「カメラ」
「グラサン」
「ピッチ」
志保「まるで抜き打ち持ち物検査で
身ぐるみ剥がされましたってあんばいね〜。
もうオッケー?」
リアン「すみません…。
マイクと…………紙の花飾りを…………」
志保「いくら超凶萌少女とはいえ
その子、店主さんから離れられないってんで骨董屋さんの家の中でしょ?
それに忘れてもらっちゃ困るわね。
この志保ちゃんは東鳩のスーパーヒロインよん?」
リアンは懐から一枚の写真を取り出す。
リアン「これは3ヶ月前
姉さんに会いに来たお客さんです」
写真を一目、志保の顔に驚愕の色が浮かぶ。
そこには、信じられないくらい萌え萌えな顔をして
氏んでいる、女子高校生が写っていた。
リアン「物色中、いきなり店内に現れた柏木梓さんに
その人は近付きました。
もちろんディスプレイ越しに。
健太郎さんが大声で注意したときには
ねえさんのゲームは終了していました。
梓さんの正体はたまたま遊びに来ていた、
胸に詰め物をした結花さん」
「『猪名川でいこう!』内のデモエディションから
結花さんにわし掴みにされている
萌え画像一閃。
ごらんのありさまです」
「起動用のパソコンは
マニア用に陳列しているMSXを魔法で加工して
バイオの最新型にしたんです」
ゴクリ……ッと、喉を鳴らす志保。
志保「ま……全くしょうがないわね〜。
マイクだったかしら。
せっかくだから、ウォーターガンなんかも置いてっちゃったりして〜」
リアン「と言うより当然の準備ですね」
志保を連れ、町の通りを案内するリアン。
リアン「もう十分おわかりでしょうけど
ディスプレイには決して近付かないでください。
会話は全て健太郎さんとのやりとりに終始すること。
ねえさんからの食事や遊びの催促は当然黙殺です」
リアン「奥の左側です。
会話中は決して壁から離れないでください。
ちなみに東鳩のスーパーヒロインのことは忘れて下さい。
さっきのお客さんは、
全葉のレズリングチャンピオンだったそうです」
志保は滝のような脂汗を流しながら
おそるおそる、左側を覗き込みつつ歩いていく。
その歩が、止まる。
ルーズソックスが両方ともずり落ちた。
志保は完全に虚をつかれ、困惑している。
何故なら、ディスプレイ越しに伺える雑然とした店内には―――
リアン「長岡さん、なにか……」
志保「いない…」
リアン「そッ………
そんなァァァッッ」
その時、彼女たちの頭上、空の一角で
「キラ…」と光るものがあった。
それは、超高速で志保めがけて飛来するスフィー!
ゲーム冒頭、衝撃の出会いに巻き込まれ
あっさり氏ぬ志保(藁
リアン「ねえさーんッ」
それはそれとして、自分の腕輪を外すスフィー。
リアン「ねえさーんッ」
カラーン!音を立てて腕輪が地に落ちる。
リアン「あ…あう」
猫寄せドラを力一杯叩くリアン。
リィィィィィィィィィィィィィィン!!
凄まじい音が辺り一帯に響き渡る。
スフィー「リアンッ、お世話になったねッ
あたしはたった今から有明に向かうよッ」
リアン「うそ…………
ここは……」
リィィィィィィィィィィィィィィン!!
スフィー「わかるかなリアンッ、
あたしはねッッ
萌え去りたいんだよッッ」
リアン「ここは…」
リアン「在庫200トンなのに!!!」
リーフ伊丹 五月雨堂管轄
レベル5※ 誰彼在庫保管所
※リーフでは売上げの悪さにより
用意される倉庫に段階がある。
数字のレベルが大きくなるほど在庫が多い。
倉庫役員「スフィーが店外に出たぞ!」
「魔力供給用の腕輪をうち捨ててッッ」
「二階に氏亡したした健太郎さんがッッ」
「ああ〜〜チャンネル争いでマジカルサンダーくらった後だ……」
「倉庫の突破は不可能だッッ」
「必死に整頓して1ヶ月はかかるッッ」
「そんなことをしたら1週間でバタンキュ〜だッ」
「とにかく東京の開発室へすぐ連絡しろッッ」
残念だったねみんな……
あたしはみんなに教えていないことがまだまだある
例えば……
1ヶ月の無HC(ホットケーキ)労働が出来ること――――
在庫の山を片付けきり、今や東京入りを果たして一人くつろぐスフィー。
足下にはあっさり萌え尽きた、アルルゥ・エルルゥ・ユズハら
「うたわれるもの」面々の姿が。
スフィー「ふ〜♪」