【メガネ】ブレスオブファイア3のモモ【身長174バスト86】
「はじめての友達」
石造りの部屋には小さなベッドと机の他に、たくさんの奇妙な機械が並んでいた。他には、
飾りらしい飾りもない。 部屋の中央には、一人の少女が座っていた。ヒザの上で暴れる何かを、
押さえつけようとしている。
「暴れちゃダメよー。きれいにしてあげるんだからー」
ズリ落ちそうなメガネの位置を直すと、少女は油のしみこんだ布で、ヒザの上の機械人形のボディを
拭きだした。 父は、研究が忙しくなると部屋にこもりっきりになる。少女はひとりで生活することには
慣れていた。食事も洗濯もできるし、たいくつなら本を読めばいい。しかし、寂しくないと言えばウソだ。
研究は大事なことだと思うが、時々、父が自分のことを忘れてしまうのではないかと不安になる。
この人形は、昨日父からもらったものだ。弱々しく手足を動かすその人形を見て、少女は(なんか、
赤ちゃんみたい)と思った。見かけは全然ちがうが、その人形のしぐさは、人間の赤ん坊そっくりに
見えたのだ。
「エネルギーを補給してやれば、ちゃんと動くようになるだろう。 特に危険な装置もついていないし、
この機械はモモにあげよう。面倒みてやるんだよ」
これまで父はいろんな機械をくれた。しかし、動く機械人形をもらったのは初めてだ。赤ん坊の
ような機械人形を抱きかかえ、少女はトコトコと自分の部屋へ向かった。 ゴーストエネルギーを
照射してやると、機械人形は生気を取り戻した。床の上を歩き回り、目の前のものにさわったり
している。まるで赤ん坊が、一気に幼児に成長したようだ。 少女は無性にうれしくなった。油を
さし終わった人形の汚れを拭き取るため、少女は人形を抱き上げた。とたんに人形は暴れはじめる。
押さえつけるのに悪戦苦闘した。
「きれいにしてあげるだけよー。何もしないったらー」
人形を拭きながら、少女は思った。子供の面倒見るのって大変だなー。私もこうだったのかしら…。
考えてみれば、父はずっとひとりで少女を育ててくれたのだ。一生懸命育ててくれた父が娘のことを
忘れるわけがない。 そう思った時、少女はちょっぴり安心すると同時に、この機械人形がいっそう
かわいく思えてきた。
「名前決めたげるねー。えーと、ハニーはどうかしらー」
少女は人形の無表情な顔をのぞき込み、ニッコリ笑った。