1 :
神前竜磨:
西暦20XX年
技術の躍進はとどまることを知らず、世界に革命をもたらし続けた。
2 :
神前竜磨:2012/04/21(土) 23:51:54.02 ID:zzMxOO0m
特にIT技術は、そのめまぐるしい進化の中、幾度と無く世界の形を変えていった。
マスメディアは、よりよい映像を、より派手に、より多くの人に見せるため、
映像に手を加え、物を、音を、人を、自らの手で全てを創り上げた。
3 :
神前竜磨:2012/04/21(土) 23:57:26.04 ID:zzMxOO0m
「・・・・・・ざきさん・・・・んざき・・・・」
4 :
神前竜磨:2012/04/21(土) 23:58:17.65 ID:zzMxOO0m
結果、ドラマ、ニュース、各種バラエティ番組など、メディアを介する全てにおいて、
人も「人工物」に置き換えられてゆく。
5 :
神前竜磨:2012/04/21(土) 23:59:00.89 ID:zzMxOO0m
「・・・もう・・・・かぜひきま・・・・」
6 :
神前竜磨:2012/04/21(土) 23:59:56.12 ID:zzMxOO0m
そう、世に言う「アイドル」たちも、その語源に則ったものとなっていったのだった・・・・・・
・
・
・
・
・
・
7 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 00:04:05.04 ID:zzMxOO0m
「はっ!?」
8 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 00:04:44.70 ID:Go6lXBHj
目が覚めた。現在位置、765プロ事務所、ソファーの上。
壁の時計を見上げると午後3時を指していた。イヤホンから流れる曲からも、2時間ほど立っていることがわかる。
「やっと起きましたねー。そんなところで寝ると風引いちゃいますよー」
給湯室から女の子の声が聞こえる。何かを注ぐ音が聞こえる。おそらくお茶を入れているのだろう。
9 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 00:05:22.88 ID:Go6lXBHj
「あーなんだかすごい夢を見ていた・・・ような気がする」
「きがするって、覚えてないんですねぇ。」
10 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 00:05:53.64 ID:Go6lXBHj
歳は18になったんだったな。身長160弱。体重・・・忘れた。スリーサイズも右に同じく。
趣味はお菓子作りに長電話、左右につけた赤いリボンがトレードマークの彼女は、このアイドル事務所「765プロ」所属のアイドルだ。
11 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 00:06:33.58 ID:Go6lXBHj
「私も全然覚えてないんですよねぇ、夢って」
お盆に湯のみを載せて給湯室から出てきた彼女は、いつもの笑顔で話しながらこちらに向かってくる。
12 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 00:07:07.85 ID:Go6lXBHj
・・・やばいかもしれない(汗)
彼女は気の利くいい子なんだが、いかんせんドジっ子体質というか、なにもないところに躓いて転ぶというか、マンガやアニメでやりつくされた「お約束」を地で行ってしまうところがある。
つまりこの場合は・・・
13 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 00:26:27.94 ID:Go6lXBHj
「はい、粗茶ですが」
何事も無く目の前に置かれたお茶を、呆然と眺めること一秒。
はっと我に返って、彼女の顔を見上げる。
「あ、あぁ、ありがとう 悪いな、こういうの現役アイドルにやらせちまって。」
「いえ、これぐらい。私がやりたかったからやったんですし。」
そして、再び無事に置かれている湯のみを見つめる。
14 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 00:29:17.47 ID:Go6lXBHj
「・・・・・・!?」
気がついたようだ。
「そ、そんな!私だってそんなしょっちゅう転んでるわけじゃないんですよ!この間はちょっと床がめくれてるところに引っかかって!」
「いや、今日をあわせて4回中3回熱いおもいをしている俺としては、ほっとしてしまうのは至極当然だぞ。」
あと、年度末に張り替えたという床材は、俺が入ってからはめくれていた形跡はない。
15 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 00:35:12.61 ID:Go6lXBHj
何より初めてまともに飲める彼女のお茶を、一口含む。程よい苦さが口に広がり、脳の覚醒を促す。
さてと・・・
自分の分の湯のみをテーブルに置いた彼女は、まだソファーの隣で立っていた。
そう、彼女は待っているのだ。俺の回答を。
16 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 00:36:33.89 ID:Go6lXBHj
「・・・・・・天海春香」
「はい」
満面の笑みを浮かべて向かいに座る彼女をみて、俺は肩を撫で下ろした。
17 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 00:37:25.53 ID:Go6lXBHj
俺は、今年の春からこの765プロに入社したわけだが、いかんせん人の顔と名前を覚えるのが苦手で、いまだに所属アイドルの名前を覚えきれてないのである。
もともと芸能界と呼ばれるものには全く興味がなく、せいぜいお笑い芸人の名前がわかることもある程度である。アイドルなんてもっての外だ。
そんなわけで、現役アイドルである彼女らにしてみれば、自分らの知名度はまだまだそんなものなのかと落胆したわけだ。
俺が特殊なだけなのに、本当に申し訳ない。
それで、みんなこぞって俺に聞いてくるようになったわけだ。「私の名前、覚えてくれた?」と
18 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 00:43:38.98 ID:Go6lXBHj
そんなわけで、彼女―天海春香は、覚えの悪い生徒がやっとわかってくれた時の新任教師のようにすごく嬉しそうなわけである。
「ふふ。これで私が二番目ですか?」
「覚えたのがってなら、一番だよ。我那覇のことは知ってたんだからな。」
19 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 00:47:20.66 ID:Go6lXBHj
我那覇響。まだ17だったな。天海と同学年だ。身長は150ぐらい。低めの身長に割とダブっとした服装をするので、稀に上から胸がのぞけたりする。いや、その気はないんだ。見えたってだけで。イヤミテマセンヨ
沖縄出身で、ところどころ沖縄弁が交じる。パニクると沖縄弁オンリーになるため、何を言ってるのか全くわからなくなる。
茶褐色の健康的な肌と、長い髪をアップにまとめたポニーテールが特徴だ。
20 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 00:50:08.80 ID:Go6lXBHj
「そーですねー 神前さんは響ちゃんのファンだったんですよねー」
「だから、ファンとかそんなんじゃないんだって。いつも見てる番組によく出てたってだけだって」
家のおふくろは動物番組が好きで、いつも見ている番組に我那覇がレギュラーで出ているのだ。全国のおもしろ動物を取材するって企画だったかな?
21 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 00:55:22.48 ID:Go6lXBHj
我那覇は動物好きで、常にハムスターを連れている。でっかいセントバーナードと一緒にレギュラーも持ってる。家にも多種多様なペットを飼っているという話だ。
「でも、好きですよね?響ちゃんのこと。」
「好いた惚れたの好きじゃなくて好きではあるな。ああいう元気な娘はいいよ。」
湯のみをとってお茶を口にする。先程より幾分冷めているので、今度は多めに口に含んで飲み込む。
「それより自分はどうなんだ?」
「へっ!?わ、わ、わ、私ですか!?」
すげー、漫画みてーな慌て方しやがる。リアルでここまでどもる奴は初めて見たな。
22 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 01:04:27.25 ID:Go6lXBHj
天海はひとしきり慌てふためくと、湯のみを両手でとって口元まで持って行き、そのまま何やらぶつぶつと言い始めた。
自分に関してはとことん鈍い子だなぁと、俺はため息をつくのであった。まる。
23 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 01:04:55.12 ID:Go6lXBHj
それにしても、この天海春香という少女は、完璧な「普通の女の子」だ。
こう言うとオタクッ気が混じってくるが。まるで作ったような、セオリー通りの女の子なのだ。
通常、人間というものは、大なり小なり枠からはみ出る部分があるものだ。人はそれを個性と呼ぶわけだが。
24 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 01:05:54.84 ID:Go6lXBHj
しかし、彼女の場合その枠からはみ出る部分が全くなく、極端に減ってる部分もない。
つまり、どこを探してもまず居ない「どこにでもいる女の子」というわけなのだ。
まさに絵に描いたような少女なわけで、そこに何か裏でもあるのかと思ってしまうが・・・
25 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 01:07:16.10 ID:Go6lXBHj
「いっそマンションでも一室買って、囲っちまったら?財布のプレゼントとかじゃなくてさ」
「そっ!?そんなお金ありませんよ!まだそんなに売れてないんですから!」
「何言ってる。現行CM5本。内、ピンで2本。雑誌の表紙を飾ること20回。少年誌3種を含む。CDは・・・ミリオンはまだか
んで、お前がパーソナリティのラジオが1本。レギュラー2本。テレビもレギュラー5本。あと舞台とかもやったやったろ?ヒロインで
すんげー稼ぎだと思うんだけどなぁ」
「そんな、まだまだ私なんて・・・」
26 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 01:10:25.42 ID:Go6lXBHj
あはは、と、照れ笑いをしながら再び湯のみを口に持って行くが、何かに気がついて、ぱっと顔を上げた。
「って、なんで財布のことを・・・いや、ていうか囲うってなんですか!?」
言いながらもうひとつ気がついたらしい。てか、今わかったのか。鈍いな。
「財布は先輩から聞いた。囲うってのは、愛人をそこに住まわせてだな・・・」
「いいいい、いいです!説明しなくても!っていうか、別にプロデューサのことはそういうふうに思ってませんから!」
うん、俺もプロデューサー。
27 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 01:19:57.89 ID:Go6lXBHj
この事務所には、俺を含めプロデューサーが3人いる。
もっとも、プロデュースからアイドルの送迎パシリまで全部やるので、プロデューサー兼マネージャーである。
で、俺の先輩に当たるのが、件のプロデューサーともう一人のプロデューサーである。
件のプロデューサーは・・・あれ?名前何つったっけ?
やっべ・・・まいっか
28 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 01:21:56.22 ID:Go6lXBHj
まぁ、要は男なんだ。それもイケメンだ。あとインテリメガネだ。
一年ちょい前までは、なかなか売れないうちの事務所を、この天海春香のように売れっ子にまで引き上げたのは、彼の手腕だそうだ。
くそっ!イケメンめ!勝てる要素が一個もないぞ!
俺が入る前に大怪我して入院してたらしい。詳しくはわからん。
きっと女の子かばってボコられたとかそういうのだろう。あの人はそういう主人公体質なところがある。
主人公体質って、世話焼きってことかな?そういう事なら、ここのプロデューサーの仕事はうってつけだよな。全くもって勝ち目がないぞイケメンメガネめ!
そういや金髪の子がベッタリだったな!ありゃ手ぇ出すの時間の問題だぞ!まったく
29 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 01:22:41.30 ID:Go6lXBHj
「アレは日頃の感謝の気持っていうか、穴の開いた財布使ってたから、クリスマスプレゼントに買ったんですけど、タイミングわるくて渡しそびれて、・・・なんか、退院祝いみたいになって・・・」
30 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 01:23:09.82 ID:Go6lXBHj
あー、なんか落ち込んでる?
つーかあの男ほんとチクショーうらやまけしからん。
こんな可愛い子悶々とさせるとかどんだけだよ。
つか、そんだけデキるスーパープロデューサーがいるのに、おじさんはなんで俺なんぞ呼んだのかねぇ。
いや、身内にニートがいるってのがいたたまれなかったんだろうけどね。あはははは
31 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 01:23:35.18 ID:Go6lXBHj
「っま、天海もしっかり持ってるもんあるんだから、一発ガツンとあたってみれば、案外簡単に振り向くんじゃなねーか?」
「持ってるもの・・・あるんでしょうか?」
32 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 01:24:07.44 ID:Go6lXBHj
天海のもつ「普通」ってのは、自分に自信がないから、有り体な場所に落ち着いた結果なのかもしれない。
だが、この娘はすでに踏み出してるんだ。
「一歩踏み出す足も、力も、あと気持ちかな?すでに持ち合わせてるはずだろ?ここにいるんだからな」
目からうろこといったところだろうか。瞳を大きく開いて、惚けるというより、何かに気が付き思考が広がるような、そんな顔だ。
「・・・です・・ね。はい!頑張ります!」
33 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 01:24:46.50 ID:Go6lXBHj
両手を握ってガッツポーズを取る彼女は、生命に満ち溢れるといったところか。若いっていいなぁ。よし、この子のコードネームは「THE SUN"太陽"」だな。
「はっ!って、だから!プロデューサーのことはそう言うんじゃないんですってば!!!」
「あーあーうんうん」
俺は適当に相槌を打ちつつ天井を仰ぐ。イヤホンから聞こえるのは双子のどっちかの声だ。
34 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 01:25:25.80 ID:Go6lXBHj
「まー、人のことどーこー言う前に、俺は自分のどうにかせんとなー。みんな忙しいのになー。1日じゅうここに座ってて、2時間も居眠りしてるんじゃなー」
地方に居たおれは、都会の地理はさっぱりなわけで。
ましてや東京などLSI並に密集しててさっぱりだ。
当然送り迎えなどできるはずもなく、事務員の代わりに事務所の留守番をしているわけである。
「まっ、役立たずはすぐクビになるだろうから、それまで見苦しいだろうが勘弁してよ。」
あっはっはっとから笑いをする俺。
実際まだ貯金がある状態でおじさんに呼びつけられてやらされてる仕事だ。
続けるつもりは全くないわけで、別にどうでも良いかと思ってる。
現に、試用期間ということで、ぎりぎり食っていけるだけの給料しかもらってない。
基本的には諦めている。
35 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 01:25:54.37 ID:Go6lXBHj
そんな俺を見て、天海はあごに人差し指を当てて、んー、と考えながら
「――――多分クビにはなりませんよ?」
へっ?と、天井から天海に視線を移す。天海はテーブルに手をついて前に乗り出してきた。
36 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 01:27:14.92 ID:Go6lXBHj
そんな俺を見て、天海はあごに人差し指を当てて、んー、と考えながら
「――――多分クビにはなりませんよ?」
へっ?と、天井から天海に視線を移す。天海はテーブルに手をついて前に乗り出してきた。
37 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 01:28:03.07 ID:Go6lXBHj
「だって神前さん、私達の曲ずっと聞いててくれるじゃないですか」
そう言って、俺の耳からイヤホンをとって、自分の身身に付ける。
息がぎりぎりかからない程度に近い天海の顔。女の子特有の甘い香りが漂ってくる。
ひょっとすると、本当に蜂蜜か砂糖の匂いなのかもしれない。
38 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 01:32:57.81 ID:Go6lXBHj
「うちに入ってから、ずっと聞いてますよね。私達の歌。私達の声。覚えてくれようとしてくれてますよね。そういう努力してる人は、クビにはならないですよ。」
気づかれてたようだ。まぁ、実際は音楽聞いてサボってるだけなので、努力のうちに入るとは思はないが。
だが、それよりもだ。俺のビートパーミネッツは通常の1.25倍に上がっていた。
女の子にここまで近寄られるのは、中学卒業して以来だろうか。怖い顔で迫られることはあっても、微笑みかけられることはまずなかった。
さすがは売れっ子アイドル。強力な武器をお持ちですな。
39 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 01:33:34.08 ID:Go6lXBHj
内心非常に焦っていたのだが、大人の余裕を取り繕いつつ、天海のデコを指で弾くように押し返す。
「そっか。そう簡単に楽にはなれねーか。んじゃそこそこ頑張らねーとな。」
天海からイヤホンを取り上げ、再び自分の耳にねじ込む。
よしよし、大人として毅然としてたはずだ。
それにしても強力な攻撃だった。防御力特化の俺でなければおそらく落ちていただろう。天海春香、恐ろしい子。
40 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 01:34:00.71 ID:Go6lXBHj
デコを弾かれ、きょとんとする天海だったが、再び微笑むと時計を見て立ち上がった。
「ん?時間か?」
「はい。それでは、行ってきますね。」
確か4時からボーカルレッスンだったかな。少し離れたところにあるため、バスを使うらしい。
やっぱし地理も覚えないとな。せっかく免許もってんだから、送り迎えぐらいやらねーと。
41 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 01:34:29.67 ID:Go6lXBHj
「気ぃつけていけよー。ファンに捕まって遅れましたとか洒落にならんからなー」
「ダイジョブですよ。これつけてればバレませんから。」
そう言って取り出したのは、下ぶちの丸メガネだ。天海は眼はいいほうなので、おそらく度は入ってないだろう。
だが、天海なら何もしなくても一般大衆に紛れ込めそうなんだがな。むしろ転んだ時に危険だと思う。
42 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 01:34:57.54 ID:Go6lXBHj
扉を開けて事務所を出る天海。ドアを締める前にこっちを見て小さくガッツポーズを作る。
「神前さん。ファイトですよ!ファイト!」
「ああ、頑張るよ」
そこそこな
俺の返事に満足したのか、天海はニッコリ笑ってドアを閉めた。
43 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 01:35:27.68 ID:Go6lXBHj
「・・・・あ゛ーーーーーーー!」
つかれた、おんなのことのかいわってすごくつかれる。
「つーか、自分の持ってるもんよくわかってんじゃねぇか。ありゃだいたいの男は落ちるぞ。さすがアイドルだな。」
とりあえず、今自分にできることは、ひたすら曲を聞いて頭に入れることだ。
どっかりとソファーに背を預け、目をつむる・・・
「・・・・・・そういや、事務員の人どこ行っちゃったんだ?」
デスクの置き手紙に気がつくのは、さらに30分後であった。
44 :
神前竜磨:2012/04/22(日) 01:36:58.69 ID:Go6lXBHj
はい、一話完
二話ができたらまたあげたい
お目汚しすまん
てか、読んでる奴居ないなきっと
うん、だいじょぶだ 問題ない
(・∀・)ニヤニヤ
46 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 00:31:57.83 ID:HIGffg/6
読んでる奴居た
まぁ、読んでもらうためにここに上げてるわけだからいいんだけど
てか、sageって入れないと上がっちまうんだな
しかし、上がらんと誰も見ない気がするが
取り合えずこの作者コメント的な時だけ上げることにしよう
それぐらいの自己主張は構わんだろう
47 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 00:33:01.87 ID:HIGffg/6
「・・・・・・・・・・・・」
――――カタカタカタカタ―――――
「・・・・・・・・・・・・」
48 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 00:33:23.65 ID:HIGffg/6
沈黙。しかし、静寂ではない。
俺の向かいに座っている少女は、左手の皿で右手のティーカップを受けるように持ちながら、紅茶を飲もうとしているが、手が震えてうまく飲めないようだ。
49 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 00:34:22.06 ID:HIGffg/6
現状に至る理由は、遡ること数分。
例のごとく居眠りをしていた俺は、遅めの昼食を買って近所のコンビニから帰ってきた。
そこにこの娘が居たのだ。
イメージカラーは白(主観)。ボブヘアー・・・で良いのかな?髪は首のところで切りそろえられて、うなじが見えるようになっている。
俺が戻ると、慌てて何処かへ逃げようとするので、「逃げんなよ」と、呼び止めてみたのだが・・・
50 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 00:35:17.79 ID:HIGffg/6
あー、何ってなまえだったかなー?
51 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 00:36:32.76 ID:HIGffg/6
藤原?「ふ」じゃなかった気がする ゆきゆき・・・幸村?はないない
藤原雪・・・いや、名前は3文字だった気がするんだよな。つか、藤原じゃないしな。萩原じゃね?
ゆきみ みゆき? ゆきあつ ゆきほ ゆうき・・・んー
52 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 00:37:32.65 ID:HIGffg/6
目の前の少女について思いを巡らせていると、事務所のドアが開く音がした。
53 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 00:38:35.30 ID:HIGffg/6
「戻りました――――って、神前さんだけですか?あら、雪歩もいるじゃない。」
「おかえりっす先輩。竜宮は直でレッスンですか?」
「ええ。あの子ら売れてるからって手ぇ抜いてるところあるから、ちょっと引き締めてやらないと。
私もすぐ行きます。余分な荷物置きに来ただけですから。」
54 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 00:39:02.24 ID:HIGffg/6
そう言って、彼女は自分のデスクに持っていたカバンの中から、いくつかの書類の束を取り出してラックにしまってゆく。
55 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 00:40:17.98 ID:HIGffg/6
うん、そうだそうだ。萩原雪歩。確かそうだな。しっくりくるしきっとこれだ。
今のうちにしっかり頭に刻み込もう。萩原雪歩萩原雪歩萩原雪歩
56 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 00:41:22.04 ID:HIGffg/6
っと、俺の向かいで何かわなわなと泣きそうな眼で彼女に救いを求める(ように見える)萩原雪歩。
あーたしか、男性恐怖症かなんかだったな。犬も苦手だって話だ。蛇は平気っつってたな。我那覇の蛇とは仲がいいらしい。
っつっか、我那覇は蛇とか飼ってんのすげーな。ワニは冗談だろうけど、ハムスターと犬と猫とオウムとうさぎに蛇、豚もいるらしいな。ンナに世話できねーよ。俺も実家にゃネコが3匹いたけど、餌やるだけしかやれなかったぜ。
57 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 00:42:43.40 ID:HIGffg/6
「あ、そうそう。これ、出先で頂いたんですけど、みんなで食べてください。早い者勝ちになリますけど。」
12個入りのまんじゅうの箱を渡された。アイドル13人、プロデューサー3人、事務員一人に社長一人。
うん、足らね。
とりあえず俺は遠慮しておくかな。女の子は甘いもの好きだろうし。・・・お、これ静岡茶使ってんのか。
58 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 00:43:44.63 ID:HIGffg/6
「では、また行ってきます。雪歩はトレーニング忘れないようにね。」
「ああ、律子さん!」
「あと、神前さんちょっと。」
ほえ?俺?いや、いま萩原雪歩(仮定)くんが呼んでませんでしたっけ?
59 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 00:44:30.24 ID:HIGffg/6
「なんすか?」
「ちょっとこっちに来なさい。」
「はい・・・」
こわっ なんだ一体・・・・・・
60 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 00:45:28.27 ID:HIGffg/6
怖い先輩に事務所の入口前に呼び出された。なんだろ?やっぱなんもしてないから怒られんのかな?
先輩―秋月律子。アカギじゃ無くてアキヅキって形で覚えた。スーツを着たメガネの美人。身長は天海より若干低いから、155といったところか。
スリーサイズは知らんが、なかなかのボンキュッボン(私語)であることは間違いない。キャリアウーマンな彼女だが、これでまだ成人していないというのだから驚きだ。
61 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 00:46:01.13 ID:HIGffg/6
「なんです?秋月先輩」
萎縮しても、基本的な体格差で見下ろす形になり、近くで見ると可愛い先輩に見上げられてる形になる。
今はどこぞの高校の委員長みたく髪をアップにしてるけど、昔は左右で三つ編みに編んでアイドル業もやってたそうだ。
やめちゃうなんてもったいないなぁ、美人なのに。
62 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 00:47:59.46 ID:HIGffg/6
「・・・まず、その呼び方やめて下さいって言いましたよね?私のほうがはるかに年下なんですし。
プロデューサーと同じように「律子」でいいですって」
「そりゃまぁ、10も年離れてますけど、職場に置いちゃやっぱり年季というか仕事量というか役職というか、やっぱ先輩は先輩ですよ。
そこはちゃんとけじめつけないと。」
63 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 00:49:08.58 ID:HIGffg/6
それに、どこぞの先輩のように「律子」なんて名前で呼べるわけがない。
だいたい女を名前で呼んでいいのは父親か彼氏か旦那って決まってるんだよ。ああ、兄もいいか。あと幼馴染?
まぁ、とにかく、他所様のお嬢さんを軽はずみに名前で呼ぶなんて出来ませんのことよ。
べ、別に恥ずかしいわけじゃないんだからね!相手のためなんだからね!勘違いしないでよね!
64 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 00:50:16.94 ID:HIGffg/6
そんな可愛く美人な先輩は「あーまー、そこまでいうならー」みたいに諦めた感じだ。人間諦めが必要ですよ。
だが、それはメインの話ではないらしい。
考えこむように、顎に手を当てて、奥で座っている萩原雪歩をチラ見している。
65 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 00:51:49.25 ID:HIGffg/6
「それと、雪歩のことなんですけど」
「ああ、わかってます。男苦手なんですよね?気をつけますって」
触らぬ神に祟りなしとも言う。下手に俺が関わってメンタル面に致命傷を与えてしまっては駄目だ。
66 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 00:52:52.36 ID:HIGffg/6
「いえ、そうじゃなくて。むしろ積極的に関わってあげてください。」
「それは、荒治療的なものですか?」
「ええ。あの子、昔はライブとかも殆どダメだったんです。プロデューサーのお陰でかなり慣れたようですけど、サイン会とかで目の前に来られると、さすがにこわばってしまって・・・・・・」
67 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 01:09:55.03 ID:HIGffg/6
なるほど、大体分かった。
つまりあのイケメンメガネは、荒治療と称して幼気な少女に手を出したのだな許すまじ。
いやいや落ち着け。AccessやBashはともかく、Combineまでしてたらもうちょっと男に慣れていても良かろう。
つまりうまいこと歩み寄ったということか。チッ、完璧超人め。
68 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 01:10:24.22 ID:HIGffg/6
「つまり、一人より二人。徐々にならしていこうってことですか。」
「そういうことです。お願い出来ますか?」
69 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 01:10:43.39 ID:HIGffg/6
んー、難題だなぁ
正直女の子の扱いって苦手っていうか、やったこと無いからなぁ、どこぞの先輩と違って。
でも、あの娘らに集まってくるファンはだいたい俺にように女と無縁の人間だろうから。
やはり慣れておかないとまずいわけだろうな。俺のような人間に。
70 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 01:11:25.65 ID:HIGffg/6
「わかりました。やんわりやってみます。」
「ええ。神前さんはプロデューサーとかなりタイプが違うから、多分雪歩の中でも苦手なタイプだと思います。
あんまりがっつりいかないように、程々にお願いします。」
イケメンじゃないと言いたいんですね?分かります。
71 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 01:12:48.15 ID:HIGffg/6
「じゃ、頼みましたね。」
と、ドアを開けて出てゆく秋月先輩。しかし、再びドアを開けて、顔だけ覗かせる。
「手ぇ出しちゃダメですからね。」
「出しませんよ。」
引きつり笑いを返す。ニヤリと笑った顔がフェイズアウトし、ドアが音を立てて閉まる。
72 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 01:13:30.32 ID:HIGffg/6
出しませんよ?
カメラ目線(?)で再び宣言し、しかしながらもどう接すればいいの解らず、頭をポリポリと掻きながらソファーまで戻ってきた。
ソファーにどっかりと座って、目の前の小動物を観察する。
73 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 01:14:35.29 ID:HIGffg/6
うん、おどおどしてる。肉食獣の前に小動物を放すとこんな感じになるのだろうか?
萩原雪歩。でいいはずだ。高校を卒業して、大学に通ってるらしい。当然女子大である。
アイドル活動やりながら高校だって大変だっただろうに、この子は大学入試をパスできたのだから、かなりの才女なのだろうか。
てか、今度はアイドルやりながら大学が良いか。大丈夫か?
74 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 01:15:47.00 ID:HIGffg/6
ん?なんかスーハースーハー始めた。息を整えて?これは向こうからアプローチを掛けてくる感じだな。OK受けて立つ。
・・・ん?目があったらうつむいちゃったぞ。 どうした萩原!お前の決意はその程度で折れるのか!
ん?どうした?今度は涙目でこっちを見てるぞ?俺の背後に何か見えるのか?だが、ここで目をそらしたらいけない気がする。
分かった!にらめっこだな。先に目をそらしたら負けっていうやつだな。まぁ、すでに一勝してるし楽勝だ。
75 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 01:25:58.06 ID:HIGffg/6
・・・ん?なんだ?萩原に髪になんか混ざってる。色がよく似てるが、髪ではない何かが引っかかってるようだ。
76 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 01:26:24.93 ID:HIGffg/6
なんの気なく、萩原の髪に手を伸ばした。とってやれば早いことだ。まともに会話できそうもなさそうだし。
だが、俺が手を上げた瞬間。「ひっ!」っと言って、それ以上下がれないソファーの背もたれに、めり込むように後ろずさり、両手を握って口の前に持ってくる。そのままプルプルと震え始めた。
77 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 01:27:10.70 ID:HIGffg/6
おー、強姦に襲われたらこんな感じかな〜?
・・・・・・・・・これは、なんか目覚めそうだな。すんげーいじめてぇ
ま、我慢だ。俺は紳士だから、ここで手を出したりはしない。
78 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 01:27:39.35 ID:HIGffg/6
逃げた萩原を追うように、腰を浮かせてテーブルに手をついた。これで萩原の髪に手が届く。
が、俺が腰を上げた時には、萩原は立ち上がって逃げ出していた。
ダーッと、反対の奥、スケジュール表の横の壁に背を付け涙目でこっちを見ている。そこ袋小路じゃね?
さ、追いかけましょ♪
79 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 01:28:39.02 ID:HIGffg/6
そうだ、俺は今から萩原の髪に付いているターゲットを狙うだけのマシーン。感情を持たない殺戮機械だ。殺さないけど。
逃げられないように部屋の真中を通る。腕をわずかに広げ、「すり抜けようとしても捕まる」と思わせる。
そして、部屋の中心ではなく、萩原が背にしてる壁をいっぺんに直角二等辺三角形を描き、その直角に当たる部分から萩原に接近する。
下手に最短距離で近づくよりは、こうやって掌握できる範囲を最大に利用するのが追い詰めるときの基本だ。と、勝手に思っている。
ある程度近づくまではゆっくりと、そしてあと一歩となったら一気に間合いを詰める。
急に視界を埋められろことで、さらに恐怖を煽ることが出来る。だろう。
もちろん、左手を壁につくのも忘れない。逃がさないように、萩原の右脇腹あたりを狙う。
80 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 01:29:17.03 ID:HIGffg/6
「あああ、ううううう・・・・・」
すっかり恐怖に怯えた萩原は、顔は青ざめ、息も荒く、胸も大きく―――
んー、いくつだっけ?いや、プロフに載せる数字って世間体考えてサバ読んでるだろうし。
それに、ぷにぷにと柔らかそうな腕。スカートの上からだが割とむっちりしてそうな太もも。
グラマーなプロポーションというべきだろうか。あまりジロジロみるものじゃないと思っていたが、宣材の水着写真よく見ておこう。
ほんと、柔らかそうだなぁ・・・・・・
81 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 01:29:58.11 ID:HIGffg/6
待て待て、落ち着け俺。そして右手。お前のターゲットはその中華まんのようなものではない。
そう、ターゲットは萩原の髪に付いている何かだ。ダイジョブ、俺紳士。ヘタレじゃなくて紳士。
82 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 01:30:45.45 ID:HIGffg/6
軌道修正した俺に右手は、萩原の髪を鍵上げるように、中の物をまさぐる。青ざめてた萩原だが、今度は顔を真赤にして目をつむっている。
うん、キスしないよ。大丈夫だよ。おじさん紳士だから
83 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 01:31:14.97 ID:HIGffg/6
・・・・・・あったあった。多少ねとつくそれを、髪を引っ張らないように抜き取る。
「・・・・・・芋けんぴ?」
割り箸を短く折ったようなそれは、表面を砂糖でコーティングされたさつまいものフライ。つまり芋けんぴだ。
人肌でもべっとりと溶け始める砂糖のせいで、髪にくっついていたのだろう。
だが、それ以前に。髪に芋けんぴって、何処のトンデモ少女漫画の話だよ。ねーよ。ねーよ!
84 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 01:31:53.17 ID:HIGffg/6
「あ、それ、さっき春香ちゃんが・・・・・・」
「なるほど、大体分かった。」
大方、お茶請けに芋けんぴを買ってきた天海が、袋を開けようとして、勢い余ってぶちまけたのだろう。
その時髪に入ったわけか。そうか、リアルにありえるんだな。現実は漫画並みに奇妙だな。
85 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 01:59:21.14 ID:HIGffg/6
とりあえず左手を引っ込めて、芋けんぴをカリカリと食べた。
「ふひっ!食べっ!?」
「ん?うまいよ?」
そうだねー髪についてたのをそのまま食べるとか常識疑うよねー
でもねーちょっとテンパっちゃったのをごまかそうと思っただけでねー深い意味はないんだー
ほんとにね。さっきまでの俺死んでくれよ。
86 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 02:00:26.05 ID:HIGffg/6
秋月先輩に殺されるフラグを回避し、再びソファーにどっかりと座った。つけっぱなしのイヤホンからは・・・うん、萩原の歌だ。
久々に携帯を取り出し曲を止める。仮面ライダーのロゴがいくつも並ぶホーム画面に戻すと、メールが1通着てることに気がついた。
そう言えば、今朝のニュースメールを見てなかったな。あとでじっくり読むことにして。
イヤホンを外しながら、向かいの再び座ってきた萩原を見る。顔はまだ赤いんだが、最初よりだいぶ落ち着いたようだ。
よし、ショック療法成功。そう、全て計算通りだったのさ!決して偶然がいくつも重なり合ったわけじゃない。じゃないぞ!
87 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 02:16:56.53 ID:HIGffg/6
すっかり冷め切った紅茶の入ったカップを、両手で持って口に持っていく萩原。可愛いなぁ。アイドルやってんだもんなぁ。当然だよなぁ。
しかし、目が泳いでるのが目に付く。怯える、と言うよりも、恥ずかしさをごまかしている、といった感じだ。なんせ顔が赤い。
あーうーおーあーいーおーう〜?
88 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 02:17:45.43 ID:HIGffg/6
まずい!フォローせねば!どうする!表面上クールに芋けんぴ食ってどっかり座ったけど、放置はまずい!
「まー、そのー、なんだ。」
うん、なんだ!何を言うんだ俺!
何が悪かった!あれだ!おっぱいも・・・もうなんてこれっぽっちも思ってません!
要はアレだ!萩原を追い詰めたのが悪かったわけで、そこんとこ謝っとかないと!
89 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 02:18:41.32 ID:HIGffg/6
取り合えず頭をガサガサと掻き、「ガサツなおにーさんがちょっと困ってる」的な感じを演出。んでため息ひとつ。
「悪かったな。追い回したりして。」
ぶっきらぼうに言う。って、偉そうだな俺!
「言やぁ良かったかもしれんが、萩原はなんかびくついてて話ききそうにねぇし。」
はい!お前誰ですか!
「とにかく。悪かったな、すまん。」
おーけーおーけー、ここまで来たらこのキャラで通そうか。
90 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 02:19:34.90 ID:HIGffg/6
取り合えず視線をそらす。
左斜め下を見るようにして、左腕は力抜いてソファーに置く。
右手は膝に引っ掛けるように乗せる。
オーケー。グッジョブ。完ぺきな演技だ。
ビートパーミネッツも下がってきた。大丈夫だ、問題ない。
91 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 02:20:11.71 ID:HIGffg/6
萩原はきょとんとしている。なんか、妙なこと言ったのか俺。
しかし、はっと何かに気がついて、わたわたと何かまくし立て始めた。
「い、いえっ!私も何か!いいい、い、いきなり逃げてしまってっ!なんか追いかけてくるときゾンビ映画みたいで!私なんかすっごく怖くなっちゃって!それで!それで!」
萩原は歌ってる声より普段の声のほうがキーが高いんだな。ステージより普段のほうがテンションが高いのか。
萩原もいい声だよなぁ。堀江由衣の曲とか歌わせてみてぇ。Coloringとか、バニラソルトとか。インモラリストもいけるか?
92 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 02:21:14.41 ID:HIGffg/6
わたわたとまくし立てた萩原だが、しゅんとテンションを下げた。両手を握って膝に置き、少しうつむいて顔を真赤にしている。
「なんか・・・・・・キスされるかと・・・・・・思ったし・・・・・・・・・・・」
なんかちっちゃい声で言ったよーーーっ!
うん、おじさん耳悪いから聞こえなかったよ。聞こえなかったことにするよ。
93 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 02:22:12.70 ID:HIGffg/6
「とにかく私も!ごめんなさいです!」
グッと頭を下げる萩原。うんうん、お互いね、スレ違いがあったもんね。よしよしミッションコンプリート。
「いいよ、頭さげんな。まぁ、お互い様ってこったから。
それより秋月先輩のおみやげ食べようぜ。」
そう言って、俺はテーブルに置きっぱなしになっていたまんじゅうの箱を開け始めた。包装を止めてあるテープがなかなか剥がれない。
94 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 02:22:37.32 ID:HIGffg/6
「・・・あ、私お茶いれますね。」
「おう、悪いな。」
95 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 02:23:35.02 ID:HIGffg/6
さっきまで飲んでた紅茶のカップをもって、萩原は給湯室へ入っていった。
給湯室と呼んで入るが、実際は壁側に設置されているキッチン設備を、低い本棚を壁替わりにしてあるだけで、ほとんど丸見えである。
96 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 02:24:06.57 ID:HIGffg/6
趣味、日本茶。だったな。女の子が入れてくれるってだけでお茶の味が数倍に跳ね上がるそうだ。
まぁ、味に変化があるわけがないんだが、可愛い女の子が入れてくれたら嬉しいのは確かだ。
テープを剥がさず縦に裂いて包装紙を引剥し、ふたを開けると、12個のうっすら緑色のまんじゅうがビニール越しに顔をのぞかせる。
袋を破ってトレーごと取り出した。甘い饅頭の香りに、ほんのりとお茶の匂いが混じる。これは美味そうだ。
97 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 02:25:27.08 ID:HIGffg/6
「神前さん。」
お盆に湯のみを乗せた萩原が、すでにテーブルの横にやってきていた。
俺の前に緑茶の入った湯のみを置き、40度ほど左に回した。
・・・・・・ああ、なるほど。湯のみの内側に書かれた絵柄がこっちから見えるな。
そういや天海もやってたな。ここのアイドルはお茶くみの作法を身に着けているのか。
98 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 02:27:09.91 ID:HIGffg/6
萩原は自分の分のお茶をテーブルに置くと、お盆を置くにおいてソファーに座った。
まずは一服。
・・・・・・おお、かおりの立ち方がぜんぜん違うな。天海の入れたのとは段違いだ。
茶葉は変えてないだろうから、おそらくいれ方が違うのだろう。
口から鼻に抜ける香りが、気分を落ち着かせてくれる。お茶の心ってやつを垣間見た感じだ。
99 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 02:28:45.89 ID:HIGffg/6
次に、まんじゅうに手を出す。
小さいまんじゅうなので、一口で行けそうだが、あえて半分かぶりつく。
おお、面白い。こしあんの緑色の大福餅をまんじゅうの生地で包んである。餅と生地に茶をねりこんであるようだ。
100 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 02:29:34.23 ID:HIGffg/6
っと、ここで気がついた。そうだ、遠慮するつもりだったんだ。食べちゃったよ。
残りを一口で収め、再びお茶を口にする。ふー落ち着くわー。
101 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 02:30:08.71 ID:HIGffg/6
俺と同じように、お茶を飲んで一息ついていた萩原だが、俺と目が合うと、なにか言いたそうにもじもじする。
「あの、その、神前さん・・・私・・・」
あー分かった。みんな恒例にしてるアレだな。
萩原にはきかれたことなかったから頭になかったが、はじめに言おうとしてたのはこれのことか。
102 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 02:31:51.94 ID:HIGffg/6
「萩原雪歩。」
「あ。」
「覚えたよ。大丈夫だ。」
また顔を赤くして湯のみに口をつける萩原。だが、今度はだいぶ嬉しそうだった。
103 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 02:32:35.49 ID:HIGffg/6
この時間をずっと過ごせたら良いのだが、地球の自転は止まってはくれないわけで。
壁の時計に目をやる。3時5分前だ。
「萩原、そろそろ時間だ。」
「へ?・・・あ、ホントですね。」
104 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 02:32:59.54 ID:HIGffg/6
萩原は時計を見上げた後、お盆と自分の湯のみを持って給湯室へ行った。水の出る音が聞こえる。
俺はもう一個食べたい衝動を我慢して、まんじゅうをビニール袋に戻し箱に収めた。
パタパタと給湯室から奥へ、トレーニングウェアを抱えて戻ってくる萩原。
「それじゃぁ、いってきます。」
「おー、しっかりなー。」
ペコッと頭を下げて、とたとたと事務所を出ていく。
105 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 02:34:55.27 ID:HIGffg/6
ここの一つ上の部屋がトレーニングルームになっていて、ダンスの自主トレなんかをやってる。
今日は、新曲の振り付けを集まれるメンバーで合わせるって話だったな。
んー、とすると、誰かこの階を通り過ぎてるわけで、呼びに来てくれてもよさそうなのにな・・・
嫌な予感がした。携帯を取り出しメールを確認する。
差出人は先輩。内容は「真と春香も仕事が長引いて戻れなくなったから、雪歩に明日に延期だと伝えてくれ」
・・・って、なんで俺にだ!本人にもメールしろよ!萩原携帯持ってないのか!?
106 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 02:36:14.25 ID:HIGffg/6
事務所を飛び出した俺は、半泣きの萩原にしがみつかれることになり、更に様子を見に来た秋月先輩に見られ、痛くもない腹を探られるハメになるのだ。
やましいことはなかった!なかった!
107 :
神前竜磨:2012/04/23(月) 02:38:34.50 ID:HIGffg/6
二話終わり
ちなみに成人に関しては
成人式を迎えてないと成人とは呼ばないだろうという
主人公の勝手な主観によるものです
こいつはそういうやつだってことです
そんじゃまた、次ができたらその時に
108 :
名無しくん、、、好きです。。。:2012/04/23(月) 02:57:39.89 ID:J9sHHRXy
ジャムおじさんの顔にジャムを塗るような真似はするな
アニメで言うとまだ一話開始五分くらいか。先は長いぜ。
110 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 00:33:33.93 ID:HbMy1FHp
>>108 すまない。日本語はなんとか分かる程度なので、もう少しわかるように説明してくれないか?
とりあえず、ジャムおじさんは人間じゃなくて妖精のたぐいなのだが、別に頭にジャムが詰まっているわけではないところまでは分かった
「ジャムおじさんにジャムを塗る」というのは、名前にジャムが入っているからといって、全くジャムとは関係ないのに、ジャムを塗るような行為ということなのだろうか?
しかし、その比喩表現が該当する事例が今のところ見当たらないのだが
自分の読解能力が低いせいか、さっぱりわからん
111 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 00:37:58.13 ID:HbMy1FHp
>>109 左近のアニメ制作会社の引き伸ばし技術を持ってすれば、5分程度の内容でも、きっと15分まで引き伸ばしてくれるに違いない
つまり、すでに1話分が完成しているわけだ
大丈夫だ、問題ない
しかし、小説家はこれをはるかに凌ぐ量を書き上げるのだからすごいものだ
一日一話(5分)で、一体何処までかけるのか
確かに先は長いな
112 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 00:39:05.57 ID:HbMy1FHp
何はともあれ3話だ
首を吊るほど暇なやつだけ眼を汚していってくれ
113 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 00:40:22.05 ID:HbMy1FHp
――――――――――――ガチャッ
「戻りましたー。」
「お帰りなさい。ありましたか?」
「ありましたよ。冷やし中華。まだ早いと思ったんですが、あるもんですね。」
114 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 00:41:07.57 ID:HbMy1FHp
昼の買い出しに行っていた俺は、事務員さん―音無小鳥さんにコンビニの冷やし中華と、サラダを渡す。
そして音無さんの向かい、自分の席に着いた。
そう、使い手がなく物置状態になっていた机を片付けて、ようやく俺が使えるようになったのだ。
といっても、今のところまともに仕事をしていないので。机の上はほぼまっさらだ。
とりあえず携帯の充電器は設置してある。本当は専用の電源ケーブルをつないだほうが良いのだろうが、純正品はお高いため、百均のUSB充電ケーブルで代用してある。
115 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 00:45:08.47 ID:HbMy1FHp
携帯を充電器にはめると、画面にいつものホーム画面が出てきた。現在時刻は12時30分。
充電がはじまったのを確認して、自分の分の昼食を取り出した。
今日は音無さんと同じ冷やし中華と、梅おにぎりをひとつ。
116 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 00:48:42.34 ID:HbMy1FHp
「あ、お茶出しましょうね。冷蔵庫に冷やした緑茶があったはずですし。」
「ああ、何から何まですみません。」
「いえいえ、自分下っ端っすから。」
女性をあまり立たせないのも、できる男。
ここでやっていくには、女性に対する考えを変えていかねばならない。
俺のブックマークには「できる男」「フェミニスト」「レディファースト」などの単語が並ぶようになった。
117 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 00:49:46.55 ID:HbMy1FHp
休憩所から聞こえる寝息をスルーして、給湯室の奥にある冷蔵庫へ向かう。
ついでに買ってきた「エサ」もしまうため、ビニール袋を下げたままだ。
本日、金銭的な理由により、昼は手前で作った握り飯を食す予定であったが、金髪の獣に食われてしまい候。
118 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 00:51:04.46 ID:HbMy1FHp
「音無さん。ペットボトルのでいいですか?」
「はーい。それでお願いしまーす。」
冷蔵庫から350mlのお茶のペットボトルを二本取り出し、空いたスペースを整理してからビニール袋ごとエサをしまう。
おにぎり二個程度なら、整理する必要はなかったかもしれない。
119 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 00:58:45.41 ID:HbMy1FHp
両手に一本ずつペットボトルを持ち、デスクに戻るところ、休憩室で寝ている金髪の獣をチラ見した。
通路側に足を投げ出し、クッションを抱えるように頭を突っ込ませ、ソファーに内向せになって寝ている。
金髪の長い髪がバラバラと床に垂れ、なんともだらし無く見える。
765プロ一番の稼ぎ頭。星井美希である。
現物と対面するのはこれが始めてだ。入社時もTVCMの撮影とかでいなかったし、何よりウチで最も忙しい娘だ。
正直オレも、名前は知らなかったが、顔を見たらピンと来る。とんでもない大物である。
まだ15の子供とは思ってなかったなぁ。
120 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 01:01:53.45 ID:HbMy1FHp
結構長い間眺めていたのか、ペットボトルの表面を水滴が濡らしていた。
デスクに戻り、ペットボトルを音無さんに手渡す。なんかニヤニヤされてる。
「みきちゃんの何処を見てたんですか?」
見てないよ。パンツの形がくっきり浮かび上がってるショートパンツなんて見てないよ。
121 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 01:02:42.62 ID:HbMy1FHp
「なんかかけるもんないっすか?風邪ひかれたら厄介だし、目の毒ですし。」
そうですねー、っと、机の下をゴソゴソとあさり出した。なんでも私物をまとめてあるそうだ。
ズルリと出てきたのは、薄い黄色のひざ掛けだ。腹回りを覆うには事足りそうだ。
俺はひざ掛けを受け取り、再び休憩室へ向かった。同じ格好でぐーぐーと寝ている星井の背中にかけてやる。
「目の毒」部分は解消されなかった。
上半身を隠したせいか、プリンとした尻がさらに目立つ。
122 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 01:03:37.43 ID:HbMy1FHp
まー、いいかー
自分の席に座ってれば全く見えないわけだし、せいぜい来客時に大サービスできるってところだ。
もっとも、出向くことの多いうちの事務所は、来客自体めったにないので問題なかろう。
それにしても、まだ15のガキとは思えないプロポーションだな。ついこの間まで中学生だったとは。
高校は芸能人御用達、堀○学園。普通の高校に通ってる天海や我那覇とは格が違うわけか。
まぁ、他の学校だと出席日数足らなくて留年しそうだしな。
それにしても見事な尻だな。胸も画面上では相当なものだったしな。それがまだ成長するわけだからな。
123 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 01:05:15.21 ID:HbMy1FHp
まずいな、尻から眼が離せなくなってる。欲求不満すぎるぞ俺。もっと別のことを考えるんだ。
金髪の獣。金色の獣。シェルブリッドのカズマ。
アニメの激闘シーンを脳内再生することで煩悩を断ち切り、再度デスクに戻る。
ずるずるっと麺をすすり上げ、お茶を一口。そしておにぎりをかじる。
ものの5分で食べ終わった俺は、残った汁を捨てるべく再び席をたった。
124 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 01:06:08.13 ID:HbMy1FHp
「・・・・・・神前さん。」
音無さんが声のトーンを落としている。
ここ数日でわかったことだが、この人かなりオタクだ。
なんせ俺の携帯を見た時に、「フォーゼはないの?」と訊いてきたぐらいだ。
それからというもの、同類と思われているのか(同類なわけだが)、事あるごとにネタを振られる。
さて、今日はなんのネタが来るんだ。
125 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 01:07:35.21 ID:HbMy1FHp
「そんなに何度も見に行ってたら、溜まっちゃって大変ですよ♪」
うわぁ、シモネタだった。オタネタが来るものと思って構えてたら斜め上からきた。てかさっきの続きか
あー、きっとアレだ。年齢的には今まで社長のつぎだったし、年下の子の面倒を見る上で色々抑えてきたんだろう。
初めての年上の相手に、気を緩めてるといったところだろう。きっとそうだろう。
合わせましょう。私も大人ですので。
126 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 01:11:09.43 ID:HbMy1FHp
「そんときゃ何とかしてくださいねー」
あっはっはっと、うまくかわして給湯室へ移動。
さっさと汁を水で流しゴミ箱にすて、星井には目もくれずさっさとデスクに戻っ
てきたのだが。
事務員さんがなんか上着を脱ごうとしてらっしゃる。
思わず飛び退き、パーテーションにぶつかってしまった。
「ちょ!なっ、なっ、なに」
127 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 01:12:04.65 ID:HbMy1FHp
「何とかしてくれっておっしゃるので♪」
上目遣いにニッコリと微笑むイメージカラー黄緑の事務員さん。
いやいやいやいやまてまてまてまて
何をするつもりだ!ナニをするつもりか!?
昼間っからなにいってんだこの人!昼じゃなくてもだけどさ!
てか、子供(星井)もいるし!まずすぎるし
128 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 01:13:49.46 ID:HbMy1FHp
言葉を失って口をパクパクさせてると、音無さんはクスクスと笑い出した。
「冗談ですよ。ちょっと熱くなってきたので、上着を脱いでただけです。」
あーっはっはっはっはっはー
漫画ならば「プシュー」と効果音が入ってることだろう。
すっかり弄ばれた俺は、体裁を取り繕う気力もなく、自分の席に崩れるように腰を下ろした。
129 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 01:15:05.27 ID:HbMy1FHp
「神前さんはチェリーボーイですねー」
すっごく嬉しそうにニコニコ笑う事務員のおねーさん。俺からしたら2,3年下のはずなのだが、なんだか目上の人のように思える。
事務所的には先輩なのだから、目上の人でも良いのかもしれないが。
それにしても、あそこでもし俺がその気になってたら、この人はどうするつもりだったのだろうか。
「神前さんはそんな事出来ませんよ。ヘタレですから。」
ザクッとキターッ!ってか!
「なに人の心の声に答えてるんですか。」
「女の勘です。」
女の勘こえー
130 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 08:27:39.40 ID:HbMy1FHp
てか、ヘタレって言われたな。そんなヘタレか紳士が試されるような場面は、音無さんの前ではなかったはずだが。
「それは、雪歩ちゃんにあらかた聞いたからです。」
「ちょ!また!」
「雪歩ちゃん言ってましたよ?「エッチなことされちゃうんじゃないかって期待してました」って」
両手を握ってもじもじしながら、そんなことを言う。萩原の真似のつもりらしい。
「前半は仕方がないとして、後半は絶対違うでしょ!」
萩原はそんな事言わない!絶対にだ!
131 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 08:30:38.95 ID:HbMy1FHp
「でも〜あそこまでやったら〜普通最後までしちゃいますよね〜」
すっごい悪い顔して机越しに迫ってくる事務員さん。コード反転してビーストモードになったりしそうだ。
「それが、なぁ〜んにも無しで終わったってことはぁ、ヘタレの証拠ですよ。」
「いや!自分は!紳士的に」
「紳士は女の子を追い詰めたりしません。」
「はい、すいません。」
本丸を撃ちぬかれ、逃げ場を失った俺は、素直に謝罪の意を表したのだった。
132 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 08:32:54.80 ID:HbMy1FHp
「あと、あんまり騒ぐと起きちゃいますよ?」
へ?っと、気がついた時には遅かった。金髪の獣・星井美希が眼をこすりながら起き上がるのが、本棚越しに見て取れる。
「ん〜、おながすいたの〜」
俺の昼飯を勝手に平らげた金髪獣は、クッションとひざ掛けを両腕に抱えてふらふらとやってきた。
「おはようございます、星井さん。冷蔵庫におにぎりを用意させて頂きました。ご自由にどうぞ。」
「おにぎり!?たべるのーっ!」
言うやいなや、星井はクッションとひざ掛けを放り捨てて、給湯室へ飛んでいった。
音無さんが慌ててキャッチしたが、ひざ掛けは床をこすってた。
133 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 08:35:18.54 ID:HbMy1FHp
「ん〜?ほーいえあー」
食べながらしゃべるんじゃない。
てか、現物はこんなんなのか。なんか身近というか、つかれるというか。
まぁ、近寄りがたい相手よりは良いよな。
ごくっと飲み干し、俺を指さす。
「この人誰?」
うん、だろうな。言うと思った。
だが、俺もお前のことあんまり知らなかったんだぜ?
寝てるあいだにデータ照会したお陰で、なんとか分かるんだがな。
134 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 08:36:35.92 ID:HbMy1FHp
「俺は神前竜磨、4月10日付でここの世話になってる。役職は一応プロデューサーだ。よろしく。」
肩肘をつき、座ったまま右手を軽く上げただけの自己紹介。まーこんなんでいいだろー。
俺の自己紹介を聞いた星井は、手に持ってる残りのおにぎりを音無さんの机に置くと、こほん、と息を整える。
135 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 08:37:22.56 ID:HbMy1FHp
「ミキはね、星井美希!15歳でぇ、女子高生だよ♪身長161センチ。」
右腕を背中に回し、左腕をつかむポーズは、鎖骨が押されて胸が前に出る。結果、通常よりも胸を大きく見せることができるわけだ。
立ちポーズ一つでこれだけ洗練された技術を扱うとは。さすが765プロの大黒柱だ。
「スリーサイズはー上からー、はちじゅうなな、ごじゅーろく、はちじゅーさんだよ☆」
一旦身体を倒し、胸をさらに強調した上で、数字の読上げとともに段階的に戻す。
見せたいところを魅せる技術だろう。確かに目が行ってしまう。
「こーれーかーらー よろしくねっ プロデューサーさん♪」
いいながら、ついっついっと歩み寄り、さいごに再び前に屈む。ちょうど目の高さが俺とおなじになるように。
136 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 08:40:36.94 ID:HbMy1FHp
―――――パーフェクトだ。素晴らしい。
これが天下の星井美希か。シャイニングアイドル賞ものの実力か。
やー、アイドル舐めてたわ。ショービジネスとして、相手を魅了するっていうのがここまですごいとは。
これは座ったままなんて失礼だな。子供とはいえ敬意を表しないと。
ふっ、と浅く息を吐き捨て、俺は椅子から立ち上がった。
星井は姿勢を戻したが、俺を見上げる形になる。
すっと、俺は右手をつきだした。
137 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 08:48:45.83 ID:HbMy1FHp
「俺の名は神前竜磨。神の前で竜を磨くと書く。もう29のおっさんだが、心機一転に頑張る所存だ。これからよろしくな。」
「また自己紹介?」
「ああ、すまない。さっきのは座ったままで失礼だったな。忘れてくれ。」
「かっこ良く決めたつもりの神前竜磨だったが、美希が寝ているあいだにおしりを揉みしだいた罪は消えないのであった。」
「ええっ!?」
「ちょっと!音無さん!!」
台なしじゃん!良い感じ台なしじゃん!!
ほら!すんげー警戒されたよ!胸とか隠すようにして下がってっちゃったよ!!
138 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 08:50:08.33 ID:HbMy1FHp
「星井!やってねーから!なんもしてねーから!」
「う〜?小鳥ぃ〜」
「冗談ですよ。神前さんにそんなことできる度胸はありませんから。」
貴女も大概ひどいですねっ!
つか、俺の威厳とかガンガン減らされてくなちくしょう!!元から無いですか!そうですか!そうですね!
「ん〜」
星井は星井で、俺を品定めするように、上から下までジロジロと見る。
139 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 08:52:38.63 ID:HbMy1FHp
「服とかダサいけどぉ」
クリティカル!効果は抜群だ!!
「でも、何もされなかったって、雪歩も言ってたし。信用できる・・・かな?」
萩原さ―――――んっ!!結構おしゃべりなんですね――――――っ!!
一体何処まで伝わってんだこれ
つっか、それでか!それで我那覇が影からジーっと見つめてくるのか!
見張ってたんだな!見張られてたんだな!熱い視線じゃなかったんだな!!
140 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 09:56:26.77 ID:HbMy1FHp
「あの、えっと、元気出して?」
いつの間にか崩れ折れる男になっていた俺は、星井に肩をポンポンと叩かれていた。
「ダイジョブだよ。神前・・・さんが、ヘタレで何もしないって、みんな知ってるから。」
「首吊ってきまぁぁぁあああっっす!!!!!」
141 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 09:57:19.55 ID:HbMy1FHp
もうダメだ!死んだ!社会的に!
俺は事務所を飛び出し、そのままむちゃくちゃに走り回った。
携帯を事務所においてきたのを後悔するがどうしようもない。
疲れてベンチでふて寝して、目がさめたときには、午後5時を知らせる音楽が、商店街に鳴り響いていた。
かえろ、うん。帰って寝よう。
そして、ヘタレの烙印は消えることがなかった。
なぜなら、次の日無断欠勤するほどの勇気もなく、ノコノコと顔を出したからだ。
自他共に認めるヘタレの完成である。
142 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 09:57:56.07 ID:HbMy1FHp
「小鳥ぃ。アレでよかったの?」
「ええ、上出来よ美希ちゃん。」
「でもあのひと首吊るって言ってたよ?」
「ほんとうに首を吊る人は宣言とかしないわ。」
「でもぉ」
「あれでいいの。社長の甥だからって、大目に見てきたけど、そろそろ働いてもらわないとね。
まずは、みんなの真剣さを見てもらうの。神前さんは基本悪い人じゃないから、自分もやらなきゃって思ってくれるわ。
そして、強引に作ってる「かっこいい自分」を壊してもらう。アレじゃ殻にこもってるのと同じだもの。」
「かっこいいのかな?アレ」
143 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 09:59:29.06 ID:HbMy1FHp
「本人がそう思ってるだけなのが問題なの。
でも、それもおしまい。もうどうしようもなく取り繕えないから。
雪歩ちゃんには悪いけど、うまく利用させてもらったわ。」
「そう言えば雪歩、なんか神前・・・さんの話すること、すっごく多いの。」
「そう。それはおもしろそうねぇ。ふふふ」
「小鳥・・・なんか怖いの」
「ま、細工は流々、仕上げを御覧じろってね。」
「五郎次郎?」
「まずは明日来るかどうかだけど、きっと問題無いわねぇ」
「?」
「あ、美希ちゃん。3時のドラマの打ち合わせ。2時には出るから、準備しておいてね。」
「うん、わかったのー」
「あしたがたのしみだわ。うふふ」
144 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 10:07:07.30 ID:HbMy1FHp
3話完
音無さんを策士っぽくしてます
気がついたらこうなってた
キャラが出来てると勝手に動いてくれるのでとても楽
それよりもワイルドカッコいい神前の予定が、気がついたらヘタレになってた
どうしてこうなった?
雪歩ともどうしてこうなった?
どうでもいいけど、作者は響が大好きです
145 :
アイマス:2012/04/24(火) 12:30:18.35 ID:W6r8domI
ここまで見たゲロ。
146 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 22:38:08.37 ID:HbMy1FHp
さてさて、4話はまだ書きかけなんだけど
昨日は連続投稿で規制がかかったから
今からのろのろと上げることにする
ああいうシステムがあるんだなぁ
147 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 22:40:41.43 ID:HbMy1FHp
――――――――――――ガチャッ
「っと、もっどりましたー。」
両手にビニール袋を下げて事務所に入ると、いつも奥から顔も見せてくれる音無さんが居ない。
「おろ?鍵あけっぱで何処行っちゃったんだろ。」
トイレかな?自販機前には居なかったし。
148 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 22:46:48.82 ID:HbMy1FHp
そいや、言っちゃ悪いけど、なんでこんなボロい事務所を借りてるんだろ?
はじめは資金がないからしかたがないとしても、星井や竜宮をはじめ、他の子も全員売れっ子ばかりだ。
もっとデカいところ借りられると思うんだがな。
両手の荷物を一旦休憩室のテーブルに置き、事務所を見回す。
ビニールの後の付いた手を握ったり開いたりしてほぐす。
149 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 22:59:36.98 ID:HbMy1FHp
・・・・・・ん〜やっぱぼろいよなー。トップアイドル事務所とは思えないなー。
はっ!もしや!誰か会社の資金を使い込んでるんじゃ!
それとも、もともと多額の借金を抱えてて、返済し続けてるとか!
ん〜 借金はありえなくもないなぁ。長い間みんな売れてなかったらしいし。
それが今や芸能界の一角を担うまで来たのは、件の先輩のおかげってわけだ。
150 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 23:05:29.60 ID:HbMy1FHp
・・・・・・ほんとねー、あの先輩ねー
あのひとすっげーいい人だ。アレはモテるよ。アレはモテる。
中川圭一といい勝負だ。アレで金持ちだったら手が付けられん。
悔しいが負けを認めるしかなさそうだ。
紳士度は絶望的に差が開いてる。別の部分で勝負するしかなさそうだな。
まずは、与えられた仕事をこなすこと。
151 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 23:27:18.18 ID:HbMy1FHp
俺は、買ってきた荷物を、整理がてら確認することにした。
音無さんに頼まれた備品の補充だ。
文房具類各種にミシン用の糸や針、コピー用紙。
そしてインクジェットプリンターのインクだ。
あらかじめ買う店も指定されてたから良かったものの、こんな骨董品探せって言われたら、アキバにでもいかない限りムリだろう。
もっとも、現物のバーコードからググったらアマゾンで手に入ることがわかったが。
ここのプリンターは、無線LANに接続してどこでも印刷できるようになっている最新機種と違い
プリンター専用のケイブルが必要な、旧石器時代の遺物だ。
振動が激しく、印刷するたびにパソコンラックがゆらゆら揺れ、ネジが緩む。
ここのパソコン環境考えねぇとな。
152 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 23:55:46.68 ID:HbMy1FHp
秋月先輩が割りと詳しい方だったおかげか、デスク周りのネット環境はそこそこ充実してたが、他の部分までは手が回ってないらしい。
番組賞品でもらった地デジ対応38インチワイドテレビも、LANケーブルは繋がっていなかった。
朝の番組でクイズに参加できないと騒いでいた、音無さんが思い出される。
まずは共用PCのグレードアップか。
どう見てもMMX以前のCPU積んでるだろうから、まるまる交換か。
ネットができる程度のPCだと、AMDのでメモリ2G、VGAなんぞオンボードでいいだろ。HDDはテケトーにテラ毎で安いのさがして・・・
いやいや、それは後で。まず整理しようか。
153 :
神前竜磨:2012/04/24(火) 23:56:49.62 ID:HbMy1FHp
俺はポケットから補充一覧のメモを取り出す。分類別に書いてあるので、これに合わせて分けていけばよいだろう。
まず文具類、シャープペンの芯、2B、HBともに5ケース・・・・
あ、なんか入れ物がいるな。なにか適当な空箱は・・・
あたりをきょろきょろと見回して、手頃な箱を探す。
ちらっと視界に入った共用PCを見て、「ショップオリジナルでもいいよな」とか思ったが、さらに奥に人影を発見した。
154 :
神前竜磨:2012/04/25(水) 01:29:29.27 ID:zgzGVsYg
茶色い髪を首のあたりで切りそろえた、セーラー服姿の萩原雪歩だ。
熱心にスケジュール表と手持ちの手帳を見比べては、手帳になにか書き込んでいく。
声をかけるか迷ったが、遠くででかい声を出して、驚かしてもいかんだろう。
ある程度近づいてから声をかけるか。
155 :
神前竜磨:2012/04/25(水) 01:43:45.64 ID:zgzGVsYg
俺には特殊な能力が2つ在る。
一つは、足音を立てずに歩くことだ。
別に訓練したわけでもないのだが、歩く際、かかとのはしから順番に地面につけるようにしている。
このため、他の人のようにカツカツと足音が鳴らないようだ。
もう一つは、存在を希薄にできること。
声を上げず、息は浅く短くするだけで、他者への認識をかなり下げることができる。
以前居た会社では、目の前にいるにもかかわらず、探されることが多々あった。
156 :
神前竜磨:2012/04/25(水) 01:50:57.89 ID:zgzGVsYg
しかし、どちらも意識して行なっているわけではなく、他者とのコミュニケーションを取りたくないわけではない。
つまり、話しかけられれば答えるため、存在を認識されるし、話すことがあれば話しかけるため、存在を認識してもらえるのである。
しかし、それは相手がこちらに目を向けている場合のことであって、背を向けている相手なら、全く気づかれずに近づけてしまうのである。
よって、俺は萩原の真後ろ、約30cmのところまで近づいていた。
157 :
神前竜磨:2012/04/25(水) 02:04:12.03 ID:zgzGVsYg
ん〜、どうしようか。ある程度慣れたといっても、手を握ったりするほどではない。
会話できる程度にはなったものの、やはりそわそわして落ち着かない。
ここはもうひとつアクションを起こして、慣れてもらうしかあるまい。
さて、どうするか。両肩に手をおいてみるか。軽く頭をなでてみるか。それとも脇をくすぐるか。
158 :
神前竜磨:2012/04/25(水) 02:05:17.46 ID:zgzGVsYg
いやいや、脇とかくすぐって萩原が動いたら、ちょっとまずいところに手が行っちゃうかもしれないじゃないか。
まずいなぁ、それはまずい。柔らかいもん握っちゃった日にゃ、きっと何処かのえびせんのように止められなくなる。
だから我が両手よ、ワキワキとしながらどこへ行こうというのかね?
ビートパーミネッツが180を超え、息もだいぶ荒くなってきた。これは興奮状態であると言えなくもない。
まず煩悩を断ち切ろうか。確か不動明王のマントラがそんな効果があったな。
ナウマク サンマンダ バサラ ダン カン ナウマク サンマンダ バサラ ダン カン・・・・・・
159 :
神前竜磨:2012/04/25(水) 02:38:42.77 ID:zgzGVsYg
しかし、俺の心音を聴きとったのか、または荒い息が頭にでもかかったのか、何かに気がついて萩原は後ろを振り返った。
とりあえずスケジュール表を見ているふりをする。
「か、神前さん!?」
びくっとおののく萩原。おののく――戦く 恐ろしさに震えたり、悪寒を感じたりすること。
「おう、長谷川。」
「は、長谷川じゃありません〜、萩原ですぅ。」
「安心しろ、冗談だ。」
「もぉー」
「神前さんは意地悪ですぅ」っと、萩原は再びスケジュール表とにらめっこを始めた。
よーし。誤魔化せた。
160 :
神前竜磨:2012/04/25(水) 02:40:08.71 ID:zgzGVsYg
「ところで萩原。音無さん知らねーか?」
そう言って、俺は右の本棚と壁の隙間を漁る。たしかここに潰したダンボールが挟まってたはずだ。
「小鳥さんは、飲み物買ってくるって言ってましたぁ」
この娘が小鳥さんって言うと、どうしても鳥のほうを連想してしまう。
音無さんの親は、もうちょっとひねった名前をつけてもらいたかったな。
「自販機んとこには居なかったがなぁ・・・」
「え?じゃぁ、どこに・・・?」
「ついでにお手洗いとかかな?」
161 :
神前竜磨:2012/04/25(水) 02:41:08.13 ID:zgzGVsYg
俺はいくつかダンボールを引っ張りだすが、全部大きすぎて使いものにならない。
諦めて他を探そうと、後ろを見たら、萩原と目があった。そしてそらされた。いつものことだけどちょっと泣ける。
右手を口に当て、ちょっと下の方に目を泳がせる。事情を知らない人が見たら、告白でもするのかと思うだろう。
ふむ、告白か。
162 :
神前竜磨:2012/04/25(水) 02:43:43.48 ID:zgzGVsYg
「どうした?萩原。告白か?」
ざっくり言ってみた。やはり物理衝撃はダメージがでかすぎる。精神的な衝撃でのショック療法と移行しよう。
「こ、こくは、くっ!?」
かーっ!っと顔を真赤にして硬直する萩原。いいねぇ、うれしい反応だ。是非動画で残しておきたいものだ。
163 :
神前竜磨:2012/04/25(水) 02:46:25.51 ID:zgzGVsYg
「だってよ、女子高生が男の前で、手を口に当ててもじもじしてんだぞ?告白にしか見えんぞ。
―――――あれ?セーラー服?」
そうだ、あまりにも違和感がないため気づかなかったが、大学生の萩原がなぜセーラー服着てるんだ?
「こ、これは、来週からのドラマの衣装なんです。小鳥さんに着てみるように言われたので・・・」
・・・ここで着替えたと、ほほう。
164 :
神前竜磨:2012/04/25(水) 02:49:54.90 ID:zgzGVsYg
「男が出入りする可能性がある部屋で着替えをしたということか。お父さんそんな娘に育てた覚えはないぞ。」
目頭を押さえて声を震わせてみせる。我ながらかなり芸が身に付いてきたようだ。
「ええ、お父さん!?」
「まぁ、置いといて。いい環境ではないな。女の子ばっかしだし、着替えることも想定しないとな。」
俺の後ろ側には応接室がある。おそらくそこで着替えたのだろうが、ブラインドがあるとはいえ窓際は危険だ。
さらにパーテーションで区切ってあるとはいえ、かなり低いため、俺からは丸見えだ。
更衣室。PCよりもこっちが必要かもしれん。
やはり狭いよな。事務所の移転、打診してみるかな。大蔵大臣秋月律子は簡単には懐を緩めないだろうが。
いや、あの人は必要な物にはしっかり使う人だから、それがここを使ってるってことは、そういう懐事情なのだろうか。
ほんと、お金何処に消えてるんだろ。
165 :
神前竜磨:2012/04/25(水) 02:51:48.13 ID:zgzGVsYg
「あ、あの、私・・・」
萩原が、なんかもじもじと、スカートを持ったり腕を背中に回したりと、なんだか落ち着かない。
ああ、そうだそうだ。女性が服を変えたらまず褒めろ。だったな。
「大丈夫だ、すっごく可愛いぞ。萩原。」
ぼんっ!っと効果音でも入りそうなぐらい、一気に顔が真っ赤っ赤になる萩原。
「わっ、かっ、きっ、着替えてきますぅゥゥゥぅううっっっ!!!」
叫びながら応接室のカバンを取りに行き、すごい勢いで事務所から出ていった。
んー、限界だったのかな?
まぁ、割と長いこと話してたし、今日はこのへんで勘弁してやろう。
166 :
神前竜磨:2012/04/25(水) 02:55:07.76 ID:zgzGVsYg
再び手頃な箱を探そうとあたりを見回した俺は、社長室の角から熱い視線を注いでくる何かを目撃した。
我那覇響だ。間違いない。
身体のほぼ半分が見えているため、特徴的なポニーテールが丸見えである。
我那覇の方も、俺の視線に気がついたらし、影から出てきて、ずんずんと寄ってくる。何故か怒った顔をして。
俺の目の前までやってきた我那覇は、むんっ!と胸を張って、俺を見上げる。
167 :
神前竜磨:2012/04/25(水) 03:00:19.61 ID:zgzGVsYg
「自分が怒ってる理由がわかるかぁ!たつまぁ!」
「全くわからんが、とりあえず目上の人の名前を呼び捨てにするのはどうかと思うぞ。」
「ああ?うう?じゃぁ、かんざきぃ!」
呼び捨ての部分が改善されてないけど・・・まぁいいか。
「どうした我那覇。ときに落ち着け。」
そう言って、我那覇の頭を撫でてやるのが、これでは収まらないらしい。
俺の手を振り払い、可愛いんだが怒って叫んだ。
「ぬあぁぁ!さわるなっ!この変態っ!
――――――――っ!?土下座しても遅いんだぞぉっ!」
解体業者が使うクレーンに吊るされた鉄球でふっとばされたかのような衝撃を受け、俺は崩れ折れる男になっていた。
やめてよ響ちゃん。君に変態とか言われるとマジで凹むんだから。
即死攻撃を受けた俺だが、なんとかこらえて立ち上がる。
168 :
神前竜磨:2012/04/25(水) 03:02:12.81 ID:zgzGVsYg
「す、すまない、待ってくれ。状況の整理をしたいんだが
まず、我那覇はいつからいたんだ?」
「なんか、こ、告白がどうとか言い始めた時から・・・」
「あーそっからかぁ」
「そしたら、お前がなんか言って、雪歩が泣いて出てったんじゃないかぁ!」
「なるほど、大体分かった。」
「だいたいじゃない!しっかり分かれぇ!」
つまるところ、我那覇は萩原が俺に告白してふられたと思っているわけだな。まさにさっき俺が思ったとおりに。
そっかー。俺が相手でもそういうふうに見えたのかー。ちょっと嬉しい。
169 :
神前竜磨:2012/04/25(水) 03:04:18.84 ID:zgzGVsYg
「そうだな、我那覇。まずは、萩原は俺に告白したわけじゃないってことだ。残念ながらな。」
「え・・・だって、告白って聞こえたぞ?」
「告白って聞こえたんだろ?別に好きですーとか、付き合ってくださいーとか、そういうセリフじゃねーだろ?」
「うう〜、たしかに。」
「あの格好でもじもじしてっから、なんか告白でもするみたいだなって言ったら、萩原はちょっち過剰反応しただけだ。」
「ぬうぅ〜、でも、その後何言ったんだよ!雪歩顔真っ赤にしてたぞ!」
「顔真っ赤にして、泣いてたのか?」
「泣い・・・て・・・た・・・かなぁ?」
あの勢いで出ていったのだ、顔なんぞまともに見えるはずがない。
状況を誤解した我那覇は、先入観のものに、萩原は泣いていると思い込んだわけだ。
170 :
神前竜磨:2012/04/25(水) 03:07:14.19 ID:zgzGVsYg
「まぁ、ある程度慣れたって言っても、まだまだだからな。限界が来たんだろうよ。」
「ん〜、そうなのか?」
「ああ、すくなくとも、萩原を泣かすようなことは言ってねーよ。大丈夫だ。」
「それならいい・・・いや、ごめん・・・なさい」
両手の指先をあわせて、三角を作ってうにうにと動かす我那覇。気まずくとも自分の非を認めて謝れる、よくできた娘さんである。
それに、友のために怒れるってのも素晴らしいな。
「わかってくれたらそれでいい。」
我那覇の頭をポンポンっとたたき、再び手頃な箱を探し始めた。
171 :
神前竜磨:2012/04/25(水) 03:08:38.62 ID:zgzGVsYg
が、背中に刺さる視線がむず痒い。振り返ると、我那覇がやたら申し訳なさそうにショボンとしてこっちを見ている。
くそー!可愛なー!もー!
どうするか。ギャグでもかますか?なんもネタねーよ
頭をガリガリとかいたが、よさそうな案は浮かばない。
俺は立ち上がって小さくため息をつくと、ずんずんと我那覇に近寄っていった。
怯える小動物みたいになってる我那覇の頬を両手でつまんで、グイグイと引っ張った。
172 :
神前竜磨:2012/04/25(水) 03:10:16.33 ID:zgzGVsYg
「うゎぅわぅわぅ・・・ん〜なにするんだ!」
右腕!お俺の手を振りほどいて、両手を上げて怒る我那覇の顔をされに両手で挟さむ。
「いいか我那覇。俺はな、お前に変態って言われて、非常に傷ついたんだぞ。」
「うう、だから、誤って・・・」
「違う。そんなもんいらん。」
173 :
神前竜磨:2012/04/25(水) 03:10:56.85 ID:zgzGVsYg
「じゃぁ・・・からだ?」
ブフ――――!!なんでそうなる!どうしてそうなる!
誰だよ!この娘に変なこと吹き込んだの!
さらなる攻撃で残りゲージは1ミリを切ってしまったが、最後の力を振り絞った。
「どうして・・・そうなる・・・」
「ぴよこが・・・神前はムッツリスケベだって」
ぴよこ=音無小鳥 あの人わぁぁぁあああ!
174 :
神前竜磨:2012/04/25(水) 03:11:51.18 ID:zgzGVsYg
「あのね、我那覇さん。あなたの笑顔がいただければ、私はそれで満足ですよ。」
崩れ折れながらも、最後の力を振り絞り伝えることを伝えた。
「そんなのでいいのか?」
「それが最大だろ。可愛い女の子の笑顔ってのは、とんでもないパワーが秘められてんだよ。」
なんかいろんなもんぶっ壊されて、思ってることがだだ漏れな気がするけど、もうどうでもいい。
175 :
神前竜磨:2012/04/25(水) 03:13:57.37 ID:zgzGVsYg
「そっか!わかったぞ!」
ぱぁっと明るい笑顔に戻った我那覇を見て、何もかも救われた気分になった。可愛い女の子の笑顔は最高だぜ。
「あ、自分が作ったサーターアンダギーあるけど、食べるか?」
「おー、食う食う。なんかすんげー腹減ったわ。」
その後、我那覇の作ったサーターアンダギーを食べながらだべっていると、自販機が壊れていたためコンビニまでジュースを買いに行ってた音無さんが戻り、
備品の整理を思い出すのであった。
176 :
神前竜磨:2012/04/25(水) 03:15:41.86 ID:zgzGVsYg
3話完
最後尻窄みになってしまった感が否めない
眠くなりました
響がやっと出せました。
乙。4話も期待してます。
178 :
神前竜磨:2012/04/25(水) 23:55:35.87 ID:zgzGVsYg
さて、休み時間にでも読める連続してない投稿小説
4話じゃなくて実は5話目でございます
>>177すまん あの時だいぶ眠かったんだ
てか、毎日打ってたら手が筋肉痛気味になってきた・・・
179 :
神前竜磨:2012/04/25(水) 23:56:27.12 ID:zgzGVsYg
「〜♪」
俺は朝から機嫌が良かった。
本来今日のように寝不足の時は、脳ミソが全く機能せず、思考にもやがかかっているようで大変気持ちが悪いのだが、
今日に限っては、雲ひとつ無い晴天の下にいるようだった。
俺は携帯=スマートフォンを買って以来の夢を、ついに実現したのだ。
先日、スリープ解除部分のオープンソースコードを偶然見つけ、それを組み込み、念願のアレを再現したのだ。
180 :
神前竜磨:2012/04/25(水) 23:57:22.28 ID:zgzGVsYg
うれしさのあまり、本日何度目かの分からないが、携帯を取り出して電源ボタンを押す。
ここで本来、味気ない「ロック中」の文字とともに、錠前のマークの付いた解除ボタンが現れるのだが、
俺の携帯には1枚のカードが表示される。
クレジットカードのようなそれには、左側に大きくMをあしらったロゴ、下にはカード番号のようなものに、俺の名前が書かれてある。
右下にはアルファベットが4文字並んでいて、そして中央にあごひげを生やしたおっさん顔の太陽が描かれたサークルがある。
俺が、太陽の上を手の平で左から右にこすると、太陽がサークルごとコインのように回り、「Open Deal!」と、発音のいい音声とともにホ
ーム画面が現れる。
181 :
神前竜磨:2012/04/25(水) 23:58:24.48 ID:zgzGVsYg
グッ!っと、一人ガッツポーズを取る。これさえあれば数日の徹夜も行けそうだ。
すると、何やらジトーっとした視線を感じて顔を上げた。
視線の先には、ベリーショートを若干伸ばした感じの女の子がラノベを手に立っていた。
なんか、呆れるというか、変なものを見たといったような感じだ。
182 :
神前竜磨:2012/04/25(水) 23:59:28.69 ID:zgzGVsYg
彼女―菊地真。17歳。大学生で、萩原と同学年になる。今は長袖のジャージに短パンといった出で立ちだ。
男のような名前だが、見ての通り女の子だ。
彼女もこの忙しい中、大学受験をクリアしたことになる。全く、ここのアイドルはすごい子ばかりだな。
世間ではよく美少年のように扱われることが多い。何度かグラビアを飾るものの、大体が女性週刊誌だ。
仕舞いにはお王子様などと呼ばれる始末だ。どうしてこうなったんだろうねぇ。
たしかに、そのへんの男よりもかっこいい顔立ちだし、運動神経抜群で、男らしい性格ではあるのだが、
太ももは、女性特有のハリのある柔らかい感じはするし、胸だってそれなりの膨らみを持っている。
やはりどう見ても女の子なのである。さらには、手に持っているラノベが、女性向けのベタベタな恋愛小説だったりする。
183 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 00:00:04.61 ID:zgzGVsYg
と、菊池が何やら、ジャージの裾を引っ張って脚を隠そうとしている。
しかし、実際に隠れたのは短パンまでなので、むしろ下だけ履いてないように見える。ごちそうさまです。
「神前さん、なんか目がやらしい。」
こうかはいまひとつのようだ!
先日の我那覇との一件で、言葉による攻撃に耐性が付いている俺には、むしろご褒美となる一言だ。
184 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 00:55:35.46 ID:9trUlJ9j
しかし、一方的に攻撃を受ける俺ではない。なんか返さねば。
菊地は男のように見られることに、コンプレックスを持っている。
そのためか、無理に女の子らしくしようとした結果、すごく痛々しい行動をとったりすることもあったようだ。
もっとも、前から彼女を知っている人間にとっては、「真くんは冗談も言えるんだねー」的な受け方しかされてなかったが。
さて、そんな相手に効果的な一撃というとだ・・・
185 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 00:56:55.81 ID:9trUlJ9j
「それは菊地が魅力的だからだよ。女としてな。」
自分で言っておきながら激しく吹きそうになるほどくさいセリフだが、これが菊地には最も効果的なのだ。
「ほんとうですか!ボクって魅力ありますかっ!」
おっと、食いついちゃったよ。萩原みたいに顔真っ赤にして逃げ出すかと思ったんだが、世の中甘くないな。
186 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 01:04:03.02 ID:9trUlJ9j
「あるよ。あるある。てっか、世間の評価がおかしいよ。どう見ても、君は可愛い女の子だ。」
目をキラッキラさせて詰め寄ってくる菊地に押され、思ったことをそのまま言ってしまった。
まぁ、実際そのとおりなので別に問題ない。だが、世間一般は俺とは違う目で見る。
おそらく今の菊地よりも、昔の菊地のイメージが強いのだろうか。
数年前では、まだ男女の差異が顕著に出ていないだろうしな。
しかし、イメージの払拭とはいえ、いつかのフリフリの格好では痛いだけだ。
菊地の売りは健康的な身体。しかし、それをたくましいと解釈され、結果男のように見られている。ならばだ!
187 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 01:05:41.94 ID:9trUlJ9j
俺は緩んだ顔の菊地の横、洋服掛けをあさりだした。
この洋服掛けには、ステージ衣装のサンプルが大量にかけられてある。
俺の記憶が確かなら、ちょうどいいものがあったはずだ。
数あるサンプル衣装の中から、胸元まで覆う淡いピンク色で厚手のロングスカートと、えー?なんか白い長袖の襟付きシャツのセットだ。
あ、これ袖んところちょっと絞って先が広がってんのか。こってんなぁ。
ハンガーにリボンも引っかかってる。多分襟に通して前で結ぶのだろう。
188 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 01:19:39.40 ID:9trUlJ9j
「菊地、ジャージ脱いでこれ着ろ。」
なんだか一人でくねくねしている菊地に、一式を押し付ける。
次は手頃な帽子だ。横のダンボールをあさると、厚手の布でできた濃いめのピンクの帽子が出てきた。
上が平らで、後ろ側に厚手の布の蝶々結びの飾りが付いている。
その帽子も菊地に放ると、菊地はうまいこと頭で受けた。
しかし、服を抱えたまま一向に着替えようとしない。訴えるような目で俺を見つめてくる。
189 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 01:23:02.23 ID:9trUlJ9j
「・・・・・・ん?どうした?着替えろよ。」
「着替えるのはいいんですけど・・・・・・」
歯切れが悪い。なんだ、こういうのは趣味じゃないってか?
こないだ着てたどっかの魔法少女みたいな服より全然マシだけどな。
・・・・・・・・・あ、わかったぞ。
俺は、菊地の言いたいことを理解し、その上で腕を組みその場にとどまった。
「安心しろ!しっかり見ててやる!」
「出ていって下さい!」
事務所を追い出された。「ムッツリじゃなくてハッキリじゃないか」などとドアの向こうから聞こえる。
チッ、しゃーなしだな。ともかく、あの服ならば菊地の身体の線をごまかすことができる。外見にとらわれずに済むわけだ。
190 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 01:33:36.05 ID:9trUlJ9j
数分後、ドアが開かれ、帽子をかぶった菊池が顔をのぞかせる。
「おーけー。パーフェクトだ菊地。」
「ええ、まぁ、たしかに結構いいです。」
事務所に戻ると、すでに大鏡が引っぱり出されてあった。
「ボクが選ぶ奴よりだいぶおとなしいですね。雪歩とかが来たらもっと似合いそうですけど。」
くるくると鏡を見ながらまわる菊地。可愛さ150%入ったのだろうが、まだこれで完成ではない。
191 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 01:34:25.55 ID:9trUlJ9j
「菊地、気をつけ!」
号令を聞いて、俺に向かってびしっと姿勢を正す菊地。わかりやすいほど体育会系である。
「小さく左向け、左!腕を後ろに下げ肩甲骨をくっつけろ!顎を引いて帽子を深くかぶれ!両手を組んで腹よりやや上で固定!脇も締めろ
!」
ビシッ!ビシッ!と、俺の指示に合わせて姿勢を作る菊地。パーフェクトだぞ。
指示を出しつつ、携帯を取り出しボタンを押して横にスラッシュ。画面を左に2枚めくり、カメラアプリを起動させる。
そして、菊地をカメラに捉えて素早くシャッターを切った。
帽子のおかげで目元が見えにくく、これなら誰かわからないだろう。
更に、待ってるあいだに用意しておいたメールに添付して、素早く送信する。
192 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 01:37:45.86 ID:9trUlJ9j
「ちょっ!なに撮ってるんですか!?」
「先輩に送った。「スカウトしてみましたテスト」って書いて。」
「!?」
みるみる顔を赤くしていく菊地。ん、レアだ。
しかし、普段から女の子としてみてもらいたいって言ってたし、今さらこれで恥ずかしがることはないと思うが。
乙女心というものかな。
193 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 01:41:07.18 ID:9trUlJ9j
「怪電波キャーーーーッチッッ!!!!」
あ、返事きた。
メールの着信音にびっくりしたのか、菊池が目を白黒させている。
メールの内容を確認すると・・・
「『近くまで帰ってきてるから、またせておいてくれ。俺から話をする。』だそうだ。やったな。」
「○煤刀◆α□Δ\Ω!?」
言葉にならないほどうれしいらしいな。
194 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 01:42:03.40 ID:9trUlJ9j
「どうしてそんな事するんですかっ!!!」
俺の襟を掴み詰め寄る菊地に、俺はうろたえてしまう。
「どうしてって、お前・・・」
どうしてだっけ?菊池はかわいいのに、世間では男のように扱われてるのが、なんか嫌だったというか。
いや、そんなんじゃないかな。
「菊地にも、こっちの良さがあるのに、先輩たちはそれを伏せてるってのが、なんつーか、腹がたった。」
195 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 01:42:35.00 ID:9trUlJ9j
気づいていないということはないだろう。俺よりも付き合い長いんだ。
日に日に女らしくなっていく菊地を見て、このままでいいと思ったのか。
今を売るために、菊地の未来を捨ててしまうのか!
おそらく険しい顔をしていただろう。今ひとつ明確に考えていなかったが、菊地のプロデュースの仕方があまりにも偏っている。
『王子』なんて女の子にとっちゃレッテル以外の何物でもないじゃないか!
俺はこいつが男扱いされているのが、我慢できなくなっていた。
そして、当の本人は、手の力をゆるめ、辛いような、苦しいような、複雑な表情を浮かべている。
196 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 02:01:10.07 ID:9trUlJ9j
「菊地、お前はいいのかよ。『王子』なんて呼ばれて。
お前は―――――お前は女なんだぞ!お前自身!女でありたいんだろ!」
菊地の方を掴んで、思いの丈をぶつけた。正直、俺はアニオタでパソオタだ。アイドルなんてもん今までまともに見ちゃいない。
でもだからこそ、俺の前にいるのは、そんな世間一般の見るものとは違う、菊地真と言うなの少女だ。
ファンなどという立ち位置ではなく、手をつなげる距離にいるんだ。プロデューサーである俺達以外、誰がこいつをまともに見てやれるんだ!!
俺は真剣な気持ちを吐き出した。しかし、菊地はぷっと吹き出した。
その顔は、さっきの複雑な表情ではなく。さっぱりとしたいつもどおりの菊地真だった。
197 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 02:06:52.90 ID:9trUlJ9j
「・・・・・・ありがとうございます。
確かに、ちょっとは女らしくなったボクが今のボクですけど、
でも、ファンの人達が見てきた前のボクもボクなんです。」
確かに、アイドルとは究極的に偶像であり、見る側のイメージを具体的に投影するものだ。
しかし!ならば!大衆は女としての菊地は求めていないというのか!?これからのこいつは見ないっていうのか!!
「ボクは決めたんです。みんなが、ファンが求める菊地真でいようと。
プロデューサーにも話して、ボクがやりたいようにやれって言ってくれました。
だからボクは、今まででいいんです。」
菊地の目に、諦めや後悔はない。自分で考え、自分で決めたということか。
その顔を見て、俺も落ち着きを取り戻せた。
妙に熱くなってしまったが
198 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 02:12:27.86 ID:9trUlJ9j
「・・・すまない。余計なことをした。」
「いいえ、正直すっごく嬉しいかったですよ。ボクのこと女の子としてみてくれる人って少ないですから。」
柔らかい微笑みだ。テレビでは見られない、本物の菊地真。
彼女は自分の居場所を守るため、自ら『王子』をやっているのなら、俺に止める権利はない。
どうやら俺は、とっくに結論が出ていたことを、ほじくり返しただけのようだ。
199 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 02:14:37.21 ID:9trUlJ9j
「あの、そろそろ放してもらえませんか?」
言われて、菊地の肩を掴んだままだったことを思い出し、慌てて手を離した。
「うわわっ!ごめんっ!いたかったか?」
結構力いっぱい掴んでいた気がする。やっべー、後とか残ってたらどうしようか。
「大丈夫ですよ。父さんに掴まれるよりよっぽど優しかったです。
――――それより、ボクも何かされちゃうんじゃないかと、ちょっとドキドキしました。」
200 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 02:15:35.65 ID:9trUlJ9j
右手を口に当てて、左手できゅっと体を抱き寄せる。可愛いよなー。じゃなくって。
「んなことしねぇよ。所属アイドルに手なんか出したら、おじさん・・・じゃなくて、社長に殺されるぜ。」
「へぇー。じゃぁ、雪歩はもうアイドルじゃないってことなんですか?」
音無さんばりに、ニヤリと悪い笑みをする菊地王子。毒されてるねぇあはははは。
「頼むからその話はもう忘れてくれ。」
ほんっと勘弁して下さい。もう二度としません。てか、手なんて出してないので萩原はまだアイドルです。
201 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 02:19:47.09 ID:9trUlJ9j
「・・・・・・ところで、プロデューサー来るんですよね?どうするんですか?」
「そりゃオメェ・・・ドッキリ仕掛けるしか無いだろ。」
ぐっとサムズアップする俺に、同じくサムズアップで返す菊地であった。
202 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 02:20:38.60 ID:9trUlJ9j
――――数分後、事務所のドアが開き、先輩が帰ってきた。
「ただいま。神前さんお手柄ですね。写真見ただけでもかなり来るものがありましたよ。」
「そう言っていただけると光栄です。奥にまたせてあるのでどうぞ。撮影許可ももらってますから。」
「ありがとう。彼女名前は?」
「あー・・・いぐち・・・みことです。井戸の口に美しい琴で、井口美琴。」
「井口美琴くんか。わかった。ありがとう。後は本人にきかせてもらうよ。」
203 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 02:23:08.51 ID:9trUlJ9j
先輩は、いそいそと奥の応接室へと向かった。
菊地には、さっきのラノベを読ませて、待っていました感を最大限に演出してある。
「こんにちは井口さん。ボクはここでプロデューサーをやっている・・・・・・・・・」
室内で帽子をかぶったままなのだが、先輩は気にもとめていないようだ。
こうして、先輩の面接は、菊地が耐え切れず笑い出すまで続いたのであった。
204 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 02:26:56.16 ID:9trUlJ9j
神前くんが熱血してる。
それもこれも全て音無小鳥のシナリオ通りである。
雪歩をネタにされるのを定番にするか、そろそろやめるか考えどころ
春香、雪歩、美希、小鳥、響、真と出てきたな まだ半分も出せてないのか
竜宮はまとめてだそうそうしよう
乙です。
206 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 22:39:32.32 ID:9trUlJ9j
今日はちょっと筆が遅い
制限がかかるからアップ始めるけど
途中で止まるかもしれない
まぁ、何とか頑張る
どうでもいいけど、5話で誠に着せた服は「ろくでなしの詩」というサイトのWebコミのやつを勝手に参考にさせてもらった。
オリジナルのやつが面白いのでお勧めしておく。
それじゃ六話目スタート
この時点でヒロインが決まってないけどスタート
207 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 22:46:21.27 ID:9trUlJ9j
時刻は午前11時を回った。俺は、箱に無作為に放り込まれているはがきを、また一枚手にとる。
「765プロカバーアルバムリクエスト係 様」と、書かれたはがきを裏返し、内容を読み取る。
ぱめ・・・ら? えーっと、スピリットだな。みきちゃんでお願いします。ね
無料の表計算ソフトで作ったリストに書き加えてゆく。
更に、Googleで検索。曲について大雑把に調べておく。
何だ、アニソンじゃねーか。アニメの方のタイトル書けよ。つか懐い。
208 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 22:47:47.48 ID:9trUlJ9j
俺の机には、「さはくぃえる」とシールの貼られたスリムケースの自作PCが1台に15インチのノーマルのディスプレイ、
それと携帯の刺さっている充電器に、大量のアンケートハガキが入った段ボール箱がひとつだ。
IT技術が飛躍的な進化を遂げ、今や一人一台と言っても過言ではないほど、携帯電話が復旧している今日この頃。
それでもネットによる投稿ではなく、こうした紙資源を消耗するやり方はどうかと思われるが、
やはり機械を扱えない人にとっては、これが最も合理的なやり方になるのだろう。
よって、アナログをデジタルに変換するために、人間というインターフェイスが必要になるということだ。
まぁ、これで仕事やってる体になるのだから良いか。
209 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 22:49:33.61 ID:9trUlJ9j
PCに接続したイヤホンからは、先ほど調べた懐かしい曲が流れてくる。
今でも十分通用する曲である。マイリストにも入れておこう。
ここで言うマイリストは、よくブックマークなどと呼ばれるネット用語とは異なり、
今度うちの事務所から出すCD―カバーアルバムの候補のことである。
アンケートの集計結果をベースにするが、最終的な取捨選択は先輩達で行うという。
つまり、今はそのための資料作りというわけだ。
そこで、ただ集計するだけではつまらないので、自分なりによさそうな曲をピックアップしてみているわけである。
・・・・・・まぁ、当然のことながら、アニソンが9割を占めているリストなわけだが。
210 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 22:56:35.44 ID:9trUlJ9j
さっき手にとったはがきを『済』とか書かれた箱に揃えて入れて、再びダンボールから次のはがきを取り出す。
MAX、らいどおんないと あーあー知ってる。指定なしか。
リストに加え、グーグルで調べ、試聴もする。コレアリだな。
自分のリストにも加えつつ、済箱に揃えていれる。次のはがきを取る。
2時間ほどやってるが、あまり減ったようには見えない。やはり調べながらやるからだろうか?
なお、765プロ公式サイトにても投稿可能だったが、すでに閉めきってありページもなくなっている。
もちろん、そちらの集計はとっくに終わっている。
てか、こういう集計作業とか、外注に頼むもんじゃねーかな?
ほら、内職とかでやってるもんなんじゃね?
211 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 22:58:00.05 ID:9trUlJ9j
ごそごそ――あー?みかん?あ〜?まぁ、一応書くか。双海姉妹な。
ググって出てきた曲は、なんか「みかんみかん」って叫んでるだけのようだった。
テレテッテレテテテッレテテーレテテー♪テテレッテテテレッテテレテーレテテー♪
俺の携帯が最新機種には似合わない電子音を鳴り響かせる。わざわざMIDIファイルを探してきて入れてあるためだ。
曲名「The Day Takeoff」Vo橋本みゆき
向かいで音無さんが歌い始めたがスルー。この人手広いなホント。
イヤホンをとって電話にでると、秋月先輩の声が飛び込んできた。
212 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 23:00:16.16 ID:9trUlJ9j
『神前さん!今事務所にいますよね!』
そりゃまぁ、仕事ありますし。休み時間でもありませんし。
「いますけど、何かありましたか?」
『休憩室のテーブル!見て!』
電話の声を聞き、ゆらりと立ち上がり休憩室へ赴く。
213 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 23:41:51.21 ID:9trUlJ9j
そこには、ソファーでヘッドフォンをつけた髪の長い細身の少女が、台本に目を通しているところだった。
歌姫―如月千早だ。
星井、竜宮に続く三本柱、CD売上ならうちの事務所で頭抜けて一位である。
今夏初公演となるミュージカルの練習に明け暮れているという話だが、今日はオフをもらっているということだ。
オフなのに事務所で台本を開いているあたり、よくいえば仕事熱心。わるく言えばぼっち・・・
と、今は如月にかまけている場合ではない。俺はテーブルを見回すと、100円ライターよりも小さいUSBメモリが目に止まった。
214 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 23:43:26.25 ID:9trUlJ9j
「USBメモリですか?黒くて先の引っ込むやつ」
手にとって、ボタンを押してスライドすると、コネクタ部分が顔を見せる。
『そうよ!それ!あ゛ーーーっ!やっぱりそこかぁぁ!!』
確か、竜宮の打ち合わせの時にここを使っていたようだが。その時に忘れたようだ。
215 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 23:44:11.26 ID:9trUlJ9j
「中身がいるんですよね?でかくなけりゃ送りますけど?」
『できるの!?』
PCに関しては同等かそれ以上の知識が有ることは、秋月先輩も知っている。
それでもデータが遅れることに驚いているのは、俺のメールアカウントがまだないからだ。
だが別に、会社のメールアカウントを使用する必要はない。
「microUSBの変換コネクタありますから、携帯で送れますよ。」
俺はUSBの先を出したり引っ込めたりしながら、自分のPCの前に戻る。
216 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 23:45:11.47 ID:9trUlJ9j
『それじゃ、スケジュールってフォルダの・・・・・』
PCにメモリを挿し、フォルダを漁る。指定のフォルダを見つけた。
「見つけました。すぐ送るんで、ちょっと待ってください。」
『ありがとぉ〜。お願いしますぅ。』
プチッと電話が切れる。
217 :
神前竜磨:2012/04/26(木) 23:46:04.42 ID:9trUlJ9j
俺は懐からUSBメモリーのケースを取り出す。
一般的なUSBメモリなら4本と、microSDカードが4枚収まるそれから、USBメス⇔microUSBオスの変換コネクタを取り出す。
変換コネクタに先のUSBを挿し、携帯の上部のゴム製のふたを開けて変換コネクタを挿す。
携帯がUSBメモリを認識し、目的のファイルをメールに添付して送信する。
・・・ん、これPC経由でも良かったか。携帯でも探したから二度手間だったじゃん。
大した手間ではなかったが、効率良く出来なかったことにちょっと後悔する。
送信が完了したのを確認し、コネクタとメモリを分離していく。メモリは俺があずかっておくか。
218 :
名無しくん、、、好きです。。。:2012/04/26(木) 23:49:18.60 ID:Ix/a5n7L
ニート=皇帝
219 :
神前竜磨:2012/04/27(金) 00:26:14.43 ID:9LDyTf4F
ケースを上着にしまうと、向かいで目を丸くしている緑の事務員さんがいた。
「・・・なんすか?」
またなんか変なことでもいうんじゃなかろうか。
「神前さん、なんかすごいカッコ良かったですよ。できる男って感じで。
スパイ映画の主人公みたいでしたよ。」
あーあー、なるほど。携帯端末に機器を取り付けて操作してれば、それっぽく見えるか。
ケースに収まってる基盤むき出しのメモリを使えば、更に効果アップだったろう。
220 :
神前竜磨:2012/04/27(金) 00:27:12.84 ID:9LDyTf4F
「ま、こういう奴の扱いの方が得意なんでね。」
女の子の扱いよりもね。
入社して二週間経つが、話すどころかまだ顔を合わせていない娘もいる。
まぁ、まだそっちはいい。どうするかはあってからの話だ。
問題は、何度か顔をあわせているが、まともに話をしたことのないやつだ。
そう、そこにいる如月千早とか・・・・・・
本棚越しに休憩室を見ると、振り返っている如月と目があった。
しかし、すぐにぷいっと前に向き直り、再び台本に目を落とす。
765プロではよくあることだ。
221 :
神前竜磨:2012/04/27(金) 00:29:01.15 ID:9LDyTf4F
だが、まだあったこともない竜宮の3人はともかく、警戒しているのは残るところ如月だけだ。
何か話すきっかけでもあればいいんだが、野良猫並みに警戒していて、近づくことさえ許されない。
仕事に支障無いですからいいですけどね!
携帯が「怪電波キャーーーッチッ!!」と叫ぶので、メールを確認する。案の定秋月先輩からだ。
『ありがと 助かった』とだけ書いてある。とりあえずミッションコンプリート。
そして音無さんと顔を合わせ、お互いにニヤリとする。メールの着信音のネタに気がついたのだろう。同類はこれで会話できる。
・・・・・・仕事しよ。
段ボール箱をあさり、次のはがきを取る。・・・・・・マイダイヤモンド?ポケビか!懐かしい!
これは割と低音多いんだよな。音域の幅なら如月、我那覇。低音的に菊地か。我那覇にぜひ歌ってもらいたいな。
222 :
神前竜磨:2012/04/27(金) 00:31:29.41 ID:9LDyTf4F
――――ガチャッ
「戻りましたー・・・じゃなくって、おはようございま・・・す?」
事務所に入ってきたのは、ツインリボンの天海春香だ。彼女も確か、今日はオフのはずである。
「ごめん千早ちゃん。クッキーが冷めるまで時間かかっちゃって。」
「大丈夫よ、春香。お昼までまだ時間があるわ。それに、真もまだ着てないし。」
223 :
神前竜磨:2012/04/27(金) 00:48:51.67 ID:9LDyTf4F
なるほど、待ち合わせをしてたのか。良かったな如月、お前のぼっち疑惑は晴れたぞ。
しばし二人の会話に耳を傾ける。今日はショップを転々として、服など見て回るようだ。
女の子同士のキャッキャウフフな会話をBGMに仕事が出来る。良い職場だよな。
しかし、聞き入っている訳にはいかない。幾分緩んだ顔を戻し、再び段ボール箱に手を突っ込もうとした。
向かいで緩みきった顔の事務員さんを見て、全てのものが停止する。
ぽかーんと口を開けたAA(アスキーコードアート)があれば、それを使っていただろう。
224 :
神前竜磨:2012/04/27(金) 00:50:39.84 ID:9LDyTf4F
「・・・・・・音無さん?」
「はうっ!?」
「お帰りなさい。」
遠くの世界から帰ってきた事務員さんは、「なんでもない!なんでもないのぉぉ!」とワタワタしたあと、ごまかすように書類の整理に戻る。
俺も超法規的措置=見なかったことにして、次のはがきを取る。
すると、天海がなにかもってこっちへやってきた。
225 :
神前竜磨:2012/04/27(金) 00:57:31.35 ID:9LDyTf4F
「御ふたりともお疲れ様です。差し入れですよー。」
そう言って、俺と音無さんにクッキーの入った袋を1つずつ渡す。
リボンで綺麗にラッピングしてあり、正直ほどいてしまうのがもったいない。
「ありがとう。あとでいただこう。」
仕事中ということもあり、手元に引き寄せるだけにしてはがきに視線を戻したのだが、
「う〜〜ん おいしい!最高よ!春香ちゃん!」
向かいでサクサク食べ始めている事務員さんがいる。自由だなぁ。
ん〜、ウマそうだなぁ・・・
226 :
神前竜磨:2012/04/27(金) 00:58:42.22 ID:9LDyTf4F
「自分の食べてくださいよ」
「・・・はい。」
またも心の声を読まれ、釘を差される。少々勿体無いが、綺麗に結ばれたリボンをほどく。
甘く香ばしい香りが漏れだし、一口大のクッキーが顔をのぞかせる。
三色あるが、それぞれバニラ、チョコ、抹茶だろう。
とりあえず抹茶のクッキをつまみ、口に放り込む。
表面はサクサクしていて、中はわずかにしっとりしている。
控えめの甘さと抹茶の苦味が相まって、口の中に最高のハーモニを奏で出す。
とか、料理漫画で有りそうな表現をしてみるものの、実際わかるのはうまいということだけだ。
227 :
神前竜磨:2012/04/27(金) 01:00:14.12 ID:9LDyTf4F
「どうですか?今日はちょっと難しいのに挑戦したんですよ。」
期待に目を輝かせ、ググっと詰め寄ってくる天海。顔近いです。
音無さんはニヤニヤしている。通常運転だなまったく。
「わるくない。むしろ良い。」
素直にうまいといえばいいのに、口から出た言葉がこれだ。しょうがないじゃない、オタクだもの。
ともあれ、言葉の意味は通じたらしい。天海はパーっと顔を輝かせ。
228 :
神前竜磨:2012/04/27(金) 01:01:51.19 ID:9LDyTf4F
「よかったー。今日のははちみつを入れてしっとり仕上がるようにしたんですけど、その分焼く時間が難しくって。
――――あ、その緑色のは青汁の粉を入れてみたんです。どうでした?」
「あーなるほど。抹茶より手に入りやすいしな。健康にもよさそうだ。うん、わるくない。」
「そうなんですよ〜。量さえ調整すれば抹茶と変わりませんし、結構いいですよ。ホットケーキ焼くときに混ぜたりとか。」
おー、それはいいアイデアだ。野菜の摂取量が減っている現代日本人には持って来いだな。
229 :
神前竜磨:2012/04/27(金) 01:03:09.96 ID:9LDyTf4F
「えっと――――今日は、プロデューサーさんは・・・」
「先輩は星井と出ずっぱりだ。夜帰ってこれるか、直帰じゃないかな?」
「そう・・・ですか。じゃ、戻ったらでいいんで、これ渡してもらえますか?律子さんにも。」
「明日でも顔合わせた時に渡せばいいんじゃねーか?帰ってくる保証はねーしさ。」
ちなみに、先輩の明日の予定は、午後からまた星井と出ることになってる。ほぼ専属みたいだな。
そう言えば、星井が先輩のこと「ハニー☆」とかって呼んでたんだが、そういう関係なのか?
230 :
神前竜磨:2012/04/27(金) 01:04:24.38 ID:9LDyTf4F
「いえ、予定なんていつ変わるかわかりませんし。それにお店のと違って、そんなに日持ちしないんで。」
「そうか、わかった。預かっとくよ。」
天海からクッキーの袋を2つお預かると、ディスプレイの前に並べた。
「お願いします」と、軽く頭を下げて休憩室へ戻る天海。背中が煤けてるぞ。
天海は横恋慕してるってことか。辛いな。
231 :
神前竜磨:2012/04/27(金) 01:06:47.89 ID:9LDyTf4F
「・・・別に、ミキちゃんとプロデューサーは付き合ってる訳じゃありませんよ?」
休憩室に聞こえないように、ヒソヒソ声でしゃべる音無さん。抹茶ならぬ青汁クッキーとにらめっこしながらだ。
「んじゃ、ハニーってなんすか。後それ、市販の抹茶のやつと大して変わりませんよ。」
心の声をきかれた云々はスルー。もう慣れた。
「美希ちゃんが勝手にそう呼んでるだけ。少なくとも、プロデューサーさんは特別な感情は持ってないみたい。」
そういって、クッキの角を少しだけかじって咀嚼する。大して苦くないことがわかると、サクサクと先ほど同様に食べ始めた。
232 :
神前竜磨:2012/04/27(金) 01:11:20.15 ID:9LDyTf4F
なーるほど。星井は積極的に、天海は消極的に、先輩にアプローチしていると。ふーん。ふーーん。ふーーーーん。
いいけどね!別にいいけどね!なんだろね!なんでか腹立たしいな!!
「でも、プロデューサーさんは、どうもプラトニックな方がいいみたいだから、きっと春香ちゃんの方に惹かれてると思うなぁ
――――――で、春香ちゃんも狙ってるんですか?欲張りですね?」
「あっはっは。下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるって言いますからね。後誰狙って行きましょうかねぇ。」
突っ込まないで冗談で返す。ヘタに否定するとかえってめんどくさい。
「響ちゃんは狙わないんですか?」
「そーですねー。かんがえときます。」
適当にあしらって仕事に戻る。今日中に終わらせたいんだ。
そして一人で百面相をはじめる事務員さん。超法規的措置。
233 :
神前竜磨:2012/04/27(金) 01:13:15.24 ID:9LDyTf4F
しばらくしてから、またドアが開いた。やってきたのは菊地真だ。
「おはようございます!!」
「真ー遅いよぉ。」
「何かあったの?」
「って、真それ可愛い!どうしたの!」
「へへっ、ちょっとイメチェン。どうかな?」
「私はあまり服のことはわからないけれど、なんだか我那覇さんみたいね。」
「ははっ、ばれちゃったか。実は響にコーディネートしてもらったんだ。」
「なーるほど。そっかぁ。響ちゃんも動きまわるタイプだもんね。ふむふむ。」
234 :
神前竜磨:2012/04/27(金) 01:14:08.44 ID:9LDyTf4F
ん〜 パーテーションの影に隠れて見えん。ちょっと動くか?いやいや、覗いてるのバレたらなんだかやだしな。
「真ちゃーん。神前さんが可愛い真ちゃんみたいってー。」
「いってねぇっすよっ!!!」
「見たくないんですか?」
「やっ!なっ!もうっ!わかりましたよ!菊池ぃ!こっち来て俺にも見せろぉ!」
諦めました。人間諦めが肝心。
235 :
神前竜磨:2012/04/27(金) 01:16:16.01 ID:9LDyTf4F
とっとっとやってきて、「どうですか?」と後ろで手を組んでポースを取る菊地。
ゆったりとした薄茶色のブラウスのしたに濃い色のタンプトップを着て、下はジーンズの短パンに黒のタイツを履いている。
ハンチング帽を目深に被り、活発そうな女の子の出来上がりだ。細身でスラっとした脚にゆったりした上着がいいバランスである。
スカートじゃなくても、こういう形が取れるか。確かに我那覇の服装に近いものがある。
「神前さん、思ってることはさくっと言ったほうがいいですよ?」
「オーケー、テイクアウトで。」
「お持ち帰り!?」
飛び退くリアクション。一流だな。
236 :
神前竜磨:2012/04/27(金) 01:17:24.82 ID:9LDyTf4F
「冗談だ。かなりいいな、似合ってるよ。」
「そーじゃなくてぇ」
「真ちゃんちょーかわいいわ。やっぱりお持ち帰りしちゃダメ?」
「もー!神前さんは冗談ばっかり!」
バッシーン!と、腕を思いっきり叩かれた。クリティカル!しかし、神前は耐えた!
237 :
神前竜磨:2012/04/27(金) 09:20:13.86 ID:9LDyTf4F
「ほんと・・・可愛いよ・・・スカートも良かったけど・・・こっちもいいな・・・」
「へっへー やりぃ!」
左腕損傷!ダメージ大!神経接続切断!ダメです!逆流止まりません!!!
全力で笑顔を保つが、叩かれた腕がかなり痛い。力の上に技が重なった、ひとつの格闘技のような一撃だった。
238 :
神前竜磨:2012/04/27(金) 09:24:10.96 ID:9LDyTf4F
「それじゃ〜いってきま〜す」と、事務所を出ていく天海、如月、菊地の三人。
出ていく前に如月の視線を感じたが、例のごとく俺が見ると別の方を見る。
ガチで嫌われてるようだ。今日は一言も話さなかったし。
239 :
神前竜磨:2012/04/27(金) 09:25:18.58 ID:9LDyTf4F
腕の痛みもおさまり、ようやく仕事を再開できると思ったら、12時になっていた。
「神前さん、今日は何処か食べに行きませんか?」
「いっすねー。でも事務所開けちゃって大丈夫ですか?」
「1時ぐらいまで大丈夫ですよ。どこもお昼休みですから。」
「そっすか。んじゃ行きましょうか。」
240 :
神前竜磨:2012/04/27(金) 09:26:36.33 ID:9LDyTf4F
音無さんの案内で、近くの定食屋で昼食を済ませた俺は、午後からも頑張ってアンケートの集計をやった。
しかし、当然のことながら、午前中の遅れは取り戻せず、明日へ持ち越すことになった。
途中で秋月先輩と竜宮小町のメンバーが戻ってきた。
秋月先輩はひとしきり感謝の言葉を述べて、おみやげにこの間と同じ静岡茶のまんじゅうをくれた。
代わりというわけではないが、天海の残したクッキーをわたすと、竜宮のメンバーと一緒に食べていた。もちろん大好評だ。
しかし、俺が帰るまでに先輩と星井は戻らなかった。
241 :
神前竜磨:2012/04/27(金) 09:53:33.79 ID:9LDyTf4F
今回特定ヒロインなし
それよりも、当初の予定と全く違う子に粉かける神前
行き当たりばったり方式はトラブルがいっぱいだ
とにかく7話に続く
いつ貴音さんがでるかハラハラしながら見てる
243 :
神前竜磨:2012/04/27(金) 23:05:38.15 ID:9LDyTf4F
なんか、6話を読みなおしてからぱっとエンディングが見えたんだけど
とてもとても遠いゴールだということに気がついて断念した
プロデューサーがギタリストとして、春香とユニット組むとかムリだから
さて、今日の書きかけの上誤字脱字満載の連続してない小説を載せるよ
傷つくことは怖くない人だけ読んでくれ
だけど、決して強くないという人は、適当に生きてくれ
244 :
神前竜磨:2012/04/27(金) 23:06:56.44 ID:9LDyTf4F
―――――――――――ッバンッッ!!
「いっえーい!遊びに来たよん!!」
事務所は遊ぶところではありません。
245 :
神前竜磨:2012/04/27(金) 23:08:05.89 ID:9LDyTf4F
通販で頼んでいたPCのパーツが届き、休憩室で喜び勇んで開封しているところ、甲高い声が飛び込んできた。
左側のサイドポニーテールに黄色いプリントTシャツ、ジーンズのショートパンツの元気娘は、双子の片割れ、双海真美だ。
妹の双海亜美が竜宮小町のメンバーで、そちらと比べると売れていないことになるが・・・
実際、ウチの事務所の中では一番売れてないのかもしれない。
それでも、レギュラー番組を3本抱えているし、業界的には中の上あたりではないだろうか。
246 :
神前竜磨:2012/04/27(金) 23:09:08.69 ID:9LDyTf4F
「あっれー?神前にーちゃん一人ぃ?ピヨちゃんわぁ?」
ピヨコにピヨちゃんに、年上の人をひよこみたいに呼ぶとはけしからんな。
「天海と如月の付き添い。テレビの収録だから、夕方まで戻らんぞ。」
「ふーん。じゃー夕方まで二人っきりだぁ♪あ、まみまいっちんぐ♪」
まいっちんぐはこっちだ。つーか古ぃなおい!14のガキとは思えないな!
子供に付き合っていられん。おじさんは仕事があるんだよ。
明らかにプロデューサーの仕事ではないのだが、そんなことはどうでもいい。
247 :
神前竜磨:2012/04/27(金) 23:23:30.35 ID:9LDyTf4F
趣味と実益を兼ねた仕事を前に、ワキワキとしていると、横から真美が飛びついてきた。
「に〜っちゃーん!ごはんにするー?お風呂にするー?それともー・・・
――――――あっ!何これ!プラモっ!!」
・・・忙しいやつだ。マザーボードの箱を見てプラモデルと勘違いしたらしい。
大きくロボットの絵が書いてあるのだから、致し方がない。
昔はこうではなかったのだが、最近のオタク文化のせいか、生産国台湾であるこの会社も、イメージキャラとしてガンダム的なものを作ったようだ。
これが萌えキャラとかじゃなくて本当に良かった。
248 :
神前竜磨:2012/04/27(金) 23:24:46.61 ID:9LDyTf4F
「パソコンのパーツだ。そこのPC限界来てるから、中身入れ替えるんだよ。」
「入れ替える?ぱそこんを??」
「そうだ。あの箱ん中は、パンパンになんか詰まってる訳じゃねぇ。こん中のデカい基盤と、幾つかの小さい基板が組み合わさってるだけだ。」
「ほえー。にーちゃん詳しいんだねぇ。」
「ま、自作が趣味だからな。」
ちょっと鼻が高い。秋月先輩も同等のことができるので、大したことではないのだが、とりあえず胸の張れるときだけは胸を張っておこう。
249 :
神前竜磨:2012/04/27(金) 23:35:54.55 ID:9LDyTf4F
「見てんならおとなしくしてろよ。精密機械なんだからな。」
「ブ、ラジャー!」
ビシッ!と敬礼をして返す真美。うん、お前そういうネタ何処から拾ってくるんだ。
俺が通販の箱から、各種部品を取り出し確認しているあいだ、真美は隣でおとなしく・・・・しているはずがなかった。
ソファーに立て膝で、俺の頭にしがみつき、「なに?これ?ちっちゃいPSB?おお!これ本物の基盤だー!ちっちゃい扇風機ーwww」と、とにかくうるさい。
つーかね、そのね、グイグイと人の顔に何を押し当ててるのか、ちょっと考えて欲しいんですよ?
250 :
神前竜磨:2012/04/27(金) 23:36:57.95 ID:9LDyTf4F
・・・・・・あれ?ちょっとちがわね?
先の通り、真美は事務所のメンバーの中では割と暇なわけで、結構顔を合わすことは多かった。
そんなわけで、はじめのやり取りは慣れていたのだが・・・・・・
真美はこんなにがっつりくっついてくる奴だったか?
腕を絡めるように、ヒシっとくっついてくるというか、ホステスみたいな感じなんだよな。ガキだからグッとこないけど。
大胆すぎるというか、子供すぎる?こいつ真美じゃないんじゃね?
251 :
神前竜磨:2012/04/28(土) 00:01:42.01 ID:GsWpM+90
・・・いやいや、真美じゃなかったらなんなんだ。亜美のほうか?亜美は朝から竜宮小町として他のメンバーと一緒だ。まさか、入れ替わってるのか!?
「・・・っだぁっ!もうっ!離れろっ!!」
真美(?)の肩を掴み、強引に引っぺがす。驚いた顔の真美をまじまじと見つめる。
なにか違う。見た目はいつもどおりの真美なのだが、正直亜美も限りなく同じはずだから、外観は参考にならない。
菊地に似て基本的に華奢なのだが、こちらはやはり子どもといった感じだ。
基本的に丸顔で、ぱっちりとした瞳に小さな鼻。リップでも塗ってあるような、潤いのある唇。
掴んだら折れてしまいそうな腕。ショートパンツから映える足には、少女特有の色気を感じる。
・・・DA・KA・RA!そーじゃなくて!じゃなくて!ちがくて!
252 :
神前竜磨:2012/04/28(土) 00:02:40.48 ID:9LDyTf4F
「乱暴なのは・・・いやぁ・・・」
目元をウルウルさせながら、右手を口に添えて、しおらしくしてみせる。演技派ですね。
「うるさいガキンチョ。」
ぽいっ!っと放り出した。かまってられるか。
真美と亜美の最大の違いは髪型だ。真美は若干長めの髪を左に、亜美は短めの髪を右にまとめている。
明らかに長さが違うんだ。昔はどうか知らないが、今は絶対に無理だろう。
253 :
神前竜磨:2012/04/28(土) 00:15:51.52 ID:GsWpM+90
とにかく、今日中にPCを組み上げ無線LANの構築をする。
ひと通りパーツを確認し、次に共用PCの解体にとりかかる。
まずコンセントを全部外す。感電防止もそうだが、PCに余分な電流が流れるのを防ぐためだ。
そして、電源ボタンを数秒間押す。回路内の残留電気を完全に抜き切り、ようやく取り外しが可能になる。
ケーブル類をすべて抜き、PC本体をラックから取り出す。長い間おいてあったのだろう、足のゴムがめりめりっと音を立てて剥がれる。
PCを休憩室のテーブルに置いて、用意しておいたウェットティッシュで表面の汚れを取る。
タバコを吸う人が居ないため綺麗なもんだが、排気口部分が埃で完全にふさがっている。フィルターでもつけてあるかのようだ。
懐からプラスドライバーを取り出すと、何故か後ろで歓声(一人)が上がった。
背面のネジを手際よく外し、外装を背面側に引っ張る。コの字状の鉄板が音を立てて外れ、中身が顕になる。
254 :
神前竜磨:2012/04/28(土) 00:16:53.87 ID:GsWpM+90
「うわー・・・きったなーい。」
「ディップスイッチとか懐かしいな。」
「ん?にーちゃん、スプレー缶どーすんの?」
「これはエアーダスターだ。中から出るのは空気だけ。口塞いどけ。」
ブワーッと舞い上がる埃にむせる真美。人の言うことを聞かないとこうなる。
255 :
神前竜磨:2012/04/28(土) 00:30:52.07 ID:GsWpM+90
埃がどくと、CPUのヒートシンクがよく見えるようになった。
ヒートシンクは現在のものよりかなり小さい。というか、CPUに貼り付けてある形だ。今では考えられない。
「486か。骨董品だな。」
それでもこれは自作マシンだったようだ。電源の形状などは規格通りなので、買った奴が使用できる。
マザーボードのケーブル類を全て取り、VGA、音源、SCSIボードを取り外す。結構豪勢な作りだ。
一人で黙々と作業をしていると、また飛びついてくる猿が一匹。
256 :
神前竜磨:2012/04/28(土) 00:32:26.70 ID:GsWpM+90
「に〜ちゃ〜ん。つまんないよぉー。遊んでよぉー。」
「だーら、俺は仕事中なんだって。なんで事務所に遊びに来るんだよ。」
「だってー亜美が帰ってくるかもだしー。家にいてもつまんないんだよねー。」
「んじゃどっか遊びに行けよ。金あんだろ?稼いでんだから。」
「ないよぉ。子供が大金もっちゃダメなんだってさー。」
257 :
神前竜磨:2012/04/28(土) 00:47:43.97 ID:GsWpM+90
CD-ROMドライブを外しながら、真美の相手をする。竜宮小町の今日の予定は、雑誌の撮影とインタビューだ。いつ終わるかは分からない。
お金を取り上げられちゃ、この都会でまともには遊べないか。
まぁ、こいつらに金渡したら、パッと無くなりそうだが。
友達と・・・とか言うのは気が引ける。
仕事の都合で早退や欠席などもあるだろう。仲の良い友達というのがそんなにいるとは思えん。
アイドル様の相手も、プロデューサーの仕事かなー。
258 :
神前竜磨:2012/04/28(土) 00:48:25.77 ID:GsWpM+90
「ホントはさー、学校の友達と遊びに行くんだったんだけどさー、みんななんか用事できちゃってー、ダメんなっちゃったんよー。」
あー、うん。学校の友達。ちゃんといるんだね。そうかそうか、お父さんちょっと心配しちゃったよ
「んだからさ、暇そうな神前にーちゃんと、遊んであげようと思ったわけだよ。」
大きなお世話です。暇でもありません。
「だーかーらー。にーちゃんもあそぼーよー。モンファンやろ!モンファン!」
「あー、やってやりてーけど、そのソフトもってねーわ。」
「えーっ!!ありえないっしょ!PSPもってるのに!!!」
259 :
神前竜磨:2012/04/28(土) 00:49:03.86 ID:GsWpM+90
確かにPSPは持ってるし、ほぼ常に携帯している。
しかし、中身は通常のPSPとはいささか違うものになっているのだが、ちょいと伏せさせてもらう。
携帯を買い換えてからほとんど使わなくなったとだけ言っておこう。
「まぁ、まってろよ。こいつ組み終わって無線LANの設定終わったら、ネットワーク対戦できるようにしてやるから。」
「まじで!!」と、目を輝かせる真美に、おとなしく待ってるように言いつけて、作業に没頭するのであった。
260 :
神前竜磨:2012/04/28(土) 01:17:31.76 ID:GsWpM+90
・
・
・
「に〜ちゃ〜ん。つまぁーんなぁーい。」
10分と持たなかった。中学2年生って、こんなもんか?
261 :
神前竜磨:2012/04/28(土) 01:20:32.30 ID:GsWpM+90
「ねーねー。ほらほら。」
あー?と、視線を上げて、向かいでごろごろしている真美を見る。
背もたれに足をかけ、逆さに座る真美は、胸元をチラチラと持ち上げている。
チラチラと、胸の谷間が見え・・・いやいやいやいや!!!
「お前!付けてないのか!?」
そうだ。年頃の娘なら、大小あれど必ずつけているものが見えなかった。
「え〜?なにぃ〜?なんのことぉ〜?」
こ・い・つ・はっ!
262 :
神前竜磨:2012/04/28(土) 01:23:54.88 ID:GsWpM+90
俺は手に持っているものをテーブルに置き真美の元へ向かう。
「えっ?えっ?」と、半笑いの真美を両腕で抱き上げた。
「ちょっと、にーちゃん、あの、じょーだん、だから、ほら。」
ドギマギと、珍しく慌てる真美を無視して、身体をグルッと回して、正しい方向で座らせる。
元の位置にドサッと座り、俺は押し黙った。
263 :
神前竜磨:2012/04/28(土) 01:24:58.94 ID:GsWpM+90
「あの、にーちゃん?」
「・・・・・・真美」
「はいっ!」
上ずった声で返事をする。こちらの怒りが伝わっているようだ。
264 :
神前竜磨:2012/04/28(土) 01:25:39.77 ID:GsWpM+90
「おまえ、いくつだっけ?」
「・・・13です。中2です。」
「そうだ。お前はもう中学2年生だ。この意味がわかるか?」
「えっとぉ・・・・・・」
「もう子供じゃないってことだ。」
「・・・・・・はい」
265 :
神前竜磨:2012/04/28(土) 01:54:27.17 ID:GsWpM+90
「それに、とっくに生理も来てるんだろ?」
「ちょっ、にーちゃんっ」
「別にセクハラしようってわけじゃない。大事な話だ。」
「・・・はい・・・来てます。」
顔を赤くして目をそらしながらも答える真美。よしよし、恥じらいはちゃんとあるようだ。
266 :
神前竜磨:2012/04/28(土) 01:55:03.57 ID:GsWpM+90
「アメリカではな、10歳未満に対して欲情する男をロリコンと称するそうだ。この意味がわかるか?」
たしかそんなようなことの書いてある記事を見たような気がする。
「えっと・・・・・・わかりません。」
「10歳以上。つまり、生理が来ている時点で、からだは大人だということだ。
いいか、真美。お前自身どう思ってるか知らんがな、お前はもう、男を魅了できるほどになってるんだよ。
そのおまえが、無防備に、胸なんかちらつかせて、どうなると思ってたんだ?冗談で済むと思うか?」
「・・・済みません。」
「まだ俺だったからいいものの。外でやってみろ。いや、あんなコトしなくたって、見る奴が見たら付けてねぇのがわかるぞ。
下手すりゃ事件ものだ。無理やり連れてかれて、お嫁にイケないからだにされるんだぞ。」
267 :
神前竜磨:2012/04/28(土) 01:57:03.31 ID:GsWpM+90
だいぶ怒りが収まり、後半冗談じみた台詞になったが、それでも今の真美には効果があるようだ。
赤くなっていた顔が、今度は血の気が引いて青くなる。
「・・・・・・わかったか?自分のやってること。」
「はい・・・ごめんなさい」
しゅんっと、いつもの真美では考えられないほどしょんぼりとしている。
少々言い過ぎたかもしれないが、本人のためだ。致し方がない。
「わかったらそれでいいんだ。」
268 :
神前竜磨:2012/04/28(土) 01:58:14.06 ID:GsWpM+90
緊張していた息を吐きだし、俺は作業を再開する。
英語で書かれた説明書と、ケースの配線と交互に睨みつつ、マザーボードのピン配置とも比較する。
すると、またしがみついてくる真美。このむすめ・・・・・・
「ごめん、にーちゃん・・・ちょっとだけ、このままでいさせて・・・・・・」
・・・・・・しゃーなしだな。
269 :
神前竜磨:2012/04/28(土) 02:01:25.29 ID:GsWpM+90
真美と亜美は、どういう理由かは知らないが、昔二人で交代で『双海亜美』を演じてきたらしい。
・・・・・・そんな漫画があったな。かーさんが買ってた奴。
とにかく、ずっと二人で一人のかm、アイドルをやってきたのが、二年近く前に別々になった。
社会的には双海亜美はずっとアイドルやってて、双海真美が後からデビューという形になる。
仕事の量的には、年季のあることになっている亜美のほうが多く、二人が一緒にいることはガンガン減ったに違いない。
いつも一緒に居た半身が、今は居ない。俺にはわからない辛さがあるのだろう。
デカいクマのぬいぐるみ役ぐらいはやってやるか。
動きづらいのを覚悟して、俺は黙々と作業と続けた。
270 :
神前竜磨:2012/04/28(土) 02:02:13.69 ID:GsWpM+90
PCが組み上がった頃には、真美はしがみついたまま寝息を立てていた。
ソファーに寝かせ、俺が羽織っているジーズのコートを掛けてやる。
とりあえず、静かな環境で作業に打ち込めることに安堵した。
・・・が、甘かった。
PCを設置し、ディスプレイとマウスを交換、キーボードはそのまま流用し、OSのインストールをしていることに、寝た子が起きてきた。
「うぐぅ、重いぃ。」
重い財布やタブレットPCは抜いておいたのだが、それでも色々入ったままなので仕方がない。
271 :
神前竜磨:2012/04/28(土) 02:04:36.15 ID:GsWpM+90
「おはよ。大丈夫か?」
何が?と、きかれても困る。さっきの事でもあるし、そんなところで寝て体に支障はないかという意味でもあるし。
しかし、真美は俺を見つけると、ゆらぁ〜っと立ち上がって、ふらふらと踊りだす。
「い〜ものあげるぅ くぅ〜らやみでぇ〜 思わせぶりにういんくぅ♪」
765プロの曲『きゅん!ヴァンパイアガール』
"765プロの曲"というところがミソ。このシステムが、たった1年でこの事務所を立て直した、先輩のアイデアだ。
「は〜にかみながらぁ〜 めぇ〜をふせてぇ〜」
腕をだらんとぶら下げて、肩も落とす。それじゃゾンビだ。
「バッと舞ってっ!」
宣言通り、バッ!と飛びついてくる。
272 :
神前竜磨:2012/04/28(土) 02:06:22.72 ID:GsWpM+90
――――――がぶっ
「ギャーーーー!!!!」
がっつりとしがみついて、かぶりついてくる真美。なんかジュルジュルと吸ってるようだが、痛くすぐったい。
ひとしきり吸うと、またバッ!っと離れて
「はぁ〜〜〜ん♪」
「『はぁ〜〜〜ん♪』っじゃねぇっ!」
273 :
神前竜磨:2012/04/28(土) 02:09:19.28 ID:GsWpM+90
ガチで痛かったぞ!歯型とか付いてるだろこれ!
「っんだよいきなり!」
「きゅん!ヴァンパイアガール♪」
あははは。こんガキャァ。
「ヴァンパイアって、確か不老不死だったよなぁ。首ぐらい折っても大丈夫かなぁ?」
「やーん!こわーい!おーかーさーれーるー!」
274 :
神前竜磨:2012/04/28(土) 02:10:29.19 ID:GsWpM+90
有名なねずみと猫のように追っかけっこを繰り広げ、真美の襟首を捕まえた。
「やーん♪ぬげちゃうー♪」
ずるーっと引き寄せられるイタズラねずみ。どう料理してやろうか。
それにしても、捕まった後は全く抵抗しなかったな。するっと逃げそうだったが。
「あの、にーちゃん。ほんと、脱げるとまずい。」
脱げるとまずい。そうだった。こいつ下に何もつけてないんだった。
慌てて手をはなすと、逃げるとおもいきや、クルッと回って俺の首に手を回し――――――
275 :
神前竜磨:2012/04/28(土) 02:11:21.54 ID:GsWpM+90
「――――――っな!おまっ!」
「これで許して♪ね?」
頭が真っ白になる。―――――――――――
ガチャッ
「もどったわよ―――――って!なにしてんのよあんたたち!!!」
「どうしたの?伊織―――――って、神前さん・・・」
「あらあら、まぁまぁ♪」
「あれー真美だー」
276 :
神前竜磨:2012/04/28(土) 02:15:25.13 ID:GsWpM+90
はっ!帰ってきた!意識が帰ってきた!
それよりも!
「や、あ、おかえるなさい。わりとはやかったですね」
ぎぎぎぎ、と後ろを振り返ると、声の主達、秋月先輩と、竜宮小町の面々がこちらを見ている。
277 :
神前竜磨:2012/04/28(土) 02:17:30.50 ID:GsWpM+90
「――――神前さん。何をしてるんですか。」
左手を右肘に当てて、メガネをクイッと持ち上げる秋月先輩。
眼鏡の奥が見えねぇ!ガチでこえぇ!
「ま、ま、真美から離れなさいよ!この変態!!!」
耳に響く!キーたっけぇ!
「あらあら、まぁまぁ、うふふふふ♪」
三浦は笑顔だが、やっぱり黒いオーラのようなものを感じる!
「真美ー、どったのー?なんかあったー?」
ひょいっひょいっと亜美が近づいてくる。なにか!何か打開策を考えねば!
このままだとDEAD ENDフラグがたつぞ!
278 :
神前竜磨:2012/04/28(土) 02:19:55.09 ID:GsWpM+90
真美は俺の首から腕を外し、向かってくる亜美の両手をとって、重ねるように握る。
「あのねー、神前のにーちゃんにぃ、亜美の初めてあげちゃった。てへっ☆」
「歯型。付いちゃってますね。うふふふ。」
―――――――――DEAD END―――――――――
っじゃねぇ!回避だ!俺の無差別日記があれば!!
「言い残すことはありますか?神前さん」
やべぇ!フローレンシアの猟犬がいやがる!!詰んだ!!!
がっくりと膝をついた俺は、床に額を擦り付けていた。
279 :
神前竜磨:2012/04/28(土) 08:50:36.11 ID:GsWpM+90
ぎい・・・ぎい・・・
椅子の軋む音が事務所に響く。
現在時刻、4時35分。現在位置、765プロ共用PC前。
あのあと、ひたすら床に額をぶつけ続け、その間に真美が本当のことを話してくれたらしい。
最終的には「ヘタレの神前さんにそんなことはできない」という結論に至ってくれたようだ。
あははー。ヘタレでよかったー。社会的に抹殺されるところだったー。
真美と竜宮のメンバーは、今日はもうやることがないということで、早めに解散した。
秋月先輩は営業に出ていった。
無線LANの設定まで終わらせ、一段落ついた俺は、椅子に持たれて黄昏ている。
280 :
神前竜磨:2012/04/28(土) 08:51:01.49 ID:GsWpM+90
それにしても、今日の真美はやっぱり変だったよなー
いつもは割りと常識わきまえてるもんなー
ちゃんと説明すれば我慢してくれるしなー
それになー
やーやーやー。思い出すな。うん、アレは子供の戯れってやつだ。
うんうん、初めてってまぁねぇ、俺もね・・・ん?
あれ?
・・・・・・・・・・・・あれ?
281 :
神前竜磨:2012/04/28(土) 08:58:39.84 ID:GsWpM+90
第7話をお送りしました。ありがとうございました。
神前くん説教キャラになってきたな。
名前のベースがどこぞのツンツン頭の少年なもんで、仕方がないかな?
神裂きの断つ魔ですからね、しょうが無いですね
そういうことで、真美話です 真美ですよ?
あの再度ポニーテール。ポロってとれたら面白いのにねぇ
それではまた次の話で
貴音かぁ・・・どうやって出そう・・・・・・
282 :
神前竜磨:2012/04/28(土) 09:02:14.73 ID:GsWpM+90
ところで、ここまでのやつを、誤字脱字の修正に加筆もしておいたんだが
何処かまとめてアップしたほうが良いだろうか?
283 :
神前竜磨:2012/04/29(日) 00:18:40.95 ID:55mBvtAI
先生・・・日刊は・・・・やっぱりきついです・・・
途中まで上げて、今日は寝る
みかんにならないようにがんばるよ
それじゃ末広がり、八話行きます
284 :
神前竜磨:2012/04/29(日) 00:19:27.74 ID:55mBvtAI
・・・・・・・・・・・・
「神前さん、お茶ですぅ」
右隣に座っている萩原が、お茶を入れてくれる。
「ああ、ありがとう」
眼前に置かれた湯のみを取り、お茶をすする・・・
どん!と、左腕にもたれかかってくるのは、竜宮小町の一角、双海真美の双子の妹、双海亜美だ。
無線LANが使用可能になった事務所で、携帯ゲーム機のオンライン対戦をやっている。
285 :
神前竜磨:2012/04/29(日) 00:20:03.27 ID:55mBvtAI
今日は竜宮小町のオフ日。そして真美は仕事の日。よって、亜美は家にいても暇だから遊びに来たという。
こんなベッタリされる程、なつかれてた覚えはないんだが・・・
とにかく、3人で座るだけなら多少余裕のあるソファーだが、亜美が膝を立てているとはいえ横に座っているため、少々狭い。
その上背中で押してくるのでたまったものではない。なんなんだこれ・・・
グイグイ通された結果、ついに萩原にぶつかってしまった。
286 :
神前竜磨:2012/04/29(日) 00:21:07.52 ID:55mBvtAI
「ごめん、悪い。」
「だいじょぶですぅ・・・」
きゅぅっと小さくなってもじもじする。う〜ん、耐えるその努力は認めるけど、別に向かい側へ行ってもいいんだよ?
10時の休憩で、休憩室のソファーにどっかり座ったところ、向かいで座っていた萩原が茶器一式を持って隣に座り、横に座っていた亜美がテーブルを飛び越えてこっちに来たのだが。
なんでそうなったのか、とんと検討がつかない。
第三者的に見たら、うらやまけしからんのだろう。
だが、当事者としては、現状に至るまでの過程が不明で、全くもって気味が悪い。むしろ怖い。
なんだろう?俺、今日死ぬのかな?
割と死にかけてきたんだけどな。社会的に。
そうか、今日完全に死亡するんだな。なるほど、あははは。
よし、もう気にしないでおこう。
287 :
神前竜磨:2012/04/29(日) 00:21:47.49 ID:55mBvtAI
俺は、テーブルのリモコンを取ってテレビの電源を入れる。
地デジ対応38インチ液晶テレビに映しだされたのは、画面いっぱいの高槻の顔だ。
『うっうー!みなさぁ〜ん!こ〜んに〜ちわぁ〜!』
陰鬱な気分をすべて吹き飛ばしてくれる高槻の声に、俺の心もパーっと明るくな・・・るほどではないが、幾分かマシになった。
高槻やよい。14歳。中学3年。身長145cm。うちで一番背が低い。「うっうー」という口癖と、腕を伸ばしたままのお辞儀の仕方が特徴。
詳しくは知らないのだが、父親の収入では食っていけないために、アイドルを始めたとか。
現在、料理番組をベースに週5本を抱えている。お昼のお茶の間のアイドルである。
今やってるのも、10時からの番組の一コーナー、「高槻やよいのクッキングスタジオ」だ。
高槻オリジナルの料理を、ゲストとともに作るというもの。
きっと親父さんよりこの子が大黒柱に成ってるに違いない。若いのに苦労してるなぁ。
288 :
神前竜磨:2012/04/29(日) 00:22:36.26 ID:55mBvtAI
『今日のゲストわぁ、人気急上昇中のアイドル!諸星きらりさんで〜〜す!!』
しらね・・・って、でかっ!すっげーでか!高槻小さっ!何だコイツ!バスケット選手か!?
『今日はよろしくお願いしまーす!』
高槻とゲスト、両方の顔を入れるために、カメラが引く。更に小さくなる高槻。すっげー。楠木さんみてぇだ。
289 :
神前竜磨:2012/04/29(日) 00:52:25.17 ID:55mBvtAI
「うひゃひゃ!やよいっちちっさーいwwww」
「この子番組で一緒になったこと有りますぅ。すっごく背が高かったですよ。180cmっていってましたぁ」
「180!?ホントバスケの選手みてぇだな!」
文字通りの大物新人の話で盛り上がり、なんとか空気を戻した。後はなんとか向こう側に座りたいものだが・・・
290 :
神前竜磨:2012/04/29(日) 00:53:44.98 ID:55mBvtAI
「あっひゃっひゃ!やよいっち手、届いてない!www」
「ちょ、いたい。頭、痛い。」
「亜美ちゃん。ちゃんと座らないと。神前さんに迷惑だよ。」
亜美がテレビを見てゲラゲラ笑うたび、頭が腕にあたって痛い。
萩原に注意されると、亜美は「えー?」と嫌そうだ。
「うんじゃぁ、こうすればいいっしょ。」
そう言って、頭をゴロンっと俺の膝に落とし、ニヤリとして俺を見上げる。
「ど〜お?にーちゃん。アイドルに膝枕した感想は?」
「俺はしてもらうほうがいいな。」
291 :
神前竜磨:2012/04/29(日) 00:55:49.49 ID:55mBvtAI
そうだ、膝枕は断然してもらうに限る。出来ればこのおさるみたいな細っこい膝ではなく、萩原みたいに肉厚のある柔らかい膝を所望する。
萩原の膝枕かぁ、気持ちいいだろうなぁ。そういや、今日はいつもより短めのスカートだな。もうちょっと短いと太ももがチラ見えしてブラボーなんだが。
いやいや、見えそうで見えないチラリズムが良いとも言うし。いや、それならこの長さは完全に見えないのだから、もうちょっとチラリして欲しいような。
萩原の太ももに釘付けになっていると、何やら視線を感じだ。思い出した。俺、死ぬんだった。
視線の元、萩原を見ると、俺ではなく俺の膝を・・・睨みつけてる?
俺に膝には、不敵な笑みの亜美がニヤニヤと萩原を見てる・・・・・・なんだこれ。なんだこれ!
おーけーおーけー。これはあれだ、フリだな!任せろ!かましてみせるぜ!男子高校生並みのスカしたセリフを!!
292 :
神前竜磨:2012/04/29(日) 00:57:49.34 ID:55mBvtAI
「はっはっはっ。ふたりとも。俺をために争うんじゃない。」
ソファーの背もたれに腕を乗せ、キラーンと歯を見せ笑ってみせる。ザ・ベストオブかっこいい俺。
二人は目を丸くして俺を見つめるが、すぐに「はーー・・・」っと、深いため息をついた。
萩原は黙って茶器を片づけ、亜美は座り直し、再びゲームを始める。
うん、よし。ケンカ(?)は止まった。計算通りだ。問題ない。
虚しくなった俺は天井を見上げる。知ってっか?うえを向いて歩けば、涙がこぼれないんだぜ?
貴音さん期待してるぜ!
まとめたやつ上げてくれると見やすくていいんじゃね?って思う
あとまぁ無理は禁物な感じで
でも先は気になるから未完は無しでw
294 :
神前竜磨:2012/04/29(日) 08:49:15.77 ID:55mBvtAI
萩原が洗い物を済ませ、俺も休憩時間もそろそろ終わる。
デスクに戻る前に、まだゲームをやっている亜美を見た。
こっちが亜美だよな?間違いないよな?
正直外観的にも全く一緒。判別がつくのは髪型だけなのだ。
だが、決定的に長さが違う。無理だ。入れ替わるなんて無理だ。
あいつは一体何のつもりであんなコトしたのか、こいつは聞いてたりしないのかな?
295 :
神前竜磨:2012/04/29(日) 08:51:38.47 ID:55mBvtAI
「・・・亜美、あのさ・・・」
「なに?」というように、顔を上げる亜美。真美とそっくりのその顔に、あの時のことがフラッシュバックする。
1秒ほど固まっていたかもしれない。じっと見つめ合っていた。どちらからともなく目をそらす。
「ごめん、やっぱなんでもない。」
「うん・・・」
まっじぃなぁ。もう亜美ともまともに顔合わせらんねーぞ。子供っつっても、もう中3だしなー。いやいや、まだ中3だしなー。
296 :
神前竜磨:2012/04/29(日) 08:52:09.67 ID:55mBvtAI
――――――――――っ!?殺気っ!
視線に気づき、ばっと顔を上げて給湯室を見る。しかし、背を向けてる萩原が、洗い物をしているだけだった。
気のせいか・・・
デスクに戻ろうと立ち上がると、事務所のドアがガチャリと開く。
「ぬあぁ〜!あっついぞぉ!夏みたいだぞぉ!」
「暦の上ではもう四月も終わり。暑くなって当然ですよ?響。」
「あふぅ・・・つかれたのぉ」
297 :
神前竜磨:2012/04/29(日) 17:53:35.19 ID:55mBvtAI
我那覇響、四条貴音、星井美希の三人だ。
入ってくるなり、我那覇は給湯室の冷蔵庫へ、星井は空いてるソファーにばったり。
3人とも、朝から上のトレーニングルームで、秋月先輩の指示の下ダンスレッスンをしていた。
その関係か、我那覇と星井はTシャツにジャージのズボンだ。
298 :
神前竜磨:2012/04/29(日) 17:55:13.25 ID:55mBvtAI
今度のゴールデンウィークに、765プロ主催のビッグプロジェクトがある。
まず、東京から新潟方面にいき日本海側を進むAチームと、太平洋側を進むBチームに別れ、それぞれナゴヤドームを目指しつつ、道中のイベントに参加するというものだ。
すでにTV企画も通っており、GW中何度も生放送に顔を出すことになっている。
もちろん、恒例の生すかっ!も、今回はスペシャルバージョンだ。
ただし、GW中もテレビ出演のある星井と如月だけは、後からナゴヤドームに直行という形になる。
ナゴヤドームかー。東京ドームは無理だったかー。まぁ、俺の地元・・・に近いから良いか。
今日は、そのイベントの最終調整だ。
299 :
神前竜磨:2012/04/29(日) 18:41:48.53 ID:55mBvtAI
「四条。秋月先輩は?」
四条貴音。現在、上下ともに薄い小豆色のジャージを着込んでいる。
身長169cm。スリーサイズ90・62・92。血液型B型。誕生日は1/21。事務所一の美しr・・・いや、なんでもない。
デスクにいる先輩殿のところへ行こうとしたのだろう。
休憩室を通り過ぎる直前で声をかけられた四条は、長い銀髪をなびかせてくるりとまわる。ふわりと舞う髪が、輝く粒子のようにキラキラと輝くのが目に取れる。
気品のあるその佇まいは、一目見たら目を離すことができない、強いカリスマ性も兼ね備えている。
『月下の令嬢』『銀色の王女』の二つ名は伊達ではないわけだ。
300 :
神前竜磨:2012/04/29(日) 18:51:05.78 ID:55mBvtAI
「いえ」っと、軽く会釈をし、再び奥へ向かう四条。
なんか、大の字になって転がってそうだなぁ。なんかもってってあげようかな。ここから脱出するために。
四条はこのあと雑誌の取材があり、先輩が同行する予定だ。ちなみに星井はオフ。
二三話をすると、「では、着替えて参ります」と、四条は再び事務所を出ていった。
そう、説明しよう。765プロには、ちゃんとした更衣室が存在するのである。
事務所の隣がそうらしい。ちなみに女性専用。故に、俺は教えられていなかった。
このことは、応接室の改装を提案した際に知ったことである。
応接室の改装自体は通っており、すでに上から下まで、しっかりと壁で覆われて扉まで付いている。
年頃の女の子がいる事務所だ。それなりに騒がしいなか、客と会話するのはあまりよろしくない。
・・・・・・俺、いつまでつったってんだろう
とりあえず秋月先輩に差し入れでも入れるべく、冷蔵庫に向かうところで、給湯室から萩原が出てきた。
301 :
神前竜磨:2012/04/29(日) 20:03:39.87 ID:55mBvtAI
「あうっ ご、ごめんなさいですぅ」
「いやいや、どうぞお通りください、プリンセス。」
端により、右手ですすっとエスコートしたのだが、萩原は「違うんですぅ」と首を横に振る。
「今度は私が、トレーニングの番なので、もう上にいきますぅ。」
そっか。とすると、天海と菊地も来るわけか。
「んじゃ、俺も一緒に行くよ。なんか冷たいもんでも・・・」
そう言いかけると、萩原が「えっ?」と声を上げて、かーっと赤くなっていく。
「・・・あの・・・着替えてから行くので・・・一緒は・・・」
「あー、そうか。んじゃ先に行って・・・」
俺が言い切る前に、事務所のドアがドンっっ!と開いた。飛び込んできたのは、黄緑色のジャージを着た秋月先輩だ。
ひっ!と、小さく悲鳴をあげて、俺にヒシっとしがみつく萩原。随分と調教が進ん・・・調教とか言うな。
「響ぃっ!どこぉ!?あんたラジオのゲスト忘れてないでしょうねぇ!?」
「ほへ?」と、冷蔵庫前からアイスバー(あずき)を咥えて振り返る我那覇。冷蔵庫閉めなさい。そんなにあついかよ。
「『ほへ?』っじゃないの!カンッペキに忘れてたでしょぉ!」
「だ、ダイジョブだぞ。忘れてないぞ。ほら、まだ10時ちょっと回ったとこだぞ。」
時計を見ると、10時15分。テレビには美味しそうなもやしの炒めものが写っている。
あー、休み時間とっくに終わってるわー。
302 :
神前竜磨:2012/04/29(日) 20:05:40.05 ID:55mBvtAI
「いいから着替えてきなさい。ほら!それこっちに!」
「え〜」っと、我那覇は文句を言いながらも、秋月先輩にアイスバーを渡し、そのまま事務所を出ていった。
「まったくもー、危なかったわ。」
そう言って、アイスバーをしゃぶる秋月先輩。あなたも忘れたんじゃないですか?てかそれ食べちゃうんですか?溶けますもんね?
303 :
神前竜磨:2012/04/29(日) 20:22:13.99 ID:55mBvtAI
「ところで、あなたは何をしようとしてるんですか?その手!」
秋月先輩の視線に射抜かれ、俺の手が萩原の腰まで数センチのところで停止する。
「ぎゅっと抱きしめたら、さぞかし気持ちいいだろうと思いましてね。」
そして、神前スマイル。しかし、効果はあまり無いようだ・・・・・・
ひっ!と、今度は秋月先輩にしがみつく萩原。しまったなー思い切って行くべきだったなー。
「はぁ。神前さん、あまりおいたが過ぎると・・・これっ、ですからね?」
アイスを持っていない左手で、クビを意味するジェスチャーをする秋月先輩。
「・・・・・・肝に銘じておきます。」
304 :
神前竜磨:2012/04/29(日) 20:24:45.11 ID:55mBvtAI
「本当にわかってるのかしら?」とでも言いたそうに、ジトーとした目でこちらを見ながら、アイスをしゃぶるメガネ先輩。
そして、なんかあわわあわわしてる萩原。
うん。俺にとって萩原は、某妹の親友のような存在なんだな。声を聞くと頭がおかしくなる。気をつけないとな。
某兄に対する殺意も、多少減りそうだ。
「着替えたぞー!アイスー!」
バーン!と、事務所のドアが開け放たれ、再び我那覇が飛び込んできたが、目的のアイスは秋月先輩がしゃぶっている。
「じぶんのあいすぅ〜」
髪を結ぶリボンまでしおしお〜っとしおれていく我那覇。
「まだ冷蔵庫に入ってるだろ?」
「そっか!」
ぱぁ!と笑顔になり、冷蔵庫へ突進する。この娘は見ていて飽きない。
305 :
神前竜磨:2012/04/29(日) 20:27:35.49 ID:55mBvtAI
「本当にわかってるのかしら?」とでも言いたそうに、ジトーとした目でこちらを見ながら、アイスをしゃぶるメガネ先輩。
そして、なんかあわわあわわしてる萩原。
うん。俺にとって萩原は、某妹の親友のような存在なんだな。声を聞くと頭がおかしくなる。気をつけないとな。
某兄に対する殺意も、多少減りそうだ。
「着替えたぞー!アイスー!」
バーン!と、事務所のドアが開け放たれ、再び我那覇が飛び込んできたが、目的のアイスは秋月先輩がしゃぶっている。
「じぶんのあいすぅ〜」
髪を結ぶリボンまでしおしお〜っとしおれていく我那覇。
「まだ冷蔵庫に入ってるだろ?」
「そっか!」
ぱぁ!と笑顔になり、冷蔵庫へ突進する。この娘は見ていて飽きない。
306 :
神前竜磨:2012/04/29(日) 20:28:47.71 ID:55mBvtAI
「ほえあーいっへはーふ」
「食べながら喋らないの!」
あ、そうだ。
「待て我那覇。俺も行くよ。」
事務所中から「えっ?」と言う声が聞こえた。なんですかねぇ?
「やー、みんなの送り迎えぐらいやらないとダメだと思うんですが、正直地理に明るくないんで、まずは歩いていける範囲から覚えようかと。」
我那覇がゲストで出るラジオ番組。収録スタジオは徒歩で10数分らしい。
急な雨で傘を持って行くとかいう自体もあるだろうし、まずは近場からでも知っておかないと。
あと、収録スタジオってのがどういうものなのかも気になるし。
307 :
神前竜磨:2012/04/29(日) 22:09:39.91 ID:55mBvtAI
「先輩。行っていいですよね?」
デスクの方を振り返り、先輩に許可を願う。先輩は先輩で、出かける準備がすんだところのようだ。
「ああ、構わないよ。むしろ大歓迎だ。音無さんも、構いませんよね?」
「ええ、大丈夫です。神前さん、がんばってくださいね!」
サムズアップする事務員さん。きっと妙なことを考えているに違いない。
308 :
神前竜磨:2012/04/29(日) 22:15:15.73 ID:55mBvtAI
「そっかー、かんざきもついに、ひきこもりをやめるんだな!よぉし!自分も応援するぞー!」
「・・・・・・ああ、うん。ありがとう。頑張るよ。」
元気よく腕を振り上げる我那覇に、少々気圧されるように返事を返す。
引き篭もり・・・そういうふうに見えてたんだな・・・その「えっ?」だったのか・・・
俺の真の評価が浮き彫りになり、なんとも言えない気分だ。なんか出て行きたくなくなったなー。
309 :
神前竜磨:2012/04/29(日) 22:19:50.06 ID:55mBvtAI
くいっくいっ
「ん?・・・萩原?」
おれの上着を掴み、左手をきゅっと握って、上目遣いに見上げてくる萩原。やばいなー、また顔が緩んじゃうよ。
「あの・・・私・・・信じてますから・・・神前さんのこと・・・」
「あははは。うん、心配してくれてありがとう、萩原。」
もうね、泣けてくるよ。チクショーめ。
310 :
神前竜磨:2012/04/29(日) 22:50:52.82 ID:55mBvtAI
いいもん。俺今から引きこもりじゃないって証明するもん。大丈夫だもん。
涙を拭いて、我那覇を連れて(連れられて)出ようと思った矢先。ずっと黙っていた亜美が、久しぶりに口を開いた。
「・・・・・・にーちゃん。ひびきんに、手ぇ出しちゃダメだよぉ?」
ピシッ!
空気にヒビの入る音が聞こえるようだ。一瞬にして、空気が緊張で固まる。
311 :
神前竜磨:2012/04/29(日) 22:54:35.34 ID:55mBvtAI
「ちょっと、亜美くん。君は何を言っているのかね?このボクがそんな事するはずg」
「神前さん・・・・・・ちょっと、お話があります。」
「ちょっ!先輩!どうしたんすか!メガネくいってして!!亜美のはあれでしょう!冗談でしょう!」
いつも柔らかい口調のこの人は、今日だけは凄みがこもっていた。
「前例がねぇ、あるもの。あなたの場合。」
「秋月先輩っ!!」
悲しげに目をそらす秋月先輩。くそ!他に味方は居ないのか!!
「だいたいかんざきは、目がいっつもやらしいからなー。」
やれやれと肩をすくめる我那覇も味方になりそうにない!
「あのっ!神前さんはっ!ちょっと!ちょっとエッチですけど!悪い人じゃないんで!」
必死で弁明してくれる萩原だけど、あまりフォローになってない!!!またDEAD ENDフラグか!?
「亜美とのことはしょせん遊びだったのね?くすん。」
お前超関係ないだろ!!!
312 :
神前竜磨:2012/04/29(日) 23:02:34.25 ID:55mBvtAI
だめだ!回避できる要素がない!!詰んだ!!!
「これは一体・・・なんの騒ぎでしょう?」
着替えて戻ってきた四条の目には、応接室と言う名の取調室へ連れて行かれる、俺の姿が写っていた。
313 :
神前竜磨:2012/04/29(日) 23:27:03.52 ID:55mBvtAI
「あ゛ー。えらい目にあった。」
「身から出た錆だぞ。」
あのあと、音無さんが先輩をいさめ、秋月先輩が萩原のことを任せたのは自分だといってくれ、どうにか事なきを得た。
先輩にはさんざん釘を差されたが、とりあえずは一件落着だ。
314 :
神前竜磨:2012/04/29(日) 23:28:58.90 ID:55mBvtAI
それにしてもあのおさるは!
あまり合う機会がなかったため知らなかったが、あいつはとんでもない悪魔だ。小悪魔じゃすまねぇ。悪魔だ。
萩原のことも、結局あいつがからかってただけなんじゃねーか?くっそー!
「まー、雪歩と亜美のダブルパンチだもんな。自分はお腹抱えて笑いそうだったぞ。」
「あ?萩原がなんかしたか?」
収録スタジオまでのそれなりの距離はある。事務所を出て左に真っ直ぐ行くだけらしい。
俺は、舗装に使われているレンガが盛り上がっているところを回避しつつ、さっきの萩原を思い出す。
きゅっと手を握って、上目遣いに見上げてくる、目をウルウルさせた萩原しか思い出せない。
「『信じてる』って、あれ。浮気しないかどうかってことだろ?」
315 :
神前竜磨:2012/04/29(日) 23:59:14.58 ID:55mBvtAI
NOW THINKING ・・・・・・・・・・・・ERROR
いやいやいやいやいや
「それはつまり、俺と萩原が、付き合ってる的な話でってことか?」
「違うのか?」
なんかヤバイ汗が出てる。いや、油か?とにかく、なにかまずい自体になっているようだ。主におじさんに殺される的な。
「ない。違う。つか、ありえない。俺29のおっさんだし。あの事務所にだって、コネで雇ってもらってるわけだし。腹の肉も大したもんだし。惚れられる要素ゼロだって。」
ましてや、所属アイドルに手を出したとなれば完全にアウトだ。首が飛ぶ。物理的に。
316 :
神前竜磨:2012/04/30(月) 00:00:39.13 ID:55mBvtAI
「そうなのか?でも、みんな言ってるぞ?」
「うん、そのみんなって誰だ?」
全員じゃないですよね?
「ん〜と、ピヨコだろ?春香だろ?真だろ?あれ?みんなってほどじゃないな」
そっかーそんだけかー。
じゃねぇ!広角スピーカが二台設置されてんじゃねーか!音無さんは妄想癖があることが周知の事実だからいいとして、天海はやべぇ!
317 :
神前竜磨:2012/04/30(月) 00:02:14.37 ID:55mBvtAI
「萩原の将来のために言うが、俺と萩原はそんな関係じゃねーから。
あいつ男苦手だろ?そんな中でまともに話せるのが、俺か先輩だけだからさ、先輩は忙しいから、俺と話す機会が多いってだけで、そういうんじゃねーんだよ。」
てか、あの場合亜美と同じ意味でいってる可能性のほうが高い。深読みし過ぎか?
「そーかなー?」と、煮え切らない感じの我那覇は、レンガが盛り上がっているところをピョンピョンと飛び移り、俺よりも前に出てくるりと振り返る。
318 :
神前竜磨:2012/04/30(月) 00:09:32.15 ID:9VO9eNf8
「ま、いいや。それより自分が気になるのは、亜美の方だぞ。かんざき何やったんだ?」
「いいえ。一切心あたりがないんですが、自分なにか気に障るようなことをしたのでしょうか?」
また、ん〜ん〜と唸りはじめる我那覇。正直亜美とはあまり面識がないから、ああいうやつなのかと思ったのだが、どうやら違うらしい。
唸り続ける我那覇だったが、んっ!っと声を上げ唸りを止めた。答えは出たのか?
319 :
神前竜磨:2012/04/30(月) 00:41:06.88 ID:9VO9eNf8
「こういうのは当人同士で話さないとな。自分が口出してもしょうがないぞ。」
投げたんですね。まぁ、もっともな意見だけど。
「最後にもう一つ聞きたいんだけど・・・」
「はいはい、なんでも聞いてくれ。答えられるのは知ってることだけだがな。」
しかし、我那覇は両手で三角を作り、広げたり縮めたりうにうにして、なかなか話を切り出さない。そろそろ着きそうなんだが・・・・・・
320 :
神前竜磨:2012/04/30(月) 00:41:48.81 ID:9VO9eNf8
「・・・その・・・神前は、自分のファンだったのって・・・ほんと?」
「あー、そうだなぁ。そうだったな。うん、そうだった。」
「今は・・・違うのか?」
「そうだな。今はもう、ファンってんじゃねーな。―――――いや、お前のこと嫌いになったとか言うんじゃないぞ?」
悲しそうな顔になる我那覇。やっぱりファンが減るっていうのはすごく悲しいことなのか。
321 :
神前竜磨:2012/04/30(月) 00:42:38.01 ID:9VO9eNf8
「どっから話しゃいいのかなー?ようはさ、アイドルってのは、結局偶像なわけよ。極端な話、土偶を神に見立てて崇めるのと同じわけよ。」
あ、まずい。我那覇の目が「全く全然わかりません」になってる。
「つまりさ、ファンってのは、画面中のお前らを見て、「こういう娘であってほしい」っていう、イメージを持ってるわけよ。期待と言ってもいいかな?
お前らがファンに答えるっていうのは、その期待に答えるってことだろ?歌にしても、ダンスにしても、芝居にしても、「彼女ならできる」っていう、ファンの期待にさ」
「・・・・・・うん、そうだ。自分たちはいつも、ファンの期待に答えて頑張ってるんだ。」
「そうだな。それでしっかり出来てるお前らはすごいよ。
だがな、ちょっと酷な言い方かもしれんが、それでもファンが見ているお前らは、結局テレビの画面に写った、一方向のお前らだけなんだ。
ファンのイメージ、期待ってのは、そんなお前らの一部だけ見た奴らの、願望っていうか、夢みたいなもんなんだよ。」
「・・・うん・・・・まぁ・・・・そうかな」
322 :
神前竜磨:2012/04/30(月) 00:44:37.35 ID:9VO9eNf8
「んで、その夢を現実で見せてやるのが、アイドルのお仕事ってわけだ。ここまではわかってくれるか?」
「うん・・・まぁ、なんとか」
頭からシューシューと蒸気でも湧いてそうだが、もうちょっと付き合ってもらおう。
「それでだ、今の仕事、プロデューサーってのはどういう立場かって言うとさ。一方向からしか見てもらえないお前らを、全方向から見てやるためにいるんじゃないかって思うんよ。
アイドルをアイドルたらしめるのはファンだけど、お前らはやっぱり、一人の女の子なんだからさ。
女の子としてみてくれる奴が居ないと、人としてこう・・・あれ?なんていやいいんだ?」
ダメだな。しっかりまとまってないのに話し始めると、途中でおかしくなる。
というより前に、我那覇が置いてけぼりだ。
323 :
神前竜磨:2012/04/30(月) 00:55:36.20 ID:9VO9eNf8
「ようはさ、遠くでながめてるだけのファンじゃなくて、横で手をとってやれる・・・・・・仲間?まぁ、そんなようなのになりたいから。んだから、ファンをやめたっていうか、ファンじゃなくなったんだよ。」
わかってくれたか・・・
ぼーっとしている我那覇だったが、ふっと眼の色が変わった。わかってくれたか!
「ん!何言ってんのか全然わかんなかったけど、神前が自分らのこと真剣に考えてくれてることはわかったぞ!」
あー、うん。いいや。これで信頼が築けたなら良しだ。
324 :
神前竜磨:2012/04/30(月) 01:02:18.49 ID:9VO9eNf8
「聞きたかったこととちょっと違うけど、まぁいいぞ!」
なんだそりゃ。ひとしきり嬉しそうにくるくると回ると、呆れる俺の腕に両腕を絡めてくる。
「ちょ!我那覇さん!?」
「ん!これはご褒美だぞ!うれしいだろぉ。」
俺の腕をぎゅぅっと抱え込んで見上げてくる我那覇。最高に嬉しいです!
325 :
神前竜磨:2012/04/30(月) 01:02:50.32 ID:9VO9eNf8
「やめろって、写真でも取られたらどうするんだ。世の中みんなカメラ持ってる状態だぞ?」
携帯カメラでとってすぐにアップできる。今は記者にすっぱ抜かれるより、ネットに流れるほうが怖い。
しかし、当の本人は全く気にしていない。まぁ、端から見たら、父親と娘ぐらいに見えないこともないだろう。悲しいけどそれが現実。
まもなくして、目的の収録スタジオに到着した。入口横のエレベーターから、たまたま出てきた天海が出迎えてくれる。
あーそうか、今日のラジオって、天海がパーソナリティのやつか。ん〜、アイドルの予定も頭に入れるようにしないとなぁ。
・・・・・・天海がここにいるってことは、萩原のトレーニングは誰と合わせる予定だったんだろ?
ラジオの収録を見学させてもらいつつ、俺はそんなことを考えていた。
この時の我那覇との写真が雑誌にのり、ちょっとした騒ぎになるのだが。まぁ、それはそれで。
326 :
神前竜磨:2012/04/30(月) 01:08:00.79 ID:9VO9eNf8
ありのままあったことを書くぜ
日曜朝から仮面ライダーを見ていたら、ポートメッセ名古屋でつけ麺を食べていた
何が起こったのかだいたいわかってるけど、超スピードとかそんなちゃちなもんじゃねぇ
マイ・ブラザーのプリウスαはトンデモねーバケモノだ
「二人っきり」という特殊環境じゃないと、関係が進展できないのは、物書きとしての能力が著しく低いのが原因
今回は人がいる中での関係の進展を頑張ってみたはずなのに、響と散歩イベントになってしまったなんでだ
神前うんちく長ぇ
それでは、9話であいませう
327 :
神前竜磨:2012/04/30(月) 01:13:49.64 ID:9VO9eNf8
ところで、響のセリフに自然に沖縄弁を入れたいんだけど
なんくるないさーぐらいしか思いつかない
ぐぐっても使いどころがいまいちだ
まぁ、べつにいいか・・・
貴音さんでたあああああああああああ
329 :
神前竜磨:2012/04/30(月) 10:47:44.58 ID:9VO9eNf8
>>328 すまん。肝心の貴音のセリフが抜けてる
アップローダーを探して、近日中に完全版をアップしよう
330 :
神前竜磨:2012/04/30(月) 11:13:41.92 ID:9VO9eNf8
訂正加筆版読んだ
続きも期待してる!
332 :
神前竜磨:2012/04/30(月) 23:02:01.40 ID:9VO9eNf8
読み返すたびに誤字字を見つけ、加筆する今日この頃
アップロードした後も修正修正・・・
完結したら、完全版を作ろうそうしよう
さてさて、つたない文ですが、これでも一応タイトルがあります
THE IDOLM@STER 2 In765ProOffice
事務所の中だけで話をすすめるつもりでした
誰ですか?GWのイベントなんて企画した人は
9話 始まります
333 :
神前竜磨:2012/04/30(月) 23:04:40.58 ID:9VO9eNf8
「目的地周辺です。お疲れ様でした。」
「いすらふぇる(甲)」というシールの貼られた携帯から、ナビゲーションが終わったことを示す電子音声が流れる。
現在位置、某県某市、神前家前。つまり、俺の実家だ。
「ん〜、おしり痛いのぉ・・・」
「さすってやろうか?」
「たつまは最近はっきりし過ぎなの。」
334 :
神前竜磨:2012/04/30(月) 23:05:36.22 ID:9VO9eNf8
ムッツリとだけは呼ばれたくないため、最近はハッキリとセクハラをすることにしている。
本気では無いのはわかりきっているので、皆うまく流してくれるようになった。
星井は車から降りると、ん〜、と伸びをしながら、縦列駐車しかできない我が家の駐車場を奥へと進んでゆく。
運転席から降りた俺は、後部座席のドアを目いっぱいまで開け、中に手を差し伸べる。
「すまないな、安い車で。きつかっただろ。」
「いいえ、そんなことは・・・車での移動は、あまり慣れていないだけです。」
335 :
神前竜磨:2012/04/30(月) 23:07:18.62 ID:9VO9eNf8
細い手で俺の手を掴み、こちら側へ寄ってくる長髪の少女。如月千早。誰もが認める「歌姫」だ。
16歳。高校3年。身長162cm。血液型A型。誕生日は2/25。性格は真面目。芯が強く、曲がったことが嫌いのようだ。
趣味はクラッシック鑑賞。暇さえあればボイストレーニングをしている。イメージカラーは青。
スラスラと頭にプロフィールが流れるようになった。訓練の賜だな。
如月は、座席の左側から右側へ一旦座り直す。車の左側は花壇になっていて、ドアが開けられないからだ。
そこから再び右手をつき、車から出ようとするのだが・・・・・・
336 :
神前竜磨:2012/04/30(月) 23:11:31.65 ID:9VO9eNf8
「きゃっ!」
「おっと!」
車の縁に躓き、前のめりに倒れそうになる如月を、右手て釣り上げるように引き寄せた。
左手で腰も抱き寄せ、社交ダンスのように身体が密着する。そうだ、スリーサイズは72・55・78。
「あの・・・すみません。」
「いや、大丈夫か?」
体重はほぼ俺にかかるようにしてある。怪我はないはずだが
337 :
神前竜磨:2012/04/30(月) 23:15:12.98 ID:9VO9eNf8
「はい・・・・・・あの、放していただけますか?」
「ああ、そうだな・・・・・・」
俺の胸に手を添える形で寄り添う如月。少しだけ頬を赤く染め、俺を見つめる。その瞳に吸い込まれそうだ。
体の凹凸が少ないため、こうやってくっついていると、ヘソの形までハッキリとわかるほど、如月の身体を感じ取れ
「・・・放してください。」
「はい・・・すみません」
338 :
神前竜磨:2012/04/30(月) 23:18:31.92 ID:9VO9eNf8
じろりと如月に睨まれ手を離した。もうちょっとこう、味わっていたかったかなぁ。
身体に残るぬくもりを噛み締め、車の後ろのドアを開け荷物を出す。
すると、玄関の方からインターホンが何度も何度も押される音がしてきた。
「何やってんだ!壊す気か!」
「誰も出ないのぉっ!」
ぷうっと頬をふくらませる星井の、16連打を止めさせ、手に持ってる鍵束から家の鍵を出す。鍵束といっても、鍵は4つしかついていないが。
339 :
神前竜磨:2012/04/30(月) 23:30:39.97 ID:9VO9eNf8
鍵を開けてドアを開くと、内側にかかっている金属パイプを組合せた鐘が、ちりんっちりんっと音を立てた。
「ただいまー!かーさん何処行ったー!」
返事がない、ただの屍のようだ。
いや、返事はあった。ただし、目的の人物ではない。
340 :
神前竜磨:2012/04/30(月) 23:32:40.93 ID:9VO9eNf8
「ウニャゥーーン」
「わー、ねこなのー」
「・・・・・・かわいい」
白地に黒と茶色の、一応三毛猫なのだが、ほとんど灰色の猫が姿を現す。
俺は荷物を玄関先に置き、細身のそいつを抱き上げる。ぽすっと、腕の中に仰向けに収めるように。
「チー、かーさんどうしたー?」
「ウナーゥーン」
「えーまた寝てんのかー。しょーがないなー。」
「ウニャーゥ」
341 :
神前竜磨:2012/04/30(月) 23:33:40.63 ID:9VO9eNf8
例のごとく、こんな時間まで昼寝をしているようだ。
仕方がない、とりあえず2人を居間にでも落ち着かせるか。
俺は猫を肩に抱き変え、右手に荷物を持って靴を脱いだ。
廊下まで行きかけ、玄関で固まっている2人を振り返る。
「どうした?上がれよ。」
「あ、はい・・・おじゃまします。」
「おじゃましますぅ」
目を丸くしている2人。なんか変なことあったかな?
342 :
神前竜磨:2012/05/01(火) 00:14:11.70 ID:TKgRLKDu
半開きになっている居間のドアを開けると、座布団の上に鎮座している、虎縞と言うにはほとんどこげ茶色に近い猫が一匹。
人の顔をじろりと睨んで、ぷいっとそっぽを向く。
「ミリィーただいまー」
声をかけても知らんぷりである。
「今度はおっきい猫なの」
「・・・・・・かわいい」
343 :
神前竜磨:2012/05/01(火) 01:29:37.19 ID:TKgRLKDu
とりあえず荷物をへやの壁に立てかけ、チーを下ろし、もう一度茶猫を見る。
完全にそっぽを向いているのだが、耳だけがチラチラとこっちを向く。
ちょっと恥ずかしいが、こいつに機嫌をそこねられるとめんどくさい。
軽く咳をして喉を整える。イメージする、女の子を口説くように。
「ミリィ、ただいま」
「・・・・・・アン」
「・・・ぷっ」
星井は吹き出し、如月は顔を背けて肩を震わす。笑うなよ。しゃーねーんだよ。
344 :
神前竜磨:2012/05/01(火) 01:50:38.92 ID:TKgRLKDu
やっと返事をした茶猫は、スクっと立ち上がって俺の足元まで来て座り込む。
しゃがみこんで頭を撫でてやると、目を細めて嬉しそうにする。
「適当に座ってくれ。お茶でも出すから。」
「はーい。」
「・・・・・・・・・・・・」
元気のいい星井と、声を出すことさえままならない如月がテーブルに付く。そんなにおかしいかよ!
345 :
神前竜磨:2012/05/01(火) 01:58:53.26 ID:TKgRLKDu
隣の台所からガラスのコップと、冷蔵庫から緑茶を取り出す。うちは麦茶じゃなくて緑茶はなのだ。
台所から戻ると、今度は三毛と呼ぶには黒と茶の部分の少ない白い猫が、星井に捕まってワタワタしていた。
「ん〜!この子もふもふなの〜」
「美希、私にも触らせて。」
おそらく、カーテンの影に隠れて外でも見てたのだろう。
知らない人の声がして出てきたら捕まったわけか。
知ってる顔を見つけて、「たすけて!」と、言いたげにこっちを見てくる。
346 :
神前竜磨:2012/05/01(火) 01:59:26.42 ID:TKgRLKDu
「こんなもんしか無いが、勘弁してくれ。」
「あ、ありがとうございます。」
「のどからっからなの〜」
星井がお茶に気を取られた隙に、するっと逃げ出す白猫。
2人にお茶を注ぎ、自分の分を入れてから、先輩たちに連絡を入れるのを思い出す。
携帯を取り出し、電話帳、仕事、先輩と選び、電話をかける。
・・・・・・今さら聞けない、人の名前。
347 :
神前竜磨:2012/05/01(火) 02:00:47.86 ID:TKgRLKDu
『はい、もしもし』
「もしもしー、神前です。無事に実家に着きました。」
『ありがとう。ご苦労様です。2人はどうですか?』
「基本的に問題なさそうですね。長時間座ってたんで、腰痛そうでしたが。」
『そうですか。明日は現地に6時には入っているようにしてください。朝から通しでリハやりますから。』
「わかりました・・・って、高速使っても1時間かかりますね。4時には出といたほうがいいな。」
『無理言って申し訳ない。予算の都合、ホテル代も切り詰めないといけなくて。』
「ダイジョブですって。あ、二人に代わりますね。」
348 :
神前竜磨:2012/05/01(火) 02:01:29.57 ID:TKgRLKDu
星井に携帯を渡すと、「ハニィィィ」っと、ハートマーク飛ばしまくって何やらいっぱいしゃべっている。
代わるように言われたのだろう、しばらくして渋々如月に携帯を渡していた。
無事にゴールデンウィークを迎えた我らが765プロは、当初の予定通り北ルートと南ルートに別れ、
各地でイベントをこなしつつ、ナゴヤドームを目指していた。
予定通りことは進み。今日の昼には、如月と星井を除くメンバー全員が名古屋入りをしている。
俺は、ギリギリまで生放送などに出ていた如月と星井を車に乗せ、400kmの距離を走ってきたわけである。
割とふくらはぎがパンパンだが、久々に運転したので、結構気分がいい。
如月や星井ほどのトップアイドルなら、新幹線のグリーン席に三星クラスのホテルも取れそうなのだが、
事務所の方に予算がなく、ホテル代さえ厳しいとのこと。
よって、名古屋よりやや外れるが、近場の俺の実家に泊まることになったのである。
ここ一ヶ月弱で得た、信頼の証である。
349 :
神前竜磨:2012/05/01(火) 08:52:01.24 ID:TKgRLKDu
「・・・はい・・・いいえ・・・いえ・・・はい」
冷たいお茶をぐいっとやって一息つく。向こうでは星井がゴロンっと真後ろに転がって・・・もう寝てないか?
如月は審問官に「はいかいいえで答えなさい」と言われているかのように、はいといいえしか言ってない。
ん?なんか如月がもぞもぞしてる。床に座んのに慣れてないのか?
やおら立ち上がり、奥の部屋へ向かう。確か厚めのクッションがあったはずだ。
350 :
神前竜磨:2012/05/01(火) 08:54:00.05 ID:TKgRLKDu
奥の物置べやまで行くと、なぜか3匹ともついてきてた。
三匹とも、訴えるように俺を見上げる。おそらく「あの2人はなんなのか?」とでも言いたいのだろう。
「あいつらなー、俺の同僚みたいなもんなんよ。うまいこと相手してやってくんねーか?」
口々にニャーニャーと文句を言っているようだが、猫の都合は基本的にお構いなしだ。
楕円形の大きめのクッションと、長いだき枕のようなクッションを抱え、今に戻る。
居間に戻ると、如月が「ありがとうございました」と、携帯を差し出してくる。
俺が携帯と引換に楕円のクッションを渡すと、クスクスと笑い「美味しそうですね」と、感想を漏らした。そう言えば、チキンナゲットのような形状だ。
もう片方の抱きまくら=エビフライを星井に放り投げ、再び電話に出る。
351 :
神前竜磨:2012/05/01(火) 09:02:15.91 ID:TKgRLKDu
「もしもし、代わりました。」
『すみません、神前さん。ご迷惑おかけします。』
「いやいや、自分も社員ですから。迷惑もクソもないっすよ。」
『そう言ってもらえると助かります。・・・で、それとは話がずれますが・・・』
先輩の声のトーンが落ちる。向こうでなにかトラブったのか。
『親御さんがおられるということなので、問題はないと思いたいのですが・・・・・・
神前さん。もし2人に何かあったら、わかりますね?』
先輩にも、しっかりとした信頼を得ているようだなフハハハ
352 :
神前竜磨:2012/05/01(火) 09:04:02.81 ID:TKgRLKDu
「存じております。てか、あの2人に何かあったら、それこそファンに殺されますよ。」
『ふふ、そうですね。ファンの前に俺が・・・おっと、スタッフの方がよんでるんでこれで
・・・・・・頼みましたよ。』
プツっと電話が切れる。・・・・・・・・・
はっはっは、先輩もなかなか、ご冗談がお好きなようで。ははっははっ
ダイジョブだ。今日は萩原がいるわけじゃない。俺の理性は保たれるはずだ!
命にかかわるミッションに、俺は気合を入れなおした。
そんな時、二階からドタドタと、足音が鳴り響く。
あー起きた起きた。
353 :
神前竜磨:2012/05/01(火) 16:35:56.32 ID:TKgRLKDu
「ん〜?たつまのおかーさん?」
「ああ、そうだ。ちょうどこの上が、かーさんの寝室。」
どたどたどたと、階段を降りてくる音が聞こえ、想定通り頭ボサボサのかーさんが今に飛び込んできた。
「ああ、お帰り。」
「お帰りじゃないよ。いつから寝てんのさ。」
「うるさいわねぇ・・・あらあら、可愛い子2人も連れ込んで。やるじゃないのぉ」
「そういうネタいらないから。
――――こっちが如月千早と、あっちの転がってるのが・・・あー、肉だ。どっちもガチのトップアイドルだから、粗相のないように。」
「もう、エラっそうにぃ」と、ブツブツ文句を言って台所へ消えてゆく。
354 :
神前竜磨:2012/05/01(火) 18:13:55.85 ID:TKgRLKDu
「あの・・・私達ちゃんと挨拶したほうが・・・」
如月千早。性格・真面目。みんなこんな娘だったらなぁ。
「ダイジョブだ。前から連絡してあったんだ。問題ない。」
現在時刻、5時ジャスト。今から飯食って早めに風呂に入れて、9時辺りには寝とかねーと持たねーな。
連日のテレビの仕事に、長旅で疲れてるだろうし、明日にダメージを残さねーようにしねーと。
355 :
神前竜磨:2012/05/01(火) 18:15:14.82 ID:TKgRLKDu
「とりあえず、これからの予定だ。飯食ったら風呂入って早々に寝る。
明日は4時頃出るから、15分ぐらい前には起きて身支度しとけ。
寝てたらそのまま車に積み込む。最短1時間、長くても2時間かからんはずだ。
現地についたら向こうと合流。後はわかってるな?」
「朝食はどうしますか?私は良くても、美希がもたないかと思います。」
「途中でコンビニにでもよりゃいい。それぐらいの余裕はある。向こうで弁当用意してあるはずだしな。
とにかく朝早いから、しっかり休めよ。―――――おい、そこの肉。ちゃんと聞いてるか?」
「ん〜〜〜〜もうっ!ミキはお肉じゃないのぉ!たつまのバカァ!」
「たつまっ!?」
想定外の方向からリアクションが聞こえた。台所から包丁を持ったカーさんが、ドタドタとやってくる。
356 :
神前竜磨:2012/05/01(火) 18:16:41.26 ID:TKgRLKDu
「ちょっと!あんた!みきちゃんとどういう関係なの!?」
うん、すんげー嬉しそうだなかーちゃん。でも包丁置いてこいや。
「星井には好きな人いるからな。」
「そーなのー♪ミキにはぁ、ハニィがいるのー♪」
「なんだ」と、肩を落として再び台所へ消える。つか、今作ってんのか。遅くならねーか?
357 :
神前竜磨:2012/05/01(火) 21:05:08.83 ID:TKgRLKDu
「そういえば、なんで美希だけ神前さんを名前で呼んでるんですか?」
「始めは「神前」って言ってたんだけどな、いつの間にか名前で呼び捨てだ。
やめろっつっても止めねーし、他の男も全部名前で呼ぶから、もうどうでもいいかと。
――――――つか、ちょっち見てくる。」
心配になって台所の様子を見に行く。テーブルには、じゃがいも、人参、玉ねぎ、鶏肉、そして複数ブランドの辛口カレールー。
やっぱりな。ちょっとまずい。
かーさんの特製カレーは、俺が口を出して改良に改良を重ね、「辛いのにスプーンが止まらない」ようになっている。
うちの家族なら平気だろうが、歌姫2人の喉には強すぎる刺激だ。
「かーさん、肉先にくれ。トマトペースト無い?」
「あれ?やってくれるの?」
「いつものじゃ喉に来るからな。甘口なんて無いだろうし。ジンジャーパウダーなんてのはないか。」
「あんたはその知識、何処から来るのか。」
「目で見てわかる、すべての範囲から。」
主にアニメとバラエティ番組で。
とりあえず、バターはないのでマーガリンを鍋に落とし、全体になじませることにする。
358 :
神前竜磨:2012/05/01(火) 21:06:40.79 ID:TKgRLKDu
「・・・・・・・・・おいしい。」
如月が感嘆の声を漏らす。よしよし、パーフェクトだ。
「ほんとに美味しいのぉ。たつまぁ、結婚してぇ♪」
すぐ横でパクパクと食べる星井。こいつは割りとなんでも食いそうだよな・・・
「ハニィはどーしたよ。」
「んじゃぁ、お嫁に来て!」
「わけがわからないよ。」
359 :
神前竜磨:2012/05/01(火) 21:09:23.06 ID:TKgRLKDu
そして、俺の横には、口に何も含まずにパクパクしている、弟002号
とっくに社会人で、ちょうど仕事から帰ってきたところだ。
「はっ!い、今起こったことをありのm」
「仕事から帰ってきたら、アイドルが2人で食器を並べていた。
何が起こったのかわらないが、超スピードとかそんなチャチなもんじゃねぇとか何とか」
「そうなんだが!!これまじか!リアリィ!?」
「Yes.it's Reality.」
「いい発音だ!?」
360 :
神前竜磨:2012/05/01(火) 21:44:24.11 ID:TKgRLKDu
俺とブラザー002の会話についていけず、きょとんとしている如月と、全く気にせずパクパク食べる星井。
この二人、陰と陽といってもいいぐらいに対照的なのだが、故に、ユニットを組んだ時の戦闘力は億を凌駕する。
「如月、冷める前に食っちまえよ。隣の勢いで食う必要はないけど。」
「おかーさん!おかわりなの!」
「あらあら、ちょっとまってねぇ」
皿を持って、台所へ消えるかーさん。こいつらのカレー足りるかな?
361 :
神前竜磨:2012/05/01(火) 21:45:09.18 ID:TKgRLKDu
「ねーねー、たつまぁ。たつま達のカレーと、ミキたちのカレー。ちょっと違わない。」
「そうね。私たちのは、少し赤っぽいというか、白っぽいというか。神前さんのは、かなり黒いですよね?」
「そっちはトマトをベースに牛乳でまろやかにしてある。こっちのカレーは・・・カレー屋の5辛位だ。」
他にも、チューブ入りの練生姜やシナモン等、色々手を加えてある。
如月の手が妙に冷たかった気がしたので、なるべく体があたたまるように考えた結果だ。
362 :
神前竜磨:2012/05/01(火) 21:46:20.13 ID:TKgRLKDu
「・・・・・・すごく辛そうですね。」
「5辛はダメなのぉ。喉が焼けるのぉ。」
カーさんがカレー皿片手に戻ってくる。どうやら残りをさらえてきたらしい。如月におかわりがないことを謝るが、あまり食べるほうじゃ
ないから問題なかろう。
「・・・・・・ッつっか兄貴!響ちゃんは!」
食い終わった002が、今更ながら奇声を上げる。こいつ声でかいんだよ。2人びっくりしてるじゃねーか。
363 :
神前竜磨:2012/05/01(火) 22:17:07.63 ID:TKgRLKDu
「テレビ見てねーのか?竜宮小町とかと一緒に日本海側回って、とっくに名古屋はいってるぞ。
10時からの番組とか見るんだな。俺らは寝る。明日早ぇんだ。」
「なんだよー。職権とか乱用して連れてこいよー。」
「あほ。仕事できてんだから、んなことできねーよ。」
ブーブーとぶーたれる。無理なもんは無理だ。てか、そんな事考える余裕はなかった。
「弟くんわぁ〜、ミキ達じゃ不満なの?」
テーブルに乗り出し相手を覗きこむ星井の「魅了(チャーム)」 効果は抜群だ。
364 :
神前竜磨:2012/05/01(火) 22:17:57.49 ID:TKgRLKDu
「くはっ!?魅了された!」
「そうか、魅了された奴にはスリプルが定石だが?」
「無理。レジストスリープ効いてる。」
空になったカレーの皿を指さす。なるほど。
「そうか、ならとりあえず殺して後でレイズだな。」
「ちょっ!?ひどっ!?せめて4とか!」
「ごめんね〜。二人共オタクだから〜。」
「無視していいのよー。」と、マイペースでカレーを食べるかーさん。
星井は腹も膨れ、002も魅了でき満足顔だ。
如月は黙々とカレーを食べている。十数分で如月のスルースキルはかなり上がったようだ。
365 :
神前竜磨:2012/05/01(火) 22:22:03.96 ID:TKgRLKDu
滞りなくことは運ぶ。
風呂上りの二人を見て、興奮する002を粛清したりもしたが、問題ない。
俺もひとっ風呂浴びてさっぱりした後、二人の様子を見て床に入った。
二人は俺が元使っていたへやに、俺は居間で寝ることになった。
かーさんたちには悪いが、各自自室へ行ってもらってる。
二人共、自分用のテレビを持っているから問題なかろう。
時間は21時ジャスト。携帯の目覚ましを3時に合わせる。
長時間の運転が答えていたようだ。程なくして、俺の意識は夢の中へとシフトしてゆく・・・・・・
366 :
神前竜磨:2012/05/01(火) 22:28:37.33 ID:TKgRLKDu
無理矢理に目を覚ます。目の前には見慣れた天井があり、これが現実であることを意識させる。
わかりやすく言うと、怖い夢を見て目が覚めた。とにかく怖かった。萩原がとっても怖かった。
天井を見て現実であることは理解できたのだが、先ほどの恐怖は全く消えなかった。
息苦しい。夢のなか同様、何者かが俺の身体を束縛するように、漠然とした緊縛が全身を支配する。
全身が重く、起き上がるのが困難だ。
367 :
神前竜磨:2012/05/01(火) 22:30:47.69 ID:TKgRLKDu
金縛り。諸説色々あるが、近年で最も多い原因は、睡眠時無呼吸症におけるもので、意識がないあいだ、舌が喉の方へ落ち込み気道を塞い
でしまうというものだ。
レム睡眠時は脳が活発に動き夢など見ることがあるが、反対に体の機能は最も低下していて、時には呼吸まで止まるという。
もちろんそれも危険なわけだが、この際問題なのは、気道を塞いだ舌を戻せないこと。正常に神経が機能していないため、舌を動かせないのだ。
しかし、打開策はある。すなわち、落ちる方向を、喉の方から横へ移動してやればいい。
俺は、今自分の持てる全ての力を持って、クビを横に捻り、気道を確保した。
しかし、金縛りは解けない。そもそも息ができなかったのか?否、苦しかったが息はしていた。ではこれはなんだ!?
もしや、霊的なものか!?そう言えば、あからさまに抱きつかれているような感覚がある。
夢のなかの萩原のように、俺にしがみついてあの世へ引きずり込もうというのか!?
368 :
神前竜磨:2012/05/01(火) 23:26:19.80 ID:TKgRLKDu
「ハニィ〜 ミキ〜 も〜我慢できないの〜」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ていっ!」
369 :
神前竜磨:2012/05/01(火) 23:26:51.37 ID:TKgRLKDu
俺の腕も脚もがっつりホールドしている星井を横へ弾き飛ばす。
おそらくデカい胸がタプンと揺れたことだろうが、あいにく暗がりで何も見えん。
というか、星井のあられもない姿は事務所でよく見かけるため、正直今更なんとも思わない。
つっかチョー焦ったじゃねーか!おっぱい揉むぞこら!
370 :
神前竜磨:2012/05/01(火) 23:37:41.15 ID:TKgRLKDu
携帯を取る。現在時刻、午前1時3分。
ちなみに、先日作ったロック画面のプログラムは外してある。時計がすぐ見られないという不具合が判明したからだ。
大方トイレに行って寝ぼけて間違えたというところだろうが、なんという困ったちゃんだ!
しかし、放置するわけにもいかない。とりあえず、元の寝床まで運んでやるか。
携帯のとあるアプリを起動すると、画面が真っ白になり周りをやや照らし出す。非常時に使える便利なアプリだ。
本物ののライトほど明るくはないが、足元を照らすには十分だ。
371 :
神前竜磨:2012/05/01(火) 23:38:48.11 ID:TKgRLKDu
星井をお姫様抱っこで抱え、携帯の明かりを頼りに二階を目指す。
足音を殺し、気配も殺し、何者にも見つからないように、慎重に歩を進めてゆく。
3対の低い位置からの視線が背後から突き刺さるが無視。
星井はかなり軽い。プルプル揺れる双子の山は、実は風船ではなかろうか。
階段の両縁を踏み、極力軋ませないように歩く。隠密スキルA+
階段を登ってすぐ、扉が開いているへやが元俺のへやで、如月たちが寝ているへやだ。
たつまはサーヴァントだったか・・・
373 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 00:07:01.33 ID:DRBijgsD
このミッション最大の難関、眠っている如月千早の隣に、こいつをどう転がすかだ。
いっそ乱雑に踏み込んで、見つかっても「なにもやましいことはない」と貫き通した方が楽かもしれない。
しかし、疲れて眠っている如月を起こしてしまうのも良くない。
呼吸を浅く短く。心頭を滅却。すでに星井のデカい胸や、差し込む月明かりに照らされたムッチムチの太ももなど見慣れているので、
故に、今ここに来てビートパーミネッツが上昇をはじめるのは大変不思議な現象で、これはきっと霊的なものがなんとかかんとか。
やべぇ、転がってるのは見慣れてるけど、こうやって抱きあげてるのは全く違うわ。
俺なめてた。星井をなめてた。おめーはすげー女だよ。
374 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 00:09:25.43 ID:DRBijgsD
改めて星井の凄さに感心しつつも、呼吸だけは整えて潜入を試みる。
開いている扉から中を覗きこむと、月明かりの下、長髪の人影が窓辺に佇んでいた。
少し大きめのTシャツにタンクトップの肩紐が照らし出される。
むき出しの脚を片方だけ抱え込み、黄昏る蒼天の歌姫、如月千早。
・・・・・・ライト解除、カメラ、フラッシュオフ
カシャッ
「っ!?」
375 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 00:11:21.88 ID:DRBijgsD
星井を抱えたままで、うまく撮れたかは分からないが、とりあえずいい写真がとれたと思う。
「―――あっ、美希。何処にいたんですか?」
「俺のへや。寝ぼけて間違えたんだろ。」
部屋に入り、布団に転がす。ほんと良く寝てるな。
「そうですか、すみません。」
「いや、お前が謝るこっちゃねーよ。」
376 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 00:34:34.10 ID:DRBijgsD
済まなそうに言う如月に、妙な違和感を覚える。
右手で左腕を掴み、身体を抱くような仕草。
正直、明確な理由があるわけではなかった。ただ、なんとなく、如月の手を握ってみただけだった。
冷たい。氷でも触っていたかのようだ。月明かりではわかりにくいが、俺の手と比べて明らかに白い。
なんだよこれ?緊張して手足が冷たくなる人っているが、こんなになるのか?
如月の顔を見る。嘘がバレた時のような、気まずそうな顔。月明かりも手伝ってか、蒼白に見える。
377 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 01:18:36.28 ID:DRBijgsD
結局、歌姫と呼ばれ、国外で活躍していても、大舞台を前に緊張で震える、17歳の少女ということか。
一人で震える猫の扱いはよく知っている。
俺は掴ん手を引っ張り、如月を引き寄せる。
夕方、ここについた時と同じように、腰に手を当て、ぎゅぅっと抱き寄せてやる。
背中も腹も、俺の体温よりかなり低い。芯まで冷たくなっているようだ。
378 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 01:19:17.69 ID:DRBijgsD
「あのっ、神前さんっ、熱いッ」
「俺が熱いんじゃない、お前が冷たくなってんだ。」
しばらく無言のまま、体があたたまるのを待つ。冷たかった手も幾分ましになり、こわばっていた身体もだいぶ柔らかくなってきた。
「・・・・・・すみません」
顔は見えない。聞こえるだけの謝罪の言葉。
「気にすんな。仕事だ。」
むしろ、こんなになってるのに気が付かなかった俺が悪い。
379 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 01:23:38.73 ID:DRBijgsD
心も溶けてきた、と言うのは言いすぎかもしれないが、如月がぽつりぽつりと、胸の内を語り出した。
「私、ダメなんです。・・・・・今まで、人も、自分もかえりみず、ただ歌うことだけしてきました。
でも、春香や、みんなのお陰で。人とつながれるって。私の歌で、人と人とが繋げられるんだって、知ってっ
そのためにっ、また歌えるようになったのにっ!もし!また声が出なかったらと思うとっ!」
むせび泣く如月。芯が強く、高い評価を受ける影で、かなりのプレッシャーがあったのだろう。
緊張で声が出なくなることだってあったに違いない。
掛ける言葉が見つからない。ただ、強く抱きしめてやるだけしかない。
380 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 01:27:05.97 ID:DRBijgsD
どれぐらいの時間がたったのだろう。
落ち着きを取り戻した如月を離し、顔を覗き込む。
まだ目が潤んでいるが、今は不安というより、気まずさのほうが先に立っているようだ。
「すみません。取り乱してしまって。」
「気にすんなっつったろ。これが仕事だって。お前の笑顔がみれただけで儲けもんだ。」
クスリと笑う。やはり女の子は笑顔が一番だ。如月の控えめな笑顔に、やっと安堵を覚える。
「まぁ、なんでも、いいですけれど。
――――――勝手に写真を撮るのは、どうかと思いますよ?」
あー、おぼえてたかー。
381 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 01:48:43.33 ID:DRBijgsD
「なんだよ、照れ隠しか?いいんだぞ?『神前さん素敵です!私と付き合って下さい!』とか言ってくれても。」
「ありえません。そんなこと。」
ニコリとしてサラリとかわす。よしよし、元気になったようだな。
「じゃ、しっかり休めよ。明日早いんだからな。」
「明日じゃなくて、もう今日じゃありませんか?」
「あーあー、そうだなー。んじゃ、おやすみ。」
「はい、おやすみなさい。・・・ありがとうございました。」
如月のありがとうに、手を振って返す。アイドルってのは、マジで大変なんだぁ。
携帯を見る。午前1時25分。とりあえず、もう一眠りするか。
床に戻った俺は、再度深い眠りについた・・・
382 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 01:50:31.55 ID:DRBijgsD
「おーっらよっとっ」
肌がけで包んだ星井を後部座席に積み込み、家で借りたクーラーボックスを床部分に載せる。
ジュールやお茶など、氷の詰まった牛乳パックとともに詰め込んである。
ブラザー002を叩き起こし、車をどかせてから、俺の車を道路まで出した。うちの駐車場は縦列駐車。後から入った奴が出ないと出られない。
表で待っていた如月を助手席に乗せ、車を出す。目的地はナゴヤドームだ。
如月の膝には、おにぎりの入ったビニール袋がある。かーさんが俺と一緒に起きて、握ってくれたものだ。わるいことしたな。
383 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 11:52:02.97 ID:DRBijgsD
如月の顔は、昨日泣きはらした後もなく。顔色もよさそうだ。いや、少し赤いかもしれない。
『もし2人に何かあったら、わかりますね?』
あ、やべ。俺、死ぬ?
先輩の言葉を思い出し、スーっと血の気が引くのがわかる。まずい!これはまずいぞ!どうするか!今からでも口止めするか!
384 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 11:52:24.39 ID:DRBijgsD
「如月、あのさ、夜中のことなんだけどな・・・」
「・・・・かれてました・・・」
「ん?なんだ?ちょっときこえない。」
うつむいてポソポソしゃべる如月。顔が更に赤くなっていくのがわかる。
まずいのか!これは!神様!本当に未来日記ください!!!
脂汗をだらだら流し、ハンドルを握る。携帯のナビゲーションが耳に入らず、住んでた頃いつも通っていた道を進んでしまう。
如月は、意を決したのか。顔を上げて声を張り上げた。
385 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 11:53:25.75 ID:DRBijgsD
「起きてたんですっ!全部!全部聞かれてました!」
は?起きてた?なにが?星井は寝てたろ?え?起きてた?マジで?
後ろ、を振り向くわけにはいかず、ルームミラーを下げて星井を捉える。
今のところぐーぐーと寝息を立てて寝ている。この星井が起きてたというのか!?
「ほんとう・・・か?」
返す質問に、こくこくと、首を縦に振って答える。はい!俺死んだ!
386 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 11:54:17.25 ID:DRBijgsD
「薄目開けて、ほとんど見てたそうです。
あのあと、声をかけられて、びっくりしました。」
「あー、全部って、いや、ほとんどあれか」
ずっと抱き合ってましたねーいえーいあひゃひゃひゃひゃ
「神前さんに抱き上げられたあたりから、ずっと寝たふりをしていたそうです。」
「うわー。こいつタチわりぃ。」
大方、俺が手でもだそうものなら悲鳴でも上げるつもりだったのだろう。何処かのおさるさん並みにタチが悪い。
387 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 11:54:59.78 ID:DRBijgsD
「みんなには、内緒にしてくれると、言ってくれてます。」
おお、皮一枚でつながった!
「そうか。まぁ、星井は人の嫌がることはしないからな。多分大丈夫だろう。」
たつまって呼ぶなっていうのに聞かねーけどな。
388 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 11:55:38.58 ID:DRBijgsD
「・・・本当に、ありがとうございました。」
「いや、おれもさ、なんつかー乱暴なことしちまったみたいで、悪かったな。」
「いいえ、すごく優しくて、頼り甲斐があって・・・・・・嬉しかったですよ。」
うわーい。フラグたったー。ねーよバーカ。
生き残ったことに心から浮かれる。生きてるって素晴らしいなぁ。
とりあえず、この問題はクリアだ。後は如月次第かな?ん〜解決してないかな?
389 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 11:56:47.55 ID:DRBijgsD
「まぁ、我慢しすぎんのもよくねーからな。ほどほどに耐えたら、また泣きに来いよ。」
「ふふっ。それじゃぁ、海外に行くときも、付いてきていただけますか?」
「そいつぁー、会社の指示ならやむなしだなー。」
いやー、俺下っ端だし、世界を股にかける如月さんについていくなんて、立場上ありえねぇっすよ。
お互い、冗談を冗談として受け取っている。如月も強く言ったりはしない
「ふふ、いいですよ。無理しなくても。帰ってくるまで、頑張れますから。」
「帰ってくるまで」に限定してあるあたりが可愛い。
390 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 11:57:23.60 ID:DRBijgsD
俺は、ルートの再検索の途中でバグって止まってる携帯をリセットして、もう一度目的地を設定し直す。
ルート検索を終えた携帯から「ルート案内を開始します」と、電子音声が流れる。
今日は五月六日、ゴールデンウィーク最後の日。
765プロの長い一日の始まりだ。
391 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 12:03:48.82 ID:DRBijgsD
9話完 長い
1話が12kbにたいして9話が25kbですって奥さん 倍以上ですよ
時間かけて長い文にした割に、つまらない水増しばかりになってる気がする
カレーのところ要らなかったんじゃね?
今回の目的は、千早の例のセリフを言わせたかっただけです
長くなったなー あははは
美希はギャグ要員 誰かがやらないといけないんだ ごめんよ美希
どうでもいいけど、ブラザー002は、始めは妹の設定だった
名前まで考えてたぜ 神前舞華
これ以上女が増えたら頭がパーンしちゃうので、男にしときました
名前もありません ブラザー002です
それではまた10話にでも
そろそろ、打ち切りにしちゃうおうかな・・・・・・
打ち切りはだめだ
最後まで書くんだ
393 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 20:26:54.45 ID:DRBijgsD
打ち切り → ドームで神前プロデュースの行き当たりばったり企画をやって。一人前として認められてEND
最後まで書く → 最後ってなんだ?うまいか?それ?地獄のサザエさん時空
((((;゜Д゜)))ガクガクブルブル
394 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 20:29:30.04 ID:DRBijgsD
「みんなもう来てますねぇ」
朝の掃除を高槻と終わらせた俺は、ゴミ捨て場から戻ってきたところだ。
事務所のドアを開けると、765プロの面々が休憩所に集結していた。
「おはよーございまーす。何してんすか?」
「おはようございます。神前さん」
「おっはよーにーちゃーん」
口々に挨拶を交わす中、折れは休憩所のテーブルを覗きこむ。
そこには、たくさんの写真が散らばっていた。
395 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 20:29:56.47 ID:DRBijgsD
「あー、こないだの。」
「ええ、昨日現像してもらったんですよ。」
「最近のは完全に"印刷"ですけどね。」
写真を見る。水族館、遊園地、その他もろもろ。ほぼレジャー施設のもので埋められてた。
396 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 20:30:49.88 ID:DRBijgsD
「すっごく楽しかったよー!イルカとか餌上げたー!」
「GW中の特番なんて、大体こんなものよ。」
「律子たちの方は楽でいいぞ。自分ら移動距離長いし、毎日LIVEやって疲れたぞ。」
「存分に歌えたから良かったじゃないか。響。」
「いいなー。ミキもそっちが良かったのぉ。」
「私は美希のほうがうらやましいけど?テレビの仕事で引っ張りだこなんて。」
「春香ちゃんだって、ラジオのお仕事しっかり入ってたじゃないの。」
「野外テントで生放送なんて初めてでしたよ。」
「なるほど。そしてテントをどんがらがっしゃんしたのか。」
「しませんよ!もう!」
「でも野外は暑いぞー。」
397 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 20:31:41.78 ID:DRBijgsD
「ほらほら、にーちゃん。亜美のセクシーショットwww」
「やめてよ真美!それマジで透けてるっしょ!やばいんだって!」
「萩原さん、大変だったの?」
「ちょっと疲れましたけどぉ。いっぱいステージに出られて良かったですぅ。」
「雪歩さん。毎日目一杯踊ってたのに、全然疲れないんですよぉ?びっくりでしたぁ。」
「そう言えば、私たちは一度も歌いませんでしたねぇ。」
「いいのよ、あずさ。私達ほどのトップアイドルは、おいそれと人前には出ないのよ。
それにドームで目一杯歌ったじゃないの。」
「そうそう、野外ライブなんてやったら、いおりんのデコフラッシュでみ〜んなねっちゅーしょーだよ。」
「ドームといえば、大盛況でしたね?律子さん。」
「もう、なんか恒例になっちゃってるわね。私のゲスト。」
「いっそアイドルに戻ったら?」
398 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 20:35:03.31 ID:DRBijgsD
日本海側ルート、天海、萩原、菊地、我那覇、高槻の5人は、各所でライブイベントをやって盛り上げていたようだ。
そして、大西洋側ルート、竜宮小町と四条、真美は、各種レジャースポットのレポーターなどで、テレビに出ていたらしい。
「そういや、写真ならこっちもそこそこ撮りましたよ?携帯でとったやつですけど。」
懐からタブレットPCを取り出すと、「四次元ポケットキター」と双子が騒ぐ。音無さんが次元連結システムが云々言ってるがスルー。
「いすらふぇる(乙)」と貼られたシールの面を下に置き、スリープを解く。画面にはりんごに巻き付く蛇の絵柄と7つの目に、"SEELE 01 SOUND ONLY"と文字が並ぶ。
「なんか、独特のセンスですね。」
「さすが神前さんです。」
視線を合わせサムズアップ。「あーそーゆーことねー」と、呆れ顔の秋月先輩。
399 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 20:35:38.35 ID:DRBijgsD
アルバムを開くと、俺の車に乗り込んだ如月と星井の写真が出てきた。
携帯の写真用フォルダと同期してあり、携帯でとった写真は定期的にこのタブレットにコピーされる。
「え?ここからなの?」
「こういう余裕ができたのは、移動始めてからだったからな。」
画面をすると、写真がめくれて次が現れる。今度はソフトクリームを食べる星井が出てきた。
写真がめくれるたびに、なにか食べてる星井が現れる。
400 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 20:36:07.15 ID:DRBijgsD
「ミキミキ食べてばっかりだね。」
「そういや、休憩で止まるたびになんか食ってたな。そして運転中はずっと寝てた。」
「ふっふ〜ん。寝る子は育つ!」
「自分で言うなっ!」
「食べて寝たら太っちゃいますよ?」
「それが、美希は全部胸に行っちゃうのよ。うらやましい・・・」
「くっ・・・・・・」
「あ、ねこー」
「うわぁ、可愛い・・・」
「神前さんの家ですね。ネコを3匹も飼われてました。」
「この白い子!雪歩そっくりだったの。」
「ええ!?私、ネコ?」
「あー、ちょっと離れたところで細い声で鳴くあたりよく似てるな。」
「捕まるまでオロオロして、捕まるとワタワタするの。」
401 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 20:49:03.58 ID:DRBijgsD
「萩原さん、可愛い・・・」
「・・・・・・なんかこの子。カメラ目線で睨んでない?」
「この子はねー・・・ぷくくっ」
「笑うな!あーやって呼ばねーとダメなんだよこいつ!」
「千早おねーちゃん苦しそう。」
「ねーねー、どんなんだったの?やってよーにーちゃーん。」
「却下!断る!」
「たつまは猫と話ができるよねー。」
「自分とこのペットなら、何言ってっかだいたい分かるよ。我那覇もそうだろ?」
「自分たちは以心伝心してるからな!口にしなくてもわかるんだぞ!」
「ネコ吉くんとヘビ香ちゃんは、しょっちゅう脱走してたわよね?今回のツアーの間は特に。」
「以心伝心してるから、逃げ出してもすぐわかったぞ!」
「逃げ出さないようにしてもらいたいんだけどなぁ」
402 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 20:50:27.41 ID:DRBijgsD
「あ、カレーだ。」
「これ、神前さんの手作りなんです。」
「神前さん料理できるんですか!?割と完璧超人じゃないですか!!」
「おだててもなんも出ないっすよ。」
「女の子口説くための涙ぐましい努力ね。」
「だから!なんでそんなふうになるんすか!あんなん化学の実験と大して変わらないっすよ」
「くっ・・・・・・」
「湯上りミキミキー!」
「まー終わりかな?」
「あ、これ・・・」
403 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 21:17:39.73 ID:DRBijgsD
「あんれ〜?にーちゃん盗撮ぅ?」
「夜中部屋に行った時だな。画面見てないからわからんかったが、結構いい絵がとれてるじゃないか。」
「夜中に・・・千早ちゃんと・・・何を・・・」
「落ち着け萩原。寝ぼけて転がり込んできた星井を運んだだけだ。」
「美希がいただかれちゃった!?」
「いただかねぇ!天海やめろ!洒落んならねぇ!」
「いい構図ですね。宣材に頂いていいですか?」
「千早、あんたこれ、下はいてなかったの?」
404 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 21:49:47.27 ID:DRBijgsD
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
タブレットの真ん中に手を置く。1秒ほどでメニューが現れた。
移動・コピー・削除の中から、迷わず削除を押す。
如月の写真はすぐに消えて、肌がけでぐるぐるまきの星井が画面に現れた。
「あー、これ朝のやつだな。こいつ起きなくってさー。」
「本当、美希は世話が焼けるわ。」
はっはっは。うふふふ。
・・・・・・・・・・・・
405 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 21:52:21.76 ID:DRBijgsD
「神前さん・・・・・・ちょっと、お話があります。」
「ちょっ!!!あんたいつ来たよ!いつ来たよっ!!!!」
「千早!答えて!どういうことなの!同意の上なのこれ!」
「こ、このときは、その、別に何も」
「そんな・・・一番ガードが硬い千早が・・・こんなにあっさり・・・」
「あわわわ・・・・・・」
「ちはや、俺はお前の全てが撮りたいんだ!」
「・・・・・・・・・」
「あ〜みぃ〜 ノリ悪いよぉ〜」
「ああっ!ヘタレの神前さんは一体どこへっ!」
406 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 22:17:30.18 ID:DRBijgsD
「神前さんもお若いですから、十分ありえる自体でしたねぇ」
「神前さん、本当に、その・・・しちゃったんですか?」
「かんざきはきっと何もしなかったと思うぞ?」
「――――――――――っ!?」
ダッ!
「あ!千早おねーちゃんが逃げた!って、ゆきぴょんも逃げた!?」
「追うよ!亜美!真美!」
「がってんだー!って、亜美が動かないぃ〜」
「律子さん!しっかりして下さい!まだ報道されたわけじゃありません!」
「・・・・・・そうね。そうよ。ここでこの人を葬れば丸く収まるわ・・・」
「神前さん・・・話は署の方でお伺いします。」
「警察!?」
407 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 22:18:00.42 ID:DRBijgsD
「あの・・・これはいったい、なんの騒ぎでしょう?」
遅れてきた四条の目には、いつぞやと同じように、応接室と言う名の取調室へ連れて行かれる俺が写っていた。
408 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 22:52:45.70 ID:DRBijgsD
「・・・・・・・・・」
「全く、神前さんの主人公体質には困ったものですね。」
「一ヶ月で3つも事件起こすなんて、どういうことよ。」
409 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 22:53:16.39 ID:DRBijgsD
「3つ?雪歩ちゃんと千早ちゃんだけじゃないんですか?」
「この人、真美ともやらかしてるのよ。真美のイタズラが原因だったんだけど。」
「ええっ!?真美ちゃん!?亜美ちゃんじゃないんですか!?」
「・・・・・・音無さん、なにか心当たりでも?」
「ええ、なんか亜美ちゃんちょっと態度がおかしいっていうか、神前さん相手に乙女モード入っちゃうんですよ。」
「あー、亜美の変調もこの人なのかー。最近妙に大人っぽくというか、色っぽくなったんで、そういう年頃かと思ってたんですけど
この人手当たり次第ですね。やっぱり処分したほうが良いんじゃ・・・・・・」
410 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 22:54:41.37 ID:DRBijgsD
「でも、雪歩ちゃんは確実に男性恐怖症を克服できてますよね?プロデューサーさんより効果高かったんじゃないですか?」
「うーん、確かに。サイン会でもだいぶ自然に話せるようになったし、
千早もドームで良い感じだったわ。感動して泣くなんて、あの時以来だし。
亜美も悪い変化じゃないしねぇ。」
「でも、真美ちゃんはなんにもないみたいですけど、神前さん何したんですか?」
「状況的には、竜宮と私が事務所に戻ったら、真美が神前さんと抱き合ってたってだけですね。
真美が抱きついてるだけだったみたいですけど。」
「いつもみたいにじゃれあってただけじゃないんですか?」
「そうかもしれないけど、この人の慌てようが怪しくってねぇ・・・って、神前さん。生きてますか?」
411 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 22:55:49.27 ID:DRBijgsD
「でも、千早ちゃんには驚きですね。あんな格好でいつも寝てるなんて。」
「あの子、そういうところ無頓着って言うか、妙にアメリカンなところがあるのよね。」
「そうですねぇ。あんまり着飾るということもしませんし。ある意味、真ちゃんより男らしいですよね。」
「・・・・・・あと、なんか隠してるのよね。プロデューサーの手前、言及しなかったけど。」
「乙女の秘密、みたいでしたね。」
「そうですね。どう考えても関係ありそうですよね。」
412 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 22:58:06.38 ID:DRBijgsD
「リアルでこういうことになると、血の雨が降りますよね。」
「誰かに絶対刺されるわよね。」
「そうそう、これ。社長からもOKが出ましたよ。すぐにでも撮れるようにスケジュール立てないと。」
「ああ、ありがとうございます。神前さん。神前さんのやつ通りましたよ。神前さん?神前さん!!」
「・・・・・はぁぁあああっっ!もうしません許してください去勢だけはやめてくださいぃぃぃい!」
「壊れてる!?神前さん!私がわかりますか!?」
「・・・・・・這い寄る・・・混沌?」
「そうそう、いつもニコニコあなたの側に這い寄る混沌、ニャルラト――――っじゃなくって!
はっ!?り、律子さん!?これはその!小説のネタで!」
「いやもう、ラブクラフトの小説とかいいですから。」
「あら、ひょっとしていけるクチで。」
「・・・自分、生きてるんですか?」
413 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 23:13:08.68 ID:DRBijgsD
やっと思考が回復し始めた。言語機能と演算機能が徐々に機能を始め、海馬と前頭野が正常にリンクする。
現在位置、765プロ事務所、デスク、俺の席。現在時刻、9時2分。
あれからおじさん=社長を含めた緊急会議が執り行われ、結果的には、まだ俺は生きている。
現在のところ、被害者たちからの訴えがないため、罪として立証できないとのことだ。
故に、今回の件に関しては仮処分であり、今後何らかの事件を起こした場合、命の保証はされないそうだ。
今回の決め手は、星井の証言。実はずっと起きていて全て知っているという彼女の証言に、裁判官は納得してくれた。
星井も、危ういところはうまく伏せてくれた。如月のためにも、人前で泣いた話は避けてくれたようだ。
414 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 23:14:52.70 ID:DRBijgsD
「大丈夫ですよ。クビも下もちゃんとついてますから。
そーれーよーり、こっちです。」
ばさっと、俺の机に投げ込まれたファイルから、『承認』と、デカいハンコの押された書類だ。
「カバーアルバムB(仮) 選曲、及び、プロデュース 神前竜磨?」
「おめでとうございます。これで一端のプロデューサーですよ。」
――――っ!?マジで!?mjd!?
415 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 23:33:57.46 ID:DRBijgsD
「あなたの選んだ曲、ネットで評判よくて。採用することになったのよ。
リクエストのCDと二枚一組で出すから、片方はあなたが全責任をもってやること。
がんばってくださいね。」
「・・・・ぉぉぉおおおっしゃぁぁぁあ!!」
なんかこう、よくわかんないけど!とにかくうれしい!
とにかく企画書をめくる。・・・おりょ?
416 :
神前竜磨:2012/05/02(水) 23:34:43.78 ID:DRBijgsD
「あの、先輩。これ、俺のリストよりだいぶ減ってる気が・・・」
俺の質問に、秋月先輩は呆れ顔で答える。
「そりゃそうよ。20曲も入るわけ無いでしょ?こちらで選ばせてもらいました。
あと、あの子たちのスケジュールとかも、こっちで全部あわせておきますから。」
えーっと、全責任をもってやるっていうのは・・・?
「ま、ぶっちゃけ、神前さんのやることってもう無いですね。
レコーディングの時付き合うだけです。」
「あー・・・うん、楽でいいっすね。お願いします。」
ちょっとだけ肩透かしを食らったけど、まぁ概ねOKだ。
417 :
神前竜磨:2012/05/03(木) 00:40:11.73 ID:PDAXW5sM
「そうだ、ちょっと聞きたいんですけど、如月って一人暮らしらしいですけど、親とかどうなってるんです?
なんか、疎遠になってる的なこと聞いたんですけど・・・」
ジトーっとした視線が突き刺さる。おやおや、なにか誤解を受けているようだ。
とにかく、事情を話すと、少々面倒な事になっているらしい。これはおじさんにも相談したほうが良いかもしれないな。
とりあえずは、今日の業務を終わらせましょう。
こうして、GW中に溜まった領収書の整理に、丸一日を費やすのであった。
いいじゃないかサザエさん!
でも良い感じでまとまるならそれでも・・・
まぁ無理のない感じで
いろいろあるけどいきろたつまw
419 :
神前竜磨:2012/05/03(木) 01:39:18.13 ID:PDAXW5sM
ナゴヤドームのイベントを回避することで、
俺たちの戦いはこれからだEDを回避した
10話終わったぞー
実は10話はもっと詰め込んで、前後編にするつもりだったけど
いい時間だからココで切るぞー
次回予告 日曜日、ひきこもりの竜磨は珍しく町に出ていた。
そこへ急ぎ足でやってくる少女。彼女の目的は!?
次回!THE IDOLM@STER 2 In765ProOffice 11話
「携帯電話」を、みんなで見よう!
※内容は都合により、予期なく変更するのが常です。ご了承ください。
と言うことはサザエさんルートか!
そして次回予告はウリバタケさん?w
421 :
神前竜磨:2012/05/03(木) 22:07:43.43 ID:PDAXW5sM
3択です
1、千早とデートしてたら逃げまわるハメになってハードボイルド
2、貴音と街で偶然あって黒服の男に追われてハードボイルド
3、なにか色々あった結果いつも通りこってり絞られてハーフボイルド
さ、どれがいい?
11話始まるぞー
ちなみに途中だぞー 今日のエンディングも見えてないぞー
422 :
神前竜磨:2012/05/03(木) 22:10:16.96 ID:PDAXW5sM
「あのぉっ!すみません!!」
日曜日。俺は休みの日に外に出ることはほぼ皆無なのだが、今日ばかりは仕方がなく、日の当たるところにつったっていた。
厳密には、我らプロデューサーに日曜日という概念など無いわけだけど、事情が事情なため、休みを頂いたのである。
「おまたせしてすみません!私、平日のダイヤしか知らなくって!電車、乗り違えたみたいで!」
走ってきたのだろう、大きく肩で息をする彼女。
423 :
神前竜磨:2012/05/03(木) 22:13:00.96 ID:PDAXW5sM
「あー待った待った。チョー待ったぞ。一万年と二千年ぐらい待ったな。」
「!?そんなにっ!?」
「いや、無理だから。ダイジョブ、大して待ってねーから。」
時はさかのぼり、ナゴヤドームイベント当日のことだった。
車から星井を担ぎ出し、控え室まで運ぶとき、如月が口を開いた。
424 :
神前竜磨:2012/05/03(木) 22:23:42.26 ID:PDAXW5sM
「・・・・・・神前さん、今度の日曜日。お時間いただけませんか?」
「ん?デートか?よろこんで!」
ぐっ!っと親指を立てて答えたのだが、如月は顔を真っ赤にして首を振る。
「ち、違います!その、私の携帯、かなり古くて。最近電池もすぐなくなるので、買い換えようかと
神前さん、こう言うのお詳しいようなので、出来れば、その・・・」
携帯選びに付き合って欲しい・・・か。
425 :
神前竜磨:2012/05/03(木) 22:27:25.67 ID:PDAXW5sM
「ちなみに、今の携帯ってどんなんだ?」
「・・・これです。」
ゴソゴソと、ポケットを漁る如月。
出てきたのは、小さい緑色の液晶がついた、2G世代・・・いや、更に前かもしれない。骨董品に近いシロモノだ。
どうも、すでに電池切れで機能していないようだ。
「・・・・・・わかった。日曜携帯を買いに行こう。」
そんなわけで、如月とデートではなく、携帯を買いに行くことになったのだ。
426 :
神前竜磨:2012/05/03(木) 22:58:23.67 ID:PDAXW5sM
「・・・・・・あの、なにか変でしょうか・・・?」
ぼーっとしている俺をみて、自分の服装を見られていると思ったのか。仕切りに前や後ろを確認する如月。
今日の如月は、赤と白の長袖のボーダーシャツに、短めのジーンズのベスト、同色のジーンズのタイトスカートだ。
髪はブルーのシュシュでまとめて、そして不釣り合いな黒縁メガネ・・・
うん、天海だ。間違いない。
427 :
神前竜磨:2012/05/03(木) 23:00:57.52 ID:PDAXW5sM
「そうだな、可愛くまとまっていると思うが・・・こいつが邪魔だな」
メガネを取り上げたら、如月は右手て顔を隠す。
「あの、あまり顔を見られると・・・」
「なんだ?目も当てられんほどブサイクなのか?」
「ぶさっ!?」
あまり物言われように、目をしばしばさせる。
428 :
神前竜磨:2012/05/03(木) 23:17:26.56 ID:PDAXW5sM
「大丈夫だ。お前美人の範疇なんだから、恥ずかしがる必要はない。」
「あの、でも、人目につくのは・・・」
うん、まぁそうだろ。ファンに囲まれて身動きが取れないというのは、非常に厄介だ。無下に追い散らすわけにもいかないし。
「こんなもん、堂々としてたほうがばれないもんだ。それに、このメガネむしろ悪目立ちするぞ。」
あからさまに変装するよりも、普通にしている方が気づかれにくいものだ。
しかし、細顔の如月に、この存在感のあるメガネは良くない。確実に注目される。
そうだ、人ごみに紛れる場合、重要なのはばれないことではなく、注目されないこと。
多分それが極意。今決めた。
429 :
神前竜磨:2012/05/03(木) 23:20:34.34 ID:PDAXW5sM
「んじゃ、行くか。」
「はい・・・・・・」
歩き出す俺の肘を、服だけつまむように握る如月。顔バレが怖いのか、うつむいたままだ。
それも目立つと思うんだがなぁ・・・・・・
430 :
神前竜磨:2012/05/03(木) 23:21:09.35 ID:PDAXW5sM
テレテッテレテテテッレテテーレテテー♪テテレッテテテレッテテレテーレテテー♪
きーみにぃーとーどーけーよー おーでせーい・・・
っじゃない。この曲は秋月先輩だ。
ポケットから携帯を取り出し画面をみると、案の定秋月先輩の文字が浮かんでいた。
「?取らないんですか?」
「いや、とる。すまん。」
俺は如月に背を向け、操作のボタンの後、通話のボタンを押す。
431 :
神前竜磨:2012/05/03(木) 23:24:03.34 ID:PDAXW5sM
『やっと出た・・・神前さん、その服しか持ってないんですか?ほんっとにいつもと同じ格好じゃないですか。』
「あんたどっから見てんだ。」
視線だけを動かして、出歯亀メガネ女史を探すが見つからない。
『とにかく、しっかりエスコートしてくださいよ。千早泣かせたらマジでクビにしますからね。』
「いやいや、携帯買いに行くだけっすから。社長にまで許可得てるんすから、これ仕事の一環でしょ。」
『建前はどうでもいいの!男女で町にショッピングなんて、ありがちなデートプランじゃないの。』
「とにかくしっかりやりなさい」と、一方的に電話を切られた。ほんとにどこから見てるのか。
つか、誰かがつけてるのもありがちですね!マンガチックですがね!!!
432 :
神前竜磨:2012/05/03(木) 23:24:50.74 ID:PDAXW5sM
テレテテン♪テレテテン♪デッデッデーレデン♪
あはは、あはは、あはははは。
切れた電話を睨んでいると、またすぐに別の曲が流れだした。
ものすごく嫌だけど、仕方がなく電話を取る。
『なんで私はう〜にゃ〜なんですかぁ!』
カオスだからですよ。音無さん。
433 :
神前竜磨:2012/05/03(木) 23:27:08.28 ID:PDAXW5sM
「マジで二人共何処で見てんすか!」
『二人!?誰か来てる!?律子さん!?』
どうやら別口のようだ。
「もういっそ、一緒に来たらどうですか?つか、代わってくれて結構ですよ?」
『ダメですよ!千早ちゃんは神前さんをご指名なんですから。それよりも、その服どうにかならないんですか?』
「・・・・・・どうもなりません!」
プチッと切ってやった。どいつもこいつも服服って、そんなにひどい格好かな?
全力で2
遅いかもしれないけど
435 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 00:33:39.70 ID:ct9X+BRO
436 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 00:34:45.82 ID:ct9X+BRO
携帯をしまい、自分の格好を見る。横、尻、膝と、計6つのポケットが付いている、ジーンズ生地のカーゴパンツ。
無地の赤いTシャツに、腰までかかるいつものジーンズのコートだ。
靴はいつものスニーカーだ。そういや如月は、靴底が厚めのブーツだな。
こうしてみると、如月の服装に似てるような気がする。
これならカップルっぽく見られてもおかしくないな。
いやいや、カモフラージュの意味ですよ?男女の場合一番偽装しやすいのはやっぱしカップルですからね。
あ?俺じゃ無理?釣り合わない?そうですね。先輩代わって下さい!
437 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 00:36:04.62 ID:ct9X+BRO
「・・・でも春香!・・・うん・・・」
後ろでも電話で誰かと話している如月。固有名称が聞こえ、気にしないつもりだったが、視界に特徴的なツインリボンの少女が映る。
街路樹に隠れているようですが、バレバレですよ?
フーーーー・・・・・・
438 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 00:54:49.47 ID:ct9X+BRO
「あの、すみません。終わりました。」
「・・・・・・如月。」
「はい・・・?」
「逃げるぞ。」
如月の手を掴み、人ごみに向かって突っ込む。人の流れに逆らうように進むことで、相手がこちらを捉え道を開けてくれる。
439 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 00:56:24.25 ID:ct9X+BRO
流れを遡りながら、手頃なファーストブードの店に入った。如月の手を放す。
「大丈夫か?」
「・・・・・・はい、あの・・・」
「何者かに監視されてる。面倒な事になる前に巻く。」
そう言って、店の反対の出口へ向かう。店から出ると、室内に幾つもの店が並ぶ。デパートかなんかの一角だったらしい。
通りがかりで店内地図を見る。細長い形状のこの建物は、商店街を模して作られている。
地方にバンバン建っている最近の大型デパートと同じ作りのようだ。
440 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 00:57:49.47 ID:ct9X+BRO
とりあえず、近場のエスカレーターを登り、二階を突き進む。突き当たった場所にあるのは「アミューズメントパーク」と書かれたゲーム
センターだ。
クレーンゲームのコーナー、入り口から死角になる端のほうで息を潜める。
「あの、監視っていったい・・・」
「ハー・・・ハー・・・それを・・・今から・・・」
アレ?おかしいぞ?なんかすっごく息上がってるんだが?ヤツらのスタンド攻撃か?
てか、如月さん息一つ乱しませんね。若いってうらやましいですね。
441 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 00:58:28.57 ID:ct9X+BRO
「・・・・・・!?プロデューサーっ!?」
如月の視線の先を見ると、クレーンゲームのガラス越しに先輩が見える。
明らかにキョロキョロと何かを探しているようだ。何を探しているのか、この場合明白だが。
「プロデューサーがなんで、私達を・・・」
「・・・さーな・・・なんでだろな。」
442 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 00:59:21.02 ID:ct9X+BRO
あんたもかよ。俺って信頼されてるなぁ。こんちくしょー。
つか、後をつけるとかどんだけだよ!いいじゃん!俺の代わりに付き合ってやりゃいいじゃん!
これゼッテーあれだろ。俺がなんかしたら現行犯逮捕とかするつもりだろ。
も〜なんつーかヒデェ!おもっきり引っ掻き回してやる!
俺は大きく息を整えると、携帯を取り出し先輩に電話をかけた。
視界に見える先輩も、電話に気づき胸のポケットを探る。
443 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 01:00:29.95 ID:ct9X+BRO
『・・・・・・神前さん。』
「やぁ、先輩。皆さんなかなか良い趣味をお持ちですねぇ。」
『皆さん?俺は一人だけだぞ?』
「ふっ・・・まぁ、いいです。」
後ろで如月がオロオロしているが、構わず続ける。
「とりあえず、サービスカウンターまで来てもらえますか?何処の?なんて聞かないでくださいよ?」
一方的に電話を切る。向こうでも、切れた電話を懐にしまい、ゲームセンターへ入ってきた。
444 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 01:03:11.75 ID:ct9X+BRO
「さ、いくぞ。」
「えっ!?プロデューサーは!?」
ゲームセンターから出ようとする俺を、如月が止める。
「サービスカウンターに来いって言っただけだろ?別に俺は行くとは言っていない。」
「そんな!?じゃぁ!プロデューサーは!?」
「馬鹿じゃあるまいし、すぐ気づくだろ。
だいたい、人のことコソコソつけ回してる奴に、気ィ使ってやる必要はねぇよ。」
445 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 01:04:01.04 ID:ct9X+BRO
「でも・・・・」
まだ迷っている。よほどあのインテリメガネが気になるのか。
つか、勢い余ってガチの悪人やってるけど、なんでこんなシリアスな展開になってんだ?
どいつもこいつも俺を信用してないから、ちょっとからかってやろうと思っただけだよな?
そうだそうだ、あの先輩まで出てきたからだ。正直某女史二名はある意味想定内だし。
やべーな、どうするか。ヒロインは主人公と敵の間で心が揺れてる。ワイルドに決めるにはどうする?
446 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 01:05:42.37 ID:ct9X+BRO
俺は、右手を胸元で握りしめ、ゲームセンターの奥と俺を交互に見る如月の左手を掴み、横のゲーム機に押し付ける。
コントロールパネルに腰があたり、のけぞるような体勢の如月に詰め寄った。
茶色がかった瞳は、腰の痛みのためか、それとも男に迫られる恐怖のためか、わずかにうるませ歪んでいる。
控え目の胸を荒く上下させ、吐く息からも緊張が読み取れる。
「如月、お前が選べ。俺か、先輩か。」
息を呑む如月。頬を一滴の汗が流れる。掴んだ手首から脈が早鐘を打つのまで感じ取れる。
ほんの数秒なのだろうが、十分以上たったような錯覚を覚える。
447 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 01:16:58.51 ID:ct9X+BRO
「・・・・・・わ、わたしは」
「ぶふっ!・・・無理、やめ。」
耐え切れずに吹き出した。限界ですた。自分のような一般ピープルにはこれが限度です。
「わるい。冗談だ。だがまぁ、俺はお前の携帯選びに付き合って、あっちは野次馬してるわけだ。
あっちはガチで暇なんだぞ?これぐらい構わんだろ。」
あまりのことに、言葉を失ったのか、如月はゲーム機に持たれたまま、呆然としている。
448 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 01:17:59.76 ID:ct9X+BRO
「んま、好きにしろ。こっち来んなら、今日一日付き合ってやるからさ。」
そういって、如月に背を向けゲームセンタの外を目指す。よしよし、俺かっこいいぞ俺。
少しあって、背中にドンッと衝撃があった。
「・・・連れて行ってください・・・わたしを・・・・・・何処か、遠くへ・・・」
そう言って、俺の横にまわる如月。少し覗きこむように、俺を見上げる。
「こんな感じでいいですか?」
いつもの控えめな、それでいて自然にニコリと微笑む如月。ハハハ、こやつめ
「オーケー!ブラボー!上等だ!」
できうる限り悪い顔でクックックッと笑ってみせた。
449 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 01:18:27.15 ID:ct9X+BRO
「ふふっ。でも神前さん、悪乗りしすぎですよ?ちょっと焦りました。」
すっと、腕を絡めてくる如月。「このほうがいいですよね?」と、少しからかうように笑う。
「んじゃま、愛の逃避行と行きますか!」
「愛はありませんけどね。」
450 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 09:32:47.58 ID:ct9X+BRO
「ありがとうございましたー。」
「おっけ。ミッションコンプリート。」
「逃げるんじゃなかったんですか?」
苦笑いの如月の手には、今の出てきた店で買った携帯電話と、腕にはその備品一式の入っている紙袋がぶら下がっている。
あのあとデパートを出た俺達は、目についた携帯ショップに入って、普通に契約を済ませていた。
まじか!楽しみ!
452 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 12:30:39.61 ID:ct9X+BRO
「んな暑い中誰がかけずり回るんだ?大事なお姫様になことさせらんねーって。」
「割と乱暴に扱われてた気もしますけどね。」
「どうする?やること終わったし、もう帰るか?昼近いし、どっかで食ってってもいいけど。」
「神前さんのおごりですか?」
「えー?」
俺の数倍稼いでそうな人におごるってどうなのさ。
453 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 12:31:15.78 ID:ct9X+BRO
「プロデューサーなら、当然のように・・・」
「あー!わーったわーった!あんまし金ないから、大層なもんは食えんぞ。」
「大丈夫ですよ。ハンバーガーでも、何でも。」
「それにしても・・・それでいいのか?扱い難しいぞ?」
「そうですね。でも、私もこういうのになれないと。」
如月の手にしている携帯電話は、スマートフォンの最新機種。俺のやつの色違いだ。
454 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 12:32:02.61 ID:ct9X+BRO
正直、機械は苦手だという如月には、従来の携帯でも持て余すかもしれない。
ましてやこの機種は玄人向けだ。初期設定のままではしょっちゅうハングアップして止まる。
それでもこれがいいと言いはる如月は、向上心の塊のようだ。
歌うこと以外興味を持たなかったようだし、いい変化といえるだろう。何があったかしらないけど。
455 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 12:32:35.03 ID:ct9X+BRO
ちなみに、受付で顔バレしたが、騒がれずにすんだ。そして、何を勘違いしたのか、カップル割引を勧められた。
持っててよかったマイ名刺。あと、契約自体は会社の電話ということで登録してある。
っというのも、未成年者の契約には、保護者の印が必要で、如月は親と疎遠になっている。
ならば、会社の電話をもたせる形にすればいいんじゃないかという話になったのだ。
456 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 15:24:59.96 ID:ct9X+BRO
故に、本日出歯亀3人が現れることになった。世の中うまくいかない。
なお、契約内容は全て秋月先輩の指示通りで、主に海外仕様になっている。
そうだ。俺の携帯、うるさいからマナーモードにしてあるんだった。
携帯のスリープを解除すると、インフォメーションに24件の不在通知が在ると表示され、手が止まる。
457 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 15:25:38.43 ID:ct9X+BRO
「まずは、電話帳を打ち直さないと・・・・・・」
今まで使っていた携帯を取り出した如月。あまりにも古すぎる上、他社の携帯ということで、電話帳のコピーはしてもらえなかったのだ。
「事務所の連中のなら、なんとかなるぞ?」
如月の携帯を受け取る。まず、自分のほうの必要な番号だけを選択し、SDカードにエクスポートする。出力されたファイルをメールに添付
して、如月のメールアドレスが入っていないのを思い出す。
458 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 15:26:37.67 ID:ct9X+BRO
「如月。メールアドレス変えていいか?」
「え?なんでですか?」
「初期設定のメールアドレスは、ランダムな文字列になってて打つのめんどくさいんだ。
他に誰か使ってない限り、好きな奴に変えられるぞ?どうする?」
「それじゃ、お願いします。」
「おけ。なんか好きな言葉ねぇか?なんか物の名前が楽かも知んねぇ」
459 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 15:28:43.44 ID:ct9X+BRO
「じゃぁ、ブルーバードで。」
青い鳥か・・・曲のタイトルまんまだが、だれか使ってねーかな?
意外にもすんなり受諾され、Blue_BirdがアカウントIDになる
赤外線通信で、如月の携帯を俺の携帯に登録する。電話帳を開き、名前を変更、『蒼天の歌姫』に変える。
万が一、携帯を落とした時用の対処だ。所属アイドルたちは、全て俺が考えた二つ名で登録されている。
ちなみに天海は『太陽の子』萩原は『白姫』我那覇は『天照』
460 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 15:29:14.91 ID:ct9X+BRO
先のメールに如月の新しいメールアドレスを貼り付け、送信する。
あ、そうだ、名前変えないとダメか?
俺のメールを受信した如月のメールが、初期設定の着信音を鳴らす。
メールに添付されてるファイルをインポートしていると、如月が腕にしがみついて覗きこんできた。
461 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 17:21:26.94 ID:ct9X+BRO
「なんか、登録されてる名前が違うんですね?」
「落とした時にバレにくいようにな。直すか?」
「いえ、なんとなくわかりますから。」
いや、わかるかな?『御堂まどか』とか『シヴァ』とか『サイファ』とか。
462 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 17:21:54.12 ID:ct9X+BRO
電話帳の他、設定を扱いやすいように変更してゆく。幾つかのアプリも落とす。
ある程度までやった後、如月に任せてみた。習うより慣れろだ。
四苦八苦しながらも、なんとか扱えるようになってきた。
「あの、電話してみていいですか?」
「ああ、やってみろ。」
にこにこして掛ける相手は『太陽の子』よくわかってらっしゃる。
463 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 17:22:47.72 ID:ct9X+BRO
「・・・あ、春香?私・・・うん・・・え?携帯ショップを出てすぐのところだけど・・・」
そういや、天海もつけて来てたなぁ。見失ってどうしたのかな。
「だから、別にそう言うのじゃなくて、ただ一番詳しそうだったから・・・・・・」
・・・・・・・・・うん、女はそういううわさ話好きだよな。
「大丈夫よ。一人で帰れるから。え?そんなことまで・・・・・・」
天海春香、趣味、長電話。
「・・・あの、春香?神前さん待たせてるから、うん、じゃぁ、また・・・・・・・う、うん」
・・・・・・・・・
「・・・・・・うん、それは帰ってからで・・・うん、あのね・・・・・・うん、じゃぁまたね。」
「・・・迂闊だったな。」
「・・・はい、迂闊でした。」
464 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 17:23:49.14 ID:ct9X+BRO
長電話でお疲れの如月のためにも、何処か落ち着ける場所を探さねば。
携帯で近辺の店を探していると、横を銀色に煌めく粒子が軌跡を描く・・・
「あ、四条・・・」
「・・・・・・おや、これは神前竜磨殿。と、如月千早も。」
俺の声に気づき、振り返る四条貴音。
たなびく銀髪がキラキラと煌めく。
「今日は二人で、どうされたのですか?」
・・・・・・あれ?まずい?
如月は四条に見つかったことで固まっているようだ。
これって・・・まずいかな?
465 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 17:32:42.94 ID:ct9X+BRO
11話完 12話に続く
ちょっとまずいかもしんない。一応みんなには内緒にしてたのに、四条貴音に見つかってしまった。
しかし、貴音の背後には黒装束の男たちが!?
NEXT EPISODE IS『逃走劇! 黒の集団と腹ペコ王女!』
見てくんないと、また暴れちゃうぞ!
466 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 18:06:38.12 ID:ct9X+BRO
今更ながら、重大なミスに気がついた
音無さんの一人称、「わたし」じゃなくて「あたし」だった
・・・まーいーかー
467 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 19:46:42.28 ID:ct9X+BRO
おい!大変だ!貴音のキャラがわからなくて迷走してるぞ!
さっきから書いて消して書いて消しての繰り返した!
やよいの出番を増やしてほすぃ
お・・・落ち着け!
貴音さんはだいぶ難しいだろうけど頑張るんだ!
470 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 23:31:22.41 ID:ct9X+BRO
よっしゃ とりあえずシーン1はなんとか大丈夫だ
それにしても、参考資料のぷちます!は役に立たないな!
一回読んでるのにまた一気読みしたぞ!
おれがんがれ!ちょーがんがれ!
そして落ち着け!これはコメディだ!ギャグなんだ!そっちに!笑って済むように!
スッタモンダがあって神前が絞られる!これ基本!
こいつなんかに千早も雪歩も亜美も渡さねぇ!響はもっての外だ!
おーけー気合入った!突き抜けるぜ!
追伸.自分はやよいのことをよく忘れます。
忘れないように1日1回ニコ動でMMDによる仮面ライダー555の再現ムービーを見ることにします
471 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 23:33:48.00 ID:ct9X+BRO
「今日は二人で、どうされたのですか?」
如月千早の携帯選びに付き合った俺は、765プロの面々の追跡をかいくぐり、ようやく目的を果たした。
しかし、それもつかの間。第二の刺客、四条貴音が現れた。
・・・・・・訂正、端から見たら休みにデートしてるカップルに見えるところを見つかってしまった。
四条に見つかり硬直する如月。訝しむ銀髪の王女。どうすれバインダー!
472 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 23:34:40.08 ID:ct9X+BRO
「・・・なるほど、そういうことですか。」
「いや、まて、落ち着け四条。」
「新しい携帯電話ですね。たしか、すまーとふぉんとか。」
おお!四条の口から「スマートフォン」なんて単語が!?
四条は如月の手にしている携帯をしげしげと見つめる。
473 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 23:36:13.22 ID:ct9X+BRO
「あ、ああ、如月が携帯買い換えるって言うから、相談に乗ってたんだ。」
うん。嘘言ってないぞ。てかむしろ事実だ。だいたい"勘違いされる"から黙っていたわけで、"勘違いさせなければ"問題ないのだ。
「なるほど。神前殿は、こういったものに明るいのですね。」
「まぁな。事務所の共用バソコンと、俺んとこのパソコンなんか自分で組んだしな。」
「なんと!『組む』とは、『組み立てる』という意味でしょうか?素晴らしい技術をお持ちですね。」
474 :
神前竜磨:2012/05/04(金) 23:36:59.75 ID:ct9X+BRO
いやぁ、それほどでもないっすよ。デュへへ
正常に理解してもらえて安心したのか、腹が鳴る音がする。
「そうだ。俺たちこれからなにか食おうかと思ってんだけど、一緒に行かねーか?いいよな?如月。」
いまだに固まったままの如月だが、俺の提案にこくこくと頷いた。
「それでは、近くに私の行きつけの店がありますので、そちらへ参りましょう。」
475 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 13:45:52.13 ID:UHzxwa7b
すまない 作者だ
いま警察24時間系の動画を漁ってる
もうちょっと待ってくれ
476 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 15:37:21.20 ID:UHzxwa7b
OK 作者だ
そこそこ賭けたから上げ始める
のんびり待て
477 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 15:37:58.57 ID:UHzxwa7b
「はっ!?マジか?それ!」
「はい。事実です。」
四条の行きつけのラーメン店に入った俺達は、注文が来るまで適当に雑談していた。
主にこっちの逃走劇だ。もちろん、クレーンゲーム機前の話は若干伏せてある。
そして、四条は何をしていたのかと聞いたら、よくある話で、あり得ない話を聞かされたのだ。
478 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 15:39:08.29 ID:UHzxwa7b
「あの者たちには心当たりがありませんが・・・・・・追われる心当たりはあります。」
目の前に置かれる「全乗せ最大ラーメン」(麺2.5玉)を追いながら、箸を取る四条。
「いや、さらっと心あたりがあるとかどういうことだよ!なんかやったのか!?」
先に来た餃子をつついてた俺は、箸を止めて声を荒げる。
要約すると、午前中いろんな店を回っていた四条は、なぞの黒尽くめの集団に無理やり連れて行かれそうになり、逃げ回っていたという。
アニメや漫画ではよくある話だが、リアルで耳にすること自体まず無いだろう。
479 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 15:40:00.52 ID:UHzxwa7b
「それで、心当たりというのは?」
白ネギラーメン(塩)に手もつけていない如月が、身を乗り出す。髪が丼に入りそうになり、慌てて引っ込んだ。
「それが、一つに特定できないのです。まぁ、なんにしても。この一刻ほど顔を見ませんし、諦めたのでしょう。」
「そうやって、安心している時に現れるのが、セオリーだがな。」
やっときた白ネギラーメン(醤油)をまえに箸を構える。
いただきます。
480 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 15:40:58.62 ID:UHzxwa7b
三人揃って手を合わせ、ズルズルズルっとひとすすり。ん〜うまい。ネギの歯ごたえが素晴らしい。わざわざ千切りにしてあるのはこのた
めか。
食べながら如月に耳打ちをする。
「(なぁ。四条って一体何者なんだ?プロフィールもほとんど空欄だったし。どこぞの国の王女かなんかか?)」
「(実は私達も全く知らないんです。先代の社長が連れてこられたんですけど、出身もなにもかも全部不明で、ひとつわかっていることは、
高校には通ってなかったってことです。)」
「(それわかってんじゃなくて、むしろ謎になってんじゃねーか。顔立ちは結構日本人だから、ハーフかクオーターかと思うんだがなぁ・・
・)」
「(昔あちこちの雑誌でいろんな憶測が書かれましたが、今はもうだれも気にしていません。むしろ一つのステータスみたいです。)」
おお来てた!
貴音さんのターン!
警察24時がきになるところw
482 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 16:01:30.25 ID:UHzxwa7b
ヒソヒソと如月と話していると、四条が箸を止めた。
「お二人とも。らーめんは時間との勝負です。ゆっくり食べていては、せっかく美味しいものも伸びてしまって味が落ちます。
らーめんは粛々と食すものです。」
「はい、すみません。」
最終的に、俺達は如月が食べ終わるまで黙って待つことになった。
「それで―――お二人は、お付き合いされてるということで、よろしいですね?」
「「ブーーーーーッッ!」」
飲んでいた水を、二人で同時に吹き出した。
まてまて、ここまでの流れ的に、勘違いされずにすんだよやれやれって感じだったじゃねーかよ!ここに来てそれか!
483 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 16:03:24.16 ID:UHzxwa7b
「先程、仲睦まじくされていましたし、そういうことではないのでしょうか?」
「いやいやいや、そんなんじゃねーよ!さっきのは、ほら!お前が追われてる理由について!なぁ!?」
「そ、そうよ!全く想像つかないなーって話していたのよ!」
「ふむ、そうですか・・・・・・では、そういうことにしておきましょう。」
484 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 16:24:16.76 ID:UHzxwa7b
ひっかかるなー。しかし、四条の言うことが本当として、何らかの事情で狙われているとなると、全く油断できないんじゃないか?
こういう時一般人としては、警察を頼るしか無いわけだが。
俺は携帯を取り出した。困ったときのなんとやらじゃないが、正直今使える俺の武器は、これとタブレットPC、ドライバー二本だ。
スリープを解いて、最上部から下へフリックすると、現在のステータスとインフォメーションが表示される。
さらに右へフリックすると、画面が裏返り、4つのボタンが出てくる。俺の自作プログラムだ。
ボタンを押すかどうか迷っていると、店に客が入ってくる音が聞こえた。
・・・・・・いやいや、まさか。しかし、まさか。
485 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 18:18:23.63 ID:UHzxwa7b
如月越しに入り口を見ると、黒の背広に黒いネクタイ、黒のサングラスと、某漫画から出てきたような、とてもとてもわかりやすい怪しい男たちが店員に捕まっている。というより、こっちを指さして向かってくる!?
「店主!」
「あいようっ!姫様!―――――お前らァ!そいつら片付けろ!!」
えーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!
店員たちは一斉に黒装束の男たちに掴みかかる。しかし、入り口からまだなん人も顔をのぞかせている。
「姫!こちらへっ!」
「かたじけない。――――さっ、参りますよ。」
「えっ!?ちょっと四条さんっ!!?」
「ちょっと待てよ!何だこりゃ何だこりゃ何だこりゃ!」
486 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 18:19:35.82 ID:UHzxwa7b
スタスタと奥へ向かう四条に、転がるようについていく。
つか、金とかいいのかよ!懐から財布を取り出そうとすると、店主が叫んだ。
「金はいい!姫様を頼んだぞ!」
「ははっ、わかりました・・・」
店員に案内され、店の裏から出る。ぎりぎり二人並べないこともない程度の裏路地を、四条は迷うことなく進んでいく。
487 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 18:20:16.54 ID:UHzxwa7b
「おい!四条!姫さまってなんだよ!」
「あだ名のようなものです。亜美と真美もそう呼ぶでしょう?」
確かに「お姫ちん」って呼んでるが
「つか、どういう関係なんだよ。」
「贔屓にさせてもらっているだけです。よくあの手の輩が来るので、慣れてしまわれたのでしょう。」
おいおい、お前マジ何者だよ!
488 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 18:22:23.94 ID:UHzxwa7b
「四条さん。これからどうするんですか?」
「あの者たちが飽きるまで逃げまわる・・・というのも、効率が悪いですね。まだ予定がありますし。」
それまだ食うってことだろ!知ってんぞ!お前すげー大食漢だって!
てか、落ち着いて食ってらんねぇじゃねーかよ!
俺は再び携帯を見る、スリープを解くとホーム画面に戻っていた。再びさっきの画面を出す。
489 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 18:23:51.50 ID:UHzxwa7b
「神前さん、何をするんですか?」
「んなもん決まってるだろ。警察に頼るんだよ。」
「神前殿。申し訳ないが、警察へ届けるのは、問題があるかと。」
「わーってる。誰も電話するとか言ってねぇ。頼るだけだ。」
俺は、4つのボタンの内"002"と書かれたボタンを押す。画面が砕けるモーションのあと、文字が全て逆さに書かれた地図が標示される。
地図には、赤色灯、警官の帽子、派出所等のマークが明記されている。更に、画面の下には"CONNECT"と、やはり逆さに書かれてある。
俺は携帯を逆さにし、マイク側が上に来るようにする。携帯から声が聞こえる。
490 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 18:27:26.87 ID:UHzxwa7b
『・・・や244、車両照合をお願いします。』
『49から62へ、・・・公園交差点で待て。』
『至急至急、広域256から機捜隊・・・56です。現在職質振り切り逃走。』
「まだ黒服連中は通報されてないみたいだな。」
「これ・・・警察の無線?」
「そうだ。家のPCで傍受して、こっちに送らせてる。」
491 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 18:28:45.10 ID:UHzxwa7b
地図にはリアルタイムの警官の位置が表示されている。このまままっすぐ行くと、あまり警官の居ないところに出てしまうようだ。
俺は画面の"CONNECT"に触れる。
「道玄坂上、川本巡、職質振り切り徒歩にて逃走。ホテルロダン横西へ移動。
服装は黒の背広に黒のネクタイ、サングラス。5名以上の集団」
CONNECTを離す。
たつま・・・お前何者なんだwww
493 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 21:13:02.62 ID:UHzxwa7b
『渋谷308より川本巡。道玄坂へ向かう』
『本部より川本巡、一人で深追いするな』
『道玄坂上、牧野巡長、高木巡2名、SibuyaO-EAST側より入る』
よし、これでここらに警官が集まってくる。
後ろで如月が法律がどうのこうの言っているがそれどころではない。
こっちは正体不明の姫様で、世界を股にかける歌姫様だ。事件の中心にいる訳にはいかない。
494 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 21:14:44.61 ID:UHzxwa7b
「四条、あてはあるのか?」
前を進む四条は不敵に笑う。
「この先の串焼き屋に入りましょう。顔が利きます。」
ホント慣れてやがんな、こいつ。
とりえずこのまま様子見か。特徴も伝えたし、あの目立つ格好ならすぐ捕まるだろう。
無線聞いといて、頃合いを見て移動すればいい。
495 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 21:17:27.81 ID:UHzxwa7b
『本部より。道玄ざ・・・・店にて暴行。店員が抑えている。先の黒の集団と思われ』
店の方にも来るか。早く終わりそうだ。
正直、連中の正体なんぞどうでもいい。この場から取り除ければ、あとはどうとでもなれ。
少し安心して、後ろの如月を見る。当たり前だが、こんな事態に慣れていないのだろう。
胸元を押さえ、後ろをきょろきょろと振り返る。追手の心配もしているのか。
496 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 21:18:00.04 ID:UHzxwa7b
俺は如月の方を掴んで抱き寄せた。こいつは言葉で言うよりも、こうやるほうが落ち着くようだ。
しかし、それでも簡単には不安は拭えない様だ。硬い顔の如月が俺を見上げる。
「ダイジョブだ。こういうのはどうにかなるもんだ。」
さすがに大雑把すぎるか。如月は不安顔のままだ。
「万が一の時は、この命に代えてもお守りします。これでどうだ?」
497 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 21:26:03.02 ID:UHzxwa7b
似合わないセリフだと笑わば笑え。むしろそれが狙いだ。
余りにもの似あわなさに、目を丸くする如月。クスクスと笑い出す。
「神前さん。全然ロマンチックじゃないです。顔も、悪人みたい。」
「ほっとけ。」
如月は、芯が強いが割と折れやすい感じがする。硬いものほど砕けやすいし、理にかなってるか。
498 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 21:27:10.64 ID:UHzxwa7b
「・・・・・・吊り橋効果、と言うものがあるそうですね。」
このお姫様博識だなぁ。
俺の服にしがみついていた如月も、顔を真っ赤にして離れてしまう。
四条の方に付いて何が話してるようだが、こっちには聞こえない。
携帯の包囲網を確認する。さっきの店にパトカー3台とか、割と豪勢だな。
499 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 21:29:09.62 ID:UHzxwa7b
「二人共!こちらへ!」
四条が如月を抱いて横の路地へ突っ込む。遠くに黒服の集団が走ってくるのが見え、俺も慌てて後を追う。
走りながら携帯を見る。何処かの犯罪ゲームをやってるような感覚だ。
某ゲームとは逆に、警察のいる方へと逃げなければならないのだが、この路地の先には警官一人としていない。
しかも、おあつらえ向きに、ゴミが山積みになって先に進めない。ここ日本か!?ありえねーだろこれ!
500 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 21:30:05.06 ID:UHzxwa7b
「四条さん・・・」
「すみません。あの者たちを甘く見ていました。」
如月は恐怖に青ざめ、四条は怒りに奴らを睨みつける。
やべぇ。配置的に俺マジで盾だ。いや、どんな状況でも盾になるつもりだったけど!心の準備がさぁ!
つっかなんだよこいつら!リアルで黒尽くめってギャグかよ!逃走中か!こいつらアンドロイドかなんかか!
まてまて、あれだ!マトリックス!そうか、これ実は仮想現実だったんだ!あっはっは!
奴らは俺達が逃げられないことを知って、ゆっくりと歩いてくる。ガチムカつく!
501 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 21:33:26.42 ID:UHzxwa7b
「・・・・・・神前殿。ありがとうございました。」
俺の方に手をかけ、前に出る四条。ちょっと待てよ、それはつまり、アニメでよく見るやつか!?
「わたくしは、もう逃げも隠れも致しません。好きになさい。その変わり、この者たちに手を出さぬよう誓いなさい。」
いやいやお前、この法治国家で、なんでそんな命の取引みたいになってんだよ!
「あ〜っ!!もぉっ!!!!」
502 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 22:29:59.55 ID:UHzxwa7b
携帯を左手に持ち直し、電源ボタンを二回押す。一旦画面が消えてロック画面が現れる。
解除ボタンの周りを四本の指で押さえ、90°右にひねる。画面が消え赤と黒のストライプで埋まるはずだが、それを見る前に右手に持ち
替える。裏のカメラを外に向けるように。
更に左手を右の内ポケットに突っ込み、タブレットPCを取り出す。
こっちも同様の画面になり、文字が出てるはずだ。
四条の前に踊り出て、両手の『カメラ』で敵を捉える。
両手のひらの画面には、こういう文字が踊っていただろう。
"Emergency mode" "Device Synchronize Successful" "PARADISE SONG ...Engaged"
503 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 22:33:04.64 ID:UHzxwa7b
ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2つの『スピーカー』から、『カメラ』で捉えた対象の位置で、最も効率良く共振するように調整された音が発せられる。
パラダイスソング=超々超音波振動子の名には程遠いが、それでも人間をひるませるぐらいの効果はある。
直接脳に響く音に耐え切れず、うずくまる黒服たち。
ほぼ何も考えていない。「いまだ!」なんて、タイミングさえも頭にない。
504 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 22:34:23.53 ID:UHzxwa7b
四つん這い気味に駆け出す。携帯とタブレットを地面に置き、両腕で地面を駆る。
手前でうずくまる男の頭を膝で蹴り上げ、右の壁にもたれる奴の頭を壁に叩きつける。
少し後ろで頭を振る奴の右手を掴み、下から突き上げるように肋骨の中心へ掌打を叩きこむ。
呼吸が乱され、心臓さえ鼓動を狂わされ、その場に崩れ落ちる。
更に横のやつが懐から何かを取り出そうとする。すねを蹴りつけ、姿勢が崩れたところ右手を掴み、右手でクビを鷲掴みにする。
頸動脈に親指を立て、弓をひくように左腕を目いっぱいまで引っ張ると、あわを吹き始めた。
気を失った男を振り回し、更に後ろの連中に投げつけ、二人ほどをなぎ倒した。
505 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 22:35:48.67 ID:UHzxwa7b
「―――――――やめよっ!!!」
路地の先、さっき曲がったT字路に、小さい爺さんとメイドが二人立っている。声を発したのは爺さんの方だ。
アレがボス。アレをやれば終わる。
俺はサイドの内ポケットに刺さっている、プラスとマイナスのドライバーを逆手に持ち、
左腕を前に構え、右手でドライバーの尻を押さえ、一気に突っ込もうとした。
誰かが両腕にしがみついてくる。
506 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 22:37:06.03 ID:UHzxwa7b
「神前殿!やめて下さい!もう終わりです!」
「神前さんやめて!こんなの神前さんじゃない!!」
―――――――――っ!?
手に持ったドライバーを落とす。手が震え、握ることができなくなったからだ。
俺の腕にしがみつき、泣きじゃくる如月と、ひどく困惑した四条。
後ろを振り返ると、黒服の男達が呻いている。
俺はこいつらをどうした?どうしたつもりだった?
「――――――っ!?」
強い吐き気に膝をつき、胃の中の物を吐き出した。
507 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 23:18:13.28 ID:hdcM8eAp
かち かち かち かち かち
時計の音がやけに耳につく。現在位置、765プロ事務所、休憩室。
つまること、昨日の事件は命をやりとりするような話ではなかった。
金持ちの爺さんが、通りがかりに四条を見つけ、孫に合わせたいとわがままを言った。それだけの話だった。
爺さんは、全面的に自分に非があると認め、今回の被害に関して訴えを起こすなどということはしないらしい。
それどころか、茫然自失の俺と如月たちを自宅まで送ってくれた。
今日も事務所まで来て、社長に直接頭を下げに来ていた。
しかし、警察沙汰にはならなかったものの、大事になってしまったのは俺の責任だ。
俺があそこで大暴れしなければ。
それに、あの時俺は・・・・・・
508 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 23:18:54.94 ID:hdcM8eAp
――――――――――ガチャッ
事務所のドアが開く。銀色の髪がたなびき、光を反射してキラキラと煌めく。
「――――――四条か。」
四条は軽く会釈をして、静かに俺の隣りに立つ。
「すまん、四条。俺は――――――」
喋りかけた俺の言葉は、四条に抱きつかれて止まってしまった。
俺の頭を抱えるようにして、四条が語る。
509 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 23:20:23.18 ID:hdcM8eAp
「すみません。わたくしのせいで、怖い思いをさせてしまいました。」
「・・・・・・お前のせいじゃ、無いだろ。」
そうだ。四条は追い回されただけ。つまり被害者だ。
「でも、貴方様がつらい目にあったのは、わたくしがいたからです。」
「なんだよそれ・・・・・・自分が居なければよかった。とか、言うなよ?アイドル。」
510 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 23:21:05.33 ID:hdcM8eAp
ふっと、頭を抱く力が緩む。アイドルやってる自分が、居なければよいなどということがない。
おそらく、気づいていたことを、今忘れていたのだろう。
「・・・・・・なるほど、如月千早が、あなたを好いるわけです。」
「いや、如月とはそういうのはないんだって。」
「そういうことにしておきましょう」と、クスクスと笑う。なんでそんなに誤解されるか。
511 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 23:37:56.39 ID:hdcM8eAp
「・・・・・・なぁ、そろそろ放してくれないか?」
「いいえ、まだです。」
まだなにか悩みがあるのか。いや、ありすぎるか。素性を伏せるぐらいだし。他の追われる心当たりだって聞いてねぇな。
「貴方様・・・・・・どうか、自分を責めないでください。」
・・・・・・・・・まったく、天海といい、アイドル様様はえれぇもんだ。
512 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 23:39:55.13 ID:hdcM8eAp
「駄目だ。それは俺が許さない。俺はあの時、あいつらをころ―――」
腕に再び力がこもる。口に胸を押し当てられ、完全に喋れなくなった。
「やめてください!貴方様はそういう人ではありません!あの時、わたくしをかばって前に出た、あの時を思い出して下さい!」
・・・・・・そうか、そうだった。
俺はあの時、四条をあいつらに渡したくなかった。二人を守りたかったから動いたんだ。
513 :
神前竜磨:2012/05/05(土) 23:59:41.20 ID:hdcM8eAp
俺は、なんとか顔を押し上げ、四条の胸の中から口を脱出させる。それでも肩に顔を押し当てる形になる。
構わない。俺は、そのままの体勢で四条に背中に手を回した。
「すまね、お前ら、怪我なかったか?」
「ありません・・・・・・大丈夫です。」
更に強く抱きしめられる。正直言うとちょっと痛い。
いまだに送迎すらできなくて、プロデューサーどころかマネージャーにすら劣る俺だけど
それでも、こいつらのためになんかしてやりたいと思う。
どうやら、俺は完全にこいつらに魅了されたらしい。
514 :
神前竜磨:2012/05/06(日) 00:43:31.29 ID:IPYqxhuA
・
・
・
・
・
515 :
神前竜磨:2012/05/06(日) 00:44:25.41 ID:IPYqxhuA
「え〜っと、四条さん?そろそろ放していただけないでしょうか?」
「お断りします。」
「なぜですか?」
「このえも言われぬ抱き心地。手放すのは惜しいのです。」
なるほど、俺は抱きまくらだったのか。
「美希や真美の気持ちがよくわかります。」
あいつらも俺を寝具として扱ってたのね。
いやいや、そうじゃなくてね。
516 :
神前竜磨:2012/05/06(日) 00:45:27.76 ID:IPYqxhuA
「誰かに見られたらやばくないか?」
「それならもう手遅れですので。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
四条は俺の頭を開放して、後ろ=社長室のドアを開ける。
ドサドサドサと転がり出てくる765プロの面々。
「いたたたた・・・・・・ああっ!神前さん!こんなところで奇遇ですね!あははは・・・・・・」
「ちょっと、春香どいて」
「う〜ん、潰れちゃうのぉ」
「おまえら、いつから・・・」
517 :
神前竜磨:2012/05/06(日) 00:46:39.73 ID:IPYqxhuA
愕然とする俺に、社長室から出てくる影が答える。
「神前さんが、そのソファーにどっかり座って、うなだれるところからですね。」
「えらい頭っからじゃないっすか!」
更に影が現れる。
「まぁ、その、全部見てたので。今のは不問にします。」
「ついにお姫ちんまでろーらくしちゃったかー。神前のにーちゃんは無敵だねー。」
「・・・・・・・・・・・・」
亜美が怖ぇ!ホラー映画並みに怖ぇ!
518 :
神前竜磨:2012/05/06(日) 00:47:18.09 ID:IPYqxhuA
「・・・神前さん・・・信じてるって・・・言ったのに・・・・・・」
萩原がズシャッ!ズシャッ!っと、暗闇から這い出てくる。いや、別に這ってないけどさ!
「もぉ!たっつまぁ!」
天海たちの下敷きにされていた星井が、二人を押しのけて飛びついてくる。
519 :
神前竜磨:2012/05/06(日) 00:48:35.22 ID:IPYqxhuA
「たつまは甘えんぼさんなんだからァ♪ミキの胸も貸してあげるよぉ?」
「いらん!離せ!この肉!」
「も〜たつまはデコちゃんと一緒でツンデレさんなのぉ♪」
だから!こいつは!柔らかいなぁ!
「私だって・・・・・・私だってぇぇえ!!!」
萩原も欲しいとは反対側に飛びついてくる。
むむっ!これは!
星井のように弾力のあるのと違い、萩原のはすべてを包み込むマシュマロのようだ。
腕が全てめり込んでいくような錯覚に襲われる。
520 :
神前竜磨:2012/05/06(日) 00:49:39.44 ID:IPYqxhuA
「――――――――――っ!?」
ほんの一瞬の出来事だ。萩原の胸に気を取られた隙に、亜美が目の前に移動してきた!?
「たっぷり5秒ぐらいありましたよぉ?」
何をするつもりだ。今は両脇を抱えられて身動きが取れない。この状況で攻撃されたらきっと死ぬ。
亜美は俺の膝にまたがるように乗っかり、俺の顔を捕まえて、自分の顔を近づけてくる!?
521 :
神前竜磨:2012/05/06(日) 00:50:45.48 ID:IPYqxhuA
「待て!亜美!それまずい!人見てる!つか、見てなくでもダメ!やめろってくちびる伸ばすなぁぁああ!!!」
「亜美ちゃんやめて!神前さんは!神崎さんは!」
「たつまモテモテなのぉ♪」
「にーちゃーん。真美は何処に入ればい→い?」
「千早ちゃんはいかないの?」
「わ、私は別に!神前さんのことなんか・・・」
「英雄、色を好むともうしますが・・・褒められたことではありませんね。」
522 :
神前竜磨:2012/05/06(日) 00:56:21.38 ID:IPYqxhuA
「うおぉぉぉ!神前さん最っこうです!!まさにハーレム王!プロデューサーさんとは段違いです!」
「あの、止めたほうがいいのかしら?立場的に・・・・・・」
「神前さん・・・・・・ちょっと、お話があります。」
「だからあんたはどっから出てくるんだ!!!!」
523 :
神前竜磨:2012/05/06(日) 00:57:11.10 ID:IPYqxhuA
あーもう!これいいよな!言っていいよな!今だけ俺主人公でいいよな!!!
「いいですよ。思っきり叫んじゃってください。」
OK許可出た!かますぜ!俺のソウルシャウツ!
「せーのっ!不幸だぁぁぁぁあああああ!!!!」
524 :
神前竜磨:2012/05/06(日) 01:06:17.25 ID:IPYqxhuA
12話完 おつかれ俺
神前の携帯の謎機能は、実はミダスカードのあたりで考えてあったりなかったり
ミダスカードわかります?わからなかったらぐぐってください
始めは「周囲の電波回線からマイクとスピーカーの電波を探しだし割りこむ」というものだったんだけど
黒服から逃げ回る関係で「警察無線を傍受する」までレベルアップしました
ここらも基本は、ネットで調べたことを幾つか組み合わせてできたということになってます
でも、聞くのはできても、警察無線に割りこむのはまず不可能。よって、そこだけオーパーツです
パラダイスソングも、元ネタわかりますね これも神前は、話のネタに作ってみた程度です
彼のプログラム開発技術は、0から作るのではなく、ネット上からソースを拾ってきて継ぎ接ぎするパッチワークです
でも、あの異常な戦闘能力はなんでしょうね?中学の時柔道やってただけなのにね あ、そういうことになってます
525 :
神前竜磨:2012/05/06(日) 01:11:22.50 ID:IPYqxhuA
それにしても、高音を追う黒尽くめの集団は、金持ちの爺に振り回される哀れな下僕でした
そういう大筋ができてたはずなのに、気がついたら重い話になって神前が落ち込んでる(笑
おかしいなぁ、アイドルマスターってこんなんだったかなー
さて、次は13話でお会いしましょう
Open your eyes ,for the next story.
内容は常に未定!
おつかれw
パッチワークでそこまでできるのか・・・w
戦闘力は火事場の馬鹿力かな?
ちーちゃんの話しからどうなったら貴音さんになるかはらはらしながら読んでたw
真朱かわいいよ真朱
でもそらのおとしものは見てないからあんまりわからんかったw
でもたつまがんばってたなw
あと続きも期待してる!w
528 :
神前竜磨:2012/05/07(月) 12:49:03.46 ID:Df1mXfLK
神前のリストとか作ってたら時間が立つのを忘れてしまった
どうでもいいけど、スマホが便器に落ちた
流れたかって?ふっ、ボットンさ
書きかけ13話徐々に上げるぞー
529 :
神前竜磨:2012/05/07(月) 12:49:45.34 ID:Df1mXfLK
現在位置、俺の部屋、ベッドの上。
五畳程しかない狭い部屋に、ベッドとPCがおいてある。
テレビはないが、PCにTVチューナーを取り付けてある。
PCのおいてある机は、机とは呼べないシロモノだ。
机の横に置くような、引き出し付きのサイドデスクと、ホームセンターで買った、組み立て式の本棚。
本棚に要らない雑誌を積んで高さを合わせ、大きな一枚の板をはわせてあるだけだ。
530 :
神前竜磨:2012/05/07(月) 12:50:18.88 ID:Df1mXfLK
机の上も、大小二台のディスプレイに、キーボード、マウス、多数の漫画、書類、ジュースの空き缶など、乱雑に置かれている。
しかし、他のものは全くといっていいほど無い。せいぜいゴミ箱が、机の横とベッドの枕元にあるだけだ。
そんな中、俺はベッドの上で四つん這いになっていた。
――――――――――否。ある少女を押し倒していた。
531 :
神前竜磨:2012/05/07(月) 12:51:03.94 ID:Df1mXfLK
「本当にいいのか?」
少女に問う。いや、もう彼女は少女ではないか。
今年で19になる。しかし、童顔の彼女はまだまだ高校生のようだ。
コクリとうなづく彼女は、瞳をうるませ、頬を染めている。
俺はかなり緊張しているらしい。彼女の頬に触れるが、その感触か感じられない。
俺は、彼女の頬に触れたてを、首から肩、そして胸へと・・・・・・・・・・・・
532 :
神前竜磨:2012/05/07(月) 12:51:35.36 ID:Df1mXfLK
現在位置、765プロ、休憩室。
昨日は妙に寝付けず、事務所に来てからものすごく眠くなった俺は、ひとが居ないのをいいことに、ソファーで横になっていたのだ。
時間が気になるが、目の届く範囲に時計がない。諦めて再び目をつむる。
起き上がるのも億劫なので、携帯で時間を確認することにした。
533 :
神前竜磨:2012/05/07(月) 12:52:44.15 ID:Df1mXfLK
ズボンのポケットに手を突っ込もうとすると、何かにぶつかる。
丸みを帯びたそれは、柔らかいがそれなりの弾力があり、若干空気の抜けたバスケットボールのようだ。
邪魔なのでペシペシと叩くと、少し横に動いた。
改めてポケットに手を突っ込み、携帯を取り出す、スリープを解除すると、9時半回ったところだ。
534 :
神前竜磨:2012/05/07(月) 12:55:28.50 ID:Df1mXfLK
ん〜・・・・・・なんかいい夢見てた気がするんだけど。そういう時はいつも思い出せないな。
そして怖い夢は覚えてる。世の中理不尽だ。
ずっと寝ているわけにもいかない。いい加減仕事しないと。
カバーアルバムのタイトルが決まり、なんかデザインを任されてしまった。早く仕上げとかないと、秋月先輩がうるさい。
・・・・・・なんか、体が重い。
誰かがしがみついているというか、星井美希に抱きつかれているような感じだ。胸的な意味で。
535 :
神前竜磨:2012/05/07(月) 12:56:05.15 ID:Df1mXfLK
俺が首を持ち上げて腹の上を見ると、案の定、金色の毛玉が俺の胸に顔をうずめていた。
俺はベッドか・・・・・・
この娘は人目はばからず飛びついてくるので、正直今更である。本当にハニィはどうしたんだ?
てか、こいつなんでここにいるんだっけ?こいつの仕事午後からだから、せいぜい11時に来てりゃいいんじゃね?
まてまて、それよりさっきオレが叩いた物体Xはこいつの尻か!クソ!もっとしっかり触っとけばよかった!
とにかくこれを早くどかさないと、誰かに見られてまたいらん誤解を生む。
536 :
神前竜磨:2012/05/07(月) 12:58:10.39 ID:Df1mXfLK
「おい、星井。おきろ。」
肩を掴んで揺さぶるが、返事がない。ただの屍のようだ。
どうするか。耳でも引っ張るか。脇でもくすぐるか。尻をひっぱたくか。尻とかつねるか。尻とか・・・
むっ!?いかん!エクスカリバーに魔力が装填されてく!?インビジブル・エアが解かれる前にどうにかせねば!
上半身を起こし星井をどかそうとしたが、棒立ちの秋月先輩を見て、世界が凍った。
537 :
神前竜磨:2012/05/07(月) 13:16:40.02 ID:Df1mXfLK
向かいには鬼の形相の秋月先輩。となりにはまだ眠たそうな星井。
うん、いつもどおりだね。
正直この事務所に来てから、しょっちゅうこの手のことで怒られてる気がする。
エロハプニングは大歓迎とか思っていたが、いざ自分の身になるとこうも違うものなのか。
下手に手を出せないため、完全なる生殺し。そのうえ、毎回このように怒られるのでは割に合わない。
そして、こっちの気持ちも全く理解せず、星井はまた腕を絡めてくる。
538 :
神前竜磨:2012/05/07(月) 13:18:01.52 ID:Df1mXfLK
「・・・・・・正直、もう神前さんは諦めました。」
「あきらめられた!?」
「貴方からやってるところって、実際あんまりないことがわかってきたんで。」
あんまり・・・つまり、少しはあると言いたいのか。了解、自重します。
539 :
神前竜磨:2012/05/07(月) 13:25:24.58 ID:Df1mXfLK
「問題は、美希。あなたよ。よくそんな、男の人に無防備で抱きついたりできるわね。もう高校生なんだし、恥じらいとかはないわけ?」
「え〜?美希にだってぇ、恥ずかしいのとかあるよぉ。ただ、たつまなら大丈夫かなぁって♪」
「大丈夫なわけ無いでしょ!この人かなり危険よ!ケダモノよケダモノ!プロデューサーとは違うのよ!!」
わぁい、ひどい言われようだなぁ。まぁ、男は狼だって言うし、星井にも節度というものを身に着けてもらいたい。
・・・・・・でも、俺単体責められてる気がする。気のせいだ。
540 :
神前竜磨:2012/05/07(月) 13:26:38.87 ID:Df1mXfLK
「そんなことないもん!あの夜だって、美希のこと優しく抱いてくれたもん!」
ん〜?あーあー、GWのイベントの時ねー。俺紳士だから、しっかり布団まで運んだよー。
でもねー星井さん?その言い方だと、ほら。誤解されますよね?秋月さん顔真っ赤にされてますよ?
秋月先輩がゆっくりと立ち上がる。鬼の形相。いや、むしろ鬼そのものだ。
541 :
神前竜磨:2012/05/07(月) 13:27:10.88 ID:Df1mXfLK
「神前さん。言いましたよねぇ?おいたが過ぎると・・・」
「ちょっと待ってください!誤解です!星井!お前もうちょっといい方考えろよ!」
「お布団で優しくしてくれたよ?」
「『まで』!『で』じゃなくて!接続詞大事!わかる!?」
「神前さん・・・・・・その命、神に返しなさい。」
「名護さん!?」
言い知れぬ恐怖。完全なる絶望。俺は今日、ここで死ぬ。
542 :
神前竜磨:2012/05/07(月) 22:44:59.99 ID:Df1mXfLK
「本当に、美希ちゃんには困ったものですねぇ。」
「あー、まったくです。」
どうにか生き残った。熾烈な戦いだった。いや、戦ってないけど。
取りあえず、動く気力を根こそぎ持っていかれた俺は、机に突っ伏していた。ほっぺたが冷たくて気持ちいい。
543 :
神前竜磨:2012/05/07(月) 22:47:50.40 ID:Df1mXfLK
「っにしても、あいつのハニィってのは一体どういうことなんでしょうねぇ?他の男とイチャコラしてたら怒るっしょ。」
首だけもたげて話す俺に、音無さんはため息混じりで答える。
「前にもいいましたけど、本当に付き合ってるわけじゃないんですよ?美希ちゃんから一方的にラブコールしてるだけで
ただ、最近春香ちゃんの押しが強くて、取られ気味みたいで」
あー天海かー。うらやましいインテリメガネだなぁ。
544 :
神前竜磨:2012/05/07(月) 22:49:37.91 ID:Df1mXfLK
『っま、天海もしっかり持ってるもんあるんだから、一発ガツンとあたってみれば、案外簡単に振り向くんじゃなねーか?』
・・・・・・ん?
「どうも、四月すぎぐらいから、少しずつ積極的になってましてね。美希ちゃんと話してる間に、うまく割り込んで行ったり
ちょっとドロドロな三角関係になってきてるんですよ」
『・・・です・・ね。はい!頑張ります!』
・・・・・・あれ?
545 :
神前竜磨:2012/05/07(月) 22:52:51.18 ID:Df1mXfLK
「それで、春香ちゃんは一応先輩なわけで、美希ちゃんああいう性格だけど、それなりに気にしてるのよ。
ひょっとすると、春香ちゃんのために身を引くとかありえるかも・・・・・・って、どうしたんです?」
机に頭を打ち据えた。心当たりがある。
天海の背中押したの俺じゃん!星井があぶれてんの俺のせいじゃん!いやいやしかし
「でも、だからって、俺に絡んでくるのはおかしいでしょ?」
「そりゃぁ、プロデューサーさんを取られちゃった鬱憤をぶつけてるんじゃないですか?」
欲求不満かよ!あの盛り猫!
546 :
神前竜磨:2012/05/07(月) 22:57:35.31 ID:Df1mXfLK
「それでアレじゃ、身が持ちませんよ」
「え〜?ホントはうれしいんじゃないですかぁ?」
「未成年ですよ?まだ高校生ですよ?手ぇ出したら犯罪者っすよ。」
「付き合うだけなら問題ありませんよ?」
そんな生殺し御免被りたい。
相手が如月や萩原ならともかく、星井なんかにベタベタされた日には、いつか理性が飛ぶ。慣れたとか思ってたけど無理。
547 :
神前竜磨:2012/05/07(月) 22:58:36.84 ID:Df1mXfLK
「そーですねー。神前さん、ヘタレですけど、暴走もしますからねぇ。
――――――で、千早ちゃんと雪歩ちゃんは、愛おしぃ〜く見てるわけですねぇ。」
ニヤニヤと笑う音無さん。通常運転で何よりです。
そういや、ああもベッタリしてくるようになったのは、GW後からだもんな。
GWでこっちにドキドキイベントはなかったから、あっちに進展があった可能性があるか。
ん〜
「先輩と天海が、一線超えたなんてこと・・・・・・ないっすよねぇ〜」
「ないですねぇ。プロデューサーさんは聖人君主ですから。」
548 :
神前竜磨:2012/05/07(月) 23:01:35.43 ID:Df1mXfLK
うっそだー。新しい娘見つけては目ぇ光らせてたぞ。
しかしまずいな。星井の勢いはメンタルと直結してるだろうからな。
ガチでふられたら、アイドルやめちまうかもしれないな。
そいつは困るな。うちの稼ぎ頭だし。
あーめんどくさい。ほんとめんどくさい。
549 :
神前竜磨:2012/05/07(月) 23:24:40.29 ID:Df1mXfLK
「・・・・・・まぁ、そういうことだから、なにか知らないか?」
「そんな事言われても・・・ボクからはなんとも・・・」
現在位置、765プロ事務所休憩所。
「おうおう!まこちん!洗いざらい吐いて楽になっちまいなぁ!」
「助手。うるさい。」
偶然帰ってきた菊地真を捕まえて、それとなく聞いてみることにした。
550 :
神前竜磨:2012/05/07(月) 23:25:30.02 ID:Df1mXfLK
「こう、なんかねーかな?天海と先輩だけで数時間いなくなったとか。」
「おうおう!チューとかしてなかったか?チューとかよぉ!」
「助手。キャラがわからん。」
そして、基本的に暇な真美が助手をかって出てくれた。いらないけど。
「ん〜、特にこうってのはないんですけど、普段よりプロデューサーさんと話してることが多かったかな?
でも、いつも美希と一緒だったから、ただ空いてたってだけかもしれないけど。」
「なるほどな。」
「そう言えば、ステージ袖でも、はるるんがまっさきに、にーちゃんのところに行ったよー」
ここでのにーちゃんは先輩のことだ。
551 :
神前竜磨:2012/05/07(月) 23:25:58.14 ID:Df1mXfLK
「悪かったな、菊地。妙なこと聞いて。」
「いえ・・・・・・あの、二人は・・・大丈夫なんでしょうか?」
苦しそうな顔をする菊地。こんな話をしてしまったせいだと思うと、胸が痛む。
「大丈夫かどうかはわからん。だが、好いた惚れたって話は、誰にでもあることだろうからな。」
「そう・・・ですね・・・」
更にくらい顔をする。仲間の悩みに気づいてやれなかったのが辛いのか。
552 :
神前竜磨:2012/05/07(月) 23:26:22.99 ID:Df1mXfLK
「まぁ、どうにかする。これも俺の仕事だ。」
「すみません。お願いします。」
「お前が謝るこっちゃねーよ。」
菊地が事務所を出る。このあとダンスレッスンだ。まずかったな、菊池もメンタルの影響が出やすい。怪我しなきゃいいが。
553 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 00:01:43.91 ID:Df1mXfLK
「そうよ!あの二人!表面上笑ってるけど、なんかギスギスしてるっていうか・・・・・・
もう原因まるわかりなんですけどって感じで!」
「すまん、水瀬。叫ぶたびにフラッシュ炊くのやめてくれないか?」
俺の座ってる位置が悪いのか、水瀬が興奮して前に出るたびに、鏡のように磨かれた額が光る。
「うおっまぶしっ」
「フラッシュなんか使ってないわよ!」
ふんっ!と、怒ってドサッと座り直す。スカートがふわりとめくれ上がったが、あいにく見える角度ではなかった。見えても嬉しくないが
。
とにかく、他者にもわかるほど二人の間に亀裂が生じているらしい。そして中心があの男。
554 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 00:03:18.15 ID:RYXNA+9i
「・・・・・・で、ボクに何かようかな?」
向かいに座った眼鏡の男は、破棄のない声でそういった。髪は何本かはらりと垂れ、ワイシャツもヨレヨレ。眼の下にはクマがあり、わか
りやすく疲れきっている。
「(真美、この人マジで先輩か?違う人間連れてきてんじゃねーか?あのひと一人称「俺」だったはずだぞ?)」
「(間違いなくにーちゃんだよ。きっとはるるんとミキミキの板挟みで参っちゃってるんだよ。)」
女二人の間をふらふらした結果これか。ついこの間まで、元気に俺を連行してたのに。自業自得か。
555 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 00:30:35.07 ID:RYXNA+9i
「神前さん・・・・・・真美とも、仲がいいんですね。」
「? はぁ、事務所のみんなとは仲良くやらせてもらってますよ?」
「はは・・・・・・わりと、俺達は似たもの同士かもしれませんね。」
何言ってやがるこのイケメンモテメガネ。子供とはいえアイドル二人とよろしくやってやがるくせに。
いや、よろしくやれてなかったから死にかけてるのか。ざまぁww
556 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 00:31:26.34 ID:RYXNA+9i
「で、現状、理解できてますか?」
「はい・・・・・・その、うぬぼれかもしれないけど、二人は、俺のこと、好きでいてくれてるみたいで・・・」
「みたいじゃなくて、ガチっすよ。
星井は前々から、先輩のことが好きだって公言してたらしいっすね?」
「そうだね・・・好きだって、直接言われたことはないけど」
え?告白とかしてんじゃねーの?星井のことだから、私を食べて(はぁと)とかやってそうだったんだが。
557 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 00:33:31.38 ID:RYXNA+9i
「いつからか、急にハニィって呼ぶようになってね。まぁ、悪い気はしなかったんだが。」
俺なら有頂天になるな。よほど女慣れしているのか、ガチの聖人君主なのか。きっと前者だ。
「そのあと・・・・・・・・・・・・春香と、ちょっとありまして。」
「ちょっと?何があったんです?」
この期に及んで言葉を濁す先輩に、少々腹がたった。まぁ、元から腹たってましたけどね!
「ちょっと、行き違いというか・・・すみません。春香のためにも、伏せさせてください。」
「・・・・・・・・・・・・例の、入院するほどの怪我、ですか。」
558 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 00:34:22.66 ID:RYXNA+9i
俺が入るちょっと前まで入院していたときいていた。
天海はクリスマスプレゼントが退院祝いになったと言っていた。
星井の取ったシャイニングアイドル賞とか言うのは、年末の番組でやっていた。受賞の知らせなら一週間ぐらい前に話があるだろう。
プレゼントを渡せなかった天海が、もやもやしたまま、星井と仲の良いこの人を見ていたわけだ。
「怪我は、俺のせいなんだ・・・もっと春香と話をしてやれれば・・・」
何が起きたかは知らないが、おそらく身を呈して庇わないといけないようなことが、天海の身に起きたのだろう。
しかし、それは――――――――――
559 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 00:36:54.57 ID:RYXNA+9i
「――――それ、今関係ないっすよ?」
「なっ!?」
先輩が驚きの声を上げる。そして俺も驚く。多分・・・・・・関係ないはずだ!
「確かに、星井と何があったかしらないけど、星井にとって、あんたを好きになる出来事があった。
天海も、クリスマスにプレゼントを渡せなくて、あんたのことをずっと考えてるうちに好きになった。
でもね、これ過程なんてどうでもいいんすよ。ようは、二人の女があんたを好きだといった場合、あんたがどうするかだ。」
560 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 00:38:15.63 ID:RYXNA+9i
「・・・・・・そうか、結局、俺が煮え切らないからか・・・・・・」
「いやいや、それは話が飛んでる。」
「え?・・・何がだい?」
「まっ、とりあえずいつも通り仕事しててください。何とかしておきますから。」
561 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 00:38:47.34 ID:RYXNA+9i
理解してない先輩を事務所から追い出し、携帯を取る。
何事も順番が大事だ。告白もしていない相手からふられたんじゃ、たまったもんじゃないだろう。
『太陽の子』『金色の獣』どっちからかけるか。
562 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 00:39:36.75 ID:RYXNA+9i
「・・・・・・・・・・・・にーちゃん。」
「いたのか、助手。忘れてたぞ。」
「にーちゃん、『ひとのブリみてわがブリまわせ』だぜ。」
「『人の振り見て我が振り直せ』だな。」
予定表を睨みながら突っ込みをいれ、通話ボタンを押した。
563 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 09:28:39.70 ID:RYXNA+9i
結局、俺がやったのは、二人に告白を促しただけだ。
自分たちの気持ちをハッキリ言わないから、プロデューサーもハッキリ言えないんだと。
後は知らない。3人の問題だ。
まぁ、付き合うだのなんだのって話になったら大スキャンダルだろうが、3角関係だとかいう話よりは全然良かろう。
助手=真美の話では、どっちも一旦振られたとのこと。そう、一旦。
どうやら、うまく二人共キープしたようだ。さすがだな!いつか刺されろ!
天海と欲しいの関係も元通りになった。いや、元通りと言うよりは、良きライバルみたいな感じか。
なにはともあれ、一件落着。
564 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 09:29:17.61 ID:RYXNA+9i
最小限の労力で事を終わらせた俺は、来週に迫るレコーディングの過密スケジュールのために、寝溜めすることにした。
したのだが・・・・・・・・・
ソファーに転がって寝ていた俺は、妙な寝苦しさに目が覚めた。
誰かがしがみついているというか、星井美希に抱きつかれているような感じだ。胸的な意味で。
首を持ち上げると、またも金色の毛玉が、俺の胸に顔を埋めている。
565 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 09:30:31.66 ID:RYXNA+9i
「おい!こら!おきろ!!ケツ揉むぞ!ケツ!」
耳元で発された大きな音に、全体をビクッとさせて、のろのろと毛玉が浮かび上がる。
「ん〜、うるさいのぉ〜」
「だ〜か〜ら〜っ!なんで俺の上で寝てんだよお前は!ハニィはどうしたんだよ!ハニィは!」
「プロデューサーは関係ないのぉ。」
プロデューサー、か。どうなったかわからんが、こいつなりのケリは付いたわけだな。
566 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 09:30:53.63 ID:RYXNA+9i
「・・・・・・たつまぁ」
「なんだよ」
何処を掴んで引っぺがすか算段していると、よりいっそう腕に力を込めて顔をうずめてくる。完全に顔を隠したまま、星井は言った。
「・・・・・・ありがと」
・・・・・・ま、わるくない。
女の子に抱きつかれるってのは、気分のいいものだ。
俺は星井の頭をくしゃくしゃと撫で回し、天井を仰いだ。
窓が空いてるためか、少し肌寒いが、人肌のぬくもりが心地よかった。
しばらくして、秋月先輩にたたき起こされ、こってり絞られた。
567 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 09:41:25.31 ID:RYXNA+9i
おっしゃ!おわった!
好いた惚れたの話は難しいぜ!経験ないからな!!!!
それにしても、美希といちゃラブさせる予定が、気がついたらPを口説いてた
神前がコッチの思うとおりに動いてくれなくて困る。やはり引きこもりなのか
響とお散歩した時のやる気は何処行った!!
でもタイトル通りか
さぁ〜て、次回のお話は?
「は、萩原雪歩です。最近神前さんとお話する機会が少なくてちょっとさみし・・・
い、いえ!なんでもありません!ええっと、次回は!
・・・え?決めてないんですか?え?食べるんですか?おまんじゅう?はい?
あ、次回も、見て下さいねぇ。」
568 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 17:52:54.52 ID:RYXNA+9i
よし、14話ってアニメ的には折り返しぐらいかと勝手に思うので
ここらであれだ、総集編?のようなものを入れようじゃないか
がんばんべー
569 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 17:53:43.36 ID:RYXNA+9i
CASE001 萩原雪歩
「あの、小鳥さん。これなんなんですか?取り調べですか?」
―――――― 落ち着いて。二、三質問するだけだから
「はい・・・で、なんですか?」
―――――― 最近調子はどう?
「はい。とってもいいです。ライブでもそんなに緊張しなくなりました。」
―――――― そうねぇ。サイン会で握手とかもできるようになったもんねぇ
「はい。ファンの皆さんに喜んでもらえて、とても嬉しいですぅ」
570 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 17:54:31.74 ID:RYXNA+9i
―――――― ところで、話は変わるけど。神前さんのこと、どう思う?
「かっ、神前さんですかぁっ!?・・・その、はじめは、苦手だったんですけど・・・
ちょっと、乱暴されてからは、そんなには・・・」
―――――― 乱暴されちゃったの!?
「あっ、ちがっ、そうじゃなくて・・・あの、なんていうか、神前さんって、遠慮しないっていうか
・・・こう、ガバっとくるというか」
―――――― ガバっと押し倒されたと?
「うう〜、ちがいますぅ〜。小鳥さ〜ん」
―――――― あはは、ごめんね雪歩ちゃん。なんか雪歩ちゃん見てるとつい苛めたくなって。
「うう〜、ひどいですぅ」
571 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 17:55:19.51 ID:RYXNA+9i
―――――― うん、ちなみに聞きたかったのは、神前さんの仕事ぶりについてなんだけど?
「あうっ、仕事・・・あれ?神前さんってお仕事なんでしたっけ?プロデューサーのお仕事って・・・」
―――――― う〜ん。まぁ、うちの事務所の場合、プロデューサーが、マネージャーと付き人を兼任してるみたいな感じだから、わかり
づらいかなぁ?
「あ、今度のアルバムの曲。神前さんが選んでくれたんですよね?結構いい感じでした。
なんか、今までの私の曲とは雰囲気が違って・・・すこし、大人なイメージですよねぇ」
―――――― そうねぇ。神前さん、咲かせて散らせたいのかしらねぇ
「えっ!?散りたくはないですぅ!」
572 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 17:56:56.73 ID:RYXNA+9i
CASE002 天海春香
「あはは、なんですかこれ?取り調べみたいですね。」
―――――― そう、これは取り調べよ?春香ちゃん、最近調子はどう?
「絶好調ですよ。今ならいくらでもお仕事できそうです。」
―――――― そうねぇ、最近の春香ちゃん、やる気いっぱいだものねぇ
「はい!今まではちょっとのんびりしていたっていうか、少し、自分を控えてた感じなんですけど
今は、目一杯自分を前に出したいと思ってます!」
―――――― うん。いいことなんだけどね、ちょっと空回り気味だよ?
「ああ、そうですか?時々みんなが固まってることがあって、やっちゃったかなーって思ってたんですけど・・・」
―――――― 自分をだそうっていうのはいいことよ?でも、なんでも適度っていうものがあるから、ほどほどにね?
「はい、すみません。」
573 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 17:57:57.75 ID:RYXNA+9i
―――――― ところで、神前さんってどう思う?
「神前さんですか?結構お仕事が・・・・・・あれ?」
―――――― うん。お仕事してないわよね、あの人
「いえっ!そんなことないですよ!プロデューサーのお仕事って、私たちのお仕事もらってきたり、CD出してくれたりすることだけじゃないですよね?
神前さんは、心のケアというか、相談役というか・・・・・・アイドルとして私達を見てないんですよね。その分、なんだか気楽に話せるので、えっと・・・」
―――――― うん、わかったわ。春香ちゃんも骨抜きと
「ええっ!?ちょっ!そういうのじゃありませんって!」
574 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 17:59:06.90 ID:RYXNA+9i
CASE003 四条貴音
「・・・・・・それで、如何様ですか?小鳥嬢。」
―――――― ええ。まず、最近の調子はどう?
「まだ修行の足らぬ身ゆえ、至らぬことがあるとは思いますが、わたくしと致しましては、すこぶる順調、といったところでしょうか。」
―――――― そうね、高音ちゃんの場合、グラビアなんかの仕事が多いわよね?水着になったりするのはどうかな?
「抵抗はありますが、皆もやっていることですので。
丸裸というわけでは、ありませんし。」
575 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 18:00:05.75 ID:RYXNA+9i
―――――― ふむふむ。ところで、神前さんについて、どう思う?
「そうですね。とても興味深い方です。日頃は投げやりのような感が否めませんが、その実、私達の事を第一に考えていて下さる。とても
素晴らしい殿方です。」
―――――― わぁ、べた褒めね。惚れちゃった?
「そうですね。千早が居なければ、どうなっていたかわかりません。」
―――――― ほほう、千早ちゃん。なにかあったの?
「はい。千早は、普段はあまり表情を表に出さないのですが、神前殿とおられるときは、コロコロと表情が変わるのです。」
―――――― ほうほう、なるほど
「それに、殿方と腕を組むなど、なかったでしょうし。」
―――――― ほほうっ!腕を組んで!ど、どんな感じで!?
「こう、神前殿が、すまーとふぉんを操作されているところを、こう、腕にしがみつくように・・・」
―――――― なるほどなるほど。貴重な情報ありがとう
「いえ・・・・・・それでは、わたくしはこれで」
576 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 18:00:58.70 ID:RYXNA+9i
CASE004 如月千早
―――――― で、ズバリ神前さんのことどう思ってるの??
「い、いきなりなんですか!面接ってそういう!?」
―――――― いいから答えなさい。ネタは上がってるのよ?
「な、なんの話ですか・・・別に神前さんのことは、なんとも思ってません。」
―――――― 本当?
「本当です。美希や萩原さんに抱きつかれてデレデレして、あんなひと知りません!」
―――――― ヤキモチ?
「ちがいます!なんであんなだらしない人にヤキモチやくんですか!
だいたい私は、そんな事にうつつを抜かしている暇はないんです!」
―――――― なるほど。本来の意味のツンデレっと
「―――っ!?なんですかそれは!」
577 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 18:24:47.92 ID:RYXNA+9i
CASE005 星井美希
「・・・・・・・・・・・・」
―――――― あれ?美希ちゃんどうしたの?なんか元気ないけど・・・
「ミキ・・・・・・クビになっちゃうの?」
―――――― ええ!?なんでそんな事・・・
「ミキ、最近失敗多いし。この間のイベントも、千早さんと雪歩に迷惑かけちゃったし。」
―――――― 失敗なんて、誰でもあるわよ。そして、失敗が失敗を呼ぶ負のスパイラルも。あたしもいろいろあったわ・・・
―――――― それに、失敗って言ったら春香ちゃんなんかいっつも・・・
「春香、最近失敗しないの。転ばなくなったし、お仕事も増えてて・・・」
578 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 18:25:50.51 ID:RYXNA+9i
―――――― プロデューサーさんと、何かあったの?
「・・・ちがうの・・・何もないの・・・あんまり話さなくなったし・・・ハニィはミキより春香のほうが好きなの・・・」
―――――― えっと・・・美希ちゃんは、プロデューサーさんとどうなりたかったの?
「ミキは・・・・・・ハニィと一緒にいられれば、それで幸せだったの。ずっとずっと一緒だったら、なんでも良かったの。
でも、ハニィが春香と話してると、なんだがすっごく遠くにいるみたいなの・・・他の子といるときは、なんともないのに」
―――――― 春香ちゃんに・・・負けそう?
「負けるっていうか・・・ミキと違って、春香は大人だから・・・・・・」
―――――― ん〜なんからしくないわねぇ
579 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 18:26:29.48 ID:RYXNA+9i
「・・・・・・話はそれだけ?」
―――――― ああ、ちがうの。むしろこれからが本題。神前さんのこと、どう思う?
「たつまはぁ、グニュッと柔らかくてぇ、ぎゅってすると結構硬くってぇ、とっても気持ちいいのぉ」
―――――― み、美希ちゃん、その表現はマズイわ。
「遊園地とかのぉ、くまさんとかみたいな感じ?」
―――――― ああ、着ぐるみね。なるほど、気持ちはわかるわ。
―――――― でも、そうじゃなくって、神前さんの仕事っぷりはどうかな?
「たつまの仕事がベッドだったら、パーフェクトだよねぇ。」
―――――― 神前さん、人扱いされてないのね・・・・・・
580 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 18:27:17.34 ID:RYXNA+9i
CASE006 双海亜美
「あれ〜?なにこれぇ?なんでカメラ回してるのぉ?」
―――――― ちょっと!亜美ちゃんやめて!動かしちゃダメ!
「ねぇねぇ、なにすんの?」
―――――― 二、三質問させて。まず、最近調子はどう?
「こーちょーこーちょー、ぜっこーちょーだよー」
―――――― そお?最近亜美ちゃんの様子がおかしくて、あたし心配なんだけどなぁ?神前さんといると特に
「そんな事無いよー?にーちゃんと違って、神前のにーちゃんはグーで殴ってくるんだよ!チョー痛いし。」
―――――― それは亜美ちゃんが悪いんだと思うけど・・・
「神前にーちゃんはさー、亜美たちのことアイドルとして見てないよねー。なんかすっごく雑なんだよ。
キョーイクが必要だよ!」
581 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 18:27:42.03 ID:RYXNA+9i
―――――― そ、そう?ほかには?
「亜美がちょっとふざけただけなのにサー、真剣に怒るんだよー。冗談なのにさ・・・・・・冗談って思わない人もいるって・・・」
―――――― ふんふん。神前さん、亜美ちゃんの事本気で心配したんだね。
「冗談通じないんだもん・・・嫌いだよ・・・」
―――――― ところで話は変わるけど、キスってどんな味だった?
「そっ!そんなのわかんなかったよぉ!舐めるわけじゃないし・・・」
―――――― わかんなかったのね。ありがと
「ああう・・・ゆーどーじんもんだよ・・・」
582 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 18:28:16.18 ID:RYXNA+9i
CASE007 水瀬伊織
「なによ?カメラまで用意して。ドッキリでもやるつもり?」
―――――― ちょっとした面談よ。二、三質問するだけ。
「いいけど・・・ちょっと、なんでライトさげんのよ!」
―――――― 最近調子はどう?
「まぁまぁね。竜宮の人気もやっと安定してきたし、後はCDのミリオンを達成しないと。」
―――――― 今の音楽業界じゃ、ミリオンは難しいわよ?
「できるかどうかじゃなくて、やるのよ!だいたい千早はやってのけたじゃない!」
―――――― アレは海外ツアーで話題になったからで・・・
「なら!私達も海外へ行くわ!ワールドワイドよ!」
583 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 18:28:40.81 ID:RYXNA+9i
―――――― う、うん。まぁ、そういう話は律子さんとしてもらうとして、神前さんのこと、どう思う?
「あのグータラの穀潰しのすけこまし!さっさとクビにしなさいよ!」
―――――― ひどい言われよう・・・
「あったりまえじゃない!ここに来てほとんど寝てるし!雪歩に手ェ出すし!サイッテーよ!」
―――――― ・・・それがね、伊織ちゃん。雪歩ちゃんまんざらでもないのよ。
「あの子騙されてるだけよ!目を覚まさせてあげないと!」
―――――― あと、雪歩ちゃんだけじゃないのよね・・・
「っ!?どういうことよ!この事務所の風紀はどうなってんのよ!!プロデューサーのほうが全然いいじゃない!!!」
―――――― なるほど、伊織ちゃんはプロデューサーさん派ってことね
「ちょっと!変な派閥に分類しないでよ!あいつより数十倍マシってだけよ!あくまでプロデューサーとしてよ!」
―――――― 「か、勘違いしないでよね!別に好きなんじゃないんだからね!」
「うっさいわねっ!もう行くわよ!」
584 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 20:22:09.41 ID:RYXNA+9i
CASE008 秋月律子
「あの・・・小鳥さん?さっきから何やってるんですか?」
―――――― お仕事ですよ?みんなの面談です。みんな何かと忙しくて、しっかり話す機会ないじゃないですか。
「まぁ、そうですね。」
―――――― そういうことで、二、三質問いいですか?
「え?私もですか?」
―――――― ついでですから
「はぁ・・・・・・で、なんですか?」
―――――― 最近調子はどうですか?
「そうですね。竜宮の人気はいま上がりきって安定期に入ってます。少し範囲を広げて、もっとファンを獲得したいですね。
ドラマ出演も、始めの頃に一回あっただけなので、3人一緒じゃなくてもいいから、何かに出演させたいですね。」
585 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 20:22:50.74 ID:RYXNA+9i
―――――― 律子さん自身はどうですか?
「正直ちょっと、オーバーワーク気味ですね。疲れ溜まってますよ。
どっかの誰かさんが、もうちょっと役にたってくれてればよかったんですが・・・・・・」
―――――― ずばり神前さんのことですね?
「ええ、まぁ・・・悪い人じゃないですし、送迎もやってくれるようになって来ましたから、徐々にってところで
ただ、しょっちゅう問題を起こすというか、なんか問題の中心にいますよね?」
―――――― そうですよねぇ。割とトラブルメーカーですよね。何もしてないのに。
「まぁ、何もしてないっていうのは言いすぎですね。この応接室の件とか、あと事務所の回線整備もやってもらいましたし。
それに、雪歩のことは感謝してるんです。ちょっと目に余るところもありますがね。」
―――――― そうですねぇ。雪歩ちゃん男性と握手とかもできるようになりましたしね。
「ええ、ただ、雪歩が危ないんですよねぇ・・・・・・神前さんから手を出す前に、雪歩の方から差し出しちゃわないかと。」
―――――― 雪歩ちゃん、乱暴にされる方が燃えるんでしょうかね?マゾ?
「やめてください。考えたくないです。
とりあえず、彼が終始ヘタレであることを祈りましょう。」
―――――― 神前さん不憫ですねぇ。
586 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 20:23:56.76 ID:RYXNA+9i
――――――――――――ぷちっ
「以上が、私の報告です。」
「・・・やぁ、ありがとう音無くん。口頭でよかったのに、映像まで見せてもらって。
――――――竜磨くん。うまくやっているようだね。」
「はい。あたしから見ても、うちにいい風を吹きこんでくれたと思います。少々強風ですけど、春一番と思えばわるくないかと。」
「そうだね。あの二人にとっては、みんな子供みたいなものだからね。成長する彼女たちにしっかり対応できるかどうか・・・
ところで、美希君はその後どうなのかね?」
「神前さんが、うまく処理して下さいました。春香ちゃんと、プロデューサーさんも一緒に。」
「はっはっ。すごいじゃないか。正直、彼を呼んだのは失敗だったかと思っていたんだが、杞憂だったね。」
587 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 20:24:23.55 ID:RYXNA+9i
「ええ。神前さんは、女の子のためならなんでもできる人みたいです。」
「いやぁ、頼もしいな。
・・・・・・・・・そうそう、例の件。許可しよう。確かに彼女は、うちの事務所のアイドルだからね。」
「わかりました。では、本人にも伝えておきます。」
「いやぁ、なかなか楽にはならないもんだねぇ。」
「ええ、しっかり頼みますよ?社長。」
「ああ、君もよろしく頼むよ。音無君」
588 :
神前竜磨:2012/05/08(火) 20:31:17.49 ID:RYXNA+9i
はい、14話完 今回手抜き
基本的に神前の一人称でストーリーが進行するから
奴がいないとスッカスカになるな
んじゃまた15話で
次回予告ネタ秋田!ヽ(`Д´)ノ
貴音さん丸裸・・・!?
というか終わってたwww
続きに期待w
591 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 00:21:01.76 ID:luD2zjAW
カッとなってついやった。全く反省してない。
そういうことで、15話始まるよー
ってか、これ読んでるの一人だけか!?
いいぜぇ!上等だ!たった一人でも読者がいんなら書くゼェ!
実際自己満足だがなぁ!
592 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 00:21:41.22 ID:luD2zjAW
「小鳥さん、お疲れ様です。」
「お疲れ様です。律子さん。」
本日は、765プロの一大プロジェクトのもう一つ、2枚一組のカバーアルバムの収録に来ています。
「神前さんが、さっきからすごいですよー。」
「なにかやってるんですか?」
しんどそうに、律子さんは肩を落としたけれど、そんな心配はいらないと思う。
593 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 00:22:36.52 ID:luD2zjAW
「なんか、すっごく熱いですよ。」
『ストップ!ストーーップ!如月ぃ!お前ラストの前で一旦力抜くのやめろ!ラストまで勢いそのまま!
「あ〜え〜た〜のぉ〜」って、ここんとこで力抜け!頑張って頑張って頑張り抜いて!それでもダメで諦めるみたいに!分かっか!』
律子さんが目を丸くしている。あたしも、はじめはびっくりした。
594 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 00:23:05.77 ID:luD2zjAW
昨日、伊織ちゃんの収録に付いてきた時のことだった。
スタジオの場所を知らない神前さんを連れてきたのだったけれど、伊織ちゃんの歌に口を出したのだ。
伊織ちゃんは、原曲を何度も訊いてきたのだと思う。
歌い方までそっくりだったんだけど、神前さんが、伊織ちゃんの良さがなくなっているといって、指導してしまった。
最終的にできたテイクを聴いて、悔しがりながらも「やるじゃ無いの」といっていた伊織ちゃん。
あたしも、正直伊織ちゃんが歌ってる良さがなくなっているとは思ったけど、アレほど良くなるとは思わなかった。
全く同じ曲なのに、ぜんぜん違う歌に聞こえた。神前さんは、凄くセンスのある人だったようだ。
それから、正直調子に乗ってるような気もするけれど、ずっとコントロールルームに入って、みんなの歌を聞いている。
595 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 00:24:53.56 ID:luD2zjAW
「あんなに歌に情熱を持ってる人だとは思ってませんでしたね・・・・・・普段とは別人みたい。
・・・・・・あ、アニソンだから?」
「確かに、今のはアニソンですけど、もう片方も結構熱かったですよ?」
「何より、千早に意見するってところがすごいわ。千早もそれに答えてるし。
・・・・・・っていうか、千早がなんか、嬉しそう。大丈夫かしら。」
「心配されるのはよくわかります。千早ちゃんからデートに誘うぐらいですし、かなり入れ込んじゃってますよね。
ただ、そんなドキドキイベントがどこにあったのかと・・・・・・」
やっぱり、何かあるとしたら神前さんのご実家に泊まったあの時しかないわけで。
美希ちゃんにも口にできないようなことがあの時!?
596 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 00:25:37.42 ID:luD2zjAW
月明かりの下、照らし出される二人。千早ちゃんを強引に抱き寄せる神前さん。その手が太ももをつたい、布の中を攻め始める。
「あ・・・・ダメです!神前さん!美希が起きちゃう!」
「そんときゃ見せつけてやれよ。お前のいやらしい姿をな!」
「ああ!そこは・・・んあ・・・ああんっ!」
「身体は正直だなぁ?ああ?如月よぉ!」
「うう・・・いや・・・やめて・・・・」
「そうじゃねーだろぉ?言えよ、ほんとのことをさぁ」
「ああ、もっとも!もっとしてくださいぃ!」
「よぉし、よく言えたなぁ!ご褒美の俺のビッグマグナムを!」
597 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 00:26:09.17 ID:luD2zjAW
「ちょっ!?あの男っ!」
「ピヨッ!?」
あぶない。妄想の世界にどっぷりはまり込むところでした。
598 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 00:26:44.10 ID:luD2zjAW
現実に戻ったあたしは、律子さんがわなわなと睨む先を見る。
そこではレコーディングが終わったのか、ブースから出てきた千早ちゃんを、神前さんが抱きしめていた。
ラブラブですねぇ。うらやましい限りで。
一頻り千早ちゃんを抱きしめて、スタッフさんと話をすると、二人でコントロールルームから出てきた。
鬼の形相のリツコさんが迎え撃つ。
599 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 00:28:01.67 ID:luD2zjAW
「神前さん!あなた人前で何やってるんですか!!アイドルにとってアレがどういう意味かわかって・・・」
「待って下さい!神前さんにも考えが・・・」
「やめろ如月。すみません、なんか感極まっちまいまして。以後気をつけます。
如月、喉乾いたろ?あっちに自販機あるからいこう。」
600 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 00:28:34.64 ID:luD2zjAW
スタッフさんの視線を背中に、グイグイと千早ちゃんを連れて行く神前さん。
本当に神前さんは強引ですね。あんなふうに強引に迫られたら、あたしもどうなるかわかりません。
※ただし、イケメンに限る
律子さんも、ずんずんと後に続き、その後をあたしが追う。
601 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 09:24:34.39 ID:luD2zjAW
「あなたねぇ!響の時に懲りたんじゃないんですか!?」
「待って下さい!律子さん!違うんです!」
神前さんをかばう千早ちゃん。健気で可愛い。
「いいんだ如月。秋月先輩もちょっと声を抑えて。
とにかく、人前でアイドルに手ェ出してるプロデューサーKは、同僚に怒られてそれ以降手を出せなくなったと。
そういうシナリオでよいでしょう?」
「シナリオって、あなた・・・」
602 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 09:25:22.47 ID:luD2zjAW
「違うんです、律子さん。私の前に、美希が収録してたんですけど、終わったら美希、神前さんに飛びついちゃって・・・」
ああ、なるほど。つまり神前さんは、美希ちゃんに集まる注目を分散させたんだ。
「・・・という建前を利用して、千早ちゃんをハグしたかったわけですね?分かります。」
「はっはっはーばれますかー」
なるほど。慌てて否定しないとろこを見ると、下心は全くないらしい。
603 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 09:26:15.98 ID:luD2zjAW
いろいろあったけど、この人は結局、みんなのために何かしていることばかりだ。
響ちゃんの時も、自分を公開することで簡単に火を消してしまった。
もっとも、神前さん自身がモテるタイプじゃなかったのもあるのだけれど。
身を呈してかばってくれる。プロデューサーさんとはぜんぜん違うようで、やっぱり根本は同じようです。
「とにかく!もうやらないでくださいね!」
「アイ、マム!」
「っんとにもー、ふざけてばっかりなんだから。」
604 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 09:27:08.59 ID:luD2zjAW
冗談で敬礼する神前さんに、呆れるリツコさん。こっちもなんだか夫婦みたいですよね。
神前さんは、千早ちゃんにスポーツドリンクをわたし、あたしたちにも飲み物を配る。
「それにしても、最高だったぞ如月。パーフェクトだ。」
「ありがとうございます。神前さんの指導のおかげです。」
「んなこたねーよ。だいたい俺みたいなド素人が口出しする時点でおこがましいってもんだしさ。
そのド素人の訳の解らん話を聞いて、実現させるお前がすごいって。」
「そんな事ありません。正直、プロデューサーもあそこまで突っ込んで言ってくれることがなかったので、すごく嬉しかったです。」
605 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 09:28:23.23 ID:luD2zjAW
「いやいや、お前が・・・」
「いいえ、神前さんが・・・」
えーっと、これは・・・
「私達、お邪魔かしらね?」
「同感です。律子さん。」
「ちょ!まってくださいよ!」
606 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 09:29:41.32 ID:luD2zjAW
この二人、早く何とかしないと。
ああ、でもこのまま二人がくっついたら、雪歩ちゃんがどうなっちゃうのか!?
やっぱり神前さんを巡って血みどろの争いに!?
ああ、亜美ちゃんもここに加わってみつどもえに!?
「音無さーん、いきますよー?」
「え?あ、はーい。いまいきますー」
あれ?ところで何処に行くのかしら?聞いてなかったー!?
607 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 09:30:53.23 ID:luD2zjAW
何処かで寝ていた美希ちゃんを、神前さんがお姫様抱っこで連れてきて、お昼を食べに。その後の収録も無事に終了した。
精一杯歌って疲れている美希ちゃんと千早ちゃんを車の後ろに乗せ、神前さんの運転で事務所に戻る。
律子さんは、他にまわるところがあるそうで、途中退場。
社の車は出払っていて、神前さんの自家用車に乗っているわけだけど、なんでこの人は商業車に乗ってるんでしょう?
608 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 10:18:28.59 ID:luD2zjAW
「すみませんね。手続の類、全部お任せして。」
運転する神前さんの横顔は、あまりすまなそうな顔はしていなかった。
むしろ、いろんな物出しきって満足気だ。
「そうですねぇ。神前さんには、きっちり仕事できるようになってもらわないといけませんねぇ。」
「ははっ、面目ない。」
少しだけ、悪いと思っているのか、額をポリポリと掻く。この人の癖だ。
609 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 10:20:28.41 ID:luD2zjAW
ここ一ヶ月半ほどだけど、この人のことはだいぶわかった気がする。
アニオタでゲーム好きで、パソコンにかなり詳しい。
エッチなゲームもやってるみたい。男の子ですからね。
なんでも最小限にしようとする。律子さんより財布の紐が硬いかもしれない。
いつも同じコートを着ていて・・・って
「そう言えば神前さん、今日もそのコートなんですね?」
神前さんの腰まで届く、ロングのジーンズコート。こんなのは見たことがない。特注品かもしれない。
610 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 10:21:49.76 ID:luD2zjAW
「これは、俺のカバンみたいなもんですから。」
確かに、神前さんのコートからは、いろんなモノが出てくる。
タブレットパソコンにUSBメモリ、普通のドライバーから精密ドライバー、携帯ゲーム機に小説に漫画に・・・・・・
仕事に関係するものがあまりないと思うけど、かなりの大荷物だと思う。
しかし、今は5月中旬。下はTシャツのみとはいえ、その格好で汗ひとつ流さないというのはちょっとおかしい。
あたしは気になって、コートを少しめくってみたけど、手を振り払われてしまった。
611 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 10:23:32.11 ID:luD2zjAW
「ちょっと!運転中になんすか!」
「ちょっと、中が気になって・・・」
コートを抑えて、チラチラとあたしを見る目は、明らかに不審者を見る目だった。
「いや!あのっ!いつもいろんなモノが出てくるから、どうなってるのかなぁって・・・・・・」
「ああ、これっすか。」
そう言って、コートの裏側を見せてくれた。
612 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 10:24:28.48 ID:luD2zjAW
胸筋が結構ある。わりと逆三角形かな?あ、お腹回りちょっと脂肪が・・・いやいや、そうじゃなくって。
コートの内側は四段のポケットがついていた。一番上に小さく2つ、多分USBのケースと、ゲームソフトのケース。
二番目は小説か漫画だと思う。3番目は大きくて深くて、何が入っているか見えなかった。
そして、一番下には細いポケットがいくつもあって、ドライバーが刺さっている
すごく重そう。ジーンズといっても、破れちゃうんじゃないかしら?
「これ、重量に耐えられるように、一部カーボンファイバーはってあるんすよ。」
「ほんと・・・ポケットのところ縦に何本も、なにか入ってる。」
2cm幅の細い帯が、下から上まで何本も通っている。
613 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 10:27:40.65 ID:luD2zjAW
「あと、袖だけケブラー繊維はいってるんで、ナイフとか受けられますよ?」
「そんな重装備して、何処と戦ってるんですか・・・・・・・・・・」
何者なんだろうこの人・・・
「ただの悪ふざけでやっただけです。結構高く付いたんで、そのまま使ってるだけですよ。まぁ、気に入ってますけど。」
「使いもしない十得ナイフを買ってしまうような感じですか?」
「んま、そんなとこです。」
なるほどなるほど・・・
614 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 10:28:34.05 ID:luD2zjAW
「暑くないですか?」
「俺の実家、冷房なかったんで、割と平気なんですよ。」
なるほどなるほど・・・?
しばらく沈黙が流れる。なんだか話すことがない。
後ろが妙に静かなので振り返ってみると、美希ちゃんと一緒に千早ちゃんも眠っていた。
というと、この狭い空間に神前さんとふたりきりということかな?
事務所でよくふたりきりになっていたけど、机はさんでいたし、こんな手の届きそうな位置というのは、結構緊張するかも。
お、落ち着くのよ小鳥!この沈黙をどうにかして破るの!
615 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 10:30:51.64 ID:luD2zjAW
「かんっざきさんは!誰が好きなんですか!?」
「へっ!?」
あああああ、何言ってるのよあたしぃー!!
ああ、でも、慌てる神前さんはやっぱりちょっと可愛い。
「だれって・・・なんのことっすか。」
怪我の功名。この際色々聴きだしておきましょう。
616 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 10:32:16.70 ID:luD2zjAW
「例えば・・・千早ちゃんはどうおもいます?」
「可愛いと思いますよ。」
「雪歩ちゃんは?」
「可愛いと思いますよ。」
「亜美ちゃんは?」
「か・・・わいいと思いますよ。」
言いよどんだ・・・イラッとして言いよどんだ・・・
亜美ちゃん脈ないかも・・・
617 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 10:34:12.81 ID:luD2zjAW
「つっか、事務所の娘に変な気おこしませんよ。あの娘らのためにならないし。」
なるほど。「あの娘らのためにならない」がメインかな。
立場上、自重してるってことだと思うけど、それって自分も相手も無視してるような・・・
っていうか、プロデューサーさんと同じかも。
618 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 11:06:44.01 ID:luD2zjAW
「じゃぁ、好みのタイプは?うちの娘の中で。」
「・・・なんかそれって、最終的に何かを決定されそうな気がするんですけど。」
「別に言いたくなかったらいいんですよ?こっちで想像しますから。」
ニッコリ笑って返すと、神前さんも観念したようだ。
「そうっすね・・・やっぱ我那覇みたいに、元気な娘は好きですね。あと天海とか、高槻もかな?」
「ふむふむ、元気&素直ですね。」
619 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 11:07:58.17 ID:luD2zjAW
「素直って言うと、真美も割と素直に言うこと聞いてくれるんで、結構気に入ってます。」
「真美ちゃん?結構我儘言ってるように思えますけど?」
「あいつはとりあえず我儘言ってみるんですよ。こっちがちゃんと説明してやれば、理解してくれるんです。
その点、亜美は思い通りにならないとスネますよね?双子でも割と違うもんです。」
へーへーへー。すごい。長い付き合いのあたしたちより、よっぽどよく見てる。
「亜美はかなり甘えん坊なところがあります。そこを可愛いと思えるかは人次第です。
竜宮での人気を見ると、需要があるようですね。世の中ロリコン多いですし。」
神前さんもそうですよね?と言ってみたいけど、ぐっとこらえる。
620 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 11:09:33.81 ID:luD2zjAW
「あと、菊地かな?あいつファンのために王子をやるって決めたらしいじゃないですか。
なんていうか、プロ魂ってものを感じましたね。尊敬しますよ。」
「そう言ってますけど、どうしようもなく女の子ですから。結構可愛い格好とかもしてますよね?」
「そっすね。それにあいつ、正直可愛いですからね。
世間は昔からの菊地を知ってるからでしょうが、そのうち女としてしっかり花開くと思いますよ?」
女として花開くって、もう!神前さんったら!ハッキリ可愛いとか言ってくれちゃって!真ちゃんに聞かせてあげたい!
それより、神前さんも舌に油が回ってきたみたい。これならしっかり聞き出せるわね。
621 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 11:10:21.11 ID:luD2zjAW
「それと、水瀬もいいですよね。」
伊織ちゃんまで!?なんというか、気が多いというか、守備範囲が広いというか
「水瀬はすごく世話焼きですからね。厳しいことを言うけど、最後まで付き合うタイプです。
それに、自分にも厳しくするので、誰も文句言えません。演技もうまかったし、女優とかいかせたいですね。」
「そうですねぇ。伊織ちゃんはキンキン文句言いますけど、それだけ相手を見てるってことですからねぇ。」
「ツンデレは需要ありますしね。」
ニヤリとする神前さん。さすがです。
622 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 11:12:29.12 ID:luD2zjAW
「需要といえば、萩原ですかね。あの雰囲気は、王道のアイドルですよ。」
「そうですねぇ。神前さんもコロっといってますからねぇ。」
意地悪く言ってみると、また顔を赤らめた。なんというか、ガラに似合わず可愛い反応する人で、おねーさん嬉しいですよ。
「もう言わんでくださいよ・・・・・・つか、萩原はなんか、男を惑わすフェロモンでも出してるんすかねぇ?
なんだかこう、妙に苛めたくなるんですよ。泣かせたくはないんですけどね。」
「その気持ち、分かります。」
「一旦怖がらせといて、冗談だって言った時の、安心した顔と、ちょっと怒ってる顔がいいですよね。何度も見たいです。」
雪歩ちゃんへの愛が垂れ流しですね。ごちそうさまです。
623 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 14:30:40.03 ID:luD2zjAW
「そう言えば、三浦だけあまり喋った事無いですねぇ。いつもコロコロ笑ってるけど、時々凄まじいオーラを感じます。」
「それは・・・って、神前さん、あずささんのこと三浦って呼ぶんですか?」
え?っと不思議そうな顔をする。
「三浦あずさでしょ?三浦でいいじゃないですか。なんか、苗字で呼んじゃまずいことでもあるんですか?」
「いえ、なんにもないんですけど・・・ちょっと珍しいかなって。」
年上のあたしも"あずささん"って呼んでいるし、ちょっと違和感がある。社長は"三浦くん"って呼ぶから、やっぱり血縁者ってことかな。
「別にいいでしょ。俺、女性を名前で呼ぶのは主義じゃないんですよ。なんか、馴れ馴れしいというか、なんというか
肉親とか、そういうんじゃないですし。それに、変な誤解されても困るでしょう?特にあの娘らは。」
624 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 14:31:32.80 ID:luD2zjAW
神前さんの二重構造の壁はそういうことか。
神前さんは、単に女性慣れしてないだけ。名前で呼ばないのは、主義じゃなくて恥ずかしいから。
で、建前として、「あの娘らのためにならない」。
まぁ、亜美ちゃんたちは例外かな?どっちも双海じゃごっちゃになっちゃうし。
でも、千早ちゃんに普通にハグしてたけど、そういうのは良いわけ?
美希ちゃんや亜美ちゃんたちは飛びついていくほうとして、千早ちゃんは神前さんから抱きしめに行ってたよね?
千早ちゃんには慣れてるってこと?
そいえば、千早ちゃんも、神前さんと腕組んでたんだっけ。
二人共、それぐらいできる程度の仲にあると。
625 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 14:32:39.36 ID:luD2zjAW
「・・・・・・何一人でニヤニヤしてんすか。」
「べつにぃ。千早ちゃんだけ特別なのかなぁ?って」
「なんでっすか。」
「千早ちゃんだけでしょう?神前さんからハグしに行ったの。他の子は全部受けですよね?」
「別に今日のは星井が飛びついてくるから、それのフォローのためにやっただけで・・・如月も納得してくれてましたし。」
626 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 14:47:47.79 ID:luD2zjAW
そう言われても、ニヤニヤが止まらない。すると、神前さんはため息をついて、ルームミラーを見る。
後ろの二人が寝ているのを確認すると、「内緒ですよ」と言って、語り出した。
「如月は、堂々とステージに立ってるように見えますけど、実はかなり緊張してるんですよ。
いや、緊張じゃなくて、恐れてるって言ったほうがいいのかな?
如月って、過去にステージで声が出なくなったりしたことありませんか?」
思い出される。千早ちゃんが、弟を目の前で、事故で亡くしていること。
そのことを記事に悪く書かれて、ショックで声が出なくなったこと。
アイドル活動を休止して、引退の可能性もあったこと。
でも、それは――――――
627 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 14:48:29.71 ID:luD2zjAW
「それでも、天海や他のみんなのお陰で、立ち直れたらしいですね。
それで、なにか大事なものを掴んだみたいです。
今まで、歌うために歌ってきたような奴が、今度は人とつながるために、人と人とをつなぐために歌おうと思ったそうです。」
本当に、真面目な子なんだから・・・
後ろの座席を覗く。静かな寝息を立てている千早ちゃんは、やっぱり昔より、表情が柔らかくなった気がする。
「ただ、一回歌えなくなった恐怖は、簡単には拭えないようで
例のGWの時の話なんですけど、あいつ、月明かりの下で、ボーッとしてるんですよ。
なんか、妙に肌が白くって、なんとなく手をとったら、すっげー冷たくって。
そしたら、なんか・・・こう・・・抱き寄せてました。」
628 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 14:49:06.06 ID:luD2zjAW
なるほど。これが真相。
美希ちゃんも言わなかった、千早ちゃんの秘密か・・・
「それでまぁ、如月には慣れたっていうか、傍で支えてやりたいかなぁっていうか・・・・・・」
「・・・・・・それで、何処まで行ったんですか?」
「いや、体が温まるまで抱きしめてただけっすよ。それ以上はなんもしてないですよ。」
「身体が冷えてる場合、裸で暖めあうのがセオリーですよね!それで何処までやっちゃったんですか!?」
「ちょっと!人がガチで真面目な話したっつーのに!あんたってひとはっ!!!」
629 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 14:49:32.98 ID:luD2zjAW
とりあえず、神妙な空気のままはダメ。なぜなら事務所が近いから。
でも、これでわかったわ。千早ちゃんと神前さんにある、妙な絆。
後は亜美ちゃんかしら。一目惚れという反応じゃないから、きっと何かあったんだと思うけど。
でも、もう時間がないみたい。
まだまだ日が高く見えるけど、もう午後5時を回っていた。
神前さんは、あたしたちを事務所の前でおろし、ちょっと離れたところにある駐車場へ止めに行く。
630 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 14:50:05.85 ID:luD2zjAW
社長の言うように、律子さんもプロデューサーさんも、そしてあたしも、長い間一緒にいたせいで、あの子たちの変化に気づけないでいる
のかもしれない。
神前さんは、そんな変化を気づかせてくれる、大事なキーパーソンかもしれない。
「でも、人に任せっきりはできないし、あたしも頑張んないと!」
あたしは音無小鳥。この765プロの事務員であり、みんなのお姉さんである。
631 :
神前竜磨:2012/05/10(木) 14:58:31.08 ID:luD2zjAW
( ´ー`)フゥー
小鳥さんごめん キャラ安定しなかったよ
でもありがとう。おかげで神前の暴走が収まった
収まった・・・?
これがアニメなら、15話がAパートだな
そして16話がBパート Cパートが17話か・・・あれ?
その日のレコーディングを終えた俺達は、事務所に戻り一息ついていた。
しかし、一回上からビビく声に、皆が戦慄する。
次回「トレーニングルームで一人で歌うモノ」
この次も、サービス、サービスゥ!
おつかれー
たつまの罪は多いなw
たぶん他の人も見てるはずw
俺以外の書き込みあるしw
次も期待してる!w
やよいのPの俺も読んでるぜ
やよい回よろしく頼む
634 :
神前竜磨:2012/05/11(金) 20:36:16.99 ID:VpsdhYF4
今のうちにやよいを書かないと忘れてしまう。
そう思って書き始めたはずなのに。
高槻さんは何処へ・・・・・
16話スタート
635 :
神前竜磨:2012/05/11(金) 20:37:12.69 ID:VpsdhYF4
現在時刻、午後5時13分。
カバーアルバム『O.P.』の収録3日目。収録は順調に進んでいた。
今日は如月と星井の収録だった。
今日も、調子に乗ってしまった。
俺みたいなド素人が、まさか如月に意見するとかな。身の程知らずめ!
後あれだ。星井がスタッフの前で飛びついてきてから、なんだか視線が痛かった。
我那覇ン時みたいなのは避けたかったから、如月にも付き合ってもらったけど、大丈夫かな?
まぁ、俺にカミソリ送ってくるとか、スパムメール送ってくる程度ならいいんだが・・・・・・
636 :
神前竜磨:2012/05/11(金) 20:38:13.15 ID:VpsdhYF4
ダイジョブか。ああいうところのスタッフだし。765プロ御用達って話だし。
ん?そうすっと、あの先輩もあそこに出入りしてたんだよな?いつもの調子で
んで、みんな名前で呼んで、星井にハニィって呼ばれて、んで問題なかったのか?
あれ?俺いらない心配した?やべ、音無さんが言ってたの冗談じゃなくてガチっぽいぞ
・・・まぁ、いいよな。うん、役得があったから相殺だ。如月だって嫌がらなかったしな!
637 :
神前竜磨:2012/05/11(金) 20:38:56.38 ID:VpsdhYF4
収録スタジオから俺の車で如月、星井、音無さんを事務所まで送り、少し離れた駐車場まで止めに来た。
そして2分もかからず俺に部屋がある。
こっちに来るときに、おじさんの出した条件だ。住む場所と駐車場を工面すると。
工面って言って、会社の近くにアパートを借りてくれただけだ。家賃は自腹。
まぁ、一応都心だし。近くに駐車場まで借りられたのはいいんだけど。
やっぱり一応都心なので、車に乗る機会がない。だいたい事務所まで歩いて10分だ。
638 :
神前竜磨:2012/05/11(金) 20:44:12.18 ID:VpsdhYF4
あー、ちょー帰りてぇ。家でごろごろしてぇ。いやいや、そういう訳にはいかない。
今日は戸締りすることになってるし、先輩たちいたら挨拶しとかねーとならんし。
とにかく事務所に戻らねば。俺は裏路地を抜け、大通りに出る。
後は真っすぐ行けば事務所だ。
なお、反対に進めば、天海がいつもラジオの収録をしているスタジオがある。
・・・・・・これ、社用車が一台追加されたみたいな形じゃね?いいんだけどさ。
639 :
神前竜磨:2012/05/11(金) 23:48:49.69 ID:VpsdhYF4
「ありがとうございました〜」
コンビニで適当に見繕って、再び帰路につく。
おにぎりは明太子、鮭、梅。ツナマヨは売り切れだった。
「・・・って、なんで星井のエサかってんだ俺・・・」
640 :
神前竜磨:2012/05/11(金) 23:50:28.04 ID:VpsdhYF4
職業病か!星井が事務所にいるとおにぎりを用意してしまう。
いいか、適当にスイーツ類も買ったし。
四条も大食いだが、星井も割と食う。何度か昼飯を食われてる俺が言うんだ、間違いないぜ。
俺のイメージじゃ、食ってるか寝てるかだな。2:8の割合で。
それにしても、あいつは誰構わず飛びついていくのはどうにかならないのか。
あいつの仕事についていくことはないけど、どこでもアレでは先輩もたまったもんじゃないだろうな。
せいぜいスタッフの嫌がらせに耐えるがいいさ、ふふふ・・・
641 :
神前竜磨:2012/05/11(金) 23:51:55.72 ID:VpsdhYF4
それにして、今日の音無さんはしつこかったな。いらんことまで喋っちまったけど、ダイジョブかな?
如月に不利になることは言わないだろうが、俺の身が大丈夫か?
大丈夫だ、問題ない・・・・・・よな?
大体好いた惚れたなんて話、俺にあるはずないだろうに。
ああいうのはイケメンに限るんだよ。どっかのイケメンメガネに限るんだよ!
まぁ、それも問題ない。好みのタイプから、プロデューサーとしての意見にすり替えたからな。
うまいこと誤魔化せたはずだ!
つっか、あの人絞ってるな。はじめの三人に絞ってるな。なんで亜美だよ!
・・・・・・早く戻ろ。
642 :
神前竜磨:2012/05/12(土) 07:55:06.04 ID:7nsNwRTX
ぐだぐだ考えている間に事務所の入ってるビルに着いた。
一階の飲食店の裏側に、二階へ続く階段の扉がある。
中に入ると、右手に郵便受けが4つ設置されているが、765プロのネームプレートしか入っていない。
ちなみに、この建物は4階建て。三階が我が事務所で、四階がトレーニングルームだ。
二階には法律事務所みたいなのが入っていたらしいが、今は空き部屋になっている。
俺は二階を通り過ぎ、三階の事務所を開けた。
643 :
神前竜磨:2012/05/12(土) 07:58:17.69 ID:7nsNwRTX
「だーめなのー!真くんはもっとかっこいいの着るのぉ〜」
「やめてよぉ!返してよ美希ぃ!」
「美希!やめなさい!いじわるしないの!」
「でも、そのままのほうがセクシーかもよ?」
たつま!続きはまだか!
645 :
神前竜磨:2012/05/13(日) 22:39:00.33 ID:FRYrClQT
すまない 作者だ
ここ数日くしゃみが止まらない。多分機関の妨害工作によるものだろう。具体的には黄砂。
あと、やよいのことがわからなくて色々やってた。
ホントは2のやよいをやる予定だったけど、途中だった雪歩を始めたら時間がなくなった。
明日にでも続きをあげるから待っててくれ。
てか、くしゃみし過ぎで背中が痛い
おおう・・・
そうだったのか我儘言ってすまん
しっかり養生してくれ
続き楽しみにまってるw
エル・プサイ・コングルゥ
648 :
神前竜磨:2012/05/14(月) 10:34:49.32 ID:2pkJtz5D
星井、菊地、如月、天海の四人がきゃいきゃいと騒いでいる。
3人よれば姦しいというが、4人になるとどうなるのかね?
とりあえず、買ったエクレアは6つ。他にいなければ問題ないはずだ。
社長室の向こう側、スケジュール表の前のスペースから、星井が布切れをもって走ってくる。
「あ、たつまぁ」
「おう、ただいま。」
「え!?神前さん!?」
「ちょっと!美希返してよ!!」
「真っ!行ってはダメ!!!」
649 :
神前竜磨:2012/05/14(月) 10:35:58.23 ID:2pkJtz5D
・・・・・・・・・・
「なるほど!大体わかったぞ!」
俺は星井を押しのけ、ずんずん遠くへ向かう。そう、目指すは桃源郷!天津神の住まう高天原!
さすがの星井もまずいと思ったのか、俺の腕を掴んで引っ張る。
「だーめーなのー!たつま全然わかってないのぉ!」
「分かっているからこそ行くんだ!」
650 :
神前竜磨:2012/05/14(月) 10:36:57.42 ID:2pkJtz5D
手荷物ビニール袋を休憩所のテーブルに放り、更に奥へと向かう。その角の向こうにある、黄金の国ジパングを目指し。
そう、これは簡単な推理だ。
星井の持っているのはスカートだ。菊地は返せといっている。そしてそのままのほうがセクシー。
つまり!今菊池は下半身を露出したあられもない姿なのだ!
しかも、上は着込んでいるとみた!男なら行くしかあるまい!
しかし、俺の行く手を阻んだのは、ステージ衣装姿の天海だった。
651 :
神前竜磨:2012/05/14(月) 10:37:58.63 ID:2pkJtz5D
「ここからさきは、行かせませんよ?神前さん。」
天海の頬を、汗が伝う。視線が絡み、緊張が生まれる。
天海のステージ衣装は、黒いワイシャツのようだが、袖が肘上から分離していて、長い手袋をしているようだ。
チェック柄と黒と半々にしたミニスカート。黒地に赤の縞の入ったハイソックスに、黒い厚底の靴。
赤いネクタイと赤いリボンが映える。天海によく似合っている。
俺は力を抜き、窓の外を眺めた。
夕日に染まる街並み。車の音。ビルの群れ。
そのすべてが、遠い世界のようだ。
652 :
神前竜磨:2012/05/14(月) 10:38:51.29 ID:2pkJtz5D
「天海・・・・・・覚えているか?
俺が入ったばかりのころ、ここで、お前にやる気をもらったんだよ。
正直、前の会社じゃさ、頑張ってるつもりでも、失敗続きでさ。ここでもあんまりやる気が出なかったんだ。
でも、お前の言葉が、俺に力をくれた。」
握る手に力が入る。そう、俺はもう迷わない。自分の道を進み続ける!
まっすぐに天海の目を見据える。
653 :
神前竜磨:2012/05/14(月) 10:39:24.29 ID:2pkJtz5D
「お前にもらった力!いま!ここで!」
「こんなところで使わないでください!!!」
天海の動きは速かった。いや、速いのではない。
天海が右手を振りかぶり、顔面めがけて拳を繰り出すのを、何故か避ける事ができなかった。
「ごふぁっ!?」
「ああっ!たつまぁ!」
2回半ほど体をひねり、後頭部から落下する。頭から多量の血が流れたりはしないが、結構痛かった。
床に沈む俺を、星井が介抱してくれる。
654 :
神前竜磨:2012/05/14(月) 10:43:25.55 ID:2pkJtz5D
「春香やり過ぎなのぉ。顔がひどいことになってるのぉ」
「元からそういう顔よ!」
ひどい。
「神前さん、アグレッシブですねぇ。」
何処にいたのか知らないが、緑のベストに黒いタイトスカートの事務員さんが、俺を見下ろすように立っている。
その表情は嘲り・・・いや、哀れみだ。
「音無さん・・・・くろ、ぐふっ!?」
床に打ち付けられ、俺は意識を失った。
655 :
神前竜磨:2012/05/14(月) 17:20:39.46 ID:2pkJtz5D
「たつま、ホントに大丈夫なの?」
「くらくらするけど、外傷はないから、きっと大丈夫だ。」
「美希、その人から離れたほうがいいわ。」
如月が冷たい目をして星井を引き剥がす。現在位置、765プロ事務所、休憩室。テーブル横で正座をさせられている。
「まったく!ヘタレのくせに、なんでアグレッシブなんですか!もぐもぐ」
「ほーれふよ!もぐもぐ」
「あの、二人共、食べながら喋るのは良くないと思うよ?」
ギロッと菊地の注意を黙殺し、エクレアを頬張る音無さんと天海。
656 :
神前竜磨:2012/05/14(月) 17:21:11.47 ID:2pkJtz5D
「そんなに真ちゃんの全裸が見たかったんですか!」
「全裸っ!?」
「ふぇんらっ!?」
天海の口からクリームが飛ぶ。
「いや、全裸はちょっと・・・」
全裸ではちょっと引く。やはり、少ない布で必死に隠すとかされるとググッと来るわけで。
657 :
神前竜磨:2012/05/14(月) 17:21:49.08 ID:2pkJtz5D
「もういいじゃないですか。ボクだったらちょっとぐらい見られても平気ですし。
別に全裸でもなかったですし・・・・・・」
「だめよ、そんな甘いこと言っちゃ。ほら、「なら今すぐ見せろ!」って顔しちゃってるでしょ?」
「してねぇっすよ!どんな顔っすか!」
ちなみに、天海と菊地は、すでに普段着である。見たかったなぁ、何着てたかしらないけど。
658 :
神前竜磨:2012/05/14(月) 17:22:32.53 ID:2pkJtz5D
「だいたいなんでここで着替えてたんすか?更衣室あるんでしょ?」
事務所の隣が女子更衣室になっている。男性の出入りがあるここじゃなくて、ちゃんと更衣室を使えばいいのに・・・
「衣装の合わせです。結構前から使ってるから、サイズとか合わなくなってるといけないんで。」
「ちょっと着てみるだけだし、大丈夫だろうって、ボクが言ったんです。」
「そのちょっとの油断が・・・つか、俺がすぐ帰ってくるの知ってましたよね?音無さん知ってましたよね?」
あ、目逸らした。わざとかよ!それでこの仕打ちかよ!
659 :
神前竜磨:2012/05/14(月) 17:23:18.41 ID:2pkJtz5D
「くそう・・・見てボコられるならまだしも、見ないでボコられるなんて理不尽だ!」
「・・・・・・あたしの、見ましたよね?」
ギヌロン!と、ものすごい形相で睨みつけてくる事務員さん。ヘタなこと言ったら殺されそうだ。
「いえっ!逆光で見えませんでした!適当に黒とか言ってすみません!」
「え?見てないんですか?」
「はい!まったく!」
660 :
神前竜磨:2012/05/14(月) 17:24:06.11 ID:2pkJtz5D
「そうですか。それならいいです。あ、エクレア食べますか?ソファーに座ってください。」
いつもの笑顔に戻った音無さん。自分のことさえ良ければいいようだ。
そのエクレア俺が買ってきたんですけどね・・・
とりあえず、正座から解放された俺は、菊地の隣に座って一息つく。
音無さんは通常に戻ったけど、天海はまだ睨んでくる。視線が痛い。
661 :
神前竜磨:2012/05/14(月) 17:26:58.81 ID:2pkJtz5D
「そっちの二人も、エクレア食わないか?」
奥のほうで話をしていた如月と星井を呼んだ。如月が冷たい目を向けるが、星井がしょぼくれてるのが気になる。
星井は音無さんの隣に、如月は俺の隣に座ると、エクレアの袋を破く。
如月の顔を覗くが、そっぽを向かれた。GW前に逆戻りだ。むしろ後退か。
GW前までは、如月とは話したことがなかった。目が合うとそらされるか逃げられるかだったため、嫌われいると思っていたが、
本当は、話すきっかけがなかっただけらしい。如月は結構人見知りするようだ。やっぱりネコっぽい。
だが、今回は明らかに嫌われたのだろう。しかたがないけどさぁっ!
そうさ!しかたがないんだ!音無さんといろいろ話してたせいで、こう、色々と外れちゃったんだよ!リミッター的なものが!
まずいな。この状況であの話が出てきたら、なんだか殺されそうだ。天海に。天海はバイオレンス。
662 :
神前竜磨:2012/05/14(月) 17:28:30.67 ID:2pkJtz5D
「そ、そう言えば、今日は美希と千早の収録だったんですよね?どうでした?」
ナイスだ!菊地!こんな覗き野郎のフォローをしてくれるなんて、マジで聖母か何かか!
「お、おう!それがさ、やっぱ二人共すげーわ!今日も俺調子乗っちまってあれこれ言ってたんだけどさ、
二人共きっちり答えてくれてさ、最高の曲がとれたよ。」
そうだ、この二人だったからこそ、あそこまで熱くなれたとも言える。先日の水瀬の時とかは、もっとクールだったはずだ。
「な?星井。今日は最高だったよな?」
もしゅもしゅと、うつむいてエクレアを食べてた星井。顔を上げるが、まだ浮かない顔だ。
663 :
神前竜磨:2012/05/14(月) 17:29:21.72 ID:2pkJtz5D
「たつま・・・今日、ごめんね。」
星井が謝るというと、昼間の件だろうか?
どんなふうに言ったのかは知らないが、如月は昼のことで、星井を注意してたのか。
「別にいつものことだろ?今更気にしてねぇから。大丈夫だ。」
そう言って笑ってみせたが、星井はますます落ち込む。
「たつま、美希に抱きつかれて、嫌だったよね?ごめんね。」
あれぇ!?若干ニュアンス違うぞ!
「いやいや、別に嫌じゃないって!むしろ大喜びだだだだっ!!!」
如月に膝をつねられた!?
664 :
神前竜磨:2012/05/14(月) 17:30:06.13 ID:2pkJtz5D
あう・・・何も言えん。
確かにベッド扱いは嫌だったが、女の子に抱きつかれること自体は大変嬉しいことでした。
でもやっぱし教育上よろしくないよね。星井も高校生だし、恥じらいをもってもらわないといけないよな。
非常に残念だけど。
横で「何これ?修羅場?」とか、ヒソヒソ言ってる事務員さんを無視して、しょぼくれる星井になるべく優しく語りかけた。
美希って高校生だっけ・・・?
666 :
神前竜磨:2012/05/14(月) 21:33:49.52 ID:2pkJtz5D
667 :
神前竜磨:2012/05/14(月) 21:34:46.27 ID:2pkJtz5D
「星井、あのな・・・そのな・・・
まぁ、時と場合を考えてだな。人の目ってやつを、もうちょっと考えてくれればな。別に俺わっ!?」
痛い痛い痛い!如月さん痛いです!足!足踏まないで!
「・・・・・・たつま、美希のこと嫌いじゃないの?」
「じゃないじゃない、大丈夫だから。」
左足にかかる圧力が更に上がり、そろそろ感覚がなくなってきた。
「・・・・・・ハグしてもいい?」
「ああ・・・人目の付かないとこならな。」
――――――ダンッ!!
いま、俺の左足が消滅した。
668 :
神前竜磨:2012/05/14(月) 21:35:40.14 ID:2pkJtz5D
「人目のつかないところですって、ヒソヒソ」
「美希がいただかれちゃう、ヒソヒソ」
お前らヒソヒソって言えば密談になると思ってるだろ。
星井は星井で、「よかったー」といって、安心してエクレアを頬張る。
うんうん。よかったよかった、俺の足はなくなったけど。感覚だけ。
「あはは・・・明日は、春香とやよいだったね。がんばってね?」
「うん、頑張るよ真!」
小さくガッツポーズをする天海。その拳は何処へ向けられるのか。
「春香、高槻さんを守ってあげてね。」
「まかせて!さっきので行くから!」
なるほど、ステージ衣装は戦闘服か。
669 :
神前竜磨:2012/05/14(月) 21:37:31.71 ID:2pkJtz5D
「そういや、高槻の曲は早口だからなぁ。キラメキラリより覚えにくい歌詞だし、大丈夫かな?」
キラメキラリ。765プロを代表する曲の一つで、元は高槻のために作られた。
先輩の考案したフレキシブルユニットシステム(命名俺)により、765プロ全員が歌える。
しかし、早口言葉のようなフレーズがいくつも入り、結構歌うのは難しい。
「高槻さんはしっかりしてますから、大丈夫ですよ。」
「そうだよね。うちで一番しっかりしてるよねー。」
「でもあいつ、家の仕事とかもやってるって話だろ?今週特番の収録もあったし、ちいせぇ体で無理してんじゃねーかな?
無理させてる本人が言ってもなんだけど。」
今日はオフだし大丈夫だと思うけど、家で倒れてたりしねーだろうな?
歌詞覚えらんなくて、一人で泣いてるとか。
帰りちょっと見に行くか。高槻んちどこだろ?
一人考えこんでると、みんなも心配そうに俺を見ている。
670 :
神前竜磨:2012/05/14(月) 21:39:05.16 ID:2pkJtz5D
「音無さん、高槻の家教えてもらえませんか?ちょっと様子を見に行きたいんです・・・けど・・・?」
みんなの顔色が変わった。驚き、落胆、戸惑い、様々だ。
なんだろう?今の会話に何か問題でもあったか?
「か、神前さん?さすがにやよいちゃんはアウトですよ?」
「小さい体って、ヒソヒソ」
「本物だね、ヒソヒソ」
「高槻さんはわたしません。」
厚い信頼だな!畜生!
671 :
神前竜磨:2012/05/14(月) 21:40:25.16 ID:2pkJtz5D
「もぐもぐもぐ」
いつの間におにぎり食ってんだ星井は。お前のために買ってきたんだからいいんだけどさ。
「あのさ、高槻って中3ですよ?」
「だからダメなんですよ!」
「中3はOKだと思ってるんだ。」
「中学生までいけると思ってるかも。」
「神前さん・・・・・・」
逆だよ!俺もダメだと思ってるよ!
もはやかわいそうな人みたいに言われてる。どうしてこうなった。
672 :
神前竜磨:2012/05/14(月) 21:41:16.35 ID:2pkJtz5D
「あのね、俺はね、高槻が小さい体で無理してるんじゃないかな?って心配してるの?分かる?」
「体しか見てないんですか!」
「小さいほうがいいんだね。」
「僕も小さいってことかな?」
「・・・・・くっ」
だいぶ日が傾いて、暗くなってきた。もうすぐ6時か。黄昏時というやつだ。
町の電灯が点き始め、人々は家路につく。
先輩たちは直帰だし、今日は早めに戸締りして帰ろう。
そして、スーパーでちょっと良い肉を買っていこう。
喧騒の中、俺は一人、晩餐の支度を考えていた。
674 :
神前竜磨:2012/05/14(月) 22:11:22.71 ID:2pkJtz5D
「さて、かえりますかね?」
「はい。やよいちゃんの方は、任せてください。」
協議の結果、高槻の様子は音無さんが見に行くことになった。
事務所にカギをかけるところで、どこかから音が聞こえるのに気づく。
いや、この町中で音などいくらでも聞こえるのだが、これは明確に音楽だ。
675 :
神前竜磨:2012/05/14(月) 22:13:04.55 ID:2pkJtz5D
「?どうしました?」
「聞こえませんか?上で誰か練習してますね。」
「あら、ほんと・・・って、神前さんなにを・・・?」
俺は事務所に戻ると、冷蔵庫からペットボトルを数本取り出す。
「差し入れですよ。高槻に。」
「やよいちゃん?ああ、これやよいちゃんに選んだ曲ですね。」
676 :
神前竜磨:2012/05/14(月) 22:13:55.46 ID:2pkJtz5D
再び事務所のドアを閉めて、カギをかけると、俺達は4回のトレーニングルームを目指した。
ドアを少しだけ開けて覗くと、案の定、高槻が部屋の真中に座り込んで歌ってる。あ、噛んだ。
「(音無さん、さっきはすみません。)」
「(なにがですか?)」
「(すげーもって帰りたいです、あの可愛い生き物。)」
「(同感です。)」
677 :
神前竜磨:2012/05/14(月) 23:11:12.16 ID:2pkJtz5D
いつまでも覗いている訳にはいかない。
ペットボトルを片手に、単身突入する。
慎重に接近したつもりだったが、影のせいで見つかったようだ。
「あれ?神前さん!」
「おー、高槻。自主練か?」
ふわふわのツインテールを揺らして振り返る高槻の頬に、緑茶のペットボトルを押し当てる。
678 :
神前竜磨:2012/05/14(月) 23:21:24.98 ID:2pkJtz5D
「はわっ!冷たいですぅ」
「ははっ。どっちにする?」
そういって、オレンジジュースのペットボトルも見せてやると、高槻はきょとんとする。
「オレンジジュースは伊織ちゃんのじゃないんですかぁ?」
「別にあいつ専用ってわけじゃないよ。経費で買ってるやつだから気にするな。」
ちなみにディスカウントショップで買ってきた安いやつだから、あのお嬢様は飲まないだろう。
やよいの語尾は ですぅ にはならなくて です〜 くらいまでかなーって
やよいのPの俺「俺のやよいをよろしくお願いします(キリッ」
680 :
神前竜磨:2012/05/14(月) 23:53:58.71 ID:2pkJtz5D
「ビタミン補給だ」と、オレンジジュースを押し付け、隣にあぐらをかいて座る。
「まったく、いつからいたんだ?危うく帰るところだったぞ。」
「あう・・・ごめんなさいです。」
「謝るこっちゃねーって。ただ、無理して体壊されても困るんだ。家の仕事とかもやってんだろ?」
「今日は大丈夫です!長介・・・あ、弟たちが、お母さんのお手伝いをしてくれてるので、すっごく助かりましたぁ。」
確か弟4人妹1人だったな。家族多いと母親一人では捌ききれなくなるか。
高槻がしっかりした子になるわけだ。事務所前の掃除だって、毎日かかさずやってるもんな。
681 :
神前竜磨:2012/05/14(月) 23:59:49.97 ID:2pkJtz5D
「・・・・・・で、いつからやってるんだ?」
「その、お昼に来て、プロデューサーからここの鍵をお借りしてからずっと・・・」
「んで、疲れて座り込んでたのか。床に直に座ってたら腰冷やすぞ。」
ぐるっとへやを見渡すが、敷物になりそうなものは見当たらない。
一旦事務所で休ませるかな?
「とりあえず、俺の膝に来るか?」
あっはっは、っと冗談を言ってみる。
「いいんですかっ!?」
目を輝かせる高槻。あれ?
682 :
神前竜磨:2012/05/15(火) 16:15:49.14 ID:9dowd9zq
すまん 作者だ
やよいムズイ 全然進まない
ちょっと自分舐めてたわ
修行してくる 探さないでください。
失踪は許さないからな!
絶対に帰ってくるんだぞ!
保守
ほしゅ
うんこ
ほしゅ
ほしゅ
保守
ξ*・ω・)ξ 保守うっうー!
保守なのっ
梅
この伊織ちゃんが保守してあげるんだからね!
感謝しなさいよね!
たつまあああああああああ
てst
696 :
神前竜磨:2012/05/24(木) 14:15:45.67 ID:SnSyayeT
(゚д゚)!
やべぇ・・・俺妹P続やってる場合じゃねぇ・・・
やっときたかこのやろうw
プロデューサーさんっ、保守ですよ、保守!
699 :
神前竜磨:2012/05/25(金) 11:45:01.42 ID:H04j970g
来年あたりに代アニ受験してみるわ
700 :
神前竜磨:2012/05/26(土) 01:26:41.01 ID:PQmUY6K/
701 :
神前竜磨:2012/05/26(土) 01:29:59.20 ID:PQmUY6K/
あと、保守ありがとう
そうか、一定期間書き込みがないと消されたりするのか
また勉強になった
おお!新しいの来てた!
今までのやつも上がったりする?
いろいろがんばれたつま!
おかえりー
板違い
ぼす
ばす
どす
べす
ぱす
ばすかぶってた・・・
ごす
ぶす
もうこないのかな・・・
714 :
名無しくん、、、好きです。。。:2012/06/08(金) 23:29:28.45 ID:1yE3ah7+
作者逃亡さらしあげ
715 :
名無しくん、、、好きです。。。:2012/06/09(土) 22:31:53.20 ID:CgywlBsF
作者逃亡さらしあげ
たつまあああああああ
717 :
名無しくん、、、好きです。。。:2012/06/19(火) 21:58:16.43 ID:r4u8kOsM
スレ主逃亡さらしあげ
ぼす
719 :
名無しくん、、、好きです。。。:2012/07/01(日) 11:56:07.73 ID:CdTK8R4e
がす
720 :
神前竜磨:2012/07/02(月) 18:36:51.52 ID:CjcLBxcS
保守
!?
楽しみにしてたんだけどなー
723 :
名無しくん、、、好きです。。。:2012/07/07(土) 21:27:05.15 ID:dL9T11aH
やっべ、のこってる・・・・・・
724 :
vぐ:2012/07/07(土) 21:34:04.19 ID:odATmrRT
725 :
神前竜磨:2012/07/12(木) 00:38:51.90 ID:hsmoL9df
きてたああああああああ
読んでくる!
727 :
名無しくん、、、好きです。。。:2012/07/19(木) 12:07:14.89 ID:TcONbaU5
投下まだか?
現実を見ないでいつまでも労働者の権利権利って国鉄みたいに騒いでいたらしまいに相手にされなくなるよ
オフショア開発や業務委託がこれだけ一般化してきたのだから給料だけ高いのに仕事せん奴は淘汰されるだけ
正直言って海外からの留学生のほうがハングリー精神があるし文句言う前に仕事してくれるから、
わざわざ高い金払って文句たらたらの日本人雇う理由がない
言葉の問題?社内の公用語を英語にすればいい。ついてこれない奴はクビにまではせんが本人から辞めたいと言うまで永遠に雑用係だな
それと、今後日本の市場は人口減少と高齢化で縮むこと間違いないんだから、
求人も減る一方。無能な人間が職を得るのは難しくなってくること間違いない。
(言っとくが、優秀な人間は大企業で飼われるより自分の意思で仕事できるベンチャーを選ぶから)
「誰でもできる雑用」をする奴も要ることは要るが、圧倒的に買い手市場なんだから、後は値段の叩き合い
そんな中で日本が生き残るなら、もっと起業をしやすくして、起業で巨万の富を手にしたリッチが牽引する経済しかあり得ない
労働者の権利なんか強化したらまったく時代に逆行してる
起業したことない奴が何か反論するかもしれないが、
バットを握ったことない奴が野球について熱く語っても誰が聞くのかと。
729 :
神前竜磨:2012/08/11(土) 00:16:56.17 ID:iFMh+Uuq
↑とりあえず関係ないことがよくわかった。
続きは鋭利執筆中
そうそう、一応今ニートではなくなった
が、多分そろそろニートに戻る
溶接難しい
まじか!
というかせっかく脱出したのに勿体ない…
731 :
神前竜磨:2012/08/11(土) 23:37:20.58 ID:iFMh+Uuq
おお!
よんでくるー
733 :
神前竜磨:2012/08/27(月) 22:24:54.67 ID:DIu3dbGI
(=゚ω゚)ノぃょぅ
続きは鋭利執筆中だ。具体的には11KB
そこで思わぬアクシデントだ
訓練所を強制卒業させられた。理由は「見込みがない」
クビかと思ったが、ガチで人が足らないというか、仕事多すぎて2交代にしたいらしい
よって現場入りを果たしたんだが、無資格ニートには溶接もクレーンの使用も許されないそうだ
何のための訓練所かと・・・
そのうち取らせてくれるのかな?
・・・働きたくないでござる!
ブフッ∵(´ε(○=(゚∀゚ )
どうでもいいけど、読んでる人ひとり1挙手プリーズ
いや、居なくても続けるけど、ちょっとしたモチベーションがほしいんだ
その前にリアルの仕事が大変かもしれないけどな!
はい
たつまがんばって!
736 :
神前竜磨:2012/08/28(火) 22:49:53.29 ID:CM760uyX
二人もいるじゃねーか!くそっ!
ああ、書くさ!
コート破けるイベントとか、海イベントとかいっぱいあるしな!
回収してない伏線もな!
とりあえず
http://kie.nu/mAH 上に1年持つのを用意しておいた
もし不運にもこのスレを見た人はDLして読んでみてくれ
具体的に18話分あるから 短いけど
んじゃ、またな!ヽ(`Д´)ノ
ノ
↑
739 :
神前竜磨:2012/09/29(土) 03:50:16.72 ID:VTj7IKr9
(# ゚Д゚)ノフォルァヨ!!
http://kie.nu/rep すまん、いろいろあってあれなんだ 許してくれ
どうでもいいけど、エウレカセブン見始めたらえらい長いことに気がついた
昔のアニメって、こんなに長かったんだよな。
2クールってなんだよ!ヽ(`Д´)ノ
どうすんだ、先長ぇよ・・・
どこからみたんだwAOかそれとも最初からかw
741 :
神前竜磨:2012/10/01(月) 22:07:31.82 ID:cxrLPKXB
最初のやつ 50話ある
今度こそ響メインで書くぞ!現在2KB
君のような女神に、いつまでもそばに居て欲しい!!
742 :
名無しくん、、、好きです。。。:2012/10/03(水) 22:52:41.33 ID:MOXO3YXA
今北三行
でも響を書いてくれるなら我は待つ
743 :
名無しくん、、、好きです。。。:2012/10/06(土) 20:51:21.47 ID:aKzc7oMu
ちょおおおおおおおお
竜磨ああああああああああ
見れねぇぞおおおおおおおお
744 :
名無しくん、、、好きです。。。:2012/10/06(土) 22:08:29.64 ID:aKzc7oMu
お願いだたつま。
続きの読めない哀れな子羊ちゃんのためにもっかいあげてくれ。
続きが気になって夜しか寝れねぇ。
早くあげやがれください。(切実)
745 :
神前竜磨:2012/10/09(火) 23:44:06.30 ID:0SeIpy8P
19話まで再投下( ´∀`)つ ミ
http://kie.nu/sRe 一年持つはずなんだが、アクセスがないと消えるのかね?
足とかかとと背中と腕と腹筋辺りと脇腹が痛い
あと水虫っぽい何かが小指の関節を侵食して血が出始めた
そろそろ死ぬぞ!
746 :
名無しくん、、、好きです。。。:2012/10/11(木) 22:14:56.97 ID:HVyKiI7z
>>745 ありがてぇ・・・! ありがてぇ・・・!!
これでまた明日から頑張れる。竜磨、俺はいつでも楽しみに待ってるからな。
さすがたつまだぜ!
そこにシビ(ry
748 :
名無しくん、、、好きです。。。:2012/10/31(水) 21:54:02.62 ID:Z1hSWyY5
たつま!
前回から一ヶ月空いたぞ!!
続き!続き!!
おにぎりワッショイ!!
\\ おにぎりワッショイ!! //
+ + \\ おにぎりワッショイ!!/+
+
. + /■\ /■\ /■\ +
( ´∀`∩(´∀`∩)( ´ー`)
+ (( (つ ノ(つ 丿(つ つ )) +
ヽ ( ノ ( ノ ) ) )
(_)し' し(_) (_)_)
749 :
神前竜磨:2012/11/04(日) 23:01:00.79 ID:JUpnxCHd
「・・・・・・」
「・・・な、なんだよ」
「かんざき、10月10日に間に合わせるっていってなかったか?」
「俺じゃない。作者が勝手に言ってただけだ。」
「自分の誕生日に合わせるって・・・」
「だーかーら!俺じゃねぇって!
作者は作者!俺は俺!」
「11月だな・・・」
「ああ、そうだな。俺らまだ6月ぐらいだけどな。」
「リアルの仕事が忙しい・・・のか?」
「ああ・・・いや、だから俺は作者じゃなくて!」
「まぁ、がんばれ」
「あ、ああ・・・」
750 :
名無しくん、、、好きです。。。:2012/11/05(月) 22:28:57.31 ID:ATaBuTDv
頑張れたつま
応援してるぜ
たつま頑張れよー
そして早く読みたいよ
753 :
名無しくん、、、好きです。。。:2012/11/25(日) 12:44:18.84 ID:bquG3qFD
新作マダー?
いやうん、たつまのスピードでいいんだけどさ。
慌ててしなくてもいいんだけどさ。
その・・・まぁ・・・なんだ・・・。
こう、焦らすのはうまいんだな。たつま。765でもここでもw
竜磨おもろい!
続きが気になるね。・・・・・・・はよ
755 :
神前竜磨:2012/11/29(木) 23:32:53.17 ID:ZI6PhKCf
「神前さん、11月ももう終わりますね?」
「ああ、そうだな」
「土砂降りの中、いつまで待てばいいんですか?」
「いや、あの、すまん。天海。」
「いつまで梅雨入りしたままなんでしょうねぇ・・・」
「その・・・ダラダラと駄文が伸びちまって・・・いま27KB・・・」
「29KBが過去最高ですね。記録更新頑張ってください。今日中に」
「ちょっ!?あしたもしごt」
「がんばってくださいね?」
「・・・・・・・はい」
756 :
名無しくん、、、好きです。。。:2012/11/30(金) 19:49:35.65 ID:PoeoLI9L
すばらしい。駄文長文どんとこい。
・・・わた春香さんに昨日中にやれって言われてるじゃないですか!
ということは更新は今日ですね、今日なんですね、わかります。
前回更新から本日時点で54日経過。
すぅばらしぃ!どんどんやってくれたまえっ!
我らPはいつでも君を待っているぞぉ〜!
758 :
神前竜磨:2012/12/01(土) 09:16:31.56 ID:WuPXVWTI
「神前さん。」
「はいっ!」
「私は無理は言いません。」
「はいっ!」
「でも、腑に落ちないことがあるんです。」
「はいっ!」
「昨日遅くまで・・・いえ、朝までどこにいらしたんですか?」
「・・・あの、如月さん?自分にも上司との兼ね合いというか、付き合いというものがありましてね?」
「どこにいらしたんですかっ?」
「そのっ ・・・キャバクラ・・・?」
759 :
神前竜磨:2012/12/01(土) 09:24:34.56 ID:WuPXVWTI
「・・・・・・」
「いやっ!好きで行ったわけじゃないんだ!ちょっと遠方から出向に来てた人たちが帰るんで、それの送別会で」
「・・・・・・」
「だいたい俺は酒嫌いなんだよ!料理で使うぶんしか買わねーんだよ!
それに女と話するだけに時間5000円とかわけわからねーよ!
んなとこ行くぐらいなら事務所くるわ!」
「・・・・・・」
「ちょっ!?如月さん!?いつの間にそんなにスマートフォンを使いこなして!?」
「私のも同じ機種ですから。・・・・・・昨日からSNSでやり取りされてるこのかたは誰ですか?」
「ああ、そのひとアニメとかかなり詳しくてな。まさかゴーダンナーで話が盛り上がるとは夢にも思わなk」
「しっかり楽しんでるんじゃないですか・・・」
「いやっ!つか、俺の交友関係なんて別にいいだろ!
お前はあれか!俺の奥さんか!
ちょっ!スマホ投げんなよ!痛い!痛い!殴んな!
ごめんなさい!書きますから!書きますから!!」
「・・・・・・バカ」
「くそっ 俺作者じゃないのに。理不尽だ。」
760 :
名無しくん、、、好きです。。。:2012/12/01(土) 19:58:14.82 ID:Mdv8DcuQ
あれだけ期待させといて結局お預けの俺たちの方が理不尽だと言いたいわ。
だが書くと言ってくれたことに関しては、敬意をもって全裸待機しておく。
最近寒いんだ、あんまり全裸待機してると風邪ひいちまう。
俺たちが風邪をひかない程度に、たつまの無理にならない程度に。
そのくらいでいいから頼むな。
業務連絡〜業務連絡〜〜神前さん神前さん至急続きを投下してください(般若)
たつま
がんばるんだ!
763 :
神前竜磨:2012/12/02(日) 15:47:56.52 ID:TcE3hK2m
〜⊂´⌒∠ _ _)ゝつ
http://kie.nu/BaS 最長の34KBだ!ヽ(`Д´)ノ
PSO2も龍が如く1&2も我慢してやったぞ!
俺はやったぞ〜!ヽ(`Д´)ノ
そろそろ神前のロングコートをどうにかしないと・・・
とりあえず、袖引きちぎるか
確か、まったく何も考えてないけど何かに使えるんじゃないかなっていう伏線をちらばしておいたような
OK これを使おうそうしよう
え?あずささんの話をかけって?
それはそれで構想はあるから大丈夫だ
ん?伊織?ああ、何とかする
シンデマスからの出演はあるのかって?
お前ら、今の状態で人増えたら俺は死ぬぞ!
しぶりんと奈緒は絶対に出す!
764 :
名無しくん、、、好きです。。。:2012/12/02(日) 16:16:31.31 ID:BK0MPBwJ
おっしゃああああああああああああああああああああ
たつま俺は信じてたぞおおおおおおおおおおおおおお
死ぬのは勘弁して欲しいが死ぬ気で頑張れえええええ
よし、ではコーヒーとクッキーを用意して至福のひとときを過ごしてくるわ
竜磨ぁ!あなたなら出来るって、私、信じてた!(掌クルッ
もれも私服のひと時を過ごしてくるぞ。
ふふ、あいも変わらず面白い・・・・・!
しかし、龍が如く1&2 HD EDITIONがお預けなのは忍びない。
ゆっくり休んでいいもの書いてね!(はぁと)
うおおおおおおおおお
たつまあああああああああ
よくやったああああああああ
PSO2やってんのかああああああああああ
今から読んでくる
768 :
神前竜磨:2012/12/10(月) 00:21:18.99 ID:EdHZmbJ9
龍が如く5がやりたいぞー
手元に届いたぞー
伊織の話・・・書かないと・・・
続きは、遥をトップアイドルにしてからでもええんやで?(菩薩)
ある意味伊織だし。
770 :
名無しくん、、、好きです。。。:2012/12/11(火) 21:38:37.08 ID:7rb+gOQx
なにかしら短編ていうか、サイドストーリー的なのでいいから
うpしてくれると嬉しいなぁと思うんだ。(迫真)
771 :
神前竜磨:2012/12/12(水) 23:25:58.12 ID:sUILQQzi
(# ゚Д゚)ノフォルァヨ!!
http://kie.nu/CNw ちょっと前のボツ原稿だ!
音無さんとの会話が気に入らなくってざっくりサクった
それはそうと、溶接始めてから右手が痺れてると思ったら
ついにひび割れやがった
きっと血液がまともに循環していないに違いない
そろそろ死ぬな!
えー大丈夫かよたつま
体は大事にな!
773 :
名無しくん、、、好きです。。。:2012/12/13(木) 21:40:09.63 ID:jKZxPqji
だいじょぶか?たつま?
無理すんなよ、健康第一だぞ?
お前がぶっ倒れたりしたら俺らも765のみんなも泣いちまうぞ?
でもそこそこにだけでいいから頑張れよ?(旗振り)
もういい休め・・・休むんだ、よくやったよ!お前は!
副業と本業の両立は難しいだろうが、体が資本なんだからそこんとこ宜しく
775 :
神前竜磨:2012/12/16(日) 22:34:58.52 ID:c7tzBl24
「ふふふ・・・もう逃げられませんからね?」
「あの、春香?別に縛ったりしなくても・・・」
「まて!ちょっとまて!逃げも隠れもしてないうちから、いきなり目隠しされて縛られてるんだが、どういうことだ!」
「それは、自分の胸に手を当てて聞いてみるといいよ」
「縛られてて胸に手を当てられんのだが・・・むっ!?なんか手に当たる!?」
「ちょっ!?亜美ちゃん!そんな事しちゃダメだよぉ!」
「ほら、代わりの胸が必要でしょ?」
「まて!何があたってるのかはあえて聞かないが、誰のだ!」
「はいはい。それじゃー行くよー?
THE IDOLM@STER 2 In765ProOffice、あとがき的な座談会スタート♪」
「それ!俺が縛られてたり目隠しされたりする意味あるの!?」
「だってほら、こんな格好見られるの、恥ずかしいですし」
「どういう状況!?」
776 :
神前竜磨:2012/12/16(日) 22:57:07.63 ID:c7tzBl24
「・・・・・えと、最初のお便りは、Pネーム 安田監督さんからです」
「お便り!?きてんの!?てか、座談会とちがくね!?」
「『いつも楽しく読ませていただいてます。早速質問なんですが、神前さんは結局、雪歩・千早・亜美の、誰が好きなんですか?』」
「三択!?なぜ三択に制限されてるの!」
「で?お答えは?」
「べっ、別に誰とかそういうのねーし!」
「『はっきりしてくれないと、神×PかP×神にしますよ?』」
「腐ってやがる!早すぎたんだ!」
「その・・・無理に答えなくても・・・」
「にーちゃんはロリコンだから亜美だよね?」
「ひんそーでひんにゅーでちんちくりんな私なんか、二人にかなうわけないよぅ〜」
「くっ・・・」
「亜美は将来性もあるよぉ?ボン・キュッ・ボンだよ!」
「え?何これ?なんかの罠なの?モテ期とかそんなもの俺信じないよ?」
「安田監督さん。P×神でおねがいしますね」
777 :
神前竜磨:2012/12/16(日) 23:15:35.72 ID:c7tzBl24
「次は・・・Pネーム、レッドホットチリペッパーさんからです」
「スタンドか・・・」
「『神前さんは、手持ちの電子機器にEVAのしとの名前をつけているようですが、他にどんなものがあるんですか?ぜひ教えて下さい』」
「今んとこ出てきてるのは、事務所で使ってるPCさはくぃえる、携帯とタブレットPCのいすらふぇる甲&乙
作中に名前は出てなかったけど、共用PCはあるみさえるになってる。
あと、自宅PCがたぶりす。PSPにれりえる。DSにいろえる。PS3にらみえる。
実家にある自分のPCにばるでぃえる。居間にある熱帯魚の水槽に水冷用の水を循環させているPCにがぎえる。」
「なんか、たくさんありますね?」
「にーちゃんのPSP壊れてるよね?ゲーム入れても動かなかったよ」
「ああ、あれは・・・色々してあるからな・・・」
778 :
神前竜磨:2012/12/16(日) 23:34:02.44 ID:c7tzBl24
「んと、最後の質問は、Pネーム・・・なんてよむの?」
「えっと・・・がんくつおう・・・だね」
「『シンデレラガールズから、俺の嫁の幸子を出してください!お願いします!』」
「俺に言うな!知らねぇ!」
「現在、シンデレラガールズから、諸星きらりちゃんがTV出演という形で登場してます。」
「他にもチラチラと名前が出てくると思うので乞うご期待!」
「そのうちにーちゃんがどこかからさらってくるかも!?」
「あの、そう言えば社長が・・・」
「ちっ、千早ちゃん!それ以上はダメ!」
「あ・・・ごめんなさい、萩原さん。ネタバレはいけないわよね」
「それでは、本日はこれにて!さよーならー!!」
「・・・・・・てか、お便りって全部白紙じゃねーか!!!!」
779 :
名無しくん、、、好きです。。。:2012/12/17(月) 21:53:27.32 ID:JV55XdWA
いきなり何かと思えばw
・・・ん?あとがき?何ソレフラグ?
まぁ、あとは12月24日になんかあれば俺はもう今年に思い残すことはないよ(ニッコリ
俺も不思議と12月24日に絶対なんかある気がするんだなー
竜磨ならしそうな気がするーなんだろうなー
あっもう少しで12月24日だっ!・・・・・・・・・(チラッ
782 :
名無しくん、、、好きです。。。:2012/12/24(月) 21:18:02.77 ID:vsZEtwQ2
12月24日なんだけどなー・・・(チラッ
783 :
名無しくん、、、好きです。。。:2012/12/24(月) 23:02:37.34 ID:4LoHMvu+
あと1時間で日付変わっちゃうんだけどなぁ…(チラッ
● <穴掘って埋まってますぅ。
785 :
神前竜磨:2012/12/27(木) 22:41:26.08 ID:13y5t4gb
( ゚д゚)ポカーン
お前らありのままあったことを話すぜ?
Xmasに合わせてXmasの話書いてたのに、クリスマスが終わっても書き上がっていない
超スピードとかそんなチャチなもんじゃない
もっと恐ろしい一面を俺は味w
詰め込みすぎた ジュピターなんか出すんじゃなかった orz
どうでもいいけど、モバマスの橘ありす可愛いですね
それじゃー良いお年を
え?今年中に書き上がる気なんてしませんよ?
良いお年を!
三が日のつまみにこの続きが見られたら、とっても嬉しいかな〜って!
787 :
名無しくん、、、好きです。。。:2012/12/28(金) 23:11:41.78 ID:Jz3f9wXQ
オレたちは・・・!
待つしかないんだ・・・!!
あいつがくるのを・・・!
待つ・・・しか・・・・・・!!!
788 :
神前竜磨:2012/12/30(日) 12:42:43.25 ID:MrnJfcmf
ふ・・・ふふっ・・・
やっと控え室から外に出たぜ・・・
ようやくゴールが・・・クリスマスライブがはじm
げふげふ
789 :
神前竜磨:2012/12/30(日) 20:11:34.03 ID:aYsC5YZp
(# ゚Д゚)ノメリークリスマス(アクセルクリムゾンスマッシュの意)!!
http://kie.nu/FHZ お前らが変な期待するから死にかけたじゃねーか!
しかも、無駄に36KBだぞ!記録更新したわ!
しかも無駄にダラダラ長いわ!全員いるのに千早が喋ってねぇわっ!
そうだ!クリスマスカード読んだの千早な!
これで全員セリフありだ!めでたしめでたし
ん?一人忘れてる・・・まいいか!まいいな!
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!
あぁ!ありがとうございます神様仏様竜磨!ありがとうございます!
これでマターリ年越し出来ます!
791 :
名無しくん、、、好きです。。。:2013/01/01(火) 02:06:57.41 ID:i/QlVq7M
あけましておめでとう竜磨!
792 :
名無しくん、、、好きです。。。:2013/01/01(火) 09:10:41.27 ID:CcgIrZUz
☆::*Happy-New-Year*::☆たつま!!
ことしもwktkしながら待ってるからな!
あと、(_´Д`)ノ~~オツカレー
この正月くらいはゆっくりしてくれw
793 :
神前竜磨:2013/01/07(月) 23:59:58.95 ID:G+mH2dgz
ピッピッピピッピ・・・・・・
「凛、何やってんの?」
「メール。おかーさんに、遅くなるからハナコの散歩お願いって」
「ふーん・・・で、あたしら結局、何やらされるわけ?」
「適当に、年始の挨拶とかしろって」
「ホント、適当だな・・・」
「そういうことだから、奈緒は着物に着替えてきてよ」
「はぁ!?なんであたしだけ」
「初詣で着てたじゃん」
「初詣だからだろっ!もう三が日どころの話じゃねーじゃん!」
「おはよー」
「加蓮、おはよ」
「おはようどころか、こんばんわだろ」
「業界用語みたいなもんだよ。奈緒、知らないの?」
「っさいなっ!業界もなにも、あたしらまだアイドルですら無いじゃん!」
794 :
神前竜磨:2013/01/08(火) 00:05:36.40 ID:4g8xxv1U
「とりあえず、新年、あけましておめでとうございます」
「ゆるく始めちまったな・・・」
「年始の挨拶終わっちゃったね。どうする?」
「『とか』って言ってたから、なんかやったほうがいいと思うんだけど」
「もっとハッキリ指示出せよなぁ!」
「ちょっとメールしてみる」
「「だれに?」」
「作者」
「ちょっ!凛!なんで作者のメルアドなんか知ってんだよ!」
「ああ、今日の話、凛にメールで来たんだって」
「うん。そこに返信するだけ」
795 :
神前竜磨:2013/01/08(火) 00:11:07.19 ID:4g8xxv1U
「んと、『クリスマスライブについてだべれ』」
「・・・まだアバウトだな」
「『とか』よりだいぶマシだよ」
「765プロのクリスマスライブの話だったよね」
「あたしらも行ったよなー!すごかったなぁ!」
「ちょっと遠すぎて見にくかったけどね」
「今までの12人に、3人加わって15人になったんだね」
「あれ?16じゃないのか?」
「秋月律子さん入れたら16人だけど、あの人はアイドルじゃないから・・・」
796 :
神前竜磨:2013/01/08(火) 00:29:41.35 ID:4g8xxv1U
「あたしらの出番まだかーっ!」
「別にいいじゃん?このまま平々凡々と生きようよ」
「・・・いや、私はアイドルやりたい」
「うわ・・・凛がやる気だ」
「いや、アイドルはいい」
「そうだよ、アイドルとか面倒なだけだよ?レッスンとか、営業とか・・・」
「・・・あんなのみせられて、憧れたりしない?」
「ん〜、まぁ、ちょっとはね・・・」
「あ、あたしはダメだぞ!あんな、か、可愛い服なんて、似合うわけないし」
「奈緒は十分可愛いよ。加蓮だって、結構歌上手いじゃん?高い声も出るし」
「ん〜、でもほら、あたしって、あんまり体力ないからさ。一曲歌い切る前に倒れちゃうかも」
「体力は、これから付けていけば大丈夫だよ。それに、歌メインなら、ダンスも激しいのにはならないと思うよ?」
「あ、アタシは、やりたくないけど、ふ、二人がやるって言うなら、心配だし、一緒にやってやっても・・・」
「うんうん、そうだね。ありがとう奈緒。持つべきものは親友だなぁ」
「・・・結局やりたいんじゃん」
797 :
神前竜磨:2013/01/08(火) 00:38:30.72 ID:4g8xxv1U
「とりあえず、3人でアイドル目指そう」
「そうだね。せっかく名刺もらったしね」
「まったく、3人とも同じやつからもらってんだもんな」
「私達、見込まれたってことでしょ?」
「どうかなぁ?あのプロデューサー、結構手癖が悪いらしいよぉ?週刊誌とか載ってた」
「あいつ、そんななのか・・・」
「週刊誌の話なんか、鵜呑みにしちゃだめだよ。私はあの人を信じる」
「凛・・・もしかして・・・」
「加蓮、違うから。あの人、そんなにひつこく勧誘して来なかったから、多分問題無いと思う」
「ん〜、まぁ、悪い人じゃないっぽかったよね・・・で、奈緒は何ほっとしてるの?」
「なっ!?べ、別にそんな、なんでもねーよ!」
798 :
神前竜磨:2013/01/08(火) 00:49:26.15 ID:4g8xxv1U
「で、クリスマスライブの話、の話だけど」
「なんかややこしいな」
「追加メンバーが、十時愛梨、道明寺歌鈴、橘ありす」
「プロデューサー兼秘書として、和久井留美さん」
「和久井さん、アイドルから外されたのか・・・」
「アイドルより良かったんじゃない?前の事務所でも秘書だったみたいだし」
「いきなり人が増えてて、読んでる人はおいてけぼりになったかも」
「そのへんも含めて、これからの予告みたいなもんだったんだろ?今のアタシらみたいにさ」
「ただ、妙にありすちゃん押しだよね・・・」
「そうだね。作者お気に入りだね」
「作者はロリコン野郎か・・・」
799 :
神前竜磨:2013/01/08(火) 01:01:23.92 ID:4g8xxv1U
「で、最後に双海亜美に持っていかれると」
「大胆だねー。ステージ入り直前にキスとか」
「・・・・・・」
「亜美ちゃんとくっつけるのかな?」
「あの人は我那覇響が好きみたいだけど?」
「でも雪歩ちゃんお気に入りだよね?」
「あとありすも口説いてた」
「ダメ人間だよね」
「そ、そういうふうに書いてる、作者が悪いんだと」
「・・・・・・奈緒、あいつ悪いやつじゃないけど、恋愛の対象としては、やめたほうがいいと思う」
「うん、まだまだ人生これからなんだから、こんなところで棒に振ってちゃだめだよ」
「なんか、ひどいな、おまえら」
800 :
神前竜磨:2013/01/08(火) 01:05:19.93 ID:4g8xxv1U
「・・・ま、こんなところかな?」
「そうだな。駄弁るだけ駄弁ったし、そろそろ閉めよう」
「えー、それではみなさん。いつかあたし達がアイドルデビューしたときは」
「絶対応援してくれよな!」
「いつか、私達がデビューした時にお会いしましょう」
「それじゃ、おやすみ」
モバ勢も応援してるぞ〜〜〜!
最近は竜磨も爆破される側になって来たな。ぐぬぬぬぬ。
765プロには女たらしが居たらしい、なんつって!
802 :
神前竜磨:2013/01/19(土) 10:18:28.82 ID:LZVB3JEa
あ、ありのままあったことを話すぜ?
スリープモードで放置していたPCがまともに起動しなくなったので、Windows入れなおしたら
デスクトップにあった書きかけが消えていた
眠い頭で「一回まっさらにしたら色々軽くなるかな」とか、アホだったと思う
律子話10KB文書き直しorz
803 :
名無しくん、、、好きです。。。:2013/01/19(土) 16:48:15.76 ID:Pl6xC7Tu
たつま頑張れ!
たつまあああああああああ
今日は貴音の誕生日だ!
ひょっほおおおおおおおおおおお
負けないで〜もぉ〜すこし〜♪
いつもでもマターリ待ってるからじっくり書いてください!いいものを。
806 :
神前竜磨:2013/02/03(日) 23:00:11.81 ID:hU32boeg
「・・・・・・・・」
モグモグモグモグ
「・・・ん・・・んぐ・・・・・・」
モグモグ・・・モグモグ・・・
「にーちゃんの・・・黒くて・・・大きくって・・・口に入らないよ・・・」
モグモグ・・・・・・
「・・・・・・ん、ごっそさん」
「ん・・・んぐ・・・
うう、負けました。やっぱり男の人には勝てないですね。」
「んぐっ!?っぐ!?」
「ほら、我那覇。お茶」
「んっんっんっ・・・・ぷはーっ!死ぬかと思ったぞ・・・」
「・・・・・・」
「橘、別に一気に食う必要はないぞ?」
・・・こく・・・
「何だ、亜美。全然食ってねーじゃねーか」
「・・・にーちゃんつまんない」
807 :
神前竜磨:2013/02/03(日) 23:05:45.16 ID:hU32boeg
「そういえば、なんで節分に、太巻きを食べるんですか?それも丸かじりで」
「諸説いろいろあるが、一番有力なのは、海苔販売業者がでっち上げたってのだな。」
「・・・ん・・・ごくん。
っと、バレンタインのチョコと同じ経緯ですね。海苔業者の人が、節分の日に海苔巻きを食べると縁起がいいと宣伝したそうです。」
「まぁ、そんな宣伝にも、元ネタがあるんだろうけどな。
ちなみに、方角が毎回変わるのは、幸福を導く神様が、毎年違う場所にいるかららしい。」
「一本まるごと黙って食べるというのは、途中で喋ると幸福が漏れ出ててしまうということらしいです。」
「ま、どうでもいいけどな。」
「んぐ・・・んっ!・・・んんっ!」
「お前もかよ・・・ほら」
「ごくごくごく・・・ぷはーっ!
もうっ、にーちゃんたら無理やりねじ込んでくるんだもん。あんなに大きいのはいらないよぉ」
「自分で選んで自分で口に入れたんだろうが」
「違うよ・・・突っ込みどころが違うよにーちゃん・・・」
「(・・・小学生がいる前でその手のネタ使うな)」
「ちょ・・にーちゃん、痛い。痛い」
808 :
神前竜磨:2013/02/04(月) 00:59:09.82 ID:ICjJJPwu
「・・・あ、響ぃ?一人一本だよ?」
「うっ・・・だって、この太巻きすごくうまいから」
「そうだな。さすが四条貴音のお墨付きの店だな」
「四条さん、美味しいお店たくさん知ってますね」
「あいつ食べ歩きが趣味らしいからな」
「亜美ぃ、食べきれないなら、自分が手伝うぞぉ?」
「だ、大丈夫だよ!食べきれるよ!」
「我那覇。デザートあるけどいけるか?」
「おおっ!ロールケーキっ!」
「これも、恵方巻きって書いてある・・・」
「巻いてあればなんでもいいってわけじゃねーだろうにな」
「ある意味、出典通りの捉え方ですよね」
「ああ、販促か。まぁ、ちげーねぇな」
「んぐっ!?」
「またか!」
809 :
神前竜磨:2013/02/04(月) 01:16:53.11 ID:ICjJJPwu
「・・・・・・神前さん。そろそろ時間です」
「おお、もうそんな時間か。
おうっ!お前ら行くぞ!亜美!なにやってんだ!」
「んぐっ!?ちょっと待ってよ〜」
「お前食うの遅、むぐっ?!」
「あとあげるw」
「ほら亜美、カバン」
「かんざき〜、はやくしないとー」
「ぬぐ・・・おう。
・・・ん?橘、どうした?」
「いえ、別に。お二人が気にしてないようならそれで・・・」
「?お前ら、準備はいいな?」
「かんざきは、鍵閉めるの忘れるなよ?」
「大丈夫だ、問題ない。」
―――――――― ガチャッ バタン・・・・・カチッ
やばい・・・誰が誰なのかはらほろひれはれ
811 :
名無しくん、、、好きです。。。:2013/02/10(日) 20:40:43.08 ID:L4j7L8us
なぁ竜磨・・・。
オレも便器にスマホ落っことした・・・。
しかも電池パックのみで・・・。
水洗・・・しかも・・・事後・・・・・・・・・・・(´;ω;`)
まぁ死ななかったから良かったけど・・・。
オレのこの右手・・・どうしよう・・・・・・・・・・。
812 :
名無しくん、、、好きです。。。:2013/02/20(水) 16:49:17.36 ID:GwuL1P+Z
前回更新からかなり経ったな。
りっちゃん回が消滅してから一ヶ月か・・・。
番外編も楽しく読んでるが本編も楽しみだ(チラッ
>>811 その右手は暗黒の茶黒棒が封印されたんだよ・・・。(察し
>>810 オレも誰が誰だかモバマス勢ははらほろひれはれ
次は・・・次はまだかたつま・・・
ツヅキマダァ-? (・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
815 :
名無しくん、、、好きです。。。:2013/03/08(金) 08:22:19.83 ID:hdzOjUtB
前回本編更新から2ヶ月と1週間経過。
現在律子回を執筆中と思われ。
なお、モバマス勢は
816 :
名無しくん、、、好きです。。。:2013/03/14(木) 16:37:49.31 ID:jsoigJIO
番外編なんてあったのか・・・
817 :
名無しくん、、、好きです。。。:2013/03/25(月) 21:16:01.00 ID:+dPCe4uT
2012/12/30(日) が前回更新日時。
さて、今日は何月何日だったかなぁ?(憤怒)
焦らしプレイには慣れてますからw
頑張ってくり〜♪
たつま
そろそろ始まって一年だぜ・・・
続きはまだかたつま!
820 :
名無しくん、、、好きです。。。:2013/04/10(水) 20:44:54.99 ID:mwCM0ER0
きっと1周年に合わせてきてるんだよたつまは(期待の眼差し)
お〜一周年!おめでとう竜磨!これからもよろしくっ!(チラッ
一年経っちまったw
初日から見続けて続きが待ち遠しいぜ・・・
まあゆっくり頑張ってくれたつま!
823 :
名無しくん、、、好きです。。。:2013/04/21(日) 19:09:12.53 ID:xjaGImYo
竜磨一周年やったな!(チラッ
おめでとう!!これからも頑張れよ!!!(チラチラッ
824 :
名無しくん、、、好きです。。。:2013/04/22(月) 08:57:05.09 ID:RSXSfxTX
825 :
名無しくん、、、好きです。。。:2013/05/01(水) 23:13:27.69 ID:sjniPr3z
おいたつましんだわけじゃねぇよな・・・
い、いおりん誕生祭にむけてアップ始めてるだけだって・・・(震え声)
そんなこんなでいおりん誕生日なんだが・・・?
まだ慌てるような時間じゃない
829 :
名無しくん、、、好きです。。。:2013/05/05(日) 19:57:00.00 ID:SJ2KgDry
まだだ・・・まだ4時間あるんだ・・・
お、おら分かったぞ!実は伊織誕はフェイントで双海誕で来るんだ!そうに違いない!そうだろ?なぁ、おい。
831 :
名無しくん、、、好きです。。。:2013/05/07(火) 22:50:17.33 ID:JroeZ+tc
>>830 そ、そうだよな!
いおりんより双海姉妹の方が絡みがあるもんな!!
そこでなにかかませてくるんだよな!!!
ま、まったくぅ、たつまめ、上手いヤツよのぉ(震え声
832 :
神前竜磨:2013/05/09(木) 17:28:54.38 ID:xNDtz17a
い、今まであったことをありのまま・・・このスタイル飽きたな
俺生きてる!いきてるよ!全然執筆できてないけど!!!
なんかな、リアルの仕事のことなんだがな、ラインの移設があってな
その煽りで前倒し生産でな、移設中の移設の手伝いとかでな
ラインの前の方から順番にやってくもんだから前倒しと手伝いの無限コンボだったんだ
ちなみに自分ところは工程の最前列だ
よって、他のところが仕事なくて残業ない中、4じかんとかざらだったZE☆ミ
うん、これから頑張って涼話書く
え?律ちゃん?・・・ああ、うん律子話だったな。忘れてない
伊織ごめん。誕生日に合わせようと思って書きかけたけど止まったままだ。ガチごめん
双子!?やめろ!俺のライフはぼろぼろd
やべぇ、出すだけ出しとけばあとで何かに使えそうなフラグのようなものが回収しきれん
ちなみに、GWは寝てたり死んでたり実家の庭の片付けしたり接待ゴルフのような何かだ!!!
833 :
名無しくん、、、好きです。。。:2013/05/09(木) 22:27:53.69 ID:k1aZfXku
>>832 い、生きてた!!生きてたよ!!
俺は信じてたんだ!!(震え声
ライフ?ああ、心配するな。回復呪文を唱えてやろう。
>>832 たつまぁ!!ゆっくりでいいから無茶だけはするんじゃないぞ!
おぉ!竜磨が生きてた!
待ってる時間も含めて楽しんでるぞ。
なんか規制で書き込めなくて遅くなったけど…
たつまああああああああ
よかったあああああああ
結構心配してたぜ…w
837 :
名無しくん、、、好きです。。。:2013/07/14(日) NY:AN:NY.AN ID:Y+7Lomyi
まだかたつまぁぁぁぁぁ
もう半年更新ないぞ泣いちゃうぞ(´;ω;`)
年一話更新とかでもいいぞ!(錯乱)
839 :
名無しくん、、、好きです。。。:2013/09/13(金) 03:47:47.48 ID:T7SjDXUN
俺の好きな作品はノベマスから何から何まで全てエタってしまうのか…
ただ更新が遅いだけだよきっと・・・(震え声)
841 :
名無しくん、、、好きです。。。:2013/09/13(金) 22:28:39.62 ID:XaDyrr0e
せやな
本編は更新はまだ9ヶ月滞ってるだけやしな(震え声)
たつまぁぁぁぁぁ
たつまはこのスレ覚えてるか
844 :
名無しくん、、、好きです。。。:2013/10/07(月) 23:40:51.27 ID:0QvxrYyR
誰か今までの話読めるとこ知りませんか?
最近読み始めたもので…
今確認したけど2012/12/02(日)以降の更新のは期限切れか見れないね
846 :
名無しくん、、、好きです。。。:2013/10/08(火) 19:35:38.40 ID:30nIkbkI
たつまがこうしんしてくれればいいんだけど全然来ないからなぁ・・・
誰かデータ持ってる人うpしてあげたらいいんでない?
おお!新しい人が来たのか!
もう一年半になるのか・・・
ふと気になったけどたつまが復帰してきたとしてミリオンの子たちも扱ってくれたりするのかしら?
850 :
名無しくん、、、好きです。。。:2013/10/21(月) 19:39:36.06 ID:wxxTadlw
いちおうこのシリーズは765プロでやってるからなぁ
新しく書くんならだすんじゃない?
さぁたつま。オレの言いたいことはわかったな?
851 :
名無しくん、、、好きです。。。:2013/11/24(日) 14:56:58.21 ID:d3IxycYI
853 :
名無しくん、、、好きです。。。:2013/11/30(土) 23:54:30.80 ID:zFILnPjF
理解した
iPhoneだと詰んでる
854 :
名無しくん、、、好きです。。。:2013/12/23(月) 23:58:52.97 ID:ufje2SoH
ここであえて言わせてもらおう。
雪歩,ハッピーバースディ!!
さぁたつま。雪歩メインのSSを書くんだ(威圧)
855 :
名無しくん、、、好きです。。。:2013/12/24(火) 00:01:47.55 ID:KD8qT+tX
雪歩ーーー!!誕生日おめでとーーーー
たつまはいつになったら続きを書いてくれるんだ・・・
頼む,頼むよ・・・クリスマスプレゼントにSSを投下してくれ・・・
きっとあれだろ
年明けにお年玉として新作が来るってきっと多分おそらく
857 :
名無しくん、、、好きです。。。:2014/01/10(金) 18:28:51.51 ID:RFFEZmX1
また見逃した…誰か頼むうぅ…
858 :
目覚めろ!日本人:2014/01/10(金) 18:57:38.31 ID:5kIJ9BOw
大変だ! 必見だよ! 日本を守るためだ!
「厳選!韓国情報」 「中国・韓国・在日朝鮮人崩壊ニュース」
「在日特権」
↑ 検索してみてください。
たつまは元気してるだろうか
860 :
名無しくん、、、好きです。。。:2014/02/16(日) 19:10:59.63 ID:QxmoVhMr
なんという
861 :
名無しくん、、、好きです。。。@転載禁止:2014/03/20(木) 08:44:03.93 ID:cIq3J07p
やあ今さらだけど新しく来たよ!
たつまが帰ってきてないとは思わなかったけどね!
誰か…ミラーを…お願い…します
865 :
名無しくん、、、好きです。。。@転載禁止:2014/04/01(火) 16:04:02.96 ID:ymQng7bc
また一足遅かったか・・・
誰か頼む・・・
エイプリルフールネタ頼むよ竜磨…
なぁ…帰ってきてくれ…竜磨ぁ…
867 :
名無しくん、、、好きです。。。@転載禁止:2014/05/07(水) 22:54:23.31 ID:7GCLarBK
誰かミラーを…お願いしますお願いします
869 :
!ninja@転載禁止:2014/05/08(木) 00:49:34.01 ID:epwiEe//
乙
870 :
867@転載禁止:2014/05/09(金) 17:10:19.68 ID:b7Onru/N
あぁありがとうございます!ありがとうございます!!
もうすぐ大長編書き終わる
今59KB 待ってろ
うおおおおおおおおおおお
たつまじゃねーかwww
おかえりwwww
嘘…だろ?
できれば今までの話もまとめてうpしてほしい
何だったんだ
はよ
名古屋市昭和区に住むosk ea102.ap.so-net.ne.jp書類送検♪
http://hello.2ch.net/test/read.cgi/jfoods/1411104865/ 【開示】七日間ルール専用スレッド
http://qb5.2ch.net/test/read.cgi/saku2ch/1358672067/267-268 267 名前:2ちゃんねる ★[] 投稿日:2014/01/18(土) 15:47:16.16 0
愛知県天白警察署刑事課より
名誉棄損
http://ikura.2ch.net/test/read.cgi/jnoodle/1389627070/46 昭和区の男性K(51)を、名誉棄損罪の被疑者として書類送検
愛知県警は9月1日付けで、当サイト管理人の名誉を棄損させた被疑者として、
名古屋市昭和区に住む男性K(51)を、名古屋地検に書類送検しました。
ランディの糞尿を愛する名古屋市昭和区のチンカス負け犬糞尿マニアoskea102.ap.so-net.ne.jp!!!!!!!!!
警察に身元判明、書類送検、完全敗北死亡きたあああああああああああああああああ!!!!!!!!!
ざまああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
超絶っ!めしうまああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!
3ヶ月ぐらい書き込みがないと思ったら糞と小便を漏らして涙を流して後悔してたんだね♪ wwwwwwwwwwwwwwwwww
ちっw書き方からしてババアかと思ったがジジイだったかwwwwwwwwwwwwwwwwww
でも、昭和区は大当たりwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
さぁさぁ、馬鹿丸出しで死亡したoskea102.ap.so-net.ne.jpの被害妄想に釣られて、
同じ相手を誹謗中傷している同類ゴキブリ蟯虫=userreverse.dion.ne.jpとZAQ大阪蟯虫wwwwwwwwwwww
糞と小便を漏らして涙を流してガクガクと震えて怯え中超絶めしうまああああああああああああ!!!!!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
名古屋市昭和区に住むosk ea102.ap.so-net.ne.jp書類送検♪
http://hello.2ch.net/test/read.cgi/jfoods/1411104865/ 【開示】七日間ルール専用スレッド
http://qb5.2ch.net/test/read.cgi/saku2ch/1358672067/267-268 267 名前:2ちゃんねる ★[] 投稿日:2014/01/18(土) 15:47:16.16 0
愛知県天白警察署刑事課より
名誉棄損
http://ikura.2ch.net/test/read.cgi/jnoodle/1389627070/46 昭和区の男性K(51)を、名誉棄損罪の被疑者として書類送検
愛知県警は9月1日付けで、当サイト管理人の名誉を棄損させた被疑者として、
名古屋市昭和区に住む男性K(51)を、名古屋地検に書類送検しました。
ランディの糞尿を愛する名古屋市昭和区のチンカス負け犬糞尿マニアoskea102.ap.so-net.ne.jp!!!!!!!!!
警察に身元判明、書類送検、完全敗北死亡きたあああああああああああああああああ!!!!!!!!!
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3ヶ月ぐらい書き込みがないと思ったら糞と小便を漏らして涙を流して後悔してたんだね♪ wwwwwwwwwwwwwwwwww
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さぁさぁ、馬鹿丸出しで死亡したoskea102.ap.so-net.ne.jpの被害妄想に釣られて、
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今初めて見た
途中から見れねええ(泣)
881 :
名無しくん、、、好きです。。。@転載は禁止:2014/12/28(日) 14:25:12.10 ID:47h2P4y0
はい、クソとしょうべんをモらシテ死んだー♪♪ ゴキブリぎょうちゅう♪( * ^ _ ^* )
ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラwwwwwwwwwwww
超絶ワロスwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww( * ^ _ ^* )
ほーらキモいツラでハナミズまみれで泡を吹いてる☆
失踪したか…
883 :
名無しくん、、、好きです。。。@転載は禁止:2015/01/08(木) 09:43:00.76 ID:CHqt8xQR
絶対神109様(*^_^*)♪>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>ゴキブリ 蟯虫 白 神= 犬 の 糞wwwww