【悲劇の】デスピサロは悪ではないその4【英雄】

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960ひとりでできるもん 9  ◆y3.9tHU466

「手伝おうか?」
「う…?……う、うるせえ…てめえのケツぐらい、ひとりでふけるんだよ!」

 自分への怒りだった。どうしても力の至らない自分の現状が容認できないと言う様子だった。
やはり他の魔族とは違うな、とアンドレアルたちは思う。

 魔族というものは必ず弱肉強食のヒエラルキーに従う。
100の力を持つものは10の力につらく当たり、1000の力を持つものにへつらう。
その1000の力を持つものが10000の力にへりくだることでピラミッドのような社会が出来ている。

 しかし、人間だけが違う。時として自然に、主君に楯突き、
強いものに立ち向かい、ヒエラルキーを無視して乗り越えようとする。
全員がピサロのように意欲的に倣岸で身の程を知らない。
決着と言う概念を持とうとせず、現状を改革する力で社会を形成し、その社会すら改変しようとする。

バルザックのような最下層の人間でもそうした「現状を破壊する」意志があった。
エビルプリーストやデスピサロが人間を危険視している気が分かったする。

「…それにしても奇妙なものだな。裏切り者はホイミンのような腰抜けばかりと思っていたのに、
貴殿は適応力や戦士としての適正がそれなりに高いのは意外だ。」

「…ああん?」

「汝とは逆に、魔族の中には平和主義を口にし、人間に寝返りやすい愚かな種族がいるのだ。
アメーバーのような魔族で、鍛えれば恐ろしく強くなるが、戦士の心構えという意味では最下層の連中。
我らは侮蔑をこめて彼らを『汚物』と言う意味の『スライム』と呼んでいる。」