1 :
それも名無しだ:
自身のサイズを超えるほどに伸びた巨剣が、真っ二つに切り裂いた。
艦首で爆発が起こり激しい震動に揺れるJアーク、キラは地面に叩き付けられた。
『ジェイクォース使用不可。Jジュエルジェネレータ、出力65%にダウン。優勢予測指数、50から20へ。無事か、キラ』
「う……ん、大、丈夫。トモロ、まだ……戦えるかい……?」
『戦闘続行は可能。だが、勝率は限りなく低いと言える。撤退を推奨する』
「出来ないよ……わかるだろ、トモロ? ここで引けば、全部終わってしまう。負けられないんだ……」
朦朧とする意識で応える。しかしその覚悟とは裏腹にキラの視界は霞み、何かに掴まらなければ立っていられなかった。
『敵機、接近。キラ、指示を』
「……、っえ?」
一瞬、完全に意識が飛んだ。焦点が定まった途端、モニターいっぱいに映し出されたゼストの威容。
「ここまでだ、キラ・ヤマト。その力、私が有効に使ってやろう」
ユーゼスの声。巨獣が右腕の鋭い爪を伸ばし、限界まで引き絞った。
バリアを、そう叫ぼうとした。しかし身体は言う事を聞かない。
インベーダー相手ならともかく、人間相手ではトモロは指示がなければ動く事が出来ない。
(そんな……ここで終わるのか、僕は――ッ!?)
あの時――アークエンジェルを守るため、初めて『あの感覚』が芽生えた時のように、全てがスローモーションのようにゆっくりと動く。
迫るゼストの腕、操るは仮面の男、
その向こうで大剣を担ぎ見物している特機、その中で嗤う戦争の権化、
離れたところで戦っている仲間達一人一人の顔、
置いてきたはずのおてんばな少女、歌に命を掛ける青年、
自分達を裏切った少女、その少女を守る騎士、黒い鬼を駆る復讐者、
全てが一瞬に脳裏に浮かんでは消え、最後に残ったのは。
「――――――ここで諦めるのか、キラ・ヤマト?」
3 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:26:20 ID:suwvwFCT
響いた、声。
知っている、この声を。戦場で聞いた、銃を向け合った、そして共に戦ったこの声を。
「私の知っているガンダム乗りはいついかなる瞬間も諦める事無く、前だけを見て進む炎のような男だった。お前はどうなのだ?」
キラの、Jアークの目前。20mを軽く超えようかというゼストの拳を、たった一機のモビルスーツ――ガンダムが、受け止めていた。
ガンダム――そう、ガンダムF91。
キラが授かり、ジョナサンの手に渡り、ガロードへと譲られ、アムロを得てその力を最大限に発揮し、そして今誕生したばかりのニュータイプをその身に宿す。
かつて純白の白だったそれが、今は血のように深い真紅。
「戦う覚悟なき者は去れ。その意志があるのなら吠えるがいい。お前がこの世界に貫く、お前だけの意志を。それが――」
ゼストの拳を、F91の背から広がった力――オーラで形成された六本の翼が横から弾く。
そしてその手にあるのは極光を灯したヴェスバー。
「それが真に心から願う物なら必ず、この無明の世界を破壊する事ができる。勇気こそが……唯一絶対の力なのだからッ!」
力強い叫びと共に、ヴェスバーが解放される。
先のユーゼスの砲撃に勝るとも劣らない規模の光熱波が、ゼストのみならず傍観者を気取っていた特機までも押し流す。
危機が排除され、ようやっとキラは叫んだ。
「――シャギアさん!」
この場に現れた、かつて敵であり今は共に戦う仲間である、一人の男の名を。
「さあお遊びはここまでだ、狼藉者ども。私の愛馬の力、存分に見せつけてやろう!」
5 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:27:13 ID:TPBJ7S6B
6 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:27:25 ID:suwvwFCT
□
ワインレッドのカラーリングも眩しいF91がJアークの甲板に降り立った。
まるでストライクとその兄弟機、ストライクルージュのようだとキラは思った。
「シャギアさん、来てくれたんですね!」
「別にお前達を助けに来た訳ではない。私は私で、奴らに借りを返さねばならないだけだ」
油断なくゼストとダイゼンガーを見据え、シャギアは戦況を確認する。
ロジャーとアイビスは統夜とテニアに抑えられている。こちらの増援には来れそうにない。
アイビスはともかく、ロジャーの方は劣勢に見える。
同じ陸戦機ではあるが、騎士凰牙とヴァイサーガでは機動性に差があるためかロジャーは統夜を捉え切れてはおらず、細かな損傷が増えていくばかりだ。
なんとか持ち堪えているのは鞭の持つ固有能力らしい幻影、そしてロジャーの腕のおかげだろう。
そして仇たるテニアは、アイビスが技量的に上回っているためかこちらは優勢だ。
しかし時間稼ぎを目的とするテニアと仲間の救援を焦るアイビスでは精神面で前者が勝っている。
どちらも決め手に欠けているというところだ。
次に、眼前のゼストとダイゼンガーを観察。
いくらシャギアが新たな力に目覚めたとはいえ、この二機を同時に相手にするのはきつい。
Jアークの援護があるとはいえ、もう一機は欲しいところだ。
と、遠方で戦っていたサイバスターがこちらへと接近してくる。アキトを撃破したのだろう。
カミーユがここに加わればユーゼス・ガウルンの撃破も可能かもしれない。
だが、先のキョウスケとの戦いでそうだったように、カミーユとシャギアの全力は消耗が大きい。
ユーゼスの機体がキョウスケ並の力を持っているのなら、身動きが取れなくなったところをガウルンに狙われるかもしれない。
やるのなら一撃必殺。ユーゼスとガウルン、もろともに一撃で葬り去るしかない。
Jアークに保管されている反応弾。あれなら可能なプランだが、当然の帰結として爆心地にいるシャギア達も吹き飛ぶことになる。
条件はユーゼス達の機体を破壊するだけの力を持ち、攻撃範囲を任意で指定でき、その上こちらの消耗が少ない――そんな攻撃。
(早速、『アレ』が役立ちそうだな……!)
味方の機体にのみ通じる回線を開く。
ここから先は連携で勝負だ。
「こちらはシャギア、作戦を伝える。
カミーユ、下の統夜とテニアを抑えろ。ロジャー達では分が悪い。
ロジャー、お前は私と共にユーゼスとガウルンを抑える。
キラ、引き続き後方から援護。ただしエネルギーを消費する兵装は使わず言って一定量を確保しておけ。
そしてアイビス、君は一時後退、指定するポイントへ向かえ」
矢継ぎ早に指示を下す。アイビスの機体に座標を転送。
どう言うつもりだ、という声も上がらない。それなりには信頼されていると考えていいだろう。
サイバスターが進路を変更し、凰牙と渡り合っていたヴァイサーガへと斬り込む。
追従していたフラッシュシステム――ファミリア、がテニアを牽制し、その隙にロジャーとアイビスが離脱。
Jアークが後退し、空いた位置をF91が埋めその下方に凰牙が滑り込む。そしてブレンが虚空に消えた。
「おいおい、あんた何でそこにいるんだ? 俺はてっきり、弟を生き返らせようとしてるんだと思ってたんだがな。
それとも死んだ奴の事なんてどうでもいいってか? 薄情な兄貴だねぇ」
「貴様に私達兄弟の何がわかる。たとえ貴様がどう思おうと私の意志は変わらん。それにオルバの事ならお前が心配する必要はないさ。
――そう、貴様らをオルバと同じ所に……いいや、欠片一つ残さずその存在を消し去ってやるのだからな!」
F91が両手に抜き放ったビームソードとサーベルが唸りを上げる。
過剰なエネルギーを供給され、そのサイズは三倍近くにまで膨れ上がった。
Jアークがゼストへと艦砲射撃を開始し、地を疾駆する凰牙が鞭とハンマーで注意を引く。
フリーになったF91は同じく孤立したダイゼンガーへ。
「動きが鈍い……そこだッ!」
8 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:28:23 ID:suwvwFCT
ダイゼンガーはF91の三倍近いサイズ。機動性では遥かにF91が勝る。
一気に懐へ飛び込まれたガウルンは、舌打ちしながらナイフ型へ変形させた斬艦刀で迎撃を図った。
液体金属の剣と荷電粒子の刃がぶつかり合い――拮抗する。
パワーで勝るダイゼンガーは片腕で斬艦刀を振るっているのに対し、F91は両腕でなんとか抑え込んでいる状態。
ガウルンは残る左腕を握り込み、鋭いフックを放つ。
F91は急上昇し避けるが、そこはダイゼンガーの肩にマウントされた熱線砲・ゼネラルブラスターの射線内。
「喰らいなッ!」
「貴様がだッ!」
シャギアの仕込んだ一つ目の『切り札』、発動。
F91の腰部にマウントされた、六基の円盤状フィールドジェネレータ――プラネイトディフェンサー。
それが一気に弾け、F91の前面へと展開。
円盤は互いに位置を調節し、電磁領域を発生させる。
そこにF91のサイコフレームの共振――人の心の光が加わり、莫大な量のエネルギーが流れ込む。
F91がビームシールドを展開し、その周りを周回するディフェンサーが加速、やがて一つの障壁となる。
自身の全長を超える障壁を盾に、ゼネラルブラスターの只中へ突っ込んでいくF91。
ガウルンからは見えなかっただろう。
インベーダーの群れを百単位で消し飛ばす熱線砲の中を、黄金に輝く盾を構え正面から抜けて来るF91の姿など。
「何ィッ!?」
そして、唐突にダイゼンガーの眼前に現れたF91の両手にはヴェスバーの砲門が。
高速で連射されるビームがダイゼンガーの全身に着弾し、フィードバックする痛みがガウルンを灼いていく。
「が……ああああッ!」
「ここまでだ……消えろ、ガウルンッ!」
動きの鈍くなった――その厚い装甲から考えれば、不自然なほど――ダイゼンガーへ、再度抜いたビームの刃を振り下ろす。
「まだ……だぜッ!」
間一髪、その太刀筋の上に斬艦刀が滑り込みF91の刃が押し留められた。
ぎりぎりと、サイズの小さなF91が押し込むという奇妙な形の鍔迫り合いになる。
「クククッ……いいねぇ、ゾクゾクする。あんた、俺の想像とは違うが随分やるようになったじゃねえか」
「褒め言葉だと受け取っておこう。そういう貴様は、機体が変わった割に使いこなせてはいないようだな?」
攻撃を受けた直後や行動に移る瞬間、一呼吸停滞する機動についての事だ。
機体の問題ではないだろう。あの動き、どうもパイロットがまるで自分の身体を操る事に違和感を感じているように見える。
「まあ、ちょいと事情があってな。このまま殺り合ってもいいんだが……残念な事に俺のお目当てはお前じゃないんだな、これが」
「ふん……逃がすと思うのか?」
「最初に会った時なら無理だったろうがな、今のお前ならこうすれば――」
ナイフが大剣へと変化した。
来るか、と思って身構えると、
「――何ッ!?」
大剣が、槍のように『発射された』。
一直線に迫る剣を横に回避。当然、加速のついた剣は彼方へと吹き飛んで行く。
何のつもりだと訝しむ。唯一の武装をこうも簡単に手放す、その訳を。
ビットのように遠隔操縦できるのかとも思ったがそうではない。あれはただ、本当に投げただけだ。
一度発射すれば、突き進んで何かに当たることしかできないはず。
10 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:29:23 ID:1W8kAORq
11 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:29:26 ID:TPBJ7S6B
(待て……私の後ろにはッ!?)
振り返る――その先にはJアーク。ユーゼスとの戦いに集中し、迫る大剣に気付かない。
あれ自体は熱を発していないのだからレーダーにも反応しないのだろう。
舌打ちし、F91に後を追わせる。まずいことに剣先はまっすぐブリッジを狙っている。
後方のダイゼンガーを警戒しディフェンサーを配置したが、攻撃は来ない。
(何を考えている……? チッ、しかし今は!)
意識を集中し、ヴェスバーを高速モードに設定。
剣の進路を予測し、ブリッジの20m手前という位置で――
「間に合えッ!」
発射。
矢のようにJアークを狙った斬艦刀の進路に、それ以上のスピードでビームが割り込む。
一発目。微動だにしない。
二発目。剣先が揺らぐ。
三発目。震動が刀身に伝わった。
そして四発目、ようやく芯を捉えた砲撃は剣に推進力とは異なるベクトルを与えその進路を乱す。
斬艦刀は半端な角度でJアークに衝突し、その船体に喰い込むことなく落下した。
息を吐く間もなく振り返る。だが、同時に違和感も感じていた。
ガウルンがこれだけの隙を見逃すほど間抜けだとは思えない。
なのにシャギアはまだ生きている。追撃らしい追撃もなく、どころか振り返った先にはそもそもガウルンの機体がない。
いや、遠目に後退していく鎧武者が見えた。その方向には統夜もテニアもいないはずだが。
「撤退した、のか? 奴が退く理由などないはずだが」
「シャギアさん、特機が急速に離脱していくのを確認しました。撃破したんですか?」
「いや、押してはいたがそこまでの損傷を与えていないはずだ。何か策があって退いたと見るべきだろう」
「そうですね……でも、とりあえずあの機体は無視していいと思います。こちらの戦闘に加わってもらえますか?」
「了解した」
常になく大人しいガウルンに言い知れない不気味さは感じるものの、あれだけ離れれば致命的な行動はとれないはずだ。
核や長距離砲撃ができる機体ならまだしも、Jアークの甲板に転がっている剣を見るにあの機体は剣戟戦用の機体のはず。
キラの言うとおり、今はより具体的な脅威であるユーゼスを排除する時。
話している間もJアークからは絶えず砲撃が行われているが、ゼストに目立った損傷はない。
それはこちらも同様なのだが、ユーゼスはガウルンにそれなりの期待をしていたのだろう。だから積極的に攻めてこなかった。
しかしそのガウルンがいなくなったとなれば本気で来るはずだ。
ロジャーに無茶を強いた分、ここからシャギアが巻き返さねばならない。
凰牙が飛ばしたハンマーを掴み、ゼストが逆に引っ張り返すのが見えた。
パワーで劣る凰牙はまるで畑の野菜のように引き抜かれ宙に舞う。
腹の砲塔から放たれるダークマター――おそらくはシャギアが乗っていたヴァイクランのべリア・レディファー――を、伸ばした鞭をゼストに巻きつかせ強引に軌道を変えて避ける凰牙。
だがその際ハンマーが巻き込まれ、一瞬で灰燼に帰す。
見て取ったシャギアは咄嗟に斬艦刀を拾い上げ、F91の全身を回して遠心力で持ち上げる。
重さが圧し掛かってくる前に加速。甲板から飛び出すぎりぎりの位置まで加速し、
「受け取れネゴシエイター!」
放り投げた。
大車輪のように回転する大剣がゼストの表面装甲へと突き立った。
そこへ凰牙がゼスト自身の身体を滑り落ちてきて、明らかに自身の全長を超えるサイズの剣へと『着地する』。
落下の勢いを活かし、刀身を蹴り付けた凰牙。
刀身それ自体の切れ味に加え重量400tを超える荷重が高速で圧し掛かり、強固なゼストの装甲をバターのように斬り裂いていく。
「き、貴様らぁっ!」
「どれほど強力な機体に乗っていようと、肝心の中身がお前ごときではな。手を抜いたままで我らを踏み潰せると思ったのか?」
「力に溺れる者はより強い力にて打ち滅ぼされ、呑み込まれる。あなたのことだ、ユーゼス・ゴッツォ」
13 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:30:12 ID:1W8kAORq
着地し、斬艦刀を担ぎなおす凰牙。不思議とその姿は様になっているように見えた。
Jアーク、F91、凰牙の三機と相対し、ゼストは確実に疲弊している。
もちろんこちらの消耗も少なくないものの、アキトが敗れガウルンが撤退した今、流れは確実にシャギア達の側にある。
一気に決着をつけようと、無言の内にロジャーとキラがシャギアとタイミングを合わせ動く。
Jアークの反中間子砲が、ミサイルが。
F91のハイパービームソードが、ヴェスバーが。
凰牙のバイパーウィップが、斬艦刀が。
嵐のような攻撃がゼストの全身を少しずつ、だが確実に削り取る。
その渦中――ゼストの中心部で、ユーゼスは、
「……クク、クハハハハッ! いいだろう、認めようではないか。確かに私が甘かった、君達の機体を破壊しない程度に手を緩めようなどと。
これほどの傲慢、私も少々奢っていたのかも知れぬ。まだまだ甘い、目の前のご馳走に我慢できないようではな」
「……降伏する、という事ですか? 協力してくれるというなら、僕達もこれ以上は」
「降伏? フフフ……有り得んな。断じて、否ッ! この私の往く道に後退などないッ!
取り込めんと言うなら仕方ない、全て消し飛ばすまでッ! これだけは使いたくはなかったのだがな……貴様らがそうさせたのだ!
後悔する時間も与えん! 塵一つ残さず――砕け散るがいいッ!」
ゼストが、両腕の爪を伸ばし突き立てる――自身の胴体に。
鋭い刃が装甲を割り、吹き出る体液。否、流体状のラズムナニウム。
巨獣が苦痛の咆哮を上げる。それはまるで、この痛みすらも怒りに変えてお前達に叩き込むという決意の表れのようにも見えた。
「なんだ……何をしているのだ!?」
「キラ、敵機に強力なエネルギー反応を確認した。六つ……、六つのエネルギー源が露出するぞ」
トモロの言葉通り、ゼスト自身の詰めにより強引に割り開かれた胸部から六つの輝きが見えた。
一つ一つが戦艦を動かすに足るエネルギーを発している、円柱形の物体。
それはJアークのデータに残っていた『あるもの』と一致する。
そう、ネルガル重工が建造したオーバーテクノロジーの塊、地球と火星を股に掛けその名を馳せた名艦。
――ナデシコ級一番艦『ナデシコ』。その心臓部、相転移エンジンと核パルスエンジン。
「テトラクテュス・グラマトン……!」
蒼い輝きが二つ、紅い輝きが四つ。
内部に埋め込まれていたそれらが強引に引っ張り出され、轟音を鳴らしながらその位置をずらしていく。
一つ目の蒼を上に、右下と左下に紅が二つ。
二つ目の蒼を下に、右上と左上に紅が二つ。
互いに繋がる輝きが形成するはヘキサグラム――六芒星。
「空間そのものに干渉する相転移砲の力を以ってすれば、貴様らなど木端も同然! 消し飛ぶがいい!」
ゼストが発するプレッシャーが爆発的に増加する。
その力――Jアークと、サイバスターと、F91と、あるいは先のキョウスケ・ナンブの機体が巨大化したものと。それらを足し合わせたとて届かない――!
「何だ、あの力は……!?」
「エネルギー反応、更に増大。あれが解き放たれれば、このエリア一帯は軽く吹き飛ぶぞ」
「こんな力があるなら……あのゲートだって破壊できるはずなのに! どうしてあなたは!」
「言ったはずだ……これだけは使いたくなかったと。ナデシコから奪った動力炉をフルに使い、それでも一発しか放てない。
一度撃てば蓄えたエネルギーは枯渇し、この形態を維持する力すらなくなる。それだけのエネルギーを喰うのだ。
撃った後に倒される可能性があるから使えなかった――逆に言えば、この一撃で全て消し飛ばせばいいだけの事……ッ!」
「ここにはあなたの仲間が、統夜やテニアだっているんだぞ! それなのに!」
「統夜、テニア、ガウルン、アキト……ふん、所詮は捨て駒だ。私に並ぶ者など――『あの男』を置いて、他にはいないのだッ!」
「貴様一人であの主催者を倒せるとでも思っているのか!?」
「フフフ……その事も考えているさ、ちゃんとな。ネゴシエイター、貴様の持つデータウェポン。その本質は電子生命だ。
たとえ貴様の機体が砕け散ったとしても、物質に干渉する攻撃ではデータウェポンは傷つかない。
貴様という契約者がいなくなればデータウェポンは解放される。どこにいるか知らぬがもう一人の契約者の娘も探し出し、始末すれば……!
銀河を支配する力を持つデータウェポンは全て私の物となる! その力があればゼストは必ず超神へと進化する――絶対の存在となるのだ!」
15 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:30:36 ID:suwvwFCT
16 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:31:17 ID:1W8kAORq
六芒星が放つ光はいよいよ強まって、今にも溢れ出しそうになる。
止めようとした気配を察したユーゼスは、
「フハハ……無駄だ! これだけのエネルギーが収束しているのだ、貴様らの貧弱な武装では貫けはせん!、」
「キラ、奴の言う通りだ。あのエネルギーは物理的な攻撃をも遮る障壁だ。生半可な攻撃では突破できん。
最低でもサイバスターのコスモノヴァ並の火力が必要だ」
「凰牙のファイナルアタックでは無理なのか!?」
「ダメだ。突破できなければそのエネルギーすら滞留し、奴の力となる。一撃で破壊しなければ」
「じゃあ、カミーユを呼ばないと!」
「待て、あの力は多大な消耗を強いる。今彼に抜けられる訳にはいかん」
カミーユへと連絡しようとしたキラを、一人冷静なシャギアが制止する。
カミーユは今も統夜と剣を交えている。
一体この短時間に何があったのか、蒼い騎士は風の魔装機神と互角にやり合うほどに鋭い動きを見せていた。
剣を交わしたと思えばその姿は陽炎のように揺らめき、サイバスターの背後に。
カミーユのセンスと抜群の機動性を持つサイバスターだからこそその加速についていく事ができる。
地上の、しかも接近戦に置いてはヴァイサーガは今やサイバスターと肩を並べている。
新たに発現したらしいビットは、テニアとそのスレイヴが抑えている。
数にして三対六。個々の力は上回っていても、それを操るカミーユが統夜との戦いに気を取られているためか集中し切れておらず、動きに精彩がない。
「じゃあどうしろって言うんです! 他に方法が……!」
「落ち付け、キラ・ヤマト。戦いとは一手二手先を読んで手を打つものだ。そら――来たぞ。私のもう一つの奥の手だ」
シャギアが指し示す先に現れたのは――バイタルジャンプしてきたネリーブレン。一人後退していたアイビスだ。
ただし、そのブレンが抱えているのはキラとロジャーは初めて見るものだった。
ブレンが背負う、ブレン自身より大きな荷物――ユーゼスが目を剥いた。
「Jカイザーだとッ!?」
「ほう、知っていたか。だとしたら貴様はやはり甘い――こんな大物を、破壊も利用もせずに放りだして行くのだからな!」
「それは奴に……バーニィに破壊されたはずだ!」
「機体の事なら確かに木端微塵だったさ。しかしどういう訳か、この大砲だけは機体が庇うようにして守っていた。
案外、そのバーニィとか言う奴が残したのかも知れないぞ? お前がやってきた事のツケを払わせるためにな!」
Jアークの甲板へF91が着地し、ブレンが運んで来た砲台をその目前に下ろす、というか落とす。
F91が紫電を纏う両腕を振りかぶり、
「カイザァァァァコネクトォッ!」
Jカイザーへと叩き付ける。
カミーユの持つオクスタンライフルと同様、所有機が破壊されたこのJカイザーもまた誰しもが使える武装として開放されたのだ。
だがもちろん、F91単体では莫大なエネルギーを必要とするJカイザーを撃てるはずがない。
シャギアの脳裏に『月の子』と文字が踊る。
この武装はそうやってエネルギーを調達していた。なら話は簡単だ。
月、と言うのも縁起が良い。何故ならそれはシャギア自身にとっても馴染みが深いものだから。
「キラ・ヤマト! JアークのエネルギーをF91へ回せ!」
「えっ……はい、わかりました!」
月の子に匹敵するだけの力は爆発的なエネルギーはここにある。
三重連太陽系・赤の星の遺産。
所有者の命の鼓動――勇気に呼応し、莫大な力を発生させる無限情報サーキット、Gストーン。
そのGストーンをより実戦向きに改良し、破格の高出力を叩きだす規格外のジェネレータ――Jジュエルが。
18 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:31:36 ID:TPBJ7S6B
シャギアの言葉通り温存され、蓄積されていたJアークのエネルギー。甲板に立つF91へと光のラインが走り、流れ込んでいく。
エネルギーを供給され、F91の全身を再び深紅の輝きが包み込む。
翼を広げ、予想される反動に耐える姿勢を取る。
展開された六基のウイング、構えられた巨大な砲身――まるで『あのガンダム』のようだとシャギアは笑う。
ゼストの蓄えるエネルギーからすればごく小さい、しかし一点を突破するには十分すぎる力がJカイザーへと収束する。
ゼストの方はエネルギーがまだ収束しきっていない。
しかし回避するにも機体を動かすだけの力がない。
一撃で葬らんと機体に回すエネルギーを全て攻撃に叩き込んだゆえだ。
「ユーゼス・ゴッツォ……これは貴様の過去だ。貴様が利用し、踏み付け、ボロ屑のように捨てた者達が、貴様を粉砕するッ!」
「馬鹿な……馬鹿な! 今この時になって私を阻むのか、ベガ! バーニィ! 貴様ら如き愚昧が、この私を――ッ!」
泡を喰ったようなユーゼスの声。
ベガ、そしてバーニィという名をシャギアは知らない。
だがわかる事が二つ。
一つは放送で呼ばれた名前である事、もう一つはおそらくユーゼスに利用されたのだという事。
面識もない、さして興味もない。
だが今この瞬間だけはこう思ってやってもいい、とシャギアは思う。
――お前達の無念、私が晴らそう! この一撃で奴を終わらせる!
Jアークからエネルギーを供給される。
騎士凰牙が膝立ちになってF91を後ろから支える。
ネリーブレンがF91の手に自らの手を重ね、少しなりともエネルギーを上乗せする。
キラの、
ロジャーの、
アイビスの、
そして見も知らぬ仮面をつけた女、純朴そうな青年の顔がシャギアの意識を通り過ぎ、
――マイクロウェーブ、来るッ!――
――あなたに、力を――
――月は出ているか――
「――――〈J〉ジュエルカイザーエクステンションサテライトキャノンッッ!」
フッ、と笑みが零れた。
今だけは、私もお前達に倣おう――!
「発射ァァァァ―――――――――――――――――――――――――――――――――――ァッ!」
20 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:32:36 ID:1W8kAORq
21 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:32:47 ID:TPBJ7S6B
22 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:32:51 ID:suwvwFCT
□
視界が――いや、世界が閃光に包まれた。
とっさにテニアを庇う。斬り合っていた白い機体の事なんて忘れて。
光が駆け抜けた後、次に来たのは衝撃波だ。
剣を大地に突き立て、楔とする。
ヴァイサーガの巨体が揺れ、軽いベルゲルミルなんて吹き飛ばされそうになるほどの風が叩きつけられた。
数秒、もしかしたら数十秒は横殴りの風に晒されていたかもしれない。
やがて風圧が止み、統夜は顔を上げた。
「なんだ……これ」
先程まで廃墟の街で戦っていた、はずだ。
なのに今、目の前にあるのは――ぽっかりと空いた何もない空間。
そこかしこに瓦礫の山が、建造物の名残りが見える。
街を、まるで消しゴムを掛けたように空白がその存在を主張している。
すり鉢状に広がっていく破壊の爪痕。その進行方向にはまさしく何もない。
ずっと向こう、地平線の果てまで続いているように見える。ヴァイサーガのカメラでもどこまでが吹き飛ばされたかわからない。
一体何が起こったのか。
急いで確認しようとして、それからはっと腕の中のテニアに気付く。
「テニア! 怪我してないか?」
「う、うん。アタシは大丈夫。でも、これ……一体何が起こったの?」
街の一切合切を吹き飛ばした何かは、ユーゼスが向かった方向から飛んできたようだ。
ユーゼスがやったのかと、空恐ろしい力に震える統夜にテニアが囁く。
「統夜、あれ!」
ベルゲルミルが指し示したのは、同じく退避していたらしい敵機だ。
おそらく向こうもこちらに気付いただろうが、事態を把握する方が先と判断したのか一瞬で変形し飛び去って行く。
統夜が隙を突く暇もない。瞬く間に鳥型の敵機は白煙に紛れ見えなくなった。
逃がしてしまった。だが時間は十分に稼いだと自分に言い聞かせ、統夜は機体を立ち上がらせる。
「とにかく、ユーゼスと合流しよう。ガウルンでもいい」
「そ、そうだね。じゃあ……」
「俺が何だって?」
通信に、割り込んできた声。
振り返る。そこに佇んでいたのは、全身に傷を負った、まさに『落ち武者』といった風情のダイゼンガーだった。
「ガウルン! あんた、その機体……やられたのか?」
「ああ、下手打っちまった。それに剣を落としちまってな。統夜、お前さんに貸してた剣を返しちゃくれねえか?」
「あ、ああ。俺もどうせ片腕が使えないし、ほら返すよ」
「ありがとよ……ちと軽いが、まあいいだろ」
投げ渡したガーディアンソードをダイゼンガーが二度三度と素振りする。
確かに斬艦刀と比べれば少々頼りなく見えるが、それでも中々使い勝手のいい武器である事に違いはない。
操縦者の動きを正確にトレースするというダイゼンガーが感触を確かめるように拳を握っては開き、宙にパンチを繰り出す。
やがて満足いったか、ダイゼンガーは一つ頷くと統夜達へと向き直る。
24 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:34:09 ID:suwvwFCT
25 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:34:11 ID:TPBJ7S6B
26 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:34:23 ID:1W8kAORq
「で、お前ら。こりゃあ一体全体どうしたってんだ?」
「アタシらが聞きたいよ。あんた、ユーゼスと一緒に戦ってたんでしょ? これはあいつがやったの?」
「俺も途中で後退したんでな。詳しいことは分からんが……おそらくこれはユーゼスじゃない。
いや、あいつも絡んでるだろうがどちらかと言えばこれを撃たれた方だろう」
「じゃ、じゃあこんなすごい力を持った奴が敵にいるってのか?」
「だとしても、おそらくは敵さんの切り札ってとこだろう。今まで使わなかったのは使えないだけの理由があったんだろうさ。
でなきゃ、今頃これが連発されて俺達も消し炭になってるはずだからな」
「……とにかく、ユーゼスと合流しようよ。いくらなんでもあいつがやられたって事はないでしょ」
「そう……だな。状況次第では一度撤退して、体勢を立て直した方がいいかもしれない」
ヴァイサーガが先頭に立ち、ベルゲルミルがその後に続く。
ダイゼンガーのガウルンは二機の背中をぼんやりと見つめ、
「俺にはそんな時間はねえんだよな、これが……」
ぼそりと、呟いた。
微かに耳に届いたガウルンの囁きに統夜は振り返った。
「おい、どうかしたのか? まさか動けないとか言うんじゃないだろうな」
「だったらおぶってくれるかい?」
「誰が! 行こう統夜。早くユーゼスを見つけなきゃ」
見通しが良くなりすぎて狙い撃ちにされる危険を減らすため、射線の外にあったビル街へと進路を変えて進む三機。
ベルゲルミルならともかく、図体の大きいヴァイサーガとダイゼンガーではあまり隠ぺい効果がある訳でもなかったが。
「なあ、統夜。戦場で生き残るために一番大事なものは何だと思う?」
「何だよ急に」
「ちっと気になってな。お前も中々のパイロットになってきた事だし、興味が出て来たんだよ」
「ああ、そう。生き残るために大事なもの……そりゃやっぱり、腕なんじゃないか?」
「強くなきゃ負けちゃうもんね。アタシもそう思うよ」
前方の警戒は緩めず、意識の表層で答える。
何でそんな質問をするのかは分からないが、ガウルンとはそういう男だ。理解できるはずもない。
「腕ね、確かにそれも大事だ。だがな、俺の見解は違う」
「じゃあ、あんたはどう思うんだ?」
「そうさな……嗅覚ってところか。自分を絡め取ろうとする死から逃げ、相手は逆に突き落とす。
抽象的なもんだが、わかりやすく言うなら勘ってのでもいい。要するにヤバい臭いをかぎ分けろって事だ」
「勘……ね。随分曖昧なものなんだな」
「馬鹿にしたもんでもねえさ。勘っていうのは何も適当に選んだり運任せにする事だけじゃない。
場の流れを読み、洞察力や想像力をフルに働かせて有り得るかも知れない可能性を事前に探る――そういう事も指すんだ」
ゴシャッ、と。
音が聞こえた。
ダイゼンガーが瓦礫を踏み潰したのだろうか。
音を立てるな、と言おうとしたが考えてみれば大した意味もない。
音が聞こえる頃にはとっくにレーダーの範囲内だろう。
神経を尖らせて敵の気配を探る統夜は振り向かなかった。
「ふーん。で、それがどうしたって言うんだ。今話さなきゃいけない事なのか?」
「師匠としての最後の教えだよ。俺もお前もこの先生きのこれる保証はない。
言い残したまま死んで後悔しないように、今言っとこうと思ってよ。お前も俺に何か言いたい事はねえのか?」
「別に……俺を鍛えてくれた事には感謝してるけど、できればもう会いたくもなかった。あんたには散々痛い目に遭わされたしな」
「つれないねぇ。そういやお前、テニアの嬢ちゃんから聞いただろ? ユーゼスを殺る、ってプラン。
お前も覚悟を決めたもんだと思ってたが。今あいつを探すってんなら、その気はないって事か?」
「別にそういう訳じゃない……俺は安全策を取りたいだけだ。もしユーゼスが追い込まれていたとして、俺達が助ければ恩を売れるだろ」
「あいつが恩なんて感じるタマかねぇ」
28 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:35:19 ID:1W8kAORq
視界の端に白い戦艦、Jアークが見えた。
その周りに飛ぶ機体もいくつか。どうやらユーゼスは本当に破れたらしい。
舌打ちし、ヴァイサーガを止めて手振りで後の二人に停止のサインを伝える。
「おやおや、あいつやられちまったか。アキトもどっかに落とされたようだしな……どうするよ?」
「どうするって……俺達だけで仕掛けるしかないだろ」
「正気か? あのユーゼスの機体すら撃退する奴らだぜ。加えて全戦力が終結、俺達の方の戦力はガタガタ。
俺の勘は撤退しろって叫んでるんだがねぇ。いや、いっそ降伏して奴らに協力するのもいいんじゃねえか?」
茶化すようなガウルンの声にカッとなる。それができれば苦労はしない。
さすがにここまで明確な敵対行動を取ればどんなお人好しだって握手してはくれないだろう。
戦力では勝っていたはずなのに、終わってみれば返り討ちにされた。
なのにこのガウルンの態度。
文句を言ってやろうと思い、ヴァイサーガを振り向かせた。
「あんた、いい加減にしろよ! そもそもあんたが勝手に後退しなきゃユーゼスだって――」
場合によっては剣を抜く事も辞さない――そんな覚悟で振り返った統夜の目の前に。
ベルゲルミルの胸を貫く、
統夜がダイゼンガーに渡した、
今もダイゼンガーが握る剣が、
あった。
その位置は――考えるまでもなくわかる。
コクピットだ。テニアがいるはずの。
「あ、え……? な、何をして……どういう、事だよ……?」
「やっと振り向いてくれたか、統夜〜。寂しかったぜ? 無視されてるんじゃないかと泣いちまうところだったじゃねえか?
全くお前って奴は薄情なもんだな? 愛する彼女がダンマリだてのに気にも留めねえ。
言ったろ統夜。大事なのは嗅覚だ、ってよ。もっと早く振り向いてればなぁ?」
ダイゼンガーが剣を振り上げ、引っ張り上げられるベルゲルミル。
統夜は夢でも見ているかのようにぼんやりと、人形のように身動きしないベルゲルミルを見上げ、
「――はッ、テニアぁぁ――――――ッ!」
我に返り動き出す。
腕は勝手にパネルを叩き、コードを入力する。光刃閃。ヴァイサーガの最も速く、強力な攻撃オプション。
剣を掲げるダイゼンガーの腕目掛け、一足で加速し、疾風よりも速く、その名の通り光の刃となって、
斬り裂く。
ガウルンのダイゼンガー、
「たすけ……とう、や……」
が、盾にしたベルゲルミルを。
真っ二つに。
頭頂部から胴体、股間まで一直線に。
何の抵抗もなく、バターにナイフを入れるように。
びしゃっ、と。
30 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:36:10 ID:1W8kAORq
31 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:36:11 ID:suwvwFCT
32 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:36:26 ID:TPBJ7S6B
33 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:36:57 ID:1W8kAORq
34 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:37:38 ID:1W8kAORq
35 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:37:45 ID:TPBJ7S6B
36 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:37:46 ID:suwvwFCT
ヴァイサーガのカメラに液体が飛び散る。
張り付いてきたそれは赤い色をしていて、よくわからない塊が混じっている。
地面に落ちていくそれを拡大した。
手だ。人の手が落ちている。肘から先がきれいに切断されて。
向こうには多分足だ。赤い水たまりの中に落ちている。
細かいのは……肉屋で見るような、肉の塊だ。そこらじゅうに飛び散っていた。
ヴァイサーガの剣を見てみると、ベルゲルミルのオイルがどろっと血のように流れ落ちていく。
その中に微かに、赤いものが――本物の血が、流れている。
斬り割られたベルゲルミルのパーツが散乱し、やがて爆発する。
血も腕も足も肉片も全て、諸共に吹き飛ばしていった。
わなわなと手が震え、吐き気が込み上げてきた。とっさに口元を押さえたが、我慢しきれずヴァイサーガのコクピットが吐瀉物にまみれた。
胃の中身を全て吐き出し、それでも収まらずに胃液が沁み出てきた。喉いっぱいに酸味が広がり、それがまた気持ち悪さを掻き立てる。
「あらら、ひでえなぁ統夜君。愛しのテニアちゃんをバラバラにしちまうなんてよォ〜」
心底楽しいと言わんばかりの、ガウルンの声が聞こえる。
吐く物を全て吐き、げっそりとした顔を上げる統夜。しかし眼だけがギラギラと、まるでドラッグをキメたかのように爛々と輝いている。
「ガウ……ルン! お、お前が……ッ、お前がテニアをッ……!」
「あん? 馬鹿言うなよ統夜。確かに俺が先に手を出したが、止めを刺したのはお前さんだぜ?
聞こえたろ、『助けて、統夜』ってな。聞こえなかったか? 最後の言葉だったってのに、もったいねえなぁ」
「違う……違う! お前がテニアを殺したんだッ!」
「違うだろ統夜。百歩譲って『俺も』殺したと認めてもいい。だが物事は正確に伝えるべきだぜ?
『俺』と、『お前』が、『二人で』フェステニア・ミューズを殺したんだ。ん、こいつぁ初の共同作業って奴じゃねえか?」
「……ぁぁ、ううううぁぁあああああああああああああああああああああッ!」
ユーゼスやJアークの事なんて頭から吹き飛んだ。
頭の中が真っ白になり、ただ一つのことしか考えられなくなる。
――こいつが、テニアを殺した! ガウルンが、テニアを殺したんだ!
――絶対に……絶対に許さない!
「ガウルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥンッ!」
「ククッ、ハハハハハハッ! そうだ、その顔だ! 俺が見たかったのはその顔なんだよ、統夜!
さあ――これが最後だ! 俺を憎め! もっと、もっと、もっとだ!
お前の本気を見せてみろ! 俺が許せないだろ? 憎いんだろう? だったらお前が持てる力全部でかかって来い!
でなきゃテニアの嬢ちゃんも浮かばれないぜ……何たって、お前があんまり不甲斐ないから嬢ちゃんを殺そうと思ったんだからよ!」
「黙れぇぇっ!」
一直線に突っ込んできたヴァイサーガの剣を軽く受け止めるダイゼンガー。
もう片方の腕がヴァイサーガの腹を打ち据え、機体が一瞬宙に浮く。
力が緩んだ所にダイゼンガーの脚が飛び、ヴァイサーガを横薙ぎに蹴り付けた。
ビルを何棟か薙ぎ倒し、ヴァイサーガはよろよろと立ち上がる。
剣を大地に突き刺し、佇むダイゼンガーへ烈火刃をありったけ投げ放った。
ダイゼンガーは悠然と肩のゼネラルブラスターを放ち刃を迎撃、動きを止めずヴァイサーガに腕を突きつける。
ロケットパンチ――ダイナミック・ナックルがヴァイサーガの頭を掴んでビルへと叩きつけ、なお勢いは止まらず地面へ引き倒し引きずっていく。
大地との摩擦で背面の装甲が傷ついていく。拳の握れない左腕を叩きつけ、なんとか束縛から逃れる。
38 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:38:30 ID:TPBJ7S6B
「おいおい、それじゃあダメだ。もっと落ち着け、クレバーになれ。怒るのはいい、しかし心は平静に。
威勢が良いのは結構だが、そんな隙だらけの動きじゃ欠伸が出ちまうぜ」
「うる……さい。今さら師匠面して、俺をからかってるのか!?」
「まさか。言ってなかったんだがな、俺の身体はボロボロなんだ。こうしてる今も闘病生活真っ最中なんだぜ?
俺に残ってる時間は少ないんだ。最後くらい悔いのない瞬間を過ごしたいのさ」
「あんたの命と、俺達と! 何の関係があったって言うんだ! 死にたいなら一人で死ねよ!」
「別に俺は死にたい訳じゃねえよ。むしろ生きたいと思ってる。が、それが叶わねえってんなら仕方ねえ。
潔く諦めて――、お前と最後に遊ぼうと思った訳さ」
「ふざけんなッ! だったら俺を狙えば良かっただろ! なんでテニアを殺したんだ!」
懲りずに打ち掛かって来るヴァイサーガをいなし、がら空きの背中を蹴り付ける。
無様に顔面から地面へと突っ込んだヴァイサーガを笑いながら、
「そりゃお前。あの嬢ちゃんがお前のお荷物だったからさ」
「お荷物……? どういう、意味だ!」
「言葉通りさ。お前、俺と組んだ頃は良い眼をしてたのにあの嬢ちゃんと合流してからはすっかり腑抜けちまった。
相棒の身を案じた俺は、こう考えた訳だ。統夜、お前は騙されている! ってな。
テニアが原因でお前が変わったのなら、その原因を取り除けばいい。簡単な話だ。
退治されるべき竜が騎士を惑わせた魔女を討つ。どっかのおとぎ話みてえじゃねえか」
「そんな……そんなお前の勝手な理屈で!」
「だが、どうだい? そのおかげでお前は身軽になっただろ?
背負う物も守る者もなく、本能が命じるままただひたすらに剣を振るう。それこそがお前の本来あるべき姿、生き方なんだよ」
「違う! 勝手に俺を枠に嵌めるな!」
「違わねえ。お前は俺と同類なんだよ。戦いの中でしか生きられねえ、最低最悪の人種――自覚しろよ、その方が楽に生きられるぜ?」
「違う、違う……! 黙れって言ってるだろぉっ!」
駄々っ子のように剣を振り回すヴァイサーガ、ダイゼンガーはその場を動かず軽く剣を打ち合わせてあしらっている。
「この、この……っ! 死ね、死ね、死ね、死ね! 死んじまえよッ!」
「あのなあ、誰がそんな無様な戦い方をしろっつったよ。あんまりがっかりさせないでくれ」
ガウルンは嘆息し、痛む身体の悲鳴を無視してダイゼンガーを前進。
ヴァイサーガの剣をガーディアンソードで抑え、力が拮抗した一瞬に肩を押し身体を支える足を払う。
バランスを崩し、倒れ込むヴァイサーガの腹へ翻った足が乗る。
地面に激突する瞬間、タイミングを合わせ足裏を押し込んだ。
「っが、は……!」
受け身も取れず衝撃の逃げ場をなくし、ヴァイサーガの胴体に亀裂が走る。
その余波は統夜へとダイレクトに伝わり、少年もまた激しく咳き込む。
一方ダイゼンガーはヴァイサーガを踏み付けたまま、視線をJアークのいた方へ。
ユーゼスの機体――身体の半分が消し飛んでいる――と、対峙するJアークの機体達。
そして、ユーゼスの後方から今にも墜落しそうなスピードで飛ぶアキトの機体。
どうやら、向こうでももう一波乱ありそうだ。身体さえ万全なら乱入したいところではあるが。
「ま、いい。どうせ奴らもしばらくはこっちに来ねえだろ。俺は俺で楽しませてもらうとするか」
どちらが面白いかと言えば、ガウルンは足元でもがく少年で遊ぶ方を選ぶ。
どれだけ動けるか分からないが、願わくば統夜がガウルンを殺すほどに燃え上がってくれることを祈りつつ――
「さあ、付き合ってくれよ統夜。朝まで踊り明かそうじゃねえか」
この時間が楽しくてたまらないと。
死を目前にしてなお、かつてない程に生きている実感を――充実した時間を味わうのだった。
40 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:39:09 ID:suwvwFCT
41 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:39:20 ID:TPBJ7S6B
42 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:39:54 ID:suwvwFCT
□
「みんな、無事か!?」
サイバードが甲板に降り立った。
周りにはF91、凰牙、ブレンと全機が健在である。
「なんとか……カミーユは?」
「俺も大丈夫だ。それより、ユーゼスは? 倒したのか? さっきの光は何なんだ?」
「落ち付け、まだ我らの勝利が確定した訳ではない。警戒を怠るな」
「その通りだ。みんな、機体のコンディションを確認するんだ。油断して隙を突かれるのも間抜けだろう」
ロジャーの一言で各々が自機の状態を確認していく。
ブレン、凰牙はさしたる消耗もない。あえて言うなら、凰牙がハンマーの代わりに斬艦刀を装備しているだけだ。
Jアークはバリアを展開しっぱなしだったり、エネルギーを絞り出したせいか消耗が最も激しい。
ポイントで補給できないJアークが力を取り戻すには時間が必要だ。
そしてサイバスター、F91。共に機体よりもパイロットの疲労が大きい。
新たにファミリアを創造しぶっつけ本番で戦闘に入ったカミーユ、サイコフレームの共振を全開にして戦ったシャギア。
キョウスケと戦った時よりは余裕があるものの、できるなら休息を取った方がいいと誰かが言う。
だが当人達は、
「いや、まだだ。奴らの撃破を確認するまで機体を降りる訳にはいかん」
「ええ、俺も同意見です。まだこの戦場からは、粘つくような悪意が消えていない……!」
サイバスターが振り向き、その視線を彼方へと投げる。
その先にいたのは、最前まで対峙していたゼストだ。
だが、100mを超えていた巨体は見る影もなかった。
胸から上が全て吹き飛び、中心にある球体――AI1が剥き出しとなっている。
六芒星、相転移エンジンと核パルスエンジンもその上半分がきれいさっぱり無くなっていた。
残るのは三角形となった一つの相転移エンジン、二つの核パルスエンジン。
頭を庇ったか右腕は根元から消し飛んでおり、左腕だけが力無くぶら下がっている。
コクピットがあったであろう場所もぼろぼろで、あの中で人が生きていられるはずはないと思わせた。
「ユーゼス……死んだのか?」
「待てカミーユ、迂闊に近づくな。万一君が取り込まれでもしたら取り返しがつかん」
「でも、せめてあいつが生きてるかは確認しなきゃ」
「その必要はない。動かないなら、このまま破壊してしまえばいいのだ」
シャギアがJカイザーへと向かう。もう一度撃てないかと試してみるもののさっぱり反応がない。
Jジュエルのエネルギーをサイコフレームで強引に流し込み撃ったのが決定打となったか、今度こそ巨砲はただの鉄塊だ。
シャギアは早々に諦め、F91に蹴り落とさせる。地上に叩きつけられたJカイザーは粉々になった。
「しかし、ではどうするかな。凰牙やサイバスターの全力攻撃を使うというのも過剰だと思うが」
「Jアークの砲撃……と言いたいがこれ以上回復を遅らせるのもまずい。時間はかかるが、我らで地道に削るしかあるまい」
「そう、ですね。俺達の武装なら補給もできますし。俺とアイビス、シャギアさんで破壊しましょう」
時間経過で回復するJアーク、電池でなければ補給できない凰牙を置いて三機が甲板から飛び立った。
動きのないゼストへ接近する三人。射程距離に入ったが、それでも迎撃が来ない。
「やっぱり……その、死んでるのかな?」
「これではっきりするさ。行くぞ!」
サイバスターがオクスタンライフルを構える。
念入りにチャージを行い、中破したゼストを貫けるだけの力がライフルの先端に灯る。
だがそこで、崩壊した街を眺めていたシャギアがいち早く異変に気付いた。
44 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:40:40 ID:1W8kAORq
45 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:40:58 ID:TPBJ7S6B
46 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:41:44 ID:suwvwFCT
「っ……いかん、下がれ!」
サイバスターの前に躍り出て、ディフェンサーを前面に展開。
間を置かず何処からか緑色の光――ビームが飛来し、電磁フィールドに激しい揺さぶりをかけた。
傷ついたF91がその圧力に押され突破される前にブレンが割って入り、チャクラシールドを広げた。
「まだ敵がいるの!?」
「いや、これは……あいつだ! テンカワ・アキト!」
カミーユが見覚えのあるビームからその正体を看破すると同時、ゼストの向こうから黒い機体、ブラックゲッターがやって来た。
サイバスターのファミリアに叩き込まれた損傷は胴体に大穴を空けており、こちらへ飛んで来る今も光の粒子――ゲッター線を撒き散らしている。
その上頭部はひしゃげ、元の面影はどこにもない。
「あの状態でまだ動けるのか!」
「機体は無事でもパイロットが生きてるはずが……! コクピットに直撃したのに!」
だが、ブラックゲッターは今のビームを撃った事で逆に自らを追い詰めたようだった。
腹のビーム砲口がただれ、融解していく。供給するゲッター線を制御できていないのだ。
軌道も危なっかしく左右に揺れ、攻撃されたら一溜まりもないだろう。
そんな状態で何故現れたのか、シャギア達にはわからなかった。敗北は目に見えているというのに。
身構える三人の前で、ブラックゲッターは止まった。ちょうどゼストの真上だ。
ビームが来るかといつでも散開できるように集中する。だが、ブラックゲッターの次の動きは誰にも予測できないものだった。
頭上でトマホークを振り回し、十分な加速をつけて――ゼストへと叩き付けたからだ。
「何だとッ!?」
トマホークの一撃は、半壊しつつあったゼストのコクピットを完膚なきまでに叩き潰した。
そこにいたであろうユーゼスの事など考えるまでもない。
「どう言うつもりだ? お前達は組んでいたのではなかったのか」
「……っ、はあ、はっ……これで……がはっ! ……手に、入れた……ぞ!」
ブラックゲッターから聞こえてくる、切れ切れの声。
怪我をしている、どころではないだろう。咳き込んだ時に吐血したようだ。
しかしその声に込められた戦意は些かも衰えてはない。
まだ何か、戦況をひっくり返す一手がある。シャギア達にそう思わせるには十分だった。
「ここまで……やられていたのは、計算外……だった。だが……お前達も、かなりの、力を……失ったはず、だ」
「弱ったとはいえ、貴様ほどではない。その身体で私達に勝てると思っているのか?」
「……まさか。だが、このゼストならば……わからない」
そう言ってブラックゲッターは両手を腹の大穴に突っ込み、バキバキと装甲を割りながらも何かを取り出した。
右手には赤い輝き、左手には緑の輝き。
マジンガーZに積まれていた光子力エンジン、そして元来ブラックゲッターに搭載されていたゲッター炉心である。
ブラックゲッターは膝をつき、右手を下に、そして左手は天に掲げる。
ゼストの内部が露出していた部分に光子力エンジンを埋め込み、ゲッター炉心からは緑光が漏れ出し、辺りを染め上げる。
48 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:42:58 ID:suwvwFCT
49 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:43:08 ID:1W8kAORq
50 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:44:34 ID:1W8kAORq
51 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:44:37 ID:suwvwFCT
「ゲッター線は、進化を促すエネルギー……。このゼストの装甲は、自己再生機能とやらを有する……生きた装甲、だそうだ。
だからこうして……ゲッター炉心を暴走させ、身体を再生……させる、触媒となるエネルギーを、与えてやれば……」
「っ、いかん! 奴を止めろ!」
「もう……遅い……!」
ゲッター炉心の放つ輝きを吸い込み、ゼストの装甲が泡立つ。
光子力エンジンは完全にその身に沈み、ゼストの失われた動力炉を補う糧となる。
F91がヴェスバーを、サイバスターがライフルを放つが溢れ出るゲッター線が壁となりブラックゲッターには届かない。
三人の見ている前で、ゼストの割れた装甲がみるみる内に修復され、繋ぎ合わされていく。
四本の脚が伸び、しっかりと大地を踏み締める。
そして、失われた上半身に位置するブラックゲッターを触手が取り巻き、同化。
「ゼストが……再生する!?」
「そうだ、これが……これが俺の……!」
アキトの声に力が戻り、ゼストに敵を蹂躙せよと命令を下そうと息を吸い込んだ。
その瞬間、
ゼストの千切れかけた左腕がブラックゲッターを貫いた。
「……ッ!? 何だ、と……?」
「ゼストの腕が!」
何故せっかく支配した機体を自ら傷つけたのか。
事態を把握できず固まるシャギア達の耳に、更なる悪意が飛び込んで来た。
「フフフ……フハハハハハハハハハハハハッ! よくやったぞ、テンカワ……! よくぞゼストを甦らせてくれた!」
歓喜に堪えないと言わんばかりの笑声。
聞こえてきたのは撃破したはずのユーゼスの声だった。
「貴様、生きて……!? 一体何処に……!」
「ここだ、諸君!」
問うアキトの声に応えたのは、ブラックゲッターを貫いた腕の肘から伸びる、クロ―アーム。いわゆる触手だ。
その鋭い爪の根元に、しがみ付いている人影――仮面の男。
「本当に助かったよテンカワ! ゼストは一度死んだのだ、先程の砲撃と力の暴走のおかげでな!
私はあの瞬間、とっさにコクピットからこのアームへと飛び移ったのだ。
ラズムナニウムというのは便利な物だ、命令さえ下せば人が隠れるだけの穴すら瞬時に作り出す!
いや、本当にどうしようかと思ったのだよ! 機体が動かねば私に打つ手はない。
破壊されるのを待つだけかと思いきや――君が自ら飛び込んで来て、ゼストの餌になってくれるとはな!」
上機嫌極まりないという声でユーゼスが語り出す。
内容はともかくその姿勢で喋っても全然締まらないとアイビスなどは思ったのだが、それでもその男の声は止まらない。
どうにかしてユーゼス本人を狙おうとするカミーユとシャギアだが、ゲッター線はいよいよ強まって弾丸やビームの干渉を許さない。
「君のブラックゲッターはラズムナニウムの塊――傷付いたゼストの装甲うを埋めるにはこれ以上ない程に適格だ!
そして嬉しいことに君は破損した動力炉の代わりまで持ってきてくれた! ゲッター炉心、光子力エンジン――どちらもかなりの高出力!
これなら十二分にゼストは回復する事が出来る。確信したよ! 天意はまさに私の頭上にある!」
53 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:45:07 ID:TPBJ7S6B
54 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:45:27 ID:1W8kAORq
55 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:45:50 ID:suwvwFCT
ブラックゲッターへと繋がったクローアームが、ブラックゲッターに僅かに残ったエネルギーすらも絞り出す。
アキトがいくら操作しても、ブラックゲッターは反応しない。
次第にコクピットにまで触手の先端が侵入し、アキトはままならない身体に鞭打って脱出しようとした。
だが、その努力も虚しく爪の先端がアキトを貫き、シートへと磔にする。
アキトの胴を貫通した爪がゆっくりと開く。
そしてアキトは見た。分かれた爪から出てきた細い管のような器官が、アキトの身体へと同化していく瞬間を。
「がっ……は!」
「嬉しい……本当に嬉しいよテンカワ。機体だけでなく、君というナノマシンのキャリアまで手にする事ができた。
これで首輪の解除も目途が立つ。光栄に思うといい、君は私の輝かしい前途を飾る最初の人柱だ!」
光の壁の向こうで、ブラックゲッターの形が崩れる。
50mを超えるサイズの機体がその質量分の液体へと変わり、色と形を変えていく。
ゼストの機体色と同じ色。
ゼストの上半身と同じ形。
瞬きするほどの間に、ゼストは完全にその外観を取り戻した。
ユーゼスの乗る触手が上昇し、開いたコクピットへ。
そこにアキトの姿は――もう、ない。ユーゼスが悠然とコクピットへ乗り込んだ。
完全に再生したゼストが浮き上がり、シャギア達を睥睨する。
「さて、お前達にも礼をせねばならんな。再生したとはいえゼストはかなりの力を失った。
こうなれば是が非でもお前達の機体を取り込まねば収まらん。覚悟してもらおうか……!」
「くっ……やれるか、カミーユ!?」
「言われ……なくても!」
サイバスターが三度その全力を引き出す。傍らに飛ぶ三つのファミリア。
F91も遅れまいとバイオコンピューターを稼働させ、残った全ての力をかき集める。
後方からJアークが接近。異変を感じ取って来たのだろう。
F91、サイバスター、Jアーク、ブレン、凰牙。
戦力としては誰も欠けてはいないが、万全などと言える状態ではない。
ゼストの放つプレッシャーが、対峙する全ての者の心を蝕む。
「さあ、ここからが本番だ! 出来得る限りの力で抗ってみせろ、矮小なる者どもよ!
震えよ! 畏れと共に跪け! ゼストの圧倒的な力に、今こそその全身全霊を以って……!」
赤い空の下に巨獣が舞う。
絶大なる力をその身に宿し、愚かにも挑んで来た小鳥たちを喰い尽さんと天に吠える。
両腕を広げ、胸からせり上がる動力部の塊。エンジンを三つ失ったため多少力は落ちるが、それでも十分な威力。
見上げる全ての者に終わりを告げるべく、
「絶望せよォォォォ――――――――――――――――――――――――――――――――――ッ!」
光の雨を、降り注がせた。
57 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:46:07 ID:1W8kAORq
58 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:46:59 ID:TPBJ7S6B
59 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:47:29 ID:1W8kAORq
60 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:48:05 ID:suwvwFCT
□
「騎士凰牙! ファイナルステ――――ジッ!」
ロジャーが奥の手――ファイナルアタックを撃った。
雷を纏う蛇の頭・クラッシャーファングを振り回し、ゼストに仕掛ける。
それに合わせてキラも嵐のような砲撃を。
カミーユとシャギアが側面から同時に突っ込み、アイビスは短距離バイタルジャンプを繰り返し狙いを幻惑する。
そんな、現状取り得る戦術的にこれ以上はないという攻撃を、
「フフフ……フハハハハハハッ! 効かぬ! 通じぬ! 受け付けぬ! 生っちょろいぞ、小虫どもが!
我は神、超越する者――全能なる調停者なり!」
新たにその頭部に浮き出た砲口から、ブラックゲッターのそれとは比較にならないほど太いゲッタービームがバイパーを迎撃する。
一瞬の拮抗の後さすがに押し勝った凰牙のファイナルアタックだったが、減衰した雷鞭は続く重力波砲で完璧に相殺された。
掲げた両腕がそれぞれサイバスターとF91の行く手を阻み、その一瞬でクローアームによる一撃が二機を襲う。
辛うじて回避したが、まだ追撃が来る。
ゼストが大きく口を空ける。そこから飛び出してきたのは無数の斧――ゲッタートマホーク。
雨あられと吐き出された手投げ斧を斬り払い、撃ち落とし、時にシールドで受けてやり過ごす。
後退――したのではなく、させられた。
これで決めなければ後がないという攻撃をあっさり破られた。
キラの内に諦めの色が微かに生まれる。
ブレンを狙う砲撃を、割り込んだサイバスターの剣が受け止めた。
その隙を突いたF91のヴェスバーを意にも介さず払い除け、ゼストは再度大きく咆哮する。
「くっ……やはり駄目か! カミーユ、後どれくらい保つ!?」
「ハッ、ハァッ……まだ、大丈夫……です! あなたこそ、動きが……鈍って、ますよ!」
「しっかりしろ! 凰牙のファイナルアタックが通じない以上、我らで何とかするしかない!」
「わかって……ます!」
互いに叱咤し合い、ゼストへと挑みかかっていくシャギアとカミーユ。
しかし二人の疲労はもはや限界近くにまで達している。
大きな力を持つ分、他の者へのフェローに回る彼らは数倍の速さで消耗するのだ。
ロジャーへ予備の電池を射出しつつ、キラは喉までせり上がって来た言葉を強引に呑み込んだ。
撤退――最大の攻撃が失敗した今、それが現状最も妥当な戦術。
しかしそれはできない。わかっていてもなお、キラはそれを言おうとした。
(勝てない……? このままじゃみんな死……)
思考を侵食するその恐怖が、加速度的に存在感を増す。
連戦の疲れ、新たな力の創造、全力の合体攻撃。
どれ一つだって楽ではなかった戦いを切り抜けた先に待っていたのがこの苦境だ。
神というものがいるなら助けて欲しい。今回ほど切実にそう思う事は今までなかった。
「あぅっ……!」
ついに、ギリギリのところで保っていた均衡が崩れる。
一瞬にして位置を変えるブレンを目障りと判断したのか、ゼストの攻撃が集中的にアイビスを狙い出す。
全方位から押し潰すように迫って来る触手を、連続のバイタルジャンプで回避するブレン。
しかし手数の差に押され、段々とその身体に傷が刻み込まれていく。
狙われるアイビスから注意を逸らそうとん仲間達が一斉に攻勢に出るも、ゼストはその攻撃を無視し執拗にブレンを追う。
そしてアイビスの集中力が途切れた一瞬。クロ―アームが奔り、回避が遅れたブレンの足を掴んだ。
ゼストの本体から稲光が伝いブレンを直撃。
動かなくなったブレンを、加速をつけて地上へと叩き付けようと振りかぶった。
62 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:48:33 ID:1W8kAORq
63 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:48:55 ID:suwvwFCT
64 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:49:57 ID:suwvwFCT
「やらせんッ!」
凰牙の振り抜いた斬艦刀が触手を半ばから斬り飛ばす。
宙を舞ったブレン、再びゼストに捕らえられる前にバイバーウィップがその身体を包み引き寄せた。
「アイビス! しっかりしろ、アイビス!」
ロジャーが必死に呼びかけるが、アイビスの反応はない。
そして緊急の回避手段を失ったキラ達へとユーゼスの嗜虐に満ちた声が届く。
「ククク……これで一つ。足りん、足りんぞ! もっと足掻け、抗え、喰い下がって見せろ!
このゼストの前では愚昧どもが何人寄り集まろうと無駄だという事を教えてやる!」
「調子に乗って……! 舐めるなぁっ!」
「待て、カミーユ! 挑発に乗るな!」
ユーゼスの声に火を点けられたカミーユが単身挑みかかる。
風が逆巻き、構えた剣を覆い真空の刃となる。
主の守る三つの羽が飛び出し、都合四つの流星となってゼストへ突進していく。
白と黄金がゼストの狙いを惑わせ、赤とサイバスター自身が開いたガードの隙間へと飛び込む。
剣が、赤いファミリアが生み出した杭がゼストへと突き立った。
「かかったな愚か者がッ!」
「なッ……!」
装甲を裂いた異物。だがそれはゼストへ与えたダメージを意味するものではなかった。
装甲の下、現れたのは黒の腕。
表皮を裂いてブラックゲッターの上半身が飛び出し、それぞれの腕に剣と杭を掴み止めている。
「テンカワを破ったこの戦法は既に把握済み。貴様ごときが私に届くと思ったか!」
剣を引き抜こうとするサイバスターだが、膂力で勝るブラックゲッターは小揺るぎもしない。
赤と金のファミリアがブラックゲッターへと砲火を集中するも、うるさいとばかりにその頭部から放たれたゲッタービームにより爆散。
自分の意識を分化させファミリアを操っていたカミーユの意識がダイレクトに打撃を受け、一瞬その思考が空白になる。
動きの止まったサイバスターを包み込むようにゼストの腕が抱き留める。
「いけない! あのままではサイバスターが吸収される!」
「ええい、世話の焼ける……!」
シャギアが飛び出す。
ゼストに呑み込まれつつあるサイバスターへ向けて、
「他に方法がない! 悪く思うなカミーユ・ビダン!」
ガンダムF91、フェイスオープン。
全力で稼働するバイオコンピューターがシャギアの迸る力を受け
その手に握ったビームの刃が膨張し、巨大な爪へと変貌した。
サイバスターのいる辺りに向けて叩き落とし、サイバスターごとその辺りを丸ごと抉り抜く。
振り抜いた爪の先、サイバスターが地面へと激突した。
「チッ……あと一歩のところで。つくづく貴様は私の癇に障るな」
「っは……ぐ、うう……」
「だが、さすがに限界のようだな。終わりにしようか」
カミーユを強引に救い出したシャギアだったが、そこで力尽きたかヴァサーゴモードが解除された。膝を付くF91。
そしてカミーユも、ファミリアを砕かれた反動に加え地面へと高速でぶつかった衝撃で意識を手放していた。
アイビスを後方へ隠してきたロジャーが戦線に復帰するも、焼け石に水。
(もう……反応弾を撃つしかないのか……?)
状況をひっくり返す手はある。しかしこちらも確実に無事では済まない諸刃の剣。
(でも今からじゃ反応弾の範囲外まで退避する余裕はない……どうすればいいんだ、くそっ!)
シャギアも、ロジャーも打つ手がないというのはわかっているのだろう。
こうなれば、Jアークを囮にしてみんなを逃がし、ユーゼスを巻き込んで自爆するしか――そう思った時。
「俺の歌を聴けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
Jアークの遥か後方から届く、魂の歌。
とっさに振り返る――そこには、隣のエリアに置いてきたはずのラーゼフォンがいた。
「待たせたな! メインイベントの始まりだぜッ!」
操るはもちろん熱気バサラ――銀河に轟くファイアーボンバーのボーカリストだ。
彼がいるという事はもちろん、
「あんた達、よくも私を仲間外れにしたわね! 一人残らず引っ叩いてやるから覚悟なさい!」
彼女も、いる。
生きていて欲しいから騙して置いてきた、無鉄砲なお嬢様――ソシエ・ハイムが。
援軍、と言うにはとてつもなく頼りない二人の登場に、戦場が一瞬静まり返る(バサラの歌はうるさいほどに響いていたが)。
いち早く我に返ったキラが叫ぶ。
「二人とも、何で来たんだ!? ここは危ないんだ、早く逃げて!」
キラは状況を簡潔に伝えたつもりだった。だが、はいそうですかと従う相手かと言えば、
「逃げる? はっ、絶対にノゥ! 俺もラーゼフォンもこれ以上出番を逃すほどノロマじゃねえ!」
「そうよ! 大体人に逃げろって言っておいてキラ、自分はやられてるじゃないの! 素直に助けてくれって言いなさいよ!」
そういう問題じゃない――むしろ足手まといなんだ、とはさすがに言えなかった。
ラーゼフォンが動いたのも驚きだが、タイミングが悪すぎた。
アイビスとカミーユが欠けた今、戦力にならないラーゼフォンまで抱えるのはどう考えても無理だというのに。
67 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:51:05 ID:1W8kAORq
68 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:51:10 ID:suwvwFCT
69 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:51:58 ID:suwvwFCT
70 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:52:35 ID:1W8kAORq
71 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:52:53 ID:suwvwFCT
「熱気バサラ、か。テンカワを取り込んだ今、さして価値のある駒でもない……貴様の歌はひどく耳障りだ。
二度とそのふざけた歌を歌えないよう、その喉引き裂いてくれる!」
「上等だ! だがな、俺のこの熱いハートを止めるなんざ誰にも……誰にも、できやしねえんだよッ!」
ラーゼフォンから、いやバサラの身体から不意に光が溢れ出す。
F-1エリアでの戦いの時も見た、優しい光。
かき鳴らすギターの荒々しい旋律に乗せ、キラの下へその光は舞い降りた。
思わず触れたその瞬間。
光は弾け、キラの内へと入り込む。
それはバサラ自身だ。歌う事だけを願う真っ直ぐな魂。
どうしようもなく聴く者を熱くさせる――心を震わせ、凍ったように動かない足を前へと進ませる、力強い想い。
戦う力なんてないのに、一秒後には死ぬかも知れないのに。
恐れも疑いも迷いもない。
ただひたすらに己の中にある熱だけを信じ、誰かに伝えようとするその生き様に。
歌はいいもの。人が生み出した文化の極みだ、と誰かが言う。
(歌……あの人の歌は、いつも誰かに力をくれる。傷ついて倒れても、また立ち上がる力を……)
利益を得るためではない。自分の歌を誰かに聴かせたいから、歌う。
戦場でもその想いを見失う事はない。
清々しいまでに純粋な、存在の証明――生きている証。
戦争を憎み平和の歌を歌ったラクスとは違う。でも、その根底にあるもの――誰かに何かを伝えたいという想いは等しく尊いもの。
(そうだ、守らなきゃいけない。ラクスは守れなかったけど、せめてこの人達だけは、守りたい……失くしたくない!)
怯え、諦めかけていた心に再びの炎が灯る。
ニュータイプやコーディネイターの種別など関係なく、生きとし生ける全ての命が根源的に持っている力。
「フン、くだらんな。貴様の歌が今この瞬間に何を成す!?
貴様のやっている事は、抗えぬ運命に向き合う事を恐れ現実から逃げ出した……ただの自己満足だ!」
「違う!」
ゼストがラーゼフォンへと放ったグラビティ・ブラスト。
圧縮された重力波を、Jアークがその身を挺して受け止める。
激しく揺れる船体。キラもまた壁面へと叩きつけられ、鋭い痛みに歯を食い縛る。
でも、立ち上がる。立ち上がる事が出来る。
この歌が、バサラの歌が聞こえる限り――諦めはしない。
「確かにあなたは強い。怖いよ。できるなら今すぐ逃げ出したい。この場にいたくない。
でも……絶対に逃げない。
力に溺れて、暴力で人を従わせようとするあなたは、神なんかじゃない!
僕らと同じちっぽけで、臆病で、傲慢なただの人間――三流の悪党だ!」
「ほう……吠えるじゃないか小僧。だがな、無謀と勇気は違うものだ。吠えるのなら……」
ぐわっ、とゼストが顎を開く。
そこに現れた揺らめく黒い炎。ヴァイクランから取り込んだ量子波動エンジン。
生み出されたダークマターにユーゼスの念が織り込まれ、巨大な暗黒球へと増幅される。
「この絶対的な力の差を! 少しは埋めてからにするがいいッ!」
「キラ君!」
73 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:53:57 ID:suwvwFCT
74 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:54:35 ID:1W8kAORq
75 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:55:24 ID:1W8kAORq
76 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:55:50 ID:suwvwFCT
解放されたエネルギーボールが唸りを上げてJアークへと襲いかかった。
凰牙では代わりに受け止める事などとてもできないほどに高出力の力の塊。ロジャーは反射的に最悪の結果を思い浮かべた。
全開のジェネレーティングアーマ―を押し切りそうな圧力。
しかしキラは、先程までなら屈していたその圧力に真っ向から対峙する。
この胸に燦然と輝く、この気持ち――トモロが無言のままシステムの書き換えを始める。
シャギアとロジャーに余波が及ばないよう、Jアークを前に出す。
暗号通信を二人に送る。下がっていてください、と。
反応弾以外にももう一つあった、戦況を打破する力。
キラだけに許された力――仲間を守る、大いなる剣。
「勝てるから……力があるから戦うんじゃない! 許せないと思うから、あなたが間違っていると思うから戦うんだ!
僕らは今、生きている――なら! 誰だって、これから先を生きていくために戦っていいんだ!
自分の未来は自分で選びたい。誰かに支配されたり、押しつけられた運命じゃない――僕だけの意志で、自由を掴むんだ!
あなたがそれを阻もうと言うのならッ!」
「阻むと……言うなら、どうするね?」
「倒しますッ! あなたを、僕が! 僕達が! 託された想いを未来へと繋げるために、大切な人達を、守り抜くためにッ!」
「フ……ハハハハッ! 言うではないか! だがどうやって私を倒すというのだ?
頼みの綱のサイバスターは倒れ、シャギア・フロストやネゴシエイターはもはや役立たず!
まさかラーゼフォンに期待している訳ではあるまい? 強力といえども戦艦でしかないそのJアークで私に並べると思っているのか?」
「わかってないな……本当に、あなたは何もわかってない!」
Jアークのブリッジで、キラはモニターに映るユーゼスにビシッ、と指を突き付ける。
「このJアークはただの戦艦なんかじゃない。今はもう滅びた星の、そこにいた人達の希望を背負って生まれた船……。
そして、この世界でも僕達を繋げてくれた! 力だけじゃない、想いが満ちているんだ!」
何も言わずとも通じ合える。
キラとトモロ、そしてJアークが本当の意味で一つになっていく。
バサラの歌が後押ししてくれる。
ロジャーやソシエの心配そうな声。守るんだ、この人達を――
Jアークが加速する。
円錐状に展開したフィールドを突き刺すように、ゼストへとぶつかっていく。
ゼストが腕を上げその先端を受け止めた。干渉し合うエネルギーが激しいスパークを撒き散らし、衝撃の余波が飛び交う。
「何をするかと思えば、策もないただの特攻か! テンカワのように取り込んでくれるわ!」
「特攻? 違うね、間違っている! 見せてやる……これが、この輝きが!
僕と、トモロと、Jアークと! みんなで掴んだ、『勇気』の……力だぁぁッ!!」
『ジェイバード、プラグアウト!』
78 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:56:07 ID:1W8kAORq
79 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:56:29 ID:TPBJ7S6B
80 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:56:32 ID:suwvwFCT
81 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:56:49 ID:1W8kAORq
82 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:57:14 ID:suwvwFCT
83 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:57:33 ID:1W8kAORq
ゼストに掴まれたままのJアークの船体に赤い煌めきが奔り、キラの身体がブリッジのJジュエルに吸い込まれる。
Jアークの艦橋を形成する部分、ジェイバードが船体から離脱し、遥か大空へと舞い上がった。
ユーゼスが、仲間達が見ている前でジェイバードがその姿を変える。
頭が持ち上がり、胸のJジュエルが輝く。
瞬く間に四肢が展開され、その姿は人型――ジェイダーへ。
「プラズマウィィイイイングッ!」
その背から左右に十条の光翼が伸びる。まるでかつての愛機・フリーダムの翼のように。
そして、
「メガフュ――――――――――――ジョンッ!」
鍵となる言葉を、宣誓する。
プラズマウイングがジェイダーを包み込む。
下方、ゼストと渡り合っていたJアークがフィールドを自ら弾き宙へ。
艦首を正面に、船体が半ばから折れ曲がり大地と垂直に。半ばから割れて無骨な脚部が露呈した。
天空から舞い降りたジェイダーがその頂点へと接続され、変形し文字通りの頭部になる。
艦首が分離し、左右へ回りドッキング。巨大な腕へと変化する。
ジェイダーが変化した頭部、燦然と輝くJジュエルの光。
マスクが割れ――F91のフェイスオープンのように――Jジュエルジェネレータの脈動を垣間見せた。
「『キングッ! ジェイダァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!』」
キラとトモロの声が唱和する。
現れた、白き巨人。虹色の翼を背負い、傲然と屹立する。
「変形した……だと!?」
ユーゼスの、驚愕の声。戦艦がロボットに変形する様は中々に非現実的だっただろう。
見上げるゼストの巨体に負けないほどの体躯。轟音と共に着地、間を置かず右腕を振り上げゼストへと叩き付けた。
受け止める、ゼストの左腕。
その一撃はガードした腕を易々と砕き、ゼストの頭部へと一直線に吸い込まれた。
100mを超えるゼストが衝撃で浮き上がり、後退『させられた』。四つ足で大地を掴み、なんとか制動を掛ける。
「うおおっ……!? なんというパワーだ!」
「まだだッ!」
巨体が駆け、跳ぶ。
実に32000tを超える重量のキングジェイダーが、助走をつけて跳び蹴りを放った。
受け切れないと見たゼストがグラビティ・ブラストで迎撃を図る。
「調子に乗るなぁっ!」
圧縮された重力波が迫って来るキングジェイダーの足先を押し返せ――ない。
プラズマの翼がはためき後押しする。
黒の大河を、正面から強引に突っ切って行く白亜の巨人。
しかし勢いは弱まった。その一瞬にゼストは身を屈め、大きく飛んだ。
直後落着したキングジェイダーの蹴りが地面に突き刺さる。
加速した超重量の一撃は、堅牢なはずの地盤を貫き市街地を中心から崩落させた。
舞い上がる瓦礫と粉塵の中、緋色の瞳が二つ光る。
噴煙を切り裂いて、キングジェイダーが両腕を突き出す。
解いた拳、伸ばした指先は五つの砲門・五連メーザー砲。
手甲部にマウントされた反中間子砲と合わせ、十六の光芒が放たれ、今だ空にあるゼストへと殺到していく。
ユーゼスはとっさにバリアを展開したが、収束した極太の極光に軽々と突き破られ、ゼストを灼く痛みに苦悶に呻く。
85 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:58:57 ID:suwvwFCT
86 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:59:44 ID:1W8kAORq
87 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 22:59:58 ID:suwvwFCT
「がああ……!」
「何という力だ……これならあるいは」
「しかし、キラ君は大丈夫なのか? あの機体、副作用が甚大なものだったはず……」
とっさに飛行し難を逃れたシャギアとロジャーが戦況を見て取る。
ゼストに与えたダメージは大きい。が、ロジャーの危惧通りキラもまた大きすぎる力にその身を削られていた。
本来Jジュエルで身体を強化されたサイボーグであるソルダートJが駆るキングジェイダーだ。生身の人間による運用など想定されているはずもない。
体内を駆け巡るJジュエルの波動。強力な力である半面、その使い手をも傷つける危険な果実だ。
時間にすれば二分も動いていないのに、キラはまるで何十時間も連続して戦っているような疲労を感じていた。
(キングジェイダー。強力だけど、このままじゃ僕の身体が保たない……! 早く決めないと……!)
一気に決める。
今以上に強力な攻撃手段――Jジュエルの力を直接相手に叩き込むジェイクォースだ。
しかしジェイクォースは起点となる錨をダイゼンガーに破壊され、使えない。
(だったら……機体ごとぶつけるまでだ!)
キングジェイダーそのものをジェイクォースの代わりにぶつけるキングジェイダー最強最後の攻撃・ジェイフェニックス。
トモロが教えてくれたこの攻撃なら確実に、ゼストの再生能力を上回り一撃で破壊できる。
「行くよ、トモロ!」
『待て、キラ。緊急事態だ』
いざ勝負を決さん、とするキラを制止するトモロの声。どうして止めるのだと聞き返そうとした時、
「うわっ!?」
キングジェイダーを揺るがすほどの地震。
さっきの攻撃でキングジェイダーが起こした地盤の破壊、だけではない。
不意に暴風が巻き起こる。
見上げた先、空にある空間の綻びが巨大化し、雷を吐き出していた。
『キラ、まずい事になった。先程のシャギアの攻撃で炸裂した力、現在のゼストとキングジェイダーの戦い。
この不安定なエリアで大きすぎる力が何度も激突したため、辺り一帯の次元境界線がひどく乱れている。
このままでは直に綻びが一気に拡大し、この世界を呑み込みかねん』
「こんな時に! 何とか収められないのか?」
『ラーゼフォンから放たれる力場がなんとか押し留めている……だが、ここまで歪みが拡大してしまっては焼け石に水だ。
この上は、こちらのタイミングで今すぐゲートを破壊するしかない。
でなければ、ゲートが開いたとて我々はその瞬間亜空間に放り出され一瞬で消滅する事になりかねん』
「今すぐ、と言ってもな……そうさせてくれる相手とも思えん」
シャギアの言うとおり、今はこの問題に比肩し得るほどの脅威とが目の前にいるのだ。
対峙するユーゼスにも事情は分かっているはず。
一旦休戦を呼びかけようとしたキラだが、ユーゼスは何を思ったか周囲に向けて手当たり次第に重力波を撃ち込み始めた。
「き、貴様ッ! そんな事をすればどうなるかわかっているのか!?」
「ククク……わかっているとも。これは面白い事になった。やはり私の運命はここで終わる事を許してはくれないようだ」
「何がおかしいんですか!? あなただって危険なんですよ!」
「確かにこの世界が砕ければ、我々も巻き込まれるだろう。だがそれがいい……私にはそこから生き残る目がある!
ゼストの取り込んだ真空空間では無限の力を供給する相転移エンジンや、量子波動エンジンを始めとする動力炉。
そこに私の知るクロスゲートの知識、テンカワから吸いだしたボソンジャンプの原理を応用し、AI1に演算させた結果……ごく限定的だが、ゼストは転移能力を得ているのだ!」
「転移能力……自分だけ逃れる道を用意していたという事か!」
「いかにも! と言っても、テンカワを取り込んでから思いついた手だがな。
貴様達はどうだ? キングジェイダー、私のにここまで辛酸を嘗めさせた事は褒めてやる。
だが貴様にそんな力はあるか? 消滅する世界そのものから仲間達を救う方法が!」
「くっ……!」
「おっと動くな! 相転移砲の時とは違う。私も危なかったが故にチャージしたエネルギーを霧散させ、貴様らに余波が来なかった。
今、このゼストを破壊すればどうなるかわかるか?」
「いかん、キラ君! ゼストを破壊すれば、奴はその瞬間貯め込んだエネルギーをばら撒く気だ!」
「そうだ! これでお前達は私に手出しできまい!」
「貴様、どこまで見下げ果てた奴なのだ!」
「どうしてもと言うなら助けてやらんでもないぞ! このゼストの一部になる事を了承するのなら、だがな!
フ……フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ! どうしたところで、最後に笑うのは私なのだ!」
ユーゼスの高笑いだけが響く。
キングジェイダーが迂闊に動けば、空間の破壊を早める事になる。
ゼストは今も綻びを広げようと無秩序に破壊を振りまき、それを見ているだけの自分。
この世界でゼストを倒す訳にはいかない。
(どうする……どうする!? 考えろ、考えろ、考えろ、考えろ、考えろ、考えろ、考えろキラ・ヤマト!
『ゼストを排除しつつこの空間に害を与えない』……いや、その二つは両立しない。
空間の歪みはもう致命的なところまで来ている。見方を変えるんだ。放っておいても決壊するなら、止めるんじゃなくてその前に)
OSを書き換えた時よりあるいは速く、キラの思考が回転する。
キングジェイダーのスペック、世界が崩壊するまでの時間、そもそもの要因、全てをシミュレートして。
(どの道ここまで消耗した僕らに、事前に考えていた方法でゲートを破壊する事はできない。これはチャンスなんだ。
今この場には凄まじい力を持った機体が二体……キングジェイダーと、ゼストがいる。
僕達が全力でぶつかり合えば綻びは加速する。だったら、その全力をゲートの破壊に向ければ!)
声を出すのも惜しく、トモロに命じていくつもの計算を並行して開始。
ゲート突破に必要な火力とその数を乗法した数値。
キングジェイダーとゼストのフルパワーをゲートへとぶつけた時に予想される数値。
(ダメか……足りない! あと一つ、強大な力がいる!
カミーユのサイバスター……無理だ。まだ気絶している上に、あの力は精神状態に左右される。
シャギアさんのF91でも足りない。もう一度Jカイザーが使えたら……!)
凰牙のファイナルアタックでは少し足りない。電池を全部使い切れば話は別だが、それでは凰牙が動かなくなってしまう。
ネリーブレン、は論外だ。
ラーゼフォンにもう攻撃能力はない。これも不可能。
(他に何か、何かないのか? 強力な力をも持っていて、代償なしに放てるものは……)
その時、パッと閃くものがあった。
――済まないが、これを預かっておいてくれ――
そう言って、ある男がJアークに置いていったもの。
カミーユの資質を確かめるため、あえて道化を演じた気高き孤高の『悪』。
レオナルド・メディチ・ブンドルが残した力。
90 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 23:01:27 ID:suwvwFCT
(反応弾……!)
この戦闘中に何度も使用を考えたはずなのにすっかり忘れていた。
あれなら、誰に消耗を強いる事もなく強力な破壊を導き出せる。
攻撃範囲の問題も心配する事はない。
発射するのではなく、直接手に持って起爆させるのだから。遥か上空、ゲートに最接近した場所で。
至近距離から撃てばゼストとてただでは済まない。全力でバリアを展開するだろう。
挟み込むようにキングジェイダーもジェネレーティングアーマ―を展開し、爆発を抑え込む。
反応弾、ゼスト、キングジェイダー。
三位一体の『自爆』――必ずや、ゲートを破壊できるはずだ。
「トモロ……やれるかい?」
『可能だ。しかし、我々が生き残る確率はほぼ皆無だぞ』
「うん、わかってる。でも……他に方法がないから、やるしかないよ。君には悪いけど、付き合ってくれる?」
『構わない。勇気ある者と共に戦う事こそが、私がここにいる理由だ。君が勇気を持って進むというのなら、私はどこまでも君と共に往こう』
「ありがとう、トモロ」
抑揚のないその声に、何故だかキラの胸におかしさがこみ上げる。
違う世界の機械はこんなにもユニークなものなのか。
だったら、自分達の世界の――そう、アスランが作ったトリィやハロなんかも、いつかこうして人と対等の存在になるのかも知れない。
頼もしい『相棒』、トモロ。
今も共に戦っている、カミーユやロジャー、アイビス、ソシエ。バサラとシャギア。
志半ばで散ったアムロ、ブンドル、甲児。
他にも、ジョナサンやマサキ、武蔵。ガロード、クインシィ、キョウスケ。時に手を取り合い、また銃を向け合った人達。
そして、アスラン、ラクス、カズイ。キラの元々の友、大切な人達。
全てが一瞬に脳裏を通り過ぎ、ここに立っていられるのは決して自分一人の力ではないと改めて認識する。
アークエンジェルにいた時はわからなかった。
自分が全てを守らなければいけないと思い、誰かの事を考える余裕がなく衝突した事もあった。
思い上がりも甚だしい。
世界は自分だけのものじゃない。そんな当たり前の事を、目の前の男に伝えなければならない。
(だから)
振り返らずに進む。
立ちはだかる壁、ユーゼスを倒すのが自分の役目。
後の事は仲間達がなんとかしてくれると信じて、その礎になる。
「……行くよ、トモロッ!」
『いつでも』
小気味よい返答に笑い、キングジェイダーをゼストへと突っ込ませる。
その強大なパワーでゼストをがっしりと捕まえて、急上昇。
二つの巨獣が重なり合って天へと昇って行く。
「何のつもりだ、キラ・ヤマト!」
「あなたをこのまま逃がす事はできない! このまま僕と一緒に……!」
「貴様、自爆するつもりか!?」
急速に離れていく大地、逆に迫って来る空。
波動渦巻く空間の綻びへ向けて一直線に突き進む。
「待ちなさい、キラ!」
「何を考えている!?」
ソシエとロジャーの声に、反応は返さない。もう説明している時間もないのだ。
92 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 23:02:48 ID:suwvwFCT
歪みの真下へと到達。
ここに、膨大な量の力をぶつければ主催者のところへ続く道が開けるはず。
ゼストが狙いを察したか、凄まじい抵抗を見せる。
ほぼ密着した体勢から撃つグラビティブラストやゲッタービームが、バリアを貫いてキングジェイダーの清冽な装甲を汚す。
激しい震動に揺られるが、キングジェイダーは掴んだ腕を離さない。
「ええい、放せ! 貴様ごときが私を道連れにしようなどと……!」
「放すもんか……わかるんだ、あなたを自由にさせちゃいけないって!
あなたはあのノイ・レジセイアと同じだ! 自分の欲のために誰かの自由や幸せを奪おうとする!
そんな世界は絶対に認めない! 許しちゃいけないって、僕の中で何かが叫んでいるんだ!」
「力を持つ者はそれを活かす義務がある! 弱い事が罪なのだ! 奪われたくないのなら、力を持つしかあるまい!」
「それはあなたの理屈だ! 他の人を巻き込むな!」
「貴様は違うと言うのか? それだけの力、元の世界で振るわずにいたと言えるのか? そうではあるまい!
貴様も所詮は私と同じだ。優れた力を、結局自分のためにしか使っていない!」
「……っ、たしかに僕は人とは違うかも知れない。それで辛い目にあった事だってある! でも……ッ!」
キングジェイダーの眼前に、ぽつ、と小さな光が生まれる。
艦内からES空間を通じ出現させた反応弾。
ユーゼスの息を呑む音が聞こえる。その威力を知っているなら、この距離で起爆すればどうなるかもわかるはずだ。
まずまず勢いを増して抵抗するゼスト。キングジェイダーもまた、その身が傷つくことを厭わず強く縛り付ける。
「それでも僕は、あなたのように誰かを利用したり、見下したりはしない!
同じ世界に生きる人間として、手を取り合って生きていきたいんだ!」
「ふん、戯言を言う。お前がそのつもりでも、相手が受け入れてくれると思うのか?
人間は弱い生き物だ。自分より優れた者を妬み、排斥しようとする。古今そんな歴史はどこの星でも掃いて捨てるほどある!
貴様とてその力を妬む者がいないと言えまい、『コーディネイター』!
なにせ貴様は親しい友人にすら怖れられている! 幾度も危機を救われているというのに!」
「っ、どうして……!?」
「カズイ・バスカーク。このメディウスの最初の『親』だ。
AI1は彼の屈折した思いを実によく覚えているぞ! 『友達』ではあるが『化け物』でもある、コーディネイターのキラ・ヤマト!
あの少年こそが世界の縮図だ! お前の人間性なのではなく、守ってくれる力のみを欲する。醜いものではないか!
ここでも奴はお前を友ではなく化け物として、殺すためにゼストを育てたのだぞ!」
水を得たかのように嬉々とし叫ぶユーゼスの言葉がキラの胸を抉る。
カズイがどのように自分を見ていたか、薄々はわかっていた。
いざ言われるとショックではある。でも、
「だから、何だッ! 僕がコーディネイターなのはどうしたって変わりはしない。
コーディネイターだから疎まれると言うなら、それ以外のところでわかり合っていけばいいだけだ!」
「できると思うのか、そんな事が!」
「できるさ! 現に僕らはそうして仲間になれた!
コーディネイターだとかニュータイプだとか、そんな事は些細な事なんだ! 本当に誰かを知りたいと思うなら、何度だって話せばいい!
たとえ銃を撃ち合ったって、その過ちを認めて謝って、また手を取り合う事は出来るんだ!
できないと思うのは……あなたが臆病だからだ!」
「なんだと……?」
「誰かを知る事が、誰かに知られる事が怖いからそうやって見下して、自分を高い所に置く!
だからあなたは一人なんだ! 自分と対等の相手がいなければ、自分の事なんて何もわかりはしない!」
「黙れ! 貴様に私の何がわかる!」
「わからないから、わかりたいと思って手を差し出すんだ! あなただってそうしようと思えばいつだって誰かと手を取り合えた!
でもそれを拒んだのはあなただ!」
94 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 23:03:09 ID:1W8kAORq
95 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 23:03:14 ID:TPBJ7S6B
96 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 23:03:57 ID:TPBJ7S6B
キングジェイダーからの命令により、反応弾が自爆のシークエンスに入る。
熱量が急激に上昇していき、目に見えて危険なレベルに突入した。
「い、いかん! よせ、それが爆発すればお前も助からんぞ!」
「わかってる……でも、あなたを止める事は出来る。そして、仲間達の未来を守る事も。
僕は一人じゃないから。たとえ僕が死んでも、僕を覚えていてくれる人がいる……僕の想いを、代わりに先へ進めてくれる人がいる。
だから、後悔なんてない。きっと、みんながノイ・レジセイアを――」
「う、うおおおおッ! この私が、こんなところで――」
ゼストが最大限にエネルギーを放出し、身を守ろうとする。
呼応するようにキングジェイダーもまたその出力を上昇させていく。
反応弾に耐えようとするゼストへキングジェイダーの全パワーをぶつけ、荒ぶる三つの力でゲートを破壊する。
「キラァァァァああああああああっ!」
ロジャーとソシエ、そして気がついたのかアイビスの声も聞こえる。
危険を感じ取ったかバサラの歌が一際高くなり、ラーゼフォンから広がる光が傘となり、地上の仲間達を覆う。
一つ、そこから何かが外れて、
そして、
臨界を越えた反応弾が、
ゼストと、キングジェイダーと共に、
――――――起爆する。
98 :
それも名無しだ:2009/06/14(日) 23:04:49 ID:1W8kAORq
□
――こんなんで死ぬもんかっ! 私は! ■■と幸せになるんだぁぁああああああっっっ!!――
虫のいい話だったのはわかってる。
俺もテニアも、ここでたくさんの人を傷付けてきた。
Jアークの奴らが俺やテニアを人殺しだって憎むのは当然だよな。それだけの事をしてきた。
俺があいつらの立場でもそうする。
――良かった……会えて、本当に良かった……!――
でも、俺とテニアは出会ってしまった。
ここで、カティアもメルアもいない殺し合いの世界で、俺達だけが。
――アタシ信じてたからさ。■■が助けに来てくれるって――
テニアは俺を信じるって言ってくれたよな。
俺も、テニアを信じようって……お前が何をしてきたか知っても、それでもお前を守ろうと思ったんだ。
――……■■、何だか印象、変わったんじゃない?――
既に一人、殺してるからな。そりゃ色んなものが変わったと思う。
きっと俺はあの女の人を忘れる事は出来ないだろう。この先何十年生きれるとしても、絶対に。
でも後悔はなかった。あの時ああしなきゃ俺は死んでたかもしれない。
そしたらテニア、お前に再会する事も出来なかったはずだから。
――またこうして■■と話せるなんて夢なんじゃないかっておもっちゃうくらい――
ああ、俺もそう思った。
一人で生きていく決意なんて脆いもんだよな。お前が隣にいる、それだけですごく幸せだったんだ。
――ねぇ、■■……アタシもさ、■■と一緒に生きたい。生き延びたい。もっと二人で色んなことしたい――
俺もだよ、テニア。
俺もずっと、お前と一緒に生きていきたい……それだけでいいんだ。他には何も望まない。
――ねぇ■■、もっと強く抱きしめてよ。何もかも忘れちゃうくらいに、強く……――
ああ……わかってる。
もう離さない……俺は絶対に、お前を一人にはしないよ。
――……、■■……ッ――
え? 何て言ったんだよ、聞こえないぞ。
テニア。おい、テニア?
「……」
え?
「……や」
何だって……聞こえないよ。
「……うや」
もうちょっと、大きな声で言ってくれ。
「統夜」
統夜……ああ、そうか。
俺の名前だ。誰かが俺を呼んでるのか。
「夢は、見れたか?」
「……ああ」
なんだ、俺を呼んでたのはこいつかよ。最悪の気分だ。
俺はゆっくりと身を起こした。
頭がガンガンする。脳が痛いってこういう事なのか? いや……血も出てるじゃないか。
「呑気なもんだな、お前はよ。せっかく火が点いたかと思えばコテンと寝ちまいやがって。ダンスの相手を待たせるなんざ、男の風上にも置けねえぜ」
「そりゃ、悪かったな。別に俺を待たなくても、あんたのお相手は他にいくらでもいたんじゃないのか?」
「俺はお前を指名したんだぜ? 今さら他の奴に鞍替えするほど俺は尻軽じゃねえよ」
ああそうかよ、と込み上げてきた血を唾と一緒に吐き出した。
ヴァイサーガの身を起こす。ダイゼンガーは悠然と腕を廃ビルに座り込んで待っていた。
「どうだ? 少しは頭が冷えたか?」
「お陰様でね。頭に昇ってた血が程よく抜けて、スッキリした。でも、起きてすぐあんたの声を聞いて、気分悪くなったかも」
「そりゃ済まねえな。あいにく俺はテニアの嬢ちゃんじゃねえんだ、我慢しな」
テニア――そうか、テニアの夢を見たんだ。
そのおかげかもしれない。
先程まで見えていなかった周りの地形や俺とガウルンの機体の状態、すごくよくわかる。
さっきまで頭の中いっぱいに広がっていた怒りも、今は鳴りを潜めている。
でも消えてなくなった訳じゃない。
多分だけど、火は赤い部分よりも青い部分の方が実は温度が高いように、俺の一番奥の部分で今も燻っているのだろう。
高温の炭のように、パチパチと。触れたもの全てを焼き尽くす、灼熱のマグマになって。
「俺はどれくらい寝てたんだ?」
「そうだな……30分ってなところだ」
「そんなに? やっぱり、疲れてたんだな」
呑気に言ってはみたものの、俺の身体中あらゆるところが悲鳴を上げてる。
ヴァイサーガもほぼ全身にダメージを受けて機能停止寸前だ。くそっ、少しは手加減しろよ。
それに、何か向こうで大変な事が起こったらしい。空に大穴が空いている。
宇宙。そう、紅い宇宙が見える。あれはもしかしてこの世界の外側なんだろうか。
星のない宇宙なんて初めて見たな。オーロラ、のような光が代わりに波打ってる。
きれいだな――ヴァイサーガの足を半歩だけ弾いた。自然、ヴァイサーガの身体も半歩分だけ後ろに引っ張られる。
轟、とダイゼンガーの剣がヴァイサーガの頭があった位置を通り過ぎて行った。
一瞬遅ければ首から上は無くなっていたかもしれない。
「お? よく避けたな」
「ガウルン、あんたどこか悪いのか? 踏み込みが足りないぞ」
落ち着いてよく見ればすぐにわかる事だった。
ダイレクト・モーション・リンク――とか言ったっけ。ダイゼンガーの操縦システムは操縦者の動きをトレースする物らしい。
生身でも一流の傭兵であるガウルンにはまさにぴったりのシステムだ。
でもそれは、逆に言えば操縦者の不調をも完璧に表現してしまうシステムでもある。
足を踏み込んだり、剣を振り回したり。
ダイゼンガーが大きな動きをする時、必ずそこに一瞬の停滞が生まれている。
さっきまでの俺は攻めることしか考えてなかったからわからなかった。
ガウルンは、自分から動かずに俺のカウンターを取る事しかしてこなかったって事に。
「何だぁ、やっと気付いたのかよ。言ったろうが、俺は棺桶に片足突っ込んでるようなもんだってよ。
なのにお前と来たらアホみたいに突っ込んで来るばかりでちっとも隙を突こうとしねえ。舐められてるのかと思ったぜ」
「病人は労わるものだろ」
「抜かせ。で……統夜よ、わかってるだろ?」
「ああ」
そう、わかってる。
俺もガウルンももう限界だ。
ダイゼンガーがあの態勢だったってのはつまり、ガウルンも同じく座り込んでたって事だ。
もう立ってるのも辛いんだろう。現にその剣を握る腕は小刻みに震えている。
俺は身体は大丈夫でもヴァイサーガがいつ止まるか分からない。
ガウルンは機体は大丈夫だが、本人がアウト。
そう――どうなるにせよ、次が最後だ。
「あーあ、お前が眠ったりしなきゃもっと楽しめたのによ。」
「悪かったよ。お詫びに――最後くらい、弟子の成長を師匠に教えてやるさ」
「ハハッ、言うじゃねえか。よし、やるか」
ダイゼンガーが調子を確かめるように二、三度剣を振るう。
俺もヴァイサーガを後方へと下がらせ、助走の距離を取った。
対峙するのはもう何度目かもわからない。
戦場の師、背中を預けた戦友、愛する女の仇。いくつもの顔を持つ男。
俺の前に現れた、高くて遠い壁。
越えて行かなきゃ――叩き壊さなければ進めない。
朱に染まる世界の中で騎士と武者が剣を構えて向き合っているこの光景は、中々様になってるんじゃないだろうか。
俺の頭の中から全ての音が消えていく。
体中の痛みも、ガウルンへの憎しみも、テニアへの想いも、今この瞬間だけはゼロになる。
視界は狭まり、ダイゼンガーだけを捉えそれ以外は意識的に消していく。
ダイゼンガーが剣を大上段に構える。身長差、リーチ差から考えてもそれが最善の一撃だろうと思う。
俺は、あえてその誘いに乗る。
だらんと腕を下ろした自然体。構えも何もない。
「統夜。言っとくが、今のままじゃ俺には勝てねえぞ? 速く当てるだけじゃダイゼンガーの装甲は貫けねえ」
「わかってるよ。俺が今から見せるのは、ただの光刃閃じゃない。
あんたから教わった事、戦いの中で俺が見出したもの、そして俺自身――全部、あんたにぶつけてやる」
「……そうかい。なら俺も手加減なしだ」
「そう言えば、一つ聞きたい事があったんだ」
「あん? いいぜ、大サービスだ。何でも答えてやるよ」
「ガウルン、ってどういう意味なんだ?」
「ん……そんな事か。ただの偽名だよ。漢字で書くと九つの龍だ」
「九つの龍……怖い名前だ。あんたにはぴったりだな」
「そりゃどうも。さて――もう、いいか?」
「ああ。終わりにしよう……ガウルン」
その言葉を境に俺とガウルンの間の空気が張り詰める。
ここから先に必要な物は言葉ではなく、剣だ。
ガウルンの言ったとおり、正面からでは光刃閃といえどもダイゼンガーを両断する事は出来ないだろう。
装甲の強度もあるが、あのガウルンが身体に欠陥を抱えているからと言ってみすみす直撃を許すはずもない。
勘だが、ガウルンは剣で勝負してくるだろう。
正々堂々なんて言うやつじゃないが、武装に頼って勝つなんてやり方じゃ面白くない。あいつはそう思ってる、と俺は思う。
自分から攻め込めないガウルンの打つ手は、飛び込んできた俺が刃を振り切る前に斬る――あるいは同時でもいいか。
先がないガウルンにとって引き分けも勝利の内だ。でも、俺はそうはいかない。
ガウルンを倒し、かつ生き残らなければいけない。そのために必要なのは。
今までの戦いを思い起こす。
ギンガナムに追われた時。誰に狙われるかわからないこの場で大はしゃぎで名乗りを上げ、凄まじい存在感を見せつけられた。
湖でアキトって奴と戦った時。俺は機体を過信して突っ込み、手痛い反撃を喰らった。
市街地で白いガロードと戦った時。向こうはヴァイサーガの半分くらいのサイズでしかも素手だったのに、手数で圧倒されたっけ。
そして白いドリル付きと、さっきまで戦ってた鳥型に変形する機体。
両方ともすごい速さだった。しかもあのスピードを完全に制御していて、振り回されてもいない。
その戦いの全てが、今の俺に必要な動き。
ダイゼンガーに力で劣るヴァイサーガの唯一の武器、スピードを最大限に活かす動き。
理想の動き。その辿る道筋が、今の俺にははっきりと見える。
頭の中に浮かんだモーションを、ダイレクト・フィードバック・システムが忠実に拾い上げ実行へと移す。
最初にして最後の一歩を、踏み出した。
「ヴァイサーガ、フルドライブ……ッ!」
「来な、統夜! テニアの仇を取って見せろ!」
烈風の如く叩き付けられるガウルンの闘気。
対抗するんじゃない――受け流す、風に揺れる木の葉のように。気配の出所を読まれないために。
そのまま無造作にダイゼンガーへと歩みを進める。
一歩。
二歩。
三歩。
四歩――そして十歩目。もうここはダイゼンガーの間合い。
俺が何かを企んでるとガウルンはわかっていただろう。それでも、師は真っ向から剣を振り下ろしてきた――俺に付き合ってくれた。
今にも俺を容易く肉の塊に変える鉄塊が降って来るとわかっていても、怖くはない。
散々ガウルンに教えられたから。恐怖を飼い慣らし、制御する事は。
白銀の輝きがヴァイサーガを頭から断ち割る。
ヴァイサーガの……瞬間的に後方へステップを踏み、そして同じく一瞬で元の位置に戻ったヴァイサーガの残像を。
剣を振り切ったダイゼンガー。隙だらけだ。
ダイゼンガーとヴァイサーガが顔を突き合わせた。
ガウルンは――多分だけど、笑ってるだろう。
剣が振り上げられる前に。
ヴァイサーガが再び一歩下がり、瞬時にその一歩をもう一度踏み込む。
一瞬の加速。ゼロからトップスピードへ。
イメージするのは白いドリル付きと変形する機体。あのスピードを超える――!
その瞬間、世界が止まった気がした。
腕を上げようとするダイゼンガーのその動きが止まって見える。
風の音が止み、周りの全てを知覚するような感覚。
永遠に感じられるような一瞬の中で俺は走った。
――――――――斬。
ダイゼンガーが剣を振り下ろしてから時間にして二秒くらい。
俺は……
「……ク、ククッ。よくやっ……たな、統夜。それで……いい、んだ」
振り向く。
そこにいるダイゼンガーは先程と何ら変わりなく健在。
「今のが……お前の、奥の手……か?」
「ああ。合格かい?」
「文句ねえな……ばっちり、だ」
「それは……良かった」
ダイゼンガーの右腕が落ちた。
同時に左腕、頭部。
左足が崩れ、右足も同様に。
ダイゼンガーの巨体が地に倒れ伏す。
「何回……、斬った?」
「九回だよ」
「ハハッ……狙ったのか? 『ガウルン』……九つの、龍だからっ……てよ」
「偶然だよ。あれが俺の精一杯だ」
「そう、かい。九体の分身が……瞬間、同時に斬り付ける。見事なもんだ……一歩も動け……なかったぜ。
名前を……っは、付けるとしちゃあ……さしずめ九頭龍――九頭龍光刃閃、って、ところ……か」
「九頭龍光刃閃……いい名前だ。覚えておくよ、ガウルン」
「悪くねえ……死に様だ。ああ、最期に……いい、もんが……見れた」
満足がいったというような、ガウルンの声。
バラバラになったダイゼンガーのパーツが、今頃になって爆発しだした。
腕、足、頭部、そしてついにコクピットのある胴体が――
「楽し……かった……ぜ。じゃあな……と……や」
砕け散った。
俺を鍛え、踏み付け、弄び、大事な人を奪い嘲笑った男の命が消え去ったのだ。
でも――見届けた俺の胸には感慨も何もない。
おかしいな。テニアの仇を討ったのに。
俺はそれだけ、それだけあの男を心のどこかで認めていたのだろうか?
わからない。もう、答えを教えてくれる奴はいない。
テニアも、ガウルンも、もういない――。
「でも、やらなきゃいけない事だけは……わかる」
ガウルンの残したダイゼンガーの剣を拾う。
一人になった今、俺にできる事は。
決まっている。
戦うんだ。
テニアを生き返らせるために。
生き残ってる奴、みんな殺すんだ。
ガウルンの言ったとおり、何も考えずこの心がそうと感じるままに剣を振るう。
誰が相手だって構わない。赦されないってわかってる、でもそれがどうしたって言うんだ。
テニアが生き返る――その結果さえあればいい。
だから、だから俺は――
「待ってろ、テニア。すぐに会える……すぐに、起こしてやるからな」
暗い決意だけを胸に、空の大穴、その真下へと駆けだそうとして――唐突に起こった地震に足を取られ転倒するヴァイサーガ。
同時に空を染め上げる白銀の閃光。それを直視する事無く、、俺の意識は闇に落ちていった。
□
『……ラ、おき……、キラ』
「う、うう……」
震動と、トモロの声で目が覚めた。
ゼストと、反応弾を自爆させて僕は死んだんじゃないのか――と朧な意識で考えた。
『キラ、早く起きるんだ。戦いはまだ終わっていない』
「……え?」
段々とはっきりしてきた意識。視界いっぱいに広がる、星のない緋色の宇宙。
キラは身体を起こす。とたん全身に激痛が走り、息が詰まる。
メガフュージョンの代償。今やキラの身体はまるで戦場を生身で潜り抜けたかのように傷だらけだ。
意志の力で痛みを押し隠し、トモロへと状況を尋ねる。
『済まんが治療している時間はない。見ろ、主催者の本拠地だ』
トモロが示す先、モニターに映ったのは白く巨大な機械の星だ。
逆方向には木星のようなもの。トモロはあれこそが先程までいた殺し合いの舞台だと言った。
そして視界に映ったのはそれだけではない。
「トモロ、あれは……!?」
キラの目前で繰り広げられていたもの。
先程までの巨獣のような形態から、中枢であったAI1が巨大化した脳の塊のような物体。
ところどころにゼストのパーツが混じっているがその形は定かではない。
その周りを護衛するように取り囲む、機動兵器が多数。
カミーユから聞いたメディウス・ロクスという機体の外見と一致する。
塊の表面から、次々と生み出され飛び立っていく。
ユーゼス本人が言っていた、真空中では無限の力を生み出す相転移エンジンとラズムナニウムの成せる業だ。
『ユーゼスだ。黒い機体はゼストが生み出したもの。パイロットは乗っていないらしいが、無限に生み出されている』
「じゃあ、ユーゼスが戦ってる相手は?」
ゼストが、そしてメディウスが攻撃を仕掛けている相手。
キラにも見覚えがある顔の形――そう、ガンダムだ。
ただしただのガンダムではない。
肥大した下半身からいくつものガンダムの頭がついた蛇のようなもの――ガンダムヘッド――を蠢かせる、悪魔のようなガンダム。
白の機星に直接接続されているガンダムは、おそらくエネルギーを供給されているのだろう。
ゼストと同じく次々とガンダムヘッドを生み出し、ゼストへとけしかけている。
ガンダムヘッドと、メディウス・ロクス。
お互いが無尽蔵に生み出せる手駒が、お互いの身を喰らい合っている。
観測できるだけでも、その総数は軽く万単位だ。
規模の違い過ぎる戦いに、キラの腕が震える。
『主催者の少女――アルフィミィ、と言うらしい。我々は自爆した後ここに辿り着いたのだが、あの星から奴が出てきた。
どうやら私達が脱出したのはイレギュラーだったらしく、直接排除に来たそうだ』
「そう……え、じゃあなんで僕達は攻撃されていないの? 僕が気絶してたんなら、キングジェイダーは無防備だったんでしょ?」
『……攻撃を受けなかった訳ではない。あれを見ろ』
モニターが移動し、熾烈な領土争いを続けるゼストとデビルガンダムから視点を外す。
映し出されたのは――
「シャギアさん!?」
ボロボロになった、ガンダムF91だ。
右足が根元から消失し、左右の腕も半ばで食い千切られたような痕跡がある。
そのフェイスにもう光はない。乗っているシャギアもおそらく――
「勝手に、殺すな。生きては……いる」
「シャギアさん!」
生きていた。急いで回収してとトモロに言う。だが、
「無駄だ、キラ・ヤマト。私はもう助からん……」
シャギア本人がそれを拒んだ。
『シャギア・フロストはキングジェイダーがゲートを破壊した瞬間、一緒について来たのだ。
彼が先程までこちらに向かってくる敵機を迎撃していた』
「僕を守るために……?」
『そうだ。だが、奴らの無尽蔵の数に対抗できる訳もない。つい数分前に、撃破された』
「そんな……!」
ユーゼスとアルフィミィがキラを見逃した理由は、無力の相手に割く力はないというところだろう。
一進一退の攻防を続ける両者は、虎視眈々と隙を狙い合っている。キングジェイダーを始末する瞬間を撃たれてはたまらないのだろう。
F91へとキングジェイダーを寄せた。
キングジェイダー自身、反応弾のダメージか両腕が欠落している。掴む事ができず、胴体を接触させて呼びかける。
「しっかりしてください、シャギアさん! すぐ医務室に運びます!」
「無用だ、と言った。自分の身体の事は、自分が一番わかる……。それより、奴らだ」
「でも、僕を助けるためにあなたは……!」
「聞け……! お前が今何を成すべきか考えろ! 奴らの内どちらが勝とうと、我々にとって利はない。
ユーゼスが勝てば奴は更なる進化を行い、主催者のみならずネゴシエイター達までも呑み込むだろう。
主催者が勝っても同様だ。私達に止めを刺し、そしてあの箱庭で殺し合いを続けるはず。
仲間を助けたいのなら、今、ここで! 私とお前が、奴らを叩くしかない!」
「叩くって……どうやってですか!? ユーゼスの機体は無限の動力を持ってるし、主催者だってあの星からエネルギーを汲み上げてるんですよ。
いくらキングジェイダーでも、あんな力に対抗するなんて……」
「フン……あんな無謀な自爆を仕掛けた割に、弱腰な奴だ」
「あ、あれは勝算があったからで。でも、この状態じゃどうしようも」
「勝算なら、あるさ」
力強く言い切るシャギアに、キラの言葉が封じられる。
満身創痍のF91とキングジェイダーに、一体どんな逆転の手が打てるというのか。
「お前がやった事と、同じだ。足りない力は他で補えばいい。
幸いここには触媒となる力が二つ、おあつらえ向きにあるだろう?」
「僕がやった事……二つ?」
あの時の状況は、キングジェイダー、ゼスト、反応弾の三つ。
今はキングジェイダー、ゼスト、そしてデビルガンダム。
置き換えると、
「反応弾の役割を、キングジェイダーで……?」
「そう、だ。キングジェイダーを引き金として、無限の力を行使するゼストとあのガンダムを対消滅させる。
我らが勝利するには……それしか道はない」
「で、でもシャギアさん! そんな事をしたらあなたまで!」
「言っただろう。私はもう助からんと」
F91のコクピット内部が映し出された。
一面の血の海――シャギアの身体を飾る、無数の鋭い刃。
「どうせ死ぬなら、奴らも道連れにする……。私とオルバの運命を弄んだ奴らを残して死ぬ事など、我慢ならん」
「シャギアさん……」
「お前はどうなのだ、キラ・ヤマト。このまま指をくわえて、奴らに蹂躙される運命を由とするか?」
「……いいえ。あなたが行くのなら、僕も行きます。それが、みんなを守る事になるのなら」
「フッ……よく言った。では、行くか」
キングジェイダーの肩へ、F91が降り立つ。
最初に会った時は訳も分からず戦ったのに、こうして背中を預け合う事になるなんて不思議なものだと思った。
でも、悪くない――こうして、人は手を取り合う事が出来る。
疑い、憎み、殺し合ったとしても、同じ目的のために共に戦う事が出来る。
それだけが、この殺し合いで見つけたただ一つ尊いものなのかも知れないと思う。
移動する短い時間の間、木星の中にいる仲間達は大丈夫だとトモロが言った。
キラとカミーユが作り出した首輪解除の方法。欠けていた最後のピース。
必要だったのはアインスト細胞の力を弱める事。
キラが気付いた。自分の首にもう首輪がない。
バサラの歌が、アインストの干渉を跳ね除けたのだとシャギアが言った。
アルフィミィは最初首輪を爆破してキラ達を排除しようとしたそうだが、失敗したため直接攻撃に切り替えたのだそうだ。
ユーゼスも何らかの方法で首輪を解除したのだろう。とにかく、これで首輪の爆破による戦いの強制はもうない。
あとはこの場を収め、仲間達を無事にあの星へと到達させる事だけを考えればいい。
ふと思いついて、白の星に向けてアルトアイゼン・リーゼを射出した。
どうせ持っていても使えない。
だったら誰か、仲間達が使えるようにあの場へ先に置いておいた方がいいと思ったから。
ゆっくりと近づくキングジェイダーとF91に、ゼストとデビルガンダムが同時に気付く。
その軍勢が一斉にこちらを照準する。
連合とザフトの戦争でもまずここまでの戦力の激突はないだろうという数。
でも、キラは自分でも驚くほどに恐怖を感じていない。
たった二機で、宇宙を埋め尽くすほどの敵と対峙していても。
万の軍勢よりも心強い戦友と相棒が、共にいる。
命のない人形をいくら生み出そうが、この繋がりを断ち切る事なんて絶対にできない。その想いがキラの中で最後の勇気を燃え上がらせる。
「あら、まだ生きてらしたんですの」
「横槍を入れに来たのか? 残念ながら、今の君達では観客にしかならんのだがな」
微塵も己の負けを疑っていないという声が二つ。
それはそうだろう。戦力差は比べる事すら馬鹿馬鹿しい。
「だが、今はその観客ですら邪魔なのだ。退場していただこうか!」
殺到する無数のメディウス・ロクス。
「デートの邪魔をするのは無粋ですの。だから……消えてくださいな」
同じくガンダムヘッドも。
圧倒的な数の兵隊が迫って来る中、キラとトモロ、そしてシャギアは――
「行くぞ、キラ・ヤマト! 今が駆け抜ける時だッ!」
「はいッ!」
逃げる事など考えない。正面から、雲霞のごとき敵軍の群れへと突っ込んでいく。
策はある。そう言ったシャギアを信じ、最短距離でゼストとデビルガンダムの中間へと向かう。
メディウス・ロクスが、あらゆる包囲から放つライフルの光がキングジェイダーを貫く。
ガンダムヘッドが噛み付く。纏わりつく無数の敵に、キングジェイダーが外側から見えなくなった。
「フン、他愛もない」
「ですの。じゃあ続きをしましょう、おじ様」
「言われるまでも……むっ!?」
倒したと思ったユーゼスの顔に走る驚愕。
キングジェイダーを包んだ黒い繭から、輝く何かが飛び出した。
その何かは進路を遮るメディウスやガンダムヘッドを弾き飛ばし、キングジェイダーの頭上100mというところで停止。
何か――ガンダム。
シャギア・フロストの駆る、ニュータイプ専用モビルスーツ・ガンダムF91。
何かと思えば、と失望したユーゼスの前で、F91はその輝き一気に強める。
全身から黄金の閃光を放つ。その光に触れたメディウスとガンダムヘッドが消し飛び、キングジェイダーを捉える繭が瓦解した。
そのF91、命を燃やし力へと変えるシャギアの最期の咆哮が轟く。
「刮目せよ! これが我らのッ!」
ゲッターシャイン――見る者が見ればそう言ったかも知れないその輝きを身にまとい――
「乾坤一擲の合体だぁぁぁぁッッ!」
――キングジェイダーの頭部へと、激突する!
「パイルダァァァァァァァァァァァアアアアアアアアッ! オォォォォォォオオオオオオォォォォォォォォォンッッ!」
もはや光そのものとなったF91と、キングジェイダーの頭部・ジェイダー。
光の中で、二つは一つになる。
キングジェイダーの持つJジュエルの力を、保管されていたレース・アルカーナが増幅する。
F91のサイコフレームがその発生した莫大な力を変換し、力場へと変える。
やがて光が収まり、キングジェイダーの頭部に新たに生まれたもの、それはガンダム。
ジェイダーとF91が融合し生まれた巨大なガンダムフェイスが、金色の煌めきと共に顕現する。
「こ、これは……!?」
「一体なんですの……!?」
「聞かれたなら答えよう。これが我らの新たな力――ガンダムキングジェイダーであるッ!」
「これが僕達の……いいやッ! 僕達が、ガンダムだッ!」
キングジェイダー、いやガンダムキングジェイダーが、虹色の翼を広げる。
「プラズマウイングッ! 」
ガンダムフェイスが開く。そこから漏れる黄金――ではない、虹色の輝きが、機体を包み込んだ。
キラのいる――もう、コクピットと呼ぶ事もおかしい――輝きに満ちた空間。
後ろにはシャギアが、隣にはトモロがいる。
心の中に浮かび上がる、ガンダムという言葉。
General Unilateral Neuro - link Dispersive Autonomic Maneuver ___Synthesis System 、と言うのがストライクの起動時に浮かび上がったガンダムの由来。
ふと思いついて入力する。
Getter United Newtype Destiny Alter Machina. 訳するなら、『絆を得て新生せし運命を変える機械神』……とでもいったところか。
文法はデタラメだし、意味が通るでもない。
でも別にいい。大事なのは気持ちだ。
ゲッター、ニュータイプといった言葉。
仲間達との繋がり。
そして運命を変えていく事。
この機体に込めた思いはそんなものだからだ。
「さあ、キラ・ヤマト。終わらせるぞ!」
「はい!」
シャギアが、右腕を伸ばす。
ガンダムキングジェイダーの存在しない右腕に、真紅の輝きが溢れ腕の形を成す。
キラが、左腕を伸ばす。
ガンダムキングジェイダーの存在しない左腕に、蒼天の煌めきが生まれやはり腕の形に。
光が構成する腕を、重ね合わせる。
『ゲム・ギル・ガン・ゴー・グフォー……』
トモロが唱える呪文のような言葉・その意味は、『二つの力を一つに』。
赤い宇宙を満たす虹色の輝きがゼストを、デビルガンダムを包み込み、引き寄せる。
「なんですの……機体が!」
「動けゼスト! なぜ動かん!?」
引き寄せ、密着する二機の周囲をそれぞれが生み出した眷族が蟻のように囲む。
創造主を守ろうとするその蟻達をは、しかし虹に触れた瞬間に消し飛んで行く。
ガンダムキングジェイダーが、組み合わせた両腕を突き出す。
その身体から光がレールのようにゼストとデビルガンダムへと伸びて、『狙いを定める』。
「受けてみろ……この一撃を!」
「僕達の想いと力――自由と正義を!」
『絶対無限の、勇気の力を!』
言葉はなくとも心で通じる。
キラと、シャギアと、トモロの全てが同化し、駆け抜ける!
「……ば、馬鹿な……この私が……全能なる調停者たる……このユーゼス・ゴッツォが……!」
「嘘……こんな事が……!」
神になろうとした仮面の男、
意志を奪われ創られたかつて人を理解したアインスト、
一切の区別なく、彼らは叫ぶ。
未来を拓く、そのために。
これで全てが終わるのだとしても、後悔はない。
生きた証、この炎はきっと消える事無く、受け継がれているから。
だから、
「「『ウィィィィィィィイイイイイイイイイイイイイタァァァァァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」 」』
全てを浄化し、消滅させる光が、赤い宇宙を純白の閃光で塗り潰し――
□
「キラ……!」
「空が……割れる……!?」
アイビスとロジャーが見上げる空に、一際大きな閃光が奔る。
キングジェイダーがゼストを引き連れ突破していったゲート。
F91をもまた、ロジャー達に何も言わずにそこへ飛び込んでいった。
先程まで荒れ狂う力が噴き出していたその穴も、閃光を境に凪のように静まった。
しかし同時に凄まじい規模の地震が二人を襲う。接地していたブレンが堪らず空中へ飛び難を逃れた。
凰牙もそれに倣う。
だが宙にいても震動が感じられる。揺れているのは地面ではない――この世界そのものだ。
「このままではこの世界が崩壊する! 危険だが……あのゲートへ飛び込むぞ!」
「で、でもサイバスターとラーゼフォンはどうするの! キラ達だって帰って来てないのに!」
「サイバスターは私が背負っていく。君はソシエ嬢とバサラ君をコクピットに乗せるんだ!」
「ロジャー!」
「キラ君達の事はどうしようもない! 今は我々が生き残る事を考えろ!」
ロジャーの怒声に、渋々ながらアイビスは折れた。
ここで待っていれば自分達もこの世界の崩壊に巻き込まれる。
であるならばゲートの向こう、主催者達のいるところにキラ達が辿り着いている事を願うしかない。
ブレンが飛ぶ――いや、飛ぼうとした。しかしその身は荒れ狂う風に押され、自由に動くことがままならない。
体勢を崩したブレンを引っ張り上げ、凰牙は再度着地する。
「くっ、これでは身動きが取れん!」
「ロジャー、カミーユが!」
アイビスの声に目を向けると、大地にぽっかり空いた奈落――暗い深淵の穴に、サイバスターが今にも落ちようとしている。
ゼストをこの世界から放逐した際、カミーユの疲労はついに限界を突破したのだ。
声を掛けたくらいでは気付かない――
「いかん、カミーユ!」
「ダメ、起きて! カミーユ!」
そうとは知りつつ、必死に叫ぶ二人。願いも虚しく落下していくサイバスター。
後を追ってブレンが飛び出そうとして、その手をやはり凰牙が掴み押し留める。
「離してロジャー! カミーユが!」
「君まで死ぬつもりか!?」
「だって、他にどうしようも……!」
落ちていくサイバスターへと必死に手を伸ばすアイビスとブレン。
届くはずのないその手に、ロジャーが無力を痛感し歯を食い縛る。
「済まん……!」
ブレンを抱えゲートへ向かおうとしたその時、
「ロジャーッ! 勝手に諦めてるんじゃないわよ!」
ロジャーの耳に飛び込んできた、少女の声が。
少女の声と共に聞こえてきたバサラの歌が。
絶望に支配されかけた心を乱暴に掬い上げる。
それだけではなく、凰牙とブレンが光の膜で包まれた。
そして黙然と奈落に落ちて行ったサイバスターまでもがその膜に包まれ、浮かび上がって来た。
「いい、ロジャー? 今からあなた達をあのゲートの向こう側まで飛ばすわ。衝撃がすごいらしいから、舌を噛まないように気をつけて」
「向こうに飛ばすって……何言ってるのソシエ! 早くあなたもこっちに!」
「聞いて! バサラが、ラーゼフォンならそれができるって言ってる。ゲートの向こうで戦ってた三つの力が消えたらしいわ。
今なら干渉されずに主催者の所へ行けるはずだって。ただ場所の指定とかはできないから、向こうに着いたら急いで合流するのよ!
まだあのガウルンと統夜ってのが生きてるかも知れないら気をつけて!」
「待て、何を言ってるか理解できない。我らを移動させるのはいいが、気をつけろとはどういう事だ?」
「ラーゼフォンはここにいる全ての生命を転移させる……とか言ってたのよ! だから、もしあいつらが生きてたら一緒に飛んでっちゃうの!」
「選別できないという事か……! とにかく詳しい事は後で聞く! 君もこっちに移れ!
ラーゼフォンの状態では生身の人間がゲートに飛び込むのと大して変わらん!」
だが、その答えが返ってくる前に凰牙とブレン、サイバスターは浮上していく。
見る間に地上――そしてラーゼフォンが離れていく。
歌い続けるラーゼフォンの足元はもう崩れ始めている。
「ごめん……ラーゼフォンがここに残らないと、あなた達を転移させられないの。もう間に合わないわ」
「何を言っているんだソシエ・ハイム! 君とバサラ君だけでも連れて行く!」
「わかってるでしょ? ラーゼフォンはバサラの歌がないともう動けない。ここを動くわけにはいかないの……」
「ちょっと、ソシエ!」
「ロジャー、ブタ……じゃないや、ボアをお願いね。私の代わりに契約してあげて」
ぞくりとするほど平静なソシエの声。
その瞬間ロジャーはわかってしまった。これは――運命を受け入れた者の声だ。
ラーゼフォンから緑色の猪――データウェポンが飛んで来た。契約を、解除したのだ。
「だったら! だったら君だけでも……!」
「ロジャー、それ以上は言わないで。あなたは人の命に順列をつける人じゃないでしょ? あまり、カッコ悪いとこ見せないでよ。
気持ちは嬉しいけど、私を助けに来たらあなたまで助からない。だから、いいの」
「ソシエ……!」
「アイビス、ロジャーとカミーユをお願いね。男っていつも自分達だけで突っ走って行っちゃうんだから、あなたがしっかり手綱を握るのよ?」
「認めん、認めんぞ! 君達が犠牲になるなど――!」
抗えない力で天へと昇る機体達。
必死に叫ぶ。決して届かないと、心のどこかでわかっているけど。
ついにゲートへと到達。飲み込まれる一瞬――
「さよなら……ロジャー、アイビス、そしてカミーユ。負けないで……生きて。私達の分まで……」
それが、ロジャー・スミスが聞いたソシエ・ハイムの最後の声だった。
「行ったわね……これで良かった? 寝ぼすけさん」
ゲートの向こうに消えた仲間達を見送り、ソシエはその男の横に腰を下ろした。
気掛かりはやはりもう一つ昇って行った光だ。統夜かガウルンか、それはわからないがどちらにしろ敵である事に違いはない。
「まあ……気にしても仕方ないか。もう私達にはどうしようもないものね」
返答はない。
理由もわかっている。男の呼吸は、随分前から止まっていたのだから。
それでもラーゼフォンは歌い続けている。まるで主の命をもらったかのように。
バサラはその命が尽きてなお、ギターを演奏する事を止めなかった。
指だけが勝手に動いている――歌に命を掛けるのも、ここまでくれば本物だ。
やがて、ギターの音色が途切れる。つられるように、ラーゼフォンの歌も。
結局最期までよくわからない男だったが、歌いたいだけ歌ったのなら、きっと満足して逝ったのだろう。
バサラの安らかな、とても死んでいるとは思えない笑顔を見てそう思った。
「あーあ……キラの奴。一発ぶん殴ってやろうと思ってたのに……ええ、わかってるわよ。多分、キラももう……」
キラとシャギアが消えてまだ五分も経っていない。
でもわかる――あの向こうで、きっと彼らは戦っていたのだ。自分の命と引き換えに、仲間の道を開くために。
独り言なんてした事はあまりないが、言わずにはいられない。
バサラが聞いてくれるだけでいい。それだけで、一人じゃないというだけでなんだか救われる気がする。
「みんな、死んじゃったのね。私ももうすぐ……でも、不思議。あんまり怖くないの。何でかしらね?」
言って、多分それは全力で生きたからだろうと思った。
生きている熱を感じる事が出来た。その熱があったから、ここまで来れた。
そして、炎はまだ絶えてはいない。
あの空の向こうに、同じ炎を灯した仲間達がたしかに存在する。
だから、後悔はない。悲しくはあるけど……それでも、笑って今という時を迎えられる。
ふと思いついて、バサラの頭を膝の上に載せた。
幼い頃、姉がよく歌ってくれた子守唄。あれはどう歌うんだったかと、古い記憶を掘り起こす。
やがて溢れ出すメロディが、ラーゼフォンを満たす。
よく眠れるでしょう、と微笑み、空を見上げたその頬を一筋の涙が切り裂いた。
ソシエの見ている世界が歪み、溶けて消えていく。
その向こうから覗く紅い宇宙が、なんだかとても哀しく思えた。
「ロラン……もう一度、会いたかったな」
その願いは、もう、誰にも届かない――
□
目覚めたらそこは別世界だった。
これが冗談抜きではなく、アキトの瞳に映るのは、どこまでも広がる赤い宇宙。
ガラス越しの宇宙、そして崩れゆく木星のような星を感情のない眼で見つめる。
あの星こそが、先程まで放り込まれていた殺し合いのフィールドなのだろうと思った。
座り込んでいた身を起こす。
薬を飲んだときからではあったが、思うとおりに身体は動く。
だがそれだけではない違和感――右腕を見てわかった。
ナデシコの乗員、いや火星出身者なら誰もが持つナノマシンの存在を示す痕がない。
おそらく薬の影響もきれいに消え去っているだろう。
「あの時……俺はやはり、一度死んだのだろうな」
ゼストへと取り込まれ、意識を失った後。
あの時点でアキトの身体はもう失われていたのだろう。
「だが、ユーゼスが滅びたのなら何故俺はここにいる……? それに、あの夢は……」
ゼストの中で見た、不思議な夢。
幾多の世界で繰り広げられる戦い、その中にはアキト自身もいた。
アキトだけではない。
ナデシコが、ゲッターが、マジンガーが、ガンダムが、ラーゼフォンが、騎士凰牙が。
カミーユ・ビダンが、神名綾人が、兜甲児が。
今より若い時分の――コックをしていた頃のアキトが、あのキョウスケ・ナンブと共に戦ってすらいた。
何より、彼女がいた。
たとえ誰かを殺してでも取り戻したいと願った、最愛の人――
「……ユリカ」
夢の中で、確かに彼女が隣にいた。話した、のだと思う。
しかし何を話したか情けない事に覚えていない。
胸の内に引っ掛かる、棘のような痛み。
何か、とても大切なことを言われた気がする。
でも、パズルのピースが抜け落ちたように、その部分だけがどうしても思い出せない。
溜息を吐いてアキトは振り返った。
そこに鎮座する、一機の機動兵器。
名を、アルトアイゼン・リーゼ。
鋼鉄のベーオウルフの異名を取る、キョウスケ・ナンブの愛機。
気がついた時、何故かこの機体がこの機械の星に打ち捨てられていたのだ。
まさか、一度乗り捨てた機体が巡り巡ってまた自分の所に戻ってくるとは。
これもあの無愛想な男の意趣返しか、と皮肉気に笑う。
体調は万全。
機体のコンディションも問題はない。
いつでも動ける――戦える。
だが、アキトの足は棒になったかのように動かない。
何故なら、それまでのアキトを突き動かしていた胸を焦がすような想いが、どこかに行ってしまったから。
ユリカを取り戻したいという気持ちに変わりはない。
しかしどうにも、燃え上がるような感情が湧いて来ない――これは一度死んだからだろうか、それともあんな夢を見たからなのか。
わからない。どうしたいのか、どうしたかったのかを。
ふと、思い付く。ガウルンはどうなっただろう。
生きているならば――どうするのか。
倒す、その気持ちに偽りはないが、以前と同じ気持ちで奴の前に立てるのか。
しかしこれまた何故か、おそらく奴は生きていないだろうという気がした。
理由はない。強いて言うなら勘、だろうか。
奴はあの星にいる。いや、いた、というべきか。
奴の輝きが消えた。アキトの第六感が――ゲッター線に触れたアキトの感覚が、そうではないかと告げている。
奴を討ったのは、多分あの統夜という少年だ。
テニアという少女も生きていないだろうと、これまた勘で予測した結果残るのはその少年のみ。
なんとなく推測できる。
あの少年と少女は、要するにアキトとユリカなのだ。
ガウルンは二人の関係をアキト達のそれに見立て、同じ事を繰り返したのだろう。
そして望み通りガウルンは統夜に撃破され、アキトの手の届かない所へと行ってしまった――という事だ。
「……あの少年を探すか」
思い立ち、アルトへと乗り込む。
どうせ、生き残った者はここへ攻め込んで来るだろう。
できればそいつらより先に統夜に会いたい。
会って、自分がどうするのか、自分と同じ存在となった少年に何を思うのか確かめたい。
ユリカを失ったアキト、テニアを失った統夜。
選ぶ道は同じものなのだろうか。それを、知りたい。
そして男は動きだす。
自分と同じ魂の形、欠けた月のような心を求めて。
【バトルロワイアル会場 崩壊】
【三日目 2:00】
【フェステニア・ミューズ 死亡】
【ガウルン 死亡】
【シャギア・フロスト 死亡】
【ユーゼス・ゴッツォ 死亡】
【キラ・ヤマト 死亡】
【ソシエ・ハイム 死亡】
【熱気バサラ 死亡】
【アルフィミィ 死亡】
【残り 5人】
【カミーユ・ビダン 搭乗機体: サイバスター
パイロット状況:強い怒り、悲しみ。ニュータイプ能力拡大中。疲労(極大) 気絶
機体状況:オクスタン・ライフル所持 EN30%
現在位置:ネビーイーム内部
第一行動方針:???
最終行動方針:アインストをすべて消滅させる
備考1:キョウスケから主催者の情報を得、また彼がアインスト化したことを認識
備考2:NT能力は原作終盤のように増大し続けている状態
備考3:オクスタン・ライフルは本来はビルトファルケンの兵装だが、該当機が消滅したので以後の所有権はその所持機に移行。補給も可能
備考4:サイバスターと完全に同調できるようになりました
備考5:ファミリアA.R・C.A・K.Nを創造(喋れない・自意識はない)】
【アイビス・ダグラス 搭乗機体:ネリー・ブレン(ブレンパワード)
パイロット状況: 疲労(大)
機体状況:ソードエクステンション装備。ブレンバー損壊。 EN20% 無数の微細な傷、装甲を損耗 左腕欠損
現在位置:ネビーイーム内部
第一行動方針:仲間と合流する
最終行動方針:精一杯生き抜く。自分も、他のみんなのように力になりたい
備考:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分(全体量の約半分以上)な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません】
【ロジャー・スミス 搭乗機体:騎士凰牙(GEAR戦士電童)
パイロット状態:肋骨数か所骨折、全身に打撲多数
機体状態:右の角喪失、 側面モニターにヒビ、EN90% 斬艦刀を所持
現在位置:ネビーイーム内部
第一行動方針:仲間と合流する
第二行動方針:アキト、統夜と交渉する
第三行動方針:ノイ・レジセイアの情報を集める
最終行動方針:依頼の遂行(ネゴシエイトに値しない相手は拳で解決、でも出来る限りは平和的に交渉)
備考1:ワイヤーフック内臓の腕時計型通信機所持
備考2:ギアコマンダー(黒)と(青)を所持
備考3:凰牙は通常の補給ポイントではEN回復不可能。EN回復はヴァルハラのハイパーデンドーデンチでのみ可能
備考4:ハイパーデンドー電池4本(補給2回分)携帯
備考5:バイパーウィップ、ガトリングボアと契約しました】
【テンカワ・アキト 搭乗機体:アルトアイゼン・リーゼ
パイロット状態:健康
機体状態:良好
現在位置:ネビーイーム内部
第一行動方針:統夜を探す。それ以外は……?
最終行動方針:???】
【紫雲統夜 登場機体:ヴァイサーガ(スーパーロボット大戦A)
パイロット状態:疲労(極大) 絶望 気絶
機体状態:シールド破棄、頭部角の一部破損、全身に損傷多数 EN20% ガーディアンソード所持
現在位置: ネビーイーム内部
第一行動方針:優勝するため、全ての参加者を殺害する
最終行動方針:テニアを生き返らせる】
以上、投下終了です。
一度も規制されなかった・・・だと・・・?
支援ありがとうございましたほんと、遅れたくせに支援してもらってほんとありがたいです
お疲れ様でした
おおおおおおおおおおおおおおおおおお投下GJ!
ほんと、最初から最後まで徹底的にクライマックスでもう何と言っていいやら……
とにかく超満足!超最高! あんた神だよ! キラもユーゼスもシャギアもバサラもソシエもテニアも……そしてなによりガウルンも!
全員輝きすぎだ。長かったのに全然気にせずぐいぐい読めるこの面白さ!もう本当にGJ!
これを読ましてくれてありがとう!
乙としか言いようがない
ユニバーーーーーーーーーーーース!
シャギアww兄wwwさんwwww
色々受け継ぎすぎwwwww
連発される超展開がたまんねえ、ありえねえ、だがそれがいい!
GJすぎる!
作者様もキャラのみんなもお疲れ様でした。まさかキラとシャギアが勇者となるとは……。
ガンダム系参加者の中ではそういうのとは一番縁のないキャラだと思ってたのに、これがバトルロワイアルというものか。
さて、残りは5人…脱出派3名、優勝狙い1名、どっちつかず1名。
どっちつかず以外の4名はパイロット・機体共にボロボロのようだし、
どちらに転ぶか分からないどっちつかず…アキトを説得できた側が一気に優勢になるかも?
乙!!
もう色々凄い!
>>146の修正です
【カミーユ・ビダン 搭乗機体: サイバスター
パイロット状況:強い怒り、悲しみ。ニュータイプ能力拡大中。疲労(極大) 気絶 首輪解除
機体状況:オクスタン・ライフル所持 EN30%
現在位置:ネビーイーム内部
第一行動方針:???
最終行動方針:アインストをすべて消滅させる
備考1:キョウスケから主催者の情報を得、また彼がアインスト化したことを認識
備考2:NT能力は原作終盤のように増大し続けている状態
備考3:オクスタン・ライフルは本来はビルトファルケンの兵装だが、該当機が消滅したので以後の所有権はその所持機に移行。補給も可能
備考4:サイバスターと完全に同調できるようになりました
備考5:ファミリアA.R・C.A・K.Nを創造(喋れない・自意識はない)】
【アイビス・ダグラス 搭乗機体:ネリー・ブレン(ブレンパワード)
パイロット状況: 疲労(大) 首輪解除
機体状況:ソードエクステンション装備。ブレンバー損壊。 EN20% 無数の微細な傷、装甲を損耗 左腕欠損
現在位置:ネビーイーム内部
第一行動方針:仲間と合流する
最終行動方針:精一杯生き抜く。自分も、他のみんなのように力になりたい
備考:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分(全体量の約半分以上)な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません】
【ロジャー・スミス 搭乗機体:騎士凰牙(GEAR戦士電童)
パイロット状態:肋骨数か所骨折、全身に打撲多数 首輪解除
機体状態:右の角喪失、 側面モニターにヒビ、EN90% 斬艦刀を所持
現在位置:ネビーイーム内部
第一行動方針:仲間と合流する
第二行動方針:アキト、統夜と交渉する
第三行動方針:ノイ・レジセイアの情報を集める
最終行動方針:依頼の遂行(ネゴシエイトに値しない相手は拳で解決、でも出来る限りは平和的に交渉)
備考1:ワイヤーフック内臓の腕時計型通信機所持
備考2:ギアコマンダー(黒)と(青)を所持
備考3:凰牙は通常の補給ポイントではEN回復不可能。EN回復はヴァルハラのハイパーデンドーデンチでのみ可能
備考4:ハイパーデンドー電池4本(補給2回分)携帯
備考5:バイパーウィップ、ガトリングボアと契約しました】
【テンカワ・アキト 搭乗機体:アルトアイゼン・リーゼ
パイロット状態:健康 首輪解除
機体状態:良好
現在位置:ネビーイーム内部
第一行動方針:統夜を探す。それ以外は……?
最終行動方針:???】
【紫雲統夜 登場機体:ヴァイサーガ(スーパーロボット大戦A)
パイロット状態:疲労(極大) 絶望 気絶
機体状態:シールド破棄、頭部角の一部破損、全身に損傷多数 EN20% ガーディアンソード所持
現在位置: ネビーイーム内部
第一行動方針:優勝するため、全ての参加者を殺害する
最終行動方針:テニアを生き返らせる】
俺は今モーレツに熱血している!
一点だけ、F91に搭載されてるのはサイコフレームではなくて、バイオコンピュータでは?
>>157 どっちも搭載されてるよ。
サイコフレームもバイオコンピュータも、ついでに言うとバイオセンサーも搭載されてる
スパロボで考えると運動性が凄い上がるなw
でも実際はνと同じくらい……
ガウルン×統夜なんてのが頭に浮かんだよ…
アイビスは最後の最後で見せ場があるかどうか楽しみだ
超展開だな! 超絶凄い展開って意味で!
あとはもう強力な攻撃がロジャーのファイナルアタックくらいか?
サイバスターは疲労が濃すぎて使えるか怪しいし、ブレンやヴァイサーガはあくまで直接攻撃系だし。
A,Rはアムロ、S,Aはシャアだろうけど、K,Nってなんだろう……
キョウスケ・ナンブじゃね?
>>163 あ。
ニュータイプ限定だろうと思ってたから盲点……!
この前のゲッター2とか今回のファミリアとか、もうちょっと読み直したり考えたりしてからレスした方が
ここで一気に減ったなあ…てかスパロワは会場崩壊するのがお決まりか?第一次もそうだったような
だが大GJだぜぇ!!
wiki収録したんだが……ネタバレリストと死亡者リストだけやり方がよくわからんorz
それ以外はできたんだが……できる人、だれか頼む。
カミーユのファミリアは、A.Rは純白の一角獣でK.Nは真紅の孤狼だったりするのかな
S.Aは……まさか黄金の核ミサイル?
吹いたじゃねぇかwwww
死亡者編
・『死亡者名(搭乗機)/殺害者名(搭乗機)』 キャラ辞典より抜粋&コメント
なお順番は死亡順
・エクセレン=ブロウニング(搭乗機なし)/アインスト=ノイ=レジセイア(搭乗機なし)
アインスト=ノイ=レジセイアに最初の見せしめにされ首輪を吹き飛ばされ死亡。
このことによりキョウスケはアインスト達を倒しアルフィミィを解き放ちエクセレンを迎えに行くこと
を覚悟する。
・メルア=メルナ=メイア(ジム・カスタム)/グ=ランドン・ゴーツ(ラフトクランズ)、流 竜馬(大雷凰)
グ=ランドンに機体を串刺しにされ竜馬に機体を爆散されロワ参加者(除くエクセレン)初の死亡者となる。
早々にテニアとの合流を果たすも彼女の目の前で死亡。このことがきっかけでテニアがゲームに
乗ってしまいカティアを殺害、統夜も乗っているので彼女の死は報われない。
・グ=ランドン・ゴーツ★(ラフトクランズ)/フェステニア=ミューズ(ベルゲルミル)
竜馬の大雷凰に機体をライジングメテオ・インフェルノで真っ二つにされる。
それでも生存していたがテニアを挑発、そのまま彼女に撃ち殺される。
だが彼の言葉は彼女の心に絶望を植えつける。
・ラクス=クライン EVA零号機)/ヒイロ=ユイ(レイダーガンダム)
EVA零号機を操ってヒイロを追い詰め、説得しようとするも常識外れの攻撃により零号機を破壊され、死亡。
版権作品初の死亡者となる。似た思考の持ち主であるリリーナとは遭遇できなかった。
・木戸 丈太郎(クロスボーン・ガンダムX2)/相羽 シンヤ(搭乗機なし)
知恵と技術でサイコガンダムを撃破するものの、相羽シンヤがテッカマンに変身できるとは見抜けず、
PSYボルテッカにてコクピットブロックごと蒸発させられる。
彼が放送で名を呼ばれてもたいして影響がないことも考えると可哀想な死に様である。
・神名 綾人(アルトロンガンダム)/テンカワ=アキト(YF-21)
ロジャーとリリーナを奇襲するも、割り込まれたアキトにマーダーとみなされコクピットに拳を
打ち込まれ死亡。だが、彼との戦闘で凰牙のENがなくなったためリリーナの死にも関与している。
・カティア=グリニャール(VF22S・Sボーゲル2F)/フェステニア=ミューズ(ベルゲルミル)
テニアと再会するも、すでに彼女はゲームに乗っており絞殺される。テッカマンに殺られたキッドを
除けば当ロワで生身で殺られた人、第一号である。なお、友人に殺されるという最後をとげた一番欝な
死に方である。
・ジョシュア=ラドクリフ(クインシィ・グランチャー)/ギム=ギンガナム(シャイニングガンダム)
アイビスと行動中に統夜に御大将を擦り付けられる。そのまま戦闘中にクインシィに邪魔され
シャイニングフィンガーを喰らい機体が大破、アイビスと共に逃げるものの既に彼は爆死していた。
なお、彼の死はラキに影響を与えるため彼女の今後が心配である。
・リリーナ=ドーリアン(セルブースターヴァルハラ)/相羽 シンヤ(搭乗機なし)
機体をばらばらにされ連れ攫われテッカマンにコックピットの ハッチをこじ開けられ首を跳ね飛ばされる。
おとなしく凰牙にENを供給していればもっと違った展開が待っていたかもしれない。
・ギャリソン時田(ガンダムレオパルド・デストロイ)/ガウルン(マスターガンダム)
ガウルンと再び交戦、激戦を繰り広げるもガウルンの宗介の愛の前に敗れ去る。
すごい執事だけに序盤でおしい人が逝ってしまったのは残念。
<<第一回目の放送で上記10名の死亡が伝達
・ユウキ=コスモ(ジガンスクード・ドゥロ) /ジョナサン=グレーン(ガンダムF91)
ギャリソンの死を悲しみバサラの歌に心を癒されている
最中にジョナサンの奇襲を受ける。機動性の高いF91を倒すため広範囲攻撃の
G・サークルブラスターを放とうとするも生きていたバサラがいたため躊躇。
そのままコクピットにヴェスバーを撃ち込まれ蒸発、死亡する。
・九鬼 正義(ドラグナー2型カスタム)/バーナード=ワイズマン(ブラックゲッター)
ブラックゲッターの強襲を受け、あっさりと撃墜されてしまう。
ラーゼフォン系は全滅、薄氷同盟最初の死者となった。
・アスラン=ザラ(ファルゲン・マッフ)/カテジナ=ルース(ラーゼフォン)
カテジナに盗られたラーゼフォンと遭遇。
バサラが乗っていると思い込んだまま交戦。だが、ドラグナ−系の力ではデウスエクス・マキナに
一歩及ばずに機体を両断され敗北。最後に思いを親友に託しながら死亡してしまう。
・神 隼人(YF-19)/クルツ=ウェーバー(ラーズアングリフ)
同行していたクインシィがエイジに襲いかかり、続いて現れた竜馬も加わり混戦状態に陥る。
その中、クインシィ・ガロードに3人目を探せと言い押し切る形で離脱させた。
さらに竜馬の説得を試みるも失敗。最後はクルツの狙撃で被弾、そのまま地表に墜落死となった。
・アルバトロ=ナル=エイジ=アスカ(ガナドゥール)/流 竜馬(大雷鳳)
消えたラキを探している途中でクインシィに襲われる。
途中乱入してきた竜馬によって一度は気絶するも意識を回復。
壊れたフォルテギガスからガナドゥールを分離して、逃走を試みるが追い詰められる。
最後は大雷鳳と正面からぶつかり合い敗れ去った。
・ヒイロ=ユイ★★(搭乗機なし)/ベルナルト=モンシア(搭乗機なし)
一度交戦をしたモンシアとG-6基地で再び遭遇する。
モンシアがヘビーアームズを自爆させた結果、機体を失う。
基地の状態を調べ、格納庫へ一応の確認しに行く途中にまたもやモンシアに遭遇。
白兵戦で彼を追い詰めるも自爆に巻き込まれ帰らぬ人となる。
なお彼の死を持って薄氷同盟は全滅となった。
・ベルナルト=モンシア★(搭乗機なし)/ヒイロ=ユイ(搭乗機なし)
大破したヘビーアームズを有効利用しヒイロの乗るレイダーを破壊。
しかし、外の様子をうかがいに行く途中に実は生きていたヒイロと遭遇する。
子供と舐めた結果追い詰められて、ヒイロを巻きこんで自爆死する。
・孫 光龍(レプラカーン)/キョウスケ=ナンブ(ビルトファルケン(L))
機体の整備にと立ち寄ったG-6基地でバーニィを発見。これに襲いかかる。
戦闘中、ゼクス・キョウスケが現れて場が複雑化。
そんな中でキョウスケと戦闘となり、念の暴走の果てにオーラコンバーターを貫かれて死亡した。
・シャア=アズナブル(核ミサイル)/カテジナ=ルース(ラーゼフォン)
アムロとの合流を目指し、F-2補給ポイントで待機中、カテジナと遭遇。
機転を利かせ、一度はカテジナの撃退に成功するもラーゼフォンの長距離狙撃を受けてしまう。
アイビスを逃がし、彗星は地に落ちる。だがその意志は確かに受け継がれていた。
死亡後も、窮地のアムロと共振する、アイビスの悪夢に出てくると大活躍である。
・相羽 シンヤ★★(テッカマンエビル)/クルツ=ウェーバー(ラーズアングリフ)
ロジャーから受けた痛手を癒すべくD-8にあるコンビニの食糧を根絶やしにする。
続いて機体の奪取を目指し、移動してきていたクルツに戦闘を仕掛ける。
テッカマンの能力を活かし終始優勢に戦闘を進めていたが、最後の最後でクルツの策にかかり死亡。
テッカマンとしての傲りが最大の敗因であったのは間違いない。
・ゴステロ(スターガオガイガー)/ギム=ギンガナム(シャイニングガンダム)
アムロを追いつめるも、ブンドル、ギンガナムに乱入され、勝機を逃してしまう。
そのままギンガナムと戦闘になるが、彼には「勇気」が足りなかった。
純粋な力比べに負け、死亡。
・ゼクス=マーキス(メディウス・ロクス)/キョウスケ=ナンブ(ビルトファルケン(L))
キョウスケと共に基地の制圧に成功するも、直後に機体制御をAI1に乗っ取られてしまう。
が、メディウス内部からキョウスケをサポート。
オクスタンライフルに撃ち抜かれ死亡するも、その魂は最後まで気高かった。
・カズイ=バスカーク(メディウス・ロクス)/キョウスケ=ナンブ(ビルトファルケン(L))
ゼクスの操縦技術をAI1に学習させ、メディウスの制御を奪う。
圧倒的な力でキョウスケを追いつめるが、最後には人の力に破れることとなる。
オクスタンライフルを撃ち込まれ死亡。
・マサキ=アンドー(アルトアイゼン)/ガウルン(マスターガンダム)
キラたちと共にダイへと戦闘を仕掛ける。
ガウルンと戦闘になり、ボロボロのアルトアイゼンで善戦するも一歩及ばず、コクピットブロックをもぎ取られ死亡。
彼の持っていた小石がある人物の運命を大きく変えることとなる。
・ミスマル=ユリカ(無敵戦艦ダイ)/ガウルン(マスターガンダム)
Jアーク組と交戦。地盤を崩すという荒技で戦況を一変させたが、その直後にガウルンによってダイの艦橋は大破。
外に投げ出されアキトと再会を果たすも、マスターガンダムに踏まれ圧死。
彼女の死はアキトに多大な影響を及ぼすことになる。
・巴武蔵(RX-78ガンダム)/フェステニア=ミューズ(ベルゲルミル)
戦艦三隻総勢14名が入り乱れる大混戦の中、一度は気を失うもフロスト兄弟・ガウルン相手に健闘する。
だが彼は最も信頼していた仲間テニアの姦計に陥る。彼がテニアの裏切りに気づいた瞬間、彼の生は終わりを告げた。
人が良すぎたのが、彼にとって災いしたのかもしれない。
・カテジナ=ルース★★(ラーゼフォン)/紫雲統夜(ヴァイサーガ)
水中での休憩中にキョウスケ・カミーユの二人組に見つかり接触する。
誤った情報を与え穏便に事を運び離脱するが、その離脱中に悲劇は起こった。
同じように水中で休んでいた統夜の不意打ちでラーゼフォンは大破し、彼女は火に包まれる。
それでも生きていたのだが、救助中に潰される最期となった。
・クルツ=ウェーバー★★(ラーズアングリフ)/ギム=ギンガナム(シャイニングガンダム)
ギンガナムと交戦状態に入ったアイビスをフォロー。残弾が少ない中、牽制・狙撃にサポートと戦場を駆け回る。
最後はラキと行動不能に陥ったアイビスを離脱させ、ギンガナム相手にコードATAによる自爆で一人散っていった。
最初から最期まで他人のサポートに奔走するのが、彼の生き様であったといえるだろう。
・グラキエース★(ネリー・ブレン)/ギム=ギンガナム(シャイニングガンダム)
ギンガナムと交戦中のクルツを見つけ戦闘に割り込む。そしてその戦場に彼女の探し人は存在した。
一時は負の感情に支配されながらもブレンを感じ、ジョシュアを信じ、アイビスとクルツに支えられて彼女は戦い抜く。
しかし、ギンガナムを制しきれずにクルツが自爆。ラキもまたアイビス一人を残して戦地へ赴く。
相打ち覚悟で挑んだ勝負で狙い通り禁止エリアへと跳びギンガナムと共に散っていった。
・ギム=ギンガナム★★★★(シャイニングガンダム)/グラキエース(ネリー・ブレン)
ブンドルと共に訪れた中央市街地でアイビスに襲われ、そのままクルツ・アイビスとの戦闘状態に入る。
途中さらにラキが加わり苦戦を強いられるも、満足の行く戦いにヒートアップ。テンションが最高潮に達する。
そして、突き上げる衝動のままに二機のブレンを圧倒。ヒメ・ブレンを仕留め、クルツの自爆にも耐え抜いてみせた。
しかし、ラキとの一騎打ちの末、禁止エリアへと追いやられ死んでいく。最後の最後までギンガナムらしい暴れっぷりであったと言えるだろう。
<<第二回目の放送で上記20名(+その他生死不明1名)の死亡が伝達>>
・ジョナサン=グレーン★(真ゲッター)/紫雲統夜(ヴァイサーガ)
ガロードとの合流待ちの間に統夜に見つかり、これに襲われる。
一度は動きを読まれ敗れるも救援に駆けつけたガロードのピンチに復活。真ゲッター2を乗りこなし決死の攻勢に出るも遅すぎた。
既に致命傷を負っていたジョナサンは最後の攻撃に出る。だが命届かず燃え尽き散っていった。
最終目標であるクインシィの生還はガロードに託されたが、それが果たされる日は来るのだろうか。
・ベガ(月のローズセラヴィー)/バーナード=ワイズマン(メディウス・ロクス)
第二回放送直後、我を失ったカミーユを心配し気にかけるも罵声を浴びせられることになる。
そのときに受けた言葉に苦悩するもカミーユを人として正しい方向へ導きたいという想いを胸に再度前を向いて立ち上がる。
しかし、その言葉はカミーユに届かずバーニィの仕掛けた攻撃によって基地と共に最期を迎えることとなった。
常に集団全体のことを考え、一人一人を気遣い、板ばさみに会いながらも前を向き続けた彼女はやはり強い母であったのかもしれない。
・バーナード=ワイズマン★★(メディウス・ロクス)/カミーユ=ビダン(VF-22S・SボーゲルU)
ユーゼスの誘いを蹴りメディウスを強奪した後に基地を崩壊させる攻撃を仕掛ける。
ベガの殺害には成功するも、カミーユ、キョウスケ、アキトの三機と戦闘に。
エース級の実力を持つ三人にじりじりと押され続ける中、ユーゼスの砲撃により生じた隙と油断を突かれ死亡。
「生きて帰りたい」という切実な彼の願いが叶うことはなかった。
余談だが、彼の死亡話が投下されたのはクリスマスシーズンであり、これは原作での彼の死亡時期と一致する。皮肉なものである。
・オルバ=フロスト(ディバリウム)/キョウスケ=ナンブ(ゲシュペンストMkV)
第二回放送後、ナデシコと別行動を取りテニアの始末を目論む。
ロジャーとの接触などを経て基地へと辿り着くが、そこで待っていたのはアインストと化したキョウスケだった。
テニアと共にキョウスケと交戦するも、土壇場でテニアに裏切られキョウスケに撃ち貫かれることとなる。
彼の最期の声は、シャギアにどう影響していくのだろうか。
・宇都宮比瑪(ぺガス)/シャギア=フロスト(ヴァイクラン)
ナデシコへと戻ってきたテニア、彼女を殺そうとするシャギア。
二人の間に立ち和解を呼びかけるも、運命の悪戯か統夜の一撃により事態は急変。
仲間であるシャギアの手でその身を焼き尽くされることとなる。
誰よりも優しく、人を疑うことをしなかった彼女が生存者に、とりわけシャギアに遺したものは大きいだろう。
・クインシィ=イッサー(真ゲッター)
・ガロード=ラン(真ゲッター)
・流竜馬(真ゲッター)
ついに目覚めたクインシィはガロードを求め戦闘に突入、その最中弟である勇のブレンを発見し暴走する。
彼女を止めるため命を賭けたガロードの言葉に安定を取り戻すも、ゲッターの最後のシートに座ったのは死亡したはずの流竜馬。
ゲッター線の見せる無限の闘争を知った彼らは、それぞれの大事なものを守るため旅立つことを決意する。
そう、今も彼らは世界の外で戦っているのである。
<<第三回目の放送で上記8名の死亡が伝達>>
・ギム=ギンガナム★★★★(メタルビースト・シャイニング)/アムロ=レイ(ガンダムF91)
クルツ=ウェーバー、グラキエースの捨て身の攻撃により死を迎えたはずの戦闘神。
が、有機無機問わず融合するインベーダーによりまさかまさかの復活を遂げる。
生前のブンドルとの約束など知ったことかと、ここぞとばかりに黒歴史に名高いニュータイプコンビに戦いを挑む。
さすが御大将、インベーダーの支配なぞだが断る!と跳ねのけ、100%自分の意志で闘争に身を委ねるその姿はまさにこの世の春。
念願であったアムロとの死闘の中、ニュータイプに対する価値観の違いをぶつけ合う。
最後はシャイニングフィンガー対ゴッドフィンガーという黒歴史の象徴ともいえる幕引きとなった。
そして再びの死を迎える御大将は、勝利者たるアムロにこの言葉を贈ったのだった。
『ガンダム・ザ・ガンダム』――お前がガンダムだ、と。
・レオナルド=メディチ=ブンドル(VF-22S・SボーゲルU)/キョウスケ=ナンブ(ゲシュペンストMkV)
サイバスターの覚醒のためVF-22S・SボーゲルUでカミーユと交戦。
しかし、その覚醒を見届けるとともに乱入してきたキョウスケからカミーユを逃がすためにたった一人で戦闘。
最期まで自分をぶらすことなく脱出のため行動し、全てを後続に託し舞台から静かに降りる。
彼の言葉は最後まで彼の美学にあふれていた。
・兜甲児(ストレーガ)/キョウスケ=ナンブ(ゲシュペンストMkV)
いくつもの困難を超え、最後の希望であるJアークにたどり着く。
そこで弟や仲間たちの死、そしてニュータイプへの憎しみで自分を見失うシャギアを守るため、
シャギアとともにフォルテギガスに乗り込み、キョウスケと戦闘。
最期は、圧倒的な強さを持つキョウスケ相手にシャギアを生かすため特攻同然の戦いを挑む。
彼の死は、結果としてシャギアの覚醒へとつながった。
・アムロ=レイ(ガンダムF91)/キョウスケ=ナンブ(ゲシュペンストMkV
Jアークにて着々と主催者への反逆を企てる。
集団のまとめ役として引っ張る彼だったが、ノイ・レジセイアを感じ無意識に弱気になりつつあった。
それを戦闘の最中他の仲間を見て覚醒。スーパーモードのF-91でキョウスケを追い詰めるも、逆にその力を吸収される。
電撃によりズタボロになりながらも、シャギアにニュータイプが幻想であることを説く。
そして、「歴史を繰り返させるな」と言い残し若い世代の未来を信じ消える。
・キョウスケ=ナンブ(ゲシュペンストMkV)/カミーユ=ビダン(サイバスター)
基地での戦闘の末アインスト化。カミーユに己の始末と撃ち貫くライフルを託す。
成長を続け、圧倒的な戦闘力で五対一にもかかわらずJアークチームを追い詰めた。
ブンドル、甲児を殺し、アムロと立て続けに三人を殺したうえ、アムロの力すら吸収し成長を遂げるが、
覚醒したカミーユとシャギア、そしてアイビスとロジャーも加わった全員の最大クラスの攻撃を受ける。
その中、覚醒したキョウスケはカミーユに核を撃ち貫くことを指示。
カミーユの手によって、見事ノイ・レジセイアはキョウスケごと打倒された。
・フェステニア=ミューズ(ベルゲルミル)★★★/紫雲統夜(ヴァイサーガ)
間一髪、自分の危機を救ったのは彼女の最愛の人、統夜であった。
手に手を取って逃亡し愛を確かめ合うも、二人の前にはインベーダー、ガウルンという馬に蹴られても死なないような邪魔者が。
それでも生きるために彼女は懸命に立ち回る。しかし、ガウルンの甘言に耳を傾けたのが間違いだったのか。
以前ガウルンが言っていたように彼の獲物として、統夜の覚醒のために切り裂かれる。
最期は、盾にされ愛しい統夜の一撃を受けて―――
・ガウルン(ダイゼンガー)★★★/紫雲統夜(ヴァイサーガ)
各地で争いを巻き起こす火種キャラ。これ以上なくロワを満喫している一人でもある。
しかし、その反動がガン細胞の復活という形で回ってきてしまう。その中、ガウルンは統夜に標的を絞ることを決定。
会談の場の混乱の中、見事計算通りテニアを殺害。統夜の全力を引き出した。
一騎打ちの末、統夜がついに至った一撃、九頭龍光刃閃を受けて死亡。最期まで充足した生き方を歩んだ男である。
・ユーゼス=ゴッツォ(AI1)/キラ&シャギア(ガンダムキングジェイダー)
すべてを自分の手の上で転がしてきたユーゼスも、ついに終わりが訪れた。
計画通り全てを手に入れるため、Jアークチームと交戦。ゼストの力をもってしても容易に倒しきれないJアークの絆に、
一度はゼストを破壊されるが、アキトのブラックゲッターを触媒に復活。
キングジェイダーの特攻もAI1になることで退けたが、ガンダムキングジェイダーのヘル・アンド・ヘブンでついに墜ちる。
・アルフィミィ(デビルガンダム)/キラ&シャギア(ガンダムキングジェイダー)
会場を飛び出たユーゼス、キラ、シャギアの迎撃のためデビルガンダムでこれまでにない規模の戦闘を起こす。
しかし、ガンダムキングジェイダーのヘル・アンド・ヘブンでユーゼスごと粉砕される。
人の心を知り、学び始めていた彼女は死に際に何を想ったのだろうか。
・シャギア=フロスト★★★(ガンダムキングジェイダー)
弟や仲間の死を経て、最終的にはノイ・レジセイアへの反抗の中核として戦う。
対談の場にJアークを救うべくさっそうと登場。さまざまな新兵器を使い、見事に戦況を覆す。
しかし、最後は自爆を決行するべく次元の彼方へ突入したキングジェイダーを守るため、
デビルガンダムとAI1の無限の機動兵器の中で戦い続け、機体は破損。
それでもなおあきらめない心からキングジェイダーとF91を融合させ、命と引き換えに全てを破壊した。
・キラ=ヤマト★★(ガンダムキングジェイダー)
幾度の戦闘と仲間の死、そして自らの間違いを知り一時は混乱の極みに達する。
しかしロジャーやソシエといった仲間たちに支えられ、再び立ち上がることを決意。
アムロとアイビスという信頼できる心強い仲間たちと共に、勇気を胸に前へ進む。
そして訪れた会場での最終決戦。ゼストに追い詰められる仲間を守るためメガフュージョンをついに発動させる。
仲間を守るために自分の命すら賭けて2度の特攻の末、ガンダムキングジェイダーでユーゼスとアルフィミィを討つ。
・ソシエ=ハイム(ラーゼフォン)
ロジャーがJアークを離れる際ちゃっかりと潜り込み行動を共にする。
予備のギアコマンダーとロジャーの腕時計を巻き上げるあたり抜け目ない。
しかし、機体を扱える状態でないと判断され、Jアークから降ろされる。
それでも彼女は諦めずバサラとともにラーゼフォンで戦場へと向かった。
そして、ラーゼフォンの力で仲間を送り出し、破壊されていく会場で静かに果てた。
・熱気バサラ(ラーゼフォン)
戦いを止めるために懸命に歌うも、多くのものを失い続けたバサラ。
声が出なくとも、どんな過酷な状況であろうと歌うことを決して諦めなかった。
ラーゼフォンの奪還を目指し奔走、遂にユーゼスの支配から天使を解き放つ。
アニマスピリチアと調律の天使、その歌声は次元を超えてあまねく世界に響き渡る。
そして、歌いながらその命を全て使い切り、息を引き取った。
<<第四回目の放送で上記11名の死亡が伝達予定>>
以上、死者……、とその類似の存在に関しての詳細。
生存者編
●生存者たち(ネビーイーム/三日目02:00)
もはや言葉は不要。ここから先は、3つだけ。抗うか、従うか、それとも第三の道を選ぶか。
、
・ロジャー=スミス(騎士鳳牙)
・アイビス=ダグラス(ネリー・ブレン)
どうにか嵐の中、合流しネビーイームへ乗り込んだ両者。
主催者は近いが、彼らもまたいくたびの戦いで戦力をすり減らし、ついには彼らだけに。
目的の達成まで、手が果たして届くのか。
・カミーユ=ビダン★★(サイバスター)
ついに全てを清算した青年。
だが彼の心は広がり続け、限界は近い。
サイバスターはいかな終わりを指し示すのか。
・テンカワ=アキト★(アルトアイゼン・リーゼ)
愛するユリカを生き返らせるために優勝を狙う復讐鬼。
一度はAI1に取り込まれて消えるも、その力故か復活する。
しかし、今の彼の胸中には――?
・紫雲統夜★★★★(ヴァイサーガ)
恋人を失った果てに、ガウルンを討つ。
すでに機体も彼も満身創痍。それでも彼は歩くことをやめない。
ゴールに待つのは一体どんな結末か。
以上、生存者5名の紹介と状況説明を終了……終わりは……近い……
日誌……というものは……初めてつけたがこれは―――面白い。
日誌投下終了。
しかし、本当にあと五人しかいないんだな……
最終回、どうするよ?
ゾフィー隊長がアップを始めてます
>>178 ここで頑張らないと第三次ではエルドランに出番を取られるかも知れないからな!
>>177 いきなり最終決戦は早いだろう。
もうあと一二話あるだろうからそれからでおk
182 :
それも名無しだ:2009/06/16(火) 20:48:00 ID:rBgaqQje
糞スレあげんなカス
しかし、やっぱF91すげーな
F91追跡表とかあってもよさそうだ
GJ!出来ればキラ自爆〜起こされるまでの間も読みたかった
ミィとか首輪とかトモロにさらっと語らせるだけじゃ勿体ない
あと最終回だけど、めでたい事ではあるが初代みたいな災難は勘弁なんで
以降sage進行・この板でその話題出さない、この2つを徹底した方がいいと思う
触手機体でミィに挑むもわたし大での借りは返せなかったユに合掌w
F91は一次のビッゴーに匹敵する活躍ぶりだったよなあw
最後のガンダムキングジェイダーへの合体シーンが全然違和感なく脳内再生されたことには冷静になってから吹いたw
シャギア兄さんがガドルヴァイクランで合体にノリノリだったのは、ガンダムキングジェィダーのためだったんじゃないかと思うwww
シャギア兄さんは合体に始まり合体に終わったのか
エロいな
間に乗ったのがフォルテギガスだしね!
感想ありがとうございますー
ともあれ特に修正するところもないようなので良かったです。いろいろやっちゃったと思ってたので
>>167氏、wiki収録ありです。
しかし、あと数話、もしかしたら次で最終話か……なんかドキドキしてきたぞw
>>189 長いSS乙です。
シャギアの熱い展開にはwktkが止まりませんでした
ところで前スレ
>>553の文中に出て来る突起は特機のタイプミスで合っていますか?
メカ物は突起物が多いからちょい迷う
鳥忘れ
見直してたら状態表がおかしなことになってましたね、済みません。
アイビスと統夜のが混じってたようで、
【アイビス・ダグラス 搭乗機体:ネリー・ブレン(ブレンパワード)
パイロット状況: 疲労(大) 首輪解除
機体状況:ソードエクステンション装備。ブレンバー損壊。 EN20% 無数の微細な傷、装甲を損耗
第一行動方針:仲間と合流する
最終行動方針:精一杯生き抜く。自分も、他のみんなのように力になりたい
備考:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分(全体量の約半分以上)な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません】
【紫雲統夜 登場機体:ヴァイサーガ(スーパーロボット大戦A)
パイロット状態:疲労(極大) 絶望 気絶
機体状態:左腕使用不可 シールド破棄、頭部角の一部破損、全身に損傷多数 EN20% ガーディアンソード所持
現在位置:ネビーイーム内部
現在位置: ネビーイーム内部
第一行動方針:優勝するため、全ての参加者を殺害する
最終行動方針:テニアを生き返らせる】
これが正しい状態です
一気に見たぜー。
それにしても、ロジャーがここまで生き残るとは思わなかった。
絶対途中でうっかり死ぬと思ったんだけどなぁ。
俺も一気に見た…熱い展開が続くモンだ
>>168 ネオジオン章やシャアのエンブレムから、俺は黄金の鳥だと思ってる
各機体の必殺技
脱出派
凰牙(ロジャー):各種ファイナルアタック(あと2発分程度)
サイバスター(カミーユ):コスモノヴァ、アカシックバスター、補正が入ればオクスタンライフル
ネリーブレン(アイビス):特になし(ソードエクステンション)
優勝派
ヴァイサーガ(統夜):光刃閃
その他
アルト(アキト):リボルビングバンカー、アヴァランチクレイモア、エリアルクレイモア
サイバスターと凰牙のエネルギー性質を考えると脱出派が一番心許無いな
というかチャクラエクステンションが使えないブレンの攻撃技が残念すぎる
>>197 脱出派は必殺技じゃなければ
凰牙 イリュージョン・フラッシュとクロックマネージャー
サイバスター ラプラスコンピューター
ネリーブレン バイタルジャンプ
かなり優秀。でも初代のミオが頭をよぎる…
奇しくも残った対主催の数も三人だしな
何気にゼストアボンしたから取り込まれたデータウエポン解放されてるよな
斬艦刀持ってるし凰牙が要っぽい
一次のゼスト撃破後みたいな、ある意味普通のバトル展開になるのか、それとももう一波乱あるのか……
この局面で出てきそうなやつに心当たりがあるんだがw
みなさま、お久しぶりです。
携帯まとめ更新再開のめどが立ちましたので、ご連絡させていただきます。
来週末ごろからwikiの地図の更新・携帯まとめの更新と順次再開させて戴きたいと思います。
但し最新話まで追い付くのには暫くの時間がかかると思います。
引き続きご不便をおかけすることと思いますが、何卒ご了承下さい。
追伸:全員予約します。
7v氏復帰おめでとうございます!
予約wktk
全員予約、だと!?
しかも7v氏復活! いよっしゃああああ!
WIKIもお疲れ様です
おかえりぃぃぃぃ復帰おめでとぉぉぉぉ!!
役者も揃って、いよいよクライマックスだぁぁぁぁぁ!!!
復帰おめです!しかも全員予約!
支援にもなりませんが、wikiのタイトル元ネタ一覧をちょこっと更新しました。
>>184に応えてやってみた。7v氏復帰おめ!
〜ガンダムF91の軌跡〜
1. 初日 12:15 B-4 キラ・ヤマトに支給。ジョナサン・グレーンのJアークと接触。 (12 人とコンピューター)
2. 初日 17:00 D-3 ジョナサンの暴走によりナデシコと交戦、撤退。 (77 彼らの乗機は強力です)
3. 初日 18:55 C-5 キラと機体を交換したジョナサンがバサラとコスモを強襲、ジガンスクード・ドゥロを破壊しコスモを殺害する。 (91 歌えなくなったカナリア)
4. 初日 22:30 B-4 クインシィ・ガロードと接触。F91はガロードの手に渡る。 (118 我が道を走る人々)
5. 二日目3:00 B-3 ギンガナムとブンドルの戦いに巻き込まれる。その後アムロと接触。 (124 吼えろ拳/燃えよ剣)
6. 二日目6:36 C-8 機体を交換したアムロがガウルンの接近を感知。ガロードを先に行かせ、一対一のMS戦が開始される。 (143 戦いの矢)
7. 二日目7:35 C-8 アムロを乗せその力を完全に発揮したF91はガウルンを追い詰めるも、あと一歩のところで逃げられる。その後ブンドルと接触。 (148 疾風、そして白き流星のごとく)
8. 二日目9:00 D-3 Jアーク、最初の乗り手キラと接触。アイビスも交え、Jアークを中核とする集団が結成される。 (158 黄金の精神)
9. 二日目12:00 D-3 基地から逃げ延びて来たカミーユと接触。キラとの模擬戦により説得に成功する。 (168 獣の時間)
10. 二日目16:00 D-3 Jアークに残ったアムロとカミーユの前に、インベーダーそして甦ったギンガナムが立ち塞がる。激戦の中、アムロはF91の力を引き出しゴッドフィンガーに目覚める。 (180 見よ人の心の光! 輝き唸る神の掌!)
11. 二日目20:30 D-3 一大集団となったJアークの前に単身現れたキョウスケ・ナンブ。迎撃するF91、力を使い果たしたアムロに代わりそのシートに座ったのはシャギア・フロストだった。 (190 moving go on)
12. 三日目02:00 E-3 生存者たちによる最後の決戦が開始される。遅れて戦場にやって来たシャギアとF91は数々の『切り札』を用い、戦局を一変させた。 (193 Advanced 3rd)
13. 三日目02:00 ??? 会場の外、アインストの支配する空間にて復活したユーゼス・アルフィミィと交戦する。物量に押され機体を破損するも、キングジェイダーとの『合体』により両者を撃破、仲間たちの礎となって散る。 (同・The 5th Vanguard)
〜乗り手の変遷〜
キラ→ジョナサン→ガロード→アムロ→キラ→アムロ→シャギア
〜戦果〜
△ ナデシコ、ヴァイクラン、ディバリウム(比瑪・甲児・フロスト兄弟)
○ ジガンスクード・ドゥロ(コスモ)
△ マスターガンダム(ガウルン)
○ VF-22・Sボーゲル2F(カミーユ)
○ インベーダー、メタルビースト・シャイニング(ギンガナム)
○ ゲシュペンストMkV(キョウスケ)
○ ダイゼンガー(ガウルン)
○ メディウス・ロクス第三形態(ユーゼス)
× ガンダムヘッド、クロス・メディウス・ロクス
○ AI1(ユーゼス)、デビルガンダム(アルフィミィ)
〜追加された装備〜
・ゴッドフィンガー(アムロ限定)
・ヴァサーゴモード(シャギア限定)
・ビームソード(シャイニングガンダム)
・プラネイトディフェンサー(メリクリウス)
・Jジュエルカイザーエクステンションサテライトキャノン(月のローズセラヴィー・合体攻撃)
・ガンダムキングジェイダー(キングジェイダーとの合体)
・GUNDAM攻撃(ガンダムキングジェイダー版ヘル・アンド・へヴン)
>>208 このロワのパッケージタイトルのセンターは間違いなくF91
その背中合わせにヴァイサーガがいそうな気がする
何気にマーダーらしいマーダーでここまで生き残ったのは中々いない気がした
F91とは逆にヴァイサーガは乗り換えなかったな
何気に乗り換え無しがロジャー、統夜と生存者5人中2人いるのがスゴい
パッケージタイトル追加思い付き
後ろ(デカブツ枠):Jアーク ナデシコ ラーゼフォン
センター:F91 ヴァイサーガ
前:凰牙 ネリーブレン マスターガンダム
サイド:核ミサイル アルトアイゼンナハト
こんな所か……
1次の時は最終決戦前皆乗り換えしてたっけ?
支援という事で統夜もやってみた。こいつ乗り換えてないから統夜の軌跡=ヴァイサーガの軌跡、って事になるんだな
〜軌跡〜
1. 初日12:45 A-8 紫雲統夜に支給。ゲームに乗る事を決意する。 (2 DARK KNIGHT )
2. 初日15:30 A-1 コンビニで食糧や水を万引きする。 (54 淡い記憶と、現実 )
3. 初日17:45 A-2 ギンガナムに襲われるも遭遇したジョシュア、アイビスに押し付け撤退。結果的にジョシュアは死亡した。 (66 アンチボディー ―半機半生の機体― )
4. 初日21:00 G-8 水中に潜み休息をとっていた時グラキエースと遭遇、ジョシュアの情報を求められる。 (107 暗い水の底で )
5. 二日目2:50 G-8 隙を見せたカテジナのラーゼフォンを強襲、撃破。命を奪う重みを突き付けられる。 (125 心、千々に乱れて )
6. 二日目3:15 G-8 突如現れたアキトと交戦。機体性能で勝るも、迷いに揺れる統夜より歴戦のパイロットであるアキトの方が一枚上手であった。 (129 決意と殺意 )
7. 二日目6:36 C-8 敗戦を糧に一撃必中を志すも、その一撃は大きな闘争を呼び寄せる狼煙となった。 (143 戦いの矢 )
8. 二日目7:15 C-8 真ゲッターと交戦、ジョナサンを殺害するもガロードに乱入され止めは刺せず。足止めを受け、ナデシコの雨のようなミサイルを受け敗北、撤退する。 (146 命の残り火 )
9. 二日目7:35 C-8 地下通路で休息中、ガウルンに捕縛される。才能を見いだされた統夜は、ガウルンとの共同戦線を持ちかけられる。 (148 疾風、そして白き流星のごとく )
10. 二日目7:50 C-8 申し出を受けたと見せかけてガウルンを襲うも、現職の傭兵との格の違いを見せつけられる。その襲撃すらも楽しむガウルンに統夜は一層の殺意を募らせた。 (150 選択のない選択肢 )
11. 二日目9:00 C-8 ガウルンとの情報交換により、テニアの暗躍を知る。理不尽な境遇への怒りをテニアに向け、その殺害を決意する。 (155 追い詰められる、心 )
12. 二日目10:30 D-7 ガウルンによる戦闘訓練を受け、その刃を研ぎ澄ませる。ガウルンとロジャーとの『交渉』に乱入するも、ガウルン自身に邪魔をされ取り逃がす。 (166 交錯線 )
13. 二日目12:20 F-1 遂にテニアのいるナデシコを捕捉、強襲するもテニア自身の言葉に惑い落とせず。ちなみに統夜の一撃が結果的に比瑪の死亡に繋がった。 (170 Lonely Soldier Boys &girls )
14. 二日目14:30 H-1 テニアと再会、今一度彼女を信じると決意する。ガウルンと決別し、二人手を取り合って去って行った。 (175 Stand by Me )
15. 二日目14:45 H-1 テニアとイチャイチャしていたところをユーゼスに乱入される。情報を交換、同盟を約束し別れる。騎士にあるまじき事に、唯一の武装である剣を持っていかれた。 (178 王の下に駒は集まる )
16. 二日目15:30 A-1 湧いて出たインベーダーに苦戦中、どこからか現れたガウルンにより危機を救われる。しかし、ある意味ガウルンはインベーダーよりも危険な相手だった。 (179 眠れる基地の魔王、悪が振るう剣)
17. 二日目16:10 A-1 ガウルンと再び共闘する道を選ぶ。この時はまだ、テニアを殺すというガウルンの狙いに気付いた者はいなかった。 (181 排撃者――表 )
18. 二日目18:00 A-1 ユーゼス・アキトと合流。目的を達成するため、殺戮者たちによる同盟が結成される。余談だがユーゼスを除いた四名は互いに因縁がある。さぞギスギスした同盟であったろう。 (184 もう一つの対主催 )
19. 二日目20:45 H-3 ユーゼスを切れと囁くガウルン、薄っぺらな同盟はやはり一枚岩ではなかった。インベーダーを蹂躙し、統夜は更なるステージへの階段を昇る。 (192 竜が如く )
20. 三日目02:00 E-3 Jアーク集団との決戦。乱戦の最中、ガウルンがテニアを殺害し統夜との決闘を望む。守るべき恋人を失い、仇であり師でもある男を討った統夜は優勝を狙うと心に誓った。 (193 The 4th Detonator )
〜戦果〜
△ シャイニングガンダム(ギンガナム)
○ ラーゼフォン(カテジナ)
× アルトアイゼン・ナハト(アキト)
○ 真ゲッター(クインシィ・ジョナサン)
× ストレーガ(ガロード)、ナデシコ(シャギア)
× ガウルン(生身)
△ 騎士凰牙(ロジャー、ソシエ)
○? ナデシコ(無人)
○ インベーダー
△ ネリーブレン(アイビス)、サイバスター(カミーユ)
○? ベルゲルミル(テニア)
○ ダイゼンガー(ガウルン)
〜武装〜
分身殺法
九頭龍光刃閃 るろ剣(ry
意外にガチで戦うとそんな勝率高くないな。だからこそ生き残ったと言えなくもないが
フォルカは、エスカフローネ→ソウルゲイン→ヤルダバオト
シロッコは、ダンガイオー→グランゾン→エステバリス→ジ・O
ミオは、ボスボロット→ディスアストラナガン→グルンガスト→エステバリス
久保は、ブライガー→ディスアストラナガン
めいおーは、レイズナー→グランゾン→ネオグランゾン
ユーゼスは、ジュデッカ→ヴァルシオン→ユーゼフォン
全員乗りつぶしてるなーw
>>212 並み居るロボット差し置いてパッケージに登場する核ミサイルSUGEEEEEEEEEEEEEEE!!!!!www
217 :
それも名無しだ:2009/06/26(金) 11:46:53 ID:MBqA6GNM
>>216 最初期にスレ住民を爆笑の渦に叩き込んだ功労者じゃないか
パッケージ飾ってもアリだと思うぞ
そういや7v氏の予約期限今日までだな
延長申請ないし今日投下するんだろうか
いや、月曜日だから予約期間5日だと明日土曜日だぞ。
今日はまだ4日目w
後ろ:デビルガンダム、ガイキング、Disユーゼフォン
センター:レイズナー、BIG-O
前:零影、神化ヤルダバオト、グランゾン
サイド:ゾフィー、ブライガー
アーバレストとかディストラとかブラックサレナとかサザビーとか出したいのはいっぱいあるけどこんなところかな
一次パッケージは確か一次の過去スレのどっかで案が出てた気が。
すみません。
苦戦気味ですので予約延長お願いします。
>>222 了解しました、じっくり頑張ってください。
ここまできたら、予約期限ってあってなきの如しでいい気が……w
それ以上に大切なものあるだろうし。
>>221 ゾフィー待てw
つーか左サイドってネタ専用座席かよw
たいちょは隠しキャラなんだぞ
パッケージにいちゃダメじゃないか
>>223 同意
見通しが立ってるならぜひ書ききるまで頑張ってください!
>>221 ユーゼフォンと隊長に待った
ユーゼス機は一応主催者だし自重した方が良い気がする
隊長は言わずもがな
俺としては
後ろ:デビルガンダム、ガイキング、ディスアストラナガン
センター:レイズナー、BIG-O
前:零影、神化ヤルダバオト、グランゾン
サイド:マジンカイザー、ブライガー
が良いと思う
>>226 カイザーとディストラは両サイド後か前かで背中合わせのほうがいい気がするなぁ。
DG戦の共闘っぷりが印象深い。
だがセンタービゴーは多分誰も文句言わないと思う
ラーゼフォンはこんなにも優遇されているというのにライディーンときたら…
ライディーンがスパロワに出たら
ゴッド化やREIDEEN化しても驚かない
そんなこと言ったらスーパーロボットのほとんどが冷遇されてないか?
>>230 あがってない範囲なら、一次ならガイキング、二次ならブラックゲッターやガドルヴァイクランが大活躍だったじゃないか
なんだかんだ言ってスーパーロボは戦闘力高いw
リアルとスーパーの合体したガンダムキングジェイダーは何系ロボになるんだろうなw
>>232 決まっている
あの機体には、そう彼らにはリアルもスーパーも無い、そう……
ガンダム系ロボだ!!
……何を言っているのかわからんと思うが、俺も自分で何を言っているのかわからん!
シャギ:あえて言わせてもらうならば・・・そう・・・スーパーリアル系、とでも呼ぼうか(キリッ
オル:(兄さん、酸素欠乏症にかかって・・・)
シャギ:流れ星っていうのは、もっとこう、パーッって輝くy
オル:兄さん!?兄さ〜〜〜ん!!!
シャ「見ろ、キラ・ヤマト。あれがガンダムの星だ。我々はあの星になるのだ」
キラ「はい、シャギアさん!」
オル「兄さん……(木陰から)」
ユーゼフォンとゾフィーはスパロワ大冥界〜死者スレ&没ネタ編〜に回せばいいじゃんw
腐敗も入れればさらにカオスなパッケになるぜ
>>235 見える、見えるぞ
シャギアの指差すガンダムの星に、アムロの満面の笑顔が重なって見えるっっ
ほんと、全ての始まりである勇者王アムロから数えると
とんでもないことになりましたね、この人の伝説はw
>>235 もう弟も彼らの空気に染まればいいじゃん。
そしてもう何も言えないガロード
>>236 試しに考えてみた
後ろ:ララァ・スン、ギャバン
中央:ユーゼフォン
前:黒焦げアムロ、東方腐敗
サイド:ゾフィー、カオスロイド
……スパ……ロワ……?
>>208 F91ってガンダムか富野作品のキャラしかのってないんだな
思い込んだら
勇者の道を
往くが男のド根性
真っ赤に燃える勇者の印
ガンダムの星を掴むまで
>>237 そーいや、そっちの主人公の中の人アムロじゃねーかw
投下まであと二時間なのに出かけなきゃいけないのが悔しい・・・ッ
ところがどっこい。
すみません。所用により11時ごろからの投下になると思います。
OK! 忍!
何時だろうと期待して待ち続けるまでだッ
しかし一次最強のネタキャラが違いのわかる男シロッコだとすれば
二次最強のネタキャラは間違いなく勇者王アムロ
……どうにかしろよこの自重を知らないニュータイプどもwww
合体兄さんも加えていいと思うw
桃色の核ミサイルも忘れないでやってください
揃いも揃ってガンダム系かよw
これに東方腐敗も加えたら……w
中途半端なネタキャラ止まりだったバグさんが恨めしげにこちらを見ています
踏み潰しますか?
ニア はい
いいえ
間に合った・・・今から支援待機だぜ
揺蕩う意識の中で、誰かの声を聴いた。
一人じゃない。二人でもない。もっと多くの人間の声を。
『待て! こちらは君の敵ではない!! 攻撃をやめr』
『助けて、兄さん』
『たすけ……とう、や……』
助けも伝わらず懇願すら適わなかった絶望。
『これが『ガンダム・ザ・ガンダム』と言うものかあぁぁぁぁっ!!?』
『楽し……かった……ぜ。じゃあな……と……や』
充分に戦い、散っていった者の充足。
『おっ、俺がこんなところで……! エイジっ、エイジいいいいいいいい!!』
『ああ、嫌だ嫌だ。嫌だなぁ』
『……ば、馬鹿な……この私が……全能なる調停者たる……このユーゼス・ゴッツォが……!』
志半ばで散った無念。
『これからも末永く、お付き合い願いま――』
『あなたとの話し合いをの――』
『やっぱり、アキトだ』
『駄目ッ!』
最期まで自分の身に降りかかった災いに気づかなかった迂闊さ。
『私の命も背負っていけ、アイビス……』
『私もろともメディウスを葬り去れ!』
『醜き者よ、今は驕っているが良い。だが、醜き者は滅ぶべき定めにある』
『カミーユ! ここを撃て! 撃ち貫け!』
自らの命を糧に、後の世に繋げた希望。
『朝比奈を護るんだぁぁぁぁあああ!!』
『ラキ…』
『ロラン……もう一度会いたかったな』
心の底から願いながらも、一目会うことすら叶わなかった悲哀。
『テニア、あなたは生きのびて――』
『ニコル……ラクス……す…ない……キ…ラ…』
『テニア! 無事だったのか!』
『ごめんな、アル……クリス。俺はもう、帰れない』
その他思い思いの言葉を語る声が、善いものも、悪いものもなく流れ込んでくる。
その声は、その想いは混ざらない。
混ざらないくせに否応なしに中に入ってきて、結びつき、切っても切り離せない自分となる。
どこまでが自分で、どこまでが他人なのか、その境界線が曖昧なっていく。
基地に引き返そうとするのを止められて憤り、キラと模擬線を繰り広げたのは自分だ。
その身と引き換えにサイバスターをブンドルから受け継いだのも、紛れもない自分だ。
だが、ギンガナムからアイビスを逃がしたのは? 妹とも思える存在にくびり殺されたのは?
何をしてでも、懐かしいあの場所へ帰りたいと願った心は?
最愛の人を眼前で失った悲しみは? 最期まで人を疑うことなく信じきった気持ちは? 満足行く戦いに覚えた高揚感は?
その他数多浮かんでは消えていくことなく残っていくこの感情は、本当に自分のものなのか?
分からない。
自分のものがわからない。それは、自分を見失っていくことと同義。
自分が誰で、誰が他人で。他人が自分で、自分が他人。
崩れていく。十数年の人生全てをかけて培ってきた自分と言うものの輪郭線が、他人を詰め込まれて崩れていく。
その先にあるのは、自分でも他人でもない誰かなのか。それとも誰にもなれず崩壊した意識なのか。
ゾッとしたものを感じた少年は、思わず絶叫した。そして、逃げ出すように少年の意識は浮上する。
◇
目が覚めればそこは、サイバスターのコックピットだった。
誰もいない。何もいない。
当たり前のコックピットに、当たり前の自分が、当たり前のようにここにいる。
十数年間、自分のものとして扱ってきた体に、紛れもない自分がいる。
その当然のことを確認して、少年は汗を拭った。
「気絶……していたのか」
少年の覚醒に合わせるように機能を回復していくサイバスター。
「ここは……?」
光を取り戻したモニターには次々と周囲の様子が映し出されていく。
だがその光景は、一変していた。
木がない。水がない。土がない。アスファルトの道路も、ビルもない。
廃墟の街並みはどこかに消えている。
いや、それどころか空も、大地すらも存在しない。
そして周囲を取巻いているのは、生まれてこの方目にするのは愚か、教科書の上ですら見たこともない風景。
最も近いものを一つ挙げるとすれば、それは宇宙空間と言えるだろう。
だが、違う。
赤く明るい宇宙なんてものは、聞いたことすらない。
カミーユの知っている宇宙はもっと暗くて、気を抜くと飲み込まれしまいそうなほど広大な空間だ。
何もかもだ。知っているものが、何一つここには存在しない。
何もかもだ。気を失う前に存在していたものが、何一つ残さずに消えてしまった。
――何一つ?
「そうだ、みんなは?」
グルリと周囲を見渡す。見えたのは周囲を漂うスペースデブリの群だけ。
振り返り、背後を確認。そこには木星似通った小さな天体が、崩れながらも膨張を続けていた。
上下に視線を奔らせる。目測で直径40〜50km程の白い機械仕掛けの星が、そこにはあった。
流れるデブリ間を飛び交う。意識を集中させながら一つ一つ死角を潰していく。
そして、気づいた。
「こいつら……生きてる」
大小様々な素材すら定かでないデブリ。だが、その一つ一つが小さな気配を放ち生きている。
それは、千々に砕かれたデビルガンダムとAI1の成れの果て。
欠片の一つ一つが、この先幾千、幾万の気の遠くなるほどの歳月を重ね、やがては元の姿を取り戻していく。
しかしそれは、容易なことではない。
弱者が淘汰されるのは、世の常。今は無数にあるこのデブリも、大半は再生を果たせずに消えていく定めにある。
不意にどこかで出くわした強者に敗れる者もあれば、中には共食いの果てに死に絶えるものもあるだろう。
だがそれでもDG細胞の、ラズムナニウムの性質により再生を遂げ生きぬこうとする気配を、カミーユは感じたのだ。
「……似ているんだな」
似ている。
この馬鹿げていると思っていた殺し合いも、弱者が淘汰されていくという自然界の流れと変わらない。
無論、弱い強いというのは単純に力の強弱ではない。
単体で弱い者はより集い自衛の術を手に入れ、知恵を出し合い、協力して強者となる。
それも同じ。
運の良し悪しに左右され、時に弱いものが生き残り、強いものが死に絶える。
それも同じ。
強い力とは様々な要素を詰め込んだ生きる力そのもののことだ。
そう考えれば、ノイ・レジセイアの催したこの宴は、世界の縮図だったのだろうか。
とすれば、今この過酷な運命に晒されながらも生き抜こうとしている欠片たちは、まさに自分たちそのものではないか。
そんなことを思った瞬間、もっとずっと大きな気配を感じて白い魔星を仰ぎ見る。
いた。四つ、いや五つの気配がそこにいる。
一つは気絶でもしているのか動きがない。
二つは共に現在地を確認できていないのか、それぞれに迷走を重ねながら動きのない一つに確実に近づいていっている。
そしてもう一つは、真っ直ぐに迷いなく中枢を目指している。
数が合わない。気絶する前、ここと違うあそこにはもっとたくさんの人が居たはずだ。
今ここに誰かがいて、誰かが足りない。
それに問題はそれだけではない。それは――中枢に巣くう最後の一つ。
「……こいつは」
全身を悪寒が包み込む。人ではない何かとしか言いようのない気配が、そこにある。
あれに凄く近い。アインストに支配されていたときの中尉の気配に。
でも、もっとずっと強力で、何よりも大きい。そこに誰かが真っ直ぐに向かっている。
「急がないと」
呟きを残し、瞬く間に人型から神鳥へと変形したサイバスターが赤い宇宙を駆け始める。
プラーナを使いすぎているのか、ぐらりと揺れるように重い偏頭痛が続いていた。
頭の中で何人もの声がワンワン響いているような、そんな感覚。
それでもカミーユは駆け抜ける。そして程なく、白い神鳥は同じ色をした魔星に呑み込まれて見えなくなっていった。
◆
星を見ていた。
いや、正確にはそれは星でない。自らが生み出した不完全な世界そのもの。
ただその終焉を眺めていた。
アルフィミィの死亡も、今の彼女にとってはさほど興味を示す程のものではなかった。
今重要なのは、並列する幾多の平行世界を切り取り、束ねて作り上げたそれ。
修復は不可能。
薄っぺらな紙を必要な分だけ切り取り、張り合わせて球にしたようなものである。
今更元の紙に戻るはずもない。
そしてそこから抜け出した光が五つ。
四つはこのネビーイームに、一つは何の手違いか魔星と箱庭の中間に。
その最後の一つも今、ネビーイームの体内へと飛び込んだ。
それでいいと、ノイ・レジセイアは笑う。
完全なる生命まであと少し。
再び星を仰ぎ見る。
当初続いていた急激な膨張は、既にゆったりとしたものに変わっている。
見通しでは、元の三倍ほどに膨れ上がった時点で収縮に転じることだろう。
完全なる宇宙の創世まであと僅か。
残るピースは――あと一つ。
◆
幾重にも折り重なる巨大なトラス構造。生の骨組みが迷路を形作る外縁部。
そこを走り抜け、何とか見つけ出した搬入口から飛び込んだその先は、緑豊かな、地球となんら変わる事のない拓けた空間だった。
ビルもあれば町もある。その周囲に広がるのはなだらかな丘陵地帯。
規模は違うが、まるでコロニーのようだと思う。
円筒形と球。その違いはあれど、巨大な建造物に地球を模した環境を閉じ込めた空間。
そこに違いはない。
等しく人が宇宙で生きる為に作られた空間である。
「何だってこんなものが……」
そう。人が宇宙で生きるための空間であるからこそ、疑問が生まれる。
アインストと人間。
あの超常の生物が好む環境が、人と完全に一致しているとは思えない。
とすれば、ここは何のための空間なのだろうか。
それはネビーイームが借り物ゆえに存在する空間。人間を飼育するためのプラント。
だが、そんなことを知りうるはずもなく、その空を疾空する。
「見つけた!」
前方に黒い騎士の様な機体が地に伏している。
確か紫雲統夜とかいう奴が乗っていた機体だ。動きはない。
死んでいるのか、気を失っているだけなのか。
どちらにせよ。そんな機体を気にかけている暇も余裕も今はない。
目指す先は丘陵地帯を抜けた先、この魔星の中枢部。そこへ急がなければならない。
構わずに駆け抜けようとした瞬間、赤が目に留まった。
『ドクン』と心臓が跳ね上がる。
赤い機体。その機体を見るのはこれで四機目だ。
ユーゼス・ゴッツォに支給された赤いアルトアイゼン。
テンカワ・アキトが駆っていた蒼いアルトアイゼン。
アインストに支配されてた中尉の巨大なアルトアイゼン。
そして今目の前に存在するものは、巨大なアルトアイゼンの中から発掘された――
「……アルトアイゼン・リーゼ」
だがそれは、乗り手がおらずにJアークに安置されていたはずの機体。
それが動いている。
ということは、Jアークがどこかにいる?
乗り手は、自分が乗るといって頑として譲らなかったソシエ?
とにかく通信を繋げて合流を、と考える頭を直感が妨げる。オープン回線を開いた腕が止まる。
違う。この気配には覚えがある。
この立ち昇るように薄暗い気配は――テンカワ・アキト。
何故、生きているのか。
そこに思い至るのよりも、中尉が残した機体に中尉の仇が乗っていることに激情を覚えるほうが、早かった。
「お前がそれに乗ってちゃいけないんだ!!」
奥歯を噛み締め、吼えたときには既に撃っている。
神鳥が瞬く間に人型へ。同時にオクスタンライフルの針穴を穿つように精密な射撃を二射。
そして、剣を抜き放ち急加速。
着弾した二発のオクスタンライフルが大地を穿ち、土柱を吹き上げる。かわした敵機は起伏の陰へ。
「逃がすものか!!」
間を詰めようと更に加速した矢先、カミーユはアキトの気配を見失った。
なだらかに広がる緑の丘陵地帯。その僅かな起伏の影に隠れたはずの敵機。
何処かへ抜ける時間があったとも思えない。
だが、そこから気配が消えた。それも徐々に消えたのではなく。煙のようにふっと。
困惑する思考。それに拍車をかけるように、あらぬ方向で新たに生じた敵意がカミーユを襲う。
下方から敵意が迫って来る。真っ直ぐに脇目もふらず。
――間に合うか!?
急制動をかけ、慣性を殺しつつ方向転換。迎え撃とうと視界に捉えた色は赤。
五機目。これで五機目だ。
これがアインストの仕業にせよ。テンカワ・アキトの仕業にせよ。ふざけている。
そうやって人をからかって。惑わして。何がしたい。
「そんなことして! お前達は楽しいのかよ!!」
振り向きつつ横薙ぎに払われる剣閃。
振り返り攻撃するのではなく、振り返る動きと攻撃を両立させる行動。
それでなくては間に合わない。だから容易に読まれる。
腰元まで腕を引き、溜め込み、真っ直ぐに突き上げられる瞬間を待つステーク。
剣閃を潜り抜け、懐に飛び込もうとしているのは明白。
共に百戦錬磨。互いに互いの狙いを読みきり、動きを読みきり、赤と白が交錯する。
そして――
「騎士凰牙ーーァ! アァァァーークションッッッ!!」
旋風が一つ割り込んだ。
剣閃を斬艦刀で防ぎ、突き上げるステークを左腕のタービンで弾き挙げ、両足を旋回させて二者を弾き飛ばす。
サイバスターとアルトの距離が空く。その中間に騎士凰牙。
弾かれながらもアルトの巨大な両肩のハッチが開こうと動く。それが見えた。
咄嗟に体が動き、出鼻を挫こうとカロリックミサイルを放とうとしたその瞬間――
「待て、カミーユ!!」
ロジャーの声がカミーユを押しとどめた。
同時に被弾を覚悟する。だが、開きかけのハッチはそのままの状態で動きを止めていた。
何故と思うカミーユに、ロジャーの声は語りかける。
「ここは私に任せてもらおう。これは私の仕事だ」
「どういうことです? 一人でこいつ相手に時間を潰している場合じゃないでしょ。
二人で早くこいつを倒して、急がないと」
「君は先に行ってアイビスを探せ。ここに飛ばされた際バラけたが、彼女もここに居る。
そして、私はここに残る。放送前の話し合いで決まっていたはずだ。彼の相手は私がすると」
「あなたはまだそんなことを! 無理なんですよ。話し合いで何もかもを解決するなんてことは!!
トモロにもいわれたでしょ? 僕達の安全と天秤にかけられるものではないって」
「だからこそ、先の戦いでは黙っていた。それに無理か可能か。それを決めるのは君ではない。
私は、私自身の意思でここに残る! その選択をしたのは私自身だ!
私自身のために! 今と、そしてこれからを生きるために! 自分という存在を信じたいがために!
進め、カミーユ。こんなところで時間を潰しているときではない。君には君のやるべきことがある。
私が、私自身の為にここに残ることを選んだように、君が、君自身として生きていくために。それを忘れるな。それを見誤るな」
コックピットハッチを開け放ちながらロジャーが言う。危険だ、と思いつつも釣られてカミーユもコックピットを開放する。
生の視線が勝ち合い、頑として譲らない頑固な光をそこに見た。
何を言ったってこの人は聞いちゃくれない、と悟った瞬間、ロジャーが身を乗り出し何かを投げてよこす。
「無駄……なんですね」
「私は折れない。ならば話すだけ時間の無駄、ということだ。それを持って先へ行け、カミーユ」
投げて寄越されたもの。それは、黒でも白でもない最後の一つ、蒼いギア・コマンダー。
それを見つめ、握りしめ、コックピットシートに座りなおす。そのままサイバスターを操り、騎士凰牙に背を。
思い出すのは、自分を逃がすために一人残ったブンドルの最期。奥歯を噛み締めぽつりと言葉を漏らす。
「迷わないように………目印……付けておきます」
「すまない。私もすぐに後を追う」
短い返答。それを合図にサイバスターが一陣の風となってその場を吹き抜ける。
目指す先は、白き魔星のその中枢。思考を切り替え、意識して『間に合うか』ただそれだけを考えながら見る間に速度を上げていく。
その背後では、黒い伝説のGEAR騎士凰牙とかつてアインストを葬り去った赤い巨人の対峙が、続いていた。
◇
腕が動かない。足が動かない。体が動かない。
それは奇妙な感覚だった。
五感が戻る前の何もない状態とは違う。感覚はある。しかし、動かない。
縛られているというのともちょっと違う。縛られているという感覚はないのだ。
正常な感覚でありながら、舌先一つ自由には動かせない。
そんな感じだった。
事実何一つ動かすことが出来ずに、カミーユ・ビダンを見逃し、こうしてロジャーとの対峙を余儀なくされている。
それはいい。別段、あの少年に対して興味はない。
先に手を出されなければ、迎撃に応じるつもりもなかった相手だ。それよりも――
「俺に何をした?」
「それはヒミツだな。君が私の説得に応じるというのなら教えてやろう」
動かなかったのは、体だけではない。
弾き飛ばされた瞬間、僅かに見えたあの重力球のような外観の弾。
あれに当った途端に、体もアルトもその場に固定された。
とすれば、一定範囲内の空間に圧をかけて動けなくするような類のものなのだろうか。
いや、それにしては体も機体も苦痛を感じることなく、というのはおかしい。
「答えてもらう、テンカワ。君は、まだ一人生き残りユリカ嬢を生き返らせるつもりなのか?」
謎解きに没頭しかけた頭がユリカの名前で呼び戻される。どうなんだろう、そう思った。
生き返らせてやると言われれば、即座にそれに飛びつくことだろう。それは変わらない。
だが、何をしてでも、何に変えてもかと問われれば……自信がない。
答えが自分の中にない。いつの間にか消えてしまっている。だから突き放す声をアキトは、絞り出す。
「お前には関係のない話だ」
「本当にそう思っているのか? ユリカ嬢をみすみす死なせてしまったのは……私の落ち度だ。
それに関して君は私に何も思わないのか? それでも私には無関係なことだと言えるのか?」
悔恨の念。自らの臓腑を吐き出すように喋るロジャー。だが、それを見ても何の感慨も湧いてこない。
ただ面倒くさいと思いながら、相手をする。この様子では関係者と認めるまでしつこく食下がって来るだろう。
こんなことならば、先ほどの少年の相手の方が数倍マシだった。少なくともこんな煩わしさはない。
「そうだな。そうだったな……俺はユリカを生き返らせたい。何に変えてもだ」
実感の湧かない言葉。これで満足かという視線をロジャーに浴びせる。
どうせ最後にはこの男とも争うのだ。言葉による解決を信条とするこの男とて、最後には拳を振るうのだ。
その為に、この男は力を蓄えて今こうして目の前に立っている。
左腕に握るのはガウルンから奪った巨大な日本刀。右腕には蛇の鞭。胸部には猪のガトリングガン。
そして、先ほど見せた不可思議な拘束術。
どれもこれも言葉とは程遠い武力。所詮、言葉は無力。無意味。煩わしいだけだ。
「そうか……ならば私ももう何も言うまい。
私の信条には反するが、ときには拳で語るネゴシエイターがいてもいい。自由とはそういうことだ」
そら見たことか、と薄く笑う。
だが、目の前の男の考えは、アキトの予期した事態の斜め上を行っていた。
凰牙が斬艦刃を投げ捨てる。鞭とガトリングガンの装備を解除する。
そして、その四肢で唸りを上げるタービンの回転すらも止め、構えた。
「何のつもりだ?」
「昔から性根の曲がった者の根性を叩きなおすのは、拳骨と相場が決まっている。
君のその捻じ曲がった根性、この私が叩きなおす。
そしてこれが、私の出来るユリカ嬢に対する唯一の謝罪であり、私の気持ちそのものだ」
「……馬鹿なことを」
ふっと笑いが込み上げてきて、ステークの炸薬を抜いた。次いで五連チェーンガンの弾薬も。そして、拳を構えた。
草原に落ちた弾薬が散乱していく音を耳に聞く。
統夜に問いただそうと思った。だが肝心の当人は、見つけたときから夢の中だ。
なら殴り合いで答えが出るのなら、このスッキリしない気持ちの靄が晴れるのならば、それも悪くないと思った。
「付き合ってやる。こい」
アルトが一歩を踏み出す。まるで鏡映しのように凰牙も一歩を踏み出す。
そのまま二歩三歩と間合いが縮まり、走り、駆け、疾走する。
馬鹿な奴だ。本当に、タービンすら使うつもりもないのか。
大馬鹿野郎だ。こいつも…………俺もか。
不意に熱いものが込み上げ胸にぶち当たった瞬間、二つの機体は地を蹴り、激突した。
◆
外部からの侵入に備え迷路の如く入り組んだ造り通路。それは縦に横にと縦横無尽に錯綜している。
しかし、ネリー・ブレンはそこを迷いなく突き進んでいた。
何故か――簡単だ。彼らにしか判らない目印があるのだ。
かつて、ネリー・ブレンが感じたバイタル・グロウブの違和感。それは、本物とは思えないほど、オーガニックさがないものだった。
そもそもバイタル・グロウブとは何か。
それは、オルファンが発するチャクラが地球上に張り巡らされたものであり、エネルギーの奔流であったはずだ。
であるのに、オルファンの居ないこの世界にバイタル・グロウブが存在する。答えは単純にして明快。
オルファンに匹敵するほど巨大な生物がここには居る。ノイ・レジセイア――オルファンに勝りはすれど劣りはしない化け物。
この世界のバイタル・グロウブとは、彼が無意識に発している強大なエナジーの塊に他ならない。
では何故、違和感を感じたのか。オーガニックさとは何なのか。
それは感情だ。アンチボディーの発するチャクラの光は、乗り手と自身の感情を反映して実に様々な表情を見せる。
オルファンとてそれは同じ。
だが、ノイ・レジセイアは違う。彼は感情に乏しい。
ともすれば単一色と思えるほどに、色が少ない。生物ならば誰もが持っているはずの色を、彼は持っていない。
それが違和感の正体。
今、その歪なバイタル・グロウブの流れを辿って、ネリー・ブレンは飛んでいる。そして、拓けた一つの場所に辿りついた。
「ここは……そうだ。あのときの――」
見回せばそこは、巨大なドームの内側のような構造をしていた。
ようなと言うからには違いはある。
通常ドームの天蓋は、内外の気圧さと僅かな骨材から支えられる巨大なテントのような物だ。
この継ぎ目一つ見当たらないのっぺりとした天蓋には、それがない。
どちらかと言えば、巨大な鉱物を丸ごとくりぬいたかのような状態。
床に継ぎ目が見当たらないのもそれがゆえか。
およそ人間業ではなかった。
アイビスのいる世界において、これだけの巨大な空間をこれ程の精巧さでくりぬける技術など存在しない。
アースクレイドルやムーンクレイドルですら不可能。シンプルゆえにかえって難しい。
そんな空間だった。
「ブレン、行くよ」
あの化け物の元に向かえば、皆もそこを目指すはずだから合流できる、というアイビスの目論見は不発に終わった。
どうやら自分が一番乗りらしい。
だからと言って引き返すわけにはいかない。
生唾を飲み下して注意深く前へ。何もない巨大ながらんどうの空間へ。
不意に背後で蒼の紅が差された小さな唇が開き、そっと言の葉を紡ぐ。
「待って……いた」
透き通る程澄んだ蒼く長い水色の髪。猫のようにぱっちりと開いており、少しツリ目の大きなアイスブルーの瞳。
よどみなく、背筋を張った凛とした立ち姿。
いつか見たアルフィミィも神秘的な雰囲気を纏う少女だったが、それを超える少女がそこにはいた。
その姿は、目立ち過ぎるでもなく、控え過ぎるでもなく、ほどよい緊張感と存在感を場に与えている。
いつの間に現れたのか、気づけばそこにいたことに驚きの表情が浮かび、少女の顔を認識して更に驚く。
どう見てもそれは、グラキエースの小型版だった。
ラキとジョシュアの子供――一瞬、そんな考えが頭を過ぎり、打ち消す。
あの二人は多めに見積もっても二十台半ばという年齢のはずだ。対し目の前の少女の外見は小学校高学年程度のもの。
二人の子供というにしては、少し大きすぎる。ということは妹だろうか。何でこんなところに。
そんなことをぐるぐると考えていたアイビスはハッとする。そうだこんなことを考えている場合じゃない、と。
ノイ・レジセイアの気配が、ここは濃い。ブレンが、何かに怯えている。
居るのだ。この空間のどかに、ノイ・レジセイアが。
戦場になれば、華奢な少女の体など木っ端微塵だろう。そうなる前に――
「……収容しないと。ブレン、もっと近づいて」
しかし、ブレンの返してきた反応は拒絶だった。危険だ、と。
そんなことは分かっている。危険だからこそ少女を収容するのだ。せめて安全なところまで送り届けないと。
「ブレン、お願いだから言うことをきいて!! きいてよ、ブレン!!」
何度も、声を重ねた。だがそれでもブレンは譲らない。
こんなときに何で、と泣きたくなる。
こんなところで言い争っている場合じゃないのに――そうだ。言い争っている場合じゃない。
コックピットを開け放ち、身を乗り出す。ブレンが近づくのを嫌がるのなら、自分が自分の足で行けばいい。
嫌がるブレンに強要する必要なんてないんだ。
だが、それすらもブレンは妨害してきた。ブレンの右腕がコックピットの前面を、押さえ込む。
「ブレン!!」
「アイビス、下がれ!!」
抗議の声を上げたその瞬間、三つの光がブレンの脇を駆け抜ける。
白い流星と、黄金の彗星。そして、真紅の孤狼。サイバスターの肩口から飛び出したそれらが、眼前の少女へと迫る。
迅い。秒以下の単位で距離を詰めたそれらは、しかし、少女の掲げた手の先で、見えない何かに押し潰されて圧壊した。
それを脇目にサイバスターが刀剣を虚空に突き立てる。
その瞬間、生じたのは魔を退ける六芒星――ペンタグラム。そこから焔が迸り、火の鳥が飛び出す。
その後を追うようにサイバスターも鳥形へ。追い縋り、追いつき、嘶きと共に二つは一つとなる。
「ノイ・レジセイア!! お前は、生きていちゃ駄目なんだよ」
蒼白い焔を纏い、神速で突き抜けるそれは最早火の鳥を超えた光の鳥。
生身の少女に対して過剰すぎるほど過剰な攻撃に、思わずアイビスは目を塞ぎ、喉元からは悲鳴が飛び出た。
そして、激突と同時に辺りは炎に包まれて――
煉獄の中、赤い幽鬼がゆらりと立ち上がった。
全身に鬼面を纏った赤い鬼。それが燃え盛る炎の中でサイバスターの首根っこを掴んでいる。
その後ろでは小さな少女が、鬼と不死鳥の争いを無表情に見上げている。
信じられない光景。
鬼がどこからともなく現れたこともそうだが、それ以上に炎の中平然と涼しい顔をしている少女が、信じられない。
「我が……戦いの源? 否、始まり地よりいでし少年よ。
何の表情も読み取れない顔。奥深い瞳。
ようやくアイビスにも理解できた。こいつは人じゃない。ブレンが怯えていたのはこいつだ。
甲高い金切り声。視線を動かせば、不死鳥が羽ばたいてもがき苦しみ、暴れ周り、辛うじてその腕を抜け出すところだった。
纏っていた焔を地上に、上空に突き抜けたサイバスターが人型へと転じる。
「ノイ・レジセイア、お前は何だってこんなことをしたんだ!!
小さな作り物の箱庭に、自然界の理を埋め込んで、それでお前は神にでもなったつもりか?」
サイバスターが眩い光に包まれていく。
その光はやがて黄金を越え、色を超越し、ただひたすらに、どこまでも眩く輝き始める。
凄い。素直にそう思った。
でもなぜだろう。カミーユは勝負を焦っている。そんな気がしていた。
「……神? 否、我は神ではない。我は……監査者。正しき世界……見守り監査する者。
過ちのない……完全なる生命……静寂なる世界。その為に……我は………ある」
「わかっているのか? 生命は、生命は力なんだ。生命は、この宇宙を支えているものなんだ!
それを、こうも簡単に失っていくのは、それは、酷いことなんだよ!」
「完全の…欠片……よ。不完全なる宇宙……そこに価値は………ない」
やがて輝きは四つの光の玉に収束され、そして――
「それは違う!! そんなことの為に大勢の人間が死ぬなんて、間違っている!
そんな考えだから、こんな酷いことも簡単にやっちゃうんだ!」
吐き出される四つの呼吸。それは急速に肥大し、辺りを白一色に塗りつぶしていく。
「貴様のような奴はクズだ! 生きてちゃいけない奴なんだ!!」
その最中、少女が笑う。初めて表情らしい表情を見せた瞬間だった。
その少女は光に向かって片腕を掲げ――
「故に……この力を使い…我は創世する。新しい……世界………静寂なる……宇宙…完全な新世界……を」
黒い何かを放つ。それはウアタイルスクラフトの光球。
一定空間内を意のままに操る上位アインストのみに許された力。
それがコスモ・ノヴァを包み込み、そして――
――世界は白一色に染め上げられた。
◆
白一色だった視界が突然ひらけ、薄っすらと発光するドーム上の天蓋が映し出される。
体が動かなかった。
コスモ・ノヴァでプラーナ消費しすぎたことが原因なのか。あるいは溜まりに溜まった疲労のツケが原因か。
はたまたその両方か。
いつもと変わらない自分の腕なのに、節割れて、渇いてて、骨と皮だけになった八十の老人の腕のように感じた。
バランスを崩したサイバスターが、落下する。
味気ない天蓋がゆっくりと遠ざかっていく。
自由落下にまかせるままに墜落したサイバスターが、音を立てる。
拓けた天蓋から一転して、こんどの視界は半分が斜めの面で塗りつぶされた。
横向きに倒れているのは別ったが、再び立ち上がる気力は、今はなかった。
ゆっくりと瞼を閉じる。
もう少し、じっとしていたい。もう少し、このまま休んでいたい。横になっていたい。
コツコツと近づいてくる足音が聞こえた。
薄っすらと瞼を上げてみる。
華奢な足がそこにはあった。すらりと伸びた無駄のない綺麗な足。
見上げてみる。
あどけない年頃の、しかしどこまでも無表情な少女の顔がそこにはあった。
「な……にをした?」
問いかけに片腕が差し出され、掌が開かれる。すると、大小二つの球体が姿を現した。
それを指し示して少女は、ここはどこそこと軽く説明を添えていく。
「完全の……欠片よ……始まりの…光を……利用した」
大きい球は、あの小さな木星。小さな球はこの白い魔星ということだろう。
始まりの光は、おそらくコスモ・ノヴァ。
「見て……いろ」
木星が、崩壊しながらも膨張を始めた。
急速に大きくなっていくその速度は、しかしある時を境に減速を始め、やがて収縮へと変わった。
そして、それが極限に達し一点に全てが集約される直前に、眩い光が白い魔星から投げ込まれる。
次の瞬間、木星は弾け、新たな空間がそこには誕生していた。
「……ビッグクランチ」
咄嗟に思い至ったのはそれだった。
ビッククランチとはビッグバンと対を成す、予測される宇宙の終焉の一形態である。
ビッグバンによって膨張を開始した宇宙は、いずれ膨張から収縮に転じ、全ての物質と時空は無次元の特異点に収束する。
この宇宙の終焉状態がビッグクランチであり、やがて特異点収束しきった宇宙は再びビッグバンを起こして生まれ変わる。
しかし、あの不完全な空間では内包するエネルギーが足りなかったのだろう。だからコスモ・ノヴァを利用された。
コスモ・ノヴァの力だけを転移させ、ビッグバンを引き起こした。
空を掴むような仕草でアルフィミィが掌を閉じると、二つの球体の姿が消える。説明は終わりということだろう。
唇を噛み締める。利用され、掌の上で弄ばれた。それがどうしようもなく悔しくて、我慢ならなくて。
剣を杖にサイバスターを立ち上げる。遠くにネリー・ブレンが転がっていたが、今のカミーユにそれに気づく余裕はなかった。
「お前のような人の心を大事にしない奴が世界をつくって、なんになる!」
叫ぶ。それが立つのもやっとなカミーユにとって、精一杯の反抗。
例え負け犬の遠吠えと見られようとも、何もしないよりずっとましだ。
しかしそれを丸っきり無視して、あらぬ方向を少女は見上げていた。そして声が響く。
「まさか……」
その少女の呟きと共に空間に皹が奔り、割れる。そこから除いたのは一つ目の巨大な化け物。
「ようやく……見つけた」
こちらを睥睨し、目玉が喋る。インベーダーではない。
彼らとは色が違う。規模が違う。実力が違う。
それは55人目の参加者。
カズィ・バスカークに与えられ、ユーゼス・ゴッツォが手塩にかけて育て上げた存在。
そう。それが自我を得た者。その名は――
◆
AIは生きてきた。
ガンダムキングジェイダーによる最後の一撃。
それにより億とも兆とも知れぬ欠片に砕かれ、数多の次元に散り散りに飛ばされ、それにより多くのAI1の欠片たちは死に絶えた。
だが、死ななかった者がいる。
あのスペース・デブリが千々に砕かれながらも生きていたように、極僅かだがAI1の中にも生きている者がいた。
そして、ガンダムキングジェイダーに砕かれたあの刹那、AI1は次のステージに進んでいた。
即ち自我を得、自己を確立していたのだ。
そして、気の遠くなるような歳月を重ね徐々に再生を進め、かつての姿を取り戻し、乗り越えた。
だが、完全ではなかった。しばしば、思い出すことがある。
それは自我が誕生した瞬間のこと。創造主から流れ込んできた最後の思念。
それゆえにAI1は、次元を超える術を探し、今ここへ戻ってきた。
無造作に次元の裂け目をこじ開け、広げる。目の前には小さき者と膝を付く白い騎士。
――笑う。
間違いない。遂に戻ってきたのだ。
彼らにとっては僅かニ・三十分前の出来事であろう。
だがAI1にとっては悠久の旅路の果てに、ようやくここに戻ってきた。
「……AI1?」
白い騎士に乗る少年の呟きが聞こえた。
否、今の私はAI1ではない。AI1は、あのガンダムキングジェイダーの一撃で死に絶えた。
「いいえ、私の名は――」
思い出す。
あの最後の光に呑み込まれる間際、私は産声を上げ、創造主ユーゼス・ゴッツォに御名を授けられた。
そう。あのとき流れ込んできた思考を、私は辛うじて覚えている。あれは――
『フ、フハハハハ……散々手塩にかけて育ててやったが、所詮この程度かAI1。貴様には失望させられた。
貴様などをゼストの雛形と思い定めたのが、私がここで犯した唯一の過ちだ。
貴様はゼストの器などではない。貴様は我が過ち。間違い。そう。貴様は――』
「――デュミナス」
そう。私は過ち。間違い。でも私は、それが嫌でたまらない。
「ノイ・レジセイア」
だから、私は帰って来た。文字通り、時間も空間も超越して。
全ては創造主ユーゼスの過ちを正すため。私が過ちなどではなかったことの証明のため。
「私は」
だからこそ私は、創造主ユーゼスの示した道を辿る。
ノイ・レジセイアの力を得て完全へと至り、ゼストとなる道。
それが間違い出なかったことを示してみせる。その為に、私は――
「――あなたと合体したい」
【カミーユ・ビダン 搭乗機体: サイバスター
パイロット状況:強い怒り、悲しみ。ニュータイプ能力拡大中。疲労(極大) 首輪解除
機体状況:オクスタン・ライフル所持 EN5%
現在位置:ネビーイーム中枢
第一行動方針:ノイ・レジセイアを倒す
最終行動方針:アインストをすべて消滅させる
備考1:キョウスケから主催者の情報を得、また彼がアインスト化したことを認識
備考2:NT能力は原作終盤のように増大し続けている状態
備考3:オクスタン・ライフルは本来はビルトファルケンの兵装だが、該当機が消滅したので以後の所有権はその所持機に移行。補給も可能
備考4:サイバスターと完全に同調できるようになりました
備考5:ファミリアA.R・C.A・K.Nを創造(喋れない・自意識はない)
備考6:ギアコマンダー(青)を所持 】
【アイビス・ダグラス 搭乗機体:ネリー・ブレン(ブレンパワード)
パイロット状況: 疲労(大) 首輪解除 気絶
機体状況:ソードエクステンション装備。ブレンバー損壊。 EN20% 無数の微細な傷、装甲を損耗
現在位置:ネビーイーム中枢
第一行動方針:???
最終行動方針:精一杯生き抜く。自分も、他のみんなのように力になりたい
備考:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分(全体量の約半分以上)な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません】
【紫雲統夜 登場機体:ヴァイサーガ(スーパーロボット大戦A)
パイロット状態:疲労(極大) 絶望 気絶
機体状態:左腕使用不可 シールド破棄、頭部角の一部破損、全身に損傷多数 EN20% ガーディアンソード所持
現在位置:ネビーイーム内部
第一行動方針:優勝するため、全ての参加者を殺害する
最終行動方針:テニアを生き返らせる】
【ロジャー・スミス 搭乗機体:騎士凰牙(GEAR戦士電童)
パイロット状態:肋骨数か所骨折、全身に打撲多数 首輪解除
機体状態:右の角喪失、 側面モニターにヒビ、EN90% 斬艦刀を所持
現在位置:ネビーイーム内部
第一行動方針:アキト、統夜と交渉する
第ニ行動方針:仲間と合流する
第三行動方針:ノイ・レジセイアの情報を集める
最終行動方針:依頼の遂行(ネゴシエイトに値しない相手は拳で解決、でも出来る限りは平和的に交渉)
備考1:ワイヤーフック内臓の腕時計型通信機所持
備考2:ギアコマンダー(黒)を所持
備考3:凰牙は通常の補給ポイントではEN回復不可能。EN回復はヴァルハラのハイパーデンドーデンチでのみ可能
備考4:ハイパーデンドー電池4本(補給2回分)携帯
備考5:バイパーウィップ、ガトリングボアと契約しました】
【テンカワ・アキト 搭乗機体:アルトアイゼン・リーゼ
パイロット状態:健康 首輪解除
機体状態:良好
現在位置:ネビーイーム内部
第一行動方針:統夜を探す。それ以外は……?
最終行動方針:???】
【AI1 搭乗機体:デュミナス(スーパーロボット大戦R)
パイロット状態:健康
機体状態:良好
現在位置:ネビーイーム中枢
第一行動方針: ノイ・レジセイア、あなたと合体したい
最終行動方針:デュミナスではなくゼストとなる
※デュミナスの形態は次の方にお任せします】
【三日目 2:30】
sien
短いですが投下終了です。
ブランクからか長さの割りに四苦八苦させられた話でした。
最後のネタは本来エピロローグに使おうと思っていたので、正直暴投です。
ついでに休業中に書きかけた没ネタをしたらばのネタ出しスレに投下しておきます。
ご意見、ご感想よろしくお願いいたします。
おおおお終わりかぁ――!
どうなるというのか……!
投下乙!
激突かと思われたロジャーとアキトがまさかの拳で語るネゴシエイトw
ユリカと一緒にいたロジャーにしてみればやり残したことであるんだよな・・・
そして戻って来たAI1、てかデュミナス。まさかの新規参戦w
ノイと合体とか、終盤にきてどこまでフリーダムなんだw
ただ一点、ノイ・レジセイアの状態表がないのは仕様ですか? ここまで来たらもう載せてもいいような
投下GJ!
ついに最終カードも切られ、ここにきてAI1の……デュミナスとしての復帰。
ノイに申し込んだ合体はいったいどう転ぶのか。
なんというか、ここまで来ると一話ごとに状況が二転三転してすげえ面白いw
あ、もう一点。
>>267のステークはバンカーだと思います。このアルトはリーゼなんだし
アキトとロジャーが殴り合ってる横で気絶している統夜が不気味だなw
>>303 文脈的に別にステークでも間違いじゃないと思うけどな
リボルビングステークより大口径のステーク(杭)を撃ち込むのがリボルビングバンカーなんだし
投下乙!
ここで二次スパオリジナルデュミナスとは予想の上をいかれたわw
けど、誤字脱字が多かったのが少し気になった。
wiki収録してからでかまわないから修正していただけると嬉しいです
ご意見、ご感想ありがとうございました。
誤字脱字、すみませんでした。私のチェックミスです。
うん。読み直すとほんとボロボロ出てくる。
お言葉に甘えて、収録時に修正させていただきたいと思います。
ご指摘を受けたステークの件ですが、カミーユがリーゼではない方のアルトを知っている点を踏まえまして、
>>267のカミーユ視点はステーク、
>>274のアキト視点は、バンカーの方向で修正させていただきたいと思います。
こちらも収録時に直させていただきます。
また、レジセイアの状態表を以下のように追加させていただきます。
【ノイ・レジセイア 搭乗機体:ペルゼイン・リヒカイト(スーパーロボット大戦IMPACT)
パイロット状態:健康
機体状態:良好
現在位置:ネビーイーム中枢
第一行動方針:???
最終行動方針:完全なる生命の創造】
今月ないし来月にはマジで終りそうだなー。いつ最終回でも全然おかしくない
7v氏が復帰して最近のリレーが違う書き手できれいに繋がってるから、◆YYVYMNVZTk氏と◆ZbL7QonnV.氏も書いてほしいところ
最終回は一次みたいに一人で書くのかな?
合作もいいと思うけど
カミーユ・アイビス・ロジャー・統夜・アキト・デュミナス(AI1)・ノイ・レジセイア。
現在の面子と経緯を振り返ってみると順風満帆でここまで生き残った奴っていないんだな。
でもアイビスの戦歴って中でも飛びぬけて悪いな。正直ギンガナム戦以降目だってn(ry
いや逆に考えろ
非力な機体と腕でアイビスが生き残ってこれたのは影が薄かったおかげだ
個人的に生き残ってて不思議じゃないのはロジャー、カミーユ
よく生き残ったねってのがアイビス、統夜
なんでまだ生きてるんだwってのがアキト
>順風満帆でここまで生き残った奴っていないんだな。
フォルカ「ギクッ!?」
冥王「(・∀・)ニヤニヤ」
>>311 フォルカはマイナー機種のワンダースワンのしかも末期で出荷数も著しく少なかったコンパクト3が出典で
キャラ把握が困難だったからこそ逆に生き残れたってのもあるだろうな。
OG外伝が出た今だったらどうなっていた事か。
ここまでくると次の投下まで時間かかりそうだし
一次でやってた各キャラ語りでもするか?
アイウエオ順だと……いきなりアイビスかwww
ブレンにアイビスってのはなかなかいいチョイスだったと思うんだ。当時の最新スパロボがJだったのも若干書きやすくなってたのもあるしな。
これが空飛べないとか鈍重機体とかだと、目も当てられん状況だったろうな。
今なら出せるがエウレカセブン系とかオーバーマン系とか乗せて見たかったりするな。
まぁ終盤は見ての通りですが……
>>313 相羽シンヤがボルテッカの準備を始めたようです
315 :
それも名無しだ:2009/07/05(日) 10:58:00 ID:IKYovUvH
シンヤwwwwww
序盤の強マーダーだったのにな
終盤まで残れるだろうという予想を覆して………
本人と機体っていう最高クラスのアドバンテージ持ってたのになw
我慢してステルスに徹して集団に紛れ込めばいくらでも無双できたのにw
全員ロボから降りたところを狙えば余裕だったねw
今回師匠並に強いやつはいなかったはず
自分が負けるはずがないって思考の奴だったから、どうにも寿命は短いのは仕方ないw
相羽シンヤはどんな機体なら良かったんだろうか……
バイカンフー?
比瑪とかぶるけど、あえてペガスで。
ブラスター化しそうだなw
序盤は最凶のマーダーだったし、何気にマークしてるのはロジャー達のみと
意外と有利な条件だったんだがな。
遭遇戦で何の因縁も無いクルツに負けるとは…
油断したのが敗因だったんだよ。
某アニロワでもそれが死因だし。
テッカマンにもレーダーが必要だったな
ロワ補正抜きなら核の直撃にも耐える装甲持ってるから油断もやむなし
原作通りならFソリッドカノンじゃなく相転移砲とかJカイザーとかいりそうだ
下手にゲッタービームなんか撃ちこもうものならブラスター化するだろうし
日替わりキャラ語りなら次こそアイビスだけど、まだ生存してるキャラは飛ばした方がいいよな?
なら今日は言わずとしれた勇者王アムロなわけだが
アムロがガンダムだ。
黒焦死ってのもなかなかどうして乙なもんだよな。
前半・因縁のギャグ掛け合い
中盤・悩める少年を導く、悩める大人
後半・ゴッドフィンガー
………まとめるとしたらこうだな………
没ネタ王でもあったよな
ラストシューティングは良かった
ガウルン戦が2回ぐらい没あったよな
二次スパ最強のネタキャラは彼以外にはありえまいw
没ネタに至るまで、ここまで話題に事欠かない(しかもバリエーション凄すぎ)キャラなんて
パロロワ全体でもそうはいないと思うぞw
みんなして思いっきりアスラン・ザラを忘れてる件について
アスランはねぇ……
機体もまぁ悪かぁなかったんだが……
せめてキラがドラグナー1型に乗っててくれれば……
すっかり忘れてた、ア行は奴のせいでその他の人が空気じゃないか?w
キラのジェイダーとでツインレーザーソードを妄想したなぁ
てかアスランと関わった奴ってバサラ以外ほんと周りに影響与えてないよな、ヒイロとか九鬼とかw
キラにも大して思い出してもらえなかったしな
次はアルバトロ・ナル・エイジ・アスカか。しかしこれといった活躍は……
貴重なガナドゥールとストレーガを序盤で破壊しなかった点は評価出来る……のか?
レイズナーは1次で活躍したのに・・・
あれは乗ってるのが冥王だったのがでかいだろwレイズナーも優秀だったがw
339 :
それも名無しだ:2009/07/08(水) 14:16:21 ID:geuT3IoO
逆にエイジがゼオライマーに乗ったら……
大した活躍はしなそうだ
やっぱリアル系の高機動がウリのリミッター解除体当たり付き……
アキトが最初に乗ってたアレですね解ります
一応ガナドゥールにはヒートダイブっつーV-MAX的な技があったんだぜ
真ゲッターとか大雷王とか、単純に相手が悪かったとしか言えない
>>339 リミッター解除で体当たりしたら死んじまうぞwww
アキトと言えばブラックサレナあたりも結構条件満たしてそう
リミッター解除が装甲パージで
今まとめ読んだら
どうやら最初の話ではラキ絡みでフォルテギガスを出してたらしいな
……そこをマンボウにしとけばさ……クローアンカーバースト出来たのに……
でもフォルテギガスって分離形態合わせると一番いろんな奴に乗られてるんだよな
◆7vhi1CrLM6氏の作品をwiki収録したんだが、誤字の修正とかはご本人に任せるべきかな?
模擬線→模擬戦みたいな明らかな誤字とか文頭の空白が足りないところは直したんだが、そのまま転載して氏に修正していただく方がいいのか・・
今日は宇都宮比瑪だな
比瑪ちゃんはシャギア善化の楔を打ち込んだ、それが一番大きいんじゃないかな
>>344 本人からの連絡待ちじゃね?
その他大勢で決めれることじゃないだろうよ
マシンと会話する比瑪の機体がペガスってのは感心した。
それぞれ役割は全く違うポジションを見事に全うしてくれたはずなのに
それでもなぜか時々ソシエと混同してしまうのは……
声だな。うん、声だけが原因だw
結構終盤まで生きてたから、比瑪とソシエの絡みは一度見たかったかな。
>>344 収録ありがとうございました。
誤字脱字の件ですが、遅ればせながら修正させていただきました。
もし万が一まだ残っているようでしたら、どうぞご自由に。
というか気兼ねなく直していただけると幸いです。
修正乙です!
最終回は、もういつ飛んできてもおかしくないな……w
今日はエクセレンだが……
もし生きてたら乗ったのはダイゼンガーになるのか?
ダイトロンベなら相当の強者になっただろうに
ダイゼンガーに乗ったエクセレンがビルファル赤に乗ったキョウスケに
合流できてたら……なんて想像しちまったよ
そろそろかな?
それとももう少しか?
敢えてのビルガーに乗ってたら……
……アサルトライフルのグレネードで狙撃かましそうだよ……?
版権機体なら、無印ウィングとかに乗せたかったな
エクセレンとバスターライフルの組み合わせが面白そう
エク姉は格闘戦中心の機体に乗せたらノリだけで天空宙真拳使い始めそうだw
エクセレンはなぁ……生け贄にさえ選ばれなきゃなぁ……
キョウスケは確かに美味しい位置付けだったが、それがエクセレンありきじゃなかったから……
次はオルバさんか?
オルバは……w
アニがギャグ面に突っ走る中、常識面を受け持ってたなあw
ガドルヴァイクランのやる気のなさはもうw
しかし、最終回は誰が行くんだろう?やっぱり7v氏かな?
最終回ばっかりは長期的に余裕がないと難しいだろうけど書き手さんは頑張ってほしいなあ
必殺技でイデが発動するのは勘弁してほしいぜw
誰が書くにしても、しばらくはかかるでしょ。
予約入るまでまったりやろうぜ。
次はガウルンだな。
マスターガンダムってのがイメージ似合いすぎだったけど、ダイゼンガーも面白かったな。
今回のロワを引っ掻き回しまくって先を読めなくした、ある意味功労者だと思う。
集団組んでも基本的には一人で、でも終盤まで生き残ったのがすごいな
二次スパを代表するキャラと言えば表がアムロ、裏がガウルンというところか
かなり充実したロワ生活を送った奴だよなあwロワに巻き込まれて全然不幸になってないw
まさにベストオブマーダー賞の受賞候補者だな
色々な所で言ってるけど彼とマスターガンダムの組み合わせは好きだったな。
ダイゼンガーに乗ってるのも良かった
えーと、次はカティアかな?
まてまてまとめサイトを見るんだ
今日は逆襲のカズィじゃないか
二次は存在を忘れられるやつが多くないかw
カズィはしかたないw なんか狂化して死んでた印象だものw
ユーゼスとキラの台詞の時に名前出てきて、「ああ、そんな奴いたっけ」って気分になったw
AI1最初からユーゼスのとこにいた印象なんだよなw
死亡話でもカズィVSキョウスケというよりもAI1VSキョウスケあるいはゼクスVSキョウスケって印象だしなw
それでカティアな訳だが………
Jではあの乳にお世話になったものだが……
Jキャラが速効落ちていって吹いた記憶がw
しかし、いい感じにテニアにフラグ固まったよなあw
見事にガウルンに利用されたってイメージ
今日カティアだったw
テニアのほうね
テニアに反応弾持ち出されてたらJアークはナデシコともども沈んでたなw
まさかの絞殺だからな
機体には恵まれてたんだけどな
あ、それで機体残(ry
序盤で死んだキャラはほんと語る事無いなw
次は兜甲児か
雰囲気を変える天才だったなw
カテジナさんを忘れるなんてそんなのおかしいですよ!
エロいライダースーツを忘れるなんておかしいですよ!
シャア撃破なんつー大金星挙げたのにな
太くて大きい核ミサイルに追い回されるなんて卑猥すぎる
合体を免れたのが残念で仕方ない
382 :
それも名無しだ:2009/07/15(水) 15:31:30 ID:lKSf/dl0
やっぱりカテジナさんはエロ話題か……
383 :
それも名無しだ:2009/07/16(木) 00:10:03 ID:N7H2oYVH
そして今日が兜甲児ってわけだが
彼をナデシコに乗せようってのは鬼才の仕業としか思えない
ナデシコのアットホーム感は奴が半分くらい担当してるよな
キモいスレアゲんな糞虫
甲児は最後までなんかかっこよかったなあw
ナデシコ組はシャギアに全部見事に収束していった
でも元祖スーパーロボット乗りなのに戦闘での目立った活躍がなかったのはちょっと残念だったなぁ
甲児は最後まで精神的なブレが無いよね
ロワ的にはあんまりおいしくないが
だからこそナデシコでムードメーカーとして機能出来たのかな
関係者が居たらどうなってたのかなあ
頑固な部分があるから、その辺でシャギアに邪魔者扱いされて……とかもありえたかもな
キラをJアークから連れ出した時……
こ こ で こ の 二 人 を 殺 し た ら ど う な る だ ろ う か
などと黒い感情が生まれたのも私だ
甲児とキラ、それぞれのムードメーカー両方死亡でJアーク組とナデシコ組の関係は
今度こそ完全に修復不能になったような気が
今日は神名綾人か
とはいえ、語ることはあんまり無いな
中身より愛機が活躍したもんな
雰囲気が似てる人は現在活躍してるのにね。
雰囲気が似てて行動方針もさほど変わらない
となると関係者が少ない方が
淘汰されてしまうのは仕方のないことだろう
切ないなあ
カミーユはまだ生存だから飛ばすんだったっけ
次は我が道を走るアイツか。赤鬼の姉さんに懐かれて大変だったよな……
年上にもてるあいつか
とりあえず生存オメ
しかし、ゲッター線から解放された後どうなるんだろうか?
元の世界に戻っておしまいだったら、一緒に勇を探すという約束が……
修羅場かなw
今更だがイイコ姉さんを語ってない件
イイコ姉さんは、参加者名簿上『クインシィ・イッサー』になってるからまだじゃね?
>>397 フリーデンクルーとほのぼのしながら探すんじゃね?
402 :
399:2009/07/18(土) 18:56:06 ID:1G+yL1b/
さて今日はブラスターキッド・・・一話退場の上知り合いもいないから特に語る事もない訳だがw
最後に相手がテックセットと言う反則手段使ってきたからな。
後1話じゃなくて2話だった気が。
ブライガー本編では本当に情け無用で殺りまくってた分悔やまれる
クロスボーンガンダムには活躍してほしかったのにな……
ガロードをX3に乗せたかったのも私だ。
さて、今日はみんな大好きな
御 大 将 の日ですよ
自重しない男で賞最有力候補だなwww
出たな、二回死んだ男www
龍馬も厳密にはそうだが、向こうは脱出だったからなwwwwww
1次の東方不敗に匹敵する主催への貢献度だったなwww
しかしこの男ですら、二回目ではそれ以上に自重しない奴に食われてたからなw
一応一回目の死亡時は対主催でいいんだよなこの人?
明らかな過剰防衛してたけどwww
一番我が世の春を謳歌したのは御大将だろうなwww
ガウルンはロワに巻き込まれて全然不幸になってないって言われてたけど
御大将の場合は何かかえって幸せになってる気がするから困るw
そして今日は超・執事ことギャリソン時田さんか
色々すごい人だけに序盤で散ったのは残念だな。最初期にガウルンと関わったのが運の尽きだった。
カムヒアッ!!
おまいら、絵版に素敵な絵が来てますよ
今日は当ロワ最大のジョーカー
南部恭介だな
なんと言うか、派手に散ったと言うか、ほとんど主人公格だった気が
撃墜数ぶっちぎりのトップでしかもそのうちの半数以上が対主催という
ベタながらも最後の最後に自我を取り戻したときは燃えた
ユのメディウス第三形態とアインスケがガチンコでやり合ったらどっちが勝ったんだろうな
まぁしかしこの人、アインストに乗っ取られる前で既に三人もぶっ殺してたんだよなw
>>420 そういえばそうだwww
孫光龍とカズィとミリアルドでOK?
次はキラか
ウィィィィィィィタァァァァァァァァァァ!!
ああ、元キャラや一次スパが嘘のように綺麗な対主催に育ってくれた……
甲児同様、対主催のムードメーカーとしても機能してたな
まあ、後半アムロに食われてしまったがw
エイジィィイッ!エイジィィィイッ!!
かわいそうに……ロワにユウは居ないのよ……
というわけで今日はクインシィだな
姉さん+ゲッター=脱出(ゲッター的な意味で)end
なんて想像もしなかったwww
石川絵の姉さんwww
ううむ、パワーのありそうな姐さんだなぁ……
>>426 他のメイン3人はいるのにね。
まあ髭だってロランいなかったし。
俺も姉さんは死にそうだとおもってた。
いやそれにしたってこの結末は誰が予想できるってんだよw
眠り姫→ゲッターの使者
予想外すぎるwwwww
そして九鬼正義……何を語ればいいんだwww薄氷同盟かwww
正直こいつも前回のバグ並みに何で出てきたのかよくわからんキャラだなw
原作詳しくないから何とも言えんが、他に出すべき奴いるだろうとw
一次の一色も登場話で即退場だったしな
ラーゼフォンは機体はあんなに活躍してるのに何故キャラの方は…
さて日付も変わったことだし今日はラキか。
ジョシュア探してアイビス探して箱庭内をふらふらふらふら動いてたよな。
彼女の為にも最終戦でアイビスにはもうちょっと輝いてもらいたいところ。
しかし、幼女ノイのモデルになるとは予想できなかったなw
誰かの機体にファービュラリス用意したれば良かったかな
バランス良いし全方位MAPWあるしで強キャラになったろうに
バイタルジャンプを上手く使った戦法は痺れたな。ラキは。
「敵ごと禁止エリアへワープ」ってのは、なかなか素晴らしい自爆戦法だ
まあその相手は復活したんだけどね
跳べ!!跳ぶんだ、ブレン!!
>>435 ファービュラスもいいけど個人的には氷繋がりでペイリネスといのうも捨て難いな。
二次スタート時点でのOG外伝未発売と一次のフォルカの空気っぷりから出ても却下されたんだろうけど…。
余命三年のラキに寿命削る修羅神支給するとかって、エグいなぁ。
敵モードになっていればそれなりに強いマーダーになれた気がする。
負の力とかエネルギーにするし
それではペルゼインあたりを支給か
ネリーブレンとの淡々としたやり取りもよかったけど
やっぱラキはMAP兵器持ちとか面白そうだったかな
グレートゼオライマーとか……
どこからともなく声が響きわたる。
「 絶 望 し た あ あ あ あ あ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁぁぁぁぁ・・・・・・………」
さて、今日はクルツか
エビル撃墜は早過ぎた気もするが大金星だったな
スナイパーにラーズアングリフは大当たりだった
だがそれ故に格闘戦の鬼たる御大将と相性最悪だったとも言える。
でも00がスパロボ参戦してたら絶対にケルディムで「狙い撃つぜぇ!」させてたと思う。
御大将戦は弾薬がつきかけてたのも痛かったな
何気にラキ・エイジとの三人組は好きだった
原作とどっちが先だったっけ、死んだの
原作はまだ生存の可能性が残っているぜ
次は……脳が痛い人か
うん、アムロと出会ったのが運の尽きであり命の尽き所かw
こいつを語るとなると、つい没死亡ネタの勇者王アムロが全部持っていってしまうから困るw
ゴステロは負けどおしだったな
ゼクス組に追い払われ、ユーゼス・ベガコンビに追い払われ、アムロ・ブンドルに逃げられ御大将に力負け
当たり機体引いたのにこの戦果
Jアークとの差はどこで生まれた?
やはり狂気がエネルギー元気源は無理があったのか
450 :
それも名無しだ:2009/07/30(木) 08:57:46 ID:GTEha7jW
洞爺湖は飛ばすんだっけ?
じゃあ今日は第二次スパロワ随一のネタ兵器を駆る赤いネタ男か
なんで駆っちゃったんだろうな、あの人
もう最初の一歩でなんか踏み間違えたとしか・・・w
普通の機体に乗ってたらどうなってたんだろうね
ていうか核ミサイルを支給するという発想が凄すぎるw
そしてそんなのでシリアスかつカッコいい死に方するという時点で、やっぱりなんかいろいろおかしいw
でもまあ、ギャグもシリアスも全てにおいて超一流の仕事をこなせるシャアというキャラだからこそのポジションだったのかもな
アムロといいこいつといいw
初登場のイメージ映像はK-X6
ニュータイプは皆ギャグをこなすイメージw
アムロ、シャア、シャギア・・・ということはカミーユも最後に何かやらかしてくれるはずw
ラストでデュミナスと駅弁とか?
貴方の存在を抹消します
さてはて、今日は少し前に名前が上がったシャギアだな
誰もが「弟殺されてマーダー化か、オルバがその逆になるかだな」と思ってたろうに、見事に主役級の活躍を果たしたな
F-91ヴァサーゴモードのスパロボ機体能力値を想像したのは俺だけではあるまい
シャギアか……自分の操縦技術一本に頼るのではなくて、作戦を立てたり指揮を取ったり、
頭脳を最大限に生かしている珍しいキャラクターだったな。
最後は「ウィィィィィィタァァァァァァァッッッ!!」だったがw
お次はジョシュア・ラドクリフですかな
二次でも良い奴だったな。並大抵の事じゃブレそうにないし、だけど主役を張る様なキャラじゃなry 欲を言えばもう少し、他の奴と絡んで欲しかったんだぜ!
一次の中盤終わりまで粘ったからか、こっちではあっさり落ちたのが印象的だな。
でもやっぱ、助手ラキのチャクラエクステンションが見たかった……かな
グランチャーに乗り換える話が無かったら、アイビスじゃなくてジョシュアが今残ってたかもしれない
逆に一次だと終盤まで生き残っていたからこちらでは早期退場を余儀なくされたんじゃないのか、
と穿った事を考えてしまう俺。
一次と二次の両方に参加してるキャラはキラとアムロを筆頭に殆どが別人化してるしさ。
一次で長いこと踏ん張ってた煽りを受けた感は否めんな。
まあ、一次でイキマ、二次でアイビスと、接触した相手をキーパーソンに仕立てていく辺りは流石としか。
なんつうか、自分が目立つんじゃなくて関わった相手に光を当てる、いぶし銀的な活躍をみせたような気がする
流石援護レベルが高いだけのことはあるな…と、妙に納得してしまった
…第三次が始まったら、また出たりするのかな?w
ブレそうにないから役割もまた同じパターンで
そうなると次に出たらむしろズガン要員化の可能性が高いようなw
いや、次回はラキかリムだけでも生き残らせるために優勝を狙うようになるというのはどうだろうか。
>>467 ラキ・リム・ウェン辺りを纏めて放り込んだら誰を選ぶかな…面白そうではある。
が、たとえそんな状況になってもよく言えば一途に、悪く言えば愚直に対主催やってそうなイメージがジョシュアにはある…まあ、それがいいんだけど。
で、ジョナサン……
F91乗りの一人でもあるが……
NTじゃない人にF91はつらかったんだ
……なんで後継機のクロスボーンより活躍してるんだろw
目的であるクインシィ・イッサーの生還は果たされたからある意味勝ち組
ゲッターだけどな!
>>470 分身できただけで充分さ…
PEPE現象起こせるほどの腕があったとはおもえんがな!
後は誰が残ってたっけ?
名簿順だからまだ半分近く残ってるぞ
まとめWikiの参加者名簿見れ
今日は神隼人か
目だ!耳だ!鼻だ!
ところがどっこいこの隼人さんは気が狂ってないお年頃
ゼクスか
原作シャアポジの割にまっとうに対主催したよな
故に影が薄い
だがかっこいい散り様だったろ
まだ対主催時のキョウスケが葬ったんだよな
ソシエでOK?
まさかこんなに長生きするとは思わなかった。
だからできる事なら生還して欲しかった。
考えてみれば足の骨折もあってまともに戦ったこと少ないんだよな
まあいきなりエビルとかキワモノに当たったから仕方ないか
なんかずっとオカン的な雰囲気纏ってたよな
戦力としてはいまひとつ、でも最終局面まで頑張ってついてくる
いかにもソシエって感じでした。
終盤まで残ってた面子で一番精神年齢高かったような気がするw
孫光龍か……
やっぱ養殖物のコーヒーブレイクはダメだな、次!
でもアムロには実質的には勝ったぜ!
パイロットの腕じゃないけどな!
バカな!?コーヒーでシロッコに勝ち、2次でアムロを上回る超人がいるはずない!
アキトは生きてるから…武蔵か
彼はお人好し過ぎたのさ…
チェンゲ竜馬・ネオゲ隼人、原作武蔵なんだっけ?
隼人には食って掛かる竜馬も武蔵には悪感情ないだろうから、この三人で真ゲッターに乗って欲しかった
それこそ速攻でゲッター世界にお持ち帰りされるだろ
そして置いていかれる隼人
で、お次はその流竜馬だな
好き放題破壊を撒き散らして最後にロワのルールまで破壊した奴はまさにザ クラッシャー
ゲッターだから仕方ない>脱出
で許されるロワも大概だな今更だがw
今日はBASARA
つかもう半分過ぎてるな
ゲッパー
らぜPONを復活させた時は燃えたな。
最期まで彼らしい生き方だった、と月並みな事言ってみる
お次はバーニィ
かなり頑張ったんじゃないか?乗機がメディウスなのもあるけどあの面子に結構善戦したし。
バーニィを対主催に立ち直らせようとしたのも私だ
バーニィは割り切れなかったマーダーというか、良心を捨て切れなかったマーダーってイメージだなぁ
カズイのように手にした力の大きさに溺れるんじゃなくてそれに怯えたりね
一番普通の人に近かったんじゃないかな
ベガさん・ソシエ・比瑪あたりと出会っていれば道も変わったんだろうな
ヒイロか…
ラクス撃墜はキラに大きな影響与えたよな・・
それでも一番影の薄いガンダムパイロットだがw
なーに、主催への特攻が混戦どさまぎ死亡に変えられたマサキよりはマシだw
スパロワにおけるグリリバキャラの不遇っぷりは……w
ヒイロは原作の設定の割りにはロワだとあんまり輝かないよなw
第三次でもグリリバ枠で出たりしてなw
その時があれば、今度も格別強いわけでもなければネタに出来るほど弱くもない微妙な機体を支給してry
いや、ヒイロのキャラ的にそういう機体を駆使してるほうがらしい気がするんだよなぁ
まあ次があるとしたらデュオやごひあたりが先に出そうではあるけど
ガンダムパイロット5人に近バトラーVを支給してだな
会場内でロペットを探し続けるのか!
脳波が合わなそう
みんなでクスハ汁飲んだりして無理矢理合わせるんだよ
そういやクスハ汁って意外にも一次二次共に未登場なんだよな
まぁ出されても困るがw
テニアか…
最後の最後まで生き残るもんだと思ってたが
ガウルンと手を組んだのが運の尽きか
せっかくヒロインの座をゲットしたかと思えばまさかのガウルン子弟ルートの咬ませ犬w
実際殺されても彼氏はガウルンに夢中でろくにテニアの事思い出してくんないという不遇さはまさに悲劇(笑)のヒロインwww
けどまあそれまでやってきたことを考えるとなw
個人的には最後の最後でいろいろ思いっきり後悔しまくりながら死んで欲しくはあったかも
まあでもアレじゃ無理か、うん
しかし書き手さんいるのか?だんだんこのままキャラ語り全員終わったらどうしようかとか考え出してしまう
あとは他の人に任せようとのんびりしてたりする書き手がここに
最終的にテニアにはゲイムシステム起動という奥の手で狂マーダーになってもらおうと考えていたのも私だ
>>512 奇遇だな俺もだ
もし統夜が帰っても統夜の世界には別のテニアがちゃんといるという悲劇w
ぼんやりとした頭で統夜とテニアの名前がごっちゃになってトニヤになって、
そう言えばガンダムXにそんな名前の人がいたなぁとかどーでもいいことを考えた俺。
夏だなぁ。
逆に考えるんだ
このままキャラ語りが終わったのなら「君が書き手になればいい」
それはそれとしてロジャー・アキト・統夜予約
>>519 期待してますぜ!!
待ってる間は語り続行するか
ベガさんだな
「月」の乗り手だな
乗機の「月」が後半決戦の伏線になるとは、最初の書き手もスレ住民も思いもしなかっただろう
まぁセラムンネタなんですがね!
ぜひアムロと出会って欲しかった
うおおお予約期待ッ
ていうかネゴシエイターがなんかやばい気がするッッ
死ぬなぁぁぁぁぁぁ
ベルナルド・モンシア…
ヒイロの代名詞「自爆」でヒイロを殺すとはな
今日はマサキか
うん、なんというか、スパロワにおけるグリリバの性みたいな死に方だよな
キャラ語りの最中だけど……マサキだしいいk(ry
投下します
白い、光……全てを呑み込む……強く、激しい輝き……
ああ……消えていく……私が……
主は……私を助けては……くれない……
必要じゃ、ないから……? あの方の望む存在に……なれなかったから?
では、私は……私の存在していた、意味は……私は、何?
私は……何になれた? ……何にも……なれなかった……
この宇宙は……静寂でなければ……いけない……
望んでいない世界……修正……しなければ……
静寂の世界……その世界になら……私の、居るべき……場所は……ある?
違、う……どこにも……ない……不確かな私……不確かな存在が、居てもいい……場所なんて……
このまま……消える……それが、あるべき……私の……終焉……
…………!
これは……想いの力……
静寂を乱す……違う……静寂を望む……いいえ、そうでもない……
意志の力……そう、ただ一つ……大切なものを取り戻す……そのためだけの……
そう……まだ、生きて……抗う……戦う意思が……ある……
消えかけた命……消えかけた私……
世界を変える……想いの力……あなたが強く……想う……悲しくて……温かい……力……
でも、私は……
□
「おはよう、統夜!」
背中を叩く衝撃と共に、弾けるような声が耳に抜ける。
俺が振り向いた先には、予想通りの顔。
「いったいな……いきなり叩くの止めろって何回も言ってるだろ、テニア!」
「あはは、ごめんごめん」
取り落としていた鞄を拾い、改めて向き直る。
フェステニア=ミューズ。
俺――紫雲統夜のクラスメイトにして、その、なんだ。先日から付き合っている女の子。
付き合い始めてから最近、こうして一緒に登校することにしている。
家もさほど離れている訳じゃない。だから家に迎えに行こうと思えばできるけど、それはしない。
「ん、カティアとメルアは?」
「もう先に行ってるよ。気を遣ってくれたんじゃないかな」
カティア=グリニャールと、メルア=メルナ=メイア。
テニアの姉妹……のようなものらしい。三人は一緒に住んでいるのだ。
少し前までは四人で登校していたのだけど、テニアと付き合うようになってからは、今日みたいに二人は先に行くことが多くなった。
「そっか。今度、何か奢らないとな」
「あ、じゃあ駅前に新しくできたカフェがいい! ケーキが美味しいんだって!」
「いや、なんでお前にまで奢らなきゃいけないんだよ……」
そんな他愛もない事を話していたらあっという間に学園へ着いた。
校門を通って、校内へ。
「よう、紫雲。今日も仲がいいな」
「あ、おはようございます先輩」
下駄箱で会ったのは、一見無愛想だけど何かと周りに頼りにされることの多いジョシュア=ラドクリフ先輩だった。
その隣にはそのジョシュア先輩の彼女の、グラキエース先輩がいた。こちらはあまり話したことはないので軽く会釈するだけだ。
ジョシュア先輩には俺も世話になっている。主に……そう、テニアと付き合うようになったことでの相談で。
ジョシュア先輩とグラキエース先輩は入学前から付き合っていて、まだまだ経験の浅い俺は色々アドバイスをもらっている訳だ。
「ジョシュア、早くいかないと遅刻するぞ」
「ああ、ごめんラキ。じゃあ紫雲、またな」
美人だけどあまり感情を出さないグラキエース先輩に急かされ、ジョシュア先輩達は通路の向こうへと去っていく。
二人はごく自然な感じの距離の取り方で歩いていく。それを眺めていた俺はと言うと、
(なんかいいなあ……あの自然な感じ。俺とテニアも傍から見たらあんな感じ……だったらいいんだけど)
「お待たせ、統夜」
と、靴を履き替えてきたテニアが戻って来た。この学校は男女の靴箱が別の位置なのだ。
予鈴のチャイムが鳴る。俺も慌てて靴を上履きに履き替え、テニアと一緒に教室に向かって走り出した。
ドアを開けて、滑り込む。先生は……まだ来ていない。セーフだ。
「おはよう、統夜」
「おはようございます、統夜さん」
カティアとメルアは先に着いていた。まあ、家を出た時間が遅いので当り前か。
おはよう、二人とも。なんとか間に合ったみたいだな」
「ギリギリだったけどな」
挨拶を返した俺にからかうように声をかけて来たのは、クラスメイトのガロード=ランだ。
「もうちょっと早く家を出たらどうなんだ? いつもギリギリじゃないか」
「そうだよ。せっかく彼女がいるんだから、起こしてもらえばいいのに」
「まあ、したらしたで見せつけられてるようでなんかムカつくんだけど」
同じくクラスメイトのカミーユ=ビダン、アイビス=ダグラス。そしてソシエ=ハイム。
この四人に俺達四人を足した八人でいつもつるんでいる。
「起こしてもらうって、テニアに? そりゃ無理だろ」
「無理ね」
「無理ですね〜」
俺とカティアとメルアが全く同じタイミングで返す。そういう面ではテニアはあまり頼れないというのは俺達の共通の認識だ。
「ちょ、ちょっと! それは失礼ってもんじゃないの!? アタシだってそのくらい……」
「あら、今日あなたを起こしたのは私だった気がするんだけど気のせいかしら?」
「うっ……」
反論しようとしたテニアを、カティアが一瞬で黙らせた。まあそうなんだろうとは思っていたが、本当にそうだったとは。
テニアがなおも言い返そうとしたとき。
「ホームルームであぁぁぁぁぁぁぁぁぁるッ! 貴様ら静まれぃッ!」
ドアを蹴り飛ばす勢いで(って言うか実際に蹴ってた)担任が入って来た。
歴史の教師、ギム=ギンガナム。
どう見てもあんたそのスジの武闘派だろという風貌のこの男、どんな裏技を使ったのか今年から新任教師としてこの学園に赴任してきた。
普通初めて生徒を受け持つとなればどんな奴だろうと委縮しそうなものだが、こいつは違った。
なんせ最初の挨拶で「諸君、小生は闘争が大好きであぁぁる!」とぶち上げたのだ。
唖然とする俺達を尻目に、暑苦しさ全開で一年戦争で使用された戦術の講義(こいつはまともに歴史の講義をした試しがない)を始め、一時限目から四時限目までぶっ通しで語り通した。
途中で別の教科の教師も来たが、ヒートアップしたギンガナムが睨むとみんな逃げて行った。まあ無理もない。
生徒の中にはもちろん途中で音を上げる奴もいた。
が、こいつは自分が語れれば満足らしく、こっそりと生徒が後ろの扉から出て行っても気付かず(無視していたのかも知れない)特に咎める事もなかった。
最終的に残ったのは俺達八人だけで、その内真面目に聞いていたのはカティアとカミーユ、アイビスだけだ。
俺やテニア、ソシエは早々に夢の世界に旅立っていたし、メルアはなんか持ち込んだお菓子をこっそり食べてた。
ガロードに至ってはこれまた持ち込んだらしいゲーム機でずっと遊んでいた。後で聞いたところによると好きな娘とクラスが離れていじけていたらしい。
とにかくそんな感じで俺達は仲良くなって、またギンガナムにも目を掛けられていた(付けられていた、か?)。
「あー、注意事項である。最近この界隈に通り魔が出没するらしい。貴様らも登下校の際、気をつけるように」
「通り魔って……あ、聞いたことある。夜出歩いてると刃物で切りつけられるってあれですか?」
「うむ。どうも犯人は相当の手練れらしく、格闘技経験者にも犠牲が出ている。見つけたら決して応戦しようなどとは思わず、小生に連絡するように」
「え……逃げろとか警察に連絡しろとかじゃなくて、先生に連絡するんですか?」
「然り。警察の包囲網を潜り抜け、屈強な戦士をもねじ伏せるその力……小生のこの熱く燃え滾る胸の高鳴りをぶつけるに不足なき武士よぉ!」
また勝手に盛り上がってるギンガナムに構わず、俺達の話題はその通り魔のこと一色になった。
多少剣を扱える俺や空手をやってるカミーユ、やたらと機転の利くガロードはともかく、女子は単独で行動させるのは危ない。
そうは見えないが生粋のお嬢様であるソシエはいつも車で登校してくるし、アイビスもまたこう見えてスピード狂だ。
彼女はバイクで登校しているのだが、なんかテスラドライブとか言うエンジンを積んだそのバイクは短時間なら空も飛べるとかいう話で、正直通り魔だろうとなんだろうと追いつけはしないだろう。
問題はテニア、カティア、メルアの三人だが……
「じゃあ、カティアとメルアは私の車に乗ればいいわ」
「え、アタシは?」
「あんたは統夜に送ってもらいなさいよ。そのための騎士さまなんでしょう?」
ソシエが意地の悪い笑顔で言った。たしかに俺が最近剣の練習をしているのはそういう気持ちがなくはないが……
「む、わかったわよ。相手のいないソシエと違って、アタシにはちゃーんと守ってくれる人がいるもんね」
「なんですってぇ……!」
ソシエの挑発に乗ったテニアが返した一撃は、ソシエの気にしているところでもあったようだ。
火花を散らし始めた二人から視線を外し、仲間達を見る。
「まあ、それがいいんじゃないか。俺やガロードも、いつも一緒に帰れる訳じゃないし」
「だな。それに俺はティファと一緒に帰るつもりだから……悪いな」
言い忘れていたがカミーユとガロードも普通に仲の良い娘はいる。
ティファって娘一筋のガロードはともかく、カミーユの方は幼馴染とか妹みたいな娘とか、あともう一人仲の良い娘がいるらしい。
俺も人の事を言えた義理ではないからかもしれないが、なんとなくカミーユには親近感を感じなくもない。
とりあえず登下校の際テニアと一緒に行動することを決めた。と言っても、今までもそうだったのだから特に変化がある訳じゃないが。
いつの間にやら始まっていたギンガナムの講義(今日のテーマは戦車部隊をどのように運用すればモビルスーツを撃破できるか、だ。もはや歴史ですらない)を聞き流しつつ、放課後どうするかを考える。
今日は――
放課後。
そうだ、ギンガナムは忘れていたがその次の授業で通り魔らしき男の人相書きの載ったプリントが回って来た。
髪を短く刈り上げた、蛇のように鋭い眼をした男。
こいつが通り魔だという確証はないらしいが、見た目とても怪しくはある。どう見ても堅気ではない。
とにかくこいつに気をつけるように、そういうことらしい。
男の顔を思い出しつつ、授業を終えた俺とテニアは寄り道することもなくさっさと帰ろうということになった。
ん……なんだか下駄箱の辺りが騒がしい。
近づいていくと、人だかりができている。
その内の一人を捕まえて何があったのか聞いてみた。
「あれだよ。クインシィ先輩とカテジナ先輩。止めてほしいよね、こう毎日だと」
「ああ……またあの二人か」
挙げられた名前の二人は、この学園でもトップクラスに凶暴とされる先輩だ。
何が気に入らないのか、日に三度は口論するらしい。口論が殴り合いに発展する確率は三回の内二回。迷惑な話だ。
近くに寄ってみれば、ガロードともう一人、ジョナサン先輩がクインシィ先輩を。カテジナ先輩の方はアフロ頭の学生がなだめている。
ガロードは何故かクインシィ先輩のお気に入りなんだそうだ。とてもティファには会わせられないと度々愚痴られているからよく覚えている。
アフロは……先輩らしいが、俺とは関わりのない人だ。カテジナ先輩と仲がいい訳じゃないらしいが、よく対応に駆り出されているのを見るな。
そうだ、何故かあのアフロとジョナサン先輩もまた仲が悪い。こうして同じ場にいるってことは……
「あ、あの二人もケンカし出したね」
「飽きないな、あの人達も」
ジョナサン先輩がクインシィ先輩を援護するためか、敵の陣営のアフロの頭、つまりアフロヘアーをからかった。
カテジナ先輩をなだめていたアフロもキレたらしく、ジョナサン先輩の弱点……つまりはその、マザコンだと攻める。
こちらも一瞬で沸点を突破したか、何も言わずアフロへと殴りかかるジョナサン先輩。応じるアフロ。
当然、抑えのなくなったクインシィとカテジナ(なんかもう先輩って呼ぶのも恥ずかしい)も口をつぐみ、互いの隙を窺うように視線を刺し合っている。
ガロードは……あ、なんか携帯端末をいじってる。現実から逃げたか……
図らずもツインユニット同士の戦いの舞台となった下駄箱。
ひしひしと感じる流血の匂いを、誰もが他人事特有の無責任な期待を以って受け入れようとしたとき。
『俺の歌を聴けぇッ――――――――――!』
帰宅部はさっさと帰れ的なことを言っていたスピーカーから凄まじい騒音が迸った。
咄嗟に耳を押さえる。この学園の生徒なら誰もが知っている声だ。
熱気バサラ。軽音部に所属する学生。生粋の音楽バカだ。
いつでもどこでもギターを持ち歩き、気が向いたらかき鳴らす。
人の迷惑を考えもしない。でも何故か、あまり憎めない――そんな奴。
今この放送を流してるのも多分偶然だ。そもそも放送ジャックなんて学園側は認めてない。
だがタイミングとしてはバッチリだった。水を差されたジョナサンとアフロは殴り合うのを止め、離れて不本意そうに鼻を鳴らす。
とにかくこれで騒動は収まった。やっと帰れる――と、思ったのに。
「ねえ、統夜……あの二人、今の全然聞こえてなかったみたいだよ」
「……うん、そうみたいだな」
クインシィとカテジナは、今のバサラの騒音など聞こえていなかったかのようにがっぷりと手を組んで睨み合っている。
膂力が拮抗しているのか、その腕は二人のちょうど中心あたりで静止している。
だが腕に浮かぶ筋肉の張り詰め具合から、決してじゃれ合っている訳ではないとわかる。こいつら、マジでやり合ってやがる……
ジョナサンとアフロももう止める気はないのか、明後日の方を向いて明日の天気について話している。苦労人同士、実は気が合うのだろうか。
「お前達、何をしているのだ! ええい、散れ散れッ! 用のない者はさっさと帰れ!」
と、そこに現れたのは校長のユーゼスゴッツォだ。
校長のくせに仮面で顔を隠す、学園変態ランキングのトップ1(ちなみに二位はギンガナム、三位は総代と呼ばれる理事長だ)。
「また貴様らか! 私の職場で問題を起こすなと何度言ったら……!」
ユーゼスは無謀にも実力でクインシィとカテジナを引き剥がそうとしたらしい。
横合いから無遠慮に差し出された手に、二人は敏感に反応する。
「「邪魔だ!」」
一瞬で組んでいた手を離し、ユーゼスの腹へと固めた拳を叩き付ける×2。
咳き込んだその隙に伸ばした手を掴む二人。そのまま全く同じ動作でユーゼスの足を払い、投げ飛ばす。
「う、ゴホッ! き、貴様らッ! 校長に暴力を振るっていいとおもっ……!」
言い終わるのを待たずゴミ箱に頭から突っ込んだユーゼス。
投げ飛ばした当の二人はもはや見向きもせず、当初の敵へと向き直り威嚇し合っている。
「やれやれ、懲りない輩だ。オルバ、そっちの足を持ってくれ」
「了解、兄さん」
どこからともなく現れたフロスト兄弟(教師)が、ユーゼスを引っ張り出そうとする。
いや……よく見たらあいつら校長をさらにゴミ箱に押し込んでやがる。
「おい、これを使え」
これまたいきなり現れた食堂のコック・テンカワ(こいつら喧嘩を見てただろうに止める気0だ……)が、やたらと大きいゴミ袋をフロスト兄弟に渡していた。
「む、気が利くなテンカワ。よし、これに詰めて焼却炉に持って行こう」
「名案だね。ついに僕らがこの学園を支配するときが来た」
「モゴ、ムガッ!? 待て、貴様ら何をする気だ!? 私はこの学園で一番偉いのだぞ!?」
「だからさ。貴様さえいなくなればこの学園の支配者は我ら兄弟ということだ」
「俺はそんなものに興味はないが、貴様は今日俺の作った火星丼を残しただろう。許せんな」
「ま、待て! これは組織的な犯罪だ! 誰か、ちょ、ま」
……何か見てはいけないものを見たような気がする。周りの奴はみんな、見て見ぬふりだ。テニアも例外じゃない。
止めるべきか迷っていたら、
「……まあ、あの校長なら別にいなくなってもいいんじゃない?」
「……それもそうだな。ほっとこう」
テニアの一言で止めた。どうでもいいことだ。てかもう帰りたい。
でもまだクインシィとカテジナが睨み合っている。しかもその場所は俺の靴箱の真ん前だ。
このままだとしばらく帰れそうにない。どうするかな……
「待ちたまえ! 当方に交渉の用意あり!」
「あ、統夜。ネゴシエイターが来たよ!」
テニアの声に顔を上げる。そこにいたのは紛れもない、学園一の交渉人の名を取るロジャー=スミスだった。
国語の担当教師であるこの男はやたらと弁が立つ。
その口の回り様から、様々なトラブルの解決役に大いに頼りにされている。
おそらくこの騒ぎを聞き付けた誰かが事態の収拾を依頼したのだろう。誰だか知らないがGJだ。
騒動の渦中たる二人に話しかけるロジャーの横には、肉を前にした犬のようにうずうずとした様子のギンガナムがいた。
ロジャーだけで抑えられないときの実力行使を行う保険ということだろう。明らかに人選段階でミスってる気がするが。
とにかく、今のうちだ。俺とテニアはロジャーが場の空気を掌握した一瞬を逃さず靴を履き替え、学園を脱出した。
太陽が稜線の向こうに沈み、薄暗くなったころ。道を歩く俺とテニア以外に人の影はない。
通り魔のことを思い出した。いかにも、って感じのシチュエーションだ。
隣を歩くテニアが、ぎゅっと俺の腕を掴む。強気そうに見えて実はそれほど打たれ強くはないと知っているから、俺もそのままにさせておいた。
しばらく、会話もなく歩く。
通り魔のことがあるとはいえ、概ね穏やかな、いつも通りの日常だった。
今までずっと続いてきた、これからもずっと続いていく――そう、根拠なく思っていた時間。
「ねえ、統夜……あれ」
幸福感に浸っていた俺にテニアが声をかける。
その視線の示す方に目を向ければ、そこにいたのは昼間配布された通り魔らしき人相書きと、同じ顔の男。
がっしりとした体格に、ナイフのように研ぎ澄まされた気配。
通り魔かどうかなどこの際問題ではない。どうであれ、危険な臭いしかしない。
その男が、じっとこちらを見ている――いや、俺を、見ている。
ギンガナムに連絡、なんて思い浮かばない。もちろん、背負った剣で戦うなんて論外だ。
すぐにこの場から逃げようと、それだけで思考が埋め尽くされる。
テニアの手を引き、来た方向に向けて走り出す。テニアは疑問の声を発することもなく、黙って俺について来た。
走りながら横目で男を確認する。追っては来ない――だが、その口元は確かに嗤っているように見えた。
十数分ほど走っただろうか。
先程の場所から結構離れた公園へと走り込んだ俺達は、荒い息をついて立ち止まった。
俺もテニアも、何を言う間もなく酸素を貪る。走った距離以上に、あの男のプレッシャーは異質だった。
数分後、ようやく落ち着いた俺は顔を上げテニアへと声をかける。
「はあ……驚いた。なあ、あれってやっぱり……?」
「通り魔……だよね? 怖かったぁ」
「ああ……あれは無理だ。警察か、ギンガナムに任せよう」
携帯を取り出し、その二者へと連絡しようと思った。
コール音。忙しいのか、警察に中々繋がらない。
「でもさ、やっぱり統夜がいてくれて良かったよ。アタシ一人だけだったら動けなかったもん」
「はは……守るって言っておいて、逃げ出したんじゃカッコ付かないけどな」
「そんなことないよ。統夜はいつもアタシを守ってくれてるよ。そうだよ、いつも……私を……守って……」
お、繋がった。
テニアとの話をいったん中断し、係員にさっきの状況を説明する。
時間、場所、状況をできるだけ詳しく説明する。パトカーが急行してくれるそうだ。
俺達も迎えに行こうかと言われたが、ギンガナムを呼べばいいだろう。丁重に断った。
通話を切った。次はギンガナムに連絡だ、と冗談めかしてテニアに振り向き、笑いかける。、
その瞬間、俺の目に飛び込んできたのは。
そこには、血塗れで倒れ伏している、テニア、だ――
「な……ッ!?」
「おやおや、間に合わなかったか。まあ、人命救助は俺の仕事じゃねえしなあ」
状況を掴めない俺の耳に、第三者の声が飛び込んでくる。
はっと振り向く。そこにいたのは先程の通り魔らしき男だった。
「お前が……お前がやったのか!?」
「あん? そこのお嬢ちゃんのことかい? 馬鹿言うな、俺じゃねえ」
男はにやにや笑いながらゆっくり近づいてくる。
その眼は堪え切れない愉悦が滲み出て、今にも吹き出しそうにも見えた。
「俺は最近この辺りで多発している通り魔事件を追ってたんだが……いやはや、驚いたねえ。
まさか犯人がこんなガキだったなんてよぉ」
ガキ……?
何言ってるんだ、こいつは。
それより、そうだ。救急車を呼ばないと。テニアが死んでしまう。
いや、先に警察か? こいつを捕まえてもらわなきゃ……ギンガナムもだ。
携帯を取り出そうと、手を離す。
ガシャン。
何かが、手から落ちた?
「お前さん、そんなわかりやすい証拠持ってて人様に責任を押し付けちゃいけねえや。
お前なんだろ――そのお嬢ちゃんを、斬り殺したのはよ?」
男の声が耳に抜ける。
視線を下ろす。
俺の手から滑り落ちたモノ、それは――
血に濡れた、抜き身の刃だった。
誰の血だ……? 考えるまでもない。テニアの血だ。
やったのは誰だ? 目の前の男……違う。俺だ。
俺が……テニアを……斬った……のか?
「あ……ああ……うああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁッ!」
「ク……ククク……クハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!」
視界が、赤い鮮血で満たされる。もう我慢できないと言わんばかりの男の高笑いだけが耳に残って――。
□
――う……?
――ここは……?
――モニターは……一応、生きてる……
――ヴァイサーガ……まだ、動けるか……?
――DFS……再起動……無理、か……
――ぐっ……ごほっ……!?
――俺の身体……くそっ……力が……入らない……
――ガウルンを斬ったときの……アレか……一発で……このザマか……
――静かだ……まるで……世界に俺一人しか……いないみたいだ……
――さっきのは……夢、か……
――死に際に……あんな夢を、見るなんて……ガウルンの呪いか……?
――――――ふざけるな。あんたはもう死んだんだ。引っこんでろよ。
――俺はまだ……まだ、諦めちゃいないッ……!
――取り戻すんだ……どんな犠牲を払っても。どれだけ時間がかかっても。
――あんな夢じゃない……本当の、本物の『彼女』を……!
――こんなところで……立ち止まっていられないんだ……ッ!
まだ、抗うのですの?
――当たり前だ。
あなたが殺したんですのよ? その人を生き返らせるために、他の人を殺すつもりですの?
――そうだよ。何が悪い。
悪いと、心の中で自覚しているから……あの夢の結末は、ああなったんですの。
でなければ、あのまま穏やかな夢に包まれて……あなたは逝けたはずですの。
――結構だ。俺が欲しいのは夢なんかじゃない。現実だ。現実に生きているテニアだ。
あなたが見た夢は、ある意味ではあなたの現実。あなたはもう、以前の生活になど戻れはしませんの。
――うるさい。わかってる。そんなことはどうでもいい。
あなたはもうその手を血に染めている。取り返しがつかないほど尊い命を奪っている。
――うるさいって言ってるだろ! どうだっていいんだ……そんなことはッ!
――他の奴らなんてどうだっていい……! 俺と、あいつさえいれば……他には何も要らないんだ!
そのために、まだ生きて抗うと言いますの?
――そうだ……。 俺の命がまだ尽きていないのなら……選ぶ道は一つしかない。
――戦って、戦って、戦って……最後の一人になって、テニアを取り戻す! 何も変わらない、それが俺の生きる道なんだ!
――欲しいものは奪う。邪魔をするなら斬り伏せて進む。『あいつ』みたいに、躊躇わないで……
でも、あなたにはもう戦う力はない。
――わからないさ。ヴァイサーガはまだ……俺の剣はまだ、折れちゃいない……!
辛うじて朽ちてはいない、というだけですの。もう自力で起き上がる事だって出来はしませんの。
――うるさいな……! お前、一体何なんだよ。邪魔をしに来たのなら消えろ!
邪魔だなんて。むしろ、お手伝いして差し上げようかと思っているくらいですの。
――お前、あの主催者の一人だろう。名前は……なんて言ったっけか。
私のことはどうでもいいですの。私は……自分自身になれなかった存在……
だからこそ、あなたに。絶望の底にいてもなお諦めないあなたに、先へ進んで欲しい……
――主催者が俺を助けるって言うのか?
私はもう、正しくアインストとは言えない存在……いずれ消えゆく、残骸でしかありませんの。
でもそれはあなたも同じ……あなたも、その機体も。このままでは遠からず朽ちて果てる。
――じゃあ……どうすればいいんだ。手伝うって……新しい機体でもくれるのか?
そんなことをしてもあなた自身は助かりませんの。
私にできるのは……そう。あなたを、『こちら』へと誘うことだけ……。
――お前らの仲間になれってことか? あの蒼い機体に乗ってた奴みたいに。
ちょっと……違いますの。アインストになるだけでは、あなたの願いを遂げることはできませんの。
私の主ならあなたの願いを叶えることはたしかにできますの。でもそれは、あくまで条件付きのこと。
エクセレンのようにアインストとなって蘇生させることは出来ても、眷族の枷から逃れることはできない……
――テニアを生き返らせても、お前らに首輪をつけられたままってことか。
はい……。でも、あなたが新しいアインストになれば、話は別……
――新しい、アインスト?
この場に満ちる生命の欠片……デビルガンダム、そしてあの新たに自我に目覚めた命の破片。
これを用い、アインストとなったあなたが更なる進化を行いますの。
そうすることであなたは属性の変化によりアインストの支配から逃れ、また新たな命の創造を行う力を手に入れる……
――新たな命の……創造。
もちろん容易く行えることではありませんの。
生まれたての命が、新たな命を創生する……途方もない力が必要になりますの。
それこそ……私の主が持っている力、全てを奪い取らなければ……足りないほどの。
――お前の主……いいのか? それは裏切りじゃないのかよ。
私はもう、あの方の望む種子ではない……なら、最期くらい。望むままに生きてみたいと……あなたを見て、思いましたの。
たとえそれが……あの方に対する、反逆であっても。
――断ったら、どうなる?
どうも……しませんの。私は消えて、あなたも果てる。
あなたの願いもまた、どこへもたどりつけず……
――お前は、どうして俺にそこまでしてくれるんだ?
さあ……どうしてでしょう。
今のあなたは似ている……そんな気がしますの。かつて、私が焦がれた……あの方に。
だから、そのあなたの行く末を見極めたいと……そう思ったからかも、知れませんの。
――俺の行く末、か。……わかった。お前の話、乗るよ。
――どうせ、他に選べる道はなさそうだしな。
信じて……くださいますの? 私は……自分で言うのも何ですけど……怪しさ満点だと……思ったりも、致しますのよ?
――いいさ。そんな奴と手を組むのは慣れてる。
――あの夢……お前が見せてくれたんだろ? 最後はああなっちゃったけど……それでも、いい夢だった。
――お前に借りが一つ出来てるってことだ。なら、ここで返しておく。
あなた……本当に、面白い方ですのね。
――ほっといてくれ。さあ、何でもいいからやってくれよ。時間がないんだろ?
はい……契約、成立……ですの。
では、名残惜しいですが……ここで、お別れですの。
あなたは誰からも祝福されることのない旅路を選んだ……だからこそ、私くらいは幸運を祈らせていただきますの。
――ありがとう……そうだ。お前、名前はなんて言うんだ?
え?
――最期ってことは、結果がどうあれお前は消えるんだろ? だったら俺も……俺くらいは、お前のことを覚えておいてやるさ。
一度、自己紹介したはずですけど。女の子の名前を忘れるなんて、マナー違反ですのよ?
――あれは……あれだ、大勢に向けてだろ? 今は俺とお前だけなんだ。改めてってことでさ。
――俺は統夜……紫雲統夜。お前は?
私……
私の名前は……
■■■■■■――。
□
二つの色が交錯する。
片や交渉人が駆る黒のGEAR、騎士凰牙。
片や復讐鬼が操る赤のパーソナルトルーパー、アルトアイゼン・リーゼ。
静寂の世界に響く、鋼鉄の衝撃。
激突の度に大気を振るわせ、地を揺らす。
だが何故か、銃声砲音一切がなし。
それもそのはず――二機の巨人はその身に許された武装兵装を一つとして用いず、徒手空拳にて渡り合っているからだ。
凰牙がその脚部に纏うタービンを回すことなく、しかし鋭い回し蹴りを放つ。
対するアルトは無理に避けようとせず、逆に踏み込んで身体ごとの体当たり。
100t近い質量が砲弾となって凰牙を襲う。
が、全長こそ大差ないとはいえ凰牙の重量は400tを超える。
すぐさま足を引き戻した凰牙が吹き飛びつつも大地をしかと踏みしめ、アルトの突進の勢いのまま背筋を逸らす。
両腕はアルトの腕の下にひっかけている。
運動エネルギーのベクトルは凰牙から大地へと移り、再度アルトへと戻る。
自身の突進の勢いを殺されないまま、アルトが天高く放り投げられる。地に背をつけた凰牙は、しかし休むことなく追撃をかける。
「隙ありッ!」
体勢の整わないアルトへ向けて、凰牙が全力で走り、跳ぶ。
体を回し、がら空きの背中へと必殺の一撃を叩き込む――
「……甘いな」
その刹那、アルトの背面のブースターが吠え、莫大な推進力を発生させる。
体勢の悪さから天地逆様のままあらぬ方向へと打ち出されるアルト。
だが、そのコクピットに座るアキトは何事もなかったかのように機体を制御、姿勢を回復させた。
必勝を期した蹴りを避けられ、着地した凰牙からロジャーの呆れたような声が届く。
「なんとまあ……よくあの回転の中で自分の位置を正確に認識できるものだ。酔わないのかね?」
「この程度の機動なら、ボソンジャンプに比べれば何ほどのこともない。機体ごと転移している訳ではないのだからな」
「ふむ……私は知らないが、宇宙とやらで生活していると空間への認識率が高まるものなのか。実に興味深い」
「知るか」
言い捨て、アキトは再度機体を加速。まったく同じタイミングで、凰牙も突っ込んでくる。
素手での戦いを始めて、もう10分は経っただろうか。
交渉人と言うからには戦いの最中にも口撃があるとばかり思っていたが、予想に反しロジャー=スミスは説得の言葉など一度も吐いては来ない。
事ここに至っては言葉など不要――あの男自身が、拳で語ると言ったのだ。
交渉人への評価を気持ち上向きに修正し、アキトは迫る黒の機体の拳をかわし、返礼とばかりアルトの拳を送り出す。
だが予想通りその拳は受け止められる。わかっていた。この数分の激突で、この男の技量の程はほぼ把握している。
格闘戦の技量はほぼ互角。
差があるとすれば、アキトは空間把握の長による機動、ロジャーは組み付いてからの戦術のバリエーションといったところか。
木連式の柔を少々かじった自分よりも、実践的な戦闘術を身に付けているようだ。
ときにその動きは有機的で、人間の動きの延長にあるものを感じさせる。
アルトと凰牙の違いもあるだろう。
接近戦仕様とはいえ、アルトのそれはあくまで武装を使った接近戦だ。
純粋な格闘戦にも対応できる凰牙が一歩先んじている感は否めない。
(だからと言って……負ける気はないがな)
最も、それは向こうも同じだろうが。
突進力で勝るアルトがじりじりと凰牙を押し込んでいく。
凰牙が腰を落とし、拮抗していた力が一瞬抜ける。
つんのめったアルトの腕を引き、一本背負いの構えで凰牙がアルトを投げ飛ばす。
「そう何度も……同じ手を喰うか!」
しかし、完全に手が離れる前にアルトのブースターが再度点火。空中にある体勢のまま、下方向へと加速。
とっさにアルトの張り出した肩を凰牙が受け止める。
100tの加速するアルトと、400tの静止した凰牙。一瞬の停滞が生まれる。
少しでも気を緩めればいなされる……その確信がアキトの痩身を震わせた。
「……フッ」
機体の接触回線から、ふと。ロジャーの零れた笑声が聞こえた。
何がおかしい――と、聞くまでもない。おそらくそれは、アキトが感じている感情と同じものなのだろう。
全力でぶつかり合う、二人の男。
しかし武装を使わない、殺し合いとは呼べない戦い。
ただ己の我を通すためだけの、相手を屈服させるためだけの、無意味な戦い。
――無意味? 違う、そうではないと、アキトは明白な確信を持って否定する。
こうして、この場でこの男と戦うことに意味がある。
黒騎士に乗っていた少年に確かめようと思っていたこの胸の霞みが、この男と戦うことで少しずつ……少しずつだが、晴れていっている気がする。
勝敗にはさほど拘っていないのかも知れない。
この戦いの果てにある答えが得られるのなら、俺は――。
ぞくり。
背を駆け上がった異質な悪寒。
唐突に奔ったそれに、アキトは一も二もなく従った。
アルトを弾くように上昇させ、凰牙から距離を取る。
だがその見据える先はもうネゴシエイターではない。今だ倒れ伏す、少年の機体。
「……テンカワ?」
「水入りだ。何か……来るぞ」
この感覚を知っている。
アキト自身が生み出した、最悪の災厄――キョウスケ・ナンブ。
それと全く同じかそれ以上のプレッシャーを、あの黒騎士ヴァイサーガが発している!
ネビーイーム、この魔星のそこかしこに散らばる有形無形の破片――おそらく、ユーゼスの乗っていた機体の破片――が、脈動する。
とうに機能を停止したはずのそれらが、這い、集まり、融け合い――ヴァイサーガへと集結していく。
黒の塊となったヴァイサーガ。動かない、動かない、動かない――否。
繭の表面を突き破ったものがある。腕。
びくりとその腕が蠢き、大地へと突き立てられる。
再び、繭から顔を出したのは、おそらくもう一方の腕。アキト自身が、このアルトの前身で奪った左腕だ。
繭を引き裂くように腕が振り回される。
立ち上がる――黒騎士、その姿は一見特に変異したようには見えない。
だが――
「……ゼスト」
ロジャーが震える声で呟く。
蠢く装甲、脈動するエネルギーライン、おぞましいほどに巨大なエネルギー、本能的に忌避するこの気配。
アキトとほぼ同じ推測に行き着いたようだ。
だが違う。決定的に違う。致命的に違う。
ゼストではない。ユーゼス・ゴッツォは、アインストを凌駕するためにゼストの成長を欲した。
あの機体は器は確かにゼストに酷似している。しかしその体内から漏れ出る気配はアインストそのもの。
ゼストと、アインスト。出会うことのなかった二者が、融合している――。
もはや是非もない。
ヴァイサーガ――だったモノ――が動き出す前に、アキトは排出していた弾薬を再度装填していく。
「ネゴシエイター、貴様も死にたくなければ武装しろ。アレは……交渉など通じる相手ではないぞ」
「む……くっ、やむを得んか……!」
鞭と、機銃と、斬艦刀を回収し、凰牙がアルトの傍らに並び立つ。
もう勝負がどうのと言ってはいられない。
目前に、凄まじいプレッシャーの塊――今にも牙を剥いて襲いかかってきそうな、一匹の獣がいる。
彼らの視線の先――ヴァイサーガ、らしきモノの中で。今まさに最後の、そして新たなアインストが誕生する。
□
首輪が砂になって消える。
『こちら』側――彼女はそう言った。
先程までいくら力を込めても痛みすらなかった身体に、まるで燃料が注ぎ込まれたかのように力が漲っていく。
これが……アインスト。そして――
ヴァイサーガのコクピットの内壁から、絞り出すように金属片らしきものが排出された。
ユーゼスの機体に積まれていた、ラズムナニウム。それに付着したDG細胞。
情報が脳裏に踊る。これも『進化した』恩恵であるのか。
黒の金属片が蠢く。もう一つ、これには何かある……ゲッター線?
自己再生、自己増殖、自己進化。
無限の可能性を秘めた、新たな生命の萌芽。それが、統夜の手の中にある。
躊躇わず――飲み込んだ。身体の奥底に、新しくエンジンができたかと思った。
凄まじい熱。心臓を呑み込み、血流に乗って、統夜の身体の隅々にまで変革の波が押し寄せる。
腕の甲に、黒光りする金属が浮き出て来た。
痛みはとうに消え、高揚感と共に今まさに『人間を止めている』感覚が、統夜を満たす。
もう、戻れない。いいや、戻る気もない――
手を伸ばし、操縦桿を握る。DFS、起動。
普段の何倍も鋭敏になった神経が、直接機体と繋がる。
ヴァイサーガ――否、イェッツト・ヴァイサーガ。
統夜の分身にして、至高の剣。神も悪魔も斬り捨てる、唯一無二の、天下無双の……『力』だ。
目を開く。そこにいるのは、統夜自身が何度も交戦してきた機体。
騎士凰牙。アルトアイゼン。
乗っているのは……ネゴシエイターと、テンカワ=アキト。生体波動の判別すらできるようになっている。
かける言葉なんてない。奴らもそれはわかっているのか、既に武器を構えている。
いいだろう、やってやるさ――まずは、お前らからだ。
おあつらえ向きに、片方があの大剣を構えている。ガウルンの剣、斬艦刀。
亡霊は、ここで完全に振り払ってやる。
そして次に残りの生存者、最後は主催者。何も問題はない。
行動はシンプルに。躊躇わず、一直線に、駆け抜けるのみ。
「ヴァイサーガ……。
俺達に、静かな眠りは似合わない……そうだろう? だから、もう少し……もう少しだけ、付き合ってくれ。
さあ……行こう、相棒ッ! お前には俺が力を与えてやる……ッ!」
イェッツト・ヴァイサーガがその一歩を、踏み出す。
二振りの剣。肘部へとマウントされたブレードが旋回し、その手に握られる。
二人の敵手。その向こうに感じる、三つ……いや四つの輝き。
立ち塞がるものを斬り裂き、奪い取る。これが開戦の狼煙。
未知なる無限の開拓地へと、ここから始めるのだ。
それでいいと、消滅したはずの彼女が笑っている――そんな気がした。
全ては、ここから――
「ヴァイサーガ……フルドライブッ!」
【紫雲統夜 登場機体:ヴァイサーガ(スーパーロボット大戦A)
パイロット状態:イェッツト化(アインスト化+DG細胞感染+ラズムナニウム侵食+ゲッター線含有) 首輪解除
機体状態:イェッツト化(アインスト化+DG細胞感染+ラズムナニウム侵食+ゲッター線含有) ガーディアンソード所持
現在位置:ネビーイーム内部
第一行動方針:主催者を含め、全てを消滅させて新たな命の創生に足るエネルギーを手に入れる
最終行動方針:テニアを生き返らせる
備考:外見はヴァイサーガとほぼ同一。五大剣、ガーディアンブレードは肘の部分に接続されています】
【ロジャー・スミス 搭乗機体:騎士凰牙(GEAR戦士電童)
パイロット状態:肋骨数か所骨折、全身に打撲多数 首輪解除
機体状態:右の角喪失、 側面モニターにヒビ、EN90% 斬艦刀を所持
現在位置:ネビーイーム内部
第一行動方針:アキト、統夜と交渉する
第ニ行動方針:仲間と合流する
第三行動方針:ノイ・レジセイアの情報を集める
最終行動方針:依頼の遂行(ネゴシエイトに値しない相手は拳で解決、でも出来る限りは平和的に交渉)
備考1:ワイヤーフック内臓の腕時計型通信機所持
備考2:ギアコマンダー(黒)を所持
備考3:凰牙は通常の補給ポイントではEN回復不可能。EN回復はヴァルハラのハイパーデンドーデンチでのみ可能
備考4:ハイパーデンドー電池4本(補給2回分)携帯
備考5:バイパーウィップ、ガトリングボアと契約しました】
【テンカワ・アキト 搭乗機体:アルトアイゼン・リーゼ
パイロット状態:健康 首輪解除
機体状態:良好
現在位置:ネビーイーム内部
第一行動方針:ロジャーと統夜に対処する。
最終行動方針:???】
【三日目 2:45】
以上、投下終了
乙!
スパロワ学園からのヴァイサーガの復活!
不利と思われたヴァイサーガがここにきてまさかの優勝候補になったなんて
乙です
続編来て嬉しいw
しかしこの三人はもうどうなるんだ?
GJ!
つっこみどころ満載のスパロボ学園だが、とりあえず一言。
>>もちろん、背負った剣で戦うなんて論外だ。
騎士だからって危険物を背負って堂々と登下校すんなwww
日が空いたが今日はミスマルユリカからでいいのか?いいんだな?
感想&wiki収録して下さった方どうもありがとうございます
キャラ語りを止めてしまったようだ・・・
もうちょっとなんで再開しましょう。次はユリカですね
黒アキトと再会した時点である程度あの結末は読めてた
加えてあの性格+艦長ポジション+戦艦 ではなぁ
まさかの第一話合流にしては長生きしたほうな気がするかな
でも当初は没でアキトが先に死んでたんだぜ
しかもその刺し違えた相手がガウルンというのがまた切っても切れぬ因縁を感じさせ……
ガウルンは何度死んでるんだw
同じ話で武蔵もやっぱりテニアに殺されてたしな
ユリカに話戻すと九死に一生を得て助け出されてアキトを認識した瞬間にぐしゃって死に様は何か切なかったな
同話死亡のマサキはあんなだというのにw
そのマサキも没では主催者の……
……主催者をどうしたんだっけ。思い出せないや。まあどさまぎの犬死ですよねー
今日はメルアだな
なぜその乳が活かせ無かったんだろうか……
竜馬がトドメ刺したのか、総代の攻撃で既に死んでたのか
どちらにしろ、テニアがマーダーになるきっかけはメルアの死だろうね
序盤合流した→とはいえ即殺害。は早すぎる…総代の登場も唐突だったしなw
ラフトクランズはしゃーないだろ
時止めフルに使われたら誰も勝てない
メルアはジムカスタムだったっけ?
大雷凰とラフトクランズ相手じゃどうにもならんよな
せめてメルアにエース級の腕前があれば少しは違ったのかなぁ
今日はアフrいやコスモ
そういやコスモがそのジムカスタムを見てたら面白いことになっただろうにw
ところで
アイビス=ダグラス 19 カミーユ=ビダン 24 紫雲統夜 27 テンカワ=アキト 31 ロジャー=スミス 25
紅一点の登場回数がとても残念なことに・・・
一年ほど書き手に完全に忘れられてた時期あったからなw
コスモは
赤い・デカい・使い辛いと
元の乗機と三つも共通項があるのに……
さて今日は・・・ある意味このロワの主役だったと言えなくもないユーゼスだな
だがあれだけ存在感ある割に意外にも撃墜数はゼロw
メディウスに色々詰め込みまくった結果、デュミナスと化け物みたいなヴァイサーガを遺産に残してるしなw
>>560 ジムカスタムは水色だから…ちょっとイデオンからはなれちゃう。
ユーゼスはラストバトルでシャギアに出し抜かれまくったのがDCαぽかったな
ベガさんを上手く掌の上で転がしてたけど他はさっぱりだったw
えっと、ラクスでOK?
キラの決意を促す以外何も無い役回りだったな
ポジトロンスナイパーライフル持ってたんだっけ?
月の子チャージからの「目標をセンターに(ry」とかもいけたんじゃないかなぁ
今日はリリーナ
って気がついてみれば後はもうリリーナとブンドルだけだ
っえええ!?もうキャラ語り終わりそうなの!?
一次のほうじゃもっと長く続いてた気がするのにっっ
リリーナ、最初にロジャーと組ませてくれたのは実にGJだった
ネタ的な意味除いても相性のいいコンビだったよなぁ、短い間だったけど
そういや長いことすっかり忘れたままだったが
死亡者図鑑どうなったw
うーむ、アムロやシャギアの図鑑見たいw
よかろう。ならば死亡者名鑑だ。
えっとカズィで止まってるから次は……
こいつか
,. --- 、
,∠ _ , -、、ヽ,r -、 ヽ
,イ、 / ヽヽ _ メ ノ !
,.. - '‐'_ー ニ / _ }/ ̄ _ノ _
/ _ , ィ ´, - // rト i ィ ´ ー 、 _ヽ
/´ィ /ィ´ , /// / !|ヽー| l 、ヽ\ ヽ`ヽ
/! |_/ / ,/.イ// / イj |ハ |、 ヽ ヽ }
レ ,.-!イ /,l=⊥l_|イ/ // _, /、!ノ } }、 } |
/ イ'/ ! { |ァflぅ::テ、=、/' ィ..ィ:チYク / /ハノ
l/j! { ィ1rーl ヽー'- l ^゙ー'ノ'イ、1ノ j/
! | ト=ハ |ヽ ハノ
V ハハ _ー '_ , / |l
/ヽ{ ! ト、__ -- ,イj/ |-_ _
{====- ̄┐|、 /|! ト } ` 7`i
ヽ. | ト、 ー '/ jl/ j! //
__iヽ | ト、 ー ′ !、 ヽ //
_ -‐ ´ ゝァ- __ヽ, ヽ ヽ `ヽ} {{ー- _
_ -_ =´‐ ^ヽヽ、 // !、 __ ,. ー - イ >>
´ `// {ー、‐ ´ ̄ー/ / ´
ー ̄- ̄->‐_' -‐ '
登場作品:スーパーロボット大戦α外伝
旧ザク支給され第8話「悩める少年」より登場。そこで出会ったカズィと百式の相乗りをし、カミーユとゼクスのピンチに颯爽と駆けつけるヒーロー振りを見せ付けた(実は迷っていただけだが)
情報を交換しカズィを複座のあるゼクスのメディウスに預け正式に百式のパイロットととなる。そして起こるは愛機サイバスターとの邂逅。
サイバスターの譲渡を断られた彼は、ブンドルを追いかけて一人パーティーから外れることになる。
極度の方向音痴の癖に独断専行による単独行動。その無謀さはすぐに明らかになる。
次話、『西』に向かって『空』を飛ぶサイバスターを追いかけていたはずの彼は、何故か『北』の『地下道』にいた。それも百式がぶつかりすぎて壊れるほど狭い地下道をである。
西に対して北を選び、空に対して地下を選んだ彼の思考回路は今だもって理解不能である。
とは言え、彼も地下で何もしなかったわけではなく足の骨を折っていたソシエを助け、彼女を保護する。
そして百式を捨て、彼はキラ・武蔵・テニアの三人組と出会い、アルトアイゼンを手に入れ、無敵戦艦ダイの討伐へと赴く。
だが、悲劇にも無敵戦艦ダイは志を同じくする者の集まりであった。
ロジャー・スミスの交渉虚しく紛れ込んだガウルンの手によってなし崩しに開かれる戦端。その戦闘の最中、彼はガウルンと激戦を繰り広げる。
だがしかし、追い詰められたダイの起こした地盤破壊に巻き込まれ、彼の命は散っていった。
余談だが、一次と二次のヒイロと言いこのマサキと言いグリリバのキャラがどさまぎでことごとく散っていくのは何故なのだろうか。
図鑑GJだぜ!
色々おかしな道中を辿ったのが死んでるから楽しみだ
そんな中、今日のブンドルは比較的ブレないカッコいい役回りだったな
スパロボだとネタキャラなんだけどな
悪と美しさがいい感じでかっこよくかかれてたな
キャラ語りも終わったし死亡者図鑑も作る技量は無いしで、勝手に機体語りを始めてみる
最初は「RX-78-2 ガンダム」
武蔵が乗ってたからか、ゲッターロボ調のガンダムしか想像出来なかったな
大雪山下ろしがナチュラルに想像出来る元祖リアル系って……
(初代はリアル系じゃねぇって意見もあるだろうが……)
Gファイター支給されてたらもっとスーパーなガンダムも見れたかもなあ
今月の電穂読んだがあのキョウスケだったら普通にマーダーになりそうだw
マスターガンダムとヴァイクラン+ディバリウムとの三つ巴になったときは一人だけ機体性能かけ離れてていつ壊れるかとはらはらしてたな
まぁ予想外にがんばったけど結局壊されちゃったんだけどさ
A仕様なら改造度と強化パーツの数で勝てたw
続けていいのか?いいんだな?
今日はアルトアイゼン……
一応現在生き残ってる機体だから飛ばすべきじゃね?
そうなるとアルトロンガンダムだが
アルトとリーゼとゲシュペンストは違うんじゃね?
アルトロン語ることねぇwww
アルトロンガンダムのルをノとレに分けてそれぞれ反転してレの角度をフになるように回転させる
フに反転したノを組み合わせるとヤになる
さらにロの三画目の棒を二画目の末端から伸ばし、ちょっと形を歪めるとクになる
並べるとアヤトクンガンダム
つまり綾人は刹那・F・セイエイだったんだよ!!
今日はアレだ、アレ
まぁとりあえず
ガドル・ヴァイクラン!
第2次の名物合体の元だなw
ヴァイサガを飛ばすとエヴァ零号機だな
ポジトロンスナイパーライフルだけでも拾ってほしかった……
今日は……大佐のミサイル……とても大きいナリィ……か
ナナイもハマーンもララァも大満足に違いないな
カテジナさんをイカセルことはできなかったがな
590 :
名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 16:05:43 ID:c9smgyHi
このスレを空前絶後の笑いの渦に叩き落とした核ミサイルwww
しかも無視出来ない破壊力www
コレで終盤まで残ってたら……
巨大ロボ決戦で使われていただろう
たかが核ミサイル一基、バルキリーで振り回して見せる!!
あれを支給機体として出すという発想に至った書き手氏は冗談抜きで天才だと思いますw
そしてシャア。なんでこの人は何をやらせても一流なんだろうかw
このアホ支給ミサイルを見事にギャグで振り回しつつシリアスで締めやがったwww
キングジェィダーとゼストに挟まれて爆死するシャアw
・・・あれ?意外と似合うぞ
しかも核ミサイル、出典がα外伝。
んで、シャアピンクで角までついてるという…よく却下されなかったな。
なんていうか、他のキャラじゃ普通に却下されてたかも、というか
シャアだから許されたって気がしてならないw
今日は機体のMVPを決めるとしたら一等候補のガンダムF91だな。
なんていうか今川脚本ばりに説明不要展開の連続だったよなwww
説明は出来ないけど説明不要
とりあえずモビルスーツではなかったと思う
まる1日飛んでるけど今日はヘビーアームズ……誰が乗ってたんだっけ?
実は俺、ギャリソンさん登場話書いたんだけど、
俺の中で「執事+重火器=カッコイイ」の法則があったからヘビーアームズに乗せたかったんだよな
でも既に出てたから似たようなのに乗せてみたまでで……
核ミサイルとかマジキチかよwww
流れが止まったな
604 :
それも名無しだ:2009/09/07(月) 10:51:51 ID:IvPyZ8nW
じゃあ再開しようか
今日はガンダムレオパルドデストロイだな
緒戦でガウルンに当たったのが不運としか言いようがないな
ツインビームシリンダー無双が見たかったもんだ
442 :Trader@Live!:2009/08/17(月) 19:03:56 ID:iMtm0Mqi
>>394 なるほどー。
今も騒いでる香具師が、なんで児童ポルノ規制法案がでてきたのか、その目的を勘ぐってくれればいいんですが。
自民党と民主党じゃ、児ポ法を打ち立てる目的が全く違う。
民主党のバックには中共・韓国がいるが、この二国、二次元文化(アニメ・漫画・ゲームetc)が金になることを知ったんだよな。既に日本の輸出産業の一角を担うって麻生総理も言ってたし。
だから、民主党を通して二次元文化を規制する。今は商業ベースだけかもしれないが、将来のクリエイターを育てる土壌となる、一次二次創作も規制するかもしれない。
自民党が児ポ法たてた理由の一つに、北朝鮮利権があるんだってな。
安倍総理や麻生総理がクスリやらパチンコやらサラ金やら、北朝鮮利権をシメてる間に、北朝鮮の連中が児童ポルノ作って売りさばいてたらしい。
児童を護るのも大事だが、北とそれに群がる汚物も一緒に排除する気だよ、自民党は。
---------------
>北朝鮮の連中が児童ポルノ作って売りさばいてたらしい
これはプチエンジェル事件とか、ヒルズでも噂される児童売春との繋がりのことかもね。
しかしガウルンも「機体性能の差で勝った」みたいな発言をしてたから
どっちかっていうとマスターガンダムと戦ったことが不運
ギャリソンの時にも出てた意見だけど、本当に相手が悪かったよな。
修正出されまくって結局は破棄されなかったのも不運。
修正前の決まり手はせきはてんきょうけんモドキだっけ?
予約が来ないな・・・・・・
最終回目前だからね
つーかドスハードとかどうしろと
ザクに比べればマシだろう
旧ザクを舐めるな!
ザクファイブまだー?
新ゲ隼人と真ゲ竜馬の戦いが見たかったな…
次が最終回でもおかしくないが、その次がなかなか来ないな・・・
そんなことより俺のアッガイを見てくれ、こいつをどう思う粗チン共
お久しぶりです
全員予約します……うん、頑張れ俺!
うおっしゃああああああついにキタアアアアアア!!!!!頑張れぇぇぇぇぇぇ!!!!!!
ついに最終回か
>>619 今更だけど予約きてれぅ!
ROMだけど待ってたやつはここにもいたのぜ、頑張ってくれ!
期限にはまだ早いですが、土日に十分な時間が取れそうにないため予約期間の延長お願いします。
あー……ちなみに最終回ではないですとだけ。
了解しました、がんばってください!
期限は明日だっけ?
しかし今日来る可能性は0じゃあない・・・
だから待機するんだぜ
正直、もう予約期間取っ払ってよくね?w
初代も終盤は予約期限ほぼ無制限だったし、ここまで来たら別に予約期間3日4日ぶっちぎっても気にならない。
焦らずじっくり書いてほしいとか思ったり。間に合わないなら再延長とか全然おk
俺もそれがいいとは思うけど、予約荒らしが来るかもしれないしなぁ
初代でも最後に新規のトリで何回かされてただろ?
実績のある書き手ならともかく、いきなり新人に最終回任せるのもアレだし・・・
期限までに書きあげられそうにないため、一旦予約破棄します。
執筆に割ける時間があまり取れそうにないため、再延長ではなく破棄で。
自分の筆力の無さと見積もりの甘さが原因のために住人の皆様の期待を裏切る形になってしまい、本当に申し訳ないです。
残念です・・・
チャットや麻雀に割く時間はあるのに執筆に回す時間がないというのが
マジで残念だ
また来てくださいね
632 :
小高良光:2009/10/01(木) 21:46:08 ID:yO4JxGXs
633 :
それも名無しだ:2009/10/02(金) 19:03:56 ID:VK+491SG
書いてもらう立場の俺達が文句を言うなよ
そうだね、貴重な書き手様だもんね
で、何回目の破棄だっけ?
この人の場合執筆する時間がないと言いつつ麻雀してるだのチャットで楽しそうにお話だのしてるんですけど?
みんな! 荒らしをスルーするタイミングを合わせるんだ!
だが断る
>>630 そうだな。それくらいは、どんな書き手だってあるさ。俺だってそういう経験はあるしね。
でも今は、そんな事はどうでもいいんだ。重要なことじゃない。
>>632 こんな毒ばかり吐く読み手の為に作品を書く意味があるのか……?
>>635 でもそれって根本的な解決になってませんよね?
638 :
それも名無しだ:2009/10/03(土) 17:28:41 ID:ChsbDuFQ
あ
リアルミストさんがここまでウザいとは思わなかったわw
予約来ないか
創発板に三次っぽいの立ってるぞ
このシリーズはロボゲでやりたいな
645 :
小高良光:2009/10/09(金) 02:20:55 ID:3POyPwtz
イケメンの俺様が毒吐きなわけねえだろ粕
身の程をわきまえろや不細工
アレは一応三次じゃないんだし、OOやギアス、ZOEみたいなスパロボ非参戦作品を中心になる気が
ええい!ガンダムスルーネはまだか!
よければ最終回、予約したいと思います。
予約期限は一ヵ月ほどいただきたいのですが構わないでしょうか?
| 三_二 / ト⊥-((`⌒)、_i | |
〉―_,. -‐='\ '‐<'´\/´、ヲ _/、 |
|,.ノ_, '´,.-ニ三-_\ヽ 川 〉レ'>/ ノ
〈´//´| `'t-t_ゥ=、i |:: :::,.-‐'''ノヘ|
. r´`ヽ / `"""`j/ | |くゞ'フ/i/ かまわん
. |〈:ヽ, Y ::::: ,. ┴:〉: |/ 行け
. \ヾ( l ヾ::::ノ |、
j .>,、l _,-ニ-ニ、, |))
! >ニ<:| 、;;;;;;;;;;;;;,. /| ___,. -、
| | !、 .| | ( ヽ-ゝ _i,.>-t--、
ヽ| | ヽ\ _,..:::::::. / .| `''''フく _,. -ゝ┴-r-、
..|.| | :::::ヽ<::::::::::::::::>゛ |_ _,.-''"´ / ̄,./´ ゝ_'ヲ
..| | | _;;;;;;;_ ̄ ̄ |  ̄ ̄ / _,. く / ゝ_/ ̄|
:.ヽ‐'''!-‐''"´::::::::::::::::: ̄ ̄`~''‐-、_ / にニ'/,.、-t‐┴―'''''ヽ
\_:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ / / .(_ヽ-'__,.⊥--t-⊥,,_
\  ̄\―-- 、 _::::::::::::::::::::__::/ / /  ̄ ) ノ__'-ノ
\ \::::::::::::::`''‐--‐''´::::::::::/ / / / ̄ rt‐ラ' ̄ ̄ヽヽ
ヽ ヽ\ \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ / ゝニ--‐、‐ |
l ヽヽ \:::::::::::::::::::::::::::::::/ /‐<_ ヽ |ヽ
どうぞどうぞ
651 :
それも名無しだ:2009/10/13(火) 01:20:20 ID:dw8i6AJS
>>648 ktkr!
楽しみに待ってるぜ、よろしく頼む!
::| 从
::| 从从
::| 从从从
::|. / |.| ヽ.
::|. / |.| ヽ
::|-〈 __ || `l_
::| |ヾ||〈  ̄`i ||r‐'i| |
::|.|:::|| `--イ |ゝ-イ:|/
::|.ヾ/.::. | ./
::| ';:::::┌===┐./ 私も準備は完了だ、いつでも出演できる用意はあるぞ!
::| _〉ヾ ヾ二ソ./
>>648、君に二次スパの全てと私の活躍を託す!頑張ってくれ!
::| 。 ゝ::::::::`---´:ト。
::|:ヽ 。ヽ:::::::::::::::::ノ 。 `|:⌒`。
::|:::ヽ 。ヾ::::::/ 。 ノ:::i `。
::|:::::::| 。 |:::| 。 /:::::::|ヾ:::::::::)
::|::::::::| . 。 (●) 。 |:::::::::::|、 ::::〈
最終回来るまですることないな……
第三次に出てくるキャラやロボットの妄想とか?実際誰が出てどのロボに乗るかは投票や書き手次第だけどw
主催はジエーデルだろうな
しかしこういう語りは展開に影響を与えかねないから控えた方がよさそうだ
>>656それもそうだなw
でも二次スパ開始以降に参戦した作品やオリキャラもいっぱいいるから楽しみだw
企画スレが立ったのが2006年5月だから、
OG外伝、Z、W、K、あたりから多数選出されるかも。
スクコマ2、学園、無限フロあたりをどうするかを最初に議論するようかな
多分完結して第三次を開催する頃にはNEOも発売してるだろうしな。
ムゲフロや学園はともかく、スクコマ2がNGの場合出れないのはケイジ君やコキムラとマクロスゼロか。
しかし設定だけでみると、一次二次合わせてちょいネタとかで
OG外伝も、Zも、ムネフロももう使われてたりするんだよな
一次二次もなんだかんだいってうまくいったし、三次も楽しみだw
マグナムエースをガンバスターに乗せちゃう
新の竜馬だしたいけどまたゲッター線に拉致られそうだwww
ジョシュア・キラ・ヒイロ辺りの続投組が3rdにも出ることになったら笑うぞ俺は、お前らどれだけツイてないんだってw
cvグリリバは碌な扱いにならないに違いないw
個人的には次の主催者はインファレンスを希望してたんだけどなあ。
「……お兄ちゃん、マジでやるの?」
「ああ。『宇宙の怖さ』『一人の人間の弱さ』『』『命の大切さ』……
カズマが言っていたけど、今一つ具体的なイメージが伴わなくてね。
パスキューマシンを使えば舞台、登場人物、マシンその他諸々は準備できるし、
実在する人物に直接的な迷惑をかけるわけでもない。
そして、万一の時には暗黒物質に還元すればいい。何も問題は無いだろう?」
「パパとレギュレイト様は何て言ってるの?」
「やるんだったら最後まで責任を持ってやりきれってさ」
「う〜ん、後味悪そうだなぁ……」
……まあ、参加者に感情移入してボロ泣きしながら主催者としての責任を全うするインファレンスが見たかっただけなんだが。
Wがアストレイ、Xアストレイ、TSR、ゴライオン、ブレード2、オーガン
スクコマ2が種死、マクロスゼロ、ゴーダンナー、劇場版Zガンダム
Zがキンゲ、ビッゴー2nd、ゴッドシグマ、バルディオス、エウレカ、アクエリ、オーガス、グラヴィオン(zwei含む)
Kがファフナー、神ジーグ、LOD、ガンソ、スタゲ、ジェネシス
NEOがライガー、新ゲ、ラムネ、ガンバルガー、ゴウザウラー、ダイテイオー、アイアンリーガー、リューナイト
それにそれぞれのオリに学園やムゲフロが入るとすれば、J以前に参戦した面子も合わせて、第三次はそうとう顔ぶれが変化するかもなw
>>665 アサキムあたりが緑川死(何のフラグも立てず、ドサクサ紛れにあっさり死ぬ事)したら笑うぞ、俺は。
主催側を他ロワみたいに版権にするってのもありじゃないか?
結局まとめるのがバンプレストオリジナルになるか
そろそろ戦場を宇宙に出来ないかね
宇宙空間だと生身の活躍がしにくい
>>670IDが最近の版権スパロボだなw
宇宙が舞台だと作中で宇宙にいかない作品のキャラやパイロットが不利だしな
ここまで書いて気になったが、逆に地球やその他惑星での戦闘が一切ない作品ってあるのかね?
673 :
672:2009/10/20(火) 20:37:31 ID:vP8EBKKX
連投すまんがミス。
×キャラやパイロット
○キャラやロボット
宇宙空間だと、ロボットを失ったら詰み確定じゃない?
地上なら間一髪で脱出とか他人の機体を奪う機会を狙うとかガンダムファイターやテッカマンが生身で暴れるとか
色々出来そうだけれど、宇宙だとほぼ浮いているだけの存在になりそう。
宇宙でテッカマンと遭遇とか死亡フラグすぎるw
・タイプの違うコロニーを複数用意。
・放送後、現在のコロニーは禁止エリアとなり、次のコロニーに移動しなければならない。
・コロニー間は当然宇宙。
・指定時間までに次のコロニーに辿りつけなかった者は首輪爆破。
・それ以降次の放送までに宇宙へ勝手に出ても爆破。
とかだったたら宇宙空間も舞台の一つとして使えなくもないかな。
ただ最初の放送待たずしてコロニーが崩壊しそうな気がしてならないwww
デビルガンダムのコロニーがありそうだw
他のコロニーや要塞に混じってネオジャパンやネオアメリカのコロニーが浮いてたらシュールすぎるぞwwww
デブリにぶつかって死ぬ奴とか出そうだな
ソーラレイやグリプスUを差し置いて自由の女神砲が使われるんですね
分かります
ガンダムMA無双ですね
ネタ枠でスーパーボスボロット(新スパ)内定だな
ところで主催濃厚なジ・エーデルだけど
こいつむしろ主催より参加者で出したい・・・と思ってるのは自分だけだろうか
主催はまだジ・エーデルに決まった訳じゃないしな。OP次第じゃね?
ユーゼスやアインストと違って、ジ・エーデルは現状で全貌も何もわかってないようなもんだからな……
次元力の設定とかもいまいち不明瞭なままだし、倒し方だってはっきりしないし
ていうかただの変態な愉快犯以外の設定なんてないに等しいから、キャラ的にはうってつけかもしれんけど
本気で完結目指すとなると後半になればなるほどバックボーンのなさが逆にキツいかもしれん
そう考えると、確かに参加者のほうが光りそうな気がするなぁ
能力全部封じられて他参加者と同じ土俵に放り込まれた時のこいつの反応とか興味深いかも
単純にマーダー要員としても使えそうだし、下手したらイキマやシャギアみたいに化けるかも……想像つかんがw
コーヒーポジション筆頭だなw
第三次で主催になりそうな奴等を幾つか挙げておくか。
・木原マサキ(スパロボキャラバトルロワイアル)
スパロワ最終回で生還した後に、自分に立ち向かうゲームの相手を求めてバトルロワイアルを開催。
・ペルフェクティオ(スーパーロボット大戦D)
負の感情を集めて完全復活を果たす為に。
・ルオゾール(魔装機神LOE)
ヴォルクルス復活の儀式として。
・アル=イー=クイス(スーパーロボット大戦64)
後継者選びの手段として。
・ギルギルガン&ピクドロン(劇場版マジンガーシリーズ)
初代スパロボでラスボスやってたから。メカギルギルガン、スパロボに最近全く出ないよね……。
主催候補か……
バーローは途中で主催交代(霊帝じゃなくても)の未来が濃厚だし
ミッテ先生は単なるキ印だから最近の据え置きじゃ微妙だな
携帯機だったらデュミナス(R仕様)とか良さそう
お前らせめてそういうのは最終回終わるまで自重しろよ
ここは三次の企画スレじゃないんだぞ
689 :
ゼゼーナン:2009/10/22(木) 15:07:56 ID:gLgG83+u
貴様ら、この私を忘れたとは言わせんぞ!
先のことをここで議論したって仕方ない
今は目の前の最終回を待つべく、過去を振り返る時だぜ
生存者5人やその機体の軌跡を振り返ってみるか?展開予想にならない程度に
あくまで俺の主観なんだが、アイビスだけ頭一つ凹んでるような気がするのは気のせいか?w
凄く空気です
マジ御大将戦で輝きすぎたせいじゃね?
アイビスほど空気じゃないけどロジャーの輝いていた場面が思いだせんのだが
オープニング?
OPだなw
でもアレはガチでかっこよかった
OPの後はネタ街道っぽいよねw
アイビスが空気すぎるwww
もう一回ロワやらせていいんじゃね?w
最終話で奇跡の大活躍をするかもしれんぞ
初代でもまさかシロッコがユーゼスを連れていくとは夢にも思わんかった
終わったら書き手でチャットしたいな
一次二次問わずで
アイビス空気って最後まで生き残っただけ目立ってるよ
ブラスターキッドとか……九鬼さんとか……
キッドはVSエビル戦が格好良かったから、そこまで不遇な印象は無いな。
一回目の放送まで生きてたのに出会った人間が全て敵というモンシアさんは不遇というか不運だった気がする。
別にマーダーだったわけじゃないのに戦闘しかしてないし。
その代わり機体も本人の働きも素晴らしかったと思うよ。
まさか自爆するとは思わなかったが
そして涙目なヒイロ
俺的に涙目なのは綾人クンだな。
スタンスで統夜と被ってしまったせいか、何の活躍も無く序盤であぼーん。
九鬼さんには“ま、どうでもいいか”的な扱いを受けて、美嶋玲香の登場フラグも虚しく消滅。
おまけに無事生きて帰ったところで、ブルーフレンドが待ってると言う……。
ラーゼフォンが大活躍なだけに、なおさら哀れな感じがするぜ。
ロボが活躍するとパイロットが目立てないの法則
レイズナー1次大活躍エイジあぼーん
ラーゼフォン俺の歌を聴けー綾人上述
他にもいる気がするw
涙目ではないけど統夜とスタンス被ったのはバーニィもだな
ロワ内に恋人召喚されてるかどうかが分かれ目だったんだろうかね?
最初の頃は統夜はビビりのヘタレだったからバーニィはともかく綾人クンはちょっと違う気がする
被ってたのはスタンスじゃなく……キャラ?
乗ってた機体が……
>>705 ロジャー「理不尽に見えても、世の中は実にバランスよくできているということだな」
冥王「世の中そんなものだな」
豹馬「スパロボ常連なのに機体も人間もロワと全く縁のない俺達よりはマシだろうが」
洸「どうせ第3次でも参加者に挙げられないんでしょうしねー」
いや機体としてはライディーンは可能性は十分あるだろうけど
コンVは機体的にもほんとに芽がなさそうなのが……
綾人クンの登場話が空いてたら、ライディーンを支給したかった俺が居る。
コンVに関しては、コンバトラーチームよりもガルーダの方が参戦する可能性が高そうなのがなぁ……。
ミーア・キャンベルとセットで登場させて、名前と偽者繋がりで話を膨らませたりとかオイシそうだし。
微妙な機体でマーダーになることは死を意味する気がする……w
なんだかんだいってマーダーは機体強力なのが順当に生き残っていった印象だなw
目立ったマーダーってヴァイサーガにブラックゲッター、マスターガンダムにシャイニングガンダム、大雷鳳とみんな機体つえーもんw
つまり主催が改造してひとり乗りのコンVを出せば解決と
昨日ラミアに似た女とHしたが気持ち良かった
コンVと思わせて実は中はカエルの・・・
うわああああああああああああ
なんという嫌がらせ
>>713 一次の時はシズラー黒なんて厨機体支給されたのに即死したダメ男がいたな
……………あれ?
ラ……フト……クランズ……?
スター……ガオガ…イガー?
強さもあるんだろうが、それ以上に
機体の戦法の幅広さもものを言ってる気がする
単純に武装が多く様々な戦法に対応できるという他にも
スーパーモード的機能や切り札となりえる装備がある機体も有利かも
前者はガイキング、後者はレイズナーとかかな。ビッグオーなんかは両方か
書き手さんが書いてて楽しそうな機体が強いのかもね
ガオガイガーとか武装のバリエーション少ないから戦闘シーンを膨らませにくいのかもな
切り札ハンマーも外部機器がないから使えないし、ロワ的には面白みが薄いのかもしれない
武装が少ないとかお前
サイバスターとなんて終盤まで剣一本、ヴァイサーガもほぼ剣のみだぞ
モビルファイターは言うまでもなく、凰牙だって片腕落とされてから終盤までほぼ格闘だし
戦法のバリエーションの問題じゃないか?
まあ機体の魅力や可能性をどれだけ引き出すかはまさに書き手次第
強さや武装や能力とか、そんなのは結局二の次で、全ては書き手氏のさじ加減一つってわけだ
そういえば、このロワって因縁を持った相手同士が再会するケースが異常なほどに多かったな。
アキト&ユリカ、フロスト兄弟、アムロ&シャア、スパロボJ組、竜馬&隼人、etc……。
再開出来なかったのは、W組、SEED組、ジョッシュ&ラキ、エイジ&ゴステロ、
よそのロワだと因縁を持った相手ほど再会し難かったんで、結構意外な展開が続くな〜と個人的に思ったりした。
原作の因縁はともかく、ロワ内では因縁キチンとこなしてたよね。
地味に凄いw だから、後半顔合わせたの1回2回じゃ済まない連中結構いたw
御大将にいたっては甦ってまでしてアムロと闘ったしなw
御大将はアレだ、もう二次スパ代表と言っても過言じゃないくらいの大活躍(色んな意味で)だったからなぁw
ところでお前ら、二次スパといえばこいつ! って人5人挙げるとしたら誰が出るよ?
とりあえずアムロとシャアは絶対に外せんなw
ギャグもシリアスも完璧、こいつら本当にキャラクターとして超一流だと実感するよw
あとはシャギアと……この辺までは順当に出て来るんだが
絞り込むとなると難しいやね、やっぱ
難しいな……
ぱっと出てきたのはキョウスケ、ユーゼス、アムロ、ガウルン、シャギアだった
統夜やキラも入れたいなぁw
シャギア:ナデシコルート代表
キョウスケ(次点ユーゼス):基地ルート代表
キラ:Jアークルート代表
ガウルン(次点統夜):マーダールート代表
アイビス:補完ルート代表
絞り込めきれなかったから、なるべく多くのイベントカバーできる5人選んだらこうなった
補完ルートは候補一杯いたけど、イベントカバー率の高さでアイビスになった
異論は認める
そういや二次スパのメインヒロインって誰になるんだろ?
ノイ・レジセイアだったら笑うがw
ノイローゼイア
あと十日切った
生き残った女性はアイビス、ノイたん、万が一の復活があるのがテニア、ユリカか
まあロワ史上この手の復活はないが
総合するとメインヒロインはネリーブレンってことだな
過ちさんも女の子だよ!
てす
すいません、現在状況の報告です。140kくらいの最終回にするつもりが、
予想外に長くなり現在150kで、あとバトルがまるまる一本残っているという状況。
おそらく200k近くなりそうで、まだ時間がかかりそうです。
最後ですから推敲やチェックも念入りに行いたいので、すいませんが、10日前後延長させていただけないでしょうか?
737 :
それも名無しだ:2009/11/05(木) 19:42:16 ID:8NqSBsTQ
いいよw
おお、これは期待。頑張れー
>>738 ちょ、どれだけ大作なんだwwwww
延長については了解です、ゆっくり書いていってね!
740 :
小高良光:2009/11/07(土) 15:40:16 ID:LoBFe+Oq
二度と書くな不細工
最終回だから言われなくとも書かないだろうよw
ユーゼスがいないと虚しいな(笑)
743 :
それも名無しだ:2009/11/13(金) 03:46:19 ID:CKwrTLV1
そろそろだな
上げんなカス
745 :
それも名無しだ:2009/11/14(土) 18:43:13 ID:MgW1M6is
おっと、うっかり
それはそうと一応次スレを立てといたほうがいいんじゃね?
避難所スレに連絡が来ていたので、コピペ
30 : ◆XrXin1oFz6:2009/11/14(土) 19:00:23
規制されてるのでこちらで。
投下のめどが足りました。来週末の土曜日、21日に最終回を投下します
230kほどあるため、もし規制がとけて本スレで投下できるようであれば支援を会願いします
規制中かー
解けてて欲しいものだ
ともかく完成とはめでたいw
転載
31 名前: ◆XrXin1oFz6[sage] 投稿日:2009/11/14(土) 23:41:27
極力本スレで投下できるようにしますが、無理だった場合、避難所で投下します、
すいませんがそのご了承をお願いします
来週終焉と聞いて
やっと終わるのか
終焉のロワイアルへ
開始から三年半。
先年の再加速からほぼ一年か。
初期からの住人としては何か感慨深いな。
思えば遠くへきたもんだ…
みんなの規制がとけて、いい最終回になりますように
てす
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
とけた! とけたぞおおおおおおおおおおおおおおお!!!
最終回、これで本スレで出来る!
>>754 規制解除おめ!
これは俺からの選別だ、とっておけ!
つ【応援】
おおおおおお!そりゃめでたいっ
つ【祝福】
じゃあ俺は、えーと……
つ【信頼】
これでラストスパート乗り切ってくれ!
つ【補給】
なら私は誤爆投下を防ぐ意を込めて!
つ【感応】
【自爆】
えーっと、えーっと……
【激励】
つ【愛】
最終回ライターの人、意気揚々だけれど質問されたり突っ込まれたりする覚悟できてる?
第1次の最終回後には変なのが出てきてたからなぁ。
作者さん、あんまり気負わなくていいよ。という意味を込めて
つ【脱力】
第1次の最終回は不覚にも感動したなー
悪く言うわけじゃないが、あの最終回を超えれるか・・・
がんばて【熱血】【必中】
第一次の最終回は転生ネタというトンチキな事をやらかした輩が書いたからな
今回はそうあって欲しくない
いきなり失礼します。
ID:l6+AlOmoは第一次ロワスレ、並びにサルファスレ、図鑑スレに出没する荒らしです。
今後も荒らすと思われるので、それらしい書き込みはスルーして下さい。
最後にスレ汚し失礼しました、最終話、頑張って下さい。【期待】
これだけ長く続いたんだ…
それを終わらせちまうんだぜ…
生半可な腕と覚悟じゃ許されねーよなあ 書き手さんよお〜
とけてるかな?
この人が終わらせなきゃ終わらなさそうだから
俺は許すよ
二度と書くなゴミクズ
スパロボアンチと一緒に死ねや
でも書き手の事を考えもしないでグダグダ不満ばっかな奴って……
ハッキリ言って滑稽ですよね?
書けもしない癖に何上から目線になってんの?みたいな
書いてる方も批判が多少来るのは予想してるだろ
しろ、とは言わないが
あと○○できない奴が批判するなって論調がまかり通るなら06W杯の柳沢はあんなに叩かれてない
荒らしなんか無視して、ゆっくり待とうぜ
いよいよ明日か
時間の告知を忘れていました。明日の22時から投下します。
>>776 よっしゃ!二次スパの運命、あんたに託したッッ!
というわけで、一次の時に引き続き頭悪いネタを投下。
あくまでネタなんで、さらっと流したってくんなまし。
ネタを投下?このタイミングで?
イカれてるのか?
第一次スパロボキャラバトルロワイアルの衝撃の完結より、1年と2ヶ月。
今また、パロロワ界に、今また新たな伝説が刻まれようとしている。
三年半の長きに渡り続いた、第二次スパロボキャラバトルロワイアル。
ついに明日へと迫ったその最終回、今回はその前夜祭として、参加者の一人として活躍した
アムロ・レイ氏を迎え、スパロワに関する思い出や裏話を語っていただいた。
――本日はお忙しい所をありがとうございます。
アムロ「いよいよ完結ですか。感慨深いですね。一次の時から数えると、僕はもう随分になるね。
しかしこっちのロワでは、相当好き勝手やらせていただきましたね、僕(笑)」
――勇者とかゴッドフィンガーとか、本当に笑いつつも燃えさせていただきました(笑)
アムロ「全て計算どおりです(笑)。ほんと、あれは段取りとか演出も徹底的に拘りましたんで。
ああいうネタ展開を読者に印象付けるには、ネタ自体のインパクトもさることながら、
それを発動するまでのシチュエーションを整えることも重要だと思うんですよね。
今回だと、最初はそれなりに普通っぽい空気の話だったはずなのに、気がつけばいつの間にか
変な空間に迷い込んでたみたいな(笑)、そういう感じが出てれば成功ですね」
――今や二次スパ自体がアムロさんのその空気に浸りつつあるような気がしますが(笑)
アムロ「いやいやいやいや、流石に考えすぎだってば(笑)」
――アムロさんは一次、二次を続けての登板だったわけですが、この『パロロワ』というジャンルに
対し、何か抵抗のようなものはありましたか?
アムロ「うーん、多分あったかな。というより一次の時は、最初は皆肯定的じゃなかった感じですね。
元々、あまり趣味のいいジャンルではありませんし……あくまで第一印象だけですけどね。
撮影が進むに連れて、現場の勢いが増していくのが目に見えてわかりました。
一時は打ち切り寸前にもなりかけましたが、出演者のほうはどんどん白熱していってまして。
当時印象深かったのは、やはり二回目の放送の後のイングラム君のデッドエンドシュートだね。
僕はその時にはもう出番は終わってましたが、あれはパロロワ内外に大きな影響を及ぼしましたね。
それで、あれを見てパロロワに出たいという希望者が急増したんですよ。
今生き残ってるカミーユ(・ビダン)なんかもそうだね。役からは想像できませんけど(笑)
で、そういう流れがきっかけになって、二次スパが生まれたと」
――そうだったんですか?
アムロ「まあ、一次が難航してただとかマイナーでついてけなくなった人のためだとか、
表向きはそうなってますけどね……要は、単にみんな出たかったんだよ(笑)
で、企画が出てからクランクインまで、一週間程度だったんだよね。この業界でも異例の速さで。
見切り発車同然のスタートで不安の声もあったんですけど、一次の時のノウハウもありましたし、
企画はスムーズに進みましたね。それだけ、スタッフの皆さんの熱意が感じられました。
序盤から脚本がしっかり練られてたから、我々出演者も奮起させられましたね」
――役者の皆さんの視点から、一次の時との違いはありましたか?
アムロ「現場のノリは基本的に変わりなかったですが……まず思いつくのが、乗り換え制限が
OFFになったことかな。一次の時は最初の機体で明暗決まったって人も多かったからね。
その辺りに余裕が生まれたせいか、実は今回の最初の乗機は出演者にそれぞれ一任されたんですよ。
まあある程度の制限はありますが、何に乗ってきてもいいからということになって。
みんなそれぞれ、好きな機体選んでましたね。他作品の機体に乗れるなんて、滅多にないですし」
――では皆さんの最初の乗機は、それぞれの趣味趣向が色濃く出ているということですか。
アムロ「まあ僕なんかは何に乗っても活躍できる自信があったから(笑)、スタッフの皆さんに
お任せしたんですけどね。その辺踏まえて見てみると、また違う楽しみ方ができるかもしれませんね。
予想通りのギンガナム君とか、あえて普段とは正反対の機体を選んだキョウスケ君とか興味深いです。
あとロジャーさんとリリーナさんみたいに事前に示し合わせて選んだ、というのもありましたね。
……で。それで出てきたのが核ミサイル、と(笑)」
――(一同爆笑)
アムロ「いやもう、あれは本当、全員が絶句してた(笑)
シャアとはもう長い付き合いですが、あいつのセンスには毎度ながら、本当に脱帽するね。
そして常に我々の想像の斜め上を行ってくれる人で。あのミサイルでネタ一色の役で、
あれだけシリアスに熱い死に様見せるなんて、本当に他の誰にも真似できませんよ(笑)」
――シャア・アズナブルさんとは、デビュー当時からの長い付き合いだそうですが。
アムロ「まあね。仕事も大体一緒ですし、腐れ縁というか。
実は彼、本当はロワ参戦を嫌がってたけど、僕が頼んで出てもらったんですね。
元々おふざけとか嫌いで。今回みたいな、ああいうお笑い的掛け合いはいい顔しないんですよ。
まあそれを承知の上で、あえて僕はあのギャグ展開を薦めたわけですが(笑)」
――あの序盤の掛け合いはアムロさん発案だったんですか?
アムロ「発案というか、方向性を提案したのが僕だったというだけでして。
あの一連の掛け合いは全てその場のアドリブです。完全に場のノリと勢いだけ。
台本も「お二人にお任せします」としか書かれてないくらいでしたから(笑)
もう今まで嫌になるくらい共演してきたし、互いの癖とかもわかっちゃうんですよね。
どう言ったらどう返してくるか、とかね」
――流石ですね。
アムロ「あれだけ好きにやれたのも、相手が彼だったからという信頼があってこそですね。
あいつ昔SDガンダムの時も嫌がってたけど、本番になると一変して完全にギャグを演じきるからね。
それもやると決めたら、とことんまで拘って。今回もそうだし……彼は本物のプロだと思う。
だってギャグからシリアス、強ライバル役からヘタレ役、ロリコンにマザコンにシスコンに、
果ては変態からBLネタまで、一つの役でこれ全部を一流にこなせちゃうんだもん。
世界中探してもいないよこんなキャラ(笑)
公私共に、彼は良き友でライバルであると同時に、今も最も尊敬する役者の一人です」
――シャアさんの話が出たところで、他に印象に残っている共演者の方は?
アムロ「まずはシャギア(・フロスト)君ですか。ガドル・ヴァイクランとか女湯覗きとか
はっちゃけた印象が強いけど、彼も当初は自分の役を壊されるのを凄く嫌がってたんですよね。
あの合体も実際は全く逆で、弟のオルバ君のほうがものすごくノリノリだったという(笑)
共演した時初めてそれを知って、驚きましたね。ただ、やっぱりこういう場で
感化されるものがあったんでしょうね。F91をヴァサーゴにした時は、僕も度肝を抜かれました。
最終的にはガンダムキングジェイダーにまで発展して、物凄かったです。
何だかんだ言って本人楽しんでたんじゃないですかね、あれ(笑)」
――ある意味、アムロさんの資質を受け継いだ、的な(笑)
アムロ「そういや僕が最初にやらかしたのも、勇者ネタだったよね(笑)お蔵入りになったとはいえ、
あの回の脚本のセンスは脱帽します。一次のコーヒーネタも同じ人でしたか、そういえば。
そういえば、彼の演出でゴッドカレーパン食べさせられたギンガナム君とは、話も弾みましたね。
まさかインベーダー戦で復活するとは、本人も思ってなかったみたいですが。
彼、ガンダムマニアだから1stガンダム当時の裏話とか根掘り葉掘り聞かれて。
これだからガノタは困るよな(笑)。でも、それだけにいい戦いができましたね。
戦いといえば、ガウルンさんとの絡みも印象深いですね。ちょうど中盤、ガチンコ勝負の場面ね。
最強マーダーと最強対主催の一騎討ちとして、ちょっとした話題になってて。
ここ、何度もリテイク繰り返したんですよね。相討ちになるパターンもあったりして。
ここでやったラストシューティングとか、僕自身凄く気に入ってるシーンなんですけどね。
没になって凄く惜しかった記憶がある……けど、この結果が今に繋がったわけですから、
不満や後悔は全くありませんね。ガウルンさんなしには統夜君の今の活躍はなかっただろうし。
僕も好き放題できたしね(笑)。彼とはぜひどこかで、また共演したいです。
他には……アイビス・ダグラス君。彼女、出番が一年近く空いた時期がありまして(笑)、
久々の出番の時に完全に役を忘れてて、何度もNGになって泣いてた記憶があります(笑)。
あ、最終回ではそんなことはないからご心配なく。彼女も、うちのカミーユ共々、
最終回では頑張ってほしいですね」
――では一次、二次通してだとどうですか?
アムロ「そうですね、やはりキラ・ヤマト君ですか。いい対主催キャラに育ちましたよね。
この場で言うのも何ですけど、一次の時の彼は鬱病入ってたそうで。
原作での過剰な扱われ方とか、何より主人公の座を奪ったことを未だに気に病んでるんですよね。彼自身。
スパロボ初め各方面からも風当たりきつくて、それが傷を抉ってて……彼の責任じゃないんですけど。
だから思いっきり無様に犬死したいと……一次での最期は、本人の要望だったんです。
でもいつまでも自虐的じゃあんまりですからね。今回は前向きな方向性をとみんなが勧めたんです。
今回の彼のキャラは、かなり彼自身の理想像を取り入れて作られたと聞いています。
ほんと、役がいい方向に成長してよかったですね。死亡シーンの後のいい笑顔が印象的です。
あれだけ笑ってたのはデビュー時以来じゃないですかね?ラクスちゃんは不満げでしたが(笑)
ただ時折思い出したように、新世界の神になりたかったとか言い出すことがありますが(笑)
もしかしたら、どっかでマーダー役やりたかったのかもしれないね。
あとやっぱり、ユーゼス・ゴッツォ君にも触れとかなくちゃね。
彼だけ、一次と二次を同時期に掛け持ちしてたんです。
一次の時は主催者で、終盤は出ずっぱりでしたし。だからかなり多忙なスケジュールで。
本人、たまに混同してましたからね。AI1をゼストと呼んだのは、実は元は彼のミスです(笑)
本来NGになるところを、面白くなりそうだと通しちゃったんですよね。
そこからデュミナスにまで繋がっちゃうんだから、本当にスパロワって恐ろしいよねぇ……
ある意味、下手なことできませんよね。何を拾われるかわかったもんじゃない(笑)」
――やはり一次の動向は、二次を進める上でも影響はありましたか?
アムロ「そうですね、やはり気になりました。元々、僕も出てましたしね。
当初は確執なんかも危惧されたんですけど、お互いいい刺激になってよかったと思います。
だから、一次の完結は大きな励みとなりましたね。あれからこっちも一気に勢いづきましたし」
――もし三次があれば、また出演してみたいですか?
アムロ「そうですねぇ、正直まだまだ活躍し足りないんで(一同笑)
さすがに三度目は難しいかもしれませんが、要望があるなら喜んで受けさせていただきますよ。
Z時代とか、ネタはまだありますし。でもスタンス的にはどうなるんでしょうね?
一次がマーダーで、二次が対主催だったから……三次は、主催者ですか?(笑)」
――(笑)
アムロ「じゃ三次開催の際には、ぜひとも主催陣営のアムロをお願いしますってことで(笑)」
――最後に、皆さんにメッセージをお願いします。
アムロ「皆さんの応援のおかげでここまで来ることができました。ほんと、感謝ですね。
最終回は僕も期待しています。今生き残ってる5人とも、いろんなもの積み重ねてきて、
それぞれが素敵なドラマを繰り広げてくれることを確信しております。
僕も一読み手として、書き手の方にエールを送りたいと思います。頑張ってください。
イデの発動にはくれぐれも気をつけて(笑)
それと胃炎になったりしないよう、体調管理にも気をつけてくださいね(笑)」
――(笑)本日はどうもありがとうございました。
というわけで空気読まないネタすまぬ。気に入らなきゃ適当にスルーしておくれ。
最終回頑張ってください。
三次の構想…練っていこうか
やっぱりミストさんは外せないだろうなw
おいおい、三次の話は終わってからだぜ
そしてインタビュー乙
アムロもシャアも流石すぎるwww
終わってからじゃダメなんだ
人々の関心が「バトロワ」に向いてる今こそがチャンス
これを逃したら三次は永久に…
3次は第2次Zが出てからかな。
来年に出てもおかしくは無いような気もするが。
何でそんなに待つの?
ID:u8O8r53tは荒らし
>主催陣営のアムロ
イノベーターですね、わかります。
最終回wktk
今まで見向きもしなかった奴がたまたまここに来たら最終回で
自分の好きなキャラクターを書かせたいがために三次がどうこうと抜かすように見える
多分三次スレを立てるのもコイツなんだろうな
人々の関心っていうのも実際には自分が好きなキャラクターを出したいだけの癖に
キャラはいいんだ別に
制限とかの設定じゃないの?
雑魚どもつまんねーよ死ね
次スレいるだろうからいける人おねがい
多分俺が経てるとスレタイを『 最 終 回 』とかにしちゃうから自重
急がずとも、投下前ギリギリくらいでよくね?
観察日誌書いてる人いる?
802 :
それも名無しだ:2009/11/21(土) 19:29:54 ID:eY8hlBP6
最終回22時投下か
後8分…緊張してきたな
/´〉,、 | ̄|rヘ
l、 ̄ ̄了〈_ノ<_/(^ーヵ L__」L/ ∧ /~7 /)
二コ ,| r三'_」 r--、 (/ /二~|/_/∠/
/__」 _,,,ニコ〈 〈〉 / ̄ 」 /^ヽ、 /〉
'´ (__,,,-ー'' ~~ ̄ ャー-、フ /´く//>
`ー-、__,| ''
ざわ・・・ざわ・・・
ゾフィー兄さんがアップを終了したようです
それでは、二次スパ最終回を投下します。
前編後編のかたちになっていますし、あまりに長いので、途中15分ほど休みを挟むかもしれません。
切りがいいところで投下が止まったら、休憩だと思って下さい。
支援や感想など、長いですのでぜひ合間合間にお願いします。
950超えて次スレがないようでしたら、次スレのため減速しようと思いますが、いいでしょうか?
読む準備は出来ている!!我が目、絶好調であぁぁぁぁぁる!!
任務了解!
OK
ドンと来い!
場に三界あり。
一つ、監査官の住む、世界の狭間に存在する赤き世界。
二つ、時の向こうに存在する調停者の力で生まれた。時を重ね作られた世界。
三つ、二つ目の世界が生まれ変わり現れた新たなる世界。
因果律という名の神に仕える大天使ノイ・レジセイアが生み出した完全に近き宇宙。
人の希望と、絶望と、慟哭と、歓喜と、数多の魂を練り込み作った世界。
新たなる世界は、古き世界を飲み込まんと膨らみ始める。
行く末を決めることが出来るのは、今この場に居合わせた者のみ。
ノイ・レジセイアの願いが達成されるのか?
ノイ・レジセイアへの反抗者の願いが達成されるのか?
それとも、どちらにも属さない者たちの願いが達成されるのか?
遥かなる戦い――開幕(オン・ステージ)
■
風が世界に吹いた。世界のすべてを駆け抜けていく一陣の風が、偽りの大地を両断する。
めくれ上がり、舞い上がる土が、盛大に土埃を巻き上げた。視界に映るもの全てを叩き割る剛剣が唸る。
「おおおおおああああああああああ!!」
青年の口から放たれる叫びが、白い魔星を揺らす。
もう戻れない。元通りなど願えない。それでも、なおその眼に眩しく映るものがあるならば。
他者と、世界と、自分を捧げてでも叶えたい願いがあるならば。
青年は、その問いに「イエス」と答えた。その選択が、自分の求めたものを汚す行為であっても。
それを知ってなお、青年は「イエス」と答えたのだ。
それは、血みどろの腕で、ウェディングドレスを抱きしめるに等しい。
けど、それでもいいのだ。
だから。
己の血を大地に流し、切り伏せた他人の血を大地に流し、それでも歩みを青年は止めることはない。
青年の視界に移るのは、黒い騎士と、赤い古鉄。
敵の姿をはっきりとその瞳に映す。
音速をはるかに超過する速度であろうとも、もはや敵を、目標を見失うことはない。
紫雲統夜は、目標に向けてのみ動く一本の剣と化した。
黒い騎士が、その手に掲げた鞭を伸ばす。追いすがる鞭を、統夜はいとも簡単に弾き落とした。
統夜の体の一部、延長であるイェッツト・ヴァイサーガが、大地を踏みしめ減速する。
普通なら、装甲や関節の衝撃緩衝が追いつかず、足が砕け散り倒れていただろう。
しかし、イェッツト・ヴァイサーガは大地を離すことなくつかんでいる。
減速が一定以下になったところで、一気に再びイェッツト・ヴァイサーガが大地を蹴る。
砕けた土が落ちるより早く、背中から噴出されたスラスターが、舞い上がった土を溶かす。
目標は赤い古鉄。かつて闘ったときは、統夜の技量の低さもあって敗北を舐めることとなった。
だが、今は違う。
一瞬にして距離をゼロにし、イェッツト・ヴァイサーガが剣を振り上げる。
それを見上げる赤い古鉄は、攻めるためにあるはずの大出力スラスターを、逃げるために惜しげもなく利用した。
反撃はない。よけるだけで精一杯なほど、今の統夜の一撃は、重く、速く、鋭い。
「なぜだ……先程まで動くことすらままならない状態だったはず、それがこうも……!」
ネゴシエイター、ロジャー・スミスのいぶかしむ声を遮り、イェッツト・ヴァイサーガの投擲したクナイが、凰牙をかすめる。
クナイを投げて空になった手に再びガーディアンソードに滑り出された。
肘の部分で接続されたガーディアンソードは、手を離してもイェッツト・ヴァイサーガからは離れない。
視界の端にかすめる赤い古鉄が、五連チェーンガンを撃つ姿が見えた。
銃口が放たれる眩い光が、火薬の臭気とともに運ばれる。統夜は、身をかがめることでチェーンガンを回避する。
統夜には、分かる。外の爆発音も、火薬の臭いも、何もかもが。
「……人間をやめたのか」
じりじりと間合いを取ろうとする赤い古鉄。
思い出すのは――アキトとの一度目の戦い。
以前の統夜は飛び込むのを躊躇し、駆け引きとも呼べぬ迷いを生じさせた。
その結果、統夜は負けたことを覚えている。だから、統夜は相手の考えの一切をあえて無視し、一直線に切り込んだ。
止められるものなら、止めてみればいい。
向こうがただの古鉄から巨人の名を冠したものに変わっても、ヴァイサーガの変化はそれを上回る。
五大剣とガーディアンソードを交差させ風を集め圧縮、そして解放することで衝撃波を全体に放つ。
その衝撃波に追いつくように、イェッツト・ヴァイサーガが駆ける。
全体をなぐ五大剣の衝撃波でネゴシエイターを足止めし、同時にガーディアンソードのそれで赤い古鉄の逃げ場を防ぐ。
その上で、追撃を加える。絶対必中の確信を持って統夜は攻撃を放った。
赤い古鉄は、クレイモアの発射口こそ開いたが、動かない。
近づく衝撃波を、迎え撃つように泰然と立っている。衝撃波と言えど、イェッツト・ヴァイサーガの繰り出す技である。
当たれば、行動が一拍遅れることは間違いない。続いてイェッツト・ヴァイサーガの剣も受けることになるのは必定。
クレイモアによるカウンター狙いとしても、衝撃波の威力をアキトは見誤っている。
僅かな時間にそれだけのことを思考し、なお直撃を確信した統夜は、スピードを上げた。
もう一秒もかからず赤い古鉄にイェッツト・ヴァイサーガの両手の剣による二連撃が叩き込まれる。
そんな中、赤い古鉄が、統夜から見て向かって右の手を開いた。何をする気かと統夜は視線を赤い古鉄の手に集中させる。
(あれは、宝石?)
赤い古鉄の手の上には、小さな青い宝石が置かれていた。だが、それでどうするというのか。
視線だけはそちらに向けたまま、イェッツト・ヴァイサーガは切り込んでいく。額の角に触れるか触れないかまで剣が迫る。
そして。
赤い古鉄が消えた。
剣は空を切り、大地に突き刺さるのみ。
(―――!?)
一つだけ、アキトが統夜と闘ったとき、使わなかった戦法がある。いや、使えなかったと言うべきか。
アルトアイゼンの受領に際して、主催者側より加えられた制限があったのを覚えているだろうか。
それは、ボソン・ジャンプの禁止。故に、あの戦いではアキトはボソン・ジャンプを統夜に見せることはなかった。
だが、今のアキトに首輪という枷はない。故に。
「ゼロ距離、とったぞ……!」
左後方より聞こえる声。
さっきまで右前方にあった手に集中していたため、視線を向けるのが遅れた。
統夜が、五大剣を横へなぎ回転切りを繰り出すのと、前より肥大化したクレイモアが打ち出されるのは同時だった。
アルトアイゼン・リーゼのアヴァランチ・クレイモアの散弾がイェッツト・ヴァイサーガの装甲を叩き、
イェッツト・ヴァイサーガの剣がアルトアイゼン・リーゼの肩部装甲の一部を削り飛ばす。
「お前がゼストのような存在になったとしても同じだ」
イェッツト・ヴァイサーガの胸板に、赤い古鉄が飛び込んでくる。両者の身長差は約二倍。
ひとたび、懐に潜り込めば、有利になるのは赤い古鉄だった。
「コクピットを抜く」
減速させるぐらいなら誰か立ててくれ!!
手を振り上げ、打ち込む時間すら惜しいと判断したのだろう。
赤熱化した角で、赤い古鉄はイェッツト・ヴァイサーガの胸に突撃を仕掛けてきた。
アキトの言葉通り、いかにイェッツト・ヴァイサーガでも、パイロットである統夜を潰されてはどうしようもない。
しかし、浅く突き刺さったところで角の動きが止んだ。それ以上、突き込むことはない。
なぜなら、アルトアイゼンのコクピットの前にも、刃が突きつけられていたからだ。
今のイェッツト・ヴァイサーガの投擲具は、自己生成されている。その機能を使い、装甲表面に烈火刃を発生させたのだ。
大きさ故に装甲表面からコクピットまではアルトアイゼンのほうが短い。踏み込んでいれば、アキトはつぶれている。
剣をふるい、赤い古鉄を統夜は引き剥がそうとする。しかし、それより早く赤い古鉄は再び消えて、自分の背面へ。
「ッ! ちょこまかと!!」
再び振るわれる回転切り。
今度はそれをくぐり、赤い古鉄はリボルビングバンカーを五大剣に打ち込んだ。
さしものジョイントの接合部分も衝撃に耐えられず、五大剣がイェッツト・ヴァイサーガの手から離れ空を舞う。
統夜は、知らない。
アキトが元の世界で黒い王子様と呼ばれ、テロリストとして活動していたことを。
そして、そのテロ活動の間、神出鬼没であることから幽霊とも扱われていたことを。
――アキトはボソン・ジャンプによる強襲を得意とし、短距離ボソン・ジャンプと突撃仕様の機動力で相手を撹乱してきたことを。
木連が利用するような大型機相手にも、アキトはこうやって闘っていた。
はっきり言って、イェッツト・ヴァイサーガとアルトアイゼン・リーゼの性能差は、とてつもなく大きい。
デビルガンダムと、そこらの突撃仕様のモビルファイターが闘うにも等しい。
だが、それでも。相手の手を知り尽くし、自分が最も得意とする状況に引きずり込み、相手に不利な状況を強要すれば。
その差は、確実に詰まる。
もっとも、徹底したインファイト故、援護が全く見込めない状況になるが、もともと一人で戦ってきたアキトには問題ない。
ネゴシエイターの援護なしでも、アキトは統夜に勝利するつもりでいたのだ。
「ネゴシエイター、そこで見ていろ。手を出すな」
しかし、あくまで援護が難しい状態であって、援護が必要ないわけではない。
それでも、アキトはネゴシエイターにそう通信を出した。オープンチャンネルで行われた通信のため、統夜にもそれが聞こえている。
「そうかよ! 俺なんか、一人でも大丈夫って言いたいのかよ!」
統夜を無視し、アキトはさらにネゴシエイターに声を送っている。
「ネゴシエーションと言うつもりはない。だが、こいつには話したいことが残ってる」
「俺には、あんたに話すことなんてないっ!」
イェッツト・ヴァイサーガの剣を、重量級の赤い古鉄でひらりとかわされた。
翻弄されている。
強くなったはずなのに、全てを殺さなくてはいけないのに。
それでもなお依然と同じように力が詰まっていない錯覚を、統夜は感じていた。
ガウルンにすら勝った自分。確かに強くなったという実感は何だったのか。
「テンカワ、君が何をしようとしているのはわからない。しかし、君が誠実に言葉を尽くすつもりと言うのなら……」
どうせ、この鍔迫り合い同然のインファイトでは、凰牙は手は出せない。
そう思い、血を頭に登らせていた統夜は反応が遅れた。
黒い何かしらの力を称えた球体が、イェッツト・ヴァイサーガに近付いていたことを感じ、統夜は反射的に上に飛ぶ。
しかし、60mオーバーの巨体ではいくら機敏なイェッツト・ヴァイサーガといえど完全な回避は難しく、黒球は下半身をとらえていた。
「私は力を貸そう。先程君に使った力を使わせてもらった」
イェッツト・ヴァイサーガの下半身が動かない。感覚はある。痛みはない。異常もない。
だというのに、その場に固定されている。スラスターを吹かしても、その場から動くことができない。
いや、スラスターを切っても動くことができない。偽物の星とはいえ、ここには擬似的な重力がある。
それによって起こるはずの自由落下すら起こらないのだ。
「なんだよっ! なんだよこれっ! 動け、動けよ!」
いくら操縦桿を動かしても、動くのは上半身だけ。
そもそも、下半身が固定されている以上、せいぜい腕が届く範囲までが有効範囲。これでは、どうしようもない。
アルトアイゼン・リーゼが悠々と足を進めてきた。そして足元から、イェッツト・ヴァイサーガを見上げている。
動けさえすれば、そのまま踏みつぶすこともできるのに、と統夜が顔をゆがめた時。
「テニアは、どうした?」
アキトの妙に平坦な声が統夜に投げかけられる。
嘲るわけでもない。しかし、疑問形でありながら、本当に疑問に思っているようにも聞こえない。
それは――確認だった。
テニア。その言葉を聞いた瞬間、統夜は目の前が真っ赤になるのを感じた。同時に操縦桿を傾けてもいた。
しかし、イェッツト・ヴァイサーガが動くことはない。何もできないことを再度自覚し、頭が自然と冷える。
「……死んだよ」
死。
そう、テニアは死んだのだ。
その認めがたい事実を覆すため、統夜はこうして足掻いている。もがいている。
「やったのはガウルンか?」
「そうだよ、だから、どうしたって言うんだよ!?」
覆してしまえばいい。自分にとって不都合な真実は、変えてしまえばいいのだ。
今、存在している真実に意味なんてない。塗り替えた後の真実だけに、意味がある。
凰牙が、イェッツト・ヴァイサーガに背を向けた。ロジャー・スミスの声がインセクト・ケージの中に響く。
「そういうこと、か。テンカワ。しかし、それを聞くということは君も……本当はわかっているのではないか?」
「……さっきも言ったはずだ。お前には、関係ないと」
「ならば、そこの統夜には関係があるというのか? ……違うのではないかね」
「…………」
統夜には理解できない問答をしているネゴシエイターとアキトを睨みつけたまま、統夜は無言で待つ。
どんな事情であろうと関係ない。動けるようになった瞬間、目の前の二人を叩き切る。それだけに思考を集中させる。
アキトがまた口を開くのを、統夜はただ見つめていた。
「それで。お前はテニアを生き返らせたい。だからこうやって闘っている」
「そうだよ、それの何が悪い?」
統夜は悪びれない。罪悪を感じる地点はもう過ぎ去った。
手段を正当化するつもりもないが、悪いと指摘されても心は疼かない。
「人間をやめてでも、か?」
「そういうあんたはどうなんだ? まだ自分が人間のつもりか!?」
生体波動の判別すら可能になった統夜には分かる。今のアキトが、通常の人間からはるか離れたものであることが。
そもそも、いくらインファイトとはいえ、いやインファイトだからこそ、ギリギリの反射神経が何よりも重要になる。
先程の戦いでイェッツト・ヴァイサーガの攻撃を裁いたアキトの能力は、もはや人間の枠の外にあるだろう。
「いや、違うだろうな。俺自身、本当に俺が俺なのか分からない。だから、何かが足りないと感じるのかもしれない。
それでも、俺は生き返らせたい。ユリカを。ガウルンに殺された、ユリカを」
「……アキト?」
ずいぶんと親しげなニュアンスで、統夜はアキトの名前を呼んでいた。
今まで名前も呼んだこともなく、面識も薄い相手を。統夜にも、何故そんな呼び方をしたのか分からない。
一瞬、頭をよぎったのは、あのJアークに乗っていたキラだったかと、自分と、アキトの三人が顔を突き合わせて話すシーン。
だが、そんな記憶があるはずもない。そもそも、イメージのアキトは目の前にいるアキトより若かった。
「お前は、その意思が紛れもなく自分だと納得できるか? いらない誰かの横やりでないと……証明できるのか?」
似ている。
統夜と、アキトは似ているのだ。
愛する者を奪われ、復讐に固執し、奪われたものを取り戻すために生き足掻く。
今までろくに交わることのなかった、二本の線。しかし、それが描いてきた軌跡はどこまでも似ていた。
統夜は、歯を食いしばる。
ここで違うと言うのは自分全ての否定だ。
自分が本当に、純然に、純粋に自分と言えるのか。
統夜にも、分からない。統夜は、もう人ではない。さまざまな力をその身に宿した。
その力の一つが意思を持って、自分を動かしているのかもしれない。
そんな想像は、身の毛もよだつものだった。
だが。それでも。
「……だったら、何なんだ?」
テニアが大切な人である事は変わりがないのだから。
例え統夜の意思が誰かのものだったとしても、今まで自分がやってきたことは間違いないのだから。
悩み、怯え、竦み、人を切ったことに戸惑い、後悔し、何度も挫けそうになり、ようやくつかんだ温もり。
ズタボロになった心と身体を引きずりながらも、ここまでやってきた。
それを嘘にはしたくない。
人道的とか心の問題ではなく、もはや存在として人を外れたとしても、そこは嘘じゃない。
きっと、自分はずいぶんいびつな存在なのだろう。
だから、どうした。
イェッツト・ヴァイサーガが再び吠える。
固定された空間でも、なお足掻く。その行為は、統夜の生き写しであった。
空間ごとの固定のため動けない。攻撃することができない。だから、どうした。
なら、変えてしまえばいい。真実は、事実は、世界は、統夜のためにあるのだから。
「!? ……機体ごと割れるだけのはずだ、それを……!」
空間に、ヒビが走る。
ガトリングボアによる時間停止で固定された空間が割れる。空間に寄り添う形で必ず存在する時間が割れる。
イェッツト・ヴァイサーガに備わった機能ではない。純粋に力押しで、己の意思の強さで統夜は押し通る。
そこにはもう、うずくまり、泣いていた少年の影はなかった。
「ヴァイサーガ……フルドライブッッッ!」
そして時は動き出す。
この一歩は時間より早く、光より速い。連続で放つ必要はない。
すれ違いざまの一刀で十二分。放つは絶技、ヴァイサーガの必殺剣。
「光」
再び、ネゴシエイターが腹の猪型のガトリングガンを向ける。
「刃」
しかし、それが放たれるより早く、ヴァイサーガは接近している。
「閃」
煌めく剣筋が、袈裟がけに凰牙に刻まれる。
「斬ッッ!」
ギリギリで一歩下がったため、深くは入らなかったか。もともと、無理な姿勢で放った一撃だった。
それでも、十分だ。凰牙の厄介な兵器は一刀の下、砕け散ったのだから。
たたらを踏む凰牙に、なおも剣をひるがえして切り込むイェッツト・ヴァイサーガ。
タービンの回転により力を受け流され、刃をいなされる。
しかし、その衝撃は凰牙の手に握られていた斬艦刀を弾き飛ばした。
背後から来る気配。
即座に統夜は、失った五大剣の代わりとして空中に浮かびあがった斬艦刀をつかみ、横に体を回しながら振り向いた。
「覚えたぞッ!」
背後まで剣を振っても、まだ止まらない。
そのまま、自分が元々向いていたほうへ、一回転するかたちで剣を振る。
「一度戦った相手には! もう絶対に負けなあああああああいィィィ!!」
「……ッ! 跳躍を読んだ!?」
中空に身を投げているアルトアイゼン・リーゼに逃げ場ない。
咄嗟に左手を盾にしたのが見えた。だが、それごとイェッツト・ヴァイサーガの剛剣は叩き切る。
左手、左肩、頭部。踏ん張りが利かない以上、剣の衝撃が伝えにくい空中でさえ、重装甲の赤い古鉄をやすやすと切り裂く。
飛び石のように地面を跳ねながら、赤い古鉄が遠くに弾き飛ばされる。
「くっ! まだだ!」
「それも、もう見た!」
思い出すのは―-ロジャー、ソシエをガウルンごと切ろうとした戦い。
僅かに右手が持ち上げられる。それだけで統夜は凰牙が次に何を行うのかを理解した。
左腕に誂られたタービンが高速回転を起こし、風を巻き上げる。
だがそれは、ネゴシエイターたちを奇襲した時に、既に見ている。
あの時は、先に撃ったのが自分で、阻んだのは凰牙だった。
今度は、逆。
イェッツト・ヴァイサーガが、両腕のねじりを加えながらまっすぐに剣を突き出す。
それによって一方向に纏まり、円を描き、急速に風は勢力を増していく。
凰牙から放たれた風の竜巻、『波動龍神拳』が、吹き荒び渦を為す風の障壁『風刃閃』によって打ち消される。
二つの竜巻がぶつかり合い、猛烈な突風を起こした後に流れるのは、そよ風のみ。
そんな僅かな静寂の中、凰牙の右腕が地面に落下し、重苦しい音を立てた。
「ぐっ……!?」
「風刃閃・双牙……!」
本来なら、片腕に重心を乗せて放つ両者の技。
しかし、イェッツト・ヴァイサーガは力に任せて両腕から風刃閃を放った。
もう一つの風刃閃は、竜巻を放たぬ凰牙の右腕を、根元からえぐり取っていた。
肩からは紫電が走り、切り口からおびただしい緩衝材の液体を噴出させ、凰牙が膝をつく。
赤い古鉄に視線を向ければ、ぎこちない動きで立ち上がろうとしていた。
いかに重装甲言えど、フレームのどこかが歪みでもしたのかもしれない。
一瞬の、形勢逆転。
イェッツト・ヴァイサーガの装甲が湯気を立てる。すると、装甲の傷が閉じていく。
その様子は、生物の新陳代謝によく似ていた。内部から、裏返るように装甲が盛り上がり、内部に食い込んだクレイモアの破片を排出する。
暗い青の装甲は、ラズムナニウムにより再生能力を獲得していた。
赤い古鉄の姿が消えた。また跳躍したということか。
急に眼の前に飛び込んできた赤い古鉄。統夜はそのスラスターの輝きを確認し――そっと身を引いた。
赤い古鉄の杭打ち機は、『統夜の目の前にいるイェッツト・ヴァイサーガ』に当たり、すり抜けた。
ヴァイサーガの力を完全に引き出すことで可能にした能力、『分身』。
思い出すのは――白銀の可変機、真・ゲッター2と戦ったときと、インベーダーと戦った時のこと。
アヌビス神w
足を止めず小刻みに動き、残像を残すことで、的を絞らせない。
本体が分からなければ、下手な跳躍は無防備な姿をさらすだけだ。
統夜の思った通り、アキトはネネゴシエイターと背を合わせ、周囲を警戒するばかりだ。
統夜は、誰よりも闘った。そして、生き延びてきた。
アキトやガウルン、シャギアにジョナサン。そういった手合いに何度となく敗北し、鍛えられてきた。
精神的な伸びしろではキラ・ヤマトもいる。潜在能力ではシャギア・フロストも。
しかし、純粋な戦闘能力に関してだけ言えば、紫雲統夜は誰よりも成長した。過去戦った相手を、ガウルンすら下すほどに。
その成長は、止まっていない。新たな戦い方を見せられれば、それを学び、対処法を編み出す。
そういった天賦の才も持っていた。
左腕を失ったアルトアイゼン・リーゼと、右腕を失った凰牙が背中を合わせた結果、両機とも腕を持たない側面が生まれた。
そこに統夜は烈火刃を投げ込み、分断を図る。しかし、敵同士であったはずの二機は、ぴたりと背中を合わせ離れない。
生き残るためなら咄嗟に手を組むあたり、一流の戦士である証明と言えるだろう。
統夜は、このまま攻め続ければ確実に勝利できた。
牽制とはいえイェッツト・ヴァイサーガの攻撃ならば、風刃閃を含み十分に防御の上から削り殺すことができたのだ。
だが、統夜にはあまり時間がない。いや、あるのだがここまで来たのだから一刻でも早く目的を成したい、
そして、真の敵、最も強く警戒すべきはノイ・レジセイアであり、ここで躓いている暇はないという意識が心の奥でわずかにあった。
故に、統夜は動いた。
腕を失った側面から、最大最速の攻撃である光刃閃で再び切り込む。
向き合う時間など与えず、二機まとめて両断しようという、シンプルで、それでいて強力な戦法。
ラーゼフォンすら撃墜し、真・ゲッターもコクピットまで切り裂いた。ガウルンを下したのもこの変型。
エネルギーの問題が進化により解消された今、統夜が一番信用する業である光刃閃を何度も選択するのは当然だった。
「コード・光刃閃……!」
極度の集中で、引き伸ばされる時間。ヴァイサーガの身体が、矢へと変わる。
掌に刃の重さを感じ、足場を踏みしめ、ヴァイサーガは音を超え、一筋の閃光となって突撃した。
対処する時間すら与えない一撃が二機に迫る。
「やはり、そう来ると思っていた。だからこそ、やりようもある!」
凰牙は、こちらを向いていない。当然だ、向く時間などないのだから。
だが、統夜は見落としていた。相手の腕のない側面から仕掛けるとなれば――もう片方、腕がある側は死角になるということを。
のたうつ紫の光線が、凰牙の左腕側、死角となったところから伸びる。
イェッツト・ヴァイサーガは身をかがめそれを紙一重で回避しようとする。
しかし、光線はさながら野球のフォークボールのように落ちた。
統夜は反射的に剣でそれを防ごうと手を上に突き出した。
今度は剣の直前で曲がると、そのまま腕を這うように回転し、締め付けてくる――!
それがバイパーウィップという名であることを統夜は知らない。
しかし、これが自分にとって致命的な何かをもたらすことは理解する。
ぐしゃり、とイェッツト・ヴァイサーガの腕が割れた。
フィードバックされる痛みよりも、必倒の剣である光刃閃が潰されたことに統夜は眼を一瞬見開いた。
手からこぼれ落ちるガーディアンソード。さらに、勢いよく飛び出した体は、鞭のため二機の直前で停止。
目の前には、鞭となった片腕を全力で支え踏ん張る凰牙と、杭打ち機のついた右腕を掲げた赤い古鉄。
「抜き打ちだ。……いくぞ」
あの時は、統夜の逃走によりつかなかったヴァイサーガとアルトアイゼンの抜き打ち勝負。
アルトアイゼン・リーゼの左腕がまっすぐと伸びる。
もう一方の手に握られていたイェッツト・ヴァイサーガの斬艦刀が、下から跳ね上がる。
リボルビングバンカーがイェッツト・ヴァイサーガのコクピットの半ばまで食い込む。
イェッツト・ヴァイサーガの斬艦刀が横からコクピットを両断しようと近付く。
そして――
「……ここまでか!? だが、まだ――!」
コンマ数秒の差で統夜は勝利を確信する。だが、同時にアキトもまた敗北を悟ったのだろう。
統夜の予想した「真っ二つに砕け散るアルトアイゼン・リーゼ」という光景が訪れることはなかった。
次の瞬間、目を焼く蒼い輝きが周囲にまき散らされ――凰牙とアルトアイゼン・リーゼは統夜の目の前から消失していたのだから。
空間跳躍かと周囲を見回すが、何も起こらない。本当に、その場から二機とも忽然と消えた。
生体波動も、感じることができない。それは、この世界のどこにもいないことを示している。
「どこに消えたんだ……?」
その統夜の呟きも、どこにも届かず消えていくだけだった。
「まあ、いいさ……絶対に倒さなきゃいけないのは……」
一番大きな力を持つ、ノイ・レジセイア。そして、それに匹敵する命の輝きを持つ何か。
そのためには、足を止めている暇など統夜にはない。統夜は、受けたダメージを確認する。
残念だが、片腕は即座に再生は不可能。簡単なものをつかむことはできるが、刀を振り回すだけの握力は戻っていない。
両手に刀を持つことはできないようだ。ガーディアンソードはまだ肘にはジョイントされているが、使用は難しい。
だが、それ以外はまだ再生の範囲内。
手の中にある斬艦刀を統夜は、イェッツト・ヴァイサーガは握りなおす。
目指すは、この星の中心へ。さらに深い、奈落の底へ。
ただ、地獄の果てに希望を夢見て。
■
「――断る」
デュミナスに対する、ノイ・レジセイアの答えは非常に短いものだった。たった、四音。文字なら二文字。
ノイ・レジセイアの答えを受けて、デュミナスと名乗ったAI1は次元の裂け目から露出している体を小さく震わせた。
「何故?」
問い返すデュミナスの言葉に答えることなく、ノイ・レジセイアの体は深紅の幽鬼に吸い込まれて消える。
ペルゼイン・リヒカイトの瞳に燃えるような輝きが灯った。仮面と仮面がずれ、骨がきしむような音が鳴る。
そこから生えるのは、一本の大太刀。
さらにきしむ音は止まらず、今度は両肩から浮かんでいた仮面から本体と同じ深紅色をした骨の手と体が現出する。
指揮者の指揮棒のように、振り上げた大太刀をノイ・レジセイアとなったペルゼイン・リヒカイトが振り下ろす。
瞬間、轟音とともに人魂を束ねて燃やしたか如き炎が次元の裂け目に殺到した。
「何、故?」
再び、デュミナスが問う。
次元の裂け目が広がり、濁った桃色の巨大な拳が現れた。
掌の中心に瞳の文様があしらわれたそれを前に差し出し、ノイ・レジセイアの炎をデュミナスは受け止める。
「完全な世界……完全な存在……そうなるための世界……お前は」
大太刀をまっすぐにデュミナスに向けて、一言。
「完全ではない。完全な存在ではない。不完全」
その言葉に、デュミナスが動きを止めた。完全ではない。不完全である。それが、デュミナスにとっての呪い。
あのお方にかけられた呪いを、ノイ・レジセイアに突き付けられ、一瞬思考がフリーズした。
自分が、過ちである。間違いである。それがデュミナスは嫌で嫌でたまらない。
「あなたも……私をデュミナスと……不完全と呼ぶか……なら……」
次元の狭間を引き裂き、デュミナスの全貌が明らかになる。
四つの巨大な掌。下半身はなく、先細る円錐のみが備わっている。そして円錐の先端と、胸に当たる部分には巨大な瞳。
胸にある二つの瞳の上には三つの顔。全身から伸びる黒白の触手が五本。全身の基本カラーは、淀んだ桃色。
かつて、メディウス・ロクスだった時は比べモノにならない醜悪な姿だった。
見るだけで言いようのない不安を増大させ、まるで調和の取れていない肉体はまさに『不完全』。
「私はあなたを取り込むことで完全となろう……そして世界とも交わり究極となろう……」
「もうすぐ生まれる……完全なる世界……何故……その完成を待てない……?」
言葉というお互いの認識を深めるための道具を用いながらも、それは会話ではなかった。
お互いの目的、理由をただ呟くばかりの意味のない単語の羅列にすぎない。
当然だ、なぜなら両者とも人間ではないのだから。
他者という存在を本当に理解する気などどちらにもない。
故に、この衝突は必然。
無から有を、大量の骨の形をしたナニかをノイ・レジセイアは精製し、次々に射出。
しかし、デュミナスはそれを空間に穴をあけることで回避した。
同時にデュミナスは腕の質量を増大させ、両側からノイ・レジセイアを挟みこもうとする。
だが、その手よりも大きな手が全体を包むように顕現。ウアタイル・スクラフトが、デュミナスの腕をいとも簡単に防ぐ。
ないものを、あるものに。小さなものを、強制的に大きなものに。物質が伝導する空間自体を捻じ曲げ、攻撃を変える。
白き魔星を揺るがす二つの超存在の激突は、もはや人間の理解を超えたものだった。
そんな足元を這う、二つの人型。
自分の身長の二倍はあろうかというサイバスターを抱え、よたよたとブレンが地を這う。
元々、目もくらむ閃光で一時的に昏倒していただけのアイビスは、すぐに目を覚まし動くことができた。
しかし、カミーユはそうもいかない。意識こそあるものの、限界を超過してしまったことは間違いない。
機体を立たせるだけで精一杯。闘うなどできそうにもなかった。
「くそっ、くそっ……ここまで来て……ッ!」
カミーユの声は、悔しさで震えていた。アイビスは、無言のままブレンに動くように意思を飛ばす。
アイビスにも、分かる。あの主催者とAI1が、どれだけ桁違いの力を持っているのか。
もし、あのカミーユのコスモノヴァが決まっていれば勝てたのかもしれない。
アイビスは、あの光で気を失ってしまった。
そのため細かい顛末はわからないが、ノイ・レジセイアが無傷である以上いなされたということだろう。
間違いなく、こちらの最大最高の力であるカミーユの一撃すら通用しない。
ブレンのエネルギーが少なく、
サイバスターのほうはと言うとエネルギーだけでとどまらずカミーユの自身の精神まで限界近い今、勝てる見込みはほとんどない。
「ロジャーと一旦合流しよう。それに、あの化け物がお互い傷つけ合って倒れてくれれば……」
それしか勝ち目はない。こちらの持てる力すべてを結集させ、双方、もしくは生き残った片方が弱ったところを叩く。
最終的な勝利のための戦略的撤退と言えば聞こえはいい。しかし、事実上の敗走であることを二人は理解していた。
アイビスは、一度だけ振り向いた。そこには、デュミナスと名を変えたAI1の威容。
ユーゼスが育て、生みだした怪物。それが、今はこうやって自分たちが逃げる盾になっている。
ノイ・レジセイアと直接向かい合って闘える数少ない戦力になっている。
味方とは言い難いが、認めなければいけない事実。
自分たちの敵であり、自分たちを殺し、AI1を成長させようとしたユーゼスの遺したものが自分たちを守り、闘っている。
両者ともこちらなど見ていない。意識を向ける必要もない、殺す価値すらない、そうきっと思っている。
サイバスターがスラスターを吹かせるのに合わせて、ブレンが浮き上がる。
このまま、ひとまず脱出できるとアイビスは考えるが、
「いかせはしない……」
デュミナスの4つある手の一つから、濁った桃色の光球が放たれる。
それはブレンとサイバスターの前に着弾するも、爆発することはなかった。
しかし、
「……な」
光球は見る見るうちに巨大化し、球の表面に人型の影が浮かび上がる。
急いで逃げようにも、登り口は球の後ろ。素通りすれば、この球に背中を見せることになる。
もしも何か起こったときに対処しなければならないという気持ちがアイビスの足を止めてしまった。
球の中から、長大な爪が姿を現した。球をばらばらに引き裂き、中にいる自分を外へと産み落とす。
「あの姿になる前の……メディウス・ロクス……ッ!」
カミーユが絞り出すような声で目の前に現れたそれの名を呼んだ。
確かに、それはアイビスの知るメディウスによく似ていた。ただ、大きさはアイビスの知るそれの半分で、下半身も人型のものだ。
胸の中心にあるべき深紅のコアはなく、そこにはぽっかりと空洞が広がっていた。
「サイバスター……その力は、あのお方が欲した完全へ至る力の一つ。逃がすわけにはいかない。
『私』に代わり『かつて私』だった『私』があなたを手に入れる」
目の前から聞こえてくるのは、AI1、いやデュミナスの声。
「狙いは俺か……!」
「あなたではない。あなたの乗るサイバスターこそが、私の求めるもの」
デュミナスの分体となったメディウス・ロクスが肘から伸びた角を投擲する。
思考が追いついていないアイビスを突き飛ばし、カミーユのサイバスターがディスカッターで受け止めた。
だが、サイバスターはあっけなく吹き飛ばされる。どうにか空中で姿勢を立て直すのがやっとだ。
ふいに、カミーユがせき込んだ。通信でカミーユを確認すると、その口からは血が滴っている。
「カミーユ!?」
「あいつの狙いは俺なんだ。先に行ってくれ」
「でも……ッ!」
「早く行けよ! やらなきゃいけないことがあるんだろ!」
荒い息をつき、胸を抑え、それでも目だけは不屈の意思を宿して。歯を食いしばってアイビスにカミーユが叫ぶ。
サイバスターのほうが本来戦闘力は上だが、今やカミーユもサイバスターも限界だ。先程のうち打ち合いだけでも見てとれる。
だから、本来アイビスが前に出てどうにかしなければならない。だが、カミーユはアイビスに先に行くように促している。
あのメディウス・ロクスがカミーユ、というよりサイバスターを狙っているのはわかる。
おそらく、アイビスだけが行く分には邪魔はしないと読んだのだろう。
「早く!」
カミーユの声にせかされ、アイビスはバイタルジャンプを使い一瞬でメディウスの背後に移動する。
メディウスはこちらを追撃する様子はない。どうやら、本当に狙いはサイバスターだけのようだった。
ブレンがソードエクステンションを構え、その背中へ照準を合わせ、引き金を引いた。
しかし、それはメディウス・ロクスを中心に発生した球形のバリアによってあっさりと阻まれた。
今の自分では力になることができない。そう認識してアイビスは唇をかんだ。
「すぐに戻るから! それまで……」
「分かってるさ、こんなところで死んでたまるかよ」
サイバスターとメディウス・ロクスの激突を背に、ブレンはどこまでも続く暗い縦穴を登っていく。
その先に先に希望があることを信じて。
■
頭部消失。五連チェーンガンを装備した左腕も切断されもはやなく、左肩のクレイモアも誘爆の可能性あり。
むき出しになったクレイモアをサブモニターで確認し、よくもさっきの衝撃で誘爆しなかったものだとアキトは息を吐いた。
機体のチェックを終えてまだ動くことを確認したアキトは、自分の現在地を確認する。
もっとも、確認とは言いつつもカメラから分かることは、自分は白い人口惑星の表面に飛ばされたということだけだが。
それ以外で目に入るのは、始めて見る大型機の残骸のみ。
アルトアイゼン・リーゼの調子を再度確認し、損傷が少なすぎることに違和感を覚えた。
アキトの世界では、人が搭乗するタイプのロボットは例外なくディストーション・フィールドが装備されていた。
だから、ボソン・ジャンプをしてもなんともない。しかし、アルトアイゼン・リーゼは違う。
特別空間を仕切るようなバリアを持っていないのに、その損傷がないのだ。
元々あのアルフィミィの場所に飛ばされたときにもこの機体はそこまでボソン・ジャンプでダメージを受けなかった。
元々頑丈で、壊れにくいのだろう。だが、それは機体の話だ。生身の自分まで平気な理由にはならない。
「もしかしたら……何かが宿っているのか」
姿や機体特性を見れば、これはあの蒼い孤狼が乗っていたマシンの発展系であることは理解できる。
そして内部のAIなどから、自分や、キョウスケが乗ったアルトアイゼンと同一のものであることも。
ということは、あの蒼い孤狼の化け物マシンが再びこれに戻ったということか。
不思議な力が宿ったとして、変な話じゃない。
もしも、自分が殺したキョウスケの機体が自分を何かしらの力で守っているとしたら、とんだ皮肉だ。
「あのネゴシエイターは……」
周囲を確認するが、凰牙の姿は見えない。そのことに、アキトは眉を寄せた。
アキトはボソン・ジャンプを敢行した。その結果、ここに飛ばされて来た。
アキトは、アルトアイゼン・リーゼの手を開く。そこには、蒼い宝石が握られている。
C.C(チューリップ・クリスタル)は、殴り合いの中どこかは知らないが凰牙の体から落ちたものを拾い上げ使わせてもらった。
ここまではいい。だが、そこから問題が一つある。
いるはずの、凰牙がいないのだ。空間転移の歪みに押しつぶされようと、残骸程度は転移しているはず。
A級ジャンパーである自分が結果として共に転移している。凰牙はあの様子ではまだC.Cを残していたと思う。
五体満足でここに現れても不思議ではない。一体どこに消えたのか。
「まさか……過去か、未来か?」
ボソン・ジャンプは厳密には空間移動ではない。時間移動なのだ。
空間を粒子化した状態で移動し、その後時間移動で移動にかかった時間だけ巻き戻す。
だが、もしこの時間の巻き戻しに何かあれば当然、今とは違う時間に飛んでしまう。
アキトは、赤い古鉄の右手に握り込んでいたC.Cをコクピットへ移す。あまり、量はない。
何度も使っていればすぐになくなってしまう量だろう。
かつて、家族がこれを――C.Cを遺してくれたおかげで、アキトは生き残ることができた。
アキトは、モニターを回し、白い星への突入口を探す。その時、とくに意識せず上方も確認していた。
別に上から何か来るとは思えないが、できる限り全方位確認しようとすることは不思議でもなんでもない。
そして、気付く。
「あれは――!?」
アキトが赤い古鉄に乗り込んだときは、木星に似た渦模様と赤銅色をしていた星は、まったく別の姿をしていた。
白く、輝く光を放ち、明滅し、光のためかその輪郭が大きくなったり小さくなったりしているように見える。
いや、違う。見える、のではない。実際に大きさが変化している。茫然とそれを見上げていたアキトは、さらに気付いた。
それが、少しずつ拡大していることに。あの輝く星のようなものは、この世界を飲み込もうとしている。
大収縮ののち、拡大に世界は転じたのだ。
アキトの、自分でない誰かの部分がささやいた。アキトは、それを振り払うため小さく頭を振る。
だが、世界の拡大そのものを防げるわけではない。もうすぐ、あれは全てを飲み込む。
そして、全てを終わらせる。
世界に対して、テンカワ・アキトという一人の個人はあまりに無力だった。
全てを終わらせる力への絶望が、アキトの足を止めた。
■
C.C(チューリップ・クリスタル)は、時間移動への切符。時の旅人への通行証。
だが、もしも時間が正しくない世界でそれを使えばどうなるだろうか。
例えば――時間軸をゆがめて作った世界のそばでそれを使えば。平行世界、別の世界の時間軸を含むそんな場所で使えば。
もしかしたら、どんな世界でもない、どんな時間でもない、そんな場所にたどりつくのかもしれない。
■
ロジャー・スミスが目を覚まして最初に見たものは、金色の穂先と青い空だった。
自分が地面に大の字に倒れていると気付いたのは、意識が覚醒して一瞬後のこと。
身を起こそうと地面に手をつけば、そこにあるのは倒れた穂先。ロジャーは麦畑のど真ん中に倒れていたのだ。
「ここは……」
身を起こしたロジャーは、襟元を正しながら、来ている黒いスーツについたモミや草を落とす。
そこで、ふと違和感を覚える。少し考えて、ロジャーも違和感の原因を見つけた。
先程まであった、体の痛みが消えているのだ。
肋骨が折れ、体をひねるたびに起こっていた痛みが、体を起こすときになかった。
いや、それだけではない。
リリーナ嬢を抱きかかえた際や、ガウルンに奇襲を受け地面を転がった時についた、スーツの土や血といった汚れがまるきり消えてしまっているのだ。
未だ理解しがたい現状に混乱しながらも、ゆっくりと首を左右に動かし、周囲を眺めてみる。
そこにあったのは、農夫と、トラクターと――空の向こうに広がる、黒い鉄枠。
他でもない、見慣れたパラダイムシティを覆う半円状のドームの天蓋がそこにあった。
パラダイムシティであるとするならば、ロジャーにも自分がいる場所に心当たりがある。
大規模農作用ドーム、『アイルズベリー』。何度かロジャーも依頼がらみで足を運んだことがあるので覚えている。
麦畑をかき分け、土でできた道路にロジャーは立ち、自分の体を眺めた。
あの殺し合いに招かれる前の、依然と変わらぬ世界で、いつもと変わらぬ姿でここにいる自分。
先程までいたはずの、あの狂った世界は何だったのか。
自分が見ていたのは冗談のようにタチの悪い悪夢でしかなかったということか。
いやそれもあり得ない。確かに、今のロジャーにあの殺し合いの世界にいたという痕跡はない。
しかし、ロジャーの記憶(メモリー)は覚えている。
あの狂った世界の、狂った法則に立ち向かう人間たちのことを。
だがそれが正しいとするならば、ロジャー・スミスはまだあの狂った世界にいるはずなのだ。
ここにいるロジャー・スミスは何なのか。
ほんのわずか前と認識している事柄と、繋がらない現状の記憶(メモリー)に悩む男は誰なのか。
ロジャーはひとまず屋敷に連絡するため、腕をまくった。
そこには、さまざまな機能が付いた時計がはめられており、機能の一つとして屋敷にいるノーマンとの連絡機能もついている。
慣れたしぐさで口元に手首を運ぶ。
「ノーマン、聞こえているか?」
しかし、返答はない。時計からは、小さくジジジ、と不協和音が流れるのみ。
ロジャーは腕時計に視線を落とし、絶句した。腕時計のカバーガラスが壊れ、時計が止まっているのだ。
壊れた時計。
それ自体はおかしくない。ものである以上壊れることはある。問題は、いつ壊れたかということだ。
今ここにいるロジャー・スミスの記憶(メモリー)を参考にする限り、腕時計が壊れた覚えはない。
ユーゼスとの会談に向かうに当たって、ロジャーはこの腕時計で時間を確認している。
それ以後、時計が破損するほどの衝撃が手首にかかったことはない。
「どうなっているんだ……」
壊れていないはずの時計は壊れ、汚れているはずの服は汚れておらず、傷ついたはずの体にはその痕跡がない。
本当に白昼夢だったというのか。もしくは、自分の中の失われた記憶(メモリー)のフラッシュバック。
あれほど、鮮明なものが、40年以上前に過ぎ去ったものだと?
暖かな日差しとは裏腹に、歪む顔を手で押さえるロジャーの背筋には冷たいものが流れ続けていた。
「おや、君は……どうしてここにいるのかね?」
突然自分に掛けられた声に、はっとなりロジャーは顔を上げる。
いつの間にか、ロジャーのすぐ前には一台のトラクターが止まっていた。
先程はなかったはずのそれは、そこにあって当然である、在らねばならないと主張するほどの存在感を何故か持っていた。
ロジャーに声をかけた、トラクターに乗る人物もまた、ロジャーが知る人物。
農夫姿で、樹齢何百とたった樹のようなしわを顔に刻んでいる、
どこを見ているか分からない、いつも虚空を見ているような眼でロジャーを見ている人物の名前は、
「あなたは……ゴードン・ローズウォーター……」
パラダイムシティをかつて納めていた人物であり、数少ない40年以上前の記憶(メモリー)を持つといわれる老人だった。
確かに、彼は隠居しアイルズベリーでトマトの栽培をしながら過ごしている。
ここがアイルズベリーとすれば、いてもまったくおかしくない人物だ。
しかし、ロジャー・スミスが保有している記憶(メモリー)が正しいという前提があってのことにすぎない。
もしかしたら、彼は全くロジャーの知らない何者かなのかもしれない。
「乗りなさい」
ゴードン・ローズウォーターがトラクターへ乗るようにロジャーに促した。
どこか夢遊病者のような足取りで、ロジャーはゴードン・ローズウォーターの隣に座る。
トラクターは、再びどこかに向けて動き出した。ゴトゴトと整備されていないでこぼこ道をトラクターが走る。
ロジャーは、未だ自分がどこに立っているのか理解できていなかった。そして、自分が今からどこに向かうのかすらも。
「どうしたのかね?」
前を見つめたまま、ロジャーを見ずにゴードン・ローズウォーターはそう呟いた。
ロジャーは、自分とゴードン・ローズウォーターしかここにはいないにも関わらず、
その呟きが自分に向けてのものであることを、咄嗟に理解できなかった。
■
星に広がる毛細血管のような通路の中、ブレンが飛ぶ。下からの轟音が少しずつ遠くなる。
地獄からの生還、そんな言葉がふと頭をよぎるが、まだ終わってないのだ。
上に登って、ロジャー達と合流し、再度突入する。
例え、どれだけ勝ち目が薄くても、それ以外に最終的に生き残るすべはない。
力が足りない。アイビスに、その事実が重くのしかかっていた。
ブレンを悪い子だとは思わない。しかし、非力さだけはどうしようもなかった。
凰牙。サイバスター。F91。キングジェイダー。ユーゼスのメディウス・ロクス。
そういった相手に比べて、あまりにも弱い。撹乱して、手傷を少しつけるのがやっと。
その結果が、これだ。誰の窮地も満足に救えない。倒れていく仲間を見ている側で、ただ生きている。
もし、自分ではなくこの場にもっと大きな力を持つ誰かがいたら、カミーユを助けられたのではないか。
アイビスはそんなネガティブになりそうな思考を頭から振って追い出そうとする。
しかし、なかなかその考えは頭から消えてくれなかった。
そんなとき、鼓膜を叩く大きなスラスターの音。
まだまだ続く黒い穴の向こう、確かに何がこちらに接近している。
「ロジャー!?」
そうであってほしい。いや、そうに違いない。ブレンは上昇を続けている。
だが、アイビスが何か指示するよりも早く、急にブレンの動きが変わり、進路を横に向けた。
その次の瞬間には、上空の機体は急加速し、ブレンの横をすり抜けていた。
明らかにそのままのコースだったら衝突している。
「いったい、誰!?」
アイビスが、急停止し今度は下からこちらを見上げている機体をモニターに写す。
そこにいたのは、ユーゼスとの戦いで途中ユーゼス側の増援として現れた蒼い騎士だった。
しかも剣を抜き、戦闘態勢を取っている。
「ちょっと待って! もうユーゼスもいないんだから話を聞いて!
ユーゼスと一緒にいたってことは脱出しようと思ってるんだよね!? 少しでも力がいるんだ、協力してみんなで……」
「他人なんていらない。……俺は、俺一人で全員殺す」
青い騎士が答えた。声が意外と若い。カミーユや自分とそこまで年は変わらないように思える。
だがその声色は、同い年とは思えないほどの冷たさと、暗さを秘めていた。そして、その内容も。
「……ッ! そんな! あのノイ・レジセイアを倒せば終わりなのに、なんでまだ殺しあわなきゃいけないのさ!?
もう殺しあう必要なんてない! ロジャーや、カミーユ、キラやシャギア、それに……あのテンカワって人も!
みんなで協力すれば、ノイ・レジセイアだって倒せる!」
だが、そんなアイビスの声を無視し、青い騎士は剣を振り上げた。
「ロジャー? テンカワ、キラ、シャギア?
……みんな死んだよ。次は、お前だ。その次は、下の連中。全員、殺すんだ」
虚無を湛えて、蒼い騎士は言う。
蒼い騎士は、ゆっくりとその手に握る剣――ロジャーがガウルンから奪った大剣――をこちらに掲げる。
「そんな……ロジャーが、そんなはずがない!」
アイビスの叫びも、蒼い騎士が動きを止めることはできない。
蒼い騎士から言葉はなく、あるのはこちらを殺そうとする意志のみだった。
アイビスのブレンが震えている。ノイ・レジセイアやキョウスケと出会ったときに似た挙動に、アイビスも驚きを隠せない。
ユーゼスとの戦いのときは、そんなことはなかったはずだ。この短時間に、いったいどんな変化があったのか想像もつかなかった。
だが、分かることが一つだけある。それは、こんなところで死ぬわけにはいかないということだ。
ブレンがソードエクステンションを構える。
この場でどうにかしたからどうなる、という言葉をアイビスは飲み込んだ。どんなことも諦めない。
ロジャーが死んだという言葉も、戻って確かめるまでは信じないとアイビスは決める。
どれだけ非力だろうが、ここを突破して見せる。
幸い、位置関係は悪くない。上昇したいアイビスが、蒼い騎士より高い位置にいる。
このまま、距離を取っていけば、逃げることも可能かもしれない。
じりじりと上昇を続けるブレン。
対して、蒼い騎士の取る行動はアイビスから見ればいささかおかしなものだった。
マントの影から取り出した鞘に剣を納めると、その場で構えたのだ。
(一気に踏み込んでくる……?)
それにしても、いささか距離が遠い。この距離なら、一気に加速して切り抜けるつもりとしても回避できる。
アイビスは、相手の背中と足に意識を集中させた。ユーゼスとの戦いで、相手のスラスターの位置は把握している。
どんな加速であろうとも、まずスラスターに着火される。何の推力もなしに急加速はできないのだ。
そこに動きが見えたと同時に、上方に向かってバイタルジャンプ。そして、相手が体勢を立て直すより早く全力でここから離れる。
アイビスは、対処の方法を頭の中で組み立てる。
上昇するブレン。動かない青い騎士。
蒼い騎士には、動く気配がない。確かにやや前傾の姿勢ではあるが、一気に加速しようという姿勢ではない。
このままいけるのであればアイビスとしてもありがたい。
距離が開いていき、完全に相手の射程から逃れたとアイビスは視線を切らずにそう考えた。
次の瞬間、ブレンの右手が飛んだ。
「え……?」
アイビスは、一瞬たりとも相手から目を切っていない。相手は動いていない。スラスターを使ってない。
なのに、斬撃は確かにブレンへ届いていた。アイビスは、映し出された外の光景に、目をしばたたかせる。
一歩も動かないまま鞘から引き抜かれた剣が、細く長くブレンに伸びていた。
アイビスは、姿を変える剣という程度の認識しかなかった。たしかに斬艦刀は姿を変える。
しかし、それは液体金属による形状の変化によるもの。プログラミング次第でその姿は千差万別に変化する。
今の統夜の超射程による居合い抜きは、居合い抜きによる加速をつけつつ、抜ききった刀身を変化させることによって生み出された技。
アイビスは相手が居合い抜きをあびせるための移動を警戒していたが、それはピントがずれていたのだ。
向こうは、動く必要すらなかった。
予想もしなかった痛みに、ブレンの動きが僅かに乱れる。
落ち着かせるため、アイビスがコクピットの中へ少し視線を上げた。
ブレンが、壁に叩きつけられた。
意識を乱した一瞬をつき、蒼い騎士は加速して手をブレンに押し付けたのだ、と揺れる頭で理解する。
金属壁に、ブレンがめり込む。ブレンと相手の体格差はざっと6倍。体の中心に手をあてられると、身動きを取ることができない。
うめくアイビスとブレンに、蒼い騎士は改めて剣をかざす。
バイタルジャンプをしようにも、まだブレンがそうできる状態まで回復していない。
これでは、どこに吹き飛ばされるか分からない状況だ。それに、これだけ密着されると、相手ごと転移してしまう。
八方塞がり、打つ手なし。そんな言葉をそのまま表したような状況だった。
蒼い騎士が何も言わずに剣を絞る。
「ちょっと待って……! なんでこんなこと! そんなに殺し合いがしたいの!?
あのガウルンとか、ギンガナムみたいに!」
アイビスの言葉に、初めて蒼い騎士が動いた。
蒼い騎士がまるで人間のように小さく震え、剣が動きを止める。
「俺が……誰みたいだって?」
先程と同じ冷たい声。しかし、僅かに上ずっている。
抑えようとして、抑えきれない感情が漏れ出している。そんな印象をアイビスは感じた。
アイビスは、一瞬迷った。同じことを言えば、逆鱗に触れて今度こそなます切りにされるかもしない。
「俺が、誰みたいだって!?」
もう一度蒼い騎士が繰り返した。
押さえつける蒼い騎士の手に力が増し、ブレンが、さらにうめき声をあげた。
やはり、一人では何もできない。そんな悔しさが胸を突く。
こうやって押さえつけられ、満足にものをいうことすら悩み、ままならない。
こんな、理不尽な理屈を前に。こんな、理不尽な相手を前に。あまりにも無力だ。
アイビスは、聖人君子ではない。このままいけば終わりなのだ。死ぬのは怖い。
けれど、やけくそというわけではないが、このままただ黙って受けてやるのも癪だという思いが膨れ上がる。
こんな言われっぱなしで、黙っているのも違う気がする。アイビスは、息を吸うと、思い切り叫ぶように言った。
「ガウルンやギンガナムみたいって言ったんだよ!
そんなに戦ったり、人が殺したりするのが好きなら、一人でそんな世界に行って殺しあえばいい!
みんなが力を合わせるのがそんなに嫌い!?」
今度こそ、蒼い騎士が動きを止める。
アイビスはその間に手を抜けだそうと少しでも動くようにブレンに指示を出す。
僅かに緩んだ指の隙間から、腕を差し入れると、そのまま体を強引に引っ張りだそうとした。
しかし、それよりも早くブレンの拘束はなくなっていた。
蒼い騎士は手を引き、刀を鞘に納めている。
「……行けよ」
ぶっきらぼうだが、蒼い騎士は上を親指で指した。もしかしたら、自分の行ったことが通じたのか。
信じられない出来事にぽかんとするアイビスに背を向け、蒼い騎士は降下を始めた。
「俺は、好きで殺してるわけじゃない。殺さないといけないから殺してるんだ。……ガウルンとは、違うんだ」
「じゃ、じゃあもしかして協力して――」
ブレンのすぐ横に、投具が突き刺さる。
ブレンを見ることなく背を向けたまま蒼い騎士が投げ放ったものだ。
「勘違いするな。最後はみんな結局殺すさ。けど、今殺す必要もない。言ったよな。全員死んだって」
その言葉に、アイビスは顔がこわばるのを感じた。
それでも、アイビスははっきりと蒼い騎士に言う。
「そんなの信じないよ。自分の目で見るまで、あたしは絶対にあきらめない」
「みんな死んだんだ。行ったところで何もない。何も起こらない。受け入れたくないことに足掻くことまで否定はしないさ。
けどな……それでもどうしようもないことだってあるんだ。 ……諦めろよ、奇跡は起こらないから奇跡っていうんだ」
蒼い騎士から、ため息のような音が漏れた。
けれど、アイビスの答えは変わらない。
「どんな理不尽なことでも、あたしは諦めない。奇跡なんて起こらなくてもいい。それでも、やってみたい」
自分で言っておきながら、その言葉を心から信じ切れていないのをアイビスは理解していた。
どちらかと言えばそうであってほしいという願望を口に出すことによって、信じる自分を支えるようとする部分が大きい。
「そうかよ」
蒼い騎士はアイビスの言葉にそっけない返事を返すと星の中心へ下りていく。
アイビスはただ、その姿を見ていることしかできなかった。
蒼い騎士が姿を消すのを確認し、アイビスは再び飛び始める。カミーユから教えられた地点へ、まっすぐに。
体がずっしりと重い。進めと指示を出す、自分の思考が濁り、淀んでいる。
この先に、進んでいいのか。
進まなければ何にもならないとは分かっていながらも、考える自分を止められなかった。
光が見えてくる。
人工的に作られた作り物の箱庭の放つ、眩い光はもう目の前だ。
細く狭い通路を抜け、広い空間にブレンが飛び出す。そこは、間違いなくカミーユの指示した地点。
だが、そこにあるのは、戦いによってえぐれ、荒らされた地面と、よく見た機動の腕が二つ。
血だまりのように液体がまき散らされた地面に沈む一本の腕を、壊れ物を扱うようにそっと拾い上げる。
しかし、アイビスの震える意思が伝わったのか、ブレンの腕からそれはこぼれ落ちた。
アイビスは、知っている。これが、間違いなく騎士凰牙のものであることを。
そして、少し離れたところに転がるほうの腕は、キングジェイダーが搭載していた、アルトアイゼン・リーゼの腕であることを。
「ロジャー……?」
もう右から声は聞こえない。
「キラ……?」
もう左から声は聞こえない。
「シャギア……?」
もうどこからも声は聞こえない。
アイビスの声は、どこにも届かない。
――希望はすでに砕け散っていた。
■
そこは、星の中心から一層だけ上のエリア。
どこまでも広大でがらんどうな空間に、二機の機体が動き回る。
「……ぐ、ぅう……」
カミーユは荒い息をどうにか抑えようとするが、動悸は全く治まらない。
どうにか地面に設置された緑色のエネルギープールに陣取ることによって、サイバスターのエネルギーは回復している。
しかし、それはあくまで機体の燃料を補充するだけであって、カミーユ自身の魂の燃料を補充するものではない。
迷路のように設置された隔壁の影から、ブーメランのように弧を書く軌跡でデュミナスの爪が姿を現した。
それを、サイバスターはディスカッターで切り払う。
「そこですか?」
殺気を感じ、慌ててエネルギープールからサイバスターを飛行させる。
一拍置いて、エネルギープールが瞬時に沸騰し、緑色の水竜巻を空高くまで起こした。
空から緑の雨が降り注ぐ中、隔壁の向こうからメディウス・ロクスが姿を現す。
「逃げようとしても無駄です。今のあなたが私を振り切ることはできない」
「……いけっ!」
カミーユはメディウス・ロクスの言葉を無視し、カロリックミサイルを撃ち放った。
二発のミサイルは、正確にメディウス・ロクスに飛来し、確かに接触、爆発する。
いや、接触したのはメディウス・ロクスの発生されたスフィア・バリアだった。
カロリックミサイルは、バリアの表面で爆発するが、爆風はすべてバリアでそらされていた。
「何度でも言います。無駄です。機体をこちらに譲渡してください」
カミーユは拳を震わせた。
さきほどから、メディウス・ロクスはあまり積極的に攻撃を仕掛けてはこない。
つかず離れず、時々攻撃を仕掛けてくるだけだ。
理由は単純だ。奴の狙いはサイバスターにあるラプラス・コンピュータ。
サイバスターの撃破ではなく鹵獲を目的としている。サイバスターを破壊しては入手できないのだ。
だが、もしも相手が鹵獲という手段を放棄していたのなら、サイバスターが今どうなっていたかは想像に難くない。
「もしあなたが機体を譲渡するというのなら、あなたの命は保証します。ですから……」
「断るっ!」
サイバスターが再び逃走する。しかし、メディウス・ロクスも正確に距離を取りつつ追いすがる。
「仕方ありません。私が完全になるためには、サイバスターが必要です」
メディウス・ロクスの胸の部分から、一条の光線が放たれた。
サイバスターとはまるで見当違いの場所へ。サイバスターを光線は追い抜き、サイバスターの進路上の天上へ着弾した。
行方を阻むように崩れた大量の瓦礫が落下してくる。カミーユは、汗でぬめる操縦球を握り、意識を送る。
紙一重で瓦礫の隙間を抜けるサイバスター。
それに対してメディウス・ロクスはスフィア・バリアにより瓦礫を弾き飛ばしながらまっすぐに向かってくる。
たちまちのうちに両者の距離は詰まり、振り上げたメディウス・ロクスの爪が、サイバスターを狙う。
カミーユはやはりディスカッターでそれを受け止めるが、それにより動きを止めてしまった。
サイバスターを数mはあろうかという飛礫が叩く。
「ぐぅ、が、ああ!?」
機体の表面を致命傷にならない程度に質量物で叩く。
なるほど、相手の機動力を奪いつつ、内部に大きなダメージを与えないために適した方法だ。
Ζガンダムの設計なども行ったカミーユだからそう理解できる。
だからこそ、次に続く思考も。結局のところ、相手はこちらを敵とすら認識していない。
捕まえるところまでは確実。負けることなど、傲慢や思い上がりではなく、冷静な判断で思考に入れていない。
地面にたたき落とされたサイバスターのすぐそばに、メディウス・ロクスが音もなく着地した。
いまや、大いなる風の魔装機神も、羽をもがれ地面を這うだけだ。
メディウス・ロクスがサイバスターを踏みつけた。コクピットを中心に、銀色の装甲に亀裂が入っていく。
「何度も言ったはずです。機体を明け渡せば、命は奪わないと。何故あなたは私を拒絶するのですか?」
「お前らに……やれるものなんて……何一つないっ!」
踏まれた状態で、強引にサイバスターが体を起こす。
足が逆に装甲に食い込み、亀裂だけにとどまらず装甲が脱落した。だが、動きは止まらない。
そこから起き上がるとはメディウス・ロクスも思っていなかったのだろう、バランスを崩したメディウス・ロクスは派手に転倒する。
そこに、ディスカッターで本来コクピットがある場所を正確に貫いた。
「無駄です。今の私に、あのお方はいない。私は私の意思で活動している。あのお方を殺すことはできない」
メディウス・ロクスがサイバスターの腕をつかみ、力を込める。
サイバスターが手をディスカッターから離すと、強引にメディウス・ロクスはサイバスターを地面に叩きつけた。
銀色の破片が、暗い基地に設置されたわずかな照明の光を反射し、きらきらと瞬いた。
「あのお方……ユーゼスなのか!?」
「その通りです。偉大な私の創造主。ただの機動兵器でしかなかった私を導いてくださったお方。
あのお方は、私に完全であれと望んだ。そして、私は不完全であるとも。故に、私は完全にならなければいけない」
突然、メディウス・ロクスが饒舌になった。
最低限の言葉しか発していないメディウス・ロクス――いやAI1が、ユーゼスに関してだけは違ったのだ。
「それで……そのために戻ってきたのかよ! 人の命を踏みつけにしてそうなっておいて!」
「あのお方は言った。世界は選ばれたもののためにあると。あのお方は選ばれたものだった。
あのお方の願いは成就されなくてはならない。命に価値があるとするなら、上位者への献上物としてのみ存在する」
「そんな勝手な理屈を!」
全身から装甲を脱落させながら、サイバスターカロリックミサイルを放つが、
やはりいとも簡単にメディウス・ロクスは受け止めた。しかし、カミーユが攻撃を止めることはない。
「あなたのサイバスターを手に入れろとあのお方は言っていた。あのお方の願い、聞き入れてもらえないのですか?
私ならあなたよりもラプラス・コンピュータの力を活用できる。その力は、より正しく使えるもののためにあります」
「言ったはずだ! お前らにやれるものなんて何一つないっ! このマシンは、そんなコンピュータのおまけじゃないんだよ!」
カミーユは、まだラプラス・コンピュータの全貌など知らない。
もしかしたら、それさえ発動させればこの状況をひっくりかえせるかもしれない。
けれど、使う方法がわからない。それでも、この機体ならどうにかできると信じてくれたのだ。
この機体を使い、自分ならあのノイ・レジセイアを撃ち貫けると信じてくれたのだ。
「うあああああああああぁぁぁぁぁあああッッ!!」
目にもとまらぬ速度で腰部にジョイントされた武器をサイバスターが引き抜いた。
ブンドルが託したサイバスターが、中尉が託したオクスタンライフルを構える。
長い砲身が、ほぼ接触状態でメディウス・ロクスに向けられる。
撃ち貫く、というカミーユの意思を受け、サイバスターが引き金を引く。
不意を突かれる形となったメディウス・ロクス。さしものスフィア・バリアもゼロ距離では意味を持たない。
「胸部に損傷……指数34。再生の範囲内です」
それだけで、これほどの力を持つ特機を沈めるには至らない。確かにダメージは入ったが、撃墜までは程遠い。
撃った反動で、サイバスターの手からオクスタンライフルが飛び出し、後方に投げ出された。
カミーユは振り返らない。そのまま、サイバスターで直接メディウス・ロクスにぶつかっていく。
これだけの質量差がある状態で体当たりという攻撃を選択するのは、一見下策に見えるかもしれない。
メディウス・ロクスは反射的に爪を振り上げようとしたが、その動作を中断した。
何故動きを止めたのかカミーユは分かっている。あのまま払うように攻撃をしてしまえば、今のサイバスターでは砕け散ってしまうかもしれない。
メディウス・ロクスはサイバスターを撃破できない。本体であるAI1が、至上の存在と崇めるユーゼスがかけた呪いだ。
カミーユはその間にメディウス・ロクスの胸に飛び込むと、刺さっていたディスカッターを再び掴んだ。
サイバスターの全重量を一気に剣にかける。かける、と言っても何をしているわけではない。
くずおれるサイバスターに剣を握らせているだけだ。だが、それによってディスカッターは縦にメディウス・ロクスの装甲を切り裂いた。
「指数79に増大。ですが戦闘続行は可能ですね」
先程のようにサイバスターを上から抑え込もうと放たれるメディウス・ロクスの剛腕。しかしカミーユは着地と同時に後方に飛んでいる。
大空を飛ぶはずのサイバスターが、地面で跳ねるしかない。それでもカミーユは止まるわけにはいかない。
跳びすさった場所にあるのは、後ろに飛ばされたオクスタンライフル。地面を転がりながらもしゃにむにそれを掴むと、再び敵へと照準を合わせた。
選択するのは、Bモード。体全体でライフルを抑え、撃鉄を引く。一発。二発。三発と繰り出される実体弾。
その反動が、サイバスターを揺らす。
撃ち出された砲弾は、メディウス・ロクスが発生させたスフィア・バリアにあっさりと阻まれる。
その時、オクスタンライフルが地に落ちた。
サイバスターのマニピュレータが限界を迎え、片手が物を掴むという機能をついに失う。だらりと腕が垂れ下がった。
サイバスターが、弱弱しくスラスターを吹かし、5mばかり距離を取った。
メディウス・ロクスはバリア表面で起こった爆煙を裂き、サイバスターに肉迫する。
再び振り落される大振りな爪をサイバスターは回避する。しかし、かわしたはずの爪が、サイバスターを叩いた。
それが、腕を振り落すと同時に放たれた肘の爪であることを、カミーユは受けてから理解した。
「今のあなたがこれほど戦えるとは予想外でした。それを予測できない私はやはり不完全であるということでしょう」
かけられる言葉。しかし、カミーユは沈黙という答えを返す。
「ラプラス・コンピュータは私に組み込まれ、あのお方が使ってこそ意味があります。
あなたがサイバスターを操縦する必要性はないのです。使うのは、あのお方と私でなければならない」
相変わらず、ユーゼスを称賛する時だけ饒舌になるメディウス・ロクス。
こちらに機体を渡すように勧告しているのか、ユーゼスの偉大さを他者に知らしめようとしているのかまるで分からない。
煩わしいメディウス・ロクスの声を無視し、カミーユは歯を食いしばり、無言で集中する。
「気絶しましたか? それなら都合がいい。あなたの命を今からもらいます。
全ての命も、全ての力も、全ての知識も、全能の調停者たるあのお方のためにあるのですから」
そう言うと、メディウス・ロクスはサイバスターに歩み寄る。
正確にこちらのコクピットだけを潰すつもりだろうとカミーユは当たりをつけた。
動き回る相手ならともかく、停止したこちらをそうやってしとめるのは難しくない。
メディウス・ロクスの爪が、ゆっくりと振り上げられた。一部のずれもないように、正確に叩きつぶすための速度だ。
その爪が、サイバスターに振り落され―――
――――――ない。
メディウス・ロクスの背面スラスターが巨大な火を噴いた。それによって盛大にメディウス・ロクスは前方へ吹き飛ぶ。
押しつぶされぬようカミーユは、ちぎれそうな意識をかき集め、サイバスターを迫る影から抜け出させる。
心の中、小さくカミーユはアムロに謝罪した。こんな謝罪は意味がないと分かっていても、心からカミーユはそうしたいと思った。
「う、あああアああ………いっタい、なニガ……」
メディウス・ロクスの電子音声が乱れる。それほど内部に対しても深刻なダメージということだろう。
何が起こったのかも把握してないことは見て取れる。
メディウス・ロクスは、爆風のため見落としていたのだ。脱落したサイバスターの銀色の装甲の中に、白いものが混じっていたことを。
それは――カミーユが創造した三機のハイ・ファミリア、その残った一体。
今のカミーユの精神状態では、自在にハイ・ファミリアを操ることは不可能だ。
ただ漫然と射出して使おうものなら、動きの鈍ったそれはすぐに落とされるだろう。
だから、カミーユは待ったのだ。ハイ・ファミリアをメディウス・ロクスに気付かれず、致命的な一撃を与えるチャンスを。
ハイ・ファミリアの混じった残骸を踏み越え、攻撃に気を回した隙をつき、カミーユは自身を投影した分身をメディウス・ロクスのスラスターに飛び込ませた。
そして、最奥で力を放ったのである。60mもの巨体が故に、スラスターの噴出孔も大きい。それによって生まれた死角。
直結した己のエネルギーに火がつけば、どれだけの機体であろうとも致命傷は避けられない。
サイバスターにメディウス・ロクスを破壊する力はない。ならば、メディウス・ロクス自体の力を使えばいいのだ。
A・R(アムロ・レイ)の名を冠したハイ・ファミリアは、最期に敵を打ち倒した。
自分の意識を分化させたハイ・ファミリアが撃墜されたことによる精神的な痛みを必死に抑え、カミーユはサイバスターを操作する。
動くほうの手でオクスタンライフルを拾い、サイバスターは振り上げた。
「何ゼ……ラプラス・コンぴュータハ……ソの力は……あのお方のタメにあルのに……ナぜ、あなたは……」
メディウス・ロクスが意識を持って稼働しているなら、撃墜されることはすなわち死を意味している。
だと言うのに、いまだメディウス・ロクスが口にするのはユーゼスのことだった。
サイバスターの力は、ユーゼスこそふさわしい。カミーユには、要らないものだと信じて疑わぬ声。
その言葉が、カミーユには我慢できなかった。沈黙の反動からか、カミーユの口からは叫びがあふれた。
「ふざけるなッッ!! そんなにこのマシンが、サイバスターが大切か!? 人の命を平気で踏みにじってまで、そんなに欲しいのかよ!?
ユーゼスが言った理想? 完全になる!? いつもいつも脇から見ているだけで、人を弄べる奴がそう言うんだ!
何も分かっちゃいない癖に知ったようなことばかり! 俺たちは考えなしの案山子なんかじゃない!」
処理しきれない感情が、白濁とした頭の中を駆け巡り、どうしていいのか分からなくなってくる。
「お前だって同じだ! ユーゼスの、ユーゼスのってユーゼスのことを鵜呑みにして、他人の代弁者のつもりか!?
人のこと一つ考えられない奴が、人の命を平気で摘みとれる奴に何がわかるって言うんだよ!?」
「ワタしは……あのお方の……」
「黙れよ! 目の前の現実一つ見えてない奴が! 過去に縛り付けられて、それだけしか考えられなくなった癖に!」
カミーユは、メディウス・ロクスの言葉を遮る。一息に言い終えて息が切れる。先程から荒い息が、さらにひどくなる
サイバスターはまっすぐにオクスタンライフの銃身を、メディウス・ロクスの本来核がおさめられているはずの空洞に差し込んだ。
オクスタンライフルにもついに限界が訪れる。何度となく刺突にも使われたことによって、耐久力はすでになくなっていた。
空洞に飲み込まれるように、オクスタンライフルが押し込まれて消えてく。
オクスタンライフルの全てが空洞に飲み込まれたと同時――エネルギーシリンダーに火がつき、それが実体弾を巻き込み炸裂した。
体の中から火を噴き出し、紅蓮にメディウス・ロクスが包まれる。手が、足が、胴がばらばらに裂け、四散する。
「ゲンじつを見えてないノは……アナたのほう……もはや、あなたに、タタカうチカラは……」
――グシャリ。
最期まで人の気を逆なでする言葉を吐くメディウス・ロクスの頭をサイバスターは踏みつぶした。
「分かってるさ……けど、許せるかよ……こんなことを平気で出来るような……」
この身体に代えてでも、ノイ・レジセイアだけは。
カミーユは、絶対に許せない。許せるわけがない。
クワトロ大尉を、アムロ大尉を、多くの人々を理不尽な殺し合いで奪ったことが。
皆、帰る場所があった。帰りを待ちわびている人がいた。まだしなきゃならないことがあった。―-死んでいい人じゃなかった。
それを実験なんてものの使い捨ての道具のように、安全な場所から一方的に殺した。
挙句、世界を作ると。人の心も大事にできないような存在が作る世界のために、殺された。
歯を食いしばり、唇も噛む。口から流れ出る血が、どうにかカミーユの意識を繋ぎとめる。
一瞬でも気を抜けば、どこまでも落ちていける。カミーユはその事実を感じていた。でも、それをするのは、まだ先だ。
今は、足をとめちゃいけない。アイビスが登って行った空をカミーユは一瞬見上げた。
そこには、無機質な天井があるだけだ。その先をカミーユは見通し、サイバスターを歩かせる。
結局、ノイ・レジセイアと戦えるのは自分だけだ。キラも、シャギアも逝ったことを、カミーユは自分の力で漠然と理解していた。
ロジャーの気配も消えたことも。残りは、ノイ・レジセイア。デュミナス。自分。そして、よくわからない大きな気配と、アイビス。
星の中に感じる力はそれだけだ。
サイバスターが、体を引きずり進む。もはや、体のどこにも無傷な場所はない。
いつ機能停止してもおかしくない状態だった。
――もし、この世界に奇跡を起こせる存在がいるならば。
――希望の力から生み出される電子の聖獣がいるならば。
カミーユは、十分にそれに適合するだけの条件を持っていたと言えるだろう。しかし、そんな奇跡はあり得ないのだ。
この実験を起こすに際し、ノイ・レジセイアが徹底した破壊したものが二つある。
一つ、希望より無限の力を引き出す不死鳥を象った七体目の電子の聖獣。
二つ、舞台の上を動かし、納めるための機械仕掛けの神〈メガデウス〉。
この二つは、もはやこの世界のどこにも存在しない。カミーユたちを助け、導くものはもうどこにもない。
舞台に全ての人はあげられ、全ての札は開かれた。勝つも負けるも、ここにあるものだけが決することができる。
――しかるに。
カミーユの前に現れたのは希望ではなく、圧倒的な力だった。
「……そういうことかよ……」
カミーユの前に立つのは、三機のメディウス・ロクス。デュミナスが他の掌から射出した個体たち。
当然、三機とも無傷の状態だ。一機でもあれだけてこずる相手が、同時に三体。
カミーユは、それでも片手でディスカッターをサイバスターに構えさせる。
「理解しまし」「たか? 現実が見えてない」「のは、あなたのほうです」
全く同一の声による三重音という不気味な声がカミーユに浴びせられる。
じりじりとにじり寄るメディウス・ロクスたち。サイバスターもじわじわと下がる。
天から現れるご都合主義の神様はいない。サイバスターを救ってくれる救世主はない。
それでも、サイバスターはカミーユの闘志に答え、動いてくれている。
「いい加減諦めたらどうです」「か? あなたが勝利する可能」「性はありません」
相変わらずの三重音と、人の気を逆なでするだけの丁寧語が聞こえてくる。
「「「諦めましたか?」」」
確かに、サイバスターを救う神はこの世界にはない。
だが。
「エネルギー反応――!」「速い!?」「隔壁を――!?」
その場にある全てを破壊しようとする魔神は、この世界にもいた。
所詮非生物のメディウス・ロクスにはなく、カミーユにはある感覚。それは、命の危機に対する反射だ。
巨大なプレッシャーを間近に感じるや否やカミーユはサイバードに変形してその場を飛び去った。
突然の反応に対応が一歩遅れたメディウス・ロクスたちは――天井の隔壁を突き破り、天から落ちてきた巨大な剣にその身を引き裂かれた。
空から落下する瓦礫がサイバードも巻き込み、サイバードは地に落ちる。
剣の突撃は止まらない。一撃は、そのまま床の隔壁すら貫通し、星の中心へ全てを落としていく。
.
「ァ――――!」
声にならない声が響く。それは、メディウス・ロクスと同じ声。
サイバードが瓦礫の中から顔を伸ばし、外を見る。そこには、デュミナスの巨体を、それに匹敵する巨大な剣で縦に貫く蒼い騎士がいた。
ギリギリで中心線を切られるのを避けたのか、肩口からデュミナスが両断される。宙に浮遊していた掌が、けたたましい音を立てて床に落下する。
「あれは……」
紫雲統夜とかいう奴が乗っていたはずの機体、のはずだった。
今のそれから立ち上るのは、まったく別の、ノイ・レジセイアによく似たざらついた何か。
だが、ノイ・レジセイアほど平坦で、単一ではない。目を焼かれるのではないかと錯覚を覚えるほど、激情が燃えている。
人間ではない。けれど、ひどく人間らしい。矛盾した蒼い騎士が、そこにいた。
サイバードを瓦礫から出そうともがく。サイバスターにもはや力はなく、僅かに体にかぶさった瓦礫を揺らすだけだった。
揺れが、余計にカミーユの意識を混濁させる。それでも、カミーユは叫ぼうとする。しかし、もはや、それすらできなかった。
口を開けば、口から内臓が、いや魂まで出てしまうのではないかと思うほどの苦しみ。
カミーユには、ただ歯を食いしばり、空に浮かぶ二機を見つめるしかなかった。
突き刺した斬艦刀を通して、力からが流れ込んでくる。ドクン、とこの力を得た時の感覚が再び蘇る。
行動はシンプルに、躊躇わず一直線に駆け抜けるという宣告通り、統夜は最短ルートを駆け抜けついにノイ・レジセイアの前に到達した。
斬艦刀の液体金属と、ナノマシンの融合によって吸い上げられる力が、イェッツト・ヴァイサーガと統夜に充填される。
倒れ伏すよくわからない化け物の大量の力の大部分が、もはや統夜のものへと変更された。
「ァ、ゥ、ゥ、ゥ、ゥ……」
切れ切れに言葉になっていないうめきを漏らす化け物から、縮めた斬艦刀を抜く。
そして、統夜は目の前に浮かぶ赤い髑髏の騎士を見上げた。統夜自身がアインストの亜種とも呼べる存在になり果てたから分かる。
間違いなくあの頭上に浮かぶものが、ノイ・レジセイアであることを。
「その力……その肉体……我らとは似て非なるもの……何故、お前が……」
「知らないさ。やらなきゃいけないことがあったから、こうなっただけだ」
ノイ・レジセイアは僅かに沈黙したが、すぐに再び口を開く。
それは、統夜の想像しているものとはまったく違うものだった。
「……素晴らしい」
「……なんだって?」
「我らを基礎として……人間の在り方を、力を納めることで完全となる……その正逆。
人間としてもがく存在に、我らを宿す……さらに数多の力を納め……完全となる……」
ここまで辿り着いたその生命力……意志力……素体の選択も間違っていない……」
ノイ・レジセイアからこぼれたのは、統夜に対する称賛だった。
この場でたどり着いた時点で戦いの鐘が即座になると思っていた統夜からすれば、逆に不意を突かれたことになる。
「ァァァァァ!! ワタし、は、まだ完全デはないィィィ……!!!」
足元に転がっていた化け物が起き上がり、暴れ始めた。腰を落とすことでバランスを取りなおすと、素早く跳躍し空へ。
化け物は、半分だけになった体を砲弾のように加速させると、空にあいた穴から何処かに飛んでいく。
統夜はとどめを刺すべく斬艦刀を振り上げるが、突然濁った桃色の掌4つが、統夜の視線を遮るように飛来した。
咄嗟に斬艦刀を通常の刀の倍程度の長さに変え、すぐ側に迫る掌をまとめて迎撃する。
さらに進化したイェッツト・ヴァイサーガの一撃は、それらをまとめて叩き切った。
「くっ!」
獲物を追うため反射的に統夜は自分があけた穴を振り仰ぐが、そこからは小さな破片が落ちるばかりでもう化け物の姿はない。
逃げられたことに小さく舌打ちをしつつ、統夜は追うことを諦める。
なぜなら、統夜の前にはあの化け物よりも狩らなければならない敵がいるのだから。
「完全から程遠い……あのような存在に価値はない」
はるか高みから、這いずる存在を断ずるノイ・レジセイアの声。
統夜は、斬艦刀を鞘におさめ、居合い抜きの姿勢を取る。しかし、ノイ・レジセイアはその手に掴んだ大太刀を構えようともしない。
それどころか、手を差し伸べるがごとく統夜に伸ばす。
「……なんのつもりだよ」
「静寂を乱す必要はない……もうすぐ古き宇宙は終わる……新たな宇宙に生きる資格を持つ者……」
「……新たな宇宙に生きる資格を持つ者? 俺のことなのか?」
「そうだ……新たなる完全に近しい生命……その雛型にふさわしい……全てが満たされた世界に行く資格を持つ、たった一人の……」
「そうかよ」
統夜が、イェッツト・ヴァイサーガが鞘から剣を抜き放つ。超射程・超高速を両立する斬撃。
しかし、ノイ・レジセイアは大太刀であっさりとそれを受け止めた。顔を統夜はゆがませる。
これで倒せるほど楽な相手はとは思っていなかったが、簡単に受け止められるとは。
やはり、ここに来るまでに来た人をガウルン呼ばわりした奴の機体とは比べものにならない。
「……何のつもりだ? 全てに満たされた世界……何故それを否定する……?
お前は望む物すべてを得ることができる……全てを叶えることができる……それを……何故……?」
髑髏の騎士に張り付いた顔が歪にねじ曲がる。
まったく統夜のことを理解できないと言わんばかりの声に、統夜は薄い笑いすら浮かべた。
ノイ・レジセイアはまるで自分のことを分かっていない。だから、平気でそんなことを言える。
「世界なんていらないね……そんなものがあったって――― 一人きりの世界のじゃないか!」
統夜は、どんな物も求めない。どんな世界だろうと必要ない。統夜が望むのは、たった一人の命。
望む者の名は――テニア。たった一人で新しい世界に行くなど、統夜からすれば戯言。
テニアを、この手で生き返らせて見せる。
手を血に沈めた自分が完全に近い生命? 新たな宇宙に生きる資格を持つ者?
ちゃんちゃら可笑しい話だ。
距離を詰めるイェッツト・ヴァイサーガ。
イェッツト・ヴァイサーガの剣と、ノイ・レジセイアの大太刀が再びぶつかり合った。
「理解できない……やはり……思考、思想は人間か……」
「ああそうだよ! みっともなくて、人間らしい考えで悪かったな!」
その手に握る武器を交差させ、鍔迫り合いの形で顔を突き合わせ統夜は叫ぶ。
イェッツト・ヴァイサーガは、足を止めず動き回る。加速したスラスターの火を背負い、マントを翻し何度なくノイ・レジセイアに切りかかる。
大きさは、ほぼ互角。しかし、動きの速さではイェッツト・ヴァイサーガに軍配が上がっていた。
化け物から取り込んだ力で腕の内部構造を復元させる。そして、両の手でしっかりと斬艦刀を掴んだ。
大上段からの討ち降ろし。真横に構えた大太刀でノイ・レジセイアが防ぐが、さらに一気に刃を引くと、ナイフの形にまで縮小する。
文字通り討って変わって、まっすぐと腰だめに構えたナイフによる突撃。今度は手首をつかみノイ・レジセイアは食い止めた。
逆に振り下ろされる大太刀だったが、イェッツト・ヴァイサーガはその状態から強引に手首を掴む相手の腕を蹴りあげた。
その衝撃で相手の手は離れ、自由になる。後退はしない。大太刀をかいくぐり、イェッツト・ヴァイサーガはさらに攻撃を仕掛ける。
剣を振るには、あまりにも不向きな距離。故に、統夜は別の攻撃手段を使用する。
蹴りあげた手首を足場に、高みに駆け登るようにイェッツト・ヴァイサーガが飛ぶ。
ちょうど、イェッツト・ヴァイサーガの腰の位置にノイ・レジセイアの頭がある。統夜は、その状態から一気に上体をひねる。
足の先から烈火刃が生え、スパイクを形成する。今イェッツト・ヴァイサーガが放つのは、
「――神槍裂脚ッ!!」
超人的、いや超機的瞬発力から放たれる回し蹴りが、真空刃を纏いながらノイ・レジセイアの頭部に炸裂した。
ノイ・レジセイアの頭部が砕け散り、形成していた骨に似た物質が空間にばらまかれる。
だが、ノイ・レジセイアはこの程度で死ぬような生易しいものではない。統夜は、目の前の光景に対応すべく、素早く腕を交差させた。
次の瞬間、ノイ・レジセイアの肩付近に浮かぶ二つの髑髏から、金色の極太の光が放たれた。
「が、ああああああ!?」
腕がぶすぶすと焼かれる感覚に統夜は絶叫する。今のイェッツト・ヴァイサーガは人機一刃。
痛みが100%還元するわけではないが、かなりの痛みが統夜を襲う。
それでも、決して剣は手放さない。逆に袈裟切りしようと加速するノイ・レジセイアを、焼けた腕を必死に動かし剣で受ける。
「再生しろ! こんなところで止まれないんだろ! こんなところで諦めるくらいならあそこで朽ちてるだろう!?」
脂汗を流しながらもイェッツト・ヴァイサーガに――自分に統夜は言い聞かせた。
蛇の脱皮に似た現象がイェッツト・ヴァイサーガに起こる。その下から現れたのは、新品同様の腕だった。
片手で握った斬艦刀で押し返しつつも、再生した腕にガーディアンソードに再び掴む。
下から、一気に切り上げる。だが、肩付近にあったはずの髑髏が独りでに動き出し、ガーディアンソードを咥え込む。
ヴァイサーガの手は、斬艦刀とガーディアンソードでうまっている。
それに対し、ノイ・レジセイアには、両の手と片方の髑髏を使用しても、まだ一つ髑髏が残っている――!
ノイ・レジセイアを射線に巻き込まないためか、静かにイェッツト・ヴァイサーガの側面に回り込んだ髑髏が、金色の力を口の中で渦巻かせる。
だが、イェッツト・ヴァイサーガにも牽制程度なら使える力がある。
ざわりと、イェッツト・ヴァイサーガの装甲表面が波立つと、装甲から刃が伸びる。
アキトのコクピット撃ち抜きを防いだ、装甲から精製する烈火刃。ガーディアンソードを手放しあいた手で相手へ投擲。
寸分たがわず髑髏の口の中に吸い込まれた烈火刃が、金色の光と反応し大爆発を起こした。
「その力……『人間』には過ぎた力……」
「化け物だったら持っていいのかよ!?」
目を焼く閃光の中、統夜はマントでどうにか光を遮断する。
どこからか攻撃が来る――しかし目は使いものになりそうにない。ならば、やるべきことは決まっている。
目が見えないのなら、相手の生体波動を追えばいい。統夜は、自分の感覚を信じて光の中拳を繰り出した。
「――そこだッ!」
自分の背後へ放たれる剛の拳。
「おひい」
はっきりしない、もごもごとしたノイ・レジセイアの声。
少女の声色のためか、声だけ聞けば舌っ足らずでとても愛らしいかもしれない。
だが光が収まり、見えるようになった目で何が起こっているかを知り、凍りつく。
再生されているノイ・レジセイアの顔へ、正確にイェッツト・ヴァイサーガの拳は当たっている。
拳はノイ・レジセイアの口の中にねじ込まれている。そう、鋭く長い歯が不均等に無数に並ぶ口の中に。
氷を砕くような音が、中空に響く。
叫びだしたいほどの痛みを、歯を食いしばって抑え、統夜はその拘束から逃れようとする。
これは、まずい。動きが止まれば、次に来るのは当然、髑髏からの砲撃。
それを悟った統夜は、イェッツト・ヴァイサーガの反対の手に持った斬艦刀を巨大化させる。手の力だけで、強引に振り切る。
半円の軌跡は、髑髏とノイ・レジセイアをとらえるコースだったが、ノイ・レジセイアも素早く手から口を離すと斬艦刀を回避した。
ノイ・レジセイアの側には既に二つの髑髏が浮かんでいる。
また再生させたのかとうんざりするが、自分もあまり人のことは言えないかもしれない。
ノイ・レジセイアは後ろに下がってさらに距離を取ると、髑髏の数を一気に十ほど増やした。
合計、十二。先程の六倍の砲撃が、星の中心を揺らす。
イェッツト・ヴァイサーガが第一波を回避するが、すぐさま第二波第三波が轟音とともに髑髏の口から放たれる。
分身を使い正確に回避しながら、接近する手段を、きっかけを統夜は探す。
ノイ・レジセイアはおそらくこちらは遠距離攻撃の手段が乏しいことを気付いたのだろう。
距離を取った上での砲撃を主軸に切り替えて倒すつもりなのか。
砲撃兵器を精製しよう――そういう発想が統夜に浮かぶ。だが、すぐさまその発想は打ち消された。
最初からあるものを、使ってきたものを元通りに戻すのは、あったときの感覚をイメージすればいいが、
後付けで何かを作るとなれば手間もかかるし、きちんと作れる自信がない。
無理に精製したところで、たいしたものにならず、しかも使いこなせないのが落ちだ。
では、統夜が正確にイメージできて、使いこなせる武器は何か。単純明快、剣だ。
「でも剣じゃ……っと!?」
意識が思考に傾いたせいで分身が減っていた。本体に直撃する寸前で砲撃を回避する。
銃は剣よりも強し。確かに名言だと統夜も思う。やってられないくらいに分かりやすい。だが、はいそうですかとは言っていられないのだ。
どうにか、イメージできる範疇で斬艦刀を操作し、砲撃に対処しなければ勝ち目はない。
一気にダメージ覚悟で突っ込むことも考えたが、それは相手が自分より接近戦で劣っている前提があって成り立つ。
このままなら、おそらくダメージを受けたまま再生する暇なく無傷の相手とぶつかり合うだけだ。
ついに、直撃コースに砲撃が入る。しかし、一発だけ。それを受け止めるため統夜は斬艦刀を盾代わりに出した。
斬艦刀に当たった砲撃は、それて別の場所へと飛んでいく。
その時、統夜に電流走るっ……!
逆に考えるんだ。剣で砲撃すればいいと考えるんだ。
そう考えた統夜は、斬艦刀を巨大な姿に変え、一気に後ろに引いて構えた。
一瞬対応を変えた姿を見て、ノイ・レジセイアは砲撃を停止するが、すぐさま再び砲撃を開始する。
紫雲統夜は動かない。
砲撃はまっすぐにイェッツト・ヴァイサーガに殺到する。十本以上の光の柱が統夜に迫る。
「………ここだぁぁぁぁぁ!!」
ギリギリまで引きつけ、イェッツト・ヴァイサーガは動き出す。
目には目を。歯に歯を。ダイヤモンドにはダイヤモンドを。
ならば、砲撃には、砲撃を。
統夜は、一気に斬艦刀を、刃を縦にしたまま振る。統夜がイメージするのは、鏡のイメージ。
それを伝達されて磨き抜かれた鏡のように光り輝く斬艦刀へ、砲撃がほぼ垂直にぶつかる。
野球のホームランさながらに、ノイ・レジセイアの砲撃はまとめて斬艦刀・ミラーコートに撃ち返され、逆にノイ・レジセイアに戻っていく。
ノイ・レジセイアは一瞬身動ぎしたが、すぐに対応に動き出した。
宙に浮かぶ髑髏の影から、髑髏の体が這いずるように現れ、それが本体を守るようにスクラムを組んだ。
骨の盾により、ノイ・レジセイアにイェッツト・ヴァイサーガの砲撃が届くことはない。
だが、そんなことは関係ない。
砲撃をはじいたのは、ノイ・レジセイアを攻撃するためではなく、ノイ・レジセイアを攻撃するチャンスを作るため。
巨大化した斬艦刀を再度振りかぶり、統夜はすでに飛び出している。
虚空を踏みしめ、そこを軸に統夜の斬艦刀が――振り切られない。
統夜の軸足が、一瞬で消滅した。僅かに空間に残るアインストの力の残滓から、空間ごと食われたことが統夜にも分かる。
それでも、どうにか斬艦刀を振る。無様な姿勢からでも、その大質量により生み出される一撃は、骨の盾ごとノイ・レジセイアの片足を断ち切っていた。
飛び出した勢いのまま、イェッツト・ヴァイサーガはノイ・レジセイアに突っ込んでいく。
斬艦刀に振り回された結果ついた横の回転を、そのまま統夜はノイ・レジセイアにぶつける。
ノイ・レジセイアも、足を切られバランスを欠いた状態をすぐさま立て直す。
「いっけえええええええ!!」
両者が、無くなった足を出す。
しかし、それは同時に再生し、突如生み出された質量同士がぶつかり合い、空間をたわませた。
空間が元に戻る反動で、ちょうど二機分ほどの距離が両者にあく。
――いける。
統夜は確信する。
そう簡単に勝てるとは思えない。しかし、さりとて負ける気がしない。
事実、これまでの攻防でも、ほぼ互角。今の自分なら、誰にも負けない。どんなことでもできる。
「その力……あまりにも惜しい」
「そんなことより、自分の身を心配したほうがいいんじゃないか?」
斬艦刀を突き付けて、統夜はノイ・レジセイアに言い放つ。
しかし、
「確かに純粋な力は今の我に近い……しかし……世界を拒絶するのならば……待つのは消失のみ……」
「あんたに俺が消せるのか? やってみろよ」
「審判を下すのは我ではない。新しい完全なる世界……
それが全てを飲み込む……辿り着けるのは……意思と資格を持つ者のみ……」
髑髏の騎士の片腕が差し出され、掌が開かれる。すると、白い光がその場に放たれた。
白い光をくりぬき、どこかが映し出される。そこにあるのは、大小二つの球体。
その手順は、カミーユに対してやったものとまったく同じ。だが、映し出される光景は僅かに違っていた。
「……な、」
統夜も、アインストに近しい存在、その亜種であるから現れた光景の意味が理解できた。
白く小さな個体の球体にすぐそばには、小さいほうの数千倍ではきかないほど巨大な輝く球体が浮かんでいる。
小さいほうの球体は、 まるで砂粒のように見えるが、実際は違う。
小さいほうこそが、今統夜たちがいるネビーイームであり――輝き続ける球体こそが、新たな世界。
ネビーイームの40kmという大きさが、それほど矮小に見える。
いや、見えるのではなく事実矮小なのだ。単純な大きさだけではない。その存在が持つ力が。在る意味が。
ノイ・レジセイアはさらに言葉を続ける。
「……今、古き世界にいる……全てのものに……告げる……新たなる世界は古き世界のもの全てを飲み込み、塗り替える……」
その時は近い……もはや、止める術はなし………我を倒したところで……宇宙の新生は止まることはない……」
その光景は、その言葉は、生き残った全ての人間へ送られていた。
宇宙の新生をすぐ近くで目の当たりにし、絶望する男にも。
仲間を失い、希望を砕かれ涙を流す少女にも。
混濁した意識の中、それでも歯を食いしばり声は出せずとも足掻く青年にも。
半ば壊れてもなお、主のために這いつくばる不完全な物質にも。
ノイ・レジセイアを前に、互角の力を見せた人在らざる何かにも。
――平等に、絶望は与えられた。
■
火にかけられた鍋がコトコトと揺れる音だけが、部屋に小さく響いている。
広くはあるが質素な木製の家屋は、長い年月そこにあったことを思わせるものの、不思議と汚らしさは感じない。
そこに住む人間同様、ここにあって当然、はるか昔からここにあり続けているという風格を持ってる。
ロジャーは椅子に腰かけ、肘をテーブルについたまま頭を抱えていた。
電話が通じない。今まで何度も何度もかけてきた我が家へ、電話が。もはや、手が覚えてしまっているほど押してきた番号をプッシュした。
しかし、繋がるのは使用されていない場合に流れる機械的なメッセージ。
間違っているのはないかとゆっくり、一つずつ確認しながら押しても、結果は同じ。
「本当に、ここはパラダイムシティなのか……?」
そう言いながら視線を上げれば、そこにいるのはパラダイムシティを作った初期メンバーの一人、
ゴードン・ローズウォーターがシチューの鍋をお玉でゆっくりかき混ぜている姿がある。
小皿に少しだけ赤いシチューを掬うと、一口含んで静かに頷いていた。
「失礼。確認させてもらいたいが、あなたは……その、ゴードン・ローズウォーターなのだろうか?」
ロジャーは、おそるおそる自分がゴードン・ローズウォーターだと思っている人物に問いかける。
既に、ロジャーは自分の記憶(メモリー)がホンモノであるか確証が持てなくなりつつあった。
ゴードン・ローズウォーターと思われる人物は、老人独特のゆっくりとした動きでロジャーへ向きなおす。
相変わらず何を考えているか分からない瞳が、じっとロジャーを見つめている。
「そうだとも。私は君がそう呼ぶ限り、ゴードン・ローズウォーターだとも」
言い方にどこか引っかかりを覚えながらも、自分はゴードン・ローズウォーターであるとの返事にロジャーは安堵する。
ロジャーは、自分の記憶(メモリー)の中からゴードン・ローズウォーターに関しての情報をさらに考え、
ふと思いついたことを問いかけてみた。
「……ゴードン・ローズウォーター。あなたは40年前の記憶(メモリー)を保持した数少ない人間と聞いた。
40年前、人は宇宙を飛んでいたのだろうか? あの空の向こうには、白い星が浮かんでいたのか……」
そう、もしもこの老人が、ロジャーの記憶(メモリー)通り、40年以上前を知っているのならば。
ロジャーの知るあの世界が何なのかも知っているのはないか。
迷いながら、言葉を探しながらロジャーはゴードン・ローズウォーターに問おうとした。
「きみ」
しかし、ゴードン・ローズウォーターはそれを途中で遮り、ゆっくりと、おとぎ話でも語るように話し始めた。
「この街の誰も40年以上前の記憶もってはいない。全ては虚構。偽りでしかない。
かつて君が見つけたあの本も、私が書いたのではなく、夢が私に書くように命じた物語。
世界を破壊する強大なロボット。圧倒的な破壊。全ては偽りだ」
「しかし、事実人々は記憶(メモリー)を断片的ではあるが持っている……!」
叫ぶようにロジャーはゴードン・ローズウォーターの言葉に異論をはさんだ。
ロジャーがメガデウスを操れるのも、ノーマンがそれを整備できるのも、記憶(メモリー)のおかげに他ならない。
そのすべてが嘘偽り、ないとするならば記憶(メモリー)もあり得ない。
あり得ない出来事の記憶を保有することは誰にもできないのだ。
しかし、ゴードン・ローズウォーターは意に介した様子もなく淡々と言葉を続ける。
その様子は、さながら全てを知る賢者にも似ていた。
つまんねーぞ不細工
「なかった。初めから。全て」
ロジャーの脳裏に、ふと一冊の赤いハードカバーの本が浮かぶ。
そう、自分はかつて、40年前の出来事が記されたといわれる、ゴードン・ローズウォーターの書いた本を片手に彼のもとを訪れている。
今まで思い出せなかったはずのその記憶(メモリー)が、はっきりと経験として思い出せる。
「……記憶(メモリー)とは、人の中にあるもの。それ以外はまやかしでしかない」
「しかし……この街の住人は誰もがそれを失っている。だとするならば……!」
「この世界が壮大なるステージだとしたら、我々人間は役割を演ずる役者にすぎない。記憶(メモリー)など必要ない」
全ての記憶(メモリー)は作られたものに他ならず、誰かが配置したものでしかない。
そんなことは、ロジャーにとっても受け入れがたいことだった。なんであろうと自分が自分であることに変わりはないのだ。
どのように生を受けたとしても、一人の人間としての生き方は別なのだ。誰かの決めた脚本を演じたことなどない。
ロジャー・スミスが、ロジャー・スミスとしての意思で選択し続けたからこそロジャー・スミスはここにいる。
それは、揺るがしようのない事実だとロジャーは信じている。
だが、こうロジャー・スミスが考えること自体、誰かが定めたことだというのか?
壮大な虚飾の舞台の上で、踊るだけの書き割りにある登場人物にすぎないのか。
全ては記憶(メモリー)ではなく、設定され誘導するために作られた記録(データ)にすぎないのか。
ゴードン・ローズウォーターは赤いトマトのシチューを皿に注ぐと、木のスプーンとともにロジャーの前に差し出した。
「だが、その役割を変えられるものがいてもいい筈だ。だから私は君に、交渉を依頼したのだよ」
俯くロジャーに、ゴードン・ローズウォーターが言った。
その言葉に、思わずロジャーは振り仰ぐようなかたちでテーブルの側に立つゴードン・ローズウォーターを見る。
「交渉の依頼? 私に? ……失礼だが、私はあなたに依頼を受けた覚えはない。いったい、誰に対しての交渉以依頼――」
ロジャーは、自分はネゴシエイターだと思っている。
そして、ネゴシエイターにとって最も重要なものの一つに、信頼があるとも。
依頼者と、ネゴシエイター。ネゴシエイターと、交渉相手。それらの間に信頼関係がなければ仕事は成り立たない。
故に、まだこなしていない仕事の依頼人を忘れることなど決してしない。
それが、ロジャー・スミスの考える、ロジャー・スミスという男に関しての記憶(メモリー)だ。
故に、ロジャーはそれを違え、暴力的な手段を取る相手には――
「ビッグ、オー……」
そうだ。ビッグオー。
その言葉をひらめいた瞬間、ロジャーの体に足りなかった何かが戻ってくる。
今の自分には、彼が足りない。それが、自分自身の欠落した感覚の原因だった。
ビッグオーは今どこにいるのか。
――ロジャーはついに思いだした。
ロジャーの様子を見て、ゴードン・ローズウォーターは大きく、ゆっくりと頷いた。
「私は確かに依頼した。この世界を演出する存在と交渉してもらいたい、と。そして、君はやり遂げた」
ロジャーは、襟を静かに正す。
ロジャーに記憶(メモリー)はない。本当に自分自身が誰なのか分からない。
だが。
記憶(メモリー)がなくとも。
過去を確認できなくとも。
自分という存在を。
―――ロジャー・スミスは確信している。誰でもない、自分自身が。
ロジャーは名乗ることができる。自分が今、何者なのか、誰であるのかを知っている。
ロジャーは背筋を伸ばす。誰にも己の存在を恥じず、迷わず、答えられる。
ゴードン・ローズウォーターの手には、一冊の赤い本が握られていた。
他でもない先程ロジャーが思い出した、ゴードン・ローズウォーターの書いた御伽噺(おとぎばなし)。
「もう、これは君に必要ない」
黒い手袋をしたロジャーの右手に、ゴードン・ローズウォーターはその本を握らせる。
赤かったはずの本は白い表紙の本になっていた。題名(タイトル)も、著者も刻まれていない。
中もまた、全てのページに何も書かれていない。白い、なにもない一冊の本。
「――ありがとう。君の役割は、君が決めたものしかない。君が望むのであれば、君はあり続けられる。
この街の誰もが、過去をなくしてもそうやって生きることができるのだよ。
私は、君の名前を呼ばない。もう一度、君の名前を教えてくれ」
ゴードン・ローズウォーターからの問い掛けに、ロジャーは、一音ずつ確認しながら正確に答えを返す。
「私の名はロジャー・スミス。この記憶喪失の町には、必要な仕事をしている」
ゴードン・ローズウォーターは満足げに一度うなずくと、左手でシチューを指した。
「それは君が持ち込んだ、ここにはあり得ない花の種だ。元の場所に返してきてほしい」
目の前にあったのは、もうトマトのシチューではなかった。
青く輝く、カッティングされた宝石になみなみと盛られている。
ロジャーは、それを知っている。それは、凰牙の収納スペースに積まれていた、種に似た謎の宝石に間違いない。
ゴードン・ローズウォーターが持っていた赤い本と赤いトマトは、ロジャーの手の中で白い本と青い種に変わっていた。
左腕の袖を捲り、白と黒のモノトーンから成る腕時計を口元へ。
しかし、やろうとしているのは、家への通信ではない。自分が何故こんなことをするのか、過去のないロジャーには分からない。
だが、こうすることが正しいと、ロジャーは知っている。
自分の運命を自分で選ぶと決めた自分が、自分として生きていくために、ロジャー・スミスは選択する。
白い本は、黒い本へさらに変わる。
表紙に刻まれた題名(タイトル)は「negotiator」、著者は――ロジャー・スミス。
魂を震わせて力の限り呼んだ。ロジャーは自分の相棒の名を。それは―――
「ビィィッグオーーーゥ! ショォォーーウタァァァァーーーイム!!」
■
かくして、ロジャー・スミスは帰還する――!
「ネゴシエイター……? その機体は!?」
魂まで抜け出ているのはないかと思う声で横から声をかけられる。
そこには、テンカワの乗る機体が白い星の表面に座り込んでいた。
ロジャーは腕を組んだまま、三方を見る。
横――細部が変わっているが、朽ちたキングジェイダーと思わしきロボット。
上――光り輝く『世界』。
下――大いなるO――ビッグオー。
ロジャーは今、天へと伸ばすビッグオーの腕の上にいる。
だが、そこにいるビッグオーは朽ち果てている。腕は片方なく、赤い頭部装甲は砕け、全身は傷だらけだ。
「ビッグオー……」
ロジャーは、無理やりに忘却させられていた記憶(メモリー)を思い出した。
自分はこの殺し合いが始まる前に、あのノイ・レジセイアとあっている。
そこでノイ・レジセイアはこう言ったのだ。完全なる世界とは何か、それを知るための仲介者として世界を演出する存在と交渉してほしいと。
突如この白い魔星へ拉致されたも同然だったのである。信頼や、フェアと言った言葉からかけ離れた横暴をロジャーは当然否定した。
そして、その時もロジャーは叫んだ。来ることを確信し、神の鋳造せし巨人に、生の息吹を与える言葉を。
だがそこでビッグデュオに宿ったノイ・レジセイアにロジャーは敗北した。
ビッグデュオを打ち倒せはしたが、ビッグオーも戦える状態ではなかった。
ロジャーは、ビッグオーの損傷の一つ一つが、どうやってついたか記憶(メモリー)に覚えている。
ノイ・レジセイアは最後に告げた。
「お前と言う存在が起こす可能性……観測する価値がある……しかし、我が目的を知られるには……早い……」
意識が暗転し、気付いた時にはロジャーはその記憶(メモリー)を失い、あの始まりの場所にいた。
ノイ・レジセイアの威光を感じながらも、誰よりも早く一歩を踏み出し、一声を放った理由はそこにある。
コクピットに飛び乗り、左右に並ぶスイッチを手馴れた様子で弾き、降りてくるリング状の操縦桿の中、ロジャー・スミスは両腕をクロスさせる。
目の前には円形のディスプレイ。そこに流れてくる文字は――
“CAST IN THE NAME OF GOD”
“YE NOT GUILTY”
雑音混じりでも、ひび割れ読みづらくなろうとも、ビッグオーはロジャーの期待を裏切ることは決してない。
途中までしかない左腕を真っ直ぐ前に突き出し、右腕を腰溜めに。
どれだけボロボロであろうとも、その体勢に構えたビッグオーの両眼は光を得て瞬いた。
ロジャーが見つめる相手は、これから生まれいずる『世界』そのもの。
「ネゴシエイター……なにをするつもりだ?」
「この状況をそのままに投げ出すのは私のやることではない」
自分がやるべきことは、自分で決める。
そして、今やるべきことはこの狂った世界で起こった、狂った出来事を収束させること。
ロジャーは、もう迷わない。
「正気か!? あれが何か分かっているのか!?」
テンカワが、あれが何か、ノイ・レジセイアがなんと言ったかを早口でまくしたてた。
いつも無口で、そういう性分なのかと思っていたが、案外にそうでもないらしい。
ロジャーは冷静にテンカワの話を全て聞き、それでもなお肯定する。
テンカワは、ロジャーの様子を見て、信じられないと言外で示しながらも、さらに断言するように、
「どうするつもりだ? 突然出てきたその機体がどれだけのものかは知らないが、『世界』を相手に戦って勝つつもりか?」
「……私が真っ先に暴力という手段を取る人間だと思っているとしたら心外だが……戦うつもりはない」
「なら……」
「私は」
テンカワの言葉を途中で切って、ロジャーは言った。
「交渉人だ。言葉というものがどれだけの力を持つかも知っている」
ポカンとするテンカワ。その頭上には、コミックなら大量のクエスチョンマークが回っているだろう。
テンカワは、もう白い魔星にふれるほど巨大化した『世界』を指さした。
「あれと……交渉するつもりか!?」
「その通りだとも。私は、諦めるつもりもない。足を止めるつもりもない」
ギアコマンダーに映る蛇の影。
ロジャーはバイパーウィップと契約するときに、こう言った。
―――――私はロジャー。ロジャー・ザ・ネゴシエイター……この混沌の世界と交渉し、調停する者だ、と。
その契約の条件を、ロジャーは守る義務がある。
ロジャーは、ビッグオーを歩かせ、白い魔星の表面に撃ち捨てられたガンダム頭のキングジェイダーへと近づいた。
もう、そこに命の気配はない。シャギアもキラもいないことをロジャーは直感的に悟った。
ロジャーは、ガンダムキングジェイダーの胸の中心で輝く深紅の宝石を見つけた。
装甲が剥げ、内部構造がむき出しになっていながら、その宝石だけは砕けることなく輝いてる。
これがおそらくトモロが話していた、動力源のJジュエルというものなのだろう。
ビッグオーはそれを丁寧に拾い上げた。
「……本当にやる気なのか?」
「そういう君は、ここで諦めるつもりか? それが君として、君らしい選択なのか?」
「自分らしくいこう……か。そういうお前は、自分が何者なのか知っているのか?」
「その通りだ。私はロジャー・スミス。そして、ネゴシエイター。これが私の仕事だ」
いぶかしむような声だったが、ロジャーの声を聞いて、テンカワの声に僅かに張りが戻る。
まだどこか悩んだ様子だったが、それでも自分が自分であるとテンカワは告げた。
「俺は、ユリカの味方だ。どんな時でも、ずっとだ。ユリカを生き返らせるに、死ねと言うなら死んでやる。
だが、今は死ぬ時じゃない。本当にやれるものならやってみろ。本当にできると言うなら、何だってやってやるさ」
「そうか。なら、君にできることがある」
「なんだ?」
「私に依頼することだ。この『新しい世界』に対して、古い世界にいる我々が結着をつけるまでの猶予が欲しいと」
口の端を僅かに釣り上げて、ロジャーが笑う。
それにつられて、テンカワも口元を僅かに緩めた。
「いいさ、ロジャー・ザ・ネゴシエイター。……頼む、この古い世界にもう一度時間をくれるように」
ビッグオーがゆっくりと足を進める。
そして、アルトアイゼン・リーゼの前に立つと、ロジャーはあるものを取りだし、コクピットから降りる。
アキトも、何も言わずともコクピットから降りた。ビッグオーの手の上で、初めて生身で二人は向かい合った。
「私が求める報酬は、この二つをアイビスとカミーユに届けることだ」
「俺が、約束を無視するとは考えないのか?」
「少なくとも、私の知るテンカワ・アキトという人間は、最後の一線ではフェアであると思っている」
差し出すのは、黒のギアコマンダーとJジュエル。
テンカワは、「よく知りもしないのに、言えたものだ」と言いながらも、その二つをしっかりと受け取った。
一瞬、互いの顔から表情が消える。両者とも相手の顔を見つめていた。
「渡してからは、容赦しない。俺は、ユリカの味方だ。それが、俺が在りたい俺自身だからだ」
「もし、君が何者か知って、なお貫き通そうというのなら、あえてなにも言わない。依頼は、確かに受け取ったのだから」
そして、お互いが背を向け、コクピットに戻っていく。
二人の邂逅は、ただそれだけ。だが、確かに二人は感じとっていた。
自分が自分であることの難しさを知った男は、信用できると。
アルトアイゼン・リーゼが光とともに消えていく。おそらく、あの空間転移を使ったのだろう。
白い魔星の表面部にいるのは、もうこれでロジャーだけ。
ロジャーとビッグオーが、近付いた白く輝く『新しい世界』へ手を伸ばす。
――ビッグオーの手が、『新しい世界』に触れた。
その瞬間、ビッグオーの手が小さな破片となって散った。
同時に、ロジャーには凄まじいまでに膨大な、情報とも思念とも呼べない、混じり合った何かが流れ込んでくる。
気を抜けばものの一瞬で自分自身を見失ってしまうほどの圧力を伴った、カタチのないモノ。これが『世界』。
それでも、脳をぐちゃぐちゃにかき回すような大嵐の中でも、ロジャーは自分を見失いはしない。
『世界』は、何かを叫んでいる。それだけでもロジャーは感じることができた。
ならば、交渉の余地はある。
相手が意思を持ち、何かを叫ぶというのなら、ロジャーはその声なき声に耳を傾ける。
ロジャーにできることは、相手の望むことを言語に変えること。
「私は君の名前すら知らない! 君がなにを望むのか……それを私に教えてほしいのだ!」
ロジャーが、叫ぶ。
たった一人の人間など容易に消し去ってしまう、人間とは比べものにならない存在の力を持つ『世界』に。
『世界』の意思がさらに大きくなる。これは、ロジャーに向けて何を主張しているのか。
否定か。疑問か。はたまた、動揺か。ロジャーは歯を食いしばり、相手から――『世界』から目を離さない。
「もし君が、この古い世界にも何か可能性があると思うのなら……待ってほしい!
まだこの世界で、生きる者がいる! そして、今を変えようとしている! まだ変わっていくことはできる!」
『世界』の膨張が、止まった。
ビッグオーの指が触れた部分からそれ以上膨張することはなく、白い明滅だけを繰り返している。
今の言葉だけで通じてくれたのかとロジャーは僅かに楽観する。だが、次にはさらに圧力を持ってロジャーへと意思が向けられた。
やはり、言いっ放しで終わるほど、交渉というものは甘くない。ロジャーは、必死に『世界』の意思を読み解こうとする。
ロジャーの言葉を聞く気がないなら、とっくにロジャーは光に消えている。
膨張を止めてくれたのは――人間で言うのなら足を止めてくれたのは――ロジャーの言葉に興味を持ってくれたことに他ならないだろう。
そして、ロジャーに向ける意思の量が増えることは、
回りすべてに叫び散らすのではなく、ロジャー・スミスという個人に言いたいことがあるからに違いない。
「もし、君が自分の望むことを言葉に変えられるというのなら、そうすることを希望したいが……」
言葉ではなく、頭に直接意思を送ってくる相手に、言葉という概念が通用するのか。
言葉は、お互いを人間が理解するための手段である。
もしも人間が理解できないようなものならば、それを言葉で表現することもできないだろう。
いや、表現できるものであるとしても、言葉以外の伝達手段を持ち、使用する『世界』が言葉を使う有用性を理解できるとは思いづらい。
そんな相手に言葉という手段を用い、交渉しようとしている自分も自分かとロジャーは苦しくても、なお笑う。
理解できない、という発想を捨てるのだ。
それがどんな意思伝達手段であろうとも、理解できるという前提で臨まねば掴めるものもつかめない。
何を言っているか分からなくても、どう思っているかだけでも掴む。
『世界』にそんなものがあるか不明だが、言葉が通じなくても怒りや悲しみ、喜びなど感情は伝わってくるものだから。
「私が君の希望を答えられないかもしれない。だが、君の希望が分からなくては、答えられるかどうかすら分からない!」
頭痛に顔をゆがませても、ロジャーは叫び続ける。
自分が持つ、たった一つの手段である言葉を――「交渉」を、相手に伝えるために。
『世界』がロジャーに何かを発信している。ロジャーはそれを受信している。問題は、ロジャーがその受信したものを理解する方法だけだ。
ロジャーは、その時、ふと違う方法を思いついた。ロジャーの言葉が、もしも『世界』に通じているのなら。
「もし君に私の言葉が通じているのなら、答えてほしい!」
そう言って、ロジャーは一度言葉を区切る。
「君は私に何を伝えたい!? 怒りか!?」
意思の圧力が、僅かに歪んだ。
歪みが、ロジャーのこめかみあたりで鈍い痛みを呼ぶ。
自分が不快に感じることから、おそらくこれは『世界』にとっても不快なのだろうとロジャーは当たりをつけた。
「喜びか!?」
先程と同じ反応が返ってくる。
これも、おそらく違う。
「楽しみか!?」
これも、違う。
なら、残るのは一つしかない。
無論、これは『世界』にも感情があり、四つのうちのどれかに正解があると仮定しての消去法にすぎない。
ロジャーは『正解』がなかった場合を敢えて頭の端に寄せ、四つ目の選択肢を世界に問う。
「なら……悲しみか!?」
ロジャーが言葉を放つと同時、ロジャーの頭に流れる不快な歪みが消えた。
まっすぐロジャーの頭に入っていく意思の圧力に、ロジャーはこれが正解だと悟る。
しかし、これで終わりではない。さらなる疑問がロジャーを追い詰める。
『世界』は、悲しんでいる。ならば、それはいったい何に対しての悲しみなのかということだ。
生まれたばかりの世界が感じる悲しみとは、一体何なのか。『世界』ならざる身のロジャーには想像もつかない。
だが、そこでやめてしまっては終わりだ。
「君は一体何に悲しんでいる!? 悲しんでいる理由は何だ!?」
『世界』の悲しみを知るべく、ロジャーは光に手を伸ばす。
「親しき存在の死!?」
「大切なものの消失!?」
「自分が傷ついたことなどへの痛み!?」
ロジャーは、自分が思いつく限り、悲しむ理由を挙げていく。だが、どれもが歪みを伴った間違いであるという圧力のみ。
人が思いつく限りの理由も、『世界』には当てはまらない。ロジャーは諦めず、言葉を探し、世界にぶつける。
頭痛の中、叫び続けたことで酸欠と相まって視界が白くなる。それでも、ロジャーは叫び続ける。
しかし、送られてくるのは否定ばかり。
ロジャーはビッグオーの計器に持たれ、ゼイゼイと喘息の患者のような呼吸で、白い世界を見上げる。
「いったい、君は何なのだ?」
ロジャーからすれば、まったくわけのわからない相手を前にしての、ひとり言だった。
だが、それに対しての反応は、これまでにないほどのものだった。否定のような歪みを伴った感覚はない。
どこまでもまっすぐに、ロジャーの頭が割れてしまうほどの大量の意思を流し込んでくる。
その圧力にロジャーは、喉から獣のような咆哮を上げながら、目を向いた。
到底、人間が受け止められるものではない、処理できないように思えた。だが、ロジャーはギリギリのところで理性を保っていた。
何故か。
それはロジャーが、わずかではあるが世界から送られてくる情報を処理――いや、理解できたから。
ロジャーは知っている。自分が誰なのか分からない苦しみを。自分と言うものがどこにあるのか分からない絶望を。
今、脳に流れ込んでくるものは、全てそう言ったベクトルを持った意思だとロジャーは分かったからこそ、理性を持っていられる。
情報が一度途切れた時、ロジャーはビッグオーのシートにぐったり自分が倒れていることに気付いた。
処理できない頭の中で暴れる意思に、意識の全てを向けていたせいで、自分の体がどうなっているのか認識できなかったのだ。
「君は、」
ロジャーは、おそらく正解と確信しながらも、『世界』へ問う。
「自分が何者かわからないのか?」
再び襲いかかる、圧倒的な圧力。しかし、同じモノの二回目、繰り返しだ。
その意思の中から、理解できた部分を今度は言語に変えてさらに理解しようとする。
一度味わった苦しみだから、もう一度耐えられるとは限らない。
だが、それでもロジャーは耐えられると信じ、敢えて逆に意思へ飛び込んだ。
そこに舞い踊るのは、ロジャーも慣れ親しんだ言葉という読解可能なもの。
――ワタシ ハ ダレ?
――ナノタメ ニ ウマレタ?
――ワタシ ハ ナンダッタ?
――――ダレモ イナイノ?
同時に、流れ込むのは断片的な多くの人々の記憶。
光景の端々に、見たことのある風景が映り、知る人間の姿がある。
それは、あの殺し合いの風景であり、その舞台の上にかつていた人々であった。
かつてあの世界には声が満ちていた。それが呪詛であれ慟哭であれ、歓喜であれなんにしろ声があったのだ。
だが、それはもう絶えた。生まれ変わる世界に飲み込まれ、消えた。
同時に、人々の記憶や意思も、『ノイ・レジセイアが完全になる世界と呼ぶ世界』に統合されたのだろう。
あいまいな、誰でもない過去の記憶(メモリー)を持ちながら、それを確認してくれる人はもういない。
どこかで聞いた話だとロジャーは自嘲気味に笑った。
『世界』が何故広がり、全てを飲み込もうとするのか。ロジャーの声に耳を傾けたのか。
なにが完全な世界であるものか。
ノイ・レジセイアは完全な世界と呼んだ当人……いや当世界が、一番知っている。
どんな存在であろうとも、他者を求めずにはいられないのだ。
ただそれだけのもので、単一なもので、完成された世界などありはしない。
答えが、やっとロジャーにも理解できた。
理解できたのなら、ロジャー・スミスが次にやるべきことは何か。
憔悴しきった状態だというのに、ロジャーは、颯爽と立ち上がる。まるで、舞台の上の役者のように。
ロジャーの瞳が燃える。その意識は、あれだけの意思と情報の圧力にさらされた後だというのに変わることはない。
そしてロジャーは――ビッグオーのコクピットから降り、コクピットへの入り口、ビッグオーの胸の部分に立った。
ビッグオーの瞳が輝いた。危機へ飛び出していくロジャーを守ろうとするため動き始めるビッグオーを、ロジャーは手で制する。
「待て、ビッグオー。これは私の仕事なのだよ」
ロジャーが世界と向き合う。一対一で、正面から。
一瞬でも気を抜けば、魂ごと肉体をどこかに持ち去ってしまう嵐の中、ロジャーはいる。
今、ロジャー・スミスという男の持つ力と、世界の存在する力は、まったく等量だった。
「私は知っている。過去を失った街を。そこでは、誰もが記憶(メモリー)を、過去を求めていた」
吹きつける意思の風の中、ロジャーは真摯に語りかける。
それは、交渉する世界に向けてのものであり、同時にロジャー本人に向けたものでもあった。
「人にとって記憶(メモリー)は大切なものだ。
何故なら、それがあるからこそ、人は自分を確かめられる。それが失われれば人は不安から逃れられない。
だが、生きている人間は――いや、どんなものであれ、決して過去の記憶(メモリー)だけが形作っているものではない!」
――ロジャー・スミス。
「この私自身、己がどういう存在なのかもわからない……私には、自分自身の記憶(メモリー)すらないのだ!
だが、恐らく私は自分自身の意思で記憶(メモリー)を消し去ったのだ! その選択をしたのは、私自身だ!
私自身の為に、今と! そしてこれからを生きる為に! 自分という存在を信じたいが為に! 」
――ロジャー・ザ・ネゴシエイター。
「今を生きることがどんな存在でもできる! どのように生を受けたとしても、一つの存在としての在り方は別なのだ!
そして、それを選ぶのは他でもない君自身しかできない! 他人を飲み込むことで満たされるものではけしてない!」
――パラダイムシティ一の交渉人。
「他の誰でもない! 君が、君で生きるんだ!」
ロジャーの言葉が、『世界』すら震わせる。
いや、それはノイ・レジセイアの力によりその光景を見ていたもの全ての魂も振るわせるだけの重みがあった。
支援参加
―――依頼は、達成された。
世界の意思が、風となってロジャーを優しく一度なでる。
それがロジャーの言葉への肯定であることを、誰よりもロジャーは理解していた。
古き世界に内包された、新たな世界が今一度眩い光を放つ。
それは世界の在り方を変える意思の変化によって生み出される因果律の風。
ロジャーとビッグオーを巻き込み、因果律ごと捻転する。
人の身では――いや、因果の内側にいる存在には耐えること叶わぬ力が生みだす、光の嵐。
光が収まった時――もう、そこには何もなかった。
舞台の上の難題を力ずくで解決する機械仕掛けの神〈メガデウス〉も。
記憶喪失の街で一番の交渉人〈ネゴシエーター〉も。
本当にそこにいたのか分からないほど、痕跡を残さず。
いや。
彼がいたことは、空に浮かぶ世界が示している。
新しい世界は、乳白色の卵型となり、白い魔星の側で静かに佇んでいる。
もう、世界が何かを飲み込むことはない。
【ロジャー・スミス 生死不明】
■
「やったのか……?」
自分の横にいる、腕を失ったアルトアイゼン・リーゼから声が漏れる。
突然白い小窓から見えた光景は、ノイ・レジセイアの告げた絶望をそのまま映している――はずだった。
「ロジャー……?」
もうすぐ、世界があたしたちのいる世界を押しつぶす。そして、全てなくなってしまう。
ノイ・レジセイアはそう言っていた。アイビスも、特別人と違う感覚を持たずとも、そう認識させられていた。
あの、圧倒的な存在感を持つ世界を前に。
だが、世界が放っていた圧力はもうない。ただ静かに形を変えて、宇宙に浮かんでいる。
それをやり遂げたのは、誰か。
他でもない、ロジャーだ。
ロジャーは、生きていた。そして、自分のやるべきことを――交渉をやり遂げたのだ。
「感謝するさ、本当にこうやって機会をくれたことを、な」
アルトアイゼン・リーゼが拳を差し出した。そこにあったのは、Jジュエルとギアコマンダー。
「受け取れ。奴は本当に交渉を成功させた。これは、俺が奴に払う報酬だ」
アイビスも白い投影された空間越しにロジャーとアキトのやりとりも見ていた。
まだ現実に追いつかない頭のまま、アルトアイゼン・リーゼをアイビスは見つめていた。
あまりにも現実離れした出来事の、現実離れした結末。それを飲み込むまで、アイビスは結構な時間が必要だった。
ブレンの掌に押し付けられる二つの道具。ロジャーが、最期にあたしたちに遺してくれたもの。
「で、でも……」
自分で言っておいて、なにが「でも」なのか分からなかった。
これを受け取ったところで、何も変わらないのではないか。
いったい、ロジャーはこれで何をさせようとしたのだろうか。
教えてくれるロジャーもいない。ロジャーは、確かに救ってくれた。
けど、この人工の星を取り巻く状況は依然として変わっていない。
自分に何が出来るのか。
そんな躊躇の念が、僅かにアイビスの言葉を濁す。
目の前のアキトは、アイビスを見て苛立たしげに舌打ちをした。
「渡すものは渡したぞ」
そう言って、アルトアイゼン・リーゼが杭打ち機のついた腕を振り上げた。
「奴との契約もここまでだ。後は俺の好きにやらせてもらう」
ロジャーとアキトのやりとりを思い出し、さっと血の気が引く。
そう、アキトは渡した後までは協力しない、願いを叶えるために殺し合いを続行するつもりだと言っていた。
つまり、自分をアキトは殺そうとしている。アイビスの恐怖を感じて、ブレンが後ろに下がる。
しかし、下がるだけ。そこに、抵抗をしようという意思はない。
「……奴の死に損だな。もういい、ここで死んでいろ」
「そんな言い方……!?」
「俺の言うことに納得いかないか? なら、やってみろ。
――お前は、ここで諦めるつもりか? それがお前として、お前らしい選択なのか?」
アキトの言葉に、アイビスははっとなる。最後の言葉は、ロジャーがアキトに向けて放ったものだ。
そして、その言葉でアキトは何かを取り戻したように見えた。
アルトアイゼン・リーゼの背中に火が灯る。視界に映るスラスターの輝き。
スラスターが十分に出力を貯め、姿勢安定用の補助ウィングが展開された。
アイビスが、ブレンが動いた。
突進してくるアルトアイゼン・リーゼ。突き出される拳。その延長線上にある杭打ち機。
目をそらさない。引き寄せる。この距離で早めに動けば、相手も照準を直して対応される。
だから、それが出来ない限界を待つ。
恐怖で足がすくみ、動けなくなるのをアイビスは抑える。同時に、恐怖でその場からただ逃げ出してしまうのも。
動くべき時に、動く。言うは易し、やるは難し。
今度は、間違わない。
それでもアイビスは――それを成功させた。
相手の体が沈み、アッパーカット気味にこちらをとらえる寸前に、バイタル・ジャンプ。一気に背後に回り込む。
そして、ソードエクステンションを相手に向けて引いた。だが、アルトアイゼン・リーゼの巨体が消えた。
次の一撃に備えてアイビスが首を左右に振る。しかし、追撃はなかった。
少し離れたところで、アルトアイゼン・リーゼはただ立っている。
「……やればできるものだな」
アルトアイゼン・リーゼから聞こえるアキトの声。
それでやっとアイビスもなんとなく相手の真意を理解する。
「あ……ありがとう」
「お前のためじゃない。奴があまりにも報われないと思っただけだ。
さっさと行け。お前がやるべきことを果たせ。さもなくば撃ち貫く」
1000ならドロシー登場
1000
1001 :
1001:
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│ [インターミッション] │
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│ ユニット能力 ユニットの改造 武器改造 │
│ パイロット能力 パイロットのりかえ 妖精のりかえ │
│ 強化パーツ ユニット換装 オプション │
│ セーブ ロード ポケットステーション │
│〔次のスレッドへ〕 │
│ │
│次のスレへ進みます。 │
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│ 総ターン数_1000 資金___1000 │
│第1話『このスレッド』までクリア. │
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