仏像スレッド

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314HK
>>67
> 弥勒菩薩、中宮寺と広隆寺、どちらが人気あるのでしょう。

超亀レスですが、永遠のテーマ?ですので…。私は中宮寺派ですが、話題性・
エピソードの多さ、という点では広隆寺像の圧勝でしょうね。有名なのは

1.国宝指定第1号。

2.ドイツの著名な実存哲学者カール・ヤスパース(1883-1969)が、この像に
ついて「真に 完成され切った人間実存の最高の理念が、あますところなく表現
され尽くしています。それは地上に於けるすべての時間的なるもの、束縛を超
えて達し得た人間の存在の最も清浄な、最も円満な、最も永遠な姿のシンボル
であると思います」と絶賛した。

3.京大法学部の学生が郷里の人々への自慢話にしようと、この像に頬ずりし
ようとして壇上に登ったところ指に触れ、右手の薬指を折った。

の3つと思われ、いずれも広隆寺像がいかに素晴らしい像であるかの例証とし
て語られることが多いようです。私も広隆寺像は大変に素晴らしい像だと思っ
ているし、ケチをつける気持は毛頭ないのですが、この3つとも私に言わせれ
ば、ほとんど無価値なものです。

1については、中宮寺像も同時(昭26年6月9日)に国宝に指定されている
ので、中宮寺像に対する広隆寺像の優位性という意味では、ほとんど無意味。

2については、ヤスパースは実物も見ずに勝手なことを言っているわけで、
「よく言うよ」、「そんなに惚れたなら、どうして見に来て自分の眼で確かめ
ないの」とでも言っておけばいいでしょう。
315HK:2001/06/14(木) 20:05
3については、京大生が広隆寺像の「あまりの美しさに魅せられて」頬ずりし
ようとした、とされています。どの本にも、そう書いてあります。なにしろ、
この時修理を担当した西村公朝氏まで、そのように書いているのだから、誰で
もそう思い込んでしまいます。私もそう思っていました。ところが当時の新聞
記事(昭35.8.20朝日新聞朝刊)を読んでみてびっくり。全く逆なので
す。その京大生はこう言っています。

> 弥勒菩薩の実物を見たら“これがホンモノだろうか”と思った。期待はずれ
> だった。金箔がはってあると聞いていたが、木目も出ており、ホコリもたま
> っていた。ちょうど監視人もいなかったので、いたずら心が起こった。なぜ
> 像にふれようとしたのかあのときの心理は自分でも説明できない。

この発言を私流に翻訳してみます。「ものすごく美しいキンキラキンの像だと
聞いて期待して太秦くんだりまで見に行ったけど、全然違うじゃないか。金箔
なんてどこにもないし、ホコリもたまってて汚ねえじゃないか。美しいどころ
じゃないよ。これってホンモノなんだろうね。拝観料返せよ。腹立つからキス
でもして、ベタボメしていた郷里の連中をおちょくってやろうと思ったさ」

ワイドショー的ネタになりますが、この京大生の「あの人はいま」が、かなり
前の週刊誌に載っていました。事件当時(昭35.8.18)に20歳だった
のですから、いまは61歳程度になっているはずです。うろ覚えですが、事業
に成功して、地元のかなりの名士になっているそうです。この事件については
思い出すこともないし、周囲の人も知らない。彼の人生にそれほど影響を与え
たものではなかったそうです。