宮本 僕はチームの中で「世の中には“よくできたゲーム”と“面白いゲーム”があ
る」と言っています。
僕らは自分たちのノウハウを突っ込めば、よくできたゲームは
いつでもどんなものでも作れる。
しかし、「それがお客さんにとって面白いゲームで
あるという保証は全然ない」ということです。
だから、例えば『週刊ファミ通』のクロ
スレビューでゲーム評価がすごく高かったのに売れないものがあるとすると、ゲ
ーム業界の中で生きていると「どうして?」と思うわけです。「評価が高ければ売
れるんでしょ」と思っているので。社内でも「人よりよくできたゲームを作れば評価
される」と思っている。
ところが、世の中にはゲームなんてどうでもよかったりする人もたくさんいるわ
けなので、「やっぱりもっと面白いものを作らないといけないよね」ということに視
点が移ります。
原点に帰って、「インタラクティブ(双方向的)な面白さというのは
何なのかな」とかいろいろ考えて、「ハード自体もそんな風に作っていかないと、
これからの未来は広がっていかない」と思い始めました。
僕は工業デザイナーなので、ファミコンのころからずっとコントローラーを作っ
てきたんですね。「ゼルダやマリオを遊ぶために」とか考えてコントローラーを
作っていくと、どんどん複雑になってくる。3Dで遊ぶようになると、もっと複雑に
なっていく。そうして複雑になったコントローラーは、「分からない人にはもう触
れないだろうな」と思うわけです。
Macintoshを最初に見た時、僕は電源が切れなかった。「電源が切れないも
のを売っていていいのか?」と思ったのですが、ファミコンは電源スイッチとリ
セットボタンが付いているだけなのですばらしいと思っていました。しかし、自
分たちが作っているものが、いつのまにかそういうものに近づいているというこ
とを感じていたのです。
それで、ニンテンドーDS(以下、DS)でペン1本で遊んでみよう、「触ったら
反応する」ということの面白さをみんなに感じてもらおうと思いました。
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1002/10/news012_5.html