「さて、お前たちにはこれよりこの島で……殺し合いをしてもらう」
再びの沈黙。
その沈黙を1人の男が破った。
「それは……どういうことだ?」
ユーゼスはその男へと顔を向け、答える。
「聞こえなかったか? 殺し合いをしてもらう、と言ったのだが」
その言葉に男は、黙ってユーゼスへと歩み寄る。
そして腰の剣に手をやろうとして……剣がないことに気づいた。
「お前たちの装備は全て預からせてもらった。無駄な抵抗は止めておけ」
しかしその男は、黙って右手を掲げる。男の右手が光り、紋章が浮かび上がる。
そして、ユーゼスに向けて雷が発せられた。
……はずだったが、その雷はユーゼスの目前で消えてしまう。
次の瞬間、男の首が破裂した。肉片と脳髄が血飛沫とともに、辺りへとぶちまけられる。
「……無駄な抵抗は止めておけ、と言ったはずだ」
首をなくした男はその場へと倒れこむ。
近くにいた熊の様な男が「フリック!」と叫びながら、死体に駆け寄る。
ユーゼスはそれに目もくれず、他の参加者たちを見渡す。
「気づいているものも居るかも知れないが、お前たちには首輪をつけてある。
説明が前後したが、その首輪はこちらの意志一つで爆発させることが可能だ。
無駄な抵抗はお前たちのためにならない、止めておくのだな」
その説明で初めて首輪に気づき、首に手を当てて驚く者も多かった。
そして三度騒ぎ始める参加者たち。
――この首輪もお前がつけたのか!?
「そうだ」
――俺たちの装備は奪ったのもお前か!
「その通りだ」
――まさか、俺たちをここに集めたのも!?
「それも私だ。
私がお前たちの世界に干渉し、ここに呼び寄せた」
抵抗は無駄だと悟ったのか、参加者たちは大人しくなる。
それを見て、ユーゼスは『ゲーム』のルールを説明し始めた。
【フリック(幻想水滸伝) 死亡】