ファイアーエムブレム キャラ萌えスレ 9

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18名無したんはエロカワイイ:2007/01/27(土) 02:29:24 ID:SHv7Wnjq
〜7スレ目〜

・ロナン、最強魔力。
・サフィ、大剣を振る。
・デルムッド、ユリアを映画に誘うもデート当日、ユリアを目の前で誘拐される。
・デルムッド、逃走する車を追走。グランベル県警本部長シグルド、白馬を駆り登場。
・マリータ(ケーキ屋の娘)、食い逃げ犯のシグルドを自転車で猛追。
・マリータ、サドルに仕込んだ吹き矢で車をパンクさせる。犯人(ガンドルフ、キンボイス)、ユリアを人質に取る。
・ユリア、自力で犯人を倒して脱出。実は影武者のトルードと判明。
・トルード、デルムッドに振られて「貴様を殺す」宣言。シグルド、結局マリータに勘定払わず。

・ラナオウ、拳で地震を止める。

・ユリアとデルムッド、そして仲間達とのクリスマス。
・ユリア、ヨハン(茶道部)のたてたお茶を飲む。ヨハン、野球とラクチェとその想い
・レプトール、耄碌。
・ユリウス、アカネイアに留学。

・フュリー(人妻)とアーサー、オイフェの喫茶店へ行く。オイフェ動揺、コーヒーこぼして火傷する。
・イシュタル、プリンを食ったティニーにチョップ食らわす。主犯アーサー、さりげなく逃走。
・メング、給料受け取りにレプトールの会社を訪問する。
・メング、イシュタルとレプトールの仲を取り持とうとするもレプトールが自爆、給料受け取れず。

・ルネス学園より親善大使としてエイリークとルーテがグランベル学園を訪れる。
・親善試合。スカサハとエイリーク、剣を交える。スカサハ辛勝。シャナン、やはり本体はバルムンク。
・セティとサイアス、己の生き様を賭けてスカートめくり対決。標的は親善に訪れていたエイリークとルーテ。
・セティとサイアス、エイリークのスカートをめくるべく共闘するも失敗。ラクチェとエイリークにしばかれる。

・マギ・ヴァル同盟、グランベルに宣戦布告。
・ラナ、最近記憶が曖昧。
19名無したんはエロカワイイ:2007/01/27(土) 02:30:46 ID:SHv7Wnjq
〜8スレ目(dat落)

・ファバル、花粉症。

・生徒会長ユリア、マギ・ヴァル同盟の宣戦布告を受け、ショックで気絶。
・サラ、ユリウスと共に消えた祖父マンフロイに代わり、教頭代理としてグランベル学園に赴任、
 セティとサイアスを頭を残して石化させる。

・パティ、落ち込み気味のラナを誘ってヴェルダン湖にツーリングに出かける。
・ラナ、愛犬のスワンチカをボールと間違えてヴェルダン湖に投げ入れてしまう。助けようとして溺れる。
・湖の力によりラナオウ完全覚醒。パティ逃走。
・アレス、リーンと共にヴェルダン湖を訪れる。
・ラナオウ、アレスからミストルティンを強奪。ラナオウ伝説幕開け(?)。
・デルムッド、コーヒーを煎れる。シャニー登場。
20名無したんはエロカワイイ:2007/01/27(土) 02:31:37 ID:SHv7Wnjq
〜マギ・ヴァル学園編〜

・エフラム、釣りをする。
・神竜族の少女ミルラ、魔王復活阻止のための生贄にされかかる。隙を見て逃亡。
・ヴァルター、ケセルダ、セライナの三人、逃亡したミルラを追う。
・ヴァルター、エフラムの釣った鮫に食われる。エフラム、ケセルダからミルラを助ける。
・エフラム、セライナと話す。セライナ、ミルラをエフラムに託す。
・エフラム、ミルラを家に連れ帰ってエイリークにしばかれる。

・マギ・ヴァル各地で魔物が発生し始める。
・エイリーク、ルーテの献策により仮面で正体を隠し、校区を越えて魔物退治を開始する。

・魔物を次々と退治する、謎の美少女ミニスカ仮面がテレビや新聞で話題になる。
・ロストン学院生徒会長ラーチェル、目立ちまくるミニスカ仮面に激しい対抗意識を燃やす。
・ラーチェル、レナックを連れて魔物退治に出かける。
・ラーチェル、絶体絶命の危機をミニスカ仮面に救われる。レナック、ラーチェルに踏まれる。
・ラーチェル、エイリークにめろめろになる。

・マギ・ヴァルでアーマーの活動が活発になる。
・フレリア学院女子生徒アメリア、担任のギリアムに才能を見出され、強引にアーマーを着せられる。

・謎の野良アーマー『レッドバロン(アメリア)』が夜のルネス大橋に出現、橋を渡ろうとする者に野試合を
 挑んでは武器を奪うという行為を繰り返す。
・レッドバロンの噂を聞きつけたアーマー各団体とルーテ、ルネス大橋で興行を開始する。
・ターナとミルラ、エフラムを巡り一触即発。
・フレリア学院生徒会長ヒーニアス、レッドバロンを退治すべくルネス大橋へ向かう。
・ヒーニアス、レッドバロンに敗北。
・アメリア、レッドバロンとして戦い続ける日々に疑問を抱く。
・ギリアムとアーマー軍団、敗れたヒーニアスを密かに運び出す。
・ヒーニアス、スナイパーからボウアーマーに無理矢理クラスチェンジさせられる。

                                 〜(ここまで)
21名無したんはエロカワイイ:2007/01/27(土) 02:33:49 ID:SHv7Wnjq
いじょざっと。寝る。
22名無したんはエロカワイイ:2007/01/27(土) 10:48:00 ID:4dLbBO8n
乙。
職業選択に失敗するロナンにはリクナビネクストまじおすすめ。
23名無したんはエロカワイイ:2007/01/27(土) 12:03:20 ID:FNpunX6i

しかし>>18でレプ爺とブルームを間違えてるところがある
それ以外は大丈夫かな?
24名無したんはエロカワイイ:2007/01/27(土) 15:01:29 ID:/fGvQYYR
こうしてみると結構長い歴史があるんだな。
SS職人さんたちも聖戦スレにいるみたいだし、また賑わってくれないものかな・・・
25名無したんはエロカワイイ:2007/01/29(月) 00:40:10 ID:N391IEhG


─がしょんっ。
─がしょんっ。

 重く、鈍い金属音を立て、一体のアーマーがフレリア学院に続く道を歩いていく。
 ゆっくり、ゆっくりと。一歩、また一歩、そのアーマーは学院目指し、ひたすら歩みを進めている。
 アーマーにしては随分と派手な、白金に輝く装甲。朝日に反射し、ひたすら目立つその姿は通
学中の生徒達の注目を一身に集めている。

「何アレ?」「眩しいわね」「はぐれ?」「白だから1万Gくらいで売れそうだけど」などと、奇妙なアーマー
を見た生徒達が訝しげに囁き合っては追い越していく。かなり気になる存在ではあるが、アーマーの鈍足
に合わせていては遅刻してしまう。構っている暇などなかった。

「うわーん、遅刻しちゃうー!」
 と。
 アーマーの後方から、半泣きで叫びながら走って来る、金髪ショートカットの小柄な少女の姿。
 器用なことに、食パンを口元に咥えたまま走っている。
「って、ぎゃー!?」
 彼女の名はアメリア。
 クラスメートからの「そそっかしい」、「ドジ娘」「天然」などという評価を全く裏切らず、少女は前方
を歩く白金アーマーに気づかずそのまま駆け抜け、派手な音を立てものの見事に衝突した。
「うう。痛た」
 ぺたんと腰を落とし、頭を抱えるアメリア。周囲は鞄から飛び出た教科書と文房具が散乱し、当
の本人は両足を開いて白い下着を朝日のもと、思い切り晒け出していた。しばらくしてそれに気づき、
アメリアは小さな悲鳴と共に慌ててスカートを抑えた。もはや才能かもしれない。
26名無したんはエロカワイイ:2007/01/29(月) 00:40:53 ID:N391IEhG
「す、すいませんっ、大丈夫ですか……って、ええ゛っ!?」
 アメリアは自分の衝突した相手がアーマーだったことに驚くいたが、じたばたと苦しそうにもがく白金
アーマーを見てはっと我に返る。熟練者ならいざ知らず、通常、一度転倒したアーマーが自力で再び起
き上がることは非常に困難である。アメリアは経験上、そのことをよく知っていた。

「い、今起こしますからねっ!」
 うーん、と唸りを上げ、アメリアは転倒したアーマーを持ち上げようとするが、彼女の非力な細腕では
びくともしない。
「なんとか自力で起き上がれませんか! コツはですね、こう、反動つけて、瞬間的に、インパクトっ!
て感じで」
「……。」
 全く動く気配はない。このアーマーが自力で起き上がれないと知り、アメリアは途方に暮れた。
 
(せめて、私のアーマーがあれば持ち上げられるのに──)
 アメリアは慌てて頭を振り、その考えを打ち払った。
 普段はとても鈍くさく、非力な少女に過ぎないアメリアであるが、実は彼女はアーマーを着ると凄ま
じい戦闘能力を発揮する特異体質の持ち主である。それを担任でありアーマーのギリアムに見出さ
れ、強引にアーマーを着せらたアメリアは、常勝不敗、無敵の戦士『レッドバロン』として戦う日々を
余儀なくされていた。
 そして先ごろ、自身の通うフレリア学院生徒会長であるヒーニアスを決闘で叩きのめしてしまい、
アメリアは激しい自己嫌悪に陥っていた。だが、たとえ嫌で逃げ出したくとも、
「アーマーを抜けることは決して許されぬ。同志たちが地の果てまで追い詰め、抜けアーマーに制裁
を加えるだろう。アーマーの掟は鋼よりも硬いのだッ」
というギリアムの言葉に脅え、結局何もできないでいた。そんな自分のどうしようもない臆病さも含め、
アメリアはアーマーを着ることを以前にも増して嫌悪していた。

「ご、ごめんなさいっ、誰か助けを呼んできますから、少し、待っていてくださいね!」
「……テ」
 駆け出そうとして背を向けたアメリアは、転倒した白金アーマーのマスクの僅かな隙間から漏れた、
小さな呟きを確かに聞き止めて、おそるおそる振り返った。
「……ケテ」
「え、えと……何でしょう」
 アーマーから漏れる微かな声を聞き取ろうと、頭を近づける。そして、聞えてきた言葉。それは──、

「助ケテ、エイリーク!」
「うっひゃああああああっ!?」

 謎の白金アーマーの正体(中身)、それは、現在行方不明のフレリア学院生徒会長にして自称策謀
の王子、即ち先日レッドバロンことアメリアが叩きのめしたヒーニアスそのひとであった。
27名無したんはエロカワイイ:2007/01/29(月) 00:41:51 ID:N391IEhG
その1

 フレリア学院生徒会書記ヴァネッサはアメリアから事情を聞くや、すぐさま日課である花壇の水やり
を放り出し、慌ててヒーニアスの元へと駆けつけた。既にチャイムが鳴り、ホームルームが始まる刻限
ではあったが、ヒーニアスの危機に比べれば全く些細なことでしかない。

「ああヒーニアス様、なんというお姿に……」
「タスケテエイリーク」
 ヴァネッサはヒーニアスの変わり果てた姿を目の当たりにし、ひたすら嘆いた。
 地味で気弱な自分とは対照的に、派手でいつも自信に満ち溢れているヒーニアスはヴァネッサに
とって憧れの存在であり、密かに異性として淡い感情を抱いてもいた。実際、ヒーニアスは(黙ってい
れば)かなりの美形であり、多少(かなりと言う者もいる)ひねくれた性格を補って余りあるほど、フレリ
アの女子生徒にモテていた。大多数は美形男子になら誰でも向けるであろう、単なるミーハーな感情
で黄色い声を上げるに留まるが、中には「ヒーニアス様、なんて姑息なのでしょう……でも素敵」という
具合に彼の性格を含め全肯定し、本気で虜になってしまう者も少なからず存在する。そして、ヴァネッサ
は後者の部類に属しており、ヒーニアスの妹であるターナに「眼を覚ましてヴァネッサ!」などと本気で
心配される始末だった。

「アメリア!」
「ひえっ! ごごごめんなさいっヴァネッサ先輩!」
「あ、違うのよアメリア、怒鳴ったりしてごめん。ヒーニアス様がこんなことになって、私ちょっと気が
立ってるのね」
 自分以上に気弱な後輩の性格をヴァネッサは熟知しているにもかかわらず、思わず怒鳴って反射
的に謝らせてしまったことをヴァネッサは自戒し、謝罪した。
 
 しかし、ヒーニアスを文字通り『こんなこと』にした責任の半分くらいは間違いなく自分にあると自覚
しているアメリアは、ただただ謝るしかない。先日、ヒーニアスを決闘で叩きのめしたレッドバロンの
正体が、まさか目の前で何度も頭を下げ続けているアメリアなどとヴァネッサは夢にも思わない。
28名無したんはエロカワイイ:2007/01/29(月) 00:42:51 ID:N391IEhG
「何をしている」
 後方から聞えてきた、低く重く、だがよく通る男の声。少女たちが振り返った視線の先には、謹厳実直、
質実剛健という本人の性格を反映したかのような精悍な顔立ちの男が立っていた。そして、スーツ越しで
も感じられる、鍛え抜かれた鋼の如き筋肉。
 声の主はギリアムだった。倒れている白金アーマーを見ても表情は引き締めたままで、眉ひとつ微動だ
にしない。
「ギ、ギリアムせんせ…! う、そのっ」
 アメリアはギリアムに色々と聞きたいことがあったが、頭が混乱して上手く言葉が出てこない。
「ギリアム先生! 大変なんです、ヒーニアス様がこのアーマーの中にっ!」
 ヴァネッサがギリアムに詰め寄り、先生助けてあげてください、と必死で訴える。だがギリアムは
全く興味無いというふうに、
「チャイムは鳴っている。早く教室に入りたまえ」
 そう冷然と言い放ち、踵を返すと校舎へ戻って行った。少女たちは呆気にとられて声もでない。

 その時。
「ウ……グッ……! ギ、ギリアムッ!」
 突然、倒れたいたはずの白金アーマーが叫んだ。マスク越しの声からでも伝わってくる、激しい
怒りの感情。
 そしてゆっくりとではあるが、白金アーマーは驚くべきことに自力で立ち上がり、背負っていた銀
の弓を手に取り、ギリアムに向けて構えた。
「ギリアムゥゥッッ!!」
 白金アーマーが矢をギリアムの無防備な背中に向けて射出した。「危ないギリアム先生!」と
アメリアとヴァネッサが叫んだ瞬間、矢はギリアムの背に直撃する寸前で霧散した。ギリアムの
発動した大盾の防壁に阻まれたのである。
「若、遅刻ですぞ」
 そのままギリアムは去って行く。この時、微かではあるがギリアム口元に嬉しそうな笑みが
浮かんでいたことなど三人は知る由も無い。ただギリアムの広い背中を見送るのみであった。

(……凄い)
 アーマーを装着せず、生身の状態で大盾の技を発動してみせたギリアムの技量にアメリアは
驚愕した。自分にもできるだろうかと考えたが慌ててその思考を打ち消す。これ以上アーマーに
のめりこんでどうするというのか。自分はアーマーが嫌いなはずではなかったか。
29名無したんはエロカワイイ:2007/01/29(月) 00:43:44 ID:N391IEhG
その2

「すいません、遅れました」
 優等生のヴァネッサが遅刻することは確かに珍しいことではあるが、クラスメートたちが驚いたのは
そんなことではなく、彼女が白金色のアーマーを伴ってやってきたことに加え、そのアーマーがここ数
日休んでいたはずのヒーニアスの席に腰を下ろしたことである。
「姉さん、出席を」
 学校では先生と呼びなさい、いつもならそう注意するところなのだが、眉目秀麗、全校生徒の憧れ
の的にして沈着冷静、いわゆる『大人の女性』であるシレーネとて教室に入ってきたアーマーを見て
動揺せずにはいられない。おぼつかない手つきで、ヴァネッサに言われるまま出席簿を開く。
「え、えーと、ヴァネッサ」
「はい」
「で、では授業の続きを。テ、テキストの63ページを開いて……」
「姉さん、一人忘れてます」
「だ、誰かしら?」
「そこに座っていらっしゃるではありませんか」
「タスケテエイリーク」
 教室中の注目が集まる中、コホンとひとつ、シレーネは咳払いをすると、ここ数日出席欄が未チェック
だった生徒の名前をおそるおそる読み上げてみる。
「ヒ、ヒーニアス……様?」
「ウムッ」

─どがらががっしゃん!

 返事をした瞬間、アーマーが派手な音を立てて床に崩れ落ちた。どうやら椅子がアーマーの重量
に耐え切れずに潰れたらしい。
30名無したんはエロカワイイ:2007/01/29(月) 00:45:32 ID:N391IEhG
「シレーネ姉さん、代わりの椅子を取りに行こうと思うのですが宜しいでしょうか」
「え、ええ。構わないけれど」
「ではヒーニアス様、少しの間待っていてくださいね。すぐ、代わりの椅子を持って参りますから」
「タスケテエイリーク」

 ヒーニアスがあのような姿になっても全く気にしている様子はなく、それどころかいつにも増して
堂々と、そして活き活きとした様子の妹に姉は驚いていた。おそらく、今まで遠い存在だったはず
のヒーニアスの世話を焼けることがたまらなく嬉しいのだろう。ヒーニアスの心がエイリークの方を
向いていることを知っているにもかかわらずなお、あの甲斐甲斐しさ。たとえ最終的に愛人の地位で
あっても満足してしまいそうな妹のことが、姉には少し心配だった。

「……ヴァネッサ」
 教室を出て行こうとする妹を呼び止めた。
「何、姉さん」
「……学校では先生と呼びなさい」
「あ、そうだった、ごめんなさいっ、姉さん」
「だからその」

 がしゃがしゃと。
 静まり返った教室にはアーマーのもがく金属音だけが虚しく鳴り響き、やがてそれは一時限目の
終了を告げるチャイムの音にかき消されていった。
31名無したんはエロカワイイ:2007/01/29(月) 00:46:16 ID:N391IEhG
その2

 放課後。
 アメリアは相談があると言ってギリアムを進路指導室に呼び出していた。普段とは逆である。

「どういうことですかギリアム先生っ!」
 この少女にしては珍しい、怒りのこもった声。
「何がだね」
 ギリアムの相変わらずの厳しい視線にアメリアは思わず呑まれそうになるが、ここで引き下がる
訳にはいかない。
「ヒーニアス様のことですっ! 説明してください! なんでアーマーを着てるんですか! しかも
アレ、なんか強力な呪いがかってて外せないじゃないですか!」

 かの決闘の日、ヒーニアスを治療に連れ出したのはギリアムの息のかかったアーマー達である。
何も知らないはずはないのだ。

「君には関係ないことだ。ヒーニアス様の為、とだけ言っておこう」
「何がヒーニアス様の為ですかっ! 無理やりアーマーなんか着せて! これ以上、私みたいな不幸
を増やさないでくださいっ!」
それまで無表情だったギリアムの表情が一変し、激しい怒気が閃く。
「「「「喝ッッッ!!!!!」」」」」
「あううっ!?」
「今、不幸、と言ったか」
「ち、ちがうんですかっ! 私に無理やりアーマー着せて、訓練させて、戦わせて、傷つけさせてっ!
ヴァネッサ先輩もかわいそう! あんなふうにヒーニアス様に尽くして……!」
 自分の中で何かスイッチが入ってしまっていることにアメリア自身気づていた。だが止まらない。
どうしようもなく言葉と涙が溢れてくる。確か自分はヒーニアスのことを聞きにきたのではなかったか。
32名無したんはエロカワイイ:2007/01/29(月) 00:47:26 ID:N391IEhG
「逃げるな」
「逃げられないじゃいですか! アーマーってそうなんでしょ! 抜けアーマーとか掟とかっ!そんな
の私知らない! 知らなかった! 知っていれば今頃!」
「自分から逃げるな」
「──ッ!」 

「先生のばかっ!!」
 泣きながら、アメリアは進路指導室を勢いよく飛び出した。
「きゃっ!」
 教室の外で中の様子を窺っていたシレーネは飛び出してきたアメリアとぶつかり短く悲鳴を上げ、
抱えていたプリントの束をばらばらと床に落とす。一方のアメリアはシレーネの存在に気づかず廊下
の向こうへと泣きながら駆け抜けていった。

「あのねえ、ギリアム」
 半ば呆れた表情で、シレーネはこのどうしようもなく不器用な同僚の男に声を掛けた。
「私にはきちんと説明してくれるんでしょうね。ヒーニアス様のこととか、あの娘のこととか」
「君には関係ない」
 予想通りといえば予想通りの態度。昔からそうだ。この男はいつも肝心なことを言おうとしない。
「あんな密閉型のアーマーを着せられて、ヒーニアス様がお気の毒だわ。貴方もよく知っているで
しょう? ヒーニアス様は閉所恐怖症なのよ」
「慣れれば問題ない」
「あのアーマーの重さ、どうにかならないの? 椅子は潰れまくるし、床は穴だらけになるしで凄く
困っているのだけど。あんなモノ着て生活しなければならないヒーニアス様はたいへ……」
 言いかけて、シレーネははっとなった。そう、閉所恐怖症のはずのヒーニアスがあの密閉状態の、
そして超重量のアーマーを着て生活しているのだ。もし、あのヒーニアスがアーマーを脱いだときは──。
「ギリアムあなたまさか」

「フレリアの指導者たる若には強くなって頂かなければ困る。マギ・ヴァルが魔物と、魔王復活の
脅威に晒されている今なら尚のことだ。そして、ただの戦闘屋に過ぎない俺が教え子たちにできる
ことは、最低限自分の身だけでも守れる程度の戦闘術を叩き込むこと」

「……そして、無理やりにでも頑丈なアーマーを着せてやることだけだ。どんなに非力な女子供で
あっても、 アーマーさえ着ていれば、たとえ魔物に襲われたとて、そう簡単に殺されたりはしない」
 実のところ、アメリアがあれほどにアーマーの適正を示したことはギリアムにとって想定外だった。
一番、身の危険を心配していたあの非力な少女が、である。

「…ギリアム、あなたってほんと」
「言わなくてもいい」 
 自分がどうしようもない馬鹿だということなど、同僚の女教師はとっくの昔に知っているはずだった。

                                           ─(了)
33名無したんはエロカワイイ:2007/01/29(月) 00:50:14 ID:N391IEhG
続。それでもなんとかしてくれるくらい頼れる存在になった新生ヒーニアス&アメリアが乗り越えるべきものを
乗り越えてエフラム達と共に戦うまでの話……になるはず。

コラボ具合とか設定とかキャラ位置とか、学園ネタは基本的にスパロボくらい何でもアリな整合性とお考えください。
バルムンクシャナンやブルーム、ヤンキーデルムッドなど、実際の真面目なゲーム中や本編SSでは無視されるべき
「王様の耳ってロバっぽい」的な各キャラネタ属性を罪悪感薄めで主張したいが為の、変な世界を舞台にした変なFE
キャラの基本的にギャグでパロディです。

>>18でレプトールとブルーム間違えたのはこの聖魔シリーズにレプトール出張させることで頭が一杯だった
状態で書いてた為にミスったと思われます。作者本人がキャラ間違えてはもはやどうしようもない。
34名無したんはエロカワイイ:2007/01/29(月) 22:40:28 ID:nHP0ehzu

なんか真面目な話になってきたなw
35名無したんはエロカワイイ:2007/01/30(火) 20:00:57 ID:5t9PQUtl

  , '"⌒゙ヽ/!人|\  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  ( ((ノノノ)〈◎〉〉.|  |  セリス様、私もまいります!
  (ハ) ゚ ヮ゚ノ);i || i/ <  私も気持ちはラクチェと同じ、
  と)!介!)つ ||    |
  ./`ヽノヘ  ii    |  私には私の戦い方があります!
  〈,,ム!,jjム,,〉      \
                ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
36名無したんはエロカワイイ:2007/01/30(火) 20:08:34 ID:1XmYp+3U
ちょっと待てwwwww
37名無したんはエロカワイイ:2007/01/31(水) 00:22:00 ID:67Tcr1Ob
>>『その〜』シリーズ
乙です!! 続き待ってます!!


紋章OVA見てて思ったんだけど、終わり方が中途半端だから黒歴史なのかな?
声優も豪華みたいで、ハーディンとかミシェイルとか聞いてみたかったんだけどね。
(ミネルバはガチでニュータイプなあの人)
Wiiで聖戦復活を祝して、聖戦アニメ作ってくれないだろうか……
あ、セリスは折笠さんで固定ね。
38名無したんはエロカワイイ:2007/02/01(木) 07:35:32 ID:sbZ+alSB
声優話はあまりよろしくない
出来るだけ控えめに・・・
39名無したんはエロカワイイ:2007/02/02(金) 21:01:09 ID:ZW5jKwhm
その3

 「はいはい、はーい! ああもう次から次へとホント面倒くさいわねっ」
 右手には昼食のパン、左手には生徒会の決裁印。少女が両手と口を忙しく動かすたび、トレードマークの
長い黒髪ポニーテールがふるふると生き物のように揺れる。

「えーとなになに量産型アーマーの代金請求? よくわからないけど払っておきましょ、はい次ッ」
 ターナはとても忙しかった。行方不明だった兄ヒーニアスが帰ってきたかと思えば、何故か訳の分から
ぬアーマーを着ていてまともに動けず、会長職を休職せざるを得ない状態だったのだ。ヒーニアスが行方
不明だった期間の生徒会の執務は滞ったままであり、本来は副会長が代行してしかるべきだった仕事は、

「おにいさまはきっと無事に帰ってくるもの、だから学院の仕事はこのままにしておきましょ! え、やだなあ
勘違いしないでヴァネッサ、決して面倒くさいからやらないわけじゃないのよ!」
などという、当の副会長ことターナ自身の怠慢によって放置され続けていたのである。


「ヒーニアス様、今日はおかゆを作って参りました。さあ、召し上がれ」
「……!!?★×!」
「ああっ!? 熱うございましたか申し訳ございませんヒーニアス様! 今すぐ冷まします、ふーっ、
ふーっ……」
「そこっ、おにいさまとヴァネッサ五月蝿いッ!」
 先程から生徒会室の片隅でがちゃがちゃと鳴り続るアーマーの金属音が鬱陶しいことこの上ない。
「おにいさまのアーマーは脱げないし……どうしたものかしら」
「心配なさらないでくださいターナ様、ヒーニアス様は私が責任をもって養ってさしあげます故に。
このままずっと、 ずぅーっと……いつまでも」
 
 言ってから恥ずかしくなったのか、ヴァネッサは紅潮した頬に手を当て「ああもう私ってばなんてっ、きゃー」
などと叫びながら腕を振り回し、ヒーニアスのアーマー装甲をがんがん叩きまくる。

(いやもうマジ困ってきたわね)
いっそルネスに転校しようかしら。昼食のパンをかじりながら、ターナは半ば本気でそんなことを考えた。
40名無したんはエロカワイイ:2007/02/02(金) 21:02:27 ID:ZW5jKwhm
その4

「はいはーい。空いてるからどおぞー」
 ドアをノックする音が聞こえ、ターナはそちらに視線を向ける。誰だろうと考え、昼から会う約束が
あったことを思い出した。
「ん、失礼するよ」
 ドアを開けて入ってきた人物──。線の細い、整った顔立ちをした銀髪の青年。
「リオン、久しぶり!」
 ルネスの双子と幼馴染であるように、グラドの御曹司リオンともターナは子供の頃からの付き
合いだった。リオンの生まれであるグラド家はマギ・ヴァルにおいて経済、産業、学術、政治、
その他ありとあらゆる分野に多大な影響力を持つ名門中の名門である。跡継ぎであるリオンも
当然というべきか、グラドの創設した学園の代表を務めている。

「元気そうだねターナ」
「全然元気じゃないっ、見てこの書類の山! お陰でエフラムと遊べない!」
「はは。気持ちはよくわかるよ。僕も最近忙しくてね、エフラムとは随分会ってないんだ」
「ふっふーん、リオンが本当に会いたいのはさ、エフラムじゃなくってエイリークの方でしょ?」
「いやまあ、その……困ったな」
 リオンのエイリークに対する気持ちなど、ターナから見ればあまりに明白だった。もっとも当の
エイリークが凄まじく鈍感なのか、或いは兄であるエフラムしか眼中にないのか、リオンは今の
ところせいぜい「大切なお友達」扱いといったところである。エフラムに対する好意を隠そうともぜず、
積極的にアプローチをかけ続けているターナからすれば、この奥手の幼馴染はどうにももどかしくて
仕方が無い。
 
「ま、いいや。ところで何かあったの? わざわざリオンがフレリアに来るなんて」
「何かあったというか、これからあるというか……とにかくこれを受け取ってくれるかな」
 そう言うと、リオンは抱えていた一枚の封書をターナに差し出た。

「何これラブレター駄目よリオン貴方の気持ちは嬉しいけれど私ってばエフラム一筋」「はいはい」
 封書には正式な外交文書であることを示す、グラド家の紋章が刻まれている。

「まあた、公文書ぉ? もう、やんなっちゃう!」
 ろくに内容も確認せず、ポン、ポンと適当に決済印を押すターナ。
「あ、そんなあっさりと……。いいのかな」 
 相変わらず豪放な幼馴染を見るリオンの表情は、何故か申し訳なさそうだった。
41名無したんはエロカワイイ:2007/02/02(金) 21:03:36 ID:ZW5jKwhm
その5

「……ところでターナ、フレリアはアーマーを大量注文してたよね」
「うん、そうみたい。なんかフレリアの生徒を魔物から守る為に必要だって、ギリアムが言って
たけどなんでリオンが知ってるの? って、あ、そっか。アーマーの発注先って……」
「そう、グラドさ。僕の家の関連企業だ。今日ここに来た目的はさ、注文の品を届ける為でもあるんだ」
「リオンが? わざわざ? アーマーを? ふーん、よくわからないけどありがとね!」
「いやまあチャンスだったし……。ねえターナ、窓の外を見てごらん」

 リオンに促され、ターナは窓の外に視線を向ける。
「ひゃああ……!」
 眼下に広がっていた光景──。
 それは、校庭にびっしりと敷き詰められ、整然と並ぶ大量の黒いアーマー。
 アーマーの腕にはそれぞれ斧や槍といった武器が装着されている。その一様に天に向かって
真っ直ぐ突き出された数百の銀刃の圧倒的な威容に、ターナはしばし言葉を失う。

「すっごーい! でもよくあんなに沢山のアーマーを一度に持ってこれたよね。一体どんな魔法を使ったわけ?」
「魔法は使ってないよ」
「あ、わかった! あの中に人を入れたのでしょう?」
「正解。よくわかったね」
「だって、なんか校舎に向かって動いてるもの。ねえリオン、でも搬入先は体育館あたりにしてくれるとターナ
嬉しいな!」
「……あのさターナ、実は賢くて腹黒い君のことだから、もう気づいているとは思うけど」
「腹黒いは余計よっ! でもリオン、冗談でしょ?」
「本気。さっき僕が君に渡した書類、みてごらん」
42名無したんはエロカワイイ:2007/02/02(金) 21:04:10 ID:ZW5jKwhm
 ターナは書類の内容を改めて確認する。
「えーと、親愛なるフレリアの代表ヒーニアス様並びに妹君のターナ様云々……」

といった挨拶に始まり、文章の最後は──、

「……よって偉大なる我がグラドはフレリアに」

「……フレリアに宣戦を布告するものなり」

「という訳さ。ごめんね、ターナ」
「うふふ、もうっ、リオンてばお茶目さん!」
「あはは」
「……。」
「……。」

「ちょぉーーーーーーっぷ!」
 ターナの繰り出した貫手はリオンの喉元を貫通するには至らない。単に空気を切り裂く短い
音を立てただけ。リオンがターナの攻撃を避け、後方へ退いたと同時に勢いよく扉が開き、黒い
アーマー達が生徒会室に雪崩れ込んでくる。
「うにゃー!?」
 『貫通の技』を繰り出し、一体、二体とアーマーに穴を開けたところでターナは動きを止めた。
 手が痛い。流石に素手でアーマーを殴り続けるには無理があった。それに、部屋の外から
聞こえてくるアーマーの足音の数が尋常ではない。まるで地震が起きているかのように、校舎
全体が揺れてもいる。

「ふん、ふん、ふーんっ! ああもう降参っ! リオンなんて大っ嫌い! いいもん、きっとエフラムが
助けに来てくれるもん!」
43名無したんはエロカワイイ:2007/02/02(金) 21:05:11 ID:ZW5jKwhm
その5

 黒いアーマーの集団の中に、幾体か違う色合いのアーマーが混じっていた。
その中でも赤、青、黄の三色のアーマーたちは一際目立っていた。彼らはマギ・ヴァルから
遠く離れたエレブという地域から来た傭兵である。

赤──ウェンディ。アーマーにしては珍しい、女性である。
青──バース。三人のリーダー格。ショートモヒカンの髪型。
黄──ボールス。ウェンディの兄。

「HEYちょいと聞いてくれよボールス!」
「OH! どうしたんだいバース!」
昨日、ピザを注文したらさ、6枚切りにするか8枚切りにするかって聞かれたんだ」
「へぇ、で何枚切りにしたんだい?」
「8枚も食べられないから6枚切りにしてもらったさ!」
「HAHAHAHAHA! 最高だよバース! 笑いすぎてピーナツバターサンドを吐き出しそうさ!」

「ところでボールス、あの女見てみろよ、さっきからずっとこっち見てるぜ。俺に気がある証拠だぜ!」
「おいおい、あれはウチのワイフだよ!」
「HAHAHAHA!」
「HAHAHAHA!」
「妹ですっ!」

 親と上司は選べぬというが、おおよそ自分も人間関係の選択権は無かったらしいとウェンディは嘆く。
「なあバース、それにしても腹が減って堪らねえ! 早く帰ってママの焼いたチェリーパイ食いてぇぜ!」
「HAHAHA! それ以上太るとまたアーマーから出られなくなるぜボールス!」
「……」

 兄ボールスと上司バースのエレビアンなノリに日々悩み続けるウェンディ。
 だがこう見えて彼らはオスティア三連星の異名を持つ、アーマー界でも名うてのトリオであった。
44名無したんはエロカワイイ:2007/02/02(金) 21:07:07 ID:ZW5jKwhm
その7

「これはどういうことかリオン殿」
 ギリアムは捕縛され、リオンの前に引き立てられていた。アーマーが侵攻してきた際、ギリアムは
アーマーを身につけ武器を手に取り奮戦したが、生徒会室が制圧されヒーニアスとターナが人質に
取られたとあってはフレリア家臣たる彼にもはや抵抗する術はない。

「ご覧の通りさ。フレリアが発注したアーマーにあらかじめ人を忍ばせ、一気に本拠地を制圧しただけ。
今日からここはグラド学園フレリア分校だよ」
「フレリアの生徒達はどうなる」
「心配しなくてもギリアム先生、貴方の望み通り、生徒達にはアーマーを支給する。まあ彼らには今後、
グラドの兵士としてルネスとも戦ってもらうけどね」
「ルネスと、我が高の生徒を……!? 貴様、一体何を考えている!」

 リオンは黙って懐から何かを取り出し、ギリアムに見せた。
 ──青白い、神秘的な輝きを放つ光石。
「……聖石か!」
 古の昔、魔王を封じたといわれる5つの聖石。ルネス、フレリア、グラド、ジャハナ、ロストンの地に
それぞれ奉じられているというが、世間一般では魔王も含めておとぎ話の類であり、実在は一部の
人間しか知り得ない。
「ルネスの聖石はどんな色をしているのだろうね? 楽しみだ」

 去り際にちらと見えたリオンの歪んだ笑みにギリアムは戦慄した。
 ルネスの双子や自分の主君であるフレリア兄妹と子供の頃から仲が良かったはずの、あの儚げで
優しげな少年の笑みが一瞬、まるで、魔王のような──。
45名無したんはエロカワイイ:2007/02/02(金) 21:08:08 ID:ZW5jKwhm
その8

 ──フレリアの生徒諸君に危害は加えるつもりはない。但し、抵抗する者には容赦しない。

 もともと女子生徒が多く、全体的に温和なフレリアの校風である。抵抗らしい抵抗も無く、グラド
代表リオンの布告に従い、フレリア学院の制圧は穏便かつ速やかに行われ、このまま完了する
かに思われた。

 異変が起きたのは、フレリア学院生徒へのアーマー支給作業を開始して間もなくのことである。

 原則として男子生徒には全員、女子生徒も希望する場合は護身用装備として支給されるアーマー。
だが実は、このアーマーには洗脳装置が備え付けられていた。よって、このアーマーを着た者がグラド
に反抗するなどあり得ないことのなのだが、現在、抵抗し暴れているアーマーはグラドの支給した洗脳
装置つきの黒アーマーだった。


「──次ッ!」
 黒アーマーの投擲した手槍の直撃を受け、グラド装甲兵が音を立て地面に倒れる。
 黒アーマーは腕に抱えた手槍を次々と投擲、正面から襲い来るグラド装甲兵を迎撃し、鉄塊へと
変えていく。

「……足音、後ろ。数、ひい、ふう、みい……沢山!」
 後方より増援の接近を確認。振り返り、抱えた手槍の残りの束全てを後方の集団へと投じた。
 アーマー達は手にした盾を掲げ、ばらばらと降り注ぐ槍の雨から身を守る。
 その隙に黒アーマーは右腕の装備を細身の槍に持ち換え、前方の残敵の集団へ飛び込んだ。 
 黒アーマーの放つ細身の槍の突きが、正確無比にグラド装甲兵の脆い、手足の甲冑の継ぎ目を貫く。
グラドの装甲兵たちは黒アーマーの常識を超えた速さと技量に圧倒され、なす術もなく打ち倒されていった。
46名無したんはエロカワイイ:2007/02/02(金) 21:09:06 ID:ZW5jKwhm
(アメリア、あなたはルネスに行って。そして、エフラム様に救援を求めて。今、グラドの包囲を突破して
フレリア領内を抜けてルネスに行ける人は貴方しかいないの)

──走りながら、アメリアはシレーネの言葉を思い出す。

(あなたは、アーマーが嫌なのかもしれない、戦うのが嫌なのかもしれない。でも、今はあなたの力が
必要だし、あなたにしかフレリアを救えない)

「ギリアム先生も、シレーネ先生も勝手です──!」
 校舎の角を曲がるや、壁面下方部に細身の槍を突きたてた。増援の先頭を行くアーマーはこれに
気づかず曲がった瞬間足を奪われ転倒、追いついてきたアーマー達も次々とドミノ倒しに崩れていく。

 その光景を見つめる赤、青、黄、三体のアーマー。
「やるわね」
「ヒュウ!」 
「HEYバース、ウェンディ! イキのいい奴だぜ! ちょっくら味見してくらあ!」
「あ、兄さん勝手に!」
「HAHAHAHA! 手前の腹の肉食われるんじゃねえぞボールス!」
「HAHAHAHA! 平気さバース! なんてったって俺は無敵だからね!」
47名無したんはエロカワイイ:2007/02/02(金) 21:09:53 ID:ZW5jKwhm
(新手! 速い!)
 接近してくるアーマーの気配を察知し、アメリアは細身の槍を構え襲撃に備えた。
 迫り来る黄色のアーマー。スピード、足捌きのスムーズさ、かなりの手練であることがわかる。
「三色……ひょっとしてオスティアの」
 黄色、そして後方に見える赤と青のアーマー。
 雑誌『月間アーマー』の特集で読んだことのある、有名なエレブの三色アーマートリオかもしれない、
だとすればこのアーマーで勝てるのか──アメリアは緊張した。

「──ッ!」
 黄色アーマーは手にした銀の槍を上段から、叩きつけるように振り下ろした。
 まともに受ければ槍がへし折れるとアメリアは判断、衝撃の瞬間を見切り、槍を斜に逸らして受け流す。
 その反動を利用し、片足を軸に体を回転、黄色アーマーの足元をなぎ払った。
「OUCH!」
 地面に転倒した黄色アーマー。がら空きの胸甲目がけ、アメリアは槍を突き立てようとする。
 だが黄色アーマーは勢いよく転がり、アメリアの一撃を避けた。細身の槍の先端は肩部分を削った
だけで致命傷には程遠い。ゴロゴロと黄色アーマーは転がり続け、仲間の元に辿り着くと巨体を跳ね
上げるようにして立ち上げた。
48名無したんはエロカワイイ:2007/02/02(金) 21:10:43 ID:ZW5jKwhm
「OHジーザス! ちょいと聞いておくれよバース!」
「HEY! どうしたんだいボールス!」
「新品のアーマーに傷つけまった! まだローンも残ってるのに、このままだとママに叱られちまうよ!」
「HAHAHAHA! 俺に任せなボールス! こんな時はコレさ!」
「OH!そのイカしたデザインのアイテムは!」
「コイツの名前は『きずぐすり』! 実にクールな名前だろ? どんな傷でもコイツさえあれば大丈夫!」
「本当かいバース! 早速試しておくれよ!」
「HAHAHA! 任せなボールス!」

(ぬりぬり)

「ウォウ! 凄ぇぜバース! アーマーの傷がイチコロだぜ!」
「このナイスな『きずぐすり』、今なら3つセットで300ゴールド!今ならオマケで『どくけし』もプレゼント!
 まだ欲しい? おいおい勘弁してくれよ! 仕方ねえ、今使った専用スポンジもつけちゃうぜ!」
「イヤッホウ! 君は最高だぜバース!」
「HAHAHA!」
「HAHAHA!」
「……」
49名無したんはエロカワイイ:2007/02/02(金) 21:12:17 ID:ZW5jKwhm
「……ボールス兄さん、バース。あの黒アーマー強いわ、アレを使いましょう」
「アレだってよボールス!」
「アレといえばバース! 俺が昨夜もワイフと熱い夜を過ごしていたら……」
「あんたらそれはもういいっ!」
「HAHAHA!ウェンディ、お前は奴のケツに回れ!正面は俺とボールスでいく! 奴をセンターに
追い込んだら一発熱いのブチ込んでやりな!」
「了解!」

 赤、青、黄、三体のアーマーは散開し、アメリアを中心に三角形の頂点に位置どる形で包囲した。
「──まずい」
 アメリアは自身のミスを悟る。あのアーマーが音に聞くオスティアの三連星なら、絶対に囲まれてはならな
かったのだ。どこで間違えたか──、この広い地形に出たことか、あのアーマ達の正体に気づきながら撤退
しなかったことか、そもそもアーマーなんかに関わらなければ──、
「違う」
 アーマーがある自分はやれるのだ。やってみせる。

「CHECK!」
「しくじるんじゃねえぞ妹よ!」
「わかってる兄さん!」
 
「「「トライアングルアターック!!!!」」」
(駄目、かわせない──!)
 
 ──トライアングルアタック。
 三心を一にして放つ、究極の連携技。
 三色のアーマーの、三本の槍による、三方からの攻撃全てが黒アーマーを完全に貫き、粉砕した。
50名無したんはエロカワイイ:2007/02/02(金) 21:18:02 ID:ZW5jKwhm
「WHAT?」
「ガッデム!」
「あれ?」
 黒アーマーの残骸が周囲に散らばってはいるが、三色のアーマー達がいくら探しても、操っていた
はずの中の人間の姿がどこにも見当たらない。

「アンビリィバボオ! HEYボールス! コイツ中身カラッポだぜ!」
「Wow!バース、君の頭と一緒だな!」
「なんだとこのキャベツ野郎!」
「HAHAHA!やるかいこのチキン野郎、逃げるなら今の内だぜ!」

(ぶちっ) 
 ウェンディ。切れた。
「SHIT! いい加減にしやがれこの腐れイ○ポ野郎供!黙らねぇならその汚ェケツ穴にアタイの
槍ブチ込んで口から(ピー)吐き出させてやろうか!」

「OH!ジーザス!許しておくれ妹よ!」
「愛してるのは君だけさ!」
「あらやだ、私ったら……」

──トライアングルアタック。
三心を一にして放つ、究極の連携技。

51名無したんはエロカワイイ:2007/02/02(金) 21:19:41 ID:ZW5jKwhm
その9

「はあっ、はあっ……」
 トリオが何やら言い合っているのを余所に、アメリアはひたすら走り続けてた。
 アーマーは破壊さたものの、少女はかろうじて無事だった。攻撃を受けた瞬間、アーマーを
身代わりにして脱出していたのだ。
 少女の向かう先は、旧校舎の地下倉庫。
「うんっ……しょ!」
 地下倉庫の扉を開ける。錆付いて硬くなった扉を生身の腕で開けるのは苦労した。
「……あった」
 薄暗い地下室に鎮座する、巨大な赤いアーマー。
「バロン」
 少女はアーマーの、もうひとりの自分の名を呟く。
 そして、自分をこの非常識なアーマーにめぐり合わせた、凄く厳しく、実は優しく、けれど
不器用な担任の言葉を改めて思い出す。

(アメリア、よく聞け、アーマーとは正義を守護する者にして──)
「ギリアム先生の言うことはよくわかりません……」

 ──よくわからないけれど。
 自分に大きな力があるのなら。
 ヴァネッサ先輩やヒーニアス様、ターナ様、学院のみんなを助けられるのなら。
 マギ・ヴァルのために何かができる力があるのなら。

「アーマーとは正義を守護する者。そして力無き者を守る盾にして悪しき力を砕く矛!」
                                     
 暗闇を裂き、少女の駆る赤い巨人──レッドバロンが今、マギ・ヴァルの大地に立つ。
「もう迷わない。行こうバロン、一緒に戦おう」
                           ─(続)。
5239:2007/02/02(金) 21:27:25 ID:ZW5jKwhm
続。書けば書くほど広がる風呂敷。次あたりは聖戦勢。
53名無したんはエロカワイイ:2007/02/03(土) 00:21:47 ID:9L1iqMxD
レッドバロンってアレだな
初めて乗った人でもアーマー3機は倒せ(ry
54名無したんはエロカワイイ:2007/02/03(土) 11:23:59 ID:BJ0atQba
そろそろアーダンの出番?
55名無したんはエロカワイイ:2007/02/03(土) 17:37:08 ID:nucK5htP
暁が出たら、また最萌やるのかねぇ…?
56名無したんはエロカワイイ:2007/02/03(土) 20:22:14 ID:9L1iqMxD
キャラ紹介追加
トルード=ユリアのボディーガード。銀髪のおかっぱ、地味にやたら強い
ロナン=最強魔力を持つ弓使い。クラス転向を考える
サフィ=怪力シスター。クラス転向を考える
57せってい→かしこい:2007/02/05(月) 18:58:08 ID:w+ztNsgo
[エルトシャン]

シャガール陛下、
どうか挙兵はおやめ下さい▼

陛下のお父上は、グランベルとの共存を
願っておられました▼

戦争は民をくるしめ、
陛下のおなまえまで
おとしめることになります▼
戦争だけはしてはならぬのです!!

[シャガール]

ノディオンのエルトシャンか、
ふむう、まことそちの言うとおりじゃ▼

よくぞわしを諌めてくれた、
よし、挙兵は取りやめることとする▼

エルトシャン、すまぬが和平の使者として
シグルドの元へ行ってくれるか▼

[マンフロイ]

ま、待って下さい! シャガール陛下・・・!!▼

[シャガール]

マンフロイか、
人の心を惑わし、世を乱す悪党めが
今までわしをコケにしてきた礼は
たっぷりとさせてもらう
誰か、こやつを地下牢にぶちこめ!▼

         ガシャーン

[マンフロイ]
「( ゚д゚ )」
58せってい→かしこい:2007/02/05(月) 18:59:33 ID:w+ztNsgo
〔シグルド]

シャガール王、頼む! 剣をひいてくれ!
私はあなたと戦いたくはない!▼

アグスティを返すという約束は、
私の命にかけても果たしてみせる
もう少しの間だけ、私を信じてくれ!

[シャガール]

・・・・・シグルド、
すまぬ、もう何も言うな▼

不本意な戦とはいえ
民の為に戦うのが
王としての責務であろう▼

ワシは、ワシとアグストリアの為に
立ち上がり、
散っていった者たちの心を
わが身可愛さに
いまさら裏切ることなどできぬ

この上はアグストリアの王として
恥ずかしくない戦いをするだけだ▼
そちも騎士としての務めを果すがよい、
恨みはせぬ

さあ、行くぞ、シグルド!
わがボルガノン、
きさまにやぶれるか!!▼

(シャガール撃破)

[シグルド]

なぜだ、なぜシャガール王を
殺さなければならなかったのか・・・
私は一体、何のために戦っているんだ
59せってい→かしこい:2007/02/05(月) 19:00:56 ID:w+ztNsgo
[ディアドラ]

シャナン、シグルド様が
マディノ城を落とされたそうね
わたし、一度お会いしてくる

[シャナン(少年)]

だめだよ、ディアドラ
外はまだ危ないよ
それにセリスはどうするの▼

[ディアドラ]

だからセリスの事を
あなたにおねがいしたいの

[シャナン(少年)]

だめだ、ディアドラ
ぼくは、シグルドと約束したんだ▼
ディアドラと、セリス
ふたりを必ず守るって
だから、外に出ちゃだめだ▼

[ディアドラ]

お願い、すぐに戻るから
ね、シャナン、お願いだから・・・

[シャナン(少年)]

だめだ、男の約束だもの
シグルドがいいって言うまでは
絶対に行かせないぞ!

[ディアドラ]

・・・わかったわ、シャナン、
ここでおとなしくシグルド様の帰りを
待つことにします
わがままを言ってごめんなさい▼


[マンフロイ]
「(´・ω・`)」
60名無したんはエロカワイイ:2007/02/05(月) 19:03:12 ID:w+ztNsgo
[アウグスト]
そう気を落とされるな
悪い話ばかりではありません▼↓

これはあくまでうわさですが
東のイザーク王国で大きな反乱が起こり
帝国相手に善戦しているということです▼↓

その反乱軍の盟主は
誰だかお分かりになりますか?▼

[リーフ]
イザークならバルムンクだろう
フィンから聞いたことがある▼⇒

剣としても最高の切れ味を持ち
民からも愛されている
すばらしい剣だとか・・・▼↓

シャナン王子がうらやましい
ぼくとはおおちがいだな・・・▼↓

[アウグスト]

お気になさいますな

少なくともシャナン王子の名声は
彼自身の力によるものでは
ないということです▼
61名無したんはエロカワイイ:2007/02/05(月) 19:57:57 ID:6fwhiNTj
シャガール萌えwww
そしてバルムンクが始まっている件について
62名無したんはエロカワイイ:2007/02/06(火) 04:55:14 ID:876/cgPW
いまいちキャラの顔が思い出せない…
誰か顔グラきぼんぬ!
63名無したんはエロカワイイ:2007/02/06(火) 07:14:55 ID:CIOLxc6/
グーグルイメージ検索→シャガール FE
          →峰岸徹
64名無したんはエロカワイイ:2007/02/07(水) 00:31:15 ID:r4L8B0nB
>>63
d!ぐぐってきたYO
似てた似てたw
65名無したんはエロカワイイ:2007/02/08(木) 14:34:54 ID:nry0zmQn
シャガールかっこええw
66名無したんはエロカワイイ:2007/02/08(木) 21:18:21 ID:fhZu9oR5
ウハラダ!
67名無したんはエロカワイイ
まさかバルムンク擬人化か!?