A月A日
出撃が無くて暇だ。せっかくだからアルマナ姫の様子でも見に行くとしよう。
「………」
「あ、あのエイス騎爵?」
「………」
「何故私の目の前に座り込んで微動だにしないんですか?」
「………ハザル司令の命により姫の様子を確認しています」
「アルマナ姫に対し無礼であろう!せめてもっと距離を開けろ!」
侍従が何か言ってるが気にしない。この女にできることなどたかが知れているしな。
「………」
姫の姿を舐めるように観察する。もちろん仮面なので相手からは視線が分からないと言うわけだ。
この至近距離ではあまり関係ないが。
初心者がアルマナ姫を見るとまずその胸に目がいくが、私は違う。
視線が隠れてるのをいいことに長年視姦を続けてきたこの私の目は全てのエロ要素を見通す。
いいもの食ってるから肌は滑らかで実に触り心地よさそうだし、太もももいい感じだ。
ああ、あれもこれもたまらん、アルマナたんエロカワイイ…
「う、うう…」
「アルマナ様、どうなされました?」
どうやら私のエロ思念が姫の脳に届いたらしい。
顔を真っ赤に染めながらもぞもぞと体を動かしている。これぞエイス殺法エロ電波!
説明しよう、エイス殺法エロ電波とはエロい妄想を発信する事で目標の性感を高め
エロい気分にさせる恐ろしい技なのだ!サイコドライバーにしか効かんが。
今すぐ自分を慰めたいけど恥ずかしくてそんなことできない!と我慢する姫は実にいい。
しばしその姿を堪能して私はこの場を離れる事にした。
「ルリア…姫は体調が優れないようだ」
「え、ええ…」
腑に落ちない顔をするルリアにボソリと言った。
「…管理不行き届き…減給」
石化したルリアと悶える姫をおいて私は部屋を去った。
ちなみに姫、気づいてると思いますがその部屋カメラついてるんで。
A月B日
昨日の件で鉄球男が苦情を言いにきた。まあ、あのアルマナが本当のことを言えるわけも無く、
姫に無礼を働いたと言う事での苦情だったが。
この単純な男をどうあしらってやろうか考えていると、敵が来た。
最近頻繁に我々の邪魔をするダイゼンガーというロボットだ。
あのレベルの機体に武装が馬鹿でかい刀だけなどという、製作者の正気を疑う仕様だが
かなり手ごわい相手だ。
まあせっかくなのでうるさいバランをぶつけるか。
「バラン殿、奴の相手はあなたが…」
「ぬうおおお!ゼンガー・ゾンボルト!此度こそ決着をつけてくれるわあっ!」
私が何か言う前に言ってしまった。
正直、ドバン家当主は代々一度に二つのことを考えられないという
シヴァー閣下の説に賛同せざるを得ない。
A月C日
昨日の斬艦刀はひとしきり暴れたら気が済んだのか早々に撤退した。結構被害は出ている。
ハザルがイラついてパルシェムに八つ当たりしているようだ。小物が。
それと、やはりバランは姫の一件は忘却しているらしい。
A月E日
ハザルが地球の機動兵器に感化されたのか、「合体変形するメカが欲しい!」などと言い出した。
せっかくなのでハザルをからかうネタにしよう。
「…司令、合体メカを操るには気合が不可欠です。
ガドル・ヴァイクランと叫ぶ練習をしてください。銀河に響くぐらいの勢いで」
「銀河に!?無茶言うな!」
「口答えするな!」
「へぼぁ!」
間髪いれずにビンタを叩き込む。
「な、何をするエイス!!このオレに向かって…!!」
「試練を乗り越え、ハザル様を更なる高みへと上らせよ、とのシヴァー閣下のご命令です」
「ち、父上の…?そ、そうか、それならやるぞ!父上のために!」
ホント扱い易い男だ。
「では叫んでください」
「よし、いくぞ!ガドル・ヴァイクラン!」
「声が小さい!」
「ごふぁ!」
「では続きを」
「ガドォル!ヴァイクラァァン!」
「気合が足りん!」
「おごぉ!」
かくして、
「ガドォォォル!!ヴァイクラァァァァァン!!!!」
特訓は深夜まで続いた。
A月F日
昨日の特訓のせいでハザルの声がガラガラになっていた。
さらに私の熱血指導のおかげで顔面がわりとひどい事になっている。
周りを見ると、パルシェムどもが肩をプルプル震わせたり、口元がヒクヒクと痙攣してたりする。
修行の足りない連中だ。
長年仮面をかぶっている私は周囲に一切気取られる事無く大爆笑できるというのに。
A月H日
今日は任務のため地球に潜入している。
イルイ・ガンエデンの捜索と、地球人の新型の調査が目的だ。
「…それではハザル司令。イルイ・ガンエデンの捜索をお願いします」
「フン!ガキ一人捕まえるだけの仕事、俺一人でも十分だ!」
「…ではお一人でお願いします」
「………え?」
「…我々は新型を調査しておくので、そちらはよろしくお願いします」
「お、おい!本当にオレ一人にしていくのか!?」
「はい」
なおもぶつくさ言うハザルを置いて、私とゴラー・ゴレム隊は発進した。
我々の目的地はアルタードと呼称される機体の有る研究所、ではなく人のいない山奥だった。
「いっやあ、久々に羽が伸ばせますねえ!」
「初めて来たけど、地球って結構いい星だな」
「こりゃあ帝国の物にしたときが楽しみッスねえ」
我々は今のんびりと過ごしている。
戦闘中の私同様に、キャラ作りのため普段喋らないパルシェム達もここぞとばかりに談笑している。
「そういえばキャリコとスペクトラの姿が見えないようだが…」
「あっちのほうで叫んでくるって言ってました」
「叫んで…?」
そのとき、向こうの方から魂のこもった雄たけびが聞こえてきた。
『オリジネイターがなんだぁぁぁぁ!!!』
『アストラナガンがなんだぁぁぁぁ!!!』
奴等の自分探しの旅はまだまだ終わらんようだ。
ちなみに研究所の方は適当にメギロートを突っ込ませて置いた。
ハザルは何やら手ひどくやられていた。
まあ、一応ガンエデンだしな、考えもなしに一人で行ってもどうにもならんか。
A月I日
孫光龍が私とハザルを見比べて、意味ありげににやりと笑ってキュピーンと目を光らせていた。
何やら生意気だ。負けじと私も仮面の目を光らせた。
「目があ!目がぁぁ!!」
ちなみにエイス殺法アイフラッシュは、目を光らせて射程内の敵の命中率を
3ターンの間半減させるMAP兵器だ。うっかりハザルに誤爆してしまったが。
その後私と孫光龍は復活したハザルの中止命令が出るまで、
ピカピカ光る目でアイコンタクトを続けた。
A月K日
アイフラッシュが誤爆したのがよほど気に入らなかったらしく、
ネチネチといやみを言われた挙句ドロップキックを食らわされた。このやろう!ハザルの癖に!
ムカついたのでパルシェムどもと一緒に大掛かりなドッキリを仕込む事にした。
普段から「お前達の仮面を見ていると気分が悪くなる!」などと言いがかりをつけられたり
八つ当たりされてたりするせいか、こいつらは私よりもやる気十分だった。
アホ司令の顔が今から楽しみだ…
A月X日
いよいよ計画を実行に移す日が来た。
司令室のハザルはガンエデン捕獲が思うように行かずイライラしっぱなしの表情だ。
「エイス、イルイの捜索は…」
「今までご苦労だったな、ハザル・ゴッツォ」
私は普段決して出さないはっきりした声で喋った。
「な、なに?貴様今このオレを呼び捨てにしおったな!?どういうつもりだ!」
「お前は用済みと言う事だ、ハザル。キャリコ!こいつを連れて行け!」
「はっ」
キャリコは暴れるハザルを取り押さえ、そのまま連行していく。
「何を考えている貴様ら!オレは司令だぞ!?パルマーに反乱を起こすとでも言うの…」
ハザルのわめき声が遠ざかっていく。
さて、この計画はここからが肝だ。せいぜい楽しませてもらうとするか…
私はハザルの独房の前に来た。電磁バリア越しにハザルが私をにらみつける。
「気分はどうだ?ハザル」
「いったいどういうつもりだ!?このオレにこんな…!」
「せっかくだから説明してやろう。ハザル…お前はな、クローンなのだ」
「な、なんだと?ふざけるな!」
「ふざけてなどいない。シヴァー閣下の進める計画のための試験体がお前だ。
サイコドライバーに特化して調整した出来の悪いラオデキヤのようなものだな」
わざわざ壊滅した第7艦隊を引き合いに出してやる。
「馬鹿を言うな!オレは父上の…シヴァー・ゴッツォの息子だ!」
「我々の精神操作技術がどれほどの物か知らぬお前でもあるまい。
そもそもお前は私が調整してやったのだ」
「そ、そんなはずはない!オレには父上との記憶が…」
「それも私だ」
「馬鹿なっ…!」
後一押しというところか。
「では、これでどうかな?」
そう言って、私は仮面を外した。
「そ、その、顔は…」
「そう、お前のよく知る顔だ」
「あ、ああああ、あああああああああ」
「もういいだろう、後は私に任せてゆっくり休むがいい」
「ウソだああああああ!!!!!」
「うわああああああ!!!!」
叫びながらハザルが飛び起きる。司令の椅子の上で。
「あああああ、ああ…あ?」
「どうなされました、司令?」
ハザルはしばらく辺りを見回すと、安心したらしく大きなため息をついた。
「なんだ、夢か…」
私はハザルに近づき言った。
「…疲労が蓄積しているようです。休息をとられてはいかがでしょうか」
「…そうだな、ここはお前に任せる。俺は少し休むぞ」
「…了解しました。後は私に任せてゆっくり休むといいでしょう」
「…何!?」
冷や汗をびっしりと顔面に浮かべ、ハザルはこちらを振り返った。
「…何か?」
「いや、本当に疲れているらしい」
そう言うとハザルは憔悴した表情で私室へと帰っていった。
「フフフ、夢オチ成功!」
私の言葉にパルシェム達も皆ぐっと親指を立てる。
今、まさにゴラー・ゴレム隊は一つになっていた。ハザルという尊い犠牲の元に。
これでハザルもしばらくはローテンションになるだろう。
当分暇になるだろうからまたアルマナ姫の観賞でもやるかな…フフフ…
○月◇日
度続く戦闘のダメージで、ヱルトリウムもかなり疲弊している。
それを見越してか、ブライト艦長が、αナンバーズから数人スタッフを派遣してくれるそうだ。
あそこには有能なスタッフが何人も居るという。これはブライト艦長の手腕に感謝しなくてはならんな。
後日
αナンバーズスタッフが到着した。たが、その面子の中に獅子王君が居るのは何故なんだ?
「はっ。彼のハンマーなら、ヱルトリウム外装の補強もいかほどか楽になるかと思い。派遣させました」
阿呆か。ヱルトリウムは子供の玩具じゃないんだよ!
いや、いかんな。折角のスタッフなんだ。利用させてもらおう。
そう、ハンマーヘルさえ使わなければただの大きな金槌・・・・
「ゴルディオンクラッシャー!光に・・・なぁれぇぇぇぇぇ!」
容 赦 無 し か !
なぁんてこったぁ!
追記
仮面の下の顔にも色々仕込んどいたんだが、一発目で気絶されたんで全部無駄になってしまった。
いつか使おう。