【Winny】割れ厨は許さない【夏ですね】

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814名無しさんの野望:04/12/07 11:10:38 ID:fXsLe2qg
さてその部下の
 一番書記は白猫でした、
 二番書記は虎猫(とらねこ)でした、
 三番書記は三毛猫でした、
 四番書記は竃猫(かまねこ)でした。
815名無しさんの野望:04/12/07 11:13:36 ID:fXsLe2qg
竃猫といふのは、これは生れ付きではありません。
816名無しさんの野望:04/12/07 11:15:27 ID:fXsLe2qg
生れ付きは何猫でもいいのですが、夜かまどの中にはひつてねむる癖があるために、
いつでもからだが煤(すす)できたなく、殊に鼻と耳にはまつくろにすみがついて、
何だか狸(たぬき)のやうな猫のことを云(い)ふのです。
817名無しさんの野望:04/12/07 11:17:00 ID:fXsLe2qg
ですからかま[#「かま」に傍点]猫はほかの猫には嫌はれます。
818名無しさんの野望:04/12/07 11:19:00 ID:fXsLe2qg
けれどもこの事務所では、何せ事務長が黒猫なもんですから、このかま[#「かま」に傍点]猫も、あたり前なら
いくら勉強ができても、とても書記なんかになれない筈(はず)のを、四十人の中からえらびだされたのです。
819名無しさんの野望:04/12/07 11:19:55 ID:fXsLe2qg
大きな事務所のまん中に、事務長の黒猫が、まつ赤な羅紗(らしや)をかけた卓(テーブル)を控へてどつかり腰かけ、
その右側に一番の白猫と三番の三毛猫、左側に二番の虎猫と四番のかま[#「かま」に傍点]猫が、めいめい小さな
テーブルを前にして、きちんと椅子(いす)にかけてゐました。
820名無しさんの野望:04/12/07 11:21:23 ID:fXsLe2qg
ところで猫に、地理だの歴史だの何になるかと云ひますと、まあこんな風です。
821名無しさんの野望:04/12/07 11:23:19 ID:fXsLe2qg
事務所の扉(と)をこつこつ叩(たた)くものがあります。
822名無しさんの野望:04/12/07 11:24:49 ID:fXsLe2qg
「はひれつ。」事務長の黒猫が、ポケツトに手を入れてふんぞりかへつてどなりました。
823名無しさんの野望:04/12/07 11:25:58 ID:fXsLe2qg
四人の書記は下を向いていそがしさうに帳面をしらべてゐます。
824名無しさんの野望:04/12/07 11:27:23 ID:fXsLe2qg
ぜいたく猫がはひつて来ました。
825名無しさんの野望:04/12/07 11:31:51 ID:fXsLe2qg
「何の用だ。」事務長が云ひます。
826名無しさんの野望:04/12/07 11:34:55 ID:fXsLe2qg
「わしは氷河鼠(ひようがねずみ)を食ひにベーリング地方へ行きたいのだが、どこらがいちばんいいだらう。」
827名無しさんの野望:04/12/07 11:37:10 ID:fXsLe2qg
「うん、一番書記、氷河鼠の産地を云へ。」
828名無しさんの野望:04/12/07 11:46:10 ID:fXsLe2qg
一番書記は、青い表紙の大きな帳面をひらいて答へました。
829名無しさんの野望:04/12/07 11:47:08 ID:fXsLe2qg
「ウステラゴメナ、ノバスカイヤ、フサ河流域であります。」
830名無しさんの野望:04/12/07 11:48:46 ID:fXsLe2qg
事務長はぜいたく猫に云ひました。
831名無しさんの野望:04/12/07 11:54:20 ID:fXsLe2qg
「ウステラゴメナ、ノバ………何と云つたかな。」
832名無しさんの野望:04/12/07 11:57:25 ID:fXsLe2qg
「ノバスカイヤ。」一番書記とぜいたく猫がいつしよに云ひました。
833名無しさんの野望:04/12/07 11:59:18 ID:fXsLe2qg
「さう、ノバスカイヤ、それから何!?」
834名無しさんの野望:04/12/07 12:00:55 ID:fXsLe2qg
「フサ川。」またぜいたく猫が一番書記といつしよに云つたので、事務長は少しきまり悪さうでした。
835名無しさんの野望:04/12/07 12:03:36 ID:fXsLe2qg
「さうさう、フサ川。まああそこらがいいだらうな。」
836名無しさんの野望:04/12/07 12:05:09 ID:fXsLe2qg
「で旅行についての注意はどんなものだらう。」
837名無しさんの野望:04/12/07 12:09:52 ID:fXsLe2qg
「うん、二番書記、ベーリング地方旅行の注意を述べよ。」
838名無しさんの野望:04/12/07 12:11:13 ID:fXsLe2qg
「はつ。」二番書記はじぶんの帳面を繰りました。
839名無しさんの野望:04/12/07 12:13:31 ID:fXsLe2qg
「夏猫は全然旅行に適せず」するとどういふわけか、この時みんながかま[#「かま」に傍点]猫の方をじろつと見ました。
840名無しさんの野望:04/12/07 12:15:06 ID:fXsLe2qg
「冬猫もまた細心の注意を要す。函館(はこだて)付近、馬肉にて釣らるる危険あり。特に黒猫は充分に猫なることを
表示しつつ旅行するに非(あらざ)れば、応々黒狐(くろぎつね)と誤認せられ、本気にて追跡さるることあり。」
841名無しさんの野望:04/12/07 12:18:48 ID:fXsLe2qg
「よし、いまの通りだ。貴殿は我輩のやうに黒猫ではないから、まあ大した心配はあるまい。函館で馬肉を警戒するぐらゐのところだ。」
842名無しさんの野望:04/12/07 12:22:57 ID:fXsLe2qg
「さう、で、向ふでの有力者はどんなものだらう。」
843名無しさんの野望:04/12/07 12:24:03 ID:fXsLe2qg
「三番書記、ベーリング地方有力者の名称を挙げよ。」
844名無しさんの野望:04/12/07 12:25:40 ID:fXsLe2qg
「はい、えゝと、ベーリング地方と、はい、トバスキー、ゲンゾスキー、二名であります。」
845名無しさんの野望:04/12/07 12:33:40 ID:fXsLe2qg
「トバスキーとゲンゾスキーといふのは、どういふやうなやつらかな。」
846名無しさんの野望:04/12/07 12:35:10 ID:fXsLe2qg
「四番書記、トバスキーとゲンゾスキーについて大略を述べよ。」
847名無しさんの野望:04/12/07 12:36:28 ID:fXsLe2qg
「はい。」四番書記のかま[#「かま」に傍点]猫は、もう大原簿のトバスキーとゲンゾスキーとのところに、
みじかい手を一本づつ入れて待つてゐました。
848名無しさんの野望:04/12/07 12:38:26 ID:fXsLe2qg
そこで事務長もぜいたく猫も、大へん感服したらしいのでした。
849名無しさんの野望:04/12/07 12:40:26 ID:fXsLe2qg
ところがほかの三人の書記は、いかにも馬鹿(ばか)にしたやうに横目で見て、ヘツとわらつてゐました。
850名無しさんの野望:04/12/07 12:42:20 ID:fXsLe2qg
かま[#「かま」に傍点]猫は一生けん命帳面を読みあげました。
851名無しさんの野望:04/12/07 12:43:58 ID:fXsLe2qg
「トバスキー酋長(しうちやう)、徳望あり。眼光炯々(けいけい)たるも物を言ふこと少しく遅し、
ゲンゾスキー財産家、物を言ふこと少しく遅けれども眼光炯々たり。」
852名無しさんの野望:04/12/07 12:45:02 ID:fXsLe2qg
「いや、それでわかりました。ありがたう。」
853名無しさんの野望:04/12/07 12:46:50 ID:fXsLe2qg
ぜいたく猫は出て行きました。
854名無しさんの野望:04/12/07 12:47:57 ID:fXsLe2qg
こんな工合(ぐあひ)で、猫にはまあ便利なものでした。
855名無しさんの野望:04/12/07 12:49:42 ID:fXsLe2qg
ところが今のおはなしからちやうど半年ばかりたつたとき、たうとうこの第六事務所が廃止になつてしまひました。
856名無しさんの野望:04/12/07 13:29:26 ID:Nak7rUqG
下人の行方は誰も知らない
857名無しさんの野望:04/12/07 13:36:19 ID:Nak7rUqG
ゴッゴル
858名無しさんの野望:04/12/08 12:18:51 ID:drDQS/51
なるなら最後までやれよ正規厨
859858:04/12/08 12:20:00 ID:drDQS/51
×なるなら
○やるなら
860名無しさんの野望:04/12/08 23:24:21 ID:np8MrQJ8
そして誰もいなくなった
861名無しさんの野望:04/12/11 17:06:41 ID:NPLhv50X
えせ
862名無しさんの野望:04/12/16 06:13:30 ID:vWx2NRfY
捕手
863名無しさんの野望
ゴッゴル