>>468 ヴァルシオンはかかって来いと言わんばかりに、仁王立ちしている。
すぐに吠え面かかせてやるぜ!
リシュウ先生!やっちゃってください!
『斬艦刀・疾風怒涛!』
零式斬艦刀をかまえて、零式が突撃!ブースターを全開して強烈な一撃を叩き込む!
本来ならその名の通り戦艦すらぶった斬る一撃も、バリアに食い止められる。
『まだ終わりじゃないぜ!』
すかさず、壱式が剣を手に突撃した。
『計都羅コウ剣!暗剣殺!』
横薙の一刀が、バリアに叩きつけられる。
衝突面から、激しい火花が飛び散り、紫電が狂ったように踊る。
『T-LINKフル・コンタクト!ストライクシールド発射!』
続けてR−3が、六基のストライクシールドを全て、その衝突面に叩き込む。
スパーク光が更に激しさを増し、そして、不意に消滅した。
――今だ!
俺は一気にアクセルを踏み込む。
強烈なGに体をぶっ叩かれて、肺の中の空気をゲフッと吐いちまう。
体がシートの背もたれに埋もれっちまいそうだ。
が、俺は構わず突撃する。
ヴァルシオンは、手にした刀を振り上げようともしない。
バリアを破られたショックで呆けたか、はたまたビルトイェーガーが速すぎて反応出来ねえのか。
いずれにせよ、チャンスは今しかねえ!
機体に急激な抵抗を感じたが、それを突き抜けて、俺はフルスピードで接近した。
撃ち抜けぃっ!
でぃぃいぃぃいぃぃぃいやっ!
雄叫びを上げて、勢いそのままにドリルステークを巨体に撃ち込む。
一瞬、コクピットが尋常じゃない衝撃で揺れた。
――次の瞬間、正面モニターいっぱいに、真っ赤な夕焼け空が広がっていた。
勢い余って、機体もろともヴァルシオンをぶち抜いちまったらしい。
着地しようとしたら、いきなり地面が吹っ飛んだ。
バランスを崩して、ビルトイェーガーはド派手な土煙を上げて、ぶっ倒れた。
気のせいだろうか?
何か、コクピットにその墜落音が遅れて響いたように感じられた。
機体を起こして、背後を見る。
どてっ腹に風穴を空けたヴァルシオンが、ゆっくりと倒れ込んだ。
はは……やったぜ……。
だが、勝利の余韻に浸る間もなく、ビルトイェーガーはあちこちから火花を噴いて、ぶっ倒れた。
「いやぁぁぁぁぁっ!私のmk-Wがぁぁぁぁぁっ!」
ラドム博士の悲鳴が、聞こえたような気がした。
>>469 あ〜……まだ体中がミシミシ言ってるみてえだ……。
ベッドの上で大の字になって、俺はボンヤリと天井を眺める。
なんでも、ヴァルシオンを貫いた瞬間、ビルトイェーガーは超音速に達していたらしい。
つまりヴァルシオンをぶち抜く寸前に感じた抵抗は、音速の壁って奴か。
で、着地の際に地面が吹っ飛んだのは、超音速時に発生する衝撃波(ソニックブーム)だったみたいだ。
通りで音が遅れて聞こえた訳だ。
そんなスピードでヴァルシオンを貫通したんだ。
いくら俺でも、衝撃でへたばるっつーの。
なのにラドム博士は、かれこれ5時間以上もお説教しやがって……解放された時には、夜の11時になっていた。
腹は減ったが、飯食う気力もねぇ……。
飯食う気力はないのに、腹の虫が抗議してきやがって、どうしたもんか……。
そこへドアが開き、アヤが入って来た。
「起きてる……?」
ああ、疲れすぎて、かえって眠れねーよ。
答えながら起き上がる。
「お夜食、持ってきたわ。一緒に食べましょう?」
オニギリの乗った皿を手に、アヤはベッドの端に腰を下ろした。
……これ、アヤが作ったのか?
「ええ。食堂の厨房を借りてね」
なんか、すまねえな。アヤも戦闘で疲れてるだろうに。
「あなたほどじゃないわよ」
アヤはそう言って、笑ってくれた。
「はい、アーンして?」
アヤがオニギリを一つ取って、差し出す。
……いや、自分で食えるよ。
顔が熱くなるのを感じながら、俺は苦笑する。
「いいから、アーンして?」
アヤはお構いなしに催促する。
抵抗するだけ時間の無駄なのは、今までの付き合いでわかってる。
俺は観念して、口を開けた。
そして、一口で半分ほどを食べる。
熱々のご飯とパリパリの海苔が、何故か妙に懐かしい。
それに、アヤの手作りかと思うと、それだけで疲れが取れていくかのようだ。
「私にも食べさせて?」
アヤがおねだりするんで、俺も皿の上から一つ取って、差し出す。
ほれ、アーンしてみ。
「アーン……」
アヤは目を閉じて、控え目に一口食べる。
「んふふ……美味しい……」
つぶやくアヤの顔は、子供みたいなあどけない表情だ。
まったく、良い年して何やってんだか。
……でも、悪くないかも。
そう思いながら、俺は二口目をアヤに食べさせてもらうのだった。
ラトと同居人ですぜ。
>>466-470 うむ。言いたい事が伝わってくれたようで、ツボを非常に的確に捉えたな、と。
あれしか言ってないのによく汲み取れるね。
ビジュアルも綺麗だしイルムの援護の入り方もいい感じ。
音速の壁をぶち抜いたってのも予想できなかったし、バリア貫通も面白かった。
そしてラストもね。
素晴らしくGJ!
>>471-472 パイロットが振り回されがちの高機動力なのに、すれ違い様に斬り捨てる難易度の高い攻撃……などといった矛盾に気を付けて書いたつもりだったけど、どうやら満足していただけたようで何より。
だが、対ヴァルシオン戦は、バリア突破→バリアすぐに復活な流れを入れとけば良かったかなと思った。
>『砂塵』に似てる
バトルの後の甘々なオチとか特にな!w
毎度のGJ本当にサンクス(・ω・)/
輸送機からアシュセイヴァーとR−3パワードを下ろして、格納庫へと移動させる。
そして、コクピットから下りた俺とアヤは、伊豆基地の潮の香り漂う空気を胸一杯に吸い込んだ。
何だか妙に懐かしいぜ。まるで何年も離れてたかのようだ。
パイロットスーツから制服に着替え、荷物をそれぞれの部屋に放り込んだ後、俺たちは早速、帰還の挨拶とお土産配りに向かった。
SRX組はちょうど訓練で出払っているので、他の部隊を回る事にした。
まずは教導隊だ。
分隊室に入ると、ラトゥーニが迎えてくれる。
「お二人とも、出向お疲れ様でした」
愛らしい仕草で敬礼するラトゥーニ。
「ただいま、ラト。これ、みんなで食べてちょうだい?」
そう言ってアヤが、土産の「テスラ研饅頭」を渡す。
「……アメリカなのに?」
そばにいたゼオラが的確なタイミングで突っ込んだ。
それと、アラド。
お前の底なし胃袋にはこれだけじゃ足りないだろうから、これも買ってきてやったぞ。
俺はそう言って、物欲しそうな顔で饅頭の箱を見つめるアラドに、「マルセイバターサンド」を渡す。
「少尉……俺、一生着いて行きます!」
オメーの一生はマルセイバターサンド一箱分かい。
おっと、忘れるとこだった。
ラトゥーニ。こいつは彼氏宛てだ。帰ったら二人で食べな。
俺はそう言って、テスラ研饅頭の小箱を渡す。
「あ、ありがとうございます……!」
ラトゥーニはポゥッと頬を染めながら、笑顔で受け取ってくれた。
ラミアはアンジュルグの調整でもやっているのか、姿が見えなかった。
「よく戻ってきてくれたな」
カイ少佐が、俺の肩をポンと叩く。
「やはりこの伊豆基地は、お前がいないと駄目だ。いなくなってから初めて、お前という存在の大きさを思い知った」
い、いきなり何です?
いつものカイ少佐らしからぬ態度に、気味の悪いものを覚える。
「ゼオラが、な……その……アラドのために努力しているのは、わかるんだが……やはり、あいつの料理は、その、な……」
ボソボソと、奥歯に物が挟まったような物言いをするカイ少佐。
――毒味させられたな。
全てを悟った俺は、魂を込めた敬礼を贈る。
ヒゲ、あんた漢(おとこ)だよヒゲ。
>>474 さて、次はオクト小隊だな。
分隊室に入ると、カチーナ中尉が一人、何やら深刻な顔をしていた。
が、俺の顔を見た途端、パァッと表情が明るくなる。
「おお!帰ってきてたのか!いや〜助かったぜ!ちょうどお前の事を考えてたとこでよぉ!」
……はぁ?
「あ、あのぅ……これ、お土産……」
アヤがやや強引に割り込んで、テスラ研饅頭を渡す。
「お、サンキュ!よし、今夜はコイツで一杯やるか!」
一人で食う気かよ。
それより、俺に何か用があったんじゃないんですか?
「おう、そうだった。たく、ラッセルもタスクもいざって時に逃げ出しやがって、頼りにならねえ。やっぱこういう時は、お前が一番頼りになるぜ」
な、何かやけに持ち上げるな……。
妙な不安を覚えたところへ、背後でドアが開き、入室してきた者がいた。
「あら、お二人とも戻られたのですね?テスラ研への出向、お疲れ様でした。よろしければ、私が作ったパエリアを召し上がりませんこと?」
レオナお嬢様が朗らかに、パエリアと称する異物を差し出す。
「……じゃあ私、ATXチームにお土産渡してくるわね!」
「さーて、ゲシュペンストの調整でもやるとすっかな!」
アヤとカチーナ中尉がそそくさと出て行く。
「あら、それではお二人にはまたの機会という事で」
レオナは疑う風もなく、二人を見送る。
そして、クルリとこちらに向き直る。
「さぁ少尉。今日こそは今までの雪辱を晴らさせていただきますわよ?トロンベ、もとい、エルザム様に徹底指導していただいた私の実力、とくと味わってくださいませ」
――皿の上の異物がトロンベプロデュースの結果かと思うと、恐怖すら覚えるぜ。
つーかトロンベ……。
もしや俺に食わす物と知って、わざと手抜き指導しやがったか?
そんな邪推にとらわれつつ、進退極まった俺は、レオナお嬢様の手料理を頂戴する羽目になったのだった。
>>475 ふぅ、死ぬかと思ったぜ。
試練を乗り越えた自分を誉めてやりたい気分だ。
とにもかくにも、俺はアヤの後を追うように、ATX組の分隊室を訪れた。
ちょうどアヤがエクセレンの姐さんとお喋りをしている。
「あらん☆お帰り〜♪」
姐さんが相変わらずのノリで、手を振ってくれた。
ただいま戻りました、エクセレンの姐さん。
「ご苦労だったな」
ナンブ中尉も声をかけてくれる。
ただいま戻りました、ナンブ中尉。
俺は敬礼で返す。
「向こうでラドム博士に、新型のテストをやらされたそうだな」
ええ、作り手にそっくりの、メチャクチャな機体でしたよ。
そう言うと、ナンブ中尉は珍しく、柔らかい微笑を浮かべる。
あの、何か?
「いや……俺がアルトアイゼンを任されたばかりの頃を思い出してな。予想以上の加速に驚いて、ステークのトリガーを引き損ねたりしたものだ……変わらんようだな、あの人は」
中尉の顔は、その頃を思い出したのか、とても穏やかな表情になっていた。
「あ、少尉。帰ってきてたんですね」
そこへクスハがやって来た。
アヤとも軽く挨拶を交わす。
よう、ブリットはどうした?
見当たらねーから、お前と一緒かと思ってたが。
「ブリットくんなら、ゼンガー少佐とお稽古してますよ?」
師弟揃って、相変わらず暑苦しい事で。
からかい半分につぶやく俺に、クスハはクスクスと笑った。
「ところで少尉、顔色が優れないようですけど……」
ん?そうか?
――さっきのレオナお嬢様のパエリアのせいか?
胸の内でつぶやく。
「お疲れのようでしたら、ちょうど疲労回復に効く栄養ドリンクを作ったので飲んでみますか?」
そう言ってクスハは、小さな水筒を差し出す。
「そうだ、キョウスケ〜☆一緒に潮風に当たりに行かない?ね?ね?」
「……そうだな」
「そ、そろそろみんな戻ってくる頃ね。先に分隊室に行ってるわよ?」
腕を組んで、逃げるように退室する姐さんとナンブ中尉。
そして、あたふたと立ち去るアヤ。
とばっちりはゴメンだと言わんばかりの勢いだ。
クスハはじーっと、いたいけな瞳で俺を見つめる。
――飲めばいいんだろ、飲めば。
ヤケクソな気持ちで、俺は水筒の中身をあおるのだった。
>>476 ふぅ、マジで死ぬかと思ったぜ。
更なる苦難を乗り越えた俺は、SRX組分隊室へと向かった。
ドアを開けると、既にみんなテスラ研饅頭を食べ始めている。
「よう、お疲れ!」
「話は聞いたぞ。無事に戻って来れて、何よりだ」
饅頭を頬張りながら、リュウセイとライが声をかける。
マイは、椅子に座ったアヤの膝の上で、パクパクと幸せそうに饅頭を食べていた。
「……お帰りっ」
そして、俺の姿を見ると、プイッとそっぽを向きながらも、挨拶してくれた。
「駄目でしょうマイ。ちゃんとお兄ちゃんの顔を見て挨拶なさい?」
「あんなの、お兄ちゃんじゃないっ」
膨れっ面でアヤに答えるマイ。
ホンットに可愛くねーガキだな。
俺が笑いながら言うと、マイは食べかすを口元に付けたまま、ベーッ!と舌を突き出した。
――本当にみんな相変わらずで、何よりだぜ。
つっても、何年も離れてた訳じゃないんだし、当然か。
安心する一方で、そんな当たり前の事にいちいち思いを馳せる自分が可笑しくて、俺は苦笑してしまった。
「本当にご苦労様。今日はゆっくり休んでちょうだいね」
そんな俺に、ヴィレッタの姐さんが、労いの言葉をかけてくれる。
……姐さん。ちょっと大事な話があるんですがね。
「何かしら?」
まぁ、今日は帰ってきたばっかだし、また明日、話させてもらいますよ。
「それもそうね。じゃあ明日、執務室で」
姐さんは落ち着いた態度だった。
俺の話の内容を、既に察しているかのように。
とりあえず、口直しに俺も饅頭食べようかな。
そう思い、アヤの隣りに座ろうとしたら、マイがアヤの膝の上から下りて、間に小さなお尻を割り込ませてくる。
「アヤ!私が食べさせてあげる!」
「ありがとう、マイ。あ〜ん☆」
アヤが嬉しそうに開けた口に、マイは饅頭を運ぶ。
「じゃあ今度はお姉ちゃんの番ね。あ〜んして?」
「あーん☆」
仲睦まじい姉妹の様を眺めながら、俺は早くもラスト1となった饅頭に手を伸ばす。
――と、その饅頭がひとりでに浮いて、マイの手の中へ。
マイは俺を見ると、ベーッ!と舌を出した後、勝ち誇ったような表情で、見せつけるように最後の一個を食べたのだった。
――自分の分、買っときゃ良かったぜ……。
「で、話って?」
執務室に入った俺を迎えたヴィレッタの姐さんは、前振りもなしに本題を尋ねた。
俺としても、その方が話を切り出しやすいので、助かる。
――テスラ研が何度かDC残党に襲撃された事は、もう知ってますよね。
「ええ、アヤから聞いてるわ」
で、その襲撃なんですが……あいつら、T-LINKレーダーを開発してた第3セクターばっか狙ってたんですよね……テスラ研で開発中だったビルトイェーガーじゃなくて。
「――何が言いたいのかしら?」
姐さん、それが狙いで俺を向こうへ寄越したんじゃあないんですか?
「言ってる意味が、イマイチわからないわね。あなたを出向させたのは、あくまでもテスラ研からの要請よ」
それも含めて、全部が計画の内だったんじゃあないんですか?
俺はデスクに手をついて、ズイッと姐さんに詰め寄った。
鼻先を、香水の匂いがくすぐる。
この人も化粧はするんだな、と変に感心してしまった。
「計画って?」
向こうに潜伏してるDC残党を、T-LINKレーダーシステムを餌に誘き出して叩くって寸法だったんじゃあないんですか?
だいたい、つい最近になって開発を始めたレーダーの事を、あいつらがそう簡単に知る事が出来るたぁ思えねえ。
わざと情報を流して、俺に退治させるつもりで、テストパイロットという名目でテスラ研に行かせたんじゃないんですか?
だからデータ収集って名目でアシュセイヴァーも持って行かせたんでしょ?
結局アシュセイヴァーはほとんど使わなかったけど。
……って、何笑ってんです?
クスクスと笑うヴィレッタの姐さんに、俺は少々不愉快な気持ちになった。
「もしもあなたの言う通りだとしたら、どうする?」
――姐さんの事は好きですが、俺はともかくアヤまで利用したのは許さねえ。
骨の二、三本は覚悟してもらわにゃならん。
「怖い顔ね。本当に今にも噛みついてきそうだわ」
姐さんは笑みを解き、真面目な顔で、俺の眼をジッと見る。
「あなたの考えすぎよ。もしあなたの疑ってた通りなら、あなただけでなくチーム全員を出向させるわ。そっちの方が確実でしょう?」
……いや、確かにそうですが。
「ただ、私個人はテロの可能性を考えて、護衛も兼ねてもらったけれど、実際は名目通りで裏なんて何もないわ」
姐さんはキッパリと言い切った。
>>478 真っ直ぐにこちらの眼を見て返答されて、俺は言い返せなくなった。
実際、根拠と言えるほどの物はなく、ただの疑惑でしかない。
「それに、どんな事があろうと、私はあなた達を駒や餌にしたりはしないわ。月並みな台詞だけど、あなた達は大切な仲間だしね」
そう言って姐さんは柔らかな笑みを浮かべる。
室内の照明のせいか、若干頬に赤みが差してるように見えて、それが照れているみたいで、ちょっと可笑しかった。
――やっぱり俺の考えすぎか。
そんな姐さんの顔を見て、俺はそう思った。
「ただ――情報漏洩そのものは、決して有り得ない事ではないわね」
姐さんはすぐに真面目な顔に戻った。
「上層部には未だに、敵の宇宙人の怪しい技術など信用出来ないと考えてるお堅い方々がいらっしゃるからね……そういう連中にとって、私たちSRXチームはいささか目障りな存在かも知れないわ」
で、そいつらがDC残党にT-LINKレーダーの事を教えた、と?
「可能性がある、という程度でしかないけれどね……そういう連中にしてみれば、EOTI機関を前身とするDC残党も目障りだし、どちらが消えても損はないといった考えがあったのかも……」
姐さんが真面目な顔で淡々と語ると、何となく信じそうになっちまうから困る。
「中には、地球原理主義教導団と繋がってる者もいるかも知れないし……」
姐さんは声のトーンを一段落としてそう続けた。
「……という風に、疑い出したらキリがないわよ?」
かと思ったら、いきなり明るい声に戻る。
「いろんな状況を想定しておくのに越した事はないけど、それにばかり気を取られていては、疑心暗鬼でかえって何も出来なくなるわ。
あなたは、あなたの役目に集中しなさい」
何だか俺を励ますような声色だ。
「それに、あなたが暗い顔してると、アヤが心配するわよ?」
むむ、アヤの事を出されると、反論できねぇ……。
俺はそうですね、と素っ気なく答えるしか出来なかった。
「とりあえず、あなたはあなたなりに、色々考えてるのはわかったわ」
そう言って姐さんは笑う。
「とにかく、話はこれで終わりよ。戻って、ゆっくり休みなさい。明日からも、訓練があるのだからね」
姐さんはそう言って、デスクワークに専念し始めた。
俺も失礼しますと敬礼して、退室する。
何となく、胸のツカエが取れたような気分だった。
>>474-477 それぞれのキャラと話して、決意を秘めてヴィレッタ隊長と話するからENDフラグかと思ったよw
饅頭サンクス!
おいしく頂きました。
>>478-479 隊長疑われやすいタイプだから…w
杞憂で良かった良かった。
二つともGJだったよん。面白かった。
さて。
…言いにくいんだけど、引退、しようと思う。
理由はOGsラトへの違和感。
常時軍服メガネでジオン軍パイスー。RHBの時のゴスロリも只のイメージ映像。
声優もイメージと違ったし、リュウセイへのフラグもGBAの時より酷くなっていてほぼ別人。
なんというか、特別なものは本当何も感じなくなってしまった。
かといって他のキャラでそれ程書きたいキャラが居る訳でも無し。
いろいろ投げ出しっぱなしのまま去るのは不本意だけど、このままフェイドアウトするよりはいいかな、と。
いろいろサンクス。
さらば。
>>480 サンクス(・ω・)/
>引退
ぬぅ、GBA版を再プレイしても燃料補給にならぬほど、イメージ崩されてしまったか?
YOUの書くラトゥーニは好きだったんだがなぁー……寂しいけど今までサンクス。
気が向いたらまた書いてちょ('-^*)/
新参者です。
おろろん、ちょいと来れない間にGJですよ。
お疲れ様でした。
うーん、触発されますね、いい作品には…
とにかく、おもしろかったです♪
GJ☆
>>480 新参者です。
キャラへの思い入れがエネルギーになるスレですからね、ここ…
でも、またいつでも戻ってきてくださいね。
あなたが心を踊らせる誰かさんと一緒に。
待ってますよぅ。
>>480 引退ですか……。
感想は書けなかったけど、毎回楽しく読ませて頂いていました。
少し、寂しくなりますね。
でも、また気楽に来て下さい。
感想だけでも書いてる人たちの励みになりますから。
485 :
それも名無しだ:2007/09/14(金) 03:32:51 ID:5Bh0f+dK
最下層到達age
可愛い月 新人くん日
廊下を歩いてたら、ロビーの方からマイとラトが走ってきた。
二人とも手に猫じゃらしを持って、何かから逃げているようだったけど、何だか楽しそうでもある。
そしてその後ろから、新人くんが物凄い勢いで二人を追いかけていた。
「待たんか、ガキどもおおおおおっ!」
「ごめんなさぁぁぁい!」
「少尉の寝言は誰にも言いませぇぇぇん!」
「良いから止まれぇい!こういう時だけ精神コマンド『加速』使いやがってぇぇぇっ!」
何が何だかわからず立ち尽くす私。
マイとラトはそんな私の後ろに、その小さな体を隠す。
「た、大尉……!失礼しました!」
追い付いた新人くんは、まず私に敬礼した。
「アヤ〜、シスコンがいじめる〜っ!」
「お嫁に行けない体にされます〜っ!」
……あなたたち、そういう言葉どこで覚えたの?
「誰がシスコンだ!だいたいテメー等みてぇなチンチクリンになぞ、川が逆さに流れたって欲情せんわ!」
あなたもムキになって答えるのはやめなさいね。
「す、すいません……とにかく、その二人を引き渡してください!大人として、説教してやらにゃあなりません!」
……ああ、この二人に、何か悪戯をされたのね。
でも顔が耳まで真っ赤になってて、怒ってるというよりは、恥ずかしがってるような……?
「大人があんな事言っちゃうんですか?」
「ふふん、ずいぶん立派な大人だな」
マイとラトは彼に向かって、揃ってベーッ!と舌を出して、また逃げ出した。
「ぐぬっ……!ガぁぁぁキぃぃぃどぉぉぉもぉぉぉっ!」
ああん、もう!大人ならもっと落ち着きなさい!
追いかけようとする新人くんを制止させて、私はたしなめる。
何があったか知らないけど、あの二人には、私から良く言って聞かせておくから、ね?
「た、大尉がそう仰るんでしたら……」
新人くんは、渋々ながらも従ってくれた。
>>486 ――で、何があったの?
私が尋ねると、新人くんはムスッとしたまま話し始める。
「その……さっきロビーのソファで昼寝してたんですが、アイツ等が猫じゃらしで顔をくすぐってきて……」
まさか、それだけであんなに怒ってたの?
「いや、その時俺、寝言を言っちまったみたいで……自分じゃわかりませんが、子供の頃の……姉貴と遊んでた時の夢見てたんで、多分……」
お姉様の名前を呼んじゃった、と。
「はい、多分」
それでマイがシスコンなんて言ってたのね。
でも良いじゃない。
あの子たちがそういう悪戯をするって事は、あなたの事を憎からず思っている証拠よ?
あなたは大人なんだから、悪戯の一つや二つ、させてあげても良いんじゃないかなぁって、私は思うんだけど。
「そ、そうですか?」
えぇ、そうよ。
それにあなたの寝顔って、本当に悪戯したくなるくらい無防備で可愛いもの。
私はこの前見た彼の寝顔を思い出して、クスクス笑ってしまった。
「…………」
彼は恥ずかしくなったのか、顔を真っ赤にしながらムスッと仏頂面になる。
そういえば、ちょくちょくロビーのソファで寝てるみたいだけど?
あまりからかってはいけないと思い、話題を変えてあげる。
「あ……あそこは日当たりが良くて、ポカポカ暖かいんで、つい……」
やだ、まるで猫みたい。
私がそう言うと、
「放っといてください」
彼はそう答えていじけてしまう。
ごめんなさい。
ほら、元気出して!男の子でしょう?
彼が本当に愛らしく見えて、私はつい頭を撫でてしまった。
「…………」
彼は特に反抗もせず、大人しくなる。
撫で撫でされるの、好きなのかしら?
何だか本当に猫みたいで、ますます彼を可愛く思う私だった。
保守
「アヤ大尉、チョーカー変えたんですか?」
アヤと一緒に食堂で朝飯食ってたら、クスハが声をかけてきた。
そう、今日のアヤが付けているのは、いつものやつではなく、黒い革製のチョーカーだった。
白い肌とチョーカーの黒が、お互いを引き立てている。
「ええ。彼がプレゼントしてくれたの」
アヤは少女のように頬を赤らめて、俺の手をキュッと握りながら答えた。
「良いなぁ……大尉は肌が白くて綺麗だから、黒系とか凄く似合ってますよ?」
「そ、そう?」
「ええ。何だかセクシーな感じです」
「や、やだ!セクシーだなんて!もう!そんなにおだてたって、何も出ないわよ!?」
アヤは耳まで真っ赤になって、何故か俺の背中をバンバン叩く。
舞い上がりすぎだ、馬鹿。
口に入れた焼き魚を危うく吹き出しそうになり、俺は思わず胸の内で毒づいた。
『おはよーございまーす』
間延びした挨拶をしながら、ラトゥーニ・ゼオラ・アラドの三人が食堂に入ってきた。
お前ら、だらけた声出してんじゃねえ。
そんなヌルい事じゃ、教導隊の看板に泥が付くぞ。
「うへぇ、朝から説教は勘弁ッスよ……」
アラドが情けない声を出す。
「まぁまぁ、良いじゃない。この子たちも、やる時はやるんだから」
アヤがそう言って俺をなだめる。
「それより見て?昨日買ってもらったのよ♪」
嬉しそうに、三人にも新しいチョーカーを見せるアヤ。
ゼオラがそれを見た瞬間、いきなり真っ赤になった。
―― ゴ ス ッ !
次いで、必殺の踵落としが俺の脳天を打ち抜いた。
>>489 て……てめぇ……いきなり何しやがる……!
「せ、せ、セクハラですよ少尉!いくら恋人同士とは言え、首輪を付けさせた上、外を歩かせるなんて!」
――はぁ?
言われてアヤを見る。
……確かに、黒革のチョーカーは、犬や猫に付ける首輪に見えなくもない。
「少尉……そーいう趣味だったんスか」
「か、過激……」
アラドとクスハも気が付いて、顔を赤くする。
いやいや待て待て!
違う!誤解だ!
本当に単純に似合うと思っただけで、別にそういうプレイを想定してた訳じゃねぇ!
「ば、馬鹿……!言ってくれれば……私はいつでも、あなたのペットに……なってあげるのに……」
アヤぁぁぁぁっ!
お前まで本気にするなぁぁぁぁっ!
「…………」
おい、チビっ子……何だ、その冷ややかな目線は……。
「軽蔑の眼差しです」
即答すな!
だから誤解だって言ってんだろ!
「やっぱあれッスか?これが男のロマンってやつッスか?」
「何がロマンよ!最低だわ!少尉の事、見損ないました!」
「でも、少尉らしいと言えば、らしいですよね……」
「…………」
お前ら、俺をどういう目で見とるんじゃあああああっ!
そうじゃねえっつってんだろがぁぁぁぁっ!
俺の叫びはむなしく食堂に響くだけだった。
――翌日から、俺は「エロスの竜巻」略して「エロンベ」と呼ばれるようになってしまったのだった。
誰かいっそ殺してくれ……。
アメノミハシラ格納庫。
ロウ「んじゃあ、早速出発するか、シャナ=ミアさんよ」
シャナ=ミア「……少し待ってください」
ロウ「おお、じゃあ俺らは先にリ・ホームで待ってるぜ」
シャナ=ミア「……オルガさん」
オルガ「…どうした?乗れる機体の無い俺は留守番だろう?早く行けよ」
シャナ=ミア「貴方にお願いがあります。私の……ラフトパラディンのサブパイロットを務めてください」
オルガ「……どういうことだ?」
シャナ=ミア「本来ラフトパラディンは副座式なんです。サイトロン調整担当の。ですから、私の……」
オルガ「断る」
シャナ=ミア「え?」
オルガ「俺にだって意地の一つくらいある。サブになってまで戦場に出たいとは思わない」
シャナ=ミア「オルガさん……でも、仲間だったって言うお二人の仇を討ちたいんじゃ……」
オルガ「!」
シャナ=ミア「クロト・ブエルさんにシャニ・アンドラスさんでしたっけ?どれほどの仲だったのか私は分かりませんけど…
そのお二人の仇が討ちたいんじゃ……」
オルガ「うるせえ!お前は、人の弱みに付け込んでまで俺を乗せたいのかよ!?」
シャナ=ミア「!弱みなんて……私はそんなつもりは……」
オルガ「とにかく、俺は乗らねえ。ついて行くのはリ・ホームまでだ」
シャナ=ミア「…………」
ロウ「お、シャナ=ミアさん。用事は済んだのかい?」
シャナ=ミア「ええ……」
ロウ「じゃあ行こうぜ。プロフェッサー、OKだ、出してくれ」
プロフェッサー「了解、じゃあ行きましょうか」
オルテュギアブリッジ。
カナード「くそ、取り囲まれたか」
メリオル「万事休す…か。仕方ありません、降伏します」
ゼア=ウィド「……俺が出る」
カナード「!?奴らの狙いはお前だぞ!死ぬ気か!?」
メリオル「いえ、連合を抜けた時点で私達もガルシアのターゲットとなっています。ここまでくればゼア=ウィドが出ても
出なくても同じでしょう」
カナード「……なら、俺が出ても問題ないな」
ゼア=ウィド「悪いな、損な役回りさせちまって」
カナード「気にするな」
メリオル「手が開いているものはメビウスで出撃して」
クルーA「現在出撃できるのは三機のみです!」
メリオル「構わないわ、二人の援護に回して!」
ゼア=ウィド「すまないな、メリオル」
メリオル「いえ、あなたにしてあげられるのはコレくらいですから」
ゼア=ウィド「ありがとうよ。じゃあ、ゼア=ウィド・エテルナ・フューラ、ハイペリオン三号機出るぞ!」
カナード「カナード・パルス、ハイペリオン一号機。同じく出る!」
今日はここまでです。
>>489-490 エロンベさーんwww
苦労してますね、俺とは別の方向で……
少尉は本当に苦難が絶えませんね、お大事に
以上、今年中にはアルテミス篇を終わらせたいゼア=ウィドでした。
>>891 オルガのパイロットとしての意地が格好良いね。
焦らずマイペースで頑張れ('-^*)/
>>892 エロンベって言うなぁぁぁぁっ!
なんてねw
感想サンクス。本当に男は辛いよw
凄いロングパスかましてしもた……orz
>>491-492宛てです、ごめんなさい。
切腹。
頬の絆創膏に顔が引っ張られてるみたいで、どうも落ち着かん。
しかし剥がしたら医者とアヤがうるさいんで、我慢するしかない。
それにどちらかというと、右腕を三角巾で吊ってる事の方が面倒だ。
利き腕が使えないってのは、意外と不便なもんなんだな。
そんな事を考えながら、俺は昨日から修理ドックに搬入されたまんまのアシュセイヴァーの残骸を、ボンヤリと眺めていた。
「やっぱりここにいたのね」
そこへアヤがやって来る。
「もう。お昼食べたと思ったら、プイッてどこかに行っちゃうんだから……あまり心配させないで?」
アヤはピットリと寄り添いながら、子供みたいに膨れっ面になる。
ごめん、アヤ。
俺はただ、そう返すしか出来なかった。
「あ、そうそう。さっきキョウスケから文句言われちゃったわ。毎回アルトの角に吊すのはやめてくれって」
んじゃあ、次からはビルトビルガーの角に吊すか。
俺はかなりマジに答える。
何せアシュセイヴァーが無残な屍を晒す羽目になったのは、みんなリュウセイのせいなんだからな……。
昨日の演習を思い出すと、また頭が痛くなってきた。
>>495 昨日はSRXの合体演習が行われた。
ただし、合体のための念動フィールドをリュウセイに担当させる。
合体が必要で、しかもR−3が消耗しているという、追い詰められた状況を想定した演習だった。
しかし、リュウセイの阿呆の強い念動力が、今回は仇になった。
念動フィールドは合体した機体同士を包み込んで、合体状態を維持する役割を果たす。
早い話がSRXは、サランラップか何かでグルグル巻きに固められてるようなもんだ。
ところがリュウセイの奴、念動フィールドを張るのが早過ぎる上に、フィールドの強度もガッチガチに固くしちまったから、合体しようとした機体同士が弾かれちまった。
空中で衝突したRシリーズ三機は、そのまま落下していく。
R−1はR−ウイングに変型して体勢を立て直そうとしたが、結局胴体着陸。
R−3は、T-LINKフライトシステムを積んだ自分のプラスパーツにとっさに捕まって、難を逃れた。
俺は残るR−2の救助に向かっていた。
俺のアシュセイヴァーは、テスラドライブを積んでるおかげで飛行可能だ。
空中でR−2をキャッチした後、ブースターを噴かす。
ずっと以前、同じようにR−3パワードをビルトラプターで支えようとして、結局落っこっちまった事がある。
今回はプラスパーツを切り離したR−2本体のみだったが、やはりキツかった。
アヤがとっさに、念動フィールドを張って俺たちの機体を空中に固定してくれた。
ほんの数秒の間だったが、それでも落下スピードがかなり相殺された。
加えてライが、R−2を合体形態からPTに戻してアシュセイヴァーから離れ、自分で体勢を立て直してくれた。
おかげでR−2は両足が破損しただけで済んだが、俺のアシュセイヴァーはバランスを取り損ねて地面に激突。
俺も右腕の骨にヒビが入る怪我を負った次第。
その夜、腹いせにリュウセイを簀巻きにして、アルトアイゼンの角に吊しておいた。
その時のリュウセイはやたら大人しかったが、アイツなりに反省してるんだろう。
夕方には回収してやるか。
>>496 しかしアシュセイヴァーの損傷は、見れば見るほどヒドいもんだった。
オオミヤ博士も、
「やるだけやってみるが、あまり期待はしないでくれ」
と景気の良くない返事。
修理出来る・出来ないは別にして、当座の機体をどうにかせんとな……。
「ラミアに頼んで、ヴァイサーガかソウルゲインを貸してもらったら?あなたとは相性が良いみたいだし」
確かに悪くはないが、正直な話、あいつ等に乗ると一騎駈けしたくなるんだよな……みんなをほったらかして。
俺の役目はチーム全体のバックアップだから、オールマイティに戦える機体がベストだ。
「じゃあ、量産型ヒュッケバインとか?だけど、うちに回せる余分な機体があるかわからないし……あったとしても、昨日のアレの後じゃあ、ねぇ……」
まず無理だな。
となると、やはりラミアに頼んで、ヴァイサーガかソウルゲインを借りるしかねえか。
いつスクランブルがかかるかわからねえし、贅沢は言ってられん。
はぁ……。
思わずため息が出る。
「元気出して?」
そんな俺を励ますように、アヤが左手をキュッと握ってくれた。
「乗れる機体が全くない訳じゃないし、アシュセイヴァーだって、修理出来ない訳ではないんでしょう?オオミヤ博士だって、最初からサジを投げてはいないんだし」
……まぁ、そうだけど。
「私たちがここでクヨクヨしたって、アシュセイヴァーもあなたの怪我もなおらないわ。機体の方は私とヴィレッタでどうにかするから、あなたは一日も早く、怪我を治す事に専念してちょうだい?」
汚れのない宝石のような瞳が、真っ直ぐに俺を見つめる。
その視線に秘められた慈愛と、そして芯の強さが、暗くなりがちな心を癒やしてくれるかのようだった。
アヤと一緒にいると、どんな時でも勇気が湧いてくる。
俺は思わず、左腕で彼女を抱き寄せた。
「大丈夫。きっと何とかなるわ」
アヤは明るい声で励まし、髪を撫でてくれる。
――そうだな、きっと何とかなるさ。
前向きな気持ちになれた俺は、感謝の気持ちを込めて口づけをした。
「ん……」
アヤは俺の両肩に手を添えると、すぐに舌を絡ませてきたのだった。
ゼア=ウィド「来るなら来てみろ!うらぁ!」
カナード「パイロットは素人のようだな。貴様にハイペリオンを扱えると思っているのか!?」
敵兵士「う、うわああああ!!」
戦場に二人の怒号と兵士の悲鳴が響く。
オルテュギアは完全に囲まれている。
量産型ハイペリオン、グレート、ネオゲッターも一向に数が減らず、気付けば最初の五倍近くいた。
ゼア=ウィド「くそっ、きりが無い!」
バルサム「悪いな、ゼア=ウィド。こっちも任務なんでな!」
カナード「っ! エリック、避けろ!」
エリック「えっ…うわああああー!!」
バルサム「撃墜スコア三機……まだまだ行くぜ!」
クルーA「エリック少尉機撃墜を確認!また、別方向で戦闘していたスラッグ中尉も撃墜されました!」
メリオル「! あの『陽炎』スラッグ中尉が!?」
クルーA「量産型グレートのブレストバーンの一斉放火を受け溶解したとクララ少尉から…」
メリオル「これ以上の被害はまずいわ、クララ少尉を帰還させて!」
クルーB「了解。クララ少尉、戦闘行動を中止し、帰還せよ。繰り返す……」
クララ「はぁ!?冗談じゃないわよ!私はまだいけるわ!狙うは大将の首ただ一つ!」
クララはそう吐き捨て通信を切ると、ミサイルを振り撒きながらバルサムに突撃していった。
しかし、バルサムはアルミューレ・リュミエールを展開しつつビームマシンガンでクララ機を狙っていた。
バルサム「撃墜スコア四機目……いただきだぜぇ!!」
クララ「! きゃああああ!!!」
ゼア=ウィド「クララ!?」
クルーB「クララ少尉!応答せよ!クララ少尉!おい答えろよ!クララ!聞いてんのかよ!」
メリオル「落ち着いて!…これでメビウス隊は全滅。敵は恐らく無尽蔵…覚悟を決める必要がありそうね……!」
メリオルが顔を上げると、モニターにハイペリオン二号機の顔が映っていた。
ハイペリオンはビームマシンガンを構えている。照準は、オルテュギアのブリッジである。
バルサム「五機目は戦艦にすっかぁ…」
メリオル「か、回避!」
クルーA「間に合いません!」
バルサム「消し飛びな………グアッ!?」
突然ハイペリオン二号機が仰け反る。強力な竜巻によって巻き上げられたと思われる。
ゼア=ウィド「これは……デッドロンフーン……!ということは…!」
ゼア=ウィドの言葉に合わせるようにリ・ホームが現れ、その中から多数の機動兵器が飛び出した。
シャナ=ミア「ゼア!生きてる!?」
ゼア=ウィド「シャナ=ミア……」
今日はここまでです。
>>493 ありがとうございます。
ですよねーw
多分男より辛い生き物地上に存在しませんよw
>>495-497 うおっと、マスタッシュマン乗り換えフラグ発生?楽しみにしてますよ。
以上、エリック、クララ、スラッグをもっと早く出せばよかったと後悔しているゼア=ウィドでした。
>>498 数の暴力って怖いね……(´・ω・`)
再びシャナ様と再会したけど、ゼア、ソッコーでボコられたりして……w
ところで、誰か新スレ立ててくれないかな?
オイラ携帯だから立てられないんだ……orz
501 :
それも名無しだ:2007/10/04(木) 13:50:09 ID:TTCFuEmn
保守上げ
二人きりの月 晩御飯日
今夜は新人くんを私の部屋に誘って、二人きりで食事。
レーツェルさんのご指導によって磨きのかかった、私の手料理をご馳走してあげた。
……とは言っても、本当は自信がないのよね。
みんなに食べてもらっても、当たり障りのない評価かお世辞しか返ってこない気がして、何となく誘いにくい。
その点新人くんは、ゼオラやレオナの手料理にもきちんとした感想を言ってるし、ちゃんとした評価をしてくれそうな気がした。
メニューは、白御飯に豚汁、肉じゃがに玉子焼き。
新人くんは手を合わせて軽く頭を下げてから、食べ始めた。
ちゃんと「いただきます」をするなんて、結構お行儀が良いのね……それに、凄く嬉しそうにパクパク食べて、何だか見てるこっちも嬉しくなっちゃう。
目の前でひたむきに料理を食べる新人くんは、戦場での荒々しさや激しさがすっかり影を潜めて、まるで子供みたいで、私は何だか微笑ましくなった。
肉じゃがも豚汁も、おかわりはあるから、遠慮しないで食べてね?
「うん……あ、いや……ありがとうございます、大尉」
慌てて言い直す様子がおかしくて、つい笑ってしまう。
「すいません……何か、家に帰ってきたような気分になっちまって……」
新人くんはバツの悪そうな顔で、謝ってくる。
ううん、気にしないで。
今の、ちょっと可愛かったし。
からかい半分に言うと、新人くんはいきなり豚汁をかきこみ出す。
「すいません、おかわりお願いします」
お椀を差し出す新人くんは、頬がちょっと赤くなっていた。
――豚汁を二杯、肉じゃがを三杯おかわりして、新人くんは満足したみたい。
食べ始めと同じように、手を合わせて無言で頭を下げる、おとなしい「ごちそうさま」だった。
お粗末様でした。
どうだった?今後の参考にしたいから、正直に言ってちょうだい?
「凄く美味かったです……ただ、肉じゃがは、イモをもうちょっと柔らかくしたのが、俺は好きですね」
思った通り、彼は具体的な評価を返してくれた。
>>502 もっと色々聞きたくて、私は思いきって尋ねてみる。
あなたのお母様は、どんな料理を作ってたの?
――ご家族の事は知ってるけど、悲しい死別より、楽しかった思い出を振り返るきっかけになれば……という計算もあった。
新人くんは、一瞬暗い顔になったけど、すぐに話し始めた。
「お袋は……俺の弁当には、いっつも玉子焼きを入れてくれました。ちょっと甘い味付けだったけど、凄く好きでした」
話し出すと、とても穏やかな顔へと変わっていった。
「それに、いっつもいろんな具を入れるんです。細かく切ったキャベツだったり、カニかまだったり、ヒジキだったり……チーズが入ってた時もありました。
おかげで、姉貴も真似をして、いろんな具の入った玉子焼きを俺に食わせたもんです。チョコレート入りの玉子焼きを食わされた時は、ちょっと泣きたくなったけど」
……大変ユニークなお姉様だったのね。
さすがに笑うしかなかった。
「でも、もし出来るならもう一回くらいは食ってやっても良いかな……姉ちゃんのチョコレート入り玉子焼き……」
かすかに声が震えていた。
ごめんなさい、辛い事を思い出させてしまったわね……。
謝りながら、テーブル越しに手を握ってあげる。
「いえ……大尉のおかげで、久しぶりに楽しかった時の事を思い出せた気がします……」
彼はそう言って笑ってくれた。
「それに、大尉の手料理が食えて、本当に嬉しかったです」
そう答えて、手を握り返してくれた。
――それから、しばらくの間あれこれお喋りをして、就寝のきっかり一時間前に、彼は自分の部屋へと戻った。
最後に、彼はおずおずと尋ねてきた。
「その……大尉の気が向いた時で良いです。また、料理食わせてもらえますか?」
ええ、もちろんよ。
私は明るく答える。
今度はもっと美味しいものを食べさせてあげるわ。期待しててね?
「ありがとうございます、大尉」
彼は嬉しそうに答え、部屋を出て行った。
あんな子供みたいな明るい笑顔は、初めてかも……。
何故か私まで、口元がにやけてくる。
何だろう?
何で私、こんなに喜んでるんだろう?
自分でもよくわからなくて、モヤモヤするものがあるにはあるけど……でも、何となく幸せな気持ちで、私は少し早めにベッドに入ったのだった。
コクピット内でコンパネに目を走らせ、手早く機体のコンディションをチェックする。
ソウルゲインは全く問題ない。いつでも戦える状態にあった。
俺は右拳をググッと握り締める。
二の腕に、鈍い痛みが走った。
最初、痛み止めの注射を打とうかとも思ったが、それで右腕の感覚が鈍るのは良くないと思い、結局打たなかった。
その代わり、包帯をグルングルンに巻いてガッチリ固めてある。一回の戦闘の間くらいは、保ってくれるだろう。
だいたい、こうしてる間も、SRX組のみんなが、基地に襲撃をかけてきたDC残党と戦ってるんだ。
なのに、この程度の怪我でおとなしくお留守番してられるほど、俺は聞き分けは良くないぜ。
俺は自分を鼓舞するように、うっしゃあ!と吠え、ソウルゲインと共に格納庫の外へと躍り出た。
外では、リオンシリーズの大安売りだった。
各種リオンが、SRX組を始めとする迎撃部隊を相手に、空と地上でドンパチやらかしてやがる。
テメー等、いつまでも調子に乗ってんなよ!
俺は上空のリオン部隊目掛けて、突撃をかけた。
両手に意識を集中させる。
機体の両手が青白い光を帯び始める。
エネルギーが充分に高まったところで、俺はリオン部隊へとそのエネルギーを放射した。
吠えろ!青龍鱗!
両手から放たれた二条の閃光が、見事にリオンに命中した。
まずは二機!
次いで、ソウルゲインの両の二の腕を、螺旋回転させながら発射する。
撃ち抜け!玄武剛弾!
撃ち出された二の腕は巨大な弾丸となって、リオン三機とバレリオン二機を撃墜する。
この武器、思ってたより、射程と貫通力があるな。
機体の空戦能力も、格闘戦に特化したとは思えないくらい高い……結構使えるじゃねーか。
それに、ダイレクト・フィードバック・システムのせいか、機体との一体感が俺の全身を心地良く包み込んでいる。
胸の奥から久しぶりに、燃えるような高揚感が湧き上がる。
戦闘機に初めて乗った時や、戦場で初めて敵を撃墜した時の、あの感覚……これならイケるぜ!
俺はソウルゲインと共に、また別の敵群へと飛びかかっていった。
>>504 十機目のリオンをパンチで撃ち落とした時、R−3パワードが機体を寄せて来た。
アヤから通信が入る。
『やっぱりあなたね!戦い方を見てすぐにわかったわ!』
あの……なんで怒ってんの?
『当たり前でしょう!怪我も治らないうちから、もう無茶ばっかりして!後でお説教よ!』
へいへい。んじゃあ大尉殿のお説教を受けるためにも、チャッチャとDC残党の皆さんにはご退場願おうかね。
そう返した直後、レーダーに反応。
バレリオンが、ビッグヘッド・レールガンをこちらに向けていた。
――やべぇ!
瞬間、ソウルゲインは両腕でコクピットをかばいつつ、R−3パワードの前に出る。
強烈な衝撃が走った。
が、俺もアヤも無事だ。
『念動集中……ストライクシールド発射!』
ソウルゲインの巨体をブラインドに、R−3パワードがストライクシールドでバレリオンを撃ち落とした。
『大丈夫!?』
ああ、ちょいと揺れたが、どうって事はねえ。
ソウルゲインをぶち抜くには、まだまだ火力不足だったようだな。
『良かった……その機体はひょっとして、本当に相性バッチリなのかもね。すぐに突っ込む誰かさんとは』
そう言って、アヤは通信画面越しに笑ってくれた。
アヤに他の連中の援護を頼み、俺は再び敵群に突撃をかける。
俺が暴れ回って敵を引きつければ、それだけ仲間の負担も減る。
これはこれで、チームのバックアップになる筈だ。
そーいえばSRX組に配属されたばかりの頃も、改造したゲシュペンストで突撃かけて囮になってたっけ。
ふとそんな事を思い出した瞬間、巨大な影が突っ込んできた。
かろうじてかわす。
敵は、全長50メートルは越えてる、巨大な騎士だった。
複数のガーリオンを継ぎ接ぎしたような巨体に、鎧のような装甲。
手にはランスと盾。
そいつはそのランスで俺を指差した。
どうやら一騎打ちをお望みらしい。
上等だ!やってやるぜ!
俺はソウルゲインに拳を握らせて接近、右ストレートを打ち込んだ。
が、盾に防がれる。
――何か、感触が変だぞ?
違和感を覚えつつも、次いで二打、三打と拳撃を打ち込む。
理由がわかった。
拳が盾に届いてねえ。
盾の手前で、見えない力場に止められている。
ナイトリオン(仮名)が、ランスを突き出した。
左の裏拳ではねのけるが、これもランスその物には届いてなかった。
>>505 よく見ると、敵の両肩は、ガーリオンの胴体部分を使って構成してある。
それで、ピンときた。
こいつ、両肩にもテスラ・ドライブを積んでやがるな。
そこから発生させるブレイク・フィールドで、ランスと盾を補強してやがるのか。
右腕がズキズキと痛み出してきた。
生半可な攻撃は効かない事もわかったし、いつまでも遊んではいられねえ。サッサと終わらせるか!
――ソウルゲイン、フルドライブ!
音声入力で、ソウルゲインに施されていたリミッターを解除する。
両拳にエネルギーをまとわせて、俺はナイトリオン(仮名)に接近した。
でぇい!
敵は盾で防御するが、俺は構わず拳打を打ち込む。
一発、二発、三発……両腕をブンブン振り回して、最大パワーでラッシュをかける。
盾と、それを補強するブレイク・フィールドを打ち抜くまで、ひたすらぶん殴る。
殴る。
殴る。
殴る。
殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る!!!!
うぉぉぉぉぉっ!
知らず、コクピットの中で吠えていた。
右腕の痛みもどこかへぶっ飛んでいた。
不意に、今までとは違う、硬い手応え。
ブレイク・フィールドをぶち抜いて、盾を直接ぶっ叩いたのだ。
更に連打を打ち込むと、衝撃に耐えきれなくなったのか、ナイトリオン(仮名)の左腕が盾ごと吹っ飛んだ。
でやぁっ!
がら空きになった胴体に、エネルギーをまとった双掌打「白虎咬」を打ち込む。
ナイトリオン(仮名)は派手に吹っ飛んだ。
が、すぐに体勢を立て直し、ランスを前に突き出す。
その先端に、目に見えるほど強力なブレイク・フィールドをまとう。
真っ向勝負だ!コード・麒麟!
ソウルゲインは顔の前で交差した両腕を、大きく後ろへ引く。
エルボーブレードが最大限に伸び、そこに青白い炎を宿す。
ナイトリオン(仮名)が、ランスを突き出して突撃してくる。
俺も迎え撃つように突撃した。
でぃぃぃいいぃぃいやっ!!!!!!
雄叫びを上げ、エルボーブレードで横薙ぎに斬りつける。
ナイトリオン(仮名)のランスが右肩をかすめた。
ブレイク・フィールドに巻き込まれて、肩周りの装甲が派手に吹っ飛ぶ。
だが、ソウルゲインのエルボーブレードは、ナイトリオン(仮名)の胴体を見事真っ二つに両断していた。
ナイトリオン(仮名)はそのまま、二つに別れて海岸の方へと落下していった。
>>506 ベッドに腰掛けたアヤの白いたおやかな手が、床に正座している俺の頬をムニ〜ッと引っ張る。
そして、上下にムニムニと引っ張り、パッと離す。
次にアヤは、鼻を思いっきりつまんでくる。
前後にガクガクと動かして、突き放すように指を離した。
――大変申し訳ありませんでした、アヤ様。
謝る俺の右腕は、三角巾で吊られている。
医者に見てもらったら、あの戦闘で、右腕の骨のヒビが更に広がったらしい。
という訳で、ヴィレッタの姐さん直々に、怪我が治るまで出撃禁止の命令をくらっちまった。
こんな阿呆らしい命令されるのって、俺だけだろうなぁ……。
おかげで我が麗しの君もすっかりご機嫌斜めだ。
「反省してる?」
はい、心から。
「――あなたは誰のもの?」
はい、アヤ様のものでございます。
「――あなたの役目は何だったかしら?」
はい、アヤ様を守る事でございます。
「――で、そんな状態で、どうやって私を守るつもりなのかしらねえ?」
……ひたすら申し訳ありません。
もうとにかく謝るしかなかった。
「あなたは私のもの……心も体も、全て私のもの……だから、私の許可もなしに怪我をする事も、ましてや死ぬ事なんて、絶対に許されない事なのよ?」
俺の髪を撫でながら、アヤは小さな子供に言い聞かせるように、語りかける。
ベッドから下りて膝立ちになり、俺をキュッと優しく抱き締める。
「お願いだから、心配させないで……」
優しい声だった。
深い愛情のこもった声だった。
アヤの体は暖かくて、抱き締める腕は、俺をこの世のあらゆる残酷さから守るかのように、力強かった。
ふと、お袋の事を思い出す。
小さい頃、俺が怪我して帰って来る度に、お袋は真っ青な顔になった。
手当てをしてくれた後、今のアヤのように俺を抱き締めて、
「お願いだから、お母さんに心配させないで……」
と、泣きそうな声で言っていた。
――本当にごめん、アヤ。
俺は左手で、アヤの髪を撫でる。
俺、もう怪我しないから、泣かないで。
あの時お袋に言ったのと同じ返事を、アヤにも返す。
「泣いてなんかないわよ――馬鹿」
アヤは震える声で答えながら、更に強く俺を抱き締める。
俺はそんなアヤの背中を、優しくさすってやるのだった。
ゼア=ウィド「シャナ=ミア……」
宗介「無事か、ゼア=ウィド?」
ヒギンズ「無茶しないでくださいね、私達がついているんですから」
耐爬「そうとも。お前が死んで泣く人間がいることを覚えておけよ」
ゼア=ウィド「お前ら……」
かつての仲間から通信がいくつも入ってくる。
ゼア=ウィドにはその頃の記憶はない。しかし、ゼア=ウィドはこう呟いた。
ゼア=ウィド「……すまない」
ロウ「おっ!あいつぁハイペリオンの量産型か!」
劾「ここまで量産されているとはな。裏でどこかと手を組んだか」
プレア「カナードさん!」
カナード「プレアか……安心しろ。俺はもうキラ・ヤマトは狙わん」
プレア「え…?」
カナード「あいつを見ていると、キラ・ヤマトに固執していた自分が馬鹿らしくなってな」
プレア「カナードさん……!」
バルサム「がぁぁぁぁぁ!!!」
突然、バルサムがフォルファントリーやビームマシンガンを乱射しながら飛び込んできた。
バルサム「どいつもこいつもどいつもこいつもどいつもこいつも俺を俺をこのアルテミスススススの荒ら鷲をを
こけにしししししやがってぇぇぇぇぇ!!!潰す!徹底的決定的圧倒的に皆殺し潰すぅぅぅ!!!!」
ゼア=ウィド「なんだ!?動きが今までのバルサムとはまるで別人じゃないか!」
カナード「それに言ってることが支離滅裂だぞ!」
劾「……もしや、ゲイム・システムか!?だとするとバックの組織はDC……!?」
ロウ「世も末だな。連合の一部がDCと手ぇ組むなんざ」
二人はそう言いつつガーベラストレートとタクティカルアームズを構える。
そして各々オルテュギア周辺の敵機を破壊していく。ふと、ゼア=ウィドの手が止まった。
ゼア=ウィド「…………」
カナード「どうした、ゼア=ウィド?」
ゼア=ウィド「カナード……ここは頼んだ」
カナード「は?頼んだって……っておい!ゼア=ウィド!」
ゼア=ウィドはそう言ってアルテミスの方向へ向かっていった。
シャナ=ミア「待って、ゼア!耐爬さん、宗介さん、ヒギンズさん。ここは頼みます!」
耐爬「任せろ!」
ゼア=ウィドを追い、シャナ=ミアもアルテミスへ向かう。
オルガ「…………あの野郎、まさか!?おいイライジャっつったな!余ってるMSねえか!?」
イライジャ「あ、バスターソード整備中の俺のジンならあるけど……」
オルガ「それでいい!借りるぞ!」
イライジャ「お、おいちょっと待てよ!」
そしてオルガもジンでアルテミスを目指す。
ガルシア「……もしやゼア=ウィドめ、ここまで突っ込んでくる気か!?
……ふん。だが、残念だったな。このアルテミスの傘がある限り、貴様は私に指一本……」
兵士「司令!未確認の機動兵器が一機接近しています!ありえない速度です!」
ガルシア「放っておけ。速いだけではこのアルテミスの傘は……」
ガルシアが言い終える前に要塞全体が大きく揺れた。
ガルシア「何だ!何が起こった!」
兵士「あ、アンノウンがアルテミスの傘出力装置を破壊しました!」
ガルシア「馬鹿な!傘が破られたとでも言うのか!?」
兵士「いえ、アンノウン周辺にボース粒子の増大を確認!ボソンジャンプです!」
ガルシア「な、何ィ!?」
モニターには、不敵に佇む黒い機体が映っていた。
???「…………」
兵士「アンノウン周辺、再びボース粒子増大!ロストします!」
ガルシア「ぐぬう……許さん!ゼア=ウィドを殺した後で奴も地獄に葬ってくれる!」
兵士「司令!先ほどの三機がダメージ箇所から侵入しました!」
ガルシア「兵士を向かわせろ!三人まとめて始末しろ!」
兵士「はっ!」
バルサム「荒鷲ししししをなめるるるるとなぁぁぁぁ!!!こえぇええぇんだぜぇえええええ!!!!」
バルサムが狂い叫びつつナイフを投げ続け、耐爬はそれを辛うじてかわしつづける。
耐爬「くっ!最早避けるだけで精一杯か……!」
宗介「こんなことならかなめに遺言でも残しておけばよかったか……」
ヒギンズ「縁起でもないことを言わないで!なんとかここを突破しなきゃ!」
ガルシア「ひっひはははぁっぁあ!!!背ぇ中がががががら空きだっぜぇえぇぇぇっぇぇええ!!?」
耐爬「!!」
宗介「!」
ヒギンズ「!?」
そのとき、宗介とヒギンズは信じられない、いや、信じたくない光景を目にし、また耐爬はその
信じたくない瞬間を実際に体験していた。
バルサムのナイフが、ランスターの胴体に深々と突き刺さっていた。
保守
J世界なのにDCってありかなーとふと思った。
黒い機体はブラックサレナか?
続きが楽しみな不死身の男でした('-^*)/
保守
俺の新しい機体が完成した。
テスラ・ドライブを標準装備したRPT-007TDに装甲強化を施した、ゲシュペンストMk-Uアサルトカスタム。
基本的には、SRX組に転属される前に乗ってた機体とほぼ同じ仕様だ。
当時の機体は、ブースターを増設して、機動力を無理矢理引き上げてたもんだ(おかげで燃費が悪かったが)。
だが、この新しい機体はテスラ・ドライブのおかげで、重装甲化しても尚、通常の機体よりも機動性が高い。
とにかく高機動の機体をという俺の注文と、なるべく防御力の高い機体をというアヤの注文に対する、オオミヤ博士の答えだった。
「武装の方も、注文通りにしておいた。後でチェックしておいてくれ」
後でと言わず、今やりますよ。いつスクランブルがかかるかわからねーし。
オオミヤ博士にそう答えて、俺はコクピットに乗り込む。
システムを立ち上げ、武装一覧を開く。
M950マシンガンが二丁。
スプリットミサイルが四基。
プラズマカッターにジェットマグナム。
これも昔の機体と同じだ。
右腕の怪我も完治したし、不謹慎ではあるが、コイツに乗って出撃するのがちょっと楽しみになってくる俺だった。
>>513 「やっぱりここにいたのね」
その他の項目もチェックしていると、アヤがやって来た。
「まったく、新しい機体が出来たって聞いた途端、もういなくなるんだから……!」
アヤは呆れ顔で、コクピットに入ってくる。
「そもそも、どうしてソウルゲインに乗らないの?あなたも気に入ってたじゃない」
いや、確かに悪くはないんだが……あんなどこかの星の戦闘民族みたいな戦い方してたんじゃあ、ぶっちゃけ俺の身が保たん。
やっぱ俺には、PTの方が合ってるよ。
「あなたがそう言うのなら、私は構わないけど……この機体、防御力は大丈夫なの?」
ああ、耐久性は通常の二割増しだとさ。
「なら良いんだけど。あなたはすぐに突っ込んでいくから、本当に心配なのよ?」
だから、わざわざ防御力の高い機体をリクエストしてくれたのか。
ありがとう、アヤ。
このアサルトカスタムで、これからもアヤのために頑張るよ。
「私は、あなたが無事でいてくれたらそれで良い……それだけで良いの……」
アヤはそう答えて、子猫のようにすり寄ってくる。
俺はそんなアヤの髪を撫でてやり、そして、ゆっくりと口づけをしてやった。
彼女を安心させるように、そして、俺への純粋な想いに応えるように。
あげあげ
その時、イデは発動した
俺は格納庫で、ビルトビルガーを眺めていた。
ジャケットアーマーを装着して防御力を高めつつ、テスラ・ドライブによる高機動化を実現した機体。
――意外と俺向きの機体かも知れんな。
「そうっスね〜。何か少尉って、突撃戦とか得意な印象ッスからね。どんだけ攻撃くらおうが絶対殺す!みたいな」
人をアブねー奴みたいに言うな。
いつの間にか隣に来ていたアラドの頭に、俺は軽く拳骨をくらわした。
「いって〜……でも実際そうじゃないッスか。ずっと前だって、ソウルゲインでキョウスケ中尉のリーゼと戦った時、攻撃くらいながら突進して投げ飛ばしたでしょ?」
エクセレンの姐さんの横槍がなかったら、俺が負けてたがな。
思い出して、ちょっと複雑な気分になる。
「でも、少尉の方がビルガーを使いこなせると思いますよ〜。誰かさんよりは」
そこへゼオラもやって来る。
「……何でだよ。俺だって接近戦は得意だぜ?」
「あなたのはただ突っ込んでるだけでしょ?操縦だって、突撃ボタンと攻撃ボタンの二つだけあれば事足りそうだし」
「そういうお前は、実弾ボタンとビームボタンさえありゃ充分だよな」
「失礼ね!私はあなたと違っていろいろ考えて戦ってるのよ!」
――お前等、痴話喧嘩ならよそでやれ。
「し、失礼しました!」
「すんませんでした……」
俺が少し強い口調で言うと、二人はすぐに謝った。
「まぁ、それはそれとして……実際乗ってみたらどうですか?確かもう一機、マオ社に保管されてる筈ですし」
そうなのか?
「あそこは試作機は二機作って、形式番号にもLとRを付けてるんです。アラドが乗ってるのはR型ですから、L型がある筈ですよ」
>>517 「ファルケンにもL型があって、あれは赤く塗られてたんスよね。異星人にぶっ壊されたけど」
んじゃ、ビルトビルガーのL型も赤く塗られてんのか。
……想像すると、なかなか格好良さげだ。ちょっと興味が湧いてくる。
乗りたいっつって乗れたら、苦労はしねーがな。
せっかく赤く塗られてんなら、もうちょいアレンジして、アルトアイゼンと同じ色にしてみるのも良いかもな。
だいぶ有名になってるっぽいし、示威効果くらいはあるだろ。
「じい……?」
ポツリとゼオラがつぶやく。
直後、かかと落としが稲妻の如く、俺の脳天に叩き込まれた。
「せ、セクハラですよ少尉!こんな昼間から女の子の前で『じい』だなんて!」
そっちじゃねえ!
「威」を「示」すと書いて示威だ!戦闘中に「自」らで「慰」める奴なんぞいるか!
つーかいい加減、人の台詞を勝手にセクハラ認定すんのはやめろ!その後の武力行使は尚更だ!
「ゔ……ご、ごめんなさぁぁぁい!」
ゼオラは自分の勘違いを指摘されて、真っ赤になって逃げ出した。
たく、あのオッパイ娘にゃ本当に困ったもんだ……。
「すんません、本当にすんません」
ペコペコ謝るアラド。
カイ少佐の心労を思い、俺はため息をついた。