97 :
goatsong:
今日、中国国宝展に行ってきたけど、ものすごい混み様で、
ただ券だし、根性のない私としては、お目当ての作品を
5点程見て、出てしまった。うーん、「日曜美術館」
放映後はきつい。(この番組は中年層に絶大な影響が
あり、取り上げられた展覧会は、放映直後から異常に
混み出す。ところで、彼等の目的は、美術鑑賞では
なく、美術鑑賞をする自分を見られることにある気が
してならない)
「須弥山図浮彫」はその名の通り、部分的に丸彫的
である浮き彫りであったけど、前面には人像が安置
されていたそうで、法隆寺の「塔本四面具」と同系譜
では、と思われた。法隆寺のものが、抽象的、叙情的
であるのに対して、これは、かなり具体的、説明的
であった。これは、両者の仏教理解とシンクレティズム
の程度にあると思われる。
98 :
goatsong:2000/11/29(水) 19:06
三星堆の青銅器(?)は意外と小さかった。素晴らしい
造形感覚とは思うものの、何度も紹介されてるので、
今更驚くものでもなかった。「金縷玉衣」は見世物的
なもので、どうと言う事もない。
「専盤」(龍がごちゃごちゃいるやつ)はハイライト。
例によって、火炎式土器だとか、フランボワイヤン式
だとか、ケルトの装飾だとかが思い出された。装飾が
まさに、媒介を飲み込もうとしているところ。
最も印象的だったのは、やはり目玉の「菩薩立像」。
私は仏像と言えば、北魏、唐と宋でチェックは充分と
思っていて、北斉なんて、わずかに敦煌のものを
知ってたぐらいだったけど、考えを改めさせた。
「顔が命」の仏像だが、顔の美しさもさることながら、
私は衣襞に目を奪われた。特に、裾の処理に注目
されたい。(確か、その様式には名前があったはず
だが、忘れてしまった)胴部の衣襞のとは不釣合い
なほど、薄く、繊細緻密に造られていて、その造形
は形式化されているものの、その生命感を失っては
いない。(神は細部に宿り給う!)
99 :
goatsong:2000/11/29(水) 19:06
20分ほどで、平成館を離れて、日本の仏像と比較でも
しようと思って、本館に向かったんだけど、彫刻室
には浄瑠璃寺の「広目天」(平安末、国宝)と、
何とか寺の矜羯羅童子(と制た迦童子?)像(平安、
重要文化財)があった。
前者は「金と銀」展で見たのだが、やはり、ここに
保管されているのかな?後者は、8月に行った時にも
あったが、いわゆる地方仏で、その造形は稚拙では
あるが、一度見たら忘れられない力強さがある。
私はロマネスク彫刻どとか、黒い聖母、黒人彫刻を
思い出した。両者とも、仏像好きには必見のもの。
絵画室では「平治物語絵巻」があったが、このような
第一級品がひっそりと展示されてるのは、ルノワール
の失敗作を持ってきて、大々的に宣伝する、どこかの
愚かな美術館とはえらい違いだろう。