ミケランジェロってどうよ

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242goatsong ◆wMZJLQCE9E
>>237
>美術史はあくまで「人類の歴史文化の一端としての芸術」という学問
>なので

一種の媒材や技法の知識も、美術史ではカナーリ重要ですよ・・ ま、私
もこちらにはさして興味が湧かないのですが・・ 媒材によって、表現が
変わるということ(例えば、展色剤の改良によって、バロック期の厚塗
りは生まれる。この媒剤の粘度の問題なくして、印象派の表現は語れ
ないでせう)の他に、鑑定や修復の面がありますね。近年の美術史は
非常に多様化してしまっていますが、西欧の近代美術史は、まず鑑定
から始まりました。現在でも鑑定は、美術史の重要な一部門であって、
記述美術史の基礎をなしているものです。

制作年代がわからなきゃ、そもそも様式論は成り立ちませんね。

私が現在お勉強中の時代では、フレスコの成分というのが、非常に問
題になっていて、これによって、どのスクール周辺で、何時頃フレスコ
がイタリアで復活したか等等が論じられます。鉛白が黒塩(? black
salts)に変色してどうのこうの、これによって、彼はこうこうこうであった
と推論され云云。

技法はしばしば、作家の思想とも結びつきます。レオナルドの陰影が
なぜ色相を変えず、黒と白を混ぜるだけで、表現されているのか、こ
れはレオナルド自身の世界観と結びつい居ています。逆に、ミケラン
ジェロによって完成されたところの cangiante ですね、これも恐らくは
ミケランジェロ自身やマニエリストの世界観・藝術観と密に関係してい
るでしょう。
243goatsong ◆wMZJLQCE9E :02/11/30 22:11

ただ、私は美紀さんの気持ちも何となくわかります。私自身は、美術
作品そのもの=一枚の油絵が好きなわけではなく、むしろ十枚の油
絵を並べて浮かんでくる、「魂の状態」=精神史に頗る興味をそそら
れます。これは美術が好きというより、人文科学としての美術史が好
き、ということでしょう。だから、一枚の実物の前に何時間も立ってい
るより、何十枚の複製を、活字を読みながら見ているの方が、私に
は楽しいですね。