鷹野はけらけらとわらいながら、一番近くに押さえつけられていた魅音の後頭部に銃口を押し付けた。
「・・・・・・・・・・・・・・ちょ、・・・・・う、嘘でしょッ?」
嘘でしょッ?よりにもよってこの体制から!?これじゃあ相手の動きも表情も何も解らない・・・・!
いいえ!!考えろ!考えるんだ園崎魅音!なんとかこの状況を切り抜けなきゃ・・・
梨花ちゃんを・・・皆を守らなきゃ・・・・!!このまま殺されたんじゃ、圭ちゃんに何て言って謝ればいいか解らない!
「あなたの背中の刺青、一度見てみたかったの。あとでみせてもらうわね。」
!?
これは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・チャンスだ!!
今の台詞には、絶対的な立場に立つ者の余裕が・・・溢れている!
殺人を仕事と割り切っている人間から出るはずのない言葉・・・・
鷹野三四は獲物をじわじわ弱らせて、いたぶってからとどめを刺す、殺人を楽しむ種類の人間だ!!
自分を絶対者と思って疑わない・・・・・・そこにつけこめば・・・・・・勝機は有る!!!
今日ほど部活をやっていてよかったと思った日は無い!
一瞬できた1ミリの隙間・・・それをこじ開ける訓練を・・・・・・・・・・・・・・こっちは毎日やってるんだ!!!
「み、見たければ勝手に見ればいいでしょ?!見たってつまらないよ!!!」
私はカードを切った。
心の底から怖がっていて、それでも最後の力を振りしぼって必死な思いで吐いた言葉。
貴方のようなタイプには麻薬だろう・・・?
人間の最後の尊厳までをも完全に奪い取り、絶望させ、屈服させる事を何より楽しむ!
そんな”人で無し”の感情を・・・・・・・”鬼”を持っている貴方には!!
私の中の確信がそう教えて揺るがない。まるで・・・・・・・過去にも、同じような、こと、が、あったかのように・・・・・?
「そう?私は楽しいと思うわよ?」
思わずはっとした。
自分のすぐ後ろで発せられた、この場にはまるで場違いな明るい声
そのギャップのおかげか、我に返った。
今のは・・・ああ、そうか、そうなんだ!
解る!私には解る!魅惑的な言葉を吐くときに、”鬼”が取る行動は1つ!
崖の淵に立つ相手に手を差し伸べる振りをして・・・・・・・・・叩き落とす!!
絶望よりも、さらにさらに暗い絶望を相手に与える時だ!!!
残念だったね鷹野さん・・・私はその習性を、命を懸けて学習してるんだ!!!
彼女の”鬼”が、この場で私を裸にして、辱めながら見物する気にでもなってくれたんだろう。
片手が背中に掛かり、押し付けられた銃口も下がっていく・・・・・・・
あと少し!首元まで下がれば私の勝ちだ!!
手首を極めて、銃を奪って、そのまま鷹野を人質に・・・・!!
あと3cm!!あと2cm!!あと・・・
「やめて!!魅ぃちゃんを撃たないで!!!」
音が響いた
突然の号音に
鷹野の手が
止まった
限界まで張り 詰めてい た 意識が 四散 して、頭の中が 真っ白になる。
ああレ ナ私 の為 を思っ て あ あ だけど
レナが叫ぶが、鷹野は首を緩やかに横に振った。
あ あ なんとい う 事 だ
鷹 野が冷 静を 取り 戻 したの が 背中 越し に でも わ かる
「だめよ。魅音ちゃんが部長さんなんだから、1番じゃなきゃね?」
嗜 虐 性は変 わらな い けれど 落 ち着き も含 んた 声
あ 、 あ 、あ 、あ 、 あ、 あ 、 ああ 、 あ 、あ 、ああ 、 あ、 あ 、 駄目だ
他に他に他に他に他に他に他に他に他に他に他に他に他に他に他に他に他に他に他に他に
何か何か何か何か何か何か何か何か何か何か何か何か何か何か何か金属が擦れる音がう、嘘、・・・・・や、やめッパカン。
下らない音がして、魅音の四肢がびくんと跳ねた。