コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS SSスレ 29
1 :
建設巨神イエオン:
2 :
建設巨神イエオン:2008/10/18(土) 23:10:35 ID:njyjalJ2
■SSを投下される方へ
1.投下前後に開始・終了の旨を書いたレスを入れて下さい(または「何レス目/総レス」を名前欄に)
2.規制に掛かりやすくなっていますので、長文の場合は支援要請の旨も冒頭に書いて下さい。
逆に2〜3レスほど使用の場合、支援は要らない旨を書いてください。レス毎の投下間隔は2分〜3分程度がベストです
3.投下前は、他作品への割り込みを防ぐ為に必ずリロード。尚、直前の投下完了宣言から15分程度の時間を置いてください
4.投下許可を求めないこと。みんな読みたいに決まってます!
5.ゲーム内容以外で本編放送前バレ情報があるSSは始めに注意書きを。
6.なるべくタイトル・カップリング・分類の表記をして下さい。(特にタイトルはある意味、後述の作者名よりも重要です)
・読む人を選ぶような内容(オリキャラ・残酷描写など)の場合、始めに注意を入れて下さい。
7.作者名(固定ハンドルとトリップ)について
・投下時(予告・完了宣言含む)にだけ付けること。その際、第三者の成りすましを防ぐためトリップもあるとベスト。
トリップのつけ方:名前欄に「#(好きな文字列)」#は半角で
・トリップがあってもコテハンがないと領地が作れず、??????自治区に格納されます
■全般
1.支援はあくまで規制を回避するシステムなので必要以上の支援は控えましょう
2.次スレ建設について
・950レスもしくは460kB近くなったらスレを立てるか訊くこと。立てる人は宣言してから
・重複その他の事故を防ぐためにも、次スレ建設宣言から建設完了まで投稿(SS・レス共に)は控えることが推奨されます
※SS投稿中に差し掛かった場合は別です。例 940から投稿を始めて950になっても終わらない場合など
3.誤字修正依頼など
・保管庫への要望、誤字脱字等の修正依頼は次のアドレス(
[email protected])に
※修正依頼の際には 作品のマスターコード(その作品が始まる際の、スレ番号-レス番号。保管庫の最優先識別コード)を“必ず”記述して下さい
例 0003-0342 のタイトルを ○○ カップリングを ○○
(↑この部分が必須!)
マスターコードを記述されず○スレ目の○番目の……などという指定をされると処理が不可能になる場合があります
4.睡眠は1日7時間は取りましょうw
3 :
建設巨神イエオン:2008/10/18(土) 23:11:56 ID:njyjalJ2
■画像投稿報告ガイドライン
ロスカラSSスレ派生画像掲示板
PC用
http://bbs1.aimix-z.com/gbbs.cgi?room=lcsspic 携帯用(閲覧・コメントのみ)
http://bbs1.aimix-z.com/mobile.cgi?room=lcsspic 1.タイトルとコテハン&トリップをつけて絵を投稿する。尚、コテハン&トリップについては、推奨であり強制ではありません。
・挿絵の場合は、誰の何のSSの挿絵と書く
・アニメ他公式媒体などにインスパイアされた場合は、それを書く(例:R2の何話をみてテンさんvsライを描きました)
2.こちらのスレに以下のことを記入し1レスだけ投稿報告。
例:
「挿絵(イメージ画像)を描いてみました。
画像板の(タイトル)です。
・内容(挿絵の場合は、SSの作者、作品名等。それ以外のときは、何によってイメージして描いたのかなど)
・注意点(女装・ソフトSM(首輪、ボンテージファッションなど)・微エロ(キス、半裸など)・ゲテモノ(爬虫類・昆虫など) など、
絵はSSに比べて直接的に地雷になるので充分な配慮をお願いします)
以上です。よかったら見てください。」
画像掲示板には記事No.がありますので、似たタイトルがある場合は記事No.の併記をおすすめします。
*ただし、SSの投下宣言がでている状態・投下中・投下後15分の感想タイムでの投稿報告は避けてください。
3.気になった方は画像掲示板を見に行く。
画像の感想は、原則として画像掲示板に書き、SSスレの投稿報告レスには感想レスをつけないこと。
画像に興味ない人は、そのレスをスルーしてください。
4.SSスレに投稿報告をした絵師は以下の項目に同意したものとします。
・SSスレに投稿報告した時点で、美術館への保管に同意したものと見なされます
・何らかの理由で保管を希望しない場合は、投稿報告時のレスにその旨を明言してください
・美術館への保管が適当でないと判断された場合、保管されない場合もあります
(不適切な例:ロスカラ関連の絵とは言えない、公序良俗に反するなど)
----テンプレは以上です----
1乙
コテハンのことだったらドラ0もんじゃなくて伝説巨神イデオンですよ。
>>1乙です
スレでIDを追っかけてみたがこのスレを立てたのはトーマス卿みたいだ。
>>1のコテを見る限り結構ご年配かもしれん。20はいってるかも。
>>1 トーマス卿乙っす。さあ投下を待つか
>>10 そりゃ20はいってるだろ…つうか俺より年下だったらなんかいたたまれない気分になるw
>>1乙です。因果地平の彼方までお付き合いしたくw
/ 、 ヽ
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\ヽ卞代\ .::::::/斗/ナ|:::: :::::::::|
lヽ{イう下ヽ::/イう汀アl:::; :::::::::|
│::}弋ソ 弋zソ /,:': ::::::::i
>>1乙だ。
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レV\ >ヘ、 l ハ ', ヽ > 、 ::::::::::::::::::::::::'.,
く >'′/=/\__{{ } } }_rュ==くヾ: > 、::::::::::::::::::::i
く__xく___/ / }} ,' / V! |__,>、`く> `丶、::::::::: i
\/ ,/厂 / ./ レl」ニ二l ヽ/ ノ\:::::|
 ̄ / l { ハ ∠:_ノ::ノ
/ l l lハ
こんにちはKOUSEIです。前回の続きを投下します。
全部で16レスの予定です。
支援
○シーン8『ナナリー の 信頼』Bパート
政庁中心部にある、防音構造の壁に囲まれた一室。そこが今回の会談の場所だった。
「すみません。遅くなりました」
ロイがトレーニング用の袴から白い軍服に着替えて部屋に入ると、すでに他のメンバーは全員揃っていた。
こちらを見て軽くお辞儀するローマイヤ。柱に寄りかかって、ピッと指を立てるジノ。椅子に座って携帯をいじっているアーニャ。同じく椅子に座ってジッと目の前の巨大モニターを見つめているスザク。ワインのグラスを傾けているロイド伯爵。そして、
「って、セシルさん。どうしたんですか、その格好」
ロイがその姿を確認して尋ねると、“キャメロット”のセシル・クルーミーは、おへそを大胆に開けた“青い”ドレスを腕で隠すようにした後、頬を染め、
「ちょっと、ね。どうやら会の趣旨を勘違いしたみたいで……」
と、弁明した。ロイはそれを聞いても少し呆然としていたが、急にその顔をパッと輝かせた。なぜなら、セシルが着ていたドレスは以前、ロイがプレゼントしたドレスだったからだ。
「嬉しいな。それ、僕がプレゼントした服ですよね」
「え、ええ。ちょっと派手だな、とは思ったんだけど。せっかく貰ったし」
と、セシルはロイドに恨めしげな視線を送った。
「ロイドさんからは。素敵な殿方達とのパーティーって聞いてたし……」
「はっ? どういう事ですか?」
ロイがワイングラスを傾けているロイドに顔を向けると、彼は飄々とした態度で「あは」と笑った。
「素敵な殿方達とのパーティーには違いないだろう? ねぇ、ヴァインベルグ卿」
「俺に話を振らないで下さいよ」
ジノは苦笑して答えた。その後、彼はセシルをまじまじと眺めた。
「でも、これは逆に目の保養をさせてくれたロイド伯爵に感謝するべきでしょうね。セシルさん、良くお似合いですよ。なぁ、ロイ」
「ええ、僕もプレゼントした甲斐があるってものです」
とロイが、自信満々で頷くと。先ほどから黙って立っていたローマイヤがその鋭利な瞳に、珍しく困惑の色を浮かべながら、
「キャンベル卿。こ、これが、あなたの趣味なのですか……」
「あっ、いや、僕の趣味と言うか……」
ロイがかぶりを振ると、携帯を弄っているアーニャがポツリと言った。
「ジノの趣味」
「そうです。俺が愛を込めてロイに助言しました」
ジノが胸を張って言うと、逆にローマイヤはほっと胸を撫で下ろした。
「それは良かった。さすがにこれは、私には抵抗がありますので」
「はっ?」
ロイが聞き返すと、ローマイヤはハッとして、咳払いを一つすると頬を染めて眼鏡を指でかけなおした。
それを見てジノが楽しそうに笑った。
「ハハッ、ロイ。なんならミス・ローマイヤにもプレゼントをしてさしあげたらどうだ?」
ロイは「名案だ」と頷いた。ただでさえ、ローマイヤには仕事の面で世話になっているのだ。
「そうですね。ローマイヤさんは何色がお好みですか?」
「け、結構です! それにしてもキャンベル卿が、女性に贈り物というのも意外といえば意外でした」
「いや、セシルさんだけじゃなくて、ロイドさんにもプレゼントしたんですよ。日頃の感謝を込めて」
「僕は最新式の眼鏡洗浄機を貰ったな。こうやって水に付けて置くやつ」
ロイドは眼鏡を外し、その眼鏡を水に付ける仕草をした。
「そうだったのですか。彼女にだけプレゼント。というわけではないのですね」
そして、ローマイヤはまた何かにホッとしたようだった。
ロイは一体ローマイヤが何を安心しているのか分からなかった。
一方、ジノだけはニヤニヤと意地が悪そうに笑っていた。
「それにしても、本当にセシルさんはよくお似合いだ。正直、目のやり場に困るほどですよ」
ジノが改めてセシルを褒め称えると、その隣で、ロイは少しだけ首を捻った。
「うん。でもちょっと派手すぎましたかね?」
「そ、そうね、派手は派手かも……」
セシルが言うと、ジノは大げさに首を振って見せた。
「何言ってるんですか。それぐらいがいいんですよ。なぁ」
と言ってジノはロイに同意を求めた。ロイはそれに、当然の如く肯定で応じた。
「ええ、まぁ。本音を言わせて貰えば、セシルさん綺麗ですよ。の一言に尽きます」
と、ロイは形の良い顔で、少し照れて見せた。
それは、シンプルな評価だった。
だが、飾り気の無い好意の言葉というのは、派手さは無いが、それだけに実用性に富むものだという事をセシルは実感した。
「もう、ロイ君! 大人をからかわないの!」
セシルが恥ずかしさで顔を真っ赤にして怒ると、ロイは「いえ、そんなつもりは……」と断った後で、素直に謝った。
一方、その様子を横目で見ていたアーニャの携帯を弄る手が、少々強引になった。
そんなアーニャの様子に気付いたのは、こういう事に目ざとい長身の同僚だった。
「おい、アーニャ。携帯壊れるぞ」
「……」
アーニャは近寄ってきたジノをチラリと見ただけで答えない。指に込める力も緩めない。
哀れ、何の罪の無い携帯は、その少女にしては破格の腕力に嫉妬という追加効果を受けて、ボタンを押されるたびに、小さな軋み音を立てていた。
それを見てジノは軽く笑った後、セシルに大人との付き合い方を説われているロイに視線を向けた。
「それにしても、ああいう事を自然に言える奴って羨ましいな。やっぱ性格かな」
「私だって、露出度は負けてない」
アーニャはブスっとして呟いた。おそらくそれはジノに言ったというよりは、自分に言い聞かせるという意味合いの方が強かったのかもしれない。
ジノはその大きな手をゆったりとアーニャの頭に置いた。そして、可愛らしい妹に優しく言い聞かせる兄のような表情で、「アーニャ……」と呟く。
アーニャは視線だけ向けた。すると、ジノは、
「露出度“は”な」
と、ナイトオブシックスの名誉を、死神の鎌にも似た言葉でばっさりと切り捨てた。
「……」
アーニャは即座にナイトオブスリーのすねを、思いっきり蹴っ飛ばした。
○
「繋がるみたい」
ジノの悲痛な叫び声が上がるのとほぼ同時にロイドが呟くと、目の前のモニターに小さな波が立ち、画面がパッと輝いた。
次の瞬間。そこには一人の人物が映し出された。
黒い仮面に黒いマント。黒い服。
魔人ゼロ。
それぞれの理由で、和気あいあいとしていた一同は、その表情を瞬時にそれぞれの地位に相応しい真剣なものに戻した。
『ほぅ、ナイト・オブ・ラウンズが四人も――しかし、肝心の総督の姿が無いようだが』
「これは事務レベルの話だ」
先行して発言したのはスザクだった。その隣で、ロイドが独特の笑い声を上げた。
「あのさ、一つ聞きたいんだけど」
『何かな』
「君と前のゼロは同じ? それとも……」
支援
『ゼロの真贋は中身ではなく、その行動によって測られる』
「あは、哲学だね〜」
という会話が続く中、ロイは発言する事も無く柱に寄りかかって、ただジッとゼロを見つめていた。
正直、このゼロとの会談にロイは興味が無かった。どうせ、ゼロはなんだかんだ言葉を並び立てて、行政特区日本への参加を拒否するだろうと考えていたからだ。
(そうなったら、今すぐにでも僕達で、黒の騎士団の歴史を終わらせる……)
ロイはこのゼロに対して、自分が言う事も、訊くことも何も無いと考えていた。
ただ、このゼロは会談の後、数日中に自分たちが処刑台送りにする敵の大将だ。この通信で少しでもその性格、気勢、言動などを把握できれば、戦略や戦術も考えやすい。ロイにとって、この通信はゼロを見る。それだけの意味しか持たなかった。
そんなロイの隣から、なぜか片足をヒョコヒョコと引きずった“涙目の”ジノが、相手にとって威圧的な口調で言った。
「く、黒の騎士団の意見はまとまったのか?」
しかし、涙目なので、格好は付いていない。威圧を与えれたかも少し疑問だった。それでもジノはめげずに言う。
「一度参加すると言ったからには……」
『こちらには、百万人を動員する用意がある』
そのゼロの発言に、この場にいる全員が少なからず、驚きを覚えた。
「ひゃ、百万……」
セシルが、信じられない。といった様子で呟く。その隣のスザクがまるっきり信用していない様子で、
「本当だろうな」
と怪訝そうに尋ねた。
ゼロは『ああ』と頷き、そして言った。
『その代わり、条件がある』
この場のほぼ全員が心の中で、ほらきた、と呟いたに違いなかった。
『私を見逃して欲しい』
一瞬、空間が静まり返った。
「なんだと……」
スザクが皆の気持ちを代弁するかのように呟いて、目を見開き、言葉を詰まらせた。
ロイすらも、完全に予想外のゼロの言葉に驚かざるをえなかった。
そんな一同を尻目に、ゼロの変声機による機械的な声は続く。
『もちろん。そちらにも立場があるということは承知している。どうだろう、ゼロを国外追放処分としてはいかがかな?』
「く、黒の騎士団は!」
スザクが立ち上がった。それに答えたのはゼロではなく、涙目から立ち直ったジノだった。
支援
「捨てる気だろ。自分の命だけ守って」
「おやおや」
ロイドは相変わらず飄々とした口調で言った。しかも、その表情は不謹慎ながらもどこか楽しげだった。
「こんな事、黒の騎士団にバレたら、君はリンチだよ」
『だから、このように内密に話をしている』
「……」
ロイはローマイヤに視線を向けた。正直、ロイはそこまでブリタニアの法律に詳しくないので、ゼロの言う事は可能なのか? という事を専門家とも言えるローマイヤに確認するためだった。
ローマイヤもその視線と意図に気付き、二人はしばし視線を絡ませる。やがて、ローマイヤは小さく頷いた。
「エリア特法。十二条第八項」
ローマイヤがそう淡々と言うと、あらかじめ彼女と視線を合わせていなかったロイ以外の人間はローマイヤに視線を集めた。
「そちらを適用すれば、総督の権限内で、ゼロの国外追放処分は執行可能です」
スザクが、まるで敵でも見るような目でローマイヤを睨みつけた。
「ミス・ローマイヤ。犯罪者を見逃せと言うのですか!」
「私は――」
「ローマイヤは、法的な根拠を提示してくれただけだ」
ロイは、反論しかけたローマイヤの言葉を遮り、さらにスザクの視線から庇うように間に入った。そしてスザクを、分厚いレンズ越しに見つめ、言った。
「それに、法的に可能ならば、これはそんなに悪い話だとは思えない」
「悪くないだって? ロイ! やっぱり君は――」
「確かに」
ロイに詰め寄ろうとしたスザクを制止するように、ジノが彼の体に腕を回した。
「悪くない話だ。トップが逃げ出せば、テロリストどもは空中分解だろうからな」
「しかし、犯罪者を……」
スザクは納得がいっていない様子で、奥歯を強く噛む。
ロイはそれを尻目に、体を翻して画面の前に近寄った。ゼロに言葉をかけるつもりは微塵も無かったが、こうなると話は別だった。
「ゼロ」
『なにかな』
「こちら側にも協議する時間をいただきたい。と言ってもそんなに時間はかからないと思うから、二三日中には“良い”返事が出来ると思う」
ゼロは『ほぅ』と呟いた。中々話が分かる奴。とでも評価されたのかもしれないが、そんなの嬉しくとも何ともなかった。
『武と文を兼ね備えた騎士として名高いあなたにそう言っていただけるなら、こちらも安心だ』
支援
組織を裏切る小男に言われても嬉しくない! この恥知らずめ!
ロイは内心ではそう激しく罵ったが、それを言葉に出してしまうほど、ロイは取り乱してはいなかった。
「お褒めにあずかり光栄だが、こちらも、この件についてすぐに話し合いに入りたい。そちらの連絡先を教えてもらおう」
『……分かった』
○
ロイがゼロに言った。「良い返事ができる」というのは、その通りになった。
あの、ゼロとの会談の後、すぐに開かれた政庁の会議ではほぼ一同がゼロの提案に賛同し、司法取引を成立させるという方向で、ナナリー総督の指示を仰ぐという事で決着がついた。
そして、それをスザクが総督に伝え、総督はそれを了承した。
それからというもの、政庁の職員全員は仕事に追われるようになった。
なんだかんだで、百万人の日本人の特区への参加が一度に決定したのだ。警備、制度、広報、人員、その他様々な面において、計画の練り直しとその実行が多くの責任者に求められた。
「ふぅ……」
その責任者の一人であるロイ・キャンベルは自分の執務室兼自室で、出来上がった新たなナナリー総督の警備計画書をパソコンに保存し、少し休憩しようと思ってコーヒーでも淹れようかと席を立った。
ロイには、コーヒーが飲みたいなと思った時にスッとコーヒーを差し出してくれる秘書がいないので、休憩のコーヒーも自分で用意しなければいけない。
いや、コーヒーだけの問題ではない。スケジュールの管理やら、ラウンズの業務上ではどうしても雑務に相当する業務。
また、業務上の助言、助役としての力を発揮する副官は、軍においてある程度の地位を得た人間にとって必要不可欠な存在であり、そのそもラウンズという将官に相当し、
他の軍隊ならば“閣下”と呼ばれる地位にあるロイが副官を持たないというのも異様と言えば異様だった。
その上、ロイの仕事は幅広い。ただでさえ忙しい軍務の他に、ナナリーがブリタニアで立ち上げたの福祉事業に必要な事務まで手がけているのだから、その仕事量は他のラウンズと比較しても、膨大と言って差し支えない。
恐らくロイでなければ、とうに全ての仕事が滞り、破綻しているだろう。
支援
しかし、今までは何とかやってこれたが、だからこれからも大丈夫。と思えるほど、ロイは楽観主義者では無かったし、事実、ロイの体からは疲労の悲鳴が上がり始めている。
通常、副官というのは軍が人材を回してくれるものなのだが、そうなっていないのは、ナイトオブゼロという地位の不確立性に問題があった。
ロイは極端に言えばブリタニア内でナイトオブラウンズという将官待遇の地位と見られ、そのように他者から扱われるが、それを約束されているわけではない。
もっと言えば、ロイはブリタニア軍人ではない。
そもそも、軍にナイトオブゼロという階級も地位も存在しないのだ。
ロイは皇帝陛下に私的に雇われた傭兵みたいなものであり、ただ、皇帝がナイトオブゼロとし、ナイトオブラウンズと同列のように扱っているから、軍もそうしようとしているが、当然、傭兵に正規軍が副官を回すという事は無いのである。
しかし、ロイは優秀であり、その優秀さ故に、数多くの味方に疑惑の瞳を向けられる反面、シャルル、シュナイゼル、オデュッセウス等の数少ないながらも、最高峰の地位を持つ人たちには頼りにされている。
そして頼りにされているというのは頼られるとほぼ同義であるから、仕事量は増える一方である。
(そろそろ、本気で補佐役が欲しくなってきたな……)
ロイは優秀な人間なので、ある程度の事は一人でこなせる。しかし、それでは限界がある。
ここら辺の問題を、以前、帝国宰相であるシュナイゼルが「何とかするよ」と言ってくれたので、直に何とかしてはくれると思うのだが、その前にロイは、自分の体が壊れるのではないか? とも思えてきた今日この頃であった。
その時、控えめなノックが数度。
「んっ? どうぞ」
ロイが反射的に背筋を伸ばして応じると、木製の扉は小さな軋みをあげて開いた。
現れたのは二人の少女だった。一人は車椅子の上で高貴さを醸し出す長髪をなびかせている。そして、その後ろで車椅子を引くのは見慣れた同僚、アーニャ・アールストレイムだった。
「こんばんは。ロイさん」
「こんばんは」
ロイは驚いた。
「総督!?」
ロイは車椅子の少女に駆け寄った後、即座に膝を折り、その少女と視線の高さを合わせた。
支援
「どうなされたのですかナナリー総督。御用があるのでしたら、お呼びくだされば私の方から参りましたのに」
「少し私的な事で、お話したい事がありましたから。アーニャさんにお願いして連れてきてもらいました」
別に何も悪い事をしてはいないのに、悪戯をした子供のように微笑む皇女殿下を。ロイはとても愛おしく感じた。
「私的な事ですか? ああ、いえ、それよりもすぐにお茶でもお出ししますよ。アーニャ、総督をテーブルの方に」
「分かった」
「いえ、気を使わないで下さい。私は……」
「いまちょうど一仕事終えてお茶にしようかと思っていた所です。よろしければ私にお付き合い下さい」
「そういう事でしたら……」
と、ナナリーは黙ってアーニャの誘導に従い、席に付いた。アーニャはその隣の席に腰掛ける。
それを見届けて、ロイは手馴れた手つきで紅茶を淹れ始めた。その過程で、ロイは隣の冷蔵庫を空けて、席に座っている少女達に声をかけた。
「総督。チーズケーキとショートケーキ。チョコレートケーキにシフォンケーキがありますがどれがよろしいですか」
「あっ、私はどちらでも……」
「チーズケーキ」
「じゃあ、アーニャの意見に従って全員チーズケーキにしましょう」
そしてロイは、チーズケーキを特大、中、小に切り分ける。そのころには紅茶もできたので、三つのカップに注ぎ、その中の一つだけをカップを何度か交互に入れ換えて中身を冷ます。
これはナナリー用で、万が一中身をこぼしても、やけどをしないように温度を下げたのだ。それらをお盆にのせて、ロイはテーブルに向かった。
それぞれに、ケーキと紅茶を振り分ける。ちなみのそのケーキの内訳はアーニャ特大、ロイ中、ナナリーは小食なので小さいのだ。
「お待たせしました」
ロイが席に座ると、ナナリーが意外そうに聞いてきた。
「それにしても、ロイさんは甘党なんですか? 冷蔵庫には沢山ケーキが入っているみたいですけど」
「ああ、あれは僕じゃなくてアーニャが持ってくるんですよ。この部屋にわざわざお菓子を持ってくるのは面倒くさいからって買い置きしてるんです」
「そうだったんですか。それにしても、そんなにアーニャさんとロイさんはこの部屋でお茶をご一緒するんですか?」
「ええ、大体はそこにスザクやジノも加わりますけどね。ね、アーニャ」
支援
「その通り」
と言って。アーニャは小さな口を精一杯開けて、ケーキを食べ始めていた。
「ナナリー総督もよろしければどうぞ。ケーキは一口サイズに切り分けてありますし、紅茶は人肌の温度にしてありますので」
と言って、ロイはナナリー総督の手に優しく触れ、それを食器の位置まで誘導し、口頭で説明して、彼女にその位置を認識してもらった後、フォークを手渡した。
「ありがとうございます。ロイさん」
「いえ」
ロイは紅茶を飲み、ケーキを一口含んだ。その間にナナリーもフォークでケーキを刺し、口に運び、それを紅茶で流し込む。ナナリーの小さな口の動きが止まったのを見計らって、ロイは尋ねた。
「それで、ナナリー総督。僕に話とはなんですか?」
「あ、はい。行政特区でお忙しい時期に、このようなお話でお時間を取らせるのもどうかと思ったのですが……」
「それは総督も同じでしょう。それに」
ロイは優しく微笑んだ。
「ナナリー総督。僕は先ほど休憩すると言いました。つまり、今はプライベートです。気にせず、何か聞きたい事があるのなら、遠慮無く僕にお尋ね下さい」
「はい、では、お言葉に甘えさせていただきます……」
と、ナナリーはフォークをケーキのお皿の上に乗せると。しばし間を置いた。
「あの、先日ロイさんはスザクさんの通うアッシュフォード学園に行かれたとか」
「ええ、行きましたよ。先日って言っても大分前ですけど……アーニャから聞いたんですか?」
「はい、つい先ほどアーニャさんにお話していただきまして。それで私、いてもたってもいられなくて……」
何かを言いたいけど言いにくい。そんな空気がナナリーに充満していた。ロイは怪訝に思い、アーニャにナナリーの言葉の捕捉を求めて視線を向けた。
しかし、当のアーニャは黙ってケーキを食べている。どうやら、アーニャはナナリーの言う事に、口を挟むつもりは無いらしい。
仕方なくロイは、ナナリーが話し出すのを根気よく待つ事にした。
「あの……その時、スザクさんに何かおかしな所はありませんでしたか?」
言われてロイは首を傾げた。一瞬ナナリーの質問の意図を理解しかねた。
「スザクがですか?」
「はい」
「ふむ……」
ロイは腕を組んで考え込んだ。聞かれたからには、答えなければいけなかった。
支援
支援
ロイは当日の様子を思い出してみる。自分とジノは馬鹿をやって、アーニャは積極的に学園のイベントに参加していた。スザクもとても楽しそうだった。そのスザクに何か変わったところがあったかと聞かれれば……。
「そうですね。帰りは一緒だったのですが、少し何かを考えているような感じがありましたね。呼びかけても何度か気付かないと事もありました。僕は久しぶりに騒いでスザクも疲れたんだろう。と思ってましたが」
「そうですか……それでは、その、学園内で、スザクさんがだれかと一緒にいたのを見かけませんでしたか?』
「スザクと一緒に?」
一瞬。ロイは、総督はスザクと親密な女子がいなかったか。という事を心配して聞いているのかな? と思った。
ナナリーがスザクを想っているというのをロイは良く知っていたからだ。しかし、ナナリーの真剣な表情を見る限りではそんな心配をしているようには見えなかったので、ロイもそれなりに、真剣に考える事にした。
「心当たりはありませんか?」
更に問われて、ロイは脳の中で記憶の棚をひっくり返して探った。すると、そこに一人の女性の存在があった。
歓迎会の時、ジノの暴走を呆れるロイの隣からスッと現れたあの女性だ。
「確か、スザクはロイドさ――いえ、ロイド伯爵の婚約者の方と一緒におられました。名前は……」
名前が出てこない。いつもなら、こんな事は無いのだが、仕事の後なので脳の回転が遅くなっているのかもしれない。
「ミレイさん」
ナナリーに言われて、ロイはジグソーパズルが正しくはめられた時の様なスッキリした感覚を味わった。
「あっ、はいそうです。ミレイさんです。よくご存知ですね。もしかしてお知り合いですか?」
「え、あ、はい……。昔、少し……。あの、それで他にはいらっしゃいませんでしたか? 例えば……男性とか」
「男性ですか? 申し訳ありません。その方以外は記憶に残ってないですね。そもそも、僕達とスザクは歓迎会中ほとんど別行動でしたので、一緒にいた時間も結構少ないんですよ」
「そうですか……。では、そのミレイさんは、スザクさん以外の誰かと一緒にいらっしゃいませんでしたか?」
「男性ですか?」
「男性です」
「う〜ん。ミレイ嬢はスザク以外とはだれとも……」
支援
とここで、ロイの頭の中に、
<よっしゃ〜。待て待てスザクにルルーシュ〜!>
という、あの時のミレイの言葉がよぎった。
「……ああ、そういえばルルーシュ」
「!」
ロイが思い出して呟くとナナリーの肩が小刻みに震えた。ロイはそれに気付かず、指を額にあて、目をつむり、う〜んと唸って、自分の記憶を更に深く探る。
「ミレイ・アッシュフォード嬢が確かルルーシュという人物を呼んでいたような気がしますが」
「そ、それで、あの、ロイさんはそのルルーシュという人とお会いになられましたか?」
身を乗り出すナナリー。そのナナリーが勢い良くテーブルに手をついたせいで、テーブルが傾き、ナナリーの体が車椅子から崩れる。
「きゃっ!?」
「総督!?」
ロイは素早く動いた。前のめりに倒れるその華奢な体に手を伸ばし、一気に自分の胸に抱き寄せる。
テーブルは倒れ、紅茶は飛び散り、チーズケーキはすでに胃の中に入っているアーニャの分を除いて、床に散らばってしまった。
ナナリーは無我夢中で、ロイにしがみ付いていた。
「総督。ご無事ですか?」
ロイは、ナナリーが硬い床に身をぶつけなかった事にホッとし、穏やかな口調で自分の胸の中で小さく震えているナナリーに尋ねた。
ナナリーはハッとして、自分が抱きかかえられている事に気付いたのか、顔を恥ずかしそうに赤くした。
「す、すみません。私……部屋の中がメチャクチャになっていませんか?」
ロイが視線を上げると、頭にティーカップを被り、紅茶まみれになって、口にケーキを運ぼうとしたまま固まっているアーニャと目が合った。
しかし、ロイは言った。
「いえ、大した事はありません」
「……」
アーニャが無言で抗議の視線を向けてきたが、ロイはそれを無視して。アゴでお茶とケーキが散乱している床を示して、“早く床を片付けて”と伝える。
アーニャは納得いかないという様子だったが、ロイが視線で、“早く拭かないとシミになる”と訴えると、彼女はそれを正しく理解し、しぶしぶといった様子で立ち上がると、部屋の隅にあった雑巾を持ってきて、床の掃除を始めた。
それを見届けて、ロイはナナリーをお姫様抱っこの要領で担ぎ直した。
「あっ……」
ナナリーが、自分の体の向きが変わった事に、驚きと戸惑いの声を上げた。
支援
「申し訳ありません。驚かせてしまいましたか?」
「い、いえ。大丈夫です」
そして、ナナリーはロイの腕の中でまた縮こまってしまった。
ロイの体格は一見中肉中背で、どちらかと言えば細身とも言えるが、そこは帝国最強といわれるナイトオブラウンズの一員。筋肉の付きは結構凄く、胸板は厚い。なので、ただでさえ体重が軽いナナリーを抱えても、その姿勢は微動だにしない。
ナナリーをお姫様だっこするロイ。その姿はまさに物語にでてくる、お姫様と、そのお姫様を抱きかかえながら、城へと凱旋する騎士の一枚絵のように見えた。
ちなみに、この時、アーニャが床を雑巾で拭きながら少々羨ましそうな視線を二人に向けたのだが、ロイは気付かなかった。
ロイはナナリーを抱いたまま車椅子まで近づき、それこそ、姫様をベッドに寝かせる騎士のように優雅に、そして丁寧に優しく座らせると、ナナリーの手を取って、少女と同じ高さに視線を合わせた。
「総督。お怪我はございませんか?」
ナナリーはなんだか申し訳無さそうに椅子の中でも体を縮めた。ちなみに顔が赤いのは申し訳ないのと、恥ずかしいのが約八割で、後の二割は恐らく違う感情が原因だろう。
「は、はい、本当にすみませんでした……」
「いえ、気になさらないで下さい。本当に大した事ありませんから」
そう優しく言い、ロイがナナリーの手を乗せている上からもう片方の手を重ねると、ナナリーの頬は蒸気した。
「総督、しばしお待ちいただいていいですか。少しですが、散らばったものを片付けますので」
「も、もちろんです。本当に重ね重ね……」
そう言いかけたナナリーの唇に、ロイが指を重ねた。
「それ以上おっしゃらないで下さい。本当に、少ししか汚れていませんから」
「は、はい……」
更に顔を赤くしたナナリーの傍から立ち上がり、ロイはアーニャの肩を叩いて、執務室に隣接する自分の私室に誘導した。
「アーニャ。とりあえず、シャワーを浴びて、これに着替えるといいよ。あと、はいタオル」
ロイはタンスから自分のパジャマとタオルを突き出して、シャワー室を指差した。
アーニャはそれを黙って受け取ると、不機嫌そうな顔でロイを一瞥した。
「何さ?」
「なんか、態度が違う」
「何が?」
ロイが不思議そうに尋ねると、アーニャは唇を尖らせた。
支援
「総督には口調に優しさがあった……」
「どういう意味?」
「別に」
アーニャはそう会話を強制的に終わらせると、シャワー室に歩いていった。
どうやら、自分はアーニャを不機嫌にさせてしまったというのをロイは理解したが、不機嫌にさせてしまった理由が一向に分からなかった。
仕方なく、ロイは首を傾げつつも、ナナリーの元に戻った。
「あの、それで、先ほどの話の続きなんですが……」
ロイがナナリーの元に戻り、新しい紅茶を差し出すと、ナナリーはか細い声で問いかけてきた。まだ先ほどの恥ずかしさが残っているのかもしれなかった。
「はい、何でしょうか?」
「ロイさんは、学園でそのルルーシュという方とお会いになられましたか?」
「いえ、会長さんがその人の名前を叫びながら走り出したのを目撃しただけであって、僕はそのルルーシュという人物は見ていません。もちろんすれ違っていないとは断言できませんが……」
「しかし、アッシュフォード学園でルルーシュ。いえ、少なくともルルーシュと呼ばれる人物は存在するということですよね?」
「そうなりますね。あのミレイ嬢の言い様は明らかに学園にいる人を呼ぶときの喋り方でしたから。しかし、ナナリー総督。そのルルーシュという方がどうかなさったのですか? もしかしてお知り合いですか?」
「それは……」
と、ナナリーは黙ってしまった。ロイは、その無言を肯定と受け取って話を続けた。
「ああ、そういえばそのルルーシュという人物と一緒にスザクも呼ばれていましたから、もしかしてスザクの知り合いなのではないですか? なんなら、今スザクに聞いてき――」
「ロイ。汚れた服を入れたいんだけど、ビニール袋とか無い?」
と、その時。アーニャが体をタオル一枚だけのあられもない姿で執務室に出てきた。ロイはそれを目撃した時、これ以上無いほど瞳を大きく見開いた。
「なんて格好してるんだアーニャ!?」
ロイが勢い余って椅子から立ち上がると、状況が理解できない盲目の少女は首を傾げた。
「アーニャさん? アーニャさんがどんな格好をしているんですか?」
「いや、このまま服置いたら、そこが汚れるし」
アーニャが片手をタオルがほどけないように押さえ、もう片方で、丸めた白い軍服を掲げる。いや軍服だけではない。その中には純白の……。
支援
「そ、そんなものを人に見せるんじゃありません!」
「はぁ?」
アーニャが眉を潜めた。どうやら、自分がなんで怒鳴られてるのか理解できていないらしい。
「そ、そんなものって何ですか? 一体何が起きてるんですか?」
ナナリーだけが、不安そうに顔を色々な所に向けていた。
「でも、ロイ。カゴに紅茶付くけど」
「カゴなんか汚れてもいいから早く中に戻って!」
「汚れてもいいの?」
「いいから早く! 早くシャワーを浴びなさい!」
そして、アーニャは肩をすくめてスタスタと裸足を動かし、再びシャワー室に入っていった。
「あ、あのロイさん。一体何があったんですか?」
ロイは焦りで波打っていた心臓を整えて、一息つくと、慌てていた事など様子も微塵も感じさせない態度で、爽やかに「いえ、何でもありませんよ」と答えた。
ここら辺の変わりようは流石で、シュナイゼルに「優れた感情制御能力を持っているね」と評価されただけの事はあった。
もっとも、この場にシュナイゼルの副官カノンがいれば「その前に不足の事態に混乱しない感情抑制能力があれば完璧なんですけどね」と突っ込んだに違いなかった。
「で、話を戻しますが総督。どうでしょう。そのルルーシュという方の事を、スザクにも聞いてみては?」
ロイとしては当たり前の提案をしたつもりだったのだが、ナナリーの帰ってきた反応は当たり前から程遠かった。
「……いえ、すみません。それはやめていただきたいのです」
「なぜですか?」
「あの、ここまで言っておいてなんなんですが。これは他言無用にお願いできませんか?」
「……へ?」
「もっと言えば。ロイさん。……極秘でその方の事を調べてはいただけないでしょうか?」
「え〜と。いや、あの、極秘で調べるって、そのルルーシュという人をですか?」
「はい。調べる。と言っても別に探偵のように身辺を洗い出せとかそういう事ではなく。そのルルーシュという人物の容姿や相貌、喋り方や、別に一般人でも分かるような経歴その他の特徴を私に教えてほしいのです。それもスザクさん達には内緒で」
「スザク達にも内緒に? ジノにも、という事ですか?」
「その通りです。調査は仕事の片手間でやっていただいてもかまいません。そして分かった事実は私にこっそりと教えていただけないでしょうか」
支援
「いえ、しかし……」
「お願いします。どうか……」
泣きそうな顔で頭を下げるナナリー。その切羽詰った頼み方に、ロイは困惑すると共に一定の懐疑を抱いた。
ロイはしばし、口を空けて呆然と目の前の盲目の少女を見ていたが、咳払いを一つすると、眼鏡を指でかけなおし、表情を真剣なものにした。
「そうおっしゃられる理由と、他の人物に秘密にしなければならない理由を聞いてもよろしいですか?」
「…………」
ナナリーは見ているこっちが哀しくなるようないたたまれない表情をした後、視線を下げて黙り込んでしまった。
「おっしゃれない。ということですか?」
ロイが更に問うと、ナナリーはしばし躊躇った後、頷いた。
「はい……」
ロイは困り果てた。
ロイはナナリー総督のお願いとあれば、どんなことでも叶えるつもりでこのエリア11に来た。しかし、
(一体、何だというんだ……)
ロイは悩んでも結論が出ないので、意を決して言った。
「総督がそこまで思いつめている理由は僕には良く分かりませんが。これはもしかして下手な方に転べば少なくとも、総督以外の人間にも災いが降りかかる。そういった類のものですか?」
「……はい」
やっぱりか。とロイは思った。
心優しき総督がこのような顔をするのは、他人に迷惑がかかる時だけだというのを、ロイは彼女との約一年の付き合いを通して知っていた。
(しかし……アッシュフォード学園か)
ナナリーが気にかけているルルーシュ。そのルルーシュがいるあのアッシュフォード学園には機密情報局がいる。
あの皇帝陛下直属の組織の存在は、ロイの中であのナイトオブセブン歓迎会の夜からずっと引っかかっていた。
(総督の奇妙なお願いと、機密情報局……共通するアッシュフォード学園という場所。あの学園には少なくとも皇帝陛下と、ナナリー総督という地位の高い人間が気にとめる要素があるということか)
ただの学園に機密情報局がいるというのは、スザクの祖国である日本風に言い換えれば、普通の小学校に警察が変装して侵入し教師役をしており、さらに校内に最新ハイテク機材を満載した捜査本部を秘密裏に設置しているぐらい異様な事だ。
支援
それだけでも、十分怪しいと言うのに、今回、ブリタニアで皇女という地位にあるナナリーがその学園にいる、ある人物を調べて欲しいと言って来た。しかも秘密裏にだ。
これには何か裏があるな。と考えない方が無理だろう。
どちらにしろ、このお願いは軽い気持ちで引き受けてよいものでは無さそうだった。
「……総督。私は今の話を聞かなかった事にもできますが」
「……」
ナナリーは俯いたまま答えない。
「その上で聞きます。ナナリー総督の友達であるアーニャはともかく、僕は、あなたが被るリスクに比べて、信じるに値する人間ですか?」
このときばかりは、ナナリーはしっかりと頷いた。
「はい。少なくとも私はそう思っています。だからこそ、お願いしました……」
「……」
負けたな。とロイは思った。
ここまで、この可愛らしい少女に信頼されて、それに応えないのでは男が廃るというものだ。
「分かりました。しかし、調べるのは人物の断定と経歴、容姿。そして特徴のみです。いくら総督の頼みでも、理由を明かしていただけないのであれば、これが限界です」
ナナリーはその顔にパッと笑顔を浮かべた。
「いえ、充分です」
「本当に、書類上のことしか調べませんよ? あと、他の人に教えられないというのは他の人を使えないという事です。申し訳ありませんが、僕も行政特区日本の件で、正直忙しい身です。調査開始は特区設立後になる、という事だけご理解下さい」
「構いません。我侭を言っているのはこちらなのですから。ありがとうございます。ロイさん」
その喜びようは、このもの静かな少女にしては意外なほど大きなものだった。よほど、この頼みを引き受けてもらえたのが嬉しいらしい。
「……わかりました。では、そのように。ちなみに、もう一度確認しますが、ルルーシュという人の事を調べている、というのは他の人にバレ無い方がいいですね?」
「はい。この事を知っているのは私とアーニャさん。それにロイさんだけという事でお願いします」
「分かりました」
ロイが頷くのと、総督を探しに来たローマイヤが、ロイの執務室の扉を叩くのはほぼ同時だった。
シーン8『ナナリー の 信頼』Bパート。終わり。Cパートに続く。
支援
投下終了です。
支援感謝です。
では、また来週〜。
>>45 KOUSEI卿GJです。
張ってたかいがありました。
セシルに嫉妬するアーニャ。
ロイの口調の違いに口を尖らせるアーニャ。かわいいですね〜。
ロイがルルーシュを調べることで未来がどうなるか楽しみですね。
来週も楽しみにしています。
>>48 KOUSEI卿、GJでした!
アーニャが色々可愛いでした。
ロイとゼロとの会談、流石に百万のアレは想像つきませんか……想像できたら恐ろしいですが。
そしてナナリーからの頼みのもたらす結果は!?
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!
KOUSEI卿GJです!
今回は女性陣が皆可愛くてよかったですねー
アーニャは始終魅力を発揮してたし、セシルさんやローマイヤさんも素晴らしい。
しかしさりげにナナリーにまでフラグたてつつあるなロイ…恐ろしい子!
ルルーシュの調査か…ロロの存在が最大の難関だな。
>>47乙&GJ
ナナリーがいじらしくて可愛い!
ジノの2.5枚目ぶりは読んでて楽しいだけに、憐れです…
アニメ本編中にあったシーンの再構成は、下手すると「アニメを文字に起こしただけ」の
その部分が本当に必要だったのか首をひねるものになりかねませんが、
毎回情景描写が秀逸でそういった心配がなくて安心して読めます
オリジナルエピソードを入れる量も、いつもはバランスがとれていると思っているのですが、
今回のドレス話に限っては、ややもたついた感がありました
これは多分、その場にいた登場人物が多くて、触れなければならない出来事も多かったからだと思います
いつもは3人〜4人で進行していることが多いと思いますが、このシーンにはその倍のキャラがいますから…
ところで、ひょっとしてシャワー室から出てきたアーニャはマリアーニャですか?
なんか、ちょっと口調が違うような、違わないような?
単に、珍しく長いセリフ喋っているから、自分が変に勘繰ってるだけの気もします……
ルルーシュとの接触フラグが立ちましたが、ルルーシュがいつロイの正体に気付くか楽しみです
前スレ
>>423の者ですが支援をお願いしたいのですが
どなたか、いらっしゃいますか?
支援します
54 :
HighQ:2008/10/19(日) 16:52:48 ID:GxRTs6si
支援の表明に感謝いたします。
では、注意書きから
・タイトル:「狂王の死」中編
・シリアス系で一応ギアス編END前提のR2本編25話の幕間Ifストーリー
・カップリングはなし
・このレスから終了宣言まで12レス予定(SS本体は10レスでいけるはず・・・)
・ライが悪役です。 そんなライはライじゃないと言われる方はスルー願います
・いろんな意味で間違ってることが書いてあるかもしれませんが妄想に理由付けするための妄言ですので、こちらもスルー願います。
では、いきます!
55 :
HighQ:2008/10/19(日) 16:55:33 ID:GxRTs6si
ライはKMFベディヴィエールの上から、その蒼い瞳でここに集う人々の顔を見渡した。
KMFの足元にいるのはコーネリア皇女と、その選任騎士ギルフォード卿と、ヴィレッタ卿。
遠巻きにこちらを見つめる群衆の中にはアッシュフォード学園の学生の姿も見えた。
そして囚人護送車の周囲には扇や玉城・藤堂をはじめ、黒の騎士団の面々の姿を認めた。
ふとこちらに駆けて来る赤い髪を見つけた。
(カレン・シュタットフェルト・・・いや彼女は、紅月カレンが本当の名だと言ったな)
わずかに互いの視線がぶつかると、その少女は立ち止まり今まで涙に濡れていた瞳を腕で拭い
こちらを射殺さんばかりに睨みあげてくる。
ルルーシュ皇帝の亡骸に縋ったナナリー皇女の嗚咽が視線をわずかに引き寄せる。
そして、最後に視線が行き着く先には『英雄』ゼロ。
ライはKMFのコックピットから、ゼロと対峙するべく、主を亡くした玉座のもとへと跳んだ。
「あいにくと私は主以外へ跪く膝を持ち合わせておりません。どうかこのままにてご容赦を」
ゼロが首肯し、承諾の意を表した。
(さあライ、嗤え。 尊大かつ傲慢に、ふてぶてしく、憎らしく、相手を見下すように!)
支援
57 :
HighQ:2008/10/19(日) 16:57:22 ID:GxRTs6si
「我らが主、ルルーシュ皇帝陛下を討たれた英雄に、我がご提案を申し上げる」
ブリタニアの将軍の口元が笑みでも浮かべんばかりに吊り上る。 そう、邪悪そうな笑みの形に。
そして彼の声は右頬のインカムからKMFの外部スピーカーを通し、周囲へ流れ出る。
「皇帝陛下が御隠れになった今、我らに徹底抗戦の意志はございません。
まずは、この日本からの無傷での撤兵を認めること。
ふたつめに、各国からの皇帝陛下の将兵たちの安全なる本国への帰還を日本同様に保証されたい。
みっつめに、今後のブリタニアへの報復侵攻を行わない旨を。
よっつめに、ブリタニア国内における自治統治へのいかなる干渉をも禁止すること。
これらを超合集国最高評議会にて必ず承認させることを『ゼロ』の名においてお約束いただく」
対するゼロの仮面からも変声器と内蔵スピーカーを通し、短な返答が漏れる。
『そんなことは認められない、と言ったら?』
「その時は我らの全力をもって世界を地獄の業火で焼き尽くす所存。
もっとも英雄閣下はそんなご返答はなされない、と私は信じておりますよ?
なにせ、黒の騎士団もいまは実態もなく、得意の『奇跡』をなされようにもその身以外にタネはないのですから」
そう返し、悪逆皇帝の遺した影が今度こそ声に出し低く嗤う。
支援
59 :
HighQ:2008/10/19(日) 16:59:01 ID:GxRTs6si
「テメェ〜、俺らを脅すつもりかよ!? 卑怯だぞ、このブリキ野郎!!」
その声に視線をわずかに転じれば、薄いあごひげの日本人が片拳を握りしめていたが
「脅し、すかしも立派な外交手段のひとつ。 卑怯などとは心外ですね?」と一蹴する。
「あたしたちが舐めんじゃないわよ! あんたなんかにこの世界を渡すもんか!!」
赤髪の少女の挑み、抗おうとする視線と言葉を受けて、ついに嘲りを露にする。
「ならば黒の騎士団からお相手いたしましょうか?
斑鳩は堕ち、紅蓮も神虎もない、もはやレジスタンスとすら呼ぶに値しない貴方がたから!?」
銀の髪を揺らし、青い瞳に軽蔑の色を浮かべ、声高く嘲笑がこの場を響き渡っていく。
しかし黒い仮面の声が、その屈辱に震える彼らを救った。
『結果はすべてにおいて優先される。 貴公の申し出を受け入れよう!』
英雄の裁決がついに下った!
支援
61 :
HighQ:2008/10/19(日) 17:00:35 ID:GxRTs6si
しかし、銀髪の将軍はゼロの決定に対し、なんの応えもない。
ただ、しばしの沈黙のあと彼は、その嘲りの笑みをそのままに口を開いた。
「ではいまひとつ。亡き皇帝陛下の御尊体をご返還、願おう」
こちらの譲歩に対し、さらに踏み込み、さらなる譲歩を得ようするかのようなその態度に周囲は色めき立つ!
だが、再び黒い仮面からの『認めよう』と承諾の言葉にそれらは断ち切られた。
ランペルージ将軍はゼロに再びなんの応えも返すこともなく
黒の騎士団の一群の中から二人の少女を見つけると、そちらへ身体ごと向きを変えた。
「元最高評議会議長・皇 神楽耶殿、合集国中華代表・天子陛下。ただいまのゼロの決定、ご承認いただけますか?」
突然の問いかけに、それでも黒髪の少女は戸惑いながらも答えてみせた。
「・・・ゼ、ゼロの言葉ならば、認めましょう」
さらに幼い少女も、黒髪の少女にすがりつきながらも敵将に対し、しっかりと頷いてみせる。
それを確認すると今度は銀色の頭が、自分とゼロを見守る群衆に何かを問おうするかのように数回巡らされた。
そして左手で口元を覆ったかと思えば肩を震わせ、再び響き渡るのは嘲りの洪笑!
支援
63 :
HighQ:2008/10/19(日) 17:02:17 ID:GxRTs6si
「おめでとう、ゼロ!
どうやら君は皇帝陛下に代わって、この世界の新たなる独裁者として認められたようだな!!」
突拍子もなく投げ込まれた言葉の爆弾に、ゼロも黒の騎士団も群衆も凍りついた!
「私がゼロ“にだけ”提言を持ちかけたことに誰も異を唱えなかった!
そのゼロ“一人”の返答に、誰も“反対”とは叫ばなかった!
あまつさえ私が認めるのかと問えば、君たちの代表はゼロの言葉“ならば”認めると言った!
そして、私は待ってみたがやはり“誰も異を唱えなかった”!!
皆が話し合いのテーブルにつき、“より良い未来”を選択するのが君らの言う民主主義ではないのか?
なるほど、確かに私がゼロを交渉相手として指名した。
だが、民主主義では反対を表明する“自由”が“権利”として保障されているのではないのか?
それらを“放棄”したのならば、それは民主主義の虚名のもと、“独裁”者を認めたことと同義だ。
専制君主の独裁者が“悪”で、民主主義が認めた独裁者は“正義”か!?
その答えさえ出せない貴様らに、陛下を憎むことは許せても、蔑むことは認められない!
そんなものが貴様らの謳う“平和”だと言うのならば
いっそうのこと陛下への手向けに滅ぼしてやろうか?!!」
支援
65 :
HighQ:2008/10/19(日) 17:04:18 ID:GxRTs6si
悪逆皇帝の影が、これから平和へと歩もうとする世界を罵倒していた。
その罵倒を遮る声がランペルージ将軍の足下から挙がった!
見下ろしてみれば、そこには皇帝を膝に抱いた、いまだ囚われたままの姿のナナリー皇女。
かつては閉ざされていた涙に濡れた瑠璃色の瞳に、決意の色がにじんでいた。
「そんなことはさせません。貴方の言う答えがどんなものか、まだうまくは言えませんが
私はこの世界にそんな未来は望んでいません!」
拳を握り締めた紅月カレンもつづいた。
「そうよ、人はきっとより良い未来を選択する! 誰がそんな世界にするもんか!」
周囲からも『悪夢』からの自分たちへの蔑みを否定する声が次々と挙がった。
そして『ゼロ=スザク』が『ライ』へ誓った!
『俺は誰も支配はしない! 俺は誰にも支配されたりしない! 俺はこの新しい“世界を護る者”だ!!』
だが『将軍』は冷淡にも鼻で笑い、つぶやいた。
「やれるものなら、やってみせるがいい。 私はいつでも“見ている”ぞ?」
支援
67 :
HighQ:2008/10/19(日) 17:06:23 ID:GxRTs6si
いまや銀髪の将軍を囲む空気は、脅迫に恐怖するものでもなく、罵倒に萎縮したものでもなく
悪意に抗い、挑んでやろうとする敵意に満ちたものとなっていた。
しかし怯む様子もなく、彼はさらに要求してみせた。
「いまさらだな。 一度は認めたのだ、必ず履行していだたく! まずは皇帝陛下の御身からだ。」
『条件がある』
二人の対峙が始まってからはじめて対価をゼロが求めた。
ブリタニアの将軍は視線だけで促す。
『ルルーシュ皇帝の命により思想犯として投獄された人々の解放と、不当な粛清で被害を被った人々への補償。
そして貴公の軍籍剥奪と国外追放処分を受け入れていただく』
「・・・全て受け入れよう。 もっとも補償については新政権と計ってもらうことになるだろう」
そういうと誰からの応えも待つこともなくゼロに背を向け、急勾配のスロープを滑り降りていく。
そして彼の行く手がさえぎるものが現れた。
上体をせいいっぱいに起こし、両手を大きく拡げたナナリー皇女。
「貴方のような者にお兄様は渡せません! わたしたちの前から早く立ち去りなさい!」
支援
69 :
HighQ:2008/10/19(日) 17:09:40 ID:GxRTs6si
兄である悪の皇帝から世界を守るべく立ち上がり、そして敗れた虜囚の姫。
そんな彼女へ、皇帝以外へは跪かないと宣言した男が膝を折った。
左手を右肩へ付け、頭を深く下げる騎士の礼。
「ナナリー皇女殿下。 我が悪罵にいち早く抗された貴女様へ心よりの敬意を表させていただきます。
何卒、皇帝陛下の御身を我らへお預け賜りますよう、お願いいたします」
この時、肩へ当てた手が懐に潜りこみ何かを取り出したことに気づいたものはいただろうか?
「お黙りなさい。 お兄様の創ろ・・・!?」
なおも拒否を言い募ろうとする皇女の膝へと落ちる色紙で組み上げられた紙片。
それが何か、確かめるように触れた皇女の瑠璃色の瞳が驚愕に見開かれる!
(これは桜? このサくらヲおシエてクレたアノヤサシイヒトハダレダッタノダロウ・・・?)
なにかが呼び覚まされるような、しかし一層深まろうとする記憶の霧になにかを見失いそうな感覚に
戸惑うばかりの皇女は、ふと目の前にある蒼い瞳が悲しみと悔しさに歪んでいるように見えた。
あなたはいったい・・・?
そう問いかけ、彼の手へ掌を伸ばしかけた皇女は、次の瞬間には宙へと払い飛ばされていた!
小さな身体が地面に叩きつれられようかという間一髪で倒れこみながらも救ったのは紅月カレンだった。
支援
71 :
HighQ:2008/10/19(日) 17:11:07 ID:GxRTs6si
一瞬の呆然。
あまりの非道に黒の騎士団が殺到し、ゼロが一足飛びに手にした剣で突き殺さんとする!
しかし、それを制止したのは冷酷な少年が右手で握り、空へ突き上げたサクラダイトの起爆スイッチ!
「たとえ陛下の妹姫とはいえ、逆賊の徒がつけあがるな。
・・・なにをしている下郎ども。下がれ!」
卑劣な男の、卑怯な脅しに言葉を飲み込み、じりじりと退かざるえないゼロと黒の騎士団。
自分へと集まる、身を焦がさんばかりの憎しみの視線にも動ずることもなく
自らのマントの飾り紐を引き千切り、恭しく皇帝の亡骸を包みこむ。
「返しなさい! あなたはなんて卑劣で、卑怯で・・・そんな貴方に私のお兄様を・・・」
桜の折り紙を握り潰し、なおも兄を取り戻さんとする皇女。
その怒りの声も己の無力さへの嘆きが混ざり嗚咽で消え、後が続かない・・・。
そんな彼女を『悪夢』は一瞥でもしただろうか?
群青の布に包まれた皇帝を両の腕で抱き上げ、一顧にせずKMFへと歩を進める。
支援
73 :
HighQ:2008/10/19(日) 17:12:17 ID:GxRTs6si
最早ゼロも、ナナリーも、黒の騎士団も彼の目には留まらないようだった。
群衆があげる地を轟かさんばかりの罵声も彼の耳には届いていない。
亡き皇帝をKMFベディヴィエールの複座へ納めると、ハッチも閉じずに浮上させる。
そしてまさに大きく飛び立とうとする時、人々は見た!
閉じ始めたハッチのつくる影からのぞく、ニヤリと嗤った秀麗な口元と、地へ墜とされるクイーンの駒。
それは起爆スイッチでもなく、なんのギミックすらない、ただのチェスの駒だった・・・。
74 :
HighQ:2008/10/19(日) 17:15:20 ID:GxRTs6si
以上で投下終了です。
ご支援ありがとうございました!
ちょっと「“ ”」を多用しすぎて、うざったいものに仕上がってしまったのが反省点です・・・orz
もう少しずつ1レスを長く入れれば10レスは要らなかったかも知れませんね、これも反省点
一応、次回投下予定の後編でおわる予定になってます。(妄想や電波が大爆発しないかぎりはw)
その際には、よろしければまた支援をお願いします。
久しぶりの書き込み
KOUSEI卿>>
本編終了後も、なお衰えることない文量。
内容も話の筋がしっかりしていて、とても読み応えがありました。
次回はついにあの、「百万のゼロ」。ロイがどのように動くか楽しみです。
HighQ卿>>
GJです。
ライの悪役っぷりが見事。というかルルーシュが乗り移ったかの
ような「悪」でした。
次回の後編で最後なのでしょうか。いまから楽しみに待っております。
>>74 HighQ卿、GJでした!
いい具合に悪役に徹しているライ。
彼の本心、そして目的は!?
ハッタリもいい感じに効いていてナイスでした。
貴方の次の投下を全力で待っています!
HighQ卿、GJです。
文体が凝ってますね。旧きよきピカレスクものや探偵小説のテンポ。
いっそ筆はこびというべきでしょうか。
次回の投下を心よりお待ちしております、もちろん全力で。
78 :
食卓:2008/10/19(日) 20:13:22 ID:JFs7s/mc
埋め用ネタに考えていたけど間に合わなかったので今投下します。
・劇場版予告風に脳内再生して下さい。
79 :
食卓:2008/10/19(日) 20:18:43 ID:JFs7s/mc
あの大ヒット刑事ドラマ『ダモクレスに吼えろ!』が遂に映画化!
個性豊かな刑事たちの集まる「ラウンズ署」が直面する最大最後の事件。
その舞台が遂に幕を上げる。
始まりはありふれた事件
ジノ「被害者は玉城真一郎。ゲットーでリフレインの売人をしているチンピラだ」
しかし事件を追っていた同僚が殺されたことから事態は大きく動き出す
ビス「ドロテアが、死んだ!?」
次々と起こる殺人事件
ルキ「何故だ、何故現場で命が奪われるんだ!」
罠に掛けられた刑事
ギル「枢木スザク、ユーフェミア・リ・ブリタニア殺害の容疑で逮捕する!」
スザ「そんな!?」
80 :
食卓:2008/10/19(日) 20:21:27 ID:JFs7s/mc
敵か味方か謎の男
ジェレ「この事件、たちどころに解決して見せましょう…全力で!」
逮捕された男は本当に犯人なのか
リヴァ「俺はやってない! 信じてくれ、刑事さん!」
容疑者の弁護を買って出た悪徳弁護士の目的は
シンク「我は問う!動機、アリバイ、状況証拠、何をもってこの逮捕をブリタニア警察の意思とするか!」
頼りにならないボス
オデュ「どうしよう、困ったねぇ…」
突然の捜査打ち切り宣言
シュナ「ラウンズ署はこの事件から手を退くんだ、これは警視総監としての命令だ」
それでも刑事たちは戦う
ノネ「そんな器用な生き方が出来る奴はここにはいないだろう?」
時を同じくして動き出すテロ組織
藤堂「政庁は我々が占拠した、ナナリー租知事をはじめ多くの人質もいる」
扇「無事に解放してほしければ俺達のリーダーを、ゼロを解放しろ!」
カレ「要求が受け入れられないなら、1時間に1人ずつ人質を輻射波動装置で殺すわ!」
やがて明らかになる殺人事件とテロリスト達の関係
ライ「そうか、そういうことだったのか!」
ディト「役に立ちましたか、私の情報は?」
81 :
食卓:2008/10/19(日) 20:24:46 ID:JFs7s/mc
下される決断
シャル「防衛大臣、官房長官、よろしいか?」
V2「うん、しかたないね」
マリ「総理、悲しい決断ね」
V2「本当にそう思ってる?」
マリ「思っているわよ、仕方がないとはいえ数多の犠牲が出るんですもの」
シャル「ふっ。すべては、犯罪の無い世界のため…」
放たれた魔人は世界を恐怖に染める
ゼロ「フレイヤの発射用意をしろ、目標は…ラウンズ署!」
やっぱり頼りにならないボス
オデュ「う〜ん。どうしたものかなぁ?」
極限状態で生まれるロマンス
モニ「好きなんでしょ彼女のことが。行ってあげたら? 私は…大丈夫だから……」
刑事たちはテロリストを逮捕すべく政庁に突入する
ライ「ブリタニア警察だ、テロ組織『黒のテロ団』、お前たちを逮捕する!」
ビス「この力、官房長官との再戦まで使いたくはなかったが…」
ジノ「今日は本気で行くぜ!」
アニャ「テロリストは殲滅」
ノネ「さぁ、いこうか!」
ルキ「人の命を躊躇い無く奪う悪魔共め、俺はお前らを許さねぇ!!」
モニ「第7世代テロリスト鎮圧兵器の力、見せてあげるわ」
ボスも頑張る
オデュ「みんな〜逮捕状取れたよ〜枢木刑事の無実も証明された」
スザ「ボス、逮捕状はこっちです! それは忘年会の予定表です!」
82 :
食卓:2008/10/19(日) 20:27:42 ID:JFs7s/mc
そして少年は最後の戦いへ―――
アニャ「行くの、ライ?」
ライ「うん、決着は僕の手で着ける。着けなければならないんだ」
アニャ「必ず帰るって約束して」
ライ「分かった」
アニャ「約束…」
ライ(ごめん、アーニャ。この約束は…守れない)
対峙する2人
ゼロ「やはり来たか、ライ。いや、ラインバルト・エス・ブリタニア…」
ライ「ここまでだよ、ゼロ。いや、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア!」
戦いの結末は―――
ルル「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが、」
ライ「ラインバルト・エス・ブリタニアが、」
ルル&ライ「「命じる、お前は――――」」
―――運命のみが知る
謎の女「これがお前の、お前たちの望みなのか?」
劇場版 ダモクレスに吼えろ! 〜フレイヤに消えるラウンズ署!?
コードギアス〜反逆のルルーシュ LOST COLORS SSスレ 300 にて公開決定!
その日、少年は世界に宣戦布告される
アニャ「ライーーーーーー!」
前売り支援絶賛受付中!
83 :
食卓:2008/10/19(日) 20:29:11 ID:JFs7s/mc
出演(役名/ニックネーム:役者)
ランペルージ刑事/ロスカラ:ライ
ヴァルトシュタイン捜査一課長/ワンさん:ビスマルク
ヴァインベルグ刑事/ノーブル:ジノ
エルンスト警部/ドロさん:ドロテア
アールストレイム刑事/アーにゃん:アーニャ
枢木刑事/KY:スザク
エニアグラム警部/ノネさん:ノネット
ブラッドリー警部補/テンさん:ルキアーノ
クルシェフスキー刑事/モニ子:モニカ
エル・ブリナニア警視総監:シュナイゼル
ウ・ブリタニア刑事部長/ボス:オデュッセウス
84 :
食卓:2008/10/19(日) 20:31:17 ID:JFs7s/mc
ギルバート警視:ギルフォード
謎の男ゴッドバルト/オレンジ:ジェレミア
容疑者カルデモンド:リヴァル
悪徳弁護士黎:星刻
情報屋リート:ディートハルト
テロリストA/ミラクル藤堂:藤堂
テロリストB/リーゼント扇:扇
テロリストC/紅蓮の紅月:カレン
殺された売人:玉城
被害者A:ユーフェミア
ジ・ブリタニア総理大臣:シャルル
ジ・ブリタニア防衛大臣:V.V.
ヴィ・ブリタニア官房長官:マリアンヌ
ゼロ&ルルーシュ:ルルーシュ
謎の女&ナレーション:C.C.
他多数
GJ!
70、80年代の匂いがプンプンするぜwww
86 :
食卓:2008/10/19(日) 20:37:05 ID:JFs7s/mc
以上です。
なんか後半は刑事ものっぽくない…
公開決定なんて書いてますが、されることはないです。ごめんなさい。
どなたか代わりにやって頂けるならどうぞお願いします。(いないと思うけど)
多分次はまともなのを投下する予定なので勘弁して下さい。
>>84 食卓の騎士卿、GJでした!
とりあえずテンさんのセリフにいちいち吹いたwww
どんだけ他人思いだよw
そして地味にスザクのニックネームがwww
とても見たいよ、これはさ!
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!
さてと
?
げ、書き込み途中で送信しちゃいました。ごめんなさいね
とりあえず一時帰宅できた青い人です
「手をとりあって その9」 はいかがだったでしょうか?
今夜はその9とその10の間に挟まるインターミッションその9.25をお送りします
レス数は5 5くらいなら支援はいらないかも?
23:05より投下しますね〜
コードギアス LOSTCOLORS 手をとりあって その9.25
「ちいぃッ」
舌打ちをしつつもライはガウェインに俊敏な動きをさせて敵弾を回避する。
敵機は数を増しつつあった。
政庁から離脱をはかったものの、不用意なその動きは後衛をつとめるブリタニア軍部隊の警戒の網につかまったのだ。
それはライのミスである。
スラッシュハーケン射出。命中! 三機目のサザーランドを粉砕し、今度こそガウェインの巨体を宙に舞い上がらせようとするライ。
だが、
ギギギイィィン!
濃密な火線がそれを許してくれない。
サザーランドが発するアサルトライフルの20mm徹甲弾がガウェインの装甲に弾痕を刻み、幾度目かのライの目論見を潰す。
部隊が最後衛を務める予備部隊であったことは不幸中の幸いと言っていい。
これが対空高射砲などを装備した部隊であったならば鈍重なガウェインには命取りになっていたはずだ。
そう、ガウェインの動きは常ならず鈍かった。
心の痛みから逃れるために開戦当初より常に最前線を駆け抜けたガウェインである。ましてコーネリアとの激闘によってその損傷は激しいものとなっているのだ。
だが。
『たとえこの身が砕け、引き千切られ、四散しようとも必ず!』
必ずこのラインを突破し、神根島へと向かう。ライの頭にあるのはただその一つ事のみなのだ。
だから、
「僕の邪魔をするなあぁッ!」
憤怒の形相、怒りの雄叫び。
再度射出されたスラッシュハーケンは確実に四機目の障害を取り除く。そして、鞭のように振り払われるそれは密集隊形を組んだその僚機をも薙ぎ払う。
だが怯まない。
ブリタニアの騎士たちもまた戦士であった。
「こちらの死角に回り込む気か?!」
ガウェインの左腕部は損傷し、脱落している。そこをつこうと彼らはガウェインの左側へと機動し、なおも攻勢をかけるのだ。
「判断は悪くない。けどッ!」
ライは操縦桿とペダルを複雑に操作する。
カッカッカ…ではなく、カカカッとでも形容しようか。そのような信じられないようなスピードの操作だ。
しかもそれは機械のような、コンマの狂いもない正確性を誇る。
ガウェインのその漆黒の巨体は妖精のような身軽さを示し、ひらりひらりと翻るのだ。
サザーランド部隊はガウェインの横を取ったつもりが、自分たちが横をとられる結果になる。
「遅いッ!」
ライの強化された感覚は一瞬で3つのプロセスを完了させる。
確認と照準と攻撃だ。
次の瞬間、ガウェインに迫る八機のサザーランドは赤黒い光の奔流の中にその身をさらしていた。ハドロン砲のパワーユニットはその出力を取り戻していた。
その八機のうち、光の猛攻から辛くも逃れたのは二機。
だが、その二機も続くスラッシューハーケンの追撃によって残骸へとその身を変じた。
「はぁ、はぁ、はぁ………」
ライの息は荒い。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ………」
開戦からすでに五時間。あと一刻と待たずに夜明けとなるだろうこの時間までガウェインで戦闘と補給をくりかえしてきたライなのだ。
「……くっ、ナナリー…ッ!」
ガウェインの行く手を阻む障害はレンジ内にはもういない。とりあえずは。
フロートユニットの出力を増す操作をする。いくばくかの滑走の後、愛機を空へと向かわせる。
しかし、その正面に警告表示があらわれた。
機影はひとつ。単機のサザーランド。
強力な火力をもつガウェインの正面に飛び出るサザーランド。
その挙動は策があっての合理的なものとは思えない鈍さだった。それは、考えなしの素人の動きだ。
『怯えているのか、このナイトメアは』
そのサザーランドは機体の肩部装甲を黄色に塗っていた。
ライの刷り込まれた知識がその意味を主に知らせる。
『訓練生の機体! このパイロットは少年兵か!』
サザーランドはガウェインの行く手を阻むべく射撃をはじめる。
トリガーにかかった指が一瞬そこから離れる。しかし、ライは。
「……言い訳は、地獄でさせてもらう」
トリガー。
ハドロン粒子の光と、その数瞬の後にひろがる爆炎と煙の渦。
それらを背負い、ガウェインは再びトウキョウ上空へと舞い上がった。
・
・
・
── トウキョウ租界セントラルエリア 04:52:21 ──
「しぶといっ! さすがはコーネリアの精鋭」
ブリタニア軍は政庁を背後に中央区域を最終防衛ラインとして構築していた。
守るはコーネリア親衛隊を中核としたブリタニア軍最精鋭の一群。攻めるは藤堂鏡志郎が自ら率いる第二主力部隊二個大隊である。
さすがにコーネリア配下。いずれ劣らぬ強兵揃いだ。
『だが………』
不思議とその展開が鈍い。以前感じた……そう、ナリタ防衛戦などの際に感じたコーネリアの用兵を、そのプレッシャーを感じないのだ。
『我らとしては僥倖といえることだが……』
最初は一抹の不安を覚えた。何かの策が控えているのではないかと。
「だが、ことここまで進めばどんな隠し玉があろうと風向きは変わりようがあるまい!」
すでに戦闘の趨勢は決まった。
交通・通信・経済の主要制圧地域を抑え、残すはこのセントラルエリアと租界外縁に位置するいくつかの軍施設のみなのだから。
通信機が受信を報せたのはその時だった。
「…藤堂さん」
それは秘匿通信だった。ゼロと藤堂の間にだけつながる極秘回線。
それは他の者には聞かせたくない。知られることは避けなければならない話があるということだ。
「どうした、今は………」
「……………」
その重い息遣いに尋常ならぬものを感じた藤堂は彼の現在位置を問いただそうとした。それを先んじてライが辛そうにその口を開く。
「以降の作戦はすべてあなたに任せます。制圧後の仕事は扇さんとディートハルトに仕切らせてください」
「ま、任せる?!」
ライは扇の負傷を知らなかった。あえて知らせまいとしたのは藤堂自身だったのだが。
「任せるとは一体?!」
驚きが藤堂に上ずった声を発させる。しかし続く言葉を彼は飲み込むのだった。
「お願いです…お願いします藤堂さん……。僕は行かなきゃ、行かないといけないんです……ッ」
それは今まさに死に直面しているかのような苦しげな息遣い。
──何があったのだ、それほどまでに苦しむ、一体何が!!
損害を出しつつも、苦しい戦いを展開しつつも、今、黒の騎士団は──日本は勝利を掴もうとしている。
その今、まさに今、総司令官たる自分が戦線を離脱し、行かなければならない場所があるという。
大将が将兵を放り出し、何処かに行かなければならないと言う。
それは裏切りだ。許されることではない。
わかっているのだ。彼はわかっている。だからこそ苦しげな言葉で訴えているのだ。
それでも行かなければならないのだ、と。
心当たりがあるといえば例の学園………あの少女に関わることだが。
藤堂は頭を振った。
それは自分が詮索するべきことでは、ない。
息をひとつ深く吐いて、揺らいだ気持ちを落ち着かせた。
そうすれば自身の答えはただひとつなのだということが思い出される。
「…藤堂さん」
それは秘匿通信だった。ゼロと藤堂の間にだけつながる極秘回線。
それは他の者には聞かせたくない。知られることは避けなければならない話があるということだ。
「どうした、今は………」
「……………」
その重い息遣いに尋常ならぬものを感じた藤堂は彼の現在位置を問いただそうとした。それを先んじてライが辛そうにその口を開く。
「以降の作戦はすべてあなたに任せます。制圧後の仕事は扇さんとディートハルトに仕切らせてください」
「ま、任せる?!」
ライは扇の負傷を知らなかった。あえて知らせまいとしたのは藤堂自身だったのだが。
「任せるとは一体?!」
驚きが藤堂に上ずった声を発させる。しかし続く言葉を彼は飲み込むのだった。
「お願いです…お願いします藤堂さん……。僕は行かなきゃ、行かないといけないんです……ッ」
それは今まさに死に直面しているかのような苦しげな息遣い。
──何があったのだ、それほどまでに苦しむ、一体何が!!
損害を出しつつも、苦しい戦いを展開しつつも、今、黒の騎士団は──日本は勝利を掴もうとしている。
その今、まさに今、総司令官たる自分が戦線を離脱し、行かなければならない場所があるという。
大将が将兵を放り出し、何処かに行かなければならないと言う。
それは裏切りだ。許されることではない。
わかっているのだ。彼はわかっている。だからこそ苦しげな言葉で訴えているのだ。
それでも行かなければならないのだ、と。
心当たりがあるといえば例の学園………あの少女に関わることだが。
藤堂は頭を振った。
それは自分が詮索するべきことでは、ない。
息をひとつ深く吐いて、揺らいだ気持ちを落ち着かせた。
そうすれば自身の答えはただひとつなのだということが思い出される。
まちがい
5レス目のは4ですね
5レス目を投下しなおします
……ミスか、ならば支援!
念のための支援
99 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/19(日) 22:16:16 ID:btTz61IH
忠義の支援
「わかった。後のことはわたしが請け負う。行ってくるがいい」
返ってきたのは驚愕。
フっと藤堂は笑って見せた。
「ゼロ、君はオレの王だ。そしてオレは君の臣下だ。ならば君はただオレに命じればいい。私に代わり指揮をとれ、と」
通信機からは返事はない。SOUND ONLY、映像はない。ライの表情はうかがいしれない。
だが、彼が苦しげな顔をそのままにしているのだろうということは知れた。
藤堂は思う。
自分が彼の道具となり、戦術を練り、戦場を駆けることで、その重荷をわずかにでも減らすことができたならばと。
彼の心に刺さった棘がほんの僅かでもその厚みを細くすることができるのならば、と。
──そのためならば、オレは…。
「さぁ、行くんだ。急がねばならないのだろう。ならば行くがいい。後ろを振り向かずに突っ走れ!」
そして、必ず帰ってくるのだ。ここが君の帰るべき故郷なのだから。
彼は短く「はい」とだけ答えた。
だがそれだけでいい。約束は交わされたのだから。そして、
「オレの王は約束を必ず果たす」
藤堂は愛機をバリケードから這い出させ、前進させた。
雷光部隊が配置についたとの連絡を受けてのことだ。
「雷光の砲撃によって敵陣前衛を粉砕する。自在装甲戦闘機隊は斉射三連終了とともに突入! 決着をつけるぞ!」
自分も約束を果たす。
彼が戻るころには夜も明けていることだろう。
その時には…。
「我らが祖国を、故郷を取り戻すのだ!!」
夜明けはもう目の前まで来ている。
だが、その足音は日輪が象徴する希望そのものなのか?
それに答えるものは、少なくともこの物質世界には存在しない。
この神去りし後の、人間の世界には………。
以上で〜す
本来はその9の最後かその10のアバンで使う話だったのですが、
冗長になるなぁということで独立させました
次回はついにスザク編です
自分なりのスザクとライの関わりというものを表現できたらばと思って書いてます
ご期待いただければ幸いです
では、また
オール・ハイル・BLUEDESTINY!
>>101 BLUEDESTINY卿、アナタに私の全力のGJを捧げました!
一言で纏めるならば、色々凄いでした!
藤堂さんのカッコよさが尋常じゃないほどGJなのでした!
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちさせていただきましょう!
>>101 乙&GJ!予告された時間より一時間早く投下が始まって驚いたw
このシリーズの藤堂は格好いい。頼れる大人って感じだ。しびれるあこがれる〜
なにこの藤堂。
・
・
・
・
・
かっこよすぎ(つД`)
藤堂の一人称って私じゃなかったっけ
信頼一つでココまで変わるか……
この迷いの無い藤堂さんならグラストンナイツの守備も抜いて総督府を落とせそうだ。
俺と私のハイブリッドだったと記憶していたが、どうだったかな?
最終回で俺はこんな生き方しかできないって言ってなかたけ?
108 :
107:2008/10/20(月) 00:09:42 ID:1+/EdMtd
今確認してきた。
やっば私って言ってるな。
まぁ、いいんじゃないか?
一人称とかの表現も含めてその職人の解釈なんだろうし。
いやぁ単純に間違ってるだけなら次から直せば良いけど
勝手に一人称変えたりしたらそれはもうそのキャラじゃなくなるからね
作品の中でコミカルさを出すためにキャラの性格を変化させるキャラ崩壊とかの問題じゃなくて
それはもう別のキャラだからね
もっと言えばコードギアスという作品は関係なくなるわけだ
まあオリキャラだというのならわかるが度を過ぎるとコードギアスである必要性が無くなる
御高説ごもっともで。
じゃはっきり青い人宛にしてから
「勝手に一人称変えるんじゃねえよ!」
って苦情レスつけろよ。
外野の俺に絡んでるじゃねぇっての。
言う相手まちがえんな。
自分から話に乗り出しといて絡むなって・・・
反論されたくなかったら黙っとけよ
なんでそこでキれるのかがわからん
藤堂以前に、ジノが普通に「俺」と言ってるSSも多いしあんまり気にならない
というか、藤堂さんはプライベートとかだと俺使うよ?
俺がハッキリ覚えてるのは、特区について藤堂と話して藤堂が田舎で道場を開きたい言ってる奴。
sage
確かに俺とも言ってた気がする
>>116はミスです、全力で見逃せ!
>>114 本編でリヴァルに指摘されて、俺って表現使った事あるから気にならない
正確には「俺達は」だけどさ
保管庫のロスカラさん第6話とみんなで仲睦まじくいこうが
見れないのは私だけ?
いくつかリンクが繋がってないのがあるみたいね。
まだ前スレが見える状態で困ってないから正確にチェックしてないけど。
全裸で投下待機中
せめて服は着ておけよwww
>>121 そろそろ全裸は辛い季節だろ。無理せず服きとけ
あたしゃ通りすがりのしがないSS書きだけどよ。
ここで
>>121を風邪ひかしゃあ職人が廃るってなもんよ。
てやんでい投下だ投下だ!30分から投下すんぞ!
紳士として、せめてネクタイ着用を忘れずにな。
「さあ、始まるザマスよ!」
「いくでガンス」
「ふぅんっっぎゃあああぁぁぁあああぁあぁぁああああ!!」
「まともに始……って怖すぎるわ!」
注意事項だてやんでい!
・適当に考えた短編だてやんでい!設定とかめちゃくちゃ重要な事気にすんな!
・カップリングはライ×アーニャだてやんでい!
・ジャンルはよく分かんねえけど、とにかく微エロだてやんでい!
・アーニャたんハアハア……本音がでちまったぜてやんでい!
・9レスくらいだてやんでい!支援たのむぜ!
オレンジ オレンジ オレンジ畑
小さなあの子の小さな悩み
オレンジ オレンジ オレンジ畑
ちょっぴり愉快な家族の一時
オレンジ オレンジ オレンジ畑
今宵の月はまん丸オレンジ
オレンジ オレンジ オレンジ畑
毎日オレンジさすがに飽きる
‡全ては彼女に踊らされて‡
とある農家の家での事である。小さな小さな4人だけの世界に、とある事件が起きましたとさ――…
オレンジ。オレンジジュース。パン。おでん。
これが本日の、この家の夕食である。
ライは食卓に並べられた中から、パンを一つ取り、
「はむ……」
手に収められたパンが口の中に入っていく。咀嚼しながら思う。美味だと。
焼き加減といいふっくら感といい申し分ない。パン焼き機を買って正確だった。
(でも、僕が買った訳じゃないんだよなあ……)
最初はアーニャがパンなら作れるという事で、備え付けたはずだった。
しかし今、彼女はライが焼いたパンを片手に、はんぺんをもふもふ食べている。
その仕草が可愛いのはいいのだが、
(どうして夕食は一人一品なんてルールを作ったかのか…)
今もって分からない。しかも言い出したのは彼女に加えジェレミアだ。
それでありながら、ジェレミアが用意したのはオレンジジュース。アーニャに至ってはオレンジそのままだ。
大体二人はこのジュースと果実を交互に役割分担する。おかげで晩の食卓からオレンジとオレンジジュースが消える事は無い。
結局は、主食とおかずを自分と咲世子の二人で作る事になる。しかも最近は咲世子がどこからか食材を調達し、あろうことか和食に凝りだしている。
和食に合う洋食を作ろうにも、やはり一品じゃ限界だ。というより飲み物を一品と数えるのにも疑問が残る。
面倒ならいっそのこと自分か咲世子に任せればいいものを。
しかしそれをやらず、たとえ何であろうと夕食は一人一品用意するのが、この家庭の一種の絆ではないかと最近思うようになった。
だがオレンジは流石に飽きる。
(アーニャに簡単な料理を教えよう)
名案だ。明日にでも始めるべきだ。だが同時に考える。多分彼女の性格では3日も保たないのではないか。
しかし、
(それはそれで楽しめばいいか)
一緒に何かをするだけで楽しい相手というのは、本当にありがたい存在だ。
熱々の巾着を「ふー…ふー……あつっ」と食すアーニャを、ライは愛おしげに見つめた。
支援
●
「そうだ、咲世子」
食事もそろそろ終わりが見えてきた頃、不意にアーニャが咲世子に話し掛けた。
ライはオレンジジュースの入ったグラスを傾けながら、2人の話を耳に入れていた。
「何でしょう、アーニャ様」
にこやかに答える咲世子。
もはや使用人という立場では無いのだが、彼女から様付けを止める気配は感じられない。まるでそれが自然体という風に。
そんな咲世子に、アーニャは顔を下に向け数秒ためらった後、はっきりと告げた。
「胸、揉んで」
一瞬、時が止まった。
●
「ぶふぅっーーー!!!」
アーニャによって和やかな家庭に投げ込まれた爆弾は、ライにオレンジジュースを吹き出させた。
先ず聞き間違いかと自分の耳を疑い、そして何が起きたのか理解できず、ライはアーニャを見たまま動きを止めていた。
●
「うおっ!」
いきなり何か冷たい液体が顔面に盛大に降り注がれ、ジェレミアは奇声を上げた。
(何事!?)
全身から滴り落ちるのは100%果汁のオレンジジュースだ。
見れば、ライがジュースの入ったグラスを片手に呆然としている。
(行儀が悪い!)
高ぶる感情を、しかしジェレミアは落ち着けて次の行動を取る。ナプキンを取り出し、
「む……!」
そこで気付く。自身の手が震えている事を。
保護者として窮地に立たされたジェレミアは、こういう時こそしっかりせねばと気を引き締めた。
しえん
●
沈黙した雰囲気がしばらく続き、一人冷静さを取り戻した咲世子は改めてアーニャに問うた。
「アーニャ様、……今なんと?」
「胸、揉んで」
聞き間違いではない事を確認。三人顔を見合わせ頷く。
「理由を聞かせていただけますか?」
「本で読んだ。人に揉まれると大きくなるって」
淡々と告げられる言葉に、苦い表情を作るライとは対称的に、咲世子は手を合わせて微笑んだ。
「あら、それで私に揉んで欲しいと?」
「うん。おっきくなったら……」
アーニャは胸に軽く手を添えながら、ちら、とライに視線を向けた。しかし彼は気付かない振り。
こっちに話を振らないでくれ、としきりに咲世子に目線で訴えかける。
そんな彼に咲世子は微笑んで、分かりましたという風に頷いた。
声のトーンを低くして、
「アーニャ様、残念ですが……」
「駄目なの?」
可愛らしく首をかしげるアーニャに、しかし咲世子は否定の言葉を差し出した。
「いえ、こういうのは――」
一息。
「異性の方に揉んでもらうのが一番なんです」
●
ライは咲世子の発言に軽く目眩がした。意思の疎通は失敗だった。咲世子は全くこちらの要求を理解していない。
(まったく咲世子さんは……)
だが、ピュアなアーニャは咲世子を完全に信用しているらしく、「そうなんだ」と感心している。
純粋な性格は彼女の魅力の一つだが、それ故に咲世子との相性は色んな意味で問題がある。
ライは即座に訂正を入れようとして、しかし別の言葉が現れた。
彼の向かい、咲世子の隣に座るジェレミアが、
「うむ、ならば私が――」
揉んであげよう。そう言おうとしたのだろう。
「うおおぉぉぉああぁあ!!」
テーブルの下で何かが叩きつけられるような音が連続でしたかと思うと、突然ジェレミアは前のめりに倒れ、額をテーブルに押し付ける格好になった。
タップダンスのような軽やかな連続音は、恐らくは咲世子がジェレミアの足を踏んだ事により起きた物だ。
「何か?」
「いや、……何でも…ない…」
ぷるぷる震えながら退くジェレミアを見て、ライは咲世子の行動を諫める事が不可能と判断した。自分の足は機械ではない。
そして、何事も無かったように咲世子は虚空を見上げて喋り出した。
「ジェレミア様でも私でも駄目。あらあら……どうしましょう、アーニャ様」
「どうしよう……?」
(咲世子さん、あなたは何もかも計算でやってますね!?)
今更ながら彼女の性格を知ったライは、無言の抗議。しかし咲世子は素知らぬ顔でアーニャを促す。
「ライ様に頼まれてはいかがでしょう?」
「ライ……に?」
アーニャの顔が向けられるのと同時、ライも顔を逸らす。
あの魅力的な真紅の瞳で上目づかいに見つめられては、いかなる理性も保つまい。
たまらず身を退こうとして、しかしいつの間にか後ろに回っていた咲世子に背中を押さえられる。
ささやくように耳元で、
……ライ様、今がチャンスでございますですよ。
……ははは、化けの皮が外れて口調がおかしくなってますよ咲世子さん。っていうか僕にアーニャの胸を揉めと!?
……嬉しくはないのですか?
ライは少しの逡巡を見せ、
……健全な一男子としては喜ばしくはあります。けどですね!
……素直じゃありませんね。こないだお昼寝しているアーニャ様の額に甘く口付けたように――
「見てたんですか!?」
思わずライは腰を上げて叫ぶ。
支援
突然の大声にアーニャは少し驚いた様子の後、首をかしげた。
「何を?」
「いや…………何でもない」
……チキンですね。
……黙っていて下さい!
「何こそこそ話してるの?」
「う、いや、咲世子さんと相談をね…」
「ふ〜ん……」
ライは頬をぽりぽり掻き、苦笑いを浮かべながら誤魔化す。
(くそ……無垢って罪だ……)
自分は悪い事をしている訳ではない。そのはずなのに、何故かいたたまれない気持ちになってしまう。
揉むべきか。揉まざるべきか。余りに常識外れな二者択一に迫られる。
断れば何だか罪悪感に駆られ、しかし承諾するのも煩悩が無いとは言い切れない。
理性は揉むなと告げ、しかし感情は揉めと叫び声を上げている。ゴーアヘッドと。
(落ち着け僕。ビークール、ソークール……そうだ、僕は冷静。決してやましい気なんて無い。アーニャを止められるのは僕だけだ)
一瞬で悟りの境地に達したライは、一度大きく深呼吸をして高ぶる気を静めた。理性が勝ったのだ。
そして至って真面目な様子でアーニャに向き直り、言った。
「よし、アーニャ……じゃあ僕が揉んであげるよ――って何を言ってる僕!?」
「本音が出ましたね、ライ様」
――――――――――……
――――――――…
ライは自室に戻るやいなや、手をわなわなと震わせ、呟いた。
「あぁ……やってしまった……」
未だ手に残る感触を思う。先ほど風呂場で感じたそれは、
(柔らかかった……)
ぷにぷにふわふわ。何度も何度も触れた“あれ”を忘れる事などできない。
そう、彼は負けた。理性など一瞬で白旗を掲げて裏切りの枢木卿の如く寝返ってしまった。
「仕方ないじゃないか……!」
ベッドに深く沈み、後悔と共に安らぎを得る。
揉むだけ。他意は無い。そう自分は何度も彼女に、そして己に言い聞かせた。
だが結果は最悪な物だ。
(やってしまった……)
アーニャが艶めかしく艶やかな声を上げた事だとか、風呂場に行く前に咲世子からゴム製の物体を渡された事だとかは大した問題ではない。
第一、ゴム製品は使わなかった。これもまた悩みの種だ。「責任とってね」と頬を赤らめながら言われれば、頷く以外にないではないか。
「絶対、計算だよ……」
今夜は眠れそうにない。
悶々とアーニャの魅力に苛まれ、ライは明けない夜を過ごすのであった。
●
一方、咲世子の寝室では、
「やりましたね」
「やった」
のろのろとアーニャが手のひら前に上げ、そこに咲世子がハイタッチを決める。
「どうでした?ライ様は」
「激しかった……」
頬を紅潮させ、ほぅ、と息をつくアーニャの表情はまさに女。
その様子に咲世子は満足そうに頷き、
「まさか襲うとは思いませんでした」
「うん……でも、嬉しかった」
顔をほころばせ、
「じゃあ、ライの部屋に行ってくる」
「今からですか?」
咲世子が壁に掛けられた時計に目をやる。もう真夜中を過ぎている。
だがアーニャは微笑んだ。まるでそちらの方が好都合だと言いたげに。
「おやすみ、咲世子」
「おやすみなさい、アーニャ様」
挨拶を交わし、アーニャが部屋を後にする。
残された咲世子は窓の外、星が輝く夜空を見た。
一瞬時の流れが止まったのを感じ、目を閉じて、
「ライ様……ご愁傷様です」
しぇん
規制か……orz 支援
sien
●
咲世子が黙祷を捧げた頃、ライの部屋では、
「あ、アーニャ!? こんな夜中にどうしたんだ!?」
ベッドの上で慌てふためくライを見て、アーニャは残念そうにため息をついた。
(なんで、起きてるの?)
いつも寝るのが早いライが、何故今日に限って夜更かしをしているのか。
考え、そして思いつく。
(お風呂での事、意識してるの?)
心の中で問いかけ、それだと頷く。ならば来たかいがあった。
「え〜と、アーニャさん?」
恐る恐るライが尋ねてくる。
「なに?」
「何か用?」
「知りたい?」
ライは頷きかけ、
「うん――ってやっぱり知りたくない!」
「じゃあ教えてあげる」
「アーニャってさ、僕の話全然聞いてくれないよね……」
悲しげに俯くライに、そんな事は無いとアーニャは否定。彼の一言一句は全て聞き漏らそうとはしない。ただ、
(いじめると、ライが可愛い顔するから)
だから部屋に来た理由を聞かせようと思う。これを聞いた彼の反応はきっと自分をぞくぞくさせる。
早く見たい。しかし焦らすのも悪くない。どちらのライも見たい。
そんな衝動に板挟みになりながら、アーニャは深く息を吸う。
そして言った。はっきりと。微笑んで。
「夜這い」
2人の夜は長い――…
お〜っしまい!
猿めこんちくしょおーー!
>>143 GJでした!
やったのか、ライ!?
揉んだあげくにやっちまったのか!?
そしてある意味覚醒したアーニャが最高だっぜ!
……でも揉むほどの胸はな……うわ、何を(ry
………
……
…
アナタノ次ノ投下ヲ全力ヲ挙ゲテ、オ待チシテオリマス!
GJ、お疲れ様です。
内容といいノリといい、こんなことをする職人はたった一人しか思い浮かばない。
ぴんくもふもふでつねわかります
>>143乙&GJです
微エロというには、なかなか大胆なアーニャご馳走さまでした
貴卿がここまで踏み込んだのは始めてでは?
咲世子の天然かと思いきや、アーニャの策略とは!
ちょっとライが弱すぎじゃないか?という気も一瞬しましたが、惚れた女がここまで仕掛けてきたら、
若さ故の暴走は致し方ないとも思いなおしましたw
しかし、本当にアーニャが大胆だ……っ!
はてさて……、自治区か領地か。判断に迷うところです。
バレバレじゃないか…!
まあ、別に領地でもいいですよ。
何なら0024-0192「シアワセネイロ」も入れといても
>>143 もっふー卿お疲れさまです。
楽しく読ませて頂きました。ノリが変わってないようで何より。
でもって、開始4行を見た瞬間に「……A○−X放送開始記念?」と思ったのは
自分だけ……だよね?
ところで、この台詞の順番は
咲世子「さあ、始まるザマスよ!」
アーニャ「いくでガンス」
ジェレミア「ふぅんっっぎゃあああぁぁぁあああぁあぁぁああああ!!」
ライ「まともに始……って怖すぎるわ!」
で、再生すればいいのだろうか?
21:35頃から投下します。本文が16レス分と少し細かくなってしまったので、
よろしければ支援をお願いします。ちなみに、すっごくカオスです。
ここは様式美として、やはり……
>>152 V.V.乙!
支援?OK!!
>>153 うわ、言われるまでまったく気付かなかった。
では、投下します。『虫食い同好会』シリーズ、今回は番外編になります。
作者:余暇
タイトル:番外編・ラウンズ対抗一発芸大会
(設定と注意)
・スザクはラウンズではないが、ジノやアーニャと友人になっている。
・とにかくカオス。
・ビスマルクとジノが特にひどいかも。
・藤堂とロロは義理の兄弟になっている。ナレーターも兼任。
・今回、ライや卜部は出てきません。
・この大会は、ドロテアがプラント団入りする際の原因になった。
本文は16レス分あります。
『番外編・ラウンズ対抗一発芸大会』
ここは、某所の一室。そこには二つの椅子があり、二人の男が座っている。そして二人の目の前には、テレビとDVDプレーヤーがあった。
「兄上、これが……。」
「そうだ。これがナレーター特権で手に入れた、『ラウンズ対抗一発芸大会』の模様を撮影したDVDだ。」
この二人は、ロロ・ランペルージと、彼が兄と慕う藤堂鏡志朗だった。
「確かこの時撮った写真をネタにして、クルシェフスキー卿がエルンスト卿を脅したんだよね。」
「そうだ。そしてドロテアは、仕方なくプラント団に入った。彼女が隠そうとした内容は、すべてこの中に収められている。」
そして藤堂は、ニヤリと黒い笑みを浮かべた。
「彼女が味わった地獄をこの目で見て、笑ってやろうではないか。そして、我々とともに歩む資格があるのか、見定めようではないか。」
「うん、そうだね。ついでに、他のラウンズたちのカッコ悪い所も笑ってあげようよ。」
ロロも、黒い笑みを返した。
「ふっ、そうだな。さて、そろそろ始めるか。」
藤堂が、DVDプレーヤーにディスクを入れ、再生ボタンを押した。
「さあ、ショータイムの始まりだ。ラウンズのみんな、せいぜい僕たちを楽しませてよ。」
そして、幕は静かに上がった。
ここは、とある温泉旅館。広間には、浴衣を着たラウンズたちが集まっていた。
「それでは、諸君の日頃の労をねぎらうとともに、ブリタニアのさらなる繁栄を祈願して……乾杯!」
「かんぱーい!」
ビールやジュースを入れたジョッキを高らかに掲げ、宴会は始まった。
「しかし、集まったのはこれだけか。せっかくの慰安旅行だというのに、付き合いの悪い奴らだ。」
そう言って、ノネットがビールを飲み干す。この場に集まったのは、ビスマルク、ジノ、ドロテア、アーニャ、ノネット、モニカの六人だった。
「戦闘以外に関しては面倒くさがりだからな、ラウンズは。その点、我々は付き合いがいいと言えるのかな?」
ジノがニヤリと笑った。隣に座るアーニャは、黙ってオレンジジュースを飲んでいる。
「私だって、本来はあまり参加したくなかったのだ。それをモニカが無理やり……。」
「はいはい、そんな顔をなさらずに。せっかくなんですから楽しみましょうよ。はい、写真撮りますよ。」
ドロテアがモニカを睨み、そのモニカはカメラを構え、シャッターを押した。
「すまんな、モニカ。幹事役を押しつけてしまって。」
「いいんですよ、ヴァルトシュタイン卿。私、こういうの好きですから。」
こうして、ラウンズ慰安旅行の宴会は、賑やかに行われていた。
『ふむ、ルキアーノ・ブラッドリーがいないな。』
『ああ、国際虫食い協会の要職に就いているからね、彼は。そっちを優先したんだと思うよ。』
『ほう、ロロ。お前は随分と詳しいじゃないか。』
『えへへ、一応機密情報局に所属しているから。』
テレビの前では、ナレーターたちが甘納豆を食べつつ、くつろいでいた。
支援
支援
そしてついに、「その時」が訪れた。
「それではお待ちかね、ラウンズ対抗一発芸大会を始めまーす!」
小指を立てながらマイクを持つモニカが高らかに宣言し、ラウンズから歓声が上がった。
「優勝者には、皇帝陛下からいただいた豪華な賞品が贈られます!」
何故こうも盛り上がるのか、理由は様々である。
「こういう楽しそうなイベントは、大いに楽しまねばな。」
「そういうこと。私もこのノリは好きだからな。」
ノネット、ジノはイベントのノリを大いに楽しみたいと望んでいた。
「こういうイベントは私のジャンルではないが、ラウンズ間の友好と結束を深めるためには重要だからな。」
ビスマルクは、イベントを機に仲間同士の結束が深まることを願っていた。そしてそのためには、自ら一肌脱ぐこともいとわなかった。
「影が薄い私の存在感を再認識させるチャンスだとモニカに言われたが、果たしてうまくいくだろうか?」
ドロテアは、モニカの策略にまんまと引っ掛かった、ある意味被害者だった。
「ブログのネタになりそうだし……。」
アーニャは、自身のブログに記録するために、この旅行及びイベントに参加していた。
(ふっふっふ、ノリがいいわね。さあ、私を楽しませてちょうだい。
帝国最強の騎士がどんなはっちゃけ方をするのか、ばっちり記録してあげる。)
モニカは、他人がはっちゃけるのを見て面白がりたいと思っていた。
誰も皇帝からの賞品には目もくれないという、ラウンズにあるまじき状況であった。
支援
やがて、イベントのトップバッターが登場した。それは艶やかな和服に身を包んだノネットだった。
「ん?あれもエリア11の伝統衣装か?ノネットは何をする気だ?」
「あれ『も』?」
アーニャが、ジノの発言に疑問を持った時だった。何やらコブシの利いたイントロが流れ、録音したであろうギルフォードの声が聞こえてきた。
「女を捨てたとも言える騎士としての覚悟、しかしそのためにすっかり嫁に行き遅れた哀愁。
『早く貰い手を探せ』との両親の願いを涙とともに袖に振り、今日も戦場を駆け抜ける。
ノネット・エニアグラム、心を込めて唄います。曲はコーネリア・リ・ブリタニア殿下作詞・作曲、『覚悟と本音』!」
やがてノネットは一礼し、マイク片手に歌い始めた。いわゆる、演歌と呼ばれるものだ。
「〜〜〜♪」
コブシを利かせながら、ノネットが涙ながらに歌う。誰もが言葉を発することなく聞き入り、ドロテアに至っては共感の涙を流していた。
「ありがとうございました……。」
曲が終わってノネットが一礼すると同時に、拍手が沸き起こった。
「うむ、いい曲だった!さすがはコーネリア殿下!」
「一応記録……。」
「しかし意外だったな。ノネットのことだからもっと派手に来るかと思ったが、イメージとは逆に渋めの路線で来たか。だが逆に新鮮で良かったぜ。」
「感動した!私もこの曲と似た境遇にある。この曲に出会えて良かった!」
「完全に意表を突かれたわね。さすがはエニアグラム卿、なかなか楽しませてもらいましたよ。
でも、この曲みたいに行き遅れたくはないなあ。」
ラウンズたちはそれぞれに違う印象を持ったが、おおむね好評だった。それを見たノネットは、小さくガッツポーズした。
「よしっ、『ギャップ萌え作戦』成功!」
『萌え』の使い方が正しいかどうかは疑問であったが。
『ふっ、演歌か。ブリタニアの騎士が歌っても、やはりいいものだな。』(by藤堂さん)
『はい、ハンカチ。これで涙を拭いて。』(byロロ)
「よし、次は私の番だな。」
ジノが勢いよく立ちあがった。
「ジノ、お前は何をするつもりだ?」
出番を終えて戻ってきたノネットが、ジノに尋ねた。
「ふっふっふ、スザクから教わったエリア11の伝統芸能をお見せしようかと思ってね。」
「何、お前も枢木にアドバイスを求めたのか。実は私も、あいつから演歌のことを聞いたんだ。
それでコーネリア殿下とギルフォードに協力してもらったのさ。」
「スザク、何気に私たちに貢献してる……。」
ジノとノネットの会話を聞いて、スザクへの評価が少し上がったアーニャであった。
「では、私は準備があるので一旦失礼するよ。」
ジノはそう言うと、広間を出ていった。
「さーて、ジノは何をしてくれるのかしら。彼のことだから、突拍子もないことをやらかしてくれると思うけど。」
モニカは、ジノが披露する一発芸にかなり期待している様子だった。
やがてジノが戻ってきた。彼は質素な着物にももひきを履き、足は裸足で、片手にザルを抱えていた。
それを見たラウンズたちは、少しどよめいた。
「ほう、ジノがあのような姿になるとは。」
「普段の彼からは想像できんほど質素だな。」
ビスマルクとドロテアが囁き合った。
「あいつも『ギャップ萌え』を狙ったのか?」
「どうやっても、ジノに『萌え』は表現できない。」
ノネットとアーニャは、ジノの『萌え狙い疑惑』について話し合っていた。
「へえ、何するのか知らないけど、楽しませてもらえそうね。」
モニカは、ワクワク感が止まらなかった。
『ま、まさかあれは!?スザク君、よりによってアレを彼に教えたのか?』(by藤堂さん)
『えっ?兄上、ヴァインベルグ卿がやろうとしていることは、そんなにすごいんですか?』(byロロ)
支援
「さて。それでは今から、エリア11における伝統芸能であり、宴会芸の定番でもある『どじょうすくい』をお見せしよう。」
するとジノは、頭から手拭いをかぶり、顔にひょっとこのお面をつけた。その瞬間、あまりのギャップの激しさにその場が凍りついた。
「〜〜〜♪」
笛や太鼓の音に合わせ、ジノがザルを使いながら踊る。どじょうをすくうかのようにザルを動かしたり、
ザルを頭上に掲げながらクルクル回ったり、それはもう滑稽な踊りだった。
「以上で、私の出し物は終わりだ。いかがだったかな?」
踊り終えたジノが、お面を取って客席を見る。だが、誰も何も言わずに凍りついていた。
「あ、あれ?」
ジノが呆気にとられていると、ビスマルクが口を開いた。
「いや、その……。お前がここまでやるとは思わなくてな。まあ、いいんじゃないか?」
「え?それだけ?」
ジノが、反応の薄さにキョトンとする。
「ジノ、お前何か悪い物でも食べたのか?」
「はっ!?エルンスト卿、何でそうなるんです!?」
「いや、ここまで壊れられると、さすがに心配なんだが。」
「壊れてなんかないって!悪い物も食ってないから!」
変な心配をするドロテアに対し、ジノはあわてて否定した。
「私はただ、『宴会では何がウケるのか教えてくれ』とスザクに尋ねただけだ!
そうしたらあいつが、『これがいいよ』って言うから!」
「なるほどな。ジノ、聞く相手を間違えたかもしれんな。お前の場合、
踊りそのものは面白いが、私たちの予想の斜め上を行き過ぎた。」
「面白かったけど、空気が凍りつくってこういうことを指すのね。」
「嘘だー!」
ノネットとモニカにとどめを刺され、ジノはその場に突っ伏した。
『何て言うか、すごい物を見たね……。』(byロロ)
『やはりこれだったか。しかしジノよ、その程度では私の足元にも及ばん!』(by藤堂さん)
支援
「ジノ、あなたは他人の心のつかみ方をわかっていない。」
アーニャが、上から目線でジノに告げる。
「なん…だと?」
「己の特徴を理解し、それを最大限活用すれば自然と道は開ける。ジノ、あなたは自分自身をよくわかっていない。
だからスザクに頼ろうとし、結果的に自滅した。」
「じ、じゃあ、お前ならできるってのかよ!」
苦し紛れの反抗をするジノに、アーニャは自信たっぷりに告げた。
「できる。これから証明してあげる。」
そう言うと、アーニャは広間を出ていった。
「やけに自信たっぷりだったな、アーニャは。」
「何か秘策でもあるのだろうか?」
ノネットとドロテアは、自信ありげなアーニャに興味を示した。
「ふん!あそこまで言い切るなら、見てやろうじゃないか!そして、さっきの言葉をそっくりそのまま返してやる!」
「多分、あなたには言われたくないでしょうね。」
鼻息の荒いジノを、モニカは冷ややかな目で見ていた。
やがて、アーニャが現れた。そしてその姿を見たラウンズたちの間に衝撃が走った。
「こ、これは……!」
さっきまで息巻いていたジノも、言葉を失っていた。
『なっ!?こ、これは……。』(by藤堂さん)
『僕そういう趣味はないけど、正直ぐらついたかも。』(byロロ)
支援
白い半袖の体操服に紺色のブルマー、胸には平仮名で『あーにゃ』と書かれたゼッケンが付けられている。
その姿に、ラウンズたちは言葉を失った。
「ほほう、これはこれは。」
「な、何だか出だしから既に負けた気がする……。」
ビスマルクは何かに感心し、ジノは敗北感でいっぱいだった。
「素直にかわいいな。我々にもあんな時代はあったのだろうか。」
「言うな、ノネット。遠い過去を振り返っても、そこには戻れんぞ。」
ノネットとドロテアは、「これが若さというやつか……」とアーニャを少しうらやんでいた。
「あらあら、よくわかっているじゃない。確かに、自分の特徴を生かしているわね。」
モニカは、アーニャの作戦に感心しきりだった。
「アーニャ・アールストレイム、ラジオ体操をします。」
すると、ピアノのメロディが聞こえてきた。
「〜〜〜♪」
ピアノに合わせて、アーニャが体を動かす。彼女が体をそらしたり飛び跳ねるたびに、体操服の裾からへそが見えそうになる。
「お、おかしい。あいつのへそなんか見慣れているはずなのに、見えそうになるだけで何故こんなにドキドキするんだ!」
「これが、『萌え』と呼ばれるものの正体なのかもしれんな。」
ジノとビスマルクは、アーニャの虜になっていた。
「はあ、男とは単純な生き物だな。」
「ドロテア、飲もう。男など、所詮はそんなものさ。」
「変態……。」
女性三人は、そんな男二人に呆れていた。
『むう、さっきから胸の奥がこそばゆいな。』(by藤堂さん)
『ナナリーがこんなことをしたら、兄さんはどう思うのかな?』(byロロ)
支援
「以上、ラジオ体操は終わり。」
曲が終わると、アーニャはそう告げた。
「アーニャ、どうやら私の負けのようだ。他人の心をつかむのは…」
「待って、まだ終わりじゃない。」
ジノの敗北宣言を、アーニャは制止した。
「実はまだ、芸は残っている。」
そう言うと、アーニャが突然ブルマーを脱ぎだした。
「なっ、何をするんだアーニャ!やめんか!」
ビスマルクがあわて始めた。
「ていうか、何故下から脱ぐんだ!?」
「ジノ、突っ込む所はそこじゃないだろ!」
見当違いの発言をするジノに、ドロテアが蹴りを入れる。その間にも、アーニャは体操服も脱ぎ捨てた。
「ほう、そう来たか。」
ノネットが感嘆の声を上げ、騒いでいた他のラウンズたちも動きを止めた。
アーニャは体操服の下に、ピンクのレオタードを着ていた。
「まだ新体操が残っている。」
そして、アーニャは曲に合わせて、リボンをクルクル回し始めた。
細い体をしならせながら飛び跳ねるその姿に、男たちは酔いしれた。
「ヴァルトシュタイン卿、こいつは……。」
「ああ、圧倒的だな。芸術的であると同時に、見る者の心をくすぐるものがある。」
最早そこに、誇り高きラウンズの面影などなかった。
「変態だ。」
「変態だな。」
「変態ね。」
前に身を乗り出す二人を、三人の女性は冷ややかな目で見ていた。
支援
その時、事件は起きた。アーニャが、回していたリボンの先端を誤って足で踏んでしまったのだ。
そして、何故かリボンが彼女の体に巻きつき、かなり恥ずかしい格好に縛られてしまった。
「う、嘘……。やだ、こんなのって……。」
アーニャの顔が真っ赤に染まり、彼女は羞恥に悶えた。その仕草が、さらに男たちの心をくすぐった。
「こ、言葉にできんな。何とも言えん、むずかゆい気持ちだ。」
「ええ。この気持ち、まさしく萌…えっ!?」
その時、アーニャが辛うじて自由を保っていた左腕でボーリングの球をつかみ、ジノ目がけて投げつけた。
急所を直撃されたジノは、その場に崩れ落ちた。
「いいから、早く助けて!」
その後、あわてて駆け付けたドロテアたちにより、アーニャはリボンによる呪縛から解放された。
「ジノ、ジノ!しっかりしろ、お前の死に場所はここではないぞ!」
「へへっ。こんなことなら、本気出しときゃ良かった……。」
「何の本気だ」という突っ込みは一切なしで、ビスマルクは本気でジノを心配した。
『……本物だな。』(by藤堂さん)
『はい、これで鼻血を拭いて。あ、ボーリングの球は人に投げつける物ではありません。
アールストレイム卿のとった行動は極めて危険ですので、絶対に真似をしないで下さいね。』(byロロ)
「はあ、次はいよいよ私の番か。気が重いな。」
ため息交じりにドロテアが立ち上がった。
「何だ、乗り気じゃないな。」
「当たり前だ、ノネット。誰も好きでこんなことはしない。だが私の存在を再認識してもらうためだ、仕方ないさ。
それにしてもヴィレッタめ、あんな物をこの私によこすとは。」
そう言うと、ドロテアは広間を出ていった。
「エルンスト卿は何をするつもりかしら。何とか口車には乗せたけど、それでも乗り気じゃないみたいだし。
それにヴィレッタ卿がどうとか言っていたけど、彼女に何をもらったのかしら?」
モニカは、ドロテアの動きに注目していた。
やがて、ドロテアが戻ってきた。彼女は分厚いコートを上に羽織っている。
「うおっ!?ド、ドロテア、それは大胆過ぎるぞ……。」
「ヴァ、ヴァルトシュタイン卿?」
『未来を読むギアス』をこっそり発動させたところ、その未来にビスマルクは動揺した。
そしてそれを知らないジノは、わけがわからなかった。
「そ、それでは……。」
ドロテアがコートを脱ぎ捨てた。その下に彼女が着ていたのは、ただの紐と表現しても過言ではないほどの、かなりキワドイ水着だった。
『なっ!?は、破廉恥な!ラウンズともあろう者が、けしからん!』(by藤堂さん)
『もしかして、あれってヴィレッタ卿が着ていた水着かな?』(byロロ)
「しかし思いきったなあ、ドロテア。私もさすがに驚いたぞ。」
ノネットが、ドロテアの勇気に感心した。
「こ、これは反則じゃないですか、エルンスト卿?」
若干前かがみ気味になりつつ、ジノが呟いた。
「ヴィレッタ卿、彼女に何て物を……。でも、あのスタイルはうらやましい。」
モニカはヴィレッタに呆れつつ、あの水着すら着こなしてしまうドロテアのプロポーションをうらやんだ。
「ステータス、これも立派なステータス……。」
アーニャは自分の胸を触りつつ、自分に言い聞かせるように呟いた。
「ヴィレッタに自分をアピールするにはどうすればいいか相談したら、『これを着て適当にアピールすれば、
男の視線は勝手に集中しますよ』と言われた。こんな物にすがるのはどうかと思ったが、私とてまだ十分に若い。
これを着ても許されるはずだ。そうだろう、ノネット?」
「何故そこで私に同意を求める?だがあえて言おう、是であると!コーネリア殿下だってあんなキワキワな水着をお召しになられたのだ。
あのお方にできて、私たちにできないはずがない!」
「おお、ノネット。やはりわかってくれたか!」
「当然だろう、心の友よ!」
ドロテアとノネットは、ガッチリ握手を交わした。
「ところで、何をするの?」
アーニャがドロテアに尋ねた。
「何の話だ?」
「だから、一発芸。もしかして、立っているだけ?」
「しまった、やはりそれだけではダメなのか。」
どうやら何も考えていなかったらしく、ドロテアは頭を抱えてしまった。
「どうしよう、ノネット。私は何をすればいい?」
「うーん、その格好でできることなど、何かあるのか?」
少しあわてた様子のドロテアは、苦し紛れの作戦に出た。
「では、日頃やっているトレーニングの水着バージョンをお見せしよう!」
そう言うと、ドロテアはヒンズースクワットを始めた。
「お、おい!それは危険だ、キワド過ぎる!」
ノネットの制止を無視して、ドロテアはなおも続ける。
「だが何かせねば、芸にはならんだろう!」
その時だった。
「ブハッ。」
また『未来を読むギアス』を発動させたらしいビスマルクが、鼻血を噴いた。
「やめろ、ドロテア!これ以上は危険だ、お前はその水着の耐久性を過信している!」
「な、何だと?一体何の話を…」
ドロテアが立ち上がって体を伸ばした時、水着の布が悲鳴を上げた。その水着はもともとヴィレッタが着ていたが、
ラウンズであるドロテアとは鍛え方が違う。当然ドロテアの方がサイズが大きく、そんな彼女が小さめの水着を着て激しく動けば、水着への負担は大きい。
しかも紐のような水着だから耐久性は従来の物より劣る。よって、そこから導き出される結果は年齢制限に引っ掛かるわけで。
ドロテアの着る水着が限界を迎えて床に落ちた瞬間、テレビの画面がブリタニア皇帝の笑顔に切り替わり、「しばらくお待ち下さい」のテロップが流れた。
『編集されていたか。だが、あれでは仕方あるまい。』(by藤堂さん)
『クールに決めたつもりでも、前かがみだと説得力ないよ兄上……。』(byロロ)
画面が元に戻ると、浴衣姿のドロテアが広間の隅で落ち込んでいた。
「見られた、ありのままを大勢に見られた……。」
「さぞ辛かったろうな。私がそばにいてやるから、今は泣け。そして吹っ切れたら、また前を向いて歩け。
お前は誇り高きラウンズの一員なんだからな。」
ノネットがドロテアの肩を抱いて励ましている。
「オホン!では気を取り直して、私は出し物の準備をしてくるか。」
若干貧血気味のビスマルクは、広間を出ていった。
「床が血で汚れた。従業員に怒られる。」
アーニャが床についた血痕と、ジノを見比べる。
「し、仕方がないだろう?まさかあんなことになるとは想像もしなかったから、心の準備ができていなかったんだ。」
やはり貧血気味のジノが、気まずそうに弁解する。
「まったく、男っていやらしいんだから。でもこれじゃ、写真とか映像は絶対表に出せないわね。最高機密物ね。」
(でもこれだけの大ハプニング集だし、何かに使えるかも。)
モニカは写真などの取り扱いに気をつけようと思いつつ、それらの利用価値について思いを巡らせていた。
「待たせたな。」
そこへ、頭にターバンを巻いて白い服に身を包み、笛と大きな壺を持ったビスマルクが戻ってきた。
本人はいたって真面目だったが、そのような姿のナイトオブワンというのは、実にシュールな光景だった。
「ん?どうした、そのあまり関わり合いになりたくないものを遠巻きにして見るような視線は?」
「い、いえ。何でもありませんよ、何でも。」
ジノがあわててごまかし、他のメンバーも一斉に頷いた。
支援
「では、私の芸をお見せしよう。」
床に壺を置いてあぐらをかいたビスマルクが、笛を吹き始めた。
「まさかと思うが、壺の中から蛇が出てくるのか?」
「でもどうして、曲が『ゴッ○ファー○ー』なのよ……。」
ジノとモニカは、ネタと合致しない選曲について話し合っていた。
やがて壺の中から、一匹の蛇が顔を出した。その色は、明らかに毒蛇だと主張していた。
「おいおい、あれは大丈夫なのか?」
「牙を抜いておかねば、我々に危害が及ぶ可能性もあるが……。」
ノネットと何とか浮上してきたドロテアは、何だか嫌な予感がしていた。そして、その予感は現実のものとなる。
「ぽへっ。」
「あ、外した。」
ビスマルクが音を外し、それをアーニャが指摘した瞬間だった。笛の音に制御されていた蛇がその呪縛から解放され、ビスマルクに噛みついた。
「ぐあっ。」
笛を吹くことに集中し、ギアスを使うどころではなかったのが災いした。ビスマルクはバッタリと倒れ、気を失った。
「ヴァルトシュタイン卿!救急車、救急車―!」
「毒蛇がそっちへ行ったぞ!ドロテア、先に仕掛けるぞ!」
「わかった!蛇め、覚悟しろよ。今日の私は機嫌が悪いんだ!」
「これって、ブログに載せてもいいのかな?」
「カオスだ、カオスだわ。こんなの誰が優勝なんて決められるわけないわ。
すべての情報を封印し、皇帝陛下からの賞品も一緒に日の目を見ないようにしようっと。」
こうして、ラウンズ対抗一発芸大会はうやむやのうちに終了し、翌日には全員本国へと帰還した。
ちなみにビスマルクは、一週間ほど極秘入院となった。
支援
DVDを見終えた藤堂とロロは、しばらくの間無言だった。ここまでカオスな内容だったとは思いもしなかったのだ。
「すごかったね。」
「ああ、すごかったな。あのナイトオブラウンズがあそこまで壊れるとは。やはり、同じ人間だったということか。」
その時、ロロがDVDケースに封入されている『あるもの』に気がついた。
「あ、もしかしてこれが大会の賞品かな?」
「何?そんな所にあったのか。」
二人がそれを見る。その賞品とおぼしき物は、皇帝の直筆サイン入りブロマイドだった。
「ラウンズたちはこんな物のために、あんな馬鹿騒ぎを起こしたのか。」
「おそらく賞品の内容は、クルシェフスキー卿しか知らなかったと思うけどね。」
そしてロロは、ブロマイドとDVDをケースにしまうと、椅子から立ち上がった。
「それじゃ、こっそり返してくるよ。そして、二度とこれが表にでないように封印してくる。」
「ああ、そうしてやれ。それがせめてもの優しさというものだな。
今日見たことは、我々の心の奥深くに半永久的に封印しよう。他言無用だ。」
ロロは静かに頷くと、部屋を出ていった。そして藤堂は椅子に深く腰掛け、ポツリと呟いた。
「あんなものに比べたら、私やロロが味わった地獄など微々たるものかもしれんな……。」
支援
以上です、支援ありがとうございました。自分の携帯は規制されてましたが。
おそらく『虫食い』は、あと2,3回で終わりかな?
>>183 余暇卿GJでした
着物のノネットさん想像して萌えましたぜ
ジノのどじょうすくい吹いたwwww
ドロテアさんドンマイ
虫食いシリーズ終わるの?
少し寂しいです
次回の投下もお待ちしています
11時ごろに投下します
>>183 GJです。
演歌と着物とノネットさん……。すごく……、いいです。
ジノかわいそうだなジノw
藤堂にどんなツテがあったのか気になるところだが、DVDが出回っているあたり
モニカの機密情報の取り扱いには問題がありそうw
>>183 とwうwどwうwww
奇跡の藤堂のイメージを一新する問題作ですな!w
千葉さんと朝比奈が血の涙を流しそうだ……
しかし、褐色の肌に白い水着は正義だと思います!
アーニャのリボンはわざとなのかと思いましたが、純粋に事故だったんですねw
そしてノネットさんは何をしても男前だなー!演歌とかメチャメチャ似合いそうだw
>ナナリーがこんなことをしたら
最初は「はしたない!」と止めるかな?と思いましたが、
むしろラジオ体操ができる=立って自由に動けるなので、純粋に泣いて喜ぶかも?
来るべきグランドフィナーレを楽しみにしています!
そろそろ時間だけど投下していいのかな?
投下されないけど
予告だけの荒らしか?
189 :
テリー:2008/10/20(月) 23:12:51 ID:+9vg0WOi
ちょっと待ってください。
はじめまして。今日より参加します、テリーといいます。
未熟者ですが一つ! よろしくおねがいします!ss投下しようかと思います
けど明日の21:00ごろになります。支援ねがいます。
ライ×アーニャ
極に甘くしてみました。
タイトル「あなただけの愛」
これって荒らしになりませんよね?こういうの初めてで。
>>188 あ、すまん。なんの反応もなかったから人いないのかと思って…
じゃあ人がいるみたいなので投下します
久しぶりに「姉妹喧嘩」の続きです
約10レスくらい
カプはライギ(ry…じゃなくてライユフィです
注意点
・設定上はブルームーン編からの発生
・基本的にはギャグです
・でも今回はギャグ少なめ
・ぶっちゃけ迷走中です
では投下
191 :
萌は文化:2008/10/20(月) 23:19:14 ID:FxeVNduB
「ほう、このたこ焼きとやつはなかなかだな。ま、ピザには負けるがな」
「はいはい」
「もぐもぐ……この焼きそばもソースがいいなソースが……ま、ピザのソースには負けるがな」
「味の方向性が違うと思うけど?」
「む、このクレープは………うまい………ま、まあ、ピザの次にだがな」
「なんで少し焦ってるんだい?」
「この綿飴はまあまあだな。ピザの足元にも及ばんな」
「なんでもかんでもピザと比較するなよ!」
写真で脅された僕はC.Cに言われるがままにC.Cに引っ張り回され、食べ物の屋台を転々と回っていた。
もちろん支払いは全て僕持ちである。
「あの……いい加減にしてくれないかな?」
流石にユフィをほったらかしのままでは不味いと思い僕がC.Cに言うとC.Cは不愉快そうな瞳で睨んだ。
「文句あるのか? せっかく私がデートしてやってるというのに…」
「ある! あとデートしてやってるってなんだよ、付き合え言ったのは君だろ! 僕は君の財布じゃないんだぞ!」
いくらなんでも黙ってられない僕は怒りをぶちまけるようにC.Cに叫んだ。
「お金だって無限じゃないんだ。少しは他人の迷惑を顧みたらどうだ!」
するとC.Cは顔色一つ変えず、こう呟いた。
192 :
萌は文化:2008/10/20(月) 23:21:04 ID:FxeVNduB
「写真」
「すみません。僕が悪かったです。でもお金使うのはもう勘弁してください」
怒ってみたはいいものの、すぐに謝るはめになった僕。
いや、わかってたけどね。
「なら、お化け屋敷とやらにでも行くか。驚かそうと必死になる奴らを冷笑してやろう」
趣味が悪いな、など思いながら僕がため息をついたその時だった。
「……え?」
突然、僕の腕にC.Cが腕を絡めてきた。
ビックリしてC.Cを見るとC.Cは悪戯的な笑みを僕に向けた。
「どうした? 女にこんなことされるのに慣れてないのか純情ボーイ?」
クスクスと笑う魔女。
悔しいことにその仕草がとてつもなく可愛らしく見えてしまった。
「グッ、別に……離れてくれないか。僕にはユフィが…」
ムニュッ
「グ、ア、ガッ!?」
「どうした? え? 言ってみろ童貞坊や」
こ、こいつワザとか!
C.Cは僕の腕に自分の胸を押し付け笑っている。
こんなとこ誰かに見られたら…。
とにかくC.Cを離さないと。
193 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/20(月) 23:21:57 ID:ktGi5ni8
支援
194 :
萌は文化:2008/10/20(月) 23:22:59 ID:FxeVNduB
「離れてくれ」
「あ……」
ムニュッ
C.Cを押し離そうとした僕の手が、彼女の柔らかな胸に押しつけられた。
「なっ!!」
僕は急ぎ彼女の胸から手を離した。
だが彼女は僕のもう片方の腕はつかんだまま離さなかった。
「ほう、そうか。お前はそんなに私と戯れたかったのか。フフ、このスケベ…」
「ち、違う! 今のは…」
茶化すように言うC.Cの言葉に僕の顔が一気に熱くなった。
「そうだな、遊んでやろうか。そう……2人っきりで…じっくりと………絡み合うように…」
色っぽい吐息でC.Cは僕の耳元で囁く。
それを聞いた僕の顔はさらに熱くなる。
それを見たC.Cは嬉しそうに艶やかに笑った。
そんな彼女を見て僕はどぎまぎする。
「な、なんですかあなたは!!」
いきなりの叫び声に僕とC.Cが振り向く。
するとそこにはユフィがぷるぷる震えながらこちらを見ていた。
「ライ、だ、誰れですかその人は!!」
怒っているのか悲しんでいるのか、ユフィは震えながらC.Cを指差した。
195 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/20(月) 23:23:31 ID:ktGi5ni8
支援
196 :
萌は文化:2008/10/20(月) 23:24:27 ID:FxeVNduB
「永劫の時を約束した仲だ」
「断じて違う!」
サラリと言うC.Cの言葉を僕は全霊を込めて否定した。
「照れるな照れるな。あんなお姫様ではなく私がいいと言ったのはお前ではないか」
「偽装も大嘘もいいところだ! そんなこと一言も言っていない!」
畳みかけるように嘘を話すC.C
こいつ、絶対楽しんでいる。
「ライ……私は……信じていいのですか?」
震える肩を押さえながらユフィは弱々しく言った。
「駄目だ」
「駄目なのですか!?」
「C.C……少し黙ってくれ」
というかユフィもあっさり信じないでくれ。
「ライ………私のこと……嫌いになったのですか?」
「嫌いだ」
「そんな……! やっぱり……そう、ですよね」
C.Cの言葉に今にも泣き出しそうになるユフィ。
だから違うって!
「私…ライに迷惑かけてばっかりで……嫌われても仕方……ない……ですよね」
「そうだな、わかっているならお前はライを諦めたほうがいい」
「いい加減しろーー!!!」
197 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/20(月) 23:25:39 ID:ktGi5ni8
支援
198 :
萌は文化:2008/10/20(月) 23:26:49 ID:FxeVNduB
我慢仕切れなくなった僕は大声で叫ぶと2人はビクッと驚きこちらを見た。
こうなったらハッキリ言ってやる!
「ユフィ、これだけはハッキリさせておくけど僕は君のことが大好きだよ。これだけは信じて欲しい」
う、やっぱり改めて言うと恥ずかしいな。
自分の顔が少し熱くなるのがわかった。
「ライ……」
僕の言葉を聞いて、ユフィは潤んだ瞳で僕を見つめている。
「なら、何故その人とそんな親しそうに腕を組んでるんですか!」
少し気弱にユフィはビシッと僕に問い詰める。
「う、それは…」
「それは…なんです…!」
弱々しくもハッキリとした強固な意識でユフィは僕を正面から見つめた。
「ごめんなさい。具体的には言えないけど僕は彼女に弱みを握られててこういう状態です!」
下手に言い訳しても仕方がない。
僕は素直に本当のことを言い頭を下げた。
「利口だな。だが今のお前は最高にカッコ悪いぞ」
どこか幻滅したような口調でC.Cは言った。
「うるさい。嫌いになったと思われて嫌われるくらいなら見損なわれて嫌われたほうがマシだ」
「ライ…」
199 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/20(月) 23:28:18 ID:ktGi5ni8
支援
200 :
萌は文化:2008/10/20(月) 23:30:19 ID:FxeVNduB
顔を上げるとユフィは真剣な表情で僕の名前を呼んだ。
「私はあなたを信じたい……けど…」
そこまで言うとユフィは拳をグッと握りしめ、意を決したように言う。
「だから聞かせてください。あなたの本当の気持ちを……あなたの心を。大丈夫です。覚悟は出来てます…」
どうやらユフィは僕の言葉を疑ってるようだ。
無理もないか。
ならば僕は言おう。
信じてもらえるまで何度でも。
「さっき言った通りさ。信じてもらえないのも仕方ないことだと思う。だから僕を軽蔑するならしてくれてもかまわない。嫌いになるのも仕方がないと思う。でも僕が君のことが好きだって気持ちだけは信じて欲しい。信じて欲しいから僕は何度でも言うよ」
ここで僕は深呼吸をした。
思いを言葉に乗せ、彼女に伝わるように。
「僕は君が…好きだ」
「ライ…」
僕の言葉を聞いても、ユフィの表情は暗いままであった。
「もう一度、私の目を見て言えますか?」
「もちろんだ。それで信じてくれるなら何度でも言うよ」
僕はC.Cの手を払うとユフィの瞳を覗き込み言った。
201 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/20(月) 23:31:37 ID:ktGi5ni8
忠義の支援
202 :
萌は文化:2008/10/20(月) 23:32:18 ID:FxeVNduB
「君が好きだユフィ」
「もう一度」
「ユフィ、僕は君を愛している」
「もう一回」
「愛してるよユフィ」
「もう一回!」
「僕が愛してるのは君だけだよユフィ」
「もう一回! もう一回!」
「……僕は君が好きだ!! 愛している!!」
「はい、信じます」
何度も言わせた割にはあっさり言うとユフィは満面の笑みを浮かべた。
「だって私もあなたのこと大好きですから」
「……え?」
どういうことだ?
もしかして彼女は最初から信じてくれていたってことなのか?
「ユフィ……もしかして」
「はい、ワザとです」
ニコッと笑うユフィ。
いや、そんな可愛らしい笑顔見せられても…
「だってライがこんなこと言ってくれるなんて珍しいじゃないですか。だからつい嬉しくて……」
するとユフィは恥ずかしそうにほんのりと頬を染めてはにかんだ。
「それから、私がライを嫌いになることなんてたぶん…ううん、絶対ないと思う。だって私、あなたのこと愛しているから………なんて…」
支援
>>189 支援できると思います。ただ時間の空く投下予告はやめといたほうが無難です。長くても1時間以内がいいです。SS楽しみにしてます。
204 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/20(月) 23:32:59 ID:ktGi5ni8
支援
205 :
萌は文化:2008/10/20(月) 23:34:07 ID:FxeVNduB
「ライのマネ」と呟きユフィはクスクスと笑った。
一方、僕は照れと羞恥で顔がとんでもなく熱くなった。
きっと周りから見たら耳まで真っ赤なんだろうな…。
「ライ…」
「ユフィ…」
しばし、互いを見つめる僕達。
「ラブラブねあんた達…」
「み、ミレイさん!?」
とそこへ呆れたような声でミレイさんがやってきた。
驚いた僕は照れ隠しに慌ててユフィに背中を向けた。
「む、なんで急にに目をそらすんですか」
それが不服だったのかユフィは少し怒ったような声で僕の背中に抱きついてきた。
「ちょっとユフィ!?」
背中に当たる柔らかい感触のせいで僕の頭は軽くパニックです。
「うーん、見てるこっちが恥ずかしくなるくらい仲が良いのはかまわないんだけど、一つアドバイスすると、もう少し人目を気にしたほうがいいと思うわよ」
「「?」」
ミレイさんの言葉に僕とユフィは首をかしげた。
「………あ」
周囲を見渡した僕はミレイさんの発言の意味を理解した。
支援
207 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/20(月) 23:38:59 ID:ktGi5ni8
支援
208 :
萌は文化:2008/10/20(月) 23:39:15 ID:FxeVNduB
知らない間に僕……というかユフィに気がついた一般のお客さん達が一目ユーフェミア皇女殿下を見ようと僕達を取り囲んでいたのだ。
C.Cはどうしたかというと、どうやら人が集まり始めたころにはすでに逃げ出していたらしく、遠くの方に人混みから離れていくC.Cの後ろ姿が見えた。
「じゃあ私は忙しいから」
そう言うとミレイさんはさっさと僕らを置いて校舎内へと逃げて行った。
「ユーフェミア様! 学生生活はいかがですか!」
「ユーフェミア様! そちらの男性とはどういったご関係で?」
人混みの中にチラホラと紛れているマスコミの方々がユフィに質問の雨を降らせる。
「えっと…どうしましょうライ?」
カメラのフラッシュを浴びせながらじわじわと近づいてくるマスコミの人達を見てユフィは困ったように僕を見た。
人混みに飲まれてもしユフィに何かあったら大変だ。
そう考えた僕はユフィを抱きかかえた。
「え! ちょっとライ!?」
ユフィを抱き上げるとユフィだけでなく周囲の人達も驚いた表情になった。
「しっかり捕まっててね……と言っても僕は君を離す気なんてないけど」
ユフィにだけ聞こえるように僕が囁くとユフィの頬が赤くなった。
支援
210 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/20(月) 23:40:20 ID:ktGi5ni8
支援
211 :
萌は文化:2008/10/20(月) 23:41:21 ID:FxeVNduB
…少し臭かったかな?
内心少し恥ずかしいと思いつつ僕はユフィを抱え走り出した。
一瞬、驚いてポカンと僕達を見ていたマスコミの人達もすぐに我に帰り、一部の人達はしつこく僕達を追いかけてきた。
「皆さん、この人とどんな関係と聞きましたね」
追ってくるマスコミから逃げていると突然ユフィが大声ではずかしげもなく叫んだ。
「この人は、私の大切な…恋人です! 私は彼を愛しています!」
「ちょっとユフィ!!」
ユフィの告白に追いかけているマスコミの人達から驚きの声が背後から聞こえた。
「キャー! ユーフェミア様って大胆!」
「やっぱりライ君とユーフェミア様ってそんな関係だったんだ〜」
「え〜ショック!」
ついでに偶々近くに居た学生の興奮した声が聞こえたが今は気にしないことにした。
「そこの銀髪の学生!」
「はい? ……げげ!!」
声をかけられた僕は横を見ると、僕の走るスピードに合わせて走りながら、僕が女装していた時に僕を口説いてきた人が声をかけてきた。
「君のユーフェミア様への愛は本物か?」
「は?」
「答えろ!」
キツイ口調で僕を口説いてきた人は僕を睨んだ。
sageたほうがよろしいかと
支援
支援
214 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/20(月) 23:42:18 ID:ktGi5ni8
支援
215 :
萌は文化:2008/10/20(月) 23:46:47 ID:FxeVNduB
「本物じゃなきゃこんなことしません! もしこれで相手が黒の騎士団やブリタニア軍だったとしても僕のやることは変わりませんよ!」
若干逆ギレっぽく僕が言うと僕を口説いてきた人は納得したように小さく笑った。
「ならばここは私に任せろ」
「……は?」
「ああいうマスコミや野次馬はかなりしつこいのでな、私が助力してやろう」
よくわからないけど助けてくれるらしい。
なんか今の僕にはこの人が初めてカッコ良く見える。
名前は…えっと……なんだか忘れたけどとりあえず見直しました。
「ありがとうございますギルフォード卿」
話を聞いていたユフィは僕の腕に抱えられたままお礼を言った。
そうそうギルフォード卿だ。
そういえばあなたも軍の方でしたね。
すっかり忘れてました。
「何、これも我が姫様のため…」
「お姉様が?」
驚いたような表情でユフィはギルフォード卿を見た。
するとギルフォード卿は優しく微笑み僕に視線を向けた。
一瞬、女装した時に僕に向けた視線に似てたので寒気がしたのは内緒です。
「お前なら大丈夫だ」
そう言うとギルフォード卿は無言で立ち止まった。
「はい、お前はこっちだ」
急に腕をつかまれた僕は、後ろを振り向く間もなくすごい力で近くの部屋に引きずり込まれた。
支援
217 :
萌は文化:2008/10/20(月) 23:48:21 ID:FxeVNduB
「よう、色男。そしてユーフェミア殿下」
僕らを引きずり込んだのは校門近くで道を聞いてきた豪快な印象を受けた女性の方だった。
「エニアグラム卿!」
目の前の人を見てユフィが驚いたように言った。
どうやらユフィの反応見る限りだとこの人も軍の人のようだ。
「はい、それじゃあこっちに来い2人とも」
するとエニアグラム卿という人は僕とユフィを引っ張り屋上へと連れてきた。
「はい、後は頑張れ少年」
僕らを放り投げるとエニアグラム卿は笑顔で手を振りドアを締めた。
「イタタ……大丈夫かいユフィ?」
「はい、大丈夫です……あら?」
心配でユフィを見るとユフィはある一点に視線を向け固まっていた。
どうしたのかと僕も見てみるとそこにはどこかで見たことあるような女性が立っていた。
「お姉様…」
「ええ! お姉様ってまさか、コーネリア皇女殿下!?」
ポツリと呟くユフィの言葉に僕は驚愕した。
支援
支援
220 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/20(月) 23:57:10 ID:ktGi5ni8
支援
221 :
萌は文化:2008/10/20(月) 23:58:14 ID:FxeVNduB
おまけ
咲世子「あの人はどこへ行きました? まあ、それはそれとしてライ様、ごちそうさまでした」
スザク「よかったねユフィ……ああ、ルルーシュ…痛い…もっと、もっと優しくして…」
ルルーシュ「気色悪い声を出すな! ほら、包帯巻き終わったぞ」
ジェレミア「ルルーシュ君、私にも包帯巻いてくれないか…」
ヴィレッタ「あと私に胃薬をくれ…」
ルルーシュ「ええい! なんで俺がライの後始末をしなければならんのだ!」
咲世子「ついでにスザク様もごちそうさまでしたアッー!」
222 :
萌は文化:2008/10/21(火) 00:00:43 ID:FxeVNduB
以上で終了です
途中で規制くらった…
色々と迷走中です
また終わるつもりが終わらなかった…
今度こそ次回に終わると……思う
支援ありがとうございました
オハヨウゴザイマシタ
>>183 余暇卿、GJでした!
まさか一番まともなのがノネットさんとは!
しかしこの藤堂、ノリノリである。
壊れっぷりが半端ねぇが、こいつはいい壊れ方でした!
>>222 萌は文化卿、GJでした!
ライ……なんて大胆な!
そしてギルフォード卿……良かった、戻ってきたんですね。
おまけのルルーシュが哀れw
次回、完結期待しております!
貴公らの次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
>>222 萌は文化卿、GJです!
ライとユフィの話はほのぼのするので、このシリーズが大好きです!!
これからも応援しています!
>>220 メル欄にsageと入れて支援した方が良いですよ
30分ごろ投下させていただきました
がよろしいでしょうか?
226 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/21(火) 00:16:58 ID:evoRj+j9
全力で支援します
今現在の
>>2を2つに分けて、「全般」の部分に再度“sage進行”の旨の記述を追加するというのはどうでしょうか。
229 :
カズト:2008/10/21(火) 00:30:15 ID:VBNdj1fF
タイトル「追憶の旅路 第十章 天の覇道 地の王道」
注意点
・実質完全オリジナルです
・カレンがライの過去編を精神体という形で見ております
・オリキャラ多数
・7〜9レスぐらいです
初めて読む方へ
心を閉ざしたライの心に飛び込んだカレン
ブリタニアの辺境の国の皇子
ライエル=スメラギ=フォン=ブリタニア
彼は「魔法使い」からギアスを授けられ
着実に王への道を歩んでゆく
その中で大切な人も失ってしまった
「北の蛮族」との紛争の最中
ついにライは改心した長兄ダニエルを殺し
己の闇を顕現させた・・・
支援
231 :
カズト:2008/10/21(火) 00:32:31 ID:VBNdj1fF
ダニエル王の国葬、ライの戴冠式は状況が状況だけに慌しく行われた
そして、ライは玉座についた……
(これが王の座というものか……父上や兄上が見てきた景色か……
これからの国の運命は私にかかってるのかと思うと、重圧がかかってくる……)
「オールハイル!ライエル!!」
「オールハイル!ライエル!!」
「オールハイル!ライエル!!」
「オールハイル!ライエル!!」
ライは王の座から、周りの者を観察する……
(軍の関係は忠誠に関して問題は無い……
問題は貴族どもと帝都から派遣されてきた文官だな……)
周りの者がダニエル王の死を悲しむ間もなく、ライは自国の改革を断行していく……
ライが王として初めて手をつけた仕事は、後宮の廃止であった……
後宮の廃止を告げると、当然反対意見も出たが、
「今は後継ぎなど問題ではない!
着飾るだけの何もしない女どもを養っていくほどの余裕が我が国にあると思っているのか!」
先々代のアルベルト王暗殺の場所となったためもあり、後宮反対派の後押しもあり
ギアスを使うことなく廃止を認めさせる事になる……
後宮の廃止と並行して行われたのが、先日の教会腐敗事件の関係者の処罰である
司教をはじめとする腐敗に重く関わった貴族に対して、ライは全財産没収の上で処刑という極めて厳しい断を下した
「へ、陛下……余りにも厳しすぎるのでは……」
「この者達は、神の名を騙り、我が国の倫理と権威を著しく貶めた当然の処罰だ……」
「こ、この者達にも家族がおりまする……」
「だから……?」ライは冷たく言い放った……家臣はそれ以上何も言えなかった……
支援!
支援
234 :
カズト:2008/10/21(火) 00:34:23 ID:VBNdj1fF
「我が国はまだ財政難である!国民のみに税を負担させるのみでは乗り切れない
ゆえに、貴族と僧侶の税免除を撤廃する!」
ザワッ……
さすがにこの件は、家臣から猛反対を食らう事になる……
「陛下!それはさすがに!その様な貴族の権威を損なう事は承服しかねます!」
「権威だと……そんなものがあると思っているのか!!民に示す権威など教会の件で
とうに無くなっている!貴様ら貴族は軍と既得権益に守られるだけの存在か!?」
喧々諤々の会議の中、帝都から派遣されてきた文官が口を開く
「ライエル王よ……貴族の権威を守る事は昔からの伝統であろう……
帝都の皇帝陛下もその伝統を守っておられる……あなたもその様に……」
「帝都は帝都!我が国には我が国のやり方がある!お前は事ある毎に帝都を持ち出す……お前もこんな辺境へ追いやられ、私のような子供の相手をさせられるのはさぞ辛かろうて……」
「く、口が過ぎますぞ!こ、皇帝陛下への反逆と見なしますぞ!!」
「反逆だと……?お前はわかっていないようだな、国を弱体化させ、「北の蛮族」の侵攻を許し、帝都を危険に晒す事こそが、皇帝陛下への反逆ではないのか!?それとも、お前には我が国の財政難を解決する策でもあるというのか……?」
話し合いは紛糾し、この件に関しては、延期となった
支援
236 :
カズト:2008/10/21(火) 00:37:28 ID:VBNdj1fF
数日後……ライは裏畑の情報から、反乱を起こそうとしていた貴族達を逮捕した
税免除によって、既得権益と権威を奪われると踏んだ者達である
彼らはライを暗殺した後、咲久耶を王位に据えて、傀儡政権を目論んでいた
当然ライは彼らを即刻処刑した
今回の件はライにとっても頭の痛い出来事であった
ライは戦場に積極的に出ており、直に民の惨状を目の当たりにして
街と国民の一刻も早い復興を優先する為に、強引ながらも先の政策を進めていた
しかし、周りの貴族達は報告書などで、数字あるいは文字の羅列でしか民の状況を知らないのだ、そこに危機意識に大きな違いが生まれ、ライはそれを認識できなかった
即座にライは反対派を集めた
「陛下!さすがに今日の会議は!」
「国民が我々を侮りますぞ!」
「政策の進め方が性急過ぎますぞ!」
彼らの言葉を無視して、ライはギアスをオンにした
「お前達は我が意に従え!」
「……イエス!ユアハイネス!」
本来は最初からこうすればよかったのだ、しかし、ギアスを使うことはある事を意味していた
彼らはライに従っているのではなくて、ギアスの力によってである
故に、使えば使うほどライの王としてのの自信がぐらついてしまう……
ギアスもまた使えば使うほど強力になっていく……
そして、それはライのギアスの力を不安定にしていくのだった……
「陛下!「北の蛮族」の者達が攻めて来ました!」
いつもの小競り合いである
「よし!私も出る!支度をしろ!!」ライはニヤリと口を歪めた……
支援
238 :
カズト:2008/10/21(火) 00:41:31 ID:VBNdj1fF
「ライエル……少し強引過ぎるのではないのですか?」
王の間を出ると、命が声をかけてきた……ライは母の言葉を無視して兵舎に向かう
「ライエル!後宮のことにしても、官女たちの後の事を考えねば……」
「母上には関係ありません!!」ライは命に向き直った
「っ……!」命は息子の眼光から何か得体の知れない物を感じた
反抗期でもない……
権力を持ったゆえの暴走でもない……
この国の危急存亡ゆえの背水の陣でもない……
なぜ母親として気付かなかったのだろう……
もっと根本的なモノ……
例えるなら……そう……まるで、悪魔と契約を交わしたかのような……
そして、命が呆然とする間にライは戦場へと急ぐ……
「撃て!ここが絶対防衛線である!一人もここを通してはならない!」
敵も死兵による一点突破から、対策を立ててきているようだが
攻撃側の数が、防御側と同等では、ライの側のほうが有利であった
ライは敵兵が退却していくの見て、自らが馬を駆って、先頭に立って追撃をはじめた!
「追って捕縛せよ!一人も逃してはならん!!」
ライは嬉々として海堂の形見の日本刀を振るう!!
(ククククククククッ……アーッハハハハハハハッ)
オオオオオオオオオオオ!!
ライの勇姿に兵士達は奮い立つ!!
「陛下!捕虜はいかがいたしますか?」
「いつもの様に、一ヶ所に固めておけ!私自ら吟味をする!!」
外から見えないように、布で仕切りを張りいつもの耳栓をした兵士達に見張りをさせる……
支援
240 :
カズト:2008/10/21(火) 00:43:53 ID:VBNdj1fF
それから、ライは彼らにギアスをかけ、「工作員」にする
「国に帰ったら、連帯して自らの国で殺人、放火、略奪を隠密裏に行え!!」
それは、いつもの作業であったはずだった
「……っぐあ!!ハァハァ……」
いきなりライに頭痛が襲った!しかし、それは、すぐに鎮まった……
仕込みを終え、ライは兵士達に帰還の指示を出す……
「では城に帰還する……」
帰還の途中、兵士達は口々にライの勇姿について興奮気味に語り合っていた
しかし、ライは表情を崩すことはなく心の中で苦しんでいた……
(もう、戦は終わったのか……また、王宮に戻るのか……また……)
ここに存在しないカレンだけが、ライの苦しみを見抜いていた……
(どうしてみんな気付かないの!?あなた達は本当にライに忠誠を誓った兵士なの!?)
ライは自ら気付くことなく戦場を逃げ場としていた……
一見矛盾する行動であるが、
戦う事で王宮の煩わしさから逃れられる……
ギアス無しで、自分に忠誠を誓ってくれる兵士達がいる……
闘争本能に身を任せ、戦う事に集中していれば全てが忘れられる……
だから、ライは戦に逃げていた……
そして、戦を重ねていく毎に、嬉々として刀を振るうライを
敵も味方も恐れていく……粛清の非情さも兼ねあわされ……
いつしか彼らはライを「狂王」と呼ぶようになる……
支援!
242 :
カズト:2008/10/21(火) 00:47:31 ID:VBNdj1fF
ある戦を終え今回もライは防衛に成功し、凱旋した街では国民がライを一目見ようと集まっていた……
ひゅっ……ガッ
その時、ライに投げられた石が頭に当たった……
ライは無表情に石が飛んできた場所を睨んだ
それはぼろを纏った子供だった……母親が駆け寄り子供に頭を下げさせる……
「へ、陛下申し訳ありません!!これ、お前も謝りなさい!!」
そう言いながらも、母親はライを憎悪の目で睨んでいた……
「父さまを返せ!父さまを……」子供が泣きながらライを睨みつける
「この者は……?」
「はっ……教会の事件に関与していた貴族の母子であります……」
ライは戦帰りから苛々していた……
(何も知らないんだな……この子供は自分の父親が何をしたのか……
なぜ処刑されて、財産を没収されて路頭に迷っているのか……)
近くにいた二人の兵士に言った
「おい、この子供に父親の所業を教えてやれ……」戯れに言ったつもりだった
「イエス……ユアハイネス……」
そう言って、片方は母親を羽交い絞めにし、
もう片方は子供に父の罪の全てを語り始めた……
「や、やめてください!!子供には関係ないんです!!」母親は涙ながらに訴えた
(ま、まさかギアスがオンに……ば、馬鹿なオ、オフにできない!!)
ライは二人の兵士を止めようが無かった……
王としての威厳を保つために、その母子をただ馬上から見下ろしていた……
ライはいつしか目的を忘れ、戦と政務に没頭していった……
自分の心を刃で突き刺しながら……
町が復興して、国民の傷も癒え始めた頃……
ライは16歳を迎える……
それは、ブリタニアの歴史に残る「あの惨劇」が起こる年であった……
(あたしが本で知った年……とうとう来てしまったのね……ライ……)
カレンはさらなる決意を固めた……
支援
244 :
カズト:2008/10/21(火) 00:52:12 ID:VBNdj1fF
ウラバナシG
神聖ブリタニア帝国首都 帝都ペンドラゴン
その日は、星が輝く夜であった……バルコニーに二つの影がいた
「皇帝陛下、星を見ておられるのですか?」少女が尋ねる
「ここは私的な場だ……父と呼んでもかまわん……」
老齢の男性が答える
皇帝の地位についているだけの事はあり、覇気は未だ衰えを見せていない
「では父上……私の辺境視察の件についてですが……」
「我は父として、娘のお前をあまり危険な場所に行かせたくはない……
ましてや、お前の行こうとしている所は、あの「狂王」の国ではないか……」
「ミコト様の御子息……どのような方なのでしょう……
私と同い年で、辺境の国を纏めておられると聞いてますわ……」
「我も色々と聞いておる……あの国に派遣した者からは、「冷酷非情の処刑魔」だの「貴族権威の破壊者」ある者は「戦と血を好む魔人」と報告を受けておる……」
「ですが、私が調べさせました所、国民の評判は良く、商業も盛んで、治安も辺境としては、良い所と報告を受けています……それも、ライエル王の手腕だと……」
「ほう……さすがはミコト=スメラギの子といった所か……」
「ミコト様……最近、私達への援軍要請に来られますわ……
今あの国は、いつ全面戦争が起きても不思議ではないと聞いております」
「ふむ……しかし、他の辺境の国も似た様な状況だ……援軍の時期を誤ればブリタニアを滅ぼしかねん……あの国への先遣隊は準備はできておる……」
「カルロスですか……私、あの方嫌いです……」
「まあ、お前の護衛には、アレクサンデルをつけておる……安心せい……」
話を終え、皇女は部屋に戻りベッドに入る
「ミコト様も大変な御様子……サクヤは三、四年ぶりといった所でしょうか……
そして、ライエル様……会えるのが楽しみですわ……」
不安と好奇心がない交ぜになりながら、彼女は眠りについた……
しえん
246 :
カズト:2008/10/21(火) 00:57:12 ID:VBNdj1fF
投下終了です
一気に年齢を飛ばしましたが
まあ町の復興にはそれくらいはかかるということで
支援ありがとうございます
>>246 カズト卿、乙でしたー!
なんというか、ライが摩耗していきますね、母に対してきつく当たるとは……
戦いに安らぎを求めるとは、かなり末期な気もします。
もうすぐ惨劇の始まりですね。
貴方の次の投下を全力でお待ちしております!
カズト卿、乙です。支援!
ああ、堕ちていく・・・ライ君、ギアスの暗黒面へと完全に堕ちてしまいましたねw
これはもう結末が決まっている避けられない悲劇ですが、全てを知ったカレンを何を想うのでしょう。
もうすぐクライマックス、結末と救済を期待して続きをお待ちしています!!
おはようございます。
どなたかいらっしゃいますか?
支援お願いしたいのですが…。
本編8レス+終了1レスの合計で9レスの予定です。
時間が悪かったみたいですね。
また今度にします。
では…
今からでもよければ支援しますが…
携帯で良いなら支援しますよ
5分くらいは待った方がいいと思うよ。
30秒ごとに画面更新してる人なんてそうそういないでしょうし。
>>253 ?
249のひとなら15分は待ったみたいだけど…
orz
素で見る時刻のレスの間違えてる。悪かった249の人
258 :
249の人:2008/10/21(火) 16:01:08 ID:bO9Br+Zx
只今、帰還しました。
朝方はすみませんでした。
もう少し粘ったらよかったですね。
支援表明してくださった方、すみませんでした。
えー、では、再度投下チャレンジしたいと思います。
よかったら支援お願いします。
支援
支援表明ありがとうございます。
では、このPNでは久々の投下になります。
タイトル「思いを君に…その5」
カップリング「なし」
ジャンル「シリアス」
○注意点○
このSSでは、オリジナルの設定等があります。
そういうものが駄目な方は、スルーをお勧めします。
本編8レス+終了1レスの合計で9レスの予定です。
なお、投下は2分前後ごとに行う予定ですので、5分超えた場合は、トラブル発生と思っていただいて結構です。
その際は、再度投下しなおします。
支援
思いを君に…その5
「えーっと、双葉綾芽さんいます?」
僕は情報通信関係を統括する部門に顔を出した。
一度会ってどういう人か自分で確かめたかったからである。
あれ以来、井上さんはこの件に関してはまったくの無関係を決め込んでいるらしく、話題にあげなくなっていた。
井上さんのようにまったく無関係を決め込むというのが一番無難なのかもしれない。
ただ、やっぱり知ってしまった以上、僕はどうすべきか判断する必要があると思い、結局会いに来てしまっていた。
そして、そこで部屋の入り口にいる女性団員に声をかけたのだが…。
「えっ…もしかして…ライさまっ?!」
「えーっと…様かどうか走らないけど、ライだけど…僕の名前は…」
「きゃーっ…ライ様よーーっ」
女性団員の黄色い叫びが響く。
そして、その叫びが完全に響き終わる前に僕は女性団員たちに取り囲まれていた。
「きゃーっ…生ライさまよっ…」
「本当にすてきっ…。ああっ…写真とってっ…」
「すみませんっ…サインくださいっ…」
もう揉みくちゃにされてしまっている。
勘弁してくれっ…。
そう思いつつ、カレンが僕がここにくるのを嫌がっていた理由がよーくわかった。
こんなことなら、カレンに呼び出してもらったほうがよかった…。
しかし、後悔先に立たずというやつである。
なんとか揉みくちゃにされつつ、僕は彼女を呼び出すことに成功し、その場を離れた。
ふーっ…死ぬかと思ったよ。
なお、もう二度と近づくまいと心に誓ったのはいうまでもない。
支援
「大丈夫ですか?」
汗だくでぐったりしている僕を双葉さんは気遣ってくれているようだ。
いい感じの娘じゃないか…。
互いに自己紹介を済まし、本題に入る前に疑問に思ったことを聞いてみる。
「いつもあんな感じなのかい…あそこは…」
「あははは…」
彼女は思いっきり苦笑いすると説明しだした。
「普段はあんなんじゃないんですよ。ただ…」
「ただ?」
「ライさんが来たからああなりました」
うわー、それって僕が原因ってことなんだろうか…あの騒動は…。
唖然としてしまっている僕に彼女はきちんと説明する必要を感じたのだろう。
そのまま話を続ける。
「あのですね、ライさんは自分がどれだけ女子団員に影響力あるかご存知ですか?」
「えっ…?どういう意味なの?」
よくわからずそう聞き返す。
その返事を聞き、あちゃーという表情の彼女。
「自覚なさ過ぎですね。仕方ない…。説明します」
えっへんと咳払いを入れて説明しだす彼女。
なんか楽しそうなのは気のせいではないと思う。
支援
「ライさん、女子団員の中ではすごい人気なんですよ。
なんせ彼氏にしたい男の子No.1で、さらに旦那様にしたい男No.1ですから…」
「と言われても…僕にはカレンがいるし…」
その言葉に彼女は、ちっちっちっち…と言いながらと人差し指を立てて左右に振る。
「甘いです、ライさんっ…。
ライさんみたいな上物物件を彼女がいるからって言って諦める娘なんてめったにいませんよ。
虎視眈々と狙っているか、アイドル扱いになっているんですから…。
ちなみに、生写真とかも流通してますよ」
「じ、上物物件って…」
「当たり前じゃないですかっ…。
美形でかっこよく、それでいて何でも出来て、さらに性格もいい。
おまけに貴族の血筋という王子様属性もあるというパーフェクト超人ぶり…。
まぁ、ちょっと天然が入っているのが玉に傷だけど、それさえも美点にしちゃうほどの人柄。
これが上物物件でなければ、なにが上物といえますかっ…」
えらい力説されてしまった。
うーん…自覚ないんだけどな…。
そんな事、考えた事もなかった。
支援
「じゃあ、君もその一人なのかい?」
そう聞いてみる。
だが、彼女はその質問をすぐに否定した。
「わ、私には…す、好きな人がいますから…」
少し頬を染めて、恥ずかし気に言う姿は、さっきまでの姿とはまったく違ううら若き乙女という感じである。
ふむふむ…。
初々しくてかわいいねぇ…。
でも、やっぱりカレンが一番かわいいかな。
ふとそんなことを考えながら、この前のカレンの笑顔を思い出してしまっていた。
いかんいかん…脱線している…。
おっとっと…それに今のうちに聞かないと…。
「それってさ…、玉城の事?」
その問いかけに、耳まで真っ赤になって俯く双葉さん。
そして、少しだが首を縦に振る。
支援
「そっか…。玉城のどんなところがいいの?」
思わず聞いてみる。
「正直なところとやさしいところです…」
「正直なところとやさしいところ?」
聞き返す僕にうなづく彼女。
「はい…。玉城さ…いえ…先輩は、裏表がない人で、側にいてもすごく落ち着けるというか安心できるって感じがいいかなぁって…。
それに、ああいう感じで悪ぶって見えるけど、根はすごくいい人だし、相手の事を先輩なりに考えてくれてすごく優しいんです。
ライさんもいいんだけど、私には先輩の方がすごく輝いて見えるんです。
なんというか…こう…惹かれるものがあって…。だから…えーと…」
だんだんしどろもどろになっていく言葉。
いやぁ…玉城がすごく好きだという事だけは、伝わるんですけど…ここまでベタベタに惚気られると聞いててキツイです。
勘弁してください。
井上さんもこれでやられたのか…。
なんとなく、ぐったりしていた井上さんの気持ちが良くわかってしまう。
支援
「わかった…。わかったよ…」
耐え切れなくなって、話を何とか中断させる。
「君の気持ちは、本当によーくわかったよ。うんうん…。
だったら…そこまで好きなら告白すればいいのに…」
話の流れから何気なく聞いてみる。
すると今までしどろもどろとは言え、喋っていた彼女の口が閉じられる。
「どうしたの?」
しばしの沈黙の後、彼女は口を開いた。
「駄目なんです…」
「何が駄目なの?」
「先輩…の前に行くと…ちょっと…緊張しちゃってうまく喋れないんです。
それに多分…先輩、他に好きな人いると思うんですよ。そう思っちゃうと…余慶に……」
あー…なんとなく判る気がする。
僕もカレンを意識し始めた頃はそうだったな…。
それに、あの頃は、カレンはゼロに夢中で僕なんか眼中にないって感じだったっけ…。
そこまで思いつき、僕はなぜ彼女の気持ちがなんとなく判るのか気が付いた。
彼女は、あの頃の僕なんだと…。
支援
ふっ…。
自然と笑いが出た。
「酷いですっ。私、真剣なのに…」
彼女が笑いを勘違いして抗議をしてくる。
「ごめんね。いやぁ、双葉さんを見ているとさ、自分の昔を思い出してね。
それで笑ってしまったんだ」
「え?」
きょとんとする彼女。
「僕がカレンを意識し始めた頃にそっくりだなって…。
あの頃は、カレンはゼロに陶酔してて、僕なんか眼中にないという感じだったからね。
だから、似ているかなって思ったんだ」
僕の話を興味津々で彼女は聞いている。
「あの頃は、とても辛かったよ。
気になる相手は、別の相手の方ばかり向いてて、こっちに向いてくれない。
でも、それでも気になる…って感じでさ…。
それに、相手はゼロだからね。勝てるとは思えなかったし…。
だけどね、そこで諦めなかった。
思うだけなら…迷惑をかけないし、それに、自分の気持ちを裏切れないから…」
支援
そこまで言って
「まぁ、告白してなかったから振られてもいないしね」
と苦笑して追加する。
双葉さんは、そんな僕の話を聞いてうなづいている。
「でも…あることがきっかけでカレンとの距離が近づいたんだ。
それからかな…彼女が僕を見始めてくれるようになったのは…。
ほんと…いろんな事があったなぁ」
そう言いながら今まであった事が頭に浮かんでくる。
楽しい事、辛い事、悲しい事…。
みんな今となってはいい思い出になっている。
「で…いろんな事を二人で体験し、時間を過ごしていって…。
それで自然と互いに意識し始めるようになったんだ。
そして、告白して付き合うようになったって感じかな…僕の場合は…」
うーん、少し照れるな…。
そう思いながらも僕は彼女にカレンとの馴れ初めを簡単に話していた。
そして、しっかりと双葉さんを見つめて言う。
「だからさ、告白するしないは関係なく、きっかけはあったほうがいいと思うんだ。
よかったら、協力するよ」
「はいっ…お願いします、ライさんっ」
彼女は、はっきりそう返事をすると僕の手をしっかりと握り締めた。
「がんばろう…双葉さん」
僕も手を握り返す。
そして、意気投合した後、彼女はふと思いついたかのような表情をして聞いてきた。
「で…ところで、お話ってなんだったんですか?」
《次回に続く…》
支援
あしっど・れいん卿GJ!
玉城にもついに春が…
次回も期待しています。
以上で終了です。
支援ありがとうございました。
しかし、最後にまた猿がでました。
勘弁してください。
なんでだろうねぇ…。
やっと少しだけだけど道が見えてきました。
ともかく、きついですけどがんばって完結させたいですね。
気長にお付き合いしていただけると大変うれしいです。
では、皆さん、次回でまたよろしくお願いいたします。
うにゃら〜♪
>>279 あしっど・れいん卿、GJでした!
ライの人気がヤバ過ぎるw 様付けってw
玉城は正直っていうか自分に正直な気がする。
恋ってある意味恐ろしい。
貴方の次の投下を全力でお待ちしております!
281 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/21(火) 21:02:08 ID:QT69W26p
時間になりました!テリー、昨日の予告どおり投下します。支援願います。
タイトル「2人の深い愛」
カップル ライ×アーニャ
かぎりなく甘くしてみました。
キャラが違いますので注意を
支援
支援。でもsageたほうが良いのでは
投下は?
285 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/21(火) 21:18:31 ID:QT69W26p
「ライィィィ。」
甘い声でアーニャは同じナンバーズであり最愛の人、ライ・エニアグラムの
胸も中で甘えている。
「甘えん坊だなぁ、アーニャは。」
「こんな私は嫌い?」
上目使いで僕の事を見るアーニャ。
正直反則だよ、僕がそれに弱いって知っててやってるんだから。
でもそれはアーニャが僕の腕の中にいる時しかしない。
そのたびに僕はアーニャの温もりを感じれる、彼女自身を感じれる。
僕だけの アーニャを
「そんなことない、うれしいよ。」
「えへへ」
頭をなで、僕の腕の中でゴロゴロと子猫の様にアーニャにやさしく
甘く囁いた。
支援
287 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/21(火) 21:27:04 ID:QT69W26p
「おいでアーニャ、僕の可愛い子猫ちゃん。」
「にゃうぅん」
一体いつからこの少女を好きになったんだろう。
きずいた時、僕は彼女の側にいた、眼がはなせなくなっていた。
そんなこと考えたらますます愛おしくなって、僕はアーニャを抱きしめる
力を強くする。
どこにも行かせない様に、見えない鎖で縛るように。
「アーニャァァ」
「ライ」
いくらなんでも間隔長すぎないか?
どうしたんだろ?
1も読めない上に書きながら投下してるんじゃない?
まだ冬休みじゃないんだがなぁ…
猿ではないかなぁ…。
多分…。
15分空けるというのを勘違いしているのかな?
3分間隔くらいなら猿に捕まらない。あと投下時にはsageた方がいい。
292 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/21(火) 21:39:02 ID:QT69W26p
2人しかいない、2人だけの空間。こうなれて本当に幸せ。
まだライがラウンズになり、初めて会ってからこうなりたい
とずっと望んでいた世界。記録するのも忘れてしまうほど
何も考えられない、一度この世界を知ってしまってから
欲しくて欲しくてたまらない物。
こんな最高の贈り物をくれた
こんなにも私の心を開いてくれた色を付けてくれた
素敵な人
「ねぇライ」
「ん、なァに?アーニャ。」
「えっと・・・あ、あの・・・私・・・欲しいの」
「なにを?」
293 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/21(火) 21:51:54 ID:QT69W26p
「・・・・ライが・・・・欲しいの。」
恥ずかしくて顔が真っ赤になる。でも、もう我慢できなかった。
ここはラウンズの休憩室のソファの上。いつ誰が来るかもわからない所。
だから甘えはしていたけど・・・・
今まで必死に我慢して来たけどもうダメ!もっともっとライが欲しい・・・・。
抑えられない欲望が、もう抑えられなかった。
「いいよ、おいでアーニャ。」
「ライ・・・」
その言葉だけで私の心は天に昇る。そのまま私とライは熱いキスを交わす。
舌をからめ、お互いに何度も求め合う。
もっと、もっと欲しい、ライがもっと・・・・
支援
これはひどいw
296 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/21(火) 22:01:03 ID:QT69W26p
ああ、このまま時間が止まってくれたらいいのに・・・
でもそろそろ離れなくちゃいけない、名残惜しいけど仕方ない・・・
だから
「また一緒に休もう?」
「うん。」
「ライ、大好き。」
「僕もアーニャの事、大好きだよ。」
深く愛し合う2人の道、それは何所までも別れることはない。
死すらも2人を別つ事は出来ない。それが
2人の 運命 なのだから。
以上で終了です。本当にすごい駄文だなぁ。
もしかして、sageを知らないのか?作者
支援
298 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/21(火) 22:08:00 ID:QT69W26p
うーーーーー、いろいろまずすぎました。
すいませんです・・・・・。
次回からなおさないと、支援してくれた方、指摘してくれた方
に感謝します。
>>298 とりあえず乙。
久々に半年ROMれと言いたくなった
まずsageれ。話はそれからだ。sageないと荒らしと認定されるぞ
注意書きを書けるならば、総レス数も書いてくれ
まさかと思うが、投下しながら書いているわけではあるまいな?
まずメール欄に sage
と入れませう。話はそれからです。
こうですか?
もちろん初めから考えてましたよ。
自分、打つのが遅くて・・・言い訳にしか聞こえないかも
しれませんけど。
>>302 いや、そうでは無くて、投下前に全文書きあげて、投下は文章をコピーすれば時間掛からないでしょ?
なんというか、基本的なルールさえ守っていれば
好意的な感想も来ただろうに・・・
ルールは大切だと再認識させられた。衝撃の問題作でした。
>>もちろん初めから考えてましたよ。
自分、打つのが遅くて・・・言い訳にしか聞こえないかも
しれませんけど。
書き上げてから、分けて投下してください。
考えていただけで投下しながら書くのは他の人に迷惑ですよ。
大抵の職人さんには敬意を持って読ませていただいたり感想を書かせていただくし
投下していただくだけでありがたいって思うけど…
テキストに書いておいて置いてコピペするという手段も出来ないらしいし
最初から自分で駄文とか書かれると萎えるぞ('A`)
「初心者なんだしこれからうまくなっていくんだから…」って以前の話だよ
投下する前にまず2ちゃんなりのマナーとかもっとROMって勉強して下さい
すいません間違えてくうらんでかきこんでしまった。
なんかすごい迷惑かけてしまった・・・・・・・。
本当にすいません。
まあまあ……、皆さんもそのくらいでいいじゃないですか。テリー卿も次から気を付けていただければ。
まずは、このスレッドの最初に書いてある注意書きをきちんと読んで見てください。
それで、他の人の投下するのを何度か見て確認してみるといいですよ。
>すいません間違えてくうらんでかきこんでしまった。
sage書き忘れだけではないですよ。
ここは、新人さんには優しいけど、ルールはありますから。
それをやらないといろいろ言われるのは当たり前です。
次回から、きちんと気をつけてくださいね。
オハヨウゴザイマシタ
>>307 テリー卿、初投下乙でした!
とりあえず中々の甘さでした!
ミスは誰にでもありますから、気にしすぎないで、他の方々が言われたことに気を付けて頑張ってください。
貴方の次の投下を全力で待っていますよ!
あれ?
なんか妙な空気だけど投下していいかな?
なんだか最近1レス目と2レス目を見ない人が多いような気がします
sageぐらいやるべきでしょうね
もちろんオフコース!
支援は全力で!
316 :
萌は文化:2008/10/21(火) 23:06:40 ID:gBe1sQ7O
では支援していただけるということで…
タイトル「セシルさん奮闘記」
ロスカラ2でセシルさんがヒロインになるまでライセシは終わらせないぜ!
ってことでカップリングはライ×セシルです
約11レスくらいです
注意点
・もちろんギャグです
・でもまだギャグ少ないです
・一部キャラ暴走気味
では投下します
支援
318 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/21(火) 23:07:27 ID:evoRj+j9
支援します
支援
320 :
萌は文化:2008/10/21(火) 23:08:26 ID:gBe1sQ7O
今日はユーフェミア様がスザク君に用事があるらしく特派にやって来ましたがスザク君はまだ特派に来ておらず、部屋の中にはライ君と私、そしてユーフェミア様の3人だけだった。
私はいつも通りに黙々と業務をこなし、ユーフェミア様ははスザク君が来るまでとライ君を相手に楽しそうに雑談していました。
ウチの研究室では大して珍しくもない光景。
にも関わらず、なんだか今の私の胸にはモヤモヤしたわだかまりのようなものを感じていた。
「ところでライって好きな人はいるんですか?」
何気なく言ったユーフェミア様の言葉に私の手が止まった。
ユーフェミア様も皇族とはいえ年頃の女の子。
その手の話題が気になるのも無理ないのだろう。
私はふとライ君を見た。
ライ君はユーフェミア様の質問に大した動揺もなく静かに紅茶の入ったティーカップに口付けていた。
「好き人っていうと親愛な意味とかじゃなくて好きな異性ってことかい?」
「はい、もちろんです。やっぱりライにもそんな人が居るのかな〜と思って気になっちゃいました」
>>318 メール欄にsageと打ち込んだほうがいいです
支援
322 :
萌は文化:2008/10/21(火) 23:10:55 ID:gBe1sQ7O
ライ君が言うとユーフェミア様はさぞ当然のようにニコリと笑って言った。
「好きな異性ね……」
少し悩んだように呟くとライ君はあまり人に聞かれたくないのかチラリと私の方を見た。
「うん……まあ、いるよ」
少しどもりながらライ君は小さく言った。
「それは誰なのですか?」
「ええっ!」
ライ君に好きな人がいるとわかった途端、ユーフェミア様は目を輝かせ興味津々に身を乗り出してライ君に迫った。
「よかったら私が力になります。だから教えてください!」
少し興奮気味にユーフェミア様はライ君に顔を近づけるとライ君は困ったように身を引いて私を見た。
たぶん助けを求めてるのだろう。
でも正直私もライ君の好きな人に興味があったので私は仕事をするふりをして気がつかないふりをした。
「大丈夫ですよ。絶対に誰にもいいませんから。ねえ、セシルさん」
「ええ」と返事をして私はそのままライ君の様子を見た。
いつの間にかユーフェミア様はライ君の顔をつかみ、ライ君に逃げられないようにして問い詰めていた。
……でもいくらなんでもあれは顔が近すぎるんじゃないかしら。
私は少しムッとしながら仕事をするふりを続けた。
323 :
萌は文化:2008/10/21(火) 23:13:31 ID:gBe1sQ7O
「えっと………あ、それじゃあさ」
追い込まれたライ君は何か思いついたらしくライ君の表情がいつのもの穏やかな表情になった。
「例えば…」
見落としそうなほど僅かに笑い、ライ君はユーフェミア様の手を振りほどくと今度はライ君がユーフェミア様の顔にそっと触れて自分の方へと向けた。
それを見た私の心臓が大きく鼓動を打った。
「僕が好きなのは君だ……と言ったらどうする?」
ニヤリと悪戯っぽく笑うライ君を見て私はライ君の意図に気づき私の口から安堵のタメ息が漏れた。
どうやらライ君はユーフェミア様をからかうことでこの質問をうやむやにする気らしい。
そうよね、ユーフェミア様にはスザク君がいるものね。
……あれ?
どうして私、こんなにホッとしてるのかしら?
「な、何言ってるんですかライったら」
顔を真っ赤にしてユーフェミア様は慌ててライ君から離れた。
「……で、でも…ライなら…私…その…」
「「……え?」」
私とライ君の驚きの声が重なった。
きっとライ君もこの反応は予想外だったのだろう。
ユーフェミア様は恥ずかしそうにモジモジとしながらライ君をチラチラと見ている。
「あ、あのユフィ…?」
支援
うっぜぇな。
この書き手もそうだが、それ以上にゴチャゴチャゴチャゴチャ言う奴らが凄くウザい。
嫌ならスルーすりゃ良い話じゃねーか。なんでわざわざボロクソ言うかね。
特に
>>310みたいなしたり顔で「君初心者?僕達のルール解ってる?ちゃんと勉強してからここ来なさい」
みないな感じで言ってる奴はホント腹立つ。
ルールは大事だと思うし、この書き手にも問題はある。
だがこの住人の一部は、「ルールを守る自分たち」に酔ってる感じで何か嫌だ。
今回も、明らかに「注意」の度を越してる。
嫌な作品や書き手はスルーすりゃ良いし、良い作品ならGJすれば良い。
それでいいじゃねぇか。
326 :
萌は文化:2008/10/21(火) 23:15:23 ID:gBe1sQ7O
「はい、なんですかライ…」
恐る恐るライ君が言うとユーフェミア様は照れ笑いを浮かべライ君を見た。
「え、あ、その…」
どうすればいいかわからずライ君は狼狽している。
………ああ、もう!
なんだかわからないがイライラした私は怒りをぶつけるように机を力いっぱいに叩いた。
「「!?」」
机を叩いた音に驚いた2人は私の方を目を丸くして見ていた。
「あ……わ、私ちょっとジュース買いに行って来るわ」
ライ君達の視線で我に帰った私は、どこか居心地の悪さを感じ、2人から逃げるように部屋を後にした。
研究室から逃げ出し、近くの自販機の前まで来た私は小銭を入れて適当なボタンを押すと脱力感を感じ、そのまま自販機に寄りかかりタメ息をついた。
「……どうして私ったらあんなことしたのかしら…」
ジュースを自販機から取り出しフタを開け一口飲むと私の口から再びタメ息が漏れた。
「何かしら……ライ君はただユーフェミア様と仲良くしてただけなのに……見ていて胸がムカムカする」
もう一口ジュースを飲むと私の脳裏にある単語が思い浮かんで来た。
「嫉妬……かしら…? もしかして私、ライ君に…」
支援
支援
支援
330 :
萌は文化:2008/10/21(火) 23:18:22 ID:gBe1sQ7O
「そう! それは恋なのだよ!」
「その声は…?」
「トリャァァ!!」
「キャー!!」
突然、自販機の中から自販機を蹴り破り、エニアグラム卿が中から飛び出して来た。
「そんなあなたの世話を焼く、ナイトオブお節介ことノネットさん参上!」
何事もなかったかのようにエニアグラム卿はポーズを決めた。
「な、何してるんですか!? というかいつから居たのですか!?」
「ハハハ、その質問には皇族でなければ答えられないな。何故なら私はナイトオブラウンズだから」
キラーンと目を輝かせエニアグラム卿は笑って見せた。
なんて言うか…ライ君も言ってたけどメチャクチャな人だ。
「さぁて、女性はいくつになっても恋する乙女。ってことで相談に乗ろうかセシル・クルーミーよ」
ノリノリに言いながらエニアグラム卿は私に手を差し伸べた。
…何かしら、なんだかこの人に相談したら逆に大変なことになりそうな気がするわ。
「私に相談しないか……それもいいだろう」
私が相談するべきか悩んでいるとエニアグラム卿は仕方ないと静かに私に背を向けた。
思ったよりも簡単に諦めてくれましたけどなんか気になるわね?
支援
332 :
萌は文化:2008/10/21(火) 23:21:05 ID:gBe1sQ7O
私が不思議がっているとエニアグラム卿は大きく深呼吸をし、大声で叫んだ。
「皆さーん、ここにいるセシル・クルーミーさんは同じ職場のライのことを〜ムグッ!」
「キャー! キャー! キャー!! 相談しますから止めてください!」
とんでもないことを叫び出したエニアグラム卿の口を押さえて叫ぶとエニアグラム卿は納得したようににこやかに笑い静かになった。
うう、恥ずかしい…。
ライ君やスザク君はいつもこんな人を相手にしているのね。
「……と言うわけなんですよ」
半場脅し状態で私がエニアグラム卿に相談するとエニアグラム卿は壊した自販機から取り出したペットボトルのお茶を飲みながら頷いた。
「つまり、最近まで弟みたいだった子を急に男として意識しだしたみたいな〜って感じだろ?」
「あってるかあってないか微妙な見解ですね」
そう言うとペットボトルのお茶を飲み干したエニアグラム卿は近くのゴミ箱に投げると再び壊した自販機から別のお茶を取り出しフタを開けた。
「というか私はもっと前から自覚してるもんだと思ってたぞ?」
「え?」
私が驚いているとエニアグラム卿はまた別のペットボトルを取り出しフタを開けて飲み始めた。
支援
334 :
萌は文化:2008/10/21(火) 23:23:35 ID:gBe1sQ7O
「他人から見た感じだと完全にライに惚れてるように見えていたからな。でも自覚なかったのか……この天然め」
ペットボトルを片手にエニアグラム卿はケラケラと笑った。一方私は他人からは自分の知らない気持ちがバレバレだったことに驚き、戸惑いと恥ずかしさで顔が真っ赤になっていくのを感じていた。
「それで、予想外なことに実はユーフェミア様はライ狙いでした……と」
やっと本題に入るとエニアグラム卿はまたまた違うペットボトルを取り出し飲み始めている。
「それで少し焦り始めたと……」
「ええ、私はライ君より年上だし、ユーフェミア様はライ君と年が近いし…」
「なるほど、それで自分に自信がないと…」
「……はい」
「ふむ、とりあえず男性の意見を聞いてみるか」
するとエニアグラム卿はロケット花火を1本取り出しライターで火をつけて打ち上げた。
…一体何をしてるのかしら?
「お、来たな」
エニアグラム卿の視線の先を見ると、激しい土煙を上げて一台のバイクがこちらへ向かって来た。
ってかここ大学の敷地内ですよ。
「我が忠義ここにあり! ジェレミア・ゴッ〜」
バイクに乗っていたのはジェレミア卿だった。
支援!
336 :
萌は文化:2008/10/21(火) 23:26:18 ID:gBe1sQ7O
ジェレミア卿は名前を名乗りきる前に私達の前を通り過ぎ、そのまま壁に激突した。
「ファンタスティィィイーックゥ!」
バラバラになって飛び散るバイクの部品とともに空中に投げ出されたジェレミア卿はそのまま私達の前に着地した。
「ここに呼んだということは、我が同志ライ卿についての何かか?」
「ああ、その通りだ」
(なんで無傷なの!?)
何事もなかったように会話を始める2人を見て、私はツッコミ切れずにその場でじたんだを踏んだ。
ライ君って凄いわね。
いつもこんなすごい人達にツッコミ入れてるのだもの。
「ずばり聞きたい。ライが女性に求めているものはなんだ?」
「ライ卿が女性に…?」
エニアグラム卿の質問にジェレミア卿は難しい表情を浮かべた。
…そういえばライ君は不本意っぽいけどジェレミア卿と親しいのよね。
もしかしたら何か聞き出せるかもしれない。
ここは素直にエニアグラム卿に感謝すべきなのかな。
「ううむ、ライ卿からあまりそういうのは聞かないな」
「そうですか」
少しガッカリしたけど良く考えてみればライ君ってあまりそういうのを語らなそうだものね。
ジェレミア卿が知らなくても仕方ないわね。
支援
338 :
萌は文化:2008/10/21(火) 23:28:15 ID:gBe1sQ7O
「だが男が女性に求めるものならわかるぞ!」
「本当ですか!」
「当然だ」とジェレミア卿は自信満々に言った。
「それで男性が女性に求めるものとは?」
エニアグラム卿が聞くとジェレミア卿はグッと親指を立てた。
「もちろんそれは満足いくセックヌァァー!!」
ジェレミア卿が言い終わる前にエニアグラム卿のつま先がジェレミア卿の股関に突き刺さった。
「いきなりセクハラか、死ね!」
「ヌァ…ァ…やっぱり下ネタは避けるべきだったか…」
顔を真っ青にしてジェレミア卿はかすれた声で呟いた。
「しかし、ジェレミア卿の言葉も一理あるかもしれんな」
「え! ま、まさかせ、セック…」
そこまで言うと私は恥ずかしくて口を押さえた。
「お前その年で恥ずかしがりすぎだろ。あと、そうじゃなくて女には武器があるだろ?」
「武器?」
私が繰り返すとエニアグラム卿は頷いた。
「そう、年と経験とともに磨きがかかるやつがあるだろ。これならユーフェミア様よりお前さんが上さ」
「武器……武器……そうか!」
支援
340 :
萌は文化:2008/10/21(火) 23:30:06 ID:gBe1sQ7O
そういうことか、と納得するとエニアグラム卿は笑顔で頷いた。
「そうだ、色気…」
「手料理ですねエニアグラム卿!」
「え?」
やっとわかった!
私にはそれがあるじゃない!
「ありがとうございます! これでライ君にアピールしてみます!」
興奮している私はエニアグラム卿の手をつかみブンブンと勢いよく握手をして上機嫌で研究室へと戻っていった。
「…………とりあえずライに謝った方がいいかもな」
「明日はライ卿に胃薬を土産に買って行くか…」
支援
支援
343 :
萌は文化:2008/10/21(火) 23:31:02 ID:gBe1sQ7O
おまけ
セシル「じゃあ、今日はお先に失礼するわね」
バタン
ライ「なんだかセシルさん機嫌よかったね」
スザク「本当だね。なんかいいことでもあったのかな?」
ロイド「………死人が出ないといいな」
ライ「なんか言いましたかロイドさん?」
ガチャ
ノネット「ライ! スマン!!!」
スザク「ど、どうしたんですか? 入っていきなり土下座なんて…」
ライ「よ、よくわからないけど止めてください!」
ジェレミア「いいや! 理由は言えんが謝らせてくれ! 全力ですまない!!」
ロイド(君達のせいか…)
支援!
345 :
萌は文化:2008/10/21(火) 23:33:23 ID:gBe1sQ7O
以上で終了です
最近ユフィやミレイさんに浮気してたのでライセシやりました。
セシルが奮闘記するのは次回からです
私のSSのノネットさんってこんなんばっか……
支援ありがとうございました
また機会が来たらお願いします
>>萌えは文化卿GJでした
ライが苦しむのが目に見えますwww
次も楽しみにしてます!
>>345 萌は文化卿、GJでした!
まずナイトオブお節介に吹きましたw
そしてジェレミア卿、ツッコミ所多すぎるwww
そしてセシルさんの全力の手料理……ヤヴァイw
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちさせていただきます!
>>345 やはり、ライセシ書かせたら天下夢想の人だ…。
(誤字で出たが、なんかこのままでいいかなと思ってしまったwww)
今回もおいしくいただきました。
GJです。
いやぁ、ニタニタ笑いが止まらない…。
次回も楽しみに待ってます。
>>345 大変面白おかしく読ませていただきました。
オチもなんとなくは読めつつ、でもコメディとして安心して読める展開が個人的にツボでした。
サブキャラも、改めてノネットさんがいいキャラすぎる…
こんな人が出て来ないのがもったいなかったよなぁアニメ本編、とか
そういやR2はジェレミアも忠義忠義で面白くなかったし
願わくば倍の尺で作り直してほしいかなぁ…とか思わせられる作品でした
公式だとセシルの想い人はロイドなんだっけ?
セシルの料理は日本食のみが酷いんでしたか?
セシルさんの思い人がロイドっていうのは匂わせている程度だった気が
料理については原作でおかしなサンドイッチを作ってた描写があったから
全般だと思う、そうじゃなきゃロイドやギルが恐れないでしょ。
萌は文化卿、GJでした!毎度ながらナイトオブお節kいやいや、ノネットさんが素敵です!
ロスカラ版らしいジェレミアとの迷コンビっぷりがたまりません!
ちなみにセシルさんの料理については入院中のギルに差し入れたサンドイッチが、それはもう…でした。
ライ麦パンにウコンと和三盆を練り込みわさびペーストを塗ったという、実に独創的な。
……ライ、強く生きてくれwww
萌えは文化卿、GJです! ノネットさんw
>>350 セシルさんの料理は和洋折衷が折衷しちゃいけないラインで折衷してる料理だと思ってるw
言わば、納豆に備え付けのタレと芥子入れて、醤油の替わりにコーラ入れるみたいなw
>>345 流石のライセシGJ!
相変わらずノネットさんのはっちゃけっぷりがいいな(w
一人空気を読んでるロイドさんも良い味だしてるし。
あと、1:45くらいから投下しようと思います。
では支援
支援はできるけど感想書ける時間ないかも支援
年下専門です、長編の続きを6レスほど投下します
タイトルは「優しい世界で目覚めて 第八話 メイドさん襲来(後編)」
・ギアス篇と学園篇の複合エンド後にしてR2終了後からの話
・ライは黒の騎士団入ってて学園篇エンドを迎えた、ルート的にはランペルージ兄妹メインに万遍なく頑張ったライ君
・ジャンル傾向はほのぼのしんみり系
・カップリングは現時点ではなし
・アフターに関しては情報が少ないため、自己解釈の要素を多分に含んでいます
支援
支援
「……つまり、ルルーシュ様の伝手で今まで辺境の地で療養していたと」
「そ、そうなんですよ」
結局、ライがとった選択はジェレミアにしたのと同じ説明をするというものだった。
この場にいるのが咲世子だけではない以上、本当のことは話せない。
また、仮に彼女一人だったとしてもそう簡単に話せるようなことではないのだから。
「そんな事情がおありになったのですか」
「バ、バカ! ライ、お前……!」
明らかに信じていないといった声音と、焦りの声音が重なって耳に届く。
それはそうだ、言い訳に使ったルルーシュ本人が一番ライの捜索を懸命に行っていたのだから。
ジェレミアとアーニャならばともかく、ずっとランペルージ兄妹に仕えていた彼女にこの言い訳が通用するはずがない。
(し、仕方がないじゃないか! 他にどう言えと!?)
アイコンタクトでルルーシュに謝罪をしてみるものの、ミニチュア少年は焦った様子を崩さない。
しかし、とライは思う。
実際のところ、信じてはいなくても咲世子は納得しているのではないだろうか?
あからさまな嘘をつかねばならないほどの事情があった。
それくらいは聡明な彼女ならば察してくれているはず。
現に、今のところ嘘について追求してくる様子もない。
ならばとりあえずは大丈夫なのでは、と思いハタと気がつく。
(ああ、そうか。このままだとルルーシュが……)
仮に咲世子が事情を察しているのならば、自分の言い訳をそのままナナリーに伝えるに違いない。
そうなれば、ルルーシュはライのことを知っていたのに黙っていたということになる。
つまり、ナナリーの中でルルーシュ株が大暴落するわけで。
(それは流石にマズイ……)
既にこれ以上ないほど名声が落ちているルルーシュだが、この上ナナリーにまで嫌われるというのは死人に鞭打つにもほどがある。
下手すれば悪霊にさえなりかねない。
なんとかしろ、と切実な願いを込めた視線が咲世子の頭の上から届くのが感じられる。
ライは頭をフル回転させて上手い方法を探す。
支援
「咲世子さん、お願いがあります」
「なんでしょうか」
「僕がここにいることは、皆には黙っていてもらえませんか?」
ピクリ。
僅かに咲世子の、そしてアーニャとジェレミアの眉が動いた。
「それは、ナナリー様も含めてと言う事ですか?」
「はい」
「つまり……ライ様は私に、ナナリー様に対して嘘をつけ、と?」
先程までとは比べ物にならない鋭い眼光が叩きつけられる。
それでも、ライは怯むわけにはいかなかった。
ルルーシュの名誉を守るためにも、そして自身の秘密を守るためにもここで引くわけにはいかない。
酷い男だと思われるのはいい、だがギアスのことだけは広めるわけにはいかないのだ。
吹き出そうになる汗を必死に押さえ込みながら、ゆっくりと、そして深く頷く。
「……理由をお聞かせ願いませんか?」
「言えません」
真っ直ぐに咲世子の瞳を見つめ、話す。
たったそれだけの行動に多大な負担がかかるのを感じる。
「ライ様。貴方が失踪されてから、一番悲しんだのは間違いなくナナリー様です」
「はい」
「ナナリー様がどれだけ悲しみ、またどれだけ我慢を重ねてきたか……貴方にわかりますか?」
「……いえ」
わかる、などと言えるはずもない。
人一倍寂しがりやで、自分が訪ねるたびに喜んでくれた少女。
ブラックリベリオンの後は最愛の兄から引き離され、孤独な皇女生活を強いられ。
気づかないうちに兄と敵対し、最後にはその死を看取り。
想像すらできないほどの悲哀を味わってきたであろう少女の気持ちを察することなどできるはずがない。
「それでもなお、貴方は自分のことを言うなと、そう仰るのですね?」
「―――はい」
せめてその時、傍にいてあげることができていたら。
ルルーシュから話を聞いて、ずっと思っていたことだ。
支援!
「勝手なことを言っているのは百も承知です」
けれども、現実には自分は眠りについていて。
「ですが、必ず……少なくとも、ナナリーにはきちんと自分から会いに行くつもりです」
こんなことをいう資格はないのだけれど。
「だから、それまでは……どうか、お願いします」
深々と頭を下げるライ。
咲世子はその様子をジッと見つめ、無言を守る。
「咲世子よ……私が口を出すのもなんだが、その……」
遠慮がちなジェレミアの発言にアーニャは軽く目を見開く。
(珍しい……)
常に尊大な態度を崩さない男が、こうもしおらしい口調になるなんて。
それだけライを買っているのか、それとも咲世子に遠慮しているのか。
恐らくは後者だろう。
そう判断しながらも少女は胸の中に渦巻くもやもやに顔を顰めた。
ライも咲世子も、二人とも本当にナナリーのことを想っているのがわかる。
それ自体は別にいい。
ナナリーは友達なのだから、彼女を大事に想う人がいるのはいいことだ。
だが、そこに『ライ』という二文字が入ると何故か心が落ち着かない。
(ナナリーは、友達なのに……)
自己嫌悪に心が痛む。
話を聞く限り、ライとナナリーはかなり親しい間柄だったようだ。
ならば、ライがナナリーを想うのも、ナナリーがライを想うのもなんら不自然ではない。
ふと、脳裏に親しそうに会話をかわす二人の姿が浮かぶ。
微笑みあう少年少女は完璧なまでにお似合いのカップルに見えた。
チクリ、と鋭い痛みが胸を刺す。
ただの想像なのに、何故―――
アーニャは咄嗟に俯いて顔を周囲の目から隠す。
今、誰かに自分の顔を見られたくなかった。
支援
支援
(……咲世子さん? どこを見ているんだ?)
顔を上げたライは疑問符を浮かべた。
先程までこちらを見ていたはずの咲世子が横に視線を走らせている。
そちらにいるのはアーニャだが、別に彼女は何も喋ってはいない。
何かあったのだろうか、と首を傾げる。
「フ……ライよ。お前も所詮は童貞坊やというわけだな」
訳知り顔でニヤついているルルーシュはとりあえず完全無視しつつ。
こちらの視線に気がついたのか、こほんとセキを一つついて咲世子が再びこちらに向き直る。
何故かメイド笑顔が二割増しだった。
「わかりました。ジェレミア様のお顔も立てないといけませんし……そこまで仰るのなら皆様にはこのことは黙っておきます」
「本当ですか! ありがとうございます!」
「ですが、先程の言葉はくれぐれも忘れないで下さいね?」
威圧感を乗せた鋭い視線が投げかけられる。
しかし、ライはそれをしっかりと受け止め、はっきりと頷いた。
「我が友、ルルーシュに誓って」
咲世子に、そしてその頭の上にいるルルーシュに向かって誓いをたてる。
動作としてはただ単に胸に片手を当てて頷いただけだ。
だが、その仕草から滲み出る気品と精練さは絵画に映る騎士のようで。
ほう、とジェレミアはその光景に感嘆し、アーニャは一瞬心の葛藤をも忘れて少年の姿に見入った。
「―――様が―――で、ライ様が―――ッ!」
ふと、かすかに咲世子の声が耳に届く。
どうやら誰かに向けての声ではないようだが、表情を見るに何やら興奮している様子だった。
何か変なことを言ったのか?
首を傾げ、メイド服の女性を見やるライ。
「どうかしましたか、咲世子さん?」
「……いえ、なんでもありません。ルルーシュ様に誓われた以上、私からはこれ以上言うことはありません」
「そうですか」
あっという間に冷静さを取り戻した咲世子に、ライはそれ以上追求することはできなかった。
支援
おまけ@(写真の真実)
オレンジ「おお、そういえば咲世子よ」
腐メイド「はい?」
オレンジ「ルルーシュ様の写真の件では本当に世話になった。おかげでこうして立派な遺影を飾ることができたしな」
腐メイド「いえ(まさかあの写真を飾るだなんて……というか、なんでアレ、混ざってしまったのかしら?)」
フラグ王「え、あの遺影の写真……咲世子さんが!?」
腐メイド「はい、私が提供させていただきました(しかも映っているのは私です)」
オレンジ「この大きさまで引き伸ばすのには苦労したな」
腐メイド「……あの、他の写真ではいけなかったのですか? 例えばコレとか」
どこからともなく写真の束をテーブルに広げる咲世子。
フラグ王「これはルルーシュがチェスをしている時の写真ですね。チェックをかける瞬間というのが彼らしい」
あーにゃ(ライが映ってる写真がある……)
オレンジ「これも悪くはなかったのだが……やはりこの写真に一番心惹かれたものでな」
腐メイド「そう仰られるのならば仕方ありませんが(遠回しに告白されているのでしょうか)」
あーにゃ「……これ、欲しい」 ←少し不恰好な形のおにぎりを頬張るライの写真を見ながら
支援
おまけA(咲世子さんの心中)
「我が友、ルルーシュに誓って」
(み、見える……! ルルーシュ様が王のお姿で、ライ様が騎士の誓いをたてる光景が……!
厳粛な空気の中、誰もいない宮殿の中で二人きり……
ライ様が恭しく跪いて伸ばされたルルーシュ様の手にそっと手を伸ばし……
優しく両手でそれを包み込んで、そっと手の甲に接吻を……!
ああ、なんてこと! 先程まではアーニャ様の嫉妬の仕草がたまらなかったというのに!
そんな、騎士の誓いでそこまでの情熱的な接吻は必要ないのですよライ様!
ルルーシュ様もそんな頬を赤く染めて目を細めてしまうなんて……それじゃまるで、アッ―――!)
「どうかしましたか、咲世子さん?」
「……いえ、なんでもありません。ルルーシュ様に誓われた以上、私からはこれ以上言うことはありません」
「そうですか」
(もうお腹一杯ですし)
支援
投下終了、支援感謝です。
次回からは舞台は移ってトウキョウ篇、一気に登場人物が増えそうです。
おまけwww特に@の各々の名前www
>>373 年下専門卿、GJでした!
ライの苦しい言い訳に焦るチビルルーシュ。
ライの真摯な気持ちが伝わったのかと思いきや、おまけwww
咲世子さんマジ自重www
次はトウキョウ!? 楽しみで仕方がない!
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
>>345乙&GJ!
素晴らしきライセシ!
サブキャラのノネットさん&ジェレミア卿もいい味出してますが、おまけのみ登場のロイドがw
人の心の機微に疎い、あるいは無関心なロイドが、誰よりも敏感にそこにある危機を察知しているのは、
今まで数々の試練を乗り越えた経験の賜物に違いないと涙せずにはいられません!
頑張れロイド!(と、次回直接的な被害にあうだろうライ!)
ところで、
>最近ユフィやミレイさんに浮気してたので
と
>私のSSのノネットさんってこんなんばっか……
の文が、何故か自分の中で化学変化を起こし、
「ライの思い人を次々と勘違いして、色んなキャラとライをくっつけようとするライノネ物」って
面白そうだなとか思ってしまいましたw
間違った情報を家政腐咲世子から仕入れたりするのも、二重の意味でカオスで楽しげではないかとw
>>373乙&GJ!
ライの苦労人ぷりと誠実さがいい!
友情と恋情の狭間で揺れ動くアーニャも、切なくもいじらしくてよかったです。
しかし、それら全てをかっさらう勢いのおまけw
咲世子は自分で勝手に妄想を繰り広げておいて「……それじゃまるで」とかいうしw
またスレ違い気味ですが、ジェレミア×咲世子も好きなので遠回しな告白が真実であることを、
ちょーっとだけ期待しております
年下専門卿、GJです!後半、加速度的な咲世子さんの面目躍如で腹を抱えました。
トウキョウ編は学園の仲間たちからかな?今から楽しみにしています!
>>373 素晴らしかったです!
咲世子さんの天使の微笑みにジョジョの効果音がついてしまいそうな状況がまた。
慌てるチビルルーシュはいいなあ。
今からナナリー登場時には挙動が怪しくなるだろうルルーシュに期待がかかりますw
ご対面、楽しみだなあ!
もし差し支えなければお尋ねしたいのですが、
このお話では、ライは血の学園祭でギアス使用、
遺跡で「忘れますように」を経ずに眠りについた状態、
ということでよいのでしょうか。
死んだルルーシュが取り戻したのは、学園祭のときのギアスに関する記憶と。
最初、てっきり全消し状態かと思ってしまっていて。
ナナリーにも会いに行ってるんですね。
>>373 年下専門です。質問にお答えいたしますと、基本的にはその通りです。
ただ、前書きでも書いているように
『黒の騎士団入ってて学園篇エンドを迎えた、ルート的にはランペルージ兄妹メインに万遍なく頑張ったライ君』
なのでゲーム本編でのこのルート!と固定されているわけではありません。
だからライはルルーシュ=ゼロを知っていたりしますしギアスについても話しています。
イベント発生が結構ごっちゃになってますが、その辺は本作でライやルルーシュが語ってるものが起きたということで。
大雑把には黒の騎士団篇ルルーシュルートで最後だけ学園祭篇ナナリールートと思ってもらえれば。
感想を頂いた全ての皆様に返事のレスはできませんが、いつも感謝しております。
379 :
373:2008/10/22(水) 13:13:04 ID:ZAQHLbks
>>378 お答えいただきありがとうございます。
いくつかの複合ルートとのことは承知していたのですが、
遺跡経由=「忘れますように」経由のようなスイッチがあって。
どの程度皆に記憶が残っているのか知りたくなりお尋ねしてしまいました。
続きを拝見できる日を楽しみにお待ちしています。
ありがとうございました!
投下まっております
はいそうです
>>382 メール欄のsageは半角で入れるんだ!全角では上がってしまう!
どなたかいらっしゃいますか?
前回の続きを投下したいのですが、9レス程度使用しますので支援して頂きたいのですが・・・。
まだいるかい?
居ます。
コテ出すの早すぎました。すいません。
支援お願い出来ますか?
お任せあれ
有り難うございます。ではその前に例の如く注意書き等を少々。
タイトル 〜 狂気の片鱗(前編)〜
カップリング なし
時系列的には前作 〜 紅の目覚め 〜 の続きになります。
以下注意点
●完全オリジナルの設定です。
●王様ライですので性格は自分の考えに依存してます。
●オリキャラ1名出ます。嫌いな方はご注意下さい。
では、投下行きます。
支援
〜 狂気の片鱗(前編)〜
玉座から反射する光を受けて、三人の影が伸びる。二つは短く一つは長く。
二人は皇帝の御前でもある為、片膝を付いたまま頭を垂れ臣下の礼を取る。
が、中央に居座る長い影の持ち主、ライは、自身の両脇に控えている二人のような態度を取る事無く、
両腕を組んだまま皇帝に対して不機嫌此処に極まれりといった表情を向けていた。
だが、そんなライを皇帝は特に気にした様子は無いようで、玉座に腰を据えたまま事も無げに問い掛ける。
「準備は良いか?」
「良いも悪いも無い。そもそも私は反対なのだが?」
ライは抗議の表情を崩す事無く答えたが、皇帝は半ば無視するかのように聞き流すと、ライの右隣に控えている男に命じた。
「ビスマルク、後は任せる」
「Yes, Your Majesty」
皇帝の命に対して、帝国最強の騎士――ナイトオブワンとして君臨する男――ビスマルク・ヴァルトシュタインは重々しい口調でそう答えた後、
スルリと立ち上がると無言でライを見下ろすかのように視線を移した。
それは、傍目には有無を言わさぬ迫力があり、並の人間ならば萎縮してしまう程のものであったが、
ライはそんな彼の視線を一瞥した後、最早無駄だと諦めたのだろうか。
達観したかのような表情を浮かべて軽く溜息を吐くと、自身の左隣で何時までも頭を垂れているもう一人の短い影の持ち主に命じた。
「だそうだ。行くぞ、カリグラ」
ライの命を以て、カリグラと呼ばれた者はフラリと立ち上がる。
その者は銀色の外套に身を包んでいたが、服装は騎士の姿であるビスマルクとは対照的に、文官の装いであった。
だが、その素顔を伺い知る事は出来ない。
何故ならば、その者はゼロの仮面に酷似した銀色の仮面を被り、その素顔を隠していたのだから。
支援
帝都では、最近真しやかに囁かれている一つの噂があった。
皇帝直属である機密情報局に、長官のポストを与えられた男が居ると。
――機密情報局長官カリグラ――
それがこの者の名前だった。
いや、正確には名前では無くコードネームなのだが、それを知る者はこの場に居る彼ら以外には存在しない。
今日は、以前ライが皇帝から言われた近しい者達へのお披露目の日。
だが、それはこの男のお披露目も予ていた。
「さっさと終わらせるか」
ライはカリグラを横目で眺めた後、溜息混じりにそう呟くと、ビスマルクに案内されるがまま別室に向かって歩き出す。
そんなライの斜め後ろを、カリグラは無言で付き従っていた。
―――――――――――――――――
枢木スザクは悩んでいた。
彼の悩みの理由、それは他ならぬライの事である。
ルルーシュを皇帝に差し出したあの日、黒の騎士団に、エリア11に居る筈の彼が何故あの場所に居たのか。
それも皇族のような服装と、以前のライからは想像も出来ないような優しさの欠片も無い、身震いするかのような覇気を纏っていたのか……。
分からなかった。会って理由を尋ねたかったが、あれ以来帝都の何処にもライの姿は無く、その機会を逸していた。
それが、ある日突然皇帝陛下の勅命を以て、自分を含めたラウンズ全員に召集が掛かり、今日この場で再びライと出会う事となった。
再び出会ったライの姿。
そこからは、あの時感じた恐ろしいまでの覇気は感じられなかった。
いや、寧ろ初めて学園で会った時のような、人形のような表情を貼り付けて、微動だにしないライの姿を見て、益々理解出来なくなっていた。
だが、そんなスザクの悩みは、ライに付き従うかのように隣に佇む――ゼロに酷似した仮面を付けた――謎の人物の姿を見た瞬間、消し飛んでしまった。
一瞬、ゼロと錯覚したスザクの視界が真っ赤に染まった。
だが、スザクとて愚かでは無い。
あれがゼロでは無いという事ぐらい分かっていた。
しかし、頭では理解していたが感情がそれを許さなかった。
駄目だ携帯使えねぇ
支援
その仮面を見た瞬間、自分の理性が引き千切られそうな感覚に陥ったスザクは、無意識に拳を堅く握り締めた。
が、彼の右隣に居た青年――ナイトオブスリーである――ジノ・ヴァインベルグは、友人の変化を敏感に感じ取ると、肘でスザクの肩を軽く小突いた。
すると、スザクはその事でふと我に返り思い留まる事が出来た。
もし、ジノの行動が後少し遅れていれば、殴りかかっていた事だろう。
そして、スザクは申し訳なさそうな表情をジノに向けた後、再び視線を正面に向けた。
ジノは友人が平静を取り戻した事を確認すると、やれやれと言った様子で肩を狭めた後、スザクの左隣に佇む同僚に軽くウィンクする。
が、それを見た同僚――ナイトオブシックスである――アーニャ・アールストレイムは、無視するかのように至って冷静に受け流すと、
チラリとスザクを見上げた後、何事も無かったかのように正面に向き直る。
彼女もスザクの突然の変化には気付いていた。
彼女はあまり感情を表に出す事は無く、表情の変化にも乏しいのだが、それは決して彼女に感情が無いという事を意味しない。
その事が分かっているジノは、アーニャもアーニャなりにスザクを心配しているのを理解していた。
それ故に、安心させるという意味を込めてのウィンクだったのだが、半ば予想していたとはいえ、ここまで見事にスルーされると少しは傷つくというもの。
アーニャに完璧に無視されたジノは、ガクリと肩を落とした。
そんな彼らのやり取りを見ていた、ナイトオブナインであるノネット・エニアグラムは、――微笑ましいな――と言った様子で僅かに口元を緩ませ、
ナイトオブフォーであるドロテア・エルンストは――何をしているのかっ!!――とでも言いたげな厳しい視線を投げかけ、
ナイトオブトゥエルブであるモニカ・クルシェフスキーは――またやってるの?――と、半ば呆れたような表情を浮かべていた。
―――――――――――――――――
「では、殿下」
「ライ・S・ブリタニアと言う。よろしく」
ビスマルクに促されたライは軽く挨拶した。
しかし、その場に居合わせたラウンズの面々は、突然告げられた自分達も知らなかった皇子の存在に対して、一瞬呆気に取られた。
が、直に片膝を付き頭を垂れて敬意を示す。同僚達の仕草を見たスザクも、慌てて同じ様な態度を取る。
支援
一方、皇族方はというと、オデュッセウスは温厚な表情を崩す事無く笑みを浮かべると、ライを歓迎する旨の言葉を贈った後に、自ら紹介役を買って出た。
自分の名前を呼ばれたギネヴィアは、嬉しそうに紹介する兄を尻目に、一人訝しむ表情をライに向けながらも軽く挨拶し、カリーヌは自身を紹介されると、
頬を僅かに朱色に染めながら返事をする。
その時、緊張していた為か、若干噛んでしまったのはご愛嬌と言うものだろうか。
皆、内に秘める思いは様々であったが――新しい兄弟として紹介された――ライに注目している。
しかし、彼等とは対照的に、シュナイゼルだけは顎に手を当てると、何かを考える素振りを見せたまま、彼にしては珍しく兄から名前を呼ばれても押し黙ったままだった。
そんな主君の様子を、副官として直ぐ脇で控えていたカノン・マルディーニは、――どうされたのかしら?――といった不思議そうな表情で見つめていた。
それは、シュナイゼルに長年使えている彼にしてみても初めて見る主君の態度であり、理解出来なかったからだ。
しかしそれも当然と言える。
何故ならば、シュナイゼルの視線の先にライは居らず、彼の目に映っているのは仮面の男だけだったのだから。
オデュッセウスもまた、弟の珍しい態度に内心首を傾げながらも言葉を続ける。
「それと、本来はもう二人居るのだけれど、一人は先のエリア11の戦闘で負傷していてね。もう一人は生憎と皇族に復帰したばかりで、
今日この場には来ていないんだよ。コーネリアとナナリーと言うのだけれど、二人は又の機会に紹介しよう」
彼は、最後に今この場に居ない妹達の名を口にしたが、最後の名前が気に入らなかったカリーヌが抗議の声を上げた。
「もうっ!ナナリーの事なんてどうでもいいじゃない。それより、もっと私の事を――」
「カリーヌ、またそんな事を言って。ナナリーとは歳も近いのだから、もっと仲良くしておくれよ」
妹からの抗議の言葉に、オデュッセウスは少し困ったような表情を浮かべながらも、温和な口調で諭すように宥める。
が、ライはそんな二人のやり取りにウンザリしていた。
――勘弁してくれ。こんな事は最初で最後にして貰いたいのだが……。
そして、さっさと終わらせようと思ったライは、律儀にも未だに頭を垂れているラウンズに向き直ると静かに告げた。
支援
「面を挙げられよ」
ライの許しをもって、居並ぶラウンズの面々は一糸乱れずといった様子でスッと立ち上がる。
帝国最強の騎士で構成されたナイトオブラウンズは、立ち居振る舞いも一級品であった。
しかし、そんな同僚達とは対照的に、就任してまだ日が浅かったスザクは若干ではあったが遅れてしまう。
だが、それは幸か不幸かライの目に止まる事となった。
――この男、何処かで見たな。
一人僅かに遅れたスザクを見咎めたライは、一瞬思慮に耽るが、直に答えは出た。
――ああ、ゼロを捕らえた男だったか。確か、枢木と言ったか?中々に胆力の有る男だったな。
思い出したと言う事については、スザクにとっては良い事だと言える。
しかし、続いてライは最も重要な事を思い出した。
――そして、ギアスと私の呼び名を知る者か。……要注意だな。
意図せずして早々とライに危険人物と認定された事は、不幸と言えるかもしれない。
スザクとしては、一刻も早く理由を尋ねたかったのだが、恐らくそれは叶わない。
このライにそう認識されると言う事は、自ずと距離を置かれるという事になるからだ。
何よりも、ライにはギアスがある。彼のギアスの特性と、その条件をスザクは知らない。
それに、今のライはスザクの事を完全に忘れている。
もし、スザクが不用意にその距離を詰めようものならば、今のライは逃げると言った行動を取る弱々しい存在などでは無く、逆に食い殺しにかかる猛獣に近い。
――以前の様に親しい態度を取るのならば、殺しておくか。いや、そういえば……。
ライは人形のような表情を崩す事無く、一度は心の内でそう決意するが、
――御主が目覚めたのは、今回が初めてでは無い――
不意に、皇帝より伝えられたその言葉を思い出し留まった。
支援
――以前の私を知っているという可能性があるな。
これまでのスザクの態度を思い起こしたライは、そう結論付けたが、次の瞬間鼻で笑っていた。
――それが何だと言うのだ?全く、我ながら馬鹿馬鹿しい事を。どうでも良い事ではないか……まあ良い。ラウンズを殺せば、少々面倒な事に成りかねないな。止めておくとするか。
最愛とも言える母と妹の記憶は揺るぎ無いものと信じている。そして、そんな二人を護れなかった己の罪もまた同じ。
今のライにとって、それ以外の記憶など興味の無いものだった。
いや、それは嘘だ。ほんの少しではあったが、知りたいと言う欲求があったのだ。
だからこそ、ライは咄嗟に自分を納得させるように、如何にも真っ当な理由を付けて、一度は決めた考えを撤回したのだ。
しかし、ライが己の心に小さく宿った内なる望みに気付く事は……まだ無い。
―――――――――――――――――
時は少しだけ遡る。
ライが思考を巡らしている間、ラウンズ全員が立ち上がるのを見届けたビスマルクは、続いてシュナイゼル達にライの傍に控えて居る仮面の男を紹介した。
「この者の名は、カリグラ。噂は既にお聞きでしょうが、機密情報局長官の職責を背負っている者です」
そう伝えた後、沈黙が辺りを支配した。
肝心のカリグラからは、何の言葉も無かったからだ。
その事には、先程とは違いその場に居合わせた全員が一様に眉を顰めた。
が、自身の考えを結論付けたライが――挨拶を――と命じると、カリグラは一転して素直な反応を示した。
『ヨロシク』
だが、その声は機械を通していたせいか酷く平坦であり、そこからは一切の感情を伺う事が出来なかった。
それと共に、敬意を感じさせぬ言葉使いとゼロに酷似した風貌も相まって、侮辱されているのでは無いかと受け取ったギネヴィアが糾弾する。
「あなた、ふざけているの?」
だが、カリグラから答えが返って来る気配は微塵も無かった。
その態度に業を煮やしたギネヴィアは、普段よりも更に鋭さを増した表情を浮かべると、問い詰めようと再び口を開いたが、
「良いではないですか」
それまで沈黙を続けていたシュナイゼルがそれを制した。
支援
「彼にも何か事情があるのでしょう」
「っ!?」
ギネヴィアは、よもやシュナイゼルがこの男を庇うとは思ってもいなかったのか、少々面食らったようで一瞬言葉に詰まるが、直ぐに気を取り直すと同意を求めようとする。
「そうは言うけれどねぇ。言葉使いはまだしも、素顔を晒す事もしないなんて不敬では無くて?」
「仰る事も分かりますが、彼の噂が出てから今日ではや3ヶ月と言ったところですか。今まで一度たりとも姿を見せた事の無い彼が、
初めてこうして公の場に姿を見せたのです。それに、彼の地位から考えても、素顔を見せる事が出来ないという事は一定の説得力があります。
今日の所は、それで良いではありませんか」
シュナイゼルは、姉の言葉に同意しつつも穏やかな口調で告げると、ギネヴィアはその言葉に毒気を抜かれた。
それは、シュナイゼルの言葉も一理あったからだ。
機密情報局。それは皇帝直属の機関であり、秘密警察に近い役割も秘めている。
その為、時には帝国に叛意を持つ者を秘密裏に処理する事もある。
帝国臣民からの羨望を一身に集めるナイトオブラウンズとは対照的に、どこか血腥いイメージを抱かせる組織。
しかし、ラウンズに入れる程の腕は無いが、上を目指したがる野心家にとっては、同じく皇帝直属である機情に入るという事は出世する近道でもあるという事も
周知の事実で、競争率はそれなりに高い。
だが、そんなイメージを持つ組織を束ねる長ともなれば、疎まれこそすれ尊敬されるような事はまず無い。
すると、素顔を晒せぬという事に得心が行ったギネヴィアは、普段の表情に戻すとそれっきり何も言う事が無かった。
そんな皇族方のやりとりを物珍しそうに眺めているラウンズの面々の中で、スザクは一人、自分と戦っていた。
カリグラを見ていると一度押さえたとはいえ、再び怒りに支配されそうになるのを感じていたからだ。
その為、深く深呼吸をした後に、無理矢理カリグラを意識の外に追いやると、
――君は一体誰なんだ?本当にライ……なのか?
目の前に居る灰銀色の皇子にそう尋ねようとしたが、出来なかった。
皇帝陛下の勅命と、ナイトオブワンであるバルトシュタイン卿自らが、ライを引き連れてこの場に来たのだ。
支援
支援!
公の場でそれに異論を問う者など、ラウンズの中では誰一人として居ない。
更に言えば、皇族方はライを歓迎こそすれ異論を唱える事はしなかった。
ギネヴィアは若干不審がる様子を見せてはいたが、それを口にする事まではしていない。
となると、如何にラウンズと言えども、皇族方を差し置いて問い掛ける事など出来る筈も無い。
しかし、このような不可思議な出来事に興味を示すであろう人間。
シュナイゼルでさえも何も言わないのはどう言う事だろうとも思った。
いや、スザクにとっては寧ろシュナイゼルの態度は、無視と言っても良い程で、その事が余計にスザクの思考を混乱させていた。
一方、ライは自身に興味や不審、または好奇といった視線を向けているラウンズの面々を全くの無表情で流すように見ていく。
が、ある男を見てふと視線が止まった。
その視線の先には、他の者とは違い、自分に対して何処か品定めするかのような視線を送る一人の男、ナイトオブテンでもあるルキアーノ・ブラッドリーの姿があった。
その表情を見るや否や、相対するライの双眸に光りが宿る。
ルキアーノの視線を挑発と受け取ったライは、殺意の眼差しをもって迎えたのだ。
その光を見たルキアーノは、一瞬驚きにも似た表情を浮かべた後、今度はお返しとばかりに嘲笑めいた笑みでもって答えた。
それはほんの一瞬のやり取りであった事と、未だ熱心に言葉を交わしていた事も有り、皇族方が気付く事は無かったが他のラウンズは感じ取った。
目の前に居る人形のような皇子が一瞬だけ見せた、戦場を知る者が持つ特有の気配を。
そんな二人のやり取りを見咎めたビスマルクではあったが、敢えて苦言を呈する事無く問い掛ける。
「ライ殿下。お目通りは済みましたか?」
「ああ、ではこれで。行くぞ、カリグラ」
その言葉にライはルキアーノから視線を逸らすと、用は終わりと言わんばかりにそう吐き捨てると踵を返す。
「どちらへ?」
それを怪訝に思ったビスマルクが問い掛けると、
「用は済んだ。陛下に伝えてくる」
ライは何とも素っ気ない返事を返した後、カリグラを引き連れてさっさとその場を後にしてしまった。
支援
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ライがカリグラを引き連れて去った後、ラウンズもまた去った。
故に、今この場に居るのは皇族4人に副官のカノンのみ。
その中の一人で、先程の話しの中でどうしても腑に落ちなかった事があったギネヴィアが口を開く。
「オデュッセウス兄様。陛下は何をお考えなのでしょうか?帝国の敵とも言えるゼロに酷似した者などに、機情の長の地位をお与えになるなんて」
「さあ?父上にも考えがあるんじゃないかな?」
妹からの問いに、オデュッセウスは全く分からないといった様子で首を振った。
「ですが、ゼロはクロヴィスやユーフェミアの仇ですのよ?それを――」
ギネヴィアは憎々しげに自身の思いを吐露しようとするが、そんな彼女とは対照的に楽しげな妹の声がそれを遮る。
「私はライって方の方が気になるわ。あんな方が私のお兄様になるなんて嬉しいっ!」
「そうだね。兄弟は多い方が良いからね」
カリーヌの喜び。それは、当然の如く兄弟が増えるという理由から来るものでは無い。
彼女は、端正な顔立ちに灰銀色の髪をして、深い海のような瞳を湛えたライの容姿を一目見た瞬間に惚れ込んでいたのだ。
だが、オデュッセウスはそんな妹の想いなど露知らず、見当外れな同意を口にすると、カリーヌはそんな兄にジト目でもって答えた。
しかし、一方でライの事も不審に思っていたギネヴィアは、皮肉めいた言葉を呟く。
「ですが、ライですわよ?あの王の名前から取ったのかしら?名前負けしなければいいのだけれどねぇ」
だが、それを聞いたオデュッセウスは、彼にしては珍しく語尾を強めた口調で妹の発言を咎める。
すると、はっとなったギネヴィアは慌てて口を押さえた後、チラリと視線を移した。
「気にしていませんよ」
目が合ったシュナイゼルは、ギネヴィアの発言をさして不快と思った様子も無く、軽く受け流してみせた。
支援
それに安堵したギネヴィアは、悪くなった空気を変えようとそれまでと全く関係の無い雑談めいた話題を振り、オデュッセウスやカリーヌもそれに応じた。
そんな彼らに対して、シュナイゼルは気取られぬよう傍に控えているカノンに目配せすると、それだけで全てを悟ったカノンは、
無言で歩み寄って耳を貸すとシュナイゼルは静かに囁いた。
「済まないが、彼――カリグラの事について調べて貰えるかな?」
すると、カノンは――お任せを――といった様子で静かに微笑んだ後、次に命じられるであろう言葉を待ったが、この場において遂にそれは聞ける事は無かった。
以上で投下終了です。
最後にエラー出まして、1レス増えました。
すいません。
支援ありがとうございました。
支援
乙!
ライに興味がもてないシュナ様って珍しいですよね
ルキアーノは皇族に喧嘩売ってどうするのでしょうか?
そしてカリグラさん。ライには忠実・・・なのかな?
次回も楽しみに待っています
>>410 ライカレ厨卿、GJでした!
やはり不遜なライ、そして彼に従う仮面の男。
その存在の意味は何通りか考えられますね。
何気にテンさんと通じあいそうなライですね、今後に期待がもてそうでした!
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちさせていただきます!
ライカレ卿GJです!
テンさん、このライにそんな態度とるなんて殺されたいとしか思えません(笑)
話変えますけど、ところで皆さんはライの彼女?は誰がいいと思ってます?
自分はカレン、アーニャ、ナナリーだけど。
ところでロスカラ、アニメ化になるとか噂ないかなぁ。
それスレチな話題だよね。ロスカラスレに行った方がいいよ。
22:00から投下したいのですが、11レス前後になりそうです。
どなたかご支援いただけますでしょうか。
>>416 意外とCPが決まってない職人が遠回しに意見聞いてるだけかもしれないからすこしは相手してあげようよ
支援表明ありがとうございます。では、投下します。
タイトル:Intermezzi #2 〜ピンク・サイクロン〜
ジャンル:ギャグ
カップル:ライ×ナナリー
先ごろ投稿させていただいた「Intermezzi #1 〜お風呂に行こう!〜」の続きです。
・純血派編と学園編を並行→新シナリオへ?という展開です。
・シナリオ終焉のギアスの暴走やテロリストの襲撃は無かったものとお考えください。
・なのでライはルルーシュ=ゼロを知りません。
・アニメを含む公式ネタが若干入ってます。
・ただしスタート地点でクロヴィスが殺されていません。
(公式記録上で死亡とされ、本国へ帰っておりますが)
ナナリーの「優しい世界」実現のため、ひたすら和平路線でルルーシュの皇族復権を狙う
ライのドタバタ風味の日常です。
既にジェレミアをルルーシュに引き合わせ、兄妹の騎士同士として活動する筈なのですが、
シナリオ本編以上にライの苦労が続いています……。
支援
支援
室内で、ルルーシュと誰かの話し声がする。
「……と約束……」
「でも……だし、貴方の……」
女の子の声だ。でも、ナナリーじゃないし、C.C.でもない。
とりあえずノックして名乗ると、その子の声がどうぞ、と言った。
同時にドアを開けたルルーシュが、凄い勢いで僕を引っ張り込んでドアを閉めた。
「ごきげんよう、ライ」
ピンクの髪の女の子が、ベッドに腰掛けてにこにこ笑っている。
ルルーシュも隅に置けないな、いつの間にカノジョなんか……。
じゃないぞコレは。
「ユーフェミア皇女殿下!なんでルルーシュの部屋においでなんですか?」
ルルーシュが異母妹である彼女と、子供の頃に大の仲良しだったのは知ってる。
学園祭の日、ナナリーを交えてこっそり再会したのにも、僕は立ち会った。
でも、でもだ。ルルーシュは今も世を忍ばねばならない身、また会いに来るなんて危険すぎる。
「ごきげんよう、じゃありません!殿下!」
「大丈夫です、ちゃんと計画して参りました」
「スザクは!」
「今日は特派に行ってます」
「SPは!」
「置いてきました」
「ノネットさんは!」
「今日はお姉様、いえ総督閣下と地方巡察にいらしてます」
「ギルフォード卿は!ダールトン将軍は!」
「ルルーシュと同じようなチェックしなくてもいいじゃないですか。ライの意地悪!」
支援
ほっぺを膨らませて抗議する皇女殿下はとても可愛らしい……が、それで誤魔化されるわけにはいかない。
「意地悪で言ってるんじゃありません。もし適切でない人間に知れたら、どうなるかご承知でしょう」
「分かってます。ごめんなさい」
皇女殿下は素直に謝りつつ、ルルーシュの淹れたお茶のカップを渡してくれた。
「でも、真っ先にルルーシュとライに相談したかったの」
そして見るものの目を眩ませんばかりのまばゆい笑顔で、爆弾発言をした。
「私もこの学校に入ろうと思って!」
「「ぶはあっ!」」
僕らが盛大にお茶を吹いたのはいうまでもない。
「庶民の生活やエリア11をもっと正しく把握したいのですが、時折抜け出して街の様子を見に行っても効果は乏しいのです。また傍仕えの者を思えば宜しくないですし」
雑巾を手にばたばたする僕らを尻目に、皇女殿下は朗らかにのたまう。
「だから、期間を定めてきちんと学校に通い、ここで正しい知識を身に着けたいのです!」
ルルーシュが、深い深い溜息をついた。
「いいか、ユフィ。入学したとして、もし授業参観があったらどうする」
「え、そんなの高等部にあるのか?」と僕。
「無い。だがこの先もそう言いきれるか?会長の性格を考えろ」
「それもそうか。可能性は低いが除外はできないな。しかもユーフェミア殿下の」
「お友達同士の場ではユフィって呼んでって、スザクからお伝えしましたよね?」
「分かりました。もとい、ユフィの場合、誰が来るか分かったものじゃない」
「妥当な線で姉上の名代だが、それが誰かだ」
「ダールトン将軍ならいいけど、ノネットさんだといろいろ怖いな」
「そうですね。お姉様ご本人とか、気まぐれをおこしたシュナイゼル兄様とかだと、もう大変かも」
「それはッ!」
言いかけてルルーシュは、ふと表情を柔らかくした。宥めるような口調で言葉を継ぐ。
「ライ、ユフィ。落ち着け。そこまで追求しなくてもいい問題じゃないのかこれは」
自分で振っといてそれはないだろうルルーシュ。君こそ実はちょっとパニックしてたろ。
支援
でも、確かに副総督が入学となると、こんなものじゃ済まないだろう。
ルルーシュも「現在想定できる危険は256パターン」とか呟いてる。もう少し上乗せしてもいいんじゃないか。
「それに今は特区日本を担っているのだろう。そんな暇があるのか」
「そちらは大丈夫、ル……いえ、ある人がこっそり手伝ってくれてますから」
「いつまでもそれじゃダメだ。ゼ……いや、くろ……いやいや、敵対勢力と上手く結んだのだから、自力でどうにかしなくては」
お、厳しいじゃないかルルーシュ。これがナナリーだったら無条件で甘やかすだろうに。
「ライ、何をニヤニヤしてる」
「いや別に何も。それより、そろそろ殿下、いやユフィの帰りの心配をしたほうがいい時間じゃないか?」
スザクの騎士就任に伴い政庁に移動した特派のトレーラーへ、僕は自転車で通っている。
最初はバスだったのだが、一度途中で非常呼集を受けてしまい、結局自力で走って到着という間抜けな事になったからだ。
(リヴァルはバイクをいろいろ選んで勧めてくれたけど、そもそも免許を取りに通う時間が無い)
今日は後にユーフェミア殿下を乗せ、僕はせっせとペダルを漕ぐ。背中にぷにぷに当たるもののことはさておき、こういうのは悪くない。
途中で彼女が街中のことを訊くたびに速度を緩めて説明したり、ちょっと寄り道してみたり。
これがナナリーだったらなあ。背中にぷにぷには無くっても……あ、いや、一日中でも走っていられるのに。
裏門から政庁の敷地に入り特派に行って、スザクがまだ居れば後は任せよう。
そう思ってトレーラーに着いたところで、ジェレミア卿が出て来るのに行き会った。
ちょうど彼にも大事な相談がある。少し待っていてもらって……と思ったのだが、様子がおかしい。
顔色が悪い。というか、血の気がほとんど無い。
挨拶した僕が全く目に入らないようで、ふらふらと素通りしかけた。
具合でも悪いんだろうか?まさか、セシルさんのお手製オスシでも口にしたのか?
支援
「ジェレミア卿!どうしたんです?」
腕に手をかけて呼ぶとようやく振り向いたが、目の焦点が定まっていない。
「わ、私は、なんという愚かな」
絞り出すように呟く。
「あの御方に、合わせる顔がない」
彼が『あの御方』と言うのは、ただ一人。彼の主君(予定)ルルーシュだ。
「どういう意味ですか?」
「頼む、放っておいてくれ!」
まるで悲鳴のような声でそう言ったかと思うと、彼は僕を押し退けるようにして足早に立ち去ってしまった。
「どうしたのですか、あの者は?」
後でユーフェミア殿下が怪訝そうな声を上げる。
そういえば皇族至上主義の筈の彼が、挨拶ひとつせず皇女殿下を全力スルーだなんて。ありえない。
ふと気配に気付くと、ドアのところにスザクが呆然と立っていた
こっちも顔色が良くない。これもありえない。スザクなのに。体力と健康と頑丈の代名詞なのに。
おまけに泣きそうな表情をしている。
やっぱりセシルさんの以下略……な筈はないか。
「何があったんだ?」
「ジェレミア卿に、ルルーシュのことを話したんだ」
「なんだって?」
「名前は出してないよ、もちろん。ただ、話の流れで、僕の幼馴染が料理上手だっていうことをさ」
話は、彼の父・枢木首相が預かった少年が、誰の手助けも借りず一人で妹を養おうと奮闘していたというところから始まったそうだ。
わずか10歳の子供が山菜を集め工夫を重ねて料理し、今ではすっかりプロ並みだということから、あとは問われるままに語って聞かせたと。
支援
「なんで、そんな流れに」
「セシルさんがピンク色のラズベリー・オスシを作ってくれたんだ。で、料理の工夫ってほんとに色々だなぁと思って」
結局はあれが起爆剤、もとい発端か。
好意の塊だというのに、こんな破壊力まであろうとは。
「僕の話、ジェレミア卿にはなんだかショックだったみたいで。顔色が変わって手が震えだして」
スザクは叱られた子犬みたいな情けない声を出した。
「どうしよう。子供が苦労する話って苦手だったのかな。面白く話したつもりなのに」
枢木首相の預かりになった、スザクと同年代の兄妹なんて、他にいない筈だ。
誰のことを話しているのか気付いたら……そりゃ、ショックも受けるだろう。
貴族の自分が何不自由なく暮らしてきて、皇族の、しかも敬愛する皇妃様の息子が苦労の挙句に野草を食べてたなんて、あの人に耐えられる訳がない。
たぶん、最初にルルーシュに会った日に何の躊躇も無く使用人だの何だの提供しようとした事とか、思い出してる。
いつもの暴走癖の結果とはいえ、どんな思いをしたか、察するに余りある。
大人だから傷つかないなんて筈はない。
追いかけて、せめてきちんと説明してあげないと。
これで賭けチェスとか、危ない橋を渡っての生活費稼ぎの話をしたらどうなるか。
考えたらぞっとした。言えない。絶対に、聞かせられない。
いや、待てよ。
「スザク。話したのはそれだけか?」
「いや、その……」
ほうほう。事情があって普通のアルバイトができないから、あまり褒められない仕事に手を出してると。
できればやめて欲しいんだけど、妹の治療費のこともあるから強く反対できなくて、って。
結局、全部、話しちゃったのか〜〜〜ッ!
つか、それ、普通に聞いてもキツい話だよ!訊かれたからって素直に語るな!
支援
何てことしてくれるんだ。
『あいつとは、母さんの話ができるんだな。近いうちにまた会いたい』
ルルーシュが珍しく素直に言ってたことも伝えたかったのに。
一緒に皇妃様の事が聞けたら、ナナリーにも話してあげられると思ってたのに。
スザクは悪くない。悪くない悪くない悪くない悪くない。
僕は頭の中で必死に唱えた。知らない事なんだからしょうがない。
でも殴りたい。ピコピコハンマーで脳震盪起こすまで連打したい。スザクの馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿っ!
脳内で叫ぶこと数秒。いくぶん平静に返った僕は、微笑みを顔に貼り付けて皇女殿下に向き直った。
「ユフィ、友達としてお願いがあります」
「なんですの、ライ?」
「スザクにセシルさんのオスシを完食させてから『バカ』って50回言ってぽかぽか叩いといてください」
返事は待たずスザクの抗議も聞かず、僕は政庁に向かって疾走した。
「ヴィレッタ卿!ジェレミア卿は?」
かけまくった電話もすべて繋がらないまま、ノックもそこそこに飛び込んだ部屋には、デスクの傍らにヴィレッタ卿が立ち尽くしているだけだった。
「ライ卿!なぜ自転車で入って来る?どうやってここまで?」
あ。
「す、すみません!」
「それに、ジェレミア卿に一体何があったのだ?これまで見たことがないほど、しょげ返って出ていかれたぞ?」
や、やっぱり。
「ゼロやオレンジの件が問題外なほどだった。そもそも私に理由も言わないなど、初めてだ」
あろうことか、休職するから届を出すと言われたそうだ。軍務には全力のあの人から。
「先にサインするからそれに合わせて書面を用意しろなどと無茶をおっしゃって、こんなものを」
手当たり次第に取ったのだろう、何かの書類の裏にサインだけが走り書きしてある。
それはいつものしっかりした筆跡ではなく、細かく震えた跡があるうえに、後半はぐにゃぐにゃに縺れたあげく紙の反対側まで線が引っ張られていた。
混乱が歴然だ。これはもう署名の意味を成していないだろう。
支援
「心ここにあらずというか、魂が抜けたというか、打ちしおれたというか、まあ見られたものではなかった。原因は何だ?」
実はと、彼が耳にしてしまった事について話す。
「それは酷い!何故そんなことを聞かせた!あれでもちょっとは繊細なところがあるのに!」
「不幸な偶然なんです。それで、どこ行っちゃったんでしょうか」
「私が聞きたい。まったく、迷惑な!」
ヴィレッタ卿は通信端末を引っ掴み、心当たりに連絡し始めた。
僕もルルーシュに電話を入れる。
『あの、馬鹿!』
事情を説明したとたん、ルルーシュは切り捨てた。
「えーと、誰のこと?」
『両方だ!』
一刀両断一撃必殺。ルルーシュがこれをやると、後までそのままになりかねない。フォローが必要だ。
「でも、スザクは別に他意があった訳じゃないし」
『間が悪すぎる!あいつはいつもそうだ、余計なことを!』
「ジェレミア卿にしてみたら、ショックを受けてももっともな話じゃないか」
『いい年をして、そんなことで拗ねてどうする!今のおれは、ただ現状に憤っているばかりではない!』
ルルーシュ。それは言わないと分からないだろう。
僕経由で情勢を送ってもらう以外にコンタクトしないで、どうやって君の気持ちを量れっていうんだ。
君は、致命的に言葉が足りない。
電話の向こうで長い沈黙があった。
それから小さく笑う声がした。
『馬鹿は、おれだな』
「悪いけどイエスだな、ハイネス?」
『ああ。もっと早く、あいつと話しておくべきだった。そもそも緊急時の連絡手段を確保することも含めてな。あいつはおれのし、臣下なんだから』
使い馴れない言葉に、ちょっと照れが入った。うっかり可愛いな。
支w援w
『ライ、あいつが行くとしたらどこだ。街へ出て自棄酒でも呷るか』
「問題が極秘中の極秘である君の事だ、それは出来ないだろう」
『では、どうする。どこへ行く』
「確実に一人になれるところ、だな」
『群集の中にあっても一人にはなれるが』
「知人に見つかる可能性が大きいな、彼の場合」
『だとしたら?』
「見つけた!」
ヴィレッタ卿が声を上げたのと、僕が結論に達したのはほぼ同時だった。
格納庫に行くと、待機で開いている筈のサザーランドのコクピットが騎乗状態になっていた。
近くにいた整備兵に聞くと、少し前にジェレミア卿が乗り込むのを見たという。
「これは、新しいパターンだな」
ふう、と溜息をついてヴィレッタ卿。今までどんな面倒事に出くわしてきたのやら。
「とりあえず、呼んでみましょう」
思い切り息を吸い込み、叫ぶ。ご本人に「オール・ハイル・ブリターニア!」連呼で鍛えられたのが、ここで役立とうとは。
「ジェレミア卿!出てきてください!お話があります!」
反応は、無い。
「外部入力を切ってるんでしょうか」
「待て、試しにアレをやってみる」
言うなりヴィレッタ卿はサザーランドに向かって叫んだ。
「この、オレンジー!」
……遊んでませんかヴィレッタ卿。
脱力しながら訊ねた僕に「いや、そんなつもりは」と若干うろたえ気味に彼女は答えた。
「聞こえていれば確実に出てくる筈と思って、な」
支援
「では緊急回線で強制介入してみましょうか」
「よし」
隣にあるヴィレッタ卿の乗機から試してもらったが、応答なし。
「こっちの回線をクローズして、どこかと優先順位の高い通信をしているな」
「誰と?」
「さあ、ダミーかも知れない。まったく、全力で引きこもってどうする!こじ開けて引きずり出すしかないのか?」
「いや、あんまり手荒なことは」
話すうちに日が暮れてきた。見事なまでにオレンジ色の夕焼けは、よんどころない思いを抱えてしまった人の眼と同じ色で、何だか切ない。
「ライ卿、後は私が何とかしておく。貴公は明日も任務や学校があるのだろう。もうお帰り」
見つめていたら、ヴィレッタ卿が子供に対するように優しく言って、僕の髪をくしゃくしゃと混ぜた。
支援
ぐったり疲れて学校へ戻ると、門の近くに人影がぽつんと立っているのに出会った。
制服を着ている、小柄な少年だ。傍らには鞄が大小ひとつずつ。
「ちょっと」と彼は言った。
「転入してきたんだけど、寮まで案内してもらえないかな」
「いいよ、こっちだ」
手招きすると、彼は少し後へ引き気味に首を傾げた。
「へえ、貴方は口の利き方がどうとか言わないんですね」
誰か前に通った人に、同じように話しかけて怒られたのか。
「そういえば、あまり考えなかったな。身近にいろんな喋り方をする人たちがいるせいかも知れない」
少年は、ふーんと抑揚なく相槌を打った。
話す事が好きではないのか、それとも下手なのか。前者ならば構わないが、後者の可能性を考えて、もう少し話しかけてみるか。生徒会の仲間たちが僕にしてくれたように。
「中等部?」
「スキップで高等部」
「なら一緒のクラスかもしれないな。あ、荷物、よければ手伝うよ」
「ああ……いや、お願いします」
なんだか、会話のリズムが微妙だ。でも、この感じにはどこかで覚えがある。
「よろしく。僕はライ・ランペルージ」
「ロロ・ヴァルトシュタインです」
その乏しい表情にも、何か記憶をくすぐるものを感じるのは何故だろう?
「よろしく」
支援
支援
彼を寮母さんに委ねて立ち去ろうとした時、ポケットの中で電話が鳴った。番号は、クラブハウスのもの。
「ライ、どこにいる」
感情を消した魔女の声が機械を通して聞こえた時、あ、この感じかな?と思った。
しかしもう一度少年を見る前に、C.C.はこう告げて通話を切った。
「緊急事態だ。大至急、戻って来い。命にかかわるかも知れん」
まさか、ナナリーに、ルルーシュに、何か!
僕は敷地を突っ切って、ふたたび全力疾走した。
賢明な方なら既に想像はついておいでだろう。
息を切らして駆けつけた僕に、魔女は言った。
「ピザを取れ」と。
支援
【Epilogue】
今回は、ことがことだけに、ナナリーに報告できない。
例の野草の一件に触れずに話すのは難しいし、いつものように手を預けたら、きっと僕の気持ちから何かを読み取ってしまうだろう。
咲世子さんに手紙を託すことも考えたが、言葉の無いところに生じた行き違いを目にしたばかりで、上手く書ける自信が無い。
嘘になるのは嫌だから、月を見上げてただ想う。
ねえナナリー。君の願う『優しい世界』は難しい。
ルルーシュと互いの能力を知った時に、彼が瞋恚のままに企てていた方法を棄てると決めた。
ギアスを持つ者がどれほど居るか分からない世界で、性急にそれを揮い続ける危険を思って。
何より君の望みを果たすためなのに、他人を捻じ曲げるこの力を多用していいものではないと語り合って。
だから時間がかかる覚悟はしたけれど、ちょっとでも前進できてるのか、不安になる事がないとはいえない。
僕らは成し遂げられるだろうか。
特別な力は持っていても、世界に比べたらちっぽけな身で。
まして僕には、ここで生きた時間以前の確信すら持てない。
いろんな友達が知っていてくれるから、ようやく今の自分を信じてる。
唯一確かな君への想いを、支えてくれるのもその友達。
シエン
窓を閉めたとき、机の上で携帯電話が鳴っているのに気が付いた。
発信元はヴィレッタ卿だ。留守番モードになる寸前で取る。
「ライ卿、起きていたのか」
電話の向こうの彼女は「ふふふ」と含み笑いをした。
「安心してくれ、片付いた。ま、しばらく格納庫は使い物にならないが」
「な、何をどうしたんですか?」
「うふふ。いや事故だ。不幸な事故だ。ジェレミア卿の乗機が故障したので、少々強引な方法で脱出して戴いただけだ」
あースッキリした!と彼女は言った。
「では、また明日!おやすみ!」
友達からの電話だったが、なんだか却って不安にならないことも無い。
それでも明日は来る。また進んで行ける筈だ。きっと、先へ!
……たぶん。
支援
以上です。ご支援ありがとうございました!
また途中、猿に捕獲され時間を食ってしまいましたことをお詫びします。
ナナリーの出番をみるにほんとにカップリングがライ×ナナリーなのだろうかと思わなくもないが……
>>451 昔のドラマでホテルというのがありまして、あんまり登場しないのに松方弘樹が主人公だったのと同じでは
>>450 銀鰻卿、GJでした!
ロロが来ただと!? しかもヴァルトシュタイン……
しかしやっぱりジェレミアは感情が暴走しまくりますね。
どんどんナナリーの出番が増えていくんですね、わかります。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
>>450 乙&GJ!!このシリーズ大好きです。
背景は結構シリアスっぽいのに、登場人物たちがコミカルなので何度笑ったことかww
テンポの良い会話が小気味よいです。ヴィレッタ、イキイキしてるなあ。
セシルさんのオスシ……恐るべし。
ロロの登場が彼らにどう影響を及ぼすか、今後の展開も楽しみにしています!
>>451 ナナリーの役割はコロンボでいうところのうちのかみさん的な位置かな、と。ちょっと違うか。
通しで読むと必ず最後にナナリーへの報告って形になってるので、やっぱりライナナだなあと思いますよ
>>450 面白かったー!!
ジェレミアのいとおしくなるような忠臣っぷりにニヤニヤが止まりません。
ヴィレッタさんの良識ある大人ぶり、でも時々見せる可愛らしさ、もう大好き。
本当に楽しみにしています。
またの投下をお待ちしながら!乙です!
>>415 ロスカラのNL系サイトとかこのスレのこれまでの作品のカップリング数を見ると、人気的には、1位ライカレ、2位ライアニャ、3位ライナナ、でライCが続く感じだと思う。
ちなみに俺はライカレ派だけど。
>>456 公式でのライとの絡みどころかロスカラに出番がないアーニャが二位なの?
ライには本編後のナナリーを支える役をやってほしいと思うがね。カレンの場合は母親がいて、アーニャは望みがかなってジュレミアもいるしさ。ナナリーは望みはかなわないしルルは死ぬしさ
俺はライナナです
自分にとって一番好きなカップリングが一位なんだ。順位なんてつけるものじゃないぜ。
…とライC好きの俺が言ってみる
>>458が良いこといった。
皆ライの嫁でいいじゃない。男も含めて。
いやいくらなんでもその理屈はおかしい
461 :
咲世子:2008/10/23(木) 12:55:25 ID:iPqGwSqe
皆がライの嫁? 違うな、間違っているぞ
>>459 ライが皆の嫁だ! …ん?
>>450 一晩明けちゃったけど銀鰻卿、GJです!
ヴィレッタが何気に怖いw1期の彼女が好きだったので雰囲気あって嬉しいです。
あと「あの」EDでしか出番の無いロロが登場とは。
ちょうど流れだし、ライの嫁化して!
オレはライカレ派
今夜も全裸で投下待機中
ならば私も全裸で待機とするか
なら、俺はあえて完全防寒だ!
なら俺は葉っぱ一枚で!
全裸なんて生ぬるい!投下が来るまで片マユ落として生やさないようにする!
遊びもこのへんにしといてしっかり投下を待ちますか
九時頃に投下したいと思います。
大体本編5レス
前書きと終了で2レス
計7レスになると思います
支援します
だけど今のところ仕込み中
しっかりいいSSに仕上げて投下するから待っててね
とりあえず服は着たままでw
>>450 遅いですが、面白かったです。ライ×ナナリーというよりはライ×ジュレミアもしくはジュレミアと愉快な仲間達って感じが
>>471 支援
支援感謝します
では前書きみたいな物を
・たぶんライ×カレです
・学園祭ルートを通ってカレンEDつまりifっぽいものだと思う
・カレンの発言が矛盾してます
・オチがありません
・カレン視点です
題名は『聖なるカナ』です
ゆるい気持ちで読んで下さると幸いです
それでは次から投下します
見つけたのは偶然だった
雪の降るのあの日
ほんとに偶然だった
『聖なるカナ』
私は、無意識に走りだしていた。
「ライ」
見間違いでは無い、私が見間違う筈がない。
―本当にすまないと思っている―
「ライ」
人混みをかきわけ、彼を探す。
―……大丈夫?―
「…ライ」
景色が滲む、目から自然と涙がこぼれる
―君が来ないと、さみしくてね…―
ライとの思い出が頭の中を駆け巡る。
「あっ」
転びそうになるが、踏ん張り直す。
―僕は、君の力になりたい―
記憶の中の彼はいつも私を心配していた。
呼吸すら忘れ、彼を探す。
彼の言葉が、私の心を締め付け今にも張り裂けそうだ。
支援
(なんで、なんでなのライ?)
忽然と彼は消えた。
でも私は解る。
何か理由があると
でも、
(なんで、私を頼ってくれなかったの?)
そう自問しない日は無かった。
彼が居ない日々は、空っぽであった。
夢に彼が出ない日は無かった。
彼の後ろ姿に手を伸ばしても届かない、何度見て、何度泣いただろう。
彼を忘れろと井上に言われたが、そんなことは論外だった。
「ライ!」
力強い声で、愛しい人の名前を叫ぶ。
夢の中では届かなかった手。
でも今度は夢じゃない現実。
彼はいつも私を助けてくれた。
―カレン!動くな!いま助ける!―
(だから、今度はわたしが)
逃げるような彼の背中に、しがみつくように抱きつく。
「なんで逃げるのよ、ライ」
ビクッと身体を一瞬震わせ、何も言わず沈黙する。
「こっちを、向きなさいよ」
涙を流してるせいか声は枯れていた。
かすれた声ではあるが精一杯絞りだす。
「ごめん…カレン」
根負けしたのかライが、話しかけてきた。
彼の声は記憶にあった彼の声と変わらず
優しい穏やかな声、安堵すると同時に声を上げて泣いてしまった。
支援!
どれくらい泣いていたのか、彼の肩には雪が積もっていた。
「大丈夫、カレン?」
私が泣いてる間に覚悟は済ませたのだろう、逃げるような素振りはみせなかった。
コト
背中に頭を優しく押し当てる。
なんでもいい、彼に触れていたい。
「大丈夫じゃ無いわよ……馬鹿」
自然と微笑んでいた。
ここにライが居る、それだけで心が安らぐ。
「もう…どこにも行かないで」
消えた理由なんて、どうでも良かった。
彼は何も言わず沈黙する。
黙ってる彼の背中は恐かった。
沈黙に反応するかのように、周りの喧騒も静まりかえっていくように思える。
「お願い……ライ」
自分自身を戒めるかのごとく握りしめていた手を、私の手で包み込む。
彼の手は冷たかった。
そして私は悲しかった。
「…カレン」
彼の口から紡ぎだされる言葉。
悲哀を帯びた一言。
「……ゴメン」
拒絶の言葉だった。
それは解っていた、きっと駄目だと。
支援
だから
「嫌」
決心していた
「絶対、嫌」
彼を見つけた
「私も、ついてく」
その時から
「え?」
間抜けな声をだす彼、私は周り込むように、彼の前に立つ。
グシャグシャだった。
目は腫れ、鼻水が垂れ、まるで子供のように。
彼も泣いていたのだ、私と同じように。
「私も一緒についていく」
もう一度、彼の顔を見つめ言う。
決意は硬い事を示すために。
「……カレン」
困ったような表情になる彼。
彼が先に口を開く前に
「もう…嫌なの、貴方が居なくなるなんて…」
両手で彼の顔を包み、指で涙の軌跡をなぞる。
「貴方を愛してるから」
そのまま腕を彼の首に絡めて、飛び付くようにキスをする。
短いクチヅケ。
色っぽさは無かった、ただ愛しかった。
「もう…絶対離さないんだから」
ゆっくりと、今度は確かめるようにキスをする。
パッ
突如周りが明るくなり、人々の歓声が響いている。
キスをやめ、視線をずらすと、豪華に装飾された木が立っていた。
支援!
それは私たち二人を祝福するかのように、点灯するクリスマスツリー。
別に私達のためじゃないのはわかってる。
それでも、そう想わずにはいられなかった。
だから私は彼にこの言葉を贈ろう
「メリークリスマス、ライ」
クリスマスツリーの光に、照らされた彼の顔は
「メリークリスマス、カレン」
以上で投下終了します。
次はたぶんジノかアーニャだと思います
ごめんよリヴァル
>>485 タンドリーチキン卿、GJでした!
何故学園篇にカレンエンドが無かった!
と、思えました。
つまりはコレはイイものだ!
貴方の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!
投下いいですかね?少し長いので、支援お願いしたいのですが
タンドリーチキン卿GJ!やはりライカレはいいなあ。描写が少なくても二人の心情が伝わってきます。
支援します
では投下します。
先日ようやく本編最終回を見ました。
そのアフターものです。短編です。長編の続きではありません。
!注意!
・名無しですが、オリキャラみたいなものが出ます。
ただ、流し読みでもいいので出来たらオリキャラ苦手な方にも読んでいただければ嬉しいです。
少し長いので、支援お願いします。
タイトルは『明日へ/ありがとう』
しえん
支援
これまでの人生における一番の後悔事は何か、と問われれば私は迷うことなく即答する事が出来る。
何のことはない。それは、祖父の死に目に立ち会えなかったことである。
私が祖父の突然の危篤の報を受け取ったのはペンドラゴンのカレッジであったため、故郷であるオーストラリアの病院に着いた時には既に連絡を受けてから8時間が過ぎていた。
息せき切って病室に文字通り飛び込んだ私の目に映ったのは、泣き咽ぶ母と、その母とは対照的に静かに祖父の安らかな死に顔を見つめる祖母の二人だった。
「……久しぶりだな」
意味のある言葉をなかなか発する事が出来ず、栗色の髪を震わすだけの母に代って祖母はそうポツリと一言呟くと、再び祖父の顔に視線を落した。
祖母の目に涙はなかったが、その横顔に、私の胸はキリキリと音をたてて痛んだ。
私にとって祖父とは、ただ祖父であるだけでなく、父親であり、また兄のような存在でもあり、付け加えるならば初恋の相手でもあった。
別に私には父親がいないというわけではなかったが、私の父親という人は骨の髄までのワーカホリック、
つまりは仕事人間であり、私には彼が家族というものに対して何ら関心を持たないように見えた。
遊園地に連れて行けとせがむ幼い私に、私と母のチケットとして一日分のフリーパスを二枚だけ寄越して自分はさっさと仕事に行ってしまったし、
私の誕生日パーティーに参加したこともなければ、学校行事の存在も覚えていなかっただろう。
なおも言いつのる私に父は、「社長から動かないと、部下がついてこないだろ」という子供心には到底理解できないような言い訳を放ちながら、
緊急だと言って逃げるように会社に向かった。
母も母で、お父さんはカッコつけだからねー。と、父をかばっているのかいないのかよく分からない事を楽しそうに言っていたが、子供が納得できようはずがない。
なるほど今思えば、父が祖父から会社を任されたのは丁度その頃で、偉大な先代の後釜ということで舐められないように父も必死だったのだろう。
だからと言って、何度も言うように当時の私にわかるはずもなかったが。
そんな私が可哀想になったのか、はたまた自分のせいで父が私にかまえなくなったと考えて申し訳なく思ったのだろうか、祖父は私の父親のように振舞ってくれた。
遊園地のジェットコースターには祖父と母と私の三人で乗ったし、私の誕生日パーティーには祖父がチョコレートケーキを作ってくれた。
入学式に始まり、授業参観に遠足、運動会から文化祭、終いには卒業式まで。ありとあらゆる行事に来てくれたのは祖父だった。
実に私の子供時代は祖父と共にあったというわけである。父親不在の家庭において、私が特に鬱屈した歪みを抱え込まなかったのも彼の存在が大きかったと言ってよい。
永遠の眠りについた祖父は戸籍上丁度70歳だったが、それでも往年の若さは失われているようには見えなかった。
白髪のように見えなくもない――以前私がうっかりそう口を滑らせた時、祖父は大層落ち込んだようだが――
綺麗で柔らかな銀灰色の髪も品良く整えられていたし、造形美の上位に位置するであろう整った容貌は彼の若々しさを大いに後押ししていた。
そこらにいる典型的なメタボリック体型でもなければ、骨と皮だけの骸骨でもない。
すらりと均整のとれた体躯は一見細そうだが、無駄なくついた筋肉は引き締まっていて力強く、抱きついた時の逞しさは今でも容易に思い出せる。
内面においても、穏やかな性格ながら祖父の言葉には多くの経験からくるのであろう説得力と明晰さがあり、
また頭の回転も早く、場の空気を読むことに関しては無意識ではないかと疑うほどに自然で嫌みがなかった。
若い頃はさぞかし浮名を流したことだろう。
実際、祖父は幾つになっても近所に住む女性には老若問わず大変な人気があるようだった。
「昔は今よりも少し天然が入っていたがな。最近ではどうも、自分でコントロール出来るようだ」
まだ祖父が存命の頃、彼のあの性格は昔からかと尋ねた私にそう言って、祖母は肩をすくめた。
そんな祖父だから、私は相当な楽観を持っていた。少なくとも、私の子供くらいは彼に抱き上げてもらえるだろうと思っていたのだ。
けれどそんな孫娘の期待をスッパリと裏切り、あまりにもあっさりと、あまりにも儚く、私の初恋の人は逝ってしまったのだった。
支援
――――――――――――――――――――――
「おばあちゃん……」
祖父の葬儀の翌日、今では祖母一人のものになってしまった祖父母の家を私は訪れていた。
街の郊外にあるそれは、シミ一つない白くて綺麗な木目の外観が特徴の、なかなかに年代ものの家屋だ。
祖母の大切な人から譲り受けたというこの家では、毎年私の誕生日パーティーが開かれる。
それだけでなく、ペンドラゴンのカレッジに進学するまでほとんど毎日のように通っていたこの家は、いわば私にとって第二のホームだった。
しかし半年ぶりとは言え、その慣れたはず家のリビングにおいて私は微塵も動くことができずただ立ち尽くしていた。
私の視線の先には、たった今私が呼びかけた人物、つまり祖母がいる。
特に何か目立った変化があるわけでもない。いつも通りの祖母だ。
祖父の愛用していたアンティークのアームチェアに腰を下ろし、そのアーム部分に片肘をたてて、手のひらに形の良い顎をのせている。
彼女の顔が向く先にはテレビがあり、何度も再放送されている半世紀程前のある独裁者についてのお馴染みのドキュメント番組が小さな音をたてていた。
祖母とそれほど親しくもない人間ならば気付かないだろう。だが、祖父と同様に彼女とも血の繋がり以上の絆を持つと自負する私にはわかった。
わかってしまった。
目に痛いほどの鮮やかな緑光の髪も、遠目からでもわかるきめ細かい白雪の肌も、
三人の子供を産み、なおかつピザを筆頭にジャンクフードばかり食べているくせに平然と保たれているモデルのような抜群のスタイルも。
いつも通りだ。そう、何もかもがいつも通りなのだ。
ただ一つ。
普段は皮肉気な、悪戯好きなチシャ猫のような、そんな小気味良い光が湛えられているはずの金色の瞳が、
何を見るでもなくぼんやりと虚空を彷徨っている以外は…。
支援
祖母の異常性について私は、小学生の時に祖父から詳しく聞いていた。
異常性とは、要するに私という孫がいる祖母が10代の少女であるということだ。
それは、気持ちが若々しいとか女の命である肌の年齢が10代とかいう事ではない。言葉通り、見た目通り、祖母は少女の姿をしていた。
私が地元のジュニアハイに上がり、卒業して街の中心にあるハイスクールに入って、さらにそこを出てペンドラゴンのカレッジに進学しても、彼女の外見に変化は無かった。
『不老不死』
話だけなら三文小説にも劣る陳腐な想像の産物も、実物とその証拠を見せつけられれば壮大なノンフィクション大作になった。
永遠に年を取ることもなく、死ぬこともない。
それはどんなに凄いことなのだろう。医学の発達は人類の限界の極致に辿り着いたといわれるこの時代においても、人間は死から逃れることも許されることもない。
あの祖父ですら例外ではなかった。
それはどんなに喜ばしいことなのだろう。歴史の奔流の中で、権力を得た者たちの多くは永遠の若さ、永遠の命を望んだ。
自らが世界の主として繁栄し続けるために。自らの美貌が損なわれないために。
それはどんなに楽しく、美しく、万能で、幸福で、気楽で、そして――
どんなに虚しいことだろう。
祖母の秘密は一家の中では当然のことだったが、もちろん誰も家族以外の他人には話さなかった。
私にとってはすでに慣れていたこともあって、祖母の秘密がどうということはなかったし、それを話すことで何らかのトラブルが生じることはわかりきっていたからだ。
けれどそれ以上にこの時私は、この祖母に対してあまりにも大きな憐憫の情を抱かずにはいられなかった。
あの祖母である。
当然祖父が逝くことに対しての覚悟もあっただろうが、それがいざ現実に到来した瞬間、いかに彼女とはいえ、その心への打撃は私の受けたものとは比べものにならなかったはずだ。
そしてそれを永遠に引きずる。言葉通り、永遠である。この先あの祖父の暖かさを知って、それでもなお永遠に独り生きていかなくてはいけないのだ。
ぞくりと私の心は震えた。
幼い私から見ても、祖父と祖母は目に見えない、しかしとてつもなく強固な絆で結ばれている事はわかっていた。
それは愛でもあったが、それ以上にもっと深くて靄がかかっているように掴みづらいものだった。
私の父の性格は間違いなく祖母の遺伝であったが、彼のものなど可愛いく思えるくらいの祖母のそれも祖父はあっさりといなし、包み込んでいるようであった。
思わず口元が引き攣るような辛辣な皮肉も、気まぐれな猫のようにそっけない態度も、祖父にだけは何処吹く風だったのだ。
本当にお互いがお互いを理解していて、自然に一緒にいられる。
私にとっての初恋の相手は祖父であったが、今思えば祖母と一緒にいる時の祖父を私は最も愛していたのではないだろうか。
理想とも言えるあの二人の関係や距離感にこそ、幼い私は恋をしていたのではないだろうか。
だからその一対である祖父がいなくなった時、私の悲しみは彼の死と一緒に、もうあの祖父母の関係を見る事が出来ないのだということにも起因していたはずだ。
そしてその悲しみは、当のもう一対である祖母にとってはきっと私の何倍にもなるだろう。
鳥の中には、つがいの片一方が死ねばもう片方も後を追うように寂しさで死ぬという、恋だの愛だのを詠う詩人の創作意欲を大いにかきたてるような種もいると聞く。
確かに彼女が死ぬことなどはないのだが、もしかしたらもしかするのではないか。ひょっとしたら、このまま祖母も……。
「…っ…おばあちゃん」
心に入り込もうとした恐ろしく冷たい何かを振り払い、私は先ほどより強い調子で祖母を呼んだ。その甲斐あってか彼女はゆっくりとこちらを向く。
「……!」
しかし私の脆弱な心は、再び冷たい何かによって竦みあがった。祖母の表情は常の生気溢れるそれではなく、感情という感情を削ぎ落としたかの如き無表情であったからだ。
(まるで……)
『人形』だ。
頭に浮かんだ言葉が祖母の秘密と相まっていやにリアルに思えて、私は慌てて頭を振った。必死に。何かを追い払うように。そんな事を考えてはいけないと自分に言い聞かせた。
支援
支援
「……涙もでないな」
と、突然それまで黙っていた祖母が言葉を紡いだ。川のせせらぎのように流れた言葉は、意識しなければ耳に入らないような調子だった。
「っ、おばあ、ちゃん!」
「…………」
三度、私は祖母を呼んだ。存在を確かめなければ、彼女が消えてしまうような気がして出た言葉だった。
「……私も、お前やあいつのように泣ければ良かったんだが…無理だったよ」
「………うん」
あいつ、とは私の父親、つまり祖母にとっては息子にあたる男のことだろう。
「でも…私は、吃驚した。父さんが泣いたところなんて、その、見たことなかったから」
「…兄妹の中では、あいつが一番懐いていた」
「やっぱり、そうだったんだ…」
あの仕事人間の父が、自主的に祖父の葬儀に参列したことは、私にとって小さくない驚きを提供した。
どうせ何か理由をつけて来ないに決まっていると私はふんでいたし、正直祖父を失った悲しみは私の方が大きいと思っていた。
父とは別段不仲ではないが、惰性で祖父を送るような人間には来て欲しくなかったのだ。
祖父が逝った時、父は仕事の都合でヨーロッパの方に行っていたらしいが、こっちにいたとしても果たして彼は仕事を放り出してまで祖父の病院に来ただろうか。そう私は考えていた。
だから葬儀の時に、祖父の棺に取りすがった父が大きな声を上げて泣き出した時など、私はこれは夢か幻かと自分の正気を疑わずにはいられなかった。
祖父の色である銀灰の髪を持った叔父と、祖母の色である緑光の髪を持った叔母が左右から宥めなければ棺にずっと縋りついていそうな父の勢いに、
自分が祖父と父の関係を完全に見誤っていたことを私は悟ったのだった。
支援
しえん
「…ねえおばあちゃん、これからどうする?」
今できる限りの陽気な口調を取り繕って、今度は私から祖母に用件を切り出した。先程から頭をぐるぐると色んな考えが巡って落ち着かなくなってきたので、テレビの前の青いソファに座りながらである。
さっきまで立ち尽くしていた位置より活動を続けるテレビに近くて、今の私にはその音さえも少しうるさく感じた。
「…どうする?」
祖母はゆっくりと首をかしげた。彼女の表情はまだ何も形を作らない。私はそれが怖くて、目をそらしながら早口に言った。
「うちに移ってこないかって、母さんが。おばあちゃんと一緒なら母さんも楽しいだろうし、私もそれが良いと思うんだ!だから、その、ね……」
「…………」
答えは居た堪れなくなるような沈黙しか返ってこず、私の用件はすっかり尻すぼみになってしまう。
言葉が途切れると、すっ、と祖母の視線が動いた気配がした。何だろうと気になり恐る恐る見れば、彼女の視線はテレビに向けられている。
「…………ぁ」
すると、私の知る彼女からは考えられないような、無防備で可愛らしい呟きが聞こえた。
驚いたことに、ふと祖母は何かに気づいたように目を軽く開くと、先程までの虚空を彷徨っていた視線をわずかながら現実に引き戻したようであった。
「…?おばあちゃん?」
「……どうやら、相当参っているみたいだな、私は」
祖母の口調は、既に元に戻っている。
「え?」
「こんなものがやっていた事にも気付かなかった」
そう言って祖母はテレビを指差した。先ほどから変わらず放送されているのは、例のドキュメント番組である。
画面には大きく、『魔王の所業』というテロップに、私にとってはフィクションの世界の出来事でしかなくなったナイトメアフレームによる大規模な戦争の映像が映っていた。
「…これがどうかしたの?」
「ん?ああ……いや、何でもない。それよりも、何だったか。そう、むこうに移るかという話か」
「うん」
「そうだな…」
支援
曖昧に言葉を濁しながら、祖母は再び視線をテレビに移した。番組は終りが近づいてきたのか、静かな音楽と共に『魔王の最期』とテロップが変わった。
祖母につられるように目を向けた私も、この場面は馴染みが深いので映像を何の気なしに見つめた。
映画、ドラマ、舞台劇、本…死後50年という歳月が流れたこの独裁者について製作された数多くのそれらは、ほとんどがお約束のシーンとしてこの場面を最後に持ってくる。
誰が考えたのか、朗々と謳われる終幕の文句もいつも決まって同じものだった。
――世界を手中に入れたかに見えた魔王は、蘇った英雄の剣により斃れる。
賢き民衆は平和の尊さを知り、英雄と共に地上の楽園を築くべく歩き出す。
再び魔王が蘇ることのないよう、皆で手を取り合って守っていこう。この、きたるべき明日を――
そして、物語は終わる。今に連綿と続く空前の世界平和の時代の到来である。画面が暗くなり、余韻を持たせたかと思ったらすぐに次の番組が始まった。
「ふふっ」
漏れ出たような小さな笑いに、私は意識をテレビから離した。
「明日、か」
祖父が逝ってから久しく失くしていた祖母本来の調子が、少しだけ、ほんの少しだけ、その声にはあった。
「おばあちゃん?」
「…悪いな」
祖母は立ち上がる。
「え?」
「やっぱり母さんには、一緒にいれないと伝えてくれ」
「……な」
「少し回ってみたくなった、世界を」
「…は、はあ!?」
一体全体突然何を言い出すのかと私が立ち上がり質す前に、祖母が此方を向く。
まだ少し足りない。
けれど、だいぶ彼女らしさを取り戻した、夜空の月のような金色の瞳と視線が交差した。
支援。ごめん、離席する。
お互いに相手を見つめながら、
「あいつらが残した明日を見届けてやるのが、魔女である私の役目だろう?」
祖母はそう言って、何とも言えない表情を浮かべた。
祖父を喪失した大きな悲しみと、何かを見つけたような小さな喜びの入り混じったそれは、胸がしめつけられるような、それでいてとても眩しく輝くものを見るような、不思議な感覚を私にもたらした。
その表情のまま何故か祖母は、ゆっくりと、いっそ慈しむとすら言えるくらい優しく私の頭からつま先までを見直してくる。今まで向けられたことのないような月光の瞳に、どこかくすぐったい思いをする。
一つ頷くと、彼女はまた私の目を覗き込むように視線を合わせてきた。
「そうとも、私は…」
胸に軽く手を添え、姿勢良く立った祖母の頬を、ほんの一筋だけ、私が見る最初で最後の彼女自身の涙が濡らしている。
だけど次第に変わっていく彼女の表情は、今度こそ間違いなく会心の、切なくも誇らしげな微笑みで、
「私は、C.C.なのだから」
その気高き孤高の魔女の姿に、知らず私は見惚れた。
――――――――――――――――――――――
支援
――――――――――――――――――――――
――世界を手中に入れたかに見えた魔王は、蘇った英雄の剣により斃れる。
賢き民衆は平和の尊さを知り、英雄と共に地上の楽園を築くべく歩き出す。
再び魔王が蘇ることのないよう、皆で手を取り合って守っていこう。この、きたるべき明日を――
番組が終わり、画面がブラックアウトしたのを確認すると、ライは右手に持ったリモコンでテレビの電源を落とした。
「う……ん」
自分でも知らないうちに熱心に見入っていたのか、体全体が凝り固まっている事に気付いて、彼は愛用のアームチェアに座ったまま伸びをした。
ぐっと体をほぐした後に、そろそろだろうとリビングの柱時計を見る。時計は夜の11時を指していた。
それを確認してからゆっくりと立ち上がると、ライは庭に面したバルコニーの方へ足を進めた。
軽くバルコニーへのガラス戸を開けてみると、さすがに夜遅いこともあって風が冷たい。それでも我慢できないほどでないことが分かると、彼は迷いなく星空の下へ出た。
手すりに両手を置いて、空を見上げる。世界の中でも、ここオーストラリアは特に自然に恵まれている。そのおかげか、月も星も眩いばかりの輝きを発していた。
「父さん」
後ろからの呼びかけは若々しい凛とした響きと自信とに満ちていて、鋭く冷たい夜風と奇妙な調和を成していた。ライは振り向く。
その際、今は亡き大切な友人の一人が指摘してくれたように、足が自動で戦闘の構えを取ったが、彼はこれはもう癖のようなものだと諦めていた。
ライは目の前の人物と視線を合わせた。母親譲りの金色の瞳にはしっかりとした光が湛えられていて、彼は心中で喜びつつも一抹の寂しさを感じた。
明日には青年は、本当の母国の大地に足を踏み出すのだ。
「母さんに挨拶はした?」
内面の若干の複雑な感情をおくびにも出さずにライは問うた。その言葉に、目の前の少年、もとい青年は疲れたように頷く。
「…ああ。あっちには清々するって言われたけど。カレッジを卒業しても、もう帰ってくるなって」
「はは…」
ライは苦笑するしかない。その光景が、まるで見ていたように容易に想像出来たからだった。
「そっか…。でも、あの母さんだってきっと寂しいんだよ、息子の独り立ちは。それを認めたくないから意地になるし、心にもないことを言う。許してあげてくれ」
「…あれが、寂しいだって?」
青年は、異次元の存在である何かを見るような目つきをした。その視線にも、ライは再び苦笑を返すしかない。
「まあ、いいか。父さんがそう言うなら。…俺には少し理解できないけど」
「うん、よかった」
言って、ライは夜空を見上げ続けた。満天の星が散りばめられ、その中心にひときわ強烈な光を反射している月がある。
――もう、20年か。
ライは目を細めて、あの眩しくも苛烈な日々を思い返した。
20年前、彼は二人の親友と共に、世界を敵に回した。
彼らとの誓いも絆も、ライは信じていたし、戦うことに迷いはなかった。
当初は計画を止めるつもりでいたが、時機を逸したことを悟ったライは、鎮魂歌のフィナーレになんとかして、それこそ自らの命と引き換えにしてでも彼らを逃がすつもりだった。
けれど、結局最後の最後で彼にとってのみ信じられない事に、ライは二人の親友に見事に裏切られた。彼らは、ライのフィナーレへの参加を断固として許さなかったのだ。
最終決戦の前夜、ライは友の一人に寝込みの状態を蹴り飛ばされ、衝撃を殺しきれずベッドから横っ跳びに落ちた所を、もう一人の友の指揮する衛兵に抑えつけられた。
わけが分からず逃れようともがくライに対して、すぐに聞き覚えのありすぎる声が掛けられた。
『お前とは此処でお別れだ、ライ。罪も罰も、すべて俺たちが貰っていく』
『君は、こんな馬鹿げた芝居に付き合う必要はない』
自分を見下ろして冷然と言い放つ二人に、ライは何が起こったかを悟り、叫んだ。叫びたかった。ふざけるなと。何故、何故自分だけを置いていくのかと。
しかしそれは、音として発せられることはなかった。幾人もの衛兵に抑えつけられた段階で薬を嗅がされた彼の意識は、霧に包まれ始め、闇に溶けていった。
しえん
支援・・・になるか?
携帯だが。
やめろ
声は出ない。だが、ライの魂の叫びは、彼の意識が薄れても止むことはなかった。
やめろ、やめろ
『すまなかった、本当に』
やめろやめろやめろやめろ!
『ライ…ごめん』
やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ!!
『『―――――』』
やめてくれ――――!!
暗転
と、ほぼ同時に聞こえた彼らからの、先ほどの冷然さとは打って変わった暖かな言葉。
そしてそれが、ライの聞いた二人の最後の肉声だった。
魔女による精神干渉もあって、彼が再び意識を取り戻したのは無情にも二ヶ月の後。
舞台の幕は、下りていた。
「……父さん」
その声に、ライは残酷な過去への回帰を止めた。あの時のことを思い出すと、いつも周りが見えなくなるのは自分の悪い癖だと彼は思った。
少なくとも、そう思えるくらいに今の彼は大人になっていた。それが良いことなのかどうかは、また別の問題だが。
「何だい?」
尋ねると、珍しい事に少し逡巡してから、ライの目の前の青年は思い切ったように言った。
「…………一度しか、言わないから」
「ん?」
息を軽く吸い込む。
「………ありがとう」
俺の、父さんでいてくれて
支援
支援
「………」
呆然、まさしく呆然であったが、この時のライの自失は、一瞬とはいえ無理からぬことだった。
青年の、少し目を逸らしてそっけなく言うことで照れくささを隠すような様子は、ライの記憶にある一人の友と本当にそっくりだったから。
今までにないくらい、ピタリと一致するものだったから。
だが、その時の呆然は本当に一瞬だった。同時に気持ちの奥底から湧き上がるくすぐったさと、
それよりも大きな後ろめたさをブレンドした暗い感覚を覚えて、ライはなんとかすぐに反応することが出来た。が、
「そんなこと、」
「それと!」
多少ボリュームの上がった声に遮られる。
「俺の生まれが何だろうと、父さんが嫌がったとしても、俺の父親は、父さんだけだから!それだけは許してもらうから!」
「っ!?」
柄にもないことを言って恥ずかしくなったのだろう。言い終わらないうちに青年は、戸口の方へ脱兎のごとく走った。
ライの方も今度こそすぐには反応できず目を見開いて硬直していたから、青年を追うことはなかった。
「………………」
数瞬の間、夜風のささやく音が世界を支配した。そして、なんとか意識の再建を果たした男の愉快気な笑いにかき消えた。
「…ははっ。ははは……あはははは」
彼にしては珍しい事に、笑いはなかなか消えてくれなかった。
「はは、は……。そうか…知ってたのか、あの子は」
噛みしめるような、ライの独語だった。
…20年前、フィナーレの直前の舞台から突き落とされ、役者としての戦いを失い、しかも観客にすらなり損ねた無様な男は、
幕が下り、劇場の灯が消えた後もどうしようもない虚無感に囚われた。
傍らには、彼から見れば自分と同じようにまさに死に損ねたといった感のする魔女がいたが、彼の心には細波一つたたなかった。
彼女に対し、自分を今まで眠らせていたことを糾弾する気さえも起きなかった。
何をするでもなく、数ヶ月間を死んだように世界を歩き回って潰し、惰性で自分の存在をそこに置いていた。
ライは、自分にはこのまま何もせず、ただ無気力に朽ちていく運命こそが相応しいだろうと思っていたし、この世に未練はなかった。
未練がないから、未練がなかったのだ。彼の心は死にかけていた。
しかし、彼は今度は逃避という名の眠りにつくことすら許されなかった。その理由は既に、小さくとも確かな生命をもってこの世界に息衝いていたのである。
「親が思いもつかないほど、子供は聡い。ということかな」
何でもないように言うが、その実、自分が父親だと言われたライの心はさっきまでの複雑な暗い感情に代って、暖かな気持ちで満たされていた。
ありがとう
俺の、父さんでいてくれて
「それにその言葉を言うのは、僕の方だっていうのに…」
そう言って、彼は戸口の方へ視線を向けた。
たった今翻って家の中に入った、正真正銘の自分の息子――金色の瞳に烏の濡れ羽色の髪を持つ青年を思い浮かべながら。
支援・・・
「…見てるかい?」
そのまま視線を風が吹きすさぶ夜空へと上げて、ライは呟いた。
その言葉の行先は、目に見えない明日へと繋がっていく。
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア」
「枢木スザク」
ライは眩しそうに目を細めた。
魔王、反逆帝、史上最悪の独裁者
死神、裏切りの騎士、恥知らずの売国奴
彼らを形容する言葉は、どれも痛烈で容赦ない。口にする人々も、吐き捨てるように言う。
それはそうだ。何故なら、彼らはそれだけのことをしたのだから。彼らは世界の敵で、憎しみの権化で。
だから…人々が彼らをそう呼ぶのも、当然のことなんだ。計画通りじゃないか。
だけど――
「忘れないよ」
他の誰のものでもない、僕にとっての真実を。僕にとっての君たちを。
目を閉じればすぐに聞こえてくる、あの時の、君たちの最後の言葉も。
『ライ』
これはルルーシュ。どこか照れくささを隠すような、素っ気ないふりをした捻た言い方。
『ライ』
これはスザク。どこまでも真っ直ぐに、こちらが照れるくらい気持ちを押し出す言い方。
次の瞬間には二人の声が重なり、最後の、永遠の離別の言葉を紡ぐ。
『ありがとう』
「…………ああ」
ライはゆっくりと目を開き、安らかな笑みを表情いっぱいに湛えた。
無限に広がる満天の星。煌々と輝く中天の月。彼らが切に願ったように、世界は、人々は、確実に今日も明日へと進んでいく。
「…そうだ。君たちは、本当に……」
その言葉を言うのは、僕の方だっていうのに。
「ルルーシュ」
魔王でもなければ、
「スザク」
死神でもない。
「僕は今…幸せだよ」
大切な仲間として、永遠の友として、
「とても、とても幸せだ」
此方を振り向き、笑って頷いてくれる二人の姿が、ライには見えた。
「ありがとう」
そうして、とめどなく流れる涙にかまわず放たれた言葉は、高らかに夜天に響く。
その20年越しの想いに答えるように、二条の星が流れて消えた。
泣けてきた・・・、支援
しえん
終わりです。
スザクが死んでるのはライの勘違いとかではなく、20年の間にゼロとしての使命をやり尽くして、色々あって彼もまた満足して逝ったということで。
それとC.C.が子供産めるのかはわかりません。勝手な設定です。
さて、突然ですが私のロスカラSSはこれで〆となります。
もし万が一、長編の続きを待っていたという奇特な方がおられましたら、すいません。
先週から続きを再開して今週でなんとか終わらせる予定だったのですが、意外なほど諸々の事に手間取り、書けませんでした。
なので最後はずっと書きためてきたこの短編になってしまいました。
来週から一年間かけて、何を差し置いてもやりたかった事をやってくるので、ほぼ確実にSSが書けなくなります。ですからこんな形ですがお別れです。
今まで私がお世話になった中で、最も一生懸命で粋な保管庫管理人さん
投下の度に強力な支援と素敵な感想をくださったスレ住人の皆さん
本当に、心から感謝したいと思います。
ありがとうございました
さようなら
コウ卿、GJ!!
1年後でも構わないので、
長編もってのは・・・、無茶だわな、やっぱ。
貴方に幸多からん事を祈る。
そして、こちらこそ『ありがとう』
コウ卿、数々の素敵な作品を生み出してくださってありがとうございました。正直寂しいですが、ご健勝をお祈りしています。
私はさよならは言いません。また会える日を楽しみにしています。(一年後はちょうどロスカラ2が発売しているかもしれませんしね!)
>>525 GJ!!こんな感動的なSSをありがとう!
そしてお礼を言いたいのはこちらの方ですよ。いつもあなたのSSをドキドキしながら読ませていただいてました。
その技術などに感服しつつ、「いつかはこんな風に書けたらなあ」なんて思いながら自分も職人してました。
あなたのことは忘れませんよ、保管庫でもあなたの作品に会えますし。
またどこかで、あなたの新しい作品を目にすることができることを願っています。
今までお疲れ様でした!
泣いた
ごめんなさい、いま感想掛けないです
でもコウさんありがとう!俺もさよならは言いません
コウ郷、GJです。あなたの書くSSは、毎回楽しく読ませていただきました!
寂しくなりますが、1年間がんばって下さい。
目には見えないけれどコウ卿の紡がれた文章から、すごく大事なものをいただいた気がします
ありがとうございました
自分もあえてさよならは言いたくありません。またお目にかかれることを祈ってます
オール・ハイル・コォォォウゥゥゥゥゥ!!!!!
>>525 コウ卿に我が全力のGJを捧げました!
この言葉では言い表せないほどの満足感、与えてくれてありがとうございました!
あぁ、泣けたでぇ。
残念で仕方ありませんがこれも運命、アナタにお別れを告げました。
しかしながら、またアナタに会える日を願ってやまない私でアリマシタ、貴方に天下無双の幸運を!
貴公が今まで投下してくれたことに、今再び全力を挙げて感謝いたします!
最後にもう一度、オォォーール・ハァァァァイル・コォォォウゥゥゥゥゥ!!!!!!!
とりあえず顔を洗ってきたので改めて感想を書きます
最初は、C.C.と孫のシーンは感じ良いけど必要かな?と一瞬思いましたが、孫の父親が金色の瞳にカラスの濡れ羽色の髪の青年なら納得できました
前半部分でさりげなく父親の性格を描写しているのも凄い!似てますね、彼に
そして後半は圧巻!親友二人とのシーンは本当にありそうだし、ライ親子の会話も暖かい。そして感動
ラストの心情とセリフが交互にくるのはコウ卿の文章では特に好きな所なので、読めて嬉しかったです
本当にロスカラ2のEDの一つでも良いくらいの出来でした
素晴らしい作品、ありがとうございました
またどこかでコウ卿の文章が読めますように
GJとしか言いようがない…
さよならは言わない。だがありがとうコウ卿!あなたが消えても作品は永遠です
いつの日か、またお会う暇で
さて…次の人の投下を待つか。今日は休みなんだ
おはようございます。
コウさま、お疲れ様でした。
また会いましょう…。
えーっと、9時20分ぐらいから投下したいと思います。
支援出来る方がおられたらよろしくお願いいたします。
今回は、全部で12〜11レスになります。
よろしくお願いいたします。
支援しますよ
支援表記ありがとうございます。
よろしくお願いいたします。
タイトル:セシル・クルーミーの…
カップル:ライ×セシル
ジャンル:????
注意点です。
特派のセシルさんEDの後といった感じですね。
(ありませんけど…ね、そういうEDは…。そこは想像力でカバーしていただけるとありがたいです)
特区日本が設立されてから2年が過ぎています。
かなりオリジナル要素が強いのでご注意ください。
なお、ミレイさんが好きな人は…ショックかも…。
私も書いててショックでしたwww
本文10〜11レス+終了1レスの合計11〜12レスの予定です。
支援
「うーんっ…」
夜中に私は喉の渇きで目が覚めた。
寝る直前まで、あれだけ激しく愛し合っていたのだから、汗もかくだろうし喉も渇くというものだ。
半分眠っている状態で回りをきょろきょろと見渡す。
広々としたベットの中には愛しい彼の姿は見えず、私一人だけだった。
「あれ…?」
私は眠気眼のまま部屋の中に彼の姿を探した。
しかし、人の気配はない。
「?」
もぞもぞと脱ぎ捨てていた下着とネグリジェを身につけ、ベットから出て彼の姿を探す。
ふと気が付くとベランダの窓が開いている。
あー、涼みに行ってるのかしら…。
そんな事を思いつつ、そーっと近づく。
脅かしてやろうという悪戯心がそうさせたのだろう。
だが、私は窓まで近づくと動けなくなった。
「困ります、ユーフェミア様っ…」
声は抑えていたけれど、少し乱暴な言葉が彼の口から漏れている。
どうやら電話中のようだった。
「昼はともかく、夜は拙いですよ」
慌てているようにも聞こえる彼の声。
「…もう…。判りましたっ…。今から伺います。それでよろしいんですよね…」
諦めた調子でそう答える彼の声が聞こえる。
私は慌ててベッドに戻ると寝た振りをした。
なぜ、そうしたのか自分自身よくわからない。
いきなり濡れ場支援w
多分、盗み聞きしてしまったという罪悪感がそうさせたのだろうと思う。
私がベッドに潜り込んで少したって彼が戻ってきた。
まず最初に私がまだ寝ていると確認すると服を着替え部屋から出て行った。
暫くして玄関のドアの開く音と鍵をかける音が響く。
そして、彼の車の音が聞こえたかと思うとその音は遠ざかっていった。
・セシル・クルーミーの…
あの後、私は眠れぬまま彼を待っている。
不安という闇が私の心の中で湧き出し、疲れているはずなのにまったく眠たくならなかった。
こんな気持ちは初めてだった。
そして、朝の5時近くになって彼は帰ってきた。
ぐったりと疲れたような感じだ。
薄目をあけて見てみると、その表情にも疲れが見えていた。
彼は、そのまま服を乱暴に脱ぎ捨てるとベッドに入って眠り込んでしまった。
私はゆっくりと上半身を起こすと彼の顔を覗き込む。
どうやらぐっすりと眠っているようだ。
その時だった。
鼻に微かな臭いを感じたのは…。
その臭いは、間違いなく彼の身体から臭っていた。
彼の体臭とも使っているコロンなんかの匂いとも違う。
私が使っているものとも違う香り。
その臭いは…間違いなく女性ものの香水の匂いだった。
支援
「ねぇ…、今朝はなんか疲れてない?」
私は朝のコーヒーをいれながら彼に話しかけた。
「あー、うん…。ちょっと眠りが浅かったのかな…」
彼は少しぼんやりとしたままそう答え、スクランブルエッグを作っている。
彼と同棲するようになって、彼の切実な希望から料理は彼が作る事になっている。
だから、朝食の時は私がその間にトーストとコーヒーを用意するのか日課になっていた。
「ふーん…」
誤魔化すような彼の答えに私は気のない返事をする。
なぜ隠すのだろう…。
私の心に昨日の夜から湧き上がっていた不安という闇の塊が大きくなる。
私は、「それ嘘でしょ…。夜中にどこに行ってたのっ」と問い詰めたい心境にかられる。
だが…勇気のない私は、聞くことが出来なかった。
私は、彼を失うことの怖さをこの時初めて感じた。
シリアスに支援
その日、彼は「今夜は遅くなるから」と言うと先に政庁へ出勤した。
私は朝食の後片付けをした後、一人仕事に向かった。
普段なら彼の車で送ってもらうのだが、今日は一人きりだ。
最寄のバス停に向かう途中、ぐるぐるといやな思いが湧き上がり、私の不安は大きくなっていくばかりだった。
そんな時、車のクラクションで私は我に返った。
「やぁ〜♪おはよう、セシルくん〜♪」
高級車の後ろの窓をあけてロイドさんが手をひらひらとさせている。
「おはようございます。ロイドさん」
私はゆっくりと朝の挨拶をする。
「あらら、今日は一人かい?」
「ええ、ライくんは仕事で先に出ちゃって…」
「ふーんっ」
半分興味なさげな表情をするロイドさん。
相変わらずのようだ。
2年前、特区日本が設立され、私とロイドさんは別々の部署に分かれてしまっていた。
その後は、ちょくちょく会うことはあったが話す機会はあまりなかった。
実際、こうやって直接話すのは半年程前に話して以来だ。
そう思っていたときだった。
支援
「あなたっ、セシルさんが困っているじゃないのっ」
ロイドさんの横に座っていた金髪の女性がひょいと顔を覗かせ、私を見てロイドさんにそう言った。
確かミレイさんだったかな。
アッシュフォード家のご令嬢で半年前にロイドさんと結婚している。
そう、半年前に話したのは、結婚式場での事なのだ。
「あは〜♪そうだねぇ〜。ごめん、ごめん」
ロイドさんは、ニコニコ笑いながらもミレイさんに謝っている。
「もう、しっかりてよね…」
そう言いながらもミレイさんもうれしそうだ。
「セシルさん、よかったら乗っていきませんか?近くまで送りますよ」
ミレイさんが私の方を見て提案する。
それを私は丁寧に辞退するとバス停へ歩く事を再開した。
なんだかんだであの二人はうまくいっているようだ。
私がいる時よりもミレイさんが公私共にロイドさんと一緒にいる今の方が特派の運営はうまく言っていると聞く。
それはうれしい反面、寂しく悔しい気持ちもある。
ちょっと複雑な気持ちだ。
でも、彼らと会えて話せたことで心の中で大きくなっていた不安を一時的とはいえ忘れることが出来たのはいいことだと思う。
支援
仕事が終わり、私は家に帰ってきた。
彼はまだ帰ってきていない。
そういえば今夜は遅くなると言っていた事を思い出した。
何をやっているんだろう…。
仕事なんだろうか…。
一人になると寂しさが頭をかすめ、心の中の不安が大きくなっていく。
どうしてしまったんだろう…私は…。
以前ならこんな事はなかったのに…。
椅子にすわるとテーブルにうつ伏せになる。
「はぁ…」
溜息が口から漏れる。
溜息の後、まるでそれがスイッチだったかのように仕事の疲れがどっと襲ってくるような感じだ。
私はその疲れに身を任せ、そのまま眠りへと落ち込んでいった。
都合によりこれが最後になります、申し訳ない支援
「んーっ…」
眠りから覚めた私がぼんやりとした頭のままゆっくりと顔だけをあげる。
「おはよう…。風邪ひくよ…セシルさん」
彼が覗き込んで声をかけてくる。
「あ…ごめんなさいっ…ついうとうとしちゃって…」
私は起き上がろうとした。
肩にかけてあったシーツがばさりと落ちる。
彼がかけてくれたのだろう。
「あ、ありがとう…ライくん」
私がそういうと、彼は二コリと笑う。
だが、すぐに暗い顔になった。
「実はね…セシルさんに謝らないといけない事があるんだ…」
その真剣な表情に私はドキリとする。
心の中の不安という闇の塊がはちきれんばかりに大きくなっていく。
「実はね…」
言いにくそうな彼の表情がますます私を不安にさせる。
「急だけど……僕と結婚してくれないかな…」
しかし、その後に出た言葉に私は呆気にとられ、拍子抜けしてしまった。
私は、別れ話でも持ちかけられると思ってしまっていたのだ。
「へ?!」
まるで魂が抜け出てしまったかのような表情をさらしてしまう私。
「驚かせてごめん…。本当は、じっくり話すつもりだったんだ。
でも…ユーフェミア様とスザクの二人にハメられてしまって…」
苦虫を潰したような彼の顔を私はこの時始めて見た。
それほど苦渋の選択なのだろう。
「無理に結婚しなくてもいいよ…。私は、ライくんの側にいられれば幸せだから…」
私は寂しそうにそういう事しか出来ない。
「違うんだっ、セシルさん。僕も本当はセシルさんと結婚したいし、そのつもりだったんだ」
彼が慌ててそう言う。
「だけど…なんかまわりの思惑に乗せられて結婚なんて…セシルさんに申し訳なくて…」
すまなさそうに私を見る彼の目は嘘をついてなかった。
それで私は安心した。
「そうね…。経過を話してくれないとなんともいえないわね…」
私は、にっこりと笑うと彼に説明を求めた。
支援
支援
なんでもスザクくんとユーフェミア様の二人が私たちの事を話していたのが発端だったらしい。
たまたま特区日本に滞在していたノネットさんがその話にまず参加。
その後もそのままいろんな人がその話題に飛び入り参加していき、いつしか酒宴へとなだれ込んでいった。
そして、あろうことかアルコールの勢いとはいえ、私とライくんの結婚の話なってしまい、夜中にライくんが呼び出されてしまったのである。
で、酒に酔ったユーフェミア様や他の女性陣にたっぷりと説教されて帰ってきたのが今朝の早朝。
あの疲れきった表情は、そういうことだったのか…。
そこまで聞いて、私はほっとすると同時に不安になった私の心の弱さが恥ずかしくなった。
さらに政庁に着いてすぐ呼び出しを受け、二日酔いのユーフェミア様に今夜申し込みなさいとまで言われ釘を刺されたらしい。
ああ、だからなのか…。
彼がこんなに苦しんでいるのは…。
彼は人一倍相手の気持ちを重んじる。
だから、私の気持ちを考えて苦しんでいるのだろう。
それを解き放つ方法は一つしかない。
そして、その方法は私にとって幸福への切符。
だから、説明を聞き終わった後、私は彼に言った。
「確かに、周りの思惑に乗せられて結婚というのはいただけないわ」
彼が可哀想になるほどしゅんとなる。
「だから、ライくんがよければだけど、明日、籍だけでも先に入れちゃいましよう」
「え?」
彼が驚いた表情で私を見つめる。
「周りの思惑に乗るのは嫌だけど、私もライくんも結婚したいって思っている事にかわりないんだから問題ないでしょ?
それに、これぐらいやって度肝を抜かさないと気がすまないわ」
私は、そういうとにっこりと笑う。
呆気に取られていた彼だが、すぐに釣られたかのように笑いだした。
「そうだね。セシルさん」
彼は笑いながら私を抱きしめてくる。
私も彼を抱き返す。
そして、ゆっくりと口付けを交わした。
その後、唇を離して彼はゆっくりと私に囁いた。
「明日は、仕事を休んでくれないかな…。二人で一緒に行きたいんだ。籍を入れに…」
その言葉に私はうなづく。
「もちろん喜んで…」
そして、その夜、二人は夜遅くまで楽しそうに明日の計画を練っていた。
周りの皆を驚かせて出し抜く為に…。
そして、二人で幸せになっていく為に…。
以上で終了です。
支援ありがとうございました。
なお、途中で猿が出ました。
投下時間が空いている時がそうだったりします。
猿いつも出るのはなんでだろう…。
今回、タイトルの後半をあえて書かなかったのは、読む前からオチがわかったらつまらないかなと思ったためです。
本当は「セシル・クルーミーの結婚」というのが、最初のタイトルの予定でした。
もろわかりでしょ?
まぁ、伏せてもわかる人はわかるんですけどねwww
ともかく、久しぶりのライセシSSですので気合はいりました。
楽しんでいただければ幸いです。
>>558 あしっど・れいん卿GJです
結婚する前からすでに新婚生活みたいなライセシが素敵です
料理はやっぱりライかwwww
ユフィ…夜中にわざわざ起こして説教なんて迷惑な酔っ払いだなwww
サラッと結婚してるロイドさんとミレイさんにびびったけど私は気にしない
また次回の投下を期待してお待ちしています
>>558 あしっど・れいん卿、GJでした!
ミレイさん好きだけど別にショックは受けなかったぜ!
幸せそうな雰囲気ならば逆に嬉しくなる。
そしてそれはライセシも同様でした!
昼ドラ職人である貴方の微エロと少しのドロドロした感情の表し方は良いとおもうのです!
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます
561 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/24(金) 17:29:11 ID:fuN5OQlC
らいあにゃリクエスト!
>>558 うまく言葉に出来ないから一言…
セシルさん可愛い!
全力で投下待機中
誰か投下してくれないかなぁ
>>564 のんびり待てばいい…。
いつも投下されるとは限らないからね。
暇なら、以前投下されたSS読んで感想でも書いたらいいよ。
やはり、感想があった方が職人としてはうれしいし励みになるからね。
特に昨日の夜に投下されたコウ卿のSSとかいいと思うよ。
>>数字で場所指示して感想書けば少々遅れても問題ないと思うし。
もし、すでに書いてたらごめんなさいね。
566 :
岩鬼:2008/10/24(金) 19:29:54 ID:6z3G8Es/
お、おんどれええこと言うやんけ。
誤爆
投下していいですか?
:(;゙゚'ω゚'): ドウゾ…
570 :
萌は文化:2008/10/24(金) 19:48:29 ID:7/hkvN9X
では投下しますよ
投下待ってた人、俺でごめんね
では「姉妹喧嘩」の続きで今回で一応最終回です
カップリングはライユフィです
約15レスです
注意点
・ブルームーン編からの発生です
・ギャグ主体です
・ギルフォードがまた壊れました
では投下します
571 :
萌は文化:2008/10/24(金) 19:50:33 ID:7/hkvN9X
「貴様がライだな」
目の前の女性はサングラスを外し、凛とした口調で言った。
この人がユフィのお姉さん、エリア11の総督、コーネリア皇女殿下か…
「その通りですお姉様」
少しきつめにユフィが言うとユフィは僕の腕に抱きつき、コーネリア様を睨みつけた。
「お姉様自ら私を連れ戻しに来たのですか? 言っておきますがお姉様がなんと言おうと私はライのことが好きなのです。不釣り合いだから別れるなんてこと絶対に嫌です」
「黙れユフィ。今日私が用があって来たのはお前じゃない」
そう言うとコーネリア様は僕の方へと視線を移した。
「先程の一件、見させてもらったぞ」
先程の一件とは恐らく外でのユフィとの会話のことだろう。
コーネリア様はサングラスを胸の内ポケットにしまうと話を続けた。
「通信機を利用して話の内容も聞かせてもらった。無論、さっきのギルフォードとの会話もな」
通信機?
いつ使ったんだ?
まあ、相手は総督だし、きっと学園内に軍の人間が何人か紛れ込んでるのだろう。
とはいえ、僕相手にそこまでされていたとなるとかなり身の危険を感じらざるえないな。
「ならばこそ貴様に問おう」
572 :
萌は文化:2008/10/24(金) 19:52:59 ID:7/hkvN9X
冷たく鋭い口調で話すコーネリア様はどこに持っていたのか剣を取り出し、刃を鞘から抜いて刃先を僕の方へと向けた。
よく見るとそれ演劇部の備品ですよね?
何勝手に持って来てるんだこの人。
一応プラスチック製なので殺傷能力はほぼ皆無なはずだけどここは空気を読んで僕は黙ってユフィを守るように前に出た。
「先程の言葉…本気か?」
「先程の言葉?」
聞き返すとコーネリア様は目を細め、剣をカチャリと鳴らした。
だからそれで人斬れないってば。
「そうだ。ユフィのためなら例え黒の騎士団だけでなく、ブリタニアを敵にしてでも戦うと言った言葉。それは本心か?」
コーネリア様の言葉から鬼気迫るオーラのようなものが感じられた。
ただコーネリア様、その言葉、僕が口にしたのと微妙に甚大になってますよ。
「ライ…」
心配そうな瞳でユフィは僕を見ていた。
仕方ない。微妙に大きくされた僕の発言には目を瞑って話しを続けよう。
「本心です。ユフィが家出をしてまで僕を選んでくれたのですから僕はそれに答える義務があります。だから僕はユフィのために自分の出来る限りのことはするつもりです」
支援
574 :
萌は文化:2008/10/24(金) 19:55:06 ID:7/hkvN9X
そう答えるとコーネリア様の表情が強張った。
「ならば貴様はここで私に斬り捨てられる覚悟があるというわけだな」
斬り捨てるだと…正気か?
そんな玩具の模擬剣で人を斬れると思っているのか!?
まさかコーネリア様は本気で気づいてないのか?
「どうぞ、ただ黙って斬られるかは別ですが…」
内心笑いを堪えるので精一杯な僕はそう言って目を閉じた。
目を開いていると真剣に模擬剣を構えるコーネリア様があまりにおかしいからだ。
なんだかんだでやっぱりこの人ユフィのお姉さんなんだな。
変なとこが抜けている。
「ただの学生が大した覚悟だ………いいだろう」
するとコーネリア様は模擬剣を鞘に収めて小さく笑った。
…いけない、まだ模擬剣を真剣だと思っているコーネリア様を見てたら段々コーネリア様が可愛らしく見えてきた。
「ユフィとの交際、認めてやろう」
「え、本当ですかお姉様!」
コーネリア様の発言を聞いてユフィは驚いたように目を見開いた。
「ああ、ただし条件がある」
「条件ですか?」
ユフィが首をかしげるとコーネリア様は静かに頷いて見せた。
「一つはユフィ、お前がちゃんとこっちに帰ってくることだ。そしてもう一つは…」
支援
数ヶ月後
久しぶりにユフィに会いにユフィの部屋に来ると、ユフィは部屋の中心で、ふてくされたように体育座りをしていた。
「どうしたんだいユフィ? せっかく久々に会えたというのに」
僕が聞くとユフィは可愛らしく頬を膨らました。
「だってお姉様ったら全然ライを返してくれないんですよ。いくらライがお姉様の親衛隊になったとはいえライは私の恋人なんですよ」
不満を吐き出すとユフィはそのままコロコロと部屋の中を転げ回った。
その様子がまるで玩具みたいで可愛らしく、僕の口元が自然と緩くなり笑顔になった。
「コラコラ、お姫様がそんなことするんじゃありません」
笑いながらユフィを起こすとユフィはそのまま僕に身を預けるように僕の体に寄りかかった。
「だってお姫様が…」
「仕様がないだろ。僕達だってそれをわかってて交際を認めてもらったんだから」
あの日、コーネリア様が出したもう一つの条件とは、僕がコーネリア様の親衛隊に入隊することだった。
なんでも僕をユフィの騎士にするため、コーネリア様自らが僕のことを鍛える、ということらしい。
支援
578 :
萌は文化:2008/10/24(金) 20:01:48 ID:7/hkvN9X
でも軍に入ってから実はロイド先生やジェレミア先生、ヴィレッタ先生が軍人だったって知った時は少し驚いたな。
特にロイド先生はすでに僕専用機(ランスロットクラブのこと)を作ってくれてた時にはかなり驚いたよ。
「それでも納得出来ません! 最近はお姉様がライのことを独占してるみたいで全然一緒にいられないじゃないですか!」
「うーん、確かに2人の時間が減ったのはちょっと辛いよね」
「そうですよね! それにお姉様にライをいつ私の騎士にしてくれるか聞いてもいつもはぐらかすんですよ! きっとお姉様はまだ私とライが付き合うことに反対なんですよ! この前だって…」
「おっと」
興奮して怒り、コーネリア様への文句を言うユフィの唇を僕はそっと指で押さえた。
「コーネリア殿下の悪口はそこまでだよユフィ」
「むぅー」
黙るとユフィは不満そうに上目使いで僕を見上げた。
一々可愛いなユフィは。
「ライはお姉様の味方をするのですか?」
「まあ、一応親衛隊だしね。フォローくらいはさせてもらうよ」
するとユフィはますます不愉快そうな表情になった。
「むむ、ライは私よりもお姉様の方が好きみたいですね」
支援
支援
581 :
萌は文化:2008/10/24(金) 20:03:41 ID:7/hkvN9X
拗ねたように言うとユフィは僕に背中を向けた。
まったく、僕がコーネリア殿下の親衛隊になってからというもの、ユフィは随分と嫉妬深くなった。
本人としては僕がコーネリア殿下に盗られるのではないかと心配らしい。
別にそんなことないのに……心配性だな。
「ユフィ…怒ってる?」
「別に怒ってません。ライなんてどこにでも行っちゃえばいいじゃないですか」
プイッとそっぽを向いたままユフィは言った。
どうやら本格的に機嫌を損ねてしまったらしいな。
…仕様がない。
ユフィの怒りが冷めるまでちょっと外をぶらつくか。
「わかったよ」
「……え」
仕方なく立ち上がるとユフィはこちらをチラリと見た。
「それじゃあ、僕はこれで…」
「だ、ダメ!」
行こうとしたユフィが僕の服の裾を慌てて掴んだ。
「ごめんなさい。謝りますから行かないで…」
さっきまで怒っていたと思っていたユフィだったが予想以上に必死になり、瞳を潤せながらユフィは言った。
「今日は…ずっと…そばに居て…」
消えそうな言葉で今にも泣き出しそうなユフィを僕はたまらず抱きしめた。
支援
583 :
萌は文化:2008/10/24(金) 20:06:38 ID:7/hkvN9X
「………あ」
するとユフィは細い腕で力いっぱいに僕の体を抱きしめたてきた。
「そんな悲しそうにしなくても今日はずっとそばに居るよ」
「ライ……ごめんなさい」
「謝らなくていいよ。その変わり……ね」
そう言うとユフィは少し恥ずかしそうにコクンと静かに頷いた。
「ライ…好きです」
「僕もだよユフィ」
こうして僕達は互いの唇を互いの唇に…
「失礼します。ライはいますか?」
「「!」」
重ねてキス出来なかった。
突然部屋にギルフォード卿が入って来たからだ。
「ぎ、ギルフォード卿!?」
大慌てでユフィと僕が離れるとギルフォードは大して気にも止めずに僕の方へとやって来た。
「良かった。実は君に聞きたいことがあったんだ」
するとギルフォード卿は「これを見てくれ」と1枚の写真を僕に見せた。
「げっ!」
その写真を見て僕の顔が引きつった。
写真に写っていたのは学園祭の時に僕が女装した時の姿であった。
584 :
萌は文化:2008/10/24(金) 20:08:39 ID:7/hkvN9X
「これ…いつの間に…」
「あら、これはライが女そ…ムゥ〜…」
事情をリヴァルから聞いて写真を見たことあるユフィが何か言いそうになったので僕は慌ててユフィの口を押さえた。
「これは未だアッシュフォード学園に潜入中のジェレミア卿から譲ってもらった写真なのだが」
拳を握り、ギルフォード卿は何故か遠くを見ながら言った。
「その写真の女性、名はライカというのだが、学園の生徒である君なら知ってるのではないかと思い聞きに来たのだが…」
「それなら目の前に…ムゥ〜…!」
「さあ、ちょっと見たことありませんね。少なくとも学園の生徒ではないと思います」
「む…そうか。せっかくの休みに手間をとらせてすまなかったな…」
余計なことを言いそうになったユフィの口を押さえて言うと、ギルフォード卿はあからさまに落ち込み去って行った。
「ああ、せっかく忘れてたのに…」
「…ムゥ〜!」
「あ、ごめん」
「〜ぷはっ…もう、ライったら突然口を塞ぐなんて酷いです!」
ユフィの口を塞いだ手を離すとユフィは怒ったように文句を言った。
「ごめんごめん」
「もう、塞ぐならもっと優しく…」
するとユフィは不意打ちで僕の唇に自分の唇を重ねた。
585 :
萌は文化:2008/10/24(金) 20:10:19 ID:7/hkvN9X
「こうしてください」
ニコッとユフィは笑った。
そんな彼女の笑顔を見て僕の顔が一気に熱くなった。
これだから彼女は困る。
最近ではキスくらいで赤面することもなくなったが、偶にやらかす彼女の不意打ちにはどうもかなわない。
そんな僕の気持ちを知ってか知らずか、赤面した僕の顔を見て彼女はおかしそうにクスクスと笑った。
「フフ、ライったら、おかしい」
「む、この…」
そんなユフィを見て、なんだか悔しい僕はユフィを押さえ、そのままベッドに押し倒した。
「キャッ! もう、ライったら意地悪ですね…」
ベッドに押し倒されたユフィは少し悔しそうに呟いた。
「いや、さっきのお返しをしてあげようかと思って」
「………ライのエッチ」
「うん、僕もそう思うよ」
「………隙あり!」
「え、うわっ!」
僕に押し倒されていたユフィだったが突如として反撃を開始。
しえん
587 :
萌は文化:2008/10/24(金) 20:14:32 ID:7/hkvN9X
あっという間に僕とユフィの立場が逆転した。
「もらいました」
喜々とした口調でユフィは僕を見下ろしながら笑った。
その笑みは、子どもの悪戯っぽく可愛らしい笑みなのに、どこか艶やかで色っぽい笑みだった。
「ゆ、ユフィ、それは、はしたなくないかい?」
「はい、だって私もライと同じですから」
クスっと笑い、ユフィは僕の唇に再度自分の唇を重ねた。
支援
589 :
萌は文化:2008/10/24(金) 20:17:36 ID:7/hkvN9X
「いやはや、ユーフェミア様が帰って来て良かったですね殿下」
「ええ、あなたには感謝しています」
「ハハハ、もったいないお言葉ですね」
コーネリアが感謝の言葉を述べるとノネットはゲラゲラ笑った。
その時、ふとノネットはコーネリアの耳についてるイヤリングに気がついた。
「ところで殿下、そのイヤリングは?」
普段、戦闘の時に邪魔になると言い、あまりそういったアクセサリーをつけないコーネリアが珍しくアクセサリーを身につけている。
ノネットはそれを珍しく思いコーネリアに聞くとコーネリアは少し照れたように耳のイヤリングにそっと触れた。
「これですか? これは……その……ライが、普段世話になりっぱなしだからと私にくれたのですが…」
「………は?」
ノネットは開いた口がふさがらなかった。
理由はあのコーネリアが、あのコーネリアが、あのコーネリアが男の、しかも妹の彼氏からもらったイヤリングを大事そうに、そして嬉しそうに身につけているのだ。
まさか、とノネットは一瞬ある答えが浮かんだが殿下に限ってそれはないだろうとすぐにその答えを否定した。
支援
591 :
萌は文化:2008/10/24(金) 20:19:08 ID:7/hkvN9X
「私はどうせならユフィにプレゼントしてやれと言ったのですがあいつはユフィには別なやつを贈ると言っていたので…」
ノネットは目をこすった。
一瞬夢かと思い目をこすった。
あのコーネリアがいつになく穏やかな表情で照れ笑いを浮かべて妹の彼氏のことを楽しそうに語っているからだ。
(まさか、ホントにまさか…)
ここでノネットは確信を得るためある質問をする。
「そういえばライはどうですか。少しは使えるようになりましたか?」
するとコーネリアはいつものキリッとした表情に戻った。
「確かに奴の腕は大したものだ。ギルフォードやダールトンも気に入っている。だがあいつはまだまだだ。今はまだ偶々上手い具合に進んでいるだけだ。まだまだ精進し続けなければならん!」
「ハハ、厳しいですね殿下」
「当然です。ユフィの騎士にするからにはこの程度ではいけません」
「ハハ、そんなこと言って実はユーフェミア様にライを返すのが惜しくなったんじゃないですか?」
あ、やっぱりいつもの殿下だ。
そう思ったノネットは茶化すように言った。
「…………」
「…………で、殿下?」
急に黙りこむコーネリアを見てノネットは狼狽した。
支援!
593 :
萌は文化:2008/10/24(金) 20:20:18 ID:7/hkvN9X
「な、何を言ってるんですか! そ、そんなわけないでしょ」
明らかに大きくコーネリアは動揺していた。
「な、何故私が……まあ、確かにあいつは騎士として見所があるし、手離すのは惜しい気はしますがそれだけですよ、それだけ!」
クルっとコーネリアはそのままノネットに背を向けたが、コーネリアの顔が耳まで真っ赤だったのをノネットは見逃さなかった。
(え、マジですか殿下?)
もしかして自分のせい? など思いながらノネットは赤面するコーネリアの背中を眺めるしか出来なかった。
支援
595 :
萌は文化:2008/10/24(金) 20:22:54 ID:7/hkvN9X
以上で終了
ほぼイチャついてるだけでしたが今回最終回
続けようとしたら続けられるし終わりなら終わりな終わらせかたにしたつもりです
一部スルーされた展開は深く考えないでくださいね
カレンとかカレンとかカレンとかね
一応、ギルフォードの勘違い恋愛ネタとかコーネリアとユーフェミアの姉妹喧嘩が引き続き続いたりとネタは残ってるので気がむいたら単発程度に書くかもしれませんが今回でとりあえず一区切り
では支援ありがとうございました
オール・ハイル・モエカルチャー!
>>595 萌は文化卿、GJでした!
あれ? おかしいな?
ライユフィをにやにやして見てたはずなのに、ネリ様が可愛らしく思えてきた。
……ま、いっか!
そしてギルフォード卿は願わくば気づかずにその記憶を風化させていって欲しい!
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちさせていただきます!
>>595 今回は大変笑わせていただきました。
特に真剣に模擬剣を構えるネリ様のあたりは
想像してキーボードにコーラ吹いたww
やべえ、最後の最後にネリ様に全部持ってかれた気分だw
これはGJといわざるを得ない。
>595
いやあもう大好きネリ様はかわいいなあああ!!
R2のコーネリアは凛々しくも美しいですが
ツンデレさせるなら断然一期ver.ですね。
キャラクターたちが皆イキイキしていてとても楽しいです。
またの続編があれば小躍りします。
ありがとうございました!
ライが誰かと結婚したらやっぱ入り婿になるのかね
ファミリーネームは偽だし
とりあえずライスレ向きの話題だと思うが
>>601 すまん
あしっど・れいん氏の作品読んでてふと思ったんで……
0時に投下します。
合計で5レス程度です。
途中1〜2回程度でいいので支援をお願いいたします。
タイトル:続々続・二重人格
カップリング:ライ×アーニャ
ジャンル:電波系ほのぼの
本文4レス+終了1レスの合計5レスの予定。
オリジナル解釈になってますのでご注意ください。
ギアスでの憑依ではなく、Cの世界経由での意識干渉という設定になっています。
支援します
続々続・二重人格
「お腹すいたね、アーニャ…」
のんびりとしたお昼過ぎ。
僕はアーニャに声をかけた。
「うん。お腹すいた…」
いつもの口調でアーニャが答える。
よし、さて何つくろうかな…。
そう思って立ち上がった僕にアーニャが声をかける。
「今日は…ライ…お休みの日…。のんびりしてて…」
そう言って立ち上がると僕を椅子に座らせ、とことことキッチンに向かう。
「でも…」
そう言いかけた僕の言葉は、アーニャの言葉で遮られる。
「私…作る…愛情ご飯…」
そういうとガッツポーズをとってたりする。
大丈夫というジェスチャーのつもりなんだろう。
ても…顔は無表情に近い。
多分、照れくさいのを誤魔化すためだろうなぁ…。
まぁ、アーニャの手料理が食べられるなら文句はないか…。
そう思ってのんびり待つことにした。
楽しみにしながら…。
支援
そして、一時間後…。
テーブルには所狭しと料理が並べられていた。
もちろん…並べられているのが料理と呼べるならだが…。
料理と呼べる程度にもなっていないものがほとんどだった。
「う…」
しゅんとした表情のアーニャ。
僕は苦笑するしかなかった。
「ごめんなさい…。マリアンヌとか…C.Cとか呼び出して…手伝って…もらったんだけど……」
ぼそぼそと申し訳なさそうに呟く。
あー…あの二人が関わったならこうなるわな…。
納得してしまう。
料理できるとは思えないからなぁ…あの二人は…。
アーニャ…完全に人選ミスだよ、それは…。
「で…アーニャだけで作ったのはどれ?」
僕は、アーニャの頭をなでつつ聞いてみる。
すーっとアーニャの指が1つの皿を指差した。
そこには不恰好なおにぎりが3つ並んでいた。
僕はその1つをひよいと掴むと口に運んだ。
支援
「あ…」
アーニャの身体が硬直するのが見ていただけでわかる。
確かに不恰好で少し塩加減が薄い。
でも、アーニャの一生懸命な愛情を感じる事が出来た。
それだけでどんな料理よりもおいしく感じる。
「おいしいよ、アーニャ…」
僕は、にこりと微笑む。
ほっとした表情のアーニャ。
「よし、お昼はおにぎりパーティにしょう。お互いにおにぎり作りあわない?」
こくこくとうなづく姿が可愛い。
「ライと二人…おにぎりパーティ…」
幸せそうにそう呟く。
「そうだよ」
にっこりと僕は微笑む。
こうして二人のおにぎりパーティーは始まったのだった。
支援
その頃…。
「うーんっ…出損ねたわね…」
「そうだな…」
そう、アーニャに呼び出されたマリアンヌとC.Cである。
二人は、Cの世界を通して、電波という形でアーニャの頭の中にいる独立した思考として干渉してきた。
しかし、このラブラブでほのぼの展開に出にくさを痛感する。
どうのこうの言いながら、意外とまともな感覚があったりするのだ。
「まぁ…でも、幸せそうだし…たまにはいいか…」
そうマリアンヌは、つぶやくと踵を返した。
「どこに行く?」
「もちろん、シャルルんっのと・こ・ろっ…。私もシャルルんっとおにぎりパーティでもしてこようかなってね」
「相変わらずだな…」
「うふふ…ラブラブなのよっ…私たち…。C.Cもいい加減にルルーシュのところに戻ってあげたら?」
「な、何をいっているっ…」
「うふっ、私のかわいい息子をよろしくね」
そう言うとアーニャの頭の中からマリアンヌの思考は消え去った。
「勝手に…決めつけおって…」
だが、C.Cの顔が苦笑する。
「仕方ない…戻ってやるか…」
そう呟くとC.Cの思考も消え去ったのだった。
支援
以上で終了です。
支援ありがとうございました。
また、よろしくお願いいたします。
えー…ライ×アーニャのお昼の出来事でつづくこのシリーズ…。
ネタ尽きないなぁ…。
まだ続くと思いますので、まぁ、よかったらお付き合いの程を…。
支援しか出来なくてすみません。投下依頼が来てその準備に追われているので…
40分ごろ投下します。12レスありますので支援を願います。
感想は皆さんに任せた!
>>614 あしっど・れいん卿、GJでした!
とりあえず一言、シャルルんに吹いたw
おにぎりと見た瞬間嫌な予感がしてしまったのは私だけではないはず。
あぁ、ほのぼの感が最高でした!
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!
>>615 二つとも了解した!
>>614 乙&GJでした
塩加減が薄い?
いや、甘い甘いよ
私には二人の世界が甘すぎました
次回も楽しみにしてます
では、時間になりましたのでいきます。
作者 貧弱な軍馬(代理投下)
タイトル『姫と騎士にて、愛しきかな 第六話』
ライという色々ワケアリな少年の人生においても、その日は五指に入るほどに重要な日と言えた。
例えば愛しい者に想いを告げられ恋人になった日、力の暴走で全ての民を滅ぼした日。
そんな日に匹敵するほど重要な日、重要な時間をライはKMF ナイトメア・フレームのコクピットで迎えた。
「何か問題はあるかしら? ライ君」
「全システムオールグリーン。問題ありません、セシルさん」
開かれた通信のウィンドウ、映るのはオレンジ色の技術系軍服を纏った女性。
ライにとっては親友の恩人であり、ここ数週間はちょくちょくお世話になってきた女性。
名をセシル・クルーミー。元特派、現キャメロットと呼ばれる技術集団の肝っ玉かあさん。
不意に同じウィンドウに割り込んでくる白髪に白衣、怪しげな笑みを浮かべる男性。
「その機体は君の細かい入力を正確に実行できるように操縦系を弄ってみたんだぁ〜
外装に時間を掛けなければもっと良くなったんだけどねぇ?」
僅かに残念そうな表情を浮かべるのはキャメロット主任ロイド・アスプルンド。
どうやら彼はライが今乗るナイトメアの出来に些かなりとも、不満があるらしい。
「今回は外見も大事なようなので……」
鋼鉄の騎馬に乗る騎士であると同時に、見世物小屋の道化師のような存在。
それが今のライを他者の視点から現す言葉だ。
支援
支援
『騎士の条件』
これからライが挑むゲームの名前だ。
大層な名前だがやる事は「一対複数で行うナイトメア・フレームの模擬戦」である。
ルールは簡単、廃市街地を模したフィールド内で模擬戦を行ない、敵を全て行動不能にし、『とある場所』に辿り着けば良い。
「開始時間まで残り三分です。ライ君、所定の位置について」
「はい」
どうしてこのゲームが騎士の条件などと言う大した名前で呼ばれているのか?
それは騎士足る資格を計る為に考え出されたモノだから。
「お姫様が待ってるんだから、男の子なら……裏切ったらダメですよ?」
「もちろんです。僕はナナリーの騎士ですから」
そう、辿り着くべきとある場所にはナナリー・ヴィ・ブリタニアが待っているのだ。
『囚われの姫を救い出す力量を持ってこそ、騎士は騎士たる条件を満たす』
言葉遊びであり、おとぎ話の幼稚な再現。子供でも思いつくような戯れ。
それはすべて皇族を復帰して間もないナナリーを周知させ、ライと言う少年が騎士に真に相応しいかを見極めるテスト。
「これより! 皇族の騎士たる相応しい人間かを見極める儀を行うぅ!!」
通信ウィンドウに示されたのはロイヤルコード、映し出されるのは世界の覇者に相応しい男の顔。
神聖ブリタニア帝国皇帝 シャルル・ジ・ブリタニア。ナナリーの父にして、ライの見極めを認めた男。
支援
支援
「狂王の力を見せて貰おう……騎士の条件、初め!!」
「イエス、ユア・マジャスティ」
皇帝の宣言と共に遠くで鳴らされる祝砲の音が戦いの始まりを告げる。
ライが乗る鋼の軍馬 ナイトメア・フレームはランドスピナーを展開して疾走を開始。
彼が乗る機体の種類はグロースター。第五世代と呼ばれる分類であり、現ブリタニアの主力であるサザーランドの上位機体。
しかも青系統のカラーリングに塗り替えられ、背中には白の裏地に愛色のマントをはためかせている。
その手には刃が無いショットランスとペイント弾が装填された大型アサルトライフル。共に模擬戦用の装備。
「うん、良い感じ。さすがロイドさんだ」
慣らしを兼ねて蛇行する軌道を描きながら、ライが疾走するのはブリタニア軍が所有する市街地戦の演習場。
ここに来て空が泣き出す。朝から曇りながらも持ち堪えていた天気も遂に崩れた。
旧市街地をそのまま移したコンクリートジャングルに雨が打ち付け始める。
何時も使用している軍人達ならばまだしも、ライが感じるのは寂寥感に似た胸の痛み。
雨と闇の中にボンヤリと浮かぶ無人の廃墟。自分が起こした悲劇の原風景にも似たこんな場所に……
「ナナリーがいる……一人ぼっちで」
騎士の条件の最終的なルールとしては『戦いを潜り抜け、姫を助け出して見せろ』という事。
つまり助け出される姫は戦場に居なければならない。
支援!
『戦場の真ん中で目が見えず足も不住な恋人がたった独りで自分が来るのを待っている』
そう考えるだけでライの心に言いようが無い焦りが蓄積されていく。完璧にチューニングされたグロースターの足が遅く感じる。
どうして自分はまだナナリーの側に辿り着いていないのか?と苛立ちすら覚える。
そんな時にセンサーが告げるのは敵機接近の知らせ。それによりフッとライの脳裏から余計な感情が消える。
敵の沈黙を最優先に、古の戦場を駆け抜けた経験と最先端の知識がガッチリと噛み合い、勝利を導く歯車が回り始めた。
「敵機がエリアに入った。各機迎撃せよ」
「イエス、マイロード!」の合唱に頷き、騎士の条件で迎撃役 『悪役』を与えられた部隊の指揮官はタメ息をつく。
与えられた任務は皇族の道楽であり、相手は従軍の経験も無く騎乗歴も浅い唯の子供。
これでやる気を出せというほうが無理な話だ。
「グロースターに乗れば何とかなると思ったのかねぇ?」
確かにソレは自分達の乗るサザーランドの上位機である。だがそれは実力や経験や数の差を根本から覆してくれるものではない。
強く思われるのは、そのパイロットの腕前に依存する所が多いのだ。
皇族の親衛隊が乗っているグロースターならば、一兵士が乗るサザーランドよりも強いと感じるのだろう。
内外に知られるグロースターの性能と言うのは、名あるパイロットと足し算をした結果。
だからこそこんな相手など……
支援
ナナリー・ヴィ・ブリタニアは待ち続けている。戦場の一角で、たった一人で待ち続けている。
もちろん雨露に濡れているわけではなく、透明で頑丈な強化アクリルのボックスの中で。
それでも不安は積る。彼女は目が見えないし、足も動かないのだ。
周りから入ってくる情報はボックスを叩く雨音と遠くから響く戦闘の音だけ。
「……」
私 ナナリーは純粋に感じている……怖いと。
何が起こっているのかを確実に理解する術も無く、何かあったら逃げる事すらできない自分には出来ない。
知らない場所で一人ぼっち。それがどれだけ怖い事なのか。チャンと理解していたつもりだったのに。
「ライさん……」
大事な人、何があるかも解らない激流に『君と一緒にいたい』なんて笑いながら、共に飛び込んでくれた人。
そんな人が側に居ないと自分がいま置かれている状況と、ブリタニア皇室の中での状況が被って感じられた。
手には一つのスイッチが握られている。二番目の兄から渡されたソレ。
『何か在ったら押しなさい』と言われている。押せば一切の戦闘が中断され助けが来てくれる。
でもこれは絶対に押せない。試されているのはライさんだけではないのだ。
「私も試されている……だから!」
支援!
支援
支援
スイッチを握っていた手を解き、軽く振った。勿論スイッチは宙に弧を描いて飛ぶ。
カツンカツンと硬い音がして、手の中には何も残らない。目が見えず足も動かない自分がソレを見つけるのはもはや不可能だ。
これで自分から他人に助けられるような事だけは阻止できたと安堵のため息。
同時にライさんが助けに来なかったら……そんな『アリエナイ』夢想が脳裏を過ぎる。
「来てくれますよね?」
違う……疑問ではダメなのだ。『来てくれる。そうに決まっている』そう信じる事。
それこそが自分に課せられた試験の内容だと思う。
「心配なんて……してません。貴方は何時も通り……凄い事をサラッとしながら……」
来てくれる……心配する事なんて何も無い。
私はギュっと膝の上で掌を握り締め、見えない目で隔たれた世界を見つめる。
『ナナリー』 『ナナリー』 『ナナリー』
見えなくても大丈夫。耳に馴染んだ声はすぐさま脳内で再生できた。
その声でスッと不安が消えていくのが解る。跡が残るかもしれないほど強く握ってしまっていた指が解ける。
「ライさんが来てくれたら、何てお出迎えしよう」
そんな先の事を考えるほどの余裕。キレイな指で愛おしい人の頬をなでる為にも、指に後をつけるわけには行かない。
気を抜けば首を擡げる不安を愛しい人の声で振り払い、ナナリーは戦場で一人待つ。
健常な人間すら恐怖を覚え、逃げ出してしまいそうな状況で待ち続ける。
彼女はきっと……『姫の条件』を満たしている。
支援
支援
『なぜだ!? 直撃しているはずなのに!!』
『A2、コクピットブロックに直撃弾3発。リタイア、戦闘エリアから離脱せよ』
『弾がすり抜け……わぁ!!』
『B3、ランスによる刺突。本物ならば串刺しだ、速やかに離脱……早くしろ!』
無線越しに聴こえる僚機の悲鳴とリタイアを告げる模擬戦管制官の声。
その全てが迎撃役の隊長からすれば信じられない事だった。
「バカな……圧倒されているだと……」
敵は何だ? 複数の皇族親衛隊か? ナイトオブラウンズか? 噂の第7世代ナイトメアか?
違う! 相手はたった一人、実戦経験の無いただの子供!! それがなぜ……
既に友軍のマーカーはディスプレイ上から消え失せている。自分が最後の一人、一人でコレの相手をするのか!?
一直線に近づいてくる赤いマーカー、現実ではランスを構えた青い塗装が成されたグロースター。
撃ち掛けるアサルトライフル。
真っ直ぐに突っ込んでくる相手に当てるのは難しくない。
難しくない……はずなのだが……
「どうして当たらない! 管制!! ヒットは一発も無いのか!?」
当たっているはずなのだ。しかし戦闘を司る管制部からの知らせが無い。
『全てをギリギリで回避しています。K1被弾数ゼロ』
「ちくしょう!!」
支援!
支援
638 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/25(土) 00:56:01 ID:FxWAJlhX
支援
告げられるのは無常な宣告。敵はつまり無傷。我らの部隊をすべて撃破して被弾数ゼロ?
どうして真っ直ぐ進んでくるのに当たらない!
此方の発射動作から弾道を予測し、全てを細かい入力で避けているとでも言うのか!?
ありえない……そんなのは人間業じゃない。まるで機械、そしてこの動きは……
「この亡霊め!!」
不意にアサルトライフルから発砲の衝撃が無くなる。つまり弾切れ。素人のようなミス。
それだけ自分が追い詰められている事を認識する。既に敵は目の前。
ライフルを放り捨て、電気が通らないスタントンファーを展開。
「くらえ!!」
横薙ぎに一撃。必ず当たる間合い。それでも……青い敵機が眼前で姿を消す。
何処だ!? 探す暇は無かった。体制を崩す勢いで沈み込み、此方の攻撃を避けた敵。
跳ね上がるように勢いをつけて金色の輝くランスの矛先が……
『A1、胸部にランスヒット! リタイア』
「ジーザス……まるで青い幻影……」
こうして騎士の逝く手を遮る者は誰も居なくなった。
騎士の条件は一気にクライマックスへと向かう。
支援
支援
戦場の中に身を置きながらも、微動だにしなかったナナリーが顔を上げた。
ゆっくりと此方に近づいてくる大きな足音、震動。間違いなくナイトメア・フレームによるもの。
それが眼前で止まる。数秒後……カチャリとロックが解除される音が箱の中を満たす。
鍵を持っているのは騎士の条件の企画・立案者であるシュナイゼル。
そして……ナナリーの騎士を目指す恋人だけだ。
「お迎えに上がりました、麗しき姫よ」
芝居めいた言葉。だけど間違いない。この声の主は……
ナナリーは自分の眼前に跪いている気高き騎士の姿が容易く想像できた。
「良くここまで辿り着いてくれました、気高き騎士よ」
ナナリーが見えない相手に差し出した手には不安も戸惑いも無い。
その手に触れるもう一つの手。口付けされる感覚。間違いない……
「何なりと褒美を与えましょう。何が望みですか……ライさん?」
ナナリーの眼前に膝を付き、騎士の礼を作る銀髪に引き締まった少年。
ナイトメアに騎乗していたにも関わらず、その身を覆うのは装飾美を追求した騎士服。
ライという名だけを持つ記憶喪失者にして、隠遁時代からナナリーを守る恋人。
「願わくば……貴方様の騎士になりとうございます、ナナリー・ヴィ・ブリタニア皇女殿下」
誤字指摘支援
>>626 >>足も不住な恋人→不自由
支援
「お父様たちが何と言うか……」
ワザとらしく不安そうな演技。彼女の父親は恐らく世界で一番怖い。家族も同様だ。
しかしそれらを納得させる為に行われた騎士の条件。故に返答は直ぐに来る。
『汝は騎士に相応しい人間であると認めぇる!!』
「ありがとうございます、皇帝陛下」
『素晴らしい腕前だ。文句のつけようが無いよ』
「宰相閣下のご助力のおかげです」
世界のナンバー1、ナンバー2が告げる言葉に、同じく観戦していた皇族達からも否定の声は聴こえるはずも無い。
「お父様のお許しも得ました。私からもお願いします、ライさん。私の騎士になっていただけますか?」
「イエス、ユア・ハイネス」
不意に雨が止んだ。黒い雨雲も途切れ、廃墟の中へと光が差し込む。
そんな情景がライに大きな変化を予感させていた。自分が過去に作ったこの廃墟のような惨劇。
決して消えない罪に差し込む優しい光。目も見えず足も動かないからこそ、優しさの価値と意味を知る少女 ナナリー。
彼女とともに歩む道はきっと厳しい物になると言う予測は容易い。それでも……
「病める時も健やかなる時も……共に歩んでくださいますか?」
「ずっと側に居るよ」
支援!
ライは騎士の演技を投げ捨てて、ナナリーを抱き上げた。いわゆるお姫様抱っこ。
予告も無いその動きにナナリーは驚き、手近にあったライの頭を抱き締める。
「キャッ! もう〜ライさんったら」
「ゴメンゴメン、ちょっと外に出るよ? 雨も止んで凄く綺麗なんだ……あぁ!
もちろん、ナナリーには勝てないけどね?」
ボックスの中に居たナナリーにとって、雨上がりの湿気をふくんだ風と指してきた日の温かみが心地よく感じられる。
そしてそれにも勝る心地よい存在が自分を抱き上げている。これ以上幸せになって良いのだろうか?
「こんなに……甘やかすと悪い娘になっちゃいますよ?」
「構わない。どんなワガママも叶えましょう、我が姫よ」
「じゃあまずは一つ……」
余り覚えが無い小悪魔な表情を必至に作って、ナナリーはライの耳元で頭を抱いたまま囁く。
「キスして下さい……もちろん唇に」
紳士的且つ全力でライはその要求に答えた。
答えてから周りに集まりつつあるギャラリー(見物していた皇族や演習に参加した軍人)に気がついて……
二人して真っ赤になった。
支援
支援
引っ張っといて、あんまり盛り上がってない気もするぞ〜騎士の条件。
戦闘シーンって難しい〜やっぱりイチャイチャさせるほうが楽w
次はシュナイゼル以外の皇族との絡みを入れるか、いきなり本編まで飛ぶか……ライテンを書くか(ぇ
―――以上、後書きを含む本文投下終了
>>643 ありがとうございます。保管庫のものは修正しました。
あちゃ……最後の最後でコテ消し忘れ。失礼しました。
>>650 戦闘シーンかっこよかったですよ。
ライらしい戦闘シーン描写だったと思います。
キャラクター心理の描写もよかったし、GJです。
次回以降の続きも期待してお待ちしております。
>>650 代理投下お疲れ様でした!
そして貧弱な軍馬卿、GJでした!
初実戦だと聞いて油断してたってのもあるんでしょうが、ライの強さが凄まじい!
ナナリーの勇気というか、信じる気持ちというかそれもかなりのものでしたね。
しかしながら、『認めぇる!!』に思わず吹いてしまったw
最後の二人もいいかんじでした!
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!
あまりの出来に目からオイルが出たわ
こんなタイミングで投下はいいのだろうか…
50分頃に投下したいのですが、よろしいですか?
前書き・本文・後書き合わせての19レスです
支援します
ありがとうございます
支援してくれる方には感謝します
タイトル:コードギアス 反逆のルルーシュR2 RADIANT WORLD
カップリング:特になし
ジャンル:シリアス・長編
備考:ギアス篇&黒の騎士団篇の合いの子ルートENDからスタートしています
R2の豪快なifルート&オリジナルKMFが登場します
苦手な方には本当に申し訳ないです
今回は第8話。ミリオンに届かなくてもゼロはゼロです
同じく支援します。
支援
心に深く刻み込まれた傷。魂に深く刻み込まれた愛。
それを仮面で隠して今はただ世界を駆け抜けていく。
その先にあるのは―――――
第八話『それぞれ の 道 へ』
ラウンズの眼前には忠義を尽くすべき主がいる。
ブリタニア皇帝シャルル・ジ・ブリタニア。彼はいつもと同じ尊大な面持ちのままラウンズ達にある言葉を伝えた。
その言葉を受け取った時の反応は様々だった。しかし―――――
ナイトオブワン。ビスマルク・ヴァルトシュタインはその言葉に異議を唱えた。
「よろしいのですか陛下? 奴は―――――」
「よい、あの者は全てを満たしておる。そう。全てを、な」
何を満たしているのか。ビスマルクには理解できたのか、それ以上は何も言わなかった。
その場にいるナイトオブテン。ルキアーノ・ブラッドリーはただ口を歪ませて返答している。
意図があるのかは悟らせない。ただシャルルの言葉に異議はないと主張するだけだった。
そしてモニカは既に了承の意を伝えてある。これでこの場で反対をする者はいなくなった。
「では、この件は残りのラウンズの承認をもって終了とします」
ビスマルクの言葉と共にその場にいたラウンズ達は下がっていく。
皇帝の間にシャルルだけが残される。否、一人ではなかった。
玉座の背後からゆっくりと姿を見せた少年がいる。
「シャルル、良かったのかい? 彼は秘め事が多いのに」
「問題はないでしょう。それに嘘はついてはおりませんよ」
シャルルとV.V.。この二人の真意はどこにあるのか。
「君の答えを楽しみにしているよ―――――」
街は静寂に包まれている。時刻は既に深夜だった。
支援
支援
偽装船の中の団員達は眠りについているが、ライだけは眠らずに迎えに出ていた。
「よく抜け出せたな」
「手は打ってあるからな。だが、ネックが無くなった訳ではないのが気がかりな程度だ」
車を運転しながらライはルルーシュの言葉を反芻した。
ネックなのがヴィレッタなのだろうと予想が出来たのか、彼はルルーシュに代案を出した。
「僕の手が空いたらそっちはどうにかしてみるよ」
「ふっ。お前には助けられっぱなしだな」
窓の外を流れる夜景を見つめながらルルーシュは自嘲している。
バベルタワーの一件以来から何かと手助けされ続けなのを皮肉に思ったのだろうか。
それとも信頼からくるものだったのか。ただ、不快感はない自嘲だった。
「ライ、お前に聞きたい事があるんだが」
「なんだ?」
「この一年、何をしていたんだ?」
信号が赤になり車を停止させるライ。その停止はまるで彼の心情を表しているようだった。
僅かな無言。彼の信号は青を示すのかそれとも他を示すのか。
「……話せる範囲でいいなら話すよ」
「話せない理由はなんだ」
「言えば君が目的を見誤りかねないからだ」
ライは言葉を選びながらギアを一速に入れ再び車を進める。信号は黄色が点滅していた。
「お前も秘め事を持ちたいわけか」
「君にだって秘め事はあるだろ。色々と」
ライの冗談交じりな返答が気に入ったのか、ルルーシュは笑い声を零した。
今までルルーシュなら怒るか疑惑を抱いただろう。
しかし、今の彼は決意を持っている。それはナナリーの秘めた言葉のおかげだろうか。
ライによって暴かれた仮面。それからの出来事が彼を強く立たせている。
「改めて認識させられたよ。お前が優秀な男だと」
「褒めてもなにもでないぞ」
支援
支援
支援
一度深呼吸をしてライは簡略と省略。隠し事を伏せたまま説明をはじめた。
目覚めてからブリタニアにいた事。ナナリーを巡って起きた出来事。ラウンズの一人の下で働いていた事。
キャメロットという技術局にいた事。そして、今でもブリタニア軍の機密情報局に所属している事を明かした。
「そういう事か。黒の騎士団についても納得がいったよ。扇達が一年も生かされていた理由はお前だったのか」
「危険な賭けだったとは思うけどね」
「その所為で俺まで危険だったんだがな」
「君ならそこまで危険はなかったんじゃないか」
港に着きルルーシュは車から身を降ろした。目の前の水平線からは朝日が覗きはじめている。
短くも長い回廊を抜けた彼には、それがとても儚いながらも強く輝いているように思えた。
「学園の事は僕が一任してもいいのか?」
「ああ、問題は無い。お前になら任せても大丈夫だろう」
二人で並んで見る朝焼け。これが最後なのか、それとも思い出の一つになるだけなのか。
二人が進む道の先を示すのは光か闇か―――――
「とりあえずカレンに会ってやれ。心配をかけるのはいいけど程々にした方がいい」
「……なぜそこでカレンが出てくる?」
ルルーシュがライの言葉で顔をしかめたのを見て、彼はやれやれとジェスチャーした。
ライの言動が理解不能なルルーシュはライを睨んだが彼はいつもの調子で説明をはじめだした。
「お互いに相思相愛なんだから一番に会うのは当然じゃないか。君が落ち込んでる間に僕はビンタされるしね」
ルルーシュは『やれやれ、この男はわかっていないな』といった感じで説明するライを見て何を思ったのか。
ただ、表情に段々と怒りと呆れが混じってきたのがわかるだけだった。
「でも、あれは僕が悪かったから仕方が無いな。でも君がもう少―――――」
ルルーシュはとりあえずライの両頬を引っ張ってみる。頬を伸張させるかの様な勢いで。
手加減無用と言わんばかりに手に力を込めて引っ張られてしまい、ライも困惑してしまう。
「いひゃい……」
「お前程の男が……まだ魔女の言葉に踊らされていたのか! どこまでも締まりが悪い男だなっ!」
支援
ようやく合点がいったのか。ライが未だに勘違いしているのがわかり、ルルーシュは怒りを露わにした。
ライもライでなにがなにやらといった感じの表情で返答している。
「カレンとはなんでもないっ!」
「でも、オープンには出来ない関係なんだろ?」
「言葉の綾だっ! あれはギアスや俺の正体を知っている事を指しただけだっ!」
「ああ、なるほどな。つまり遊びだったわけだ。……ん? ルルーシュ。君って意外と酷いな」
「人の話を真面目に聞けー!」
ルルーシュ思ふ。『こいつC.C.に似てきたか感化されすぎなんじゃないか』
時刻は既に早朝だが団員達はまだ寝静まっている。ルルーシュは衣装を着替え作戦の準備をはじめた。
「流石だな。これだけお膳立てされていれば、後は中華連邦との取引だけでいけるな」
「あくまで脱出だけはな」
ルルーシュとライのネック。それは行政特区日本だった。二人はナナリーの気持ちを踏み躙りたくはない。
だが、二人が選んだ道は必ず犠牲が出る。その最たる人物がナナリーだった。
逆にナナリーを全ての中心に据える事は危険でもある。
「これだと総領事館での君の言い訳が仇になるな」
「だが他に道は無い。進むと決めた以上は今更引き返せないからな」
ユーフェミアの願い。ナナリーの願い。今はそれを踏み台にするしか選ぶ道はなかった。
C.C.は二人がゼロの自室に入ってきた時に目を覚ましていたが特に口は挟まないでいる。
全てを知っている彼女。そこから予見しうる状況について気になる事があるのも当然だろう。
「ライはどうする気だ」
「俺の補佐からは外す。当面はKMF隊の総隊長でいいだろう」
密談は進む。それぞれが秘め事を抱えていても道は進んでいけるのだ。
ルルーシュはライの内務の全てを引き継ぎ、彼にはKMFに専念してもらう事にした。
ライも今はそれが妥当だろうと納得している。今は騎士団も戦力不足だ。
支援
支援
「ラクシャータ達と合流すれば状況も変わる。後は――――――」
「ブリタニアの出方次第だな。正直、僕でも予測し辛い部分がある」
ライが四方に手を伸ばしていても全てを知っている訳ではない。
流れをコントロール出来る部分以外となれば彼にも予測は出来なかった。
「とりあえず十時には団員達への説明をする。それまで待機していてくれ」
「わかった。なにかあったらまた言ってくれ」
ライが返事を返して部屋を出て行ったのを確認したルルーシュはC.C.に問い詰めた。
「あいつ……随分と疲れていたが何があった?」
「周りをおんぶに抱っこしていたからな。自業自得といったところだ」
ベッドに寝そべったまま言うC.C.に、ルルーシュは文句を言わねばならない事を思い出した。
そう。自分とカレンとの事をライに誤解させた事を。
「ライをからかうのは大概にしろ。おかげで俺は―――――」
「事実は事実だろう?」
「言葉遊びをするな。アイツの性格を少しは考えろ」
「一年もあれば人間は色々と変わるものだぞ。気持ちも含めてな」
一年という時間の隔絶。時間が経てば人は変わる。ナナリーの様に強くもなれる。
その隔絶の中で友人である枢木スザクとのすれ違って出来た溝を埋められるのか。
ルルーシュはどう思っているのだろうか。C.C.の言葉を最後にその場は沈黙した。
時刻は十時。説明の時間となり幹部の全員が会議室に集まっていた。
無言の空間。その無言を切り裂くようにルルーシュは口を開いた。
「まずは、行政特区日本についてだが―――――」
真っ先に特区についての話題が出て僅かに場が揺れた。
「私はこれに反対する気は無い」
「ゼロ様!?」
「戦わずに済む方法があるのか?」
支援
支援
神楽耶は驚いているが、扇は自分を平静にしてルルーシュに質問した。
だが、頭を横に振りノーの答えを示している。
「まさか、ブリタニアの中から変えるつもりか? 我々は―――――」
「では聞こう。藤堂よ、戦い抜いたとしてお前は日本の独立だけが果たせれば良いのか?」
その問いは藤堂にだけ向けたものではなかった。所属している全ての団員への問いでもあった。
ルルーシュは戦い続ける道を選んだ。今更許しを請えないのならと、彼は自分を落とした。
ライは彼が何を思っているのか読もうとしたが、仮面の下の表情は見せない。
そこにいるのはルルーシュではなく、完全なゼロだった。
「私はブリタニアに勝たねばならない。日本の独立はその過程の一つだ」
結果的に日本は救われる。そういう意図を込めた言葉にカレンは反応してしまう。
『そうやってまた利用する気なのか』と。それを言おうとしたのだが、ライがそれを抑えた。
今は黙って聞いていろと目で語っている。
「だが、君達の目的はあくまで日本の独立だ。ここから先の事は私の一存でしかない」
「つまり、各々で独立の形を選べ。という事か」
「そうだ。特区からでも時間はかかるが独立は成せる。だが、私はブリタニアと戦わねばならない」
ゼロの考えが読めた藤堂はそこで言葉を止めた。
騎士団は日本を独立させる為に戦っている。だが、ルルーシュはその先を求めていた。
他のエリアの独立。合衆国から次なるステージへ。世界を見据えた戦略の全てを。
それが彼なりに見つけた戦う理由だった。
「先程も言ったが、あくまで私の一存だ。無理に従う必要は無い」
その言葉に会議室は揺れた。ルルーシュは騎士団を駒としての扱いをやめたのだ。
ライに以前聞かれた言葉。それをようやく実践した。
「あくまで君達自身の意思で選んでもらいたい。私に出来るのは旗印になる事だけだ」
愛する妹の前で仮面を暴かれた事。学園で思い知った願いのカタチ。それは彼を支える強さをより強固させた。
たとえ孤独の道だったとしても、彼は迷わないだろう。彼の横には同じ道を選んだ少年がいるのだから。
「承知した。日本の為、そして世界の為だと言うのなら。私は君についていこう」
支援
支援
藤堂の言葉に四聖剣も強弱はあれど頷いた。だが扇や神楽耶、他の幹部達はまだ悩んでいた。
その気持ちを汲みたいライは口を挟む事にした。
「ゼロ、作戦を開始するまで時間はある。それまでを考える時間にしよう」
ライの言葉にルルーシュも頷き、明日の夜までを期限とする事とライを自分の補佐からKMF隊の総隊長にする事を告げる。
そのまま会議は終わり、ルルーシュとライは会議室を後にした。
「……ライ。俺は―――――」
「君に後悔をさせる気は無いよ。僕も後悔はしない」
ルルーシュの一抹の不安をライは払拭した。互いに道が離れたとしても、目指す場所は同じだと。
「たとえ志半ばで敗れたとしても、僕は君の所為にはしない。それに僕達はどんな事をしてでも―――――」
「ああ。ナナリーやみんなを守らないといけないからな」
互いに内に秘めた願いと罪。彼等の選択は世界をどこへと辿り着かせるのだろうか。
ライはルルーシュに学園へ戻る事を伝えてから偽装船を離れた。
車で学園に到着した時、時刻は放課後を指していた。
教職員用の駐車場に車を停めて降りた辺りで、ライは見つかっては不味い人物に会ってしまう。
「あらら。これはちょっと見過ごせないわね」
「なぜこんなところに……」
車に鍵を指した状態のまま首だけ声がした方に向けるとミレイが立っていた。自慢げに腕を組んで。
ミレイは学園を訪ねてくる要人の出迎えに来ていたのだが、それを一旦置いてライに狙いを定めた。
さながら獲物を狙うライオンと狙われたウサギである。
「無免許で車を運転。あげくに教職員用の駐車場に停めるなんていい度胸してるわね」
「免許はちゃんと持ってますよ……それに車はヴィレッタ先生のだから問題はないでしょう?」
ライの口からヴィレッタの名前が出た事より、免許を持っている事にミレイは驚いた。
普通の学生は免許を持っていないものだ。リヴァルはまた違うが。
「それは意外だったわ。他にも免許は持ってるの?」
「バイクに小型船舶。後はK……ないです」
ライは危うくKMFに騎乗できる事を言ってしまいそうになり、慌てて訂正した。
支援!
支援
ミレイはライの経歴に好奇心が擽られたが、彼宛の預かり物があった事を思い出す。
「貴方に手紙よ。政庁からみたいだけど」
ライは政庁から手紙が届いた理由がわからず、不思議そうな顔で渡された封筒を見つめている。
封を開けて見た中身。それを見て彼はこれを有効活用する事にした。
ミレイに車の件等を謝罪して、彼はヴィレッタがいるであろう学園地下にある機情の司令室へと来た。
部屋に入ればそこにはロロとヴィレッタしかおらず、ライは行動を起こす事にした。
「ヴィレッタ卿、貴方にお願いがあります」
「それより、ルルーシュはどうした?」
太平洋上の時と違い、ライが無断でルルーシュを外に出したのをヴィレッタが咎めようとした時。
その時にロロはライの目配せに気付き、銃を取り出し彼女に突きつけた。
「なっ……ロロ!? まさかライ卿もか!」
ライが以前に言ったルルーシュが機情局員を掌握すると言った事が今、彼女の目の前で完全な形になった。
彼女は冷や汗が流れるのを感じながらライを見たが、いつもと同じ無表情のままだった。
その表情を変えないまま、彼はミレイから渡された封筒を机に投げた。
「中身は本国から下された辞令が書かれたものです。それを踏まえた上で―――――」
ヴィレッタが記されている辞令書を読み上げた時、表情は驚愕に包まれた。
何が書かれているのか。ロロにはわからなかったが、そこまで驚くものなのかと不思議そうな顔をしている。
「ヴィレッタ卿には本国へ行って貰いたいのです」
ヴィレッタにその要件とルルーシュの件は極秘にする事を念を押してライは伝えた。
彼女も少し悩んでいたのだが、それに合意して司令室を後にした。
ライとロロの二人だけになった部屋に通信が入る。その画面に表示された人物を見て、ロロは一瞬だが萎縮してしまう。
「む、ヴィレッタはいないのか……おお! 我が同志ライ卿ではないか!」
「ジェレミア卿、気軽に通信をしては駄目だと言ったはずなんですけど……」
通信をしてきたのはジェレミアだったのだが、ライは慌てたりしていないがロロは戸惑っていた。
「急を要したのでな。非礼については全力で詫びよう」
「それならいいんですけど……で、V.V.から何か言われたんですか?」
支援
支援
椅子に腰を下ろしてライは画面に視線を戻した。ジェレミアは頭を振って違うと答えている。
ロロは自分や兄達の事が露見したのかと不安そうな表情になったが、ライはそうでもなかった。
「ナナリー様がエリア11の総督になられたというのは本当なのかね?」
「本当ですよ。ナナリー皇女殿下の身の安全も今は保障されています」
ナナリーの傍には今ナイトオブラウンズが三人いる。たかが一人の皇女には望外な処置だ。
ジェレミアは安心したのか頷いているが、ライは自分の中の疑惑がより確かな物になるだけだった。
その後は叱咤激励をされて、ライは苦笑いしながら通信を終えた。
ロロは何事もなく終わったのに安堵したのか、表情が少し柔らかくなった。
「V.V.の道具らしくないな。表情が人間らしいぞ」
「っ!? もう道具なんかじゃありません、僕は兄さんの弟です!」
「道具じゃなくロロ・ランペルージとして生きる、か。いい答えだと思うぞ」
ロロの返事を聞いたライは表情を少し緩めて、椅子から離れていく。
彼は先程からのロロの表情の変化が気になっていた。
自分と一年前にはじめて出会った時と比べると随分と豊かになっていたからだ。
そのまま部屋を出て行く彼を眺めながらロロは何を思うのだろうか。
「前にも言ったが好きなようにしたらいい」
「どうして、僕をそこまで気にかけるんですか?」
ロロに背中を向けたまま彼は何を思うのだろうか。
「お前を見ていると一年前の僕を思い出すから、かな」
まるで願い事を託すかのようにライはそう呟いた。
時間は特区設立の式典まで後一日にまで迫っていた。結局、団員達からの脱退希望があったのは十数人だけ。
行政特区への参加もゼロからの日本人への促しもあり、二十万人にまで増えている。
それ等とブリタニア側との密談の概要を、ルルーシュから聞いていたライだったのだが。
今こうしてまた同じ話をする事になった理由を思い浮かべていた。
「事務レベルで済む話だった筈なんだけどね……」
支援
支援
支援
政庁の屋上にある庭園で彼はスザクと話していた。学園の制服とラウンズ用のスーツを着た二人。
この場にいるには少々変な組み合わせだった。その感想を彼等の傍で携帯を弄っていたアーニャが漏らした。
「変なの……」
「我慢してくださいアールストレイム卿。僕にも事情がありますので」
アーニャは嫌味をたっぷり含ませて漏らしたのだが、ライはさらり流してしまう。
その何もかもを流す彼の態度に彼女はまた不機嫌になった。
スザクは話を再開しようとしたのだが、書類へのサインを求めてきた兵士によってまた中断させられる。
「枢木卿を襲ったイレブンの死刑執行命令です。ラウンズ以上の方の承認をもって刑は執行されます」
渡された書類を見つめながら動きを見せないスザク。それをただ眺めているライ。
静寂に包まれた場。それを壊すかのようにアーニャは書類を手に取り自分のサインをした。
彼女もラウンズでありサインを行なえる立場にある。
サインされた書類を受け取り兵士が下がっていくのを見届けた後、アーニャは再度口を開いた。
「怨まれているのを知っていて、エリア11を志願したナンバーズの英雄……日本を裏切った男……ゼロの仇……」
アーニャは淡々とした口調でスザクのあらましを述べていく。日本という国は既になく、ナンバーズから英雄になった男。
日本人でありながら日本の希望を壊した男。その妬みと憎しみ。それでも彼は戦っていた。日本の為に。願いの為に。
「貴方って……マゾ?」
アーニャの最終的な感想にスザクは苦笑いしているが、ライはガクッと頭を垂れていた。
流石にそういう表現はないんじゃないかと思ったのだろう。
その質問への答えをスザクはゆっくりとアーニャへ語りだした。
「誰かに理解されたいとか、そういうのはもういいんだ。前にもわかってくれた人がいたから……」
スザクの表情が少し暗くなる。その人物は彼の親友によって一年前に亡くなっている。
それをライはただ黙って聞いていた。その原因は自分なのではないかと責めるかのように。
「それに僕は元々罪人だし……それに今は少し違っているからね」
そう言ってスザクは俯いて何かを思い悩んでいるライを見た。
支援
支援
スザクの茨の道。それを理解して、それでも応援してくれている友人を彼は見た。
そのライは無力感に苛まれていた。一年前に彼等を守る為に離れた結果がこれなのかと。
親友同士が戦う以外の道筋を示せない自分の無力。二人とも大切な友人なのに守れない心の弱さ。
その現実の前にライはただ自分を責めるしか出来なかった。
無言のままスザクの視線を見据え、ライは返事を返そうとしたのだが乱入者によって阻まれた。
「おっ。ライもいたのか、丁度いい。俺は君に会いたかったんだぞ」
砕けた口調のままジノはライに話しかけた。ちなみに砕けた口調の原因はライだった。
庶民の文化に興味があったジノはスザクに聞いたのだが、イマイチ掴めない部分がありライにも聞いたのだ。
ライはとりあえず畏まって話さない事や一人称の話をしたのだが、ライの偏った知識の結果がこれだった。
「ヴァインベルグ卿。砕けた口調はいいんですが、もう少し気をつけないと」
「その点は大丈夫だよ、私も一応は貴族だ。ちゃんと気をつけているさ。それよりも君が砕けてくれない事が重要だ」
「僕はヴァインベル卿より目下ですから駄目です。こういうのは普段から気をつけないと」
そういうライにジノは年は近いんだからと言っているがライは中々に折れない。
スザクもそれを突っ込んだのだが、逆にライから君もだろと返されてしまう。アーニャはといえば携帯弄りに戻っていた。
ライに直接言ったのでは解決をみないと思ったのか、ジノはアーニャに振ったのだが。
「ライ……命令よ、砕けなさい……」
「砕けるの意味が違う意味に聞こえるんですが……そこまで嫌いですか?」
「そうね、貴方はキライよ……」
「アーニャ、そういう言い方は良くないよ。ライに負けたのが悔しいのはわかるけどさ」
「私が嫌いなのは別の理由よ……」
ライとアーニャは一度だけだが模擬戦をした事がある。その際に狙撃戦へと移行した時にライは勝ってしまった。
偶然と運。それと彼女の油断もあったのだが、それを気にしているわけではいない。
彼女は慢心からの負けだとは自覚している。嫌っている本当の理由はライの性格だった。
アーニャは過去と現在で記憶の相違があった。そしてライも記憶喪失の経験がある。
お互いに記憶に相違がある。しかし、ライは一部だが記憶は戻っている。
支援
それでも彼は自分は自分だとアーニャに言い張った事があった。
過去の出来事を悔やみ受け止めて、それでも強く自身を律する姿。
アーニャがライを嫌いな理由は、そうやって自分だけでどこまでも抱え込むところ。
そして自分の記憶が戻った時。同じようにしていられるかわからない不安からだった。
結局、式典当日にならないと何が起こるかわからないが結論だった。
ライはスザクとアーニャを総督の護衛にした方がいいという案だけを出して政庁を離れた。
車に乗り込みヨコスカ港に停泊中の偽装船へと戻り、ルルーシュに顔を見せたのだが。
既に航路と目的地。そしてプランの概要をまとめて終えていた。
ライはその概要書を受け取り読んでいたのだが、ルルーシュに明日の作戦時刻まで体を休ませろと言われる。
「疲れを溜め込まれたままで出撃されては不安だからな。今回のキーパーソンは俺だけではなくお前とカレンもだ」
作戦概要と決行日時は特区式典の当日。しかもその最中に国外逃亡するという少々無茶な作戦だった。
準備が出来る手段も限られており、対策案として中華連邦に移動手段と貸与地区を用意してもらっている。
「黎星刻。随分とお前を気に入っているようだな、ゼロへと同じくらいの興味を示していたぞ」
「君がいない間に矢面に立っていたからだろうな。ゼロの身代わりに使えるかどうかってところだろ」
概要書から目を離さないまま返事をするライを見たまま、ルルーシュは星刻の事を考えていた。
(これを好機と読んだのか。中華連邦の麒麟児、目的はなんだ?)
ルルーシュが考え事に集中している間、ライもKMFの運用に悩んでいた。
予想される交戦区域は海上であり太平洋の時と同じだ。しかし今回は色々と違う。
ラウンズが出た場合、相手は本気で戦いに来る。そして水中KMFも出てくる。
そのラウンズに関してはライが一応の対策はしたが、それでもトリスタンは出てくるだろう。
水中の敵。団員達の一部はこのまま偽装船で脱出するので、その護衛には紅蓮と青月を使う。
水中戦を考慮していないKMFでどう戦うか。ルルーシュへの挨拶もそこそこにライは自室に戻る事にした。
支援
支援
ベッドの上で概要書と見比べながら戦術プランを練っていたのだが、自分でも気付かない内に彼は眠ってしまう。
疲労等が泥の様に蓄積していたのもあったのだろう。悩みを全てを忘れて眠るその顔は年相応というよりは些か幼く見える。
そのまま翌日の作戦開始一時間前まで延々と眠っていたのだが、準備の時間の事もあり起こされる事になった。
「いい加減起きなさい。もう……どれだけ寝る気なのよ」
彼は寝惚け顔で起こしに来たカレンを見たのだが、頭がハッキリしないのもあり返事が少々変だった。
「なんでここにいるんだ……ここはルルーシュの部屋じゃないぞ……?」
「なんでルルーシュが出てくるのよ。もう一時間前よ、早く起きてシャキっとしなさい」
そういってカレンは布団を剥ぎ取ったのだが、血圧が低いのだろうか。ライはボーっとしたままだった。
五分後。ようやく頭に血が回ってきたのか、ライはのろのろとバスルームへと移動していく。ちなみに原因はただの寝過ぎ。
カレンはそれを見届けてからライの自室を見た。私物等は大してなく、あるのは騎士団で使うものばかり。
私物と呼べるのはハンガーにかけてある学園の制服。ライ専用の団員服のコートとパイロットスーツ。携帯等の小物位だった。
「随分と殺風景ね。まあ、貴方らしいっちゃらしいけど」
「ここは仮住まいだからな、持ち込む物は少なくしてある。すまない、タオルとパイロットスーツを投げてくれ」
シャワーを浴びてライは頭がハッキリとしたのか、着替え等を手早く終わらせた。
スーツのしなり等を確認しながら騎士団の制服に袖を通して、二人は連れ立って格納庫に向かう。
船は既に出港しており式典もはじまっていた。二人はKMFの点検目録に目を通しながらルルーシュの行動を待った。
「ねえ、ライ」
「なんだ? トイレなら早く―――――」
「違うわよっ! ゼロの事よ、ゼロの事」
「そっちの事か、なら心配するな。前とはもう違う」
質問したかった事を全て見透かされて頬を膨らませるカレンを巧みにあしらって、ライは青月への騎乗準備をはじめた。
その手馴れたやり方に整備員達も思わず笑ってしまう。そうこうしている間に決行時間が迫ってくる。
頬を膨らませたままカレンも渋々紅蓮に騎乗をはじめたのだが、文句が言い足りないのか通信を繋いだ。
支援
「ライ。帰ったら覚えてなさい」
「わかった。なら、忘れる事にする」
「あのねー!」
「冗談だ。面白くなかったか?」
「ぜんっぜんっ面白くない!」
「そうか……」
ライ式ブリタニア風ジョーク、作戦開始前に早くもカレンに撃沈される。何事もそうは上手くいかないものだ。
式典の放送を眺める中、ルルーシュはブリタニアからの国外追放処分の宣言を待った。
エリア特法を理由にゼロは国外へと追放される。そう、『ゼロ』は国外へと追い出される。
そして、ナナリーの側近であるアリシア・ローマイヤからの宣言と共に彼は再び立ち上がった。
『ありがとう、ブリタニアの諸君』
式典の会場にされた巨大スクリーンをジャックしてルルーシュは姿を見せた。
スザクはすぐに安全を保障する為に前に出たのだが、彼の返答は拒絶だった。
『敵の手は借りない。私は、私の力で出て行かせてもらう』
敵という言葉。それはブリタニアへの再度の宣戦布告だった。
その言葉にブリタニア人と特区に参加した日本人は驚いたが、ルルーシュが続けた言葉は少し違っていた。
『日本人とは、民族とはなんだと思う。ナイトオブセブン、枢木スザクよ』
その一風変わった問いに、スザクは戸惑ったがルルーシュは言葉を止めない。
『言語か。土地か。血の繋がりか。』
「どれも違う……大切なのは心だ」
『そうだな、私もそう思う。自覚。規範。矜持。つまり―――――』
ジノはゼロの言葉に耳を傾けながら、発信源の特定を待っていた。
このタイミングですぐに動けるのは自分とポートマンUを搭載した戦艦1隻とギルフォード率いる部隊だけだった。
ルルーシュは言葉を続けていた。心さえあればどこに住んでいても日本人であると。
「それとお前だけが国外へ逃げる事になんの関係がある」
支援
『それはあくまで人としてのあり方だ。国や故郷を奪われたままでは許せない事もあるだろう?』
紅蓮と青月は偽装船の甲板に待機している。その後ろでルルーシュは演説していた。
既に臨戦態勢。式典会場もざわめきが大きくなっていく。その中でスザクは気が付いた。
「まさか!?」
『そうだ。私はナンバーズ制度の廃止。そして神聖ブリタニア帝国という国を破壊する気を止める気は無い』
その宣言はブリタニアだけへの完全な宣戦布告だった。それと同時に発信源も特定される。
ジノは待ってましたといわんばかりにトリスタンを変形させ彼等のいる場所へと急いだ。
『ただ、勘違いはしないでもらおう。私は特区に反対ではない』
「ならなぜこんな事をする! あの時もそうだ、手を取り合う道も―――――」
『そうだな。私に手を差し伸べたユーフェミア皇女殿下も同じ事を言ってくれたよ』
ユーフェミアの名前を出されスザクは乱れそうになったが、それを抑えてゼロへの言葉を待った。
トリスタンが目視できる距離まで近づいてくる。紅蓮と青月は飛翔滑走翼を稼動させ応戦態勢に移行した。
『しかし、私と彼女の道を一度違えている。今回の特区への参加を促したのは、その時へのせめてもの謝罪だよ』
「ゼロ、君は一体……」
『だが私には……いや、私達にはそれでも戦わねばならない理由がある』
ギルフォード率いる部隊も追いつき、ポートマンUを載せた戦艦も迫っている。
トリスタンをカレンに任せ、ライはギルフォードの相手をしにいく。
「自分達……っ!?」
『全てのゼロよ、独立したければ立ち上がれ。そして、ナナリー新総督のご命令である国外追放処分を速やかに受け入れよ』
式典会場の近くにはルルーシュが中華連邦に用意させていた移動手段である海氷船が迫っていた。
その接舷場所には特区に参加していない日本人と団員達。
そして日本に不法滞在していた外国人など合わせて数十万人がいた。全員がゼロの衣装に身を包んで。
『私達は君達に宣戦布告をした。さあ、殺すなら殺すがいい』
支援
支援
「なんという事を……構いません! ゼロを―――――」
「ミス・ローマイヤ。それはなりません」
ローマイヤを射殺命令を下そうとしたが、それはナナリーによって止められた。
その行動にスザクは戸惑ったが事態は既に止めらない。
「一つ聞かせください。貴方が戦う理由はなんなのですか?」
『私にも守らねばならない物がある。果たさなければならない大義名分がある。その為ですよ』
ライは事前に考えていた策の一つ。輻射波動による海水を使った水蒸気を大量に発生させた。
視界を奪われ一瞬焦ったギルフォードめがけて、ライはスザクの様に機体を回転させてヴィンセントを一蹴する。
水蒸気を発生させた輻射波動の余波で海中のポートマンUの部隊も動きを流れに取られてしまう。
「……わかりました。エリア11総督、ナナリー・ヴィ・ブリタニアとして命じます。ゼロへの手出しをしてはなりません」
「総督!? 何をお考えなのですか、相手はテロリストですよ!」
「わかっています。ですが、ここで全ての決定を覆すという事はブリタニアのあり方を疑われる事になります」
「その為に数十万の労働力とゼロを見逃せというのですか!」
「ゼロは国外追放です。今ここで約束を違えれば、他の国民や特区に参加した日本人が僕達を信じなくなります」
スザクはローマイヤから銃を取り上げて、命令を出すのを制止した。
水蒸気に紛れてライとカレンは機体を中華連邦から貸与された蓬莱島まで下がらせる。
それを見たジノとギルフォードは唇を噛み締めたまま見送る事しか出来なかった。
「貴方はブリタニアが侮蔑されたのに見逃せというのですか」
「だからこそ、そういう不穏分子であるゼロを追放すべきではないのですか」
ゼロが完全な記号になり場の混乱を極めつつある。ジノ達も追跡しようにも総督命令の為に手が出せない。
スザクはこんな時ならライはどうするかを先程から考えていた。ここにはいない彼ならこんな時どうするか。
選ぶ選択はスザクやナナリーの願いを汲んだだろう。ライもその選択を選ぶと信じていた。あの悲劇を繰り返さない為に。
「ゼロ、約束しろ。必ず彼等を守り抜いてみせると」
「無論だ。それより君こそ守り抜く事だ。日本人を。行政特区日本を」
支援
支援
予想よりも交戦がかなり早く終わりカレンは安堵していた。
ここまで移動がスムーズに行なえたのもライが偽造した臨検書があったからだった。
疑惑の対象から外されていた事で作戦開始前に蓬莱島のかなり近くまで来れた理由はそれだった。
式典の中継を眺めながらライは何を思うのか。すれ違いを続ける三人。
自分の目的の為に彼等が今傷ついているのを、彼はどう思っているのだろうか
「今のあなた方の行動を私は認める事は出来ません。ですが、いつの日か手を取り合える事を信じています」
『私もそう出来る日が来る事を願っていますよ、ナナリー総督』
それは誰に向けた言葉なのだろうか。徹底抗戦の意思表示の中に残した講和への道。
(ナナリー。ユフィ。二人が実現したかったものとは違うが、今はこんな形で許してくれ……)
かつて起きた虐殺。それを逆手にとって行なった脱出劇。
互いにとっては辛い選択だが、黒の騎士団や特区に参加が出来ない人間を合法的に国外へ連れて行くためにはこれしかなかった。
日本から世界へ。神聖ブリタニア帝国からギアスを利用する現皇帝へ。戦いのステージは次へと進む。
いつの日か願いと贖罪を果たせると信じて、彼等はそれぞれの道へと歩みだした。
支援
今回はここまでです
全員で色々と好き勝手に明後日の方向へ…いいのかこれ?
次回は幕間って事でワンクッション挟もうかと思います
その次は中華料理…じゃない。中華連邦篇です。しんくぅ〜
文章量を減らそうとすると細かい描写が更におざなりに…悔しいのぅ…
では、失礼しました
支援
>>708 お疲れ様です
まあ感想を言うなら漏れはこう言うしかないですな
ヾ(o゚ω゚o)ノ゙プニプニ
>>708 GJです。
ただ『しかし、私と彼女の道を一度違えている』というのが気になりました。
>>711 そこは『を』じゃなくて『は』ですね。打ち間違いで申し訳ない
オール・ハイル・ぷにぷに!
>>708 ぷにぷに卿、GJでした!
黒の騎士団に対するゼロの言葉、これはかなりの乖離となりうるでした!
面白い、故に好きにやっちゃえばいーじゃん! と言いたい。
明後日だろうが明明後日だろうがどんどんやっちゃってくださいますか!
しかしこのライ、過労死するのでは無かろうか?
貴公の次の投下を全力を挙げて心待ちにさせていただきます!
>>712 申し訳ないとか書かれたらこっちが申し訳なk(ry
なにはともあれ、次回も楽しみに待っています。
>708
ナナリーとルルーシュが邂逅を果たしていることで
二人の意思が、動機がより早い段階ではっきりと立つことができているのですね。
ギアス編、軍人編を同時に切り回しているかのようなオーバーワーク、
ライの身が心配ですw
またの続きが読めることを心待ちに。
ありがとうございました!
10:00くらいから投下しようと思うのですが、支援してくださる方はいらっしゃいますか?
しえn
年下専門です、長編の続きを7レスほど投下します
タイトルは「優しい世界で目覚めて 第九話 再会のラウンズ」
・ギアス篇と学園篇の複合エンド後にしてR2終了後からの話
・ライは黒の騎士団入ってて学園篇エンドを迎えた、ルート的にはランペルージ兄妹メインに万遍なく頑張ったライ君
・ジャンル傾向はほのぼのしんみり系
・カップリングは現時点ではなし
・アフターに関しては情報が少ないため、自己解釈の要素を多分に含んでいます
「ハァ……」
「どうしたライ、元気がないな。船酔いか?」
「違うよ……結局、来る羽目になったなって嘆いているだけだ」
肩にミニルルーシュ、略してミニーシュを乗せたライは深い溜息を漏らす。
咲世子の訪問があってから五日後。
復興もほぼ完全に終わり、人の賑わうトウキョウの地。
ジェレミア、アーニャ、ライの三人はその中心地であるトウキョウ租界(元という冠がつくが)に足を踏み入れていた。
「さあ、二人とも私について来い! グズグズしていると置いて行くぞ!」
「人が一杯……」
何故かやたら張り切っているジェレミア。
うんざりした表情を隠さないアーニャ。
先導者二人はどんどん先に進んでいく。
「やれやれ、お前も往生際が悪いな」
「君が咲世子さんの来訪を教えてくれていればすんでいた話なんだけどね」
「仕方ないだろう。教えようと思ったらお前がアーニャが同衾していたのだから」
「同衾とか言うな!」
さりげなく失礼なことを言ってくる親友に思わず怒鳴ってしまうライ。
「……どうしたの?」
声が聞こえたのか、アーニャが振り返ってきた。
しかし、なんでもないというジェスチャーを送り事なきを得る。
「声が大きいぞ。俺の姿は他の者には見えないのだから自重しろ。変人に思われるぞ」
「クッ……」
もっともなことではあるが、原因であるルルーシュに言われるとかなり腹が立つ。
それでも、なんとか気を落ち着けて深呼吸。
変装のために被っている帽子を深く下ろし、目元を隠す。
ライは先を行く二人に置いて行かれない様に歩を進めていく。
そうこうしている内に見えてきたのは立ち並ぶビル群の中でも一際の高さを誇る建物。
それこそが今日から数日間、ジェレミア一行が宿泊する予定の超高級ホテルだった。
sien
『それでは、今日のニュースをお伝えします。今日の午後からは超合衆国の各国代表によるサミットがここトウキョウで―――』
ホテルのラウンジに備え付けられたテレビ画面の中で、ライの良く知る美女がニュースを読み上げている。
ミレイ・アッシュフォード。
ルルーシュと共に自分を発見し、アッシュフォード学園に運んでくれたいわば恩人の一人である。
聞いていた話では、お天気キャスターになっているという話だったが、どうやら幅広い活躍をしているようだ。
キリリと凛々しさと美しさを兼ね備えた表情でニュースを読むミレイは記憶の中の彼女とは重ならないものだったが
それだけこの女性が大人に成長したということなのだろう、とライは友人の活躍に目を細める。
「……ライ?」
そんな少年の様子に興味を抱いたのか、隣の席に座っていたアーニャが名前を呼んでくる。
ちゅるちゅるとオレンジジュースを飲んでいる桃色髪の少女はどことなく不機嫌そうだった。
「アーニャ、ここでは僕はライじゃない。青月ハルトだ」
「別に誰も聞いていないから平気」
涼しげな顔でそうのたまうアーニャはジュースを飲み終えたのかストローでからからと氷をかき混ぜる。
相変わらずの無表情だが、やはりどこか顔色に負の感情が浮かんでいるように見える。
「いや、そういう問題じゃ……」
困ったように呟くライだが、さっぱり少女の不機嫌の理由がわからない。
こういう時に頼りになるのはジェレミアなのだが、彼は今この場にはいなかった。
チェックインがすんだ後、ジェレミアは妹に会うからと即座に二人を置いて立ち去ってしまったのだ。
「……ミレイに、見惚れてた」
ぼそり、と呟かれた言葉はライの耳には届かなかった。
(やれやれ、困ったな……)
すっかり機嫌を損ねてしまったらしい少女に困惑しつつ、ライは肩をすくめる。
ルルーシュもジェレミアと同じく、妹であるナナリーに会いに席を外しているためこの場はアーニャと二人きりだ。
二人が今いるのはホテルのラウンジなので勿論他の客はいるが、顔見知りでもない以上彼らは案山子と変わりはない。
(まあ、アーニャのことだから人がいる時はちゃんと呼んでくれるとは思うけど)
青月ハルト、というのはライが考えた偽名である。
いつどこで知人に会うのかわからない以上、変装と偽名は必須。
その旨をアーニャとジェレミアには伝えてあるのだが、なかなか油断のできないトウキョウ滞在のようだった。
ちなみに、青月というのはライの搭乗機であった青の月下から。
そして、ハルトはライの本名であるラインハルトから取ってつけられた名前だったりする。
sien
sien
私怨
「そうだ、アーニャ。この後の予定はどうなっているんだ?」
「特に決まってない。夜までは暇」
機嫌が悪いとはいえ返事はきちんと返してくれるあたりがこの少女らしい。
ライは微笑ましさを覚えつつも慎重に言葉を選ぶ。
「じゃあ、よかったら僕と一緒にトウキョウを出歩かないか?」
「え……」
「ほら、僕もトウキョウに来るのは久しぶりだったしさ。だからアーニャに案内して欲しくてさ」
一息に言い切られた言葉に、アーニャは沈黙を返した。
言い方が悪かったか?
ライの表情に緊張が浮かぶ。
「……構わない」
しかし数秒後、コクリと確かに頷いたアーニャの仕草に少年は安堵する。
少女が纏っていた負の空気も同意の返事と同時に霧散した様子。
どうやら、上手くいったようだった。
王時代、自分の妹もこうしてお出かけに誘えば機嫌はすぐに直ったものだ。
桃色髪の少女は妹ではないが、年齢は妹に近い。
性格も外見も妹とは似ていないアーニャだが、どこかこのやり取りに懐かしいものを感じてしまう。
『それでは、また明日お会いいたしましょう。ガァ〜〜〜ッツ!』
(ぷっ……!)
感傷にふけりかけていたライの耳に、これまた懐かしい響きが届いた。
ミレイがよくハッパをかけるために使っていたガッツの魔法。
それをテレビ画面の中の彼女はお別れの挨拶代わりに使っていたのだ。
大人っぽくなったな、と感心したのも束の間。
やはり彼女は相変わらずミレイ・アッシュフォードのままであるらしい。
どこか呆れたような、ほっとしたようなそんな二つの感情でライは場面が変わるテレビ画面を見ていた。
「……ライと、二人きりでお出かけ……デート……これ、デート?」
一方、アーニャは幸いにもそんなライの様子を見てはいなかったりする。
元同僚であるジノから教えてもらったデートという単語が今の状況に当てはまることに気がつき、口に出していたのだ。
支援
sien
紫煙
(……? どうしたんだアーニャ、突然ブツブツと……)
自分の言動のせいだとは全く気づかずに、ライは突然一人の世界に突入した少女を不思議そうに見やる。
と、その時。
アーニャの後方から一人の少年、否、青年が近づいてくるのが見えた。
年齢は自分と同じくらいだろうか。
サラッとした金髪に、無駄なく着こなされた服が育ちのよさを窺わせる。
浮かべているさわやかな笑みはどこか子供っぽさすら感じさせるが、鍛えられていると一目でわかる体躯がアンバランスさを醸し出していた。
顔立ちは美男子と評しても過言ではなく、やや童顔気味な自分とは違い、大人の男を感じさせる。
只者じゃない―――僅か数瞬の観察でライは青年の戦闘力を推し量っていた。
恐らくはアーニャやジェレミアと同等、つまりはラウンズ級の戦闘力。
自分かアーニャを狙った暗殺者か何かか?
ライはいつでも反応できるように腰を僅かに浮かせ、臨戦態勢をとる。
(しーっ!)
が、金髪の青年が取った行動は予想を裏切るものだった。
人差し指を立てて口元に当てる、いわゆる「静かに!」のポーズをとると足音を殺してそろそろと近づいてくる。
どうやら、目的はアーニャのようだ。
途端に毒気が抜かれたライは腰を下ろし、完全に傍観の構えを取った。
青年の態度からして彼はアーニャの知り合いなのだろう。
演技ということも考えられるが、危害を加えるつもりならば行動が幼稚すぎる。
別にアーニャに合図を送ってもよいのだが、人懐っこそうな青年の様子を見ていると、何が起きるのかという興味のほうが勝ってしまった。
やがて、少女の背後に立った青年はそろりと両手を伸ばすと―――
「だーれだ?」
アーニャの目を隠して、そうのたまった。
「……」
ピクリとも動かずに沈黙するアーニャ。
普通いきなりこんなことをされれば悲鳴をあげるのが筋だというものだが、彼女は流石に元ラウンズというべきか、動じていない。
す、と少女の手が持ち上がり、自分の目を隠す両手を掴む。
そして次の瞬間。
「おわっ!」
青年の身体が宙を舞った。
sien
四円
負けられない支援がある
突然の事態に周囲の人間の悲鳴が飛ぶ。
しかし投げ飛ばされた金髪の青年は空中で体勢を立て直すように一回転すると、軽やかに着地。
「どうもどうも」と何事もなかったかのように周囲に手を振って無事をアピールする。
(凄いものを見たな……)
一連の状況をずっと見ていたライは感心の息を吐くほかなかった。
アーニャに気配を悟られずに背後をとったこともだが、あそこまで完璧に投げ飛ばされて体勢を立て直した身体バランスは驚愕の一言だ。
自分にできるか、と問われれば肯定を返すことはできるが、果たしてあそこまで完璧にできるかどうかはわからない。
「いきなり何をするの」
私怒ってます、とばかりに席を立ったアーニャが青年を睨みつける。
背後を取られたことが悔しいのか、それとも投げが通用しなかったのが不快だったのか。
多分両方だろうな、とライは心の中で呟いた。
まあ、背後を取られたことはさておき、アーニャの投げは完璧だった。
見ているこちらが惚れ惚れするような柔の投げ技。
これが「投げ飛ばす」ではなく「投げ落とす」だったならば結果は別だっただろう。
しかし、そうしていれば大惨事になっていたと思われるためアーニャの判断は間違いではない。
それでも悔しいものは悔しいのだろう、ライは負けず嫌いの少女に苦笑するのだった。
「よう、久しぶりだなアーニャ」
「……」
自分のしたことなど忘れたとばかりに軽い感じで挨拶する青年にアーニャは無言を返す。
それはそうだろう、いきなりあんなことをされて怒らないはずがない。
相手が恋人であれば別かもしれないが、アーニャの態度を見る限りその線はなさそうだ。
「おいおい、私のことを忘れてしまったのか?」
そんな少女の怒りを我関せずとばかりに無視して話しかける青年。
ライはこの唯我独尊っぷりに、呆れる前に感心すら覚えてしまう。
「……久しぶり、ジノ」
やがて、諦めたのかアーニャは仕方なさそうに返事をした。
まだ機嫌は直っていないように見えるが、知人との再会に喜びがあるのも確かなのだろう。
僅かに少女の雰囲気が緩んだのをライはしっかりと気づいていた。
sien
「なんだ、相変わらず無愛想な奴だな」
「ジノがなれなれしすぎるだけ」
「そうかぁ? 昔はこれくらいのスキンシップは当たり前だった……あ、そうか」
ポン、と手を叩くジノと呼ばれた金髪の青年。
そして彼はアーニャの傍を通り過ぎると自分の目の前に立ち、ジロジロと観察してくる。
これには流石のライも戸惑い、居心地が悪くなってしまう。
「あ、あの、何か?」
「ふうん、ほう……なるほどね」
一人勝手にうんうんと何事かを納得した青年はニカッと笑うとアーニャに向き直った。
「そうかそうか……いや、悪かったなアーニャ。そうだよな、彼氏の前であれはまずかったよな」
「へ!?」
「かれ……し?」
ライの驚愕の声と、いぶかしげなアーニャの声がはもる。
しかしジノはすっかり自説に浸っているのか、満足気に頷くばかり。
「しかしアーニャも結構面食いだったんだな。かなりの美男子じゃないか、それに見かけによらず良く鍛えられているようだし」
「いや、僕は」
「ジノ、彼氏って?」
「恋人だよ恋人、要するに将来結婚する仲の異性だ。それとも、もう式はあげたのか?」
「こいびと……けっこん……!?」
ぽ、と人目でわかるくらいにアーニャの頬が赤く染まる。
流石にここまでストレートに言われれば常に無表情な少女といえども反応をするようだ。
だが、ライにはそんな可愛らしい反応を楽しんでいる暇はなかった。
何やらとんでもない勘違いをされていると今更ながら気がついたのだ。
「いえ、僕達はそんな……!」
「いいっていいって、全部わかってるから! お、そうだ。そういえば自己紹介を忘れていたな。
私はジノ・ヴァインベルグ。アーニャと同じ元ラウンズでナイトオブスリーだった者だ、よろしく」
差し出された手を反射的に握り、握手をしてしまう。
握り返された手の握力は流石はラウンズとばかりに強いもので、ライは思わず負けじと力を込めた。
しえん
しえn
「お……結構やるなー」
「あ、す、すみません!」
「気にするな。それより、君は私と同じくらいだろう? 敬語を使う必要はないぞ。呼び方もジノでいい」
「あ、ああ……わかったよ、ジノ」
「よろしい!」
そう言って朗らかに笑うジノの表情にはまるで邪気というものが感じられない。
ライからすれば、ジノは初めて出会うタイプの人間だった。
「私と、ライが……」
ふと、呆然と立ちすくみながら独り言を呟いているアーニャが視界に入る。
ぼうっと夢見る乙女のような眼差しでどこかを見ている少女は明らかにいつもの彼女ではない。
今の彼女には触れないで置こう、ライは固く誓った。
「そういえば、そっちの名前を聞いてなかったな。なんていうんだ?」
「ラ……ハルト。青月ハルトだ」
「へえ、ブリタニア人に見えるけど名前は日本人なんだな。ひょっとしてハーフか?」
「ああ」
イレブン、ではなく日本人と表現したジノにライは好感を抱く。
合衆国日本としてブリタニアの支配から脱却した日本ではあるが、未だにブリタニア人からはイレブンと呼称されることは多い。
まだ世代交代も行われていない時代なのでそれはむしろ当たり前とも言えるのだが、ジノは違うようだ。
つまりは、それだけ彼が日本に対して差別がないということになる。
どちらかというと心情的には日本人に近しいものがあるライとしては、ジノの態度は好意的に映っていた。
「そりゃ奇遇だな。実は私の知り合いにも一人ハーフの女性がいるんだ」
「それは凄い偶然だね」
「だろ? 紅月カレンって言うんだが―――」
「ぶっ!?」
ジノの口から出た名前にライは思わず吹き出した。
何故なら、その名前には物凄く聞き覚えがあったからだ。
「ん? どうしたんだいきなり吹き出して……そうだ、ちょうどいい! 今カレンもここにいるから是非会ってみてくれ」
きっと気が合うと思う、そう続けるジノの言葉を既にライは聞いていなかった。
視界の隅にチラリと映った赤の髪。
それは間違いなく、自分の良く知る女性のものだったのだ。
投下終了、支援感謝です。
サラッと書きましたが、このSSにおけるライの本名はラインハルトです。
流石に本名に関しては出尽くした感があるので被るのは避けられなかった…
し・え・ん
んーーカップリングはなしと言いつつ現状はライ×アーニャとしか思えない状態だなぁ
ナナリーとノネットに勝ち目はあるのかね
カレンの奮闘に期待
ここでカレン登場!
混戦必至w
ジノの、いかにも彼らしい登場の仕方に笑ってしまいました。
年下専門さんのライは、他のキャラクターとの距離感が心地よいですね。
誰が相手でも、掛け合いが絶妙で楽しいです。
次回が読めるのを心待ちに。
ありがとうございました!
青月ハルトとしてしらを切るしかないな
>>741 年下専門卿、GJでした!
なんかズレてるライ、そのズレに気付かずにトリップするアーニャ
い・や・さ・れ・るー!
そしてジノ登場……さらにカレンだと!?
ライと同じタイミングで吹き出しちまったぜ!
しかし、ミニーシュ、か……なんか餌付けしたくなるw
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!
と、すみません。
本文7レス目の20行目が『人目』ではなく『一目』でした。
申し訳ありませんがトーマス卿、保管時に訂正願います。
ついにカレンの登場いったいどうなるのか楽しみです。次の投下も楽しみにしています
>>748 修正しました
〜業務連絡〜
保管システムの、スレッドからSSを抽出するロジックを改造しましたのでお伝えいたします。
・IDだけではなくトリップでも抽出できるように改良。これにより、日付や複数回線(PCと携帯)の
併用でIDが(たとえ、一つのSS内でどれだけ)変わっても容易にSS部分を抽出できる
・レスの先頭にレス番号、行の先頭に「そのレスの何行目か」を記述(0029-0720のソースを見て
ください。以降これでいきます)。修正関連は作者本人がメールで全文を送付するのがいいのは
これまでと変わらないが、第三者がピンポイントで誤字などを伝えるのが更に容易になる
以上です。
す、すごい……まさか手動で打ち込んでるんですか?>レス番号
752 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/25(土) 21:28:57 ID:DUH23MBs
これはっ!!!・・・・全力で支援。
先ほどナナリー誕生日SS書き上げましたので
誤字等の確認後
2300より全力で投下したいと思います
支援が可能なら全力でさせて頂く!
あんまり長く空けすぎるのは他の方が投下しにくい!
ということで大幅にフライングでス!
まえがき
タイトルは……最高の笑顔、です
注意事項
・ライナナです
・まえがき〜あとがきまで5レス程度、支援は不要なのです
アッシュフォード学園の中庭、そこには仲のよい兄妹?が共に歩いていた。
いや、歩いていた、では語弊が有るかもしれない。
何故ならばその妹は歩いては居ないのだから。
「ナナリー、ここはやっぱり風が気持ちいいね」
銀髪の青年が栗色の髪の少女に話かけると、少女は微笑みながら答えた。
「そうですね、ライさん」
しかしながらその表情には幾分かの陰りが見えた。
ほんの少し、注意深く見なければ分からないほどの陰りが。
「どうしたんだ? 具合でも悪いのかい?」
そのわずかな変化に気付いた青年は心配そうに声をかけた。
「いえ、なんでもありません」
「……ならいいんだけど」
そう言って青年は再び車椅子を押し始めた。
(……最近ライさんがよそよそしい)
少女……ナナリーの不安の原因はそれであった。
一週間ほど前から彼の動向が怪しいのだ。
一度問いかけてみたが「なんでもないよ」と返されてしまった。
彼の手を握りしめ同じ質問をしてみると、嘘をついていることが分かった。
しかし、それだけだ。
何故嘘をついているのか、どんな嘘なのかは分からずじまい。
それがよりナナリーを不安にさせた。
「じゃあまた後で」
「はい、また後で」
部屋を後にする青年の足跡をナナリー
部屋を後にする青年の足跡をナナリーは一人聞いていた。
「ライさん……」
その呟きに答えるものはおらず、声は虚しく部屋に響いた。
彼……ライとナナリーは恋人同士である……彼女の兄、ルルーシュもそれは渋々認めている。
二人の心は通じあっている、ナナリーはそう思っていた。
しかしながら最近、どこか上の空になりがちなライを感じると疑問に思う。
(私のことを好きでは無いのかもしれない)
もちろんそれはすぐに否定した、が捨てきれない考えであった。
自らの身体、足が不自由であり目も見えない、を考えればあり得ないことではない。
同情心から付き合っているだけかもしれない……その恐ろしい考えは正しく思えた。
彼の周りには自分より魅力的な女性がいるのだから。
一度考え出すと思考は悪い方へと転がってしまい、いまやナナリーの中でライは七股と言う驚異的な記憶を成し遂げようとしていた。
コン、コン
「ひゃい!」
突然聞こえたノックにナナリーは声を裏返らせながら返事をした。
「ナナリー、ちょっといいかい?」
「ライさん? どうぞ」
先程までライに関する妄想にとらわれていたが、すぐに立ち直るナナリー。
彼女の兄にも見習わせたいものである。
「ちょっと来て欲しいんだ」
ライに車椅子を押されながらナナリーの表情は優れなかった。
(まさか、本当に別れ話を……)
先程までの妄想が蘇る
(このまま人気の無いところで「ごめん、ナナリー。 僕はカレンのことが……」)
何故カレンが出てきたのかは不明である。
「……着いたよ」
だが、想像上のライとカレンが出来ちゃった婚するより早く目的地に到達した。
「生徒会室?」
中からはよく知った人達の息づかいが聞こえてきた。
「うん、そうだよ」
そう言うとライは勢いよく扉を開けた。
「「「「「「「ハッピーバースディ! ナナリー!」」」」」」」
聞こえてきたのは大勢の祝福の声。
「え?」
「ふっふーん、生徒会メンバーによる「おめでとうナナリーちゃん」は出だしは順調ね」
賑やかな生徒会長が
「え? え?」
「おや? その様子じゃ忘れてたかんじ?」
「そうみたいだね」
彼女の兄の親友が
「おめでとう、ナナちゃん!」
「……おめでとうございます」
「おめでとう」
「ニャー」
生徒会の面々から次々に祝いの言葉が贈られる。
「おめでとう、ナナリー」
彼女の優しい兄からも、そして……
「黙っててごめんね、ナナリー。 ……誕生日おめでとう」
一番愛しい人からの言葉が胸に染み渡った。
二時間後
「本当にありがとうございました、ライさん」
「皆のおかげだよ」
「それでも、ありがとうございました」
そう言って微笑むナナリーの表情には一片のかげりもない。
ふと思い出したかの様にライは自らのポケットに手を入れた。
「誕生日プレゼント、受け取って貰える?」
「え? でも……」
先程のパーティーでライからのプレゼント――ハーブティー――は受け取った。
「実はもう一つあるんだ、手を貸してくれるかい?」
「はい」
姫君が差し伸ばした手をとる騎士。
そう言うのが相応しいと思える二人の姿が月に照らされる。
騎士――ライは自らの姫君の指に銀に光る指輪をはめた。
「これは……」
「スザクに聞いたんだ、恋人の誕生日には指輪を贈るといいって」
その声色を聞く限りでは本当にそれ以上の意味を持ってはいないのだろう。
……だが
「ありがとうございます、ライさん」
「ど、どういたしまして」
ナナリーの笑顔はライが、いや他の誰もが目にしたことの無いほどの美しい笑顔だった。
あとがき
ナナリーの誕生日忘れててさっき全力で書き上げました
あとちょっと改行とかがあれでオーバーしました
>>757と
>>758はうまく繋げてくれると嬉しいでした
あと、長編を楽しみにしておられる方がおりましたらお詫びしたいです
正直、細かいストーリーが忘却の彼方です
プレイしなおそうにも手元にソフトがないorz
おのれぇ! 友人Aめ!
……と、いうわけで長編の続きは遅れそうです
本当に申し訳ありません
>>761 うまく繋げたつもりですが一応確認願います。
>>762 お早いお仕事ご苦労様です
確認してまいりましたが問題はございませんでした
全力で投下待機中
>>761 乙!ナナリー、その妄想は飛躍しすぎだろうw
こっそり誕生パーティの準備をして本人を驚かすのは定番ですね。
そしてその指輪、どの指にはめたのかな?場所によっては、ルルが発狂しかねないぞw
長編も気長にお待ちします。
>>761 乙&お久しぶりです。
ナナリーがかわいい。そして七股ってw
その想像力はまさにルルーシュの妹って感じがしましたw
誤字?
>>758の一行目「青年の足跡」→「青年の足音」では?
>>761 乙です。
……このナナリー、確実にサヨコさんの妄想形質が移ってる……w
出来ればナナリーが左手薬指にその指輪をはめて、ルルが発狂する話が見たいですw
>>761 ナナちゃん・・・
生徒会のみんながいる、となんだかしんみりしてしまいました。
いいなあ、こんなシーン、きっとあったに違いないのです。
>758
>驚異的な記憶 は
→驚異的な記録 かと。
769 :
ライ×C万歳:2008/10/26(日) 00:29:52 ID:uUJvmGHW
こんにちは皆さん。長編そっちのけのライ×C万歳です。
ライC短編が書きあがりました。
内容は何処にでもあるような人工呼吸ネタです。
しかもC.C.を必要以上にデレさせてしまったある意味キャラ崩壊とも言える作品です。
投下…良いですか?
七股ってナナリー自身とライバル認定のカレンのほかの五人は誰だろ
支援します。
支援…できそうにない。誰か……!
>>769 どうぞ、支援の必要があるならば支援させていただけますか
774 :
ライ×C万歳:2008/10/26(日) 00:42:44 ID:uUJvmGHW
では…
タイトル:これからを君と…
カプ:ライ×C.C.
備考:先程記したとおりです。
支援
776 :
ライ×C万歳:2008/10/26(日) 00:44:30 ID:uUJvmGHW
これからを君と…
「バリュート…開かない…やっぱり駄目か。内部からのハッチ解放も無理…悪運尽きたな。」
ルルーシュ率いるブリタニア軍とシュナイゼルが実質的に率いる黒の騎士団との熾烈を極めた戦いの中、ライは乗機をカレンの乗る紅蓮聖天八極式に撃墜され、脱出したコクピットブロックで海中に落ちた。
本来ナイトメアのコクピットブロックは海中に落ちる際、バリュートパックが開いて海面に浮くように設定されている。
しかし、ライの乗ったコクピットブロックは海面に落ちてもバリュートが開かず、そのまま海中に落ちて沈んでしまったのだ。
「機体に嫌われたかな?まぁ、あれだけ無茶して傷つけたんだから当然か。」
ライは大切な戦友であり、そして大切な女性でもあるC.C.のランスロット・フロンティアがカレンの駆る紅蓮聖天八極式に撃墜された瞬間を目撃し、激昂してカレンに挑んだ。
C.C.は不死者であるため、無事であることは分かっていたが、大切な人が傷つけられたことでライの怒りが爆発したのだ。
初めはライがカレンを圧倒した。
愛する女性を傷付けられた怒りがライの能力を引き上げ、性能で勝る紅蓮を追い詰めたのだ。
怒りが力を与えるということはブラックリベリオンの際、コーネリアが圧倒的に性能で劣るガウェインを、妹を殺された怒りの力で圧倒した所を見ても分かる。
人間の感情は時に理屈や常識すらも覆す時があるのだ。
しかし、アクシデントが起きた。
ライの精密ですばやい機体操作と戦い方に自機が耐え切れず、機体の間接部が悲鳴を上げてしまったのだ。
その隙を衝かれ、紅蓮の輻射波動を受けて機体を破壊された。
バリュートが開かないのは撃墜された衝撃か、先に機体が限界を迎えたせいでシステムに異常をきたしてしまったのだろう。
支援!
778 :
ライ×C万歳:2008/10/26(日) 00:45:21 ID:uUJvmGHW
「全く…意外にあっけない死に方だな。」
ライは瞳を閉じ、自らの記憶を振り返り始めた。
遥か昔、自分が愛した母と妹のこと、そして犯した過ちのこと…
現代に目覚め、友を得たこと…
黒の騎士団として戦ったこと…
力を恐れ、再び眠りに付いたこと…
魔女の手により、もう一度目覚めたこと…
皆忘れられぬ記憶だ。
だが、何よりも忘れられない大事な記憶は二つあった。
「ルルーシュ…スザク…」
一つは親友・ルルーシュ、スザクとの約束。
二人とは全てが終わった後、彼らが創りだした世界を見届けるという約束をしていた。
だが、この状況ではその約束も守れそうに無い。
ライは心の底から二人に申し訳無く思った。
「C.C.…」
そして、もう一つの記憶は自分の大切な女性・C.C.と過ごした思い出。
出会った日から今日出撃するまで、ライは彼女と過ごした日々を鮮明に覚えている。
彼女に街を連れまわされたこと、彼女にからかわれたこと…すべてがかけがえの無い思い出だ。
先程も言ったが彼女は不死者、死ぬことが許されない運命だ。
この後の計画でルルーシュが死に、そして僕がここで死んだら彼女を一人にしてしまう。
ライはそれが申し訳なかった。
779 :
ライ×C万歳:2008/10/26(日) 00:46:23 ID:uUJvmGHW
「友との約束も守れず…大事な人とも、寄り添えない…でも、僕が今までやってきたことを考えれば、当然の報いだな…」
遥か昔…自らの過ちで母と妹、そして自国の国民を死なせ、そして現代に目覚め、ナイトメアパイロットとして多くの人間の命を奪い、今回の戦闘でも黒の騎士団という昔の仲間達と戦い、同僚を何人も殺した。
王であった頃と同じ、自業自得であろう。
そう思っているうちに、コクピットブロックの酸素が無くなった。
あと数分で残留した酸素も無くなり、ライは窒息死するだろう。
「そろそろ…死ぬか…」
ライは瞳を閉じ、脳裏にルルーシュを、スザクを、学園の友人達を、そしてC.C.のことを思い浮かべた。
「さよなら…皆。生まれ変わったら…また会おう。」
呼吸が苦しくなる…あと数秒の命…
ライが自らの最期を覚悟したそのときだった。
「!?」
コクピットカバーが外部から強制解放され、凄まじい勢いで海水がコクピット内に流れ込んできた。
「おわ!?」
海水を全身に浴び、ライは意識を失った。
意識を失う寸前、ライは緑髪の少女を見た気がした。
支援
781 :
ライ×C万歳:2008/10/26(日) 00:47:32 ID:uUJvmGHW
*
「ライ!ライ!」
ずぶ濡れになり、意識のないライをモーターボートに寝かせたC.C.は、ライの体を必死に揺すり、耳元で何度も名前を読んだ。
C.C.は乗機を撃墜された後、黒の騎士団に回収された。
そこでライがカレンに撃墜され、コクピットブロックの故障で海に沈んでしまったことを知ったC.C.はボートとソナーを強引に借り、ライのコクピットブロックが沈んだ場所を探し当て、自ら海に沈んでライを助けたのだ。
「この馬鹿者…私に世話ばかりかけるな!この童貞坊や!」
C.C.はライの気道を確保し、自分の唇を彼の唇に重ね、息を吹き込んだ。
そして胸骨圧迫を三十回した後、再び人工呼吸を行う。
このサークルを繰り返しながら、C.C.は何度もライに呼びかけた。
「ルルーシュももうすぐ居なくなるのに、私を一人にするなど許さん…お前が居なくなったら、誰がピザの代金を出す!?
お前が居なくなったら…私は誰をおちょくればいい…
お前が…居なくなったら…私は…誰を愛すればいいんだ!?
ライ…起きろ!!」
C.C.の目から涙が流れた。
その涙はライの顔に落ち、彼の頬を伝った。
「ん…!」
そしてその時、ライの瞼が動いた。
ライはそのまま目を開け、涙を流しながら胸骨圧迫を行っているC.C.に視線を移した。
「う…C.C.…」
「…!?」
C.C.もライの声を聞き、ライの顔に視線を移した。
……全力で見逃せ!
支援
783 :
ライ×C万歳:2008/10/26(日) 00:49:20 ID:uUJvmGHW
「なんで…C.C.が…」
「ライ…この馬鹿者が…っ!」
C.C.はライの胸に顔を埋めた。
ライは彼女の暖かさを感じ、自分が生きているのだということを悟った。
ライはまた死に損なった…だが昔と違い、今度はそれが堪らなく嬉しい。
また彼女に会えたからだ。
「そっか…生きてるのか…僕は…」
「ああ、魔女の優しい人工呼吸のおかげでな。感謝しろよ童貞坊や。」
「うん…ありがとう。」
C.C.はライの胸板から顔を離し、ライに顔を見せた。
ずぶ濡れでの上に、涙で顔がぐしゃぐしゃで頬が真っ赤だ。
しかし、ライにはそれがとても愛しかった。
ライは残った体力を振り絞って上半身を少しだけ起こし、自分を見つめているC.C.にキスをした。
そしてライはその時決心した。
「ギアスに蝕まれた残りの命…彼女と共に生きるために使おう」…と。
………
二ヵ月後…皇帝ルルーシュはゼロに倒された。
だが、枢木スザクと共にルルーシュの信頼できる部下であった銀髪の少年と緑髪の少女は行方を暗まし、ついに見つかることは無かった…
支援
785 :
ライ×C万歳:2008/10/26(日) 00:52:34 ID:uUJvmGHW
投下終了
うーん…やっぱ私的に微妙かなぁ…
最後の「ギアスに蝕まれた〜」はギアス編の描写から取りました。
しかしギアスのスパロボ参戦まだかな…
もしギアスが出れたら「もしあのイベントの中にライがいたら…」っていうシチュエーションで書いてみたいけど、流石にロスからじゃないから無理かな。
>>785 ライ×C万歳卿、GJでした!
ロイドさん、頑張ってライの機体も魔改造してあげて!
残り短い命のライと永遠を生きるC.C.では流石に辛すぎるぜ。
貴方の次の投下を全力でお待ちしております!
P.S.出たら出たでスーパーテロリスト大戦になりそうで……あれ? 結構面白そうw
787 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/26(日) 01:37:51 ID:iPnEItE+
ライ×C万歳卿、GJです。
「彼女とともに生きるために使おう」ですこし泣いてしまいました。
10:40頃から投下させていただこうかと思いますが
どなたかいらっいますか?
いますよ
790 :
HighQ:2008/10/26(日) 10:41:36 ID:lewep4PG
支援のご表明に全力で感謝を!
では分類・注意点などは以下のとおり。
・タイトル:「狂王の死」後編
・シリアス系のつもり
・カップリング:なし (強いていえば ライ→C.C. &ALL)
・R2最終話のルルーシュの死からはじまってる幕間ifストーリー
・ギアス篇エンド前提ですが他ルートのイベントも流用してます
・総レス数はこのレスから終了宣言まで16(本文は14)
・前・中編と違い、ライ視点でのみ進行します
・前回、反省したのにまったく懲りてませんでした・・・すいません
では、よろしければ読んでください。
支援
792 :
HighQ:2008/10/26(日) 10:43:03 ID:lewep4PG
アッシュフォード学園 礼拝堂。
(・・・やはり、君はここにいたか・・・)
祭壇にひざまずき、ステンドグラスを透した紅いモザイクのような光の中にいる小さな影を僕は認めた。
かつて君が僕に言ったんだよ・・・?
ここは血と苦痛の記憶を呼び起こされる、しかしこの空気は懐かしい・・・と。
無数の針となった悲哀が君を苛む場所
そして、その苦痛こそが自分にはふさわしい・・・とも。
だからだろうか? 僕は、君はここに必ずいると信じていた・・・。
「C.C.」
僕の呼びかけに、静謐の中に包まれていた緑の髪がゆっくりと翻る。
「・・・ライか?」
ずいぶん長い時間とステンドグラスの光を見つめていたのだろうか?
掌をかざして光を遮りその金の瞳を細めるが、まだ僕らが映えてないようだ。
僕は彼女へと歩を進める。
「どうしてお前がここに?」
その疑問は、ブリタニアにいるはずの僕がなぜ日本にいるのか、という意味だろうか?
それとも、君がいる場所をなぜ僕が知っているのか、という意味だろうか?
僕には、聡い君がいままで僕に気付かなかったことのほうが驚きだよ?
彼女に問いに応えることもせずに僕は祭壇へと近づいていく。
コツコツと、軍靴と床の立てる音が高い天井へ反響する。
やっと目が慣れてきたのか、C.C.が僕の抱いた“青い布”に訝しげな視線を注いだ。
君は、気付かない振りでもしているのか?
だから、僕は『魔女』に応えた。
「ルルーシュを連れてきたよ」
793 :
HighQ:2008/10/26(日) 10:44:54 ID:lewep4PG
拘束着につつまれた身体が怯えるように強張るのがわかった。
『魔女』がらしくもなく、弱々しい声音で僕に尋ねてくる。
「・・・ナナリーやスザク、カレンたちから奪ってきたのか?」
「そうだよ」
“彼”と一緒に彼女へと、また一歩進む。
「・・・ひどいことをする」
「そうだね」
責めるような台詞のくせに、責める力強さはない。
「君だけは知ってるじゃないか」
彼女の前に立つ。
「僕は、自らの欲望のために自分の国を亡ぼした『狂王』だよ」
ひざまずいたままの彼女に合わせ、僕も膝を折る。
「僕は非道い男なんだ」
彼女へと“彼”を差し出す。
おずおずと細い腕が僕らに差し出される。
「それとも、C.C.は忘れちゃった?」
彼女が“彼”の背にその掌を添える。
「・・・馬鹿者。そんなことを言ってるんじゃない・・・」
彼女の動きに合わせ、“彼”の身体を床へ横たえる。
「でも、しょうがないよ」
そしてルルーシュをC.C.に預け、僕は立ちあがる。
「『魔王』が永眠るには『魔女』の腕の中こそがふさわしいんだから」
支援
795 :
HighQ:2008/10/26(日) 10:46:44 ID:lewep4PG
彼女のほそい指が、彼の顔を覆う布をそっと解いていく。
その視線は、穏やかでどこか満足気にも見えるルルーシュへ注がれている。
「・・・軍はどうした?」
視線はそのままにC.C.が僕へと問いかける。
その問いに意味はないのはわかっていた。
彼女は落ち着くための時間がほしいのだろう。
「日本にいる皇帝直属部隊はジェレミア卿に任せてきた。
本国は元ラウンズのエニアグラム卿に、軍への復帰要請と一緒に、指揮権委譲の書類も送ってきた。
いろいろと気に入らないという意味での沈黙だったんだろうけどね。
ナイトオブワンにも、シュナイゼルにも与せず、自分の屋敷で我関せずを決め込んでいた彼女を
いままでルルーシュの目から匿ってきたんだ。
この際だから働いてもらうことにした。
もっともコーネリア皇女が軍に復帰するまでだろうけどね」
永眠るルルーシュをその胸に抱いたC.C.の姿は、まるで聖母像のようだ。
もちろん、そんな馬鹿なことを言う気はない。
「・・・ルルーシュは『ゼロ・レクイエム』の決行を、反対し続けたお前には伝えなかったはずだぞ?」
「僕が情報システムを強化したKMFと艦を用意させたのはなんでだと思う?
ルルーシュとスザクが僕をその場から外そうとすることは予想できていた。
日本駐留部隊を他所に異動させ、僕をEUとの調印に向かわせ、自分はトウキョウ租界へ行く。
これだけの状況と情報があれば、何をしようとするかはわかるだろう?」
「・・・やはりお前は侮れないな」
彼女はもう落ち着いただろうか?
僕は彼らへ背を向け、足を踏み出す。
「どこに行く気だ?」
緑髪金瞳の魔女の四度目の問いに、振り向かず、立ち止まることもせずに僕は応える。
「ルルーシュの棺を用意してくる。
・・・それに二人きりで話したいこともあるだろう?
マオの時も、君は僕にそう望んだ」
支援
797 :
HighQ:2008/10/26(日) 10:48:16 ID:lewep4PG
しばしの沈黙のあと、彼女の沈むような小さな声が僕の背に追いつく。
「・・・ルルーシュとの別れは既にすんでいるのだがな・・・」
それでも。
それでも、だ
僕が後ろ手に礼拝堂の扉を閉じる時。
僕の耳はたしかに、誰かを強く抱き締めるような衣ずれの音を聞いた、と思う。
* * *
校舎の屋上から眺める風景はかつてのものとは随分と様変わりしていた。
フレイアの破壊の力が施設の一部を呑みこんでいた。
(ミレイさんやリヴァルは無事だったのだろうか? )
そういえば・・・と、ベディヴィエールの上から学園の生徒を見かけたのを思い出す。
・・・みんな、あの場にいたのだろうか?
だとしたら、ずいぶんと怖い思いをさせたかも知れないな。
そんな思いが呼び水となって、あの場で再会できた人々のことを思い出す。
―――扇さん、玉城、藤堂さん、神楽耶さま、黒の騎士団のみんな
これで『日本解放』の願いはかなったと思います。
でも、いつか、そして、どうかルルーシュの“想い”を知ってください。
―――カレン
君が僕に抱いた怒りは正しい。
君は決してルルーシュの創った世界を壊さんとする“敵”を許しちゃいけない。
でも今は、君が望み、君が信じた『未来』へと振り向くことなく進んでほしい。
もう君の背をあずかる“誰か”は必要ないのだから。
支援
799 :
HighQ:2008/10/26(日) 10:50:25 ID:lewep4PG
―――ナナリー
君には本当に非道いことをした。ごめんよ。
その哀しみは僕にも理解できる・・・でも、その涙を拭ってあげることは僕には、もうできない。
だから泣くだけ泣いたそのあとに、君は『力』を手にしなければならない。
君は自分の意志で“優しい世界”を望んだんだろう?
その瞳で生まれたばかりの“やさしい色”に満ちる世界を見つめてあげて。
ルルーシュに護られていた君が
今度はこのルルーシュが遺した“他人に優しい世界”を護り、愛しみ、育てるんだ!
それが成った時、僕は君に“君だけの”ルルーシュを還そう。
―――スザク
僕は『ゼロ』の威信にわずかだけど『傷』をつけた。
これで君は、『至高の権威』を持つ『絶対の英雄』とは成り得ないだろう。
・・・為政者にとって、カリスマに彩られた英雄は邪魔でしかない。
その悪意から逃れるには、英雄が『絶対的独裁者』となるか、『神』となるかだ。
君はどちらも望みはしないだろうが、為政者は『神』さえも利用する。
・・・かつての僕も、それを為したことがある。
だが今回のことで、君を利用しようとする者たちは互いに牽制し合うだろう。
そして君は僕に、いや『世界』に誓ってくれた!
誰も支配はしないと、誰にも支配されたりしないと、自分は “世界を護る者”だ、と。
・・・ありがとう。
その一言で、僕は救われる。
そして、もう君に会うことはないだろう。
僕は『ゼロ=スザク』には仕えない。
だから僕にとっての君・・・『白騎士』枢木スザクは世界のどこにもいない。
さよなら、僕の『友達』
支援
801 :
HighQ:2008/10/26(日) 10:53:43 ID:lewep4PG
―――ルルーシュ
僕は、君になにを言えばいいのだろう?
幾千の言葉を費やしても翻意させられなかった君に
幾万の言葉を費やしても僕の声は、もう君には届かない・・・。
おなじ『絶対遵守』の呪いをもつ君と僕。
僕は母と妹だけを守りたいという願い、いや欲望だけにその力を費やした。
君は妹を守りたいと願い、彼女のために世界を壊し、そして『世界』を“創った”
きっと君の願いは、僕の欲望よりも
ずっと強く、ずっときれいで、ずっと純粋だったのだろう。
しかし僕は君の世界に小さな黒い影をおとす。
君の創った世界の中で、人々が自堕落に平和を享受しはじめた時
その小さな影に潜む『悪夢』が罵倒を吐き出し、人々を苦しめればいい。
君がたった一人で持っていこうとした“世界の憎しみ”は
僕がほんの少しだけど、もらっていく。
まだ、僕は君に逢いに行けない。
だから僕は、『魔王』ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアを静かに送ろう。
おやすみ、僕の『親友』
802 :
HighQ:2008/10/26(日) 10:55:53 ID:lewep4PG
・・・『君たち』を止めることができないと思い知らされ、僕は打ちのめされた。
僕はまた肝心な時に間に合わなかったのだ・・・。
だから僕は、僕の我儘で、君たちの『願い』を踏みにじる。
だから僕は、『願い』に見ない振りをして『世界』を傷つける。
無力な僕の、せいいっぱいの小さな『反逆』
君たちは許してくれるだろうか・・・?
・・・ふと吹き抜ける風が僕の中に溜まった疲れを呼び覚ます。
だけど同時に聞こえてきた声が、僕が立ち止まることを許してくれない。
もちろん、それは幻聴だ。
(・・・『ガ――――ッツ!!』・・・か)
ひどくやさしいくせに、時として容赦をしてくれない『魔法の言葉』が僕の背を押す
そう、僕にはまだ責任を負うべき人たちがいるのだ
僕は此処を去るために再び歩みはじめた。
・・・さよなら、僕の『家』アッシュフォード。
* * *
支援
804 :
HighQ:2008/10/26(日) 10:57:18 ID:lewep4PG
夜明け前の高原の、湖を見下ろし望める丘の上に僕らはいる。
「おい、『三文役者』」
ここに辿り着くまでの間にC.C.はどこかで、あの一件の記録映像をみたらしい。
それ以来、そういって僕をからかうのだ。
「なんだい? この『ぷにぷにピザ魔女』」
「・・・ほほぅ、私に喧嘩を売るとはいい度胸だな・・・」
互いに不敵な微笑みを浮かべ睨み合う、僕らの足元にはそれぞれの旅行カバンがひとつ。
そして僕には相変わらず意味不明な、黄色い抱き枕がひとつ。
「『三文役者が気にいらないのなら『三流脚本家』にしてやろうか?
だいたい、お前のKMFと艦の名前はなんだ?
『ベディヴィエール』に、『グラストンベリー』だとは嘲笑わせてくれる。
王の最後を看取った騎士の名に、王の墓があったとされる修道院の名。
暗喩にすらなってないぞ。
そんなことだから、あいつに舞台からはずされるんだ」
僕らは、けして短くはない旅の間、いろいろと語り合った。
「まさかと思うが、『ギアス』が『エクスカリバー』で、私が『湖の淑女』だとは言い出さないだろうな?」
だから僕は遠慮なく、嫌味をかえす。
「もちろん言わないよ。
力を与えておいて後は知らん振りの淑女と違って
君は、アフターケアも万全の、世話焼きな『魔女』だからね」
「・・・ちっ、かわいくない奴め!」
支援
806 :
HighQ:2008/10/26(日) 11:00:06 ID:lewep4PG
「・・・おい、“あれ”はどうするつもりだ?」
今度は視線を交わさずに、言葉のみを交わす。
「場所はジェレミア卿に連絡した。“時機”が来れば伝えてもらうようにも頼んだ」
その時機が早く来ることを願いたい。
「・・・おい、これからどうするつもりだ?」
なぜか質問ばかりしてくる彼女に、らしくないなと苦笑しつつ僕は応えた。
「C.C.、君は僕に語ってくれたよね? ルルーシュが君になんて言ったか、を」
僕は、魔女の金の瞳を覗き込む。
「それで僕にも“約束”があることを思い出した。
僕も『ギアス』をもらったおかげで、前に踏み出すことができたんだ。
だから『あの人』を探してみようと思う。」
金瞳にかすかな陰が浮かんでいた。
「どんな願いかはわからないけど、約束を果そうと思う。
もしかしたら既に望みを果たして、『Cの世界』に融けてしまっているかもしれないけどそれでも探してみるよ
その暁に『コード』でも譲り受けたら『L.L.』とでも名乗ろうか?」
「・・・そうか・・・だが最後の一言は冗談にしては笑えないな・・・」
そして沈黙・・・。
支援
808 :
HighQ:2008/10/26(日) 11:03:12 ID:lewep4PG
「・・・なあ、ライ。お前は私を怨んでないのか?
眠りについていたお前を目覚めさせ、ルルーシュに『駒』として利用させたのは私だ。
お前に友を失う哀しみを与えたのも私だ・・・」
・・・そんなことを君は気に病んでいたのか。
だから僕は彼女に微笑みかけた。
「C.C.・・・僕は君に感謝している。
世界が無色ではなく、鮮やかな色に溢れたものだと教えてくれたのは君だった。
・・・確かに友達を失ったことはとても悲しいよ・・・。
でもね、その友達が遺した願いが、色鮮やかなこの世界を『やさしい色』に塗り替えてゆく。
その変わる様子を、僕はこの眼で見ることができる。
それは決して悪いことじゃないと思うんだ・・・」
「・・・まったく、“お前たち“ときたら・・・」
しかし彼女は、さらにうつむいてしまった。
「C.C. ?」
彼女に触れようと、僕は一歩踏み出した。
・・・しかし僕の足は地をとらえることはなく、僕は地面を背にして倒れていた。
踏み出した足が地面に着こうかという瞬間に蹴り払われたのだと気付いたのは、C.C.の笑みを見上げた時だ。
尊大で、人を小馬鹿にするような、イヤな笑い・・・。
「だましたな、この『魔女』め!」
「そうとも、私は『C.C.』なのだからな!」
僕は失笑した。
そして、あの日以来はじめて僕らは声を出して笑うことができた。
支援
810 :
HighQ:2008/10/26(日) 11:06:17 ID:lewep4PG
どれくらい、そうしていたのだろうか?
空に陽が昇ろうとしていた。
「・・・さて、私“も”そろそろ行こう」
世界に光が満ち溢れる様を、その金色の瞳に映して魔女が『旅立ち』を告げる。
僕は大地を背にしたまま空を見上げていた。
そんな応えを返さない僕にかまうことなく、彼女はカバンと抱き枕を手にした。
「では、な」と短すぎる別れの言葉だけを残して背を向け、歩を進めていく。
遠ざかる足音のみを追いかけていた僕に強い呼びかけが掛かった。
視線を向けた僕に『やさしい魔女』は言った。
「ライ、忘れるな!
お前がなんになろうと私は“お前を識っている”んだからな!
いつか今までの非礼を泣いて詫びさせてやるぞ!」
・・・まったく、あのひとには敵わないな。
再び遠ざかる、揺れる緑の髪を見つめながら僕は思う。
―――C.C.
いつの日か、また会おう。
それは、ギアスに蝕まれたままの僕の命数が尽き『Cの世界』を形作る、ひとつの『欠片』となってか?
または、永き彷徨に疲れ果てた『不死者』としてか?
そんなことは僕にはわからない。
でも、この『やさしい世界』で君が微笑んでいられることを僕は祈っている。
だから、また会おう『C.C.』
C援の世界
支援
813 :
HighQ:2008/10/26(日) 11:08:40 ID:lewep4PG
・
・・
・・・
空が蒼く澄み切っていく。
もう、この世界には『魔王』も『白騎士』もいない。
改めて僕は彼らの『死』を悼んだ。
ならばと、思う。
僕も『狂王』を葬ろう。
母と妹を亡くした苦しみと、犯した罪に怯えて『眠り』に逃避し
記憶を封じて目覚めても愛すべき人々に哀しみを遺すことを怖れて
彼らの記憶を『自分勝手』に捻じ曲げた、かつての『僕』
そんな卑怯で卑劣な僕は、もういらない。
このやさしい世界に、狂王がいる場所などないのだ。
そうしてこそ、僕は世界を見続けていくことができる。
だから、これが狂王の『最後のギアス』
『魔女』は語ってくれた・・・『魔王』はその命を代償に、世界に『願いという名のギアス』をかけた、と。
それが、この『やさしい世界』
それに倣って、僕も世界に『願いという名のギアス』をかけよう。
代償は、愛すべき人々と共に在り笑い合えたかも知れない、僕が壊した『未来』
悲しいことだけど、哀しむことはない。
この世界なら、まだ見ぬ人々と笑い合える別の未来があるだろう。
そして、このギアスならば『あの人』や『やさしい魔女』へも届いてくれる。
僕のギアスの力は『音』だ。
だけど大きく叫ぶ必要はない。
空に融け、風から風を渡って、世界にひそやかに響いていけばいい。
だから僕は願い、そして言葉を紡ぐ。
「この世界のみんなが幸せになりますように・・・」
814 :
HighQ:2008/10/26(日) 11:11:38 ID:lewep4PG
以上で投下終了です。
まずは支援に感謝を捧げさせていただきます。ありがとうございました。
・・・総レス数の計算間違えた・・・。
ま、まあ、この後を「荷馬車の上のC.C.」につなげていただければ幕間としては完成です。
以下、チラシ裏なんで興味ない方、うざいと思われる方はスルーをお願いします。
なんとか私の初SSがおわってくれました。
いろいろ突っ込みどころがあると思いますがご容赦願えればと思います。
言い訳させていただきますと25話を見て「あれを放置するのか?」と思ったのがはじまりでした。
それで、ライになんとかしてもらおうと妄想を働かせた結果がこれです。
あれを回収しても単座機じゃ置き場所に困るなと、複座機と云うことだけでガウェインを選んだりw
なかなか楽しい時間でした。
ど素人の私ごときが書いたSSにお付き合いいただきまして、本当にありがとうございました。
あつかましいお願いになりますが、よろしければ批判でもかまわないので一言でも感想がいただければ
それが今後のSSを書くに当たっての糧になるかも知れないのでよろしくお願いします。
では、またネタが思いついたら投下させていただきます。
支援
終わってた・・・
乙&GJでした!
前編・中編の悪ライにはハラハラしたものですが、後編読んでホッとしました。
C.C.との掛け合いも良かったです。『ぷにぷにピザ魔女』てw
貴方の次の投下をお待ちしております、全力で!
代理宣言です。今回はSS投下ではありません
このままだとずるずるネタを形にしないまま引きずって行きそうなので、宣言し
ます。
今月終わりまでか、最低でも来月初旬ぐらいまでにはキャットシーフ最終章プロ
ローグを投下しますね。
以上です。
>>817 板違いっていうかスレ違い…だよね?
なんか俺が別に常駐してるスレの作品名が出てるんだが。
>>814 HighQ卿、GJでした!
前半では瞳が潤み、後半では胸が熱くなりました!
そしてラストの台詞までの流れも良いでした!
なんかロスカラ続編でL.L.エンドを期待せずにはいられない!
貴公の次の投下を全力でお待ちしております!
>>817 あんた誰だw
と38本人が言ってみる。
……まさか……トーマス氏=某怪盗エロパロ管理人の人じゃないだろうなw
>>814 GJでした
個人的に先日投下されたコウ卿の作品と近い雰囲気が感じられますが、こちらはこちらで素晴らしい感動を与えてくれる作品だと思います
ただ惜しむらくは、『』を使いすぎということですかね
確かに『』は、その言葉を印象づけたり、文章と切り離して強調できたりと便利ではありますが、使いすぎれば効果はなくなってしまいます
文章全体にクドい感じも出てしまうかと
なのでもう少し言葉を選んで、必要最低限の強調にとどめることで、さらに文章が引き締まると思います
文章力自体は高いレベルで読みやすいので、今後のさらなる上達と投下を期待させてもらいます
もう一度GJでした
KOUSEIです。前回の続きを投下します。
全部で16レスの予定です。
○シーン8『ナナリー の 信頼』Cパート
ローマイヤとナナリーを廊下まで見送った後。
ロイは自分の執務室に足を向けながら、総督のお願いについての考えを巡らせていた。
(少し、背後関係も洗った方がいいかな……)
ロイはナナリーに快くお願いを引き受ける旨を伝えたが、どうやら話はそう簡単に解決できるものではなさそうだった。
そう考える根拠は証拠や経験に裏付けされたものではなく、どちらかといえば勘に近かったが、もちろん勘だけでそう思っているというわけでも無い。
(ルルーシュという人物を調べるのは行政特区設立後なんて言わずに、明日にでも調べられる簡単なものだ。けど、なぜそんな簡単な事をスザクや他の部下ではなく僕に頼むのか。しかも、総督は僕とアーニャ以外には秘密にしてくださいとも言っていた……。
それに、何よりあの学園には皇帝陛下直属の機密情報局が居座っているというのも気にかかる。総督と何も関係が無いというのなら、それでも良いけど。もし何か関係があるとしたら……)
正体がはっきりしない要因が多い。
ロイは、取り返しの付かない事態になるのだけは避けなければいけなかった。
なにげなく調査結果を教えて、それが原因で総督の身になにかありましたでは、あまりに寝覚めが悪すぎた。
(とりあえず、行政特区設立後に調査を開始するにしても、ルルーシュという人間を調べるだけではなく、そのルルーシュという人間とナナリー総督の関係性、また、総督がルルーシュという存在を知ったら、どういう事態が起こりうるのか。
それらがある程度予想が付く段階になるまで、総督には何も教えないほうがいいだろうな)
もっとも、ナナリーのお願いと、機情の任務にアッシュフォード学園という共通点があるからといって、ここまで気にするのも少し大げさなのかもしれない、という考えもロイにはある。
(いや、大げさなぐらいでちょうどいいんだ)
ロイは自分の思考にかぶりを振った。
ナナリーは、正直に言えば何の力も無い総督だ。ちょっとしたスキャンダルが再起不能な失墜の原因にもなりかねない。
特に、この件にはブリタニア内でも“大事”を扱うあの機密情報局が絡んでいるのだ。
保つのかな、容量とか…支援
もし、機情の任務がナナリーのお願いと全く関係無いとしても、調査の過程で機情と捜査範囲が被り、いやおう無しに機情の任務に巻き込まれるという事も充分ありうる。
慎重に、慎重に……。過ぎるのは駄目だが、適度ならば慎重というのは自身の命を守る良き僚友となるのをロイは知っていた。
ロイは思考を継続させつつ、自分の執務室の扉を開ける。
「……」
そして、目の前に広がるあまりの光景に、その思考はあっけなく途切れさせられた。
ロイは手で銀髪を掻くと、息を吐いて頭を左右に振った。
「何で僕のカッターを着てるんだアーニャ……。君に手渡したのはただのパジャマだったと思うんだけど」
目の前には、なぜか上着のカッターシャツ“だけ”を着たアーニャがいた。
ロイが視線を横に向けると、執務室に繋がっている自分の私室のタンスから、きちんと綺麗に折りたたんであったはずの衣類が、何枚か飛び出ているのが見えた。
アーニャが漁った。というのは簡単に想像できた。
もっとも、その衣類が飛び出ている二段下の棚――ロイの下着の棚――が荒らされていないのが幸いと言えば幸いだった。
「どう?」
「何が」
ロイはアーニャに視線を戻して訊き返す。
アーニャは腕を広げ、少しだけ足も広げた。その四肢はふくよかという表現に程遠かったが、肌はきめ細かく滑らかで、白い布地から伸びる足はスラリとしていた。
ナイトオブセブン歓迎会の時のウェイトレス姿同様。ロイは素直にその姿を可愛いと思った。もっとも、その数瞬後にはロイの脳は自分に自制を呼びかけた。
ロイが自分の困惑を隠すように咳払いすると、アーニャは言った。
「いつだったかジノが言ってた。「大き目のカッターシャツ“だけ”を着ている少女は男のロマン。それは男である以上、ロイも例外では無い」って」
(って、また君かジノ……)
ロイは友人に失望と呆れを感じて、天井を仰いだ。
「一応。私も少女」
「……」
「そこを踏まえて……どう?」
ロイは……。安全上味方のKMFをハドロンブラスターでロックオンできないのがこんなに恨めしく思った事は無かった。
「ねぇ、アーニャとりあえず、ズボンを穿いて。お願いだから……」
「私は感想を訊いてる」
答えをウズウズして待っている。そんなアーニャの態度が、ロイにさらに大きなため息を付かせた。
「ノーコメント。それに、ここは僕の部屋だ。僕の言う事が聞けないのなら――」
出て行ってくれ。と言う前に、アーニャはつまらなそうに傍に置いてあったロイのパジャマに手を伸ばした。
その細い体が、ズボンをはくために傾き、足を曲げると、ロイはいけない所が見えそうになって顔を赤くした。
「アーニャ。ここでじゃなくて向こうの部屋で!」
すかさず怒鳴ったロイを、アーニャは怪訝そうな顔で、
「注文が多い……」
そしてアーニャは裸足で執務室の赤いじゅうたんの上を歩き、繋がっている居住スペースの部屋を横切り、シャワーの更衣室に入っていった。
それを見送った後、ロイは「まったく……」と肩を落とした。
「ジノは本当に仕方が無いことばかりアーニャに教えて……」
どうしようもない奴である。というか、
(そもそも、ジノはそんなキャラだっただろうか……)
と、ロイはここにきてようやく、そんな基本的な事を悩むに至った。
出会ったばかりの頃、ジノの性格は相変わらず明るかったが、もう少し温室育ちっぽくて、話す内容は今のように俗っぽくなかった気がする。すくなくとも、いたいけな少女に馬鹿みたいな事を教えるような性格では無かった。
ジノの変化と言えば、一人称の言い方も挙げられる。ジノは昔、一人称はほぼ百パーセンと“私”、そうじゃない時は“自分”で、“俺”というのはあの頃のジノでは余り考えられなかった。なのに今では普通に使っている。
(まぁ、口調も話す内容も俗っぽくなったというのは、多分僕のせいだろうけど……)
ジノは、貴族ぶっていない男友達ができたのが相当嬉しかったらしく、よく、スザクやロイに街に遊び連れてってくれとねだった。
街に繰り出してみたいが、自分はお坊ちゃんで浮いた存在だというのは自覚してるから、一人で行くのは心細いという事だった。
しかし、ロイもスザクもどちらかと言えば平民的な生活者で、しかも男三人が遊ぶとなれば、やはり俗っぽい場所めぐりになる。
三人で変装してカラオケ。ゲームセンター。ファーストフード店。遊園地。スポーツ観戦(一般席)。買い食いして、映画を見て、薄利多売をモットーにするような安い服屋もよくまわった。
支援
仕事終わりに大衆向けの酒場にまで足運び、飲み潰れて公園で一晩を明かした事もある。ここだけの話、ナンパもやったし、ナンパもされた。それらを一年も繰り返していればお坊ちゃんのジノも影響され、ああなるのも無理はないのかもしれなかった。
聞くところによると、ジノの父親はロイとスザクの事を「息子をたぶらかした悪友」としており、相当嫌っているらしい。
「でも、まぁ、勝手に俗に染まったのはジノの責任だ。うん……」
ロイはそう言って、やっぱりアーニャに変な事を吹き込むのは百パーセントジノが悪い、として回想を止めた。
次に、ロイは私室にある簡易キッチンに足を向けた。
お湯を沸かし、棚からカップを出し、暖かいココアを二つ用意し始める。
アーニャはシャワーを浴びた後、ほぼ裸の状態でこの部屋をうろついたわけだから、体が冷えてるだろうと思ったからだ。
その予想を証明するかのように。アーニャが男物のパジャマを着て部屋に戻ってくると、くしゅん。と控えめなくしゃみをした。
「……グス」
鼻をすするアーニャを見て、ロイは言った。
「言わんこっちゃ無い」
ロイはアーニャを席に促すと、作ったホットココアを勧めた。アーニャはペコッと頭を下げて受け取り、一口啜った。
「……甘い」
「それが君の好みだろ」
ロイは腰掛けて、自分用の甘さ控えめのココアを口に含んだ。
「それにしても、変な話を持ってきてくれたねアーニャ」
あえて、先ほどの事には触れずに、ロイは話を切り出した。
「迷惑だった?」
アーニャは裾の長いパジャマに戸惑いながら、暖かいココアに息をふぅふぅを吹きかけ、上目遣いで答えた。
「いや、迷惑では無いよ。ただ、変な話ではあるね。アーニャも総督から話は聞いたんだろ?」
「うん。どうもキナ臭い。機密情報局のいる場所に、総督のこの頼み」
ロイがナイトオブセブン歓迎会で機密情報局と接触した時、アーニャは傍にいたので、あの学園には何かある、と気にはとめていたようだった。
「ロイ。これはまだ総督にはしゃべってないんだけど、ルルーシュという人間は確かにあの学園にいた」
「へぇ、どうしてそう言えるんだい?」
「歓迎会中、学園の女の子達が話してた。ルルーシュ君カッコイイ。ルルーシュ君素敵。ルルーシュ君を見かけた。ルルーシュ君、ルルーシュ君、ルルーシュ君。何度も聞いたから嫌でも覚えた……」
「そうだったのか。全然気付かなかった……じゃあ、なんでアーニャはそれを総督に教えなかったの?」
アーニャはカップをテーブルに置いた。甘い香りの湯気が二人の間に立ち上った。
「教えても良かったけど、機密情報局があの場所にいたのがどうしても頭に引っかかった。でも、総督は、そのルルーシュの事を知りたがった」
「それで?」
「私は総督に安易に教えていいものか判断がつかなかった。だから、総督には何も言わず、ロイに相談する事を勧めた」
と、アーニャはココアをすすって、白い湯気の混じった息を吐いた後、満足そうに表情を緩めた。
やはりアーニャのココアを甘めに作ったのは大正解だったらしい。と、ロイは判断した。
「もっとも、ロイはあっさりしゃべちゃったけど」
「確かに、僕は少し浅はかだったかもしれないね」
ロイは軽く微笑んで、カップをテーブルに置いた。
「でも、引き返せない所まではいってない。別にこの後、ミレイ嬢の言葉はやっぱり聞き違いでした。って言ってもいいわけだし」
「そうするつもりはないんでしょ?」
それが分かっているから、総督に僕に相談するよう勧めたんだろ? とロイは思ったが、それを口には出さず、悠然とした笑みで応じた。
「そうだね。総督が知りたいというのなら、僕は調べて教えてあげたい」
「なら、いいこと考えた。私たちも、スザクみたいにあの学園に通えばいい」
ロイはその提案に一瞬面くらったが、「ふむ」と呟いてしばし考えた後、
「悪くないね。それなら、怪しまれる事なくルルーシュを調べられる。スザクも通ってる事だし。誘えばジノだって通いたいって言うんじゃないかな。それに、……僕も興味あるな、学園生活」
「じゃ、決定」
表情は変わらないが、アーニャは嬉しそうにココアの入ったカップを傾けた。
しかし、この時のロイにはある予想があった。
行政特区日本が設立し、黒の騎士団が消滅すれば四人中何人かはブリタニアに帰国する事になるだろう。という予想である。
支援
そもそも、このエリア11にラウンズが四人も派遣される、という本来ならばありえない人事は黒の騎士団の存在があるからで、
それがなくなれば、ナナリー総督の補佐であるスザク。また、女性であるナナリー総督の身辺のお世話や、込み入った場所での護衛ができるアーニャは別として、ロイかジノはブリタニアへの帰国命令が出るだろう。
いや、最初から赴任が決まっていたジノはもしかしたら、このエリアに残されるかもしれないが、単なるついでとしてこのエリアに来たロイは確実に帰国だろう。
もしかしたら、行政特区設立後、ロイはアッシュフォード学園に通う手続きをしている暇さえ無いかもしれない。
「じゃあ行政特区が設立したら、すぐに入学」
「すぐには無理だよ。多分、特区設立後は、目の回るような忙しさになるだろうから、学校に通えるのはしばらく経ってからだろうね」
そのしばらくの間に、おそらく自分はブリタニアに帰っている。という予想を、ロイは口に出さなかった。
「屋上で昼食を食べる」
「楽しみだ」
「弁当作る」
アーニャの瞳が、珍しく歳相応にキラキラと輝いているように見えた。
「期待してるよ」
ロイは微笑むしかなかった。
一年前とは違い、多少なりとも喜びという表現を他者に表現し始めるようになった少女を見ていると、ロイは自分の予想などとても口にできるものでは無いように思えた。
ロイはアーニャに笑顔を向ける裏で、その笑顔から目を背けるような気持ちで、ナナリーからの頼みごとについての思考を巡らせた。
ロイは、ナナリー総督からお願いされた調査は、慎重に動くにしても、素早く目標を達成する必要があった。
最悪でも、その調査を続ける事に危険性が無いのを確認して、アーニャに引き継ぎができる段階にもっていかなければならない。
だが、あの機密情報局相手では時期的に相当厳しいと思えた。なにせ、行政特区日本が設立して、後処理を済ませ、体が空いてから帰国するまでの間にそれをやってのける必要があるのだ。
(まぁ、でも……)
ロイはしっかり調べてあげようと思った。なぜなら、これがこの任務で自分がナナリーにしてあげられる最後の事かもしれなかったからだ。
アーニャに視線を戻す。彼女はいまだに楽しそうに学園生活でどう過ごしたいかを語っている。
支援
ロイは、甘いココアがなぜかとても苦く感じた。
○
二度目の行政特区日本。野外会場。
それは、静かに執り行われた。
『各部隊。気を抜くなよ。何が起こるか分からないからな』
通信機越しに、全部隊に呼びかけるジノの声が“クラブ”のコックピットにいるロイに届く。
ロイはそれに答える事無く、“クラブ”を空中で旋回させ、地上にいる百万人の日本人達をモニターで見つめていた。
ゼロは約束を果たした。それは、会場がほぼ黒髪一色に染まっている現実を見れば明らかだった。しかし……。
(だれも、笑ってはいない……)
ロイはモニターに拡大した日本人達の表情を見て小さく息を吐いた。
分かってはいた事だった。ここに集まっている日本人はナナリーではなく、ゼロの呼びかけに応じて集まった人々。言うならばゼロに信頼を寄せている人々。
もっと言えばブリタニアに反感を抱いている人々で、彼らは決しては自らの意志でこの場に来たわけではないのである。
以前、ロイはローマイヤに頼んで、すでに極秘情報扱いになっている、一年前の行政特区の映像を見せてもらった事がある。
映像の後半は見るに耐えないものだったが、前半は違った。
日本人は皆、嬉々とした顔をしており、口々に「ユーフェミア万歳! 特区日本万歳!」と、ユーフェミアを称え、その行政特区に参加を希望し、会場に溢れていた日本人の様子は、湧き上がる生気と気力に満ち溢れていた。
しかし、今ロイの下にいる人たちは心身共に静かなものだった。
今回の行政特区を信用しているわけでもなく、ナナリーを敬愛しているわけでもないのだから、当然と言えば当然なのかもしれない。
(まるで、嵐の前のなんとやらだ……)
それは、不吉な予測だった。
万が一、この会場で嵐が巻き起きれば、ロイ達はその暴風がナナリー総督を傷つける前に、それを終息させなければいけない。
会場の各所にはKMFが立ち、日本人達を監視するかのように頭部のメインカメラを左右に振っている。
地上のKMF各機は“実弾”と、ロイ、ジノ、アーニャの強い要望で暴徒鎮圧用の対人ゴム弾銃の二種類の銃を装備しており、その銃を足元の日本人に見せ付けるかのように誇示している機体もある。
「んっ?」
支援
と、ここでロイは、モニターの中のある“サザーランド”を見て、分厚いレンズの奥で眉をピクリと上げた。
ロイは通信機のスイッチを入れ、その“サザーランド”に告げた。
「B−2地区担当の“サザーランド”応答せよ」
返答はすぐだった。
『こちらB−2地区担当の“サザーランド”。ナイトオブゼロ様。何か?』
「何かではない。なぜ貴公はゴム弾銃ではなく、実弾入りのライフルを装備している。命令違反である。速やかに装備を変更せよ」
行政特区開始前。ロイ達ラウンズはKMFで警備にあたる者、警備兵、騎士問わず全員に、許可無く実弾入りのアサルトライフルを装備する事を禁じた。
なので、周りにいる兵やKMFは全て、腰のハードポイントにはアサルトライフル。手にはゴム弾銃という格好だったが、この“サザーランド”はそれが逆だった。
『……しかし、ナイトオブゼロ様』
「私は、貴公に意見を求めた訳ではない」
通信機の向こうでは“サザーランド”の騎士がまだ何か言いたそうに息を飲んだ。しかし、それをロイは「返答は?」と言葉で制した。
『……イエス・マイ・ロード』
その言葉に、“サザーランド”に乗る騎士の納得は感じられなかったが、ラウンズの命令には逆らえないとしたのか、“サザーランド”は即座に装備を交換した。
それを確認して、ロイは辺りの警戒を続けた。
(結局、ここにいるブリタニア人も日本人を信用していないわけか……)
ここに集まっている日本人はナナリーを、ブリタニアを信用して集まったわけではない。
かたや、ブリタニア人のほうも日本人は絶対に何かやらかす。と、そう信じて疑っていない。
さきほどの“サザーランド”だけではない。おそらく、この場にいるどの騎士も、命令には従ってKMFの手にはゴム銃を持たせてはいるが、内心では(どうせ、実弾を使う事になる)と、大なり小なり思っているに違いなかった。
(一度すれ違った者同士というのは、ここまで信用できなくなるものなのか……)
ロイはそれを充分知っているつもりだった。しかし、それをこうも間の当たりにさせられてしまうと、口の中になにか苦いものが広がっていく感覚を禁じえなかった。
(ナナリー総督。もしかして貴方は、ユーフェミア皇女殿下より、困難な道を選んだのかもしれない……)
支援
すくなくともユーフェミアには日本人の支持があった。しかし、ナナリーにはどちらの支持も無いのである。
その時、控えめなファンファーレが会場に響いた。
補佐のローマイヤ。護衛のスザク。そしてアーニャの手をかりて、エリア11の総督ナナリー・ヴィ・ブリタニアが舞台の袖から姿を現した。もちろん、日本人達からの歓声など起こらない。
『始まるぞ。各自、警戒を』
それを確認して、空を旋回している“トリスタン”のジノが全員に注意を促す。
ロイもその言に従い、行政特区の式典会場に視線を巡らせた。
ナナリーの演説が始まった。
ナナリーは訴えた。自分がとても嬉しい事。人とは手を取り合えること。過去の確執を捨て、皆であらたな歴史を歩んでいこう、と。
その訴えている内容は実に美しく、誰もが素晴らしいと思えるものだ。
だが、それによって感動を覚えたものは、おそらく皆無だった。
やがて、ナナリーに代わり、その傍に立っていたローマイヤが前に出た。
ブリタニア軍の中で緊張が走るのを感じた。
ここだった。
この静けさが破れるタイミングがあるとすればここだった。
ローマイヤは今から語るのだ。ゼロはお前ら日本人を裏切った、と。
『では、特区日本に参加する者たちに対して、我々からの処置を発表します――』
ローマイヤの実務的な話は続く。
ロイはいつの間にか心臓が高鳴っているのを感じた。おそらく、それは警備にあたるどのブリタニア軍人も一緒だった。
どうなるか予想が付かなかった。ここにいる日本人はゼロを慕って集まった人々。その人々にゼロはお前らを裏切った、という事実を放り投げる事によって、一体どのような化学反応を招くのか。
(もし、暴動が起きたとしても、それが警備隊で押さえつけられる程度のものならば問題は無い……)
しかし、それが警備隊の守備容量を超え、舞台にいるナナリーに被害が及ぶような域に達すれば、ロイは、ブリタニアのナイトオブゼロとして実弾の引き金を引かなくてはいけない。
そうなれば、考えたくない事だが、会場は再び行政特区と言う名の棺桶に早代わり。世間からはユーフェミアだけではなく、ナナリーも虐殺皇女として後ろ指を指される事になるだろう。
やがて、ローマイヤの演説が、とうとうゼロの進退について触れた。
支援
『しかしながら、カラレス前総督の殺害など指導者の責任は許し難い。エリア特法12条第8項に従い、ゼロだけは国外追放処分とする』
言ってしまった。
この中継を見ている世界中の人々の「はぁ?」という呟きが聞こえてきそうだった。
ロイは額に浮かぶ汗を気にも留めず、あたりを警戒する。
(どうなる!?)
暴動は起きない。いや、起きかけているのか? 起きるのか? 起きないのか?
その思考は一瞬だったが、とても長い時間にも感じられた。
『ありがとう。ブリタニアの諸君!』
ロイを元の時間に引き戻したのは、ロイとは違うゼロの名を持つ男。黒の騎士団のリーダーゼロの声だった。
「なっ!?」
ロイは呆気にとられた。なんと、気付けば会場に設置してあったモニターには全てゼロが映し出されていた。
『寛大なるご処置。いたみいる』
ロイを含めてほぼ全員のブリタニア関係者が、目の前のあまりの出来事に戸惑っている中。軍の任務を忠実に果たした男がいた。
スザクだった。
スザクはナナリーをモニターのゼロから庇うように立ち。頭上のモニターに映るゼロに言葉をぶつけた。
『姿を現せゼロ!』
ロイは、そのスザクの声でようやく思考を再開させる事ができた。
(くそ、電波ジャックか。一体どこから……)
ロイは“クラブ”のレーダーとファクトスフィアを最大に活用して、会場のモニターへ送られてくる電波を計算し、ゼロの場所を割り出そうとした。
電子キーボードを、ロイは華麗な指裁きで往来させ、電波の種類、強さ、距離を判別し、逆探知の設定を素早く行う。
この間にも、会場ではスザクとゼロの討論が繰り広げられている。しかし、ロイにはそんな会話をじっくりと聞く余裕は無かった。
(ナナリー総督を守るのは、スザク。君の役目だ。僕は……)
やがて、“クラブ”のロイド特製解析コンピューターが逆探知に成功した。
「よし!」
“クラブ”内のモニターが切り替わり、地図が表示される。
その地図に一つの光点があった。電波の発信源だ。
それは海の真ん中で、しかも、ここからそう遠くない場所だった。
ロイは、地図に光点が指し示す方角に顔を向けた。
「? なんだ、あれは……」
目線の先には、大きな白い山があった。
支援
(あんな所に山なんてあっただろうか? いや、まて、違う。あれは……)
『うわああ。ガスだ!?』
警備隊の一人の声で、ロイは弾けるようにその視線を海から下の会場に戻した。なんと、会場から火事のようなモクモクとした煙が立ち上がり、それが会場全体を覆っていた。
『ど、毒ガスか?』
『落ち着け! ただのスモークだ!』
『マスクを! だれか俺にマスクを!』
『ええい。落ち着けと言うのに!』
通信には錯乱した声が行き交っている。
「総督は!?」
ロイはハッとして、壇上の様子をコックピット内のモニターに拡大させる。アーニャが、ナナリーの車椅子を引いて舞台の隅に逃げ込んだ。
(良かった……。なんとも無いようだ)
しかし、ロイが安心したのもつかの間だった。
『暴徒殲滅準備!』
鎮圧ではなくて、殲滅。
それは、実弾装備の許可を与える命令だった。
言ったのは、空中から会場を警戒していたKMF“ヴィンセント”に騎乗しているギルフォードだった。
『イエス・マイ・ロード』
何機かのKMFが、命令を受けて、飛び出すのが“ゴム弾では無い銃口”を煙に向けた。
ロイはそれに気付いて、声を張り上げた。
「まて! 相手はまだ手を出していない!」
『まて! 相手はまだ手を出していない!』
声を出したのはロイだけではなく、スザクもだった。二人のそのとっさの命令により、その銃口から虐殺の弾丸が飛び出る事は無かった。
『各機。自制せよ』
続けて、ジノも慌てた様子で言葉を発し、更に、それを徹底するよう命じた。
やがて、スモークは海の風に晒されて、薄れ、消えていく。そして、
「――!」
“クラブ”のコックピットの中でロイはあんぐりと、だらしなく口を開けた。驚きの声も出せず、かすれた呼吸だけを搾り出す。
会場にはゼロがいた。
ゼロが、ゼロが、ゼロが、ゼロ、ゼロ、ゼロ、ゼロゼロゼロゼロゼロ……。
会場を埋め尽くした魔人ゼロ。一人ではなく、百万人がゼロ。
支援
『全てのゼロよ!』
モニターの、おそらく本物であると思われるゼロが、会場のゼロに呼びかけた。
『ナナリー新総督のご命令だ! 速やかに、国外追放処分を受け入れよ! どこであろうと、 心さえあれば、我らは日本人だ! さぁ、新天地を目指せ!』
そして、ナナリーとの支持の差を表すかのように、日本人達から歓声が巻き起こった。
○
会場を抜けて、ナナリーは廊下を進み、護衛車に向かっていた
「一体、どうなったのですか?」
盲目のため、状況が理解できなかったナナリーが問いかけると、周りを囲むSPの一人が返答した。
「ただいま、ミス・ローマイヤが対応中です」
「任せろと言うのですか!」
「総督」
感情が昂ぶり始めたナナリーに、アーニャは冷や水をぶっ掛けるような冷静な声で呼びかけた。
ナナリーは声を頼りに、友人に顔を向けた。
「アーニャさん……」
「会場にはスザクがいる。ロイもいる。頼りないようで頼りになるジノもいる」
「……」
「信じて。ラウンズに任せて」
ナナリーは、返す言葉が見つからなかった。
○
ロイが先ほど発見した白い山は、一つの島ほどもある巨大な海氷船だった。それは中華連邦の用意したものではあるが、真っ直ぐに、この行政特区日本の会場に向かっている。
ここまでくると、ブリタニアで賢い部類に入る人間は、ゼロのやろうとしている事を理解した。
――海氷船で、ゼロは黒の騎士団とその支持者たちごとエリア11を離れ、再起を図るつもりか!?
当然の如く、通信機には怒気を交じえた声が往来した。いや、それは通信機だけに留まらず外部スピーカーで会場中にも響いた。
『枢木卿! これは反乱だろ!』
支援
ギルフォードの言葉に、すかさずロイが反論した。
「反乱? 馬鹿を言わないで下さいギルフォード卿! これのどこが反乱ですか!」
コクピット内のモニターに身を乗り出して言うと、ギルフォードがやや憮然とした様子で、眉をピクリと動かした。
『これは奇妙な事をおっしゃられますなキャンベル卿。ブリタニアへの反心は見るに明らかではないですか!』
「かといって、別に彼らは何かを訴えているわけでも! 私たちに危害を加えようとしているわけでもありません!」
『だからと言って! このままみすみすゼロを見逃して国の威光が示せるとお思いですか!』
「威光が示せれば百万の死体の山を作っても良いとおっしゃるか!」
『そもそも、約束を違えたのは黒の騎士団です!』
「そうであっても罰せられるべきは黒の騎士団であり! ここにいる約九割の人間はただブリタニアの支配を是としないだけの一般人なのですよ!」
『一般人であってもゼロの支持者です!』
「道理に沿っても人道に外れると言っているのです! それこそ国の威光の失墜に繋がると私は思いますが!」
『止めろ二人とも!』
ロイとギルフォードのやりとりを止めたのは、珍しく怒声を発したジノだった。
ジノは、“トリスタン”で空中の“クラブ”と“ヴィンセント”の間に割るように入ると、声のトーンは幾分か下げたものの、威嚇を込めた口調で言った。
『二人の意見はもっともだ。だが、全部隊に通信が開いている状態で平静さを欠いた口ケンカの続行はナイトオブスリーとして認められない』
「……」
『……』
二人が黙ったのを見て、ジノは“トリスタン”を壇上のスザクに向けた。
『どうするスザク。責任者はお前だ。お前が決めろ』
『くっ……』
スザクが苦虫を噛み潰したような顔をした。
(スザク……)
ロイには分かった。スザクの心の中は今、ゼロに対する怒りで一杯だろう。
ゼロの今回の作戦はなんの事は無い、一般人を人質に取った脅しだ。
つまり、ゼロはこう言っているのだ。
一般市民を虐殺するわけにはいかないよな? ならば、その一般市民と共に私と黒の騎士団を見逃せ。と。
スザクのその怒りはロイとて同じだ。何が正義の味方だ、ただのペテン師じゃないか。日本人を騙す詐欺師じゃないか!
支援
ゼロの衣装に扮した者たちは、おそらく自覚が無いまま、人質として銃口に晒されているのだ。
忌むべき実に汚い卑劣な手口。
だが、それだけに、ナナリーの日本人との融和政策を支持しているロイ達には有効なものでもあった。
それに、多くを犠牲にして一人を生かすというものは、戦政略上れっきとした策であり、それを知るロイにとっては多少なりの共感を抱くものでもある。
繰り返すが、それがロイにとって忌むべき策であるというのは変わらないが。詐欺でも何でもこれは立派な策であり、成った時点で、それを防げなかったロイ達は負けを認めるしかないのである。
黒の騎士団の力を大アヴァロン襲撃で削ぎ、スザクの出撃で一時はゼロの生死与奪の権利まで握ったにも関わらず、みすみすこのような形で見逃すのは悔しいが、一般人を巻き添えにしてまで黒の騎士団を殲滅するわけにはいかない。
いや、殲滅がブリタニアのやり方として正当なものだとしても、ナナリーは、あの心優しき皇女は絶対に……。
『いかがなさいますか。枢木卿』
今まで事の成り行きを黙って見守っていたローマイヤが、スザクに鋭利な瞳を向けて問いかけた。
『このままみすみすと百万の労働力を失うぐらいならば、いっそ――』
それを聞いたとき、ロイの頭の中で何か熱いものが迸った。
「ローマイヤ!」
いつもとは違い、ロイは呼び捨てでその女性の名を呼んだ。
だが、ローマイヤの方は別段驚いた様子でもなく、どちらかと言えば「まぁ、あなたならこう言えば当然怒るでしょうね」と、それを予想していたようでもあった。
ローマイヤは眼鏡を指でかけ直すと、ロイの乗る空中の“クラブ”を一瞥し、改めてスザクに向き直った。
『いっそ、見せしめとする。という手段もやもえないかと。しかし、暴徒の対応において、我々文官は専門家である武官の判断を尊重いたします。
見たところ“見せしめ”についてキャンベル卿は断固反対。ギルフォード卿は賛成。ヴァインベルグ卿は中立の姿勢をとっておりますが……』
そして、ローマイヤは視線の鋭度を増して言った。
『この場の武官責任者であるあなたの判断は? ちなみに時間はございません。このままあなたの判断が付かぬようでしたら、私は私の権限を使った範囲内においてだけでも“見せしめ”を実行いたします』
支援
KOUSEIです。猿になりました……。
新スレ立ったら携帯で続きを投下しようと思います。
では僕が建てようかと思うがいいかな?
お願いします。
もう猿は解除されたと思うけど……?
助言に従って、試しにレス。
でも、460KB越えてるんで、念の為に次のスレが立ってから投下する事にします。
そうなんですか?今建て終わったんだが
あ、スマン忘れてた
>>854 ありがとうございます。では続きを投下します。あと2レスです。
そして、ローマイヤはその言葉の本気を見せ付けるかのように、懐から銃を取り出して見せた。
皆がそれぞれの感情を抱きながら見守る中、スザクは拳を軋むほど握りしめ、目をつむり、考え込んだ後、悔しそうに……。
『全軍。ゼロを見逃せ……』
絞り出すような声で、命令を下した。
スザクの隣のローマイヤが、不快そうな、でもちょっと安心したような複雑な顔をしながら、大きく息を吐いた。
『……全員聞きましたね。ナイトオブセブン様のご命令です。ゼロを見逃しなさい』
ローマイヤは素直に通信機でスザクの命令を部下に伝えた。彼女の行動は意外と言えば意外だったが、今はそれよりも、ロイはスザクがナナリーの意志に沿った命令をしてくれた事がとても嬉しかった。
「スザク……」
ロイは胸を撫で下ろした。ロイのかけがえの無い友人は見事にナナリーの信頼に応えたのだ。
ロイは目をつむり、目を開けた。そして、命令を復唱した。
「全軍に告げる。ゼロを見逃せ。繰り返す。ゼロを見逃せ……」
○
誰もいなくなった行政特区日本の会場。
ラウンズの白い軍服に着替え、同僚から譲り受けた紫のマントを翻しながら、ロイは壇上の中心に立つ男に近づき、その左肩に手を置いた。
「スザク……」
肩を叩かれた男。枢木スザクは無言で応え、そして、だれもいなくなった会場を見つめている。
「スザク。胸を張っていい。君は何も間違った事をしていない」
スザクは、すでに去ったゼロの方角を睨んだまま呟いた。
「……これが、ゼロの本質なんだ」
唐突なスザクの言葉にロイは返答を迷った。しかし、スザクはロイの返答など必要としていなかったようで、そのまま言葉を続けた。
「人の盾に隠れて、自身は表に出てこない。人を操り、騙し、自分の目的を達成する事しか考えていないんだ……結果しかみていないんだ!」
それは、スザクの心からの怒声だった。
しかし、ロイはその怒るスザクに共感を抱きつつも、ゼロの策に心を高まらせている自分がいるのを感じていた。
多数を犠牲にして少数を生かす。組織のトップとは時にそれを是とし、良心を非としてそれを実行する必要がある。それをロイは知っていた。
支援
しかし、だからこそロイはスザクの言葉に戸惑った。
もっとも、ゼロがただの臆病者の指導者であり、この指導者が多数の犠牲をただの盾とし、安全な場所から高みを決め込むような奴なら話は別だが、ゼロは「上が動かなければ下はついて来ない」と公言している通り、常に前線に出て行く指導者である。
これは、ゼロが自分の部下や支持者達を、単なる盾や切り捨ての対象と見ていない事の証明でもあった。
その上での今回の策。
多少、敵の心理に頼りすぎな面もあるが、逆にその心理を計算に入れて実行したのだとすれば、ゼロの策は見事でもある。
つまり、ロイは今回のゼロの策に一定の好感を持っていた。しかし、スザクのように、一般人を盾にしたその行為自体に反感も持った。
だから、ロイがスザクに向ける表情は複雑なものになった。複雑すぎて、最終的にそれは無表情にも見えた。
スザクは単純にゼロの策を非としているが、ロイにはその判別が付かないのだ。
もちろん、ロイはブリタニア軍人としてはゼロの策を非以外の何物としても見てはいない。
ただ、ロイ・キャンベル個人で今回の策を見ると“非”である。という感情の他に“是”としても仕方が無い。いや、むしろ“是”である、とする感情もあるのだ。
返答を迷っていると、スザクは踵を返し、ロイの傍を通って壇上の隅へ歩いていった。しかし、彼はその途中で足を止めた。
「……ロイ」
スザクは背を向けたまま言った。
「君は、そうはならないでくれ」
それは願いというより、
――君がゼロと同じになったとき、僕はそれを許さない。
という忠告のように感じられたのは、気のせいだろうか。
「スザク?」
そのままスザクはマントを翻して、壇上の隅に姿を消した。
ロイはスザクを見送り、そして迷いのある瞳で会場の方に視線を戻した。
大きな広場に、鞄や帽子がいたるところに置き忘れられ、それが沈みゆく夕日に照らされて細長い影を作っている。
それは、なんだかとても寂しい光景だとロイは思った。
○シーン8『ナナリー の 信頼』Cパート。終わり。
投下終了です。
支援感謝です。
また来週もよろしくお願いします。
>>861 GJでしたー!
ローマイヤさんがいい味出してるなぁ……。
スザクの気持ちを考えると、最後のは何か響いてくる物がありますね…。
次回も楽しみにしてます!
なんだ、ローマイヤさんのファンになりそうだ。さすがの文章力GJです?
それはそうと
>>847に誤字発見
やもえない やむをえない ですね
>>863 ご指摘ありがとうございます。確認しました。
何度か見直してはいるんですが、やっぱり、誤字は無くならないですねぇ。
使っているエディタにワードみたいな誤字訂正表示機能が欲しいと思う、大学のレポートに誤字が多いと言われた今日このごろです。
>>864 エディタで書きおえた後オープンオフィスみたいな無料のワードでスペルチェックオススメです
>>861 KOUSEI卿、GJでした!
最初のアーニャの格好は反則だと思うんだ、うん。
カッターシャツだけとか最早兵器に匹敵する魅力だ。
特区日本、互いに不信感を抱く様子が苦しくなるほどに分かりますね。
ゼロの策に感服?するロイとスザクの言葉……どこか切なくなりました。
貴公の次の投下を全力でお待ちしております!
どうも、某怪盗エロパロスレでSS書いてる人です。
>>821で突っ込んだ後、どうも気になって調べてみました。
……どうやら送り間違えた臭いorz(俺のアドレス帳では、トーマス氏のアドのすぐ上が某怪盗エロパロ管理人のアド)
この場を借りて土下座させていただきますOTL
>>861 毎週、GJ!です。
本編の放送が終わった今、日曜日の楽しみはKOUSEI卿のSSとなりつつあります。
新スレが立ってますので、埋め草に短いやつを投下します。
3レスなので適当にスルーしてください。
「同い年の女の子」
エリア11総督府の空中庭園は平穏だった。一年前のブラックリベリオンでこの場所も戦場の一つと
なったが、今は修復されて元の美しい庭に戻っている。かつて第三皇子クロヴィスが整えたこの庭園は
本国のアリエス宮を模しているという。ライにとってアリエス宮は馴染みのない離宮であるが、自然を
生かしたどこかやさしい雰囲気のこの場所を気に入っている。幼い頃をアリエスで過ごしたナナリー
ならばなおさらであろう。
秋の花が咲く庭園では簡素なお茶会が開かれていた。昨日、十月二十五日は現総督の誕生日である。
しかし、赴任して間もなく、さらにゼロが再び現れてエリア11を引っかき回している現状、悠長に祝っ
ている場合ではない。政庁の文官からは提案が出ていたが、ナナリーは自ら祝賀会を断った。それに加え、
前総督カラレスの元で蔓延った贈収賄を厳しく取り締まる関係上、贈り物も禁じたのだった。
余談であるが、きっぱりと言い放ったその姿勢はその前の総督であるコーネリアとも似ていたので、
「やさしげに見えてもさすがシャルル陛下の子」とこっそりと噂されたという。
「私の誕生日なら、一緒にお祝いしても構わないはず」
翌二十六日に誕生日を迎えるアーニャのぽつりと呟いた一言に、個人としてのナナリーを祝いたかった
面々は奮起し、渋るミス・ローマイヤを説得して昼食とその後の数時間ばかりの予定を空けてもらった。
普段、書類仕事をしないジノやスザクが必死に机に齧りついていた様子をアーニャはしっかりと記録し
ている。もっとも慣れないことをするものだからミスが多く、反ってローマイヤやライの負担が増えてい
たことは彼らの名誉のために伏せておこう。
花と緑に囲まれた円いテーブルには軽食と旬の果実、色とりどりの小さなケーキが並べられている。
香りのよいお茶を入れられた白磁のカップはゆるりと湯気を揺らしていた。
色々なものを少しずつ。珍しくアーニャがつけた注文に応えたのは意外なことにミス・ローマイヤだった。
曰く「総督とナイトオブシックスの口に入るものですから、万が一のことがあってはなりませんので」。
彼女はそれ以上何も言わなかったが、厨房の担当者によると手作りらしい。
ナナリーとアーニャは互いのケーキを交換して食べている。円卓に並んだ二人は共に十五歳の誕生日を
迎えたばかりで、そうしているとただの女の子にしか見えないだろう。しかし彼女たちは片やエリア総督、
片や帝国最強の騎士の一人である。同年代の少女たちが学校に通い、友達と掛け替えのない時間を過ごし
ている時に彼女たちはそれぞれ戦いの場に立っている。
選んだのは自分自身だとしても、時代が違えば――。稚い姿にそう思わずにはいられない。
ライは昨年のナナリーを知る分、その思いは強い。スザクも同じ思いなのか、彼のナナリーを見る目は
優しさの中に隠しようのない寂しさも湛えているように見えた。同時に昨日を誰よりも祝いたかったに違
いない友人の姿を思い浮かべる。
来年はまたみんなで誕生日を祝えるといい。ライは心からそう願った。
* * * * * *
おまけ:「口は災いのもと」
「アーニャも十五歳かぁ」
何やら年寄りくさい調子で紅茶のカップを傾けていたジノが呟いた。そこに含みを感じたのかアーニャが
目をこちらに向ける。
「ジノだって、もうすぐ十七歳」
アーニャは訝しげに指摘した。ジノの誕生日は来月だ。また派手な誕生日会を開くことになりそうだな
とライはスザクと目配せをし合った。もしくは、真剣勝負のナイトメア戦か。どちらにしても今日のよう
に穏やかにとはいかないだろう。
「うん? いや、そういうことじゃなくて、小さいアーニャも知っているからなんだか感慨深くてね。
今でも小さいけど」
「小さくない。去年より三センチも背が伸びてる」
「いやいや、去年と変わってない。まあ、まだ成長期だし、心配するなって」
ジノは一瞬、ナナリーとアーニャを見比べて快活に笑った。
「……なにが?」
アーニャの目が光った。
これ以上は危険だとライは思った。何より不敬罪にも当たる。ナナリー皇女殿下の専任騎士として黙っ
ていられない。
「ジノ、それ以上はよくない」
ライよりも先にジノを制したのはスザクだった。ライは彼の瞳の虹彩が赤く点滅していることが少し気
になった。
しかし、時既に遅し。アーニャは指先にモルドレッドの起動キーをひっかけてくるくると回している。
「ジノ、今日と言う日を最期の記録にしてあげる……」
以上です。
ナナリーの誕生日には一日遅れましたので、このような形にまとめました。
ネタを書いては捨て、書いては捨て……。
ちゃんと面白いものを書けるようになりたいものです。
ゐ`ギアスwww
>>872 GJでした
それにしても、スザクがとばっちりで生きろギアス発動ww
真面目な話、二階堂が投げる試合では絶対に主審はやりたくないな。チップファウルでも来ようものなら
マスクごと顔面粉砕・頸椎損傷とか普通にありそう。
…どうしてもというなら機動隊の盾(ジュラルミンではなくポリカーボネイトのあれね)の持込を許可してもらう。
>>872 GJでした。
空気を読ませる生きろギアスに吹いたwww
ジノ以外も記録化しそうな気もするけど…
スルーするなど不可能でした!
>>872 マト卿、GJでした!
手作りだと!? ローマイヤさんのいい人ぶりが光ってる!
祝賀会を断るナナリー……かっこ可愛い姿を想像いたしました。
おまけww ジノ、君もまたKYなのかwww
そして生きろギアス発動のスザクw
貴公の次の投下を全力で待たせていただきます!
捨てるほどネタが有るとは……羨ましい。
>>875は誤爆なので無視してください
>>867 大変失礼しました。仰る通り
>>817は私トーマスです。
メールを受け取ったときに若干の疑問を感じたのですがそのまま書き込んでしまいました。
キャットシーフ?……なんだろう。うーんなんとなく「C.C.が怪盗の真似事をする連載もの」かな?書き込んじゃえ!みたいな。
以後、確認するようにいたします。
シャルル「トォォォォォマスは、また誤爆をした……」
すみません、言ってみたかっただけです
トーマス卿はドカベンネタも通じるのかw
一応こっちにも。
もうすぐ新スレに長文投下するんで、支援を募ってますんでよろしく
よし。なら自分は埋めネタを投下します
3レスですので支援は必要ないです
『RIGHT OF LEFT』
大きな欠伸をしている人物がいる。年頃の女の子らしかぬ行動。
カレン・シュタットフェルト改め、紅月カレンは学園の廊下にいた。
昨日も遅くまで参考書とダンベルによる筋トレをしていたのだ。
いつもの清楚なお嬢様な猫被りはどこへやら。まぶたがいつもより開いていない。
その寝惚け眼の視線に入ってきた人物、ライを見つめたのだが相手も同じような感じだった。
姿勢や歩き方はいつも通りだが、目の下のくまは誤魔化せない。
表情も寝不足で若干だが脂汗が浮かんでいる。
「ライ……」
「なんだ……」
地の底を這うような声で応対する二人。普段の二人を知る人ならさぞ驚く事だろう。
二人とも普段は凛としており、学園の中でもそれなりの気品がある。
だが、今の二人は寝不足でそこまで気が回せなかった。
「くま……」
「めやに……」
口から出るのは単語のみ。それでも会話が出来る辺り流石というべきなのだろうか。
ライの隈を隠す為にカレンはファンデーションを取り出して塗りはじめた。
ライもライでハンカチを取り出してカレンの両方の目尻についている目脂を優しく取っている。
眠たすぎるんだろうか、それとも息が合うからなのだろうか。
同時にそれらを行なっていたのだが実にスムーズに終わる。
その遥か後方でカレンの親衛隊は涙を濁流の様に流していた。
「カレンもライ君も凄い顔だよ、大丈夫?」
「疲れているんでしょうか?」
「おいおい、二人とも大丈夫なのかよ?」
「しょうがないわね。会長命令よ、二人とも今日は休みなさい」
生徒会の面々が廊下で佇む二人の形相に驚いたのか、みな一様に目を見開いている。
ミレイも流石に危なっかしいと思ったのか二人に帰宅を命じた。
「ふぁい……」
「スザクは……?」
欠伸を堪えながら返事をするカレンの呂律の怪しさは満点。
ライも素っ頓狂な質問をしている。廊下の窓の下から踏ん張っている彼の声が聞こえていないのだろうか。
頑張ってランスロットを持ち上げているというのにスザクも不憫である。
そうこうして二人は帰宅したはずなのだが、なぜか黒の騎士団の格納庫に来ていた。
「なんで……」
「なぜ……」
日常の習慣。と言うものなのだろうか、帰宅すれば着替えてここにくるもの。
それが日常である二人にはここまで基本通りだった。
「なぁに二人とも。今日は休みって言った筈よぉ?」
ラクシャータもバイタルデータから今日は休んだ方がいいと言ったのだが、流石にこれは予想外だったらしい。
とりあえずラウンジに行くように促して二人を見送る事にする。
ふらふらと千鳥足で歩く二人、それでも妙に息が合ってるテンポにラクシャータはキセルを吹かして笑ってしまう。
ラウンジのソファーに座りライは目線を前に定めたままどうするか悩んでいた。
クラブハウスに帰るか、ここの仮眠室で寝るか。頭の回転が徐々に鈍くなっていく。
不意に右肩辺りが重くなった気がしたのだが、それよりも頭が睡眠を欲しがっている。
そうして彼はソファーで眠りに落ちた。
「我等がツートップも情けねえなあ。こんなとこで寝やがって」
「玉城、静かにしろ。二人が起きたらどうするんだ」
布が被さる音がする。それが気になったのだがライは寝続けた。
「しょうがない子達ね。杉山、余ってるのある?」
「ああ、これなら使っても大丈夫だ」
足が少し暖かくなる。ライは少し寝易くなるなと思った。
「強者が弱者を……ん?」
「ゼロ、先程伺っ……ん?」
シャッター音が聞こえる。あまりにリズミカルな音にライは眠りが深くなってしまう。
「つくづく過保護な連中だな」
C.C.はラウンジのソファーで眠るライとカレンを見つけ笑っていた。
二人には団員服の上着がかけられており、膝元には毛布がかけられてある。
その横に二人の寝顔を見事に写した写真が幾つか落ちている。
それ以上にカレンが安心した顔で寝ているのをC.C.は笑って見ていた。
「お前を必要とする人間もいる。ライ、最後まで諦めるなよ」
二人の隙間から覗いて見えるのは小指だけが重なる指先。
ライとカレンの二人が手を取り合うのはもうちょっと先の話。
以上です
内容がないよう?なんちって
たまにはいいじゃない、人間だもの
それでは、失礼しました。
>>886 ぷにぷに卿GJでした。
騎士団の人たちの優しさがいいですね。
実際昼は学校、夜はテロ活動なんてしてたら身体もちませんよねw
>>886 GJ!
寝ぼけてても息の合う騎士団双璧ww
そして、その写真、焼き増ししてください。
ところで、スザクはなんで窓の下でランスロットを持ち上げていたのでしょうかw
どうします?埋めますか?
>>886 ぷにぷに卿、GJ!
さすがのライでもこういう日があるんだろうなぁとしみじみ
後、小指だけ重なっている指先と聞いて某エヴェの同人誌を思い浮かべましたよw
最近誕生日SSをちらほら見かけるのでおいときますね
1/13 コーネリア
1/28 天子
3/27 ライ(ロスカラ発売日)
3/29 カレン
6/ 1 ヴィレッタ
7/ 8 シャーリー
7/24 ミレイ
8/10 神楽耶
8/27 ニーナ
9/ 1 千葉
9/ 7 セシル
10/11 ユーフェミア
10/25 ナナリー
10/26 アーニャ
11/ 9 咲世子
11/17 ラクシャータ
11/22 マリアンヌ
12/ 5 ルルーシュ
11月9日は薔薇の嵐の予感
>>886 ぷにぷに卿、GJでした!
疲れていても息がピッタリな二人、やり取りも行動も。
そして、やたらとアットホームな騎士団。
ちっちゃい優しい世界を開幕見ました。
貴方の次の投下を全力でお待ちしております!
埋めますか?
895 :
814:2008/10/26(日) 22:47:18 ID:lewep4PG
埋めがてらレスなどしてみる。
>>816 支援ありがとうございました。
後編は自分では別名:種明かし編としてたので、ホッとしていただけてよかったです。
>>819 そうまでいって頂けますと、初心者SS書きとしては望外の至りです。
読んでいただき、ありがとうございます。
>>821 書いた本人もコウ卿の「明日へ/ありがとう」に似てるなと思ってます。
というか、あの作品を拝見したのは、こちらが6〜7割程度の仕上がりの時で
読みながら、あ〜やられた〜とか、なんかかぶっちゃってるよぉ〜、と感動と同時に別の意味で悶えてましたw
結局、競うものでないからいいかと開き直って投下した次第です。
『』についてはまったくごもっともです。
中篇で“”の多用に反省しておきながら、この様です・・・。もっと精進させていただきます。
今回は初心者が肩に力いれすぎてやっちゃったんだなとご容赦ください。
896 :
814:2008/10/26(日) 22:48:38 ID:lewep4PG
連投になって、すいません・・・。
>>トーマス卿
大変に申し訳ございませんが以下2箇所ほど修正をお願いいたします。
>>792の20行目
誤:彼女に問いに応えることもせずに僕は祭壇へと近づいていく。
正:彼女の問いに応えることもせずに僕は祭壇へと近づいていく。
>>804の9行目
誤:「『三文役者が気にいらないのなら『三流脚本家』にしてやろうか?
正:「三文役者が気にいらないのなら『三流脚本家』にしてやろうか?
上記2点の入力ミスと消し忘れです。
前編での修正に続き、お手数をおかけしてすいませんが何卒よろしくお願いします。
898 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/26(日) 23:18:27 ID:8sjr8Q+2
ちょっwwww
ライの誕生日(発売日)俺の誕生日だったのかよwwww
そっか…知ってたらもっと真面目なライセシやライユフィを書いてたのに不覚orz
咲世子さんネタでも今から考えるか…
そろそろ埋めますか
いいですね
梅
埋
ume
ウメ
埋め……埋めと言った
うめ
うめ
梅
埋
埋
埋
畝
埋
埋め
みんながスレのこと、埋めますように…
優しい次スレでありますように……
埋めついでに提言、年末に一番面白かったSSを決めたら面白いかもw
>>917 精々自分が好きな作品を思い思いに語る、位じゃない?
2chで順位つけるのはまず間違いなく荒れるし
>>917 今迄に投下されたSS全て
でいいんじゃない?
なにか不満のある人はいる?
>>917 ふむ、確かに面白そうではありますが、きちんとした決め方を考えねばなりませんね。
というかSSの数的にカオスになりそうです。
一番を決める必要があるとは思えないが……
順位付けはちょっと、な……
ですよねえもうすぐ900にいきますから
900?!
あれ、全部読み返すだけでも一苦労だぜ。ちょっと前に実際やったけど、二週間以上かかった。
やめておいた方が無難でしょ
>>924 ほお…、よく数えてますね
順位付けは間違いなく荒れそうですし、
>>920氏が言っていたのも「雑談よそでやれ」って流れになると思われ
埋め
前にも似たようなこと希望した人がいたけど、その時も荒れる元だから無しの方向でって話になった
個人的にも無し
好き職人について語りたいなら、その職人がSS投下した時に感想を熱く語ればいいと思うよ
最近投下がない職人さんなら過去作感想を保管庫の管理No.付きで、
普段はしにくいだろうから、こういった埋めの時に落とせばいいんじゃね?と思う
埋め
埋め
残り約11KB
せいぜいこの職人さんのSSの中ではこれが好きって語る程度がいいと思う
まず順位付けは荒れる
埋め
>>891 改めてみたら、女子キャラに紛れてルルーシュだけ誕生日がちゃっかり入っているw
一応ロスカラにエンドのあるスザクとかジェレミアとか藤堂さんとかロイドさんも仲間にいれてあげて!
自力で書き込もうかと思ったけど資料みつからない……
あとノネットさんの誕生日はいつなんだろうな
ネタ的には9/9かな?とか思ったり……
>>934 パーフェクトにナイン何ですね、分かります
埋め
1/ 1 マオ
1/ 3 藤堂
1/12 シュナイゼル
1/13 コーネリア
1/28 天子
2/ 2 ロイド
2/16 ディートハルト
3/ 3 玉城
3/18 扇
3/27 ライ(ロスカラ発売日)
3/29 カレン
4/19 ルキアーノ
6/ 1 ヴィレッタ&カノン
7/ 8 シャーリー
7/10 スザク
7/20 リヴァル
7/24 ミレイ
8/ 2 ジェレミア
8/ 4 シャルル&V.V.
8/10 神楽耶
8/27 ニーナ
9/ 1 千葉
9/ 7 セシル
10/11 ユーフェミア
10/19 ギルフォード
10/25 ナナリー&ロロ
10/26 アーニャ
11/ 9 咲世子
11/17 ラクシャータ
11/22 マリアンヌ
11/27 ジノ
12/ 5 ルルーシュ
12/23 ビスマルク
12/31 星刻
>>934こんな感じ。
C.C.はunkown
ノネットさん及びモニカとドロテアは不明ってなってる。
藤堂と千葉は誕生日あるのに、朝比奈だけ不明って書いてあってびっくり
ライ?♪
このスレを落とすのはちょっと待ったほうがいいのかな?
キャラの誕生日情報とか結構貴重だと思う
最近ロスカラ系スレでよく見かける『ライ?♪』って書き込み、これなんなの?
どっちみちスレごと保管されるのだからいいんじゃない?
だね
>>943 ライスレで話題がなくなったらやる慣例行事みたいなものらしい
スルーが一番
スレまるごと保管はさすがにすごいな
じゃあ埋める
埋め
スレは埋まらんと保管されないからな。
埋め
埋め
埋め
埋め
埋め
埋め
すまんあとまかせた
まかせろ埋め
ウメーヨ
梅
うめうま
早っ!
みんなの魂に火がついたのか?うめ
梅
梅っす
埋め
>>946 ?
一番シンプルな保管庫って過去ログ倉庫じゃね?
埋め立て
埋め
埋め
いかん、お礼言うの忘れてた!
>>938-941乙&ありがとう!
埋め
お礼言うの忘れてた!
>>938-941乙&ありがとう!
不明ならノネットさんはやっぱり9/9だと思っておく
そして、朝比奈……っ!(っд;)
よし、こうなったら朝比奈は10/1だ!醤油的に考えて!!
……と、思ったがDSゲームに仲間にできるキャラの誕生日がのってた気がする
今手元にないんだけど、誰か判る?
のってるなら井上さんの誕生日は需要があると思うんだけど……
埋め
コピペ間違いで965が変な風になった......orz
埋め
>>965 DSにも井上の誕生日はなかった気がする。攻略wikiに誕生日一覧があったはずだが、今見られない
うめぇ
埋めよ
埋め。
>>965 探して見てきてきた。
現在の表にある人以外は無し。
また、一部キャラ(シュナイゼル、藤堂など)の誕生日が大幅に違っているから、参考にはしなかった。
上にある表は基本的にコンプリなどで作成しました。
>>939 つーかunkownて何だ C.C.はう○こみたいじゃんか
unknownだった
きたねー
神社でおみくじを引いた
末吉が来吉(ライキチ)に見えた
とりあえず、第一目標980まであと5!
4
497KB
ここで3KB分のAAとかきたら、ここまで埋めたのが無駄になるなブルブル
ライライ軒
980は、我々が占拠した! おとなしくしろ
あとはまかせたスザ、ゼロ・・・
我が忠義の埋め!
__...ュ=、__ィ=ュ ,.._
{ ゙゙゙゙゙̄''ヾ ,:´十L‐ェ‐」田,`:、-ノ' │
ゝ 土/ `¨´!_!二、,!~、 ゝォ |
_!、 丿 ,.‐^ jハノ `ゝ 亅.丿
λ、,〉-/___, 、___ ∨〃
i イ (ヒ_] ヒ_ン │ |
l 、j "" ,___, "" i ,j
!イ、 `:、 ヽ _ン ノ ,ノ'
ヽ、_>、 ____., イ j
埋め
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フィニッシュ!
1001 :
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もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。