>>542 「そういや、薔薇庭園で挨拶した嘉音くんって若い子。
口下手だからって朱志香、やたらと庇ってたよなぁ?」
「い、いやそんなことは…。わはははは、勘繰り過ぎだって…!!」
「じゃあさ、これだけは教えろよ。今この瞬間。朱志香が狙ってる男は、半径1km以内にいるか?」
「い、いやそれはその、…どど、どうだろう…。」
今、この島にいる男で、俺たちと恋仲になれそうなのは嘉音くんひとりしかいない。
それでこの反応なんだから、ビンゴなんだろうなぁ。
右代宮家を高貴な一族だなんて思っちゃいないが、…使用人との恋が二人か。
ロミオとジュリエットが身近に二組もいるなんて夢にも思わなかったぜ…。
譲治の兄貴と紗音ちゃんの恋路は、……絵羽伯母さんが障害になるだろうな。
あの絵羽伯母さんに限って、眼に入れても痛くないひとり息子のお相手が紗音ちゃん
だと知ったら、この使用人風情がー、泥棒猫ーと絶叫するだろう。
そして朱志香と嘉音くんの恋路も同じく多難だろう。
夏妃伯母さんも、そういうのにかなり厳しそうだ。
……何しろ朱志香の旦那は、未来の右代宮家当主になるんだろうからな。
それが、自分たちに仕えてた元使用人ってことになったら、……まぁその、複雑に違いない。