極端に賛否が分かれてしまった追加シナリオ
設定自体は本編を上手く活かした内容となっている。
別々の出発点を持つ2つの問題が1つの大団円を迎えることになるというのが恐らく制作側の意図した構図なのだろうが…。
+ 追加シナリオにおける主要なテーマとその評価 ※ネタバレを含む 主なテーマは「人間と、ヒューマノイドであるソフィとの差異」という人種差別要素を取り入れたかなりシリアスなテーマではあるが…
ソフィについてはそもそも問題が解決したか否かで見解が分かれ、大きく以下の2つの意見に分類される。
シナリオ中でソフィ自身が納得できる解決策を見出しているので問題ない。
ソフィの投げかけた問題の大きさに対して解決策は部分的で、根本的な部分は未解決のままである。
アスベルとシェリアの恋愛模様については流れが不自然と言われる傾向にある。
理由としてはシェリアと結ばれること自体は不思議ではないが、
その伏線がサブイベントにしかないため、描写不足と取れることや、
また、告白する側がアスベルであることも恋愛に鈍感ということを強調されていたアスベルとはほど遠い言動であるなどが挙げられる。
本編中ではシェリアは一途にアスベルのことを思い慕っているが、反対にアスベルがシェリアのことを気にしているような描写は全くない。
そのため、アスベルから告白するという流れは極めて不自然と言える。
系譜編のイベントは当然後付であるため、これらの大きな矛盾から系譜編を作ったのはシェリアをアスベルと組ませたかっただけと言われる根拠になっている。
これに関連し本編では二人を多少くっ付けようと動いていた仲間たちが「くっつかないほうがおかしい」と言わんばかりに動いている点は批判される。
また、Wii版発売時は恋愛要素が少ないことを売りの1つにしており、実際に本編中ではアスベルはシェリアのことを意識する様子は特に見当たらなかった。
そのため、本編で売りにしていたことを追加シナリオでわざわざひっくり返すべきではないという意見も存在する。
主要テーマ以外にも賛否が分かれる点がある。
本編に対する「家族ごっこ」との批判について、追加シナリオでこの傾向が「解決した」と「加速した」に分かれる。
一部のキャラが本編とは別人のように見えることについて、困惑しているプレイヤーが多い。
主な例では基本的にはしっかり者でシリアスだったリチャードがシリアスな場面で冗談を言うような間抜けなキャラクターになっているなど。
当然リチャードファンからは困惑の声が上がった。
本編の時点でもリチャードはファンからはネタキャラとして扱われてはいるが、根本的な所がしっかり者であったためにサブキャラクター扱いであったにもかかわらずメインキャラ並みにファンが多かったと言われている。
そのため、根本的な所までネタキャラになったことを戸惑うファンは少なくない。
他キャラや主人公も例外ではなく、特にアスベルが恋愛に興味がある方向に改変されていることはアスベル役の声優である桜井氏でさえもインタビューで困惑している様子がうかがえる。
追加シナリオは本編の3分の1程度の長さであり、深々・長々と話が掘り下げられることはない。
掘り下げれば描写不足はある程度解決できたかもしれないが、下手をすれば賛否の具合がさらに加速するため、これを幸と見るか不幸と見るかは微妙である…。
この長さに起因するものか、超展開が多いという批判もある。