はじめから
つづきから
<ずっと前から>
君子ノート
アルバム
オプション
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かすみの親もおれの親も、夜遅く帰ってくる事が多い。小さな頃から
かすみと君子と三人で夕食を取ることは珍しいことではなかった。
その日がいつもと違ったのは、臨海学校の為に君子がいなかった事だ。
両親がいない食卓には慣れていたが、二人だけの食卓は、なぜだか妙に
気まずかった。
夕食を終えると、ソファーに座ってぼんやりとテレビを眺めていた。
かすみの匂いが微かにするソファーが、なにかいつもと違う気がした。
「ねぇ、隣、座ってもいい?」
食器を片づけ終わったかすみが後ろにいた。おれが軽くうなずくと、
制服の上から着ていたエプロンをはずし、スカートの裾を押さえながら
ぎこちなくおれの隣に腰を下ろす。
「チャンネルかえても良い?」
無言のおれの態度を肯定と見たのか、リモコンを取るとザッピングを
始める。
<ねぇキスして>
少女タレントのぎこちない台詞が流れる。一瞬、かすみの動作が止ま
るが、それがバラエティ番組とわかると、またチャンネルを変えていく。
「どれもおもしろくないね。」
結局最初のチャンネルに戻し、気まずい沈黙が訪れた。
「あのね、この間……」
沈黙に耐えかねたのか、かすみがこちらを向いて話し出す。何を緊張
しているのか、エプロンを強く握っているかすみの手が目の隅に写った。
「この間、男子と女子が別々に授業を受けたじゃない? あのときね、
わたしたち、保健体育の特別授業だったんだ。」
かすみはおれの返事を待っているようだった。何も答えないでいると
話を終わらせるように、何かをあきらめたように、小さくつぶやいた。
「もう、みんな、そんなこと知ってるのにね……」
「そんなことって、どんなことなんだ?」
おれが不意に言葉をかけると、かすみがびっくりしたような顔をした。
「え? どんなことって…… その、えっと、愛し合う男女が、その……
どんなことをするか、とか……」
少し顔を赤らめながら、しどろもどろになる。その割に、その顔には
どこかうれしそうな表情を浮かべている。
「あとは…… か、からだのつくりが、どうなってるのかとか……」
「どうなってるの?」
おれが少し体を近づけると、反射的にかすみの体が逃げようとする。
かすみの手がリモコンに触れ、チャンネルが切り替わる。
<ちょっと、だ、だめ、まだ……>
画面はいつか見た洋画に変わっており、仕事に追われる女性の台詞が
流れてきた。そんな関係のないシーンの台詞も、かすみの耳には刺激が
強すぎたのか、あわててテレビの電源を消した。
「ははは、そんなにあわてなくても。ごめん、ちょっと意地悪しすぎた。」
かすみがリモコンを握りしめたまま、きょとんとした顔をしたあと、
ちょっとすねた顔をした。
「もー、いつもそうなんだから。」
「ごめんごめん。かすみって、なんて言うかさ、からかいたくなる時が
あるんだよ。ほら機嫌直してよ。」
「もう、しらない。」
顔いっぱいに笑顔を浮かべながら、かすみが再びテレビのスイッチを
入れる。
<あぁっ ん うん ぁぁ>
ハリウット映画の常で、場面は急な展開をしており、今まさに、裸の
男女が絡み合わんとするシーンだった。
かすみもおれもなんとも言えない気まずい雰囲気に沈黙した。
ふいにかすみが、金髪の女優がテレビの中で言った台詞をなぞる。
「ねぇ、わたしの目をちゃんとみて。」
ゆっくりと、かすみがおれの方を見る。かすかにふるえる唇と瞳が、
いまにも泣き出しそうなくらい濡れていた。
<わたしの唇をふさいで>
テレビから聞こえる声と、かすみのふるえる声がだぶって聞こえる。
かすみの顔が近づいてくるのを見ながら、その映画が、いつかかすみと
一緒に見た映画だったことを思い出した。
……っ
長い長いキスを終えると、かすみは目を伏せてテレビを消した。
目を伏せたまま小さく深呼吸をしたかすみが小さくつぶやいた。
「ねぇ、さっきの、つづき…… 教えて欲しい?」
なんのことかわからないでいるおれの顔を見ながら、ゆっくりと立ち
上がったかすみが、スカートのホックをはずした。
かすみは息をのむおれの前で、顔を赤らめながらも、ショーツまでも
脱いでいく。
「女の子の体の話……」
下半身をむき出しにして、テーブルにかすみが座る。片足を立てて、
開いた割れ目に、両手を這わせる。
「これが、大陰唇。これが小陰唇。こ、これが」
声を詰まらせたかすみは、左手で割れ目を一杯に広げながら、右手で
クリトリスの包皮をめくる。
「こ、これが、クリトリス。」
ぴくぴくと体を引きつらせながらも、なおもかすみは手を休めること
なく指を割れ目に這わせ、膣口を探り当てる。
「ここが、ち、膣口。ここにある、しょ、処女膜は、あ、あなたの為に、
大切にしてるの。」
緊張からか興奮からか、かすみの白い肌がピンクに染まっているのが
わかる。割れ目をまさぐるかすみの指が、しみ出した愛液でぬめぬめと
光っている。
「さ、さわってもいいか?」
生唾を飲み込みながらそっと手をのばすとかすみは小さくうなずき、
股を突き出すようにさらに押し広げる。
「わ、わたしは…… く、クリトリスと膣口の間を、お、オナニーで、
よくさわるの。」
言われるままにそこに指を這わせると、恥ずかしいのか、目を閉じた
ままのかすみの顔が、押し殺した嬌声をあげる。ぬらぬらと光るそこに
ゆっくりと顔を近づける。
「そんな、き、きたないよ。」
かすみの静止を無視して、むき出しのクリトリスに、膣口に口づけし、
その間の尿道口を舌先で探る。
「きたなくないよ、かすみだからね。」
軽く絶頂を迎えたのかぴくぴくかすみの体が震えた。
「入れてもいいかい?」
ふいにかすみが急に目を開いて、首を左右に振った。
立ち上がっていぶかしげにかすみの顔をみると、まるで怯えたように、
おれの顔を見る。
「ここじゃ…… 私の部屋じゃ…… だめ?」
おれがうなずいてかすみの腰に手を回そうとすると、その手を止める
ように体の向きを変える。
「おねがい、私の部屋で待ってて。絶対逃げないから。」
そう言い残すと、かすみはあわてて両親の寝室へと、向かって行った。
かすみのスカートとショーツを持ってかすみの部屋に入ると、すぐに
かすみが入ってきた。
「おまたせ」
かすみが手にしていたのは、3脚とビデオカメラだった。肩からは、
重厚そうな一眼レフカメラも下がっていた。
「あの、わ、わたしね、ファーストキスの写真、宝物にしてるの。」
「小学生の時に、おばさんがふざけて取ったやつ?」
「う、うん。だ、だから今度も”初めて”をちゃんと残したいの。」
「写真に撮ったって現像してくれるトコなんかないぞ。」
「え? そうなの? …… でも、いつか出来るかも知れないし……
だめかなぁ」
おれは黙って首を傾げたかすみの手から3脚を受け取ると、ベットが
よく写るようにビデオと一眼レフをセットし、かすみがカバンから取り
出した新しいテープとフィルムを装填する。試しにリモコンで操作して
みると、ビデオもカメラもモータの駆動音をあげて、ピントの自動調節
が行われた。光量調節付の勉強机のライトをベットに向けて、影が強く
出過ぎないようにビデオのファインダーを見ながら調節する。
「じゃぁ、次は?」
「あ、あのね、服を着て、それで、もう一回最初から……」
すべてをセットし、ビデオの撮影が始まったところで、おれは制服の
かすみを横抱きに抱え、ビデオのレンズをじゃましないようにベットに
おろした。かすみに添い寝をするように、ベットにはいると、かすみの
顔に自分の顔を寄せ、かすみの閉じた両のまぶたにキスをする。うれし
そうに笑ったかすみの唇に唇を合わせ、舌を差し込む。一瞬とまどいを
見せたかすみもすぐに舌を絡め、息をするのも忘れるくらいにお互いの
舌をむさぼった。
一瞬かすみがふるえると、背中に回されたかすみの手から力が抜けた。
驚いて口を離すと、ちょっとイっちゃったとかすみがわらった。
自分で制服のリボンをほどき始めるかすみの手を制して、ゆっくりと
制服を、その下のキャミソールをそしてスカートを脱がした。かすみの
手がそっと伸び、手探りでおれのシャツのボタンをはずし始める。もう
一度かすみと唇を合わせながら、トランクスまで脱ぎ捨て全裸になった。
そっと離した唇と唇の間で、唾液が銀糸となって流れた。頬におちた
その残滓をなめ取ると、そこを起点にかすみの体中に唇と舌を這わして
いく。首筋から胸元に向かって唇を進めると、かすみが体を浮かせる。
右手を背中に回すと不思議なほど簡単にホックが外せた。
大きく隆起した胸の先端のピンク色に輝くつぼみを舌先でつつくと、
それに応えて堅く尖ってくる。前歯で軽く甘咬みするとかすみの唇から
思わず声が漏れる。反対側の隆起を右手でやさしくなでると、こちらも
まるでその動きを求めていたかのように硬直してくる。左手で肩口から
脇腹にかけてのラインをやさしくなぞると、かすみはくすぐったそうに
腰を浮かした。そのままヒップラインをなでまわしながら、クレバスに
手を伸ばすと、ショーツの布地を通してすら愛液が手を濡らし、何かを
求めるかのようにかすみの腰が天に向かって突き出された。
唇と右手を胸の突起からはずすと、かすみの口から残念そうな吐息が
一つ漏れたが、唇が脇腹、へそ、そしてもっと深いところに近づくたび、
今度は期待にみちた吐息がこぼれ始める。その間も休むことなく下着の
上からクレバスをなぞっていた左手を腰の後ろへ差し入れ、膝近くまで、
一息にパンティを引き下ろす。生みだされた数条の銀に輝く愛液の糸が、
シーツにこぼれ色を変える。その糸をたどれば深紅に濡れた美しい花が
トクトクとシーツに液体を吐き出している。
かすみが足を動かしてショーツから足を脱ぐと、おれの前にその花を
差し出した。静かに、やさしく、クレバスの間に息づく肉芽に口づけを
する。かすみの口から柔らかな嬌声が漏れる。そろそろと舌をのばして
膣口と肉芽の間を何度も往復するとそのたびにかすみが腰を突き上げる。
指でクリトリスをいじりながら、しばらくそれを繰り返したあと、おも
むろに舌先を菊門まで伸ばす。その感触を予期できなかったのか、短い
叫び声を飲み込むようにして、つま先まで伸ばした足でおれの頭を強く
挟み付ける。かまわずに舌先を付き入れると、スルっとかすみの菊門は
おれの舌を受け入れた。
不意に、全身が波打つように数度痙攣した。かすみの両手が、破れん
ばかりにシーツをきつく握りしめている。その後、脱力し、肩で大きく
息をするかすみの体をやさしく起こし、抱えるようにカメラに向かうと
リモコンを取った。
「ほら、最初のイかされちゃった記念だよ。」
余韻にひったっていたかすみが目をあけて微笑むのと、フラッシュが
たかれたのが同時だった。
「じゃあ、入れようか。」
かすみが回復するまで髪と乳房をなでていた手をかすみの腰に回すと
あぐらをかいた上に座らせる。
「まって、つ、次は、わたしにも…… その…… させて……」
まだ力の入らない体でおれの方に向き直り、首筋に唇を寄せてくる。
「どこでこんな事覚えて来たんだ?」
おれの意地の悪い質問にかすみが唇を微妙に肌に這わせながら答える。
「ごめんね、あなたのいない間に…… あなたの部屋にね…… 何度か
入ってるんだ。」
「なっ、じゃあのベットの下の……」
「……うん。」
かすみの唇がついにおれの股間までたどり着き、ほぼ完全に隆起した
肉棒をまるでアイスキャンディをなめるようになめ始める。手をそっと
かすみの頭にかけ、幼子をあやすように髪をなでると、かすみは微笑ん
で肉棒を口に含む。頬の内側で亀頭をこすりながら舌を竿に絡ませる。
舌先を竿の裏筋に当て、軽く吸い込みながらゆっくりと竿を唇でしごく。
唇でカリ首をきゅっと挟んだまま、先端の尿道口を舌先でチョンチョン
とつつく。
それを何度か繰り返すと射精がおこる前兆の微かなふるえが始まった。
不意にかすみが唇を離し、上目遣いでおれを見上げる。
「ねぇ、写真…… 撮って……」
かすみの髪を撫でながらリモコンを取り上げ、再びペニスをしゃぶり
始めたかすみの横顔をフィルムに収めていく。何回目かのフラッシュが
焚かれたときに、最初の射精が起こった。その瞬間、かすみがペニスの
付け根と、袋と肛門の間の脈動を指で押さえつける。最初の一滴だけが、
かすみの指を押しのけるように亀頭の先端からこぼれたが、残りは奧に
残ったまま、ただ快楽だけがおれの股間を駆け回った。
かすみは口の中にこぼれ落ちた精液をゆっくり味わったあと、尿道を
指でしごいて中に残った液を吸い出す。精液の出ない、奇妙な絶頂感が
通り過ぎると、やっとペニスからかすみが口を離した。
「あの、ね…… の、のこりは、全部、わたしの中に…… ちゃんと、
体温、計ってるし、今日、大丈夫だから……」
「もしかして、おまえ、全部、準備してたのか?」
「……うん」
脈動を終えた今も堅さを失わないそれを軽くなでると、かすみが体を
ゆっくり引き上げ、おれの太股に座る形になる。
「あっ…… これじゃぁ、ビデオに、大事なトコが写らない……」
戸惑って視線をくもらせるかすみの髪をくしゃと撫でると、かすみを
後ろから抱き上げ、あぐらをかいた上に座らせる。
「ほら、こうすれば二人の顔もあそこもちゃんと写るよ。」
かすみが小さくうなずくと、腰を浮かせてペニスの先をバギナに押し
当てる。リモコンのシャッタを押っぱなしにすると、自動的にカメラは
連写モードに入った。焚かれるフラッシュの光がメトロノームのように
リズムを刻み始める。
かすみがゆっくり腰を下ろす。
プツ
フラッシュの音の谷間で、二人は、確かにその音を聞いた。かすみが
首だけで振り返る。どちらともなく舌を伸ばし、互いの顔を引き寄せる
ように唇を重ねた。名残を惜しむように唇を離すと、おれは後ろに体を
投げ出し、かすみが全身の力を抜くように腰を落とす。おれのペニスが
根本までかすみの中に収まった。
「あの音、ビデオに入ってるといいね。」
脱力するようにかすみも体を後ろに投げ出して、おれにささやいた。
おれもかすみに同意した。
カメラからフイルム切れの電子音が響いた。
「ど、どうしよう。まだ使ってないフイルムはあるんだけど……」
「入れたまま、こっちを向けるか?」
かすみがうなずくと、差し貫かれたままのバギナを中心にゆっくりと
こちらを向く。お互いに向き合った形になるとかすみの腰を支え、首に
腕を回すように言う。ゆっくりベットサイドまで移動し、結合を確かめ
ながら立ち上がる。差し込む向きと体重のかかり具合が変わったことで、
互いの恥骨がスリ合うまでに結合が深まった。ペニスの先端が子宮口を
つつき、一歩踏み出す毎にかすみの口から押し殺すような吐息が漏れる。
かすみは落ちないように、抜けそうになる全身の力を何とか振り絞り、
体をさらに密着させる。それによって亀頭の先は子宮口にめり込むかの
ようにさらにかすみの中に潜っていく。
やっとカメラを持ってかすみの勉強机の前でいすに座ると、かすみが
ちょっと残念そうな声をあげる。カメラからフィルムを取り出し、机の
上にあった新しい物と交換する。
「あ…… か、顔のアップも、と、撮らない?」
かすみに促されるまま、カメラを手に取り、目一杯離すと二人の顔が
写るようシャッターを押す。フラッシュが焚かれた瞬間、かすみの膣が
きゅっと締まり、びくびくと震えた。
「写真撮られた時、感じてない?」
かすみの耳にささやくと、かすみが荒い息を吐き出しながら、小さく
うなずいた。
カメラをセットし直し、ベットに戻ったが、かすみはそのままおれに
しがみついていた。おれはと言うと入れたままほとんど動かしていない
と言うのに、歩いたときの振動と、時折震えるかすみの脈動で、今にも
射精する寸前だった。
「あっ…… しゃ、写真にうつるようにしなきゃ。」
放心状態だったかすみがもぞもぞと体を動かすと、おれの腹に背中を
向けて座る形になる。おれも上半身を起こして、後ろからかすみの体を
支える。
「う、うごくね」
かすみがぎこちなく腰を浮かせ、ピストン運動を始めた。
とたんにペニスが前兆を示す。手でかすみの動きを制し、脇から身を
入れてかすみの唇を探った。腰から大きくひねるようになったかすみの
体勢は、ペニスをより一層締め付けた。お互いの舌と舌が相手を求め、
別種の生き物のように動き出す。空いた手でかすみの乳房を揉みしだき、
クリトリスをつまみ上げる。その都度、かすみの体はびくびくと震え、
ペニスの絶頂を催促する。唇をはなし、かすみを抱き直すと、リモコン
を構えて、カメラのシャッターを押す。フラッシュの度にかすみの体が
震え、ペニスを締め付け、揺さぶった。5回目のシャッターを押した、
その瞬間、これまでになく大きく震えたかすみの膣の一番奥深い場所に、
押さえられない熱い液体が吹き出した。握りしめたシャッターが自動で
連写モードに入る。フラッシュが規則的に焚かれ、すべての精液を絞り
出すように、かすみの膣が締まる。それとは別に、熱い液体がかすみの
奧に吐き出される度にかすみの全身が痙攣する。おれの肩に頭をのせた
かすみは息もできないまま、大きく目と口を開けて、必死に空気を吸い
込もうとしている。のどがカクカクと震え、空気を打つ音が聞こえた。
いつまでも続くかと思われたおれの脈動も、終息にむかいつつあった。
微妙に震えながら袋がぎりぎりと絞られ、最後の一滴までかすみの中に
送り込もうとしている。絞り出すように最後にひときわ大きな固まりを
吐き出すと、かすみがついに獣のように快楽の叫びをあげた。
後ろ向きに倒れ込むと、二人とも大きく荒い息を繰り替えした。もう
全身にまったく力の入らない様子のかすみの体は柔らかく、その体重は
心地よかった。
まだ絶頂の余韻に浸ったかすみを抱きかかえるように身を起こして、
カメラの前にかすみの無防備な全身をさらけ出す。
リモコンに示された残りのフィルム枚数をたしかめ、二人で迎えた、
最初の絶頂の記念写真を残す。もう柔らかくなったペニスを引き抜き、
お互いの体液でべとべとになった互いの性器も写真に残す。
「大丈夫か?」
血と精液で染まったかすみの性器を、枕元に用意してあったウェット
ティッシュで拭いながら聞く。
「うん。でもやっぱり、痛いよ。でもね、とってもうれしいの。」
続けて自分のペニスも拭こうとすると、かすみの手がそれを止めた。
かすみが微笑むと、慈しむようにペニスを舐め始める。それは最初の
ペニスを燃え上がらせるような舌使いではなく、逆になだめるような、
やさしい舌使いだった。
「じゃぁ、ビデオをそろそろ止めようか?」
かすみがペニスの中の最後の残滓を吸い取ったところでかすみに声を
かける。かすみもおれも疲れ切っていたし、かすみの両親も、そろそろ
帰ってくる時間が近づいていた。
不意にかすみが、舌をペニスに絡めた。疲れ果てていたおれの肉棒が、
どこにそんな力が残っていたのかと思うくらい、いきり立つ。のどの奥
まで亀頭を吸い込んだかすみが手を後ろに回し、おれの菊門を軽く刺激
する。先ほどあれだけ放出したというのに、おれのペニスは痛いくらい
復活した。
「ま、まだ、”初めて”があるの。」
のそりと立ち上がったかすみが、先ほど目一杯に注ぎ込んで広がった
穴を目の前でひろげると、広げる場所を徐々に後ろにずらしていく。
「あの、オナニーで、ちゃんとシテるから……大丈夫だと思うの。その、
お尻も……」
「こっちの穴は後ろ向きでもちゃんとうつるよね。」
カメラに尻を突き出すような姿勢で、おれのいきり立ったペニスに、
腰を下ろしていく。かすみの手によって広げられたそこは、膣の奧から
流れてくる精液と愛液で、愛撫をする必要がない程濡れている。
「はぁふん」
途中で動きを止めることなく、かすみが一気に根本までペニスを受け
入れる。はずみでペニスに膣が押されて、まるで射精をするように腹の
上に血の混じった精液が飛び出した。悦きわまった嬌声をあげて、頬を
ピンクに染め上げたかすみが、おれの腹に飛び出した精液を指ですくい
あげて舐めとる。
「しゃ、写真を。」
あまりにスムーズに進んだため、かすみに促されるまで、リモコンが
おれの手にあることに気が付くのが遅れた。
写真を撮ってやると、かすみは安心したようにピストン運動を始めた。
時折かすみのバギナから吹き出す精液は、すべてかすみが指にとって、
舐めていく。前の穴に入れるより多少締まる感触はあったが、初めてと
言う割には、かすみのアナルは性器として十分に機能していた。
「おまえ、ほんとに、後ろ、初めてなのか?」
言った後にしまったと思ったのだが、かすみは夢中で振り続ける腰に
グラインド運動を加えながら、頬をさらに赤らめる。
「うん…… おちんちんをいれるのは……」
自分の動きだけでは物足りなくなったのか、おれの手を取り、自分の
胸に当てる。
「ほ、ほら、前の穴は…… 処女膜があって、あまり…… だ、だから
お、オナニーで、どうしても、欲しいときはちょっと指の先を……」
「ほんとに指の先だけか? その割には奥の方まで飲み込んでないか?」
おれが片手をクレバスに移動させながら訪ねると、一瞬目をそらした
かすみが、悪戯をみつかった子供がするように上目使いでおれを見る。
「根本まで……」
「何本?」
「な、中指と薬指の2本……」
手のひらで恥丘を圧迫しながら、バギナに軽く曲げた中指を入れる。
かすみの腰のなまめかしい動きに合わせ、指の関節とペニスのカリ首で
アヌスとバギナの間の壁を強く挟み、こすりつける。
「そうか、かすみは変態さんだったんだ。」
髪を振り乱して快感をむさぼりながら、かすみが真っ赤な顔になる。
「だ、だって、あなたのこと、考えてると、どうしても、たまらなく、
なっちゃうんだもの。」
よほど気に入ったのかバギナから抜こうとしたおれの手を、かすみは
押しとどめ指がより壁を強く押さえるように誘導する。
「そ、それに、あなたの事を考えてるときの指は、あなたの指だから……
どんどん、奧まで、入って来ちゃうの……」
かすみの告白を聞きながら、バギナの中で指をカクカクと動かすと、
かすみの口が絶頂に近いことを示すように透明な滴りを落とし始める。
「ね、ねぇ、わ、わたし、ひとりじゃ、イキたくない。」
必死に押し寄せる快楽に耐えながらも、腰の動きをとめられないまま、
かすみがおれの手を握る。
「そうは言っても、さっきあれほど出したからさ。イキそうな感覚は、
あるんだけど……」
バギナにつっこんだおれの手を強く握りながら、かすみが少し動きを
ゆっくりにすると、上体を少しかがめた。
「あなたの”初めて”わたしがもらってもいいよね」
かすみが蠱惑的な表情を浮かべ、ぼそっとささやいた。おれの肛門に、
何かがさわった。いつのまにか、かすみの細い指が、おれには見えない
位置にあった。唐突な感覚であった。制止する隙もなく、かすみの指が
おれの肛門に潜り込んでくる。痛むような感触と、ペニスにくるのとは
別種の快楽が尻から脳髄へ駆け上がった。さらにかすみの指が奧を探る。
まるでスイッチを押したかのように、奧から何かが吹き出してくる。
一番深く突き刺さったポーズのまま、かすみがすべての動きを止めた。
腕が不自然な位置にあるためか、体をよじるようにして、空気を求める
ように天を仰ぐ。おれの精液がかすみの直腸に、ドクドクと突き刺さる
ように流れ込む。
このときにかすみの上げた声を表現する能力が、日本語には、ない。
一匹の雌が、すべての快楽を受け止めた時に漏らす、雄の心にだけ届く
魂の叫びが、部屋の空気を静かに、そして美しく振るわせた。
おれもかすみもそのまま動くことが出来なかった。かすみのアヌスに
はおれのペニスが、おれの肛門にはかすみの指が刺さったままだったが、
その違和感すら愛おしいほどの快楽が、まだ二人を包んでいた。
最初に動いたのは、かすみだった。シーツの上に転がった、カメラの
リモコンをたぐり寄せると、シャッターを押す。
「あなたの初めての記念ね。」
カメラがフイルムを巻き上げ始めるモーターの音が、部屋を支配する。
ビデオカメラのテープ残量が間近であることを示すため赤い光が点滅を
始める。
かすみがおれの肛門から指を抜くと、そのまま、もたれかかるように
体をおれに預ける。
「ごめんね……」
おれが何も言わずにかすみの髪を軽く撫でると、かすみが自分の指を
舐める。
「ちょっと苦いね……」
ふたりで小さく笑う。
「お母さん達ね、今日、帰ってこないんだ…… このまま眠ろ……」
かすみの言葉がそのまま消え、すうすうと寝息をたてはじめた。まだ
二人はつながったままだったが、そんな事はどうでも良い程の幸福感で
あった。ふれたところから二人がとけて混じっているような、不思議な
感触だった。
もう一度かすみの髪を撫でると、意識がそのまま落ちていこうとして
いた。眠りに落ちるほんの間際、かすみが小さく、おれの名前を呼んだ。
その光景をおれは知っていた。
おれは小学4年生で、かすみと二人、チャペルでの結婚式のテレビを
見ていた。新郎と新婦の誓いのキスを見て、かすみが何をしているのと、
おばさんに聞いた。おばさんが笑って、二人がずっと一緒にいる約束を
したのよと言った。かすみがわたしも約束するのといって、おれの方を
見た。おれの顔にかすみが近づいてきて、唇と一緒におでこがごつんと
ぶつかった。おばさんがカメラを構えて笑っていた。良いシーンだった
よと笑った。かすみが、約束するって痛いことだねと言ったのをきいて、
さらに笑った。
「はぁ…… うぅん」
股間に感じた違和感とその声で夢から覚めた。
「あ、おはよう。ごめんね…… 起きちゃった?」
おれが股間とかすみの顔を見比べると、かすみが顔を赤らめる。
「あっ、ち、ちがうの。も、もう一回しようとしてたんじゃなくって、
あ、朝ご飯を作りにいこうと……」
手をのばしてかすみの髪をなでると、かすみがちょっと驚いた顔で
ぎこちなく微笑んだ。
「とりあえずシャワーでも浴びるか?」
「うん」
二人でシャワーを浴び、朝ご飯を食べた後で一緒に部屋を片づける。
締め切ったままだった窓を大きく開け放って、二人の匂いが染みこんだ
空気を、少し惜しい気はしたが、新鮮な空気と入れ換える。団地を囲む
ポプラ並木を渡ってきた初夏の眩しい風が、やさしくカーテンを揺らす。
「あれ? 二人ともどうしたの?」
帰ってきたかすみのおばさんの声に、ふたりでどきっとする。
「君ちゃんが、今日、臨海学校から帰ってくるから、迎えに行こうって」
かすみが笑いながら答える。
「そう、とりあえず、わたしは寝るわ……」
おばさんが寝室に入ったのを確認して、かすみが胸をなで下ろす。
「ちゃんと考えておいて良かった……」
ふたりで小さくわらうとついばむようなキスをした。唇を離した後、
いまさらながら、かすみが真っ赤になった。
「こ、これで全部の"初めて”が終わったじゃない? 全部、あなたに
もらってもらったじゃない? わ、わたし、全部、あなたのモノよね?」
恥ずかしいのか、かすみが後ろを振り向く。
「しょ、処女膜にはね、一生、一番最初の時のアトが付いてるんだって。
これでわたし、一生、あなたのモノよね?」
後ろからかすみを抱きしめると、耳元でそっとささやいた。
「そうだよ、かすみは一生、おれのモノだよ。どんなことがあっても、
どんなところでも、どんなときにだって、世界でただ1人、おれだけが、
かすみの穴をふさいでもいいんだ。」
「うん……」
かすみが幸せそうに笑った。
〜fin〜