ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)米ゲームソフト大手エレクトロニック・アーツ(EA)(Nasdaq:ERTS)が
31日発表した10−12月期(2008年3月期の第3四半期)決算は、会計方法の変更で赤字に転落した。
純損益は3300万ドルの赤字(前年同期は1億6000万ドルの黒字)、1株損益は10セントの赤字(同50セントの黒字)。
「継続したサービスを伴う商品の販売では、まだ提供していないサービスについての収入を前受収益として扱う」と
いう会計基準に従い、収入のうち2億3100万ドル分を繰り延べたのが、赤字になった要因。EAのゲームソフトの
多くは、複数のプレーヤーが参加できるなどのサービスを、インターネットを通じて提供している。
年末商戦でスポーツゲームやレーシングゲームの売れ行きが好調だったことなどから、同四半期の売上高は17%
増の15億ドルとなった。
同社はまた、シューティングゲーム2タイトルの発売が遅れるため1−3月期(第4四半期)の業績見通しを
下方修正し、1株損益の予想レンジを「3セントの赤字−2セントの黒字」とした。
これらはナスダックの取引終了後に発表された。同社株の通常取引終値は前日比0.14ドル(0.30%)高の
47.37ドルだった。その後の時間外取引では下げに転じ、46.25ドルで取引されている。
EAのジョン・リッチティエロ最高経営責任者(CEO)は10−12月期の業績を「堅調だが複雑」と形容した。
年末商戦での売れ行きが好調だったゲームソフトは多かったものの、同社単独で開発したゲームソフトが
少なかったため。ゲームメーカーにとっては通常、独自に開発するソフトのほうが収益性が高くなる。
年末商戦期間中の同社のベストセラーソフトには、「ハーフライフ2 オレンジボックス」や「クライシス」など、
ほかのゲームメーカーに代わって販売したものがある。米メディア大手バイアコム(NYSE:VIA.B)傘下の
MTVが制作した音楽ゲーム「ロックバンド」は同期間中に150万本が売れた。EAが制作したレーシングゲーム
「ニード・フォー・スピード プロストリート」やサッカーゲーム「FIFA 08」も好調な売れ行きだった。
リッチティエロ氏は昨年4月にCEOに就任以来、ゲームの品質を高めることを最優先課題にしてきたが、
「すべきことはもっとある」と述べた。同氏によると、ゲームソフトの評価をする人気ウェブサイト「メタクリティック」で、
EAが独自開発したゲームソフトのうち100点満点で90点以上を獲得したものは1本もなかった。
同氏は「EAがゲーム2タイトルの発売を延期したのは、ゲームの品質に不安があることが理由の1つ」としている。
「バトルフィールド:バッドカンパニー」と「マーセナリーズ2」の発売は1−3月期の予定だったが、4月からの年度に
延期された。EA幹部は「この決定によって、ゲームの質に磨きをかける時間を多くとることができる」としている。
この発売延期のため、08年3月期の1株損益予想レンジは、従来の「0.91−1.60ドルの赤字」から
「1.48−1.67ドルの赤字」に修正した。売上高については、従来の予想レンジ「33億5000万−36億5000万ドル」を
狭め、「34億6000万−35億9000万ドル」とした。
リッチティエロ氏は「次年度の発売候補作品には、ヒット作になる可能性があるものが含まれている」と述べた。
ホラーゲームの「デッドスペース」のほか、「ザ・シムズ」を手掛けたゲームデザイナーのウィル・ライト氏が開発した
パソコンゲーム「スポアー」など。リッチティエロ氏は「スポアー」の売れ行きについて「非常に強気」の見方をしている。
ソース
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/media/djBZI5947.html