うみねこのなく頃に part852

このエントリーをはてなブックマークに追加
6名無しさん@お腹いっぱい。
ヴァンダインのニ十則の原文
http://www.e-freetext.net/20rule_j.html

探偵小説は一種の知的ゲームである。
いや、それ以上に―スポーツである。したがって、探偵小説を書くのにあたっては、とても厳格なルールが存在する。
もちろん、成文化されてはいないけれども、拘束力にはかわりがない。
自他ともに認める、偉大なミステリー文学の書き手はみなこのルールを守っている。
それゆえ、ここに私の”信条”としているルールを書く。
このルールは、推理小説に貢献したすべての作者の慣習と、私の内なる良心に基づいて決めたものである。それを以下に記す:

1:読者には、謎を解くチャンスが探偵と同じようになければならない。
すべての手がかりを読者の目の前に記述しておかなければならない。

2:読者に対して意図的なトリックやごまかしを用いてはならない。
もちろん、犯人から探偵に対して当然なされるようなものは除く。

3:恋愛のたぐいを小説に導入してはならない。
探偵小説の任務は、犯人を裁きの場に引き出すことであり、恋に悩むカップルを結婚の祭壇に導くことではない。

4:探偵自身・あるいは捜査当局の一員は決して犯人にするべきではない。
これは恥知らずな詐欺であり、ピカピカの1セント貨を5ドル金貨だといって人に与えるようなものだ。

5:犯人は論理的な推理によって決定されなければならない。
事故・暗号・動機なき自供によって決定してはならない。事故・偶然の一致・動機なき自供などの方法で犯罪を解決することは、
読者を故意にまちがった方向へむかわせて、それが失敗した後で、君が探しているものは、僕がずっとひそかに隠していたんだ、ということに等しい。
そのような作者は、ふざけているとしか言いようがない。

6:探偵小説は、その中に探偵がいなければならない。
そして、探偵しなくては探偵とはいえない。彼の任務は、手がかりを集め、最初の章で犯罪を行った犯人をつきとめることである。
もし探偵が、自ら集めた手がかりを分析することによっては結論に達しないのであれば、彼は問題を解いたことにはならない。
それは、算数の本の巻末を見て答えを書く小学生以上の何者でもない。

7:探偵小説には死体が絶対存在しなければならない。
より多くの人が死んでいればなおいい。殺人より軽い犯罪では不十分であろう。300ページは、殺人以外の犯罪に費やされるには多すぎる量だ。
要するに、読者が手間暇かけて、それなりのエネルギーを使ったなら、報われなければならない。

8:犯罪の謎は厳密に自然な方法で解決されなければならない。
真相を知るのに瓦占い、こっくりさん、読心術、降霊術、水晶占いのような方法を用いるのは禁忌である。
読者にとっては、合理的推理によって知能を競うならば探偵に勝つチャンスが存在するけれども、霊魂の世界で競争し、
形而上学的な四次元世界を行かなければいけないのであれば、ab initio(出発点からして)勝ち目がない。

9:探偵は1人だけ―つまり、推理の主人公は1人だけでなければならない。
deus ex machina(詩の氏神)[注1]は1人だけでなくてはならない。
3・4人で問題にあたったり、探偵集団が問題に取り組んだりしては、興味を分散させ、論理の流れを壊すだけでなく、読者を不当に不利な立場に追い込むことになる。
もしも探偵が1人以上いたら、読者は誰を相手に推理を戦わせているのか分からなくなる。それは読者をリレーチームと競争させるようなものだ。

10:犯人は物語の中で大なり小なり重要な役割を担った人でなければならない―その人は読者がよく知っていて、関心を持った人でなければならない。