第二次スパロボバトルロワイアル5

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1それも名無しだ
※初めて来た人はまずはここを読んでください。
【原則】
リレー企画ですのでこれまでの話やフラグを一切無視して書くのは止めましょう。
また、現在位置と時間、状況と方針の記入は忘れずに。
投下前に見直しする事を怠らないで下さい、家に帰るまでが遠足です。
投下後のフォローも忘れないようにしましょう。
初めて話を書く人はまとめサイトに行ってルールや過去のお話にしっかり目を通しましょう。
当ロワは予約制です。投下する前にスレでトリップを付けて使うキャラを宣言しましょう。
予約の期限は三日です。
【ルール】
EN・弾薬は補給ポイントを利用することで補給することができます。
補給ポイントは各キャラの所持するマップにランダムに数個ずつ記載されています。
機体の損傷は、原則として機体が再生能力を持っていない限り直りません。
再生能力も制限で弱体化しています。
特定の機体がスパロボのゲーム内で持っている「修理装置」「補給装置」はありません。
DG細胞が登場していますが、機体の過度の変質、死者のゾンビ化は制限により禁止されています。
機体の再生、感染、「生きている人間」の身体の補強のみが行われるようです。
マシンセルによる機体の変質や環境操作も制限を受けています。
唯一メディウスロクスのみ機体が変質していますが、これはスーパーロボット大戦MXの展開に準拠したものです。
乗り換えは自由です。
参加者へロワ参加者の名簿は支給されていません。
【備考】
作品の指摘をする場合は相手を煽らないで冷静に気になったところを述べましょう。
ただし、キャラが被ったりした場合のフォロー&指摘はしてやって下さい。
おやつは三百円までです、電気やゲッター線は好きに食べてください。
スパロボでしか知らない人も居るので場合によっては説明書きを添えて下さい。
水筒の中身は自由です、酒が怖くてパイロットが出来るか。
これはリレー小説です、一人で話を進める事だけは止めましょう。
作品の保存はマメにしておきましょう、イデはいつ発動するか分かりません。

前スレ
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/gamerobo/1176030907/
前々スレ
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/gamerobo/1170806726/
前々々スレ
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/gamerobo/1161702283/l50

旧本スレ
第二次スパロボバトルロワイアル2
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/gamerobo/1149764572/
第二次スパロボバトルロワイアル
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/gamerobo/1149350054/
第2次スパロボロワイヤル企画スレ
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/gamerobo/1148890280/

旧まとめサイト
ttp://2nd.geocities.jp/s2matome/main.html
仮まとめサイト
ttp://srwbr2.nomaki.jp/index.html
2アルフィミィちゃんの観察日誌:2007/08/14(火) 23:56:31 ID:TX0tKb3g
第120話「Unlucky Color」まで
死亡者編
・『死亡者名(搭乗機)/殺害者名(搭乗機)』 キャラ辞典より抜粋&コメント
 なお順番は死亡順

・エクセレン=ブロウニング(搭乗機なし)/アインスト=ノイ=レジセイア(搭乗機なし)
 アインスト=ノイ=レジセイアに最初の見せしめにされ首輪を吹き飛ばされ死亡。
 このことによりキョウスケはアインスト達を倒しアルフィミィを解き放ちエクセレンを迎えに行くこと
 を覚悟する。

・メルア=メルナ=メイア(ジム・カスタム)/グ=ランドン・ゴーツ(ラフトクランズ)、流 竜馬(大雷凰)
 グ=ランドンに機体を串刺しにされ竜馬に機体を爆散されロワ参加者(除くエクセレン)初の死亡者となる。
 早々にテニアとの合流を果たすも彼女の目の前で死亡。このことがきっかけでテニアがゲームに
 乗ってしまいカティアを殺害、統夜も乗っているので彼女の死は報われない。

・グ=ランドン・ゴーツ★(ラフトクランズ)/フェステニア=ミューズ(ベルゲルミル)
 竜馬の大雷凰に機体をライジングメテオ・インフェルノで真っ二つにされる。
 それでも生存していたがテニアを挑発、そのまま彼女に撃ち殺される。
 だが彼の言葉は彼女の心に絶望を植えつける。

・ラクス=クライン EVA零号機)/ヒイロ=ユイ(レイダーガンダム)
 EVA零号機を操ってヒイロを追い詰め、説得しようとするも常識外れの攻撃により零号機を破壊され、死亡。
 版権作品初の死亡者となる。似た思考の持ち主であるリリーナとは遭遇できなかった。

・木戸 丈太郎(クロスボーン・ガンダムX2)/相羽 シンヤ(搭乗機なし)
 知恵と技術でサイコガンダムを撃破するものの、相羽シンヤがテッカマンに変身できるとは見抜けず、
 PSYボルテッカにてコクピットブロックごと蒸発させられる。
 彼が放送で名を呼ばれてもたいして影響がないことも考えると可哀想な死に様である。

・神名 綾人(アルトロンガンダム)/テンカワ=アキト(YF-21)
 ロジャーとリリーナを奇襲するも、割り込まれたアキトにマーダーとみなされコクピットに拳を
 打ち込まれ死亡。だが、彼との戦闘で凰牙のENがなくなったためリリーナの死にも関与している。

・カティア=グリニャール(VF22S・Sボーゲル2F)/フェステニア=ミューズ(ベルゲルミル)
 テニアと再会するも、すでに彼女はゲームに乗っており絞殺される。テッカマンに殺られたキッドを
 除けば当ロワで生身で殺られた人、第一号である。なお、友人に殺されるという最後をとげた一番欝な
 死に方である。

・ジョシュア=ラドクリフ(クインシィ・グランチャー)/ギム=ギンガナム(シャイニングガンダム)
 アイビスと行動中に統夜に御大将を擦り付けられる。そのまま戦闘中にクインシィに邪魔され
 シャイニングフィンガーを喰らい機体が大破、アイビスと共に逃げるものの既に彼は爆死していた。
 なお、彼の死はラキに影響を与えるため彼女の今後が心配である。

・リリーナ=ドーリアン(セルブースターヴァルハラ)/相羽 シンヤ(搭乗機なし)
 機体をばらばらにされ連れ攫われテッカマンにコックピットの ハッチをこじ開けられ首を跳ね飛ばされる。
 おとなしく凰牙にENを供給していればもっと違った展開が待っていたかもしれない。

・ギャリソン時田(ガンダムレオパルド・デストロイ)/ガウルン(マスターガンダム)
 ガウルンと再び交戦、激戦を繰り広げるもガウルンの宗介の愛の前に敗れ去る。
 すごい執事だけに序盤でおしい人が逝ってしまったのは残念。

<<第一回目の放送で上記10名の死亡が伝達>>
3アルフィミィちゃんの観察日誌:2007/08/14(火) 23:57:19 ID:TX0tKb3g
・ユウキ=コスモ(ジガンスクード・ドゥロ) /ジョナサン=グレーン(ガンダムF91)
 ギャリソンの死を悲しみバサラの歌に心を癒されている
 最中にジョナサンの奇襲を受ける。機動性の高いF91を倒すため広範囲攻撃の
 G・サークルブラスターを放とうとするも生きていたバサラがいたため躊躇。
 そのままコクピットにヴェスバーを撃ち込まれ蒸発、死亡する。

・九鬼 正義(ドラグナー2型カスタム)/バーナード=ワイズマン(ブラックゲッター)
 ブラックゲッターの強襲を受け、あっさりと撃墜されてしまう。
 ラーゼフォン系は全滅、薄氷同盟最初の死者となった。

・アスラン=ザラ(ファルゲン・マッフ)/カテジナ=ルース(ラーゼフォン)
 カテジナに盗られたラーゼフォンと遭遇。
 バサラが乗っていると思い込んだまま交戦。だが、ドラグナ−系の力ではデウスエクス・マキナに
 一歩及ばずに機体を両断され敗北。最後に思いを親友に託しながら死亡してしまう。

・神 隼人(YF-19)/クルツ=ウェーバー(ラーズアングリフ)
 同行していたクインシィがエイジに襲いかかり、続いて現れた竜馬も加わり混戦状態に陥る。
 その中、クインシィ・ガロードに3人目を探せと言い押し切る形で離脱させた。
 さらに竜馬の説得を試みるも失敗。最後はクルツの狙撃で被弾、そのまま地表に墜落死となった。

・アルバトロ=ナル=エイジ=アスカ(ガナドゥール)/流 竜馬(大雷鳳)
 消えたラキを探している途中でクインシィに襲われる。
 途中乱入してきた竜馬によって一度は気絶するも意識を回復。
 壊れたフォルテギガスからガナドゥールを分離して、逃走を試みるが追い詰められる。
 最後は大雷鳳と正面からぶつかり合い敗れ去った。

・ヒイロ=ユイ★★(搭乗機なし)/ベルナルト=モンシア(搭乗機なし)
 一度交戦をしたモンシアとG-6基地で再び遭遇する。
 モンシアがヘビーアームズを自爆させた結果、機体を失う。
 基地の状態を調べ、格納庫へ一応の確認しに行く途中にまたもやモンシアに遭遇。
 白兵戦で彼を追い詰めるも自爆に巻き込まれ帰らぬ人となる。
 なお彼の死を持って薄氷同盟は全滅となった。
 
・ベルナルト=モンシア★(搭乗機なし)/ヒイロ=ユイ(搭乗機なし)
 大破したヘビーアームズを有効利用しヒイロの乗るレイダーを破壊。
 しかし、外の様子をうかがいに行く途中に実は生きていたヒイロと遭遇する。
 子供と舐めた結果追い詰められて、ヒイロを巻きこんで自爆死する。

・孫 光龍(レプラカーン)/キョウスケ=ナンブ(ビルトファルケン(L))
 機体の整備にと立ち寄ったG-6基地でバーニィを発見。これに襲いかかる。
 戦闘中、ゼクス・キョウスケが現れて場が複雑化。
 そんな中でキョウスケと戦闘となり、念の暴走の果てにオーラコンバーターを貫かれて死亡した。
4アルフィミィちゃんの観察日誌:2007/08/14(火) 23:58:07 ID:TX0tKb3g
・シャア=アズナブル(核ミサイル)/カテジナ=ルース(ラーゼフォン)
 アムロとの合流を目指し、F-2補給ポイントで待機中、カテジナと遭遇。
 機転を利かせ、一度はカテジナの撃退に成功するもラーゼフォンの長距離狙撃を受けてしまう。
 アイビスを逃がし、彗星は地に落ちる。だがその意志は確かに受け継がれていた。
 死亡後も、窮地のアムロと共振する、アイビスの悪夢に出てくると大活躍である。

・相羽 シンヤ★★(テッカマンエビル)/クルツ=ウェーバー(ラーズアングリフ)
 ロジャーから受けた痛手を癒すべくD-8にあるコンビニの食糧を根絶やしにする。
 続いて機体の奪取を目指し、移動してきていたクルツに戦闘を仕掛ける。
 テッカマンの能力を活かし終始優勢に戦闘を進めていたが、最後の最後でクルツの策にかかり死亡。
 テッカマンとしての傲りが最大の敗因であったのは間違いない。

・ゴステロ(スターガオガイガー)/ギム=ギンガナム(シャイニングガンダム)
 アムロを追いつめるも、ブンドル、ギンガナムに乱入され、勝機を逃してしまう。
 そのままギンガナムと戦闘になるが、彼には「勇気」が足りなかった。
 純粋な力比べに負け、死亡。

・ゼクス=マーキス(メディウス・ロクス)/キョウスケ=ナンブ(ビルトファルケン(L))
 キョウスケと共に基地の制圧に成功するも、直後に機体制御をAI1に乗っ取られてしまう。
 が、メディウス内部からキョウスケをサポート。
 オクスタンライフルに撃ち抜かれ死亡するも、その魂は最後まで気高かった。

・カズイ=バスカーク(メディウス・ロクス)/キョウスケ=ナンブ(ビルトファルケン(L))
 ゼクスの操縦技術をAI1に学習させ、メディウスの制御を奪う。
 圧倒的な力でキョウスケを追いつめるが、最後には人の力に破れることとなる。
 オクスタンライフルを撃ち込まれ死亡。

・マサキ=アンドー(アルトアイゼン)/ガウルン(マスターガンダム)
 キラたちと共にダイへと戦闘を仕掛ける。
 ガウルンと戦闘になり、ボロボロのアルトアイゼンで善戦するも一歩及ばず、コクピットブロックをもぎ取られ死亡。
 彼の持っていた小石がある人物の運命を大きく変えることとなる。

・ミスマル=ユリカ(無敵戦艦ダイ)/ガウルン(マスターガンダム)
 Jアーク組と交戦。地盤を崩すという荒技で戦況を一変させたが、その直後にガウルンによってダイの艦橋は大破。
 外に投げ出されアキトと再会を果たすも、マスターガンダムに踏まれ圧死。
 彼女の死はアキトに多大な影響を及ぼすことになる。

<<第二回目の放送で上記15名の死亡が伝達予定>>
以上、死者の説明を終わりますの。この調子でどんどん増えることを期待しておりますの。
5アルフィミィちゃんの観察日誌:2007/08/14(火) 23:58:48 ID:TX0tKb3g
生存者編
●小隊(最新エピソード時の場所と時刻)状況コメント
   ・『生存者名(搭乗機)タイプ分け』備考&一口コメント
   自衛協力型(自衛はするが友好的。対マーダー予備軍)
   無差別型(見敵必殺・問答無用)
   猫被り型(友好的に見えるが、攻撃の機会を狙っている)
   策士型(知略戦で漁夫の利狙い。攻撃は最終手段)
   対マーダー(マーダーは攻撃。他には協力的)
   自衛戦闘型(敵対するなら相手を殺す気あり)
   協力暴走型(基本は自衛協力的だが、状況によって暴走してしまう)
   平和解決型(攻撃されても話し合いで解決したい)


●バーニィ(G-6/初日20:50)
  気絶中。
・バーナード・ワイズマン★(ブラックゲッター)無差別型
  ゲッター線目当てのAI1の攻撃を受けた結果、機体は実質大破。
  同時に気絶する。ちなみに彼の気絶は本日二度目、戦績は一勝三敗。
  それでも生きているあたり悪運がかなり強い。


●カテジナ(F-1/初日21:00)
  シャアを撃墜し、現在は補給ポイントを探している。
・カテジナ・ルース★★(ラーゼフォン)自衛戦闘型
  バサラから機体を強奪し、アスラン、シャアを殺害。
  強化人間の性質がラーゼフォンにどのような影響を与えるかは不明。


●ラキ(G-8/初日21:00)
  目的地は無いが何かできることを求めてアイビスを探している。
・グラキエース(ネリー・ブレン)自衛戦闘型
  ジョシュアの仇であるギンガナム、統夜と立て続けに遭遇。
  しかし、仇であることには気付かなかった為か戦闘にまでは及んでいない。
  負の感情を吸収する体質の持ち主だが、現在のところ精神は落ち着いている。
  放送直後など負の感情を過剰に吸収すればどうなるかはわからない。


●統夜(G-8/初日21:00)
  朝までひとまずは交戦を避けて休憩中。
・紫雲統夜(ヴァイサーガ)策士型
  ラキとの接触で放送後からの迷いがより大きくなり、どう転んでもおかしくない状態になりつつある。
  テニアを探すつもりだが、見つけたときどう動くかはまだ決めてはいない。
  良機体でもあるのでそこそこ生き残れそう。場所が場所なだけに放送まで動かないかもしれない。


●リョウ(D-8/初日21:00)
  仇敵である隼人と再会。しかし、復讐を果たす寸前に横やりによって隼人を殺され怒り心頭中。
・流 竜馬★(大雷凰)無差別型
  元の世界に戻り隼人や早乙女博士を殺すためマーダーとなる。
  現在は体も機体もぼろぼろの状態で、隼人を殺したクルツを追跡中。
  真ゲッターはほっといていいのか、竜馬よ。
  武蔵との再会した場合どうなるかは未知数である。
6アルフィミィちゃんの観察日誌:2007/08/14(火) 23:59:30 ID:TX0tKb3g
●キョウスケ(G-6 /初日22:10)
  マサキ捜索隊・足が速い組。……だったが諸処の戦闘でキョウスケ一人に。
  ユーゼス達が来るまで休息予定。
・キョウスケ・ナンブ★★★(ビルトファルケン(L))自衛協力型
  エクセレンを殺されたにも関わらずマーダー化せず、打倒主催者とアルフィミィの開放を目指す。
  基地の激戦を生き残るも、カズイの暴走によりメディウスと対決。
  辛くもこれを撃破するもその代償は大きかった。


●クインシィ&ジョナサン(B-4/初日22:30)
  再会できたクインシィとジョナサンは真ゲッターに乗り込むことに。
  現在はC-6にいるはずのキラとの合流を目指し移動中。
・クインシィ・イッサー(真ゲッター)協力暴走型
  協調性0なので苦労人な人物としか組めない?
  エイジを襲い、竜馬と交戦。隼人の言うことをこれぽっちも聞かない。
  ジョナサンと合流したがガロードとは別れることに。これがどう影響するのか?

・ジョナサン・グレーン★(真ゲッター)策士型
  クインシィとの合流に成功。今度はJアーク目当てにキラとの合流を目指す。
  JアークからF-91に乗り換え、鬱憤晴らしに他の参加者を殺すへたれ。


●ガロード(B-4/初日22:30)
  クインシィと別れ、B-1にて神隼人と合流を目指す。
・ガロード・ラン(ガンダムF91)自衛協力型
  クインシィに振り回されてた。原作でもこんな感じ。
  現在唯一の、ガンダムに乗るガンダム作品主人公である。
  これは活躍フラグとなるのか!?


●カミーユ&ユーゼス&ベガ(B-5/初日22:30)
  マサキ捜索隊・足が遅い組。経路はD-6の岩山から西進し深夜0時までにはG-6へ。
  カミーユがユーゼスに不信感を持ちつつあるが、ベガが間に入ることで緩和されている。
・カミーユ・ビダン(VF-22S・SボーゲルU)自衛協力型
  ベガは信頼しつつあるが、非人道的なユーゼスの行いを嫌悪している。
  Zガンダムと同じく可変機のバルキリーに乗っている。
  本人の操縦センスと相まってかなりの戦力になるだろう。

・ユーゼス・ゴッツォ(アルトアイゼン)自衛戦闘型
  スパロワで主催者なのは伊達ではなく、アインストの力を手に入れようと画策中。
  サイバスターのラプラスコンピューターにも興味がある様子。
  周りの人間は協力ではなく利用するつもりである。
  DG細胞感染済みの首輪という爆弾をかかえているのも私だ。

・ベガ(月のローズセラヴィー)自衛協力型
  月のローズセラヴィーを支給されENも満タンなためこの面子では一番攻撃力がある。
  ユーゼスのことを信用しているのが彼女にとって吉とでるか凶とでるか。
  カミーユに対しては母親的な立場?


●アムロ(B-1/初日23:40)
  クルツとの戦闘を終え、ブンドルの応援に行くつもり。
・アムロ・レイ(ガナドゥール)自衛協力型
  エースパイロットとはいえ、機体の状態は良いとはいえない。
  もしかしたら目前のストレーガ乗り換えもある?
  ブンドルと情報を交換。ギンガナムと交戦しているブンドルの応援に向かうつもり。
7アルフィミィちゃんの観察日誌:2007/08/15(水) 00:00:50 ID:TX0tKb3g
●ブンドル(B-2/初日23:40)
  サイバスターを駆り情報の収集中。
  ギンガナムと交戦中。ひとまずアムロから離れたところへ連れて行くつもり。
・レオナルド・メディチ・ブンドル(サイバスター)自衛協力型
  美しいサイバスターを駆り、対主催者のため首輪解除の情報を集めている。
  彼ではサイバスターの全能力を引き出せないが機動力もあり腕も良いので単独でも大丈夫。


●ギンガナム(B-2/初日23:40)無差別型
  伝説のNT、アムロと出会いテンション最高潮。現在ブンドルと交戦中。
・ギム・ギンガナム★★(シャイニングガンダム)
  アムロと出会い、更にはゴステロさえも撃破するという御大将的には最高の状態。
  ブンドルからアムロの居場所を聞き出すつもり。
  ゴッドカレーパンを食べ栄養状態も万全だ。


●アイビス(B-2/初日23:40)
  アムロと戦闘中のクルツをアイビスが助け、バイタルジャンプで移動。
  アイビスはクルツがアムロを殺害したと勘違いをしている。ラキについての情報を交換予定?
・アイビス・ダグラス(ヒメ・ブレン) 自衛戦闘型
  ジョシュア、シャアの死が少し響いているようである。
  ラキを探すため、目の前の手がかり(クルツ)から情報を聞き出すつもり。


●クルツ(B-2/初日23:40)
  シンヤを撃破後、エイジの安否を確認しようとB-1へ移動後、アムロと戦闘に。
  その最中アイビスに助けられるもアイビスは彼がアムロを殺害したと勘違い。
・クルツ・ウェーバー★★(ラーズアングリフ)猫被り型
  隼人を狙撃で仕留め、エイジの離脱を手伝い、竜馬から逃走中。
  シンヤから襲撃されるもなんとかこれを撃破。アムロとの戦闘を経てアイビスと対面している。
  赤い色との相性が最悪。


●キラ&テニア&ムサシ&ソシエ(D-7/二日目00:00)
  全体的な関係は基本的には悪くない。ただしキラはテニアを若干疑っている。
  相手が同じ対主催派だということを知らないままダイと戦闘、なし崩し的にナデシコとも戦うことに。
・キラ・ヤマト(Jアーク)対マーダー型
  放送後、暴走する事無くロワ脱出を目指す。
  半ば無理やりにJアークに乗り換えさせられたが、相性はいい感じ。
 
・フェステニア・ミューズ★★(ベルゲルミル(ウルズ機))猫被り型
  彼女自身の戦闘能力は高くはないが猫被りマーダーとしての器量に期待できる。
  統夜を殺す事も今では構わないと感じている。
  現在混乱を極めるD-7において、彼女の行動は大きな鍵ではないだろうか。

・巴武蔵(RX-78ガンダム)対マーダー型
  彼はテニアの涙に騙され利用される運命である。
  反応弾にビビッてる。

・ソシエ・ハイム(なし)自衛協力型
  ドスハードを失い、生身で動いていたのが運の尽き、エビルに間違えられ攻撃される。
  右足は折れたもののそれでも生きていて、マサキに助けられた。
  勝気な性格なので状況によっては怪我を押して飛び出しそうでハラハラする。
8アルフィミィちゃんの観察日誌:2007/08/15(水) 00:02:44 ID:TX0tKb3g
●ロジャー(D-7/二日目00:00)
  依頼主は死んだがその依頼は引き継いでいる。しかしシンヤは問答無用で攻撃対象。
・ロジャー・スミス(騎士凰牙)平和解決型
  D-7にてJアーク組、ガウルンと交戦中。現在は瓦礫の下に埋まっている。
  実はこのネゴシエイター、関わった人間の死亡率が高すぎる。


●ガウルン(D-7/二日目00:00)
  気力135。アキトの歪みの原因であるユリカの殺害に成功。
・ガウルン★★★(マスターガンダム)無差別型
  カシムへの愛でDG細胞によって癌さえも克服した。
  D-7の混乱を大いに楽しむつもり。だが一番の狙いはアキトだろう。


●シャギア&オルバ&比瑪&甲児&バサラ(D-7/二日目00:00)
  フロスト兄弟は比瑪と甲児を利用する気である。現在は甲児達の人のよさが幸いし穏やかムード。
  バサラを拾った。その他にも機体をいくつか拾っておりナデシコの格納庫が充実してきている。
  現在はD-7にてJアーク及びマスターガンダムと交戦中。
・シャギア・フロスト(ヴァイクラン)自衛戦闘型
  ディバリウムと合体しガドル・ヴァイクランとなることが可能。
  オルバと共に生き残るためにゲームには乗らない。ただし、他人は容赦なく利用する。
  コスモの頭部を潰すことで首輪を手に入れたが、潰したことは現在甲児達には隠している。
  現在D-7にてマスターガンダムと交戦中。

・オルバ・フロスト(ディバリウム)自衛戦闘型。
  兄を裏切った弟の機体に乗せられるも兄弟間の信頼度NO.1である。
  MAP兵器持ちであり合体も可能なので強力な機体を運用する。
  シャギアと共に生き残るためにゲームには乗らない。ただし、他人は容赦なく利用する。
  現在D-7にてマスターガンダムと交戦中。

・兜甲児(ナデシコ)自衛協力型
  熱血単純な主人公。フロスト兄弟の所為で裏切られフラグを持っている。
  ナデシコでは実力を発揮できない。甲板に新たに係留された旧ザクをもしかして使う気か?
  現在Jアークと交戦中。

・宇都宮比瑪(ぺガス)平和解決型
  とりあえず、ナデシコのオペレーターをやっている。ぺガスは格納庫に収納中。
  戦闘を嫌い、出来る限り話し合いで解決したいと思っている様子。
  現在Jアークと交戦中。

・熱気バサラ(プロトガーランド)
  シャギアに故障した機体ごと拾われる。
  意識がはっきりとしない状態でフロスト兄弟の会話を聞いており、今後どう作用してくるかが見もの。
  ただし、現在は喉を潰しており、歌はおろか話すことさえままならない。


●アキト(不明/二日目1:30)
  ユリカを殺害され、蘇生を願う一心でアルフィミィのところまでボソンジャンプ。
  新たにアルトアイゼンを支給され、優勝を目指す。
・テンカワ・アキト★(YF-21)無差別型
  現在地不明。どこかにランダムで転送されるらしい。
  ユリカの蘇生を目指し、マーダーに転向。
  ボソンジャンプの使用が首輪爆破条件に追加されたが、ぼろぼろの身体でも戦闘が可能になる薬を所持。

以上、時系列順に二十九名の紹介と状況説明を終わりますの。
9セルフで:2007/08/15(水) 00:04:48 ID:TX0tKb3g
                      ,.-―-、,r ‐-、
                     r'⌒ ⌒ ヾr ⌒^ヽ
                   /`    ,.〜vへ   ⌒)
                 ,.-'    ( ソ     〉,, )  ヽ
                 r'     ノ,ニ、_ ヾ ソ _,ノヘ    )
               r'    ゝ 〉 `''’'`,i l '‐・'ゝ 〉ー⌒く     >>1、乙である!
             _i⌒" y (  (^ヽ     ' '  - :レ、 、) )_
          ,.-メ  _ r      ゞi  r<ニ三ミ:、  / ノ  ヽ  ヽ_
         ,.-(   (     ;  :ハ ヾ-=-.ソ /-'   ∠ 、  ヽ
        rf   ,.-{   ( _ :::i  ヽ  ~   / |::: _ノ   ) ’、
      ,.-ゝ  ゝ'   ,.- ' "   ,:|   `ニニ´ .: |'´ 、  ` ヽ、 ) )
      (   r   /   ..::::/   丶   ,:'  ヾ:、ヽ    ヽ  ミヽ、
     _(~  (   ,./    .::/     ヾ        ヾ;     ト、   く
    /     r '" |   : ::i"       ゙  '       ,!    | `ヾ、:::}
10それも名無しだ:2007/08/15(水) 00:27:36 ID:ejlgbK9z
>>1乙!ショーウタァーイム!
11それも名無しだ:2007/08/15(水) 04:20:52 ID:FEBuB4ZE
死ね
12それも名無しだ:2007/08/15(水) 16:35:21 ID:p00Ia4hi
>>1乙!
13それも名無しだ:2007/08/15(水) 19:11:03 ID:Lg75X4Eo
>>1乙!!
14 ◆7vhi1CrLM6 :2007/08/18(土) 02:05:51 ID:0X23fOLR
ユーゼス・ベガ・カミーユ・キョウスケ・バーニィ、予約します。
15それも名無しだ:2007/08/19(日) 09:50:03 ID:uXVj2c15
予約キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!!
16謀 ―tabakari― ◆7vhi1CrLM6 :2007/08/20(月) 23:02:20 ID:JmX5ox+n
 獣が低く唸るような空気の震える音を耳にして、ゆっくりと起き上がる。
 瞼が泥のように重い。だが、そのまま無視して寝続けるというわけにもいかない。
 袖をまくって時計の銀盤を確かめる。
 何の変哲もないただの安時計。しかし、軍人にとっての必需品であり、唯一ここに持ち込めた所持品だった。
 目を細めて眺めた針は、深夜0時をわずかに越えたところを指していた。
 ――少し遅れたか。
 立ち上がり、ジャンパーを羽織って、格納庫を出る。
 空気が冷たい。それは体の芯に染みこんで来て、寝起きの頭を起こすには都合が良かった。
 遠いところで火が灯っている。基地を囲むように広がっている森林が燃えているのだ。
 最初は西の方が燃えていたが、今は消えている。そのかわりに南北の森林が火事になっていた。
 おそらくはこの数時間をかけて火の手が回りこんできたのだろう。そして、やがては東の森に火が灯る。
 そういった明かりに晒された夜空は、やけに明るかった。
 そこに三つのシルエットが浮かんでいる。
 ローズセラヴィーの大きい影とメリクリウスの小さい影、それに航空機が一つ。
 アルトの姿が見えないのが気になったが、一先ずは格納庫に引き返して、ファルケンを起動させた。
 これでレーダーに反応があるはずだ。居所を示したつもりだった。



 格納庫の一角に間借りしている事務所のような建物に入った。奥にデスク。手前には小さなテーブルとその両側にソファ。
 右手前にユーゼス、その奥にキョウスケ。その向かいに自分。三人が次々と腰掛けていく。
 部屋の中は真っ暗で埃っぽい。電気が点かないのだ。
 スイッチをパチパチと切り替えていたベガが諦めて、隣に座った。
 『電力が通っていないようだ』とキョウスケが軽く説明を添える。
 そして、沈黙。空気が重い。押しつぶされるように頭が下がっていき、顔が俯く。
 誰も彼もが気づいている。頭数が二つ足りない。そのことが指し示す意味を――
 嫌な予感は基地を見たときからしていた。荒れ果てた状態、散乱する瓦礫の山、機体の破片。
 それでもメディウス・ロクスの残骸は見当たらなかった。だから大丈夫だと必死に振り払ってきた考え。
 どこで間違ったのだろう? ゼクスたちと二手に分かれ、マサキを探した――それが間違いだったのだろうか?

「では、話してもらおうか。ここで何があったのかをな」

 ユーゼスの声にハッとして顔を上げる。
 相変わらず感情の篭らない冷たい声。
 それは感情を押し殺しているからなのだろうか? それとも感情というものを持ち合わせていないのだろうか?
 どちらとも判別はつかなかった。

「いいだろう。基地に着いたところから話を始める」

 そして、話し始めた男。その男の声もまた感情の在り所の分かりにくい声だった。



「殺しただと!!」

 キョウスケの話が終盤に差し掛かり、ゼクス=マーキスとカズイ=バスカーク、二人の死に触れたとき、カミーユは立ち上がり叫んだ。
 顔面は蒼白。しかし、視線は強く、責め立てるように目の前の男を睨みつけている。
 視線を受けつつも、キョウスケは短く淡々と肯定の意を示した。

「そうだ」
「ゼクスさんとカズイをか!?」
「そうだ、俺が殺した」
「何故だ!!」

 キョウスケの胸倉に掴み、今にも噛み付かんばかりの勢いでカミーユは叫ぶ。
 その様子からは、ぶつけずにはいられない激情が渦巻いているのが見て取れる程である。

「基地を確保しなければならなかった。損傷の少ない状態でそれを実行するためには仕方がなかった。
 奴もそれを望んでいた」
17謀 ―tabakari― ◆7vhi1CrLM6 :2007/08/20(月) 23:03:54 ID:JmX5ox+n
「嘘だ!! そうやって汚い大人は自分の都合のいいように解釈しようとする。
 分からないのか? あんたにとっては仕方のないことでも、殺された側からしたらそれで終わりなんだぞ!!」
「言い訳をするつもりはない。俺を罵って気が済むのならそうしろ。だが――」

 カミーユの腕を振り払い。逆に下からキョウスケが睨み返す。声には険しさが込められていた。
 その威嚇と警戒の入り混じった態度は、狼が毛並みを逆立て低く唸っている様子に似ている。

「これだけは言っておく。奴は先を見極め、自らの命と基地を天秤にかけた上で、死を選んだ。
 お前の言うように死んだらそれで終わりだろうと、死を怖れる奴ではなかった」
「そうやってすぐに自分の行いを正当化しようとする。便利ですよね、死人は決して喋らないのですから」
「何を言おうと事実は変わらん」
「でもあなたはその事実を変えようともしなかった。違いますか?」
「好きに受け取れ」

 睨み合い。互いの視線が鋭くぶつかる。
 その様子からはカミーユのみならず、キョウスケからも苛立ちが見て取れた。

「やめなさいっ!!!」

 突然の怒声が割って入った。大人が子供叱るようなそんな大声だった。

「ここでいがみ合ったところで、死んだ人たちが生き返るわけでもない。何も変わらないわ。
 カミーユ、ここであなたたちがいがみ合うことをゼクス達が喜ぶと思う? あなたが行動を共にした彼はそういう人だった?」
「それは……」

 カミーユが言いよどみ、下を俯く。

「キョウスケ中尉、彼があなたを残したのはここで無駄に時間を潰すためではないでしょう」
「……その通りだ」

 一度鋭く睨み返した後、ふっと体の力を抜いて、キョウスケは返事を返した。

「ならば話を続けろ、キョウスケ=ナンブ」
「……いいだろう」
「カミーユも座りなさい」

 拗ねた様子を見せながらカミーユも再び席に着く。
 ――くだらんな。
 話を再開したキョウスケを脇目にユーゼスは思う、この一連の流れは実にくだらないと。
 しかしながら、キョウスケ=ナンブの観察という点においては大いに役に立った。
 最初に「俺が殺した」と言い放った淡々とした口調。その後のカミーユとのやり取りでみせた苛立った様子。
 表面上は冷静さを失わずに保っているように見えても、その実、心の中では自分の行いに納得し切れていない。
 だからこそ、カミーユの指摘に苛立ちを隠しきれなかったのだ、とユーゼスは判断する。
 つまりは――
 ――こいつも所詮、感情を制御しきれない人間か。
 とは言え、表面上冷静を装えるだけ、カミーユよりマシな類ではある。方向性は違えどベガに近いのかもしれない。
 キョウスケの話が終わる。思考を練りながらであっても、その話の内容は十分に頭に入っていた。
 重要なのは基地に動力が通っていないことと周辺に無数の機体が朽ち果てていることぐらいだ。
 それらを念頭に今度はユーゼスが口を開く。

「では次の動きだが、中尉はG-6の補給ポイントに向かってもらう。
 ベガは中尉の誘導と護衛。補給ポイントは把握しているな?」

 そこで一度言葉を区切り、テーブルに紙を広げて『首輪』という文字を綴った。
18謀 ―tabakari― ◆7vhi1CrLM6 :2007/08/20(月) 23:05:33 ID:JmX5ox+n
「補給後は北部にある二機のチェック。使えると思ったものは残骸でも構わん。持って来い。
 南部の四機は私が行う。カミーユ、VF-22を借りるぞ。
 カミーユはエネルギーをメリクリウスから基地に供給できるようにしておいてくれ。大規模なものは必要ない。
 基地の一部機能の電力を賄える。それくらいのものでいい。それくらい出来るな?」

 カミーユが頷くのを確認する。

「では一時間後に再集合だ。解散」

 立ち上がり、各自がばらばらに事務所から出て行く。そのとき、後ろから声をかけられた。

「何の用かな、中尉」
「ユーゼス、一つ聞かせろ。アルトはどうした?」

 仮面の奥底の目を細め、クッと喉元で笑いを噛み殺す。そして、あえて厭味に返事を返す。

「ああ、あれなら代わりを見つけたので棄ててきた。ゴミのように朽ち果てた屑鉄など、何の役にも立たないからな」

 一瞬、目の前の男を取巻く空気がざわめく。その反応を愉しみつつ、言葉を投げかける。

「どうかしたか?」
「いや……なんでもない」

 平静を装ってはいるが苦味を含んだ声。
 ――決まりだな。
 感情を内に込め、本心を語りたがらないタイプ。そう見て、ほぼ間違いはないだろう。
 手駒としてはカミーユよりいくらか使いやすい。

「では中尉、一時間後にな」

 そう言い残すと、ユーゼスは背中を向けて歩き出した。



 一時間後、再び顔を揃えた四者は同じ格納庫の隅の事務所で顔を会わせた。
 座る位置は前回と異なりユーゼスの正面にキョウスケ。その隣にベガ。そして、ベガ正面にカミーユとなっている。

「――の内、メディウスと虫型の機体は大破。原型を留めている二機も、一機はコックピットを潰され、もう一機は動力をやられている。
 生存者は全機体ともなしだ」

 ユーゼスが自身が見て来た内容を告げ、続けてカミーユがメリクリウスの動力で基地の一部を復旧したことを伝えた。
 そして、最後にキョウスケとベガが補給ポイントが破壊されていたことと北部の機体の状態を説明する。

「つまりは目立った収穫はなしか……。他に何か言っておくべきことは?」

 ゆっくりと満座を見渡す。反応は何もない。

「ならば私の話を聞いてもらおうか……」

 悠然とした態度で言い、テーブルの上に二つの物を投げ出した。
 それはガラスの表面をくるくると回転しながら滑り、中央でその動きを止めた。
 キョウスケ、カミーユ、ベガ、三者の視線がそこに注がれる。その様を満足気に眺め、指先で自らの首輪を指し示しながらユーゼスは口を開く。

「こいつとその残骸と思われるものだ」
「どこでこれを?」
「完全な形で残っているほうに関してはここまでの道中で手に入れた。これはベガとカミーユも知っている。
 安心しろ。人を殺して手に入れたものではない」
19謀 ―tabakari― ◆7vhi1CrLM6 :2007/08/20(月) 23:06:48 ID:JmX5ox+n
 一瞬、カミーユの表情が曇るのが見えた。だがそのことを気にも留めずにユーゼスは続ける。

「こっちの残骸は虫型の機体の残骸から回収してきた。中尉、君が仕留めたという機体だな。
 ここで一つ聞いておきたいことがある。中尉、他でもない君にだ」

 キョウスケが視線を上げる。視線が合う。真っ直ぐにこちらを見据えた目。良い目だ。
 視線をテーブルに落とす。つられてキョウスケの視線も下がるのが分かった。

「これと――」

 指先で山火事の中回収した首輪を指し示す。

「これと――」

 今しがた回収したばかりの残骸を指差す。

「――それ」

 指先をゆっくりと持ち上げていき、向かいに座るキョウスケの喉元に突きつけた。

「全て形状が異なる。これとその他が異なるのはまだ理解できる。
 だが、拾ってきた二つの形状が違う理由がいまいち分からない。何か思い当たる節はないか?」

 しばしの沈黙。三者の視線が痛いほどキョウスケに集中する。
 肌に浮いた汗が玉となって頬を伝わり、顎から滴り落ちる頃になったとき、キョウスケは重々しく、そして苦々しく口を開いた。

「俺は科学者ではない。専門的なことは何も分からん。が、こういう出来事なら以前にあった」

 そうして語り始めた彼の話は、シャトル事故から始まり、見せしめとなったエクセレンという女性の説明を経て、彼女がアインストに憑かれた事件へと向かう。
 そして、話は彼女を取り戻す為に異形のヴァイスリッターに付けられた赤い宝玉を砕いたことに触れた。同時に砕いた瞬間、ヴァイスの姿が元に戻ったことにも。

「つまりはその赤い宝玉が何らかの作用を施し、通常の機体を変異させていたということか?」
「細かい話は分からん。俺に言えるのはヴァイスの額の赤い玉を砕いたら元に戻ったということだけだ。ただ……」
「ただ?」
「ただ同じ部隊の奴が念のようなものがそこに集まっていると言っていた」
「受信機のようなものというわけか……可能性はあるな」

 そう可能性はある。この首輪にも赤い宝玉は埋め込まれている。
 しかしだ。残骸の方の宝玉こそ壊れているものの、この拾った首輪には宝玉は付いたままだ。
 つまりは砕かれていないにもかかわらず形状が異なっているということだ。この違いは何だ?
 ――悩んだところで始まらんか……。
 あくまで現状では可能性の一つが示されたというに過ぎない。キョウスケ=ナンブはアドバイザーとしての価値を十分に見せた。
 後は自分が調べ、判断をすれば良い。そのためには首輪のサンプルが足りない。一つしかないサンプルを砕くのは、リスクが大きすぎる。
 一つ大きな溜息。思考をまとめる。
 現状で優先すべき事項は二つ。手に入れた首輪の解析と新たなサンプルの入手。
 その為に必要なのは、基地の見積もりと必要な設備の復旧。それに疲弊したファルケンの補給といったところか。

「……ふむ。こうして考え込んでいても仕方があるまい。
 まずは動くことだ。中尉、G-8の補給ポイントに急行して補給を行ってくれ。護衛はカミーユ」
「ユーゼス!!」

 ハッと顔を上げたベガが制止をかけて来る。それを無視して言葉を続ける。

「私は基地内の設備を見繕う。ベガ、君は基地の警護だ」
「ユーゼス、何故カミーユを。私が変わります」

 しかし、ベガが食下がる。
 おそらくは、一時間前のキョウスケとカミーユの状態から気を使ってのことなのだろう。
 これはそういう女だ。
 だからこそ押さえとして必要なのだが、ここでの口出しは論外だ。
20謀 ―tabakari― ◆7vhi1CrLM6 :2007/08/20(月) 23:07:30 ID:JmX5ox+n
「ファルケンは足の早い機体だ。カミーユのVF-22以外では迅速性を損ない、返って中尉を危険に晒すことになる」
「でしたら、私がVF-22かファルケンで」
「可変機に最も慣れているのはカミーユだ。ファルケンも馬鹿げた設定のお陰で中尉以外の者では満足に扱うことはできん。
 それとも――」

 ここでユーゼスは矛先をベガからカミーユに変える。
 この場合、このままベガを諭し続けるよりは、カミーユのプライドを刺激するほうが効果的だった。
 だからこそ、皮肉を込めてユーゼスはカミーユに問いかける。

「君が保護者に守られていなければ何もできない、というのなら話は別だがね、カミーユ。
 なに、君もまだ両親が恋しい年頃だ。もしそうなら気兼ねなく言ってくれたまえ」
「結構ですよ。中尉の護衛くらい僕一人で十分です」
「ならば何も問題はない。本人が出来ると言っているのだ。違うか、ベガ」

 グッとベガが押し黙る。
 当然だ。キョウスケとカミーユ、二人の関係を危惧して言っているなどと、本人達を目の前にして言える女ではない。
 だから、これで十分だった。

「中尉、一つ聞かせていただこう。先の話の彼女に植え付けられたアインスト細胞とか言うものは、死体にもなんらかの影響を及ぼすものか?」
「いや……わからないが、エクセレンは死ぬ寸前に助けられた。だが、まだ死んではいなかったはずだが……どうした?」
「いや、なんでもない。では解散だ……そうそう、中尉。道中にこれも取ってきて貰おうか」

 そう言って、ユーゼスは自らの首輪を指し示し、笑う。

「できれば新鮮なやつが良い」
21謀 ―tabakari― ◆7vhi1CrLM6 :2007/08/20(月) 23:08:09 ID:JmX5ox+n
【ベガ 搭乗機体:月のローズセラヴィー(冥王計画ゼオライマー)
 パイロット状態:良好(ユーゼスを信頼)
 機体状態:良好
 現在位置:G-6基地
 第一行動方針:G-6基地の警護
 第二行動方針:首輪の解析
 第三行動方針:マサキの捜索
 第四行動方針:20m前後の機体の二人組みを警戒
 最終行動方針:仲間を集めてゲームから脱出
 備考:月の子は必要に迫られるまで使用しません
 備考:アインストに関する情報を手に入れました】


【カミーユ・ビダン 搭乗機体:VF-22S・SボーゲルU(マクロス7)
 パイロット状況:良好、マサキを心配
 機体状況:良好、反応弾残弾なし
 現在位置:G-6基地
 第一行動方針:キョウスケの護衛でG-8補給ポイントへ向かう
 第二行動方針:マサキの捜索
 第三行動方針:味方を集める
 第四行動方針:20m前後の機体の二人組みを警戒
 最終行動方針:ゲームからの脱出またはゲームの破壊
 備考:ベガに対してはある程度心を開きかけています】


【キョウスケ・ナンブ 搭乗機体:ビルトファルケン(L) (スーパーロボット大戦 OG2)
 パイロット状況:頭部に軽い裂傷、左肩に軽い打撲
 機体状況:胸部装甲に大きなヒビ、機体全体に無数の傷(戦闘に異常なし)
      背面ブースター軽微の損傷(戦闘に異常なし)、背面右上右下の翼に大きな歪み
      EN60%、スプリットミサイル残弾ゼロ、オクスタンライフル残弾B2発W1発
 現在位置:G-6基地
 第一行動方針:G-8で補給を行う
 第二行動方針:首輪の入手
 第三行動方針:ネゴシエイターと接触する
 第四行動方針:信頼できる仲間を集める
 最終行動方針:主催者打倒、エクセレンを迎えに行く(自殺?)
 備考:アルトがリーゼじゃないことに少しの違和感を感じています】
22謀 ―tabakari― ◆7vhi1CrLM6 :2007/08/20(月) 23:09:08 ID:JmX5ox+n
 暗い階段を仮面の男が一人下っていく。その隠された表情は笑っていた。
 最後に彼がキョウスケ=ナンブにかけた言葉。そこには一つの含みを持たせていた。
 仲違いを見せたカミーユを同行させたのもその為だ。
 持たせた含みの意味は――カミーユを殺せ。
 だが、これは別に成っても成らなくても構わない。
 成ればサンプルが一つ手に入るし、成らなかったところで現状が変わるわけではない。
 焦点はこの僅かな含みにキョウスケ=ナンブが気づくのかどうか。
 そして、気づいたならどう動くか。従うのか、気づかぬ振りを振舞うのか、それとも逃がすのか。
 ――全ては余興だ。
 クッと篭った笑い声が響く。
 意外にも、この殺し合いを楽しみ始めている自分にユーゼスは気づいた。
 他者を盤上の駒のように操る。その行為は理屈ぬきに面白い。
 唯一つ気に入らないのは、自身も盤上の駒の一つにされているということだけ。
 ――まぁ、いい。
 階段を下りきったところで、左に曲がり通路を進んだ。
 格納庫の端末から引き出した見取り図によればこの先にあるのは基地の発電施設。
 その扉を開けつつユーゼスは呟く。

「まぁ、いい。私も新たな手駒を手にした。
 私が駒ではなく指し手だと知ることになるのもそう遠くないだろう」

 一度解散して再び集合するまでの一時間の間に、ユーゼスが新たに手に入れた手札は三つ。
 一つは既にキョウスケらに見せた首輪の残骸。残骸とはいえ、六割がたが残っているそれは内部構造把握に大いに役立つ。
 そして、二つ目は――
 眼前の発電施設を抱き込むかのように横たわる一体の大型機を見上げる。
 今は休止状態にあるメディウス・ロクス――その特徴をユーゼスは把握するのは簡単だった。操縦席に座る。ただそれだけの行為で情報が伝わってくるのだから。
 そしてそれはメディウス・ロクスに限ったことではない。ブラックゲッターからも情報を既に引き出している。
 進化を促すゲッター線、そして学習した情報を元に進化するAI1。
 ――このAI1に私が分析したあの異能の化け物の情報を流し、取り込めば、その先は。

「ククク……ハハハハハハハハハハ!!!!!」

 込み上げて来る愉悦を押さえきれずに笑う。ただひたすらに大声で。
 後ろで何かが動いたような音がした。

「ここは……?」
「クク……ようやくのお目覚めかな」

 そこには手にした三枚目のカード――バーナード=ワイズマンの姿があった。
 支給品の入っていた袋の紐で、後ろ手に柱に縛り付けられたこの青年の価値はまだわからない。
 役に立つようであれば使えば良い。何の役にも立たない屑カードなら、首輪に変わる。ただそれだけの存在だった。



【ユーゼス・ゴッツォ 搭乗機体:メリクリウス(新機動戦記ガンダムW)
 パイロット状態:良好
 機体状態:良好
 現在位置:G-6基地地下発電所
 第一行動方針:バーナード=ワイズマンの見極め
 第二行動方針:AI1の育成
 第三行動方針:首輪の解析・解除
 第四行動方針:サイバスターとの接触
 第五行動方針:20m前後の機体の二人組みを警戒
 最終行動方針:主催者の超技術を奪い、神への階段を上る
 備考1:アインストに関する情報を手に入れました
 備考2:首輪を手に入れました(DG細胞感染済み)
 備考3:首輪の残骸を手に入れました(六割程度)】

【二日目1:20】
23 ◆7vhi1CrLM6 :2007/08/20(月) 23:12:47 ID:JmX5ox+n
投下終了かと思ったら書き忘れ。

【バーナード・ワイズマン(機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争)
 搭乗機体:なし
 パイロット状況:頭部に軽い傷(応急処置済み)、後ろ手で柱に縛りつけられている 
 現在位置:G-6基地地下発電所
 機体状態:
 第一行動方針:???
 最終行動方針:優勝する】
24 ◆7vhi1CrLM6 :2007/08/20(月) 23:18:07 ID:JmX5ox+n
今度こそ投下終了。
繋ぎの話ですが、思い切ってベガさんの白髪が増えそうなくらいガタガタにしてみました。
あと首輪解析をちょっと進めた感じで。
一応キョウスケはIMPACTのラインを入手してないルートから来たつもりで書きました。
ただ私の知識はC2の方ですが……。
あとα未プレイなのでユーゼスに違和感がないか心配です。
矛盾点とかありましたらご指摘のほうよろしくお願いします。
25それも名無しだ:2007/08/21(火) 19:08:03 ID:fUGcLwW3
GJ!カミーユがいい味出てるなぁ
そしてユーゼス……あんたまたやらかすつもりかw
26それも名無しだ:2007/08/21(火) 21:09:08 ID:w9wqucGi
>>24
GJ!
ユーゼスやりたい放題だな。
さすがラスボス。
しかしいつまでもこの調子だとカミーユかキョウスケあたりに修正くらいそうではあるwww
27それも名無しだ:2007/08/21(火) 23:51:32 ID:OdB7ZZm0
ユーゼスが本性出してきたな。

しかし、カミーユ……原作の味が良く出てるけど
やっぱ他人に噛み付きすぎ。
28それも名無しだ:2007/08/23(木) 20:33:24 ID:qL6VV++2
今更だけど投下GJ!
しばらくPC触ってない間に今後が気になる話が……
ユーゼスは二次の方でもかなり目立ってるなw
個人的にはカミーユの動向が気になる。彼の気性はなかなか面白いし。
29それも名無しだ:2007/08/23(木) 22:31:06 ID:UzhoPmNN
カミーユとキョウスケが向かう先で統夜が寝てるな
これは一波乱ありそう?
30それも名無しだ:2007/08/24(金) 01:32:34 ID:v4L2yind
キョウスケとカミーユが相手じゃ戦闘なったらご永眠コースだなwww
31それも名無しだ:2007/08/24(金) 02:53:47 ID:Oc5d0AdH
ファルケンのハンマー壊れたし、残弾が少ないから補給前の接触なら…厳しいか
32それも名無しだ:2007/08/24(金) 02:57:43 ID:++yw5itu
ぶっちゃけ必ずしもキョウスケ達と統夜が出会うと決まったわけでもないしな
アキトとかリョウあたりが乱入ってのも十分あり得るし
これ以上は展開予想になっちゃうかな?
33それも名無しだ:2007/08/24(金) 02:59:16 ID:Oc5d0AdH
カテジナさんもうろついてるしね
34それも名無しだ:2007/08/24(金) 22:29:15 ID:H9EzVYdN
北西市街地周辺:アムロ・ブンドル・御大将・アイビス・クルツ・ガロード
南部市街地:キラ・ソシエ・テニア・ムサシ・甲児・比瑪・シャギア・オルバ・ロジャー・ガウルン
基地周辺:ユーゼス・ベガ・カミーユ・キョウスケ・バーニィ・(統夜?)
その他:竜馬・クインシィ・ジョナサン・ラキ・カテジナ・アキト

今全体を大別すると三ルート+αでこんな感じだっけ?
35それも名無しだ:2007/08/25(土) 06:53:43 ID:YmOqmmSN
だいたいそんな感じだね。
キャラが固まってるけど各所に混乱の種があるから大集団結成とはいかないだろうなぁ。
一次の方も残り30人前後の時点で牙組、DG組、基地組に分かれてたのを思い出した。
36それも名無しだ:2007/08/25(土) 07:40:54 ID:1VG4Qtjp
二次の一番の爆弾持ちは基地組みだな。
AI1に基地内と移動先にマーダー1人ずつ、そして内部崩壊しそうな信頼関係。
ベガさんと実益の面からだけでもっているような気がする。
安定感がなさ過ぎるwww
でも首輪解析に一番近いのもここなんだよな。
後の二組は対主催同士の潰し合いに戦闘狂のマーダーが暴れてる点では似てるね。
37それも名無しだ:2007/08/29(水) 13:37:38 ID:MBw2ZWP6
hosyu
38それも名無しだ:2007/08/30(木) 23:06:51 ID:2wRW29W6
もしかしてルート纏まってきて書き手さんも書きにくいのかな?
南の市街地は十人とかの大人数だし。
得意不得意とかもあるんだろうけど……
各書き手さんのカバー範囲とか知りたい今日この頃w
39それも名無しだ:2007/08/31(金) 18:48:59 ID:+1sy2mKT
むしろ生存書き手の人数が知りたい今日この頃。
今はROMでもいいので潜在的に何人くらいの書き手が残っててくれているのかが知りたいな。
とりあえず自分はまだ書き続けていこうと思っている書き手の一人。

ついでに一応生存者の持ち駒晒すとこんな感じ。
○:難しい局面や知らない機体じゃなかったら一応書けると思う。
ラキ・統夜・御大将・クルツ・アイビス・テニア・ロジャー・ガウルン・キョウスケ・バーニィ
△:深いところまで踏み込まなければ違和感がない程度には……。
竜馬・アムロ・ムサシ・ソシエ・シャギア・オルバ・ユーゼス・ベガ・アキト
×:無理。苦手っす。
カテジナ・クインシィ・ジョナサン・ガロード・ブンドル・キラ・比瑪・甲児・バサラ・カミーユ
40 ◆C0vluWr0so :2007/08/31(金) 19:09:25 ID:WI/qjiP0
まぁ>>38は俺なんですけどね……
受験生ってこともあって、かなり投下速度は落ちますけど、書きたいネタはたくさんあるんでちょこちょこ書くと思います。

持ち駒晒し……スパロボ知識でならだいたい書けそうな気はします。
生存キャラが出てるスパロボは一通りやってるんで。
原作まで見てるのは殆ど無いんで深く突っ込むのは難しいですけど。つーか過去作もかなり俺キャラになってますけど。
むしろ辛いのは機体か?
戦闘アニメは一回見たらお気に入り以外OFFってのがデフォなんで戦闘描写は捏造しまくり。
設定支援の有り難みを感じる今日この頃です。
41 ◆C0vluWr0so :2007/08/31(金) 21:03:05 ID:WI/qjiP0
ちなみに今一本書いてる途中です。
一週間くらい書いて半分も進んでないんでまだまだ予約出来る状態ではありませんが……

ところで>>39氏が特定出来ない……
無理といいながら×の誰かを書いたことあったりしますよね?
42それも名無しだ:2007/08/31(金) 21:28:27 ID:+1sy2mKT
>>41
うん。×でも話に必要だったらおっかなびっくり書いてる。
逆に○△でも書いてないのがいた気がする。
しかし、受験生だったのか……無理をしない範囲で頑張って!

ついでにスパロボプレイ暦も晒すと
第二次G・ニルファ・MX・C・C2三部作・C3・A・R・D・J・W・OG・OG2・OGs
据え置きをほとんどやってない変わり者です。
43それも名無しだ:2007/09/02(日) 09:39:54 ID:Nu29Y916
生存書き手2。
その内片方は受験生。
あんまり考えたくないけど、もしかして詰み?
44それも名無しだ:2007/09/02(日) 18:28:58 ID:jtrDINht
最近書いてないけど、一応三人目
書きたい話はあるけど時間が……
関係無いけどゼフォンの乗り降りがイマイチ分からない
綾人君なんかいつもワープしてる気がする
45それも名無しだ:2007/09/02(日) 20:21:00 ID:ccrxCqjB
自分は九月中に一本は書くつもり。
ゼフォンの乗り降りは自分も良く分からない劇場版ラーゼフォンしか見てないけど。
46それも名無しだ:2007/09/05(水) 19:52:13 ID:f5McXfsW
おお、まとめに新作FLASHが載せられてるじゃないか!
前作にまして更に格好良いなぁ……仮まとめさん超GJ!
47それも名無しだ:2007/09/08(土) 00:50:11 ID:g17lBYGm
保守age
48 ◆C0vluWr0so :2007/09/09(日) 20:47:05 ID:9qbVyhG5
キラ、武蔵、テニア、ソシエ、ロジャー、ガウルン、シャギア、オルバ、甲児、比瑪、バサラ予約します。
もしかしたら期限に間に合わないかもしれませんが、その時は延長してもよろしいでしょうか?
期限決めないと執筆速度上がらないってのがなぁ……w
49それも名無しだ:2007/09/09(日) 21:11:53 ID:vsL/2Yhb
予約キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!
間に合わなかったときの延長は全然大丈夫だと思います。
むしろ難しいパートだけに書き手さんの納得のいく作品に仕上げていただくほうが大事かと。
50それも名無しだ:2007/09/09(日) 21:40:55 ID:0T+T27sL
あそこは本当に場が混乱していて誰が逝くかどうなるか全く予想が付かないw
51それも名無しだ:2007/09/10(月) 00:57:43 ID:fJQgnB9l
さて十一人中何人死ぬことになるのか。
正直、ネゴシエイターがあの混乱を回復できるとは微塵も思ってない自分がいる。
52それも名無しだ:2007/09/10(月) 02:24:13 ID:YZnHNhE6
この二次スパスレのロジャーならなんとかしてくれそうと
淡い期待を抱くのも私だ。



ダメだろうけど
53それも名無しだ:2007/09/11(火) 00:01:54 ID:I9s+03Hq
そろそろネゴシエイターが切れて話聞かない奴に鉄拳かます予感
54それも名無しだ:2007/09/11(火) 10:42:32 ID:WFworSWx
アルフィミィにははぐらかされ、リリーナは聞き分けなし。
ムサシは対話しかけたけど、ガウルンの乱入でうやむやに。
テニアとシンヤにいたってはまったく話を聞く気なし。
たしかにロジャーが切れてたとしても無理はないな。
55それも名無しだ:2007/09/11(火) 11:07:05 ID:8Y+xwEF2
お前らロジャー好きだな。俺も大好きだ
56それも名無しだ:2007/09/11(火) 21:22:35 ID:1P2Ldz5V
ロジャー・・・

生きて、生きて帰ってきてね・・・

死ぬにしてもカッコヨクね・・・
57それも名無しだ:2007/09/11(火) 21:54:42 ID:8xy70x86
と、ドロシーが申しております
まず一筋の光があった。
一瞬の間にそれは広がり、極太の光砲となる。
それはJアークに備え付けられた主砲、反中間子砲の光だ。
しかし対象の装甲を原子レベルで分解するはずの三重連太陽系の超科学は、勇気の花言葉を冠する機動戦艦の重力壁に止められる。
白と赤とに彩られた戦艦、ナデシコ。幾多の戦場を越え、人と人との争いを止めた艦。
ナデシコは、その名に恥じぬ勇猛の中に反撃の意志を示し、進む。
数十条に及ぶミサイルの雨がナデシコから放たれる。
一つ一つが並の機動兵器を破壊するのに十分。爆炎の煙をたなびかせJアークへと直進する。
対し、Jアークは動かない。
弾頭が迫る。破壊の爆発を秘めた鉄塊だ。
しかしJアークは動かない。
ミサイルの軌道は幾重にも交差し、接近する。その軌道の数は無限にも思える。
だが、決して無限ではない。それは有限だ。
そして有限であるということが意味するのは――
「トモロ、軌道チェックは終了! 軌道予測計算の時間は――」
『一瞬だ』
その予測も可能だということだ。

Jアークのモニターに、ミサイルの軌道を表す曲線が映し出される。
キラとトモロは回避行動も反撃もせず、ミサイルの軌道把握と軌道予測に全力を注いでいたのだ。
即座に演算結果を武装に反映させていく。

「キラ、急いで! 時間がないわ!」
「分かってるソシエ! ……対空レーザー砲、発射!」

Jアークから放たれた光線は数十条。その一つ一つはミサイルに対応していた。
光が走る。破砕の光だ。
ミサイルが砕けていく。穿つ光は正確に弾頭の真心を貫いていく。
光が鉄を砕ききる。
場は静寂に帰った。

「……ソシエ、ムサシたちと通信は?」
「駄目。ムサシだけじゃない、テニアも、マサキも……」
「なら……」

再び戦場に音が響く。
『キラ、残存火力が40%を切った。長期戦になれば押し切られるぞ』
トモロの声と爆縮の音が同時に鳴っていく。
ナデシコから放たれたのは触れるものを全てを消し去る重力の波、グラビティブラスト。
だが、ビルの街を呑み込み、それでも衰えることなく迸る破壊の閃流に対抗できる武装が、Jアークには存在する。

「僕は三人が帰ってくるまで……この艦を守ってみせる!」

Jアークの艦首に存在する錨。ジュエルジェネレイターから抽出されたエネルギーがそこに注がれる。
そして姿を変えてゆく。不死の象徴――火の鳥、フェニックスへと。
JクォースはJアークに備えられた武装の中でも一際強力なもの。
破壊力、貫通力、射程。その全てに優れ、身に纏う炎はバリアにも攻撃にも利用可能である。
だが今は、変幻自在の軌道は必要としない。ただ一直線に突き進むのみだ。
火の鳥は往き、重力の波へと突撃した。
翼を呑み込む荒波を、しかし天空の風の如く捉え、Jクォースは進む。
炎は重力に掻き消される。だが同時に重力も相殺されていく。
不死鳥が波を越えるのと波がJアークを呑むのには、一瞬の乖離も無かった。
Jアーク艦内に衝撃が走る。

「きゃあああああああ!」

Jクォースにより相殺されたとはいえ、グラビティブラストの破壊力は並々でない。
たとえJアークであっても、無傷ではすまない。しかし、大破もしない。
そしてモニターには、Jクォースの攻撃を受けているナデシコの姿が映っている。
「トモロ、ジェネレイティングアーマーを全開! ここを耐えれば……いけるはずだ!」
『了解だ。一時的に艦の全エネルギーをジェネレイティングアーマーに回す』

Jアークの装甲が重力波によって削られていく。だがキラは後退しない。
なぜなら――
仲間のために自分を懸ける、それがキラの勇気だからだ。

 ◆

月が照らす街並みは、既に残骸と化している。
地上に這い出たテニアは、目前の光景に唖然としていた。
無理もないだろう。ほんの数十分前までは多少の損傷はあれど街の姿を保っていた。
だが今現在そこに在るのは、高くそびえるビルでもなく、雑多な商店街でもなく、閑静な住宅街でもなく、瓦礫のみなのだから。
彼女は崩壊の直前、いやその最中まで戦闘をしていた赤と黒の機体を探す。
しかしどこにも姿は見えない。おそらくはこの瓦礫の底に埋まっているのだろう。
代わりに目に入ったのは、混乱のきっかけとなった黒いガンダムと、見知らぬ二つの機体の戦闘だった。
三機と自機との距離は数百メートル、といったところだろうか。おそらく三機とも、まだこちらに気づいていない。
不意を打つには絶好の機会だ。だが――

(それじゃ、ダメだ)

更に遠方、Jアークが戦闘を行っている。相手はこれまた見知らぬ、だが巨大な戦艦だった。
そして遠目に見る限り、Jアークは決して優勢ではない。
左舷が焦げ、各所にも少なからず損傷が見える。
ここから劣勢をはねのけ、自分とJアークがあの戦艦に勝ったとしても、確実に今後の戦闘には支障がでるはずだ。

(考えるんだ。勝つためには……生き残るためには何をすればいいのか)

いつの間にか、ダイはその身を無惨に晒している。
あれだけの巨体が簡単に墜ちる。ここは、そんな戦場なんだ。
気を抜けば、何時死ぬか分からない。
でも、その混乱を利用すると決めたのは自分だ。
けれど、アタシは生き残るための良策を何も思いつけない。
あるのは奇策。しかもとても脆い、危険な策だ。

(それでも……やるしか、ないよね)

絶対に、生き残る――そう決めた少女は、歩を一つ進める。
ごくり、と唾を飲み込んだら、鉄の匂いに自分の口の中が切れていたのに気づいた。
血の臭いに記憶を揺さぶられ、カティアの最期が脳裏に浮かんでくる。
頭の潰れた、トマトみたいな姿のカティア。
アタシは厭。あんな姿になるなんて。

「……やる。やってやる。アタシは、生き残るんだ」

はっきりと口に出すことで、思いは強くなる。
メルアも死んだ。カティアも死んだ。フューリーも死んだ。
でもアタシは死なない。絶対に、だ。
鉄の匂いは消えない。血臭が鼻まで抜けて、気分が悪くなってくる。

「生き残るんだ……生き残るんだ……生き残るんだ……!」

言葉の力は凄いな、とテニアは思った。
思いをはっきりとした形にして、自分にも、他の誰かにも伝えることが出来る。
会えたら伝えよう。統夜に。死んでくれって。

通信機のパネルを弄る。
言葉の力は凄いな、とテニアは思う。
「……ムサシ、大丈夫!? アタシだよ、テニアだよ!」
思ってもいないことでも、伝えられるから。
 ◆

背中に響く痛みが、武蔵を微睡みから目覚めさせる。
鈍い痛みの原因は、ダイによる無差別攻撃だ。ガンダムは巨体の起こした地震に呑まれ、武蔵ごと瓦礫の下で倒れていた。
目を開けた武蔵の視界に入ったのは瓦礫だけを映すモニター。未だ醒めない頭をぶんぶんと振り、無理矢理覚醒させる。
そして自分の状況を把握するまでにきっかり十秒。

「そうだ、おいらは……!」

ガンダムのマニュピレータを稼働させ、機体を覆う瓦礫を払っていく。
サブカメラ上の岩が除けられた時、モニターに映ったのは無惨の二文字で表現される光景だった。
ガンダムが落ちたのは地下道か何かだったのだろうか。既に地盤は広域に渡って沈下しており、元々の地形を推測することさえ難しい。
基礎となる地盤を失った建築物。形を留めているものは皆無だった。全ては石とアスファルトの切片と化している。
バーニアを噴かし、ガンダムは地上へと飛ぶ。
地上に見える光景も地下から見たそれと大差なく、街の被害は甚大だ。

「……! ダイはどこだ!?」

こんなことが出来るのは、無敵戦艦ダイの巨体しかない。
そう見当をつけた武蔵は無敵戦艦ダイの姿を目で追った。
だが、武蔵の目に入ったのは、廃墟と化した街と同様に無惨な姿を晒しているダイの残骸だった。
頭も足も腹も、欠損が酷い。あれではまともに動かないだろうと武蔵は思い、ダイを討つことができた、という事実に安堵の息を吐く。
だが、その安堵は長く続かない。キラたちと通信を取ろうと振り返った武蔵の目に映ったのは、攻撃を仕掛けてきた黒いガンダムと見知らぬ二機の戦闘。
遠くにはJアークと交戦している戦艦の姿も確認できる。
――戦いは、未だ終わっていない。
そのことに気づいた武蔵は、通信機に手を伸ばす。

「キラ! こちら武蔵だ! そっちの状況はどうなってるんだ?」
『……武蔵さんですか!? 無事だったんですね!』
通信機を通して聞こえてくるキラの声に余裕は無い。
そこからJアークの戦況を推し量った武蔵は、
「ダイはもう倒した! おいら達もやられる前に逃げるぞ!
 テニアとマサキはおいらが捜す。キラたちはそいつをなんとかしてくれ!」
『了解です。武蔵さんが二人と合流次第、僕たちもそちらへ向かいます!』
『キラ、敵の攻撃の第二波が来たわ!』
『武蔵さん。――必ず、生きて帰りましょう』

通信の最後、ソシエの叫びにも似た声が聞こえた。
やはりキラたちの戦況は思わしくないようだ。
両の手のひらで頬を打ち、気合いを入れ直す。
――急げ、時間がないんだ!
すぐにでも二人と合流しなければいけない。
まずはマサキとの通信を試みる。だが――

「繋がらねぇ……! 出てくれよマサキ……!」

何度も何度もコールを続ける。しかしマサキの乗るアルトアイゼンからの応答はない。
マサキもまた、この地震に巻き込まれ、瓦礫の下敷きとなっているのだろうか?
アルトアイゼンの状態はお世辞にも万全とは言い難い状態だった。脱出も困難な状況にあるのかもしれない。
そう思った武蔵に、別の機体から通信が入る。

『……ムサシ、大丈夫!? アタシだよ、テニアだよ!』

それはもう一人の仲間、テニアからの通信だった。
その声が聞けたことに、単純に安心を覚える。
「テニア、無事なのか?」
『アタシは大丈夫。それより、ダイは……』
「大丈夫だ。ダイはもう動きはしないさ。……それよりマサキはどうなってるか分からないか?」
『ゴメン、アタシにも分かんない。でも、きっとこの近くにいるはずだよ!
 あの三機をどうにかしてでも助けないと……!』
「……ああ、そうだな。みんなで……生きて帰るんだ!
 テニア、まずはおいらがあいつらの戦闘に乱入する。テニアは後から援護に入ってくれ。
 上手くいけばそれで逃げてくれるだろうし、悪くても三つ巴……分は悪いかもしれねぇけど、やるぞ!」

テニアからの了解の声を聞き、最後にもう一度だけマサキに通信を入れる。
やはり、応答は無かった。レーダーにも反応は無いままだ。
操縦桿を握る手に力が入る。正直に言って……怖い。
ここから見える戦闘でも分かる。あの三機の戦闘は、かなり高レベルな攻防だ。
パイロットの技量だけの問題ではなく、単純な機体スペックでもかなり劣っているだろう。
それに加え、ガンダムはさっきの地盤崩壊の際に少なからずダメージを受けている。
このままではあの三機とまともに渡り合うのは難しい。

「だけど、それでもキラは言った。みんなで生きて帰ろうってな……」

――なら、ここでおいらが踏ん張らなくてどうするんだ!
自身に活を入れ、深く息を吐く。
一瞬後、ガンダムは一気にバーニアをフル稼働。駆けていく。
手に持つのは鉄球。ビームやレーザーなどの科学の結晶とはかけ離れた、酷く原始的な鉄の塊だ。
だが、
――性に合ってるんだ、こういうのの方がな!
目指すのは黒と赤のガンダム。鎖を振り上げ、振り下ろす。
突然の右方向からの打撃に、咄嗟に相手は右足で地を蹴り、攻撃の逆――左方向へと飛ぶ。
攻撃と移動の力のベクトルは同じだ。衝撃は受け流される。
だが攻撃が外れたことに気を落としている暇はない。
ガンダムの姿勢を立て直し、後方の二機の攻撃に備える。
敵の敵は、必ずしも味方ではない。今確実に味方だと言えるのはJアーク、ベルゲルミル、アルトアイゼンの三機だけ。
それ以外の相手に対しては、一瞬の油断も許されないのだ。
汗と震えが身体を襲う。それに打ち勝つために、武蔵は雄叫びを上げる。
戦いは、まだ始まったばかりだ。

 ◆

黒が跳ぶ。しかし真黒ではない黒だ。血にも似た赤が、黒に彩りを添えている。
跳んだ先には白い機動兵器、ヴァイクランがある。
だが猪突はしない。まずは牽制のダークネスショットを放ち、相手の体勢を崩す。
二発の光球が、同時にヴァイクランに向かった。更にタイミングをずらし一発。
もし相手が先に撃った二発を回避しようと、後発のダークネスショットが息つく暇を与えない。そのはずだった。
しかし、ヴァイクランは悠然と宙に浮かび、回避の素振りも見せない。
その余裕の理由は、ダークネスショットが炸裂する寸前に分かった。

「バリアだと? ラムダ・ドライバ……とは少し違うようだけどな」

白の機体を包むように現れた壁。それがダークネスショットを掻き消した。
ガウルンの知る、物理法則を超えた力――ラムダ・ドライバ。
精神の力をエネルギーに、というコンセプトはこのマスターガンダムに通じるところがあるかもしれない。
だが、マスターガンダムに備えられたシステムがあくまで機体のポテンシャルを高める、いわば補助にすぎないのに対し、ラムダ・ドライバのそれは、システムそのものが力を生む。
産み出された力を弾丸に纏わせれば、その破壊力は倍増し、防御のイメージを盾として展開すれば、理論上は核さえ防げるという代物だ。
相手の機体が展開した力は、ラムダ・ドライバのバリアに相似している。
展開の形・規模など、細部に異なる部分はあるが、基本の部分はそう変わらない可能性も高い。
つまり、あのバリアも核クラスの攻撃――ともすればそれ以上の破壊さえも耐えるかもしれない、ということだ。
「ククク……面白くなってきやがったぜ!」

ガウルンは、愉快に、まるでお気に入りの玩具で遊ぶ子供のように笑っている。
……しみったれた攻撃が届かねぇってんなら――直接ぶん殴ってやるさ!
未だ跳躍の途中だったマスターガンダムは、強引に軌道を変え、地上に降りる。
着地の衝撃で道路の舗装が砕け、宙に舞う。
踊る破片の一つを掴み、投擲。
投げられた石片は何の変哲もないただの石だ。
だが、だからこそ意味がある。力が無いということが意味を生む。
この程度の攻撃、無駄なエネルギーを消費するまでもない、とヴァイクランは石を造作もなく避ける。
しかし、その回避という行動がタイムロスという名の致命を導く。
機体を動かし、目を離したのは一瞬。
もしヴァイクランが念動フィールドを展開し、マスターガンダムと相対したままなら生まれなかっただろう一瞬の隙。
その一瞬の間に、マスターガンダムはヴァイクランのメインカメラの視界から消えた。
相手の知覚の外から放たれたダークネスショットは、今度こそヴァイクランの装甲に炸裂する。
敵機がよろめいたことを確認。ガウルンは追撃する。
両足に力を込め、同時に地を踏み抜く。二つの脚から発生する二つの力は、両足を同時に踏み抜くことで一つの大きな力になる。
加速する。
二機の距離は縮まっていく。
ヴァイクランが、再動し、ガウルンを捉え、反撃か回避か防御かの選択という三つの工程を必要とするのに対し。

「……遅いねぇ。このまま突っ込ませてもらうぜ」

マスターガンダムは、接近し、攻撃する、という二つの工程でその意図を果たす。
覆せない一工程の差は、絶対的だ。
――あくまで、この二機に限定すれば、の話だが。
月影に照らされ走る黒のガンダム。闇の中、保護色になっているその黒を月は煌々と照らしている。
敵機までの距離は残すところ100メートル強。その程度、秒の単位でこと足りる。
そこまで進んだとき、マスターガンダムの姿が闇に紛れた。
ガウルンが何かをしたわけではない。
ガウルンの上空に、それは現れたのだ。そして、ガウルンを照らす月の光を遮ったのだ。
直後、市街地に熱が走る。攻撃の意味を持った熱だ。
しかし、灼かれるのはマスターガンダムだけ。同様に攻撃範囲に入っているヴァイクランには何の影響も無い。
マスターガンダムの上空に浮かぶ赤の異形はディバリウム。
対象を識別し、かつ広範囲の攻撃が可能なディバリウムにとっては必要な工程は一つ。
ただ攻撃を放つ、それだけだ。
同士討ちの危険性が無い攻撃。そしてそれが持つ充分な攻撃範囲は、多少のずれを無視しマスターガンダムを灼いてくれる。
ディバリウムの攻撃は、マスターガンダムとヴァイクランの間に存在した絶対的な一工程の差を埋める。
マスターガンダムが減速した。即座に再加速を試みる。が、生まれたタイムロスは一瞬だが確実。
ガウルンがヴァイクランに到達する前に、ガン・スレイブがマスターガンダムを狙っていた。
ガン・スレイブの数は四。
同時に攻撃してきた最初の二基は問題ない。左右の高速フェイントがガン・スレイブを惑わし、最高速度までの加速が惑う二基を一気に抜き去る。
次の一つは装甲を掠めた。左肩が持っていかれる。しかし腕は健在。これも十分許容範囲だ。
三基目を抜いたとき、ようやくヴァイクランが手に届く距離に来る。
狙うのは胸。ビームナイフの一突きで、相手の機能を停止させるのが目的だ。
ヴァイクランが念動フィールドを展開するが、この距離なら問題はない。
バリアを突き破り、内側へ。右腕を後ろに引き、右手に握られたビームナイフを起動させる。
光の刃が展開するのと同時に、まっすぐ相手の胸へ向かって突きの一閃。
刃の切っ先が装甲に触る。更に奥まで押し込もうとするが、

「チッ! 素人相手じゃあるまいし、まっすぐ胸ってのが甘かったか」

マスターガンダムの右腕をヴァイクランの左腕が掴み、それ以上の刃の進行を止めている。
次にガウルンが感じたのは殺気。

……上かッ!

ガン・スレイブ最後の一つが直上からガウルンを狙っている。
直撃。頭部が大きく歪む。
ヴァイクランはマスターガンダムを投げつけ、地面へと叩きつけた。
「……ッ!」

たまらねぇ、とガウルンは思う。
相手は強い。単純なタイマンなら、そうそう引けを取るつもりはない。
マスターガンダムと自分との相性は悪くなく、接近戦に持ち込めばたいていの相手には負けない自信もある。
だが、相手は二機だ。それも、かなりのコンビネーションを見せてくれる。
だから、

「……たまらねぇ。このまま――美味しく頂きたいねぇ」

ゆらり、とマスターガンダムは立ち上がった。
血がだんだんと熱を帯びてくるのが分かる。そのくせ、頭の中はやけにクリアーだ。
……ああ、アイツは――アキトはどうしたかな?
アイツの矛盾原因を踏み潰して……それからどうなったのかよく分からない。
何か叫んでいるようだった。それから、消えた。
一瞬で消えちまったんだ。ククク……面白いじゃねぇか。
全くもって楽しすぎる。ここにいる奴らはよ!
なーに、アキトだって死んじゃいないさ。ここで死ぬような奴じゃない。ここで死ぬような面構えもしちゃいねぇ。
――だから今は、この時間を精一杯楽しもうぜ、ガウルンよぉ!

その時、ガウルンは視界の端で何かが動くのを見た。
意識をそこに向けたとき、飛んできたのは鉄球。
完全な回避は間に合わないと判断する。出来るのは逆方向に跳び、衝撃を受け流すことだ。
右足に力を込め、左方向へ跳躍。鉄球は胴に当たるが、ダメージは殆ど無い。
攻撃してきたのは誰だ? 視線を向ける。そこにいたのは白い機体。
思わぬゲストの乱入に、ガウルンは舌なめずりを我慢できない。
……あのアンテナ、カメラアイ……アイツも、『ガンダム』なのかい? 楽しいねぇ、実に楽しい。
そんなガウルンに更に通信が入る。

『ねぇ、アンタ……勝ち残りを狙ってるの?』

モニターに映っているのは赤毛の少女だった。
まだ幼さが残る顔立ちの中に、ガウルンは自分に少し似た、何かを感じる。
ぶしつけに言葉をぶつけてくる少女に純粋な好奇心を持ちながら、返事。

「お前、誰だ? ……まぁ、結果的にはそうなっちまうかもな。俺はただ、楽しめればそれでいいんだがよ、帰って会いたい相手がいるもんでなぁ」

邪悪な笑みを隠そうともせずに、ガウルンは少女の質問に答える。
今の答えに嘘はない。楽しめればそれで良いと、ガウルンの中の戦闘狂は考える。
それと同時に、ガウルンはカシムに会いたいと思っている。
そしてそれらは矛盾しない。『殺し』を楽しみ、生き残り、帰り、『カシム』に会う。
全くもって無駄がない。殊にこの世は上手く出来ている――そう考えている。
だから少女が次に言った言葉にガウルンは興味を持った。

『なら、アタシがもっと楽しくしてあげる、……って言ったらどうする?』

 ◆

目の前の黒い機体はあの戦艦に与する者の攻撃を受けた。
その事実についてシャギア・フロストは思考する。
……つまり状況は、単純ではないということか。
今までは恐竜型戦艦を中心としたグループが、ジョナサンとか言った男の戦艦及びその一味に襲われたという認識だった。
つまり一集団と一集団の総力戦、ということだ。
だが、眼前の黒いガンダムタイプ――これは異質の存在だ。どの集団にも属さずに、乱戦の中を駆けている。
ダイを中心としたグループは、既に壊滅状態だ。戦いの軸は、あの戦艦とナデシコのそれに変わっている。
この状況を作り出したのが黒いガンダムなのだとすれば――

「オルバ、油断するなよ。この戦場――私たちが思っていた以上に複雑だぞ」
『分かってるよ、兄さん。……それで、あの白いガンダムはどうするんだい?』
オルバの言葉に、シャギアは奇襲を仕掛けてきたガンダムに目を向ける。
昼に戦ったときとは違うガンダムだ。だが、あの戦艦と行動を共にしていることと、戦闘行為を仕掛けてくる好戦的な点は変わらない。
ならば対応は一つ。

「あれもまた私たちの敵だ。黒いガンダム共々落とすぞ」
『分かったよ、兄さん』

シャギアがヴァイクランでフォワード、オルバがディバリウムの広範囲識別兵器でバックアップ。
この基本フォーメーションを崩さずに二機を同時に相手にする。
上手くいけば、ガンダム同士で潰し合ってくれる――そこまで確認したとき、ヴァイクランとディバリウム、二機の通信用モニターが同時に作動した。

「通信だと? 一体どこの誰が――」

モニターに映っているのは赤毛の少女だった。
目を赤く腫らし、潤ませている少女は、開口一番こう叫んだ。

『――助けて!』

と。

 ◆

戦場には四機が入り乱れていた。
ガウルンが駆るマスターガンダム。
武蔵が動かすガンダム。
シャギアが操るヴァイクラン。
オルバが乗るディバリウム。
若干の性能差は存在するが、それは戦闘の決め手にはならない。
多少の優勢は、残りの機体がすぐに覆す。
もしこの中の一機でも墜ちれば、戦局は大きく変わる。
それが分かっているからこその均衡だ。

ヴァイクランの放つガン・スレイブがガンダムを襲う。
飛ぶのは二基。一つは不規則な弾道で武蔵の目をくらまし、もう一つが死角から装甲を削っていく。
闇雲にハンマーを振り回すが、ガン・スレイブにはかすりもしない。ガンダムのシールドは既にボロボロだ。
だが、ガン・スレイブの動きが鈍る。その原因はヴァイクラン本体を襲ったマスターガンダムのダークネスショットだ。
ガン・スレイブの操作に集中していたシャギアは舌打ちを一つ。
ガンダムへの攻撃を中止し、接近してくるマスターガンダムに備える。
シャギアはマスターガンダムの倍以上の巨体が持つ長いリーチを生かし、先手を打ったローキックを放った。
しかし、マスターガンダムは伸ばされたヴァイクランの右脚が激突する寸前で跳躍。
――そのまま、攻撃してきた脚部の上に着地し、機体を駆け上る!
敵機を遮るものは何もなく、マスターガンダムの攻撃は回避・防御共に不可。
瞬間的にそう判断したシャギアは、半ば反射的に叫んだ。
「ガドル・ヴァイクラン!」と。
ヴァイクランの四肢が割れ、マスターガンダムが足場にするはずだった部分は宙に。
踏み場を無くしたマスターガンダムは、地上に落ちていく。
その間にシャギアとオルバは、ヴァイクランとディバリウムの合体を完了させる。
ヴァイクランの四肢と胴の間にディバリウムの各部が挿入される。
分離と合体を経て、二機は一機になった。

「行くぞオルバ! アルス……」

落下を続けるマスターガンダムを標的に、ガドル・ヴァイクランが撃つのは必殺の一撃。

「マグナ……」

カルケリア・パルス・ティルゲムによって増幅された念をエネルギー波にし放たれる、アルス・マグナ・フルヴァンだ。

「フル……何っ!?」
だが、その一撃が放たれることはない。エネルギーの充填が完了する前に、ガンダムのハンマーが背面を直撃したからだ。
ガドル・ヴァイクラン時は移動が不可能だという弱点を突かれた形になる。
そしてこの弱点は合体を解除するまで続き、その恩恵を受けるのは武蔵だけではなく。
ガウルンもまた、動くことの出来ない巨体をいたぶることが出来る。

「――ッ!」

マスターガンダムが着地する。
唯一の攻撃手段を妨げられ、動くことも出来ない今のガドル・ヴァイクランはまさに木偶。ガウルンの攻撃を防ぐこともかわすことも難しい。
マスターガンダムが地表を蹴るのをシャギアはメインカメラ越しに確認する。
合体の解除は? 間に合わない。
マスターガンダムが紅い布を翻し、接近してくる。
右手から赤布が伸び、ヴァイクランの頭部に巻き付いた。そのまま布を手繰り寄せ、マスターガンダムは接近の速度を上げていく。
だが、ガウルンの標的は身動きが取れないガドル・ヴァイクランではなかった。
加速を殺さずにそのまま跳躍の力に変え、ガドル・ヴァイクランの頭上を跳び越えていく。
狙うのは、ガドル・ヴァイクランに更なる攻撃を加えようとしていたガンダムだ。
マスターガンダムの跳び蹴りがガンダムの胸を打ち、赤と青の装甲を砕く。
蹴りの衝撃でガンダムは地に転がった。その間にガドル・ヴァイクランは合体を解除し、ヴァイクランとディバリウムの姿に戻る。

戦場が再び均衡に支配される。この一連の攻防も、決定打にはならない。
フロスト兄弟は、この戦闘の特異性に気づき始めていた。
この戦闘を支配――とは言い過ぎでも操っているのは、まぎれもなく黒いガンダムだということにだ。
決定的なチャンスをあの黒のガンダムは潰している。自機、他機の区別なく。
その行為がもたらすのは、戦局の硬直という結果。実際問題、四機とも多少の破損はあろうと戦闘不能に陥ったものはない。
だが、敵パイロットが何故そのような行動を取るのか、その理由が分からないのだ。

「オルバ。あの黒いガンダムの動き――どう思う?」
「おかしい……ね。ガドル・ヴァイクランを潰すつもりなら、さっきの攻撃をこちらに向ければそれで済んだはず……あそここでわざわざ白いガンダムを狙う理由が無いよ」
「白いのがああするのなら分かる。単体での戦闘力が優れているのは明らかに黒い方だからな。
 私たちを潰して一対一に持ち込むより、混戦の方が勝機があるはずだ」
「戦闘時間が延びれば、あの戦艦の応援が来るという可能性もあるね」
「だが、黒いガンダムは違う。奴はこのまま戦ってもジリ貧のはず……一体何故、場の均衡を保つような真似をする?
 戦闘を長引かせることが狙いだとしたら……」

フロスト兄弟が疑念を膨らませていたその時、武蔵は焦っていた。
(……早く敵をなんとかして、マサキを探さなきゃいけないのによ……!)
思っていた以上に自機と敵機の能力差は大きい。
黒いガンダムの奇妙な立ち回りのおかげでどうにか生きのびているが、単純な戦闘力ならこの四機の中で最も低いのがガンダムだ。
だが、武蔵とて玉砕覚悟で戦っているわけではない。十分な勝機があると踏んでこの戦闘に乱入したのだ。
武蔵の思考を遮るように、マスターガンダムのダークネスショットがガンダムを襲う。
咄嗟にシールドで防御するが、盾の上半部が吹き飛んだ。まともな防御力は期待できなくなってきている。
武蔵は、クッ……っと、苦しげに息を吐く。
ガンダムのメインカメラは破損している。攻撃の完全回避は難しい。
このまま戦い続ければ、最初に倒れるのは自分だろう。
と、その時、武蔵はサブカメラの映す乱雑な映像の中に白銀を見つける。
十分な勝機――テニアの乗るベルゲルミルだ。

「テニア! 無事だったのか!」

仲間の姿に安心を覚えた武蔵は、テニアに通信を入れながらベルゲルミルの方へと移動する。
だが、返信の代わりに突きつけられたのはマシンナリーライフルの銃口。
思考が停止する。
武蔵は、目の前の光景の意味を理解できなかった。
テニアが自分に銃を突きつけている、という事実を認識した。
そのときには、既に銃口から光が溢れていた。
ガンダムを撃つ瞬間にベルゲルミルのパイロットが放った叫びは、オープンチャンネルの周波に乗って、その場にいた他の三機のパイロットの耳に届く。

『カティアの、仇だ――!』

自分が撃たれたのだ、ということを武蔵が理解するその前に、光はガンダムのコックピットを貫き――巴武蔵は絶命した。
 ◇ 時間は若干遡る。

「――助けて!」

戦闘をこなす見知らぬ三機の内、共闘関係にあるだろう二機に向けて、テニアは通信を試みた。
自分の立てた危策、その最後の仕込みのために。
モニターに映る二人の青年の顔は似ている。兄弟なのだろうかなどとテニアが考えると、年上の方の青年が疑問を投げつけてきた。

『君は誰だ? 何故私たちに通信をしてきた?』

相手の疑問ももっともだとテニアは思う。
だからあらかじめ考えていた答えを返す。

「アタシの名前はフェステニア・ミューズ。……お願い、アタシをあの白い機体とあっちの戦艦から助けて!
 アタシは無理矢理戦わされてるの! アイツらがアタシを襲って……死にたくなかったら協力しろって言ってきて!」

テニアの返答に、青年は訝しげな表情を見せる。
自分でも酷い嘘だと思う。けれど、この嘘さえ通用すれば――後はどうにかなる。
お願い、信じて。と、これは本心から思った。
そして青年は口を開く。

『……いいだろう。君はそこにいたまえ。あの戦艦は私たちも襲ってきた。
 どちらにしろ、私たちはあの戦艦とは交戦するつもりだったからな。君がおとなしくしてくれるというのなら、その間だけ君のことを信用してもいい』

明らかに裏のある物言いだが、一時的にしろ相手が自分の言うことを信用してくれたということにテニアは安堵する。
けれどその安堵を決して表情に出さずに、テニアは言葉を返した。

「アタシも戦う……! カティアの仇はアタシがとるんだ!」

 ◇

ガンダムを撃った乱入者であるベルゲルミルに対し、ガウルンは攻撃と通信を同時に行う。
ダークネスショットの照準をわずかにずらし、わざと足下に当てる見せかけの攻撃と、『さっき、楽しくしてやると言ったのはお前か』という通信だ。
それに対してテニアは、同様にマシンナリーライフルをマスターガンダムの頭上に撃ち、『そうよ』という通信を送り、自分の行動の全てをガウルンに話す。
姉妹のように育った仲間を殺したこと、何をしてでも生き残るつもりだということ、そのためにガウルンを、フロスト兄弟を利用すること。

「ハッ! とんだ茶番だな? そんなことのために、俺に『時間を稼げ』なんて言ったのかい?」
「ええ、そうね。確かに酷い話だわ、こんなの。
 でも、誰にも文句は言わせない。アタシは生き残らなくちゃいけないの。
 どう? あの連中はアタシがこのまま取り入って中から潰す――だからアンタは逃げてちょうだい」
「ふざけるんじゃねぇよ。なんでここまできて逃げなくちゃいけねぇんだ?」

ガウルンは顔をしかめ、マスターガンダムをベルゲルミルに接近させる。
この距離なら、一撃で仕留める自信があった。テニアが下手なことを言うようならその時は殺すまでだ。
ヒートアックスを振りながら、そう考える。それに対し、テニアは顔色一つ変えずに返答。

「アンタに死なれちゃ、アタシが困るの。――殺る気満々の人間、有効活用しない手はないでしょ?」

彼女をよく知る人間が見れば、ぞっと背筋が凍るような――そんな表情を浮かべたまま、テニアは話す。
明るかったかつての少女はいない。今ここにいるのは、生きるために何の躊躇も無く他人を、仲間を殺せる、そんな少女だ。
暗い瞳の奥に潜む闇。ガウルンは少女の目にそれを見つける。
ガウルンは、一つ小さく笑うと、

「この俺を、利用する……面白いねぇ。嬢ちゃんの話、乗ってやるよ。ただし――」

ビームナイフを起動し、ベルゲルミル目掛け振り下ろす!
完全に不意をつかれる形になったテニアは、左腕の切断をモニターで確認する。
肘から先を綺麗に持っていかれた。断面から内部構造をはっきりと確認できそうなほど。
ガウルンの体術とナイフの技術があればこその芸当だ。
「こいつは駄賃にもらっていくぜ! 嬢ちゃん、名前は?」
「フェステニア・ミューズよ。……そんなの聞いて、どうするつもり?」
「良い名前じゃないか。俺は、ガウルンと呼んでくれよ。……なぁに、お前は俺様が殺してやろうと思ってねぇ。
 ここは退いてやる。今度逢ったときは――覚悟しとくんだな?」
「……ッ! アンタなんかに殺されて――たまるもんか!」

ベルゲルミルからシックス・スレイブが射出され、マスターガンダムを襲う。
だが、マスターガンダムはそれを軽くかわすと、地表に出来た裂け目へと飛び込んだ。
テニアが中を覗き込むと、既にそこにガウルンの姿は無かった。
あるのは何処へ繋がっているともしれない地下通路だけだった。

 ◆

『損傷率40%。このままの戦闘は危険だぞ』

Jアーク操縦席にトモロの声が響く。
Jアークとナデシコの戦闘は、時間の経過と共に激化の一途をたどっていた。
互いに防御機構は存在するものの、それを超える火力もまた、搭載されている。
当然のように装甲は削がれ、弾薬・エネルギーの類の消耗も著しい。
このまま双方共倒れになるのも時間の問題だろう。

「ソシエ、武蔵さんからの通信は?」
「テニアと合流できたって……今からマサキを探すって連絡がさっきあったわ。
 レーダーに映る限りだと、武蔵が戦闘してるみたいだけど……」
『キラ、今は武蔵達と合流し、撤退することを優先すべきだ』

ソシエとトモロ、二人の声を聞いてキラは考える。
このまま戦って、勝ったとしても――その先に、何が残るだろう?
自分たちがしなくちゃいけないのは、戦いに勝って、生き残ることだけじゃない。
最後にはあの化け物も倒して、元の世界に帰らなくてはいけない。
――だから、今は。

「分かりました。今からJアークは転進、武蔵さん達と合流し、ここを離れます!」

Jアークは艦首を後方に向け、移動を開始。
ジェネレイティングアーマーを重点的に後部へ展開し、ナデシコからの追撃を耐える。
武蔵とテニア、二人のところに着くまでの数分が、キラとソシエには永遠のように永く感じられた。
だが、あと少しだ。あと少しで武蔵達と合流出来る。
弱い考えに挫けそうになる心を懸命に奮い立たせて、キラはJアークを走らせる。

「ソシエ、武蔵さん達に通信を入れて! 今から合流するってことと、マサキの安否を!」
「分かっ――え? 嘘……でしょ?」

ソシエはレーダーとモニターに映ったものを見て、きっと見間違いだと目をこする。
しかし、もう一度見ても画面に映る映像に変化はなく――

「なんで――なんでテニアが武蔵を撃ったの!?」

レーダーが示すのはガンダムのロスト。モニターにはマシンナリーライフルをガンダムに向けて撃つベルゲルミルの姿が映っている。
確認する限りでは、ガンダムはコックピットブロックを含む胸部を撃ち抜かれ大破。
おそらく――パイロットの命は無いだろう。

「そん……な……まさか、本当にテニアが……!」
『――キラ!』

突然、Jアークを砲撃が襲い、衝撃が艦を揺らす。
呆然とするキラの代わりにソシエがメインモニターで敵機を確認。
今の攻撃の主は、戦艦と共にダイの援軍に来た二機が合体したものらしい。
戦艦の主砲とはいかなくとも、今の攻撃の破壊力は無視できるレベルのものではない。
「ちょっとキラ、しっかりしなさいよ!」

ソシエの叫びにも関わらず、キラはショックを隠しきれず、混乱したままである。
代わりにトモロが、『ここは撤退だ』と冷静な判断を下す。
トモロのこの発言に、キラははっと我に返り、反対する。
まだ武蔵は生きているかもしれない、マサキだって、テニアだって……
けれど、その声も敵機の更なる砲撃に遮られる。
ガドル・ヴァイクランのアルス・マグナ・フルヴァン、ナデシコのグラビティブラストという高威力砲撃を受け、Jアークの損傷は拡大していく。
もはや一刻の猶予もない。このままでは轟沈するだけだ。
それでもキラは撤退に反対し、仲間の救出を唱える。
そんなキラに業を煮やしたソシエは――

「こぉの……バカキラは寝てなさい!」

近くにあったバールのようなものでキラの頭にごっちーんとキッツい一撃をお見舞いさせる。
頭部への衝撃は、キラの意識を失わせるのに十分だった。
半ば――いや、かなり強引な方法ではあったが、もう撤退に反対するものはいない。

「トモロ! 全力で撤退よ!」

Jアークは撤退する。

 ◆

全ての戦闘行為が終結したD-7地区。
機動戦艦ナデシコの甲板に、ヴァイクラン、ディバリウム、ベルゲルミルの三機が繋留されている。
シャギアとオルバは、それぞれヴァイクランとディバリウムの中からモニターに映るナデシコ内部の映像を眺めていた。
そこに映っていたのはナデシコの現艦長である兜甲児と、同じくオペレーターの宇都宮比瑪。それにフェステニア・ミューズを加えた三人。
戦闘の終了後、テニアは武装を解除し自らナデシコに投降してきた。
そしてシャギアとオルバから投降の理由の一部を聞いた甲児と比瑪は、テニアをナデシコへと招いた――というわけである。

「はい、テニアさん。まだ熱いから気をつけてね。こっちは甲児君の分ね。
 フロストさんたちの分も用意しますから、後で取りに来てくださーい」

比瑪の手には、未だ熱いコーヒーカップが握られている。
憔悴した様子を見せるテニアを気遣い、比瑪が煎れてきたものだ。
ついでに甲児と自分のものも用意し、少しでも場の雰囲気を明るくしようとしてくれていた。
本当はフロストさんたちにも煎れたての美味しいコーヒーを味わって欲しいんだけど、と考えながら比瑪は毛布にくるまり震えている少女を見つめる。
自分と同年代の少女の顔には、明らかに怯えの色があった。

「……ありがとう」

小さな声で礼を言うテニアの姿には年相応の明るさなど微塵もない。
そして、テニアは喋り出す。自分がどうしてあんなことをしたのかを。

「アタシは……たまたま元からの知り合いに会えたんだ。メルアっていって、お菓子が好きな子だった。
 いつもコクピットでお菓子をこぼして、統夜に怒られてたっけ……
 でもね? ……メルアは死んじゃったんだ。アタシの目の前で、殺されたんだ――!」

テニアの小さな叫びに、比瑪は最初の放送のことを思い出す。
メルア=メルナ=メイア。そんな名前が呼ばれていた。
死んだ人たちにも知り合いはいた。そんな当たり前のことが、言葉以上の意味を持って比瑪の心に重くのしかかる。

「アタシはどうしたらいいのか分からなかった。
 そしてまた会ったんだ。元からの知り合い。カティアにね」

……カティアだって!?
甲児はその名前に聞き覚えがある。確かメルアと同じように、第一放送で呼ばれた名前だ。
もしかして、という最悪の想像が浮かぶ。
「メルアが死んだ――そのことを言ったら、カティアもすごく悲しんでた。だけど、こうも言ってくれたんだ。
 メルアの分も、私たちで生きよう、統夜と会って、こんな殺し合いを止めようって。
 そんなとき、アイツらが来た。キラ・ヤマト、巴武蔵、ソシエ・ハイム、マサキ・アンドー。
 いきなり襲ってきた。アタシ達は何も出来なくて、カティアはアタシをかばって、アイツらに殺された」

テニアの手が震え、コーヒーの表面が波立っている。
自分が涙を流しているのに気づいていないかのように、テニアは言葉を止めない。

「アイツらはカティアの死体をアタシの目の前に持ってきた。そしてこう言ったんだ。
 こいつの死体から首輪を取れ。そして、自分たちの仲間に――共犯者になれって!
 アタシはどうしようもなかった。断れば殺される。そう思って、アタシは、アタシはカティアの死体を――!」

最後の言葉は叫びにもならずに宙に消えていく。ガクガクと震えるテニアの手からはコーヒーがこぼれ落ちていた。
目を伏せるテニアの前に、影が立つ。気づいたとき、テニアは抱きしめられていた。
こぼれるコーヒーに服が汚れるのも気にせずに、比瑪はテニアを抱きしめる。
その目尻からはテニアと同様に涙の滴がこぼれていた。

「ごめんね……そんな辛いこと思い出させて」

比瑪がテニアを抱きしめているその時、甲児はやり場のない怒りに身を震わせていた。
人を人とも思わない、悪魔のような所業。聞いただけで胸糞が悪くなってくる。
(……これ以上こんなことを続けさせてたまるかよ! 俺たちで……止めてみせる!)
絶対に、この殺し合いを終わらせてみせる。そう胸に誓った。

 ◇

『しかし……嘘が下手だな、あの娘は。最高のアドバンテージになりうる首輪をみすみす渡しておくということがあるはずもない。
 それではあの二人は騙せても私たちの目までは誤魔化せんよ』

『同感だけど……なら兄さん、どうしてテニアを仲間にするような真似をしたんだい?
 どうやらあの二人は完全に丸め込まれたみたいだし……』

『あれは仲間にしたのではない。あくまで戦略上の判断だ。
 私たちを含め、あの場にいた五機――同じバトルロワイアルをするのなら、二対一対一対一と三対一対一ではどちらが得なのか、ということだよ。
 今回はたまたま利害が一致したからこちらも利用させてもらったがね。
 現に、こちらはさしたる被害も無いまま白いガンダムは撃墜、黒いのも何処かへ撤退した』

『それは確かにそうだけど……なら、これからどうするんだい?
 早めに手を打たないと、僕らも何時後ろから撃たれることになるか』

『手を打つといっても甲児と比瑪の前でどうこうすることは難しいだろう。私たちの信頼にも関わってくる。
 だが、あの二人が見ていないところならどうなる? こんな状況だ――少し離れている間に誰かに襲われてしまう、というのは珍しくないだろうな。
 二手に別れて行動していたのならなおさらだ。なに、協力者探索の効率化とでもうそぶけば問題は無い』

『その時に――ということだね? なら兄さん、その役は僕がやるよ』

『頼むぞオルバ。その間に、私はナデシコで首輪について調べるつもりだ。丁度、サンプルも余計に手に入ったからな』

『兄さん、首輪解析なんて出来るの――って、確かにあの二人には任せられないね』

『そういうことだ。その前に、休息の時間も必要だな。行動開始は放送後にしよう。それまでは束の間の休息を楽しもうではないか』

『了解。それからもう一つだけ。……あの戦艦、あのまま放っておいてよかったの?』
『Jアーク、とテニアは言っていたか……。心配ないだろう』

『どうしてそう言えるんだい?』

『さすがだな、抜け目がない男だよ、アレは。……電池になっているのか、これは。小脇に挟んでいたのはこれだったのだな。
 ――ん、オルバ。その質問についてだが……それは私だけのヒ・ミ・ツ☆だ』

『――分かったよ、兄さん……』

 ◆

市街地から離れたJアークは、進路を北にとり、移動を続けていた。
大規模な戦闘の結果、Jアークの各部には多くの損傷が残り、消耗も激しい。
五人いた仲間も――今はキラとソシエの二人だけだ。
いや、もう少しアバウトに考えれば――彼は参加者ではないが――あと一人いる、と言えないこともないだろう。

『――それで良かったのか? ソシエ』

Jアークに備え付けられた超AI、トモロがいる。
彼の判断と戦闘補助が無ければ、今頃Jアークは轟沈していてもおかしくない。
けれど、そんな彼の問いかけに、ソシエは少し、いやかなり不機嫌な感じでぶっきらぼうに答える。
ちなみに、ソシエの放った頭部への一撃は、未だキラを目覚めさせないほどの威力はあった、と言っておこう。

「何が?」
『先ほどの撤退のことだ』

「――良いわけ、ないじゃない」

「でも、生きるためにはやらなくちゃいけないことってあるのよ。
 ミリシャだって、好きで戦争してる人たちばかりじゃなかったわ。
 辛い思いしてまで故郷の人と戦ってるバカもいた。
 ……うん、あたし何が言いたいのかしら。とにかく……あたしも、辛いってことよ。
 ……まったく、キラったら気持ちよさそうに寝ちゃって。って、これ――」

物憂げに話しながら――ソシエはふとキラの顔を眺める。
キラは泣いていた。とても静かに、けれど大粒の涙をこぼしながら。

「泣いてるの?」
『キラの知人の名が呼ばれた。第一放送のことだ』
「なんていうか――辛いわね」
『そうだな』
「ああ、私もそう思うよ」
「……って、誰よ貴方!?」
「通信回線を開いたままでプライベートな会話とはいただけないね、ソシエ嬢。
 だが今の会話で確信したよ。――君たちは、交渉に値する人物だ」

Jアークのモニターに青年の顔が映る。
黒髪を短く整え、黒のスーツに身を包んだその風貌を、ソシエは見たことがある。

「もしかして貴方……一番はじめにあの化け物に喧嘩売ってた人!?」
「喧嘩では無いさ。ネゴシエイトだ。
 私の名はロジャー・スミス。これでもネゴシエイターをやっている。
 改めて、君たちに交渉を申し込もう」
【キラ・ヤマト 搭乗機体:Jアーク(勇者王ガオガイガー)
 パイロット状態:気絶中・ジョナサンへの不信
 機体状態:ジェイダーへの変形は可能?各部に損傷多数、EN・弾薬共に30%
        反応弾を所持。
 現在位置:D-6上空
 第一行動方針:?
 第二行動方針:仲間の無事の確認
 第三行動方針:このゲームに乗っていない人たちを集める
 最終行動方針:ノイ=レジセイアの撃破、そして脱出】
 備考:Jアークは補給ポイントでの補給不可、毎時当たり若干回復。】

【ソシエ・ハイム 搭乗機体:無し
 パイロット状況:右足を骨折、気力回復
 機体状況:無し
 現在位置:D-6上空
 第一行動方針:ロジャーと交渉?
 第二行動方針:新しい機体が欲しい
 第三行動方針:仲間を集める
 最終行動方針:主催者を倒す
 備考:右足は応急手当済み】

【ロジャー・スミス 搭乗機体:騎士凰牙(GEAR戦士電童)
 パイロット状態:肋骨数か所骨折、全身に打撲多数 
 機体状態:左腕喪失、右の角喪失、右足にダメージ(タービン回転不可能)
       側面モニターにヒビ、EN70%
 現在位置:D-6(Jアーク甲板)
 第一行動方針:Jアークと交渉
 第二行動方針:ゲームに乗っていない参加者を集める
 第三行動方針:首輪解除に対して動き始める
 第四行動方針:ノイ・レジセイアの情報を集める
 最終行動方針:依頼の遂行(ネゴシエイトに値しない相手は拳で解決、でも出来る限りは平和的に交渉)
 備考1:凰牙は通常の補給ポイントではEN回復不可能。EN回復はヴァルハラのハイパーデンドーデンチでのみ可能
 備考2:念のためハイパーデンドー電池四本(補給二回分)携帯
 備考3:ワイヤーフック内臓の腕時計型通信機を所持】


【ガウルン 搭乗機体:マスターガンダム(機動武闘伝Gガンダム)
 パイロット状況:疲労小、DG細胞感染、気力135
 機体状況:全身に弾痕多数、頭部・左肩・胸部装甲破損、マント消失、ダメージ蓄積
        DG細胞感染、損傷自動修復中、ビームナイフとヒートアックスを装備
 現在位置:?
 第一行動方針:近くにいる参加者を殺す
 第二行動方針:アキト、テニアを殺す
 第三行動方針:皆殺し
 第四行動方針:できればクルツの首を取りたい
 最終行動方針:元の世界に戻って腑抜けたカシムを元に戻す
 備考:九龍の頭に埋め込まれたチタン板、右足義足、癌細胞はDG細胞に同化されました 】
【シャギア・フロスト 搭乗機体:ヴァイクラン(第三次スーパーロボット大戦α)
 パイロット状態:良好、テニアを警戒
 機体状態:EN60%、各部に損傷
 現在位置:D-7市街地
 第一行動方針:休息
 第二行動方針:首輪の解析を試みる
 第三行動方針:比瑪と甲児を利用し、使える人材を集める
 第四行動方針:意に沿わぬ人間は排除
 第五行動方針:首輪の解析
 最終行動方針:オルバと共に生き延びる(自分たち以外はどうなろうと知った事ではない)
 備考1:ガドル・ヴァイクランに合体可能(かなりノリノリ)、自分たちの交信能力は隠している。
 備考2:首輪を所持】

【オルバ・フロスト搭乗機体:ディバリウム(第三次スーパーロボット大戦α)
 パイロット状態:良好、テニアを警戒
 機体状態:EN60%、各部に損傷
 現在位置:D-7市街地
 第一行動方針:休息
 第二行動方針:テニアと共にJアークと別行動をし、テニアを殺害
 第三行動方針:比瑪と甲児を利用し、使える人材を集める
 第四行動方針:意に沿わぬ人間は排除
 第五行動方針:首輪の解析
 最終行動指針:シャギアと共に 生き延びる(自分たち以外はどうなろうと知った事ではない)
 備考:ガドルヴァイクランに合体可能(かなり恥ずかしい)、自分たちの交信能力は隠している。】

【兜甲児 搭乗機体:ナデシコ(機動戦艦ナデシコ)
 パイロット状態:良好
 機体状態:EN50%、相転移エンジンによりEN回復中、ミサイル20%消耗
 現在位置:D-7市街地
 第一行動方針:ヒメ・フロスト兄弟と同行
 第二行動方針:ゲームを止めるために仲間を集める
 最終行動方針:アインストたちを倒す
 備考1:ナデシコの格納庫にプロトガーランドとぺガスを収容
 備考2:ナデシコ甲板に旧ザクを係留】

【宇都宮比瑪 搭乗機体:ナデシコ(機動戦艦ナデシコ)
 パイロット状態:良好、ナデシコの通信士
 機体状態:EN50%、相転移エンジンによりEN回復中、ミサイル20%消耗
 現在位置:D-7市街地
 第一行動方針:テニアを慰める
 第二行動方針:甲児・フロスト兄弟に同行
 第三行動方針:依々子(クインシィ)を探す
 最終行動方針:主催者と話し合う】

【フェステニア・ミューズ 搭乗機体:ベルゲルミル(ウルズ機)(バンプレストオリジナル)
 パイロット状況:非常に不安定
 機体状況:左腕喪失、マニピュレーターに血が微かについている、ガンポッドを装備
 現在位置:D-7市街地
 第一行動方針:ナデシコの面々に取り入る
 第二行動方針:どのように行動を取ればうまく周りを騙せるか考察中
 第三行動方針:とりあえず甲児達についていく
 第四行動方針:参加者の殺害
 最終行動方針:優勝
 備考1:甲児・比瑪・シャギア・オルバ、いずれ殺す気です
 備考2:首輪を所持しています】
【パイロットなし 搭乗機体:ぺガス(宇宙の騎士テッカマンブレード)
 パイロット状態:パイロットなし
 機体状態:良好、現在ナデシコの格納庫に収容されている
 現在位置:D-7市街地】

【熱気バサラ 搭乗機体 プロトガーランド(メガゾーン23)
 パイロット状況:神経圧迫により発声不可、気絶中
 機体状況:MS形態
      落ちたショックとマシンキャノンの攻撃により、故障
 現在位置:D-7市街地(ナデシコ格納庫内)
 第一行動方針:新たなライブの開催地を探す
 最終行動方針:自分の歌でゲームをやめさせる
 備考:自分の声が出なくなったことにまだ気付いていません】


【巴武蔵 搭乗機体:RX-78ガンダム(機動戦士ガンダム)
 パイロット状態:死亡
 機体状況:大破
 現在位置:D-7市街地】

※備考(無敵戦艦ダイ周辺)
 ・ハイパーデンドー電池6本(補給3回分)は無事(ロジャーが二本持っていきました)
 ・首輪(リリーナ)は艦橋の瓦礫に紛れています

【二日目2:30】
74 ◆C0vluWr0so :2007/09/12(水) 21:12:26 ID:JEb0+oKg
というわけで投下終了。
今回はいつにもまして粗い部分が目立ちますので矛盾点、誤字・脱字に関してはいつも異常に厳しく指摘してくださると助かります。
タイトルで分かる人は分かるかもしれませんが、夏に某ラノベを一気読みしたせいで文体が影響受けまくりだぜヒャッハァ!
75それも名無しだ:2007/09/12(水) 21:22:19 ID:AO1aOt8u
乙!
読破したのは某クロニクルでおk?w
76それも名無しだ:2007/09/12(水) 21:34:10 ID:265nNW6v
あー……やっぱり武蔵から脱落か。
仕方ないよな。1人だけ機体のランク違いすぎる。

テニア酷すぎ。だけど相手がやばくね?悪巧みでフロスト兄弟に挑むのは
かなり分の悪すぎる賭けだろう。

ネゴシエイター大活躍は次回へ持ち越しか。
やっとまともな交渉になりそうな気がするの俺だけか?
77それも名無しだ:2007/09/12(水) 21:59:06 ID:7m21kH7x
逆に案外生き残ると思ってたんだがなぁムサシ、残念
なんにせよ実にGJ!
78それも名無しだ:2007/09/12(水) 22:20:48 ID:LLDJF0Td
武蔵・・・
勘違いはあったがそれでも正義感と友情にかけてはロワ1だったのに。
マサキはもう死んでるしテニアは裏切るしジョナサンは信用できないしでもう散々だな…
その上アスランももう死んでるし、キラやべぇ。
Mrネゴシエイターに激しく期待だな
79それも名無しだ:2007/09/12(水) 23:14:45 ID:ocgyD5fd
GJ!
乱戦が上手く書けていてうらやましい。
武蔵はやっぱり脱落か……、ゲッター勢はこれで竜馬だけになったな。
そして、テニア素晴らしく黒過ぎ。バサラ次第でフロスト兄弟も出し抜けそうな気がする。
あとごく自然にJアーク組と合流しているロジャーに笑ったww
80それも名無しだ:2007/09/12(水) 23:48:58 ID:AjkqwR1E
ロォォォォォォォォォォォジャァァーーーーーーーーーーーーー!!!
81それも名無しだ:2007/09/13(木) 00:25:28 ID:dr2zmVfq
ちょwwwwタイトルが概念条文wwww
82それも名無しだ:2007/09/13(木) 00:34:17 ID:HVheLFT0
一つツッコミ。
> 第二行動方針:テニアと共にJアークと別行動をし、テニアを殺害
ナデシコでは。
83それも名無しだ:2007/09/13(木) 01:02:35 ID:zmxD+29x
ダイ組壊滅にJアーク組戦力損耗。
最終的にナデシコ組が漁夫の利を掻っ攫っていったか。
殺伐とした戦況の中、ソシエお嬢様に和んだww
バールのようなものってwwwそれ下手したらキラ死ぬだろwwww
84それも名無しだ:2007/09/13(木) 02:20:30 ID:DIz1HX2o
シャギア珍しくカッコいい!
とか思ってたら最後の最後でw
良い感じに伏線回収してまたフラグを置いていったのは見事でした
85それも名無しだ:2007/09/13(木) 16:54:00 ID:pZ814k0O
(ロワ内での)ソシエのキャラが急激に立ってきた気がする
86それも名無しだ:2007/09/14(金) 07:18:30 ID:D6/uFhV3
>会えたら伝えよう。統夜に。死んでくれって。

がくがくぶるぶるのにゃーにゃーなのですよ…。
87 ◆C0vluWr0so :2007/09/14(金) 23:06:50 ID:NqSv/3dl
>>82
その通りですね……指摘してくださった>>82さん、素早い対応をしてくださった仮まとめさん、ありがとうございます。
それと某クロニクル知ってる人が多いことに驚いたw
88それも名無しだ:2007/09/16(日) 01:27:51 ID:GW+5M8cW
交渉人からダイ組の事聞かされて
キラのロワ補正がパーになりそうだなw
89それも名無しだ:2007/09/16(日) 06:28:21 ID:3xNtdYqZ
そこで某バカと少しキャラが被るソシエお嬢様の出番ですよ
90それも名無しだ:2007/09/16(日) 19:36:20 ID:3n9PbFZP
ソシエお嬢様和むなぁ
そういやヒメも結構マターリできる・・・

声か!?声のせいなんか!?
91それも名無しだ:2007/09/16(日) 20:11:13 ID:p3v2jNOz
秋乃嬢の声は聞けば聞くほど味が出てくるスルメ声
女性陣が鬱、狂気、天然、和みとバランス良いところが好きだ
92それも名無しだ:2007/09/17(月) 00:30:41 ID:FTzlR1/Y
ちょっと質問。
ラキの設定漁っていたら『生まれた時から付けていたクリスタルが砕けたため、ペルフェクティオの支配から逃れた』って記述が見つかって
ロワ内の『混ざっていたジョシュアの心がジョシュアの死で休止したから負の感情を吸収する体質に戻った』のと微妙に食い違う気がするのですが。
クリスタルは精神支配だけで体質のほうには影響なしで、ジョシュアの心の方は精神と体質の両者に影響していたって解釈でいいのでしょうか?
93それも名無しだ:2007/09/17(月) 18:54:56 ID:xCML9heb
>>92
両方を上手く共存させるとなるとその考え方が良いと思う。
ラキは元々負の感情を吸収するメリオルエッセとして産み出され、クリスタルによってペルフェクティオに使役されていた。
だがジョシュアの心を通して人の心を得ることで負の感情を吸収する体質も改善されていく。
それと同時にクリスタルも壊れたため、身も心もフリーダム、ってところかねぇ。
結構オリジナルが入っちゃうけど、ロワ仕様ってことで。
94それも名無しだ:2007/09/17(月) 20:14:33 ID:QRTR3I47
>>92
ところで何に書いてあったの?
95それも名無しだ:2007/09/17(月) 20:20:23 ID:xCML9heb
>>94
>>92ではないけれど、グラキエースで検索したら一番上に出てきた。
スーパーロボット大戦wikiってとこ。あくまでwikiだから公式設定とは限らないけどね。
96それも名無しだ:2007/09/17(月) 20:56:18 ID:QRTR3I47
>>95
サンクス
なんか公式のソースあったのかな
9792:2007/09/17(月) 21:03:05 ID:5VtbC0yB
>>93
ありがとうございます。
無理に触れる必要はないとは思っているのですが触れることがあれば、一応そういうつもりで書くことにします。

>>94
>>95で答えていただいているところです。
あとその設定を流用したネタとか二次小説とかをいくつか見かけたくらいですね。
明確なソースは不明です。
98 ◆7vhi1CrLM6 :2007/09/18(火) 20:24:19 ID:6B17bnCx
竜馬・クインシィ・ジョナサン・ラキ、予約します。
苦戦中なんで間に合いそうにないときに予約取り消しするかもしれません。
99それも名無しだ:2007/09/18(火) 21:03:49 ID:/35HXLdH
>>98
予約ktkr!
無理せずに頑張ってください。
100それも名無しだ:2007/09/21(金) 18:07:16 ID:q3nxR6LR
>>98
気付くの遅くなったが期待してるよ!
少しくらいの延長なら気にしないでしてくれ
101私は人ではない ◆7vhi1CrLM6 :2007/09/21(金) 21:09:15 ID:srwgs841
「動きそうか?」

暗い森の真っ只中に直立している金色の機体――百式。
その輝く装甲の隙間からひょっこりと頭を出したクインシィ=イッサーを見つけて、ジョナサン=グレーンは声をかけた。

「無理だな。派手な損傷は見当たらないが、壊れているようだ」

装甲の上に立ち上がり、彼女はこちらを見上げて話を続ける。

「これに乗っていたのがお前の言うキラとかいう奴なのか?」
「いや、違うな。奴は戦艦に乗っているはずだ」

本来キラが待っているはずの場所にキラの姿はなく、変わりとして近場に残されていたのがこの百式だった。
ということはだ。

「Jアークにその機体のパイロットも同乗して移動したのだろう。周囲に戦闘の跡もない」
「どう思う?」
「どう思うとは?」
「パイロットについてだ。コックピットでこんなものを拾った。見えるか?」
「ちょっと待て……。よし、いいぞ。良く見える」

慌てて手元を操作してクインシィが摘んでいるものを拡大してモニターに表示する。
そこには20cmあまりの茶色い糸のようなものが映し出されていた。

「これは……頭髪か。だが、それがどうした?」
「他に緑のものと5cm程度の白いものと黒いものの種類が確認できる。そしてさらにこれだ」

目を細めて新たに画面に向かって掲げられた白い一本の線を注視する。

「長いだけで特に違いはないと思うが……」
「よく見ろ。全体的に太く、弾力を持っている。これは髭だな。猫の髭なんかがちょうどこんな感じだ」
「四色の毛に動物の髭……そいつは人間か?」
「わからない。しかし、可能性は考慮しておいたほうがいい」

動物の特徴を持ち、なおかつ機動兵器を操縦しうる存在。
そんなものを考え、思い浮かんできたのは――

「化け猫……まさかそんなものが実在するとでもいうのか」
「オルファンやアンチボディーだって発見されるまではそんな存在があるとは、夢にも思われていなかった。
 それに我々を集めたあの化け物に比べればその程度の存在可愛いものだ」
「だが、そんな奇抜な者がいれば最初の場所で……待てよ。
そういえば仮面を被った者がいたな。一人……いや二人か」
「そういうことだ。馬鹿げているとは思うがこの環境に適応するしかあるまい」
「しかし、与太話もここまでだな。熱源反応が一つ。迷走しているが確実に近づいてくる」

空気が変わり、動きが変わる。緊張が充満していく。
すぐさまゲッターに乗り込んだクインシィから通信が入り、レーダーから視線をずらした。

「この反応は……ジョナサン、敵だ。問答無用で叩き潰すぞ」

獲物を見つけた猫のような顔がそこにあった。それにジョナサンもにぃっと笑い、答える。

「ならばまずは俺にやらせろ」



ほの暗い森の中に何かがきらめくのを見つけて流竜馬は大雷凰の動きを早めた。
きらめきの元が何かまでは判断がついていない。しかし、何か金属質なものが月明りを反射したものであることは間違いない。
この世界で、こんな森の中、そんなものは機動兵器ただの一つしか存在しない。
102私は人ではない ◆7vhi1CrLM6 :2007/09/21(金) 21:12:09 ID:srwgs841
 つまりは己の敵だという事だ。

 ――隼人を殺った奴か?

 一瞬の自問。同時にそんな考えが頭を過ぎった自分を苦々しく思い、苛立つ。
 それが、長年追い求めてきた仇敵を目の前で掻っ攫われたことによるものか。
 あるいは、かつての仲間を眼前で殺されたことによるものか。
 それを考える思考を竜馬は持たない。というよりは、思考の方向性がそちらを向いていないといったほうが正しいか。
 己の気持ちの在り処を探るよりも、そういう行為自体を疎ましく思う――そういう荒い気質の持ち主なのだ。

「へっ、関係ねぇ。奴が隼人を殺った奴だろうとなかろうと敵はぶっ潰す」

 竜馬が口元で笑い。大雷凰が一足跳びに黒々とした木々を飛び越える。
 眼下には20m前後ほどの機体が一機。大鎌を頭上に大きく振りかざし、迷いもなくそこに飛び込む。

「うおおおおぉぉぉぉぉおおおおおおおおお!!!!」

 獣のような咆哮と共に大鎌は月夜に振り下ろされた。
 金色の機体が真っ二つに切り裂かれ、刀身が深々と大地に突き刺さる。
 そして、大地に亀裂が走り、その中心から高速回転をするドリルと共に真ゲッター2が姿を現した。

「何だと!!」

 差し迫るドリルに、大鎌を引き抜く余裕もなく手放し、咄嗟に地を蹴り上空へ飛び退く。
 次の瞬間、大雷凰はドリルの回転に掻き乱され巻き起こった竜巻状のエネルギーに呑み込まれた。

「かかったぞ、クインシィ!」

 翻弄される大雷凰を尻目に、赤・白・黄、三色のゲットマシンがその渦に乗り脇を駆け抜ける。

「おうさ、ジョナサン!」

 大雷凰が押しやられ、追い込まれていくその先で三体のゲットマシンは合体し、赤い悪魔が姿を現した。
 見ずとも、聞かずともゲッター1を知り尽くした竜馬には分かる。この後に来る攻撃は――

「ゲッタアアァァァァアアアッッ!! ビイイィィィィム!!!」
「なめんじゃねええええぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええ!!!!」

 ピンクの閃光が鋭く走り、大雷凰の肩口を抉り飛ばし、大地に穴を穿つ。
 瞬間、ドーム上の火球が地表に現出し、その余波で真ゲッター2の巻き起こした竜巻は吹き飛んだ。
 その中心を竜馬は駆け上がる。ゲッターに向かって、一直線に、脇目も振らず。
 ゲッタービームを放ったことによる僅か零コンマ数秒にも満たない硬直。その隙に二機の距離は詰まり、大雷凰の左腕はゲッターの頭部を鷲掴み、無造作に引き寄せる。
 駆け上がってきた勢いそのままの膝蹴りが、ゲッターの腹部にめり込む。
 ゲッターの巨体が折れ曲がり、僅かに浮かび上がったその刹那、腹部から閃光が迸った。
 だが、すでにそこには大雷凰はいない。その姿は遥かな上空に存在していた。

「へっ! 隼人の野郎に見込まれただけあって、ちったぁやるじゃねぇか」



 大雷凰は左腕で鷲掴みにした頭部を膝蹴りの時には既に離し、腹部を蹴り上げたその瞬間には、勢いを殺さず流れるように上空に離脱した。
 その動きを目の当たりにして、クインシィは一つの疑念を頭に抱く。

「奴はこの機体を知っている?」

 現実には流竜馬は真ゲッターのことを知らない。しかし、ゲッターについては熟知している。
 ゆえにゲッタービームの発射口の存在するゲッター1の腹部、ゲッタードランゴンの額、その二点に対する注意は片時も怠っていなかった。
 この差は地味なようでいてかなり大きい。
103私は人ではない ◆7vhi1CrLM6 :2007/09/21(金) 21:14:27 ID:srwgs841
 真正直に使ったときのみならず、兵装を知らないことによる不意打ちも成立しないだろう。
 ならばどうする、とクインシィは自問する。そして、その答えは決まっていた。

「ジョナサン、正攻法で奴を突き崩す。大技はここぞというときにとっておけ」
「クインシィ、なにびびってる。たった一機の! それも半壊した機体だぞ!!」
「侮るなと言っているのだ」
「どうした? オルファンのクインシィ=イッサーともあろうお方が臆したのか」
「そうではない」
「なら、決まりだな!」

 ゲッターが分離し、ジャガー号が先陣をきって大雷凰に突撃する。
 こうなってしまっては渋々追いかけるほかなかった。

「ジョナサン! ちぃっ!!」

 距離は十全。合体は可能だ。
 機体を故意にぶらせて速度を削ぎ、ベアー号を先に行かせる。
 ジャガー号とベアー号がドッキングするその先で、大雷凰が重心を落とし低く構えるのが見えた。
 そしてその次の瞬間、大雷凰は一筋の雷の如く天から突撃を開始する。
 十全と思われた距離が潰れていく。

「しまった!」

 間に合うか――そう頭に思い浮かべたときにはレバーを引いていた。
 二つの声が響き唱和する。

「チェエエェェェエエエエンジ!!」
「ゲッタアアァァァアアアア!!!」

 両脚部に変化したイーグル号がベアー号とドッキングを果たし、ライガー号からは両椀が突き出していく。
 その右腕には巨大なドリルが、左腕には鉤爪のようなものが構成され、ワイヤーやケーブルが剥き出しの椀部を白いパネルが覆い尽くしていく。
 そして、最後に頭部が僅かに迫り出し、両眼が見開かれた。

「逝けよやああぁぁぁああああ!!!」

 既に激突寸前、無に等しい距離の中を真ゲッター2は右腕のドリルを突き出し加速する。
 大雷凰の蹴りは真ゲッター2の腹部を掠め抉り、真ゲッター2のドリルもまた大雷凰の脇腹を掠める。
 高速回転を続けるドリルと装甲の狭間で火花が散り、耳に衝く甲高い高音と焦げ臭い異臭を放つ。

「ジョナサン、次が――」

 全てを言い終わる前に大雷凰に肩膝でのしかかられるような格好になり、拳が顔面にめり込む。
 続けて二発三発と打ち込まれ体勢が崩れ、四発目を掌で打ち込まれてそのまま顔面を押さえつけられた。
 一瞬の浮遊感。そして、一気に落下が始まる。

 ――叩きつけらる! 地面に!!

 サブパイロットの位置座り込んだとて、ゆっくりと落ち着いている暇はない。
 メインパイロットは目の前の敵に意識を集中せざるお得ない。その分、周囲に対する警戒はこちらの肩に圧し掛かってくる。
 計器を読み取る。
 高度は――十分。
 レーダーは――東に熱源反応。

「ちぃっ! ジョナサン、オープンゲットだ!!」

 返事を待たずに強制分離。
 三つに分かれたゲットマシンはそれぞれに大雷凰の脇をすり抜ける。
 急速に離れ、大地へと降り立った大雷凰とは対照的に上空で合流すべく上昇を続けるゲットマシン。
104支援:2007/09/21(金) 21:15:20 ID:mBtBOcpB
 
105私は人ではない ◆7vhi1CrLM6 :2007/09/21(金) 21:17:04 ID:srwgs841
 その中でクインシィは目まぐるしく周囲を伺い、見つけた。
 まだ夜明けまで程遠い東の空、森林の上を飛ぶ蒼いブレンパワードの姿を――

「ジョナサン、勇がいたぁ! 勇がぁ!!」



 蒼くまっすぐな長い髪と抜けるほどの白い肌を持った青年期の女性グラキエース。
 彼女は蒼いブレンパワードの中で必死の抵抗を続けていた。
 視界の内では二機の機動兵器が死闘を演じている。
 一つは、赤いマフラーを首に巻き、片腕と頭を失った機体。
 もう一つは、西洋の小悪魔を思い起こさせるシルエットの赤い機体。
 それらが放つ猛々しいまでの激情が、体を取巻いていた。
 流竜馬の内に篭る激しい復讐心が、ジョナサン=グレーンとクインシィ=イッサーの捻じ曲がった肉親に対する情念が、肌に纏わりつきじわじわと浸透してくる。
 その感覚は無視できるほど弱くはなく。
 また理性を失わせるほど強くもなく。
 もどかしい。
 好物を目の前に、焦れて体から湧き出たメリオルエッセの本能が囁きかけてくる。
 あれをよこせと。
 あの感情のベクトルをこちらへ向けろと。
 そのぞくぞくと這い上がってくる陰湿な本能に嫌悪し、かぶりを振った。

 ――嫌だ! そんなこと……私は望んでいない!!

 拒絶に意味はなかった。
 負の感情を吸い取るように作られた体は、意志の力に左右されはしない。
 しかし、体は意志に容赦なく干渉してくる。
 それに反抗するということは、弄られているようなものだった。
 いっそ流されてしまえば楽なのは目に見えて分かっている。
 だけど、流されるということは昔の自分に戻るということだ。
 ジョシュアと会う前までの自分に戻るということだ。
 ジョシュアと出会ったことが、過ごした日々がなくなるということだ。
 それは、苦しい。泣き出したくなるほどにつらい。
 でも、流された苦痛の先に快楽が見える。このままではいつか押さえが利かなくなる。
 逃げよう。
 この場に残っていても意味はない。
 ここから少しでも遠くに、遠くに逃げよう。
 そう思ったとき、体を包み込む情念が数倍に跳ね上がった。愛憎の入り混じった複雑で強烈な情念が向けられている。

 ――どこから? 何故、私に?

 体が強張り、自分を自分で抱きしめるようにして身を縮める。
 無理だ。
 もう耐え切れない。
 ここから早く逃れよう。
 そう思い動き出そうとした瞬間、栗毛でショートカットの少女がモニターに映し出された。

「勇ッ!!」

 少女が叫ぶ。その声に乗って情念の波が襲ってくる。
 腕に力を込めて、唇を噛み締めて押し黙り、波が過ぎ去るのをじっと耐えて待つ。
 モニター越しの少女の表情が瞬く間に曇っていき、眉間に皺が寄っていくのが見えた。

「お前は誰だ? 何故、勇のブレンに乗っている?」

 愛しさの入り混じった捩れたものから純粋な憎悪へと感情の質が変わる。
 そしてそれが真っ直ぐ射抜くように自分へと向けられている。
106私は人ではない ◆7vhi1CrLM6 :2007/09/21(金) 21:19:23 ID:srwgs841
「答えろ! 勇をどこへやった?」

 全身に血が巡る。
 メリオルエッセとしての本能が押し寄せる。
 押さえつけていた理性の箍が外れていく。
 それを必死で繋ぎとめる。

「勇だよ! 勇を出しなさい!!」

 問いに答える余裕は既にない。
 痺れを切らした少女の通信が途切れる。
 ぼやけた視線の先で赤い悪魔が姿を消し、間際に現れた。
 同時に振り下ろされた巨大な斧を、咄嗟に半身になってかわす。
 そしてそのとき、迫る斧に対応するために意識がわずかに削がれた。
 一瞬だった。
 その刹那とも言える一瞬で、驚くほどあっけなく理性は敗北する。
 押し切られ、一線を越えて――心が堕ちてゆく。
 後はもうふわふわと浮ついた夢のようで、何が何だかよく分からなかった。



 赤いマフラーの機体と赤い悪魔が真っ向から衝突し、押し合い、せめぎ合う。
 その間隙を縫って、蒼いブレンパワードが駆け抜ける。
 大雷凰、真ゲッター、ネリー・ブレン、三機の機体が入り乱れていた。
 その内の一機――真ゲッターの中でジョナサン=グレーンは「まずいことになった」と一人ぼやく。
 ここで三つ巴の形になるということは予測していなかった事態だ。
 半壊した機体を落とし、敵対する参加者を一人減らす。それが目的だったはずだ。
 それが、クインシィが勇のブレンパワードを見つけたことで狂った。
 戦いの最中には時として思いがけなかったことが起こるものだ。三つ巴になったこと事態がその現われといっても良い。
 三つ巴になったことでそれが起こる可能性は飛躍的に高まった。
 一対一ではありえなかった事態が起こりうる。
 これを二対一の形に持っていけば危険性は格段に減るのだが、クインシィの気性はそれを受け入れないだろう。
 ならばやることは決まっている。

「クインシィ=イッサー」
「うるさい! 何だ!」

 戦闘中である。視線も合わせずに怒鳴り返された。
 が、ここで怯むわけにもいかない。不機嫌を買うことを承知で話を続ける。

「ここは引き上るぞ」
「な……に?」
「俺だって、引き上げ時ぐらい知っているつもりだ」
「正気かジョナサン? 勇のブレンパワードがいるのだぞ!」

 ここでクインシィを説得できるかどうかが一つの分かれ目だった。
 元々理屈の分からない女ではない。それを受け入れる余裕が有るか否か、そこが問題なのだ。
 そして、今はそれが有ると踏んでいた。
 先の読めない三つ巴の中にどっぷりと漬かってしまうわけにはいかない。

「あのブレンパワードに乗っているからといって、伊佐美勇と面識があるとは限らない。
 ここでは何のゆかりもない機体に乗っている奴が五万といる。それはご存知のはずだ。
 ならば、下手に潰し合いに混ざるよりは離脱したほうが得。そういうことだ」
「ブレンパワードはオルファンを傷つける」
「それの後始末も上手く行けば奴がやってくれる」
「だが……くっ!!」
107私は人ではない ◆7vhi1CrLM6 :2007/09/21(金) 21:21:05 ID:srwgs841
 そこで会話が途切れた。
 踏み込み振るったゲッタートマホークが隻腕となった大雷凰に掴まれたのだ。

「悪いな。鎌より斧のほうが好きなんだ。こいつは貰っていくぜ」

 通信に割り込んできた男の声が鼓膜を揺らす。
 同時に衝撃が奔り、ゲッターが地面に背中から蹴り落とされる。

「クインシィ、体勢を立て直せ!」
「今、やっている!」

 大地に激突し、起き上がろうとしたゲッター。
 その腹の上でバイタルジャンプを示す鋭い異音が鳴った。
 途端に背筋にぞくりとした悪寒が走る。
 そこは僅か装甲一枚を隔てたコックピットの向う側。直線距離で言えば1mもない。
 画面一杯に映し出されているブレンよりも、直にコックピットに反響してくる音に恐怖を感じる。
 突きつけられたブレンバーにチャクラ光が灯るのが鮮やかに目に映っている。
 ゴトリ、とゲッターの装甲を足場として確保した音が直に響き、顔が蒼白になり、叫んだ。

「クインシィ!!!」

 が、次の瞬間、それは発射されることなく、異音と共にブレンの姿は掻き消える。
 そして、代わって視界を占めたのは唸りを上げて迫り来る大雷凰の蹴り。
 右手で近場に転がっていた百式の半身を掴み、横から叩き付け、そのまま横に転がるようにして蹴りをさけた。
 画面の向うで唇を噛み締めつつクインシィが叫び、判断を下す。

「ちっ! ゲッター2で地中に潜行。その後、離脱する。いいな!!」
「その言葉、待っていた!!」

 瞬間、分離。千に砕けた金色の破片が降り注ぐ中、ゲットマシンは上空を目指し、真ゲッター2へと姿を変えた。
 一転して、大雷凰直上からの垂直降下。

「そこにいると怪我するぜ。ドリルハリケエエェェェエエエエン!!!!」

 叫び、右腕のドリルを突き出し、速度を上げ、全速で突っ込む。
 サイドステップでさけた大雷凰を掠め、大地にまともに激突する。
 が、これでよかった。ゲッター2の右腕はいかなる岩盤をも打ち砕き大地に穴を穿つドリル。
 地中へとゲッターは潜行し、その姿を隠した。



 岩盤を掘削する音が遠のいていく。ゲッターの放つ信号がレーダーの範囲外に抜けていく。
 途中で地上に出たのだろう。その速度は驚くほど速い。
 追いかけることは既に諦めていた。
 地上を疾駆するゲッター2に追いつける存在など在りはしない。

「また逃げやがったか……」

 口から漏れた言葉はゲッターにだけ向けた言葉ではない。あの蒼い小型機もまたいつの間にか消えていた。
 二機――否、隼人を落とした機体も合わせれば三機とも逃した。
 結局、この30分余りのいざこざが竜馬に残したものといえば、他には真っ二つに切り裂かれた機体の半身とゲッタートマホーク。
 代償は大雷凰の片腕とゲッターサイト。それに自身の体力の消耗だった。
 望んだ戦果には程遠い。

「ちっ! けちが付いてやがる」

 その付き始めはおそらくあの濃紺の可変機と相対したときからだろう。
 あの一戦で負った損傷が大雷凰の力を大きく削いだ。
 そして、その後戦闘を重ねるにつれて徐々に、しかし確実に大雷凰は力を落としていっている。
108私は人ではない ◆7vhi1CrLM6 :2007/09/21(金) 21:23:58 ID:srwgs841
 決まると思った攻撃が決まらず紙一重でかわされる。
 機体の動きと体の動きの間に僅かな齟齬が生じてきている。
 一度調整が必要だった。

「このまま勝てれば楽なんだがな……」

 誰に言うともなく呟き、竜馬はサブモニターに地図を引き出した。
 現在地から東、あるいは西に四ブロック。そこに存在する基地に目が止まる。
 整備の為の設備ぐらいはあるだろう。部品の有無は分からないが、最悪この金ぴかの機体を使えば良い。
 規格はまず合わないだろうが、何一つ流用できないということも考えにくい。
 整備のことを考えるなら間違いなくそこだった。
 だが、そこは同時に他の参加者が集まりやすい場所でもある。
 だったらどうする――

「へっ! そんなことは関係ねぇ」

 蹴散らし、血祭りに上げる。ただそれだけだ。
 大雷凰もまだ二三戦は優に戦えるだけのタフさを持っている。
 頭部を?がれ、片腕を失った現在でさえ、あの見知らぬゲッター相手だろうと遅れを取るとは微塵も思っていない。
 ギラついた目で竜馬は笑う。
 あらゆる物に化け、何処からともなく無数に沸き、襲ってくるインベーダー。それを相手にした月面戦争。
 復活した早乙女博士を相手に、大地を覆い尽くすゲッタードラゴンの群に囲まれていたここに飛ばされる寸前の状況。
 それらに比べれば、この程度の状況はぬるま湯につかっているようなものだ。
 巨大な鉞を肩に担ぎ、百式の半身を引き摺り、大雷凰は再び動き出す。
 目指す先はG-6基地。その足取りはしっかりと大地を捉え、迷いなくゆるぎないものだった。



 流竜馬から北にちょうど50km――C‐5地区の暗い森の中にネリー・ブレンは姿を隠していた。
 その中で、ラキは体をブレンに預け、ぼんやりと木々を眺めていた。
 戦場から離脱したのはラキの意志ではない。ブレンが独断で跳んだのだ。
 あのときのことは夢の中の出来事のようにしか覚えていなかった。
 醒めてしまえばそれは途切れ途切れの記憶の断片とでしか残らない。
 しかし、それでもおぼろげにどういうものだったのかは分かる。
 ギンガナムに立会いを申し込まれたときはこうではなかった。
 明らかにメリオルエッセとしての機能が修復していっている。本能が、欲望が増している。
 それが徐々に進んでいるのか、負の感情に当てられたときに一気に進行しているのかはわからなかった。

「くくく……フフ……ハハハハハハハハ……」

 ひとしきり笑い。そして、肩を震わせて泣いた。
 ぽろぽろと大粒の涙が零れ落ちる。

 今になって本当の意味で自覚する。
 私は人ではない。
 もしかしたら、もうメリオルエッセですらないのかもしれない。
 少なくともジョシュアに出会う前、純粋なメリオルエッセであった頃には、こんなに惑わされなかった。
 こんなにも自分の体を嫌だと思うことなんてなかった。
 ジョシュアの心と混ざり合うまでは感情が希薄だった。
 そのせいかも知れない。
 人と混ざり、メリオルエッセでもなく、人でもない――半端者。
 私は壊れているのだ。
 だからといって心を捨て去ることも出来ない。
 それは裏切りだ。
 ジョシュアに対する酷い裏切りだ。
 ジョシュアは言ってくれた。
 人でなくても関係ないと。
109私は人ではない ◆7vhi1CrLM6 :2007/09/21(金) 21:25:43 ID:srwgs841
 でも私はやっぱり人になりたかった。
 ジョシュアと同じ人になりたかったんだ。
 だからいくら辛くてもこの心は捨てれない。捨てられない。
 もう人になることが叶わぬとしてもせめて……。
 せめてあの頃に戻りたいんだ。
 ジョシュアがこんな私でもいいと言ってくれた、あの頃の私に。



【クインシィ・イッサー 搭乗機体:真ゲッター2(真(チェンジ)ゲッターロボ〜世界最後の日)
 パイロット状態:疲労小
 機体状態:ダメージ蓄積
 現在位置:C-6
 第一行動方針:ジョナサンと共にキラのところへ
 第二行動方針:勇の撃破
 第三行動方針:ギンガナムの撃破(自分のグランチャーを落された為逆恨みしています)
 最終行動方針:勇を殺して自分の幸せを取り戻す】

【ジョナサン・グレーン 搭乗機体:真ゲッター2(真(チェンジ)ゲッターロボ〜世界最後の日)
 パイロット状態:良好
 機体状態:ダメージ蓄積
 現在位置:C-6
 第一行動方針:クインシィと共にキラと合流
 第二行動方針:キラが同行に値する人間か、品定めする
 第三行動方針:強集団を形成し、クインシィと自分の身の安全の確保
 最終行動方針:クインシィをオルファンに帰還させる(死亡した場合は自身の生還を最優先)
 備考:バサラが生きていることに気付いていません。

【流 竜馬 搭乗機体:大雷鳳(バンプレストオリジナル)
 パイロット状態:怒り、衰弱
 機体状態:装甲表面に多数の微細な傷、頭部・右腕喪失、腹部装甲にヒビ、胸部装甲に凹み
 現在位置: C-6
 第一行動方針:G-6基地で機体の整備
 第二行動方針:クルツを殺す
 第三行動方針:サーチアンドデストロイ
 最終行動方針:ゲームで勝つ
 備考1:ゲッタートマホークを所持
 備考2:百式の半身を引き摺っている】

【グラキエース 搭乗機体:ネリー・ブレン(ブレンパワード)
 パイロット状況:精神不安定。放送の時刻が怖い
 機体状況:無傷、EN残量3/4
 現在位置:C-5
 第一行動方針:アイビスを探す
 最終行動方針:???
 備考1:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分(全体量の約半分以上)な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません
 備考2:負の感情の吸収は続いていますが放送直後以外なら直に自分に向けられない限り支障はありません】

【時刻:0:30】
110私は人ではない ◆7vhi1CrLM6 :2007/09/21(金) 21:35:32 ID:srwgs841
投下終了です。支援ありがとうございました。
一時間ほどおくれてごめんなさい。
それと事後報告になってしまいましたが◇と◆を勝手ながら真似させて頂きました。
もし使い方が間違っているとか、真似するのはちょっととかありましたら、ごめんなさい。
修正します。
ご指摘のほうよろしくおねがいします。

しかし、IDにびっくりだ。
111それも名無しだ:2007/09/21(金) 21:40:49 ID:/+SeH/j3
>>110
乙でした!話もよかったけど、IDにびっくりだw

スーパーロボッ!スーパーロボッ!
112 ◆7vhi1CrLM6 :2007/09/21(金) 21:41:48 ID:srwgs841
と思ったら単純ミスが…。

×【時刻:0:30】
○【二日目0:30】
113それも名無しだ:2007/09/21(金) 21:51:24 ID:mBtBOcpB
>>110
投下GJ!まずIDに驚いたw
ゲッターと竜馬のバトルが熱い。
ジョナサンが結構ノリノリでゲッターを扱っているのがw
そしてラキ……あぁ、鬱い。だがそれが良い。心理描写が秀逸でした。
竜馬はこの後基地を目指すか……基地ってアレがあるんだよな……!
今後の展開が気になる一作でした。GJ。

んで誤字っぽいところを指摘。
>>101
>本来キラが待っているはずの場所にキラの姿はなく、変わりとして近場に残されていたのがこの百式だった。
「変わり」は「代わり」の誤変換でしょうか?
>>103
>――叩きつけらる! 地面に!!
「れ」が抜けてるっぽいです。

◇と◆の使用についてはどうやら自分の拙作からのようで……
使い方は、完全に視点変換の時は◆、軽く雰囲気を変えたいときは◇って感じで結構適当ですw
◆7vhi1CrLM6さんが使うことに関しては全然大丈夫です。
114それも名無しだ:2007/09/21(金) 22:08:26 ID:CXXOkTUt
投下GJ
竜馬すげえな。まだ生き残ってるぜ。

何にせよ恐ろしいIDだ。

スーパーロボット大戦ガールズサイド って読めちゃうぜ
115それも名無しだ:2007/09/21(金) 23:14:56 ID:6uWKsbLI
GJ!これから竜馬どうなるんだ、ムサシ(違う世界のだが)も死んじゃったし不安だぜ

>>114
これで4が0だったら スーパーロボット大戦ガールズサイドやおい
だったんだぜ!なんて恐ろしいIDだ
116それも名無しだ:2007/09/22(土) 00:32:35 ID:zeoJy4qe
キョウスケカミーユ道中がどんどん荒廃していくw
117それも名無しだ:2007/09/22(土) 03:26:54 ID:ggEv1go8
>>114-115
スーパーロボット大戦ガールズサイドやよいって今のままでも読めるなw
どんなIDだよwww
118それも名無しだ:2007/09/22(土) 10:36:45 ID:zlPhalU1
>>110
ラキの独白がマジ切ないぜ……ジョシュア、彼女を置いて逝くなよぉ(´Д⊂ヽ
119 ◆7vhi1CrLM6 :2007/09/22(土) 19:16:42 ID:sTHVxa2C
感想、ありがとうございました。
IDに対する反応の多さにビックリだ。

>>113
誤字・脱字の指摘ありがとうございます。
まったくもってその通りで、投下前の見直しの甘さを痛感。
記号は◆は場面転換・◇は視点転換ぐらいに考えてました。
説明までしてくださってありがとうございました。
120それも名無しだ:2007/09/24(月) 15:46:21 ID:JMR3THF0
そういえばシャギアが首輪解析に乗り出しそうだけど、解析スキル持ってないよな?
生存中の首輪解析スキル持ちって誰がいたっけ?
ユーゼス・アムロ・竜馬はいけるとして
機械に強そうな人:バーニィ・キラ・カミーユ・ガロード
爆発物の知識を持っていそうな人:ガウルン・クルツ
このあたりはどうなんだ?
121それも名無しだ:2007/09/25(火) 00:46:54 ID:+fi4x/9k
局長とベガさんも知識はありそうだな
122それも名無しだ:2007/09/25(火) 10:13:05 ID:k7Fgh87i
原作では爆発物は得意な方でなかったみたいだからクルツはないと思われる

あと解析フラグ持ちはNASA帰りの甲児と意外なところではトモロか
ナデシコはオモイカネが存在していれば解析も可能かと

首輪に関してはJアーク最強説
123それも名無しだ:2007/09/25(火) 11:35:57 ID:Ohen1Xmq
いや、ここの甲児はOVA版
言わば一番バカな甲児だw
124それも名無しだ:2007/09/25(火) 12:07:44 ID:CD9DVhuU
局長って誰のことだっけ?
125それも名無しだ:2007/09/25(火) 14:22:19 ID:vbuC0QEi
ブンドルじゃないか?
情報局局長って立場だった気がする。でも確かSS中で解析スキルは無いと言われてた気が……
126それも名無しだ:2007/09/25(火) 19:45:51 ID:9/Rvwn9R
そういえばもういないけど隼人もIQ300でプラズマエネルギー駆動のネオゲ開発に携わってたっけ
ロボットの組み立てが得意なアスランも惜しい人材だったな
127それも名無しだ:2007/09/25(火) 20:08:56 ID:LVIEN9z+
死者スレからお越しのあの方が一言物申したいそうです。

総代「我がフューリーの技術はァァァアアア世界一ィィィィイイ!!」

ごめん勢いだけで書いた。
以下何事もなかったかのようにお楽しみください。
128それも名無しだ:2007/09/25(火) 20:40:00 ID:y3RiL7Qo
死んだ中じゃたしかに隼人の技術力は随一だったね
全参加者の中でもユーゼスと並んで一二だと思う
他はヒイロなんかも地味にバーニィと同程度の技術力は持ってたんだぜ

>>125
ああ、ブンちゃんだったのか
サンクス!

>>127
死者スレから出てくんなwww
129それも名無しだ:2007/09/25(火) 20:59:43 ID:ruR3aZ1c
>>127
ここはお前のくるところじゃない!出て行けー!
130それも名無しだ:2007/09/25(火) 21:24:59 ID:mKDNfN2I
キラさんも工学部なんだぜ一応
ハイマットフルバーストは本来できない機能だったのに自作プログラムで完成させたらしいぜ
131それも名無しだ:2007/09/25(火) 22:43:55 ID:DUzuRUen
キラは解析はできても爆発物の知識はないから、誰かと合流する必要があるんだけど
局長は情報局っていうくらいだから、爆発物の知識はあるんじゃね?
ダイと違ってJアークなら嫌がらないだろうし。
個人的にキラはアムロと絡んで欲しいな。同じ仇っていう共通点もあるし
132それも名無しだ:2007/09/25(火) 23:03:10 ID:oj/hTFUf
ソフト担当者のアムロとハード担当者としてのアムロ、って意味でも合っているかもな。

ソフト担当者と言う意味ではキラが一歩抜きん出てる感じがあるけれど
優秀なハード担当者っぽい人って思い浮かぶ?
133それも名無しだ:2007/09/26(水) 00:13:03 ID:DHed6i7V
νの設計したアムロ、ゼータの設計案出したカミーユ(ちょっと弱い?)
あとは言わずもがなのユーゼスくらいか?
シャアやアスラン、隼人とか優秀な技術者のきなみ死んだからなぁ
134それも名無しだ:2007/09/26(水) 10:15:24 ID:hJIVLz+7
廃棄されていた旧ゲッターを出力10倍にしてブラックゲッターに改修した竜馬もかな
マーダーだけど
あとは数段落ちるけどザク修理のバーニィとジャンク屋やってたガロードとか
かなり弱いか

そういえばアストロノーツとしての訓練受けてたアイビスとかはどうなんだ?
曲がりなりにもクルー三名で外宇宙へ飛び出そうとしてたんだし、多少は機械に強くないもんかな
135それも名無しだ:2007/09/26(水) 13:25:00 ID:NCWTh99J
>>134
俺のイメージで言うと、あの三人の内でもアイビスとスレイは簡単な整備くらいが限界な気がする。
設計はフィリオとツグミがメインだったはずだし、アイビスなんか自分の機体にリミッターかけられてることにすら気づかなかったんだぜ?

つーかこうやって首輪解析話を視野に入れれるくらいまでこのスレが進んだことが嬉しい。
始まった当初は一次のほうの人にかなり迷惑かけちゃってたよなw
両方とも無事にゴール出来ることを祈ってます、はい。
136それも名無しだ:2007/09/26(水) 19:30:20 ID:eYqLRueT
えっとまとめるとこんな感じかな。

・万能
 ユーゼス(なんとなく)・オモイカネ・トモロ
 隼人(ネオゲ開発)・アスラン(ハロ・トリィ・OS改修)

・ハード(機械面)
 アムロ(ν設計)・竜馬(ゲッター改修)
 カミーユ(Z設計案)・バーニィ(ザク修理)・ガロード(ジャンク屋)・ヒイロ(W修理)

・ソフト(プログラム面)
 キラ(ハイマット・アストレイ)・カズイ?(なんとなく)

・爆発物に関する知識
 ガウルン(テロ屋)・ベガ(ベーゴマ爆弾?)・ブンドル(情報局局長)

・バカ?
 甲児・総代・アイビス

シャアって名前あがってるけど何かしてたっけ?
機体関係だとジオング見て「足がない」って言ってるイメージしかない。
137それも名無しだ:2007/09/26(水) 23:09:26 ID:DA0i3WF4
>>136
爆発物はクルツが密かにスペシャリストという設定だった筈。
狙撃主としてのほうが有名だけど。
138それも名無しだ:2007/09/26(水) 23:39:58 ID:abMw4jzU
ん?
>>122>>137どっちが正しいんだ?
原作未見だから混乱する。
すまんな。
139それも名無しだ:2007/09/27(木) 11:30:32 ID:gvU+e+MS
>>137
原作だと宗助と1対1でガチの殺し合いをしたことがあり、そのときは爆発物と狙撃のコンボで戦った。
結果はクルツの弾切れ、宗助機の故障で引き分け、両者撤退。

フルメタではマオが対爆発物のエキスパートだけど、SRT要員は基本的に
万能選手だから他のクルツを含めた面子もある程度の爆弾解体は可能だと思う。
140それも名無しだ:2007/09/27(木) 13:00:48 ID:PXqkb0N6
でもまぁ、ここの首輪はアインストの手が入ってる分単純な爆発物じゃないようだし、普通の爆弾解体スキルくらいじゃ役に立たないかもな。
この首輪ってアインストの影響調べてからじゃないと迂闊に手が出せないだろうし。
そういう意味ではサンプルに余裕があるユーゼスが有利な気がする。
DG細胞がアインスト細胞にどういう影響を及ぼすかが鍵?
141それも名無しだ:2007/09/27(木) 13:29:59 ID:jeHGjj5C
一方、かなめは電子レンジを使った
142それも名無しだ:2007/09/27(木) 18:06:32 ID:um3mEgjR
サンプルならナデシコ組にも余裕あるんだぜ
シャギアとテニアが持っているので2つだ
ついでに足元に1つ埋まってるし
オモイカネがいるからアムロあたりが合流できればこの集団も解析進みそうな気がするな

DG細胞で思い出したんだがギャリソンさんのだけじゃなくガウルンの首輪も感染してそうだよな?
143それも名無しだ:2007/09/27(木) 20:51:55 ID:3l8aOI29
ナデシコにアムロ合流はヤバいだろ…フロスト兄弟的に考えて。
ガウルンはもう本人が感染してるんだから首輪だってそうだろう。

ところでアムロ→カミーユは面識ありそうだが、カミーユ→アムロってどうなん?
シャアなら確実だったろうけど、アムロって微妙だな…
144それも名無しだ:2007/09/27(木) 21:45:30 ID:AWz9Twcf
カミーユの参戦時期が不明だから今後の展開次第もとい書き手さん次第だろうな
強化人間に対する反応も変わりそうな気がする
145それも名無しだ:2007/09/27(木) 23:06:11 ID:LHCwGFfl
確かVF-22に乗るときに、可変機乗りだったという話が出ていたと思うが。
146それも名無しだ:2007/09/27(木) 23:36:00 ID:ilfU0fot
ということはZ登場後のどっかか
アムロと面識あるな

それにしても対主催者集団の関係がごちゃごちゃと絡みあってるな
147それも名無しだ:2007/09/27(木) 23:56:05 ID:MHfkgzsx
対主催は大きくナデシコ組、基地組、Jアーク組に、未だ合流は出来てないが結構近い北西の連中の四つか。
ナデシコはJアークを敵対視し、NTがいる北西連中、基地組とは相性がイマイチ。
基地組は全長20m級の機体を警戒してるので北西連中を警戒するかも。
Jアーク組はロジャー次第でナデシコ組との誤解は解けるかもしれんが……正直致命的だろ、あの別れ方。
北西連中は一番誤解フラグ少ないけどそもそも合流出来るかが怪しい。
対主催\(^o^)/オワタ
マーダーはギンガナム、ガウルン、カテジナさんがなかなか好調だなぁ。
竜馬アキトは単機でもやれる子だしテニアはステルスの本領発揮しつつある。
148それも名無しだ:2007/09/28(金) 12:23:43 ID:RRaZ7sl8
これは過去を水に流す度量の持ち主がたくさん必要だなw
149それも名無しだ:2007/09/28(金) 16:44:30 ID:Mdo5iwA4
北西連中も大まかに内分けすると三グループだな

アムロ・ブンドル:別行動中、クルツと敵対、アイビスとの関係は良好
アイビス・クルツ:険悪?
ガロード・(クインシィ・ジョナサン):後ろ二人別行動中、ジョナサン注意

一つにまとまるにはクルツの存在が問題になってる気がする
クルツはアムロ・シャア襲った他にも真ゲッターがエイジやラキに襲い掛かるの見てるしな
そんな人間関係の中で一人好き勝手暴れ回る気楽な御大将
150それも名無しだ:2007/09/30(日) 21:37:29 ID:lxcEXrVc
>>147
統夜とバーニィの消極的マーダーコンビのことも思い出してあげてください
151それも名無しだ:2007/10/01(月) 22:17:49 ID:pT/P1/J/
今頃気づいたんだが死者スレにネタが沢山投下されてるw
やべえ、シャアが良い味出し過ぎwww
152久々に死者図鑑投下しますね:2007/10/01(月) 23:04:22 ID:pT/P1/J/
                    ____
                   , ' .|:|  |  ̄ ` t
                  f . |:|  |    ヽ
                  │ .|:|  |    i`名前:ゴステロ
                  ィ , −、人,i、!,, i 愛称:ゴステロ
                ノ__,|-f i ヽ  ゛i 、ゝ声優:ランバ・ラルの中の人
                   j-.(ο)/ , .ィ iヽヽ
        ___、_      ,_ ィL .Y,」' `=ソ |i )ヽ
       ,ー,   ` ー-:";/  ||`V <_>  r'||ノ、   κ
      7"       `";( r `i |`t -==-' i || ,,>ー'" ' ̄ `-、
     /  -―  、    j |  |ヽ、 """ / f'         ヽ
     ( /     ヽ __j⌒ ゝ-j__ ヽ__ノ/ ,ノ| ;       /`ー゛
      ゝf     ::;;V ( ノ;;;;::::| r' ノ-- −' | ;      f'   i
       i:::/   ::::;;;/j  i;;;::::::;`' r      .| ;      ::|;:   l
       .>    :::::;i ヽ ノ;;;::::;;;:::ノ     .::| ;     ::::|;;:    t
       /    :::;;> 、 ヽ,_, /...    :::;;ノ| ;     ::::::|;;;:   i
      /    / `ヽ`イ_ /| `|    :;| |     ::::::|;;;:   ヽ、
     /   /l       / | |     :;|  |      :::::|;;:::     `、
     /           /  | |    :;|  |    ;  :::|;:::::     ヽ
    /           /  | |    :;/  |    ;:  ::|;:::::      `、
               /    | ヽ  ;:;ノ  j   ;::::;;;  ::|ヽ;:::      ヽ

第26話『Power trip』より登場。
スターガオガイガーを支給され、開始早々カミーユの乗るメリクリウスを襲う。
戦闘を止めるために近づいてきたゼクスとも同時に交戦し、エースパイロット二人を相手にするも、スターガオガイガーの力を奮いこれを圧倒。
が、接近してきた百式をル=カインのザカールと勘違い。戦闘を切り上げ逃走する。
続いて狙ったのはユーゼスとベガの二人組。
圧倒的なスペック差を武器に二機を追いつめる。一時はユーゼスのアルトアイゼンを機能停止寸前まで追い込むが……
ローズセラヴィーのJカイザーに半身を灼かれ、撤退を余儀なくされる。
そして既にこの時ゴステロの心は完全に狂気に支配されていた。
脳と全身を襲う激痛を晴らすために、アムロ達を襲撃。
バルキリーの非力をカバーするアムロの策をパワーで強引に破り、撃墜寸前まで追いつめるが……
突如乱入してきたブンドルにとどめの邪魔をされ、ギンガナムに場のペースを奪われる始末。
怒りの矛先をギンガナムへと向け、一撃に全てを賭ける真っ向勝負を挑む。
だが機体の特性の違いから力のぶつけ合いに破れ、死亡することになる。
好戦的な性格と強力な機体の支給から狂マーダーとしての活躍を期待していた人も多かったのではないだろうか。
結局、誰一人殺せなかったばかりかまともな勝ち星を上げることも出来なかったのは残念である。
153それも名無しだ:2007/10/02(火) 19:10:42 ID:g/QGLNTf
ひさびさの死亡者図鑑乙!
死者スレはしっかりきっかり総代が送り返されてて笑ったw
そういえば回想とか夢とかで死亡後も本編に出てきた人ってシャアとジョシュアと参加者じゃないけどララァの三人だけだったんだな。
ユリカあたりはそのうち出てきそうな気がするけど他にも誰か出てこんかな。
154それも名無しだ:2007/10/02(火) 19:41:46 ID:y/0XvdIG
いやララァはなんていうかあらゆる次元・時空を超越して例外的存在だと思うw
155それも名無しだ:2007/10/02(火) 20:11:56 ID:7sWcH5FH
エクセ姉様はまず出るな。
キラは今気絶中だが、元からの知り合い全員死んでるし…誰か夢に出るかも。
156それも名無しだ:2007/10/02(火) 21:32:32 ID:AqFKHVqm
本編乱入者はもうちょっといるぞ
アルとか美嶋とか
157それも名無しだ:2007/10/03(水) 11:22:26 ID:xYNcPQY5
>>150
統夜は人殺しは嫌だけど生きて帰りたい
でも帰る方法が優勝しか思い浮かばないからどうしようっていうビビりだろ
こう書くとヘタレ要素満載だな
158それも名無しだ:2007/10/03(水) 18:56:23 ID:WRw+mDdO
>>157
実に人間らしくていいじゃないか
159それも名無しだ:2007/10/03(水) 19:09:37 ID:UGF75DwD
ていうかそれが普通の反応だよなぁ
160それも名無しだ:2007/10/04(木) 00:06:43 ID:ocvudLGx
軍人やらなんやらで戦闘に場慣れした人が多いから統夜の平凡さが良い意味で目立つんだよな。
ほかにもバーニィやアイビスも状況に対する流され方が普通の人っぽくて好感もてるかな。
同じように割かし普通のお転婆娘だったはずのテニアはまるっきり別の方向にいっちゃってるけど、あれはあれで好きだw
161 ◆7vhi1CrLM6 :2007/10/05(金) 18:17:35 ID:kbqn4UtA
統夜・カテジナさん・キョウスケ・カミーユを予約したいのですが、ぶっちゃけ自己リレーになるうえに後ろ二人は話数も余り離れていません。
後ろ二名抜きでも話を書くことは可能です。
そんなわけで予約してもいいかどうかお伺いしたいのですが、どうでしょうか?
162 ◆C0vluWr0so :2007/10/05(金) 18:39:23 ID:7bMGLBb+
俺は全然良いと思いますよ。
最近は書き手さんの数も多いとは言えませんし、自己リレーとかはあまり気にせず書けるところはドンドン書いてもらいたいです。
つーか自己リレーさせざるをえないこの状況にしちゃったことに自分の不甲斐なさを感じたり……
ってことで俺も完成のメドが立ってきたのでブンドル・御大将・ガロード・アムロで予約します。
163それも名無しだ:2007/10/05(金) 21:33:48 ID:PwlYrv0e
>>161
あんまり頻繁にじゃなかったらいいと思うよ
他の書き手の人のGOサインも出てるし書き手も多くないし
書いちゃいなよw

>>162
御大将四面楚歌w
でもすごく楽しそうな御大将の姿しか思い浮かばないwww
wktkしながら待ってる
164 ◆7vhi1CrLM6 :2007/10/06(土) 00:36:57 ID:RWP3lE2u
>>162
いえ、書けるパートが少なくなったのは半ば自滅ですので気にしないでください。
新作楽しみに待っています。

では改めて統夜・カテジナ・キョウスケ・カミーユで予約させていただきます。
165吼えろ拳/燃えよ剣 ◆C0vluWr0so :2007/10/06(土) 06:02:38 ID:vHzpJp6L
闇の中疾駆する二機は、サイバスターとシャイニングガンダム。
銀と白が時に交錯し、時に離れながら南下する。
この追いかけっこが始まってから既に数十分が経過していた。
二機とも目立った傷はなく、戦闘の場もB-3へと移っている。
シャイニングガンダムのビームソードがサイバスターの姿を捉える。
一撃に専心し、必殺の念を込められたビームソードが直撃すれば大破とはいかずとも多大な損傷は間違いない。
だが、大きく振り上げられた太刀筋は強力なぶん大味だ。
その軌道を予測することは剣の道に精通したブンドルには容易い。

「迷いが無く、真っ直ぐな良い太刀筋だ。だが……美しさには程遠い」

サイバスターは必要最小限の動きでシャイニングガンダムの剣を回避する。
ブンドルは考える。ギンガナムと名乗る、戦闘狂の対処を。

(美しさの欠片もない剛の者だ。しかし、間違いなく強い。
 サイバスターの運動性、機動性のおかげで有利に事を進められているが、私がこの『ゲーム』の中で出会った参加者の中でも有数の戦闘能力と言えよう。
 このまま引き離すことは難しくないが……それは、この男を野放しにすることと同義)

サイバスターがディスカッターを構え、シャイニングガンダムと正対する。
白銀の太刀は月光の下に美しく輝き、零れる剣気に周囲の空気は 緊 と張りつめていく。
交錯は、一瞬。
雄叫びと共にギンガナムの光剣が闇を切り裂き、サイバスターへと肉薄する。
ギンガナムが放つのは、必殺の突きでも、頭頂を割る縦の斬撃でもない。
横一文字に閃きが走った。ビームソードの軌跡は大きく、中途に舞う砂塵も全て薙いでいく。
威力こそ突きや唐竹割に劣るが、その分有効打撃範囲は大きく、受け流すことも容易ではない。
ここにきて、ギンガナムは一撃必殺ではなく確実な攻めを選択したのだ。

「さぁブンドルよ! この勝負、小生がもらうぞッ!」

ギンガナムが吼え、サイバスターの装甲に光剣の先端がかすった。
だが、おめおめとやられはしないのがドクーガ幹部、レオナルド=メディチ=ブンドルだ。
ビームソードが更に食い込む寸前に、サイバスターはその姿を変える。
鳥を模した姿――サイバードへ。

「フッ……私をそう簡単に倒せると思ったのかね?」

削がれた装甲は僅か。ビームソードはそのまま空を切る。
そしてサイバードはシャイニングガンダムへ向かって加速した。
激突の寸前にカロリックミサイルを射出。ブンドルは機首を天へと向け、爆風に乗りながらシャイニングガンダムから離れる。

「これで終わり……とはいかないだろうな」

サイバスター形態に戻りながら、ブンドルは上空からシャイニングガンダムを包んだ爆炎を眺める。
手応えが無かったわけではない。だが、ギンガナムとその乗機の性能は計り知れないものがある。
ドクーガ情報局々長であるブンドルの眼力をもってしても、彼の底知れぬ実力を正確に判断することは出来なかった。

(だが、この爆煙が晴れたときがお前の最後だ、ギンガナム)

ブンドルは、カロリックミサイルの引き金に指をかけ、シャイニングガンダムの姿が現れるのを待つ。
もしシャイニングガンダムがその身をさらけ出せば、ブンドルは躊躇無くその引き金を引くだろう。
サイバスターのセンサーが爆煙の中の熱を捉えた。何の影響かは分からないがこの世界ではセンサーやレーダーの類はその力の十分の一も発揮できていない。
だが、この距離ならば精度の狂いは関係ないだろう。シャイニングガンダムは、其処にいる――!
166吼えろ拳/燃えよ剣 ◆C0vluWr0so :2007/10/06(土) 06:04:49 ID:vHzpJp6L
戦場に一陣の風が吹く。
その風が爆発の煙を払い、シャイニングガンダムの姿をさらけ出すその瞬間に、ブンドルは引き金を引いた。
無数のカロリックミサイルが尾を曳きながら直進し、爆煙が晴れるか晴れないかというタイミングで再び爆発を巻き起こそうとする。
――ふと、ブンドルの中で疑問が生じた。
……上手くいきすぎてはいないか? あの男が、ギンガナムがこの程度で――
根拠は無い。ただ、ブンドルの勘が告げていた。このままでは終わらないと。
そして、悪い予感というものは大抵が当たるものだ。
二度目の爆発が起こる一瞬前、爆煙は晴れ、その中身を月の光の元に晒し。

「――ビームソードだと!?」

ブンドルが見たものはビームソードの赤い輝き。
シャイニングガンダムの姿は爆煙の中に存在しない。
サイバスターのセンサーが捉えたのはビームソードが発する熱だということにブンドルが気づいたとき、既にギンガナムは動いていた。

「甘いんだよ! 敵の姿も見ずに戦えると思ったのかぁ? そんな傲りを持ったまま小生と渡り合えるものかッ!」

声は上空から響く。確認する時間はない。ブンドルはディスカッターを頭上へと振った。
キン、という甲高い音と共にシャイニングガンダムの拳の衝撃が剣を伝わってくる。

「クッ……! ギンガナム、いったいどうやって爆発を逃れた?」
「簡単なこと! ミサイルと同じ速さで跳べば! 爆発からも逃げられるのだ!」
「無茶を平気でするか、野蛮人め。剣さえ捨てるその戦い方……実に美しくない」
「シャイニングガンダムは元々拳で語るモビルファイターだ! 黒歴史に名を刻んだ東方の拳を受けてみやがれぇ!」

シャイニングガンダムから放たれるのは拳の連撃。
隻腕になろうが変わらないと言わんばかりに左のジャブを打っていく。
ブンドルもギンガナムの拳をディスカッターで受け流していく。が、剣と拳とではスピードが違いすぎた。
徐々にではあるが、ギンガナムの拳はブンドルの剣を圧倒しつつあった。
ならばサイバスターも拳で迎え撃てばよい、という単純なものではない。
元々格闘戦を想定されて設計されたシャイニングガンダムと、そのスピードを活かすための設計をされたサイバスターとでは、パーツ一つ一つの作りからして違う。
サイバスターのマニピュレーターでは、シャイニングガンダムの拳を真っ当に受けるほどの強度が確保されていないのだ。
結果、サイバスターはディスカッターで受けざるをえない。

「オラオラァッ! そんなものかブンドルぅ!」

サイバスターの装甲が、シャイニングガンダムの拳撃を受け歪んでいく。
美麗な外装が傷付いていくのを見、ブンドルの心もまた、深く傷ついていた。

(サイバスターの美しさをこのような男に奪われるなど……! 許されることではない!)

そしてブンドルは覚悟を決める。……自らサイバスターを傷つける覚悟を。
シャイニングガンダムの左ジャブが迫る。スピードと破壊力の両方を兼ね備えた拳だ。
ブンドルは拳の軌道を確認する。ギンガナムの狙いは右肩だ。おそらく、ディスカッターを持つ右腕を壊すつもりなのだろう。
シャイニングガンダムの左腕が伸び、右肩を抉るその寸前に、

「美の女神よ……私の行いを許したまえ!」

ブンドルはそれを、サイバスターの左拳で思い切り殴りつけた。
グシャア、という破砕音と共に、サイバスターのマニピュレーターが砕けていく。
だが同時に、シャイニングガンダムの拳の軌道も変化した。狙いの右肩からは大きく外れ、虚しく空を切る。
拳の勢いに流され、シャイニングガンダムの体勢が崩れるのをブンドルは見逃さない。
ディスカッターを上段に構え、一刀両断の気合いを込め振り下ろす――その一瞬前に、一つの通信が入ってきた。
167吼えろ拳/燃えよ剣 ◆C0vluWr0so :2007/10/06(土) 06:05:20 ID:vHzpJp6L
『あんたら、ちょっと待ったぁ!』

突然耳朶を打った声に驚き、ブンドルの操縦に一瞬の隙が出来る。
その一瞬の間にギンガナムはディスカッターの射程から離れ、立ち止まった。
ブンドルは通信の主をモニター越しに確認する。
まだ若く、少年と言っていい年の頃だ。
だが、通信の声からは少年の中から湧き出る活気が感じられ、こちらを覗く瞳の中には真っ直ぐな意志が込められている。
どこか泥臭ささえ感じられる少年の姿は、けっして美しくはない。しかし、信用に足る少年だとブンドルは判断する。
おそらくは戦闘音を聞きつけ、止めさせるために近づいてきたのだろう。……タイミングは最悪だったが。
今の通信のせいで、必殺の剣を放つ絶対的な機会を逃したのは正直なところ大きな痛手だった。
あそこで倒せていればこの少年とアムロを引き合わせるだけで済んだものを……
この少年を守りながら、ギンガナムと闘えるのか? 答えはNOだ。

「少年。この男は危険だ。ここは私に任せて君は逃げたまえ」
「なっ……助けに来た人間にそれはないだろお兄さん。俺の名前はガロード=ラン、とりあえず殺し合いをやる気はさらさら無いぜ」

ブンドルからいきなり避難勧告を出されたガロードは、少しムッとした声で返事をするが……

「やはり……やはりその声はガロード=ラン! そしてその機体はガンダムF91ィィィィィィ!
 まさに夢の……夢の競演! 時代を超えた……黒歴史の邂逅よぉ!
 はぁぁぁぁぁッ! ふぅぅぅぅぅぅぅん!」

一方ギンガナムは、興奮の限界に挑戦していた。
喜びのあまり、奇声さえ上げながら顔を真っ赤にさせている。
だがこれは、無理もないことだろう。
『冬の城』に残された黒歴史の映像記録は、決して満たされることのない闘争への渇望を僅かにでも癒やしてくれる唯一のものだったからだ。
その中でも一際心を惹かれたのがガンダムだ。如何なる戦乱の時も、常に強さの象徴であった機体。
ギンガナムにとって、ガンダムはただの機動兵器ではない。武人として追い求めずにはいられないその強さ――まさに、ヒーロー。

「ガロード=ラン……貴殿に決闘を申し込む。
 できることならばガンダムエックスに乗った貴殿と勝負したかったが……ガンダムF91もまた名機の呼び声高く!
 相手にとって、全く微塵も不足無しよッ!」
「お……、おっさん!? あんたいきなり何言ってるんだよ!
 って……なんでおっさんがエックスのことを知ってるんだ!? それにこのガンダムの名前も……!」

ガロードとギンガナムの通信を聞き、ブンドルは一つの疑問を抱く。
……何故、ギンガナムは他の参加者の情報をここまで得ている?
アムロは、ギンガナムのことを知らないと言う。あの通信から考えるに、ガロードもまたギンガナムとの直接の面識はないだろう。
ギンガナムだけが一方的に二人を知っている。これはただの偶然なのか?
アムロは知り合いが同様に参加させられていた、と言っていた。シャア=アズナブルという男がいたと。
話を聞く限りではアムロもシャアも元の世界ではかなりの影響力を持つ存在だったらしい。
ギンガナムが同郷の人間ならば一方的に知っている可能性も高い。
だが、ガロードの存在まで知っているのは何故だ?

「ガロード、大切な話だ。君は、あのギンガナムという男の知り合いか?」
「いいや、あんなおっさん会ったら絶対忘れるわけがないさ。間違いなく、俺はあのおっさんと会ったことはないよ」
「ならばもう一つ。――アムロ=レイという名に心当たりは?」
「誰だいそれ? お兄さんが探してる人?」

(……ガロードは、アムロの存在を知らないのか?)

つまり、ギンガナムはブンドルたちの知らない何かを掴んでいる。
そしてギンガナムの知識の根底にあるキーワードは――『ガンダム』と『黒歴史』だ。

『時代を超えた邂逅』/『黒歴史に名を刻む』/『無数の戦乱』

(『黒歴史』とは時代を超えて受け継がれた戦乱の記録なのか? 
 アムロやガロードはその戦いの中で、記録されるに十分な戦果を上げた――『ガンダム』に乗って!)

繋がる――全てが、黒歴史へと繋がっていく!
168吼えろ拳/燃えよ剣 ◆C0vluWr0so :2007/10/06(土) 06:05:51 ID:vHzpJp6L
「だとすれば……ギンガナムの知識、このまま斬り捨てるわけにはいかないだろう」

ブンドルはサイバスターをシャイニングガンダムとF91の間に割り込ませ、

「ギンガナム、聞こえているか?」
「ブンドルよ、今の小生には貴様の相手をしている暇など無い。ガロード=ランとの決闘が終わってからにしてもらおうか」
「……ギンガナム。君は私の情報をどこまで知っている?」
「あぁ? 黒歴史にも残らないような、何処の馬の骨とも知れない男のことなど小生が知るものかよ!」
「フッ……やはりそうか。私はガンダムなどというものは知らないからな。もっとも、あれに酷似した機動兵器は知っているがね。
 覚えておきたまえギム=ギンガナムよ。私の名はレオナルド=メディチ=ブンドル。
 ドクーガの情報局々長を務め、美しきものを何より愛する――『悪』だ!」

そう言うや否や、ブンドルはギンガナムに背を向け、ガロードの方へ急接近する。
右手に握られたのはディスカッター。その白銀の刃を――ガンダムF91の首筋へと突きつける!

「お、お兄さん!? 一体何を……!」
「ガロードよ……さっきの通信を聞いていただろう? 私は悪だ。
 ならば悪役らしく――人質を取らせてもらおうかギンガナム!」
「な、なんだってー!? って、俺ってば本当にこんな役回りばっかりだよ!」

ガロードの一人ツッコミを意にも介さず、ブンドルはギンガナムと正対する。
ブンドルは余裕の笑みを浮かべながら、ギンガナムは怒りの眼差しを向けながら相手の出方を窺う。
勿論、先に動いたのはギンガナムだ。人質を取られているが故に機体そのものを動かすことは出来なかったが。

「ブンドル……! 貴様、武人の誇りというものは無いのかぁぁぁぁぁ!
 ガロード=ランから手を離せ! さもなければ小生のシャイニングフィンガーが貴様を完膚無きまでに破壊するぞ!」
「そう……短気は美しくない。まずは落ち着けギンガナム。こちらの出す条件を呑むのならば、私はガロード=ランに手を出さない。
 悪い条件ではないはずだ。なにせこちらの願いとは――君との決闘だからだ」
「決闘だと? フフフ……望むところだブンドル! 小生が勝てば、そのままガロード=ランとの一騎打ちということだな」
「そういうことになるな。そしてこの決闘にも一つ取り決めをしておきたい。
 もし君が勝つのならば、私を好きなようにしろ。煮るも焼くも君の勝手だ。だが私が勝てば……分かっているな?」
「いいだろう。シャイニングガンダムに乗った小生が負けるなど有り得ないことだがなぁ!」

そこまで話し、ようやくブンドルはF91の首筋からディスカッターを下ろす。
ガロードは二人からやや離れたところで観戦を決め込んだ。もちろん応援するのはブンドルだ。
さっきは人質に取られるなどという状況になってしまったが、ここでブンドルが勝てば自分はギンガナムと戦わずにすむ。
本当は神さんやお姉さんに、キラって奴と早いところ合流したいんだけどな……とは思うものの、上手くいけばここでブンドルも仲間になってくれるかもしれない。

「では決闘のルールを説明しよう。決着は単純。どちらかが相手の機体に有効打を一つ入れることだ。
 開始の合図は……ガロードにやってもらおうか。頼んだぞガロード」
「おう。それじゃあお二人さん、準備はいいかい?」

二人の首肯を確認し、ガロードは大きく深呼吸。
一拍置いた後――

「始めッ!」

決闘は、始まった。
169吼えろ拳/燃えよ剣 ◆C0vluWr0so :2007/10/06(土) 06:06:23 ID:vHzpJp6L
 ◇

先手を取るべく動くのはブンドルだ。
勝利条件は一つの有効打。重要なのは速さではなく、早さ。
先の戦いで、接近戦の不利は承知している。打ち合いになれば、速度で劣るこちらに勝ち目はないと言えるだろう。
ギンガナムへの意趣返し――サイバスターは横薙ぎの一閃を放つ。
シャイニングガンダムから見て右方向からの斬撃だ。右腕を消失したシャイニングガンダムは、この攻撃を受け止めることも受け流すことも難しい。
残された選択肢は回避のみ。ギンガナムは後方へ大きく跳躍し、閃く白銀を避ける。
ブンドルの剣が目の前を過ぎるのを見ながら、ギンガナムは叫ぶ。

「バァァァルカンッ!!」

シャイニングガンダムの頭部から連射される銃弾。一発の威力こそ低いが、数を受ければダメージも小さくない。
追撃の姿勢を見せていたブンドルだったが、バルカンの軌跡を避けるように横方向への移動に切り替える。
が、サイバスターの回避を待ち受けていたかの如く、シャイニングガンダムは接近。
サイバスターから放たれたミサイルの合間を縫うように加速していく。
左手に握られているのはビームソードだ。ブンドルは刃を受け流すべくディスカッターを構えるが――
光剣に向かって振られたはずの剣は、ブンドルに何の手応えも返さない。

「刃が――無いだと!?」

ビームソードは展開していない。ギンガナムは、ただ柄のみを握り、振ったのだ。
ディスカッターが如何に名剣だろうとも、虚しく空を切るばかり。
サイバスターの直前で、ギンガナムは改めてビームソードを展開。
煌めく光剣がサイバスターを切り裂く――寸前に、カロリックミサイルが爆発し、周囲に砂塵を撒き散らす。

「何ぃ!? ビームソードが……!」

突如ビームソードに起きた異変に、ギンガナムは驚きの表情を見せる。
光剣は、その光を衰えさせている。わずかに――ほんのわずかにサイバスターに届かない!

「――君は、光学兵器の何たるかを知っているか? ビームやレーザーといったエネルギーをそのまま射出する兵器は確かに強力だ。
 だが同時に、それらの兵器には弱点もあるのだよ。これもその一つ。
 光はその性質上、物体に当たるときの屈折、吸収、反射を避けられない。それはつまりエネルギーの減少を意味する。
 ここでポイントとなるのは、その物体は微少の体積でも十分に意味を成す、ということだ。
 つまり光学兵器の天敵とは――この砂塵のように、微少な物質が広く散布された状況。
 このような状況下では、本来の出力など期待出来ない。実に――実に美しい理論だ」

サイバスターは更にカロリックミサイルを発射。連続して巻き起こる爆発は目眩ましとなる。
ブンドルの狙いに気づいたギンガナムはビームソードを捨て、迎撃の構え。

「宣言しよう。私は次の一手で勝つとね」
「それは小生の言葉だ……! 先に言っておこうかブンドルよ。貴様との勝負――素晴らしかったぞ!」
「それは光栄だ。では――参る!」

砂塵と爆煙は未だ晴れず。
視界が利かない中で、ギンガナムは思う。ブンドルの技量は、黒歴史のエースパイロット達に並ぶものだと。
……だがそれでも、勝利を掴むのは小生のこの拳!
次の一撃で決着だ。……持てる力を注ぎ込む!
ギンガナムの精神に呼応するように、シャイニングガンダムの左手が熱を帯びる。
シャイニングフィンガーには及ばない――けれど、強い力だ。
全身の神経を総動員し、感覚を限界まで研ぎ澄ます。
――煙が揺れる。ブンドルだ、と直感した。
煙の向こうのサイバスターに向かって、左拳を突く。拳に込められた力は、サイバスターを破るのに十全。
だが――拳がその先にあるものを貫く寸前に、ギンガナムは自分の意志でその拳を止めることとなる。

「おのれ……謀ったかブンドル!」
170吼えろ拳/燃えよ剣 ◆C0vluWr0so :2007/10/06(土) 06:06:54 ID:vHzpJp6L
煙の向こうにあったもの。それはブンドルの乗るサイバスターではなかった。
……ガンダムF91とガロード=ラン!
黒歴史のガンダムとそのパイロットをこんな形で屠ることはギンガナムの意にそぐわない。
咄嗟の判断で拳を止めた瞬間、ブンドルの狙いに気づく。しかし、今更気づいたところで遅すぎるのだ。

「敵の姿も見ずに戦えると思ったのか? そんな傲りを持ったまま私と渡り合えるものか。
 生憎だが……さっきも言った通り、私は『悪役』だ。ならば悪役らしく、正々堂々と不意を打たせてもらおう!」

ギンガナムが、「上だ」と気づいた瞬間、シャイニングガンダムに衝撃が走る。
背面から地に倒れ、サイバスターに組み敷かれた。そしてギンガナムは自身の敗北を悟る。

「――決着か。さぁ、煮るなり焼くなり好きにしろ、ブンドル」

 ◆

アムロはストレーガの中、一人息を吐く。
ガナドゥールの攻撃で吹っ飛ばした分各部に損傷が見られるが、何時機能を停止してもおかしくないガナドゥールよりはマシだ。
そう考えての乗り換え。二機分の知識が頭の中に叩き込まれ、これらが合体機構を備えていることも理解した。
合体が可能だということは――と考え、部品の規格を確認した。思った通り、二機間でなら流用出来そうな部品も多い。
ひとまず簡単な作業で可能な範囲から交換し、ストレーガの状態を調整した。おそらく、戦闘も問題なくこなすことが出来るだろう。
そしてアムロは、ガナドゥールのコクピットを機体から引きずり出す。
その中にあったのは、頭部を損傷した死体。
――やらなければいけないことがある。躊躇は無かった。ストレーガのマニュピレーターで死体を弄る。
目的の品を手に入れることが出来たことを確認すると、アムロは青年の死体を再びガナドゥールのコクピットの中に押し込む。
本当なら墓を作ってやりたいところだが――市街地の中にポツンと墓を作るのも寂しいことだと思った。
なら、この機体のそばに置いてやれば未だ知り合いが見つけれるのではないかと――そんな理由を付ける。
けれど分かっている。そんなのは自分が安心するための、ただの詭弁だ。
この青年が放送で呼ばれた10人の中の一人なのか、それともその後に死んだのかは分からない。
どちらにしろ――アムロは、人が無意味に死んでいくのを止められなかったのだ。
死者を蔑ろにするつもりは無いが、今はそれ以上に時間が惜しい。
だからこその詭弁だった。

「……俺を笑うなよ、シャア。今は出来るか出来ないかじゃなく、やらなきゃいけないんだ」

ガナドゥールに背を向ける。ブンドルが行ってから数時間が過ぎていた。
機体の整備を一からやらなければいけなかったこと、首輪を確保しなければいけなかったことを差し引いても、この遅れは致命的だ。
スラスターを噴かし、ブンドルの元へ向かおうとしたその時。
ストレーガのレーダーが機影を捉えた。……ブンドルではない。
しかしギンガナムでもないだろう。あの子供のような無邪気な敵意は感じられない。
アムロが機影の主について思案していると、向こうの方から通信が入ってきた。

『あんたがアムロなのか? 俺はガロード=ラン。ブンドルのお兄さんに言われて、あんたと合流しに来たんだ』
「ブンドルに言われただって? ……何故君が一人で来る。ブンドルは一体……」
『お兄さんは無事だよ。ただちょっと理由があって……俺が一人で来た。
 俺には今別行動してる仲間がいるんだ。アムロさんは俺らと一緒に行動するようにって言ってたぜ』

肥大化した集団は迅速さに欠ける。三四人の小集団を形成するつもりだとブンドルは言っていた。
アムロを中心に小集団を結成した後は一人で各所を回るつもりだとも。
少年の言い分とブンドルの目的は合致する。嘘をつけるような顔でもないな、とモニターに映る顔から判断。

「……分かった。君の言っていることは本当だろう。君に同行させてもらうことにするよ」

 ◆

ガロードが行ったのを見送り――ブンドルは後ろを振り返る。
其処にいたのはギンガナムの乗るシャイニングガンダムだ。
171吼えろ拳/燃えよ剣 ◆C0vluWr0so :2007/10/06(土) 06:07:24 ID:vHzpJp6L
「ブンドル……何故小生の命を取らなかった? あのまま討つことは簡単だったはずだ」
「君が煮ても焼いても食えない奴だというのは知っていたからな。……おっと、怒るな。冗談だ。
 率直に言おう。――私たちに協力したまえ、ギム=ギンガナム」
「何だと?」
「私たちと共に、あの異形の怪物を討てと――私はそう言っている。君の力はそのまま斬り捨てるには惜しいものだったからな。
 それに……考えてみたまえ。君が私たちに協力するということはすなわちアムロ=レイとの共闘を意味する。
 どうだ? 少しはやる気が出てきたのではないかね?
 そもそも君の目的は黒歴史に残るほどの強者と戦うことだったはず――今この場で一番強いのは誰だ。
 私たちの命を握っている主催者ではないか? アムロなど、事が終われば幾らでも手合わせする機会はあるだろう。
 これでも君は――まだ無闇に闘い続けるのか?」
「アムロ=レイやガロード=ランとの共闘だと……! ブンドル――貴様、策士だな!?」
「フッ……まだまだ特典はあるぞ! 今なら各所に点在する殺戮者との交戦権も付けよう!
 この争いで最後まで生き残ろうとする人間だ、実力もそれなりにあるだろう。そのような相手に対して遠慮することはない。
 思う存分君の拳を叩き込んでやれ!」
「いいだろう、その話乗った!」

フフフ……未だ見ぬ兵どもよ、待っておけ! このギム=ギンガナムが正義の拳をお見舞いしてやる! ……などとギンガナムが吼えている横で、ブンドルはほくそ笑んでいた。

(上手く乗ってくれたな。純粋な分、敵意の方向を変えるのも容易いということか。
 ……だが、ギンガナムの真価はその戦闘力ではない。『黒歴史』……ギンガナムの持つ情報は、この戦場で大きな力になる)

このゲームの参加者の中には、アムロやガロードのように黒歴史にその名を残している者が未だいるはずだ。
同様にガンダムが支給された参加者もだ。彼らに対して情報という形でアドバンテージが取れるのは大きい。
ガロードとその仲間のおかげでアムロを中心とした小集団も作れた。
――反撃の準備は着々と整いつつある。
ブンドルは胸中で主催者である怪物へ語りかける。

(滅びの時間は近づいているぞ。余裕を持っていられるのも――今だけだ!)


【アムロ・レイ 搭乗機体:ストレーガ (スーパーロボット大戦D)
 パイロット状況:疲労、喪失感
 機体状況:各部にダメージ(戦闘に支障無し)
 現在位置:B-1
 第一行動方針:ガロードの仲間と合流
 第二行動方針:アイビスの捜索
 第三行動方針:協力者の探索
 第四行動方針:首輪解除のための施設、道具の発見
 最終行動方針:ゲームからの脱出
 備考:ボールペン(赤、黒)を上着の胸ポケットに挿している
    シャアの死亡を悟っています
    首輪(エイジ)を一個所持】

【ガロード・ラン 搭乗機体:ガンダムF−91( 機動戦士ガンダムF−91)
 パイロット状態:全身鞭打ち・頭にたんこぶその他打ち身多数。
 機体状態:微細な傷(戦闘に支障なし)
 現在位置:B-1
 第一行動方針:B-1にて神隼人との合流
 第二行動方針:勇、及び勇の手がかり(エイジ)の捜索
 最終行動方針:ティファの元に生還】
172吼えろ拳/燃えよ剣 ◆C0vluWr0so :2007/10/06(土) 06:07:55 ID:vHzpJp6L

【レオナルド・メディチ・ブンドル 搭乗機体:サイバスター(魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL)
 パイロット状態:良好、主催者に対する怒り
 機体状態:サイバスター状態、各部に損傷、左拳損壊
 現在位置:B-3
 第一行動方針:協力者を捜索
 第二行動方針:三四人の小集団を形成させる
 第三行動方針:基地の確保のち首輪の解除
 最終行動方針:自らの美学に従い主催者を討つ
 備考:ハイ・ファミリア、精霊憑依使用不可能】

【ギム・ギンガナム 搭乗機体:シャイニングガンダム(機動武闘伝Gガンダム)
 パイロット状態:良好(気力125)
 機体状態:右腕肘から先消失、胸部装甲にヒビ、各部に軽度の損傷
 現在位置:B-3
 第一行動方針:ブンドルについていく
 第二行動方針:倒すに値する悪を探す
 第三行動方針:アイビス=ブレンを探し出して再戦する
 最終行動方針:最も強い存在である主催を討ち、アムロ達と心ゆくまで手合わせ
 備考:ジョシュアの名前をアイビス=ブレンだと思い込んでいる】

【二日目3:00】
173 ◆C0vluWr0so :2007/10/06(土) 06:09:56 ID:vHzpJp6L
投下終了です。
正直無茶展開もいいとこなんでビシバシ突っ込んでくださいな。
174それも名無しだ:2007/10/06(土) 12:18:07 ID:mQOnNEyw
局長テラ策士www
まさか御大将が脱出派に回るとは。
GJ
175それも名無しだ:2007/10/06(土) 17:23:37 ID:0ZzooSqB
御大将死亡も覚悟してただけにこれは意外な結末
GJ!
しかし、ブンドル、御大将は御しにくいと思うぞw
クインシィは御大将恨んでるし大丈夫だろうか?
タイトルでとある歴史小説思い出した
176それも名無しだ:2007/10/06(土) 19:31:47 ID:fIV9gDZS
実にGJ!御大将……吹いたw
177それも名無しだ:2007/10/06(土) 20:50:13 ID:uI+M4HLJ
投下乙です
まさかのギンガナム白化か……いや、もともと白いっちゃ白いけどw
これでマーダーが弱体化しないか?と思ったけど……

・積極マーダー
ガウルン、カテジナ、竜馬、(アキト)
・ステルスマーダー
テニア、ジョナサン
・消極的マーダー
バーニィ、統夜、(クインシィ)

28人中これじゃマーダー有利だなw
他にもきっかけ次第でマーダー転向しそうな奴もちらほらいるし……
178それも名無しだ:2007/10/06(土) 21:39:00 ID:0ZzooSqB
マーダーが1/3近くもいるのか
驚きだ
それにしても積極的マーダー陣がえらく凶悪だなw
179それも名無しだ:2007/10/06(土) 21:58:32 ID:84/ClvG1
ガロードだって条件次第じゃ乗りそうだしな。
忘れちゃいけないユの字だって危険人物だぜ
180それも名無しだ:2007/10/07(日) 13:56:24 ID:x3vnnEZ5
ユの字の分類は何になるんだろうな?
対主催なのは間違いないんだが動きはステルスっぽいんだよな
でも全く隠れる気なさそうだし
181それも名無しだ:2007/10/07(日) 19:49:37 ID:/qrKtMiV
対主催の危険人物、ってところか。
他のロワだとフェイスレスとかも似た様な感じ。
182それも名無しだ:2007/10/07(日) 20:07:56 ID:q8T+aIi9
間違いなく対主催をやってくれるけど、そのためなら何でもやるって感じだな。
主催者のところへ行く手立てがなければ優勝も視野に入れるだろうし。
183それも名無しだ:2007/10/07(日) 21:31:59 ID:iJ6Soa1d
ユーゼスはステルスしてない冥王と考えると何故かしっくりくるんだが。
184心、千々に乱れて ◆7vhi1CrLM6 :2007/10/08(月) 00:06:04 ID:Xi6RgJK9
 あくびをし、寝ぼけ眼を擦りながらカテジナー=ルースは起き上がった。
 暗い闇の中手探りで灯りをつけるとレーダーを覗き込む。
 何かが近づいてくる。そういう気がしたのだ。
 根拠は何もない。ただ感じただけ、そういう気がしただけ、それでもそれは確信に近いものだった。
 レーダーに映し出された二つの光点によって、程なくそれが正しいものだったと証明される。
 レーダー類の不調のせいで距離はそう遠くない。
 最初はかなり速い速度で接近してきていたのが、今は静止している。
 おそらくはこちらの姿が見えない為警戒をしているのだろう。あるいは迷っているのかもしれない。
 彼女は今湖の底に隠れていた。

「迂回をしてくれるようなら楽なのだけれどね」

 あくびを一つ噛み殺してぼやく。
 疲れが抜け切っていないのか、どうにも眠たかった。
 接触を図るよりも今はまだもう少し寝ていたい。それが本心だ。
 しかし、そんな思いを裏切るかのように光点がすっと接近を始める。

「やっぱりほうっておいてはくれないわよね」

 女の見栄というか、習性のようなもので身支度を整えながら、思案を練り始めた。
 今の動きで分かったことがある。
 まずは二人組という点でおそらくは好戦的な相手ではないということ。
 そして、二対一という局面において一度動きを止めたということは、用心深い性質の持ち主がいるのか、あるいは戦力に不安が残るということ。
 にも関わらず接近していたということは、捻じ伏せるか、逃げ切るか、どちらかの自信があるという現われ。
 それを念頭において逃げるべきか、接触すべきかを考える。
 逃げようと思えば逃げることは可能だった。
 なにしろまだ互いに姿を見せてない上に、こちらは視界の悪い水中だ。
 一度レーダーのレンジ外に抜けてから物陰に身を潜めれば、相手を撒くことは難しくない。

「だけど……接触すべきでしょうね」

 いかにも乗り気でないといった態度。緩慢な動作でシートに腰を掛けなおす。
 何かを潰したような感触があった。驚いて腰をずらしてみると、三種の樹脂マスクが出てきた。
 あの核ミサイルに乗った男から得たボイスチェンジャー付きのそれは、正体を隠しつつ交渉するという点において、これほど都合の良いものはない。
 だが、それを何の躊躇もなしにぽいっとコックピットの後方へ投げ捨てる。
 理由は特にない。強いて言えば似合わないからである。
 そういえばこのマスクを持っていたのも二人組だった。
 核ミサイルなどというふざけたものを乗り回し、追い回してくれたことは、今思い出しても頭にくる。
 だが、その二人はもういない。
 カテジナ=ルース、彼女自身が手を下し核の炎で葬った。
 理由は単純。必要ない、利用する価値もない存在だと判断したから。
 その点、最初に出会った二人は違った。
 ギャリソン時田とユウキ=コスモ。この二人はまだ外れ機体引いた自分の盾になってくれたという面で非常に役に立った。
 そして、熱気バサラと彼を知る一人の少年。彼らもまたラーゼフォンを運んできてくれたという点と、その性能を試させてくれたという点において役に立っている。
 ならば、と彼女は思う。
 ならば今度の二人組は何をもたらしてくれるのか、それを思うと気持ちが僅かに上向きに修正された。
 既に距離はかなり近い。
 いきなり攻撃を仕掛けられてもつまらない、と思い、ラーゼフォンをゆっくりと上昇させる。
 湖面を抜け開けた視界に二機の人型機動兵器の姿が飛び込んできた。

「こんばんは。こんな夜更けに若い女の子に会いに来るものではないわよ」

 未見に皺を寄せて不機嫌を装い、口を尖らせる。
185心、千々に乱れて ◆7vhi1CrLM6 :2007/10/08(月) 00:07:24 ID:Xi6RgJK9
 それで相手が機嫌を取ろうとすれば御の字。主導権を握ることができる。
 だから殊更に嫌悪感を露にして言葉を続けた。

「もっとも、夜這いにでも来たって言うのならば話は別でしょうけどね」

 むっとした様子を歳若い方が顔に出すのが見えた。対して年長の男のほうの顔色は変わらず判断が難しい。
 機体間の距離は遠くはない。しかし、不意をつけるほど近くもない。
 そして、左右に分かれている。それもごく自然な動作でその配置についていた。
 場慣れしているといっていい。

「何か不機嫌を買うようなことをしたのなら謝ろう。キョウスケ=ナンブという」
「カミーユ=ビダンです」
「カテジナ=ルースよ。何の用かしら?」
「単刀直入に聞く。敵か? 味方か?」
「敵よ。生き残れるのはただ一人なのだから、この世界にいるのは全員敵。
 でも今のところ交戦の意志はないわ。あなたたちの出方によるけど……」

 言い切り、動きを伺う。
 嘘は言っていない。考え方にも不自然なところはないはずだ。
 そのうえでどう出てくるのか、それに少し興味があった。最悪戦闘になる覚悟は出来ている。

「こちらにも交戦の意思はない。情報の交換を行いたいのだが構わないな?」
「構わないわよ」

 そうして暫く情報の交換が行われる。
 受け取った情報は、補給ポイントとG-6基地で交戦したという複数の機体、それに獅子を模した胸部装甲の機体について。
 対して提供した情報は、ギャリソン・コスモ・バサラ、そして最初に交戦した黒いガンダムについて。
 もちろん、情報に手は加えてある。
 コスモ・バサラという味方を装った二人組に騙されて襲われ、同行していたギャリソンさんは死亡。自分も命からがら逃げ出した、といった塩梅にだ。
 そうすることで二人と距離を置いている理由が説明できる。同時に争いの扇動にもなる。
 見たところこの二人は戦闘慣れしている。そんな人間を二人も相手取るよりも、どこかであの二人と潰しあってくれたほうが得という算段だった。

「カテジナさんも一緒に来ませんか?」
「えっ?」

 突然、予想外の言葉をかけられてはっと顔をあげる。
 その言葉は青い髪の少年――カミーユ=ビダンのものだった。

「まだG-6基地には二人の仲間がいます。
 そこのほうが一人より安全だし、上手くいけば殺し合いをしなくてすむかもしれない」

 言葉を探す。
 答えは決まっていた。しかし、頭の中に言葉が浮かんでこない。
 何故――迷っているとでもいうのか?
 ちらりとキョウスケという男の顔を盗み見る。
 相変わらずの能面面。人工的な笑みの一つくらい浮かべてみせても損はないだろうにと思う。
 だが、黙っているということは、黙認するということだろう。
 基地に仲間がいるというのは、この男があえて伏せていたはずの情報だ。
 それを口走っても止めない程度の信用は築けたということか。十分だ。これ以上の深入りは望むものではない。

「一緒に行きましょう、カテジナさん。あなたは殺し合いなんかしちゃいけない人なんだ」

 何を根拠にそんなことを、と思う。
 そう思った後で、ウッソに似てるなとふと感じた。
 何処がではない。このカミーユと名乗る少年の容姿・性格はウッソのそれとは大きく異なっている。
 纏っている空気も雰囲気も違う。
 それでもこの少年から受けるプレッシャーは何処となくウッソに似ていた。
 となると迷っている心はウーイッグに対する里心。未練か?
186心、千々に乱れて ◆7vhi1CrLM6 :2007/10/08(月) 00:08:44 ID:Xi6RgJK9

 ――馬鹿らしい。

 それで合っているのかは分からなかったが、ようやく胸の内に言葉が浮かんできた。

「無理だよ。少なくとも私はあなたたちを完全には信用できはしない。
 そんな相手と一緒にいれるはずがないだろう?」
「何故ですか?」

 そう。目の前の少年が放つ気はウッソのそれに似ており、私を惑わせ、苛立たせる。
 この少年と同行するのは危険だ、と直感が告げている。

「甘い言葉を使って騙してくる者もいる。ここでは自分以外を信用できるはずがない。
 お別れだよ、坊や。次は敵同士だ」

 そう言い残し、逃げ出すようにラーゼフォンはその場から飛び去る。北に向かってただ一直線に、ただひたすらに。
 煩わしい、と思う。何故私が逃げなければならないのか、とも思う。
 だが、あの場から逃げ出したかったのは事実なのだ。

 ――この私がいたたまれなくなったとでもいうのか? 馬鹿らしい。

 情報は得た。
 奴らはG-6の基地を本拠に行動している。ならばやることは決まっている。
 これから出会う参加者全てに情報を吹き込み、送り込めばいい。善良そうな奴には危険人物が潜んでいると、危険な奴には参加者がいるとただ吹き込む。
 それだけで奴らは勝手に潰しあい、やがて全滅するだろう。
 そんなことを考えつつ十数分ほども飛んだときだろうか、唐突に一つの考えが頭を過ぎった。

「地球クリーン作戦やギロチンと同じ?」

 腐らすものは腐らせ、焼くものは焼く。汚い大人たちは潰して地球の肥やしにしてしまう地球クリーン作戦。
 そして、リガ・ミリティアのような反目するものを黙らせるためのギロチン。
 この二つはザンスカール帝国が掲げるマリア主義の為の必要悪。
 ならばこの殺し合いも危険因子を摘み、黙らせ、古いものを次代の肥やしにする必要悪? だったら何故――

「何故、私が巻き込まれている?」

 分からない。分からない。分からない。
 頭の中が混乱し、思考にノイズがかかる。不愉快極まりない。
 そして、ドンッと何か重くて巨大な塊に体当たりされたかのような衝撃が奔った。

 ◆

 目を開けるとそこは真っ白くてなにもない空間だった。
 何故ここにいるのか?
 ここは何処なのか?
 不思議に思い、あたりを見回しているうちにテーブルが現れ、椅子が現れ、そして日常の風景が姿を現した。
 黒髪の少女が金髪の少女を叱っている。
 またコックピットにチョコでも持ち込んだのかと思わず苦笑いが漏れた。
 やがて黒髪の少女を諌めるように軽い感じで赤毛の少女が割って入り、涙目になっていた金髪の少女がほっとした表情を見せた。
 そんな日常の風景。
 三人の少女が文字通り空から降ってきてここに飛ばされるまでの僅かな間に、幾度となく繰り返され、すっかり馴染んでしまった光景。
 それが眩しくて思わず立ちすくむ。
 不意に声をかけられた気がして振り向くと、二人の女性がそこに立っていた。
 二人はただ笑い。ただ立っていた。
 いや、よく見るとその口元は動いている。
 だけど言葉は届かない。何故だか分からないが声は届いてこなかった。
187心、千々に乱れて ◆7vhi1CrLM6 :2007/10/08(月) 00:11:01 ID:Xi6RgJK9

 でも、と統夜は思う。
 そんな顔で俺を見ないでくれ、と。
 俺はカティアもメルアも救えなかった。助けられなかった。
 いや、助けようとすら思わなかったんだ。
 そりゃ、気にはなったさ。
 だけど、自分のことで頭が一杯で!
 あんた達のことまで気が回らず!!
 ただ……自分が生き延びることしか……選ばなかった。
 仕方ないだろう。
 一人しか、一人しか生き残れないんだ。
 だから……
 だから……
 頼むから、そんな優しい顔でうれしそうにこっちを見ないでくれ。
 そんな顔される資格なんて俺には……ないのだから……。

 目の前の黒髪の少女は少し驚いたような表情を浮かべて、何かを口走り、そして深々と頭を下げた。
 だけれども、言葉はやはり泡となって大気にとけ、届いてくることはなかった。

 ◇

 目を開けると目の前にぼやけた壁があった。
 右手は毛布を掴み、体は猫の背のように丸まっている。
 寝てたのかと思い、体を起こすと頬を伝って涙が零れ落ちた。
 それを見て、我ながら女々しいと思う。
 何故こんな夢を見たのか。
 おそらくは覚悟が足りないのだろう。
 一人生き残ることを誓いつつも、誰一人殺せず。未だに迷ってあんな夢を見る。
 覚悟が足りない証拠だ。
 お前は生き残りたいのだろう? 生き残ると決めたのだろう?
 違うかっ!!
 大きく長く息を吐く。顔を上げ宙空の一点をぼんやりと見つめる。

「違わないさ……」

 ポツリと呟いた。
 ――そうだ。何も違わない。
 周囲を埋め尽くしている水の振動が伝わり、機体が震える。
 レーダーが接近してくる何かを捕らえた。
 ――ならば、どうする?
 上空にゆっくりと何かが接近してくる。
 ――決まっている。

「敵ごと迷いを断ち切る」

 気取られぬようゆっくりと機体を起こすと体勢を整え、しっかりとした足場を探す。
 慎重に、慎重にだ。
 足場が整うと今度はオープンチャンネルのスイッチを入れた。
 通信する気はない。だから身は潜め、呼吸の音にすらも気を使う。
 やがて独り言を漏らす女の声がコックピットに響いた。ほっと一息。
 テニアではない。声が違った。
 懸念が晴れる。同時に、またどうにもならない事に拘っている、と自分を叱り付ける。
 後はやることをやるだけ。目の前のことに集中するだけだ。
 敵機が直上に迫る。
 頼む。気づかないでくれ、と念じている自分に気づいた。
 同時に大丈夫だと理性が囁く。
 夜の湖底。月明かりも届かぬそこは決して湖上から見えないはず。
 仮に見えたとしても、微動だにしないヴァイサーガは暗礁のようにしか映らないはずだ。
188心、千々に乱れて ◆7vhi1CrLM6 :2007/10/08(月) 00:14:01 ID:Xi6RgJK9
 そして、レーダー。恐らくは敵のレーダーもこちらを捉えているだろう。
 だが、オープンチャンネルで言葉を漏れ聞く限りは、こちらに気づいたそぶりはない。
 何に気を取られているのかは知らないが、運はこちらに傾いている。
 大丈夫。この奇襲は成功する。
 やがて、敵機はゆっくりと上空を通過する。不審なところは何もない。
 落ち着け。落ち着けと自分に言い聞かせる。
 パネルを引き出しゆっくりとコードを入力した。
 一撃でかたをつける。そのために入力したコードは――

                   ――『光刃閃』――

 掌に刃の重さを感じ、足場を踏みしめ、ヴァイサーガは音を超え、一筋の閃光となって突撃した。
 瞬く間に水中を抜け、闇夜に飛び出る。
 風を斬り、鞘から解き放たれた居合いの一撃は深々とラーゼフォンに食い込んだ。
 背後のからの虚を突いた不意打ち。防ぐ術はない。
 轟音が遅れてやってくる。同時に硬く重い衝撃が伝わる。
 咄嗟に感じる、このままでは刃が止まると。
 いかにヴァイサーガ最大の攻撃である光刃閃といえど、50m級の機体を一刀の元に両断するのは容易なことではない。
 深々と食い込みはすれど、その屈強で頑丈な装甲が刃を止める。
 それを力ずくで抜くには、片手の居合いでは腕力が足りなかった。

 ――重い。凄く重い。これが断ち切ろうとしているものの重み。

 鞘に添えていた手を離す。
 刀の勢いが完全に止まってしまう前に柄へと手を伸ばす。

 ――これを超える! 断ち切る!!

 片手から諸手へ。両の手に力がこもり、男は獣のような咆哮を挙げる。
 そして、一刀の元にラーゼフォンは両断され、刃が抜けた。
 止まらぬ勢いのまま上空に投げ出された無防備なヴァイサーガの中、統夜はラーゼフォンを睨む。
 ラーゼフォンの傷口は正中線を逸れ、右腰から入り上へ。そして、右肩殆ど首の付け根といってもいいあたりから抜けていた。
 ショートした回線が火花を散らし、潤滑油にでも引火したのか、濛々と黒煙が噴き上げている。
 その様を見て統夜は小さくガッツポーズをした。全身にじっとりと汗をかいている自分に気づく。
 緊張が解けて、ぐったりとシートに沈み込む。そして、何かが聞こえた。
 思わず顔をあげて周囲を見回す。
 不審なものはないもない。あるのは夜空に浮かぶ月と黒煙を上げて燃え盛る大型機。

 ――今の声は一体どこから?

 そう思ったとき、統夜は思い出した。通信回線を開いたままにしていたということを。
 ということは――。
 全身を怖気が襲った。通信から漏れてくるのは生きながらに焼かれる人の声。
 大きく損傷した機体のせいか、よくは聞き取れない。
 だがしかし、これは悲鳴だ。人の叫び声だ。
 それが『熱い』と言っている。『助けて』と言っている。
 咄嗟に耳を両の手でふさぐ。それでも脳髄に叩き込まれた声は消えない。
 通信を切ろう。そう思い、手を伸ばした。
 だが、まるで真冬の悴んだ手のように震え、言うことを聞かない。そしてその手は統夜の望むことと反対のことをした。
 映像通信のスイッチが入り、通信が繋がる。
 そして、目に飛び込んできたのは、焼け爛れ、熱に溶けた皮膚がビニールか何かのように両の腕から垂れ下がり、黒く燃え、火に包まれた何か。
 だがそれでもそれは生きている。のたうち、転げ周りながらも苦しさを訴え、助けを求めている。
189心、千々に乱れて ◆7vhi1CrLM6 :2007/10/08(月) 00:15:11 ID:Xi6RgJK9

 ――助けよう。

 ここに来て始めてその言葉が脳裏に浮かんだ。
 目の前で苦しんでいる人がいる。助けを請う人がいる。
 惨状を目の前に、そ知らぬ顔で見ないふりが出来るような神経を紫雲統夜は持ち合わせてはいなかった。

「待ってろ! 今、助けてやる!!」

 声をかけ励ます。ヴァイサーガをラーゼフォンに寄せると切り口の断面から装甲に手をかけた。
 コックピットの位置は分からない。
 だが、火の手が回っていることから、切り口に近い場所に位置していることは予想が付く。
 だから、断面から指を食い込ませ、コックピットを探して力ずくで装甲を剥がす。
 これ以外に方法が思いつかなかった。
 モニターをチェック。動きが先ほどよりも弱い。
 だが、声は聞こえる。
 急がなければと焦りが体を支配する。
 声をかけ続け、励まし続ける。
 装甲を掴む。掴む。掴む。
 強引に剥がす。剥がす。剥がす。
 何度それを繰り返しただろう。既に装甲というより内部を掻き分けている状態に近い。
 モニターの向うの動きはもうほとんど見えなくなった。
 だが、たまに掠れた様な声が聞こえる。
 それを希望に作業を続ける。焦りはますます体を支配していた。
 そして、モニターに巨大な指のようなものが映り、鮮血が飛び散った。
 一瞬の出来事に思わず呆然とする。
 暫くは焦点が噛合わず、ようやく合ったときには、モニターに飛び散り、乾き焼け焦げた黒い血痕だけがそこに残っていた。

「あ……あぁ……」

 声をかけようとして言葉は出ず。奥歯がカタカタと震える。
 支えていたヴァイサーガーの腕が離れ、焼け焦げたラーゼフォンが水面に落下して大きな水柱を上げた。

「ちが……違う。俺は悪くない! 殺そうとしたんじゃない!
 助けようとしたんだ!! 助けたかったんだ!! なのに!! なのに!!!」

 涙を浮かべ、だらしなく鼻水を垂らし、誰に言うでもなく言い訳をただひたすらに繰り返す。
 しかし、それを聞くべき人間はもうこの世に存在しない。
 そのことに少年が気がついたとき、持って行き場のない感情は悲痛な叫びとなって、闇夜に呑まれて消えた。

「うあ……ああ……あぁぁぁぁぁぁぁぁああああっっっっっっ!!!!!」



【紫雲統夜 搭乗機体:ヴァイサーガ(スーパーロボット大戦A)
 パイロット状態:精神不安定
 機体状態:無傷、若干のEN消費
 現在位置:G-8
 第一行動方針:逃げ出したい
 第二行動方針:他人との戦闘、接触を朝まで避ける
 第三行動方針:戦闘が始まり、逃げられなかった場合は殺す
 第四行動方針:なんとなくテニアを探してみる(見付けたとしてどうするかは不明)
 最終行動方針:優勝と生還】


【カテジナ・ルース 搭乗機体:ラーゼフォン(ラーゼフォン)
 パイロット状況:死亡
 機体状況:大破】
190心、千々に乱れて ◆7vhi1CrLM6 :2007/10/08(月) 00:16:31 ID:Xi6RgJK9
【カミーユ・ビダン 搭乗機体:VF-22S・SボーゲルU(マクロス7)
 パイロット状況:良好、マサキを心配
 機体状況:良好、反応弾残弾なし
 現在位置:G-8補給ポイント
 第一行動方針:キョウスケの護衛でG-8補給ポイントへ向かう
 第二行動方針:マサキの捜索
 第三行動方針:味方を集める
 第四行動方針:20m前後の機体の二人組みを警戒
 最終行動方針:ゲームからの脱出またはゲームの破壊
 備考:ベガに対してはある程度心を開きかけています】


【キョウスケ・ナンブ 搭乗機体:ビルトファルケン(L) (スーパーロボット大戦 OG2)
 パイロット状況:頭部に軽い裂傷、左肩に軽い打撲
 機体状況:胸部装甲に大きなヒビ、機体全体に無数の傷(戦闘に異常なし)
        背面ブースター軽微の損傷(戦闘に異常なし)、背面右上右下の翼に大きな歪み
        EN60%、スプリットミサイル残弾ゼロ、オクスタンライフル残弾B2発W1発
 現在位置:G-8補給ポイント
 第一行動方針:G-8で補給を完了する
 第二行動方針:首輪の入手
 第三行動方針:ネゴシエイターと接触する
 第四行動方針:信頼できる仲間を集める
 最終行動方針:主催者打倒、エクセレンを迎えに行く(自殺?)
 備考:アルトがリーゼじゃないことに少しの違和感を感じています】

【残り27人】

【二日目2:50】
191 ◆7vhi1CrLM6 :2007/10/08(月) 00:19:10 ID:Xi6RgJK9
投下終了です。
はい。問題作なような気はひしひしと感じております。
別にカテジナさんが嫌いなわけではありませんがこうなってしまいました。
多分ツッコミどころ多いと思いますので、遠慮なくご指摘のほうよろしくお願いします。
192それも名無しだ:2007/10/08(月) 12:45:07 ID:S7I7u8lk
投下乙です
カテジナさんが逝ったか……宇宙世紀の人間ってことでアムロやギンガナムとの絡みを期待してたんだがなぁ
らぜぽんもバサラと絡まずに大破しちゃったね
しかし統夜が積極的に動き出しそうで今後が楽しみ
193それも名無しだ:2007/10/08(月) 18:18:46 ID:2MwPKBfF
なんというGJの嵐よ。

局長と御大将が素敵過ぎるよ。何この言葉で言い表せないレベルの
楽しいやりとり。御大将も上手く乗せられたもんだよなあw

まさかカテジナさんが………機体で言えばマーダー組でも
最高クラスだったのに……ヴァイサーガもヤバイけどさ。
194それも名無しだ:2007/10/08(月) 21:34:31 ID:iArRywXF
まさかのカテジナさん死亡か…
それにしても統夜は不意打ち・名乗り逃げ・騙まし討ち・マーダー擦り付け・闇討ちと凄いことになってるな
しかも一度もまともに戦闘してない
195それも名無しだ:2007/10/09(火) 01:30:23 ID:tmPXSwO+
乙です
>>184の未見は眉間の変換ミスかな
内容はめちゃめちゃよかったぜ
196 ◆7vhi1CrLM6 :2007/10/09(火) 16:28:47 ID:gJBQiOO1
感想・ご指摘、ありがとうございました。

>>195
はい。そのとおりです。
未見に皺は寄らないですよね。すみません。

その他にも一部修正お願いします。

>>186
×目を開けるとそこは真っ白くてなにもない空間だった。
○そこは真っ白くてなにもない空間だった。
>>187
×「敵ごと迷いを断ち切る」
○「斬ろう……敵も……迷いも……」
>>188
×――これを超える! 断ち切る!!
○――これをここで断ち切る!!

以上です
197それも名無しだ:2007/10/09(火) 17:28:48 ID:OPfiiR/8
ようやく生存者も残り半分
折り返しか
198それも名無しだ:2007/10/09(火) 19:50:39 ID:hipcivSA
二回目の放送前に半分きったか。
ふと思ったんだが、5人参加のJや4人参加の種とかに比べてXとブレン勢の生存率は凄いな。
両方3/3でここまで全生存だ。
同じ3人参加でもゲッター勢やW勢は死亡率高いし。
複数乗りの機体や戦艦だと生き残りやすいのかな?
199それも名無しだ:2007/10/10(水) 02:10:06 ID:BpqpFFW9
複数乗りの機体→メディウスのゼクスとカズイ、あとマサキ?
戦艦→ユリカ

んなこたーなかろうよ。やっぱ早いうちに集団になったからじゃね?
200それも名無しだ:2007/10/11(木) 10:28:12 ID:WX7vPYiu
ブレン勢の場合、電波性格が把握し難くて書きづらいっていうのがデカい
しかも鉄火・真ゲ・Jアークと3人共超当たり機体だったしな
201それも名無しだ:2007/10/11(木) 20:47:10 ID:I4otwn83
ちょいマテ
鉄火っていってもペガスだぞw
しかもナデシコ乗ってから放置だしww
202それも名無しだ:2007/10/11(木) 22:14:39 ID:HFPilXzC
バーニィはよくまだ生きてられた
統夜はよくここまでgdgdでいられた
竜馬は状態表と動きが噛み合わないのによくツッコミを入れられないw
203それも名無しだ:2007/10/12(金) 00:07:53 ID:uFewtP+x
大雷凰は稼動してる機体の中で多分1番損傷が激しいよな
次いで激しいのは凰牙とラーズアングリフってとこか
204それも名無しだ:2007/10/12(金) 23:45:07 ID:j34shmUA
元々の性能が良いからそこまで気にならないけど、Jアークも結構ボロボロだな
しかも補給が出来ないからこれ以上の戦闘は辛いものがある
205それも名無しだ:2007/10/13(土) 01:02:39 ID:8Q6CY2PH
痛むのはやっぱ固めの機体が多いんだな
さける系の機体は同系の機体以外を相手にすると大概は痛む間もなく沈むもんな
例外的に大雷凰とガチで殴りあったYF-21はリアル系とは思えんしぶとさだったけど
そして、対照的にあっさり沈んだYF-19には泣いたな
206それも名無しだ:2007/10/13(土) 11:11:24 ID:GvjZuzZ8
大雷鳳もそうだけど竜馬の丈夫さも異常
さすがスーパー系、状態表無視すんなよw
207それも名無しだ:2007/10/13(土) 20:09:33 ID:JWfhObMP
竜馬というかゲッターチームは実際頑丈だからなw
たぶん生身だとベガさんの次くらいに無茶できると思う
208それも名無しだ:2007/10/13(土) 23:11:43 ID:HxkXpccZ
頑丈さならキラを忘れちゃいけないぜ?
なんせ近距離からの自爆を防いd(ry
209それも名無しだ:2007/10/13(土) 23:29:55 ID:UShVnjCh
ヒイロなんか自爆した機体にn(ry
210それも名無しだ:2007/10/14(日) 01:19:18 ID:jr1sxd05
いやいあキョウスケなんてシャトル墜落からも生き残っt(ry

化け物ばっかじゃねーかw
211それも名無しだ:2007/10/14(日) 01:55:33 ID:tMj8btIS
やべ、ヒイロアスランムサシの自爆組みんな死んでら
しかも自爆しても無事に済んでる度が高い方から順に
212それも名無しだ:2007/10/14(日) 02:55:36 ID:BlC/rTAo
はやまるな
自爆組はまだガウルンが生きてるぞ!
213それも名無しだ:2007/10/14(日) 06:04:58 ID:yfx7g8FG
MSの自爆で死ななかったヒイロはモンシアの自爆で死んだんだよな
もしかして機動兵器の自爆って殺傷能力低いんだろうかww
214それも名無しだ:2007/10/14(日) 17:27:17 ID:+H9dtVSd
なんで自爆の話になるとこんなに伸びるんだよw
ところで最近主催関連把握のために衝撃再プレイしてるんだけど結構キョウスケってOGと性格違うのなw
OGだとストイックで俺様キャラなとこがあるけど、衝撃だと同じ隊の連中とは和気藹々とは言わないが仲良くやってるし。
能力が援護型だから余計そう思うのかもしれんけどね。
215それも名無しだ:2007/10/15(月) 01:17:09 ID:i8q+qUgn
OGだと隊長っていう責任職になったからじゃね?
インパクトはあくまで一兵士だったし
216それも名無しだ:2007/10/16(火) 20:14:49 ID:jLu+ogdo
衝撃再プレイは結構きつくないか?
三部まで進めたデータが残ってたら俺も手を出すんだが…
かといってOGsにはノイ若本出てないしでGBA版OG2に俺は逃げた
217それも名無しだ:2007/10/16(火) 21:16:29 ID:eF5O5VnN
>>215
なるほど……ロワ内では頼られるポジションになりつつあるし、OGみたいな感じでいいのかな

>>216
OG2は俺もクリア済みなんだけど、アインスト関連って改変ないの?
1の方でバルマリィ関連が酷かったからオリジナルの方で確認しようと思ってさ
確かに衝撃辛いけど、スーパー系でも下手すりゃ数発で墜ちるバランスがロワに活かせる……わけないけどw
218これから ◆C0vluWr0so :2007/10/16(火) 21:56:42 ID:rdKLMOjP
夜が更けていく。
いや、どちらかといえば朝に近づいている、といった方が正しいだろう。
モニターに映る数字が、午前三時を少し過ぎたことを教えてくれる。
この殺し合いが始まってからもう半日。まだ半日。
エクセレンが死んでから――半日だ。
単純な気疲れもあったけれど、それは些細なこと。この感情は……この気持ちは、どう表現すればいいのだろうか。
定まらない、というのが一番近いような気がした。
定まらない。何を為すのか。何処へ行くのか。誰を頼るのか。
まるで半身を失ったかのような感覚が、苛立ちと虚しさを呼び起こしていく。
……思っていたよりも、重傷だな。
あのおちゃらけた態度が、気を和らげる軽口が、愛嬌に富んだ笑顔が、自分の中で大きな存在になっていたことを再確認する。
兵士として軍に従事している以上、いつまでも二人で無事に生きられるという保証など無いと分かっていたはずだった。
だが、あの大戦を終わらせた後、慢心とも傲りともつかない何かが生まれていたのは確かだ。

「中尉、バルキリーの補給も終わりました」

取り留めもない思考が、カミーユの声に遮られる。
補給を先に済ませ、カミーユの補給中はファルケンで警戒しておくと決めたのは自分だ。
しかし無意識のうちに周囲への警戒を怠っていたことに気づき、心中で自らを叱責する。

「それで、一つ報告しておくことがありまして……」
「どうした。何か不都合でもあったのか?」
「ええ。バルキリーの補給は確かに終わりました。――ですが、補給が行われなかった武装があります」
「何だと? ……機体の一部か?」

ファルケンの補給を済ませても、翼の欠損部まで修復されることはなかった。
補給される物資は、あくまで機体の動力エネルギーと消費弾薬のみらしい。
ならば、機体そのもので攻撃する武装――例えばアルトアイゼンのリボルビングステークのような――は、機体の欠損とみなされ、修復されることはないのではないだろうか。
そう見当をつけての言葉だったが、

「違います。武装名は反応弾。つまり――『核』です」
「……!」

カミーユの返答は、こちらの予想を超えるものだった。思わず手に力がこもる。

「……理由は分かるか?」
「あくまで予想の範疇ですが……元々この機体は、D-6に放置されていたものです。
 パイロットが埋葬されていたことから、他に同行者がいたことは確実でしょう。
 もし、その人物が反応弾だけを持ち去っていたなら……」
「消費されていない弾薬は補給されない……ということだな」

それはつまり、反応弾を、核を持った人物が何処かにいる可能性が高いということだ。
その同行者に関するユーゼスの推察は聞かせてもらっている。
バルキリーのパイロットだけを裏切りながら、あくまで協力者としての態度は崩さずに他の誰かと共に行動する、潜伏型の殺人者。
その殺人鬼が勝ち残りを狙っているのなら、反応弾は大きな武器になるはずだ。
使える状況にあれば、生き残っている参加者全てを殺すことさえ可能なのだから。

「バルキリーから得た情報によれば、反応弾は威力が高すぎるために通常戦闘での使用はほぼ不可能ということですが……
 それでも注意は必要でしょうね。こんな時なんだ、何があってもおかしくありませんから」

そう言いながら目を伏せるカミーユを見ながら、キョウスケはユーゼスの言葉を思い出していた。
『道中にこれも取ってきて貰おうか。できれば新鮮なやつが良い』
この言葉が意味するものは当然分かっていた。

――カミーユを殺し、首輪を回収しろ。
219これから ◆C0vluWr0so :2007/10/16(火) 21:57:14 ID:rdKLMOjP
どう動くのか見極めた上で、キョウスケ=ナンブという男の真価を判断しようとしているのだろう。
ユーゼスは、確かに能力もある。が、目的のためならば手段は問わないという姿勢があるのも確かだ。
おそらくあの男は、自分以外の全ての人間をチェスの駒程度にしか考えていない。
そして自分は――どう動く?
カミーユを殺すのか。それとも何も気付かなかった振りをし、凡愚を気取るか。
あるいは、ここでカミーユと共に、ユーゼスから逃げるのか。

「カミーユ。俺も、お前に話しておきたいことがある」

キョウスケは、あえてカミーユにユーゼスの言葉を伝えることにする。
それは残酷な言葉。けれど、避けることの出来ない言葉だ。
カミーユには、自分に向けられた悪意を知る義務がある。
聞いた上で、カミーユが判断しなければならない。

「ユーゼスは……お前を殺すつもりだ」
「――! 何なんだよ……そんなに人殺しが好きなのかよあんた達は!」

モニターに映るカミーユの顔色がみるみる変わり、その瞳にはキョウスケに対する敵意が宿っていく。
カミーユの呟きには、疑問と怒りが混ざっている。突然のキョウスケの言葉に混乱し、順応することが出来ない。
だが……だからといって、キョウスケは言葉を止めるつもりは無かった。

「ユーゼスはこう言った。『首輪を取ってこい』とな。
 意味は明白だ。だからこそ俺はお前に聞きたい。……どう動く、カミーユ=ビダン」
「殺すと言われて……簡単に殺される人間がいるものか。
 貴方が僕を殺すというならみすみすやられるつもりはありませんよ」
「俺にはお前を殺すつもりはない。……だが、ユーゼスは別だ。
 あの男は、利が無いと判断すれば、容易く他者を切り捨てるだろう。
 殺される危険性があると分かった上で……お前は俺たちに付いてくるのか?」

害を為すつもりはないと聞いて、カミーユの顔から険が取れる。
キョウスケにはカミーユを殺すつもりはない。死なせるつもりもない。
だが、このままユーゼス達と行動することは、カミーユにとってプラスにはならないと判断した。
カミーユが基地から離れ、単独行動をするのなら、このまま別れるつもりだった。

「……中尉。それはつまり、僕を置いていく、ってことですか?
 冗談じゃない。付いていきますよ、僕は。
 ……突っかかって反発するだけで、それで上手く変わるなんて思える程俺は馬鹿じゃない。
 大人には、俺たち子供を導く義務がある。ベガさんはそう言ってくれました。
 だから……貴方がそんな大人なのか、僕は確かめたいと思う。
 ゼクスさんやカズイを殺した貴方が、何を考えているのか……俺は知りたい」

そう言うカミーユの瞳は、強い。迷いながら……それでも、確かなものを探そうとする意志を感じさせる目。
年端もいかない少年――カミーユの魂は殺し合うには脆すぎる精神だ。
だが、カミーユは今、自分の心を少しずつ固めようとしている。少年から、戦士へと羽化しようとしている。
……カミーユは、強くなる。キョウスケにそう思わせるだけの可能性を、少年は秘めていた。

「……それがお前の決断なら、最後まで貫け。
 ただし……俺はベガほど甘くはない。付いてくるのなら必死で付いてこい。それが条件だ」
「……はい! なら……ユーゼスは一体どうするんですか?」
「ユーゼスには、適当な言い訳をしておく。だが、この先ユーゼスが不必要に他者に危害を加えるようなら……俺は、ユーゼスに容赦するつもりはない。
 カミーユ、お前も注意を怠るな。ユーゼスが何時動いても対処出来るようにしておけ。
 まずはこれから基地へ帰投する。問題は、その後だ。
 俺たちで四人だけでは戦力としては少なすぎる。分の悪い賭けは嫌いではないが……無謀と勇気は全く別のものだ。
 アインストに反逆する人間は他にもいるはず――出来る限り早く合流するぞ」

そして、ノイ=レジセイアを再び倒す――そう言いかけて、キョウスケは口を閉じた。
その後、自分は一体――どうするつもりなのだろうか。
エクセレンはもういない。今はそのことが――とても寂しいことだと思えた。
220これから ◆C0vluWr0so :2007/10/16(火) 21:58:15 ID:rdKLMOjP

【カミーユ・ビダン 搭乗機体:VF-22S・SボーゲルU(マクロス7)
 パイロット状況:良好、マサキを心配
 機体状況:良好、反応弾残弾なし
 現在位置:G-8補給ポイント
 第一行動方針:基地へ戻る
 第二行動方針:マサキの捜索
 第三行動方針:味方を集める
 第四行動方針:20m前後の機体の二人組みを警戒
 最終行動方針:ゲームからの脱出またはゲームの破壊
 備考:ベガ、キョウスケに対してはある程度心を開きかけています】

【キョウスケ・ナンブ 搭乗機体:ビルトファルケン(L) (スーパーロボット大戦 OG2)
 パイロット状況:頭部に軽い裂傷、左肩に軽い打撲、ユーゼスに対する不信
 機体状況:胸部装甲に大きなヒビ、機体全体に無数の傷(戦闘に異常なし)
      背面ブースター軽微の損傷(戦闘に異常なし)、背面右上右下の翼に大きな歪み
 現在位置:G-8補給ポイント
 第一行動方針:基地へ戻る
 第二行動方針:首輪の入手
 第三行動方針:ネゴシエイターと接触する
 第四行動方針:信頼できる仲間を集める
 最終行動方針:主催者打倒、エクセレンを迎えに行く(自殺?)
 備考:アルトがリーゼじゃないことに少しの違和感を感じています】

【二日目 3:20】
221それも名無しだ:2007/10/16(火) 21:58:46 ID:jLu+ogdo
う〜ん、ぶっちゃけると衝撃途中で投げ出した身だからC2との比較になるけど
GBA版までだとそこまで設定に大きな違いはなかったと思う
C2もOG2もOGsもアインストは大昔に設置された監査機関のようなもので、始まりの地の者が望んでない方向に進化してったから、
過ちを正して新しい宇宙で完全な生命を創造しようとしたってことだったと思うし

とりあえず自分がパッと分かるアインスト関連の違いは
・ライディーンとアインストの関係が超機人とのそれに置き換わり
・エクセレン洗脳解除後のラインヴァイスリッターの扱い
 C2:フラグなしだとノーマルヴァイスに
 OG2:アインスト消滅後のEDでノーマルヴァイスに
 OGs:ED後もずっとラインのまま
・アインスト系列機の消滅の有無
 C2:撃墜した機体は一定時間(?)で煙のように消えた(たしか一部のジャブロー辺り)
 OG2・OGs:たぶん不明
・異世界への空間転移
 C2:バイストンウェルなどへも転移可能
 OG2・OGs:そもそも異世界マップがアインスト空間しかない為不明
・始まりの地が他にもあるらしく別ルーツが存在する(OGs)
・ノイ若本がこっち側に出てくるのに憑代が必要?
 C2・OG2:必要なし
 OGs:ホワイトスターを憑代に使った気がする(うろ覚え)
・平行世界のアインストの存在(OGs)

ただアルフィミィ関係に変更があるのかは不明だけど
結構うろ覚えの部分も多いので追加・訂正・つっこみどころなど大歓迎
というか衝撃との比較も加えてくれたらすごく助かります
222 ◆C0vluWr0so :2007/10/16(火) 22:00:05 ID:rdKLMOjP
予約無しですが書けちゃったので投下終了。
短い上に即リレーですが、このタイミングで投下したかった話だったり。
誤字脱字矛盾点などあれば指摘お願いします。
223それも名無しだ:2007/10/16(火) 22:08:07 ID:jLu+ogdo
>>222
GJ!
更新せずに投稿したのであぶなく割り込むところでした。すみません。
ユーゼス組がますます綱渡りに。
首輪解除したあと、どういった事態になるのか楽しみですw
キョウスケの迷いはこれまであまり触れられていなかっただけに新鮮でした。
224それも名無しだ:2007/10/16(火) 22:08:25 ID:Qv1ZQSWn
そういえば、アルフィミィの位置づけってきちんと定められてたっけ?キョウスケ・エクセレンとの記憶は一切リセットのようだけれど、
キョウスケ・エクセレンと関わりが有ったあのアルフィミィを再生させたものなのか、それとも新しく作られたアルフィミィなのか……。
225それも名無しだ:2007/10/16(火) 22:49:30 ID:rdKLMOjP
>>221
まとめ乙です!
基本は変わらないってことなら、細かい差異はSS内で補完したほうがロワ進行に合ったものになりそうな予感。

>>224
かっつりは決められてなかったかな?感想スレで幾つか案は出てたはずだけど。
こっちもSS内で決められていくと思う。
人数的に第二回放送を越えたら話が加速していきそうだなー
そのまま放送にいっても良さそうなのが何人かいるし、そろそろ放送目指して頑張りたいところ。
226それも名無しだ:2007/10/17(水) 00:05:39 ID:wiglCJ1p
>>220
GJ
やっぱキョウスケは隊長みたいなポジが似合うな。
気になったんだけど、カミーユの一人称がちょっとおかしくない?
>「……中尉。それはつまり〜〜〜俺は知りたい」 のとこ。
僕とも俺ともいうキャラだけど、一つの会話の中ではそうころころ変わらないと思う
227それも名無しだ:2007/10/17(水) 01:19:54 ID:dgq9r+j7
>>222
投下GJ!
反応弾の補給無しからそういう発想に持っていける発想がやっぱ凄いな
地味にユーゼス追い詰められてきてる?
本人自覚なさそうだけどwww

>>225
放送の話考えるのなら時間帯決めて雨なんか降らせてみたいとか言ってみたり
放送に気象情報も流させてみて
単なる思い付きですけどね
228それも名無しだ:2007/10/17(水) 20:46:36 ID:XzDBtmJ5
>>226
確かにそうですね……僕と俺の使い分けで微妙な心理変化を出したかったんですけど、無理がありました。

>>219
「……中尉。それはつまり、僕を置いていく、ってことですか?
 冗談じゃない。付いていきますよ、僕は。
 ……突っかかって反発するだけで、それで上手く変わるなんて思える程俺は馬鹿じゃない。
 大人には、俺たち子供を導く義務がある。ベガさんはそう言ってくれました。
 だから……貴方がそんな大人なのか、僕は確かめたいと思う。
 ゼクスさんやカズイを殺した貴方が、何を考えているのか……俺は知りたい」

 ↓

「……中尉。それはつまり、僕を置いていく、ってことですか?
 冗談じゃない。付いていきますよ、僕は。
 ……突っかかって反発するだけで、それで上手く変わるなんて思える程僕は馬鹿じゃない。
 大人には、僕たち子供を導く義務がある。ベガさんはそう言ってくれました。
 だから……貴方がそんな大人なのか、僕は確かめたいと思う。
 ゼクスさんやカズイを殺した貴方が、何を考えているのか……僕は知りたい」

に修正します。まとめさん余計な手間かけさせてすいません。
229 ◆C0vluWr0so :2007/10/17(水) 22:45:20 ID:XzDBtmJ5
今更だけど酉付けるの忘れてたw
>>228は本人です
230それも名無しだ:2007/10/18(木) 03:31:59 ID:EUBfy4Rd
乙です。
短い文章ながらも、キョウスケとカミーユの味が出ていてよかったです。
しかし、このロワのカミーユはどのスパロボよりも原作ライクな気がするな。
ナイーブだし、すぐ人に食ってかかるし、何かあるとすぐ大人大人言うし……
231それも名無しだ:2007/10/18(木) 03:44:36 ID:9JOEtyXR
86歳のじいさんが2mもあるドングリ怪人と大激闘。重傷を負うも、必殺技トライ・ショックで撃破。史上最高齢での「ブラックバスターズ」の称号を得る

http://ex23.2ch.net/test/read.cgi/esp/1189837809/l50
232それも名無しだ:2007/10/18(木) 23:37:42 ID:FaNb0vX6
>>230
VF-22突撃フラグですか?
「わかるまい!戦争を遊びにしているユーゼスには、この俺の体を通して出る力が!!」 

ロワ内だとゼクスとマサキは力貸してくれそう。
原作と違って華がないな…。
233それも名無しだ:2007/10/21(日) 04:01:27 ID:887eQjLn
234それも名無しだ:2007/10/21(日) 05:44:47 ID:M5hjrZeW
235それも名無しだ:2007/10/21(日) 13:28:12 ID:hcoCFTnU
236それも名無しだ:2007/10/21(日) 14:30:50 ID:d2Tyzhan
237それも名無しだ:2007/10/21(日) 17:26:46 ID:zveeVBiA
238それも名無しだ:2007/10/21(日) 18:09:46 ID:BdWex41d
239それも名無しだ:2007/10/21(日) 18:13:22 ID:O1nivlfb
240それも名無しだ:2007/10/21(日) 20:42:45 ID:V0eBBPXg
241それも名無しだ:2007/10/22(月) 03:24:57 ID:bn1p0ZTQ
242それも名無しだ:2007/10/22(月) 03:32:25 ID:61gw0/x0
243それも名無しだ:2007/10/22(月) 08:38:06 ID:P3SuPgTp
244それも名無しだ:2007/10/22(月) 09:43:18 ID:zAHxjX+k
245 ◆7vhi1CrLM6 :2007/10/22(月) 19:40:22 ID:LUIyUrf/
星のカービィDVやめて
一次に習ったのかカオスな保守w

キラ・ソシエ・ロジャー、予約します
246それも名無しだ:2007/10/22(月) 20:44:39 ID:w48cS+cO
>>245
予約にwktk
ロジャーの交渉術がソシエお嬢様に通じるのか楽しみだw
247それも名無しだ:2007/10/23(火) 20:54:32 ID:becqQgtV
誰かメットールか工事現場の看板によく書かれているおっちゃんのAA知らないか?
武蔵の死亡図鑑で使いたいんだが
248何をもって力と成すのか ◆7vhi1CrLM6 :2007/10/26(金) 00:54:52 ID:XdL91EQE
 騎士凰牙がJアークに着艦する。107mのJアークに対して28.5mの凰牙、約四分の一の大きさを誇るそれはとても艦内に収まる大きさではなく甲板に係留されこととなった。
 その作業を終えて、一人の男が艦内へと歩を進める。
 ロジャー=スミス――土がつき血に汚れてはいるが、仕立ての良い黒スーツを隙なく着こなすその男を見て、ソシエ=ハイムはどうしたものかと一人考えた。
 考えたことは話し合いについてではなく、礼儀作法について。貴族とは言わないまでも田舎の名士程度には上等な生まれであるソシエは最低限の礼儀は仕込まれてはいる。
 つまり、それなりの身なりをした相手に行儀良くするべきかを迷ったわけである。
 が、生まれのわりに活発過ぎるほど活発なソシエは、窮屈なそれが嫌いであった。それにここには『お行儀がわるいですよ』と口を酸っぱくして注意してくるキエルお姉様もいない。
 そんなわけで、ちょっとした逡巡の後、お行儀良くする気をソシエは失った。
 その間に歩みを進めて来た男は、ブリッジに入ると何気ない所作で周囲を見渡していた。

 ◇

「先ほどの通信でも名乗らせていただいたが、改めて名乗らせていただこう。
 私の名前はロジャー=スミス。ネゴシエイターを生業としている」
「ソシエ=ハイムよ。あっちで寝ているのがキラ=ヤマト」
「トモロだ」

 そんな決まりきった挨拶からロジャーとJアークに寄り集まった者たちの話し合いは始まったが、しょっぱなからロジャーは驚きに身を固くしていた。
 ロジャーはソシエとキラの二人の他には、誰もいないことをロジャーはさっき確認している。にもかかわらず声が不意に響いてきたのだ。
 どちらかというとこれは愉快な出来事ではない。注意は払っていたのだ。自尊心をちょっと傷つけられたという思いも少しあった。
 だから少し棘を含ませて「よければ姿を見せていただけないかな?」と言ったロジャーに対して、トモロは「私ならば君の目の前にいるよ。あるいは中というべきかな」と応じてきた。
 その意外な言葉に思わず狐につままれたような顔になり「中?」と間の抜けた声で返してしまい。ロジャーは二度も話の主導を取られたことを悔しがる羽目となった。

「私はこの戦艦Jアークに搭載された生体コンピューター。Jアークを人間の身体にたとえれば、脊髄と小脳の働きをしているのが私だ」

 ロジャーは小首を傾げたが、直ぐに一つのことに思い当たり、余裕を持った態度を取り戻す。
 何事も驚かされっぱなしというのはどうにも受けに回っているようで落ち着かないものだ。

「なるほど、今私は巨大なアンドロイドのお腹の中にいるというわけか」
「そう解釈してもらって構わない」
「では互いの紹介もすんだところで交渉に移らせていただきたいが――」

 そこで一度言葉を区切り瞼を閉じた。
 瞳の奥に想いを巡らせる。長い一日の間に起きた幾つかの情景が目まぐるしく、しかし鮮やかに過ぎ去る。
 ここで話を持ちかける以上、やはり彼女のことは語らねばなるまい。そんな思いが体のうちから湧き出てきていた。

「リリーナ=ピースクラフト。この殺し合いを望まなかった一人の少女の話を聞いてもらいたい」

 そう言って切り出したロジャーの瞳はどこか寂しげな哀愁の色を浮かべていた。
 話は彼女との出会いから始まる。
 彼女と出会い、誇りを失いかけた自分が何を思い、何を考えたのか。それを赤裸々に自らの心理を語る。
 そして話は彼女の理念と行動を伝え、彼女自身の死を持って閉じられた。
 その最後に『私はここでは彼女の代弁者に過ぎない』と言葉を添える。
 場が静寂に満ちる。誰もが何かを考えこんでいる。そんな静寂の中、ロジャーはソシエ=ハイムの目をじっと見ていた。
 そこには思いがある。
 『返答は?』と無言で自分に問いかけた来たあの切れ長の目。それを意識せずにはいられなかった。
 同時にあれと同じ思いを込めたつもりでロジャーはソシエを見つめていた。

「……あなたの言うことも分かります。だけど」

 静寂はあらぬ方向から静かに破られることとなった。言葉を発したのは一人の少年――いまだ寝ていたと思われたキラ=ヤマト。
 いつの間にか起き上がっていた少年は、一度ロジャーと目を合わせるとスッと逸らしソシエへと視線を向けた。

「キラ、気づいてたの?」
「うん。少し前からね……ソシエ、ムサシさんとテニアは?」

 ソシエは目を伏せ、沈黙を答えにして返す。
249何をもって力と成すのか ◆7vhi1CrLM6 :2007/10/26(金) 00:56:33 ID:XdL91EQE
「そうか……ロジャーさん、あなたの言いたいことは分かります。
 だけど、想いだけでは足りない。想いだけでも、力だけでも足りないんだ。
 守らないと死んでいく人がいる。あってはならないモノが人に恐怖を与えることがある。
 だったら誰かが力にならなくちゃいけない」

 言葉を発するキラの目に宿るのは悔恨の情。知る者を、大切な人を守ることも出来ずに死なせてしまったという後悔。
 そこに込められた想いを感じ取り、一瞬ロジャーの口は重くなった。しかし、だからといって反論をしないわけにはいかない。

「ならば聞かせてもらう。君の言う力とは武力のことか? それとも暴力のことか?」
「それは……」

 キラの目が泳ぐ。しかし、それも一瞬。直ぐに目の光を強くなり、真っ直ぐにキラが答える。

「武力です。誰かの為に盾になる。誰かの為に犠牲になる。人を守るための力が必要です」

 少年の言葉と態度、その両方にロジャーは人知れず感嘆の溜息を吐いた。
 キラの考えは誤ってはいない。どちらかと言うとリリーナの考えよりも自分の考えに近いと思うことも出来る。
 ネゴシエイションに値しない者には鉄の拳を、それはロジャーの信念でもあった。
 だが、ロジャーは交渉人――ネゴシエイターである。
 つまるところの代理人。彼女の願いを優先するのは仕事でもあり、また志半ばで散っていったものに対する人情でもあった。
 それに力は武力だけではない。そのことを誰よりも知り、また信じているのも彼自身である。

「なるほど君の答えは間違えではないだろう。だが、あくまで間違いではないというだけに過ぎない。
 武力と暴力は紙一重。
 心ない者が持てば武力は暴力に変わる。また心ある者も時に道を踏み外す。それに、力が人の道を踏み外させることも多い」

 そこで言葉を区切ったロジャーは悩む。言うべきか、言わぬべきか。
 出来れば言いたくはない。言えば論戦には勝てるかもしれないが、この少年の心に傷をつくることになる。
 だが言わねばなるまい、とロジャーは胎に力を込める。

「現に、君は一度道を踏み外した」
「どういうことです?」
「前の戦闘。そこで私は仲間を失った。この戦艦と争っていた戦艦ダイに乗っていたのは、まだ二十歳そこそこの女性だ。
 彼女もリリーナ嬢の話を聞いたときに言っていたよ。大切なものを守るために武器を手に取った人達に武器を捨てろとは言えない、と。
 不幸な要素が多々あったことは紛れもない事実だ。だが、君が手にした力は君と同じ想いを抱いたものを討った」

 その言葉にキラはサッと蒼ざめ、うつむくようにして押し黙った。
 結論から言えば、そのことを口走ったのはロジャーの失言であった。
 リリーナは死んだ。ユリカも恐らくは死んでいる。その二人の死を意味のないものにしてはならない。
 そういった想いが、ロジャーの言葉を知らず知らずのうちに固くきついものに変えている。
 語調に責めるような響きが無意識のうちに込められていたのだ。
 最後に諭すように「だが、力は武力だけではない。言葉に力が宿ることもある。私はリリーナ嬢の言葉に動かされここにいる」と付け加えられた言葉は、しかし、キラに跳ね除けられることになる。
 人は攻められると咄嗟に自分を守ろうという本能が働く。それは言葉でも変わらず、心理的に追い込まれたキラは逆に牙をむいた。

「あなたたちはどうなんですか? 武力を行使するべきではないと言いながらあんなものに乗っている。矛盾してるじゃないですか!
 ソシエが砲撃を浴びた。足を折られた。ダイは人々に恐怖を与えるあってはならないものと考えてしまうのは当然でしょ?」
「……っ!」

 一瞬、ロジャーが言葉に詰まる。リリーナの掲げる完全平和主義と自身の行動の矛盾。
 それはロジャー自身が自覚していることでもある。だからこそ彼はここで意固地になった。

「ユリカ嬢が砲撃を加えたのには幾つかの不幸な間違いがある。それを許せとは言わない。
 だが、君達もまたもう少し冷静に対処するべきだったと私は思っている」
「それは互いに言えることです。それに、前半の返答はないんですか?」
「君の言うとおりだ。私自身、武力を保持している。だが、私はそれに頼ってはいない。
 君達の前で機体から降り、交渉に赴くということもしてみせた。
 交渉ごとに武力は必要ない。銃を右手に仲良くしましょうと言われて信じる人はいない」
250何をもって力と成すのか ◆7vhi1CrLM6 :2007/10/26(金) 00:57:49 ID:XdL91EQE
 そして、熱を孕んだ両者の頭は留まるところを知らずヒートアップしていき、議論が互いの牽制へと姿を変え始めた頃、スパーン、と二度小気味の良い音が鳴った。同時に怒声が飛ぶ。

「二人とも、いい加減にしなさーい!!」

 ロジャーとキラ、二人が振り向くとそこにはどこから取り出したのかハリセン片手に仁王立ちしているソシエの姿があった。
 心なし背後がメラメラと燃えているような気がする。
 やや圧倒されながらも互いに『こいつが悪い』と抗弁しようとした二人を「うるさいっ!」と大声で一括。
 悪さをした兄弟を叱る肝っ玉母ちゃんの図式が瞬く間に出来上がる。とそこへトモロが割って入った。

「小さすぎて内容は定かではないが、外部から微かな声を拾った。どうする?」

 Jアークは戦闘終了後から禁止エリアであるD-4を避けながらも北上を続けていた。
 そして現在、E-3の一方向だけ扇状に欠けた円形とでも言うべきクレーターの上空にいる。
 そのクレーターの内部に粉々に砕けた一つの機体があり、人影はない。

「トモロ、降りてみよう。人が生きているのかもしれない」
「あそこに何か埋めたような後があるわ」
「トモロ、感知した声をこちらに回せるか?」
「可能だ」

 三人が口々に勝手なことを口走り、Jアークが降下を始める。暫くして、艦内に拾った音が流れ始めた。
 弱く小さいながらも微かに何かが耳に届く。高い音域を行き来し旋律するその調べはまるで――

「何これ? 歌みたい」
251何をもって力と成すのか ◆7vhi1CrLM6 :2007/10/26(金) 00:58:48 ID:XdL91EQE
【キラ・ヤマト 搭乗機体:Jアーク(勇者王ガオガイガー)
 パイロット状態:ジョナサンへの不信
 機体状態:ジェイダーへの変形は可能?各部に損傷多数、EN・弾薬共に30%
        反応弾を所持。
 現在位置:E-3ラクスの墓上空
 第一行動方針:?
 第二行動方針:このゲームに乗っていない人たちを集める
 最終行動方針:ノイ=レジセイアの撃破、そして脱出】
 備考:Jアークは補給ポイントでの補給不可、毎時当たり若干回復。】

【ソシエ・ハイム 搭乗機体:無し
 パイロット状況:右足を骨折、気力回復
 機体状況:無し
 現在位置:E-3ラクスの墓上空
 第一行動方針:歌?
 第二行動方針:新しい機体が欲しい
 第三行動方針:仲間を集める
 最終行動方針:主催者を倒す
 備考:右足は応急手当済み】

【ロジャー・スミス 搭乗機体:騎士凰牙(GEAR戦士電童)
 パイロット状態:肋骨数か所骨折、全身に打撲多数 
 機体状態:左腕喪失、右の角喪失、右足にダメージ(タービン回転不可能)
       側面モニターにヒビ、EN70%
 現在位置:E-3ラクスの墓上空(凰牙はJアーク甲板)
 第一行動方針:Jアークと交渉
 第二行動方針:ゲームに乗っていない参加者を集める
 第三行動方針:首輪解除に対して動き始める
 第四行動方針:ノイ・レジセイアの情報を集める
 最終行動方針:依頼の遂行(ネゴシエイトに値しない相手は拳で解決、でも出来る限りは平和的に交渉)
 備考1:凰牙は通常の補給ポイントではEN回復不可能。EN回復はヴァルハラのハイパーデンドーデンチでのみ可能
 備考2:念のためハイパーデンドー電池四本(補給二回分)携帯
 備考3:ワイヤーフック内臓の腕時計型通信機を所持】

【二日目4:00】
252 ◆7vhi1CrLM6 :2007/10/26(金) 01:03:42 ID:XdL91EQE
投下終了。
私用で投下が遅れてすみませんでした。
ラクスの歌の是非についてあるなしなど問題もあると思うのでご意見よろしくお願いします。
253それも名無しだ:2007/10/26(金) 19:12:50 ID:lbfJIgf1
投下GJです。
ロジャーの言い分もキラの言い分も間違ってないだけに難しいところだなぁ。
しかしロジャーが大人げなく見えるのは俺だけじゃないはずw
最近ソシエお嬢様が空気脱出してきた感じ。どんどんシリアスになってきてるから良い空気清涼剤になってくれそう。
ラクスの歌は大丈夫だと思います。いざとなればLCLスゲーで。
ここでこのフラグ回収とは想像の斜め上だなぁ……キラへどう影響するのか期待大。
254それも名無しだ:2007/10/26(金) 20:34:31 ID:jODUwmXH
投下GJ!
この組は一筋縄に合流とはいかないか……対主催グループ同士の誤解フラグはかなり厄介だねー
一応ネゴシエイターなロジャーでこれだから他の組はもっと苦戦しそうな予感
自分もラクスの歌はアリだと思いました
255それも名無しだ:2007/10/26(金) 21:43:09 ID:kjqw3h18
でも歌が聞こえるだけでどうなるんだ、って言う冷たい考えをしてしまう俺。
キラに芽生えた強い意思を更に強固にする事は出来るだろうけれど……。

LCLの残り汁を飲ませれば誰でも平和主義者に!って設定にするわけには行かないしなあ……。
256それも名無しだ:2007/10/27(土) 01:10:21 ID:efXoBv7b
顔以外グチャグチャっぽいラクスと首輪が埋まってるから一応キラをどっちにも転がせる
モラル的に掘り返すのはNGっぽい面子だけど
あとポジトロンライフルの陽電子カートリッジが落ちてる
気付けるわけない気もするけど
257それも名無しだ:2007/10/27(土) 10:27:59 ID:9tlDrGps
掘り返すのは

土の中から歌が!→まさか生き埋め?→早く助けないと

で強引に掘れない事もない気がする
258それも名無しだ:2007/10/28(日) 00:33:37 ID:+YaMdis2
まあでも埋まってるってことは弔われてるってことだし、掘り返すだけならまだしも中見るかね?
外からだって生命反応ないのくらいわかるはず。
歌からラクスと気付くだろうし。
259それも名無しだ:2007/10/29(月) 21:24:09 ID:LHPySK0W
墓から歌が聞こえるって常識的に考えるとホラーだな
立派な心霊スポットになるぞ
260それも名無しだ:2007/10/31(水) 11:37:24 ID:sa/j7V97
静かな夜にうらめしや
261それも名無しだ:2007/11/01(木) 23:12:11 ID:Rx0Skv8I
262それも名無しだ:2007/11/01(木) 23:35:47 ID:2eTeDrkj
263それも名無しだ:2007/11/01(木) 23:58:21 ID:UPCepm2c
264それも名無しだ:2007/11/02(金) 01:06:13 ID:L6W+CfO/
265それも名無しだ:2007/11/02(金) 01:17:55 ID:ZiHwcK+B
266それも名無しだ:2007/11/02(金) 09:25:37 ID:F92izAFa
267それも名無しだ:2007/11/02(金) 11:44:35 ID:hRNpf6X4
268それも名無しだ:2007/11/02(金) 14:26:07 ID:aSDw2AOL
269それも名無しだ:2007/11/02(金) 14:53:01 ID:2NeTSr3K
270それも名無しだ:2007/11/02(金) 16:35:48 ID:X1inIKQz
271それも名無しだ:2007/11/02(金) 16:37:35 ID:hRW8xBXu
272それも名無しだ:2007/11/02(金) 18:20:56 ID:XIjF4Eyx
273それも名無しだ:2007/11/02(金) 22:19:10 ID:Qz2Ba5Ui
補完ケイサルグルメ玉?
274それも名無しだ:2007/11/02(金) 23:49:59 ID:L6W+CfO/
そんなラスボスは嫌だwww
275それも名無しだ:2007/11/03(土) 00:00:02 ID:Y9/W0J61
「我が名は、全ての焼き焦げた目玉焼きの王であり、目玉焼きを補完する者・・」
276それも名無しだ:2007/11/03(土) 00:09:14 ID:Mb+cAARz
保管系 猿グルメ玉かもしれないぞ
つまり猿を材料に作ったグルメな玉状の保存食だな
277それも名無しだ:2007/11/03(土) 00:31:04 ID:aY1fXdCc
>>273-276
つまりロワの真の黒幕は補完ケイサルグルメ玉で
またアキト辺りの支給食料には保管系猿グルメ玉が入ってると

ねーよwww
278それも名無しだ:2007/11/03(土) 18:47:00 ID:ns4it7YR
ないわ..
279 ◆C0vluWr0so :2007/11/04(日) 13:20:23 ID:TG0hDzp0
ユーゼス、バーニィ、ベガさんで予約します。
280それも名無しだ:2007/11/04(日) 18:01:03 ID:d5yQaEvv
予約ktkr
何気に足場ぐらついてるユーゼスがどうなるのか
バーニィがどう作用するのか期待
281『未知』と『道』 ◆C0vluWr0so :2007/11/05(月) 19:27:23 ID:12maE26z
ぼんやりとした意識が闇の中を彷徨っている。
どこまでも暗い無意識の海。下に浮かぶのか上へ沈むのか分からない曖昧な感覚。
何処からともなく声がした。問う声だ。

『お前は一体どうしたいんだ?』

――俺は、帰りたい。アル達が待ってるサイド6へ。
  約束をしたんだ。必ず生きて帰って、会いに行くって。
  会いたいんだ。まだまだ話したいこともあるし、聞きたいこともあった。

『そのために殺すのか?』

――仕方ないじゃないか! 最後の一人にならないと帰れない。
  それが分かってて、それなら殺すことだって考える。
  戦争と同じなんだよ、殺さなきゃ生き残れない。

『戦争と同じだって? それは違うさ。お前は今、自分のために人を殺そうとしている。
 上から言われるままに戦えば良かった戦争とは、全く違うんだよ。我が侭なガキの言い分だな』

――それでも……我が侭でも、俺はみんなに会いたいんだ。

『殺して生き残って、それでもアルやクリスに会えるのか? 人殺しの癖に胸を張って会いに行くのかい?』

――それは……

『そら、やっぱりお前はそういうやつなんだよ、バーナード・ワイズマン。
 いつも考えが足りない。だから大切なモノも失くしてしまう』

――うるさい! うるさいうるさい!
  だいたいお前は一体誰なんだよ! 何でそんなことを言うんだよ!?

『まだ気付いてないのかい、バーニィ?』

――くそっ……! 何で俺が……何で!

『そうだ。俺はお前なんだよ。俺の言葉はお前の言葉だ。俺の考えはお前の考えだ。
 ……さぁ、もう一度聞くぞ。――お前は一体どうしたいんだ?』

――俺は……俺は……!

 ◆

意識の反転。バラバラだった意志は手繰り寄せられ、一つの纏まった思考へと変化していく。
視界は暗い――が、周りに広がっているのは視認できる夜の闇だ。出口の見えない暗黒ではない。
自分が夢を見ていたのだと気付くのと同時に膨れる疑問。
……此処は何処だ?
意識が断絶する一瞬前まで、自分は交戦していたはずだ。
虫のような機体に、後から乱入してきた二機。自分も含めて四機の戦闘。
自分が気絶していた間に全て終わった、ということなのか?
でも、それならなんで俺は生きてるんだ? 他の機体は何処へ行ったんだ?
段々と戻ってくる身体の感覚は平時のそれとは全く違う。
後ろ手に縛られている=身動きが取れない=危険。単純明快な理論に涙が出そうになる。
暗順応を起こした視細胞が、次第に暗闇の中に立つ人影を認識し始めた。

(……仮面? 男なのか? 俺を縛ったのも……?)
282『未知』と『道』 ◆C0vluWr0so :2007/11/05(月) 19:28:05 ID:12maE26z
薄暗闇の中、はっきりと姿を確認することは出来ないが、目の前の男が自分の生殺与奪権を握っているという事実に緊張が走る。
向こうはこちらが目覚めたということに気付いているようだ。じっとこちらを見つめたまま、動かない。
もっとも、顔全体を覆う仮面のせいで、男の視線が本当に自分に向けられているのか分からないのだが。
そのままどれくらい見つめ合ったのか。仮面の奥で男が笑ったような気がした。
そして声が響く。

「お目覚めかね?」
「……ここは何処だ? あんたは一体誰なんだ!?」
「落ち着け。君が私の話を聞いてくれるのなら悪いようにはしない。
 まずは君の名前を聞かせてくれ。私の名はユーゼス=ゴッツォだ」
「……ジオン軍所属のバーナード=ワイズマンだ。あんた……俺に何をする気なんだ?」
「落ち着け、と言っている。悪いようにはしないともな。
 ……そうだな、それでは逆にこちらが聞こう。ワイズマン、君は一体どうするつもりなのかとね。
 君はこの基地に来る前に青い機体と交戦したはずだ。今現在私はそのパイロットと行動を共にしている。
 勿論君のことも聞いている。奇襲を仕掛けてきた危険なパイロットとしてだが……」

ククク、と実に愉しそうにユーゼスと名乗った男は嗤う。
一挙一動が周囲に邪悪さと悪意を撒き散らしていく。
それを全く隠そうとしないのは、ユーゼスが絶対的優位に立っているからだろうか。
こちらはユーゼスの余裕とは逆に、焦りがどんどん募っていくというのに。
……不味い。ここで下手なことを喋れば、縛られたまま殺されるというのも十分にあり得る。
何せ此処は、『殺し合い』をする場所なんだから。

けれど、士官学校を卒業したばかりで、軍に配属されてから間もなくて。
「俺は……死にたくなかっただけなんだ」
ろくに実戦経験も無く、それどころか女の子を口説くのさえ下手な俺じゃあこんな時に上手いことなんか言えっこない。

「死にたくなかったから他者を殺そうとした――いや、それとも既に殺したのか?」
「……」

何も言い返せない。言葉さえ浮かばない。
だからコクリと小さく頷いて、それに肯定の意味を込める。
だが、何故かユーゼスの両手がパチパチと乾いた音を立てる。

「そうか。だが……それの何がおかしい? それは人として当たり前の感情だ。
 私がその程度のことで君を軽蔑するはずがない。むしろ、その生きようとする強い意志に賞賛の拍手を送ろう」

……今、何て言った?
ここにきて――ようやくバーニィは、目の前の人物の本当の異常性に気付く。
例えば自分が人生経験もろくにない新兵だとか、相手の仮面の所為で表情が掴みにくいだとか。
そんなことを抜きにしても『この男が本当に心の底から、一つの偽りも無くこの言葉を吐いたということは間違いない』と言い切れる。
殺される殺されないの問題じゃない。喰われるのか、喰われないのか、だ。

「俺を縛ったのは……あんたなのか?」
「そうだ。だが心配する必要は無い。君が生きていると知っているのは、私だけだからな。
 同行している面々には、この基地には生存者はいない、と伝えておいた」

『心配する必要が無い』だって?
俺が生きていると知っているのは自分だけだと、あんたは言った。
それはつまり――『俺を殺しても、誰も何も気付かない』ってことだろう?
『私は何時お前を殺しても構わない』という脅しなんだろう?

「あんたの仲間ってのは何人いるんだ?」
「三人だ。内二人は此処にはいないがな。……そろそろ、本題に入ろう。私は君に協力して欲しいと思っている」
「協力? 何の?」
「『これ』と……その先にあるものだ」

そう言ってユーゼスは、右手を首元へと向ける。
つまり……ユーゼスの目的は首輪の解除だということか?
その先にあるもの……あの化物? まさか……アイツを倒すつもりじゃ……
283『未知』と『道』 ◆C0vluWr0so :2007/11/05(月) 19:28:36 ID:12maE26z
「目途は立っている。後はチェックメイトまで持っていけるだけの『駒』を揃えるだけだ」
「だから俺に……駒になれって」
「そういうことだ。しかし、決して無理強いをするつもりはない。君がノーと言うのなら仕方無い」

――選択の余地は無かった。相手の言葉に従わない限り、俺に生きる道は無い。
なのに、何故か分からないけれど、イエスと言えない自分がいた。
このままユーゼスの言うがままに動けば、死ぬことよりも更に恐ろしいことになる。
そんな予感がしたのだ。

「まあいい。無駄に出来るほどではないが、熟考するだけの時間はある。しばらくここで考えているといい。
 私たちと共に生きて帰る道を選ぶのか、それとも……」

ユーゼスはまた嗤う。闇に笑い声が吸い込まれていく。まるで、悪魔が嗤っているような気がした。

 ◆

地下発電所を離れたユーゼスが次に向かったのは基地施設の中でも特に重要な場所。
広大な基地の中でも一際目立つ演習場――そのすぐ近くに存在する『開発部』だ。
基地の端末にはただ『開発部』とだけ記されていたが、演習場が近くにあるということから考えて、おそらくは新装備の設計・開発、及び調整などを任されていた場所だろう。
当然、それなりの施設も備わっているはずだ。或いは、首輪を外せるほどのものが。
だが、このフィールドを用意したのが誰かを考えれば、そこまで楽観的な予想をすることも出来まい。
せいぜい解析の補助が良いところだろう。勿論今の状況からすればそれでも十分すぎるほどの収穫ではあるのだが。

「むしろ一番の収穫は、あの男かもしれんな……」

バーナード=ワイズマン。まだ年若いあの男は、悪くない駒だ。
支給された機体のスペックもあるだろうが、数回の戦闘を経てもまだ生きているというだけで無能ではないということは分かる。
かといって、決して自分の力を過信することなく――むしろ、自分の弱さを知っているからこそ、この殺し合いに乗ることを決めた。
死の恐怖から逃れることを原動力とする人間ほど扱い易いものはない。少し『道』を見せてやるだけで、どうとでも動いてくれる。
その点では、なまじ力を持っているために下らない良識の枷に囚われているベガやカミーユよりも期待できる存在だ。
問題はこのカードを何時使うかだが……まぁいい。まだ『仕込み』も完全ではない。より完璧に御することが出来るまで、ワイズマンは隠しておく。
下手に中尉に見せれば、いらぬ誤解を招くことになる。それもまた一興ではあるが、好手ではない。
次に手を打つべきなのは――『これ』だ。我々の命を握る、物理的な枷。
まずは邪魔な首輪を外す。首輪の構造には、既にアタリをつけている。
予想自体が未知の技術込みであることが癪だが、おそらく大きくは外れていないはずだ。
……それに今の私には、これがある。
ユーゼスは、操縦する手を休め、コクピットを撫で始める。それは、ユーゼスにとっては三機目の機体。
……十分なエネルギーを手に入れ、第二段階へと成長したメディウス・ロクスとAI1。
自己進化の概念を持つプログラムと、それを支える高性能電子頭脳を持つこの機体ならばこの枷を読み解く大きな鍵となってくれるだろう。

「……ここか。思っていたとおりめぼしい物は無いようだが……」
284『未知』と『道』 ◆C0vluWr0so :2007/11/05(月) 19:29:14 ID:12maE26z
『開発部』に到着したユーゼスは、早速周辺の機器の調査を始める。
だが調査の結果は芳しいとは言えない。ただ単に首輪を分解するための器具ならいくらでもあったが、肝心の赤い宝玉の解析に役立ちそうな機械は無かった。
現在の設備で出来るのは宝玉以外の部分――つまり、純粋に機械である箇所の解析だけだ。
しかし。
ユーゼスには、この赤い宝玉を解析する鍵は既に手に入れているという確信があった。
それはB-5で回収した首輪だ。この変質した首輪――おそらくこれが、アインストという未知を解析する最大の手がかりだ。
これを回収してから数時間が経った。
最初に手に入れた時点で、既に通常の首輪とは大きく違う変化を遂げていた。
だが驚くべき事に、時間の経過と共に首輪の変質は更に進んでいる。
この変化が鍵だ。我々の首輪には、時間の経過と共に変質していくという性質は無い。
おそらくこの変化は、首輪を用意したアインストさえ想像していなかった偶然の産物だ。
……だからこそ、あの異形の化物の裏を掻くことが出来る。
首輪の変化を観察し、パターン化することで手の届かない宝玉内部の状態を調べることが出来るはず。
変化の解析はAI1を使う。その性質上、簡易ではあるがメディウスにも解析装置は備わっていた。
自己進化のプログラムの中には、この変化と同様のアルゴリズムを持つものもあるかもしれない。
AI1に同類のプログラムがなければ、変化のパターンを分析させ、作ればいいのだ。
変質の規則性さえ掴めれば、そこから逆算し、通常の首輪についてもコア内部の予測が出来るだろう。
ユーゼスは変質した首輪を、AI1の解析装置にかける。
こちらの首輪に関しては、時間の経過を待つことしかできない。

「半壊した方を分解する前に……ベガと連絡を取るか」

ワイズマンとの接触、解析機器の探索に時間を掛けすぎた。
ベガは基地の警備を続けているはずだが、長時間の単独行動は不要な問題を抱え込む要因になりかねない。
……ベガには、首輪についてある程度説明しておいた方が役に立つかもしれんな。
コア以外にも首輪について幾つか分かっている事柄はある。
ただの人間が気付けることなどたかが知れているが、あらかじめ情報を与えておくことで少しはマシな発見が出来るかもしれない。

(……盗聴の危険性を考えると、視覚的に確認できる形に纏めておいた方が都合が良いな。
 いざとなれば即座に処分出来る紙媒体が適切だろう)

周囲を物色すると、筆記用具はすぐに見つかった。
さらさらと首輪に関する情報を書き進めながら、ローズセラヴィーとの通信。

「……ベガか? 一度合流し、話しておきたいことがある。場所は中尉達と別れたところだ」
『了解しました』

 ◆

ユーゼスからの通信から数分後、ベガは待ち合わせ場所に到着した。
それから遅れること更に数分、ユーゼスも到着。

「ユーゼス、今のところ基地に近づく人間はいませんでした。そちらはどうですか?
 どうやら、機体が変わっているようですが……」
「上々だ。機体に関しては……探索の途中でこの機体が修復していることに気付いたために乗り換えた。
 メディウスには自己修復能力が備わっているようだ。戦闘をしても問題ないだろう。
 メリクリウスの防御力は魅力的だが、やはりメディウスの方が総合的に優れている」
「しかし、その機体は暴走の危険があるはずでは?」
「無論承知している。だが……私が乗っている限り、大丈夫だと言えよう。
 チェックしてみたところ、OSに細工の跡があった。
 カミーユには黙っていた方がいいだろうが……カズイの仕業だ」
「――! 彼が、メディウスの乗っ取りを謀ったと? 中尉はそのようなことは言っていませんでしたが……」
「不器用な男だということだ。カミーユとの衝突も避けられただろうに……死者の悪行を自己の正当化の理由には使えない、といったところだろうか」
「……二人が戻ったときに、私の方からそれとなく話してみます。
 カミーユには信じ難いことかもしれませんが……
 それでユーゼス、話したいこととは?」

ようやく話が本題に入り、ユーゼスは機体から降り、ベガにも同様に降りるように促す。
ベガがユーゼスの側まで近づいたところで、ユーゼスはベガに数枚の紙を差し出した。
285『未知』と『道』 ◆C0vluWr0so :2007/11/05(月) 19:29:46 ID:12maE26z
「これは?」
「黙って見てくれればいい。重要な案件だ」

その紙には、こう書かれていた――

――――――――――――――――――――――――――

盗聴の危険性を考え、口頭ではなく紙を用いて情報を伝える。
おそらく今後も重要な話題に関してはこの形式を使うことになるだろう。
紙を使ったのは緊急時の隠滅のしやすさを考えてのことだ。
いざというときには即座に破棄することを徹底しろ。

今回伝えたいことは、「首輪」に関する情報だ。
私たちが所持している首輪は二つ――それに加え、各自の首の数だけあるわけだが、ここでは無視しよう。
この二つの首輪を回収したことで、私たちは幾つかの情報を得ることが出来た。
参考までにだが、それを基にした私の推論も書いておく。

◆事前にアルフィミィから得た情報
・首輪の爆破条件について
→禁止エリアへの侵入
→首輪を外す行為、及び強い衝撃
→24時間以上死者が出ない

一つ目と三つ目に関してはアルフィミィの言葉をそのまま信じるしかない。
だが、二つ目に関しては違う。基地で回収した、半壊の首輪。
壊れるほどの衝撃を与えたにも関わらず、首輪は爆発していない。
それに加え、あれほどの損傷を受けているため、容易に首から抜け落ちる。
つまり、この首輪は、首輪を外すという禁止行為にも抵触している。

・何故この首輪は爆破されなかったのか?
→首輪には更に複雑な爆破条件がある?
→例えば死亡後は爆破せず?
→明らかに死亡するようなダメージには敢えて反応せず?
 (アインストならば個々人の耐久力も熟知している可能性大)

この問題に関しては私たちが知らない首輪のメカニズムが存在しているはず。
現段階では特定は不可能だが、そのメカニズムを逆手に取れば首輪解除に利用可能?

◆首輪に付いた赤い宝玉
・宝玉の有無で首輪に変化?
→中尉の話から首輪の制御装置の可能性も

中尉の話を聞く限り、この赤い宝玉はアインストの技術によって作られた物。
宝玉の破壊で変質した機体が元に戻るといった事例もある。制御装置の可能性大?
優先して調査の必要有り。

・B-5で回収した首輪
→宝玉があるにもかかわらず通常の首輪とは異なる形状
→制御装置である宝玉が暴走?
→時間の経過と共に形状の変化は続いている

この首輪はイレギュラー的存在? 宝玉の暴走だとしても何らかの外部的要因は存在するはず。
今後の変化によっては爆弾としての機能を停止する可能性有り。変化を逆算することでオリジナルの推測も?

◆首輪解除に関しての今後の方針
・内部の解析と赤い宝玉の機能解明
→半壊した首輪から内部機構を確認可能
→変質済み首輪の変化次第で宝玉の機能解明?

――――――――――――――――――――――――――
286『未知』と『道』 ◆C0vluWr0so :2007/11/05(月) 19:30:16 ID:12maE26z
――――――――――――――――――――――――――

◆アインストの目的と今後の我々の行動方針
・アインストの目的は?
→過去のそれと変わっていないのなら人間という種の観察?
→人間という種の抹殺を目的にするには非効率過ぎる

観察というなら首輪が適任ではある。首輪から生体情報を取得しているのなら、それが首輪爆破の条件に関与の可能性も。
たかだか数十人を殺すだけならばこのような大がかりな舞台を用意する必要も無い。
異なる世界から人間を集めたのは多様性の確保のためか?

・我々の最終目的
→可能ならばアインストの打倒。最低でも脱出
→出来る限り多くの人間を救出

・脱出について
→四方を囲まれた空間(調査の必要有り)
→脱出しても再び連れ戻される可能性(やはり打倒は必須か?)

まずは首輪の解除と同時進行で同士を集める必要有り。
出来れば首輪の解除、この空間の調査、殺人者の撃退、他者の保護を複数のグループで分担。
この殺人ゲームに乗った人間に対抗するための戦力は必須。

・今後の方針
→重要な拠点である基地を守りながら他者と接触
→ある程度の人数が揃った時点で複数のグループに分け各自で行動

――――――――――――――――――――――――――

「まだ足りない部分はあるが、今後の指標にはなるはずだ」
「さすがですね、ユーゼス! 何時の間にここまで考えてたのかしら」
「それはあくまで予想であり、決して真実ではない。重要なのはその場その場での判断だということを忘れてもらっては困る」
「ええ、分かっています。ですが……これは私たちの希望となりうるものです」

ユーゼスを真っ直ぐ見つめ、大きく頷くベガ。彼女は確信する。
……ユーゼスがいれば、必ず生きて帰れる。
我が子のことを、思う。帰らなければいけない。死ぬわけにはいかない。
今の彼女にとって……ユーゼスは、まさに『道』に見えた。
287『未知』と『道』 ◆C0vluWr0so :2007/11/05(月) 19:30:47 ID:12maE26z
【ユーゼス・ゴッツォ 搭乗機体:メディウス・ロクス(スーパーロボット大戦MX)
 パイロット状態:良好
 機体状態:第二形態へ移行完了 良好
 現在位置:G-6基地
 第一行動方針:半壊した首輪の解析
 第二行動方針:AI1の育成、バーニィへの『仕込み』
 第三行動方針:首輪の解除
 第四行動方針:サイバスターとの接触
 第五行動方針:20m前後の機体の二人組みを警戒
 最終行動方針:主催者の超技術を奪い、神への階段を上る
 備考1:アインストに関する情報を手に入れました
 備考2:首輪を手に入れました(DG細胞感染済み)
 備考3:首輪の残骸を手に入れました(六割程度)】

【ベガ 搭乗機体:月のローズセラヴィー(冥王計画ゼオライマー)
 パイロット状態:良好(ユーゼスを信頼)
 機体状態:良好
 現在位置:G-6基地
 第一行動方針:G-6基地の警護
 第二行動方針:首輪の解析
 第三行動方針:マサキの捜索
 第四行動方針:20m前後の機体の二人組みを警戒
 最終行動方針:仲間を集めてゲームから脱出
 備考1:月の子は必要に迫られるまで使用しません
 備考2:アインストに関する情報を手に入れました
 備考3:ユーゼスのメモを持っています】

【バーナード・ワイズマン(機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争)
 搭乗機体:なし
 パイロット状況:頭部に軽い傷(応急処置済み)、後ろ手で柱に縛りつけられている
 現在位置:G-6基地地下発電所
 機体状態:
 第一行動方針:ユーゼスに協力するのか選択
 最終行動方針:生き残る】

【メリクリウス(新機動戦記ガンダムW)
 機体状況:良好
 現在位置:G-6基地内部】

【二日目3:30】
288 ◆C0vluWr0so :2007/11/05(月) 19:33:08 ID:12maE26z
投下完了です。
矛盾点や誤字脱字などの指摘お願いします。
289それも名無しだ:2007/11/05(月) 20:54:24 ID:+BXBPUHq
>>288
GJ!
首輪と空間関係がまとまっていてこれは分かりやすくて良かったです。
バーニィは道踏み外しちゃいるけどなんか健気で応援したくなる。
ただ外見やサイズまで変わったメディウスの変化を修復の一言で飲み込むベガさんにちょっと違和感を感じました。
修復で飲み込むにはあまりに大きな変化なので。
後は基地に電力が戻ったのかどうかの描写も少し欲しいです。
290 ◆C0vluWr0so :2007/11/05(月) 22:37:43 ID:12maE26z
了解しました。
加筆修正した上でしたらばの方に投下したいと思います。
もしかすると二三日かかってしまうかもしれません……
291それも名無しだ:2007/11/06(火) 23:43:14 ID:4fnwwSxg
>>290
遅くなったけどGJ!
ユーゼスは相変わらず黒いな
駒にされるバーニィ憐れ
修正無理のない範囲でがんばってください
292それも名無しだ:2007/11/07(水) 11:15:42 ID:xqrutQdA
乙です
ユーゼスはこっちでもあっちでも大活躍だな
バーニィはユーゼスの思惑通りに動いてしまいのか気になるところ
修正頑張ってください
293 ◆C0vluWr0so :2007/11/07(水) 23:11:46 ID:/ICuJA37
したらばのSS投下スレのほうに修正版投下しました。
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/30868/1149349532/124-130

・停電については、少ないですが復旧したとの描写を追加。
・ベガさんのメディウス認識については、いっそのこと別機体だと認識させました。

この修正で大丈夫かどうかの判断をお願いします。
294それも名無しだ:2007/11/08(木) 00:04:26 ID:SDQ58MyB
>>293
修正お疲れ様でした。
機体名に盛大に吹いたw
ユーゼス、お前そこまで好きかとwww
修正箇所は問題ないように思います。
295それも名無しだ:2007/11/09(金) 09:31:42 ID:7GF69hX2
いまさらで申し訳ないのですが指摘を一つ。
>>282のユーゼスのセリフ、

>>君はこの基地に来る前に青い機体と交戦したはずだ。

キョウスケが乗っているファルケンはLだから『赤い機体』のはずでは?
296 ◆C0vluWr0so :2007/11/09(金) 22:08:59 ID:Rg94Blav
>>295
その通り……修正ばかりでまことに申し訳ない気持ちです。
まとめさんに度々迷惑おかけしてしまってすいません。
297それも名無しだ:2007/11/12(月) 00:43:42 ID:xSX13BZS
298それも名無しだ:2007/11/12(月) 00:59:47 ID:iMBwJZjm
299それも名無しだ:2007/11/12(月) 01:49:36 ID:50PjdcYJ
300それも名無しだ:2007/11/12(月) 02:03:11 ID:zReHJJys
301それも名無しだ:2007/11/12(月) 02:58:48 ID:1wJdgqf1
302それも名無しだ:2007/11/12(月) 04:16:48 ID:di/yKBof
303それも名無しだ:2007/11/12(月) 18:40:10 ID:USXiBNAZ
304それも名無しだ:2007/11/13(火) 09:12:55 ID:XI9OoviR
305それも名無しだ:2007/11/13(火) 09:28:35 ID:XAlMBJh5
ほくほく北陸・・・つまりこの凄惨な殺し合いの黒幕は
北陸住民だったんだよ!!

なんだってー(ry AA略
306それも名無しだ:2007/11/13(火) 12:02:36 ID:nsN+JY9a
つまりアインストの起源は北陸にありと
307それも名無しだ:2007/11/13(火) 21:12:28 ID:/ZdoK1yX
そういえばアキトってなかなか出てこないな。
良マーダーの素質は十分にあるんで復帰第一戦には期待してる。
308それも名無しだ:2007/11/14(水) 13:35:31 ID:1rzFZjFe
どこにいるか分からないからどこにでも絡ませれる
その反面幅が広すぎて何をさせるか迷う
他のキャラで代用が利くときにここで使うのは勿体無いと思うとか
アキトが中々出てこない理由はこんなとこじゃないかな
309それも名無しだ:2007/11/14(水) 14:07:05 ID:iDLmceMS
出てきた時にはゲームが終了してたりして

ユーゼス「他の参加者も主催であるアインストも全滅させた、神になるのも私だー!」
アキト「……待っていろ、ユリカ。必ず君を……」(転移してきた)
ユーゼス「何!?まだ生存者が……ぐわあああああ!!」
アキト「よし、この調子で他の参加者達も……


  ……あれ?」
310それも名無しだ:2007/11/14(水) 21:08:20 ID:6FjGd0Z5
禁止エリアに放り込んで首輪爆破とか。
311それも名無しだ:2007/11/14(水) 21:17:20 ID:biLLqZfl
>>308
書き手さん同士で譲り合ってるのかもしれんね。
個人的には基地あたりに乱入して欲しいw
アルト関係でキョウスケやユーゼス、激闘を繰り広げた竜馬との絡みが面白そうだし。
312それも名無しだ:2007/11/14(水) 21:57:46 ID:dbMSmo39
いきなりガウルンの目の前。
313それも名無しだ:2007/11/14(水) 23:37:14 ID:mnUDW9sS
今一番の大集団であるナデシコもいいな。
勝手知ったる艦でもあるし。
314それも名無しだ:2007/11/15(木) 01:55:55 ID:eS3COr9y
ユリカのナデシコに何しとんじゃボケェーと逆ギレ、そしてジェノサイドか。
315それも名無しだ:2007/11/15(木) 06:36:28 ID:XN/h5lOX
そしてフロスト兄弟の片割れが死んで残ったほうマーダー化
マーダーの相関関係が統夜←テニア←ガウルン⇔アキト←フロスト片割れに
316仮まとめの人 ◆/4lqy.R0j. :2007/11/15(木) 18:43:28 ID:uu+y/1hr
突然、失礼いたします。
勝手ながら仮まとめを12月上旬まで一時停止させていただきたいと思います。
理由は割愛させていただきますがロワとは関係のない事情によるものです。
それで一先ず12月上旬までに復帰するか、このまま永久停止するかを決めて、またご報告させていただきたいと思っております。
突然のことでご迷惑お掛けすることになりまして、申し訳ありません。
317それも名無しだ:2007/11/16(金) 05:41:46 ID:3Woih72y
>>316
今までお疲れさまでした。
様々な項目充実や迅速な収録、FLASH作製など色んな面でこのスレを支えてくれた貴方にはいつも感謝してました。
スレ住人の一人としては書き手活動もまとめの方も継続して欲しいですが、リアルの都合なら仕方ないですね……
318それも名無しだ:2007/11/16(金) 20:45:17 ID:hUs34SqV
>>316
な、なんだってー!?
事情があるなら仕方ありませんが、パロロワ屈指の良まとめサイトだっただけに残念です……。
大変そうですが、リアルも頑張ってください。
319それも名無しだ:2007/11/16(金) 21:55:20 ID:aRhUdUBC
>>316
了解しました!
また戻って来ていただると嬉しいです
頑張ってください
320それも名無しだ:2007/11/17(土) 19:28:57 ID:hwQtQhUE
もし仮まとめさんが復帰できないようならここもwikiに移行する必要があるなぁ。
気が早いようだけどwikiに移るのなら管理人をやってもいいと思ってる人間がここに。
321それも名無しだ:2007/11/19(月) 20:23:53 ID:5OJrWLHQ
ロワ自体の死亡フラグが立ってきたような……
最近は仮まとめさんと◆C0vluWr0soさんの二人しか書いてなかったし。
仮まとめさんがこのまま引退しちゃったらリレーの体裁さえ執ることが出来なくなる気がする。
読み専の俺が言うのもなんだけど、もう書き手さんは残ってないのか?
322それも名無しだ:2007/11/19(月) 21:30:27 ID:avxQoHMj
一応いるはいる
ちょっと前はカテジナさんと竜馬遭遇する話とかアキト降ってきて補給済んでないキョウスケが
死ぬ話とか書いていたけど遅筆すぎて完成する前に他の人の予約入って棄てたりしてたw
最近は特に何も思い付かないので書けないorz
323 ◆pqQ1ngVOkg :2007/11/20(火) 20:32:18 ID:dzfm6Tve
アキト、統夜予約します。
324それも名無しだ:2007/11/20(火) 21:30:31 ID:Ocddc18B
予約ktkr
アキトと統夜か激戦の予感
325それも名無しだ:2007/11/20(火) 22:44:55 ID:ySgVrx0N
久しぶりのトリに期待せざるを得ない
迷いを捨てつつある統夜と迷いを捨てきったアキトがどう絡むのか……
326それも名無しだ:2007/11/21(水) 02:26:50 ID:fNY5ofjD
ふと気付いたんだが…
南:アキト(多分)・統夜
東西どちらか:竜馬
内部:バーニィ

いつの間にかユーゼス組包囲されてってね?
これで竜馬と逆方向からガウルンとかなったらかなり厚いぞ
327それも名無しだ:2007/11/21(水) 21:40:57 ID:rKILTqzx
とはいえユーゼス組の戦力もなかなかだぞ。
メディウス、ローズセラヴィーと特機が二つある時点でかなり有利。
バルキリーとファルケンも悪くない機体だ。
でもマーダー勢が強いからなぁw
今度のアキトと統夜が消耗するかもしれんが……
この二人はテニアやガウルンと美味しい絡みが残ってるから個人的には生き残って欲しいぜ。
328それも名無しだ:2007/11/22(木) 01:01:26 ID:rEeqWjl/
むしろバーニィが二重に包囲されているようにしか見えない
機体もなく縛りあげられ少しでも味方してくれそうなのがユーゼスのみって…
329決意と殺意 ◆pqQ1ngVOkg :2007/11/22(木) 20:03:48 ID:LvuqDvjW
「違う……俺は……俺は……」

戦争に参加させられていたとは言え、統夜には戦う為の決意も覚悟も無かった。
ただ、彼の陥った状況が戦う以外の選択肢を許さなかっただけ

故に自ら誰かを殺すという、この状況においてはある意味当然とも
言えるすら行為すら、正視できなかった。

だが、思う。本当にそれでいいのか と
結局、どう足掻こうが殺し合いは避けられる筈が無いのだ。
考えてもみろ。もし、先程の相手の救助が間に合っていたとしよう。その後どうなっていた?

殺そうとしたけどやっぱり辞めたから許して欲しい

と、言外に言われて許すような人間がいるか?
少なくとも自分にはそんな相手を信用する事などできない。

ならばこそ、殺すと決めた瞬間に、遅くとも目の前の相手を切り裂いたその時に、
その決意を後悔しないだけの強さを持つべきだったのだ。

「そうだ……認めるんだ紫雲統夜……もう残された道なんて1つしか無い……」

迷っている

殺したくない

全て偽善だ。ただ、自分の手を汚すのが嫌だっただけ。
本当に死にたくないのならそんな弱さからまず捨てるべきだった。

生き残る為に必要だった決意から目を背けていた少年の心が、再構築されていく。



与えられた薬を一錠飲み込む。すると、ラピスのサポートを受けた時と同じ程度の感覚が戻ってきた。

ゲームの舞台に舞い戻ったアキトの目に映ったのは、
1機の青い機体と、恐らくそれによって破壊されたであろう残骸だった。

誰であろうと、ユリカの為に殺して殺して殺し尽くすと覚悟を決めた彼にとって、
どんな状況でも関係無い。むしろ、1機で突っ立っているような迂闊な相手が最初の敵で
ある幸運に感謝するぐらいだった。

(20分……いや、25分経ったら安全な場所まで全力で避難する)

だが、その時間を少したりとも無駄にはできない。
殺せるだけ殺さねばならない。他の参加者に比べ、自分に残された時間は余りにも少なすぎる。
330決意と殺意 ◆pqQ1ngVOkg :2007/11/22(木) 20:04:52 ID:LvuqDvjW
唐突なレーダーの反応に統夜は我に返る。

「反応?!何時の間にこんな距離まで……」

その機体は、沸いてくるようにして現れた。
ヴァイサーガを動かし、対応しようとするが少し遅かった。

「遅い……!」

最大加速の突進をまともに受けたヴァイサーガは
落下を始める。アルトアイゼンはそのまま落下するヴァイサーガへ向けて3連マシンキャノンを発射。

「このっ……好き勝手にさせるかよ!!」

だが、ヴァイサーガのシールドが展開され、弾幕を防ぎきった。
しかし、アルトアイゼンの攻めはまだ終わらない。マシンキャノンを撃ち終えると同時に、
アルトアイゼンはヴァイサーガへ向けて更に突進。ヒートホーンで頭部を切り裂こうとするが、
今度は回避を間に合わせたヴァイサーガのシールドを一部切り裂く程度に留まる。

「いい加減にしろおおお!!」

ヴァイサーガの反撃が始まった。右手を鞘に納まった剣に添え、相手へ向けて抜き打つ事により、
この機体の武器の1つである、地斬疾空刀が発動。エネルギーの刃が、アルトアイゼンへと向かって牙を剥いた。

アルトアイゼンは強引過ぎる動きで軌道を変え、刃をかわす。

「まだ終わらないぞ!!」

アルトアイゼンの回避動作終了の隙に、左手に持たせた4本の手裏剣を投擲する。
再び無理な加速で回避を試みたアキトだったが、全てをかわしきる事はできず、
1本が胸部に直撃した。だが、アルトの装甲を抜くにはそれは少しばかり威力が足りなかった。

「クソッ……何なんだよあいつは?!」

相手はかなり装甲の厚い機体のようだ。
だが、反撃が無い事、先ほどまでの攻撃を見るに、接近戦に特化した機体であるように
見受けられる。距離を維持して戦えば有利になるかも知れないが、
ヴァイサーガの武装もどちらかと言えば接近戦寄りになっている上、中、遠距離用の
武装はあの敵に対しては力不足と言わざるを得ない。

「やるしかないってんなら……やってやるさ!」

再び右手に剣を握り、距離を取る。
狙うは、先ほどラーゼフォンを葬った一撃。ヴァイサーガの切り札である奥義・光刃閃

「抜き打ちか……来い」

アキトもまた、それを迎え撃たんと右手のステークを構える。
331決意と殺意 ◆pqQ1ngVOkg :2007/11/22(木) 20:05:58 ID:LvuqDvjW
そして、その姿を見て統夜は勝利を確信した。

確かに相手の機体の突進力は凄いし、装甲の厚さも厄介だ。
しかし、自分の機体の剣と、敵の右手に備えられた杭打ち機を比べれば、どちらが有利かは
言うまでもない。それに、幾ら装甲が厚いと言えど、あれが直撃して耐えられるとは思えない。

脳裏に先程自分が殺した相手の惨状が浮かんだが、統夜はそれを振り切る

(考えるな。今余計な事に気を取られたら自分がああなるんだ!!
それにもう決めた筈だ。この手で誰かを殺しても後悔なんてしないって!)

自分の身に降りかかったリアルな死への恐怖が、最後の迷いを捨てさせ、心を鋼へと変えて行く。


「俺は……こんな所で死んでたまるかああああ!!」

瞬間、ヴァイサーガはアルトアイゼンを最強最速の一撃で両断すべく加速する。


目の前に迫る死を、アキトは静かなる殺意を以って見据える。

「確かに、このまま正面からやりあえば俺に勝ち目は無いようだ」

右手の構えを解く

「だが、俺にそんな気は無い……」

アルトアイゼンの肩部アーマーが開く。それは、罠にかかった獲物を待ち受ける肉食動物の顎と同義。


瞬間、統夜の背筋に悪寒が走った。統夜は直感に従って、右手に剣を握らせたまま、左手でシールドを展開、
更に、軌道を逸らそうと試みる。

そして、アルトアイゼンの肩部アーマーから無数のクレイモアがヴァイサーガを食らい尽くさんと吐き出された。
狙いが逸れ、地面に直撃したクレイモアによって土煙が盛大に上がる。

「あれをかわすか」

ヴァイサーガはまだ落ちていなかった。

軌道を完全に逸らすのが無理だと判断した統夜は、せめて被害を最小限にすべく、アルトアイゼンの左側、
つまりヴァイサーガの右手側に抜けるように機体を加速させた。
統夜は賭けに勝利し、ヴァイサーガもまだ動ける。だが、無傷で抜けられるような甘い弾幕ではなかった。
シールドはボロボロになり、左手は完全に破壊された。頭部の角も一部が砕けている。
332決意と殺意 ◆pqQ1ngVOkg :2007/11/22(木) 20:07:28 ID:LvuqDvjW
「ならば、今度はこちらから仕掛けるまでだ」

手負いのヴァイサーガにトドメを刺すべく、ステークを構え、アルトアイゼンが突撃する。

だが、劣勢を理解した統夜の判断は潔い物だった。アルトアイゼンに見向きもせず、
最大加速で湖の方へ飛び、長時間の飛行が不可能であるアルトアイゼンを突き放して逃げて行ったのだ。

「……逃げられたか」

時間を無駄にしてしまったが、それなりの手応えもあった。
自分の新しい機体は色々な部分がかなり偏ってはいるが、悪い機体では無いらしい。

そして考える。次はどう動くか。

「残りは25分程度……敵を探すべきだな」

限られた時間を無駄にしない為に、アキトは再び行動を開始する。

「まずは南へ行くか」

絶対の殺意を込めた蒼き鋼が、獲物を求め動き始めた。



【テンカワ・アキト 搭乗機体:アルトアイゼン(スーパーロボット大戦IMPACT)
 パイロット状態:マーダー化 心身共に良好
 機体状態:胸部に軽度の損傷。
 現在位置:G-8
 第一行動方針:薬が切れる前に敵を探し出して殺す
 第二行動方針:タイムリミット前に安全な場所へ移動(薬の使用後、25分から避難開始)
 最終行動方針:ユリカを生き返らせる
 備考:・首輪の爆破条件に“ボソンジャンプの使用”が追加。
    ・謎の薬を一錠使用。効果の残り時間は25分。残り五錠
333決意と殺意 ◆pqQ1ngVOkg :2007/11/22(木) 20:08:38 ID:LvuqDvjW
敵の追撃が無い事、周囲に機影が無い事を確認し、ようやく統夜は一息付けた。

「もう少しで俺は……」

思い出すだけで身体中の震えが止まらない。
もし、あのまま突っ込んでいれば、自分はとっくに死んでいた。

機体の損傷も馬鹿にできない。シールドはもはやその役目を果たす事は無い
だろうし、左手に至っては完全に動かない。

だが、これで吹っ切れた。高い授業料を払う羽目にはなってしまったが、
ようやく自分の中に燻っていた迷いと訣別する事ができたのだ。

そう、死にたくないのは誰だって一緒だ。
だから、自分の為に他人を殺そうとするのはこの状況においては何も間違って無い。

でなければ自分が死ぬだけ。

「考えろ、考えるんだ。どうすれば生き延びられるか。こんな所で死ぬなんて真っ平御免だ」

統夜の思考は、優勝にのみ向けられて行く。一瞬、まだ生きている、そして死んでしまった
顔見知りの姿が脳裏をよぎったが、あっさりとそれを切り捨てる。

「無駄な事は考えるな……どうせ俺が生き延びるには全員殺さなくちゃいけないんだ。
そうさ……戦争に巻き込まれたのも、こんな状況になったのも全部あいつ等の所為だろう」

何度も考えていた。あの日、あの3人や光子力研究所の面々と出会わなければ、
自分はこんな場所にいなくても良かったのではないか と。
戦争に巻き込まれなければ、一般人として普通に生きるか、
運悪く戦争に巻きこれて死ぬか。そんな人生で終わった筈なのだ。
少なくとも、どちらであれこんな狂った殺し合いに巻き込まれるよりは
遥かにマシな人生だった筈。

だからこそ、決意する。絶対に生き延びてやる と。

少年を縛る心の鎖は全て解け、残ったのは生への渇望と、
自分をこのような場所へ追い込んだ全てに対する怒りだけだった。


【紫雲統夜 搭乗機体:ヴァイサーガ(スーパーロボット大戦A)
 パイロット状態:覚悟完了
 機体状態:左手使用不能、シールド使用不能、頭部の角の一部紛失、若干のEN消費。烈火刃1発消費。
 現在位置:A-7
 第一行動方針:優勝する為の方法を考える
 最終行動方針:優勝と生還】


【二日目3:00】
334 ◆pqQ1ngVOkg :2007/11/22(木) 20:09:47 ID:LvuqDvjW
以上です。誤字脱字指摘等ありましたら宜しくお願いします。
335それも名無しだ:2007/11/22(木) 20:29:16 ID:PfiLzAiO
GJ! アキトと統夜、どっちも以降の活躍が見込めそうなマーダーっぷり。
ただ一つ問題を挙げるなら、統夜の「光子力研究所〜」って所ですかね。
スパロワだと原作(バンプレオリの場合、版権と面識無し)って事になっているはずですので、そこの所は要修正かと。
336それも名無しだ:2007/11/22(木) 20:39:58 ID:ieQSIOsW
投下乙です。
統夜もアキトもマーダーとして立派になっちゃって……
これまでが卑怯なアレだったけど、統夜って資質は滅茶苦茶高いんだよな。
今後の活躍が期待できる二人の戦闘はかなり燃えた。
337それも名無しだ:2007/11/22(木) 20:47:13 ID:d+Z1Pq75
GJ! 
アキトも統夜も強いな。
高機動型ブラックサレナを踏まえるとアキトはアルトと意外と相性良いのかな。
ってか統夜の覚悟完了かっこいい。
南下ということはこれもまた次が楽しみな展開です。
上の人とは別に一点細かいところを指摘させてもらうと、前回が湖上の話だったので差支えがなければ
>>331の『狙いがそれ〜』の一文は少し修正したほうが良いと思います。
それか陸地が近くにある描写を加えるか。
338それも名無しだ:2007/11/22(木) 21:20:39 ID:NKAXNyYK
光子力研究所のくだりは、甲児に一方的に因縁つける意味では面白そうだが
やっぱルール的にダメかな

何はともあれ、GJ!
339 ◆pqQ1ngVOkg :2007/11/23(金) 16:36:00 ID:dB+9tnRE
指摘、ありがとうございました。

問題点を修正して避難所に投下しておきました。

・光子力研究所
・土煙

挙げられた二点を修正しました。再判断お願いします。
340それも名無しだ:2007/11/23(金) 17:16:52 ID:TYRzzlhN
>>339
修正乙です。自分はこれで大丈夫だと思いますよ。
341それも名無しだ:2007/11/26(月) 00:04:14 ID:lkuBf/vS
とりあえず捕手
342それも名無しだ:2007/11/26(月) 17:15:13 ID:UTTghOGS
343それも名無しだ:2007/11/26(月) 17:43:43 ID:EgrH09tx
344それも名無しだ:2007/11/26(月) 20:30:54 ID:3Y/i0YW3
345それも名無しだ:2007/11/26(月) 20:31:43 ID:mp86HVLv
346それも名無しだ:2007/11/26(月) 23:59:15 ID:GmPIHwrD
解説しよう。
ホーミーとは、アルタイ山脈周辺民族の間に伝わる喉歌と呼ばれる歌唱法のうち、
西部モンゴル諸族に伝わるものの呼称であり、一般に、緊張した喉から発せられる笛のような声のことを指す。
347それも名無しだ:2007/11/27(火) 00:25:11 ID:tIkZc+6P
つまり、バサラがホーミーの歌手として復活するフラグか……!
348それも名無しだ:2007/11/27(火) 21:29:20 ID:7tp32CcH
今気付いたんだが、殆どの主力マーダーが互いに因縁持ってるなw

・ガウルン→アキト、テニア
・テニア→統夜、ガウルン
・アキト→統夜、ガウルン、竜馬
・統夜→テニア、アキト
・竜馬→アキト

特に統夜テニアとアキトガウルンは直接決着つけてくれないかな……
こいつらの愛憎劇は素晴らしいものがある。
349それも名無しだ:2007/11/27(火) 21:52:23 ID:nEprwvCD
一人のけものなバーニィ、カワイソス
まぁ、そこに混ぜると明らかに見劣りするし他のマーダーと絡んでないから仕方ないけど
マーダーに限らず中盤までくると因縁の相手ってのは結構いるよな

・ラキ・アイビスと御大将
・竜馬とクルツと真ゲッター組
・ナデシコ組とJアーク組

統夜テニアやアキトガウルンもだけど俺的にはラキ・アイビス・御大将も直接対決望んでるんだぜ
外に因縁作ってないのはユーゼス組とアムロ・ブンドルくらいかな?
350それも名無しだ:2007/11/29(木) 06:40:49 ID:0raYpwW0
解説しよう
ほ〜み〜とは沖縄の方言でマンコの事である
351それも名無しだ:2007/11/29(木) 23:34:47 ID:71xFDkfl
まあ、マーダーがかなり多いから
マーダー同志で潰しあっても良さそうだよな。
352仮まとめの人 ◆/4lqy.R0j. :2007/11/30(金) 19:22:12 ID:Y1hKWyhZ
ご無沙汰しております。
>>320でwikiの話が出ておりましたが、よろしければ進めていただけないでしょうか?
明日からの約三週間は一応移行期間ということでwikiのほうが整うまで以前のように更新をさせていただこうと思っていますが、12月20日ごろには閉鎖を考えております。
それと書き手のほうは続投予定ですが、投下ペースはかなり落ちます。
近いうちに一作落とそうと思っていますが、その次は二月ごろまでは無理な感じです。
今のところはこんな状況です。

それといまさらで恐縮ですが、まとめていたら気づいたので一点だけ指摘を失礼します。
>>333の統夜の現在位置がA-7になっていますが、前話から10分の時間でそこまでの移動はちょっと無理ではないでしょうか?
10分の間に戦闘も行っていますし…。
本当にいまさらな指摘ですみません。
353320 ◆C0vluWr0so :2007/11/30(金) 22:23:50 ID:YrE+YxAt
>>352
了解です。まとめwikiの方はとりあえず借りてみました。
この土日でサイトデザインや各ページの仕様を整えようかと考えてるので、こちらである程度作ってから公開したいと思います。
まとめサイトの運営、今まで本当にお疲れさまでした。
パロロワまとめサイトの中でも屈指の情報量で、一書き手としても大変お世話になりました。
これからも貴方の作品を読み手の一人としてを楽しみにしてます。
354それも名無しだ:2007/12/01(土) 20:48:54 ID:46kX6KYq
ttp://www30.atwiki.jp/srwbr2nd/
体裁もクソもないような遅々とした更新状態ですが、とりあえずの形が出来そうなので公開。
CSSとか殆ど弄ったことないのに管理人になろうとしたのがもうねorz
見た目は悪いですが、他ロワに倣ってこんな感じでいこうと思います。
「ここはこうしたほうがいいんじゃね?」的な意見はどんどん出してくれると助かります。
編集は誰でも出来るように設定してるんで自由に編集してください。
355 ◆7vhi1CrLM6 :2007/12/01(土) 22:31:15 ID:kB5kZtve
>>354
素早い対応お疲れ様です。
今の感じでいいと思いますが、欲を言うと好き勝手できる練習用のページが欲しかったりしちゃったりします。
wiki触った経験がないのであれば助かります。
暇見つけて手伝おうにも今のところ扱い方がさっぱりで、説明読んで逃げてきたので……。

ギンガナム・ブンドル・アイビス・クルツ・ガウルン・ラキ、予約します。長編です。
356それも名無しだ:2007/12/02(日) 16:21:54 ID:uaTA1eYM
これは荒れるメンツだなw

御大将が出るというだけでwktkしてくるぜ
357それも名無しだ:2007/12/02(日) 16:42:26 ID:gpczJkGk
でも御大将は今、正義の味方ギンガナマンだからかw
悪のガウルン星人がヤヴァイw
謀らずも機体がシャイニングとマスターだし
358それも名無しだ:2007/12/02(日) 17:43:21 ID:wgePkcTG
予約面子にwktk
誰が死んでもおかしくないぜ……!
ジョシュア関係でアイビス&ラキ、機体関係でガウルンと因縁深い御大将に注目せざるを得ない

ちょっと話は変わるけど、wikiの方に本編のtxtファイルうpるのってやめておいた方がいいかな……?
そのままコピペするだけで今載ってるOpeningと同じ形式になるように弄ったものなんだけど。
359それも名無しだ:2007/12/02(日) 20:30:05 ID:F7g5hU2D
よくわかってないので迂濶なこと言えませんが
コピペでいけるのならそれが一番楽でいいんじゃないでしょうか
360 ◆7vhi1CrLM6 :2007/12/03(月) 17:25:47 ID:bmXfqYdp
本日九時半くらいから投下します。
 目が二つあった。
 パープルアイとでも言うのだろうか? 深く暗く沈んだ紫紺の両眼が、言い逃れは許さない、と詰問の視線を突きつけている。
 どこか追い込まれているような、自分で自分自身を追い詰めているような、そんな目だった。
 似てるなと思う。初めて戦場に狩り出された新兵が、自分のミスで仲間を死なせてしまった、そう思いつめているときの目がちょうどこんな感じなのだ。

「お前、ラキの何なんだ?」
「質問してるのはこっちだ」
「知ってることを全部話せって言われてもな……何処の誰とも知れない奴に話す義理はねぇ。
 もっとも、俺のことなら別だがな。今夜のご予定から泊まっている部屋の番号まで何でもお答えいたしますよ」
「ふざけるなっ!!」
「悪い悪い。そう怒るなって。だが、そっちが答えなきゃこっちも答える気はないぜ」

 努めて冷静に、出来るだけ刺激を与えないように(?)気をつけながら話す。両手は頭の上だ。別に銃を突きつけられているわけじゃなかったが、これが一番意思が伝わりやすい。
 強引に切り抜けられるか、と問われれば、多分出来るだろう。
 目の前のお嬢さんは筋肉に無駄が少なく(ついでに削ぎ落としたのか胸の脂肪まで死亡してるのが残念でもあるが)細身なりに鍛えられているようだが、動きはどちらかと言うと素人くさい。
 ただ、柄じゃない。
 となると、受け答えの中で情報を引き出せれば御の字といったところか。だが、無言を衝立にして返されたんじゃ埒があかない。軽口にも乗ってこない相手に溜息まじりに言葉を投げかける。

「おいおい。黙ってちゃ何にも分からないぜ。もう一度聞く。お前とラキの関係は?」

 あまり友好的な関係ではないのだろう。置かれた状況を鑑みれば、ラキが何か不祥事をやらかしたとしか思えない。
 現に目の前の少女は歯を食いしばって思い悩み、苦悶の表情を浮かべていた。強気の表情の裏で弱気が揺れ、顔は俯いている。その口元が微かに動いた。

「ある人の最後を伝えなくちゃいけない……。伝えなきゃいけないんだ……私は……ラキに……」

 自身の見当違いに気づくのと同時に、そろそろと視線を伏せた少女の顔に落とす。前髪越しに見える真一文字にきつく閉じた唇が、小刻みに震えていた。
 泣いているのか? そう思った瞬間、少女の顔ががばっと持ち上がり、涙が滲んだ視線が突き刺さる。

「さぁ、私は言ったぞ! 今度はお前が答える番だ!! 教えろ、ラキについて知っていることをっ!!!」

 ラキを探している理由は分かった。危惧していたようなことではなさそうで、人知れず胸を撫で下ろす。目の前の少女は、どう見ても他人を謀ることに長けているようには見えないのも安堵感を大きくしていた。
 しかし、まだ分からないことがある。ラキが原因でないのならば棘の出所が分からない。
 それにこの娘の気の張り詰め方は危うい。的の位置が分からぬまま弓を目一杯引き絞っている。そんな矛先の定まらぬ危うさだ。
 それらに引っ掛かりを覚えながらもクルツは、ラキのことについて話すことに決めた。

「分かった。何から聞きたい?」

 背格好からという要望が返ってき、クルツはそれに答えて話し始めながら、それとなく様子を覗い続けた。
 目の奥が暗い。肌にチリチリと焼け付くような感情がそこで燻っている。目の前の少女は笑う気配すら見せない。
 やはり棘がある。ラキでないなら向けられているのは自分か?

「あんたとラキの関係は?」
「仲間ということになるかな。放送前まで同行していた」

 何でもない言葉。それが彼女の心の弓弦に触れた。刹那、紫紺の瞳が揺れ動き、動揺。そして、驚愕へと少女の表情が変わり、焦点のぼやけた少女はぽつりと呟く。

「……嘘だ」
「嘘じゃねぇ」

 手が震えた少女の眉間に皺が寄り、険しい表情を形作る。その目に灯った感情を読み取り肝を冷やした。
 気圧されて一歩退がり、ラーズアングリフの装甲が背中にぶつかる。思わず振り返り、慌てて視線を戻したクルツに飛んで来たのは、怒声だった。

「嘘を吐くなっ! あんたがラキの仲間な訳がないっ!! そんなわけないじゃないかっ!!!」

 取り乱し、感情的に声を荒げて詰め寄る様子に息を呑む。感情の堰が切れ掛かっている。怒りの、殺気の矛先は間違いなく自分に向けられていた。
 訳が分からない。初対面のはずだ。こうまで嘘つき呼ばわりされる心当たりは全くない。そんな疑問符で頭が埋め尽くされる。
「嘘じゃねぇって。間違いなくあいつとエイジと俺の三人で行動してた。これは保証する」
「だったらなんでアムロを殺した!! あんたがラキの仲間ならアムロを殺すもんかっ!! 殺すもんかっっ!!!」

 身の潔白を証明するしか他なく喚いたクルツの言葉に、アイビスの叫びが重なった。
 怒りに目を滾らせながら目肩で息をする少女を見つめて、再び疑問符が頭に浮かぶ。今度の疑問符は一個だけ。ただしでかい。即ち、アムロって誰よ?
 そして頭の中で一通り検索にかけてなお心当たりのないクルツの口を吐いて出た言葉は――
 
「ぬ、濡れ衣だァーーーーーーーーー!!!!」
「惚けるなっ!!!」

 負わず手が出たという感じで頬を叩かれた。クリーンヒット。直撃。反動で後頭部を固い装甲板でしたたかに打ちつける。正直、そっちのほうが痛かった。

「惚けてねぇ! 俺はそんな奴知りやしねぇ。まして恨みを買われる筋合いもねぇ」
「見たんだっ!!! あんたがアムロを……赤い小型機を落とすところをっ!!!
 そんなあんたがラキの仲間だなんて認めるものかっ!!! 認めてやるものかっ!!!!」

 必死の目と一緒に、これまで押さえ込んでも押さえ切れずに、瞳の奥で燻っていたものが露になる。その感情の堰が切れる様を目の当たりにしながら、クルツは事情を理解した。
 事情は単純。赤い小型機、おそらくは戦闘に介入してきたタイミングから考えて戦闘機にも変形するほうのことだろう。それが彼女の仲間で、自分はその仇というわけだ。
 だが一つこの少女は思い違いをしている。そこを正せば少しは立場が楽に……なるのか?

「ちょっと待て! 殺してねぇ!!」
「……えっ!?」
「殺しちゃいねぇって! そいつは生きてる」
「嘘だっ!!」

 何度目かも分からない否定。全く信用されてない立場というのは辛い。

「まぁまずは落ち着けって。確かに小型機は落とした。けど、あの時そいつは既に青い機体に乗り換えていた。
 見たろ? 俺がその青い機体に追い詰められるところを。あんたが介入してなかったら死んでたのは俺のほうだった。だから嘘じゃねぇ」
「生……きてる?」
「そう。そいつは生きてる」
「本当?」
「本当だ。もう五六時間もすれば放送が流れる。嘘を吐いても意味がねぇよ」

 胸を撫で下ろし大きな安堵の溜息を漏らすのが見えた。少しはこれで険が取れるかな、と思って油断した隙に再び詰問の視線が向けられ、思わず表情が強張って気持ち身構える。

 ぐぅ〜

 薄く開いた唇が言葉を発するより早く少女の腹の虫が鳴いた。険が取れるどころか緊張が霧散し、空気が弛緩する。
 思わず笑ったクルツの大声が夜空に響いた。開けた口を訳もなくパクパクさせている目の前の少女の顔は真っ赤だ。

「わ、笑うな」
「ハハハ……腹減ったとよ。どっかで飯にするか?」
「減って ま せ ん 」

 躍起になって否定する少女を尻目に中央廃墟で一息吐くことを勝手に決める。北の市街地には行きたくなかったのだ。
 全くの偶然の腹の虫ではあったが、お陰で今話の主導権はクルツに移行している。気持ちにも余裕が出来た。
 機体に乗り込もうと背を向け、背後の気配の動き出す様子のなさに振り返る。
 そこに強い光を見止めた。真摯さ。熱心さ。そんな光だ。そしてその奥にはまた別の暗い光が併在している。

「一つ聞かせて。何でアムロと争っていた?」

 思わず頭をガシガシと掻いてあらぬ方向を見上げてしまった。一番答えにくい質問だったのだ。何しろ最初に手を出したのはこちらなのだから。
 ちらりと視線を戻す。そこに最初と同じ『言い逃れは許さない』という詰問の視線を確認して、慌ててまた逸らした。どうにも答えずにすむという訳にはいかないようだ。

「あいつとやり合ったのは二回目だ。一回目は俺から仕掛けた。それを覚えてたんだろうな。二度目は奴から仕掛けてきた。後は通信を交わすこともなく戦闘さ」
「一度目はなんで?」
「さぁ、何でだろうな。いきなり殺し合いを強要されて、情けねぇことにパニクってたのかもな」
「そう……」
 目線を合わせる勇気はなかった。僅かに混ぜ込んだ自分を守るための嘘。それに言いようもない引け目を感じたのかもしれない。
 逃げるようにして機体に乗り込むとホッと胸を撫で下ろす。下手な嘘がバレやしないか冷や冷やものだったが、どうやら信じては貰えたようだった。もっとも疑いが完全に晴れた風には見えないが。
 通信を繋げる。

「んじゃ、行くとしますか。行き先は中央廃墟。そこで朝まで一休みだ」

 と、そこまで言って肝心なことを聞いてないことを思い出す。

「お嬢さん、そろそろお名前を教えてもらっても良いんじゃないでしょうかね?」
「へっ?」

 目を丸くするのが見え、ちょっと間の抜けた声が響く。どうやら向うも名乗ったつもりになっていたようだった。

「アイビス……アイビス=ダグラス。あんたは?」
「クルツ=ウェーバー……俺名乗んなかったっけ?」
「名乗ってないよ」

 呆気羅漢と返ってきた声に「おっかしいな」と応じながら頭を掻き、「まぁいいさ」と繋いだクルツは、とりあえずラキとアイビスを会わせてみようという気になっていた。
 そうして二機は中央廃墟へと向かう第一歩を踏み出す。そこに待ち受けている結果も知らずに……。

 ◆

 アイビス・クルツから遅れること約四時間。C-3地区にも中央廃墟を目指す機体の姿があった。
 その低空を僚機となったシャイニングガンダムと共に飛びながら、ブンドルの思考は一つのことに囚われていた。
 サイフラッシュ・ハイファミリア・アカシックバスター・コスモノヴァ、そして精霊憑依。
 ブンドルが扱いきれないサイバスターの武装や機能は多い。
 ゆえにブンドルはこれまで機体の基本性能と剣戟、そして僅かな火力での戦いを強いられてきた。それらはひとえに操者の資格を持たぬがゆえのことであったが、一つ事情の異なるものが存在する。
 ラプラスコンピューター――それは一種のブラックボックスといっても過言ではないサイバスターの中枢を司るメインコンピューター。
 これだけは操者の資格を持たないが為か、それともただ単純にそっち方面の専門家でないことによる技術力不足によるものか判別に難しい。だが、どういうものかの憶測はついていた。
 ラプラスの名を耳にしたとき、ブンドルが真っ先に思い浮かべたのは18世紀から19世紀にかけて活躍したフランスの数学者ピエール=シモン・ラプラス。ラプラス変換の発見者として、彼の名は高い。
 その彼によって提唱されたものの中に『ラプラスの悪魔』というものが存在し、彼は自著の中でこう語っている。

 もしもある瞬間における全ての物質の力学的状態と力を知ることができ、かつもしもそれらのデータを解析できるだけの能力の知性が存在するとすれば、
 この知性にとっては、不確実なことは何もなくなり、その目には未来も全て見えているであろう。  『確率の解析的理論』

 この仮想された超越的存在の概念であり、ラプラスがただ単に知性と呼んでいたものに、後世の者が付け広まった名称が『ラプラスの悪魔』である。
 それは量子論登場以前の古典物理学における因果律の終着地点と言ってもいい。
 そのラプラスの名を冠する以上、おそらくこのコンピューターが目指したものは未来予測。

「ラプラス自身の理論は後に量子力学によって破られることになったが、果たしてこのコンピューターは『全てを知り、未来をも予見できる知性』足り得るのか……」

 目指しはしても、そこに至れるかどうかは別問題。『ラプラスの悪魔』にまで至れているという保証はどこにもない。
 だが、最低でも物質と現象を解析し予測する為の機能が備わっているはずである。例え完全ではなくとも、それらの機能がなくてはラプラスの名に対して失礼と言うべきであろう。
 そして、その処理速度も並々ならぬもののはずだ。1秒後の未来を算出するのに1秒以上の時を要しては意味がない。
 ならばだ。然るべき者の手に渡りさえすれば、首輪の解析など容易くやってのける代物なのではないか――それがブンドルの抱いたものであった。

「ブンドル」

 突然の通信に思考の波から意識を拾い上げる。無骨な男の顔がモニターに映し出されていた。

「ギンガナム隊のことについてだがな」
「……なんだ? そのギンガナム隊とかいうのは」

 薄々感づきながらも言葉を返す。妙に嫌な予感がしていた。そして、こういう勘は当たるものだ。
「ギンガナムとはムーンレイスの武を司る一族の名。そして、我が部隊の名だ。
 ロンドベル隊の名も惜しかったのだがなぁ。アムロ=レイが存在する以上、あちらにその名を譲るのに小生も吝かではない。
 貴様もギンガナム隊の一員となったのだ。覚えておけ」
「少し待て。それは君の名ではなかったか? というかいつ私が君の下に付いた?」

 こめかみを押さえ、俯きがちに頭を左右に振る。色々と頭が痛い。だがそんな様子に構うことなくギンガナムは返答を寄越してくる。

「いかにも。我が名はギム=ギンガナム。ギンガナム家の現党首よ。
 どこの馬の骨とも知れぬ者をギンガナム隊に加えるのには小生も少々の抵抗があったのだが……ブンドル、貴様はなかなか見込みがあるので特別に許可した。誇りに思うが良い」
「話が食い違っている……それにその美しさの欠片も見当たらないネーミングには反対させていただこう」
「異論があるのならば代案を出すべきであろう。
 だが、あの化け物を討つのに、ギンガナムの名以上に相応しい名はない。そう、ロンドベル隊とギンガナム隊の共同戦線によってあの化け物は討ち倒される。
 フフフ……ハーハッハッハッ……素晴らしい! これぞまさしく小生が夢にまで見た黒歴史との競演!! だがそれにはぁ、我が隊の戦力を充実させねばなぁっ!!!」

 勝手にテンションを鰻上りに上昇させるギンガナムを脇目にブンドルは僅かに考え込んだ代案を出せというギンガナムの言には一理ある。
 そして、頭に思い浮かんだ部隊名は――

「……ドクーガ情報局」
「フンッ! 大 却 下 だ!!」
「ならば……」

 そこで言葉を飲み込む。言おうか言わまいか束の間悩んだ。目の前の男に自分の美的センスが理解できるとは到底思えない。
 芸術の何たるかを全く理解しない無知蒙昧な輩に、自分の美的センスが扱き下ろされるのはどうにも我慢がならない。

「ならば何だ?」
「……なんでもない」
「どうせ大したことのない部隊名を思いつき慌てて引っ込めたのであろう。やはりここは武を納めるギンガナムの名こそ相応しいっ!!」
「それには反対だと言った」
「ギンガナム隊に反対ならばシャッフル同盟で決まりだな。異論があればもっとマシな対案を出してみよ。
 どうした? 何か言いたそうだな? その貧弱なお頭でぇ何を思いついたか言うがいい。ほれ! ほォ〜れ! ハーッハッハッ……!!」

 あからさまな挑発。見え透いた手。だが、悔しいが効果的だ。小馬鹿にされているようで地味に腹が立ってくる。というかうざい。

「そうまで言うのなら聞かせてやろう。この部隊の名は――





 ――『美しきブンドルと愉快な仲間達』だ」

 満足気に言い放ったブンドルを残して時が凍りついた。

「……」
「なんだその痛いものを見るような目は? そんな悲しそうな憐れみの目で私を見るな」
「その今にも『全ては我らのビッグ・ファイアの為に!』とか言いだしそうなネーミングは……それに後半……」
「それはだな」
「いや別に説明しなくともよい。すまん。小生が悪かった。だから悪いことは言わぬ。ここは大人しくギンガナム隊にしておけ」
「それには反対だと言った!」
「ええい。人が下手に出ておればいい気になりおって。何が不満なのだ?」

 議論は白熱(?)していき、多くの名が挙がっては切って落とされていくこととなった。
 そして、目的地D-3廃墟の上空に差し掛かる頃、両者は半ば折れる形で部隊名はなんの捻りもなく『ドクーガ情報局ギンガナム隊』に決定される。

「まぁいい。とにかくブンドル、貴様にはギンガナム隊の参謀を務めてもらう」
「お断りさせてもらおう。私はドクーガ情報局の『局長』だ。降格は勘弁願いたい。それではよろしく頼むよ、『隊長』殿」
「くっ……貴様、またしても謀ったな」
「部隊名はそちらも納得して決めたはずだ。それとも君は一度口にした言葉をひっくり返す程度の男かね」
「ぐっ! おのれ……」
365それも名無しだ:2007/12/03(月) 21:36:45 ID:g+IUha8a
 悔しげに睨み付けてくる眼光を飄々と受け流す。戦闘行為ならともかくとして、口と謀でこの男に負ける要素は皆無といって良い。
 未だブツブツと文句を呟くギンガナムを尻目に視線を眼下の廃墟へと落とした。
 現在ブンドルの頭の中には幾つかの集団が刻まれている。
 北西の市街地にはアムロとガロード。南部市街地にはトカゲ型の戦艦とガロードの仲間。そして、ゼクスを中心とした集団は中央廃墟の方角を目指していた。
 もっともトカゲ型の戦艦とゼクスの集団はそれなりの時間が経過している為、移動している可能性が高い。そう考えるとこの中央廃墟と北の廃墟は大きな空白地帯と化す。
 つまり参加者の保護・小集団の形成という観点から考えて、ここは見過ごせない地域なのだ。
 そして、出来ればもう一度サイバスターの操者と接触を取りたいという欲が、ブンドルに中央廃墟を選ばせていた。
 だが見下ろした廃墟に人影は見当たらない。深夜という時間帯と廃墟という死角の多さが目視を遮っているのだ。加えてレーダーの不調もある。

「ギンガナム、そちらのレーダーに反応は?」

 文句を止めて取り合えずはレーダーを確認したらしいギンガナムが、「なにも」と返してくるのを聞いて、これは骨が折れるかもしれない、といった思いが頭を過ぎり――

「ところでな、ブンドル」

 思考を中断させられた。

「……まだ何かあるのか?」
「うむ。毎回戦闘前に名乗りを上げていたのだが、どうもパターンが尽きてな。そこで二人で是非とも試して」
「断る!!」
「つれないな」

 当然だ。嫌な予感しかしない。

「だが、この聞けば貴様の気もきっと変わるであろう」
「言わなくていい。言わなくていいから、少しあっちに行っててくれないか?」
「まずは小生が問いかける。それに貴様は答えていけばよいのだ」

 思いっきりスルーされた。あまりのマイペースさに殺意を覚えないでもない。少しくらい聞けよ、人の話……いかん。キャラが崩れてきている。自戒せねば。

「『流派東方不敗は』と問われれば貴様は『王者の風よ』と返すのだ。あらん限りの声を振り絞り叫ぶのだぞ。分かるな? 気迫がここではモノを言う。そして、続きは――」

 得意気に説明を続けるギンガナムを完全に無視して、思案を再開することに決めた。とてもじゃないが付き合いきれない。
 改めて廃墟へと目を向ける。ざっと見渡した限り目視にかかるほど大きな機体は見当たらず。また死角が非常に多い。空を飛ぶ来訪者は見つけやすく、自身は隠れやすい地形ということだ。
 好戦的な者を除いたほとんど全ての者は、一度隠れてこちらの様子を覗うと思ったほうがいい。かと言って、地上を歩き路地の一つ一つを覗いて回っても埒があかない。
 つまりは目立つ空に機体を曝け出して、いるかどうかも分からない相手のコンタクトを待つしか方法がないのである。
 ならば時間で区切るべきだ。交代制で半分を休息に当てるとして、一時間か? それとも放送までの二時間か?
 そうやって先のことに思考の手を伸ばしていたとき、視界の隅で何かが煌めいた。モニターに警告のメッセージが灯るのよりも素早く身を翻す。
 虹色をまとめて撃ち出したかのような光軸が間際を駆け抜け、装甲を焦がした。それを脇目に射撃地点を睨んだブンドルは、しかし突然後方で鳴った衝撃音に思わず振り返ることとなる。
 火花を散らしながら銃と剣の中間のような武器を叩きつける流線型の機体と、それをアームプロテクターで受け止めるギンガナムの姿が目に飛び込む。
 やばい――そう思った瞬間、女の憎悪に塗れた声とギンガナムの剛毅な声が木霊した。

「ギンガナム! お前を!! お前だけはああぁぁぁぁあああああ!!!」
「小生をギム=ギンガナムと心得て向かってくるその心意気や良しっ! だがしかあぁぁしっ!!」

 ギンガナムが相手の武器を跳ね上げ、腕を掴み、豪快に投げ飛ばした。空中をくるくると舞った敵機は、数百m離れたところでようやく体勢を整える。
 その鼻頭にギンガナムの声が飛んだ。

「貴様では足りんっ! 小生を、このギム=ギンガナムを倒したくば、このシャイニングガンダムの右腕を見事斬りおとしてみせたあの男を出すがいい!!
 勝利の二文字を持って屈服させええぇぇぇ!! 我がギンガナム隊の一員としてくれるっ!!!」
「黙れっ! お前が、あいつを殺したお前が気軽にあいつのことを口にするなっ!!」
367それも名無しだ:2007/12/03(月) 21:37:53 ID:g+IUha8a
 突然、流線型の機体がぶれたかと思うとその場から消失する。次の瞬間、それはギンガナムの死角に姿を現した。
 銃剣の切っ先が下から上へと振り上げられる。それらの動きに瞬時に反応して見せたギンガナムはワンステップでかわすと同時に振り向き、掌を胸部に添える。

「遅い。温い。伸びも芸もない。その程度でぇこのギム=ギンガナムの首が取れるものかよぉ!!」

 中空にも関わらず踏み込む。流線型の機体が体をくの字に折り曲げて、すっ飛んだ。刹那、ブースターが青白い燐光を瞬かせ、ギンガナムが追撃に移る。
 それらの光景を前にブンドルは再度思う。これはやばい、と。この闘争本能の塊のような男は、既に燃え盛る炎と化している。襲い掛かる者に対して容赦はないだろう。
 そして、漏れ聞く限り突如襲撃してきた女は復讐者。この組み合わせはまさに火に油を注ぐようなもの。勢いのままに暴走を許せば、後の結果は火を見るより明らかだ。
 そこまで分かっていながらブンドルは動けなかった。
 理由は二つ。
 一つはテレポーテーションとでも言うべき移動に度肝を抜かれ、介入のチャンスを見出せなかったこと。
 そして、まだ何かがある気がする。あるいはいるのかもしれない。ともかくギンガナムと女と自身の他にまだ何かがここに介在している。
 理屈というよりかは勘のようなものだ。未だ表に出てこない潜んでいる何かがあると告げていた。
 さらにもう一つ加えるのならば、サイバスターのラプラスコンピューターに対しての類推もブンドルを慎重にさせることに一役買っていたのかもしれない。
 ここで悪戯に失うわけにはいかない。そういった思いがあったことは確かなのだから。
 雲越しに火線が煌めき、幾度目かの火花が散る。
 ギンガナムもあの男一流の嗅覚で違和感を感じ取っているのか、女とギンガナムの戦いはどこかぎこちなかった。が、そのぎこちなさは程なく融解することとなる。
 ギンガナムの狂喜に彩られた声が大地に響き渡ったのだ。

「見つけたぞ!! アイビス=ブレエエェェェェェェェンッッッ!!!」

 何処か女性的な丸みを帯びた流線型の敵機。それを弾き上げたシャイニングガンダムのスラスターが噴射音を唸らせたと思った瞬間、敵機を無視し、地表の一点目掛けて突撃を開始した。
 夜空に流星のような一筋の光が灯る。
 その流れ落ちる先に赤い無骨な機体を発見したブンドルは、サイバスターのブースターを焚き、フルスロットルでそこに突撃した。
 上空にギンガナム。地表面付近に自身。どちらが早いとも考える余裕はなく、二機は急速に赤い機体との距離を詰める。
 朽ち果てたビル、鉄骨を露にした廃墟、腐食し赤く錆び付いた鉄筋、それらの景色が後ろへと飛んで行く。その先で、赤い機体がギンガナムに銃を向けるのが見えた。
 横合いから懐に飛び込む。銃を潰れた左腕で制し、間髪入れずにギンガナムの拳を右手の剣で受け流す。そして、返す刀でギンガナムの脳天に降って来た女の剣閃を受け止めた。

「チッ!!」
「ブンドル、貴様ッ!!」
「なっ!!」
「三人とも剣を引け。この場は私が預か……ッ!!」

 全てを流れるような動作で隙なくこなしてみせたブンドルであったが、そこが一呼吸における挙動の限界でもあった。
 黒い弾丸のようなものが飛び出してくるのを視認する間もなく、轟音がコックピットを揺らす。
 動から静に転じる瞬間を狙い済ましたように突かれたサイバスターは、なすすべもなく押し流され、瞬く間に瓦礫の街並みへとなだれ込んで消えていった。

 ◆

 二つの機体が縺れ合っている。白銀の機体が大人と子供以上も体格差のある黒い機体に押し負け、瓦礫を巻き込みこんで後退を続けていた。

「聞こえるか? 黒い機体のパイロット、私は君との争いを望まない。剣を納めてくれ。そうすれば私はギンガナムを諌め、あの場を丸く治めてみせる」
「ククク……ハーッハッハッ……!!」

 通信。流れてくるのは休戦の提案。黒い機体のパイロットガウルンは、堪えきれずに思わず噴出した。
 その様子にモニターの端に開いた通信ウィンドウの中の顔が、眉を顰める。

「何か可笑しいか?」
「冗談言っちゃいけねぇな。せっかく面白くなりそうなところだ。それを潰されちゃたまんねぇな」
 一番動きが良かった奴を狙いすまし、隙を衝いて仕掛けが、正解だったってわけだ。赤い奴はどうだか知らねぇが、白い機体も丸っこい機体も剣を引く気は毛頭なさそうに見えた。
 ということはだ。ここでこいつを喰っていけば争いが治まることはないと言える。その後は、選り取り見取りだ。
 それに面白味はねぇがこいつ自身も一級品。暇つぶしの玩具としては、何の不足もない。

「悪いがここで死んでもらうぜ」
「なるほど……そういう輩か。ならば君などに付き合っている暇はないッ!!」

 白銀の機体が刀剣を抜き放つ。密着した状態で掲げた剣を振り下ろす。上から下。頭部と背面を狙った刺殺。鋭いッ!!
 咄嗟にヒートアックスで受け止めた。その隙を衝いて押さえ込んだ状態から抜け出される。一塊だった二機がパッと左右に分かれた。

「やるじゃないか。大したものだ」
「そちらこそ……な。野放しにしておくには少々危険だ」

 数百mの距離を置いて二機は対峙する。互いにまだ瀬踏みの段階。つまりは小手調べの前哨戦。それでもある程度の力量は伝わってくる。
 その力量だけで言えば、信じられない程の上物だ。自分自身に対する絶対の自信も持っている。そんな奴の鼻を明かしてやるってのは、たまらねぇな。そうガウルンは一人ごちた。

 ◆

「クックックッ……ハハハ……フハハハハハ……!!!!」
「何が可笑しいッ!!」

 愉快さを隠し切れないといった無邪気な笑い声に反発を覚え、思わず叫んでいた。

「何が可笑しいだと? ククク……、黒歴史において最強の武道家と誉れ高い東方不敗マスターアジア。その愛機マスターガンダムが姿を現したのだ。
 そして、小生は今その弟子の機体に乗っておるのだぞ! 何たる僥倖! 宿命!! 数奇!!!
 これが笑わずにいられるものかっ! もはや貴様の偽善になど付き合っていられぬ。今すぐにでも奴を追いかけぇッ!! ガンダムファイトの挑戦状、叩き付けてくれるわッッ!!!」

 言うが早いか、シャイニングガンダムのブースターに明かりが灯る。銃声一つ。その鼻先を七色の燐光を発するチャクラの波が駆け抜けた。

「行かせない。ギンガナム、あんたの相手は私だ」
「ほぉ。貴様ごときが小生と渡り合えると本当に思っているのか? それにそこの赤い機体。奴ではないな。接近戦における動きの冴えがまるで違う。
 もう一度言う。そんな貴様らごときに勝ち目がぁあると本当に思っているのかあぁぁあああ?」

 白銀の中型機が介入してくるまで、ギンガナムに押されっぱなしだった。それも片手間でだ。
 勝てるという道理はない。五分に渡り合える理屈もない。でもそんなことは――

「やってみないとわからないだろ。あいつを追うんなら私を倒してからにしろっ!」
「舐められたものだな。まぁいい。せっかくのガンダムファイト。横槍を入れられても面白くない。
 ならば、貴様らを殺した後、ゆっくりと専念させてもらおうではないかッッ!!」

 言葉と同時にギンガナムの姿が掻き消える――否、そう思えるほどの速度で横っ飛びに跳ねた。
 咄嗟に追随。同時に『轟』と重い金属音が響き、ラーズアングリフがよろけ――

「固いな」
「なろっ!!」

 シザースナイフを振るったときには既に背後に抜けていた。結果、ラーズアングリフに視界を遮られギンガナムの姿を見失う。
 赤い胸部装甲板が拳大に窪んでいるのを確認しつつ、その脇をすり抜けようとした瞬間、体を悪寒が覆った。
 咄嗟にバイタルジャンプ。ほぼ同時にラーズアングリフの脇で肘鉄が空を切った。そこに二制射撃ち込んだときには、クルツ一人残して影も形もない。
 ――廃墟に紛れ込まれた。
 足元に着弾した銃撃に文句を散らすクルツを無視して、視界を八方に目まぐるしく動かす。
 ――見つけた。右後方。
 振り向き様にソードエクステンション。が、それよりもギンガナムが懐に潜り込む方が遥かに素早い。
 斬撃は肘の位置を掌で捌かれ、そのまま背中を合わせるように動いたギンガナムの右足が大きく踏み込む。
 重い音が大地を揺らし、肩で弾き飛ばされたブレンがすっ飛んだ。瓦礫を巻き上げ、ビルの残骸に埋没する。
 追撃を予想して跳ね起きた視界に、距離を置き銃口をちらつかせて牽制を仕掛けているクルツの姿が目に入った。同時に通信。
「無事か?」
「何とか……そのまま奴の気を引ける?」
「無理だ。弾が殆んどきれかけてる。弾幕も敷けねぇ」
「五分でいい。お願いっ!」
「だから無理だって。牽制に回す弾すらないんだぞっ!」
「クルツッ!!」

 思わず出た大声にギンガナムに注がれていた視線がこちらを向いた。その視線はホンの一瞬だけ交錯し、直ぐにまた元に戻る。

「やれるのか?」
「やれる! いや、やってみせる!」
「……分かったよ。五分だな?」
「ごめん」
「任せろっ!!」

 クルツの声を耳にバイタルジャンプ。戦場からいくらか離れた空に転移した。そこから戦場を見守り、具にギンガナムの動きを観察する。
 シャアに褒められたことが一つだけあった。相手の軌道を読み切り旋回半径に飛び込むGRaM系とRaM系に共通する基本動作だ。
 それしか自分にはない。だから持てる力を全てつぎ込む。ギンガナムの動きを読みきり、全力を一撃に、急加速度突撃に全てを賭ける。
 時間は?
 三分。
 焦るな。
 落ち着け。
 二分。
 小型ミサイル。
 回避。
 避け。
 一分
 ビルをブラインドに。
 回り込む。
 そう見せかけて跳躍。
 音もなく上空へ。
 ここだっ!!
 青白い噴射光と七色の燐光が夜空に浮かび上がる。ギンガナムのシャイニングガンダムとアイビスのヒメ・ブレンが同時に突撃を開始したのだ。
 フルスロットル。
 眼前の廃墟をブラインドに。
 一度、互いの死角へ。
 廃墟を抜ける。
 そして――見つけた。
 微調整。
 ソードエクステンションを前に。
 あとは――

――ただ突っ込むだけだッ!!

「行っけええぇぇぇぇぇえええええ!!!」

 叫んだとき、距離はもう幾許もなかった。直前でギンガナムが反応するのが見えた。構わず突っ込む。リーチはこちらのほうが長いのだ。
 突きつけたソードエクステンションの切っ先。それが胸部装甲に突き立つのが鮮やかに見えた。

「アイビスッッ!!」

 次の瞬間、眼前に迫った大地に気づく。
 気を失った? 何故? いつの間に? そんなことよりもブレンを――。
 この速度で大地に叩き付けられると危ない。そう思い、減速しようとして、身動きが取れないことに気づく。
 どうして? 何で? 何で、動いてくれないんだっ!
「つまらんな。ただ突っ込むだけの戦い方など赤子でも出来る」

 耳元で誰かが囁いた。瞬間、ぞっと肌が粟立つ。
 積み上げてきたものを崩され、心に隙間が生じる。そして、その隙間に過去の恐怖が入り込み、鮮明に蘇る。大地迫るこの状況が過去の墜落経験と頭の中で噛み合った。
 堕ちる……嫌だ。嫌だ。嫌だ! 嫌だッ!!

「うわああぁぁぁああああああ!!!!!!」

 ◆

 北西から南東に向けて一直線に粉塵が立ち上った。それは間に乱立し散在する廃墟の山を一切問題にしていない。
 粉塵の中に双眸が輝くのが確認できた。次はお前の番だとそれが何よりも雄弁に物語っている。思わず唾を飲み込み、薄ら笑いを浮かべた。
 強い。半端な敵ではない。それが素直な感想だった。
 あの瞬間、アイビスの仕掛けた攻撃は受け流され、その場で半回転したギンガナムは背に一撃を加えた。その上で間接をロックし、加速して地面への衝突直前に叩きつけるという荒業をやってのけていた。
 結果、敵機は装甲表面に引掻き傷程度の怪我を残して健在。アイビスは恐らく沈黙だろう。
 アイビスの加えた攻撃は、タイミング・速度共に申し分ない一撃だったはずだ。少なくともクルツにはそう見えた。それを物ともしない強さがある。接近戦ではまず話にならないと言っていい。
 射撃戦を展開するにしても弾薬は底を尽きかけている。一戦はとても持たない。だがそれでもやりようはある。それにはまず距離を取ることだ。
 そう思い浮かべた瞬間、巨大な圧力がクルツを包み込んだ。距離を詰められた。読まれている。既に後退は間に合わない。
 前。咄嗟に思い浮かべたのはそれだった。活路はそこにしかない。雄叫びをあげ、馳せ違う。右脚部で鈍い音が鳴った。構うことなくフルスロットルで前進を続け距離を取る。
 だが速度が上がらない。ラーズアングリフは空を飛べない。だから、脚部の損傷は致命的だ。追ってくる。振り切れない。駆けながら、全身の毛が怖気立つような恐怖に襲われた。
 南下させられているのだ。いずれ禁止エリアに突き当たる。方向を変えようとしても、出来なかった。
 刺し違える。咄嗟にそう決めていた。このままでは振り切れない。追いつかれるなり、禁止エリアに追いやられるなりして、殺される。ならば強引に反転し立ち向かう。
 刺し違える覚悟で相打つ。それしか手がなかった。そして、それが一番生存率が高い。一つの廃墟が眼前に迫った。決死の覚悟で機首を巡らせる。
 装甲の厚いラーズアングリフだ。一撃で落とされることはない。まずは相打つ。その上で何か見えてくるものがあるはずだ。何も見えなければ死ぬ。それだけだ。そう思った。
 しかし、反転してクルツは唖然とした。距離がない。構える時間すらない。眼前には既にギンガナムが迫っていた。想像以上に動きが早かったのだ。
 重い音。衝撃。重厚なラーズアングリフが背にした廃墟に埋没する。肩から腕にかけて熱いものが走った。やけに鮮明な視界の中、ゆっくりと拳が近づいてくる。
 甘かった。敵の狙いはラーズアングリフのキャノピー。重厚な装甲など関係ない。足を止めたその後は、あからさまに弱点なそこを狙うのは当然といえた。
 死とはいつもすれすれの所で生きてきた。戦と死は古い友人のようなものの気もする。それがついにやってきた。お前が俺の死か。そう思い、ギンガナムの機体を睨みつけた。
 そのギンガナムの機体が不意にぶれ、横っ飛びに跳んだ。

「なっ!」

 咄嗟のことに頭がついて行かない。その眼前を七色の光が突き抜ける。そして、通信が一つ。

「クルツ、無事か?」

 ほんの半日前まで耳にしていた声がやけに懐かしく感じる。思わず笑みがこぼれた。

「へっ! 何処に行ってやがった。しかもこのタイミングでご帰還たぁ、美味しすぎじゃねぇのかぁ? おいっ!」

 ◇

 右腕が通信を繋げようと動き、モニターに一人の男の顔が映し出される。
 肩までかかる青い長髪がワカメのようだと一瞬思い、一度会った男だということが記憶の引き出しから出てくる。
 その男とモニター越しに目が合い。男の顔がにぃっと笑うのが見えた。瞬間、全身の血が身の内を駆け巡る感覚に襲われる。視線を交わしただけの通信が途切れる。
 ラキはそれ以上を必要としなかった。目が合った瞬間に理解し、訳もなく確信したのだ。
 待ちきれずに逸った気持ちからか、宙に浮いている錯覚を覚える。
 今、私はどんな顔をしているだろうか?
 きっと笑っている。
 何をしている?
 早く来い。
 お前も気づいたのだろう?
 私がお前の敵であると。
 理由も理屈もなくただそう思い、確信している。
 告げているのは負の感情を集めるために作られたメリオルエッセとしての性か。それともベースとなった人間の持つ原初の本能か。
 白い隻腕の機体が各部を展開させ、一歩を踏み出す。まるで鏡映しのようにネリー・ブレンも一歩を踏み出す。そのまま二歩三歩と間合いが縮まり、走り、駆け、疾走する。
 ふいに全身が熱くなり、熱いものが込み上げて来るのを感じた。その熱いものが胸にぶち当たった瞬間、二つの機体は地を蹴り、激突した。

 ◆

「……嫌だ…嫌だ」

 立ち並ぶ廃墟をなぎ倒し、抉れた大地が一筋の巨大な爪痕になっていた。
 その爪の先で地に伏すヒメ・ブレン。その中でアイビスはうわ言を繰り返し呟いている。
 うつむき、小さく丸まり、膝を抱え、体は芯から奮え、瞳孔は開き、焦点の合わぬ瞳は揺れ、歯の根も噛み合わず、心も折れた。
 怯えが、慄きが、恐怖が全身を支配している。

「アイビス、無事か?」

 ――通信?
 僅かに顔を上げ、コックピットの内壁にぼんやりと開かれた通信ウインドウに目を向ける。
 端整な顔立ちの青年がそこにはいた。

「ク……ルツ?」
「動けるな? やり返すぞ」
「無理だよ!」

 息巻くクルツの声に咄嗟に反対の言葉が出る。本心だった。
 自身の無力を思い知らされ心砕けた少女を目の前にして、驚きの表情をクルツが浮かべる。

「何……言ってんだ?」
「……無理だよ。ジョシュアの敵討ちなんて……私には無理だったんだ。
 あんな奴に……勝てるわけがない。ねぇ、逃げよう。逃げようよ。ここから逃げちゃおう」
「お前、本気で言っているのか?」
「本気……だよ。だって仕方ないよ。勝てないんだ! 怖いんだ!! どうしようもないんだからっ!!!」

 ギンガナムを思い浮かべると何をするのよりも恐怖が先にたつ。涙がこぼれ、体が震えてどうしようもなかった。

「そうか……悪かった。悪かったよ。すっかり忘れてた。誰も彼もが戦闘に慣れてるわけじゃねぇんだよな。
 どいつもこいつも機動兵器の扱いに長けてやがるから、ついあいつらといる気になっちまってた。……俺は残るぜ」
「無茶だよ。あんたもうほとんど弾ないんでしょ……殺されちゃうよ」
「あぁ、その通りだ。だからアイビス、俺は無理強いはしないぜ。でもよ。ここで逃げちまってもいいのか?
 そりゃ俺だって死ぬのは怖いさ。逃げ出したくなることもある。だけどよ……命を懸けても絶対に譲れないことって……あると思うんだ。
 これさえやり遂げれば一生胸張って生きていけられる。そういうときってあるだろう? だから俺は諦めない。だから俺は戦う」

 思わず見上げた瞳に真っ直ぐな目をしたクルツの顔が飛び込んできた。
 その顔が一度にっと笑い、すぐに真面目な表情を作る。

「柄にもねぇことを言っちまったな。まぁいい。後は俺一人でやってみる。助けに入ってくれたラキは見捨てられねぇ。例え勝てなくても一泡吹かせてやるさ。
 お前は逃げろ。逃げてそのアムロとか言う奴に悪かったって代わりに謝っといてくれ。じゃあな。お互い生きてたらまた会おう!!」
「あっ! ま……」

 返事を返すよりも早く通信は途切れた。ノイズを伝えるのみになった通信機を前に呆けたように立ち尽くす。膝を抱え、丸く蹲り呟く。

「ずるい……」

 心の中では逃げ出したい思いと踏みとどまりたい思いが葛藤を続けていた。
 こんな自分でもまだ何かやれることがあると思う一方で、行ったってどうせ何も出来やしないといった思いがある。
373それも名無しだ:2007/12/03(月) 21:53:05 ID:15XI8o3W
 
374代理投下:2007/12/03(月) 22:16:55 ID:gfQL2jWa
「ラキが……ラキがいるんだよね」

胸を張って生きていけるのかは分からない。でも、今逃げ出したら一生悔いて生きていくのだろうという予感はあった。
少なくともここで逃げてしまえば二度とジョシュアに顔向けは出来ないだろう。シャアにもだ。

(でも……でも……ブレン、私はどうしたらいい?)

お前は行かないのか、と耳元がざわめく。引け目を、負い目を感じながら生きていくのなんて真っ平ごめんだ、と何かが囁く。
それでも足は前に出ない。どうしようもなく怖いのだ。もう一度ギンガナムとの交戦を考えただけで膝が笑い、腰が砕け、足が退ける。
行きたい思いと逃げたい思いが交錯し、アイビスはその場から動くことは出来なかった。

 ◆

蒼と白の巨人が踊っている。
突き出した斬撃が防ぎ、捌かれ、かわされる。
迫る拳を受け止め、受け流し、やり過ごす。
目まぐるしく入れ替わる攻防は一つの流れとなり、流れは次の流れへと滑らかに変化していく。
そんな攻防の中、奇妙な心地よさが全身を包んでいた。
ブレンバーをなんでもなくかわしたシャイニングガンダムの双眸が閃く。
さあ、来い。
お前の番だ。
重心の動きが見える。
体重が左足に移り、右足が僅かに浮く。
その動作をフェイントに、突然撃ち出される頭部のバルカン。
それをすり抜ける様にかわす。
音が消え。
色が消え。
五感が遠くなる。
やがて体も消えた。
何もない空間に残された意識だけが。
飛び。
交わり。
火花を散らす。
エッジを立てる。
刃先が一瞬輝く。
踏み込み、剣を振るう。
手ごたえはない。
そのことに心が湧き踊る。
馳せ違い、反転。
正対し、トリガーを引く。
極小距離からの射撃。
かわせ。
生きていろ。
もう一度、刃を交えよう。
飛び退く。
距離を取る。
体中の体重を足に乗せ。
もう一度、踏み込む。
相手も重心を足に。
そして、バネの様に前へ。
いいぞ、速い。
さあ、もう一度。
交錯する意識と意識。
剣と拳が擦れ違う。
掠ったか。
凄い。
375代理投下:2007/12/03(月) 22:18:03 ID:gfQL2jWa
 いい動きだ。
 楽しい。
 しかし、何だ?
 少し遅れた。
 何故だ?
 遅い。
 重い。
 どうした?
 どういうことだ?
 この不自由さは。
 このズレは。
 それに、声が。
 ――ラキ。
 男の声が。
 ――ラキ。
 聞きなれた声が間近に。
 ――ラキ、そっちじゃない。
 誰……ジョシュア?
 不意に長く暗いトンネルを抜けたかのようなに色鮮やかな景色が周囲を埋め尽くした。
 それに気を取られる間もなく、眼前に迫った豪腕の対応に追われて、咄嗟に身をよじる。
 装甲の表面で火花が散ったかと思ったときにはもう蹴飛ばされて、1km先の地面を転がっていた。
 何という速さだ。
 こんな相手と今まで五分に渡り合っていたというのが信じられなかった。
 口の中を切ったのか血の味に気づき、五感が体に戻ってきたということを自覚する。
 戻ってこられたのはあの空間に介在していた二つの意思のおかげ。
 胸をギュッと掴む。消えたと思っていたジョシュアの心ともう一つ。
 ただの機械ではなく生きている機械、感じたズレの正体――ネリー・ブレンの意思。

(ブレン、ありがとう)
(……)

 視線の先で急に不調を起こしたこちらをいぶかしみ、待っている相手の姿があった。
 その姿は語っている。『もっと戦おう』、『もっと殺しあおう』と。

「ん?」
(……)
「大丈夫。もうそっちには引き込まれない」

 ――そう。ジョシュアの心の頑張りを決して無駄にはしない!

 ◆

 未だ暗い大地に重い足跡を残し、脚部に損傷を抱えたままのラーズアングリフは移動を続けていた。スナイパーであるクルツの頭にラキとギンガナムの接近戦に割り込むという選択肢はない。
 移動の足を止めずに周囲に目まぐるしく視線を走らせ彼が探すのは、周囲でもっとも見晴らしがいいと思われるポイント。
 コンクリートに覆われ、ビルに埋め作られた市街地と言えど、元の地形を考えれば若干の高低差は存在する。その僅かに小高い丘一つ一つに厳しいチェックの目を向ける。
 しかし、廃墟と化しているとはいえ、立ち並ぶビルは高く数も多い。高いところに高いものを建てるというのは、都市景観の一つの考え方なのだ。
 絶好の狙撃ポイントといえる場所など見つかりはしない。それでも幾分マシな丘を見つけ、目を付けた。
 周囲に気を配り、極めて慎重に、静かに、そして素早くビルの谷間を突き抜ける。坂を登りきったクルツの視界が開け、ラキとギンガナムが切り結ぶ戦場が映し出された。

「ここなら、いけるか……?」

 戦場の全て見渡せるという状態には程遠い。だがそれでもやるしかない。
 地に伏せ、短銃に輪切りのレンコンを思わせる回転砲頭をつけたようななりのリニアミサイルランチャーを構える。
 掌中の弾は僅かに二発。だがそれでいいとクルツは一人ごちた。
 狙撃の前提条件は相手方に悟られないこと。その観点から見るとこの機体は少々派手過ぎる。一度発砲すればまず間違いなく見つかるだろう。
 つまり二度目はなく、多くの弾はこの場合必要ない。問題はそれよりも狙撃にはおよそ向かないと思われる火器のほうにある。
 近中距離用の小型ミサイル。噴射剤の航続距離には不安が残り、レーダー類が軒並み不調な以上、誘導装置もどこまで信頼できるかわからない。精度に問題が出てくる可能性が高いのだ。

「どうしたもんかねぇ、こりゃぁ……。でも、まぁ、大見得切っちまった以上やるしかねぇか」
376代理投下:2007/12/03(月) 22:18:53 ID:gfQL2jWa
 頼れるのは最大望遠にした光学センサーと両の目のみ。
 なんだかんだ言ってもやることに変わりはない。出来るだけ正確に目標を狙い撃つ、ただそれのみ。
 機体を地面に伏せさせると、目を細め、小指の先ほどにしか見えない飛び交う二機の挙動をクルツは穴が開くほど見つめた。
 瞬きはしない。ただじっと動きを止めて来るべきときを待つ。
 睨んだ視線の向うで七色に輝くチャクラ光と蒼白いブースターが、蛍のように大きく、小さく尾を引きながら明滅する。
 突然、不調が起こったのかネリー・ブレンの動きが鈍る姿が見えた。そして見る間に押し切られ蹴り飛ばされる。
 距離にして約1km。両者の間が開く。それを視認した瞬間には既にトリガーを引いていた。
 煙の帯を引いたミサイルが銃身から飛び出していく。そして、カサカサに乾いた唇に舌を這わせ、もう一発。
 弾装はこれでもぬけの空。だが、とりあえずの人事は尽くした。後は運を天に任せるのみ。
 常識に従い速やかに射撃地点から離脱を始めたクルツの耳に、爆発の轟音が届いた。だが、噴射炎越しに直前で身を翻すのが見えた。案の定、爆煙の右上を裂いて敵機が現れる。
 その様にクルツはにやりと笑った。

「予想通りだ! 往生しやがれ!!」

 グッと親指を立てて突き出した右手を下へ返す。二発目はギンガナムに向かって猛進している。
 気づいた敵機が姿勢制御用のスラスターを噴かし、慌てて左へ大きく流れた機体の勢いを殺す。
 無駄だ、とクルツは一人毒気づく。場は空中、足場のないそこでは勢いは殺しきれない。ジャマーか、あるいはSF染みたバリア装置でも持っていない限り直撃は避けられない。
 それがクルツの下した結論だったが、直ぐにそれは破られ驚くこととなった。
 ギンガナムがブンッと音を立ててピンクの光刃を腰から引き抜く。そして一切の躊躇もなしにそれをミサイルに投げつけたのだ。
 結果、直撃前にミサイルが爆発し、呆気に取られて動きを止めたクルツはギンガナムと視線がかち合うこととなる。

「やべっ!!」

 息をつく間もなくギンガナムが反撃に転じた。左腕から無数の光軸が殺到する。一制射につき二筋の光軸。

「くそっ! 良い腕してやがる!!」

 三制射かわしたところで体勢を崩し、四制射目がラーズアングリフの右膝間接を砕く。そして五制射目、コックピットへの直撃を覚悟した。
 その直撃の刹那、異音と共に何かが視界に割り込む。眼前で七色に輝く障壁とピンクの光軸が火花を散らし、残響を残して消えていった。
 両の手を大きく広げて身を挺して庇うように立ちふさがる機体を見上げ、クルツは抑えきれない笑いを噛み殺す。

「ようやくおいでなさって下さったわけだ」

 見知った顔が一つ、モニターに映し出されている。赤毛に黒のメッシュの少女、アイビス=ダグラスだ。

「待たせてごめん。ここからは私も戦う」
「悪いな。こっちは弾切れ。ここらでギブアップだ。で、大丈夫か?」

 おちゃらけた態度で両手を挙げてお手上げをアピール。そこから一転して真面目な顔つきに変わったクルツが言う。
 それにアイビスはモニターに向かって右手を掲げて見せつつ答えを返してきた。

「大丈夫じゃないよ。怖いし……ほら、手だってまだ震えてる。でも、ブレンがあの蒼いブレンを助けたがってるんだ。それに――」
「それに?」
「あたしもここで逃げたらジョシュアに顔向けが出来ない。 
 あんたが言うように胸を張って生きていくことが出来なくなる」

 目を見、おっかなびっくりではあれど吹っ切れたようだな、と推察したクルツはクッと笑い、言葉を返す。
 少なくとも、ただのやけっぱちでぶつかって行こうという心構えではないらしい。

「ない胸して、言うねぇ! 上等だ!!」
「一言余計だ!!」
「ハハ……怒るなよ。褒めてるんだぜ、これでも。
 アイビス、モニターをこっちに回せ。俺がサポートをしてやる。思いっきり暴れてこい!」
「モニターを?」
「ああ! 敵機の行動予測と弾道計算、その他もろもろ全部任せろ」
「ナビゲーションの経験は?」
「ないっ!」
「えぇ〜、無茶だって!!」
377代理投下:2007/12/03(月) 22:19:25 ID:gfQL2jWa
 砕けた口調で返してきた言葉に、固さは取れたな、とにっと笑う。
 軽口というのは固くなって縮こまっている新米兵士に普段の自分を取り戻させてやるのに有効なのだ。それで随分と生存率が変わってくる。

「そいつは実際にやってみてから言う言葉だな。やってみもしねぇうちからする言葉じゃねぇ。少なくともないよりマシだろ? それに怪しければ無視してくれて構わねぇ」
「そりゃ……まぁ……」
「なら決まりだ! 俺とお前、二人で……いや、ラキも合わせて三人で奴に一泡吹かせてやろうぜっ!!」
「わかった。やるよ、ブレン!!」

 威勢良く啖呵を切ったクルツに、一度目を丸くしたアイビスが目つきを変え、顔つきを変え、答える。
 その姿を見たクルツは、いじけにいじけて一周したら良い顔になったじゃないか、と一人ごちた。

 ◆

 突然の爆発にラキの挙動は遅れ、一時的にギンガナムを見失っていた。
 爆発の余波か電磁波が入り乱れてレーダーの効きがとんでもなく悪い。視界も立ち込めた薄煙でフィルターをかけられていた。
 そして、二度目の爆発が起こる。
 耳を劈く轟音と眩い閃光。遅れてやってきた空気の壁が薄煙を吹き飛ばす。
 咄嗟に目を向けたその先に、左腕から投げナイフを投げるように光軸を飛ばすギンガナムの姿があった。
 視線誘導に引っかかったように、光軸が殺到する先に自然と目が向く。

「あれは……ブレンパワード? ……っ!!」

 クルツのラーズアングリフと白桃色のブレンパワードをラキが視界に納めるのと、ギンガナムが大地を踏み鳴らし進撃を開始したのはほぼ同時だった。
 咄嗟に視線を戻す。またしても出遅れた。
 猛然と突撃を試みるギンガナムに対し、初動の遅れたラキは間に割ってはいることが出来ない。間に合わない。
 が、それはあくまでラキに関してだけのことであった。
 ラキよりも素早く反応を起こしたネリー・ブレンが跳ぶ。バイタルグローブの流れは一切合財の距離をふいにして、ネリー・ブレンをギンガナムの真正面へと誘う。
 ジャッという鋭い反響音。
 咄嗟に掲げられたアームプロテクターと唐竹割りに振り下ろされた刀剣の間で、火花が奔る。

「ブレン、弾け! 押し合うな!!」

 緊と乾いた音を残して、ブレンが飛び退いた。
 格闘戦の為に造られたシャイニングガンダムとブレンパワードでは、人で言うところの腕力・筋力がまるで違っている。
 だからこそ押し合わずに弾く。単純な力比べでは敵うはずもない。
 ならどうすればいい? こんなときにジョシュアならどう戦う?
 思案を巡らせる。巡らせるうちに再び身の内で疼き始めたモノを感じ取り、思わず手に力を込めた。両の手はネリー・ブレンの内壁にバンザイに近い形で添えている。
 そこはほんのりと暖かい。その感触を肌から感じ取り、ラキはホッと息をつく。
 大丈夫。感覚は戻っている。
 目も見える。耳も聞こえる。鼻も利くし、ブレンを感じることも出来る。大丈夫。まだ大丈夫だ。
 そう何度も自分に思い聞かせた。そしてそこに意識を割かれ過ぎた。
 風切り音を残して銃弾が飛来する。それはシャイニングガンダムの頭部に誂られたバルカンの弾。
 意識を自分の内側に向けていたのに加えて、光を発するビームとは違い闇に紛れる実弾。視認のしにくさの分だけ反応が遅れた。
 回避は間に合わない。だが、この程度の弾ならチャクラシールドで弾ける。
 そう思い、チャクラシールドを張る瞬間、スッと右方向に回り込むうっすらと白くぼやけた帯が目を掠めた。
 しまったっ!
 チャクラシールドが展開する。七色に揺れ、輝くチャクラの波に視界が遮られる。透明度の高いチャクラ光ではあるが、その輝度は高い。そして、今は夜。目標を見失う。
 バルカンを弾き終わり視界が開けたとき、それは頭上に回りこんでいた。

 右方向に注意を払っていたラキは完全に意表を衝かれた形となる。上方から勢い良く突っ込んできたギンガナムに対して、ブレンバーで受けるのが精一杯の反応だった。
 だが、真正面から受け止めすぎた。上方からの押しつぶすような巨大な圧力。受け流せない。弾き、飛び退くにしても大地が邪魔になる。

「ブレン、耐えてくれ」

 耐える。それが唯一残された選択肢。
 足場の舗装道路が砕け、アスファルトの破片が舞い上がる。嫌な音を立ててブレンバーの刀身に皹が走る。
 そして、次の瞬間――圧力は消え去った。一条の閃光が眼前を掠め飛び、その対応に追われたギンガナムの機体の姿が遠くなる。
 クルツか。そう思った耳に飛び込んできたのは、まったく聞き覚えのない声だった。
378代理投下:2007/12/03(月) 22:19:57 ID:gfQL2jWa
「ラキ、これからあんたを援護する」
「お前……は?」

 思わずキョトンと呆けたような呆気に取られたような顔になって、ラキは呟いた。突然、モニターの隅に赤毛の少女の顔が映し出されたのだ。

「アイビス=ダグラス。ラキ……あんたを探してた」
「アイ……ビス?」
「うん。あんたに伝えなきゃならないことがある。ジョシュアは……」
「知っている。ジョシュアはお前を守って死んでいった……」

 アイビスの言を遮って、ジョシュアの死を口にする。その言葉にモニター越しの顔は俯いて押し黙った。
 アイビス=ダグラス、そう名乗る少女の顔を見、ラキは話しかける。

「アイビス、私もお前を探していた。今会えてよかった。そう思える」
「えっ!?」

 その声にパッと伏せていたアイビスの顔が上がった。戸惑い表情がそこには浮かんでいる。
 微笑みを返す。意図した笑みではなかった。自然と口元が綻んだのだ。
 『今』会えてよかった。本当にそう思える。
 今ならまだいつもの私のままでいられる。でも二時間後三時間後は分からない。
 次の放送を迎えたとき、いつもの自分でいられるという保証はどこにもなかった。
 瞼を閉じ、ブレンの内壁に触れる両の手に神経を集中させる。
 ほんのりと暖かい。気持ちを落ち着かせ、心を穏やかにさせる暖かさだ。
 大丈夫。今の私はいつもの私だ。

「ラキ」

 呼ばれて、もう一度アイビスに視線を戻した。そこには戸惑いの色はもうない。
 あるのは一つの決意だけ、それが言葉となって飛んで来る。

「ジョシュアの弔い合戦だ。あいつを、ギンガナムを倒すよ!」

 あいつにジョシュアは殺されたのか、と思った次の瞬間、ジョシュアはそれを望むのだろうか、とふと疑問が頭をもたげた。
 あの時、ジョシュアはギンガナムの名を出すことはしなかったのだ。

「二人で楽しくやってるところ悪いがな。そろそろ奴さん仕掛けてきそうだぜ」

 どちらにしても戦わないわけにはいかないだろう。二体のブレンはともかく、クルツのラーズアングリフは損傷が大きそうだ。逃げ切れるとはとても思えない。
 思いなおし、ラキはギンガナムを睨みつける。
 それにジョシュアがどう思おうと、仇は仇なのだ。ジョシュアを殺した者が生きている。それはやはり納得がいかない。許せないのだ。逃げるという選択肢は今はない。

「ああ、ジョシュアの仇討ちだ!!」

 ◆

 素早く、それでいて非常に巧緻に長けた剣閃が迫って来る。受け止め、受け流す。数合切り結ぶ。そして引き際に小さく、それでいて鋭く剣を振るった。空を斬る感触に臍を噛む。
 再び距離を開けての対峙。長く細い息を吐く。
 手ごわい。少なくとも刃物の扱いに関してはギンガナムを上回り、自身と拮抗していると言っていい。さらに、その妙を得た動きには目を見張るものもある。
 黒い機体の後方のただ一点だけを睨みつけ、剣を構える。ギンガナムと他の二機が戦闘を繰り広げている場所だった。そこだけを見ている。目的は一つだった。
 この黒い機体を避わし、その場へ急行する。
 然る後、ギンガナムにこの機体の相手をさせ、他の二人を説き伏せる。それが最善手。
 下手にここで戦闘を繰り広げても意味はない。まして、ラプラスコンピューターが破損するようなことがあれば、それは致命的だ。それだけは避けねばならない。
 その上で、ギンガナムとあの二人の溝が修復不能になる前に舞い戻らなければならない。それが課せられた課題だった。

「難儀な話だな……」
「あん? 何がだ?」
「いや、なんでもない」
379代理投下:2007/12/03(月) 22:20:28 ID:gfQL2jWa
 黒い機体の膂力はギンガナムの機体とほぼ互角。速力と大きさもだ。外見的にも似通っている。恐らくはこれもガンダムと呼称される機体なのだろう。
 力では相手、素早さでは自分ということになる。
 全く肝心なときにいない男だ。このような相手こそギンガナムにうってつけであり、黒歴史とやらの知識も役立つというものだというのに。それを生かすには目の前の男を突破する他ない。
 隙は見えない。それでも突破せねばならない。それも速やかに、被害なくだ。心気を澄ませる。掌に刃の重さを感じ、そして、ブンドルは一陣の風となって駆けた。

「悪いが押し通らせて頂く」
「させねぇよ」

 ◆

 廃れ、荒れ果てた廃墟で閃光が瞬き、光軸が飛び交う。音響がさらなく音響を導き、廃墟に似つかわしくない喧騒が辺りを支配している。
 白桃と浅葱、二色のブレンパワードが織り成す連携を受け、ギンガナムは劣勢を強いられていた。
 蒼い機体が視界から消える。ゾクリとしたモノを感じて、振り向き際に左拳を振るった。
 頑強な金属音が響き、真っ向から接触する拳を剣。
 蒼いほうが動きを変えていた。
 それまでの自機の非力さを悟り、単純な押し合いには決して持ち込ませまいとする態度から、真っ向から力勝負を挑むような我武者羅さに変わっている。
 二機の足が止まる。押し合い圧し合いの純粋な力勝負。ならばギンガナムに負ける道理はない。
 押し切れる。そう思ったその瞬間、白桃色の機体に割って入られ、あえなく距離を取る。

「ちっ!」

 蒼い機体がギンガナムを一点に押し留め、足が止まるその隙を白桃色の機体が衝いて来る。
 それが相対する二機の基本戦術だった。
 まったくもってうっとおしい。決め手の放てぬ戦いというのはストレスが溜まるものだ。
 だが、ギンガナムは笑っていた。
 こういう戦い方もあるのか、という好奇の心が疼いていた。これは一対一では知りえぬ戦い方なのだ。
 愉快だった。こみ上げてくる感情を抑えることが出来ない。今、確実に生きていると実感できる。そのことが堪えようもなく愉快だった。
 ギム=ギンガナムは、月の民ムーンレイスの武を司り、勇武を重んじるギンガナム家の跡を継ぐべき存在として生れ落ちてきた。
 それを当然のように受け入れ幼少の頃から鍛錬に勤めてきたギムの誇りは、しかし158年前の環境調査旅行を境に裏切られることとなる。
 月に帰還したディアナ=ソレルに軍を前面に押し立てた帰還作戦を主張したギムの父の言がディアナの一言の元に退けられたのだ。
 同時に『問題の解決に武力を使うことしか思いつかない者は、過去、自らの手で大地を死滅させた旧人類の尻尾である』と言葉を被せられ、ギンガナム家は軍を没収された。
 以後、自害した父に代わりギンガナム家を統治することとなったギムであったが、そこには望んだものは微塵も残されておらず、虚しさだけが胸の内を占めていた。
 そして、120年前、30代の終わりに差しかかったとき、ギンガナムの鬱屈が限界に達することとなる。離散していた旧臣を集め、クーデターを企てたのだ。
 だが、事を起こした末路に待っていたのは無残な敗北だった。結果、形だけの裁判の末、永久凍結の刑に処され、120年の眠りに付くこととなる。
 つまり押し込められ、追いやられ、爆発するも報われず、死んだように過ごしてきたのが彼の半生であった。
 しかしだ。彼はここに来て生を実感していた。
 幼い頃に夢見た乱世がここにある。血湧き肉踊る戦いがここにはある。心憧れた、絵巻物の中の存在に過ぎなかった黒歴史の英霊達がここには存在する。
 そして、なによりも今自分は闘っている。闘っているのだ。これほど嬉しいことがあるか。
 生まれて初めて、生が実感できる。生きていると思える。幼少の頃に望んだ自分が今ここには存在しているのだ。
 だからこそギンガナムはこみ上げてくる歓喜の声を抑えることが出来なった。
 気持ちが高ぶる。すべてがよく見える。体に力が漲っているのが実感できた。
 そして、それに呼応するかのようにシャイニングガンダムの出力が上昇していく。
 想いを力に変えるシステム。まったく良く出来た相棒だ、と一人感心する。
 相手は二機。蒼が動きを押し留め白桃が隙を衝いて来るのならば、白桃から先に始末するだけのこと。そう思い定める。
 蒼が消える。それを合図にギンガナムは猛然と突撃を開始した。

「芸がないな。マニュアル通りにやっていますというのは、アホの言うことだ! このギム=ギンガナムにぃ、同じ手がそういつまでも通用するものかよぉっ!!」
380代理投下:2007/12/03(月) 22:20:59 ID:gfQL2jWa
 ◇

 突然、弾丸のように突撃を開始したギンガナムを見てアイビスは、考えたものだな、と一人ごちた。
 ラキのバイタルジャンプは、多少の揺らぎを持たせてはいるものの死角への移動を基本としている。そして攻撃は組合に持ち込むための剣戟が主体。
 つまり、消えた瞬間に視界が開けている方向に高速で突っ込めば、攻撃に晒される可能性はきわめて低いのだ。そこを衝かれ、なおかつこちらに狙いを定めてきた。
 ならばどうする? 決まっている。

(ブレン!)
(……)
(やるよっ!!)

 今度は自分がギンガナムの打撃を受け止め、力勝負に持ち込み、ラキに隙を衝かせる。役どころが入れ替わった。ただそれだけだ。
 歯を食いしばり、アイビスは受けの姿勢を取る。巨岩のような圧力を放つギンガナムを目の前に、大地をしっかりと捉え、構える。

「アイビス、受けるな! 避けろっ!!」

 クルツの声だったが、遅かった。一度止まった足を動かすには彼我距離が近すぎる。
 ならば、とソードエクステンションを両の手で掲げ、受ける。接触の瞬間、刀身を反らし、受け流す。受け流したはずだった。
 天と地が逆さまに、視界が反転する。
 巨大なダンプ、あるいは列車に撥ねられた人間のように錐揉み回転をしながらヒメ・ブレンが宙を舞う。
 ブレンが大地に打ち付けられ、アイビスもまたコックピットにその身を激しくぶつけられる。意識が明滅し、追撃を予想して身を固くした。
 が、次の瞬間襲ってきたのはギンガナムの追撃ではなく、クルツの怒声であった。

「馬鹿野郎! 真っ向から受け止めるなんて正気か?」

 クルツの顔面越しに投影されたモニターには、ギンガナムと交戦を続けるラキの姿があった。恐らくは追撃をかけられる前に割って入ってくれたのだろう。
 結局はまだ足を引っ張っている。その口惜しさが拳を固くした。

「うるさい。ラキは同じブレンパワードで止めてる。なら、私だって……」
「お前には無理だ。あれはお前には向いてねぇ、俺にもだ」

 アイビスの抗弁をクルツは軽く受け流す。
 そう。アイビスとラキでは受け方が違う。というよりラキの受け方が少々特殊だった。
 通常の受けは相手に押し負けぬように足場を、土台をしっかりと安定させて受け止める。
 対して、ラキはその場で受けようとせず前に出る。受けるというよりはぶつけに行っていると言ったほうが正しいのかもしれない。
 相手の一番力が乗るところでは決して受けず、前に出ることで打点をずらし、力を半減させ、自身の前に出る力をそこに上乗せさせる。言葉にすればそんなところだろう。
 だが、それでようやく五分。いや、それでも四分六でギンガナムの膂力のほうが強いのだ。真っ当な受け方では勝負にならない。
 だから今モニター向うのラキは、受けの後瞬時に弾き距離を置く戦い方に戻していた。一機でギンガナムに抗うには、そうする他はない。

(ブレン、悔しいね……あいつらには出来て、私らには出来ない)

 俯き、ブレンの内壁に添えた手にギュッと力を込める。
 悔しかった。他人には出来て、自分には出来ない。それは落ちこぼれと言われているようで悲しい。悔しい。そしてなによりも自分の不甲斐なさは腹立たしかった。
 そんな思いがその手には込められている。

「アイビス、ラキを羨ましがるんならお門違いだ。だが、そうじゃねぇ。そうじゃねぇだろ?
 ラキにはラキのブレンの扱い方がある。だったらお前にはお前なりのやり方ってもんがあるだろうが。違うか?」
「私なりの……やり方?」

 見透かしたように掛けられた声に驚く。考えたこともなかった。
 人を羨むのではない自分なりの乗り方。スレイにでも、ラキにでも、誰に対するでもない自分なりのやり方。こんな何でもないことなのに、考えたこともなかった。
 No.1に対するNo.4。負け犬という別称。流星という不名誉な字。それらに引け目負い目を感じてきたのは、知らず知らずのうちに誰かに対する自分を意識していた証なのかもしれない。

「クルツ」
「ん?」
「ありがと。ただのスケベ親父じゃなかったんだ」
「おいおい、親父はよしてくれ。俺はまだ二十代だぞ」
「そっちに反応するんだ」
381代理投下:2007/12/03(月) 22:21:40 ID:gfQL2jWa
 軽口を叩き、笑い、顔を上げる。目にキラリと光が灯る。また一つ憑物が取れた。そんな顔だった。

(……)
(ブレン?)
(……)
(うん。わかった。やってみよう!)

 いつからかブレンの声が聞こえるようにもなっている。普通に会話も出来る。そのことに未だ気づかぬまま、アイビスは声を張り上げた。

「いくよ、ブレン!!」

 視界の先には、ギンガナムに押しやられ、ついに体勢を崩したネリー・ブレンの姿がある。
 そこへ跳び、ネリー・ブレンの真横にジャンプアウトした。叫ぶ。

「ラキ、ブレン同士の手を合わせて!」
「手を?」
「早くっ!!」

 ギンガナムとの距離は既に幾許もない中、二機のブレンパワードが手をつなぎ、胸を張る。
 次の瞬間に顕現するのは二体のブレンパワードが張り巡らすチャクラの二重障壁――ではなく、ただ一重のチャクラシールド。
 しかし、二つのチャクラが混ざり合うそれは、強固で分厚い壁である。打ち付けられた拳とチャクラの間で火花が散り、拳を弾かれたギンガナムの姿勢が仰け反るような格好で崩れた。
 その瞬間、ヒメ・ブレンは飛び出し、真っ直ぐに距離を詰める。

「ギンガナム、あんたは私の行為を偽善だと言った。でもね、人の為の善と書いて偽善と読むんだ!! なら、私はジョシュアのためにあんたを討つ!!!」

 体勢が整う前に畳み掛けると決めていた。擦れ違い様にソードエクステンションによる横薙ぎの一閃。
 しかし、ギンガナムもさすがと言うべきか、体勢が不完全ながらも咄嗟にアームカバーを構える。
 固い金属音が鳴り、受けたギンガナムの体勢が完全に崩れ、仰向けにひっくり返った。この好機、逃す手はない。

「ラキ、合わせるよ! やり方はブレンが教えてくれる」
「ブレンが? ……ひっつく? くっつくのか?」

 二機で小規模なバイタルジャンプを繰り返し、翻弄し、体勢を立て直させる隙は与えない。ラキが次の瞬間何処に現れるのか、それはアイビスにもわからない。
 しかし、決め手を放つ瞬間、どこに現れ、どうすれば良いのか、それはブレンが全て教えてくれた。

「1・2・3」

 タイミングを計る。体勢の崩れたギンガナムの右後方。ドンピシャのタイミングで二機はそこに現れた。
 背中が合わさる。ブレンバーとソードエクステンションが、鏡合わせのように突きつけられる。その動きには寸分のズレさえも存在しない。

「チャクラ」
「エクステンション」
「「シュートオオオォォォォオオオオオオオオオオ!!!!」」

 二つの銃口に光が灯り、濃密で重厚なチャクラの波が放たれる。巨大な破壊の力を携えたそれが、堰が決壊し氾濫した濁流の如くギンガナムへと猛進していく。
 その光景の最中、突如として覇気に満ちた笑い声が大地を震撼させた。

「ふはははは……。これをおおぉぉぉ待っていたっ!!」


 そう。ギンガナムはこのときを待っていた。かつて相対した男が最後に放つはずだった一撃。
 それに酷似したこの一撃を真っ向から打ち破ることには二重の意味がある。すなわち、この戦いとあの男との戦い、二つの勝利。
382代理投下:2007/12/03(月) 22:22:18 ID:gfQL2jWa
「貴様らが七色光線ならばぁぁ、小生は黄金の指いいいぃぃぃぃいいいいいいいい!!!」

 押し包み、瞬く間に呑み込まれて消えるその刹那、ゆらりと起き上がったシャイニングガンダムは左腕を無防備に突き出した。その指間接が外れ、隙間から染み出した液体金属がマニピュレーターを覆い、発光。そして――

「喰らえっ!!! 必いいぃぃぃ殺っ!!! シャアアアァァァイニングフィンガアアアアアアァァァアアアアアアアアアアアア!!!!」

 その光り輝く左腕が荒れ狂うチャクラの波に真っ向からぶつかった。
 真っ直ぐに伸びたチャクラエクステンションが、ギンガナムがいる一点で遮られ四方に拡散する。拡散した幾筋ものチャクラのうねりは大地を抉り、暴れ、阻むもの全てを破壊する。
 だが、それで終わりではない。三者の激突は未だ続いている。チャクラエクステンションはシャイニングフィンガーただ一つで抑えきれるほど甘くはない。
 強大な圧力に押さえ込まれ、ギンガナムは前に出ることが出来ない。いや、むしろ押されている。
 重圧を一点で受け止める左腕は断続的に揺れ、ぶれ動き、機体を支える両脚は爪のような跡を残しながら徐々に後ろへと押し流され、爪跡はチャクラの濁流に呑まれて消え去る。
 このままでは押し切られ、呑み込まれるのは時間の問題なのだ。だがしかし、ギンガナムに諦めの色はない。あるのはただ狂気的とも言える喜色のみ。

「ぬううぅぅぅぅぅぅっ!! 見事っ! まさに乾坤一擲の一撃っ!! 実に見事な一撃よ!!!
 だがなあぁぁぁっ!!!! この魂の炎! 極限まで高めれば、倒せない者などおおぉぉぉぉっないッッッ!!!!!」

 押し流され続けるシャイニングガンダムの足が止まる。エンジンの出力が上がり続け、背面ブースターが限界を超えてなお唸りを上げる。

「シャイニングガンダムよ。黒歴史に記されしキング・オブ・ハートが愛機よ。お前に感情を力に変えるシステムが備わっているというのならああぁぁぁっ!
 小生のこの熱き血潮!! 一つ残らず力に変えてみせよおおおぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!!!!」

 そのギンガナムの雄叫びを合図に、それは始まった。
 機体の色に変化が生じる。白を基調としたトリコロールカラーから、色目鮮やかな黄金色へ。そして、機体を構成する全てのものが眩く発光を始め、闇夜を切り裂くチャクラ光の中に黄金が浮かび上がる。
 変化は外見のみに留まらない。充溢する気力を喰らい天井知らずに上がり続ける出力は計測器の針を振り切り、それを受けた推力は前進を可能にしていたのだ。

「ふはははは……このシャイニングガンダム凄いよ! 流石、ゴットガンダムのお兄さん!!」

 爆発的なスラスター光を背に感嘆の声を上げ、七色の輝きの中に飛び込んだギンガナムは激流に逆らい、遡上を始める。
 その様は鯉の滝登り等という生ぬるいものではない。天を衝くが如き勢いと圧力を持って遡上し、そして、金色の光がチャクラの波を衝き抜けた。

「なっ!」

 阻むものを失ったギンガナムの突進は、限界まで引き絞られた矢が飛び出すようなもの。
 弾ける勢いでヒメ・ブレンの頭部を掴んだギンガナムは一筋の閃光となり、建ち並ぶ廃墟の群を物ともせずに突き破る。そして、その終着でヒメ・ブレンを天高く掲げ――

「絶っ好調であるっ!!!!」

 爆発。轟音を残して頭部を粉砕されたヒメ・ブレンが崩れ落ちる。同時に背後で異音。俊敏に反応し、振り向き際に蹴り飛ばした。

 ◇

 蹴り飛ばされたネリー・ブレンが瓦礫の海に埋没する。息を弾ませ、衝撃から来る苦痛にラキは顔を歪ませた。
 虚を衝いたはずの視覚外からの攻撃にも対応してみせる油断のなさ。加えて、奴の言をそのまま信じるのならば、あの闘争心がそのまま反映されるシステム。
 つくづく厄介だというのが、率直な感想だった。
 そう考えて、ふと自分らも似たようなものか、という思いを抱いた。アンチボディーはオーガニックエナジーを糧に動く。そこには人の放つものも含まれているのだ。
 ならば、自分やアイビスの感情もまたブレンに力を与えているのだろう。そう思った。

(ブレン、すまない。大丈夫か?)
(……)
(よし)

 心を落ち着け、ブレンに声をかけると立ち上がらせる。その姿を前にギンガナムから通信が飛んできた。
383代理投下:2007/12/03(月) 22:22:50 ID:gfQL2jWa
「ほう。まだ戦う意志を失わぬか……見上げた根性と誉めてやろう。どうだ? ギンガナム隊に入らぬか?」
「悪いがお断りだな」
「ならば死に物狂いで戦うことだな。それにここで小生を倒せばジョシュアとやらの魂も救われるかも知れぬしなぁっ!!」
「ジョシュアはそれを望まない。人には戦いなど必要ないんだ」

 本心だった。ジョシュアの弔いの為と思い定めて戦いはしても、どこか違うという思いは常について回っている。
 不意にギンガナムが動く。はやい。咄嗟に拳をブレンバーで受け止める。

「それは違うな。人は己の内に闘争本能を飼っている。
 それを解き放つために戦いは必要なのだ! その為にこのような場が用意されている!!」
「本能の赴くままに戦い続ける姿のどこに人間らしさがある!」

 言葉を返し、弾き、距離を取る。意外なほどブレンの掌に伝わる重みは軽かった。遊ばれている。咄嗟にそんな思いが頭を突く。
 揺れ動き、翻弄させるような動きを取りながら、ギンガナムが言葉を吐く。その口調には言葉遊びを愉しむような余裕が込められていた。

「ならば聞く! 水槽の中で飼われている魚のような生のどこに人間らしさがある!!」
「どういう意味だ」
「外敵もなく、餌も十分に与えられ、安全で平和な住みやすい環境。それを世界の全てだと思い込んでいる。まるで飼われた魚の様ではないか。
 だがなぁ、人間はそのような環境に息苦しさを覚える。だからこそ、ディアナは地上へ帰ることを望んだ。
 だからこそ、このギム=ギンガナムは戦い、戦乱をもたらすのだ。人として生きる為になぁっ!!」

 突如動きが変わり、強烈な一撃がラキを襲う。それをブレンバーで受け流し、攻撃に転じながらラキは反論を返す。
 ギンガナムの言を受け入れることはジョシュアの、人として生きようとした自分の生き様を否定することだ。それは、死んでも受け入れることはできない。

「それは違う。確かに人は生きるために戦うことがある。憎しみにまみれて道を見失う者もいる。
 だけど、それだけが人じゃない。それを私はジョシュアから、人から学んだ」
「だが、貴様は戦っているぞ!!」

 受けたギンガナムが言う。シャイニングガンダムとネリー・ブレンの双眸が、ギンガナムとラキの眼光がぶつかり火花が散った。
 巨大な重圧を伴ってギンガナムは圧し掛かってくる。そのギンガナムの言葉には迷いがない。だからこそ強く、なによりも危険なのだ。気を抜くと押し切られそうになる。

「そうだ。私は戦っている。私はメリオルエッセ……負の感情を集めるだけの働き蜂。所詮、人にはなれない。だから――」

 唇を噛み締めて言う。懇親の力で押し返し、再び距離を取ったところで泣き出しそうになり、思わず言葉を区切った。
 人にはなれない。それはある意味では分かっていたことだ。いくら憧れ、恋焦がれようとも、蛾に生まれついたものが蝶になることは適わない。
 同じだ。私もメリオルエッセに生まれついたからには、人になることなど適わないのだ。
 分かっていた。分かっていたが、どこかでそれを受け入れてない自分がいたことは、確かだった。
 それなのに、今自分の言葉で肯定し、受け入れてしまった。それがどうしようもなく悲しい。
 でも、それよりも受け入れ難いことが存在する。だからこそ泣き出したい思いで受け入れた。
 人は私とは違う。私の周りにいた人は、負の感情を集めるためだけに作られた私に、それだけが人ではないと教えてくれた。
 そんな人間が、憧れ恋焦がれた人間が、戦いを自ら望むような者であって良いはずがない。
 私の傍にいた人が与えてくれたぬくもりは、そんな人からは決して得られないものだ。そう信じたい。

「だからこそ、貴様は私の手で止めてみせる!!」
「それは結構。だが、できるのか? このギム=ギンガナムをぉ!!」
「できるさ」
384代理投下:2007/12/03(月) 22:23:44 ID:ga6mUOD4
 切り結び、跳び、かわし、攻め、守る。目まぐるしく入れ替わる攻防ではあったが、バイタルジャンプを多用してようやくギンガナムの動きについて行けるという状態だった。
 初手を合わせたときから比べ、ギンガナムの気力は満ち溢れている。それに伴ってシャイニングガンダムの基礎能力が桁外れに上がっていた。
 比べて、ラキの操るネリー・ブレンは少しずつ消耗し痛み始めている。ラキ自身も似たようなものだ。
 それでも方法はあった。死ぬ気になればやることができるただ一つの方法が。

(……)
(ブレン、落ち着け。仇は私が討たせてやる。それと私に遠慮はするな)
(……)
(恍けるな。お前が私を気遣ってくれているのは分かっている。でも、それじゃ駄目なんだ……)

 分かっていたことだ。ネリー・ブレンが自分を気遣い、自分の周辺に集まり渦巻いている負の感情のオーガニックエナジーを主として動いていたことは。
 それはラキの負担を減らすためだろう。それに造られた生命であるラキのオーガニックエナジーは、自然の生命に比べると驚くほど希薄で弱いのだ。だがそれでも――

(……)
(いいさ。ここで全て吸い尽くしていけ)
(……)
(すまないな。ありがとう)

 ブレンの説得を終え、しかし、息をつく暇もない。攻防は続いているのだ。
 視界の端でギンガナムを捉えつつ、隙を見て通信をヒメ・ブレンへと試みる。
 頭部を失ったヒメ・ブレン相手に通信が繋がるか不安はあったが、程なくそれが要らぬ心配だったということが証明される。通信は繋がった。

「アイビス……無事か?」
「うん。私は大丈夫。でもブレンが……ブレンが私のせいで……」

 ギンガナムの攻撃を受けるその一方で盗み見たアイビスの表情は暗く沈んでいる。
 アンチボディーは半分機械半分生物という特殊な機体だ。頭部を失うということは死を意味している。
 それを自分のせいだと思い込み、責任と重荷を背負い込んでいるといった感じだった。その姿に一瞬頬を緩ませる。
 やはり人間は優しく暖かいのだ。ブレンはきっとそんな人の優しさに魅かれたからこそ、人を必要とする体に生まれたのだろう。そう思った。
 その一方で、無理だろうなとは思いつつ慰めの言葉をかける。

「気にするな。お前は精一杯やった。だれもお前を責めやしない。お前のブレンもきっとお前を恨んでやしない。
 そして、これから起こる事もお前のせいではない。だから、気に病まないでくれ……そうなると、私は悲しい」
「えっ?」

 伏せていた顔が上がるのを目の端が捉えた。バルカンを二発三発とかわしつつラキは言う。

「……私のブレンを頼む。こうみえても寂しがりやなんだ。きっとお前の力になってくれる」
「ラキ、あんた……」
「ジョシュアが最後に守った者を私も守れる。それだけで十分だ」
「違う。違うよ……ラキ」

 顔を左右にふるふると振るわせるアイビスを無視して、言葉を続ける。
 自分の声が湿り気を帯びていくのに辟易しながらも、どうすることも出来ない。

「アイビス、会えてよかった」
「ラキ、ジョシュアが本当に守りたかったのは私じゃない! あんたなんだ!!
 だから、だから一緒に生き延びよう……二人で生き延びる道もきっと見つかるからっ!!!」

 耳に飛び込んできた声にハッと目を見開き、俯いた。出来ることならそうしたかった。でも目の前の現状はそれを許すほど甘くはない。
 だから、ラキは一度だけギンガナムから視線を外し、アイビスを見て声を掛ける。勤めて明るく、精一杯の笑顔で。

「本当はもっと落ち着いて話がしたかった。でも時間がない。アイビス、お別れだ」
「ラキ!!」
「盛り上がってるとこ悪いがな。お前らは死なねぇよ」
「「クルツ!!」」
385代理投下:2007/12/03(月) 22:24:56 ID:ga6mUOD4
 突然割って入った声にラキとアイビス――二人から驚きの声が上がった。そんな二人に構うことなくクルツは飄々と言葉を繋げる。

「ラキ、お前がろくでもないことを考えてるのは分かってる。でも悪いな。こいつは俺が貰う。お前はアイビスと行け」
「何、無茶なことを言っている。その半壊した機体でこいつを押さえられるはずがないだろう」
「無理だよ、クルツ。あんた一人ならまだ逃げられる。機体が動くのなら逃げて」
「うるせぇっ!!! うるせぇよ……行きたいんだろ? 本当はそいつと行きたいんだろうが!!!」
「それは……」

 言い澱み、覚悟が揺らぐ。
 諦めたはずの先を突きつけられ、そこにいる自分を連想してしまい生きたいという衝動が膨らむ。思わずクルツの言葉に縋りつきたくなり、浅ましいと自分で一喝する。
 そんな心の機微を見通してか、クルツは言葉を畳み掛けてきた。

「行けよ。とっとと行っちまぇ! いいか? 勘違いするんじゃねぇぞ。俺はお前の代わりにこいつの相手するんじゃねぇ。誰かの代わりなんて真っ平ごめんだ。
 俺は俺が好きでこいつの相手をするんだ。こいつは俺の我侭なんだよ。あいつと一緒に行くのはお前の我侭だ。だったら、我を張れよ。押し通せ。
 会ったときからお前は我侭尽くしだったんだ。いまさら変に遠慮なんてしてんじゃねぇっ!!」
「しかし、お前は……」
「俺は俺の我を通してここに残る。お前はお前の我を通してあいつと行く。それで全部まとめてオールO.K。円満解決。大団円だ。違うか? 違わねぇだろ。
 分かったか? 分かったら、さっさと行っちまえよ。お前らがいると邪魔なんだよ。気になっちまって、切り札が切れねぇ」
「ならばそのカード、小生が切りやすくしてやろおっ!!」
「ッ!!」

 クルツに気を取られすぎていた。気がつけばギンガナムが間近に迫っていたのだ。
 近いっ! 近過ぎる。回避も何も、全てが間に合わない。直撃? 当たるのか? くらうのか? くらえば――
 豪腕を目前にぞっと全身が怖気立ち、肝が冷えた。思わず目を閉じ、首を竦める。身を固く小さくして来るべき衝撃に備える。
 しかし、その瞬間はついぞ訪れなかった。変わりに怒声が飛んで来る。

「何やってんだ! 早く行け!! ちんたらしてんじゃねぇ! 今すぐ走れ!!」

 恐る恐る開けた視界に、いつの間に忍び寄ってきたのかギンガナムに背後から組み付くラーズアングリフの姿が映しだされる。

「ク……ルツ?」
「さぁ行け! 行くんだ! 行って、俺の代わりに二人であの化け物に一発かましてこい……頼んだぞ」

 目が合い、気圧された。その目には一本の筋が通った、ぴんと背筋の伸びた胸に迫る何かがある。
 それに抗おうと胎に力を込めたが、一度揺れた覚悟はそれを押し返すまでの強さを持ってはいなかった。
 乾いた口が動く。何度か唾を飲み込み、何度も言葉を喉元で押し殺したその口は、しかし最後には辛うじて聞き取れる程度の声で喉を震わせた。

「……すまない。頼む」
「いいってことよ。任せろ」

 陽気な、いつもと変わらぬ声が耳朶を打つ。悲壮さなど微塵も感じさせない、ちょっとした用事を引き受けるような、そんな声だった。
 クルツとギンガナムに背を向け、ネリー・ブレンが跳ぶ。
 決めた以上、戸惑ってはならない。速やかに動かなければクルツの覚悟に水をさすことになる。それが、似たような覚悟をほんの少し前まで決めていたラキには、痛いほど分かっていた。
 ジャンプアウト。物言わぬヒメ・ブレンを抱え上げる。アイビスが文句を言ってきた。その気持ちも、やはり痛いほどに分かる。
 だがそれに耳を貸すわけにはいかない。例え恨まれようと構わない、とラキはその場からの離脱を開始する。
 普通に長距離のバイタルジャンプを行う余力は、もう残されていなかった。

 ◆

 赤い戦車のような人型機動兵器が投げ飛ばされ、瓦礫の海に埋没した
 ラキとアイビスが離脱を開始して数分。ずぶずぶと上下逆さに埋没していく機体の中、クルツは一人ぼやく。

「やれやれ、こんなつもりじゃなかったんだけどな。こういうのを親心って言うのかね」

 本当に初めて会ったときから世話のかかる奴だった。意見は食い違うわ、一度決めたら梃子でも動かねぇわ、自分勝手に動き回るわで、本当に面倒ばかり掛けやがる。
 でも気持ちのいい奴らだった。
 にしてもついてねぇな。こんなとこに呼び出されてまでして、俺、何やってるんだろうな……。

「……まぁいいさ。悪かぁねぇ」
386代理投下:2007/12/03(月) 22:25:33 ID:ga6mUOD4
 がばっと起き上がり、コンクリートの破片を跳ね除けながら呟いた。
 ああ、そうさ。悪かぁねぇ。女を守って死ぬ。男として最高の死に様じゃあねぇか。あんたもそんな気分だったんだろ? ジュシュア=ラドクリフ。
 ふぅ〜っと長い息を吐く。横目でちろりとこれから命を賭ける相手を見やり、リニアミサイルランチャーを突きつける。

「悪いな、大将。俺の我侭に付き合ってもらってよ」
「貴様がその半壊した機体で何をするのか興味があってな。だが、空の銃では小生は倒せぬ。そこのところは分かっているのか?」

 クルツが最も懸念していたこと、それは無視をされ二人の後を追われることだったが、どうやらその心配はなさそうだった。人知れず胸を撫で下ろす。
 敵さんは、こちらの手札に興味津々なご様子。ならどうすればいい? 簡単だ。挑発して好奇心を呷ってやればいい。そうすればもう少し時間を稼ぐことが出来る。

「知ってるか? プロってのは、弾を撃ち尽くしても最後の一発ってのは取っておくもんだ。本当にどうしようもなくなっちまったときに自分の頭を撃ち抜く為にな」
「下らんな。己の頭を自ら撃ち抜くぐらいなら、その一発で相手を倒すことを考えるべきだ。
 最後まで相手の喉下に喰らいついて初めて一人前の兵士と言える。貴様もそうだろう……違うか?」
「そういう考え方もありっちゃありなんだが……。勿体つけといて悪りぃんだけど、実は弾なんか残っちゃいねぇんだな、これが」

 リニアミサイルランチャーを手放す。瓦礫で跳ねたそれが乾いた音を立てた。
 からかわれたとでも感じたのかモニター越しの表情が怒り、睨みつけてくる。想像以上に単純な奴だ、とほくそえんだ。話術では負ける気がしない。

「短気は損気。そう怒りなさんなって……。代わりにギンガナム、あんたには別のもんをぶつけてやるよ」
「ふんっ! 貴様のごとき雑兵の命一つで小生を止められると本当に思っておるのか?」

 完全に臍を曲げたらしい男を前に急にクルツの目つきが変わった。

「馬鹿言っちゃいけねぇな。あんたに生き残られちゃ、せっかくのお涙頂戴シーンが台無しだ。
 それになぁ、お前さん自分のこと買いかぶり過ぎだ。こちとら戦争屋。弾なんざなかろうが、手前を倒す手段なんざいくらでも思いつくんだよ。塵一つ残さねぇから覚悟しろい」
「吠えたな」
「吠えたさ」

 売り言葉に買い言葉。睨み合い。互いの鼻が白み。直ぐに二つの哄笑が廃墟に木霊し始める。カラッとした笑い声が大地を包む。

「面白い! ならばきっちり殺してみせろよ!!」
「上等だ! そろそろ行くぜ!!」

 時間は十分とは言えないが稼いだ。もう巻き込む心配も多分ない。あとは俺が上手くやれば万事オッケー、全ては上手く収まる。
 シザースナイフを抜き放ち、握り締める。接近戦の不利は百も承知。だがそれでもラーズアングリフに残された武器はそれしかない。

「来いっ!!!」

 腰を低く落とし、ギンガナムの声を合図に猛然と突進を開始する。敢行したのは命がけの接近戦。
 だが、それは余りにも行為だった。ただでさえ鈍重なラーズアングリフだ。脚部を損傷した現在、ギンガナムと比べるまでもなく動きは鈍重を極めている。
 動きは鈍く、勢いも無ければ、切れも伸びも無い。ギンガナムから見れば凡庸も凡庸。ただ愚鈍なだけの特攻としか映らなかった。
 ゆえにギンガナムは激昂した。軽んじられた。甘く見られた。そういう思いが有り、自尊心についた傷が感情を刺激したのだ。

「どんな隠し玉があるのかと思えば、ただの特攻とは……実に下らんっ!!」

 ギンガナムが動く。ラーズアングリフの鈍重さに比べ、その動きはまさに疾風。

「小生を愚弄した罰だっ!! DNAの一片までも破壊しつくしいいぃぃぃいいいい、鉄屑にしてやるっ!!!」

 間合いが瞬時に潰れる。ギンガナムが放った手刀は、頑強な装甲の継ぎ目を狙う一突き。
 右胸を貫かれるその寸前、クルツはシザースナイフを投げ捨てた。右腕で逃さぬようシャイニングガンダムを抱きしめる。

「野郎に抱きつくなんざ趣味じゃねぇが……この時を待っていたんだよ!」
「何だこれは! この馬鹿げた熱量は!! 貴様ぁ、一体何をした!!!」
387代理投下:2007/12/03(月) 22:26:03 ID:ga6mUOD4
 キーボードに指を滑らせ、一つの文字列を叩き込んだ。それは祈祷書の『埋葬の儀式』の一節を捩ったシャドウミラーの自爆コード。
 その真髄は機密保持の為、後には何も残さない絶対の破壊。文字通り全てを無に帰す力。
 即ちコード名――

                ――Ash To Ash――

「別に大したことなんざしてねぇよ。ただ土に還るだけさ。俺もお前もなっ!!」

 勝利を確信し、誇らしげに笑ったクルツを光の海が包み込んだ。

 ◆

 火花が散る。数合剣戟を交え、剣刃が乱れ飛ぶ。灼熱する斧を弾き飛ばし、横に薙ぎ払う。押した。押して押し捲った。
 隙はない。防御も厚い。しかし、破れる。突き破り、この男を避わすことが出来る。それが見えた。が、同時に側面を衝かれ、手痛い被害を被る自身の姿も見えていた。
 一瞬躊躇。それで機を失った。攻めあぐね、跳び下がり距離を取る。五度目だった。突き破れる手ごたえを感じながらも、全て跳ね返された。
 目の前の男は待っている。それは確実だった。薄ら笑いを浮かべながら強引に突破を図る瞬間を待ちわびているのだ。それに乗る事は出来ない。
 ブンドルは唇を噛んだ。すでに相当の時間が経過している。死者が出ていても不思議ではない時間だ。それだけの時間を費やして突破も出来ない。それがプライドに傷をつけた。
 互いの損傷は皆無。僅かに斧を弾き飛ばした点だけ、相手に被害を与えた。ただそれだけだ。
 無傷では切り抜けられない。崩せない。手負う覚悟があって初めて傷を負わせられる。この男を突き崩せる。そう思った。
 だがそれは許されないのだ。ラプラスコンピューターに損害を与えることは避けねばならない。やはり無傷で切り抜けるしかないのだ。それには切っ掛けがいる。あの男の注意を逸らすだけの切っ掛けが。

 ◇

「つまらねぇな……」

 小さく呟いた。この敵はつまらない。技術技量は驚くほど高い。動きも目を見張るほどで無駄がなく隙もない。攻めは苛烈。守りは堅固。しかし、つまらない。
 恐さがないのだ。堅実で、大きく賭けに出てくるような動きを取ろうとしない。機会は何度もあったはずだ。賭けに出れば突破できる程度には、何度も崩された。
 しかし、それに乗ってこない。そういう敵は手強くても恐ろしくはないものだ。つまりは、つまらない相手ということになる。
 面白味という点では、アキトやテニアとか言う嬢ちゃんの方が遥かに勝っている。興味も半ば失せて来ていた。
 その時だ。彼方に巨大な光輪の華が咲いた。咄嗟に背後を振り返る。その動作はモビルトレースシステムを伝わり、正確に機体に反映された。同時にゾッとした悪寒が体を包み込む。

「チィッ!!」

 正面に向き直った。既に白銀の機体は驚くほど近い。無駄のない剣閃が襲ってくる。辛うじて防いだ。
 そのまま二合三合と切り結ぶ。しかし、押されている。このままでは押し切られる。
 思わず笑みが漏れた。

「ククク……やりゃぁ出来るじゃねぇか。なぁ!! おいッ!!!」

 守りを捨て踏み込む。自らの身が傷つくことも厭わない。頭を断ち割るビームナイフの一撃。しかし、それは空を斬ることとなる。
 眼前で白銀の機体の姿が変わる。人型から鳥のような姿へ。交錯。瞬く間に脇をすり抜けて背後へ。踏み込んだ分動きの遅れたガウルンはその変化について行くことは叶わない。
 振り返ったときにはその姿は既に小さくなっていた。とてもじゃないが追いつけない。

「やれやれ……やられたねぇ」

 突如巻き起こった巨大な爆発。
 おそらくは何らかの決着が着いたのだろう。だとすれば思ったほどの混戦にはならなかったということだ。それにあの爆発では生き残りがいるのかどうかも怪しい。いてもくたばり損ないだろう。
 となれば、いまいち面白みに欠ける戦場だ。興味が急速に失われていくのを感じていた。

「くたびれ損の骨折れ儲けってやつかねぇ、こりゃ」

 地に落ちたヒートアックスを拾い上げたガウルンは、思わずそうぼやかずにはいられなかった。
388代理投下:2007/12/03(月) 22:26:35 ID:ga6mUOD4
【レオナルド・メディチ・ブンドル 搭乗機体:サイバスター(魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL)
 パイロット状態:良好、主催者に対する怒り、焦り
 機体状態:サイバスター状態、各部に損傷、左拳損壊
 現在位置:D-3
 第一行動方針:ギンガナムとの合流
 第二行動方針:協力者を捜索
 第三行動方針:三四人の小集団を形成させる
 第四行動方針:基地の確保のち首輪の解除
 最終行動方針:自らの美学に従い主催者を討つ
 備考:ハイ・ファミリア、精霊憑依使用不可能】

【ガウルン 搭乗機体:マスターガンダム(機動武闘伝Gガンダム)
 パイロット状況:疲労小、DG細胞感染、気力120
 機体状況:全身に弾痕多数、頭部・左肩・胸部装甲破損、マント消失、ダメージ蓄積
        DG細胞感染、損傷自動修復中、ビームナイフとヒートアックスを装備
 現在位置:D-3
 第一行動方針:近くにいる参加者を殺す
 第二行動方針:アキト、テニアを殺す
 第三行動方針:皆殺し
 第四行動方針:できればクルツの首を取りたい
 最終行動方針:元の世界に戻って腑抜けたカシムを元に戻す
 備考:九龍の頭に埋め込まれたチタン板、右足義足、癌細胞はDG細胞に同化されました 】

【グラキエース 搭乗機体:ネリー・ブレン(ブレンパワード)
 パイロット状況:精神不安定。放送の時刻が怖い
 機体状況:無数の微細な傷、装甲を損耗、EN残量1/2、ブレンバーにヒビ
 ENの減少により長距離バイタルジャンプの使用不可
 現在位置:D-3
 第一行動方針:アイビスと共に離脱
 第二行動方針:クルツの代わりにノイ=レジセイアを一発ぶん殴る
 最終行動方針:???
 備考1:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分(全体量の約半分以上)な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません
 備考2:負の感情の吸収は続いていますが放送直後以外なら直に自分に向けられない限り支障はありません】

【アイビス・ダグラス 搭乗機体:ヒメ・ブレン(ブレンパワード)
 パイロット状況:気力回復、手の甲に引掻き傷(たいしたことはない)
 機体状況:頭部損失(実質大破)ソードエクステンション装備。
 現在位置:D-3
 第一行動方針:ラキを問い詰める
 第二行動方針:寝るのが少しだけ怖い
 最終行動方針:どうしよう・・・・・・
 備考:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません】
389代理投下:2007/12/03(月) 22:27:20 ID:ga6mUOD4
【クルツ・ウェーバー 搭乗機体:ラーズアングリフ(スーパーロボット大戦A)
 パイロット状況:死亡
 機体状況:大破】

【ギム・ギンガナム 搭乗機体:シャイニングガンダム(機動武闘伝Gガンダム)
 パイロット状態―――――












 ざわり

 空気が揺れた。クルツの巻き起こした爆発の余波による電波傷害は、未だ治まる様子を見せていない。だからレーダーに反応は無かった。
 しかし、肌が不穏なモノを感じ取ったのだ。それは皮膚を焦がすように熱い闘争本能の塊。濃厚にして濃密。全てを焼き尽くさずにはおれない地獄の業火。
 そういったモノが、廃墟を荒野へと変えた爆発の中心地点のほうから迫って来る。間違いない。奴はまだ生きている。確信に近い思いでラキはそれを感じ取った。
 顔が難しい表情を作り、思い悩む。悩み悩んだ後で、ラキは諦めたようにポツリと呟いた。

「……どちらにしてもこれしかないか。すまないな、クルツ」

 クルツと自分の役回りが逆ならば、こんなことには無かった。クルツが命を落とすことなど無かった。
 そして、今自分はクルツが残してくれた命を散らそうとしている。今度は自分の番。そう思い定めている。そういう意味の二重の謝罪だった。
 通信をヒメ・ブレンと繋げる。

「アイビス、さっきも頼んだようにこいつを頼む」
「えっ?」

 モニターにアイビスの顔が映し出される。驚いた目が大きく見開かれるのが見えた。
 恐らく死んでいったヒメ・ブレンの体をその内側までも綺麗に拭っていたのだろう。せめて綺麗な姿で弔ってやろう、そういう想いが、手に握り締められた汚れた布切れに込められているように思えた。
 その光景にふっと頬が優しく緩むのを感じる。こんな奴だからだ。こんな奴だからこそ、ジョシュアも守って死んでいったのだろう。そういう気がした。

「ギンガナムがそこまで迫っている。私はこれからあいつを止めに行く。心配するな。お前だけは何があっても絶対に守るから」
「待って! 私も行く。ラキ、あんただけに戦わせるなんて出来ない」

 懸命な目と声が迫って来る。一心に言い募ってくるその必死さに思わず押し切られそうになりながら、しかしラキはゆっくりと諭すようにアイビスの言葉を退けた。
 その語調には、子供に言い聞かせる母親の温もりがどこか染み出ている。

「それは出来ない。今のお前では足手まといなんだ。分かるだろう?」
「でもそれじゃあ、あんたが……あんたも……」
「気にするな。メリオルエッセである私には似合いの最後だ」

 アイビスが俯いた。分かっているのだ。自分が何の役にも立たないのだと。送り出せばもう帰って来ないのだと。
 肩が震えている。泣いているのか?
 そう思ってもどう声を掛けて良いのか分からず、途方に暮れながらも、何故かこのときラキはジュシュアに向けるのとはまた違った愛おしさが湧き出てくるのを感じていた。
 生きた時間で言ってしまえば、ラキはアイビスの十分の一も生きていない。しかし、それは母親が愛娘に向ける愛情のようなものだったのかもしれない。
 やがて袖口で目元を拭ったアイビスの顔が上がり、無理に貼り付けた笑顔を浮かべる。今にも崩れ去りそうな笑顔。しかし潤んだ眼差しは真摯に見つめてきていた。

「ラキ、あんたは……あんたはもう立派な人間だよ」
390代理投下:2007/12/03(月) 22:27:55 ID:ga6mUOD4
 そうか、泣いていたんじゃない……この娘は考えていたのだ。もう止められないと思い、最後に何を伝えられるのか、その言葉を探していたのだ。
 何だろう……胸が温かい。なんとなく分かった……これは一番私が欲しかった言葉なんだろう。
 ふっと目頭が弛む。笑顔で返そうとして、涙が溢れてくるのを抑えることが出来ない。

「そうか……私は人になれたのか……」

 ほぅっと溜息を吐くようにして言葉が漏れる。大事に大事に言葉を口の中で反芻し咀嚼する。あたたかい。胸に灯ったぬくもりが気持ちいい。
 何よりの餞だ……私には過ぎた餞別だ。思えば誰かにそう言ってもらえるのを私は待っていたのかもしれない。ありがたい。
 でも、だからだ。こんなことを言ってくれる人間だからこそ守らなきゃいけないんだ。

「アイビス、ありがとう。泣くな。胸を張れ。お前は精一杯頑張っている。
 ……会えてうれしかった。がんばれ」

 溢れた涙が零れ落ちるのを頬に感じた。その涙の一粒でさえも今は温かい。
 通信をそっと閉じる。暫くは体が震えて動くことが出来なかった。いや、胸中に湧き出てきたぬくもりを噛み締めていたかったのかもしれない。
 ぐいっと潤んだ目を拭い、鼻を噛む。大きく長い溜息を一つ。
 ちらりと横目で頭部を砕かれたヒメ・ブレンを確認する。その右手にはしっかりとソードエクステンションが握られていた。最後まで力強く戦った証だった。
 これで憂いはもう何もない。後はどれだけ完全な状態でネリー・ブレンをアイビスに明け渡せるかだ。
 キッと目元に力を込め、前方を睨みつけたラキは、いつもと同じ声、同じ態度でブレンに最後の戦いを促した。

「さぁ! 行こう、ブレン!!」

 ◇

 D-3地区に広がる広大な廃墟。その一角を円形に抉り飛ばし、出現した荒野の尽きるところ。
 徐々に白んでいく空の下、何もない荒野と瓦礫の町の狭間でただ二つの機動兵器が全てに取り残されたようにぽつんと対峙していた。
 装甲のいたるところに傷を拵え、金属特有の光沢を失っている蒼い機体ネリー・ブレン。
 表面装甲の六割が膨大な熱量によって融解し、氷柱のように垂れ下がった状態で凝固しているシャイニングガンダム。
 二つの機体はまさに満身創痍。だが、二機は戦う力も気概も失わず、かといって不用意には動くことも出来ずにただ睨み合いを続けていた。
 全身が、汗にまみれていた。ギンガムの放つ圧力は並大抵のものではない。それを押し返し睨み合う。ただそれだけで疲労は蓄積されていく。

(ブレン、分かっているな?)
(……)
(すまないな。嫌な思いをさせる)

 これまでの交戦で互いが互いの手を読みつくしている。ゆえに迂闊な初動は即座に死に繋がる。普通ならば容易には動けないものなのだが、この男にそんなことは関係なかった。

「名残り惜しい気もするが、そろそろこの戦いも終わりだな。ならば――」

 装甲が焼け爛れたシャイニングガンダムが光を発し、黄金に染まる。
 緻密な計算も、姑息な浅知恵も関係ない。全てを薙ぎ倒す力の信奉者ギム=ギンガナムは吼えた。

「この一撃をもってええぇぇぇえええ!! 神の国への引導を渡してくれるっ!!!」

 刹那、ブレンが一歩を踏み出し、その場から掻き消えた。ギンガナム相手に真っ向から攻める愚は冒さない。かと言って、初手から死角を使う愚かさもない。
 側面を突く。しかし、ギンガナムはもう、鋭敏に反応していた。
 雄叫びをあげ、ブレンバーを振るう。ぶつかった。押される。抗えたのは束の間だった。圧倒的な力で押し流される。それを何とか撥ね上げた。皹が広がる音。
 二撃目。力を受け流しきれずに、ブレンバーの刀身が半ばで砕け散る。三撃目は死。次は凌ぎ切れない。だから刺し違える。命を賭してならそれが出来る。そして、それはここしかない。
 跳躍。ギンガナムの右後方――左腕からもっとも遠い死角――そこへ。ギンガナムがにやりと笑った気がした。
 瞬間、相手の左腕が閃光を発する。動きはここにきて尚早い。ここぞというところを嗅ぎ分けるこの男の嗅覚には、思わず舌を巻く。
 三撃目。砕けた刀身を突き出した。前へ。ただ前へ。暁を背に二つの影が交錯する。ぐしゃりと砕ける音。モノが潰れる感触。
391代理投下:2007/12/03(月) 22:28:26 ID:ga6mUOD4
 光る腕は眼前で止まり、その光を失っていた。そして、ブレンバーの刀身はギンガナムを貫いている。

「生きて……いるのか? 私は……」

 死を覚悟して前に出た。にもかかわらず生きている。何故、自分は生きているのか? 生きていることを喜ぶよりも先に、疑問が思い浮かんだ。
 ジョシュアがギンガナムの右腕を持っていってくれた。クルツが装甲を脆くし、機体そのものの動きも鈍らせてくれた。その彼らが開いた血路のお陰で生き残れた。
 それは分かっていたが、やはり生きているということが不思議でならなかった。緊張の糸が途切れたのか、どこか呆然としているという自覚がある。
 心ここにあらずというのは、こういうことなのだろうか?

「貴様、名は?」

 不意に声を掛けられてびくりとした。思わず声が上擦るのを感じながら、言葉を返す。

「……グラキエース」
「ふ……ふふ……グラキエースか」

 不適な笑みをこぼしたギンガナムが、ブレンバーが突き立ったまま一歩前に出る。そして、一歩が二歩に。ブレンバーはさらに奥深く突き立つこととなり、黒いオイルが血の様に噴出していた。

「貴様の名、覚えたぞォォ!! 我、魂魄百万回生まれ変わってもおぉぉおおお!!! この恨み、晴らすからなああぁぁぁああああ!!!!」

 眼前の左腕が再び閃光を発した。近い。そして、反応が遅れた。避わせない。ブレンの頭部が捕まる。咄嗟に両腕でその腕を掴む。しかし、ビクともしない。
 突然、恐怖が襲ってきた。この身が消え果るという本能的な恐怖。ブレンのものか、自分のものか、判別はつかない。
 思わず胸をグッと掴む。あたたかい。そうだ。このあたたかさの為なら私は命を賭けられる。私が私のままで逝くことが出来る。
 ジョシュアはよくやったと褒めてくれるだろうか? あいつは私の頭にぽんと手を置き、優しくなでてくれるだろうか?
 きっと褒めてくれる。きっと優しくなででくれる。もう悔いは……ないっ!

「跳べ! 跳ぶんだ、ブレン!!」

 怨嗟の念と自身への誇りを残し、一つの命を糧に二つの機動兵機がその場から掻き消える。そして、一ブロック南――D-4地区に余りにも小さな爆発音が人知れず鳴り響いた。

 ◆

 ラキが出て行って暫くたってから、ネリー・ブレンが戻ってきた。その姿は泣いていた。何故だか分からないが、そんな気がしたのだ。
 コックピットを覗くとそこにはラキの遺骸が乗っていた。
 それとヒメ・ブレンの分の穴をネリー・ブレンと一緒に掘った。クルツは跡形もなく吹き飛んでいて埋めるようなものは何も残っていなかったのだ。
 ブレンに触れ、そっと呟く。

「ねぇ、ブレン。ラキの最後は……どんなだった?」
(……)
「そう……そうか。うん。ありがとう」

 二つの遺骸を納め、土をかぶせていく。こみ上げてくるものをグッと堪える。
 ジョシュアを埋めたときには泣いた。シャアが死んだときには泣く気力すら残っていなかった。
 でも、今は泣くべきではないと思っていた。
 みんな見事に死んでいった。そうだ。見事な最後だったんだ。死ぬときはこうありたいと誰もが思えるような見事な死に様だ。
 でも……死は死だ。他の何者でもない。
 そして、自分は生かされた。たまたま自分は生かされたのかもしれない。そこにいたのが自分でない誰かであっても、きっとみんな守って死んでいっただろう。
 だからといって、自分が生かされたという事実はなくならない。それはやはり黙して受け止めるべきことなのだ。
 今はまだ泣かない。
 泣くのはやるべきことが全部終わったあとでいい。そのときに思い出して泣こう。そのときまで涙は取っておこう。
 遺骸が土に隠れると胸の前で手を合わせ、ゆっくりと目を閉じる。
 ジョシュアは何も言わずにただ守ってくれた。シャアは死ぬこと以外好きにしろと言った。
 クルツは命を懸けても譲れないことがあることを教えてくれた。ラキはただ頑張れと言ってくれた。
 そして、ヒメ・ブレンはこんな私に最後まで付き合ってくれた。文句の一言もなく。
392代理投下:2007/12/03(月) 22:29:04 ID:ga6mUOD4
 でも、何をやるべきなのかは誰も教えてくれなかった。それはきっと自分で決めるべきことだ。みんな生かしてくれた自分が自分で決めるべきことだ。
 そう思った。
 スッと目を開けたアイビスは、顔を上げてネリー・ブレンを見上げる。真似たのか両手を合わせた姿がそこにはあった。
 そのどこか滑稽な姿にふっと頬を緩ませ、墓に背を向けて歩き出す。後ろ髪引かれながらも振り向かない。振り向いてはならない。

『そりゃ、お前が引け目を感じているからだ』

 ギンガナムに接触する前、ラキのことを聞いた返しに、ここに来てからの話をしたときのクルツの言葉だ。

『一方的に何かをしてもらったと思ってる。自分は何もしてないのにってな。つまり対等だと思えないんだ。仲間なのにな。
 理由もないのに世話を焼かれ続けるのってきまりが悪いだろ? それと同じだ。相手は気にしてないのかもしれないが、お前はそれを気にしてる。
 だったら見返してやれるぐらいしっかりした人間になればいいのさ。そのくらい自分に自信がついたら、その後ろめたさは消えるんじゃねえかな』

 一人生き残ってしまった後ろめたさ。それはまだ消えない。多分そう簡単に消えるものでもないだろう。消えるようなものではないのかもしれない。
 それでも、いつかは死んでいった人たちの命に見合うような人間になりたかった。

「ジョシュア、ラキ、シャア、クルツ、ブレン……あんた達はそこで見ていて……もう迷わないから。もう立ち止まらないから。
 私は、私なりの生き方で精一杯生き抜いて見せるから……。だから、笑って見ていて」

 墓を背に、喉元まで出掛かった嗚咽と涙を押し戻し、空を見上げたアイビスは言う。思いのほか綺麗に澄んだ声が、朝露に溶けて消えていった。

「行こう、ブレン」

 ◆

 すり鉢上に抉れた荒野。直径10km程もあるその荒野の上空を一羽の神鳥が飛んでいた。
 その神鳥はぐるりと大きく旋回すると廃墟と荒野の境目に一つの人影を見つけて、軌道を変えた。
 やがて神鳥はその男の元へと降り立つ。

「ブンドルか……」
「ギンガナム、無事だったのか」

 神鳥――サイバードから声を上げ降りていく。それを目の前にギンガナムは実に誇らしげに笑った。

「うむ。危ういところだったが小生は勝ったぞ。一人は取り逃してしまったがな。だが、ギンガナム隊の勝利だ」

 頭が痛い。この男、確実に修復不能なまでの溝を作ってくれたに違いない。そして、自分はこいつの一派だと思われている公算が大きい。
 今後の行動に支障を来たす可能性は高かった。それに生き残った一人がギンガナムの健在を知るのもそう遠くはないだろう。眩暈すら覚える惨状である。

「ときにブンドル。貴様、マスターガンダムをどうした? まさか倒してはおらぬであろうな」
「やはりあれもガンダムというのだな。心配するな。撒いてきた」
「ならばよし! あれとは小生が戦う。貴様は手を出すなよ」

 それは一向に構わない。むしろ願ったり叶ったりなのだが、これだけ暴れておいてまだ戦うつもりなのか、と心底呆れ果てる。
 本当に付き合いきれない。

「ギンガナム、機体はどうするつもりなのだ? 言っておくが、サイバスターを貸す気は私にはないぞ」

 見つけたときからギンガナムは一人で、機体は跡形もなかった。にもかかわらず戦う気満々である。
 だから不安が過ぎる。せっかく苦労して守り通したサイバスターなのだ。あっという間に壊されてはたまったものではない。
 だが、ギンガナムからはカラッと陽気な声が返ってきた。非常に上機嫌だ。

「ふん。そのような機体に頼らずとも小生にはシャイニングガンダムがある」
「見当たらないが……」
「そろそろ頃合か。よいかブンドル。小生は機体ごと禁止エリアに転移されると悟った瞬間、飛び降りた。すなわち機体のみ跳ばされたのだ。
 そして、シャイニングガンダムは呼べば来る機体だ! 目には物を見よッ!!」
393代理投下:2007/12/03(月) 22:29:47 ID:ga6mUOD4
 前後の説明がないのでいまいち理解に苦しむ。とりあえず非常識なことをやらかしたのは分かった。だが、そんなこちらの様子を気にした風もなく、ギンガナムは天高く右手を掲げる。
 何だ? 何故こいつはこうまでハイテンションなのだ? こちらとしてはお前が巻き起こした惨状に頭が痛いというのに。その無邪気さが恨めしかった。

「出ろッッ!! ガンダアアアァァァァァアアアアアアアアアアアムッッッッッ!!!!!」

 それがやりたかっただけだろ。そう思わずにはいられない喜々とした表情で叫び、指を弾く。地鳴りが響き。何処からともなくシャイニングガンダムが姿を現した。
 しかし、その姿はお世辞に無事とはいえない。腹部に刃物が突き刺さっているのだ。その他の箇所も散々な有様である。

「見たか、ブンドル! シャイニングガンダムはこの通り健在だ。さぁ、 行くぞ!!
 ガンダムファイトの挑戦状を奴に叩きつけになぁぁぁぁあああああああ!!!」

 溜息を吐かずにはいられない。仲間にしたのは間違いだったのだろうか……。いや、間違いなく間違いだった。力一杯そう思う。
 そして、明けの荒野にギンガナムの笑い声が木霊する。

「フハハハハハハハハハハハ……ゲホッ!! ゲホゲホ!! み、水をくれ、ブンドル」
「知らん」



【レオナルド・メディチ・ブンドル 搭乗機体:サイバスター(魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL)
 パイロット状態:主催者に対する怒り、疲労(主に精神面)
 機体状態:サイバスター状態、各部に損傷、左拳損壊
 現在位置:D-3
 第一行動方針:状況の把握
 第二行動方針:協力者を捜索
 第三行動方針:三四人の小集団を形成させる
 第四行動方針:基地の確保のち首輪の解除
 最終行動方針:自らの美学に従い主催者を討つ
 備考:ハイ・ファミリア、精霊憑依使用不可能】

【ギム・ギンガナム 搭乗機体:シャイニングガンダム(機動武闘伝Gガンダム)
 パイロット状態:あちこち痛いが気にしない(気力160:限界突破)
 機体状況:右腕肘から先消失、腹部装甲に折れたブレンバーが突き刺さっている
 各部装甲に多数の損傷、表面装甲の六割が融解して垂れ下がり凝固、EN10%
 現在位置:D-3
 第一行動方針:ブンドルについていく
 第二行動方針:強者を探してギンガナム隊に勧誘
 第三行動方針:倒すに値する悪を探す
 第四行動方針:マスターガンダムにガンダムファイトを申し込む
 第五行動方針:アイビス=ブレンを探し出して再戦する
 最終行動方針:最も強い存在である主催を討ち、アムロ達と心ゆくまで手合わせ
 備考:ジョシュアの名前をアイビス=ブレンだと思い込んでいる】
394代理投下:2007/12/03(月) 22:30:35 ID:ALxb2THf
【ガウルン 搭乗機体:マスターガンダム(機動武闘伝Gガンダム)
 パイロット状況:疲労小、DG細胞感染、気力120
 機体状況:全身に弾痕多数、頭部・左肩・胸部装甲破損、マント消失、ダメージ蓄積
        DG細胞感染、損傷自動修復中、ビームナイフとヒートアックスを装備
 現在位置:D-3
 第一行動方針:近くにいる参加者を殺す
 第二行動方針:アキト、テニアを殺す
 第三行動方針:皆殺し
 第四行動方針:できればクルツの首を取りたい
 最終行動方針:元の世界に戻って腑抜けたカシムを元に戻す
 備考:九龍の頭に埋め込まれたチタン板、右足義足、癌細胞はDG細胞に同化されました 】

【アイビス・ダグラス 搭乗機体:ネリー・ブレン(ブレンパワード)
 パイロット状況:精神は持ち成した模様、手の甲に引掻き傷(たいしたことはない)
 機体状況:ソードエクステンション装備。ブレンバー損壊。
 無数の微細な傷、装甲を損耗、EN残量1/2、ソードエクステンション装備
 ENの減少により長距離バイタルジャンプの使用不可
 現在位置:D-3
 第一行動方針:自分がするべきことを見つける
 最終行動方針:精一杯生き抜く
 備考:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分(全体量の約半分以上)な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません】

【クルツ・ウェーバー 搭乗機体:ラーズアングリフ(スーパーロボット大戦A)
 パイロット状況:死亡
 機体状況:大破】

【グラキエース 搭乗機体:なし
 パイロット状況:死亡(首輪爆発)
 機体状況:なし】

【残り25人】

【二日目5:30】

395 ◆7vhi1CrLM6 :2007/12/03(月) 22:49:47 ID:YE3elh4C
おっ!繋がった。
代理投下・支援ありがとうございました。
んで、ちょい訂正>>374の会話文と()のところ以外一マス空けでお願いします。
避難所の投下スレに落とす際の自分のミスです。
そしてやたら長い話で恐縮です。
書き過ぎだと言われるとぐうの音も出ません。
自分のチェックが行き届いてない突っ込みどころは色々あると思いますので、ご指摘のほうよろしくお願いします。
御大将vsブレン二体は書いてて楽しかった。
396それも名無しだ:2007/12/04(火) 00:32:16 ID:MC75xKDb
乙ー。

さすが御大将wwwここまで見事にやってくれるとは。
なにげに気力も限界突破してるし。まさにわが世の春だw
397それも名無しだ:2007/12/04(火) 00:54:56 ID:Oq5H3kaA
ちょwww
御大将自重www
三回ぐらい死んだと思ったのに生きてるとは思わなかったぜ。
突撃するだけかと思いきやそのクレバーな戦い方に脱帽。
でももうちょっと空気読よんでれwブンドルの胃に穴があく前にwww

そしてついにアイビス覚醒か。今後のうごきに期待だ。
あと、ブンドル頑張れ。超頑張れ。
398それも名無しだ:2007/12/04(火) 00:58:35 ID:VPKu25uS
GJ!
なんと熱い戦闘描写
やりすぎだぜ御大将!
しかし、アイビスは動く死亡フラグだなwww

ところで、これは言うか迷ったんだけど、御大将、補正掛かりすぎじゃないか?
正直御大将もシャイニングもそこまで強くないと思うんだ
ターンXはともかく御大将はそこまで化け物じみてるわけじゃない気が
格闘能力もそんなに高くはないだろうし
シャイニングも強くなって無茶な動きをするドモンにはついていけなかったような
こちらの主観だし、筆力が高すぎてツッコむのは野暮に感じたんだけど敢えて……
ゴメンなさい
399それも名無しだ:2007/12/04(火) 03:43:10 ID:AzC1z/Ov
>>395
乙です
長いパートを見事に書き上げてお疲れ様でした。

ところで>>386の「来いっ!!!」の2行下の
だが、それは余りにも行為だった。

は余りにもと行為の間の文章が抜けていませんか?
もしよければそこに一筆加えて頂けると助かります。
400それも名無しだ:2007/12/04(火) 17:22:39 ID:m0OCUsoa
ええい、このGJッ!!
御大将vsブレン二体は本人楽しかったと言ってるだけあって読んでるほうも楽しかった。
チャクラエクステンションとかもうね。
個人的には>>380の あいつらには出来て、私らには出来ない  の辺りがかなり好き。
アイビスの最終行動方針もやっとこ定まっていい感じ。
だが最後の御大将で色々台無しな気もw



……うん、正直な話そこは死んどけよと思った。
それまでのクルツの自爆やらラキの覚悟やらが無駄になるってのも無情感があっていいかもしれない。
でもそれがギャグっぽい形で無かった事にされると、正直理不尽っていうか、空気読めと思う。
ギムが生きてること自体に無理があるわけでは無いけど。
気分害されたらすみません。

で、ついでに指摘、っていうか疑問に感じたところを。
>>372の四行目  >>それともベースとなった人間の〜  って部分について。
これの意味って
「どこかの誰かを素体に、ラキに作り変えた」
っていうことなのか、それとも
「人間の何か(外観? DNA?)をモデルにして、詳細不明な方法でラキを造った」
っていうことなのか、もしくはさらに別の意味なのか、はたまた俺の考えすぎか、どれなんでしょうか?
もし一番上のだとしたらそんな設定は無いってことだけ。
401それも名無しだ:2007/12/04(火) 20:53:10 ID:o+xPreSP
投下GJ!
大ボリュームにも関わらず話に引き込まれて一気に読んじゃったぜ
御大将関連の戦闘はどれも面白いなー
いつもと変わらずに軽口を叩くクルツが格好良すぎる
アイビスとラキの絡みも凄く良かったです
402 ◆7vhi1CrLM6 :2007/12/04(火) 23:39:33 ID:6yU+UPph
>>396-401
感想ありがとうございました。
感想が御大将に集約されてて驚きましたww
少し忙しいので、期限日曜ぐらいで修正案練ってみたいと思います。

>>398
元々が御大将死亡予定で書き始めた話だったので、確かに補正かかり過ぎかもしれません。
度合いが自分の中では、退場だから最後に大暴れさせるかって感じの補正のかかり方なので。
例えば、コードATAを耐え切るシャイニングとか…(最弱ラスボスヴィンちゃんのツヴァイも耐えたしまぁいいか的な考えもありましたが)
一度見直してみたいと思いますが、正直上手い具合に修正しきる自信がなかったり…。
ごめんなさい。全力は尽くします。

>>399
すみません。
そこは『余りにも馬鹿げた行為だった』です。
そこに限らず携帯で一度読み直してみたところ誤字脱字が結構出てきたので、修正時に直させていただきたいと思います。
何で投下前っていつも気づかないんだろう…。

>>400
台無しって分かってて悩んだ挙句、最後に書き足したパートだったので、苦笑いです。
悩んだのに入れたのが、主にせっかく書いたんだし的な事情なあたり自分は書き手失格かもしれません。
いい修正案を思いつかなかった場合、最後のパートは丸々抜く可能性は高いです(上記の補正具合的にも)
後半の質問は自分の拡大解釈ですが、後者のつもりです。
ベースというよりは模したのほうが正確かもしれません。
ただその一文の焦点が人の本能だったので、模したではなくベースのほうを使わせていただきました。

あと、申し訳ありませんがタイトルを『Shape of my heart ―人が命懸けるモノ―』に修正をお願いします。
聞かれていないようなことまで長々と失礼いたしました。
403それも名無しだ:2007/12/05(水) 09:35:00 ID:6vViYLAO
GJ!
御大将大暴れだなwww
近くにJアーク組がいるし今後も面白そう
御大将生存ならブンドルとロジャーが疲れ果てそうでもあるけどw
修正がんばってください
404それも名無しだ:2007/12/05(水) 11:55:10 ID:OxTvzwn1
あ、一つ指摘が。
>>391でギムがラキに名前尋ねてるけど、さっき確認したら
100話「マイペース二人」で既に名前聞いてたのでそこも修正が必要かと。 
405それも名無しだ:2007/12/06(木) 03:47:37 ID:fQT4Kf8G
個人的には
「自分の機体ごとジャンプで禁止エリアへ」に対して
「機体をすてて脱出、あとで機体を呼び寄せる」っていう回避法は
なるほどって感じでよかったとおもうから削ってほしくないかなぁ。
あれ?でも、MFってとっさに脱出できたっけ?
406それも名無しだ:2007/12/06(木) 04:39:19 ID:H2jf20CU
>>405
MFはコアランダーって乗り物が背中からガキーンとハマってバックパックになる
コックピットに繋がってると思うから最悪それで脱出したでいいと思う
今、考えていて、脱出はともかくさすがに自爆で焼けてる大地に十数mからの飛び降りは
ガンダムファイターでもコーディネーターでもない御大将には無理だろうって気もしたし
407それも名無しだ:2007/12/06(木) 04:45:46 ID:H2jf20CU
書き込んだ後に思ったけど、ATAもそれで回避できるかもしれないな、一応
調べたらちゃんと移動用の乗り物兼脱出装置だったし
408それも名無しだ:2007/12/06(木) 12:33:41 ID:MOXDjl+l
ATAの威力次第だと思うけど作中表記で10キロくらい吹き飛ばしたらしいからコアランダーだと逆に危険じゃね?
背中に張り付いてるのならシャイニング本体が盾代わりになるし
409それも名無しだ:2007/12/06(木) 22:21:03 ID:H2jf20CU
>>408
あれ、そんなに範囲広かったっけ?
Aから隣接したマスの戦艦ならディストーションフィールドごとブリッジを粉々に出来る
威力でOGsから隣接したマスでもヴァイスセイバーなら回避できるくらいの範囲だった
と分かるから範囲は狭いけど威力が高いものと思ってたんだが……
と思ったらSS中で半径10km抉ってたみたいだね
よく読んでなくてスマンかった
410それも名無しだ:2007/12/06(木) 22:45:12 ID:MOXDjl+l
>>409
こっちこそ原作考えてなくてすまんかった

でもそう言えばスパロボでの一マスってどのくらいの大きさなんだろ?
生身師匠でも一マスだし
全長40キロのノイ若本でも一マスだし
411それも名無しだ:2007/12/09(日) 09:45:37 ID:JbC9rfPq
412それも名無しだ:2007/12/09(日) 10:50:43 ID:PJzY+/l4
413それも名無しだ:2007/12/09(日) 16:20:06 ID:M5T/U7fF
414それも名無しだ:2007/12/09(日) 16:38:49 ID:geozfMR5
415 ◆7vhi1CrLM6 :2007/12/09(日) 18:03:09 ID:EwyPsMFG
避難所に修正版投下しました。
大きな修正は、気に入ってくださった方には申し訳なかったのですが、最後のパートの削除。
細かい修正は、>>404とその他の一部会話、誤字脱字の訂正、部分的な文章の修正です。
御大将の補正の件は修正前の文章と見比べていただければ分かるという程度ですが、ところどころで下方修正を入れています。
ATAの爆発範囲も縮小の方向で修正という方向で対処させていただきました。
416それも名無しだ:2007/12/10(月) 17:56:59 ID:XUAN+avv
修正乙。
誤字等については避難所で指摘させてもらいました。
後ほど目を通していただければと思います。

つかクラゲエースはひでぇよ御大将w
417 ◆7vhi1CrLM6 :2007/12/10(月) 20:54:37 ID:xRXSEw3P
>>416
ご指摘、ありがとうございました。
お返事のほうは避難所のほうにさせていただきましたのでよろしくお願いいたします。

絶望した。誤字脱字の多さに絶望した。
修正した量と同じだけの量がさらに出てくるなんてどんだけ私の目は節穴なのかと……orz
418それも名無しだ:2007/12/10(月) 21:10:14 ID:x/abz7TF
修正お疲れさまです。
ところどころ上手い会話が挿入されてて前のものより良くなってたと思います。
御大将……あんた最期まで楽しそうだったね……
改めてGJを送りたいです。
419それも名無しだ:2007/12/11(火) 01:29:46 ID:N+Nks9rk
修正乙かれー
それにしても、マーダーが多いなぁ。
そろそろマーダー同士での潰しあいも起こりそうだ。
420それも名無しだ:2007/12/11(火) 04:40:27 ID:z3IfLnZu
修正乙!
生存24にマーダー6か
ユーゼス組が不穏だから放送までにもう一人くらい生存者減りそうだな
421それも名無しだ:2007/12/14(金) 01:44:32 ID:FD11T3WI
422それも名無しだ:2007/12/14(金) 14:48:32 ID:oovVQS06
423 ◆C0vluWr0so :2007/12/14(金) 20:55:47 ID:BzWc1nf6
あえて言う事じゃないかもしれないですが、一応……
結構本格的にリアルの方が切羽詰まってきたので、しばらく投下出来そうにないです。
wiki編集だとかのちょこちょことした支援は出来ると思いますが、SS書く時間が物理的にとれそうにないので……
多分三月くらいからまた復帰出来るとは思うんですが……

ただでさえ少なかった書き手が更に減ってしまうのはスレ自体の存続の危機だと思います。
ですが、こういうときこそ住人一人一人の頑張りが大事だと考え、レスさせてもらいました。
SSを書けとは言いません。そりゃ書いてもらえればそれが一番嬉しいですがw
雑談のネタ振りや感想付けなど、読み手でも出来ることがきっとあるはずです。
まぁ要するに、「みんなで頑張っていきましょう」ってことです。
自分は絶対に帰ってくるので、書き手が減ったと悲観しないで下さい。
書き手読み手の区別無く、みんなで第二次スパロボバトルロワイアルを盛り上げていきまっしょい。
424それも名無しだ:2007/12/15(土) 18:11:13 ID:8EJafOI7
通りすがりでなんだが、130話までwiki編集しておいた。
大きなお世話かもしれないんだけど、住人の人たち、こういうインフラ整備はしておこうよ。

基本的にはupされてたtxtのコピペだけど、wikiの仕様に合わない部分には手を加えた。
以下、変更部分を列挙。

43 インターミッション :行頭の全角「・・・・」はタグ扱いになるので半角に。
112 失われた刻を求めて :行頭の「 (( )) 」はタグ扱いになるので「 ( ) 」に。
115 鍵を握る者 噛合わない歯車 :分量の関係で2分割。
122 ・――言葉には力を与える能がある :分量の関係で2分割。
130 Shape of my heart ―人が命懸けるモノ― :分量の関係で4分割。
全般:本文末と状態表に行空け。

それとwiki管理人氏、デザイン変更で右の更新履歴欄を取り払ったほうが見栄えがすると思う。
左側にあるのと被ってるし。
425それも名無しだ:2007/12/15(土) 21:07:29 ID:GcB5aP1d
>>424
wiki編集を手伝ってくださってありがとうございます。
移行の遅さについては言い訳のしようもなく……管理人である自分が率先して作業を進めるべきでした。
これは完全に自分の怠慢ですね……以後気を付けたいと思います。
デザインについてですが、右メニューを取っ払ってみました。ついでに文字サイズについても弄ってみたり。
住人の皆様の反応を見て最終的なデザイン決定をしたいと思いますので、デザインについての意見お待ちしてます。
426それも名無しだ:2007/12/15(土) 21:23:58 ID:8EJafOI7
>>425
乙です、フォントサイズもいい感じ。
管理人氏を責めてるわけじゃなかったんだけど、もしそう感じさせてしまったなら申し訳ない。
427それも名無しだ:2007/12/16(日) 18:00:43 ID:dmGlJPG9
>>429
管理人さん乙です。
実は前デザインは本文のスペースが狭くて読みにくかったので、個人的にはこのデザインの方がいいですね。
しばらく書き手活動は休止とのことですが、復帰する日を心待ちにしてます。
428それも名無しだ:2007/12/16(日) 18:05:34 ID:dmGlJPG9
って、安価ミス……
×>>429
>>425
429それも名無しだ:2007/12/17(月) 12:51:37 ID:d9UE5ycn
ところで、>>352で指摘されてる>>333の統夜の現在地についての反応が無いのはどうしたらいいんだ?
こんなことで没にするのはどうかと思うし、かといってそのままにしておくべきではないと思う。
勝手に修正するわけにもいかないだろうから、何かしらコメントが欲しいのだが。
430 ◆pqQ1ngVOkg :2007/12/17(月) 23:08:58 ID:pZ1MM319
ぶは……やっちまった。

時間を完全にアキト軸で流してました。


アキトが3:00、統夜を3:15辺りが妥当でしょうかね。
431それも名無しだ:2007/12/22(土) 00:55:32 ID:kYn8tKev
432それも名無しだ:2007/12/22(土) 01:04:16 ID:n5/XXG4D
433それも名無しだ:2007/12/22(土) 10:38:24 ID:3hTTOyza
434それも名無しだ:2007/12/22(土) 13:54:48 ID:zffL/cRY
435それも名無しだ:2007/12/22(土) 17:36:43 ID:jS6ud7CZ
436それも名無しだ:2007/12/22(土) 21:34:09 ID:8f84hwIu
セイッ
437それも名無しだ:2007/12/23(日) 09:27:51 ID:w0d++ZZN
438それも名無しだ:2007/12/24(月) 10:16:26 ID:oKVM/t+f
439それも名無しだ:2007/12/24(月) 12:29:46 ID:qw3k6pX6
440それも名無しだ:2007/12/24(月) 17:02:34 ID:O8Avwn84
441それも名無しだ:2007/12/24(月) 17:59:21 ID:n+PMQTiM
442それも名無しだ:2007/12/25(火) 07:19:41 ID:cpZo2Cut
ほとくとしちセイッ軒ラーの鏡



…………こ、これは!?
443それも名無しだ:2007/12/25(火) 09:07:17 ID:H5LrG+im
>>442落ち着くんだ!とが多いぞ!!

つまり北斗七星といえば世紀末救世主 ッはとりあえず無視だ
軒は拳の誤植だろう
ラーの鏡といえば正体を暴くアイテムだ

それらから見えてくる者はこのゲームの救世主はその拳で
敵の真の目的を暴くという事を予言しているんだよ!!!
444それも名無しだ:2007/12/25(火) 11:12:42 ID:qiRevVWp
>>443
ミスターファイヤーヘッドの力を手にいれたフォルカが次元の壁をこえて歴史を偽造するということか
445それも名無しだ:2007/12/26(水) 23:47:20 ID:27OBJ5BA
wikiまとめ、ようやく時系列順と投下順の目次が完成したぜ……
次はキャラ別追跡表を作ろうかと思います、はい。
誰かキャラ紹介や機体紹介を埋めてくれると嬉しかったりする。
446それも名無しだ:2007/12/28(金) 02:09:42 ID:pJ1QZfqx
今、各話の最後にリンク付けてってるんで、そっち終わったら手をつけてみます。
ただ大分先になりそうなので先に手を付けれそうな人がいたらよろしく。
少なくとも年末年始はこれ以上時間なくていじれないし……。

んで、全体マップ纏めてて思ったけどナデシコ組って一応生存者の1/4抱えてるんだな。
でもどこか頼りないのは何故だろう?
フロスト兄弟(主に兄)のせいか??
447それも名無しだ:2007/12/28(金) 22:58:09 ID:RCnDxviC
人数が多い分危険要素も抱えてるからな。
テニアは何をやらかすか分からないし、バサラ→フロスト兄弟の誤解フラグも抱えてる。
何か火種があれば一気に壊滅してもおかしくない集団ってのが俺の印象。
448それも名無しだ:2007/12/28(金) 23:21:51 ID:AJqvJbXc
危険要素を抱え込んでない対主催集団自体が少ないけどね
ナデシコ組然り基地組然り
比較的関係が良好なJアーク組でもロジャーとキラが口論してるし
それ以下だと二人組で集団というかはコンビになっちまう

対主催の先行き不安だなw
449それも名無しだ:2008/01/01(火) 00:02:58 ID:wD/uhxea
あけましておめでとー
今年はいっぱい書く予定です。予定は未定ですが。
450それも名無しだ:2008/01/04(金) 22:20:11 ID:rwcP0Ebg
二度目の年明けか
今年中に終盤まで行かせたいな
451それも名無しだ:2008/01/05(土) 09:30:47 ID:rARRHJqm
452それも名無しだ:2008/01/05(土) 09:39:18 ID:w+LznhYi
もっ
453それも名無しだ:2008/01/05(土) 09:59:30 ID:9aCfNyO4
454それも名無しだ:2008/01/05(土) 15:46:09 ID:4/qYGg8x
455それも名無しだ:2008/01/06(日) 09:18:05 ID:QxYRoYxP
456それも名無しだ:2008/01/06(日) 14:17:07 ID:W4G5B5E+
457それも名無しだ:2008/01/07(月) 06:56:49 ID:PGlLZzF6
458それも名無しだ:2008/01/07(月) 14:04:25 ID:mZrrQBqO
459それも名無しだ:2008/01/07(月) 18:55:46 ID:05wj+Dg6
460それも名無しだ:2008/01/07(月) 21:36:13 ID:jMNWL0ys
461それも名無しだ:2008/01/07(月) 23:11:08 ID:CjXFnY+4
462それも名無しだ:2008/01/08(火) 23:13:30 ID:31qiYO+R
463それも名無しだ:2008/01/08(火) 23:23:32 ID:8+BG9Moz
464それも名無しだ:2008/01/09(水) 11:33:38 ID:6x1fa7J9
465それも名無しだ:2008/01/09(水) 18:31:44 ID:hGyzCKRF

466それも名無しだ:2008/01/10(木) 23:39:31 ID:FSe+4y3y
467それも名無しだ:2008/01/11(金) 01:29:42 ID:pbuzT1hK
468それも名無しだ:2008/01/11(金) 01:38:51 ID:zJ6qBcpg
469それも名無しだ:2008/01/11(金) 04:45:16 ID:2CL6RNOI
470それも名無しだ:2008/01/11(金) 09:12:36 ID:/KPDL9gl
471それも名無しだ:2008/01/11(金) 12:16:09 ID:zJ6qBcpg
472それも名無しだ:2008/01/11(金) 21:48:57 ID:G2C0u2Cc
473それも名無しだ:2008/01/11(金) 21:57:15 ID:2sJ7/ghu


お餅マントヒヒ、フカヒレ松平軽トラック……
相変わらずここの保守はイミフだぜ
いつまでもこんなことばっかりやってるのもアレなので話題でも振ってみる
今は幾つかの集団が形成されてるわけだけど、どの組に注目してる?
俺はナデシコ組。フロスト兄弟にテニア、誤解フラグ持ちのバサラとかなり美味しい展開が待ってそうなんだよな
ちょっと動けば統夜との遭遇もありえるし……
474それも名無しだ:2008/01/11(金) 23:24:23 ID:CYRwHQYk
ナデシコ組と別行動中の二人まで含めた基地組かな。
一見ほのぼのでも実は危ういナデシコ組。
一見崩壊寸前に見えて本当に崩壊寸前の基地組。
甲乙付け難い。
それでもどちらか一つ選べと言われたら首輪解析に一番近い基地組かな。
475それも名無しだ:2008/01/12(土) 18:23:43 ID:ooux8ctm
余計な真似しなくても首輪外しに一番近そうな
AI1に注目してるぜ。いやさ、MXのラスボス第一段階の時点で
パイロット取り込んだりしたじゃん。あの時の状況使えば
普通に首輪外せるような気がするんだ。
476それも名無しだ:2008/01/13(日) 23:37:12 ID:oEx1dia9
>>475
ラスボス第一形態って今の状態から更に進化しないといけないんじゃなかったっけ?
これ以上進化するにはPONクラスの不思議パワーが必要だから難しい気がする。
でもDG細胞やら竜馬inゲッターとかと遭遇する可能性もないこともないか……

集団でいうと合流予定のアムロ、ガロード、クインシィ、ジョナサンも結構重要だと思う。
こいつらって他の集団みたいに戦艦や基地なんかのアドバンテージが無いんだよね。
それでいてどの集団と合流してもなんらかのアクションが期待出来る。
Jアーク組→ジョナサンの弁解
ナデシコ組→比瑪とオルファン組、ガロードとフロスト兄弟の絡み
基地組→アムロとカミーユの絡み
こいつらの動向が今後を左右するといっても過言ではないはず
477それも名無しだ:2008/01/14(月) 00:00:34 ID:jlJNaplS
不思議パワーね
レースアルカーナ・プラーナ・Jジュエル・DG細胞・マシンセル・アインスト細胞
ゲッター線は取り込み済みだからこのくらいかな
後はラーゼフォンとかガオガイガーの残骸と不思議パワーじゃないけど反応弾とか
どれか二三個取り込めば……いけるのか?
478それも名無しだ:2008/01/16(水) 10:16:50 ID:Hqbelctw
ちょっと気になったんだけど第二回放送まであと五六話といったとこかな?
五時半組以外はもう一二回は描写が必要だよね?
479それも名無しだ:2008/01/16(水) 21:34:16 ID:9uIt4fa9
ん、多分そんくらい。
ナデシコ組はこのまま休息してました、統夜は誰にも会いませんでしたでも大丈夫っぽいけど、
他の連中は竜馬の乱入やラクスの歌に対する反応、合流に激痛と何らかの描写が必須。
この時間帯はいっぱい人が死んだなぁ……基地組で戦闘がありそうだし、20の大台に乗るかもしれんね。

話は変わるけど、wikiのほうでSSタイトル元ネタリストなるものを作ろうと思ってます。
ですが、自分の知識量が絶対的に足りてないんで元ネタがありそうなんだけど……ってタイトルもちらほら。
皆様方、分かる範囲で結構ですので「○○は××が元ネタじゃないか?」ってのを挙げて貰えないでしょうか?
とりあえず自分の分かる範囲から幾つか。

・59話「我が道を往く人々」→ガロード・ラン(我・道・走)から
・77話「彼らの乗機は強力です」→ガンダムXより「私の愛馬は凶暴です」
・122話「・――言葉には力を与える能がある」→終わりのクロニクルより1st-G概念条文「文字には力を与える能がある」

こんな感じで挙げて貰えれば助かります。
480それも名無しだ:2008/01/17(木) 00:01:46 ID:NYWT3PIZ
とりあえず分かるのはこんなとこかな。
間違ってるかもしれないけど……。
そのまんまなのも書いたけど、幾つか抜けてると思う。

・48話「楽勝!」→「ガンダム0080 ポケットの中の戦争」よりバーニィの台詞
・52話「東北東に進路を取れ!」→1959年製作アルフレッド・ヒッチコック監督のアメリカ映画「北北西に進路を取れ」より。
・65話「パンがなければお菓子をお食べ」→ルイ16世の王妃マリー・アントワネットの言葉。ただし本当はそんなこと言ってないらしい。
・88話「類(仮面)は友(仮面)を呼ぶ」→日本のことわざ「類は友を呼ぶ」
・94話「Time Over ―私の中のあなたにさよならを―」→多分、スパロボDリムルート25〜27話「私に、さよならを」※話数に幅があるのは分岐によって増減するため。
・102話「極めて近く、限りなく遠い世界の邂逅」→スパロボA最終話「極めて近く、限りなく遠い世界に」
・104話「獅子身中の虫」→日本のことわざ
・105話「壁に耳あり、障子に目あり」→日本のことわざ
・108話「星落ちて石となり」→古語「星落ちて石と生まる」
・114話「爆熱! ゴッド晩ごはん!!」→「Gガンダム」よりドモンの台詞「爆熱! ゴッドフィンガー!!」
・116話「愛を取り戻せ」→アニメ「北斗の拳」の主題歌の一部(?)
・119話「未知との遭遇」→1977年製作のアメリカ映画「未知との遭遇」
・124話「吼えろ拳/燃えよ剣」→司馬遼太郎の歴史小説「燃えよ剣」
・130話「Shape of my heart ―人が命懸けるモノ―」→1994年の公開の映画「LEON」の主題歌「Shape of my heart」
481それも名無しだ:2008/01/17(木) 21:42:05 ID:2/1falQI
>>480
114話は『突撃!隣の晩御飯!』とも引っ掛けてるのでは?
482 ◆7vhi1CrLM6 :2008/01/17(木) 22:00:20 ID:pWMsjISS
土日に時間が取れそうなのでナデシコ組予約します。
483それも名無しだ:2008/01/19(土) 23:51:34 ID:b1Tf2eKy
期待してるぜ!!
484それも名無しだ:2008/01/20(日) 13:37:17 ID:oxneP3DP
アゲんな馬鹿
485 ◆7vhi1CrLM6 :2008/01/20(日) 17:57:03 ID:jxj1emBN
ごめんなさい。
予約破棄します。
用事で期限内に間に合いそうになくなりました。
486それも名無しだ:2008/01/20(日) 18:40:54 ID:P2fFdHBO
お疲れ
のんびり待ってるよ

しかしナデシコ組は何故かオルバに死亡フラグが立ってる気がしてならないんだぜ?
487それも名無しだ:2008/01/21(月) 21:16:48 ID:rD44Qxiw
最近は本家が好調なのに対して二次の方は勢い無くなってきたな……
本家が完結したらこっちにも人が増えるんだろうか?
488それも名無しだ:2008/01/22(火) 23:41:26 ID:R/l+sVQ3
でもなぜか死者スレは地味に稼動してたり
本家完結後はまぁ少し期待してるけど過度な期待はしないようにしてるな
489それも名無しだ:2008/01/22(火) 23:51:34 ID:BkxBMGzC
「今回のロワの目的は?」と考えていたら

インパクト/OG2終了後に再生したレジセイアが「女だけじゃ新しい生命が出来るわけがない」という事に気付いて
アルフィミィの相手となる男を選別するために今回の戦いを企画した(女性は間違いで呼んでしまった)

というくだらない事を考えてしまった。
490それも名無しだ:2008/01/23(水) 00:17:12 ID:YKL3ufXg
>>489
そのネタで第二回放送を書いてくれwww
491それも名無しだ:2008/01/23(水) 11:56:27 ID:U04ne5rl
ふ○なり化させてしまえば問題ない。
492それも名無しだ:2008/01/23(水) 22:24:29 ID:ku7JBuH0
そうか、このロワで女キャラがやたら酷い目にあっているのは若本様の意志だったのか……!
493それも名無しだ:2008/01/26(土) 22:40:33 ID:epLQQbwv
人いなーい
話題なーい
今は待つしかないのかな
494それも名無しだ:2008/01/27(日) 01:55:38 ID:hg8tEjVq
おおっ!wikiにマーダーランキングが!!
誰だか知らないけど乙です。
流石に生存はマーダーばっかか・・・・・・。

ってかバーニィwww
495それも名無しだ:2008/01/29(火) 20:23:14 ID:rYLC1L8/
作品投下は無くても、wikiを編集してくれてる人がいるというだけでなんとなく安心してしまう
結局今月は投下無しで終わりそうだけど、7v氏は二月に投下出来るらしいし、C0氏も三月には復活と言ってた
他にも書く人が出てくれたら嬉しいんだけど……
496それも名無しだ:2008/01/30(水) 00:21:39 ID:+vBZnFBR
勢いは無くともまとめには恵まれたロワだ
497それも名無しだ:2008/01/30(水) 21:08:10 ID:MyLHUmNT
どうも、wiki編集してる人の中の一人です。
書き手紹介ページを作成しようかと思うんですが、書き手毎の個別ページってあったほうがいいかな?
それぞれの書き手さんに感想コメント付けれるような仕様にすれば書き手さんのモチベーションもアップ!しそうな気がするけど……
正直なところ、wiki編集してる人もそこまで多くないんで、下手にwikiを充実させても維持出来なくなる可能性もあるんですよね。
先にwiki編集ガイドみたいなのを編集練習用ページに作っておけば編集してくれる人も増えますかね?
498それも名無しだ:2008/01/30(水) 21:24:00 ID:zOQFtFhh
>>497
そこまでやる必要無いんでないかねえ
499それも名無しだ:2008/01/30(水) 21:40:15 ID:MyLHUmNT
>>498
ですかねえ。
仮まとめが秀逸だっただけに、出来る限りwikiの方にも移転しようと思ってたんですけどやっぱり難しいか。
各話ごとのリンクなど必要不可欠なところを完璧にした後で、それでもまだ余裕があるようなら各種ページの作成にも手を出してみようと思います。
どうもお騒がせしました。
500それも名無しだ:2008/02/02(土) 22:55:46 ID:d26RZDZc
501それも名無しだ:2008/02/02(土) 23:01:49 ID:Vo5mR03T
エンド
502それも名無しだ:2008/02/03(日) 00:58:39 ID:y60/24Sx
503それも名無しだ:2008/02/03(日) 02:15:37 ID:NjoS07AD
オブ
504それも名無しだ:2008/02/03(日) 02:18:07 ID:dRAmlIbn
某所で黒ゲMAD見たら猛烈に好きになってしまった……ということで今更ながらブラックゲッターの設定支援。
どっかでエネルギー注入したらもう一度動けるのか?

【機体名】ブラックゲッター
【全長】38.0m
【主武装】
・ゲッタートマホーク
 斧の形をしたゲッターお馴染みの武器。投擲武器として使うこともある。
・スパイクナックル
 両拳に付けられたトゲ状の武器。四本存在しており、展開させることで伸びる。
・ゲッターレザー
 左腕に付けられた三枚の刃。とても切れ味が良さそうだ。
・ゲッタービーム
 腹から撃つお馴染みのビーム。機体を回転させながら撃つことで、広範囲を薙ぎ払うことも出来る。
【特殊装備】
・ゲッターウイング
 背中のマント。風になびく姿がとても格好いい。
・マフラー
 ブラックゲッターの代名詞的アイテム。風に舞う姿が(ry
【移動可能な地形】
 空中○、地上○、水中△(?)、地中×
【備考】
流竜馬が月に廃棄されたゲッターを改修し作った機体。
その力はゲッタードラゴンに並ぶほどだと言われている。つまり無印ゲッターロボの十倍。
竜馬がどうやってそこまでパワーアップさせることが出来たのか不思議でしょうがない。
ちなみに機体色の黒は元々のカラーリングではなく、大気圏突入時に機体が焼き焦げ黒くなった。
そのためにブラックゲッターのことを「焦げったー」の愛称で呼ぶファンも確認されている。
チェンゲ、及びスパロボではゲッターの最大の特徴である変型機構は無くなっているが、乗り換え時に三人同時搭乗が可能なことから考えるにコクピットは三人分残されているようだ。
……勿論一つのコクピットにぎゅうぎゅう詰めになっている可能性も否定出来ないが。
505それも名無しだ:2008/02/04(月) 04:27:17 ID:dRSPNmNw
ぬぷ
506それも名無しだ:2008/02/04(月) 13:59:56 ID:nmZtXP7t
>>504
変形合体機構をオミットして、出力を上昇したんだし、
コックピットは残ってんじゃね?

見直して気が付いたんだけど、竜馬って一回アカシックレコードに接触してね?
弁慶に色々と語ってたことを考えると、たぶん頭が相当よくなってるっぽい。
507それも名無しだ:2008/02/04(月) 21:51:29 ID:p2SLmF+w
>>506
それもそうだけど、旧ゲッターに関してはその前からそれなりに弄れたかもしれないな
レーサーが車をそれなりに整備できるようなもんで
ブラゲに関しては炉にメディウスの武器刺さって行動不能になってるからエネルギーが
足りないんじゃなくゲッター炉を修理する必要があるんじゃないだろうか
ネオゲの真ゲッターは起動に必要な出力分のゲッター線が足りなくて数年放置されてたと
思ったけどブラゲなら多分大丈夫じゃないかな
直せるのは隼人と竜馬、解析できればユーゼスくらいか
でもゲッターなら仕組が分からなくても周りの機械をそれらしく繕えば動く気がする
だとすればアムロ、カミーユ、ベガさんあたりもいけるかも
508それも名無しだ:2008/02/04(月) 22:13:32 ID:9qS9O+2a
>>507
ゲッター炉の修理は必要としてもエネルギー自体も空なんじゃないか?
ゲッター線をメディウスが根こそぎ吸い取ってったみたいな感じだし
ゲッター炉がゼロからゲッター線を作り出せるのなら炉心さえ直せば動くと思うけど、
ゲッター炉の起動に一定量のゲッター線が必要なら真ゲかメディウスかのどっちかからゲッター線貰う必要があると思う
ゲッター線だから突然地中から湧き出てきても驚かないがw
509それも名無しだ:2008/02/06(水) 15:14:26 ID:hq2vLW4y
>>508
ゲッタ線は宇宙から降り注いでいたりするんだぜ。
まあ、時間と空間の壁を乗り越えてゲッター線が出てくるということには変わりないが
510解し得ぬ存在 ◆7vhi1CrLM6 :2008/02/08(金) 20:41:09 ID:CkDg9n48
実に不可解な現象が起きていた。首輪にだ。
AI1にかけた首輪の解析は捗ってはいない。変質パターンの解析は終わっていないのだ。
しかし、無為に時間が過ぎたのかというとそうではなかった。二種類のナノマシンが確認されたのである。
一つは無機質で機械的な物に生物的な特徴を付与したもの。恐らくは自己増殖のプログラミングを施されたもの。
もう一つは有機的で生物的な物。こちらも侵食性を見せている。
両者は性質的に極めて近い。近いがゆえに相容れない存在だ。相手の領土を侵食しようと互いが互いを喰らい合っている。
おそらくは有機的な物の方がアインスト細胞なのだろう。玉の周辺により多く展開していた。
今のところは機械的なものの方が侵食力が強い。結果、首輪は徐々に異形からさらなる異形へと変化していっている。
ただしこれらは全て表層の変化である。視認可能な見かけの形状変化。それをナノ単位まで落としたものに過ぎない。
ゆえにどういった変化が生じているのかは分かれども、変化の規則性は現時点では見出せてはいなかった。二つのナノマシンの動きは複雑さを極めている。
これらの情報の中で重要なのは――

「なるほど……このナノマシンの侵食力はアインスト細胞を上回っているのか」

そう。機械的なナノマシンがアインスト細胞の侵食力を上回っているという一点。
これは別の可能性を示唆している。
この機械的なナノマシンをコントロール下に置けばアインスト細胞の除去が行なえる可能性を秘めているということだ。
それに、それだけではない。弾頭にでも仕込み、着弾と同時に侵食させれば、あの化け物に対する切り札となりえる。
それだけの可能性をこのナノマシンは秘めていた。

「面白い」

唇を噛み締めて仮面の男は噛み殺すように笑う。
無論、そこに到達するためには幾つものハードルが存在する。ナノマシンの解析は必要不可欠である上に、自身の手で改良を施さなければならないのだ。
常識的に考えれば時間が足りない。時間を費やせば費やすほど犠牲者は増える。しかし、だ。
しかし、この男はただお気に入りの玩具を与えられた子供のように無垢な笑い声を上げていた。



レーダーに灯りが灯る。暗緑色の画面に映し出される光点。そこに添えられている文字はUNKNOWN。
それが電磁波の跳ね返りを受けるごとに瞬き、電子的な警告音を伴って場所を知らせてきていた。
その音に、知らず知らずの内に泥のような眠りに引きずり込まれかけていたベガは、ハッと目を覚まし、慌ててレーダーを見やる。
相対距離は20キロ未満。歩みは遅いが程なく目視圏内に入るだろう。
手早く情報を整理すると手を伸ばし通信コンソールのパネルに触れた。小気味のいい音を立てて通信がユーゼスの乗機ゼストへと繋がる。

「何事だ?」
「基地西部からアンノウン一機接近中。ユーゼス、どうします?」
「ふむ……そうだな、ローズセラヴィ単機で接触。信用が置ける相手かどうかの判断は任せるが、極力施設には近づけさせないでもらいたい。
それと私の援護は期待できないものとして当たれ。いいな?」

援護が期待できない――そこに僅かな引っかかりを覚える。ふと視線が絡む。
そこで感情を読み取ったのか、ユーゼスは首輪を指し示しながら言葉を重ねてきた。

「私の機体はこちらに回していて他の事に割く余力がないのだよ。無論、動きが取れるようになり次第加勢には出るが、余り期待しないほうがいい」

『メリクリウスは……』そう喉元まで出掛かった声を押し殺した。
きっと彼に考えがあるのだろう。理論的に物事を捉える人だ。メリクリウスのことを見落とすはずはない。
ならば、要らぬ詮索は必要ない。要るのはただ一つの言葉だけ――

「……了解」
「では、健闘を祈る」

それで交わした視線は離れ、通信は砂嵐に塗れて閉じられた。胎の底に冷え冷えとしたモノが残り、僅かな嫌悪感が身に纏わりつく。
それを頭から振り払い――
511解し得ぬ存在 ◆7vhi1CrLM6 :2008/02/08(金) 20:42:06 ID:CkDg9n48
「彼は感情表現が不器用なだけなのよ」

思いなおした。
だから自分がしっかりせねばならない。その不器用さから起こる衝突をフォローしなくてはならない。
その為には誰よりもまず自分自身が彼を信頼すべきなのだ。それが彼が見せる未来に、道に身をゆだねると決めた者の最低限の責務なのだ。
そう思い定めると、迷いを振り切るようにローズセラヴィーをベガは発進させた。



何かが頭上を通り過ぎる重音と駆動音が地下の天井を揺らし、鉄骨に吹き付けられた耐火皮膜がパラパラと降って来た。
それを両手を後ろ手に鉄骨に縛り付けられたままぼんやりと眺めている。

『俺の言葉はお前の言葉だ。俺の考えはお前の考えだ。 ……さぁ、もう一度聞くぞ。
――お前は一体どうしたいんだ?』

あれからずっとその答えを考えている。そして、その最も単純な答えは見つけていた。
生きたい。そこに疑いはない。何の為に生きたいのか、その明確な目標もある。
アルに、クリスにどうしようもなく会いたいのだ。あの温かい日々が恋しいのだ。
だったらあの男の誘いに乗ればいい。そう思う。それしか生きる道はないのだ。
だが、それでもあの声が耳元でざわめく。

『殺して生き残って、それでもアルやクリスに会えるのか? 人殺しの癖に胸を張って会いに行くのかい?』

あの男の言うがままに動けば、死ぬことよりも更に恐ろしいことになる。 あのとき、感じたそんな予感。
人殺しなんかよりも遥かにおぞましいモノに加担してしまうのかもしれない。今、ひたひたと忍び寄ってくるそんな予感。
そを感じるだけに余計に言葉が詰まる。当たり前だったはずの答えが出ず、思考は堂々巡りを繰り返す。
結局は夢の中と何も変わりはしない。煮えきらず。流れ流される半端者。
そんな思考の波の中でバーニィはふと思った。

――本当にあの男に従うしか、生きる方法はないのか?



通信を閉じたあと、シートに浅く腰掛け直すと体重をシートに預けてグッと体を伸ばした。
それだけのことをしてもコックピットシートは軋む音一つあげはしない。
中空を見つめて目を瞬かせたあと、口元にうっすらと笑みを浮かべる。

――他の事に割く余力がない? 馬鹿を言うな。

通常AI1のメディウスの制御に割かれているものまで総動員して首輪を解析するなど、自らの身の安全を丸ごと他人に委ねるなど、誰がそんな馬鹿げたことをするものか。
あんなものはただの口実だ。
接近してくる機体とローズセラヴィー、二つの機体のデータを収集しAI1に学習させる。そのための口実だ。

「その程度ことも見抜けないとは……自ら目を塞いだか」

本来ならば、この程度の嘘など軽く見破るだけ洞察力を備えた女であるとユーゼスは見ている。
にもかかわらず、見えていない。いや、見えてはいるのだろう。しかし、そこから必死に顔を背けている。
人は自らが見たくないものを見ようとしない習性があるという。
これがまさしくそうだ。
『信頼』などという形のないモノに囚われて、目を塞ぐ。それも四方八方の者に対してだ。
実に愚かな行為と言えるだろう。だが、それだけに――

「……惜しいな」

そう思わずにはいられない。自分のみ忠誠を誓い、他の者に対して非道に徹しきれれば、どれほど有能な駒となれるものか。
才を活かしきれぬ者。それが残念でもあり、不憫でもあった。
512解し得ぬ存在 ◆7vhi1CrLM6 :2008/02/08(金) 20:43:59 ID:CkDg9n48
「まぁいい。今はメディウスの……いや、ゼストの糧となれ」

呟く。これからの行動は全てAI1に解析され、フィードバックされる。ベガの動きも、新手の動きもだ。
才を活かせぬ存在とは言え、AI1の教育には利用できる。その上で戦況如何では介入も辞さない心構えだった。
そして、もし万が一相手の機体の必要性をAI1が、いやユーゼスが感じたそのときは――

「ッ!!」

瞬間、コックピット内に響き渡った警報に顔を上げた。
咄嗟に目を走らせたディスプレイが真っ赤に染まるのを確認して、思わず唇を噛み締める。

――ウィルスだとッ!!

手元に引き寄せたキーボードを素早く叩き、撃退ワクチンを投入する。
リセットされる警報に胸を撫で下ろしたその瞬間、再び警報がざわめきを発した。
ディスプレイが防壁突破の事実を指し示す。
舌打ち一つ。無意識下で複数のワクチンを投入しながら頭を巡らせたユーゼスは解析中の首輪を睨みつけた。
その周辺はベンゼン環を思わせる六角形の金属片に変質していた。侵入経路は疑うべくもない。
再び唇噛む。ワクチンなど何の役にも立っていなかった。侵食力が強すぎる。
打つ手がなく、AI1の中枢プログラムへと侵入が開始される。
その時だ。ラズナニウムの自己修復プログラムが起動する。
ラズナニウムの自己修復プログラムはあるべき状態に機体を保つためのプログラムである。
正常な状態に機体を維持するべくラズナニウムが活性化する。
それがナノマシンを押さえ込み、ソフト面とハード面両面からの侵食を押さえ込みにかかった。
だが、まだ弱い。
AI1の中枢プログラムまで侵入しかけたウィルスの進行は押さえ込むことには辛うじて成功した。
だが、それは辛うじての均衡だ。
膨大な数の防壁の敷き合いと突破。それがAI1とナノマシンの演算の元行われている。
奪われては奪い返す。その均衡は、剣切っ先を突き合わせて全力で押し合っている形によく似ている。
一度切っ先がずれればどちらの胸元に剣先が突き刺さるかは分からない。
そんな簡単に崩れ去る均衡だった。
事実、均衡は簡単に崩れ去った。一連の流れの傍らで作成した自作のプログラムをユーゼスが走らせる。
それがAI1の一助となりナノマシンの侵食を徐々に押し戻し始めた。そして、それはすぐに抗い難い勢いとなりメディウス・ロクスを正常な状態へと戻していく。
そして、ウィルス駆除完了をディスプレイが告げた。告げたかに見えた。三度、警報は鳴り響く。
首輪の解析開始と同時に侵入し、これまで各所に潜伏していたウィルスが同時に侵食を開始した。
もはやどことは言わない。
目に留まるコックピットの周辺だけですら、至る所からナノマシンが侵食を開始し、変質させていく。
その勢いは完全にラズナニウムの自己修復能力を上回り、AI1は自己の中枢プログラムの防衛をユーゼスの手を借りて辛うじて死守している状態だった。
だが時間の問題だ。十重二十重の防壁が数秒も持たない。時間稼ぎが精一杯。その事実がユーゼスに呻き声を漏らさせる。

「……馬鹿な。この私がたかがナノマシン如きに敗れるというのか・・・・・・。
何故だ。何故……何処で間違った!」

が、次の瞬間、コックピットの床から吹き上げてきた緑の蛍火が場を満たした。
それが下から上へと溢れ出す。何かに呼応するように明度と輝度を増し、活性化していく。
その光が突き抜けていったとき、場の至る所に浸食していたナノマシンは首輪に完全に押さえ込まれていた。
一連の出来事に呆気に取られたユーゼスは、それでも頭の隅を働かせて考えていた。
恐らくはこれで解析は一気に押し進むだろう。
一度侵入を許し変質しかけたメディウスにはその痕跡が残っているはずであり、解析パターンの一助となりえるはずだ。
しかし、しかしだ。
自己の理解の届かぬ範疇の出来事。自身がただ何かに踊らされたかのような出来事。
それが気に入らない。絶対的に気に喰わないのだ。
だが、もうどうしようもない。全ては自分の手の届かぬところで起こり、終わってしまったのだ。
それゆえに歯を食いしばり、悔し紛れに呟くことしか、ユーゼスには残されていなかった。

「……全て計算通りだ」


513解し得ぬ存在 ◆7vhi1CrLM6 :2008/02/08(金) 20:44:38 ID:CkDg9n48
【ユーゼス・ゴッツォ 搭乗機体:メディウス・ロクス(スーパーロボット大戦MX)
 パイロット状態:苛立ち
 機体状態:第二形態 竜馬の接近に伴いゲッター線活性化 良好
 現在位置:G-6基地
 第一行動方針:半壊した首輪の解析
 第二行動方針:AI1の育成、バーニィへの『仕込み』
 第三行動方針:首輪の解除
 第四行動方針:サイバスターとの接触
 第五行動方針:20m前後の機体の二人組みを警戒
 最終行動方針:主催者の超技術を奪い、神への階段を上る
 備考1:アインストに関する情報を手に入れました
 備考2:首輪を手に入れました(DG細胞感染済み)
 備考3:首輪の残骸を手に入れました(六割程度)】

【ベガ 搭乗機体:月のローズセラヴィー(冥王計画ゼオライマー)
 パイロット状態:良好(ユーゼスを信頼)
 機体状態:良好
 現在位置:G-6基地西部
 第一行動方針:接近してくる者(竜馬)との接触
 第ニ行動方針:G-6基地の警護
 第三行動方針:首輪の解析
 第四行動方針:マサキの捜索
 第五行動方針:20m前後の機体の二人組みを警戒
 最終行動方針:仲間を集めてゲームから脱出
 備考1:月の子は必要に迫られるまで使用しません
 備考2:ユーゼスの機体を、『ゼスト』という名の見知らぬ機体だと思っています
 備考3:ユーゼスのメモを持っています】

【バーナード・ワイズマン(機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争)
 搭乗機体:なし
 パイロット状況:頭部に軽い傷(応急処置済み)、後ろ手で柱に縛りつけられている
 現在位置:G-6基地地下発電所
 機体状態:苦悩
 第一行動方針:ユーゼスに協力するのか選択
 最終行動方針:生き残る】

【流 竜馬 搭乗機体:大雷鳳(バンプレストオリジナル)
 パイロット状態:怒り、衰弱
 機体状態:装甲表面に多数の微細な傷、頭部・右腕喪失、腹部装甲にヒビ、胸部装甲に凹み
 現在位置:G-6西部(基地外)
 第一行動方針:G-6基地で機体の整備
 第二行動方針:クルツを殺す
 第三行動方針:サーチアンドデストロイ
 最終行動方針:ゲームで勝つ
 備考1:ゲッタートマホークを所持
 備考2:百式の半身を引き摺っている】

【メリクリウス(新機動戦記ガンダムW)
 機体状況:良好
 現在位置:G-6基地内部】

【二日目4:30】
514 ◆7vhi1CrLM6 :2008/02/08(金) 20:47:44 ID:CkDg9n48
投下終了です。
ナデシコ組はどうしたと言われたらごめんなさいとしか言えない。
いや、一応書きかけではあるんだけど上手く話がまとまらなくて……。
プログラミングとかさっぱりなんで多分かなりおかしいところがあるのでじゃんじゃん突っ込んでください。
515それも名無しだ:2008/02/08(金) 22:51:54 ID:pLZ0gnB4
投下乙です
ゲッター線が暴れ出すわメディウスは乗っ取られかけるわユーゼスはかなり綱渡り状態だなぁw
一番首輪解析に近いんだが一番危険なところにいるという……バーニィもどう動くのか分からないし基地周辺の今後が楽しみだ
プログラミングとかは自分もさっぱりですが、大丈夫じゃないかと無責任に言ってみる
ナデシコ組のほうも期待して待ってますよー
516それも名無しだ:2008/02/09(土) 02:11:27 ID:X3jt6DV/
乙!
ユーゼスはDG細胞・アインスト細胞・ゲッター線と不思議エネルギーに振り回されてるなw
ベガさんは竜馬とぶつかりそうだけど南下してる二人は間に合うのだろうか
517それも名無しだ:2008/02/10(日) 11:46:41 ID:doLuaqFS
投下GJ!
ユーゼス、本当はかなり有能なはずなのに失敗するヴィジョンしか浮かばないw
具体的に首輪を弄ってる唯一のキャラだからもっと頑張ってくれない困るんだけどなぁw
竜馬の性格+百式の残骸から考えるとベガさんとの激突は必至っぽいな
カミーユなんかは百式を見ただけで逆上しそうだ
素早いwiki転載&地図作成した人もGJ!
518それも名無しだ:2008/02/13(水) 10:45:51 ID:bSkATbgq
519それも名無しだ:2008/02/14(木) 22:02:16 ID:mPGyxQ1n
520それも名無しだ:2008/02/14(木) 22:07:29 ID:bWo4lZUS
521それも名無しだ:2008/02/14(木) 23:49:34 ID:/NMudLK7
522それも名無しだ:2008/02/15(金) 00:43:15 ID:Xj25IWT1
523それも名無しだ:2008/02/15(金) 22:46:52 ID:kE9O4cJC
ちょっと質問を失礼します。
ナデシコの艦内設備って何が分かる人いますか?
とりあえずブリッジ・食堂・医務室・格納庫となんか外みたいな部屋は分かるんですが他が思いつかなくて。
あと外観見ても甲板が存在するのかも良く分からないです。
524それも名無しだ:2008/02/16(土) 00:55:37 ID:zz3J9Y/y
大浴場とか和室とかなかったっけ?
誰かが脱衣所で牛乳飲んでたイメージが頭に残ってる
525それも名無しだ:2008/02/16(土) 04:07:59 ID:GA3QVJe0
なんか娯楽場みたいなのもあった気がする
526それも名無しだ:2008/02/16(土) 15:09:50 ID:JXvXzb35
ナデシコは居住性高いからある程度は融通が利くんじゃないかな
「こんなこともあろうかとぉ!!」で、実は作ってましたなノリでいけそうな気がw
527それも名無しだ:2008/02/16(土) 19:58:07 ID:J5gOE/ay
なぜなにナデシコ収録スタジオがあるくらいだ。
もうナデシコ内には何があっても驚かない。
528それも名無しだ:2008/02/19(火) 23:00:48 ID:NJm3Dfn1
529それも名無しだ:2008/02/21(木) 10:14:08 ID:Z4ea53vE
530それも名無しだ:2008/02/23(土) 04:38:23 ID:ZDzeJ5nQ
531それも名無しだ:2008/02/23(土) 09:55:51 ID:7EC29Kg9

532それも名無しだ:2008/02/24(日) 18:55:24 ID:hcXQWx6z
533それも名無しだ:2008/02/24(日) 19:49:46 ID:6pG6PE0e
534それも名無しだ:2008/02/25(月) 13:26:18 ID:xJCmKylz
535それも名無しだ:2008/02/25(月) 13:53:21 ID:CDGLyEF5
穂蓑よしゆき2………
 
☆ゅ
536 ◆ZbL7QonnV. :2008/02/25(月) 16:16:14 ID:85R7+ALD
ブンドル予約。
537ヘヴンズゲート ◆ZbL7QonnV. :2008/02/25(月) 17:33:35 ID:85R7+ALD
 レオナルド・メディチ・ブンドル。
 今現在の段階において、バトルロワイアルの破壊と言う最終的な目的に、最も近い場所に位置しているのは彼かもしれなかった。
 情報分析分野に於いて比類無き能力を発揮する彼の頭脳は、この凄惨な殺し合いが始められてから一日を待たずに脱出の糸口を見付け出していた。
 この殺し合いが開始されてからまず、ブンドルはサイバスターのラプラスコンピューターにあるデータを入力していた。
 それはブンドルが自分の元居た世界に於いて、グッドサンダーチームと奪い合った超エネルギー、ビムラーのデータであった。
 あらゆる無機物に自意識を持たせる事が可能なビムラーであれば、首輪を解除する事も不可能ではないのではないだろうか。
 外部から首輪を解除するのではなく、首輪自身に爆破機能をカットさせる。それならばアインストの妨害を受ける事無く、首輪を解除する事も出来るはず。
 いや、そうでなくとも瞬間移動を可能とするビムラーであればアインストの手が届かない世界に退避した上で、首輪の解析に取り掛かる事も充分可能なはずである。
 そう考えたブンドルは、ビムラーのデータをラプラスコンピューターに入力し、その捜索を行っていたのだった。
 もっとも、それが望みの薄い賭けである事は、ブンドル自身も理解していた。
 ビムラーは、宇宙意思“ビッグソウル”の導きによって、新人類の進化を促すエネルギーである。
 真田ケン太のような“選ばれた者”が居ない限り、ビムラーがその力を発現させる事は決して無いだろう。
 だから、実を言うと、ブンドルはビムラーの捜索に大した成果は期待していなかった。
 ……だが、その捜索は思わぬ結果を生み出す事となる。
 ビムラーと酷似した性質を持つ“あるエネルギー”の存在を、ラプラスコンピューターは捕捉していたのだ。
 その名は、ゲッター線。宇宙から無限に降り注ぐそのエネルギーを検知した瞬間、ブンドルはある一つの疑問を抱いた。
 この殺し合いが行われている会場が閉鎖空間である事は、あの光る壁を見て疑う余地など無い。
 だから、普通はこう考える。
 あの光る壁を突破しさえすれば、その向こう側には“会場の外”が存在するはずだと。
 だが、違う。ブンドルは確信を持って、その考えを否定していた。
 あの光の壁を飛び越えた向こう側には、何もありはしないのだ。
 根拠なら、ある。
 この殺し合いに放り込まれてから、ブンドルは会場内の情報を集めていた。その中には、都市の様子を撮影した画像データも含まれている。それを見て、ブンドルの疑問は確信に変化した。
 あまりにも、綺麗過ぎる。
 そこが人間の生活していた場所である限り、ゴミの発生は抑えられないはずだ。それなのに、ゴミが何処にも落ちていない。
 人間の生活臭が、全く存在しないのだ。 
 商店を探せば物は置いてあるし、家屋には生活用具も揃っている。だが、それが使用された形跡は見当たらない。
 つまり、この世界に人間が存在していた事は無いのだ。
 この会場は住民全てを都市から退去させた上で、光の障壁で覆い隠したわけではない。 むしろ新しく世界を創り上げた上で、その中に参加者を放り込んだと考えた方が納得出来る。
 そこで、ひとつ疑問が生じる。
 この閉じ込められた世界に対して、どうやって“外部の力”が影響を与える事が出来たのだ……?
 その疑問は氷解した。エネルギーの発生源を探り当てた、ラプラスコンピューターの働きによって。
 この世界には、ほんの僅かに綻びが存在する。
 もしアインストの喉元に喰い付こうとするならば、その綻びを突き抜けるしかない。その綻びに膨大なエネルギーを叩き付けて、強引に世界の綻びを広げるしかないのだ。
 少なくとも現状取り得る手段の中では、それが最も有効な手段のはずだった。
 サイバスターの最強攻撃手段である、コスモノヴァの火力だけでは足りない。それと同等以上の攻撃力を持った機体が、あと最低三機は必要なはずだ。
 空間の綻びが存在する地点は、D−4エリア。その超高々度に、アインストに至る門は存在する。
 その情報を今まで秘していたのは、無論会話を傍聴されている危険性を考慮しての事だった。


538ヘヴンズゲート ◆ZbL7QonnV. :2008/02/25(月) 17:34:16 ID:85R7+ALD
「……どうやら、手遅れだったようだな」
 沈痛な面持ちでブンドルは呟く。
 間に合わなかった。ブンドルが辿り着いた場所で目にしたのは、巨大な爆発が起きた形跡。そこには、何も存在しなかった。
 この爆発に巻き込まれて、ギンガナムは逝ったのだろうか。もし生き延びる事が出来たと言うのならば驚愕に値するが、その可能性は決して高くはないだろう。
 もし無事であるならば、あの好戦的な男の事だ。あれだけ関心を示していた獲物――マスターガンダムと言っていたか――を見過ごす事などありえないのだから。
 もし彼が死んでしまっていたというのならば、それは手痛い損失だった。
 単純な戦闘力は勿論の事だが、あの男が持つ“黒歴史”の情報は実に得難いものだったのだから。
「アムロ・レイに、ガロード・ラン……彼等は無事だと良いのだが……」
 現在別行動を取っている、二人の顔を思い出す。彼等の無事を、ブンドルは願わずにいられなかった。



【レオナルド・メディチ・ブンドル 搭乗機体:サイバスター(魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL)
 パイロット状態:主催者に対する怒り、疲労(主に精神面)
 機体状態:サイバスター状態、各部に損傷、左拳損壊
 現在位置:D-3
 第一行動方針:協力者を捜索
 第二行動方針:三四人の小集団を形成させる
 第三行動方針:基地の確保のち首輪の解除
 第四行動方針:閉鎖空間の綻びを破壊
 最終行動方針:自らの美学に従い主催者を討つ
 備考1:ハイ・ファミリア、精霊憑依使用不可能
 備考2:空間の綻びを認識】

【二日目5:45】
539それも名無しだ:2008/02/25(月) 17:35:15 ID:85R7+ALD
ブンドル局長投下。空間の綻び云々に関しては、実を言うと去年から考えてた事だったりする。
具体的には、アムロと局長が合流する少し前辺りから。
もっとも、その後局長関連で動きがあって「あ、こりゃ単独調査入れてる状況じゃねーわ」と思って自粛してたわけだが。
だけど最近は投下も少ないし局長も一段落付いたんで、アイディアを解凍する事にした。
ちなみに今の中盤時期に脱出フラグを立てるのは、後になっての唐突な超展開を避ける為です。
早い内に問題の解決策を提示しておけば、それだけ後々の展開に余裕が持てる。
その辺り、初代は結構行き当たりばったりな所が多かったからなあ……。
一応超攻撃力の機体を集めても即脱出に繋がらないよう、禁止エリアを脱出地点に設定しておきました。
何か問題があれば、なるべく早い内に指摘お願いします。近々、しばらくネットに書き込めない状況が続く予定ですので。

それにしても過去作を振り返ってみると、局長関連を結構多く書いてるなあ、俺。
これ、ぜってー母さんの影響だ。うちの母さん、ブンドル様(つーか塩沢兼人さん演じる美形全般)の大ファンだったから。
ぶりぶりざえもんの話をしたら、マジで怒られた事がある。
540それも名無しだ:2008/02/25(月) 21:56:50 ID:MG7Oljkt
久々の投下GJ!
自分も前々から氏のブンドルの書き方は上手いと思ってたんで納得です。
しかし羨ましい母上だなぁ……
脱出フラグも絶妙なバランスだと思います。
対主催同士の仲が悪いここじゃなかなか難しい勝利条件だし。
541それも名無しだ:2008/02/26(火) 21:04:42 ID:psJY/rYp
いつの間にか投下が!
GJ!!
この仲の悪い対主催たちだから喧嘩しているうちに空間壊しそうな気がしないでもないw
542それも名無しだ:2008/02/28(木) 22:53:51 ID:vWXVwglD
投下乙

コスモノヴァ並って言うとやっぱスーパー系に限られるな。
Jアーク、ガドル・ヴァイクラン、AI1、真ゲッターとこんなもんか。
・・・こいつら誰も結託してねぇw
543それも名無しだ:2008/03/02(日) 02:20:49 ID:b23GBV4/
反応弾も弾数結構あるしバルキリーの残骸から回収すればあと幾つかあるしでいけそうかな。
後はブレンも不思議パワーが使えそうなイメージ。
544それも名無しだ:2008/03/02(日) 02:27:58 ID:EhXj1bqR
ローズセラヴィーもいける気がする
545それも名無しだ:2008/03/02(日) 12:59:08 ID:jePxQL04
Vガンのウッソみたく、核融合炉搭載の機体を破壊、とかでも代用できそうだ。
546それも名無しだ:2008/03/02(日) 13:19:18 ID:dJEhZKlH
ブラゲ修理すれば武蔵流ゲッター炉暴走破が使えるな
でも肝心の武蔵筆頭スレッガーさんヒイロアスラン綾波等の自爆キャラがいない
547それも名無しだ:2008/03/02(日) 18:39:21 ID:KyBJj7rd
>>546
スパロボ的にはバーニィも自爆キャラな気が
548 ◆7vhi1CrLM6 :2008/03/02(日) 22:55:17 ID:1W9rJEtn
アキト・キョウスケ・カミーユ、予約します。
549それも名無しだ:2008/03/02(日) 23:00:45 ID:Ku36sqxN
アキト……いくら何でも無茶杉だろ。
相手は本来の乗り手にキレルとヤバイニュータイプ
550それも名無しだ:2008/03/02(日) 23:07:16 ID:u/Rd8bBE
しかもファルケンとバルキリーだから下手したら攻撃届かず狙い撃ちされr
551それも名無しだ:2008/03/02(日) 23:14:00 ID:YItZ1X5V
さらにアルトだけ空飛べない
勝利の鍵は水中戦?
552それも名無しだ:2008/03/02(日) 23:47:04 ID:dJEhZKlH
俺も昔その面子でアキトがアルフィミィの所からワープするの使ってアキトに奇襲させて
キョウスケ補給の前に死んでカミーユキョウスケの首輪持って蜻蛉返りって話書いてたっけ
結局出来る前に話進んちゃったけど
553Withdrawal Symptoms ◆7vhi1CrLM6 :2008/03/03(月) 21:47:50 ID:hUDtx23r
暗い闇が視界を満たしている。何一つ見当たらない漆黒の闇。
しかし、無明ではない闇。瞳が捉えることの出来る闇だ。
久方ぶりに自らの目で確認するそれは輪郭の定まらないぼんやりとしたもので、いつになく優しく見えた。

「ふっ……」

笑いがこぼれる。
滑稽だった。闇を優しいと感じているのだ。
人が有史以来、怖れ、常に遠ざけようと努力してきたそれをだ。
心が昂る。機速が増す。
この程度の暗さなど闇の内に入らない。少なくともアキトは知っている、光を奪われた視界というものを。
不意に眩い光が奔り、慌てて機体を止めた。
心の昂りを押さえ込み、努めて冷静にグルリと周囲を一望する。
南と東は湖。北は平原。西は湖と平原が半々の湖岸。不審なものはなにもない。
湖岸沿いに南下してきて来た。それが湖にぶちあたり、水面で照り返した月明かりが目に入った。
気のせいか? そう自問した次の瞬間、視界が回り強烈な吐き気を催した。続けて口中に嫌な苦味が奔る。
咄嗟に口を押さえたときには、胃酸と混じりあったドロドロの茶褐色を吐き出していた。
指の隙間からボタボタと垂れ下がり、床に溜まりを成す。鼻を突き咽返るような臭気が立ち込める。
呼吸が荒い。口内の粘つき苦みばしった唾液に辟易しながらも呼吸を整え、咽て咳き込んだ。
同時に船酔いのように視界が揺れ動き、吐瀉物の中に頭から倒れこんだ。
世界が回っている。
起き上がろうとコックピットシートを掴み、腕に力を込める。縋りつくようにして身を起こし、再び倒れこむ。
グチャリと吐瀉物が顔に押しつぶされるのがわかった。
咽返る臭気とニチャリとした口内の感触に胃が逆流する感覚に襲われ、また吐く。
体は動かない。全身の筋肉が痙攣を起こし動けない。
寒気がした。同時にぬるま湯に浸かっているような暖かさも感じた。
耳は甲高く鳴り響き、ぼんやりと焦点を失い始めた視界はなおも回り続けている。
自分の体が縦なのか、横なのか。それすらも壊れた三半規管は教えてはくれない。
薬で強引に働かせるという無理に無理を重ねた五感が、叛旗を翻していた。
気をしっかり持て。そう自分に言い聞かせる。
正直、予想外ではあった。痛覚に訴えてくるものだと思っていたのだ。
痛みなら耐えられる。正常を保てる。そういう自信があった。
だがこれは痛みではない。
体の中身が壊れた。形はそのままに機能が狂ってしまった。そういう苦しみだ。
かつて体を弄り回されたときの再現でもある。
理不尽なまでに一方的な力。意志の力でどうこうなるのは正気を保つことだけだった。
だが、皮肉にも正気を保とうとすればするほど体は精神を蝕んでいく。
もぞっと手の甲で何かが這った気がした。思わず払いのける。
しかし、もぞもぞと何かが這い回る感触は離れない。鼓動が早鐘を打つ。
視線がゆっくりと動き、それを見た。
手の甲に浮かんだ蒼白い血管。そこで小さな腫瘍のような膨らみが、動いていた。
血管の中で何かが蠢いている。
蜘蛛。咄嗟に思い浮かんだのはそれだった。
小蜘蛛がゆっくりとゆっくりと血管を這い登っている。疼くような感覚を伴いながら膨らみが手首に差し掛かる。
耐え切れなくなり思わず手首を掻き毟り――

ぷちゅ

柔らかい小蜘蛛が血管内で潰れた。流れ出した白い体液が血液に混じり、体中に循環していく。
全身を掻き毟りたい衝動に襲われ、そして、今度は逆の手首と首筋で小蜘蛛が蠢いた。
554Withdrawal Symptoms ◆7vhi1CrLM6 :2008/03/03(月) 21:48:49 ID:hUDtx23r
 ◆

それは夜の色だった。闇夜に溶け込む深い青。
もし自分が夜間迷彩を施したとしたらこんな色にしただろう。
そういう色をしたアルトだった。
だがそれはありえない色だ。
人類初のPTゲシュペインスト。アルトアイゼンはその三号機タイプTを母体に改造された機体だ。
母体が一機しか存在しない以上、アルトアイゼンもまた一機のみ。
ユーゼスの乗っていた赤いアルトがある以上、この青いアルトの存在はありえないである。

「中尉、あの機体は……」
「アルトだ、多分な。だが俺の知らないアルトだ」

質問に歯切れ悪く答える。今のところ自分でも結論がついていないのだ。
赤いアルトと青いアルト、それに元の世界で乗っていたリーゼ。この三機の相違の意味を未だ見出してはいない。

「カミーユ、接触するぞ」
「……」

返事はなく。若干俯く姿がモニター越しに映し出される。

「どうした?」
「いえ……分かりました」

釈然としない返事がなされる。
カミーユもカミーユであの機体をいぶかしんでいるのだろうか。
そう思いつつ隼は、文字通り飛ぶように距離を縮めていった。

 ◆

手に何かが触れた。
はっとして顔を上げる。
白い艦長服に身を包んだ葵い髪の少女がそこにはいた。

「……ユリカ」

思わず声が漏れる。錯乱した脳がまとまらない呟きを浮かべる。

「何でお前が死ななければならなかったんだ?
 少なくともあの戦争が終わり……までは生きる権利も意味もあったはずだ……なのに」

彼女は何も返さない。
いつも人一倍にぎやかな彼女に似合わずただ静かに微笑みかけている。それだけだった。

「俺は? 俺はここで何をしている?」

俯き、束の間目を離した。その隙に彼女の幻影は跡形もなく消え去ってしまった。
555Withdrawal Symptoms ◆7vhi1CrLM6 :2008/03/03(月) 21:49:32 ID:hUDtx23r
どうしようもない喪失感が胸に穴を空け、そして――黒い壁。全身の身の毛がよだつ。

「悪いな。ついうっかり踏んじまったか」

陰湿な声。その向うに奴が居た。
瞳に殺気が宿る。噛み締めた歯が音を立てる。

「くくく……憎いか? 俺が憎いか? そうだ俺を憎め! さあ! さあ!! さあ!!! 」

空いた穴を憎悪が埋めていき、貴様だけは生かしておけない、そう思った。

「ガウルウウウゥゥゥゥゥゥンンンンンンンンン!!!!!!!!!」

絶叫と同時に跳びかかる。
しかし、膝に力はなく伸ばした手は空を切り、アキトは崩れ落ちた。
足の筋肉が痙攣していた。投げ出された人形のように床に転がりながら、それでもアキトは睨め付ける。
薄ら笑いを浮かべたガウルンが背を向ける。
まてッ! そう思った。
行くなッ!! そう願った。
殺してやるッ!!! そう念じた。

「くくく……ははははははははははははははははははははははははは!!!!!!!!」

しかし、高笑いを残してガウルンは跡形もなく消え去って行った。無力感が体を押し包む。
そして、小蜘蛛は再び蠢きはじめる。

 ◆

青いアルトアイゼンに取り付いたキョウスケは、手際よくコックピットハッチの開放手順を踏んでいた。
位置・形状、共に自身の知るアルトと何の相違も見られない。システム的にも全くの同一。
ゆえにその動作はキョウスケ=ナンブにとって手馴れたものであり容易であった。
音を立てて腹部のハッチが開放される。
警戒して身構えたキョウスケを、異臭が包み込んだ。その余りの匂いに思わず一歩退く。
中には一人の青年が吐瀉物に塗れて倒れていた。

「大丈夫か?」

声を掛け踏み出した一歩が吐瀉物を踏みつけずるりと滑る。構わずに詰め寄り、抱え挙げるとシートに座らせた。
観察の目を奔らせつつ再度呼びかける。

「聞こえるか? 何があった?」

反応はない。表情は弛緩し目は虚ろ、体は悪寒に震えている。
右の手を取り袖をたくし上げる。針跡こそ無いものの無数の引掻き傷がそこにはあった。
薬物か――そうキョウスケは判断した。
現実に中毒者を見た経験はない。しかし、耳にする禁断症状の幾つかと目の前の青年の症状は重なっている。
そして、それを疑う材料は何も無かった。視線を青年の右腕から首元へと移す。

『道中にこれも取ってきてもらおうか』

ユーゼスの声が脳裏に蘇ってきた。
カミーユからそれを取るつもりは自分にはない。他の敵対しない者たちに対しても同じである。
ではこの青年はどうだ?
確かに敵対者ではない。しかし、正気を保った健全者でもない。
保護を行なう理由は何もなく、首輪が必要なことは明白な事実として眼前に存在している。
556Withdrawal Symptoms ◆7vhi1CrLM6 :2008/03/03(月) 21:50:17 ID:hUDtx23r
ユーゼスならば躊躇無くこの男を殺せと言うだろう。だが、俺は――

どうする?

不意に、驚くほどしわがれた声が空気を震わせた。

「ユ……リカ」

思わず持ち上げた視線が青年のそれと絡み合う。
いや、僅かに力強さを増しつつも未だ虚ろなその瞳はキョウスケを捉えてはいない。
何か別の、違う何かをここに見据えている。そんな感じの目だった。
乾きひび割れた唇が動く。かすれた切れ切れの声が耳朶を打つ。

「……は? 俺…は……何を……?」

何を言っているのかはよく分からなかった。だが、何となく理解できた。
これは謝罪だ、護りたかった者への。
これは後悔だ、自身の不甲斐なさへの。
同じだ。そう思った。
こいつは俺と同じだ。こうなったかもしれない自身の一つの形だ。
頬が弛み、漏れた笑い声が狭い空間を満たす。首輪を取ろう等という考えはもう霧散していた。
突然の笑い声に驚いたのか、警戒中のVF-22の外部スピーカーから声が飛んで来る。

「キョウスケさん?」
「いや、すまない。何でもない。機内には病人が一人乗っている。保護するぞ」
「そうですか……」

ハッチを潜り、コックピットカバーを足場にして立ち上がったキョウスケの目の前にVF-22は立っていた。
気乗りの無い声が気にかかる。思えばこの青いアルトとの接触を決めたときからそうだった。

「どうした?」
「いえ……」

歯切れの悪い返事。
ちょっと考えるような間が空き、再びVF-22の外部スピーカーが声を伝える。

「先行して基地に戻ります。あの男と二人きりベガさんが気にかかりますし、それに嫌な予感がする」
「そうか……分かった先行しろ。ただし無茶はするな」
「大丈夫ですよ。子供じゃないんだから言われなくても分かっています」
「そうだったな。それと放送後一時間以内に帰還しなければ俺は死んだものとして動け」
「分かりました。放送一時間以内に生還ですね。必ずですよ」

キャノピー越しに目が合い視線が交わされる。一拍置いて表情が緩んだ。

「そうだな。放送一時間以内に必ず戻る」
「了解。ではカミーユ=ビダン行きます」

轟音と熱風を残してVF-22が飛び上がる。
それは上空で瞬く間に戦闘機へと姿を変えたかと思うと、数瞬後には北の空に飲み込まれて消えていった。
557Withdrawal Symptoms ◆7vhi1CrLM6 :2008/03/03(月) 21:50:50 ID:hUDtx23r
【テンカワ・アキト 搭乗機体:アルトアイゼン(スーパーロボット大戦IMPACT)
 パイロット状態:マーダー化 薬の副作用によるバッドトリップ
 機体状態:胸部に軽度の損傷。3連マシンキャノン2発消費、スクエアクレイモア1発消費
 現在位置:G-8
 第一行動方針:正気を保つ
 最終行動方針:ユリカを生き返らせる
 備考:・首輪の爆破条件に“ボソンジャンプの使用”が追加。
    ・謎の薬を一錠使用。副作用の残り時間は10分】

【キョウスケ・ナンブ 搭乗機体:ビルトファルケン(L) (スーパーロボット大戦 OG2)
 パイロット状況:頭部に軽い裂傷、左肩に軽い打撲、ユーゼスに対する不信
 機体状況:胸部装甲に大きなヒビ、機体全体に無数の傷(戦闘に異常なし)
      背面ブースター軽微の損傷(戦闘に異常なし)、背面右上右下の翼に大きな歪み
 現在位置:G-8
 第一行動方針:アキトの保護
 第ニ行動方針:基地へ戻る
 第三行動方針:首輪の入手
 第四行動方針:ネゴシエイターと接触する
 第五行動方針:信頼できる仲間を集める
 最終行動方針:主催者打倒、エクセレンを迎えに行く(自殺?)
 備考:アルトがリーゼじゃないことに少しの違和感を感じています】

【カミーユ・ビダン 搭乗機体:VF-22S・SボーゲルU(マクロス7)
 パイロット状況:良好、ベガとマサキを心配
 機体状況:良好、反応弾残弾なし
 現在位置:G-8北部
 第一行動方針:基地へ戻る
 第二行動方針:マサキの捜索
 第三行動方針:味方を集める
 第四行動方針:20m前後の機体の二人組みを警戒
 最終行動方針:ゲームからの脱出またはゲームの破壊
 備考:ベガ、キョウスケに対してはある程度心を開きかけています】

【二日目 4:15】
558 ◆7vhi1CrLM6 :2008/03/03(月) 21:56:15 ID:hUDtx23r
投下終了。
バトルを期待していた皆さん、ごめんなさい。
時間軸的に無理でした。
アルフィミィが言う地獄の苦しみを考えてたら麻薬的なものになっちゃいました。
ご指摘よろしくお願いします。
559それも名無しだ:2008/03/03(月) 22:50:39 ID:ontQcmRL
投下GJ!
さすがの描写力……読んでるこちらの方が怖気が走ったほどですよ。
アキトの苦痛の表現についてはそう来たか、という感じ。
確かにストレートな痛みよりこちらのほうがエグいなぁ。
キョウスケのこの判断がどういう結果をもたらすのか今後に期待です。
……何故か悪い予感しかしないんだけど。
カミーユが憎しみの感情に反応していたあたり芸が細かいと思いました。
560それも名無しだ:2008/03/04(火) 18:09:45 ID:y0pVi+lL
投下乙
なるほど、こういう方向の苦痛もあるのか……
自分で選んだ道とはいえ戦闘の度にコレは辛いなアキト
優勝を狙うならステルスっぽく動く可能性も大?
561それも名無しだ:2008/03/05(水) 20:51:15 ID:AeYxuSW9
ユリカ死亡まで対主催で動いてたからステルスしやすいかもな>アキト
ロジャーと接触すれば裏は取れるし
562それも名無しだ:2008/03/05(水) 20:55:04 ID:HuPPFnwg
マーダーつっても最優先はガウルンだろうしな。
条件付きで共闘とかできそうだ
563それも名無しだ:2008/03/05(水) 21:52:36 ID:h3YUwL2/
自分が不利な状況ってのは判ってるだろうから
ステルスぐらいはこなすだろうな。
564それも名無しだ:2008/03/05(水) 22:24:49 ID:RIk6aMh6
超自分勝手・我侭反抗期・薬中病人・賭け好きのチームになる可能性があるわけか
ベガママンが胃潰瘍で倒れそうだなw
565それも名無しだ:2008/03/06(木) 20:28:31 ID:Q2+D5jhB
胃潰瘍……いやストレスで倒れて死亡する参加者……

これは新しい!!前代未聞だ!!誰かぜひやってくれwww
566それも名無しだ:2008/03/07(金) 22:43:02 ID:xFn7CwRg
しかしベガママンは竜馬と接触予定……機体能力では負けてないがチェンゲ竜馬は凄いからな
下手すりゃカミーユの目の前であぼーんってこともありえる
567それも名無しだ:2008/03/08(土) 01:45:28 ID:R9MOSsX2
中の人の強さでいうならベガさんだって相当なもんだぜ?
568それも名無しだ:2008/03/08(土) 01:54:45 ID:fcjuc6+c
ベガさんの生身での強さといったら単独ユニットになれるほどだからなw
MFや零影あたりが支給されてたら戦闘面でも大活躍だったかもしれん
569それも名無しだ:2008/03/10(月) 23:50:21 ID:ViG2O3wZ
一応生身最強はベガママンかな
でもチェンゲ竜馬は何というか凄みが怖いな

保守代わりに作ってみた登場回数ランキングTOP10
※( )内は第一回放送時の順位

1位T: アキト(1位T→)
     キラ(14位T↑)……13回

3位T: ロジャー(3位T→)
     ユーゼス(3位T→)……12回

5位T: ベガ(6位T↑)
     ギンガナム(6位T↑)
     ソシエ(14位T↑)
     カミーユ(14位T↑)
     キョウスケ(14位T↑)……11回

10位T: ユリカ(1位T↓)
     テニア(14位T↑)
     バーニィ(14位T↑)
     ブンドル(14位T↑)……10回
570それも名無しだ:2008/03/11(火) 00:04:25 ID:tHa5uzp4
>>569
まとめ乙
上位陣は話のメインになることも多いし納得の結果だなぁ
ここには入ってないけどナデシコ組はテニア絡みで放送後の登場回数が増えそうだ
あとは基地、ナデシコ、多分合流するだろうアムロ達あたりの投下があれば放送かな?
571それも名無しだ:2008/03/11(火) 21:17:08 ID:XgQyBuOC
しかしここのSSを見る限りベガより御大将の方が強そうだから不思議だw
572それも名無しだ:2008/03/11(火) 21:22:08 ID:TdD2VOLz
使い易い奴、主役級の動きする奴、人気ある奴ってのが揃ってる気がする。

だが、ソシエだけに関してはついで的な出番ばっかりな気がするわ。
573それも名無しだ:2008/03/11(火) 21:38:04 ID:5X0GbMID
戦闘らしい戦闘がないから地味に見えるけど、最近はソシエ嬢もキャラが立ってきた気がするんだぜ
574それも名無しだ:2008/03/11(火) 22:02:03 ID:Fl8XW4nH
アイビスTOP10に入ってないのか……
色々と印象に残る場面があったからちょっと意外だ。
575それも名無しだ:2008/03/12(水) 00:12:34 ID:36Xlfflh
ジョシュアとの絡み、シャアとのvsカテジナさん、ラキ、クルツと組んでのvsギンガナム
確かにアイビスは良シーンが多いな
ボツネタのジョシュアとの話も結構良かったし……って、何であれはボツなんだ?
特に内容に問題あるようには見えなかったし予約被りか何かが原因?
576それも名無しだ:2008/03/12(水) 03:13:44 ID:7cizGIAj
基本的につまらないからな
577それも名無しだ:2008/03/12(水) 21:51:46 ID:iXtNp651
>>575
たしか最初から練習用にIFで書いた話だったような気がする
よくは覚えてないので違ってたらごめん
578それも名無しだ:2008/03/13(木) 23:30:34 ID:lZQd1qtu
単純に投下する前に別の作者さんの手で話が進んじゃったからだったはず。
579それも名無しだ:2008/03/13(木) 23:55:54 ID:2IXFY07t
アゲんな馬鹿
580それも名無しだ:2008/03/15(土) 22:20:51 ID:wQuIighX
>>573
いつか本家ばりにジャーマンスープレックスの如き活躍をだね・・・
581それも名無しだ:2008/03/22(土) 02:06:13 ID:AQY//yQR
捕手
582 ◆C0vluWr0so :2008/03/26(水) 02:22:30 ID:o7woxc2a
お久しぶりです。
クインシィ、ジョナサン予約。
なにぶん久しぶり過ぎて苦戦中ですので、もしかしたら予約延長してしまうかもしれません。
……短い話なのに。
583それも名無しだ:2008/03/26(水) 18:35:02 ID:S/nZa51v
>>582
お久しぶりな書き手さんの予約ktkr
過疎ってるので延長になっても全然大丈夫だと思いますよ
584それも名無しだ:2008/03/27(木) 19:50:34 ID:d9khS1WZ
wikiの死亡者名鑑いじってたんだが一部AAがずれる。
下手なりに絶望先生のAAを修正してたんだけど、絶望した!自分の技量のなさに絶望した!!
ということで誰か修正できる人がいたら頼みます。
585それも名無しだ:2008/03/27(木) 19:57:40 ID:Y6x2eupp
あ、俺も死亡者名鑑弄ろうとして諦めた口だw
wiki独自の書式設定だから2ちゃん仕様のAAはずれるんだよな
文字サイズとかを弄ればどうにかなるのかもしれんが……
586 ◆C0vluWr0so :2008/03/28(金) 01:42:25 ID:jRE+6m8f
えーっと、ガロードとアムロを追加予約してもいいでしょうか?
とは言っても必ずしも必要なパートではないので、現在アムロたちを執筆中、もしくは構想があるという方がいらっしゃれば予約権をお譲りしたいと考えてます。
ぶっちゃけてしまえば放送も近いので動かす必然性の少ないパートはまとめて時間を進めておきたい、というのが本音ですので。
予約期限である29日02:22までに異論がなければそれから投下したいと思います。
予約期限まで残り一日しかない段階でこんなことを言い出してしまったというのは非常に申し訳ないですが……本当すいません。
587それぞれの思惑 ◆C0vluWr0so :2008/03/29(土) 02:51:18 ID:nw9Jkqj+
「……ジョナサン?」
「なんだ、クインシィ」
「……私の言いたいことは分かるだろう」
「……ああ、すまない。やはり時間が経ちすぎていたようだな……」

黒い機体との戦闘から離脱した真ゲッターは、Jアークが待機しているはずのポイントへと到着した。
しかし、暗い森の中の何処にもJアークの巨大すぎる影は無い。
キラと別れた場所から補給ポイントまで何度往復しても結果は同じ。
キラとソロバンはJアークごと何処かへ行ってしまったのだと気づき、舌打ちをするジョナサン。

「だが、お前はこう言った。
 『もしかしたら俺を捜しに行ったのかもしれないな。ここで待ってみるのも一つの手だろう』
 その言葉を信じた私が馬鹿だったようだ。呆れたよ、ジョナサン=グレーン」
「確かにこの何時間かを無為に過ごしたことは謝罪に値する。謝らせてもらう。
 だがなクインシィ、これはこれから俺たちが動く上で重要な指標になることかもしれんぞ?」
「……どういう意味だ」

不敵な笑みを浮かべそのような言葉を口にするジョナサンに対し、クインシィは眉をひそめながら疑問を返す。
無駄にした数時間分の価値はあるのだろうな、と睨み付けながらだ。
ジョナサンはクインシィの鋭い眼光から眼を背けることなく答えていく。

「やはり俺たち二人以外の人間は信用出来ない、ということだよ。
 キラに何があったかは知らないが……俺も当てにしていたところはあった。
 だが実際はこれだ。キラが今現在生きているかどうかも分からん。
 それどころかこの殺し合いに乗り、俺たちの敵になっている可能性だって否定出来ないだろうなぁ」
「だから何だと言うんだ。まさか、私たち以外の人間――ガロードを切れ、とでも?」
「おっと、早とちりしてもらっちゃ困るなクインシィ。俺はただ、気を付けようと言っているのさ。
 ……まぁ、俺はガロードを切ってもいいと考えているがね」
「……本気で言っているのか?」
「ああ、そうさ。まさか、このままあの怪物を倒して仲良しこよしで帰れるとはオルファンの女王も考えちゃいないだろうな?
 それは甘すぎるぜ。本気で帰るというのなら――最後の一人になることが一番確実だろうよ」

いつの間にかジョナサンの顔からは笑みが消え、代わりに真剣な表情が浮かんでいる。
そもそもこの男、最初からクインシィ=イッサーを生還させることを最終目的に動いていた。
キラやガロードとの協力も、数減らしも、すべてはクインシィが生き残る確率を少しでも上げるため。
お互いに死なないため、生きて帰るため。そんな目的で徒党を組む参加者とは違う。
彼にとってはクインシィを除く全ての参加者は、彼女を生き残らせるための駒に過ぎないのだ。
――無論、ジョナサン=グレーン自身さえも。

「俺はお前に死んで欲しくないのさ。そりゃキラやガロードと一緒に生き残れるというのならそれは最善だ。
 だが、そうも言ってられないということも聡いクインシィにだって分かるだろう?」
「……それは認める。だが、ガロードは……!」
「勇はここにいないかもしれない。帰らなきゃ会えないかもしれないんだぞクインシィ!」

勇の名前が出た途端、クインシィの顔が陰ったのをジョナサンは見逃さなかった。
(やはり勇はクインシィの泣き所か……あまり勇をダシにするのも癪だが、それでクインシィを手懐けられるのなら安いものだ)

「仲間との友情、そして強敵の撃破! みんなでハッピーエンド! 大いに結構なことだよ、コミックの中ではな!
 現実を見ろクインシィ。お前が帰らなきゃ、オルファンは、リクレイマーは、伊佐美勇はどうなるんだ。
 何度でも言うぜ。お前は帰るんだ、オルファンへ! オルファンの女王、クインシィ=イッサー!」

「だが、ガロードは……! ガロードは、勇を一緒に捜してくれると言ってくれた!」
588それぞれの思惑 ◆C0vluWr0so :2008/03/29(土) 02:51:49 ID:nw9Jkqj+
緊、と空気が張り詰める。
一瞬の後それは解け、再びクインシィが口を開いた。

「確かにお前の言うことは分かる。だからといってそれは、私がガロードを見捨てる理由にはならない!
 勇がここにいないというのならガロードと一緒にここから帰って会いに行くさ!
 ……だから、その考えは無しだ、ジョナサン」
「……後悔するぜ」
「しないさ。私はクインシィ=イッサーだからな」

威風堂々。まさにその形容が似合う、そんな風格を身に纏う眼前の女性を見つめる。
……やはり、この女はオルファンの女王たる女なのだと実感する。
そして、同時にこうも思う。
(やはり、お前は死なせるわけにはいかない女だ)
ガロードやキラがあの怪物を倒せるというのなら、そのお零れを頂くまでだ。
ある程度なら協力をしてやってもいい。そこまでは譲ろう。
だが、クインシィの命を守り、何としてでも生きてオルファンに帰す。このことだけは譲れない。
(恨むぜ、ガロード。お前がいなければクインシィは何も考えずにこのゲームの勝者になることを選んだろうにな)
もう遅い。ガロード=ランという存在はクインシィを構成する一部分となってしまったようだ。

「……もうこんな時間だ。行くか、クインシィ。ガロードと、隼人とかいう男を迎えに」
「ああ」

時刻は午前四時を過ぎているが、このまま合流地点を目指せば放送の前にはガロードたちと合流出来るだろう。
クインシィの建前、ひとまずは猫を被っておこうと決める。
真ゲッター2が地上を走り出した。
速さは力を感じさせてくれる。アンチボディに乗っていたときには感じなかった力を、ジョナサンはゲッターから感じていた。

 ◆

一方、B-1地区――午前四時。
ここではアムロ=レイとガロード=ランの二名が、各々の情報の交換と今後の行動方針についての相談とを行っていた。

「……つまり、君とクインシィという女性は、神隼人氏と共に行動をしていたが、この場所で戦闘が始まった」
「相手は神さんの知り合いだった。とは言ってもなんだか話が噛合っちゃいなかったみたいだけど。
 そして、俺とお姉さんの二人だけがここから離脱して……ここから南の方でお姉さんの知り合いのジョナサンって奴と会ったんだ。
 その後ジョナサンと機体を交換して、俺は神さんを迎えにここへとんぼ返り……だったんだけどな」

神隼人が乗っていたという可変戦闘機――主翼、四肢、その他諸々のパーツから、アムロはバルキリーと同系統の機体だと判断した――は、原型を留めてはいなかった。
おそらくは空中戦闘の途中で撃墜され、地上に落下したのだろう。木っ端微塵になったそれに、生者が乗っているはずもない。
遺体もまた粉微塵になっており、首輪も発見出来ない状況であった。

……惜しい人物を亡くしてしまった。アムロはそう思う。
ガロードからの話を聞く限り、神隼人はこの状況を打破する大きな助けになってくれるはずの男だった。
行動の全てが遅すぎるのだと、改めて痛感する。
(集団を小分けにし、速さを損なうことなく動く――ブンドルの策は正しかった。
 だが、事態は予想以上の速さで進行しつつある、か)
次の放送で何人の名前が呼ばれることになるのか……アムロには予想も付かない。
少なくともシャア=アズナブル、神隼人の名前は呼ばれることになるだろう。
そして、先ほど首輪を回収したガナドゥールのパイロット。
ギンガナムがブンドルと交戦をしたというのなら、胸に獅子を持つ機体のパイロットも死亡した可能性はある。
可能性だけで言うのなら、アイビスも無事だとは言い切れないのだ。
589それぞれの思惑 ◆C0vluWr0so :2008/03/29(土) 02:52:20 ID:nw9Jkqj+
「それでだけどさ」
ガロードの一言がアムロの思考を遮る。
ふとガロードの顔を見ると、いつになく真剣な面もちでアムロを見つめている。
「アムロさんを疑ってるわけじゃない。……その首輪の持ち主について聞きたいんだけど」
「……俺がガナドゥールに乗り込んだとき、既に事切れていた。
 神隼人氏とその知人との戦闘に巻き込まれた可能性は高いだろうな」
「いや、それならいいんだ……って、こんな言い方は不謹慎か。
 その人、どうやらお姉さんの弟と一緒にいたみたいでさ。
 アムロさんも知らないかい? 勇って男と、そいつが乗ってるらしい蒼いブレンパワードを」
「ブレンパワード? ……いや、その勇という人物と蒼いブレンというのは知らない。
 だが、別のブレンパワードなら見ている。 アイビス――俺が捜している女性も、ブレンパワードに乗っているはずだ」
「へぇっ? こりゃ偶然。でもまぁ、だから何だって話だな。
 それでアムロさん、これからどうするんだ? 俺と一緒にお姉さんたちと合流するのか、それとも単独で動くのか。
 俺としてはアムロさんに来てもらいたいんだけどな」
「そうだな……一度、その二人とも会っておきたい。情報交換もしておきたいところだからな」

それに……と、アムロは無言で首輪を指し示す。
「まだ俺たちが知らないことをその二人が知っているかもしれない。
 一度離れれば二度と会えなくなることだってある。
 これ以上チャンスは潰したくないというのは君にも分かってもらえるはずだ」

コクリと頷くと、ガロードは早速ガンダムに乗り込み始めた。
ガンダム――そう、それはガンダムとしか言い様のないフォルムを持っている。
「それじゃ行こうぜ! ……っと、何かおかしいところでもある?」
「ガンダム……ガロード、君はガンダムを知っていると言っていたな?」
「ああ、そうだよ。まぁ、このF-91は俺も知らないガンダムだけどね。
 もしかしてアムロさんもガンダム乗り?」
「ああ。何の自慢にもならないが、実戦で初めてガンダムを乗りこなしたパイロット……ということになっている。
 だが、俺の世界でガンダムが開発されてから十年以上経っているが、そんなガンダムは俺も見たことが無い。
 使われている技術自体は俺の世界のものの延長線上にあるようだが……」
「それこそヘイコン世界、ってやつだな!
 俺とアムロさんの世界じゃモビルスーツだのガンダムだの、似たような名前が多いみたいだ。
 もしかすると他にも共通点があるかもしれないぜ。例えば……ニュータイプとか!」
「ニュータイプ……! 君の世界にもニュータイプが存在するのか!?」
「でもそれは、幻想だ」
「え?」
「俺の言葉じゃないんだけどな。ある、ニュータイプと呼ばれた人の言葉だよ。
 ニュータイプは幻想だ……戦争の道具なんかに使うのは間違っている。
 俺もそう思うぜ。アムロさんの世界のニュータイプは?」
「おそらく、君の世界と変わらないものだよ。俺の世界でもニュータイプは争いを生む存在だった。
 ニュータイプという言葉と力に踊らされ、ときには迫害され……酷いものだった」
「ならそんな世界は変えてしまわなきゃな! ……ここから帰ってさ!」
「ガロード……」
「言っとくけど、俺はいつだって本気だ。本気で、ここから帰るつもりだよ」
「ああ、そうだな。……俺たちは、帰らなきゃいけない」

頷くと、アムロもまたストレーガに乗り込む。
レース・アルカーナが産み出す動力が重低音となって夜の街に響き渡る。
そして、遙かな時を超えて出会った二人のガンダムパイロットは、共に飛び立っていった。
590それぞれの思惑 ◆C0vluWr0so :2008/03/29(土) 02:52:53 ID:nw9Jkqj+
【クインシィ・イッサー 搭乗機体:真ゲッター2(真(チェンジ)ゲッターロボ〜世界最後の日)
 パイロット状態:疲労小
 機体状態:ダメージ蓄積
 現在位置:C-6
 第一行動方針:C-8へ向かい、ガロードたちと合流
 第二行動方針:勇の捜索と撃破
 第三行動方針:ギンガナムの撃破(自分のグランチャーを落された為逆恨みしています)
 第四行動方針:勇がここ(会場内)にいないのならガロードと協力して脱出を目指す
 最終行動方針:勇を殺して自分の幸せを取り戻す】

【ジョナサン・グレーン 搭乗機体:真ゲッター2(真(チェンジ)ゲッターロボ〜世界最後の日)
 パイロット状態:良好
 機体状態:ダメージ蓄積
 現在位置:C-6
 第一行動方針:C-8へ向かい、ガロードたちと合流
 第二行動方針:強集団を形成し、クインシィと自分の身の安全の確保
 最終行動方針:どのような手を使ってでもクインシィを守り、オルファンに帰還させる(死亡した場合は自身の生還を最優先)
 備考:バサラが生きていることに気付いていません。


【アムロ・レイ 搭乗機体:ストレーガ (スーパーロボット大戦D)
 パイロット状況:疲労
 機体状況:各部にダメージ(戦闘に支障無し)
 現在位置:B-1
 第一行動方針:ガロードの仲間と合流し、情報交換を行う
 第二行動方針:アイビスの捜索
 第三行動方針:協力者の探索
 第四行動方針:首輪解除のための施設、道具の発見
 最終行動方針:ゲームからの脱出
 備考:ボールペン(赤、黒)を上着の胸ポケットに挿している
    シャアの死亡を悟っています
    首輪(エイジ)を一個所持】

【ガロード・ラン 搭乗機体:ガンダムF−91( 機動戦士ガンダムF−91)
 パイロット状態:全身鞭打ち・頭にたんこぶその他打ち身多数。
 機体状態:微細な傷(戦闘に支障なし)
 現在位置:B-1
 第一行動方針:C-8へ向かい、クインシィとジョナサンと合流する
 第二行動方針:勇、及びその手がかりの捜索
 最終行動方針:ティファの元に生還】

【二日目4:50】
591 ◆C0vluWr0so :2008/03/29(土) 02:53:58 ID:nw9Jkqj+
投下終了。
誤字脱字、矛盾点などを発見されましたら御指摘下さい。
592それも名無しだ:2008/03/29(土) 19:16:13 ID:Ok7kpXaA
>>591
GJ!復帰一作目お疲れ様です。
ジョナサンなんかセコイなw
ガンダムに触れたり、ニュータイプに触れたりで会話全般がいい感じでした。
しかし、蒼いブレンパワードか。アイビスが今乗ってるだけに関係が複雑だな。
593それも名無しだ:2008/03/30(日) 19:35:24 ID:K2mkDg0Y
>>591
乙!
ガロードのヘイコン世界にアムロつっこむ気ないんだなww
ジョナサンは人任せだし合流したらどうなることやら
594 ◆7vhi1CrLM6 :2008/03/31(月) 22:54:20 ID:WKssEHUd
何かやる気でた。ナデシコ組予約します。
書いてるうちに話が二転三転の右往左往してるので投下は多分期限一杯になると思います。
595それも名無しだ:2008/04/01(火) 00:39:23 ID:t5Py27e4
執筆ファイトー
ナデシコ組も投下されるんなら放送までに描写が欲しいのは基地周辺、Jアーク組、アキトキョウスケの三パートか
統夜は放送まで誰とも接触しなかったでいけるし、アムロたちの合流も無理に放送前に書く必要ないだろうし
596それも名無しだ:2008/04/02(水) 12:41:48 ID:+n8YuVTa
基地周辺は込み入ってるから場合によっては二・三話かかるかもね
放送をまたいで戦闘繰り広げる可能性もあるし
それ見越しても放送まで後五話くらいかな
597夜明けの遠吠え ◆7vhi1CrLM6 :2008/04/03(木) 01:13:13 ID:ZVPY2adU
椅子を僅かに軋ませ、足を組み、片手で本を掲げる。
文字列を目が追い、情報を吸い上げていく。ふと、頁を捲る手が止まった。
「あなたはかわっていくのだろうか。そういう私も変わっていってしまうのだろうか……」
宙をぼんやりと見上げ、呟く。所在を失った右手が傍らのコーヒーカップへと伸びる。
カチャリと音を立てたカップは口元へと運ばれ、黒い液体が飲み下されていく。
所定の位置へとカップを戻した右腕は指先で頁の端を摘むと、ことさらにゆっくりと次項へと歩みを進めた。

「今日はお祭り楽し……っと、これは次のマンガか。心離れていく二人。
次回九月号に続く……ふむ。先が気になるな……む? オルバ、いつからそこに?」
こちらに振り返った兄と目が合い、ブリッジの入り口で立ち尽くしていたオルバの硬直が解ける。
「独り言を呟き始めたあたりからだよ」
頭を悩ませながらオルバは答えた。だが兄にそれを気にした様子は見られない。
小さな溜息を一つ。話題を変える。

「兄さん、それは……一体」
「これか? 彼を運び込んだときに医務室で無針アンプルを見つけてな。処置を施してみたところ、浮き出てきた。
 IFSというらしい。思考をダイレクトにコンピューターに入力するシステムといったところだ。甲児君だけに施されたのでは不公平ゆえの計らいだろう」
背表紙に『月刊うるるん八月号』と記された少女雑誌を片手に、手の甲をかざして見せながら兄は話す。
そこにはオメガの中に丸を書き足したような印が現れていた。

「処置直後は不快感を伴うが、これが意外と便利でな。こういう芸当も簡単に出来る」
その声を皮切りに周囲に複数のモニターが宙に現れ、四人の少年少女の現在の様子を映し出す。
「へぇ……便利だね。でもいいのかい? それは誰でもオモイカネにアクセスできる可能性があるということになるよ」

つまり密かに監視を施していることがばれる可能性があるいうことだ。
この殺し合いの状況下で誰彼構わずに監視の目をつけている。それは、ともすれば余計な誤解を招きかねない要因でもあった。

「野放しにしておけない者もいるのでな。それと甲児君だけには艦内カメラへのアクセスが可能であることを説明しておいた」
「スケープゴートという訳だね、兄さん。でも何故彼なんだい?」
兄弟二人――つまり、以前から親密な者のみの秘密としておけば排他的な印象を与え、リスクは大きくなる。
それの緩和策として他の人間に情報を与えておくのは悪くない。それは理解できた。
しかし、なぜ兜甲児なのか? それだけは解せない。

「簡単なことだ。兜甲児をこちら側に立たせることによって、対図が我ら兄弟とその他から男女のそれに変わる。
 そうなると問題化した場合における事の本質が根本的に変わってくるのだ。分かるな? オルバよ」
普通に考えて、万が一問題化したとすればその形は「監視した/された」という形だ。
そしてそれは、何故そんなことをしたのかということに及び、疑念を生む。
それが兜甲児に漏らすことによって変わる――理解は出来なかった。

「兄さん、僕にはわからないよ」
「兜甲児の品性を考えればこの問題は単純だ。私は彼にこう言った『艦内カメラを通じることによって、恐らく艦内の何処でも自在に見ることが出来るだろう』と。
 それに彼は少し考え、真顔でこう聞き返してきた『シャギアさん、それは大浴場もなのかい?』とな。つまり――」
「皆まで言わなくてもいいよ、兄さん」
そこまで説明されてようやく全てが理解できた。ようするに兄はこう言いたいのだ。
兜甲児を巻き込むことによってこの問題は「覗いた/覗かれた」の形に変わる、と。
そして、それの理由は単純明快だ。煩悩、この場合においてそれ以上の行動原理はあの男にはないのだから。
モニターの中の当事者を一瞥し、視線を兄へと戻す。
「まったく……品位を疑わずにはおれないね」
「同感だな」

――兄さん、少女漫画雑誌片手に力説していたあなたもです。

大きな溜息を一つ。頭のネジを何処かに置き忘れてきたかのようなこの兄の言動に関しては、この一日を通して既にあきらめの境地に達している。
だから、そんなことよりも、と視線を別のモニターに向けた。

「気になるのか?」
「そりゃあね。彼の生存は僕達にとっては完全なイレギュラーだ。気になりもするさ」
向けた視線の先には、丸眼鏡の青年が医務室のベッドに横たわる様が映し出されていた。
598夜明けの遠吠え ◆7vhi1CrLM6 :2008/04/03(木) 01:13:58 ID:ZVPY2adU
D-7市街地の攻防戦のあと、積んでいた小型機のコックピットをこじ開けてみたら出てきたのだ。
それからニ時間半。小型機を拾った時点から考えると実に九時間半、彼は眠り続けている。
そして、その脇には兜甲児の姿があった。

「休憩時間を当ててまでご苦労なことだな。だが彼にばかり負担を懸けるわけにもいかんか。
 様子見がてら、一度顔を出すとしよう」
「そうだね。それもわるくない」
そう言って立ち上がったシャギアの右腕に握られていた油性マジックを、オルバは見ない振りをした。

 ◆

夜風が吹き抜けていった。暗く寒い甲板の縁に座り眼下の街並みを見つめている。

「ミューズさん」
突然、名前を呼ばれて振り向くとそこには一人の少女が立っていた。
「ええっと……比瑪さん」
「名前、覚えてくれたんだ。比瑪でいいわよ」
「じゃあ、アタシもテニアで」
そんな他愛もない会話を交わしながら比瑪が並んで座り込む。
再び吹き付けた風が髪を巻き上げ、暗い夜空に赤毛と栗毛が棚引く。

「何見てるの?」
「街をね……見てたんだ。この街のどこかでメルアが眠っているから……」
悪意のない質問に無理に笑顔つくり返事を返した。同情を引くそんな顔でだ。
『しまった』という表情が比瑪に浮かび、「そう……」と弱々しい声が返される。
そして、僅かに考えるような仕草を見せたかと思うといきなり比瑪は立ち上がり、大声を上げた。

「おーーーーーーーーーーーい!!」
廃墟に大声が響き木霊する。思わずギョッとして見上げた。
こちらをチラリと見た比瑪と目が合い、手を取られて無理やり立たされた。
「ほら、テニアも」
「えっ?」
奇行の意味が理解できずに頭が真っ白になる。何が正解か分からない。
こんな場合、仲間の死に弱った少女はどう演じればいいのか。それが全く分からない。
そんなテニアに構うことなく「ほらほら」と比瑪は急かし立てて来る。

「この街にメルアさんが眠っているんでしょ? だったら私は元気だぞーって教えてあげなきゃ」
「へっ?」
意味は分かった。理由も理解できた。だけどここで大声を上げるのが正解なのか、それがさっぱり分からない。
それでも強引に勧めてくる比瑪に押され、半ば自棄になりつつテニアは決めた。
もうこうなったら思いっきり叫んでやれ、と。
明けの空に声が木霊する。
夜明けの澄んだ風に乗り声は偽りの街に降り注ぎ、そして天に昇る。
並んで立つ比瑪が再び大声を挙げ、もう一回声を張り上げた。
肺の中の空気を振り絞り、息が続かなくなる。膝に両手でつっかえ棒をして肩で息をする。
息が弾んでいた。

「どお? 少しは楽になった?」
呼吸を整えながら見上げた視界の先で、比瑪が笑って立っていた。
笑顔を返事にする。
それに満面の笑みを残して比瑪は朝日を眺めた。小さな背中が視界に広がる。
どうもおかしなことになっている。そう思った。
そして、宇都宮比瑪というこの少女の独特な雰囲気に、ペースが狂わされている。
そう思ったときに魔がさした。
599夜明けの遠吠え ◆7vhi1CrLM6 :2008/04/03(木) 01:15:42 ID:ZVPY2adU
目の前に背中がある。その先はもう空だ。

――押してしまえ。

何かが呟く。

――突き落としてしまえ。

何かが囁く。
ゆっくりと手が伸び、そして――

――引っ込めた。
今はまだそのときじゃない。今ここで比瑪を突き落とし、格納庫に駆け込みベルゲルミルで暴れまわって内部からナデシコを沈める。
それは出来るかもしれない。でも今はまだそのときじゃない。
残りが何人いるのかも分からない現状で、自らの盾を失うのは利口とは言えなかった。
「どうしたの?」
何か気になったのか比瑪が振り返り、声を掛けてくる。きっと元気がなさそうに見えたからだろう。
だからアタシはそれに曖昧な笑みを浮かべつつ、言葉を返した。
「何でもない。ちょっと夜風に冷えただけ……」

 ◆

その頃、医務室ではシャギアと甲児が同時にピタリと動きを止めた。

「今何か聞こえなかったかい、シャギアさん?」
「そろそろ夜明けだ。鶏でも鳴いたのだろう。そんなことよりも甲児君」
音を立てて油性マジックのキャップを引き抜くとシャギアがベットに横たわる男に近づく。
「なんだい?」
「さっきの話を覚えているな」
キュッキュッと小気味のいい音を立てて『肉』の一文字が額に書き込まれた。
「もちろんさ。適当な理由をつけて別行動隊を作るから、そのときにオルバさんとテニアを『二人きり』にしてあげるんだな。しかし、オルバさんも隅に置けないね」
続けて今度は甲児がヒゲを左右の頬に三本づつ書き足す。
「すまんな、手のかかる弟で。しかし、兄としては最大限のことはしてあげたくてな。
 それにこの極限状態だ。吊り橋効果も期待できる。これはオルバにとって好機なのだ。
 重ね重ね頼むぞ、甲児君」
「まかせとけって」

悪戯と同時進行で放送後のチーム分けの手回しが着々と進行していた。
オルバ=フロスト本人ですら与り知らぬ所で……。



【シャギア・フロスト 搭乗機体:ヴァイクラン(第三次スーパーロボット大戦α)
 パイロット状態:良好、テニアを警戒
 機体状態:EN60%、各部に損傷
 現在位置:C-8市街地北東(ナデシコ医務室)
 第一行動方針:休息
 第二行動方針:首輪の解析を試みる
 第三行動方針:比瑪と甲児を利用し、使える人材を集める
 第四行動方針:意に沿わぬ人間は排除
 第五行動方針:首輪の解析
 最終行動方針:オルバと共に生き延びる(自分たち以外はどうなろうと知った事ではない)
 備考1:ガドル・ヴァイクランに合体可能(かなりノリノリ)、自分たちの交信能力は隠している。
 備考2:首輪を所持】
600夜明けの遠吠え ◆7vhi1CrLM6 :2008/04/03(木) 01:16:12 ID:ZVPY2adU
【オルバ・フロスト搭乗機体:ディバリウム(第三次スーパーロボット大戦α)
 パイロット状態:良好、テニアを警戒
 機体状態:EN60%、各部に損傷
 現在位置:C-8市街地北東(ナデシコブリッジ)
 第一行動方針:休息
 第二行動方針:テニアと共にナデシコと別行動をし、テニアを殺害
 第三行動方針:比瑪と甲児を利用し、使える人材を集める
 第四行動方針:意に沿わぬ人間は排除
 第五行動方針:首輪の解析
 最終行動指針:シャギアと共に 生き延びる(自分たち以外はどうなろうと知った事ではない)
 備考:ガドルヴァイクランに合体可能(かなり恥ずかしい)、自分たちの交信能力は隠している。】

【兜甲児 搭乗機体:ナデシコ(機動戦艦ナデシコ)
 パイロット状態:良好
 機体状態:EN80%、相転移エンジンによりEN回復中、ミサイル20%消耗
 現在位置:C-8市街地北東(ナデシコ医務室)
 第一行動方針:ヒメ・フロスト兄弟と同行
 第二行動方針:ゲームを止めるために仲間を集める
 最終行動方針:アインストたちを倒す
 備考1:ナデシコの格納庫にプロトガーランドとぺガスを収容
 備考2:ナデシコ甲板に旧ザクを係留】

【宇都宮比瑪 搭乗機体:ナデシコ(機動戦艦ナデシコ)
 パイロット状態:良好、ナデシコの通信士
 機体状態:EN80%、相転移エンジンによりEN回復中、ミサイル20%消耗
 現在位置:C-8市街地北東(ナデシコ甲板)
 第一行動方針:テニアを慰める
 第二行動方針:甲児・フロスト兄弟に同行
 第三行動方針:依々子(クインシィ)を探す
 最終行動方針:主催者と話し合う】

【フェステニア・ミューズ 搭乗機体:ベルゲルミル(ウルズ機)(バンプレストオリジナル)
 パイロット状況:非常に不安定
 機体状況:左腕喪失、マニピュレーターに血が微かについている、ガンポッドを装備
 現在位置:C-8市街地北東(ナデシコ甲板)
 第一行動方針:ナデシコの面々に取り入る
 第二行動方針:どのように行動を取ればうまく周りを騙せるか考察中
 第三行動方針:とりあえず甲児達についていく
 第四行動方針:参加者の殺害
 最終行動方針:優勝
 備考1:甲児・比瑪・シャギア・オルバ、いずれ殺す気です
 備考2:首輪を所持しています】

【パイロットなし 搭乗機体:ぺガス(宇宙の騎士テッカマンブレード)
 パイロット状態:パイロットなし
 機体状態:良好、現在ナデシコの格納庫に収容されている
 現在位置:C-8市街地北東(ナデシコ格納庫内)】

【熱気バサラ 搭乗機体 プロトガーランド(メガゾーン23)
 パイロット状況:神経圧迫により発声不可、気絶中、顔に落書き(油性マジック)
 機体状況:MS形態
      落ちたショックとマシンキャノンの攻撃により、故障
 現在位置:C-8市街地北東(ナデシコ医務室)
 第一行動方針:新たなライブの開催地を探す
 最終行動方針:自分の歌でゲームをやめさせる
 備考:自分の声が出なくなったことにまだ気付いていません】

【二日目5:40】
601 ◆7vhi1CrLM6 :2008/04/03(木) 01:25:36 ID:ZVPY2adU
予定より早くに投下終了。
短編なのに書いているうちに二転三転した話でした。
どのくらい変わったのかというと、最初はカテゴリーFとうるるんの合わせ技でオルバが悪夢にうなされる話でした。
次がナデシコ組崩壊の話。没ネタ山ほど。
シャギアが暴走していますが誤字・脱字・修正点のご指摘よろしくお願いいたします。

・おまけ(片手間で作った人物相関図)
ttp://takukyon.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/free_uploader/src/up0024.jpg
602それも名無しだ:2008/04/03(木) 03:02:52 ID:F41y7ww+
投下乙

兄さんがもうギャグキャラにしか見えないwww
そしてオルバがツッコミを諦めてきたw
603それも名無しだ:2008/04/03(木) 07:18:04 ID:iJ95MVYg
駄目だこの兄さん。早く何とかしないとwwwww
604それも名無しだ:2008/04/03(木) 09:31:46 ID:+C9G4PEF
やってることはシリアス展開への布石のはずなのにw
スパロボお馴染みとも言える覗きイベントがこんなところで来るとは予想の斜め上だぜ
バサラが発見されたり別行動の準備が始まったりこれからが楽しみだな、ナデシコ組
何気にテニアもヒメに影響されつつあるようだし、誰がどう動くか予想できない
投下GJでした
605それも名無しだ:2008/04/03(木) 12:03:04 ID:TNdkMG5I
笑いが止まらんwwww兄本当に自重してくれwwww

作品も相関図も乙!
ナデシコ組崩壊の没ネタもちょっと気になるw
606それも名無しだ:2008/04/03(木) 12:55:48 ID:7ZmRDvw8
兄さん完全に最近のダイナミックプロのアニメのキャラwww
ノリノリすぎるwwwww
607それも名無しだ:2008/04/04(金) 00:22:40 ID:4sTZM81l
流れぶった切るけど、今日ようやくチェンゲ見たんだ
今まで首輪解析要員として竜馬がよく挙げられてたけど、参加時期的には頭が良い竜馬じゃないんだな
竜馬が頭良くなったのはゲッター線に触れて宇宙の記憶を得たからで、それまではむしろ馬鹿の部類に入る
丁度基地周辺でゲッター線が活発化してるから頭良い竜馬になる可能性もあるんだけど
608それも名無しだ:2008/04/04(金) 00:50:14 ID:64avggKm
そうだったのか。知らんかった。
チェンゲ大分昔に見たっきりだもんな。
Dで把握しようと思ったらプロローグで参戦時期に追いついたしw

ぼちぼち次スレの時期かな?
609それも名無しだ:2008/04/05(土) 19:59:46 ID:aSumTunW
放送近づいているのでちょい提案。
追加する禁止エリアの数を増やしてみないか?
具体的には2つ増やして追加されるのが4つくらい。
人数減ってきてるし12時間放送だしこのくらいやってみてもいいと思うんだ。
そして、出来れば2→4→6→8みたいに増やしていってみて禁止エリアだらけにしていってみたい。
610それも名無しだ:2008/04/05(土) 21:40:57 ID:olrUOWlZ
放送ごとに64→62→58→52→44みたいな感じで移動可能エリアが減るってことでしょ?
街三カ所と基地の拠点になりそうな四カ所ばかりが舞台になっているのは感じるしね。
人数が減ってきたら拠点のどれかを潰して参加者の遭遇を促すも良し、
対主催が有利になりすぎれば拠点間移動を邪魔する形で禁止エリアを置いて合流させないようにしても良し。
積極的に禁止エリアを話に絡めるのは面白いと思う。
放送にいくまでにあと何話か必要だけど、それまでにネタ出ししてみようか?
以前出た『雨を降らせる』のように天候の変化を取り入れるのもいいかもしれない。
611それも名無しだ:2008/04/05(土) 22:27:27 ID:98TrPEUO
B-8・C-1・C-7・D-8とかC-3・C-8・B-2・D-3とか一気に禁止エリアにしたら凄い嫌がらせになるなwww
参加者の危機感も募れそうだ。
雨はコロニーの概念がない世界の人間の反応が面白そうw

問題はその率で増えていくと五日目の午前8時で禁止エリアで埋め尽くされることかな。
あとまだ使える機体が禁止エリアの中に取り残されていくことも。
どっちも首輪解除時点で問題はなくなるから問題というほどの問題でもないと思うけど。
612それも名無しだ:2008/04/06(日) 01:30:44 ID:7C4XLfN5
五日目まで続くことは多分ないだろw
今のペースだと本家より速いくらいだから、第四回放送くらいまでには決着がつくんじゃないかと思ってる
機体に関しても、それを考慮した上で禁止エリアは決めるだろうから心配いらないんじゃないかな
持ち主が生きてるマジンガーなんかは有効活用されることを望まれてるだろうし
613それも名無しだ:2008/04/06(日) 19:38:53 ID:dCS7aEkD
2→4→6→8の2の倍数案の他に2→4→8→16の2の乗数案を出してみる

・2の倍数案
追加禁止エリア数  2 → 4 → 6 → 8 →10→12→14→ 8
累計禁止エリア数  2 → 6 →12→20→30→42→56→64
移動可能エリア数 62→58→52→44→34→22→ 8 → 0
※5日目午前第8回放送で手詰まり
※第4回放送で移動可能エリアが全体の約3分の2

・2の乗数案
追加禁止エリア数  2 → 4 → 8 →16→32→ 2
累計禁止エリア数  2 → 6 →14→30→62→64
移動可能エリア数 62→58→50→34→ 2 → 0
※4日目午前第6回放送で手詰まり(実質的には3日目午後第5回放送で手詰まり)
※第4回放送で移動可能エリアが全体の約半分

さすがに2の乗数はやりすぎかw
614それも名無しだ:2008/04/07(月) 18:05:07 ID:YFHIbNao
倍数でいいんじゃないか
3日目午後で手詰まりだと万が一って事もありえるし
615それも名無しだ:2008/04/07(月) 19:53:15 ID:l8ZEWCVy
某カオスや某ニコじゃないんだから突然ルール変えるのは良くなくないか?
一応一次の超展開や主催者のやりすぎがアレだから二次じゃ抑えようみたいな話ないっけ?
ちょいと過敏な意見かもしれんけど
616それも名無しだ:2008/04/07(月) 22:00:04 ID:fiFYWFL2
確か禁止エリアについてはっきりとしたルールは決められてなかったんだよね
オープニングでは放送で禁止エリアが発表されると言われてるだけで何ヶ所指定されるか明言はなし
第一放送でも二ヶ所指定されただけでこれから先増やさないとは言ってないんだな
第一放送前の話し合いでもとりあえず一次に倣って2つ指定しただけだったしね
とりあえず俺は倍数増加に賛成
617それも名無しだ:2008/04/07(月) 22:56:31 ID:1Qn3T7S+
自分も倍数案に賛成
2→4と増えたことで、乗数で増えるのではないだろうか、気まぐれで増えるのでないかと参加者が追い詰められるのは見てみたい
あと4だと周囲4マス埋めることで実質5マス禁止エリアにするもよし、G-6にユーゼス閉じ込めて解除を急かせるもよし、色々と使い道が面白そうだしね
まぁ、超展開というわけじゃないんだし気楽にいこう
618それも名無しだ:2008/04/10(木) 22:37:34 ID:OU+u8qrh
人いない……
春だし新年度だしみんな忙しいんだろうか
619 ◆7vhi1CrLM6 :2008/04/11(金) 23:28:11 ID:YyRs+7GS
Jアーク組予約します。
620 ◆C0vluWr0so :2008/04/11(金) 23:40:02 ID:aK5HExbQ
Jアーク組か……ラクスの歌はどんな影響を及ぼすんだろうか
実はそこで良いネタが出なくてなかなか手がつけれなかったパートだったりしたんだよな
執筆ファイトー

>>618
とりあえず俺は新環境になったんでロワに割ける時間が減った
PCのネット環境も整ってないんで少なくとも四月いっぱいは投下出来ないと思う
今は基地組のプロットを考えては破棄して考えては破棄して……の繰り返しですよ
これは牽制のつもりで言っているわけではないので悪しからず
いつ投下出来るようになるか見通しさえ立ってないんで基地組書きたい人は俺のことなんか気にせず投下してくださると幸いです
621張り詰めすぎた少年 ◆7vhi1CrLM6 :2008/04/14(月) 02:23:06 ID:KNdQhk3s
まだ土中の湿り気を帯びた暗い土。それがその存在を主張していた。
一人の少年が呆けたように座り込んでいる。
頭で理解はしていても心の片隅では否定していたのだろう。
それが確たる証拠によって崩れ去り、一時的に感情が麻痺している。
真正面から受け止めるには少年はまだ幼く、心は未成熟だったのだ。
その悲しげで、触れば崩れ去ってしまいそうなほど寂しげな背中からロジャー=スミスは目を移すと、ソシエの肩を軽く叩いて艦内への移動を促した。
『暫く一人にさせてください……』それが消え入りそうな声で言った彼の願いだった。
一度振り返る。
その背中はそのまま消え去ってしまいそうなほど弱々しく見えた。
ゆっくりと視線を逸らす。そして、彼もまた艦内へとその足を向けた。

ロジャー=スミスが歩く。
――私は何をしていた。
ロジャー=スミスが一人歩く。
――ロジャー=スミス。お前は何をしていた。
ロジャー=スミスが拳を握り締め一人歩く。
――パラダイムシティが誇るMr.ネゴシエイターよ。お前は何をしていたッ!!!

無造作に打ちつけられた拳が音を立て、Jアークの艦内に乾いた音が反響する。
それは、大きく小さく返す漣のように響き合い、やがて姿を消した。
答えは簡単だ。何もしていない。
殺し合いを止める。
説得する。
依頼主を守り抜く。
ガイが戻るまでその代わりを務める。
その何一つとして成すことは出来なかった。
――何がMr.ネゴシエイターだ……笑わせる。
ロジャー=スミスは自らを嘲笑った。余りの無力さに嘲笑わずにはいられなかった。
そのとき、風切り音が耳元に届き――

スッパ〜ン!!

突然ハリセンで叩かれた。それも首から上がなくなったかと思うほどの勢いで、だ。
コメカミに青筋を薄っすらと立てながら、それでも自制心を働かせたロジャーは抗議する。
「ソシエ嬢、いきなり何をするのかね」
「一人で悩みこんでいるからよ」
しかし、その程度では全く意に介さないのが、ソシエ=ハイムである。
実にあっさりと言い切った。
「私は別に悩みこんでなど」
「いたわよ」
ぴしゃりと言い切られると同時に、その視線に圧される。
「ロジャー=スミス、あなたは何のためにここに来たわけ?
 一人で悩みこむため? キラと口喧嘩するため? 違うでしょ」
言葉に詰まった。確かにその通りなのだ。
ここには交渉をしにきた。リリーナ嬢の代理人として、一介のネゴシエイターとしてだ。
にも関わらず話が反れた。キラに矛盾を突かれ意固地になった。
ただ感情に身を任せただけの行為。交渉とは言い難い。
風切り音が耳元に届き――

スッパ〜ン!!

再びハリセンで叩かれた。鼓膜がジンジンする。
「何をする」
「だから、一人で悩むなって言っているでしょ」
「私は別に悩んでなど」
622張り詰めすぎた少年 ◆7vhi1CrLM6 :2008/04/14(月) 02:24:02 ID:KNdQhk3s
「いたわよ。考え事があるのならアタシに言いなさい」
そうやって胸を張って言い切るソシエの姿に、何処か滑稽さを覚えて言葉を返す。
「君にか?」
「そうよ。一人であれこれ悩むより皆で考えたほうが絶対いい考えが浮かぶんだから」
苦笑いが浮かんだ。
余りにも単純明快な理屈。それゆえにひどく分かりやすい。
「そうだな。では交渉を再開しよう」
そう言い、話を進めようとしたそのときにロジャーの目にある光景が飛び込んできた。
それは――

「……何故そこでハリセンを振りかぶる」

ハリセンを大上段に振り上げて構えるソシエの姿だ。
「交渉って何なのさ」
「交渉は交渉だ。私にはリリーナ嬢に代わってこの殺し合いを平和的に解決する義務がある」
「だから私たちと交渉するの? あなた、間違ってるわよ。これからするのは話し合い。
 交渉じゃないわ」
強い視線が突きつけられている。
『交渉』と『話し合い』。実に些細な違いだが、彼女にとっては大事なことなのだろう。
だがその理由が分からない。だからロジャー=スミスは曖昧にか返すことが出来なかった。
「しかし、私は――」
「しかしもだってもないでしょ!」
反論を展開しようとした言葉はソシエの声に掻き消された。
「いい、ロジャー=スミス? 交渉って別の集団が別の集団に持ちかけるモノよ。
 でも私たちは違う。一つの集団。仲間でしょ? だったらこれは話し合いよ」
思わず噴き出した。
ようやくソシエがこうまで必死にわめき立てる理由が分かった。
彼女は気に食わないのだ。
一つのことを一緒にやろうとして話を持ちかけてきた。そのときに『交渉』などという他人行儀な言葉を使ってきたことが、だ。
彼女はこう言いたいのだ。
仲間なのだからもっと気軽に話せ、と。
「何よ。何で笑うのさ」
一人笑うロジャーに少女が拗ねたような視線を向ける。それにロジャーは笑いつつも返した。
「いや、すまない。なるほど、分かった。話し合いだ。話し合いをしよう」
そう言って襟を正す。二度のハリセンで乱れた髪に櫛を通す。

「トモロ、少し憎まれ役を買ってくる。戻ってくるまでにこれまでの行動と接触した者をまとめておいてくれ。
 ソシエ嬢、出来れば話し合いは四人揃ってからだ。出来れば熱いコーヒーか何かを頼む」

そして言葉を言い残し、ロジャー=スミスは四人目の元へと歩き出した。

 ◆

調べが風に乗り流れてくる。
懐かしい調べ。
何度も聞いたことがある調べ。
そして、もう聴くことが出来ない最後の調べ。
そんな調べを一人聴いていた。
ただじっと彼女が眠るそこを見つめている。表情もなくただ一心に、だ。
風か吹き抜ける。歌がかき消され、湿った土の匂いが流れ飛ぶ。
「ロジャーさん、ラクスが死にました」
623張り詰めすぎた少年 ◆7vhi1CrLM6 :2008/04/14(月) 02:27:10 ID:KNdQhk3s
視線が掘り返された土から逸らされる事は決してない。
そのままの姿勢、そのままの表情、何一つ変えることなく少年は、静かに歩み寄ってくる男に声を掛けた。
「死んだ。死んでしまった」
歌はただ物悲しくひっそりと響き続けている。
だが死んだ。死んでいる。土を、墓を掘り返すまでもなく確信している。
何故だか分からないが、そこにもしかしたらという僅かな希望を挟む余地は存在しなかった。
目を閉じれば思い出す、あの桜色の髪を、明るい笑顔を。
不意に胸の内から何かが込み上げてきて叫んだ。
「ラクスが死んだんだ!!」
目元が熱い。堪えようと必死になって食いしばった歯が音を立てる。
その様子に背中越しで視線を注ぎ続けるロジャー=スミスは、そこで初めて静かに口を開いた。

「そうだ。彼女は死んだ。リリーナ嬢――私の依頼主も、ユリカ嬢も、だ。
 ならば残された者たちは、その遺志を汲みとってやらねばならない」
思わずカッと熱くなり、気づいたときには掴みかからんばかりの剣幕で捲くし立てていた。
「分かっていますよ、そんなことはッ!! だから僕は決めたんだ!
 ラクスを生き返らせる道ではなく、あの化け物を倒す道を!!!」
「分かってないだろう、君はッ!!!」
一瞬、大気が震えたかと思うほどの強い声だった。反射的に黙り込む。
熱した熱が休息に冷めていく。目が泳ぎ、視線は隅へと追いやられる。
「分かって……いますよ」
「そこでそうやっていることが、君の言う分かっているということか?
 彼女の遺志を汲みとるということか? 違うだろう? そんなことはありはしない」

追い詰められ、追い詰められ、張り詰めた糸が耐え切れなくなる。
「あなたはいいですよね。そうやっていつも冷静でいられて……。
 ラクスが死んだことを知って、あの化け物を倒すと決めて、みんなを守ると誓って、僕は僕なりに精一杯やってきた。
 でもその結果がこれです。やるべきことだと思ってやったことが間違っていて、同じ思いを持つ人を殺してしまった。
 仲間に裏切られ、守るはずだった仲間も死なせてしまった。何が正しいのか分からない。自分のやっていることが合っているのかすら分からない。
 もう頭の中がグチャグチャで……どうかなってしまいそうなんです」

口にしたのは弱音だった。放送後、誰にも見せる事のなく、また誰にも見せれなかった後ろ向きの姿だ。
こうしなければならない、こうあらねばならない、とそれまで必死になって作ってきた自分が壊れ、素の自分が顔を出したのだ。
その歳相応の、等身大の姿を確認してロジャー=スミスは気取られないようにホッと一息を吐く。
正直、この少年の気の張り詰め方には危うさを覚えていたのだ。
年齢以上に大人びて、背伸びというだけではとても足りない張り詰め方だった。
それは近くに頼れる大人が、感情的になれる相手が、弱音を受け止められるだけの存在がいなかったことに起因していたのだろう。
だから、その役を買って出たのだ。

「何も間違わない人間などいはしない。そんな者は人とは言えない。事実私も間違った。君達との争いを止めることさえ出来なかった。
 人一人で出来ることなんて高が知れている。だから君はもっと人を頼っていいのだ。何でもかんでも自分一人でやろうとすることはない」

ロジャーが肩をポンポンと軽く叩き、優しく声をかける。そして、落ち着いたら戻ってくるようにと伝えて、その場を去って行く。
溜息と共に朝日の射し始めた空を見上げる。放送のときはもう直ぐそこまで迫っていた。



【キラ・ヤマト 搭乗機体:Jアーク(勇者王ガオガイガー)
 パイロット状態:脱力、ジョナサンへの不信
 機体状態:ジェイダーへの変形は可能?各部に損傷多数、EN・弾薬共に70%
        反応弾を所持。
 現在位置:E-3ラクスの墓
 第一行動方針:?
 第二行動方針:このゲームに乗っていない人たちを集める
 最終行動方針:ノイ=レジセイアの撃破、そして脱出】
 備考:Jアークは補給ポイントでの補給不可、毎時当たり若干回復。】
624張り詰めすぎた少年 ◆7vhi1CrLM6 :2008/04/14(月) 02:27:34 ID:KNdQhk3s
【ソシエ・ハイム 搭乗機体:無し
 パイロット状況:右足を骨折
 機体状況:無し
 現在位置:E-3
 第一行動方針:ロジャー・キラ・トモロと話し合いを行なう
 第二行動方針:新しい機体が欲しい
 第三行動方針:仲間を集める
 最終行動方針:主催者を倒す
 備考:右足は応急手当済み】

【ロジャー・スミス 搭乗機体:騎士凰牙(GEAR戦士電童)
 パイロット状態:肋骨数か所骨折、全身に打撲多数 
 機体状態:左腕喪失、右の角喪失、右足にダメージ(タービン回転不可能)
       側面モニターにヒビ、EN70%
 現在位置:E-3(凰牙はJアーク甲板)
 第一行動方針:ソシエ・キラ・トモロと話し合いを行なう
 第二行動方針:ゲームに乗っていない参加者を集める
 第三行動方針:首輪解除に対して動き始める
 第四行動方針:ノイ・レジセイアの情報を集める
 最終行動方針:依頼の遂行(ネゴシエイトに値しない相手は拳で解決、でも出来る限りは平和的に交渉)
 備考1:凰牙は通常の補給ポイントではEN回復不可能。EN回復はヴァルハラのハイパーデンドーデンチでのみ可能
 備考2:念のためハイパーデンドー電池四本(補給二回分)携帯
 備考3:ワイヤーフック内臓の腕時計型通信機を所持】

【二日目5:45】
625 ◆7vhi1CrLM6 :2008/04/14(月) 02:33:04 ID:KNdQhk3s
投下終了。
たいしたネタではない繋ぎの話です。
そして、スレの容量が足りてホッとしてます。
ご指摘お待ちしています。
626 ◆7vhi1CrLM6 :2008/04/14(月) 03:15:37 ID:KNdQhk3s
>>618
今月は月明けまでにあと短いの一作落とせるか落とせないかといった感じです。
忙しさのピークは越えたけど、まだちょっと就活が忙しい。
私はそんな感じです。

>>620
基地組みはどういう風に繋いで頂けるのか楽しみなので期待して待っています。
というかゴチャゴチャした状態で話切っててごめんなさい。
627それも名無しだ:2008/04/14(月) 21:18:17 ID:he1GG1jB
投下乙!
キラとロジャーが悩み、ぶつかり合うのはスパロボっぽさを感じた。
ソシエは基地組でいうベガさんポジションになりつつあるなー
凸凹ながらも良いチームになってくれることを期待する
628それも名無しだ:2008/04/15(火) 19:55:21 ID:MFYl4Goi
投下乙ー
なんだかんだでこの組はうまく纏まりそうだな
他の集団には一人二人危険人物が紛れ込んでるから力と知恵が揃ったJアーク組には頑張ってもらいたい
ロジャーにはキラを引っ張ってほしいが反面教師になるような気もするw
629それも名無しだ:2008/04/20(日) 02:29:48 ID:tU9whfCK
スパロボZにSEEDとビゴーが出るようだけど、こういう絡みだったら良いな。
630それも名無しだ:2008/04/20(日) 05:32:22 ID:PMgby8GD
そういえば出るんだっけ。しかもターンAも
と考えると今現在の展開はなかなかタイムリーにも見える
631それも名無しだ:2008/04/20(日) 23:27:14 ID:A5E+bCWK
Z出演予定者がアムロ・アロード・シャギア・オルバ・ソシエ・キラ・ロジャー
微妙に違うけどほぼ一緒なのがカミーユ・甲児
大分違うのというか別人なのが竜馬

竜馬はおいとくとしても生存者24名中9名
バンプレオリ除けば19名だから約半分結構いるもんだな
というかバンプレオリ残り5人しかいないのか……
632それも名無しだ:2008/04/20(日) 23:48:57 ID:1oQ2zkaa
こっちは版権作品が頑張ってるからね
一次とはまた別の意味でスパロボらしさを感じる
バンプレオリも数は少なくけど目立つキャラが多いし丁度良いバランスじゃないかな
633それも名無しだ:2008/04/23(水) 00:22:13 ID:s/Y7ZorV
誰か観察日誌準備してる人いますか?
いなければ手を付けますが。
残りのスレ容量が10KB切ってる……。
634それも名無しだ:2008/04/24(木) 07:10:40 ID:5kiblrdf
>>633
他にいないようだしお願いします。
携帯厨の俺じゃ日誌を弄ることもスレ建てもまともに出来ない……orz
635それも名無しだ:2008/04/24(木) 18:32:45 ID:nbB6vMzI
スレ立て弾かれたので誰か頼みます。
観察日誌は避難所に投下しておきましたので余裕があればついでにお願いします。
スレタイトルは 第二次スパロボバトルロワイアル6 テンプレは↓

※初めて来た人はまずはここを読んでください。
【原則】
リレー企画ですのでこれまでの話やフラグを一切無視して書くのは止めましょう。
また、現在位置と時間、状況と方針の記入は忘れずに。
投下前に見直しする事を怠らないで下さい、家に帰るまでが遠足です。
投下後のフォローも忘れないようにしましょう。
初めて話を書く人はまとめサイトに行ってルールや過去のお話にしっかり目を通しましょう。
当ロワは予約制です。投下する前にスレでトリップを付けて使うキャラを宣言しましょう。
予約の期限は三日です。
【ルール】
EN・弾薬は補給ポイントを利用することで補給することができます。
補給ポイントは各キャラの所持するマップにランダムに数個ずつ記載されています。
機体の損傷は、原則として機体が再生能力を持っていない限り直りません。
再生能力も制限で弱体化しています。
特定の機体がスパロボのゲーム内で持っている「修理装置」「補給装置」はありません。
DG細胞が登場していますが、機体の過度の変質、死者のゾンビ化は制限により禁止されています。
機体の再生、感染、「生きている人間」の身体の補強のみが行われるようです。
マシンセルによる機体の変質や環境操作も制限を受けています。
唯一メディウスロクスのみ機体が変質していますが、これはスーパーロボット大戦MXの展開に準拠したものです。
乗り換えは自由です。
参加者へロワ参加者の名簿は支給されていません。
【備考】
作品の指摘をする場合は相手を煽らないで冷静に気になったところを述べましょう。
ただし、キャラが被ったりした場合のフォロー&指摘はしてやって下さい。
おやつは三百円までです、電気やゲッター線は好きに食べてください。
スパロボでしか知らない人も居るので場合によっては説明書きを添えて下さい。
水筒の中身は自由です、酒が怖くてパイロットが出来るか。
これはリレー小説です、一人で話を進める事だけは止めましょう。
作品の保存はマメにしておきましょう、イデはいつ発動するか分かりません。

前スレ
http://game13.2ch.net/test/read.cgi/gamerobo/1187103340/
前々スレ
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/gamerobo/1176030907/

旧本スレ
第二次スパロボバトルロワイアル3
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/gamerobo/1170806726/
第二次スパロボバトルロワイアル2
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/gamerobo/1161702283/l50
第二次スパロボバトルロワイアル感想・議論スレ
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/gamerobo/1149764572/
第二次スパロボバトルロワイアル
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/gamerobo/1149350054/
第2次スパロボロワイヤル企画スレ
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/gamerobo/1148890280/

まとめwiki
http://www30.atwiki.jp/srwbr2nd/
携帯用簡易まとめ
http://srwbr2.nomaki.jp/SRWBRi/index.html
旧まとめサイト(停止)
ttp://2nd.geocities.jp/s2matome/main.html
仮まとめサイト(停止)
ttp://srwbr2.nomaki.jp/index.html
636それも名無しだ:2008/04/24(木) 21:29:53 ID:4ltuuDav
じゃあ、ちょっと行ってくる。
アルフィミィ日記は>>633の人よろしく。

即死回避にネタ考えようっと。
637それも名無しだ:2008/04/24(木) 21:32:11 ID:4ltuuDav
638それも名無しだ:2008/04/24(木) 21:33:11 ID:nbB6vMzI
>>637
乙! 観察日誌投下します。
639それも名無しだ