2ちゃんねる陽ノ下光ファンクラブ〜その6〜

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600ときめき2怪談・前編
「ねえ、明日、君の誕生日だよね?」
とある学校の一日の風景。俺と光は廊下を一緒に歩いていた。
「えっ?ああ…そうだけど?」
「じゃあさ、私の家に来ない?君の誕生パーティやろうよ!」
「えっ…光の家で?いいのか?」
「うん。君と2人で…いいかな?」
「あ、ああ…勿論だよ。」
光がこんな事言ってくるなんてちょっと意外だな。もしかして光の奴…いや、まさかな…
なんて事を思いつつも、俺はやはり少し嬉しかった様な気がする。
「良かったあ。ちょっと内心ドキドキしてたんだ。1度、君と一緒にこういうのやりたくて…」
嬉しそうな光の顔。
しかし、これがまさかあの恐ろしい出来事の序章となる事を知るには、俺は余りにも幼すぎた…


パーティは光と2人で、慎ましやかではあるが楽しく過ごした。
アルバムを見て思い出を懐かしんだり、他愛も無い話をしたり…
光との時間は、俺に言い様も無いあたたかな心の拠り所を与えた。
しかし、至福の時間にも終わりはやって来る。

「おっ、もうこんな時間か。いい加減帰らないと叱られるな」
「もう10時半かあ…ごめんね。こんな遅くまで」
「いいって。凄く楽しかったし。光、ありがとうな」
「ううん。私も…私も楽しかったよ。バイバイ…」

心なしか、光が名残惜しそうにしている様に見えたが、夜も遅いので俺は帰ることにした。
しかし、しばらく歩いた時、俺は光の家に携帯電話を置き忘れてきた事に気付いた。
「…戻るか」
早足で光の家へと戻る。
すぐ前まで来た時、俺が見たものは…
601ときめき2怪談・後編:2001/08/16(木) 02:20
…家は真っ暗だった。
多少の違和感を感じつつも、きっと光も家族の人ももう寝てしまったのだろうと思い、
悪いとは思ったが入る事にした。

明かりの付いている所は全く無く、家の中はまさしく漆黒の闇だった。
電気をつけようとも思ったが、起こしてしまっては失礼だろうと感じ、そのままにして
俺は携帯電話を取りに光の部屋へ。
暗闇と静けさがどこか無気味であったが、俺は目を凝らして携帯電話を探す。
とその時、俺は光の足につまずきそうになりよろめいた。
「あっ、光…ごめん…(でも、床で寝ちゃうなんて光疲れてたのかな)」
一応小声で謝り、再び探索を再開する俺。
…と、やっと自分の携帯電話を見つけ、家を後にした。

今にして思えば、どうしてあの時鍵がかけられずすんなり扉が開いた事に気付かなかったのだろう。
そして、あの異様な匂いと気配に無自覚だったのだろう。
何より、あのまま帰ってしまった自分はどうにかしていたのだ…


翌日。
光の家に着て見ると、警察が来ていた。
「こ、これは…!何があったんですか!」
「殺人事件だよ。昨日の夜、この家に何者かが押し入り、家族全員皆殺しさ…酷い事するねぇ…」
「そ、そんな…そんな馬鹿な!嘘だ!嘘だろ…」
…その時俺には、おぞましくもあの時の事が全て理解できた。
あの時…携帯電話を取りに行った時、既に光は殺されていたのだ。あのつまづいた足は光のものではなく、
家族全員を殺した後、息を潜め、俺が出て行くのをじっと待っていた犯人のものだったのだ…

「あ、そうそうこれ…何か分かるかい?」
1人の警察官が1枚の紙切れが差し出された。
それは、俺宛てへの光のバースディカードだった。
開けてみると、そこには真っ赤な血文字でこう書かれていたのだ…



「あの時、電気をつけなくて良かったね」