東京証券取引所は二十五日、日本証券業協会などと共同で、東京・兜町の
東証ホールで「株式売買ゲーム」の十周年記念シンポジウムを開催した。
会場には教育関係者ら約百五十人が参加し、メモを取り、話に聞き入る
熱心な姿がみられた。
株式売買ゲームは、東証などが全国の中学・高校生向けの学習教材として
開発した。一九九六年度から教育現場で、株式の模擬売買を通じて生きた
経済、株式市場の動きを体験学習してもらうのを目的に、全国で活用例が
増えている。
この日の記念シンポジウムでは、株式売買ゲームを活用した教育実践の
報告に加え、有識者らによる株式売買ゲームを通じた成果や課題、今後の
あり方をパネルディスカッションした。
例えば、全国に先駆けて株式売買ゲームを活用した、という新井明・東京都立
西高等学校教諭は、「高校生の段階であれば、このゲームは生徒たちにとって
“一生モノ”の経験になる」と、前任の都立国立高校で十年間実践した教育・
研究例を報告した。
この中で、受講した生徒らが、多い順に、(1)お金をもうけることの難しさ
(2)株式会社の仕組み(3)情報の集め方(4)株価変動の要因(5)リスクと
リターンが分かった、と感想を持っていることなどが紹介された。
また、有識者五人によるパネルディスカッションでは、株式売買ゲームの
成果は、「キャピタルゲイン(株の売買で得た利益)を競い合うなど、現実に
近いシミュレーションができる」という評価する一方、「あまり経済学習をする
機会がなかった教師側に人材不足感がある」「(教材の一部にもなる)マスコミの
経済報道は一つの事象を過大に扱いすぎ、ミスリードしがちだ」との課題も
指摘された。
ただ、株式学習ゲームの今後については、金融教育の一環として進化
させるべき、との見方で一致していた。
FujiSankei Business i
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