877 :
852:
10月22日夕方、私は品川にいた。最近知り合いになった担当者が「超VIPイベント」に招待をしてくれたからだ。
往復交通費+宿泊費+ランチを食べながら絵を鑑賞するという豪華なイベントで、紹介された絵もJAEや普通の展示会では目にする機会のないレアなものが多かった。
「楽しみましょう」と誘ってくれた担当者の人柄を信用し、また買う気0な私は無料で東京へ行けるという軽い気持ちと、自分が選ばれた人間であるという優越感にひたっていた。
ついた日は特に制限もなかったので、新高輪プリンスホテルにチェックインし、滅多に会えない関東圏に住む友達と会い、夕食と歓談を楽しみながら、今の自分には分不相応なホテルの快適さに驚き、喜びながらも22日を終えた。
23日朝、豪華な和な朝食を摂ったあと、持ってきたスーツを着て会場である品川プリンスホテルへ向かった。
1年足らずだったが在東経験もある私だが品川プリンスホテルの内部の複雑さに会場まで辿り着くのに迷ってしまったが何とか時間までに会場に入ることが出来た。
中には大きなテーブルが10近くあり、その周りを9〜12個の椅子が置かれ、壁には普段目にする機会のない絵が展示されてあり、中には日本画もあり明らかにいつもの展示会とはその雰囲気が異なっていた。
担当者と合流した私は挨拶を交わし、絵をざっと鑑賞した後テーブルにつきシェフが「絵に負けない素敵な料理」と説明してくれた次々と運ばれてくる、
なかなか口にする機会のない料理に舌鼓を打ちながら、ステージに置かれた布がかけられたイーゼルの中身が次々と見られるショー形式の発表に拍手と歓声を上げながら目だけではなくお腹も楽しむ事が出来た。
食事も終わり、それぞれがお目当てとする作家の絵の場所へ三々五々散りながら招待してくれた担当者と共に「ビジネス」の話になった。
878 :
852:2005/11/12(土) 13:47:06
会場でその作家の絵が好きなのは私だけだったらしく、同好の士を得るのが目的の一つだった私はがっかりしたが、後に考えると販売戦略上個別に切り分けられたのかもしれない。
ここからが凄かった。その作家の絵の中でも私が1,2を争うほど好きな絵があるのだが、初期作品で販売している数が少ないという事で、アールビバン価格では100万を越えていた。
今の私に買えるだけの余力はもちろんない。連れて来た担当者がその事を分からないはずはないのだが、やはりタダ飯は高くつくことになる。
ここで知った60回ローンとマニュアル化されている売り口上を延々と聞かされるハメに。
何よりも購買力が純粋にないので、どんなに長期でローンを組まされようが払えないものは払えないので、買わされることはないと高をくくっていたが、かなり甘かった。
しまいには本部責任者の1人だかを連れてきて、延々と下手な売り文句を聞かされることに。
有名なお金に関する本の信者である私は、「資産」と「負債」の区別をよく理解できているし、無意味やたらにローンを組むのは好きではないので(負債創っても仕方ないでしょ)、
「若い時は借金があって当たり前なんです」とか力説してくる人に相槌を打ちながらも『だからこんなところでいつまでも働いているんだな。金銭管理能力がない人なんだな』と思っていた。
終いには何が何でもローンを組ませたいというのが如実に言動に見え始め、勝手に定価120万だという絵を92万に割引してくれてローン計算したり、高すぎると言うと
2番目に気に入った(強いて・・・と言って選んださほど気に入ってもいない)絵でも58万の定価が42万にまで割引で5年ローン。
その「超VIPなイベント」から帰宅してネットで検索して初めて相場や会社の悪評を知ったのでそんなに阿漕な商売をしているという知識がなかったのだが、なんとなく怪しいと思うようにはなった。
結局開放されたのは帰りの飛行機(最終便)離陸1時間前というありえない時間。何度も時計を気にしていたのだが、ギリギリまで「拘束」されてしまったのだ。
帰りのエレベーターのドアが閉まると扉の向こうでは責任者はきっと舌打をしていただろう。「クズ客」が何も買わないで帰ったのだから(苦笑)
879 :
852:2005/11/12(土) 13:49:00
こっちは飛行機に乗り遅れるか否かの瀬戸際だから走って走って走った。親に頼まれた土産も買うことができないんじゃないかというくらい。日曜の最終便であり、席は満席。
飛行機までバス移動ということもあり、直接の原因である乗り遅れた乗客の1人にはならなかったものの、飛行機は定刻には離陸できず、飛行場の都合で定刻より30分近く羽田に拘束されて離陸した。
時間ギリギリまで引き止められたので、無料で連れてきてもらった恩も忘れて帰りはかなり嫌な気分になっていた。
帰宅後、絵の相場を知り愕然とし、ここの書き込みを見て呆然となった。それまでその原画家さんの画集は10冊近く購入し、気に入った絵は額に入れて飾ったりしていた。
いつかは原画を・・・という気持ちは急激に失せ、それとともに画集やポスターを額に入れたもので満足できている自分を再認識した。
よほどのことがない限りアールビバンで原画を購入する事はないだろう。海外の画家さんなので、これだけ中間マージンを取られているのならメールで大変だけどその国の言葉で現状を訴えて、
アールビバン定価の1/3くらい払っても直接その原画家さんの収入というか売上になって欲しい。
アールビバンのピンハネがあくどいことをその原画家さんが知らないだけであると・・・信じたい。
振り返れば高校生の時のラッセンからなので10年近くなるが、実態を知って頭から冷水をぶっかけられた気分だった。ここで指摘されている通り絵を見る目がないのかもしれない。
昔と違って今はインターネットが普及して相場価格や情報が飛び交うようになった。
良い意味でも悪い意味でも事実が書かれてあるので、そうだったんだ・・・と裏切られたような社会の裏側を知ったようななんとなく悲しい気持ちになった。
仕事であり、利益を生み出さなければならないのは企業として当然なのはわかるけど、あからさまにピンハネ率が高い商売だと良い気分にはならない。額が額だけに余計だ。
880 :
852:2005/11/12(土) 13:50:34
簡単にローン、ローン言うけど、自分のような社会的には「低所得者層」にいる人間がどんな思いで働き月の生活費を得てそれをやりくりしているか・・・1日数百円だって負債は負債だし負担は大きい。
自分がバカだっただけなのかもしれないけど。後日談ですが、私が1,2を争うほど欲しいと思っていた原画がヤフオクに出品されたのでウォッチリストに入れて見てました。
最終落札価格が7万前後で、アールビバン定価120万の実に1/17・・・_| ̄|○
その他売りに出されている絵も、実勢価格はアールビバン定価の1/5〜1/10以下である事を知り愕然。
売上が減ってきているのはこういう事情なんだろうなと。そして数字を上げるために、わざわざこんな「超VIPイベント」を開催して、招待者の優越感や虚栄心を煽りたて「あなたは選ばれた人なんだ」と錯覚を抱かせて、ある種の催眠商法的に60回ローンを組ませる。
自腹で支払うよりも大きな負債を市場価格1/5以下の絵と共に抱える事になる。会社の状態が良くないのに今回の株主優待は、正直会社として危険域に入りかけているように感じます。
冗談抜きで優待で行ったホテルで絵を買うまでは帰さない的な販売が行われそうで怖いです。
一番不愉快なのは、こうした経験をしてしまった人が絵や美術そのものに対しても悪感情を抱いてしまう危惧がある事。絵に罪はない。こういう「商売」をしている人間に罪があるのであって、絵や美術は何も悪くない。
バブル期のソレみたく、販売元が言うありもしない「プレミア」がつくある種の投機目的で購入する人もいるのかな・・・
こんな事をしているから日本は芸術に関するレベルが低い国になってしまうのではないかなと悲しくなる。経済大国が笑ってしまう。
こんなお粗末な文化しか持っていないなんて・・・こと芸術・文化に関しては欧州が秀でている印象を受けるけど、向こうはそういうシステムがしっかりしていて、国民も意識が高いのではないかな。
881 :
852:2005/11/12(土) 13:51:03
自身も株式投資を始めるなど、経済的側面は持ち合わせているけど絵とかそういうもので利益を得たいとかは思わない。
勝手な思い込みだけど『優れた芸術作品は多くの人に見てもらうのが1番』だから。
会社にも絵にも投資する時はよく知ってからのほうがいいかもね。知った上で納得して投資して損してもそれはその人が取ったリスクだしね。
絵に悪感情を持つ人が増えないことを祈ります。
長文カキコ、スマソ。