ファイナルファイト2 ・ブレインロード ・弁慶外伝 沙の章 ・負けるな!魔剣道 ・魔女たちの眠り ・らんま1/2朱猫団的秘宝 
■FC&ディスクシステム  ・アイドル八犬伝 ・悪魔城伝説 ・悪魔城ドラキュラ ・エスパードリーム(1、2) 
・えりかとさとるの夢冒険 ・美味しんぼ ・亀の恩返し ・軽井沢誘拐案内 ・京都財テク殺人事件 ・ゲゲゲの鬼太郎2 
・御存知弥次喜多珍道中 ・新・里見八犬伝 ・スウィートホーム ・ゼビウス ・ゼルダの伝説 ・タイムツイスト 歴史のかたすみで… 
・道(TAO) ・ドラキュラII 呪いの封印 ・百鬼夜行 ・ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者 
・ファミコン探偵倶楽部 PARTII うしろに立つ少女 ・ヘラクレスの栄光(1,2) ・ポートピア連続殺人事件 
・まじかるドロピー ・マドゥーラの翼 ・魔洞戦記 ディープダンジョン ・魔法のプリンセスミンキーモモ ・未来神話ジャーバス 
・魍魎戦記MADARA ・勇士の紋章 ディープダンジョンII ・ラディア戦記
■DS  ・あらしのよるに(マルチエンディング全7種類を) ・おさわり探偵 小沢里奈 
・オシャレ魔女 ラブ and ベリー 〜DSコレクション〜の「おはなしモード」 ・降魔霊符伝イヅナ ・コンタクト 
・サバイバルキッズLost in Blue ・スーパープリンセスピーチ ・スーパーロボット大戦W ・聖剣伝説DS CHILDREN of MANA 
・世界樹の迷宮 ・ゼノサーガ I・II(変更・追加部分のみ) ・タンクビート ・超操縦メカMG ・チョコボと魔法の絵本 
・ディープラビリンス ・テイルズ オブ ザ テンペスト 
・ドラゴンボールZ 舞空烈戦(クリリンと18号とブロリーとセルのストーリーモード) 
・パワプロクンポケット8(正史ルートと白瀬芙喜子ルートと高坂茜ルート) ・ピンキーストリート キラキラ★ミュージックアワー 
・ファイナルファンタジーXII レヴァナント・ウイング ・ブラック・ジャック 火の鳥編 ・メタルサーガ鋼の季節 
・ルナ -ジェネシス- ・Londonian Gothics 〜迷宮のロリィタ〜
■GBA  ・アドバンス ガーディアンヒーローズ ・奇々怪界あどばんす 
・真・女神転生デビルチルドレン(光、闇、炎、氷、メシアライザー) ・スーパーロボット大戦 ORIGINAL GENERATION2 
・Z.O.E 2173 TESTAMENT ・沈黙の遺跡〜エストポリス外伝〜 ・ドラゴンクエストモンスターズ キャラバンハート 
・パワプロクンポケット5 ・彼岸花 ・Vマスタークロス ・ブラックマトリクスゼロ ・マジカルバケーション 
・メタルガン・スリンガー ・ユグドラ・ユニオン
■GBC  ・エストポリス伝記〜よみがえる伝説〜 ・METAL GEAR Ghost Babel(おまけドラマも) ・メダロット3〜5
■GB  ・王ドロボウJING ・鬼忍降魔録 ONI ・ザードの伝説2(前作やって無くてもわかるように) 
・サバイバルキッズ孤島の冒険者 ・サバイバルキッズ2〜脱出!!双子島!〜 ・ジャングルウォーズ 
・スターオーシャン ブルースフィア ・ドラゴンクエストモンスターズ 〜テリーのワンダーランド〜 ・ビタミーナ王国物語 
・メダロット1〜2 ・読本夢五誉身(よみほんゆめごよみ)天神怪戦2
8未解決一覧:2007/05/26(土) 21:03:58 ID:G1LYBqDK0
■XBOX360  ・【eM】 -eNCHANT arM- ・カルドセプト サーガ ・Gears of War ・CONDEMNED PSYCHO CRIME ・The Outfit 
・ゼーガペイン XOR ・ソニック・ザ・ヘッジホッグ ・地球防衛軍3 ・天誅 千乱 ・ヴァンパイアレイン ・ブルードラゴン 
・プロジェクト シルフィード 
■XBOX  ・ガンヴァルキリー ・クリムゾンスカイ:High Road To Revenge ・真・女神転生 NINE ・DINO CRISIS 3 
・NINETY-NINE NIGHTS(N3) ・バレットウィッチ ・PHANTOM CRASH ・FATAL FRAME ?零SPECIAL EDITION?(追加部分)  
■DC  ・ILLBLEED ・es ・機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で… ・ゴーレムのまいご 
・SONIC ADVENTURE ・SONIC ADVENTURE 2 ・タコのマリネ ・BLUE STINGER 
・ベルセルク 千年帝国の鷹(ミレニアム・ファルコン)篇 喪失花の章 ・リアルサウンド〜風のリグレット 
■SS  ・ガーディアンヒーローズ ・ガングリフォン2(ミッション間ラジオも) ・グランディア1詳しい方の続き ・慶応遊撃隊活劇編 
・サイバードール ・シャイニングザホーリィアーク ・シャイニング・フォースIII(シナリオ2〜3) 
・ソニック3Dフリッキーアイランド ・ダークセイバー ・だいなあいらん ・大冒険セントエルモスの奇跡 ・DEEP FEAR 
・ティンクルスタースプライツ ・テラ ファンタスティカ(既出部分の続き) ・バトルバ ・ファイナルファイトリベンジ 
・ファンタシースターコレクション ・ファンタズム ・プリクラ大作戦 ・ラングリッサー5 ・RAMPO ・リンクルリバーストーリー 
・LUNAR2 エターナルブルー ・RONDE −輪舞曲− 
■32X  ・カオティクス
■MCD  ・うる星やつら ディア マイ フレンズ ・慶応遊撃隊 ・ソニック・ザ・ヘッジホッグCD ・夢見館の物語 
・らんま1/2 白蘭愛歌 ・ルナ ザ・シルバースター 
■MD  ・エイリアンソルジャー ・機動警察パトレイバー98式起動せよ! ・新創世紀ラグナセンティ ・スプラッターハウス PART3 
・ソニック・ザ・ヘッジホッグ3 ・ハイブリッド・フロント ・バトルマニア ・バトルマニア大吟醸 
・ファンタシースターII 還らざる時の終わりに ・時の継承者 ファンタシースターIII ・ファンタシースター 千年紀の終りに 
・モンスターワールドIV ・ランドストーカー ・ワンダーボーイV モンスターワールドIII 
■Mk3  ・ファンタシースター 
■PC-FX  ・こみっくろーど ・はたらく☆少女 てきぱきワーキンラブFX 
■PCE SUPER CD-ROM2  ・GS美神 ・スプリガンmark2 リ・テラフォーム・プロジェクト ・ソードマスター 
・はたらく☆少女 てきぱきワーキンラブ ・ふしぎの海のナディア 
■PCE CD-ROM2  ・コズミック・ファンタジー 冒険少年ユウ ・天外魔境 ZIRIA ・らんま1/2 とらわれの花嫁 
■PCE  ・青いブリンク ・奇々怪界 
■MSX  ・白と黒の伝説・百鬼編 ・METAL GEAR ・METAL GEAR 2: SOLID SNAKE 
■WS&WSC  ・SDガンダム GGENERATION モノアイガンダムズ ・TERRORS ・TERRORS 2 
・VAITZ BLADE ・ラストスタンド 
■ネオジオ系  ・KOF R-1 ・わくわく7(既出キャラ以外)
9未解決一覧:2007/05/26(土) 21:04:44 ID:G1LYBqDK0
■PCゲー  ・アークトゥルス ・アリスインナイトメア ・アルファ(スクウェア) ・Alone in the Dark ・アンタリア創世紀 
・Wizardry(#2 ダイヤモンドの騎士、#3 リルガミンの遺産) ・ウィル(スクウェア) 
・「Age of Mythology」の拡張版「Titans Expansion」の一人用シナリオ ・英雄伝説X 海の檻歌 ・ガラージュ 
・偽典・女神転生 東京黙示録 ・機動戦士ガンダム アドバンスドオペレーション(エンディングのみを) 
・Call of Cthulhu: Dark Corners of the Earth ・コマンド&コンカー 
・サイキックディテクティブ(1、2、3、4、5、ファイナル) ・ジェネシス(スクウェア) ・The Elder Scrolls2 Daggerfall 
・セツの火 ・そう、あたしたちはこんなにも理不尽な世界に生きているのだらよ ・空の浮動産 ・ダイナソア 〜リザレクション〜 
・ツァイ‐メタ女‐ ・テイルズ オブ エターニア オンライン(ロレッタとレニイの関わるストーリー核心部分だけでも) 
・デザート・ドラグーン〜砂漠の竜騎兵〜 ・デジタル・デビル物語 女神転生(日本テレネット) ・ドラゴンスレイヤー英雄伝説II 
・ドラゴンマスターシルク ・トリスティアどきどきおぺれーしょん ・どろろ―地獄絵巻の章― ・Half-Life2 
・パラケルススの魔剣 ・Heroine Anthem - The Elect of Wassernixe(聖女之歌) 
・Heroine Anthem II - The Angel of Sarem(聖女之歌2) ・F.E.A.R. (First Encounter Assault Recon) 
・フィフス・エレメント ・メタ女〜府立メタトポロジー大学付属女子高校SP〜 ・ラプラスの魔 ・忘れえぬ炎 
■アーケード ・ぐわんげ ・ケツイ 絆地獄たち ・ザ ハウス オブ ザ デッド4スペシャル ・ザ・ロストワールド(SEGA) 
・ストリートファイターZEROシリーズ ・ストリートファイターIII -NEW GENERATION- 
・ストリートファイターIII 2nd IMPACT -GIANT ATTACK- ・STREET FIGHTER III 3rd STRIKE -Fight for the Future- 
・旋光の輪舞 ・鉄拳シリーズ ・ドルアーガオンライン ・ドルフィンブルー ・ビーストバスターズセカンドナイトメア 
・ピンクスゥイーツ〜鋳薔薇それから〜 ・虫姫さまふたり ・ラジルギ 
■携帯電話アプリ  ・風ノ名前 ・新世紀エヴァンゲリオン外伝 〜真夏の夜の夢〜 ・新世紀エヴァンゲリオン外伝 〜人形達の宴〜 
・真・女神転生-20XX ・ダーケストフィア ・テイルズオブコモンズ ・テイルズオブヴァールハイト ・テイルズオブブレイカー 
・24:ザ・モバイルゲーム ・ナノデビル ・BC-FF7- ・ふしぎの海のナディア ・フライハイトクラウディア ・ぼくのすむまち 
・夢魔の天蓋 ・REAL〜零〜 ・ルート16ターボ ・ロックマン エグゼ ファントム オブ ネットワーク 
・瑠璃色の睡蓮 ・亜鉛の匣舟 ・泪色の雫 
■同人ゲーム  ・Another Moon Whistle ・イストワール(既出部分の続き) ・犬神 ・コープス・パーティ ・サバトの女王 
・シルエットノート ・SACRED BLUE ・Seraphic Blue(既出部分の続き) ・退魔心経 
・T−DRAGON QUEST〜序章 勇者の目覚め〜 ・ドラえもんのび太のBIOHAZARD ・ドラゴンクエストプロローグ 
・ひよこ侍 ・武勲の王者 ・分裂ガール ・魔族の大地 〜TDQU〜 
・1999ChristmasEve 
・東方靈異伝 ・東方封魔録 ・東方夢時空 ・東方幻想郷 ・東方怪綺談 
10進行中のもの、執筆予告があったもの:2007/05/26(土) 21:07:35 ID:G1LYBqDK0
●途中
・バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子[5月] ・武蔵伝II ブレイドマスター[5月] ・オーディンスフィア[5月] 
・絶体絶命都市2―凍てついた記憶たち―[5月] ・火焔聖母[5月] ・かまいたちの夜×3 三日月島事件の真相[4月] 
・無双OROCHI[4月] ・ポポロクロイス 〜月の掟の冒険〜[4月] ・大神[4月] ・アークザラッド 精霊の黄昏[3月] 
・.hack//既出部分の続き[3月] ・ファーレンハイト[3月] ・オペレーターズサイド[3月] 
・FINAL FANTASY VII(ちょっと詳細バージョン)[3月] ・サイキックフォース2012[3月] 
・北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ[3月] ・.hack//G.U. Vol.1 再誕[3月] ・ブレス オブ ファイア -竜の戦士-[2月] 
・DEVICEREIGN[2月] 

●執筆予告がある物
・ファイナルファンタジーXII レヴァナント・ウイング[5月] ・ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス[4月] 
・ペルソナ3(既出部分の続き)[4月] ・ディープラビリンス[4月] ・九龍妖魔學園紀 re:charge[3月] 
・仙窟活龍大戦カオスシード(土攻の怪概略)[3月] ・ポポロクロイス物語2[3月] ・ポポローグ[3月] ・サモンナイト4[3月] 
・ポートピア連続殺人事件[3月] ・真・女神転生-20XX[3月] ・夜想曲2[3月] ・スーパーロボット大戦W[2月] 
・METROID FUSION[2月] 
11名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/26(土) 21:14:20 ID:G1LYBqDK0
>>1-2
スレ立て乙です。
12バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/26(土) 21:27:18 ID:fKUXNib40
バテン2 続きいきます〜
13バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/26(土) 21:28:26 ID:fKUXNib40
3.もう一人の精霊憑き -帝国アルファルド-

混乱に乗じて、ネロの屋敷があるというミンタカの郊外へやってきたサギたち。
亡き皇帝の葬列が大通りを過ぎる。だがこんなときでもなんだか浮かれたような市民たち。
「皇帝が亡くなったってことは、新しい皇帝が生まれるってことでしょ。帝国の人って新しいモノ好きだから」
とミリィが言う。
しばらくして、次期皇帝候補の演説が始まるというのでサギたちは広場へ向かう。
広場に面した、高い所にあるバルコニーに皇帝候補たちが立っている。
まずはバアルハイトの演説だ。バアルハイトはマキナ化を推し進めること、
そしてこころの翼に頼ることを止め、代わりに飛翔器を配布することを訴える。
「マキナ化って?」
「マキナって機械のことでしょ。つまり、機械化するってことね」
ミリィは解説してくれた。
次は軍務官ネロの演説。ネロはひげを生やした、人が良さそうなおじさんだ。
ネロは、最近、世界各地で異形の怪物が猛威を振るっているということを話す。そして、その驚異を取り除くと約束する。
「私と共にあるこの精霊にかけて!!」そんな言葉で演説は終わった。
ネロを指し、サギが聞く。
「あの人も精霊憑きなんだって。キミは何か感じた?」
キミがわからないと答えると、サギは少し残念なようすを見せる。
そのとき、とつぜん爆発音がして、広場に止めてあった自動車みたいなものが爆発、炎上する。
最近頻発しているという無差別テロだ。広場はパニックに襲われ、逃げる人々。
サギたちは怪我人を助けるべく奔走する。どうやらたいした被害はなさそうだ。
救助活動が済んだ後、いよいよネロの屋敷に向かう。
ゲルドブレイムに案内され、ネロ屋敷の広間を通り抜け、執務室へと向かう。
途中に、他とは違う装飾の扉があった。その前で兵士が警備している。なんだか気になった。
執務室に入る。
「私はネロ。軍務官を務めるものだ。・・・まぁ、そう固くならないでくれ。同じ精霊憑き同士だ」
ネロがそう言うのに緊張を解かないサギ。ミリィとギロが自己紹介する。そしてサギはキミをネロに紹介する。
ネロはよろしく頼む、とキミに言う。
「皇帝の館での一件、あれはバアルハイトの仕業だ。彼は、こころの翼や精霊というものを嫌っていて、
 根絶やしにしようとしている。皇帝を暗殺し、罪を精霊憑きに着せて一度に片付ける・・・彼のやりそうなことだ」
「・・・・・・」
「私と取り引きをしないか?私ならサギの容疑を晴らすことができる。シェラタンの孤児院への援助もする」
「代償は何ですか?」
「バアルハイトの野望の阻止だ。彼は全ての大陸のマキナ化をたくらんでいる。やがては大陸間の戦争にも発展するだろう。
 それに、彼は、あの怪物、『影』の力も手に入れようとしている。そんなことになったら大変だ」
ネロはあの怪物のことを影と呼ぶ。
「野望阻止のために、他の国の協力も必要だ。各大陸の指導者を訪ね、協力をとりつけてほしい」
「こんな少年たちに大役を任せてよろしいのですか」と、ゲルドブレイムが口をはさむ。
ネロは立ち上がり、杖をつきながら数歩歩く。左足を引きずるようにしている。
「見てのとおり、私は動けないのだ。君たちに頼むしかない。それに、同じ精霊憑きなら信用できる。
 精霊憑きは選ばれた者しかなることが出来ない。我々は選ばれたのだ。サギ、共に世界を守ろう」
「・・・少し、考える時間をください」
サギたちはネロのもとを辞去した。ゲルドブレイムに客間に通される。
「考えがまとまるまでこの部屋を使うといい」
客間に残された三人。重い空気が漂う。サギはたまに、自分に読めない行動に走るなあとキミは思う。
「ねぇ、気分を変えない?・・・そうね、アザーがいいわ。あそこなら日帰りも出来るし」
ミリィがそう提案する。三人はアザーへ向かうことにする。
14バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/26(土) 21:29:56 ID:fKUXNib40
-ニハル砂漠-
ミンタカ郊外を出て南へ歩くと砂漠がある。アザーは砂漠を抜けた先だ。
おじさんとおばさんが売っている、アザー特産の火炎氷(かえんごおり)を細かくくだいた「輝く雪」を体にふりかけ、
暑さをしのぎながら街道を歩く。

-鉱山の村アザー-
アザーはとても活気のある村だ。坑道から次々と火炎氷が掘り出されてくる。
火炎氷は砂漠の熱でも溶けないと言われている氷で、マキナの冷却のために使われるため、大量にミンタカへ出荷されている。
村の入り口で三人は解散した。
ミリィは友達のアルマードという女性と話している。ギロは村の子供たちにじゃれつかれている。
サギはひと気のない所へ行き、キミに話し掛けてきた。
「ネロとの取り引き、本当はちっとも迷ってないんだ。いい条件だし、断る理由はなにもないよね。
 ただ、話が大きすぎて、すんなり返事ができなかったんだ。
 ・・・ねぇ、僕が動くことで、何かを変えられるのかな?」
”変えられるよ”
「・・・キミが協力してくれればね。世界を守る、か。僕がそんなことに関わるなんて、思わなかったな・・・」
「さっきから何をぶつぶつ言ってるんだ?」
男に声をかけられサギは驚く。男はバインと名乗った。最近、帝都からの火炎氷の取り立てが厳しい、
どれだけ働いても楽にならない、などということをしばらく話し、再会を約束する。
心は決まった。サギたちはネロの屋敷へと帰る。

ネロに取り引きに応じることを告げるサギ。早速ネロから指令が下る。
最近、テロが頻発している。その首謀者がアザーにいるという情報を入手した。
アザーに向かい、首謀者を探せとのこと。ネロはサギにマキナの通信機を渡す。折りたたみ式携帯電話のような形。

サギたちはまたアザーにやってきたが、調査中とあって前とは違う物々しい雰囲気に包まれている。
サギは、この件の担当官の、リュバンナという赤毛の男に、調査に関するアドバイスを聞く。
キミは逆転裁判というゲームを知ってるだろうか。ちょうどあんな感じで、サギは首謀者を追い詰める。
聞き込みをし、証拠を集め、突きつける――。
そして判明したテロの首謀者、それはバインだった。再会を約束したのに、こんな形で果たされるとは。
「サギ、お前とは分かり合えそうだったのに・・・」
坑道へ、そしてその奥の火炎洞窟へと逃げ込むバイン。三人もバインを追って火炎洞窟へとやってきた。
火炎洞窟は到るところにマグマが流れている灼熱の洞窟だ。
とうとう三人はバインを追い詰めた。バインの体が黒いオーラに包まれたかと思うと、怪物へ、影へと変貌した!
サギたちに襲い掛かってくる。戦いたくないが、止めを刺さぬ程度に弱らせる。
そのとき、通信機にネロから通信が入る。
「どうした、サギ?」
「首謀者が影に変貌しました・・・」
「サギ、影は危険だ」
「わかってます。でも、あれはバインさんなんですよ!」
ギロの体が青白く輝く。影を殺そうとしている。
「やめろ、ギロ!殺してはいけない気がする」
「おーっと、そいつはこっちの獲物だよ!」
マキナアルマに乗ったヴァララが登場する。ヴァララはマキナアルマのビームで影に止めを刺す。倒れる影。
「やめろ!やめてくれ!!うああああぁ!」
サギは突然、頭を抱えて苦しみだす。
15バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/26(土) 21:30:47 ID:fKUXNib40
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「・・・続きだ」
そう、夢の続き。三人は木造の小さな部屋に居ることに気付く。
周りにはあの4兄弟と、知らない人も何人か居る。ティスタが声高に喋っている。
「クヤムはワイズマンを支持するつもりだ。このままではラサラスのようにみんなマグナスにされてしまう。
 ワイズマンと直接話をつけるしかない」
ワイズマンはマグナス化を推し進める、恐るべき指導者で、ラサラスの人が消されたのも彼の仕業だ。
マグナス化とは、人が肉体を捨て、幽霊というか影というか、精神だけの存在になってしまうこと。
あっちはマキナ化でこっちはマグナス化か。
会議が終ったらしく、三人は部屋に取り残される。
どうやらここは、前にも名前が出てきていたナオスというところらしい。
ジメジメすると思ったら雨漏りしている。壁には魚に似た生物が描かれた絵が掲げられている。
サギたちには解らないらしいが、キミはそれがクジラだと知っている。
本棚があるが、そこの本は教養あるミリィにも読めない文字で書かれている。
廊下に出ると他にも部屋がいくつかあるし、ショップもある。この建物は集落の皆が共同で住んでいるところらしい。
階段を上り屋上へ出る。否、ここは建物の屋上などではない。船の甲板だとキミは思う。
船なのに何故か陸の上にあるのが不自然だが。

-廃船ナオス-
「こんなに現実感があるんだもん。もうただの夢とは思えないわね。雨ばかり降って気が滅入るわ」
ミリィが呟く。
「そうか。わしはなんだかここが妙に懐かしい気がするな」
ギロが気になる発言をする。何かに気付き、上空を指差す。
「あれを見よ!雲があんなに高いところにあるぞ!」
「空が見えない!見渡す限り地面だ。こんな大きな浮島って・・・」
ここはどこなのかと考えるサギ。だが、やがて頭痛が襲ってきて思考は中断される。
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16バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/26(土) 21:31:51 ID:fKUXNib40
火炎洞窟に戻ってくると、影とヴァララは既に居なくなっていた。
影との激しい戦闘のせいか、洞窟が揺れ、崩れはじめたので急いで脱出する。
ネロの屋敷に戻り、これまでの事を報告するサギ。
「君は立派に任務を果たしたのだ。喜んでもいいと思うがね」
「人が影に・・・どういうことなんですか?」
サギはネロに聞いてみるがネロははぐらかす。
「そうそう、君の皇帝暗殺容疑を晴らす件だが、バアルハイトの横やりが入ってしまった。
バアルハイトは直接会いにくれば、君の容疑を解くと言っている」
罠かも知れないが、三人はバアルハイトの屋敷に行くことにする。
屋敷の前で突然ミリィが、友達に会いたいからと言って去っていってしまう。
やっぱりミリィは怪しいとキミは思うが、サギは気にかけていない。
屋敷に入るとシャナトが待っていた。
お前が皇帝を暗殺したんだろうと問い詰めるサギ。だがはとぼけている。
シャナトに案内され、バアルハイトの執務室へ入るサギとギロ。
バアルハイトはあっさりと容疑を解く事を約束する。
「ところで、君にはその・・・憑いているのか?精霊が」
突然バアルハイトが変なことを言い出すので、驚くサギ。
”憑いてるよ”とキミは言ったが、やはりバアルハイトには聞こえていないようだ。
サギたちは退室したが、キミの意識はしばらくバアルハイトの所に残る。シャナトが部屋に入ってきた。
「リストによると、バインが消えて次はセルシカですか・・・」
「ディアデムだな」
キミはサギたちの方へ意識を戻す。屋敷を出てミリィと合流し、もう一度ネロの元へ。
ネロに容疑が解かれた事を報告すると、次の任務が与えられる。
「君たちにはディアデムに行ってもらう。ディアデムは騎士の国と呼ばれている通り、
世界屈指の軍事力を誇っている。ディアデムの王に会い、協力を取り付けてほしい」
そしてネロはサギたちに専用の船を貸すと言う。
「ディアデムで影が現れたら?」
「抹殺しろ」
「あれが人が変貌したものだとしても?」
「そうだ。さて、これから私は私の精霊と相談する事があるのだ、失礼する」
ネロは、いつも精霊と話をするという別室へ消えた。いつも兵士が厳重に警備している、あの部屋だ。
サギたちはミンタカの港に向かう。
キミは突然、暗くて何も見えない部屋に意識が飛んだのに気付く。
「なぁ、ダイモンよ、これからどうしたものか・・・このままでは世界が終わる。どうにかしなければ」
ネロが精霊と話しているのか?"ダイモン"というのがもう一人の精霊らしい。
そんな事を考えているとサギたちに意識が戻った。
港に着いた三人。そこには金ぴかのスフィーダという小型の船が待っていた。
よく見かける魚の形の船とは違う、マキナの船(というかキミには飛行機に見える)だ。
しかも専用の運転手付き。
17バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/26(土) 21:33:13 ID:fKUXNib40
4.騎士の国の若き名君 -雲の国ディアデム-

-城下町シェリアク-
ディアデムの首都、シェリアクの港へ着くと、騎士たちが出迎えてくれた。
金髪の、軍服を着た美人の女性が進み出る。
「セルシカと申します。レイドカーン王のもとへご案内いたします」
この人がセルシカ・・・この人もやっぱり・・・?
セルシカに案内され、城へと向かう。

-雲の城エルナト-
「只今、王は稽古中ですので、道場へご案内いたしますね」
城の中の道場へ着くと、王冠をかぶった子供てきた。これがレイドカーン王か。
「ラムじい、余はナシラに漁を見に行くぞ!ギィも後から来い!」
そういって走って行ってしまう。次いで道場から出てきた、日に良く焼けた少年も王を追って走る。
「レイちゃんが行くって言ってるんだ。俺も行く!」
最後に教育係のラムバリが登場する。おはずかしいところをお見せしましたというラムバリ。
「もう少し王としての自覚を持っていただかなければ・・・」
王を追いかけていった少年はラムバリの息子のギバリだという。
セルシカとラムバリに、レイドカーン王を連れ戻すようにと頼まれるサギたち。
エルナトを出て、シェリアクを抜ける。

-雲の道-
雲の道はその名のとおり雲で出来ているが、上を歩く事ができる。
王とギバリが連れ立って歩いているのがみえる。二人は「ギィ」「レイちゃん」と呼びあう仲良しコンビだ。
二人の足は速く、なかなか追いつけない。モンスターに混じって帝国の兵士もうろついている。何を企んでいるんだろう?

-漁村ナシラ-
なんとナシラは、帝国軍に制圧されていた。それを見て驚くレイドカーン王とギバリ。
サギたちが駆けつける前に、二人は帝国軍につかまり、捕虜となってしまう。
サギたちはわざとつかまり、同じく捕虜になることで王たちと合流しようという作戦に出る。
作戦は成功し、港に泊められた船の中に閉じ込められるサギたち。王とギバリもいる。
しかし、5人そろったところで、この船から脱出する方法が浮かばない。
そんなとき、目の前でつむじ風が起こったかと思うと、そこに忍者のような格好の少年が現れた。
彼は神出鬼没の大ドロンコ、パロロ二世。(前作ではパロロ三世が出てきます)王やギバリと友達らしい。
パロロ二世の協力を得て、船の扉を破り、兵士たちの包囲網を抜ける。
レブリスという漁師の少年の力を借り、酒場へと逃げ込む。
そこには酒場を切り盛りする少女、アナがいた。酒場の床にある、村の外へ出る抜け道を抜ける。

雲の道をシェリアクの方へ戻る。途中でジャコモが登場する。
レイドカーン王たちを先に行かせて、サギたち三人は再びジャコモを撃退する。

エルナトの王の間に来た三人。王とギバリ、そしてラムバリが待っていた。
王が言うには、この先の雲の大風穴でバアルハイト配下の連中が何かをしようとしているとのこと。
きっとマキナ化をしようとしているのだ。サギたちは大風穴に向かう。

-雲の大風穴-
ディアデムは大陸全体が雲に覆われているが、その雲が作られているのがここだ。
歩くのも困難なほどの強い風が吹いている。風向きの変わる瞬間を狙って進む。
奥ではシャナトと、ヴァララ、それに部下二人がいた。ディアデムをマキナ化しようと工事を始めている。
ヴァララと部下二人との三対三のバトルになる。
それを制すと、レイドカーン王やラムバリ、セルシカ、ギバリたちが駆けつけてきた。
こちらに隙が出来るとみるやいなや、シャナトはレイドカーン王を人質に取ってしまう。
ラムバリがシャナトに決死のアタックをかける。王は助かったが、ラムバリはシャナトにやられてしまう。
「やめて、ラムバリ殿、やめてぇ!!いやぁあああああ!!」
セルシカは絶叫すると同時に、影に変貌してしまう。
シャナトの部下が装甲車型マキナアルマを持って来て、影をビームで倒す。
頭を押さえるサギ。ミリィが声をかける。
「まずいわ、まさか、サギ、また?」
18バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/26(土) 21:34:45 ID:fKUXNib40
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「マーノ、クヤムへ行く準備は出来た?」
ポルコにそう言われる。そうだ、ワイズマンに直訴しに行くんだな。
準備と言ってもたいしたことはない。兄弟たちとサギたちはクヤムに向かう。

-領主の街クヤム-
新しい石造りの街並み。色鮮やかなタイルがはまった道。
そして、人々は、こころの翼を使って自由に空を飛びまわっていた。
この街の人はこころの力に頼りすぎてるとピエーデは言う。
背の高い塔の前にさしかかったときミリィが言う。
「ねぇ、この建物、何かに似てない?」
「茨の時計台に似てる・・・」
シェラタンのはボロッボロだったけど、ここのは真新しい。
そういえば、この街はシェラタンに似ている。シェラタンの孤児院があるところに同じような建物が建っている。
そして、シェラタンなら既に何もないところに、見渡す限りの水がある
なめるとしょっぱい。絵本でしか見たことのない、海だ。
海の近くにワイズマンの館がある。ちょうどワイズマンが出てきたところだ。
鉄の鎧に鉄の奇妙な仮面をつけている。もはや人であるかどうかも疑わしい。
ワイズマンを信者たちが取り囲む。兄弟たちは見つからないように見ている。
ワイズマンは、新興宗教の教祖よろしく話す。
「フフフ・・・こころの力を使えば、全ては思いのままだ。汝ら、マグナスとなれ!
 マグナスとなればこころは永遠だ!肉体は不要だ。マグナスとなるのが真の幸せなのだ」
何人かの信者がマグナスとなるのを目撃する。ワイズマンは館に帰っていった。
ティスタたちはワイズマンの館に入る。真っ暗な中に星のような小さなライトが点いている幻想的な部屋。
「なぜ人をマグナス化する?」
「フフ・・・より優れた自分に興味はないか?精神体となって、願望が具現化される世界でだけ
 生き続けられるとしたら、それは真実となる。
 我々は次の段階に進むべきなのだよ。民たちも喜んでいる」
「力ずくでも止めると言ったら?」
ペッツが挑戦的な調子で言う。ワイズマンは翼を広げる。十数枚の翼が放射状に並び、まるで後光のようだ。
魔法でワイズマンを攻撃する兄弟たち。ワイズマンはやすやすと受け止める。
自分はどうすればいいのかとサギが思っていると、次第に頭が痛くなってきた。
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大風穴に戻ってきた。セルシカを殺した装甲車型マキナアルマに戦いを挑むが、やはり負ける。

19バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/26(土) 21:35:26 ID:fKUXNib40
王の間に戻ってきた。レイドカーン王はギバリに言う。
「ギバリ、騎士を辞めて、いますぐナシラに戻れ」
「何だよ、レイちゃん、いきなり・・・」
「これは、王としての命令だ」
傷ついた様子で、ギバリは去っていく。
「・・・これでいい。余はラムじいも、セルシカも失ってしまった。余にはギバリが必要なんだ。
 失うわけにはいかない。ギバリを危険な目にあわせたくないから・・・」
レイドカーン王に、見違えるほどの自覚が感じられる。
サギはやっと、ここへ来た本題である、協力のことをお願いする。
「戻ってネロ殿に伝えてくれ。ディアデムは対バアルハイトに協力する」

ミンタカに戻り、ディアデムのことを報告するサギ。
「さて、次はサダルスウドに行ってもらう。サダルスウドには、現在、統治者はいないが、
 影響力の強いロドルフォという富豪がいる。ロドルフォは金をちらつかせれば
 すぐ買収されてしまうような危険な男だ。バアルハイトより先に手を打たなければ」
「あの、軍務官は、影のこと、何か知っているのではないですか?
 シャナトやヴァララは、遺児とか、マルペルシュロとか呼んでいましたが・・・」
思い切ってネロに聞いてみるサギ。
「君たちは、古の神々の戦いのことを知っているか?あれは言い伝えなどではない。
 千年近く前に戦いがあった。記録にも残っている」
ネロは語りだす。
神々の時代、邪神マルペルシュロが反乱を起こした。マルペルシュロは闇の眷属を召還し、
世界を支配しようとした。そして、神々は滅ぼされた。
現在、ドゥールに住んでいる土の民、その先祖によって、邪神は封印された。
邪神は5つのパーツに分けられ、エンド・マグナスという手のひらに乗るくらい小さなカードにシュリンクされ、
5大陸にそれぞれ封印された。5大陸が浮いているのはエンド・マグナスのせいなのだ。
邪神の主なパーツはエンド・マグナスになったが、残りのかけらはバラバラに捨てられた。
影は邪神のかけらだ。マルペルシュロの遺児とも呼ばれている。
かけらが生物に寄生し、辛い気持ち、悲しい気持ち、そんな負の感情が邪神を呼び覚ますのだ。
「かけらに寄生された人を助けることは出来ないのですか?」
サギが聞く。
「不可能だろう。あらかじめわかっているなら、防ぎようがあるが・・・」
20バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/26(土) 21:36:12 ID:fKUXNib40
5.渇望する人々 -辺境サダルスウド-

-古都フェルカド-
坂道の多い古びた街並。そして狭い。見るべきところも無く退屈な街だ。
サギたちは街のあちこちに、手配書が貼られていることに気付く。
「結婚詐欺師サギ」「女怪盗ミリィ」「人喰い覆面人形ギロ」!?
身に覚えのない事が書いてある上に似顔絵も似ていない。これではしばらくは捕まらないだろう。
坂の上の方に一つだけ際立って大きな建物がある。ロドルフォの屋敷だ。
屋敷の前に行くと暗黒部隊員とジャコモがいた。どうやら屋敷の警備を任せられてるらしい。
13才にして暗黒部隊のエリートとなったジャコモが、サギに二度も負けているのでこんな所に飛ばされたらしい。
ロドルフォはケバルライに行ったというので、追いかける。

-ヌンキ渓谷-
地元民には「ヌンキの森」と呼ばれている、緑豊かな渓谷だ。
南の方へ抜ける。

-農村ケバルライ-
いかにも田舎な村。この村の特産の山りんごは世界的に有名だ。
サギたちはロドルフォを見つけたが、バアルハイトの手下、ヒューズという男と何か話している。
ヒューズはロドルフォに、マキナ化に協力してほしいと言う。ロドルフォはなぜか金を要求する。
するとヒューズはロドルフォに金を渡す。
「ロドルフォさん!マキナ化に手を貸してはいけない!」
サギは二人の会話に割り込んで説得しようと試みるが、二人は無視して去っていってしまう。

-領主の館-
サギたちはあきらめずに、ロドルフォの屋敷にやってきた。
警備の兵士を蹴散らしながら進む。ロドルフォの部屋の前にやってきた。
そこにはジャコモが待っていた。
「ツイてる!俺はツイてるぞ!こんな所でお前に会えるとは!
 とんだ閑職にまわされたと思ったが・・・今度こそ決着をつけてやる!」
ジャコモと暗黒部隊員たちと戦闘になるが、三度目もやはりサギたちの勝ちだ。
ジャコモは床に倒れこむが、まだ意識がある。
「また負けたのか・・・。ちからが、全てを圧倒するちからがほしい・・・」
サギがそんな彼を見下ろして言う。
「何が彼をここまでさせるのかな?少しかわいそうだよ」
”かわいそう?”とキミは聞いてみる。
「そうさ。自分に何が出来るのか必死で探してるみたい。
 いや、かわいそうなんじゃないな。僕、うらやましいのかも・・・」
部屋に入り、ロドルフォを説得する。
「ああ、君たちはケバルライで会ったね。大丈夫。マキナ化に迎合するつもりはないよ。
 金が必要だっただけさ。・・・君は、この国をどう思う?」
”遅れてる”とキミは言う。
「遅れてると・・・思います」サギは控え目に言う。
「そう、遅れてる。この国には指導者がいないからね。
 それには金がもっと必要だが、私はいつか指導者として立つつもりだ」
ただの金持ちにしか見えないのに、こんなしっかりした考えをもっていたとは・・・。
そこへ、ヒューズがやってくる。ロドルフォとサギたちに、ヌンキへ来いと言って去っていく。
21バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/26(土) 21:37:00 ID:fKUXNib40
再びヌンキ渓谷へ。そこでは兵士たちが、火炎放射器を使って緑を焼き払っている!
クレーン車を持ち込んで鉄骨の足場を組み始めていたりもする。
奥ではヒューズが待っていた。ヒューズは右腕をマキナで改造している。
ヒューズと戦闘になるが、やはりマキナには勝てない。ギロがあきらめたように言う。
「圧倒的すぎるぞ・・・」
「だから、だからこそやらなくちゃ・・・」サギはまだあきらめていない。
”こんどこそ!”キミはサギを励ます。
「そうさ!さすがキミ、いいこと言うね。あいつを放っといたら、ひどいことになる」
そこへシャナトがやってくる。
「おや、サギ君じゃないですか。ちょうどいい・・・」
あれを持って来い、と、シャナトは部下に指示する。やがて、ライオンのような姿の遺児がヘリで運ばれてきた。
「野生の動物を宿主にした遺児ですよ」シャナトが自慢げに言う。
4つ足の遺児を攻撃し弱らせることに成功した三人。
だが、ちょっと油断したスキに、遺児はミリィを口にくわえて奪ってしまう。
サギは夢中で刀に力を込め、遺児に突き刺す。苦しむ遺児。
開放されたミリィは派手にふっ飛ばされ、骨が二、三本はイクんじゃないかと思うほど叩きつけられる。
「ミリィ、大丈夫か!」
ミリィはさいわい大した怪我じゃないらしい。
「そうか、よかっ・・・た・・・。ううっ」
ミリィを心配してか、サギはしばらく耐えているが、やはり頭に手を当て・・・。
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館を追い返された兄弟たち。
「ワイズマン・・・とても敵う相手ではない」
敗北感でいっぱいになりながらナオスへ帰る。

ナオスでは人が倒れている。留守中にワイズマンがやってきて、精神化を施していったとのこと。
そして、抵抗した者は殺された。ティスタの婚約者も殺された・・・。
ティスタは何かを決意したように言う。
「これからザウラクに行く。俺たちに残された道はそれしかない」

-眷属の根城ザウラク-
不気味な色をしている洞窟だ。キノコの胞子のようなキラキラしたものが壁についている。
ティスタは何をする気なんだろう?と思いながらついていく。
だいぶ進んだところで、ペッツがごねる。
「こんな所に誰がいるっていうんだ?」
だがティスタは答えない。やがて頭痛が襲ってきた。
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22バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/26(土) 21:37:41 ID:fKUXNib40
「まさか、遺児を殺せるとは思いませんでしたよ」
シャナトの声が響く。サギはもう、最後の力を出し切り、動けない。
ヒューズがサギに襲い掛かる。サギは覚悟して目を閉じる・・・が何も起きない。
目を開くと、なんと、パロロ二世がヒューズの攻撃を受け止めている!
さすがパロロ、まるでマンガなキャラクターだ。パロロと一緒に逃げるサギたち。
ヌンキ渓谷の出口まで来ると、パロロはつむじ風に乗って去っていった。
フェルカドに着き、通信機でネロに今までのことを報告するが、ネロは「戻って来い」とそれだけだ。
「そっけないやつだな。こっちは死ぬところだったのに」
ギロが愚痴る。
ミンタカに行き、ネロから次の指令を受ける。
「残るはアヌエヌエ。私の精霊も、妖精導師コレルリの協力が必要だと言っている。
 コレルリに対し、マキナ化に対する意見を聞いてきてくれ」
23バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/26(土) 21:43:33 ID:fKUXNib40
6.からくりの少女 -虹の都アヌエヌエ-

「アヌエヌエかぁ。魔法学校の卒業以来ね、何年ぶりかしら」
スフィーダの船内でミリィが言う。
「ぬし、大陸から出たことがないと言っておったであろう?あれは嘘なのか?」
ギロが疑り深い眼差しを向ける。ミリィは目を伏せる。
「送り迎え付きで通ってたのよ。毎日家と学校の往復。他の場所には行ったことないわ」
アヌエヌエが見えてきた。四六時中架かってる二重の虹、そして中央に聳え立つ天の樹がシンボルマークだ。
そのとき、スフィーダが激しく揺れる。後方から、帝国の大きい船に撃たれた!
アヌエヌエに不時着することになる。

-ジャングル ホロ・ホロ-
着地の衝撃で、船外へと投げ出される三人。痛いがなんとか起き上がる。
ここはジャングルのど真ん中だ。街がどっちにあるかも解らない。
「ミリィ、大丈夫?服の裾が裂けちゃってるよ」
サギが気遣うと、
「・・・あんまり見ないで」と言ってミリィは半ば逃げるように、差し出したサギの手をすり抜ける。
運転手が言うには、スフィーダは故障していて、替えの部品を調達しないと飛べないという。
スフィーダと運転手をその場に残し、街へ行く道を探すサギたち。
奇策を弄し、やがて街にたどり着く。

-花の街コモ・マイ-
アヌエヌエの人々は、花や動物を模した派手な服を着ている。魔法学校もあり、華やかな街だ。
とにかく、妖精導師の宮殿へ行き、使命を果たすことにした。
妖精導師コレルリは、可憐な少女というような姿をしているが、中身は何歳だかは不明。
(ちなみに、20年後も同じ姿をしていました)
ネロに協力するように言うと、マキナ化については反対だが、協力できないという答えが返ってきた。
「アヌエヌエは永世中立国です。つねに平和的に解決しなくては」
サギが意気消沈した様子でこちらを向く。
「ねぇ、キミ、どうたらいい?」
”食い下がりましょう”
「今の・・・あなた、精霊憑きなのですか?」コレルリが驚いた様子で聞く。
「僕ですか?はい、そうです・・・」
「・・・そう」
これ以上食い下がっても無駄だと思い、宮殿から出るサギたち。通信機でネロに報告する。
「・・・そうか。私の精霊も、コレルリに協力を強制するのは得策ではないと言っている。戻ってくれ」
スフィーダが壊れて飛べないことを訴えると、部品を届けたいのはやまやまだが、
いつになるかわからないとネロは言う。
自分たちでもなんとか頑張ってみますとサギは答える。
とは言え、自然がいっぱいのこのアヌエヌエに、部品はおろか、マキナのことがわかる人がいそうにない。
途方にくれる三人。すると、目の前に人だかりが出来ているのを発見する。ちょっと覗いてみる。
木で出来た2、30センチほどの人形、その背中に鳥の羽を差し込むと・・・歩き出した!
今まで見たこともないような、見事なからくりだ。話を聞いてみると、
オプという村に住んでいるローロという少女が作ったものらしい。
彼女ならスフィーダを直せるかも知れない。オプに行ってみることにする。
24バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/26(土) 21:44:14 ID:fKUXNib40
-滝の村オプ-
大きい滝に沿うように作られた村だ。村人にローロの家がどこにあるのか聞いてみる。
「ローロは今、水車作りに専念してもらわないといけないんだから、無理な注文はするなよ」と釘をさされた。
木材で作ったパーツがたくさんが床に散らばる部屋に、ローロは居た。
アヌエヌエの派手な服のせいだけではない、華のある少女だ。
サギはスフィーダを直してもらうようローロに頼む。
「私は木が専門なんです。マキナには応用できません。それに、今は水車のことで手一杯で・・・。
 そうだ、少しでも天の樹が手に入れば、マキナに負けない部品も作れるし、水車も完成させられるわ」
天の樹とはアヌエヌエの中心に生えている、30年に一度花をつけるというあの大樹だ。
勝手に伐ることは出来ず、コレルリの許可が必要らしい。
とにかく、ダメもとでなんとかやってみるとサギは大樹の入手を引き受ける。
ローロは感激のあまりサギに抱きつく。
サギ本人はもちろん、遠目から見ているキミも驚いたが、側で見ていたミリィはもっと驚いている。
「なんなのよ、デレデレしちゃって」
ローロの家から出ると、ミリィは怒って歩み去っていく。
「僕、何かしたかな?」と首を傾げるサギ。

-群生大樹-
大樹のふもとにやってきた三人。だが、「守り人」と呼ばれる番人に、追い返されそうになる。
そのとき奥からユイフィーという女性が出てくる。
ユイフィーが言うには、天の樹は年に一度、枝を落とすという。その落ち枝なら、
コレルリに頼めば譲ってくれるかも知れない、とのこと。
急いでコモ・マイへ戻る。

妖精導師の宮殿の広間では、衛士たちがずらりと整列していた。コレルリが指示を出すと、
衛士たちは出撃していく。なにごとかとコレルリに聞いてみる。
帝国が天の樹の根脈(こんみゃく)にマキナを持ち込み、何かしているとのこと。
根脈とは、天の樹の地下の、アヌエヌエじゅうに張り巡らされた根のことだ。
「手伝わせてください。マキナのことだったら力になれます」サギが申し出る。
「これはアヌエヌエの問題。他国の方のお力を借りるつもりはありません」
コレルリは断ろうとするが、サギは食い下がる。
「これは軍務官の任務ではなく、僕の希望です。早くしないと、根脈がマキナ化されてしまいます!」
ようやくコレルリは首を縦に振る。
25バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/26(土) 21:45:26 ID:fKUXNib40
-天の樹の根脈-
大樹のふもとから、地下へと根の上を歩きながらもぐっていくが、途中で根が途切れて進めないところがある。
仕方なく地上へ戻ると、ローロが来ていた。ローロに相談するサギ。面白くなさそうなミリィ。
ローロがいうには、天の樹の端切れ根を集めてくれば、それを材料にからくりがつくれるので、
それで行けばいいとのこと。端切れ根とは、根の端っこの部分だそうだ。
とにかくもう一度地下にもぐり、端切れ根を集めて地上に戻る。
渡れなかった場所へローロを連れて行くと、アッという間に簡易ロープウェイを作ってしまう。
サギはローロを素直に褒めるが、ミリィは本当にこんなので大丈夫かと難癖をつける。
「ローロ印のからくりは、強さが売りですから」自信満々のローロ。
三人はロープウェイに乗り先に進む。
奥までやってくると、またシャナトと、例のマキナアルマに乗ったヴァララがいる。
衛士たちが倒れている。どうやらこころの翼を抜かれたらしい。
突然、遺児が登場し、そこらに生えている植物に寄生し始め、巨大な植物の怪物と変貌する。
「ほう、植物も宿主に出来るとは・・・」
感心しているシャナトは何故か突然苦しそうになる。ヴァララに遺児を倒すことを指示する。
遺児をマキナアルマのアームで殴りつけるヴァララ。
「サギ、今遺児を攻撃すれば簡単に殺れるのではないか?」ギロが提案する。
「でも、あれは殺したくない。なぜだか解らないけど、あれを殺しちゃだめなんだ!
 こころの奥でそんなふうに感じる」
”殺しちゃダメだ!”とキミは言う。
「だから殺しちゃだめだって言ってる!」
うるさいと言わんばかりにサギに言い返される。
今までサギは、これまでの激しさを見せたことがあっただろうかとキミは思う。
素直でやさしい、いい子だとばかり思っていたが、こころの内に激情を秘め、
今にも崩れ落ちそうな危ういバランスで彼は立っているのだ。
「ねぇ、あそこ!あの根を弱らせれば、本体は自由になるんじゃないの?」
気まずい沈黙がミリィの声によって破られる。遺児は根によって地面に縛り付けられているように見える。
「ようし、根だけを狙って攻撃しろ!」
ギロが爪を構える。サギの表情がパッと変わる。
「二人とも、ありがとう!」
ヴァララが乗ったマキナアルマが本体を攻撃する間に、サギたちは根を狙って攻撃する。
ヴァララが遺児を倒すより先に、なんとか遺児を開放することに成功する。
「やった!見てよ、遺児がどんどん小さくなってくよ。頭痛も起こらない。苦しくない」
「おっと、そうはいかないよ!あたしの任務は遺児の確保だからね」
「やめろ!よせ、ヴァララ!やめてくれ!!」
サギが喜ぶのも束の間、ヴァララが遺児に止めを刺す。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あの不気味な洞窟、ザウラクに居た。
ポルコが「まだ着かないの〜?」と文句を言う中、一行はやっと最奥部に到着する。
「なぁ、ティスタ、いったい誰に会うっていうんだ?」
兄弟たちが問い詰めるとやっとティスタは口を開く。
「闇の眷属だ。彼らの力を借りて、ワイズマンを倒す!」
「闇の眷属・・・思い出した、ここって闇の眷属の城コル・ヒドラエよ」
ミリィが魔法学校で習った知識を披露する。
「闇の眷属よ!ワイズマンを倒せる力をくれ!」
ティスタが呼びかけると、闇の眷属の声が聞こえてきた。
「何を生贄にする?」
「俺の全てだ!」
「足りぬ・・・奉げるならお前ら5つを奉げよ」
ペッツが、ピエーデが、ポルコが、自分も生贄となると宣言した。
残るはマーノの、サギの番だ。ペッツが言う。
「なぁ、マーノ、お前もだろ?」
サギが口を開く前に、キミは”もちろん”と答えてしまう。
「やっぱり、そうだよな?」ペッツはうなずく。
「聞こえてる・・・この人たち、キミが言ったことが聞こえてるよ!僕、何も言ってないのに」
驚くサギ。闇の眷属は言う。
「良かろう・・・力を貸そう」
5人の体が黒い雷のようなものに打たれた。力がみなぎってくるのを感じる。
「これが、闇の力・・・」
「代価は絶対だ。ゆめゆめ、忘れるな・・・」
26バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/26(土) 21:46:44 ID:fKUXNib40
兄弟たちはナオスに帰る。あの、クジラの絵が掲げてある会議室に集合する。ティスタが言う。
「いいか、俺たちは負けるわけにはいかない。そのためには、みんなが力を合わせないとだめなんだ」
「ひとつになるんだ・・・5人でひとつ」
ペッツがつぶやくと、ポルコが言う。
「じゃあ、何か名前を付けようよ。チーム名みたいなの」
ピエーデの口から恐るべき名前が発せられる。
「じゃあ、マルペルシュロなんてどう?」
「なあんだ。おいらたちが育った丘の名前じゃないか」ポルコはがっかりした様子で言う。
「ワイズマンを倒せば、俺たちは死ぬ。だが、残った人々がマルペルシュロの名を記憶に留めてくれるだろう」
「やっぱりここ、千年前の大昔、神の時代なのよ。どうして飛ばされたのかはわからないけど。間違いない。
 でも、彼らがマルペルシュロだとしたら、伝承と違う。
 あの人たち、わたしたちと変わらない。あれが、神なの?」
ミリィが興奮した調子で話す。サギが静かに答える。
「見た目は変わらないけど、こころの力と魔力は桁違いだよ」
「そのうち、神々の戦いが起きるわよ、どうするの、サギ」
サギはキミに話し掛ける。
「兄弟たちを放ってはおけない。止められるものなら止めたいよ。協力してくれるね?」
”わかってますって”キミは答えた。
「うん、頼りにしてるよ」

ワイズマンと戦うために、クヤムに行くが、街はもぬけの殻だった。
わずかに数人、マグナス化された人が残るのみとなっている。
きっとアトリアに行ったのだと兄弟たちは言う。

-戦場アトリア-
クヤムのさらに奥、まばらにサボテンが生えてるだけのだだっ広い荒地がアトリアだ。
「まずい、儀式が始まってる!」
儀式ってなんだろう。ワイズマンが呼んだという竜や、
背中のこころの翼で飛び回るワイズマンの手下たちをやり過ごしながら、ワイズマンを探す。
そのうち、ワイズマンの手下たちに周りを囲まれてしまう。
さすがにこの数では・・・とあきらめそうになったとき、頭に痛みが走る。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「サギ、今はマキナアルマは倒せないだろう。いったん引くのが得策だ」
「・・・・・・」
ギロが話してるのに黙っているサギ。何かを堪える表情だ。
「そろそろ、この腐れ縁も終いにしたいねぇ」
ヴァララが襲い掛かってきて、やはり負ける。
「今なら見逃してやれる。命までは取らないよ」
「・・・戻ろう」
敵の情けを受けて惨めに撤退する。地上へ戻る途中で、サギが突然叫ぶ。
「何なんだ!何なんだよ、精霊って!伝説の精霊憑きだって?
 そんなの、何の力も無いじゃないか!あのマキナアルマだって歯が立たないし、マキナ化も止められなかった。
 別に力がほしいわけじゃない。でも、大事なときに、何も出来ないなら――。
 精霊って何なんだ!?誰にも証明できない!僕の妄想なのか!?」
「”あの人”はよくやっておる。おぬしも解っておるだろう?おぬしが信じてやらなくて誰が信じる?」
ギロがなだめる。
「だけど、キミはいったい何なんだ・・・?」
”わからない”とキミは答える。そう、理由は解らないが、こころの奥に違和感があるのは確かだ。
この感じは、たぶん――。
27バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/26(土) 21:47:25 ID:fKUXNib40
コモ・マイのコレルリのところに戻ってきた三人。
「ごめんなさい。マキナ化を止めることができませんでした」
サギは再度、コレルリに協力を要請するが、やはり断られる。
だが、天の樹の落ち枝については非公式だが許可を取り付けた。
大樹に行こうとするとミリィがまたしばらく中座するという。怪しいけどやっぱりサギは気にかけない。
ミリィと合流し、大樹で落ち枝を入手して、ローロの部屋へ運ぶ。
信じられないという表情で落ち枝を見るローロ。叩くと金属のような音が響く。
「ありがとうサギ!これならきっとうまくいく!」
「ちょ、何やって――」
感激してまたサギに抱きつくローロ。横ではミリィが地団駄を踏んでいる。
ホロ・ホロのスフィーダ墜落現場へローロを連れて行く。一晩の後、修理は完了した。
「水車が完成したら見に来てくださいね」ローロが手を振りながらスフィーダを見送る。
「とんだ恋敵の出現だな」
帝国へ戻る道すがら、ギロが爆弾発言。ミリィは何のことかととぼける。
「隠すな。こりゃあ大変な四角関係だぞ」
四角って、サギとわたしとローロとあと誰よ?とミリィが聞くと「わしだ」と答えるギロ。
「ギロなんかよりも、もっと強力なのがいるじゃない。”あなた”よ。ね?」
自分が引き合いに出されたのでキミはギクリとする。
28バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/26(土) 21:48:37 ID:fKUXNib40
7.精霊と邪神

ミンタカに戻ったサギたちだが、ネロは元老院に呼ばれていないという。
今晩はゲルドブレイムの家に泊まってからまた来てくれという。
ゲルドブレイムの家で、これまでのことに思いをめぐらす。
ギロは、ネロの任務から手を引いた方がいいのではないかと言う。
「これ以上はわしらの手におえる問題ではない」
「僕はまだ手を引くつもりはない。バアルハイトがやってることを、放ってはおけないよ。
 それに、いろんな大陸を見てわかったんだ。それぞれの国ごとに特色があって文化がある。
 バアルハイトはそれをマキナ化で塗りつぶそうとしている。それって、なんだか、気持ち悪いよ」
サギはそう言うが、ギロが反論する。
「気持ち悪い?そんな感情だけで命の危険を冒すつもりか」
「何かをするきっかけって、だいたいそんなもんだろ?大陸の形を変えたり、こころの翼を抜いたり、
 そんなこと、人がやっていいことじゃないよ」
「わかった。わしもいっしょに行こう」
「わたしも行く。サギといっしょに行く」
”自分もいるよ”
「ありがとう、みんな、ありがとう・・・」
次の日、三人はネロに会う。
「精霊のやつにどやされたよ。サギを助けろとな。アヌエヌエではたいへんだったな。
 次期皇帝の件でな、明日、審議を執り行うことになった。君たちも出席してくれ。全ては明日決まる」

あのテロのあった広場にいるサギたち。バルコニーの上では最後の応援演説が行われている。
まずはゲルドブレイム。そして、シャナトが演説する。シャナトは演説の途中で突然、デモンストレーションを始める。
「つれて来い!」
兵士に両脇を押さえられ、引きずられるようにバルコニーに出てきた女性。それはジーナだった。
「母さん!!」
「このマキナの時代に、まだこころの翼に頼る者がいる!」
いやな予感がする。見たくない、見たくない・・・。
群集にマキナコールが起こる。
「待って!どういうことなの!」
ミリィが前に進み出る。
「これじゃ話が違う!父(とう)さま!!やめさせて!」
その視線の先にはバアルハイトがいた。バアルハイトは無言で立ち去る。
「どいてくれ、ミリィ」サギは目の前に立ちふさがるミリィに言う。
「落ち着いて、サギ!」
「どいてくれッ!あの人は僕の母さんなんだぞ!」
「わかってる、わかってるわ。だから・・・キャッ!」
サギはミリィを横に突き飛ばして前に進む。刀を取り出し構える。
「お前ら・・・何してるんだ?みんなどけよ!母さんから手を離せよ!」
「やれ!」シャナトの号令が飛ぶ。
「ああっ、サギ、いやよ、ああっ・・・」
兵士はジーナの翼を引き抜いた。
「貴ィ様らぁああああ!!」
怒り狂ったサギが、バルコニーに飛び上がり、兵士たちに切りつける。
「どうしました?サギ君、あなたの母上はそこですよ。よく御覧なさい。そしてもっと怒るのです!!」
シャナトが煽ってくる。怒りに身を任せるサギ。サギの体から黒いオーラが出てくる。
いけない、怒りに身を任せてはダメだ。そうキミは思うがもう止められない。
危ういバランスは崩れ、そして――。
彼は遺児に変貌した。広場の人々はクモの子を散らしたように逃げる。
「ようやくお出ましですか。マキナを出しなさい!」
戦車型のマキナが出てきた。二度三度とビームに撃たれるサギ。
遺児は、サギは、上空に向かって吼えた。
29バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/26(土) 21:49:36 ID:fKUXNib40
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「・・・僕は撃たれて、そうか、飛ばされたのか」
ワイズマンの手下たちにびっしり囲まれている5兄弟。
「マーノ、しっかりしろ!でないと、やられるぞ!」
どうやらボーっとしていたらしい。気を取り直し刀を構えなおすサギ。
皆憔悴している。倒しても倒しても切りが無い。次第に闇の力が暴走していき、力任せに刀を振り回す。
気が付くとあたりは一変していた。異様な雰囲気に包まれていて、静まりかえっている。
ワイズマンは?ワイズマンはどうなった?と思い、辺りを見回す。
そこらじゅうに切り刻まれた死体が散らばっている。空気がよどんでいる。
この感じ・・・ああ、ついに、人であることを捨て、神となってしまった。
自分たちの変わりようにしばし呆然とする兄弟たち。すると、向こうから仮面をつけた魔導師たちがやってくる。
以前聞いていた土の民の先祖だろう。先頭の二人組みの魔導師が、声を合わせて祝詞をあげる。
男性と女性のコンビだ。ギロが話すときのような声。
「空と大地と海のために・・・」
魔導師たちは、剣と鏡と玉で兄弟たちを取り囲み、動きを封じる。
これは・・・そうだ、その強大な力で邪神を封じたとされる神器、天の剣・大地の玉・海の鏡だ。
「ティスタ=トウ=アゼ!呪われし者よ。その命、貰い受けん!」
邪神の名前をフルネームで読み上げる魔術師たち。
「ペッツ=ソ・ク=ラドラ!ピエーデ=キョウ=モナルナ!ポルコ=ドウ=ノルコ!」
名前を読み上げられた兄弟たちは謎の人物に次々と倒されていく。
「マーノ=シュ=ヾ※∴!」
突然自分の名前が読み上げられたのでキミは驚く。
「何だって?何て・・・言ったんだ、ねぇ・・・キミ?」
サギが苦しみに喘ぎながら聞いてくるが、キミは答えられない。
自分の名前が邪神のフルネームの最後の部分に使われている!
前作を知ってるなら解るだろうが、真ん中の部分は体の部位を表している。
トウは頭、ソ・クは足、キョウは胸、ドウは胴、シュは手。兄弟神マルペルシュロの5つのパーツ。
剣技に長けたマーノはシュか。ボインなピエーデねーちゃんはキョウだって(笑)。
そして最初は言うまでもなく5兄弟の名前、最後の部分は・・・。
自分の名前はいいとして、アゼとかラドラって何かな。
そうだ、「ゲド戦記」だ、あれに出てきた「真の名」みたいなものか。
あるいは「三国志」なんかに出てくる、字(あざな)みたいなものだろう。ということは・・・。
この期に及んで、キミは千年前のこと全てを悟る。自分は以前、マーノだった。5兄弟の末妹。
思い返してみると、今のサギはマーノとよく似ている。性別が違うのを除けば。
刀が得意だったり、赤い服か好きだったり。自分が憑いている影響もあるのかな。
っていうか、今までサギは千年前で女の子の役を演ってたってことか。
ゲーム内ではアリなのかも知れないけど、
自分の基準からすると、確かにサギは女の子っぽい格好してるなと思ってたんだよ。
年のせいもあるけどサギには何だか中性的な魅力があるよね。
・・・やっとわかったのに、もう、死ぬのか。
「呪われし者よ。その命、貰い受けん!」
サギに死の宣告がくだされた。サギの目の前に黒い人影が音もなく立つ。
「ギロ?」
そいつはギロそっくりの人形だった。無駄のない動きでそいつは右手を突き出す。
サギの、マーノの胸は人形の爪に貫かれた。
「ぐふッ・・・。ギ、ギロ・・・」
暗転。
30バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/26(土) 21:50:37 ID:fKUXNib40
何も見えない。何も聞こえない。
”聞こえる?サギ!”キミはサギを呼んでみる。
「ここは・・・」
サギが目を開くと、周りの様子がキミにも見えてきた。
サギは十字形の磔台に、両手を広げた状態で拘束されている。暗い小さな部屋だ。
遺児に変貌し、ビームで撃たれて、しかも千年前に飛ばされたということは死んだんじゃないのか?
死んでなかったとしても、簡単に元に戻れるものか?とキミは思う。
でも見たところ大した怪我もなさそうだ。拘束されてはいるが。
”サギ、大丈夫?”
「キミ・・・無事だったんだね。大丈夫。なんとか平気みたい」
”・・・覚えてる?”
「うん、はっきりとね。キミは、どうなの?」
”覚えてる”
自分は・・・自分はもはや、精霊ではない。邪神だったのだ。
「千年前、神の時代、最後にキミの名前が呼ばれた・・・つまり、あれは、
 あの世界での僕は、マーノは、キミだったんだね。キミは精霊じゃなかった。キミは・・・」
”邪神マルペルシュロ”
「そう、マルペルシュロ。千年前、反乱を起こし、敗れ、バラバラに封印された神。
 それが、キミだったんだよ・・・」
キミが前作バテン・カイトスを知っているなら既に気付いていただろう。なんとなく自分の存在が希薄だと。
それに、以前サギに指摘された通り、伝説と呼ばれるにはあまりにも力が弱い。
前作の主人公カラスはキミと力を合わせて強力な精霊魔法を使う事が出来たが、
サギに出来るのはせいぜい、ピンチの時にちょっとした確率変動を起こすだけだ。精霊魔法とは比べ物にならない。
その確率変動も物理法則を無視したインチキとも言うべきシロモノだ。邪神にはふさわしいかもな。
「その封印されなかったかけらのひとつが僕に宿った。だから、マルペルシュロの遺児が倒されたとき、
 キミの記憶が僕に流れ込んできた・・・。
 そして、バインさんやセルシカさんがそうだったように――僕も、暴走した。母さんを引鉄にして。
 はは・・・自分のこと、ずっと精霊憑きだと思ってた。でも、違ったんだね」
”ごめん・・・”
「違うんだ!違うんだよ。
 僕、初めてキミを感じたとき、友達ができたと思って、嬉しかった。
 でも、嬉しいと同時に、ずっと不安だったんだ。
 仲良くしなくちゃって、うまくやっていかなきゃって・・・。
 だって、僕のこころにずっと一緒に住んでいるんだからね」
サギは泣き出しそうな声で言う。
「でも、キミは何も教えてくれなかったろ?誰よりも近くにいたのがキミなのに、何もわからなかったから!!
 だから、ずっと不安だったんだ・・・」
繰り返された「ずっと不安だったんだ」という台詞が、キミのこころに重くのしかかる。
サギに対する申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
「精霊憑きは選ばれし者!?世界の命運を左右するだって!? 冗談じゃないよ!
 なんだかわからない意識が、突然こころに住みだして・・・。
 こんなこと、誰もわかっちゃくれない。誰も信じちゃくれない!
 どうして僕は、みんなと違うんだろうって思ってた。いっそ、キミなんていなくなればいいのにって・・・。
 ・・・でも、今は違う。だって、キミのことがやっとわかったから。
 精霊だろうと邪神だろうと、そんなのどっちだってよかったんだ」
”サギ・・・”
「・・・・・・」
31バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/26(土) 23:08:13 ID:fKUXNib40
”これからどうするの?”
「あの暴走以来、僕の中でキミが大きくなってきているのがわかる・・・。
 きっと、邪神としてのキミが、僕を呑み込もうとしているんだ。
 このままだと、キミのこころに僕が取り込まれる・・・」
”どうすればいい?”
「選ばなくちゃいけない。キミが僕にに憑くのか、僕がキミに憑くのか。・・・どうする?」
自分がたとえ邪神でも、精霊でなくてもいい。
今までサギと旅した記憶や交わした言葉、二人で綴った物語は本物だ。
自分のこころに残るだろう。一生とは言わないまでも。
そしてこれからも、物語は続くのだ。いつかサギと別れる日までは・・・。
でも、それは今じゃない。自分の行くべき道は決まった。
”サギに憑いていく!”
「僕と一緒に、また旅をしてくれるの!?」
キミは、一度サギから離れる。拘束されているサギと同じ形の、黒いオーラがキミの意識だ。
キミは自分の意識が小さくなるよう念じる。すると、黒かったオーラは一点に集まり、眩い輝きを放つ。
そして、再びサギのこころの中へ。
「すごい、感じるよ・・・。こころが軽くなる・・・ちからが・・・湧いてくる」
なんとサギは自ら拘束具を外してしまう。
「すごいよ、これが、キミのちから!?ありがとう、あらためてよろしく!」
”こちらこそ!”
サギはキミに最高の笑顔を見せる。見えていないと解っていながら、キミも微笑む。
サギを呼ぶ声がする。ミリィとギロが部屋に入ってきた。
「ミリィ、ギロ、無事だったんだね!・・・母さんは、母さんは無事なの?」
「安心して。ジーナおばさまは無事よ」
ミリィとギロがジーナをシェラタンまで運んでくれたらしい。
「”あの人”は無事でおるか?」ギロが尋ねる。
「無事だよ。ここにいる」
「ねぇ、わたし、あなたに話したいことがあるの」
「わかってるよ。あのときは夢中だったけど、でも、ちゃんと聞こえてたよ。
 バアルハイトのこと、父さまって呼んでたね」
言い訳しようとするミリィをサギが止める。
「わかってる。ずっと旅してきたんだ。ミリィのこと信用してる。話して楽になるなら聞くけど、
 それはここから出た後だ」
32バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/26(土) 23:09:01 ID:fKUXNib40
ここは帝国にある建設中のだだっ広い施設だ。
しばらく進んでいくと、丸い巨大なエレベーターがあった。スイッチを操作し上へ。
「そこまでです。これ以上は行かせませんよ」
上のフロアでシャナトが待っていた。サギが怒りをあらわにする。
「貴様、母さんを!!」
「ほう、元気がいい。さすがは唯一、遺児となじんだ被験体ですね」
「被験体・・・?」
ミリィが一瞬、ビクっとする。
「まだそこまでは話していませんか。まぁいいでしょう。
 あなたを生かすように指示を受けていますが、邪神に寄生された化け物がのさばっているのは
 耐えられないんですよ!私のマキナアルマで葬ってさしあげます」
シャナトはパワードスーツのようなマキナアルマを装着し、襲い掛かってくる。
いつものようにサギたちはマキナアルマに対抗できない。
「くそっ、こいつだけは・・・こいつだけは許せないんだ!」
サギが根性で立ち上がり、刀を構える。
「馴染んでいるとはいえ、所詮は作り物。本物の精霊憑きのような力は出せはしない」
サギがシャナトに切りかかるが、刀を片手で受け止められ、弾き返されてしまう。
「無駄なことを」
「どうすれば・・・。畜生、あいつには、マキナアルマには勝てないのか?」
こんなにサギが苦しんでいるのに、自分はなんの役にも立てないのか?
やっぱり、精霊じゃないとだめなのか?・・・いや、そんなはずはない。
自分が本当に邪神なら、かけらだけど、神なら――。
”頑張れ!もうひとりじゃない!”キミは思わず叫んだ。
「えっ!?」
”わたしとこころをひとつにして!”
「こころをひとつに・・・わかった!やってみる」
サギは刀を構え、意識を集中させる。キミも意識を集中する。サギの中にちからが蓄えられるのを感じる。
「あいつを倒すよ、いいかい?」
「ふん、なんの相談だ?邪神のかけらが何の役に立つ?何をしても無駄だよ!」
余裕のシャナト。サギが再び切りかかる。
また刀を片手で受け止められるが、今度は逆にシャナトがふっ飛んだ。マキナアルマの一部が損傷している。
「ばかな、マキナアルマを砕くだと?」
「シャナト、ここまでだ。お前は許さない!」
今までマキナアルマに全く歯が立たなかったのが嘘のようだ。
サギが手に入れたちからで、マキナアルマが損傷していく。ついに、粉々に砕けた。
「その力、まさか本当に遺児の力を引き出すことができるとは。
 あの研究も、ただの酔狂ではなかったわけだ」
「なんのことだ」
「君に宿っている邪神は、人の手によって宿らされたのですよ」
33バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/26(土) 23:09:45 ID:fKUXNib40
シャナトが語りだす。
今から15年前だ。オーガンの指示の下、ひとつの研究が開始された。責任者はバアルハイト。
研究内容は人の手による精霊憑きの創造――。全てはオーガンのエゴから始まった。
帝国を継がせる為に息子を精霊憑きにしようとしたのだ。
もっとも、精霊憑きなんてのは自分からなれるものではない。
そこで考え出されたのが、精霊の力に匹敵する邪神の力を、遺児を人工的に宿らせることだった。
遺児を生まれたての赤ん坊から成人まで、集めた被験体に、強制的に宿らせた。
「ぬしも、そのひとりというわけか」ギロが聞く。
「察しがいいな。不幸にして、いや、幸いにして私は遺児と合わない体質だった。
 おかげで、貴様や他の連中のように化け物にならずに済んだわけだ」
「僕も、そのひとりなのか。人の手によって――」
動揺しているサギに代わってギロが聞く。
「ぬし、なぜオーガンを殺した?」
「簡単なことですよ。あいつだけは私の手で殺したかった。それだけです。
 ・・・さぁ、サギ君、君の恨みを晴らしたらどうです?」
死期を悟ってか、シャナトが言う。
「言われなくてもそうするよ!」
サギが止めを刺そうと構える。
”サギ、もういい!”キミはサギを止めようとする。
サギは構えを解く。
「わかってるよ。そんなことする必要もない。そうだろ、キミ?
 ・・・この憑き方、もう長くはない」
突飛なことを言い出すので戸惑う。邪神憑きには解るのか?とキミは疑問に思う。
そこへ少女がシャナトへ駆け寄ってきた。鞠つきをしていたあの子、シャナトの養女だ。
「サヴィナ・・・」
サヴィナと呼ばれた少女は、シャナトの側へ屈み込んだ。
「行こう、みんな」
サギに促され、ミリィとギロはシャナトに背を向ける。
残されたシャナトは、呟く。
「精霊憑きの実験が、後を継がせるどころか、逆に自分の命を奪うことになるとは、
 親父も想像しなかっただろうよ・・・」

施設を脱出した三人。その施設はミンタカの近くにあった。
「こんな大きいもの作って、何をするつもりなんだろう?」とサギは思う。
ミンタカはお祭りムードだ。新皇帝がバアルハイトに決まったのでみんな騒いでいる。
そうだ、ジーナが心配だ。シェラタンへ向かう。

孤児院の二段ベッドに寝かされているジーナ。医者の大先生に診てもらっている。
サギがジーナのもとへ駆けつけると、ジーナが目を覚ました。
「もう大丈夫。心配しないで、サギ。翼はなくなってしまったけど、
 何とか意識はあるわ。こころは残ってるみたい」
「母さん・・・」
「そんな顔しないの。母さん、これでも人一倍こころは強い方よ。しばらくすればきっと良くなるわ。
 早く翼を戻さないと、サギが泣き出したときに慰めてあげられなくなるものね」
ジーナが無理をしているのは誰の目にも明らかだ。
「わかったよ母さん、わかったから、もうやすみなよ」
ジーナは再び眠りにつく。大先生はサギに言う。
「サギ、ジーナさんの状況は極めて悪いぞ。わしも長い間医者をやっているが、
 こんな症状は見たことがない。こころの翼を失うということはここまで酷いことなのか・・・」
医者の大先生もお手上げだと言う。
「サギ、これからどうする?」ギロが聞く。
「僕は、母さんを治す方法を探したい。母さんはこころの力を失ってしまったんだ。
 きっと、母さんのこころに届くような何かを見つければいいと思う。
 世界中巡っても探し出してみせる」
サギはミリィとギロに、行きたい所はないのかと聞いてみる。
ギロは生まれた意味を知るためドゥールへ、ミリィはネッカルで自分のことを話したいと言う。
キミは、出来ることならもう一度千年前に行き、ワイズマンがどうなったのか確認したいと思った。
34バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/26(土) 23:10:53 ID:fKUXNib40
8.それぞれの過去

「これが、泥雲(でいうん)・・・」
この泥雲の下にドゥールがある。毒のある雲が渦を巻いていて、向こう側がまるで見えない。
だが、スフィーダの推進力なら泥雲も苦もなく通り抜ける。

-古の大地ドゥール-
ドゥールは千年前の神々の戦いの時、汚染がひどかった土地で、
他の大陸のように空に上げられることもなく、千年前のままそこにある。
スフィーダはついにドゥールの港に到着した。近くの村を訪ねると、三人は妙に注目されている。
ドゥールの住民、土の民はみな仮面をつけているが、仮面をつけていないサギたちはやはり目立つ。
ギロだけは覆面をかぶっているので馴染んでいるが。
クラムリという、白い仮面の村長がやってきた。ギロを見て「御神体」と口走る。
何のことかと疑問に思うが、とにかくこの先のゲンマ村へ行って大カムロさまという偉い人に会えという。
クラムリと一緒にゲンマ村に向かい、大カムロさまのいる広間へ。
「大カムロさま、客人をお連れいたしました」
「空から来たと言ったな?」大カムロさまが聞く。
「はい。僕たちは空から来ました」サギは答える。
「して、どこの浮島かな?」
「ハッサレーです」
「ハッサレーと言ったのか、そんな、まさか・・・。いや、だからこそ、その人形も残ったか。
 ハッサレーは、千年前神々の戦いが行なわれた戦場だった。クヤム、アトリアといった
 古代の都市があった一帯の名だ。わしらが空に上げた大陸は5つ・・・」
アルファルド、ディアデム、サダルスウド、アヌエヌエ、そして今は姿を隠しているミラ。
「では、なぜハッサレーが空に?」
「かの大戦では、多くの神々が滅せられたと聞く。戦場だったハッサレーに残った神々の力で、
 自然と空に上ったのだろう」
大カムロさまは、サギたちに奥の部屋に行くよう促す。広間の左側の扉を開けて中へ。
その部屋の壁には、4つのくぼみがあり、そのひとつにギロそっくりの人形が立っていた。
「それは、遥か古代から伝わる人形でな、セギヌスと呼んでいる。代々の長が受け継いできた」
大カムロさまが説明する。セギヌスをしげしげと眺める三人。
「触れてもかまわんか?」
ギロが大カムロさまに聞く。許可が出ると、ギロはおそるおそるセギヌスに手をかざす。
セギヌスに触れた瞬間。
「なにか、頭のなかに流れ込んでくる・・・」
35バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/26(土) 23:11:34 ID:fKUXNib40
気が付くと三人は不思議な空間の中にいた。セギヌスの記憶が散在する世界。セギヌスのこころの中だ。
セギヌスの記憶を辿る。
人形は、最初、セギヌスとギロを含め4体作られた。彼らは神を殺すために作られた人形だった。
ギロは男性と女性、二人の魔導師が力を合わせて操る事になった。二人は夫婦か恋人同士のようだ。
マルペルシュロがアトリアに乗り込んだという情報が入ると、魔導師たちは人形を連れ、部屋を出て行った。
セギヌスは上手く動かなかったため、置いていかれた。
そしてしばらくして魔導師たちは帰ってきた。どうやら神を倒すことに成功したようだ。
ギロは、最後のマルペルシュロに止めを刺したとき、動かなくなってしまったので、
そのまま置いてきたという。残りの二体は完全に破壊された。
だが、安心するのも束の間、神の遺体から穢れが、毒が広がり大地を侵し始めているという。
マルペルシュロの遺体を使い、大陸を空に上げようという作戦を取った。
そして、土の民たちは残り、大地を守ると言う。
「・・・これでわかった。わしは神を殺すために作られた人形。千年前、”あの人”を、
 マーノと仲間たちを殺したのも、やはりわしだったのだ・・・」
ギロが後悔の念にかられたように言う。
「あの二人の魔導師、彼らの意識があなたの身体(からだ)に残っていた・・・」
「それを僕が掘り起こした・・・」
ミリィとサギは呆然としている。ギロはキミの方を向いて、言う。
「すまぬ。許してくれい」
”こっちも覚えていないわ”キミは答える。
「ギロ、”彼女”は何も覚えていないって」
「そんなはずはあるまい。気を使うな」
”・・・本当は、覚えてる”
「許してやってくれないか。覚えていないのはギロの方だと思うよ」サギはキミに言う。
「確かに、わしの記憶はサギに会ったときから始まっておる」
落ち込んでいるギロをサギが励ます。
「今のギロは仲間なんだ。僕はそう思ってる。”彼女”も、そう言ってくれてる」
「そうね、わたしもそう思う。ポンコツには変わりないけどね」
ミリィの言葉でギロは立ち直る。
さて、帰ろうと思うが、出口がわからない。とりあえず、最初に来た場所に戻ることにする。
その途中で、突然声が聞こえてきた。
「マルペルシュロ・・・殺す・・・!」
「え、まさか、”あの人”にセギヌスが反応してるの?」
セギヌスの精神が形となり襲ってきた。ギロと同じ術を使ってくるが、三対一では結果は見えている。
「セギヌスにも、マルペルシュロを殺すという、ただそれだけの意識が焼きついていたのね」
ミリィが感心したように言う。最初に来た場所に戻ると・・・。

セギヌスが置かれた部屋に帰ってきた。ギロは大カムロさまに、この部屋を封印し、
セギヌスを二度と人目に触れさせないようにと頼む。大カムロさまは引き受けてくれた。
サギたちはドゥールを後にする。
36バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/26(土) 23:12:45 ID:fKUXNib40
-閑寂の地ネッカル-
ネッカルはアルファルドの近くにある、赤苔に覆われた岩で出来た小さな浮島だ。
かつてラサラスだったことは想像に難くない。
ミリィはなぜか、無理にはしゃいでいるように見える。
「ここはね、子供の頃、いつも遊びに来ていたところ。魔法学校からの帰りに、
 無理を言って寄ってもらってたの。でも、荒れちゃってる・・・。
 ほら、見て!これ全部わたしが集めたのよ」
小石を積み上げた小山がある。
「ねぇ、向こうにももっと面白いものがあるのよ」
しばらく進むと、不思議な色合いの池があった。水面を覗き込むミリィ。
「今日は白だわ。この池は日によって色が変わるの。白の日はいいことがある、なんて占ってみたりね」
(青は運が悪い。黄色は素敵なハプニング。緑はピンチをチャンスに変える。赤は何もなし)
「そろそろ聞かせてくれんか、ミリィアルデ。・・・ぬし、バアルハイトを父と呼んでいたな」
しびれを切らしてギロが聞く。
「ええ。そのとおりよ」
「わしらはバアルハイトを止めるために動いていた。言わば敵だ。その敵の娘がなぜわしらと一緒にいる」
「わたしは、父さまに言われて、サギを監視していたの。サギが本当に精霊憑きなのか、
 それとも邪神憑きなのか、それを確かめるために。精霊憑きならいいけど、邪神憑きなら――」
「殺すというわけか」
「ええ」
「ジーナもそのためか」
「違う!おばさまのことは、わたしも何も聞いてなかった。だから、だからやめさせようと・・・」
当のサギは、二人から離れたところで黙り込んでいる。黙っているサギは不気味だ。何を思うのだろう?
「旅を続けるうちに、わたしだって、父さまのすることはおかしいと思うようになった。
 わたしも今では、父さまを止めたいと思ってる!ううん。娘のわたしが、一番強くそう思ってる。
 今までのこと、許してくれとは言わない。でも、これだけは信じて!
 父さまに、言われたとか、そんな理由じゃなくて、ただ、一緒にいたいの。
 ギロと言い合って、サギを困らせて、”あの人”と冒険して・・・ねぇ、何か言ってよ!サギ!」
サギはミリィの方へ進み出る。
「最初に会ったとき、僕に精霊が憑いてることを信じてくれたよね。あれも、嘘だったのかい?」
「ううん。サギとは会ったばかりだったけど、なぜか信じられたの。
 父さまはああ言ってたけど、この人がそう言うんだ、きっとそうなんだろうって。
 なぜだか、そう思ったの」
サギはさらにミリィに歩み寄る。息がかかるくらい近い。ミリィをまっすぐに見つめる。
「なら、いいんだ。ミリィが僕を信じてくれた。だから、僕もミリィを信じるよ。
 僕はミリィが好きだ。だから、一緒にいてほしい。これからも・・・」
「サギ・・・」
抱きしめあう二人。
「ごめんなさい・・・」
「いいんだ、ミリィ」
ミリィはサギから身を離し、ギロに向き直る。
「ギロも、ごめんなさい」
「今度だましたら承知せんからな。今回は許してやる」
「ありがとう。それから、”あなた”にも、ごめんなさい」
”気にしてないよ”とキミは答える。
「大丈夫。気にしてないって言ってるよ」
「うん。ありがとう」
37バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/26(土) 23:14:06 ID:fKUXNib40
サギたちはジーナを治す方法が見つからないまま、シェラタンに帰ってきた。
すると、医者の大先生がサギを呼び止める。
古い文献の中に、ジーナに効きそうなものを見つけたとのこと。
「こころな草(ぐさ)」という草で、神の時代、人々が常食していて、
それによってこころの力を強めていたとのこと。これなら、ジーナのこころに届きそうだ。
その草は、千年前のマタルというところに生えていたらしい。
千年前か・・・でもマーノの物語も終わってしまったし、もう千年前には行けないのではないか?
そんなことを考えていると、突然、ミリィが叫ぶ。
「そうよ、”あの人”に昔を思い出してもらうのよ!今までは、遺児が倒されるときに、
 ”あなた”の記憶がわたしたちのこころに流れ込んできた。
 今度は違う。”あなた”が自分で思い出すのよ。・・・何か、過去を思い出せるものはないかしら?」
「・・・茨の時計台!」
サギは時計台の前でこころを集中させる。キミは千年前の、クヤムの街並みを脳裏に描く。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
目を開くとそこはクヤムだった。
「ほーら、ちゃんと来れた」ミリィは得意げに言う。

-マタル高地-
巨大な蓮の葉の下に立っているおじさんがいるので話を聞いてみる。
ここは人のこころを折るという雨が定期的に降るところなのだという。
所々に生えている蓮の葉の下で雨宿りしながら進む。
奥のほうに、白く可憐な花が咲いているのが見える。あれがこころな草か。
だが、そこには先客がいた。巨大なモンスターだ。とりあえずそいつを倒す。
倒したと思ったら、次々と巨大なモンスターが登場し、サギたちに襲い掛かろうとする。
相手にしていたら切りがない・・・そう思っていると向こうから何かが飛んできた。
「白龍!綺麗・・・魔法学校で教わった通りだわ」
ミリィが感激している。白龍はブレスを吐くと、モンスターたちを次々と倒していく。
全てのモンスターを倒すと、白龍はどこへともなく飛び去っていった。
「わたしたちのこと、助けてくれたのかしら」
ともかく、こころな草が手に入った。

サギたちは再びアトリアに来た。
相変わらずワイズマンの呼んだ龍や手下たちがうろうろしている。
ここで自分は死んだのだ。そしてギロも動かなくなり、捨てられた。
ここはやがてヌサカンとなる場所なのだ。キミはそんなことを考えた。
「この感じ・・・ワイズマンか?」
サギが言うとおり、ワイズマンがいた。死体の山を積み上げ、その頂上に立ち、
人々や神のこころを食べている。
やはり、ワイズマンは民のことを考えてマグナス化などと言っているわけではなかった。
ワイズマンは人のこころを喰らう悪魔だったのだ・・・。
「ほう、まだ残っていたか」
サギたちを見てワイズマンが言う。
「む、汝らのこころ・・・面白い。黒龍よ!」
ワイズマンは黒龍を呼び出した。先ほど見た白龍と同じくらい強そうだ。
「約束のこころだ・・・我とともに喰らおうぞ!」
まず黒龍と対戦し、そしてワイズマンと対峙する。
ワイズマンは恐ろしく強い術を繰り出してくるが、何とか勝つ。
ワイズマンの身体が蒸発するように消えていき、あとには鉄の鎧と仮面が残った。
「これで、あの人たちも少しは浮かばれる・・・よね?」
「うん。そう思う。きっと、そうさ」
サギが自分に言い聞かせるように言う。キミもそう思うだろう。
38バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/26(土) 23:14:55 ID:fKUXNib40
クヤムの時計台の前で、ボロッボロの時計台を思い描く。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
シェラタンへ帰ると、早速孤児院へ向かう。
ジーナにこころな草を飲ませるサギ。だがすぐには変化が見られない。
ジーナに付き添ううちに、サギは眠ってしまう。
キミは、こころな草の効果でサギのこころがジーナのこころと繋がっているのを感じる。
そして今は、キミのこころも二人と繋がっている。
キミは昔のサギを回想してみる。二人もきっと同じ夢を見ているだろう。
「女が逃げたぞ!被験体も一緒だ!」
赤ん坊のサギを抱え、皇帝の館の廊下を走るジーナ。
「また泣いているの?しょうのない子ね」
「ねぇ、母さんの翼見せてー!」
泣いている幼少のサギはジーナに翼を見せてくれるようせがむ。
「また泣いておるのか?ジーナが心配しておるぞ。翼が見たいならそう言えばいいだろう」
ギロは茨の時計台の上を見上げる。サギが翼を広げて飛び降りてくる。
「そんなんじゃないよ。そうさ、いつまでも子供じゃないんだ」
「本当にいいのだな?しばらくは戻れんぞ?」
定期便に乗っているサギとギロ。
「うん。こんなチャンスないからね。出身は問わない上に、手当てもいいみたいなんだ。
 募集は一般兵だけど、いずれ暗黒部隊にとりあげられれば、もっと稼げる。
 そうすれば、母さんにだって・・・」
なんだか走馬灯のように一気に思い出してしまった。
こうしてみると、自分が覚えているサギは、いつも泣いている。
実際泣いていなくても、こころでは泣いている。
いつかネロが言ってたっけ。悲しいとかいう負の感情が邪神を呼び起こすって。
ゲーム開始時、暗黒部隊本部の個室での夜、あの夜も、サギは悲しかったのかな。だから自分が目覚めたのかな。
そして、サギが本当の幸せを見つけたとき、自分は再び眠りにつくのだろう。
「母さん・・・」
サギが目を覚ますと、ジーナはベッドから身を起こしていた。
「母さん!気が付いたんだね」
「おはよう、サギ。ありがとう。あなたたちのおかげね。サギ、ギロ、ミリィアルデさん、
 そして”あなた”も。本当にありがとう」
ジーナはキミにも謝辞を述べる。サギは無言で立ち上がる。
「サギ、あなた、やりたいことを見つけたんでしょう。顔を見ればわかるわ」
「うん。わかった。僕、行って来るよ。でもまた帰ってくる」
「ええ。待ってるわ」
39バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/26(土) 23:15:37 ID:fKUXNib40
シャナトと戦ったとき手に入れた力、あれならマキナアルマにも負けない。
三人はアヌエヌエに飛び、天の樹の根脈へと再びやってきた。
相変わらずヴァララがマキナアルマに乗ってマキナ化の作業をしている。
「また精霊憑きの・・・いや、邪神憑きのボクちゃんか。またやるつもりなのかい?」
「やるさ!何度でも。勝手にマキナ化を始めて!こころの翼を無理矢理抜いて!
 目の前でそんなの見せられて、放っておけるわけないだろう!?」
「元気がいいねぇ。いい根性してるよ。あんたのそういうとこ、とっても好きだよ。
 おいでよ、そこまで言うならやってやろうじゃないか!!」
ヴァララが乗ったマキナアルマは臨戦体勢に入る。サギはキミに言う。
「力を貸してくれ!こころをひとつに・・・」
”やってみる!”
あのときのように、キミは意識を集中させる・・・成功だ。
サギたちはマキナアルマを破壊に追い込んだ。
「どうなってる?まるで別人じゃないか!ちっ、まずい!」
ヴァララはマキナアルマから脱出する。爆発するマキナアルマ。
「それが、邪神の力ってやつかい?右手がまるできかなくなっちまった」
「教えてくれ、ヴァララ、なぜマキナ化に力を貸すんだ。暗黒部隊にいたとき、
 あなたは僕を気遣ってくれた。あなたは優しい人だと思ったんだ。それなのになぜ?」
サギはどこまでいい人なんだろうとキミは思う。
「・・・仕事だからさ。仕事のためなら女だって捨てる。それがあたしの選んだ人生さ。
 さあ、わかったら続きをやろうじゃないか。このまま逃げ帰ったんじゃ、
 隊の連中にしめしがつかないからね」
ヴァララは肉弾戦で決着をつけようとする。
「やめよう、ヴァララ。あなたとはこれ以上戦いたくない。あなたが逃げないなら、僕たちが逃げる」
「ぬし、どんな理由かは知らんが、死んでしまったら何もないのだぞ?
 今のサギに敵わぬことは、自分でもよくわかっておるだろう」
ギロもやめるよう説得する。
「・・・フ。確かにね。お人形の言うとおりだ。まだ死ぬわけにはいかない。
 あんたの言うとおり、逃げ帰るとするよ」
「はは!よかった」
サギは笑う。

久々に通信機に通信が入る。
「話したいことがある。私のところまで来てくれ」
相変わらずネロはそっけない。

40バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/27(日) 00:17:14 ID:JLV4VpHw0
9.綺麗な嘘と汚れた真実 -要塞タラゼド-

ネロの元へ馳せ参じる。
「遅くなりました」
「ついに、要塞タラゼドが完成してしまった。皇帝となったバアルハイトは、
 タラゼドを拠点にさらにマキナ化を進めるだろう」
サギが拘束されていただだっ広い施設、あれはタラゼドの一部だったのだ。
そのとき、地面が揺れる。なにごとかと思っていると、兵士がやってきて言う。
「ネロ様、大変です!タラゼドが空に!」
一同は外に出る。空を見上げると、金色に輝く、巨大な要塞が空に浮いている。
「なんと巨大な・・・大陸と変わらんぞ!しかし、これほどとは・・・」
ネロが驚嘆する。あんな巨大なものがマキナの力だけで浮いているとはすごい。
世界中の人々が驚いている。ギロがミリィに聞く。
「ミリィアルデ、ぬしは何も知らぬのか?」
「知らない・・・父さま・・・いったい何を・・・?」
「む?何か出るぞ!投射映像か?」
ゲルドブレイムが説明チックな台詞を言う。投射映像にはバアルハイトが映っていた。
投射映像のバアルハイトが演説を始める。
「帝国国民の諸君、そして全大陸の指導者並びにその民たちよ。
 帝国皇帝バアルハイトの名をもって、ここに宣言する。
 帝国アルファルドは大陸を放棄、今後は、この浮遊要塞タラゼドを帝国本土とする!
 そして、帝都ミンタカは、タラゼド内のヴェガへと遷都、
 帝国アルファルド改め、帝国タラゼドとする!」
バアルハイトの演説は続く。いつ尽きるともわからない邪神の力で浮いている大陸などは捨てて、
今すぐこのタラゼドへ移住するようにと説く。
ただし、移住するには条件がある。こころの翼を捨てることだ。
そして、やがては全ての大陸を破壊すると言う。
「やつめ!皇帝の座に就いて、ついに本性を表したか!」
ネロが怒っている。ギロがあきれたように言う。
「大陸のマキナ化には失敗した。今度は壊すと言うわけか。まるで子供だな」
「そんなことはさせない!タラゼドに行こう!バアルハイトと決着をつけるんだ」
サギが意気込むと、ギロが言う。
「相手はミリィアルデの親だぞ。ぬしに出来るのか?」
「それは・・・やるしかないよ」
「待って、父さまは話のわからない人じゃないわ。まずはわたしに話をさせて?」
ミリィが言う。
「ああ、もちろんだよ。でも、もしものときは・・・そのときは、ミリィにも覚悟してほしい」
「うん。わかった」
「この世界の命運は、君たちにかかっている。大げさではない、真実だ」
ネロは励ますように言う。
「マキナアルマに対抗できるのがサギ君たちしかいない以上、その通りでしょうな」
ゲルドブレイムは仕方ないといった表情だ。
「では、行ってまいります」
サギたちはスフィーダに乗り込み、タラゼドを目指す。

41バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/27(日) 00:18:05 ID:JLV4VpHw0

-マキナ都市ヴェガ-
巨大な空間の中に複雑に通路が交差している。未来都市と呼ぶにふさわしい。
何もかもが揃い、働かなくても楽に暮らせるはずなのに、人々はなぜか無気力だ。
こころの力を捨てたせいなのか。
見覚えある丸い巨大なエレベーターがある。
広すぎて移動がたいへんだ。要塞内部へと向かう。

-浮遊要塞タラゼド内部-
入り口の警備の兵士を突破し、内部へ。
エスカレーターを上り下りして奥へと進む。どこへ行っても似たような風景で迷いそうだ。
途中にエスカレーターの動く向きを反転させる装置が置いてあるが、
サギは帝国軍にいたときに得た知識を活用して操作する。簡単なものなら動かせるらしい。
モニターを食い入るように見ている兵士たちの後ろを忍び足で通り過ぎると、大きな扉がある。
「なんだか、この先で僕を呼んでる気がする・・・」
扉を開け、その先の動く歩道を進むと、がらんとした部屋にでた。
その中心には、遺児が納められた透明な円柱のカプセルがある。
「そうか、僕じゃなくてキミを呼んでいたのか」
「助けられないの?」
”やってみましょう”自身はないけどキミは言ってみた。
「うん。僕も手伝うよ」
サギとキミは遺児が開放されるよう念じる。すると、遺児はすうっと消えていった。
「開放、したの?」ミリィが聞く。
「うん。遺児が殺られたときみたいに、イヤな感じはしなかったから、きっとそうだと思う」
先ほどのモニターの部屋に戻ると、マキナは機能しなくなっており、兵士たちもいない。
このシステムは、どういう仕組みだかわからないが、遺児がいないと動かないらしい。
サギたちは、マキナに組み込まれた遺児を次々と解放していった。
エスカレーターを乗り継ぎ、とうとう広間に面した廊下にたどり着いた。
広間は吹き抜けになっていて、ガラス窓から広間が見える。。サギたちがいるのは3階だ。
広間にはバアルハイトがいた。バアルハイトは何か兵士に話すと、奥の扉に消えていった。
あの扉の先が司令室らしい。サギたちはガラスをぶち破り、広間に降り立ち、司令室の扉を開ける。

42バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/27(日) 00:19:31 ID:JLV4VpHw0
「来たか・・・」
バアルハイトは窓際に立っている。
「バアルハイト!今すぐタラゼドを戻せ!各大陸の指導者も力を貸してくれている。
 あなたの計画は失敗したんだ!」
「サギの言う通りよ、父さま、お願い、もうやめて!」
バアルハイトは表情を変えずに言う。
「失敗?違うな。全ては計画通りだ。サギ君、最後の邪神憑きである君を葬ることで、
 私の計画にも、長かったこの戦いにも、決着がつく。ミリィアルデ、それも全てお前のおかげだ。
 よくサギ君を連れてきてくれた」
「違う!・・・父さま、違うの!わたしはもう、父さまの言いなりのわたしじゃない!
 ここへはわたしの意志で来たの。父さまに言われていたからじゃない。
 父さまのしていることは間違ってる!だから!わたしは父さまを止めるために、ここに来た」
「なるほど、このところ報告がないとは思っていたが、そうか、そういうことだったか」
「聞いて、父さま。人のこころの持つ力は、決して悪いものじゃない。
 わたし、サギと旅を続けていくうちにわかったの。いろんな人と出会って、いろんな経験をして・・・。
 ずっとお屋敷で暮らしてきたわたしには驚くことばかりだった。
 魔法学校で教えてもらえなかったことばっかりだった!レイドカーン王のギバリ君への友情、
 ロドルフォさんの母国を守る勇気、コレルリさまの世界を憂う高潔、おばさまの子供を想う真情。
 みんなこころを持っていた!そして、わたしの中にあるこの気持ち、サギを想うこのこころ・・・。
 なくしたくない!なくしてしまってはいけないの!
 こころを失わせてまで・・・そんなマキナ化が何になるの?マキナこそ、この世には必要ないのよ!」
ミリィの決死の説得は、破裂音により中断される。バアルハイトが小型の拳銃を取り出し、ミリィを撃った。
仰向けに倒れるミリィ。サギが駆け寄る。
「ミリィ!ミリィ、しっかりして!」
ミリィの服がはだけ、肩と背中が剥き出しになっていた。もっと血が出るかと思ったが、出血はひどくない。
サギが傷口を検めようとすると、そこには――。
「これは・・・マキナ?」
撃たれたところから青白い火花が飛んでいる。
「これでもマキナは必要ないか?ミリィアルデ!マキナの力でその生を拾ったお前が、
 マキナを否定するというのか?15年前のあの事件で、遺児にズタズタにされたお前を
 生き長らえさせたのは何だ?他でもない、このマキナだ。違うか、ミリィアルデ!」
「ごめんね・・・ごめんね、サギ。わたし、まだ、嘘をついてた。
 父さまの言うとおり、わたしの身体はほとんどマキナ。でも、このおかげで生きていられるの。
 でも、信じて。わたしのこころはわたしのまま、ずっと変わらない」
「しゃべったらいけないよ、ミリィ。いいんだ、そんなこと。前にも言ったろ?
 僕はミリィを信じてる。だから、今はじっとして・・・」
「ごめんね・・・ごめんね・・・」
黙っていたギロが口を開く。
「自分の野望のためには、実の娘までその手にかけるか・・・。ぬし、踏み外したな?許せぬ・・・」
「小ざかしい、人形風情が!」
ギロはバアルハイトに飛び掛っていくが、返り討ちにあう。倒れるギロ。
「くそったれ!身体が言うことをきかん!」
バアルハイトは細身の剣を取り出す。
「立ちたまえ、サギ君。決着をつけようじゃないか。君は私が倒す。それが宿命だからな。
 行くぞ、ダイモン!この一戦で全てが終わる。その力、借りるぞ!」
ダイモン?どこかで聞いたことが・・・などと考える暇もなく、サギとバアルハイトの一対一の戦いになる。
サギとキミは息を合わせ、確率変動を何度も起こす。
「さすがだな、マルペルシュロの力を見事に融合させている」
「当たり前さ!僕たちの力を甘く見るな!」
「確かにな。まさか、あの成功例か・・・完全体が生まれていたとはな」
「・・・シャナトの言ってた研究か?」
「話してやろう。君には聞く権利があるからな」
43バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/27(日) 00:20:13 ID:JLV4VpHw0
バアルハイトは話す。
15年前、皇帝オーガンがハッサレーに行ったときに、マルペルシュロの遺体を見つけたことから始まった。
バアルハイトはその研究の責任者になった。
神を被験体に宿らせる所までは順調だった。だが、ある被験体が暴走するという事故が起こってしまった。
そのせいでミリィは瀕死の重傷を負い、バアルハイトの妻は死んだ。
被験体たちは開放され、研究は中止。バアルハイトは全責任を負わされた。
何もかも嫌になったバアルハイトはミリィを生命維持装置に入れ、放浪の旅に出た。死にたいと思った。
死にたいと思いながら、ミラのネクトン(前作でカラスはここでキミに会った)をさまよい歩いていると、
バアルハイトに語りかける声が聞こえ、”死んではダメだ”と言われたという。
それが精霊ダイモンだった・・・。バアルハイトが精霊憑きだったとは。
「皮肉じゃないか?死を覚悟した者に、世界の命運を左右する英知と力が授けられたのだからな!
 だが、私の戸惑いとは裏腹に、精霊は伝説通り精霊だったのだ。
 精霊は、私の求める知識を与えてくれた・・・マキナだ。帝国に戻った私は、
 マキナの開発に打ち込んだ。マキナで世界を救うために・・・。
 そう、あの遺児の力すらも、マキナでなら押さえ込むことが出来るからだ。
 これが、精霊憑きである私の宿命だ。もはや、過去の過ちの責任などという小さい理由ではない。
 わかったろう、私の戦う理由が。君を倒さなければならない理由が!」
「だからって、それならどうして、こころの力まで奪おうとする?」
サギとバアルハイトの鍔迫り合い。
「こころの翼は神の時代のなごりだ。その力に頼っていては、神々の戦いと同じ悲劇を生む。
 千年前、我々の先祖は、こころの力に溺れた。その結果、何が起こった?
 世界を汚し、大陸を空に上げねばならぬほどの大汚染を引き起こす戦いが始まった。
 そして、それは再び遺児を生む!違うか!サギ!」
「だから、なんだってんだ・・・だから、どうしたってんだ!!綺麗ごと並べて!
 そんなの、全部、自分のための言い訳じゃないか!」
「言い訳だと!?」
「そうだ。自分の都合で決め付けて!勝手に想像して!マルペルシュロの遺児だって、
 お前たちが触れさえしなければ、暴走することもなかったはずだ。
 こころの力に溺れるだって?誰にそれがわかる?そんなの昔の話だろ!
 やってみなけりゃ・・・そんなの、やってみなけりゃわからないじゃないか!!」
「幼稚な考えだな」
「なんだと!?」
「人なんてものは水と一緒だ。低い所へ流れ、溢れ出し、自らが自らに溺れる。
 それを囲ってやろうというのだ。私と、ダイモンとで!!」
「この!あなただって人だろうに!」
「話は終わりだ。今度こそ、君と君に宿るものに止めを刺してやる」
「そうはさせんぞ。”あの人”とサギは死なせん。このわしがいる限り!」
いつの間にかギロが立ち上がっている。
「わたしも、父さまは間違っていると思う。わたしは、人のこころを信じたい。
 でないと、自分も信じられなくなってしまうもの!」
撃たれた傷口を押さえながらも、ミリィも立ち上がる。
「いいだろう。世界を導く私に、血の繋がりは無用だ。まとめてかかって来い!!」
「行くよ!」
サギはキミに声をかける。
三対一ながら、バアルハイトは強い。精霊憑きらしく、強力な精霊魔法も出してくる。
だが、バアルハイトは次第に押されてきて、ついに、負けた。
がっくりと膝をつくバアルハイト。
「なぜだ、ダイモン!なぜ力を貸してくれんのだ!」
キミにも精霊の声が聞こえてきた。
”間違っていた・・・”
「間違っていた?どういうつもりだ、ダイモン!」
ダイモンは黙っている。代わりにサギが言う。
「ひとりでやっきになることはない、きっとそう思ったんだ。だから、力を貸すのをやめた・・・」
「そうなのかダイモン!私の独りよがりだと?」
「そうよ、やり直しましょう、みんなで。ね、父さま。やり直せること、それだって、
 人のこころの力だもの」
「やりなおす・・・私が・・・」
バアルハイトはいきなり血を吐いて倒れる。
「父さま、しっかりして!!」
44バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/27(日) 00:20:59 ID:JLV4VpHw0
そこへネロがゲルドブレイムを伴って登場した。
「バアルハイトを倒したか・・・」
「軍務官!来ておられたのですか?」
「フフフ、サギ、お前にはずいぶん裏切られてきたが、
 ここに来てようやく私の望む結果を出してくれたな」
ネロは杖をつきながらバアルハイトに歩み寄ると、剣を取り出し、刺した。
「軍務官!?」
「精霊憑きというやつも、言うほど大したものではなかったな。
 こうして、苦しんでいるさまは、まるで人と同じではないか」
「ぬしも、精霊憑きではないのか?」
ギロが尋ねると、ネロの顔が醜く歪む。
「ハハハハ・・・精霊憑きという肩書きには助けられたよ。精霊憑きと名乗るだけで、
 誰もが私を尊敬してくれた。こいつが出てくるまではな!
 もっとも、精霊と話しているように演じるのは、少々骨が折れた。
 そろそろ潮時だと思っていたところだよ」
「いけすかんやつだと思っていたが、やはりな」
ギロが言うと、ゲルドブレイムが言い返す。
「人形ごときが何を言うか!ネロ様のなさることだ。良いことに決まっている。
 ・・・ネロ様の深謀遠慮には頭が下がります。これで、この世界も平和になります」
「平和?そんなものは与えんよ。これからの世界は、私の管理のもとに再構築される。
 バアルハイトの残した遺産、マキナと軍事力を背景にな。
 平和など、民をつけあがらせるだけだ。そんな甘い餌を与えはしないよ。
 手始めに、私を選ばなかった元老院のクズどもをこの世から消してやるとするか」
サギは呆然として言う。
「僕たちは、あなたに利用されていたと?」
「サギ、お前は駒だったんだよ。マキナに対抗するためのな。邪神憑きのお前なら、
 精霊憑きとまではいかずとも、同じ遺児退治に役立つと思ってな」
「邪神憑き・・・そこまで知っていたのか?」サギは敬語を使うのをやめた。
「当然だろう。15年前の研究で、君を被験体とするよう薦めたのは、
 他でもない、私だからな。君の母親、ジーナと言ったか、
 あれは私に仕えていた女でな。子を身篭ったと聞いた私はすぐにオーガンに知らせたよ。
 ま、そういうわけだ。ついでに教えてやろう。あの女の翼を抜くように仕向けたのも、
 私がやったことだ。あの場で君を暴走させ、遺児殺しで点数を稼いで、
 バアルハイトに泥がつけばいいと思ってね」
「それじゃあ、シャナトは――」
「やつも私の手駒だ。あれは、なかなか使える男だったな」
「貴様ァ・・・」
サギはネロに切りかかろうとするが、ネロは剣圧を飛ばしてきて、倒れてしまう。
「いずれゆっくり殺してやる」
ネロはエレベーターに乗って去っていこうとする。ゲルドブレイムが止める。
「お待ちください、ネロ様。私も一緒に行きます」
「わからんやつだ。私は全てを手に入れた。もう必要がないんだよ、なにもな」
「私をお見捨てになるのですか」
「昔のお前は美しかったよ。だが今は違う。古くなったおもちゃは場所を取るだけだ。
 捨てるのが当たり前だろう?・・・諸君、失礼させてもらうよ」
エレベーターに乗り下へ行くネロ。ゲルドブレイムもどこかへ消える。サギはようやく身を起こす。
「父さま、しっかりして!やり直すのよ、これからみんなで!」
「ミリィアルデ、すまない、本当に、すまない」
「やめて!謝らないで、父さま!死んじゃいやだ!」
「サギ君、ミリィアルデのこと、許してやってくれ。あれは全て私がやらせたことだ」
「・・・わかっています」
「さらばだ、ダイモン。これでキミの物語は終わる・・・」
キミはダイモンがバアルハイトから離れていくのを感じる。
「父さまぁああああ!!」
バアルハイトは静かに息を引き取った。しばらくたった後、ミリィが立ち上がる。
「さあ、二人とも!ぐずぐずしてられない、ネロを追わないと!」
「ミリィアルデ、カラ元気はよせ。泣いてもいいんだぞ」
ギロが言うが、ミリィは気丈にも涙をこらえている。
「へい・・・きよ。泣くのは後からだってできるもん。今は、泣いてる暇なんて・・・」
「わかった・・・ネロは、この先の中枢部に向かったはずだ。行こう」
45バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/27(日) 00:22:17 ID:JLV4VpHw0
-浮遊要塞タラゼド中枢部-
ネロを追って、下へ下へと降りていく。
最下部に大きな部屋がある。向こうの壁際に遺児が収められた例のカプセルが4つも置いてあり、
その前にコンソールが一台置いてある。ネロはコンソールの前に立っていた。
「ネロ、今までの借り、返させてもらう!」
「遅かったな。丁度マキナの調整が終ったところだ。見ろ、便利な物を作ったものだ。
 人なんぞよりよっぽど扱いやすい」
ネロがコンソールを操作すると、床に配置された10個ほどの装置から、
それぞれ触手のようなマキナが生えてきた。
「御託はあの世で並べるんだな。サギ、さっさと終らせるぞ」ギロが声をかける。
「フン、そう簡単にいくかな」
「いくさ!いかせてやるさ!もう考えるのはおしまいだ。理屈じゃない!
 こころの中の何かがお前を消し去れって言ってる!僕はそれに従う!
 消えてなくなれよ!ネロ!」
サギはそう言うが、何かって自分のこと?とキミは思う。
ネロは剣を取り出す。そしてなんと、杖を投げ捨て、悪かったはずの左足をしっかりと踏ん張る。
マキナの触手を蹴散らしながらネロに近づいていく。ネロは触手で防御してくるので、
全ての触手を倒さねばならない。ついにネロは負ける。
「まだ、終わりではない。まだマキナは使える。やられてたまるか!」
ネロがコンソールを操作すると、床の装置からまた触手が復活した。
「そうだ、いいぞ、あいつらを喰ってしまえ!・・・な、なんだ!?どうした!」
触手が誤作動を起こし、逆に触手に食べられてしまうネロ。
「相応しい最期だな」
「これで、終ったの?」
「そうさ、これで終わりだ」

46バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/27(日) 00:24:12 ID:JLV4VpHw0
サギたちが戻ろうとしたとき、突然声が聞こえてきた。
「匂う・・・人のこころの匂い・・・」この声は・・・ワイズマン。
「いる・・・こころの力を溢れさすもの・・・。心地よい、恨みのこころ・・・。
 千年彷徨い続けたのも無駄ではなかった」
ワイズマンはネロを取り込み、ネロ=ワイズマンとして復活した!
4つの遺児のカプセルが割れる。サギたちはワイズマンの精神世界へ取り込まれた。
足元も上空も、右も左も満天の星。果てのない空間。
「貴様たちのこころも歪んでおるぞ。神ともつかぬ半端なこころを共有する愚かな少年よ・・・。
 殺戮兵器にこころを残した哀れなツガイよ・・・。
 マキナに依存する、人ともつかぬ悲しい少女よ・・・。
 フフフ・・・ハハハ・・・我と共にあれ!」
ネロ=ワイズマンはサギたちを取り込もうと襲い掛かってくる。
サギたちはネロ=ワイズマンに挑むが、負けそうになり、倒れてしまう。
「くそッ!立たなきゃ、立たなきゃやられる!」
サギは立とうと身を起こすが立ち上がれない。
そのとき、サギに肩を貸し、立たせようとする人物が現れた。金髪で背が高い。
「立てるか、サギ、マーノ!」
「ティスタ!」
「いいか、あいつのこころに引かれてはダメだ。自分のこころを信じろ」
「ふん、ひとつこころが増えたか。いいだろう。まとめて呑みこんでくれる」
ネロ=ワイズマンの一撃がサギに向かって放たれる。
当たる、と思い目を伏せるが、当たらない。目を開くと、攻撃を受け止めている人物がいる。
「相手の動きをよく見ること。ちゃんと教えてあげたのに、忘れちゃったの?」
「ピエーデ!」
そしてさらに、サギの右手を掴む、がっしりした腕。
「握りが甘くなってるぞ。お前の刀は片手じゃ無理なんだ。しっかり持てと言ったろう?」
倒れているミリィとギロを見て手を振る恰幅のいい人物。
「おーい!大丈夫。こっちの二人も生きてるよ!」
「ペッツ!ポルコ!」
「マーノ、いや、キミ・・・そして、サギ。
 俺たちはずっと見ていた。お前たちのしてきたことは間違っちゃいない」
ティスタ兄さん・・・。
「そうだ、自信を持ってやれ。その自信があれば、あいつに呑みこまれることもない」
ペッツ兄さん・・・。
「そう、そして不安になったら、一番大事な人を思い出すの。自分をしっかり持って!」
ピエーデ姉さん・・・。
「おいらにゃ、よくわからないけど。キミとサギなら、きっとできるよ」
ポルコ兄さん・・・。
「じゃあな」
兄さん、姉さん、ありがとう。
4兄弟は手を振りながら、消えていった。ミリィとギロは立ち上がった。
「サギ、平気?誰かと話していたみたいだけど」
「うん、昔の仲間とね。・・・いや、なんでもない。さあ、みんな!今度こそあいつを倒す!これで最後だ!」
サギたちはやがて、ネロ=ワイズマンを打ち破る。精神世界から戻ってきた。
カプセルの中は空になっていた。ネロ愛用の杖がうつろな音を立てて転がる。
「なんとか・・・倒したね」
「少しでもこころに隙を見せたら、取り込まれてしまうところだった・・・。
 でも、もう呑まれると思ったとき、サギの顔がこころに浮かんだの。だから、わたし、頑張れた。
 それと、ポンコツ人形のことも思い出してあげたわ。こころの端っこーの方にね」
ミリィがつとめて明るく言う。ギロも言い返す。
「ほう、ぬしもか。奇遇だな。わしもそうだぞ。鬼のような形相のぬしが出て来おってな。
 こりゃあ、まだ終われぬと思ったぞ」
「ねぇ、サギは誰を思い浮かべたの?」
「ぼ、僕は・・・」
サギは言いよどむ。ミリィ?ローロ?それとも・・・。
”もちろん、わたしでしょ?”キミは思い切って言ってみた。
「うん。キミのことを考えてた。初めて、キミが語りかけてきたときのこと。
 そして、こころをひとつにしたときのことをね」
そんなふうに言われるとちょっとはずかしい。
47バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/27(日) 00:26:00 ID:JLV4VpHw0
タラゼドが揺れ出す。サギたちは来た道を戻る。
突然、サギの叫び声がしたのでミリィとギロが振り返ると、サギは謎のマキナのアームに絡めとられていた。
侵入者用のトラップだろうか。
「サギ、大丈夫か」ギロが声をかける。
「だ・・・いじょうぶ・・・けど・・・なんだか・・・こころが・・・」
キミは助けてと言ったが、声はサギに届かなかった(エラー音が鳴ります)。これはヤバい。
サギとキミはぼんやりとした意識のなかで、ミリィとギロを見ている。見ることしかできない。
「これは人のこころを奪う仕掛けではないのか?」
「ええ、このままじゃサギのこころがなくなっちゃう!」
アームを外そうとするがビクともしない。どこかに解除装置があるはずだからと、それを探すミリィ。
近くに操作が複雑そうなコンソールを見つけた。隣には扉がある。
ミリィが言うには、これはマキナの心臓部に当たるので、これをどうにかすればマキナが停止するとのこと。
「ぬし、できるのか?」
「ええ、できる・・・はずよ。ちょっとやってみる」
ミリィは作業をしながら話す。
「ねぇ、ギロ。あなたとは、喧嘩ばっかりだったわね。出会ったときからずっと」
「改まってどうした?」
「わたし、嫉妬してたのよ。サギの側にはいつもあなたがいたから」
「ぬしだってずっと側におっただろう」
「いたけど、でも、わたしはサギを監視する側。あなたはいつもサギを守ってた。
 何も考えずにサギを守れるあなた・・・わたし、嫉妬してたんだわ」
隣の扉が開く。1畳ほどの小さな空間がある。高圧電流が流れているようだ。その前に立つミリィ。
「ギロ、離れて。どうやらマキナが足りないみたいなの。わたしなら、そのマキナの代わりになれる。
 この身体のこと、今ならよかったって思えるわ。これで、わたしもサギを守れる側になれる。
 ・・・じゃあね、ギロ。わたし、あなたのそのぶっきらぼうなとこ、大好きだった。
 今まで意地悪言ってごめん。・・・さよなら、サギ」
ミリィは死ぬ覚悟でその空間に飛び込もうとするが、それよりも先にギロが飛び込んだ。
「マキナの代わりなら、わしにも出来るだろう?」
「どうして!」
「サギには、わしよりも、ぬしが必要だ。そしてぬしには、サギが必要だ。それだけのことだ。
 ぬしのこと、わしも嫌いじゃなかったぞ。さらばだ、ミリィアルデ!サギのこと、頼む」
無常にも扉が閉まる。扉をこぶしで叩くミリィ。へたりこみ、号泣する。
そこへアームから抜け出したサギが来る。
「サギ!ギロが・・・ギロがぁ!!」
サギはやさしくミリィをなだめる。
「もう泣かないで、ミリィ。さあ、急いでここを脱出するんだ。でないと、ギロのしたことが無駄になってしまう」
「・・・うん」

タラゼド内部を抜け、ヴェガを通り過ぎ、スフィーダを泊めた港へ来たが、
そこにはスフィーダはなかった。
足元の空を覗き込み、ミリィが言う。
「この高さだと、こころの翼ではとても飛べない・・・」
そのとき、タラゼドが爆発を始め、その衝撃でミリィは気絶し、足を踏み外す。
空をまっさかさまに落ちていくミリィ。
「ミリィ!!」
サギは夢中で翼を広げ、空へ飛び込む。やがて、サギはミリィに追いつき、引き寄せ、抱きしめる。
気絶していたミリィが目を覚ます。だが落ちていくスピードはそのままだ。
「わたしたち、死んじゃうの?」
「わからない・・・」
「サギ、離さないで・・・」
そのとき、飛んできたスフィーダが二人を受け止める。
「無事かい?ボクちゃん」
「ヴァララ!どうして?」
「サギさんを助けに行くから、船を出せっておどされたんです」運転手が言う。
「変な言い方するんじゃないよ!あたしは、ただ・・・ボクちゃんを助ける仕事をしようと思っただけさ。
 勘違いするんじゃないよ。これも仕事さ」
「仕事でもいいさ。ありがとう、ヴァララ」
スフィーダは無事、ミンタカの港に到着した。
レイドカーン王、ギバリ、ロドルフォ、パロロ二世、コレルリ等々の面々が、
サギたちを心配し、タラゼドに近いこのミンタカで待っていた。
48バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/27(日) 00:26:41 ID:JLV4VpHw0
数日後。朝ぼらけのミンタカの港。スフィーダが夜明け前の光を受けキラキラ光る。
サギとミリィがやってくる。
「どうしたの、ミリィ。早くしないと、夜が明けちゃうよ」
ミリィはサギに背を向ける。
「本当にいいの?わたしなんかを連れてって」
「何言ってるのさ。ミリィだから一緒に行きたいんだ」
「でもおばさまはどうするの?」
「母さんには、落ち着いたら会いに行くさ。心配いらないよ」
「でも、でも、わたしの身体は・・・」
「そんなの関係ないだろ?僕はミリィのこころを知ってる。それでじゅうぶんじゃないか。
 それに、ローロが言ってたよ。うまくすれば、天の樹の落ち枝を使って、
 ほとんど人と変わらない身体を作れるって。ミラに着いたら連絡してくれって言ってたよ」
「ちょっとサギ!ローロに話しちゃったの?」怒るミリィ。
「え?・・・うん。なんか、まずかったかな?」
「まずいわよ!どうしてそんなこと話すのよ!ローロに話したら・・・」
「なーにがまずいんだって?水臭いよー?おいらたちに内緒で行っちまうなんてさ」
つむじ風に乗ってパロロ二世が登場する。
「言ってくれれば、王国の誇るミンディールで送ってやったのに」
レイドカーン王とギバリ。
「結婚式だというから、来てみたが、なんだ駆け落ちじゃないか」
ロドルフォ。そしてコレルリもやって来る。ミリィは腰に手を当てて言う。
「ローロ?いるんでしょ?出ていらっしゃいよ」
ローロがちょこちょこ走りながら出てくる。
「ご、ごめんなさい。あの、パロロさんに聞かれて・・・しゃべったらいけなかったんです?」
「・・・それで、ミラに行くことに決めたのですね?」コレルリが言う。
「はい。人目につかないところで静かに暮らしたくて。あの国なら、ちょうどいいかなって」
サギが答える。うなずくコレルリ。
「そう。ミラを治めるカルブレン公なら快く受け入れてくれるでしょう。私からも話しておきますよ」
「ありがとうございます」
「結局、”あの人”も一緒に行くのかい?」
パロロ二世の言葉にキミはギクリとする。どうしようか・・・。
”いつまでも一緒よ”勢いでキミはそう言ってしまう。
「うん・・・まあね。いつまでも一緒。”彼女”とそう決めたんだ」
”そう、いつまでも、どこまでも・・・”
「うん。いつまでも、どこまでも一緒に行こう!ねぇ、キミ!」
そんな、笑顔を見せないで――。プレイヤーとしての自分の物語は、もうすぐ終わる。
時間と空間を飛び越えて、あの、暗黒部隊本部の個室からまたやり直すことがあるかもしれない。
そう、強くてニューゲームってヤツ。でも、それはまた別の物語だ。
「みんな、元気で」
サギとミリィはスフィーダに乗り込む。
49名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/27(日) 00:27:40 ID:MvTP27v30
あっという間に三十突破かがんばってんな。
50バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子:2007/05/27(日) 00:28:27 ID:JLV4VpHw0
キミは見覚えある部屋を見ている。ここは、確か、ミラにあるカルブレン公の館の一室。
書き物をしているミリィ。それを見つめるサギ。
ああ、そうか。そう、そういえば、前作のミラ出身のお嬢様。
彼女、髪の毛が白くなる前は、サギのような髪の色じゃなかったっけ?
それに、彼女、雰囲気がなんとなくミリィに似てる――。
最初からずっと気になっていたけど、前作にサギやミリィのような人が出て来ないと思ったら、
そうか・・・やっぱり、死んでたのか。20年後までに死んでしまうのか。早いな。
でも、それはまた別の物語。
・・・ああ、意識が遠のく。眠い。そうか、サギは今、幸せなんだね。よかった・・・。
願わくば、二度と起こされないように。おやすみなさい。

心身ともにボロボロになりながらも、なんとかミンタカに帰ってきたゲルドブレイム。
元老院の人たちが待っていた。
「ゲルドブレイム殿が帰ってきたぞ!これで、帝国の再建も夢ではない!」
元老院の人たちに、皇帝となって帝国を再建するよう頼まれるゲルドブレイム。
「私が皇帝?そうか、くくっ・・・よかろう、バアルハイトの遺産、利用させてもらう!
 世界に散らばっている、5つのエンド・マグナスを探せ!なんとしてでも探し出すのだ!
 だが、その前にゲオルグを呼べ!」
天を仰ぎ、高笑いするゲルドブレイム。

〜バテン・カイトスに続く〜


☆おまけ1
サギが十字架に拘束されているとき、”サギに憑いていく”ではなく、
”サギを自分に憑かせる”を選んだ場合――。
「わかった。それがキミの決断なんだね。これで・・・僕の物語は終わる・・・。
 ここからは・・・キミの物語だ・・・」
GAME OVER

☆おまけ2
ニハル砂漠に穴を掘って研究所を構えているゲオルグ。ラリクシと一緒に研究に没頭する毎日だ。
変わった形の飛翔器なんかが置いてある。
キミがやっているのが2周目だったり、前作をやったことがあると、
「こころの器」という丸いガラス玉のようなものを持っていてくれとゲオルグに頼まれる。
持ち歩くうちに、だんだんとこころが貯まっていくような気がする。
最終的にこころがいっぱいに貯まって、光り輝くばかりになる。まるで、こころがもう一つ増えたよう。
それをゲオルグに見せると、ゲオルグの目の色が変わる。
「モノからいのちは作れない。でも、これなら・・・フフフ」
そう言ってこころの器をひったくるように取り上げられ、すげなく研究所を追い出されてしまう。

☆おまけ3
どこかで入手できる「ネロの写真」をジーナに見せてあげよう。
「サギ、あなたのお父さんのことなんだけど、今まで話したことなかったわね。
 ・・・この写真をどこで手に入れたのかはわからないけど・・・ありがとう。
 この写真を見てると、なんだか懐かしくて涙が出ちゃいそう」

☆おまけ4
ネロがタラゼドに登場したあと、ネロの屋敷に行くと、警備している兵士たちはいなくなっている。
これはチャンスとばかりに、あの、前から気になっていた、精霊と話すための別室に入ってみる。
窓もなく真っ暗。とげが付いた鉄球、錆びついた滑車、熱せられた油、アイアン・メイデン。
この部屋でネロとゲルドブレイムは(たぶん)・・・アッー!!




※補足
プレイヤーが男性なら当然、マーノも男の子という設定になります。
初め、性別を限定しないでいこうかなーと思ったけど女性にしてしまいました。
腐女子きんもーっ☆なところもありますが許してください。
51名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/27(日) 12:57:58 ID:m9zkMYGmO
携帯用wikiの歪みの国のアリスpart1に繋がらない…。part2は大丈夫なんだけど。
52名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/27(日) 16:45:07 ID:BSWgCIzM0
バテンおつかれ。
このゲーム結構面白いから、好きなんだけど、時間制限のアイテムの使い道に困る。
53御神楽少女探偵団:2007/05/28(月) 05:33:45 ID:x4DhfsX30
御神楽少女探偵団

結構本格的な推理ゲームで、ストーリーを纏めていくのにちょっと時間がかかると思うけれども勘弁。

☆主要登場人物
・御神楽時人(以下時人)・・・御神楽探偵事務所所長で、天才的な推理能力を持つ駄目人間。男。
・鹿瀬巴(以下巴)・・・探偵事務所助手。女。どちらかというと考えることより動くことの方が得意。
・久御山滋乃(以下滋乃)・・・探偵事務所助手。女。華族のお嬢様。
・桧垣千鶴(以下千鶴)・・・探偵事務所経理。女。作家志望の眼鏡っ娘。
・ランドルフ丸山・・・探偵事務所助手。男。混血の少年。
・守山美和・・・探偵事務所のあるビルのオーナーで美術商。女。時人憧れの未亡人。

☆ゲームの背景
大正から昭和初期頃の時代の舞台設定。
時人はゲーム開始時に既に『帝都一の名探偵』との名声高く、事務所のメンバーは警察から信頼されている。
ゲームは基本的に事務所の3人の女の子を操って、様々な事件の解決を目指していくパターン。
54御神楽少女探偵団:2007/05/28(月) 06:05:16 ID:x4DhfsX30
☆練習シナリオ『五銭銅貨』
喫茶店『山茶花』で働いている巴は、ある日店のカウンターに『遺書』と書かれた茶封筒があるのを見つける。
その場に居合わせた常連の刑事栗山と、自殺を止めるために調査を始める巴。
すると茶封筒を置いていったのは、広川千景という老人の可能性が高いことが判明する。
広川は、日本を代表する日本画家だ。
巴は栗山と共に、広川のアトリエへ向かう。

アトリエで二人は、広川の内弟子を名乗る少女千鶴と出会う。
二人は千鶴から、茶封筒は広川が置いていったものではないことを知らされる。
そして、その茶封筒は自分達と入れ替わりに店を出た、千鶴たちの知り合いのものではないか、との情報を得る。
二人は千鶴に連れられ、その知り合いが事務所を構えるというビルに脚を運ぶ。

千鶴の言う知り合いとは「帝都一の名探偵」、時人のことだった。
千鶴は、時間のあるときに探偵事務所の経理として働いていることを告げる。
時人と面会した二人は、茶封筒が時人のものでもないことを知る。
時人を加えた一行は、広川のアトリエへと戻る。

広川から、喫茶店内で知り合いの画家に
『一円札を全部五銭銅貨に換えて欲しい』
という頼みを受けた、という情報を得る。
時人は瞬時に、その画家がガス自殺をするつもりでいることを推理した。
(この時代、都市ガスは各家庭のメーターに五銭銅貨を投入すると一定時間栓が開く、という仕組みだった。)

一向は無事画家の自殺を止め、巴は探偵事務所の助手として働くようになった。
『五銭銅貨』END
55御神楽少女探偵団:2007/05/28(月) 06:41:15 ID:x4DhfsX30
☆第一話『幽鬼郎』前編
ある日、探偵事務所に華族のお嬢様、久御山滋乃が事務所で働かせて欲しい、とやって来た。
彼女は時人の名声を聴きつけ、彼に憧れて事務所のドアを叩いたらしい。
巴は彼女の採用に難色を示すが、時人はあっさりOKする。
滋乃は早速、知り合いの華族が失踪した娘を探している、という話を事務所の面々に伝える。

問題の家族「逸島家」に脚を運んだ巴、滋乃、千鶴の三人は当主の逸島康次郎と次女雪子に面会する。
二人によると、長女の静江が三ヶ月前に姿を消してしまったらしい。
そして、一月ほど前に浅草見世物小屋のチケットを封入した、差出人不明の封筒が送られてきたそうだ。
三人と雪子は、見世物小屋に向かうことにする。

そして彼女達は、見世物小屋で「人魚のミイラ」としてディスプレイされている静江の遺体を発見するのだった。

逸島家で聞き込み調査を始める三人。
康次郎と雪子、住み込みで働いている大淵嘉平と藤村ソノ、客人で雪子の叔母である田島タエ子とその息子良造。
今逸島家にいるのは、以上の面々だ。
聞き込みの中で、この家には『幽鬼郎』という幽霊を描いた掛け軸が祀られており、
先代の当主は幽鬼郎に取り殺されたと聴く。

時人の手腕を認める刑事、諸星を捜査に加え、さらなる調査を進める一行。
お手伝いのソノから、康次郎に過去二度ほど義足の浮浪者が面会に来ていたことを聞く。
また使用人の嘉平から、先代当主は
「幽鬼郎を祀らないと祟りに逢う」
と吹き込んできた若く美しい女祈祷師に入れ込んだ挙句、発狂して死んだことを聞いた。

静江の遺体が発見された見世物小屋の興行主平田権六によると、人魚のミイラは一月ほど前に義足の男から買ったらしい。

屋敷の裏庭の、嘉平が普段住んでいる小屋を訪ねた三人は、嘉平が日露戦争にかつて従軍し、また妻子を既になくしていることを知る。
六年前に、康次郎と嘉平の妻子を乗せた自動車が事故を起こし、妻子は死んでしまったらしい。
この自動車の運転手が、事故で片足を失ったことを知り、一行は義足の男がその運転手ではないかとあたりをつける。

その夜、雪子の悲鳴が屋敷に響いた。
駆けつけた一行は、雪子から怪しい影が部屋を覗き込んでいたと聞く。
そこで、眼鏡を外すと雪子に良く似ている千鶴が雪子の代わりに部屋に泊まることになった。
翌朝、巴と滋乃は千鶴が何者かに攫われた、との一報を受ける。
『幽鬼郎』前編END
56御神楽少女探偵団:2007/05/28(月) 07:11:43 ID:x4DhfsX30
☆第一話『幽鬼郎』後編
一方攫われた千鶴は、暗い部屋で目を覚ます。
そして、同じ部屋には義足の男が閉じ込められていた。
千鶴はヘアピンを使い部屋のドアを開けるも、犯人らしき人物に捕まり気を失ってしまう。

その後千鶴は衰弱して入るものの、傷一つ無い姿で屋敷内で発見された。
しかし、同時に屋敷内の別の場所で、良造の他殺体が発見されてしまう。
その後、義足の男で元運転手の神田川が遺体で見つかったとの知らせも受ける。

義足の男が既に死んでいたことを知った三人は途方にくれるが、そこに別の事件を解決してきた時人が合流する。

見世物小屋で権六から、人魚のミイラを売りに来た男の特徴を改めて聞いた三人は、神田川と義足の男が別人であったことを知る。

三人から調査報告を受けた時人は、屋敷内の嘉平の小屋に向かう。
そこにあった従軍時代の嘉平を写真には、千鶴と共に閉じ込められていた義足の男が一緒に写っていた。

時人は関係者を集め、推理と調査の結果を披露する。
屋敷の幽鬼郎の掛け軸の裏には、秘密の部屋が隠されていた。
女祈祷師と密会する場所を欲した先代当主が作らせたものらしい。
そして、千鶴が閉じ込められていた部屋こそがその秘密の部屋だった。
良造は、犯人が秘密の部屋に出入りするとことを目撃してしまったために殺害されてしまったのだった。

そして時人は、康次郎を問いただす。
6年前の事故の際、本当に車を運転していたのは神田川ではなく貴方だったのではないか、と。
康次郎は事故を起こしたものの、保身のために神田川に罪を引き受けてもらい、代わりに多額の金を支払っていた。
これが6年前の事故の真相だ。
康次郎を訪ねてきていた義足の浮浪者は、金をせびりに来ていた神田川だった。

そして、静江と良造を殺した犯人は、使用人の嘉平だった。
6年前の事故で妻子を失った嘉平は、事故を引き起こしたのが神田川ではなく実は主人の康次郎であることを偶然知ってしまった。
そこで自分の妻子の命を奪っておきながら何の罰も受けていない康次郎に対し、二人の娘の命を奪うという制裁を加えようとしたのだ。
そこでかつての戦友でいまは義足となっている男を金で釣って共犯に誘い、一連の事件を引き起こしたのだった。

真相を暴かれた嘉平は服毒自殺し、幽鬼郎にまつわる殺人事件は終結したのであった。
『幽鬼郎』END
57御神楽少女探偵団:2007/05/28(月) 07:14:29 ID:x4DhfsX30
てかまだこれで 四分の一程度しか終わってないorz
容量の問題もあるし、もっと簡潔にしたほうが良いかな?
でも、推理ものって簡潔にしすぎるとわけがわからなくなるんだよね。
キリが良いので、第二話以降はまた改めて投下します。
58名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/28(月) 13:17:35 ID:zMduuN3f0
御神楽乙です
大丈夫大丈夫、詳しく書いたほうがみんな喜んでくれると思うよたぶん

ミッシングパーツ予約

ってかこのスレ、積みゲー崩しに役立ってるよorz
(バテン2も実は積んでて途中で詰まって挫けそうになってたけど
読み手がいるというのを原動力に頑張れたよ)
59名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/29(火) 00:16:44 ID:QgRa8YGZ0
御神楽乙です。
千鶴と共に閉じ込められていた、
「かつての戦友でいまは義足となっている男」は結局どうなったの?
60名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/29(火) 01:28:35 ID:dxnHEQdv0
シャイニング・ウィンド予約。誰かリクしてくれ。
61名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/29(火) 01:51:28 ID:L65stNUN0
リクがなけりゃかいちゃだめというわけでもないが。
やる時間どころか買いに行く時間すらない俺がリクする。
62御神楽少女探偵団:2007/05/29(火) 06:38:59 ID:BkrBggc90
☆第二話『太白星』前編

ある日、事務所に滋乃が大慌てで駆け込んでくる。
なんでもオペラ館「日本館」で著名なオペラスター、沢アヤコが殺されたらしい。
新聞によると松崎金太郎という男子学生が犯人として逮捕され、犯行を自供したとのこと。
事件は解決済みと考える一同の前に、事務所の入っているビルの女オーナー、守山美和が現れる。
松崎は美和の知り合いで、殺人が出来るような子ではないので事件を調査して欲しいと頼む美和。
美和に好意を抱く時人は、依頼を快諾した。
事務所の三人娘は、事件の調査に出発する。

警察署で諸星と栗山から事件の詳細を聞く一行。
松崎はペラゴロ(オペラスターの熱心なファン達を示す俗称らしい。今で言うアイドルの親衛隊)のリーダー格で、
沢アヤコと人気を二分するオペラスター、河村須美子を熱狂的に応援していたらしい。
河村を応援するあまり、ライバルの沢を殺したと警察は見ているようだ。
そして松崎は犯行を認めてはいるものの、殺害の詳細については一切供述をしないでいることも聞く。

事件当日、沢は日本館でオペラ『ファウスト』に午後8時まで出演。
午後10時には日本館の1階に沢以外の人間が残っていなかったことが確認されている。
午後11時に松崎が凶器を持って沢の殺害現場に立っているところを発見された。
以上が現在わかっている当日の状況のようだ。

美和が経営する美術展に寄った三人は、美和からペラゴロ達が浅草公園や瓢箪池に集まると聞く。

浅草公園では、前話『幽鬼郎』に登場した平田権六の見世物小屋が興行を行っていた。
平田によると、最近日本館を『ファウスト』の登場人物、メフィストの格好をした怪しい人物がしばしばうろついていた、との噂があるらしい。

三人は瓢箪池で、沢派のペラゴロリーダー、岸井純一と出会った。
岸井は、自分達ペラゴロはあくまで純粋にオペラを楽しんでいるのであって、松崎が贔屓のスターのために人殺しなんてするはずが無い、と言う。
そして、岸井は沢あやこの楽屋に行ったときに彼女から貰った千代紙を見せてくれる。
千代紙には「太白星」の文字が書かれていた。
63御神楽少女探偵団:2007/05/29(火) 06:41:31 ID:BkrBggc90
岸井と別れた一行は、市川団十郎の銅像前で河村派のペラゴロ、加賀谷利也に聞き込みを行う。
加賀谷によると、最近は沢よりも河村の方が人気が出ていたので、松崎がわざわざ沢を殺すメリットはないらしい。

事件現場となった日本館へ向かう三人。
館長の伊庭浩三から調査の許可を貰った三人は、聞き込みを開始する。
河村の楽屋に向かうとそこには河村ともう一人、いやらしい中年男がいたが、男はすぐに立ち去ってしまう。
伊庭によると、男は風間国彦という名前で有力雑誌『歌劇界』の編集者らしい。
風間のオペラに対する評論は、現在大きな影響力を持っており、今日は河村の取材に来ていたのだ。
風間はこれまでは沢びいきだったのだが、沢が死んだため河村に接近を試みたようだ。

日本館のホールで、女性劇団員から話を聞くことができた。
日本館には現在多くの女性劇団員がおり、付き合っている団員と寝るためによくペラゴロたちが夜中忍び込んでいたらしい。
また、メフィストの格好をした不審人物は実在するらしいことも確認できた。

続いて殺害現場となった沢の楽屋を調べる三人。
楽屋にあった衣装のポケットに、K,Kのイニシャルが入ったハンカチがねじ込まれているのを発見する。
また、栗山によると沢は寝ていたところを楽屋に在った果物ナイフで一突きにされて殺されたらしい。
そして、楽屋の鏡台に睡眠薬の瓶を発見し、沢は睡眠薬普段寝る際に睡眠薬を服用していたらしいことも知る。
そこに諸星が現れ、一行に新事実を伝える。
沢の死因は果物ナイフによる刺し傷ではなく、毒物による中毒であることが判明したのだ。
果物ナイフは、沢が毒死した後その死体に刺されたものだったのだ。

検査の結果、楽屋に在った睡眠薬の瓶の中身が毒薬だったことが明らかになった。
また、警察にメフィストフェレスを名乗る人物から、沢の殺害と更なる犯行を宣言する手紙が送られてきた。

日本館で、沢の付き人団員から話を聞くことになった。
沢の付き人とは、以前ホールで聞き込みを行った女性劇団員の菊村さくやだった。
菊村いわく、沢と河村はライバルでこそあったがお互いの才能を認め合っていたらしい。

ロビーで風間を目撃した一行は、風間のイニシャルが『かざまくにひこ』でK.Kであることに気づき、風間が務める神奈川出版に向かう。
風間によると、事件当日沢と河村はなにかで揉めていたらしい。
また、風間は事件当日沢の楽屋へ取材に行っていた。
しかしハンカチは自分のものではない、と風間は否定した。
また、沢は事件直前に疎遠になっていた実家に急に帰省していたことを聞き出した。

ペラゴロの加賀屋と再会した一同は、風間が自分と付き合っている劇団員を評論で高く評価していたこと、
そして沢と風間が付き合っていたことを聞かされる。
事実確認のため河村の楽屋に向かった一行のもとに、悲鳴が届く。
河村の楽屋に駆けつけると、メフィストの格好をした何者かが窓の外にいた。

『太白星』前編END
64御神楽少女探偵団:2007/05/29(火) 07:42:33 ID:BkrBggc90
☆第二話『太白星』後編

一行はメフィストを追うものの、取り逃してしまう。
その翌日伊庭から、ハンカチがねじ込まれていた衣装は事件当日沢が8時まで身に着けていたものであることを確認する。
つまり、ハンカチは事件当日の8時以降に楽屋で沢以外の何者かによってねじ込まれた可能性が高い。

神奈川出版に向かった一行は、編集者から沢が死んだとの情報が入ってきた際、
誰も殺されたとは思っていなかったこと、そして風間一人がそのとき冷静だったことを聞く。

加賀谷と再びあった三人は、突然真犯人は自分だと告げられる。
落ち着いて話を聞いてみると、メフィストの格好で日本館をうろついていた不審人物は加賀谷であったようだ。
ただ、昨日河村の楽屋の外にいたメフィストは加賀谷ではないという。
彼はほんのいたずらをやっていただけで、沢殺害以降は一切メフィストの格好をしていないそうだ。
犯行声明を警察に送ったのも、加賀谷ではなかった。

次に岸井と会った三人は、沢の付き人菊村さくやの名前は芸名で、本名は菊村加奈であることを聞く。
菊村のイニシャルもK.Kだったのだ。

三人の報告を受けた時人は、諸星と共に沢の実家を訪ねることにした。
そして現場に残った三人は、沢は薬嫌いで睡眠薬を普段飲んでいなかったことを知る。

神奈川出版で三人は、菊村も風間に抱かれていたことを知る。

岸井から、現場に残されていたハンカチは菊村のものだとの証言を得る。
どうやら、松崎がかつて菊村にプレゼントしたものらしい。
どうやら松崎と菊村は付き合っているようだ。

日本館のホールで、千鶴は怪しい掃除婦をみかける。
そして、河村の楽屋で取材に来ていた編集者から、風間が事件の第二報を聞いたときひどく驚いていたことを聞く。
風間は、沢の死の報せには衝撃を受けなかったが、それが殺害だという報せにはひどく衝撃を受けたようだ。

一方、沢の実家を訪ねた時人と諸星は、沢の幼馴染で花火職人の霧崎孝と出会う。
沢が残した千代紙に書かれた言葉『太白星』とは、孝が作る花火の名前だった。
『太白星』の花火の中には、写真が封入された茶封筒が隠されていた。

日本館に居る滋乃と千鶴の前に、再びメフィストが現れる。
メフィストは日本館中を逃げ回るが、ホールに居た怪しい掃除婦に取り押さえられる。
掃除婦は、巴の変装だった。
そしてメフィストの仮面の下には、菊村の顔が隠されていた。

菊村の尋問を行う一同の所に、時人と諸星が帰ってきた。
時人は収穫として、まず神奈川出版のゴミ捨て場から拾ってきた原稿を見せる。
それは、風間が沢死亡の第一報を聞いた際に書き始めた原稿で、『沢アヤコ自殺』と書かれていた。
そして、時人が沢の故郷で手に入れた茶封筒に封入されていた写真は、風間と菊村のいわゆる「ハメ撮り写真」だった。
菊村は、沢と風間に歌劇界にいられなくなるなどと脅される形で風間と無理やり関係を持たされていた。
そして、事件当日楽屋に横たわっている沢を見かけた彼女は、衝動的に彼女を刺してしまう(ちなみに、このとき沢はすでに死んでいた)。
その現場を松崎がひそかに目撃しており、松崎は恋人の菊村を守るために罪をかぶろうとしたのだった。
松崎の逮捕を知った菊村は、彼を救う為にメフィストの格好をして河村の楽屋の前に現れ捜査をかく乱しようとした。
65御神楽少女探偵団:2007/05/29(火) 07:43:53 ID:BkrBggc90
その後時人は、風間を呼び出し自分の推理を披露する。
沢アヤコを毒殺したのは風間である、と。

沢は風間と関係を持ち、いい評論を書いてもらっていた。
しかし風間に抱かれることに嫌気が差した沢は、彼に菊村をあてがう。
そして、風間と菊村の情事を隠し撮りし、それをネタに風間を脅しある計画に協力させようとした。
最近河村に人気が集まり焦っていた沢は、睡眠薬の飲みすぎによる自殺未遂騒動を起こそうと考えた。
この騒動を協力者である風間に大きく書きたててもらい、世間の注目を集めようとしたのだ。
しかし、沢に脅迫されていた風間はこの計画を利用して彼女を始末しようと考える。
計画決行当日に沢が飲む予定の睡眠薬の瓶の中身を、毒薬と摩り替えておいたのだ。
そうすれば、沢が自ら毒を飲んで死んだことになる。
沢の自殺計画を事前に知っていたからこそ、風間は沢の死の第一報を受けた時に冷静に原稿を書き出したのだ。
そして、その原稿の見出しは「沢アヤコ自殺」というものだった。
しかし、実際には菊村が沢の死体をナイフで刺したために警察は沢の死をナイフによる他殺と判断した。
誰が見ても他殺にみえる状況の中で、なぜ風間は「沢アヤコ自殺」という記事を書いたのか?
それは、風間が沢の自殺未遂騒動計画を事前に知っており、それを利用しようとしたからに他ならない。
「沢アヤコ自殺」と書かれた自筆の原稿を突きつけられた風間は、観念するのだった。

第二話『太白星』後編END
66御神楽少女探偵団:2007/05/29(火) 07:51:55 ID:BkrBggc90
>>59
千鶴と一緒に閉じ込められていた義足の男は、後に国内を逃亡中のところを逮捕された
嘉平には静江と雪子以外の人間を殺す意思は無かった為(良造殺しは突発的な殺人)、義足の男も殺さず逃がしたみたい

二話も必要と思われるところ以外はがんがん削ったのですが、それでもこの長さ・・・
次回以降はもっと短くわかりやすく纏められるよう頑張ってみます
67名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/29(火) 20:36:52 ID:BNTl93/40
今ペルソナ3フェスをまとめてる途中なんだけど、新作用のトリップはどうすればいい?
本編書いた後に後日談書くつもりで、そっちはトリップつければ良いと思うんだけど、
本編も一応トリップつけたほうが良いかな?
68名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/29(火) 20:55:54 ID:YDBCGPsm0
本編にもつけといてくれ。8月の休みにやろうとおもって積んでるんだからw
69名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/29(火) 21:14:18 ID:miIA3ugp0
久しぶりに来たらその内書こうと思ってた御神楽が投下されてたよ。
つー訳で続御神楽〜の方なら予約してしまっても構わないだろうか?

7059:2007/05/29(火) 22:08:37 ID:QgRa8YGZ0
>>66
把握した。thx
長いのは丁寧に書いてるしるしだから別にいいと思うけどなあ

>>67
アイギスっていうロボット娘についてちょっと詳しいめに書いて欲しい、と言ってみる。
P3はまだやったことないんだけどサイトとかで見たそのキャラの絵が可愛かった

>>69
前スレ543で続〜のほうも予約入ってるよ
71名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/29(火) 22:49:25 ID:miIA3ugp0
>>70
ああ、チェック忘れてたよ。指摘サンクスであります。
72オーディンスフィア ◆l1l6Ur354A :2007/05/30(水) 12:04:33 ID:1gmyIyLv0
運命とともに
コルネリウスと逢瀬を重ねるベルベットに、あの男をカエルに変えてやろうかという兄イングウェイ。
バレンタイン王家の生き残りである2人には、預言者だった母の残した予言があった。
「我が子らよ、いずれ逃れられぬ呪いと死が2人に降りかかる。」
予知の力を持つ賢竜ハインデルに運命を尋ねると、終焉は避けられぬが運命は変えられると言う。
運命に抗うことこそがお前の運命と、そして自分は黒い剣士によってその礎になるとも言う。

終末の予言、5つの災厄について調べているとガロン王の残した叙事詩が詳しいとわかる。
三賢者スカルディに変身の本を貸すことで冥界への入り口を教えてもらう。
ガロン王から叙事詩を受け取るが、死に抗うと言う言葉を聞きつけオデットが現れる。
祖父のバレンタイン王の亡霊が地上に行ったことを知り追いかけるが死神に襲われる
それを救ったのは父オーダインだった。母を狂わせた男に憎しみを覚えるベルベット。

冥界から祖父バレンタイン王の亡霊が逃げ出したことを聞き、コルドロンを止める為に妖精族から指輪を盗み出す。
指輪は祖国崩壊のおりに兄イングウェイが妖精の女王に渡していたと知る。
暗躍する三賢者と?がりのある兄に不信感を覚え、指輪の譲渡を拒否する。
再会した祖父の前で虐待を思い出し震えるが、コルドロンで世界を浄化すると言う妄執を聞いて、逆らうことを決意する。
ブリガンを倒しコルドロンの元に辿りついたベルベットは指輪で結晶炉を停止させる。
魔王が妖精の女王を倒したのを見て逃げようとするが、倒れているプーカ(コルネリウス)を発見。
助けているうちにグウェンドリンと遭遇。魔王の娘と聞いて、自分の異母妹だと気づく。
73オーディンスフィア ◆l1l6Ur354A :2007/05/30(水) 12:05:58 ID:1gmyIyLv0
運命どおり倒れたハインデルの亡骸の前で暴竜ワーグナー会い、指輪を託す。
その後、ベルベットは罪人として魔王軍に囚われるが処刑直前グウェンに助けられる。
町に戻ったベルベットは、自分を逃がしたせいで妹が国を追われた事を知り、救出に向う。
父オーダインと祖父バレンタイン王に遭遇。母を巡り戦う2人
オーダインを愛し祖父に殺された母は、誰も恨まず救いを願って死んだと分かる。
慟哭するバレンタイン王を見て殺す価値もないとオーダインは去る。
「あなたも祖父と同じ、本当に大切なものは失ってから気づくのでしょう・・・あなたを愛する人を」
眠りにつくグウェンを前にただ幸せが訪れることを祈るしかできなかった。

ゴブリンからコインを取り戻したプーカの名前がコルネリウスと聞き、変身の書からプーカの呪いの項が切り取られていたことを思い出す。
兄イングウェイが呪いをかけたことに気づき、王子を追ってタイタニアへと向う。
三賢者に脅迫されるタイタニア王の前で罠にかけられベリアルと戦うことになるが、その隙をつかれ捕らえられる。
三賢者はタイタニア王家に伝わる秘術を聞き出しガロンを新世界の王にしようとしていた。
その後、コルネリウスによってベルベットは救出される。

コルネリウスの呪いとバレンタイン王の虐待を押し付けたことを謝罪する。
イングウェイは死者の女王から死の軍団を借り、魔王の元へ攻め込む。
タイタニアの秘術をもって魔王の元へ向う兄を追いかける。
イングウェイはコルドロン暴走させバレンタインを滅ぼしたのは自分だと告白する。
父は自らを反逆者と呼び、欲望のままコルドロンを手に入れようとしていた。だから指輪を妖精に渡したと
イングウェイは秘術で獣となり魔王を追い詰めるがベルベットの手で人間に戻される。
母の最期の手記を見て自分の間違いを悟ったイングウェイはコルネリウスに助けられた後姿を消す。
74オーディンスフィア ◆l1l6Ur354A :2007/05/30(水) 12:07:16 ID:1gmyIyLv0
終末
イングウェイの変身は解けたが呪いは心を蝕み続けていた。
バレンタイン王はコルドロンにレヴァンタンをいれ力を蓄えさせる。
イングウェイの秘術に反応し冥界のガロン王は欲望に囚われるが、それを止める死者の女王はすでにいなかった。
大地震で炎の国に津波が押し寄せる。オニキスは全世界に進軍する。
魔王の元に攻め込む死者の国。対抗する為に作り上げたバロールは既に失われていた。オーダインは倒れる。

5つの災厄にどの主人公が戦うかで展開が変わる。ここはベストパターンを書く
1.6つ目の獣
VSコルネリウス「父の剣」
祖父を倒したタイタニア王が研究していた秘術は獣を操る方法だった。
コルドロンを破壊するために獣になったイングウェイは三賢者の亡霊に操られ牙をむく。
最後に正気に戻ったイングウェイはコルドロンのフォゾンを世界に解き放つよう頼む。
メルセデスの顔を思い浮かべ、もう一度会いたかったなと呟きイングウェイは眼を閉じた。

2.冥府の王
VSオズワルド「死の終わり」
タイタニア王を倒すのは王の血筋。故に死神であろうと自分は倒せないと告げるガロン王だが
オズワルドの剣は獣の心臓を貫く。自分を捨てたと言う父エドガーは駆け落ちしたタイタニアの王子で
自分は捨てられたのではなく逃がされたのだと知る。死は私を捉えたと滅びるガロン
メルヴィンは自分を駒だと言ったが育ててくれた日々までは偽りではなかったかのかもしれないと呟く。

3.灼熱の化身
VSメルセデス「世界樹」
森を燃やし尽くす炎の軍勢。戦いの中、眠りについたイングウェイを見つける。
炎の王は予言にあった自分を滅ぼす世界樹など存在しない、全て燃やし尽くしたと笑う。
オニキスと相打ちになったメルセデスは国を守れなかったことを母に詫び、その魂を大地に返す
「我が真の名は・・・ユグドラシル」王は自分が最後に見誤ったことを知り燃え尽きる。
75オーディンスフィア ◆l1l6Ur354A :2007/05/30(水) 12:08:14 ID:1gmyIyLv0
4.結晶炉
VSベルベット「救いはない」
コルドロンを使い世界中のフォゾンを吸い上げ世界を滅ぼそうとするバレンタイン王
憎いなら世界を憎まずに自分の命を奪えというベルベット。娘に似た孫を殺すことないままその場を去る王
破壊されたコルドロンの中から完全体となった予言の竜が姿を現す。

5.最後の竜
VSグウェンドリン「姉妹の戦い」
世界を飲み込む蛇の王。その一撃は大地を砕いていく。
姉の霊が告げた「王冠を打ち据えよ」との言葉を信じ、絶望的な戦い挑む。
角を打ち砕いたグウェンだが、自らの翼も砕け地に落ちていく。
影法師は姉に姿を変え、労いの言葉と共に消えていく。最後に思うのはオズワルトの事だった。

みんな死んでしまうという悲しいお話に落ち込むアリスが本の表紙をみるとバレンタイン王国のメダルがはめ込まれていた。
少女はお話のお礼にプーカにメダルを上げると言うが当然何も起らない。
母親に呼ばれて誰もいなくなった屋根裏部屋にコルネリウスとベルベットそっくりのプーカが現れメダルを持っていく。

グウェンを助け倒れるオズワルド、ベルベットはグウェンの持っていた指輪を使い
4つのサイファーがこれまで溜め込んだフォゾンをコルドロンで解放する。
バレンタイン王のかけたコルドロンの呪いでプーカになるベルベット
不毛の大地となった世界を前に生き延びたオズワルドとグウェンは苦しむが、フォゾンを吸収した世界樹は大地を蘇らせる。
「こんな景色を見ては、捨てるわけには行かないじゃないか・・・希望を」
76名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/30(水) 23:05:42 ID:kDJQrWnY0
THEロボットつくろうぜっ!〜激闘!ロボットファイト〜を予約します
77名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 00:42:13 ID:IO20Or6Q0
ブラックマトリクス00の続きをお願いします。簡易でもいいです
78名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 00:58:26 ID:pALb/KD40
前スレの533、このスレの>>77までをWikiに収録、未解決リストに反映しました。

3ヶ月以上過ぎたので、未解決リスト中の

●途中 から
・ブレス オブ ファイア -竜の戦士-
・DEVICEREIGN

を、

●執筆予告がある物 から
・スーパーロボット大戦W
・METROID FUSION

を、それぞれ消しました。
79名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/03(日) 11:03:13 ID:gM0F7qUZ0
.hack//G.U.のvol.2、vol3.をお願いします。
80名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/03(日) 17:46:12 ID:DzbwVbsS0
vol.2
志乃の仇であるトライエッジを倒したのも束の間、アトリが黒い影AIDAに身体を貫かれる。
その後、プレイヤーがログアウトできないという異常事態が発生。
ハセヲ達GUメンバーはこの世界はAIDAが人間の感情を調べるために作り出したサーバーだと気づき
AIDAを排除することで現実に復帰。実際には時間が経過していなかったので
多くのプレイヤーが体験したにも関わらずサイバーコネクト社は事実を認めず。

2つ目のアリーナの宮皇が豹変、元宮皇の遥光に頼まれて原因であるAIDAを排除にかかるが
途中で遥光がやられ未帰還者になる。志乃に続き知り合いを失いショックを受けるハセヲ
で背後にいた月の樹の幹部榊がAIDAとアトリの碑文の力を操りクーデター
碑文の力はネットを支配する鍵、つまりは世界征服が出来るとか。でも倒す。

全ての黒幕はオーヴァンで全てはハセヲを成長させる為だったと言う。
封印された左腕にはAIDAが宿っていた。3本の腕が繰り出した傷こそトライエッジの正体だった。
苦戦の末倒すが、これでは駄目だと言って消える。
(1で倒したのはAIDAを排除するためのプログラム「蒼炎のカイト」で人違いだった)
81名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/03(日) 17:57:32 ID:DzbwVbsS0
vol3
オーヴァンは自分が初めてAIDAに接触した際、側にいた妹を未帰還者にしてしまった。
助けるためにザ・ワールドに隠された黄昏の鍵を探したがなかったのでもう一つの方法
「死の恐怖スケィス」を成長させたハセヲに倒されることによって「再誕のコペルニクス」の力を
発動させ、AIDAを駆除しようとする。で、成功。

ボロボロになったハセヲはスーパーハカーだった欅の手によってエクスフォームに進化
AIDAは駆除されたが再誕の影響で世界中が大混乱。オーヴァンの中の人テロリストとして指名手配。
目覚めた妹から兄さんを殺しやがってまじ氏ね(意訳)と言われる。実際には植物人間?

力の反作用でクビアが現れる。みんなで力をあわせて倒す。
オーヴァンの中の人は人望があったらしく、署名とかCC社の捏造とか発覚し手配解除される。
82スーパーロボット大戦W:2007/06/03(日) 20:35:07 ID:acqQPTOi0
メインは宇宙の運び屋トレイラーのヴァルストーク一家。
(今回は性別やリアルorスーパー系は選択できません)
父親:ブレス、長女:シホミ、次女:アカネ、長男:カズマ(主人公)、三女:ミヒロ、社員:ホリスの6人

【1部】
相変わらず宇宙からの侵略者に晒されて大ピンチの人類。
父親の『タカの目』ことブレスが各方面にものすごく顔が広かったことで、
一家は地球の平和の為、そして倒産の危機を乗り越える為に奔走することになる。
そんで各作品組織の合同部隊『ヴェルター』が結成され、腐敗した連合軍に代わり侵略者と戦っていく。
一家もオーバーテクノロジーの塊だと知らずに使っている母艦ヴァルストークや搭載機ヴァルホークで参戦。
そして中盤、謎の少女『アリア』が参戦してくる。ミヒロ達を家族だと呼び、カズマに激しい憎悪を向け、
ある時はヴェルターに協力したり、敵対したりとやりたい放題のアリア。
彼女の組織は無差別の情報収集と、収集の終わった対象の破壊を目的としており、
『ザ・データベース』と呼称されて地球の敵認定される。
1部ラスト、疲弊しきったヴェルターは人類間の戦争を止めるために宇宙に上がるが、
各敵勢力から一斉攻撃を受けてしまう。更にザ・データベースの総大将インファレンスの駆る
巨大兵器までもが出現し、攻撃を喰らったカズマは宇宙に投げ出される。
ブレスが救助に向かうが、戦闘はお構い無しに激しさを増し…

【2部】
ヴェルターが解体されて半年後、トレイラー家業に戻った3姉妹と、
行方不明だったカズマが再開したところで2部が始まる。
戦闘恐怖症と中二病を罹っていたカズマだったが、ヴァルストークに戻り、
新たに結成された合同組織『ノイ・ヴェルター』に協力していく。
ザ・データベースは本格的に活動を開始、一家の前にアリアと、
行方不明のブレスと性格・能力が瓜二つな謎の男:アプリカントが立ち塞がる。
一家は混乱しながらも戦っていくが、機体が破壊されてカズマが捕まってしまう。
ザ・データベースは3体のプログラムから成り、その一体であるインファレンスの暴走により、
ただの情報収集機構だったのが変質しているらしい。
(曰く、知識を占有する為だけに収集済みの文明を滅ぼしている)。
カズマは廃棄寸前だったアリアと、3体のプログラムの一体・レギュレイトを助けて脱出。
すると今度はヴァルガードとザ・データベースのマシンが合体し、
200m超のスーパーロボット:ヴァルザガードに変形してしまう。
ますます深まる謎に、レギュレイトから真実が明かされる。彼女が見せたのはブレスの記録だった。
1部ラストでブレスは死んでおらず、時空跳躍(ナデシコ参照)で数百億年前、
滅びる寸前だった前の銀河に跳躍していた。そこで絶望に暮れる超々古代文明人に、
『思い出は金になる』と作らせたのがザ・データベースの原型だったのである。
そして未来で暴走するザ・データベースのカウンターとして用意したのが、ヴァルストークやヴァルガード。
各プログラムを家族を元に作ったり、レギュレイトを亡き妻の姿にしたりと、
やりたい放題の親父に頭を抱えるカズマだったが、その遺言を受け取りザ・データベースを止めるために戦う。
親父のクローンであるアプリカントを倒し、見事父越えを遂げるカズマ。
そして感情の発生から暴走していたインファレンスを殴って聞かせ、ひとまず地球に平和が戻る。
贖罪に旅立つザ・データベース一家を見送るヴァルストーク一家でラスト。
83名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/03(日) 20:50:53 ID:Ls17IsbV0
ゼルダの伝説トワイライトプリンセスお願いします
84名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/05(火) 20:38:04 ID:FRfZ2Bn+0
>>82の人乙であります。
せっかくなので2週目のちょっと違うラストバトルもお願いできないカナ?
85名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/05(火) 21:06:14 ID:Ypjf2oUO0
>>84
残念ながら二週目二部中盤で積んでしまったんだ・・・聞くところによると、
黒幕だったプログラムの1体:クリティック(1週目ではインファレンスに瞬殺される)が
インファレンス倒した後で専用ロボと1週目ラスボス数体引き連れて出現。
そしてアプリカントがカズマの援軍に来るって展開らしい。
86ペルソナ3フェス ◆l1l6Ur354A :2007/06/05(火) 23:15:20 ID:16ZZt34z0
ペルソナ3フェスいきます。要望があったので本編もトリップつきで。

〈登場人物〉
主人公:デフォルト名無し。10年前に事故で両親を亡くしている。高校2年の春、
私立月光館学園に転入してくる。
伊織順平:2年生。陽気な性格で、お調子者。
岳羽ゆかり:2年生。弓道部所属で、容姿と明るい性格のおかげで学内では結構人気があるらしい。
真田明彦:3年生。ボクシング部主将にして大会で16戦無敗のチャンピオン。熱血天然おバカな人。
桐条美鶴:3年生。生徒会会長。世界有数の大企業である「桐条グループ」総裁の一人娘。
山岸風花:2年生。病弱らしく、学校を休みがち。
アイギス:桐条グループが開発した人型兵器。なぜか主人公の事を知っており、守ろうとする。
コロマルの言葉を唯一理解できる。
コロマル:主人公達が暮らす寮の近くにある神社で飼われていた犬。事故で主人を亡くしている。
荒垣真次郎:3年生(休学中)。真田の知り合い。
天田乾:初等科5年生。2年前に母親をある事故によって亡くしている。
87ペルソナ3フェス ◆l1l6Ur354A :2007/06/05(火) 23:16:36 ID:16ZZt34z0
2009年4月6日。私立月光館学園に転入することになった主人公は、これから自分が住まう寮、
「厳戸台分寮」に向かっていた。最寄り駅の改札を出た時、時計は0時を指す。その瞬間、
電灯、券売機、主人公のMP3プレーヤー等、あらゆる機械が止まってしまう。駅の外には棺桶のような
不気味なオブジェが立ち並び、地面には血の様な赤い液体が一面に広がっている。
そんな異常な状況の中、何故か全く動揺しない主人公は、寮に向かって歩き出す。
寮に着き、中に入ると、いきなり囚人服を着た子供に声をかけられる。

「この先に進むのなら、そこに署名を」子供が示す先には名簿がおいてあった。
名簿に名前を書く主人公(ここで名前を入力)。
「時はすべての物に結末を運んでくる。たとえ目と耳を塞いでいてもね。
さぁ、はじまるよ」

そう言い残すと少年は姿を消す。
その直後、1人の少女が現れる。何故か酷く怯えている少女。太腿のホルスターには拳銃が入っている。
拳銃に手を伸ばしたその時、もう1人少女が現れてそれを制する。
少女は桐条美鶴と名乗る。先に現れた少女は岳羽ゆかり。本来主人公が入る予定だった男子寮は
空きが無いため、一時的にこの寮に住むことになったのだと説明を受け、落ち着いたゆかりに
部屋まで案内してもらう。何故拳銃を持っているのか聞くと、
「えっ、なんていうか…趣味っていうか…ええと・・・」とイマイチ納得いかない返事が返ってくる。
分からないことばかりだけども、とりあえず休む。

次の日、学校に初登校。ゆかりと同じ2年F組に編入した主人公は、早速クラスメイトの
伊織順平と仲良くなる。
その夜、夢の中で主人公は、不思議な部屋を訪れる。そこは夢と現実、精神と物質の狭間に
存在する場所、「ベルベットルーム」。そこの主である老人イゴールとその従者エリザベスから、
ベルベットルームに入るための鍵である「契約者の鍵」をもらう。
いずれ自分達の力が必要になる、またお会いしましょうと言うイゴール、そこで夢は覚める。

4月9日。夜、部屋の外が騒がしくなって目を覚ますと、突然ゆかりが部屋に飛び込んでくる。
「説明してる暇無いの。今すぐここから出るから!」
ゆかりに連れられて屋上へと逃げるがそこに見たことも無い化け物が現れる。
2人に迫ってくる化け物。ゆかりは拳銃を取り出すと自分の額に当てて引き金を引こうとするが、
化け物の攻撃を受けて吹き飛ばされてしまう。弾き飛ばされた拳銃を拾った主人公は、
ゆかりが行ったように、拳銃を自分の頭に当てる。その瞬間、主人公の脳裏に囚人服の
少年の姿が浮かぶ。「さあ」主人公を促す少年。

少しのためらいの後、引き金を引く主人公。その瞬間、主人公の背後に不思議な人影が現れる。
「オルフェウス」と名乗る人影。次の瞬間、オルフェウスの体を引き裂き、中からさらに
別の人影が現れる。無数の棺桶を翼のように背負うその人影は、手にした剣で化け物を
一閃するとオルフェウスの姿に戻るが、主人公は倒れてしまう。
88ペルソナ3フェス ◆l1l6Ur354A :2007/06/05(火) 23:18:57 ID:16ZZt34z0
主人公が目を覚ますとそこは病室。ベッドの傍らにはゆかりがいた。ゆかり曰く、
何日も意識を失っていたらしい。
ゆかりはいきなり主人公に謝る。主人公が意識を失っている間に、主人公の経歴を勝手に見てしまったらしい。
幼い頃に両親を失い、居場所を転々と変えて生きてきた主人公。
「私もね・・・同じなんだ」
ゆかりも父親がいなかった。10年前にこの近くで大規模な爆発事故が発生し、それに巻き込まれて
ゆかりの父親は死んでしまったらしい。

退院して寮に戻ると、美鶴とゆかり、さらに主人公は初めて顔を合わせる寮生、真田明彦と、
学校の理事長である幾月修司の4人が待っていた。
幾月は主人公に唐突に質問する。
「もし1日が24時間じゃない、って言ったら、君は信じるかい?」

質問の意味が良く分からない主人公に幾月は説明する。
この世界には「影時間」と呼ばれる時間が存在しており、影時間中は適正を持った人間しか行動できない。
普通の人間は棺桶のようなオブジェへと変化する「象徴化」と呼ばれる現象を起こし、
影時間中に起こったことは何一つ知らない。
また、影時間には「シャドウ」と呼ばれる異形の化け物が出現し、適正者を襲って精神を喰らう。
シャドウに精神を喰われた人は「影人間」と呼ばれる生気を失った廃人同然の存在になってしまう。

最近巷では「無気力症」と呼ばれる原因不明の病気が流行しているが、それらは全て影人間なのだという。
シャドウを倒せるのは、適正者の中にまれに現れる、心の中に潜むもう1人の自分
「ペルソナ」の力を扱えるペルソナ使いだけ。
ゆかりが持っていた拳銃は「召喚器」と呼ばれているペルソナの召喚を助ける道具。召喚器で
頭を撃ち抜くことで、ペルソナを安定して呼び出すことが出来るらしい。
厳戸台分寮はペルソナ使いを集めるために造られた寮で、美鶴達はシャドウに対抗するペルソナ使いの部隊、
「特別課外活動部」を結成して日々シャドウと戦っている。主人公がこの寮に入れられたのは、
ペルソナ使いの素質があったからだった。力を貸してほしい、と言う美鶴の願いを承諾する主人公。
こうして主人公は特別課外活動部の一員として戦うことになった。
89ペルソナ3フェス ◆l1l6Ur354A :2007/06/05(火) 23:20:16 ID:16ZZt34z0
4月19日、部屋で休んでいると、真田に呼ばれる。呼ばれるまま玄関に向かうと、そこには順平がいた。
ペルソナ使いの適正が見つかり、入寮することになったらしい。
ゆかり、主人公とは顔見知りであるのと、元々の明るい性格から順平はすぐに寮になじむ。
20日の夜、幾月から「タルタロス」と呼ばれる場所の説明を受ける。タルタロスは
シャドウの巣であるらしく、早速その場所に行くことに。

辿り着いたのは学校の校門前。そこで待っていると、影時間が始まる。
その瞬間、校舎は激しく形を変え、いくつものビルがくっついたような、いびつで巨大な塔に変貌する。
これがタルタロスなのだという。影時間が終われば校舎は元に戻る。何故学校がこのように変貌するのか、
何故ここにシャドウが巣食っているのかは分からないらしいが、美鶴は
何か隠しているような素振りを見せる。

「分からなきゃ調べればいい。それにここを本格的に探索するのは
俺や美鶴にとっても初めてなんだ。どうだ、ワクワクするだろ?」
と楽しげな真田だが、美鶴にたしなめられる。
「明彦。意気込むのは勝手だが、探索はさせないぞ。」

真田は寮がシャドウに襲撃された際にアバラを折ってしまい、しばらく戦えないらしい。
(実はシャドウが寮を襲ってきたのは、1人で町をウロウロしてた真田が襲われて、
逃げたのを追ってきたからだったりする)

不満気な真田と、外から通信で必要な情報を伝えると言う美鶴を残し、3人で戦うことに。
とりあえず、皆を指揮するリーダーが必要と言われ、主人公が抜擢される。
自分がリーダーに選ばれなかったことに若干不満を口にする順平。
さあ突入、というところで、主人公はタルタロスのエントランス脇に青い扉があるのを見つける。
扉を開いて中に入ると、そこはベルベットルームだった。イゴールから
ペルソナについての説明を受ける主人公。
主人公はペルソナを付け替える能力を持っており(他のペルソナ使いは1種類のペルソナしか使えない)、
イゴールの力でペルソナ同士を合体させれば、様々なペルソナを作り出すことが出来るらしい。
外に出ると、ボーっとしてどうしたのか?と仲間達に問われる。扉は主人公にしか見えず、
ベルベットルームの中にいる間は、仲間達には主人公はただぼんやりしているようにしか見えない。
タルタロスに突入した主人公達は、シャドウを撃破しつつ内部を探索するが、あまりにも広大なのと
初めてということもあり、早々に脱出する。
この日以降、好きな日にタルタロスに挑戦できるようになるので、日中は学校、
夜はタルタロスでシャドウと戦闘という、かなりハードな生活を送ることになる。
90ペルソナ3フェス ◆l1l6Ur354A :2007/06/05(火) 23:21:32 ID:16ZZt34z0
5月1日、真田が怪我の経過を診るため、1日だけ検査入院することになったので、2年生3人でお見舞いに行く。
病室に入るとそこに居たのは真田ではなく、ニット帽を目深にかぶった恐そうな雰囲気の男だった。
病室間違えたっけ、と思っていると真田が入ってくる。
「…アキ、もういいか?ったく…いちいちテメェの遊びに付き合ってられっか」
そう言い残すと男は病室から出て行く。
真田曰く、今の男には知り合いに無気力症にかかった人間がいるから、詳しい話を聞くために
呼び出したらしい。
ゆかりはふと思いついたように真田に尋ねる。
「そういえば先輩って、なんでボクシングを?」

その問いかけに対して真田は、別にボクシングに思い入れがあるわけではなく、素手の格闘技なら
何でも良かったと答える。
「昔、自分の無力さを思い知ったことがあってな…もう、ああいう後悔はしたくないんだ」
そう言う真田の目はどこか悲しそうだった。

5月2日、眠っている主人公の元に囚人服の少年が現れる。
少年は1週間後が満月であり、満月の時に試練がやってくると警告すると消えていく。
5月9日、少年に言われた満月の日。影時間中、タルタロスの外部で、巨大なシャドウの反応が見つかる。
反応があった場所は線路上に停車しているモノレールの中(影時間中は特殊な改良をしたもの以外
全ての機械が止まる)。
現場に急行した3人がモノレールに乗り込むと、ドアが閉まり、閉じ込められてしまう。
シャドウが現れるが、3人には襲い掛からず、まるで誘うかのように先頭車両のほうに向かっていく。
追うかどうか躊躇していると、順平が1人で追いかけていってしまう。慌てて追いかける主人公とゆかり。
何両か先の車両で追いついたときには、順平はシャドウに取り囲まれていた。
「くそっ…オレ1人だって!」

がむしゃらに戦う順平を援護しシャドウを倒すと、いきなりモノレールが動き出す。
モノレール全体がシャドウに乗っ取られているらしい。このままでは前方に停車している他のモノレールに
衝突してしまう。停車させるために先頭車両に行くと、そこには巨大なシャドウ「プリーステス」が待ち構えていた。
普通のシャドウよりも遥かに強いプリーステスをなんとか撃破するも、モノレールの暴走は止まらない。
もうだめか、とおもったその時、主人公は運転室に飛び込んでブレーキを作動させ、見事停車させる。
シャドウの反応も全て消え、安堵した3人は寮へと帰る。
91ペルソナ3フェス ◆l1l6Ur354A :2007/06/05(火) 23:23:06 ID:16ZZt34z0
5月23日、ようやく戦線に復帰することになった真田から、新たに見つかったペルソナ使いの話を聞かされる。
2年E組の山岸風花。彼女に入部してもらおうと、既に召喚器も用意してみたものの、体が弱く学校も休みがちで、
入部は無理、という結論に至ったらしい。

その数日後、学校内で奇妙な事件が起こる。
生徒の1人が行方不明になり、次の日に意識不明の状態で校門前に倒れていたらしい。
幽霊の仕業だと言う話で校内は持ちきりになる。
幽霊とかそういった類の話が苦手なゆかりだったが、その事を順平にからかわれて怒り心頭に。
幽霊なんて存在しないことを証明するため、調査を行うことになり、主人公もそれに巻き込まれてしまう。
調査の結果、意識不明の状態で見つかったのは1人ではなく、全部で3人であったこと、
その3人は皆素行が悪く、学校の最寄り駅であるポートアイランド駅のそばの不良の溜まり場に
良く出入りしていたことが明らかになる。
情報を得るために溜まり場に行く3人、しかし不良たちに囲まれてしまう。

ピンチの3人を助けたのは、以前真田のお見舞いに行ったときに病院で会ったニット帽の男だった。
男の名は荒垣真次郎。溜まり場ではかなり有名な存在らしく、不良たちは逃げていく。
3人のことを覚えていた荒垣は、色々と情報をくれる。
溜まり場の不良たちの間では今回の騒ぎは風花の怨霊の仕業だと思われているらしい。
風花は病気で休んでいるのではなく、1週間前から家に帰っておらず、行方がわからないのだと言う。

次の日、E組の担任である江古田に詳しい話を聞くために職員室に行くと、江古田の他に
E組の生徒である森山夏紀がいた。
「こんな事になるなんて…風花・・・」
取り乱している夏紀に話を聞く。

夏紀は仲間と共に風花をいじめていた。ある日、夏紀たちは風花を体育館の倉庫に閉じ込めて帰ってしまった。
気になった仲間の1人が深夜様子を見に行ったまま行方不明になり、次の日意識不明になって発見された。
風花の姿は倉庫には無かった。
その後探しに行った仲間達も皆意識不明で発見されたらしい。
風花が病気で休んでいる、という話になっていたのは、教師としての評価が落ちることを恐れた江古田が
事実を隠蔽していたからだった。
92ペルソナ3フェス ◆l1l6Ur354A :2007/06/05(火) 23:24:10 ID:16ZZt34z0
風花は学校内で影時間を迎えたため、そのままタルタロスに飲み込まれてしまったに違いない。
夏紀の仲間たちは夜の学校に居た為にシャドウに目をつけられ、適性は無いものの影時間に引きずり込まれて
精神を喰われてしまったようだ。
仲間達同様シャドウに目を付けられている可能性がある夏紀は寮で保護し、救出するための策を先輩達と考える。
風花が閉じ込められていた体育館倉庫に0時前に行き、そのまま影時間を迎えれば、
風花が迷い込んだ場所の近くに行くことが出来るのではないか、という真田の提案に乗って、夜の学校に侵入する。
何が起こるかわからないため、主人公、順平、真田の3人だけがタルタロスに入り、ゆかりと美鶴は入り口で待機することに。


倉庫で影時間を迎える3人。気が付くと、主人公は1人で倒れていた。無理な方法でタルタロスに入ったせいか、
気を失っていたらしい。
2人を探そうとする主人公の前に、囚人服の少年がまた現れる。
「急いだ方がいいよ…彼女が待ってる。今の君たちには、必要な人だ」
少年は主人公に一方的に話すと、いつものように消えてしまう。

タルタロス内をさまよい、なんとか順平、真田と合流する主人公。すると3人の前に1人の少女が現れる。風花だった。
なんとなくシャドウの位置がわかって逃げることが出来たので、今まで一度も襲われたことはなかったらしい。
無事であったことを喜ぶ主人公達。何かあった時のために召喚器を風花に渡して、美鶴達の所に戻ることにする。
道中、ふと空を見るとそこには不気味に輝く巨大な満月。
モノレールにシャドウが現れたときも、寮が襲われた時も満月だった。嫌な予感がして急いで戻ると、
美鶴達は2体の巨大なシャドウ「エンペラー」と「エンプレス」に襲われていた。
93ペルソナ3フェス ◆l1l6Ur354A :2007/06/05(火) 23:25:23 ID:16ZZt34z0
美鶴が捕らえられ、手を出せないでいると、そこに寮に置いて来た筈の夏紀が現れる。
既にシャドウに目を付けられていた彼女は、半ば操られる形でここまで来てしまったらしい。
夏紀に襲いかかろうとするシャドウ、風花は夏紀の側に駆け寄ると、召喚器を取り出して
自分のこめかみに当て、引き金を引いた。その瞬間、風花のペルソナ「ルキア」が覚醒する。
ルキアは戦う力は持たないものの、シャドウの性質や弱点を探知する力を持っており、
その力で弱点を見抜いてエンペラーとエンプレスを倒す。
ペルソナ能力を使うのが初めてだったせいか、倒れてしまう風花。
夏紀は風花に向かって、ごめんね、ごめんねと泣きながら何度も謝り続ける。
元々適正者ではないため、影時間が終われば夏紀の記憶の中から今夜の事は全て消えてしまう。
風花に助けられたことも、全て。

4日後、意識を取り戻した風花を寮に呼び、改めて仲間に誘うと、風花は是非やらせてほしいと快諾する。
今まで後方支援にあたっていた美鶴は、その役目を風花に継いでもらい、戦線に復帰する。
仲間が増えたことを皆喜ぶが、ゆかりだけが複雑な表情を見せる。
寮に入り、再び学校に通い始めた風花。クラスメイトから「ユーレイの子」と後ろ指をさされる風花に
優しく声をかけたのは夏紀だった。
今までの関係とはうって変わって、2人は親友になる。
94ペルソナ3フェス ◆l1l6Ur354A :2007/06/05(火) 23:27:19 ID:16ZZt34z0
7月に入り、次の満月が近づくにつれ、影人間が増加していく。今までも満月が近づくにつれ影人間は増加し、
満月を過ぎると減少していた。
今回の影人間はさらに何故か男女2人組で発見されるらしい。
7月7日。再び満月の日に巨大なシャドウの反応が現れる。
風花がシャドウの位置を特定すると、そこは「白河通り」と呼ばれる場所だった。
実はこの場所、ラブホテル街として有名な場所。
影人間がカップルで見つかる理由が何となく判明する。

嫌な予感がするから今回は行くのをやめようとするゆかり、しかし順平に子供だとからかわれてカチンときたのか、
無理矢理に出撃メンバーに加わってしまう。
反応のあったラブホテルに侵入し、最上階の部屋に巣食っていたシャドウ「ハイエロファント」を倒す。
しかしシャドウの反応は消えない。
部屋の中を探索し、大きな鏡を見つける。鏡を覗き込んだ瞬間、主人公の視界は真っ白になり、意識が遠のいていく。

気付いた時、主人公はホテルの一室でベッドに腰掛けていた。
シャワー室からは水音が聞こえる。
ぼんやりとした頭の中に何者かの声が響いてくる。

享楽せよ・・・
欲するまま束縛から解き放たれよ・・・
今を享楽せよ・・・

謎の声の誘惑をひたすら拒絶し続けていると、だんだん意識がはっきりしてくる。
その時、シャワー室のドアが開く。中から出てきたのは、タオルを一枚巻いただけの、
あられもない姿のゆかりだった。
「え?ちょ、いやぁーーーーーーーー!」
95ペルソナ3フェス ◆l1l6Ur354A :2007/06/05(火) 23:29:57 ID:16ZZt34z0
主人公の姿を見たゆかりは悲鳴をあげ、強烈なビンタをかます。
どうやらシャドウの精神攻撃を受けて、2人とも理性を失っていたらしい。
再び探索を開始し、残りの仲間と合流する。主人公達と同様に精神攻撃を受けていたらしい。


※予断ですが、このラブホ侵入作戦、ゆかり以外のメンバーは自由に選択できます。
残りのメンバーを美鶴と、順平か真田のどちらかにした場合、合流した時にそっちは大丈夫だったかと聞くと、
「な、何も無い!」と動揺する美鶴の姿が見れます。
一方、メンバーを順平と真田にして大丈夫だったかどうか聞くと、普段は温厚な真田が
「あ?何もあるわけ無いだろ!」とものすごい勢いでキレます。
・・・一体何があったんですか。


とにかく気を取り直し、姿を見せないシャドウを探す。風花曰く、シャドウは結界を張って
姿を隠しているらしい。探索していると、部屋に備え付けてある鏡の中に
主人公達の姿が映らない鏡があるのを見つける。その鏡を割ると結界の力が薄れていく。
ベッドの上に象徴化した棺桶が2つ並ぶシュールな光景を横目に見つつ鏡を割りまくっていく。
全ての鏡を割ると、精神攻撃の元凶のシャドウ、「ラヴァーズ」が現れるので、これを撃破。
シャドウの反応がようやく全て消滅する。

今回もよくやった、的なことを言って主人公をねぎらう先輩達。
主人公ばかりが認められ、活躍することに嫉妬した順平はすっかり機嫌を損ねてしまい、
1人でさっさと帰ってしまう。
96ペルソナ3フェス ◆l1l6Ur354A :2007/06/05(火) 23:30:46 ID:16ZZt34z0
とりあえず今日はここまで。
97御神楽少女探偵団:2007/06/06(水) 00:07:18 ID:APSIMh050
馬鹿な荒らしと同じブロバイダ使っていたばかりに、
巻き添えで全鯖規制喰らってたので投下が遅くなった
すまん
というわけで御神楽再開します
98御神楽少女探偵団:2007/06/06(水) 00:08:52 ID:APSIMh050
ごめん、できるだけ短く纏めようと思ったんだけれども、一層話が長くなってきたorz
長くて混乱するかもしれないので、頭に登場人物のリストを載せときます。

☆第三話『夢男』登場人物
・財部権兵衛・・・新潟県の有力華族、財部家の当主
・財部芙美子・・・権兵衛の後妻
・財部政之輔・・・権兵衛の父、先代当主
・財部千代・・・・政之輔の妻
・財部重光・・・・権兵衛と先妻との間の息子、財部家長男、青年
・財部光太郎・・・権兵衛と芙美子の間の息子、財部家次男、ガキ
・原田安子・・・・財部家長女
・原田行夫・・・・安子の夫
・長田常吉・・・・財部家で働く使用人
・長田弥生子・・・常吉の娘、財部家で働く看護婦
・倉賀丁三・・・・屋敷に出入りする旅芸人一座の座長
・黒部小弥太・・・旅芸人
・花巻天子・・・・旅芸人
・阿部善明・・・・財部家屋敷管理人
・阿部譲太郎・・・善明の息子、小学校高学年くらい
・阿部正夫・・・・その弟、小学校低学年くらい
・無明・・・・・・財部家の近くにある寺の住職
・多岐川・・・・・新潟県警刑事
99御神楽少女探偵団:2007/06/06(水) 00:10:17 ID:APSIMh050
☆第三話『夢男』前編

事務所の少年助手、蘭丸は新潟県の有力者財部権兵衛の家で、女装してメイドとして働いていた(蘭丸は女顔の美形)。
財部家の中をうろつく不審人物が居るとして、同家の使用人である長田定吉が調査を依頼してきた。
犯罪の存在すら疑わしい段階で探偵が乗り込むのも物騒なので、蘭丸が潜入捜査を行うことになったのだ。

定吉の娘で、やはり財部家の使用人である看護婦の長田弥生子に迎えられた蘭丸は、蘭子と名乗り早速働き始める。
屋敷の夫人室にて、権兵衛の後妻で妖しい魅力を持つ財部芙美子に挨拶した蘭丸は、芙美子から仕事を申し付かる。
部屋の隅にある飾り棚にある、飼い鳥のえさ箱である漆塗りの箱を、芙美子のもとに持って来るよう言われたのだ。
蘭丸が飾り棚を見ると、そこには同じ形状をした漆塗りの箱と白木の箱が置いてある。
そして芙美子は漆塗りの箱を持ってくるよう言ったにもかかわらず、白木の箱を指差した。
どちらの箱を持っていけばいいのか混乱した蘭丸は、とりあえず中を確認する為に白木の箱を開けてみる。
すると、そこには懐中拳銃が納められていた。
白木の箱を開けてしまったことを芙美子に咎められ、蘭丸は漆塗りの箱を芙美子のところへ運ぶ。
なぜ芙美子は漆塗りの箱と言いながら、白木の箱を指差したのだろうか。

つづいて蘭丸は、屋敷の内庭で自分と同じぐらいの少年と、その弟らしき子どもを見かけ声をかけるが逃げられてしまう。
定吉によると、二人は屋敷の管理人である阿部さんの息子達らしい。
阿部一家は、屋敷の敷地内に居を構えているようだ。

続いて屋敷の隠居部屋に向かった蘭丸は、凄まじい怒鳴り声と女性の声を聞く。
見れば、錯乱して暴れる車椅子の老人を、弥生子が必死に押さえつけている。
老人は先代当主の財部政之輔で、彼は暴れながら「夢男」という言葉を口走った。
後に弥生子に聞いたところによると、政之輔だけではなくその妻千代も時々錯乱するらしい。

続いて欄丸が屋敷の仏間を覗くと、千代が孫で、財部の次男である光太郎に夢男の話を聞かせていた。
どうやら夢男は、財部家に代々伝わる怪談のようだ。

その夜、屋敷の見回りをしていた蘭丸は、内庭の隅にある小屋で怪しい男女が逢引している場面を目撃する。

翌朝、蘭丸は財部家の長女原田安子と、その夫原田行夫に出会う。
二人は屋敷のサンルームで、よく長田ともう一人を相手にブリッジのカードゲームをしているらしい。
また、弥生子から夢男の話を詳しく聞くことが出来た。
幕末、財部家は藩の御用商人として財を成していた。
しかし戊辰戦争で藩が賊軍となると、官軍に藩の機密情報を流し藩を裏切った。
この功績により、財部家は維新後男爵の爵位を受けたのだが、
財部家裏切りの責めを負い切腹した藩の役人が「夢男」となり、家の人々を取り殺すようになったのだという。

続いて政之輔の部屋を覗いた蘭丸は、安子が家の政之輔の遺産を欲しており、
彼を介護する弥生子を警戒していることを知る。

その後出合った定吉によると、屋敷には今旅芸人の一座が宿泊しており、座長は倉賀丁三という男らしい。
権兵衛は、倉賀をなぜかひどく気に入っているらしい。

夫人室で芙美子と行夫の会話を立ち聞きした蘭丸は、行夫が会社を経営しており、経営状態が芳しくないことを知る。
行夫は、芙美子に対し権兵衛から融資を受ける際口ぞえをしてもらいたいようなのだが、芙美子は行夫にあえてつれない対応をしている。
芙美子には、弱者を精神的にいたぶることを好む面があるようだ。

蘭丸は、財部家の長男である財部重光と出会う。
重光は写真を趣味とする、自室警備員気味の青年だ。
趣味が高じて、自室の隣に現像用の暗室を作ってもらったらしい。

屋敷内の阿部家を訪ねた蘭丸は、初日に出合った二人の少年、阿部譲太郎と阿部正夫に知己を得る。
年が近いこともあり、三人はすっかり打ち解けた。

その夜、屋敷内に芙美子の悲鳴が響き渡る。
駆けつけると、敷地内にある石段の下で先代当主の政之輔が死んでいた。
どうやら、石段から転落し頭を強打したようだ。
政之輔の死体を見た千代は、「夢男の仕業」と言い卒倒する。
100御神楽少女探偵団:2007/06/06(水) 00:13:08 ID:APSIMh050
事件発生の報を受け、事務所の三人娘が屋敷を訪れる。
政之輔の死が事故か殺人かは、はっきりしないらしい。
当主の権兵衛と面会する三人。
権兵衛は極めて傲慢で威圧的な人物だが、捜査に対する屋敷を挙げての協力を取り付けることが出来た。
権兵衛によると、弥生子に対しては政之輔から十万円の遺産が行く取り決めらしい(当時十万円は超大金)。

その後三人は、旅芸人一座の座長蔵賀が権兵衛と芙美子に挨拶しているところを目撃する。
どうも芙美子は蔵賀に対し、自分が財部権兵衛夫人であることを必要以上に見せ付けているようだ。

三人は蘭丸に連れられ、阿部家に足を運ぶ。
蘭丸は二人の息子だけでなく、父親の阿部善明とも仲良くなっているようだ。
阿部兄弟に連れられ一同は、旅芸人一座が宿泊する離れへと向かう。

倉賀と話した三人は、一座がここ二年、とくに贔屓にしてもらっていることを聞く。
また、旅芸人一座の中には、初日の夜蘭丸が逢引の現場を目撃した男女が居た。
黒部小弥太と花巻天子という、一座のメンバーらしい。

夜、屋敷に再び悲鳴が響き渡る。
声の元である隠居所に駆けつけると、部屋のベッドの上には療養していた千代の死体があった。

翌朝、新潟県警の多岐川刑事が千代の検視報告にやってくる。
どうやら多岐川は、有力者である権兵衛に頭が上がらないようだ。
多岐川によると、千代は前夜の20時から22時ごろ、ベッドに横になったとたん心臓発作を起こし死んだらしい。
外傷は発見されず、毒物の反応もなかったようだ。
警察は自然死と考えているらしい。

その後内庭の物置小屋を調べた三人は、小屋内に敷かれた藁が不自然に凹んでいることに気づく。
どうやら、昨晩も黒部と花巻がここで逢引していたようだ。

安子によると、弥生子ひとりが昨晩の所在がはっきりしないようだ。
また、長田によると財部一族は有力者でこそあれ、地元民から蛇蝎のごとく嫌われているそうだ。

石段では、重光が芙美子に叱りつけられていた。
重光は芙美子のことを愛人呼ばわりするが、何かあるのだろうか。
101御神楽少女探偵団:2007/06/06(水) 00:15:49 ID:APSIMh050
続いて管理人の善明と話す三人。
善明はこの屋敷に勤めて二年になるが、やはり財部家の人々のことを内心嫌っているらしい。

再び重光に会った三人は、芙美子が財部家に入った経緯を聞く。
芙美子は人妻だったのだが、彼女を気に入った権兵衛が無理やり芙美子と夫を別れさせ自らの後妻にしたらしい。
芙美子の夫は権兵衛に逆らうことが出来ず泣く泣くこの無体を受け入れたのだが、
また芙美子はうだつの上がらない夫よりも有力者の権兵衛に魅力を感じ、むしろ自分から権兵衛になびいたようだ。

その後権兵衛から、芙美子がかつては旅一座の座長、倉賀の妻であったことを聞き三人は驚愕するのであった。

またまた屋敷に芙美子の悲鳴が響く。
夫人室に駆けつけると、部屋のカレンダーに「夢男」の文字が記されていた。

また三人は権兵衛が自分の息子でありながら、重光のことを無能と蔑んでいることを知る。
芙美子も、先生の子重光ではなく、自分の子光太郎を財部家の跡継ぎにしようとしている。
一方重光は、屋敷の人間では弥生子だけに心を開いているようだ。
そして行夫は、弥生子ではなく芙美子のことを怪しんでいる。
蘭丸は、阿部家の兄弟と本当に仲良くなったようだ(女装したまんまだけど)。
また、重光は跡継ぎを巡っては光太郎に対してだいぶ旗色が悪いようだ。
安子については、かなり浪費癖が激しく、行夫の会社が傾いたのもそのせいらしい。

また、近所の寺に足を運んだ三人はそこで、倉賀に蘭丸と同じぐらいの年頃の一人息子が居ることを知る。
また、寺の住職無明から、財部一族は様々な人々から恨まれている、との話を聞く。

事件の関係者ほとんどに殺人を犯すような動機があり、困り果てる三人。
翌朝、そんな三人のもとに再び殺人事件が発生した、との報せが飛び込んでくる。

第三話『夢男』前編END
102名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/06(水) 12:26:45 ID:AOqADCKm0
ペルソナ3、御神楽、乙です
103名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/07(木) 09:44:49 ID:mCXeuEg30
>>101までのをWikiに収録。
トップページのリンクを現行スレに変更。

104名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/08(金) 00:29:26 ID:D4Do2k370
ペルソナ3フェスも観神楽も読み応えあってありがたいです。
続きも頑張れ〜
105名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/08(金) 03:47:36 ID:MDkakD3Q0
ttp://geroha.ld.infoseek.co.jp/main/index.html
だれかこれのストーリーをお願いします
106御神楽少女探偵団:2007/06/08(金) 07:24:55 ID:H1ShpLey0
☆第三話『夢男』後編

報せによると、長男の重光が何者かによって殺害されたらしい。
第一発見者の定吉によると、重光は自室で殺害されたようだ。
当日、写真機の組み立てをするといって自室にこもっていた所を殺されたらしい。
重光の部屋はオートロックになっており、内側からあけるか鍵を使うかしないと入れないという。
鍵は重光が持っているものと、使用人室にある合鍵以外には無いそうだ。

多岐川刑事によると、重光の死亡推定時刻は17時から21時らしい。
部屋の暖炉で死体が温まってしまった為、正確な時刻を割り出すのが困難になってしまったのだ。

安子によると、重光は20時の時点では無事だったようだ。
原田夫妻と定吉、倉賀の4人でブリッジを18時から20時までプレイしていたのだが、
4人がプレイしている間重光の部屋に人の出入りは無かったらしい。
実際、プレイしていた場所からは、重光の部屋の前の廊下の様子が良く見える。
ブリッジ終了後、倉賀が重光の部屋に手土産の酒饅頭を渡しにいっており、
重光の部屋の扉が開き、倉賀が饅頭を渡すのを見たというのだ。

現場となった重光の部屋で、多岐川から捜査の協力を取り付ける。
多岐川自身も、財部には従うフリをしているだけで、真相究明を望んでいるようだ。
重光は絞殺で、死後背中に傷が付けられ、そこからかなりの出血があった。
また、弥生子が重光のために作ったおにぎり三個が残されていた。
しかし、現場には倉賀が届けたという酒饅頭が、その痕跡すら残されていなかった。
犯人が饅頭を持ち去ったのだろうか?

定吉によると、重光の部屋の鍵は誰でも保管場所から持ち出すことが出来たが、
八時数分に確認した際には鍵は間違いなく保管場所にあったという。
また、管理人の善明はかつて財部家に、財産の山林を奪われていたらしい。
また、旅芸人の天子は、恋人の子弥太が芙美子に惹かれていることに気づき、苛ついているようだ。

倉賀と会った三人は、彼のアリバイを聞く。
彼はブリッジを終えた後、すぐに一座へ戻り小弥太と稽古を0時ごろまでやっていたらしい。

無明住職によると、光太郎は芙美子の三人目の子どもらしい。
芙美子は倉賀との間に二人の息子をもうけていたが、その二人までをも棄てて財部家に入ったのだ。
後に倉賀に問いただすと、息子の一人は一座で子役を務めているという。
倉賀は、左門という子役を三人に紹介する。
そして、もう一人の息子は五年前に結核で他界したことを告げる。
107御神楽少女探偵団:2007/06/08(金) 07:28:22 ID:H1ShpLey0
重光が隣の部屋を暗室に作り変えていたことを思い出した三人は、
定吉に暗室と重光の部屋の行き来が出来なかったかどうか確認する。
しかし、暗室と重光の部屋は行き来が出来ず、また暗室の部屋は重光以外の人間は持っていなかったという。

次に、弥生子に対しアリバイ確認をする三人。
弥生子は、昨晩恋人の小学校教師の下宿に泊まっていたそうだ。
弥生子は重光に対して優しかったが、それは愛情ではなく同情から来るものだった。
三人は、やるせない気持ちになる。

次に、旅芸人一座が泊まっている家屋で、三人は小弥太を見かける。
しかし、三人に気づいた小弥太はあわてて逃げてしまう。
不審に思い調べると、彼はオペラグラスで芙美子の部屋を覗いていたようだ。
そして、彼女の部屋の縁側に吊るされた鳥篭が、芙美子と小弥太の逢引の合図となっていることに気づく。
そんなところに、東京で別の事件を解決してきた時人が合流する。

その夜、屋敷の物置小屋で事務所の一同が張り込んでいると、そこに小弥太が現われた。
彼を捕まえて締め上げると、この場所で芙美子と逢引をしていたことを白状した。
一方の芙美子は、不倫が事務所や警察の面々にばれてしまっても、なんとも感じていないようだ。
どうやら彼女は、道徳観念を超越した性格の持ち主らしい。

重光の遺品を調査した三人は、持ち物から暗室の鍵が消えていることに気づく。
鍵が無い為、現在誰も暗室には入れない状態のようだ。
その後、定吉が何者かと言い争いながら政之輔夫婦が住んでいた建物へ向かう姿を見かける。
後を追ってみると、定吉と言い争っていた男は電気屋らしい。
定吉は、数日前に千代の部屋のシャンデリアを修理するよう、その電気屋に依頼したという。
しかし、その電気屋は修理に人をよこした覚えは無い、というのだ。
そして、定吉はその「電気屋」がシャンデリアの修理に来たのは、
千代が死んだ日の昼だったことを思い出す。

その後、倉賀に酒饅頭について聞く三人。
重光の部屋に酒饅頭が無いと倉賀に説明するが、饅頭は確かに重光の部屋の扉で渡したという。
ただ、饅頭を渡した時にはすぐ扉を閉められてしまったので、
それが本当に重光だったのかどうかはわからない、とも言った。
なんでも、写真機の手入れをするときは邪魔をするな、と怒られたらしい。
しかし、当日重光は写真機の組み立てをするといって部屋にこもったはず。
倉賀の聞き間違いなのか、重光の言い間違いなのか、巴はこのずれに引っかかりを感じる。
三人から調査の報告を受けた時人は、瞬時に推理を組み立て犯人を突き止める。
108御神楽少女探偵団:2007/06/08(金) 07:32:03 ID:H1ShpLey0
まず、時人は三人と多岐川刑事を連れて千代に部屋に向かう。
そして、部屋を閉め切って電気を消すと、天井に「夢男」の文字が浮かび上がった。
どうやら蛍光塗料で書かれたものらしい。
夢男の伝説を信じていた千代は、これを見て元々弱っていた心臓の鼓動を止めてしまったのだ。
千代の死んだ日にシャンデリアを修理した「電機屋」は犯人の変装で、修理を口実に工作が行われた。

次に、一同は暗室へと向かう。
時人によると、この部屋に消えた酒饅頭があるという。
また、彼は同様に消えた暗室の鍵も持っていた。
ある人の部屋から無断借用してきた、という。
暗室には、本当に酒饅頭があった。

時人は、重光殺害当時原田夫妻たちがブリッジをやっていた場所に皆を座らせる。
そして、重光の部屋の前の廊下に行き、そこから一同に問いかける。
今自分は重光の部屋の前に立っているのか、それとも隣の暗室の前に立っているのか分かるか、と。
一同は、ブリッジ部屋からでは、どちらの扉の前に時人が立っているか判断できないことに気づく。
重光の部屋と暗室は屋敷の廊下の途中に面する形で、
一方のブリッジ部屋は廊下の突き当たりに位置するがため、正確な位置確認は困難なのだ。

倉賀が酒饅頭を持っていったのは重光の部屋ではなく、隣の暗室だった。
原田夫妻たちは、倉賀が重光の部屋に行くといい、そして実際に扉が開いたのが見えたため、
重光が自室の扉を中からあけたのだと思い込んだ。
しかし実際には、倉賀は事前に確保しておいた鍵で隣の暗室の扉を開け、
あたかも重光に自室の鍵を中から外してもらい、饅頭を渡したかのように見せかけていたのだ。
その後、重光の部屋と暗室は警察によって封鎖された為、酒饅頭は暗室に残ってしまったのだった。

なぜ倉賀はそんな細工をしたのか。
それは重光はブリッジが始まった18時の時点で既に殺害されていたのだが、
それを少なくとも20時までは生きていた、と見せかけるためだ。
重光が20時まで生きていたということになれば、
20時以降はずっと一座で稽古をしていた倉賀のアリバイは完璧なものとなる。

つまり、これまで財部家で起こった一連の事件を引き起こした犯人は、倉賀丁三だった。
時人は、暗室の鍵は倉賀の部屋を探して発見したことを告げる。
そこに、定吉が駆け込んでくる。
倉賀丁三が死体となって発見されたのだ。

一同が倉賀の部屋に駆けつけると、倉賀は割腹して果てていた。
そして、遺体の顔は囲炉裏に突っ込んでおり、判別不能なまでに焼け爛れていた。

倉賀が自殺したと思われる以上、本人の口から動機など事件の真相を聞きだすことは不可能だ。
だが、割腹遺体は本当に倉賀のものなのだろうか?
いくつかの謎を残したまま、財部家を覆った一連の事件は終結したかのように思われたのだが・・・。

第三話『夢男』END
109名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/08(金) 15:52:03 ID:Z34yE/w00
未解決見て気がついたんだが、GBのセレクション2が消えてるんだが・・・何かあったか?

時間取れたら書こうと思ったんだがな。
110火焔聖母第二章 妣の国(ははのくに) :2007/06/09(土) 23:17:32 ID:EZHLzR6a0
5月25日
奈村に職員室での愚痴を聞かされた後、森口紫乃という一年の子が尋ねてくる。紫乃から妙見といういざなみ郷土資料館の館長が会いこいという伝言をもらう。
歴史の授業を前に抜け出し旧市街の郷土資料館に行き、妙見史郎と会う。妙見は実は歴史の教師でもあった。
妙見から発火事件はこの町では900年以上昔から起こっていることだと言い、旧市民の代表であり古い名家である華竜院を調べてみろという。
発火現象は信仰の対象になっており、華竜院はその「何か」に関係しているのでその「何か」調べて欲しいという。
華竜院の頭首である大門には気をつけろとも言う。学校に戻り、妙見は単位は大丈夫だと言っていたが欠席になっていた。
まず、大門の娘である巴について調査する。巴の取り巻きは危険だと分かるが研人は巴に接触する。
巴は先日のお礼を述べるが研人は仲代と多鹿と取り巻きに邪魔される。その後、巴がさらわれたと紫乃に取り巻きと
一緒に聞かされる。研人は公園で犯人を発見する。犯人の言動は常軌を逸していたが研人が殴ると正気に戻って
逃げ出した。その後仲代、紫乃、多鹿がやってくる。犯人を逃がしたと聞いた仲代に研人は殴られ、仲代は巴と
取り巻きを連れて去る。自室に戻り、奈村から夜光雲が現れるようになってから、誘拐騒ぎなど起き始めたというを聞く。
5月26日
朝、紫乃に呼び出される。巴を助けた件で華竜院家に呼び出されているという。そして招待される。
屋敷の中を人のいないうちに捜索し、祭壇と変な土器を発見する。そして、客間で大門と面会し、
侮蔑の入り混じったお礼を言われる。帰り際の巴の言葉により、華竜院家には隠したい何かがあると研人は確信する。
自室に戻ると奈村からジェット・エンジンをつけたマウンテンバイクのノロケを聞かされる。
5月27日
取り巻きの連中から巴の手紙を受け取る。内容は放課後礼拝堂まで来て欲しいとのこと。
了承の旨を取り巻きに伝えて放課後になる。礼拝堂で巴と話すが屋敷の中を調べていたことが巴に知られていた。
仲代とは幼馴染で婚約者であるとの話などの最後に巴は屋敷を調べるのを手伝って欲しいという、
華竜院家が何を隠しているのか、それを思うと怖いと、そして自分が見る夢、白い影の女性が暗闇にいる夢が
関係しているのではないかと。研人は大門のいない今夜、巴の手引きで屋敷に潜入することにした。
潜入にあたり妙見に相談する。すると変な土器が釣手土器だと判明する。そして、華竜院家の守り神について
聞かされる。守り神は代々奉られてきたお白様だという。研人が見た祭壇はお白様を奉るものだろうという。
真っ白な姿をした女性の神だとも聞かされる。最後に、無理矢理土器を貸し出される。外にでると湖希と出会う。
湖希は華竜院家のことを巴に頼まれて調べているのかと聞かれる。
研人が息を呑むと湖希はあの子には全てを知る権利があるから・・・もしも屋敷で見つけ出すことができたらと言い残し
走り去る。暗くなるのを待って華竜院家に向かい、巴の手引きで潜入し、祭壇のある部屋を調べる。
土器の並んだ祭壇にはちょうど土器を置けるスペースがあり、そこに土器を置き土器の中に火をつけると
隠し階段が現れる。階段を下りると鍾乳洞がその奥には座敷牢に閉じ込められた白い髪の女性がいた。
その後屋敷が火事になっていると叫びを聞いて、女性と巴を連れて部屋に戻ると激しく屋敷は燃えていた。
そこに大門が現われる白い髪の女性を白神様といい外に連れ出すなという。
人を犠牲にしてまで家の繁栄は望まないと巴が言う。大門はお前は家系を後世に伝えるための道具に過ぎぬ、
死ねといいボウガンを向けるが仲代が現われ大門をボこる。そして屋敷に火を放ったのは自分だという。
そして白い髪の女性は自分の母だという。そして屋敷から脱出する。
5月28日
巴と妙見と話す。妙見は白い髪の女性は華竜院家が何十代にも渡って幽閉し続けてきた幸福をもたらす
お白様の夏栄なのだろうという。信じる者がいれば何であれ本当なのだと。また家を出たことを巴から聞く。
予鈴がなり解散する。

第二章 完
111名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/10(日) 10:26:32 ID:bWC+QG1s0
>>95
真田と順平の組み合わせでも似たような反応を示したような気がしますが
112名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/10(日) 14:42:08 ID:XtXSiOKb0
だれかシャイニングウィンドを・・・
113名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/10(日) 19:45:17 ID:j6TqhSP20
>111
よく読めや
>一方、メンバーを順平と真田にして大丈夫だったかどうか聞くと、
て書いてあるやん
114御神楽少女探偵団:2007/06/11(月) 06:21:02 ID:22sjo/2g0
☆第四話『甦る夢男』前編
注:この話は、前話『夢男』の続編的位置づけです。
舞台・登場人物は同一です。

夢男の事件は、犯人倉賀丁三の自殺により終わったかに思われた。
しかし倉賀自殺から一週間後、東京の事務所に居た巴たちへ、新潟に残っていた時人から一報が入る。
財部家で、また殺人事件が起こったらしい。
財部屋敷を訪れた三人は、まだ女装したままの蘭丸と、多岐川刑事に迎えられる。
殺されたのは財部家長女、原田安子だ。
夫婦で泊まっていた客間でブランデーを飲んでいたところ、それに青酸カリが混入されていたため死亡したらしい。

安子の夫、行夫に聞き込みを行うと、行夫は洋酒が苦手でまず飲まないらしいことがわかる。
また、そのことを財部家の人間はたいてい知っていることもわかる。
どうやら、犯人は安子をピンポイントで狙ったようだ。
また、弥生子との会話から、青酸カリは重光が生前写真現像用に使っていたものではないか、とのヒントを得る。
それと、内部の人間なら誰でも毒をブランデーに入れるチャンスはあったこともわかった。

暗室を調べてみると、案の定保管記録にある青酸カリの瓶が紛失していた。
しかし、倉賀自殺以降、暗室の鍵は警察で証拠品として保管されていた。
すると青酸カリは倉賀が重光を殺した際、同時に持ち出した可能性が高くなる。
だが、倉賀は既に自殺しているのだ。

管理人宅を訪れると、阿部譲太郎・正男兄弟と蘭丸が外遊びから帰ってきたところだった。
兄弟は小さい頃からこのあたりでよく遊んでいたため、周囲の地理に詳しいらしい。
しかし巴は、「阿部一家は2年前に管理人の職を得て長野から財部家にやってきた」
という阿部善明の話を思い出し、違和感を覚える。

寺に向かった三人は、無明住職から、8年前の倉賀が財部権兵衛に芙美子を奪われた時の話を聞く。
倉賀は芙美子との離婚を承諾しなかったのだが、それに業を煮やした権兵衛はチンピラを雇い、
寺の裏手にあるお堂に倉賀と二人の息子を三日三晩監禁したのだ。
当時二人の息子はとても幼く、寒さと飢えで弱っていく彼らのために、倉賀は泣く泣く離婚を呑んだという。
当時無明はその無法を知りながら止めることが出来ず、それを今でも後悔しているようだ。
115御神楽少女探偵団:2007/06/11(月) 06:22:45 ID:22sjo/2g0
定吉によると、権兵衛と光太郎は身の安全のため、東京に移ったそうだ。
そこに多岐川刑事が現れ、一通の手紙を見せる。
それは、夢男からの警察に対する挑戦状だった。
そして、その手紙の筆跡は、自殺したはずの倉賀丁三のものだった。
倉賀の自殺は偽装で、実は彼はまだ生きていて復讐を続けているのだろうか。

その夜、夫人室から一発の銃声が響いた。
急いで駆けつけると、そこにはまだ暖かい芙美子の射殺死体があった。

検証の結果、凶器は芙美子が普段持っていた懐中拳銃であったことが判明した。
蘭丸が潜入初日にうっかり開けてしまった、白木の箱に入っていたものだ。
また、芙美子の死体の周囲には、鳥の餌が散らばっていた。
どうやら犯人は、最初拳銃の入っている白木の箱と間違えて、鳥の餌の入っている同型の漆塗りの箱を開けてしまったようだ。
また、犯人は押入れの中に潜んでいて、そこから芙美子を狙撃したらしい。

定吉によると、屋敷のほとんどの人間は、芙美子の拳銃が白木の箱に入っていることを知っていたらしい。
では、なぜ犯人は漆塗りの箱を開けたのだろう。
暗がりで行動したため、見間違えたのだろうか。

小弥太によると、昨夜七時ごろ一度夫人室の明かりがついたのを見たらしい。
だが、その明かりは五分ぐらいですぐ消えてしまったそうだ。
後から思うと、犯人が夫人室に侵入した際つけた明かりなのではないか、という。
すると、犯人が明かりをつけていたのならば、暗さのために白木と漆塗りを取り違えた、という説明は説得力を持たなくなる。

多岐川によると、警察にまた夢男からの手紙が届いたらしい。
やはり筆跡は倉賀のものだ。
その手紙には、「・・・芙美子の亡骸を見た時の、権兵衛の顔・・・実に楽しませてもらったよ。」と記されていた。
しかし、昨日から権兵衛は光太郎と共に東京へ行っており、まだ芙美子の亡骸と対面していないはずだ。
この文面の矛盾は、いったいどこから発生したものなのだろうか。

管理人宅に行くと、そこでは譲太郎・正男兄弟と蘭丸が軍人将棋で遊んでおり、その様子を時人が見守っていた。
譲太郎と正男の試合を、蘭丸が審判しているらしい。
譲太朗は赤色の駒を使っており、正男は黄色の駒を使っているようだ。
しかし、二人はしょっちゅう相手の駒を自分の駒と間違えて動かすミスを犯している。
この事実を見た時人は、驚愕の表情を浮かべる。
そして、時人は夢男復活の真相にたどり着いたのだった。

第四話『甦る夢男』前編END
116御神楽少女探偵団:2007/06/11(月) 07:06:58 ID:22sjo/2g0
☆第四話『甦る夢男』後編

それから時人はどこかへ調査に向かってしまい、行方知れずとなった。
そして一週間後、三人は寺の裏手で時人と再会する。
時人は、八年前に倉賀父子が監禁されたお堂をなにやら調べている。

時人と三人がお堂の中に入ると、そこには真新しい紙の束があった。
その紙には、財部一族ひとりひとりの名前と、それぞれに対する殺害方法が詳細に記されていた。
そして、警察に送られてきた夢男からの挑戦状とほとんど同様の手紙も一緒に置いてあった。
時人は、これらこそが倉賀の遺した殺人教科書だという。
倉賀は、自らが復讐の志半ばにして倒れたときの用意をしておいたのだ。
自分の意思を継ぐ「後継者」が財部一族殺害計画を完遂してくれるように。

倉賀は、自室に隠しておいた暗室の鍵がなくなっているのを発見して、自らの犯行が露見したことを知った。
そこで、後継者が動きやすくなるように、あえて自らの顔を焼き、倉賀生存の可能性を匂わせたまま自殺したのだ。
自筆の手紙も遺しておき、それを後継者が警察に送ることで、捜査を混乱させようとした。
倉賀が自殺前に書いた手紙だからこそ、芙美子殺害の状況を記述する文面に矛盾が生じたのだ。

時人は、倉賀の時と今回とでは、犯行の方法が異なると説明する。
今回の事件は、力の無い子供でも引き起こすことが出来る犯罪だと。
三人は、かつて倉賀に息子として紹介された一座の子役、左門が後継者なのかと考える。
しかし、時人は首を振る。
この一週間で調査したところ、彼は三年前に一座に預けられた、倉賀とはなんら血縁関係の無い少年だという。

倉賀丁三の後継者、それは阿部譲太郎と阿部正男の兄弟だった。
彼らの本名は倉賀左門と右門。
彼らこそが倉賀と芙美子の間に生まれた二人の息子だ。
阿部善明が管理人として屋敷にやって来る以前に、倉賀と阿部は出会っていた。
そして、財部に恨みを持つもの同士協力する一環として、倉賀は二人の息子を阿部に預けたのだ。
ただ、この時点では倉賀は息子達を復讐に巻き込むつもりはなかったのだろう。
117御神楽少女探偵団:2007/06/11(月) 07:10:00 ID:22sjo/2g0
いまだ事態がを受け入れられない三人に対し、時人は証拠として色盲の話をする。
かつて、芙美子は蘭丸に仕事を言いつけた際、漆塗りの箱と白木の箱を間違えて指差した。
それは赤と黄の区別がつかない色盲に原因がある、と考えた時人が財部家主治医に確認を取ったところ、
やはり芙美子は色盲だった。
そして、犯人も芙美子殺害の際漆塗りの箱と白木の箱を間違えて開けている。
犯人も、芙美子と同様に赤と黄の区別がつかない色盲だったのだ。

一方、譲太朗・正男兄弟も揃って色盲だ。
二人が軍人将棋で赤と黄の駒を取り違えている様子を見て、時人はこの事実に気がついた。
色盲は遺伝性が強い。
調査の結果、阿部家に色盲の遺伝は存在しないことも判明した。
つまり二人は阿部善明の本当の子供ではなく、倉賀と芙美子の間に生まれた子供としか考えられないのだ。

二人は、まだ年端もいかぬ少年だ。
そんな子供たちが、殺人という大それたことをしでかすのだろうか。
しかし彼らは、芙美子が自分達で無く光太郎を可愛がる様子を、毎日のように目撃していた。
また父親は、無念のうちに割腹自殺した。
そして何より、お堂の内壁をよく見ると、そこは八年前監禁された二人の手によって刻まれた「お母さん」の拙い文字が無数にあった。
八年前、幼児といっていい年頃だった二人は、父親と共に監禁されたこのお堂の中で、
自分達が母親に棄てられたということを痛感したのだ。

その時、お堂の外から人の気配がした。
あわてて外に出ると、財部屋敷へ向かって駆け去っていく譲太朗・正男兄弟の姿があった。
一同は急いで後を追うものの間に合わず、兄弟は原田安子殺害に使った青酸カリで、共に自殺してしまった。
こうして、財部家でおこった一連の事件は、悲劇的で救いの無い結末を迎えたのだった。

第四話『甦る夢男』END
118FF10-2LM:2007/06/12(火) 11:55:40 ID:pWcaYUcY0
FF10-2のラストミッションとシンラ君の正体について書きます。

まずラストミッションは、インターナショナル版に入っている
FF10-2の3年後を舞台とし、本編外で独立したもの。
ゲーム自身はFF版不思議のダンジョン。
キャラ名や団体名はFF10-2を参照のこと。
119FF10-2LM:2007/06/12(火) 11:56:32 ID:pWcaYUcY0
OP
ユウナ、リュック、パインの三人はそれぞれ差出人不明の手紙を受け取る。
それをきっかけに三人は再会し、手紙の誘導通り「ヤドノキの塔」へ向かう。
「ヤドノキの塔」とは、ザナルカンドよりも古いと言われている、最近みつかった遺跡で、
「上まで行けば何かが見える」と書かれていた手紙の通り、最上階を目指す事に。

塔の中は自動生成ダンジョンを10Fクリアごとにイベントが発生するが、
イベントのほぼ全てが思い出話とそれぞれの近況。
ちなみに「ヤドノキ」はアルベド語で「まぼろし」


10F
リュックを中心とした近況を話す。
シンラ君はリンと共に何かを研究している事、
シドはガガゼト温泉で儲けてホーム再建を目指している事、
アニキはそれを手伝うのを嫌がったので、シドとアニキにオオアカ屋を紹介した事、
ルブラン一味が温泉で儲けようとしている事で、キマリが心配している事、
クラスコに助けを求められたり、こども軍団のミッションに付き合ったり…。
忙しく駆け回ってるリュックが、ユウナを誘っても乗っても乗っては来なかった。
120FF10-2LM:2007/06/12(火) 11:57:53 ID:pWcaYUcY0
20F
パインを中心とした近況を話す。
彼女はまだギップル、バラライ、ヌージの三人とはまだ会っておらず、それぞれが組織の後始末に追われているという。
青年同盟は既に解散。
新エボン党も解散が決まっているが、エボン自身が大きな組織の為、バラライは苦労しているようだ。
三人共に周りに頭を下げて回っているらしい。
パイン自身今後やりたい事がある様子を見せると、普段ならすぐ気にするリュックだが、
いつまでも人のこと気にしてばかりじゃダメだしねと、少し変わった様子を見せる。

30F
夕焼けを見ながらユウナを中心とした近況を話す。
今ではビサイドで、ワッカ、ルールー、その子とのんびり暮らしている。
今は変に焦ったりしたくないという。
(ティーダ復活EDを見た後のデータで、ラストミッションを始めている場合は、
ティーダも一緒に村でのんびりしているという会話が追加される。)

40F
夜。焚き火を囲みながら思い出話。
パインは、色々あった事を本として書いているという。
それに対し、リュックは昔の事を残すより、新しいことをやった方が良いという。
リュックはユウナに対しても、ビサイドでボケーッとして時間を無駄にしていると突っかかる。
それをきっかけに喧嘩となり、パインが仲裁に入る。
せっかく会えたのに…なんでこうなるんだ
121FF10-2LM:2007/06/12(火) 11:58:43 ID:pWcaYUcY0
50F
雨が降る中、まだギクシャクした雰囲気が残る。
手紙を出した人、誰だろうという話をしていると、
パインが、三人でもう一度旅をすれば、何かがつかめると思い、手紙をだしたという。
最上階にたどりつけば何かが見えるというのも、ただの思いつきだと言った。
昔のように上手くはいっていないが、このまま進めば何か見えるかもしれない。


60F
夕焼けの空を眺めながら、パインはヌージに撃たれて、気を失う前に見たのがこんな夕焼けだったと言った。
あの時ヌージはシューインに操られていて、正気に戻ると2人を手当てしてアルベド族に預けたという
リュックも、初めてザナルカンドにたどり着いた時、このまま進めばユウナが死ぬが、
ユウナが決めた事を無理やり邪魔するのは嫌だと半泣きで夕焼けを見てたと言った。
リュックが今の私達は…と言いかけるが途中でやめた。


70F
焚き火を囲みながら溜息をつくリュックの気持ちをユウナは言い当てる。
久しぶりに会ってみたらみんな変わってて上手くいかないし、、
これ以上一緒にいるとぶつかってばらばらになりそうだから帰りたい…。
ユウナも同じ気持ちだった。互いに知らない事が沢山あるから喧嘩をするのかもしれない。
一緒に行けば、何かを見つけられるかもしれないと言った。

80F〜ED
塔最上階のボスを倒し、現れた階段の先にある大きな扉を三人は力をあわせて開く。
そこにあった物は、ただの壊れた機械。だが、三人には見えたものがあった。
これから行く先は違っても、今までも思い出は共有している。離れていても思う瞬間は同じ。
そう考えている三人の後ろで、壊れていた機械は再び稼動を始めていた。
122FF10-2LM:2007/06/12(火) 12:03:55 ID:pWcaYUcY0
で、シンラ君が一体何者なのかと言う事。
インターナショナル版で追加されている「クリーチャークリエイト」という
魔物を捕獲し育て、それぞれの魔物人生を垣間見るというシステム内で、
各種魔物が「シンラ君は最重要人物」だとか「シンラ君の秘密が…」とか言われているが、
結局詳しい事は何も分からないまま「ぼくまだ子供だし」で済まされてしまうので、詳細不明。

クリーチャークリエイトで出てくる最強シンラ君の正体は、シンラ君そのもの。
様々な魔物を研究するうちにもっと深く知りたくなり、自身が魔物の姿になってトーナメントに出場する。
魔物人生のEDで、最強シンラ君が床に倒れ、幻光が舞い、姿が薄くなっていく。
床に倒れていた最強シンラ君はシンラ君に姿が戻り、立ち上がる。そして「ぼくまだ子供だし」と言って終了。

シンラ君はストーリー中に異界のエネルギーを利用できないかという内容のセリフを残しているが、
これは裏設定で、カモメ団をやめた後、リンの資金援助を受け、異界でヴェグナガンが引き出していた未知のエネルギーを研究するものの、
彼一代では完成せず、その後何年にも渡って研究され、遠い星にいけるようになった1000年ほど先に、別の星でエネルギーを引き出し、
日常利用できるシステムを完成させ、そのエネルギーを「魔洸」と呼ぶようになった。
魔洸を管理する組織は、初代の名を借りて「神羅カンパニー」と名付けられたとか。

…大体わかるのはこの程度で、他の詳しいところは『ぼくまだ子供だし』で不明
123FF10-2LM:2007/06/12(火) 12:05:34 ID:pWcaYUcY0
以上、FF10-2ラストミッションとシンラ君の正体でした。
依頼主、シンラ君の正体ってこんな感じでわかってもらえただろうか?

またわからん所や不足部分があれば言ってくれ
124名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/12(火) 16:51:04 ID:20gD51y50
乙です。
でも魔洸じゃなくて魔晄だと思うぞ
125名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/12(火) 22:41:49 ID:MGRKELS90
まあ、その設定補完関連でDCFF7のシエラ号はFF10の飛空挺と類似機種なんだよね。
船内の曲もFF10の飛空挺ぽいし。(奇しくも共に作曲は同じ人。狙ったのかもしれんが)
126名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/13(水) 13:11:55 ID:Q0fsZjTl0
>>124
おもいっきり記憶違いしてたようでスマンカッタ
確かに「魔晄」だな
127名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/13(水) 17:12:47 ID:lBtjwlT+0
前スレの561、このスレの>>126までをWikiに収録、未解決リストに反映しました。

>>105
ふたつあるソフトのうちのどちらのリクエストなのかわかりません。

>>109
ざっと探した限りでは、未解決リストにセレクション2が載っていた記録は見当たりませんでした。
惑星セラにローカストが襲来してから14年。
人類は滅亡の危機に瀕していた。

COG軍のかつての英雄
マーカス・フェニックスは、命令違反の罪で懲役40年
の刑を言いわたされ服役していた。
そこへ、かつての戦友ドミニク・サンチャゴ(以下ドム)
が装備を持って迎えにくる。

ローカストを振り切り刑務所から脱出したマーカスとドム。
上官のキムと一般兵のカーマインと一緒に任務に当たることになった。
カーマインは英雄マーカスと出逢えて興奮ぎみだ。
最終目的は、ローカストの拠点データーを解析し、
核を放って殲滅させることだ。通称『ライトマス・ボム』作戦。

広場でローカストと抗戦中、
スナイパーに狙撃されカーマーインが戦死してしまう。
しばらく進んで、ベアードとコールと合流して作戦任務に当たる。
ベアードは口が悪く臆病だが機械の修理が得意。
コールは元アメフトの選手で陽気な男。

アルファ部隊と合流してローカスト軍との大規模抗戦の最中、恐るべき存在が現れた。
ローカスト軍の頂点に立っているのはクイーンと呼ばれる謎の存在なのだが
そのクイーンが従えてる将軍の一人、ラーム将軍が現れたのだった。
ラーム将軍は背後からキムにナイフを突き刺し放り投げ殺害した。

マーカス達は恐怖し、扉の向こうへ逃げたのだった。
上官が死に、マーカスが現場の指揮をとることになる。
足が欲しいので、ドムの知り合いから車を借りるため難民キャンプへ向かう。

続く
難民キャンプでドムの知り合いに会い、車はガソリンスタンド
に置いてあるからそこへ行ってとってこいと言われる。
時刻は夜を迎えていて、クリルの驚異にさらされながらガソリンスタンドへ
向かうことになる。クリルとは、コウモリ型のローカストで
明かりが照ってない暗闇で制止していると上から襲ってきて肉ミンチにされる。
クリルは人間もローカストも関係無く暗闇で止まってる生き物を襲ってくる。
タンクを撃ったり車を爆発させて明かりを付けながらガソリンスタンドへ到着
したマーカス一行。ガソスタでローカストとの戦闘に勝利し、車で工場へ向かう。
工場の地下にはローカストの基地みたいなステーションがあり
そこへ爆弾を仕掛けて逃げ出す。

マーカスの家の地下に、ローカストの拠点のデータがあることが判明したので
そのデータをダウンロードするために
キャンパス通りの激戦を切り抜けてマーカス家へ向かう。
データを入手したマーカス達は、爆弾を仕掛けるため
ラーム将軍との決戦に挑むことになる。
ラーム将軍がいる電車に乗り込んだマーカスとドム。
最後尾の車両にベルセルクが現れる。ベルセルクはローカストの雌で
雄のローカストのブーマーやセロンガードより遙かに堅くて強い。
触れただけでミンチにされ、衛生爆撃機の
ドーンハンマー以外の武器以外では倒せない。
衛生がオフラインでドーンハンマーが使えないマーカスはドムにこう言った。
マーカス「ドム!!プランBはなんだ!!」
ドム「ああ?ねーよそんなもん」
マーカス「ちくしょーー!!」
・・・
仕方がないのでベルセルクを最後尾の車両におびき寄せ、
すかさず一個前の車両に移動し、車両を切り離すことで窮地を脱出した。
先頭車両でラーム将軍とついに対峙したマーカスとドム。
ラーム将軍はクリルを自分の周囲にまとわりつかせてバリアを
貼りながらガトリングガンを連射してくる鬼。
ラーム将軍を倒すと、ローカストの拠点を核爆弾で一掃するムービーが流れる。
これで、COG軍は戦況をかなり有利な状態に出来たと思ったことだろう。
しかし、人類を根絶やしにするまで我々は戦いを辞めないだろうという
クイーンの声が不気味に響く。
スタッフロールでEpicのクリフや他のスタッフの写真が写る。
終わり

余談:クイーンは声だけで一度も姿を現さなかった。
ラーム将軍以外の将軍もまだ何人かいるらしい。
間違いなく2が出ると思うので、多分続編で戦うことになると思う。
130名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/14(木) 01:04:51 ID:92RENswK0
XBOX360
トラスティベル〜ショパンの夢〜
をお願いします
131名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/14(木) 08:29:47 ID:Xpthx3Ho0
>>130
時間かかるかもしれないけど予約
132名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/14(木) 18:06:16 ID:D3Bd+twf0
ミッシングパーツ逝きます
長くて死にそうです
133ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/14(木) 18:13:46 ID:D3Bd+twf0
第1話 鳴らないオルゴール

1日目
えーっと、まず、自己紹介からかな。俺は、真神恭介(まがみ きょうすけ)。23歳。駆け出しの探偵だ。
探偵とかって言うとなんだかカッコイイ感じがするだろうけど、
実際のところ、まだ浮気の調査とか猫探しだとかしかやった事が無い。
幼いころ両親を交通事故で亡くして、祖父の手によって育てられたが、最近、その祖父も亡くなったので、
実家を引き払い、思い切ってこの遠羽(とおば)に引っ越してきたばかりだ。
6月上旬のある朝。いつもの通り、ひとりきりのマンションで目覚ましに起こされ、探偵事務所へ歩いていく。
鳴海探偵事務所。所長の鳴海誠司は腕利きの探偵だと評判で、遠方からも依頼が来るという。
俺が遠羽に引っ越してきた理由は、誠司所長が居たからだ。
推理小説に出てくるような、そんな名探偵が実在したら・・・そんな淡い期待を抱いていた。
だけど依頼をするべく鳴海探偵事務所を訪れたら、誠司所長は失踪中で居ないという。
事務員として働いていた所長の娘、京香さんは、訪ねて来た俺を半ば強引に所員にしてしまった。
俺の方も、就職先もまだ決まっていなかったし、探偵になれると聞いてまんざらでもなかった。
だがそれは少し甘い考え方だった。事務所には依頼があまり来ず、いつも貧乏しているのだった・・・。
事務所の窓を下から見上げる。ブラインドが上がっている。京香さんは来ているな。
事務所のドアを開ける。
鳴海京香さん。失踪中の父に代わり、所長代理として事務所を預かっている。
俺より4つ年上だが、もっと若く見える。しっかりしてそうでどこか抜けてる人だ。
今日も依頼が無ければ、自主的に資料整理ということになりそうだ。
京香さんは表のポストに郵便物を取りに行き、怪訝そうな顔をして戻ってきた。
真神くん、東公園の側に「セクンドゥム」っていうアンティークショップがあるの知ってる?、
開いてるんだか閉まってるんだか解らない、やる気の無さそうな店よ、と京香さんは不快そうに言う。
知ってますと答えると、帰りでいいから、この手紙を届けてくれない?とエアメールを差し出された。
間違って届いたものらしい。
134ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/14(木) 18:14:34 ID:D3Bd+twf0
その日の帰り、まだ日が高いうちに、セクンドゥムへ向かった。
ちょうど、高校生くらいの少女と、男性のふたり組みが店から出てきたところだ。
店内に入って驚く。まだ日が高いのにカーテンが閉めきってあって、薄暗い。
店の奥で猫の鳴き声がする。その方に目を凝らすと、すっと女性の姿があらわれる。
まるで、猫が女性に変身したかのように見えた。だが、それは目の錯覚だった。黒猫が姿を現す。
つり目の、気だるそうな女性。長い黒髪が印象的だ。年は京香さんぐらいだろうか。
この人がこの奇妙な店の店主らしい。吸血鬼みたいな印象を受けた。
ヘルちゃん、お店に出てきたらダメでしょ、と猫を叱る。
ヘルちゃんって?と疑問に思うと、ヘルシングだからヘルちゃんよと彼女は言う。
吸血鬼にとってヘルシングは天敵なのではないか?と思ったが黙っておく。
要件を済まそうと、エアメールを女性に渡す。
あたしも「ナルミ」だからね、あ、苗字じゃなくて名前よ、「月嶋成美」っていうのと彼女は自己紹介する。
なるほど、宛名にはアルファベットで「NARUMI」としか書いてないから、間違ったのか。
京香とは「腐れ縁」ってやつなの、と成美さんは言う。
京香さんと成美さんは旧知らしいが、仲はそんなに良くないらしい。
あんた、あの子のところにいるの・・・どうしてあんなところで働く気になったの?と成美さんが聞くので、
俺は自分が探偵事務所に入った経緯を話す。
両親は交通事故で亡くなったが、その事故には不審な点があったと、だいぶ後になってから祖父から聞いた。
公式では、両親を跳ねたトラックは運転ミスで事故を起こしたとなっているが、
そのトラックのブレーキパイプは故意に切断されていたという。
俺は交通事故の調査を所長に依頼しようとしていたのだ。
ふと、成美さんの胸元に目が行く。
そこには、金の鎖に吊るされた、雫のような形の、赤い宝石が静かに輝いていた。
自分が長い間探しているものにそっくりだ。
そのペンダントを譲ってくれませんかと頼んでみる。
成美さんは自分のだからいやだと断る。逆に、何故そんなものをほしがるのかと訊ねる。
母の形見なんです、と答える。
残された母さんの写真に、そのペンダントを着けているのが何枚かあるし、
それに自分でも、母さんがそのペンダントを持っているのを覚えている。
きっと事故に遭った当日も身に付けていたに違いないが、現場からは見つからず、
また、遺品をどんなに探しても見つからなかった。
譲ってもらえないのなら、同じのを探してほしいと頼んでみる。
ペンダント自体は宝石的な価値はあまりないが、アンティークだからそれなりの値段はすると成美さんは言う。
成美さんが電卓を叩いて見せた金額は、事務所の安月給ではとても・・・という金額だった。
お金はいいから、この店でバイトしない?と、成美さんは雑用係として店で働く事を提案する。
一応事務所の正社員だし・・・と断ろうとするが、強引な成美さんに押し切られてしまった。
京香さんになんて説明すればいいんだろう、と後ろめたい気持ちになったが、
だが、諦めかけていた母さんのペンダントへの道筋が出来たことは確かだ。
早速仕事を押し付けられる。成美が指差したその先に、セクンドゥムの名が印刷されてある紙袋が置いてある。
中にはオルゴールが入っている。先ほどすれ違ったふたり連れが置いていったものだろう。
近所に柏木というジジイが住んでいるので、そこまで運んでほしいとのこと。
何故自分で行かないのかと訊くと、明るいのやだ、と一言。
まだ日が高いから出歩きたくないのだという。ますます吸血鬼じみてきた。
135ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/14(木) 18:15:32 ID:D3Bd+twf0
柏木邸はすぐに見つかった。門の前に老人が居る。この人が柏木さんらしい。
紙袋を手渡すと、柏木老人はすぐに事情を悟ったようだ。
またか。あの横着者が。・・・鑑定には時間がかかると伝えてくれ、と老人は言う。
セクンドゥムに帰り老人の言った事を伝えてから、家路についた。
公園を横切る。突然、雨が降り出す。
と、女性の悲鳴が聞こえてきた。植木に囲まれた人目につかない一角に、
セクンドゥムから出てきたふたりが立っていた。少女の方は、黒い覆面をかぶった男に、後ろから組み付かれている。
覆面の男は手にナイフを光らせ、少女に向けている。
話している言葉から、少女と男は兄妹だと言うことがわかった。
俺はとっさに助けに入った。妹は無傷で助かったが、兄は犯人のナイフで腹を切られた。
だが命に別状は無さそうだ。覆面男は逃げていった。
兄は救急車で運ばれていった。
俺と妹は警察に連れて行かれ、別々の部屋で事情聴取された。
日付けも変わろうかという頃にやっと開放される。警察署の前に妹が待っていた。
彼女が白い杖を持っていることに気付く。目が不自由だったのだ。
彼女は「嘉納潤」と名乗った。兄は「嘉納浩司」というらしい。
浩司さんは幸い、浅い傷で済んだので、入院せずに済むだろうとのことだ。
助けてくれたお礼がしたい、と潤ちゃんは言うので、携帯電話の番号を教える。
兄妹は身寄りが無く、木原家にお世話になっているとのことだ。
いかにも執事ですと言わんばかりの人物が潤ちゃんを迎えに来た。
お前にも迎えが来てるぞ、と刑事さんに言われた。そこには見覚えの無い男が居た。
年は俺と同じくらいか。髪を短く刈り込んだ、チンピラ風の男。親しげに話し掛けてくる。
男は哲平と名乗ったが、やはりそんな男は知らない。だがその場では知ってる振りをして、警察署を後にした。
哲平は俺を、柏木老人の家へと連れてきた。哲平は柏木邸で居候をしているそうだ。
そして座敷には柏木老人と成美さんが待っていた。
哲平たちは柏木老人をご隠居と呼ぶ。ご隠居は成美さんの鑑定の師匠なんだそうだ。
なぜオルゴールを自分で鑑定しないのかと成美さんに聞いてみたが、
自分では難しすぎるし、面倒くさいとの答え。
酒に弱い成美さんは酔いつぶれて眠ってしまった。
成美さんは日光に弱い体質らしいので、暗いうちに送らなければ、と哲平は言う。
哲平とふたりで成美さんを車に乗せ、セクンドゥムへ送ってから、やっと家に帰った。
136ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/14(木) 18:18:32 ID:D3Bd+twf0
2日目
携帯電話にさっそく浩司さんから電話がかかってきた。夕食に招待されることになる。
探偵事務所に行き、京香さんに、セクンドゥムの雑用係になってしまったことを話す。
ペンダントのことや両親の事故のことは京香さんには一通り話してあったので、
それなら、ということで許可をとりつけた。
昼過ぎに木原邸に向かう。その大きさに圧倒されてしまう。絵に書いたような、白亜の殿堂という感じの屋敷だ。
あの有名な木原グループの社長、木原権三の邸宅なだけのことはある。
もっとも、権三は最近亡くなってしまったが。
潤ちゃんと浩司さんが出迎えてくれた。ふたりに木原邸を案内される。
木原邸に今住んでいるのは、権三の妻和江、その息子の充(みつる)、嘉納兄妹、
そして執事と住み込みのお手伝いさん。大きい家の割りに淋しい家族構成だ。
中庭で線の細い、神経質そうな青年に会う。充くんだ。大学生だという。
充くんは俺に、何だか気に食わないような態度を示す。
中庭を過ぎ、離れへやってきた。グランドピアノが置いてある。
潤ちゃんがピアノを披露する。素人が聞いても見事だと思う。最近、潤ちゃんに、海外留学の話があるらしい。
潤ちゃんの才能を見抜いた人が、外国で本格的にピアノを学んでみないかと誘っているそうだ。
だが、木原グループの重役についている浩司さんは、会社を辞めて潤ちゃんについて行くわけにもいかないし、
かと言って潤をちゃん一人にするのは心配だし、迷っているのだと言う。
離れを後にして中庭に戻ってきた。
二人に、セクンドゥムに置いていったオルゴールのことを聞いてみる。
あのオルゴールは兄妹の母の形見だが、譲り受けた時にはもう鳴らなくなっていたとのこと。
そして、なんとか直らないものかと鑑定に出したという。オルゴールを直す事に協力するとふたりに約束する。
潤ちゃんは、この事を正式に探偵事務所に依頼したいと言う。
兄妹は早くに父を亡くし、母に育てられてきたが、その母も亡くなったので途方に暮れていたところ、
権三に拾われたのだという。それから、10年ほど、ふたりは充くんと兄弟のように仲良く育ったという。
だが、最近、充くんとはギクシャクしているらしい。
そんな会話を立ち聞きしている人物を、視界の隅に発見する。あのシャツは充くんだ。
夕食の時間になり、屋敷の人々と俺は食堂に集合するが、何だか冷たい空気が漂っている。
終始無言のまま食事を終えた。

3日目
ご隠居に、オルゴールのことを聞いてみる。
オルゴールが鳴らないのは、部品が足りないからだそうだ。
だが今はどの部品が足りないのかまでは解らないらしい。
夜、突然携帯電話が鳴り出す。成美さんからだ。スピリットというバーに呼び出された。
行ってみると、成美さんはお気に入りのカクテルを舐めるように飲んでおり上機嫌だ。
テキーラサンセットというカクテル。サンライズでなくサンセットなところが成美さんらしい。
マスターにオルゴールの話をしてみる。部品がなんとか見つからないものかと。
まぁ、焦らないことですよ、人が作った物なら、人の力でどうにかできないものではないでしょう、
とマスターは言う。
気が付くと自宅に居た。どうやって帰ってきたのか思い出せない。
俺は成美さんと同様、酒に弱く、酔うとすぐ記憶が飛んでしまうのだ。
まぁ無事に帰ってきたことだし、良しとしよう。

4日目
今日は京香さんと一緒に木原邸に足を運ぶ。
潤ちゃんが正式に依頼したいと言うので、依頼書を書いてもらうためだ。
潤ちゃんの部屋で話を聞く。
権三氏が亡くなった後、遺書を管理していた弁護士から、嘉納兄妹宛ての謎の包みを受け取ったとのこと。
権三氏はその包みを、これが本当の遺産だと言っていたとのこと。
包みの中にはカセットテープが入っていた。早速聞いてみたが、数十秒の短いピアノ曲だ。何を意味するのだろう?
離れに行ってみると、ピアノの音が聞こえてきた。
潤ちゃんほどではないにしろ、なかなか上手いと思った。覗いてみると、充くんが弾いている。
充くんは突然、狂ったように指を鍵盤に叩きつけた。不協和音が鳴り響く。
聞いてませんでしたという顔で離れのドアを開ける。
僕の指は、曲を忘れてしまったんですよ・・・と、謎の言葉を残し、充くんは去っていった。
帰りにセクンドゥムへ寄ってみる。あのオルゴールが高価なものだったら、
オークションで売り買いされた記録が残っているだろうから、それで何か解るかもしれない、
調べてみると成美さんは言う。
137ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/14(木) 18:19:22 ID:D3Bd+twf0
5日目
昨日はとても、何か話し掛けられるような状態ではなかったが、今日は機嫌が良いようなので
充くんに話を聞くことにする。
あのカセットテープに入っていた短い曲は、充くんが弾いたものとのこと。
権三が手書きの楽譜を持ってきて、それを弾いたとのこと。
また、浩司さんは自分に対して何かを隠しているとも言う。どうにかして誤解を解きたいという。
さらに充くんは懐かしそうに話す。
屋敷の近くに廃工場があって、子供の頃はそこで浩司さんと仲良く遊んだとのこと。
廃工場に行ってみた。壁に落書きが残されていた。「ひみつきち」そう書かれていた。
それから、充くんと浩司さんの誤解を解くべく奔走する。完全に元通りと言うわけにはいかないが、
なんとか誤解は解けたようだ。
そして、潤ちゃんに会う。今夜、セクンドゥムへ浩司さんと共に訪れると言う。
夜、成美さんと共に、セクンドゥムで待っていると、兄妹がやってきた。
成美さんは、店のパソコンを立ち上げ、調査した結果を見せる。
あのオルゴールはキルジェの作品である。キルジェは有名なオルゴール作家。
オルゴールの曲は自分が作曲したオリジナル曲で、作品は一曲につき一点しか作られない。
つまり、全てが一点もの。曲の題名がそのまま作品名となっている。
そしてあのオルゴールは、「明日から始めよう」という作品なのだそうだ。
最後にオークションで買い取ったのは、木原権三となっている。
兄妹の母が権三の知り合いだとは知らなかったと二人は言う。
また、オルゴールがそんなに高価なものだということも。
キルジェについて書かれているホームページに、MIDIでオルゴールの音色を再現したものが掲載されている。
早速「明日から始めよう」を再生してみる。
この曲、聞いたことがある。あのカセットテープの曲と同じだ。
あ、これ、こっちの方の音のほうが綺麗・・・?ピアニストならではの耳のよさを持った潤ちゃんが言う。
オルゴールの音色の方が、カセットテープの曲より、
シンプルで綺麗な音色だ。むしろ、カセットテープの方が余計な音を足しているようだと言う。
どの音が余計なのかは帰ってからカセットテープをよく聞いてみるとのこと。
138ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/14(木) 18:20:08 ID:D3Bd+twf0
6日目
屋敷の離れで潤ちゃんと浩司さんが楽譜と格闘していた。どうやら何が足された音符か判明したようだ。
全部で8つの音が足されている。こんな時はやっぱり、暗号だと疑うべきだろう。
いろはや五十音、アルファベッドなどを音階に当てはめて読んでみるが、
どれも正解ではないらしい。
浩司さんが何かを決断したように立ち上がる。書斎へ行こう、と言う。
権三氏が使っていた書斎へと行く事にする。
潤ちゃんも立ち上がりかけたがそれを制し、離れに残るよう言う。
書斎は静かだった。難しそうな本がたくさんあるのは普通だが、変わった作り付けの植木鉢が特に目を引く。
一通り調べてみたが、音符の解読に役に立ちそうな物は何も無い。
こんな人気の無い所へ連れてくるのは何か別の目的があるのだと悟る。
実は、潤は権三の本当の娘なんだ、と浩司さんが言う。
浩司さんの父は浩司さんが生まれた後、すぐに亡くなってしまい、母は権三の愛人になったとのこと。
だが、子供が出来たと解った途端、母は身を引き、権三の前から姿を消した。
母の死後になってやっと居所を突き止めた権三は、二人を引き取ったのだという。
夕食の時間です、と執事が呼びに来た。浩司さんと俺は食堂へ降りる。
そういえば、潤ちゃんを離れに置き去りにしてしまった。離れに向かうが、潤ちゃんの姿は無い。
屋敷中探すがやっぱり居ない。また離れに戻ると、戸口に潤ちゃんが現れた。
あのときのように、後ろから組み付かれ、ナイフを向けられている!
そのナイフはあのときと同じナイフだ。そう、あの覆面の男は、充くんだった。
充くんと潤ちゃんは宵闇に消えた。二人はどこに行っただろうと考える。そうだ、廃工場!
急に走ったので傷口が開いてしまった浩司さんを残し、俺はひとりで廃工場へ向かう。
廃工場の中に入り、慎重に奥へと進んでいく。
使われなくなって放置されている機械が並ぶ奥に、人の気配がする。
その方向に進んでいくと、充くんがナイフを構え立っていた。
少し離れた所に潤ちゃんが寝かされている。
俺は充くんを説得する。好きだったのに、妹だったなんて、と充くんは言う。
どうやら、書斎での話を聞かれていたらしい。そして、発作的にこのような行動に・・・。
充くんはまだナイフを振りかざして襲ってくるようなそぶりを見せる。
灯油を撒いた、これで火をつければおしまいさ、と充くんは言う。
そして、左手でポケットを探っている・・・ライターを出そうとしているのだ。
よせ、こんな所で一緒に死んで何になる?死んでから潤ちゃんにどんな顔を合わせるつもりだ?
諦めず、なおも説得を続ける。やがて、行けよ、と充くんはナイフを下ろして言う。
急いで潤ちゃんを抱きかかえる。良かった。気絶しているだけのようだ。息がある。
そして一目散に出口へ走る。・・・まさか?
工場を出たところで身を伏せる。
背後で、灯油に引火したとは思えないほどの大爆発が起こる。
これでは、充くんは、もう助からないだろう。
潤ちゃんが意識を取り戻し、身を起こす。真神さん、あの、ここは?と訊くので、
秘密基地だよ、と答えた。
近くの病院に潤ちゃんと俺は運ばれた。
幸い、ふたりとも怪我は対した事は無い。ただ、潤ちゃんは精神的なショックが大きいだろう。
じゃあ、わたしの本当のお父様は?と潤ちゃんが聞いてくるので、権三さんだよと答える。
充さんがわたしのお兄様?と聞くと、執事が口を挟んだ。
いいえ、充様は潤様とは血が繋がっておりません、とのこと。
執事が言うには、充くんは和江夫人と愛人の間に出来た子だということだ。
なんという皮肉・・・。
139ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/14(木) 18:21:00 ID:D3Bd+twf0
7日目
木原邸のリビングに関係者一同が集合している。
今度こそ、暗号を解かなくては。
テーブルの上にオルゴールについて、そして音符についての関係資料を広げる。
ふぅん。「明日(あす)から始めよう」って言うのか、この曲は、と誰かが資料を見て言う。
そうか、明日は「あした」とも「あす」とも読める。ずっと「あした」と読むと思っていた。
潤ちゃんは「あす」と聞いてピンと来たようだ。ドイツ語の音階だと、As(アス)という音があるらしい。
As音から、ABC・・・とアルファベットに置き換える。すると、「NISI UEKI」という文字列になった。
西の植木・・・たぶん、書斎のあの作り付けの植木鉢だ。
書斎へ行き、植木鉢の奥の壁を調べると、木を張り合わせたような跡がある。
叩いてみると空ろな音がする。そこをこじ開けると、ビニール袋に入った3冊のノートが出てきた。
これは・・・裏帳簿だ、浩司さんが愕然として言う。
木原グループの不正が載っている帳簿だ。ある意味、遺産かな。
でも、これは浩司さんには役に立つだろうけど、潤ちゃんには、何か無いのか?と思い、
もう一度ビニール袋を検めてみた。細い、金属の棒が出てきた。

半月後。
浩司さんは裏帳簿の内容をすべて公開した後、責任を取る形で辞任してしまった。
そして、潤ちゃんは海外留学に行く事になり、浩司さんはついて行くことになった。
俺は空港に見送りに来たところだ。紙袋から小さな木の箱を取り出し、潤ちゃんの手のひらに乗せてやる。
そっと蓋を開けると、「明日から始めよう」が流れ出した。
最後に出てきた金属の棒は、足りない部品だったのだ。たちどころにオルゴールは直った。
潤ちゃんはオルゴールを抱きしめて、言う。ありがとう、お父様。
To Be Continued
140ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/14(木) 19:07:48 ID:D3Bd+twf0
第2話 赤いカメオ

1日目
7月の土曜日のある朝。
自宅近くの繁華街、とおば東通りを歩いていると、女の子の悲鳴が聞こえた。
見ると、ショートカットの高校生くらいの女の子が困った顔で立ち尽くしている。
持っていた紙袋の底が破けてしまったので、路上にモノをぶちまけたようだ。
俺はぶちまけたモノを一緒に拾ってやることにした。
事務用品にお菓子、そして化粧品のようなもの。これはあまり縁が無いので解らないな。
とりあえず、拾ったモノを上着にくるんで探偵事務所まで行く事にする。
事務所で新しい紙袋をもらい、詰めなおし、女の子に渡す。
女の子にとても感謝される。彼女は唯(ゆい)と名乗った。
唯ちゃんは、とおば東通りの先、天狗橋を渡り、手を振って元気に帰っていった。
お昼は行きつけのインターネットカフェ「サイバリア」で食べる事にする。
俺に声をかけるのは、サイバリアの名物店員、奈々子だ。
奈々子は典型的なイマドキの女子高生といった感じである。
奈々子は、今は都市伝説のサイトが面白いと教えてくれた。
午後にセクンドゥムに顔を出すと、スーツを着た中年の男が怒ったように店を出て行くところだった。
成美さんはなにやら悪戯っぽい笑みを浮かべている。
その手には楕円形のカメオのブローチが握られている。
ブローチを見せてもらった。赤の地に白く、貴婦人の横顔が浮き出るように彫刻されたものだ。
よく見ると、貴婦人の胸元のところに小さなくぼみがある。
「そこに宝石が嵌るはずよ。宝石が無いから、価値はそれほどないわね」
なるほど。宝石があったら、貴婦人が首飾りを着けているように見えるな。
先ほどの男は、それは呪いのカメオだとか何とか騒いでいたが、
成美さんは、そんなことは真に受けず二束三文の値段でブローチを買い取ったらしい。
成美さんが言うには、こういうのは詐欺師がよくやる手だという。
呪いのカメオだとか言って上手い具合に芝居して、ブローチを手元に残しながらお金だけ貰ってしまうのだという。
どうやら成美さんは、さっきの中年男を詐欺師と勝手に決め付けているらしい。
ブランド物のネクタイを締めて、身なりが良さそうだったからとのこと。
もしあの男が詐欺師なら、ブローチを取り返しに来るのでは、と成美さんは言う。
そして、もう一人、午前中にも、若いメガネをかけた男がカメオのブローチをを探しに来たとのこと。
今日だけで二人もカメオに関わる人物が現れた。これは本格的に何かあると成美さんは睨んだようだ。
都市伝説として語られている、手に入れると不幸に会うという呪いの赤いカメオ。
それがこの街のどこかで目撃されたか、あるいは、今手にしているこれが呪いのカメオかも・・・?
呪いのカメオなら、それには赤い宝石が嵌っているはずだ。
成美さんは、呪いのカメオを手に入れるか、あるいはこのカメオに嵌っている宝石を探すようにと俺に命じる。
何でそんな物騒なもの欲しがるのかと訊ねると、成美さんは面白そうだから、と一言。
夜、帰宅してからパソコンを立ち上げ、メールをチェックする。
奈々子からメールが来ていた。話題の都市伝説のサイトのURLを教えてくれた。
試しに見てみることにする。
なになに、天狗橋に男の幽霊が出る・・・か。
呪いのカメオの事は特に書いていなかった。
141ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/14(木) 19:08:32 ID:D3Bd+twf0
2日目
お昼には少し早い時間に探偵事務所の前に行くと、奈々子が待ち伏せていた。今日は日曜日だっけ。
奈々子は両手にビニール袋をぶら下げていた。駅前のバーガー屋だ。
京香さんと一緒に食べようという。事務所に入り、三人でバーガーを食べる。
テレビをつけるとお昼のニュースをやっている。
―今朝、人気アイドルの美幸さん(18)が、スターライツビルの駐車場で死亡しているのが発見されました。
―美幸さんは、屋上から転落したと見られ、警察では自殺とみて捜査しています。遺書などは見つかっていません。
テレビには気の強そうな女の子の映像が映し出されている。
俺と京香さんは解らないのでポカンとしていたが、奈々子は驚いた表情だ。
美幸ちゃんが自殺なんて嘘だよ。自殺なんかする子じゃない、と奈々子は言う。
美幸ちゃんは、歌番組TRY×FLY(トライバイフライ:略してトラバイ)に出ているアイドルだ。
アイドルと言ってもデビュー前である。視聴者の投票でアイドルデュオユニットを選出しようという、
トラバイの人気企画で最終選考に残ったうちのひとりである。
美幸ちゃんの他に、一番人気の明日香ちゃん、補欠合格の唯ちゃんと三人の中からふたりが選ばれてデビューとなる。
そして、最終投票の結果がもうすぐ出るというときに、美幸ちゃんは死んだ・・・。
美幸ちゃんはもともと、そこそこ人気があったが、最近、唯ちゃんの人気が上がってきたところだという。
もしかしたら落ちるかも知れない。プライドが高い美幸ちゃんはそれが嫌だったのかな、とのこと。
でも、自殺するなんて――。

3日目
セクンドゥムへ行くと、成美さんが退屈そうな顔をしている。
まだ詐欺師はカメオを取り返しに来ないとのこと。
午後にサイバリアに行くと、哲平と奈々子が意気投合している場面に遭遇する。
ふたりとも、三人の中では美幸ちゃんが一番好きなのだという。
早速ネットでは美幸ちゃんの死に対して様々な噂が飛び交っている。
補欠合格した唯ちゃんが美幸ちゃんを突き飛ばしたなどと書いているひどい掲示板もあった。
泣き虫の唯ちゃんに、美幸ちゃんは辛く当たっていたという。それを恨みに思って・・・ということらしい。
俺は三人のことを何も知らなかったので、とりあえずネットで調べてみる。
一番人気の明日香ちゃん(18)は、とびきりの美少女だ。他の二人とは違うオーラが出ている。
補欠合格の唯ちゃん(16)は妹系キャラといった、守ってあげたくなる感じの少女だ。
そう言えば、スターライツビルはここから歩いても行けるようなところにある。
唯という名前・・・昨日会ったあの女の子か?と思ったが、どの画像を見ても、あの子とは別人のように思える。
そして、美幸ちゃん。気が強そうな女の子だ。実際気が強いのだと奈々子が言う。
選考に落ちても、別の道で頑張ってほしかった、
落ちたとしてもアイドルの道が完全に閉ざされたわけではないのだから・・・と哲平は残念そうに言う。
事務所に帰ると、珍しく依頼が来ていると京香さんが言う。スピリットで待ち合わせだそうだ。
夜、京香さんと一緒にスピリットに行く。
依頼人は亀山という男。
スターライツプロ所属の、あのトラバイの人気企画の三人(Sユニットと呼ばれている)のマネージャーだ。
美幸ちゃんの死は自殺ということで片付けられたが、納得出来ないので調べてほしいとのこと。
また、最近、スターライツビルに女の幽霊が出るという噂があるので、それも調べてほしいそうだ。
明日、スターライツビルに行くことになった。
142ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/14(木) 19:09:14 ID:D3Bd+twf0
4日目
事務所で京香さんと落ち合ってからスターライツビルへ向かう。
スターライツビルは天狗橋のさらに向こうの、7階建てのビルだ。
1階の受付の女性に来意を告げると、亀山さんが現れた。
亀山さんにビル内部を案内される。スターライツプロは都心のビルに本社機能を移しており、
このビルももうすぐ引き払われるので閑散としている。
その空き部屋にSユニットの三人を住み込みさせ、
日常生活に密着したドキュメンタリータッチの番組内容にしたのがウケた原因らしい。
1階は受付と事務所と待合室、2階にはSユニットの三人の部屋、3階から上はほとんど使っていない。
7階に会議室があり、そして屋上。
エレベーターで7階まで行った後、階段を上って屋上へ出る。
美幸ちゃんが飛び降りたと思われる場所には、靴がきちんと揃えてあったそうだ。
それが警察が自殺と断定した理由だ。今、その場所には風化しそうなチョークの跡が残るだけ。
誤って転落することも考えられなくはないが、手すりは低くない。
2階へ降りて美幸ちゃんの部屋を調べる。生前のままにしてあるらしいが、特におかしい所は無い。
1階へ戻り、事務所へ行く。専務の橘さんが居るので挨拶するが、
探偵と聞くと橘専務はあからさまに嫌そうな顔をする。
待合室はSユニットの女の子たちがテレビを見たりくつろいだりする場所だ。テレビとソファが置いてある。
受付に戻ってきた。受付に座っているのは事務を担当している長井という女性だ。
このビルにはSユニットの女の子たちと亀山さん、長井さんと、不在がちな橘専務しか居ないらしい。
美幸ちゃんが倒れていたという駐車場に行く。消えそうなチョークの跡。ちょっと血痕も残っている。
そこにはたくさんの花束が置かれている。
またビル内に入る。女の子たちが住んでいるせいもあって、普段から出入り口は施錠されているそうだ。
事件当日も、部外者が侵入したとは考えられない。
事務所に戻るとSユニットの二人が帰ってきた。
明日香ちゃんは実物も美人だ。そして、唯はやはり、あのとおば東通りで会った女の子だった。
唯ちゃんは普段は普通に見えるが、衣装を着てカメラの前に立つと別人になるのだという。
そういうギャップも人気の一因かもな。
関係者一同が揃ったところで、事件当日のことを聞く。
橘専務は当日は朝から不在で、帰ってきたときはもう美幸ちゃんが死んだ後だったとのこと。
唯ちゃんは当日、買出しに行っていたとのこと。とおば東通りで会ったのは買出しの途中のことだったのだ。
そして、事件の少し前に、屋上で美幸ちゃんと会っていたとのこと。
何か怒ったような様子ではあったが、悩んでいるとかそんな様子は無かったそうだ。
明日香ちゃんは高所恐怖症なので、屋上へは撮影の時に一ヶ月前に行ったのが最後だそうだ。
幽霊のことも聞いてみる。明日香ちゃんは見たことがないと言う。
唯ちゃんは、ときどき、白い人影をみると言う。髪が長くて美幸ちゃんのようだと。
話が終わって事務所を出るとき、唯ちゃんに声をかけられる。
美幸ちゃんは自殺するような人じゃない。確かに、辛く当たられたりもしたが、
それを恨んだりしていない。むしろ感謝している、美幸ちゃんの死の真相を解明してほしい、と唯ちゃんは言う。
143ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/14(木) 19:11:07 ID:D3Bd+twf0
5日目
今日は一人でスターライツビルにやって来た。
ビル内に入るとものものしい雰囲気だ。
長井さんに話を聞くと、なんと昨日の夜、待合室に幽霊が出たとのこと。
待合室で亀井さん、長井さん、唯ちゃんと明日香ちゃんと4人でテレビを見ていたところ、
突然テレビのチャンネルがメチャクチャに変わり、その後部屋の照明が突然消え、
怖くなって待合室から逃げ出したところ、白い人影を見たという。
だれかの悪戯か?待合室に行き、テレビやリモコン、照明も調べてみたが、おかしなところは無い。
橘専務は不在だったので他の4人に聞き込みをしたが有力な証言は得られなかった。
誰かが嘘をついている。
その後、また屋上に行ってみると、小さな赤いガラス片を発見する。
宝石のようにも見えなくは無いが、このように砕けているところをみるとやはりガラスだろう。
ハンカチに包んで持っておくことにする。
駐車場にも行ってみた。すると美幸ちゃんが倒れていたチョークの跡より少し離れた所に、
何かピンク色のものが落ちていることに気付く。拾い上げると、綺麗な花模様がついている。
自分では何だか解らなかったが、これはつけ爪だと長井さんが指摘した。
事務所に行くと橘専務が帰ってきていた。全員にガラス片とつけ爪を見せる。
どうやらつけ爪は美幸ちゃんのものらしい。皆がこのつけ爪を美幸ちゃんがつけているのを見たことがあると言う。
ガラス片については何も得られなかった。アクセサリーの一部のようだとは言っていたが。
ビルを後にしてサイバリアに行き奈々子に会う。
つけ爪を見せてみると、とおば東通りの端にリューヌというネイルサロンがあると教えてくれた。
リューヌの前に行ってみた。「レディースオンリー」の看板がある。
女性に同伴を頼まないとダメらしい。誰に頼もう?京香さん?それとも・・・。

6日目
探偵事務所に行き、京香さんにこれまでのことを報告する。
思い切って京香さんにリューヌへの同行をお願いすると、京香さんは気が進まない様子だ。
京香さんはそういうところに行くと、勧められたものを断りきれなくて、
結局たくさん買ってしまうことになってしまうから行きたくないのだと言う。
何か勧められたらひとつだけ買いましょう、必要経費ということで、と言って納得してもらう。
京香さんとリューヌに入って店員につけ爪を見せると、確かにこの店で作ったもののようだという答え。
だが、今は担当者が不在なので本当にこの店の物なのか、美幸ちゃんのものなのかは解らないとのこと。
また出直そうと思っていると、京香さんがマニキュアを次から次へと勧められているところだった。
ひとつだけ買ってリューヌを出る。黒い、どこかで見たような包装だ。
144ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/14(木) 19:11:54 ID:D3Bd+twf0
7日目
今日はトラバイの撮影があるというので、亀井さんと一緒にテレビ局へ行く。
テレビ局は電車で都心方向に数時間行った所にある。
Sユニットの企画は主にスターライツビル内での撮影なので三人が局へ行く事はあまり無いというが、
スタジオに居る司会者やスタッフたちは皆Sユニットのことを心配してくれている。
企画は突然中断されてしまったので視聴者からも反響が多いそうだ。
そのうち明日香ちゃんと唯ちゃんの二人でデビューする事になるのだろうとは思うが、
それがいつになるのかはまだ未定のままだ。
それと、気になる噂を耳にする。
大門寺局長からカメオのブローチを贈られた女性芸能人は売れるというジンクスがあるという。
それは逆に、局長の愛人になれというメッセージでもあるかも、という人もいる。
Sユニットの誰かがカメオを贈られたとかいう噂もある。
そのブローチを実際に見た人も居た。カメオの貴婦人の胸元に緑色の宝石が嵌っているのだそうだ。
成美さんのところにあるブローチと似てる・・・。
局長に会って話を聞きたいところだが、今週に入ってから謎の失踪を遂げているという。

8日目
京香さんを伴ってスターライツビルへ向かう。
事務所に行くと、橘専務が怒っていた。幽霊騒ぎなんてくだらないというので、
もう犯人はだれだか解っている、解決してみせると反論する。
もちろんそれはハッタリだが、ある程度は目星が付いている。
女の子たちはレッスン中ということで不在だった。
申し訳ないが唯ちゃんの部屋を調べさせてもらう事にする。
ただ、実際に部屋に入って作業をするのは京香さんだが。
唯ちゃんの部屋には電子レンジやホットプレートが置いてあった。部屋で自炊しているらしい。
そして洋服ダンスのな中ら、白い衣装と長い髪のかつらが・・・。
唯ちゃんの部屋で細工を施し、レッスンから帰ってきた女の子たちと亀山さん、長井さんを待合室へ集め、
幽霊騒ぎのとき起こったことを再現してみせる。
そう、それは唯ちゃんの仕業だったのだ。唯ちゃんは、美幸ちゃんの死の真相を解明してほしい一心で、
このようなことをしたのだという。
唯ちゃんはポケットから何かを取り出した。銀のペンダントだ。
これは、美幸ちゃんがいつも大切に持っていたというペンダントだ。
事件当日、2階の廊下に落ちていたのを拾ったのだという。
事件の直前、美幸ちゃんに会ったときに返そうと思っていたが返せずに、
それ以降ずっと持ち歩いているそうだ。
145ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/14(木) 19:13:30 ID:D3Bd+twf0
9日目
明日香ちゃんのダンスシューズの底に赤いガラス片が刺さっているのを、唯ちゃんが発見する。
ハンカチにくるんだものと形を合わせると、確かに合う。
このガラス片が落ちていたのはビルの屋上だ。
明日香ちゃんは高所恐怖症だから、最近は屋上に行ってないと言っていなかったか?
明日香ちゃんを問い詰めると、たしかに事件当日、屋上で美幸ちゃんと会ったと言う。
そして揉み合いになったとも。明日香ちゃんは最近長袖の服を着ている。
袖を上げると、傷跡があった。美幸ちゃんのつけ爪で付けられた傷だ。
美幸ちゃんが転落したあと、つけ爪は明日香ちゃんが全部剥がしたとのことだが、
落ちたときに剥がれた一枚だけは回収されなかった。それが駐車場で発見された。
だが、揉み合いになったのは認めるが、自分が突き落としたのではないと明日香ちゃんは主張する。
高所恐怖症の明日香ちゃんがわざわざ屋上まで行かなくてはならなかった理由を聞いてみる。
それは美幸ちゃんにカメオの件で呼び出されたからだと。
噂どおり、大門寺局長は明日香ちゃんにカメオを贈っていたのだった。
事件当日の前日、突然局長がスターライツビルにやってきて、
7階の会議室で明日香ちゃんと密会したのだと言う。
そのとき局長は、Sユニットの企画は出来レースで、
明日香ちゃんと美幸ちゃんが合格する予定になっていると話した。
だが、最近唯ちゃんの人気も上がっていることだし、
気が強くて扱いにくそうな美幸ちゃんを落そうか、などと言う。
そして会議室を出た後、カメオをふと見ると、宝石の色が赤くなっていた。
これが呪いのカメオなのかと驚いて、明日香ちゃんはカメオを廊下に落としてしまった。
局長は、そのカメオは気味が悪いから手放す、そのうち新しいのを買ってやるとか言って
カメオを拾って持って行ってしまったとのこと。
翌日、その密会の内容を聞いていた美幸ちゃんは屋上へ明日香ちゃんを呼び出した。
美幸ちゃんは、自分が選考に漏れるのは一向に構わないが、出来レースは、不正は許さないと言う。
美幸ちゃんは明日香ちゃんに、小さな赤い宝石を見せる。
呪いのカメオに嵌っていた宝石かと思って明日香ちゃんはびっくりする。
揉み合った末、明日香ちゃんは宝石を奪うが、すぐにガラスで出来たダミーだと解る。
悔しくなった明日香ちゃんはガラスを足で踏みつけた。そのときガラスが砕けて靴に刺さったのだ。
不正の証拠であるカメオは人に頼んで探してもらっているので、それが見つかり次第、
不正を公表すると美幸ちゃんは言う。
明日香ちゃんはその後、何もせずに屋上を後にしたとのこと。
だが証拠は揃いすぎていた。明日香ちゃんは逮捕されてしまう。
橘専務も参考人という事で警察に連れて行かれた。
スターライツビルには報道陣が押し寄せると思うので、もう居られないだろう。
唯ちゃんたちや京香さん、何故か成美さんも加わり、皆でご隠居の家に泊まることになった。
146ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/14(木) 19:15:27 ID:D3Bd+twf0
10日目
ふと気になった事があり、唯ちゃんから美幸ちゃんが大切にしていたという銀のペンダントを借りる。
平べったいペンダントヘッドをよく見ると、継ぎ目があるのがわかる。そこに爪を差し込むと・・・開いた。
そこには写真が入っていた。ロケットペンダントだったのだ。
メガネの繊細そうな青年が映っている。反対側を見てみると、「SHINYA」と小さく彫ってある。
「しんや」という人なのか。
唯ちゃんは、しんやという名前に聞き覚えがあると言う。
美幸ちゃんは、たまに電話でしんやという人と話していたと唯ちゃんは言う。
セクンドゥムにカメオを探しに来た男と特徴が似ているので成美さんにロケットを見せると、
この男のようだが写真が小さくて詳しい事はわからないと言う。
こうやって写真を持ち歩くということは、美幸ちゃんと彼は付き合っていたか何かかな?
なんとかして彼に会えないものかと思案する。
何気なくテレビを見ると、ワイドショーの時間だった。
まだ容疑がかかっているだけなのに明日香ちゃんが犯人扱いされていた。
そうだ、彼もこうしてテレビを見ているに違いない。
そして、美幸ちゃんに犯人が逮捕されたことを報告しに行くのでは・・・?
哲平と一緒にスターライツビルに走る。駐車場に、メガネの青年が居た。
青年は何故か逃げるので哲平と二人で追いかけ、捕まえた。そう、彼が「進也(しんや)」くんだ。
進也くんを、唯ちゃんが待っている東公園へ連れて行き、話を聞く。
進也くんは、カメオを探す事を美幸ちゃんに頼まれていたこと、
そしてセクンドゥムにもカメオを探しに来た事を認めた。
ふたりはやっぱり付き合っていたが、美幸ちゃんがスターライツビルに住むようになってからは電話ぐらいしかしていないらしい。
美幸ちゃんは、唯ちゃんに辛く当たるのは唯ちゃんのためだから、本当は嫌だけど仕方ないと言っていたそうだ。
そして、最終選考に漏れたなら、また進也くんと一緒に映画でも見たいね、とも。
やはり、美幸ちゃんは選考に漏れるのが嫌だとか、そんな理由で自殺するような人ではないのだ。
唯ちゃんは進也くんに、銀のペンダントを渡す。
美幸ちゃんが大切にしていたものだと判ると、進也くんはペンダントをぎゅっと握り締める。
進也くんは首から同じデザインのペンダントを外して、唯ちゃんに手渡す。
美幸ちゃんの笑顔は唯ちゃんが持っていたほうがいいと、進也くんは言う。
唯ちゃんはそっとペンダントを首にかけた。泣き出しそうだが気丈にも涙を堪えていた。
ここで泣いたら、また美幸ちゃんに怒られてしまうから、と。
147ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/14(木) 19:16:48 ID:D3Bd+twf0
11日目
そういえば成美さんのところにカメオを売りに来た男、あれは大門寺局長ではないのか?
セクンドゥムへ行き、店のパソコンで局長の画像を探してみる。
自分も会っているので覚えているはずだが、記憶があいまいだ。
成美さんは局長に間違いないと言う。そうすると、この宝石の無いカメオが呪いのカメオ?
明日香ちゃんは、7階の会議室を出た後ブローチを落としたと言っていた。
きっと、その拍子に宝石が外れてしまったのだ。
まだ誰も拾っていなければ、そこにまだ宝石はあるはず・・・。
成美さんにカメオを借り、スターライツビルに向かう。
7階の廊下で宝石を探す。唯ちゃんも一緒に探してくれたおかげで、割とすぐに見つかった。
綺麗な緑色の宝石だ。カメオの開いている穴にピッタリと収まった。
あとは、またリューヌに行って確かめなくては。今回は奈々子に同行を頼む事にする。
担当者はまた不在だったが、つけ爪が美幸ちゃんのものだったという事が判明した。
そして、つけ爪が出来上がったのは事件当日の朝で、取りに来たのは美幸ちゃん本人ではなく、
ショートカットの女の子だったことも判った。
あの朝、唯ちゃんと一緒に拾い上げた物を思い出してみる。
事務用品にお菓子、そして化粧品のようなもの――黒い包み、あれはこの店の包装だ。
探偵事務所に行って考えを整理する。
関係者たちは全員、あのつけ爪を見た事があると言っていた。
だが、ひとりだけ見る事が出来なかったはずなのに、見たと言っている人が居る。
当日不在にしていたという橘専務だ。
後で美幸ちゃんの死体を見たとしても、明日香ちゃんがもうつけ爪を剥がした後だ。見るのは不可能だ。
でも見ているという事はつまり、当日、美幸ちゃんと会っていたという事だ。
警察に確認したところ橘専務は、事情聴取を終え、先ほど釈放されたとのこと。
京香さんと一緒にスターライツビルへ急ぐ。もう日は暮れていた。
受付の所に亀山さんが倒れていたが、大した怪我ではないようだ。
橘専務が酒瓶を片手に、唯ちゃんを追いかけていったとのこと。
唯ちゃんと橘を探しながらビルを上へのぼり、屋上へ着く。
唯ちゃんの悲鳴が聞こえた。橘は半分に割れた酒瓶の切り口を唯ちゃんに向けている。
時間稼ぎに事件のことを追及すると、橘は口を割る。
局長が明日香ちゃんにカメオを贈ったことも、出来レースも全部知っていたと言う。
局長と明日香の密会も、橘がお膳立てしたものだと言う。会話の内容も知っていた。
そして、口封じのため自殺と見せかけて美幸ちゃんを殺したのも橘だった。
屋上で美幸ちゃんを突き飛ばしてから、靴をきちんとそろえて置いたのだと言う。
何気なくポケットからカメオを取り出して見ると、宝石が赤くなっていた。
橘の注意が唯ちゃんから逸れたときに、唯ちゃんは逃げ出した。
逆上して、橘が瓶を振り上げ、襲い掛かってくる。驚いてカメオを落としてしまった。
そのとき、バタンと音がして、屋上の入り口のドアが開いた。そこには、白い服で長い髪の女性が立っている。
あれは、唯ちゃんが持っていた、幽霊の衣装だな。
遠くて顔がよく判らないが、きっと、京香さんが化けているのだろう、と思った。
女性はつかつかと橘に歩み寄る。橘は、美幸ちゃんに似ている姿を見てすっかり動揺し、後ずさりする。
女性は橘を手すりのところまで追い詰めた。そして、ふたりの体がフワリと浮いたかと思うと、
手すりを乗り越え、駐車場へ落ちた。
京香さんが落ちた?と思い、慌てて下を見たが、そこには橘の死体があるだけで、白い服の女性は消えていた。
後から遅れて京香さんが屋上にやって来た。
すると、あの女性は――。
148ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/14(木) 19:17:47 ID:D3Bd+twf0

それから何週間かたったある日の夜。
関係者一同はスピリットに集まっていた。未成年の奈々子まで来ている。
亀山さんも来たがっていたが、忙しいので来られないという。
奈々子と哲平で都市伝説の話題になった。あの、天狗橋に幽霊が出るとかいうあの話だ。
ふたりが言うには、幽霊はスーツ姿の男でブランド物のネクタイを締めているという。
都市伝説というにはちょっと具体的過ぎると思っていると、何かをふと思い出す。
そう、失踪しているという局長に特徴が酷似している。
成美さんが怪しいと問い詰めると、噂を流したのは自分だと認めた。
だってあの詐欺師、カメオを取りに来ないから詰まらなかったんだもんとのこと。
だから詐欺師じゃないって。あのカメオを本当に呪いのカメオだと思って手放したかったんだろうが。
結局、あれ、本物の呪いのカメオだったのに、恭介ったら失くしちゃうんだもん、と成美さんが言うが、
それには返す言葉も無い。
あの後、ビルの屋上で落としたカメオを探してみたが、どんなに探しても見つからなかった。
(あのカメオに嵌っていた宝石は、アレキサンドライトだと思われる)
テレビを見ていた奈々子が始まるよ〜と皆に声をかける。そこにはひとりきりで歌う唯ちゃんの姿が映っていた。
明日香ちゃんはいろいろあった責任を取るように引退してしまったのだ。
そのせいもあって、唯ちゃんのデビューが予定より繰り上がったそうだ。
どこかで聞いてくれてる明日香ちゃん、そして天国で応援してくれている美幸ちゃんのために、唯ちゃんは歌う。
その胸元には銀のロケットが光っていた。
To Be Continued
149ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/14(木) 19:44:37 ID:D3Bd+twf0
第3話 託されたペーパーナイフ

1日目
いつものように目を覚ます。もう終戦記念日か。
朝のニュースを見ていると哲平が訪ねてきた。
昨夜、柏木邸の郵便受けに紙袋が入っていたとのこと。
差し出されたそれは何の変哲もない紙袋だった。中には殴り書きのメモとペーパーナイフが入っていた。
ペーパーナイフは、全体は銀色で柄のところは龍の形をしており、青い宝玉が嵌っている。
一応骨董品になるのかな。メモには、哲平宛てに、
このペーパーナイフを誰にも知られずに、しばらく預かってほしいということが書かれていた。
差出人は亮太という、哲平の舎弟だという。
昔、哲平が不良たったとき、ふたりでよくでつるんでいたらしいが、今はどこに居るかも判らないらしい。
亮太の写真を見せてもらう。ご隠居の所に居候してからは会ってないらしく、写真も2年前のものだが、
髪型などが変わってなければ今も変わらない姿だろうという。
亮太が何かヤバいことに巻き込まれているらしいので協力してほしいと哲平は言う。
どうせ暇だし協力することにする。ペーパーナイフを紙袋に戻し、上着の内ポケットに入れた。
夜になったら、ふたりがつるんでいたという枕ヶ碕(まくらがさき)へ行ってみようという約束をして
哲平と別れた。夕方、天狗橋で哲平と合流してから枕ヶ碕へ向かう。
枕ヶ碕は天狗橋から南へ行った地域で、治安の悪い場所として有名である。
枕ヶ碕に着いた。潰れた店や廃屋が並んでおり、人影はまばらである。
潮のにおいが海が近いことを教えてくれる。
しばらく行くと、三人の不良たちが少年に絡んでいる場面に出くわす。
カツアゲか?と思い哲平は止めに入る。隙を見て少年は逃げ出す。
だぶだぶの人民服を着て帽子を被っている少年だ。中国人?
少年は俺にぶつかり転倒する。帽子が脱げ、黒髪が滝のようにこぼれ落ちる。
そう、よく見ると女の子だった。彼女は片言の日本語で「涼雪(リャンスェ)」と名乗った。
大学生で日本に留学してきているという。何故こんな危険な所に来たのだと聞くと、人を探しているという。
ここからさらに南に行った遠羽埠頭の倉庫街を散歩していたとき、夕立に遭い雨宿りをしていると、
亮太のような人が通りかかり、傘を貸してくれたという。
写真を見せてみると、確かにその人は亮太だという。
不良たちはどうなったかと思い見ると、哲平と意気投合していた。哲平が枕ヶ碕に居た頃の後輩だという。
俺も三人とすぐに打ち解ける。鼻ピアスのタカ、ロン毛のエイジ、バンダナのヒロヤ。
立ち話もなんだからというので行きつけだというバーに行くことになる。
女の子をこんなところに置いていけないので、涼雪も連れて行くことにする。
涼雪を見ると、黒髪はすでに帽子の中にしまわれていた。
バーには「ハードラック」という看板が出ている。
中に入るとびっくりする。枕ヶ碕にあるとは思えないほど雰囲気のいい店だ。
サミーという陽気な黒人がマスターだ。
不良三人組に亮太のことを聞きこみする。亮太のことは知っているが、今の居所は不明だという。
彼女に電話するから、と言ってヒロヤは店を出て行った。しばらくすると、慌てた様子で帰ってきた。
店の裏のドブ川に人が死んでいるとのこと。サミーに警察への通報を頼み、ドブ川の死体を検分する。
スーツ姿の男だが、普通のサラリーマンには見えない。首に細いワイヤーのようなものが巻かれている。
自殺かと思ったが首に防御創がある。上方をみると剥き出しの鉄骨があった。
投げ縄のようにワイヤーを男の首に掛け、鉄骨に吊って殺したのだと推理する。
そしてその後、犯人はワイヤーを回収したかったが、回収できなかったようだ。
150ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/14(木) 20:51:03 ID:D3Bd+twf0
サイレンの音が近づいてきた。ハードラック店内に戻ると、氷室刑事と森川刑事が現れた。
氷室さんは、誠司所長が昔刑事だったときの後輩だ。森川は氷室さんの部下の若い刑事。
若いといっても俺より4、5歳年上だが。
森川は俺が居るのを見ると不快な顔をする。森川は探偵が嫌いらしく、顔を合わせるといつも口げんかになってしまう。
それから、ハードラック店内で一同は事情聴取される。
すっかり遅くなってからようやく開放される。俺と哲平は涼雪を家まで送っていくことにする。
天狗橋から北の方へ進み、さらに山の手にしばらく歩くと、高層マンションに着く。
「グランパレス江榮(こうえい)」である。江榮海運公司という中国の貿易会社が持っているというマンションだ。
会長の張(チャン)もここに住んでいるらしい。屋上にはヘリポートがあるとか。
巨大なエントランスには、丸眼鏡をかけ、だらしなく伸びた髪を無造作に束ねた、温和そうな男が立っていた。
涼雪はその男に威(ウェイ)おじさまと呼びかける。身寄りのない涼雪の保護者なのだそうだ。
威さんが江榮海運公司に勤めているのでここに住むことになったらしい。
涼雪は、部屋番号は4011だからと言い残して帰っていった。
帰る途中で、成美さんから呼び出しがかかったのでセクンドゥムへ向かう。
成美さんは風邪を引いているようだ。とても辛そうで放っておけない。
こういうときにはご隠居の所へ連れて行くのがいいとは思うが、町内会の慰安旅行だとかで不在だ。
そうだ、暇な人が居る、と思い京香さんに電話をかける。
事情を話すと、怒った様子だがすぐに来てくれるらしい。
京香さんがやってくると、成美さんは二階の部屋へ連れて行かれた。
この様子だとしばらくは付きっきりじゃないとだめだと京香さんは言う。
探偵事務所は、どうせ依頼もないだろうからしばらく閉めておくことにし、
俺が一日一回、留守電をチェックすることになった。
151ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/14(木) 20:58:25 ID:D3Bd+twf0
2日目
とにかくいろんな人に亮太の写真を見せて聞き込みをする。
諏訪弁護士の事務所に行ってみることにする。諏訪さんは誠司所長の学生時代からの知り合いで、
今までも何かとお世話になっている人だ。
諏訪さんに写真を見せると、ちょっと考えてから、見たことがあるような気がすると言った。
サイバリアに行き奈々子にも写真を見せてみたが、知らないという。
哲平と待ち合わせて遠羽埠頭へ行くことにする。
枕ヶ碕で涼雪とばったり会う。今日は女の子の格好だ。髪はきっちり束ねて三つ編みにしている。
一緒に埠頭に行くことになった。枕ヶ碕を通り抜けて海の方へ。
倉庫街には使われていない倉庫がある。扉が開いているので中を覗くと、
不良たちの溜まり場になっているらしくゴミや花火の残骸が散らばっていたりする。
奥に扉がある。今は使われてないが冷凍室のようだ。
ふとそこに人の気配がするのでよく調べてみると、生意気そうな少年が現れた。
涼雪が「紫宵(ツーシャオ)」と驚いたように呼びかける。こいつが張の孫だという。
金持ちの孫だというので何かと威張り散らしている。一緒にグランパレス江榮に帰ることにする。
俺と哲平はそのまま涼雪の部屋に招かれ、夕食をご馳走になることになった。
4011、つまり40階の部屋だ。41階から上は全て張の住居だという。
この広いマンションの部屋に威と二人暮しだという。
威さんが夕食の支度をしている間、涼雪に話を聞く。
亮太が貸してくれたという傘を見せてもらうが、普通のビニール傘で、手がかりにはなりそうにない。
涼雪が会ったのは本当に亮太だったのかは不明のままだ。
ハードラックが開店する時間なので今日も行ってみることにする。
哲平が、今日はヤバいんじゃないかとかなんとか言っていると、派手な格好の男が入ってきた。
その男をみて哲平はギョッとする。彼は大仰に、スツールではなくカウンターに腰掛け、足を組む。
なるほど、哲平が嫌がっているのも理解できる。彼は所謂オカマというヤツなのだ。
彼の本名は「恵美(しげよし)」というのだが、「エミー」と呼ばないと怒られるらしい。
そして、エミーはこう見えても有能な情報屋なのだという。
エミーに亮太のことをいろいろ聞いてみる。
亮太は暴力団の青島組と関わりがあるのではという噂があるらしい。
思い切ってペーパーナイフのことも聞いてみた。
ペーパーナイフだということはぼかして、単に骨董品だと言った。
するとエミーは何かをサラサラとメモに書いてこちらへ差し出す。
ヤバい品を取り引きしている裏サイトのアドレスとパスワードだという。
早速裏サイトにアクセスしてみることにする。サイバリアなどの人目に着く所ではだめなので、
俺の自宅に二人で向かう。
裏サイトの掲示板の書き込みを、ペーパーナイフで検索をかけると、1件見つかった。
その書き込みを見てみると、なんと、このペーパーナイフを探しているという書き込みだった。
形状も合ってるし青い宝玉のことも書いてある。
300万円で買うというが、このナイフにそんな価値があるとは思えない。
哲平と相談の結果、カマをかけてみることにする。鞘がついているやつなら見たことがある、と返事をする。
実物には鞘がないことを知っているか知らないかで、相手がどこまで解っているか見極められるだろう。
152ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/14(木) 21:05:58 ID:D3Bd+twf0
3日目
氷室さんから連絡が入る。ドブ川の絞殺体は青島組幹部の男だという。
青島組といえば、組長が同じようにワイヤーで絞殺されたばかりだ。
亮太に関係があるかも、と思い、ドブ川にまた行ってみようということになる。哲平と二人で向かう。
ドブ川には先客が居た。スーツをだらしなく着た、とぼけた感じの眼鏡の男だ。
名刺を受け取るとフリーライターの柴田と書いてある。
その名前に見覚えがあった。両親の交通事故のことを独自に調べていたときに出てきた名前。
毎朝新聞の記者で、その交通事故の記事を書いた人だ。だが、柴田が書いた記事は何故か差し替えられ、
実際に新聞に載ったのは別の人が書いた記事だった。
俺は柴田さんに、毎朝新聞に居たことはあるかと聞くが、柴田さんは否定する。
とにかく詳しく話を聞きたいので、一緒にサイバリアに行って昼飯でも食いましょうということになり、
とおば東通りまでやってくると、京香さんが通りかかった。
成美さんの具合などのことを話して京香さんと別れると、柴田さんはどこかに消えてしまっていた。
仕方なく哲平とふたりでサイバリアに入る。奈々子がランチセットを持ってきた。
グラタンにスイカのトッピングというとても合わない組み合わせだ。これは合わないだろと奈々子に言うと、
昨日来た人は同じメニューをおいしそうに食べていったよ、と言う。それは写真の男、亮太だという。
夜にハードラックに行き、不良三人組に聞き込みをする。
数日前に駅前の映画館で見たという人が居るらしい。
そして昨日、とおば東通りで見たという人も。きっと、サイバリアを出た後だろう。
エイジの携帯電話にメールが届く。メールを読んでから、エイジはそわそわした様子で店を出て行った。
それからしばらく待っていたが、エイジは帰ってこなかった。

4日目
昼にサイバリアで哲平と待ち合わせる。そこへタカもやってきた。
昨日の夜、店を出て行ってから、エイジと連絡が取れないとタカは言う。
哲平が電話をかけたら出るかも知れないな、と言うと、哲平はエイジの携帯電話に電話をかける。
相手が出たとたん、哲平が動揺しだす。電話を切ってから、哲平は搾り出すような声で言う。
氷室さんが出て、上遠羽(かみとおば)で、変死体が見つかった、と。
哲平とタカと共に上遠羽へ向かう。
上遠羽は北の方の地域で畑や田んぼが残っている所だ。山道に入っていくと氷室さんが待っていた。
またお前らかという表情の森川もいる。
そして、さらに奥には、異様な光景があった。エイジの死体が、大きい木に縛り付けられている。
触らないように注意すれば死体を検分しても良いと氷室さんは言う。森川は不服そうだったが。
左胸に刺し傷があり、それが死因のようだ。別の場所で刺されてから、この木に縛り付けられたらしい。
その後、警察署に連れて行かれ、事情聴取される。
エイジの死因はやはり胸を刺されたことによる失血死らしいが、一度刺されたあともう一度刺されているらしい。
一度目は普通に刃物で、二度目は、氷のようなもので。つららかそんなようなものだ。
昨日、エイジの携帯電話に届いたメールは、亮太の携帯電話から送信されたものだった。
現段階では亮太が一番疑わしい。
事情聴取が終わって警察を出ると、知らずに涙が滲んできた。
きっとエイジも喜んでいる、エイジなんかが死んでも、泣くような人は居ないから、と哲平は言う。
だが、今は泣いている場合ではない。それ以上泣くのを堪える。
そのとき、京香さんから電話がかかる。
今セクンドゥムに居るが、俺あてに女の子が訪ねてきているという。きっと涼雪だ。
セクンドゥム店内に入る。成美さんはだいぶ元気になったようだ。
涼雪たちと他愛も無いことを話していると気がまぎれる。
京香さんと成美さんがいつものように喧嘩を始めたので、涼雪があきれていた。
やがて、もう迎えが来る時間だと涼雪が言うので、涼雪と店の外で迎えを待つ間、少し話す。
店の横に黒くて高そうな車がやってくる。涼雪はその車に乗って帰っていった。
153ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/14(木) 21:10:04 ID:D3Bd+twf0
5日目
哲平と一緒に枕ヶ碕へ行くと、暴力団の組員らしき男たちがうろついている。
哲平を見て鉄砲玉くずれなどと言う。
天狗橋のところで紫宵と会う。一緒にサイバリアに行くことになった。
奈々子だけでも騒々しいのに、紫宵も来ているのでもっとうるさい。
どうやら紫宵は奈々子が気に入ったらしく、いろいろと話しかけていた。
帰宅したあと裏サイトを見てみると、返事が返ってきていた。
どうやら相手は鞘が存在しないことを知らないらしい。適当に返事をしておく。

6日目
その日の朝は携帯電話に起こされた。ディスプレイに氷室さんの名前が表示されている。
悪い知らせだ、バンダナのヤツが殺されている、東公園へすぐ来てくれとのこと。
今度はヒロヤか、何故あいつらが狙われなければならないのかと思いながら東公園へ急ぐ。
公園はものものしい雰囲気に包まれていた。氷室さんが待っていた。
殺されたのがヒロヤではないこと願った、その一縷の望みもあえなく消えうせる。
公園の地面の上にヒロヤは寝かされており、埋めるでもなく、中途半端に土がかけられている。
口の中には木の枝が差し込まれている。木の枝で何度も殴られて撲殺されたらしい。
携帯電話にヒロヤを呼び出すメールが残されており、やはり今回も亮太の携帯電話から送信されている。
柏木邸に行き、ヒロヤの死を哲平に伝える。
そういえば昨日、組員に鉄砲玉くずれとか言われてたよな。気になったので聞いてみる。
哲平は昔、青島組系列の中崎組の鉄砲玉だったという。
そして敵対していた白虎会の幹部を撃つように命じられ、生まれて初めて銃を手にした。
幹部に銃を向け、撃鉄を上げたが、哲平は打てなかった。
そのまま白虎会に寝返ってしまった。その白虎会の幹部こそ、ご隠居だったのだ。
そのときご隠居が旅行から帰ってきた。ひとりで何でも抱え込んで・・・と哲平を叱る。
そこへ京香さんと成美さんも姿を現す。大事な事を黙っていたので京香さんに怒られた。
セクンドゥムにペーパーナイフを探しているという客が来たら注意してくれと成美さんに頼んだ。
もう抱え込むのはやめだ。警察にペーパーナイフを証拠品として提示する。
取調室で氷室さんと話をする。エイジもヒロヤも現場は異様だった。
恐らく見立て殺人だろう。あ、そういえば、木とか土とか、そして氷・・・。
陰陽五行説?氷で刺されたエイジ、木で撲殺されたヒロヤ。
木は土を克す。金は木を克す、か。(氷は冷たくて固いので金を表す)
五行説、しかも五行相克だと思うと言うと、森川に馬鹿にされた。
154ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/14(木) 21:10:59 ID:D3Bd+twf0
サイバリアに行くと、また紫宵が奈々子に話し掛けている。
今日は紫宵の誕生日だそうで、グランパレス江榮でパーティーがあるらしい。
それに奈々子が誘われたそうだ。俺も招待された。
夜にサイバリアの前で待ち合わせて一緒に行こうということになった。
自宅に帰り、一番フォーマルな服を引っ張り出して着替えてから、サイバリアに向かう。
ドレスを着た奈々子は別人のようだ。まさに馬子にも衣装だなと言うが、奈々子は意味を知らないらしい。
グランパレス江榮のエントランスには涼雪が待っていた。涼雪は青いチャイナドレスを着ている。
グランパレス江榮の最上階がパーティー会場だ。偉そうな人がいっぱいで気おされてしまう。
自分が場違いな所に居ると感じてしまう。奈々子は紫宵と楽しく会話している。
そこへ涼雪が話し掛けてきた。こういう席は苦手かと涼雪が聞くので、素直に苦手だと答える。
それなら抜け出しましょうということになり、ふたりでエレベーターに乗り、エントランスへ来る。
外に出ると、向こうにヤバそうな奴らが居る。青島組の奴らだろうか。
俺は涼雪の手を引き、エントランスの中へ駆け込む。
エレベーターに乗ろうとするのを涼雪が制し、地下へと続く階段を下る。そこはワインセラーになっていた。
涼雪はなんだか不安そうにしている。涼雪は狭くて暗いところが苦手だという。
でもこのワインセラーはそんなには狭くもないし明るいから平気だと。
涼雪は、自分はいらない子だったと衝撃的なことを言う。
いたずらをすると、暗くて狭いところに閉じ込めらていたいたのでそれで怖くなったという。
ある日、家に強盗が入り、両親は殺されたが、涼雪は閉じ込められていたので助かったとのこと。
その後、施設に居たところを威さんに拾われたのだという。
ふいに会話が途切れる。こういうとき、気の利いた事が言えないから、彼女とか居ないんだろうなぁ、と思う。
あなたには怖いものはないのかと涼雪が訊く。大切な人が居なくなるのが怖いと答える。
そう、突然事故死した両親のように。それが心因外傷(トラウマ)となって今も引きずりながら生きている。
涼雪の両親はどんな人だったのと聞いてみるが、よく覚えていないらしい。
ひとつだけ覚えていることは、母親が、涼雪が眠らないときに聞かせた子守歌があるということだ。
どんな子守歌か聞きたいと言うと、中国語だから日本語の歌詞がわからないという。
それでもいいから、と言うと涼雪は歌ってくれた。同じ節回しが4回繰り返され、歌が終わった。
日本語訳にすると、「白い家の子供」という題名の歌らしい。
白い家に子供が居た。まだ眠りたくないと子供は家から逃げ出す。
そこで4人のおじいさんが家に帰りなさいと言うので家に帰った、という意味の歌詞なのだそうだ。
森に行くと森のおじいさん、砂場に行くと砂のおじいさん、他に海と火のおじいさんが登場する。
森に砂に海に火か。この順番は五行相克か?などと
無意識のうちに事件のことを考えている自分に嫌悪感を覚える。
威さんは涼雪の母にこの歌を教えられたとのことで、よく歌ってくれたそうだ。
そこへ涼雪を呼ぶ声がする。威さんが探しに来たのだ。
パーティー会場に戻った。帰る時間になると、涼雪が送ってくれることになった。
ふたりきりで天狗橋の方へ歩いていく。涼雪の方を見て、なにか話し掛けようと思ったが、
何を話していいのかが浮かばない。
こういうとき、何を話したらいいのかわからないんだと正直に言う。情けないけど。
すると涼雪は、恭介のそういう素直な所がいいねと言う。
嘘をついて意味の無いことを話すより、黙っていたほうがいいと。
実は自分も話すのが苦手だと涼雪も言う。涼雪と視線を交わしながら、心地よい沈黙のまま歩く。
天狗橋に着いた。もう少し一緒に居たい気持ちを押さえて、涼雪に帰るように言う。
涼雪は別れ難そうにしているが、威さんが心配するよと言い聞かせ、涼雪を帰した。
とおば東通りを歩いていると成美さんと出くわした。もう外を出歩いてもいいくらいに回復したらしい。
珍しくいい格好してるわねと成美さんは聞くので、パーティーの帰りだと答える。
出番の終わった役者みたいな顔して、自分の役が終わってほっとしてるみたい、
そんなに緊張するパーティーだったのかと成美さんが聞く。
確かに緊張するパーティーだったけど、さっき俺が緊張してたのは別の理由だ。
そしてその理由を成美さんはとっくに見抜いているらしい。
まぁ誰だって春は来るもんだしね、とからかうように成美さんは言う。酔ってるな、成美さん。
155ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/14(木) 21:12:47 ID:D3Bd+twf0
自宅に帰り、インターネットでさっき聞いた子守歌のことを調べてみることにした。
世界の子守歌がいろいろ載ってるサイトに、原文と日本語訳も載っていた。
子守歌の歌詞の日本語訳を紙に書き写しておく。

7日目
柏木邸に行き、子守歌の歌詞を哲平に見せる。
確かに五行相克になっている。だが、「金」が見当たらない。
最初の部分に出てくる、白い家が「金」を表してるのか?確かに、白は「金」を表す色だが。
エイジやヒロヤをそれぞれ森や砂になぞらえているなら、最初に出てくる白い家が何も無いのはおかしい。
もしかして、エイジの前に、見立て殺人は行われていたのかも?
白い家とはどこだろう。エイジは「金」というか氷で克されていたから、
氷に関係ある所か?だが、この暑いときに氷があるところって?
そうだ、埠頭の倉庫に冷凍室があった。あそこなら夏でも氷があるだろう。
無駄足になるかも知れないが確かめておいた方がいい。いや、確かめたい。哲平と共に倉庫に向かう。
その倉庫の床の、冷凍室の前には、何かを引きずったような跡がある。
嫌な予感を必死で振り払いながら、冷凍室の扉を開ける。白い冷気で何も見えなかったが、
徐々に視界が開けていき、そしてそこには、亮太が死んでいた。
あのドブ川の死体のように、ワイヤーかなんかで絞殺されたらしい。首に跡が残っている。
流した涙が凍ったようで目が痛い。倉庫の外に出る。
警察が来るまで哲平と海を眺めながら待った。
いつものように取調室で事情聴取を受ける。
帰りにスピリットに寄る。酔いつぶれてなにも考えずに眠りたい気分だった。
酒に弱い自分の体質を、今回ばかりは有難いと思った。

8日目
目が覚めたら柏木邸だった。哲平が運んでくれたらしい。
ご隠居が、ペーパーナイフについて判ったことがあるというので話を聞く。
ペーパーナイフ自体には骨董的な価値はそれほど無いが、東アジア全域の密輸に関する権力の証なのだそうだ。
なるほど。手に入ったら裏サイトに書き込んである300万なんてすぐ取り返せるな。
それが青島組の手に渡った。青島組は密輸でのし上がっていった。ペーパーナイフのお陰で。
そして、亮太が裏切ってそれを奪って逃げ、哲平に託した。
青島組の組長も幹部も、亮太もペーパーナイフを探している犯人に殺された。
エイジやヒロヤも同一犯だろう。たぶん、あの子守歌の見立てのためだけに殺されたのだ。
五行相克でなく、子守歌に見立てているとしたら、犯人はだいぶ絞られるな。
わざわざあの子守歌に見立てるという事は、涼雪の身近に居る人物が犯人だろう。
警察署に、亮太の検死結果を聞きに行く。
亮太は冷凍室に居たため、死亡推定時刻が特定できないとのこと。
また、胃の内容物を調べたらおかしな組み合わせのものが出てきたとのこと。
スイカとグラタン。6日前の夜、亮太がサイバリアで食べたメニューだ。
サイバリアで食べたものが胃に残ってるうちに殺されたということは、
エイジやヒロヤを殺したのもメールで呼び出したのも、亮太ではないということだ。
真犯人が亮太から奪った携帯電話を使って呼び出したのだろう。
一旦自宅に帰ると、何故か違和感を感じる。部屋の中のものが動かされている。
そして、パソコンが立ち上げてある。デスクトップの真ん中にテキストファイルがある。
「読者への挑戦」という名のファイルだ。開いてみる。
そこには、「全ての手がかりは示された。犯人は誰か?」と書かれていた。
156ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/14(木) 21:13:43 ID:D3Bd+twf0
突然電話が鳴り出したのでびっくりした。成美さんからだ。
今、店にペーパーナイフを探しているという客が居るとのこと。
氷室さんに連絡すると、すぐにセクンドゥムへ森川を向かわせるという。
セクンドゥムに向かう。客とは紫宵だった。店の2階で和やかにヘルシングと遊んでいる。
焦って損した。すぐに森川が来た。やがて涼雪が紫宵を迎えに来た。
涼雪に、ペーパーナイフについて何か聞いてないかと訊ねると、どこかで見たかも知れないという答え。
森川に、今ペーパーナイフを持っていたらちょっと涼雪に見せてやってほしい、と頼むと、
森川はしぶしぶ内ポケットからビニール袋に包まれたペーパーナイフを取り出した。
涼雪がペーパーナイフを見て言う。鞘はどうしたの、と。
もちろん鞘はもとから無い。このペーパーナイフに鞘があると思っているのはただ一人。
裏サイトに書き込みをした人物だけだ。
それに、ひとつ気になることがある。心のなかで否定し続けていた事実。
今こそ、その事実と向かい合わなければいけない。
最初に涼雪に会ったときと、今の涼雪の状態。かすかに感じる違和感。それは、そう、髪型が違うのだ。
青島組の幹部の絞殺体には、回収出来なかったワイヤーが巻きついていた。
初めて会ったとき、涼雪は、また髪を束ねて三つ編みにすることが出来なかったのだ。結ぶものが無かったから。
あの時言っていた、亮太を探していたというのも、亮太に会って傘を借りたというのも全て嘘だ。
涼雪があの日、枕ヶ碕に居た本当の理由は、別にある。
パーティーの帰りに涼雪が言った言葉を思い出す。嘘をつくより黙っていた方がいい、あの言葉すらも嘘なのか。
青島組の幹部を殺したのがきみじゃなかったら、その三つ編みをほどいて見せてくれ、
ワイヤーを持っていないところを見せてくれと俺は涼雪に言う。
すると、涼雪の顔からすっと表情が消えた。瞳から光が失われる。
鮮やかな身のこなしで森川を蹴ると、森川はペーパーナイフを取り落とす。
涼雪はペーパーナイフを拾って逃げた。行き先はきっとグランパレス江榮だろう。
俺と哲平はグランパレス江榮へ向かう。
エントランスで哲平に言う。どうか俺に涼雪を説得させてほしいと。
涼雪はきっと自分がしていることが悪いことだと、心の底では感じているに違いない、
でもああやって表情を消して、自分は悪く無いのだと思い込もうとしている。
あのまま、心を閉ざしたまま捕まってしまっては、自分が悪いことをしたとも思わずに、
たいした反省もせず、形だけの贖罪のあと、また罪を重ねることになるだろうと。
やっぱりお前はお人好しだなと多少あきれた様子だが、哲平は承諾してくれた。
こちらを招待でもしているように、エレベーターが待っていた。最上階のパーティー会場で止まる。
あのときの華やかさは微塵も無い、薄暗い部屋に威が座っていた。
普段見せている温和な印象はまるで無い。後ろには涼雪が表情を消したまま控えていた。
作者はあなたですね、と言うと、威はニヤリと笑う。おかしくて笑っているのではない。嘲笑だ。
ここまで自分を楽しませてくれたのは俺が初めてだ、と威は言う。
ペーパーナイフを探すために江榮海運公司に入社し張に近づき、
さらに涼雪を操って青島組の組長と幹部、そして亮太を殺した。
亮太を殺したところで、子守歌を使って見立て殺人をすることを思いついた。
亮太を白い家に見立てた冷凍室に置き、こちらの推理通り、エイジとヒロヤをメールで呼び出して殺した。
やはり次はタカを殺すつもりだったらしいが、ヒロヤの時点で気づくとは見事だと威は俺を褒めた。
見立てのためだけに平気で人を殺せるなんて・・・。
157ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/14(木) 21:14:46 ID:D3Bd+twf0
ひととおり種明かしをしたところで、ヘリコプターのプロペラの音が近づいてきた。
威はヘリに乗って逃げる気だ。頭に血が上った哲平は威に飛びかかろうとするが、威に足を撃たれてしまう。
結構血が出ているが哲平は掠っただけだから大丈夫、早く威を追えというので、
閉まりかけた奥の扉をくぐりぬける。
威は屋上への階段を悠々と上っていく。後から涼雪がついていく。
階段の下に着いてから、涼雪に行くなと叫ぶ。涼雪と威はそこで立ち止まって振り返った。
きみの犯した罪はとても重い、威について行かずに、罪を償ってほしいと涼雪に必死に訴える。
こっちにおいで、と手を差し延べた。涼雪は階段を上るべきか下りるべきか悩んでいるようだ。
威が冷たく言い放つ。涼雪はそちらには行かないと。
自分はそちらには行けない、何故なら威おじさまが自分を必要としてくれているから、
威おじさまに見捨てられたら、自分はまたいらない子に戻ってしまうと涼雪は言う。
威は、長い時間をかけて少しずつ、涼雪に暗示をかけていったのだ。威に対する依存心が強くなるようにして、
なんでも言うことを聞くような、人殺しも平気でするような娘に育て上げたのだ。
威に対して吐き気がするほどの憎悪を覚えるが、今は涼雪をじっと見つめる。
俺がいらない子になんてさせないからと強く言う。
そのとき、涼雪の目に光が宿った。ゆっくりと表情が戻っていき、階段を下りかける。
おかえり、と涼雪に言う。
威は俺に向けて拳銃を構えて言う。ひとつ教えてあげましょう、私は涼雪の母親には会ったことがありません、と。
子守歌に関する思い出は、すべて威が創作したものだったのだ。
その程度でこんなに便利に育ってくれるなんてね、と威は言う。
威が引き金を引く、その瞬間に涼雪は俺をかばうように飛び出した。
目の前が真っ赤に染まる。羽根のようにゆっくりと落ちてくる涼雪を受け止めた。
涼雪は胸の辺りを撃たれている。急所は外れているらしく、まだ息があるが、出血は止まらない。
暗示が解けたから使い物にならないと思ったからなのか、
威は涼雪を見捨ててそのまま悠然と屋上へと姿を消した。ヘリコプターの音が遠ざかっていく。
恭介は優しいところがいいね、恭介はずっと生きていて、恭介のままで・・・と弱々しい声で涼雪は言う。
うん、きみが覚えてるままの俺でいる、約束するよと答えると、
涼雪は満足したように目を閉じ、最後の息を吐き出した。溢れる涙で何も見えなくなる。
それからどのくらい経ったのか、氷室さんに呼びかけられて、正気にかえった。
白いシーツに頭まで包まれた涼雪が、担架に乗せられて運ばれていく。
エントランスでは京香さんが待っていた。
結局、威を逃がしてしまったとがっかりする俺に、京香さんはこんなことを言う。
探偵には法的な制限が無いぶん、人の心の中だけにある事件だって解決できるとお父さんが言っていた、と。
そう、最期に涼雪は救われたのだから。

哲平の怪我はたいしたことないらしいが、全治二週間の診断を受け、入院するとことになった。
涼雪の遺体は中国に送られ、両親と同じ場所に埋葬されることになったという。
俺はハードラックに居た。墓参りに行こうにも遠すぎるよなぁとぼやいていたら、
サミーに、距離なんて関係ない、どこに居ても祈りはとどくよと励まされた。
タカからは、命の恩人だと言われ感謝された。
自宅のマンションの前に柴田さんが待ち伏せていた。
世代が代わろうとしている、気をつけろよ、と謎の言葉を残し、柴田さんは夜の闇に消えていった。
To Be Continued
158ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/14(木) 22:26:58 ID:8nUoasnA0
第4話 傷ついたテディベア

1日目
目の前が真っ赤に染まる。ゆっくりと落ちてくる彼女を受け止める。
そして愛しい人は最後の息を吐き出して・・・。
飛び起きる。またあの時の事を夢に見てしまった。お陰で最近よく眠れない。
いや、彼女だけではない。あの事件ではたくさんの人が死んだ。
何故助けられなかったのだろう、そう思うとやりきれない。
午後から哲平のお見舞いに行こう。その前にサイバリアでお昼を食べて・・・。
無理やり違うことを考えて気を紛らす。
サイバリアに行くと、奈々子がいつもの調子で出迎えてくれた。
そして、哲平のお見舞いに行きたいと言うので連れて行くことにする。
哲平が入院しているのは、友凛(ゆうりん)病院という総合病院だ。
外科の病室がある3階に行き、哲平の病室を訪ねるが不在だった。
どこに居るのだろうと探すと、ナースステーションで美人の看護師さんたちと話している。
松葉杖をついて、元気に歩き回っているようだ。大人しく寝てないと治らないぞ。
3階の廊下に、熊のぬいぐるみが落ちているので拾い上げる。
首に「LUKE」というタグが付いている。「ルーク」、それがこいつの名前かな。
これはただのぬいぐるみじゃない。テディベアというヤツだ。よく見ると古そうだ。
栗色の髪の小さい女の子が歩いてくる。足音がしないと思ったら裸足だった。
あのね、るーくん返して、と話し掛けてきた。ルークはこの子のものなのか。
返してあげると嬉しそうにルークを抱きしめる。
朱原(あけはら)まどか、5歳ですと女の子は自己紹介する。
まどかちゃんは、通りかかった師長さんに、スリッパを履きなさいと注意されている。
パジャマを着ているので、入院患者なんだろうけど、どこの病室なのかな。
金髪の女性がまどかちゃんを迎えに来た。この人がまどかちゃんの母親だ。
4階には小児科の病室があり、そこに入院しているとのことだ。
奈々子と一緒にまどかちゃんの病室を訪ねる。
なるほど、まどかちゃんはハーフだから栗色の髪なのだ。母親はイギリス出身なのだそうだ。
そして、まどかちゃんはイギリス生まれのテディベア、「るーくん」が大好きで、
将来はるーくんのお嫁さんになるのだとか、
父親が居るイギリスに一緒に行くのだとか言っている。「ルーク」だから「るーくん」らしい。
まどかちゃんは自然気胸という病気なのだそうだ。病院で大人しく静養しなければならず、
とても外国に行けるような状況ではない、と母親は話す。
そろそろ面会時間が終わる頃だ。また来るよ、と言ってまどかちゃんの病室を後にして、1階へ下りる。
待合室に通りかかると、奈々子が声を上げる。温和そうな男性が現れた。
奈々子の担任の、池辺先生なのだそうだ。もうすぐ新学期なので、風邪を治そうと思って病院に来たらしい。
一緒に帰ることになったが、池辺先生は、喫煙室に煙草を置いてきてしまったというのでしばらく待つことになる。
だが、しばらく待っても来ないので喫煙室に行ってみることにする。
怖そうな、医者の先生に、池辺先生が怒鳴られている。やっと池辺先生が出てきた。
病院を出て天狗橋のところまで来ると、奈々子は、もうアルバイトの時間なのですぐ帰ると言う。
池辺先生を駅まで送ってねと頼まれてしまった。先生と駅まで歩く。
奈々子はちょっと変わってるけど、いい子でしょう、などと先生は言う。
ええ、お互い苦労しますね、と言うと、先生も同意する。
ここでいいですよ、買い物してから帰りますから、と言うので、池辺先生と駅前で別れた。
携帯電話が鳴り、氷室さんに警察署に呼び出される。
何故か取調室に通される。つまり、他の人に聞かれたくない話だということだ。
上遠羽で男性の死体が見つかった、死後1年くらいで、年や背恰好が所長とよく似ている、と氷室さんは言う。
上遠羽ってエイジが死んだ・・・、いや、そのことは今は考えないようにしなくては。
死後1年って、誠司所長が失踪したのもそのくらいだったよな。
誠司所長は、簡単に死ぬような人ではない、といつも思っていたが、
こういうことを聞かされるとやっぱりショックだ。
氷室さんは、時間がかかるが歯形の照合をしなければまだ所長だとは断定できないが、
もしもの時は、気をしっかり持てと言う。でも、胸が締め付けられるような感じは拭えない。
京香さんに話してしまえばこの苦しみを共有できるのに、とも思うが、
やっぱりとても京香さんには言えないな。この事は、しばらくひとりで抱えていかなければならない。
159ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/14(木) 22:28:00 ID:8nUoasnA0
2日目
目覚ましではなく携帯電話に起こされた。奈々子からだ。
先生が、池辺先生が死んじゃった、などと言っている。
とにかく、探偵事務所に行くから、と言って電話は切れた。
インターネットのニュースを見ると、確かに載っている。
昨日の夕方別れたあと、駅のホームで亡くなったらしい。
探偵事務所に行くと、制服姿の奈々子が同級生と共に現れた。
友凛学園、奈々子が通ってるとはとても思えない、お嬢様学校の制服だ。
奈々子と同級生に話を聞く。池辺先生は、とても誰かの恨みを買うような人ではないし、
生徒からの評判も良く、とても殺されるような理由は見当たらないとのことだ。
京香さんがいつものようにやる気になっていて、協力してあげてと言う。
まぁ、俺が先生と最後に会った人になるのかも知れないしな、と思い協力することにする。
面会時間になったので友凛病院へ行く。
今日は大人しく寝ている哲平と話していると、病室に陰気な医者が現れた。
確か、昨日喫煙室で、池辺先生を怒鳴ってた医者だ。
医者は哲平に、貴様、治す気がないのか、大人しく寝ていろと言ったのに、と言って去っていった。
あの医者は外科担当の陣堂で、怖くて陰気な感じだけど腕はいいらしい。
喫煙室で聞き込みをする。ほぼ毎日喫煙室に通っていて、昨日も池辺先生を見たという人に話を聞く。
池辺先生と陣堂は喫煙室でぶつかって、陣堂が煙草の箱を床に落としてしまったので、
池辺先生を怒鳴ったとのこと。その後、陣堂は落とした煙草を拾わずにそのまま出て行ったとのことだ。
師長さんや看護師さんたちにもひととおり話を聞く。
陣堂は変わってるけど、本当はいい人で、子供たちとは仲がいいらしい。
院長室にも行ってみる。多々良院長の専門は外科だそうだ。
3階の廊下でまどかちゃんに会う。またしても裸足だ。
スリッパを履かなくていいのかいと聞くと、だって暑いからイヤだという答え。
まどかちゃんを病室に送り届けてから、帰る。
サイバリアに行き今日の調査を奈々子に報告する。
学園の生徒たちに話を聞いた方がいいかな、と言うと、明日は始業式だから、
終わる頃校門のところに来ればいいよ、と奈々子は言う。
成美さんから電話がかかる。いつものようにスピリットに呼び出そうとしている。
哲平が居ないのでひとりで成美さんの相手をしなければならない。
気が進まないが行くことにする。まどかちゃんが持っているテディベアのことを話してみる。
成美さんは「ルーク」という名前に聞き覚えがあると言う。
そして酔いつぶれた成美さんを担いでセクンドゥムに連れて行く。
酒に弱いふたりで飲もうというのがそもそも間違いだろ、
所長かもしれない遺体のこととか、あの事件のことを夢に見たりとか、
俺だって酔いつぶれて眠りたい気分なのに、と思う。
160ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/14(木) 22:29:11 ID:8nUoasnA0
3日目
・・・ッ!
悲鳴を上げそうになるのを堪えて起き上がる。またあの夢だ。いい加減勘弁してほしい。
始業式が終わる頃を見計らって、友凛学園に行く。
生徒たちに話を聞くが、やはり池辺先生が殺される理由が見当たらないとのことだ。
声を掛けられたので振り向くと、氷室さんと森川が居た。森川がまたお前かと言う。
池辺先生の事を調査していることを正直に話すと、これから理事長に話を聞くから一緒に行こうと言われた。
理事長に話を聞いたが特に有効な情報は無かった。氷室さんたちと別れて病院へ行く。
小児科の先生にまどかちゃんの病気の事などを聞いたりなどして、
3階の廊下を通りかかると、まどかちゃんに会った。
るーくんが居ないから一緒に探して、と頼まれた。
るーくんと一緒に行動していたら、検査に行かなければならないので、陣堂にるーくんを預けたそうだ。
それ以降、陣堂もるーくんも見当たらないのだという。
お兄さんは探偵だから、捜し物は得意だよ、と言うとまどかちゃんはにっこり笑う。
まどかちゃんの手を引き、るーくんを捜し歩く。裏庭の隅の芝生の上にるーくんは寝ていた。
まとかちゃんはるーくんを抱き上げたが、あ、と気が付いて表情が曇る。
右目が取れてなくなっている。るーくんが落ちていた辺りを探すが見つからなかった。
まどかちゃんを病室に連れて行くが、表情が曇ったままだ。そうだ、成美さん・・・。
お兄さんは熊のお医者さんを知っているから、そこへるーくんを連れて行ってあげる、と言うと、
少し迷った後、まどかちゃんはるーくんを差し出してきた。
不思議に思ったまどかちゃんの母親が熊のお医者さんって?と聞くので、
アンティークショップをやっている知り合いが居て、と説明すると納得してくれた。
そのとき、突然、悲鳴が聞こえたので行ってみる。
3階の旧階段のところで陣堂が死んでいるとのこと。どうやら転落死のようだ。
いつも使っている階段じゃなくて旧階段だから、
あまり人も通りかからないので発見が遅れたらしい。
しばらく待つと森川がやってきた。氷室さんは?と聞くと、俺は氷室さんのオマケじゃないよ、という答え。
氷室さんは池辺先生の件を担当しており、別行動しているとの事だ。
るーくんをセクンドゥムに連れて行く。るーくんを受け取った成美さんは、しばらくるーくんを眺めてから、
首に付いたタグを見たりして、間違いない、ギリングの「ルーク」だわと言った。
長いこと行方不明になっていたテディベアなのだそうだ。
しかし、随分いとおしそうに眺めるんだな。きっと、ぬいぐるみとか好きなんだろうな。
本人に言ったら否定されそうだけど。
右目、治りますかと聞くと、同じ物が手に入るかどうか調べてみるとのこと。
そうだ、ちょっと待っててと言って成美さんは店の奥に行き、しばらくして戻ってきた。
るーくんの右目のところに包帯が巻かれている。
今日のところは、これで治療中だと言っておきなさい、と成美さんは言う。

4日目
京香さんがまどかちゃんに会いたい言うので、一緒に病院に行くことになる。
包帯の巻かれたるーくんをまどかちゃんに渡す。
るーくん、治るよね、と、まどかちゃんが聞くので、大丈夫、治るよと答える。
看護師さんたちが騒いでいるので行って話を聞くと、陣堂の遺体が霊安室から消えたと言う。
病院を出て京香さんと別れる。
サイバリアに行くと奈々子は居なかったが、諏訪弁護士が居た。
諏訪さん、サボる時はいつもここだな。そして、犬が好きらしく、愛犬のサイトをいつも見ている。
あとで秘書さんに怒られても知りませんよ。
161ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/14(木) 22:30:00 ID:8nUoasnA0
5日目
今日も病院で聞き込みだ。陣堂の遺体はまだ見つかっていないらしい。
夜、2階の廊下で、陣堂が踊っているのを見たと言う看護師さんが居る。
ホラー映画じゃあるまいし。
そういえば、この病院、幽霊が出るとかいう噂もあったな。事件とは関係なさそうだけど。
2階の廊下へ行ってみたが、これと言って変わったところは無い。
そこに森川が現れた。今日も氷室さんとは別行動らしい。
仕方ないだろ、捜査課で一番若いんだから、と森川はぼやいていた。
哲平の病室で陣堂先生の事を話していると、まどかちゃんが訪ねてきた。
恭介はモテモテだな、いろんな女性に好かれて、と哲平がからかう。
まどかちゃんみたいなのも居るじゃないか、と哲平が言うので、否定する。
奈々子も居るし、とも言われるが、いや、あいつも数に入れないでくれと答えた。
池内先生の件は氷室さんが担当しているんだっけ、話を聞いてみようと、警察署を訪ねる。
氷室さんはいつものように、俺を取調室に連れて行く。
池内さんの死因は中毒死らしい。唇の裏から毒物が検出されたとのこと。
それは、やっぱり煙草が原因かな。煙草と言えば、喫煙室で陣堂に怒鳴られていたっけ。
陣堂は煙草を落として、そのまま出て行ったんだよな。
ということは、陣堂の煙草を池辺先生が拾って持って帰ったのかも。
犯人が本当に殺したかったのは陣堂で、陣堂の煙草に毒を仕込んだが、
それを池辺先生が吸ってしまったのだろう。
警察署を出ると奈々子から電話だ。犯人、見つかった?と、とても直球な質問をされる。
駅前で待ち合わせることにした。奈々子に陣堂の死体が踊る話をすると興味津々という様子だ。
そうだな、今夜あたり病院に張り込むかな、と言ったら、奈々子は一緒に行くと言う。
夜に病院の前で待ち合わせることにしてから別れた。
自宅に帰り準備を済ませてから病院へ行く。奈々子は大きな荷物を持ってきていた。
今日は友達の家に泊まることになってるから、とのこと。
こっそりと哲平の病室まで行く。面会時間を過ぎても会いに来てくれるなんて嬉しいと哲平は冗談を言う。
そのまま夜まで待ってから、2階の廊下に行く。
奈々子は、ねぇ、どうしてあんまんには赤い印が付いてるの、などと脈絡も無い話をする。
いつもより口数が多い。もしかして、怖いのかな。
奈々子は突然絶句し、あれ、と言って指差す。その先には、陣堂が居た。
踊るように四肢をクネクネ動かしながら、後ずさりするように廊下の角を曲がり、消えた。
奈々子が叫び声を上げてしまう。誰かがこっちへ来そうだ。マズい。
奈々子に哲平の病室に戻って待てと指示してから、身を隠す場所を探す。
何も書かれていないドアがあった。たぶん物置だ。鍵が掛かってなかったのでそこに入る。
ふっと、嫌悪感を催すような匂いが鼻を突いた。これは、腐臭だ。
ぱっと見たところ、怪しい所はないように見えるが、床をよく見ると、
赤黒い汚れ・・・多分血痕が付いているし、髪の毛も落ちているようだ。
そうか、犯人はここに陣堂の遺体を隠しておいたのか。
陣堂が踊ったように見えたあれは、犯人が陣堂の死体を担いで持ち出しているところだったのだ。
廊下の足音が聞こえなくなったのを確認してから、物置を抜け出す。哲平の病室へ行こうとすると、
まどかちゃんに会った。お互い、看護師さんたちに見つかってはマズい状況だな、こりゃ。
一緒に哲平の病室へ行き、奈々子に、まどかちゃんを病室に連れて行って一緒に休めと指示する。
俺は2階の物置に隠れて朝まで待つことにした。
162ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/14(木) 22:31:19 ID:8nUoasnA0
6日目
朝になった。廊下ではちらほらと人の気配がする。もう外へ出ても大丈夫だろう。
4階のまどかちゃんの病室へ行くと、まどかちゃんと奈々子が仲良く寝ていた。
こうして見てみると奈々子は以外にも可愛いなと思った。学校に行く時間なので奈々子を起こすことにする。
2階に戻る。昨夜、陣堂先生が移動していった廊下を調べる。陣堂先生は、確か、この角を曲がって・・・。
そこには立入禁止と書いてあるドアがあった。どうやら手術室らしい。
鍵が開いているので、誰も来ないうちに中に入る。
手術台には、陣堂が寝かされていた。そしてその周りの床には、内臓が飛び散っている。
とても直には見れないが、遺体は腹を割かれて内臓が引きずり出されているらしい。
振り向くと、多々良院長が居たので、警察への通報を頼む。
これ以上ここに居ると吐きそうなのであわてて手術室を出た。
哲平の部屋で心を落ち着かせてから、2階の廊下に戻ると、氷室さんが居た。
森川はどうしたのかと聞いてみると、遺体を見て2分でトイレに駆け込んだという。
あれでも刑事かねぇ、と思う。射撃も下手だって聞いてるし。まぁ俺も人のことはあまり言えないが。
物置に血痕らしきものがあると氷室さんに伝える。それから医者や看護師さんたちに一通り話を聞く。
そうだ、るーくん、今日あたり治らないかな、と思い、まどかちゃんの病室へ行って、るーくんを預かる。
セクンドゥムへ行く。いつもの通り、カーテンが締めてあり、暗い。ヘルシングの鳴き声がする。
成美さん、居ますか、電気点けますよ、と声を掛けてから電気のスイッチを入れる。
成美さんは高そうな年代物の椅子に物憂げに腰掛けていた。その姿は、美しい。
美しいとは思うけど、恋愛感情とは結びつきそうもないんだよな。
現実感が無いというか、もしかしたら既視感かも。
ヘルちゃん、お店に出てきたらダメでしょ、と、
初めて会ったときと同じセリフが聞こえて、現実に引き戻される。
成美さんにるーくんを渡す。
あと3日もすれば右目が届くというので、しばらくるーくんを成美さんに預けることにした。
どうしたの、顔色が悪いわよ、と成美さんが訊くので、朝にグロいのを見ちゃって、と話す。
男はダメね、血とかに弱くて、と言うので、今回は性別は関係ないと思いますと反論すると、
成美さんは、あたし、血とか平気だもん、と言う。また吸血鬼みたいなこと言ってるし。
胸元で赤い輝きを閃かせながら、吸血鬼かも知れない人は店の奥へ消えた。

7日目
警察署に行くと、また取調室に通された。
氷室さんがビニール袋に入ったボタンのようなものを取り出す。陣堂のポケットに入っていたという。
るーくんの右目だ。すると、殺される直前まで、陣堂はるーくんを持っていた事になるな。
氷室さんと森川と、るーくんが居るセクンドゥムへ向かう。
るーくんの左目と照合すると、確かに同じ物だと判る。
るーくんが落ちていた所は、旧階段の下辺りだ。陣堂は、死ぬ直前までるーくんを持っていて、
旧階段の窓からるーくんを投げ捨てたのだ。では、何故るーくんを手放す必要があったのだろうか。
るーくんになにか秘密が?成美さんがるーくんを調べると、背中の縫い目の所に何か挟まっているとの事。
成美さんの長い爪が何かを引っ張り出す。1cm四方ほどの小さいもの、マイクロフィルムだ。
なるほど、陣堂はこのマイクロフィルムを犯人に渡すまいとして、るーくんに隠したのか。
そして犯人は、陣堂がマイクロフィルムを持ってないと判ると、飲み込んだのかと思って、
内臓を取り出して調べていたのか。
163ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/14(木) 22:31:59 ID:8nUoasnA0
そうなると、まどかちゃんが危ない。氷室さんは、森川の車に乗ってすぐ病院へ向かえと言う。
車内で森川とふたりきりになると、森川が口を開く。
お前、京香さんに上遠羽の遺体のこと話したのか、と。
まだ話してない、まだ所長だと決まったわけじゃないからと答える。だって、所長はそんな簡単に死ぬ人じゃない。
森川は突然ブレーキを踏んで車を止めた。
あの人に、そんな気休めばっかり言っているのか、本当に所長だったら、そのときはどうするんだよ、
と森川は語気を荒げる。
前から感じていたことが確信に変わる。森川は、もしかして・・・。
あの死体が父親だったとき、京香さんがどれだけ悲しむと思ってるんだ、と森川は言う。
なぁ、お前、もしかして、本気で惚れてんのか?だって変だろ、そんなにムキになるなんて、と訊いてみる。
そのとき、氷川さんから無線が入る。上遠羽の遺体な、鳴海さんじゃなかった、と言って切れた。
ほら、言っただろ、所長はそんな簡単に死ぬ人じゃないんだよ。思わず笑みがこぼれる。
馬鹿じゃねぇの、お前が生き返らせたんじゃないだろ。俺の勝ちだ、ざまあみろ、などと
森川と他愛ない言い合いをする。
はは、そうか、違ったのか・・・と言って、森川は泣き出した。
ありがとな、お前はお前なりに、京香さんのこと心配してくれてたんだな、と言うと、
森川は涙を拭った。京香さんには絶対言うなよ、と焦ったように森川は言う。
それからはなんだか照れくさくて、無言のまま車は友凛病院に着いた。
まどかちゃんの病室に行くと、まどかちゃんは居ないという。
森川と手分けしてまどかちゃんを探す。4階から旧階段を下りて、踊り場に着くと、
階段の途中に、まどかちゃんを抱えた多々良院長を見つける。多々良はまどかちゃんにメスを突きつけている。
3階に森川が現れ、銃を抜き多々良に向けて構えた。
あなたが犯人ですね、マイクロフィルムも見つけましたよ、と多々良に言う。
まどかちゃんを離せと言うが、多々良はもう正常な判断が出来そうに無いほど追い詰められていた。
森川に銃を捨てさせろ、それとまどかちゃんを交換だ、と多々良が言うので、森川に銃を下ろすよう頼む。
だが森川は下ろそうとはしない。なぁ、少しは俺の事信用しろよ、と言うと、やっと森川は銃を下ろす。
だが多々良は、銃を捨てるまではダメだと言い張る。ここで取っておきを出す事にする。
森川、お前、射撃下手だったろ、と森川に言うと、多々良はびっくりして森川を見た。
今だ、と思い、多々良の死角から近づき、まどかちゃんを奪うことに成功する。
森川はまた多々良に向かって銃を構えなおす。多々良は森川と逆方向、3階と4階の間の踊り場へ走り、
窓へと身を躍らせ、落ちた。下は裏庭の芝生だったので、多々良は一命を取り留めたが、重体だという。
164ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/14(木) 22:32:52 ID:8nUoasnA0
奈々子と同級生たちは、依頼して良かったと、喜んでくれた。
マイクロフィルムの中身には、不正な臓器移植の証拠が入っていたそうだ。
多々良と、そして陣堂も不正に一枚噛んでいたらしいが、陣堂が裏切ろうとしていたらしい。
不正が発覚してから、病院は大騒ぎ。入院患者は次から次へと転院していった。
哲平も、完全には治ってないのに強引に退院してしまった。
そして今日は、まどかちゃんが転院する日だ。京香さんと一緒に見送りに来た。
よそ行きの服を着たまどかちゃんは、久しぶりに電車に乗るのだとはしゃいでいた。
田舎の、もっと空気のいい病院に転院するという。
右目の治ったるーくんをまどかちゃんに手渡す。陣堂のポケットに入ってた方は証拠品なので
返してくれなかったので、成美さんが取り寄せた右目が付いている。
あのね、大きくなったらお兄さんのお嫁さんになるの、
るーくんがいいって言ってくれたから、と、まどかちゃんは言い出すのでびっくりする。
そうか、俺は熊に認められましたか。って、何歳違うと思ってるんだ。
いいじゃないの、まどかちゃんが18歳のとき、探偵さんは36、7でしょ、オイシイじゃない、
などと看護師さんがからかう。
京香さんを見ると、こんな小さな子の夢を壊したら承知しないわよ、と顔に書いてった。
でも、こういうのって、そのときになったら、本人はきっと忘れてるものなんだよな、と思いながらも、
わかった、待ってるよ、と返事をする。
セクンドゥムに行って、成美さんにるーくんのお礼を言う。
成美さんもお裁縫とかするんだ、と訊くと、るーくんの右目を縫ったのは柏木のジジイよ、という答え。
ああ、やっぱりな。そんな事だろうと思った。
それはそうと、顔色が良くなったわね、と成美さんが言う。そういえば、最近あの夢を見なくなったな。
氷室さんから電話が入る。上遠羽の遺体は、元毎朝新聞の柴田という男なのだそうだ。
柴田さんなら、先月会いましたけど、と言うと氷室さんは首を傾げる。
あの柴田という男、何者なんだろう?
To Be Continued
165ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/14(木) 22:33:33 ID:8nUoasnA0
続きはまた明日ノシ
166ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/15(金) 05:37:30 ID:YyCdStCB0
第5話 迷いの懐中時計

1日目(9/15)
・・・あ、そうか、夢か。珍しく、目覚ましが鳴る前に目を覚ます。
雨が降っていて、そこに哀愁漂うメロディーが流れている、そんな夢だ。
どんなメロディーだったかはよく思い出せない。
テレビを見ていると、遠羽の港の近くに巨大なホテルが完成したとのニュースが流れた。
全面ガラス張りの建物だ。天狗橋を渡って駅前を過ぎ、ずーっと歩いたところだな。
併設されたイベントホールでは、来る9月30日に「Aim(アイム)」という
チャリティーイベントが開催されるらしい。
探偵事務所に出勤すると、嘉納兄妹からエアメールが来ていた。
Aimで潤ちゃんがピアノを弾くことになったので、9月23日にふたりは日本に帰ってくるという。
特に依頼も無いので、所長が残したファイルを整理することになる。
こうしてみると並び順が滅茶苦茶な上にファイルのタイトルから内容が想定できないし、
明らかに仕事とは関係無さそうなものも混じっているし、途方に暮れてしまう。
失踪者リストのところに、何故か枕ヶ碕のバラバラ殺人の新聞の切抜きが挟んである。
お父さんって、家でもこんな感じなのよ、本とか、滅茶苦茶な順番に並べてるけど、
自分だけはどこに何があるか判ってるらしいのよ、お母さんが掃除できないって嘆いてたわ、と京香さんが言う。
京香さんのお母さん、確か、清香(さやか)さんでしたよね、と確認してみる。
そうよ、22年前に病死したって言うけど、病死しそうには見えないほど元気だったわ、
時々、本当に病気だったのかと考えるの、と、伏目がちに京香さんは言う。
清香さんの名前を聞くと心臓が跳ね上がる。先日、友達から偶然に清香さんの名前を聞いてしまった。
友達と言っても、「SAKU」というハンドルネームしか知らない、チャット友達だけど。
SAKUはハッカーで、時々調査に協力してもらっている。
−鳴海清香っていう人が、22年前通り魔に刺されて死んだの、知ってる?
SAKUからそんなメッセージが届いていた。
同姓同名の別人であってほしい、と願う気持ちもあるけど、多分、間違いないだろう。
氷室さんから電話が入り、警察署にちょっと来いと言うので事務所を出る。
とおば東通りで奈々子に遭遇する。突然、携帯電話を奪われる。
どのポケットに入っているか知っているらしい。鮮やかな手つきだったなぁと感心していると、
奈々子はなにやら携帯電話をいじっている。
ほら、いつも電子音でつまらないから、着メロ入れといてあげたよ、最近話題の曲、と言って、
奈々子は携帯電話を返す。勝手に何するんだと思ったが、なかなかいいメロディーだ。
というか戻し方がよく解らないので、しばらくそのままにするしかない。
警察署の前で森川と、諏訪弁護士が何やら話していた。諏訪さんは忙しいからと言って早々に帰っていった。
森川に、また証拠品かなんか隠してるんじゃないか、何せ前科があるからな、などと難癖を付けられる。
また氷室さんに取調室に通される。上遠羽の遺体、柴田という元毎朝新聞の記者の事について話す。
そして、7月に会った柴田と名乗る男がやっぱり怪しい、という結論になる。
思い切って、氷室さんに清香さんの事を訊いてみることにする。
所長が刑事を辞めたのは、清香さんの死が原因だったらしい。
犯人と思われていた、大野という男は、証拠不十分で逮捕出来ないうちに、病死してしまったそうだ。
久しぶりに諏訪さんの事務所に行ってみることにするが、やっぱり忙しそうだ。
諏訪さんはAimのスポンサーの会社の顧問をやっているそうで、
イベントが近いのでいつもより余計に忙しいらしい。早々に退散する。
ご隠居の家で、夕食をごちそうになる。成美さんも来ていた。
食事の後で成美さんが、アイスが食べたいと言い出した。
しかも、メロディマートというコンビニにしかないオリジナル商品のやつだ。
この辺りではメロディマートは数見町にしかない。遠いなぁ。
でも成美さんは言い出したら聞かないので、仕方なく哲平とふたりで買いに行くことにする。
メロディマートの前では、少年たちが喧嘩をしていて、店内に入れない状態だ。
なんとかその場を収めると、その中に高校生くらいの少女が居るのに気付く。
睦美(むつみ)と呼ばれたその少女は、
助けてくれなんて言ってないのに余計な事するなと突っかかってきたが、
連れの少年に諌められ、去っていった。
アイスを買って柏木邸に帰るとだいぶ時間が経っていた。成美さんはすでに寝ていた。
すっかり疲れきって帰宅する。
167ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/15(金) 05:38:12 ID:YyCdStCB0
2日目(9/16)
朝、久しぶりにチャットツールを立ち上げると、SAKUはオンラインになっている。
清香さんの死について、もっと知っている事はないかと訊いてみると、
SAKUはわかった、調べておくと言ってくれた。
探偵事務所に行って、今日もファイルの整理をする。
京香さんが面白いファイルを見つける。植物の標本だ。なになに、上遠羽山から採取、か。
近所で取れる雑草がいろいろとファイルしてある。
ふと気になったので、所長のことをいろいろと京香さんに聞いてみる。
所長が失踪した時に無くなっていた物は、大きい鞄と、自宅の本棚の、一部に入っていたもの。
そこにはアルバムも含まれていたらしく、お陰で今でも俺は所長の顔を知らないのだ。
日が暮れてから、成美さんから電話が入る。スピリットに居るので来いと言うので
行こうとすると、京香さんが自分も行くと言うので連れて行くことにする。
スピリットには哲平も居た。
京香さんは成美さんに、私用で真神くんを呼び出すな、などと抗議しているが、
成美さんはそれを無視して俺に声を掛ける。
ペンダントを売ったことがある店と連絡が取れたから、と成美さんが言う。
メモを渡された。「古刻堂(ここくどう)」。メールアドレスも書いてある。
はっとして目を覚ます。二杯目の乾杯までは覚えているけど、やっぱり記憶が無い。
成美さんは奥の方で寝ているから、哲平が担いで運んでいくと言うので、
とりあえず京香さんとふたりで先にスピリットを出ることにする。
地下にある店のドアを出て、階段を上り、路地に出ると、人が倒れているのが見える。
その人の横に屈みこんでいる人が居る。暗くてよく判らないが男のようだ。
男はこちらに気付くと突然逃げ出した。京香さんは男を追いかけ、走りだしたが突然止まり、
何かを拾い上げてポケットに入れた。京香さんは元気が無さそうな様子で戻ってきた。
追いかけようと思ったけど、ハンカチを落としちゃって、それで逃げられた、などと言い訳をしている。
違う、京香さんが落としたんじゃなくて、逃げた男が落としたものを拾ったんだろう、
と思ったが、京香さんは思う所があるらしいので何も言わない事にする。
倒れている人を見るとやはり死んでいた。何故か白い手袋をしている男性だ。タクシーの運転手かな。
いつものように警察に連れて行かれる。何も見ていないであろう、哲平と成美さんも連れて行かれる。
京香さんは何か思いつめた表情をしている。森川が必要以上に京香さんを心配している。
森川も頑張るよなぁと哲平が関心している。あれ、森川が、京香さんのこと好きだって話したっけ?
疑問に思っていると哲平は、森川が京香さんを見る目が違うからわかると言う。へぇ、そんなものなのか。
色恋沙汰は苦手だろ、好かれてるのに、気付かないでそのまま終わってるんじゃないのかと哲平は俺に言う。
かなり痛いところを突かれた。いや、さすがにそんなことは無いと思う・・・多分。
京香さんは具合が悪そうにしているので、仮眠室で休む事になった。
事情聴取を受ける。何度も迷ったが、結局、京香さんが何か拾ったらしい事は言わなかった。
168ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/15(金) 05:38:55 ID:YyCdStCB0
3日目(9/17)
氷室さんから話を聞く。被害者は波多野という男で、遠羽タクシーの運転手だそうだ。
外はもうすっかり明るくなっていた。受付で女性陣を待つ。
仮眠室から京香さんが起きてきた。いつもの調子とまではいかないが、元気になったらしい。
そして成美さんも、寝ぼけながらも起きた。外にタクシーが呼んであるらしい。
森川が、早く出ろと言いながら俺を外へ引っ張って行こうとする。
それを見て成美さんは、突然叫び声を上げた。
やめて、お父さんを連れて行かないで、などと喚きちらし、恐慌状態に陥ってしまう。発作を起こしたようだ。
結局成美さんは仮眠室に逆戻りした。
成美さんが明るいのが苦手なのって、肌が紫外線に弱いとか、
そういうのだとばかり思っていたけど、精神的なものだったのか。
いや、ただ明るいのが苦手なだけじゃなさそうだ。哲平の話も総合すると、
明るい外へ誰かが連れて行かれるのがダメらしい。俺が連れて行かれる場面に反応したように。
保護者はいないのか、と聞かれ、ご隠居を呼び出すことになる。
みんなで成美さんを柏木邸に連れて行き、寝かせる。
成美さんには、暗いところは安全で、明るいところは危険だという認識が擦り込まれてしまっている、
とご隠居は言う。
京香さんと探偵事務所に行く。事務所の前で、中学生くらいの少年がうろうろしている。
少年を事務所の中に入れてソファに座らせる。
京香さんは机のところに行き、ポケットから何か取り出すと、ぎこちない動作で引き出しに入れた。
昨日拾った物だろう。俺は気付かない振りをしたが、京香さんが居ないときにこっそり確かめようと思った。
少年は「波多野皐月(さつき)」と名乗った。あのタクシーの運転手の息子だと言う。
警察署に行ったとき、ここを紹介されたのだそうだ。
犯人をきっと捕まえてください、という皐月くんに対し、京香さんはいつものようにやる気になっている。
でも、実働は全部自分に押し付けられるんだろうな・・・と思ったが、
以外にも、京香さんは自分で調査すると言い出す。
清香さんのことも調査しないといけないし、とりあえず探偵事務所を出る。
しばらくすると、皐月くんと京香さんが出てきて、諏訪弁護士の事務所の方へ向かった。
ふたりが戻ってこないのを確認すると、事務所に戻って、
心の中で京香さんに謝りながら引出しを開ける。
金色の深い輝き。蓋のついている懐中時計だ。指紋を付けないよう、ハンカチに包んで取り出す。
蓋を開いて驚く。文字盤が二つあって、それぞれ違う時間を表示している。
キャプテンウォッチとかいうヤツだ。少し迷ったが、デジカメで写真を撮ってプリントし、
それを持って行くことにして、現物は元通り置いておくことにする。
京香さんが戻って来ないうちに事務所を出る。
警察署に行って、氷室さんに懐中時計の写真を見せてみると、見覚えがあるという。
誠司所長が持っていたものに間違いないそうだ。あの時、逃げ出した男はやっぱり所長だったのか。
だから京香さんは、所長が波多野を殺したと思って自分が調査すると言い出したのかも。
夜、メロディマートの前で皐月くんを見かける。
あのとき会った不良少女、睦美ちゃんの服の裾を引っ張りながら、
お姉ちゃん、もう帰ろうなどと言っている。ふたりは姉弟だったのか。
俺の顔を見るなり、睦美ちゃんはまた突っかかってくる。
学校には行っているのかと聞くと、そんなもん行ってられるかと乱暴な答えが返ってきた。
帰宅後、古刻堂さんに、ペンダントについての質問のメールを出しておく。
169ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/15(金) 05:40:02 ID:YyCdStCB0
4日目(9/18)
探偵事務所に行くと京香さんは目の下にクマを作っていて、ふらふらしている。
本人は大丈夫だと言うがどう見ても寝不足だろう。
また迷惑をかける事になるが、ご隠居の家に連れて行って休ませることにした。
ごめんねと京香さんは謝る。素直に自分に任せてくれればよかったのに。
京香さんに昨日の調査について聞くが、成果が上がらなかったという。
たとえば、遠羽タクシーの事務所に行って波多野について聞いてみるとか・・・、
そういう事はちっとも考えつかなかったらしい。
遠羽タクシーに行って聞き込みすることにする。
そういえば、15日に、車内に忘れ物をした人がいたので、それを波多野は交番に届けたとのこと。
忘れ物は事務所で預からずに交番に届けるらしい。
近くの数見町交差点派出所に行ってみる。名刺を渡すと、警官は宇野巡査と名乗った。
何故か俺のことを名探偵だと尊敬の眼差しで見ている。
どうやら、この派出所の丸尾巡査が森川と知り合いらしく、そこから伝わったらしい。
森川が自分のことを名探偵などと言うはずが無いので、どこかで間違って伝わってるな、
まぁお陰で宇野巡査は協力的で助かるけど。
丸尾巡査の件ですか?と宇野巡査は聞く。
そういえば、15日に警官殺しがあったっけ。それがこの派出所なんだな。
そうじゃなくて、忘れ物の事なんですが、と、最近どんな忘れ物が届けられたか聞く。
最後は13日で、15日の記録なんてないですよ、と記録簿を見せてくれた。
記録簿をよく見ると、15日の所に破り取られた跡がある。
15日の事を聞いてみる。宇野巡査と丸尾巡査はその日の当番で、
宇野巡査が見回りに行って帰って来たら、丸尾巡査が殺されていたとのことだ。
きっと丸尾巡査を殺した犯人が、記録簿を破って、忘れ物を持ち去って行ったのだ。
帰宅後、メールをチェックすると、古刻堂さんから返事が来ていた。
25年前、骨董好きの若い男にペンダントを2つ売ったとのこと。
もう少し調べれば誰に売ったのか判明するので、判りしだいまた連絡するとのことだ。
そういえば、以前、成美さんに、あのペンダントは同じ物が10個あると教えられたっけ。
2つ買うって事は、誰かとペアで着けようと思ったのかな。
父さんはペンダントを持っていなかったので、きっと父さんが買ったわけじゃないだろうから、
古刻堂さんが売ったのは、母さんが持っていたペンダントじゃないだろう。
でも、ひとつ譲ってくれないかな、と思った。
170ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/15(金) 05:40:45 ID:YyCdStCB0
5日目(9/19)
探偵事務所を下から見上げると、ブラインドが上がっていた。
京香さんは元気になったようだ。今日は自分も調査に行くと言うので、
一緒にまた遠羽タクシーの事務所へ行く。
15日にタクシーに忘れ物をした人はどこへ行こうとしてたのか聞いてみたが、判らないと言う。
そうだ、15日に波多野が乗っていたタクシーが車庫にありますよというので
見せてもらうことになる。波多野が死んでからそのままだという。
後部座席の足元に、雑草が落ちていた。京香さんが驚きの声をあげる。
これ、お父さんのファイルにあった草だ、たしか上遠羽山で採取したって・・・。
早速、上遠羽山へ向かうことになる。山のふもとに、タクシーの中に落ちていた草が群生していた。
この辺りは、たしか、エイジが木に縛りつけられていた所だな。あの異様な現場がフラッシュバックする。
何故か奥のほうが気になったので、行ってみると防空壕と思しきものがあった。
そこから、嗅いだことのある匂いが漂ってきている。
京香さんはここで待っていてくださいと言って、ひとりで防空壕に入り、
積み上がった枯草の山の中を探るとスーツケースが出てきた。
匂いが強くなり気分が悪くなる。これは、腐臭だ。
スーツケースには鍵が掛かっていたが、抉じ開けると、中身はやはり死体だった。
服装から男らしいという事だけは判るが、それ以上はとても確認できるような状態ではない。
警察に通報すると、また氷室さんと森川が来た。
森川に、なんでこんな所に京香さんを連れてきたんだと文句を言われたが、
京香さんが自分で行きたいって言ったんだ、と言っても納得してくれそうにない。
氷室さんから、被害者は行方がわからなくなっていた公安課の刑事だという事を教えてもらう。
手口も同じだし、警官殺し、波多野殺しと同一犯だろう。
そして、犯人は右利きであろうという事も教えてもらうと、突然京香さんは泣き出した。
お父さんじゃなくて良かった、と。所長は左利きだったのか。
また京香さんと一緒に柏木邸にお邪魔することになる。
お父さんは危険な事を調査していたに違いない、そして誰も巻き込まないように、
姿を消したに違いない、と京香さんは言う。
それに、お母さんは病死じゃないでしょ、とも。
清香さんは、通り魔に刺されて死んだ、犯人の大野という男は、病死したと、
今までわかっていることを教える。
誠司所長が調査していた、危険な事とは何か?
それは、事務所のあの謎のファイルの山の中に眠っているに違いない。
意を決して探偵事務所へ向かう。今日こそは、徹底的にやってやる。
まず、調査と全く関係の無さそうなものを除き、残ったものをいくつかの分類に分ける。
そして、この前見つけた意味の判らない謎の暗号のようなメモを見る。
「M→A→Y→?」「Gが鍵か?」
Aは青島組だということはすぐに判った。Mは枕ヶ碕かな。
枕ヶ碕で失踪したという人のリストがあちこちのファイルにある。
ジョンとかクロとか書いてあるので、犬か猫かそんなのかと思ってたけど、人間らしい。
Yは友凛病院だろう。友凛病院に関する記述も多い。
Gは木原剛三だ。剛三に関する記録がある。
ええと、枕ヶ碕で失踪した人が青島組に拉致されて友凛病院に連れて行かれる?
それを指示してたリーダーが木原剛三?
そういえば、友凛病院といえば、多々良院長が探していたマイクロフィルム、
あれには不正な臓器移植の証拠が記録されていたんじゃないっけ?
失踪した人はきっとドナーになって、そして枕ヶ碕のバラバラの遺体に・・・。
・・・繋がった。もはや一個人ではどうしようもないような巨大な組織が裏にあるのだ。
それに、所長は立ち向かおうとしている。
ああ、そうか、きっと誰かが、こうやってこのファイルの山を読み解くのを期待して、
こんな暗号みたいなのにして残したのだ。
そして、俺はついに辿り着いた。所長が期待した答えに。
171ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/15(金) 05:41:28 ID:YyCdStCB0
6日目(9/20)
朝のニュースを見る。豪華客船アニバーサリー号がもうすぐ新遠羽港に就航するとのこと。
アニバーサリー号はAimを主催する団体が持っているという船だ。
あれに乗って潤ちゃんと浩司さんがやってくるって言ってたな。
新遠羽港ってのは、イベント会場の近くの港だ。
探偵事務所には京香さんと、氷室さんも居た。ふたりに、昨日読み解いた答えを教える。
氷室さんは、これから波多野姉弟に聞き込みするから一緒に来いと言う。
サイバリアで待ち合わせだという。
あんなところでは話を聞くどころではないんじゃないかと悪い予感がしたが、
案の定奈々子がうるさくて険悪なムードになってしまう。
なんと、奈々子と睦美ちゃんは顔見知りなのだという。隣のクラスだもん、とのこと。
睦美ちゃんもあのお嬢様学校に通ってるのか・・・。
と、そんなことはさておき、睦美ちゃんに、波多野が殺される前のことを聞き出す。
殺される前の晩、睦美ちゃんが部屋でMDを録音していると、波多野が部屋に入ってきて、
今日、後部座席でこの曲がずっと鳴っててうるさかった、とそんな話をしたという。
そのとき録音していたMDを持っているというので聴かせてもらうことにする。
MDのラベルには、「Painful rain」と書いてあった。
なるほど、題名の通り、悲しげなメロディーだ。
これ、おじさんが若い時に流行った洋楽なんだよね、と氷室さんは言う。
あ、どこかで聴いたことがあるな。携帯電話を取り出して、鳴らしてみる。
テンポがぜんぜん違うが、同じ曲だ。
それ、最近カバーされた方だろ?そっちはあんまり好きじゃない、と睦美ちゃんは言う。
後部座席でずっと鳴っててうるさい、それは携帯電話の着メロではないか?
そうか、忘れ物は携帯電話だったのだ。上遠羽山で公安の刑事を殺し、
帰りのタクシーに携帯電話を忘れ、携帯電話は交番に届けられた。
忘れ物に気付き、自分の携帯電話に電話をかけ、電話に出た警官を殺して取り戻し、
そして忘れ物を知っているタクシーの運転手まで殺したのだ。
172ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/15(金) 05:42:42 ID:YyCdStCB0
7日目(9/21)
朝、パソコンを立ち上げると、SAKUからメッセージが届いていた。
−大野っていう男は、昭沢(あきさわ)という医者が、医療事故で死なせたことになっている。
−昭沢は医師免許を剥奪され、その後闇医者をやっているらしい。
−今、昭沢は枕ヶ碕に居るそうだ。
所長は今どこに居るのだろう。やはり、フリーライターの柴田、彼が所長だろうな。
毎朝新聞の柴田が殺されたのをいい事に、柴田になりすましているのだろう。
初めて会ったとき、とおば東通りでばったり京香さんに会うと、柴田は消えていた。
顔を知っている京香さんの前に出られなかったのだろう。
自分や哲平は所長の顔を知らないと確信していたのだ。
そこまでして立ち向かわなければいけないものって・・・。
ポケットの中で「Painful rain」が流れ出す。テンポが速いが哀愁漂うメロディーはそのままだ。
出てみると氷室さんからだ。話したいことがあるから、警察署の屋上に来いという。
受付で顔見知り、とくに森川などに見つかってはマズいなぁと思いながらも、
誰にも見咎められずに屋上まで行けた。なんだか今にも雨が降りそうないやな天気だ。
氷室さんは、今回の一連の事件は内部の人間の犯行の可能性が高いと言う。
携帯電話を取り戻すときも、タクシー運転手を殺すときも、刑事だと何かと都合がいい。
氷室さんを呼びに、森川が来たが、俺が居るのを見て、なんでお前が居るんだよといつものように言う。
突然、「Painful rain」が流れる。ゆったりとした哀愁漂うメロディー。
森川は携帯電話を取り出す。着信ランプが光っている。誰かと話して、電話を切る。
それ、「Painful rain」だろ?と訊くと、よく知ってるな、昔のバージョンなのにと森川は答える。
まさか、森川が・・・?
森川ぁ、15日の夜、お前の携帯電話に電話をかけたけど、出なかったときがあるよなぁ?と氷室さんは訊く。
森川は、懐に手を入れ、拳銃を抜く。氷室さんも抜いたが、森川の方が一瞬早かった。
森川が撃った弾は氷室さんの手の甲を掠めた。氷室さんは拳銃を落とす。
夢中でその銃を拾って、森川に向け両手で構える。
ああ、銃ってこんなに重いものなのか、森川のやつ、こんなものよく片手で撃つよなぁ、と思った。
一連の事件の犯人は、やはり森川だったのだ。
頭ではわかっているが、心はその事実を拒絶している。
なんて現実感が無いんだろう。俺と、森川が銃を構えあってるなんて、
こんなの、悪い夢を見ているとしか――。
公安の刑事は織田県警本部長の不正を嗅ぎつけたので殺された。
そして、他の人たちが殺された理由は、昨日推理した通りだ。
邪魔するヤツは容赦しない、仕方ないが排除した、と森川は言う。
織田県警本部長は、所長が立ち向かっている組織の一員だ。そして、森川も。
組織は内部分裂しそうなのだという。柴田が、所長が言い残した、「世代が代わる」という言葉、
あれは剛三が死んで新しいリーダーが生まれるという事か。
お前、射撃が下手だなんて嘘だろう、でないと氷室さんに向けて撃てないよな、
正確に手の甲を狙うなんて出来ないよな、本当は、撃ちたくないんだろと指摘すると、
森川は、何を勝手に解釈してるんだ、と言う。
じゃあ、どうして所長が生きていると判ったとき泣いたんだよ?と言うと、
森川の顔にはっきりと動揺の色が見える。
今まで、氷室さんも俺も、森川を疑うことなんか無かった。
だが、所長が生きていると知ってからの森川は、簡単に足が付くようなミスばかりしている。
それは、所長が死んでいることが心の拠り所だったからだ。
初めから、京香さんの敵だと、結ばれぬ運命だと思っていたからこそ、
森川は平気で殺人も出来るような人間になれたのだ。
俺たちの組織が、京香さんの父親を殺した、そう思うと夜も眠れなかった、と森川は言う。
森川は、ゆっくりと銃を下ろす。
銃声が聞こえ、森川の左胸にパッと血が広がる。
どこだと思って見渡すと、少し離れたビルの屋上に、見覚えのある顔、威が冷たく嘲笑を浮かべていた。
威の部下がライフルを持っている。裏切りそうになったから撃ったのか。
悔しがるこちらを尻目に、威と部下は悠然と去っていった。
気をつけろ、組織、”パーツ”・・・それだけ言うと森川は死んだ。ちょうど雨が降り出す。
「Painful rain」が耳の奥で鳴り出したような気がした。
173ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/15(金) 06:17:12 ID:YyCdStCB0
次の日、睦美ちゃんと皐月くんが、氷室さんと共に事務所を訪ねてきた。
事件が解決したので、お父さんのお参りに行くそうだ。
波多野が死んでいた路地に、みんなで行く。消えかけたチョークの跡に花を供えて手を合わせる。
ヘンね、携帯電話のためだけに、罪の無い人たちを殺したと判ってるのに、
森川くんのこと、嫌いになれないの、と京香さんは言う。
氷室さんは俺に、あの組織に立ち向かうつもりか、と訊ねる。もちろんです、と答える。
それじゃ、敵討ちといきますか、と氷室さんは言って、歩き出す。
To Be Continued
174名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/15(金) 06:42:34 ID:VhzbzRAq0
ふらっと見に来ただけだが、すげー長いのが展開中だな…
175ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/15(金) 07:09:34 ID:YyCdStCB0
>>174
長いのは短くまとめられないからですorz
殺人事件とか合計6件削ったけどこれだ
まぁPS2ソフト2本分つーことで許してください

最終話イクゾー!
176ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/15(金) 07:10:38 ID:YyCdStCB0
第6話 追憶のペンダント

1日目(9/23)
探偵事務所の、所長が残したファイルの棚を眺めていた。
京香さんに声をかけられるまで、5分ほどそのまま固まっていたらしい。
しばらくして哲平と氷室さんが訪ねてきた。氷室さんは謹慎中にもかかわらず出歩いている。
4人は、これから立ち向かうであろう巨大な組織、
森川が命をかけて教えてくれた”パーツ”という組織の事を考える。
”パーツ”では、トップの木原剛三が死んだせいで内部分裂が起きているらしい。
今まで関わった事件から、”パーツ”に関係がありそうな人を探す。
まず死んだ木原剛三に、青島組の組長、入院中の多々良院長、森川の話に出てきた織田県警本部長。
たぶん威もそうだろう。一見無関係そうな事件が繋がっていたなんて。
所長のメモにあった通り、不正な臓器移植と枕ヶ碕の失踪者が本当に関係があるとしたら・・・、と考え、
まず失踪者を当たる事にする。それと、”パーツ”に関係がありそうなものをもっと調べなくては。
後で哲平と柏木邸で落ち合うことにして、事務所を後にする。
枕ヶ碕でどんな失踪者が居るかタカなどに聞き込みをし、夕方、柏木邸に向かう。
門の外にご隠居が出てきた。黒い車が通りかかる。そして、銃声。
ご隠居が撃たれてしまった。黒い車には、見覚えのある人物が乗っていた。威の部下だ。
早く救急車をと思ったが、哲平は闇医者に連れて行くという。
そういえば、前に無免許の昭沢という医者が枕ヶ碕に居たというのを聞いたことがあるのでそれを哲平に話す。
哲平はご隠居と共にタクシーに乗り、闇医者のところへ向かった。
セクンドゥムへ行き、成美さんにご隠居が撃たれた事を告げると、成美さんはまた発作を起こしてしまう。
おじいちゃん助けて、などと言っている。
とてもひとりにさせられる状態ではないので闇医者の元に連れて行く事にする。
昭沢先生が居るところは、ボロアパートの一室で、とても治療をするところではないと思うが、
とにかく奥の部屋で治療中とのことだ。手前の部屋で夜を明かす。
177ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/15(金) 07:12:09 ID:YyCdStCB0
2日目(9/24)
昭沢先生が奥の部屋から出てきた。
昭沢先生は22年前に、成美清香さんを殺した容疑者、大野を治療した医者だ。
そのときのことを昭沢先生に詳しく聞く。
大野は、盲腸で入院してきたという。別に、死ぬような病気ではなかった。
無事に手術を終えたが、その日の夜、突然容態が悪化したというので駆けつけてみると、
既に大野は死んでいたとのことだ。きっと、大野は誰かに殺されたのだと昭沢先生は言う。
そして、その責任を問われ、医師免許を剥奪され、何者かに追われる日々が始まった。
闇医者をしながら、各地を転々とし、そして7年前に枕ヶ碕に来た。
大野を殺したのも、昭沢先生を追いかけているのも、きっと”パーツ”に違いない。
哲平を残し、俺と成美さんは帰ることにする。成美さんをセクンドゥムに送る。
探偵事務所に行くと留守電が入っていた。浩司さんからだ。
そうだ、昨日帰ってくると言っていたっけ。京香さんと一緒にイベント会場へ行く事になった。
イベント会場に併設されたホテルのロビーで嘉納兄妹に会う。
京香さんは潤ちゃんと何やら話しこんでいるので、会場内をあちこち行ってみることにした。
イベントホールに唯ちゃんと亀山さんが居る。唯ちゃんはイベントで歌うことになっているそうだ。
スタッフ詰め所では意外な人物を見かける。睦美ちゃんと明日香ちゃんだ。
睦美ちゃんは本当はやりたくないけど、少年課の刑事に勧められて手伝っているのだと言う。
明日香ちゃんも元気なようだ。今はお手伝いだけど、いつか正式なスタッフになりたいと言っている。
セクンドゥムへ帰って成美さんの様子を見る。成美さんは俺を見て、
お父さん行かないで、などと言う。お父さんと間違えているらしい。幼児退行してるよ。
帰宅後、メールをチェックすると古刻堂さんからメールが来ていた。
ペンダントを買った人は「杉内和将」という人らしい。住所も判っているが、今はそこには住んでいないという。
あのペンダントって、宝石としての価値はそんなにないらしいけど、
一応アンティーク・ジュエリーって事になるよな、ということで少し調べてみることにする。
アンティーク・ジュエリーは、一度台座に嵌めてしまった後は、外すときに宝石に傷が付いてしまうらしい。
傷と言えば・・・と、机の脇に置いてある母さんの写真に目が行く。あのペンダントを着けて微笑んでいる写真。
母さんが持っていたペンダントの宝石には、傷が付いていた事を思い出した。
何故傷があるのかと訊ねた事があるのも覚えている。
同じものが10個あるとしても、本当に母さんが持っていたものがどれだか判別できるなんて思わなかった。

3日目(9/25)
インターネットで杉内が住んでいた所を調べると、今はコンビニになっていた。
「杉内和将」という名前で検索をかけると、杉内一家は24年前謎の失踪を遂げていることが判明した。
チャットウィンドウを開くとSAKUがオンラインになっていたので呼び出す。
ペンダントを買った杉内一家は失踪している事を話し、協力を仰ぐ。
探偵事務所に行き、所長が残したファイルから失踪者のリストを引っ張りだして調べる。
「杉内」という名前はどこかで見たと思ったが、やっぱりこのリストに載っていた。
「杉内和将 31歳 妻・弥生 長女・音々」か。
枕ヶ碕で聞いた失踪者の名前もいくつか載っている。
夜、帰宅後に裏サイトを見てみる。あの、ペーパーナイフを探しているという書き込みに、
レスが付いている。書いたのは威に違いない。寒気がする。落ち着け、俺。
彼女の事を思い出しそうになる。心の一番奥に閉じ込めてあったそれを、もう一度仕舞い直す。
心を落ち着けてからその書き込みを見る。そこには、「ゲームを続けましょう」と書いてあった。
書き込まれた日付はご隠居が撃たれた日だ。やっぱりあれは威の差し金だったのか。

4日目(9/26)
昼頃、サイバリアに行くと、諏訪さんがまたサボっていた。
また相変わらず愛犬のサイトを眺めている。そのサイトの犬の値段は高くて買えないが
ついつい見てしまうのだと諏訪さんは言う。もうすぐイベントなのにサボってていいのかなと思う。
帰宅後にメールをチェックするとまた古刻堂さんからメールが来ている。
あのペンダントは、本物はひとつだけで、残りの9つは似せて作られた偽物だと言う。
母さんが持っていたのが偽物だったとしても構わないのに、だって形見なんだし、と思う。
178ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/15(金) 07:13:15 ID:YyCdStCB0
5日目(9/27)
探偵事務所に行くと、誠司所長が何食わぬ顔でテレビを見ていた。
だらしなくスーツを着た眼鏡の男。やはり柴田が所長だったのだ。
本物の柴田は所長と間違われて殺されたので、所長は柴田になりすまして行動していたとのこと。
どこまで掴んでる?と所長に言われ、今まで調査した結果を報告する。
そして、Aimが”パーツ”と関係ありそうだという事も。
それを聞くと、所長は笑った。さすがは俺の弟子だ、と褒められた。いつから弟子になったんだろう。
帰宅後にメールをチェックすると、SAKUからメールが来ていた。
杉内一家の写真が手に入ったので添付するとのこと。
開いてみて、我が目を疑う。あのペンダントを着け、娘を抱きながら微笑む女性、
その顔は、母さんとそっくりだった。写真も残ってるし、自分でも覚えているので、間違うはずはない。
自宅にはプリンターがないので、明日事務所でプリントしよう。
その夜はなかなか寝付けなかった。

6日目(9/28)
ネットで失踪者のことを検索してみようとサイバリアに行く。
所長のリストを見ると、あだ名と本名とどっちも載っているけど、あだ名で検索してみる。
案の定、絞り込めなくて膨大な量のサイトが引っかかった。
ジョンとかクロとかいう名前だから、犬のサイトが引っかかっている。
開いてみると、いつも諏訪さんが見ている愛犬サイトだった。
ふーん。やっぱり値段が高いなぁ。
帰宅後、裏サイトを見てみる。
ペーパーナイフの書き込みにレスが増えているので開くと、威からだった。
いろいろな事が脳裏に浮かびそうになるのを必死で押し留める。
ああ、どうしてこんな思い出し方しか出来ないんだろう。
また挑戦状と称して、謎の長ったらしい暗号文が書かれている。その内容を手帳に書き写す。
威の奴、今度は何を企んでいるのだろう。また眠れなくなくなるような事を・・・。
179ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/15(金) 07:14:08 ID:YyCdStCB0
7日目(9/29)
探偵事務所に行くと、京香さんと所長が喧嘩していた。
昨日見た、諏訪さんがよく見ていた愛犬サイトが気になったので、もう一度見てみる。
犬の写真の側に、名前と犬種、そして産地を表す、Mという記号が併記されている。
Mって、所長のメモにあった、枕ヶ碕を表す記号だったよな?
犬の名前と失踪者リストをもう一度照らし合わせてみると、ほとんど一致する。
犬種はよくわからないけど部位かなんかを表して、そしてこの法外な値段・・・。
それが判ったとたん、眩暈に襲われる。
これは愛犬サイトなどではない、臓器を売買するサイトなのだ――。
ああ、そうか、諏訪さん、彼も”パーツ”に関わっているんだな。
昨日裏サイトに書き込まれたレスのことも考えてみる。
イベント当日に、威が、”パーツ”が、何かやらかそうとしている事は明らかだ。
イベントは明日だ。今日から会場に行って警戒しよう。
セクンドゥムに行き、杉内一家の写真を成美さんに見せることにする。
その写真を見ると、成美さんの顔色がみるみる青くなる。
まさか、そんな、嘘よ、などと言い、ひどく狼狽している。
セクンドゥムを出て東公園を歩いていくと、成美さんの声がする。
振り返ると、まだ日も高いのに、成美さんが走ってくる。
成美さんはエアメールを差し出して、この手紙をお守り代わりに持っていきなさいと言う。
その手紙は外国のとある財団からもらったもので、財団はペンダントのオリジナルを探しており、
オリジナルがあれば、報酬は望みのままだとのこと。
あのペンダントは、昔、ある貴族が妻の死を悼み、遺品のイヤリングをペンダントに作り変えたものなのだという。
それが、世界にひとつしかないオリジナルで、盗難防止のためにダミーが9個作られた。
それから貴族は没落し、オリジナルもダミーも散り散りになってしまったとのことだ。
成美さんが何故そんな話をするのか不思議に思うが、成美さんは真剣だ。きっと何か意味があるのだろう。
そのエアメールを受け取り、内ポケットに大切に仕舞った。
成美さんをセクンドゥムへ連れて行き、2階の部屋に寝かせる。
京香さんに電話をかけ、成美さんのことをお願いしてから、イベント会場へ向かう。
イベント会場には、氷室さんに哲平、そしてタカまで借り出されていた。
暗号文を読み返す。とりあえず、スタッフ詰め所に何かありそうだ。
スタッフ詰め所を漁ると、段ボール箱から怪しい装置が出てきた。0〜9までの数字のキーと、ランプが6つ付いている。
表示された時間がどんどん減っていく。これは、時限爆弾?
暗号文を見ると、これの他にも爆弾が6個仕掛けられているらしく、解除方法も4桁の数字を入力するというものらしい。
氷室さんと哲平とタカに協力してもらい、暗号文を解き、7個の爆弾全てを解除することに成功する。
しかし、暗号の答えが成美さんの年齢とか森川が死んだ日付とか探偵になってから調べた死体の数とか、
自分にしか解けないようなのばかりとは、威も悪趣味と言うかなんというか・・・。
ホッとした俺はスタッフ詰め所の床に寝転んだ。
180ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/15(金) 07:19:10 ID:YyCdStCB0
8日目(9/30)
唯ちゃんに起こされてびっくりする。スタッフ詰め所で寝てしまったらしい。
探偵事務所に戻って所長に報告をしてから、またイベント会場に向かう。
もうすぐイベントの午後の部が始まる時間だ。午後の部は潤ちゃんのピアノと、唯ちゃんの歌だな。
ロビーに行くとスタッフがバタバタしているので事情を聞くと、
アニバーサリー号が突然出港することになったとのこと。
きっと威たちが、”パーツ”のメンバーが逃げるつもりなのだろう。
そして安全なところへ逃げてから爆弾を爆発させるつもりだろう。まぁ爆弾は昨日全て解除したが。
アニバーサリー号に乗り込むとしても、船内は敵だらけだろう。気を引き締めていかなければ。
イベント会場の入り口には、京香さんと、なんと成美さんが居る。
成美さんはサングラスに黒い日傘という重装備だけど、いつものように発作を起こすようなことも無いらしい。
成美さん自ら行きたいと言ったそうだ。
そろそろアニバーサリー号のところに行こうとすると京香さんが呼び止める。
話しておきたい事があると言う。昨日、成美さんが話してくれたことだそうだ。
成美さんが明るいところがダメな理由は、小さい頃監禁されたことがあるからだ。
拉致されて、ずっと暗いところに閉じ込められていたらしい。
そして、明るいところへ連れて行かれるときが死ぬ時なのだ。
「連れて行かないで」と言うのはそのときの体験が元になっているらしい。
お父さんが成美さんより先に連れて行かれてしまい、次は自分の番かと思い不安になっていたところ、
白虎会がその監禁場所を襲撃し、成美さんは助かった。そして、ご隠居の手で育てられることになったそうだ。
何をするつもりかわからないけど、頑張ってと京香さんに励まされた。
アニバーサリー号の前までやってきた。まだタラップが下りている。
そこには威が待っていた。森川とご隠居を撃った部下を従えている。
あの船に乗れるのは”パーツ”のメンバーだけですよ、と威は言う。
どんな事をされても”パーツ”になんか入るものか、と言い返す。
その後、威を飽きさせないよう会話を続ける。出港の直前になってようやく威と部下が船に乗り込む。
走って、岸を離れようとするタラップに必死に飛びつく。なんとか海に落ちずに済んだ。
威の部下が撃とうと構えたが、威はそれを制して去っていってしまう。
甲板には諏訪さんが待っていた。彼こそ、”パーツ”のニューリーダーだ。
俺の両親を殺したのは諏訪さんだった。
24年前、臓器移植のドナーとさせるべく、杉内一家を拉致したが、母親だけは逃げ出し、川に飛び込んだ。
それから4年経った20年前、逃げ出した母親の居所を突き止めた。
彼女は記憶喪失になっており、名前を変えていた。それが母さんだった。
諏訪さんは、記憶を取り戻す前に母さんを殺そうとした。
母さんだけ殺すつもりだったが父さんも巻き込まれて死んでしまったのだ。
交通事故に見せかけて上手く殺したつもりだったが、毎朝新聞の柴田は、顔こそ見ていないが、
諏訪さんが現場に居たところを見ていた。
そして、事故を起こしたトラックには運転手の他に誰か乗っていたという記事を書いたが、
その記事は差し替えられた。
諏訪さんが何か投げてよこしたのでとっさにキャッチする。
日の光を受ける赤い輝き。そして、宝石につけられたこの傷。間違いない、母さんのペンダントだ。
諏訪さんはペンダントを触ってしまったので、指紋から身元が割れると思いやむなく持ち去ったが、
このペンダントが失くなったからこそ、俺はここまで来たのだ。
プロペラの音が聞こえてくる。威がヘリコプターに乗って逃げようとしている。
諏訪さんは懐から大き目の拳銃を取り出して、ヘリに向けて撃った。ヘリは爆発して海に落ちた。
そして、諏訪はその銃口をこめかみに当てる。罪を認めるには遅すぎる、と諏訪さんは言う。
生きて罪を償ってください、威を撃ったのは罪の意識があったからでしょう、
わざわざ俺の前であの愛犬サイトを何度も見せたのも、止めてほしかったからでしょうと説得する。
諏訪さんは拳銃を持った手を下ろした。
小型の船に乗った氷室さんたちがアニバーサリー号に追いついて来ていた。
初めて、犯人が死なずに連行されるところを見たなと思った。
最後に諏訪さんは言う。そのペンダントは財団が探しているオリジナルだと。
181ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/15(金) 07:22:50 ID:YyCdStCB0
アニバーサリー号はすぐに港に戻った。結局、コンサート見れなかったな。
イベント会場の前で京香さんや成美さん、哲平たちが待っていた。
どう?あのお守り役に立ったでしょ、と成美さんが得意げに言う。
諏訪さんから受けとったペンダントを成美さんに見せる。
これがオリジナルだと言うと、成美さんは少し羨ましがったが、
あたしにはお父さんのがあるからいいもんと言った。
杉内一家の写真を取り出してしげしげと眺める。この人、やっぱり母さんだったんだ。
そして、自分には姉も居たのだ。横から成美さんが写真を覗く。
ね、その子はどう見てもあたしでしょと、母さんの腕の中で笑っている少女を指して成美さんは言う。
そういえばつり目だよな・・・って、えっ?
異父姉弟ってヤツか?と哲平が言うと、成美さんは否定する。
だって、お母さんが、もうすぐお姉さんになるのよ、って言ってたもん、と成美さんは言う。
じゃあ、「月嶋成美」って言うのは?と聞くと、偽名よ、柏木のジジイの別れた女房の名前だってさ、という答え。

潤ちゃんと浩司さん、そして正式なスタッフになった明日香ちゃんは
アニバーサリー号に乗り、日本を離れて行った。
唯ちゃんは相変わらず頑張っているらしい。
睦美ちゃんはたまには学校に行くようになったと聞いている。
威はその後遺体が捜索されたが、片腕しか見つからなかったそうだ。
ご隠居はまだ包帯を巻いてるけど順調に回復している。
成美さんは徐々にだけど、昼間も外に出れるようになってきている。
だが、我儘な性格は変わらない。相変わらず俺や哲平をこき使っている。
俺もまだ変わらず「成美さん」と呼んでいる。だって、今さら「姉さん」なんて恥かしくて言えないよ。
天涯孤独だと思ってたふたりが血の繋がりを見つけた、それだけで十分だ。
いつか失う時が来ると考えると少し怖いけど、でも、もう大丈夫。そして、諦めかけていたペンダントもここにある。
いや、ペンダントなんて、どんなに価値があろうとも、形見だとしても、今やオマケにしか過ぎないな。
俺が本当に取り戻したかった「失くした欠片(ミッシングパーツ)」は、成美さんだったのだから。
MISSING PARTS is Completed
182ミッシングパーツ the TANTEI stories:2007/06/15(金) 07:23:46 ID:YyCdStCB0
ミッシングパーツ終了です〜
ありがとうございました
183名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/15(金) 07:27:00 ID:1wo3/Rsd0
まだ読んでないけどおつ〜
184名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/15(金) 09:31:22 ID:J4W+Zfk20
>>183までのをWikiに収録し、未解決リストに反映させました。
185名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/15(金) 23:37:19 ID:jtE2MUnN0
ミッシングパーツの人乙
長いなあ。
186名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/16(土) 15:31:48 ID:KmLhA+4h0
爆ボンバーマン2をお願いします
187名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/16(土) 23:36:49 ID:JNOcn//p0
FF12RWお願いします。
188魔導物語はなまる大幼稚園児:2007/06/17(日) 05:06:37 ID:wGO0k4cu0
この世界では誰もが魔導の力を使えるけれど魔導士というのは
ハイクラスでひとにぎりのエリートしかなれない。
魔導士を目指す主人公・アルルは魔導幼稚園に通う園児。
おとうさんは旅に出たまま行方不明になってしまったため、おかあさんと二人暮らし。
両親ともに優秀な魔導士なためアルルもちいさいながら優秀。

さてそんなアルルにも卒園試験の時期がやってきた。
卒園のためには卒園証書が、証書を入手するためには8つの玉が必要。
とりあえず偵察のため見晴らし山にのぼってみるとヘンな生物カーバンクルくんとお友達に。
以後ごくまれーに戦闘に参加して助けてくれるようになる。

困っているカエルの王様を助けたり野菜盗難に悩む村人を助けたり
モンスターを倒したり物々交換したりサタンさまにごちそうしてもらったり
デビルくん(サタンさまの柄の悪い親戚の子)とケンカしたり
おかあさんにおみやげを買い捲ったりしているうちに
玉が7つたまるので帰宅すると不良のすけとうだらジュニアから果たし状が来る。
決闘に勝つと8つめの玉を入手できるので仙人の山に登って
玉と引き換えに卒園証書を入手。

幼稚園に行って園長先生に手渡すと最後の試験の迷宮に挑戦することを許される。
みっつあるパズルの迷路のうち好きなルートを通って最奥にたどり着くと
ラスボス「腐導士」との戦闘に……なる直前にデビルくん乱入、
腐導士の体をのっとったデビルくんとラストバトル。
勝ってみっつの魔導球を手に入れれば卒園決定。
アルルはみんなにお祝いパーティしてもらう。

おしまい。
189御神楽少女探偵団:2007/06/18(月) 05:27:32 ID:I3OY7rd70
☆第五話『猟奇同盟』登場人物
・志田庄太・・・下宿「第二倉島荘」に住む新聞記者
・伊勢真由美・・・庄太の隣人、失踪した弟を探している
190御神楽少女探偵団:2007/06/18(月) 05:28:22 ID:I3OY7rd70
☆第五話『猟奇同盟』

『太白星』事件を解決した御礼にと美和に食事に誘われ、有頂天の時人。
しかし、いざ出かけようとした時、諸星警部が事件の報せを持ってくる。

第二倉島荘という下宿に住む新聞記者、志田庄太から切迫した様子で
「ある犯罪の証拠を手に入れた」という電話があったというのだ。
時人と諸星警部が、志田の住む倉島荘201号室に踏み込もうとすると、男が大慌てで部屋から出てきた。
時人は後を追うが、男の拳銃に阻まれ取り逃してしまう。
改めて201号室を覗くと、そこにはナイフを突き立てられた志田の死体があった。

翌日、諸星警部から詳しい事情を聞く事務所の一同。
発端は一ヶ月ほど前、諸星が使っている情報屋が「猟奇同盟」のメモを残して殺されたことらしい。
そして昨日、志田から「猟奇同盟」という組織について話がしたい、との電話があったのだ。
志田の部屋に残されていたチケットの切れ端に記されていた「浅草」を頼りに、一同は浅草へ向かう。

浅草では、「幽鬼郎」事件で出会った平田権六が、相変わらず怪しげな見世物を興行していた。
平田によると、チケットは旭日斎蓮花という女魔術師の主催するマジックホールのものらしい。

現場となった志田の部屋で、栗山刑事から話を聞く。
近隣住人の話によると、昨晩犯人は諸星警部の名を騙って志田の部屋を訪ねてきたらしい。
なぜ犯人は、昨晩諸星が志田を訪ねる予定だったことを知っていたのだろう。

事務所に戻った一同は、倉島荘の住人である伊勢真由美の訪問を受ける。
真由美は、かつて倉島荘で彼女と同居しており先ごろ行方不明になった弟の公夫を探して欲しいようだ。
191御神楽少女探偵団:2007/06/18(月) 05:30:09 ID:I3OY7rd70
倉島荘で真由美の話を聞く。
真由美は庄太の隣室に住んでおり、公夫の行方不明について庄太に相談していたという。

諸星たちと合流するため、拠点の遊郭「花月廊」に向かう三人。
この時代、警察が操作拠点に遊郭を利用することは普通だったらしい。
諸星は、彼が志田を訪ねる予定だったことを知られた理由の検討がつかないという。
彼が志田から連絡を受けたのは警察署内だし、そのことを誰にも喋らなかったという。
諸星は、警察内部に裏切り者がいる可能性も考えて本部を遊郭においたらしい。

志田の遺したチケットに従い、マジックホールに向かう一同。
すると、ホールの外に昨晩倉島荘で取り逃がした男が居た。
巴が懐中拳銃をぶっ放し、三人は男を取り押さえる。
男は警察に引き渡された。

翌日、事務所に向かう途中の巴は突然見覚えの無い男に襲われ、拉致されてしまう。
目覚めた巴は、「猟奇同盟」の本拠地らしき洞窟で拘束されていた。
彼女の前に、仮面とローブで身を隠した、猟奇同盟を名乗る男が現れ、催眠術をかける。

さらに翌日、巴は無事監禁場所から開放されたものの、催眠術に操られ、時人を銃撃してしまう。
時人の安否は?巴は術から開放されるのか?
192御神楽少女探偵団:2007/06/18(月) 05:33:39 ID:I3OY7rd70
以上で『御神楽少女探偵団』は終了です。
『猟奇同盟』の続き以降の話は、『続・御神楽少女探偵団〜完結編〜』に収録されています。
『続〜』も既に予約してあるので、次回以降は『続〜』を投下します。
193名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/18(月) 05:42:57 ID:3NbH/vGFO
魔導物語、御神楽、乙です。
194名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/18(月) 21:16:55 ID:ebUUoLWw0
火星物語
花と太陽と雨と
ってどっちか需要ある?
あるんならやり直してでも書くよ
195名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/18(月) 21:38:04 ID:Oqie6p0e0
火星物語興味あるな
でも花と太陽と雨とってのも希望は出てるんだから需要はあるんじゃないかな
196名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/18(月) 23:07:35 ID:3NbH/vGFO
>>195
どっちも詳しく知りたいな
197名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/19(火) 00:48:05 ID:Y400o6T20
>>194
できれば「花と太陽と雨」の方をお願いします。
198名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/19(火) 02:58:10 ID:7c+Cvi8n0
ここで選ぶと均衡が崩れる…
199194:2007/06/20(水) 12:44:29 ID:dV3zyFYC0
よっしゃ
「花と太陽と雨と」を予約します

火星物語もそのうち書きますが
今は予約はしません。
200名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/20(水) 22:30:31 ID:c+SpC5+l0
前スレの575、このスレの>>199までをWikiに収録、未解決リストに反映しました。
201名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/22(金) 00:11:42 ID:2bynCRPn0
「ドラゴンクエストプロローグ」の依頼を取り消します。
202名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/22(金) 21:37:22 ID:Irv0hwBh0
携帯アプリ「サイコサスペンスシリーズ(出ている奴まで)」を
リクエストします。
203続・御神楽少女探偵団〜完結編〜:2007/06/22(金) 22:41:09 ID:is5DM7n+0
続・御神楽少女探偵団

『御神楽少女探偵団』の続編、主要登場人物を一応再掲。

☆主要登場人物
・御神楽時人(以下時人)・・・御神楽探偵事務所所長で、天才的な推理能力を持つ駄目人間。男。
・鹿瀬巴(以下巴)・・・探偵事務所助手。女。どちらかというと考えることより動くことの方が得意。
・久御山滋乃(以下滋乃)・・・探偵事務所助手。女。華族のお嬢様。
・桧垣千鶴(以下千鶴)・・・探偵事務所経理。女。作家志望の眼鏡っ娘。
・ランドルフ丸山・・・探偵事務所助手。男。混血の少年。
・守山美和・・・探偵事務所のあるビルのオーナーで美術商。女。時人憧れの未亡人。
・諸星・・・時人を信頼する警視庁警部。
・栗山・・・諸星の部下。頼りない
204続・御神楽少女探偵団〜完結編〜:2007/06/22(金) 22:54:25 ID:is5DM7n+0
☆第六話『続・猟奇同盟』登場人物
注:この話は前作『御神楽少女探偵団』収録『猟奇同盟』の続きです。

・常盤省吾・・・大学教授。時人の旧友らしい。
・志田庄太・・・新聞記者。『猟奇同盟』を告発しようとしたところ殺害される。
・旭日斎蓮花・・・女奇術師。40歳以上なのに、20代にしか見えない。
・伊勢真由美・・・志田庄太の隣人。
・伊勢公夫・・・真由美の弟。先ごろ原因不明の失踪を遂げた。
・工藤めぐみ・・・蓮花の助手。
・花柳宗司・・・蓮花のマジックホールの従業員。
・小谷内万次郎・・・蓮花のマジックホールの道具係。
・中田熊子・・・日の出食堂の女主人。
・増田伸次・・・志田の同僚記者。
・河村須美子・・・以前『太白星』事件(『御神楽少女探偵団』収録)で出会ったオペラスター。気さくな美人。
・平田権六・・・以前『幽鬼郎』事件(『御神楽幼女探偵団』収録)で出会った興行主。
・相馬銀次郎・・・常盤省吾の書生。原因不明の失踪を遂げた。
・真下五月・・・乾物屋の娘。原因不明の失踪を遂げた。
・真下毅・・・真下五月の父。
・相模陣兵衛・・・隅田川の船頭。
205続・御神楽少女探偵団〜完結編〜:2007/06/22(金) 22:57:04 ID:is5DM7n+0
☆第六話『続・猟奇同盟』前編

催眠術に操られた巴に銃撃された時人は、面会謝絶の重体となった。
巴は術から開放されたものの、自責の念に苛まれる。
そんな巴を、諸星は半ば強引に捜査へ連れて行く。

志田の遺したチケットを手がかりに、旭日斎蓮花のマジックホールへ向かう。
そこで、ホール関係者の花柳宗司に話を聞くと、もうすぐ舞台が始まるという。
そこで諸星と巴は、舞台でマジックショーを見物することにする。

この日の舞台の見世物は、ギロチンを使ったマジックだ。
助手が蓮花をギロチンにかけても彼女は無事、という趣向のものらしい。
しかしいざ本番、助手がギロチンの刃を下ろすと蓮花の首は無残にも刎ねられてしまった。

時人銃撃に続き、再びショッキングな出来事に遭遇してしまった巴は心が折れかけてしまう。
しかし諸星は彼女を叱咤激励し、立ち直らせるのだった。

ギロチンを操作した蓮花の助手、工藤めぐみに話を聞く二人。
どうやらギロチンに仕掛けてあったマジック用の仕組みが、壊れていたようだ。
しかし本番直前に蓮花本人が確認した際には、ギロチンに異常は無かったという。
蓮花の確認後、ギロチンに触れたのは道具部の連中だけ。
そこで、二人は今度は道具部に話を聞くことにする。

道具部の小谷内万次郎によると、ギロチンの運び込みを行った
篠原浩介という男の行方がわからないらしい。

次に二人が蓮花の楽屋へ向かうと、楽屋は既に荒らされた後だった。
どうやらこの惨劇も「猟奇同盟」の仕業で、彼らに出し抜かれたようだ。
しかし花柳に確認したところ、蓮花は貴重品を道具部の金庫に預けており、
彼女の楽屋に重要と思えるものは元から何も無かったらしい。

道具部で小谷内に金庫について聞いたところ、一月ほど前に蓮花から妙なものを預かったらしい。
それは、風呂敷に包まれたスクラップブックだった。
スクラップブックを見ていた巴は、そこに行方不明となった伊達公夫の写真があることに気づく。
巴と諸星は、篠原が故郷だと語っていたという、広島へ調査に向かう。

一方、滋乃と千鶴はマジックホールで聞き込みを行っていた。
小谷内によると、篠原は一月ほど前、蓮花の紹介でホールに勤め始めたらしい。

捜査本部の遊郭・花月楼で栗山刑事と話し合う二人。
スクラップブックには、ここ数年で失踪した子供たちの写真ばかりが載っていたらしい。
現時点では写真のうち2枚が、既に失踪届けの出されている
相馬銀次郎と真下五月のものだということが判明している。

二人は、相馬銀次郎が書生として起居していた常盤邸へと向かう。
主の常盤省吾に迎えられる二人。
常盤は大学教授で、時人の旧友で、かつては一緒に素人探偵をやっていたという。
常盤の許可を得て相馬の部屋を調べると、彼が英語を熱心に勉強していたことがわかった。
206続・御神楽少女探偵団〜完結編〜:2007/06/22(金) 22:58:15 ID:is5DM7n+0
次に、真下五月の実家である乾物屋、「鍵屋」に向かう二人。
五月の父、毅から許可を得て五月の部屋を調べると、彼女も英語を熱心に勉強していたことがわかる。
そして、相馬と真下は同じ英語学校「築地ハリソン英語学校」に通っていたようだ。

さっそく、英語学校のあるというハリソン邸に移動する。
しかし屋敷に人の気配は無い。
そこで、屋敷の向かいにある日の出食堂で女主人の中田熊子から話を聞いてみる。
屋敷には五人の外国人女性が住んでいたのだが、一週間前に急に引っ越したらしい。
一週間前といえば、ちょうど志田が殺害された日のことだ。

第二倉島荘で伊勢真由美に公夫のことについて聞く。
すると、公夫もハリソン英語学校に通っていたことがわかる。
やはり、英語学校にはなにかあるようだ。

事務所で改めて操作の方針を栗山と確認する二人。
猟奇同盟という組織が美形の少年少女を多数誘拐しており、そこに英会話学校がからんでいるらしい。
また、その猟奇同盟によって志田と蓮花は殺されたらしい。
そこに常盤が現れ、時人の友人として操作に同行・協力させて欲しいという。
その申し出を、二人は快諾した。

マジックホールで花柳から話を聞く三人。
蓮花は、一週間ほど前に新聞記者の取材を受けてから急に落ち着きをなくしたらしい。
取材に来たのは、東京日報の志田と増田という記者だという。

東京日報本社で志田の同僚、増田伸次に聞き込みを行う。
増田によると、志田は伊達公夫の捜索を始めてから様子が変わり、英語学校に通いだしたらしい。
志田はハリソン英語学校に生徒として潜入し何かを掴んだのだが、そのために殺されたようだ。

日の出食堂の熊子によると、英語学校には有名な政治家や社長の他、蓮花も通っていたという。

花月楼で栗山と話しをする。
殺された志田は、殺害される前日あたりに大きな背中に引っかき傷を付けていたようだ。
そのことが、千鶴はどうも気になるという。

浅草の見世物小屋では、平田権六が相変わらず怪しい興行を開いている。
平田によると、蓮花には色々と良くない噂があったようだ。

事務所に戻った三人は、美和と蘭丸に迎えられる。
美和は、みんなのためにシチューを用意したという。
美和と蘭丸は、すでにシチューを食べたようだ。
常盤がお茶を淹れ、一同揃って夕食となる。
しかし夕食後、滋乃と千鶴、常盤は次々に意識を失っていく。
どうやら夕食と一緒に、睡眠薬を飲まされてしまったようだ。

『続・猟奇同盟』前編END
207続・御神楽少女探偵団〜完結編〜:2007/06/22(金) 23:02:23 ID:is5DM7n+0
うっかり書き忘れてたんだけれども、前作から度々登場している「蘭丸」てのは
主要登場人物「ランドルフ丸山」のあだ名です。

てか>>204の登場人物紹介の平田権六の項目で、
『御神楽少女探偵団』て書くべきところを『御神楽幼女探偵団』て書いてた。
単なるミスタイプなんだけれども、なんだか死にたい気分だorz
208名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/23(土) 01:55:57 ID:2zT+yp1D0
>>207
そんなゲーム名だったら、迷わず買っていたな。
209名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/23(土) 12:54:09 ID:qGEPYcD5O
俺の携帯だと「みかぐらようじょたんていだん」は御神楽養女探偵団になるが
210名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/24(日) 01:29:17 ID:ehwuG7zq0
前スレの587、このスレの>>209までをWikiに収録、未解決リストに反映しました。

>>202はどのゲームの事を指しているのか自信を持って特定できなかったのでまだリストに載せていません。
元気モバイルのサイコミステリーシリーズ、
「THREE」「ANGEL CRY」「Sin-罪-」「Innocent Noise」「Cold Rain」「Bloody Tears」
「横浜牧師館殺人事件」「イザナミの花婿」「CHAIN-白馬の騎士連鎖殺人事件-」
の9タイトルのことでいいんでしょうか?
211名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/27(水) 03:16:30 ID:nQntbo0j0
>>607
そんじゃデモベはギャルゲ板のスレに転載してから消せばいんじゃね?
212名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/27(水) 08:21:06 ID:T35y7ZPE0
あ、こっちが本スレッドか?
http://game12.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1175359277/l50
↑じゃなくて……。
一応こっちでも聞いておく。

■戒のエンディングについての質問
三勢力の個別エンディング:キヌがザジの淫乱肉便器のまま。(里の再興はゴウのみで行う。)
真エンディング:キヌがゴウの淫乱肉便器になる。(里の再興をともに行う。)

真エンディングのほうはこれで合っているか?

# 個別エンディングのほうは見た。
213名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/27(水) 09:18:02 ID:UaIddVfF0
ぐはっ
朝からこんな所で○○器なんて言葉を見るはめになろうとは・・・

>>212
「忍道 戒」はリクエストが出てるだけで誰も書いてない
つーかここはストーリーを教えてもらうスレだからさ
基本的にはそういう質問するスレじゃないよ
もうね、リクエストが出てるんだから大人しく待つしかないよマジ
とういうか戒とか書かれても何のことだか一般人には解りません
あと○○器という表現はどうかと
もうちょっと婉曲な表現でお願いしますよ
そんな書き方じゃエロゲーと変わらないじゃんか
214名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/27(水) 10:53:57 ID:ettxOPrcO
この間、忍道戒の真EDだけ見たが
ゴウが自分の罪を償うためにザジの下で働き、里の再興を目指すっていうパッとしないED
キヌは怪我をしたザジに肩を貸して歩いてたな
ゴウはハミゴで完
まぁゲーム面を楽しむゲームで話はオマケみたいなモン
そういう意味ではバイオ4に似てる
215名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/27(水) 16:01:42 ID:nQntbo0j0
>>213
同意
忍道戒っていうゲーム名を知ってる俺でも>>212だけじゃそのゲームの事だってわかんなかったぜ
戒っていう名前のエロゲーか何かの話かと思った。
216クロス探偵物語 5話 先行ver ◆CROSSfo7TI :2007/06/28(木) 03:21:50 ID:NgZ3NsSw0
長く間があいてしまったので少しだけクロス探偵物語を投下します。

一度クリアしたゲームなのですがまとめるとなると
もう一度プレイしつつテキストに書き溜めて編集することになるので…
早い話時間をください。

今回の分も手直しされる前かつ一部分のみですが容赦を。
後にちゃんとした分を投下してwikiも自分で編集しますので。
217クロス探偵物語 5話 先行ver ◆CROSSfo7TI :2007/06/28(木) 03:24:34 ID:NgZ3NsSw0
第5話 紺碧の記憶

とある日、友子と剣の間で警察病院に入院している神城の話題が出た。
あれからどうなったのか、気になった剣が警察署の大川に電話を入れると、
電話に出た女性は大川がケガをして休みをとっていることを伝えた。
事情を問うが女性の歯切れが悪く、心配になった剣は大川のアパートまで行ってみることにする。

大川は顔にいくつかのケガをしていた。眼帯もしている。
彼が言うには転んでしまったのだとのことだが、明らかに殴られてできた傷だ。
剣は大川に怪我を負わせたのは林田と見抜いた。
相手は柔道3段の大川だ。そうそう一方的に襲われるわけもない。
にもかかわらず腕にはガードした跡がない。
ならば一方的に暴行を受け続けたことになる。
大川が手出しをできない相手で大川をそんな目にあわせる人物は林田しかいない。
剣は自分のせいで殴られたのだろうと言うが、大川は自分が軽率だったのだと剣を庇う。
エリスの事件は元々林田の担当であり、自分がしゃしゃりでて検挙してしまったから怒るのも当然であり、
剣から電話をもらった時に確認すべきだったと。
管轄外の大川に手柄を取られたのに腹を立てての報復らしい。
急を要する事態であるし真夜中だったのだから叩き起こすわけにもいかなかっただろうし、
自分の言うことなど信用もしなかっただろうという剣だが、
大川はどんな理由にせよ上司の気分を損ねたのが悪いのだと林田を非難するようなことは言わなかった。
剣はそんな大川に頭を下げるが大川は剣を責めるようなことはしない。
そこで話の流れが変わり、そもそもの用件である神城の話になる。
すると大川は先週見舞いに行っていた。
その時に大野が背任・横領・詐欺・脱税という諸々の罪で逮捕されたことを伝えたが、
どうでもよいと吹っ切れたすがすがしい顔をしていたそうだ。
エリスの新しい学長に登坂が選ばれたことを伝えるととても喜び、剣へ感謝していたという。
しかし病状はよくなく、今までもったのが不思議なほどだというのが医者の弁だ。
いつ亡くなってもおかしくないらしい。
218クロス探偵物語 5話 先行ver ◆CROSSfo7TI :2007/06/28(木) 03:26:05 ID:NgZ3NsSw0
剣は事務所に帰って友子にそのことを伝えた。
なんだかすっきりしない。
海にでも行ってパーっとしたいと剣が叫ぶと友子はこともなげに美麗がCM撮影のために海へ行ったことを述べた。
一度も海外に行ったことがないとぼやく剣だが、急遽決まった仕事のために美麗が行ったのは伊豆だそうだ。
本来ならCM撮影は半年くらい前から始めるらしいが、ずっと忙しかったので今回のような運びになったそうだ。
「海といえば…」「水着よ」
そういえば自分達の休みはどうなっているのだろうか。友子が言うには暇をみて自分で勝手にとるものだとのこと。
「じゃあ…」
期待する剣だが、美麗は仕事で行っているのだからと情報提供は却下される。
なおも食い下がる剣に呆れた友子は勝手にしろ、しかし伊豆のどこで撮影しているかは教えないと言い捨てた。
諦めの悪い剣が何度も食いつくが友子はことごとく却下して教えてくれない。
そこに千絵里とまゆながやってきた。彼女等は校則で禁止されていたルーズソックスをしていた。
登坂が学長になって校則が大きく緩和されたらしい。
友子が訝しがるので剣は先の事件で世話になった二人を紹介する。
二人はもう終業式で夏休みが始まるそうだ。
剣が学生の身分をうらやましがると、剣達に休みはないのかという話になり、剣が休みをとれないのは何故かとなった。
「いや・・・本人の前では・・・」
剣が友子にその矛先を向けると友子はうろたえた。別に剣に休みをとらせないとは言っていないのだが。
さっきもその話をしていて、行きたいところがあるのにその場所を教えてくれなかった。
やはり自分に休みを取らせたくないからではないのか、などと言って二人の同情を買う剣。
労働基準法に則った休みを取らせるべきだ、可哀想などという二人。
別にそういうわけではないのだが。
友子が「ただ・・・」と繋げる言葉を選んでいる間に
「教えたくないだけよ」などと剣が言葉を勝手に繋げると
二人は教えてやればいいと剣に味方した。
正論どこへやら、勢いに負けた友子はしぶしぶ美麗が「ゆきが浜」にいることを教えた。
あまり有名ではないが雪が降ったように美しい砂浜らしい。
まゆなもその場所を知っていた。彼女の祖父がそこに別荘を持っているからだ。
「別荘?」
彼女の祖父が高梨呂秋だということを伝えると友子が呂秋のファンであることが判明する。
どうせなら皆で一緒に行かないかという話になった。その別荘は広く皆で泊まることも可能であるそうだ。
友子は呂秋に会ってサインをもらいたいらしく、まゆなが大丈夫だろうことを保障すると同行を決める。
皆で押しかけても大丈夫なのだろうかという心配もあったが、呂秋の方が剣に会いたがっているらしい。
先のエリスの事件のことで興味をもたれたようだ。
日程をどうするか?美麗の撮影は明日までとのこと。
ならばと急かす剣は友子に美麗へ連絡をいれさせようとする。
呆れる友子だったが、美麗も呂秋のファンということで結局は連絡をいれておくことにした。
撮影が明日までならと明日出発することを強引に決め、集合時間も翌朝6時になった。
219クロス探偵物語 5話 先行ver ◆CROSSfo7TI :2007/06/28(木) 03:28:17 ID:NgZ3NsSw0
――翌朝、呂秋の秘書の太田の厚意で四人一緒に車で送ってもらうことになる。
海を見てテンションを上げ、到着してからはめいっぱい遊びまわる四人。
剣は水着の三人を見て幸せを満喫していた。
美麗はどうしたのだろうか。この後合流して昼食を一緒にとる予定にしていた。
友子が剣の携帯電話を借りてかけようとするも圏外だった。
彼女はそれならばと公衆電話からロケ車にかけに行く。ロケ車は携帯電話よりよく繋がるのだそうだ。
帰ってきた友子によると美麗はまだこの先の岩場で撮影中であと30分はかかるそうだ。剣達は行ってみることにした。
撮影現場に行くとADに一定以上近づかないように止められるが、美麗の方から近づいてきた。
美麗が妹だということを紹介すると、どちらがとADはまゆなと千絵里を指した。
「ギャハハハハ、、間違えるのもムリはない。これ(美麗)とこれ(友子)じゃあ」
「悪かったわね!!」
友子の飛び蹴りが炸裂し吹き飛ぶ剣。
「お前と美麗さんではDNAの構造からして違う」なおも悪態をついて剣は倒れた。
――パラソルの下で食事
呂州と会えることを楽しみにする美麗。
まゆなと千絵里はモデルをやらないかと誘われていたそうだ。
友子「私は言われなかった・・・」
剣「プププ」
二人に声をかけていたのは女癖が悪くて有名な監督だった。
剣が先ほど見た限りその監督はケガをしていた。
シャツの隙間から胸から腹にかけてびっしり包帯が巻いてあったのが見えたのだ。
ケガをおして仕事をしなければならないほど過酷な職業なのだろうか。
実は美麗に変なことをしようとして彼女に掌ていを食らわされたらしい。
その強力さは友子の保障つきでアバラくらいなら・・・という威力だそうだ。ちゃんと加減はしたらしいが。
家が合気道の道場なので彼女も心得があるのだそうだ。しかも師範であり、友子が一度も勝てなかった程の腕前。
それにしてもインチキ臭い連中である。
会社名もニュービーズという怪しいもので美麗の事務所とは関係のないところなのだという。
美麗に食事の席から遠巻きにニュービーズ派遣の4人が紹介された。
室沢(むろさわ):ヒゲを生やした監督。
荒井(あらい):カメラマン。
矢野(やの):衣装や化粧担当のコーディネーターの女性。
浅倉(あさくら):若いAD。
美麗は撮影に、剣達はもう一泳ぎしに戻った。
日が暮れた砂浜を見て感慨に耽る三人の少女。その側で空腹を訴える剣。
――食事の席
呂秋と対面すると呂秋は三人を快く迎えてくれた。
豪華な食事の席で明日はクルーザーに乗らないかというまゆなから提案が上がる。
ここは剣と友子にとってグレードが高いようだ。
美麗はラピスという崖にせり出したホテルに泊まっているそうだ。
見てみたいという剣に美麗は一緒に行ってもよいと応じてくれた。
帰りの足はどうしようか、いやホテルにそのまま泊まってしまえばいいかと下心をもって言う剣だが、
マネージャーの笠村は優しいから帰りも送ってくれるだろうとのこと。もくろみはあっけなく崩れた。
それでは申し訳ないと食い下がろうとする剣だが、
自分の車で美麗を送ってくればよいと呂秋が剣にはありがたくない助け舟をくれた。
マネージャーの迎えを電話で断り、剣と美麗は4WDを借りて彼女のホテルに向かうことに。
…元々ホテルを見に行く予定だった友子も一緒に。
220名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/28(木) 03:32:06 ID:NgZ3NsSw0
この後そのホテルで連続殺人事件がおこります。
居合わせた剣はそれを解決することに。
221名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/28(木) 07:38:23 ID:k1/JkM+50
>>214
おお、珍しいですね。
仲良く再興するのかと予想していたのですが。
話がおまけというのには同意。
ありがとうございます。

>>213-215
(タイトルの一部しか書いていないこととリクエストが出ていることを)確認せずにコピペしてしまいました。
申し訳ありません。
222名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/29(金) 01:19:50 ID:E+3qXHb80
PS2の「ゼロの使い魔 小悪魔と春風の協奏曲」を詳しくお願いします。
223続・御神楽少女探偵団〜完結編〜:2007/06/29(金) 06:06:52 ID:WSAwRHwc0
☆第六話『続・猟奇同盟』後編

一同が眠りから醒めると、蘭丸(ランドルフ丸山)の姿が事務所から消えていた。
昨晩自室に戻った蘭丸は、一同が眠っている間に猟奇同盟に誘拐されてしまったのだ。
常盤と千鶴、滋乃は操作を再開する。
マジックホールで工藤めぐみから、蓮花が篠原を気味悪がっていたという情報を得る。
篠原は蓮花の口利きでホールに勤め始めたはずなのに、何故なのだろうか。

花月楼で栗山から、シチューに睡眠薬の反応が出たことを聞かされる。
シチューを作ったのは美和だ。
それに彼女は、昨晩一同と一緒にはシチューを食べず、一足先に事務所を出て行った。
親しい間柄の彼女が、猟奇同盟とつながっているのだろうか?
また、蘭丸の部屋の鍵が壊されていたこともわかった。

日の出食堂の中田熊子によると、蓮花が殺される前、花柳宗司が蓮花のことを聞きに訪れたという。
どうやら彼はその時、ハリソン邸に向かう蓮花を尾行していたようだ。

勝鬨の渡しの船頭、相模陣兵衛によると、ハリソン邸では英語学校を隠れ蓑に売春が行われていたそうだ。

日本館で、河村須美子から花柳の噂を聞くことができた。
彼は女好きで有名で、いまも工藤めぐみと30前後の女性と二股をかけているらしい。
その女性とは、美和のことなのだろうか?
須美子の話は、増田伸次の証言によっても裏付けられた。
志田は猟奇同盟調査の為、30前後の女性と面会していたらしい。

ここで常盤は、美和が猟奇同盟の一員で花柳はその協力者、
そして彼らは蓮花を監視していたのではないか、との推理を組み立てる。
また、志田が接触したのも美和で、彼女は危険を感じ志田を始末したのでは、と予想する。

美和を猟奇同盟の一員とする常盤の推理を、心情的に受け入れられない二人。
また美和は現在旅行中とのことで、本人の話を聞くことも出来ない。
そんな二人に、常盤はもう遅いし自宅に帰る、またいつでも連絡して欲しいといい別れを告げた。

翌日、広島から帰ってきた巴と諸星は美和犯人説を受け入れる前に、独自に調査を開始する。
マジックホールでは、工藤と花柳が痴話喧嘩を繰り広げていた。
工藤の話によると、花柳が二股をかけていた三十前後の女性とは、蓮花のことだったようだ。

次に花柳に話を聞くと、蓮花が遺したスクラップブックを
彼女の生前金庫に納めたのは、彼と小谷内だという。
花柳はブックの他に多くの書類を同時に蓮花から受け取ったという。
しかし以前小谷内から金庫の中身として受け取ったのは、ブックだけだった。
この事実を知った巴は、一つの結論に達する。

小谷内は、蓮花をかばって本当は金庫の中にあった書類を隠していた。
それら書類は、蓮花が猟奇同盟の一員であることを示すスキャンダラスなものだった。
また、書類には同盟のメンバーとして、著名な政治家・財界人・芸能人の名が多く記されていた。
蓮花が殺された際楽屋が荒らされたのは、犯人がこの書類を探したためだ。

また巴は、花柳と小谷内は同盟のメンバーではないと断言する。
二人が同盟のメンバーなら、すでにコレを処分しているはずだからだ。
蓮花は志田殺しに絡み御神楽探偵事務所に目を付けられた為、
同盟に派遣された監視者である篠原に殺されたのだった。
花柳が以前蓮花を尾行したのは、彼女の身を案じた小谷内の依頼によるものだった。

次に二人は、東京日報へ増田を訪ねる。
増田は、二人に志田の遺した写真を見せてくれた。
写真にはハリソン邸の窓が写っており、その中には巴に催眠術をかけた仮面の男の姿があった。
ハリソン邸が同盟の本拠地だと確信した諸星は、屋敷の強行調査を決意する
224続・御神楽少女探偵団〜完結編〜:2007/06/29(金) 06:09:13 ID:WSAwRHwc0
ハリソン邸に踏み込んだ二人は、相模の協力もあり、隠し部屋を発見する。
しかし諸星は、二人で突入するのは危険だとして本庁へ応援要請のため戻っていった。
その後巴は一時諸星からの連絡を待つが、蘭丸の身を案じ、単身突入を決意する。
そこに、諸星から連絡を受けた千鶴と滋乃が合流し、三人はハリソン邸へと突入する。

隠し部屋から地下に降りると、そこには広大な洞窟に作られた地下施設が広がっていた。
かつて巴が拉致された際、監禁されたのもこの場所だった
やはり、ここが猟奇同盟本拠地のようだ。

迷路のような洞窟を進んでいくと、誘拐された少年少女達が全裸で監禁されている牢屋があった。
そこには、以前行方不明となった伊勢真由美の弟、伊勢公夫の姿があった。
公夫の無事を確認した三人は、更に洞窟の奥へと進んでいく。

三人は洞窟の最奥、享楽の島と名づけられた施設の中枢へとたどり着く。
しかしそこで、武装した猟奇同盟員たちに包囲されてしまう。
三人は連行され、ばらばらの部屋に監禁された。

監禁部屋の中で、巴は推理をめぐらせる。
そして、美和は猟奇同盟の協力者ではない、との結論に達する。
彼女に嫌疑がかかったのは、作ったシチューに睡眠薬の反応があったことと、
花柳や志田が彼女と同じ年頃の女性と面会していた、という2つの理由からだった。
しかし、花柳たちがあっていたのは蓮花だということがすでに証明されている。
また、美和がもし蘭丸を攫ったのなら、彼女は事務所のメンバーと親しいのだから、
蘭丸の部屋の鍵を壊したりなどせず、蘭丸自身に空けてもらって部屋に侵入すればいい。
以上の理由から、美和が猟奇同盟員で蘭丸誘拐の犯人とは考えられない。

おそらく、睡眠薬はシチューと一緒に飲んだお茶に入っていたのだろう。
犯人は自分だけ普通のお茶を飲み、他の人間が寝ている間にシチューに薬を混入、蘭丸を誘拐したのだ。
つまり犯人は、千鶴たちに「捜査に協力する」といって近づき、問題のお茶を淹れた人物・・・。
ここまで巴が考えをまとめた時、猟奇同盟員が彼女を部屋から連れ出す。

向かった先は、享楽の島だった。
そこは極彩色のスポットライトで彩られ、
誘拐した多くの少年少女たちを殺して作られた「人間剥製」により飾られていた。
今牢屋に閉じ込められている少年少女たちも、いずれは剥製にされてしまう予定だったのだ。
享楽の島中央に位置する玉座に、仮面を付けた猟奇同盟の主宰が居た。
彼こそが猟奇同盟を組織し、数々の犯罪を指揮し、またかつて巴に催眠術をかけた人物であった。
巴は、同盟主宰の正体を喝破する。

猟奇同盟主宰の正体、それは常盤省吾だった。
常盤を激しく非難する巴に対し、彼は「悪こそが人間の本質」と演説をぶつ。
そして、巴にも人間剥製になってもらうと言うのだった。

その時、巴を拘束していた同盟員の一人が仮面を外す。
それは、入院しているはずの時人だった。
そこに時人に導かれた警官隊が現れ、常盤以下猟奇同盟は壊滅したのだった。

時人が重態というのは、猟奇同盟を油断させる為の芝居だった。
敵をだますにはまず味方から、でこのことを知っているのは時人と諸星だけだった。
巴は時人に起こりつつも嬉しさを隠せず、事件を解決した一同は事務所へと帰っていくのだった。

☆第六話『続・猟奇同盟』END
225名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/29(金) 06:18:09 ID:dljoDDBH0
デスピリアだけど
アルーアはセスやアイラの死を何も感じてないってことは無いと思うよ
その時の感情を押さえ込んで冷静に受け入れて的確に対処しようとしてる
それとアイラが殺された時は彼女なりに切れてるようにも見えるよ

でもこの時点で教会に対する疑惑は生まれて
操り人形状態から脱却しつつあったとしたら↑は無しになるのかな?
この辺俺はゾウリムシ並の知能なんでさすがに分からんね

もう一回やって色々と確かめたいけどさすがになぁ・・・
誰かやる人がいたら頼むわ、ついでにようつべとニコニコに動画あげてくれ
四章できっぷのいいセイラは殺しちゃダメだぞ
226名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/29(金) 12:35:17 ID:IQHebixH0
アークザラッド2とアークザラッドジェネレーションとエコーナイト2は持っていて
思い入れのあるソフトなのでレビューを書きたいと思います。
227名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/29(金) 13:01:35 ID:/dhj8/sFO
誰かゼノギアス教えてー
228名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/29(金) 13:10:06 ID:NMQ0WZ9EO
ゼノギアスを説明しろとは無茶を言う
229名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/29(金) 13:34:04 ID:JiQHs1YZO
>>226
レビューって、ストーリーじゃなくて評論・批評って意味なんだが。
230名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/29(金) 14:00:15 ID:uTN+maeYO
ゼノギアスは無理だろw
231名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/29(金) 17:23:08 ID:mPSIf/Jb0
ゼノギアスを説明できる人は相当凄い
232名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/29(金) 17:56:18 ID:hWjgohT50
未解決一覧の中に、一昔前にすごくはまってた懐かしい名前を見つけた……。
頑張って書いてみようかと思う。

PSの「蒼魔灯」、予約頼みます。
233名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/29(金) 18:49:32 ID:JhO/NgUs0
>>228 >>229-230
なんで?
234名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/29(金) 20:48:54 ID:Zilstofa0
ゼノギアスは既に書かれてるぞ、最後まで。
読むのも面倒な分量だけどw
235名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/30(土) 00:17:39 ID:G9rMaLKYO
すみません前スレの583です。

遅くなりました。
ボロボロになったハセヲはスーパーハカーだった欅の手によってエクスフォームに進化
AIDAは駆除されたが再誕の影響で世界中が大混乱。オーヴァンの中の人テロリストとして指名手配。
目覚めた妹から兄さんを殺しやがってまじ氏ね(意訳)と言われる。実際には植物人間?

力の反作用でクビアが現れる。みんなで力をあわせて倒す。
オーヴァンの中の人は人望があったらしく、署名とかCC社の捏造とか発覚し手配解除される。

いまいち誰がどうなったかよくわからないんです。
特に植物人間が誰なのかと「みんなで力をあわせて倒す」の時に
ハセヲが存在したのかどうかが…。
せめてその部分だけでもお願いします。
236名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/30(土) 02:40:54 ID:KKggU2Qg0
欅はたぶんヘルバ
237名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/30(土) 04:53:57 ID:tyBm1ey30
DSの川のぬし釣り こもれびの谷せせらぎの詩をお願いします。
238名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/30(土) 10:17:22 ID:R8bdWu2CO
ちょっと古いゲームなんですが…SIMPLE2000シリーズの
「THE 鑑識官(PS2版)」をお願いします。
239かま3書いてる奴:2007/06/30(土) 14:54:38 ID:FHLUr8880
遅くなりましたがかま3ラストのエピローグ+金のしおり追加分いきます。
……無双OROCHIの方はもうしばらくお待ちを。
3ヶ月経っちゃうので他にやるという方がいらっしゃればどうぞどうぞ。
240かまいたちの夜×3 ◆l1l6Ur354A :2007/06/30(土) 14:55:23 ID:FHLUr8880
(香山編終了から続き)
エピローグ

香山は村上はもう悪さはしないと皆を説得し、縄を解いてやった。
春子に手当てをしてもらいながら香山は伊右衛門との死闘について簡単に要約し、1時間半ほど語った。
全員半信半疑の様子だったが、自分を殴った犯人が村上だということと春子がそれに協力していたことを
知っていると告げると、春子は青ざめてわっと泣きはじめた。
香山は春子に対し全部呪いのせいだったから春子も村上も恨んでいないと告げる。
美樹本はまったく香山の話を信用してはおらず、村上に殴られたことは知ってて当然で、そこから春子が
手引きしたと気付いただけかもしれないと言う。
香山はならばどうして地下水路への扉を3バカが開けたのを知っていたのかと問うが、無意識でも自分たちの
話を聞いていたのではと無理矢理こじつけられた。
でも何だか館の空気が変わったような気がする、と啓子。何だか悪い夢から醒めた気がする、と。
香山の話どおり泉の底に財宝のある隠し部屋があったら今の話はほんとだろうと透が言い、言われるまでもなく
確認するつもりでいた香山は中庭の水が抜けるのを待って全員を連れ立ち地下へと降りていった。
地下通路からは亡霊が一掃されたせいか不気味な雰囲気はもう消え失せている。
扉を開けて水路に出ると、香山は生身では初めて来たのにも関わらずに先程見た光景と同じものが広がって
いるのをみて確信を抱き、美樹本がツルハシで柵を壊して更に奥へと向かっていく。
そして水路の突き当たり、ちょうど泉の下で美樹本がツルハシを振るうと、何十回目かで深い穴の向こうに
ツルハシが突き抜けた。
ツルハシを抜いて出来た穴を懐中電灯を持っていた俊夫がおそるおそる照らすと、そこには財宝の数々が。
しかし伊右衛門の頭蓋骨や台座だけは最初からなかったかのようにそこから消えていた。
241かまいたちの夜×3 ◆l1l6Ur354A :2007/06/30(土) 14:57:08 ID:FHLUr8880
自室に戻り夜を過ごした俊夫は、みどりのことを考えていた。
全ては呪い。だが、みどりのことだけは純然たる事故で三日月館とは何の関わりもない。
俊夫はここで結論を出そうと持ってきていた紙切れ、みどりの名前だけが書かれた離婚届を見つめ、
そこに自分の名前を書き込んだ。みどりが望むのならそうするのが1番だと。
朝になり、迎えの船に全員が乗り込んだ。財宝を見つけた香山はもちろん、啓子までいつになく穏やかな笑みを
浮かべる中、俊夫はそんな彼らを見るのが辛くて1人背を向ける。
そんな俊夫に真理が声をかけた。みどりと別れるつもりなのか、と。
みどりから今まで何度も相談を受けていた真理は、みどりのために別れようとする俊夫を引き止める。
そして、真理は告げた。みどりが刑務所の中で子供を産んでいたという事実を。
服役した後で妊娠が発覚し、それが俊夫にばれないように面会を拒否していたのだ。
もし子供が出来たなんて知ったら、ますます俊夫は離婚に同意しなくなる。そう思ったからだ。
みどりはすべてを自分一人で背負って生きていくつもりだったのだ。
真理はそんなのは間違っていると何度も言ったが、みどりの気持ちは変わらない。
みどりの気持ちを変えられるのは、もう俊夫しかいないのだ。
もし本当にみどりが俊夫と別れたがっているのなら、子供を産まない選択だってあった。
でもみどりは、俊夫を愛しているから、俊夫との子供が欲しかったのだ。
うつむいた俊夫の目から涙が零れ落ち、甲板に雨のような染みを作る。
何も知らないでいた自分が悔しく、そんな大事なことを教えてくれなかったみどりが憎く、
全てを自分一人で背負おうとしたみどりの気持ちが切なかった。
――俺はあいつの全てを愛している。
単純だが、それが唯一の答だ。
俊夫は離婚届を細かく引き裂いて風に投げた。
242かまいたちの夜×3 ◆l1l6Ur354A :2007/06/30(土) 14:58:34 ID:FHLUr8880
真理が俊夫を心配していたのは気があったからじゃなかった。
まったく何て馬鹿な誤解を、と透は自分を責める。真理はそんな女じゃないのに。
みんなと別れて「シュプール」へと戻る途中、透は真理に謝った。
俊夫に「シュプール」で働かないかと言ったことの意味を誤解していたことを。
が、何でそのことを知っているのか、立ち聞きしたのかと言われてしまった。やぶへびだ。
それで焼き餅を焼いたのかと言われて否定するも、結局は焼き餅だと認めさせられてしまった。
今回は許してあげるが「シュプール」に戻ったらレイコにバシバシ鍛えてもらう、と真理。
シュプールにレイコ、たった一日なのに何だかとても懐かしい。
そういえば、と真理は島に着いたときに小林夫妻に何を伝えたのかと透に問う。
言いかけて透は口をつぐみ、あれは内緒だと言い張った。
透は海の底に眠る小林夫妻に、こう報告していたのだ。
真理は「シュプール」を継いで一生懸命頑張っています。僕も今はまだ半人前だけど、必ず立派な料理人に
なって彼女を助けていきたい。そして必ず彼女を幸せにします。
祝福して、くれますよね? もっとも彼女がどう思っているか、まだよくわからないんですけどね。

1ヵ月後、啓子は会社を辞めた。自分の本当にやりたいことが見つかったからだ。
レストランなどに行くたびに書き溜めていたグルメノートを女性誌の編集部に持ち込んだところ、
とりあえず1年間グルメレポートを連載してみないかと言われたのである。
それは啓子にとっては天職と言ってもいい仕事で、他の雑誌からも次々とオファーが来た。
そんな中、「シュプール」に凄腕シェフがいると聞いた啓子は取材に赴く。
そこでオカマシェフ・姫宮麗子に出会った啓子は、麗子に様々な質問をぶつけ、普通はそこまで気付かないと
麗子に気に入られ、秘密の食材を教えてもらった。
それを聞いた啓子はその発想に驚き、やはり人はみかけじゃないと思った。
見かけがどうだって、性的嗜好がちょっと人と違ってたって、才能を磨けば認められるのだと。
――あたしも頑張るぞ。
243かまいたちの夜×3 ◆l1l6Ur354A :2007/06/30(土) 14:59:56 ID:FHLUr8880
1年後、香山は再び三日月島の土を踏んだ。
1年前に見つけた財宝は全て売り飛ばして金に換え、その金を使って三日月館を取り壊した。
もうすでに死者はみな成仏したはずだが、忌まわしい建物はない方がいい。みんなもそれに同意した。
巨大な建物だっただけに完全に更地にするのには財宝の金を全て使い切ってしまった。
財宝といっても手入れをしていない美術品はそう値打ちもなかったということだ。
更地になった土地に香山は夏美の好きだった桔梗の花を手向けた。それがどうや――
(一輪だけの桔梗の花から画面が引き、奥に一面に広がる桔梗畑が映る)

夏美。わしは元気でやっとるで。
「浪速のど根性焼き」も順調で、今や428店目がオープンしたとこや。
見てるか? わし、当分そっち行かへんで。淋しないんか?
もうおまえが夢に出てくることはなくなったけど、またなんか困ったことがあったらいつでも言いや。
(桔梗畑がアップになり、風で桔梗が揺れる)

風が吹き抜けて、桔梗が一斉に揺れた。
夏美が笑うてる――
わしにはそんな風に見えた。

(最初はここでスタッフロール)
244かまいたちの夜×3 ◆l1l6Ur354A :2007/06/30(土) 15:01:33 ID:FHLUr8880
(金のしおり後、スタッフロールはなくこれが追加される)

(麗子に教わり魚をさばく透)
「えーっと、三枚におろすには……」

(シュプールの台所にて透の料理の味見をする真理)
「おいしい! やるじゃない、透!」

(シュプールの看板の前に立つ透)
「……これでよし」

(看板には「Pension Spur」の文字の下にowner小林真理・chef矢島透の文字)
「シェフ……いい響きだ」

(料理雑誌に掲載される透のの料理)
「透の料理、啓子ちゃんほめてるわよ」

(客に透を紹介する真理)
「ご紹介します、シェフの矢島です」

(再度シュプールの看板の前に立つ透)
「……これでよし」

(看板のオーナー名が「小林真理・透」になっている)
「小林……悪くないかも」

(横断歩道を渡る啓子)
「いそげいそげ」

(とあるレストランに入る啓子)
「こんにちはー、取材をお願いした北野です」

(メモを取りながら話す啓子)
「ついにオーナーシェフですね、麗子さん」

(啓子の取材に答える麗子)
「そうなのよ。やっと念願叶ったわ!」

(店の外に出る2人)
「お忙しいところ、ありがとうございました」

(レストランから去ろうとして立ち止まる啓子と見送る麗子)
「あ、忘れてた!」

(麗子に雑誌を差し出す啓子)
「これ、よかったらもらって下さい」

(「おいしいお店」関東版。著者は啓子)
「……啓子ちゃん、すごいじゃない!」
245かまいたちの夜×3 ◆l1l6Ur354A :2007/06/30(土) 15:02:51 ID:FHLUr8880
(従業員に演説する香山)
「ええか、商いっちゅうもんはな……」

(お好み焼きの店内、かまいたちメンバーが勢ぞろいし)
「え、半額ですか!」

(皿洗いさせられる透)
「そういうことか……」

(企画会議にて)
「夢はでっかく、10000店舗や!」

(『浪速のど根性焼き』アメリカ支店)
「よっしゃ! 3000店舗や!」

(『浪速のど根性焼き』中国支店)
「5000店舗、いったで!」

(『浪速のど根性焼き』アフリカ支店)
「9000店舗や! まだまだいける!」

(『浪速のど根性焼き』南極支店前で万歳する香山)
「10000店舗や!!!」

(刑務所から出所してきたみどり)
「……お世話になりました」

(出迎えるかまいたちメンバー)
「みどりさん、おかえりなさい!」

(赤ん坊を抱えて出迎える俊夫)
「……おかえり、みどり」

(赤ん坊を抱えるみどり、周りに集まる他の皆)
「ほら……ママが帰ってきたぞ」

(眠る赤ん坊)
「こんなにたくさん寝るものなのか……」

(みどりの傍で立とうとする赤ん坊、手前に俊夫の手)
「ねえ、立とうとしてるんじゃない?」

(子供にたかいたかいをする俊夫)
「ほーら、たかいたかーい」

俊夫、みどり、その間に2人の間の子供の写真におしまい、の文字
246かまいたちの夜×3 ◆l1l6Ur354A :2007/06/30(土) 15:04:06 ID:FHLUr8880
1レスでわかるかま3。

死んでも己の財宝は渡さないと執念を燃やした岸猿伊右衛門の呪いにより、三日月島に入った者は
死んで島に魂を閉じ込められるか生還しても不幸になるようになってしまう。
かま2及びかま3の事件は伊右衛門の呪いで殺意や憎悪、欲望などが増幅されてしまった結果発生したもの。
かま2で死んだ夏美はそれを何とかすべく香山に助けを求め、伊右衛門はそれを阻止すべく子孫の村上を操って
香山を殺害させようとするが、夏美の力で殺害には至らず、むしろ香山が死者にならず幽体離脱状態になった
ことで伊右衛門の影響をあまり受けなくなり、小林夫妻やキヨ、正岡らの助けも借りつつ伊右衛門を討伐する。
呪いが消えたことで死者は成仏し、全員がそれまでの不幸の分以上に幸せになるのだった。めでたしめでたし。
247かまいたちの夜×3 ◆l1l6Ur354A :2007/06/30(土) 15:07:46 ID:FHLUr8880
補足。
・透は婿養子
・俊夫とみどりの子は女の子っぽい(ベビー用品やら最後の写真でポニテなことから)
・主人公4人とその相手以外は後日談が語られないので、美樹本・可奈子と村上・春子がどうなったかは不明
・スタッフロールは金のしおり前限定
・かま3は主人公は俊夫で影の主役が香山、裏の主人公が啓子。透は非常に脇っぽい。

以上でかま3終了です。
今まで長々とお付き合いいただきありがとうございました。
248名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/30(土) 16:51:19 ID:aKIF8Kh50
かまいたちの人乙
249名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/30(土) 16:52:21 ID:1eFlyFFi0
乙であります!
250名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/30(土) 21:43:51 ID:YX7SGxaV0
かまいたち乙!分かりやすかったし楽しかったです。
金栞の透がイイ!!
251名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/02(月) 02:18:45 ID:Ps4attMF0
偽典・女神転生お願いします
252名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/02(月) 02:30:46 ID:VkyKpzPS0
前スレの611まで、このスレの>>251までをWikiに収録、未解決リストに反映しました。

3ヶ月以上過ぎたので

●途中 から
・アークザラッド 精霊の黄昏
・.hack//既出部分の続き
・ファーレンハイト
・オペレーターズサイド
・FINAL FANTASY VII(ちょっと詳細バージョン)
・サイキックフォース2012
・北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ
・.hack//G.U. Vol.1 再誕

●執筆予告がある物 から
・九龍妖魔學園紀 re:charge
・仙窟活龍大戦カオスシード(土攻の怪概略)
・ポポロクロイス物語2
・ポポローグ
・サモンナイト4
・ポートピア連続殺人事件
・真・女神転生-20XX
・夜想曲2

を、それぞれ消しました。
253名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/02(月) 12:39:40 ID:4kGsO+2g0
よーし
ポートピア連続殺人事件予約
254名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/02(月) 14:35:55 ID:VUw7Ts550
ひよこ侍予約
255ポートピア連続殺人事件:2007/07/02(月) 19:20:29 ID:4kGsO+2g0
あなたはベテラン刑事。みんなからボスと呼ばれ慕われている。
ローン山金(やまきん)の社長、山川耕造が殺害された事件の捜査のため、
神戸の花隈町(はなくまちょう)へやって来た。
「ボス、僕があなたの部下の『まの やすひこ』です。ヤスと呼んでください」

山川の屋敷に来た。
殺害現場の書斎の床には、死体の形にチョークの跡が残っている。
この書斎は、内側から鍵をかけられて、密室だったという。
戸棚の中に耕造の写真があるので貰っておく。机の下にマッチが落ちていた。
スナックぱるとかいてある。

操作本部に関係者を呼び出して取り調べする。
耕造の秘書で第一発見者のふみえ、同じく第一発見者で屋敷の守衛のこみや、
耕造の甥のとしゆき。だが、決め手はない。

マッチに書いてある、ぱるに電話をかけると、お店は新開地の真ん中にあるというので行ってみる。
ぱるのマスターに耕造の写真を見せると、確かに来たという。
川村という男と店で大喧嘩したそうだ。
新開地で川村について聞き込みをしてみると、新劇の「おこい」が川村と親しかったという。

おこいを捜査本部に呼び出して取調べをする。
おこいは耕造のことも知っていた。
「刑事さん、ええ男やからおしえてあげるわ。
耕造って人ね、昔、川村と詐欺仲間だったんやて。で、それをねたにゆすられてたんとちゃう」
川村は今すみれ荘にいるという。

すみれ荘に行ってみると、川村は死んでいた。
「もう逃げられないと観念して、自殺を・・・。あっけないラストでしたが、事件は解決しました。
どうか『捜査をやめろ』と命令してください。ボス?」
ヤスはそんなことを言うが、事件が解決したとは思えない。
もう一度おこいを捜査本部に呼び出す。
「そういえば、川村は言うとったなぁ。洲本の沢木産業の詐欺が、耕造とやった一番大きな仕事やて。
そう言うたら、秘書のひと、沢木ふみえとか・・・。あ、うち、いらんことを・・・」
おこいは舞台があるからと言って帰ってしまった。
256ポートピア連続殺人事件:2007/07/02(月) 19:21:24 ID:4kGsO+2g0
神戸の港に行く。向こうにポートアイランドの観覧車が見える。
そこから高速艇に乗り、淡路島の洲本へ行く。
ふみえについて聞き込みをする。ふみえについて知っているおばさんがいた。
「ふみえちゃんは、ほんま、かわいそうな子でした。
お父さんの会社が詐欺で倒産して、ご両親は自殺してしまったんですよ。
それで、親戚に引き取られましてね。たった一人いた兄さんとも離れ離れ。
えっ?その兄さんですか?さあ、どこに行ったか・・・。
確か、肩にちょうちょの形のあざのある男の子でした。」

捜査本部に戻ってきた。ヤスが慌てた様子で言う。
「川村の部屋の天井裏から地図のようなものがみつかり、届けられています!
これは、耕造の屋敷の地下迷路の地図では?」
山川の屋敷へ行き、地下迷路へと降りる。
地図の通りに進んでいくと、突然、後ろの壁が閉まった。
突き当たりは行き止まりのように見えるが、叩いてみると、周りの壁とは音が違う。
体当たりをすると壁が開いて、奥に部屋があった。
そこには日記があった。
「ボス、この日記は耕造のものです。
これによると、彼は、ふみえが沢木産業の娘であることを知っていたらしい。
知っていて、秘書に雇った。沢木の子供たちに罪滅ぼしがしたい・・・と。
そんなことが延々書かれています。
も、もし、ふみえの兄が犯人だとして、このことを知ったら、きっと後悔するんでしょうね。
ボス・・・」
ヤスは震える声で言った。

捜査本部に戻る。
あなたはヤスに、服を取るよう命じる。
「僕に、脱げと言うのですか?ボスは、まさか・・・」
ヤスは躊躇ったが、最後に、
「わ、わかりました・・・」
と言って、服を脱ぐ。その肩には、蝶の形のあざがあった。

「ボス、見事な捜査でした。
僕が親戚に貰われていった、ふみえの兄です。
耕造と川村を殺したのも、確かにこの僕です。
両親を自殺に追い込んだあの二人を許せなかったのです」
「その後は、私が話します」
ふみえが現れた。
「ふみえ!お前は逃げろって!」
「お兄ちゃんは黙ってて!」
ふみえは、こみやに書斎のドアを開けさせ、こみやが驚いている隙に、
書斎が密室だと思わせるような細工をしたという。
「これで、すべておしまいです。
でも、皮肉なもんですね、殺してから耕造が後悔していたことがわかるなんて・・・」
「おにいちゃん!」
「ふみえ!」

おわり
257ポートピア連続殺人事件:2007/07/02(月) 19:25:55 ID:4kGsO+2g0
予約しなくても良かったかも・・・。
258名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/02(月) 19:42:12 ID:DcJ2ef5d0
>>251
偽典・女神転生はどっかのサイトに詳しく粗筋が載っている。
ググれば簡単に出てくる筈だ。
259名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/04(水) 02:59:30 ID:3YQkxWDo0
>>235
植物人間っていうのは、オーヴァンの事。(妹は、ハセヲを人殺し呼ばわりしているのでどうなってるかは分からんが)
無論、ハセヲ中心で戦いに挑みとどめもハセヲがさす。
260名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/04(水) 10:38:19 ID:hzcqKrFi0
GBAのロックマンエグゼをお願いします
2以降はあるんだけど1がない・・・
261名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/04(水) 21:47:08 ID:qaBxk8JU0
ポートピア乙です
ゲームは知らなかったんだけど
「犯人はヤス」だけ知ってたからワロタw
262名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/04(水) 23:24:08 ID:SOsrmFPz0
どなたか
「テイルズ オブ ファンダムVol.2」をお願いします。
263名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/05(木) 11:48:02 ID:Z86iViiX0
うわーんヤスの漢字表記解ったよ〜
細かいところもちょっと間違ってるからWikiに載ったら直すよ

それと、ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者を予約します。
264名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/05(木) 23:03:35 ID:kAyQAy/e0
予約消えたようだからリスト消化のため
ポポローグとポポロクロイス2投下する
文章力には期待しないでくれ
265ポポローグ1:2007/07/05(木) 23:04:17 ID:kAyQAy/e0
平和な国ポポロクロイスを突如襲った不気味な暗雲。
パウロ王は状況を把握するため軍を調査に向かわせるが、
調査隊は怪物に襲われ散り散りに。
かろうじて城に逃げ帰ってきた兵士ドンとゴンの報告により、
ポポロクロイス城は見知らぬ世界に飛ばされたことが判明。
その件で会議を開いていると、魔女ナルシアが魔法で
「調査隊の魔法使いのひとりを保護しているから迎えに来て」と連絡してくれる。
反対するパウロ王を振り切ってピエトロ王子がナルシアと姉ギルダの住むフローネルの森へ行くと、
ギルダが「ポポロクロイス城周辺がなにか知らない世界に来ている。
あの暗雲、以前にも見たことがあるような…」と教えてくれる。
この世界を探索するためにいいものを、とギルダに教えられ王家の洞窟に向かうピエトロ。
「竜の像」と「竜の翼」という宝物を入手する。
竜の翼をかざすと、竜の像を安置した場所に帰れるようになる。
この世界で使用できるかどうかテストするために、ギルダの館で寝ている魔法使いに翼を一枚
手渡してポポロクロイス城に帰るピエトロ。
城門に竜の像を置くと、ギルダの館から魔法使いが竜の翼でワープしてくる。
テストの成功をパウロ王に報告するが、「お前がするべきことではない」と叱られる。
そんなことより勉強しろ、と自室に押し込められたピエトロだったが、翌朝パウロ王の失踪を知らされる。
あわてて母であるサニア王妃に会いにいくと、置手紙があったことと覚悟の失踪であることを告げられる。
「お父様には心当たりがおありのようでした、責任感の強い方ですからこれ以上みなを危険にあわせたくなかったのでしょう」
行方不明の調査隊のみんなとパウロ王を探しにいきたいと願うピエトロを、励まして送り出したサニア王妃。

(フローネルの森に向かうとき途中にあるタキネン村で薪割りのおじさんに話しかけるとダイソンという男に、
 用件をすました帰りに迷いの森の出口でメルという獣人の少女に出会うことができる。)

この時点でナルシアにあいにいくと、励ましてもらえる。
が、世界が不安定で魔法がうまく使えないため一緒に冒険してはもらえない。
266ポポローグ2:2007/07/05(木) 23:04:56 ID:kAyQAy/e0
城下町に行くと、「傭兵所」が開設されており、これより冒険の途中でピエトロが出会った傭兵を雇えるようになる。
タキネン村でダイソンに、迷いの森出口でメルにあっていれば、ここの時点ではこの二人が雇えるようになる。

傭兵を雇い、とりあえず道が通じている西の山脈を探索することにしたピエトロ。
森を抜けると、どこかで見たようなヒゲ面のオヤジの像のあるところに出る。
いきなり後ろから矢を射掛けられ、ビックリしていると猟師のロビンという男だった。
イノシシを射たんだ、と言い張られる。違うって。
獲物が少なくなった、傭兵にでもなろうかなと言いおいて去っていくロビン。
以後傭兵所で彼を雇えるようになる。
進んでいくとやっぱりどこかで見たようなロボットが。
ここは前作で出奔したガミガミ魔王が新たに作り上げた新ガミガミ魔王城だったのだ。
城内には調査隊の兵士の一人がいるので救出する。
その足でガミガミ魔王に会いに行くと、「パウロを探す秘密兵器をくれてやろう」と言われ、
とって来いとガミガミダンジョンに行かされる。
格納庫までいくとメッセージビデオを見せられる。
「俺様が先にパウロを見つけて知恵の王冠を頂く。あばよっ」。
無駄足を踏まされたので一旦ポポロクロイス城に帰ると、
ガミガミ魔王によりポポロ草原の前にあった岩が爆破され道が出来ている。
早速進んでみると見たことのない大きな街、トンクウに出る。
街を探索していると宿屋でパウロ国王とばったり会う。
帰宅を約束してとりあえず一晩休もう、と眠りにつくと翌朝またパウロが置手紙を残して失踪。
変なおばけが出てくる夢を見るし最悪だ。
267ポポローグ3:2007/07/05(木) 23:07:03 ID:WeOu1AgV0
トンクウの街で釣りをしている少年が夢幻フィールド帳とアイテム帳をくれる。
ダンジョンの踏破率とアイテムの入手率がわかるようになる。
さらに街中の猫の多い民家で行方不明の兵士のひとりを発見、救助。
貸し船屋にいくと、勇者を探して冒険しているというレパルド、ミーシャという獣人たちに出会う。
以後傭兵所で彼らを雇えるようになる。
鍛冶屋によると鍛冶屋の弟子ハンスが鉱石を求めて旅立つ現場に遭遇。
現在は鉱石が不足しているため鍛冶屋を利用できないとのこと。
スタビン屋という店によるとスタビンカードがもらえる。
スタンプビンゴカードの略で、あちこちにあるスタンプ台でスタンプを押し集めるとステキな景品がもらえるらしい。
酒場によると歌姫に歌を歌ってもらえる。サニア王妃に似た綺麗な歌声に癒される。
ギタリストとピアニストに話しかけると、双方に演奏してもらえる。ありがとう。
奥の楽屋を見に行くと、スケベ爺ドグマに出会える。傭兵のひとりとのこと。
パウロの手がかりを探してまだ街中をうろちょろしていると、
タイガーデパートの地下で経営者の息子ライアンから恋人のメグに手紙をことづけられる。
町長の家に匿われていたドラゴンデパートの経営者の娘メグに手紙を渡すと、慌てて出て行ってしまう。
ラブレターってすごいんだねー、とのんきに見ていると、メグとライアンの事情を聞かされる。
対立するふたつのデパートのあととり同士、ロミオとジュリエット状態でひきさかれそうなこと。
駆け落ちしようとしているのではないかということ。
ゴタゴタの原因になっちゃった、と慌てて出奔しようとしているふたりを探し出して引き止める。
もめる両家をギルダが脅かして話し合わせ、一件落着。
268ポポローグ4:2007/07/05(木) 23:07:41 ID:WeOu1AgV0
街を探索し終え、次の街に向かうためあやかしの洞窟に向かうピエトロ。
入り口にスタビン野郎と名乗る男がいて、スタビンの基礎を教えてくれる。
途中の端で翼を持った少女ミルトに出会う。双子の兄クルトを探しているとのこと。
知らないと答えるとそのままどこかに行ってしまう。
失われた街につくと、女の子が不思議なベッドの話をしてくれる。
不思議なお月様やお星様の世界に行けるんだって、と言うが
変な夢を見てしまう寝つきの悪いベッドである。
四隅になにかをはめるための穴がある。
とりあえず寝てみるとなんだか知らない怖い魔物に倒される夢を見る。縁起でもない。
灼熱洞窟を抜け、コロモックという砂漠の街にでる。
大怪我をして倒れている調査隊の兵士を発見、救助。
宿屋に泊まるとまた変な魔物の夢を見る。
「昔はコロモックは緑豊かだったのに人を争わせるなんて他愛もない」と嘲笑される。
カチコチ族の住居前ではザッパというカバに激似のドラゴンに会える。
会っておくと以後傭兵として彼を雇えるようになる。
地下通路でスタビン野郎に再会。砂漠のスタンプ情報を教えてくれる。
僕のほうが先達で偉いのだ、以後スタビン先生と呼べ。と威張りつつ去っていく。
コロモックの原住民フサフサ族とカチコチ族は水の取り分で争っていて仲が悪い。
格闘場のオーナーが「ピラミッドにあるファラオの水さえあれば村は水に困らないのに」と言うので
ピラミッドに行ってみることにする。ピラミッドに入るには、フサフサ族の偏屈な爺さんソシムに
呪文を唱えてもらわなければならないというのでやむなく連れて行く。
カラカラ砂漠を抜け、ピラミッドに到着すると追いかけてきたミルトがクルトを探すため
一緒に連れて行って、と頼んでくるがソシムに断られ、トカゲを投げつけてまたどこかへ行ってしまう。
269ポポローグ5:2007/07/05(木) 23:09:10 ID:WeOu1AgV0
ピラミッドの最奥まで進むとなにやら祭壇のような部屋。ソシムの様子がおかしくなる。
彼は憎しみを司る化け物、憎悪のミーソスだったのだ。
水を復活させれば憎悪が消えてしまう、そうはさせぬと襲ってくるミーソスを倒すと、
魔法が通じるようになってギルダの幻影が出現。
この世界は夢幻魔王に支配されていて、彼の配下の四天王がいる。
ミーソスもそのひとり。と教えてくれる。
ミーソスが持っていた憎しみの夢という珠を手に入れ、祭壇の奥にいくとミーソスにいたずらをして
とらわれていたクルトが落っこちてくる。ピエトロのあとをつけてきていたミルトと手を取り合って喜んだあと、
ピエトロをからかって去っていく。以後傭兵としてこの双子を雇えるようになる。
ファラオの水を汲んで帰ると、コロモックの井戸に水が湛えられ、カラカラ砂漠に緑が広がりカラカラ草原になる。
喜んだ格闘場のオーナーが、水を汲むために使ったビンをお礼にくれる。
ピエトロがこのビンを弱らせた魔物に向けると、三体まで捕獲できるとのこと。
お礼を言ってコロモックを出ようとすると、いきなり太ったおっさんが走ってきて名刺をよこす。
ギャンブルの街ガバスから来たが現在は海の底で人生相談をしている、と書いてある。
一旦ポポロクロイス城に帰ると城下町の猫の多い民家でボリスという青年に出会う。
記憶を失っている、猫をみるとなにか思い出しそうになるという。
以後傭兵所でボリスを雇えるようになる。
ボリスを仲間にして再びコロモックに行くと、村の子供が植えた豆がおおきく伸びていて上れるようになっている。
その真下に天空城の大臣と名乗る男がいる。
彼によると、雲の上にある天空城が、ある日突然猫の化け物に侵略され、城は奪われ人々はお菓子にされ、
王子が行方不明になってしまったという。その王子こそボリス、と言われるがボリスの記憶戻らず。
270ポポローグ6:2007/07/05(木) 23:09:43 ID:WeOu1AgV0
雲の上に行くと、ガミガミ魔王を見かける。声をかけると慌てた魔王は雲の下に落ちていってしまう。
雲の上を抜けて天空城前に行くと、お菓子を頭に乗せて運んでいるボール状の猫の群れを見かける。
最上階にある大きなケーキの上には猫の化け物、怠惰のアルゴスが寝転んでいて、めんどくさそうに襲い掛かってくる。
アルゴスを倒すと「怠惰の夢珠」を入手。
アルゴスを倒しても記憶の戻らないボリスに別れをつげ、大臣は旅立っていく。
アルゴス打倒後再度ボリスをつれて天空城入り口に行くと、ボリスが少しだけ記憶を取り戻す。
トンクウに立ち寄ると、鍛冶屋の親父が帰りの遅いハンスを心配し、
道案内をしてくれるという小鳥の鳥かごをハンスに渡すよう頼まれる。
大氷穴を通ってガバスに行く途中、「勇者の証」を手に入れる。
ギャンブルの街ガバスの入り口で、スリの女ラウラと出会う。
王子ならいい鴨だ、と近づいてくるラウラ。以後傭兵として彼女を雇えるようになる。
ガバス内部のデイモス教会にいくと、なにかの儀式の真っ最中。
儀式が終わると幽霊城への道が通じる。
教会の反対側にあるよろず屋に立ち寄ると値切ろうと大騒ぎするガミガミ魔王に出会う。
魔王はそのままよろず屋の通路の先にある黄金と死の迷宮に向かってしまう。
宿屋に行くと、着物を着た異国風の男女二人連れに出会う。
ニンジャのユキと、許婚のムサシと名乗る。この二人で満室だからと宿屋を追い出され倉庫に泊まることに。
真夜中、ピエトロがトイレに起きると、まだ結婚なんてごめんだ、と逃げ出すムサシに遭遇。
翌朝、ムサシに逃げられて機嫌の悪いユキに彼の行方を尋ねられるも、ごまかす。
改めてガバスの宿屋に泊まると、また変な魔物の夢を見る。
「この街は恐怖と欲望の権化」と告げられる。
カジノに行ってみると、スロットマシンに興じる調査隊の魔法使いを発見、救出。
カジノの酒場のダンスショーを見て、歌姫の歌を聴く。サニア王妃に似た素敵な歌声に癒される。
271ポポローグ7:2007/07/05(木) 23:10:16 ID:WeOu1AgV0
グルメパレス前にはスタビン先生がいて、近辺のスタンプ情報をくれる。
グレードアップした俺は先生ではなくスタビン師匠!と言って去っていく。
グルメパレスに入ると、そこのオーナーが
「私はモンスターコレクター。君が捕獲してくれたモンスター一体につき一食ご馳走しよう」と約束してくれる。
以後ビンで捕まえたモンスターを持っていくと和洋中どれかのコックを選んで料理を出してもらえる。
最上階の大富豪の家に行くと、ガードマンとして雇われていた調査隊の兵士を発見。
カジノ最奥にいける「通行許可証」を渡してもらい、救出。
大富豪宅奥では、大富豪に化けた怪物が逃げていくのを目撃する。
捕まっていた大富豪を救出すると、尊大に「礼だ。これ以上たかるなよ」と真実の指輪を投げ渡される。
それを持ってカジノで負けた者が借金のカタに働かされているガバス地下の強制労働場に行くと、
真実の指輪本来の持ち主ルースがいるので返してあげる。
ちょうど借金を返し終わったルースが大富豪とカジノ対決をすることになる。
真実の指輪の効力で大富豪のイカサマがばれ、大富豪は追放。以後ルースが大富豪に。
大富豪宅にルースに会いに行くと、お礼に黄金装備セットをひとそろいくれる。
エレベーターホールに行くと、道に迷っていたトンクウの鍛冶屋の弟子ハンスに出会うので鳥かごを渡す。
以後トンクウの鍛冶屋が利用できるようになる。鍛えることができるのは伝説の武具シリーズのみ。
これより後にトンクウによると、のれんわけしたハンスを心配した親方に失われた街まで様子をみてくるよう頼まれる。
ハンスに会いに行くと、鍛冶屋の命ハンマーをなくしてしまって店が開けないというのでトンクウの鍛冶屋に報告する。
しょうがないやつ、と鍛冶屋の親方が「鍛冶屋のハンマー」を出してくれる。
再度失われた街のハンスにそれを渡しに行くと、お礼に「秘蔵の斧」が貰える。
272ポポローグ8:2007/07/05(木) 23:10:49 ID:WeOu1AgV0
恐怖によってガバスの人々を支配しているというデイモス教の総本山があるという幽霊城に向かう。
最上階にいる恐怖のデイモスを倒すと、「真の恐怖はこれから」との言葉を残し倒れる。
「憎しみの夢珠」を入手すると、デイモス教会は美しい普通の教会に戻る。
一旦ガバスに戻り、ガバスのよろず屋奥の通路から、黄金と死の迷宮に向かう。
途中奇妙な湿原の中でユキに再会。ムサシを探す資金を得るため傭兵になるという。
以後傭兵所でユキを雇えるようになる。
なお、ムサシを傭兵にするには、これ以後ユキがパーティにいない状態で
死者の回廊 → 大氷穴 → 灼熱洞窟 → 石畳の迷宮 の順番で
修行中のムサシを見つけ話をせねばならない。
最後の石畳の迷宮でムサシと話すと、ユキの執念に負けたムサシが観念して結婚。
以後傭兵としてムサシを雇えるようになる。
黄金の迷宮最深部の宝物庫にいる、人間の欲望を食い物にしている化け物
欲望のオレクシスを倒すと、「欲望の夢珠」を入手。
死の瞬間オレクシスが「我が主、イド…」と呻く。
ギルダの幻影に教えられ、失われた街に向かうことになる。
この時点で灼熱洞窟、海底大回廊、黄金と死の迷宮で手に入れたロボットのパーツを持って
一旦トンクウに戻り組み立てると、ロボット・ゼノンが出来上がり、以後傭兵として雇えるようになる。
コロモックによるとスタビン師匠がいて、「今度の俺はスタビン帝王」と言い残して去っていく。
ギルダのアドバイスに従い、妙な魔力を感じるという失われた街に行く。
以前聞いた四隅に何かをはめる穴がある妙なベッドを見ると、ちょうど四つの夢の珠がはまるのではめてみる。
そのベッドに寝てみると、冒険の途中あちこちの宿屋で出会った変な魔物、ナイトメアが
「誰か僕の夢に入ってる…?」とうつらうつらしている横をすり抜けて過去の夢の街「ムーンスター」にたどり着く。
ムーンスターは頭が月や星の人々が暮らす、イドの夢の中の街。
過去の夢のポポロ草原を抜けて、過去のポポロクロイスにつくとみなにパウロ王子と間違われ、
王位継承の儀式として王家の洞窟に向かわされる。
273ポポローグ9:2007/07/05(木) 23:11:23 ID:WeOu1AgV0
過去のポポロクロイス城の造成中の会議室ではガミガミ魔王の秘密基地?が、
過去のタキネン村では子供のころの白騎士?が見れる。
過去のギルダの館で過去のギルダを見かける。口の悪いのは同じだけど昔はとてもスリム。
どこで間違ってあんなに膨れたのかと言って怒られる。
王家の洞窟前でためらっているパウロに遭遇。同行を命じられる。
王家の洞窟奥で知恵の王冠を取ってくる儀式につきあわされ、奥にいくと、
「絶対に触ってはいけない。これは大昔の大魔法使いバスカル様がかつて夢幻魔王を封じた鏡」と
きつく言われていたものが。それで遊んでいたパウロが案の定壊してしまう。
そのまま夢から覚め、ギルダに会いに行くと、この事態を招いているのは夢幻魔王イド、
夢に巣食う小さな魔物だったナイトメアが人々の欲望や憎しみを取り込んで強大になったもの、と告げられる。
過去の出来事と照らし合わせて合点がいったピエトロが封印の方法を聞くと、結界を破ってイドを倒すこと、
結界を破るには過去の封印の鏡の欠片が必要と教えられ、現在の王家の洞窟に過去パウロが割った鏡を取りに。
欠片を渡すとギルダが超特急で結界を無効にするためのアイテム「夢のペンダント」を作ってくれる。
それを持ってトンクウの船着場からイドの居城「夢幻城」に行くと封印がとかれ城内に入れる。
途中でパウロの日記を拾う。自分が招いた事態、自分で決着をつける、と書いてある。
イドの居室前には石像にされた調査隊の将軍とパウロ国王が。
国王の石像は涙を流し、知恵の王冠を落とす。
イドの部屋に入るとパウロに化けたナイトメアにたぶらかされる。
「お父さんを馬鹿にするなっ!」と怒ったピエトロがナイトメアを倒すと、
本性である夢幻魔王イドが出現。
かろうじて勝利すると、イドの力で作られていた夢幻城が崩れはじめる。
石像になった人たちも元に戻り、皆はワープしてそれぞれの世界へ帰るのだった。
ピエトロが自室のベッドで目を覚ますと、城はパーティの準備で大忙し。
ベランダに出ると父パウロが待っていた。
勝手を詫び、再び親子の絆を取り戻した二人。
パーティが始まり、パウロは心配をかけたみんなにも謝るのだった。
第一部終わり
274名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/05(木) 23:46:26 ID:0/epCFXH0
>>262
クラトス編だけならここに

32 名前:名無したんはエロカワイイ 投稿日:2007/07/03(火) 06:22:20 ID:ZfxXeWW0
ファンダムの父さん編あらすじ
ttp://www.geocities.jp/sienokiba/tof2kr.html

言うまでもなくネタバレ必至な
どこまで割愛したらいいかわかんなくてやたら長くなった
誤字脱字は堪忍してくれ
275ポポローグ10:2007/07/06(金) 01:26:30 ID:9165XDN30
第二部 夢の続き
ピエトロが目が覚ますと、なぜか部屋にはナルシアがいる。
部屋を出て武器庫に行くと白騎士が。城下町の民家にはガミガミ魔王が。
鍛冶屋やなんでも屋、魔女のギルダまで引っ越してきている。
そう、ここは夢の世界なのだ。
他にも城と城下町にかつて出会った傭兵や旅好きの村人が来ているので
以後好きなようにパーティを組めるようになる(第一部で雇ったことのある者のみ)。
夢の王家の洞窟前には少年の時のパウロ王子がいて
「お前が気に入ったからふたりきりで冒険しよう!」と傭兵になってくれる。
パウロの言葉通り彼は気難しいので彼と組むと他の誰も仲間にできない。
夢の王家の洞窟地下五階に行くと、城の兵士ゴンが倒れている。
この洞窟の奥底にいる「強いやつ」を倒すため魔術師のタモタモ、兵士のドンと一緒に潜ったという。
以後傭兵所でゴンを仲間にできるようになる。
とりあえずゴンを救出して先に進むと今度は地下十階でドンが倒れている。
助けると以後傭兵所でドンを仲間にできるようになる。
タモタモは先に進んだというのでまたダンジョンを潜っていくと地下二十階にてタモタモ発見。
倒れていたくせに揺り起こすとまだ先に行くというので「一旦体制を立て直して来い」と地上に返す。
「この礼はする」と以後タモタモが傭兵になってくれる。
洞窟の最深部にいた「強いやつ」は倒したはずのイド?だった。
「なぜ私がここにいるのかはわからんがお前と戦うことはなぜか宿命のような気がする…」と
襲い掛かってくるので倒すと第二のED。
終わり…と見せかけて実はイド?は何度でも地下五十階に復活するのでその後何回でも
好きなパーティを組んでイド?を倒しに行ける。


まとめ
平和なポポロクロイス王国にいきなり夢幻魔王イドが攻めてきた。
かつて少年の折にパウロ国王が封印を解いてしまったせい。、
異常事態の責任を感じた国王がひとりでケリをつけようと失踪。
イドにとっつかまって石像にされてしまったため
あとを追ったピエトロ王子がイドを退治。
パウロ国王も元に戻ってめでたしめでたし。
おしまい。
276ポポロクロイス物語2:2007/07/06(金) 01:29:15 ID:9165XDN30
プロローグ

12歳になり、王位継承の儀式を受けることになったピエトロ王子。
王家の洞窟に知恵の王冠を取りに行く。
王冠を手にした瞬間、バスカルと名乗る老人の幻に
「王の宝とはなにか?」と問いかけられる。
悩むピエトロに、「今はまだわからなくてもよい。が、いずれこの国を災いが襲う」と
不吉な予言を残すバスカル。
ともかく王冠を手に入れ、無事儀式を終えたピエトロに国民は歓喜するのだった。

第一章 大地の竜

プロローグより3年後。
15歳になったピエトロには3歳の妹エレナが生まれていた。
ポポロクロイスの領地パーセラに鉄道を通すためのトンネルを作っている最中、
竜の巣を掘り当ててしまい、行方不明者が出たためピエトロが調査に向かうことに。
パーセラの坑道に入ると昔共に冒険した白騎士に再会する。
ふたりで奥にすすむと竜ウルスラに襲われている炭鉱夫を発見。
それは炭鉱夫に化けた闇の神官ボクシーだった。
ボクシーがウルスラに毒針を刺したため、混乱したウルスラとやむなく戦うことに。
ウルスラを倒すと天罰なのかピエトロの竜の剣が折れてしまう。
その後ボクシーが呼び出した魔獣ザードと戦うはめになる。
ザードを倒すがボクシーは逃亡。
事態を報告しにポポロクロイスに戻ると、かつて竜の国の王女であったサニア王妃に
ウルスラが大地の実りを司る益竜であったこと、殺してしまったことを老竜王に詫びて
許してもらわなければ人間の世界が荒廃することを教えられる。
罪を悔いて竜の国に向かうピエトロだったが、途中の温泉洞窟で疲れをいやすボクシーに遭遇。
勝利するもボクシーは再度逃亡してしまう。
が、そこでボクシーが捕まえていた竜ギルバートを救出。
お礼に竜の国に乗せて行ってもらう。
老竜王に会い、命は命で償えと言われ生命を差し出そうとするピエトロだったが、
一緒にいたナルシアや白騎士が「あなたは大事なひと。代わりに私の命を」とかばいあう。
そこに死んだウルスラの魂がやってきて
「ピエトロ王子はだまされただけだから許してあげて」と無罪にしてくれる。
実は人間と結婚したサニア王妃を勘当した父親だった老竜王は
もう咎めなくてもよくなった孫との面会に浮かれて竜の剣を修復してくれる。

277ポポロクロイス物語2:2007/07/06(金) 01:31:18 ID:9165XDN30
第二章 不思議なサーカス

ポポロクロイスにサーカスがやってきた。
ナルシアを誘って見に行くピエトロ。
国の子供たちも大喜び。
ところが翌日、国中の子供たちがサーカスと共に行方不明になってしまった。
その中にはピエトロの幼い妹、エレナ姫もいた。
妹と国中の子供たちを捜すため、ピエトロとナルシアは旅立った。
ひとさらいの情報を追って隣国のロマーナにいくと、鋼鉄魔王なるものに
この国の姫ジルバがさらわれてしまったという。
鋼鉄魔王城に乗り込むピエトロだったが、ガラクタで出来た魔王を倒してみると、
中から出てきたのはガミガミ魔王。
救出したジルバ姫に一目ぼれされ、無理やり仲間に加わられる。
とりあえずロマーナ城に報告に帰ると、ポポロクロイスの兵士ドンとゴンが
さらわれた子供たちはコトリコ島にいるらしい、との情報を持ってくる。
ロマーナ王の船を借りコトリコ島に乗り込むピエトロたち。
内部に入ると、サーカスの興行主ズールがさらってきた子供たちを
ゴブリンに変えて発掘作業を強要しているのを目撃。
正体を見られたズールが襲い掛かってくるので倒すと子供たちは元に戻った。
先に乗り込んでゴブリンにされていた白騎士、
黒ライオンに変えられてサーカスの見世物にされていた女性レオナも元に戻り、
ピエトロの妹エレナ姫も無事保護された。
ズールが何を発掘していたのか見極めようと奥に進むピエトロだったが、
掘り出された石版を手にしようとした瞬間、下半身が蛇の醜い女神が現れ、
石版を奪ってピエトロに呪いをかけてしまった。
その姿はかつて美の女神でありながら奢り高ぶって天界を追放された女神マイラのものであった。
278ポポロクロイス物語2:2007/07/06(金) 01:33:22 ID:9165XDN30
第三章 神々の国

呪いに倒れてずっと意識不明のままのピエトロ。
神のかけた呪いを解くには神に頼るしかない、と神の国へ向かう道を探すナルシアたち。
ハタハタ村に住むラダック仙人の助けを借りて神の国へ。
神々の試練を乗り越えて、すべての神々を束ねる大神ユリウスに会うと、
ピエトロを思う気持ちが彼を救う、と一枚の葉をくれる。
同時にマイラがかつて美の女神でユリウスの娘であり、やがては大神を継ぐべき立場であったこと、
恵まれた己の立場に慢心して他者を蔑ろにし、ユリウスの怒りに触れて醜い姿にされ追放されたこと、
その際にバルバランを封印するよっつの石版のうち神の国にあったひとつを盗み出していったことを教えられる。
ポポロクロイスに帰ってピエトロにユリウスの葉を与えてみるも意識は戻らない。
ピエトロの手を握って語りかけるナルシアの涙がひとすじ彼の頬に落ちたとき、
ユリウスの葉が輝いて呪いは祓われ、ピエトロが意識を取り戻す。
どんなに兄様のことが好きでもこのひとには叶わないな、と小さいながら思うエレナ姫。

第四章 妖精王の湖

ピエトロの意識が戻って安心したのも束の間、今度はナルシアが行方不明になってしまった。
闇の四天王のひとりガープに、
「ピエトロ王子と結ばれたくば妖精王にあって人間にしてもらわないとだめ」と唆されたためだった。
心配したピエトロたちがナルシアの足跡を追ってたどり着いたのは妖精王の住む城。
妖精以外にはその扉をけして開かないというその城は、今なぜかモンスターに蹂躙されていた。
慌てて中に入るとナルシアが妖精王を倒すのを目撃。
だがそれはナルシアに化けたガープの仕業だった。
妖精王の持つ石版を狙っていたのだ。
ガープと戦うことになるピエトロたち。
パーティの能力をコピーするガープを辛くも倒したピエトロたちだったが、石版はマイラに奪われてしまう。
城内で倒れていたナルシアを保護するピエトロ。
お姫様抱っこされるナルシアをうらやましそうに見るジルバだった。
279ポポロクロイス物語2:2007/07/06(金) 01:35:22 ID:9165XDN30
第五章 邪神の復活

人間界、妖精界、神界の石版が奪われ、竜の国に残る最後の石版を守ろうと老竜神の元に向かったピエトロ。
だが、時既に遅く、サニア王妃の体を奪ったマイラに攻撃をためらった老竜神は倒され、サニアも殺される。
ついに最後の石版まで奪われてしまった。
母の死に絶望するピエトロだったが、仲間の励ましに立ち上がる。
マイラを阻止しようとコトリコ島に向かうピエトロたち。
だが、闇の神官ゴーグに阻まれる。ゴーグを倒したものの間に合わず、
奪った石版で、封印されていたレムリア大陸を復活させてしまった女神マイラ。
レムリア大陸にはかつて世界を滅ぼしかけた邪悪な力、バルバランが封じられていた。
マイラはバルバランの力を利用して美しさを取り戻し、自分を捨てた世界を滅ぼそうとしていたのだ。
世界中を巡って、これまでの冒険で出会った仲間たちに助力を求めるピエトロ。
白騎士になついてくっつき回っている、ウルスラの守っていた卵から生まれた子竜のガボは、
古の勇者たちのリーダーの生まれ変わりであるため、世界各地の絵に封じられた
古の勇者たちに出会って力試しに勝つと、彼らを召還することが出来るようになる。
レムリア大陸に降り立ち、マイラ神殿の中を進むと
闇の神官最後のひとりになり、これでマイラ様の寵は独り占めとほくそ笑むボクシーに出会う。
戦って勝つとボクシー三度目の逃走。
「マイラ様助けてください」と近寄るが、マイラは醜いお前に興味はない、とボクシーをなぶり殺す。
仲間をも見捨てるその心の醜さに怒ったピエトロはマイラに戦いを挑む。
苦しい戦いの末、マイラに勝利したピエトロたちだったが、「バルバランの力をみよ」とマイラが
邪悪な力を解放してしまう。
吸収しきれなかったバルバランの力で、醜く膨れ上がった巨大なマイラを前に戸惑うピエトロを、
サニア王妃の魂が導いてマイラの心の中へ。
幾度となく復活するマイラの心を、あきらめず何度も倒すと、そのたびにマイラの心が浄化されていく。
ついにマイラを倒したピエトロたちだったが、バルバランの封印は解かれたままだ。
仲間をみんな帰したピエトロは、ひとりでレムリア大陸を封印しようとするが、察したナルシアが駆けつける。
「いつでも一緒って、約束したわよね。あなたと離れ離れになるのはもういやなの」と言うナルシアと共に
バルバランを封じるピエトロだったが、封印されたことにより再び結界が閉じ、ふたりは海中に沈む。

意識を失ったピエトロの脳裏に再びかつて王家の洞窟で出会ったバスカルが現れる。
「王の宝とは…みなを思う気持ちです」と答えたピエトロに、正解だ、願いをひとつ叶えよう、という。
そのようなことができるあなたは何者か、と問うピエトロにバスカルは正体を見せる。
それは妄執から開放されたマイラの魂と共にやってきた大神ユリウスであった。
ピエトロは神に願う。
「僕は…」
280ポポロクロイス物語2:2007/07/06(金) 01:41:52 ID:9165XDN30
気がつくとポポロクロイス城のベッドで寝ていたピエトロ。
傍らで心配しているエレナに、「ごめん、お母様を助けてあげられなくて」と詫びると不思議そう。
あっけに取られていると死んだはずの母サニアが駆けつけてくる。
ピエトロは海岸に倒れていたのだという。
一緒に海に沈んだ筈のナルシアも、駆け足の泉で倒れているところを保護されたという。
その夜、世界が救われたことを祝ってポポロクロイス城では盛大なパーティが開かれた。

エピローグ

ナルシアに言わなきゃいけないことがあるんだ、と久しぶりにフローネルの森に向かうピエトロ。
駆け足の泉で歌うナルシアの隣に座って語りかける。
「種族とか姿かたちなんかどうでもいい、今一緒にいたいって気持ちが大事なんだよね」
背を向けて涙を流すナルシアの肩を抱き寄せるピエトロ。
「ナルシア、僕は…」

おしまい。



まとめ
グレた女神マイラが世界を滅ぼすやべえ力、バルバランの封印を解いてしまいそうです。
ポポロクロイスの王子ピエトロと森の魔女ナルシアもお年頃なのでいろいろとあるんですが、
なんやかんやでピエトロが他国の姫にモテモテになったり
ナルシアが実家に帰ったりしてる間にマイラに封印を解かれてしまいました。
あら大変、とマイラを倒してバルバランを封印したらピエトロとナルシアが結果として
封印の島と一緒に入水心中するはめになりましたが
世界を救ったごほうびに神様が今回犠牲になった皆を生き返らせてくれました。
優柔不断のままじゃナルシアに逃げられるんじゃね?と悟ったピエトロは、さっさと彼女に告ることにしました。
ばっちり脈はありそうなので万事OKです。めでたしめでたし。

281名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/06(金) 21:42:41 ID:BfmTzAu60
おつかれ
282サーカディア:2007/07/06(金) 23:09:49 ID:/+QqN5280
ナビの言うとおり、世界を救うために仲間集めを始めた弘樹の前に
サーカディアとの融合を目指し、世界を滅ぼそうとしているタナトスが姿を見せる。
タナトスはブルージェネシスを管理している科学庁長官の養子、御剣晃に寄生していた。

自分と同じ超能力を持つ仲間集め、ナイトメアとの戦い…そんな非日常的な毎日の中で
弘樹は自分が幼い頃の記憶を無くしていたことに気づき、失われた記憶を少しずつ取り戻していく。
だがそれは、兄の弘一がタナトスに生まれつき寄生されており、
それを倒すことが出来るのは弟の弘樹だけという惨い真実だった。

御剣晃が兄だと知った弘樹は葛藤するが、タナトスに寄生されている弘一は
弘樹の言葉にもまるで耳を貸さない。
そしていよいよ融合の時が訪れ、弘樹は最終決戦に臨む。

何とかタナトスを倒したものの、
このままタナトスと共に消滅していく兄を放っておくことなど、弘樹には出来なかった。
そして彼は、兄を救うある方法を思い立つ。


再び叔父について引越しをすることになった弘樹の見送りに来る仲間たち。
友人との会話中、弘樹はいつもとは違う声を発する。
面食らう友人に、弘樹は兄を救う最終手段として、
兄の意識体と「共生」したと打ち明けた。

終わり
283名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/07(土) 02:15:52 ID:scgGglpP0
>>282までをWikiに収録、未解決リストに反映しました。
284名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/07(土) 11:39:41 ID:1FZhanaH0
すみませんが、ゲームボーイの「SAGA3」のストーリーを教えてくれませんか?
285名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/07(土) 13:31:29 ID:wiBWokNn0
起:未来の世界が滅びそうなので子供を過去に送り込んで救ってもらおうよ!
承:世界が滅びる理由は異次元の神の侵略が原因でした。んんんんんー、許るさーん!!
転:タイムマシン兼戦闘機(主人公親父の脳内蔵)のパーツを集めて最終決戦へ!
結:世界は救われました。ついでに親父もクローン技術で生き返りました。

確かこんな感じ。
286名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/07(土) 13:35:24 ID:wiBWokNn0
こっち要約スレじゃなかったスマン
287名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/07(土) 14:41:02 ID:aKcx7SkIO
288名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/07(土) 16:04:48 ID:EBhbvhMs0
ギース自重w
289284:2007/07/08(日) 19:18:42 ID:d2VE+g920
>>287
ありがとうございます。
見落としていました。
290名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/08(日) 21:33:23 ID:EOtFV4Rb0
PS2の「鉄人28号」と「神魂合体ゴーダンナー!!」をお願いします。
291名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/08(日) 21:34:55 ID:EOtFV4Rb0
できれば詳しく教えてもらいたいです。
292名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/09(月) 21:26:22 ID:bGxD940UO
白中探検部を書こうと思っているのですが、
人物紹介は無くても大丈夫でしょうか?
293名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/09(月) 21:27:07 ID:zO/Pv0ZE0
読む側としてはあったほうがいい
294ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者:2007/07/10(火) 04:07:07 ID:1NS+CiRZ0
それは、僕が17歳のときの、夏のことだった。

序章

僕は誰かに抱きかかえられていた。朦朧とする意識の中で声が響く。
「しっかりするんだ、君!」
僕はゆっくり目を開く。頭が痛い。
「僕は、どうして・・・ここはどこだ?僕は、誰だ?何も思い出せない・・・」
僕は草地の上に寝ていたらしい。海の近くらしく、波の音が聞こえる。
だが、どうしてこんな所にいるのだろう。そして、僕を抱きかかえているこの男も誰だか解らない。
そして、自分のことも。名前だけはかろうじて覚えていたが、それだけ。
ここに来る前何をしていたのか、どこに住んでいるのか、自分は何者なのか。
そんなことを考えるうちに、意識が遠退いていった。

僕を助けてくれた男のマンションで目覚めた。
「災難だったね。でも無事で良かったよ。私は天地(あまち)というんだ。よろしく」
天地さんは、僕を見つけたときのことを話す。
僕は海上(うなかみ)の崖の上から下の草むらに落ちたらしい。
そこへ天地さんが偶然通りかかって、助けてくれたそうだ。
頭が痛いと思ったら、頭に怪我をしている。崖から落ちたときのものだろうか。
「とりあえず、海上の崖に行けば何か思い出すかも知れないね」
そんな天地さんの言葉どおりに、僕は海上の崖に行くことにした。

海上の崖の上。僕が落ちたほうは草むらだが、反対側は海だ。もし、そっちに落ちたら助からなかっただろう。
思いに耽っていると、僕を呼ぶ声が聞こえてきて、僕と同い年くらいの女の子が現れた。
「連絡もしないでどこへ行ってたの?心配したんだから」
「君は僕の知り合いなんですか?・・・お名前は?」
僕が訊ねると女の子は驚いた顔をする。
「何をふざけてるのよ?あなたと同じ探偵事務所の『あゆみ』じゃないの」
「ごめんなさい。何も覚えていないんです。その、記憶喪失になったみたいで」
「ええっ!記憶喪失ですって!」
あゆみと名乗る女の子はさらに驚く。
「ここから草むらに落ちて、気を失ったですって?・・・わかったわ。とにかく一緒に探偵事務所に来てちょうだい」
あゆみに探偵事務所とやらに連れて行かれた。「空木(うつぎ)探偵事務所」という表札がある。
中に入って、ソファに座らせられる。向かい側にあゆみさんが座った。
「ここは空木先生の事務所で、私たちの仕事場よ。先生はいないみたいね」
僕はあゆみさんと共に、この探偵事務所の所員をやっていたらしい。あゆみさんにいろいろ訊いてみる。
「あの、空木先生って?」
「あなたと先生が知り合ったのは、あなたがまだ中学生くらいの頃の話だそうよ。
離れ離れになった両親を探していたあなたは、この街で先生と知り合ったの」
「どうして、あの崖に来たんだい?」
「あなたがあそこで誰かに会うと言って電話してきたから、連絡を待っていたんだけど、
何の連絡もないし、心配になって・・・」
「僕が・・・誰かに会う?」
ふと、テーブルの隅にメモが置いてあることに気付いた。そこには、
「明神村(みょうじんむら) 綾城(あやしろ)」と書いてある。
「これはあなたの字ね」
そのメモを手掛かりに、明神村に行くことにした。

―綾城の家に仇なすものあらば
 我、死後の世界より蘇りて
 その者に災いをもたらさん・・・

続く
295ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者:2007/07/10(火) 04:08:13 ID:1NS+CiRZ0
1章

数時間後、僕は明神駅に降り立っていた。僕が事故に遭った海上の崖は、
この明神村と天地さんのマンションとのほぼ中間に当たる。
僕は、ここに来たことがあるんだろうか・・・?
山深い、静かな村だ。静かすぎて不気味なくらいだ。
駅員さんに「綾城」のことを訊ねる。
「綾城家のことでしょう。あそこに見える、あの山のふもとの大きな屋敷です」

綾城家の場所はすぐにわかった。相当大きい屋敷だ。金持ちらしい。
玄関でベルを鳴らすと、執事らしき男が出迎えてくれた。いかにも執事という感じの老人だ。
「どこへ行っておられたのですか?心配しておりましたよ」
「えっ?僕のことをご存知なんですか?実は、僕・・・」
「えっ!記憶喪失!では、依頼した調査の内容や私の名前まで忘れてしまわれたのですか?」
執事さんに依頼の内容を訊く。
「調査というのは、つまり、先日亡くなりました『綾城キク』様についてでございます。
お医者様は心不全と診断されましたが、私にはただの病死とは思えないのです」
「つまり、キクさんは何者かによって・・・」
「それを調査していただこうと、この屋敷にお呼びしたのです。
そして、先日あなた様はこの屋敷へ参られました。
それなのに、こんなことになろうとは・・・。
依頼の内容をお話させて頂いている途中で、あなた様にどなたからか、お電話が掛かってまいりました。
その電話のあと、重要な情報が手に入るかも知れないと仰って、この屋敷を出て行かれたのです」
キクさんのことを訊く。
「キク様は綾城商事の会長でしたが、78歳の高齢の上、心臓が弱っておられたのです。
そこで遺言書を作成されたのですが、遺言公開の直後に、ご自分の寝室で亡くなられてしまったのです。
ここまでお話しても、まだ思い出していただけませんか!」
そう言われると、何か思い出せそうな気がするから不思議だ。少し頭をひねる。
「そうだ!確かにここで依頼を受けた!思い出したぞ!そして、あなたは、善蔵さんでしたね?」
「思い出していただけましたか」
善蔵さんの顔がほころぶ。そして、記憶を失う前の僕が聞いてない話を聞く。
遺言公開には、キク様のご親戚のかたが立ち会われただけです」
親戚とは、キクさんの甥の綾城完冶(かんじ)と二郎、姪の春日(かすが)あずさの3人だけ。
完冶さんは三人兄弟の長男で綾城商事の社長。あずささんは春日家に嫁いだ長女、そして末っ子の次郎さん。
キクさんに子供はいないのかな。
善蔵さんは、僕をキクさんが亡くなった寝室へと案内する。そこは和室だった。
キクさんは布団の上で死んでいたという。それをお手伝いの茜さんが発見したそうだ。
死因は、熊田医師が心不全で間違いないと言ったらしい。
善蔵さんの勧めで、熊田医師に会うことにする。

熊田医院に着いた。熊田医師はこの村唯一の医者だそうだ。
熊田先生は眼鏡をかけてぼさぼさ頭だ。キクさん死因について訊く。
「心不全ぢゃ。とはいうものの、こんな急に亡くなられるほど悪かったわけでもないんぢゃが。
まぁ、ときがときぢゃから、執事が不自然に思うのもわからなくはないがのう。
そうだ、綾城といえば、春日あずさという女が喉を傷めてここに来とるぞ」
あずささんにも話を聞く。
「遺言公開の晩、私たち兄弟3人は屋敷に泊まったわ。
・・・遺言の内容を話せですって?そんな面倒なことごめんだわ!兄さんたちにでも聞けばいいでしょ」
あずささんは話の途中で咳を何回もする。喉を傷めているので、禁煙中だという。
296ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者:2007/07/10(火) 04:09:09 ID:1NS+CiRZ0

僕はキクさんが埋葬されているという、神楽寺(かぐらでら)の墓地に行ってみた。
この下にキクさんが眠っているのか・・・と何気なく手を伸ばして墓石に触ろうとしたら、
寺の住職が飛んで来た。
「こらっ!墓に悪戯しちゃいかん!」
「すいません。悪戯してたわけじゃないんです」
「おや?あんた、この村のもんじゃないな。それじゃ、この村の伝説については知らんだろう」
住職の玄信(げんしん)さんは村の伝説について話してくれた。
綾城の主が、無念の死を遂げたとき、満月の晩に墓の中から蘇り、恨みに思う人間を殺すと言われている。
戦国時代にまで遡る話で、村人の間で語りつがれてきたらしい。
今でも伝説を信じる人がいるが、それは、この村ではいまだに遺体を土葬にしているからなのだそうだ。

綾城家に帰ってくると、善蔵さんが、お手伝いの茜さんが帰ってきたと教えてくれた。
茜さんが待っているというキクさんの寝室へ行き話を聞く。
「あの日、奥様がなかなか起きていらっしゃらないので、様子を見にここへ来たんです。
そのときは、すでに・・・。そういえば、遺言公開の日、庭でアキラ様を見ました」
「アキラ?」
「完冶様のお子様です」
そのとき、善蔵さんが僕を呼んだ。あゆみちゃんから電話だそうだ。
一度帰って来てと言うので、事務所に帰ることにする。

あゆみちゃんと一緒に調査内容を整理する。
あゆみちゃんは綾城商事のことを調べるというので、僕はまた綾城家に行き調査することになった。

続く




2章

僕は再び綾城家を訪れた。
居間には完冶さんがいた。遺言書について訊く。
「遺言書の作成には、綾城商事の顧問弁護士をしている神田先生が手伝っておったな。
そうそう、ここに遺言公開のときに取ったメモがある。まぁ、見たまえ」
「それでは、拝見します」
完冶さんからメモを受け取る。
『綾城商事の会長としてキクが持っていた全ての権利は、綾城家の正当なる後継者の印を持つ、
綾城ユリに譲られるものとする。
キクの個人財産は半分をユリに、残りの半分を完冶、二郎、あずさの三名で公平に分配すべし』
「綾城ユリさんって・・・?」
「会長の一人娘だ。20年前家を飛び出したまま行方不明だ」
キクさんには子供がいないと思っていたのに。
「後継者の印ってなんなのですか?」
「どんなものかは知らんが、本家筋の人間だけが手に出来るそうだ。
わしら分家筋の人間には縁の無いシロモノだよ」
何とも不思議な遺言状だ。
昨日聞いたアキラという人のことを訊いてみる。
「わしの息子だ。23にもなって、仕事もせずにフラフラしおって・・・」
「遺言公開の日、アキラさんも来ておられたそうですが」
「なにっ?わしは知らんぞ!第一、アキラは遺言公開のことなぞ知らんはずだ」
忙しいので、と言って完冶さんは居間を出て行った。
善蔵さんにユリさんや印のことなどを訊くが、あまり詳しくは知らないらしい。
だが、もしかしたら熊田先生なら知っているかもということだ。
297ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者:2007/07/10(火) 04:11:06 ID:1NS+CiRZ0

熊田医院を訪れて、熊田先生に話を聞く。
「あずさが今日も来とったぞ。さっき薬を持って帰ったところじゃ」
ユリさんのことを尋ねると、熊田先生はなせか恥かしそうにする。
「もしかして、先生、ユリさんのこと・・・」
「な、何を言うとるか!ユリさんのことなら玄信に聞いてくれ!」

神楽寺に行き、玄信さんにユリさんのことを訊く。
「ユリはキクさんの一人娘じゃ。
20年前、この村へ仕事にやって来た青年と知り合ったんじゃ。
やがて二人は愛し合うようになった。じゃが、キクさんの旦那が二人の仲を猛反対したんじゃ。
身分が違うとな・・・。
しかし、ユリの決心は固く、ついに駆け落ちしてしもうたんじゃよ。
それでも、一人娘じゃから、キクさんはこっそり、後継者の証をユリに持たせたようじゃが」

あずささんが屋敷に帰った頃だろう。綾城家に向かう。
居間に通されるとあずささんがいた。アキラについて訊ねる。
「ああ、兄さんのどら息子ね。遺言公開の日も会ったけど。
そのとき、誰かに会ってたみたいね」
綾城商事についても訊く。
「社長の完冶兄さんと、専務の二郎はね、会社の中で激しく対立してたのよ。
今ではもう、おばさまもいないから、会社は完冶兄さんの思うままね。
おばさまが亡くなって一番困った事になったのは、二郎じゃないかしら?
完冶兄さんがいる限り、次郎は会社の中で小さくなってなきゃいけないから」
善蔵さんにも話を聞く。
「弁護士の神田ってどういう方なのですか?」
「立派な方です。キク様が亡くなられたとき、親身になってくださいました。
そして、探偵に調査を依頼しては、ということで、
有名な空木探偵事務所の優秀な探偵でいらっしゃる、あなた様のことを神田様が教えてくださったのです」
「えっ、そうだったんですか」
ということは、神田と僕は顔見知りだったのかも知れない。覚えてないけど。
神田弁護士の事務所の電話番号も教えてもらった。

空木探偵事務所に帰ってきた。あゆみちゃんが待っていた。
「ずいぶん遅かったわね。それで、綾城商事の事だけどね、
キクが亡くなったことで、綾城商事は大変みたいよ。
それというのも、社長と専務の対立にとうとう火がついちゃったらしいの。
二人の対立は、これからますます激しくなっていくんじゃないかしら」
これまでのことを整理する。
「今夜はもう遅いから、調査の続きはまた明日にしましょう」

続く
298ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者:2007/07/10(火) 04:11:59 ID:1NS+CiRZ0
3章

僕は、これまでに思い出したことを天地さんに報告しに行くことにした。
天地さんの部屋に行く。
「失礼します。くつろいでおられるところ、すみません」
「いやいや、テレビを見ていただけだよ」
僕は天地さんに、綾城家の調査のために明神村に行っていたようだけど、
あの崖には何をしに行ったのか思い出せないと話す。
そろそろおいとましようかと思ったとき、テレビで速報が流れた。
「綾城商事の綾城完冶社長が、明神村の元会長宅の土蔵の中で、何者かによって殺害されたもようです」
「何だって!完冶さんが・・・」
僕は綾城家に急いだ。

綾城家の土蔵の周りは立ち入り禁止になっていたが、空木探偵事務所の者だと説明して入れてもらった。
完冶さんの胸にはナイフが突き刺さっていた。抜かれてないため、出血が少ない。
死体の側には土蔵の鍵が落ちていた。
土蔵の奥には、もう一つ扉があったが、鍵が閉まっていて開かないようだ。
善蔵さん、茜さん、あずささん、二郎さんにアリバイなどを訊く。
二郎さんは取り乱していて、ろくに話が聞けなかった。
善蔵さんは、土蔵からいくつかの骨董品がなくなっているという。
また、土蔵の鍵はキクさんの寝室にある煙草入れの中にしまってあったというが、
その煙草入れがいつの間にかなくなっていたということだ。
アキラはキクさんにかわいがられていて、キクさんの寝室にも自由に出入りしていたそうだ。
警察から電話があった。土蔵の鍵からアキラの指紋が検出されたというので、
アキラを容疑者として指名手配にするそうだ。

明神駅の駅前に行ってみる。
村人たちは、キクさんが蘇って完冶さんに復讐したという噂で持ちきりだ。

ふと気が向いたので海上の崖に行ってみる。
本当に、僕は、あの日何のためにここへやって来たんだろう。
いや、それどころか、ここへ来たということさえ、思い出せない。
草地の反対側は断崖絶壁だ。目が眩む。
「おい、あぶねぇぞ!」
老人に声をかけられた。ここは自殺の名所だから、もしかしたら・・・と思って声をかけたという。
「ところであんた、よくこの崖にやって来る女の人をしらんかのう。
えらい別嬪じゃったが。どこの娘じゃろ?」

探偵事務所に戻り、あゆみちゃんと話をする。
「おかえりなさい。とうとう殺人事件が起きてしまったわね。
社長の完冶が死んだことで、ついに専務の二郎が綾城商事の実権を手に入れたそうね」
・・・アキラが土蔵の骨董品を盗もうと思って、それを完冶に見つかり、殺された?
土蔵の鍵もアキラなら簡単に手に入るし、アキラが現段階で一番怪しいのは確かだ。
「待てよ、アキラは遺言公開の日、誰かに会っていたといっていたな。
あゆみちゃん、それが誰なのか調べてみてくれないか?」
「わかったわ。あなたは一度、綾城商事に行って、二郎にもっと話を聞いてみる必要があるんじゃない?
それと、ひとつ気が付いたんだけど、あなたが半袖のシャツを着ているところって、初めて見たわ」
「そうだっけ・・・?」

続く
299ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者:2007/07/10(火) 04:21:06 ID:1NS+CiRZ0
4章

僕は綾城商事のロビーに立っていた。耳を澄ますと、来客同士の立ち話が聞こえてくる。
「しかし、なんですね、ここの専務も危ないところでしたね」
「まったくですな。あの社長の計画がもし実現しておれば、
今頃は専務としての立場すら危うかったでしょうな。
専務は、犯人に感謝してるんじゃないでしょうかね」
そんなことをしていると二郎さんが通りかかった。つかまえて話を聞く。
「アキラさんは、遺言公開の日、誰かに会っていたようですが、二郎さんじゃありませんか?」
「冗談じゃない。あんなやつと話すことなど何もない」
「アキラさんが容疑者という事になりましたが、そのことで何か気づいた事はありませんか?」
「奴が何をしようが私の知ったことじゃないね。君が何が言いたいのかわかったよ。
私がアキラをそそのかして兄さんを殺させたと思ってるんだろう?
ふん、大した推理だね。そう思ってるんなら、証拠でもなんでも見つけてくればいいさ」
二郎さんは行ってしまった。

明神駅に着くと、村人たちは、蘇ったキクさんを見たとか、伝説は本当だったとか騒いでいた。
駅員さんが僕を呼び止める。
「ユリさんかどうかはわかりませんが、上品なご婦人がたった今、綾城家の方に行かれましたよ」

綾城家に着くと、茜さんが出てきた。
「香(かおり)様がお見えですが」
完冶さんの妻、綾城香さんだ。有名なファッションデザイナーである彼女は、
たった今パリから帰国したばかりだという。
香さんに話を聞く。
「アキラじゃありません!あの子にこんな恐ろしいことは出来ないわ!
アキラは犯人なんかじゃない!
そ、そうだわ!あなた、確か探偵さんだったわね。アキラを探してちょうだい!
私にはもうアキラしかいないの!
ねぇ、探偵さん、これを見てちょうだい!」
「え?これは・・・?」
「アキラの写真です。かなり前に撮ったものなので、ちょっと感じが違ってますが・・・」
「これは重要な手掛かりだ!わかりました。任せてください!」
「どうか、これで、お願いします・・・」
そう言うと、香さんは泣き崩れてしまった。
渡された写真をよく見てみる。この顔、どこかで見たような・・・。
善蔵さんに話を聞くが、煙草入れはまだ見つからないという。

あゆみちゃんから電話がかかってきた。
「見つかったわよ、例の骨董品!
隣町の骨董品屋に綾城家の家紋の入った壺があったの。
22、3歳くらいの男の人から買い取ったものだと言ってたわ。
それと、キクさんが死ぬ少し前に、アキラを乗せた車を見かけたという、
アキラの友達の証言があったの。
運転していたのは、40歳くらいの男の人だということよ」
300ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者:2007/07/10(火) 04:21:55 ID:1NS+CiRZ0
熊田医院に行き、熊田先生に会う。
完冶さんの解剖結果が出たそうだ。
完冶さんは、ナイフで刺されたときに、既に死亡していたであろうという、妙な結果が出たそうだ。
ところが、ナイフの傷以外には、外傷は見あたらないらしい。
「それはそうと、お前さん、今着ておるシャツのサイズがちょっと合っとらんぞ」
熊田先生に指摘された。
そういえば、あゆみちゃんも、この半袖のシャツは僕のものではないと言っていたっけ。
天地さんが貸してくれたのかな?

僕は天地さんの部屋を訪ねることにした。
「どうだい、記憶はもどったのかい?」
「まだ完全じゃないようです・・・」
「そうか・・・」
天地さんは、残念といったような顔をする。
「あの、このシャツ、もしかして・・・」
「えっ?そのシャツは、僕のいとこのものなんだ。
君のシャツはひどく汚れていたので、クリーニングに出してしまったんだ。
戻ってくるまで、そいつを着ていてくれないか」
「・・・・」
「何か、君の力になれればいいんだけど・・・。
そういえば、そうそう、思い出した!
君は気を失っていたときに、うわごとでしきりに、お守りがどうのって言っていたよ。
どうだい?何か心当たりがあるかい?」

海上の崖に行ってみた。
崖の上には美しい女性がたたずんでいた。僕は声をかけることにした。
「あの、ちょっとすみません。あの、失礼ですが、あなたは?」
「私は、藤宮雪子(ふじみや ゆきこ)と言います。
私は、ここで、結婚の約束をした人を待っているの。二人の思い出の場所、
この海上の崖で。
彼は、町を出て行くとき、こう言ったわ。必ず成功して迎えに来るって。
今年が、その約束の年なの・・・。
彼は綾城和人(かずと)って言うのよ。
私と同じ隣町に、彼は母親と一緒に住んでいたわ。彼のお母さんがなくなられたあと、
法律家になると言って町を出たの」

綾城家に行き、善蔵さんに和人さんについて訊いてみる。
「ど・・・どこでその名前を?いえ、隠していたわけではないのですが、
和人様はユリ様の弟なのですよ」
「ユリさんには兄弟が・・・?」
「しかし、キクさまの本当のお子様ではないのです。
旦那様は綾城家の籍に入れて、我が子として育てられました」
「この屋敷に住んでおられたのですか?」
「はい。和人様とその母親は、当時この屋敷の離れに住んでいらっしゃいました。
ところが、旦那様が亡くなられてからは、キク様に疎まれて、この屋敷から出ていかれました。
今頃、どこでどうなさっておられることやら・・・。
和人様とユリ様は本当に仲のいいご兄弟でした。
家を出られるときも、ユリ様は和人様が気がかりでしたでしょう。
和人様ならユリ様の居所をご存知かも知れませんね」
善蔵さんは、そろそろ最終電車の時間だと言うので、僕は帰路についた。
301ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者:2007/07/10(火) 04:22:40 ID:1NS+CiRZ0

探偵事務所に帰ってきた。あゆみちゃんは待ちくたびれたというような顔をしていた。
「お帰りなさい。実は私、あなたに電話した後、
アキラがよく出入りしていたというスナックへ行ってみたの。
そこで聞いたんだけど、アキラはヤクザに借金してずいぶん困っていたらしいの。
ところが、さいきんどういうわけか、溜まっていた借金を全て返済しているのよ!
それどころか、アキラは仲間たちに、自分は将来綾城商事の社長になるのだと言っていたんだって。
キクさんが死ぬ少し前のことよ」
アキラは骨董品を売った金で借金を返したのか?などと考えていると、
外がうっすらと明るくなってきていることに気付く。もうこんな時間か・・・。
電話が鳴り出した。
「誰かしら?」
電話に出たあゆみちゃんの顔が青ざめる。僕は受話器を奪い取った。
「大変です!二郎様が、二郎様が・・・」
善蔵さんからだった。
「えっ?二郎さんが、どうしたんです?もしもし!善蔵さん!」
だが、返事はなかった。僕の声は空しく響いた。

続く
302ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者:2007/07/10(火) 06:07:36 ID:1NS+CiRZ0
5章

僕は始発電車で明神村へと向かった。
明神山で僕を待っていたのは、ロープで首を吊っている二郎さんの遺体だった。
自殺だろうか?
第一発見者は、朝の散歩に来ていた善蔵さんだという。
善蔵さんを呼び出し、二郎さんのことを聞く。
「昨夜、忘れ物を探しに戻られた二郎様は容疑も晴れ、ホッとされておられましたのに・・・。
探し物は見つからなかったようですが。
・・・そういえば、二郎様がお帰りになられる前、神田様からの電話を茜が取り次ぎました」
あずささんにも話を聞く。
「完冶兄さんも、二郎も、アキラが殺したのよ!今度は私を狙ってるんだわ!」
あずささんは怒って去っていってしまった。

屋敷へ行き、茜さんに話を聞く。二郎さんは、神田弁護士の所へ行っていたという。
二郎さんが探していた免許証が見つかったというので借りる事にする。
神田弁護士の事務所へ電話をかける。
「神田弁護士事務所でございます。神田はただいま不在ですが」
秘書の女性が電話に出た。
「昨夜、綾城二郎という人が伺いませんでしたか?」
「来客ならございましたが・・・えっ!?その方が自殺?
あの、わたくしでよろしければ、お話を伺いますのでこちらにいらっしゃってください」

神田弁護士事務所へ行く。
「お待ちいたしておりました」
秘書さんが迎えてくれた。神田弁護士のことを聞いてみる。
「お若いのにとても優秀な方です。まだ30代だったと思いますよ」
そうだ、昨日来たのが二郎さんだということを確認しなくては。二郎さんの免許証を見せた。
「昨日お見えになったのは、確かにこの方です。
ああ、この方が綾城商事の専務さんでしたか。
この方と先生は、かなり長く話をされた後、一緒に出かけられましたよ。
でも、あの方が自殺されたとはとても信じられませんわ」

僕は明神駅に戻ってきた。
「綾城家でまた人が死んだ!崇りじゃー」
村人たちが騒いでいる。

熊田医院へ行き、熊田先生に検死結果を聞く。
「やはり、ただの自殺ぢゃと。何か悩み事でもあったんぢゃろ」
「・・・でも、二郎さんには、直前まで全く自殺するそぶりはなかったそうですよ。
殺人の容疑も晴れて、これからだっていうときに、あまりにも不自然だと思いませんか?」
「確かにそうぢゃが・・・」
熊田先生は考え込んでしまった。

綾城家に行き、善蔵さんに話を聞く。
色々なことが続いたせいか、茜さんは実家に帰ってしまったとのことだ。
善蔵さんも疲れた様子だ。
「・・・和人様は、キク様の子供ではありませんが、法律的には綾城家の人間と認められます。
和人様も遺産相続には関係があるのではありませんか?」

重い足をひきずって探偵事務所へ帰る。今日もあゆみちゃんが温かく出迎えてくれる。
「おかえりなさい。何かわかったの?
私の調査だけど、結局アキラと一緒にいた男が誰なのかはわからなかったの・・・」
「そうだ、あゆみちゃん、これ・・・」
僕は二郎さんの免許証をあゆみちゃんに渡した。
「・・・アキラと会っていたのは二郎かも知れないっていうのね!
わかったわ。調べてくる。これ、ちょっと借りるね」
それはそうと、和人さんだ。やはり、和人さんが何らかの形で事件に関わりがあるのでは・・・?

続く
303ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者:2007/07/10(火) 06:08:31 ID:1NS+CiRZ0
6章

明神駅は物々しい雰囲気に包まれていた。
「見たんじゃ!わしは、キクさんを見てしもうた!本当だで!」
「えっ?わしもゆんべこの目で見た!ありゃ絶対キクさんじゃ!」
僕は駅員さんに話しかけた。
「あっ、あなたでしたか。村人たちの様子が変なんです。
キクさんを見たっていう人が急に増えちゃってるんですけど・・・」
「えっ?!キクさんを?」
「ええ。不思議なことに、キクさんを見たっていう時間が、
大体みんな同じような時間なんです。一体何を見たんでしょう?」

まさか、本当にキクさんが墓から蘇ったりは・・・ないだろうなぁ。
そんなことを考えながら神楽寺にやって来た。墓地に玄信さんがいた。
「玄信さん、こんにちは」
「えっ!お、おう、あんたか。久しぶりじゃのう」
一応、キクさんのお墓を調べてみようと、手を伸ばす。
「よさんか!調べたって、もう血の跡など付いて・・・し、しまった!」
「血の跡?玄信さん、一体、何の話です?」
玄信さんは観念して話し始めた。
この間、墓石を調べてみたら、墓石が動かされた跡があり、そこに血のようなものが付いていたとのことだ。
完冶さんが殺される少し前のことだったが、騒ぎが大きくなってはいけないと思い、
黙っていたとのこと。
「まだ、何か隠していませんか?」
「・・・実は、こんな物が落ちとったんじゃ」
玄信さんが差し出したそれは、古びた手鏡だった。
手鏡の裏には奇妙な絵が描かれていた。
中央に卍の印が、そして向かって右にウサギ、左に鶏、上にネズミ、下には馬の絵が描かれている。
「何の事だろ、これ?」
「さあのう・・・。動物は干支じゃ。それぞれ方角を表しているようじゃ」
なるほど、確かに方角だ。
方角を12等分して、北の子(ね(ねずみ))から始めて、時計回りに干支を当てはめるんだったな。
丑寅(うしとら)の方角などという呼ばれ方をする。
「この手鏡は、ここから崖に通じる坂の途中に落ちとったんじゃ。よく見てみぃ」
手鏡をよく見てみると、綾城家の家紋が入っていた。
「これ、預からせてもらっていいでしょうか?」
「かまわんとも。・・・妙な隠し立てして済まんかったの」

綾城家に行く。善蔵さんは手鏡を見ると怯えたような顔をする。
「そ、それは、キク様が愛用されていた手鏡で、
確かに、キク様を埋葬するとき、柩の中に入れた物です!ま、間違いありません!!」
何故怯えているのかと善蔵さんに聞いてみる。
「わ、わたくし、ゆうべは早く休みました。
眠りかけたとき、玄関の方で物音がしまして、目が覚めました。
あずさ様かと思ってすぐに出たのですが、もう誰もいなかったのです」
この怯え方はただ事じゃない・・・。

なんとなく海上の崖へ来てしまった。
雪子さんに和人さんのことを聞ければいいんだけど、今はいないみたいだ。

天地さんの所に行ってみることにする。
「やあ。君か。どうだい?お守りのことはわかったかい?」
「いえ、まだ何も・・・」
「そうか。まだ君の記憶は完全じゃないわけだ。
事件も大変だろうけど、自分の事を疎かにしないようにね」
「あの、僕は本当に、お守りって・・・?」
「うん。確かにお守りと言ってたよ。聞き間違いじゃないと思うなぁ」
「・・・・・・」
「そうだ、実は仕事の都合でしばらく留守にするんだ。君の記憶が戻ることを心から祈ってるよ」
304ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者:2007/07/10(火) 06:09:30 ID:1NS+CiRZ0
善蔵さんは落ち着いただろうか。綾城家に戻る。
「ユリ様の幼馴染のご婦人がお見えです」
居間に通された。
「初めまして」
ご婦人にユリさんのことを聞く。
「ユリがこちらの家を出てから、間もなく一枚の葉書を受け取りました。
苦労もあったようですが、駆け落ちした方と幸せに暮らしていたようで、私も喜んでいました」
「その葉書は・・・?」
「今、手元にございませんので、後日お届けいたします。その代わり、これをお持ちしました」
ご婦人は古びた写真を差し出した。とても美しい女性がやさしく微笑んでいる。
「当時のユリの写真です。お持ちください」

すぐにでも八束町へ行った方がいいんだろうけど、それよりも和人さんの方が気になる。
僕はもう一度、海上の崖へ向かった。
初めて雪子さんと会った時間と同じ、だいぶ日が傾いた頃、崖へ着いた。
雪子さんが立っていた。やはり、毎日この時間に来ているんだな。
「あら、あなたは・・・」
雪子さんがふり向く。
「和人さんのことで何か知っていることがあれば、是非話してください」
「そうね・・・。
この間、言ったわね、和人が法律の勉強をするために、行ってしまったこと。
そのきっかけとなったのは、ある人から受け取った、一通の手紙だったらしいわ。
その手紙を読んだ彼は、強く法律の矛盾を感じたと言っていたわ。
そしてお母様が亡くなられると、彼はすぐに町を出て行ったの」
「他には、特に、ありませんか?」
「そういえば・・・。和人は、綾城家のことをあまり話したがらなかったわ。
・・・私、そろそろ行かなくちゃ。今日も彼に会えなかったけど」

探偵事務所へ帰る。
今日もあゆみちゃんと情報交換だ。
「おかえりなさい。なにかわかったの?
私の調査だけど、アキラと会っていたのは二郎じゃなかったわ。
でも、40歳前で紳士風の男性だったという事は間違いないみたいよ。
それから、もう一つ・・・。今、綾城商事の運営における中心人物は、
相談役の神田みたいよ」
「・・・・・・」
「そうだ、免許証、返しておくね」

続く
305ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者:2007/07/10(火) 06:10:29 ID:1NS+CiRZ0
7話

明神駅に着く。今日も相変わらず、村人たちはキクさんの事を噂している。
適当な村人を捕まえて話を聞く。
「裏山で畑仕事をしておる私の従兄弟が、
あの首吊りがあった前の晩に人影を見たと言っておりましただ。
従兄弟でしたら、今日も畑に出ていると思いますだよ」

裏山というのは明神山のことだ。僕は明神山に行ってみた。
二郎さんの死体は片付けられ、辺りは静まりかえっている。
さっきの村人の従兄弟を見つけた。二郎さんの免許証を見せる。
「この人がここで自殺したんですけど、あなたが見かけた人じゃありませんか?」
「少し離れとったし、暗かったから顔まではわからなんだが、
人影は二人だった。一人はもう一方の人によりかかるように歩いとった。
いや、どちらかというと、引きずられるという感じだったな」

綾城家を訪ねると、善蔵さんが、昨日のご婦人から受け取った葉書を持ってきてくれた。
葉書を受け取り、住所を確認すると、「八束町(やつかちょう)一丁目」と書いてある。
僕は八束町へ行こうとしたが、電車が来る時間までだいぶあることに気付いた。
善蔵さんに和人さんのことを聞いてみた。
「あっ、神田様と和人様はお年がおなじくらいだと思いますが・・・!
すでに和人様が法律家になられているとすれば、神田様とお知りあいではないでしょうか?」

まだ時間があるので、熊田先生を訪ねる。
「実は、あのあとずうっと考えとったんぢゃが・・・。
確かに、二郎が自殺するのは不自然だと思ったわしは、二郎の検死をやり直させてくれと
警察病院に行って来たんぢゃ。
で、いろいろやってみたが、やはりなんにも出てこない。
諦めかけたそのときぢゃ!二郎の右手の人差し指と中指の間から、青酸反応が出たんぢゃ」
「じゃあ、二郎は毒殺ということに?」
「ところがぢゃ。体内からは出ておらん。つまり、直接死亡した原因とは言えないんぢゃ・・・」
熊田先生に葉書を見せてみる。
「さすがユリさん、美しい文字ぢゃ。・・・ほう、ユリさんは、遠山という人と結婚したんか」
そうか、ユリさんは結婚して苗字が変わってたんだ。「遠山ユリ」か。
熊田先生は立ち上がった。
「おい!わしは今から新聞社の資料室に行くぞ!過去に同じような事件があったかも知れんし」
「僕は、まず八束町へ行ってきます」
306ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者:2007/07/10(火) 06:12:50 ID:1NS+CiRZ0
八束町に着いた。
これといって変わったところはない町だが、僕は何故か、懐かしいように感じた。
一丁目の辺りを探すが、それらしい家は見当たらない。
この辺りは最近、人の出入りが激しいらしく、ユリさんが住んでいた当時のことを知っているという人はなかなかいない。
ようやく、この辺りに詳しいと言われている、駄菓子屋のお婆さんに話を聞くことができた。
「遠山ユリという人をご存知ですか?」
「遠山ユリさんなら、よう知っっとります。ほんに、気立てのいい、美しい人でしたからのう」
お婆さんにユリさんの写真を見せる。
「その美しいユリさんは、この写真の人ですね?」
「そうそう、この方が遠山ユリさんですわ」
葉書を見せる。
「この葉書の住所には、遠山という家が見当たらないんですけど・・・」
「それも、そのはずじゃ。17年ほど前、火事で焼けてしもうてのう。
その火事で、ユリさんは気の毒に、死んでしまわれたんですわ」
何だって!ユリさんは既に死んでいたのか・・・。
「ユリさんは、必死の思いで赤ん坊を助け出して、大火傷を負ったんじゃ」
「ユリさんには子供がいたんですか」
そのとき、僕の体を悪寒のようなものが駆け抜けた。お婆さんは話を続ける。
「その子は、ユリさんが生前親しくなさってた、山本佐和子という人に引き取られたんですわ。
山本さんの家は、三丁目にあるアパートですわ」

教えられた場所にアパートがあった。
「ごめんください」
「はい。どちら様ですか?」
出てきたおばさんの顔を見てハッとする。この人、どこかで会ったことあるような・・・。
僕はおばさんに名前を告げ、探偵だと名乗る。
「遠山ユリさんという人のことをお聞きしたいのですが」
「お名前は聞いたことがありますが、直接の知り合いではないんです・・・。
昔、遠山さんというお宅が全焼したそうです。ユリさんという方はお気の毒でしたが、
赤ん坊は、左肩に火傷を負っただけだったそうです。
その赤ん坊を、当時孤児院を経営していた私の母の佐和子が引き取って育てたのです。
私は、山本佐和子の娘の素子と申します」
「あの、佐和子さんは・・・」
「佐和子は先日亡くなりました。経営していた孤児院を無理矢理立ち退かされまして・・・。
そのショックで寝込んでしまい・・・。母は、最期までその子供のことを心配していました。
込み入った事情がありまして、その子を捨て子だということにして育てていたようです」
「事情って・・・?」
「それは申し上げられませんが、その子はある日何かに気づいたのか、
母の下を飛び出してしまって、それきりだということです」
僕は思い切って聞いてみることにした。
「ところで、素子さん、どこかでお目にかかったような気がするんですが・・・」
「はあ?初めてだと思いますよ」
「そうですか・・・。どうもありがとうございました。失礼します」
「あら?・・・いえ、気をつけて」

八束町を後にする。
夏の日差しが照りつけているのに、悪寒が去らない。
胸の奥に黒い塊がつかえているような感じだ。この感じは何だろう。記憶が戻る予兆のようなものだろうか。
「お帰りなさい。何かわかったの?」
探偵事務所に戻ると、あゆみちゃんがいつものように声をかけてくれたが、僕は答えなかった。
・・・ユリさんは既に死んでいた。その子供は行方不明で、手掛かりは左肩の火傷の跡だけ。
「・・・どうやって調査をすればいいんだ!」
黙って考えていたつもりだったが、声に出してしまった。
「ばかっ!弱虫!・・・こんなときこそ、頑張らなくっちゃ。ねっ!」
あゆみちゃんの笑顔に救われた。もう悪寒は消えていた。
「ごめん、心配かけて・・・。がんばるよ!」
「やったあ!!」

続く
307ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者:2007/07/10(火) 06:21:14 ID:1NS+CiRZ0
8章

熊田先生が行くと言っていた、新聞社の資料室を訪ねる。
熊田先生は一人ではお手上げだと言うので、僕も一緒に探すことにする。
「あっ、先生、これを見てください!青酸化合物のことがこのページに!」
青酸化合物に、ある種の薬品を反応させ、熱を加えると、シアン化水素と呼ばれる有毒ガスが発生する。
このガスを多量に吸い込んだ場合、中毒を起こし、死亡する。
このガスで死亡した死体からは、青酸中毒特有の反応が出ないため、死亡状況から判断する以外には、
死因として立証する事は不可能に近い。
「先生!これは・・・」
「うむ!有力な手掛かりぢゃ!」

先生と僕は、熊田医院に引き上げてきた。
日がだいぶ傾いてきたな。雪子さんが崖にくる頃だ。
そのことを熊田先生に話すと、先生は自分も連れて行けと言い出した。
「綺麗な人なら、一度会ってみたいと思ったんぢゃ」

先生を連れて海上の崖の上に来てみたが、雪子さんはいなかった。
しばらく待っても雪子さんは来ない。
突然、熊田先生が驚きの声を上げた。
「たた、大変ぢゃ!海に女が浮かんどる!すぐに警察に連絡ぢゃ!」

駆けつけた警察は死体を引き上げた。それは、物を言わぬあずささんの変わり果てた姿だった。
「わしは綾城家へ行って、善蔵に話してくるわい」
そう言って先生は行ってしまった。
あずささんは、昨夜、絞殺されたあと、崖から突き落とされたという。
あずささんの死体を調べさせてもらうことになった。
爪を調べてみると、何かをはげしく引っかいたような跡があった。
鑑識の人が言うには、これは人間の皮膚だという。犯人を引っかいたのだろう。
気が付くと、辺りは野次馬が集まってきていた。
昨夜、あずささんを見たという人がいた。
「ゆうべ、女が歩いとったのを見てしもうたんじゃ!
キクさんかと思うたが、よく見ると、この女たっだんじゃ!
この女の後を、付けるように男が歩いとった!
あれは確か、綾城家に時々出入りしとる男じゃった!」
綾城家に出入りする男と言えば、既に死んでいる完冶さん、二郎さん、そして行方不明のアキラ、
そして・・・。その男というのは、もしや・・・?

綾城家に行く。善蔵さんはそうとうショックのようだ。
熊田先生は医院に戻ったらしい。
善蔵さんにあずささんのことを聞く。
「ゆうべ、あずさ様は、出かけられる前に、どなたかと電話で話しておられました。
何か激しく言い争っておられた様子ですよ。そのとき、何か、メモを取られていたようです」
電話の脇のメモをよく見てみると、強く書かれた部分がへこんでいる。
鉛筆で擦ると、へこんだ部分が浮かび上がる。
海上の崖11時半、アキラとは関係無い、間もなく、遺産分配、
ユリの子供見つかった!
あずささんは、電話の相手に崖に呼び出されたのか。そして、それはアキラと会っていたという人物かも。
さらに、ユリさんの子供が見つかったって・・・?
そのとき、善蔵に声をかけられた。
「熊田先生がお呼びです。何かお話があるそうですので、すぐに参りましょう」
308ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者:2007/07/10(火) 06:22:20 ID:1NS+CiRZ0
善蔵さんと一緒に熊田医院へ行く。
「おお、来たか。茜が来とるんぢゃ。さっき、ばったり会ったんぢゃが、えらく深刻な顔をしとったから、
気になって連れて来たんぢゃ」
茜さんに話を聞こうとするが、何かを思いつめた様子で話を聞けるような状況ではない。
ポケットの中に硬い物が入っていることに気付く。
そうだ、キクさんが愛用していたという手鏡、何か知っているんじゃないか?
茜さんに手鏡を見せてみると、茜さんの表情がさっと変わる。
「う、うそ。これが、どうしてここに。止めてください!」
茜さんは泣き出してしまった。
「申し訳ありませんでした。キク様を殺したのはこの私なんです」
茜さんはポツリポツリと話し始めた。
「実は、キク様は煙草を止めてはいなかったのです。煙草はいつも私が買っていました。
お止めしたんですが・・・。一服つけないと眠れない、そう言われて、断りきれず・・・。
あの晩も、キセルに火を点けられ、間もなく発作を起こされました。
奥様が亡くなっているのを発見した私は、キセルと煙草入れを隠しました。
申し訳ありませんでした・・・」
再び泣き崩れる茜さんに、熊田先生は言う。
「馬鹿もん!キクさんの心臓は、そんなことで止まってしまうものか!
決してお前のせいじゃない。ぢゃから、もう泣くな」
茜さんは善蔵さんと一緒に屋敷に帰って行った。
熊田先生と事件について話す。
「しかし、キクさんにしても、禁煙中だったあずさにしても、煙草の好きな奴ばかりぢゃのう。
完冶も、二郎も、かなりのヘビースモーカーだったったようぢゃ」
待てよ、シアン化水素は、青酸化合物に熱を加えると発生するんだったな・・・。
そうか、これだ!
「先生、二郎さんは、青酸化合物入りの煙草を吸ったから、亡くなったんですよ!」
「なるほど、青酸入りの煙草に火を点けると、ガスが発生して・・・」
「二郎さんは、青酸煙草で殺された後、自殺のように偽装されたんでしょう。
きっと、完冶さんも、同じ方法で殺された後、土蔵まで運ばれて、ナイフを刺されたと考えられます。
あずささんは禁煙中だったから、この方法が使えなかった・・・。
ん?もしかして、キクさんもこの方法で?」
「これは、神楽寺へ行かにゃならんな」

僕と熊田先生は玄信さんに事の全てを話した。
「キクさんの墓をあばいてみようと言うんじゃろ、しかし、それだけはのう・・・」
「警察にキクさんの遺体を調べてもらえば、事件の糸口が掴めるかも知れないんですよ!」
僕は説得したが、それでも玄信さんは気が進まない様子だ。
「玄信さん!わかって下さい。これ以上、犯人を野放しに出来ないんです!」
「よし、わかった。確かに君の言うとおりじゃ!警察を呼ぶか!」
やっと玄信さんを説得することに成功する。鑑識の人たちがやってきた。
数々の謎を秘めたキクさんの姿が、目の前に現れようとしている・・・。
だが、墓の中にキクさんの遺体はなかった。代わりに、一人の男の死体があった。
「これは、綾城アキラだ!」
アキラは、既に、死んでいたのか・・・。
鑑識の話によると、アキラは、完冶さんより先に死んでいたという。
完冶さんを殺したのはアキラじゃなかった。
死因は撲殺。墓石で殴られたのだろうという。血はそのときに付いたんだ・・・。
そして、アキラのポケットから青酸反応のある刻み煙草が出てきたそうだ。
そういえば、アキラの写真を持っていたっけ。
取り出して見比べてみるが、ずいぶん感じが違っているな。
おや、この顔、どこかで・・・。
悪寒が駆け抜ける。
「思い出したぞ!僕は、あの夜、海上の崖で、この男に・・・そうだ!
あれは事故なんかじゃない!僕はアキラに襲われたんだ」
309ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者:2007/07/10(火) 06:24:06 ID:1NS+CiRZ0

探偵事務所に戻る。あゆみちゃんが待っていた。
「何か思い出したのね!」
キクさん、完冶さん、二郎さんは青酸煙草で殺された。
キクさんの煙草入れに青酸入りの煙草を忍ばせたのは、
この連続殺人の犯人に利用されたアキラの仕業だ。
だから、それを調査に行った僕に危険を感じたアキラは、
あの晩、僕を電話で崖まで呼び出し、襲い掛かってきた。
頭を殴りつけた上、事故で死んだように見せつけるため、草むらに突き落としたんだ。
「ねえ、どうしてあずさまで殺されたの?」
「あずささんは、遺言公開の日、アキラが誰かと会っていたと言っていた。
その会っていた人がたぶん、犯人だ」
そこまで考えたとき、突然電話が鳴り出した。熊田先生からだった。
「ついにわしはどえらい事を見つけたぞ!
例の煙草殺人の実例があったんぢゃ!
ある薬剤師の女が、自分の夫に多額の保険金をかけて、殺したという事件があったんぢゃ!
しかし、問題はここなんぢゃ。その事件の担当弁護士というのが、実は・・・」
「『神田』ですね」
「そうぢゃ!」
電話を切る。やっぱり神田弁護士が・・・。
ふと視線を感じて、そちらの方向を見ると、あゆみちゃんと目が合った。
「どうしたんだい?僕の顔ばかり見て」
「さっきから気になってたんだけど・・・。
アキラはあなたを殺そうとしたのに、どうして海へ突き落とさなかったのかしら?」
「・・・!?」

続く
310ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者:2007/07/10(火) 07:17:26 ID:1NS+CiRZ0
9章

僕は綾城家を訪れる。いつものように善蔵さんが迎えてくれる。
「お帰りなさいませ。
先ほど、神田様からお電話がありまして、ユリ様のお子様が見つかったとのことです!
やはり、キク様からユリ様を探してほしいと頼まれて・・・」
善蔵さんの言葉を遮って、僕は言う。
「善蔵さん、この事件の犯人は、どうやら神田のようです」
善蔵さんはひどく驚いた。
「ユリ様については、キク様からいろいろ聞いておられたでしょう。
後継者の印がどのようなものかもご存知だったかも・・・。
しかし、神田様が・・・」
茜さんを呼び出す。
「茜さん、煙草入れは・・・?」
「持ってきました。これです」
茜さんから煙草入れを受け取ろうとしたが、手が滑って落としてしまった。
引出しが外れ、その中から紙切れが出てきた。紙切れには、
「馬 進み、兎 進みて、鶏 開く、卍の中の 印臨まん」
そう書かれていた。
煙草入れを調べてみたが、壊れた様子はない。引出しも元に戻す。
善蔵さんに煙草入れを見せてみる。
「この煙草入れを見ていると昔の事が目に浮かぶようです・・・。
あ!じ、実は、旦那様のせいで自殺してしまった夫婦の事を思い出したんです。
その夫婦は、神田という苗字でした!その家には確か、息子が一人いたはずです」

昔の事を知っているとすれば、玄信さんだ。神楽寺へ行く。
玄信さんは、まだキクさんの遺体が見つからないと言う。
「玄信さん、神田という名前に聞き覚えがありますね?
一連の事件は、全てその男の仕業のようです。話していただけますね?」
「・・・あんたの思っとるとおりじゃ。キクさんの旦那に両親を自殺に追いやられた男こそ、
綾城商事の顧問弁護士、神田という男に間違いない。
キクさんは、神田のことをすべて知っておったんじゃよ。
それでも、あえて神田を顧問弁護士に決めたんじゃ。せめてもの罪滅ぼしのつもりでな」

神田の事務所へ行く。また神田は不在で、秘書さんが応対してくれた。
「あら?あなたは、いつかの・・・。はあ?先生が殺人犯?
変な事言わないでよ!言っておきますけど、神田と言う名前の弁護士なんて、
いくらでもいるのよ!」
そうだ、神田はユリさんの子供をここへ連れて来ていたかも。聞いてみよう。
えーっと、火事に遭ったのが17年前でそのとき赤ん坊だったと言うから、今は17、8歳くらいかな?
「あの、神田先生は、17、8歳くらいの少年をここに連れてきた事はありませんでしたか?」
「時々、あなたくらいの少年を連れてこられましたよ。
とっても礼儀正しくて、誰かさんとはずいぶん違うわね!」
秘書さんに嫌みを言われてしまった。
あ、そうか、僕も17歳だったっけ。実感があまりないけど。
311ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者:2007/07/10(火) 07:18:06 ID:1NS+CiRZ0
なんとなく海上の崖に来てみた。
ここに立っていると、あの夜のことがありありと蘇ってくる。
あの殺気に満ちたアキラの顔が。
崖の上でボーっとしていると、日が落ちてきた。
確かに、僕はこの崖でアキラに襲われた。だが、何故アキラは僕を海の方へ落とさなかったんだろう。
夕日を受けて、何かが光った。拾い上げてみると、それはボタンだった。

天地さんのマンションへ行ってみる。
あっ、そうだ。天地さんはいないんだった。話を聞きたかったのに・・・。
何となく立ち去り難くて、僕は天地さんの部屋の前にしばらく佇んでいた。
すると、見知らぬ男がやってきて、話し掛けてきた。
「おたく、天地さんのお知り合いですか?天地さんから洗濯物を頼まれたんですが、遅れちゃって。
やっとお持ちしたんですが、お留守なんですよ」
男はクリーニング屋の店員らしい。ビニールに包まれたシャツを持っている。
「それ、たぶん僕のものだと思いますが」
「えっ、じゃあ、受け取ってくださいよ。ところで、あなた、海にでも落ちたんですか?
そのシャツ、海水でずぶ濡れでしたよ」
じゃあ、僕は・・・。一体、どうなってるんだ!

混乱する頭で、探偵事務所に帰る。あゆみちゃんに今日の事を話す。
「えっ!やっぱり海へ落とされていたらしいって言うの?!
・・・たぶん、海に落ちていたあなたを、誰かが助けて草むらまで運んだのね。その理由はわからないけど。
そして、倒れていたあなたを、天地さんが発見した・・・」
あっ、そういえば、このシャツ・・・。
「あゆみちゃん、これかなぁ、僕のシャツって・・・」
「これよ、これ!あなたがいつも着ていたのは。あら?ボタンが一つ取れてる」
崖で拾ったボタンを取り出す。
「これかな?」
「同じボタンだわ。待ってて。今付けてあげる」
数分後。
「はい、出来たわよ。ねぇ、着替えれば?」
「そうしようかな・・・」
僕は今着ている半袖のシャツを脱いだ。
「あら?あなたってそんなところに火傷の跡があったのね。今まで気付かなかったわ」
え?でも自分じゃよく見えない。洗面所に駆け込んで、恐る恐る、鏡を覗く。
僕の左肩には、確かに火傷の跡が・・・。
これは、昨日や今日、出来たものじゃない。そういえば、前からあったような・・・。
何か、思い出せそうだ!でも、まさか、そんな!
ああっ、頭が割れそうだ!もしや、僕は!
しばらくすると落ち着いてきた。そうだ、明日、もう一度素子さんに会ってみよう。

続く
312ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者:2007/07/10(火) 07:18:50 ID:1NS+CiRZ0
10章

僕は再び、素子さんの元を訪れた。
素子さんの顔をよく見てみる。やっぱり、僕はこの人を知っている。
素子さんに火傷の跡を見せる。
「わかりました。全て話してあげましょう。そうよ、あなたはユリさんの子供に間違いないわ。
この間、あなたが帰り際に後ろを向いた時、シャツの袖から、その火傷がちらっと見えたの。
そのときはまさかと思ったんだけど・・・。
あなたは、捨て子として、母の孤児院で育てられたの。
でも、本当の両親を探すという書置きを残して、孤児院を飛び出してしまったの。
ちょうど、あなたが中学校を卒業したすぐ後の事らしいわ」
「・・・僕が、捨て子として育てられたその事情とは、一体、なんだったんです?答えてください!」
「そうね、あなたには知る権利があるわね。その事情というのは、あなたのお父さんのことなの。
遠山孝夫(たかお)。それがお父さんの名前よ。
ある日、孝夫さんは、ガラの悪い連中に人が乱暴されている所を見てしまったの。
止めに入った孝夫さんは、ナイフを出して向かってきた相手を、逆に殺してしまったの!」
「そ、そんな・・・」
「必ず正当防衛が認められる、みんなそう思ってたの。
でも、殺してしまった男は、この町の有力者の一人息子だったらしいの。
そのせいか、孝夫さんは刑務所に入れられてしまったわ。
「それで、父さんは、今どこに?」
「お気の毒に、孝夫さんはとうとう刑務所から出られないまま亡くなってしまったの。
残されたユリさんも、死んだ男の仲間の嫌がらせにあって・・・。
あの火事も、その連中の仕業だったそうよ。
もうわかったでしょう。私の母は、あなたから殺人者の息子という過去を消し去りたかったの」
「本当のことを話してくださってありがとうございました。僕は、父を誇りに思います」
そうだ、素子さんは、佐和子さんに似ているのだ。佐和子さん・・・僕を育ててくれた、孤児院の婆ちゃん。
「そうそう、一つ思い出したことがあったわ。
あなたは男の子なのに、いつも人形で遊んでいたそうね。
立派な日本人形で、ユリさんが大切にしていたものだったそうよ。
あなたは、孤児院を飛び出したときも、人形だけは忘れなかったそうね。今でも持ってるんでしょ?」
「素子さん、本当にありがとうございました」
「また、いつでもいらっしゃいね」

僕は急いで探偵事務所に帰った。
あゆみちゃんに、素子さんから聞いた話をする。
「そうだったの・・・。ユリさんがあなたのお母さんだったなんて。皮肉な話ね」
そうか、僕のことを調べた神田は、僕を善蔵さんに紹介したんだ。罠にはめるために・・・。
応接セットの側の戸棚の中の、日本人形を取り出す。
「これは、僕の物に間違いない!こうして手に取ると、子供の頃のことが目に浮かんでくる。
とうとう、何もかも思い出したぞ」
今までの話を総合すると、これが綾城家の後継者の印なのか?ただの人形に見えるが。
ん?この人形、こんなに軽かったっけ?中は空洞になっていて、何かが入っているようだ。
思い切って中を見てみることにした。
人形の中には、綾城家の家紋が入ったお守り袋が隠されていた。
「こんな物が入っていたなんて、知らなかった・・・」
お守り袋の中には、小さな鍵と、折りたたまれた紙切れが入っていた。
紙切れにはこう書かれている。
「あなたが、これを見つけるときが必ずやってくると、母さんは思っていました。
今すぐこれをもって、明神村の綾城という家を訪ねてみなさい。
そこには今までと全く違ったあなたの人生が待っているの。
その家には、キクっていう名前のあなたのお婆ちゃんがいます。
きっとあなたの力になってくれるわ」
あの葉書に書かれたのと同じ、綺麗な字だった。
「か、母さん・・・!!」
後継者の印は、たぶん、綾城家の中にあるんだ。その場所に入るには、この鍵が必要なんだ。
その場所は・・・あそこしかない!

続く
313ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者:2007/07/10(火) 07:19:51 ID:1NS+CiRZ0
終章

僕は、綾城家を訪れた。
善蔵さんに、お守り袋のことを話し、土蔵を開けてもらうように頼む。
完冶さんが殺されたときに見た、土蔵の奥のもう一つの扉。その鍵を開ける。
扉の奥は広大な迷宮になっていた。しばらく進むと、馬の絵が描かれた壁を見つけた。
そうだ、煙草入れから出てきた紙切れだ。紙切れに書いてある通りに進むと、隠し部屋が開いた。
部屋の隅には神棚が奉ってあり、その上には黄金に輝く印章と紙があった。
僕は、印章と紙を取った。紙にはこう書かれている。
「この印を持つ者を綾城家の正当なる後継者とみなす」
後継者の印とはこれのことだったんだ!
僕がうわごとで言っていたお守りっていう言葉には、こんな秘密があったのか。
・・・待てよ、僕は今日までお守りの存在すら知らなかった。
その僕が、どうしてうわごとでお守りなんて言うんだ?
「やあ。記憶は戻ったかい?ふっふっふっ」
ふり向くと、そこには見慣れた男が立っていた。顔には傷跡がある。
「私が弁護士の神田だ。君には天地と言ったほうがわかりやすいかね?」
「き、貴様は・・・」
「名探偵くん、どうやら、君は私の計画の全てを知ってしまったようだね」
綾城家に復讐しようと、そして、綾城商事を乗っ取ろうとした神田は、
キクさん達を青酸煙草で殺し、アキラを撲殺し、あずささんを絞殺したのだ。
後継者が見つかったと言って、僕の替え玉を用意したりもした。
僕を罠にかけ、後継者の印を探させようとしたが、アキラは勝手に僕を殺そうとした。
アキラに殴られて海に浮かんでいた僕を引き上げて調べてみたが、
お守りを持っていなかった。そして記憶を失っていたので、一芝居打ったという。
「さて、おしゃべりはここまでだ。ここらで、消えてもらおうか・・・。
俺は、綾城家に勝ったんだ!」
神田の手にナイフが光った!
そのとき、神田に飛び掛った男がいた。男は神田の手をねじり上げ、ナイフをその手から落とした。
やがて、神田は善蔵さんの通報により駆けつけた警官に取り押さえられた。

「あなたは、たしか・・・・。和人さん・・・ですか?」
「そうだ。ずいぶん探したよ。君に見せたい物があるんだ」
それは、母さんから和人さんに宛てた手紙だった。父さんの不幸が綴られていた。
法律の矛盾を感じたと言って、町を出るきっかけになった手紙だ。
和人さんは今年、念願の司法試験に受かったので、僕に会おうとして探し回っていたらしい。
「君は、今日から綾城家の後継者だ。立派に屋敷を継ぐ事が、姉さんのためだ。
・・・お、おい君!これは・・・」
僕は、印章を和人さんに手渡すとこう言った。
「僕は、綾城という苗字じゃありません。遠山孝夫とユリの息子です。
それに、僕は、僕にとってもっと大切なものを手に入れました。失いかけていた過去と、この母さんの写真です」




注:「たかお」の漢字表記が解らなかったので適当に当てました。
314名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/10(火) 12:22:17 ID:o0rHMLRI0
そろそろ次スレの時期です
>>2の関連スレのテンプレにこれ追加するのを提案します

ストーリーを教えてもらうスレ@メロン まとめ
http://cabin.jp/koizumi/story/
315名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/10(火) 13:55:49 ID:FouvXbSK0
>>315
ファミ探おつ
発売当時ガキだった俺には墓と寺がスゲー怖かったww
今でもファミ探やるとビビってしまう
316名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/10(火) 22:35:17 ID:A5DkH1Vj0
>>315
自己完結乙
317名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/11(水) 02:28:24 ID:TvjWLSkR0
新スレ立ててきました

ストーリーを教えてもらうスレ part32
http://game12.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1184085406/l50
318続・御神楽少女探偵団〜完結編〜:2007/07/11(水) 06:42:10 ID:3lGt4jgq0
間が空いてしまいましたが、続・御神楽少女探偵団〜完結編〜です。

☆第七話『蜃気楼の一族』登場人物

・久御山多聞・・・滋乃の父。子爵。
・伊庭浩三・・・かつて『太白星』事件(『御神楽少女探偵団』収録)で知り合ったオペラ座の館長。
・小野寺守衛・・・小野寺家当主。子爵。
・小野寺喜久子・・・守衛の妻。
・小野寺一郎太・・・小野寺家の子息。好青年。
・木原シゲ・・・小野寺家の女中頭。厳格だが使用人の鑑のような人物。
・野上糸・・・小野寺家の女中。
・鏡進一・・・劇場『桔梗館』館長。
・片岡芳郎・・・桔梗館所属の脚本家。
・日向まき・・・桔梗館所属の踊り子。
・本庄晋太郎・・・劇場『銀星館』館長。
・丸木戸貞蔵・・・劇場『三角館』館長。
319続・御神楽少女探偵団〜完結編〜:2007/07/11(水) 06:43:13 ID:3lGt4jgq0
☆第七話『蜃気楼の一族』前編

ある日滋乃は父、多聞に呼び出された。
そこにはかつて事件を通じ知己を得た、「日本館」館長伊庭浩三が居た。
なんでもこれから二人は、演劇関係者が集う会合に出席するらしい。
同行を薦められた滋乃は、二人と共に会合場所の小野寺子爵家へ向かった。

小野寺家には、滋乃は八年前訪れたことがあった。
当時のことはほとんど何も覚えていなかったが、一つだけ鮮明に覚えていることがあった。

まだ幼かった滋乃は、屋敷の中庭にあるバラ園で手に怪我をしてしまった。
そのとき、居合わせた青年が滋乃を優しく手当てしてくれたのだ。
その青年こそが、滋乃の初恋の相手だった。
しかし、彼女は結局その青年の名前すら知ることが出来なかった。

屋敷を伊庭と共に散歩していた滋乃は、鏡進一、片岡芳郎、日向まき、本庄晋太郎と出会う。
彼らも会合に出席する為、今日は小野寺邸に宿泊するらしい。
宿泊客は全員、小野寺邸の別館にそれぞれ部屋を用意してもらい、泊まることになった。

その夜、滋乃は父に突然起こされる。
「人が死んでいる」という言葉を聞いた滋乃が急いで別館の外に向かうと、
そこには槍のような鋭い鉄柵に串刺しになった、日向まきの死体があった。

翌日、巴・千鶴と合流した滋乃は諸星・栗山両刑事と捜査を開始する。
時人は、相変わらず別の事件で忙しいらしい。
日向の死因は絞殺で、死後二階の泊まっていた部屋の窓から投げ落とされ、その際鉄柵に串刺しになったようだ。
服装は昨日滋乃が会った時のままで、誰か知り合いと会ったところ、その知り合いに殺されたらしい。

一同が屋敷の会議室に向かうと、そこでは本庄ともう一人の男が言い争っていた。
相手の男は丸木戸貞蔵という名前で、演劇について激論を交わしていたという。

片岡に話を聞くと、彼は昨晩脚本を執筆しているうちに眠ってしまい、何も気づかなかったらしい。

玄関先で伊庭に出会う。
なんでも掃除を理由に、女中頭のシゲに部屋を追い出されたという。

202号室でシゲに会い、御神楽探偵事務所と名乗ると、シゲはなぜか御神楽の名に過剰な反応を示した。
シゲによると、別館は夕食の七時以降玄関の鍵が閉まってしまうため、外部の人間の侵入は不可能だという。
また宿泊客は、それぞれの部屋の鍵と玄関の鍵を渡されている為、出入りが自由だったという。

殺害場所と思われる日向まきの部屋、206号室では奇妙な事実がわかった。
日向まきの部屋の扉には鍵がかかっており、鍵は被害者のポケットから見つかった。
そしてスペアキーは無い。
つまり、密室殺人だ。
日向まきが読んでいたと思われる芝居、『蜃気楼の一族』の台本がベッドの上にあった。
豊臣秀吉をモチーフにした芝居らしい。
320続・御神楽少女探偵団〜完結編〜:2007/07/11(水) 06:43:57 ID:3lGt4jgq0
屋敷の廊下では片岡、丸木戸、本庄が何か言い争いをしていたが、一同が近づくと気まずそうに立ち去った。

201号室に止まっている本庄に話を聞くと、片岡と丸木戸は犬猿の仲で、本庄は二人の喧嘩を仲裁していたらしい。
二人は、この屋敷で行われるはずだった会合の方針を巡って喧嘩をしていたという。
それは、劇場はもっと高尚な劇を上演すべきか否か、という議題の会合で、
賛成派の片岡と反対派の丸木戸の意見はまるで合わない、という。
そして、本庄は中立らしい。

202号室で伊庭に話を聞くと、鏡と片岡は、丸木戸への嫉妬から彼と対立しているという。
鏡たちの劇場よりも、丸木戸の劇場の方がずっと客の入りがいいのだそうだ。

諸星警部の調べで、日向は片岡の愛人だったことが判明した。

207号室に泊まっている丸木戸に話を聞く一同。
昨晩、隣の206号室、つまり日向の部屋から争っている声が聞こえたという。
日向の声ははっきりと聞こえたが、争っていた相手の声までは判別できなかったらしい。

翌日、このまま宿泊客達を屋敷に留めておいてもしょうがない、ということで屋敷の出入りが自由になった。
そして、一同は本館のバラ園で小野寺家の子息、一郎太と出会う。
彼は何故か御神楽探偵事務所のことについて詳しく、巴たちの捜査には協力的だ。
彼は女中の野上糸を捜しているらしい。

中庭の小道で、糸を見つける一同。
彼女の話によると、日向が生前、この小道で喜久子と話している姿を見たらしい。
華族の夫人が、屋敷から離れた場所で踊り子と話していた、という証言に一同は戸惑う。

まだ別館の203号室に滞在している鏡進一に、日向と喜久子の関係について、心当たりを聞く。
すると、日向は生前「『蜃気楼の一族』で喜久子様の役をやる」と言っていた、との証言を得る。
喜久子の役は、秀吉の側室、淀君だったらしい。

205号室に行くと、片岡が帽子を探していた。
もしかしたら、206号室に帽子があるかもしれないと言う片岡に不審を覚える一同。
すると片岡は、事件当夜片岡と日向が部屋を替わった事実を明かした。
なんでも、本来は日向が205、片岡が206に泊まる予定だったところ、日向に頼まれ部屋を入れ替えたらしい。
シゲに確認を取り、片岡の話は真実であることが判明した。
犯人は当初、もしかしたら日向ではなく片岡を狙っていたのだろうか。
321ダーケストフィア:2007/07/14(土) 14:18:32 ID:rNHBgdoF0
オープニング
歴史学者トーマス・ワーデンは、医者である妻ジェニファーに娘ヘレンを病院
から家に送って欲しいと連絡を受けた。トーマスは急いで車で迎えに行った。
しかし、その日の病院は何か違っていた。病院内に入ってヘレンを探そうとするトーマス。
しかし、暗闇から「何か」が襲ってきた。病院内の闇からは「何か」が襲ってくる。
それをかわしながら、トーマスは探索する。

病院内で首の辺りに何者かが噛んでくる。トーマスは噛んだ者は振り払ったが、
痛みが残る。病院内にいた看護士ニーナに聞くと、噛まれると血清を打たない限り、
病気に感染するといわれる。その病気は異形のものに変身する病気だった。ヘレンも感染しているそうだ。
ニーナはトーマスに一緒に血清を探して、娘にその血清を打って欲しいと訴えてくる。
まずは血清を探すのが先だとトーマスは言う。

血清を見つけたトーマスは、少し進んだ先にニーナの娘を発見する。
ニーナの娘は、背骨が鎌の様な状態になった異形として現れる。
血清が必要なのは、トーマス、ヘレン、ニーナの娘の3人。
しかし血清は2つしかない。トーマスはなくなくニーナの娘を倒す。

病院の最深部に行くと、ヘレンとジェニファーがいた。トーマスが近づくと、
ジェニファーはに持っていたメスをトーマスに向けて警告を出す。
ジェニファーはヘレンの手を持ってどんどん離れていく。ジェニファーがヘレンにメスを向けたその時、
ヘレンの首が伸び、蟷螂のような異形になって、ジェニファーを殺してしまう。
トーマスはすかさずヘレンに血清を打つと、ヘレンの体は元に戻る。

エンディング
病院を出たトーマスとヘレン。トーマスはヘレンに、ママは悪い事していないと諭し、
車に乗って家路に着いた。

ダーケストフィア2に続く
322名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/14(土) 18:36:28 ID:WXKQyLAi0
おいおい
新スレに投下しろよ
落ちちゃうよ
323名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/15(日) 02:37:04 ID:r8V0wjSL0
「続・御神楽少女探偵団〜完結編〜」、「ダーケストフィア」乙です。
324名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/16(月) 07:57:24 ID:5Gpub4gQ0
・機動戦士ガンダム CROSS DIMENSION 0079
って、要するに、ピクシーの部分だけ教えてって事なのかな?
325名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/16(月) 10:08:15 ID:my6rWkn+O
九龍妖魔學園紀 re:chargeって、無印とはエピローグ追加以外にストーリーに差はない。
そこだけなのかな
326名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/17(火) 00:19:55 ID:GYYcqPjQ0
>325
そだよ。
あとアイテムがちょびっと増えた。ただそれだけ
327名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/18(水) 21:02:07 ID:bcNFAnkO0
落ちても困らん
328名無しさん@お腹いっぱい。
PSの「バロックシンドローム」お願いします。