鳥がさえずってる。
…今、何時なんだろう。
随分長く寝た気がする。
頭が重い。体がダルい…。
風邪引いたかなぁ…。
青葉台高校での最後の休日。
俺には何の約束も無かった。
ぼーっと見上げた天井。
いつもと同じ天井。
俺の目に映るのは壁のほかには蛍光灯だけだ。
俺はゆっくり立ち上がろうとする…。
あれ?かけ布団はどこにいったんだろ?
ギチッ、ギチッ…。
体が……動かない?
俺は首を左右に振って状況を把握しようとする。
………!!
俺の両手首はベッドの支柱に荒縄で固定されていた。
むきだしの二の腕と肩に驚いて、首を上げる。
嫌な想像どおり、俺は下半身にも何も身につけていなかった。
足は開いたままベッドの両端の支柱に結わえられている
つまり俺は裸のまま、大の字に縛られていたのだ。
誰が…何でこんなことを?
そ、そうだ、君子は無事だろうか。
暴漢が俺を縛りあげたのなら、君子が危ない。
俺は精一杯あがいて、縄を緩めようとする。
だが、縄は動けば動くほど肉に食い込んだ。
…駄目だ。かと言ってどうすれば良いんだ。
君子は無事なんだろうか?
とにかく君子さえ無事だったらどうにでもなる。
「君子ぉ〜〜。君子ぉぉ〜〜。」
俺は隣近所に聞こえるくらい大声で君子に呼びかける。
君子は女だ…暴漢にひどいことをされていなければ良いのだが…。
ドアのノブがガチャッと開いた。
暴漢か!俺は唯一動く首を回してドアの影から出てくる姿に目を凝らす。
「ふぅ〜、どうしたの、お兄ちゃん。」
「君子、無事だったか。」
俺は安堵のため息をつく。
ドアの影から首を出したのは君子だった。
君子は俺の情けない姿を見て動転したのか、顔を引っ込める。
「ご、ごめん、君子。でも俺にも何が何だか…。」
だが次の瞬間動転したのは俺の方だった。
「ふふっ。気分はどう、お兄ちゃん?」
「き、君子、お前……?」
ドアの陰から全身を現した君子を見て、俺は言葉を失った。
装飾過多でどぎついショッキングピンクのボンデージ。
扇情的なガーターベルト。同じ色のピンクのストッキング
…だが、俺を何より驚かせたのは、君子がショーツを履いていなかったことだ。
三角に張りついた恥毛もあそこも丸見えだった。
ボンデージも胸を露出するタイプで、君子の小さなピンクの乳首もまるまる見えている。
「な、何て格好してんだ、お前」
「い〜でしょ。お兄ちゃんだって裸なんだし」
そう言われるとたしかにそうなんだが…。
「それにしてもお兄ちゃん、良い格好だね」
クスクスと笑う君子。俺はやっと一つの可能性に思い至る。
「き、君子、お前なのか、俺をこんな風にしたのは…」
咎めようとしたが声がまともにでない。
「こんな風ってどんな風?」
君子はからかうように答える。
「ふ、ふざけるなよ、こんな風に縛ったのはお前か、君子ォ」
「さぁねぇ。証拠が無いのに疑われてもねぇ…」
俺の反応を楽しんでいるらしい。
君子が近づいてくる。
動けない俺に君子の接近を止める術はない
何をされるかわからない恐怖に俺は凍りつく。
「き、君子、来るな、来ないでくれ」
だが哀願も虚しく、君子は俺のベッドの上に上った。
俺の耳に口を当てて、ささやく。
「大丈夫。お兄ちゃんに痛いこと、しないよ」
緊張の解けない俺の俺の耳裏をペロッと舐めあげる。
「ひっ!!」
予想外のことに情けない声を上げてしまう。君子が言葉を続けた。
「キモチイイコト、スルノ」
君子は俺の顔をまたいで立つ。
俺からはお尻の穴もあそこも丸見えだ。
俺を見下ろして、いつもの調子で「お兄ちゃん」と呼びかける。
この時ばかりは愛らしい自慢の妹ではなく、得体のしれないものに思えた。
「ねぇ、舐めてよ。」
逃げられない俺の上に、君子のあそこが近づいてくる。
「や、やめろ、君子」
目をつむって見ないようにする。
君子のあそこからはむせかえるようなメスの匂いがした。
君子が女の部分を俺に押しつけている。
恥毛がちりちりと鼻腔を刺激して、くしゃみが出そうになる。
俺が舐めないのを見て取ると
「ふふっ、ここは朝から元気だねぇ。」
君子は向きを変えて、俺の肩口に足を置いてしゃがみながら
朝一番で固くなってる俺の息子に手を伸ばす。
「うっ」
君子の手が柔らかくリズミカルにぺニスをしごく。
「硬くなってきたよ」
君子はクスクスと笑った。
最愛の妹の手による愛撫。
だが、意図してなのかそうでないのか君子は俺のポイントを外している。
手のホールドは若干甘いし、根元にばかり刺激を加え
雁首には時折偶然手が当たるだけだ。
君子に果てるところを見られたくない。
最愛の妹に、そんな恥ずかしいところを見せたくない。
だが、そうなったとしたら本当に恥ずかしいのだろうか?
ふと沸く疑念。
皆やってることじゃないか。
どうせなら自分でやるより君子の手で果てる方が良いんじゃないか。
そんな気持ちもむくむくと顔をもたげる。
しかもその気持ちは君子の手の動きの回数が増えるほどに募っていく。
「君子、そこじゃない、俺の雁首をネチネチとねぶるんだ」
言ってしまいたい。
だが、言えばどうなる?
理想的な兄妹という今まで維持してきた関係はブチ壊しだ。
……だが、それも良いかもしれない。
そこにはめくるめく快楽の園が広がってるように見えた…。
そんな気持ちが更にぺニスを大きくする。
「ふふっ、お兄ちゃんの、大きくなったね」
君子は手柄顔だ。
「もっと大きくしちゃお」
そういうと更に上下運動を繰り返す。
…いや、それじゃ俺は果てないんだ、君子。
言いたい。
言ってしまおうか。
言っちゃうぞ。
もうどうなってもいい。
君子の手で果てたい。
「ふぇ〜っ、全然出してくれないよぉ。お兄ちゃん、インポ?」
君子に問いかけられて我に帰る。
危なかった。理性が挫ける寸前だった。
しかし何て答えにくい質問なんだ。
どう答えようか、と考える。
インポじゃなければ手段を選ばず果てさせる気だろうし
インポだと言ったところで解放してもらえるとは限らない。
進むも地獄、退くも地獄じゃないか。
いや、進まなくても退かなくても、既にそこは地獄だった。
…俺が甘かったのだ。
君子は俺に問いかけたわけではなかった。
進むも退くも、俺に委ねられた選択など無かった。
「君ちゃん、それじゃ駄目よ」
君子の問いに答える鼻にかかった穏やかな声。
十六年間聞き続けた声。
一聴して誰だかわかる。
「そうなの?かすみちゃん」
何時からか部屋にはかすみがいた、ようなのだが
理性と必死の戦いを続けていた俺にはわからなかったらしい。
俺は声が聞こえた方に視線を向ける。
…こいつは本当にかすみなのか?
顔と髪型と声はたしかにかすみだが…。
双子の妹…とかいうことは無いよな。
俺の幼馴染みとは同名の別人であることを願いたくって無意味な想像をしてしまう。
黒光りしている、おそらくエナメルの、局部だけを隠したきわどいブラとショーツ。
海軍の将官とかがかぶってそうな帽子。
手に持ってるのは御丁寧にも鞭らしい。
だが、ボンデージがいまいち様にならないところも
それでも妙に色気だけはあり余ってるところも
絶望的なまでに俺の知ってるとおりの七瀬かすみだった。
「君子ちゃん、こうやるのよ。見てて」
かすみは大きな胸で俺のぺニスを挟む。
バストを両手で挟み、上と下、左と右からむにゅむにゅと刺激を加える。
突き出た先端にピチャピチャと音を立てて舌を這わせる。
「ウフフッ。これでどうかしら」
君子の単調な、しかも的を外した愛撫とは別次元の快感だった。
そういえば、俺は中坊の頃、かすみのスクール水着の胸を見て欲情してたっけな…。
そんなことを考えたのがいけなかった
限界が来た。
俺の精液が尾を引いて伸び、かすみの顔に白い跡をつける。
「キャハハハ。すごいね、びっくりだね」
君子が腹を抱えて笑い転げる。
憎い。こんなに君子を憎たらしく思ったのは初めてだ。
かすみは余裕の笑みを浮かべながら、放出した後の俺の息子になお残る
先走りと精液の入り混じった液体を舐める。
「ふふっ、朝一番のミルクはやっぱり美味しいわ」
「あぁ〜っ!!ずるいよぉ、かすみちゃ〜ん」
「じゃあ、わけてあげるね」
「うん」
君子とかすみが俺の身体を挟んで濃厚なキスを交わす…俺に見せつけるように。
チロチロと舌が口の外で絡み合い、唾液がねっとりと糸を引く。
「ぷはっ、さすがに、濃いね」
「ふふっ。君ちゃんにはまだ刺激が強いかしら」
俺はそんな二人を、化け物でも見るような眼で見ていた。
夢なら醒めてくれ…そう思いながらも、下半身に残る余韻は
それが夢でないことをあまりに雄弁に物語っていた。