それまで他愛もない話でもりあがっていた連れの男がいきなり硬い表情になり
「ねえモーリス、ベトナムであの【ハチマキ】が目撃されたらしいんだ」といった
笑いながらバーガーを食べていたモーリスの顔も試合の時とは比べ物にならないくらい表情がこわばっていた
「それ本当かよ。なんですぐ言わなかったんだ?ええっ」
すると連れの男がこういった
「君さぁ、そんなこといったらそればっかに集中して、今日の試合もでなかっただろ?しかも知ったところで東南アジアに行くお金なんかあるのか?」
「それが問題だ、手っ取り早く金を稼ぐ方法はないのか?」
連れの男に何かいい方法あると期待した表情でモーリスは言った
「実はね、来週こういう地下格闘大会が開かれるんだ」
というとあるチラシをモーリスに差し出した
−トーナメント方式で優勝者には一万ドル−
そのときモーリスはこの大会に出ると決めていた
「サンキュー、アルフレッド、お前サイコーだよ
で主催者は誰なんだ?まっどうでもいいけど」
「マイケル・アダムスなんだけどね。名前くらい聞いた事あるでしょ?」
アルが言った。
「あの黒社会に深く関わってるおっさんな。なんであんな奴が格闘大会を?」
モーリスは興味ありげにまた質問する
「表向きは格闘大会だけど、裏ではかなりの麻薬やら武器やらが流れるらしいね。まあ僕らには関係ない話だけどね、お金さえ手に入れば」
「つまりカモフラージュのための大会だな。まあ関係ねえけど」
「そういうわけでもないさ、アダムスは格闘好きらしいね」
「ふーん。まっハチマキに合えるんだったら何だってするさ」
そうして彼らは帰路に向かって歩いていく
「なあアル、さっきから誰かに付けられてないか?」
「いや、別になにも感じないけど」
「そっ、それならいいけどよ」
「俺に気付いていたとはさすがだな」
金髪の男がそうつぶやいた
この大会が単なる格闘大会ではないということを彼らはまだ知る由もなかった