米国でオンラインゲームの不法サーバーを運用していた組織をFBI(連邦捜査局)が
摘発、Webサイトを閉鎖するという事件があった。
韓国・NCsoftの米国法人は、FBIとの共同捜査の末、同社のオンラインゲーム
『Lineage II』(日本でのタイトルは『リネージュ II』)のフリーサーバーを運営し、ユーザーに
無料でプレイできるようサービスしていた組織「L2Extreme」を摘発したと発表した。
L2Extremeは5万人以上の会員を抱えている組織で、NCsoftではこのサーバーにより
年間100万米ドル(約1億1,700万円)もの損害を受けていたとしている。
Lineage IIは北米で2004年から商用サービスが提供されていた。NCsoftによると、
2006年の北米における同ゲームの成長率は25%に達し、11月中旬には同時接続者数が
10万人/月を突破するなど好調だという。
それだけにNCsoft側としても不法サーバーは協力に取り締まりたいところで、米国法人では
「今後も同様のサーバーの取り締まりを続けていく」と述べている。
NCsoft韓国本社の広報担当によると、今回は米国法人がL2Extremeにより大きな損失を
こうむっていると通報したことで、著作権侵害の被害を重く見たFBIが動くことになったという。
また、L2Extremeのフリーサーバー内で金銭的な取り引きがあったのかどうかに対して、
同担当者は「捜査がさらに進まなければ詳細は分からない」としたうえで、「同じLineage II
といっても、L2Extremeによるものと米国本社によるものでは若干異なる点がある。
L2Extremeのものは、金銭取り引きを行うほどのものではなかったと見ている」と述べた。
フリーサーバーの問題は米国およびNCsoftだけの問題ではない。最近では、中国に
進出した韓国のゲームメーカーが市場占有率を落としているのは、フリーサーバーが
その要因の1つであると、韓国の国会議員が公の場で発言している。この議員は韓中間で
オンラインゲームの法律のための諮問サービスや、通報制度を拡大すべきといった対策を
提案している。
一方、NCsoftのLineage IIの場合、アジアやヨーロッパ、米国など全世界でのサービスが
同時進行している段階だ。そのため今回のような事故があった場合は、「基本的には
その国の法律や制度に従って処置をとっている」(NCsoft担当者)。それだけでなく、
今回のように事実や捜査状況をメディアを通じて明らかにすることで、NCsoftが対策を
行っていることを知らしめる活動も行っているという。
また韓国においては、インターネットサービスが発達していることから関連犯罪が増加、
警察庁に「サイバーテロ対応センター」という部門が設けられている。NCsoftでは、
オンライン上で犯罪があればここに通報・協力し、時には犯罪に対応するような法律の
必要性を訴えることもあるという。
「世界のユーザー数が1,400万人」(NCsoft)という人気ゲームのLineage II。だからこそ
狙われやすく、過去にもさまざまな事件が起きている。今後もNCsoftの対応は続
いていきそうだ。
MYCOM ジャーナル
http://journal.mycom.co.jp/news/2006/11/22/003.html