FPS症候群について語ろうよ19

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3UnnamedPlayer
○FPS症候群に悩む若者たち(1/2)
最近町では妙な振る舞いを見せる若者が増えている。
あるものは身を低くして走り、またあるものは音に非常に敏感で臆病である。
大きな音がすると、身を伏せる若者もいる。
こういった症状はFPS症候群と呼ばれ、主に男性の間で急速に広まっている。

「今日はFPS症候群の権威、マサチューセッツ工科大学のゴードンフリーマン博士に
おこしいただいています。よろしくお願いします、博士。」
「よろしくお願いします。」
「そもそもFPS症候群とは一体どういったものなのでしょうか?」
「FPSとはFirstPersonShooterあるいはShootingの略でゲームのジャンルのことです。
一人称視点でプレイするため没入度が高く、現実世界においてもその体験がフラッシュバック
されてしまうのがFPS症候群です。」
「つまり一種のPTSDのようなものですか?」
「そう考えてもいいかもしれません。特にアメリカでは患者が多く、社会問題となっています。」

「具体的にはどういった症状が現れるのですか?」
「そうですね、まずはこの映像を見てください。」
「?彼は曲がり角でカッティングパイをしてるようですね。扉の開閉音や足音にも敏感ですね。
うーん、見事なダイナミックエントリーだ。」

「彼はCQB系FPS症候群の患者です。音に対して非常に敏感になり、足音を立てずに歩きます。
部屋に入る際は慎重かつ大胆です。次にこの映像を見てください。」
「匍匐前進をしていますね。一気に走り出しました。身を低くしてカバーからカバーへ走っています。」
4UnnamedPlayer:2006/08/03(木) 14:06:19 ID:E4F7SrkT
○FPS症候群に悩む若者たち(2/2)
あ、今空き缶をゴミ箱に捨てましたね。何か叫んでいます。Fire in the hole!ですか?
つまり空き缶を手榴弾に見立てているわけですね。」
「彼は野戦系FPS症候群の患者です。オープンフィールドで自分の身をさらすことを非常に恐れています。
高い建物の窓に気を払い、死角から死角へ移動します。次の患者です。」
「彼はバニーホップをしてるようですね。これまた見事なドッヂングですね。」
「彼はスポーツ系FPS症候群の患者です。移動中は常にジャンプをしないと落ち着かないようです。
人と接する時はドッヂングを駆使します。」
「こういった患者に対しては具体的にはどういった治療をされるのですか?」
「意外かもしれませんが、彼らからゲームを奪うようなことはしてはいけません。
むしろゲームをやらせるのです。しかし、FPS以外のジャンルのゲームをさせます。
レースシムやフライトシムはやらせてはいけません。
リアルじゃないから糞症候群にかかってしまいます。
治療には日本のゲームが効果的です。日本のゲームはキャラ萌え主体で3人称なので、
これはゲームの中の出来事なんだと彼等に認識させることが出来ます。」
「ありがとうございました。ところで博士、何故バール(のようなもの)を持ってい・・・・
5UnnamedPlayer:2006/08/03(木) 14:06:55 ID:E4F7SrkT
○カナテコ
春の陽気に誘われ散歩をしていると、工事をやっている現場に出くわした。
ブルーシートの上に様々な工具が置いてあり、その中にアレがあった。
カナテコ、またの名をバール(のようなもの)。
それもかなり大きいプロ仕様。
一般家庭にあるような、釘抜きと呼ばれたりするような
ちゃちな物とは一線を画すその大きさ、重量感。
俺はそれを手に取ってみたくてたまらない衝動に駆られた。
工事のおっさんは作業に熱中してるみたいだし、少しぐらいならと、そっと手にとってみた。
驚愕した。
カナテコは見た目以上に重く冷たく、俺はこの錆びた鉄のモンスターに思わず身震いした。
こんなもので科学者を殴ればそりゃ死ぬな、と一人でニヤニヤ考えていると、
工事のおっさんと目が合った。
バールを手にニヤニヤしながら立ち尽くす男が、これから一体何をしでかすのか、
彼は固唾を呑んで見守っているようだった。
二人の間に緊張した空気が張り詰める。
俺はしばらく(実際は一瞬だったかもしれない)これからどうすべきか考えた後、
そっとカナテコをブルーシートの上に置いた。
工事のおっさんの安堵の表情が爽やかな風を誘う、春の午後でした。