ふう、なんかお腹減ったな。
私はキッチンへ行って食事の用意をし、食卓に料理を並べる。
そうそう麦茶だ。私は冷蔵庫から冷えた麦茶を出して食卓の方を振り返る。
「さっさとしなさい妖夢、御飯が冷めちゃうじゃない!」
と、ちゃっかり私の席に座り、私の食事に手をのばそうとする幽々子様の姿が目に入る。
私は怒りのあまり戸棚にあった缶詰を幽々子様に投げつける。
ゴツッ!
「ひぐぅっ!!」
缶詰が額にブチ当たり、椅子から転げ落ちる幽々子様。
「いだだだっ、何するのよぉ!」
この人、まだ私を下僕だと思っているのか?
そっちがその気なら私にも考えがある。
私はその日から食事は外食ですますことにした。
冷蔵庫や戸棚も空に、家には食料をいっさいおかないようにした。
案の定、幽々子様は飢餓状態になった。
幽霊だから痩せたりはしないが、目はうつろになり、空の冷蔵庫を開たり閉めたりし、盛大に腹の虫をぐうぐう鳴らすようになった。
「お願ぁい、おなかがすいて…何か食べさせてちょうだい。」
ファミレスから帰ってきた私に幽々子様が言う。
「あ?別に食わなくたって死にゃしねーだろ?大食い亡霊めw」
「うぅ…何か食べさせなさぁい!何でもいいのよぉ!」
「だったら、これを食べりゃいいのにw」
私は幽々子様に以前投げつけた缶詰を見せた。
「それはドッグフードじゃない!しかも、とーっくに期限は切れてしまってるわよ!」
だが我が家にある食料はそれだけだと言うと、幽々子様は観念したらしい。
「あの…缶切りはどこかしら?」
「ないよ、そんなの。歯であければいいだろ?」
「そんなぁ、無理よぉ!」
「じゃ、あきらめるんだね。」
そう言って背をむける。
「しょうがない…背に腹は換えられないわね…」
「あがががっ…う〜、開かないぃ…」
歯を向き出してドッグフードの缶をこじあけようと奮闘する幽々子様の姿からは、もう6面ボスの気高さも誇りも感じられなかった。
「あががが…(ぼきっ)んぎゃあっ!!歯があ!私の歯が折れちゃったぁ!」
安心したwスチール缶をこじあけるほど丈夫な歯だったら噛みつかれたら、ひとたまりもないもんなw
ほっぺたをおさえてゴロゴロ転げ回り、
「痛いぃ〜っ!私の歯がーっ!歯がーっ!」
と泣き喚く幽々子様を見て私はほくそ笑んだ。