スパロボキャラバトルロワイアル3

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259再開:2006/04/06(木) 06:14:27 ID:ovmmTTJL
(おのれ、なんて娘だ!)
 シロッコは呟いた。突如飛び出したゼオラに気をとられた瞬間、突然空間から発射されたビームで足をやられたのだ。
こうなればもはやここで様子を伺うしかない。
(念のためキラから首輪を受け取っておいて正解といったところか)
シロッコはそういって自分をひにくるかのように首輪を指でまわした。

 ゼオライマーがグランゾンに攻撃を仕掛けた直後彼女はさらに後方にいるリョウトを見つけたのだ、
レーダーにも映らず目視でもわずかに小さくしか見えないそれを、過敏になり狂気とかした心が感じ取ったのである。
「今度こそ冥府におくってあげる」
 そう誰に言うでもなくささやくと飛び出した。後にはキラの乗るGガンダムがつづく。
「二人とも待ちたまえ!」
 そのシロッコの言葉にゼオラは反応しない、もはやリョウトしか見えていないようだ
「僕がゼオラを……みんなを助けるんだ……そうすれば僕は………許してもらえる…」
 キラもそう呟くのみだ、もはや体はすでに限界のはずなのに、痛みを気にしていないのか感じていないのか――

 彼らはさっきまで狙っていたはずの相手をまるっきり無視し、ゼオラはリョウトに向けて再度衝撃波を放った。
ついでにいた『それ』が余計な動きをしたため外れてしまったようだが、問題はない、また邪魔するようなら次はまとめて消し去れば良いだけだ。


(なんでこんなことになってしまったんだ……)
 リョウトの背筋に冷たいものが流れた。
 ただでさえ、厄介な状況下にあったのにそこに予想外の相手が現れたのである。
 これで3対1、正確には1対1対2なのだが自分をねらってくることには変わりは無い。

「何なのよ!!アンタたちは!?」
 対してアスカのほうは、まだ状況がいまいちよく飲み込めていない。
 最初はこの相手、リョウトの仲間かと警戒したのだが、その後自分には攻撃をしかけてくる様子が無いからだ、
今この新手は地上と空とから挟み込むようにリョウトを取り囲み攻撃していた。
対してリョウトは相手に狙いを定めさせないかのように空中を動き回っている。何かを警戒しているようだ。
260再開:2006/04/06(木) 06:14:57 ID:ovmmTTJL
だが時間がたつにつれて、彼らのあたかも自分はお呼びではないと言わんばかりの態度に再び狂気の火が灯る――
「アタシを馬鹿にしてるって言うの…この……アタシを……?
 こんな…やつ…等が……?」
 瞬間先程の夢が脳裏によみがえる。
(一人だけの闇の中で惨めな自分を笑っていた、泣きながら。ファーストには相手にされ ず、シンジには哀れまれていた――)
「……殺してやる。」
(殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる……こ…ろ…して……やる)
「そうだ、みんないなくなってしまえばいい。」
(シンジは消えろ…邪魔をするやつも消えろ…こいつ等も…みんなみんな消えてしまえ……)
「……消えろ!消えろ!!消えろ!!!」
(キエロ消えろきえろキエロ消えろきえろ)
 眼が見開かれる。その瞳は不気味なほど濁って見えた。

「きえてしまえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
ダイモスから赤くまるで鮮血のような竜巻が巻き起こり、それは無差別にあたり一面に吹き荒れる。

「あなた……邪魔をするっていうの!どいてちょうだい……」
「うるさい!邪魔なのはアンタでしょうがぁぁ」
 奇しくも二つの狂気はぶつかることとなった。
ゼオライマーの手がまた光り竜巻の中心地を打ち抜く、しかしそこにはダイモスの姿は無い。はっとしたゼオラは体勢を立て直そうとしたが、そこに別の方向から姿を現したダイモスが一気に距離をつめる。胸部はすでに閉じられている。
あわてて距離をとろうとするゼオラだったがアスカはそれを許さない。それは先程までリョウトに対して行っていた戦法である。
(今なら引くことが出来るか?……だが…リオのことを聞き出せないまま逃げることはできない)
 そのリョウトは突然訪れた撤退の好機に行動を決めかねていた。
「そこの機体、どうした?……なぜ引かん、このままでは死ぬのを待っているだけだぞ。」
「僕は、リオに会いたいだけなんだ……こんな所で死んでたまるものかぁ!!」
 彼は突然聞こえたその声に対して反射的にそう答えた。
261再開:2006/04/06(木) 06:16:24 ID:ovmmTTJL
「馬鹿ね……死なないと会わせてあげられないって言ったでしょ。」
「そんなに会いたいんならぁ、アンタを殺してからすぐに後を追わせてあげるわよ!」
 矛盾した――、しかしどちらも悪意に満ちた声がリョウトの耳に響き渡る。
 迷いはしないと決めたはずだった、しかし二つの狂気につられてわけがわからなくなってくる。
(リオは無事なのか……?生きているのか……?生きて……会えるのか……?僕は……生き延びることが出来るのか?)
 一つのことから湧き出た不安と絶望は瞬く間にリョウトの体を支配する。
 いつの間にか狂気にとらわれ動きが止まっていた。
『だから……』
 何かいやなものが迫ってくる。
『私が……』
 まぶしい……だが闇のように暗い光だ……
『会わせてあげるって言ってるでしょう?』
その隙をついて二機からの攻撃が同時に襲い掛かる。どうやらさっきの言葉が彼女等の癇に障ったらしい。
リョウトは息をのむ、体が思うようにうごかせない。
(そんな……僕は君に会うことは出来ないのか…………リオ……)

「いかん!間に合うか!?」
その様子をチーフは後方から見ていた。
ゼオラとキラが自分の上を通り過ぎリョウトと戦闘を開始した後ずっと様子を伺っていたのだ。
プレシアの死に対して誓ったことがあったからだ、この機体でできる限りの人命救助を心がけるという――

(まだ状況がつかめたわけではないが見捨てるわけにもいかん。)
 リョウトの前に空間のひずみが生じていた。
(これで相殺する……ワームスマッシャー!!)
 空間をこえ、ビームがリョウトに向かってきたエネルギー波とぶつかる。
結果、エネルギー波はわずかにそれ――、Wガンダムをかすめて地上に落ちていった。だがそこに続けて赤い熱風が吹き荒れた。
風と熱はビームでは防げない。チーフはWガンダムの周りに幾つも空間の穴を開けた、バリアがわりにしようというのだ――。
「うわぁぁぁぁあ!!」
「ぐぅぅ!」
 だが完全には防げず、Wガンダムは地上へと弾き飛ばされる、またグランゾンにも空間の穴を通して竜巻が流れ込んでいた。
通常の状態であれば問題にならない程度だったであろうが不意打ちで受けた損傷がコクピットの気密を不完全な物としていため内部に熱がつたわってきている。
「貴君等の戦闘行為は特別指導にあたいする!即座に戦闘を中止し双方引け……拒否すれば破壊も辞さない!」
「何ですってぇ!?ふざけんじゃないわよぉ!!」
 地上に何とか着地したWガンダムを確認しチーフは体勢を立て直しつつそう告げる。
 どのような状況で戦闘が行われているかわからないため、場を収めるためにはそう告げるしかなかった。だがその言葉はさらにアスカを高ぶらせる結果となった。
さっきまで戦っていた相手を放っておいて今度はグランゾンへと進撃する。
262再開:2006/04/06(木) 06:17:02 ID:ovmmTTJL
(この相手、少女のようだが、この不当な遊戯に乗っているのか。ならば――)
ブラックホールクラスターが発射される、しかしそれは出力を弱めた威嚇射撃である。
ダイモスはそれを軽々とかわしたがそれは少し離れた大地をえぐり、吹き飛ばした。たいていの相手なら、これで戦意を失うことだろう――。それが狙いである。
だがしかしアスカは止まらなかった。
「はっ!?たいした馬鹿力ね!馬鹿にはお似合いだわ。」
そういうとグランゾンの懐に躊躇なく飛び込む。
「こういうふうになったらどうするのかしらぁ?」
 さらに死角にすばやく回り込み拳を連続で叩き込む。
 グランゾンはバリアの調子も悪くなっているようだ、十分に歪曲フィールドを形成できない。だが、それがなくとも装甲はかなり厚い。
(チッ!見た目どおり馬鹿みたい硬いわね……けどここならどうなのよ?)
(……なかなかの判断だ――、この相手…ただの戦闘凶ではない…狂気に身をまかせていてなお戦闘に関しては冷静……危険な相手のようだな。)
普通に攻撃しても効果が無いと即座に判断し、間接部や、すでに損傷のあるコクピットに拳を向けるダイモスの操縦者を推測し――
(ならば、こいつを野放しにするわけにはいかん。)そう決心した。ダイモスは今やダイモシャフトで切りかかろうというところだ。
「なんですって!?」アスカは驚愕した。完全に死角を突いたと思ったのに自分の攻撃を剣で切り払われている――。いや、今度はさらに相手が切り込んでいる。
なぜ?これはアスカにとって誤算だった。彼女が知るよしは無かったが、VRの戦闘において近距離戦闘で相手の死角に回りこむことは、基本的なことであったのだ。
「回り込む相手に対しては、こちらも逆方向に回りこむことが有効だ、後退するよりは突っ切ったほうが離脱しやすい。」
そういって斬撃を回避したダイモスを飛び越えた――、
後ろを振り向くためにダイモスの動きが一瞬鈍る、その一瞬でチーフは距離をとり、グラビトロンカノンを撃つ、辺りにいるはずのもう一機に警戒しての全方位攻撃だ。

ダイモスは沈黙していた、ややあって地上へ落ちる。パイロットは気絶しているのだろうか?
チーフは辺りを見わたすがゼオライマーはすでにいない。
(撤退したのか?)にわかに安堵する、だが――
「地上だと!?」
そこにはWガンダムとそれに攻撃をしかける二機が見える。いや――、さらに南東から何かが接近してきていた。なんとタイミングが悪いのか、おまけに彼らの向かっている先は墓の近くである。木にVディスクが立てかけられているのが見える。
「……任務、依然継続…」彼は少し疲れたかのように短く言葉を切った。まずは落下しはじめたダイモスを何とかしなければならない――
悪いことはとことん重なるものだ、突如機体にチェーンがまきつくと、鉄骨が飛んできた。カァァァンと子気味のいい音をたてて頭に当たる。
「キィサァマァ!ガールに何をした!残虐無道な悪人め、この俺が相手だ!降りて来い!」
真下でよく知った機体が腕を振り上げていた。
263再開:2006/04/06(木) 06:18:15 ID:ovmmTTJL
【チーフ 搭乗機体:グランゾン(スーパーロボット大戦OG)
 パイロット状況:全身に打撲、やや疲れ
 機体状況:外傷はなし、内部機器類、(レーダーやバリアなど)に異常、
 現在位置:C-1
第一行動方針:ハッターの誤解を解く
 第二行動方針:マサキを倒す
 第三行動方針:助けられる人は助ける
 最終行動方針:ゲームからの脱出】

【イッシー・ハッター 搭乗機体:アファームド・ザ・ハッター(電脳戦記バーチャロン)
 パイロット状態:良好
 機体状況:装甲損傷軽微(支障なし)SSテンガロンハットは使用不可、トンファーなし
 現在位置:C-1
 第一行動方針:アスカ・チーフの捜索
 第二行動方針:仲間を集める
 最終行動方針:ユーゼスを倒す
 備考:ロボット整備用のチェーンブロック、高硬度H鋼2本(くの字に曲がった鉄骨)        を所持】

【惣流・アスカ・ラングレー 搭乗機体:ダイモス(闘将ダイモス) 
 パイロット状態:気絶
 機体状況:装甲損傷軽微、後頭部タイヤ破損、左腕損傷
 現在位置:C-1
 第一行動方針:碇シンジの捜索
 第二行動指針:邪魔する者の排除
 最終行動方針:碇シンジを嬲り殺す
 備考:全てが自分を嘲笑っているように錯覚している。戦闘に関する判断力は冷静(?)】

264再開:2006/04/06(木) 06:19:12 ID:ovmmTTJL
 話は少し前に戻る。
 突如あらわれた機体によって助けられ、リョウトは何とかガンダムを着地させた。バーニアはさらに破損してしまったようだ、
 しかし――、まだ困惑したままである。加えて直前に感じた死の感覚でからだはまだ硬 い、リョウトは自分が少し震えているのに気が付いた。少し離れた上空ではまた爆発音が響いている。
「くそっ!僕は…もう迷わないって決めたのに……リオを守るために…」
(だめだ!このままじゃまた――)
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
突如、咆哮が聞こえ。そしてバルカンがかすめる、リョウトはそれをうってきた機体を見た。
(こいつは……ラトゥーニを……!!)
 震えがとまる、そして手に力が戻ってきた、体が動く。
(そうだ……決めたんだ、もうあんなことを繰り返さないために……。もう迷って仲間を…大切な人を失うわけには……いかない!!)
 それはゴッドガンダムであった。ラトゥーニが死ぬことになった直接の要因――
(こいつらを、リオやラトゥーニを殺そうとするようなやつ等を生かしておくわけにはいかない!)
「許さない……絶対にお前等だけは…許すものかぁぁぁ!!」
何かのシステムが発動していた、円形のモニターが淡く光り始める。
「なにを言っているの?……僕は…ゼオラを……ラトって言う子を助けなくちゃならないんだ……」
 二つのビームサーベルが交わる。
「僕をまた惑わそうってのか?…ラトは、ラトゥーニは死んだ!…お前が殺したんだ!」 
その言葉にキラの眼にわずかに恐怖の色が浮かぶ――
「だから……だからこれから助けるって言ってるんじゃないかぁぁぁぁ!!」
キラはWガンダムのサーベルを弾く。
 支離滅裂だ――
(前に戦闘したときには彼はまともに思えたのに……)
265再開:2006/04/06(木) 06:20:52 ID:ovmmTTJL
少しずつまわりがおかしくなってきているのだろうか、いや自分も少しずつ変わってきているのかもしれない。そう思った
「邪魔をしないでよ、君もあとで助けるから。」
「ふざけるな!!」
 だがこの言葉には少なからず頭にきた、そんな簡単に人の生き死にを左右できれば自分がこんなに悩む必要は無い。
リョウトはビームサーベルをかわし空中へ後退すると、
バスターライフルを撃つ、相手の動きが鈍い、ゴッドガンダムは手に持っていたビームサーベルをはじき飛ばされながらかろうじてかわした、
よく見ればふらふらのようだ。
機体もパイロットも限界なのだろう、とどめの一発を狙う。
 
 だがそれを撃つことは出来なかった、いきなり巻き起こった衝撃波がWガンダムを襲ったからだ、
見ると上空にゼオライマーの姿がある。そのさらに後ろでは自分を助けてくれた機体とダイモスが戦っているようだ。
続いて閃光がおこりダイモスが落下し始める。
(あいつにはリオのことを聞かなければならないのに……)焦る――。だが今はそれにかまっている暇は無いようだ、
ゼオライマーが迫る。

 状況は元に戻ってしまった。再び地上と天空からの挟み撃ちにあい、あわやという事態が続く、
幸いGガンダムは空中にまで突撃してくる余裕は無いらしくバルカンでの援護のみだったが、それでも今の状態のWガンダムには辛い。
相手の行動はなぜか予測できていた。(あのシステムの力なのか?)だがしかし背中のバーニアが悲鳴を上げている。
もう損傷はかなりの物であるにもかかわらず両方の攻撃をかわさなくてはならない、ゼオライマーになんとか攻撃を加えたかったが、

相手はうまく距離をとってくる、またライフルのエネルギーも残り少なくなっていたためうかつに撃てなくなっていた。もはやツインバスターライフルは撃てない。
「くそっ!向こうだってエネルギーは消費しているはずなのに。」悔しそうに声を荒げる。
 そしてうめく、自分の撃墜されるイメージが浮かび始めたのだ。冷や汗をながしながらすんでのところで攻撃を回避する。
「うふふ、ほらほら…もっと苦しみなさい。アラドはもっと苦しかったのよ……。」
 彼女は無節操に衝撃波を放っていたがその実、すべての攻撃は必要最低限に出力をおとしていたのである。(正確にはシロッコが、であるが。グランゾンを奪う際に誤ってコクピットブロックを丸々つぶしてしまっては元も子もないため威力を落としていたのだ)
 だがそれが結果的にエネルギー消費を抑えていた。ただしこのために何度もチャンスを失っていたわけでもあるが――
266再開:2006/04/06(木) 06:22:02 ID:ovmmTTJL
それにリョウトはゼオライマーがエネルギーを回復させることが出来ることを知らなかった。
そうとは知らず防戦一方でにげまわるウイングゼロのバーニアはいよいよもってショートし始める。さすがに限界だ。
地上に降りれば勝ち目はない、こんな隠れるところも何も無いような場所だ、狙い撃ちだろう――
となればもう一か八か突っ込むしかないのか、そう考えた時さっき助けてくれた機体のことが頭に浮かんだ。
レーダーを、あたりを見回す。
「何だって!?いつの間にこんな!」
 機影が増えていた――
自分を中心にすぐ近くの敵二体、東にややはなれて三体、そこは先程自分が襲われていたところだ、
レーダーには映らなかったが地上に降りているグランゾンが目視で小さく確認できる。
そして南東のあまりはなれていない位置に二機、
やはり目視で確認でき、同じくこっちに向かっている。あと一瞬西にはなれたところでレーダーに反応があった。
すこしミノフスキー粒子が薄くなったのだろうか。
しかし目視では確認できなかった。そこはわずかに丘になっている
どうする――
だがこのままではやられる可能性が高い。同じ一か八かなら少しでも助かる可能性のあるほうを選ぶほうが良いに決まっていた。回線を開く。それは彼にとってベストな判断となった。
『こちらはリョウト=ヒカワだ!危険な相手に襲われている。頼む!助けてくれ!』
『こちらは流竜馬だ、君がヒカワ君かい?話は聞いているよ。もう少し待ってくれ。』
南東の機体からだ、僕を―知っているだって?――
『リョウト君!!本当に…リョウト君なのね!?良かった、私……私は……』
その後は言葉にならない、泣いているのか?――いやこの声は―もしかして――
『リオ!?リオ=メイロンなのか!?』
『ええ!……そうよ……私、リオよ……』
 また少し、ミノフスキー粒子によるジャミングが一瞬弱まる――
 モニターに相手の顔がわずかに映る
そこには確かによく知った顔が映っていた、涙で顔がぐしゃぐしゃになっている。
それを見た彼に、熱いものが込み上げてくる。不思議に操縦桿を握る手に力がこもる。
いつの間にか彼の頬にも涙が伝っていた。さっきまでの嫌な感覚が吹き飛ぶ、生き抜こうと思う気持ちが蘇ってきた。
「今、やられるわけにはいかない!絶対に!!」
 ゼオライマーの動きを予測する、最小限の動きで衝撃波を回避し続ける。地上のゴッドガンダムからも警戒をとくことはない、
今リョウトの集中力は最高潮に達していた。
267再開:2006/04/06(木) 06:23:04 ID:ovmmTTJL
【リョウト・ヒカワ 搭乗機体:ウイングガンダムゼロ(新機動戦記ガンダムW)
 パイロット状態:健康
 機体状態:小破(左翼が一部破損し飛行能力低下)
 現在位置:C−1 
 第1行動方針:リオとの合流
 第2行動方針:邪魔者は躊躇せず排除
 最終行動方針:仲間を集めてゲームから脱出
 備考:バスターライフルはエネルギー切れ】

【ゼオラ・シュバイツァー 搭乗機体:ゼオライマー(冥王計画ゼオライマー)
 パイロット状況:身体的には良好。精神崩壊(洗脳状態)
 機体状況:左腕損傷(エネルギー残少。半分以上回復)、
武器出力・エネルギー消費低下
 現在位置:C−1
第一行動方針:リョウトの抹殺
 第二行動方針:アラドを助ける為にシロッコとキラに従う
 第三行動方針:アラドを助ける事を邪魔する者の排除
 最終行動方針:主催者を打倒しアラドを助ける
 備考1:シロッコに「アラドを助けられる」と吹き込まれ洗脳状態
 備考2: 「人を殺しても後で助けられる」と思ってる。
 備考3:リオを殺したと勘違いしている
 備考4:リオがアラドを殺したと勘違いしている】

【キラ・ヤマト 搭乗機体:ゴッドガンダム(機動武道伝Gガンダム)
 パイロット状況:激痛と疲労で衰弱(歩くのもやっと)左腕が動かない。精神崩壊気味
 機体状況:損傷軽微、左腕は肩部を残し消失
 現在位置:C−1
 第一行動方針:ゼオラと自分の安全確保
 第二行動方針:ゼオラとシロッコに従う
第三行動方針:首輪の解析
 最終行動方針:生存
 備考1:「人を殺しても後で助けられる」と思い始めている
 備考2:ラトゥーニの首輪を所持】

268再開:2006/04/06(木) 06:23:35 ID:ovmmTTJL
【リオ=メイロン 搭乗機体:ガンダムデスサイズヘルカスタム(新機動戦記ガンダムW Endless Waltz)
 パイロット状況:良好。かなり落ち着いた。
 機体状況:全体的に破損、武器消失。
 現在位置:D-2
 第一行動方針:アスカの捜索
 最終行動方針:リョウトの捜索】

【流竜馬 搭乗機体:ダイテツジン(機動戦艦ナデシコ)
 パイロット状態:良好
 機体状況:良好(前面全体に転倒時の擦れ傷があるが問題なし)
 現在位置:D-2
 第一行動方針:アスカ・鉄也の捜索
 第二行動方針:他の参加者との接触
 最終行動方針:ゲームより脱出して帝王ゴールを倒す】

【パプテマス・シロッコ 搭乗機体:ダンガイオー(破邪大星ダンガイオー)
 パイロット状況:良好(保護者を演じる事に少し疲れた)
 機体状況:右腕は肩から損失、左腕は肘から下を損失。全体に多少の損傷あり(運用面で支障なし)
 現在位置:C−1
 第1行動方針:首輪の解析及び解除
 第2行動方針:戦力増強(切実に新しい機体が欲しい)
 最終行動方針:主催者の持つ力を得る
 備考1:コクピットの作りは本物とは全く違います。
 備考2:基本的にサイキック能力は使用不能だがNT能力等で一部代用できるようだ】
269闘う者達:2006/04/06(木) 08:57:28 ID:Th2TgOyX
 B-4地点の海岸付近で、翼を休ませる機体があった。飛行形態を解除した、エスカフローネとR−1。
 リュウセイ=ダテを始めとする参加者の存在を探し求めながらも、彼等は今まで自分達以外の参加者と接触出来ずにいた。
 捜索を開始してから幾許の時間が過ぎ去って、今は正午の少し前。元より多少の精神疲労が見られたレビの事もあり、二人はしばしの小休止を行っていた。
「ふぅ……」
 R−1のパイロットシートに身を預けながら、レビは微かな溜息を吐く。
 考え込むのは、自分の事だ。
 昨日の内から思ってはいたが、どうも思考がはっきりとしない。まるで靄でも掛かったように、記憶が曖昧になっているのだ。
 今は安定しているが、特に昨日は酷かった。自分でも理解不可能な恐慌状態に陥って、そして……。
「……殺そうと、した」
 思い出す。自分の中から聞こえてきた、あの薄気味悪い囁き声。
 殺してしまえと語りかける、自分以外の囁き声。
 あれは、いったい何だったのか。
 ……知らない。何も、分からない。
 はっきりと言えるのは、あの声に自分が屈しかけてしまっていた事と、その声に飲み込まれては二度と後戻り出来なくなっていたのだろうという事。この二つだけ。
 囁き声に飲み込まれかけ、しかし囁きを脱する事が出来た彼女だからこそ、それを感覚で理解していた。
 怖い……。
 戦う事が、ではない。
 殺されるかもしれない事が、でもない。
 あの囁き声に惑わされ、自分を見失ってしまう事。それが、なによりも恐ろしかった。
「リュウ……」
 ……逢いたい。
 彼に逢えさえすれば、この不安な気持ちにもきっと耐えられる。
 あの囁きが聞こえても、きっと跳ね除ける事ができる。
 R−1。リュウセイ・ダテと共に戦い続け、彼の身を守り続けた機体。それが今は自分の機体となり、彼の元を離れている。
 今のリュウセイに、R−1の加護は無い。
 だからこそ、強く願わずにはいられないのだ。
 彼の無事と、再会を。
270闘う者達:2006/04/06(木) 08:58:57 ID:Th2TgOyX
 フォルカは静かに目を閉じて、周囲の気配を探っていた。
 翼を休めている時こそ、獲物を狙う絶好の機会。修羅の世界で生まれ育ったフォルカにとって、それは何よりも良く理解出来ている事だった。
 レーダーの機能が限定されている事は、フォルカにとっては幸いと言えた。
 フォルカほどの手練であれば、周囲の気配を探る事は難しくない。
 レーダーで姿を補足される可能性が低い事は、エスカフローネのサイズと相成って大きな利点となっていた。
 もっとも、同行者が居る現在、その利点を最大限に活かす事は少々難しい。
 エスカフローネ自体の姿は隠せても、同行者の姿が見付かってはどうにもならないからだ。
 とはいえ、それを嘆くつもりはない。
 フォルカにとって重要なのは、人の死を避ける事だ。自分一人だけが助かる事には、何の意味もありはしない。
 かつて何度も経験した、共に戦った仲間の死。
 それを再び繰り返す事は、フォルカにとってはなによりも耐えられない事だった。
 ……思い出す。かつての戦いで、多くの修羅たちが命を落としていった。
 兄と慕った男が、無二の親友が、戦いの中で命を落としていったのだ。その悲しみは、今も忘れてはいない。
(……俺は、無力だ)
 このバトルロワイアルに巻き込まれ、多くの人々が死んでいった。もし自分に力があれば、彼らを救う頃が出来たのかもしれない。
 だが、現実は非常だ。彼らは自分が知らないところで、次々と命を落としていった。
「ユーゼス・ゴッツォ……」
 許せない。
 許せるわけがない。
 戦士として、修羅として、奴を許しておくわけにはいかなかった。この現実を認めるわけにはいかなかった。
271闘う者達:2006/04/06(木) 08:59:43 ID:Th2TgOyX
 ――フォルカとレビが水辺で休憩を取っている中、彼らが滞在するエリアに近付く機影があった。
 海賊を模した独特の姿が特徴的な、ガンダムタイプのMS――アクセル・アルマーのクロスボーンガンダムX1である。
「う……あ、あ…………」
 呻き声を上げながら、それでもアクセルは操作を誤る事無く機体を何処かに向かわせ続ける。
 だが、その行き先は自分でも理解してはいない。混乱の中に放り込まれたまま、ただ闇雲に機体を動かし続けているだけだった。
「くっ……うあ、あっ…………!」
 今のアクセルを支配しているのは、混乱の中で甦ろうとしている断片的な過去の記憶。
 即ち――
「闘……争……っ! 永遠の……闘争……を…………っ!」
 敵を求め、戦いを求め、アクセルは流離い続けていた。
 激しい混乱状態を抜け出す事が出来ないままに、彼は“敵”を探し続けていた。
 かつて掲げた大義に引きずられ、アクセル・アルマーは戦いを求める。
 そして……。

「……! レビ、気を付けろ! この場所に近付いて来る気配がある!!」
 自分達の居る場所に近付いて来る気配を察し、フォルカは警戒の叫び声を上げる。
「! こっちでもレーダーで確認した! フォルカ、早く機体に!」
「ああ、わかっている!」
 接近する気配に気を配りながら、フォルカはエスカフローネに搭乗する。
「くっ……好戦的な相手でなければいいんだが……」
 フォルカにしろ、レビにしろ、無用な戦いを望んでいる訳ではない。
 だが、ここは本来殺し合いの場所だ。それは、二人とも理解している。
「フォルカ……南だ!」
「くっ……!」
 レビの叫びに意識を南に向けるフォルカ。
 そして――待ち受ける二人の前に、それは姿を現した。
 海賊を思わせる特異な形状が印象に残るMS――
 南方の森より姿を現したのは、未だ激しい混乱状態から抜け切れないでいる、アクセル・アルマーのクロスボーンガンダムX1だった。
272闘う者達:2006/04/06(木) 09:00:21 ID:Th2TgOyX
「ぐうっ……あっ…………!」
 ……痛む。
 まるで頭蓋骨を万力で締め付けられているような、あまりに激し過ぎる痛み……。
 それを誤魔化すように操縦桿を握り締めて、どれだけの時が流れたのだろうか。
 鬱蒼と生い茂る木々の間を通り抜けた先には、水辺に佇む二機のマシーン。
 まともな判断力を失ったまま、アクセルはその見知らぬ機体が待ち受ける方向に己が機体を向かわせていた。
「待て、お前はっ……!」
「が、あぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
 聞き覚えの無い、男の声。自分に向けられた誰何の声に咆哮で応え、アクセルは一方的に攻撃を仕掛ける。
 今の彼を突き動かしているのは、記憶の底で蠢く何か――“戦え”と声を上げ続ける、過去の自分そのものだった。
「くっ……問答無用か……!」
 いきなり殴り掛かって来たクロスボーンガンダムの一撃を紙一重の差で回避して、フォルカは苦渋の滲んだ声で呟く。
 無用な戦いを強く拒み、修羅の世界を否定したフォルカである。
 ユーゼスの仕組んだ無意味な戦いに加わる気は、フォルカは欠片ほども持ち合わせてはいない。
 ……だが、降り掛かる火の粉を払い除けるには、自ら武器を取るしかない。
 この修羅の若者は、それを誰よりも深く理解していた。
「フォルカ……!」
「下がっていろ、レビ! こいつの相手は俺がするっ!」
「しかしっ……!」
「でやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
 切り落とされた方とは反対側の手にブランド・マーカーを展開し、アクセルのクロスボーンガンダムはエスカフローネに殴り掛かる。
 かつて拳での格闘戦を主軸に置いた機体――ソウルゲインを駆っていたアクセルにとって、拳での一撃は得意中の得意と言っても良い技だ。
 記憶が抜け落ちている状態であっても、その技の冴えに衰えは無かった。
 だが、フォルカとて修羅界の激戦を生き抜いた猛者である。格闘戦に関して言えば、その実力は常人の領域を超越している。
「打ち砕け……エスカフローネッッ!」

 轟ッ……!

 エスカフローネの拳に闘気を纏い付かせて、フォルカもまた拳を打ち出した。
 ビームを纏ったクロスボーンガンダムの左腕と、闘気を纏ったエスカフローネの左腕。それが、互いに打ち合わされる。
「がっ……あぁぁぁぁぁっ!」
 猛々しく叫び声を上げながら、アクセルは打ち出す拳に機体の重量を傾ける。
 十メートルにも満たないエスカフローネと、その二倍近い巨体を誇るクロスボーンガンダム。力での勝負に持ち込むのならば、後者が有利に決まっている。
 故に、このままゴリ押しで攻めていけば、クロスボーンガンダムの勝利は揺るぎない。
 そう、この場に居た者は思っていた。
 ……フォルカ以外は。
「迂闊だぞ……!」
 打ち合わされた左の拳を、フォルカは素早く引き戻す。
 そうすると、ただでは済まないのがクロスボーンガンダムである。傾けた体重に引きずられ、そのバランスが崩される。
「ぐっ……!」
 無論、アクセルとて並大抵の操縦技能者ではない。身体に染み付いた反射神経が、機体のバランスを取り戻しに掛かる。
 だが――それでも、一瞬の隙は否めない。
 そしてその隙を見逃すほど――フォルカ・アルバークは、甘くなかった。
 修羅王の名は――伊達ではない!
「機神拳っ……!」
273闘う者達:2006/04/06(木) 09:01:12 ID:Th2TgOyX
 フォルカの放った一撃は、クロスボーンガンダムの胸部を狙い済まして放たれた。
 ……だが、クロスボーンガンダムの機体に、その拳が突き刺さる事は無い。
 コクピットを貫く寸前に、その拳は止められていた。
「……降伏しろ。これ以上、戦うつもりが無いと言うのなら、俺も命まで取ろうとは思わん」
「フォルカ……」
 フォルカが見せた卓越した戦闘技術に、レビは思わず呟きを洩らす。
 ……強い。徒手空拳での格闘戦に限って言えば、これほどの実力者には今まで出会った事が無い。
 只者でない事は分かっていたが……まさか、これほどの実力者だったとは。
「あの時……もしフォルカが戦うつもりになっていたら、私は生きていなかったのだろうな……」
 そう、きっと、生きてはいなかった。
 錯乱状態に陥って、まともな判断力を働かせられなくなっていた自分では、きっと彼に勝利する事は出来なかったのだろう。
 仮定の過去になりはするが……そう考えると、ぞっとする。
「……俺達は、この戦いから犠牲者を無くしたいと思っている」
 クロスボーンガンダムの胸にその拳を向けたまま、フォルカはアクセルに話し掛ける。
「お前も分かっているはずだ。ユーゼスの言葉に乗せられた先に待っているのは、誰もが傷付き哀しむ世界だと言う事を……。
 戦う事でしか生きてはいけない、修羅の世界だと言う事を!」
「っ…………!」
「このまま奴の言いなりになって、永遠の闘争に浸り続ける……そんな事が、あっていいわけがないはずだ!」
「っ……! 永遠の……闘、争っ……!」
「……俺は知っている。そんな世界が、どれだけ不毛で悲しみに満ち溢れているのか。
 その世界に住む者たちが……どれだけ苦しみを背負い続けなくてはならないのか……」
「ぐ……う、うっ……!」
「お前もきっと、分かっているはずだ。
 ……お前の拳には迷いがあった。戦う事に対する、迷いが」
「……………………っ!」
 ……未だ混乱から抜け切れないでいるアクセルの耳に次々と飛び込んでくる、落ち着いた口調の男の声。
 その中に一つだけ……記憶の隅に、引っ掛かる単語があった。
 永遠の闘争――
 そう……それは自分たちが求め、理想としていたものではなかったか……?
 かつて自分が、ヴィンデルが、そして……“彼女”が掲げた……。

「が……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!」
 かつてないほどの記憶の混乱。
 激しく昂る感情のままに、アクセルは咆哮を轟かせる。
「フォルカっ……! 気を付けろっ! そいつの腰っ……!」
 離れた場所から様子を見守っていたレビが、クロスボーンガンダムの異変を察知する。
 シザー・アンカー。腰部に取り付けられた鋏状の武装が、エスカフローネに伸びていた。
「くっ……切り裂け、エスカフローネ!!」
 胴体に伸ばされた巨大な鋏を、エスカフローネは剣で切り裂く。
 だが、この攻撃が防がれる事は承知の上だ。
 シザー・アンカーの対処に追われたフォルカに出来た、ほんの一瞬足らずの隙。今度は、アクセルが攻勢に転じる番だった。
「そこを……どけぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
 スラスターを全力で吹かせ、アクセルは倒れ込んだクロスボーンガンダムを起き上がらせる。
 そうなれば、ただでは済まないのがクロスボーンガンダムの間近に立っていたエスカフローネである。
 あたかも風圧で吹き飛ばされるような形で、クロスボーンガンダムとの距離を離されてしまった。
「くっ……あくまでも戦うつもりだと言うのかっ……!?」
「う……おぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!」
 肩部分に取り付けられたビームガンを撃ちまくりながら、アクセルは縦横無尽に機体を駆けさせる。
 相手の格闘戦能力は、自分を大きく上回っている。
 勝利を掴むとするならば――決して、懐には飛び込ませない事だ!
「くっ……! この男……先程までとは明らかに……違う!?」
 永遠の闘争――
 そのキーワードがアクセルに与えたのは、激しい混乱ばかりではなかった。かつて誇った戦闘技術の全てもまた、彼の身体に取り戻されつつあったのだ。
「戦えっ……! 俺と……俺と戦えぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」
 ザンバスターを構えながら、アクセルはフォルカに闘志を叩き付ける。
 かつて修羅界で何度もぶつけられた、激しく熱い剥き出しの闘志。
 だが……フォルカは……。
「……何故だ?」
 自らに加えられる苛烈な攻撃を避けながら……思わず、呟きを洩らしていた。
「それだけの闘気を放ちながら……何故、お前の攻撃には迷いがある!?」
274闘う者達:2006/04/06(木) 09:01:58 ID:Th2TgOyX
 ……楽しかった。
 こんな訳の分からない戦いに放り込まれはしたが、それでも楽しいと感じられた。
 仲間と出会った。
 仲間と共に笑い合った。
 こんなふざけた戦いなんて……絶対に、認められるわけがないと思った。
 ……不思議な感覚だった。
 楽しさなんて、ずっとずっと忘れていたのに……。
 戦い続ける事こそが、世界の正しい姿だと信じていたはずなのに……。
 それなのに……自分は、戦いを嫌っていた。
 こんな意味の無い殺し合いなんてゴメンだと、そう思ってしまっていた。
 ……認められる、ものか。
 それを認めてしまっては、自分の今までは……果たして、何だったと言うのだ!?
 かつて自分と共に戦い、その命を散らして言った仲間達に……自分は何を言えるのだ!?
 ……認められない。
 認められるわけがない。
 それを認めてしまったら……シャドウミラーとして生きてきた自分が、ただの道化だった事になるっ……!

「俺は……! 戦わなければならないんだぁぁぁぁぁぁっ!!」

「う……おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!」

 ――撃ち放たれたビームの輝線。それを掻い潜る白の機体。クロスボーンガンダムの懐に飛び込むエスカフローネ。
 ザンバスターを分離させ、ビームザンバーで斬り掛かるクロスボーン。その一撃を剣で受け止めるエスカフローネ。
 エスカフローネの剣は融解し、アクセルは勝利を確信する。
 だが、その瞬間――機神の拳は、激しく唸りを上げていた。

「轟覇……機神拳ッッッッッ!」
275闘う者達:2006/04/06(木) 09:02:44 ID:Th2TgOyX
「…………」
 倒れ込んだクロスボーンガンダムに、エスカフローネは背中を向ける。
 その手には、刀身が溶け切れた剣の柄。もはや役立たずとなったそれを放り捨て、フォルカは静かに目を閉じた。

「……何故、殺さなかった?」
 立ち去る彼の背に投げられる、落ち着きを取り戻した男の声。
 それに対して……フォルカは、言った。
「……殺したさ」
「だが……俺はこうして……」
「お前の迷いを……な」
「っ…………!」

 ……そう。自分は、迷っていたのだ。
 記憶を失う以前の自分……戦う事が正しいと信じ、人を傷付ける事に容赦の無かった冷徹非常な兵士の自分。
 そして記憶を失っていた頃の自分……仲間と共に些細な事で笑い合えていた、記憶をなくした一人の男。
 どちらの自分が正しいのか……その境界線上で、自分は迷い続けていたのだ。
「……迷いは晴れたな?」
「ああ……お陰様でな……」
 ……この男に勝てなかったのは当たり前だ。
 あんな迷いのある状態では、この男に勝てる訳がなかった。

「はは……なっさけねえなあ、俺……」
 笑う。力無く、それでいて陽気に。
 その笑いこそが、アクセルが出した自分への答え。
 過去ではなく、今を選んだ事の証明。
「これから、お前はどうするつもりなんだ? もし良かったら、俺達と……」
「……申し出はありがたいけど、俺にはまだやらなくちゃならない事が残ってるんだ。
 ヴィンデル・マウザー……奴との決着は、俺がこの手で付けなくちゃならないんだ……」
「……そう、か」
「イサムにマサキって奴らと会ったら、アクセルがよろしく言ってたって伝えといてくれ」
「分かった、伝えておこう」
「その代わりと言っちゃなんだが、あんたらも誰かに伝言あれば言ってくれ。もし運良く出会えたら、あんたらの事を伝えとくよ」
「それじゃあ、リュウ……! リュウセイ・ダテに出会えたら、レビ・トーラーが探していたと伝えてくれ!」
「……オッケー。わかったんだな、これが」
 そしてアクセルのクロスボーンガンダムは、二人に背を向け歩き出す。
 戦いの世界に生まれたが故に、戦いの無い世界を夢見た男――
 戦いの無い世界に生まれたが故に、永遠の闘争を望むようになった男――
 交わるはずのない二つの道は、今確実に交錯した。
276闘う者達:2006/04/06(木) 09:03:40 ID:Th2TgOyX
【フォルカ・アルバーク 搭乗機体:エスカフローネ(天空のエスカフローネ)  
 パイロット状況:頬、右肩、左足等の傷の応急処置完了(戦闘に支障なし)
 機体状況:剣破損
      全身に無数の傷(戦闘に支障なし)
 現在位置:B-4
 第一行動方針:レビ(マイ)と共にリュウ(リュウセイ)を探す
 最終行動方針:殺し合いを止める
 備考:マイの名前をレビ・トーラーだと思っている
    一度だけ次元の歪み(光の壁)を打ち破る事が可能】

【マイ・コバヤシ 搭乗機体:R-1(超機大戦SRX) 
 現在位置:B-4
 パイロット状況:良好
 機体状況:G−リボルバー紛失
 第一行動方針:リュウセイを探す
 最終行動方針:ゲームを脱出する
 備考:精神的には現在安定しているが、記憶の混乱は回復せず】

【アクセル・アルマー 搭乗機体:クロスボーンガンダムX1(機動戦士クロスボーンガンダム)
 現在位置:B-4
 パイロット状況:記憶回復
 機体状況:右腕の肘から下を切断されている
      シザー・アンカー破損
      弾薬残り僅か
 第一行動方針:ヴィンデル・マウザーをこの手で止める
 最終行動方針:ゲームから脱出 】

【二日目 12:40】
277それも名無しだ:2006/04/06(木) 10:19:34 ID:/oWFCh5C
つーか、
「ロォケットォォォォゥパァァァァァァァァンチィィィィィィ!!!」
 そういって朗らかに竜馬が続く、どうやら一度言ってみたかったらしい、ご満悦のようだ。

マジワロスwwwwおまwww竜馬www
278それも名無しだ:2006/04/06(木) 10:20:24 ID:/oWFCh5C
ゴバーク
279遭遇、狂気、破滅。そして…:2006/04/06(木) 12:26:16 ID:/oWFCh5C
場は混乱に包まれていた。
闘いを治めるため戦うチーフ。ついにチーフと遭遇したハッター。
狂気にとらわれ戦うゼオラとアスカ。愛する人と会うため死と向き合うリョウト。
そこへ向かう竜馬とリオ。自分を守るため、矛盾の中を走るキラ。
チーフとハッター。
リョウトとリオ。
そしてさまざまな因果…
混乱、という言葉を訂正しよう。そこは…狂気に包まれていた。
そしてまた一人、その狂気の渦に狂気にとらわれた男が放り込まれる…

カラン…
ほの暗い水底に落ちたザンバーをガイキングが拾い上げる。
先ほどの闘いで落としたボスの形見――ダイターンザンバー。
光の届かぬ深き場所でなお、ザンバーが輝く。
それは…闘いを求めているかのようだった。
ガイキングが水面から姿をあらわし、移動を始めた。進むべき方向は先ほど逃した者達が逃げた西。
マッハ3のスピードでガイキングが飛翔を始めた。

マッハのスピードでガイキングが上空を飛ぶ。そして…7機もの「獲物」を見つけた。
彼からすれば、全ては粉砕すべき敵だ。そのものたちの想いなど関係ない。ただ粉砕するのみ。
レーダーに敵影が入る。接触してからが戦闘ではない。ここからもうすでに戦闘は始まっているのだ。
「行くぞ…!ハイドロ!ブレェェェイザァァァァアア!!!」
50万度の火球。まともに当たれば半壊するだろうが狙ってなどいない。
当たれば御の字、最低足止めはできるだろう。
280遭遇、狂気、破滅。そして…:2006/04/06(木) 12:27:46 ID:/oWFCh5C
「こんなとこで死ぬわけにはいかない!」
リオ達が追いつくまで、絶対に死ぬもんか…!
飛行能力も低下し、ライフルによる反撃も不可能。しかし、それでもリョウトはかわし続けていた。
「なんで!なんで死なないのよッ!すぐにおんなじところに送ってあげるっていいってるのに!!」
ゼロがよけつづけることに焦燥と怒りをあらわにする。その渦中に運命の矢となる一撃が叩き込まれた。
「ッ!?ゼオラ、よけて!」
キラが叫ぶ。しかし、敵を刈ることに集中、いや熱中して周りがろくに見えていない彼女は
最後まで気付かなかった。接触の瞬間まで。
彼女からすれば訳がわからないかもしれない。先ほどまで目の前の敵と戦っていただけだったのに。
突然右肩がもぎ取られたのだから。
ゼオライマーが肩から紫電を吹き上げ、痙攣するかのように震えながら落下した。
「ゼオラッ!」
ゴッドがゼオライマーに駆け寄る。
「助かった…?」
リョウトはそう思った。無理もない。
先ほど救援が確立され、どこからともなく飛んできたエネルギー球が相手を破壊した。
そのため、その一瞬レーダーの確認を怠った。もし、それがどちらからきたか…救援の方向と違う方向から
降り立ったと分かっていれば違っただろうに…
耳を劈く轟音とともに、3機を割って入るように鬼がそこに現れた。
「一機だけ…?さっきの通信なら2機いるんじゃ…?」
先行してきてくれたのか?リョウトがいぶかしみながら、鬼との交信を試みる。
「助けていただいてあり」
御礼を言い終わるまでも無かった。ひび割れた腹の顔が、
張り詰めた緊張が解き弛緩したゼロの右羽を毟り取った。
左の飛行能力が低下し、右の羽は消滅。落下するゼロに向けて、ザンバーを投げ放つ。
こうなってはどうしようもない。
(そんな、ここまできてやられるのか…?)
リョウトの心中にそんな思いが芽生える。しかし、
「ロォケットォォォォゥパァァァァァァァァンチィィィィィィ!!!」
突如飛んできた腕とザンバーがぶつかり、弾き飛ばされる。
「リョウトくん、大丈夫か!?」
彼にとって、真の仲間が到着した。
「リョウト君!」
ボロボロのデスサイズが地面に落ちたボロボロのゼロに向かう。
「リョウト君、大丈夫!?」
「ああ、僕は大丈夫だよ。それより、リオは…?」
「あたしのほうがよっぽど平気よ…リョウト君、そんなにボロボロになって…」
二人とも涙ぐみながら言葉を交わす。
281遭遇、狂気、破滅。そして…:2006/04/06(木) 12:30:46 ID:/oWFCh5C
「何で…?何でよ!アラドは…アラドは死んだのに!何でアラドはッ!!!」
その様子は通信によって回りにもれている。そしてその内容は、ゼオラの心を粉々に打ち砕いた。
「何で!何で!何で!何で何で何で何で何でなんでなのよぉ!!」
痙攣するゼオライマーが起き上がり、2人に向け、エネルギー波を放ちつづける。
「くッ!テェェェッツジィィィン、ヴァァァリアァァァァ!!!」
ダイテツジンがゼオライマー達の間に割って入り、ディストーションフィールドを形成。エネルギー波の盾となる。
もはや言葉にならぬ絶叫を繰り返し、打ち続ける。周りなど見えるわけが無い。
上空で隙を狙っていたガイキングの双眸に火がともる。直後!
マッハ3のガイキングによる突撃がゼオライマーに突き刺さる。そのスピードではゴッドも割り込めない。
そして…
「ハイドロブレイザー」
先ほどとは違う、静かな声が響いた。すでにもう、突撃する前にチャージは済ませてあったのだ。
地面にめり込むゼオライマーの胴体にほぼゼロ距離で50万度の火球3発が叩き込まれ…
言葉を発するまもなく3発の炎獄でゼオライマーの胴体は砕け散った。
「そんなッ!ゼオラッ!ゼオラ――――!!」
キラが爆炎に向けて叫ぶ。しかし、その答えは…
「久しぶりだなキラ・ヤマト!!」
炎と煙の中から現れたガイキングの左手がゴッドガンダムの頭を掴み、締め上げる。
「!あああああああああああああああああああああッ!!」
頭が割れるような、否、本当に頭を押しつぶす圧撃。
「どうして!?どうしてこんなことするんです!?みんな生き返るのにィ!!」
瞳孔を開ききり、涙を浮かべながらキラは自己弁護を叫ぶ。
「どうしてだと!?俺にしたことを忘れたのか!?この右腕は忘れんぞ!
それに…死者が生き返るだと!?ふざけるな!」
グシャリ
ガイキングがゴッドの頭をトマトのように押しつぶす。
倒れたゴッドの胸にガイキングのカウンターパンチが突き刺さった。
ガイキングは腕を戻し、ダイテツジンと向き合う。
すでに両手を失った敵機。さらに後ろの2機もボロボロでつぶすのは容易だろう。
「ボス…見てるか…?俺はかならず戻ってお前の分まで戦って見せる…!」
鉄也の台詞には、先ほどまでの暗さが無かった。友に対する自然な清々しさが合った。
鉄也にすれば独り言同然のこの一言。しかし、これを聞き、
「鉄也君!?鉄也君なのか!?」
竜馬が問い掛ける。
「流竜馬か…」
また暗いトーンに戻って鉄也が答える。
「なぜ君のような勇者がこのゲームに乗ってるんだ!?」
「俺は元の世界に必ず戻ってミケーネと戦わねばならん。それがボスとの誓いだ。
それに…俺は勇者では無かった。」
最後はボソリと付け加えるように答える鉄也。
「そんな…」
「もういいだろう。行くぞ。」
ガイキングはダイテツジンに向け走り出した。
282遭遇、狂気、破滅。そして…:2006/04/06(木) 12:35:54 ID:/oWFCh5C
(チィッ!なんてことだ!)
シロッコは舌打ちをした。足をやられ、制御系をどうにかして飛行可能になったものの、
まさかあの2人がやられるとは。
今の状態ではフラフラ飛び出したところであの「鉄也」なるマーダーに殺されるだろう。
かといってあの「流竜馬」達が生き残ったところで、あのガンダムタイプがいる以上、安全とは限らない。
とても首輪をネタにしても食いつくようには見えない。
(結局動力を落とし立ち去るのを待つしかないか…)
動力を落とし、もうパイロットも死亡しているように見せるしかない。幸い、ダンガイオーはかなり傷ついている
まさか、自分がこんなところでこんなことになるとは。シロッコは動力を落とし、忌々しげに2機の闘いを眺めた。

【リオ=メイロン 搭乗機体:ガンダムデスサイズヘルカスタム(新機動戦記ガンダムW Endless Waltz)
 パイロット状況:良好。
 機体状況:全体的に破損、武器消失。
 現在位置:C-1
 第一行動方針:アスカの捜索 】

【流竜馬 搭乗機体:ダイテツジン(機動戦艦ナデシコ)
 パイロット状態:良好
 機体状況:パンチで飛ばした両腕なし
 現在位置:C-1
 第一行動方針: 鉄也をどうするか悩んでいる
 第二行動方針:他の参加者との接触
 最終行動方針:ゲームより脱出して帝王ゴールを倒す】
283遭遇、狂気、破滅。そして…:2006/04/06(木) 12:37:37 ID:/oWFCh5C
【パプテマス・シロッコ 搭乗機体:ダンガイオー(破邪大星ダンガイオー)
 パイロット状況:良好、イラ付き
 機体状況:右腕は肩から損失、左腕は肘から下を損失。全体に多少の損傷あり(運用面で支障なし)
 現在位置:C−1
 第1行動方針:首輪の解析及び解除
 第2行動方針:戦力増強(切実に新しい機体が欲しい)
 最終行動方針:主催者の持つ力を得る
 備考1:コクピットの作りは本物とは全く違います。
 備考2:基本的にサイキック能力は使用不能だがNT能力等で一部代用できるようだ
 備考3:(キラから首輪を受け取っておいて正解といったところか)とあることから首輪を所持している】

【リョウト・ヒカワ 搭乗機体:ウイングガンダムゼロ(新機動戦記ガンダムW)
 パイロット状態:健康
 機体状態:左翼小破、右翼消滅
 現在位置:C−1 
 第1行動方針:リオとの合流
 第2行動方針:邪魔者は躊躇せず排除
 最終行動方針:仲間を集めてゲームから脱出
 備考:バスターライフルはエネルギー切れ】

【ゼオラ・シュバイツァー 搭乗機体:ゼオライマー(冥王計画ゼオライマー)
 パイロット状況:死亡
 機体状況:右肩消滅 胴体大破】

【キラ・ヤマト 搭乗機体:ゴッドガンダム(機動武道伝Gガンダム)
 パイロット状況:死亡
 機体状況:東部消滅、コクピットブロック破壊】
284遭遇、狂気、破滅。そして…:2006/04/06(木) 19:10:36 ID:uHPbUcbP
【キラ・ヤマト 搭乗機体:ゴッドガンダム(機動武道伝Gガンダム)
 パイロット状況:死亡
 機体状況:頭部消滅、コクピットブロック破壊】

【剣鉄也 搭乗機体:ガイキング後期型(大空魔竜ガイキング)
 パイロット状態:マーダー化
 機体状態:胸部に大きな破損があるが、武器の使用には問題なし。右腕切断。ダイターンザンバー所持
 現在位置:C-1
 第一行動方針:他の参加者の発見および殺害
 最終行動方針:ゲームで勝つ】




285自治スレにてローカルルール検討中:2006/04/07(金) 21:18:48 ID:kQxADE6S
    ∧_∧ 
   ( ´Д`) つまんねーんだよ税リーグ!!!!!!
  /    \ 
  | l    l |     ..,. ., .,
  | |    | _|。.:_::゜。-.;.:゜。:.:;。
  ヽ \_ .。'゚/   `。:、`;゜:;.::.。:.:。 
   /\_ン∩ソ\    ::..゜:: ゚。:.:.::.。.。:.  
.  /  /`ー'ー'\ \  ゜: ::..゜:: ゚。:.:.:,。:.:.
 〈  く     / / ::..゜:: ゚。:.:.:,.:.:.:。:.:,
.  \ L   ./ / _::..゜:: ゚。:.:.:,.:.:,.:.:.:,
    〉 )  ( .::    , -‐-‐- 、
   (_,ノ        イ サカ豚.ミ、
            ノノ  --、,. 、 ;ミ、
           ハ'リ `(.゚_,)` 、.;;){iヘ!
           |ヾ!ヽ`‐イ_,ドミ_|iン!|
       ――ノ〃ト、ノ rエョュ`/|川ト、――
        _≦彡彳ノ>--イ|ト、ミ二=ニ._
         _,/イ/;llト、L_,.ムィ!|!、ヽ二-
286涙、枯れ果てた後に:2006/04/08(土) 05:06:36 ID:KFeFAzgD
「あ……ああ……あっ…………!」
 ……目の前に広がる、惨酷な現実。
 それは危険を共に生き抜いていくはずだった、仲間の死だった。
「そんな……そんなっ……! 宗介さん……ウルベさんッ!!」
 首輪の爆弾によって死を迎えた宗介の死体と、何か巨大な重量物によって押し潰されたウルベの死体。
 その二つを目の当たりにして、碇シンジは絶望と悲しみに心を打ち砕かれていた。
 ……一度は宗介の言葉を思い出し、二人を待つ事に決めてはいた。
 だが、あまりにも遅過ぎた。
 もし何事も無ければ、とっくの昔に二人は合流地点に来ていたはずだ。
 しかし、そうでないと言う事は……。
 ……その不安を否定する為に、シンジは宗介と別れた場所に再び機体を向かわせた。
 きっと、宗介さんは大丈夫だ……。
 そう自分に言い聞かせて、シンジは危険を承知で宗介の無事を確かめに行ったのだった。
 だが、その結果は……。
「う……ううっ……! どうして……どうして、こんなっ……!」
 二人の死体を目にしながら、シンジは涙を流し続ける。
「ウルベさん……きっと宗介さんがピンチなのを見て、助けに行ってたんだ……!
 僕も……僕も一緒に戦ってれば……僕がもっと強ければっ!
 ウルベさんも、宗介さんも助ける事が出来たかもしれないのにっ……!
 僕が弱かったから……! だから……ゼンガーさんの時もっ……!」
 ……憎かった。
 このゲームに乗った人間が、ではない。
 何も出来ない自分の無力が、今は何よりも憎かった。
「変わらなきゃって……強くならなくちゃって、そう思ったはずなのにっ!
 なのに僕はっ! うっ、ああっ、あああああああああああーーーーーーっ!!!」
287涙、枯れ果てた後に:2006/04/08(土) 05:07:42 ID:KFeFAzgD
 ……それから、どれだけの時が経ったのだろうか。
 流す涙も枯れ果てる頃になって、シンジはようやく動き始めた。
 墓を掘り、二人の亡骸を埋葬する。その間、シンジは一言も口を開かなかった。
 そして……二人の埋葬を終えてから、ようやくシンジは口を開く。
「ゼンガーさん……ウルベさん、宗介さん……。
 僕は……生きます。皆さんの分まで……生きて、みせます……」
 ……言葉も、身体も、震えている。その宣言が強がりである事は、誰の目にも明らかだった。
 怖い。
 戦うのも、死ぬのも、怖い。
 出来るなら、今すぐにでも逃げ出してしまいたい。
 だが……それは、出来ないのだ。
 この世界に、逃げ道など無い。
 それに……何よりも、シンジ自身が“逃げ出したくない”と思っていた。
「……逃げちゃ、ダメだ」
 もう、これ以上……大切な人たちを、失いたくはない。
「逃げちゃ、ダメだ……」
 そして……アスカを、死なせてしまいたくはない。
「逃げちゃダメだッ!!」
 自分に対して、シンジは叫ぶ。
 これまで何事からも逃げ続けてきた少年は、今正に前を向いて歩き始めようとしていた。
288涙、枯れ果てた後に:2006/04/08(土) 05:08:15 ID:KFeFAzgD
【碇シンジ :大雷鳳(第三次スーパーロボット大戦α)
 パイロット状態:良好、全身に筋肉痛
 機体状態:右腕消失。装甲は全体的軽傷(行動に支障なし)。背面装甲に亀裂あり。
 現在位置:H-4
 第1行動方針:アスカと合流して、守る
 最終行動方針:生き抜く
 備考1:奇妙な実(アニムスの実?)を所持】

【二日目 11:00】
289自治スレにてローカルルール検討中:2006/04/09(日) 03:02:54 ID:nfCy2P/I
ミオは腕時計に目をやった。12:08。ブンタの遺体を丁寧に埋葬し、一息ついていた。
これからどうすべきであろうか。もう自分の身は自分で守るしかない。ボロットは運用には問題はないが、
武装は先程拾ったビームライフルのみ。当然火器照準システムなどは搭載していないため、
残弾数は分からない上に目視発射しなければならない。
戦闘をするにはあまりにも心細い。信頼できる仲間(出来ればマシュマー)を見つけたいが、
そう簡単にはいかないだろう。マップを見ながら考える。
ドッゴーラが破壊された今、川の近くにいる必要はない。仲間を探すためにも見晴らしが良く、
かつ自分が隠れられるような場所が好ましい。
「決めた、南に行こう。」
南の方に山と町が隣接している場所がある。そこなら条件を満たすような場所があるかもしれない。
下手に移動するよりは森の中に留まった方が良いかもしれないが、
今は気分を紛らわすためにも明確な目標を持ち行動をしていたかった。
「さようなら・・ブンちゃん」
少女はブン太へ別れを告げ、南へと歩みだした。

一時間後・・・

ブライサンダーは町の中をゆっくりと進んでいた。
「また戻って着ちまったな。」
トウマ達は追走を逃れる為、障壁を利用して境界を飛び越えて北上し、以前マサキに襲われた場所まで戻ってきていた。
どうやら、現在はこの近くで戦闘はないようだ。
「で、どうする?あいつら追ってきてはないようだぜ。」
クォヴレーは後部座席に座るトウマに尋ねた。トウマは白くなり始めたアルマナの顔を見つめている。
「とりあえず、アルマナを埋葬してやりたいんだ。彼女をこれ以上傷つけたくない。」
「そうか・・・、そうだな。ならこのビル郡を抜けた所で埋めるとするか。」
ゲームの脱出の事を考えると首輪を取り外すことも試してみたいと考えていたが、トウマがそれを良しとはしないだろう。
町の商店からスコップを探し出して、町を西へ抜けた丘陵地帯で彼女を埋めることにした。
本当ならきちんと埋葬してやりたいところだが、あまり時間を掛ける訳にも行かない。
「アルマナ姫か・・・」
惜別の念を込めてクォブレーが呟く。彼女のあどけなさの残る顔にトウマはゆっくりと土を被せ始めた
その瞬間、
「そこのお二人さん。話合いに応じて頂けませんか。」
290自治スレにてローカルルール検討中:2006/04/09(日) 03:03:40 ID:nfCy2P/I
唐突に人の声がした。トウマとクォブレーは辺りを見渡すがだれもいない。
「どこだ!どこにいる?」
トウマが警戒する。
「ここ、今姿を見せるから。」
少し離れた場所の地中からボスボロットがバスタブから上体を起こす様な姿勢で姿を現した。
あわててブライサンダーに駆け込むクォブレー。それをミオが静止する。
「待って!私は攻撃するつもりないよ。信じて、お願い。」
「なら、降りてきてくれないか。こちらにも戦闘の意思はない。」
「安易に信用はできないよ。そちらの方も車から降りてくれなきゃ。」
トウマはゆっくりとボロットに近づくが、クォブレーはマサキの件もあってかブライサンダーに乗り込んだままだ。
ミオはブライサンダーが強大なロボに変形できることを知っているので、ボロットを降りなかった。
死者を埋葬しているように見受けたのでこのゲームに乗った殺人狂ではないと判断したが、それでも敵でないとは限らない。
「私はミオ=サスガ。協力してくれる仲間を探しています。」
そう言ってミオはビームライフルを地面に置いた。
「分かった。こちらも仲間を探している。話し合いに応じよう。まずは情報交換をしないか?」
クォブレーがブライサンダーから降りた。ミオもそれを見てボロットから降りた。
「ありがとう。」
声からして女性だとは思っていたが、アルマナと同年代の女の子がボロットから顔を出したのをみて二人はやや驚いた。
「俺はトウマ=カノウ。こっちはクォブレーだ。」
3者は軽く挨拶をしお互いの経緯を説明した。
「待ってくれ、本当に君がその機体であの赤いのをやったのか?」
「うん、一人じゃとても適わない相手だっただろうけど、ブンちゃんが助けてくれたから・・・。」
ミオはブン太の事を思い出し、顔を曇らせる。
「にわかには信じがたい話だけど、本当ならやっかいな敵がいなくなってくれたはずだ。
俺達は直接戦った訳じゃないけど、ヒイロってやつの話だとそいつはゲームに乗っている上に、かなりの強敵らしいからな」
「うん、ところでそっちは今、何をしてたの?」
ミオは悲しいことを忘れようと話題を変える。
「さっき知り合いの遺体を取り戻したって言ったろう?埋葬してやろうと思ってさ」
トウマが再度アルマナの顔を見つめる
「クソ!あいつらぜってぇゆるさねぇ!」
「その話なんだけど、そのアルマナって人を殺したのは本当にその二人組なのかな?」
「あいつらに決まってるぜ!でなきゃアルマナの遺体を運んでたりするもんか!」
「いや、それは逆だよ。私もさっき仲間の死体を埋めてて感じたけど、普通交戦した相手の死体なんか運ばないと思うよ?」
「首輪を調べようとして、運んでいたとも考えられると思うが?」
「そうだけど、逃げた時に追ってこなかったんでしょ?なら、少なくとも好戦的な相手だとは思えないよ。
好戦的な相手が戦闘力のないその車を見逃すとは思えないから。死体を運んでた理由は分からないけど、アルマナって人も
好戦的な人じゃないのなら、その二人とアルマナさんが協力してたと考えるのが普通じゃない?」
「た、確かに冷静に考えてみるとそうだな。おまえの言うとおりだ。」
「おまえってのやめてよね。私の名前はミオ、サスガミオ。」
「あぁ、すまないミオ。宜しくな。」
「うん!」
ミオは何時間かぶりの笑顔を見せた。その笑顔がどこかアルマナに似ているようでトウマとクォブレーは不思議と気持ちが和らいだ。
291自治スレにてローカルルール検討中:2006/04/09(日) 03:04:24 ID:nfCy2P/I
「なんにせよ、仲間が増えたのは良いことだ。ミオのロボットもこの車よりは戦えそうだし」
「それなんだけどさ・・・」
まだ信用できると決まった訳ではない二人に変形と巨大化の事を話すのには若干抵抗を感じたが、
直感的に二人は悪人ではないと感じていたので、ミオは途中で拾い読みしたマニュアルの事を伝えた。
「なっ!なんでおまえマニュアルをちゃんと読まなかったんだよ!!」
「しかたないだろ!こんな車を渡されたら、誰だって読む気なくすよ!」
トウマがクォブレーをかしづく。
パン!パン!
二人の頭をミオがハリセンでどつく。
「はい、はい、今は言い争ってる場合じゃないでしょ。
知らなかったんなら、その変形と巨大化を試してみようよ。どーせ操縦方法もロクに呼んでないんでしょ?
巨大化には24時間て制限時間があるらしいから気をつけないといけないけど。」
二人は頭を抑えながらお互いの顔を見つめて笑った。
「ハハッ、そうだな。でもミオの話じゃ34Mにもなるんだろ?こんなとこで巨大化したんじゃ、かなり目立っちまうな。
とりあえずアルマナを埋葬してから、ビル郡の中で試すとしようか」
「うん、私にも彼女の冥福を祈らせてね。」
「あぁ、もちろんだ。」
トウマとクォブレーはとても明るく信頼出来る仲間を得られた事を嬉しく思っていた。


【トウマ・カノウ 搭乗機体:なし(ブライサンダーの左後部座席に乗っています)
 パイロット状態:良好、頬に擦り傷、右拳に打傷、右足首を捻挫
 現在位置:C-8
 第一行動方針:町にもどり、ブライサンダーの変形テストをする。
 第ニ行動方針:クォヴレーと共に仲間を探す
 最終行動方針:ヒイロと合流。及びユーゼスを倒す
 備考1:副指令変装セットを一式、ベーゴマ爆弾を2個、メジャーを一つ所持しています
 備考2:イキマへの疑いはかなり薄まっており、直情的に行動してしまったことを悔やんでいる】

【クォヴレー・ゴードン 搭乗機体:ブライサンダー(銀河旋風ブライガー)
 パイロット状態:良好
 機体状態:サイドミラー欠損、車体左右に傷、装甲に弾痕(貫通はしていない)
 現在位置:C-8
 第一行動方針:町にもどり、ブライサンダーの変形テストをする。
 第ニ行動方針:イングラムを探す
 第三行動方針:なんとか記憶を取り戻したい
 最終行動方針:ヒイロと合流。及びユーゼスを倒す
 備考1:左後部座席にトウマ搭乗。(ブライガー変形時にはトウマが頭部のブラスター・ピッドに移動し、攻撃を担?)
 備考2:ブライガーの変形機構を教えてくれたミオを厚く信頼しており、感謝している。】

【ミオ・サスガ 支給機体:ボスボロット(マジンガーZ)
 機体状況:良好
 パイロット状態:良好
 現在位置:C-8
 第一行動方針:町にもどり、ブライサンダーの変形テストにつきあう。
 第二行動方針:マシュマーを探す。
 最終行動方針:主催者を打倒する
 備考1:ブライガーのマニュアルを所持(軽く目を通した)
 備考2:サザビーのビームショットライフルを入手(エネルギー残少、本人は知らない)
 備考3:居住空間のTVを失った】


【時刻:二日目:14:20】
292自治スレにてローカルルール検討中:2006/04/09(日) 03:10:54 ID:nfCy2P/I
あ、題名は「雨、のち晴れ」でヨロ
293The Second Raid:2006/04/09(日) 12:04:19 ID:nfCy2P/I
「アル、あの機体までの距離は?」
<10時の方向に2000といったところです。まもなく目視可能範囲に入ります。>
「そう、さっさと撃墜しないとまずいわね。」
セレーナが昨日倒したはずの機体を追い始めてから3時間が経過していた。昨日と同一の搭乗者であるかの判断はつかないが、
先ほどの戦闘を見る限り、搭乗者はゲームに乗っている人間のようだ。
正午まで残り1時間。昨日の搭乗者と別人であってもタイムリミットまでの余裕は全くない。
「見えた!」
砂の上をバランスを失わない用に機体をコントロールし、悪魔の形状をした機体へと疾走していく。
「そこの機体、止まりなさい!」
「私に言っているのかね?」
「あなた以外に誰もいないでしょう。あなた、名前は?」
「私の名はマシュマー=セロ!ハマーン様に仕える騎士だ!」
「セレーナさん、下方から熱源反応、2つデス」
「ッ!」
砂の下の死角からガン・スレイブが襲ってきた。既に知っている武装とはいえ、
突然の奇襲にセリーナは背筋に寒いものが走るのを感じる。
「ほう、今の攻撃を交わすとは・・・。ニュータイプか?」
間髪を入れずにラアム・ショットガンを放ってくる。
「エルマ、小さい奴の位置を随時知らせて。アルは地面との設置圧に注意!」
「<ラージャ>」
ボクサーをガン・スレイブに向けて放つ。
「あなた、昨日のパイロットじゃないわね?」
「なるほど・・・。この機体の元のパイロットをやったのは貴様か。
面白い、名は何という」
「セレーナ=レシタールよ!」
これではっきりした。昨日のパイロットは死んでいたのだ。セリーナは一瞬安堵するが
すぐさま、戦闘へと集中を戻す。
「悪いけどこっちにはあまり余裕がなくてね。直ぐ終わらせて貰うわよ。」
昨日の戦闘でこの相手にはラムダ・ドライバ以外に有効な攻撃手段がないのは分かっていた。
(意識を集中させる。直接コックピットを貫く刃物だ。一瞬であの機体のコックピットを貫く!)
<ラムダ・ドライバ、起動>
「終わりよ!」
言い放つと同時に投げナイフをディス・アストラナガンへ放つ。
「ふん、その程度避けるまでも・・」
マシュマーは自機の持つバリアーであの程度の攻撃は防げると考えていた。
しかし、強化された感性が敵機の攻撃の危険性を予知していた。
「なにっ!」
瞬時に上昇するが、ナイフは右足の大腿部ごと粉みじんに吹っ飛ばしていた。
「なんだ、あの攻撃力は!」
(ナイフ自身の破壊力とは到底考えられない。あの機体に何か特殊な機能があるということか)
「私は基本的には女性を大切にする性質なのだがね、貴様には優しくしてあげることは出来ないようだ!
出でよ、ディスレブ!」
ディス・アストラナガンは両翼を大きく羽ばたかせ上昇した。
その瞬間ガン・スレイブ1基がアーバレストがの増したの砂地に潜り込む。
「しまった!」
極力砂に足を取られないように気を配っていたセレーナだが、突如下の砂地が変形し、バランスを崩す。
アストラナガンは自らの両手で胸部をこじあけ、敵機に照準を合わせる。
「敵機胸部にエネルギー収束!」
「消えろ!」
(避けられない!)
294The Second Raid:2006/04/09(日) 12:07:10 ID:nfCy2P/I

「くっ、自らの視界も奪うのかこの技は・・・。」
無限光の光を浴びてマシュマーはしばらく視覚を失っていた。それほどまでに強力な「光」だった。
レーダーが正常化したのを確認して敵機を探す。
(反応はない。当然か)
マシュマーが立ち去ろうとしたその時、
ピピッ!
レーダーがオゾン集を探知した。しかし依然視認は出来ない。
「ど、どこだ、新手か?いやそれには早過ぎ・・・ッ!」
マシュマーは正面の砂地が足跡型に二つ凹んでいるのを確認し、腕を交差してコックピットをガードする。
しかし、衝撃はこない。敵機はカモフラージュを解き、姿を見せる。注視すると頭が欠けているその機体は
正拳突きに似た構えで静止している。拳はなぜかガードの前で寸止めされていた。
「いったい、なん・・!?」
マシュマーがいい終わるまもなく敵機の拳から力場が発生し、ゆっくりと、しかし確実に
ディス・アストラナガンを消滅させていった。消え逝くマシュマーはセレーナの深い絶望と悲しみを感じていた。
(そうか、貴様も同じだったのだな・・・)
「ハマーン様、いまそちらに参りますぞ。」
それがマシュマーの残した最後の言葉だった。

「ふー、かなーり危なかったわね。アル、損害報告宜しく。」
<頭部全壊、メインモニター破損。オートバランサー、火気照準システムに異常発生>
「オートバランサーに異常か。今の騒ぎで敵機が来る前にこの砂地から抜けたほうが良さそうね」
<肯定>
「エルマ、周囲の索敵」
「了解・・・セレーナさん通信をキャッチしました」
「敵機!?」
「いえ、上空の大型戦艦からです。通信を許可しますか?」
セレーナはタイマーに目をやった。AM11:53
「なるほど、時間ぎりぎりってわけね。いいわ、許可して」
「やぁレシタール君。気分はどうだい。」
「あなたに話しかけられる前までは歌でも歌い出したい気分だったわ。」
「そうか、それは申し訳ない。だがね、私は君に賛辞を送りたいのだよ。
君は見事に与えられたノルマをクリアした。その機体の能力をフルに活用し、
自分に与えた条件の範囲内でやり遂げたのだ。本当に楽しませて貰った。
私は君のパイロットとしての資質に感動してすらいるんだ。」
「それは、どうも」
(こいつ、会話が盗聴されているの?)
「もちろん君の働きに私は誠意を持ってお答えしよう。
君がいた部隊、チーム・ジェルバを壊滅させたのはラミア=ラヴレスというものだ。
(ラミア=ラブレス?知った名前ではないが、そいつに復習を果たす為にも
この馬鹿馬鹿しいゲームを生き伸びて帰らなきゃ。)
295The Second Raid:2006/04/09(日) 12:09:23 ID:nfCy2P/I
「だが、名前を教えるだけではエンターテイナーとしては不十分だろう?
最高のショーを見せてくれた君にはチップを弾まないといけないと思うんだ。
じ・つ・は、そのラミアをゲームに参加させているんだよ。」
「なんですって!なにを・・・いや、それならそのラミアとかいう奴が
今までで殺されててもおかしくないわ!何が復習の手伝いよ、このウソツキ!」
復習者の名前を聞いてセレーナは感情が昂ぶっていた。こうなったら誰よりも
早くラミアを見つけ出さなければならない。すでに他の参加者と徒党を組んでいる
可能性だってある。
「まぁ聞きたまえ。そこら辺の配慮は怠りない。事実ラミアの名は放送されていないだろう?
そんな君のやる気を削ぐような真似を私がするわけがない。君には非常に期待しているんだよ、
レシタール君。では、引き続き頑張ってくれたまへ。」
「通信回線、遮断されました」
「アル、このコックピットに紙はない?」
<出力用の紙がシートの下にありマス>
「そ、ありがと・・・アル、エルマこれ宜しくね」
【この機体内の盗聴器や盗撮機の有無、またシステムがハッキングされてないか調べてみて
結果は声に出しちゃダメヨ、プリントアウトして】
セレーナはそう書き込むと移動を始めた。まずこの砂地帯を抜けなければならない。
「ラミアか・・・。」
(ユーゼスの言う事が私に人殺しを継続させる為のウソである可能性もある。
これから会う人間には名前を聞かなきゃいけないわね。もちろんラミアって参加者がいて
その人が復習対象者でない場合もあるから、いちいち隊のこととか聞かないといけないわね。
まぁラミアって名前からして女だとは思うけど。でもラミアって名前を肯定された瞬間、
私が理性を保てるかどうかは定かではないけど)
ラミアは静かに、激しく復讐心を燃やしていた。


【セレーナ・レシタール 搭乗機体:ARX-7 アーバレスト(フルメタル・パニック)
 パイロット状況:精神的疲労(ラムダドライバは使うには休息が必要) 
 機体状況:頭部全壊、メインモニター破損、オートバランサー、火気照準システムに異常発生
 現在位置:C-2
 第一行動方針:ラミアを探し、復習の対象であった場合殺す
 最終行動方針:不明
 備考1:トロニウムエンジンを所持。グレネード残弾3、投げナイフ残弾1
 備考2:ユーゼスの答えには半信半疑】

【マシュマー・セロ 搭乗機体:ディス・アストラナガン(第3次スーパーロボット大戦α)
 機体状況:完全消失。(Z・Oサイズのみ残っている)
 パイロット状態:死亡】



296The Second Raid:2006/04/09(日) 12:13:11 ID:nfCy2P/I
【二日目:11:58】
297天帝発つ:2006/04/09(日) 12:45:33 ID:nfCy2P/I
「さて・・・待たせたな。W17」
「いえ、ここは快適でしたから」
「先ほどの話聞いていたろう、君がいなくなるといささか寂しくなってしまうがね」
「ご安心下さい。すぐ戻ってきますですわ。」
「フハハハ。実に頼もしいな。まぁ君とあの機体なら間違いないか。
確実性が高すぎてやや面白みがないとも・・・まぁそれは贅沢か。」
「私はどうすれば?」
「そうだな・・・基本的には自由だ。私の考えたとおりに事が全て運んでしまうのもつまらんしな。
だがゲームを盛り上げるのでだけは忘れないでくれよ」
「かしこまりましたですわ」
「期待しているよ、W17」

数分後ラミアはゲーム会場内へと降り立った。


【ラミア・ラヴレス 搭乗機体:プロビデンスガンダム
 パイロット状況:健康(言語回路が不調)
 機体状況:良好
 現在位置:H-8
 第一行動方針:場を混乱させる
 最終行動方針:???】

【時刻:12:00】

298自治スレにてローカルルール検討中:2006/04/09(日) 22:18:38 ID:nfCy2P/I
>>289-297は破棄しますた
299勉強男 ◆drwetRDQqY :2006/04/10(月) 00:03:20 ID:z6M+FsHf
>>298
なんでだよアホ。理由を言え。
300自治スレにてローカルルール検討中:2006/04/10(月) 00:19:48 ID:MjlsMsmI
>勉強男さん
議論スレのほうに書き込んだほうがいいと思いますけど・・・
301自治スレにてローカルルール検討中:2006/04/10(月) 07:48:34 ID:i+w6MGjE
わざわざ日付が変わって3分後にW
も少しまてよW
302自治スレにてローカルルール検討中:2006/04/10(月) 08:53:09 ID:r+gfn1G6
(・∀・)ニヤニヤ
303自治スレにてローカルルール検討中:2006/04/10(月) 09:01:38 ID:r+gfn1G6
ょゞι″ょ
304自治スレにてローカルルール検討中:2006/04/10(月) 09:17:52 ID:sw21oFqk
しかしクソコテはどうして骨髄反射するかねw
破棄してる奴は作者じゃん。
ヨクミロwwww
305自治スレにてローカルルール検討中:2006/04/10(月) 11:28:46 ID:i+w6MGjE
同一!同一!
306自治スレにてローカルルール検討中:2006/04/10(月) 11:45:45 ID:4AVvvTvz
オマイら言いから新スレを立てるんだ
307自治スレにてローカルルール検討中:2006/04/10(月) 13:59:03 ID:220R8x2/
まだ306なのになんで新スレとかさわいでんの。
308自治スレにてローカルルール検討中
サイズの限界が502KBで、今はもう500KBで、ギリギリなんだ。
数字の問題じゃない。つかまた弾かれた…俺じゃスレ立て無理だ