ギャルゲー板SSスレッド Chapter-3

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74前編
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 あれれ? 光と華澄さんだ……。
 何故こんなところに? 誰かと待ち合わせかな?
 どうしよう……今日、水無月さんとデートなのに……。
 もうそろそろ約束の時間だが、水無月さんの姿はない。
 見つかるとまずいよな、ここは……。
 俺は振り向き、その場から立ち去ろうとする。
「あっ!!」
 光の大声に、思わずビクッとして歩みを止めた。
 俺はゆっくりと振り返る。
 光も華澄さんもベンチから立ち上がっている。
「や、やあ、光に華澄さん。どうしたんだい?」
 二人はこっちに向かって歩いて来る。
「何言ってるの? 自分からって呼び出しておいて……」
「私も呼び出されたんだよ! どういうこと?」
 華澄さんと光が俺に詰め寄る。
「えっ!? 何のこと?」
「とぼける気? 下駄箱に手紙を入れたでしょ?」
 と、華澄さん。
「私の下駄箱にも入ってたよ、手紙……」
 光も華澄さんの言葉に頷きながら答える。
 もちろん、俺にそんな憶えはない。
「私を取るか光ちゃんを取るか、ここではっきりさせる気なのね?」
「か、華澄さん……。ねえ、そうなの?」
 二人が俺をじっと見つめる。
 はっ! これはもしかして、水無月さんの……。
 どど、どうしよう。
75後編:2001/08/24(金) 12:12
「どっち!!」
 光と華澄さんの声が重なる。
「あっち!」
 俺は思わずそう答え、出入口へ向けて駆け出す。
「ああっ、逃げた!」
「待ちなさい!」
 後ろから光と華澄さんの叫び声が聞こえる。
 走りながら後ろを振り向くと、光も華澄さんも走って追いかけてくる。
 俺はどうしたら……。
 とりあえず、この場から逃げたかった。
 出入口から出たところで、もう一度振り返る。
 光はすぐそこ、華澄さんは少し遅れているが追ってきている。
 このままじゃ、光に追いつかれる――さすが陸上部! って関心してる場合じゃないな。
「ちょっと止まって、お願い!」
 光の悲痛な叫び。
 止まれと言われて、止まる馬鹿はいない。
 俺が視線を前に戻したとき、その視界には……。
 えっ!? トラック!?
 次の瞬間、俺の体は宙に浮いた。
 地面に落ちるまでが、凄く長く感じられた。
 その時間の中で、俺は考えていた――いったい誰が好きなのか……。
  <次のゲームに続く>