>>237 >美術史はあくまで「人類の歴史文化の一端としての芸術」という学問
>なので
一種の媒材や技法の知識も、美術史ではカナーリ重要ですよ・・ ま、私
もこちらにはさして興味が湧かないのですが・・ 媒材によって、表現が
変わるということ(例えば、展色剤の改良によって、バロック期の厚塗
りは生まれる。この媒剤の粘度の問題なくして、印象派の表現は語れ
ないでせう)の他に、鑑定や修復の面がありますね。近年の美術史は
非常に多様化してしまっていますが、西欧の近代美術史は、まず鑑定
から始まりました。現在でも鑑定は、美術史の重要な一部門であって、
記述美術史の基礎をなしているものです。
制作年代がわからなきゃ、そもそも様式論は成り立ちませんね。
私が現在お勉強中の時代では、フレスコの成分というのが、非常に問
題になっていて、これによって、どのスクール周辺で、何時頃フレスコ
がイタリアで復活したか等等が論じられます。鉛白が黒塩(? black
salts)に変色してどうのこうの、これによって、彼はこうこうこうであった
と推論され云云。
技法はしばしば、作家の思想とも結びつきます。レオナルドの陰影が
なぜ色相を変えず、黒と白を混ぜるだけで、表現されているのか、こ
れはレオナルド自身の世界観と結びつい居ています。逆に、ミケラン
ジェロによって完成されたところの cangiante ですね、これも恐らくは
ミケランジェロ自身やマニエリストの世界観・藝術観と密に関係してい
るでしょう。