仏像スレッド

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3については、京大生が広隆寺像の「あまりの美しさに魅せられて」頬ずりし
ようとした、とされています。どの本にも、そう書いてあります。なにしろ、
この時修理を担当した西村公朝氏まで、そのように書いているのだから、誰で
もそう思い込んでしまいます。私もそう思っていました。ところが当時の新聞
記事(昭35.8.20朝日新聞朝刊)を読んでみてびっくり。全く逆なので
す。その京大生はこう言っています。

> 弥勒菩薩の実物を見たら“これがホンモノだろうか”と思った。期待はずれ
> だった。金箔がはってあると聞いていたが、木目も出ており、ホコリもたま
> っていた。ちょうど監視人もいなかったので、いたずら心が起こった。なぜ
> 像にふれようとしたのかあのときの心理は自分でも説明できない。

この発言を私流に翻訳してみます。「ものすごく美しいキンキラキンの像だと
聞いて期待して太秦くんだりまで見に行ったけど、全然違うじゃないか。金箔
なんてどこにもないし、ホコリもたまってて汚ねえじゃないか。美しいどころ
じゃないよ。これってホンモノなんだろうね。拝観料返せよ。腹立つからキス
でもして、ベタボメしていた郷里の連中をおちょくってやろうと思ったさ」

ワイドショー的ネタになりますが、この京大生の「あの人はいま」が、かなり
前の週刊誌に載っていました。事件当時(昭35.8.18)に20歳だった
のですから、いまは61歳程度になっているはずです。うろ覚えですが、事業
に成功して、地元のかなりの名士になっているそうです。この事件については
思い出すこともないし、周囲の人も知らない。彼の人生にそれほど影響を与え
たものではなかったそうです。