カタ…カタカタ…カチャ!
「………?」
「ああ…そんなところで…何してんだい?…技術者さん…」
「アーマードモジュールの整備中すまないね……今…調査中でね…
プログラムのバグを探していているんだ」
「最近研究所で新機体が開発されてね」
「試験飛行があったんだ
テストパイロットが乗ってね…
でも期待していた数値にはいたらない
とくに こう 推進力の部分でね…
乗ったパイロットが機体に違和感を感じるっていうんで
プログラムに問題があると思ってね…」
「バグがあるはずなんだよ…
それを捜しているんだ…」
「そんなに膨大なプログラムの中から捜す気かい?」
「必要なことだからな…」
カタ…ガチャ…
「ああ…その…なんだ…参考までに聞きたいんだが
ちょっとした個人的な好奇心なんだが」
「もし みつからなかったらどうするんだい?
バグなんて入ってないかも…
いや、それより みつけたとして、パイロットがいちゃもんでもつけて、
自分の操作ミスを押し付けて来たら?
あんたはどう思って…そんな苦労をしょいこんでいるんだい?」
「そうだな…わたしは『結果』だけを求めてはいない。
『結果』だけを求めていると人は近道をしたがるものだ…。
近道した時、本来の目的を見失うかもしれない。
意欲もしだいに失せていく」
「大切なのは到達しようとする『夢』だと思っている。
到達しようとする『夢』さえあれば、
たとえ今回遠回りをしたとしてもいつかはたどり着くだろう?。
向かっているわけだからな…違うかい?」
「うらやましいな…」
「以前私は…立派なパイロットになりたいと思っていた。
子供のころからずっと…
かつて、あんたのように『夢』を抱いていた事もあった」
「でも失敗しちまった…私って人間はな…くだらない女さ。
どんな任務だって途中で終わっちまう。いつだって途中で冷めちまう…」
「そんな事はないよ…アイビス…
おまえはりっぱにやってるじゃあないか…」
「『夢』は同じだ…おまえがパイロットになったばかりの時
いだいていたその『外宇宙を目指す夢』は…
今…おまえのその心の中に再び戻っているのだよ…アイビス…」
「!」
「なんで私の名を…知っているんだ…?
そういや…あんた…前にどこかで会った事が…ある」
「………どこに行くんだアイビス?」
「あのアルテリオンに乗るんだ…思い出してきた…
そうだ もう行かなくては…私はαナンバーズに戻らなくては…」
「忘れたのかアイビス!?
おまえはあれに乗ってここに来たのだ…
ここはもう外宇宙なんだ…もう…戻る事はできない」
「あ…あんたは…!!…そうだ あんたはッ!!!
あんたは私が試験飛行で事故を起こしたせいで
計画が中断しそのまま病死した…」
「アイビス…おまえはりっぱにやりとげたのだよ…
そう…わたしが誇りに思うくらいりっぱにね…」