★オーラや守護霊で惑わした罪は重い「国分太一・美輪明宏・江原啓之のオーラの泉」最終回(テレビ朝日)
「オーラの泉」最終回。この日が来るのをどれだけ待ち望んだことか。ゲストのオーラや前世、守護霊を
スピリチュアルカウンセラー(って何?)の江原啓之が霊視、同じく見える立場の美輪明宏とともにアドバ
イスするというトンデモ番組だ。
たとえばフジコ・ヘミングが出演した時のこと。「お母さんは今、あなたの横にいますよ」と江原が言えば、
「あなたがピアノを弾いている横で、私の子ども、凄いでしょとみんなに自慢していらっしゃるのよ」と美輪
が続ける。そんなふうに二人の掛け合いは事前に打ち合わせていたかのように一致し、一方が赤といえ
ば、必ず赤。青でしょと言って揉めることはただの一度もない。もっとも、その不可解さを指摘したところ
で、信じる人に言わせれば、それこそが見えている証拠、ということになり、こちらは口をつぐむしかない
のだが……。
深夜にこの番組と遭遇して以来、ことあるごとに番組の胡散臭さやいかがわしさについて語るというひとり
ネガティブキャンペーンを続けて四年半、ようやくこのときを迎えることとなったのである。その間、番組は
といえばこちらの意に反し、深夜の三十分番組からゴールデンタイムの一時間番組へと昇格。気がつけ
ば年に数回の特番まで組まれるほどの看板番組にまで肥大し、視聴者の眼力の無さ、局の愚かさを恨
めしくも思ったが、終わってくれるならすべてを許そう
「あるある問題」以降、この手の番組への批判は強まり、ライバルとされていた細木数子の一連の番組も
消え、いよいよこの番組もジ・エンドと思いきや、番組の最後に「前世や守護霊は科学的に証明されたもの
ではありません」というテロップを流して続行したときは、もう世の中にこのチャンネルは存在しないことに
しよう、とまで思いつめたものだが、終わってくれるならそれもすべて水に流そうではないか。
考えてみればこの番組、時代が求めた必要悪だったのかもしれない。オレオレ詐欺、霊感商法等々、世
の中には危険がいっぱいあふれている。そんな恐ろしい時代に生きる私たちに「人はいかにしてダマされ
るか」というのを実況中継し、警鐘を打ち鳴らしてくれていたようなものなのだから。
とはいえ、オーラや守護霊などという目に見えないもので視聴者を惑わした罪は重い。最終回と謳ったか
らには、番組を封印し、二度と復活しないことを願って、今月のダラクシー賞を贈呈する。
(GALAC 2009年12月号掲載) 2009年12月1日(火)配信
http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/galac-20091201-01/1.htm