【Wii】戦国無双3 173討

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338あぼーん
あぼーん
339恋心(戦国無双 / 左三)のサンプルです!:2010/08/17(火) 14:54:17 ID:DSrI/BiE
左近とあるじとの間では気まずい沈黙が続いている。

三成がどんな腹積もりでこの部屋を訪ねてきたのかはともかく、こんな夜半に、
こんな左近のような男の前に無防備な姿を晒す危険を、彼は理解していない。

以前の左近であれば、そして相手が三成でなければ、
今頃は既に己の体の下に引き込み、思うさまその肢体を貪ってもいることだろう。

薄い小袖の衿もとから覗くしろい肌に、そうとは気付かれぬよう目を細めた左近は、
はあ、とわざとらしいため息をついて見せた。

「……なんだ」
「いえ、ね。殿は思いのほか、大胆なことをなさる」

「? どういう意味だ」
「そのままですよ――こんな夜中に、思いを寄せるという男の部屋なんか、訪ねるもんじゃありません」

「何を言っておる!」


さっきからこんなやり取りのくり返しだ。
なぜ来た、夜這いだ、の押し問答で、さっぱり話が前に進まない。

残念ながら思いは秘めても枯れた訳ではない、
思う相手とこんな時間に一緒にいれば、理性が揺らいでいくのが自分でも分かってしまう。

それゆえ早く立ち去って欲しいのに、彼の方ではどう考えているのか梃子でも動く気配はなく、
それどころか、あるじはきりきりと柳眉を逆立てている。

色っぽさなど皆無の様子だが、逆に彼らしくてほほ笑ましく感じられるのは、惚れた弱みだろうか。
340恋心(戦国無双 / 左三)のサンプルです!:2010/08/17(火) 14:55:16 ID:DSrI/BiE
つい頬を緩めた左近だったが、続くあるじの言葉はまさに衝撃だった。

「島の左近の浮き名を、俺が知らぬとでも思ったか!」
「は……」
「左近ばかりがそうではない……俺も思いを寄せているとは、なぜ思わぬ!!」
「!!」

肩で息をつくように叫んだ三成の目には、感情の高ぶりゆえにか、うっすらと涙が浮かんでいる。
その姿に加え、告げられた言葉の意味を悟って、左近は大きく目を見開いた。

「殿……」
「知らぬ、左近など!!」

叫ぶように言った三成の、その指先が小さく震えていることに左近は気付く。
どれだけの勇気を振り絞って告げられた言葉か分かろうというもので、
それを目にした瞬間、左近の心に温かいものが走った。

「覚悟を決めて、いらっしゃったと?」
「最初から、そう言ったではないか」

尖った声は周囲との軋轢を招くものだが、左近にとってはただの意地っ張りの強がりでしかない。

ゆっくりと、あるじとの距離を詰める。
そっと肩を抱いても、三成は逆らわなかった。

「この左近のものに、なってくださると?」
「夜這いだと……言ったろう」

憎々しげな言葉が、どうしてこうもいとしい。
堪らずに抱き寄せれば、細い肩は左近の腕の中へすっぽりと収まってきた。


「大切にいたしますよ」
「……ああ」


(お粗末様でした!)