http://www.obihiro.ac.jp/~psychology/abofan.html ここ面白いよ。恣意的な引用。長いけど、クレッチマーの話しは前にもこの板
で見たような気がするので。
「体格と関係のある精神病の症状や,その精神病に特有の性格傾向を理解するため
にはある程度有効だが,健康な人間の性格を理解するためにはもはやあまり考慮さ
れていない」
しかししかし、なんとなんと、(性格)心理学は「クレッチマー説」を垂れ流して
きただけで、なんの検証もしてこなかったのでした。(略)
例えば、体格と体質との相関については何とも言えないとか、肥満と痩身の境界が
曖昧とか、ずーっと同じコトを言っていますが、体脂肪率とか皮下脂肪厚、骨量骨
密度、筋量筋繊維密度(この言葉はウソかもしんない)などどなど数量化の指標と
成りうる数値が近年は簡単に得られるのですから、基本データとして、毎年ではな
くてもせめて5年毎ぐらいには、当該精神病の患者のデータを採取するくらいのこ
とはしてなきゃいけなかったんではないでしょうか。ひょっとすると、躁鬱病患者
の占める割合から、肥満の指標は従来の体脂肪率X%以上ではなくZ%以上である、
などという"提唱"ができたかも知れません。データ研究だけではなく、「病前性格」
についての研究ってどうなっているのでしょう。これが否定されたら体質と精神病
の関係がどうでも性格類型論としては破産してしまう筈ですが、どうもそういう結
果は出ていないようです。では、ちゃんと確認されたのでしょうか、
この件については、渡辺先生が指摘されているように、基本的には精神医学の問題であ
ると認識する必要があるでしょう。その精神医学には国家試験があり、厚生省による
「出題基準」があります。藤井(1992)によれば、平成5年版の基準から「性格と体型」
という項目が消えたということです。詳しくは文献を参照してほしいのですが、ドイツ
では「性格と体型」に関する追試研究(1966)が行われ、その関係は否定されたそうで
す。問題はこのようなことを心理学者が承知しているかどうかでしょう。私自身としては、
今の心理学のテキストに載っている「性格と体型」説は、性格に関する考え方の歴史とい
う側面が強い(思考の考古学(アルケオロジー))と考えています。