マ王掲載のインタビュー
「ひぐらし」には「友情」というテーマがあるので、誰でも仲良くなれることができました。しかし「うみねこ」のテーマは「友情」じゃありません。
だから必ずしも全員が仲良くなれるワケじゃない。露骨に仲の悪い、悪意のある関係が存在します。それを象徴するような絵羽や蔵臼に
注目していただけるとおもしろいかなと。また隠しテーマとして、「尊敬できる大人を描く」というのがあります。
当たり前ですが大人は子供より成熟しているべきですよね?だから大人全員の魅力的な部分を見せたかったという想いがあります。
daiさんの「ネタバレを一応聞いたのですが、第1話を読んでみたらわからなくなりました」という発言を聞いた時は最高に嬉しかったですね。
推理というのは、「論理的に考えていればいずれ解決にたどりつく」なんて甘いモノじゃありません。暗中模索で閃いた何かを結びつけられる、
想像力が重要だと思います。だからある程度は突拍子もないことを想像しないと、解決には到れないと思いますよ。
優しいミステリーは点と点の間が近いので簡単に結びつけられますが、「うみねこ」は非常にイジワルなので点と点の間がものすごく
離れています。 だからその意味においては「ミステリー」であるとはいえない。でもだからといってミステリーのような楽しみ方が
できないともいえないので、 遊び方はプレイヤーのみなさんにおまかせします。
「ひぐらし」では推理の仕方や考え方、楽しみ方をうまく伝えられなかったと思っています。今回は一見すると挑戦的な単語が多いのですが、
実はかなり親切にそのあたりのことをお伝えしているんですよ。「犯人は崇りかもしれない」より「犯人は魔女に決まってる」というほうが、
推理する人は多くなると思っています。
「ミステリー」ですだなんてとてもいえないですよ。ファンタジーの可能性がとても高いですから。ジャンルを探ることすらも、推理して
楽しんでほしいですね。「推理は可能か、不可能か」というのが今回のテーマの1つです。可能ならばこれはミステリーだろうし、不可能ならば
ファンタジーや変格ミステリーになるかもしれない。
遊び方を探ることも含めて、「うみねこ」の楽しさだと思います。人間犯人派の人は第1話のトリックをすべて、少々ムリヤリでも
人間の行動原理で説明してみてください。「ミステリー」というジャンルはこの100年で隆盛を極め、アイデアは出尽くしたとまでいわれています。
だからミステリーに詳しい方なら、あの程度の密室なんて簡単に破ってくれると思いますよ。生まれてから数十年しか経ってない私ごときが
思いつくことなんて、たいしたトリックではありませんよ。逆に、本作がファンタジーで犯人は魔女だと思う方はおめでとうございます。
これからの作品を悩まずに読むことができるでしょう。