「彼はPS3に搭載された次世代半導体セルなど半導体投資に力をいれ、この技術をデジタル家電に転用することで"技術のソニー復活"を目指したのです。
そのためソニーは半導体に5000億円もの大金を投入し、これが連結業績の悪化を招いた一因となった。
ストリンガー会長は彼をゲーム子会社の会長うにに棚上げした直後、PS3の中核を担うセルの投資を抑制する方針を打ち出している」(前出・ソニーウォッチャー)
実際、10月に入るとソニーは中核半導体セルの製造技術を東芝に売却すると発表した。売却額は焼く1000億円。投資マネーの回収には及ばないが、
これに伴いソニーは米IBM、東芝と進めてきた次世代半導体の製造技術に関する基礎研究からも撤退する。即ち、半導体からの決別は、
ゲーム事業がソニーの主力事業から外れたことを意味する。
「PS3が検討し業績に貢献していれば、話は別。大変な金食い虫と化し、任天堂の後塵を拝して天下の笑いものとなっている現状に、
プライド高いストリンガー会長がどこまで我慢できるでしょう。ゲーム事業売却は時間の問題」(市場関係者)
ストリンガー会長の決断を後押しするのは、任天堂の独り勝ちを許したことでソフトメーカーの"ソニー離れ"が加速していることだ。
スクウェア・エニックスが人気シリーズ「ドラゴンクエストIX」の提供先を任天堂に鞍替えしたのに続いて
カプコンもPS3向けに発売する予定だった人気シリーズ最新作「モンスターハンター3」を任天堂に変更した。
「ゲームビジネスは赤字先行でハードを普及させた後、粗利益の高いソフトの販売で回収するのがセオリーです。
ところがソニーのPS3は開発費が膨らむことからソフトメーカーが敬遠したがる傾向が強い。
一方、任天堂のWiiはハードの製造コスト自体が安いから利益が出やすいうえ、ソフトの売れ行きもきわめて好調です。
当然ソフトメーカーは"勝ち馬に乗れ"と、任天堂に殺到する」(経済部記者)
そんな事情はストリンガー会長も先刻承知しているに決まっている。
ストリンガー会長がゲーム事業から撤退・売却の決断を下したとしても決して不思議ではない。
「だけど、ストリンガー会長が豪腕を発揮してゲーム事業の撤退・売却を決断したら、株主からねじ込まれる可能性がある。
今年6月の株主総会で本業であるエレクトロニクス回帰を求めた株主に対し、会長はエレクトロニクスとゲーム、映画を持つのはソニーの強みだと反論している。
その時点ではゲーム事業の将来見通しを楽観視していたにせよ、舌の根も乾かないうちに売却すれば株主の反発を買う。
それこそ"経営者失格"の烙印を押されかねません」(経済ライター)
とはいえ、半導体セルの生産設備を東芝に売却した以上、これを搭載したPS3=ゲーム事業の戦後処理を迫られるのは確実だ。
「ストリンガー会長はソニー迷走を招いたA級戦犯は出井(伸之)さんであり、久多良木さんだ、と主張するでしょう。
でも、ソニーから半導体の生産設備を買収する東芝は"安い買い物になった"と喜んでいると囁かれている。
家電製品に転用できるため、宝の山になり得るというのです。それが現実になったらストリンガー会長は天下の笑いものになりますよ」(市場関係者)
これ以上、ソニーの迷走に拍車が掛からなければいいのだが……。
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