物語観賞と物語体験の特徴について語るスレ

このエントリーをはてなブックマークに追加
298名無しさん@お腹いっぱい。
物語体験型RPGにおいて主人公は何らかの理由で無一文、裸同然でスタートする。

プレイヤーは近くの廃屋で錆びたナイフや水筒を手に入れ、海辺を歩いて食料を探す。
浅瀬に沈んだ船の残骸から、封が切られていないワインを見つけ興奮する。
森で採ったキノコと岩場に潜んでいたエビの肉を焚き火で炙り、今日見つけたものを吟味する。
「さあ明日は遠くに見えた村まで足を延ばそうか、それとも崖の洞窟を探検しようか……」

この主人公の放り出しによって、プレイヤーは自ら探索したり決断する基本を学ぶと共に
その行為の中に楽しさを見出すのである。

一方、このような生存を目的とした探索は国産ライトRPGとは無縁の要素である。
ライトRPGの主人公は大抵強力な組織のバックアップを得ており、常に小奇麗な格好をし、 寝食に困ることは無い。
飛行艇や宇宙船といった桁外れの財産を所有することもある。

打ち捨てられた馬車の残骸を見つけて何か役立つものは無いかと探ったり、汚い沼地で 食料を漁ったりもしない。
旅自体はそれほど困難なものではなく、問題はマップの複雑さやモンスターの強さである。

そもそも探索型RPGの主人公がボロ布をまといゴミを漁っている間に、ライトRPGの主人公はヒロインと運命的な出会いをし、
歴史の大きなうねりに巻き込まれ、ジェットコースターのように次から次へととてつもない展開に直面するのである。

探索型RPGのプレイヤーが鍛冶屋の親父相手にのんびり値切っている間にも、ライトRPGのプレイヤーは祭りの途中に突然
反乱軍の襲撃に巻き込まれ、牢獄にぶち込まれ、仲間を作り、次々に試練を与えられ、指定された場所で物語を進めるためのトリガーを引く。

ライトRPGに広大で詳細までな3Dマップは必要ないだろう。
急展開を続ける物語の続きを早く見たいという人にとって、イベント地点までの遠い道のりも
ゴミ漁りも食料探しも、すべて苦痛でしかないのだから。