女神転生バトルロワイアル 3

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280名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/09(水) 00:03:40 ID:gvu7d18JO
久々のヒデト達の出番かつ新作でwktkが止まらない
281名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/12(土) 06:59:13 ID:rH37qefxO
これ書いてる人達マジですげえな
282名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/15(火) 16:47:18 ID:vVogFSJVO
続きマダー?
283名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 17:44:07 ID:eQwS9qqgO
まとめって更新されてる?
284名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 01:01:43 ID:bUsejpulO
保守
285第50.5話 暗夜行路 1/7:2008/04/19(土) 02:10:21 ID:Z2wdHthz0
「……ちくしょう!」
 と青年は叫び声をあげた。湿った土壁のトンネルに、声がむなしく反響し、カビと埃とで濁った空気に散って
消えていく。あとに残った静寂は、今の青年――葛葉キョウジの陥っている状況を的確に物語っていた。
 孤独。ただただ、孤独だった。どこか分からぬ暗闇の中、キョウジはずっと彷徨い歩いている。人はもちろん、
悪魔の気配さえも感じない、一面の暗闇。左手に石油ランプを持ち、限られた視界に全神経を集中しながら歩く。
右手は腰のあたりに油断なく構え、いつでもホルスターに挿した銃を引き抜けるようにしていたが、そのような
配慮もまったく無駄な努力というほかなかった。
 とにかくマズい、とキョウジは焦った。孤独はマズい。仲間も仲魔もいない不安もあったが、それよりもっと
不安なのは、敵すらいないことだった。誰もいないということはつまり、この場所が"忘れ去られた場所"である
ということではないのか。こんなところで足止めを食らっているということ、それ自体が非常にマズい。自分が
無為に過ごしている間にも、周囲の事態はどんどん進行してしまうことだろう。それはマズい、マズすぎる。
 とにかく出口だ、とキョウジは思った。とにかく出口を見つけて外に出なければ話にならない。しかし、なぜ
だか分からないが、出口がさっぱり見つからないのだった。先ほどから、目印を付けてみたり、壁に手を当てて
離さないようにして歩いてみたり、思いつくことはすべて試しているのだが、同じところをぐるぐるとまわって
いるらしい、という最悪の現実を確認しただけに終わっていた。
「……はあ、困った」
 手頃な岩を見つけて腰をおろした。出口がないはずはない、それは確信があった。現在位置がいったいどこか
さっぱり分からないものの、木材を組んで壁や天井が補強されているところから考えて、ここは天然の洞窟では
なくて人工の坑道、おそらく前大戦中に掘られた防空壕であろう。落盤して出口が埋まったならともかく、その
ような痕跡はなかった。とするならば、出口は『ない』のではなく、なんらかの理由で『見つけられない』のだ。
そこまでは分かったのだが、しかし、どうすればそれを見つけられるようになるのかまでは分からない。それが
分からないことにはこの暗闇から出られない。
 ため息をついた。急に空腹感を覚える。支給された時代錯誤な石油ランプを岩の上に置いて、腕時計を明りの
下で確認する。もうすぐ6時。かれこれ2時間近くも無為に歩きまわっていることになる。
 ザックを漁り水のボトルを手に取った。ふと気になったのでボトルを観察する。市販のミネラルウォーターの
ようではあるものの、ご丁寧に無地のラベルが巻かれており、メーカーや製造年月日などは確認できなかった。
食糧品のほうもほぼ同様の状態で、一切情報を与えない、という主催者(たち?)の細かな心遣いがひしひしと
感じられた。
「ったく、表示義務違反の品なんか食べさせる気かよ」
 落胆する心を、冗談を言って紛らせる。箱を開け、スティック状の固形食糧を取り出して食べた。
「うまいっ! もっと食わせろ! ってね」
 言った直後、後悔がキョウジを襲った。独り言や冗談の類は、匙加減が難しい。適量なら己を鼓舞することも
できるが、少し間違えると一挙にむなしさに襲われる。どんよりとした気分のまま、固形食糧を口に押し込んで
水で流しこんだ。食糧というより兵糧という感じだが、まあとにかく空腹感はそれなりに紛れたのでよしとする。
よしとするほかなかった。
286第50.5話 暗夜行路 2/7:2008/04/19(土) 02:11:02 ID:Z2wdHthz0
 腰をおろしたついでに休憩をとることにし、キョウジはザックの中から冊子を取り出した。これまた主催者が
ご丁寧に用意してくれた、「すてきなげーむのしおり」ことルールブック兼名簿である。いちおうすでに重要と
思われる部分には目を通してあったが、どうしても確認しておきたいことがあった。
 名簿のページを開いた。自分の名を含め、50名分の名前がずらりと列挙されている。見間違いであってほしい。
そう思いながら、ひとつひとつの名前を指でなぞりながら丹念に追っていった。さっきは、混乱してたし、目も
この闇に慣れていなかったから、自分の知っている名前だと思いこんでしまっただけだろう。まあ珍しいほうに
入る苗字とはいえ、難しい漢字でもないし、それに、ほら、よくある名前じゃないか、久美子なんて名前は――。
「……どういうことだよ」
 キョウジは空になった水のボトルを乱暴に投げ捨てた。ボトルが軽快な音を立てて岩壁で数度跳ねて転がった。
音は闇に吸いこまれ、再び沈黙が押し寄せる。キョウジは名簿を再び読み直す。
 見間違いではなかった。『秦野久美子』。彼女の名前だ。
「ちくしょう、どういうことだよ」
 キョウジは頭を抱えた。彼はそれなりに楽天的な性格ではあったが、さすがにこの状況でこの名前を見て、偶然
同姓同名の別人が紛れ込んできたのだ、と思いこむことはできなかった。
「なんでなんだよ、なんで、なんで?」
 頭をかきむしりながら呻く。ばっちりと決まったリーゼントがぐちゃぐちゃに乱れた。
「なんで彼女ばっかりこんなことにばっかり巻き込まれるんだよ、なんで平和に生きられないんだよ!」
 久美子の顔がいくつも思い浮かんで、消える。キョウジは――いや、キョウジの身体の中にある魂、依智純也は、
腹の底から湧き上がる怒りに任せて大声で叫んだ。
「なんでなんだよ……? 彼女にはなんにも関係ないじゃないか、彼女はなにも悪くないじゃないかッ!」
 拳を腿に振り下ろした。強烈な痛みが、背筋を駆け上って、後頭部で弾ける。それが彼の興奮をより煽りたてた。
何度も、何度も、拳を腿に叩きつける。何度も、何度も、繰り返す。
 意味がないことは分かっていた。自分で自分を痛めつけたところで、周囲の状況はなにひとつ変わりはしない。
しかし、やらずにはいられなかった。あまりに理不尽すぎるではないか。彼女はただの大学生だというのに、偶然
吾妻教授の研究室に在籍していただけで、偶然古代秦氏の血を引いていただけで、あんな危険な目に遭わされた。
それだけでも運命という理不尽なものを呪うに十分なのに、なぜまたこんなことに巻き込まれなければならない?
戦う理由もなく、それゆえ当然に力もなく、そしてその必要もない、平和ボケした日本人として老いて死んでいく。
大多数の人間が享受しているその権利は、なぜ彼女にだけ与えられないのか。
「ちくしょう!」
 最後に一発、思い切り拳を腿に落とした。叫びたくなるような痛みにあらゆる思考が吹き飛ばされ、キョウジは
逆に冷静さを取り戻しはじめた。こんなことをしている場合ではない。自分で自分を痛めつけても、それで彼女の
不幸を分け合ったことにはならないのだ。偽りの達成感を味わっている間にも、時は刻一刻と過ぎていく。
287第50.5話 暗夜行路 3/7:2008/04/19(土) 02:11:44 ID:Z2wdHthz0
「……彼女を、探さなきゃ」
 もう、なんで、とは言わなかった。こうなってしまった理由など問うても仕方がない。重要なのは、今の現実。
彼女がこの狂気の街にいて、今この瞬間にも危機にさらされているという現実だ。
 救わねばならない。なんとしても、彼女を救わねばならない。なぜなら、俺は――

 急に、ぞくり、と背筋に悪寒が走った。キョウジの魂は、もともとは多少の資質があるだけの一般人である。
が、キョウジの肉体は葛葉一族の優秀な悪魔召喚師のもので、非常に秀れた身体的・霊的能力を兼ね備えていた。
魂が未熟なため、能力を完璧に使いこなせているとは言えず、今だに魔法はまったく使えないし霊感もほとんど
なかったが、その乏しい霊感でもこれほどに感知できるほどの、強大でまがまがしい力が遠くで湧き上がるのを
感じた。それは急速に膨らみ、この街を覆う。いや、はじめからこれはこの街そのものだったのかもしれない。
『諸君、夜の闇は去った。定刻である』
 声が響いた。暗闇の中、濁った空気全体が震えているのか、肌がビリビリと振動を感じた。
(……いや、震えているのは、僕自身か)
 とキョウジは冷静に分析する。霊的な力の波によって魂を直接震わせることで、声を伝達しているのだろう。
いったいどれほどの力があれば街ひとつの範囲にそれほどの波を放つことができるのかは、見当もつかない。
このゲームの主催者(たち?)の力を推して知るべし、というところか。
 腕時計を見る。午前6時ちょうどを指していた。主催者が誰だか知らないが、マメな性格ではあるらしい。
そこにキョウジは言いようもない怒りを感じたが、その根拠は自分でもよくわからなかった。
『我が元へ参った魂の名を告げる……』
 と、感情のこもらぬ声が淡々と続ける。あるいは最初から感情そのものを持っていないのだろうか。
 キョウジはザックから名簿を出そうかどうか少し悩んだ。出してどうする? 聞いた名に赤線でも引くのか、
買い物で見つけた品をメモから消してくみたいに? 生理的な嫌悪感を抱きつつ、しかしやらざるを得ない、と
考え直し、ザックに手を突っ込み、名簿を掴み、ページをめくり……そこで、動きが止まった。
『……秦野久美子……』
 感情のない声が、その名を読み上げた。まるでただの物の名のように、淡々と。その声の主にとって、ただの
物の名と等しいだけの価値しか持たぬということなのだろう。聞く者にとってはそうではないというのに。
『死者の数はまだ少ない。精々殺しあうがいい―――』
 声が傲岸に語り終える。振動が止み、静寂が再び洞穴を満たした。急激な無音に耐えかね、耳が不快な高音の
耳鳴りを奏ではじめたが、しかしキョウジは動かなかった。ただ、じっと動かなかった。
288第50.5話 暗夜行路 4/7:2008/04/19(土) 02:14:31 ID:Z2wdHthz0
 どれだけそうしていたのか。時計を確認する気はなかったし、しようにもランプの火はいつの間にか消えていた。
 なぜだろう、とキョウジはぼんやりと考えた。先ほどまでの燃えるような問いとは似ても似つかない、痛みを
感じるほどに冷たい疑問だった。
 涙が出ないのは、なぜだろう。
 あまりに現実感がないからだろうか。しかし自分はこのすべてが現実で真実だと知っている。いや、異界という
現実と非現実の境目を何度もくぐった肌が、現実だといやおうにも感じ取っている。
 あまりに事実が重過ぎるからだろうか。あまりに唐突すぎるからだろうか。そうかもしれないし、そうではない
かもしれない。混乱していた。その混乱のせいにすることもできたが、しかしそれは自分に嘘をつくことになる。
嘘で自分を騙しきれるならばそれでもいいが、二度ほど三途の川の渡し守に対面し、闇の商売を通じて幾多の命を
奪ってきた自分……過酷な現実に鍛えられ“死”に慣れた冷徹な自分が、そんな安易な嘘はすぐに見破ってしまう。
 涙が出ないのは、なぜだろう。
 もう自分には泣くことが許されていないのかもしれない。ギリシア神話のラミアのように、涙という救いの道を
奪われてしまっているのかもしれない。ラミアは悲しみに蝕まれたあまり、半蛇の怪物と化した。自分も同じだ。
違うのは、ラミアは泣けないから怪物となったが、自分は既に怪物だから泣けないのだろう。悪魔召喚師という、
人の則を踏み外した、怪物にも等しい存在だから。
 そもそも、大切な人を奪われて、泣いて悲しむ権利など自分にはないのだ。商売柄、危険なことに首を突っ込む
ことは多かった。悪魔だけでなく、人の命を奪うこともあった。自分の手によって、大切な人を奪われた人がいる。
それが巡りめぐって、自分に戻ってきただけのこと。理不尽に見えるが、しかしそれが世の定めだ。
(因果な商売だ……デビルサマナーってのは)
 少しだけキザに決めてみた。そうやって強がることしか自分には許されていない。それは仕方ないことだった。
『名前は、なんて呼ばれたい?』
 あのときのレイ・レイホゥの問いに、自分は「葛葉キョウジ」と答えた。そう答えた以上、覚悟がなかったとは
言えない。葛葉キョウジとして生きる運命を受け入れる、そういう意思表示をしたのは自分だった。それは同時に
こういう世界で生きるという道を選んだことでもあるのだ。受け入れるしかなかった。
(それだけじゃないだろう?)
 あくまで冷徹な自分の一部が抗議の声を上げる。まだ自分は嘘を吐いている。嘘まで行かずとも、意図的に目を
逸らしていることがある。それは、わかっていた。そのままにしておけばいいじゃないか。そう思っても、自分の
心は常に自分の思い通りになるとは限らない。
(僕は、怒っている)
 そう、それは事実。猛烈に、怒っていた。理不尽な運命に。それを引き起こした主催者に。抗えず、彼女を救う
ことができなかった自分に。
289第50.5話 暗夜行路 5/7:2008/04/19(土) 02:15:11 ID:Z2wdHthz0
(それだけじゃない、わかっているだろう?)
 そう、確かに……いや、わかってはいない。だが薄々は気づいていた。気づきたくないとも思い……そして目を
逸らしている。できることならば目を逸らし続けていたい。気づかぬまま過ごしていたい。
(僕は、怒っている。自分自身に……自分自身がいま感じている気持ちに)
 キョウジは暗闇の中で再び頭を抱える。背筋から頭に向けて血液が逆流したような、いやな感覚が身体を包んだ。
(僕は、彼女が死んだと知って……安堵したんだ)
 違う、叫びそうになったが、その声は喉で凍りついた。違わない。そう、それは偽りようもない真実だった。
(この街には、あのシド・デイビスもいる。見知らぬ敵がいっぱいいる。彼女を守るどころか、自分が生き延びる
ことができるかもわからない)
 それはあまりに単純すぎる理論展開で、むしろキョウジの盲点だった。そう、ここは自分が見知った街ではない。
少し歩けば裏社会の知り合いがいて、事務所に帰れば薬や重火器が万全整えてあって、頼れる仲魔やパートナーの
協力が得られるような、そんな世界ではないのだ。
(ここは見知らぬ異世界。そんなところで重荷を背負うことはできない。重荷が自分の手元に届く前に消え去って、
お前は安堵したんだ、そうだろ?)
 そうかもしれない。……いや、間違いなくそういう思いはあった。そこまで露骨ではないにしろ、ほんのわずか、
コンマ以下数十桁の少数であろうとも、混じっていなかったと断言することはキョウジにはできなかった。
(自分が当事者でなく傍観者でいられる間に彼女が死んでくれたから、お前は自分が被害者だと思い込めたんだ。
彼女の死の責任を完全に免れ、純粋な被害者でいられることに安堵した)
 それじゃまるで僕が彼女を殺したみたいじゃないか、とキョウジは心の声に弱弱しく反論した。
(違うのか? 彼女が死ぬことが運命だとしたら、彼女を守ることはそれに逆らうことだ。お前は何に逆らった?
この闇の中、半べそかいてウロチョロしていただけ。彼女を押し流した運命の激流に逆らうことなく、その一部に
成り下がっていたじゃないか)
 違う! 僕はこの運命を許しはしない。彼女を殺したものを許しはしない。
(許さないならどうする? 復讐でもするのか? 彼女の敵討ちとばかりに誰かを殺すのか? それのどこに正義が
ある? 所詮は単なる殺意さ。要はただ自分が殺したいから殺すだけじゃないか?)
 心の声は執拗に続ける。キョウジは眼を閉じ、細く息を吐いた。 
(いいんだよ、正直になってしまって。殺したいから殺すのさ。それの何が悪い?)
「……いつのまに憑かれたのかな?」
 つぶやき、キョウジはすばやく自分の右肩の上の空間に向かって左手で掴みかかった。手が空を掴むと同時に、
ぎゃあッ、という叫び声があがり、なにもない空間から、どぎついピンク色をした悪魔が現れる。
「こうやって心の弱い者を追い込み、殺し合いを加速させるってわけか」
 悪魔の首をがっちり掴んだ左手に、ぐっと力を籠める。苦しそうなうめき声が聞こえた。夜魔の類だろうか、
魔力に向いた能力をもつそれの肉体はなんとも頼りない感触で、少し力を入れれば簡単に折れてしまいそうだ。
そうしてしまいたい激情が胸の中を駆け巡るが、キョウジはそれをこらえた。後に残るのは不快感だけだという
ことはよくわかっていたから。
290第50.5話 暗夜行路 6/7:2008/04/19(土) 02:16:30 ID:Z2wdHthz0
「いろいろ忠告ありがとう……おかげで冷静になれた。あやうく、主催者サマの思惑に乗せられるところだった」
 首に巻きついた指を外そうと、ピンク色の夜魔はじたばたともがく。一見愛らしくも見えるさまではあったが、
キョウジには不愉快な踊りにしか見えなかった。自分の心の声を騙って洗脳を試みてきた者に好意的な感情を抱く
ことができるほどにはキョウジも能天気ではない。
「お前のご主人様に伝えろ。僕はご立派な聖人君子じゃないし、かといって開き直るほど子供でもないが」
 左手を離す。支えを失った夢魔がぽとりと地面に落ちる。と同時に、爆音が洞穴内に響いた。
「お前らを許してやれるほど大人でもない……このケリは必ずつける、ってね」
 キョウジは硝煙立ち上る銃を無造作にホルスターに戻した。リボルバー拳銃はあまり使い慣れていないのだが、
さすがは西部開拓時代から使われ続けた名銃、コルト・シングルアクション・アーミー……通称"ピースメーカー"
だけのことはある。極端にバレルが長く、そのため威力と反動が半端じゃなく大きいというクセこそあるが、それ
以外には目立った粗もなく、重心といい、グリップの具合といい、トリガーの感度といい、文句なしの扱い易さだ。
クイックドロウで抜きざまに放たれた弾丸は、夜魔の頭のすぐわき5cmのところを狙い通りに撃ち抜いていた。
「そら、行けよ。……次は外さないぞ」
 きょとんとしている夜魔に、顎を振って逃げるよう促す。それでもまだ事態を理解できていないのか、それとも
腰が抜けて動けないのか、悪魔は座り込んだまま動かない。キョウジが苛立たしげに銃口を再び向けると、夜魔は
慌てて飛び上がると、逃げるようにして闇の中に姿を消した。
 ため息をひとつつき、銃をホルスターに戻す。また、静寂と孤独とがキョウジを包んだ。
「……重荷、か」
 ぽつりと一言つぶやいた。心の中に、薄ら寒い風が吹いているような気がする。
 反論できなかった。悪魔のあの言葉に、自分は反論できなかった。
 すでに両手は穢れている自覚はあった。魂も潔白とは言えぬ諦めもあった。しかしそれでも最後の最後、人間と
しての良心だけは決して捨てないつもりでいたはずだった。
 それなのに、あの外道な言葉に対し、自分は反論ができなかった。人間として最低の、良心の欠片もない思想に、
自分は半ば同調しかけていたのではないのか。もしかすると自分は最後の良心までもついに捨ててしまって……
「……はは、危ない危ない」
 キョウジは首を軽く振った。悪魔の言葉に対しあれだけの啖呵切っておいて、自分から考え込んで落ち込んでは
世話はない。
 誰にだって打算的なところはあるし、醜いところはある。そんなことは分かりきっていることだった。ことさら
その一点だけを取り上げて、卑怯だ醜悪だと騒いでいられるほど、自分はもう幼稚ではなかった。残念なことに。
「ただだからと言って、そういうもんだと飲み込んで一人で生きていけるほど大人でもないんだ、残念なことに」
 またつぶやいて、苦笑した。さっきから独り言が多くていけない。やはり一人は心細かった。誰かと一緒なら、
こんなに落ち込んで考え込むこともないのに、一人でいるというのはこうもつらいことなのか。
291第50.5話 暗夜行路 7/7:2008/04/19(土) 02:17:14 ID:Z2wdHthz0
 岩に座りこみ、手探りでランプを手に取った。マッチを擦る。ほんの小さな明かり、しかしキョウジにとっては
とても大きな救いのようにも思えて、しばらくしげしげと見つめてしまう。そうこうしている間に、小さな木片は
あっという間に燃え尽き、周囲はまた再び闇と静寂に押しつぶされてしまう。
「やれやれ、縁起でもない」
 自分の今の姿がいかに病んでいるかに急に気づいて、キョウジは苦笑した。これじゃまるで、あの童話の不幸な
少女みたいじゃないか。雪に埋もれて死ぬしかなかった少女、無力ゆえに希望とさえ呼べない小さな明かりに縋る
しかなかった少女。
「……はは、まるで今の僕そのものだな」
 笑った。乾いた、痛々しい笑いだった。状況は、なにも変わっていない。ここは忘れられた洞穴、自分はここで
ひとり彷徨う哀れな男。銃があろうが、悪魔召喚師としての腕があろうが、なんの役にも立たない。無力で孤独で
絶望的なことにかけては、あの少女に勝るとも劣らぬ状態になんの変わりもないのだ。
 しかし、希望がないにしても、キョウジは前に進む。それがこの男の強さだった。
 二本目のマッチを眺めるのもそこそこにランプに点火する。ガスランプ特有の熱と音と臭いとが黒一色の世界を
鮮やかに切り裂いた。その明るさをつい直視してしまい、まばゆさに目がくらむ。くらむことはわかっていたが、
しかし見ずにはいられなかったのだから仕方がない。
 しばし目を瞬かせ、慣れるまでランプと逆の岩壁を見ていようと視線を移し……そこでキョウジはある物を見た。
 先ほど投げたボトルが、岩壁に半分めり込んでいた。
 歩み寄り、ボトルをつま先で軽く蹴ってみる。ボトルは軽やかな音を立てて、岩壁の中につるりと入り込んだ。
まるで"壁など幻であるかのように"。
「……はは……なんだ、意外と希望はあるじゃないか」
 キョウジはまた笑い、荷物をさっとまとめて幻の岩壁を通り抜けて進んでいく。その足取りは決意に満ち満ちて
力強く、その瞳はいっそう輝きを増して前を見据え、その口元は油断なくキリリと真一文字に結ばれている。
 ドアが見えた。隙間から光が洩れている。ついに見つけた、出口だ。ドアノブをひねり、必要以上に力を入れて、
開け放った。光と風とに包まれたような気がした。


【時刻:午前6時半】【場所:平坂区・春日山高校】

【葛葉キョウジ(真・女神転生 デビルサマナー) 】
状態:正常
装備:ピースメーカー
道具:なし
基本行動方針:レイと合流、ゲームの脱出
      (久美子の死はショックだったが、仇討ちなどとは考えていない)
備考:中身はキョウジではなくデビサマ主人公です。
292名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 18:37:53 ID:sFVnoDi3O
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━
293名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 01:43:11 ID:oIwBfz+vO
ゲーム化マダァ-? (・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
294名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 11:50:09 ID:Fudt1E+GO
キョウジは初登場でいきなり戦闘場面だったからちょっと違和感あったよな。
今回のでかなり補完された感じだ。
295名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/22(火) 01:36:04 ID:BPkUz8tuO
初保守カキコ。
296名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 08:20:57 ID:N/ObbXc7O
もう一年近くまとめサイトの更新がないんだな
このまま誰も死なずに終わりそうな予感
297名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 00:40:25 ID:GNUGpGYX0
YOU!思い切って皆殺ししちゃいなYO!
298名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 00:20:39 ID:xC5tBJJqO
保守
299名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/11(日) 14:27:30 ID:ooQcjwtaO
書き手さんは今何人くらい居るんだろう?
保守
300名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/11(日) 17:10:53 ID:xU93WvUV0
現在の氷川の続き書こうかなとか思っても勝手に書いていいかで迷ってる
それにデビルサマナーやった事無いからシドのキャラや能力知らないし
問題点山積み
301名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/11(日) 18:19:31 ID:nDj0YK8M0
少なくとも勝手に書いていいかで迷う必要はない
だってリレー小説だもん、誰に断る必要もないよ
シドは… とりあえず語尾のすをカタカナにさえ
しておけば大丈夫だと思いまス

知らない人多そうだから誘導貼っておきますね

女神転生バトルロワイアル議論・感想スレ 四日目
http://game13.2ch.net/test/read.cgi/gsaloon/1164127718/
302名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/19(月) 00:49:45 ID:07y4aQeJ0
保守
303名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/24(土) 00:10:11 ID:u1+zXsaEO
304名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/28(水) 19:12:02 ID:POfWiIefO
305名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/08(日) 02:47:08 ID:e+zQ1SNz0
期待保守
306名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 10:47:13 ID:NzdUsfsZO
保守
307名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/23(月) 07:41:05 ID:x3zFEh7WO
   \  _  /
   _ (m) _  ピコーン
     |ミ|
   / `´  \
     ( ゚∀゚)    あきらめた!
    ノヽノ |
     < <
308名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/28(土) 01:00:15 ID:t2hnH6Gc0
ほしゅ
309名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 17:40:54 ID:XcSe9DedO
諦めないでー保守
310名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/09(水) 08:19:59 ID:ylC/TI3rO
人は…居ないのか…保守
311名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/16(水) 16:00:07 ID:1Y21H9JAO
ペルソナ4
312名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/17(木) 01:21:01 ID:jTxsKWnmO
今からでもP3P4のキャラを追加すればこのスレは息を吹き返す
313名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/19(土) 11:09:44 ID:6p0WL0jfO
だが断る
314名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 02:59:26 ID:fpLfJWK5O
めちゃくちゃ面白いスレなのにもったいなひ
315名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/07(木) 03:15:54 ID:UsgIaU3S0
今初めて読んだけど面白かった〜。
頑張ってください。
316名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/08(金) 02:58:09 ID:yxwsRh4wO
縛りがキツすぎて書けない人とか結構いそう
317名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/12(火) 10:18:06 ID:/5KodNKx0
書き手さんたち、違うロワに行っちゃったのかなー
318名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/20(水) 22:36:01 ID:l8G0WtNEO
サマリカーム!
319名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/21(木) 22:27:07 ID:Hrf10+zA0
書いてたのが停電食らって全部消えた……
320名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/22(金) 10:28:36 ID:6+pLVUftO
それは…なんとも残念orz
書いてくれてる人が居ると解っただけでも嬉しいです
321『覚悟』ノススメ:2008/08/26(火) 21:53:31 ID:yUj7gPl70
 男が前に出る。舞耶がその前に立ちふさがる。その動きは読めていたので、ネミッサは隙を衝いて側面に回ってやろうと
思っていた。腹部の銃創が痛むため素早い動きはできないが、今の自分の役割は実際に戦うことではなく、とにかく相手が
困る位置に立って牽制することだから、それが特に支障になることはないだろう。
 そう思い、半歩左に動こうとして……左肩を誰かに抑えられた。驚き振り返ると、たまきの隣にいたスーツ姿の女だった。
「代わって」
 とだけその女は言った。その一方的な言い分に、直情径行タイプのネミッサはイラッと来たが、その女の目がとても強く、
しかし静かに輝いているのを見て、反論を控える。
「たまきちゃん、まだ息がある」
 ネミッサの反応も待たず、女は早口で一方的に続けた。その逼迫した口調だけで、ネミッサは女がなにを言いたいのかを
理解した。まだ間に合うのだ。だが、もうすぐ間に合わなくなってしまう。
「わかった」
 とネミッサはいともあっさり承諾した。肩に置かれた掌を通して、この女のソウルの鼓動が感じられる。とても暖かくて、
ゆっくりと落ち着いた鼓動。悪人がこんな優しいソウルを持っているはずがない。そう思った。
 それに、自分は後ろから魔法を撃って相手を足止めするほうがやりなれている。腹の傷もあり、前衛に出るよりはむしろ
後ろに回ったほうが戦力として役に立てるだろう。この配置はちょうどいいように思えた。
 スーツの女と入れ替わる形で、後ろに回った。入れ替わりの隙を衝かれるかも、と前方を警戒するが、男と舞耶は何かに
気を取られているようで、その心配は必要なかった。
「ディアラハン!」
 黒焦げたたまきに近寄り、無造作に、かつ全力で回復魔法を放つ。息など確認しなかった。脈の取り方など知らないし、
うだうだやっていて手遅れになっては意味がない。
「……リカーム!」
 続けて別系統の回復魔法を放つ。悪魔の肉体から魂を、魂から肉体を相互再構築する高度な回復魔法。その効果はまるで
蘇生の秘術であるかのような強力な回復効果を備える。人間に使ったことはないから効果があるかは不明だが、考えている
ヒマがあるならその間にとっとと動くのがネミッサのやり方だ。
「生きてんなら治りなさいよぉ! ……ディアラハぁンッ!」
 怒りに似た、しかしそれとは根底から異なる感情から抗議の声を上げつつ、ネミッサは三度魔力を放つ。今までも加減は
していなかったが、今回はそれに輪をかけた、正真正銘、全身全霊、全力最大の回復魔法だ。
「もう一度ぉ……ッ」
 密着せずに放つと魔法の効力が微妙ではあるが落ちる。それがまずかったか、と思い、たまきの焦げた皮膚に手を当てる。
焼けた肉はもはや生の張りを失っており、うかつに触れればその傷を広げることになりかねないので躊躇していたのだが、
そんなことも言っていられない。
「……リカぁームッ!」
 放った。掌に伝わるかさりとした皮膚の感触。そこにはもうソウルの波長は伝わってこなかったが、それでもネミッサは
気にせず魔法を繰り返した。ソウルを感じないのは、この子が弱まっているせい、皮膚が死んでいて波を伝えないせいだ。
それだけだ。それだけに違いないはずなんだ。
「ディアラハぁあンッ!」
 額に噴出す汗も、再び開いたわき腹の傷からの血も気にせずに、ネミッサは何度目かになる回復魔法を放った。
322『覚悟』ノススメ:2008/08/26(火) 21:54:16 ID:yUj7gPl70
 からん、という小さな音。ただの何の変哲もない、金属がコンクリートに落ちて跳ねる音。
 しかし達哉には、その音の正体は瞬時に分かった。分かりたくなかったが、分かってしまった。
――見るな!
 自分の心に叱咤するが、しかし身体は命令に逆らい、その発生源へと目を移す。見慣れた、しかし決して見飽きることの
ない、いや、そもそもそういう価値判断の俎上に上がることすらない、達哉の大切な思い出の鍵……。
――迷うな、揺らぐな!
 再び心を叱咤する。今度は身体も言うことを聞いた。失ったのは、ほんの一瞬で済んだ。その一瞬で一人取り逃がしたが、
それは大した問題ではない。
「来いッ!」
 達哉は己の"仮面"を呼び出す。対応して正面の舞耶も動こうとするが、自分よりも一瞬長く晒した隙はあまりに大きい。
「おおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!」
 炎を、無造作に側面へと放つ。小ざかしくも側面に回りこんでいたスーツの女の真正面。仮面とは、複数面性の象徴だ。
それを操るペルソナ使いとして戦いの経験を積んできている自分にとって、通常は有効な戦術であろう側面攻撃もさほどの
効果はなさない。常に複数に目を配れるのはペルソナ使いの大きな利点のひとつだ。
「くッ!」
 女が地を蹴り火球を回避する。読まれていたか、と達哉は心の中で舌打ちした。正面にいる舞耶を攻撃すると見せかけた
つもりではあったのだが、さきほどまでのやり取りから、舞耶を撃つはずがないことがバレているのかもしれない。
 ならば、正面からやりあうだけだ。相手が体勢を立て直す前に仕掛ける。思ったが、達哉が身体を回して身構えたときは
女はすでに両方の足でしっかりと立って構えを取っていた。その素早さ、素人ではない、と達哉は瞬時に判断した。
「はあッ!」
 再度、気合を放つ。己の半身、アポロが、両手を交差し、両掌に火柱をあげる。広範囲火炎魔法の予備動作だ。スーツの
女もそれと察知し、その範囲を回避しつつ達哉の側面に回りこむために、斜めに踏み込んできた。
「遅いッ!」
 達哉が、跳んだ。アポロの炎は囮。相応の使い手であろう相手の行動を、自分の狙い通りに操作するための布石だった。
達哉はただの高校生ではあったが、その中でも優れた部類に入る運動神経の持ち主である。それに加え、太陽神の仮面から
力の加護を得ている。その動きは一流の格闘家にも劣らぬものと言ってよかった。
 大振りの蹴り。素人丸出しの、基本のなっていないめちゃくちゃな蹴り。しかし、強靭な肉体から放たれるそれは、その
移動する経路を完全に読みきっていたことも加わり、スーツの女のわき腹に的確に命中する……はずだった。
「グラダインッ!」
 側面からの声。同時に、全身に強烈な衝撃がかかり、押しつぶされるような感覚に襲われる。片足で体重を支えることが
できず、蹴り足は無残に地面に落ちた。
「はッ!」
 スーツの女が、掌で突きを放ってくる。達哉の力任せな動きと違い、きちんと拳法を学んだことが分かる、美しい動きだ。
炎を放たず素早く引っ込めておいたアポロで防御し、ぎりぎりで受けることに成功する。流すのではなく、あえて正面から
受けた。その衝撃も利用して、数歩後ろへ下がり、間合いを広げる。対処できなくはないとはいえ、二方向から攻撃を受け
続けるのはさすがに厳しい。スーツの女と舞耶とを、正面に見る形に構えた。
「……舞耶姉」
「もうやめて達哉君」
 かけた声は、冷たく遮られた。ペルソナ・アルテミスが掌をこちらに向け、その後ろで舞耶がこちらを見据えていた。
 その目を、達哉は見ることができなかった。
323『覚悟』ノススメ:2008/08/26(火) 21:55:39 ID:yUj7gPl70
 アルテミスが戸惑っている。舞耶にはそれがはっきりと分かったが、どうすることもできなかった。戸惑っているのは、
舞耶も同じだった。
「もうやめて達哉君」
 舞耶は言った。もう撃ちたくない、という意味を籠めたつもりだった。達哉は、強い。さきほどの重力系魔法はかなり
強く撃ったつもりだったのに、一瞬の足止めにしかならなかった。次に来られたら、本気で撃つしかない。
 本気で? と舞耶は自分の心の声に疑問を呈す。アルテミスの本領は氷結魔法で、それは達哉のアポロの弱点でもある。
いかなペルソナ使いとはいえ、弱点をつかれてはひとたまりもないものだ。それを本気で撃つということは、つまり……
「くくく……」
 と達哉が顔を伏せて笑い出す。先ほどと同じ、狂気に満ちた笑いだった。それを聞いて、舞耶は絶望にも似た悲しみに
襲われる。これがあの達哉なのか。あの無口で無表情で、だがその内心では熱い心に満ち溢れていた達哉が、こんな冷たい
笑い方をするなど、目の前で見ている今でもとても信じられない。
 撃つしかないのか。舞耶は歯噛みする。だが、自分は撃てるのか。守りたいものはいくつもあった。後ろにいるたまきや
ネミッサやタヱ、たまきの仲間と思われる女性……そして目の前にいる、強く、それゆえに傷つきやすい少年……達哉自身。
その達哉を、いま最も救いを必要としている大事な仲間を、自分は撃てるのか。舞耶にはまったく自信がなかった。
「ははははははは……」
 達哉の笑い声のトーンが変わった。それを聞いて舞耶は軽いデジャヴに襲われる。前にもこういうことがあった。達哉の
姿形をしている、しかし明らかに達哉とは異なる"影"との戦い。ひょっとして今、目の前にいる達哉も"影"なのでは……? 
 そこまで考えて、舞耶は軽く首を振って自分の甘い考えを追い払った。現実から目を背けてはいけない。あれは達哉だ、
正真正銘本物の達哉だ。根拠などないが、それは真実だと自分の心が言っている。それを信じずして何を信じるのか。
「やめてどうなるんだ」
 と達哉がうなるようにつぶやく。このような冷たく悲しい声は初めて聞いたように思った。
「俺の手は汚れてるんだよ、舞耶姉……もう退けない、もう遅いんだ」
 遅くなんかない。言おうと思ったが、その声は舞耶の喉の奥で凍りついた。達哉から感じる共鳴が、強く、ますます強く
なっていく。それは悲しく突き放すような、後悔と諦めに彩られた悲壮な決意の漂う共鳴だった。
「……達哉くん……あなた、たまきちゃんの前に……誰か……?」
 おずおずと、舞耶は聞いた。達哉をより頑なにしてしまうかもしれないと思ったが、聞かずにはいられなかった。
「……1人……さっきのように」
「……!」
 達哉が答え、それを聞いた一同が絶句する。言葉数は足りなかったが、そこに補うべき単語は全員よく分かっていた。
「だから、もう遅いんだ」
 すっ、と、音もなく達哉の分身が現れる。静かな、しかし先ほどまでよりもはるかに強烈な殺気が、舞耶の全身を打った。
「赦してくれなくていい、恨んでくれてもかまわない、俺は、ただ――」
 アポロの両の掌に再び火柱が上がる。その火勢はどんどんと強くなっていき、離れているというのに熱風が肌を焼いた。
達哉は、撃つ気だ。舞耶はそう直感した。迷いのない一撃が来る。迷いながらでは絶対に止められない、本気の一撃。
「達哉くん!」
 叫ぶように名を呼びながら、アルテミスの両手を前に突き出す。撃つなら今しかない。撃たれる前に撃つしか止める手は
ない。頭では分かっていたが、しかしどうしても決断することができなかった。
 達哉を、撃たねばならないのか。達哉を、救うことはできないのか。達哉を止めるには……殺すしか、ないのか。
「やめなさい!」
 もう一度、舞耶は叫んだ。
324『覚悟』ノススメ:2008/08/26(火) 21:57:13 ID:yUj7gPl70
 なにも事情を知らなければ、「早く撃て」とせかすこともできたのだろうが、断片的とはいえ話を聞いていたレイには
さすがにそんな無責任な真似はできなかった。キョウジなら……今のキョウジではなくて本物のほうのキョウジなら……
『オレ様には関係ないことだ』とでも言って、有無を言わさず必殺のシャッフラーコンボでもぶちかますのだろうけれど、
レイにはそんなことはできない。今は魔法が使えないし、使えてもやりたいとは思わない。
「やめなさい!」
 と舞耶(というらしい女)が叫んだ。怒りより悲しみに満ちた、悲痛な叫びだった。
「舞耶姉」
 達哉(というらしい男)は舞耶の言葉を軽く返した。親愛の情に満ち満ちた暖かい声は、拒否の言葉だった。
「……生き延びてくれ」
 ボッ、と空気を焼き裂く音と共に、達哉の前の力を持つ幻影が動いた。自分の神卸のときに現れる霊質にも似ていたが、
少し違う。もちろん、悪魔とも異なる。その中間というか……とにかく、強力な力を持っているなにかであるは確かだ。
レイは冷静にそこまで判断し、迎撃すべく構えた。存在自体は未知の物とはいえ、使ってくる技は既知の魔法と体術だ。
それがただ自分だけを狙って突き進んでくるならば、いくらでもさばけるし、かいくぐれる。
 しかし、達哉の動きはレイの予想とは違ったものだった。
「アギダインッッ!」
 赤い幻影が、両掌に掲げた火炎を一点に収縮し、そのまま放った。その向かう先は、なんと舞耶だ。生き延びるように
呼びかけた直後に、巨大でしかも不可避的な速度の火球を放つなど、レイの常識の範疇にはまったく存在しない行動だ。
よほど気まぐれで愚かな悪魔でもそんなことはしないだろう。まったくの虚を衝かれたレイは思わず足を止めて、舞耶の
方を見てしまう。その目の前で、巨大な火炎が舞耶を飲み込まんと突き進み……パキィン、と軽快な音とともに、四角い
光の壁が舞耶の…いや、彼女の背後に立つ青い幻影の前に現れる。火球はその壁に突き刺さり、そしてそのままあっさり
力の矛先を変える。その行く先は、レイのいる方向だった。
 魔法反射。舞耶に憑いているあの幻影には、その性質があるのだ。少年はそれを知っていたから、あえて舞耶を撃った。
無知な自分の度肝を抜いて、こうやって足止めをして、そして反射してきた火炎を食らわせるために。レイはそのことに
ようやく気づいたが、あまりに遅かった。足は完全に止まってしまっているし、反射されたアギダインは目の前だった。
 回避は間に合わない。両腕に力を籠め、顔の前で交差させた。魔封状態にされているとはいえ、体内の魔力操作までは
封じられてはいない。魔力を集中し、身構える。しかし、耐えられる自信はなかった。
「……クレセントミラー!!」
 火炎のうなりの向こうから、透き通るような叫び声が聞こえた。自分を押し包もうとしていた炎が聖なる光に散らされ、
力を失っていく。強烈な光は自分を包みはしたが傷つけることはなかった。光の発生源は言うまでもなく、舞耶の後ろに
控えた青い幻影だった。発光源を背にした舞耶は、まるで聖母のように後光が差して見えた。
 それに見惚れる自分を叱咤し、慌てて男のほうを向きなおす。そこにはもう、誰もいなかった。
325『覚悟』ノススメ:2008/08/26(火) 21:59:17 ID:yUj7gPl70
 目の前から達哉が消えた。そのことに少し安堵している自分に、舞耶は嫌悪感を抱いた。
 問題はなにひとつ解決してなどいないのに、ただ自分の前から消え去ってくれただけで、なんとなく楽になったような
気がしている。しかしそれは責任逃れ以外の何者でもないのだ。
 自分には覚悟が足りない、と舞耶はつくづく思う。達哉を撃つ覚悟もなかった。自分が前に出て傷つく覚悟もなかった。
助っ人の女性を見捨てる覚悟もなかった。どれかひとつでもやっていれば、達哉をこうもあっさり逃がすことはなかった
だろう。達哉を本当に止めたいならば、覚悟を決めるべきだったのに、自分はそれができなかった。
 しかし、その達哉にはゆるぎない覚悟がある。この空間は攻撃が強く、防御や回復が弱くなるように調整されている。
達哉のことだから、とうにそのことに気づいているはずだ。とするならば、アルテミスの魔法反射の性質も弱体化されて
いてもおかしくなかった。つまり場合によっては、あのアギダインは舞耶を黒焦げの死体に変えかねない行動だったのだ。
それでも撃った。達哉にはそれだけの覚悟があったということだ。
 舞耶はそっと、達哉が忘れていった落し物を拾い上げた。コンクリートの上で跳ねたせいで角に少しだけ欠けができて
しまっているが、それ以外には傷ひとつなく、汚れもくすみもない。舞耶にはジッポの鑑定眼はないが、表面がムラなく
きれいに飴色に変色しているのは、そうとう大切に手入れされて使い込まれているからだというぐらいは分かった。
 そんな大切なものであっても、拾う時間惜しさに捨てなければならない。達哉はそういう道を歩んでいるのだ。
(達哉くん……なんで、あなたはいつもそんな哀しい道ばかりを)
 舞耶はジッポを、それが達哉であるかのように抱きしめる。そうすると、ジッポにはまだ達哉のぬくもりが残っている
ような気がして……そして同時に、それが達哉が捨てていった最後のぬくもりのような気がして……舞耶はただただ強く、
ジッポを抱きしめることしか、できなかった。
「たまきちゃん!」
「ネミッサさん!」
 背後から二人分の声が響く。それを聞いて舞耶はハッと我に返った。急いで振り返る。タヱがいつの間にか戻ってきて、
先ほどのスーツの女性と一緒にしゃがみこんで、倒れている女性二人を介抱している。
 自分はバカだ、と舞耶はまた歯噛みした。無力なタヱや、怪我人のネミッサやたまきの心配を真っ先にするべきだった
のに、すっかり忘れていた。彼女たちを守ると、自分は決めたではないか。誰も傷つけない戦いをすると、三人で決めた
ばかりではないか。
 舞耶はジッポを見つめた。自分に足りないのは、覚悟。ならば、今ここでその覚悟を決めよう。そう思った。しかし、
達哉が決めたような、すべてを捨てる覚悟ではない。その逆だ。なにも捨てない覚悟だ。ネミッサも、タヱも、たまきも
その相棒も、他の参加者たちだって……もちろん、達哉のことだって、すべてを諦めない覚悟。
 誓いの儀式代わりに握り締めると、じわりとジッポが熱を持ったような気がした。熾き火のような、優しく粘り強い熱。
 舞耶は、ジッポをそっと胸ポケットに仕舞ってから、振り返って走り出した。
326『覚悟』ノススメ:2008/08/26(火) 22:00:10 ID:yUj7gPl70
「……おい」
 重かった沈黙を打ち破り、バンダナの少年が口を開いた。腹の底から漏れ出てくるような、苦しそうな声だった。
「なんだい?」
 彼に肩を貸して歩いていた白いスーツの青年は、ほっとしたようにその声に答える。今まで何度か呼びかけていたのに
返事がなかったので、もう意識も持たないぐらいの重傷なのかと思っていたのである。実際のところは、喋ると痛むのと
あと単純にウザかったのですべて無視していただけで、少年の意識に別状はなかったのだが、だからと言って軽症という
わけではない。いかな超人的身体能力を持つ少年とて、腹部に大口径拳銃で大穴を空けられて軽症なわけがない。
「……夢崎区に行くって話だったろう。こっちだと戻ってねえか」
 眼光鋭く、少年――宮本アキラが聞く。地図も見ていないし、周囲の景色もろくに確認していないはずなのに、ズバリ
言い当ててきた。素晴らしく正確な方向感覚に、青年――葛葉キョウジは少なからず驚いた。この少年は本当に何者なの
だろうか? 自分の方向感覚も、異界のワープ地獄で鍛えられているつもりだったが、それをはるかに越えている。
「ああ、確かにそうなる。この道は平坂区に引き返す道だよ」
 キョウジはしっかりと目を見つめ返して答えた。やましいことは何もない。いままで何も言わずに独断で進んだのは、
この半死半生の少年に余計な負担をかけないようにするためである。
「なんかアテでもあンのか」
「ああ……いちおう、ね」
「……ンだそりゃ?」
 アキラが怪訝な表情を浮かべる。額に巻かれたバンダナの影からギロリと見上げる目は威圧感抜群だ。
「さっき少し休んでる間に、このCOMPのマッピング機能をいじっていたんだ。情報を入力しようと思ってね」
 とキョウジは説明を始めた。自分のほうが年上なのに、なんで怒られて言い訳をしているようになっているのだろう、
と少し疑問に思うと同時に情けなくなったが、そこはまあぐっとこらえることにする。
「そしたら、もう全部地図が入力済みだった。最初からだったのか、前の持ち主が入れたのかは分からないけど」
「ケッ、あの野郎がそんなマメなことするかよ」
 アキラは不愉快そうに地面に唾を吐く。びちゃり、と地面に叩きつけられた液体には、赤いものが混じっていた。
「じゃ最初からだったんだろう。で、そのCOMPの地図を見ていたら、平坂区のカメヤ横丁に知ってる名前を見つけたのさ。
そこは拠点にもできるし、もしかしたら知り合いに出会えるかもしれない」
「ふん。なら確かなアテじゃねえか」
「ところが、こっちの支給品の紙の地図には載っていないんだよ。だから、『いちおう』なんだ」
「なるほどな。……ところで、その知り合いってのは……あいつか?」
 とアキラが前を指差す。慌ててそっちを見ると、こちらに向かって歩いてくる人影がぼんやりと見えた。アキラは顔を
伏せたままだったはずなのに、あの遠い人影の気配を読んだのだろうか? まったく、恐ろしい少年だ。
327『覚悟』ノススメ:2008/08/26(火) 22:01:10 ID:yUj7gPl70
 しばらくそのまま進んだ。隠れようというキョウジの提案を、アキラが一蹴したからである。アキラが感じるところに
よれば、相手はアキラと同レベルかそれ以上の能力を持っているようだった。とするならば、向こう側もこちらの気配を
察知しているということになり、もう隠れるには遅いという判断によるものだった。
 ようやくキョウジの目でもその人影が見分けられる距離になった。茶色の髪を正面で分け、赤いライダースーツに身を
包んだ、線の細い印象の少年。もともと色白なのだろうが、それにしても顔色がとても悪い。
「知らないな」
「だろうな。あの野郎、やる気だぜ」
 アキラが言う。鈍いキョウジでもそれは分かった。全身からギラギラとしたオーラを放っている。「僕はこのゲームに
乗っています」と大声で言いながら歩いているようなものだ。もっと殺気を殺して、友好的な顔をしながら歩いていれば、
こちらの不意をつくこともできるだろうに。よほど自分の腕に自信があるのか、それともそういう悪知恵は得意ではない
タイプなのか。
 どくん、と相手の殺気が跳ね上がるのを感じて、キョウジの足は思わず止まった。相手もそれに応じるように止まる。
西部劇の決闘のように、睨み合う形となった。
「……どこに行く?」
「平坂区に」
 少年の冷たい声に気圧されて、キョウジはつい正直に答えてしまう。ヤクザや警察とも渡り合う私立探偵で、そのうえ
凄腕の悪魔召喚師で、並みの脅し文句でビビリ上がるようなヤワな精神はしていないはずなのに、少年の何気ない一言で
思わずビビッてしまっていることにキョウジは少なからず驚いた。威圧感があるわけでも、恐怖感を煽ってくるわけでも
ない。それなのに、ただなにか、ゾッとさせるようなものが目の前の少年から満ち溢れているのを感じる。それがなにか
よく分からないが、あえてなにかと呼ぶならば……「覚悟」だろうか。
「質問するなら、名前ぐらい名乗るのが礼儀だろうがよ」
 バンダナで目元を隠しつつ睨み上げる、お決まりのスタイルでアキラが凄んだ。威圧するような気迫が周囲を包んだ。
「俺か? 俺は……」
 少年が薄ら寒い微笑を浮かべながら応じる。アキラがわざと放った気迫を、対抗するでも受け流すでもなく、あっさり
無視した対応だった。
(交渉決裂、か)
 キョウジは左手に嵌めたCOMPを軽く握りなおした。アキラも身構えているのがわかる。一触即発。ほんのささいなこと
でも、なにか引き金になるようなきっかけがあれば、もういつこの緊張が弾けてもおかしくない状態だった。
 全身にイヤな汗が出てくる。背筋を汗が伝うのを感じた。……この少年、強い。キョウジは改めてそのことを確認する。
その瞬間、少年の殺気と魔力が跳ね上がるのを感じた。
「俺は、JOKERだ」
 少年が発したその声が、引き金だった。
328『覚悟』ノススメ:2008/08/26(火) 22:01:57 ID:yUj7gPl70
【時刻:午前11時】

【天野舞耶(ペルソナ2)】
状態:魔法使用と睡眠不足で疲労  脚の傷は回復
防具:百七捨八式鉄耳
道具:脇見の壷、食料品少し、胸ポケットにジッポ
現在地:平坂区・スマイル平坂付近の路上
基本行動方針:できるだけ仲間を集め脱出方法を見つけ、脱出する。
現在の目標:倒れているネミッサとたまきの治療

【ネミッサ(ソウルハッカーズ)】
状態:腹に銃撃を受け失血、無理して魔法を使ったため気絶
武器:MP‐444だったがタヱに貸し出し
道具:液化チッ素ボンベ、食料品少し
現在地:同上
基本行動指針:仲間を集めて、主催者を〆る。
      ゲームに乗る気はないが、大切な人を守るためなら、対決も辞さない。
現在の目標:(たまきの治療)

【朝倉タヱ(葛葉ライドウ対超力兵団)】
状態:軽いPANICながら気丈に対応中
武器:MP‐444
道具:参加者の思い出の品々(ジッポは落とした) 傷薬 ディスストーン ディスポイズン、食料品少し
現在地:同上
基本行動方針:この街の惨状を報道し、外に伝える。 参加者に思い出の品を返す。
      仲間と脱出を目指す。
現在の目標:ネミッサとたまきの介抱

【レイ・レイホウ(デビルサマナー)】
状態:CLOSE
武器:プラズマソード(手には持っていない)
道具:不明
現在地:同上
基本行動方針:CLOSE状態の回復、キョウジとの合流、仲間を探す
現在の目標:ネミッサとたまきの介抱

【内田たまき(真女神転生if…)】
状態:全身火傷、瀕死
武器:なし
道具:封魔管
現在地:同上
基本行動方針:身を守りつつ仲間を探す
329『覚悟』ノススメ
【ピクシー(ザ・ヒーローの仲魔)】
状態:魔法使用により少し疲労
現在地:同上
基本行動方針:ヒーローの任務遂行。ヒーローのもとに戻る


【周防達哉(ペルソナ2罪)】
状態:脇腹負傷(出血は無し)、精神的に極めて不安定、連戦で疲労気味
武器:なし
道具:チューインソウル 宝玉
ペルソナ:アポロ
現在地:平坂区・夢崎区の境あたりの路上
行動方針:舞耶以外の参加者を手当たりしだい殺す
※たまきが死んだと思っています


【宮本明(真・女神転生if...) 】
状態:外傷は塞がっているが消耗大、ボロボロの服
装備:ヒノカグツチ(少し重い)、鍋の蓋、スターグローブ(電撃吸収)、無想正宗
 アセイミナイフ×2、クラップK・K(残弾なし)、髑髏の稽古着(焼け焦げて使い物にならない)
道具:包丁×3、アルコールランプ、マッチ*2ケース、様々な化学薬品、薬箱一式 、
 メリケンサック型COMP、傷薬2つ、デイスポイズン2つ、閃光の石版、MAG1716
行動方針:ハザマの殺害、たまきと合流しゲームの脱出、休息を取り体力回復
現在地:平坂区・夢崎区の境あたりの路上
仲魔:コボルト
備考:肉体のみ悪魔人間になる前

【葛葉キョウジ(真・女神転生 デビルサマナー) 】
状態:正常
装備:ピースメーカー
道具:魔石1個、ベスのバンダナ、基本支給品を余分に1セット、水・食料を余分に2セット
基本行動方針:レイと合流、ゲームの脱出、休息を取り明を回復させる
行動方針:平坂の葛葉探偵事務所を活動拠点にすべく移動中
現在地:同上
備考:中身はキョウジではなくデビサマ主人公です。