ゲーム&ウオッチなどのレトロなゲームや100種類以上の攻略本、グッズなどをコレクション
している「ゲームアイドル」だ。20歳までに総額1000万円はつぎ込んできたという。ひとたび
テレビの前でゲームのコントローラーを握ると離さない。丸一日、ぶっ続けで画面とにらめっこ
することもある。将来の夢は「レトロゲームのミュージアムを20代のうちに作ること。ゲーム
アイドルは私の天職です」。人懐っこい笑顔に思わず、とりこになってしまった。
大阪生まれ。ゲームで初めて遊んだのは小学3年生のころだ。家庭用ゲーム機のスーパー
ファミコンやNINTENDO64にはまった。
翌年、熊本県相良村に引っ越して、テレビゲームからは一時、距離を置いた。「イノシシが
出没したり川で泳いだり。アユもおいしかった」と懐かしむ。
中学に入り、「周りに何かを伝えるアイドルのような仕事がしたい」という夢を持つようになる。
「下積みが大事だから」と学業にも力を入れ、15歳で両親を説得し、思い切って上京。今の
芸能事務所の門をたたいた。
都内の高校に通いながら、当初はグラビアアイドルとして活躍した。だが、「自分にしか
できないことをやり、スキルアップしたい」と、趣味で事務所のゲーム攻略本製作を手伝ったり
するうち、かつて小学生のころに出合ったゲーム&ウオッチの記憶がよみがえってきた。
17歳からは自分が生まれる前のレトロゲームについて、自ら開設したブログで紹介し始めた。
「レトロゲームは、何をいかにやりたいか、メッセージをコンパクトに伝えようとする職人さんの
頑張りがすごく見えるのが面白い。作品作りでは何百人の単位ではなく、数人でプログラムも
グラフィックも担当している。複雑にプログラムされた作品よりも、想像がふくらみます。
シンプルが一番です」
ほどなくゲーム情報誌などへの連載にも挑戦するようになる。今や毎月5本の連載を抱える
売れっ子に“成長”した。携帯電話の画面上で楽しめるオリジナルのアドベンチャーゲームの
ストーリーも考案中だという。
平日には1日に10時間、休日にもなれば24時間通してゲームに夢中になる。「突然マッチョマン」
「グラディウス」に「ビジランテ」…。アクションにロールプレーイングにと、ジャンルはこだわらない。
「最初はいかにクリアするかに重点を置いてきましたが、今は作り手がどんなコンセプトで
作ったのだろうと思いをめぐらせ、遊ぶことが多くなりました」と明かす。
ゲームアイドルと呼ばれ、ファンとふれ合うイベントも毎月、開催するようになり、ある思いが芽生えた。
「ゲームは日本が誇るべき大切な文化。竹馬や縄跳びと同じです。レトロな希少価値のある
作品であればなおさら、ずっと将来へと残していくべきではないかと思うんです」。欧米のメディアからの
インタビュー取材に応じて、その思いをさらに強くしたという。
「昔のゲームソフトにヒントを得て、何かクリエーティブな遊びができる可能性もあるでしょう。
ゲーム史をたどる上でも、今、自分がやっておかないと」。そんな思いでソフトや20年ほど前の
攻略本の収集を進めている。サブカルチャーのマニア向けの店が数多く並ぶ東京・中野の中野
ブロードウェイやフリーマーケットに買い付けに行ったりして、コレクションはもう3年になる。
自宅の部屋には納まらず、事務所にもあふれてしまった。
音楽や映画、さらには医療や福祉の現場にと、ゲームが活用される場は増えている。その可能性は
無限大だ。「ゲームは自分が好きなように遊ぶのが一番。それに、コミュニケーションツールとして
もってこい。その場が和み、会話も増えます。それは今も昔も変わりません。そんなゲームと一生、
お付き合いしていきたいです」。キラキラとした目の輝きが増した。
産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/100227/tnr1002270703000-n1.htm 依頼:
http://anchorage.2ch.net/test/read.cgi/gamenews/1233917621/509