【アマガミ】橘さんについて語る part3【変態紳士】

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60名無したんはエロカワイイ
「ぶっちゃけここは僕がフラれたほうがお笑い的にはおいしくね?」
「うおい!大将!今までの流れ無視ですか!?折角イイ話し風に進んでいたのになにしてくれてんの!」
 ああ?と橘は梅原をねめまわし、
「何だよ梅原!僕がフラれちゃダメなのかよ!?僕知ってるぞ。それ、せ、成果主義の押し付けってやつだな!?
そんな風にモテない男を認めない社会に対して僕は断固抗議したい!いいですか?――誰もが結婚できると思うなよ!?お前も!お前もだ!!」
 手当たり次第に周囲の人を指差し始めた橘を二人が押さえつけて止めた。五回目くらいで指された通りすがりの高橋先生が泣きながら走っていったが、そこまでは二人もフォローできない。
 とりあえず座らされ梅原が鞄から取り出したお宝本で落ち着きを取り戻した橘は、ふう、と一息ついて梅原を見る。そして、
「なあ梅原、告白って基本的にどうするの?お前回数だけはこなしてるだろ?」
「い、今オレ、いろいろ否定されたよね!?されたよね!?」    
「いいから話してみ?」
 ふうむ、と梅原が腕を組んで頷いた。その後で梅原は、右の人差し指を立て、
「まぁ、ぶっちゃけ、いきなりコクるのはあまりうまくないぜ。誰だって心の準備がというものがあるし、大将だって、
薄暗い部屋に呼び出されて行ってみたら見知らぬ女の子が立っていて“好きです”とか言われ――いいなそれ!いらない!心の準備、要らない!」
「うん。しかしその子が例えば梅原だったら僕はかなり嫌だなあ。お前が僕にコクるために薄暗い部屋で期待にくねくねしてたら、正気度下がる前に僕はダッシュで逃げるね。間違いなく」
「さ、最悪だ、大将!!」
「ホント、お前ら仲いいな〜」
 静観を決め込んでいたユウジが笑いながら言った声に、二人は同時に、まぁな、と言って笑う。
「でもよ、いい加減真面目にやれよ」
 無表情で言うユウジに二人は腕を組んだ。
 ややあってから梅原が、また右の人差し指を立て、
「・・・ここは一つ“手紙作戦”等はどうだろう?」
 と、梅原が懐から手帳とペンを取り出す。
 何だ?という二人の視線の先、梅原は橘に手帳とペンを手渡した。
「いいか大将、コクる際、人間やはりトチルものだ。例えば“君のおとこが好きだ!”と炸裂したり、思いっきり噛んで“き、きめぇとこが好きだ”と暴発してみたり、
無理に楽しく行こうとして“ミーはユーのことを好ーキデスーネ――!?”などとハズレぶちかましたりするもんだ」
「お前は本当、体験豊富な。心強いけど少しは真面目に生きろよもう高校生なんだから」
「せ、説教された!このタイミングで説教された!」
「気にすんなよ梅原、それよかこの手帳とペンとお前の愉快な失敗談の関係は?」
 あ、と梅原は指を鳴らした。
「簡単なことさ。――前もって、伝えることを書いておいて、コクる代わりにそれを手紙にして手渡すんだよ大将」
 うむ、と梅原は頷き、
「そうすれば、絶対にトチることとは無縁だし、恥ずかしくばそのまま帰るのもアリだ。更には相手も即答せずに済むし、手紙の返答でもいいので気遣い充分であり――」
「おいおいお前のその方法で断られた失敗談がこれからスタートかよ、いい空気だな今!」
「わ、悪いぞ!今悪くなったじゃねえかここの空気!」
 だが、橘はメモ帳を見て、でもなぁ、と梅原に言う。あのさ、と更に前置きして、
「つまりコレに、どうして相手を好きになったかを書けって?」
「まあ、正式には便箋なんだろうが、ここで一度考えをまとめてみるのもいいんじゃねえか」
「うーん・・・、あんまし気が進まねえなあ。だってさ?こういう、好きとか嫌いとかの感情の働きって、上手く言葉に出来ねえもんじゃん?」
 その言葉に反応したのは、梅原ではなかった。二人のやり取りを静観していたユウジだ。
「ふっ、橘よ、好きとか嫌いとか最初に言い出したのは誰だろうな・・・ともあれ、感情の働きが上手く言葉に出来ない?だったら試しに梅原の嫌な所でも書いてみたらどうだ?」
「いやいや、ユウジよ、親友の嫌なとこなんて、上手く言葉にできるわけねえじゃん」
・いつも嘘情報でお宝本をまきあげるのはどうかと思うが上手く言葉に出来ない
・すし屋だから江戸っ子口調ってそれギャグのつもりかと思うが上手く言葉に出来ない
・たまに僕でさえ引くよなマニアックなお宝本を嬉々として学校に持ってくるのは本当にどうにかして欲しいが上手く言葉に出来ない
「やっぱ上手く言葉に出来ないもんだなあ、親友の悪いところは」
「ス、スラスラ書きまくってるじゃねか!大将!!しかも箇条書き!」