米アイオワ州立大学(ISU:Iowa State University)心理学部のDouglas Gentile
助教授は、同氏および他の5名の研究者から成る調査チームによって、TV
ゲームプレイと外科医の手術レベルなどの関連性を調べた最新レポート
「The Impact of Video Games on Training Surgeons in the 21st Century」の
発表を行った。外科専門誌「Archives of Surgery」)2月号に、詳細な研究論文が
掲載されている。
同レポートは、米国ニューヨーク市のBIDMC(Beth Israel Deaconess Medical
Center)医療センターにおいて、男女33名の外科医を対象に実施した調査
プロジェクトに基づくとされる。同33名は、開腹せずに難易度の高い手術が
行える、腹腔鏡手術のレベルアップを図るため、1日半に及ぶ「Rosser Top
Gun Laparoscopic Skills & Suturing Program」訓練プログラムを受講。また、
これまでのTVゲームの利用経験などをアンケート調査したほか、現在の
ゲームプレイのレベルを測定するため、GAMECUBEの「Super Monkey
Ball 2」(スーパーモンキーボール2)、PlayStation 2(PS2)の「Star Wars
Racer Revenge」(スター・ウォーズ レーサーリベンジ)、Xboxの「Silent Scope」
(サイレントスコープ)といったゲームのプレイスコアなどが記録されたという。
調査結果によれば、週3時間以上はTVゲームをプレイしていた時期が
あると回答した外科医は、今回の腹腔鏡手術訓練プログラムの成績が、
TVゲームの利用経験がない外科医と比較して、全体的に42%アップ。
手術中のミス項目数が37%少なく、手術速度が27%アップするなどの差が
認められたとされる。さらに、現在のTVゲームプレイスコアが優秀だった
上位3名の外科医は、他の30名の外科医よりも、訓練プログラムにおける
手術ミス項目数が47%少なく、手術速度が39%アップしたとされている。
Gentile助教授は「TVゲームのスキルが外科医の腕と関連性があるなど、
普通は考えることすらないものの、ゲームユーザーの外科医は、より腹腔鏡
手術をスピーディかつ正確に行えることが今回の調査では判明した」と
コメントしている。これまでに携わった腹腔鏡手術の件数や、外科医としての
経験年数などよりも、現在のTVゲームスキルのほうが、手術の腕を上げる
ための重要な要素となり得るかもしれないとの結果データに、調査チームの
全研究者が驚きを隠せなかったようだ。
MYCOM ジャーナル
http://journal.mycom.co.jp/news/2007/02/20/005.html