301 :
SS職人候補生補欠予備:
それはとてもいけないことだと 誰か教えて
望んではいけないことだと 誰か聞かせて
それは転校を皆に告げて、明日にはこの町を離れなければならない
三月のまだ寒い夜の事だった。
がらんとした部屋の数少ない自分の痕跡である愛用のベッドに寝転びながら
俺はぼんやりと天井を眺めていた。
「ふぅ…」
もう何度目か分からないため息が漏れる。俺の心の中はこの部屋と同じで
がらんどうだった。
目を閉じると鮮明に蘇るのは、走り去るあの悲しげな後姿。
どうして追いかけなかったんだろう。
俺の空虚な夢想はノックの音で中断された。
「君子?」
「お兄ちゃん、ちょっといい?」
「ああ…」
ベッドに横になったまま返事する。
控えめに入ってきた君子はパジャマに着替えて自分の枕を抱えていた。
風呂上りらしく、栗色がかった髪が少し湿っぽくシャンプーの香りを漂わせていた。
「えへへ…部屋の暖房が調子悪くて寒いから…」
ベッドにちょこんとこしかけてから照れくさそうに切り出してきた。
「一緒に…寝ていい?」
「…俺は別に構わないけど、狭いぞ?」
君子の表情がぱぁっと明るくなる。
「うん、私も構わないよ」
言うが早いか、君子は俺の隣にもぞもぞと入り込んできた。
「えへへー。あったかいねお兄ちゃん」
掛け布団の中で向かい合う君子はすごく嬉しそうに笑っている。
「ね、手…繋いでいい?」
「いいけど、何だか今日のお前変だぞ?」
君子は答えずに俺の手をそっと握る。冷たくて小さな君子の手。こんなに
小さかったんだ…。
「お兄ちゃんの手、あったかくて気持ちいい」
「君子の手はひんやりして気持ちいい」
「二人で気持ちいいと、幸せだね」
「そうだな…」
互いに瞳を覗き込む。
「…明日には、みんなとお別れなんだね…」
「…そうだな。明日の終業式が終わったら…」
小さくて冷たい手にきゅっと力が入る。
「…やだぁ…。みんなと、お別れしたくないよぉ…!」
押し殺して泣く君子。俺は君子の頭をそっと抱いてやった。
「…そうだな…」
胸の中は俺も同じだった。
302 :
SS職人候補生補欠予備:2001/06/15(金) 16:21
おとぎの世界は 息が詰まるほど 甘く絡みつくでしょう
夢を見たいなら 目を閉じればいい ウソでもかまわないから
「お兄ちゃん、結婚式ごっこしようよ」
一しきり泣いてすっきりしたのか、君子は俺に奇妙な提案をしてきた。
「何でまた?」
「何でもいいの!ね、しようよぉ」
「…俺は構わないけど」
「やった!じゃあ、ちょっと準備してくるね!」
君子はすごく嬉しそうにはしゃぎながら部屋を出て行った。
何の目的があるんだろう。いや、どうして急にそんなことをしようと思いついたんだろう。
少しして君子はアロマキャンドルを持ってきた。
「へへ、ろうそくの代わり」
部屋の電気を消して机の上のアロマキャンドルに火をともす。部屋の中がいい匂いで満たされていく。
「それじゃあ…。新郎お兄ちゃん、あなたはどんな時も君子を愛すと誓いますか?」
「はい、誓います」
俺は何の気もなしに答えた。
「新婦君子、あなたはお兄ちゃんを永遠の伴侶として生涯添い遂げる事を誓いますか?」え?
「誓います」
どくん…と心臓が大きく一回脈打って背中にひやりとした感触が舞い降りた。
「それじゃあ、指輪の交換は省略して誓いのキスを」
俺と君子はろうそくの明かりの中向き合った。
おいおい、俺はどうすればいいんだよ!?まさか君子にキスする訳にはいかないだろう!「…どうしたのお兄ちゃん?早く誓いのキスをしてよぉ」
目を閉じて待っていた君子が焦れて急かしてきた。
「あ、ああ…」
ま、ほっぺにチュッとすればいいんだろう。俺はそう簡単に考えながら君子の肩を抱いて目を閉じる君子の顔へ唇を近づけていった。
「!?」
その瞬間に起こった事を理解するには少し時間がかかった。
君子の方から顔を近づけてきて俺の唇にキスしてきた。そのまま二人の時間が止まってしまったようだった。
303 :
SS職人候補生補欠予備:2001/06/15(金) 16:22
胸の奥 深く埋めたのに ばらいろが騒ぐ
治らない傷はないなんてウソばかり
永いキスを終わらせたのは君子だった。
「えへへ、初めてのキッス」
君子は満面の笑顔ですごく嬉しそうにしていた。
「けど、レモンの味じゃなかったね」
「…おい、お前何したかわかってるのか?」
何だかすごくいけないことをしてしまったような気がする。全身の血がさぁーっと引いていくのが分かる。
「…初めてのキスは、絶対お兄ちゃんとって、決めてたんだから…」
「…!」
何を言っていいのか、頭の中がぐちゃぐちゃになって言葉が出てこなかった。
「それじゃあお兄ちゃん、君子を幸せにしてね」
何か重要な事を言われている気がする。すごく深い意味が込められている気がする。
引き返すなら、間違いなく今しかない。
「ちょっと待て君子、お前…」
「お兄ちゃんは私の事嫌い?」
さっきまでとは打って変わった真剣な表情の君子。
「私はお兄ちゃんが大好きだよ。世界で一番大好きだよ!妹としても、女の子としても」顔面をハンマーで殴られたような衝撃。
「だって、俺たちは…」
確かに君子はかわいい。自慢したい位の妹だ。けど、それは…!
「私は、お兄ちゃんさえよければ構わないよ」
君子の一言一言が俺の何かを壊していく。
君子を誰にも渡したくないという気持ちも確かにある。しかしそれは俺の幼稚な我侭だ。君子と離れたくない。そんな一方的な我侭で君子を縛り付けるのはよくない。
「私は、お兄ちゃんのお嫁さんだから」
パジャマの上着のボタンをゆっくりと一つずつ外していく。
「待て君子」
俺は君子の手をばっと抑えた。
「お前何をしてるのか、分かってやってるのか!?」
君子は無言で肯いた。
「言ったでしょ、私はお兄ちゃんを永遠の伴侶として一生添い遂げるって」
君子の瞳に涙が浮かぶ。
「香坂先輩も…早苗も…波多野さんも、かすみちゃんも、みんないなくなっちゃう…。そんなの嫌だよぉ…!もう、誰ともお別れしたくないよぉ…!」
君子が俺の胸に飛び込んできた。
「お兄ちゃん…お兄ちゃん…!」
声を上げて弱々しく泣く君子。こんなに小さくて弱い、俺の妹―。
「…本当に、いいんだな?」
大事な何かが壊れた。
304 :
SS職人候補生補欠予備:2001/06/15(金) 16:23
それでも私は たった一つだけ どうしても欲しかった
かろうじてお互いの顔が見える程の闇の中。ベッドの上で君子は下着姿で横たわっていた。よく見ると少し震えている。
「無理するなよ、怖いんじゃないか?」
「ううん、平気だよ」
俺は君子に覆い被さるようにキスをした。唇を重ねるだけの幼いキス。けど爆発しそうな程刺激的なキス。
キスをしながら君子の小さな胸をブラの上からゆっくりと優しく、撫でるように揉んでやる。
「ん…」
鼻にかかった声がすごく可愛かった。
そのままブラを外し、直に肌に触る。
「ん…んふ…」
とろっとした表情の君子。こんな表情の妹を見る事になるとは、数十分前までは考えもしなかった。
小ぶりな胸を愛撫しながら、下着の上からあそこを擦ってやる。
「あ…んん…ッ」
俺の背中に手を廻して必死につかまってくる。俺は下着に中に手を入れて丹念に君子の幼いあそこを愛撫した。
「お兄ちゃん…お兄ちゃん…」
とくん、と愛液が溢れてくる。
「俺の指で感じてるのか?」
「うん…お兄ちゃんの指、思っていたよりも優しくてきもちいい…」
「君子のあそこも、あったかくてぬるぬるですごい気持ちいい…」
「私ね、ときどきお兄ちゃんの事考えて、エッチな事してたんだよ」
「…実は俺も、君子の事考えてエッチな事いっぱいした」
「私たち、ずっと前から両想いだったんだね」
「…そうだな」
君子は肩で大きく息をしている。震えはもうなかった。
「お兄ちゃん…私もお兄ちゃんを気持ちよくしてあげたい」
「…それじゃ、お願いしようかな」
「ん…、んふぅ…、ふぅ…、ふぅ…、んん…」
君子は俺の固くなった棒を必死に口に含んで愛撫してくれる。俺は君子の下になって、ぬるぬるになった君子のつるつるのあそこを舌と指で愛撫した。
「無理するなよ君子。嫌になったらすぐ止めていいんだから」
「大丈夫…。お兄ちゃんは、きもちいい?」
「うん、すっげえ気持ちいい」
「んふ…嬉しい…」
君子は一生懸命俺の棒を舐めてくれる。仕草の一つ一つがぎこちないが、初々しくてとてもいとおしかった。
君子のあそこがひくひくとなってきた。
「大丈夫か君子、そろそろ…」
「ん…うふぅ…」
俺の爆発寸前の棒を口に含みながら肯いた。
305 :
SS職人候補生補欠予備:2001/06/15(金) 16:23
聞き分けのない この心と体
深く刻みつけて 刻みつけて
「本当にいいんだな」
「うん。後悔しない」
お尻の下にバスタオルを敷いて君子が待っている。
ごくっと唾とも空気ともつかないものを飲み込んで、俺は君子にキスしながら狭い入り口に固い欲棒をあてがった。
「いくぞ」
「うん。お願いします。優しくしてね」
ぐっと腰に力を入れて君子の中に入っていく。
「い…!」
思わず君子は俺の肩に爪を立てる。
「ごめん、痛かったか」
「ううん、いいの。一気に、入ってきて」
「…下っ腹の力を抜いて、入ってくるタイミングに合わせて息を吐き出してみろ。少しは楽になると思うから」
「うん…」
二人でタイミングを合わせてから、俺は君子の中を進んでいく。最後の一線を、みちみちと越えていく。
「う…!ん…!お願い、もう少しゆっくり、優しく…ッ!」
涙声で痛々しく哀願してくる。俺は君子の言うとおりにする。
「…大丈夫か、全部入ったぞ」
「…うん…グスッ。ごめんなさい、わがまま言って…」
「ううん、そんな事ない」
俺も君子と愛し合う事を心のどこかで望んでいたから。兄妹であるという以上に、俺と君子は男と女だったのかもしれない。
「…動くぞ?」
「はい…。お願いします…」
「優しくするけど、痛かったらすぐに言うんだぞ」
君子が痛がらないように、俺はゆっくりと腰を動かした。
「あ…!う…!う…!ん…!あ…!」
「痛くないか、君子?」
「ううん…私の中でお兄ちゃんが動いてて、嬉しいの…」
俺の下で、腕の中で、息を荒くして俺を感じてくれる君子。小さくて、弱くて、愛らしくて、愛しい、俺の妹。
「君子…君子…君子…!」
「お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん…!」
そして俺は、君子の中に熱い想いを注ぎ込んだ。
寂しかっただけだったのかみ知れない。
人との繋がりが、温もりが欲しかっただけだったのかも知れない。
けど俺は自分の気持ちに気づいたから。
「…俺さ、夢があるんだ」
「ん?」
「高校卒業したらさ、お前とかすみの三人で部屋借りて一緒に暮らすの。ずっと、三人で」
「ケッコンとかしないの?」
「いいじゃん結婚なんて。大事なのはお互いを想う気持ちだろ?」
「…うん!」