ボクの秘密…。
心が傷ついた時は夜にベッドで体を傷つけることにしているんだ。
「これは社長に男扱いされた分…」ザクッ…。
「これは3ちゃんで叩かれた分…」スパッ…。
「これはまた男役をやらなきゃいけない分…」サクリ…。
なぜだか不思議だけどカッターで体を切り刻むと心の痛みが軽くなる気がする。
これがあるから皆の前でも王子でいられる。
やーりぃ!菊地真は今日も元気です。
明日また男役をやるんだと思ったら、ファンをだましているような気持ちになって
気持ち悪くなって吐いてしまった。
本当は女の子でいたいのに、そうはできない事情がある。
顔、声、性格…。
誰のせいでもない、自分のせい。
ファンを恨むわけにもPを恨むわけにもいかない。
もう死んでしまいたい。
本当の菊地真は死んでしまったんだ。
「真ちゃん、今夜どう?」
また枕営業の誘いだ。体を売ることにはなんとも思わない。
ただ、ボクを女の子として見てくれる人がいるのが嬉しいだけ。
気持ちイイとかそういうのは感じない。
この人はボクを女として見てるんだってのが実感できるのが誇らしいだけ。
Pには内緒の話。
何人と寝てきただろうか。とうとうボクは妊娠した。
「菊地真妊娠!」
スポーツ新聞もワイドショーも騒いでいる。
社長もPも慌てふためいている。
でも嬉しいんだ。妊娠したってことは女だから。
これでボクが女の子だって証明できたから。
これでもうボクは男には間違えられない。