コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS SSスレ 28
■SSを投下される方へ
1.投下前後に開始・終了の旨を書いたレスを入れて下さい(または「何レス目/総レス」を名前欄に)
2.規制に掛かりやすくなっていますので、長文の場合は支援要請の旨も冒頭に書いて下さい。
逆に2〜3レスほど使用の場合、支援は要らない旨を書いてください。レス毎の投下間隔は2分〜3分程度がベストです
3.投下前は、他作品への割り込みを防ぐ為に必ずリロード。尚、直前の投下完了宣言から15分程度の時間を置いてください
4.投下許可を求めないこと。みんな読みたいに決まってます!
5.ゲーム内容以外で本編放送前バレ情報があるSSは始めに注意書きを。
6.なるべくタイトル・カップリング・分類の表記をして下さい。(特にタイトルはある意味、後述の作者名よりも重要です)
・読む人を選ぶような内容(オリキャラ・残酷描写など)の場合、始めに注意を入れて下さい。
7.作者名(固定ハンドルとトリップ)について
・投下時(予告・完了宣言含む)にだけ付けること。その際、第三者の成りすましを防ぐためトリップもあるとベスト。
トリップのつけ方:名前欄に「#(好きな文字列)」#は半角で
・トリップがあってもコテハンがないと領地が作れず、??????自治区に格納されます
■全般
1.支援はあくまで規制を回避するシステムなので必要以上の支援は控えましょう
2.次スレ建設について
・950レスもしくは460kB近くなったらスレを立てるか訊くこと。立てる人は宣言してから
・重複その他の事故を防ぐためにも、次スレ建設宣言から建設完了まで投稿(SS・レス共に)は控えることが推奨されます
※SS投稿中に差し掛かった場合は別です。例 940から投稿を始めて950になっても終わらない場合など
3.誤字修正依頼など
・保管庫への要望、誤字脱字等の修正依頼は次のアドレス(
[email protected])に
※修正依頼の際には 作品のマスターコード(その作品が始まる際の、スレ番号-レス番号。保管庫の最優先識別コード)を“必ず”記述して下さい
例 0003-0342 のタイトルを ○○ カップリングを ○○
(↑この部分が必須!)
マスターコードを記述されず○スレ目の○番目の……などという指定をされると処理が不可能になる場合があります
4.睡眠は1日7時間は取りましょうw
■画像投稿報告ガイドライン
ロスカラSSスレ派生画像掲示板
PC用
http://bbs1.aimix-z.com/gbbs.cgi?room=lcsspic 携帯用(閲覧・コメントのみ)
http://bbs1.aimix-z.com/mobile.cgi?room=lcsspic 1.タイトルとコテハン&トリップをつけて絵を投稿する。尚、コテハン&トリップについては、推奨であり強制ではありません。
・挿絵の場合は、誰の何のSSの挿絵と書く
・アニメ他公式媒体などにインスパイアされた場合は、それを書く(例:R2の何話をみてテンさんvsライを描きました)
2.こちらのスレに以下のことを記入し1レスだけ投稿報告。
例:
「挿絵(イメージ画像)を描いてみました。
画像板の(タイトル)です。
・内容(挿絵の場合は、SSの作者、作品名等。それ以外のときは、何によってイメージして描いたのかなど)
・注意点(女装・ソフトSM(首輪、ボンテージファッションなど)・微エロ(キス、半裸など)・ゲテモノ(爬虫類・昆虫など) など、
絵はSSに比べて直接的に地雷になるので充分な配慮をお願いします)
以上です。よかったら見てください。」
画像掲示板には記事No.がありますので、似たタイトルがある場合は記事No.の併記をおすすめします。
*ただし、SSの投下宣言がでている状態・投下中・投下後15分の感想タイムでの投稿報告は避けてください。
3.気になった方は画像掲示板を見に行く。
画像の感想は、原則として画像掲示板に書き、SSスレの投稿報告レスには感想レスをつけないこと。
画像に興味ない人は、そのレスをスルーしてください。
4.SSスレに投稿報告をした絵師は以下の項目に同意したものとします。
・SSスレに投稿報告した時点で、美術館への保管に同意したものと見なされます
・何らかの理由で保管を希望しない場合は、投稿報告時のレスにその旨を明言してください
・美術館への保管が適当でないと判断された場合、保管されない場合もあります
(不適切な例:ロスカラ関連の絵とは言えない、公序良俗に反するなど)
----テンプレは以上です----
トーマス卿GJです!
新スレ乙です
乙です
前スレでも少し言われてた気がするが初心者さんの投下も歓迎かね?
>7
歓迎しない訳がありません、否、大歓迎です
全力を挙げて
>>1乙!
>>7 もちろんオフコースでした!
ウェルカムを歓迎です。
4時50分ごろに投下しようと思います
3レス程度なので支援は必要なしという方向で
『距離間と親近感』
「ねぇライ君ってキスしたことある?」
書類整理をしていた手を止め顔をあげる
していた仕事を止めたから会話を続けても良いと判断をしたのだろう
「ねぇどうなのライ君?」
テーブルに肘をつき前屈みになりながらさらに質問をしてくる少女
姿勢をかえた事によって彼女の長い栗色の髪が揺れる
「突然どうしたのシャーリー?」
怪訝そうな表情を造り質問を質問で返す事にする。
普通突然キスした事ある?なんて質問されても返せない
「う〜んとね、そのほら最近友達が彼氏出来ちゃってそういう話が話題になるんだけど」ちらちらと視線を黙々と仕事をしているルルーシュに向けている。
それだけで理解できた。
今生徒会室にいるのは僕達三人だけ、流石にルルーシュに直接質問をぶつける訳にはいかない、とシャーリーは思ったんだろう。
そのためのワンクッションをはさむ相手としては、僕は最適だろう。
―もしミレイさんなら余計な事になりそうだし、ニーナはパニックおこしそうだし、スザクは生真面目に真剣に答えそうだし、リヴァルは何かテンションあがって墓穴掘りそうだな―
「うーん、そうだね…」
ここは僕からルルーシュに振るのがシャーリーに
とって一番いい流れだ。
「よく、わからないな?自分で言うのもなんだけど記憶喪失だし……ルルーシュはどうなんだい、キスしたことある?」
先程より前屈みになりシャーリーもルルーシュに質問する。
その前にこちらに感謝のウインクを向ける
「そうそうルルはどうなのよ」
黙々と隣で仕事をしていたルルーシュが
手を止め不機嫌そうな声で口を開く
「はぁ、まったくそんな事を話してる暇があったら手を動かすんだな」
そう切り捨てまた仕事に戻ろうとする。
それを見てシャーリーが少しがっかりした表情になる。
シャーリーだって女の子だ。僕というワンクッションをはさんでいるとはいえ
好きな相手にこういう話題を振るのは勇気がいる。
「いいじゃないかルルーシュ、こう仕事ばかりしてたんじゃ疲れる一方だし、少しは余裕を持つのは悪くないことだろ?」
だったら友達としてシャーリーに協力するまでだ。
「はぁ、わかったわかった。俺はキスをしたことは無いな」
多少考えてから、呆れながらも答えてくれるルルーシュ
「そっかルル、キスしたことないんだ」
弾んだ声で話すシャーリー
かなり嬉しいのだろう笑顔も明るい。
「まったく、何が嬉しいんだか」
口ではそういっているが、嬉しそうなシャーリーに釣られるように、ルルーシュも口元が笑っている。それにより和やかな雰囲気で終始書類整理を行えた
「うーん、終わった」
手を伸ばし肩の凝りを和らげるシャーリー
窓から見える光景は暗い闇である
「まったく会長達はどうしたんだ」
愚痴を吐くルルーシュ
「まぁ、たまにはあるんじゃないかなこんなこと」
自分の口からでる言葉にしては、酷く疲れをおびているように思える。
「たまには、にして欲しいよほんと」
先程の体制からそのまま机に寝転んだ状態で呟くシャーリー
「仕方ない俺が提出してこよう」
ため息をはきながら手を机につきながら、立ち上がろうとするルルーシュ
「そうかいすまないねルルーシュ」
横を向きルルーシュ感謝する僕
「何、たまにしかいないからこのく…」
言葉が途切れる。
ルルーシュが手の下にあった紙に手を滑らせこちらに倒れてくる。
ルルーシュの顔がみるみる大きくなっていく。
ルルーシュの瞳に自分自身の顔がうつりこんでいる、
近くて遠い場所からシャーリーの声が聞こえる
「あ」
以上で投下終了です
なんとゆうか微妙ですいません
>>14 乙でしたー!
……ってラストのハプニングwww
ほのぼのとした日常風景かと思いきやw
貴方の次の投下を全力でお待ちしております!
差し支えなければ9:30頃に投下しようと思います。
17 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/12(日) 09:30:06 ID:yxotv2T3
支援
年下専門です、長編の続きを6レスほど投下します
タイトルは「優しい世界で目覚めて 第五話 世界唯一のギアスユーザー」
・ギアス篇と学園篇の複合エンド後にしてR2終了後からの話
・ライは黒の騎士団入ってて学園篇エンドを迎えた、ルート的にはランペルージ兄妹メインに万遍なく頑張ったライ君
・ジャンル傾向はほのぼのしんみり系
・カップリングは現時点ではなし
・アフターに関しては情報が少ないため、自己解釈の要素を多分に含んでいます
「おやおや、ジェレミア殿に会いにきてみれば……珍しいものが見れたものだ」
「まさか、あのアールストレイム殿が男に身を任せてお昼寝とはな」
「全く羨ましい。我々の誘いには全く靡いてくれないというのに」
どこか甘やかな雰囲気が形成されていた二人の空間に無粋な侵入者が現れる。
わざわざ声をかけてきた三人の男にライは見覚えがあった。
ジェレミアを訪ねてやって来た時、彼と口論をしていた白の騎士団の三人組だ。
「……また来たの?」
名残惜しそうに膝から身を起こしたアーニャが不快そうな口調で呟く。
小さな声音であるにもかかわらず、その声はハッキリと届いたらしく三人組は頬を引きつらせる。
「何度でも来るとも。我々にはジェレミア殿が必要なのだ」
「そしてそれは貴女とて同じ」
「嫌。何度も言わせないで」
端的かつ容赦なく。
一刀の元に申し出を斬り捨てられた男たちは引きつらせていた頬をピクピクと痙攣させる。
見た目ただの小娘にこうも言われて彼らの腸は煮えくり返っているに違いない。
それでも手を出さないのは彼らが紳士だからか、それとも自分たちが勝てないと悟っているからか。
恐らく後者だろう、とライは考えた。
彼らの実力がどれほどのものかは知らないが、物腰を見れば大体の実力はわかる。
判断の結果、少なくとも彼らはナイトオブラウンズには及ばない。
である以上、アーニャに勝てるはずがないのだ。
「クッ……この裏切り者が!」
「不忠者であるお前に名誉回復の機会を与えてやろうというのに、その態度はなんだ!」
手を出さない代わりに、口が荒くなる三人組。
最初の丁寧さはどこへやら。
やはり彼らは紳士ではなかったな、とライはアーニャの後ろに控えるように立ち上がる。
念の為、いつでも彼女を庇えるよう体勢を整えておく。
「誰も頼んでない」
わざとやっているのか、それとも素なのか。
更に彼らの怒りを助長するような物言いのアーニャに思わず笑いが込み上げてきてしまう。
「おい貴様、何がおかしい!」
その様子を目ざとく目に付けた男の一人が憤怒も露わにライに詰め寄ろうとする。
思わず身構えかけるも、それよりも先に二人の間に小柄な影が割り込む―――アーニャだ。
「……」
「ク……おい、貴様! 女の影に隠れて恥ずかしくないのか!」
「うるさい、いちいち吠えないで」
眼光鋭く一睨み。
それだけで興奮しかけていた男の怒気が制圧されていく。
辞したとはいえ、元ラウンズとテロ組織の下っ端ではやはり格が違うと思い知らされるやり取り。
しかし一番離れているところに立っていたリーダー格の男は多少は胆力があるのか、それともただ鈍感なのか。
皮肉気な笑みを浮かべると、嫌味な口調で口を開いた。
「フン、その男の騎士にでもなったつもりか?」
「……」
「元々ナイトオブラウンズは皇帝陛下直属の騎士。つまり、いつ何時どんな理由があろうとも陛下の為に力を振るうのが役目だ」
「だから?」
「にも関わらず貴様はルルーシュ陛下と敵対した。いや、貴様だけではない。ジノ・ヴァインベルグを初めとした他のラウンズもそうだ」
「……」
「陛下に付き従ったラウンズは枢木スザクのみ! 貴様にわかるか……皇帝陛下の剣であり、盾であるべきラウンズで
かの御方に味方したのは、名誉ブリタニア人である枢木スザクだけだったという我らの屈辱が、悲哀が!」
「ブリタニア軍人は皆至高の座であるナイトオブラウンズを目指し、常に切磋琢磨を続ける。
全てはいつかラウンズに名を連ね、皇帝陛下の剣にならんがために! その努力を貴様等は嘲笑った!」
血走った目で意見を主張する男たちに、ライは奇妙な共感を覚えていた。
彼らの活動そのものは否定するべきだが、その忠義心には感嘆すら覚える。
勿論、白の騎士団が正しいとまでは言わないが、彼らは純粋にルルーシュを敬愛しているのだ。
そう思うと、例えそれが狂信の類であろうとも軽蔑の念を抱くことなどできない。
(僕にもいたな。こういった類の騎士が)
狂王と呼ばれていた過去を思い出す。
血に濡れた自分を畏怖するもの、怯えを抱くものは多かった。
しかし同時に、そんな自分だからこそ敬い、ついていきたいという者も確かにいたのだ。
そんな彼らとて、ギアスによって全員死に絶えてしまったのだけれど。
支援
「弱肉強食はブリタニアの国定、シャルル陛下と同じく、ルル−シュ陛下はその体現者だった。
だが今の皇帝はなんだ! ゼロの庇護の下に権力を振るうただの虎の威を借る狐ではないか!」
「……ナナリー陛下を、悪く言わないで」
反論するアーニャの口調はどこか弱まっていた。
彼女とて、彼らの言葉に思うところがあるのだろう。
当時の状況からすれば、ラウンズたちがシュナイゼルについたのは間違った選択ではない。
だが、ラウンズは皇帝の騎士だという主張も間違いではないのだ。
特にアーニャの場合、他のラウンズとは違って記憶という餌に釣られて陣営を決めた経緯がある。
ルルーシュの真意を知った今、男たちの言葉は確実に少女の心に突き刺さっていた。
「最後まで陛下に付き従い、新政権を良しとせず軍を抜けたジェレミア殿こそ真の騎士!」
「だからこそ我らは彼を迎えたい。アーニャ・アールストレイム、その身に少しでもラウンズの誇りを残しているのなら、我らを手伝え!」
少女が弱気になったのを見てか、リーダー格の男が近づいてくる。
しかし、それを黙ってみているライではなかった。
「なんだ、貴様」
「……ライ?」
先程のアーニャと同じように、少女を庇う形で前に立つライ。
話を折る不逞の輩に男は眉を吊り上げ、アーニャは頬を微かに赤らめ戸惑ったような声を上げる。
「そこまでにしておきませんか」
「何?」
「貴方達のいいたいことはわかりました。ですがそれは今の平和な世を壊していいほどの大義ではない。
ましてや、戦いを捨てたジェレミアさんやアーニャを引き込んでいい理由にもならない……帰ってください」
「知ったような口を! どけ!」
立ちふさがる少年をどけようと、男はライの肩に手をかける。
しかし、払いのけようとしていた銀髪の少年の身体はビクともしない。
まるで大木に力比べを挑んでいるような、そんな絶望的な気分が男を襲う。
「き、貴様……!」
「もう一度言います―――『大人しく帰れ』」
支援!
(―――!!)
その声を聞いた瞬間、アーニャは上気していた顔を青褪めさせ、背筋に冷たいものが流れるのを感じていた。
これは誰だ。
まるで、前々皇帝シャルルのような威圧感と王者の風格。
自分に向けられた言葉ではないのに、思わず従ってしまいそうになる重圧。
「……わかった。大人しく帰ろう」
頷いた男は無言で背を向けると、出口へと歩き始める。
「な!?」
「シュバルツ殿!?」
「貴方達も『大人しくここを去れ』―――早急に」
リーダーの突然の変心に慌てる部下二人だったが、続くライの命令にやはりリーダーと同じく背を向けて歩き始めてしまう。
一体何がどうなっているのか。
アーニャは前に立つライの背中をジッと見つめる。
気を抜けば、跪いてしまいそうだ。
一体彼はどんな表情をしているのか。
見たい、だけど見たくない。
二律背反が少女の胸を揺さぶった。
「アーニャ、塩を持って来てくれないか?」
くるり。
振り返ったライは、アーニャの知るいつものライだった。
そのことにアーニャは安堵を覚え、同時に疑問を抱く。
今、ライは何をしたのか。
しかしライの表情は何も語らないと暗に言っているようで。
アーニャには、その意思を圧してまで疑問を口にする勇気はなかった。
「……塩?」
「ああ、撒くから」
「わかった」
とてて、とライの頼みを受けたアーニャはジェレミア家に向かって走っていく。
走り去る彼女の表情にあったのは、恐怖か、安堵か。
ただ一つ間違いないのは、自分を守るように男達の前に立つ少年の背中が大きかったこと。
そのことを、少女は一生忘れないであろうということだけだった。
支援
「ライ」
「ルルーシュ。帰ってきたのか」
「ああ、今日のおやつはクッキーだった。ただ、糖分が多いように見えたな、あれではナナリーが太ってしまう」
「聞いてないよそんなこと」
アーニャの姿が見えなくなったオレンジ畑。
帰ってきてすぐさま妹のことを口にするルルーシュにライは苦笑を禁じえない。
「しかしお前、よく塩を撒くなんてことを知っていたな」
「母に教えてもらったんだ」
「そうか……」
お互い母親という存在には特別な意味がある。
ルルーシュはそれがわかっているがゆえにその話題をそこで打ち切った。
「……ギアスを使ったな」
数秒の沈黙を破ってルルーシュが口にしたのは先程のことだった。
三人組が大人しくライの命令を聞き、立ち去った不思議な出来事。
それはライの持つ絶対遵守のギアスが原因であった。
聴覚に作用するライのギアスは、声をさえ届けば対象に命令を遵守させることがきでる。
「ああ」
「何故だ。お前の実力なら奴ら如き簡単に追い返せたはず」
「それは買いかぶりすぎだよ……まあ、テストかな」
「テストだと?」
「ああ、眠りにつく前……君達に使用したギアスが最後だったからね」
「成る程、それでテストというわけか」
「いざギアスを使わざるを得なくなった時、使えなくなっていました、暴走しましたじゃあ話にならない」
「今のところ、制御はできているんだな?」
「アーニャに効果が及んだ様子はない。問題はないさ」
にこりと微笑むライ。
けれども、ルルーシュにはその笑みがどこか無理をしているようにしか見えなかった。
「ギアスはあまり使うなよ、ライ……俺のようになる」
「あまり、をつけるあたりが君らしいな。わかっている、気をつけるよ」
二人の目線の先には、塩壷を持って駆け戻ってくるアーニャの姿が映っていた。
おまけ
「ところでルルーシュ、ナナリーはいいとして他の人たちの様子は見てこなかったの?」
「うん? まあ、皆元気だったぞ」
「いやそんなあっさりと……」
「不満があるとすれば、スザクだな」
「スザク?」
「ああ、奴はゼロという立場にもかかわらずまるで自分の役目がわかっていない!」
「人の使い方が下手とか黒の騎士団の運営がダメだとか? でもそれはスザクだし、仕方ないんじゃ……」
「何故常に姿勢を正して直立不動なんだ! ゼロは変幻自在な決めポーズをとってこそだろう!」
「え、そこ!?」
「あれではゼロが誤解されてしまう。いや、下手すれば正体を疑われることすら……」
(そりゃまああんな格好してあんなポーズ連発するのはルルーシュくらいだし)
「スザクめ、俺との約束を破る気か」
(いやそれは約束の中には入ってないと思うんだけど……流石のスザクといえどもあれはできないよなぁ)
ブツブツとぼやくルルーシュは、結局寝る前まで機嫌を直すことはなかった。
投下終了、支援感謝です。
ポッと出のオリキャラのくせに三人組が喋る喋る…まあ、こういう奴らは平和になってもいると思いますが。
いい加減他のヒロインも出したいですが、もうちょっとかかりそうです。
>>28 年下専門卿、GJでした!
目覚めて初めてのギアス、調子はいいみたいですね。
そういやライはギアスキャンセラー知ってましたっけ?
もしかして、ところがギッチョン、キャンセラー! みたいな展開が!?
ルルーシュ、分かるけど、君の気持ちは分かるけど!
覗きは犯罪だ!
……スザクは頑張ったら物凄いポーズ取れそうな気がする。
貴方の次の投下を全力を挙げて待たせてイタダキマス!
>>28 面白かった!ごちそうさまです。
やっぱり、普段の穏やかさと王の冷徹さの落差はライの魅力だなあと。
カッコイイです。
オマケも面白かったです。怒るのそこ!?
最終回、服装同じなのに立ち姿が全く別人だったゼロを思い出して、
せつないような可笑しいような。
ほのぼのアフター、続きを拝見できるのを楽しみにお待ちしています。
前スレが埋まってしまったのでこっちで……色んな意味ですみません
0028-0949「我が学び舎よ」
乙でした!ミーアとは稀少な!GJですよ!乙女のドキドキがたまらんかったです!
特に、「ううう、邪魔さえ入らなければ言え…た、と思うのに!」はきゅんきゅんキました
「空気が読めない人」と書いて「スザク」と読むとまで言われているスザクですが、
恋愛関係の空気に限っては意外に空気読める人のはずなんですが、今回は……w
そういう邪魔が入っちゃうあたりとか、ヴィレッタに叱られるあたりが
如何にも学園ラブコメっぽくてイイ!と思いました
ところで、いつもの人ってひょっとして私なんでしょうか?
違うのかもしれませんが、24スレ末で最後の投下した時点ではあの形での投下を続けるかどうか
自分の中でも流動的な心情だったため、複数いただいていたレスに答えることなく放置しっぱなしにしてしまったので、
この場を借りてお伝えしたいと思います
決して釣りというつもりではなかったのですが、上記の通り自分でも決めかねていたので、
SSの中では明言は避け、その気になれば続けられる引きにしていましたが、
現時点では、あの形式で続きを書くつもりはありません
SSの投下自体はコテまたは名無しで続けるつもりですが、今後の名無し投下時にこのトリップを使うこともないと思います
枯れ木も山の賑わいな空気SSだと思っていたのに、最後に複数のご声援をいただけて嬉しかったです
0027-0949さんも他のレスをつけてくださった方も、本当にありがとうございました
あと、咲世子さんの腐女子っぷりについて、いつか一度断らなくちゃと思っていたのですが、
一応、自分なりに情報収集(腐男子○義とか、となりの8○1ちゃんとか、腐○子彼女とか、2chの某板とか某板とか)
していたんですが、都合により色々取捨選択してありますので、実際とは異なりますので鵜呑みにはしないでくださいねー!
いや、大丈夫だとは思うけど、念のため……
ついでに(ネタにし損ねたんですが)取材先の某所でトーマス卿の誤爆を発見したこともあります……
トーマス卿は誤爆の多い方ですが、なんつートコに誤爆を……っ!とビビりましたですよ!
皆さん、誤爆には注意しましょうねー!特にコテ付きで書き込む時は要注意ですよー!
>>31にトリップ入れ損ねてた……
なんかもう、色んな意味で本当にすみません……
>>14乙&GJ!
敢えて何が起こったかハッキリ書かない引きが良かったです!
こういう引きは場合によっては中途半端に感じることがあるのですが、
淡々と事実描写を積み重ねた後の、ただただシンプルな「あ」に、余韻が感じられました
ルルーシュがああいった問いに素直に答えたのは、自分的にはちょっと意外な展開でしたw
引き以外では、素直に喜ぶシャーリーやそれにつられてルルーシュが笑う辺りの感じが特に好きです
>>28乙でした!
オリキャラ敵役である三人がただの蒙昧な人物でなく、彼らなりの正義と信念があるというくだりが良かったです
アーニャがライに威圧感を感じ、自分の知らないライの表情を
「見たい、だけど見たくない」と葛藤するのもグッときました
ただ、本編の最後の台詞のみで進行した部分が、やや長いのがちょっとだけ気になります
オマケはお約束ネタが二つも入っていてお徳wと笑わせていただきました
34 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/12(日) 17:07:26 ID:AnC3kmR2
15分頃に投下したいのですが、誰かおられますか?
間違えて、ageてしまいました。申し訳ないです。
人がいないようなので、また後日にいたします
風呂に入ったばっかりにorz
では、何か割り込みみたいで恐縮ですが……後日とのことなので失礼して、
前回の続きを投下します。全部で17レスの予定です。
○ロイ・キャンベル。
0025-0417参照。
○クラブ・コンクエスター
0007-0290参照。
○ライ
0012-0009参照。
○青い聖騎士(パラディン)
0022-0188参照。
○紅月カレン
0025-0417参照。
○アーニャ・アールストレイム
このSSのヒロインの一人。
ナイトオブラウンズのナイトオブシックス。ラウンズ最年少の少女という事もあってかロイとジノに可愛がられている。スザクとももち
ろん仲が良い。ナナリーとは電話友達。カリーヌとはメル知り合い。
ロイに淡い想いを抱いている。しかし、その想いを原動力として行動するとロイが鈍いのも手伝って大抵空回りする。
携帯電話依存症で、メールはメチャクチャ打つ。日記も良く付ける。愚痴も書く。また、カリーヌがナナリーへ浴びせた悪口を一字一句
余す事無く記録し、それを後にカリーヌへの脅迫に使った事もある。まさにアーニャにとっては万能の携帯電話と言える。
また自らを記憶にとどめようと戦闘以外においてプログ更新も続けている。
嫌いなものはお酒(飲むのが嫌いなのではなくて、ロイがお酒の事となると自分を疎かにするから)
○ターン8『ナナリー の 信頼』Aパート
『行政特区日本を設立します』
総督就任式の全国中継でそう宣言したナナリーを、それぞれのラウンズはそれぞれの表情をもって聞いていた。スザクは驚き。アーニャは淡々。ジノはため息を付き、ロイ・キャンベルは苦笑いだった。
ナナリーの発言に対する反応は、やはりというか予想通りというか発表後、政庁内で執り行われた会議では反対の声が巻き起こった。しかし、ロイとジノ、アーニャや文官の取り纏めであるローマイヤがナナリーの発言に対する擁護に入ると、その声は次第に沈静化していった。
会議終了後。ロイはローマイヤがナナリーの行政特区日本宣言を庇うような行動をしたのを意外に思って、呼び止めて尋ねてみた。
「別に賛成なわけではありません。むしろ反対です」
緑色の淑女服に身を包む彼女はキッパリとそう言い切った後、不機嫌そうに眼鏡をクイッとかけなおした。
「ただ、すでに“総督”が“公式の場”で発表してしまった事に反対してどうするのですか……」
彼女はそう言って、行政特区日本に参加を希望する日本人の受け入れ体制を整えるための案を作成するために、しぶしぶといった様子を漂わせながら自分の執務室に入っていった。
まぁ、そう言われてみればといった感じでロイはローマイヤの行動を納得した。しかし、ロイはもう一人、その行動に納得がいかない人物がいた。
「何で僕が会議でナナリーを擁護しなかったかかい?」
ナイトオブセブンの執務室で、ロイの質問を聞き返したスザクは、テーブル上の湯飲みを口につけると、笑っているのか怒っているのか、それとも表情を変えていないのか判断が付きにくい顔をした。
スザクは、先ほどの会議において、このエリア11にいるラウンズの中で唯一、ナナリーの発言については何も語らず、結局そのまま最後まで最低限の事以外、口を開かなかった。
「そうだね。驚いたから。というのが本心だよ。だからどうしていいか分からなかった。賛成するべきか、反対するべきかもね。まさか、総督があんな事を言うとは思わなかったから」
そしてスザクはまたお茶をすする。ロイはその行動を黙ってみつめていた。しばらくの沈黙の後、
「……ロイ。君は知っていたのか」
スザクはポツリと言った。
支援
今度はロイが黙り、彼は目の前に用意された湯呑に初めて手を付け、それを口の前まで運ぶ。茶葉の香りが湯気と共にロイの形の良い鼻をくすぐり、同時に分厚い眼鏡を曇らせた。
「僕としては、君が知らなかった事の方が意外だった」
ロイはお茶をグイッと飲んだ。すでに熱湯と言える温度では無くなっていたが、それでも多少は熱いお茶を一気に飲み干した。ロイはすぐに形の整った口から温かい息を吐いた。
「察してはいたんだろ?」
ロイが尋ねると、スザクは躊躇う事無く小さく頷いた。
「……総督からユフィの意志を継ぎたいというのは以前から聞いていた。でも、それがいきなり行政特区日本に飛ぶとは思わなかった」
それはロイも同じだった。ロイも以前からナナリーに相談を受けていたから、いつかナナリーは行政特区日本をやると思っていた。
しかし、それはあくまで、ナナリーの意志の“通過点”としてで“到達点”じゃない。だから実行するとしても、こんなすぐではなくて、総督の意志が軌道に乗る就任から数ヵ月後、もしくは数年後だろうとロイは予想していた。
「総督は無意味に急いでおられるんだ。だから、ユフィの意志ではなく行動を真似しようとする……ねぇロイ。君はどう思う。今回の行政特区日本について」
「失敗する」
ロイが即答してもスザクは顔色一つ変えなかった。驚かない所を見ると、おそらくスザクも同じ考えなのだろう。
いや、自分とスザクどころか世界のほとんどの人間が同じ考えに到達しているのかもしれないな。とロイは思ったりした。
「さっきの会議の通りさ。ブリタニアに味方は無く、イレブンは僕達ブリタニアを信用しないだろう。イレブンについてはカラレス総督が相当嫌われる事をしてきたから当然と言えば当然かな」
ロイはあえて、カラレス総督の行いより、イレブンの心境に影響を与えた一年前のあの事件――ブラックリベリオンの原因になったあの事件――の事は言わなかった。
しかし、スザクは当然その事に思い当たっているだろう。「イレブンは僕達ブリタニアを信用しない」というロイの言葉を聞いた時、スザクの瞳に悲しみがよぎったのをロイは見逃さなかった。
「そうだねロイ。今回の総督の行政特区日本“も”失敗する。それは確実だろう」
スザクもそう言い切った。でも、
支援
支援
「それでも僕は、ナナリーがユフィの意志を継いでくれるというのなら。今回は失敗だとしても、できる限りの協力はしてあげたい。それが例え、ナナリーの意思に背く事だとしても」
「そうだね。それがいいだろう」
ロイは微笑んで頷いた。
このとき、ロイはスザクのこの言葉を、
スザクは自分の意志を示した。
と、それぐらいにしか思っていなかった。というか、軽く受け取っていた。
スザクがナナリーの意志に背く。
そんな事などあるわけないとタカをくくっていたのかもしれない。あるいは、長い会議の後だったので、頭の回転が遅くなっていたのかもしれない。
しかし、ロイは失念していた。スザクがその意志を行動とする事に、何の躊躇いも無い男だという事を。
それに気付いたのは、スザクとのその会話から10日が経った後だった
ロイが、ローマイヤとシズオカに到着し、行政特区日本の会場設営と警備について話し合いながら視察を続けている途中にその知らせは届いた。
すでに空は暗くなり、「ローマイヤさん。そろそろ、ホテルに引き上げましょうか」「ええ、そうですね」なんて会話をしている最中の事だった。
『枢木卿。オガサワラにて黒の騎士団捕縛作戦を展開!』
ロイはその知らせを聞いた時、手に持っていた数枚の書類を落とした。
隣のローマイヤは眉をピクリと動かしただけだった。
○
黒の騎士団が小笠原近海に潜伏しているのを発見。ナイトオブセブンは降伏と武装解除を相手に通達後、返答が得られず直属艦隊とエリア11統治軍の混成部隊はこれを捕縛せんと作戦を開始。
しかし、黒の騎士団のリーダーゼロが作戦途中で姿を現し、行政特区日本に参加する旨を宣言したので枢木卿は作戦中止を決断。撤退を指示。
「さて、僕は何から聞けばいいんだろうか」
小笠原の戦いから引き上げてきたラウンズの三人を、政庁で待ち構えていたロイは、早速三人を会議室に押し込んだ後、重い声で尋ねた。
数十人が一斉に会議ができる場所に四人。部屋は広いが、ロイの声はその震えまで全体に良く通った。
「……聞きたい事があるのなら、早く頼むよ。この後、僕は事後処理をしなきゃいけないから」
支援
そう臆面も無く言ったのはスザクだった。スザクはそっぽを向き、先ほどからずっとロイとは目を合わせていなかった。スザクの対面に座るジノが、大きな手で顔を覆って首を横に振った。
「じゃあ、単刀直入に聞かせてもらおう。スザク。君は今回の行動をどう考えているんだ」
「どう? とはどういう意味だい。もっと明確に言ってくれないと分からない」
「……僕が君に法的に問題ないか問題あるかを尋ねているとでも?」
ちなみに、スザクの今回の行動は、例え総督の意志に反するものであったとしても、法的には何の問題も無い。そもそも黒の騎士団はブリタニアにとって指名手配うけている立派なテロリストであり、ブリタニア軍が捕らえるべき義務を負った存在なのだ。
それにラウンズは自分の部隊の運用にかなりの裁量権が与えられている。それを制限、もしくは行動を摘発できるのは皇帝陛下だけであり、総督ではない。そして、皇帝陛下は、おそらく今回の件でこのスザクを責めることはしないだろう。
つまり、スザクが黒の騎士団を捕まえようとした行動だけを見れば、違法では無く、完全な合法であり、本来であれば誰からも責められるいわれは無い。
しかし、ロイはスザクを責めなければいけなかった。いま、こんな出来事があったとは知らず、文官と力を合わせて行政特区日本を設立させようとしているナナリーのために。
「もう一度尋ねさせてもらう。スザク、君は今回の行動をどう考えているんだ?」
「黒の騎士団はテロリスト。それを捕らえるのは僕達の任務の一つだと考えるけど」
ロイは机を強く叩いた。ジノとアーニャが微かに肩を震わせる。それに気付いて、ロイは努力して緩やかな口調を心がけた。
「ナナリー総督には、何とご説明するつもりなんだ」
「ありのままを」
それを聞いて、あ〜、もうだめだ。とロイは思った。
「ふざけるな」
ロイは今度こそ静かだが明確な怒りを含んだ声を発し、もう一度を机を強く叩いた。
スザクはここに来て初めてロイと目を合わせた。彼の緩やかな瞳が、ナイトオブゼロを見返す。
「ふざけてなどいないさ。僕は今回の行動こそがナナリー総督のためになると信じている」
支援
sien
「総督のため? 黒の騎士団に行政特区日本への参加を呼びかけていた総督の意志を無視して、総督の補佐役である君が黒の騎士団の捕縛に乗り出した行動がナナリー総督のためだと、君はそう言うのかスザク」
「その通りだ」
スザクも瞳を尖らせた。でもロイはレンズの奥でもっと瞳を尖らせた。
「今回の行動を知ったイレブンが、ナナリー総督の事を何て囁き始めているのか君は知っているのか? “嘘つきナナリー”だ。
情報規制は急いで敷いたけど、あんな近海でドンパチをやったんだ。完全に情報が広がるのを防ぐのは不可能だろう。まさか、なんで総督がそんな不名誉なあだ名を付けられたか分からないって言うんじゃないだろうね」
「分かってるさ。ナナリー総督が黒の騎士団に行政特区参加への呼びかけをしていたにも関わらず、総督の補佐である僕が、黒の騎士団が特区参加か不参加かの表明前に捕獲に乗り出す。事実的に、僕はナナリー総督の言葉を嘘にしてしまったに等しい」
ロイの拳にグッと力がこもった。
「分かっていながら。なぜだ」
「僕は、黒の騎士団の本質を知っているからさ」
「……本質?」
聞き返したロイに、スザクは確信を込めて言った。
「黒の騎士団は危険だ。そしてゼロもね。彼らはナナリーの意思の前に必ず立ち塞がる。いいかいロイ。黒の騎士団とは手を取り合うべきじゃない。殲滅すべきなんだ。
……ロイ。君は甘すぎるよ。それは君の美徳であるから、僕は好意を抱くけど、それを黒の騎士団に向けるのはやめた方がいい」
「……」
ロイは、ここである事を確信した。それにしたがって頭に上っていった血が急速に落ちていった。そして彼は深い息を吐き出した後、首を横に振った。
「甘いだって? スザク。君は分かっていない。僕が怒っている理由を……」
ロイは、革張りの背もたれに体を預けながら、軽い失望を口調に漂わせた。
「甘いのは君だよスザク……」
スザクがその表情を軽く怪訝な色に染めた。
「僕が、甘い?」
「黒の騎士団を殲滅しなければいけない。という思想を持っているのは君だけじゃない。僕だって同じだ」
と、ここで、その言葉がよほど意外だったのか、スザクは驚いた様子で目を丸くした。
「えっ……」
「僕が問い詰めてるのは、何で黒の騎士団の捕縛を君がやったか。という事だ。もっと言えば。こうやって僕みたいに怒るのは君の役目だ」
「どういう事だ」
「君は何だ? ナナリー総督の補佐官だろ」
「そうだ。だからこそ、僕は――」
「だからこそ、やってはいけなかったんだ……君はナナリー総督を裏切ってはいけない。ナナリー総督が黒の騎士団と戦う意志を無しとした以上、君は不本意でも……少なくとも表面上はそれに従わなくてはいけない。
ラウンズとして、総督に同行するというのはそういう事じゃないのか?」
「しかし、だれかがやらなければ……」
「だから、なぜその誰かで僕を使わない。いいかいスザク。君は常にナナリー総督を擁護するべきだ。ああ、これはナナリー総督に反対意見を言うなとかそういう事ではないよ。でも君は、表面上ではナナリー総督につき従う騎士であるべきだ」
そしてロイは、体を前に倒して肘を付き、テーブルの上で指を絡ませた。
「ドロを被るのは僕達でいい。そのために君以外のラウンズが三人もいるんだ」
つまり、平和路線のナナリーと日本人のスザクは、ナナリー総督が望む日本人との融和路線の象徴でなくてはいけない。とロイは考えていた。象徴というからにはそこに一片の影や曇りがあってはいけない。
あくまでクリーンな存在である必要があり、ナナリーとスザクは日本人にとって味方でなくてはならない。
そのスザクが日本人の味方である黒の騎士団を捕縛する。これは、日本人に不信感を抱かせるには充分だ。しかし、黒の騎士団はナナリー総督の提案に乗ってくる事は無い危険な存在なので放っておくわけにもいかない。
ならば、それはスザクとナナリーの少なくとも表面上は預かり知らぬところで行えば良いだけの話だ。
だから、この場合、黒の騎士団捕獲作戦で陣頭指揮を執るべきだったのは、スザク以外の三人のラウンズだ。
そのラウンズの仲でも特に権限の低い(と、少なくとも世間に認知されている)、そう、例えばロイが暴走して、黒の騎士団を捕らえるために出撃、捕縛。
そして、その行動をこのエリアで地位の高いナナリー総督とスザク。
さらにジノとアーニャが声高らかに責め、日本人には黒の騎士団の解放を約束すると共に行政特区日本の参加を改めて黒の騎士団にお願いする。こういうシナリオにすれば、少なくともナナリーの発言は嘘にはならないし、日本人からのスザクの印象が崩れる事は無い。
それに黒の騎士団を捕らえて、一度でもブリタニアの手の内に入れてしまえば、料理のしようなどいくらでもある。それこそ、美味い餌、妥協案、強いては拷問まであらゆる手を使い、黒の騎士団に共同歩調を取らせる事も可能なはずだ。
なんなら、ゼロを捕らえた後、その存在を“消して”、新たにこちらで“ゼロを作る”という手もある。ナナリーの行政特区日本に必要なのは黒の騎士団ではない。ゼロだ。
“ブリタニアに協力してくれるゼロという存在”さえいれば、いくら古株の藤堂やスメラギが騒いでもそんなものは小波のようなもので。結果、ナナリー総督の政策もスムーズに運べるだろう。
もっとも、今言ったいくつかの手段はロイにとってあまり好ましくも望ましくない手段ではあるが、必要ならば躊躇わないのもロイ・キャンベルという人間である。
ロイは善人ではあるが聖人ではないのだ。
ちなみに、ロイ自身はゼロの行政特区日本に参加するという発言を全く信用してはいない。この会議室にいるロイ以外の三人のラウンズもゼロの行政特区参加表明は「黒の騎士団の苦し紛れの時間稼ぎだ」と思っているだろう。
そう考えると、今回のスザクの行動によってもたらされたものは、ナナリー総督の信頼の失墜。三桁に昇る死傷者。この二点だけである。
これを不毛と言わずになんと言えば良いのか。
それらの説明を聞いて、スザクはただただ目を丸くした。
「スザク。君は優しい。だから、他人にドロを被せるというこの事に頭が回らなかったんだと思う。だから君は甘い。君には信頼する仲間にドロを被ってくれとも言えないんだからね」
「……しかし、ロイ。君は僕とナナリーを象徴と言うが、ナナリーはともかく僕は日本人にしては裏切り者、ゼロを捕らえた男だ。そんな僕が――」
「だからこそだ」
ロイはスザクの言葉に被せるように告げた。
「君には、総督の意志実現のためにゼロと共同歩調を取ってもらいたかった。お互いの過去は忘れ、日本のためにね。もちろんそのゼロは本物でも偽者でも構わないわけだけど」
支援
支援
そして、ロイは眼鏡をかけなおして、少しだけ口元を、悪の組織の幹部のように楽しげにゆがめた。
「みんな大好きだろう。敵対していたライバルが和解して、仲間になるっていうシナリオはさ」
ロイのその言葉と笑みに、同僚の三人は微かな寒気を覚えた。
かつて、ジノはロイの事を「正道すぎる」と言った事があった。しかし、それは必ずしも、ロイに正道以外はできないというのには結びつかない。
ただ、ロイは正道を極端に好むだけなのだ。だが、そんな謀略じみた事をするのは非常に抵抗があるロイだが、それがもっとも良い。もしくはそれしかない。“それが一番被害が少ない”と判断した時は躊躇わずそれを実行する。
ロイは心に健全な面を持つ一方、その逆の、それこそブリタニアの貴族の間で往来する悪意の応酬を非常な手段で逆手に取れるだけの陰湿さも持ち合わせていた。
ただ、その陰湿さを必要なものとしながらも、それを使いたがらないのもやはりロイであった。
しかし、今回はそれしか無かった。ナナリーは行政特区日本設立のためにゼロを必要としている。でもゼロは首を縦に振らない。だったら首を縦に振るゼロを用意するしか無いではないか。
「だけど、僕はゼロを許すつもりは……」
ロイはスザクにその反論を許さなかった。
「だから、そのゼロは本物じゃなくてもいいって言っただろう。君が過去の復讐を果たしたいというのなら、ゼロを捕らえた後、収容所の隅ででもやっててくれ。君はあくまで、こちらで用意したゼロと手を取り合ってくれればいいんだ」
スザクはまた目を見開いた。そして何度かまばたいて見せた。スザクには分かったのだろう。この銀髪の同僚がそう言ったからにはそのように事を運べるだけの自信と、そして準備があったのだという事が。
「ようも、そんな事が考え付く……」
「もっとも。今回の君の行動で全てがパーになったけどね」
「……」
「とにかく。今後、このような行動は慎んでくれ。もっとも、僕、ナイトオブゼロは君に命令する権限は持たないから、これは単純なお願いになるけど」
その時、今まで黙っていたジノが手を上げた。
「あ〜、ロイ。この事は、ナナリー総督にはすでにご報告済みなのか?」
「いや、まだだ。ナナリー総督にはローマイヤさんがおりを見て、話してくれるそうだから、そのタイミングは彼女に任せよう」
支援
支援
「ロイ」
スザクが呟いた。ロイは顔を向ける。
「何だい?」
「君の言う事も分かる。しかし、そんな損得勘定だけでは……」
そして、スザクは苦い怒りを押し殺すように言った
「損得勘定だけでは……」
スザクの鍛えられた拳は小さく震えていた。
ロイはそんなスザクを悲しげに見つめ「僕が言いたい事は以上だ」と言って、少々乱暴に席を立った。
○
夜風が通る。
ここは政庁の庭園。すでに辺りは暗いため、咲いている花は少ないが、それでも一面から甘い香りが漂ってくる。
女性とは、花の香りというのにえてして弱いものであり、それはこのナイトオブシックス。アーニャ・アールストレイムにとっても例外ではなかった。
アーニャはその庭園の一角にあるお気に入りの場所に座りながら携帯をいじっていた。
三日前の自分の日記を振り返る。
○月○日。
今日。ロイがローマイヤとシズオカに視察に出て三日が経つ。
ロイはちゃんと私との約束である、二時間に一回はメールをしっかり守っている。しかし、そのメールにローマイヤとのツーショット写真が添付されているのはいかがなものだろうか。
いや、ただのツーショット写真ならまだ分かるが、その写真に写る「ローマイヤさん。一緒に撮りましょうよ」「キャンベル卿。私たちは任務でここに来ているわけであって遊びに来たわけではないのですよ」「いいじゃありませんか、記念にもう一枚だけ」
「仕方ありませんね……。もう一枚だけですよ」なんて会話をした後で、困ったような、でもちょっと嬉しいようなローマイヤの表情はなんと言うかいただけない。
というか近い。体の距離が近い。肩を抱いているのもある。これはどうするべきだろうか。これは、一体全体ど、ど、ど、どううううするううううううう。
(中略)
昼食後、スザクから話しかけられた。内容は支援要請だった。黒の騎士団を見つけたからそれを捕縛する手伝いをしてほしいとの事だった。
しかし、私はそれをスザクがやって良いものかどうか疑問に思った。どう考えても、今の時期、スザクが黒の騎士団の捕獲作戦なんてやったら政治的に見てもマズイし、ナナリー総督が悲しむ事は容易に想像できた。
支援
支援
スザクの後ろにいるジノは、どうやらやる気マンマンのようで「紅蓮にこの前の借りを〜」とか昼食のカレーを食べながら喋っている。
なんだかんだでジノは、優秀と言っても、出は名家の貴族。こういう人間の恨みつらみが関わる問題には疎いらしく、この行動がどういう意味を持つかに気づいてないらしい。
私はしばし、ロイにこの事を知らせようか迷った。彼は、自分の名誉が傷つくのを承知で、ナナリー総督の理想実現のために裏でコソコソと黒の騎士団を捕らえるために動いているのを私は知っていた。
今回のスザクの行動はそのロイの謀略めいたものを完全に無にするものだった。私は、スザクの要請をされて、胃になにかどんよりとした重みが発生していくのを感じ、結局昼食を残した。
(中略)
やはりロイには伝えるべきだろうか。と私はモルドレッドのコックピットに乗り込んだ今でも迷っている。
だが、私はやはりロイにはこの事を伝えない。伝えたくないと強く思う。これを知らせればロイはスザクの行動をなんらかの方法で止め、
それが無理ならば、先回りして単身部隊を率い黒の騎士団を捕らえるために予定を前倒ししてでも行動を起こすだろう。
ロイは自分の部隊を持ってないが、私はロイに「部隊を貸して」。と言われたら断る自信が無い。それに、もしロイが黒の騎士団を捕縛すれば、ロイは更に不名誉な事を言われるかもしれない。
イレブンからは恨まれ、ブリタニアからは、これだから育ちの悪い貧乏人騎士は。と罵られる事だろう。
特に、あのロイにくだらない恨みを抱く情報部のドクトリン将軍などは手を叩いて喜び、その過失を――皇族であるナナリー総督に従わなかった不忠の騎士として言いふらし、その信頼の失墜を図る事は簡単に想像できる。そうなれば、ロイは軍での立場をますます失うだろう。
ロイはナナリーの理想のためならば元々無いに等しい自分の名誉なんて。と言うだろうが、私にはそれが耐えられない。
ロイは優秀なのになぜブリタニアからも、ナンバーズからも嫌われなくてはいけないのか。
ロイは好かれるべき人物なのに、彼はいつも普通の人が嫌がるような汚れた道を笑って進み、それが報われる事無くひんしゅくを買う。
私はそれが納得できない。だから、私はこの事をロイに伝えずに出撃する。
支援
支援
私は、ロイが誰かに好かれる事にあまり良い感情をいだかない。でも、私はロイがみんなに嫌われるのはもっと嫌だ。
ロイは、私が気付いているのにも関わらず、言われるがままに出撃する事を怒るだろうか。それが不安と言えば不安。
アーニャは視線を携帯から外して、夜空を仰いだ。
「……ふぅ」
それは、何に対してのため息なのかアーニャには分からなかった。
結局、ロイはあの日、スザクの言に従って出撃したジノとアーニャを責める事は無かった。ただ一言「僕達はナナリー総督を助けるためにここにいるんだ。分かるね」と、言っただけだった。
しかし、アーニャは、ロイの言う事も結構、的ハズレなのでは無いかと思う。ロイは総督が目指しているものをそのまま実現させるのが自分たちラウンズの今回の任務だと思っている節があるが、
そもそもラウンズとは皇帝陛下に仕えるものであり、その行動はブリタニアの国益に繋がるか繋がらないかで判断するべきだ。
その点を考えれば今回のスザクの行動は正しかったといえる。
黒の騎士団は信用に値する組織ではなく殲滅すべき対象であり、それがブリタニアにとって、最も良い国益に繋がるはずである。その視点から見るとナナリー総督の考えやそれを完全に擁護するロイは国益に反している存在と言える。
「結局。スザクもロイもどっちも甘い」
そう呟いて、その言葉を携帯の日記に残す。
(でも、そんなナナリー総督の意志を実現させてあげたいとどこかで考えている私も甘い……。そしてそう考えているのに、そのために最も良い方法を選択しようとしていたロイを見捨てられず、スザクの言う事に従った私は……)
甘い中でも更に甘いという事か……。と、少女は今度はそんな自分に対して呆れ、深いため息を付いた。
そう考えると、このエリアにきているラウンズは、ラウンズの中でも特に甘い人間が集まっているようだった。
なにせ、スザクのように一見総督に逆らった行動をしている人でも、その行動の根源はナナリー総督の意志の実現のためである。ロイは言うまでも無く、ジノもナナリー総督のために行動している。
支援
しくじった支援
他のラウンズならば、ナナリーの政策をそのまま実行させるような事はしないだろうし、ここまで共感を示す事も、協力する事もないだろう。思い起こせば、このラウンズの人選を決めたのはシュナイゼル殿下だが、その点もちゃんと考慮して決めたのかもしれない。
だが、そうなると一つの疑問が浮上する。
(そもそも、シュナイゼル殿下も何を思ってナナリー総督を、手助けしているのか……)
一見すると、シュナイゼル殿下とナナリー総督は融和路線という方針の上での共通点はあるが、
シュナイゼル殿下の融和路線はあくまでブリタニアの利益につながる帝政上での融和路線であり、ナナリー総督は極端に言えばブリタニアの国是を是としない、共和的な融和路線である。これは同じようで全く違う。
ただ……何の力を持たない友人、ナナリーを手助けしてくれるシュナイゼルをアーニャはありがたくは思っている。
しかし、本心がつかめない救いの手とか協力等は、本来ならあてにするべきではなく、でも、いまはそれに頼るしかないという現実は、アーニャに微かな不安を抱かせるのには充分だった。
「にゃぁ〜」
その時、何かが黙考にふけっていたアーニャの耳に触れた。
「はぅぁ……」
アーニャは何かが体の底から駆け上がるものを感じて、体を震わし、暖かい息を吐き出しながら、嬌声にも似た声を上げた。
耳は駄目なのだ。弱いのだ。
「な、なに?」
アーニャが驚いて振り返ると、背もたれに使っていた石の囲いの上に黒い猫がいた。
「お前、スザクの……」
飼い猫。じゃなかった気がするが、とにかくスザクと一緒にいる猫である。
アーニャはとりあえず猫に出会ったときの礼儀として、その喉元に細い指を伸ばした。
「気に入ったみたいだね。アーニャの事」
アーニャが、アーサーの首を下から撫でていると、いつの間にか袴姿のスザクが近くに立っていた。そして、そのスザクは何かを肩に抱えていた。
「?」
良く目を凝らして見てみると、それは人だった。スザクと同じ袴姿。見覚えにある長い銀髪と、手足が重力にしたがって下にダランと垂れている。
「って、それまさかロイ?」
アーニャが尋ねると、スザクは困った顔をして答えた。
「ああ、ロイだよ」
「一体全体、なんでスザクがロイを抱えてるの?」
支援
支援
「僕達が定期的に一緒に武術のトレーニングしてるのは知ってるだろ? で、今は僕が日本の武術を教えてるんだけど、ロイは物覚えがいいから、僕もついつい本気になっちゃって」
「一緒にトレーニング?」
あんな激しい言い合いをしてから三日も経ってないのにもう仲直り? と、アーニャは首を傾げたくなった。
アーニャの記憶によれば、昨日まで二人は必要最低限な事以外、口もきいて無かった。ナナリーなんか「あのお二人。何かあったんですか?」と、本気で心配してアーニャに聞いてきた程だ。
だが、今のスザクのロイを見る表情にはそんな昨日までの様子など微塵も感じられなかった。
(それが男のケンカというものなのだろうか……)
と、アーニャは少し肩透かしをくらった気分になった。
よくよく考えれば、ロイもスザクも結局のところ、その行動原理はナナリーのため。これ一点だ。
だからいくらお互い嫌悪感を抱いても、その根底が同じわけだから、この二人の日課であるトレーニングという名の殴り合いでもすれば、そこで仲直りできてしまうものなのかもしれない。
(単純。二人とも……)
ただ、アーニャは、ケンカが後を引かないという付き合い方ができるこの二人の関係を、ちょっと好感を持って見ているのも事実だった。
「スザクが一方的に勝ったの?」
アーニャが立ち上がって、スザクに近づく。アーサーは「にゃ〜ん」と鳴いてその後に付いて来た。
「あ、いや、ロイは僕が教えた流儀に合わせて戦ってたから」
アーニャは、うなだれているロイの顔を覗き込んだ。眼鏡はしておらず、彼の滅多に見えない端正な顔立ちが良くうかがえた。
見事にノビているようだった。これが漫画かなにかならば、ロイの瞳はおそらくグルグルの渦で表現されている事だろう。
アーニャは眉をひそめた。
「大丈夫なの?」
顔を上げてアーニャが訊くと、スザクこんなの日常茶飯事じゃないか、とでも言いたげな様子で笑った。
「大丈夫。気を失ってるだけだよ。ここは、風が通って気持ちが良いから。ロイを休ませるには良いだろうと思って」
「枢木卿。こちらでしたか」
その時、一人の男が二人――気を失っているのもあわせれば三人――に声を掛けた。グラストンナイツのクラウディオだった。
支援
支援
アーニャは少しだけ、と言っても相手に気付かれない程度にだが嫌な顔をした。グラストンナイツのメンバーは一人を除いてナイトオブゼロであるロイを見下している感があるため、アーニャはこの人たちにあまり良い感情を持っていなかった。
「んっ、すまないアーニャ。ロイを」
「分かった」
スザクをロイを持ち上げてアーニャに手渡す。アーニャは自分より二回りほど大きいロイを、ふらつく事無く受け取った。伊達に鍛えてないのでそのまま軽々とお姫様抱っこで担ぐ。
小柄(あくまで、他のラウンズメンバーと比べてだが)なアーニャが、身長180近いロイをお姫様抱っこしている姿は異様と言えば異様だった。
(なるべくなら、次は逆がいいかも……)
そんな希望を抱いた後、アーニャはある事を思いついた。
(あ、そうだ)
アーニャは先ほどまで座っていた石の背もたれまで戻り、ロイをゆっくりと寝かせ、自分もそこに座ると、そのスラリとした膝にロイの頭を寝かせた。
膝枕だ。ロイは意識があったら絶対やらせてくれないので、この際やってみた。
その様子を見て、スザクは一度軽く笑うと、表情をナイトオブセブンに戻して、クラウディオに向き直った。
「待たせてすまない。何か?」
クラウディオは「いえ」と断った後、脇に抱えていた書類をスザクに手渡した。
「枢木卿を襲ったイレブンの死刑執行命令です。ラウンズ以上の方の承認をもって刑は執行されます……」
「……」
そんなことがあったのか、とアーニャは内心少し驚きながら、スザクを見やった。
スザクは、渡された書類に視線を落としたままピクリとも動かない。
しばらく、そのまま時が止まったかのように誰一人動かなかった。
「枢木卿?」
クラウディオが不審に思ったのか、眉を上げてスザクに声をかける。
スザクはそれでも動かなかった。
アーニャは小さく息を吐いた。
「クラウディオ卿」
「はい。何でしょうかアールストレイム卿」
「その書類をこちらに」
「はっ?」
クラウディオは驚いていた。しかし、アーニャが「早く」と急かすと、彼はハッとしてスザクに「失礼します」と断ってから書類を返してもらい、膝枕をしていて動けないアーニャのところまで早足で持ってきた。
支援
アーニャはそれを受け取ると、素早く自分のサインを書いて、こちらを見下ろしているクラウディオに突き出した。
目を丸くしているクラウディオにアーニャは告げた。
「私も、ラウンズ」
「あっ、はい。問題ありません。では、失礼いたします」
そして、クラウディオは簡単な敬礼をして、踵を返し、スザクの前で頭を下げてから立ち去った。
アーニャは呆気に取られているスザクに視線だけを向けた。
「ねぇスザク。あなたって、マゾ?」
「えっ?」
驚きの混じった声が返ってくる。アーニャは相変わらず淡々と言葉を続けた。
「ここは、あなたにとって決していい場所じゃない。ここは貴方への禍根が渦巻く土地。それなのにあなたはここにいる。自ら望んでここにいる……」
アーニャはスザクの答えを待った。
「誰かに分かってもらいたいとか、そういうのはもういいんだ。昔……分かってくれた人がいたから」
(ユーフェミア皇女殿下か……)
そして、アーニャは思った。
このスザクの原動力はナナリーではなく、実はそのユーフェミアの理想にあるのかもしれない、と。いや、おそらく半分半分だろう、と。
それにしても、このスザクのユーフェミアへの忠義とも言うべきものはここまでくると、少々度を超しているようにも見える。
なにせ祖国を裏切り、死んだ主君のためにその命を狙われてもこのエリアに留まり、そして亡きユーフェミアの理想を身を粉にしてでも実現しようとしている。
スザクは、ユーフェミア皇女殿下と知り合ってからそんなに日数がたっていないはずだが、そんな相手にここまでできるものだろうか。
いや、それが騎士としての忠義に動かされて、と言ってしまえばそれまでだが、スザクの行動はそんな崇高なものではなくてもっと根本的な感情に近いものに突き動かされてユーフェミアの理想を追っているように見えた。
アーニャは、改めてスザクを見た
(本当に、付き合ってたのだろうか)
一年前、このスザクがユーフェミア皇女殿下の騎士になるという情報が世界を駆け巡ると、このスザクとユーフェミア皇女殿下の情事的なデマや記事が往来した。
当時のアーニャなど同年代の少女達がその話題に盛り上がるのを冷めた視線で見ていたものだが。
支援
と、ここでアーニャは今現在、その冷めた視線で見つめていた話題。つまり、他人の男と女の関係に、少々興味を持っていることに気付いた。
一年前までそんな問題など気にも留めなかったというのに。自分の事ながら、人間変われば変わるものだと、アーニャは困った時のロイみたいに頬を指でポリポリとかきたい心境になった。
「どんなにみんなに嫌われても、その一人に分かってもらえばいいって事?」
そんな心境を悟られまいと、アーニャは返答が分かっていながらも、スザクに問いかけた。
「そういう事だ」
スザクは真っ直ぐに言った。
これで、ユーフェミアが生きていればスザクのこの発言はただのノロケ話なのだが、不幸にも彼女はすでにおらず、その発言には心臓をチクチクと刺される様ないたたまれなさと、哀しさしか感じる事はできなかった。
「ふ〜ん。まぁ、分からなくもないけど……」
アーニャは同意を示した。
全てを敵に回しても、一人にさえ分かってもらえばいい。確かにそういう気持ちは存在する。それをアーニャは知っている。
アーニャは視線を下げてみる。自分の膝の上では銀髪の少年が気持ちよさそうに吐息をこぼしていた。アーニャはロイの前髪をそっと撫でてみた。それに伴って、ロイが「う〜ん」と呻く。それを見てアーニャは柔らかく口元を緩めた。
(私だって、多分そうだから……)
それがロイだ。と、アーニャはまだ少女のような純粋な気持ちで真っ直ぐとそう思えるのだった。
アーニャは、言ってみればいつも一人になる恐怖と戦っていた。
アーニャは自分に記憶の障害がある事を知っていた。今のところ、それは幼少の頃の記憶の矛盾のみなのだが、その矛盾がまた明日にも起きないという保障は無い。
だから、アーニャは、もしかしたら自分は明日になればみんなの事を忘れているのではないか? という恐怖と戦いながら幼少から過ごしてきた。
その恐怖をやわらげるために記録をこまめにつけてはいるが、根本的な事が解決されない以上、それに大した意味は無い。
いくら記録をしていても、それを自分が認識できなければ意味が無いのだ。でも、それが分かっていながらも記録をしなければアーニャは不安でしかたなかった。
支援
やがて、アーニャは自然と寡黙になり、周囲から孤立していった。
アーニャにとってだれか仲間・友達ができるという事は、その仲間・友達を不条理な記憶の障害で失う恐怖が生まれる事と同じだった。
その恐怖から、アーニャは目を背け続けた。背けなければ自分がその重さで潰されてしまいそうだった。だから、アーニャは自分を守るために一人である事を自ら望んだ。
しかし、そんなアーニャにこう言ってくれた人がいた。
『だったら、僕は何度もアーニャと友達になろう。たとえ君が明日全ての人を忘れても、僕は君が友達である事を忘れない。忘れない限り、僕達はまた友達になれる。何度でも友達になれる。いや、無理やりにでも友達になってもらう。ほら、もう安心だろう?』
それは誰にでも思いつくような何の捻りも無い提案だった。でも、そんな提案を堂々とアーニャに言ってくれた人物はこの時まで誰もいなかったのも事実だった。
それから、アーニャは少しだけ前に進めた。新たにナナリーという友達ができた。ジノとも、一年前まで仕事の事以外は干渉しあわない間柄あったのに、今は友達といえば友達である。
勇気がでた。自分は何をしても一人にならない。そう安心できる事の何と素晴らしいことか。それをアーニャはこの一年で実感させられた。
「あんた、昔に比べて携帯をいじる時間が減ったんじゃない?」いつだったか、そうメールで言ってきたのは、どう考えても友達ではないが、メル友――いや、メル知り合いのカリーヌだった。
アーニャにとっての携帯での記録は、そもそも記憶を失う事への不安を打ち消すための行為だったので、その不安が減った以上、携帯に触れる時間が減るのも自然な流れなのかもしれない。
と言っても、ジノに言わせれば「タバコを一日一カートン吸う人が、一日七個になった所で中毒なのは変わらん」らしいがそれでもその後、「ま、進歩ではあるよな」と、アーニャの頭を優しく撫でた。もちろん、その時アーニャは「子供扱いしないで」と、ジノを睨んだ。
アーニャはそっと目を閉じ、小さく笑った。
だんだん足がしびれてきた。ドラマとかマンガとか小説で、ヒロインは何食わぬ顔で男を膝で寝かせているが、長時間だと結構つらい。でも、アーニャは膝枕をやめようとは思わなかった。痺れより、それより大きな充足感があって、もう少しだけそれを味わっていたかった。
支援
支援
「お〜い。二人とも。お待ちかねの連絡だ」
その時、クラウディオの去っていった方向から、ジノが長身を揺らして歩いてきた。
スザクはジノの言葉に反応して顔を上げ、アーニャもそれに続いた。
ジノはそんな同僚二人の顔を交互に見やって、前に足を揃えて立つと告げた。
「ゼロからだ」
スザクの瞳に鋭い光が宿る。
アーニャは少し残念そうに息を吐いた。この時間も、どうやら終わりらしい。
アーニャは、自分の膝で眠る男を軽くゆすった。
「……ロイ。起きて」
アーニャのその言葉で、ジノは初めてロイに気付き「おっ」と呟いて、上からロイを覗き込んだ。
「なんだ、三人だったのか。探す手間が省けた。にしても、幸せそうに寝ちゃってまぁ」
「私が膝枕してるんだから、幸せに決まってる」
「おっと、それは失礼した」
ジノは苦笑しながら丁寧な動作で謝罪すると、「一枚撮ってやろうか?」と気の利いた事を提案した。
アーニャは迷わずに、自分の携帯を長身の同僚に差し出した。
ターン8『ナナリー の 信頼』Aパート終わり。Bパートに続く。
投下終了です。
支援感謝です。
いつも長くてすみません。ですが来週もまたよろしくお願いします。
お疲れさまでした。
今回は謀略を駆使するロイとアーニャの切ない内面が良かったですね。今後
がとてもたのしみです。
>>81 KOUSEI卿、GJでした!
時には非情となり、自らをかえりみないロイ、カッコいい。
スザクとロイのすれ違い……長引くかと思いきや、割りと早く解決したようで安心でした。
ロイを思うアーニャの複雑な心が良かったです。
次は確か、ゼロ×100万でしたか、そうでした。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
今回も面白かったです!
基本善良ながら腹黒さも併せ持つロイカッコイイぜロイ。
アーニャの丁寧な内面描写がホント良いですね、膝枕がGJ!
ローマイヤさんのデレッぷりも素敵です、流石は運命を変えるフラグ一級建築士w
スザクの暴走も、今回のような新しい目線を与えることで変えていってくれればと願います。
皆に影響を与えまくってるロイですが、ますます『ライ』の記憶が戻ったらと思うと怖いようなその急展開が楽しみなような。
次の更新も楽しみにお待ちしております。
>「みんな大好きだろう。敵対していたライバルが和解して、仲間になるっていうシナリオはさ」
アニメ放送時に証明されてますね。
スザクがナイトオブゼロになってからアンチスザクスレの書き込み激減してましたから。
出番が少なくなったからってのもありますが。
今回も堪能させて頂きました。
やはりスザクよりもロイの方が政治家として一枚上手でしたねw
今回のアーニャとの馴れ初めは萌え尽きました。
本人は兄貴分のつもりでしょうが、天然で口説いてますよそれ。ローマイヤさんの件といい、この男は……
次回も期待しています。
執筆ガンバってください!
87 :
リバティー:2008/10/12(日) 21:24:51 ID:Fw2YurqZ
21時30分より
ssを投稿させていただきます
題名「sb Re;Re;Re;Re;」
分類「シリアス」
カップリング「カレン」の続きです。
指摘されたので、wは控えます
申し訳ないです。
KOUSEI卿乙です!いっつも楽しみにしてますよ!
ところで、37の真ん中らへんが変に改行されているのは気のせいでしょうか?
支援します
ところでリバティー卿、0026-0747からのものをシリーズ部屋化していいですか?
>>31 誤爆……orz
90 :
リバティー:2008/10/12(日) 21:31:24 ID:Fw2YurqZ
「ライは生きている・・・」
それが集められたメンバーにルルーシュが始めにいった言葉だった。
「しかし、スザクは確実に急所を刺されていた・・・・あれでは助からないだろう
・・・・そこで、考えられるのが」
「不老不死・・・・」
ルルーシュはゼロレクイエムのあと、ギアスのことを知る者にギアスの全てを話していた。
今、口を開いたシンクーもその一人である。
「あぁ、何者かがあの場でライにコードを与えた可能性が高い・・・・。」
さらに言葉を続ける。
「しかし、生きているとしても、この世界から消える可能性が高い・・・
アイツは死ぬつもりでいたからな・・・・・・・・
再び眠りにつくだろう・・・・次に目覚める確証はないッ・・・
言いたいことが山ほどある!なんとしてもアイツを・・・・
そして、もう一度・・・・・・
幸い、ある程度の位置はC,C,がわかる。これより作戦を説明する・・・・」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
暗闇の中で声が聞こえる。
「ライ?契約したでしょ?力をあげるかわりに、僕の願いを叶えるって・・・・・」
あぁ・・・・そうだったな。
「だから君が、死ぬのは困るんだよ・・・・・・・・・」
でも、僕はもう・・・
「そうだ、僕の願いを教えてあげるよ・・・・・・・君もそろそろ、しりたいだろう?」
そういえば聞いてなかった・・・な・・・
「・・・・僕の願いはね・・・・・・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・
・・
・
支援
支援
93 :
リバティー:2008/10/12(日) 21:35:34 ID:Fw2YurqZ
「こ・・・こ・・は?」
目が覚めると僕は、元々自分がいた時代にあったような古風の家のベットで横たわっていた。
「ぼ、僕は生きている・・の・・か?」
やはり、死ぬことは許されないのか。願いを叶えるまで・・・
「この世界に生きていてはいけないのに・・・」
世界は少しでもよくなったのだろうか?
みんな、幸せになってるだろうか?
ルルーシュ、スザク、ナナリー、カレン・・・みんな・・・
知らぬ間に、そんなことを頭の中で考えている。
でも、僕はこの世界から消えなくてはならない。死ねないのなら、再び眠りにつこう。
僕はこの世界でも狂王になってしまったのだから・・・・・
「・・僕は死んで償うこともできないのか・・・」
少しでも早く眠りにつくから・・・・・だから・・
僕は家を出ると、僕が眠っていたあの場所に行くために近くの海岸を目指した。
もちろん、誰にも見つからぬよう最善の注意をはらってだが・・・
「ここら辺なら、船もあるだろう・・・・」
船に乗ろうとした時、僕は気配を感じ後ろを向く。
「ライ君・・・本当に生きていたのか・・・」
「藤堂さん!?!」
何故こんな所に黒の騎士団がいる!?!
しかも、藤堂さんまで。
他の場所を探すか?いや、ギアスを使えば・・・
支援
支援
96 :
リバティー:2008/10/12(日) 21:38:43 ID:Fw2YurqZ
僕は黒の騎士団方へ向き直る。
「ギアスかッ・・・」
藤堂が瞬時に反応する。しかし
「ライが命じる、僕の邪魔をするなぁぁぁぁ!!!!」
「そうはさせません。」
ジェレミアが、ライの前に飛び出しギアスキャンセラーを発動させた。
「なッ・・・ジェレミア!!」
「こちらへきてもらいましょうか・・ライ様・・」
「ライ君、ギアスはもう効かない。」
「くッ・・藤堂さん・・」
ジェレミアまでいるとは・・・
僕が生きていることがわかっていたのか・・・・・
ここで捕まるわけにはいかない・・・・
僕は、もう・・・・・この世界にッ・・・くそッ何で・・・
僕は黒の騎士団の方向に走り出す。ここなら突破できるッ。
しかし、この状態をルルーシュはモニターしていた。
「ライ・・よかった・・・・よし、計算通りだ・・・これより、行動を開始する・・・・
・・・・・・ライ・・お前の一手先を」
「P−1!ポイントS2に待機」
回り込まれてる・・なら・・
「D−3!ポイントG1で迎え撃て!」
ルルーシュが次々と指示を出していく。
ライが走ろうとする方向は全て待ち伏せされていた。
くそッッッ・・何で・・何で・・・
僕はいつの間にか涙を流していた・・・・涙が止まらない・・・何で・・・
「流石だよライ・・これでチェックだ」
モニター越しにルルーシュが言う。
支援
支援
スザクは確実に急所を刺していた だとおもいます
99 :
リバティー:2008/10/12(日) 21:43:20 ID:Fw2YurqZ
すると、ライの前に一人の人物が現れた。「カレ・・・ン・・・・」
ライの動きが一瞬止まった・・・・・
もうすでに彼は囲まれていた。ここへ誘いこまれたように・・・
いつの間にか他のポイントで待機していたスザク達も合流していた。
「チェックメイト」
そういってルルーシュは部屋をでた。
「ラ・・イ・・・」
目の前にカレンがいる。
僕の最も大切な人。
もう、二度と会えないと思っていた。
直ぐにでも抱きしめたい。
少しでも近くにいたい。
しかし・・・それは出来ない。
この世界に残りたいと思ってしまうから・・・
カレンが大粒の涙を流しながらも、僕の大好きな笑顔で近づいてくる。
「く、来るなぁッ!!」
ライの声が響きわたり、全員の動きが止まる。
「ライ・・・」
「ライさん・・・」
周りにいた全員の表情が曇る。
「頼むから・・・こないでくれ・・・狂王はもう、この世界で死んだんだッ!!
・・・生きていちゃいけないんだッ!!けど、また死ねなかった!」
さっきから涙が止まらない・・・
みんな僕の為に追いかけてくれて・・・・
走ってくれて・・・
必死になってくれて・・・・
僕はこんなにもみんなに思われてたのか・・・
こんなにも、幸せだったのか・・・
支援
101 :
リバティー:2008/10/12(日) 21:47:30 ID:Fw2YurqZ
でも、この優しさが辛い。
もう決めたのだから・・・
「僕はもう眠りたいんだッ!!これ以上この世界にいたくないんだッッ!・・・
どうして・・・邪魔をするんッッ・・・・」
それは、突然だった・・・
気がつくと僕はカレンに唇を奪われていた・・・
今まで味わったことのないくらいしょっぱいキス・・・
そして、今までで一番印象的な・・・
「カ・・・カ、レン・・・」
「駄目・・なの・・・」
彼女の声が震えている。
「私は、あなたがいないと駄目なの・・・あなたがいてくれればそれでいいの・・・
だから・・・そばにいて?・・ライ・・・」
そういって、僕を抱きしめてくれた。
とても優しい言葉。
僕の全てを包んでくれそうな・・・
僕の罪を許してくれるような・・そんな・・・
言葉が出てこなかった。
なんて返せばいいのかわからなかった。
「君は、僕達が守る。」
「スザク・・・」
「生きてくださいッ。ライさん!」
「君には生きていてもらいたい。」
「君には彼女を幸せにする義務があるだろう」
「ナナリー・・・扇さん・・・シンクーさん」
彼らはどうしてこうもあたたかいのだろう?彼らはいつだってそうだった・・・
そうだいつだって・・・・
102 :
リバティー:2008/10/12(日) 21:49:27 ID:Fw2YurqZ
僕は生きていていいのか?
僕はどうしたいんだ?
僕は・・・
「カレン・・・みんな・・」
僕はカレンを抱き返して、みんなの方を向く
僕はどんな顔をしているのだろうか?
「僕はこの世界で生きたい・・・いいかな?」
「うん…うん…‥ずっと、そばについて」
そこにいた全員がまっていた言葉。
その時の彼は今までで一番幸せそうな顔をしていた。
もっとも、彼自身は気がついていなかったが……
「へっ……あんな顔して笑いやがって」
「玉城、お前泣いてるのか?」
「う、うるせぇ!!」
中には涙を流す者も出てきていた。
「ライ……よかった…」
スザクもその中の一人だった。
ギアスにかけられていたとはいえ、自分の手でライを刺したのだ。
理屈ではわかっていた。
[僕の為に、自分を刺す役割を与えた。]
しかし、あの時彼を刺した感覚が……あの時の後悔が……消えなかったのだ。
その彼が生きていたのだ。大切な友達が生きていてくれたのだ。泣かないはずがない。
「まったく……世話の妬ける奴だ」
今、その場に駆けつけたルルーシュも皮肉を言いながらも、軽い笑みを浮かべていた。
「それはお前もだろルルーシュ?」
C.C.がルルーシュに声をかける
「あぁ、そうだな。・・・・」
ルルーシュに通信が入る
「どうした?」
支援
ちょっと席離れます。どなたかお願い致します。
104 :
リバティー:2008/10/12(日) 21:52:53 ID:Fw2YurqZ
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「今日、我々の仲間の一人から、狂王が現世に姿を現したという連絡が入った。
これはお告げ!このめでたい日を人類の最後の日とする!!狂王の手によって人類は滅びるべきだった!」
ルルーシュに通信が入った後、あの場にいた全員が斑鳩に戻りモニターでTVを見ていると言うのが今の状況である。
「狂ってやがる・・・」
「下種どもめッ・・・」
「僕が生きていた・・・からか・・・」
表情が曇るライにルルーシュが声をかける
「いや、それはない。お前の動きはこちらが把握していた。近くに人が寄らぬようにもしておいた。
恐らく、士気をあげるためのはったりだろう。」
「そ、そうよ。気にしないでライ。」
カレンもライを心配していた。
「黒の騎士団を出すしかないだろう」
「そうだな。戦力は・・・」
ルルーシュ達が対策を練り始める。
狂王がこの世界に現れたからこの人たちはこんなことをしたのか?
僕が狂王になってしまったから起きた悲劇・・・・・・・・
なったから出た死者・・・・・なったから起こった事件・・・・・・
僕は、このままみんなに守られて・・何もせず、ただ生きるだけでいいのか?
やさしい世界の為に・・・・
そうだ、僕の役目はまだ終わってない。
まだ、狂王が起こしたことの罪すら償っていない。
死んでなんか償えない。
だから・・・・
支援
106 :
リバティー:2008/10/12(日) 21:55:47 ID:Fw2YurqZ
「ライ?」
ライの変化に気づいたカレンが顔を覗き込む。
彼女も心配なのだ。また、彼を失うのではないか・・・と
「大丈夫・・・どこにもいかないよ。僕にはやることがある。」
そしてライは、やっと取り戻した真っ直ぐな瞳でルルーシュの方を見た
ルルーシュもそれに気づいた。
「大丈夫だ・・テロリストは俺たちが・・・」
「ゼロの仮面はあるか?」
ライが話終わる前にライが口を開いた。
そこにいた全員の動きが止まる。
「残念だがゼロの仮面はもう、ない・・・余計なことは考えるな・・ライ」
ルルーシュが一人だけ何もなかったように平然と答える。
すると、
「仮面ならあるぞ。ほら。」
部屋に入ってきたC.C.がライに向け仮面を投げる。
「C.C.ッッぅぅううう・・・・」
ルルーシュがC.C.を睨みつける。
「ありがとう。C.C.」
そういってライは仮面を被ろうとする。
「ま、待って!」
「いっただろ?カレン・・・やることがあるって・・それに、帰ってくるよ・・君と生きたいから」
カレンの顔が赤くなる。
支援!
108 :
リバティー:2008/10/12(日) 21:58:46 ID:Fw2YurqZ
そして、仮面を被る。
「これより、指揮は私が執る!黒の騎士団は全員配置につけ!」
ライの決意に触れた団員達が次々に配置につく。
「まて、お前はゼロじゃないだろう!ゼロは俺が!」
「ゼロの真贋は中身ではなくその行動によって測られる・・・だろ?
それに、平和を主張している君が黒の騎士団の指揮なんて執ったら国際問題になる。心配してくれてありがとう・・」
そういうと、ゼロは部屋を出た。
「お前もこうなるとわかってたのだろう?」
「あぁ、アイツは最大のイレギュラーかもしれないな。・・・いや、もう一人いたか・・」
そういって、ルルーシュはC.C.を見る
「そう怒るな・・共犯者だろ?私たちは。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「何なんだこいつら!?!この野郎!!・・・・・・」「うわぁああぁあああ!!!!!!!」
次々と出てくる自軍のlostという文字を見てテロリスト達は焦っていた。
「どうなってるんだ!いったい!!!!!!!」
そこに、オープンチャンネルで通信が入る。
「私はゼロ。私は悲しい・・。狂王の亡霊にしがみつき、
この世界の平和を乱し、破壊しようとするものがいることがッ!
狂王が再び現れるのであれば、この私が天誅を下そう!!!
狂王の亡霊にしがみつき者達よ、我を恐れろ!!」
僕は僕の罪を償い、そして守ろう。
君たちが願続けた、このやさしい世界を・・・・
このゼロという仮面を被って・・・・・
「我々は黒の騎士団!!!!」
完・・・
109 :
リバティー:2008/10/12(日) 22:02:47 ID:Fw2YurqZ
これで本篇は終了です!お読みいただき本当にありがとうございました!!!
ちなみに、不老不死はただの推測であって本当はどうなのかわかりません。
契約者の名前も願いもわかりません。一応決めてますが。
テロリスト達もライを見たのか見てないのかわかりません。
ルルーシュもある程度の位置を把握していただけで動きを完璧に把握していたら、
待ち伏せなんてしませんしね。
「いや、それはない。お前の動きはこちらが把握していた。近くに人が寄らぬようにもしておいた。
恐らく、士気をあげるためのはったりだろう。」
「そ、そうよ。気にしないでライ。」
この台詞は彼らの優しさです。私的には・・・
実はまだ続きがありまして・・・・
書いてないんですよ・・・・カレン・・・
実はそのためにここまで書いてきました。
すいませんがもう少しだけお付き合い下さい!
そして、トーマス様シリーズ部屋化お願いします!お返事遅れまして申し訳ないです。途中で返事してよいのかわからず・・・
>>98 指摘ありがとうございます!やっべーこれどうすればいいんすかね?これじゃあ話が・・・
GJ、お疲れ様です。
98氏の提言された箇所ですが、こちらで修正しておきましょうか?
刺された → 刺した みたいな感じで。
泣けんでぇ!
>>110 リバティー卿、GJでした!
「本編は」終了、つまりは番外編がアフターにありましたでしたか。
そうですか。
全ての罪を背負い消える→罪を償う、の心境変化は良いでした。
必死で止めてくれる仲間たち、やっぱ泣けんでぇ!
貴公の次の投下を全力でお待ちしております!
112 :
リバティー:2008/10/12(日) 22:54:28 ID:Fw2YurqZ
トーマス様 お願いします!!
「刺していた」でお願いします!!!
お手数かけます!!!申し訳ないです!!
>>111 ありがとうございます!!また、投稿します!
では修正しました。部屋も作ってます。
>>88 ご指摘ありがとうございます。ちょっと投下するときに、こちらに不手際があったようです。
申し訳ありませんトーマス卿。保管庫のこの部分の修正をお願いしてよろしいでしょうか。
あと、小さな事なのですが今回、私が投下したAパートが保管庫でのタイトルがBパートになっているので、
こちらの方も修正をお願いいたします。
35分ごろに投下します
ご指摘の箇所を修正しました。
>>116 ありがとうございます。
いつもご迷惑をおかけします。
119 :
萌は文化:2008/10/13(月) 00:34:08 ID:wl3h1Tpa
支援宣言にありがとう
では時間で投下します
タイトル「疑い」
カップリングはライ×ミレイ
注意点
・ブルームーン編のミレイED後です
・ミレイが少し乙女チックかも
たぶんそんなとこで投下です
120 :
萌は文化:2008/10/13(月) 00:36:40 ID:wl3h1Tpa
生徒会室に入ると、どこか息苦しかった。
酸素が薄いとかそういうのではなく、なんというか、雰囲気が重かった。
「呼びましたかミレイさん?」
室内を見渡すと、何故か部屋の中心に畳が敷いてあり、その上にはちゃぶ台が用意され、ミレイさんはそこに座っていた。
「ええ、よく来たわねライ」
もしかしたらまたミレイさんの変な思いつきなのかもしれない。
そんな不安を抱きながら僕は畳の上で紅茶を嗜んでいるミレイさんを見た。
「早くこっちにいらっしゃい」
急かすように手招きするミレイさん。
そんなミレイさん笑顔に、僕はどこか違和感を感じつつ、靴を脱いでミレイさんの正面に正座をした。
「ふふーん、何で呼ばれたのかわかるかなライ?」
笑顔がどこかぎこちない。
もしかしてミレイさんは怒ってるんじゃないんだろうか?
「生徒会の用事……ってわけじゃなさそうですね」
そう言うとミレイさんは肯定したように頷いた。
「私達付き合ってるわよね」
理由は不明だが、やっぱりミレイさんは怒っているらしい。
ミレイさんの言葉がどこかトゲトゲしい。
支援しまっせえ
122 :
萌は文化:2008/10/13(月) 00:39:35 ID:wl3h1Tpa
「はい。少なくとも僕はそう思ってます」
するとミレイさんは「そう」と素っ気なく頷いた。
「じゃあ私、怒っていいわよね」
あ、やっぱり怒ってたんだ。
だから2人しかいないのにここの空気がこんなに重かったんだ。
いや、2人しかいないからか。
「さて、それじゃあライ」
ミレイさんはちゃぶ台の上に数枚の写真をバラまいた。
「これは何かしら?」
ミレイさんは1枚の写真を手に取るとその写真を僕に突きつけた。
その写真には僕と並んで歩くカレンの姿が写っていた。
「前にカレンと一緒に買い物に行った時の写真ですね。これが何か?」
「そう、じゃあこれは…」
ミレイさんが次に手に取った写真にはシャーリーに服を合わせてもらってる僕の姿が写っていた。
「これはシャーリーに付き合ってルルーシュへのプレゼント選びをしてた時だね」
「ふーん、なんでルルーシュのプレゼントをライに合わせてるの?」
「シャーリーが僕とルルーシュの背丈が似てるからって…」
素直に答えると、ミレイさんは疑いの眼差しを僕に向けている。
ミレイさんは一体何をそんなに心配してるのだろう?
支援
支援
125 :
萌は文化:2008/10/13(月) 00:44:50 ID:wl3h1Tpa
「それでシャーリーはルルーシュにプレゼントを?」
「いいえ、この時は服は買いましたけどやっぱりルルーシュには似合わないと言って僕にくれました」
シャーリーには悪いからいいと断ったんだけどシャーリーが持って帰っても捨てるだけだからと言ったので、せっかくだから僕がもらったのだ。
元々はルルーシュへのプレゼントとはいえ、それでも僕はプレゼントをされたのが嬉しかったのでその日のことを良く覚えている。
その時のことを思い出すと、僕の頬は自然と緩くなった。
「………ム」
そんな僕とは対象的にミレイさんの表情はさらに険しくなっている。
「そう、なら次は?」
次にミレイさんが出した写真は僕とユフィが手を繋いで走っている写真だった。
「これは……内緒の話ですよ。ユフィがゲットーを見たいって言ったんでお忍びでゲットーに言ったらイレブンの怖い人達に絡まれちゃってさ。その後、ユフィを引っ張って大慌てで逃げたんですよ。たぶんその時の写真です」
これは大変だった。
そのことを思い出し僕は大変だったと何度も頷いた。
「ユフィも怯えちゃって、安全な場所まで逃げた後も『しばらくはこのままでいいですか?』とか言ってなかなか手を離してくれなかったんですよ」
「…………ふーん、そう」
あ、あれ?
どうしたのだろミレイさん?
支援
そんなミレイさん笑顔に
そんなミレイさんの笑顔に かと
127 :
萌は文化:2008/10/13(月) 00:49:49 ID:wl3h1Tpa
何か気に入らないみたいだけど……僕何か悪いこと言ったのかな?
「あ、そういえばニーナと行った時も似たようなことがあったな。ニーナを守るためにイレブンの怖い人とケンカしちゃったんだけど、よっぽど怖かったのか、それ以来ニーナに避けられちゃって…」
何が不味かったかはわからないけど、とりあえずユフィの話からニーナの話へと話題を変えてみる。
「そうか……それで最近、ニーナのライを見る目が……この天然たらし!」
すると今度は難しい表情を浮かべ小さくて聞き取れないがミレイさんは何かブツブツと独り言を始めた。
「ええい! ならこれはなんだ!!」
観念しろ、とミレイさんはまた別の写真を手にした。
「こ、これは…」
その写真を見て、僕の言葉が詰まった。
ミレイさんが手にした写真には、以前C.Cに無理矢理付き合わされて行った遊園地での僕とC.Cのツーショットが写っていた。
今さら思ったけど誰が撮ったんだこの写真?
「さあ、どうなのライ!?」
バン、とちゃぶ台の上に足を置くミレイさん。
お行儀悪いですよミレイさん。
あと、その格好だとスカートの中身まる見えなのですけど。
支援
129 :
萌は文化:2008/10/13(月) 00:52:55 ID:wl3h1Tpa
ちなみにスカートの下は紺色でした。
「誰なのこの娘!?」
「これは……その…」
これはどうしたものだろう?
写真を説明するにもまずはC.Cのことを説明しなければならない。
だが、僕にとってもC.Cは謎の存在でイマイチよくわかっていない。
これでは納得する説明は出来そうもない。
「黙ってるってことはやっぱり……」
ミレイさん怒り顔で身体を震わせながらちゃぶ台に手をかけた。
「浮気ね! この浮気者ー!!」
怒鳴りながらミレイさんはそのまま力いっぱいにちゃぶ台返しをした。
「そのためのちゃぶ台ですかー!?」
ちゃぶ台がひっくり返ったことによりちゃぶ台の上の写真がヒラヒラと部屋の中に散らばる。
「手当たり次第に女に手をだして何! プレイボーイのつもり!? そんなに私に魅力がないわけ!!」
いつになく大荒れのミレイさんは僕の胸倉を掴み叫びつける。
手当たり次第って……なんのことだ?
「よくわかりませんが誤解ですミレイさん! 僕はミレイさん一筋です!」
ワロタ支援
131 :
ホッピー:2008/10/13(月) 00:57:36 ID:T1bpOmpR
LOSTCOLORSのSSをいつも読ませてもらってます。
読むことしかできない僕ですがよろしくです。
132 :
萌は文化:2008/10/13(月) 00:57:41 ID:wl3h1Tpa
出来るだけ刺激しないように僕は叫んだ。
「信じられないわよライの馬鹿!」
「べっ!」
怒りに身を任せたミレイさんは勢いのままにちゃぶ台を投げつけ、僕の顔面にヒットした。
「バカバカバカバカ! ライのバカ! ミレイさんだって女の子なのよ! 私だって…私だって……!」
泣きながらポカポカとミレイさんは僕を叩いてきた。
…流石に僕もこれには黙っていられなかった。
「うるさい! 黙れ!」
僕が怒鳴るとミレイさんビクリと怯み、叩くのを止めた。
「黙って聞いていたら好き勝手言って……こうなったら僕もハッキリ言わせてもらいます!」
「……!」
僕の怒りが伝わったのかミレイさんは怯えたように自分を抱きしめた。
「ミレイさん……僕は…」
「嫌ァ…! 止めてライ」
段々と弱々しい声を出し、ミレイさんは自分の耳を塞いだ。
「黙って聞けっ!」
ミレイさんの耳を塞ぐ手を僕は無理矢理外した。
「嫌ァ…やだ! 離して!」
抵抗するミレイさんだが女性であるミレイさんが男性である僕の腕力に勝てるはずがなく、僕はミレイさんを無理矢理押さえつけた。
支援
134 :
ホッピー:2008/10/13(月) 01:01:49 ID:T1bpOmpR
支援です
135 :
萌は文化:2008/10/13(月) 01:02:41 ID:wl3h1Tpa
「いいですかミレイさん、僕は…」
「嫌……! 聞きたくない…」
ミレイさんはとうとうこらえきれなくなくボロボロと泣き出した。
「嫌よ……ライ……捨てないで……私……私…」
力なく、弱々しい声でミレイさん呟く。
けどもう哀れみなんてない。
だからこれだけは言おう。
これが僕の本心だ。
「ミレイさん、僕は……あなたが好きだ」
「………え?」
僕の言葉にミレイさんは目を丸くした。
「信じられないって言いましたね。なら何度でも言います。僕はあなたが好きです。僕はミレイ・アッシュフォードが好きです。
また、あなたの笑顔が好きです。疲れている時にガッツの魔法をかけてくれるあなたが好きです。ボーっとしてると不意打ちで頭にチョップをくらわすあなたが好きです。僕は…ミレイ・アッシュフォードを愛しています」
「ラ…イ」
驚いたようにミレイさんは僕の名前を呟いた。
まだだ。
まだこんなんじゃ僕の怒りはおさまらない。
「捨てないでですって? なんで捨てられると思ってるんですか? 僕はあなたのことを大好きです。捨てるなんてとんでもありません。むしろ、捨てられても仕方ない立場にいるのは僕の方だというのに」
「ライ………!」
sienn
138 :
萌は文化:2008/10/13(月) 01:07:11 ID:wl3h1Tpa
ミレイさんの瞳から大粒の涙が頬を伝った。
僕はそれを指でそっと優しく撫でる。
「わかってもらえましたか? ミレイさん」
そう言うとミレイさんは涙をふき、クスクスと笑った。
「な、なんで笑うんですか!」
「フフ、だって……ねぇ」
そう言うとミレイさんはまたクスクスと笑った。
「むう、そりゃあ少し臭かったとは思いますけど、僕だって真剣なんですよ」
「はいはい、ごめんごめん。だから拗ねないの」
「別に拗ねてませんよ」
そうは言うものの内心かなり拗ねている。
僕は小恥ずかしくなってミレイさんに背中を向けた。
「フフ、ねえライ」
そんなふてくされる僕をミレイさんは後ろから抱きしめてきた。
「あなたを好きになって…私って幸せね」
「……ミレイさん」
僕が振り返るとミレイさんは僕の首に両腕を回してきた。
「ごめんねライ。そしてありがとうライ」
そう、学園へんだとミレイさんに捨てられたる無一文・・・、にはならないか。
里親になりそうな幼女〜おばさんまでたくさんいるし
140 :
萌は文化:2008/10/13(月) 01:12:01 ID:wl3h1Tpa
謝罪の言葉と同時に感謝の言葉を告げるとミレイさんは僕の唇に自分の唇を押しつけた。
徐々に僕の首に回したミレイさんの腕の締めつけが強く。
それに答えるように僕もミレイさんを強く抱きしめた。
「会長、学園祭の件で少しお話が……」
そんな中、見事なタイミングで生徒会室の扉を開け、ルルーシュが中に入ってきた。
「る、ルルーシュ!?」
慌ててミレイさんとのキスを中断して僕は狼狽した。
一方ルルーシュは、僕とミレイさんのキスシーンを見てどうすればいいかわからずに硬直している。
「どうしたのルルーシュ?」
「早く中に入ろうぜ」
どうやらルルーシュの後ろにリヴァルとスザクが居るらしく、硬まるルルーシュを見て不思議そうな声が外から響いてくる。
「あ、すまん邪魔したな」
リヴァルとスザクの声で我に返ったのかルルーシュは一言謝ると生徒会室の扉を閉めた。
「み、見られた…」
なんかルルーシュに恥と弱みを同時に握られたような気がする。
「あらあら、見られちゃったわね〜♪」
言葉とは裏腹に、なにやら上機嫌そうにミレイさんは笑った。
「まあ、仕様がないわ。それじゃあライ、続きお願い」
「ええ!?」
141 :
萌は文化:2008/10/13(月) 01:14:26 ID:wl3h1Tpa
驚きミレイさんを見るとミレイさんはチョンチョンと自分の唇を指差した。
どうやら僕からしろってことらしい。
「ほら、せっかくルルーシュが気を使ってくれてんだから」
甘えたようにミレイさんは言うとそっと僕に寄りかかった。
「それとも私のこと好きだって言ったのはウソなの?」
茶化すように笑うミレイさん。
仕方ない。
僕も男だ。
観念しよう。
僕はミレイさんを抱き寄せ自分の唇をミレイさんの唇に押しつけた。
長い長い口付けの中、僕はふと考えた。
あの写真……ホントに誰が撮ったんだろう? と…
142 :
萌は文化:2008/10/13(月) 01:15:40 ID:wl3h1Tpa
おまけ
リヴァル「おいおい、なんでドア閉めんだよ」
スザク「何かあったのルルーシュ?」
ルルーシュ「……知らん」
スザク・リヴァル「「はぁ?」」
ルルーシュ「知らんと言ったら知らん!! 俺は何も見ていない!」
スザク「何言ってんだいルルーシュ?」
リヴァル「ほら、そこどけルルーシュ。さっさと入るぞ」
ルルーシュ「だ、ダメだ2人とも! 特にリヴァル! お前はダメだ!」
スザク「一体なんなんだいルルーシュ?」
リヴァル「なんか怪しいな……」
シャーリー「あれ、ルル達何してんの?」
カレン「こんな所で騒いでないで中に入ればいいじゃない」
ルルーシュ(おのれライ! この貸しは高くつくぞ!)
カオス
支援
以上で終了です
初ライミレです
結局写真撮ったの誰だったのでしょうね?
ミレイがメインなのは初めてなのでのキャラがおかしくないか大変不安です
>>126誤字指摘感謝
トーマス卿、ゴメンナサイ、本当にゴメンナサイ、修正お願いします
毎回見直ししてるのに何故だorz
支援ありがとうございました
また、いつかよろしくお願いします
>>144 GJ、お疲れ様です。誤字は修正いたしました。
>>144 GJです。ニーナにもフラグ立てながら結局ミレイさんの手の上でおよがされたライw
写真はやっぱり腐女子のメイドですか?
>>144 GJです!!
やったぜライミレ!
ライミレはロスカラの中で一番好きな組み合わせです
だから、今回のお話はメチャクチャ楽しませてもらいました!!!
>>145 萌は文化卿、GJでした!
フラグ乱立www しかし一途なライは良いね!
思わず怒鳴りつけて、言う言葉が愛の言葉……カッコいいね。
ルルーシュ頑張ってるね。
私も写真撮った人=スーパーメイドに一票!
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!
萌は文化卿、お疲れさまでした!
久しぶりにライミレが見られて良かったと思います。
ミレイさんがかなり可愛すぎますね!
写真を撮った人は十中八九スーパーメイドなあの人でしょうね
さて、二分後に投下を始めさせていただきます。
支援は少なめで大丈夫です。
支援!
投下の準備が整いましたので投下開始致します。
ライ×コーネリアでタイトルは【僕の隣】です。
前回はネリ様視点だったので、今回はライ視点で
しえん
夢を見た。
この夢を見るのはいつ以来だろうか?
そこは暗い場所だった。時折、断罪の炎にも似た萌葱色の雷光が走り、暗い世界を照らす。
そこのいるのは僕一人。誰もいない、誰もいなかった。
そう、僕はひとりぼっち………
ライは、ゆっくりと目蓋を押し開き暗い部屋の天井を仰いだ。
夢だった。そう考えても残り香が強い残滓は、先程の夢を頭の中に呼び出す。
それは、なかなか消えはしない。
消えてくれと言っても消えてはくれまいに。
寝ていたベッドの枕元にある時計に目をやった。時計の針には蛍光塗料が塗ってあり、暗闇の中でも正確に時を知ることが出来る。安物で年代も相当古いやつだ
が買ってみると、意外にもよく使っていた。
AM 2:12
日も昇りさえしない時間でしかも深夜だ。ライは目の瞬きを繰り返しながら闇を見つめていく。
次第に、寝室の中にあるものが闇の塊ではなく、形をもった物質に構成されているということがわかるまでに目が慣れた。
しっかりと像を結ぶ眼窩で自分の横を見ると自分の片腕を枕にして眠るコーネリアの姿が映り、ライは静かに微笑んだ。
必要以上な動きと音を作ってしまうと、起こしてしまうかもしれない。
だから本当に…そぉっと、彼女の顔に掛かった前髪を指で掻き上げる。
すると、綺麗な顔が露わになり、ふと出したい言葉も、内だけに留める。
普段のその人では考えられない無防備な寝顔を間近で眺められるのは自分だけに与えられた特権だと何度も思うのも悪くはない。
「んっ………」
髪を掻き上げる際に爪の先がほんの少し当たってしまったか、コーネリアの体が微動する。すると、彼女の両目がうっすらと開いて、ライを捉えた。
「どう……した?」
「あ、すみません。起こしました?」
ライは起こしてしまったことに対してすぐに謝ると、コーネリアは緩く首を振ってすぐに許した。
こんな光景、三年前には考えられなかったことだろう。特派から親衛隊へと入隊し、コーネリアと共にいる時間が増えていくにつれて不思議な感じがライを包んでい
った。彼女と供にいる安心感、己の部屋に帰り、彼女のことを想うと胸に隙間が空いたような感覚。それが、彼女に対して抱いていた恋心と気が付いたのはいつ頃だろ
うか。
支援
『特区日本』設立記念式典のあの日、ゼロのギアスの暴走によって引き起こされたユーフェミアの暴走の際に右肩と足を撃たれ、
負傷と引き換えに暴走を食い止めた。
しかし、自身にもギアスの暴走が起こり、式典会場から去る際にナイトオブラウンズのナイトオブナイン ノネット・エニアグラムに保護され、
ブリタニア本国の彼女の領地へと連れられた。
それから一年後に再びエリア11へと戻ってきたときは、エニアグラム家の養子となり、ライ・エニアグラムとなっていた。
『好きなんだろ?だったら、さっさと言ってこい』
誰にも明かしたことのない事をいきなり言われたことにはとても驚いたが、更に驚いたのはその行動力だ。政庁へと連れられ、
コーネリア殿下の元へ差し出されると意を決して彼女に対する思いを吐き出した。
すると、彼女は頬を上気させ、軍を指揮するときとはまた違ったものになっていた。
それは、隠しきれない喜びが所々に表れている証拠であった。
そして、一つ咳払いをしてこう言った。
『……ライ、お前に命じる。夫として、私に似合う指輪を探し出せ』
少し照れたような表情で言われたことで少しの驚きの後に嬉しさが体中を駆け巡った。
その後、親衛隊に所属していた時に世話になったダールトン将軍とギルフォード卿に挨拶に行くと同時にプロポーズの事を報告した。
ダールトンは驚いていたが、すぐに笑顔となり自分の肩を叩き、まるで自分の事のように祝福してくれた。
ギルフォード卿もダールトン将軍と同じように驚いてはいたが微笑んで祝福の言葉を紡いでくれた。
だが、その後のギルフォード卿は何故か妙な雰囲気を纏いはじめ、奇行が目立ち始めたので数日は近づかないようにした。
そして、妻となったコーネリアと一緒に暮らし始めて三年が経つ。
最近は『特区日本』での活動で彼女は自分と一緒に多くの仕事を片付けてくれている為か睡眠時間を削られることはしばしばだ。
そして、ここ最近彼女のお腹の中には新しい命が宿っていることがわかった。そうなると、無理をさせる訳にはいかない。
「すみません、何でもないんです」
そう言って紫がかった髪を撫でていた手を頬に移すと、コーネリアは甘えるようにライのその手に擦り寄った。
猫のようとも、犬のようともとれる態度はとてつもなく可愛く愛しいものだ。
「おやすみ、コーネリア」
最後の部分だけ、聞こえないように小声で言うと、ライはコーネリアの額に唇を落とす。唇を離し、
腕枕に使われていた腕を使って抱き寄せると軽く身じろがせたコーネリアはしなやかな肢体をライの体に絡ませて、ライの胸に頬を摺り寄せてくる。
ゆるりと視線をぼかすと視界より聴覚が勝り、音の世界が伝わってくる。
ドックン……と鼓動が重なり合う。
自分とコーネリアの鼓動。
少々着崩した寝間着越しに、彼女の温もりが伝わってくる。
彼女が今ここにいるということを証明してくれている。
「…………」
毛布から漏れた肩の柔らかな肌が、ライの目を捉えて離さない。
一瞬だけ、理性がグラついたがすぐに抑えて毛布がちゃんと肩まで覆うようにする。
「んん………」
グロースターを駆るその姿は戦の女神を彷彿とさせるが、今はただあどけなさを見せるライの最愛の妻、コーネリア・リ・ブリタニアの姿だ。
支援
すっと、筋の通った鼻梁。
小さい柔らかな唇。
整った容貌。
各部位が美しく配置された貌。
豊満で均整のとれた身体が、さらに美しさを際立たせる。
「ライ」
「は、はい?」
寝ているばかりと思って、不躾な視線を送っていたことにライは慌てて言葉を返した。
「……好きだ、愛してる………」
しかし、後に続くものはなく、彼女はただ安らかな息を繰り返していた。
「……?」
聞こえてくるのは変わることない、息遣い。
「……………」
何故だろうか、ライの顔に笑みが浮かんだ。
彼女を抱き締ると温かさが増した。
それは、とても心地よかった。
やがて、睡魔を伴って訪れる。ライは睡魔に身を任せて身体の力を抜いていった。
訪れる眠りの霧に意識が翳んでしまう前に、ライは腕の中の存在の証明を感じながら思った。
夢の中ではひとりぼっちかもしれない
だけど、現実の世界では僕を必要としている、愛してくれる人がいる。
今の僕はひとりぼっちじゃない
というわけで、投下終了でございます。これでようやく寝られます(何
最近は短いものしか書いていないのでそろそろ長いものを書きたいですね。
自分のイメージ的には、ダールトンはライのお父さん的な感じがしますので結婚には喜んだのでは無いかと思います。
ギルフォードに関しては………ノーコメントで(ヲイ
>>159 蒼い鴉卿、GJでした!
ライ視点でのライネリ……何か心が暖かい。
ギルフォード……
ひとりぼっちじゃないの言葉には結構グッときますね。
貴方の次の投下を全力でお待ちしております!
>>159 お疲れ様でした!
ライと年上のキャラの絡みが好きなので楽しく読ましてもらいました!!
コーネリアかわいいですねw
10分頃に投下したいのですが
誰か、おられますでしょう?
はいはい〜、支援しますよお!
携帯からだけど支援します
今日もタイミン…おお、全力でありがとうございます
支援に感謝です
今回は、前書き・本文・後書き合わせての21レスです
タイトル:コードギアス 反逆のルルーシュR2 RADIANT WORLD
カップリング:特になし
ジャンル:シリアス・長編
備考:ギアス篇&黒の騎士団篇の合いの子ルートENDからスタートしてます
R2の豪快なifルート&今回からオリジナルKMFが登場します
苦手な方には、本当に申し訳ないです
今回は第6話です。にゃーでぷにぷにーな(ry
ながっ!支援
未来と過去が交差する世界で、交わらない二人。
愛情と憎悪が交差する世界で、交われない二人。
世界の行方は、まだ決まらない。
第六話『TO THE SKY IN PROMISE』
ライはC.C.とカレンと一緒には戻らず、一人で総領事館に戻った。
スザクやラウンズがいるという事は、本国に動きがある。
街頭のニュースでは、新総督の着任がメインで取り扱われていた。
だが、新総督の経歴等は未だ公式発表はないとの事だ。
幾つかの情報から符合される情報から、ライは新総督になる人物が思い当たった。
ここにいられる時間は、残り少ない。
そんな事を考えながら、団員達への挨拶もそこそこに部屋に戻ったのだが。
「遅かったな。女遊びでもしてたのか?」
また、考え事は先延ばしか。と思いながら、ソファーで寝そべっているC.C.を見つける。
先の騒動の当事者のふんぞり返った態度に、苛立ちより呆れるライ。
異常な環境下が日常になると、人間の感覚が麻痺するのだろうか。
そう思いながら、返事を返す。
「……仮に遊んでいたとしたら、こんなに遅く帰ってこない」
軽い嫌味を含めて返しながら、制服の上着をハンガーにかけて
新しい総督が着任する事を、C.C.に伝え対面のソファーに腰を下ろす。
それを目で追いかけるC.C.の表情は、冷たさを感じさせる。
まるで、咎人を責めるかのように。三日前に言おうとした事を言った。
「これ以上は、深く関わりあうな。余計な荷物は必要無い」
比喩的な表現だったが、ライには何が言いたいのかを理解できた。
団員達には知られていない、彼の真実を知っている人物。
支援
支援
カレンは、ライがブリタニア人と日本人とのハーフである事。
ルルーシュは、その事と一年前に彼と過ごした記憶。
だが、彼の全てを聞き知っているはずのC.C.は、二人との関係の改善をこれ以上するなと釘を刺した。
互いに睨み合う二人。目的を同じとする共犯者だが、二人が選んだ手段は違う。
その一触即発になりかねない険悪な空気を壊したのは、ルルーシュからのコールだった。
「各部隊の物資の受け取りは、どうなっている?」
ライは気持ちを切り替え、各部隊の状況を伝えた。
物資の受領は無事に終わったが、総領事館への帰還する手段がない。
ルルーシュもそれは予測しており、だろうなと返事を返す。
チェスの駒を指で遊びながら、心ここにあらずなその彼の姿に、ライは違和感を覚えた。
「……新しい総督には、ナナリーが就任するのか?」
ライは、スザクが学園が復学した事。ルルーシュが急に連絡をしてきた事。
その事から、ルルーシュにかまをかけた。
彼自身でも迂闊だとは思っていたが、事態は確実に切迫している。
ここで躊躇すれば、彼が守りたいものは全て失ってしまう。
ルルーシュは、その見透かしたような言葉に少し驚いたが、C.C.の横槍で思考を中断させられる。
「戦えるのか、妹と?」
ルルーシュにしてみれば、それは笑えない冗談だった。
彼の行動原理。それは、妹のナナリーだ。彼女を護る為に行動を起こした。
その起こした行動で妹と戦うなど、ルルーシュにとって論外でしかない。
となれば、放置するしかない。だがそれも、ルルーシュには論外だ。
過去にも政治の道具にされた歴史を、繰り返すなど許せるはずが無い。
「目は見えない。足も不自由。民衆はそんな少女を、持て囃すだろうね」
悲劇のヒロイン。政治の駒としては十分だが、使い捨てても困らない。
そんな政治の多角的意見を、ライは忌憚無く述べた。その言葉に、ルルーシュは激昂してしまう。
支援
ぷにぷに卿、投下間隔が短すぎます!猿が来ますよ!
3分弱くらいは置いたほうがいいと思われます。支援
「そうさせない為の黒の騎士団だ! その為のゼロだ!」
「なら、ナナリーを救出したら騎士団の戦いは終わりだな」
「終わり? 違うな。ナナリーを救出し、ブリタニアを」
ライはルルーシュの言葉を遮って、その意見を否定した。
ナナリーの為の黒の騎士団なら、ブリタニアとこれ以上は戦う必要がない。
専守防衛を永続的に続ければ、護り続けられるのだから。
だがルルーシュは、ナナリーの為と言いながら、ブリタニアと戦い続けると言った。
「君が言っている事は矛盾している。ナナリーの為なのなら、ブリタニアを刺激するべきじゃない」
「では、どうしろと? また昔の様に、外敵に脅えて」
「その恐怖から護る為に、黒の騎士団を使えばいい。戦いを挑む必要性はない」
ルルーシュは心のどこかで、この矛盾を避けていた節があった。
ライはそれが気になったのだ。その矛盾が彼を殺しかねなかったから。
「君の生きる理由がナナリーなのはいい。だけど、そのナナリーを口実に戦うべきじゃない」
「俺がいつ、ナナリーを口実にした!」
「少なくとも、今はしている。ゼロとしての判断だけなら、僕も従ったよ」
ゼロの正体を知らなかった以前なら、思惑があるのだろう程度で流したかもしれない。
だが今は違う、ライは正体を知っている。
奪還をする理由が、ルルーシュとしての判断なのを咎めたいわけではない。
混同すれば、必ずそれが仇になる。ライはそれを知っている、過去の自分がそうしたように。
「君はゼロだ。黒の騎士団の総帥。合衆国日本のトップ。そこに、ルルーシュを持ち込むな」
諌めるように、ライはルルーシュを突き放した。だが、ゼロを突き放した訳ではない。
今この場で、ルルーシュを持ち込んだ事を注意しただけだ。
感情が先行しているルルーシュにも、それはわかっていた。
だが、彼には納得ができない。できるわけがない。ナナリーが、それだけ大きな支えだから。
ライにも、それはわかっていた。彼もこの世界に母と妹がいたなら、同じような選択をしただろう。
話は平行線。答えのない問題を二人が言い合っただけだった。
支援
支援参加
「……ルルーシュ、決断した方がいい。ナナリーすらねじ伏せて、仮面をかぶり続けるか」
ナナリーの為に仮面を棄てるか、そのどちらかを選ぶしかないと。
生きる理由を放棄して戦い続けるか、戦う理由を放棄して生き続けるか。
その非情な選択を、ルルーシュはただ黙って受け止めた。
全てを充たす都合のいい選択は、ありはしないのだから。
なにもかもが曖昧なまま通信が終わり、ライがいる部屋に沈黙が漂う。
ライは少し深呼吸をして、部屋を出て行く準備をする。
「酷い男だな。その内、泣きだすぞ?」
「だったら、君が慰めるなりすればいい。僕が友人としてできるのは、ここまでだ」
ライもやりすぎだとは、わかっていた。
だが、それで何かが変わるならと。変えられるならと。その責めを受ける覚悟はあった。
C.C.は自分がすべき事だったのかと、少し後悔した。
しかし。自分の願い、その傲慢な目的の為になら彼女は非情だ。
ルルーシュを生かす。それだけが目的であり、乱暴な言い方をすれば、意思や心を必要としていない。
ギアスという呪い。それに抗うのは、無理だと諦めているから。
だから、ナナリーの奪還を言い出した時も、彼女は止めなかった。
生きる理由を、取り上げる訳にはいかないから。
傍観者と介入者。二人の目的は同じでも、立っている位置。見ている場所は同じではなかった。
「いまさらお前と、言い合う気は無い。だが、その尻拭いを私に押し付けるな。私はあいつの母親でも恋人でもない」
「なら、カレンに期待するよ。そういう関係らしいからね」
そのままライは部屋を出て行く。C.C.のやる気の無さに、つくづく呆れたようだ。
そのC.C.は目を丸くして、動作を見送るだけで終わってしまう。
「……冗談を本気にしてたのか?」
ライとしては、追い込まれて悩むだろうと思い、C.C.に後を任せるつもりだった。
だがC.C.は、フォローする気が無い。となれば、カレンが候補に上がるのは当然だった。
あくまで、ライが認識している人間関係が正しいのならだが。
支援
今のところ、ルルーシュとカレンの関係は特別でもなんでもない。
秘密を知っている、という部分を挙げるなら、確かに特別な関係だが。
C.C.は、その誤解を招くような表現でライをからかったのだが、読みが甘かった。
ライの過去、そして記憶喪失時の人物像をよく分析すれば、この手の信じやすい嘘は不味い。
「尾を引かなければいいが……」
さすがのC.C.も、こればかりは懺悔した。
翌日。スザク達は総領事館へと出向いたが、騎士団はそこにはいなかった。
応対に出た星刻は、情報を出して共有しあおうと申し出た。
中華連邦自体に、今は敵意がない事を明確にする為に。
行方を晦ましたのは、今朝方。地下の階層を使い移動、KMFも全て持ち出している。
スザクは、その情報からナナリーの元に向かったのだと判断した。
だが彼には、昨晩のルルーシュの反応からは想像できなかった。
それとも、そうあって欲しくないと思いたいだけなのだろうか。
迷いながらも、スザクはすぐに追跡に向かうことにした。
結局、ルルーシュは奪還を決行した。その事前準備は、ライが進めていたそうだ。
昨晩のやりとりで、反対を示したライ。彼自身、準備するべきではないと思っていた。
だが彼は、ルルーシュに賭けたかったのだろう。
都合のいい口実ではなく、決意した理由を選んでくれる事を。
(ライ……お前は……)
空輸手段。チャフスモーク。重アヴァロンの見取り図。最善の侵入ルート。
団員達への適当な理由も作り、想定しうる手段と対策案の全てをライは用意させていた。
だが、肝心のライは作戦に参加していない。
彼は指示とルルーシュへの伝言を残して、エリア11を離れたそうだ。
(お前への借りは返す。必ず、届けてやるからな)
ルルーシュの手には、綺麗に折られた桜の折り紙があった。
支援
カリフォルニア基地から太平洋上を経由していた、アヴァロンの艦隊。
その旗艦で指揮をしていたアプソン将軍は、すぐに航空戦力で応戦したが
チャフスモークで対処され、焦りから戦力を分散させながら広範囲のスモークに集中をしすぎ
旗艦と護衛艦の甲板に、騎士団のKMFの着艦を許してしまう。
瞬く間に、三隻の護衛艦は航行不能に追い込まれてしまい、ルルーシュの旗艦への侵入を許してしまう。
護衛艦の処理を済ませた、藤堂と四聖剣とカレンも旗艦に集まる。
朝比奈が軽口を叩くのを、仙波と卜部がたしなめて彼等も旗艦に侵入しようとした時だった。
トウキョウ租界とは真逆の方向からの砲撃を受けたのだ。
「東京からの援軍!? 速すぎる……」
「いや。方角としては後ろ備え、それにフロートユニット!?」
藤堂の予測は正しかった。ギルフォードが無断で、後詰の部隊を用意していたのだ。
そのギルフォードの騎乗しているKMFは、ヴィンセントだった。
カレンと卜部はバベルタワーの事を思い出し、一瞬萎縮するが躊躇はできなかった。
その後方で追行していたアヴァロンの艦内で、ロイド・アスプルンドは満足気に戦況を眺めている。
どうやら量産試作機に、興奮しているらしい。
そのロイドをたしなめる女性、セシル・クルーミーは半ば諦め気味だった。
一方ルルーシュは、ナナリーのいるガーデンブロックの扉の前に辿り着いた。
扉を開き、ナナリーの姿を見た時。ルルーシュの心は逸ったが、ゼロとして自制した。
歩みをゆっくりと進める、ナナリーの傍へと。一年間の空白を埋めるかのように。
「そこにいるのは……ゼロなのですか?」
「はじめまして、ナナリー総督。お話をする前に、貴方に渡す物がある」
ルルーシュはナナリーの前でかがみ、ライから預かった桜の折り紙を手渡す。
それを受け取った彼女の表情を彩ったのは、歓喜ではなく驚愕と悲しみだった。
「……あ、貴方が……お兄様が、ゼロだったのですか!?」
「なっ!?」
ナナリーの言葉にルルーシュは困惑した。彼はあらゆる答えを想定をしたが、判断できない。
なぜ、正体がわかったのか。その答えがナナリーから告げられた時、彼はさらに混乱してしまう。
支援
「ライさんという方と約束していたんです。次は私の兄に、桜の折り紙を渡しておく。と」
ルルーシュは、絶対の信頼を預けたが故に、ライの情報を受け流しすぎた。
彼は再会時に、ナナリーが本国にいるという情報を持っていた。
つまり、彼女に会ったことがある。ということになる。
そう。ライは、もっとも狡猾で残忍な手段を準備していた。
ライの思惑により、ルルーシュの仮面はナナリーの前で暴かれる。
二人の絆が揺れる中、外の戦況も揺れていた。
フロートユニットを搭載しただけの、随伴機のグロースターはそこまで問題ではなかった。
元々フロートを搭載を想定した設計思想ではないので、空中戦ができても付け焼刃程度だ。
問題は、ギルフォードが駆るヴィンセントだった。
ギルフォードの腕と、フロートユニットを前提とした設計思想。
KMF自体の対空能力が高くても、空中戦を主眼に置いたKMFへの対処力は想定していない為に低い。
地上戦ではハイスペックの紅蓮や月下でも、この限定された戦場ではさらに不利だった。
彼等が防戦一方になりつつある中、さらに事態は悪化していく。
トウキョウ租界方面からの二つのスラッシュハーケンで、卜部機と仙波機が大破する。
朝比奈は二人の脱出ユニットを確認して、攻撃してきた方向を見ればMRFが一機いた。
「おかしな戦闘機だね、でもさ!」
「さあ。お仕置きタイムだ」
MRFは朝比奈の直上を通過しようとするが、朝比奈もそれを見逃さない。
速射砲で応戦しようとした時、MRFは突如急速後退をはじめた。
そのまま変形をはじめ、MRFはKMFへとその姿を変貌させる。
「ナイトメア!? ぐぅっ!」
朝比奈が驚愕している間に、可変KMFトリスタンは鶴嘴型MVSを繋ぎ合わせ、朝比奈を即座に撃破する。
死神が鎌を振るうが如く立ち振る舞うトリスタンのパイロット、ナイトオブスリー。
ジノ・ヴァインベルグは口笛を吹きながら、脱出したユニットを見届け次の獲物を探しはじめる。
ブリッジからその状況を見ていたアプソン将軍は、ギルフォードとラウンズの介入を喜ばず
己の評価が下がる事を気にした。ナナリー総督の護衛という任務を忘れ、保身を考えているのだ。
しえん
184 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/13(月) 09:32:56 ID:XPaSsVvV
支援
だが、事態はまだブリタニア側には好転していない。
航行不能に陥っていた右翼の護衛艦が、旗艦へと近づいていた。
針路変更は間に合わず、このままでは旗艦もろとも轟沈しかねない。
ジノも少々焦ったが、旗艦の針路前方からの赤黒い荷粒子砲が、それを防ぐ事になる。
「相変わらずだな。モルドレッドのやる事は」
重量級KMFモルドレッドが放ったシュタルクハドロン。それは護衛艦を消滅させた、その文字通りに。
ナイトオブシックス。アーニャ・アールストレイムは努めて平常だった。
当然の結果、といった彼女の表情を見て、ジノは彼女をたしなめた。
「アーニャ、もうそれは使うなよ。総督殺しは、不味いだろ?」
「守ったのに……」
アーニャの表情は不満そうだった。彼女も、とりあえず撃ったわけではない。
作戦目的。被害規模。最善の対策。それらを考慮して撃ったのだ。
シュタルクハドロンの連結を解除するモルドレッドの横を、スザクが乗る高速艇が通過していく。
「ロイドさん、ランスロットは?」
「準備できてるよ〜早くおいで〜」
スリー。シックス。セブン。その三人のラウンズが、介入してきた事。
功績を奪われる恐怖からか、功名心が強すぎるアプソン将軍は、判断能力が著しく低下していた。
重アヴァロンに搭載されている機関砲。それでゼロを、黒の騎士団を始末しようとする。
その血気逸る目で藤堂が駆る月下を見つけると、ためらいも無く機関砲を発射した。
そこに重アヴァロンの、フロートユニットのエンジンがあるという事も考えずに。
「愚か者が! 自らのエンジンを撃つなど!」
藤堂は機関砲の銃弾を避け、速射砲で即座に応戦した。
カラレスに続きアプソンも同じように、欲に囚われたが為にその命を落とした。
その応戦している横に突如ヴィンセントが現れ、藤堂も焦りがにじみ出る。
「藤堂。陸戦兵器での奇襲とは、お前らしからぬ戦だな」
らしくない。それは、艦内にいるルルーシュも。そして、ライもそうだった。
ゼロらしくない、無茶な作戦。ライらしくない、狡猾で残忍な方法。
その起点になっている少女。ナナリーは悲しみと驚愕に震えていたが、彼女は自分を強く動かした。
支援
「お兄様……どうして、なにもおっしゃってくれないんですか……?」
ルルーシュは、その問いにどう答えていいのかわからない。
ゼロを知られたくなかった妹に、信じていた友によって暴かれた事。
混乱の中、ルルーシュはライの言葉を思い出した。
『決断した方がいい』
ルルーシュは今、逃げられない現実と矛盾の壁の前にいる。
友によって向き合わされた現実と矛盾の壁に。
理由と口実。そのどちらかを選ぶ。だが、もう一つだけ選択肢はある。
深く深呼吸をして、ルルーシュは仮面へと手を伸ばした。
「……そうだよ、ナナリー。俺が、ゼロだ」
「っ!? ど、どうして……」
ナナリーの目には、涙が溜まりだした。
その姿にルルーシュも心が痛み、今にもゼロという全てを捨てたくなる。
だが退けない。退くわけにはいかない。全てが明るみに出されたのだから。
かつて、ユーフェミア・リ・ブリタニアという皇女がいた。
彼女は心根が優しく、ブリタニア人とナンバーズは区別せよという、国是に反感を抱いていた。
その証拠に、イレブンと呼ばれた枢木スザクを自らの騎士とし、行政特区の構想を掲げた。
愛している異母兄妹を守る為に。自分の騎士の名誉を取り戻す為に。
その為に彼女が掲げた構想は、彼女の手によって破壊された。
『虐殺皇女』
歴史に記されたその名を。ギアスという呪いが刻んだその名を。その大きな傷を。
ナナリーの前に崩れそうな、ルルーシュは癒せるのだろうか。
そして、その彼女の騎士だった少年。
枢木スザクは、ナイトオブセブンにまでに栄進した。
だが、その陰で呼ばれている名は『虐殺皇女の騎士』
彼は一年前の憎悪を。叶えたい願いを。今もなお与えられたい罰を。
それらを追い求めて。征服者となったランスロットで、今は駆け進む。
支援
「ランスロット・コンクエスター。発艦!」
「発艦っ!」
アヴァロンに到着したスザクは、コンクエスターユニットを搭載したランスロットにすぐ騎乗した。
ナナリーを救う為に。今のゼロの正体が、ルルーシュかどうかを確かめる為に。
最大戦速で交戦空域に入り、VARISで紅蓮を攻撃する。
それに気づいたカレンは輻射波動で防御するが、スザクも牽制程度の認識だ。
「カレン、今は君にばかり構ってはいられないんだ。僕はナナリーを、助けなくちゃいけないから」
コンクエスターユニットによって、もたらされた新武装。ハドロンブラスター。
そのブラスターにVARISを繋ぎ、紅蓮への狙いを再度定める。
「隠れろ、紅月! 艦内に入れば―――――」
「でも、みんなが逃げきるまで―――――」
千葉の忠告。カレンの判断。そのどちらかが決まる前に、ランスロットは紅蓮を狙い撃つ。
状況判断が間に合わず、カレンは輻射波動で再度防御するが、甲壱型腕の出力では防ぎきれない。
全壊は防いではみるが、紅蓮の甲壱型腕と頭部を撃ち抜かれてしまう。
その腕部の爆発と防いだ衝撃を殺しきれず、紅蓮は甲板から足を滑らせてしまう。
「紅月っ!」
千葉が急いで傍へと向かったが、既にかなりの距離を落下していた。
彼女は脱出を促したが、紅蓮の脱出ユニットが作動しない。
ハドロンブラスターを受けた衝撃と、整備不良が原因だ。
千葉はこの状況下に、気を取られすぎた。
紅蓮をハーケンで、助けようとした時。
直上からの接近してきたモルドレッドに、月下の頭部を掴まれる。
モルドレッドは、そのまま頭部を砕こうとアームの出力を上げる。
「お終い……かくれんぼは……」
幼い表現をしているが、アーニャの目には敵を粉砕する事を、躊躇する幼さはない。
千葉も廻転刃刀で応戦するが、モルドレッドの重装甲の前には通用せず、脱出するしかなかった。
月下の爆散で起きた爆炎の中でも、悠然としているモルドレッド。
ラウンズとしての規範。彼女はナナリーと同年代だが、それをごく自然に行なっている。
支援
そしてナナリーも同じく、毅然と立ち向かっていた。
皇女として。総督として。ルルーシュの妹として。
「お、お兄様は……間違っていると思います」
ルルーシュは、妹の反抗に驚愕した。彼の中の彼女は弱いままだったから。
だが、月日は一年も経っている。人を弱くするのにも。人を強くするのにも。
それは、十分すぎる時間だった。
「ナナリー。お前は利用されているだけ―――――」
「違います。私は……私は自らの意思で、総督になったんです」
ナナリーの決断。それは兄への反抗であり、自立でもあった。
この一年で、彼女になにがあったのか。それを知らないルルーシュ。
彼女の心を支えている強さは、彼の心をさらに追い込んでいく。
「世界を平和に、優しく変えたいのです……だから」
彼女の手がゆっくりと上がる。
その姿に、ルルーシュは一年前に見た光景を思い出す。
「私はユフィ姉様の遺志を継ぎ、行政特区日本を―――――」
かつて同じように、手を差し伸べた女性。
ルルーシュには、ナナリーの姿がユーフェミアに重なって見えた。
過去の過ち。ギアスという呪いが生んだ悲劇。
ルルーシュは思わず、後退りしてしまう。
今の彼が対峙しているのは、かつての罪と罰だ。
「お兄様の罪も、ユフィ姉様の悲劇も……まだ、やり直せるはずです」
ナナリーの強い決意。
それは、ライが突いたルルーシュの矛盾をさらに揺るがし、彼を弱さの闇へと落としていく。
そして艦外でも、心が落ちていく少女がいた。
紅蓮の自由落下を止められず、脱出もできない。
カレンの心に、死が押し寄せてくる。
支援
「ごめんね、紅蓮……」
母を救うと、誓ったのに。
兄の夢を継ぐと、誓ったのに。
その終わりが、こんなところでなのか。
幾つもの絶望を迎え入れるかのように、カレンは弱々しくまぶたを閉じる。
「諦めるのが、少し早いんじゃないか」
紅蓮が揺れ、カレンの耳に声が聞こえてくる。その声に、彼女は目を見開いた。
目の前には見た事のない、青いKMF。その機体を駆る、人物の名を呼んだ。
「ライっ!?」
「カレン、細かい話は後でする。ラクシャータ、紅蓮も保護した。すぐに準備をしてくれ」
「ご苦労様〜今座標データを送るわぁ。それにしても、ベストポジションじゃない」
ラクシャータの返事の仕方に、ライは呆れ気味なようだ。
その気持ちを切り替えて、ライはカレンに新型の予習は完璧かを問う。
カレンはこの数日間、空いてる時間の全てをシミュレーションに注いだ。
ライにも、付き合える限り付き合ってもらった。
なら、答えはイエス以外にありえない。
「当然でしょ。鬼コーチにみ〜っちりと、しごかれましたもの」
「自分から付き合せておいて、その言い草はどうかと思うな」
ラクシャータからの座標データを確認したライは、カレンに要項を説明する。
下方で待機している潜水艦内での換装では間に合わない事。
その為、空中での換装を行なう事。
その基本誘導は、ラクシャ−タのチームがしてくれる事。
「ラクシャータ、はじめても大丈夫か?」
「いつでもどうぞ〜」
「了解。それじゃあ、カレン。後は、がんばってくれ」
支援
そう言ってライは、紅蓮を彼方へと放り投げた。
「って、ちょっと! 私にも心の準備が〜!」
再度落下をはじめたカレンの断末魔の叫びを背に、ライは敵機を見据えた。
ライは今、藤堂専用KMF斬月の性能試験型に騎乗している。
青くカラーリングされ、左腕部には徹甲砲撃腕部の試作型を搭載した、KMF青月。
その機体に取り付けられたフロートユニット。飛翔滑走翼を、徐々に唸らせる。
「ランスロット。トリスタン。モルドレッド。流石に、僕じゃ無理かな」
だが、彼には退く気はない。大切な友人が。友人の大切な人が。
あの重アヴァロンの中にいるのだから。
潜水艦内にいる神楽耶は、元気付けるように二人を応援している。
その横にいるC.C.も、カレンとライに希望を託すような眼差しを向けていた。
迷っている時間は無い、ライは青月を舞わせた。
藤堂機を撃破したギルフォードは、即座に迎撃に出ようとする、が。
重アヴァロンの甲板で待機していた、アーニャによってそれは制される。
「私がやる……」
「おいおい、アーニャ。いくら相手が青いからって」
「ジノ、うるさい……」
若干、怒り気味のアーニャはシュタルクハドロンを構え、青月を狙う。
だが距離が空いているので、あっさりとかわされてしまう。
アーニャも撃墜を期待していたわけではない。
フロートユニットを暖気する為の、時間稼ぎが狙いだ。
重量級ではあるが、モルドレッドにはグロースターに匹敵する機動力がある。
動き出せば、新型の青月でも危険だった。ライもそれは、理解している。
だからこそ、足止めだけに狙いを絞っていた。
勝算は低い。だが、手傷を負わせるだけならライでも可能だ。
アーニャはシュタルクハドロンの連結を解除して、機体を加速させ青月に迫る。
ミサイルで牽制しながら、月下を砕いたアームで青月を掴もうとする。
ライも新型の廻転刃刀で応戦するが、攻撃箇所に集中させられたブレイズルミナスで防御されてしまう。
火花が激しく散る中、モルドレッドの腕がチェックをかけはじめる。
支援
「遅い……これで」「終わりだ。格下だと思いすぎたな、アールストレイム卿」
アーニャの確信を持った攻撃、それをライは制した。
モルドレッドは、重量級で後方支援と乱戦での砲戦を、主眼に置いた設計思想のKMFだ。
モルドレッドの機動力は、確かに高い。ランドスピナーを前提とした地上戦だった場合。
あのナイトオブワンすらも、寄せ付けない程のスペックを発揮できる。
だが今は空戦であり、フロートユニットが前提だ。それでも、機動力はまだ高い。
だが、まだ未発達な技術であるフロートユニットでは、前線での近接戦闘で必要になる回頭性が低い。
モルドレッドのフロートユニットには、その課題がまだ残っている。
その欠点を。その小さな一点を。ライは貫くように狙った。
ブレイズを集中展開させた為にできた隙間、その隙間に左腕部の輻射波動を叩き込む。
アーニャもそれにすぐに気づき、ブレイズの位置を調整したが間に合わず
僅かな隙間からの輻射波動に、フロートユニットを傷つけられる。
だが青月もブレイズの超至近距離で、輻射波動を使った為に左腕部を破損してしまう。
「こいつ……」
(ギリギリ、か。流石はナイトオブラウンズだな。いまだに、勝てる気がしない)
あくまで足を鈍らせる事に拘ったライ。あくまで握りつぶす事に拘ったアーニャ。
明暗を分けたのは、その主眼に置いたものだった。
ライは青月の動きをそこで止めず、そのまま重アヴァロンを目指して移動する。
青月とモルドレッドの交戦を、一部始終眺めていたジノは喜んでいた。
「ふ〜ん、楽しめそうだな」
その交戦を同じく眺めていたスザクは、青月の動きに既視を感じた。
(あのやり方は……いや、それはないはずだ)
青月の後方。紅蓮の換装を終えたカレンも、追行してきている。
「カレン、調子はどうだ?」
「最高よ。でも、この紅蓮が通用しなかったら最悪ね」
無事に換装を終えて、潜水艦内のC.C.達と無事回収された藤堂達も、安堵しているようだ。
カレンとライのやりとりを聞いていた神楽耶も、心配になりながら促してみる。
支援
「でも、やるしかないから。撃ってみましょうか?」
「それも……そうですね!」
換装して生まれ変わった紅蓮。紅蓮可翔式の徹甲砲撃右腕部が静かに稼動をはじめた。
その新しくなった右腕が、咆哮をあげて輻射波動砲弾をギルフォード達を目指して放つ。
ギルフォードも遠距離からの輻射波動と予想外の弾速に驚愕して
萎縮してしまった間にヴィンセントを撃墜されてしまう。
交戦空域の後方にいるアヴァロンの艦内で、ロイドはその二機の動きと性能に感嘆していた。
「スザク、お前は総督を。あの二機は、俺が相手をする」
「油断するな、ジノ。赤いのはジェレミア卿に勝ったこともある、パイロットが騎乗している」
「あのオレンジにかよ」
ジノはスザクにナナリーを任せ、自分が相手をしようと変形をはじめた、が。
突撃してきていた青月にあっさりと、フロートユニットを傷つけられ足を鈍らせられる。
「おいおい。マジかよ……」
(ヴァインベルグ卿の悪い癖だな。戦いを楽しもうとしすぎだ)
ライは、トリスタンの可変時にわずかにできる操作ラグを、廻転刃刀で狙った。
もちろん、普段のジノなら変形タイミングのミスはしない。それはライも知っている。
だからこそ、迅速に叩きたかったライは、なりふり構わず突撃してトリスタンを攻撃したのだ。
「なに……あいつら……」
「アーニャ、ミスはミスだ。本気を出さなかった俺達が悪い、受け入れようぜ」
先の攻防を制した勝因。それが操縦技量によるものではないと、ライは思っていた。
先のロロが騎乗していたヴィンセントの時と同じく、相手を知っており対処法はわかっている。
だから足を鈍らせられたと、彼は認識していた。
ジノとアーニャの敗因の一つには、相手を知らず初見であり格下の相手だという、思い込みもあった。
しかし、初見同士での全力の戦いだった時。彼には勝てる自信が、今も無かった。
トリスタンとモルドレッドの交戦を、一部始終を見ていたスザク。
そして交戦したジノとアーニャは、ライとは違う認識をしていた。
支援
青月の動きは、確かに洗練されている。が、それはKMFを扱うという事だけでだ。
カレンが扱う紅蓮は、彼女専用機といっても過言ではない。
しかしライの青月は、元は藤堂用であり機体特性と運用方法を、まだ見定められていない。
さらに今日が初騎乗だ。乗機への熟知と錬度、KMF戦での勝敗を決する一因。
相手の事情を知らなくても、その点の差がありすぎると、動きの中で顕著に出ていた。
その事を交戦したジノとアーニャ。そして注視していたスザクには、すぐに読まれた。
しかし、そのぎこちない動きでもライは、二人の足を鈍らせたのだ。
ラウンズの三人が懸念した事。そう、相手が騎乗している機体だった。
これがもしラウンズや紅蓮と同じく、パイロットに合わせて作られ調整された機体だったなら。
(なんてパイロットだ……これじゃまるで、ライみたいじゃないか)
紅蓮可翔式と青月は、ランスロットの眼下で機を見計らっている。
その僅かな時間でライは、ランスロットの相手をするには自分では無理だと判断した。
「カレン、紅蓮でランスロットの足止めを頼む。ゼロのところへは、僕が行く」
「いいわよ、そのかわり。総司令補佐らしく、ちゃんと助けてきなさいよ」
「もちろんだ。ところで……さっき僕ごと、撃墜しようとしていなかったか?」
「……自分の胸に、よーっく聞いてみたら?」
先程の輻射波動砲弾。撃ちだした位置は、青月の直下からだった。
青月を壁にして、ギリギリまで砲弾を隠していたのだが。
発射のタイミングが、明らかに青月を考慮してないタイミングだった。
カレンは先程の放り投げられた恨みから、ついやってしまったのだ。
しかし、そこはかつて互いに双璧として戦場を駆けた二人だ。
記憶になくても。心が反応しなくても。体は正直な時が多い。
最悪なタイミングも、最高のタイミングにするセンスと相性。
それは、この二人がKMF戦において、これ以上の組み合わせはないという証だった。
外の戦況は治まりつつあったが、ガーデンブロックの二人は揺れ動いていた。
ルルーシュの想い。ナナリーの願い。それはもう、相容れないものになりつつある。
支援
ルルーシュは、ナナリーの意思を捻じ曲げて連れて行こうとできるほど、強くはない。
ナナリーは、ルルーシュに拒絶される恐怖を受け入れて折れるほど、弱くはない。
艦の揺れが大きくなりつつある。海上に墜落までの時間は、残り少ない。
決断を迫られるルルーシュ。決断を迫るナナリー。このまま、兄妹の想いはすれ違いに終わるのか。
その状況を打破するかのように、青い機体がガーデンブロックに潜入してくる。
『ルルーシュ、仮面を外していたのか?』
「ライっ!?」
非情な決断を迫った友人。ライはルルーシュを助けに来た。
「ライ? ライさんなのですか?」
『久しぶりだね、ナナリー。ルルーシュ、時間がない。二人とも早く僕のKMFの手に』
青月の右腕をルルーシュとナナリーの間に置く。
ルルーシュはどうするか躊躇したが、既に艦内は危険だった。
ナナリーがライを知っているなら、そこまで拒否はしないだろうと思い、ルルーシュは問いかけた。
「ナナリー、今は俺と一緒に来るんだ。ここはもう危ない」
「……わかりました」
意思を捻じ曲げず、了承を得てナナリーの車椅子を押して、青月の右腕に乗る。
『ルルーシュ、仮面をつけるんだ。今から、外に出る』
ライは二人を乗せた右腕を包み込むように抱え、輻射障壁を全開にして防御に専念する。
「カレン! 君はまだ、あんな男を。君を利用していた、ゼロを信じているのか!」
「少なくとも、ゼロを。日本を売った男よりは、今は信じられるわ!」
ランスロットと紅蓮が一合、また一合と機体をぶつけ合う。
互いにユグドラシルドライブの出力は上がっている。だが、決まらない。決められない。
紅蓮がランスロットにダメージを与えれば、ランスロットは紅蓮を傷つける。
その光景は獣じみた戦いだった。そうして傷がつくたびに、なぜかロイドが悶絶するが。
決着を求めれば、勝敗は決せられる。しかし、双方の目的はあくまで救出と足止めだ。
つまり、決着を求めるのはナンセンスな選択でしかない。そうしてまた一合、ぶつかり合う二機。
『そこまでだ、枢木スザク。ナナリー総督は、こちらが預かっている』
互いに睨み合ったまま、スザクとカレンは青月がいる方向を見る。
支援
その腕には、ルルーシュとナナリーがいた。その光景にスザクは怒りに駆られ、カレンは安堵した。
停戦を呼びかけた後、ルルーシュはナナリーの手を握る。
『ナナリーの傍にはもう―――――』
『私はお兄様が傍にいてくれるだけで―――――』
もう、互いに求められる幸せの形はないのか。
その無言になる二人を、ライは見守っていた。
そして、彼が過去に壊してしまった願いを、二人に託す。
「ルルーシュ。ナナリー。今の君達は、すれ違いになるかもしれない」
ライは静かに。二人だけに聞こえるように、言葉を続ける。
でも、必ずもう一度。二人を一緒にしてみせると。そう、二人に誓った。
ルルーシュは理解した。なぜ、あんな方法を用意したのか。
ナナリーは知った。自分と兄を、どれだけ想っていてくれたのか。
二人がまた引き裂かれるのを、最早避けようがないのを知っていたライ。
だから、離れ離れになっても、想いあっているとわかるように。
こんな手段を。狡猾で非情な手段を取ったのだ。
怨まれるかもしれない恐怖。軽蔑されるかもしれない不安。
それらをねじ伏せて、ライは決めていた。
自分と同じように、ギアスという呪いで引き裂かれないようにと。
ルルーシュには償うべき罪がある。ナナリーには果たしたい願いがある。
強くまぶたを閉じ深く深呼吸をして、彼は決断した。
『ナイトオブセブン、枢木スザクよ。こちらに、来てくれないか?』
彼はナナリーから離れ、スザクに攻撃をする意思が無い事を伝える。
スザクへの突然の申し出に戸惑うだろうと思い、ルルーシュは紅蓮と青月に待機を命じた。
交戦する意思がこれ以上ないと知り、指示を受け入れ青月に近づいていく。
「ナナリー。必ず、必ず迎えに行くから。だから」
「私も待っています。お兄様が迎えに来てくれることを」
ゼロとしてではなく、兄のルルーシュとして。ナナリー総督としてではなく、妹のナナリーとして。
まだ贖罪と願望の為の方法はわからないけれど、二人は二人の道を歩みはじめた。
支援
『枢木スザク。君にナナリー総督を、お返ししよう』
「どういうつもりだ、ゼロ」
『彼女はまだ、なにもしていないのでね。こちらも性急過ぎたようだ。その非礼の詫びだよ』
相手の意図が読めないスザクは疑惑を向けたが、ルルーシュも紅蓮も青月も動きを見せない。
ただ、二人を乗せた腕を差し出すだけだった。
ルルーシュも本意ではない。だが、ナナリーの決意を踏み躙りたくない。
その狭間で彼は、敵となった友人に全てを賭けた。
「わかった。なら、ナイトオブセブンとして誓おう。ナナリー総督を、責任を持って預かる事を」
ルルーシュはナナリーの車椅子を押して、ランスロットの腕に預ける。
それをしっかりと支え、後方にいるアヴァロンへと帰艦していくのを、ルルーシュはただ眺めていた。
すれ違ってしまった友人。その友人に最愛の妹を預けた事を、彼は悔いているのだろうか。
そんな事を思いながらライはカレンを呼び、紅蓮の腕にルルーシュを預ける。
「ライ、どうかしたの?」
「ああ、実は……」
返事を返しきる前に、青月は自由落下をはじめだした。
「ええっ!? ちょ、ちょっとライ! なにしてるのよ!」
「どうやら、エナジーフィラーの残量がゼロになったみたいだ」
そんな他人事みたいにライは呑気に言うが、青月の落下は止まらない。
(なんで僕の騎乗するKMFって、どれもこれも燃費が悪いんだろう……?)
「呑気に言わないでよ、もう!」
「馬鹿か、お前はっ! ええい、締まりの悪い奴めっ!」
結局、青月は紅蓮に抱えられて潜水艦に戻る事になった。
支援
以上です
専ブラめ、俺を裏切ったなあぁぁぁぁぁ!
違うか…こちらのミスやらトラブルやらで迷惑をかけて、申し訳ないです
あと、KMF戦で思いのほか地文が長くなってしまい、読み辛くした点にも反省せねば…
自分の実力の無さを、卑しく罵りますんでご勘弁を
まさかの仮面剥奪。ライ君、腹黒ですね、酷いですね
そんなわけで次回は、ハラハラドキドキの慰(ry
青月の由来なのですが、実はブルー・ムーン篇からです
べ、べつに斬月の青だから青月じゃないんだからね!
もう少し話が進んだら、空白期間についての
外伝風なSSを投下できるならしたいな、と思います
あと、解放戦線ルートをクリアしたのですが
胸のトキメキががががが。おかしいな…あの(ry
では、失礼しました。支援に全力でフルパワー感謝!
GJ、お疲れ様でした。
長文でいながら飽きさせない卓越した文章力、感心致します。続きが非常に楽しみかつ気になる一品です。
次回の投下を心よりお待ち申し上げております。
すげえ…すげえよぷにぷに卿!GJです!!
ライ参加による再構成はいくつか見たことがありますが、ここまで明確に変化をいれてくるとは…
ここでまさかのゼロの正体暴露。
わくわくとGJが止まりません。
11時頃投下しますがよろしいでしょうか?
う……、支援したいが今から出掛けます。どなたかお願い致します。
支援します
216 :
カズト:2008/10/13(月) 11:02:51 ID:1vRqWn1n
タイトル「追憶の旅路 第九章 生誕祭」
注意点
・実質完全オリジナルです
・カレンがライの過去編を精神体という形で見ております
・オリキャラ多数
初めて読む方へ
心を閉ざしたライの心に飛び込んだカレン
ブリタニアの辺境の国の皇子
ライエル=スメラギ=フォン=ブリタニア
彼は「魔法使い」からギアスを授けられ
着実に王への道を歩んでゆく
その中で大切な人も失ってしまった
同国内の隣国を制覇したライは兄王を殺す決意を固めた
いつか来るだろう悲劇を知らずに……
8から10スレぐらいだと思います
わかりました 支援します
218 :
カズト:2008/10/13(月) 11:04:20 ID:1vRqWn1n
ダニエル王は隣国討伐の褒美として、
皇帝陛下から幾ばくかの報奨金と隣国の暫定統治権を渡される事になった
わかりやすく言えば、御褒美程度の金で「北の蛮族」によって荒らされた国を押し付けられたようなものだ、ライの国は人材も不足しているので、広くなった領土を治めるのも楽ではない……
帝都からも人を派遣してくれるが、ダニエル王には纏められないだろう……ライはすでにそう踏んでいた
ライエル=スメラギ=フォン=ブリタニア 14歳
「ウラハタ……教会の件どうなっている?」会議に向かう廊下でライは影に問う
「証拠はそろっています……リストもこちらに……」そう言って、ライに書類を渡す
「……十分だ、これでモラルの腐敗も一掃できる……
お前が連れてきた証人もすでに「説得」している……よくやったぞウラハタ……下がってよし」
「はっ……」そう言って、裏畑は音も無く消えた
「裏畑も情報収集に大忙しですねえ、若君……」そう尋ねてきたのは、海堂の部下の一人、旭川だった……軽い口調と鋭いカンを持つ若い男である……今はライの護衛の時間である
「重宝しているよ、流石はカイドーの部下だ……」
「そろそろ、奈良崎と交代ですね」そう言った矢先に向こうから、短髪の女性が向かってきた
「旭川!交代の時間だ!」快活な声を発しながら女性が向かってきた
紅一点の奈良崎である
(よし、これから始まる会議にはナラサキが必要だからな……)
正直、あなたの投下が楽しみでしょうがないです!
これからの動きが気になりすぎてしょうがない
次も楽しみにしてます!!
220 :
カズト:2008/10/13(月) 11:05:39 ID:1vRqWn1n
「……川、お前は若君に対して、軽々しいぞ!仮にも海堂さんが手塩にかけた……」
「どうした?ナラサキ……アサヒカワがどうかしたのか?」
「いえ……若君に対してぞんざいと言うか、軽々しいというか……口の利き方です」
「まあ、その方がアサヒカワらしいがな……」
「ま、理解のある若君でうれしいよ……この際だから調子に乗ってライ殿下なんて呼んでみたりして」
「旭川!それはさすがに!若君……若君……どうかなされましか?」
ライはふと雷が鳴っていた日の母との会話を思い出していた
(雷(らい)!あなたは日本では皇雷(すめらぎ らい)!
日本ではね、あの空を翔る光を意味するのよ)
「悪くないなあ……ライか……」
「若君……おい!旭川……お前が余計な事を言うから……」
「い、いや冗談のつもりで……」
「い、いや……その母上が……」
「……なるほど……命様がそのような事を……」奈良崎は納得していた
「それより、アサヒカワ……少し頼まれてほしい事がある……」ライは旭川に耳打ちしていた
「わかりました……」そう言って、旭川は一礼をしてその場を辞した
「ところで、若君……今日はあなたのお誕生日ではないのですか?今日ぐらいは羽を休められては……」
「ナラサキ、心遣いは感謝しているが、今は奴らへの対策、我が国の復興を一刻も早く進めなくてはならない……」
219は、ぷにぷに卿への感想です
支援
支援
オール・ハイル・ぷにぷに!
>>209 ぷにぷに卿、受けよ、GJの嵐!
凄く豪快に突き進んでますね、素晴らしい!
息つく間もなく全力で読んでました。
ナナリーが知った衝撃の事実、それの波紋は今後どの様な影響を及ぼすのか。
非常に楽しみで仕方がありませんでした!
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
224 :
カズト:2008/10/13(月) 11:09:04 ID:1vRqWn1n
王の間で会議が始まっていた
今日の議題はダニエル王が先日許可した教会の改築費用の細かい内容についてだったが
ライはそれに水をさす様に発言した
「兄上!その件についてですが、自分が教会を独自に調査させました所、
重大な不正が判明いたしました……」
ザワッ……!!貴族達の間でどよめきが起こった……
中には、顔が青ざめる貴族もいた、不正に関わっている手合いであろう
ライの提出した内容は、教会における「にわか僧侶」の洗礼等の不正に関してである
皇族を含む貴族と僧侶は税を免除されている特権を持つ
その為に、税金逃れの為に商人等が、司教に高い謝礼を払い僧侶の身分を獲得、
実質的に裏で自分の商家を運営するといったりした不正がその一例である
さらには、聖職者でありながら裏で女性とみだりに交わったり
裏で無許可の高利貸しを行ったり、その腐敗ぶりは目に余るものがあった
それでも表面化しなかったのは、不正に関わってる貴族達が自分の利益の為に彼らを保護したからである
「では、証人を連れて来てください……」ライが促す
連れてこられた証人は、ライより少し年上くらいの少女であった……
彼女には、当然「王の前で真実のみを語れ」とギアスを掛けていた
司教の愛人である証人が語った内容は、
余りにも淫らで生々しく、彼女の人間の欲望のはけ口としての生き方に
ある者は同情し、ある者は青ざめ、またある者は不快感を催していた
警護の奈良崎も同じ女性として、羞恥心と怒りで震えており、
「証言」させたライですら予想外の不快感を感じ、彼女に同情していた
……リロって無かったorz
支援
226 :
カズト:2008/10/13(月) 11:12:05 ID:1vRqWn1n
その後もライの連れて来た「証人」の証言により教会の不正が次々と暴かれていき
ライは即座に警備兵に王の間にいた不正に関わった貴族を逮捕させた
「兄上……倫理の規範とならねばならない我が国の教会は、
現在こういう有様なのです!
司教が改築費用の名目で、私服を肥やそうとしているのはもはや明白!
教会への資金援助は見合わせましょう!!
兄上!自分に司教をはじめとする関係者の逮捕権をお与えください!!」
ライの強気の態度に圧されるかのように、
ダニエル王はライの意見を受け入れるしかなかった
会議が終わり、奈良崎がライに声をかけた
「わ、若君には、きついお話でしたね……」
「いや、女性であるお前の方がつらい話だろう……
だからこそ、ナラサキ……奴らの逮捕はお前の指揮でやってほしい……」
「えっ?自分がですか?」
「アサヒカワに言って、逮捕のための部隊は既に編成している!これが逮捕者のリストだ」そう言ってライは奈良崎に書類を渡した
「若君……イ、イエス!ユアハイネス!!」奈良崎はライの手際に感心すると共に寒気も覚えていた……
支援
228 :
カズト:2008/10/13(月) 11:16:33 ID:1vRqWn1n
決意を秘めライは休みを兼ね部屋に戻った
「お兄様、お誕生日おめでとうございます!」
部屋で待っていた、妹の咲久耶がライの誕生日に祝いの言葉を掛けていた
「サクヤ……ありがとう!」サクヤも今が大変な状況というのがわかっているのだろう……サクヤは、自分が兄の為に何ができるかと彼女なりに兄を支えようとしていた
それがわかっているからこそ、毎日の目まぐるしさに目が鋭くなっていたライも大切な妹に対しては優しい笑顔になっていた
「お兄様、私ケーキを焼かせていただきました
食べて元気を出してください……今の私には、それしかできそうにありませんから……」
「ありがとう……頂くよ……」そう言って、ライはフォークを取り一口食べた
「美味しいよ……また腕を上げたね……サクヤ」ライは微笑んだ
「ありがとうごさいます!では、私これから、お勉強がありますので、失礼いたします」
サクヤはそう言ってライの部屋を出た……
サクヤが部屋を出てしばらくして、ライはフォークを皿に置いた……
(すまないサクヤ……美味しいけど……今、食欲が無いんだ……この国の為にやらなくちゃいけないんだ……)そう思い、ライは今まで溜まった疲れに誘われる様に仮の眠りについた……
奈良崎の陣頭指揮による、関係者の一斉検挙、取調べは、深夜まで続いた……
司教をはじめ、不正に関わっていた貴族、教会関係者など国を支える者達が多く牢獄に入れられる事になり、広くなってしまったライの国にとって人材が不足してしまう事になる
あくまでダニエル王の統率力を考えればであるが……
深夜……教会の腐敗の逮捕劇が収まりつつあった頃、ライは目覚めた……
部屋を出て、ライはダニエル王の執務室に向かった……
(この国の為に、やらなければならない……もう後には引けない……)
そう思い、ライはドアを開ける……
ガチャ……
支援
支援
231 :
カズト:2008/10/13(月) 11:19:49 ID:1vRqWn1n
「失礼いたします、兄上……ライエルです……」
「ああ……ライエルか……」ダニエル王は書類に追われ、憔悴しきっていた……
ライはギアスをオンにした……兄を殺そうとして……
「ライエル……私は不甲斐ないよ……わかっているのに、周りの者達に流されるように、教会に費用の捻出を許可してしまって……」
「……!」
ライにとって予定外の言葉だった……ダニエル王に許可させた上で、腐敗を王の間で暴露して、面目を潰し、動機付けをしようとしたのだった
「王になってわかったんだよ……王という者は、国の方向を決める事で、多くの人の運命を左右してしまう事を、子供の頃、父上を見て、何でもできる神の杖だと思い込んでしまい、努力を怠っていたんだよ、
お前は小さい頃から、勉学と鍛錬に励んでいたんだなあ……
お前の母親も支えてくれる事で、少しづつわかってきたんだよ……
ミコト殿はいい人だよ……昔、ニッポン人だと見下していた事が恥ずかしいよ……」
ライの心に躊躇いが生じた……
(な、何でこんな時に……兄上、あなたという人は……
そ、そうだ……ぼ、僕は軍に集中すれば……いいじゃないか……
「北の蛮族」を倒せれば、母上も、サクヤも安心して……)
ライの心に暖かい光が差し始めていた……が、
荒れ果てた町で苦しんでいる民衆が……
飢えに苦しんでる子供が……
「北の蛮族」に町を荒らされ憎悪の炎に身を焼く国民が……
ライの頭の中に浮かんだ……
支援!
233 :
カズト:2008/10/13(月) 11:23:07 ID:1vRqWn1n
ライは知らない間に涙を滲ませていた……
(兄上……遅かったよ……もう国民は誰も期待していないんだ……今回の逮捕劇であなたの威光は地に落ちたんだよ……国のトップが無能なのはすでに、それだけで罪なんだ……凡庸なあなたはこれからも家臣達に振り回されるだろう……一刻も早くこの国の為に……)
「ど、どうしたんだい?ライエル……」ダニエルは心配そうに声を掛ける
「も、もう……喋らないで下さい!!」ライは涙声で兄を拒絶する……
「え、え……」戸惑うダニエル……ライはギアスを発動させる……
「兄上……今から、一時間後に……」
足早に部屋から出て、自室に向かうライ……誰とも会わなかったのは、ライにとって運が良かったというべきなのだろうか……
「くっ……うっ……ううううう……な、なんで泣いてるんだよ……」
ライは自分の部屋でベッドに顔を埋め泣いていた……
子供の頃自分を虐め、凡庸で、周りに流され、王の器じゃない普通の人
でも、最後は母上を理解してくれ、王とは何なのかを自覚した……
殺すしかなかったのか?他に方法があったんじゃないか?ライは何度も考えた……
(間違ってない……僕は間違ってない!!「北の蛮族」!
軍と既得権益に守られるだけの貴族ども!
我が国に無理難題を押し付ける帝都!!
どいつもこいつも!自分の事しか考えていないじゃないか!!)
(ああ……分からない!分からない分からない分からないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからない……)
234 :
カズト:2008/10/13(月) 11:26:11 ID:1vRqWn1n
ベッドに顔を押し付けて考えを巡らせていく内に、
雲が夜の月を覆い隠していくように
ライの心の中に、黒い何かが満ちていく……
涙も枯れ果てた頃……ライの体は違う震えに支配された……
(クッ……クククッ……ククッ……クハハハハハ……
そうだ……僕は間違っていない!
そうだ……私は正しい!!
アハハハハハハ……声を抑えろ……誰かに聞かれたらどうするんだ……
アハハハハハハハハハハハハハッ……)
それは、もう一人のライの生誕祭でもあった……
「フーッ……さて、そろそろ兄上の死体が発見される頃だな……
それにしても……小腹が空いた……」
そう言って、ライは食べかけの妹の作ったケーキを手で掴み、口に放り込んだ……
「……美味しいよ、サクヤ……」ライは口に入ったケーキを体中に行き渡らせた……
ドン!ドン!!とドアがけたたましく叩かれた!!
「どうした!」
「ライエル皇子!!ダニエル王が……ダニエル王が……
執務室で御自害なされました!!」
「何!?すぐ行く!!」ライはベッドから飛び起き部屋を出た
(フン!我ながら、くさい芝居だ……)
「……!」
メイドがライとすれ違った時、ライの口が歪んだように見えた事は錯覚だと思おうとした……
支援
236 :
カズト:2008/10/13(月) 11:27:17 ID:1vRqWn1n
カレンは自分の知らないライ……
自分に時々見せた僅かな陰が完全に覆ったライを初めて見た……
(お前はライの過去……「狂王」としてのライの全てを受け止める覚悟があるか?)
C・Cの言葉を思い返す……
(見据えてみせるわ!ライの全てを受け入れられるのは、あたしだけなんだから!)
カレンの決意は揺らぐ事はない……
支援
238 :
カズト:2008/10/13(月) 11:31:01 ID:1vRqWn1n
投下終了です
歳を進めるには慌しかったのですが
重ねた章の長さと年齢はイコールではありません
ようやく王になったライ
確実に悲劇へと物語りは進んでますので
これからも支援よろしくお願いします
>>238 カズト卿、乙でした!
兄の言葉に動揺し、よりコワレテいくライ。
それを目の当たりにしても揺らがぬカレン。
最後までその思いを貫けるのか、またライの辿る道は!?
貴方の次の投下を全力で待たせていただきます!
14:30から投下したいのですが、10レスほどを想定しております。
支援いただけますでしょうか。
支援します
支援表明ありがとうございます。では、投下します。
タイトル:Intermezzi #1 〜お風呂に行こう!〜
ジャンル:ギャグ
カップル:ライ×ナナリー
先ごろ投稿させていただいた「Orange Capriccio XXX」の続きです。
内容としては純血派編+学園編→新シナリオへ?という展開です。
※書き上げてみたら、萌は文化卿の「あの」傑作の後塵を拝するようなモノになりました。
新味が無くてゴメンナサイ。
*******
先ほど書きそこねてしまいましたが、カズト卿、乙です!
時代背景が面白い。暗黒時代関係の書籍などサブテキストに発掘しちまいました。
続きをお待ちしております!
支援
「……暇なんですね?」
「うむ、そうとも言う!」
特派のトレーラーに勝手に入ってきたジェレミア卿は、例によって無駄に気力充溢していた。
ナイトメアのパイロットは、決して閑職ではない。
けれど今のエリア11では小競り合い程度の戦闘しか無いし、彼の所属部隊はまだ再編という名の放置中だ。
管理官まで務めた人がそんな立場に降格されたら、それはもう、全力で暇になるだろう。
おまけに、自ら率いた純血派についても彼は主たる存続理由を失くした。よってもってさらに暇。
ただ、彼が失地回復のための努力(または空回り)さえ止め、のほほーんと現状に甘んじ(本人曰く隠忍自重し)だしたことに、何かあると見る人も多いようだ。
で、ご本人はというと、そうして寄ってくる人々を実にすげなくあしらっているという。
「どう転んでも注目されますね」と、彼に言ったことがある。
「人徳というやつだな!」と彼は応じた。
「褒めても何も出ないが、もっと褒めてもいいぞ!」
全く、どこまで本気なんだろうこの人は。
主君(予定)のルルーシュの前では妙にカッコ良かった彼だが、それ以外では、やっぱりこんな調子だ。
安心していいのか、却って心配すべきか。やっぱり後者なのかな。
友人として。そしてルルーシュとナナリーを守る、同志として。
そのために、彼には。
支援
「ちょうど良かった。伝言があります」
「あの御方からか」
頷くと、そ知らぬ顔で僕の向かいに座り、飲みさしの紙コップを指差した。話が早い。
中身を飲み干し、コップの側面にらせん状にメッセージを書く。掌で包めば、万一人が来ても読まれない。
『能う限り全力でゼロを回避せよ』
眉間にぎゅっと皺が寄った。
「あの御方が?」
「僕にも、同じことを」
「ふむ」
ゼロ。クロヴィス殿下の『暗殺』を己の手柄として日本人不穏分子を掌握した、ギアス能力者でもあるテロリスト。ジェレミア卿にとっては最悪の怨敵。
だが、何故かと彼は聞かなかった。黙ってコップを取り、ディスポーザーに放り込む。
それから勝手知ったシミュレータへ「堅忍不抜構えて自重」と呪文のように呟きながら、自分の忍耐を試しに行った。
結果は、ロイドさんの口癖の、お・め・で・と〜ぉ☆……じゃないほう。
ルルーシュの命ゆえに、あれだけ執着したゼロをなんとか意識から追い出し戦闘に集中していたのが、たった一つの音声メッセージで台無しになった。
「私は!オレンジでは!ないッ!」
特派に響き渡る大音声。続いてどかーん、と音がした。
あれも塞いでおくべき穴の一つだな。
憤懣やるかたない顔でシミュレータから出てきた彼をねぎらいつつ、僕は心のメモ帳に大きく「要対策:オレンジ」と記入した。
そこへスザクがやって来た。
「お風呂に行こう!」
支援
彼も最近はめっきり明るい。特区成立で日本人からの風当たりが薄れたし、何よりユーフェミア殿下の騎士であることは大きいようだ。
人前で屈託無げに装うのではなく、心底陽気に笑っている友人を見るのは純粋に嬉しい。
少しずつでいい、世界の全てがこんな風に変わっていけばいいな。
いや、変えようとする意志が働くところに変化はある。変えていこう、少しでも。
「シャワーならここにあるじゃないか」
「違うよ、お風呂!この近くに銭湯が出来たんだ!」
「セントー?」とジェレミア卿。
「日本古来の公衆浴場です。皆で大きな浴槽に浸かるんですよ。いい気分になれます、行きましょう!」
面白そうだと僕は思ったが、ジェレミア卿はしかめっ面になった。
確かに特区外、しかも租界で日本文化はちょっと問題だ。
それより何より憎む理由が減ったとはいえ、イレヴンたちと同じ湯になど入れるか、と、その表情が雄弁に語っている。
スザクとは過去の一件を謝罪し和解したとはいうものの、数年越しの感情はそう簡単に消えてくれないのだろう。
でも、いい機会かもしれない。少しでいい、彼もまた変わってくれれば。
「試しに行きませんか?ダメなら帰ればいいんだし」
「……まあ、貴公がそう言うのなら」
そこで僕らは連れ立って出かけた。
「すごい湯気だ。へえ、いろんな設備があるんだね」
「あっちの個室はサウナ。出てすぐのとこは水風呂だから注意して」
「これ、ぼこぼこいってるけど、まさか沸騰してるのか?」
「違うよ、空気を出してるだけ。マッサージ効果があるんだって」
「あっちの濁ってるのは?」
「日替わりでハーブみたいなものを入れるんだ。今日はヨモギって書いてある」
オレンジの日じゃなくて良かった。あれば、だけれど。
支援
僕がスザクを質問攻めにしていると、ようやくジェレミア卿も加わってきた。
「バスソープが入ってないぞ?」
「身体を洗うのは浴槽の外です。先に洗ってからお湯に入って温まるんですよ」
イレヴンの清潔観念がとか小さく呟きかけて「意外に面白いな」と応じた彼を、スザクは小型の腰掛に座らせお湯をかけた。
「はい、とりあえず背中流しますね!」
「のわぁッ!」
堅く絞って捻ったタオルで力いっぱい背中を擦られ、ジェレミア卿が叫ぶ。
「ななな何をする、枢木ッ!」
「あ、ダメでした?じゃ他ので」
スザクは持参の洗面器から、次々と見慣れないアイテムを取り出した。
「これヘチマ。植物の繊維を使ったスポンジですね。こっちは亀の子タワシ、ベテラン向きです」
いや、素材の問題じゃなく君のパワーのせいだと思うんだ、スザク。タワシ持ってこっち見ないでくれ。
「あの体力、少しルルーシュに分けて欲しいですよ」
滝のような流れの下でスザクはザゼン・モードに……入らないで、スクワットしている。
それをサウナ室の窓から眺めながら、僕らは久しぶりに他人の耳を気にしない会話を楽しんでいた。
「それでも殿下はお強いではないか」
「失礼ですけど、どこを見てらっしゃるんです?」
「私が先日不躾にお訪ねした時、殿下はあの細いお身体でナナリー様を庇って立たれたろう」
「あれは……いつもああなんです。ちょっと過保護すぎ」
「見知らぬ男が突進してきた時に、そうも言えまい」
あ、反省してる。
「だが、すぐに君を見返られたな。君もまた、殿下とナナリー様の、両方を庇える位置に立っていた」
あの時ギアスが効かなかったのは、僕を見てたからか。後でルルーシュに注意だな。
「だから私も安心して軍で動き、本国のことなどお報せできる。もっとも、今となっては純血派の扱いが難しいが」
確かに、一度は派閥とまでなった集団をぽいっと棄てる訳にはいかないだろう。だからといって、今の主君を公に賛意を募ることも出来ないし。
キューエルの事もあるからな、とジェレミア卿がため息をついた時、ドアが開いてスザクが覗いた。
「どうしたの二人とも?疲れた?」
「馬鹿を言え!」
出て行くなり二人は水風呂で潜水競争を始めた。
風呂って体力作りの場じゃないよなと思いつつ、僕はレフェリーを務めに行く。
支援
こうしていると、どんなに立場が違う人もどこかに似た色を持っていると思う。
すれ違う隙間をそんな色で埋めていけば、いつか人が憎しみ合わない、平和で優しい世界も作れそうな気がする。
それは、僕の姫君の望むこと。だから、失った記憶を欲する以上に、何としても叶えたい。
その後スザクは、スルガという国でお茶がどうとかいう謎の歌を「決まりもの」として聞かせてくれた。
音程の奇妙な歌だったが、脱力するにはいい感じだった。
そして僕らは誰も入ってこない広い風呂で、のんびりお湯に浸かる心地よさを満喫していた。
だが、ここまで誰も入ってこないことを怪しむべきだった。
「楽しそうだな、ライ、スザク!達者で何よりだ!」
「わあ、ノネットさんだ!」
嬉しそうに声を上げたスザクの側頭部に、高速で飛んできた物体が直撃した。
知らなかった。洗面器があんな重い音を立てるとは。
スザクは吹っ飛び、盛大な飛沫を立てて大型浴槽に落ちた。
「何者!」
瞬時に僕をサウナのドアの陰に押しやりながらジェレミア卿が叫ぶ。僕には誰何する気力は無い。
「ノネット・エニアグラム!ナイトオブラウンズ、9の位を持つ者だ!」
湯煙と高い壁の向こう、女性用浴室から裂帛の気合が谺してくる。
「ライ、久しいな!何やら面白いことをしているそうだが!」
「べ、別に、何もしてません!」
「あっはっは!やはり素直だな!声が裏返ってるぞ!」
言うなりノネットさんはターゲットを変えた。
「ジェレミア・ゴットバルト!貴公の最近の行動、どうも腑に落ちぬという者が居てな!」
僕の脳裏でコーネリア総督の有能すぎる騎士が、眼鏡を指先でくいっと上げた。
「「ギルフォード卿」」
「かな」
「だな」
例の疑惑絡みでまだチェックされてるのか?単にノネットさんを持て余して適当な所へ振っただけの可能性も大きいけど。
支援
「用も無いのに、よりによって特派に入り浸っていると聞いたぞ!真意は何だ!」
「ははは、暇ですから!」
それ、笑って言い返すことですか。
「ライと何か企てているのだろう!私も参加させろ!」
来た。ここで上手く誤魔化してもらわないと。
「僭越ながらお断りする!」
ああもう!どうして真っ向から。そのような事実は無い、でしょうがそこは!
……って、ごめんなさい。声だけでバレた僕に言う資格は無いです。
「ならば実力で聞き出してやる!覚悟!」
「良いでしょうナイトオブナイン!相手にとって不足無し!」
「無さ過ぎますって!」
ツッコミつつ考える。
銭湯で戦闘。毎回、一度は駄洒落が入らないと済まないのかこのシリーズ。
僕の憂鬱をよそにジェレミア卿は、びしっ!と浴槽に浮いてるスザクを指差した。
「枢木卿を回収しろ!援護する!」
言うが早いか、冷水を汲んだ洗面器を向こうの天井めがけて続けざまに投げる。僕はダッシュでスザクの元へ。
あの音からして頭が割れてるんじゃないかと思ったが、さすがスザク、もう気がついててぶんぶんと首を振り自力復活した。
壁の向こうからは水を浴びたらしい数人の悲鳴が聞こえていた。
いい戦法だ。直撃しなければ冷たいだけ、戦意は削ぐが怪我を気遣う必要も無い。
スザクの無事を確認できたので、僕は補給を担当する。これで引き下がってくれれば。
「やるじゃないか!」だがノネットさんは元気一杯だ。
「さすが一代で辺境伯に任ぜられただけのことはある!」
「お褒めに与り恐悦至極!」
会話の間も洗面器の応酬は続く。向こうからは重ねたそれが一度に飛んできた。破壊力強化型新兵器だ。
そのうえ聞きなれた声が、幾分かん高く叫んだ。
「お、お止めくださいジェレミア卿!危険です!」
「ええっ?」
「その声は、ヴィレッタか!」
何故ヴィレッタ卿があっちに。いや、こっちに居たらそれはそれで問題だけど。
支援
「もう止めましょう!こんな戦いは無意味だ!」
今度は背後で、スザクが叫ぶ。
「そ、それに向こうにはユ……いや、民間人がいる可能性があります!さっきの悲鳴は、えっと、その、かなり大勢でした!」
目を回してたのに聞いて、何か微妙だが判断できてたのか。さすがスザク。
「構わん!どうせここに居るなら」
イレヴン、と言いかけたのだろうが、スザクを見て言葉は止まった。
ああ、変わってくれている。
良かった、一緒に来て。現状はどうあれ。
「……何者だろうと戦場に立つ以上、戦死は覚悟のうえであろう!」
いや、戦場じゃなく洗(い)場です。お風呂屋さんでそんな覚悟してませんから誰も。
とはいうものの戦線は膠着状態だ。
サウナに篭城しようかと思ったが、見交わした目で互いにそれは却下した。
あそこは袋小路、しかも体力を消耗するだけだ。
敵の足場を狙う科学兵器(シャンプー)の混入も具申したが、非人道的だとスザクが強硬に反対した。
「すっごくヌルヌル……じゃなくて、目に入ったら大変じゃないか!」
確かに、直撃の可能性を考えると使えない。でも、このままだとジリ貧だ。
「えーと、撤退、しませんか?」
スザクが妙におずおずと言った。
「湯船の縁に隠れて、匍匐で出口近くまで行けば……」
「負け戦でもないのにか!」
スザクのらしくない弱腰っぷりが、却ってジェレミア卿の闘志に火を点けたらしい。
「一撃受けて怖じたのか?では短期決戦だ!ライ卿、間のドアから突撃しろ!」
え?行くの?僕が?
「私は壁を越えて制圧する!枢木卿は足場の確保と援護!」
「駄目ですよそれだけは!ノネットさんだって女性なんですよ?」
「甘いな!アレを女とみてはならん!ラウンズだぞ!」
「聞こえているぞ辺境伯!失敬だろう!」
支援
言葉と同時に、物凄い数の洗面器が轟然と降り注いだ。避けるだけで精一杯、空爆だけに気を向けてると散らばったそれに躓いて転ぶ。
ほとんど人間業じゃない。確かに、女性として見るには無理があるかも。
だがここまで数で押してきたら、残弾は僅かの筈。
向こうの攻撃力が無くなった時点で、この戦いは終わる!
そう思った瞬間。
「ふふふ、油断したな!」
声が上から降ってくると同時に、僕の背中に何か弾力のあるものが突きつけられた。
しかも、相当なボリュームというか存在感というか……。
こ、これは……っ!
正面でスザクが「ぷふぁ」と鼻血を吹いて倒れた。
「す、すまない、ライ卿」
「ヴィレッタ卿?」
僕らが採れなかった戦法は、既に敵のものだった。
僕の背中にぴったりと、タオルを胸前に当てているだけのヴィレッタ卿が張り付いている。
「おとなしく投降しろ。さもなくば増援部隊を送り込み物理的に制圧するぞ!」
上からの声が続いている。
見上げると、ノネットさんが、境の壁の上で腕組みして仁王立ちになっていた。
腰にタオルを巻いている。巻いているが、その、ええと、短すぎて。
そもそも腰だけってのはダメでしょうヤバいでしょう幾らなんでも!
支援
既に僕も、何だか生暖かいものが鼻先から滴るのを感じていた。
「ひ、卑怯な!」
ジェレミア卿はひとり頑張っていたが、投げる筈の洗面器で前を隠さざるを得ないのでは勝負にならない。
僕ら三人は浴槽への後退を余儀なくされ、のぼせるまで尋問を受けるハメになった。
しかし、尋問されてもスザクには何も言うことが無いし、ジェレミア卿と僕はとにかく「特派で遊んでいる/所属」と言い張るしかなかった。
ようやく解放されて外のロビーへ出た時には、僕たちは人種の区別もつかないほど真っ赤に茹で上がっていた。
こういう色は、平和と関係無いと思う。うん。
折り重なってソファーでひっくり返っていると、ヴィレッタ卿が冷たい濡れタオルを持ってきてくれた。
「申し訳ありません。その、お探ししに特派へ行ったところを徴用されまして」
流石に口を利く気力も無いらしいジェレミア卿は、彼女の手をぺちぺちと叩いて了承の意を示した。
と。
「ユフィ。やっぱり居たんだね!」
スザクが声を上げ、僕たちは飛び起きた。
ここエリア11の副総督が、ピンクのTシャツとショートパンツ姿で嬉しそうに手を振っていた。
「こ、こここ皇女殿下?」
「ユーフェミア様?」
僕らはこの方にも冷水を浴びせていたのか?
「あっはっは!」
一気に血の気が引いたところで、ノネットさんが爽やかに登場した。
「一滴たりと殿下に当たるようなヘマをするか!ノネットさんを見くびるな!」
背後でお付きの女性SPたちが、色とりどりのビニール傘を広げてポーズに華を添えている。
「まあ、これでも飲め!起立して腰に手を当てるのがお約束だそうだ!」
呆然とする僕らに、瓶入りの牛乳が手渡された。
支援
【Epilogue】
「……という訳なんだ、ナナリー」
「お怪我が無くて、よかったです。やはりラウンズの方はお強いのですね」
「うん、敵わないよ。いろんな意味で」
「でも無傷で戦い抜いたライさんも、すごいです!」
ナナリー。君がそう言ってくれるなら今度は絶対負けないよ。
今度が無いに越したことはないけれど。
「スザクさんもユフィ姉様も楽しそうで、安心しました」
でも、と不安な声音は、小さい頃から二人きりで生きてきた兄のためを案じるもの。
「ジェレミア卿という方は本当に心配ないのでしょうか。軍でのお立場のある方なら、そちらの命令が優先されませんか」
見ることも話すことも叶わない相手を、そのまま信じて託すなど難しいことだろう。
そっと彼女の指先に触れる。僕が感じていることが伝わって、幾らかでも安心してくれるように。
「大丈夫。彼にはルルーシュのほうが絶対だと思う。少なくとも僕は信じているよ」
そう、ギアスなんか要らないぐらいにね……と、これは口には出さないけれど。
「ライさんがそう仰るなら」
可憐な花のように、彼女が微笑む。
「ところで、どうして浴槽に撤退だったのですか?」
……ナナリー、それは聞かないで。
以上です。支援ありがとうございました!
GJでした。
またの投下を期待しております。
>>263 銀鰻卿、GJでした!
全力を挙げて吹きましたwww
ジェレミア卿が素敵すぎるw
スザクもww銭湯でスクワットてwwwいや、やるけどwww
ノネットさんが漢前すぎるんですがwww
色々笑いました、このノリで突っ走って貰いたいです。
貴公の次の投下を全力でお待ちしております!
>>263 GJ!!
銭湯で戦闘ww
ジェレミアとスザクのキャラがとてもいいです!憎めないww
ノネットさんの茂みが見えたと思った人
ざぁねんでしたあ!あなた騙されちゃったのお!
三連休もいよいよおしまいかぁ。
投下しようと思うけど、微妙に長いのでどなたか支援してくれますか?
支援しますよ?
支援しますよ
ありがとうございます。
ではでは、投下前の諸注意をば。
これはコードギアス The reborn worldの続きです。
この話の前回の投下から間が空いているので軽く説明すると。
・アニメ第一話の時点で既にライが研究所を脱走、シンジュクゲットーに逃げ込んでいたところ、
ブリタニア軍とレジスタンスの戦いに巻き込まれ、ランスロットをサザーランドで相討ちに。
その後、C.C.と二度接触し、消耗してアッシュフォード学園にたどり着いた所で意識を失った。
こんな感じです。注意点としては、ライが割と強いです。
The reborn worldの1、およびナリタ攻防戦(上下)を読んでもらえると分かると思いますが(宣伝)、
そういうのが苦手な方はスルー推奨。それでは行きます。
目の前のベッドに横たわる青年を眺めながら、紅月カレンは改めて青年の正体について思考を巡らせた。
二日前、ミレイがアッシュフォード学園の敷地内で拾ったという青年。
IDや免許証など、身元が分かるような物は一切無し。ミレイが調べた限りでは、
警察の方にもそれらしい捜索願が出されている様子も無いそうだ。
これだけであれば、多少気にはなるだろうがカレンが個人的に青年の元を訪れることも無かっただろう。
だがカレンは、看過出来ない情報を二つ耳にしていた。
一つは、一見するとブリタニア人と思われる容姿でありながら、ゲットーに住む日本人が着ているような服を着ていたらしいこと。
もう一つは青年の着替えを手伝ったスザクが感心するほど、青年が鍛えられた身体つきをしているらしいということ。
スザクは現役の軍人であり、また武術の達人でもある。その彼が感心したということは、本当の意味で鍛えられた肉体なのだろう。
ゲットーの日本人が着ているような服を着た、軍人さながらに鍛えられた身体つきの青年。
これらの話を聞いた時、カレンの脳裏にこんな考えが浮かんだ。
「青年は自分と同じ、レジスタンスなのではないか?」
だがこうして直接青年の顔を見たことで、その可能性は低いように思えた。
シンジュクを拠点に活動しているレジスタンスの中では、扇グループが最も有力な勢力である。自然、他の組織と接する機会も多くなってくる。
しかしカレンは一度も青年を見たことが無いし、青年のような人物の存在を耳にしたことも無い。
青年は滅多に見かけないほど整った顔立ちをしており、何より酷く目を引く銀の髪をしている。身体面を考慮すれば、優秀な戦闘員と推測出来なくもない。
これだけ目立つ容姿をしている優秀な人物が噂にならないとは、考えにくい。
いや、断言しよう。他の組織ならそれもあり得るかも知れないが、こと扇グループで言えばそれはあり得ない。
好奇心旺盛な小笠原と、情報収集に長けた井上という、二人の人物が存在するからだ。
小笠原と言う女性は良くも悪くも子供っぽい人物であり、彼女が井上に何か面白い話は無いかと絡む度に、
井上は苦笑しつつ自分も楽しそうにレジスタンスのネットワークから情報を探し出し小笠原に提供してやっている。
つまり、身も蓋もないことを言ってしまうと―――噂好きなのだ、あのコンビは。
これと言って不利益になるようなことは無いし、寧ろ意図せずに有益な情報を手に入れることもある為、扇どころかゼロさえもそれを許容してしまっている。
理由は少々情けないが、扇グループの情報収集能力はレジスタンスの中ではピカイチである。特に今はゼロが例のパイロットを探させていることもあり、
少しでも目立つ要素のある人物の情報が集められている真っ最中である。そしてその中に、この青年のことだと思われるような情報は無い。
しかし、そうなると。
「一体、貴方は何者なのかしらね」
青年は無論答えない。そんな無意味なことを口にしたところで、カレンはこの部屋に近づいてくる二つの気配を感じた。
即座にカレンは学園での仮面、病弱な令嬢カレン・シュタットフェルトになる。そして気配に気付いていながらも、
突然開いたドアに驚いた、というようなリアクションを装いながら入ってきた人物達に目を向ける。
「あら、カレン来てたの」
「はい。会長が拾ってきたという人の顔を見に」
「カレンも気になってたんだ? 私もなんだ!」
入ってきたのは青年を拾ってきた張本人であるミレイと、生徒会のメンバーの一人であるシャーリーであった。
やっぱり気になるよねぇ、とニコニコしているシャーリー。
(この子、なんとなく小笠原さんと仲良くなれそうよね。スポーツしてるってのも同じだし)
そなことを考えながらもカレンは、自分と青年を交互に見た後ニヤニヤしだしたミレイに先手を打つのも忘れない。
「ひょっとして、カレンったら」
「いえ、会長が考えているようなことは全く考えていません」
途中まで口にしかけたところでピシャリとカレンに否定されたミレイは、
からかうことが出来なくなったことに不満そうな顔をしたものの、気を取り直したように青年の元に歩み寄った。
支援
「相も変わらず熟睡中か。そんなに消耗するなんて、何やってたのかしらねこの正体不明君は」
「まだ彼のこと、分かってないんですか?」
「残念ながらね。何せ身元が分かるような物どころか、財布一つ持ってなかったのよこの子。完全に着のみ着のまま。
警察の方にもそれらしい捜索願が出てないか問い合わせたんだけど、掠りもしなかったし。
念のため、指名手配犯とかの方も調べてみたんだけど……」
指名手配という単語を聞いた途端ビクっと怯えた様子を見せ、青年から距離を取ったシャーリーに悪戯っぽい笑みを向ける。
カレンはと言えば、最初からミレイの意図に気付いて呆れていた。
「そっちでもハズレ。少なくとも凶悪犯ってわけじゃあなさそうね」
「も、もう、会長ったら! 本気でビックリしたじゃないですか!」
「ごめんごめん。ま、これで変な心配しなくて良くなったんだからいいでしょ。
まぁ、こんな顔で犯罪者ってのは、無いと思ってたんだけどね」
「あ、それ何となくわかります。結構良い感じだし、怖い人って感じじゃないですもんね。
カレンもそう思うでしょ?」
青年の顔を眺めてそう評するミレイとシャーリー。まぁ、年頃の女の子らしいと言えばらしい意見である。
「そう? 私は、ちょっとこの人は苦手だわ」
話を向けられたカレンは二人とは反対に、どこか冷めた目で青年を見ていた。
男性に対してこんなことを言うのも妙な話だが、綺麗な顔立ちをしているとカレンも思う。
男性的な美貌とは違う、女性のように繊細でありながら女々しさを全く感じさせない中性的な美しさは玲瓏とさえ言えるだろう。
これなら第一印象は大抵が好意的なものになるだろう。容姿が優れているというのは一部の例外があるものの、それだけで大きなアドバンテージである。
だがしかし、いや、だからこそか。
「なんだか、人形みたいなんだもの」
眠っている青年は何故か、人間らしさが欠如しているようにカレンには見えた。
硬質な人形のようなそんな青年の不自然さが、カレンは気に入らなかった。
支援
「確かに、そう言われればそうだけど」
そこで、ミレイの言葉は止まった。微かな、本当に微かな声を聞いたからだ。
それはカレンの声でもなければシャーリーの声でもない。この場にいる、もう一人の人物の声。
ミレイが聞いたのは、確かに青年の声だった。
青年の顔を覗き込むミレイに習ってシャーリーが近づき、カレンも青年の様子を注意深く窺う。
青年の瞼が震えていた。微かに開かれた口から、聞き取れないほどか細い声が漏れる。
そして、一滴。青年の閉じられたままの瞼から零れ落ちたものがあった。
それは涙だった。青年の中から溢れ出した感情の一欠けら、そんなことを思わせるような涙だった。
青年が泣いている。それを理解した瞬間、カレンは我知らず息を飲んだ。
まるでそれが合図だったように人形のように見えた彼が、命を吹き込まれたように人間らしく見えたからだ。
「人形なんかじゃなかった……」
カレンの呟きと、青年の瞼が開かれたのは同時だった。
支援
彼は夢を見ていた。
夢の中で彼は、穏やかな風が花々の香りを運ぶ緑の庭園の中心で、誰かと心地よい時間を過ごしていた。
彼と共にいるのは二人。何れも貴族を思わせる品の良いドレスを纏った女性だった。
奇妙なことに、花の香りも、風の心地よさも、腰を降ろしている草の絨毯の感触も感じられるのに。
二人の女性が纏うドレスの細部まで見えているというのに、彼女達がとても大切な人達であることが分かっているのに。
その大切な人達の顔はまるで水で滲んだ水彩画のように、ぼんやりと霞んで不確かだった。
何故これが夢だと理解出来てしまったのか、その理由は定かでは無い。
今目にしているものが、失われてしまった風景なのだと分かってしまった理由も定かでは無い。
ただ、分かっていることもある。
これが夢であると気付いてしまった以上、この幸せな夢はもうすぐ消えてしまうだろうということと。
多分目が覚めた時、自分はこの夢のことをきっと全て忘れてしまっているだろうということ。
そしてそのことを意識すると同時に、胸中に宿る切ない感情の名を思い出した。
そしてそれが、終わりの始まりだった。
彼の見ていた世界はパズルのようにばらばらと崩れだし、その向こうから現れた強い光に彼の意識は吸い込まれていく。
彼の視界が白く染まる。彼の意識を白く塗り替える光の流星群。もう、先ほどまで何を見ていたのかさえも、彼には思い出せない。
そうして、意識が現実に浮上しきる、その間際に。
「悲しいな」
胸に残った素直な気持ちを、彼は口にした。
支援
眼を覚ました当初、青年は呆然としていた。その様子からはカレンが声をかけるのに躊躇いを感じるほどの、深い喪失感が覗き見えた。
やがて親を求める子供のような弱々しい目で辺りを見回し、ミレイ達を目にした青年はわずかに逡巡した後、言った。
「ここは……? それに貴女達は、一体……?」
問われ、ミレイは青年に求められたことを語った。
ここはアッシュフォード学園という学校の中だということ、青年はこのアッシュフォード学園の敷地内で気を失っていたこと、
その青年を自分達が発見しここで保護していたこと、青年は丸二日も眠り続けていたこと。
そして最後に、失礼ながら青年のことを調べさせてもらったが、身元が分からなかったことに触れた。
「それで、良ければあなたが何処の誰なのか教えてほしいんだけど……」
ミレイの気遣いの感じられる穏静な声音に、青年は困ったような顔をした。
「……すまない。分からないんだ」
「へ? 分からないって?」
いよいよ青年の正体が聞けるとワクワクしていたらしいシャーリーは、
肩透かしを食らってキョトンとなる。
「笑われるかもしれないけど、自分自身のことなのに、思い出せないんだ」
「ええと、それってつまり」
シャーリーは、ミレイとカレンの顔を見る。予想外に次ぐ予想外の展開に、少し混乱しているらしい。
「記憶喪失。そういうことなのね?」
「恐らくは」
「これは、ちょっち予想外ね。
念のため医者に診てもらった時は特に目立った外傷はないと言っていたから、ただの疲労かと思っていたのに」
さしものミレイも当惑し、考え込んでしまう。
「き、記憶喪失ってほんとにあるんだ。ドラマとかだけかと思ってた」
「本当にあるからドラマにもなるんでしょ。シャーリーだって、頭ぶつけたらルルーシュのこと忘れちゃうかもよ?」
「な、なんでそこでルルの話が出るんですか! それに私、ルルのことは絶対に忘れませんから!!」
「はいはい。分かったから落ち付いてシャーリー。ほら、この子びっくりしてるじゃない」
支援
支援
真っ赤になって騒ぐシャーリーだったが、青年から妙なものを見るような眼つきで見られていることに気付くと、
恥ずかしそうに黙りこみ、小さくなってしまった。
「でも、外傷はなかったんですよね?」
事態が収まったのを見計らって、気を取り直したようにカレンが話を続ける。
「ええ。せいぜい擦り傷ぐらいのものね。医者の目から見ても脳にダメージがありそうな傷は無いのは確かなのよ。
となると、外的要因よりもむしろ、内的要因によって記憶を失ってしまったのかもしれないわね」
「内的要因? って、どういう意味ですか会長?」
「分かりやすく言っちゃえば、嫌なこととか悲しいことを忘れたくて他のことも忘れちゃったってこと」
ミレイの噛み砕いた説明を聞き、ショックを受けたらしいシャーリーが気の毒そうに青年を見るが、
青年はその純粋に自分の身の上を案じてくれている視線を、居心地の悪い思いで受け止めていた。
確かに青年は記憶を失っているが、それはシンジュクゲットーに辿りつくまでの話だ。
その後のことは全て覚えている。ブリタニア軍と戦ったことも、C.C.のこともだ。
そしてこのアッシュフォード学園はブリタニアの施設である。シンジュクでの話を口にするわけにもいかない。
身を守るためにしたことだが、青年がブリタニア軍と敵対したという事実は変わらないのだ。
記憶を失っているのは事実なのだから、嘘はついていないのだ。ただ、都合の悪いことを黙っているだけで。
だがやはり、親切にしてくれた彼女達に黙っているのは気が重いのも事実である。
「色々と迷惑をかけたみたいで、悪かったと思う。でも、情けないことに持ち合わせが無いんだ。
今すぐ出ていくし、お金もいずれ必ず払う。申し訳ないが、それまで待ってくれないか」
「出て行くって、行くところはあるの?」
「無いが、なんとかする」
「なんとかするってあなた……」
「ダメだよそんなの!!」
身を起こしベッドから降りようとする青年の動きを止めたのは、カレンの言葉でもなければミレイの言葉でもなく、
シャーリーの悲鳴染みた声と切実な表情だった。そして動きを止めた瞬間、青年は眩暈を覚えてベッドに倒れこんだ。
支援
「ほら、まだふらふらしてる。休んでなきゃだめだよ!」
「しかし、これ以上迷惑をかけるわけには」
「だいじょぉぉぶ!」
問答を繰り広げるシャーリーと青年の間に、ミレイが割って入った。
「実はこんなこともあろうかと、お爺様に暫くあなたを預かっても良いと許可を貰っています。
というわけで、あなたは気にせずうちでゆっくりしてなさい。あ、何だったら授業にも出てみる?
歳も、見たところ私達と同じくらいみたいだし」
「あ、それ良いですね。私達と一緒のクラスにすれば、色々手助けも出来るし。流石会長!」
「はっはっは! ミレイさんに任せときなさいよ。部屋は、そうね。このままこの部屋を貸してあげれば済むし、
制服とか教科書も何とでもなるから。そうと決まったら他の生徒会メンバーにも伝えなきゃね。
シャーリー、ルルーシュ達を呼んで来て」
「了解です!」
あれよあれよと、青年が口を挟む間もなくトントン拍子で青年はここで暮らすと決まってしまった。
シャーリーは早速駆けだしてしまったし、ミレイはミレイで「あの窓にはどんなカーテンが合うかしらね」などと考え始めている。
決めたら迷わず一直線。アッシュフォード学園生徒会の本領発揮である。
「……本気なのか」
半ば呆然としながら、未だに事態の展開を信じられない様子の青年。
その青年のことをある意味気の毒に思いながらも、カレンは笑みが浮かぶのを堪えられなかった。
「ええ、本気よ。ミレイ会長は、一度決めたら何が何でも実行する人だから。
まぁ、悪いようにはならないでしょうから、安心しても良いんじゃないかしら」
「いや、しかし……?」
間近に来たカレンの顔を見て初めは怪訝そうな顔をし、かと思えばそうと分かるほど驚いたような反応を見せる青年。
その反応に、当然ながらカレンは疑問を抱いた。
すみません、これがラストの支援です
では支援
支援
「どうかした?」
「君は」
そこで言葉を切ると、青年はその先を言わず「何でもない」とかぶりを振った。
その様子にやはり腑に落ちないカレンであったが、敢えてそれ以上問うようなことはしなかった。
そう、腑に落ちないと言えばもう一つ。
(この声、どこかで聞いたような)
そんな奇妙な感覚に陥ったカレンであったが、今一つ自信が持てなかったことと、
それを聞くことで万一自分がレジスタンスだと知られてしまうようなことであった際の危険を考え、
黙っていることに決めた。その代わりに、別の気になっていたことを口にする。
「そう。そういえば貴方、名前は?」
「名前?」
「ええ。名前も忘れてしまったの?」
「いや、名前は覚えている。そうか、僕はまだ名前も言っていなかったのか」
青年の口にした「僕」という一人称。それになにか上手く表現できないひっかかりを感じたカレンが、
そのひっかかりを思い出す前に青年は名前を、自らの名前を、自分自身が噛みしめるような口調で紡ぎだした。
「僕の名前は、ライだ」
支援
支援
以上になります。
ID:yhb9bU7cさん、および支援してくれた方々には全力で感謝を。
生徒会の行動力を表現したくてライが目を覚ましてからは一気に展開を早めましたが、
どうでしょうか? なにか意見などありましたらお願いします。
これからはこれをメインに書いていこうと思いますが、たまに短編(ナギサちゃんとか)投下するので、
その時もどうぞ支援などよろしくお願いします。
それでは、まぁぁぁたみぃてぎぃぃあすぅぅぅ!
>>293 続きをお待ちしておりました!乙&GJ!
頼れるミレイ、天真爛漫なシャーリー、表面通りには受け取らない慎重なカレン等
生徒会メンバーのらしさが出ていたと思います!
またの投下を楽しみにしています!
ナギサちゃんもね!
これからの展開はどうなるのでしょう?原作とはちょっと違った雰囲気のライがとてもいいです。次回の投下を楽しみに待っています。
千葉はライの嫁卿、投下お待ちしておりました
今回は原作とは異なりながらも原作らしいキャラのやり取りがGJでした
卿の描かれるライは強いので今後の騎士団入りが楽しみです
少し質問なんですがThe reborn worldとナリタ攻防戦(上下)は同一時間軸のお話なんでしょうか
あと少々聞くのが遅いんですけどナリタ攻防戦(上)のライにとっての運命の出会い二つって
千葉さんとノネットさんのことで宜しかったんでしょうか、匂わすような書き方をされていたように
おもったのに(下)では特に何も描写が無かったように思うので気になりまして・・・
ともあれ今回の投下もお疲れ様でした、またの投下をお持ちしています
投下していいかな?
支援します
>>293 千葉はライの嫁卿、GJでした!
シャーリーの言葉に無性に悲しくなった私デシタ。
この物語はどういう道筋でどの様な結末を迎えるのか非常に楽しみであります!
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただけますか!?
300 :
萌は文化:2008/10/13(月) 22:31:20 ID:wl3h1Tpa
感謝です
では「姉妹喧嘩」の続きで5レス程度です
カプは引き続きライユフィです
注意点
・ブルームーン編から発生な設定です
・ギャグ全開です
・ギルフォードが壊れました
では投下します
支援
302 :
萌は文化:2008/10/13(月) 22:35:54 ID:wl3h1Tpa
「うう、またこの格好か…」
生徒会室に戻り、リヴァルに制服を返したライは自分の制服を取りに行くため、再び女装姿でコスプレ喫茶の教室を目指して廊下を歩いていた。
「何事もなく無事にたどり着けるといいけど…」
「おお! その麗しき姿は……!」
「げっ!」
会わないで欲しいなどと思っているそばから、ライはギルフォードと遭遇した。
この人と関わるのは色々と危険だと判断しらライはギルフォードから逃げるように全力で走り出した。
「あ、何故逃げるのですかライカさん!」
(追ってくるなぁぁ!!)
心の中で絶叫しながらライは追いかけてくるギルフォードから逃げ続けた。
「うーむ、思ったより広いなこの学園は……ん?」
「しつこいなもう!!」
その時、ライとユフィを探していたコーネリアの前を女装したライが通過して行った。
「今の娘……どこかで?」
「ライカさぁぁぁん!!」
コーネリアが首をかしげていると女装したライを追いかけるギルフォードが奥から走って来た。
「何をしているギルフォード?」
「ひ、姫様!?」
コーネリアに呼び止められ、ギルフォードは立ち止まった。
支援
304 :
萌は文化:2008/10/13(月) 22:41:41 ID:wl3h1Tpa
今まで主君を忘れていた背徳感もあってか、ギルフォードの表情はどこかぎこちなかった。
「ターゲットは見つかったのか?」
「た、ターゲットでありますか?」
そんなもの探してもいませんとも言えず、ギルフォードは気まずそうに視線をそらした。
「そうだ。ユフィでもライという男でもいい。見つかったのか?」
「い、いえ、今の所、まだ…」
実はすでにライには会っているギルフォードだが記憶に留めていない様子。
正直、そんなものより目の前の恋の方が大事なようだ。
「ふむ、やはりか。なかなか見つからんな……」
「……っ!」
どうしたものかと考えこむコーネリア。
コーネリアが一瞬視線を逸らした瞬間、ギルフォードは居ても立ってもいられなくなったのか、コーネリアの話の途中で走り出した。
「な、おい! どこへ行くギルフォード!?」
「すみません姫様! 私にはどうしてもやらなければならないことがあるのです!」
コーネリアの制止も聞かず、ギルフォードは全速力で廊下を走って行った。
「ふう、着替えもすんだしユフィを探そうかな」
「むっ、そこの銀髪の学生ぇ!!」
「げ、さっきの…!」
ライがコスプレ喫茶で自分の制服に着替えて廊下に出て来ると、タイミングよく全速力で廊下を走るギルフォードが接近してきた。
支援
306 :
萌は文化:2008/10/13(月) 22:46:50 ID:wl3h1Tpa
「雪のように美しい銀髪で、水晶のように神秘的な瞳を持つ、秋の紅葉のように華麗な振り袖のライカと言う名の女性ならこの先を真っ直ぐ行きました!」
「何! オーロラにもにも勝る輝きを持つ銀髪で、ダイヤモンドが霞むほどのきらめく瞳を持つ、花も恥じらうほど可憐な振り袖のライカと言う名の女性はこの先を行ったのか! ありがとう助かったぞ銀髪の学生よ」
明らかにさっきより美化されてるイメージを持ちながらギルフォードは架空の女性を追い求め、廊下を真っ直ぐと突き抜けて行った。
「た、助かった……バレたらどんなリアクションするんだろあの人?」
案外難なく受け入れるかもしれないなどとライは一瞬考えたが寒気がしたのですぐに考えるのを止めることにした。
「さて、ユフィを探すか…」
「おい」
呼び声にライが振り返るとそこにはアッシュフォード学園の制服を着たC.Cが偉そうに立っていた。
「なんだC.Cか。悪いけど僕はこれからユフィを探さなきゃいけないから君のワガママには付き合えないよ」
「ほう、お前に断る権利があったとは驚きだな」
ライはC.Cを無視してさっさと行こうととするとC.Cはワザとらしく1枚の写真をライの前に落とした。
307 :
萌は文化:2008/10/13(月) 22:49:23 ID:wl3h1Tpa
「……ん? んん!?」
ライはその写真を見て驚愕した。
何故ならその写真にはライがユフィと一緒に仲良く眠っている姿が写っていたからだ。
それだけならまだいい。
写真に写っている2人はただ仲良く写っているのではなく、この時、風呂上がりだったユフィが眠っていたライに、はだけたバスタオル姿で寄り添うようにしてライと一緒に眠っている写真だったのだ。
こんな写真を他人に見られたりしたらどうなることか…。
下手したらブリタニア軍(主にコーネリア隊)に命を狙われかねない。
ライは慌てて写真を拾おうとしたらすぐにC.Cが写真を拾い上げた。
「ふむ、巨大ピザの時間までまだ時間があるな。なら少し学園内を散策するか。しかし巨大ピザの時間まで少ししかないな。ああ、時間を有意義に使うためにも誰か学園祭を案内してくれやしないか…」
ワザとらしく言うC.C。
どうせ脅迫するなら素直に脅迫すればいいのにとライは思った。
「わかったよC.C。その変わり…」
「写真か? まあ、それはお前しだいだな坊や。あ、金は全額お前持ちな。男ならそれが当然だろ」
「心よく了解したよ。この魔女め」
こうしてライは今度はC.Cに引っ張り回されるのであった。
支援
309 :
萌は文化:2008/10/13(月) 22:52:14 ID:wl3h1Tpa
おまけ
ジェレミア「ハァァァ!!」
スザク(仮面着用)「まだだぁぁぁ!!」
バシッ←拳が交差する音
ジェレミア「なんと……届かなかったか……フッ、悔しいがお前の勝ちだ」
バタッ
スザク(仮面着用)「いや、届いたよ」
パリーン
女生徒「あ、仮面が…」
男生徒「ランスロット仮面はスザクだったのか!」
スザク「ジェレミア先生、あなたの勝ちだ…」
バタッ
男生徒「こっちは引き分けか…」
女生徒「見て! あっちはあっちですごい激闘よ」
咲世子「たぁぁ!」
ノネット「ヌウッ! 飛び道具など…!」
咲世子「避けた…! この距離で!?」
ノネット「さあ、行こうか!」
咲世子「………ッ!」
ミレイ「通報すべきかな………でも盛り上がってるからいいのかしら?」
310 :
萌は文化:2008/10/13(月) 22:54:53 ID:wl3h1Tpa
以上で終了
少しテキトウすぎたかもしれないな…
次回でたぶん終わる………と思う
何げにライユフィ要素薄いよねこのシリーズ
支援ありがとうございました
>>310 乙でした!
ギルフォードはもうダメですねwww
>>310 乙&GJでした
どう考えてもライギルですww
ギルフォード×ライ……
ッ……鼻血が……
ギルフォードォォォーーーーー!!!
>>310 萌は文化卿、GJでした!
ダメ人間へと超絶進化を果たしたギルフォード卿の明日はどっちだ!?
そしておまけで繰り広げられるやたらと熱きバトルwww
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
>>310 どう見てもギル→ラ(ry
本当にありがとうございました。次の参加を楽しみにしています。
>>313 管理人さんはまさかBLのケがあるのか?!
>>310 乙でございます
廻り道こそ王道と誰かが行ってたような気がします。
しかしギルフォードがいい壊れ方してますね
>>316 新参だな。トーマス卿はバリバリの腐女子だぞ。
ID:XPaSsVvVを見て、
SSにVvVか…vが一つ多いけど、なんつーこのスレ向きID!
とか思ったが、保管庫の人だったのかw
ネタ的にはすごく美味しいw
320 :
ライ×C万歳:2008/10/14(火) 00:41:59 ID:lKHD9y3r
こんばんわー皆さん。覚えていますでしょうか?ライC万歳です。
指定校推薦とおったんでひとつくらい書いてみようと思い、ひとつ書いてここに来て見ました。
内容は、「自分がライ介入のR2の続編を作るとしたら正統派風にしてこんな風な話を書いてみる」というコンセプトの予告です。
注意書きは
・オリキャラ、オリナイトメア、出ます
・敵軍の名前がダサイ上に中二少し入ってるかも
・予告なので本当に書くかはまだわからない
の三つです。
それらが投下しても大丈夫なら一時復帰第1号SSとして投下しようと思います。
文章力は相変わらず低いですが…
カップリングは当然ライ×C.C・です。
投下して…良いかな?
>>320 これはおめでとうゴザイマシタか、そうでしたか
ならばこそ、支援は全力で!
支援します
おお〜すっごく久しぶり!合格おめでとうです。作品ですか?まず投下!話はそれからですよ!
324 :
ライ×C万歳:2008/10/14(火) 00:46:38 ID:lKHD9y3r
よし…行きます。
タイトル・予告
カップリング・ライ×C.C.
備考・注意書きのことにご注意を…
よく見たら予告って書いてあるってことは今すぐ投下するわけじゃないのね。
ならば全力でお待ちするしか!
326 :
ライ×C万歳:2008/10/14(火) 00:47:48 ID:lKHD9y3r
予告
ゼロレクイエム…ルルーシュの死から一年後…
世界は平穏を取り戻したかに見えた。
だが、やはり人は戦いを忘れることは出来ないのだろうか?
人類が存在している限り、やはり争いも続くのだろうか?
これは僕の、友が創った世界と、僕の愛する緑髪の少女を守るための新たな戦いの物語…
(東京上空に出現する大量のパーシヴァルを簡略化した機体)
「この機体…パーシヴァルに似ている…?」
「一体何者だこいつらは!?」
(簡易型パーシヴァル・アグロヴァルを次々と切り裂いていくギルフォードと藤堂の指揮官型ヴィンセントと残月)
突然現れた謎の敵
「この平和ボケした世界は我々、創世騎士団が変える!」
(テレビ画面に映る黒いフード付きマントをかぶった男)
その名は、創世騎士団
奴らは、僕の前にも現れた…
支援……いるかな?
328 :
ライ×C万歳:2008/10/14(火) 00:48:56 ID:lKHD9y3r
「始めまして、ライ殿。」
(縄で縛られているライ、C.C.ジェレミア、アーニャの前に数人の兵士と共に現れる筋肉質の青年)
「お前は…誰だ!」
「創世騎士団四凶集の一人、キュウキという者です。C.C.を頂きに参りました。」
奴らの狙いは、C.C.
「何のために、C.C.を狙うんだ?」
「再びラグナレクを起動し、我らの主を新たな神とするために…」
奴らの使う強力な量産機、そして四凶集の操る凶悪なナイトメアは僕を追い詰めていく。
でも僕は恐れない、仲間が居るから…!
329 :
ライ×C万歳:2008/10/14(火) 00:49:59 ID:lKHD9y3r
スザク…いや、ゼロが…
「貴様らの非道な振る舞い、我ら黒の騎士団が正す!」「撃っていいのは、撃たれる覚悟のある奴だけだ!」
(空を翔るランスロット・アルビオン(ゼロカラー))
カレンが…
「ルルーシュが作った平和…アンタらなんかに壊させはしない!」「弾けろおぉぉお!創世騎士団!」
(アグロヴァルを輻射波導で破裂させる紅蓮聖天八極式)
星刻さんが…
「創世騎士団…ここで滅びよ!」「まだだ…まだ死ねん!」
(天愕覇王荷電粒子重砲を撃つ神虎)
ジノが、アーニャが、
「さて、そろそろ本気出しますか!」「固まってる…落とす。」
(二刀のエクスカリバーを振るトリスタンディバイダーと四連ハドロン砲を撃つモルドレッド)
330 :
ライ×C万歳:2008/10/14(火) 00:50:45 ID:lKHD9y3r
僕は戦う。
仲間と共に。
「ライ…また戦うのか?」
「ルルーシュが残した世界を、奴らの思うようにはさせないさ。それに奴らの狙いは君だ。君は僕が守る。」
僕は戦う。
世界と、C.C.を守るために。
「ライ、行きます!」
(斑鳩から飛び立つエナジーウィングを付けた青いナイトメア)
「コードギアス 青き雷(いかずち)のライ」
皆のために…世界を守る!
orz支援
332 :
ライ×C万歳:2008/10/14(火) 00:54:34 ID:lKHD9y3r
投下終わりです。
何考えてんだ…文章力低いから長編なんてもっての外なのに…馬鹿か俺は…
先程も言いましたがまだ書くかは決めては居ません。
長編苦手な上に構想完全じゃないので。
書いてもすぐ休載する可能性あり。
まぁ…でも…今まで休んだ分がんばろうとは思いますが…
それと指定校推薦通過してもまだ大学での面接が残ってます。
面接練習であまり来れないかもしれませんが、書けるのなら全力で書こうと思います。
では…
>>332 ライ×C万歳卿、とりあえず乙!
何か一時間くらいぼーっとしてしまった。
本編終了後にひたすらオリ展開を突っ走る、好意を抱くよ。
……興味以上の対象ということさ。
色々頑張ってくださいね!
貴方の次の投下を全力でお待ちしております!
>>332 これは面白そうな気配。
アフターものといえば既に年下専門卿がやってはいるけど、方向性はかなり違う感じですね。
>>332 乙、GJ
ライ×C万歳が正統派物と自認してるだけにストレート勝負ですね
自分は好きですよ、全力直球ど真中!
>(東京上空に出現する大量のパーシヴァルを簡略化した機体)
>(テレビ画面に映る黒いフード付きマントをかぶった男)
この辺りを読んでいると、勝手に脳内BGMでHEATSがガンガン鳴ってるw
336 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/14(火) 17:43:14 ID:y6/EwwQj
遅レス&個別返信で申し訳ないんですが、質問には答えたいので勘弁してください。
>>296さん
確かに同じ設定の話ですが、多分ナリタ辺りまで進んだら改めて投下しなおすと思いますので、
あれはあれで完結したひとつの作品と見てもらえれば決行です。
後二人ってのはノネットさんと千葉さんです。完全にノリで書いたんですが←
それと
>>299さん、どうぞ待っていてください。こちらもそう言ってもらえると嬉しいですので。
感想をくれた他の方にも感謝です。ありがとうございます。
では〜。
0:00から投下します。本文・あとがき合わせて6レス分です。
どうぞ。
支援
ありがとうございます、では投下します。
作者:余暇
タイトル:いたずらな風
カップリング:ライ×カレン
(設定)
・騎士団編カレンEND後
・カレンは、ライの過去を知っています。
・ジャンルは、ギャグ……なのかな?
本文・あとがき合わせて6レス分です。
『いたずらな風』
その日の放課後、僕は校舎の屋上で寝転がり、空を見ていた。
「今日も平和だな。風が気持ちいい。」
ゆるやかな風に吹かれながら、僕はウトウトし始めた。
「ん……?」
それからしばらく後、僕は人の気配を感じて目を覚ました。
「あ、やっと起きた。探したのよ。」
見ると、寝転がる僕の頭のそばにカレンが立ち、僕の顔を覗き込んでいた。
「やあ、カレン。すまない、眠くなってつい。ところで、何か用?」
「うん、実は…」
カレンが口を開きかけた時だった。屋上を風が吹き抜け、カレンのスカートが舞った。
「キャアッ!」
「えっ!?」
僕は言葉を失った。今僕の頭は、彼女の足元にある。そして僕は彼女を見上げていた。
そんな時に彼女のスカートが舞えば、当然その下が見えるわけで。
「み、見たわね……。」
真っ赤な顔をしたカレンが、ドスの利いた低い声で呟いた。まずい、かなり怒っている。
「ご、ごめん!見るつもりはなかったんだけど、今のは不可抗力で……。」
「ふーん、不可抗力で済ませるんだ。」
火に油。僕は本当にバカだ、もう少しましな言い訳は考えつかなかったのか。
「この、スケベー!」
その直後、カレンの全体重をかけたジャンピングエルボードロップが、僕の顔面を直撃した。
「不可抗力なのに、ここまでする必要はないだろう」と思いつつ、僕は意識を手放した。
支援
「ご、ごめんね。つい頭に血が上っちゃって。」
カレンが、座って空を見上げたままの僕に謝っている。意識を取り戻した僕は、ずっと鼻血を抑えるのに必死だった。
すごく痛いが、幸い骨に異常はないみたいだ。
「いや、気にしないで。僕も悪かった。すぐに目をそらすべきだった。」
よく考えれば、僕も目をそらすなりすれば良かったんだ。一瞬のことで気が動転したとはいえ、しっかり見たのはあまりにもまずかった。
「ねえ、鼻血止まった?」
カレンの問いかけに、僕は鼻を確かめてみた。どうやら収まったようだ。
「ああ、もう大丈夫だ。ところで、何か用事があったんじゃないのか?」
「うん、実は租界で買い物したかったんだけど、今日はやめておくわ。ライの顔がすごく赤くなっているし、また鼻血が出ても大変だから。」
「そうか、悪いな。せっかく天気がいいのに、気を使わせてしまって。」
するとカレンは、首を横に振った。
「ううん。もとはと言えば私が悪いし、仕方ないわよ。買い物はまた今度にして、今日はしばらく屋上でのんびりしましょう。」
「そうだな、こういう日があってもいいよな。」
それからしばらくの間、僕たちは空を眺めていた。いたずら好きな風は、また心地良い風に戻っていた。
sienn
「平和だな。」
「そうね。」
穏やかな時が過ぎていく。少し前までは感じることのなかった、本当に平和で優しい時間。
「すごく幸せだけど、時々怖くなるな。」
「あら、どうして?」
カレンが僕の顔を見る。
「今までこんなこと、経験したこともなかったから。僕の過去の話はしたよな?あの頃からずっと僕の周りの世界は優しくなくて、
母上や妹と過ごす穏やかな時間の間も、暗い現実と隣り合わせだった。幸せを手に入れたくても、結局は自分から遠ざけてしまった。」
「………。」
カレンは、黙って僕の話を聞いている。そして僕は続けた。
「それがこの世界に目覚めて、たくさんの仲間に出会い、互いに支え合い、ともに戦って、平和で優しい世界を手に入れた。そして、君という素敵な人と結ばれた。
こんなに幸せなことはない。でも、今の幸せが突然目の前から消えたりしないか、時々不安になるんだ。今の平和な日常が崩れるかもしれないと思うと、怖くなるんだ。」
またかつてのように、すべてを失ってしまうかもしれない。決して消えない暗い過去を持つ自分が、こんなに幸せでいていいのだろうか。
そう思うたびに、僕は不安になっていた。
「大丈夫よ、そんなに不安がらなくても。」
隣を見ると、カレンが優しく微笑んでいた。
「もう二度と平和な世界を失わないために、今頑張っているんじゃない。特区日本を軌道に乗せて、ゲットーも復興させるために、私たちが一緒に力を合わせているじゃない。
ライが今頑張っているのも、そのためでしょ?」
「ああ、そうだけど。」
するとカレンは、僕の頭をクシャクシャとなでた。
「だったら、その不安をなくすために前を向きなさい。そんな後ろ向きじゃ、何も進まないわ。不安なのはみんな同じ、私だってそうよ。また以前のような殺伐な世界にならないかと、不安になる時もあるわ。
でもそれが現実にならないように、みんなで力を合わせて、前に進もうとしているのよ。あなたはもう一人じゃないわ、だから不安がってはダメ。」
ああ、僕はまたカレンに教えられたな。そうだ、今の世界を守るために僕たちは前に進んでいる。過去に戻ってしまう不安を打ち消すために。
そのためにも、後ろなんかを振り返っている場合ではない。
「そうだな。大事なのは過去を振り返ることではなく、過去から学んだ上で前を見据えること。明るい未来のために、今できることをやることだ。
僕もこの世界を、仲間たちを、そして君を守るために、前を向かなくちゃな。そして、未来に引き継ぐために頑張らないと。」
「そうそう、その意気よ。私やゼロ、みんなも一緒に頑張るから。また一人で抱え込んじゃダメよ。」
「わかっているよ、みんなで頑張ろう。」
僕たちは笑い合った。そんな僕たちを励ますかのように、優しい風が二人を包み込んでいた。
支援
そして夕方になった。
「さてと、そろそろ動きましょう。時間も時間だし。」
そう言って、カレンが立ち上がった時だった。また強い風が吹いて、カレンのスカートが舞った。
「キャアッ!」
(ええっ、またなのか!)
ちょうど僕も立ち上がろうとしていたのだが、運悪く僕の目線とカレンのスカートの高さが同じだった。
つまり、また正面から見てしまったわけで。
「また…見たわね?」
見ると、カレンが顔を真っ赤にしている。まずい、この体勢だとかかと落としから、そのまま押しつぶされるか。それとも……。
「いや、ここは落ち着かないと。ライに見られたくらいで動揺してはダメ。それに、どうせ後でイヤというほど……。
あー、でももう二回も見られたのか。新鮮味がないなあ。」
予想される攻撃パターンとその対処法を模索していた時、カレンが何やらブツブツ呟き始めた。新鮮味って何だ。
「あ、あの、カレン?」
「へっ!?あ、ああ、ごめんなさい。何かしら?」
僕に声をかけられ、カレンはあわてて我に返った。
「その、ごめん。やっぱり怒ってる?一応蹴られる覚悟はあるけど。」
「なっ!?失礼ね、私が蹴るとでも思ったわけ?」
僕の謝罪の言葉に、カレンが眉を吊り上げた。しまった、余計なことを言ったか。でもカレン、君はさっき自分がしたことを忘れたのか?
「べ、別に怒ってなんかいないわ。でも、二回も見た罰はちゃんと受けてもらうわよ。」
「そ、そうか。……いや待て、怒っていないなら何故、罰を受ける必要があるんだ!?」
するとカレンは真っ赤な顔をしながら、僕の耳元で囁いた。
「えっとね。ね、寝技の練習をしたいから、付き合って欲しいなーって……。」
「え?それってまさか。」
カレンは赤い顔のまま、恥ずかしそうに頷いた。すべてを理解した僕は、また鼻血を出した。そんな僕を見て呆れるかのように、風が屋上を舞っていた。
以上です、支援ありがとうございました。
ギャグになりきらなかった……。
>>348
GJ寝技www
癒されるライカレです
風のスカートめくりというお約束の題材で楽しませてもらいました
貴公の次回の投下を全力でお待ちしております
>>348 余暇卿、GJでした!
ナイスだ、風、もっとやれwww
ギャグにはつきものだよね、鼻血ブー。
しかし、寝技てw
貴公の次の投下を全力でお待ちしております!
10:50くらいから投下しようと思いますが、誰かいらっしゃいますか?
居ますよ!
ではでは…年下専門です、長編の続きを7レスほど投下します
タイトルは「優しい世界で目覚めて 第六話 ある朝のハプニング」
・ギアス篇と学園篇の複合エンド後にしてR2終了後からの話
・ライは黒の騎士団入ってて学園篇エンドを迎えた、ルート的にはランペルージ兄妹メインに万遍なく頑張ったライ君
・ジャンル傾向はほのぼのしんみり系
・カップリングは現時点ではなし
・アフターに関しては情報が少ないため、自己解釈の要素を多分に含んでいます
夜もとっぷりと暮れた丑三つ時。
ギシ、ギシと木製の廊下を微かに軋ませながら一つの小柄な人影がライの部屋のドアノブを掴む。
ギィィ……
開け放たれた扉の向こう側にはベッドの上でグッスリと眠る銀髪の少年の姿がある。
だが、人影はそれを確認することなく蝶が花の蜜に吸い寄せられるようにふらふらとベッドへと向かう。
もぞもぞ。
人影がベッドの端から潜り込んで行く。
布団を持ち上げられたことによる寒気と、侵入者の気配にライの意識が僅かに覚醒した。
しかし、相手が殺気や敵意を持っていなかったことと、疲れがたまっていたことが災いし、ハッキリとした覚醒には至らない。
それどころか、ぬくもりを持つ小柄な身体をこれ幸いにと引き寄せると湯たんぽ代わりにぎゅっと抱きしめる。
「すぅ……」
「ん……」
抱きしめられたほうは最初こそ少し苦しげな表情を浮かべたものの、すぐに心地良さそうな顔つきになって眠りについた。
ちゅんちゅん。
雀たちのモーニングコールに、まどろみからゆっくりと目覚めていく。
カーテンの隙間から太陽の陽射しが差し込み、ライは眩しさに目を細めた。
「朝か……」
元とはいえ、王をこなしていたライの朝は早い。
グッと背伸びをすると、半身を起こして眠気を追い出し完全に目を覚ます。
「ルルーシュは……いないか。またナナリーの寝顔でも見に行っているんだろうな」
軽く周囲を見回してみるものの、親友の姿はなかった。
幽霊になってからは眠る必要がなくなったルルーシュは24時間フルに動き回ることができる。
しかも半ば瞬間移動並のスピードで移動できるらしい彼は、暇さえあればブリタニアに出かけるのだ。
勿論、その目的の大半は妹であるナナリーに会いに行くためなのだが。
「……いい加減、強く注意したほうがいいよな。いくら兄とはいえ、年頃の女の子の寝顔をそう簡単に見ていいわけないし」
少なくとも自分は妹に対してそんな真似をしたことはない。
まあ、同じような状況になればやるかもしれないが、問題はあくまで今である。
ルルーシュのシスコンを抑制する。
黒の騎士団時代にこなしたどの任務よりも困難な問題の解決に向け、ライは気を引き締め―――
支援
支援
ふに。
「ん?」
―――ようとして、怪訝な表情になる。
払いのけようとした布団がやけに柔らかいのだ。
ふに、ふにっ。
芯がありながらも、確かな弾力と柔らかさを兼ね備えた感触がライの手に伝わる。
あまり大きくない、しかし確かな存在感を持つその感触は明らかに布団のものではなかった。
(ええと……)
身体が硬直し、全身に嫌な予感が走る。
まるでルルーシュの目の前でナナリーを抱きしめてしまったかのような、そんな嬉しヤバイ感覚。
両目だけを器用にそろそろと動かし視線を下降させる。
はだけた布団の下から、小柄な女の子の姿が見えた。
ピンク色の髪に、白い透き通るような肌。
髪の色と同じ、ピンクのパジャマ(オレンジのアップリケ付き)が妙にマッチして可愛らしい。
「ア、アーニャ……っ!?」
そう、ライの横には同居人の一人であるアーニャが眠っていたのである。
慌てて周囲を再度見回してみるが、間違いなく眠りにつく前と同じ内装の部屋が見えた。
つまり、少なくとも自分がアーニャの部屋に入ってしまったということはなさそうだ。
(寝ぼけて僕の部屋に入ってきたってことか……?)
考えられる可能性としてはそれしかない。
まさか年頃の女の子が夜、近い年齢の男の部屋に意図的に侵入するなど……
(いや、一人いたな……)
脳裏に思い浮かぶのは緑色の長い髪の少女。
年頃の女の子と定義していいかは疑問の余地があるが、彼女ならばやる。
というかやられた。
それはちょうど今と同じようなシチュエーションで、朝起きてみれば隣にワイシャツ一枚のC.C.がいたことがある。
あの時は心臓が止まるかと思った。
最初に部屋に入ってきたのがルルーシュでなければどうなっていたことか……
支援
(って、そうじゃなくて)
回想にふける自分に突っ込みつつ、ライは冷静に状況を分析し始める。
C.C.の時は相手の確信犯だったが、アーニャが同じ事をするとは思いにくい。
悪ふざけが大好きな緑の魔女ならばともかく、この少女がこういった行動に及ぶはずがないのだ。
いや、あるいはありえる話かもしれないが、その場合彼女はハッキリとこちらに申し出てくるはず。
(と、とにかくすぐにベッドから出ない―――と?)
「……ライ?」
一通りの思考を終えたライは、とりあえずベッドから出るべく動こうとし、そしてその声に再度硬直した。
いつの間にか、アーニャが目覚めている。
瞼に隠されていたはずの真紅の瞳がまっすぐに自分を捉えていたのだ。
「あ、あああああああ、あーにゃっ!?」
激しくどもるライ。
それはそうだ、この状況は限りなくマズイ。
いかに過失が相手側にあろうと、こういう場合は男が悪いと相場が決まっている。
これで悲鳴でも上げられた日には婦女暴行の現行犯で逮捕されても文句は言えない。
まあ、アーニャが悲鳴をあげるなど想像もつかないが。
「ここ、ライの部屋……どうして……あ」
「あ」
ベッドの上の男女の声が重なると同時に、ライは自身の致命的なミスに気がついた。
それは自分の右手の位置。
大きく広げられた右の掌は、布団を剥がそうとしてわしっと何かを掴むような形をとっている。
だが、掴んでいるのは布団ではない。
寝乱れたピンクのパジャマの胸元。
ぶっちゃけていえば、アーニャのおっぱいをライの右手はこれでもかとばかりに握ったままだったのである。
「え……え……?」
未だ事態が把握できないのか、アーニャの困惑した声が少年の耳朶を貫く。
真紅の瞳が何度も自身の胸とライの顔を往復する。
やがて、自分の状況を理解したのか、アーニャの顔が徐々に紅潮を始めた。
支援
支援
「う、うわ、ごめ……!」
目の前の少女の意外な女の子らしさに少し胸をときめかせつつ、ライは慌てて手を離そうとする。
だが、それよりも早く視界に黒い影が映った。
アッシュフォード学園の制服を着た人形サイズの少年。
つまりは、ルルーシュがそこにいた。
「ライ、お前……」
「ご、誤解だ!」
「すまない。戻ってくるのが早すぎた」
男女の濡れ場に免疫がないのか、顔を真っ赤に染めたルルーシュ。
動揺しているのが丸わかりな幽霊少年は、後ろを振り向くとふらふらと壁を抜けてその場を立ち去っていく。
「ま、待ってくれル―――!」
なんとかルルーシュを引きとめようとしたライだったが、その行動が更なる喜劇を生んだ。
突然の第三者の出現に、どかしかけていた右手が予定とは違う動きをしてしまったのである。
ルルーシュが現れたのはアーニャの背中側。
つまり、彼を引きとめようと動けば当然手は前に向かうわけで。
ふにっ!
「ひあっ」
「わあ!」
想像すらできなかったアーニャの悲鳴は存外に少女らしく可愛らしかった。
などと悠長な感想を抱けたのもほんの一瞬のこと。
現実を認識したライは今度こそ身体ごと右手を引き、少女から距離を取る。
「ご、ごごごごごごめん!」
ベッドの隅に移動し、平身低頭で謝る。
それが今のライにとれる唯一の選択肢だった。
果たしてアーニャは許してくれるだろうか。
事故とはいえ、女の子の胸を触ってしまった、というか揉んだ。
しかも最後は割と強めに。
普通の女の子ならば泣き出すか、怒るかのどちらかだろう。
恋人同士ならばあるいは照れるだけかもしれないが、あいにくアーニャと自分はそんな関係ではない。
拷問のような静寂が部屋に訪れる。
(お、怒ってる……? まさか泣いて……いやでもアーニャだし)
俯いているアーニャの表情は見えず、今彼女が何を思っているかは窺い知れない。
しかし、少なくとも自分に対して負の感情を持っているのは間違いないわけで。
ゴクリ、と喉を通る唾の音がやけに大きく聞こえてしまう。
(けど、柔らかかったな……って何を考えているんだ僕は!)
少女の胸のぬくもりが残っている掌は頼りなく宙をふらついていた。
思わず右手を見つめてしまった自分を叱咤するライ。
そんな彼の様子を見て取ったのか、アーニャの身体が僅かに身じろぎをした。
「ライ」
自分の名を示すそのたった二文字を聞いて、ここまで緊張したことがあっただろうか。
判決文を読み下される被告人の心境で、ライはジッと少女を見つめる。
顔を上げたアーニャは、紅潮した頬を震わせゆっくりと唇を開き―――
「オォォォォル・ハイル・ルルゥゥゥゥーーーーッッシュ!!」
ライ共々、窓の外から聞こえてきたその叫び声に後ろへと倒れこむのだった。
「ハッハッハ! それは災難だったなライ!」
「いや、笑い事じゃないですよ……」
朝食の席でジェレミアが高らかに笑う姿をライはジト目で見つめる。
あの後、あまりの驚きにハプニングがうやむやになった形の二人は表面上何事もなかったかのように朝食のテーブルについていた。
とはいえ、ライもアーニャもお互いをまともに見れないのか、明らかに視線を合わせようとはしていない。
「しかし吃驚しましたよ。なんなんですか、あの叫び声は」
「驚かせたようですまなかったな。あれは朝の日課でな、ルルーシュ様への忠誠を表しているのだよ」
「日課って……今まで聞いたことがなかったんですが」
「いつもは自室で叫んでいるのでな。今日は……気分だ!」
「いや、気分って……」
理解不能な日課を誇るように説明するジェレミアに頭痛が抑えられない。
ルルーシュへの忠誠の証にやっていることだそうだが、意味がわからないにも程がある。
いや、勿論ジェレミアの中では意味がある事柄なのだろうが。
すいません。急用ができたので、最後の支援になります。
支援
というか、そもそもあの大声が自室だからといって今まで聞こえなかったのもおかしい。
「ジェレミアの部屋は、防音……」
ライの思考に答えるように、アーニャがぼそりと呟く。
ご近所がいない以上、あの声に迷惑している人間がいるとすればそれは彼女の他にはいない。
防音部屋もきっとアーニャの発案なのだろう。
そっと対面の少女に同情するライであった。
「そういえば、昨日もあの馬鹿者達が来たそうだな」
「ええ、まあ……」
「何度も断るといっているのに、しつこい奴らだ。まあ、その忠義心だけは認めてやってもよいのだが……」
朝食を終え、食後のオレンジジュースを飲みながらジェレミアは渋面を作る。
勿論これはジュースが苦いのではなく、白の騎士団に対しての感想だ。
「自分達の活動がルルーシュ様の御心にそぐわないと何故気がつかないのか……まあ、そう簡単に気がつくようでは意味がないのだが」
ふと、遠くを見るような目でジェレミアは呟いた。
確かにゼロレクイエムの真の目的を理解することは難しい。
黒の騎士団の面々、そして妹のナナリーとて、最後の最後で悟ることができたくらいなのだから。
ルルーシュと交流があったわけでもない他人が、その思惑を理解できようはずもない。
「しかしここ最近は訪問の頻度が増している。もしや何かを企んでいるのかもしれん」
「何か、とは?」
「そこまではわからん。だが、奴らは現状を快く思わないものばかりが集まった集団だ。
来週にはトウキョウで超合衆国のサミットもある。何事もなければよいのだが……」
懸念するようなジェレミアの表情にライも不安を隠せなかった。
軍事力という点では、今の世界でゼロを頂点とする黒の騎士団に勝る組織は実質的に存在しない。
戦略ではシュナイゼル、戦術では黎星刻、そして直接的な戦力ではゼロを筆頭とした優秀なナイトメアパイロットが揃っている。
特にゼロ―――スザクの操るナイトメア『アーサー』は現時点において世界最強の兵器といっても過言ではないだろう。
ラクシャータ・チャウラーとロイド・アスプルンドの共同制作によって造られたこの機体は
かの最終決戦時に両陣営のエース格だった『紅蓮聖天八極式』と『ランスロット・アルビオン』を上回る機体性能を誇り
この機体を乗りこなすことができる人間は実質的にゼロのみと言われている。
正直、この集団に真正面から戦闘を挑むのは自殺行為と断じても良い。
支援
しかし、テロリストというものはおしなべて真正面から戦うという選択肢はとらない。
超合衆国成立前の黒の騎士団とて、ゼロの知略を頼りにした奇策がほとんどだったことを見れば納得できるというものだろう。
要人を人質にとる、爆弾を設置する、自爆覚悟の玉砕をする―――ギアスを使う。
いくらでも戦力差を覆す方法は存在するのだ。
とはいえ、ギアスはともかく他の手段に関しては十分に予防策が取れる以上、そうそう黒の騎士団が遅れをとることはない。
唯一の懸念であるギアスとて、使い手がことごとく死を迎え、ライのみとなってしまった以上さしたる問題はない。
ライ自身にテロリストに加担する魂胆はないのだし、最悪の場合でもギアスキャンセラーを持つジェレミアがいるのだから。
(いずれ、ジェレミアさんにはきちんと僕のことを話しておいたほうがいいだろうな)
唯一、ギアスの暴走を食い止める手段を持っている人間に自分がギアスユーザーであることを黙り続けているわけにもいかない。
過去のことも話すことになるのだろうが折を見て話をしなければ、とライは心にとどめておく。
「しかしだ。白の騎士団というネーミングはいかがなものだと思わないか?」
「え?」
「そもそも白という時点で話にならん! つけるならばオレンジだ! そう思わないかライ!」
暑苦しい顔を近づけて熱弁してくるジェレミアに、思わず椅子ごと後退してしまう。
シリアスな話をしていたはずなのに、急にグレードが下がった問いかけにライは目を白黒させる。
(た、助けてアーニャ!)
返答に困り、助けを請うライ。
しかし視線の先のアーニャは目を合わせたかと思うと、ぷいっと即座に頬を赤らめながら顔を背けてしまった。
怒っているのか、照れているのか、それとも単に関わり合いになりたくないのか。
多分全部なんだろうな、とライは半ば絶望的な気分になりながら上手い言葉を探す。
「え、ええっと……」
ピンポーン。
その時、来客を示すチャイムの音が高らかに鳴り響いた。
これぞ天の助けとばかりに椅子から飛び離れて玄関へと駆け出す。
「はい! どなたですか?」
救いの神の顔を拝むべく、ライはドアを開け放つ。
仮に来客者がまた白の騎士団の男達だったとしても、今なら歓迎できそうだ。
光が差し込み、来客の姿が視界に入る。
そこにいたのは―――メイド服を着た、ライの良く知っている女性だった。
支援
投下終了、支援感謝です。
本文量の問題でレスを分割せざるを得ずレス数が増えてしまいました、すみません。
最後の女性はバレバレだと思いますが、あえて何もいわない方向で。
ようやく話がゆるゆると動き始めます。
>>372 GJでした!
ライのうっかりエロな所がでましたね〜w
それにしても、アーニャがカワイイwww
>>372 乙でした。
うーん、『アーサー』の名前を使っちゃってるということは、この話ではライはKMFでの戦闘に参加しない方向なんですか?
>>372 乙でした!
すっかりオレンジが忠義の名前、誇りの色に。
アーサーの名前に猫型巨大ロボを想像したのは自分だけではない…ハズ。
基本ほのぼのながら、孕む火種にドキドキが止まらないです。
>>374 展開に関する質問はしないで欲しいんだ。
大切な楽しみのひとつなんだ。
>>375 失礼したorz。でも『アーサー』に関する発想は同じみたいですね。某熱血Gのお馬さんみたいに…。
なんという嬉し恥ずかしハプニング!?
>>372 年下専門卿、GJでした!
アーニャの反応がなかなかのGJ具合でした。
叫ぶの日課www 色を否定てwww
流石、オレンジを忠誠の名と言い切った男!
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
>>375 それだとアーサーがアーサーに乗ることに……
トリスタンちっくに可変したら面白いよね。
379 :
377:2008/10/15(水) 18:18:01 ID:x+aTOWbR
>>376だ……orz
無駄にレス使ってごめんなさい。
>アーサーがアーサーに乗ることに……
なんてイヤらしい……
20時30分ごろに投下したいと思います
どなたか支援お願いします
支援します。
では支援をば
支援感謝します
えーそれではSSの説明をします
・ライの女装ものなのでそういうのが嫌いな人はスルー推奨です
総レス数これをいれて13になる予定です
あと今回からコテをつけようと思います
次から投下します
(あぁなんでこんな事になったんだろう。)
心の中でため息を吐く
「ほぉら、動かないライ」
多少うつ向きかげんだったライの顔に、細く綺麗な指が掛かる。
―頬に触れる指は心地よい冷たさだった。―
暫くそのまま触れられて……痛い
「いひゃいでふよミヘイはん(痛いですよミレイさん)」
頬に当てられた指は、見事に僕をつねっている。
つねられている為うまく喋れなかったが、理解してくれたのだろう。
つねるのを止めて。その手を顎にあてがい顔を持ち上げる。
「男の子なんだから動かないの」
「その…正直恥ずかしいんですけど」
顎を手で抑えられているため、顔を動かせない。
仕方ないので目線だけ横にずらした。
「恥ずかしがる必要なんてないじゃない」
「恥ずかしいに決まってます!」
渾身の力を込めて返事を返す。
大きな声を出した為か、ミレイさんは一瞬ビクッとすくみ上がった。
「あ、そのすみません…。」
今度は視線だけ下に向けるライ
―いまだ顎を抑えられているため―
気まずい空気が辺りを支配する。
時間にして5、6秒くらいだろう、向かい会いながら座っているためか。
空気に耐えられなかった、ミレイさんから切り出してきた。
支援
「ねぇ、そんなに…嫌なの?」
上目使いに覗きこんでくるミレイさん、ライは顔には出さないように照れた。
(その仕草は正直ズルイですよミレイさん)
「いえ、そのやっぱりやめませんか?」
「なんで?貴方初めてじゃないでしょ」
矢断ぎばやに、攻めたてるように言葉で迫るミレイさん。
「ですけど」
「いいじゃない減るものじゃないし」
そう言いながら、左手でライの顎を抑え徐々に近寄るミレイさん。
「僕はすり減るとおもうんですけど」
そう呟く間にも徐々に近寄るミレイさん。
しかし、一定の距離まで近寄ると、パタッと止まる。
そして右手に持っている物を、ライの頬に優しく当てる。
「そうかなぁ、たかが女装じゃないの?ライ」
眉をひそめながらライの頬に当てたパフを動かしながら、呟きに言葉を返すミレイさんであった。
――――――――――
―朝起きたらそこは一面の女生徒用の制服だった―
いつものように起き、クローゼットを開ける。と何故か、男子制服が無く、女子制服が入っていた。
呆気にとられるライだったが、制服にメモが挟まっているのに気づく。
メモを見るとそこには
『生徒会室に来なさい、ちゃんとその制服きてくるように。』
支援
こんなメモをみなくてもわかっている。
クローゼットの中を、全て変える行動力は彼女しかいない。
アッシュフォード学園現生徒会長ミレイ・アッシュフォード―僕の保護者でもある。
頭の片隅に、ピースをしながら笑うミレイさんがよぎる。
「全くあの人は…」
肩を落としため息をつく、そのまま地面に座り込みたいが、顔を上げもう一度確認する。
「やっぱり着なきゃ駄目なのか…」
声に出したのは自分に言い聞かせるためだ。
散々悩んだ挙句、覚悟を決め制服に手をかける。
時間が無いのだ。暫くすると一般生徒が登校してきてしまう。
ならば、悩む前にちゃっちゃか着て生徒会室に行こう
それで全てが終わる。
―そう終わるのだ。彼の甘い甘い考えが…
足がスースーする。それが、女制服を着た感想だ。
(まさかスカートにホックとチャックが着いてるなんて、意外にめんどくさいなぁ)
なんて考えながら廊下を歩く―勿論、壁に張り付くように息を潜めながら。
周りを窺いながら足音をたてないように
(正直こんな恰好で歩いてるのを見られたら、確実に変態のレッテルを貼られる…)
見つかる恐怖に悶絶しながら、コソコソと忍足で歩く
支援
支援
(よく考えたらパジャマ着て、生徒会室まで行けば良かった)
響く足音が廊下を支配する。
静寂な空間に響く足音が二つ
ライは、咲夜子さんに見つからないように極めて慎重に、しかし足早で大胆に
―あの人に見つかったら、何を妄想されるか、もしそうなったら確実に、僕はウケだ―
部屋に戻りパジャマに着替え部室に行くか、それともこのまま行くか。
二つの葛藤に悶絶しながら部室前まで到着する。
何故か生徒会室の扉がとてつもなく大きく感じる。
扉を開ける為にノブに手をかける、開けるとそこには満面の笑みを浮かべたミレイさんが
――――――――――
「よ〜し、ベース終了」
顔全体を塗り終わったらしくパフを置き。
両手で顔を固定し、真正面に向ける。
「……なんかムカつくわね」
「ですねー、ほんとベースだけで十分って、ヘコむんですけど」
いつの間にか居たシャーリー覗き込むようにして口をはさむ。何故だか声も少し努気をはらんでいる
「顔立ちは整ってたから、化粧したら変わると思ってたけど、ベースだけで十分って………こう……なんていうか」
何かを察するように、シャーリーがそっと会長の肩に優しく手を置く、なんとなく表情が悲しそうにみえる。
支援
「わかります、会長」
二人の間に何かが漂う、それは女同士シンパシーなのだが、いかんせんライは男である。
二人の間で何か通じるものがある、という事は感じとれたがそれだけだ。
(ここで声をかけたら、何か解らないけど、とばっちりがきそうだなぁ)
彼は読める男なのである
「……さてと後は眉毛とリップだけでよさそうね」
「………ですね」
先程の何かをひきずっているお陰で、生徒会室の中は重苦しい雰囲気で満たされている。
この空気は、自分のせいで発生したことは理解できる
だが何が原因かは皆目検討がつかない
「あの、そういえば髪型はどうするんですか会長?
流石にこのままじゃ、皆にすぐばれるとおもうんですけど」
空気を変える為に新しい話題をふるライ
「あ〜髪型ね、そろそろニーナがウィッグ持って来てくれるはずなんだけど」
ガチャ
ドアの空く音のほうを見るとそこには、丸いメガネをかけた黒髪のおさげの少女が立っていた。ニーナである
「お待たせミレイちゃん、カツラ持ってきたよ」
先程ミレイさんが言っていたように、どうやらウィッグを持って来たようだ。
たぶんニーナが探してきたウィッグを入れたボストンバックを両手で持ち抱えている。
支援
そのため足元がおぼつかない様子だ。
それを見たシャーリーが振り向きニーナに近寄って行く
「ありがとうシャーリー、ごめんなさい」
ニーナは自分自身に自信が無い、そのせいか自分を乏しめる傾向にある
「こら、謝んない別に悪いことしてるわけじゃないでしょ」
ごめんなさいに反応するように
ミレイさんが諭すようにニーナに話しかける。
「そうよニーナ」
シャーリーがバックの持ち手を半分持つ
「友?
切れてる?支援
「友達に遠慮しない」
ニーナに向かってシャーリーは軽くウインクする
「うんそうだね、ごめんなさい、あ」
自分の口からまたごめんなさいと言ってしまったのが恥ずかしかったのか
顔がみるみる赤くなっていくニーナ
そんな姿を見て僕はクスリとちょっと笑ってしまった。
ニーナとシャーリーの二人でボストンバックを机に置き、中身を広げる。
「へぇ、色々あるんだね」
ウィッグを持ち、しげしげと眺めながら呟くシャーリー
「もうちょっと持ってきたかったんだけど、場所がわからなくてこれだけしか見つからなかったの…ごめんなさい」
シュンとした感じで謝るニーナ、悪くも無いのに謝るニーナ
それに反応するようにミレイさんがニーナに近づいていき
これも?支援
「ほーらまた謝った罰としてギューとしちゃうぞ」
ワキワキと指をくねらせながら近づいていくミレイさん、正直それは親父臭いと思いながら鑑賞することに決めたライ
ニーナをガッシリ抱擁し
「よくやったニーナ」と褒めるミレイ会長
ちょうどニーナの頭が胸に埋まる形になる
残念ながら、ライの位置からでは確認出来ない
「ミレイちゃん………苦しい」
顔が埋まったままなのか声がどもっている。
「あ、ごめんねニーナ」
ニーナの言葉に反応して手を離すミレイさんちょっと恥ずかしかったのか顔が微妙に赤く染まっている
「大丈夫だよミレイちゃん」
「なぁに、やってんですか会長」
和気あいあいと会話する三人
女の子特有のピンクな空間が目の前で展開されている
しかしライは口をはさまない
彼は読める男なのである
しばらく目の前で展開されている。
ピンク空間に口を挟む事もなく、黙って見つめていた。
「やっぱりロングですよ」
力強くそう主張するシャーリー。
10分ほどピンク空間が展開されていたがほどほどに切り上げ
早々にライの髪型選びに切り替える三人
「その…ミディアムがいいと思う」
控え目に主張するニーナ
支援
(しかしよくあの雰囲気から抜け出せたな、やっぱり男と女じゃ考え方の違うのかな)
そんな事を考えながら、目の前の三人が
取っ替え引っ替えウィッグを変えていく。
「やっぱりショートでしょ、クールボブで決まりでしょ」
少々興奮気味にウィッグを被せ、良く解らない単語がミレイさんの口から飛び出す。
(クールボブ?冷静なボブ?誰だそれは?)
流石のバトレー将軍も髪型まではインプットしていなかったようだ。
「え〜会長、クール系はないですよ。ライ君の顔どちらかといえばキュート系じゃないですか?」
反論しながら違うウィッグを被せてくるシャーリー
取り方が荒いせいか髪が巻き込まれる。
(痛いよシャーリー)
涙目である
しかし彼は
読める男なのである
「巻き込みくせっけ風ロングがあうじゃないですか」
こちらもテンション高めである
謎の呪文みたいな単語がシャーリーの口から出ていく。
(巻き込みって皮肉かいシャーリー)
「うーんそれなら、こっちのアレンジボブのほうがよくない?」
またもやミレイ会長の口から謎の言葉が飛び出す
(アレンジボブ?整頓するボブ?一体何を整頓するんだボブ?)
支援
一体ボブはどこへ向かおうとしているのだろうか支援
ライの頭の中ではボブという人物が気になりだす。
しかしライは気づいてないが、ボブは髪型の一種である。
「その、やっぱりミディアムカットが似合うと思う」
か細い声をだし、控え目に主張するニーナ
(ミディアム?肉の焼き方かな?……お腹空いたな)
ライの脳内では、ジェレミアと仲良くハンバーグを食べてるボブの妄想が展開している。
「なかなか決まらないわね。も〜どうしようか」
「やっぱりミレイちゃん、その髪は短いほうがいいと思う。洗うの面倒だし」
提案するように発言するニーナ
「あ〜、やっぱ面倒なの二人とも?」
おざなりに置くようにウィッグを僕に被せ二人の方に振り向く
「うんかなり面倒だよミレイちゃん。こう、ねじり込むように洗うからシャンプー七回位使うし、時間も一時間かかるし
切れないようにコンディショナーもかけるから二倍かかるし」
(なら切ればいいじゃないかニーナ)
そう思いながら口に出さないライ
そんな事を言えば、集中砲火確実だからである。
支援
「そうですよ会長、私なんて水泳やってるから、髪がガビガビになるし洗うの大変だし
それに枝毛も面倒ですよ」
手に持ったウィッグの毛先をいじりながら、ニーナに同調しシャーリーも同意する
「あ〜、ていうか別に髪洗うの関係ないじゃない、どうせ1日だけしかつけないんだし」
半眼で手にもったウィッグを、クルクルと回転させながら喋るミレイさん、疲れたのか声のトーンは下がり気味だ。
困ったような表情をするニーナ
まぁ実際困った状況になりつつある
時間が迫っているのだ。
流石に授業に出ない訳にはいかないルルーシュとは違うのだ。
「そういやエレガント系ためしてなかったわね」
ポツリと呟くミレイさん
「そういえば試してませんでしたね」
シャーリーも同意する
「じゃあ試します?」
ニーナが持っていたミディアムカットの金髪を僕に被せる
「そうねシャーリー、アイロン持ってきて」
パチンと指をならすミレイさん。
「ハーイ会長どうぞ」
献上するように頭を垂れて差し出すシャーリー
「うむ、くるしゅうない」
シャーリーのノリに合わせるミレイさん
(いつも思うがミレイさんノリがいいな)
早速アイロンを受け取ると
支援
僕の髪(ウィッグ)に合わせクルクルと器用に巻いていく。
テキパキと髪型を作り上げる
そして
「んふー、完璧」
満足した声をあげるミレイさん
顔も喜んでいるようだ。
「うわーうっわー、完璧じゃないですか会長、スッゴいですよライ君」
過剰にはしゃぎ気味なシャーリー
「そのライ君……き、きれ…いです」
ありがとうニーナ、しかし何故に君は赤くなっているんだ。瞳もうるんでいるし。
しかしイマイチ理解できない事がある。
女装した僕をみた三人の反応はいいが、いまだに自分自身で自分の姿を確認していない。
「ほぅら、ライ立ちなさいスタンダップ」
いわれるがままに立ち上がる僕
スカートを穿いてる為か、立ち上がる時自然と内股で立ち上がっていた。
「ほれほれ」
グイグイと背中を押し立ち鏡の前まで押される
そこで始めて自分の姿を確認した。
「これが僕?」
『メモリーズリヴァル』続く
支援
リヴァル!?
以上で投下を終了します
途中切れてしまって1レス増えてしまいましたすいません。
題名は最後の『メモリーズリヴァル』です
お疲れさまでした。
出来ればタイトルは最初に書いたほうが良かったきがしますね。
次回の投下を楽しみにしています。
GJ!面白かったです!続き超楽しみにしてます!
管理人さん早く保管してください!!
だめだ我慢できない。1時間ちかくたつのに保管はおろか謝罪の一言もないとは。前回に引き続き抗議文送ってきます。今度はこちらが納得するまでとことん話し合うつもりです。
おいおい・・・・。
管理人さんにも、都合があるかもしれないだろ。考えろよ
>>412 乙でした。学園物の緩い雰囲気は大好きです。
ただ、。が有ったり無かったりしてるのが少し気になりました。
又の投下お待ちしてます。
>>416 相手にするな
ただの荒らし、クズ以下、生きてる価値無しの馬鹿だ。さっさと死ねばいいのに
結構こんな奴今までもいたし、管理人さんも慣れてしまったかもしれないけど、やっぱり一部の人間じゃない奴ら以外は皆あなたに感謝していますよ
いつもありがとうございます&お疲れ様です
419 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/15(水) 22:34:44 ID:7xFABRw1
管理人さんだっていつも見ていられるわけじゃないだろ我慢しろよ 投下まってます
え〜と空気を読まずに23:00頃から投下したいと思います。
支援お願いしたいのですが、どなたかいらっしゃいますか?
空気の入れ替え、大歓迎です。支援します。
ボブwwwww
>>412 タンドリーチキン卿、GJでした!
何故かタイトルに吹いてしまうw
朝起きて、クローゼット一面、女生徒用制服……ビビるね。
しかし空気読むと段々空気と一体化していくね、ライw
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
423 :
HighQ:2008/10/15(水) 22:55:12 ID:rOu44z9J
支援表明ありがとうございます。
投下はもちろんのこと、SS書くのも初めてというド素人で
2chにも不慣れなもので不手際がありましたらどうかご容赦ください。
・タイトル「狂王の死」
・シリアス系でカップリングはなし
・本編25話のルルーシュが死んだ?ところから始まるIfアフター話です
・ルルーシュの死を認めてますので、私は認めないという方はスルー願います。
では時間になりましたらはじめさせていただきます。
支援
425 :
HighQ:2008/10/15(水) 22:58:09 ID:rOu44z9J
『ゼロ! ゼロ! ゼロ!!』
トウキョウ租界のビルの谷間に悪逆皇帝を討ち、世界の救世主となった英雄を称える民衆の歓喜の連呼が木霊する。
街路へと溢れ出た人々は、見せしめとして拘束された虜囚たちを解放すると
さらに主を失くした皇帝専用車へと殺到しようとしていた。
そこには『仮面の英雄』ゼロと、最後の虜囚であるナナリー皇女が居り
そして、まだ鮮血に塗れた憎き皇帝ルルーシュの亡骸があった。
そんな興奮の坩堝の渦中にいた群衆の中でいったい如何ほどの人間が
遥か上空から聞こえて来た飛来音に気づいただろうか?
徐々に高まる飛来音と、いまや瞬く光点として認識できるようになった異変に人々を足が止まった。
そこに数条の赤黒い光弾が皇帝専用車の周囲のアスファルトを穿つ!
蜘蛛の子を散らすようにその周囲から逃れ、ソニックブームのような衝撃に吹き飛び転がりながらも
振り向いた先には青いエナジーウィングを拡げ、街路からわずかに浮揚する一機のKMFがあった!
群青と銀色に彩られたガレス型のKMF。
支援
427 :
HighQ:2008/10/15(水) 23:00:33 ID:rOu44z9J
いや、その機体を睨み見上げる黒の騎士団の幹部たちならば、ガウェイン型と称しただろうか?
その歓喜の坩堝に冷水にあびせかけるように現れたKMFにはMVSとハドロンライフルが握れられており
そのMVSの切っ先は英雄ゼロの眼前に、ライフルの先端は群衆へと向けられていた!
静まり返る街路に金属音が響き、その着地を報せるがそれぞれの凶器の切っ先は獲物を捉えたままだ。
そしてKMFの外部スピーカーは若い男の声を吐き出す。
『私の名は、ライ・ランペルージ。 新生ブリタニア帝国軍を代表し推参にした。
ゼロよ、わが申し出をお聞き届けいただきたい!』
そのKMFベディヴィエールのコックピットで銀髪の騎士は、ゼロの返答を待ちながらモニターが映し出す
皇帝の亡骸を見つめながら、心中で静かに眠りについたばかりの友へ語りかけていた。
(やあ、ルルーシュ。 僕はまた間に合わなかったようだけど君はうまくやれたかい?)
支援
429 :
HighQ:2008/10/15(水) 23:02:36 ID:rOu44z9J
ライ・ランペルージ!?
突如として現れたKMFに騎乗しているのであろう騎士の名乗りに、人々は再び恐怖に陥ろうとしていた。
その名を知ったのはそう古いことではないのだ。
そう、たった2ヶ月前にこの『日本』という国のフジ上空での決戦が行われていたその時、新生ブリタリア帝国軍は世界の各地でも超合集国連合軍やEU連邦軍とも対峙していた。
両軍が互いに敵軍を足止めし睨み合う、いつ崩れるかも知れないパワーバランスの拮抗。
その状況を打破するべく行われたフジ上空の決戦であったにも関わらず、その勝敗が世界を駆け巡る頃には新生ブリタニア帝国は世界の各地で戦略的優勢をほぼ手中に納めかけていた。
ある場所では局地的勝利を治め、またある場所では膠着を維持し、じわじわと『世界』の首を締め上げようと全世界に散らばる戦線を睥睨し、その指揮を統括していたのが彼だとブリタニアは喧伝していた。
それだけではなく、ルルーシュ皇帝による粛清ではその血にまみれた悪鬼の爪を振るい、『フレイアの恐怖』を背景に各国首脳を屈服せしめた悪魔の弁舌を用い、ついにはEU連邦までも陥れてみせた。
支援
431 :
HighQ:2008/10/15(水) 23:04:32 ID:rOu44z9J
ナイトオブゼロ『裏切りの騎士』枢木スザクを亡き者にしたにも拘わらず、新たに現れた世界を覆う蒼い悪夢。
皇帝ルルーシュの世界統一を、影に潜み実行してきた『悪夢の将軍』ライ・ランペルージ!
そのランペルージ将軍がいま自分たちにその銃口を向けているという現実に群衆は怯えていた。
だがしかし皇帝代理として皇帝から離れ、EU連邦との超合集国憲章批准の場へ出向いているはずの
彼が何故この日本にいるのか?
「貴様! 話しを聞いて下さいと言いながら剣を突きつけ、銃を民に向ける! ルルーシュの将兵は将軍までも恥を知らんのか!?」
裂帛の怒声とともにラベンダーの髪の女性将校がKMFの前へと走り出て剣を突きつける。
続くように自動小銃を構え、総髪にサングラスの男と褐色の肌の女性がその脇をかためる。
しかしKMFはそのファクトスフィアを彼らに向けることはなく、ただ外部スピーカーから彼らへの返答が漏れ出るだけだった。
『では、これは外交交渉であると申し直せばよろしいでしょうか? コーネリア皇女殿下』
支援
支援
434 :
HighQ:2008/10/15(水) 23:06:25 ID:rOu44z9J
再び群衆に驚愕が走った。
まさかゼロの皇帝殺害と共に解放を叫び、自分たちを先導した女性がまさか元エリア11総督だったとは!?
しかしコーネリアはその驚愕を省みることもなく、生身をKMFの前にさらし烈火のごとき糾弾の声を挙げる。
「詭弁を申すか、この脆弱者め! そなたが申すようにこの状況を外交交渉と言うのならば
KMFの中で隠れずにその身を我らの前にさらすがよい!
それともルルーシュの部下は主と同じく誇りも矜持もなく、逃げさったオレンジのように臆病者ばかりか!?」
『我が同志ジェレミア卿だけでなく皇帝陛下までも罵倒されることは看過できません。
・・・よろしいでしょう、皇女殿下の言に従い我が身をゼロの御前へと差し出しましょう』
そう、スピーカーから流れ出た言葉が終わると共にKMFのコックピットハッチが開く。
『予め申し上げておきますが、くれぐれも姿を現すと同時に
私に危害を加えようなどという企みはなされませんように。
スイッチひとつでこのベディヴィエールに搭載したサクラダイトが爆発いたしますので』
支援
436 :
HighQ:2008/10/15(水) 23:08:37 ID:rOu44z9J
群衆は再びの脅迫に腰を引かせながらも固唾を飲み
いまKMFの中から姿を現そうとする『悪夢』の姿に注視していた。
ランペルージ将軍の姿はその悪名の喧伝にも関わらず、どのようなマスメディアにも露出されたことはなかった。
その事実が、異称『悪夢』のイメージに拍車をかけていたのもまた事実だった。
しかし、ついにその姿が白日のもとにさらされようとしていた。
そして群衆は今日だけで幾度となく繰り出される驚愕の衝動に、本当は悪夢にうなされているだけではと自分たちの頭を疑いたくなったのだった。
そこに立っていたのは強面の職業軍人の姿でもなく、酷薄そうな軍官僚の姿でもなかった。
いまだ成年に満たず、青年と呼ぶより少年と呼ぶのが相応しい姿だったのだ。
皇帝ルルーシュも、ナイトオブゼロもそうだった!
《世界はたった3人の少年たちに壊されるほど脆弱なモノだったのか!?》
支援
438 :
HighQ:2008/10/15(水) 23:11:25 ID:rOu44z9J
その青年、いや少年は周囲の動揺に関わろうとすることもなく、KMFの上でその銀色の頭をゆるりと巡らせる。
その細い身体を包むのはパイロットスーツではなく、黒い騎士装束。
その右手に握られているのはクイーンの駒に擬した起爆スイッチだろうか?
銀糸に縁取られた群青のマントがわずかな風に、その裾をはためかせていた。
*
私が・・・、いや僕が“目覚めた”のは不思議な回廊が続く世界だった。
そこを『Cの世界』と呼び、僕をここへと招いた緑髪金瞳の魔女はわずかばかりの謝罪の後、僕に言った。
「力を貸してほしい」と・・・・。
そして魔女は語る。
魔王と白騎士に訪れた運命の数奇と過酷を、悲劇と対立を、そして時のない世界で彼らが下した決断を。
かつて僕がいた時の中で、彼らが望んだ和解ではなく、互いを理解しながらもそれぞれの目的の為への協調。
それ故か、僕が“現実”に眠りから目を覚ました時に感じたのは
やさしい魔女が彼らから僕の『身勝手な呪い』を解いておいてくれたにも関わらず
わずかばかりの再会の歓びと、それを覆い隠さんばかりの悲しみだった。
支援
440 :
HighQ:2008/10/15(水) 23:13:48 ID:rOu44z9J
彼らの導き出した『答え』は、幾千の言葉を費やしても変わることはなかった。
だから僕も決断した。
そのために忌み嫌う、壊れたかつての仮面を着け、魔王の“優秀な道具”として世界に狂気を振りまこうと。
そして僕はいまや我が主となった友に、『皇帝』に求めたのだ。
世界に散らばる軍事情報を集積・解析できる高速小型艦と、それにリンクし端末としての機能も果たせるKMFを。
彼らは気づいただろうか?
僕が、通信・情報収集・解析機能を特化させたカールレオン級艦に『グラストンベリー』の名が与え
ドルイドシステムなど考慮にも入れず、ただ機能を詰め込める大きさから選び、機動性を改修・強化した
ガウェイン型KMFを『ベディヴィエール』と名付けた、その意味を。
どのみち魔王も白騎士もいまはすでに亡く、そのことに思いを巡らす意味を失くした。
だから今こそ、僕はルルーシュとスザクの遺志に反逆する!!
(続く)
支援
sien
443 :
HighQ:2008/10/15(水) 23:26:00 ID:rOu44z9J
以上で投下終了です。
なにか忘れてると思ったら、総レス数の宣言と
ロスカラの何篇が前提か書き忘れてる・・・orz
え〜と(続く)と書いたとおり続きを書きます。
ギアス篇ENDを前提にした前・中・後の3編で済む予定です。
ど素人が生意気にも続きもん書くなんて申しわけありませんが
またご支援お願いします。
今日はご支援ありがとうございました。
444 :
HighQ:2008/10/15(水) 23:30:49 ID:rOu44z9J
また、ちょっとトラブって終了宣言が遅くなってしまい
支援してくださった方にすいませんでした。
お詫びすると同時に、ご支援に重ねて感謝いたします
>>443 イヤイヤ、なかなか次回が気になる話で早く続きが読みたいです。
>>443 緊迫感あふれる展開、GJでした。
ライの存在があの悲劇をどう活かすのか、先をいろいろ想像してしまいます。
急かすようで無礼ながら、次回を楽しみにしています。
初支援がこの作品で嬉しいです。
ただ蛇足ながら、2レス目の「推参に」は「に」の消し忘れではと。
トーマス卿には誠にお手数ですが、保管の折にはこの1文字を消して
龍に目を入れていただいてはと存じます。
>>444 乙andGJです。
まあ、初めてなんでその手のミスは仕方ないですよ。
覇王編の話ですか、なんか某ビーンズが思い浮かぶ。
>>412 GJでした!
まったく関係ないですが、僕は髪型がボブの子が好きです!!
>>443 お疲れ様でした!
ライの反逆楽しみにしています。
>>445 ありがとうございます。
なるべく早く続きが書けるようにがんばります!
>>446 こちらこそ私の駄文があなたの初支援になれて光栄です。
またご指摘ありがとうございます。
ちゃんと投下前に校正したつもりだったのにな〜orz
>>447 慰めていただき、ありがとうございます。
某ビーンズというのが何かわかりませんが
また読んでいただければ幸いです。
>>トーマス卿
446の方にご指摘いただいたように2レス目6行目の部分を
『私の名は、ライ・ランペルージ。 新生ブリタニア帝国軍を代表し推参にした。
から
『私の名は、ライ・ランペルージ。 新生ブリタニア帝国軍を代表し推参した。
へとご修正をお願いします。
お手数をおかけいたします。
新生は神聖の間違いじゃないかと?
まあルルーシュ皇帝の下に再編成されたの言う設定なら新生でも良いと思いますが?
451 :
ライ×C万歳:2008/10/16(木) 00:37:42 ID:HJOBvwNB
こんばんわ皆さん。
一応、前に予告した長編の一話、aパートだけ書きあがりました。
備考をいくつか
・タイトルを「青き雷のライ」から「青き戦士ライ」に変更。雷という表現はロスカラ本編には無く、シンプルさを追求しようと思ったため。
・オリキャラは極力少なくするため、黒幕と四天王の五人だけに絞る予定。
・ジノカレ描写あり。苦手な人はご注意を…
・相変わらず文章は上手くない…
以上です。
面白いかどうかは分かりませんが…投下良いですか?
少し長いのでできれば三人くらい支援がいるのですが…
452 :
ライ×C万歳:2008/10/16(木) 00:46:30 ID:HJOBvwNB
ムゥ…やはり時間が時間か…
出直してきます。明日塾なんで確実に投下できるかは分からないですが…
では、おやすみですぅ〜♪
…キモイっすよね。すみません。やってみたかっただけです。
支援?いいよ
いえ、申し訳ありませんが今日は帰ります。
三ヵ年皆勤狙うために睡眠時間守らなければいけないので…
お騒がせして本当に申し訳ありません。
>>443 HighQ卿、初投下&初作品乙! そしてGJでした!
ルルーシュとスザクの意思に反逆!?
それは一体何を示すのか。
前中後の三編と言うことで非常に楽しみであります!
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!
>>415って頭の病気なのかなw
保管庫の更新ペースなんて3日に1回程度でも速いんじゃないかと思ってる俺にはこいつの言ってる意味が理解できないね。
だったらお前がやれ、と言いたいねw
さて、二分後に投下したいと思います。14kbなので、支援をお願いします。
時間となりましたので投下します。
さて、前の続きを投下させていただきます。
その前に注意書きを。
・オリキャラ、ライと女性キャラとの子供が出てきます
・最後の方がカオス気味です
苦手な方はスルーをお願いします。
「本当に大丈夫か、ちゃんと行けるのか?」
とあるマンションの玄関。天使の羽の飾りがついたリュックを背負う子供に対して母親は心配そうな顔でそう言った。
「大丈夫です、お母さん」
母親を心配させまいとしようとしているのか、ビシッと手を上げて、太陽のような笑顔で言うと元気よく、扉を開けて外へ出て行った。
部屋に戻り、ベランダに出て視線を外に向けると機嫌が良さそうな犬のように歩く我が子の姿が見えた。
「……やはり、心配だな」
我が子の姿が自分の視界から見えなくなるほんの少し前に母親は携帯電話を取り出し、番号を打ち始める。
【迷子の迷子の子猫さん】
心配する母に大丈夫だと言い、自宅から出て行って数時間後。
「ここ、どこ……?」
母から渡されたトウキョウ租界の中でひときわ目立つ建物である政庁の地図を広げ、上下逆に見てみる――わからない。
次に、それを左右ひっくり返して見てみる――ますます、わからなくなった。
政庁内の廊下でやはりと言うか幼い子どもは迷っていた。受付で用件を伝えると、母からその事を承っていたらしく、簡単に通してもらった。
しかし、それから数分もしない内にこのようになってしまった。
政庁はとにかく広い。色々な部署が混じっている為に非常に広く、迷いやすい事で有名だ。
何故、此処に来たかというと、ここ政庁に務めている父親に会いに来たのだ。
前々から、行きたい!と言い続けて来たがそのたびに母に危ないからと断られていた。
しかし、ずっとそう繰り返し言ってきた結果今日来れるようになったのである。
だが、
支援
「お父さん……」
この言葉通り迷ってしまったのであった。目には涙をため泣きながら当てもなしに廊下を歩き始める。
周りの職員達は幼い子どもがここにいる事が珍しいのか、すれ違うと共にこちらをちらりと見たり、心配そうに幼い子どもを見ていた。
涙を堪える。
弱音を吐けるなら今すぐに吐きたい。
だけどそれは出来ない。男は泣いてはいけない、弱くてはいけないのだ。
母はそう言って育ててくれたのだ。だが、これはどうしようもなかった。
「君、どうしたの?」
「ふぇ?」
一度堪えた筈の涙を少しづつ流して泣きながら歩いていると突然声をかけられた。
驚いて顔を上げると其処にはブリタニア反抗組織の中で一番の力を持った『黒の騎士団』の団員を表わす漆黒の団服を着た女性がしゃがみこんで、自分と同じ目線で見ていた。
紅い色を持つ髪の下で女性でありながらも勇ましさを持つ瞳を輝かせている顔立ちは美女の範疇に入る。
そこにいたのは黒の騎士団のエースパイロット、リーダーであるゼロの右腕と称される紅月 カレンであった。
+++++
「君、どうしたの?」
「ふぇ?」
カレンは子供を不思議そうに見ていた。灰銀色の髪の毛、冬の湖のような蒼い双眸が特徴的であり、その華奢な体つきは女の子のようであった。敢えて言うのなら、小動物を連想させる。
(可愛い……)
そんな考えを知らずにじっと見られている子供は緊張のせいか、顔まで強張らせている。
おそらく、その子供は女性経験が全くない。つまり、女性に対する免疫が全くと言って良い程無いと考えられる。
「え……えっと」
短い混乱の後に出された最初の言葉は、蚊の鳴くような声だった。
カレンはそれを怯えと考え、安心感を与える柔らかい微笑みを浮かべると、自己紹介をした。
「あ、ごめんね。私は紅月 カレンって言うの。君は?」
「ぼ、ぼくは……ラ、ライアです」
「そっか。ライアね……いい名前じゃない」
ライアと言った子供はありがとう、と言うと無邪気な笑顔を見せた。それを見てカレンは満足そうな顔をした。
何とも微笑ましい光景で2人はにこにこしていると……
『カレン、こんな所に居たのか。そろそろ定例会議が始まってしまうぞ?』
「あ、ゼロ」
遠くの方からカレンを呼ぶ声が聞こえ、その後にぞろぞろと人が続いて来る。
数は四人、一人の女に三人の男。
その中ではオレンジ色の制服を着込んだ男女が二人、その隣にいる男は薬品の匂いを微かに臭わせており、その中で目立っていたのは全身を漆黒の服とマントで覆い尽くし顔全体を隠すマスクが特徴的な長身の男だ。
群れをなしてやってくるのは、ゼロ、ロイド、セシルそして、枢木 スザクだった。
その人達を見るとライアはまた不思議そうな顔をした。
ロイドはそんなライアを見つけると嬉しそうに近付き抱き抱えた。
「ん〜?こんな所に子どもがいるなんて珍しいね。君、お名前は?」
「え……あ」
「ロイドさん」
突然の事に困っているライアを見てセシルはドスの効いた小さな声と強烈な笑顔でロイドを睨んだ。すると悪寒とセシルの威圧を感じたロイドはビクッとしてライアを降ろした。
「……そんなに、怖い顔をしなくてもいいでしょう?ジョークだよ、ジョーク」
『カレン、その子どもは誰だ。君に弟がいるという話は聞かないが?』
「いえ違うんです。この子どうやら、迷子のようなんです」
「迷子……ね。それだったら、誰かに知らせれば良いのでは」
「でも、セシルさん。それでは可哀想ですよ…」
「そうそう。セシル君冷たいよ?」
「……うるさいですよ、ロイドさん?」
ロイドはそう言いながらセシルを指差す。しかし、再びセシルの威圧感に黙ってしまった。
それらを無視してカレンはライアに話し掛けた。
「それで、あなたは何でこんな所に居るの?」
「あ、あの……お父さんに会いに来たんです」
「「「「お父さん?」」」」
ライアの発言により皆が驚く。スザクはそれを聞くや即座に尋ねた。
支援
「そのお父さんってのは政庁に務めているのかい?」
「はい!お父さんは軍にも所属していて、とっても強くて、カッコイイですよ!」
最高の笑みを浮かべ、無邪気すぎるその笑顔に皆はノックアウト。
そこにいたの五人はその笑顔を直視して思わず真っ赤になってしまった。
微笑むライアにカレンもにっこりと微笑んだ。
「それで、そのお父さんを探してるのね」
「はい。だけど、全然見つからなくて………」
呟いた後、落ち込んだように下を向いた。そんな姿にロイド以外の皆は一斉に慌て始める。
「な、泣かないで!」
「そうだ。僕達と一緒に君のお父さんを探そう、ね?」
「で、でも。みなさん……何かあるんじゃないんですか?」
気持ちは嬉しかった。だが、たかが自分の事で怒られるんじゃないかとライアはそう思ったのだ。
「ゼロ、どうしましょうか?」
カレンはゼロの方へ顔を向けて声を掛けるとゼロは手を仮面の顎部分に添えて考える仕草を見せる。
『いいだろう、私もそれに参加しよう』
「え、いいんですか?会議の方は………」
『構わん、本日の定例会議は扇に任せる』
「それに人が多ければすぐに見つかりますし、ね?」
皆の言葉を聞き、嬉しくなったライアは頭を下げた。
「はい……あの、みなさんありがとうございます!」
「え〜〜?僕はできれば、さっさと帰ってやり残しの実験をしたいだけど〜?」
スザクが提案した事に対してロイドは口を尖らせてブーブーと文句の言葉を紡ぎ出し始める。
しかし、ロイドは自分の言動に対して背後からの殺気を感じ、後ろを振り向いて数秒後に後悔する羽目になった。
+++++
「ところで、そのお父さんってどんな顔をしているの?」
カレンとセシルがライアと手を繋ぎ、政庁内の廊下を歩き出してすぐにセシルが不思議に思ってライアに聞いた。
特徴や情報を知らずに捜すの無謀な策だ。そう思って、セシルは尋ねたのだろう。
その言葉にライアは顎に手を置いて考えるようなマネをする。
「えと………綺麗な髪で、顔はカッコイイんです!」
「そ、そうなの……??」
子供らしい答え方だが、それではよく判らない。それを感じ取ったか次にカレンが質問をしてきた。
「他に何か無いの?例えば、所属とか」
「えっと………あ!お母さんが言ってました!!何か困ったら、ラウンズのノネットさんのところに行きなさいって言われていました!」
「「「「「ラウンズのノネット?!」」」」」
皆は一斉に固まる。そんな皆にライアは首を傾げた。
恐らく、今の五人の思考が見事に一致することは今日以外を置いて他には無いだろう。
ライアが言っているのは、神聖ブリタニア帝国皇帝直属の護衛騎士『ナイトオブラウンズ』の一人であるナイトオブナインのノネット・エニアグラムのことであろう。確かに彼女は現在、皇帝の勅命で特区日本の視察の為にエリア11に滞在している。
ライアの口からその名が出たことには驚いたが、子供であるライアがラウンズとの関わりを持っていることにも驚いたのだ。
「あの……みなさん?」
恐る恐ると尋ねたライアに固まった全員は我を取り戻した。
『……まぁ、とりあえずエニアグラム卿の所に行ってみよう』
「そうですね」
ゼロが言い、カレンが頷き六人はノネット・エニアグラムがいる特別執務室に向かって歩き出した。
今、六人はその近くにいるが歩き出した場所から考えると少し遠い距離である。しかし、歩調を緩めなければ数分程度着いてしまう距離でもあった。
そして、確かに数分で辿り着いた特別執務室の入口前に六人は立っていた。
スザクが先導して、戸を叩いて中に居る人物に来訪を知らせ、さらに一言。
「枢木 スザクです。エニアグラム卿はいらっしゃいますか?」
目上に向けられる言葉で中へ向けて声をかけると、少しの沈黙の後に音がした。
『お〜、枢木か!入れ入れ』
「失礼します」
静かな声と共に六人は執務室の中に入っていき、木製だが高級さを示すブランドのサインが入った机の上にある書類と睨めっこをしていたナイトオブナイン ノネット・エニアグラムその人は来訪者をじっくりと見る。そして、六人の中で一番良く知るものを見つけた。
「ん?もしかして、そこにいるちっこいのはライアか?」
「ノネットさん!!」
自分よりも背の高い者達の後ろからひょっこりと顔を出し、見るや否やライアはノネットの元へと小走りで向かって行った。ノネットも椅子から立ち上がり、向かってきたライアを即座に抱きかかえた。
「久しぶりだなぁ、ライア!見ない間に少し大きくなったんじゃないのか、元気にしていたか?」
「はい!お母さんは相変わらずですけど、大丈夫です」
「そうかそうか。健康が一番だぞ?」
まるで、自分の子供のようにノネットはライアの頭を撫で、抱き締めて頬擦りをする。
「ここまで来るのは大変だったろう?大丈夫だったか?」
「大丈夫ですよ、ノネットさん。皆さんに連れて来てもらったから迷わなかったですよ」
「皆?みんなって誰だ?」
突然、ノネットの背後から威圧感が生まれ、そのままでライアに訊いた。
すると天詞は少しビクッとしたが恐る恐るスザク達の方を指差した。
「おぉ、何だ特派の三人と黒の騎士団のトップとその右腕じゃないか」
ノネットがゼロの方に視線を向けるとゼロは恭しく挨拶をする。
ライアを案内してきた五人を一通り見ててからそう言うとノネットはふうっと一息つく。
「お前がここにいるという事は、親父さんに会いにきたんだろ?ん?」
「はい……でも、お母さんがどこに居るのかわからなくて……その時に皆さんと会ったんです」
そう言い、五人の方を振り向くとスザクが訊いてきた。
「あの……失礼ですが、その子はエニアグラム卿のお子様ですか?」
「息子?あぁ、違う違う。ライアは私の婿だ」
「あら、それはズルイですよ。ライア君は私がいただきます」
『まぁ待て、その子は黒の騎士団に引き抜く。異論は認めん』
いつごろ始まったのか知らない対決を無視して、カレンは呆れながら声を出す。
「……つまり、あなたの子供じゃないんですよね。じゃあ、本当のライアのお父さんって誰なんですか?」
「ん?あぁ、ライアの父親はな……」
「ライア!ここか!?」
ノネットの唇がその名前を紡ぐことは無かった。
名前を言おうとした瞬間、執務室の戸が乱暴に開けられたからだ。
入ってきた人物にライアの名前を大声で出す。
「お父さん!」
ライアは入ってきた人物を見ると、笑顔になり、ノネットに降ろされると素早く父親の元へと走って行った。
「ライア……ここに居たんだね」
「「「「「ライ?!」」」」」
ノネットとロイド以外の四人の顔に驚愕の表情が浮かび上がり、所々から驚愕の言葉が紡がれてゆく。。
そう、ライアが父と言った人物とは高い状況判断能力と指揮能力、常人を逸したナイトメアフレーム操縦技術を持ち、本国では“蒼い死神”“蒼き天狼”などの渾名を持つブリタニア騎士侯ライ・エニアグラムであった。
ライアはてててっと近づきライの足に抱き着く。
ライもすかさず凄く嬉しそうな顔をしながらライアを抱きかかえた。
子どもとはいえ、さすがはライの息子というだけあってよく似ている。まるで、今のライを小さくしたような錯覚を覚えるほどだ。
支援
「いつ頃来たの?」
「さっき」
「そうか。だけど、ここには来てはいけないと言わなかった?」
「…ごめんなさい。お父さん一週間も帰ってこないから……心配だったの」
小さな子どもの謝罪の言葉とは可愛らしいものだと感じてしまった瞬間だった。思わず、それを直視してしまった女性陣も心を射抜かれてしまうほどに。
素直に謝るライアを見て、ライは微笑んだ。
「ごめんねライア。でも、今日は家に帰ってこれるから」
「本当!?」
先程とは違った顔でライアはにっこりと笑みを甦らせた。
「あぁ本当だ。あれ、みんなどうしたの?」
眼中にない物として扱っていた観衆に目を向けて言った。
しかも、何故かノネットとロイドを除いた全員が面白い顔になっている。
「あの……ライ」
「ん?どうしたの、カレン」
「ほ、本当にその子はあなたの子どもなの?」
「本当だぞ。ライアは正真正銘、コーネリア殿下とライの子どもだ」
カレンの問いにライが答えるその前にノネットが彼に代わって答えた。その刹那、部屋の中が静寂に包まれていった。
「え?」
「嘘……?」
「今、コーネリアって……」
『何だと……!?』
驚愕の言葉を途切れ途切れに発する四人はコーネリアという名前に戸惑いを持っていた。四人が知る限りではそれはエリア11の中でも『女傑』というと言葉がよく似合うと言われる人物の名前だからだ。
「コーネリアって……!まさか、コーネリア総督のことですよね!?」
「だから、そう言っているだろう」
ノネットは驚愕の中で自分の混乱をとく為の行動に出たスザクに対してあっさりと答えてみせた。
コーネリア・リ・ブリタニア――エリア11を統括する総督にして神聖ブリタニア帝国第二皇女。厳格かつ冷徹な人物として知られ、高い指揮能力とKMF操縦技術によりブリタニア軍を率いる存在だ。
…
……
………
支援
支援っ
支援
細かいですが誤字です
>>464 政庁に務めているのかい → 政庁に勤めているのかい
「「「「え〜〜〜〜〜!!!?」」」」」
暫しの沈黙の間に四人が声を一斉に張り上げた。余韻を残すような大声は発生源が止んでも、反響を残していた。
それは、普段のイメージから彼女に結婚という清楚なイメージは結びつかないからであろうか。
「ほ、本当なの。ライ?」
未だに信じきれないのか、カレンはおそるおそるとライに訊ねる。
「う、うん……特区成立式典から一年後に、ね」
ライは頬を若干紅潮させ、頬をかきながら問いかけに答えていく。何故、頬が紅潮しているのかが気になるがカレンはライの言葉でようやく真実と悟る
「ロイドさんは知っていましたか?」
「知ってたら、ここにはいないよ。でも、シュナイゼル殿下からは総督が誰かと婚約したというのは聞かされていたけどね」
「あの時は殿下の意思で身内や親しい者だけで婚儀を済ませたからな、婚約したというのを知っている人間の方が少ないだろう」
含み笑いと微笑を含ませた顔と共にノネットはあの頃の事を思い出しているのだろう。
するとノネットは思い出したようにライに微笑みながら言った。
「なぁ、ライ。いい加減にライアを私の婿にしないか?」
「「「「「?!」」」」」
「また、その話ですか?そういう話はまだライアには早すぎますよ」
その様子からいつも言われているのだろうかノネットの言葉にライは呆れながらに返す。
「いいじゃないか。今のうちに決めておけば、将来の嫁選びには苦労しないぞ?」
「ちょっと待ちなさい!それならあたしも!!」
「いえ、ここは私が」
ノネットに対して対抗して言ってきたのはカレンとセシルだ。セシルの方はにっこりと黒い笑みの付録付きであり、逆に恐怖感を抱かせる。
さすがのライでもカレンとセシルが名乗り上げたことで生成されたこの状況には驚いたのであろうか、思わずライアを隠しそうになってしまった。
「残念だな。お前達はライアに相応しくない、おとなしく諦めるんだな」
「勝手に決めつけないでもらえる?何年もしたら、ライアも自分よりも近い女性に惹かれるわよ。年上には無理よ」
「あら、聞き捨てなりませんね。まだそうとは決まったわけではないでしょう?」
そう言って睨み合う三人。
さすがにこの状況をすぐに止めるべきなのだが、人並み外れた身体能力を持つスザクでもそこに足を踏み入れることを戸惑った。
スザクは後に語った。今のこの状況でテロリストが来襲しても即座に倒すであろうという感じであった、と。
一層に激しく、騒がしくなる口論。
そんな状況をライは深刻そうに、ライアは不思議そうに眺めていた。
一人の少年を巡るバトルは今開始された。
さぁ、これからどうなっていくのやら………
以上で投下終了です。支援してくださった方々ありがとうございます。
そして、
>>472さん誤字の報告ありがとうございます。
ライネリの子どもの名前に関しては、友達から「お前、この名前って某仮面ライダーの名前と同じやんけ!」と突っ込まれました。
でもぶっちゃけ、後悔はしていません(何
お疲れ〜
GJ〜
個人的にはライの子供は女の子のが良かった。
>>412 切れた部分を修正しておきました。
>>449 修正しました。あと細かいですが、「KMF」が半角と全角が混在していますが、当方で半角に統一しておきましょうか?
>>475 誤字、修正しました。
〜業務連絡〜
昨夜遅くに身内(直系ではないが)の不幸の連絡がありその対応に追われていたとは言え、
保管業務はもちろん連絡の一つも出来なかったことを先ずはお詫び申し上げます。
今後のスケジュールですが、今夜の通夜からそのまま宿泊、明日の本葬まで出席します。
一応、斎場にUMPCを持っては行きますが、明日の夜までまともに更新は出来ないと思います。
皆様にはご迷惑をお掛け致しますが、何卒ご理解のほど宜しくお願いします。
そうでしたか。トーマス卿、まずはお悔やみ申し上げます。
あとは個人的意見ですが、そこまで気を使われなくてもいいと思います。まずは、亡くなられた方とちゃんとお別れすることに専念すべきかと。
>>479 更新を止める理由になってません!あなたコミケのときでも忙しいとかいいながらやってたじゃないですか!
それでもサボるというならまた抗議文送りますよ!!
まずはトーマス卿、お悔やみ申し上げます。
>>479さんの言う通り、今は保管はお休みしてお別れの方に集中してくださいませ。
トーマス卿、お悔やみ申し上げます。
我らのことなどお気遣いなく、どうかお気持ちのままお見送りして差し上げてください。
478に追記。
古参の方は分かっておられると思いますが新しい方も来られてますので、今一度確認を兼ねて。
今回に限りませんが、当方が忙しいからといって、「トーマスさん忙しいんだったら投下見合わせるかな」などと
いう思考に陥るのはどうかお止めください。作品は私の原動力であり、喜びです。職人様の都合ならばともかく、
私が原因で投下が止まるというのは耐え難いことです。当方、いついかなる時でも投下を心よりお待ちしております
ので、どうか宜しくお願い致します。では、暫し失礼致します。
>>480 努力致します。
同じく・・・・
>>480はちょっと理解できない・・・・。
>>484 >>485 その気持ちはわからなくもないが、480は相手をすればするほど付け上がる可哀相な人だから
スルーをしなせい。
>>475 乙でした。
ギャルゲSSの子どもネタはパラレルのパラレルとして行き着くところまで行った感があるけど
このSSは何でこんなに全キャラの動きが目に見えるようなんだw 違和感がなかったです。
>>478 当然パソコンとか開ける状況や空気じゃないでしょうし無理しなくていいと思いますよ
自分も少し前に従兄弟が急逝してからしばらく、常連だったここに来る気分にもならなかったし…
それにトーマス卿が謝る理由も全くないわけで、ゆっくりと最後のお別れをしてきて下さい。
>>475 蒼い鴉卿、GJでした!
ちっちゃいライをイメージして思わずニヤリとしました。
ノネットさん、婿てwww カレンとセシルさんも張り合ってどうするw
子供結構大きくなってるのに結婚公表して無いって……
……ユフィ経由で情報入ってこなかったんだろうか?
なんというか纏めると、抱きしめたいなぁ! ライア! みたいなかんじ
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
ちっちゃいライ…恐らくこれはトーマス卿の好み(ry
次回の続きを待ってますよ!
トーマス卿、あなたの仕事ぶりは一部のキチガイを覗いてここにいる全員が知っています。
藻に服している間は骨休めと考えたらいかがでしょうか。
俺としてはむしろトーマス卿はもっとのんびりまったりやってもいいと思ってるくらいなんで、ご自分のペースで
無理なく更新されればいいと思います。
まあ
>>480は一般常識やTPOと言うものをわきまえることを知らないかわいそうなやつなので
そんな奴の言葉は記憶にとどめる価値すらないと思いますw
大体通夜や葬式の最中にPC開いて更新作業してるほうがどうかと思うぞw
そもそも保管庫の管理は有志でしかないんだが、見せてもらってる立場なんだがなぁ
不満なら自分で保管庫作ってればいい。
どうみても荒らしなんだからネタにすればするほど面白がるんだからスルー推奨
この変な空気を払拭するためにも投下カモン!…支援と感想しかできないけどorz
新参者ですが、投下してもよろしいですか?
おお〜またしても新たな職人様!もちろん全力で!
それではまず、予告編から投下させていただきます。
大体、二週おきの投下を目指したいです。
それでは前書きを。
・ルートはギアスルート準拠ですが、オリジナル要素も少しずつ入っています。
・オリジナルのKMFに乗ります。
総レス数は2を予定しています。
それでは、投下を開始します。
支援はいらなさそうですね
もっと深く。もっと深く。僕は眠りたい。
もう、彼らの時代には目覚めてしまわぬように。
出来るならば、この幸せな記憶と共に、這い上がることも叶わぬ深淵の底へと……―
『悪いけど、アナタにはもう少し頑張ってもらわなくちゃならないのよ』
何も聴こえない筈の世界に、弾むような女性の声が響いた。
―予期せぬ目覚めと出会い―
「僕は、もう目覚めたくなかった……」
「今、アナタの力が二人には必要なの」
―ずれていく歯車―
「裏切るかぁ!マリアンヌゥ!!」
―壊された祈り―
「ライ……思い出したぞ!」
「あいつの願いを壊してまで、二人を助けるか?
今更、だな。……お互いに」
―再び動き出した対局はもう止まらない―
「これは、俺達の戦いだ」
「あぁ……そうだ!」
―ゼロ復活―
「合衆国日本の建国を、再び宣言する―!」
―魔人と絆で結ばれた少年もまた、友の為に仮面を被る―
「二人のゼロだと!?」
―負けない。負けられない―
「ライ、出せるか?」
「愚問だね。ここで駄目だと言うなら、最初から乗らないさ」
―二人でなら―
「新型は間に合わない!?ならコイツで出るまでだ!」
―出来ないことなんてないんだから―
「ゼロの真価は」
『その行いによってのみ証明される!』
蒼が紅へ変革る時
トーマス卿、突然の不幸、お悔やみ申し上げます。
保管庫の更新より、故人をしっかりと送って差し上げることを大事にして下さい。
皇暦2017年。
行政特区日本の崩壊に端をなしたイレブンの反乱、‘ブラックリベリオン’。
それはイレブン=日本人の二度目の敗北と、救国の魔人、ゼロの死亡という二つの事実を残した。
『大国そのものに、テロリストが挑む』
この不可能を可能とした男の消失により、エリア11におけるブリタニアへの反乱勢力は一気に衰えていった。
その筈だった。
「日本…万歳!」
『日本万歳!!』
今、仮初の安寧が破られ、真実が白日の下へ晒される。
号令は、これから始まる変革の序章に過ぎない。
今は、まだ。
緑髪の魔女が憂いを秘めて笑い、紅蓮の少女が怒りに燃える。
一人、魔王たるの目覚めは近い。
幻の騎士の足音は、すぐそこに……
第一話 『高き天へ往く騎士』に続く
予告編はここまでです。
前書きに書き忘れましたが、カップリングは今のところ、特にありません。
どちらかというとルルーシュとライの友情が主体となってくるかと。
それでは第一話でまたお会いしましょう。
504 :
443:2008/10/16(木) 21:21:54 ID:dhiXreoR
>>478 トーマス卿、このたびはお悔やみ申しあげます。
修正ありがとうございます。
ご下問の件、半角で統一していただいてOKです。
大変な時に余計なお手間を取らせ、誠に申し訳ありません。
>>450 ご指摘の件、おっしゃるようにルルーシュのもと、再構成されたという意味で新生としてます。
>>448、
>>455 うぅぅ、あまり反逆って語句に期待しないでいただければ、と。
ぶっちゃけ、あのラストが変わることはありません。
ただの幕間に妄想を持ち込んでみただけですので・・・。
ずいぶんと遅いレスになりましたが読んでいただきありがとうございました。
505 :
443:2008/10/16(木) 21:30:21 ID:dhiXreoR
>>475 蒼い鴉卿、GJでした。
しかし3人の誰が勝ち残るにしても、同年代を選ぶにしても
ライア君のお相手は大変でしょうな〜。
「わたしのライアを貴様などにはやれん!」ってな感じでw
ユフィの婿になるより難しいじゃ?
>>503 私も新人ですが、続きの本編を楽しみにしてます。
>>503卿
投下お疲れ様でした。
正直、すごいの一言です。これだけの文章で鳥肌が立ちました。
誰が彼を起こしたのか?何故ゼロが二人?
謎と興味が尽きません。
ところで、「変革る」は「かわる」と読めばよろしいでしょうか?
多少不恰好になりますが、「変革(かわ)る」とルビを振ると読みやすくなると思います。
それと、次回までにトリップ等を決めておくといいかもしれません。
次回を楽しみにしています。がんばってくださいね。
>>443卿
遅くなりましたが、投下お疲れ様です。
いいじゃないですか。幕間妄想大いに結構。世界は10%の事実と90%の妄想で
できてるんです。さあ!貴方の両手に篠崎咲世子を降臨さs(ry
……失礼。少々取り乱しました。
次回の投下をお待ちしています。
>>503 なんと!風呂行ってた間に投下が終わってる事実!驚愕!
どんな物語になるのかワクワクものですよ、乙です。
コテを付けられてはどうでしょう?
>>503 初投下乙&GJでした!
これは続きが気になる予告編!
一つ一つのセリフが想像を膨らませていきます。
本編、多いに期待してもいいですよね?
答えは聞かないけど!
貴方の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!
509 :
ライ×C万歳:2008/10/16(木) 22:00:41 ID:HJOBvwNB
こんばんわ皆さん。
昨日のオリジナル長編、投下しにきました。
昨日の注意点を含め、予告と違うところも多々あるのですが…投下おkですか?
支援できます。
511 :
ライ×C万歳:2008/10/16(木) 22:10:44 ID:HJOBvwNB
じゃあ、行きますよ〜投下フィーバ〜(ウザ)
タイトル:コードギアス 青の戦士ライ
カップリング:ライ×C.C.
備考:オリ注意。ジノカレ注意。
タイトルまた変更してすみません…
512 :
ライ×C万歳:2008/10/16(木) 22:12:39 ID:HJOBvwNB
コードギアス 青の戦士ライ
一話「戦士が立ち上がった日」aパート
黒の騎士団総帥・仮面の男ゼロが悪逆皇帝・ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアを討ち取った「ゼロレクイエム」から一年の月日が流れた。
丁度その日である今日は「ゼロ・アニバーサリー」と言う記念日となり祝日となっていた。
世界各地では英雄・ゼロを称えるためのイベントが催され、人々は歓声を上げてこの日を祝い、食事やダンスなどを楽しんでいた。
そして時計の針が午後0時を刺した時、一斉に世界中の人々が自宅のテレビ画面やイベント会場に設置された大型モニターに視線を集めた。
0時に開始される世界を救った英雄・ゼロの演説を目に焼き付けるためである。
『国民よ!』
モニターに映ったゼロは黒の騎士団所有、斑鳩級二番艦・凪鳥の甲板に立っていた。
凪鳥は斑鳩の艦色を赤茶色に変えた戦艦で、今までの装備や機能のほかに、輻射障壁の代わりに改良型の絶対守護領域を搭載した新造艦である。
『私が悪逆皇帝ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアを討ち取った記念すべき日から一年が過ぎた!
あれ以来世界は平穏を取り戻し、諸君らは平和を謳歌している!だが、それで満足してはならない!
散っていった英霊達の為にも、この平和は我々の手で守り、維持していかなければならないのだ!
その為にも我々黒の騎士団は、諸君らと共に平和を守るために全力を尽くす!
力足りぬ者よ、我々を求めよ!
世界は我々、黒の騎士団が守り抜く!!』
ゼロは両腕を上げてマントを大きく広げ、腰部をクセのある形に捻りながら宣言する。
画面を見ていた人々はさらに大きな歓声や雄叫びを上げ、ゼロを称えた。
支援
514 :
ライ×C万歳:2008/10/16(木) 22:14:27 ID:HJOBvwNB
………
薄暗い部屋で黒いマントを身につけ、フードを被った四人の人物が立ちながらモニターに映ったゼロの勇ましい姿を見ていた。
しかし、その四人はその姿を見て歓声を上げる訳でも拳を振り上げる事もなく、ただただ無言で映像を見ていた。
「あれが…ゼロ…」
そして、四人の中で一番背の高い人物がモニターの電源を切ると、低い掠れた男の声で喋った。
肌は褐色で細く釣り上がった目が特徴の二十代半ば風の男である。
「あれが私達の敵…」
次に背が高い男の隣に居た人物が無感情な女の声で喋った。
こちらは肌は白く、紫色の瞳と喜怒哀楽の感情が欠落したような表情をした不気味な女だ。
「さっさと東京に行って殺しちゃおうよ。パパがそう言ってるんだから。」
すると、その女の隣に居た一番背の小さな人物が陽気な少女の声で言った。
声の通り顔立ちは少女の物で、フードから空色の髪がはみ出している。
「コントン…遊びではない。」
ゲーム感覚の発言に腹を立てたのか、目の釣り上がった男はその小さなコントンと呼ばれた少女に注意した。
「だってさキュウキ様、あたいら訓練ばっかで飽きてるんだよ。キュウキ様やトウコツ姐さんと違って、あたい達は派手な殺生が大好きなんです。な〜、トウテツ。」
支援
516 :
ライ×C万歳:2008/10/16(木) 22:15:05 ID:HJOBvwNB
コントンは自分の隣に居た小太りの男に話しかける。
肉付きのいい顔をしたその男は「ああ…ダイスキ…」と静かに言いながら首を縦に振った。
「コントン…仕事はキュウキ様が割り振ります。大人しくなさい。」
無表情の女・トウコツが呟くようにコントンを諭すと、コントンは「は〜い」と空返事をしながら黙った。
そしてトウコツの隣に居たキュウキがゆっくりと口を開き、三人に指令を伝え始めた。
「コントン…アグロヴァルを四十機渡すから、黒の騎士団の戦闘能力を確かめろ。必要とあらば、お前も戦え。」
「は〜い♪」
コントンは子供らしい純粋な笑顔で指令に答えた。
「トウコツ、トウテツは待機だ。」
「はい…」
「チィ…」
トウコツはまた感情のない声で指令を受け入れ、トウテツは不服そうに舌打ちした。
「そして私は…」
キュウキは少し間を置き、細い目をさらに細めながら言った。
「C.C.を確保しに行く。」
支援
518 :
ライ×C万歳:2008/10/16(木) 22:16:58 ID:HJOBvwNB
………
「いらっしゃいませ!ご注文をお願いします!」
黒の騎士団零番隊隊長・紅月カレンは、平和になった世界に生活していた。
ナイトメアフレーム・紅蓮のパイロットとして戦った彼女は、黒の騎士団に残り、隊長職を続けるより、普通の少女に戻り、親友・ルルーシュが創り上げた平和な世界を生きることを選んだのだ。
アッシュフォード学園を卒業し、大学生になっていた彼女は、祝日となった今日をハンバーガーショップのアルバイト従業員として潰していた。
彼女は休日を遊んで過ごすより、筋力トレーニングや仕事に費やす方が好きなのだ。
「ありがとうございます!…ん?」
会計を済ませたカレンは、変成された声を耳にし、店内に設置されているテレビを見た。
画面には、演説を終え、クセのあるポーズを取るゼロの姿が映し出されていた。
『ゼロ…スザク…ふふ、もうすっかりゼロのポーズが板についちゃって。』
カレンは、ゼロの仮面の下で表情を生真面目に整え、熱く心をたぎらせながらポーズを取っているであろう、現在のゼロの正体である枢木スザクの事を考えると、自然に顔が緩んだ。
『ルルーシュ、世界は平和だよ。これも皆、貴方のおかげね。』
カレンは亡き友、ルルーシュ・ランペルージに心で語りかけた。
ルルーシュは王の力・「ギアス」を利用し、第99代神聖ブリタニア帝国皇帝の座に着いた。
そして、自分を裏切った黒の騎士団と強敵であった兄・シュナイゼルを退け、天空要塞ダモクレスを手にし、世界を掌握した彼は、全世界に対する独裁政治を開始した。
支援
520 :
ライ×C万歳:2008/10/16(木) 22:18:07 ID:HJOBvwNB
しかし、これこそがルルーシュ最大の策略「ゼロレクイエム」だったのだ。
凶悪な独裁政治で世界の憎しみの矛先を自分に向けさせ、親友のスザクをゼロに仕立て上げ、自分を殺させる。
そして憎しみの連鎖を絶ち、世界を平和にするという、自らの命を犠牲にした捨て身の計略だ。
この「ゼロレクイエム」で憎しみの連鎖は断ち切れ、世界は争いのない穏やかな世界となった。
しかし、「ルルーシュ・ランペルージ」を知っている自分や彼の妹のナナリー、学友だったリヴァルやミレイにとってこれだけ心を痛めた出来事は無い。
特にナナリーにとって、血を分けた兄の人々に憎まれながら死んでいく姿は心をズタズタに引き裂かれる思いだったであろう。
今でもカレンは兄の亡骸に泣きつき、涙が枯れるまで泣き続けたナナリーの姿を忘れることが出来ない。
「ん?」
カレンがそんなナナリーの哀しい姿を思い出していると、ハンバーガーショップの制服のポケットに入れた自分の携帯電話が振動した。
ポケットから取り出して開いてみると、一通のメールが届いていた。
送り主は「ジノ」と記されている。
『ジノ…?』
ブリタニア帝国最強の十二騎士、ナイトオブラウンズの一人であったナイトオブスリー・ジノ・ヴァインベルグは戦後軍から離れ、放浪の旅に出ていた。
彼が旅に出るとき、「君に相応しい男になってくる」と言っていた彼の笑顔を覚えている。
そんなジノからのメールには、
「ハロー、カレン!この一年で世界一周旅して、自分なりに逞しくなった。
明日には俺がゴール地点と決めた君の所に行く。
そしたら、一緒にデートして欲しい。
今度こそ君を虜にして、ライより俺の方が良い男だって事を証明してやるよ!
じゃあな!マイハニー!」
と、一方的なデートの誘いが書かれていた。
『なにがマイハニーよ。ジノの奴…まだ私のこと諦めてないんだ…しつこい男は嫌いだって言ったんだけどなぁ…
ま、世界一周したその根気に免じて、着たんなら明日のバイト休んでデートしてあげよっかな。』
カレンはそう思い、呆れた笑いをしながら「分かった。アンタの根気に免じて特別にしてあげる。」と書いてメールを送った。
支援
522 :
ライ×C万歳:2008/10/16(木) 22:20:28 ID:HJOBvwNB
『…ライ…か…』
カレンはジノのメールに書かれた「ライ」という少年の姿を脳裏に思い浮かべた。
ライ…それはカレンの初恋の相手、そして初めて失恋した相手、そして…今でも心のどこかで引きずっている相手…
「彼は今どこに居るのだろう?ちゃんとやっているんだろうか?」
カレンはふと、今はどこに居るか分からない初恋の人に思いを馳せた…
………
「ふう…結構採ったな…」
澄み渡った青空の下、一人の銀髪の少年がオレンジ農園でオレンジを収穫していた。
その農園は大きな農園ではなかったが、ここで収穫したオレンジは「甘くて美味しい」「ジュースの原料としては最適だ」など、高い評判を得ていた。
この少年は一月ほど前、共に連れた緑髪の少女と共に農園に来た新参者だったが、細い体つきにもかかわらず、鍛えられた逞しい肉体と常人以上の体力を持ち、重労働を軽々とこなしていた。
おまけに彼は優しい性格で人付き合いがよく、栽培したオレンジを買った人々にも評判が良かったため、常連客に会っては料理のおすそ分けや手製の衣服などを貰っていた。
彼に自覚が全くないものの、彼は一月と言う短い期間で、あっという間に地元の人気者となっていたのだ。
「お〜い、ライ!」
その少年の名はライ。
かつて悪逆皇帝の左腕、「ナイトオブラウンズを超えた至高の騎士」、「ナイトオブキング」として、そして、ルルーシュと同じ、命令したものを絶対にその命に従わせる絶対遵守の力・ギアスの持ち主として活躍した少年だった。
「なんですか?ジェレミア卿?」
支援
524 :
ライ×C万歳:2008/10/16(木) 22:21:23 ID:HJOBvwNB
ライの名を呼んだ男はジェレミア・ゴットバルト。
この男もかつてルルーシュの忠臣として活躍した男であった。
左目にオレンジ色をした奇妙な仮面をつけているため、周囲からは「良い奴だがあんな仮面を常時着けているなんて変な趣味だ。」と言われることもあるが、これには重大な理由が会った。
ジェレミアはかつて体を改造され、「サクラダイト」といういまや全世界共通のエネルギー源を原動力とする特殊な機械の体になったという過去がある。
左目の仮面は、肉体改造の過程で彼の体に発現した能力「ギアスキャンセラー」の起動キーなのだ。
ギアスキャンセラーはその名の通りギアスを無効にする能力であり、例を挙げれば絶対遵守のギアスで命令された命令を打ち消すというような効果を持つ。
とある事情により、ギアスの暴走(自身でギアスが制御できず、勝手に効果が発動すること)が起こりやすい体質であるライにとって、彼の能力はいざと言うときのための危険防止能力であった。
勿論能力だけではなく、以前共に戦った戦友としてライもジェレミアを慕い、ジェレミアも同じ主君に仕えた同士としてライに友情を感じていた。
同じルルーシュを敬愛した者同士、信頼しあっているのだろう。
「あらかた熟した実は摘んだんだ。今日はこのくらいにして、昼食にしようじゃないか。家でアーニャ達が待っているよ。」
「そうですね…分かりました!」
ライとジェレミアは収穫したオレンジを運び、ジェレミアの自宅へと向かった。
※
『ただいま。』
「おかえり、ライ…ジェレミア…」
ライとジェレミアの二人が同時に木造建築のジェレミアの家に入ると、桃色の髪の少女が二人を玄関で待っていた。
少女の名はアーニャ・アールストレイム。元・ナイトオブシックスだ。
彼女はあの理由から第98代ブリタニア帝国皇帝シャルル・ジ・ブリタニアの記憶を改竄するギアスを受け、記憶の欠如に苦しめられていた。
しかし、一年前の戦争でジェレミアと戦い敗北し、彼女はギアスキャンセラーを受けてギアスから解放され、記憶を取り戻した。
現在は除隊してジェレミアと共にオレンジ農園を営み、ごく普通の少女として暮らしている。
支援
支援
527 :
ライ×C万歳:2008/10/16(木) 22:22:26 ID:HJOBvwNB
「アーニャ、今日も良いオレンジが沢山取れたぞ。午後からライと一緒に売りに行こう。」
「うん、行く。ついでに買出しも。」
アーニャはぼそりと「買出しも」と付け足して言った。
ジェレミアの農園は人里から少し離れた場所にあるため、こまめに買出しに行くのは面倒だ。
なのでジェレミアとアーニャはオレンジを売りに行くときや郵便局や銀行に用事があるときなど、街に用事がある場合にまとめて買出しをするのだ。
何週間分と多くの物を買うため、ジェレミアはライという自分とアーニャの他にオレンジを売り終え空になり、買出しの後に大量の食料や日用品を乗せた荷車を押す手が増えたことに助かっていた。
「ところでアーニャ、C.C.は?」
「屋根裏部屋。」
アーニャはライの問いにそっけない答え方で返すと、ライは「分かった」と一言だけいい、屋根裏部屋に向かった。
※
「お帰り、ライ。」
ライが屋根裏部屋に着くと、外見は十代後半位の緑髪の少女が黄色い人形を抱きながらベッドで寝転がっていた。
彼女がC.C.。ライの旅仲間であり、彼の恋人である。
彼女はライと共に空いている屋根裏部屋に住まわせてもらっているのだ。
恋人同士とはいえ、同じベッドに寝るのにはライもまだ慣れてはいなかったが。
「また寝転がって…ちゃんとアーニャの料理の手伝いをしなきゃ駄目じゃないか。住まわせてもらっているんだから。」
「い〜や〜だ。私は料理にもう飽きたんだ。もう料理なんてしたくない。」
ライは彼女の我侭な台詞を聞き、溜息をついた。
彼女は料理だけではなく、洗濯も掃除も「飽きた」と言ってしようとも手伝おうともしない。
支援
規制みたいですね。
支援
そりゃかかるでしょ。間隔短すぎ。
>>528-530卿
面目ない。支援する側が規制くらいましたorz
一人はペース配分が難しい……
532 :
ライ×C万歳:2008/10/16(木) 22:33:08 ID:HJOBvwNB
しかし、彼女がこう言うのには我侭だけではなく、理由もあった。
彼女は子供の頃、奴隷として扱われ、過酷な労働を強いられてきたのだ。
ライはC.C.の我侭な発言すべては彼女のそんな悲惨な過去がバックにあるからであろうと「願い」、良くないことと知りつつも見逃してしまっていた。
おまけに彼女は百年以上も地獄のような日々を過ごしてきたのだ。
彼女が百年以上も若い姿で生きていられるのには理由がある。
それは彼女が、契約者にギアスを与える「コード」の所有者だったからだ。
「コード」を持つ者は寿命から解放され、永久の時を生きることができる。
欲深い人間は夢のような力だと思うだろうが、それはまやかしだ。
実際には時間には取り残され、死ぬより辛い苦しみもなんども味わうことになる。
C.C.はそんな苦しみを遥か昔からその身で味わってきたことをライは知っていた。
だからちまちました事で叱ってしまっては、今まで気の毒な体験を多くしてきた彼女に悪いような気がライはしていたのだ。
「もう…C.C.はいつも…明後日にはここを出るんだから、C.C.も手伝いくらい少しはしないと。」
だが、今日はライは注意した。
二人がジェレミアの下に来たのは一月ほど前。
ライとC.C.はそれまで、ライにとっての親友、そしてC.C.にとってのギアスを与えた共犯者・ルルーシュ・ランペルージの壮絶な死の後、二人はルルーシュが創った世界を見届けるため、旅に出た。
その旅の途中、ライの戦友・ジェレミアが、アーニャと共にオレンジ畑を耕しているという噂を聞き、様子を見に行く為にC.C.と共に彼の元に来たのだ。
最初は挨拶だけして帰るつもりだったが、彼は「人手不足で悩んでいる。しばらく住み込みで働いてくれないか?」とライに頼み、ライはしかたなく彼を手伝うことに決めてしまった。
しかし、いくら仕方なくとはいえ、ここでの日々は楽しかった。
ジェレミアやアーニャと共にオレンジを収穫し、街に売りに行って色々な人々に出会い、おすそ分けしてもらった料理や食べ物をC.C.を含めた四人で食べたこと…
たった一月とはいえ、忘れることが出来ない日々である。
しかし、流石にこれ以上は甘えられないと思い、ライは明後日にはここを出ることを決めていたのだ。
支援
534 :
ライ×C万歳:2008/10/16(木) 22:35:35 ID:HJOBvwNB
ジェレミアはいつまでも居ても良いとは行ってくれたが、ライはルルーシュと「ある約束」をしていた為、彼の申し出を断った。
ジェレミアは寂しそうな顔をしていたが、「だったら君とC.C.が出て行く前夜にホームパーティを開こう。」といって了承してくれた。
「分かった…パーティの日くらいは料理くらい手伝ってやる。」
C.C.はだるそうに言いながらベッドから起き上がった。
「今日の昼食は何だ?」
「ペペロンチーノだって。」
「…いつになったらピザが食べられるんだ?もう我慢できないぞ。」
C.C.は大のピザ好きで、東京に居た頃はほぼ毎日ピザを食べていた。
しかし、今居る国には宅配ピザ屋もなく、レストランも遠い田舎であるため、この一月C.C.はピザを食べれずに居た。
「そう言わないでよ。次に機会があったら、ピザのあるレストランに連れて行ってあげ…」
ライがC.C.にそう言いかけた時だった…
「ぐああああああ!!」
ジェレミアの絶叫が下の階から響いた。
「ジェレミア卿!どうしたんですか!?」
「ライ!来るな!来ては駄目だ!」
ライは下の階のジェレミアに大声で呼びかけるが、ジェレミアは「来るな」と荒げた声でライに言葉を返してきた。
「来るなって…ほっとけないよ!行こう、C.C.!」
C.C.は頷き、二人はベッドの下に隠した二丁の拳銃を持って階段を下りていった。
535 :
ライ×C万歳:2008/10/16(木) 22:37:50 ID:HJOBvwNB
※
「ジェレミア卿!アーニャ!」
「ライ!来るなと言っただろう!」
ライとC.C.はリビングに着くと、縄で縛られたアーニャとジェレミアの姿を見つけた。
二人とも顔に赤い痣が出来ている。
何者か…おそらく侵入者がつけた痣だろう。
ジェレミアは戦闘に長けたサイボーグ、アーニャは元ナイトオブラウンズ。二人とも生身の戦闘能力もかなり高い。
にもかかわらず、二人の顔に一撃を加え、拘束する。相手は相当な腕だろう。
「二人とも、無事でよかった…でも誰がこんなことを?それに二人を縛った相手はどこに…?」
ライはC.C.と共に二人の縄を解くため、リビングに足を踏み入れた。
その時…
「ライ!来るな!上だ!」
「え…?」
ジェレミアの叫びと共に、マントを身に着け、フードを被った男が天井からライとC.C.の前に落ちてきた。
男はジェレミアとアーニャを拘束した後、天井に張り付いてライとC.C.を待ち構えていたのだ。
「来るなと言われても放っておけないか…人間と言うのは甘い生き物だ。」
支援
537 :
ライ×C万歳:2008/10/16(木) 22:41:39 ID:HJOBvwNB
男は静かに言うと、瞬時に二人の腹部に強烈な当身を見舞った。
「ぐっ…」
「うっ…」
ライとC.C.はその場に崩れ落ち、膝を突いた。
「ライ!C.C.!貴様…私の友を…」
「黙れ。」
男はジェレミアの顔面に蹴りを入れ、彼を沈黙させた。
「ぐぅ…貴様ぁ…」
「ふん。」
男は呻くライに視線を向け、心で呟いた。
(これが皇帝ルルーシュの片腕だった男の力…弱すぎる。だが…)
男は次にC.C.に視線を移すと、フードの下の唇をニヤリと歪ませた。
(鍵は見つけた……弱肉強食の世界を作り上げるための…我らが主の理想とする世界の鍵が…)
支援
誤字ではないのですが、幕間を表現するなら「*」とかどうでしょう?「※」だとなんか注釈みたい
539 :
ライ×C万歳:2008/10/16(木) 22:44:05 ID:HJOBvwNB
aパート投下終了
うーん…やはり長編は苦手だ。
あまり長編更新は出来ないかも…
まぁ…自分のペースでがんばっていこうと思ってます。はい。
そしてトーマス卿、お悔やみ申し上げます。
インフレ起きてない?
スザク並みなんだぜ
言い訳のようですが少しくらい敵を強くしないとアルビオン、八極式の相手は務まりませんので…
駄目だったかなぁ…?
>>540 あれだよ。ター○ネー○ーなんだよ。多分。
>>539 乙です。そろそろ、敵の規模とか親玉を出してほしいっす。
>>541 ガンバレ!
長編なんて気合と勢いと若干の構成力でなんとかなるもんだと思うんですよ〜
要は続けることですよ
と、現在絶賛休止中のわたしが言ってみます
なんか予告編が流行ってるみたいなので、投下してみようかなと
1レスだけで〜す
【 予 告 編 】
その日、僕は、逃げ出した。
己の罪から、ただ、逃げ出した。
「卑怯者だ、僕はッ……!」
だけど、そうつぶやく僕をC.C.はバカにしなかった。何も言わず、ただ側にいてくれていた。
───ただ、側に、いてくれたんだ───
ブラックリベリオン──それは“日本”のブリタニアへの一大反抗作戦。その最中、わたしはライと共にガウェインの機上にあった。
トウキョウ上空から総督府政庁へ。そこでライを待ち受ける者は───
「ようこそゼロ。やはり空爆情報に誘い出されてここへ来たな」
コーネリア・リ・ブリタニア
ブリタニアの戦姫とゼロの仮面に素顔を隠すライ。激突する赤と黒。その果てにあるものとは。
「C.C.、君は…泣いているのか?」
─── ライ ───
「私とお前は似たもの同士のようだからな」
─── コーネリア ───
そしてその悲しき決闘の結末を迎えた時、わたしはひとつの決意を胸に秘めることとなる。
それは………
コードギアス LOST COLORS [手をとりあって] その9 【C.C.】
10月17日(金)夜 投下。 どうぞご期待ください。
【今後のラインナップ】
コードギアス LOST COLORS [手をとりあって] その10 【往きてまた還らず・前編 スザク】
コードギアス LOST COLORS [手をとりあって] 最終回 【往きてまた還らず・後編 カレン】
予告編いいなw
自分も構想中の長編の予告編書いて投下しようかな?w
ライ×C万歳卿、更新乙です
襲撃のオリキャラ?はギアス使いですかね?
生身でコレだけ強いと、バランスブレイクしそうですね。
ただこれだけです。肩透かしもいいとこですいません
要は明日こそ投下しますよ、とゆー…
トーマスさん、ご親族様へのお悔やみを申し上げます
気にしないでといっても、中々難しいとは思いますが、あなたの味方の方が多いこのスレだとわたしは思っています
それでは、また。また、明日
青運命さんGJ!
予告編でもすげぇ…
しかし青運命さんの「手を取り合って」ではライとカレンが恋人の設定だけどC.C.との絡みも少ないのに結構良くて魅力的なんですよね。
貴方の魅力的な文章を僕も見習いたいです。
>>543 そんなまだ一話前半なのにw
ガンダムWやメタルダーじゃあるまいし僕にはそんないきなりな超展開は無理っす…
>>502 初回サービスと言っては何ですが、変革に「かわ」とルビを振らせていただきました。不都合があればおっしゃって下さい。
それと、連載をされるならば個人的には是非コテをお勧めしたいです。当然
>>2に書いてある通り強制ではありませんが。
>>504 半角で統一しました。あと、修正済みの誤字報告です
ハドロンライフルが握れられており → ハドロンライフルが握られており
今から夜伽いってきます。最大約20時間ほど音信不通になることが予想されます。
お気つけていってください。
こっちのことは気にせずに〜w
>>550 トーマス卿乙です!お通夜のときに更新なんてえ〜?と思ったけど、よく考えたら
ちょっと置いといただけで抗議とかするバカがまたわくんだよね…ホントお疲れ様です。
本当にお体には木を着けてください。いつも応援してます。
最後に。
>>550の最後の行を見て、やらしい想像をしたやつ手を上げろw ノ
すいません、不謹慎にも思ってしまいました。ノ
>>539 ライ×C万歳卿、GJでしたー!
個人的には強い敵にボロボロになりながらも食らいつく方が好きですので気にせずにGOして欲しいでした。
というか、慣れたんだね、スザクw
敵の目的や規模は少しずつ明かされると思うので楽しみに待っておきます。
>>548 BLUEDESTINY卿、GJでした!
なんぞこれは!
予告編見ただけで胸が高鳴りました!
ヤバイ、眠気がぶっ飛んだ!
貴公らの次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
>>552 木を着けてどうするw
なんかガウェインが人気になってる感じが…。
50分頃に投下したいのですが、誰かおられますか?
はーーい、
居ますよ〜
毎度、ありがとうございます
支援してくれる方に全力で感謝を
今回は、前書き・本文・後書き合わせての18レスです
タイトル:コードギアス 反逆のルルーシュR2 RADIANT WORLD
カップリング:特になし
ジャンル:シリアス・長編
備考:ギアス篇&黒の騎士団篇の合いの子ルートENDからスタートしています
R2の豪快なifルート&オリジナルKMFが登場します
苦手な方には、本当に申し訳ないです
今回は第7話。ヒャア! もう我慢できねぇ! ifの為の暴投だ!
支援
人からの問いかけは、少年を蝕む。
心からの問いかけは、少年を苛む。
その仮面が、誰が為の物なのかを。
第七話『廻り 続けている 世界』
太平洋上の戦いと同時刻頃。場所はEU。
シュナイゼル・エル・ブリタニアが率いる、ブリタニア軍とEUとの戦線は膠着していた。
と言っても。シュナイゼルとラウンズの介入で、EUは既に虫の息ではあるが。
派遣されたラウンズの一人、ノネットは戦況図に対して大きな欠伸をプレゼントしてやる。
彼女はシュナイゼルの護衛を担当しており、前線はドロテア直属のKMF部隊が担当だ。
その退屈そうな態度に、ドロテアは視線で諌めようとするが。ノネットには暖簾に腕押しである。
そんな二人を眺めていたシュナイゼルの副官。カノン・マルディーニはノネットに、質問をしてみる事にした。
「エニアグラム卿は、直属部隊は持たれないのですか?」
その質問にノネットは、これで何度目だったかな。などと見当違いな答えを考え出している。
ラウンズは各々の直属部隊を、創設できる権利があるのだが。彼女の矜持なのだろうか。
部隊を一度も作った事がないらしい。仲の良いドロテアですら、その理由を答えてもらえた事がない。
「ん? ああ。いたのはいたんだが、な。放蕩されてしまってな」
だが、ノネットの答えはいつもと違っていた。今までいなかったのが、今はいると答えたのだ。
ドロテアもどういう心境の変化があったのか、それが気になり質問しようとしたが。
シュナイゼルが間に入ってきた事により、会話の流れが少し変わってしまう。
「すまないね。私が、預かっていながら」
「シュナイゼル殿下。構いませんよ、いつかはこうな―――――」
ノネットの言葉を遮って、長距離通信のコール音が鳴り響く。
ドロテアは折角聞けそうだった答えを聞けず、少々不機嫌になってしまうが。
彼女もラウンズだ。その辺りの分別はつくので、顔には出さず通信を許可する。
戦況図の一部をワイプして、画面に金髪の女性が現れる。
黄緑のマントを羽織った女性、モニカ・クルシェフスキー。ラウンズであり、トゥエルブの名を預かっている女傑。
と表現されるには、少々威厳が足りない気もするが。
支援
「ナイトオブフォー及びナイトオブナイン。先程陛下より預かった言葉を、お伝えします」
ノネットとドロテアは再度ワイプされた画面を見て、言葉の意味をすぐに理解した。
その後ろにいたシュナイゼルとカノンも感嘆しているようだ。
画面に写る人物は、これからどうなるのだろうか。
「これは、喜ぶべき事だね」
太平洋上での戦いから戻ったルルーシュは、すぐに眠りについてしまった。
団員達への指示もそこそこだったので、ライが細かく修正して彼を学園へと運ぶ事になる。
ナナリーにゼロだと明かされてしまった事。それが心に大きな負担をかけたのだろう。
ライはクラブハウスにある彼の自室に運び、ロロに世話を任せて少し外に出た。
夜風に当たりながら、これからの事に思い悩む。自分はどこに行き着くのか。
空を見上げれば、今日は星が綺麗に輝いていた。想いを伝えられない人々に謝罪するかのように。
ライはただ、その夜空を見上げている。
その頃。ルルーシュもようやく、意識を取り戻す。その目にロロを捉えて、状況を理解したようだ。
「うなされてるようだったから……」
ロロもロロなりに心配だったようで、少し不安そうな表情をしている。
ルルーシュはナナリーに全てを伝えられた。それが自身が望んで行なった行動ではないにしても。
そういう結果からなのか、彼の心境は少しずつだが変化している。だが、いまだに整理はついていない。
気持ちを反芻するかのように、まぶたを閉じる。ロロにもう一度休む事を告げて、そのまま彼は眠りについた。
眠りについたルルーシュを見届けた後。ロロはそのまま、クラブハウスの外にいるライに会いに行った。
夜風に揺れる佇まい。それはまるで幽鬼のようだ。ここにいてはいけない、そんな雰囲気を漂わせている。
「ルルーシュは?」
「眠ってしまいました。まだ、疲れているみたいです」
ロロの返答に、そうかとだけ返事をしてライ。彼はアヴァロン艦内であった事を想像する。
仮面の真実。妹の願い。過去の罪。託された願い。
今ルルーシュを取り巻くものは、形も答えもない酷く曖昧な問題だった。
それをどう受け止めるのかは、ライにはさほど興味が無かった。
どういう選択を選んでも、彼には受け入れる覚悟がある。それが騎士団の崩壊に繋がるものだったとしても。
それよりも、彼にとっては目先の問題の方が重要だった。ナナリーとロロ。この二人の事だ。
「ナナリーの事を、思い出しているのは?」
「……なんとなく、予想はできます」
寝言でナナリーの名を呼んでいたルルーシュ。それを聞いていたロロ。
ロロの居場所。それはもう、消えてしまうのだろうか。
偽りとはいえ、家族だった兄。甘い言葉に踊らされているだけだったとしても。
その時間は確かにあった。それが、奪われるかもしれない。
「ナナリーを、殺すつもりか?」
ライの射抜くようなその言葉に、ロロはただ黙って目を背ける事しか出来なかった。
今まで家族というものを知らず、未来に興味がなかった少年。
ただ、言われるがまま命を奪ってきただけの少年には、どうしていいのかがわからない。
俯いてしまうロロに、ライは自分なりの思うやり方を告げてみる。
「居場所がないなら作ればいい。なにも奪う必要はないはずだ」
「そんな事を言われても……わかりません……」
「わからないなりにやってみればいい。なにも変わらないよりはいいだろう」
今まで生きる為に奪うだけだけしかしてこなかったロロには、それは難題だった。
もしかしたら、なにもできないかもしれない。そんな不安と挫折の恐怖。
だが。そうやって躓いて、人は成長していく。選び抜いた選択が、人を強くする。
ルルーシュもロロも、止まっていた時間を今動かすしかない。世界は。未来は。立ち止まってはくれないのだから。
翌日。新総督の着任のニュースを、ルルーシュはただ眺めていた。
ナナリーが望む未来。ナナリーが選んだ選択。それを守る為にすれ違った友に託した事。
生徒会のメンバーが修学旅行の準備をしているのを傍目に、ルルーシュはただ流されていた。この状況に。
そして。ゼロという存在意義についても。彼はただ、感情に流れに身を任せていた。
ナナリーの意思を捻じ曲げる。彼にそんな事はまだ出来ない。
そんな無言の姿の彼を生徒会のメンバーは、みな一様に流すしか出来なかった。
支援
そしてロロも、まだ決意できずにいた。自分の居場所を手にする決断を。
総督の就任挨拶の時間になり、学園の生徒達と港に隠れている黒の騎士団もその演説を眺めていた。
そんな中。ライは興味がなさそうに、与えられた自室で騎士団の各目録を読み耽っていた。
C.C.も興味が無いのか。彼の部屋のソファーでチーズ君を抱きながら、黙ってそれを観察をしていた。
ライもいちいち構うのに疲れたのか、何も言わないでいる。
その無言の部屋にはじめて響いた音は、通信コール音だった。
「調子はいかがかな? 総司令補佐殿」
「ただの嫌味を言う為に通信ですか? 随分と暇そうですね、総領事代行殿」
送信元は黎星刻だった。ただ、ライは腹の虫の居所が悪かったのか。返事は嫌味含みなものだった。
しかし、星刻はそれを受け流して自分の職務を優先する。
「ブリタニアの新しい総督は、エリア11の中に日本を作る気でいるが。どうする気なのかな?」
「それについての交渉は、既にゼロが行なったはずですが。なにか疑問でも?」
「言葉遊びは好きではない。単刀直入に言おう、君はあれを認めるのかね?」
行政特区日本。ライはナナリーが演説で設立の宣言したのかを想像した。
否、想像するまでも無かった。でなければ、この男がわざわざ連絡はしてこないだろう。
ルルーシュは、ユーフェミアとナナリーが掲げたが故の盲点。感情を優先してしまったが為に見逃してしまった事。
星刻にはそれが解っていた。だからこそ彼は、騎士団の意思を確認してきたのだ。
「それについては、自分の一存では答えられません。ゼロや団員達の意見も―――――」
「私が聞きたいのは、君自身の考えだ」
「僕自身は、ゼロに従うだけです」
ライも盲点には気づいている。だからこそ努めて平静に受け答えしたが、彼は相手を侮りすぎた。
星刻という男。彼は大局的戦略においては経験不足と相性の悪さからルルーシュにはやや劣るが。
政治、武道、戦術運用、それらはルルーシュに匹敵している。
それを支える原動力はルルーシュと同質であり、ルルーシュ以上の強固な意志の下に動いている。
その事をライが知るのは、まだ先の話ではある。
ルルーシュに匹敵する人間。それが、ルルーシュ以上の覚悟と決意で動いている。
つまり。ライでは力不足だという事。そして、見透かされる事も自明だった。
「他人の尻馬に乗っておきながら、したたかな男だ。なにが目的なのかな?」
「さあ、なんでしょうね」
二人の探り合い。だが、この二人の決意は固く重い。これでは話も進みはしないだろう。
結局、ゼロと団員達の意思が決まるまで、保留という形になった。
ここで中華連邦の後ろ盾を無くせば、騎士団は瓦解をはじめてしまう。
だが、ライの一存で答えられる問題でもない。
その細い糸の上を綱渡りするような交渉に、ライは気がさらに滅入っていた。
にべも無く会話は終わり、部屋に再度の沈黙が漂う。額に手を当てて、彼が思うのはなんなのだろうか。
そんな部屋をはじめて訪れた人物は、カレンだった。
ルルーシュからの連絡はあったのかを聞くも、ライは体勢を変えず無いと答えるだけ。
その態度に彼女は苛立ちを少し感じたが、C.C.が代案を出してきた。
「そんなに聞きたいなら、直接聞けばいいだろう。お前は、ゼロの親衛隊隊長なのだろう?」
確かに聞ける権利はある。そして、正体を知っているという事もある。
カレンは携帯電話を取り出して考えたが、悩むのは彼女の性分ではない。
コール音が数回。繋がった後、少し無言だったがルルーシュは静かに返事をした。
『どうした……』
「行政特区の事、どうするのよ?」
『当面の事は全てライに一任すると言ったはずだ……他に用が無いのなら切るぞ……』
かなり憔悴している声に、カレンもいささか心配になる。
艦内で起きた事を知らない彼女だったが、ナナリーの奪還を失敗したという事はわかっている。
作戦の失敗。それもあるだろうが、ルルーシュは妹の成長にまだ戸惑っていた。
「しっかりしなさいよ、ルルーシュ……今の貴方はゼロなのよ……」
絞り出すようにカレンは言葉を続けたが、ルルーシュにはそれすら重圧にしかなりえなかった。
ゼロという記号。自分が作り上げたその記号が、妹を傷つける。
全ては妹の為。その為の仮面。その仮面がもう、ナナリーの為だけの物ではなくなっているのに。
「貴方には、私達に夢を見せた責任があるのよ……」
支援
夢を見せた責任。日本の独立。ブリタニアの破壊。それは、ナナリーの願いを壊すという事。
ルルーシュは動揺と自分の考えを優先してしまったが為に、見逃している言葉をまだ見つけていない。
ナナリーが、本当はどんな願い事を持っているのかを。
いまだ彷徨う心の内を吐露するかのように、ルルーシュは電話を切った。
彼が演説の途中で抜け出して、自室に篭ってしていた事。アルバムを眺める事を再開した。
傷口を塞ぎ、求め探す答えを教え請うかのように。ただ、眺めていた。
電話を切られたカレンの表情は、怪訝そうだった。
終始眺めているだけのC.C.とライは、口を挟もうとしない。二人には返答が読めていた。
ただ傍観するだけ。その無言の空間にカレンは、見えない苛立ちを感じてライに問い詰める。
「貴方、ルルーシュの友達なんでしょう。なんで、なにもしないのよ」
「なにかをしてやるのが友達とは、僕は思わない」
「でも、悩んでるじゃない。そんな時くらい」
「そう思うなら、君が慰めればいい。女性ならできる事もあるだろ」
ライはルルーシュの悩みよりも、自身が抱えている問題が気になりすぎていた。
腹の虫の居所が悪いのもあったのだろう。その返事が投げやりで、神経を逆撫でするだけだという事。
普段のライなら、そんな無神経な返事はしない。だが彼でも、常に心にゆとりがある訳ではない。
事情を知らないカレンにしてみれば、それは酷く失礼な言葉にしか聞こえなかった。
ライに近づき、彼女は平手で彼の頬を目一杯叩いた。ライも微動だにせず、黙ってそれを受け入れた。
そうされても仕方が無いと、覚悟はしていたのだろう。
「しっかりしなさいよ! 貴方だって―――――」
「カレン、そこまでにしておけ」
先程から我関せずな態度でいたC.C.が、突如割って入ってきた。
突然の乱入に二人は驚いたが、彼女はいつものと同じような態度だった。
「いい加減、ライに甘えるのはやめろ。こいつは、ルルーシュやお前だけの男ではない」
「でも、私は彼のパートナーよ。それとも、自分の男を取られるのが癪なの?」
カレンも苛立ちからか表現が荒い。いつものからかい程度としか思っていないのだろう。
支援
だが。軽く目を閉じて、再度見開いたC.C.の目は。カレンが今まで見た事無いほどに底冷えする鋭さだった。
彼女も思わず、後ろへと身じろぎしてしまう。だが、C.C.は言葉を止めなかった。
「好き勝手に言わせてみれば、これか。そうやって、ライの好意にまだ甘える気か」
「なによ……それはライが―――――」
「今度はライが言い訳か、つくづく小娘だな。そんなに甘えたいなら、ルルーシュのところにでも行ったらどうだ」
誰かをフォローするでもなく、彼女は険悪な言葉だけをカレンにぶつけた。
カレンの中のゼロ。兄と同じ絶対の存在の一つだった人物。その正体はルルーシュだった。
それを知った時、彼女は目の前の現実に耐え切れず逃げ出した。
そう。今のルルーシュと同じだった。目の前の現実に耐え切れず、どうしていいのかわからない。
日本の独立の為にと、彼女は自分を納得をさせているが。気持ちの整理がついたわけではない。
「ルルーシュの想い。お前の想い。それがイコールではない事を忘れたのか?」
「それは……でも―――――」
「ゼロの仮面はな。そういう軽い気持ちで、被れるものではない」
ゼロという記号。記号であるが故の重責。ルルーシュの。カレンの。日本人の。世界の。儚い想いと願い。
その全てに彩られた仮面。そして、ギアスという呪いと罪が渦巻く仮面。
生半可な意思では、潰されるだけでしかない。その罰を。その願いを。一身に受け入れる強さ。
ルルーシュは探していた。振り返ればそこにある、その軌跡からの問いかけへの答えを。
ライは黙って聞き入っているだけだったが、状況を軽視しすぎたのを反省したのか。
目先の二人から、立ち向かう事にした。
「C.C.、もういいだろ。カレンに言っても、問題が解決するわけじゃない」
そんな言葉にC.C.は、鼻を鳴らしてソファーにまた寝転がってしまう。
ライはそんな態度で済ませた彼女を僥倖に思い、カレンに謝罪して今日は休むように言い含めた。
他人の気持ち。その辺りに鈍感すぎたと反省しているのか、カレンは俯いたまま部屋を出て行った。
それを見届けたC.C.は、ライにも苦言を呈した。
支援
「お前もだ、ライ。いつまでも周りを甘やかすな。決意が鈍るぞ」
「そういう理由か。余計な心配だな、C.C.。いまさら迷う気は無い」
C.C.は先日のからかいの詫びもあったのだろう。珍しく、らしくもない事をしたなと反省をしていた。
不憫な人生を辿ったと思っていた少年に、世界は優しさを教えた。
その為にまた不憫な道を辿っているのを、彼女はどう思っているのだろうか。
答えはまだ聞かせてはもらえない。
ライは目録から考えられる行動日程から、団員達全員に今日と明日の間は休息にすると伝える。
そのアナウンスをした後、ライはスザクに電話をかけた。
『やあ。どうしたんだい?』
「ニュースを見たよ。本当によかったのか?」
僅かな無言。スザクは、ゆっくりと言葉を続ける。
ユーフェミアの願い。ナナリーの願い。それは自分の願いだというスザク。
その言葉をただ黙って受け入れる。それが、本当の望みではないのに。
これでいいのだろうかと自問自答したが、自分で手にする答えこそが大事だと思うライ。
時にそれは、冷酷と言われる行為だろう。だが、そうでもしなければならない。
そうでなければ、ルルーシュもスザクも前には進めない。時間の針を戻す愚は許されないのだから。
「……そうか。ところで黒の騎士団だけど、トウキョウ租界にはいないだろうな」
スザクは就任挨拶の後、ライにメールで意見を聞いていた。
ナナリー総督の奪取に失敗した場合、黒の騎士団が次に取りうる行動を。
ライは努めて、あくまで自分なら中華連邦との会談を優先すると答えた。
その為に、オオサカ租界かキュウシュウ租界を目指すと。あくまで、自分ならそうするという意見を言った。
実際は目と鼻の先にいる。ヨコスカ港で潜水艦を偽装した船で停泊中だ。
ただ、ライはあくまで行動予見の見地からの意見を言っただけであり、嘘を言ったわけではなかった。
ディートハルトがかつて彼に言った言葉。生の情報はこうやって形が変わる。そんな言葉が頭をよぎった。
スザクは感謝を述べて、他愛のない話をして通話を終わる。
これで雲隠れの下準備の一つが終わり、ライは詰めを行なった。
支援
「ヴィレッタ卿、今電話しても大丈夫でしたか?」
『ああ、大丈夫だ。今日は就任挨拶があったからな、早上がりだ』
学園にいる機情の統括。ヴィレッタに彼は現在の状況を尋ねた。
ルルーシュはいまだに学園から出ておらず、自室でアルバムを読み耽っている事。
ロロも隣室で待機している事。だが、動き出す気配はいまだになかった。
『動きは無いな。あと、ジェレミア卿が嚮主がどうとか言っていたぞ』
溜息交じりにそうですかと返答してライは、ヴィレッタに騎士団の動向を自分が一任する事を伝えた。
ヴィレッタもライに信用があるのか、それを了承して通話を終わらせた。
その慌しく作業をするライを眺めていたC.C.は、暇つぶし程度に彼をからかう。
「八方美人な男だ。怨み辛みを、さぞ抱えるだろうな」
「それでも、ゼロの仮面よりは色々と軽いだろ。それに、これ位なら傷つく人の数もまだ少ない」
ライも万能ではない。なにかを犠牲にする、それを最小限に留めようと努力はしていても、犠牲は出るだろう。
彼には成すべき誓いがある。その為の仮面。その為のペルソナ。それを幾つも持っている。
ブリタニア軍への偽の臨検書をまとめて、ライは軍部にメールを出した。
これで、この船舶は誤魔化せられた。その背任行為に等しい行為。裏切りともいえる行動。
「やはり、人間は面白い」
そんな言葉と共に、C.C.は自室から出て行ったライを追いかけていく。
「ところで、ライ。腹が減った、ピザを食わせろ」
「好きなだけ勝手に食べていろ。魔女」
下らない口喧嘩をしながら、潜水艦が見える簡易会議室に二人は足を運んだ。
そこに居たのは、藤堂と四聖剣。そして、黄昏ているカレンだった。
C.C.はピザを本気で注文する気なのか、近くの座席に座って宅配メニューを開いていた。
扇と玉城と杉山と南が先程までいたらしく、特区とこれからの事について話をしていたらしい。
この先どうするのか。それぞれ考える時間も必要だろうと思い、ライは休息を出したのだ。
藤堂と四聖剣はその配慮に礼を述べたが、ライは謙遜してしまう。
ライが文武の手腕に長けていても、年少の立場だ。一年前、彼等に尊敬の念を抱いていた事もある。
そんな事からか、ライは謝罪までしてしまったのだが。逆にそれが張り詰めていた場を和ませた。
支援
「若いながらに慎み深いですな。もっと、我を通しても構いませんぞ」
「仙波大尉。彼は前からこうでして」
「へぇ〜千葉もちょっとは見習ったら?」
「どういう意味だ、朝比奈」
「それは随分と気苦労をかけたみたいだな。何分、我々も不慣れなものでな。すまぬ」
思い思いの意見にライは戸惑ったが、乱入者の登場に場がさらに混乱してしまう。
「そうですよ、折角お強いのですから。もっとこう、ゼロ様みたいにバーンと」
皇神楽耶。今は亡きキョウトの生き残り。だが、人望は今もなお多く藤堂達も畏まってしまう。
そんな彼等を労いライを褒めたが、彼女がここに来た目的はゼロ。ルルーシュだった。
この状況下で動かず姿を見せないルルーシュが、気がかりだったらしく探していたらしい。
ちなみに、彼女はゼロの新妻である。自称だが。
それなのに中華連邦にいた際、手紙等の連絡を一度もくれなかったと、不満を漏らす。
「案外、浮気でもしてたんじゃない? 彼、女性を囲っているしさ」
「朝比奈っ! か、神楽耶様。決してそのような事は」
「そ、そうですとも。嘘、嘘です!」
朝比奈なりの冗談だったのが、いまいち冗談になっていない。
それを慌てて、千葉と卜部が訂正しているが。仙波と藤堂はそれもまたよし。と顔で語りあう。
しかし、そこは器の大きい神楽耶。あっさりとそれも構わないと認めてしまう。
「英雄、色を好む。とも言いますし。成人男性の生理を鑑みれば」
その言葉に一同が沈黙するが、ライは沈黙しながら違う事を考えていた。
(色を好む者、必ずしも英雄ならず。じゃ……)
色恋と女心に疎いライは、見当違いなことを思い浮かべている。
その色を無意識に引き寄せる男がそう思うのは、どうかと思うが。
そんな中でもピザ選びに熱中していたC.C.は、会話を一応は聞いていたらしく口を挟んだ。
「助かるよ。見かけより大きな女で」
ピザの吟味を続けながらも、彼女なりに神楽耶へ賛辞を呈した。
そんな彼女に神楽耶は、今まで相手してくれた事を感謝して手を差し出す。
C.C.はメニューに目を向けたまま、その手を握り返した。
そこで神楽耶は思い出したように、会話に入ってこないカレンを呼ぶ。
支援
カレンは会話の流れがわかっていないが、呼ばれたので神楽耶の傍まで行ったのだが。
状況が読めず、されるがままに手を重ねられてさらに困惑する。それを傍目に神楽耶は宣言した。
「ゼロ様を支える三人の……はっ! 私達、三人官女ですね」
日本の風習の一つ。ひな祭りに倣ったのだろうが、三人とも失念している事がある。
それに気づいた藤堂と四聖剣。ライも母から聞いた風習と細かな内容で思い出した。
『三人官女はいいが、誰が既婚者なんだ?』
と。どうでもいい事を、全員が思っていた。
翌日。団員達は休み続きなのもあり、何人かを残して外に繰り出していた。
だが、カレンは遠出もせずヨコスカ港の近くにあった公園に来ていた。
昨日のライとのやりとり。C.C.の言葉。
(なにしてるんだろう、私……)
頬を叩いた時。その時に覗かせたライの表情には、かなりの疲労が出ていた。
騎士団との合流以降、ルルーシュの奪還。総領事館での一件。太平洋上での奇襲作戦の準備。偽装船舶の寄港交渉。
思い返せば、ライには全てを休ませる時間がなかった。
ライはルルーシュの補佐をつとめている。同時に各セクションのトップのフォローも担当していた。
そしてKMFにおいても、カレンと肩を並べている。同い年であり、同じ日本人とブリタニア人とのハーフ。
ギアスで忘れていても、以前と変わらない関係。心のどこかにあるデジャビュ。
親衛隊隊長として。騎士団のエースとして。彼女と肩を並べられるのが、年長者ばかりなのもあっただろう。
それもありカレン自身。随分と彼に頼りきりだった。それと同時に、彼は誰かに常に頼られていた。
だが、彼が誰かに頼れる訳でもなかった。頼るにしても、頼りにできるルルーシュが今はいない。
それによる負担が一気に増えている、しかし。カレンはそれに気づけなかった。C.C.だけがそれに気づいていた。
普段は飄々として遊んでいるC.C.が気づいて、パートナーの自分が気づかなかった。
特区を設立するという事態。それをルルーシュの妹であるナナリーが宣言した。
ゼロという存在に寄りかかりきりな彼女には、ルルーシュしか気がかりでしかなかった。
支援
そのルルーシュも気持ちにゆとりがない。自分の仮面の所在を定める時間。それを探す為にライに一任した。
ライも友人としてできる事。今の彼にしてやれる事は、ルルーシュへの負担を減らす事だけだった。
互いが互いに信頼している。だからこその不干渉。それに、カレンはやっと気づいた。
自分本位な事ばかりしたことを恥じるかのように、彼女は身を預けているフェンスに顔を埋めてしまう。
「ひゃぁっ!?」
「考え事か? 随分と、思い耽っていたようだけど」
僅かに覗かせた頬に冷たい物を急に当てられて、カレンは間抜けな声を出してしまう。
物を当てられた方向を見ると、ライが缶ジュースを両手に持って立っていた。
そのまま、持っていたジュースを一本放り投げてカレンに渡す。
「今日は天気がいいな。それに風も気持ちがいい」
「ラ、ライ……」
そのまま缶のプルトップをあけて、ライはジュースを一口飲む。
叩いた頬の赤みはまだ引いておらず、まだ痛そうに見える。
その昨日の事を怒るでもなく、彼の振る舞いは普段どおりだった。表情には疲労がまだ出ているのに。
それでも、こうしてカレンの様子を見に来た。と、いうより見かけたなのだが。
気分転換程度の気持ちで出かけたライは、公園のフェンスでうなだれたカレンが気になり声をかけたのだ。
カレンは缶ジュースを見つめたまま、また同じ事の繰り返しかと思ってしまう。
「ねえ。ライは、今日はどうするのよ?」
「今日はラクシャータからの、青月に対する苦言の処理。それから」
騎士団の内務処理。KMF部隊の再編成。潜水艦の航路予定表の作成。etc。
次々と出てくる予定に、カレンは口をあけて呆け面になってしまう。
この男。他人を休ませておいて、自分を完全に蔑ろにしすぎである。
彼なりの団員達への労いの気持ちだったのが、カレンはやりすぎだと思いはじめた。
「それから、なんだったかな……ああ。それと」
「す、ストップ! もういい……よくわかったから……」
「まだあるんだが、いいのか?」
「いいから、ホント……はぁ……」
支援
溜息一つ。カレンは彼がまくし立てた予定を、休ませている団員達に各種振り分けていく。
ライ自身がどうしてもしなくてはいけない事だけを残して、彼女は予定表をサラッと立てた。
「これでよしっと。これなら今日一日休んでも、みんな間に合うでしょ」
「内務もちゃんと出来たのか……しかし、これじゃ折角の休みが―――――」
「いいのよ。大体、貴方は総司令補佐でしょ。人の上に立つなら人を動かさないでどうするのよ。それに」
この予定表なら、ライの予定に完全なオフができる。といっても、今日だけだが。
ライも色々考えたのだが、カレンの好意を無碍にも出来ず。
結局、残っていた団員達に電話でその予定を伝えるしかなかった。
「これじゃ、手持ち無沙汰だな」
「ふーん。そんなに暇なら、私と出かけてもらおうかしら」
「はあっ!?」
そのままライの意見も聞かず、腕を掴んでカレンはグイグイと引っ張っていく。
パートナーである以上、持ちつ持たれつ。カレンなりの労いと気分転換させる為だった。
が。ライはルルーシュにバレたらまるで浮気みたいじゃないかと、素っ頓狂な考えをはじめている。
「ま、待ってくれカレン。ルルーシュに―――――」
「はいはい。ルルーシュはルルーシュで、今は好きなだけ悩ませてあげればいいじゃない」
「そ、そういう事じゃない。僕は―――――」
「ライもよ。少しは黒の騎士団とかの喧騒から離れなさい。まったく」
まるで母親が子供に言い聞かせるように、ライを言い含めるカレン。
性分なのだろうか。彼女は悩むくらいなら動けを地でいくタイプだ。
結局、ライは引きずられるがまま公園を出て行く事になるが。その途中で彼女は、紅蓮の起動キーを落としてしまう。
すぐに気づいたライは、カレンを呼び止めてそれを拾いに行った時。投げ返すついでに、ある物を付けておく事にした。
「それなら、無くす心配もないだろう」
「大事そうな物に見えるんだけど、貰っていいの?」
「使わないよりはいいだろ」
支援
ライは紅蓮のキーに、ネックストラップを付けて返していた。
そのストラップは市販品のそれとは違っており、綺麗な青糸で編まれた特注品のようだった。
赤いキーに青いストラップ。赤いKMFと青いKMF。朱と蒼。
それはまるで、二人の信頼関係をわかりやすくしているようだった。
「とりあえず、赤色のストラップを探そう。やっぱり、同じ色で揃えた方がいいだろう」
「いいわよ、これで。……っと、やっぱり探しましょうか」
「急にどうしたんだ?」
「赤色のストラップを貴方が付けるのよ。双璧らしくね」
その言葉に頭の上に疑問符を浮かべるライを引っ張って、そのまま雑貨屋巡りへとくり出した。
その間、彼女の首下には赤と青が舞っていた。
その日の夜。ルルーシュは同じ事の繰り返しをしていた。
修学旅行にも行かず、部屋でただアルバムをめくっていた。
(ナナリーの居場所、か……)
堂々巡り。出口の見えない迷路。そんな中で彼は、どこへ向かうのだろうか。
カレンの言葉。ライの誓い。ギアスの生み出した罪。ナナリーの願い。
全てを充足できうる選択はあるのだろうか。
やめるのは簡単だ。だが、それを放棄できる程。ルルーシュは弱くはなれない。
繰り返す自問自答。流れが変わらない中、ロロが部屋を訪れた。
ルルーシュは一瞥だけして、アルバムに目線を戻してしまう。
「ナナリーが戻ってきたら、僕をどうするんですか?」
ロロが選んだ行動。それは、ストレートにぶつかる事だった。
その行動はルルーシュに驚愕を巻き起こす。ナナリーとロロ。真実と偽り。
未来を与えてやる。その言葉に踊らされるのに、ロロが疲れたのもあるだろう。
それは自棄になって起こした行動にも見える。だが、立ち止まっているよりはいい。
その行動にルル−シュも、何かを感じた。微かだが確かに。動かせるなにかを感じた。
支援
「お前自身はどうしたいんだ……ロロ」
「僕は兄さんがくれる未来を、知りたいだけです」
未来。それを与えてやるとルルーシュは言った。ロロはそれが気になった。
偽りの家族。偽りの兄弟。だが、過ごしてきた時間は確かにある。それは真実だ。
はじまりが嘘からだったとしても、二人で笑いあった日々はあった。
記憶を書き換えられた部分もある。しかし、少なくともこの一年は真実だ。
ルルーシュが求める答え。その答えが見つかる事を祈るかのように。
外には花火が上がっていた。二人はそれに驚き、打ち上げをしている場所であろう場所。
屋上へと急いだ。そこには、修学旅行に行ったはずの生徒会のメンバーがいた。
「あら。二人とも、やっと来たわね」
「ずっと部屋に篭りきりだったから、心配してたんだよ」
「そうそう。てっきり置いてかれたと勘違いして、泣いてるのかと思ったぜ」
思い思いに軽口を言い合う三人に、ルルーシュとロロは困惑してしまう。
どうやら、三人はルルーシュ達が気がかりで修学旅行に行かなかったらしい。
それもあり、思い出作りも兼ねて余っていた花火を打ち上げていたそうだ。
「会長。これ、ホントに叶うみたいですよ」
「そうね。眉唾物だったんだけど。案外、馬鹿に出来ないかもね」
「だとしたら。一個だけしか作らなかったから、ルルーシュとロロしか来なかったんじゃないんすか?」
そうやって騒いでいる三人の中で、シャーリーが手に持っている物にルルーシュは気づいた。
それは、折鶴だった。一年前、ナナリーから聞かされた言葉。その願い。
『この鶴を千羽折るとね。願いが叶うんですって』
あの時、自分だけで千羽折りきったら彼女は願っていただろう。優しい世界であるようにと。
どこまでも優しくありたいが為の言葉を。
『お兄様の罪も、ユフィ姉様の悲劇も……まだ、やり直せるはずです』
ナナリーの意思。その願いの為に、自分で出来る範囲で戦っている。それが拙いやり方だとしても。
「みんなは、何を願ったんだ?」
「私はね、みんなと一緒に花火がしたいなって。でも、少しだけだったみたい」
「ニーナにカレン。それにスザク。そして、我等の新しい仲間。ライにも来て欲しかったんだけどな」
「ホントは全員で。って思ってたんだけど、いないんじゃしょうがないしね」
支援
ルルーシュは何を思うのだろうか。願いの先への決意だったのだろうか。
だが、ルルーシュには罪がある。詫びて許されるものではない。
その贖罪を選べば、ナナリーの小さな願いを踏み躙る事になるだろう。
しかし、彼には責任がある。起こしてしまった事。思い返せば一年前。
ギアスを手に入れたあの時に。ルルーシュとナナリーは、こうなると決まっていたのかもしれない。
「……そうだな。またここで、みんなで花火を上げよう」
もう戻れない道の上で、振り返れば輝いている幸せの日々。
失った物は返ってはこない。だが、奪われるとわかっていて抗わないのも愚かだ。
仮面の罪と託された願い。その重責をルルーシュはようやく受け止めた。
その為にナナリーの小さな願いを犠牲する事。それは辛い事だろう。
しかし。一年前、同じような選択をした少年がいた。それを知らなければ、彼はこの決断をできなかっただろう。
ライも同じような選択をした。大切だったからこそ、守りたいが為に自分を捨てた。
そのままロロと屋上を離れ、ルルーシュは電話をかけた。同じ道を選んだ友へと。
『こんな時間に、どうしたんだ?』
「予定が決まったからな、その為の連絡だ」
電話の相手。ライはルルーシュのはっきりとした口調に思うところがあるのか。
最初は無言だったが息を軽く吸って、ルルーシュに尋ねた。
『いいのか。ナナリーの願いは―――――』
「わかっている。だが、俺にも果たさなけれならない責任がある。その罰だと受け止めるさ」
お互いに無言になる。この選択は、誰が喜ぶものではないだろう。
だが着実に。迫ってきてる脅威がある。追い立てる願いがある。
ルルーシュもライも、誰に感謝されるでもない道を歩みだした。罪と罰を抱えるが故に。
そのルルーシュの決意の重さを理解したライは、ただ了承するだけだった。
通話を終え、ルルーシュはロロに聞かねばならない事を聞く。ロロが求めるものを。
「ロロ。この一年、お前は幸せだったか」
「よく、わからないけど……でも、不思議な感覚だったよ」
支援!
なにも知らない少年には、それは不思議な感覚だっただろう。
その答えを聞いたルルーシュは、先のロロの問いの答えを呈した。
「ナナリーは俺の妹だ、それは変わらない。だが。ロロ、お前が望むなら」
そう言って、手を差し出した。見せかけの絆を捨て、確かな絆を結ぶように。
それは兄弟という形なのか。それとも友人としてなのか。
選択の権利。それすらルルーシュは委ねた。他人を。仲間を信じる事を。
かつて、ライに問われた事の答えを突きつけるかのように。
「僕にとっては、兄さんは兄さんだよ」
言葉と共に、ロロは手を握り返した。まるで、契約を結ぶかのように。
「家族が増えたと知ったら、ナナリーも喜ぶだろうな」
そんな、ささやかな願いを空へと飛ばすかのように。ルルーシュは言葉を続けた。
全てはゼロに。そしてこれが、ルルーシュのゼロからのスタートだった。
ゼロからの反逆が、今ここから。またはじまる。
一面に広がる砂漠。そんな中に、少年は遺跡の階段に座っていた。
「やっぱりシャルルは幼いね。ここまで動いてるのに、見過ごすなんて」
砂漠に椅子を置いて座っている青年に、感想を吐露するかのように語りかけている少年。
ギアス嚮団の嚮主V.V.は、努めて平常だった。道端の石が足にぶつかった程度の認識しかしてない。
その感想を聞いている青年。貴族の出なのだろうか、気品と品格を漂わせてワインを煽っている。
「その点に関しては、問題はないでしょう」
同じような感想を漏らす青年。ジェレミア・ゴットバルトも同じような認識だった。
瑣末な事。この二人にとって話している内容は、さして問題ではないのだろう。
「でも、ここまで来られたら厄介だからね」
「心配はご無用。私の調整さえ済めば、ゼロもC.C.も敵ではありませんよ」
そのままワインを飲み干し、ジェレミアはV.V.を見据え期待されている返答をした。
「ご期待には全力でお答えしましょう。全ては、私とライ卿にお任せください」
支援
人
( ○)以上です
次回は百万のゼロ! …じゃないかも?
時間とお手間をかけてさせてしまい、申し訳なかったです…
あと、こちらの計算ミスで1レス増えてしまった件も謝罪致します
本当に申し訳ありませんでした
では、長々と失礼しました
GJ!
しかしライはどれだけの勢力と繋ぎをとっているんだ…寝る暇ない気がする。
原作よりも各キャラに心の余裕ができつつありますが、肝心のライが心配ですね。
ぷにぷに卿GJ
次回も期待しています。
君の圧倒的な文量に私は心奪われた!
この気持ち、まさしく愛!!!
オール・ハイル・ぷにぷにー!
>>593 ぷにぷに卿、GJでした!
数多くの勢力との繋がりをもつライ、阿修羅がごとき活躍ぶりにワクワクです!
C.C.、カレン、ロロ、etc……皆がいい味を出しておりました!
次は百万のゼロ!……じゃないかも!?
気になってしょうがねぇぜ!
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
お疲れさまでした。
これで悲劇は回避されるのでしょうか…
次も楽しみにしております!
ぷにぷに卿の作品を一通り読んで気にかかった点を少々。
読点を使いすぎですね。そのせいで文章自体は悪くないと思いますが、
テンポが悪くて読み辛くなっているように思います。俺の個人的意見ですけどね。
それから、意味をはっきりと理解していない単語を使うときは辞書を使ってはどうでしょう?
時折「?」と思うような単語の使い方、それから言い回しをしているところがあったもので。
ヾ(*゚ω゚*)ノ゙プニプニ!!
600 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/17(金) 18:36:57 ID:UDwbHXVP
今夜に青い運命卿が「手を取り合って」の続きをようやく投下するらしいな。
だが夜っていうのは何時のことなんだ?夜中の間投下されるまで待ってあろと?何時に投下するくらい明示するべき。
散々もったいぶって待たせているんだからそれくらいの配慮は必要だろ。ていうか、予告編なんぞ投下するくらいなら昨日投下すればいいのにと思ったのは俺だけじゃないはず。
601 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/17(金) 18:41:32 ID:VWFDECHr
まあ、そう急ぐなよ
>>601 >>602 いい加減スルーするようにしようぜ
保管庫管理人さんに文句言う奴と同じようなもんだよ。こういう奴は無視が一番
青い運命卿ではないんですが
投下してもよろしいでしょうか?
支援いたしますぞ
支援します!
すいませんそれでは簡単に説明の前に
前回自分が投下した時に、
管理人さん、及びスレの皆様に対し、多大な迷惑をかけてしまった事を、誤りたいと思います。
本当に前回は申し訳ございませんでした。
えー、では説明を
・前回からの続きものです
・今回はリヴァル視点でお送りします
・イアラはライです
次から大体3レス位です
それでは投下します
支援
支援
支援
『メモリーズリヴァル』
教卓の横に佇む眩いばかりに輝く金髪の少女、彼女は周りから一身に好奇の目を浴びていた。
「は、はじめ…まして……イアラ…です」
その中うつ向くようにか細い声で自己紹介を始める。
周囲の目が恥ずかしい為か、それとも元々そういう性格の為か、それだけ述べると黙ってしまった。
自己紹介は短かった。
たぶん彼女は臆病な性格なのだろう。しかしそれを差し引いてもお釣りが来るぐらいの容姿をしていた。
スラッと伸びる背、引き締まった身体、それを隠すように穿いたタイツ、眩く輝く金髪、端正な顔立ち、そして吸い込まれるような瞳、
一つ一つ極上品のパーツを集め、そして研磨吟味し、組み立てたロボット
そう例えてもおかしくない、それぐらい完成された芸術に思えた。
ざわめく周囲。
「あー彼女は、今日1日だけ体験入学するそうだ。みんな宜しくな。」
これ以上騒がしくなる前に牽制の意味を込めて閉める先生、たぶん質問したければ後で各自でご自由にという意味も含まれている。
「席は…リヴァルの隣でいいな」
敵意の視線が一斉に此方に集まる。
しかし、それは些細な問題だ。
自分の鼓動が速くなるのを自覚する。
全てに置いて第一印象が大事だ。
失敗は許されない。
「お、俺リヴァルって言うんだ宜しく」
悲しい事に上擦った声、そしてひきつった笑顔
失敗だ。
自己嫌悪に陥る寸前。
「クスッ」
どういう訳か彼女の琴線に触れたらしく、口角が上がる位は、笑ってくれた。
ひきつった笑い方ではあったが、元々整った顔立ちのせいか、それは天使の微笑に見えた。
「あ」
見られた事に気付いた為か、またうつ向きそのまま隣の席に座る。
居心地が悪くなった自分も前を向き、始まった授業を聞くふりをする。
横目でイアラを盗み見すると、顔が赤く染まっていた。
そのせいか授業が頭に入らず過ごす事になった。
授業が終わると、隣のイアラは生徒達に囲まれた。
転校生はそれだけで珍しい、更に綺麗だと来たら充分過ぎる程の話題である。
いつもなら真っ先にその輪の中に入る自分。
しかし、今日は気分では無い、違う、気後れしてしまう。
何故か解らない自分に嘆息しつつ、輪に入ってない生徒の所へ向かう、ルルーシュである。
「よう、ルルーシュ転校生に興味ないのか?」
こざかしい手だが、
支援
しえん
彼に話しかける事によって、いつもの自分を取り戻せないか、そう思案するあざとい自分に多少嫌悪する。
「ふん、それはお前の分野だろ。」
返しに皮肉を込め、微笑むルルーシュ。
いつも眠そうにしている彼だが興味があるらしく。
顔はイアラに向いている。
「いやー、美味しいポジションだからこそだよルルーシュ君」
いつも通り軽薄な言葉が自分の口から飛び出した。
自分を取り戻せた事に安堵する。
―ズレは恐い、自分自身で無くなるからだ。―
大仰そうに仰ぎルルーシュと肩を組む。
「こういうのは、緊張を解きほぐしてからが本番だ。
みてろよぉ、チョチョイのチョイと情報を聞き出してやるから」
宣言する。
それは、自分自身に対する暗示だ。
またもや友人を利用する、今日はどこか自分はおかしい、確認するが理解は出来ない。
笑顔で話しながら、自分自身に違和感を感じた時に。
ふと友人の顔をみると怪訝な表情をしていた。
「どうしたんだよ、ルルーシュ?」
「いやなに、転校生をスザクが手を引いて連れていったからな」
何故かは知らないが、自分自身の胸が痛んだ。
続く
以上で投下を終了します。
少なめですいません
最後にもう一度、本当に迷惑かけてすいませんでした。
忘れてた
お二方支援ありがとうございました
タンドリーチキン卿乙です。
生殺しです。どうなるの金髪イアラ!!
リヴァルよ素数を数えるんだ
>>617 タンドリーチキン卿、GJでした!
ちょっwリヴァル、おまw
早く戻ってこい、もしくは全力で気付くな!
お前自身のためにwww
貴方の次の投下を全力で待たせていただきます!
>>617 タンドリーチキン卿、乙!
ここにきてタイトルの意味が分かって来たw
リヴァル、がんばれ、超がんばれ。
真実には気がつかない方がたぶん幸せだ。
20分から投下します。
注意書き〜終了宣言まで5レスなので支援不要かな?
時間です。
・タイトルは「スシ の 味」
・特派ルートで特区成立後の一コマです。
・ライ空気。主役はユーフェミア。
・保管は名無しでお願いします。
・タイトルがすべて。
・投下終了宣言まで、これを含めて5レスとなります。本文は3レス。
「スシ の 味」
特区日本が無事成立して数カ月が経った。正直に言って、ユーフェミアに政の才があるとは誰も期待し
ていなかっただろう。しかし、彼女は文化面からブリタニアと日本の交流を始め、見事にそれを成功させ
た。日本独特の文化、殊に古美術と食はブリタニア本国でも元々高い評価を得ている。ユーフェミアはそ
こにお墨付きを与え、ブリタニアでの関税率を抑えて貿易の間口を広げた。
経済成長率はゆるやかではあるが右肩上がりとなり、コーネリア総督にもその効果を認めさせた。エリ
ア11全体にも影響を及ぼし、近々このエリアは衛星エリアへと昇格を果たすだろう。もしくはまったく
別の形――独立エリアとも噂される――になるかもしれない。
「兄の絵が教えてくれたことです」
ユーフェミアは後のインタビューでそう答えている。
「以前、美術館で私が心惹かれた絵は日本人の血を引いている方の絵でした。この日本に来てすぐの頃に
見た兄の遺した絵の色に似ていたからかもしれません。それを見て、国が違っても心に通うもの、
満ちる優しさは同じなのだと私は確信できたんです」
ユーフェミアは心からの笑みを浮かべた。
この笑みこそが特区の原動力となる。スザクとライは同時に溜息をついた。
ビルの高層階にある会議室は天候に恵まれればフジの麓地域が見渡せる。眼下に広がる蒼い森は自然の
ままで動植物の宝庫だ。特区が掲げる融和と共生にも通じる。無残にも削り取られた霊峯富士の姿は痛々
しいが、いずれ元の景観に戻すことが検討されていた。
藤堂は感慨深く山並みを眺めた。かつて日本解放戦線で彼らが求めた過去には戻れないが、新しく前に
進むことはできる。いつだって未来は開かれているのだ。人々がそのことに気付けるかどうか、ただそれ
だけが問題なのだった。
「よい景色だ」
藤堂は来るべき未来に小さく感嘆をもらした。
今日は良く晴れていた。眩しいくらいの日差しにブラインドの角度を注意深く変え、室内は快適な温度
に調整されている。
仮面の男、ゼロは与えられた席で沈黙を保っている。
会議は順調だった。ユーフェミアの突飛とも言える思いつきは一見素人考えでしかないが、既成概念に
囚われない自由な発想は貴重だ。それを理論付けてやるのがゼロを始めとする周囲の役割だった。
ゼロの表情は仮面に隠されて見えない。ただ、その視線が目の前の皿に集中していることだけは確かだ
ろう。いわゆるガン見している状態だ。
ライはその心を察した。しかし、彼とて同じものを手渡されている。小振りの皿の上にはパステルカ
ラーの可愛らしい物体があった。きれいなバラには棘がある。かわいいキノコには毒がある。
(これは毒だ。それもこの特区を消滅させるほどの猛毒だ)
かつて彼がチョウフ基地で倒れた原因はコレであるというのが専らの噂である。ライは肯定も否定もし
なかった。ただ曖昧に笑みを浮かべただけだ。ただし、その後、夜食の時間になると彼は黙って姿を消す
ようになった。行動こそがすべてを物語る。
さて、それが毒であるとこの場に居る誰もが分かっているのに、誰も声を上げられない。争い事を好ま
ない日本人の民族性と言うべきか。
会議において純粋なブリタニア人はユーフェミア、補佐のダールトン及び書記官、そしてセシル・ク
ルーミーであった。ブリタニア側として同席していたがスザクとライは血筋で言えば、彼らはそれぞれ日
本人とハーフである。
「軽食を用意いたしましたが、いかがですか?」
にこやかに百パーセントの善意で提供したその人が部屋に留まる限り、和を重んじる日本人たちはそっ
と視線を外しつつやんわりと遠まわしに断りを入れようとするしかない。しかし、それを察してくれるほ
ど、ブリタニア人たちは日本文化を理解していなかった。異文化理解の中で一番難しい、あいまいな日本
の私である。
藤堂は静かに窓の外の景色に現実逃避し、ゼロは仮面の中で二百五十六通りの可能性を試算し始める。
ライは胃を抑えながら溜息を吐き、スザクは自分にかけられたギアスが「逃げろ!」というのを抑えるの
に精一杯だ。
「まあ、可愛らしい! これは何ですか?」
沈黙を破り、嬉しそうな声を上げたのはユーフェミアだった。色合いだけ見れば小さなケーキに見えな
いこともない。同時にコーヒーも配られているから尚更だ。
「オスシ、という日本の食べ物です。ブリタニア流にアレンジを加えてみました」
セシルは無邪気なユーフェミアに微笑みながら答えたが、黒の騎士団メンバー及び特派の二人は
「それは違う!」と一斉に無言のツッコミを入れた。彼らは身振り手振りでユーフェミアを止めようとし
たが、彼女は全く気づかない。優雅な手付きで添えられたフォークを使い、一口サイズに切ると口に運んだ。
(あ……!)
瞬間、場の空気は一体となった。
ユーフェミアは外野の注目が集まっていることなど気にも留めずにオスシを咀嚼し飲み込んだ。
「不思議な味ですね。はじめての体験です」
にっこりといつも通りの慈愛の笑みを浮かべて、彼女はセシルに礼とも感想とも取れる意見を述べた。
「ではゼロ、会議を再開しましょうか?」
その後、予想外に議論は白熱し、差し入れに手が付けられたのはユーフェミアの皿だけであった。
一人の犠牲者も出さずに危機を乗り越えたことにゼロは改めてユーフェミアに心からの敬服を示し、
特区への惜しみない協力を約束したのだった。
以上で終了です。
読んでいただき、ありがとうございました。
ライはほとんど出てこないけれど、ロスカラでしか書けないSSだからいいかなーと
思いつつ投下した。
オチがいまいちなので、ちょっと後悔はしてる。
>>626 GJでしたー!
ユフィが……凄いです。
まさか味覚があれなのか? だが、いや、しかし……
特区成功の鍵が一歩間違えればバイオテロな状況?とは誰も思うまいw
貴方の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
ノネットってゲームオリジナルキャラでよかったんだっけ?
ラウンズは欠番があるみたいだし構成がよくわかんね
さてと散々にお待たせして申し訳ないです
青い人です、みなさんお久しぶり? そうでもない? とりあえずこんばんはです
手をとりあって のその9を投下しにきました
来たんですが、もうすぐ巡回の時間なんでとりあえず寝たフリしてやりすごします
23:00より投下しますので、もうしばらくお待ちを〜
【本日の前書き】
コードギアス LOSTCOLORS 手をとりあって その9 です
本レスを除き、全部で16レスとなっています
今回はオリキャラ等はないです。ないかな? 多分ないはず
あとは大体予告編通りかな?
よくよく見てみると二ヶ月たってますね。ホントにお待たせしちゃって申し訳ないです
それでは、よろしくおねがいします。
「総司令閣下、申し訳ありませんが、この機体は複雑すぎて我々には応急処置しか出来ませんでした」
前線後方の補給キャンプにガウェインの姿はあった。その周囲に集まり、忙しなく動く整備兵たちの姿。それはまるで巨人に群がる小人達のように見えるはずだ。
「特にハドロン砲の調整は不完全ですから決して連続使用はしないで下さい。せいぜい4〜5射。ここぞという時にだけ使うように心がけてください」
だがそれは仕方のないことだ。ラクシャータたちがいるアッシュフォード学園の司令部本陣ではなく、あえて最前線の補給キャンプでの整備を望んだのは僕自身なのだから。
ミレイさんにルルーシュの遺品を渡した後、僕は逃げるようにその場を立ち去った。
それでも気丈に振舞うミレイさんを見ていられなかった。ナナリーと顔を合わせ続ける勇気を僕は持ち得ていなかった。
そう、“逃げるように”ではない。“逃げ出した”のだ。
「卑怯者だ、僕は……ッ」
だけど、そうつぶやく僕をC.C.はバカにしなかった。何も言わず、ただ側にいてくれていた。
───ただ、側に、いてくれたんだ───
コードギアス LOST COLORS [手をとりあって] その9 【C.C.】
「代わりと言ってはなんですが、肩部にマイクロ・ミサイルランチャーを装備しておきました。射撃系統は火器管制モードの空き領域にセットしてあります」
すまなそうにしている整備兵に「ありがとう」と感謝を口にし、ゼロ──ライはガウェインのキャノピーを閉鎖した。
「このまま行くのか?」
わたしの問いにライはただ一言で答える。
「行くさ」
その返事の仕方が可愛くなくて不満ではあったが、一々指摘したりなどしない。わたしはC.C.なのだから。
戦況はまずまずの様子であるという。
ナリタで鹵獲した電子戦機というナイトメアによって高度な情報の収集・分析・配布のネットワークを構築できたことは望外の極みだった。
新日本軍の司令官としての権限を得た藤堂はそれらを効率的に運用し、戦場の全体を把握、的確な戦術の実施によって着々と目標を達しつつある。
租界の構造体を崩落させ、ブリタニア軍の陣地を崩壊させた策はルルーシュが事ある時のために用意していた策だ。
と、ライが教えてくれた。
頼んで聞いたわけではない。彼が自分から語りだしたのだ。聞いてほしかったのだろう。多分。
支援
そう、何でもいい。誰にでもいい。ただ語り続けていたかったのだ。
戦闘空域に飛び込んでいくのも一緒。考えたくないのだ、思い出したくないのだ。彼女たちの涙を。
だから喋り続ける。戦い続ける。あの一瞬を脳裏に留まらせたくないから。
そしてライはゼロだ。ゼロであるがゆえに、誰彼選ばず胸の内を明かす事などできはしない。
いいだろうと思った。
わたしが一回相槌をうつことで、その心に刺さった棘がほんの少し細くなるというのならば、そうしてやろうと。
もの思いにふける間も巡航速度で前進を続けるガウェイン。前線を迂回しているため、行く手を妨げる敵の存在はなかった。
やがて進行方向に巨大なビル群が見えてくる。トウキョウ租界の心臓部分。その中心部に鎮座するのは総督府。
「藤堂さん、僕です。これから政庁上空より威力偵察に入ります」
本陣ではなく、ライは藤堂に直接秘匿回線で通信をかけた。
「うん? 機体能力に頼るのは危険だと考えるが」
「わかっています。深追いはしないと約束します」
淡々と目的を告げるライに、藤堂はいつも通りの実直そうな声で答える。
「了解した。だが、無理はしないでくれ」
はいと答え、会話をきりあげようとするライ。しかし藤堂は言葉を続ける。
「…先の学園でのことは聞いた」
ぴくりとその手の先が震えるのをわたしは見逃さない。
「学園への対応には宣撫班を動員した。守りは零番隊に固めさせてもいる。例の少女や生徒たちに問題が起こらないよう厳命もした。だから…」
「……ありがとう、藤堂さん」
やっとの思いで搾り出した言葉。藤堂はもう一度無理はするな、と告げて通信を切った。
「このまま政庁付近に進入するのか?」
「撃ち漏らした航空戦力を政庁の後方で糾合しているって情報があがっている。それらを用いて空爆を行うってね」
ならば早くに状況を確認して叩かねばならない。空を飛べるガウェインならば適任だということなのだろう。
ライは器用に機体の姿勢を制御しつつ政庁の庭園を眼下にとらえた。
支援
『なんだろう、この感じ』
急に胸騒ぎが起きた。誰かに見られているような、落ち着かない気持ち。
「おい、ライ」
わたしがライに声をかけるやいなやだった。
急激な機体の機動。それがまるで巨大なミキサーに掛けられたかのようにわたしをシェイクする。
それはガウェインの巨体に見合わぬ俊敏なローリング。跳ね飛ぶようなその回避機動によってかかる強烈なGにわたしは呻き声をあげることさえかなわない。
さっきまで機体があった場所を無数の銃弾が通過していく。
『攻撃?! 殺気は感じ取れなかった。誰が!!』
上昇しようとするガウェインの頭を抑えるようにその頭上に再度火線が奔る。ライはガウェインを地上に降ろした。
「…まさかな、コレを完全回避するか………」
聞き取りづらいノイズ混じりの声が通信機からこぼれた。聞き覚えのある女の声。眼前に銃弾を放った主が現れる。
「二本角のグロースター……? コーネリアか!」
ライの驚愕はそのままわたしの驚きでもあった。エリア総督が、第二皇女たるコーネリアがその身をこのような場所に置くのかと。
「ようこそゼロ。やはり空爆情報に誘い出されてここへ来たな」
ノイズ混じりの音声を通信機が拾う。見れば眼前の機体より通信レーザーが同期を求めて発信されている。
「聞こえているだろうゼロ、私の言葉が。582だ!」
それは音声通信の周波数だと知れた。ライの頷きを見てチャンネル合わせる。音声からノイズが消えた。
「伺いましょう、コーネリア殿下。わたしも貴女には聞かせていただきたいことがある」
そう応えつつ、ライは即座に全武装をアクティブにし、機体管制を戦闘機動へと切り替えていっている。
もっともそれはコーネリアとて同じことだろうとは思った。
それでも一応はコーネリアのグロースターは銃を収め、ランスの穂先を上に上げてみせていた。
「ユフィのことだ。我が妹姫を殺したのはゼロ、お前か?」
あまりにも真っ直ぐな、単刀直入な物言い。
「違います」
対するライの答えはたった一言。もう少し言い様があるだろうにと思った。が、コーネリアには好印象を与えたようだ。
「ふ、ふははははははははっ!」
屈託のない、大きな笑い声。そうだった。彼女はこんな笑い声を立てる娘だったと今更ながら思い出していた。
支援
「信じよう、ゼロ」
笑い声をおさめて、しかし抑えきれずにいながらコーネリアはライの言葉を信じると言った。
それは意外なことだった。コーネリアは幼い頃からユーフェミアを溺愛していた。彼女は怒りのままに襲い掛かってくるとばかり思っていたのに。
「総督はわたしの言をお信じになる、と?」
信じるよとコーネリアは穏やかな口調で答えた。戦いの場などとは信じられない穏やかな口調。
「私とお前は似たもの同士のようだからな」
「似たもの同士とおっしゃる・・・?」
「似ているさ」
コーネリアはもう一度、今度は「ふふ・・・」と小さく笑った。
モニターに映る彼女の顔は確かに穏やかに微笑んでいた。わたしにはそれがわからない。
トウキョウ租界を巡る決戦の最中、両軍の最高指揮官である二人が対峙する場ではありえない“絵”。
「わたしも答えよう。ゼロ、わたしに何が聞きたい?」
ライはコーネリアの問答に付き合う様子だった。
「……真実を。特区にテロを働いたのはブリタニア帝国でありましょうか?」
「違う。誓って、と言えぬのが口惜しいが」
コーネリアはその語尾を濁した。
『つまり、コーネリア配下の行いではない。しかし、神聖ブリタニア帝国の行いではない…そうは言い切れないと。そういうことか』
そのとき、わたしはハっとするものを感じた。
──ブリタニア帝国の行いではないと言い切れない……
もしかして、と思った。
──聞いたよ。残念だったね、マリアンヌのこと───
まさか、まさか、まさか……っ!
──ルルーシュを殺したテロリストはギアス能力者の可能性がある…。時を消し飛ばす、そのような効果と思われるギアス。心当たりはないか?
ライの問いかけに対する答えをわたしはもたなかった。時をどうにかするギアス。そんな能力が発現した者をわたしは知らない。
『わたしが知らないギアス。その持ち主、与えた者……』
何かが、欠けた場所にあてはまったような感覚。
『そうなのか? お前なのか?』
だが、ありえないと思った。
支援
『あいつの行動は、あの二人が監視をしているはずだ。ルルーシュを害することなど…』
しかし同時にこうも思う。
二人がわたしにウソをついているのだとしたら、と。
あの男の行動が、二人の同意のもとに行われたのだととしたら。もしくはそうと知っていながら沈黙によって見逃していたのだとしたら………。
考えられないことではない。なぜなら、
『かつて、ルルーシュとナナリーの兄妹がいながら、彼らは日本に対して宣戦した……』
あの“計画”が成れば、生者と死者の垣根など意味を為さなくなる。
「だけど………」
いつしか心の隅に生まれた“気持ち”を、その存在をわたしは確かに感じていた。もう、自分にウソはつけない。それは“彼女”にも悟られない程の奥深くにある“想い”。
「だから………」
「C.C.?」
振り向き、小さくわたしの名を呼ぶライ。声に出してしまっていたのか…。なんでもない、と小さく返答し、わたしはコーネリアのグロースターに意識を戻す。
コーネリアはお互いを『似たもの同士』と言った。目指すものが同じと言うことならば……。
『この二人は手をとりあうことができるのではないか?』それは淡い期待だった。
ライとコーネリアの会話は続いていたのだが、遠くに聞こえた戦闘の爆音と地響きの音がその腰を折る。
「近付いているな……」
コーネリアの声が低くなった。
「この戦、このままでいけばキサマ達の勝ち、だな」
──負けを認める?──
しかしそれはコーネリアらしくない、と思えた。
「このままで推移させるつもりもないのでありましょう?」
返事はない。だがそのグロースターの堂々としたたたずまいがコーネリアの答えなのだとわかる。
「ゼロよ……」
グロースターがランスを構えなおした。ランドスピナーを展開する。その左腕部にライフルを装備する。
即座にライもガウェインの収納型ランドスピナーを展開させ、戦闘に備える。
「貴様の問いに確たる答を提示できなかった代わりに……コーネリア・リ・ブリタニアが誓約しよう」
「承りましょう、コーネリア殿下。殿下がその名に誓うとおっしゃるお言葉を!」
支援
支援
コーネリアはもう一度笑った。
それは何よりも優雅で、誰よりも誇り高く。それは戦って勝ち取ることこそを最上とする、戦姫の微笑み。
「貴様を打ち破り、このエリア11の混乱を平定することを。そして、この地に“優しい世界”を顕現させることを、だ!」
「優しい世界?」
唐突に現れた言葉にライが思わず反復する。コーネリアは言う。「優しい世界だ」と繰り返す。決意を自分自身に言い聞かせるかのように。
「ナンバーズがただ支配される世界ではなく、ブリタニアが支配するだけの世界でもない。ユフィが望んだ優しい世界を作る。私が!」
「コーネリア……、貴女は……!」
「誓約しよう、ゼロ。私は私の全存在をかけてこの約定を果たす。この日本という地に! ユフィが、クロヴィスが、ルルーシュ、ナナリー! 私の大切な家族たちの血を吸ったこの場所を、この場所だからこそ!」
グロースターがその身を低く沈みこませる。
「我が弟、妹たちが眠るこの地を聖地とするのだ! ユフィが夢見た世界を私が実現させる!!」
突進する赤い機体。突き出されるランス。ライはガウェインの腕でそれを払いのける。
激突する、「赤」と「黒」
「だから、キサマはもう退くがいい! ゼロオォォォォォッッ!!!」
絡み合う二機。しかしランスを払われた反動でグロースターはガウェインと正面から激突はせずにすれ違うように離れる。
「ちっ!」
避け切れなかったことに舌打ちをしつつもライは左腕部スラッシュハーケンを手近な建造物に打ち込む。高速牽引でその場を離脱する。
「逃がさんッ!」
しかし瞬時に旋回したコーネリアのグロースターは左腕に構えたライフルをガウェインに叩き込むのだ。
ガウェインの装甲をライフル弾が削る。
強固なガウェインの装甲だからまだしも耐えるが、これが無頼や月下であれば確実に貫通、致命弾となっていただろう。
スラッシュハーケンを格納し、ライはバックスラロームで距離を取ろうと試みる。しかし、庭園の柔らかな地面はランドスピナーの機動性を著しく削ぐ。
その間もグロースターの銃撃の雨はわたしたちを襲っていた。
生きた心地などいくらもない。ライはよくコーネリアの猛攻をしのいでいるように思った。
ライフル弾がガウェインの膝部装甲を剥ぎ取る!
「なんとぉーーーーッ!!」
支援
支援
叫びと共にライはトリガーを引く。
ガウェインの機体から膨大な光の奔流が発される。圧縮・加速されたハドロン粒子が槍と化してグロースターを狙う!
「この程度で!」
しかしコーネリアは軽々とその黒い光の刃を回避する。回避しつつ、その歩みを止めることなく走り、ライフルの銃弾を放ち続けるのだ。
必殺のハドロン砲は牽制にすらならない。
アリエスの離宮を模した庭園が時を経る度にその姿を荒廃させていく。
疾走するランドスピナーは緑の園を裏返す。ハドロン粒子のビームが、アサルトライフルの20mm徹甲弾が景観を破壊していく。
「くうぅッ」
ライのうめき声と握り締められる操縦桿。引き絞られるトリガー。再びハドロン砲の光が離宮を包む闇を照らし出す。
苦し紛れの一撃か? そうではない。
「ちいッ」
舌打ちをする順番がコーネリアにまわった。ハドロン砲の一撃はグロースターの足場を打ち抜き、その足を止める。
絶好の好機!
だが、グロースターを貫くはずの光の槍はガウェインから飛び立たない。
「パワーダウンだと?!」
呻くライ。絶好の好機にガウェインは応えてくれなかった。応えたのは赤い警告灯と表示。
── パワーユニットのエネルギー低下・・・ハドロン砲使用不可 ──
「中途半端な応急処置しかなされていないからな」
僅かな逡巡。だがその一瞬で十分なのがコーネリアだ。グロースターは即座にその身を翻し、ガウェインから身を隠す。
「どうやら運命の風は私の方に吹いているようだな」
スピーカから流れる声。
「知っているか? 運というものはより強い意志を持つ方へと流れ行くという。それはどういうことだと理解する?」
わたしはガウェインのキーボード上に指をはしらせる。解析したデーターは無論ライの元へ。
「私が勝つということだ!!」
ガウェインの左斜め後方、8時半の位置。モニターの死角。その建造物の陰からグロースターが飛び出した。
遅すぎず、早過ぎない、絶妙のタイミング!
だが、わたしは通信機に入るコーネリアの音声通信のデータから、その所在位置を解析していた。それの方がほんの半瞬早い。
一瞬にも満たない刹那の時。その半瞬で十分なのが……ライだ。
支援
ライはガウェインの機体を瞬間移動と見まがう程の速さで転回させた。
トリガー。
最前線の補給キャンプで施した応急修理の際に急遽装備された両肩のマイクロ・ミサイルランチャーを開放する。
無骨なコンテナ然としたミサイルユニットのハッチがバンッと吹き飛ぶ。ガウェインとグロースターの距離はほとんど零距離だ。
発射と爆発はほとんど同時。
重なり合う二機の狭間に閃光が生まれる。
「南無三!」
ライがわたしの知らない言葉を発した。爆発の衝撃はわたしを再度シェイクする。これが何度目となっても慣れることなどないだろう。
衝撃は赤と黒の影を再び分かつ。間髪を入れずライはガウェインの左腕を振り上げる。
「はあぁぁぁぁぁぁッ!!」
そのまま力任せにグロースターを殴りつけた!
ナイトメアの手というものは精密機械だという。人間の手にしたところで殴打によって簡単に負傷してしまう。
例えば無頼などは格闘戦時にカバーが降り、それによって手を保護することで殴打が可能とはなるが、それは最終手段であり、多用される攻撃手段ではない。
それはナイトメアの格闘戦闘における外道なのだ。
だからコーネリアの反応は、遅れた。
ドガアァッ!!!
至近でのミサイル着弾によってグロースターは完全に姿勢を崩していた。そこへ優勢な巨体を持つガウェインの力任せの殴打。
グロースターの頭部がひしゃげ、脱落する。同じくガウェインの左手もつぶれ、ひしゃげる。
「このおぉぉぉ!」
それでもコーネリアは真横に飛びのく。ガウェインの左側へと俊敏な動作で距離をとる。
凡庸な騎士であれば後ろに飛びのき追撃を受けるところだろうが、コーネリアは凡庸とは対極な位置にいる。
腕を振りぬいたガウェインの左側に飛んだことが、その判断の間違いのなさを語っていた。
「さすがに、やる……」
ライが呻く。
ガウェインの装甲の強度にまかせ、相打ち覚悟の至近でのミサイル発射。自機を焼くことも厭わずにそれを行う意思。
ライもまた凡庸とは対極に位置する騎士だ。
ランドスピナーを走らせ、二機は再び距離を取り、対峙した。
支援
「まったく…、たいしたものだ。機体の性能の差だと思いたいところだが」
「性能の差でありましょう。同等の機体での勝負など、全くもって御免蒙りたいところです」
グロースターは頭部を失い、その機体の前面を激しく焼かれていた。装甲も所々欠損している。
ガウェインもまた機体各所に無数の弾痕を穿たれ、無残の様相をさらしているはずだ。
ふと、コーネリアが声をこぼす。
「正直なところ、こう思う。キサマの様な配下を………違うな。同士を得ることができたならば、と」
独白のようにポツンとつぶやく。
──だったら!!──
わたしは胸に灯った炎をとどめる努力を放棄した。
「だったら! そう思うのならば、その手をとりあえばいいのだ! お前たちは共に組織の長であろう!」
失った“大事な人”の想いに報いる。そのために“優しい世界”を作る。実現してみせる、と。
目的は、目指すものは同じではないか!
「お前たちはバカだ! 互いに似たもの同士だと悟っていながら。目指すものが、求めるものが同じと理解していながら自分にウソをつき、ウソをつき続け、そして傷付け合う! それはッ!」
そう叫び、それは酷いことなんだよ、とつぶやく。
「C.C.、君は…泣いているのか?」
わたしはうるさいと怒鳴りつけた。
このわたしが、魔女が、涙をこぼすわけがないではないか、と。
コーネリアはフッと笑ったようだったが、それは嘲笑ではないように思えた。
「昔、幼少期に言われたことがある。お前はバカだな、と」
私が最も幸せであった頃のことだとコーネリアは言った。
「私が最も尊敬する方のところで、私は言われた。もっと素直になれ、と。好きなものには好きと。欲しいものには欲しいと。そしてなにより…」
──優しくしたいと思うのならば、優しい言葉をかけてやればよい──
「優しくしたいと思うのならば、優しい言葉をかけてやればよい、とな」
懐かしげにコーネリアは語った。
「本当にバカだと思うよ、私は。掛けられた言葉を至言だと感じながら、私は何一つそれを実行することが出来ないまま大人になってしまった」
長らく忘れていた、胸を締め付けるような感触をわたしは覚えた。
支援
「素直になりたいと、思う。今度こそ」
そう思いつつも。そうでありながらも。
「お前たちは戦うしかないのか」
「そうだな」
「そうだ」
コーネリアとライが同じ言葉を口にした。
「私たちは、お互いに組織の長であるがゆえに」
「戦い死にゆく人々に責任をもつがゆえに、僕たちは」
──個人の感情のままに妥協し、手をとりあうことを許されない───
もはや、わたしには告げる言葉はないようだった。
だが、やはりそれは無益な戦いなのだ。想いを同じくする者同士が戦い、殺しあうなどということは。
「ゼロよ。私はキサマを倒す。倒して誓約を成し遂げる。この地に平和と融和と共存とを至上とする世界を顕現させてみせる」
「コーネリア殿下。それは帝国の国是に反する望みなのではありませんか?」
ライの一言にコーネリアは迷いなく宣言するのだ。
「ならば私が変えてみせる」
迷いないそのたった一言がどれだけ重いものなのか、わからないコーネリアではあるまい。
それは皇帝になるということなのだから。
グロースターが再びランスとライフルとを構えなおす。
「さぁ、決着をつけようか。ゼロよ」
その時、ライが小声でわたしに語りかけた。
「C.C.、一度ハドロン砲を撃つ。撃ったらすぐに全エネルギーをフロートユニットに回してくれ」
パワーユニットのエネルギー低下によってハドロン砲の威力は攻撃用出力を満たせないレベルに落ちている。それに十分な滑走距離がなければ離陸上昇するのにもたついてしまう。
その隙を見逃すコーネリアではないだろう。
「わかった。任せるがいい」
しかし、そんなことはライ自身が一番わかりきっていることのはずだ。ゆえに一々指摘したりなどしない。わたしはC.C.なのだから。
ライがガウェインのユグドラシルドライブの回転数を上げる。
そして、再び“赤”と“黒”が走った。
支援
「おおおぉぉぉぉぉッ!!」
雄叫びをあげ、ガウェインを突進させるライ。余りにも無造作なその前進に、だがコーネリアのグロースターがその姿に怯むことはない。
「ゼェェロオォォォォォッ!!」
コーネリアもまたそれに応え、絶妙な距離を保ちライフルを連射する。
ハドロン砲を使えない今、距離を保って銃撃をかけることが有効を理解しているのだ。
激しい振動が機体を揺さぶる。装甲が削ぎ落とされ、スパークが飛び散る。モニターに生まれた歪みは正面のグロースターの姿を奇妙なものに見せた。
ライは損傷した左腕部を盾のように掲げ、なおも前進する。
「やってみせる!」
「やらせるものかぁッ!」
なおも銃撃を続けるグロースターにガウェインがハドロン砲の射撃体勢を取る。
「無駄だッ!」
かまわずライフルを向けるコーネリア。しかし………!
ハドロン砲の砲口が粒子のちらつきが集まる。夜闇の中、赤いその光はハッキリと見えたはずだ。
「………?!」
撃てるはずがない。撃てるのならば先程とどめをさしていたはずだ。だが、ゼロならば?
そのような思考の交差があったのだろう。それは半瞬にも満たない刹那。
ライは躊躇なくトリガーを引く。
ガウェインの肩部、ハドロン砲の砲口からまばゆいばかりの光が迸った、が。
「めくらましか!」
そう、現在ハドロン砲は大出力ビーム兵器としての力を失っている。だが、
『放出される荷電された重金属粒子は電波干渉を起こし、それは一瞬とはいえ電子機器を狂わせる』
ビシャーーーーーン!
その一瞬の隙にガウェイン右腕部のスラッシュハーケンが射出される。それは狙い誤らずにグロースターの左腕をライフルごと粉砕した。
「ちいぃッ!」
ライは射出したスラッシュハーケンを腕部を引くことで鞭のように横になぐ。ガウェインのスラッシュハーケンのワイヤー部分は高分子カッターだ。
「おのれっ!」
紙一重の差でかわす。だが飛びのいたせいで距離が開いた。射撃武器を失ったコーネリアにはそれは不利となる。
その隙にライはガウェインの離陸を試みていた。フロートユニットフル出力。だが、その上昇速度は鈍い。
sen
支援
支援
二基のスラッシュハーケンは正確にガウェインの胸部を捉える!
跳躍する“赤”。高速牽引によって文字通り飛ぶ! 一瞬でグロースターはガウェインをそのランスの穂先に捉えた。
零距離。
「捕まえたぁッ!」
コーネリアの気迫が突き出されるランスを巨大なものに思わせる。裂帛の気合とともに放たれる必殺の一撃。
「キサマの、負けだぁッ!!」
「僕の、勝ちだッ!!」
コーネリアの宣言をライの叫びがかき消す。
グロースターのランスに呼応してガウェインもまたその左腕を突き出す。
──この瞬間を、待っていたんだ!──
スローモーションのようにランスが迫ってくる。それに覆いかぶさるようにガウェインの左腕が伸びていく。
ズンッ。
それは1/1000の狂いもない正確さ。まるで機械のような寸分の狂いもない正確さ。
バリバリ…バリ。
まるで鞘に剣を収めるかのように対KMF電磁ランスがガウェインの左腕に収まっていくのだ。
同時にライは残された右腕部でグロースターの肩をしっかりと捕まえる。
───う、動けない………ッ?!
コーネリアの驚愕が機体を通して伝わってきた。
スロットル全開。ペダルをこれでもかと全力で踏み込むライ。
「うおおおおぉぉぉぉぉぉ!!」
激情を隠そうともせず、思いのままに雄叫びをあげる。
迷いはない。自らの意思とともに機体を進める。フロートユニットが一段と強い輝きを放ち、電気熱ジェットエンジンが咆哮をあげる。
「すまない、C.C.」
ライのつぶやきにわたしは返事をしない。言葉にはしない。それは口にしてはいけない言葉だから。
『いいさ、お前たちと一緒ならば』
支援
支援
赤く明滅する警告灯。狂ったように鳴り響くアラートの電子音。
荒れ果てた庭園の地面が間近にせまっているという警告表示がモニターを埋める。
激突。
そしてもう数えるのを止めた幾度目かの激震にわたしは身をゆだねた。
・
・
・
「とどめを刺すがいい……そういう間柄、だろう?」
それとも私に情けをかけるのか? 恐らくは全身の激痛に耐えながらコーネリアは言葉をつむいだ。
コーネリアの言葉を否定しながらライはその傍らに立つ。
「殺しません。しかし、情けをかけたつもりもありません」
コーネリアは無言でライを見上げた。では、なぜ? そのように問いてるように見える。
「あなたはルルーシュを家族と仰いました。我が友ルルーシュを、大切な家族と」
緩やかに時間が過ぎた。
「そうか……」
沈黙を破ったのはコーネリアの方。
「ゼロの正体は、ルルーシュ坊やだったのだな。そうなんだろう…」
一拍おいてからライは返事をした。
「なぜ、そうお思いになられるのでありましょう」
「以前、少し考えたことがあった」
ズームアップしたサブモニターにライと話すコーネリアの顔が映っていた。その表情は時々苦痛に歪むが、不思議に憑き物が落ちたような穏やかなものだった。
「ゼロの正体は放逐された皇族ではないか、と。ブリタニアに怨みを持つ皇族ではないかと。そしてここは………」
「ルルーシュ、ナナリーの兄妹が人質として送られた地」
ふぅ…とコーネリアは息をついた。
「彼はどうしている?」
聞いてからコーネリアは自分の質問に意味がないことに気がついたようだった。
「すまぬ。失言だな」
支援!
支援
支援
ライは無言でコーネリアの傍らに跪き、その身を寄せた。
サバイバルキットの応急処置具で手当てをしている。
「あの日、彼はユーフェミア嬢をその身を盾にして…守ろうとしました。僕が駆けつけた時、その第一声はユフィは無事か? と」
そうか、と応えるその声は震えていた。
「教えていただけませんか、コーネリア殿下」
止血をし、骨折したのであろう左腕を処置してライは言った。
「あなたにギアスは使いたくない。あなたの意思で答えてほしい」
「言っただろう。応えるよ、ゼロ」
ギアスという単語に──恐らくは知らない言葉が唐突にあらわれたことに──首をかしげながらもコーネリアはその首を縦に振る。
立ち上がり、ライは問う。
「コーネリア殿下はマリアンヌ皇妃の、ルルーシュとナナリーの母上の死に責任をお持ちなのでしょうか?」
──あう…──
わたしは引き裂かれるような胸の痛みにあえいだ。
「ライ、お前と言うヤツは……」
どこまでもルルーシュとの友情に殉じるつもりなのか!
ルルーシュの戦う理由を自らの戦う理由とするのか、そこまで自分の存在をささげることができるのか、お前は。
それは、本当の意味でのウソのない世界。優しい世界なのかもしれない。
だとすれば、あの計画なんて…。あの連中がしようとしていることなんて!
「知っている、知っているんだ、わたしは。お前が求めている答えの総てを!」
それを告げることで、お前はわたしを怨むだろうか? それでも告げなくてはならないだろうか、わたしは。
「すまなかったな……」
あの日、わたしはお前たちにずいぶんと甘い連中だ、などと言ってしまった。
「訂正しよう、お前たちは甘いのではない。お前たちは───」
その時、わたしの意識の中を電流がはしった。
・
・
・
支援
支援
「では、マリアンヌ皇妃自らが警護をさがらせたと?」
一体なぜ? 何のために?
「襲撃があることを事前に知っていた? しかし、それならルルーシュとナナリーを逃がしていたはずだ!」
コーネリアの話す事実は謎をより深くするだけのものと思えた。
「あなた以外に真相に最も近いのは誰です? 調べていたのでしょう、あの事件を」
僕の動揺にコーネリアは答える。
「事件の後、ご遺体は皇帝陛下の命でシュナイゼル兄さまが運び出したという。私が知っているのはそこまでだ」
混乱の極致だった。ルルーシュに聞かされたマリアンヌ皇妃、資料から読み取れるその人柄、そして今コーネリアに聞いた事件の前後。
「一体その日何が起こったんだ。誰がルルーシュの母を殺したというんだ……」
その時、C.C.の声が辺りに響き渡った。
「おい、戻って来い!」
彼女には珍しい慌てた様子の声に敵機の襲来かと思ったが、続く言葉はさらに驚くべきものだった。
「違う! ナナリーが攫われたッ!!」
「冗談を聞いてる暇などないぞ、今は……」
それでもそのように否定してしまうが、C.C.の声の様子はそれが冗談などではないということを示していた。
「わたしにはわかる! あの娘はルルーシュが生きる目的だった存在なのだろう! ならば!」
それは僕が生きる……戦う目的でもある。
「ナナリーが攫われただと?!」
背後でコーネリアが声を発する。かすれた声に力はないが、それでもその音には威厳を残している。
「行くのか?」
「行きます」
ならば、とコーネリアの声は僕の背中を押した。
「ならばあの娘を救ってやってくれ。私の大事な…守ってやりたくて、でも守ることもできず、見捨ててしまった妹姫なのだ」
頼む………コーネリア・リ・ブリタニアははっきりとそう告げた。僕に。
また背負うべきものが増えたな。だが、それはけっして重荷などではないのだ。
サバイバルキットをそのまま渡し、僕はガウェインに駆け寄った。
『何がおきている、この戦場で一体何が!!』
ガウェインが飛び立つ空はまだ、暗い。
それは、僕たちが行き着く先の未来を暗示しているかのような漆黒。
だけど………僕は。
支援
【ぎあすあとがき劇場 V.V.といっしょ】
投下終了と同時にわたしは部屋の扉の方へと振り返った。
「・・・・・・・・・・・・」
そこにはV.V.が仮設のドア(ダンボール製)の影からこちらの様子をうかがっている姿があるのだ。
この間、マリアンヌ様が吹き飛ばしちゃったもんなぁ。修理代は請求しよう。でもどこに?
悩みながらわたしはV.V.に声をかけた。
──こっち、きませんか?
そう言うわたしに彼は
「………もう、ドイツの話しない?」
──!!!!!!
不覚にもわたしはトキメク胸の鼓動でズッキューンな衝動を感じた。これはいわゆるMOEってヤツ?
──……、も、もうしませんからこっちに来ましょうよ〜、チーズ入りふくれ菓子を用意しましたよ〜。
わたしがそういうとV.V.はトテトテと近寄って隣に座り、小皿に乗せたチーズ入りふくれ菓子をほうばった。
──美味しいでしょ?
「うん。この菓子はなかなか…年季がはいってるね」
それは褒め言葉なんだろうか…と思いつつ、わたしはお茶を入れてそれも彼に差し出した。
ありがとうと言いながら彼が問う。
「これってやっぱりあれだね、僕に“緑茶ウメー”って言わせたいわけ?」
どうやらバレていたらしい。わたしはそっぽを向いて口笛などを吹いてみせた(古っ
「あおちゃん、君はあいかわらず幼いね」
その言い方はなんとなく可愛くなくて気に入らなかったので、わたしは逆襲することにした。
──ガランド! ハルトマン! ルーデル! メッサーシュミット! ハインケル! ロンメル! シュヴァルベ! バトルオブブリテンッ!!!
先日のトラウマがよみがえったのか、V.V.は一目散に逃げ出した。やった! 勝った! 第三部、完ッ!
そこでわたしはようやく思い出した。
──全然あとがきになってないじゃない。じゃない。
と。
以上です
散々にお待たせした分の代物に仕上がっているでしょうか?
また感想などお寄せいただけたら幸せです
ネット上でいろいろありましたが、わたしは元気です……
と言いたいところなのですが、実は元気ではないんです
なんと現在絶賛入院中!
ベッドの中で新調したUMPCと芋場のセットでなんとかネット生活してますが
コレ、中々に不安定でかなりアレです
負けずにがんばりますので、今後ともよろしくです〜
乗り遅れた
支援
>>669 BLUEDESTINY卿、GJであります
ガウェインvsネリ様グロースター、手に汗握る攻防戦。
第二次ナリタ攻防戦で高みの見物だったはずのガウェインなのに、初期不良?ですかね。
物語りもようやく一話冒頭につながる形になり、続きを待ちわびていた一人として、卿の続きを読むことだできうれしいです。
前書きの巡回って看護士さんですか、お体をご自愛ください。
また、ここ以外は俗事なので華麗にスルーされたほうが、良いのでは?
次回、10話をゆっくりと楽しみにしています。
GJ!そして、色々な意味でお疲れ様です。入院中も筆を止めない貴女の精神力と行動力に脱帽いたしました。
一つお聞きしたいんですが、病院内って携帯電話禁止じゃありませんでしたっけ?PHSなどはよく見掛けますが。
>>670乙でございます
自分のなかでライの声優が辻谷耕史さんで再生されました。
私もこの間入院していたからわかります。
何故看護師がスカートではなくズボンなのかと、非常に残念です。
GJ!さすが青運命さん、戦闘描写も会話の描写も…最高だよ…最高だ。(byダイヤJの人。)
大声で怒るC.C.も違和感を全然感じませんでした。僕には真似出来ないです…どんなに書いても違和感が出ちゃう…
そして所々にちりばめられた某有名リアルロボットアニメの台詞オマージュには笑ってしまいましたw
オマージュ台詞のおかげでライの声が中村悠一氏が喋っているように聞こえてしまうw
なんと言うか…毎度毎度よくこんな重厚な長編が描けるよなぁと感心しきり
コードギアスの世界や人物を生かしたほとんど完全オリジナルストーリーなのに
どうしてここまで話に厚みを持たせられるのか不思議。
あえて突っ込めば、14/16あたりの途中で
コーネリア視点と第三者視点が混じってしまった点は少し残念かな
それにしても入院中に投下とは、どこまでロスカラ馬鹿なんだw(褒め言葉)
>>673 今は大抵の入院施設がある病院では携帯使用可ならしいぞ。
確認なんだけど、保管庫の
ぷにぷに卿のRANIANT WORLD 第七話 『廻り 続けている 世界』と
BLUEDESTINY卿の手を取り合って 9話 C.C.
が「ページが見つかりません」になっているのだけど、ほかの方はみられますか?
全力で待ち続けた甲斐がありましたのでした!
抱きしめたいなぁ! BLUEDESTINY!!!
>>670 BLUEDESTINY卿、全力で乙&GJでした!
貴公の作品はやはり胸が高鳴り、夢中で読んでしまいました!
ライとコーネリア、立場故に手を取り合えない二人、このハラハラ感が素晴らし過ぎました!
C.C.の視点も切なさが止まらない!
あとがきジョジョネタwww
貴公の次の投下も全力を挙げて、そう、全身全霊でお待ちしております!
トーマス卿ごめんなさい
ただか確認したかっただけなんです。
トーマス卿の状況はわかっているので、
更新等は後回しで、ゆっくりしてください。
>>678 見れませんね。。
トーマス卿が復帰されたらちゃんと修正してくれると思いますよ。
>>678 自分は見れる
つーか、トーマス卿…
身内に不幸があったときくらい休もうよ。ごく一部の変な奴以外誰も責めませんよ
こういう保管庫って何週間に一度更新が当たり前だと思ってきたから逆にやりすぎ感があるぜ…
トーマス卿も、職人方も、それを支える名無しの読み手も、マジでご自愛下さい
>>678 …まだ無理ですか?こちらからは問題ありませんが。
トーマス卿すみません
アンカしていませんでしたが
>>678 の謝罪が
>>680 でした。
またトーマス卿宛という意味ではなく、
こちらの環境等の確認の意味もあったのでもうしわけありません。
>>677 PHSはともかく携帯もですか。知りませんでした、今後の参考にさせていただきます。
>>682 まあ、あれです。「それはそれ、これはこれ」ですな。手を休めたら結局は自分に跳ね返ってきますからねえ……。
以前、病院から帰ってきたときにPCを開いて悲鳴をあげましたよ。歓喜が大部分を占めていますが。
>>684 もう大丈夫かな?もしまだ駄目でしたら朝に改めて確認いたします。
落ちます。おやすみなさい。
すいませーん。投下した分を読み直していたらミスが二点ありました〜
トーマスさん、お暇な時にでも修正をお願いしま〜す
>>653 11/16の5行目
×ハドロン砲を使えない今、距離を保って銃撃をかけることが有効を理解しているのだ。
○ハドロン砲を使えない今、距離を保って銃撃をかけることが有効なのだと理解しているのだ。
そして
>>657 12/16において、レスの頭三行が欠損してました。一行目の上に以下の文章が入ります
ひとたび上昇を許してしまえば飛行能力のないグロースターの勝機は失われる。
「させないっ」
スラッシュハーケン射出。ボロボロになり、焼け爛れた機体だが、愛機はコーネリアを裏切らなかった。
以上です。よろしくお願いしますね
1:35くらいから投下しようと思いますが、大丈夫ですか?
トーマス卿
>>684です
もう見ええています、大丈夫です。
書き忘れてるよ。すみません。
>>687 支援しますよ
たまには支援しますよ
年下専門です、長編の続きを7レスほど投下します
タイトルは「優しい世界で目覚めて 第七話 メイドさん襲来(前編)」
・ギアス篇と学園篇の複合エンド後にしてR2終了後からの話
・ライは黒の騎士団入ってて学園篇エンドを迎えた、ルート的にはランペルージ兄妹メインに万遍なく頑張ったライ君
・ジャンル傾向はほのぼのしんみり系
・カップリングは現時点ではなし
・アフターに関しては情報が少ないため、自己解釈の要素を多分に含んでいます
支援
支援
「朝早くからの訪問、申し訳ございま―――」
「あ、貴女はっ―――」
僅か数十センチの距離を挟んで両者の声が止まる。
お互いの表情に浮かんでいるのは驚愕。
心に浮かぶのは同じ『何故この人がこんなところに?』
ライは、何度も瞬きをして眼前の女性の姿を確認する。
白を基調にしたメイド服に、頭の上のヘッドドレスというメイドにしか見えない妙齢の女性。
驚きに表情を染めているものの、その顔立ちは整っていて一般的には美人に分類されるだろう。
艶やかな黒髪は生粋の日本人である証であり、その物腰は凛としていて美しい。
「さ、咲世子さん……」
その女性の名前を口に出す。
篠崎咲世子、彼女はナナリーのメイドだ。
ルルーシュから聞いた話では、ゼロレクイエムの後はナナリー付きの筆頭女官として働いているとの話だったのだが……
何故そんな彼女がここにいるのだろうか?
「ライ、様……?」
確認するような声音がメイド服の女性の口から発せられる。
驚愕に染まっていた表情はやがて徐々に笑みに変化をしていく。
だが、気のせいだろうか。
ライにはその笑みがとても迫力のあるものに感じられる。
「ライ様、なのですね……?」
ゴゴゴゴゴ……!
そんな効果音を背負いながら、咲世子が呟く。
ここまでくればいかなライとて彼女が怒っている事がわかった。
何故―――考えるまでもない。
自分は皆に、彼女の主であるナナリーにも無断で姿を消してしまった過去がある。
実際は最後に、ナナリーだけには会いに行ったのだが。
勿論そんなことを知らない咲世子にとっては、自分は主人を悲しませた罪人のままなのだろう。
ライの背に、冷たい汗が流れた。
支援
「おお、咲世子ではないか!」
嬉しそうなジェレミアの声が背後からかかる。
え、この二人顔見知りなの?
考えもつかなかった不思議な関係に首を傾げつつも、ライは後ろへと重心をかけていく。
ヤバイ、とにかくヤバイ。
ここにいたら死ぬ、逃げろ。
そんな本能による警告がガンガンと頭に鳴り響いている。
「お久しぶりです、ジェレミア様。アーニャ様」
二人に挨拶をする咲世子の声はあくまで穏やかで。
しかしその実こちらに向けている視線は一ミクロたりとも動いていない。
「ところで、こちらの方は?」
「おお、そうだったな。紹介しよう! この少年は元黒の騎士団の戦闘隊長であり―――」
「ルルーシュ様とナナリー様のご友人だった、ライ様……ですよね?」
「その通りだ!」
うむ、と何故か自慢そうに胸をはって頷いているジェレミアの姿が見えもしないのに容易に想像できた。
しかしライはそれを確認することはできない。
視線を外したら殺られる、そんな気がしてならないのだ。
「それで咲世子、何をしに来たのだ?」
(チャンス!)
ジェレミアの問いかけと共に、僅かに生まれた隙。
その一瞬を逃さずにライは後方に大きく跳躍をする。
そのまま空中で反転をし、着地と同時に身体を沈み込ませ、その反動で一気に駆け出す。
惚れ惚れするような一連の動作は、しかし着地と同時に動きを止められた。
ピッ―――ガス!
ライの頬を掠めて、壁に突き刺さる一本のクナイ。
恐る恐る振り返ってみれば、何かを投げ終わったメイドの姿が見える。
空いていたもう片方の手には、発射準備OKな三本のクナイ。
支援
(ジャ、ジャパニーズ、クノイチ……!)
文献にしか載っていないような存在が、目の前にいる。
ルルーシュから咲世子はスザク級の体術の使い手だと聞かされてはいたが、飛び道具を使うとまでは聞いていない。
確かに過去に数度、彼女からは底知れないものを感じたことがあるが、まさかこれほどとは。
「どこへ、行こうとしていらっしゃるのですか……?」
かけられる声はあくまで穏やかだった。
顔も笑顔で、とても怒っているようには見えない。
しかし、目が明らかに笑っていなかった。
すっ―――
ほぼ予備動作もなしに、咲世子の足が動く。
万事休すか。
ライが覚悟を決め、目を閉じようとしたその瞬間。
「駄目」
ライと咲世子の間に立ちふさがるように滑り込んだ小柄な影。
それは今まで黙りこくって会話に参加していなかったアーニャだった。
「アーニャ様……?」
「ライを、いじめるのは駄目」
敢然と恐怖のメイドを睨みつけるアーニャの姿は正に騎士。
ナイトオブラウンズの六番に数えられていたことを証明するように、怯むことなく立ちふさがる少女にライは思わず見惚れてしまう。
状況的には、少女に庇われるというかなりな情けない図ではあるのだが。
「どいていただけないでしょうか?」
「嫌」
バチバチ、と二人の間で火花が散る。
世界でも屈指の強さを誇る女性二人の睨み合いはあっという間にその場に張り詰めた空間を作り出した。
「ならば、力づくでということになりますが」
「望むところ」
視線の交錯は一瞬。
次の刹那には、二人は互いに示し合わせたように駆け出し―――そして、戦いは開始された。
支援
ひゅんひゅんガスッドガッビシパコーン!
そう広くないはずの室内で縦横無尽に動き回る二人の女騎士。
クナイが乱れ飛び、スコップが上下左右に振るわれる中、何故か室内は全く傷ついてはいなかった。
椅子も、テーブルも、壁にかけられた絵画も一ミリたりとも動いていない。
精々がクナイが突き刺さって小さな傷がついているくらいだ。
特にルルーシュの遺影の周囲に至っては全くといっていいほどダメージがない。
ド派手な音は鳴っているというのに、これはどんなマジックだろうか。
「ふむ、凄まじい戦いだなライ」
「なんでそんなに落ち着いているんですか」
「男と男はぶつかり合わねばならない時があるのだ」
「二人とも女ですよ!」
一歩間違えなくても即死確定な一撃が当たり前のように繰り出されている戦場をのほほんと観戦するジェレミア。
そんなおおらかな家主にライは引きつった表情で抗議をする。
しかしジェレミアはどこか微笑ましいものを見るような表情で逆にライを諭す。
「何、あの二人ならば心配はない」
「どこを見ればそういう結論が……」
「見たまえ、アーニャなど実に楽しそうではないか」
そう言われて戦場で舞う少女を見てみるものの、相変わらずの無表情でスコップを振っている彼女からは何の表情も読み取れない。
殺気や怒気といった物騒な感情は確かに見えはしないが……
ひゅん!
空気を切り裂いて一本のクナイがジェレミアの髪を掠める。
だが彼は一向に気にすることなく、にこやかな笑顔を浮かべた。
この男、実に大物である。
「私にはわかる。ライ、君が来てから彼女は明るくなった。家を捨てて私について来た時は何を考えているのかと思ったものだが」
「……」
「既に知っているとは思うが、私は彼女の記憶を取り戻す手伝いをした。だからこそアーニャはそれを恩に感じて私についてきた……
なんと義理堅いことではないか。当時の私はそう思ったものだよ」
「今は、違うと?」
ライの問いにジェレミアはゆっくりと頷き、肯定の意を示す。
支援
支援
「あの娘にはそれしかなかったのだよ。私に恩義を返すという事が一番優先度が高かったからそうしただけだ。
いつもどこか投げやりに見えたのも……おそらく、彼女の目には世界が、いや、自分が無色に見えていたからなのだろうな」
「色が、ない……」
それは目覚めたばかりの自分が思い、悩んできたことだった。
記憶がなかったという一点では自分とアーニャは共通している。
自分はミレイ達に拾われ、彼女達と交流し、色を取り戻すことができた。
では、アーニャは?
「ラウンズには仲間がいただろう、家には使用人達がいただろう。だが、彼女からは何かに執着するという感情がまるで見えなかった」
あえて言うなら記録をするということに執着していたといえるが、それは記憶がないことによる強迫観念のようなもの。
義務感に駆られた感情は歪みでしかない。
「しかし……ライ、君が来てからアーニャは変わった」
「そんなこと……」
「謙遜するな。ここ最近のアーニャの変わりようには私も驚いているのだ。
今朝のこともそうだ。いくら寝ぼけていたとはいえ、他人の寝所に入り込むなど以前では考えられなかった」
「ジェレミアさん……」
「マリアンヌ様には申し訳ないが、アーニャを縛っていた呪いは業が深い。だからこそ私は君の存在を喜んでいる……」
半ば独り言を呟くように語るジェレミアに、ライは感動にも似た何かを感じていた。
この人は、本当にアーニャのことを思っているのだ。
たった一人の同居人を心の底から心配し、その変化を喜ぶ。
ライはそこに『父親』の姿を見た。
自分の父は決して褒められた人物ではなかった。
他の人間に邪険にされていた母や自分達兄妹を助けることもなく、ただ放置していただけの男。
そんな父を見てきた自分にとって、ジェレミアという男の存在は眩しいほどだ。
憧れる、とはこういう感情を指すのだろう。
「さて、食器を片付けなければな。咲世子をもてなす用意もせねばならんし」
「あ、僕も手伝いを」
「君はここにいたまえ。ないとは思うが、万が一の時は介抱が必要だしな」
ハッハッハ、と笑いながらキッチンに向かうジェレミア。
ライには、その背中が何故かとても大きく見えた。
すまん後は頼む。
携帯から出来たら支援する
何故かはわからんが書き込めない時がある時の支援
「招待状?」
世界最高峰の女性同士の戦いが終わり、ジェレミア家ダイニング。
ジェレミアと咲世子、ライとアーニャが対面になる形でテーブルを囲み、オレンジ男が聞き返した。
「はい。既にご存知だとは思われますが、来週は超合衆国のサミットがトウキョウで行われます」
「うむ」
「その夜、各国の友好も兼ねてパーティーが行われるのですが……是非、ジェレミア様達に参加していただきたいと」
「それはナナリー様直々の?」
「はい」
にこりと場を見渡すように笑顔をふりまく咲世子。
自分に視線を巡らせた時だけ、やたらその視線が鋭くなったのは気のせいだろうか。
(絶対気のせいじゃない……)
ライはキリキリと痛む胃を感じながら差し出された招待状を見やる。
ナナリーの手書きらしいその招待状には、明らかに私的な感情が込められていた。
本来、ルルーシュに付き従っていたジェレミアと、ラウンズを引退したアーニャを呼ぶ理由などどこにもない。
下手をすればパーティに微妙な空気を呼び込むだけだ。
それでもこうして招待状が送られて来たのは、恐らくはナナリー個人の我儘なのだろう。
「ふむ、子供が生まれたという話は聞いていたし、ヴィレッタにも久しぶりに会いたいと思っていたところだ」
「では?」
「ああ、私は構わんよ。アーニャ、お前はどうするのだ?」
「行く」
端的に答える少女の表情は少しばかり柔らかい。
友人であるナナリーと久しぶりに会うのが楽しみなのだろう。
こうして見ると、歳相応の女の子といった感じでとてもジェレミアが言っていた事が信じられない。
そう思っていると、アーニャはいつの間にかこちらのほうをジッと見つめていた。
「アーニャ?」
「ライはどうするの?」
思わぬ問いかけにライは言葉を詰まらせた。
当たり前のことだが、自分は招待を受けていない。
そもそもナナリーにしろ咲世子にしろ、自分がここにいるとは知らなかったはずなのだから。
支援
「いや、僕は」
「勿論来てくださいますよね、ライ様?」
咲世子の穏やかな声が耳朶を貫く。
しかしその声音には有無を言わせぬ意思がこもっていた。
ここで否を口に出せば間違いなく酷い目にあう。
そんな予感がライの全身を突き刺していた。
「で、でも招待状が」
「問題ありません。こんなこともあろうかと予備の招待状がありますから」
「予備!? 予備って!?」
「気にしないで下さい。そんなことよりも―――」
そこで言葉を切った咲世子はギロリ、と擬音がつくくらいの迫力でライに視線を向ける。
蛇に睨まれた蛙。
そんな表現がピッタリなくらいにライの身体はその視線に竦んでしまう。
「お久しぶりですね、ライ様。ええ、本当にお久しぶりです」
「お、お久しぶりです、咲世子さん」
「ライ、顔がひきつっているぞ」
口が恐怖にヒクつくのを止められない。
気がつけば戻って来ていたルルーシュがヘッドドレスの上に陣取っているのは懐かしさからか、それとも咲世子の顔を見ないためか。
間違いなく後者だろう。
ライはこのこと―――咲世子の来訪を知っていたであろう親友に心の中で呪詛を吐いた。
「学園祭のテロ事件から既に一年以上。ナナリー様を初めとして、ご友人の方々に心配をかけ」
徐々にプレッシャーが増してくる。
「この私の情報網にすらかからない隠密は見事としか言えませんが……」
一介のメイドの情報網って一体なんだ。
「ライ様」
ジェレミアさん、笑ってないで助けてください。
あとアーニャ、何故不機嫌そうなんだ。
ライは混乱と焦燥の中、段々追い詰められていく。
「今まで、一体どこで何をしていらっしゃったのですか?」
もはや少年に、拒否の権限は残っていなかった。
支援
投下終了、支援感謝です。
ようやくナナリー登場フラグが立ちました。
>>709 乙です。アーニャと咲世子さん、すげえwジェレミアもカッコいいぜ。
そして気になる終わり方、ライは咲世子さんに何を語るのか。
続きをお待ちしています。
>>709 年下専門卿、GJ
携帯で支援しようとおもったらおわっていた
やっぱり来ましたスーパーメイド。
「あー」、じゃないスーパーメイド&ジャパニーズクノイチ(笑)はここじゃ珍しい感じがしますね。
恋の鞘当てはアーニャ、ナナリーの仲良しの二人がどうなるのか、楽しみにしています。
>>709 年下専門卿、GJでした!
学園篇でナナリーとはあれっきりなのか。
……ヤバイ、なんかワクワクしてきた。
二人の再会を想像すると胸が踊る!
クナイ対スコップに吹いたw
そして、漢前度がうなぎ登りなジェレミア卿!
貴方の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
こんな遅くに、こっそり投下……
3:30から、大丈夫ですよね?
支援は必要ですかな?
では、投下します。
Nightmare of lie 第一話 前編です。
ライin悪夢版です。
カップリングは特になし、11レス予定です。
支援
『殿下、明日の舞踏会及び租界管理官との面談についてスケジュールの確認を、
それと、シンジュクの件、報告書に殿下のサインが本日中に必要でありまして…』
「今夜は如何なる者であれど面通しはかなわん!何度説明すればわかる!」
『しかし…』
「くどいっ!」
悪夢でもここまではひどくは無いだろう。
自室の椅子に蹲る様に座り込むクロヴィスは、イラついた顔で怒鳴り、乱暴に手元の通話機をオフにする。
どうしようも無い、終わりだ。
全て、この様な失態、しかも重ねて……
隠蔽も挽回も不可能、このままでは待つのは……
「シンジュクでの戦略的価値の無い大量虐殺、C.C.計画の漏洩、19騎のナイトメアを失っての敗北……」
突如、クロヴィスの背後から声が聞こえる。
一人しか居ない筈の部屋に居る侵入者にクロヴィスは目を見開き硬直する。
「本国の皇帝に知れれば廃嫡どころでは済まんかも知れんな」
「き…貴様!?誰だ?どうやってここに……!?」
「今、貴様が気に掛けるべきは私が誰で、どうやってここに入り込んだか等という事では無い」
奇怪な黒いフルフェイスマスクに同色のマントに身を包んだ怪人が歩み寄る。
「何故私がここに来たか、それが重要なのだよ」
「くっ!」
支援
振り返ったクロヴィスは手元の端末のボタンを押し、警備を呼ぶ。
しかし……
「何だ!何故誰も応答しない!?」
何度押しても反応は無い、黒い怪人は冷たい声色でクロヴィスに宣告を下す。
「貴様の命運は今日、あのシンジュクで尽きたのだ。クロヴィス」
「う…」
クロヴィスは拳銃を抜き、怪人に向かって引金を引く、
「ァアアアアッ!」
“ガガガガガガガッ!!”
至近の銃弾は全て怪人の体に命中する。
しかし、怪人の体は撃ち込まれた銃弾に傷一つ負ってない。
その足元に軽い音を立てて弾が転がり落ちる。
「ば…化け物!貴様…貴様、一体!?」
支援
人に在り得ぬその現象に後ずさるクロヴィスに怪人は手をかざす。
「私はゼロ」
虚空より拳銃のパーツが現われ、かざした手の中で勝手に組み合わさる。
「貴様等ブリタニア皇族に無を与える為、誕生した」
完成した拳銃の引金をゼロはクロヴィスに向けて……
――クロヴィス・ラ・ブリタニア――
公式には査問の為本国に親衛隊と共に送還、しかし、真相は……
ゼロは言切れたクロヴィスから流れる血を掬い、壁に塗り付け文字を描く、
『天誅』
ゼロはこの地、エリア11、日本の文字で天に代わりて悪を討たんと悪に、神聖ブリタニア帝国に挑戦文を叩き付けた。
不敵にも監視カメラにわざと自分の痕跡を残して……
支援
第1話 前編
「『クロヴィス総督殿下、シンジュク事変の査問の為、急遽本国へ更迭。後任は第二皇女コーネリア殿下に……』
……うん、字は問題無く読める。大丈夫だ。」
「では、こちらの本はどうでしょうか?」
「これですか?
『むかしむかし、ある所にお爺さんとお婆さんがおりました。
お爺さんは山に芝刈りに、お婆さんは川に洗濯に』
…ブリタニア語、日本語の読解力は問題無さそうですね……しかし」
「何でしょうか?」
生徒会室で平積みの本に囲まれたライは、メイドの篠崎咲世子に日本語で書かれた絵本を手の中で弄びながら
「う〜ん」と唸り再び本に目を通しながらは続ける。
「…いよいよ僕が何処の人だか判らなくなって来ましたね」
ぱたん、と本を閉じ、肩を竦める。
「見た目はブリタニア人の様ですけど……」
「じゃあ、何でここまで日本語ができるんだろう?色々試しましたが、古文までスラスラと、ってのはいくらなんでも……」
支援
それに、ゲットーに居た事が説明出来ない。
人種は多分、ブリタニア人だと思うがもしかしたら日本人では?という線も捨て切れない、
戦前に日本に帰化したブリタニア、もしくはEU、あるいは多民族の中華連邦出身者の可能性がある。
「でも、まともな語学力があったと判ったのは今日の収穫かな?」
もしも、字も読めなかったら、今後の活動の幅も大きく制限されてしまう。
今日はこれまでと本を重ねて片付ける準備をする。
すると、校舎からチャイムの音が聞こえる。
もうすぐミレイとの約束の時間だ。
「では、読み終わった分は私が…」
「あ、はい、お願いします咲世子さん」
未読分を残して咲世子は本と新聞を纏めて部屋から退出する。
今日は、放課後にミレイから今後の身の振り方についての話をする事になっている。
最初は挨拶だけでゲットーに引き返し、記憶の手掛かりを探るつもりだったが、
結局、ミレイとナナリーに説得され、ここに留まる事にした。
それもあったが、もう一つの理由にナナリーの存在が引っ掛かった。
何故、眼と脚の不自由なナナリーがゲットーに一人で居たのか、
ミレイも咲世子もその辺は何も知らなかった様だ。
支援
何より時間も距離も不自然過ぎる。
咲夜子から先程聞いた話では、最後にナナリーを見た時間からライと会った大体の時間までを考えても、
誰にも気付かれず戦場になっていたゲットーに行き、しかも軽い擦り傷等と疲労のみなのはおかしい、それが気に掛かる。
もしかして、失われた自分の記憶に関係があるのかも知れない、
いや、これはただの建前だ。
ただ放っとけ無いのだ。
被護欲か、恩義か、もしかしたらあのゲットーの孤独から救ってくれた彼女に縋っているのか、
自分でも良く分からない、分からないが『離れたくない』そう思っている。
とにかく、ここを離れるのに強い引っ掛かりを感じる。
「…で、いつまでそこで見てるんですか?ミレイさん」
「あ、バレてた?」
小さく開いていたドアから覗き込んでいたミレイが小さく舌を出し、笑いながら顔を出す。
「いや〜、物思いに耽る美形って絵になるわね〜」
「からかわないでくださいよ…」
苦笑しながらライは溜め息を吐く、彼女の人柄の所為か、出会った昨日の今日で大分気安くなっている。
「で、今日、僕を呼んだのは別にそれが目的じゃないでしょう?」
「ええ、そうだったわね。はい、これ」
ミレイからカードと手帳が差し出される。ライはそれらに書かれた文字を読む。
「学生証と、生徒手帳?」
支援
……えーと、すいません。
投下の方法変えたら、思ったよりコンパクトになってしまいました。
これで投下完了です。
深夜の支援ありがとうございました。
……遅筆過ぎて覚えてる人居ないだろうな。
>>729 風車卿、乙です。
ナナナにライが介入ですね。
あのトンデモギアスの中で、ライのギアスがどうなるのか楽しみです。
アリスちゃんフラグ?
>>729 おぼえてまっせ。GJ!ちゃんと保管もされてますよ!
>>729 風車卿、GJでした!
ゼロ様キターーー!!!
最初からナナナの世界、良いねぇ!
……あれ? どの勢力に属することになるんだろう。
色々期待しつつ
貴方の次の投下を全力でお待ちしております!
ライのギアスは無限にある未来の可能性の中から
自分の望む未来を選択するギアス
使用するたびに意識が集合無意識に溶けていく。
うん、インフレ過ぎるな
734 :
うにゃら…:2008/10/18(土) 15:49:18 ID:XENLk+vS
ハロウィンの悪夢
「しっかりしてっ…ミレイさんっ…」
僕は血みどろになっているミレイさんを抱き起こした。
「…あ…ラ、ライ……遅いぞぉ…」
普段の元気な声とは正反対の呟くような声。
「駄目だっ…しゃべっちゃ…。すぐ、誰か呼ぶからっ…」
僕は携帯を取り出すとボタンを押そうとした。
だが、その手を血で濡れたミレイさんの指が力なく握り締める。
「もう…駄目…。だから……最後まで二人でいさせて…」
潤んだ瞳が僕を捉える。
「いやだっ…。最後なんて言うなっ…。
僕は…僕はミレイさんと一緒にいたい。
もっと一緒の時を過ごしたい。
ミレイさんの側で…ずっと…ずっと…」
僕はいつの間にか泣き出していた。
周りの景色がナミダで歪み、ぼんやりとしていく。
「私も…よ…ライ。大好き…」
「僕もです。僕もミレイさんの事、大好きです。だから…」
僕はしっかりとミレイさんを抱きしめた。
「これからも…ずっと…一緒です」
そうして…ミレイさんの息番が少しずつ弱くなっていき……小さくなっていく。
「ライ…愛してる…」
「僕もミレイさんを愛してますっ」
その言葉を聞くと最後に満足そうにうなづくと静かに息を引き取った。
その死顔は、満足そうに微笑んでいた。
「ミ、ミレイさーーーんっ…」
僕は、そう叫ぶ事しかできなかった。
735 :
うにゃら…:2008/10/18(土) 15:51:05 ID:XENLk+vS
「はいっ…カットーっ…」
その場に響く声。
「へ?」
僕は唖然として、その場に固まってしまった。
何…何なの?
思考が混乱していると死んだはずのミレイさんがゆっくりと目を開けて身体を起こす。
「ごめんね…」
そういうと、にこりと悪戯っぽい笑顔をする。
「えーーーっ…」
僕は、余計に混乱していた。
「ライ様、告白タイムお疲れ様でした〜♪」
咲世子さんがビデオカメラを持って建物の影から現れる。
「すばらしかったですわ。」
くねくねして身もだえする咲世子さん。
えーと…まったく話が見えてこない…。
そんな僕の心境を察したのだろう。
ミレイさんがぼそりと呟くように説明した。
どうやら、ハロウィンの事を知らない僕を生徒会の皆は驚かすつもりでいろいろ準備したいたらしい。
なんか、皆らしいといえばらしいんだけど…。
で何も知らない僕が各自トラップを用意して待っていた中でたまたまミレイさんのトラップに引っかかったというわけだ。
で「冗談よ」ってすぐ済ますつもりが…そのまま告白になってしまい、現在に至るというわけらしい。
736 :
うにゃら…:2008/10/18(土) 15:52:17 ID:XENLk+vS
「酷いですよっ…ミレイさんっ」
僕は、本気で怒って抗議する。
「ごめんなさい…。でも…」
そこで躊躇するミレイさん。
「でも?」
「ライの私への思いがどれくらいか知りたかったから…」
そこまで言って真っ赤になる。
「あ…」
そうなのだ…。
勢いとはいえ、告白した事に変わりはない。
僕も真っ赤になった。
「本気にして…いいよね?」
普段のミレイさんとは違い、恐る恐る聞く姿は、とても新鮮で可愛かった。
「当たり前ですっ…」
僕はそっぽを向いてそういうしかなかった。
「でも…ずるいです。こういうやり方は…」
「ごめんなさい…」
737 :
うにゃら…:2008/10/18(土) 15:53:28 ID:XENLk+vS
その時である。
「会長っ、ずっこーーーいっ…」
「ひどいです。こういう告白なんて認めませんっ」
「ミレイちゃんらしくないっ」
どうやら、他の所でトラップを用意していた他の生徒会女子生徒たちが来たようだ。
「じゃあ、僕は逃げますから…」
そういって僕は立ち上がり、ミレイさんの手をミレイさんを取り立たせる。
「あ…そうそう…」
逃げる前に言っておかなければならないことがあった。
僕は、ミレイさんの耳に口を近づけ囁いた。
「こういうのは彼女らの言うように僕は認めません。
だから、僕からきちんと告白します。明日の18時にいつもの公園で待ってますから…」
「え?」
僕は、耳まで真っ赤になって再度言った。
「僕から、きちんと告白します。だから。明日の18時に公園の噴水の前で待ってますからっ…」
「うん…。絶対に行くから…」
ミレイさんの笑顔と返事を確認すると僕は、その場を駆け出して離れた。
明日の待ち合わせを楽しみにしながら…。
おわり
>>733 ライ自身が望まず選択をしなかった未来異世界から、ライを倒そうと敵がやって来る訳ですね
>>737 唐突に投下して悶えさせるその手練に掛け値なしのGJコールを遅らせていただきたく。
いい感じです。つかあれですね。ライのトラウマ直撃なトラップですねw
>>737 GJです!!!
ミレイさん可愛いすぎます!
ライの告白カッケェw
>>737 うにゃら卿?でいいのかな?乙です!手玉に取るかと思いきや後半の純情なミレイさんがGoodです。
次回の投下も楽しみにしてます。ところで細かいんですけど
ミレイさんの手をミレイさんを取り立たせる は ミレイさんの手を取り立たせる。 じゃないでしょうか?
742 :
快風:2008/10/18(土) 18:47:31 ID:wBvWnDcf
久々に投下します。
専任騎士シリーズの続きとなります。
50分頃に…。
10レス程で
>>737 全力でGJでした!
凄い……何だこの最高のドッキリは!?
ヤバイ、なんかヤバイくらいにミレイさんを可愛く感じる。
そしてライの言い残すセリフもまたイイ!
貴方が次に投下するのを全力で待っています!
744 :
激動:2008/10/18(土) 18:51:34 ID:wBvWnDcf
世界は動く、望もうが望まずとも。
戦乱の世だからなのか、それとも、それが人の業なのか。
時代の動きを僕らは日々感じずにはいられない。
それがゼロという存在が生み出した流れだとしても・・・。
バベルタワー倒壊によるカラレス総督の殺害。
そしてギルフォード卿を破り、捕虜の奪還に成功した黒の騎士団。
それはブリタニアを、エリア11を震撼させた出来事だった。
再び動乱の渦中となったエリア11にナナリーを派遣する事の危険に、
今更ながら僕は不安を感じるのだが、ここはスザクを信じるだけだ。
そう、帝国最強の騎士、ナイトオブラウンズから3人も派遣するのだ。
これ以上の最高の護衛は存在しないのだから。
支援は幸せ! 全力で支援させてイタダキマス!
支援しましょう
747 :
激動:2008/10/18(土) 18:52:42 ID:wBvWnDcf
ナナリーがブリタニアを発った後も、僕は中華連邦への護衛の協議を行う日々だ。
シュナイゼル殿下、並びにオデュッセウス殿下が赴くのだ。
帝国の最重要VIPを狙う組織、国は多い。
シュナイゼル殿下旗下の部隊長たちと共に移動経路の選択や護衛部隊の配置、
襲撃してくる可能性のある国、組織の候補と情報を洗い出す日々だった。
そして、いくつかの無視できない勢力を見つけ事前に討伐に向かうこととなった。
シュナイゼル殿下の専任騎士である僕を筆頭に、親衛隊並びに5隻の程の艦艇、
50機程のKMF部隊にて太平洋付近に出没する海賊討伐へと行くのだった。
支援
支援
750 :
激動:2008/10/18(土) 18:53:58 ID:wBvWnDcf
この海賊は実は裏では旧東南アジア群島諸国、現ブリタニア植民地の旧軍が
擬態した軍勢で幾度かブリタニアの商船を襲っているという。
その結果、ブリタニアからの商船には多数の護衛や纏まった船団を作る必要があり、
大いに輸送コストが上がるという事態となった。
その輸送品を奪い、ブリタニアには経済的打撃も与えるという犯行は見事と言うしかない。
表ではブリタニアに服従し、裏では反抗運動をするという面従腹背ぶりだ。
未だ捕まえることができないため、証拠がないのだが今回の婚約で殿下たちが動くと
いうことで、彼等の動きが活発となっているのだ。
故に、この機を逃すことなく僕等が討伐へと向かう。
もしかしたら、この武力鎮圧も、婚儀とともに反抗勢力を潰す殿下の策略なのか、
と、ふと思い、あながち真実な気がしてくるのだから恐ろしい御方であると感じる。
751 :
激動:2008/10/18(土) 18:55:19 ID:wBvWnDcf
今回の海賊討伐という任務の特性上、アヴァロンなどの空挺が使えないため、
船旅となってしまい、幾人かの新兵は船酔いとなってしまい多少混乱したが、
順調な航海を続け、東南アジア付近の海域へと辿り着いた。
情報によればこの辺りの無人島を根城としているとの事だが……。
偵察に出したフロートユニット着用KMF部隊がついに武装船を発見した。
すぐさま抗戦すべく向うが、そこには12隻程の大小入り混じった艦隊が待ち構えていたのだ。
彼等は3方向より包囲すべく向ってくると言う。
こちらは僅か5隻、KMFは50機の戦力しかない。数では圧倒的に不利であるのだ。
これだけの数、もしや情報が漏れていたとでも言うのか。
ブリタニア内部の抗争を考えれば納得できるが、余りうれしくはない。
ここは何としても生き残ることで、最大の嫌がらせとしたいところだ。
この戦力差で士気の低下している味方を鼓舞すべく、全艦に通信を送る。
支援……ごめん、ちょっと抜ける
753 :
激動:2008/10/18(土) 18:56:47 ID:wBvWnDcf
「指揮官のライ・アスプリウスだ。我が部隊は、現在多数の敵艦隊と対峙している。
数の上で我が方は圧倒的不利となっている。
だが、私にはこの劣勢を打破する策がある。
卿らには私の指示に忠実に従って欲しいのだ。
私の指示どうりに動けば卿らを無事本国へと帰すことができる。
卿らの善戦を期待する」
そう言って、通信を切る。既に幕僚たる親衛隊たちには指示を送ってあるため、
彼等に入力させた作戦内容を電子通信にて各艦艇に送る。
親衛隊筆頭のアレックス隊長がこちらに笑顔で送信完了の旨を伝える。
それに笑顔で返し、前方を見据える。
彼等は皆、この作戦に賛同してくれたのだ。その期待に応える為にも、負ける訳にはいかない。
754 :
激動:2008/10/18(土) 18:58:33 ID:wBvWnDcf
「各個撃破!?」
偵察情報を得て、すぐさま親衛隊を含めた幕僚たちと作戦会議を行った。
そして、海図に現在の配地図を表示させる。
「そう、敵が三方向に兵力を分散させているのに対し、我々は一箇所に纏まっている。
全体を合わせれば敵が有利でも、各分艦隊相手ならばこちらが数に勝ります。
そして、戦場から戦場へ移動するに際しても中央にいる我々の方が近路をとれます。
だからこそ、我が軍が勝つにはこの戦法が有効であると考えますが、他に意見は?
……わかりました。では、各艇に指示を送ってください。
私は敵艦と接触次第、KMF部隊を率いて突貫します。
艦艇の指示はボルス大佐、あなたにお任せします。では解散!」
皆の足取りが軽くなったようで、どうやら士気の低下は避けられそうで何よりだ。
あとは、この作戦の成功の為にも、迅速の行動が必要だ。
この作戦の鍵は各艦の連携とKMF部隊の電撃的な攻勢にかかっている。
だからこそ、負けられない。
僕は自らを鼓舞しながら格納庫へと向うのだった。
しえん
756 :
激動:2008/10/18(土) 19:00:21 ID:wBvWnDcf
海賊、いや、旧インドネシア軍の大佐と呼ばれる男は、
開戦前の余裕の笑みを完全に凍らされていた。
3方向からの包囲戦、完全に数で勝る彼等にとって完勝も同然と思っていた戦い。
だが、ブリタニアは包囲される前に中央軍に対して突撃をかけ、あっさりと撃破。
中央軍は4隻の大小の艦艇であったが、艦砲射撃も空しく”青き死神”に撃ち落とされる。
続いてすぐに左舷に回っていた艦艇も落とされ、今や彼等右舷艦隊も壊滅の危機にあった。
奴は化け物だ!艦砲の軌道を読みそれを狙撃するなど!!
”死神”が指揮する艦艇は流れるような機動で突き進む。
KMFも空中、艦の上から一斉に銃弾の雨を降らせてくる。
もはや残るは我が艦のみ。
降伏を勧告してくるがブリタニアに捕まった後は悲惨だ。
ならば、一矢報いるまで!とばかりに突進する。
もはや大佐には正常な判断力が失われていたのだった。
しえん
758 :
激動:2008/10/18(土) 19:02:02 ID:wBvWnDcf
作戦は成功した。
怖い位に上手くいった。
「よし、第2陣出撃せよ!そのまま上空より降下し乗り移れ!
味方の砲撃に当たるなよ?
ウォード隊は前進せよ!」
次々と砲や砲弾を狙い撃つランスロット・クラブ・スナイパーを操りながら、
画面越しに海に沈む敵艦を見下ろす。
このランスロット・クラブ・スナイパーは従来の狙撃ライフルをより強化した試作装備である。
従来品を凌駕するスコープ機能と射程距離からの狙撃を得意とするのだ。
また、このスナイパー装備は電子装備も組み込まれ、かのガウェインに匹敵する程の、
機能を有するため、戦場を把握し、味方に指示をだしながら、援護を可能とした、
指揮官機でもあるのだ。
今の所、それを完全に活用できるのが、ライ位のものなので、宝の持ち腐れであるが…。
「よし、砲を完全に潰した。ハレス小隊、右方向より強襲せよ!
コーネフ隊は一旦後退し補給だ。2番艦前進し敵左翼艦を撃破せよ!
エナジーフィラーが半分以上消費した機体は順に補給を開始!以上だ」
ディスプレイに次々と送られて来る情報を下に指示を出す。
そして今、最後の1隻も落とし、作戦終了した以上長居は無用だ。
救命ボートに乗った敵兵を拘束し、この海域を離脱する。
それは正に完勝だった。
しえん
760 :
激動:2008/10/18(土) 19:03:56 ID:wBvWnDcf
勝利に喜ぶ兵たちの歓声が僕を迎える。
彼等に挨拶をしながら艦橋へと戻る。
なんでもシュナイゼル殿下からの通信だと言う。
「殿下、ただ今参りました」
「うん、ご苦労だったねライ。君の戦術、実に見事だった。
私も大変満足しているよ。賊に関しては本国でじっくりと背後関係を洗うとして、
実は今エリア11で大変なことになってね、君に連絡したのさ」
いつもの柔和な笑みで、労いの言葉を与える殿下。
その彼が、とたんに声色を変える。
そして、その話しの内容は、戦勝気分を吹き飛ばすようなものだった。
「ナナリーの行政特区政策を逆手にとって、ゼロと黒の騎士団が、
100万人のイレブンを連れ、中華連邦へと渡ってしまった。
彼等が中華連邦と手を結んだというのさ」
それを聞き、僕は愕然とした。一体、何がどうなったのか。
ナナリーは、スザクは一体。その衝撃に僕の思考が一時停止したかのように止まる。
時代は動く。
それは誰が動かしているのかは常に変化していくが、この時、動かしていたのは
間違いなくゼロという存在であったのは誰しもが認識していた事実であったであろう。
少なくとも、この時は……。
761 :
快風:2008/10/18(土) 19:05:06 ID:wBvWnDcf
今回は一応オリジナル展開というか幕間ですね。
一応要人二人も連れてく以上、進路にはなんら問題のないように警備する必要が
あるだろうなと思い、海賊という存在を使いました。
シュナイゼルの騎士という展開上、なかなかR2本編の前半部に絡ませづらく、
いきなり中華に飛ばすのもなぁと、思い幕間的にこのようなエピソードを絡ませてみましたが、
いかがでしょうか。次回はいよいよ中華連邦編です。
ではまた次回に、また見てギアス!!
しえん
>>761 お疲れ様でした。
やはり、展開大変そうですね。がんばってください。
こうオリジナル展開の場合は、書く人の個性が出て面白いですね。
この後の展開に期待して待っています。
GJでした。
>>741 おっしゃるとおりです。
投下直前に修正したので、消し忘れですね。
指摘ありがとうございました。
アスターテ会戦の帝国と同盟?
>>763 どう繋げるか悩んだのですがこの様な形になりました。
>>764 はい、ほぼその通りに。
過去の戦史とかを利用しようと思ったのですが、
表現するのが難しいので、かの銀河的な英雄伝の名シーンを
使わせていただきました。
>>765 あなただけ、と言う訳では無いのですが、これから戦闘シーン書く人の為に使えそうな戦史上げてみます。
・マリアナ沖海戦、小澤艦隊アウトレンジ戦法
練度+VT信管のせいで大失敗に終わりましたが、戦法自体は全く持って間違っていません。
単純に前線にスナイパータイプの装備付けたKMF出して敵が射程に入ってくる前に片っ端から打ち落として行くだけ。
・川中島の合戦、上杉軍車懸かりの陣
KMFだろうが何だろうが戦い続ければ疲れるのは一緒。
・レイテ沖海戦、栗田艦隊謎の反転
こっちがするんじゃなくて、敵をそうさせるように仕向けて各個撃破しやすくするとか。
とりあえずはこの3つを上げてみます。
22:30に投下予定です
8レスくらいになると思います、支援をお願いします
しえんします。
こんばんは!毎度ありがとうございます、ピザーライです
今日もSSをお届けに参りました
長編の「コードギアス REGAIN COLORS」の続きとなります
注意をよく読み、楽しんでお読みください
:注意:
ギアス編からR2にライを登場させています
ライを中心にするため本編の一部をカットしている場合があります
合計は約8レスとなります
しえん
たまに思うが、どんなものを投下するのか予告してほしいときがある
特に連載ものとかだとさ、待つか明日にするかがそれで変わる
で、支援です
第20話「親友」
「ねぇ、ライ君がルルがゼロだって知っても驚かなかったのって」
「うん、僕も黒の騎士団なんだ・・・・・ごめん、黙っていて」
「そっか・・・・・あの・・・・あのね、ライ君」
「何?」
「私も・・・・・私もルルを助けたいの!ルルの力になりたいの!だから!」
そう言うシャーリーの言葉にライは手で制した。
多分、彼女はルルーシュのために戦おうとしているのだろう。ただの学生のはずである彼女が。
「それはルルーシュが望まないことだよ」
「でも、それでも私は!」
ルルーシュの力になりたい、その気持ちがライには良く分かった。
「聞いて、シャーリー」
「え?」
「君は戦わなくていい、それは僕がやるべきことだ。だから君は守ってほしい」
「守る?」
シャーリーの言葉にライは大きく頷く。
「ゼロじゃない、ルルーシュの居場所を守ってほしい」
「居場所?」
「そう、いつでも彼が帰ってこれるように。心の支えになってあげられるように」
それが彼女に出来る唯一のことであり、彼女にしか出来ないこと。
その意味を理解したのか、シャーリーは力強く頷いた。
「分かった。守るよ、生徒会を・・・・ルルと・・・・ライ君の居場所をね」
>>766 メジャーですね。では、私はこんなものを推しちゃいます。
トロイの木馬
プリンセス・ゲート事件
モガディシュの奇蹟
桶狭間の戦い
・
・
・
…奇襲とか少数精鋭とか、ライにぴったりだと。
>>767 支援します
しえん
支援のロードを突き進む!!
「シャーリー」
そうして笑うシャーリーの顔にライは見惚れてしまった。
「もし私がルルより早くライ君に会ってたら、ライ君に惚れてたかも」
「えぇ!?」
「ふふっ、冗談だよ」
「びっくりしたな、ホントに」
もうライとシャーリーは昔のように友達へと戻っていた。
むしろ親友になったと言ったほうがいいのかもしれない。
久しぶりに再会をした友人同士、昔の思い出話に花を咲かせることとなった。
別れ際、シャーリーはライへと話しかける。
「ねぇ、ライ君。皆は・・・・・」
「ギアスはそう簡単には解けないんだ。シャーリーが何で解けたのかのほうが僕は気になる」
「でも、私は思い出して良かったって思ってる。きっと皆もそうだよ」
「そう・・・かもね」
「もし皆が思い出したらちゃんと私の時みたいに謝って本当のこと話すんだよ?」
「うん、分かったよ」
ライの返事にシャーリーは嬉しそうに頷いて帰っていった。
「ありがとう、シャーリー」
シャーリーの姿を見送りながらライはお礼を言っていた。
割り込んですいませんorz 支援
しえん
「ねぇねぇ、ライ君。これってルルに似合うと思わない?」
「僕はこういうの分からないけど、僕としてはこっちでもいいと思うけど」
次の日、生徒会室に来たメンバーはその光景にしばし首を捻っていた。
何だかライとシャーリーがいつの間にか仲良くなっていたのだ。
別段仲が悪かったわけでもないが、今は友人というよりは親友くらいに仲が良かった。
さすがのルルーシュもこの事態に何があったのか答えが出せない様子だった。
「なぁなぁ、シャーリーってルルーシュの恋人なんだよな?」
「いや・・・・そのはずなんだけど」
ジノとリヴァルはヒソヒソとライたちを見ながら喋っている。
アーニャはというと何だか面白くなさそうな顔でライたちを見ていた。
さすがに今の状況に対しての答えが出ないルルーシュはその2人に声を掛けることにした。
「な、なぁ、2人とも。何かあったのか?」
「何かって?」
シャーリーはルルーシュの言葉にわざとらしく首を傾げる。
「いや、2人がそんなに仲が良かったなんて知らなかったんだが・・・・・・」
「え?む・か・し からだよね、ライ君」
「ア、アハハハハ」
シャーリーの言葉にライは苦笑いを浮かべる。内心ではシャーリーの言葉に冷や冷やしっぱなしだ。
支援
支援
ルルーシュはその答えを聞いてさらに頭を捻ってしまう。
自分がライを連れてきたのはついこの間のはずだ。
それに少なくともシャーリーとライは生徒会室で時々話す程度の存在だった、シャーリーの言葉に矛盾を感じる。
しかし、自分の頭が矛盾に気が付いても心のようなものがそれを正しいと認めているような気がした。
「もしかして、ルル。妬いてくれた?」
「なっ!?お、俺はただ・・・・・」
「大丈夫だよ。私とライ君は親友なだけだから、ね〜」
ライはシャーリーの言葉に嬉しそうに頷いている。
その顔にもルルーシュは疑問に思う点があった。
自分はあそこまで嬉しそうに友達と話すライの姿を見たことがなかった。
「そうだよ、シャーリーとルルーシュはお似合いなんだから」
「もう、恥ずかしいよ、ライ君」
ルルーシュは自分とライの間に壁があることに気が付いていた。
誰だって他人の前では壁や仮面を作る、それは当たり前なことだろう。
しかし、シャーリーと話をしているライの顔は1枚の仮面を外しているように感じた。
自分が外したことのないライの仮面をシャーリーが外したのだ。
一緒にいる時間は自分のほうが長いと感じていた。シャーリー以上に信頼関係も築いているつもりだった。
だが、現実はどうだ?親友という点でシャーリーに負けている気がする。
もしかしたら自分は妬いていたのかもしれない。ライにも、そしてシャーリーにも。
(ライ・・・・・お前は一体何者なんだ?)
今まで彼に会って何度目かの疑問をルルーシュは心の中で呟いていた。
支援
支援
『スザク君とルルを仲直りさせてあげたい』
ライの携帯のメールにあったのはそんな内容だった。
もちろんこれの送り主はシャーリーだ。
自分はルルーシュの居場所を守る、そこにはスザクもいるべきだと考えたのだろう。
その意見にはライも賛成だった。しかし、シャーリーに危険が及ぶ可能性もあった。
彼女がゼロの正体を知っていること、記憶が戻ったこと。それを悟られてはいけない。
だが、彼女の決心は変わらないだろう。自分だって今の状況は正しくないと思っていた。
時々、見かけるルルーシュとスザクの会話を聞くたびに胸が痛かった。
『分かった。それじゃあ、今度ルルーシュとスザクを誘って一緒に出掛けよう』
だからこそ、ライはシャーリーの考えに賛同し、メールを返信した。
ライはルルーシュが池袋の様子を見に行くことを知っていた。
そのためルルーシュが行く日を自分が決めておいたのだ。
そして、それをシャーリーに伝え、スザクを誘ってもらうことにした。
「まさかシャーリーとスザクがいるとは思わなかったよ。珍しい組合せだね」
「そっちだってルルとなんて珍しいじゃない」
ライとシャーリーは打ち合わせ通りに待ち合わせ場所で合流していた。
ルルーシュとスザクはこんな場所で会うとは思っていなかったのかいささか驚いているようだった。
支援
支援
「僕はルルーシュと一緒にデートの下見に来たんだよ。ねぇ、ルルーシュ」
「あ、あぁ・・・って、それは言わない約束だったろう、ライ」
「あれ?そうだったかな?」
ライの言葉にルルーシュはここにいる理由についての演技に入った。
全くもってルルーシュの演技力には何度見ても驚いてしまう。
「それより2人はどうしてここに?」
「ちょっとスザク君に相談ごとがあったんだ」
「ルルーシュについて?」
「うん・・・って、どうして一番最初にルルのことになるのよ〜」
「だって、スザクはルルーシュの親友だしね。相談役には適任でしょ?」
そう言ってライはスザクに話を振る。
スザクは一瞬、親友という言葉に眉をひそめそうになったが、笑顔で答えた。
「でも、シャーリーのほうがルルーシュのこと良く分かっていると思うよ」
「そうかな?私ってまだルルのことよく知らないと思うから」
その言葉にどういう意味が込められているのか、ルルーシュもスザクも知ることはないだろう。
「しかし、そうなるとルルーシュもシャーリーもお互いのことを考えての行動というわけか。
見せ付けてくれるものだね、スザク」
「あはは、そう言うんだったらライも彼女を作ればいいじゃないか」
ライの言葉にスザクは笑って答える、その笑いが本物なのかはライには判断できない。
「でも、こうやって集まったんだから皆で遊ばない?」
「あ、いいかもしれないね」
シャーリーの言葉にライが賛同する。ルルーシュもスザクもこれを断ることは出来ない。
2人が頷くのを見て、ライとシャーリーはお互い笑顔で小さく頷いていた。
支援
支援
アミューズメントパークやウインドウショッピング、屋台で昼食など4人は色々なところで遊んだ。
ライとシャーリーはルルーシュとスザクが心から楽しめるくらいに遊びまくっていた。
遊びすぎたため休憩ということでビルの屋上の公園へとやってきた。そこは都会とゲットーの境界線の場所だ。
「ルルへばりすぎ、ライ君とスザク君を見習ったら?」
「こ、この・・・・体力馬鹿の2人を・・・・基準にするな・・・・ぜぇ・・・ぜぇ」
ぜぇぜぇと肩で息をするルルーシュを見て、3人が笑っている。
「情けないな〜、ルルーシュ。鍛えたらどうかな?」
「ルルーシュは小さい頃からこうだったから」
「それよりも俺は同じ人間がどうやったらそんな体力馬鹿になるのか知りたいぞ」
「僕はいつもトレーニングしてるからね」
そうやって笑うスザクの顔を見て、ライは満足そうに微笑んでいる。
「でも、久しぶりかな。こんなに遊んだのって」
「そうだな。会長やリヴァルに話したら自分たちも行きたかったって言うだろうな」
「違いない」
自然と会話をしているルルーシュとスザクを見ながらライとシャーリーはアイコンタクトを取る。
まずはルルーシュとスザクが昔のように自然に接してもらうことが重要だった。
そのためにはライやシャーリーが仲介となることが必要なのだ。
「ルルもスザク君も頑固だからね」とそう言っていたシャーリーの言葉は正しかった。
最初辺りはスザクの目は時折ルルーシュを疑いの目で見ていたのをライは気付いていた。
ルルーシュもそれに気付きながらも親友のフリをしていた。
確かにこの2人の溝は大きなものになっている。
だが、その溝を失くすことは簡単なのだとシャーリーは語った。
「許せないことなんてないよ、それはきっと許したくないの。私はもうとっくに許してるから」
そう言ったシャーリーの言葉が凄く温かかったのをライは感じていた。
支援 …って、人大杉!?そんな……!!
支援
(そうだ、スザクも許せるはずなんだ。そしたらこんな風にまた笑い合えるんだ。
だって2人は・・・・・・親友なんだから・・・・・)
ライはそうやって笑い合っている2人を見ながら拳を握っていた。
しかし、そんな時にルルーシュにロロからの連絡があった。
少し離れたところからもその話が黒の騎士団関係であることをライは理解した。
こんな時にと思いながらも、スザクの様子を横目で見る。
スザクには先ほどの笑顔はなく、また会った時のような冷たい目をしていた。
電話を終えたルルーシュにスザクが近づいていく。
「何かあったのかい?友達からの電話ってわけじゃなさそうだけど・・・・・イテッ!?」
そんなスザクをシャーリーが後ろから頭を叩いていた。
「駄目だよ、スザク君。私の用事が先でしょ」
そう言ってシャーリーはライにアイコンタクトを送る。その事にライは頷いて答えた。
「そういえば、2人で待ち合わせしてたんだったな」
「ヤキモチ妬いてくれた?」
そんなシャーリーにルルーシュは笑って返していた。
「ありがとう、ルル」
「待ってくれないかな、先に・・・・・」
「さ!行きましょ!」
シャーリーは強引にスザクの手を取るとそのままズンズンと進んでいった。
チラリとシャーリーはライを見る、その目には「後はお願い」とそう言っていた。
ライはそれにしっかりと頷き返していた、「絶対にルルーシュを守る」と。
支援
人大杉に負けない!
支援
以上です!いかがでしたでしょうか?
シャーリーに対しての役目をライが与えましたが・・・・・
こういった役目ならシャーリーにも出来ると思いましたが、どうでしょうか?
次はやっと彼が登場する!・・・・はずです
それでは次回の第21話「狙われた二人」の配達をお楽しみに!
もう次スレが必要なのかな時の支援
GJ!お疲れ様でした!次回の投下を楽しみにしています。
皆様、容量が規定に達しましたので次スレ建設を試みてきます。
ピザの配達人卿、GJでした!
貴卿の作品は続きが気になる連載のひとつです。
またの投下を楽しみにしています。
オハヨウゴザイマシタ
……キングクリムゾン食らった気分だ。
>>761 快風卿、GJでした!
ライ、見事な勝利でした。
シュナイゼルからの連絡、やっぱり普通意味不明ですね。
やはり長編はワクワクするねぇ。
貴公の次の投下を全力でお待ちしております!
>>797 ピザの配達人卿、GJでした! 今回も美味しくいただきました!
自然に話せるようになったライとシャーリー、その姿に疑問を覚えるルルーシュ
まぁ、普通キャンセラーなどというイレギュラーに行き着くわけないですが。
やはりルルーシュとスザクの壁はまだ取り払われないのでしたか。
次の回は……刮目させてイタダキマスよ。
貴公の次の配達を全力を挙げてお待ちしております!
>>801 全力を挙げてアナタを乙!
>>797 乙です!シャーリーの生きてる世界…なんていい!続きを全力で、待たせていただきました!
レス番まで
>>801とは流石トーマス卿w スレ建設といい、相変わらずの尽力ぶりに全力で感謝です。
久しぶりにアンケート取らせていただいても宜しいでしょうか?
はーい。どうぞ
>>805 まだ早い気もしますが、どうぞ。
というか用事の方は大丈夫ですか?
できる限り、全力でお答えします!
ありがとうございます。一応は保管庫に関係あることです。
今回は、保管庫を閲覧する際は主に携帯端末などで行う方が対象となります。
インターネット(パケットと言ったほうが解り易いか?)の使用料金は……
1.従量制だ
2.半固定だ(一定内は定額、超えたらその分だけ従量)
3.完全定額だ
番号で結構です。
※SSについては短編程度なら全然大丈夫ですので、投下はどうぞご遠慮なさらないでください
>>807 はて、用事とは?
>>809 すみません…。
協力すると言っておきながら、携帯ってなんですか?って感じの人ですのでご協力できません。
(携帯満たない主義の人なのです。)
ネットは、いつもPCおんりー。
電話は備え付けなものおんりーなので…www
PCも使いますけど、携帯も使うんで応えます。
3ですね。SSを読むと時間を忘れるんで定額じゃないと辛いですね。
あと、今更ですけど、保管庫の現スレののリンクが27のままです。
3ですお
>>809 主に携帯でパケットは定額です。
つまりはスリー
御身内の不幸が……あれ? 葬儀は終わってましたっけ?
保管庫に限らずにネット閲覧はごく一部を除いてPCのみですが
携帯は2です。
3ですね。以前従量制で保管庫巡回してたら請求額が6ケタに…w
>>813 昨日のうちに初七日まで終わりました。次があるとすれば、11月下旬の49日ですかね。
出席自体、まだ決まっていないんですが。
>>815 6ケタ!?……いや、考えられなくもないか……。一覧関係結構ファイルサイズ大きいですからね。
皆様、ありがとうございます。引き続きお待ちしております。(例の如く、このアンケはこのスレで終了です)
あ、もちろん、SS投下や感想も大歓迎ですよ!
>>815 入って無かったら俺もそんなもんだ。
ちなみに先月パケット料金50万近く逝ってた……定額制で良かった。
保管庫が設立されてからまもなく3になった俺のようなやつもいる
>>809 3ですね
定額じゃなきゃとんでもない額に
俺なんて保管庫見るためにフルブラウザ出来るのに機種変しちゃったぜ!後悔はしてないけど!
フレーム使ってるから…いや毒じゃないっすよ。トーマス卿にはいつもがんしゃしてます。当然3です
がんしゃだと!?
>>821 そういう誤字は見てみぬふりをしてくれいorz
トーマス卿に名無し卿ががんしゃ…アッー
IDをよくみるんだ
発症してるぜ
古い携帯なんで、ネットに繋げる機能がない。ネットは、もっぱらPC派。
ところで本文7レス、12KB程度ですけどこっちに投下していいですか?
支援に感謝します。登場人物が増えたせいか、自分には珍しくレス数が増えました。
ご無沙汰しております『184』です。
決して書くのをサボっていた訳ではなく、デフォで書くのが無茶苦茶遅いだけなんです。
タイトル :ロスカラさん 第6話 女の斗い
カップリング:千葉←ライ←(井上&カレン)
ジャンル :コメディ? ユル〜いキャラで再構成もの
キャラの言動が、ほぼギャグです。(各自がギャグ漫画にありがちな特技や思考を持ってたりします)
5〜3頭身キャラが出て来る四コマ漫画を楽しむ感覚で、読んでもらえれば幸いです。
初期状態からライの千葉中尉への好感度は、やや高目に設定してます。その為ゲーム本編と違い、
いきなり「凪沙さん」と呼んでます。
ゲームの流れ(順序)が多少変わってます。(今回はベイエリアの前に、仙波大尉と合流)
3話で張っといた伏線を回収します。
たこ焼き屋のCVは、卜部中尉の中の人。(別に知らなくても問題はないです)
前回、解放戦線に参加→キョウトへの支援要請成功 からの続きです。
本文に7レス使用予定。
それでは、『ロスカラさん』再開します。
「にゃ〜ん♪」
ロスカラさん 第6話 女の斗い
キョウトから戻ると、新しい任務が待っていた。ナリタ撤退戦で散り散りになった、藤堂中佐と四聖
剣の面々との合流。その為の捜索活動に参加しろというものだった。しかし、これは僕にとっても望
むところだった。ナリタで見た彼らの動きは抜群だった。ブリタニアと戦うには、どうしても彼らの力
が必要だ。日本解放戦線に参加する以上は、彼らと一緒でなければ意味が無い。本当に今まで空
しかった・・・凪沙さん。
捜索隊に加わり、凪沙さんと連絡を取ることができた。シンジュクゲットーは土地勘もあるので、単
独で接触した。
「凪沙さん! 救出に来ました」
「感謝する。――ああ、貴官は確か・・・ナリタの」
「そうです」
「ほっぺたに、ご飯粒の男」
がくっ、なんて覚えられ方だ。トホホ・・・
「あの時は、黒の騎士団だったな」
「色々ありまして、今は日本解放戦線のライです」
色々としか言えないな、恥ずかしすぎる・・・ でもそれは
―――――――――――――――― 妄 想 中 ―――――――――――――――――――
『きっと、凪沙さん。あなたと再会する為に必要な事だったんですよ!』な〜んて
『そんな!でも嬉しい♪』
『凪沙!』『ライ!』ガバッ
一輪挿しの花びらが一枚、ハラリと落ちる。そして、二人は――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
支援
「四聖剣の一人、チバ! おとなしく降伏するがいい!」
「うるさい、下郎! 今、良いところなんだ邪魔をするな!」チュイーーン
いつの間にかブリタニア軍人に囲まれ、咄嗟にギアスを使ってしまった。
「邪魔しちゃ、悪いな」「そうだな」「向うに行こう」「お幸せに〜」
王の命令に兵士は、絶対服従だ。敵はゾロゾロと引き上げて行く。
「さあ、凪沙さん。続きを・・・」
「うむ。よく分からんが、とにかく急ごう」
あら?凪沙さん、あっさりしすぎ。これは、多分照れているに違いない。うんうん。
敵の警戒線を突破、無事に味方の援護下に脱出を完了した。
翌日、僕は昨日再会したばかりの凪沙さんと一緒に公園を歩いている。待ち合わせもしたし、これ
は立派なデートだ。夕べの素っ気なさが嘘のようだ。嘘だけど・・・
「少尉、遊び気分では困るぞ? これは――」
「潜伏中の仙波大尉との合流ですよね? ですから、真剣に遊びましょう」
「何?」
僕の言葉にピクッと眉を顰める凪沙さん。『何を言い出すんだ、この馬鹿は?』という心境だろうか?
「ですから――」
ここは公園だから、気を張り詰めていると逆に目立ってしまう。周りに溶け込むには、周りと同じ様
にリラックスする必要がある。それこそ、任務の事を忘れるくらいに・・・だからまずは
「お互いを名前で呼び合いましょう。ね、凪沙さん?」
と、説明し更に提案をしてみる。
「名前で、か。分かった、任務だからな。必要ならそうしよう」
「(渋々ですか?)え〜と、何か食べませんか? 色々屋台が出てますよ」
そう言って、公園内を見渡す。すると、たこ焼き屋の親父と目が合った。
「よお、兄ちゃん。また、うちのたこ焼き食べに来てくれたのかい?」
「まあね。おじさんとこのたこ焼きは、絶品だから」
「へへ、嬉しいことを言ってくれるじゃねぇか。ん?今日は美人と一緒か。兄ちゃんの彼女かい?」
「え!やっぱりそう見える?」
「・・・すまん。せいぜい親戚のお姉さんか、バイト先の先輩(正社員)ってとこだな」
「「・・・」」
凪沙さんの手を引いて、無言でたこ焼き屋を後にする。あの親父の目は節穴だ。そんな人の仕入れ
た食材は、体に良くない物を使っているに違いない。
「少尉」「・・・・・・」「少尉!」「・・・・・・」「ライ(ボソッ)」「なんですか? 凪沙さん」
「・・・別に恋人同士に見えなくても問題はないだろう(素性さえ、ばれなければ)」
凪沙さんの言いたい事は、分かっている。が、ここは気付かないふりだ。
「そうですね。他人からどう見られようとも、当人同士の気持ちが大事ですよね」
「・・・前向きだな」
あれ?もしかして、凪沙さん今笑った? ふっと僅かだが彼女の顔に、穏やかな色が浮かんだ気が
した。だとしたら、空元気でも出したかいがあったというものだ。
「とりあえず、何か食べましょう。たこ焼き以外で」
気を取り直して、屋台を見て回る。鯛焼きに、クレープに、アイスクリーム、こっちはフランクフルトか。
そういえば、以前玉城が――
「やっぱ、屋台で女と食べるなら、チョコバナナかフランクフルトに決まりだろ。ぎゃはははは〜」
って、何がそんなに面白いのか豪快に笑っていたな。
「セクハラ、最低〜」
ってその後、井上さんに叩かれてたけど・・・ 玉城の話のどこに笑う要素があるのか、そして何故
セクハラなのか意味不明だったので、周囲の人達に尋ねてみたが
「玉城みたいに、汚れる必要はない」「そのままのライ君で、いてほしいから」
「「だから、知らなくていいぞ(のよ)〜」」
と、こんな感じで誰も教えてくれなかった。丁度いい、凪沙さんに聞いてみよう。
「――と、言うことなんですけど。どういう事か分かりますか?」
「ふむ、私もあまり自信ないが、もしかすると――」
食事中の顔を見られて、平気な女性はまずいない。玉城の挙げた二つは、チョコやケチャップで口
元が汚れてしまう。それはとても、恥ずかしい状況なのではないか?と、凪沙さんから回答が返って
きた。
支援!
「なるほど、さすがですね凪沙さん!」
「「違う!」」
僕の賞賛の声に、つっこみが入った。誰だ? 声の方に振り向くと、いきなりフラッシュが焚かれた。
デジカメで写真を撮られたのだ。
「浮気の現場写真をゲットしたぞ」
「C.C.、現場に踏み込んでて、証拠写真もないでしょ」
「むー」
フラッシュに焼かれた目のチカチカが治まると、僕の前には黒の騎士団が誇る三人の女傑が仁王
立ちしていた。
「C.C.、井上さん、カレン! どうしてここに?」
「私の情報収集能力を、甘く見てもらっちゃ〜困るわね〜?」
フフ〜と不敵な笑みを浮かべた後、たこ焼き屋の親父に向かって手を振る井上さん。
ああ!あの親父、地下協力員だっけ。あいつがチクッたのか〜。しかし、浮気って・・・
「少、ゴホン。ライ、この者達は?」
「え、え〜と彼女達は・・・」
「「「・・・」」」
うぅ、三人の視線が痛いよ。凪沙さんの質問に何と答えるか、ここは思案のしどころだ。
「か、家族」
「ほう、家族か。何とも、お前らしい優等生な回答だ。しかし、心がこもっていない」
「そうね〜、どもってたし」
「何を怯えているのかしら? ねぇ、ライ?」
無表情で、イマイチ感情が掴めないC.C.。この状況を楽しんでさえいるのか、うっすらと笑みを浮か
べる井上さん。回答が不満なのか、明らかに不機嫌なカレン。彼女の背後から、赤黒い炎が上がっ
ている様に見える。ああ、これは燃焼状態が良くないな。有毒な煙が混ざっているのかすごく息苦し
いし、頭痛もしてきた・・・
「お母さん、何あれ〜?」「シッ、見るんじゃありません」
「何、修羅場?」「2マタどころか、4マタらしいわよ」
「女の敵ね! 死ねばいいのに」「ヤロー、男の風上にも置けねぇ」
いつの間にか、僕らを遠巻きにして野次馬が集まっていた。屋台の人達も商売そっちのけだ。
「言い直して貰おうか。大切に優しく心を込めてな」
「そうだ、言い直せ!」
C.C.の要求に、周りの野次馬も賛同する。何だこの雰囲気は。
「そうね〜、やっぱり言い直してもらわないとね〜 『君のような女神にずっと傍にいて欲しい』って」
「ちょ、ちょっと井上さん!」
「おお〜」「さすが、姐さん。抜け目がねぇ」
「あ、そっか」
井上さんの要求はエスカレートしていて、カレンも一時は慌てたが、野次馬(たこ焼き屋)の呟きに
『その手があった』と目から鱗が落ちた様子だった。これは、カレンも便乗する気満々だ。
「ゴホン、『君が何と言おうとも、僕は君と一緒にいたい。君が拒否しても、僕は君が危なければ助
けに行く。何度でもだ』何度、でも・・・・・・?『何度でも、何度でも、君の為に』でお願い」
やっぱり、カレンもハードルを上げてきた。その赤らんだ頬は、先程までの怒りからではなく照れか
らきているようだ。赤黒い炎は鎮火したが、僕の頭痛は治まらない。
「長い・・・」「そりゃ、長ぇよ。嬢ちゃん」「もっと、短くまとめなさいよ〜」
「う、うるさい。べ、別に良いでしょ!?」
僕と野次馬の感想は、同じものだった。野次馬の賛同を得られず、涙目になるカレン。こんな大勢か
ら否定されるのは、キツイだろう。
「で、どうするのだ? 少、ゴホン。ライ、言うのか?」
「そうですね。正直、見逃して(特にカレンのは、長すぎる・・・)」
チラリとカレンに視線を向けると、僕の気持ちが伝わったのか
「だめ!駄目!絶対だめ!駄目・・・駄目だよぉ・・・だめぇ・・・」
とうとう、その場に蹲ってしまった。カレンの背中が小さく震えている。
「あ〜あ、泣かせた」「サイテー、女の敵」「兄ちゃん、言ってやりなよ」
くっ、無責任な野次馬どもめ! ともかく、今はカレンだ。僕はカレンの肩に手を伸ばす。
「分かったから、カレン。僕、頑張ってみるから」
「うん・・・うん、うん!」
支援
カレンの手を取り、立ち上がらせる。咳払いを一発、覚悟を決めて彼女の瞳を見つめる。
「待て、一番最初は私の筈だ。泣いて順番が繰り上がるなら、私も泣くぞ?」
「そうね、私も、何だか、悲しく、なって、きちゃった」
むしろ、ニヤリと笑うC.C.。目をパチパチ、鼻をスンスンさせ始める井上さん。二人共カレンに対して、
容赦なしだ。
「くっ」
「分かったよ。そういう事だから、ごめんねカレン」
C.C.の方に体を向けると、彼女は手元のカメラを何やら操作していた。僕の視線に気付いたのか
「ああ、静止画から動画にモード変更した。これで私とお前、『二人の愛のメモリー』にまた――」
「ちょっと、待て! 記録するのか!?」
「駄目か? この先お前が私以外の誰かと結ばれた時、私は何を支えに生きていけばいい? 私を
『家族』だと言ってくれた・・・この思い出だけが私の生きる希望だというのに?」
「「C.C.!」」
がらにもなく健気な事を言うC.C.に、駆け寄る井上さんとカレン。
(C.C.、そのデータコピーして! 後、私の時も記録してちょうだい)(私も私も)
(・・・お断りだ。何故私が、お前達の思い出づくりに――)(ピザ3枚!)
(話にならんな・・・)(ピザ4枚!)
C.C.の肩に手を乗せて、何やらヒソヒソ会話している。何だか『誠意を見せろ』だの『ピザが何枚』だ
のと漏れ聞こえてくる。時折こちらにチラチラ視線を向けてくるのだが、その度に悪寒が走る。やがて
話が付いたのか井上さんとカレンが、体ごとこちらに振り返った。
「「ライ(君)、お願い」」
「C.C.のささやかな、望みを!」「記録させてあげて!」
こ、この後に続くパターンは・・・
「ケチケチすんな! 記録させてやれよ」「そうよ、そうよ!」「キ・ロ・ク、キ・ロ・ク」
「それ! キ・ロ・ク、キ・ロ・ク」「「「キ・ロ・ク、キ・ロ・ク」」」
やっぱりだ。野次馬が騒ぎ出した。ここは要求を呑まないと治まらないだろう。覚悟を決めるしかな
い。
「わ、分かった、記録してもいいから」
「「「わーー」」」「いいぞ! 兄ちゃん」
「大切に、優しく、心を込めてな」
C.C.の念押しに、僕は軽く頷いた。三人の顔を眺め、いよいよだ。
「C.C.、井上さん、カレン・・・君達は――」
PiPiPi〜〜〜♪ けたたましい、笛の音が僕の言葉を遮る。数人の警官がこちらに駆けて来る。
「何の騒ぎだ! これは!?」「お前達、何をしている!?」
「やばい! 逃げろ!」「くっ、無粋な連中だ」
僕達は、一目散に逃げ出した。
・
・
・
僕と凪沙さんは、なんとか追っ手から逃れ、解放戦線の本部に戻る事ができた。
すっかり、忘れられていた仙波大尉があの後どうなったかというと・・・
「はっはっは、一般市民を扇動しての見事な陽動。なかなか、面白かったぞ。ワシも途中までは参
加(野次馬化)してしまった」
実は、無事に合流できていたりするのです。良かった〜
(おまけ)
「なかなか、面白い人材だな。どこで拾ってきた?」
「拾ったどころの騒ぎではないですよ。ほら、ナリタで――」
「おお、あの時の!」
「「ほっぺたに、ご飯粒の男か(です)」」
sien
以上です。
支援ありがとうございました。容量とかドキドキでした。
ユルユルできましたでしょうか? 次回の投下もユルユルお待ち下さい。
ユルユルは、忘れた頃にやっと来る。
>>840 184卿、GJでした!
相も変わらずいい具合のユルさ、面白かったでした。
ライ、妄想がなんか駄目だw
というか三人の女傑暴走しすぎwww
貴方の次の投下を全力を挙げてユルユルしつつ待ち続けます!
>>840 GJでした!
あなたのユルユルな世界観が大好きですw
次回もユルユルとお待ちしています
>>840 ユルユルだ・・・なんてユルユルなんだw
しかし・・・カレンさんセリフ長!
そしてピザ何枚で懐柔されたのだろうか・・・
>>840GJです!
すっかり忘れられているものと思っていた仙波との合流の仕方が、ある意味無理なくかつ笑えて、二重の意味で「良かった〜」!
おまけの落ちも、まwだw引wっw張wるwかwって感じでうけました!
そして純真な千葉さんに心洗われました……!
千葉凪沙。もうすぐ30歳。でも、心は乙女。
色々知っていて、イイ事もワルい事も教えてくれそうなお姉さん(井上さんとか…)もいいですが、
年上だけど初な千葉さんのようなお姉さんもまた素晴らしい!
今後の展開に期待!
> ユルユルは、忘れた頃にやっと来る。
名言な気がしてきた……!
>>840 184卿、超GJです。無理しないでくださいね応援してますよ!
埋めがてら40分頃に投下したいのですが、誰かおられます?
前書き・本文・後書きの合わせて8レスです
8レス位なら自分だけでも頑張れるかな…
何事も度胸。なんでも試してみるさ!
タイトル:みんなで仲睦まじくいこう
カップリング:ライ×カレン
ジャンル:ゆるゆるとコメディとニヤニヤの合体事故
備考:騎士団篇カレンED後を想定して書いてます
ネタ被りしてるかもしれないです
終始脳みそ緩めっぱなしで書いたので中身はない
もちろん緩めっぱなしだから文章も怪しいです
だが、それがいい。と思う…
『みんなで仲睦まじくいこう』
少年の名前はライ。苗字はまだない。どこで目覚めたのかとんと見当がつかぬ。
名は体を表すが如く嘘みたいだが。そんなどうでもいい事は、この際置いておこう。
彼は今、黒の騎士団と名乗る集団に所属している。あれよこれよいう間に要職に就くまできたのだが。
最近、些細な悩み事があった。
(鬱陶しいな……)
彼は前髪を掻き揚げながらシミュレータと模擬戦のレポートを読んでいる。
「さっきはらしくなかったわね。どうかしたの?」
「ああ……実は髪が邪魔なんだ」
カレンは身体の不調なのかと心配して声をかけたのだが、そうではないとわかり安堵した。
そして、言われてみて彼女もちょっとどうかと思ったのだろう。
「たしかに切った方がいいかもしれないわね。散髪したらどう?」
「そう言われてもな。よくわからないんだ」
彼は今のところ髪を一度も切っていない。
無頓着な性分なのもあるだろうが、整髪も面倒臭がって髪型は適当だ。
先の模擬戦でも前髪がチラチラと視線に入って集中できず凡ミスが多かった。
切れるものなら切りたいのだろうがそういう知識に疎いのもあるだろう。
美容院等に行けば話は早いのだが、二人は今日中に紅蓮と月下の仕上げをしなければならない。
休憩時間だけでは間に合わない。かといって全てが終わった後では店も閉まっている時間だ。
ライが唸りながら考えている前で、カレンの頭に電球が浮かぶ。
「ライ。私にいい考えがあるわ」
「なんだ?」
「今の休憩時間は長いからその間に私が切ってあげる」
「君が? 大丈夫なのか? まだ死にたくないぞ?」
849 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/19(日) 11:49:50 ID:btTz61IH
支援
頭にたんこぶが出来たライを引きずってカレンは騎士団本部近くの外に出る事にした。
バーバーカレン・ゲットー青空支店とでも名づければいいのだろうか。
そんな事を考えながらライはされがまま椅子に座らせられた。
「危ないからじっとしててよ」
「わかってる。動いて君に殺されたら洒落にもならないからな」
ライの頭にたんこぶが一つ増えた。人の頭を拳骨で殴るのはよろしくないぞカレン嬢。
そういうじゃれあいも信頼関係の表れなのだろうが、ライは早くもグロッキーだった。
流石の彼もラビットパンチには耐え切れなかったらしい。
「貴方ってホント可愛くないわね!」
「お……男が可愛……いのも……問題……があ……ると思……うぞ……」
ライは力を振り絞り意識が飛ぶのを抑えるも呂律が怪しい。
流石に危ないと思ったのだろうか。二人は少し時間を置いて散髪を開始した。
「こういうのって一度やってみたかったのよね」
「お手柔らかに頼む……」
大きな鏡と見比べながら、カレンは鋏を流れるように運んでいく。
刃物の扱いには慣れている彼女らしい手捌きだった。
静かで穏やかな時間。戦争をしているのを忘れられる位に平穏だった。外野も含めて。
「あらやだ。二人とも青春してるわね」
「ナオト……見てるか…カレンは立派に……うぅっ……」
「ったく、なに泣いてんだよ。たかが髪切ってるだけじゃねえか」
どこから沸いたのか。扇と玉城と井上が瓦礫の後ろから覗きをしている。
扇達に声は聞こえないのだろう。ただ談笑しているのがわかる程度だ
そのまま終わるかと思われた時―――――
カレンは体を屈めて鏡を指差しながらライになにかを聞いた時だった。
(当たってるんだが……)
ライはどう言えばいいのかわからず聞かれた事の返事に集中しているようだ。
「うおおおおお! ライを殺してナオトに泣いて詫びてくる!」
「お、落ち着けって! たかがスキンシップじゃねえか!」
「カレンてば大胆ね〜」
外野は勘違いして変な方向に進んでいるが、実際のところカレンが無防備なだけだ。
頬が赤くなったのをカレンに指摘されてライは素直に答えたのだが。
カレンも自分の油断からだったので、逆に顔を赤らめて言い訳をしているようだ。
「ライ……幾らお前でも許さん!」
「だぁー! お前はいちいち怒りすぎなんだよ!」
「そうよ。初々しくて逆にいいじゃないの」
「そうだぞ。見ているこちらが恥ずかしい位だ」
ピザを食べながらC.C.も輪に加わってきた。扇は涙が止まらない様子。
向こうは談笑に戻っており、前髪の辺りが終わったので次はどうしようかと二人で考えているみたいだ。
カレンはライに顔を近づけて鏡と髪を交互に指差して説明している。
鏡に集中してるライの横顔はそれはもう見事に凛々しい。井上も思わず溜息をしてしまう程に。
カレンも同じ感想を抱いたのだろうか。彼の頬に唇を近づけていく。
「死すべし! ライ、もはや退路はないぞ!」
「だーかーらー! あれはカレンからやってんだろうが!」
「二人とも顔真っ赤じゃない。可愛いわね〜」
「ふっ。意外だな。カレンがここまで大胆だったとは」
「お前も見習ったらどうだ。童貞ボウヤ」
なんでゼロがいるのかは最早聞くまい。扇は血の涙を流しながら日本刀を持ち出している。
カレンは勢い余ってしたのを後悔したのか顔が赤い。
ライも突然の出来事に顔を赤くして困惑している。しかし。
852 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/19(日) 11:58:11 ID:btTz61IH
支援
そこはライも男の子。されっぱなしはプライドが許さなかったのか。
カレンを手招きして唇を―――――
奪いやがりましたよ。この天然女誑し。
「ライ……後生の為だ、遺書位は書かさせてやるからな……ふしゅぅぅぅぅぅ!」
「いい加減認めろっつうの! 大体、んな事したら逆にナオトとカレンが泣くぞ!」
「むぅ……」
「なんだ。見てて恥ずかしいのか?」
「あら、ゼロも意外と初心なのね。可愛いわ〜」
「あの二人、やはり素晴らしい素材です。ゼロ、是非とも二人を大々的に騎士団の宣伝材料にでも!」
「ちょっと〜アンタ達が邪魔でカレンちゃんとボウヤが見えないんだけど〜」
ディートハルトとラクシャータ参戦。もうどうとでもなれ。扇は鬼を背負っているが時は止まらない。
その頃の杉山と南と吉田。観戦もせず三人は何をしてるのだろうか。
『緑茶ウメー! 整備終わらねー!』
……彼等は放っておこう。職務と休憩を優先するのも正しい選択だと信じよう。
顔が茹蛸と見間違うほど赤くなってるカレンを見てライは彼女の頬に手を当てる。
何を言ったのかはゼロ達には聞こえていないが、カレンは幸せそうな顔だ。
そのままライの手を握って―――――
ええ、またしてますよあの二人。
「はっはっはっ。いやいや、逢瀬を楽しむ機会がこんな形とは健やかですな」
「しかし。戦闘隊長も隅に置けませんな」
「だが、基を正せば我々が戦闘隊長殿と紅月に苦労をかけすぎた為だ。仕方あるまい」
「チクショー! 俺だって! 俺だってなぁ!」
「今度は自虐かよ……忙しい野郎だな……」
854 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/19(日) 11:59:10 ID:pBcy5Uyq
855 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/19(日) 12:01:21 ID:btTz61IH
支援
「千葉も紅月を見習ったら? 藤堂さんって鈍いしさ」
「なっ!? な、何を言う朝比奈っ! わ、私は別に……ポッ」
「んも〜二人ともさっさとガツンとやっちゃいなさいよ」
「ガツンとねぇ。……あの二人の子供、興味あるわぁ」
「お互いにハーフでありその上子供と来れば……ゼロ、やはりあの二人を前面に押し出しましょう!」
「子供……!? いや。しかし。だからこそ。それ以上に。256通りの方面から考えて」
「慌てすぎだ。いちいち理屈で考えるな、ガキ臭いぞ。感覚で考えろ」
ゼロは見事に慌てている。藤堂と四聖剣も交わって場の混乱も増してきた。
が、終わりを告げる声は意外に早かった。
『何をしてるんですか?』
目の据わったライとカレンが、覗いていた面子に静かに声をかけた。
一同は固まったが二人の目線は首謀者は誰かを問いている。そして―――――
一斉にゼロを見た。
「ま、待て! 私は別に―――――」
「諦めろ。責任者は責任を取る為にいるものだ」
C.C.の言葉と共にそそくさとその場にいた全員が逃げていく。
「ゼロ。君程の人物が……見損なったよ」
「ゼロ。幾ら貴方でも、こればかりは許せません!」
「お、落ち着け! 私は嵌められただけだアッー!」
怒り心頭の二人に簀巻きにされ、政庁の前に吊るされる事になったゼロ。
「あら? スザク、あれはゼロじゃありませんか?」
「そうですね、どう見なくてもゼロですね。おーい。ゼロー。どうかしたのかー?」
てるてる坊主が如く見事に吊るされているゼロ。マントで程よくそれっぽく見える。
支援
「脆弱者がっ! なんだ、あの情けない姿はっ!」
「姫様。あれはこのエリアに伝わる明日の天気が晴れるように願う風習だそうですよ」
「ほう。その様な風習があるのか。どれ、息子達の為に私も試してみますかな」
政庁の執務室でコーネリアはお怒りだった。親衛隊は呑気なものだが。
「お前達っ! この状況を見ても私を助けようとは思わないのか!」
「ゼロ、今更許しは請わないよ。僕の心が逃げろと言っているからね。殿下行きましょう」
「本当にすみません。また明日の会談でお会いしましょうね」
スザクとユーフェミアはそそくさと逃げていく。
それも仕方が無いだろう。
ゼロの下では紅蓮と月下が仁王立ちしている。
キャノピーの上にいるライとカレンの表情も鬼気迫るものだ。
「くぅ……間違っているのは俺じゃない! 世界の方だアッー!」
おわり。
859 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/19(日) 12:07:35 ID:btTz61IH
支援
人
ヽ( ○)ノ以上ですヾ(*゚ω゚* )ノ゙
支援してくださった方に感謝です
作品の雰囲気に合わせて文体を変えたのと
先日指摘があったので実験がてらに
読点やらを調整したのですが、読み辛くないでしょうか?
極端に減らしてみたんですけど大丈夫かな…加減が難しいや…
なんかね、最近椅子で寝る機会が多いのなんの
SS打ちながらPCの前でうつらうつらと船漕いで
起きたら外出。帰宅したら最初に戻るの繰り返し
うん、駄目だこりゃ。そりゃあ文章とか色々と変だよね〜あははは〜
って笑い事じゃねー! 作品の投下ペースがよくわからないのよぅ…
では、失礼しました
861 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/19(日) 12:15:35 ID:btTz61IH
ぷにぷに卿 GJでした。
オチに対して盛大にふいてしまいました。次の投下を楽しみにしています。
よくよく考えたら、ED後って平和じゃん!
文章を訂正しておきます
>>850の17行目の
静かで穏やかな時間。戦争をしているのを忘れられる位に平穏だった。外野も含めて。
↓
静かで穏やかな時間。張り詰めたものを忘れられる位に平穏だった。外野も含めて。
>>862 ぷにぷに卿、GJでした!
これは合体事故ではありません、成功ですよ……たぶん。
ライとカレンのやり取りも面白いですが、野次馬たちがなんとも言えないいい雰囲気を出してしました。
ラストのゼロがwww
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
864 :
名無し:2008/10/19(日) 12:31:45 ID:AvICiDCZ
支援します( ^o^)/
865 :
名無し:2008/10/19(日) 12:37:39 ID:AvICiDCZ
一時間ずれてたOTZ
496KB
ヾ(*゚ω゚*)ノ゙プニプニ
ぷにぷに卿GJです!
埋め
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うめ
うめ
うめ
うめ
うめ
うめ
497KB
うめ
うめ
うめ
うめ
ume
ume
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埋
ume
め
全
力
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で
ume
くっ
ume
ume
ume
zennryokudeume
どんどん埋め
うめ
うめ