コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS SSスレ 26
■SSを投下される方へ
1.投下前後に開始・終了の旨を書いたレスを入れて下さい(または「何レス目/総レス」を名前欄に)
2.規制に掛かりやすくなっていますので、長文の場合は支援要請の旨も冒頭に書いて下さい。
逆に2〜3レスほど使用の場合、支援は要らない旨を書いてください。レス毎の投下間隔は2分〜3分程度がベストです
3.投下前は、他作品への割り込みを防ぐ為に必ずリロード。尚、直前の投下完了宣言から15分程度の時間を置いてください
4.投下許可を求めないこと。みんな読みたいに決まってます!
5.ゲーム内容以外で本編放送前バレ情報があるSSは始めに注意書きを。
6.なるべくタイトル・カップリング・分類の表記をして下さい。(特にタイトルはある意味、後述の作者名よりも重要です)
・読む人を選ぶような内容(オリキャラ・残酷描写など)の場合、始めに注意を入れて下さい。
7.作者名(固定ハンドルとトリップ)について
・投下時(予告・完了宣言含む)にだけ付けること。その際、第三者の成りすましを防ぐためトリップもあるとベスト。
トリップのつけ方:名前欄に「#(好きな文字列)」#は半角で
・トリップがあってもコテハンがないと領地が作れず、??????自治区に格納されます
■全般
1.支援はあくまで規制を回避するシステムなので必要以上の支援は控えましょう
2.次スレ建設について
・950レスもしくは460kB近くなったらスレを立てるか訊くこと。立てる人は宣言してから
・重複その他の事故を防ぐためにも、次スレ建設宣言から建設完了まで投稿(SS・レス共に)は控えることが推奨されます
※SS投稿中に差し掛かった場合は別です。例 940から投稿を始めて950になっても終わらない場合など
3.誤字修正依頼など
・保管庫への要望、誤字脱字等の修正依頼は次のアドレス(
[email protected])に
※修正依頼の際には 作品のマスターコード(その作品が始まる際の、スレ番号-レス番号。保管庫の最優先識別コード)を“必ず”記述して下さい
例 0003-0342 のタイトルを ○○ カップリングを ○○
(↑この部分が必須!)
マスターコードを記述されず○スレ目の○番目の……などという指定をされると処理が不可能になる場合があります
4.睡眠は1日7時間は取りましょうw
■画像投稿報告ガイドライン
ロスカラSSスレ派生画像掲示板
PC用
http://bbs1.aimix-z.com/gbbs.cgi?room=lcsspic 携帯用(閲覧・コメントのみ)
http://bbs1.aimix-z.com/mobile.cgi?room=lcsspic 1.タイトルとコテハン&トリップをつけて絵を投稿する。尚、コテハン&トリップについては、推奨であり強制ではありません。
・挿絵の場合は、誰の何のSSの挿絵と書く
・アニメ他公式媒体などにインスパイアされた場合は、それを書く(例:R2の何話をみてテンさんvsライを描きました)
2.こちらのスレに以下のことを記入し1レスだけ投稿報告。
例:
「挿絵(イメージ画像)を描いてみました。
画像板の(タイトル)です。
・内容(挿絵の場合は、SSの作者、作品名等。それ以外のときは、何によってイメージして描いたのかなど)
・注意点(女装・ソフトSM(首輪、ボンテージファッションなど)・微エロ(キス、半裸など)・ゲテモノ(爬虫類・昆虫など) など、
絵はSSに比べて直接的に地雷になるので充分な配慮をお願いします)
以上です。よかったら見てください。」
画像掲示板には記事No.がありますので、似たタイトルがある場合は記事No.の併記をおすすめします。
*ただし、SSの投下宣言がでている状態・投下中・投下後15分の感想タイムでの投稿報告は避けてください。
3.気になった方は画像掲示板を見に行く。
画像の感想は、原則として画像掲示板に書き、SSスレの投稿報告レスには感想レスをつけないこと。
画像に興味ない人は、そのレスをスルーしてください。
4.SSスレに投稿報告をした絵師は以下の項目に同意したものとします。
・SSスレに投稿報告した時点で、美術館への保管に同意したものと見なされます
・何らかの理由で保管を希望しない場合は、投稿報告時のレスにその旨を明言してください
・美術館への保管が適当でないと判断された場合、保管されない場合もあります
(不適切な例:ロスカラ関連の絵とは言えない、公序良俗に反するなど)
----テンプレは以上です----
『違うね、間違っているよルルーシュ。皇帝に相応しいのは私ではない、彼女さ』
「「ナナリー!?」」
『お兄様、ライさん…私はお二人の敵です』
「あ…ナナリー、一応スザクもいるんだけど…」
「ライ、そこは気にするな。尺の関係で、あいつの分のセリフを書く余裕がない」
「そんな生々しい事言わないでくれルルーシュ…」
「気にするなと言ったろう。……しかし、違うな、間違っているぞシュナイゼル、そしてナナリー」
『え?』
『おや、君の方が皇帝に相応しいと?』
「だからそれが違う。真なる王は、今私の隣にいるこいつだ」
「え、僕かい!?……困るな…狂王なんてまた呼ばれちゃうのかな、えへへ…」
「結構ノリノリだな」
『狂王とはまさか、あの伝説の……』
「聡明だなシュナイゼル。そう、狂王と呼ばれ、全てを破壊しつくした存在!彼こそが……!」
THREAD 22『童帝 ライ』
「ちょっと待てルルーシュ!!」
「ははは、何をそんなに怒っている、ライ」
「100億歩譲って僕の名前を出した事は認めよう!」
「つまり童貞と認めるのか?」
「だからそこを訂正しろと言っている!皇帝と書け皇帝と!!」
「そんなに気にするな………事実だろう」
「ほう、では君に僕とアーニャの馴れ初めの話を事細かに伝えてあげようか!?」
「カミングアウトするな。それに、ほら……シュナイゼルもナナリーも余りのイレギュラーに混乱している。我々の勝利は近い」
「へえ、僕には呆れて絶句しているように見えるよ。というかあれか、君は死にたいのか。ギアスがいいかい?簡単に死ねるよ」
「待てライ!殺す前に1つだけ聞かせてもらえないか……」
「へえ、殊勝だねルルーシュ。まあいいだろう、何が聞きたい?」
「お前とアーニャの馴れ初めを…」
「“死ね”」
こんないい所で切りますかwww
童帝吹いたwww
もっふー卿乙!
>>1乙!
そして、オール・ハイル・もっふー!
>>4 GJでした!
アーニャとの馴れ初めkwsk!
尺の関係に笑いました。
次の投下を全力でお待ちしております!
>>1 乙です。
>>4 いつもながら素早いお仕事&愉快な内容。GJ!
あと馴れ初め聞きてぇ!
>>1 乙です。
>>4 GJです。
ふと思ったのですが、実はライは、アーニャと思っていたが、実は相手はマリアンヌだったりして…www
>>1乙です
でも前スレ50以上あまってるけど、どうするんだろ?
>>9 ふっ…埋めるしかあるまい。
なお、今50切った・・・。
, -─- 、 _ , - 、
rv, /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
∨ l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!
\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ
_ , -─ 、 / ̄`ー一 '"´ ̄ヾY ̄
/ \r< 丶,/ / /ハ 'ト、 r-、__
/ ノr、 /」/{ / / _, 、} l ! l '、_ノ
、 ト、 ミヘ!V \{レ' /イ /N
\ イ1`,` | z== ` z=キ/ |
/:`ー- 、 , -─ '´¨\ ハxx 、, _, xx!1う)|
>>1乙だよ!
l:::::::::::::::::::::: ̄:::::::::::::::::::::::::|/.:.\ |r─-1 //'´1l !
|:::::{::/::::::::/::::::::::::::::::::::!:::::::|:.:.:.:.:.:ト ゝ__,ノ ,イ/」_// |
|:::::l/|/|::/{:::::l::∧::ト、::j::::::::!:.:.:.:.:/ `く |71> ´ l l !
l::::,'十 |/´|:://‐-}l─ヘ:::::ト{、:::ノ  ̄ /j 、 ト、
ハ:::トf卞ィタl/ fたテ/:::::::|、`> ´{ト 、__ ,/ /l }1、\
}::ゝxx , xxイ:::∧j / / \} ー1 / } ハ, | \
rv - 、 ゝ,::ト、 _,、_, - 、_ ノ:/|:.ノ,/イ / ' /!o oノ l / /lリ
_ { L_ |/ヘ:.>--一</'.:ノ| ! / ∨「 ̄j77 '1,//
ゝ、 r ノ ̄ l:.:.:}:l!0.:.:.:./:.:.:./.! レ ヘ/ 7 ̄ l|「\|{/
 ̄ !:.:.:|:l!.:.:.:/.:.:.:./.:.| ___」、,ノ___jlL_l
,:.:.:.|:.l!.:.,':.:.:.:.,'.:./´ ̄_j 、:::::::::::::::::::::::} r===z、
13 :
前スレ769:2008/09/26(金) 23:49:43 ID:Z1ssjaw1
前スレは、久しぶりに1000行かずに容量オーバーしたようですね
トーマス卿へ
サイトでお尋ねいただいていた件ですが、最初に0017-0488を読んだ時に、
名無しで投下してもIDで拾って領地に収納するトーマス卿の傾向からして、
当然、領地に収納するだろうと思い込んでいたようです
レス内容自体の記憶は曖昧だったのですが、今回改めて確認したところ、
認めたというよりは、否定していないと言った方が正しい内容でした
投下しますがよろしいでしょうか?
どーぞ、支援が必要なら出来るだけ支援します
16 :
カズト:2008/09/27(土) 00:09:53 ID:ZlmmeaFC
タイトル「追憶の旅路 第七章 さらなる奈落」
注意点
・実質完全オリジナルです
・カレンがライの過去編を精神体という形で見ております
・オリキャラ多数
・今回グロ描写アリ
だいたい8ー11スレだと思います
最近住人も職人もテンプレくらい読もうよって人多すぎ
13も、もうメールでやればいいだろうに
支援
19 :
カズト:2008/09/27(土) 00:11:54 ID:ZlmmeaFC
ライは「その日」の朝はすっきりとした目覚めだった
海堂の朝の鍛錬に加わって、朝日を浴びながら、
いつもの様に自らを鍛えていた……
「その日」も海堂は真剣で剣術の型を行っていた……
正座をしていたライは流麗な海堂の動きに見惚れていた……
「その日」の朝も空気がおいしかった……
朝の鍛錬が終わり、朝食に向かおうとしていたら
廊下で様子のおかしい男がいた
その男は裏畑の手のものだった
男は不自然な足取りでライに向かってきた
「……グッ!ハァ……ハァ……わ、若君お逃げください……早く!」
「え……何……?」戸惑ってるライに関係なく男が飛び掛ってきた!
男はライを押し倒し、両手でライの首を締め付けた!
「グ……ガ……」訳もわからずライの意識が遠のいていく…
ガッ!!
「若君!!」偶然現場を見つけた海堂がライの上に乗ってた
男を窓側に殴り飛ばしライに駆け寄った
「若君!大丈夫ですか?」
「グッ……ゴホッ……ゲホッ……!!……ハァハァハァハァ……ハァハァ……ハァハァ……ハァー……スゥー……ハァ……」
呼吸の仕方を思い出すように、ライは意識を戻し立ち上がった
男はすでに起き上がっており、またライに向かおうとした
「逃げ……てください……」
ライの前に海堂が立ち、ガードする
男はふと窓を見る、男は腕を振り上げ
ガシャァン!!
自分の腕を叩き付けて窓ガラスを割った!手首を含めて叩き付けた……
男の手首から溢れる様に血が流れ出す……ライと海堂はその光景を唖然と見ていた
ライは冷静になった
支援
21 :
カズト:2008/09/27(土) 00:13:29 ID:ZlmmeaFC
男の行動は誰の目にも明らかなほどに不自然だった
裏畑の手の者がライを殺そうとするはずがない
ライにはそれを実行できる方法を知っていた……
ギアス……それも、自分と同じ……いや、心は保っていた
「ライエルを殺せ」という命令に対して逆らったというよりは
ガラスを武器にしようとして、誤って手首を切ってしまったという行動により
命令に逆らうことなく、自らの命を絶った形にしたかったのだろう
ハッと気付き、海堂は男に駆け寄った
「一体何がどうなっているんだ!?おい!!しっかりしろ!!」
「朝……ロベルト……殿下に……会ったら……」
そこまで聞いたら、ライは全てに納得いき駆け出した!!
「あっ!若君!!」
(ロベルト!!あいつ、ギアスを手に入れたな!「魔法使い」か!?
この朝の時間だ、もうすぐ人も起きてくる!!
暗殺という使い方にしては随分と杜撰じゃないか!!
おそらく、ただ試しに「僕を殺せ!!」と命じただけだろう!!
時間も条件も指定せずに!!クズらしいギアスの使い方だ!!
……ま、まずい!!急いでロベルトを殺さないと!!)
ライは走りながらギアスをオンにした、焦りと恐怖が頭を支配していた!!
支援
23 :
カズト:2008/09/27(土) 00:16:24 ID:ZlmmeaFC
古来より、暗愚、馬鹿、精神異常者、愚人、小人物、それらが権力を持った場合
最悪の結果を残す王となる……人はそれらを「暴君」または「暗君」と呼ぶ……
ライは幼い頃から虐められながらも、兄達の本質を見抜いていた……
どちらかといえば、ライを率先して虐めていたのは、次兄のロベルトであり
長兄のダニエルは、ロベルトに引きずられる形で、最近ではおとなしい方だ
二人の兄は資質は似たようなもので、当然ライには及ばず、王位継承権があるだけに過ぎない
ロベルトは強いものには逆らわず、弱いものには強く出るタイプであった
上昇志向が無いのではなく、
ダニエルにつっかえているだけなので諦めていただけに過ぎない
特に最近では発言力も無く、この戦時において立場が微妙だった
そんな、人間がギアスという神の杖を持ったらどうなるだろうか……
ライは想像できうる最悪の事態を思い浮かべながら、ロベルトを探した
王宮を駆け巡って、気が付いたら人気のない廊下だった
ハァ……ハァ……
走り回ったのか息が荒かった……ライは一息つく
その時、突然声がした!!
「ライエル!!」ロベルトの声だった!!ライは息ついた心の隙を疲れる形になった!!
反射的に声のする方に向いてしまった!!ロベルトと目が合った!!
しまったと思った時には、ロベルトは恐怖に顔を歪めながら口を開いていた
その瞬間……ライの世界の全てが白黒に……スローモーションに……
支援!
25 :
カズト:2008/09/27(土) 00:20:52 ID:ZlmmeaFC
間に合わない!もう駄目だ!!
そう思ったライの前に突然、黒い壁が視界に入った
「死……
海堂はライの前に立ち
ロベルトから異様な殺気を感じたのか日本刀を構えていた
「……ね!!」
ライは海堂の背中から刀が生えるのをスローモーションで見ていた……
そして、背中から生えた刀は、歪な円運動をわずかにした後、止まった……
海堂はゆっくりと前に倒れた……
ライの視界にはただ呆然としているロベルトだけが映っていた……
「死ね……」ライはロベルトが視界に入った瞬間、ロベルトに言葉を発していた……
「うわああああああ!!」
ロベルトは窓に向かって走って行き、ガラスに頭から突っ込んだ!!
ガシャーン!!
ロベルトは2、3度痙攣した後、ギロチンに首を突っ込んだ様な血のオブジェと化した……
しばらくして、ライは頭が冷えた
ギアスをオフにして、あらためて見てみてみると異様な光景だった……
ガラスの割れた音を聞きつけ、人が集まってくる……
(まずい!)ライは咄嗟に近くの部屋に隠れた!
ライが隠れた部屋は家具の倉庫で、隅っこの影に隠れて、息を潜めていた
急にライの目から涙がボロボロこぼれた……
(く……、う、うう……落……ち着け……よな僕……ここで……見つ……かったら怪……しまれるじゃな……いか……)涙で震えながら部屋から外の様子を窺う……
(みんな、現場に意識を向けている……)
支援
27 :
カズト:2008/09/27(土) 00:24:00 ID:ZlmmeaFC
あまりにも異様な光景に目を奪われていたため
場所も幸いしてか、誰もこっちに注目するものがいなかった……
ライはすかさず外へ出て速やかにドアを音もなく閉めた
集まっている野次馬の最後尾という形になり、そこから急ぎ人を掻き分け
海堂の亡骸に寄り、全てを吐き出すように、ライは大声で泣いた……
海堂は父親のように自分を鍛えてくれた……
父親のように自分を叱ってくれた……
日本の面白い話をしてくれた……
母上をいつも命懸けで守ってくれた……
きっと母上の事を……
もう、海堂と一緒に過ごせる時間も、話す事も、色んな事を教えてもらう事も……
もう無いのだと
「お兄様!一体どうなさったんですか!?はっ海堂さん!?海堂さん!!」
……い、いやああああああああああああ!!」
(サクヤ!!しまった!気付かなかった……)
周りには多くの人がいたのに、誰もサクヤに気付かず、見ていただけで
サクヤを現場から遠ざけようと
しなかった野次馬連中に、ライは瞬間的に憎悪が沸き起こった!!
「お前ら……(サクヤはまだ幼いというのに!)」ライはギアスをオンにしようと……
「ライエル!!一体何事ですか!!……か、海堂!!」皇帝から勅令を受け帰ってきたばかりの命がいた
「は、母上!!カイドーが……サクヤが……」
一度に色んな事がありすぎてライは混乱していた……
命は深呼吸をして
「……皆の者!!何をボサっとしているのですか!!急ぎダニエル王に報告!!
医師も呼び、調査班を編成しなさい!!大至急!!」
命は迅速に的確な指示を飛ばす!!
支援!
29 :
カズト:2008/09/27(土) 00:28:56 ID:ZlmmeaFC
命がライとサクヤに寄ってくる
はしっ
命はライと咲久耶をその胸に抱き寄せた……
(母上……震えている……カイドーは母上にとっても大切な……
それでも、上に立つものとしての役割を果たそうと……)
幸いにも、ロベルトにギアスをかけられた者はもういなかった……
朝ということで手がかりとなる関係者、証人もほとんど居なくて
その後の調査も芳しくなく、この不可思議な事件は
ライのみが知っているであろう真相は曖昧になっていく……
客観的に評すれば、数のみでいえば、ギアスという力に対して犠牲は三人……
朝早かったために、たまたま人もいなかった、もう少し遅ければ大惨事になっていただろう
あくまで客観的に見ればである……
この国で唯一真相知っているライがそれを客観視できるほど成熟している筈がなかったのだ
「その日」の夜、ライは自分の部屋で海堂を失った悲しみと
その時の自分の行動の後悔に苦しんでいた……
「あああああああ……僕は……僕は!!あああああ……」
(そうだよ……なんであの時冷静でいられなかったんだ……
まさか、僕もロベルトの奴がギアスを持ってるとは思わなかったんだ……
「もし」冷静だったら、使用人とか警備兵を使ってロベルトを押さえればこんな事には……!!
「あの夢」の通りだ!!温かったんだ!!ギアスですぐ殺していれば!!
だが今、ダニエルを殺せば色々混乱が起きる!!両面の敵もいる!!
ダニエル……隣国を討伐するまでが、お前の生きていられる時間だ!!
お前を殺す算段はもうついている!!それまで、王の座を楽しんでいろ!!)
支援
31 :
カズト:2008/09/27(土) 00:31:13 ID:ZlmmeaFC
「あたしもお兄ちゃんがいなくなった時、心が空っぽだった……
大切な人と今まで過ごした時間……
大切な人が自分の時間の中で占める割合……
大切な人とこれから過ごす未来……
それらが、無になってしまうという事……
ライ……あなたはそれを憎しみで埋めようとしているの?そんなの悲しすぎる!」
カレンには何もできないとわかっていても
ただ、手を差し伸べたい……そう思った
ウラバナシE
L・Lはリーブランドに戻ろうと森を駆け巡っていた
(ライエル皇子の暗殺には失敗か……
使い捨てにしても思ったよりグズだったわ……
でも、カイドーを殺せたのは嬉しい誤算……
これで、あの国も軍を再編成に大忙しだわ……バランスは取れそうね……
……っ!?何?この気配……ま、まさか!私と同じ「コード」を持つ者!?)
その気配は正面からと感じられた
ヒュウッ!!
その正面から何かが風を切った!!L・Lはそれを反射的に避けた!!
ドカッ
後ろの木の幹にボウガンの矢が刺さっていた……もう少し遅かったら、彼女の頭を貫いていただろう……
「それ」はゆっくりとL・Lの前に現れた……
「はじめまして、私の名前は……だよ」ライにギアスを与えた「魔法使い」だった……
一見すると、少年のような風貌だが白を基調とした厳かなマントをなびかせた風格から
ただの少年でない事は明白だった……
二人の不死者が真夜中の森で対峙していた……
支援!
33 :
カズト:2008/09/27(土) 00:35:50 ID:ZlmmeaFC
以上投下終了です
オリキャラを二人殺しますた
さらに闇に落ちて行くライ……
次兄のギアスについてですが
嚮団にいた実験体の子供の使ってた手合いで
ルルーシュとライの下位互換と思っていただければ幸いです
>>33 カズト卿、乙でしたー!
海堂死亡、それがライの心に更なる闇をもたらしたようで。
長兄を殺す覚悟を決めたライ!
森で始まる不死者の戦い……って、意味なくない?
貴方の次の投下を全力でお待ちしております!
35 :
カズト:2008/09/27(土) 01:12:49 ID:ZlmmeaFC
早速修正依頼
>>29
この国で唯一真相知っているライが
→しかし、この国で唯一真相知っているライが
いつもすみません 苦労をかけます……
藤堂ーー!!……じゃなかった、海堂ーーー!!!
なんだか、マジで悲惨すぎます。
見ているだけで目に来ました。これがカレンの気持ちでしょうか?
これから、さらに暗黒面に堕ちていくライくん。
ス○ーウォーズのように結末は決まっているから悲劇は変えられません。
それでも、目覚めたとき、カレンは思いっきり抱き締めてあげてほしいです。
本当に乙でした。
烈・支援!!
話自体はすごく引き込まれるし、オリジナルストーリーとして心から本当に面白く続きが読みたい。
公式まわりでこんな風に肉付けしてやってくれないかと切望するくらい。
でもライの憶測せざるを得ない過去話とはいえちょっと風呂敷広げすぎちゃった感はあるかなぁ…
話の本筋上、カレンにライの過去の辛さを理解させる描写ささえ伝われば
ここまで細かくやることもなかったかなと。
それでオリキャラがいっぱい出てきちゃって、読む側についていけない人が出てるかも
今さら言っても仕方ないですし、ぜひこのまま完結まで続けて欲しいですが。
こんにちわ。
皆様、土曜日のお昼をどうお過ごしでしょうか?
もしよろしければ、ドロドロの男女関係のドラマなどいかがでしょうか?
もしOKでしたら、支援をお願いいたします。
本レス6レス+終了1レスの合計7レスの予定です。
支援します
支援表示ありがとうございます。
13時10分ごろからスタートしたします。
支援よろしくお願いいたします。
sienn
タイトル「合流の後で…その5」
カップリング「カレン×ライ×井上」
ジャンル「昼ドラ」か「シリアス」
注意点
えーと、ちょっとではすまないかもしれないエロ描写あります。
また、ライのヘタレ警報超発動中です。
さらに井上さんの病み具合絶賛進行中です。
以上の点で問題ある人は、スルーお願いいたします。
それと内容ドロドロになってます。
さわやかな恋愛を求める方は、絶対見ないで下さい。
本編6レス+終了宣言1レスの合計7レスの予定です。
なお、投下は2分前後ごとに行う予定ですので、5分超えた場合は、トラブル発生と思っていただいて結構です。
その際は、再度投下しなおします。
支援
ついにキュウシュウ戦役が始まった。
中華連邦とブリタニアの戦いに横から殴りつけるかのような黒の騎士団の参戦は、激戦となったがゼロの作戦と各人の奮闘によりほぼ黒の騎士団の勝利に終わろうとしていた。
そして、歪な形をしたまま続いているライと井上、そしてカレンのトライアングルも終焉を迎える事となる…。
合流した後で…その5
戦闘開始から1週間が経ち、ほぼ黒の騎士団の勝利が確定すると、ゼロは九州を拠点とし合衆国日本を宣言。
そして、僕らは九州に残った敵の残党の排除と防衛に追われる日々を過ごしていた。
「ねぇ…ライくぅん。遊んでぇよぉ〜」
井上さんが僕の首に腕を絡ませ寄り添ってくる。
ここは、補給を行う中間ポイントの倉庫の中。
その暗がりで井上さんと二人で抱き合っていた。
なぜ、こんな場所で昼間から会っているのか…。
理由は簡単だ。
夜会えないためだ。
キュウシュウ戦役が初めって以降、忙しさの為に井上さんと合える回数が極端に少なくなっており、自室に戻る事はほとんどなかった。
さらに、会えたとしても補給の合間という短時間だけ。
だから、会えれば場所や時間を選ぶ余裕などあろうはずもない。(もちろん、人気のないところではあるが)
その為、会えれば人気のない場所に移るとすぐに行為へとなだれ込み、ただ性処理と一時の快楽だけを求めるだけのものと二人の関係はなってしまっていた。
だから、以前のように愛を語り合ったり時間の許す限り愛し合うという事が出来なくなってしまっている。
それでも井上さんは、誘惑して文句も言わず身体を僕に委ねてくれた。
支援
ただ、1つ気がかりな事は、「可愛がって」とか「愛して」という言葉を使わなくなった事だろうか。
今では、「遊んで」という言葉ばかりだ。
いつごろから言わなくなったのかははっきりと覚えていない。
だが、それは些細な事さ…。
僕は、頭に浮かんだ疑問をそう片付けるとゆっくりと井上さんにキスをして抱きしめた。
ここ三日ほどご無沙汰だからだろう。
僕はすごく興奮し、貪るように井上さんの身体を求めた。
井上さんも久々の行為に興奮しているらしい。
すごく身体が熱く、貪欲に求めてくる。
だがその時、僕を呼ぶ声がした。
「ライ〜っ…どこにいるの?」
カレンだ。
僕の恋人であり、戦いのパートナーである彼女。
今、僕と一番一緒に過ごす事の多い女性。
まだプラトニックな関係ながら、僕は戦場での不安や恐怖を彼女から癒してもらっているような気さえしていた。
僕は、カレンへの後ろめたさもあり、井上さんから離れると服の乱れを直し始めた。
行為を中断され、不機嫌そうな表情を見せる井上さん。
だが、それでも腕を伸ばして僕を行かせまいとする。
「いやぁんっ…。遊んでよぉ…ライくぅん…。私、我慢できないよぉ…」
その甘えた物言いも普段なら可愛いと思うのだが、今の僕は欲求不満でイライラするだけだった。
その為、心にでもない事を言ってしまう。
支援
「そんなに我慢できないんなら、他の人に遊んでもらえばいい…」
言ってしまって…しまった…と思ったが、もう後の祭り。
「え?!」
井上さんの動きが止まる。
まるで蝋人形のように時が止まっているかのようだ。
「本気で言ってるの?…ライくん…」
さっきまでの妖艶さは姿を消し、まるで独り言のようにボソボソとそう呟く。
その時、再度僕を呼ぶカレンの声。
「ライ〜っいい加減にしなさいよぉ〜っ。時間ないんだからねぇ〜っ」
その声が、僕を急き立てる。
「ねぇ…本当に…本当に、そう思っているのっ…」
しがみついて僕に必死に聞いてくる井上さん。
うざいな…。
余裕のない僕は、そう思ってしまう。
そして、僕は彼女を傷つける言葉を無意識のうちに言ってしまっていた。
「僕も我慢してるってのに…。そんなに我慢できなきゃ、他の男と遊べよ」
井上さんは、その言葉を夢遊病者のような表情で聞いていたが、くすっと笑うとふらふらとその場から立ち去っていった。
僕は彼女を傷つけた事を後悔したが、気まずさとカレンの方に気を取られてしまい、ただ見送る事しか出来なかった。
支援
−やっぱり捨てられたね……。
ワタシのココロの中で、もう一人の私が笑いながら言う。
お弁当の事件以来、私の中に現れるもう一人の私。
その言葉をぼんやりと聞くホントウのワタシ…。
ワタシは…カレにとって何だったのだろう…。
−そりゃ、貴方が自ら言ったでしょ…都合のいい女でいいって…。その程度なのよ…貴方の価値は…。
ワタシの疑問に、もう一人の私が嘲笑しながら答える。
そうなのかな…。
−そうなのよ…。さあ…受け入れなさいな…現実を…。
ゲンジツ?
−そう…彼の言った事を…。
らいクンのイッタコト?
−身体が疼いて我慢できないんでしょ?
ウン…ガマンできない…。
−じゃあ…彼の言ったとおり、他の男と遊んで解消すればいい…。
イヤだよぉ…。らいクンじゃなきゃ…。
−でも、彼が言ったのよ…。淫乱な貴方には、それがお似合いって…。
あ…。
ガタガタとココロが揺れる。
熱く火照った身体が私のイシを溶かしていく。
−ほら…向こうから男達が来たわ。さぁ、誘いなさいな…。いつも通り…ライくんにするように…。
イ、イヤァ…。
−でも…我慢出来ないでしょ?
ああああ…。
イヤナノニ…。
らいクンジャナキャ…イヤナハズナノニ…。
デモ…モウ…イイヤ…ラクニナロウ…。
ツカレチャッタ…。
そう思った瞬間…すごく気持ちが楽になっていた。
支援
あの倉庫での井上さんとの言い合いの後、彼女とは連絡が取れないでいた。
最後の抵抗を試みるブリタニア残党の討伐の為、忙しかったのと連絡しても電話が繋がらなかったためだ。
そして、ほぼ黒の騎士団が九州を掌握し、やっと落ち着いて動く事が出来るようになると僕は真っ先に井上さんに会う事にした。
いやな予感が頭から離れず、不安が湧き上がっていたから…。
連絡が取れなくても彼女がいる部隊はわかっていたからそこに向かう。
久々に会う彼女は、心配していたほど落ち込んではいなかったし、元気そうだった。
「ライくん、久しぶりだね。げんきだった?」
「あ…はい。井上さんも元気そうですね…」
くすっ…そう笑うと井上さんは僕を見つめる。
「そうでもないわよ。まぁ、カラ元気も元気のうちかな…」
そう答えると明るく笑う。
まるで別人のように…。
つられて僕も笑っていた。
「ところで、今日は、どうしたのかしら?」
ひとしきり笑った後、井上さんが用件を切り出してくる。
「あ…ちょっと話が…。よかったら、夜にでも会えませんか?」
「いいわよ。じゃあ、21時に私の仮で借りている部屋に来て…」
そう言うと住所と部屋番号を書いたメモを渡される。
「ご馳走作って待ってるわ…」
そういうと彼女は仕事に戻っていった。
以上で終了です。
支援ありがとうございました。
おかげさまでなんとか終わりが見えてきました。
さてさて…どうなることやら…。
なお、ハッピーエンドは私の選択ではなくなりました。
本等は、やりたかったんですけどね。
どう考えても無理ですよ…こうなってしまうと…。
しかし…まさかこんなSS書くとは書き始めた頃は思いもしなかったなぁ。
次回作は、すでに考えてたりしますが、こんなドロドロではありません。
これってノリノリに書けるけど疲れるんですよ…精神的に…すごく…。
書き上げるたびにぐったりしてしまいます。
だから、次回作はノー天気なやつになると思います。
ともかく、もう少しですのでがんばって完結させたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
なお、1レス少ないのは…投稿しながら読み直していたら、やっぱ、これやばすぎと思った部分があったのでその部分を削除したからです。
すみません…。
>>53 乙です
うわ〜〜ん、井上さぁん〜!
ライが屑だ!
しかし、卿はライをクソヤローとして、表現している訳だからすごくうまいという事で・・・
ライに対してイライラするけど、続きが気になる不思議な感覚。モヤモヤするよ〜
誰かいますか。
いましたら支援してください
1350位に投下します
支援します。
どれくらいでしょう?
2時30分には家出るので、それまでなら…。
>>53 あしっど・れいん卿、限りなくGJに近い乙! でした!
あまりに重く、ドロドロしたかんじ……井上さん、コワレちゃった?
どう見てもバッドエンドなかんじが……
ライの安否が気になる。
胸の重さと反比例して続きが気になる思い。
貴方の次の投下を全力でお待ちしております!
御錬師です。
最終話投下します。
タイトルは、「進化する空間と不変の時間〜蒼と碧が交わる時〜」CPは無しジャンルはシリアス。
〜〜はサブタイで。
支援
進化する空間と不変の時間〜蒼と碧が交わる時〜
「まもなく当機はナリタに到着します。到着予定時刻は、現地時間17:30分。午後5:30を予定しています。」
飛行機のアナウンスが響く。半年ぶりの日本。
取り敢えず、向こうに、着いたら、アッシュフォード学園にでも行って、皆に顏
あわせて、忘れ物を取ってこよう。と考えているうちにナリタに着いた。
今の日本は、ブリタニアの領土でありながら、殆んどの地域が自治地区となっている。
全ゲットーは廃止され、どこも祖界と同じ位発達している。
僕は日本の空を見上げつつアッシュフォード学園に向かった。
支援
途中公園のトイレでコッソリ制服に着替えてコッソリ学園に侵入成功。
クラブハウスの玄関に着いた。
チャイムを鳴らして少し待つ。
ドアを開けて出てきたのは、ミレイさんだ。
「お久しぶりです。ミレイさん」
「ライ。ライ、おかえり。」
「たっ、ただいま。」
ここはあまり変わっていないみたいだ。
「さっ半年もサボったんだから働いてもらわなきゃ。かなり溜っているわよ。」
「まっ、待ってください。僕はただ、忘れ物を取りに来ただけです。」
「問答無用。」
と言われ、生徒会室に連行。
「みんな、彼が戻って来たよ。」
「えっ、ラ、ライ。」
「まっ、マジ。」
「良かった。」
上から、シャーリー、リヴァル、ニーナの順だ。
「さっ仕事、仕事。思い出話は後で。ライはこれお願いね。」
正直、量はかなりあったが、簡単だった。三ヶ月前のアレの方がどれ程大変か。
支援
支援!
仕事を終らせ、お茶をしていた。懐中時計を見たら、午後6:20だ。
「ねぇライはどうして帰ってきたの」
「そりゃっ、保護者の私がこいしくて帰ってきたとか。」
「違いますよ。」
「じゃっさ、何よ。」
「ここに帰ってきたわけじゃないんだ。二つ用事があって来た。」
「用事ってなんですか。」
「一つは、生徒会の皆に会う事。もう一つは、忘れ物を取りに来た。」
「ねぇ、忘れ物って、」
「こっちに居候している時に、置いてきた物」
時計を見ると、午後7:00を少し過ぎていた。
「ゴメン。そろそろ、行かなきゃ。」
「えっ」
「行くって何処に。」
「シズオカ。」
「えっ、ユーフェミア代表のいる、シズオカ。」
「うん。暫くそっちで仕事。」
「じゃあ、スザク君やルル達にも会えるね。」
「ルルーシュ達って。」
「カレンやナナリーそれにルルーシュも今特区にいるんだよ。」
「そうなんだ。あっコレ、こっちにいる間の連絡先。それじゃっ」
無事に、忘れ物を無事に取り、シズオカ行きの列車に飛び乗り、
シズオカのホテルに着いて直ぐ寝た。
支援
次の日政庁に行くと、門の前に、ダールトン将軍がいた。
「お久しぶりです。ダールトン将軍。」
「おぉ、ライ久しぶり。体の方は」
「一応大丈夫です。」
「そうか。」
たわいのない会話をしているうちに、代表室の前についた。
「代表失礼します。ブリタニア本国より客将が。」
扉の向こうにいたのは、ユーフェミア代表とその騎士であるスザク。
そして仮面の男ゼロとその片腕のカレンがいた。
「本日より特区日本に配属された、神聖ブリタニア帝国陸軍ライ・エニアグラム
中佐です。」
とあえて堅苦しい挨拶をしたのに
「久しぶり。ライ」
とスザクが堅苦しい空気を見事にぶち壊した。
コレを見ていたダールトン将軍は、
「ライ、後で執務室に来い。」と声をかけ、執務室に戻っていった。
「半年ぶりね。ライ。客将がライだなんて意外だわ。」
と声をかけてきたのは、カレンだ。
「君がここにいることの方が、意外だったけどね。」
「初めまして。私がゼロだ。」
「初めまして。ライ・エニアグラムです宜しく。」
僕とゼロは固い握手をした。
その後も少し再会の喜びの余韻に浸り、任務の引き継ぎを済ませた。
支援
そして、ある疑問を、解決すべくゼロの執務室へ向かった。その途中、
「ライか、私に何か用か」
ゼロにあった。
「少し話がある。」
「なんだ。」
「式典の時の事だが。」
「執務室に来い。」
と言って、ゼロの執務室に入った。
部屋は、チーズの香が漂っていた。
「式典の時の事か。」
「そうだ。」
「なぜそれを聞く。」
「真実が知りたいからだ。」
ゼロは何も答えなかった。
「君、ギアスが使えるだろう。」
「なんのことだ。」
「しかも、今は、暴走している。」
「くっ」
「君はいったい誰だ。」
「わかった。全て話そう。」
支援
彼は、僕に、一杯の紅茶を出して全てを語った。
「確にユーフェミアにギアスをかけた。だが、自覚はなかった。」
「ギアスの暴走。」
「そうだ。それで今は、無理矢理、力を押さえている。」
「君はいったい。」
僕が聞くと、ゼロは仮面をとった。
「ル、ルルーシュ。」
「あぁ。ゼロの正体はルルーシュ・ランペルージだ。」
「良いのか。簡単に正体をバラシて」
「構わん。あの場にいた。三人は知っている。」
「黙っとくよ。」
「ありがとう。ライ。」
「じゃあ」
そう言って彼の執務室を出た。
支援
その後、スザクのところにに行った。
「随分平和になったな。」
「そうだね。」
「ねぇ、ライ。どうして黙って、消えたの?」
「記憶は戻ったが、それと同時に、持病も思い出した。で治療のため本国に行った。」
「もう大丈夫なの。」
「一応な。」
「良かったよ。君が無事で。」
「そういえば、クラブは、今何処に。」
「ランスロットと一緒に地下の格納庫」
「ありがとう。じゃ、また後で」
「後で。」
支援
僕は、地下の格納庫に行く為、エレベーターをまった。
ふと明日からの仕事内容を思い出した。
「明日から、士官育成学校の教官として働いてもらう。」
「教官ですか。」
「主な指導内容は、ナイトメアフレームの操縦、基本的武術だ。」
「お前の担当は、特区士官育成学校東棟第3期生の指導だ。」
「わかりました。」
「模擬戦の戦闘場は、東棟の東側だからな。わかりました。」
そんなやりとりを思い出しているとき、やっとエレベーターが来た。
地下の格納庫へ向かった。
支援
「お久しぶりです。ロイドさん、セシルさん。」
「元気だった?ライ君。」
「えぇ。」
「ロイドさんクラブは、」
「いつでも出せるよ。」
「ありがとうございます。」
「ちょっとイジってあるから。これマニュアルね。」
僕はロイドさんからマニュアルとキーを受け取り、直ぐに目を通した。
「せっかく来たんだからさ〜、シミュレーター乗ってかない。」
「ちょっと、ロイドさん。ライ君は、」
「構いませんよ。明日から使うので、それに新機能を確かめて見たいので」
「さっ早く、早く。」
この時僕は忘れてた。ロイドさんのプログラムの恐ろしさを。
支援
「凄いね〜彼。10分しか乗っていないのにもう、新機能まで使いこなしちゃってるよ。」
「確にライ君かなり腕が上がっているわ。敵増援部隊。編制は月下5機。」
「どこまで行けるかな〜。凄いよ。もう月下まで進んじゃったの。あっまた倒した。」
「敵増援部隊。編制はガウェイン及び紅連。エナジーフィラー残量45%。」
「45分で此処まで。通常の部隊ならこうもいかないよ。」
「ロイドさん。このプログラムで、エナジーフィラーの交換は」
「勿論出来るけど、ちょっと今の場所からだと遠いよ。」
「これ後何機で終りますか。」
「後1機。だけど、かなり強いよ。」
やりとりをしている間に、何とか、片付けたその時、
「敵増援部隊。北方より、Z-01 ランスロット。ってロイドさん何ですかこのプログラム。」
「特区のナイトメアランキングトップ25。
面白そうだから作ってみたけど、中々いないんだよね。クリアできるデヴァイサーが〜」
「可変ライフル残弾0エナジーフィラー残量20%。がんばって。」
さすがにヤバい。というより強すぎ、ランスロット。ツインMVSとハーケンだけ。
エナジーフィラーの持って2分。一瞬の隙を付くしかないが、画面に『emepty』と表示。ランスロットは倒せなかった。
シミュレーターから降りるて部屋に戻ると、アーサーしかいなかった。
床には、机に置いてあったであろう手紙が落ちていた。
「ロイドさんを説教してきます。 セシル」
時計を見ると、2時間ぶっ続けていた事に気が付いた。
疲れたので、隣のラボのソファーを借り横になっていた。
支援
「やっぱりここにいた。」
「探したのですよ。」
聴き覚えのある男女の声
「自分に何か用でしょうか。ユーフェミア代表。」
「今は私たち以外に誰もいませんよ。」
「5ヶ月。結構変わりましたね。」
「えぇ、スザクやゼロのお陰です。」
「ユフィが発案しなければ特区自体、存在したかどうか。」
「スザクの言うとうりだ。でも、ユフィの言うのも一里あると思うよ。」
「ライ」
「所で、自己紹介の時の苗字。あれは。」
「エニアグラム家の人間だからね。一応。」
「じゃあ、ライはノネットさんと…。」
スザクがトンでもない事を言った瞬間ユフィの顔が赤くなった気がする。
「スザク。君は大きな誤解をしているよ。」
「誤解。何をだい。」
「ノネット義姉さんとの関係。」
「ノネット義姉さん!」
スザク達は驚いていた。
「偽りの苗字をいつまでも使うわけにいかないだろうって義姉さんが。
ていうのが建前で本心は、領地の管理の手伝いさせるためだと思う。」
「まだチャンスがあるのですね。」
「?」
何を言っているかは、今の僕には理解できなかった。
「それでは僕は、明日からの仕事があるので失礼します。」
支援
こうして僕は戻って来た。
そこには、発展している地域と、変わらない友情があった。
僕はここで歩みを再び進める。
三度立ち止まる事の無いように。
次の日教段の上にライの姿があった。
支援
猿かな…。
すまん…そろそろ時間なので、皆さん、後お任せします。
以上です。
誤字等は報告お願いします。
これでこのシリーズは終わり。
新シリーズの予告らしきもの。(保管しないで結構です。)
---------------------------------------------------------------
あの時、僕は逃げ出した。
スザクを、セシルさんを、ロイドさんを、みんなを、
傷つけたくなかったから。
ごめんみんな。
僕は真実を探すために、旅に出ます。
瞳を赤く染めた銀髪の少年は、自分の専用機で、逃げ出した。
大切なモノを守るため。真実を探すため。
少年の進む先にあるのは、果たして…
新シリーズ、『蒼き亡霊』執筆中。
---------------------------------------------------------
それでは、またいつか。
>>87 乙です。
平和な感じで素敵なストーリーでした。それだけに、会話が連続で続くのとか誤字に気を配れば
もっと良くなるかと・・・
次回作、期待してますね?
>>66 こいしくて→恋しくて じゃっさ→じゃあさ
>>76 東棟の東側だからな。わかりました。」
→東棟の東側だからな。」
「わかりました。」
>>84 教段→教壇
>>87 御錬師卿、GJでした!
ただ、会話が多くて淡々とした印象を受けました。
その場の雰囲気がわかりづらいかんじです。
特区日本が成立した平和な世界、続きも見てみたいですが、新シリーズも楽しみです。
貴方の次の投下をお待ちしております!
>>82 一里→一理、かと
えー…電波がまたきてしまいましたので、ちょろっと投下します。
タイトル「if〜合流した後に…」
カップリング「ライ×井上」
えーと、「合流した後に…」の方がきつい展開なので、そんな方はこっちで癒されてください。(え?!
もし、ライが井上さんラブだったらこうなったかもしれないという感じです。
まぁ…笑って読んでください。
本編2レス+終了1レスなので支援は要りません。
if〜合流した後に… 井上ハッピーエンディング?
「あのぉ…井上さん…皆の視線が痛いんですけど…」
僕は周りの突き刺さるような視線を肌で感じ身震いさえしてしまう。
それほどきついのだ、
でも井上さんは、そんなの関係ないもんって感じでにこにこと笑顔である。
「そう?いつも通りよ…。るんるん〜♪」
そう言うと僕に食べさせるべくコロッケを半分に切ったやつを箸で挟む。
いやぁ…女の人って…強いや…。
つくづくそう思う。
「はい、あーーんっ」
挟んだコロッケを僕の口に運ぶ。
「あーーんっ」
井上さんの口調に合わせ、口を開く。
どうのこうの言いながら僕も案外神経図太いのかもしれない。
「どうおいしい?」
「うん、おいしいよ」
「よかったぁ…。うふふふ…」
にこりと最高の笑顔で微笑む井上さん。
あー…幸せ…。
ガタンッ…。
僕の後ろの方で、椅子を蹴飛ばす音と「ちっ…」という声が聞こえる。
あー…今のは…玉城だなぁ…。
わかるよ…あなたの気持ちは…。
僕も当事者じゃなかったら同じような対応してただろうな…。
でも…ごめん…。
幸せすぎで、あんまし気にかからないや。
僕は、勝ち組になっちゃったから…。
優越感が僕の心を擽る。
「あ…井上さん、今度は僕ね。はい、あーんっ」
見せ付けるかのように僕もコロッケを箸で挟むと井上さんの口に運ぶ。
「もう…ライくんったら…」
照れながらも同じように口をあける井上さん…。
ぱくりとコロッケを口にほおばるともぐもぐと食べている。
僕はそんなかわいらしい井上さんの顔をじーっと見ていた。
「いやだぁ…。ライくん…そんなに見つめちゃ恥ずかしいわ。やーんっ…」
あー…なんてかわいくて愛らしい…。
がたんっ…。
今度は井上さんの後ろの方から椅子を蹴る音がする。
「なんなのよ…あれはっ…。やってられないわよ…」
そうぶつぶつ言うカレンの姿。
ごめんね…カレン…。
やっぱり、僕は井上さんの方が大事だから。
君の思いはうれしいけど…もう諦めてね…。
だって…すごく幸せだもの…僕ら…。
「おい…あれはどうにかならんのかっ」
食堂の入り口でイライラした口調でゼロがC.Cに吐き捨てる。
「まぁ…無理だと思うぞ」
「なぜだっ…」
「ほら、日本の諺でよく言うだろう…。「人の恋路を邪魔するやつは、ナイトメアに蹴られて死んじまえ」とな…」
絶句するゼロ。
「今度の戦いで誰も死にたくないからな…」
そういう問題なのだろうか…。
ちゃんちゃん〜♪
ここで終了です。
楽しんでいただければ幸いです。
しかし…電波きすぎです。
あははは…、今日休みでよかった…。
バカップルだ、バカップルがいるぞ!
>>93 あしっど・れいん卿、乙でしたー!
うん、なんかムカつくw
本編?との違いがよりその感情を高めますねw
何でだろう、甘いはずなのに素直に受け止められないw
貴方の次の投下を全力でお待ちしております!
>>93 乙です。これまた甘いなw
本筋とはえらい違いですね。向こうはもうドロドロすぎてハラハラしっぱなし。
さて、20:15頃に投下してもいいでしょうか。
本文・あとがき合わせて12レスあります。
支援しますよ〜
ありがとうございます、では投下します。
『僕と妖精さん』シリーズです。
作者:余暇
タイトル:妖精さんと秘密の魔法
カップリング:ライ×リーライナ
(設定と注意)
・特派編スザクEND後
・リーライナ・咲世子さん・マリーカは妖精さん
本文・あとがき合わせて12レス分あります。
支援
『妖精さんと秘密の魔法』
ここはリーライナの部屋。彼女は今、咲世子から秘密の魔法を教わろうとしていた。
「咲世子さん、一体どんな魔法なんですか?」
「そうですね。魔法というより、能力と申しましょうか。まさに妖精ならではの力でございます。
童話の中に出てくる妖精が、ちょうどそのような感じですね。」
「童話に出てくる妖精?」
リーライナは首を傾げた。
「まあ、ご覧になればわかります。まずは私が実演いたしましょう。」
すると、咲世子が光に包まれた。そして次に彼女が姿を見せた時、リーライナは驚愕した。
「ええっ!?こ、こんなことって……。そうか、童話に出てくる妖精ってそういうことか。」
「さあ、早速練習いたしましょう。コツさえつかめば、すぐに覚えられますよ。」
「はい、お願いします!」
こうして、リーライナの特訓が始まった。
そして二時間後。
「できた、完璧!」
「なかなか飲み込みが早かったですね。これならきっとライ様も驚かれますし、
リーライナ様のご予定さえ空けば、いつでもライ様とご一緒できますよ。」
そう言うと、咲世子は意味ありげに微笑んだ。
「そうか、確かに。ありがとうございました、私頑張ります!」
「ええ、ご健闘をお祈りいたします。」
二人は握手を交わした。
(そうだ、明日は終日オフだった。明日は一日、ライさんのそばにいよう。
そして、ライさんをずっと見ていよう。どんな発見があるのかな?)
支援
翌日。
「よし、登校準備完了。」
朝、僕は学園に登校する準備を済ませ、自室のリビングでくつろいでいた。
制服の上着はソファの上に置き、僕はワイシャツ姿でソファに座っている。
「少し余裕を持ちすぎたかな。」
僕が時間を持て余していると、
「おはようございます、ライさん。」
「うわっ。……ああ、リーライナさんでしたか。おはようございます。」
目の前に突然、リーライナさんが現れた。以前ならもっと驚いたのだろうが、少し慣れてきたためか、
あまり動揺することなく彼女を迎え入れることができた。慣れとは恐ろしいものである。
「どうしたんですか、こんな朝早くから来るなんて珍しいですね。」
「ええ、今日は一日オフなんです。ところで、これからお出かけですか?」
「はい、これから学園で授業を受けてきます。生徒会にも顔を出さないといけないので。」
「そうですか、学園に……。」
するとリーライナさんは、急に黙り込んだ。
(ふむ、これはいい機会かもね。ライさんが学園でどんな生活をしているのか見てみたいし。
それにアレを使えば、誰にも見つかることなく学園に潜入できるから、ライさんにも迷惑はかからないし。)
「あの、リーライナさん?どうかしましたか?」
何か考え込んでいる様子の彼女に僕が声をかけると、彼女は少し驚いたように視線を上げた。
「え?ああ、ごめんなさい。ところで、お願いがあるんですけど。」
「お願い?何でしょうか。」(まさか……。)
僕は尋ねつつ、ある予感が頭をよぎっていた。
「私も学園に行ってもいいですか?」
「……やはり、そうきましたか。」
予感、的中。彼女は積極的だし、僕が学園に行くと聞いて考え込んだので、何となくそんな感じはしていた。
支援
「私、ライさんが通っている学校を一度見てみたいんです。決して他の生徒さんの邪魔はしませんし、
ライさんにもご迷惑をかけませんから。ですからお願いします、連れて行って下さい。」
そう言ってリーライナさんは頭を下げた。さて、どうしたものだろう。ミレイさんに頼めばいいのかもしれないが、
あまりあの人に迷惑をかけたくない。リーライナさんには悪いが、ここは丁重にお断りするか。
「いや、でもまずいですよ。部外者を入れるとなると色々な人に迷惑がかかりますし。」
「わかっています、私としても他の人に迷惑をかけたくありませんし。ですから、誰にも見つからない方法を使うんです。」
そう言うと彼女は、いたずらっぽく笑った。誰にも見つからない方法?何だ、それは。
「リーライナさん、その方法というのは?」
「それを今からお見せします。妖精にしかできない『秘密の魔法』を。」
「妖精にしかできない『秘密の魔法』?」
するとリーライナさんは目を閉じ、精神を集中させた。間もなく彼女の体が、光に包まれた。
僕は眩しくて、一瞬目を閉じた。
「……あれ?リーライナさん?どこへ行ったんですか?」
僕が目を開けると、リーライナさんの姿が消えていた。おかしい、さっきまでここにいたはずだが。
『ライさん、私はここにいますよ。テーブルの上を見て下さい。』
「リーライナさん、どこにいるんですか?テーブルの上って……。」
そして僕は目を疑った。テーブルの上で、ポケットに収まってしまいそうなくらい小さな『何か』が手を振っていた。
よく見ると、何とリーライナさんだった。そう、彼女が小人になっていたのである。
「ええー!?ち、小さくなってる!『秘密の魔法』ってこれのことですか?」
『そうですよ。昨日咲世子さんに教えてもらったんです。魔法と言えば魔法ですけど、
もともと妖精が独自に持つ能力らしいです。ただし、練習しないと能力が開花しない特殊なものなんですって。』
そうなのか。さすがは咲世子さん、伝説と謳われるだけのことはある。
支援
支援
『それと、注意点があります。小人になっている間は、同じ妖精か契約者でない限り、私の声は聞こえません。
つまり今の私と会話できるのは、咲世子さんにマリーカ、そしてライさんだけです。』
「そうなんですか。だから頭の中に直接、あなたの声が響くような感じがするんですか。うまく言い表せませんけど。」
つまり今の彼女と会話している僕を赤の他人が見た場合、僕はテーブルに向かって話しかける変人扱いされるわけか。
これは気をつけないと、色々誤解される。
『ライさん、これなら誰にも見つかることはないでしょう?ですから、学園に連れて行って下さい。』
まあこれなら大丈夫だろう。気をつけるのは、彼女と会話する時だけだ。
「わかりました、一緒に行きましょう。そしてどんな所か見せてあげますよ。」
『わあ、ありがとうございます!』
リーライナさんは、飛び上がって喜んだ。
「でも、どこに入って移動すればいいんだろう。カバンの中は酔いそうですよね?」
『あのー、その中はダメですか?』
彼女が指さしたのは、僕の胸の辺り。今の僕はワイシャツ姿。もしかして、ワイシャツの胸ポケットか?
『私、その胸ポケットの中がいいです。私がその中に入ってライさんが上着を着れば、滅多なことでは落ちませんから。』
「なるほど。じゃあ学園に着いたら上着は脱ぎますね。でないと暑苦しいでしょうから。」
僕は彼女を手の上に乗せると、そっと胸ポケットの中に入れた。そして上着を着ると、僕は学園に向かった。
しかし、ポケットの中に人がいるというのは、変な感じだ。
(うわあ、ライさんの心臓の音が聞こえる。胸板もがっしりしていて、結構たくましいんだ。
一番近くにいたいからこのポケットに入ったんだけど、もしかしてライさん、私のこと女として意識していないのかな。
やけにあっさりしていたし、どうなんだろう?)
支援
支援
僕は教室に着くと、すぐに上着を脱いだ。リーライナさんは大丈夫だろうか。
「大丈夫ですか、苦しくなかったですか。」
『ええ、大丈夫です。へえ、ここが教室ですか。』
ヒソヒソ声で話していると、リーライナさんがポケットから顔をのぞかせた。
外の景色に興味がわくのはいいが、見つからないだろうかとハラハラした。
(わっ、心拍数が上がった。私を誰かに見られないか、緊張しているのね。そろそろ隠れよう。)
彼女が隠れると同時に、ルルーシュがやってきて僕の隣の席に座った。
「おはよう。上着なんか脱いでどうしたんだ、暑いのか?」
「ああ、おはよう。暑いというか、(リーライナさんが)息苦しいかと思って。」
「はあ?よく意味がわからないんだが。今まで制服を着てきたのなら、息苦しいかどうかくらいわかるだろう。
まるで他人を見ているかのような物言いだな。」
ルルーシュが眉をひそめる。まずい、リーライナさんが息苦しいかもという意味で言ったのだが、
ルルーシュは彼女を知らない。どうにかしてごまかさないと。
「あー、いや。自分自身を客観的に見て判断したんだ。主観的視点だけでは、物事の本質はつかめないだろう?」
「たかが上着を脱ぐかどうかだけで、そこまで考察する必要はないと思うが……。」
苦しい言い訳だったが、ルルーシュを黙らせることには成功した。
「ライ、おはよう。借りていたノート、返すよ。おかげで助かったよ。」
今度はスザクがやってきた。まずいな、彼は視力がいい。
うっかりリーライナさんが顔を出していようものなら…って、顔出してるし!
見つかるから隠れて下さいよ!僕はあわててスザクからノートを奪うと、ポケットを隠すようにしてノートを抱きしめた。
「うわっ、びっくりした。どうしたの、ノートなんか抱きしめて。」
「す、すまない。実は早く復習したくて、このノートが戻ってきたから嬉しくてつい。」
苦しすぎる。もう少しましな言い訳はなかったのだろうか。
「そ、そうだったのか。ごめん、君の勉強の邪魔をしてしまったみたいだね。」
スザクが申し訳なさそうな顔をする。すまない、本当に申し訳ないのは僕の方だ。だからそんな顔をしないでくれ。
(び、びっくりしたー。でも、今のは顔を出した私が悪いよね。ライさん、ごめんなさい。)
支援
やがて授業が始まった。隣に座るルルーシュは、早速居眠りを始めている。
『ライさん、あの人寝ていますよ。起こさなくていいんですか?』
リーライナさんが話しかけてきた。僕は周りに聞こえないように、小声で答えた。
「いいんですよ、いつものことですから。先生も諦めていますし。」
『そうなんですか。士官学校で居眠りなんてしようものなら、後が怖いですよ。』
まあここは士官学校みたいに厳しくないからな。おまけに子守唄と勘違いするような
話し方をする先生もいるし。ちょうど今、教壇の前で話している歴史の先生がそうだ。
『スー、スー。』
十五分後、ポケットの中からリーライナさんの寝息が聞こえてきた。彼女もやられたか。
『ムニャムニャ。お帰りなさい、ライさん。お仕事…お疲れ様です。』
寝言か。ていうか、僕の夢を見ているのか?逐一聞こえてきて、恥ずかしいのだが。
『先にご飯になさいますか、お風呂になさいますか。…え?いつもの、ですか?
ふふっ、実は私もそれがいいな、って思っていたんです。』
まるで新婚夫婦の会話じゃないか。そして『いつもの』って、夢の中で僕は彼女に何をさせる気だ。
気になって授業が耳に入らない。
『それでは、お風呂で私と…しましょうか。』
「ブフッ!?」
彼女の最後のセリフを聞いて、僕は盛大に噴いた。朝から何て夢を見ているんですか、あなたって人は!
…はっ、しまった!教室中の全員が僕に注目している。何とかしてごまかさないと。
「ゲーッホ、ゲホッ。す、すみません。気管に何かが入って、むせただけです。
僕は大丈夫ですから、授業を続けて下さい。中断させてしまって申し訳ありませんでした。」
こんな苦しい言い訳するの、今日何回目だよ。
『んー……。あれ?どうかしたんですか、ライさん?』
今の騒ぎで目を覚ましたのか、リーライナさんが僕に声をかけてきた。
「あなたの寝言を聞いたら噴きました」なんて、言えるはずもなかった。
(ああ、寝ちゃってたのか。あの先生、眠くなるような話し方するのよね。
でもすごい夢だった。私、もう少しでライさんと……。やだ、体が火照ってきちゃった。)
支援
そして昼休み。僕はリーライナさんと二人で、誰もいない屋上に来た。そして、僕が購買で買ったパンを、二人で食べていた。
ちなみに今、リーライナさんは元の大きさに戻っている。
「………。」
さっきからリーライナさんは黙ったままだ。時々僕の方を見るが、目が合うたびに視線をそらし、顔を赤くしている。
さっき授業中に起こしてしまったから、怒っているのかな?
「あの、さっきはすみませんでした。せっかく眠っていたのに起こしてしまって。」
彼女の寝言のことは伏せておく。僕にとっても衝撃的だったし、聞かれたと知ったら、彼女もショックを受けるだろう。
「いえ、気にしないで下さい。別に怒っていませんから。」
伏し目がちに、彼女は答えた。
(ダメだ、ライさんの顔を見ると、夢のことを思い出しちゃう。せっかくアピールしようと思っていたのに、
緊張して何もできないよ。それにしてもライさん、学園でも人気あるんだなあ。休み時間になると、
何人かの女子生徒が彼に話しかけていたし。たとえ話しかけなくても、遠巻きにして彼を見つめる女子生徒が
たくさんいたから、競争率がすごく高いんだろうなあ。きっと魅力的な女性もたくさんいるだろうし、
しかも私は普通の人間じゃないから選んでもらえるかどうか……。)
どうしたんだろう、怒っていないとしたらどこか調子悪いのかな。ずっとポケットの中に入っていると暑いのかもしれない。
「あの、どこか調子悪いんですか?もしポケットの中が暑いなら…」
「いえ、大丈夫です!何でもありませんから、本当に。」
うーん、心配だ。どうすればいいんだろう。
(はあ、どうしてこんな突っぱねるような言い方しかできないんだろう。もっと自然に接したいのに。)
支援
放課後、午後の授業を終えた僕は、生徒会室に向かった。
相変わらずワイシャツのポケットの中には、リーライナさんがいる。
「失礼します。」
生徒会室に入ると、ミレイさんがいた。彼女は僕を見つけると、こっちに近づいてきた。
(うわー、すごく綺麗な人。オーラも感じるし、私とは全然違う。しかも胸大きいし。私だってそれなりに自信あるのに。)
「よくぞ来てくれた。誰もいなくて寂しかったのよねー。というわけで、仕事手伝ってくれない?」
「わかってますよ、そのつもりで来たんですから。」
スザクはユーフェミア殿下の護衛で政庁へ行った。シャーリーは水泳部の大会が近いらしく、来ていない。
ルルーシュはリヴァルと連れ立ってどこかへ行ったので、おそらく賭けチェスだろう。ニーナは研究室だろうか。
「すみません、遅れました…って、会長とライだけですか?」
そこへ、カレンがやってきた。特区成立後は彼女とも和解し、仲良くやっている。
(また綺麗な人が来た、深窓の令嬢ってところかしら。うわ、彼女も胸大きいよ。何だか自信なくなってきた。)
「あら、来てくれたのね。早速だけど手伝ってちょうだい、仕事がたまってるのよ。
良かったわねー、ライ。両手に花でウハウハじゃない。」
「ちょっ、会長!私まで巻き込まないで下さい。」
カレンの顔が少し赤い。ミレイさんも人をからかうのが本当に好きだな。
その後、二人と雑談をしつつ、僕は生徒会の仕事を片づけていった。
(あの二人もライさんにすごく好意的だなあ。本当に女性に人気がある人だな。
この人たちとは、私よりも前から信頼関係を築いてきたんだよね。本当にお互いを信頼し合っているんだと思う。
つい最近知り合った私とは、比べ物にならないよね。私、これからライさんと、
あの人たちと同じような関係になれるのかな。一方通行は、嫌だな……。)
支援
支援
生徒会の仕事を終えて自室に戻った僕は、リーライナさんに夕食を振る舞うことにした。
学園にいる間元気がなかったので、気分を変えさせたかったのと同時に、日頃のお礼も兼ねていた。
「はい、どうぞ。」
僕が作ったのは、茹でたパスタを鮭とキノコ入りのクリームソースであえたもの。
こんな簡単な料理しかできないが、せめてもの気持ちだ。
「えっと、じゃあいただきます。」
リーライナさんが、パスタを食べ始めた。すると、沈みがちだった表情がパッと明るくなった。
「わあ、おいしい。すごくおいしいです。料理お上手なんですね。」
「一応一人暮らしですから少しは料理しなきゃと思って、咲世子さんに教わったんです。
あの人に比べたらまだまだですけどね。」
「それでもすごいですよ、私も見習わなくちゃ。」
良かった、リーライナさんが元気になって。
「うん、やっぱりリーライナさんは笑顔が一番似合いますよ。」
「え?」
「学園にいる間、元気がなかったでしょう?だから気になっていたんです。
少しでも元気になってもらえればと思ってこれを作ったんですけど、効果はあったみたいですね。
落ち込んだり悩んだりするのは、リーライナさんらしくないと思うんです。
元気で明るくて前向きな人というのが、僕があなたに持った印象なんです。
僕は、そんなあなたと一緒にいることができて、すごく楽しいですよ。」
僕は、自分が思っていることを彼女に話した。すると彼女は、急に顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。
「そ、そんな……。私なんか、ただ前向きなだけが取り柄な女なのに。でも、こんなに良くしていただいて、
そんな風に思っていただいて、本当にありがとうございます。すごく、嬉しいです……。」
彼女はか細い声で、しかしはっきりと言った。その時見せてくれた笑顔は、いつもの明るい笑顔とは違って、
言葉で言い表せないくらい美しかった。
支援
支援
夕食後、僕たちはお茶会を楽しんでいた。その時、リーライナさんが僕に尋ねてきた。
「ライさんはその、好きな女性とかはいらっしゃるんですか?」
「好きな女性?恋愛対象ということですか?特にいませんけど、どうしてそんなことを聞くんですか?」
すると、彼女は顔を赤らめつつ言った。
「あ、いえ。学園で多くの女性と話されていましたし、女性に人気があるんだなと思って。
それに、恋愛に興味を持つ年頃じゃないですか。やっぱり好きな人とかいるんじゃないかと思ったんです。」
「うーん、自分が女性に人気があるとは思いませんけど。それに、今まで大切な人たちを守りたいと思ったことはあっても、
特定の一人の女性を守りたいと思ったことはないんですよ。だから恋愛がどんなものとか、まだよくわからないんです。」
彼女も年頃の女性だし、そういうのに興味があってもおかしくないよな。彼女は綺麗で性格もいいから、
きっと彼女に好意を持つ男も多いだろう。そんな彼女に好かれる男は、きっと幸せ者だな。
「そうでしたか……。」(なるほど、これって私にもチャンスがあるってことよね。何だか、俄然やる気が出てきた!)
「リーライナさん?」
「えっ?あ、ああ。ありがとうございました、ライさんがどう考えていらっしゃるのか、よくわかりました。
私、何だか勇気がわいてきました。ライさん、これからもよろしくお願いします!」
「え?あ、はい。こちらこそ、よろしくお願いします。」
何か考え込む様子のリーライナさんが気になって声をかけたが、急にテンションが上がった彼女に圧倒されてしまった。
でも、彼女が元気になって本当に良かった。
お茶会が終わると、リーライナさんは上機嫌で帰っていった。
支援
支援
ここはリーライナの部屋。彼女が戻ると、咲世子が待っていた。
「あれ、咲世子さん?どうかしたんですか、こんな時間に。」
「お帰りなさいませ。結果が気になったものですから、お邪魔してしまいました。
で、いかがでしたか。うまくアピールできましたか?」
リーライナは首を傾げつつ、それでも笑顔で答えた。
「うーん。自分からうまくアピールできたとは思いませんけど、自信はつきました。
少なくともライさんは、私のことを大切に思って下さっていることがわかりましたから。」
「そうですか、それは良かったですね。ライ様は恋愛感情に対して非常に鈍感で、
ご自分が多くの女性から好意を持たれていることに気づいておられません。ですから、今こそが好機。
リーライナ様がちゃんとご自分の想いをアピールすれば、必ず道は開けますよ。私も応援させていただきます。」
咲世子はリーライナの手を取り、リーライナもまた、咲世子の手に自分の手を重ねた。
「ありがとうございます、咲世子さん。私、頑張ります!」
(このお二人の甘酸っぱいラブストーリー。純粋に応援したいと同時に、見ていると創作意欲を掻きたてられるのでございます。
最近はノーマルもありかなー、なんて思えるようになってしまいました。私をここまで変えたのは、お二人が初めてですよ。
これから何が起きるのか、楽しみでなりません。)
次回予告 『妖精さんと我慢』
ライとのお茶会が楽しくて仕方がないリーライナ。だがそんな彼女に、恋する乙女にとって最大の敵(?)が襲いかかる。
彼女はそれに立ち向かおうとするが……。
支援
以上です、支援ありがとうございました。
次回は、女性にとっては「あるある」なネタかもしれません。
>>126 乙&GJ!
苦しい言い訳www
相手によって咄嗟に違うパターンの言い訳を考えるライに爆笑しました。
このシリーズは読んでいて本当に和みます。大好きです。
密かにリーライナが出してくれる和菓子にも注目しています。
次回の敵……なんでしょうか? 投下を楽しみに待っています!
ついでですが、20分から投下を開始します。
8レス程度です。さくっと終わりにします。
>>126 お疲れ様でした。
いやぁ、児童文学的な感じがする文章です。
読みやすくてわかり易い…。
うーん…ちょっと言い方違うかなぁ…。
言葉にするのは難しいなぁ…。
でも、甘酸っぱいほんわかした気持ちにさせるいい作品ですね。
こういう作品っていいですよね。
癒し系SSというべきかな。
GJでした。
続きもがんばってください。
楽しみに待ってますね。
時間ですので開始します。今度こそ自援か。
25スレの「魔女の指先」の続きです。
・サブタイトルは「バベル」
・BRからR21話までの空白の一年の間の話になります。
・特派ルートで特区の惨劇を回避できなかった場合となります。
・本編に描かれてないのをいいことにオリジナル展開です。
・R2が終わる前になんとか終わりました。これでこの一連の話は終わりです。
・投下終了宣言まで、これを含めて8レスとなります。
安心してくれ、支援
131 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/09/27(土) 21:22:42 ID:uNClyCoB
支援
支援
満開の桜の下、ライはレンズを花に向けた。風景は一瞬で切り取られ、小さな機械の中に取り込まれる。
機械を操作して、短い文面と共にその写真を送信した。彼のところにもこのうつくしい春が伝わるだろうか。
「ライー! 始めるわよー!」
「はい! 今、行きます!」
美しく装ったミレイに呼ばれ、ライは大きく返事をする。
木の下に広げられた緋毛氈にはすっかり準備が整っていた。折詰めに芸術品のように収められている
料理はルルーシュの手によるものだ。レシピの検索はミレイとシャーリーが行ったが、それを現実のもの
とするには少々技術が足りなかった。ルルーシュはどこでその腕を磨いたのか、和洋中どこの国の料理で
も魔法のように作り出す。
「器用よねぇ〜」
当然のように箸で食事するルルーシュの姿にミレイは感嘆の声をあげた。その隣で弟のロロはもたもた
と慣れない手つきで何度も箸を握り直している。
「ほら、無理しなくていい。食べやすい方がいいだろう?」
彼は人数分のスプーンとフォークも用意していたようだ。小さな籠に入れられたカトラリーを見て、
シャーリーがほっと息を吐いた。彼女も密かに和食器に苦戦していた一人だ。
「マナーも大事だけど、何より美味しく食べるのが一番ね」
ルルーシュと同様に器用に箸を操っていたミレイが率先してフォークを手に取ると、次々に手が伸びて
持ち替える。
見た目だけでなく、味も絶品だった。薄味ながら出汁が染み込んでいて味わい深い。つい手が伸びて、
何段も重ねられていた漆塗りの重箱は軽いお喋りと共に瞬く間に空になっていく。
湯のみと緑茶まで用意していたミレイの徹底ぶりに舌を巻きながら、花より団子を実践してしまった
生徒会メンバーはようやく頭上の花を見上げた。降り注ぐ光はあたたかく、空と花の色の境界が曖昧に
溶け合っている。
「じっと見てると吸い込まれそう」
シャーリーはとろんとした目で呟いた。
「花酔い、なんて言葉もあるくらいだからな」
ごろりとルルーシュが横になると、リヴァルも真似て仰向けになる。
「気持ちいいなあ。満腹だし、なんだか眠くなってきた」
彼の大きな欠伸につられて、ロロもうつらうつらしている。
支援
再びレンズに花を捕らえる。少し寄って、次は遠景から。色と形ははじめて見たものなのに、不思議と
ライの心に郷愁を呼び起こす。ペーパークラフトの花と、もう居ない妹によく似た誰かとの遠い約束が
そうさせているのだろうか。
「あら、みんな寝ちゃったの?」
今時珍しい銀塩のフィルムを取りに生徒会室に戻っていたミレイは、赤いフェルト地の上で思い思いに
転がっている彼らを見下ろした。
「眠ってれば、子供みたいね」
いつも澄ましているルルーシュの鼻を摘まんで、ミレイは悪戯っぽく笑った。次いで彼らの寝顔を一人
一人撮っていく。
「セット販売価格は?」
「ランペルージ兄弟がいるから、強気でもいいでしょ。生徒会のいい臨時収入になるわね」
悪だくみする役人のようにお互いによくない種類の笑みを浮かべる。
ミレイは直に飽きて、カメラを桜とライに向けた。
「はい、笑ってー!」
ライはぎこちなく笑顔を作る。
「もうー、もっと自然に! 私のこと好きでしょ?」
「何ですか、急に」
唐突な告白にライは苦笑した。
「写真ってね、好きな人に撮られた時が一番いい顔になるんですって」
「ああ、それなら」
この場所を、みんなのことを思えば、自然に表情は柔らかくなる。カメラを向けているミレイは勿論、
本国に戻ってしまったニーナや黒の騎士団だったカレンもライにとって大切な友達だ。
「よかった。ちゃんと笑ったわね」
カメラを下ろしてミレイはほっとしたように呟いた。
「このところ元気がなかったから、ちょっと心配だったのよね。あなた、一人で抱え込んじゃうから」
心配をかけて、と言う前にライはミレイの人差し指で言葉を封じられた。淡く塗られた爪とほっそりと
した指がライの唇を押す。
「謝られたいわけじゃないのよ! 理由も聞かない。ただ、ちゃんとご飯食べて、ちゃんと学校来なさいよ」
「はい」
「うむ! よい返事!」
ミレイは腰に手を当てて胸を逸らした。
「さあーて、そろそろ片付けるわよ。あの寝ぼすけ共を起こしてきなさい!」
支援
ミレイの言う通り、ライはこのところ調子が出なかった。原因は分かっている。ゲットーで接触した
カレンとあの少女のことだ。あの後、ライは気がつくと、酷い頭痛と共に一人取り残されていた。カレン
を投げ飛ばして、少女に触れられてからの記憶が飛んでいた。
その晩からまたあの夢を見るようになった。
曖昧なイメージではない。前よりも明瞭な、自分自身の記憶とはっきりと言える。現代よりずっと時代
を遡ったある小国の悲惨な最期だ。歴史書を紐解いても精々数行にしか残っていない。あの時代、宗主国
であるブリタニアが属国の一つを見捨てるなど些細なことで、掃いて捨てるほどあったのだ。
しかし、見捨てられた国民にはどうして些細なことと言えようか。声なき声が残された一行から浮かび
上がる。
国を滅ぼした自分を責める怨嗟の声の中、妹と母の遺体を見下ろしていると、それが次第に
ユーフェミアの顔に変わる。
――虐殺です!
慈愛の姫が特区の式典会場で叫んだ声が耳にこびりついて離れない。彼女の突然の凶行はギアスに寄る
ものだと今のライには分かる。ギアスは人の心を捻じ曲げ、無理やり従わせる。
あの時も分かっていた。だからこそユーフェミアを止めようとして、撃たれたのだ。
しかし、何故今まで忘れていた?
自分の過去を、ギアスの力を、ずっと忘れていた。はじめからないもののように、ライはずっと振舞っ
ていた。この感覚には覚えがある。はじめてアッシュフォード学園に来た頃と同じだ。自分で掛けた
ギアスによってすべてを忘れていた時と。
(ギアス? しかし、誰が。まだなにか……)
考えようとしても思考には霞がかかり、赤い鳥の羽ばたきと共に答えが霧散していく。
支援
しばらく天井を見つめていたが、ライは諦めてベッドから降りた。また同じ夢を見た。夜中に魘されて
目が覚めることが日課となりつつある。嫌な習慣だ。
ライは足音を忍ばせて一階まで降りると、キッチンで冷蔵庫を開けた。開封したばかりの牛乳パックを
取り上げ、いつも使っているマグカップに注ぐ。レンジで加熱した後、蜂蜜を一掬いしてマグに入れた。
以前、同じように眠れない夜を過ごしていた時にロロが教えてくれたことだ。やわらかな甘い香りが心を
静めてくれる。
物音がして目線を上げると、ルルーシュが少し意外そうな顔で立っていた。
「すまない、起こしたかな?」
「いや、俺も眠れなかっただけだ。ロロかと思ったらライか」
ルルーシュはライの手元に目をやってやや表情を緩めた。
「ルルーシュもいるかい? ロロに教えてもらったんだ。眠れない夜のおまじない」
ライはマグを少し上げてみせた。
「それは元々俺が教えたんだ。ここ最近はなくなったけれど、昔は悪い夢を見てよく眠れなくなっていたからな」
彼は冷蔵庫からミネラルウォーターの入ったペットボトルを取り出し、ライを手招きした。
「どうせ眠れないなら、久し振りにどうだ」
支援
白と黒の駒が盤上で無音の戦いを続けている。ルルーシュとライのチェスは口では暇潰しと言いながら、
いつも真剣勝負になってしまうのが常だ。
黒の騎士が白の王を追い詰めた。
「勝負あったな」
ルルーシュは笑ったが、ライは苦い顔をしてマグを干した。甘い筈のホットミルクはとうに冷たくなっ
ていて、味を感じない。
「ルルーシュ、また強くなった?」
「お前の腕が鈍ったんじゃないか? 暇だからチェスばかりしていたのは確かだけれどな。でも……」
駒を片付けながらルルーシュは手を止めた。
「つまらないな、貴族は。まあ、いい小遣い稼ぎにはなっているが」
ルルーシュの賭けチェスを止めさせようと口を尖らせて抗議するシャーリーの姿をライは以前から何度
も見ていた。
「相変わらずなんだな」
「人はそう簡単には変われないさ」
揶揄されてもルルーシュはしれっとしている。彼はボードをテーブルの隅に寄せると、代わりに本棚
から一冊抜き取ってライに渡した。捲るとあらゆる実戦譜が目に入った。次までに鍛え直して来いという
ことらしい。
「手厳しいな」
「暇だろう?」
確かに、とライは苦笑する。キャメロットの所属になっている彼は今のエリア11駐在軍では居場所が
ない。扱いは相変わらず休職中のままでもあり、日々のトレーニングこそ欠かさないものの、しばらく
ナイトメアには触れていなかった。月に何度か政庁を訪れても事務的な手続きをするだけで、軍との関わ
りも極薄いものだ。
コーネリア総督が健在ならば話はまた違ったものになっただろう。第二皇女の専任騎士である
ギルフォードやグラストンナイツは会えばライによくしてくれるものの、彼らもカラレス総督のもとでは
客将扱いで実質的な権限を持たない。
各地を飛び回る枢木スザクの話題が耳に入れば、彼の活躍を誇らしく思うと同時に友人として心配にもなる。
その一方で自分は何をしているのかと苛立ちも募った。確かにライにはやるべきことがあったはずなのだ。
支援
支援!
「お前がもっと早く帰ってくればよかったのに。少しはマシな相手を探してる所さ。甘っちょろい連中に
は飽き飽きだ」
ルルーシュは黒のキングをくるくると手の中で弄びながらぼやいた。彼は自分の能力を持て余し気味の
ようだ。今はまだ大人しくしているが、いつも上の空で別のことを考えているように見える。
「ルルーシュが真剣になれる相手なんているのかい?」
「さあ? 来週あたりにバベルタワーまで足を伸ばしてみようと思ってる。そうだ、お前もどうだ?」
場所を聞いてライは少し眉を顰めた。あまり良い噂を聞かない。ブラックリベリオン後の租界復興の
一環で建築途中の高層ビルの一つだが、非合法すれすれのカジノを営業しているらしい。
「シャーリーやロロが心配するんじゃないか」
「その点は許可済みだ。ロロがお目付け役で付いてくる」
「リヴァル経由の話じゃないのか? それに弟まで巻き込むなんて……」
「偶にはいいだろう? あいつも、もう一年以上租界から出てないんだから」
ルルーシュは口の端を吊り上げて、手にしていたキングをぽんと盤上に置いた。
話は終わりだ。これ以上は明日の起床を約束できない。ライは借りた本を持ち直して部屋に戻ることにした。
扉を閉める前、ライは惹かれるように盤上を振り返った。何の変哲もない白と黒のボードには持ち主の
性格らしく駒が整然と並んでいる。
黒の王は静かにゲームの開始を待っているように見えた。
以上で投下終了です。
今回の投下をもってこの連作は完了となります。
お付き合いいただき、ありがとうございました!
また、本日も支援をありがとうございます。みんなどこに居たんだw
次回からはまた単発コメディで投下させていただきます。
納得いくネタができたら!
>>126 余暇卿、GJでした!
小さくなる、か。
ありきたりでありながらも何故か新鮮。
我慢が敵……いや、深く考えずに次回を待ちます。
>>145 マト卿、GJでした!
記憶を取り戻しかかるライ、続きが気に……終わるの!?
この好奇心をどこにやればいいんだ……
しかし、次はコメディ……待つしかないじゃないか!
と、いう訳で、貴方達の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
>>145 連作お疲れ様でした。
しかし…うまいなぁ…。
違和感ないしなぁ…。
いっそのことこのままR2へ移行するっていうのはどうでしょうか…。
なんか読んでみたい気がバリバリするんですが…。
まぁ、無理強いはしませんけど、私の希望という事でご検討を〜っwww
GJでした。
次回作も期待してお待ちしております。
なお…このスレにはいろいろな所にひそんでいるのですよ…ふふふふ。
22:10頃に投下したいのですが、大丈夫でしょうか? 18レスあります
OK、支援します。
ありがとうございます
支援してくれる人に感謝です
今回は、前書き・本文・後書き合わせての18レスです
タイトル:コードギアス 反逆のルルーシュR2 RADIANT WORLD
カップリング:今は特になし
ジャンル:シリアス・長編
備考:第3話です。R2のifルートを豪快に進んでいくので苦手な人にはごめんなさい
今回はライ、C.C.、カレンをちょっとだけクローズアップ
それから、お互いに文武に優れ、お互いに老い先短い(?)ライと星刻の馴れ初めを・・・
じゃなかった。似た者同士の出会いもあるYO
支援
世界は揺れた、一人の人物によって。
少年の心は揺れた、憎悪に促がされて。
少女の心は揺れた、奇跡に魅せられて。
青年の心は揺れた、利用価値を探して。
だが、王と魔女の心は何も動かなかった。
第三話『思い出 の カケラ』
ゼロは、合衆国日本の建国宣言と共に演説を進めていた。
それが行なわれている場所、中華連邦総領事館。
ライは、その総領事館の門前へと移動しながら考えていた。
ブリタニアも外交をしている以上、強攻策をとれない。これで軍の抑えは、当面は問題ない。
問題は総領事館の門前にいる、KMFヴィンセントのパイロット。ロロ・ランペルージだ。
総領事館の門が開いて、最初に飛び込んできた光景。
(どうやら、間に合ったみたいだな)
ライは数歩前へ出て、電話を終えたらしいロロを呼ぶ。
ライの存在に驚いたのか、ロロの表情に若干の変化があった。
「ライ……さん」
「こんなところになんの用だ? ルルーシュはどうした?」
ライの存在を確認したロロは、先ほどの電話の相手。
それが偽りの兄、ルルーシュである事を心の中で再確認した。
「ライさんこそ、どうして中華連邦の総領事館に?」
「バベルタワーのテロに巻き込まれたんだ。その時に、犯人達にここまで連れてこられた」
逃走したテロリスト、黒の騎士団。彼等は中華連邦に亡命した。だが、ライだけは亡命していない。
彼は騎士団に連れてこられた民間人、それが今の立場だった。
支援!
「そうだったんですか」
「ああ。だから手続きの問題があるとかで、当分帰れそうにない」
互いに真意を隠しながら、言葉を選んで会話する。
ロロはゼロの正体を知るために。ライはゼロの正体を知らせない為に。
僅かな沈黙、それを破ったのはライだった。
「とりあえず、ミレイさんに当分戻れないと伝えてくれ。あと」
ヴィレッタ先生にもよろしく。と付け加えたあたりで、星刻が二人の会話を止めた。
それを見て、ライもロロもこれ以上の会話は無理と判断した。
わかりました。とだけ返事をして、ロロはそこから離れていく。
星刻に連れ添われ、ライも総領事館の中へと戻っていく。
ロロが門前から離れたのを再確認し、星刻はライに話しかけた。
「随分と、話が上手いようだな」
「そうですか? 普通だと思いますけど」
ライは自分に話しかけてきた人物、黎星刻の簡単な経歴を思い出した。
中華連邦の麒麟児と呼ばれ、文武共に優れた人物。文は政で。武は負けを知らず。
噂程度の事しか知らないライだったが、それでも十分に理解した。
この青年が手強い相手だと。その感想は、星刻も同じだった。
総領事館に騎士団が到着した際、ゼロの指示を伝えていたのはライだった。
ゼロが演説の準備を進めている間も、彼が団員達を動かしていたのだ。
しかし、それは当然の処置だった。ゼロの正体は秘匿しなければならない。
そう。総領事館に着いた時、ルルーシュは変装をしていなかった。
当然、外に出て指示を出すわけにはいかず結果、ライが行なったのだ。
星刻はそれを見ており、当初はライを文官なのだと思っていた。
だが、専用カラーリングされたKMF。足の進め方。筋肉の鍛え方。
それらの事から、星刻は自分と同じ文武を兼ね備えた人物だと、すぐに認識を改めた。
支援
「君はゼロの腹心だったな。なるほど、確かに手元に置きたくなるのも解るな」
賛辞の言葉を残して、星刻は総領事館のホールでライと別れた。
ライも星刻の体の動きを見ており、自分では勝てない事を悟っていた。
そして、これ程の人物である彼がブリタニアと敵対をする機会が訪れた時。
ルルーシュが、彼を取り込もうとするだろうという事も予見していた。
外の陽は落ちて、夜になった事を告げていた。
総領事館から与えられた一室に、ライとカレンはいた。
ゼロの演説も終わり、テレビのニュースはその話題ばかりだった。
カレンは嬉しそうに、そのニュースに集中している。
ライは興味がないのと、任された内務の忙しさから聞き流していた。
ドアが開き、ゼロが帰ってくる。カレンはそれを一瞥してから話しかけた。
「凄い騒ぎね、ルルーシュ」
「当然だろ」
だが、返ってきた声は男の声ではなく、女の声だった。
ゼロの仮面を外し、顔を見せたのはC.C.だった。その事に、カレンは驚きを隠せなかった。
C.C.は仮面を、ライが座っているソファーに投げ、髪の乱れを直していた。
その光景を、カレンが怪訝そうな表情で見ているのにC.C.は気づく。
「なんだ?」
「いつの間に、入れ替わってたの?」
C.C.は、ああ。とカレンが知らなかった事を、思い出したかのように説明しだした。
支援!
二人が入れ替わったのは演説前、声は録音していた物を使用。
つまり。カメラに映る前の時点から、既に別人だったという事。
種を明かせばなんてことはない、ただのトリック。
C.C.はそれを簡潔に説明しながら、ゼロの衣装を脱いでいく。
その事実を秘密にされていたのが、気に入らなかったのか。カレンは少し怒っていた。
「気に入らないわね。私達にまで秘密にするなんて」
「私達? 私に。だろ?」
C.C.の目線はライへと向いた。その目は暗に、この男も知っていたぞ。と、語っていた。
その事を、内務に集中しているライは気づかない。
自分だけが知らなかった。その事でカレンは、益々機嫌が悪くなりライを睨む。
ライも内務の目処がついたのか、ノートPCから目を離した。
そこで彼は気づいた。自分はPCから目を離すべきではなかった、と。
「アンタも知ってたの、ゼロがルルーシュじゃないって」
会話の流れを一切聞いてなかったライは、とりあえず知っている話題だったので
ああ、と返事を返した。その返事にカレンの拳が小刻みに震えはじめた。
それをC.C.は見逃さなかった。カレンは怒っている、このチャンスを無駄にするのは勿体無いと。
「つまり。この場で知らなかったのは、カレンだけ。と、いう事だ」
ライは思った。C.C.、そういう悪戯は自重してくれ、と。
思っただけだったので、カレンの爆発を止められるはずもなかった。
「ああ、そう! 解ったわよ! まったく、もう!」
カレンが大声で怒鳴ってから、大股で部屋を出て行こうとする。
ライが、どこに行くのかを聞くと。寝る! 放っておいて! と、怒鳴って
そのまま、ぶつくさと小声で何かを言いながらカレンは部屋を出て行った。
支援
「まったく。女としての自覚が無さ過ぎるな。あれでは、男だぞ」
「……C.C.」
ライはC.C.が女を語るのもどうかと思ったが、それ以上にカレンの心配をしていた。
「あまりカレンを虐めるな。彼女だって、今まで大変だったんだろう?」
「ほう、お前はカレンの味方をするのか? つくづく、恩知らずな男だな」
C.C.はゼロの衣装を脱ぎ終え、新調しておいた黒のドレス姿に戻った。
脱ぎ散らかしたゼロの衣装を、ライが集めはじめたのを眺めながら
ライが座っていたソファーの対面側に腰を下ろす。
脱ぎ散らかされている衣装を集めるライを目で追いながら、C.C.は話をはじめた。
「確か、最初にお前を騎士団に連れてきたのは、カレンだったな」
思い出話でもするかのように、C.C.は語りだした。
そう。ライを黒の騎士団に連れてきたのは、カレンだった。
一年前。記憶喪失だったライは、記憶探しの為に租界等を散策していた。
その時、道案内をしてくれていたのがカレンだった。
その日もカレンに付き添われ、ライはゲットーをはじめて訪れた。
無残な現状。それに心を痛めていた時、突然のテロに巻き込まれたのだ。
止むを得ずライは、近くに倒れてきたKMF無頼を操縦してその窮地を脱した。
その時にみせた操縦技術。カレンはそれに注目し、ゼロに彼を推薦した。
そしてもう一つ、カレンにはライを推薦をしたかった理由があった。
それは、ライが日本人かもしれないという淡い期待。その二つが、推薦をした理由だった。
ゼロとカレン、その二人からの誘いにライは応じた。
ただ。ライが応じた理由は、カレンが勧めたからだけではなかった。そう、C.C.の言葉もあったからだ。
支援!
ライは、カレンとだけでなく一人でも、記憶探しをしていた。
その時にC.C.と出会い、幾度かの会話を重ね、C.C.はライに黒の騎士団に入団する事を勧めた。
その翌日に、ゼロとカレンから入団の誘い。
C.C.の言葉と、カレンへの信頼。それが入団に応じた、もう一つの理由だった。
「推薦は君がしたんだろうと思ったからね。だから、応じたんだ」
「私が推薦しようとした夜に、迎えに行かれたからな。すれ違いも、いいところだ」
衣装を畳みながらライは、C.C.の言葉でそれから過ごした時間を思い出せたのか。
少し懐かしい気持ちになっていた。自然とライの表情も柔らかくなっていく。
十一ヵ月間、張り続けた緊張を緩めるかのように。
「だから、からかってやったのだ。私の物を奪うなど、重罪だ」
まるで、子供が大事な玩具を取り上げられて拗ねたような口調で言う。
そのC.C.の言葉は、ライが思い出に浸っていたのを現実に引き戻すのには十分だった。
「……僕は物じゃない。大体」
「言い訳をしようとするな。私ではなくカレンに連れられてくるなど、尻が軽いにも程があるぞ」
まるで浮気を咎めるかのような口調に、ライは頭が痛くなった。
「だが、二度目の入団は君が全て取り計らった。それでチャラだろう?」
「そういう問題ではない。まったく、女心のわからん男だ」
C.C.は冷たい目つきで見据えるも、ライは呆れていた。
確かにライは女心に疎い。それを責められた事が、なくはなかった。
だが、C.C.がそれを言っても、ライには少々説得力が足りない。
なぜなら、ライの中のC.C.像は尊大で悪戯好きでピザマニアの魔女だったからだ。
それもあり大方、からかう為に出た言葉であろうとライは結論した。
C.C.もライが乗ってこないので諦めたのか、話題を変えてきた。
支援
「ルルーシュは、大丈夫なんだろうな?」
そう。ルルーシュは総領事館にはいない、学園に戻っているのだ。
理由は監視の目を掌握し、本国の皇帝に自分の記憶が戻った事を悟らせない為。
その為に、C.C.という替え玉で演説をして、自分は学園へと戻ったのだ。
その仕込みの最中に、ルルーシュは自分がいない間の内務及び、中華連邦との交渉をライに託した。
『聞きたい事はあるが、今は監視の目を握る事を優先する』
そう言って、全権を預けていった。だがライは、最初は断ったのだ。
ルルーシュが今でも信用してくれてるのを、ライは嬉しく思った。
だが、彼は自分が騎士団と合流するまでの事を、ルルーシュにはまだ話してはいない。
これでは、ルルーシュにとってライは、不明瞭な人物でしかない。
その為、C.C.。カレン。卜部の三人の誰かにした方がいいと、ライは提案した。
ルルーシュも、ライの言い分は一理はある。と、認めたのだが、彼には失念している事があった。
その三人が内務に向いてない事を。そう、ルルーシュはそれがあるから、ライに任せたのだ。
ライもそれならと、渋々受諾した。その際に、ルルーシュはある条件を出した。
『C.C.には餌を与えるなよ。それから、カレンとの関係を改善しておけ』
最初の条件には、変装の準備していたC.C.も思わず動きを止める程だった。
そう、C.C.が先のやりとりをした最大の理由。それは、ライにピザを購入させる為だったのだ。
その為に、篭絡しようとカレンと自分を餌にしたのだが、結果は惨敗。
今日は無理だな。と諦めがついたので、話題を変えたのだ。
その為に二つ目の条件。カレンとの関係の改善がより困難になったのを、ライは恨んだ。
「ああ……大丈夫だよ。保険もあるから……」
カレンとの関係の改善が重くのしかかってきたのか、ライの返事は少々覇気がなかった。
疲労もかなりあり、今日はもう休もうと思い、ライはソファーから立ち上がった。
「待て」
間借りした寝室へ行こうと、立ち上がったライをC.C.は止めた。
支援!
支援
呼び止めたC.C.の顔は真剣だった。それを見たライは、何か重要な話なのかもしれない、と。
意識をC.C.の言葉に集中させる。C.C.はいつもの冷たい眼差しをライに向け。
「ベッドは私が使う。男は床で寝ろ」
その夜。C.C.を恨むと後が怖いのか、ピザを恨みながらライはソファーを涙で濡らした。
激動の一夜が明けた、翌日。
世界がゼロの復活に揺れる中、ライは内務の処理に追われていた。
外はギルフォード率いる軍に、監視をされている。
だが、相手も治外法権にこちらがいる以上、下手に手出しはできない。
ルルーシュからの連絡が無かったのもあり、ライは内務と交渉だけに専念する事にした。
その最中、卜部と会ったライは現状を謝罪した。
「すみません。新入りの僕がこんな」
「気にするなって。それに、君の実力は見せてもらったからな」
卜部も合流当初は、ライに疑惑を抱いていた。
だが、合流してからの一ヵ月の騎士団への尽力。ゼロの奪還。KMFの操縦技術。
それらの事を踏まえ、ライがブリタニア人であっても構わないと判断した。
器が違う。それが卜部からライへの評価だった。
それもあり、全権を預かった旨をライがカレンと卜部に告げた時も、卜部は反対しなかった。
カレンはゼロの言葉であっても駄目だと、反対したのだが
C.C.と卜部は賛成だったので、二対一になりカレンもそれに渋々従った。
「紅月には、まだ嫌われてるみたいだな」
「仕方ないですよ」
カレンの名前が出て、ライの表情が少々暗くなる。
卜部もそれが気になったのか、ある提案をしてきた。
支援
「彼女には、自分から話をしてみよう」
「そんな……悪いですよ。それに、自分に問題があるのが」
卜部はライの言葉を遮って、構わんよ。と言った。
ライが総領事館内で、出来る事の殆どをしているので
手が空いてる卜部なりのライへのフォローだった。
ライは申し訳なさそうに、すみません。と礼をした。
その頃カレンは、部屋で考えていた。ライという人物について。
顔からしてブリタニア人であろう事。KMFの操縦技術は自分と遜色のない事。
奪還作戦の立案から実行までを行なった手腕。ルルーシュとC.C.からの信頼度。
それらについて嫉妬してしまう事。そのせいで、ライを見ていて心が乱れるのか。
彼を覚えていないカレンにとって、それはただの邪魔な感覚だった。
「何をそんなに悩んでいる?」
総領事館の探索に飽きたのか、C.C.が寝室に戻ってくる。
カレンは一瞥だけして、抱えていたクッションに視線を戻す。
その動作にC.C.は、カレンに問いかけてみた。
「まだ、信用できないのか?」
まるで、カレンの考えを見透かしたような問いだった。
だが、カレンは答えたくはないのか。無言での返答をした。
カレンにも解ってはいる、信用したくない理由は感情論だと。でも、納得したくはなかった。
「紅月、ちょっといいか?」
卜部が部屋に尋ねてきたらしい。
カレンは軽く息を吸ってから、部屋を出て卜部と話した。用件は、ライの事だった。
支援!
卜部は自分なりに思うところを言ってみたが、カレンの反応は薄く
それならば、一度ゆっくり話してみるといい。と提案した。
カレンがどう思うかはともかく、話し合えばこの微妙な距離関係を清算はできる。
その提案をカレンは受諾し、ライが内務をしている部屋に向かった。
ドアの前で深呼吸。よし。と、気合を入れて部屋に入るとライはいた。なぜか、上半身が裸で。
「えっ?」
ライはきょとんとした。カレンは固まった。そして、絶叫共に後ろを向いた。
「な、なにしてんのよっ!?」
「なにって……トレーニング?」
不意の来訪者にライも驚いているのか、疑問符が語尾についてしまう。
ライは内務に区切りをつけて、腕立てなどの筋力トレーニングをしていた。
本当は外でしたかったのだが、勝手に出歩いていい身分でもないので、室内でしていたのだ。
最後のメニューの残った数回を済ませて、首にかけていたタオルで汗を拭う。
「ごめん。すぐに、シャツを着るから」
後ろを向いているのでライは気づいていないが、カレンは顔が真っ赤になっていた。
快活で活発ではあるがカレンも女性である以上、男性の裸は流石に刺激が少々強かったらしい。
そして気になった事も、カレンにはあった。ライは、ルルーシュとほぼ同じくらいの体の細さだ。
だが、ライはKMFを扱う部分の筋肉が、異様に鍛え上げられていた。
筋力トレーニングだけでは鍛えられない、KMFを実戦で騎乗し続けて鍛え上げられる部分。
それも、何ヶ月も毎日の様に長時間騎乗し続けてやっと出来上がる程に。
会話の糸口を探していたカレンは、そこを足がかりにしてみた。
「アンタでも、筋トレとかするのね」
「もちろんするさ。騎士団に入ってからは、する機会が減ってたけどね」
ルルーシュの奪還。その準備の為に、ライはかなりの時間を割いた。
その為、トレーニングをする時間が減っていたのをライは懸念していた。
その奪還作戦も終わり、筋力の衰えを懸念して日課を再開したのだ。
支援
「ルルーシュに似てるから、そういう努力とか嫌いそうに見えるんだけど?」
「僕は臆病だからね。できる事は、なんでもしておく事にしてる」
お待たせと、最後に付け加えてライはデスクチェアーに腰掛けた。
カレンもソファーに座り、ライを見る。
この一ヶ月。カレンはライを、外見と中身のどちらもちゃんと見た事がなかった。
今までの印象は、気取った感じの典型的ブリタニア人といった感じだった。
だが性格は堅実。ゼロの衣装も畳んであったり几帳面と。カレンの中のライの印象が少し変化した。
外見もよく見ると、ライの顔はブリタニア系寄りではあるが、東洋系な部分がいくつかある。
体つきもブリタニア系と東洋系の、いいとこ取りみたいな感じだ。
それらの事から、カレンは頭に浮かんだ疑問をストレートにぶつけてみる。
「ねえ、アンタって純ブリタニア人なんでしょう?」
「え? ああ……」
ライはその問いに、答えていいのかを迷った。
ルルーシュは、タイミングを見計らって発表したがるだろう。C.C.も似たような感じだ。
少し考えて、ライは答えた。
「よく、言われるけど。僕は、日本人とのハーフだよ」
「ええっ!?」
カレンは本日二度目のフリーズ。
ライもライで、考えておきながら黙ってろと言われた事を、しれっと言い放った。
ついでに、正確には解らないが日本の貴族の血筋らしい事も明かした。
本当は明かすべきではない。だが、前もそれが発覚した時。
お互い、同じハーフなんだと喜んでくれた彼女への礼を込めて。
秘密を明かした。その事を彼女が覚えていなくても。
ただ、カレンがかなり時間固まっている事に、ライは戸惑った。
支援!
「紅月、どうしたんだ?」
「あっ……えっと……ご、ごめんなさい!」
カレンの謝罪にライは目を丸くした。
聞けば、ブリタニア人だと思っていたから冷たく接してしまった事。
それから、ルルーシュ達のお気に入りなのがちょっと納得いかなかった事など
慌てながらだったので、少し要領をえない説明の仕方だったのだが
ライはそれらの説明と、カレンの慌て具合に大笑いした。
カレンがむっとした表情になったのを見て謝罪した。
「ごめんごめん。でも、気にしてないから構わないよ」
些細な事からのすれ違い。だが、きっかけ一つでなくなるものだ。
ライは、本国で世話になった人の教えを思い出した。
「これで紅月も、僕の秘密の共有者だな」
「カレンでいいわよ」
翌日。カレンはライが内務をしている間、部屋に行って他愛のない話をしていた。
その二人の距離が少し短くなったのを、卜部は嬉しく思い、C.C.はなぜか怒った。
総領事館に滞在をはじめて3日目の昼時。
ルルーシュからの連絡は、いまだにない。
ライは、ルルーシュがここまで機情の掌握に手間取るのも予想できていた。
そのネックになっているのが、ロロである事も。そして、ロロを手中に収めようとする事も。
逆に昨晩は、大宦官の一人。高亥が訪れるとの連絡があった。
ライは会合の準備を進めながら、ルルーシュの事と中華連邦について考えていた。
支援
「カレンを篭絡するとはな……罰だ、ピザを食べさせろ」
「そういう変な表現は、やめてくれないかな!」
高亥自体は、ライがギアスをかけてあるので問題はない。
ゼロの傀儡なった高亥より問題なのは、付き添いの星刻だ。
ライには、彼の孕んだ危険性が少々不安だった。
ゼロと黒の騎士団に利用価値がなくなった時。彼が取りうる手段は、予測はついている。当然、その対策案も。
不安なのは、何が目的なのかが不明瞭なところだった。
(国? 誇り? そうではなく、僕やルルーシュと同じ? それとも、スザクのように……)
ルルーシュ程の智略を持つ男。それ程の相手の見据えている物が解らない。
行動原理。星刻はなんの為に、戦っているのか。それが解らない事が、ライには不安だった。
「ライ、ここまで私が言ってるのだぞ。いいかげん、ピザを食べさせろ」
「駄目だ。君を甘やかすと、ロクな事がないからな」
「くっ! カレンとの仲が戻ったらその態度か、まったく。女心を弄ぶなど、お前は最低な男だな」
「誤解を招くような、言い方をするな!」
考えに集中したいライだったが、C.C.の野次に集中できずにいた。
そうこうしている間に、高亥達が訪れてしまいそのまま会合となった。
その頃カレンは、シャワーを浴びていた。
カレンもルルーシュからの、連絡がない事に不安になっていた。
シャワーを浴び終え、ラックに置いてあった、ライの制服の上着を手にとる。
先日の和解からカレンも反省しており、ライが自分に色々と気を使っていてたのも理解した。
制服の件も含め、優しさから接していてくれていた事を。
自分が邪険に扱っても、それが変わらなかった事を。
(色々と、悪い事しちゃったな……)
不安はあった。でも、なぜか大丈夫な気がしていた。
支援!
カレンの記憶が覚えていなくても、心のどこかが覚えているのかもしれない。
二人でならなんでもできると思えた、あの時間を。
ふと、制服から目線をずらすと、ラックにはバニーの衣装があった。
カレンはそこで気づいた。それを言いに行かねばと、ライ達がいる部屋へ走っていく。
ライとC.C.は高亥へのギアスの確認しながら、話を進めていた。
ブリタニアからの交渉は遅滞させてあるらしく、一週間は大丈夫だろうとの事だった。
ライが中華連邦政府自体の考えを聞こうとした時だった。
「C.C.! 考えてみたら、アンタがバニーやった方が、話早かったんじゃないの!」
カレンが怒鳴りながら入ってきた。バスタオル一枚で。
C.C.、高亥、星刻はカレンに視線を向けていたが、ライは明後日の方向を向いていた。
カレンもきょろきょろして、状況を把握したのか。
悲鳴をあげながらライ達が座る、ソファーの後ろへ逃げ隠れた。
「ゼロは……女!?」
「そうだ」
高亥の見当違いな答えにライは頬杖していたのを、ガクッと崩す。
C.C.は面白がってか、それを肯定するが、カレンが即座に否定する。
あっさりバラされたのが面白くないのか、C.C.はカレンに視線を向けて文句を言った。
「遊び心のない女だ」
「ゼロで遊ばないで!」
タオルの締め付けが緩かったのか、落ちそうになる。C.C.はそれを呆れながら見えるぞ、と指摘した。
ライはもう、どうとでもなれな感じの表情である。
支援
ソファーから立ち上がり、シャツの予備を極力見ないようにカレンに投げ渡す。
星刻は、声をかける頃合を計っていたのか。ライがソファーに座ったあたりで、カレンに話しかけた。
「はじめまして、紅月カレンさん。紅蓮弐式のパイロットですよね?」
渡されたシャツを着ていたカレンは驚いたのか、どうして?と聞いてしまう。
星刻はつとめて笑顔で、自分達に興味があるとカレンに告げる。
だが、その視線の見据えている先は呆れた表情で明後日の方向をみているライだった。
そのライは、頬が若干赤くなっていた。C.C.は努めて小さな声でライに話しかける。
「まるで、童貞坊やみたいな反応だな」
言い返したいライだったが、体面等がある以上沈黙での返事をした。
C.C.もピザを食べさせないライへの仕返しができて満足なのか、微笑していた。
そこに卜部が、慌てて入ってくる。何事か、と言葉を待つと。
「中佐達が、不味い事になった!」
ライはデスクに置いてあったノートPCを取って、リアルタイム配信のネットニュースに繋げる。
そこには、総領事館の前に並ぶ、騎士団のかつての主要メンバーが映っていた。
ライはすぐに気づいた。ギルフォードがゼロをあぶり出す為に連れてきたのだと。
ギルフォードは明日十五時までに、決闘に応じなければメンバー256名を処刑する事を伝えた。
(処刑するだと? 本国からの指示を無視する気か? いや、それとも……)
ライはルルーシュとC.C.の存在が露見した可能性を考慮したが、それはないとした。
その予想は正しかった。機情がギルフォードに捕虜の権限を一任しただけである。
(C.C.が目的である以上、餌の有用性の再確認も兼ねる気だな)
「みんな……」
カレンも心配なのか、ノートPCの画面に釘付けになっている。
支援!
ライは自分がかけた保険の一つがなくなり、対応するか迷ったが傍観を決め込む事にした。
ただ、ルルーシュの動きにあわせて動く気ではいた。
(ルルーシュ。ギルフォードに勝てないようでは、この先の戦いには……)
そして、星刻はこの一遇の好機を見逃さなかった。
高亥の不義。それを裁く為の算段を、即座に計算した。
ライと星刻。ゼロとギルフォード。
四者の総領事館内を中心とした駆け引きと仕掛けが、今動きだそうとしていた。
そんな中、C.C.の最後の仕返しがはじまる。ライとカレンはノートPCに注視している。
「ライ、左を見てみろ」
C.C.に言われてライは左を見る。そこにはカレンの顔があった。
息がかかる位の至近距離でだ。カレンも気づいたのか、ライと目が合う。
一瞬の静止。すぐに二人とも顔が赤くなり、ゆっくりと互いに顔を逸らした。
その光景をC.C.は愉快そうに、おなかを押さえながら微笑していた。
支援
以上です
物語は進んでないですけど、人間関係を進ませたのでそれで勘弁して下さい。
今回はちょっとコミカルにしすぎかなと思ったんですが、これはどうなんでしょうね?
あと、頑張ります。ペースアップを心がけます。もっと腕を磨きます。
だから読者の皆さん怒らないで!あ、やめて石投げないで!
では、こんな夜分に失礼しました
業務連絡なのですが、トーマス卿にメールを送りたい場合は
アドレスが見当たらなかったのですが、どうすればいいのでしょう?
>185
面白かったです。
着実に、違和感なく反応しあって関係が構築されていくキャラクターたちが素敵。
タオル一枚のカレンにあさっての方向を向くライの絵にほのぼの。
読みやすく、特に続きの楽しみな作品のひとつです。
次回をお待ちしております。
>>185 乙!GJ!
R2沿いってことで展開は分かってるけど、ライの介入によってどうなるかわくわくして読んでます
C.C.、そんなにもピザなんだな!分かってたけど!
そして、魔女さまを恨めないから、ピザを恨むちょっぴりヘタレなライに貰い泣きです
カレンとの関係が修復して、今後C.C.とのトライアングルな関係がどうなるかも気になる
次回も期待してます!
トーマス卿のアドレスは
>>2にあるよ
>>185 乙です。カレンとの関係が改善されて、ひと安心。嫉妬するC.C.も可愛いです。
互いに強敵と認めた星刻とライ。これから戦場で相対するんだろうなあ。
別にコミカルでもいいと思います。メリハリは大事かと。
あと、
>>2の中にトーマス様のアドレスが書かれています。
一度、読んでおくといいですよ。
>>185 ぷにぷに卿、GJでした!
カレンとの関係が改善されたようで。
しかし、ギアス篇スレスレ騎士団ルートとは……C.C.との仲に更なる期待が持てそうです!
貴公の次の投下を全力でお待ちしております!
0時に投下します
戻ってきたら投下宣言が出てた!
すいません、支援します。まだ間に合うかな。
192 :
ルーデル:2008/09/28(日) 00:10:44 ID:vR1t08em
前スレ725、24話IFの続きです
「黒の騎士団零番隊隊長、紅月カレン聞こえるか?私は、ブリタニア軍総司令官ライ・ランペルージだ」
そう言いながらライの頭に浮かぶのは、出撃前にロイドとの会話
「ええ?輻射波動つけろ?」
不満そうな顔をするロイド。
「そうです」
「僕のランスロットに何か不満でも?」
「いえ、不満はありません」
「ならどうして」
「紅蓮に対抗するためです」
「あれは性能が違いすぎるよ。第一それなら変な装備をつけずに今のままで出撃したほうがいい」
ロイドの言うとおりだ、そもそもKMFにはバランスがある。
紅蓮の様に輻射波動を使うことを前提に造られた機体や
かつてライが黒の騎士団で搭乗した月下の様に、それ様にカスタマイズされた機体ならともかく
基本設計のままで造ったランスロットなら、そのままの方が扱いやすいだろう
しかも
「第一、今から作っても間に合うのは、おそらく一度使えばもう使えない、という様なものだよ?」
そうなのだ、ロイドやセシルは紅蓮の改造が楽しくて、輻射波動は最低限の解析しか行わなかったのである
しかしライは気にする素振りもなくこう言った
「輻射波動自体は未完成でもかまいません」
「どういうこと?」
とセシル
「機体が青く、左腕に輻射波動機構がついていればかまいません」
「なるほど。まるで”ゼロの左腕”の機体だね?」
そう呟きながらニヤニヤするロイド
「そうです。そうすれば彼女は必ず怒り狂う。
しかもその機体がスザクのランスロットなら尚更だ。
そうなれば僕の策に気づかれる可能性が減る。」
(とは言ってもこの僕がこんな非道を行うなんてカレンは想像もしないだろうけど)
支援
支援します!
その様な会話を思い出しながらも
(まずは第一段階は成功だ)
ライが今しなければいけない事は、カレンをダモクレスに入れないこと、
つまりは、ルルーシュを追わせない事だ。
そういう意味では彼の策は、少しは効いているだろう
(だが、これは時間の問題だ)
カレンは、いくら相手がライでも、長く時間を割こうとは思わないだろう。
斑鳩は沈み、ジノは今、カレンの目の前で殺された。
恐れく、名乗りを上げなければすぐに、ライは殺されていただろう。
今だってなんとか話そうと、ライは必死だ
黒の騎士団の事
シュナイゼルのフレイヤの事
なぜ自分が目覚めたか
ルルーシュの事
なぜ自分がブリタニア軍の総司令なのか
そして自分たちの事
色々な手で説得を試みたが、カレンは説得に応じない。
そして
「なら、ライ・・私は・・あなたを殺すわ!!」
ついにライはカレンを説得することができなかった
「ああ、僕も君を殺すしかないようだ」
(やはり・・・殺すしかないのか)
支援
カレンとライの戦闘が始まりかなりの時間が経った。
やはり機体性能の違いか、ライはまったく攻撃をせずに
回避と防御に専念をしている。
「どうしたのライ?私を殺すんじゃなかったの!?」
(ちっ!早くルルーシュを追わなきゃいけないのに)
そう思いながらも情けかけずに攻撃を続けるカレン
しかし、ライとの戦闘はまったく輻射波動を使っていない。
自分の好きな人位は苦しめずに殺したいのだろう。それが自分にできる唯一の事だ
そして相手もそれは同じなんだと思いカレンはこんな時に少しうれしかった。
しかし、ライは使わないのではなく、使えないのだ。
一度しか使えない必殺の輻射波動、それを確実に当たるであろう時まで待っているのだ。
ずっと回避をしながら進み、見えてきた、ナゴヤ租界。
ライは通信を開きカレンに話しかけた
「カレン、君はここが何処だかわかるかい?」
「ナゴヤ租界でしょ」
「そうだ」
「それで、こんな所まで逃げて終わりかしら?」
「君は、僕の策にはまった」
「策?」
「ああ」
「・・・どういう事かしら?」
素早く周囲を確認するカレン。しかし自分たち以外はKMFの反応がない
支援
「カレン、君は今、君のお母さんが何処にいるか知っているかい?」
「・・・まさか」
「そう、君のお母さんはトウキョウの刑務所病院から移送され、
ナゴヤの刑務所にいる。そう、君の真下にある建物にね」
そう言いながらライはランスロットの右肩のハドロンブラスターの照準を建物に合わせた
「カレン、今すぐ投降するんだ。さもなけばその建物を撃つ」
今までカレンが聞いたことのない様なほど冷たい声で言うライ。
「あなたにそんな真似ができるかしら?」
カレンはそう強がって見せたが、内心はかなり動揺していた
(あのライが?こんなことを考え付くの?)
しかし、ライはその挑発にためらいなく引き金を引いた
音を立て崩れる建物
「次は君のお母さんのいる建物だ」
そう言うライ
(ここで諦めるの?いや!ルルーシュは私が倒す、この男も)
激しい怒りがカレンの中で燃え上がる
「撃つなら撃ちなさい。その時があなたの最後よ」
そう言い右腕を構える紅蓮
「そうか。なら、君はお母さんを死なせ、僕を殺すんだね」
そう言い引き金をライは引いた
そうライに言われた瞬間カレンの中を走馬灯のような物が走った
・・・幼い頃テストで百点を取った時に作ってくれたハンバーグ
・・・兄が行方不明になりそれでも男に媚びたのを軽蔑したとき
・・・男に媚びていたのは自分と一緒にいる為だとわかった時
・・・記憶がなくお世話係になった時
・・・共に記憶を探した租界
・・・黒の騎士団でのお互いの活躍
・・・行政特区日本宣言前日に消えた時
そんな事を思い出した彼女は無意識に建物を庇っていた
ハドロンブラスターが紅蓮の左腕を撃ち落した瞬間にライは
距離を詰め、紅蓮に輻射波動を当てていた。
支援
支援
終わり?規制?
ルルーシュ。君が、悪に、なると言うなら
スザク。君が、その剣に、なると言うなら
僕は。狂王に戻ろう、君たちの願い、ゼロレクイエムの為に
僕の世界で一番好きな人がそれの邪魔をすると言うなら
僕はこの手で、世界で一番好きな人を殺そう
「さよならだカレン。大好きだったよ」
そう言い輻射波動のスイッチを押す”狂王”
その瞳には一滴の涙あった
支援
以上です。途中に規制にかかりました
支援ありがとうございました
>>206 乙でしたー!
策略の末に輻射波動での勝利。
……心を殺しての戦い、切ないですね。
貴方の次の投下をお待ちしております!
9:20頃に投下したいのですが、大丈夫ですか?
全部で6レスです
支援します
ありがとうございます
支援に感謝します
前書き・本文・後書き合わせての6レスです
タイトル:『文化交流』
カップリング:ライ×カレン
ジャンル:コメディ
備考:騎士団編カレンENDからの小ネタです。
支援
『文化交流』
特区日本は無事成立した。
ライは、その中に組み込まれた黒の騎士団側が選出する外交担当になった。
内容は、政治的問題点についての解消の為。スザクと共に、ブリタニア本国へと出向く事になった。
一ヶ月の滞在になる見通しだったのだが、それをカレンが少々駄々をこねた。
ライはそれを、なんとか説得して出国した。
その本国でライは、ナイトオブラウンズの一人。ノネット・エニアグラムに出会った。
ノネットはスザクとライのKMFの操縦秘術に興味があったらしく
暇さえあれば訪ねては、KMFの模擬戦をしていた。
そういう交流から、ノネットは二人を気に入っていた。
特区日本の文化交流担当になったノネットは、その縁から両名を案内役に指名。
そして、二人はノネットに連れられて、久しぶりに日本へと戻ってきた。
空港には、ゼロ。カレン。ナナリーと見知った顔ぶれが迎えに来ていた。
「ライっ!」
「ただいま、カレン」
一ヵ月ぶりの再会にカレンは、人目もはばからずライを抱きしめた。
「カレン、一ヶ月位で大げさだよ」
「一ヶ月もよ、もう」
惚気まくる騎士団の双璧。周りの人間が、凍り付いてもお構いなしである。
否、この状況で凍りつかなかった人物が一人だけいる。それは、ノネットだった。
二人に近づき、カレンの顔を見てフッと笑う。
「紅月だな? 噂は聞いてるぞ。KMFの操縦が上手いらしいな」
カレンはライに甘えるのに夢中なのか、そうですよ〜♪と暢気に返事を返す。
しえん
「なるほどな。KMFの腕は一級品でも、男の喜ばせ方は三流といったところかな?」
瞬間、カレンが凍りつく。
流石に今のは、カレンでも聞き流せなかったようだ。
「どういう意味ですか?」
「言葉通りの意味だが?」
軽い睨み合い状態になるも、ライが二人をたしなめる。
「男を喜ばせるなら、これ位してやるもんだぞ。ほいっ」
ノネットは、とりあえずライのみぞおちに軽くボディブロー。
ライの体がくの字になって宙に浮き、体を少々曲げる。
その悶えているライの頭を、ノネットは胸に抱き寄せる。
カレンはそれを見て、直感した。しまった!と。ゼロもそれ見て、驚愕する。
「な!? あ、あれはブリタニア流乳固め!?」
「なんだい、それは?」
なんの事か、解らないスザクはゼロに訪ねてみる。
ゼロは重くなった口を、ゆっくり開いていく。
「あれはブリタニアに古くから伝わる、愛情表現の一種だ」
曰く、された者は至福の極みである。
曰く、された者はこの世でもっとも幸せなものである。
曰く、された者は相手に永遠の愛を誓ってしまう。
「今のブリタニア皇帝も、マリアンヌ公にこれをされた為に娶ったそうだ」
庶民からのサクセスストーリーをちょっと添付して、ゼロは説明した。
「でも、エニアグラム卿はライに特別な愛情を持っていないよ?」
「そこが厄介なのだよ、枢木」
そう、これを行なうには身長。バストの大きさ。タイミング。
それら全ての総合バランスが必要なのである。
だが、ノネットは呼吸でもするかのように、これを軽くこなした。
「エニアグラム卿、恐ろしい女だな」
「そうだね……さすがはナイトオブラウンズだよ」
スザクも説明を一通り受けて、事の重大さを理解した。ちょっとズレてはいるが。
ノネットは、そのブリタニア流女性スキルの上級を、呼吸をするかのようにこなした。
だが、カレンは女性としては少々若い。それを武器にはできるが、それが弱点でもある。
その圧倒的スキルの差の前に絶句していた。ボディブローで悶絶してるライの存在を忘れて。
(いけない……このままじゃ……)
カレンは考えた。そして、ライの二の腕辺りを掴み、胸に抱き寄せた。
その動作を見たスザクは、あれは!?と驚いた声をあげる。
「どうしたんですか、スザクさん?」
「む、知っているのか枢木!?」
「あれは……日本流乳固めだ!」
スザクは一瞬絶句したが、ゆっくりと呼吸を整え、説明しだした
曰く、以下略。
「くっ、なんという攻防だ。見ているこっちが、負けてしまいそうだぞ」
「ああ。この文化交流、どうなってもおかしくない!」
スザクもノってきたのか、熱く返事を返す。ライが悶絶してるのを忘れて。
大岡裁きのごとく、ライの頭と腕を胸元に引っ張りながら間違った文化交流をする二人。
だが、二人とも乳固めでは終わりが見えないと読んだのか。
不意にライを離して、互いに見据える。
シエン
「文化交流は面白いな。よし! 交流の続きはKMFでしようか!」
「望むところよ! ライの為にも、私は負けない!」
まるで師弟が決着をつけるかのように、持ってきていたKMFへと二人が移動していく。
「不味い! この好機、見逃す手はないぞ枢木!」
「これは日本とブリタニアの文化交流の、大事な一歩になりそうだね!」
ゼロもスザクもノリノリである。床で悶えているライを放置して、外野は大盛り上がりである。
どこから来たのか、観客まできて二人のKMF交流戦が始まる。解説席には、もちろんゼロとスザク。
(あの……みんな酷いよ……)
「ライさん、大丈夫ですか?」
だが、彼女は違った。ナナリーはライの心配をしていた。
ライも痛みが薄れ、ゆっくり立ち上がろうとする。
その途中で、ナナリーが抱擁してくれた。
「大丈夫ですか? まだ、痛くないですか?」
ライは思った。ぺったんこ万歳!と。
それから数ヶ月。ライは乳恐怖症になり、カレンの抱擁から逃げていたそうだ。
すまない 時間だ
誰が支援頼むっ!!
以上です
アドレスの件、教えていただいた方に感謝です
てっきり、HPに記載されてると思ってそっちばかり見てて盲点でした
ちなみに僕は大きい方が好きです
どうでもいいですね。では、失礼しました
>>219 投下しようとしたら、思わず読んで爆笑してしまいました。
いやぁ…さすがだ。
こういうの大好きです。
GJでした。
ぶにぶに卿、次回作も期待してお待ちしております。
えーと、10時10分ぐらいに投下よろしいでしょうか?
前書き+本編+終了で8〜9レスの予定です。
支援お願いいたします。
うーーん…。
誰もいないのかな…。
時間帯が時間帯だからなぁ…。
10時30分まで待ちます。
222 :
名無し:2008/09/28(日) 10:21:03 ID:JnBgD/kT
支援( ^o^)/
支援表示ありがとうございます。
よろしくお願いいたします。
タイトル「合流の後で…その6」
カップリング「ライ×井上」
ジャンル「昼ドラ」か「シリアス」
注意点
R指定出来そうな残虐描写らしきものあり。
また、ライのヘタレ警報超発動中です。
さらに井上さんの病み具合絶賛進行中です。
以上の点で問題ある人は、スルーお願いいたします。
それと内容ドロドロになってます。
さわやかな恋愛を求める方は、絶対見ないで下さい。
本編7レス+終了宣言1レスの合計8レスの予定です。
なお、投下は2分前後ごとに行う予定ですので、5分超えた場合は、トラブル発生と思っていただいて結構です。
その際は、再度投下しなおします。
「あら、いらっしゃい…。どうぞ上がって、上がって…」
井上さんは、そういうと僕を部屋に案内する。
しゃれた感じのシンプルな3LDKだ。
「あ…お風呂の方は、ちょっと見せたくないものあるから覗かないでよ」
そう言ってニコニコと笑う。
「ああ、わかった…」
あの言い合いから2週間近く過ぎているが、その笑顔に違和感を僕は感じた。
怒ってないのか?
それならなぜ連絡してこないのだろうか…。
「ちょっと待っててね。もうちょっとで完成だから…」
彼女はキッチンで料理を続けている。
エプロンをかけて料理する井上さんの姿は、新鮮で可愛かった。
ただ、手際よく何かの肉を切っている包丁が反射で時々光りドキリとする…。
あははは…何かのサスペンスじゃあるまいし……。
そう思ってしまう自分自身の考えに苦笑した。
何気なく部屋の中を見渡す。
そして再び井上さんに視線を戻した。
その時だった。
包丁をもったまま、僕に近づいてくる彼女を視界に捕らえたのは…。
無言で近づいてくる。
ぎらりと光る包丁。
恐怖を感じ、思わず及び腰になる。
「ひっ……」
口からは言葉も出ない。
「何驚いてるの?もうちょっと時間かかるから、TVでも見ててね」
そう言ってTVのスイッチを入れるとキッチンに戻っていく。
驚かさないでくれよ…。
僕はほっとすると同時に何故怯えているのか自分自身理解できなかった。
合流した後に…その6
30分もしただろうか。
エプロンを外して、井上さんが両手に料理を盛った皿をもってくる。
どうやら完成したようだ。
「お待たせ〜♪」
そういって、皿をテーブルに載せるとキッチンに戻って次々と料理を運んでくる。
「手伝おう…」
そう言うと立ち上がって手伝おうとするものの、井上さんに座って待つように言われてしまった。
こういうのも悪くないなという気がする。
そして、何回か往復した後には、テーブルの上にはいろんな料理が並べられていた。
「さぁ、どうぞ…」
にこやかに笑う井上さんが料理を勧める。
どれもおいしそうなものばかりだ。
ただ、ちょっと肉料理が多い気がする。
「あははは…ごめんね。材料の準備に手間取っちゃって…」
苦笑する井上さん。
「だって、今日来るとは思ってなかったし…。もっとも明日連絡するつもりだったんだけどね」
「それは…どういう事?」
疑問が頭を過ぎる。
「まぁ、食事が終わったら説明するから…」
そう言われてしまっては返す言葉もない。
支援
支援
僕はいわれるまま料理に手を付けていった。
「おいしいな…これ…」
すべての料理はとてもおいしく、あっという間に料理は僕のおなかの中に収まっていく。
「ところで…この肉って何の肉なの?すごく変わっているね。初めて食べた気がする」
「うふふふ…。そ・れ・は…秘密っ」
くすくす笑いながら井上さんが質問をはぐらかす。
以前の井上さんからは想像できないほど無邪気に笑っている。
連絡が取れなかった間に何があったのだろう…。
僕の心に不安が押し広がっていく…。
そして、それは井上さんの姿を見る事でますます大きくなっていく。
「ほら、どんどん食べて…男の子だから、まだいけるよね」
考え込んでしまい箸の止まった僕に料理を勧めてくれる井上さん。
僕は、それに答えるかのように再び食べ始めた。
「ふうっ…。食べた食べた〜」
ライくんは、お腹をさすりながらリラックスしている。
ふふふ…。
口元から自然と笑いが漏れる。
まさかこういう日常的な幸せを感じる日がくるなんて思いもしなかった。
私たち…まだやり直せるのかもという淡い期待さえ抱いてしまいそうになる。
−あら…まだそんなこと思ってたんだ…。
あきれ返ったような声でもう一人の私が心の中に現れる。
だって…、私…。
−くすくすくす…。あの日からナニヲしてきたか思い出せばいいわ。
その言葉が、私の期待を簡単に突き崩す。
−彼に捨てられ、毎日のように何人もの男と…。
いやぁぁぁあぁっ…いわないでぇっ…。
−それに…もう後戻りは出来ないわよ…。ふふっ…。
もう一人の私が残酷なゲンジツを突きつける。
−だって…ねぇ…。
うふっふふふふふ…ふぁっははははははははははは……。
もう一人の私の口元が醜く歪み、笑い声が本当の私の心に響いていく。
その笑い声は、反響しあってより大きくなっていく。
わかってる…。わかってるよっ…。
私は、大きくなっていく声に耐え切れなくなり、叫ぶ。
もう…後戻りは…出来ないって事は…。
ゴメンネ…らいクン…。
ワタシ……ヤッパリ…ダメダ……。
ワタシハ…。
ワタ…シ…ハ…。
支援
「おいしかった?」
井上さんは、台所で片付けながら聞いてくる。
「うん…おいしかった。料理うまいんだね。井上さんの料理、初めて食べたよ」
何気なく言った言葉に動きが一瞬止まり、ぴくりと反応する井上さん。
「ん?!」
だが、すぐに再び片づけを再開したようだ。
もしかしたら、気のせいだったのかもしれない。
「そういえば…カレン元気にしてる?」
「あー…元気だと思うよ。ただねぇ…」
「ただ?」
井上さんは、手を休めこっちを向いて聞いてくる。
「昨日から連絡取れないんだ…。どこ行ったのかなぁ…」
「ふーんっ…そうなんだ…。なんなら今からもう一度、携帯に連絡してみたら?」
「え?!」
「私も久しぶりに話してみたいし…。あ、二人の関係はバラさないから安心してね」
言いながらいたずらっぽく笑っている。
「OK。ちょっと待ってて…」
僕は、カレンの携帯番号をアドレスから選択するとボタンを押した。
すぐに相手を呼び出すガイダンスが耳元に流れてくる。
その時だった。
ほぼ同時に…。
支援
ピルルルルルルッ…。
ビルルルルルルルルルルッ…。
井上さんのエプロンのポケットから電子音の呼び出し音が響いたのは…。
「ど、どういうこと…」
今までの無邪気な笑顔のまま、井上さんがエプロンのポケットから赤いかわいらしい携帯を取り出す。
それが鳴っている…。
そして、それは間違いなく…カレンのものだ。
付いているストラップは、確か…僕が…お守り代わりになるといいなって渡したピンクのウサギのやつだ…。
「うふっ…うふふふふふふふふっ」
井上さんの指が離れ、携帯が床に落ちる…。
かしゃんっ…。
床に落ちると、くるくるとまわり転がる。
「カレンは…ね…」
笑顔のまま、言葉を続ける井上さん。
その姿に、ゾクリっと寒気が走り、僕の身体中の毛が逆立つ。
「ここにいるの…」
「えっ…?!」
意外な言葉に僕は聞き返す。
「どこにいるんですかっ…」
「うふっ…ほらそこに…」
ゆっくりと僕の方を指差す。
「こんな時に冗談はやめてくださいっ」
僕は恐怖に駆られ、叫んでいた。
見た目は普段と変わらないはずだが、今の井上さんの姿に恐怖し、パニックになっていた。
支援
「冗談じゃないわ…。ほら…ライくんのおなかの中に…」
その言葉の意味が一瞬、理解できなかった。
だが、井上さんの言っている意味が理解できた途端、僕は嘔吐感に襲われる。
駆け出してトイレに駆け込み、食べた物をすべて吐き出した。
油汗がどっと噴出し、それでいて体温は急に下がっていく。
そんな僕を楽しそうに見ていた井上さんは、ゆっくりと台所にいくと包丁を持った。
「どうだったかしら…ライくんっ…。愛してる人とセックス意外で一緒になれた感想は?」
微笑みを絶やさず、彼女が僕に近づいてくる。
僕は、そんな彼女の姿に怯え、ガタガタと振るえる事しか出来ない。
言葉を発する事さえ出来ず、思考は恐怖で止まってしまう。
いやだぁ……。死にたくない…。
ただそれだけがぐるぐると頭の中を駆け巡る。
「うふふふ…。すぐには楽にさせてあげない…。たっぷり…楽しませてね…ライくぅんっっっっっ」
蛇に睨まれて動けない蛙のような状態の僕に彼女は近づくとやさしく微笑む。
一瞬助かるのか…と淡い期待をもたらすような幸福感に満たされた笑顔。
そして…その笑顔に見とれ、一瞬力が抜けた瞬間……振り下ろされた…。
僕の罪を償わせるための一撃が…。
赤いものが飛び散り…周りも紅く…染まっていく…。
身体に焼けるようなイタミが走る…・
イタイ…イタイよぉ…。
視線が…井上さんを捕らえた。
幸福感に包まれたエガオで包丁を再度振り下ろそうとしている。
そして、振り下ろされると同時に…ボクの身体にまたヤケタようなイタミが走る。
そして、噴出した紅いものが井上さんの顔を濡らしていく…。
アア…ナンテ…キレイナンダロウ…。
ボク…ハ…ソレニ…ミトレテシマウ…。
アア…ナンテ…キレイナ…紅…。
ボク…ハ…ナニヲ…。
ボク…ハ…・
ボ…ク…。
……。
そして、何度かの焼けるような痛みを味わった後……ライの意識は暗闇の中に沈み込み……そして…再び浮き上がる事はなかった。
かなーしみーのー
支援
いやギアス使えよ・・・・支援
井上さん怖いな…支援
以上で終了です。
支援ありがとうございました。
感謝いたします。
ただ…最後に…猿にやられました。
ごめんなさーいっ…。
なお、もう1回だけ続き書く予定です。
後日談というやつです。
お楽しみに…。(え?!
しかし…疲れたよ…パ●ラッシュ。(精神的に…
(パト●ッシュ…即、離脱…)
ああ…そんなぁ…。
がっくし…。
nice boat
オハヨウゴザイマシタ
起きたら二つも投下されていた……投下は幸せ!
>>219 ぷにぷに卿、GJでした!
なんぞこれwwwww
ブリタニア式乳固めの解説に吹いたw
……最後、何かに目覚めかけたライw
怖っ!
>>240 あしっど・れいん卿、NiceBoatでした!
なんたる鬱展開、だが、思わず読んでしまう!
昼ドラ……恐ろしい子!
……カレンorz
貴方達の次の投下を全力でお待ちしております!
最近、電波ゆんゆんなKAMEIです。
また、変なモノを受信しました。
タイトル:彼女の在り方
カップリング:ラクシャータ→ライ×カレン
区分:シリアス(多分)
本文レス予定数:3
注意事項:
ラクシャータさんが壊れた人設定です。
SS中にエロいシーンはまったくありませんが、やたら「寝る」という言葉が飛び交っています。
「ねえ、一度私と寝てみなぁい?」
「……はいぃぃぃっ?今、何と仰いましたか?」
あまりにも唐突過ぎるラクシャータの言葉に、ライはあわてた。
直前まで、月下の調整具合の話をしていたのに、余りにも脈絡がなさ過ぎて、聞き間違えたとしか思えない。
しかも、ラクシャータは冗談を言っているような雰囲気ではなかったのだ。
「私と一度、寝てみないかっていったのよぅ。どぅお?」
聞き間違いだと思いたかったライだが、ラクシャータの言葉は無慈悲にもそれを否定した。
「いきなり、何なんですかっ!冗談にしては質が悪すぎますよっ!?」
ライは冗談ではない事を半ば確信しながら、一縷の望みをかけてそう返答する。
「冗談でこんな事言うわけないじゃなぁい。私はホ・ン・キ」
そう言いながら、ラクシャータは煙管の先端をライの鼻にちょんと触れさせた。
「僕がカレンと付き合ってるのはご存知ですよね?」
ライは一言一句確認するように、ゆっくりと言う。
「モチロン知ってるわよぉう。まだ、男女の関係になってない事もねぇ」
「な、何で、そんな事までっ!?」
思いがけない返答に、ライは何とか取り繕っていた態度を乱した。
対照的にラクシャータは何時もと変わらず、泰然としている。
「ああ、やっぱり、まだなんだぁ」
「……カマをかけたんですか?」
からかわれた気がして、ライは少しだけ恨みがましい視線を向けた。
しかし、ラクシャータにはそんな様子はまったくない。
何時もの彼女と変わらなすぎて、ライは男女の駆引きをしている気がまったくしなかった。
今、正に、彼女の褥に男を──ライを誘っているはずなのに。
「違うわよぉ。だってカレンちゃんはアンタが初めての相手になるんでしょぉ?
これだけ人間関係が閉ざされた中だと、初めてシタ後って何となく判るのよねぇ」
「わ、判るものなんですか?」
まだナニもイタシテいないのに、ライは思わず焦った。
いや、キスはしたから「何もしていない」は言い過ぎだが、高校生ならキスは充分に許されるラインだろう。
「なぁんとなくね。それにぃカレンちゃんには、そういう事になりそうな雰囲気になってきたら、
ピルを処方してあげるから、私のところへ来るように言ってあるしぃ」
いま妊娠しちゃったら色々困るしねぇなどと、ラクシャータは中々とんでもない事を平然と言い放つ。
自分のあずかり知らぬところで行われた女性同士の会話に、ライは暫し呆然とするしかなかった。
「まあ、ちゃあんと事前に来るかどうかは判んないんだけどねぇ」
「……それで、僕とカレンが付き合ってる事をご存知で、
僕とカレンがまだそういう事をしていないこともよーく知っている貴女が、
何故いきなりこんな事を言い出したんですかっ?」
ライは、ほとんどヤケクソで訊いてみた。
マトモな答えが返ってくるとは思えなかったが、目前で起きている事態のワケが判らず、
尋ねずにはいられなかったのだ。
「そぉんなの、アンタと寝てみたいって思ったからに決まってるじゃないのぉ」
予想通りとはいえ理由にならない理由に、ライはガックリとして、立っているのがやっとだった。
「貴方は経験あるみたいだけど、けっこう間が空いてるでしょぉ?
カレンちゃんとスル前に、私で勘を取り戻しておくのも、いいんじゃなぁい?
私も暫くシテないし、久しぶり同士で丁度いいと思うんだけどぉ?」
カレンとの仲を邪魔するつもりはまったく無いらしいが、
ライにとってラクシャータの言葉は、常軌を逸しているとしか思えない。
「……遠慮します」
「あらぁ、ざぁんねん!」
さして残念そうには見えない態度でラクシャータがそう答えた。
だがライは、誘いそのものは嘘や冗談ではなく、本気であったように感じた。
──異質。
何かが狂っている。そう感じる。
ラクシャータは変わり者ではあったが、それは所謂「専門バカ」的な感覚で、
今までライは、ここまでの異質さを彼女に感じた事はなかった。
だがしかし、今の彼女は「何か」が変だった。
「気が変わったら声をかけてねぇ。私は何時でもOKよぉ」
「気が変わる事はありません。失礼します」
きっぱりと言い放つと、ライは踵を返して自室へと向かう。
決して、振り返らない。
振り返ってはいけない。
今、後ろにいるのは、いつものラクシャータであって、いつものラクシャータではないモノなのだから。
◆
「ホント、残念……」
ライが去った後、一人格納庫に残されたラクシャータは呟いた。
ラクシャータは自分を知っていた。どこかが壊れている自分を。
あのプリン伯爵を好きになれないのは、同族嫌悪であることを。
「貴方が好き……」
そう告げれば、ライは先程とはまるで違う態度を取るだろうことも判っていた。
でも、そうはしなかった。
ラクシャータの望みは「そう」ではない。「違う」のだ。
好きだと思う気持ちに偽りはない。
この気持ちは、世間一般でいうなら恋なのだろうとも思う。
それでも、「何か」が決定的に違っていた。
違うから、ラクシャータはライを彼が思うようなあり方では「愛」せない。
彼が思うような「幸せ」はあげられない。
それは、ライが紅月カレンと築くものだろう。
だが、ラクシャータはそれを悔しいとは思わない。
「それ」はライの望む「幸せ」ではあっても、ラクシャータの望む「幸せ」ではないのだから。
自分は自分。他のモノにはなれないし、なりたいとも思わない。
何より、今の自分をラクシャータ自身が嫌いではない。
「こういうトコロが壊れてるのかしらねぇ」
小さく笑いながら、ラクシャータは思う。
──でも、一回くらい好きな男と寝てみたかった。
彼女は今までに何人かの男と寝た事はあるが、それは別に相手が好きだから寝たわけではない。
別に嫌じゃなかったから、誘われたから、寝てみただけだ。
ラクシャータが自分から寝てみたいと思ったのは、ライが初めてだった。
──本当に残念だ。
そう思いながら、ラクシャータはライの月下の調整案をまとめ始めた。
きっと、明日中にはライの意見を取り入れたチューンアップが完了していることだろう。
それが、「彼女の在り方」なのだから──
以上、ちょっと壊れているラクシャータさんモノでしたーっ!
ラクシャータさんは初挑戦なので、あの独特の口調をらしく文字におこすのに四苦八苦。
難しいよラクシャータさん……。
小さい「ぅ」や「ぉ」と格闘し、私は今時の女子中高生かっ!とちゃぶ台(持っていません)をひっくり返したくなりました。
いや、今時は分解文字で小文字は一昔前なのかな?
今時の中高生事情はよく知りません……。
このラクシャータさんについては、もっと、じっくり掘り下げて書きたい気もしたのですが、
風呂敷を広げてもたためない気がしたので、あえてコンパクト仕様となっております。
いつか筆力がついたら、再チャレンジしてみたい気もする……。
ところで、これを書くため&最終回に向けて何話か見直したけど、
判ってた事だがラクシャータさんの出番って、やっぱり少ねぇぇぇぇぇっ!
>>247 乙です。確かにラクシャータの口調は表現しにくいですね。
つーか、何てキワドイ会話してるんだw
>>247 KAMEI卿、GJでした!
大丈夫です、皇帝の声もぅとかぉとか使って表しますし。
ていうか、ギリギリ過ぎる会話w
……最近はエロブームなのか?
貴方の次の投下を全力でお待ちしております!
いよっしゃああああ!
考えていたラストにばっちりだったぜー!!
という訳で行くか!10分後投下ー!!
251 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/09/28(日) 17:32:21 ID:jR8S943L
支援
泣きながら支援
支援ー!
号泣支援
支援
どうせならこの勢いで後で私も投下しますか
支援だ、全力で!
泣きながら支援
っつーか、あのラストをライなら変えられると信じるオレ
支援します、全力で!
と、投下するわよ!
・アーニャが生き残っていたから嬉しい訳じゃないんだからね!
・と言うわけでカップリングはライ×アーニャよ!
・ライアニャ家族にオレンジが入ってちょっと嬉しいだけよ!
・記憶の旅第二段!シリーズっぽいけど設定だけ取り出した短編よ!だから前回のを読まなくても分かる安心設計!
・べ、別に、前回のを読んでくれたって、分かりやすくなんかないんだからね!
・タイトルは「記憶の旅〜The everlasting〜」よ!
・本文が20レス以上で長いから……支援、して?
支援
支援
支援
ツンデレっていいですよね
それとノネットさんはどこへ行ったのか誰か教えてください
歴史とは、所詮は人の意思が介在した記録に過ぎない。
伝説とは、所詮は人の意思を内包した記録に過ぎない。
真実とは、所詮は人の意思に依存した記録に過ぎない。
では…記憶とは、何だろうか?
人の意思は、全て記憶に基づいて生まれるのではないだろうか?
記憶が無いなら無いなりの、相応の意思が生まれるはずだ。
だから、それが有るか無いかはさして問題ではない。
問題なのは、それが本当の記憶かどうかという事だった。
私は今までずっと本当の記憶を探し求めていた。
その先に何があるかは分からずとも、何かはあるのだと信じて。
だから私は彼に惹かれたのかもしれない。
記憶が無くても進み続けて、そして取り戻したという彼を。
――私の答えを、あなたなら見つけてくれると思ったから。
〜Ascension Throne Britannia/Zero Requiem Era:記憶の旅〜
全力で支援なのよ
支援
支援しました。
267 :
記憶の旅:2008/09/28(日) 17:45:13 ID:c3y+5C1V
§a.t.b.2018-7/15-????
エリア11という植民エリアでブラックリベリオンが起きてからしばらくの頃――
アーニャの下にライ、そして枢木スザクという名の二人が挨拶しに来た。
なんでも二人でブラックリベリオンの首謀者ゼロを捕らえ、その功績でラウンズになったとか。
スザクについては、余り気にならなかったというのがアーニャの本音。せいぜいナンバーズである事に驚いたくらいか。
もう一人のライという方は、まず目に付くのは美しくさらさらとした銀髪と整った顔。美麗かつ柔和な表情にはアーニャも多少好感を持った。
●
――ピピッ
小さな電子音にライは眉をひそめる。
――ピピッ
その表情に向け、再び電子音。
流石にライも気になって仕方がないというふうに息を吐き、呆れたように顔を上げた。
「アーニャ、邪魔をしないでと何度も…」
「邪魔はしてない。記録」
淡々とアーニャが返すと、ライは困ったように苦笑しながら指先で机の上の書類を叩いた。
「これ、君の分もやってるんだけど?」
「う……」
そう言われると立つ瀬がない。アーニャは渋々構えていた携帯を下ろした。
ここはブリタニア帝都ペンドラゴンにある本国の政庁の一室。ナイトオブラウンズであるライの部屋だ。
何の飾り付けの無い、照明だけが豪勢な造りの質素な部屋にはライとアーニャの二人だけ。
アーニャは部屋の端にあるソファで携帯を弄り、ライが書類仕事をこなすのを待ち続けていた。
何故、ライがアーニャの分までやっているかというと、アーニャはこの「書類仕事」が「集団行動」並に嫌いだからだ。
ちまちました作業は性に合わない。アーニャがそう言うと、
「携帯は好きじゃないか」
「むう……いいから早く終わらせて。暇」
「いや、終わったからって君に付き合うわけじゃ…」
支援
支援
270 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/09/28(日) 17:47:33 ID:U17aAeTX
支援
そしてなぜか保管庫が見れないっていうね
271 :
記憶の旅:2008/09/28(日) 17:47:54 ID:c3y+5C1V
ぶつぶつと文句を言いながらもライは作業する手を休めない。
何だかんだ言っても、結局は自分に付き合ってくれるのをアーニャは知っている。
何故ならば、
「恋人の頼みを聞いてくれないの?」
「それは………わかったよ」
渋々頷くライに、アーニャは満足そうに微笑んだ。
●
恋人。
そう、2人は恋人だった。
だが、恋人という言葉を使っておきながら、アーニャは未だにこの関係を納得できていない。
最初、会ったばかりの時は、先輩風をふかせて書類仕事をやるように命じただけだったのだ。今では毎度の事のようにライに任せているが。
都合のいい男。同じラウンズという身分であるにも関わらず、頼んだらほいほいと言う事を聞くライは、アーニャにとって異質だった。
断らないの?と何度目かの書類仕事を任せた時に聞いたら、「断らないよ」と笑顔で返された。
何となく、その笑顔を見ていると胸がもわもわするのを抑えられなくて、それまで以上にライに仕事を押し付けた。
だがそれは逆にライと一緒にいる時間が増えるという事。
その時からだろうか、ライに対する興味は、いつしか淡い恋心に昇華していたのかもしれない。アーニャはそれを絶対に認めたりはしないが。
アーニャとしては未だに納得いかないのだ。ライが好き、という事実が。
そもそも恋人となったきっかけを、アーニャは人生最大の汚点だと考えている。
●
恋人となったきっかけは、仕事を押し付ける量を増やしてからさらに後の事。
ライやスザクもラウンズとして、その実力が周囲に認知される程には時間が経っていた頃だ。
当時のライは基本的にアーニャにとって暇つぶしの対象であって、“変なやつ&便利なやつ”というカテゴリーは抜け出せていない。それは今でもそうなのだが。
どちらかというと、ジノやスザクの二人との方が仲が良かったくらいだ。別に彼らは好きでもなんでもないが。
支援
273 :
記憶の旅:2008/09/28(日) 17:49:24 ID:c3y+5C1V
ライは命令すれば何でも言うことを聞いた。初めの方はそれで良かった。しかし、何時までたっても断る事をしないライに、アーニャは苛ついた。
どうして断らないのか。何度もライに問いかけた。しかしライは言った。
「どうしてかな?」
まるで他人事のように。
「きっと、もう後悔したくないからだと思う」
もう後悔したくない。それはつまり、かつて後悔したという事なのだろう。
スザクも同じなのかもしれない。しかし、アーニャから見ればライの方はどちらかといえば、他人より自分を責めているようだった。
決して他の人に責任を押し付けたりはしない。自分の中にその業全てを背負っている。
それがアーニャは気に入らなかった。
自分の在り方を変えていきながら、それでいて決して本当の自分を出さない。
結局は、弱いのだ。過去の後悔に縛られながら、しかし立ち止まれず。だからふらふらと今を生きる。
だから断らない。
過去に囚われるというのは、アーニャと似たようでいて全く違った。
ライは逃げていた。現実からも、過去からも、未来からも。スザクは何かしらの信念があるから進める。しかしライにはそれが無い。
仮にあったとしてもそれは“誰かの信念”に寄りかかった信念だ。
だからアーニャはライを信用していなかった。もやもやする気持ちと同じくらい、ライに対する不満が積もっていた。
別に生き方を否定する事はしない。ただ、気に入らなかっただけだ。
そういう微妙な立ち位置を保ちながらもアーニャはライと共にいる事が多くなっていた。
そして――“きっかけ”が起きた。
支援!
支援
支援支援
277 :
記憶の旅:2008/09/28(日) 17:52:33 ID:c3y+5C1V
●
丘の上、パンツァーフンメルや固定砲台から砲弾が次々と放たれる。
重力に乗り、加速した弾丸は風を切り音を切り、ナイトメアの装甲を軽々と貫いていく。
サザーランドクラスなら、それで終わり。
しかし、モルドレッドにはその常識は通用しない。
飛来する破砕の力に、アーニャは淡々と告げた。
「実弾は、無駄」
両肩に大きく開かれたシールド発生装置が輝く。
ブレイズルミナス。
アーニャの言葉通り、薄い緑色のエネルギーの壁が全ての弾丸を弾き、着弾音以外を通さない。
それを見て一息、アーニャは進む。
「敵は――、」
ミサイルを撃ち、力でねじ伏せ、そして、
「――殲滅」
アーニャは指を掛けていたグリップを押し込んだ。
●
次の瞬間、両肩にあるシールド発生装置が前方で接続。
シュタルケハドロン砲と呼ばれるその力は、まさにモルドレッドの象徴となるべく轟音と共に顕現する。
赤黒い光の壁。E.U.の兵士にはそう見えたかもしれない。
それは光弾だ。縦横五メートルの光弾は一息で数百メートルの地面を穿つ。
光弾は悲鳴のように大気を軋ませ、障害を叩き伏せ突き進む。
ぶつかった地面も機体も何もかもが、飛沫と爆砕をもって消えていく。
アーニャは機体を横に向ける。光の帯はアーニャの視線の先全てを通り過ぎていき、破壊する。
後に残るのは、無。何もない。
陽炎と爆煙の中、光の発射点にあった紅の機体、モルドレッドはその虚無の空間を進み出した。
支援
279 :
記憶の旅:2008/09/28(日) 17:54:11 ID:c3y+5C1V
●
「弱すぎ」
アーニャの言葉通り、圧倒的な力の差がそこにはあった。
すぐに次の敵が現れるが、アーニャは同じように対処する。
フロートで上空から狙い打ちをしても構わないのだが、それでは敵も離れていき殲滅に時間がかかる。
どのみち相手の攻撃はこちらの防御を崩せない。
だからアーニャは特に躊躇せず、敵陣に突入していく。
目指すは丘の上。
『アーニャ!前に出すぎだ、下がれ!』
突然大きな声で通信が入った。ライだ。疎ましく思いながらもアーニャは返す。
「別にこれくらい、何ともない」
『アーニャ!!指揮をとっているのは僕だぞ!』
「うるさい」
そう言ってアーニャは通信を強制的に切った。
(ライのくせに…)
イライラした感情をそのまま敵にぶつける。指揮をライに任せた事をアーニャは後悔した。アーニャのやること成すこといちいち注文を付けてくるのだ。
普段なら言う事を聞くくせに、何故か今回は自分に命令までしてくる。その事がアーニャは気に入らない。
(ライのくせに…!)
アーニャはモニターを見る。ライはモルドレッドより遥かに遅れた位置で、アーニャが撃ち漏らした敵を丁寧に倒している。
正確な狙撃と素早い格闘戦で確実に仕留めていくその姿は見事だと言えるが、そんなちまちました戦い方はアーニャは嫌いだ。
何よりも、とアーニャは視線を横に向ける。他の部隊は更に先に進んでいるのだ。
この戦いにおいて、アーニャの第一の関心はそこにあった。
『どの部隊が一番早く丘の上の本陣にたどり着けるか』
支援!
支援
支援
283 :
記憶の旅:2008/09/28(日) 17:57:06 ID:c3y+5C1V
ここの部隊とは、ラウンズを3つに分けた部隊だ。
1つ目は右翼を担当するジノとノネット。実力的にはラウンズの中でも高レベルの2人が組めば、並の敵では歯が立たない。機動力も高いので、次々と敵陣を制圧していく。
2つ目は正面を担当するスザクとルキアーノ。性格的な相性は最悪だが、この2人の高速格闘戦に敵の機体は全く付いていけない。
そして最後は左翼を担当するアーニャとライ。モルドレッドの高範囲殲滅能力とクラブの狙撃能力で、互いの短所を補ったコンビネーションが重要となる部隊だ。
これらが三方から同時に上陸し、エル・アライメン戦線を突破。突破が不可能な場合は混乱を作る。後ろにはシュナイゼル率いる主力部隊も控えているのだから、それほど焦る必要もない。
しかし、その作戦の前段階で、ルキアーノが勝負をしようと言ってきたのだ。
ジノは勿論、アーニャもこれに乗った。
ルールは敵本陣までの競争で、ビリの者が全員に奢るという単純なもの。別に金銭的な問題は無いが、ラウンズとして勝ちを譲る訳にはいかない。
何よりこれはアーニャにとってチャンスであった。最年少という事で自分を低く評価している者達を見返す事ができる。
(ライだって、結果を出せば文句は言えないはず…)
ライに見せつけてやる。自分の力を。
だから、
「負けない」
アーニャは前へ進む。
元々全てを倒す必要は無い。混乱を作り、適当に陣形を崩していけばいいだけだ。
アーニャの機体制御は完璧だ。重い機体に振り回される事無く、最速の形で突破する。
次々と襲い掛かってくるパンツァーフンメルをあしらいつつ、アーニャは敵本陣のいる丘の上を目指し進み続けた。
●
エル・アライメン戦線のちょうど中間辺りまでやってきたところだろうか、気が付けばアーニャはジノやルキアーノ達に追いついていた。
「やった」
このままいけば勝てる。汗を拭いつつそうアーニャが思った時、レーダーが警告音を放った。複数の点がモニターに表示される。
支援
支援
286 :
記憶の旅:2008/09/28(日) 17:58:46 ID:c3y+5C1V
「え?」
アーニャが疑問の声を上げた瞬間、何かが音速に近い勢いでモルドレッドに衝突した。
「きゃっ!」
機体を激しい揺れが襲う。
急ぎブレイズルミナスを展開し防御するが、それすら飲み込む勢いで数十発の砲弾が丘の上から一度に降り注いできた。
(なに…?)
見れば、丘にいくつもあるトーチカの陰から、巨大な砲が向けられていた。
数機のパンツァーフンメルを土台にした、移動可能な巨大リニアカノン。
見る者が見れば、こう思っただろう。超電磁式榴散弾重砲、“雷光”だと。
ナイトメアを利用した移動砲台は珍しい物ではない。
ナイトメアの基本は地形を無視した移動にあるから、それを戦車化するのは本末転倒ではあるが、しかしナイトメアそのものが発達してないとこうなる。
設計そのものはデタラメではあるが、巨大なリニアカノンから放れる榴散弾は脅威的な威力を誇る。
事実、アーニャは知らないがブリタニア軍も鹵獲した雷光を“サンダーボルト”と称し使用した事もある。
「これくらい…」
しかしアーニャは引き下がらない。ブレイズルミナスを展開し、真正面から防ごうとする。
だが質量が今までと違いすぎた。長大な砲身から放たれる一撃は、次の瞬間にはブレイズルミナスにぶち当たり、飛沫となって弾ける。
衝撃は機体を軋ませ、モルドレッドを押し込む。かろうじて一つをミサイルで撃破するが、次々とそのリニアカノン持ちの機体がやって来る。
基本はトーチカの陰に隠れているので、近づかないと撃破は難しい。ハドロン砲は撃たせてもらえない。
「くっ……」
アーニャは悔しさを滲ませる。あんなもの、ミーティングの時の説明には無かった。
しかし今、超新地旋回を利用し絶妙な距離をとりながら、長大な砲筒群がこちらに大量の砲弾を放っているのが現実だ。
今まで隠していたのか。だからと言って全くの無警戒で突っ込んだ自分も悪い訳で、アーニャは下唇を噛んで後退しようとする。
しかし、そこでまたもやレーダーが警告音を鳴らした。
「今度はなに?」
アーニャは再びモニターを見る。表示されたそれは、
「航空戦力…?こんな時に…」
なんと、E.U.の爆撃機が迫っていたのだ。
支援
支援
289 :
記憶の旅:2008/09/28(日) 18:01:35 ID:c3y+5C1V
リニアカノン部隊を先陣に、攻勢に出るつもりなのだろう。モルドレッドが突出し、穴ができた所を狙われた。
流石にモルドレッドでも、空爆にはそう耐えられる物ではない。ブレイズルミナスは機体を完全に包囲できるものではないからだ。必ずどこかに隙ができる。
「ちっ…」
アーニャは思わず舌打ちした。榴散弾がモルドレッドに次々と命中する。
おかげでフロートシステムが安定せず、地上に押さえ付けられているのだ。
(抜け出せない……!)
苛立つアーニャに、無情にも三度目の警告が浴びせられた。
「まだ何か来るの!?」
アーニャの声に徐々に焦りの色が出始める。
後方からパンツァーフンメルが迫ってきたのだ。元々射撃に重きをおく機体なので、少し離れた位置から火砲で攻撃してくる。
(ちゃんと倒してからくればよかった)
そう思っても、もはや後の祭り。
ミサイルで応戦するもすぐに弾切れを起こす。
「くぅ……」
アーニャは唸るように声を出す。失敗した。その事実が重くのしかかる。
呼吸するのも億劫になるほど緊迫した、そんな八方塞がりの状況を、何とか脱しようと機体を滑るように移動させる。
しかしアーニャの頑張りも虚しく、爆撃機がモルドレッドの上空に到着した。
(来る……!)
アーニャは身構える。
まず最初に来たのは、音だ。
気の抜けるような軽い音と共に降ってきた爆弾は、次々と地面に落とされる。
そして爆発。
閃光と風が波となって押し寄せる。
「くぅ……ぅあっ…!」
機体を傾けブレイズルミナスを上に向け展開するが、衝撃は受け流せず、機体が縦へ横へとがくがく揺らされる。
ただただ爆撃に耐えるのみ。
背中に伝う汗が気持ち悪く感じる。息も荒くなり、集中力がすり減らされていく。
支援
291 :
記憶の旅:2008/09/28(日) 18:02:52 ID:c3y+5C1V
だがアーニャに諦めという考えはない。ラウンズたるもの、この程度の窮地で敗れる訳にはいかない。
焦りはある。意地もある。憤りもある。
それらはアーニャの力を引き出す糧にはならない。別の思考が入り込む度、操縦する動きが鈍る。
だが、それを背負ってでも勝利するのが自分だ。
(負けない…!)
そしてアーニャが反撃に転じようとしたその時だ。
モルドレッドの横を、光が走り抜けた。
●
「え?」
モニターの、敵機を表す赤い点が一つ消えた。一つ、また一つと消えていく。
アーニャは慌てて上空を見ると、次々と緑白色の閃光が爆撃機を貫いていた。次々と次々と次々と次々と。
下から上へ突き抜ける閃光が、物凄い勢いで敵を減らしていく。
この閃光には、アーニャは見覚えがあった。
「これ、ヴァリス。……ライ?」
しかしレーダーはライの乗るランスロット・クラブを捉えていない。
つまりライはこちらの索敵外から狙撃しているという事。それなのに、ヴァリスの閃光が外れる事は無い。
今もアーニャの目の前でリニアカノンが破壊された。
(…………)
アーニャは恐る恐る通信の回線を開いた。すると、
『アーニャ!』
「ひぅっ」
怒りの形相を隠そうともせず、ライが怒鳴りつけてきた。
アーニャは思わず目を瞑る。
『何をやってるんだ!!』
「えと……その…」
言うべき言葉が見つからない。
支援
293 :
記憶の旅:2008/09/28(日) 18:03:53 ID:c3y+5C1V
『……もう十分混乱は引き起こした。他のラウンズも下がる。君も早く撤退しろ。援護するから』
「でも…」
『アーニャ、早く下がるんだ』
「……………わかった」
『よし』
有無を言わせぬライの声色に気圧され、アーニャはこくんと頷く。
それを確認したライも頷き返してから通信を切る。
色々と言いたい事はお互いにあったが、まだ危機を脱した訳ではないのだ。
そして今度こそ、アーニャはライの指示に従って撤退を開始した。
支援!
支援
296 :
記憶の旅:2008/09/28(日) 18:05:09 ID:c3y+5C1V
§a.t.b.2017-9/30-13:07
パシィン、と格納庫に大きな音が響いた。
「馬鹿か君は!!」
「っ…」
アーニャは叩かれた頬を押さえながらライに反抗的な視線を向ける。
しかし失敗した手前、何も言い返せず唇を噛むことしかできない。
「戦争を舐めているのか!」
「別に、そういう訳じゃ…」
「なら何故僕の指示を聞かなかった!」
「それは…」
アーニャはもごもごと言い淀んだ。事実、相手を舐めていたのだからしょうがない。
それに加えてルキアーノ達との勝負の話までしたらさらに怒られてしまう。
だからアーニャは黙る事を選択した。
(でも……)
そんなに怒らなくてもいいではないか、とアーニャは思う。
ライが遅いのが悪いのだ。だから……と、ライの怒りにアーニャは不満を募らせて、目尻に涙を浮かばせた。
それを見たライは一瞬苦虫を潰したような表情をし、
「……もういいよ」
「え?」
突然、今まで怒っていたライが諦めたように首を振って、身を翻した。
「とりあえず、ちゃんと反省しなよ。明日の作戦ではちゃんと指示に従うように」
「…………」
ライはそう言って歩いていく。アーニャはライの言葉に慌てて頷くが、ライはその様子を確認する事なく去っていった。
アーニャはきょとんとした表情でその背中を見つめ続ける事しかできなかった。
(どうして……?)
ライは叱るのを止めた。しかし、許してはくれなかった。
支援
あれ、ちょっと待って書き込まれて無いのがあるかも
え? 支援
ともかく支援
ああ…エル・アライメン戦線が急に始まってる……何故かここだけ飛んでるけど、まあいいや続けます。
§a.t.b.2017-9/30-13:07
を
§a.t.b.2018-4/15-13:07 に変更
支援
303 :
記憶の旅:2008/09/28(日) 18:14:15 ID:c3y+5C1V
別に許して貰わなくてもいい、と最初は考えていたが、いざ見捨てられると居心地が悪い。
(……見捨てられる?)
アーニャは自分の中に浮かんだ単語に驚いた。見捨てられるとは、どういう意味か。
わからない。答は出ないが、しかし胸はむかむかする。
自分の掴みきれない心に動揺して、アーニャはそこに立ち尽くす事しかできなかった。
●
「むう……」
アーニャはモルドレッドに寄りかかっていた。
幸いモルドレッドに大した損傷もなく、またE.U.への上陸作戦も成功したらしい。
これでE.U.が倒れる、という程戦争は甘くはないが、とにかく作戦は成功したのだ。
「むぅ……」
しかしアーニャの機嫌はすこぶる悪い。
理由はライだ。ライに怒られる事自体は何度かあった。まあどれも些細な事で、アーニャも内容は覚えていない。
(あんなに怒ったライ、初めて見た…)
思えば、怒る以前に、あれ程我を見せたライが初めてだった。
(反省、してるもん…)
勝負の話をしなくても済んだのはラッキーだ。あの時のライなら、もう一度叩いてきたかもしれない。
アーニャはそっと自分の頬に手を添えた。叩かれたのは左の頬。そこを中心に、ピリッとした痛みが走る。
ライが去った後、側で見ていた整備士達が救急キットを慌てて持ってきたが、アーニャは治療を拒んだ。理由は自分でも分からない。
「痛い……」
単純な傷の痛みではない。
心が、悲鳴を上げていた。
去るときのライの表情が忘れられない。
失望。
一言で表せるとは思えない複雑な表情であったが、アーニャはとりあえずそう判断した。
その表情が、胸に突き刺さって離れない。
(嫌われた……?)
ふと思った瞬間、アーニャは足場が無くなったかのように崩れそうになった。
支援
305 :
記憶の旅:2008/09/28(日) 18:15:37 ID:c3y+5C1V
今まで散々嫌われるような事をしてきた。だが、ライは笑ってアーニャのわがままを受け止めてくれた。
だが、今回は?
「笑ってなかった……」
それは本当にアーニャを許してないという事だ。
別にアーニャはライに嫌われたってどうだっていい。
そう、思っていた。
だがこれは何だ。アーニャは胸を押さえつける。嫌だ。ライに嫌われるのは嫌だ。そう感じた。
唇がカサカサに、目の奥がチリチリと焼けるように熱くなる。
「…あっ……」
目尻に涙が溢れそうになるのをかろうじて堪える。
「……ライっ…」
嗚咽するように吐き出された言葉は、アーニャの心に何時までも響いていた。
●
それからたっぷり一時間。アーニャはずっとモルドレッドに寄りかかって黙ったままだ。
「………」
結局、アーニャは思考の迷路にはまって抜け出せずにいた。
ライに嫌われたくない。それは分かった。
これからも同じラウンズとして組む以上(何故かアーニャはライと組む事が多い)、仲違いをしていては任務に影響が出る。という言い訳つきだが。
それに加えて問題もある。嫌われないためにどうすればいいか。それがアーニャには分からない。
「謝る」
一番最初に思いついたのはこれだ。だがしかし、
(私が、ライに謝る……?)
それはもっと嫌だと思った。
確かに非は完全にこちらにあるが、何よりも今までの関係から、自分がライに謝るという行為をする事が想像もつかない。
「どうしよう…」
アーニャが悩んでいたその時、
「お、なんだアーニャここにいたのか〜」
「ジノ……どうしたの?」
支援!
支援
308 :
記憶の旅:2008/09/28(日) 18:17:14 ID:c3y+5C1V
ジノがアーニャの下へやって来た。
そして、「どうしたの」という疑問はジノがここに来た事ではない。
ジノの顔が痣だらけであったのだ。痛々しい、というよりもはや笑いがこみ上げるほど腫れ上がっている。
顔だけじゃなくて他にも痛めているのか、心なしかジノの足取りもヒョコヒョコしている。
「どうしたのって……アーニャはやられなかったのか?」
「え?」
「帰って来るなりライに問い詰められてさ。勝負の話をしたら、もうルキアーノと一緒にボコボコにされた」
「私の事も喋ったの?」
「そりゃあ、まあ」
肩をすくめて言うジノに、アーニャは舌打ちした。
余計な事を。これでライに勝負の話がバレてしまい、謝る必要がまた出てきた。
(また叩かれるかな……)
そう考えると、やはり謝るのは嫌だ。しかし、このままうやむやにすれば、本当に嫌われる事になる。
意地っ張りだな、とは思う。だがアーニャは素直に謝る事を知らない。生まれた地位も関係あるが、そういう性格なのだ。
「あれ……?」
「いや〜肋骨にひびが入ったみたいだ〜。あんなに殴る事ないよな。めちゃくちゃ怒ってたけど…ってアーニャ、聞いてるか?」
ふと、気付いた。ジノがしきりに訴えかけてくるが、耳に入らない。
ジノの言った事を思い出す。
―――帰って来るなりライに問い詰められてさ。
(帰って来るなり……?)
アーニャがライに怒られたのは、帰還してから数十分後の事であった。
その時は、作戦についての報告をしてから戻って来たところだろうと思って別に大して気にならなかったが…。
(じゃあ、ライは…)
……勝負の事を知っていた?
アーニャは愕然とした様子で口をぽかんと開いた。
「アーニャ?」
ジノが呼び掛けてくる声が、アーニャの耳の奥で木霊する。
(知ってて……だから…)
叩かれた頬に触れる。
支援
支援
311 :
記憶の旅:2008/09/28(日) 18:19:31 ID:c3y+5C1V
ライが理由も聞かないまま叩くような人ではないのは知っていた。
いつもへらへらして、でも、絶対に折れない真っ直ぐな瞳。
あの時、ライは何を訴えていたのだろう。アーニャには分からない。そんな考えをした事がない。
でも、
(でも……!)
次の瞬間、アーニャは行動を起こすために、モルドレッドの方に振り向いた。
●
様子のおかしいアーニャにジノが不思議そうに声を掛けた。
「おーい…」
しかしアーニャはその声を無視して、ジノに背を向けた。
(ライといいアーニャといい、私がいけないのか…?)
釈然としないまま、ジノはアーニャを見守る。
そのままアーニャがモルドレッドに顔を向けてから数刻が過ぎた。
「アーニャ?」
たまりかねて呼び掛けたジノを再び無視し、アーニャは頭を振り被り、モルドレッドに頭突きした。
ごん、という鈍い音が格納庫中に響いた。
ジノも思わず目を瞑る。「痛っ!」と自分の事のように頭に感覚が走る。
そしてアーニャはそのままモルドレッドに身を預けるように倒れ込む。
へたり込んだアーニャを慌てて起こそうとしたところで、ジノは気付いた。
アーニャの体が、ひくっひくっと痙攣しているのだ。
いや、痙攣とは少し違った。
「アーニャ…泣いてるのか…?」
ぴくり、とアーニャの震えが止まった。
「頭痛い…」
アーニャはむっくり起き上がって、頭に手をあてながらそう言った。
ぐずぐずと鼻を鳴らし、目からは大粒の涙を流しながら。
「も、モル…ドレッド、ひくっ……にぶつかっ…たから…痛い…だけ…ひくっ」
「…あ、ああ。そうだな…大丈夫か?」
支援
支援
314 :
記憶の旅:2008/09/28(日) 18:20:52 ID:c3y+5C1V
聞いてもいないのにアーニャは説明し始める。そうしている間にも、涙は次々に溢れ出る。
何となく、本当に何となくな気持ちで、ジノはアーニャに話を合わせる。
空気を読む、というのはスザク同様苦手であると自負するジノだが、流石にここでふざける気にはなれない。
(こんな表情するなんてな……)
アーニャの口から紡がれる言葉は、嗚咽まじりでありながら心に響くように伝わってくる。
「ら…ひぐっ……ラィ…ライは…どこ?」
「部屋にいるはずだ」
「分かっ……た」
しどろもどろになりながらアーニャはそう言って、ふらふらとした足取りで歩き出す。
そして2、3歩ほど歩いたところでジノは「アーニャ、」と呼び掛けた。
「なに……?」
振り返らずにそう返事をするアーニャをしっかりと見据え、ジノは笑顔を作った。
たとえこちらの表情はアーニャからは見えなくとも、そうする事に価値があると彼は信じたのだ。
「ごめんなさいって言えばそれだけでいい」
「………ほん…とう?」
「ああ。後は自分の気持ちを伝えればいいんだよ。ライは甘いから、アーニャなら簡単に許してくれるさ」
「…………」
「頑張れ」
「………うん」
次の瞬間、アーニャは駆け出した。
その背中をジノは見つめ続ける。頭の中に広がる思考は深い。
決してしっかりと頷いた訳ではない。未だにジノの方は向かない。励ましたのに、お礼も無しだ。
だが、ジノは思う。
アーニャは最後に、ちゃんと頷いた。
それがアーニャ。そしてそれを見守るのが仲間である自分だ。
ただの貴族では手に入れる事のできない物を自分は手に入れた。言葉にするのは難しいが、確かに手に入れたのだ。
今、きっとアーニャはそれを手に入れようとしている。
口数の少なかった同僚。しかし、ライが来てからは違った。
本人は嫌っているようだったが。彼女が話す事は決まってライの話だ。誰もがアーニャの変化に気付いていた。アーニャ自身以外は。
支援
支援!
317 :
記憶の旅:2008/09/28(日) 18:21:49 ID:c3y+5C1V
(……明日からはもっと楽しくなるかもな〜)
アーニャの変化のきっかけになれたと思えば、この程度の痛み何ともない。
ジノは格納庫から走り去るアーニャの背中を見えなくなるまでずっと見つめ続けていた。
「あ〜…でも、やっぱり痛いかも」
支援
§a.t.b.2018-7/15-????
「はい、終わり……じゃあ行こうか」
「うん」
アーニャが未だ納得できない命題に頭を悩ませている間に、ライは書類仕事を終わらせたようだ。
もっとライを撮りたかった、という思いに気づかない振りをしてアーニャは頷く。
「それにしても…アーニャは何でそんなに記録するのが好きなんだ?」
「……よく、わかんない」
ライの疑問にアーニャは首をかしげる。
実際、理由はあるようでいて無い。
記憶。自分の途切れる記憶が問題だ。だが、とアーニャは思う。
(記録して…それでどうなるの…?)
どうにもならない。そもそも8年前の日記という記録に対し、自分の記憶が無いのだ。
だから、今自分が行っている行為に意味は無いのかもしれない。
だけど、していずにはいられないのだ。
「そっか」
「え?」
ライが簡単に納得してしまったのを見て、アーニャは更に首をかしげた。
ライはいつもの穏やかな笑みを浮かべながら外出ためにマントを羽織った。ラウンズの証を。
そんなライの様子に、アーニャは思わず聞いてしまう。
「気にならないの?」
「へ?」
とぼけた様子で要領を得ないライに少しイライラする。声が大きくなるのを抑えきれない。
「ライが聞いたのに。私が記録する理由」
「だって、アーニャにもよく分からないんだろう?」
「そうだけど…」
そうだけど、そういう事じゃない。
もっと気にして欲しいだとか、でもいちいち気遣いを受けるのは嫌だとか、そういう類の思考で頭が混乱する。
支援
321 :
記憶の旅:2008/09/28(日) 18:25:31 ID:c3y+5C1V
「ふむ…」
「?」
アーニャが悩んでいると、ライはいつの間にか目の前に立っていた。
顎に手を当てて、じっとアーニャを見下ろしている。
何やら考えているようだ。
「なに?」
「ん、ちょっとね」
ライはそう言ってアーニャの脇に手を掛けて、すっと持ち上げた。
「ら……ライ!」
じたばたと抵抗するアーニャにライは、
ちゅっ
と軽くついばむように唇を重ねた。
柔らかいとか、温かいとか、その他もろもろの感触を味わう間もなく離れていく。
後に残るのは微かな余韻と、爆発したように驚くアーニャ。
「!!?!」
顔を真っ赤に、目を白黒させ動揺するアーニャをライは笑いながら降ろした。
アーニャは、そんなライから高価な絨毯を音が出るほど擦りつつ後ずさる。
その様子にノネットのようにけらけらとライが笑い声を上げる。
「あはは。アーニャ、顔が真っ赤だよ」
「ら、ライ…が……変な事するから」
「また告白の時の事考えてたんだろう?」
「う……」
「図星か」
嬉しそうに顔をほころばせるライ。
その表情が可愛い、とアーニャは思う。
可愛いと言うとライは若干ショックを受けるし、何よりも自分が恥ずかしい思いをするのだから、絶対に言わないが。
しかしそんなアーニャの気を知ってか知らずか、ライはにやにやと笑みを浮かべながら外出の準備を進めていく。
支援
323 :
記憶の旅:2008/09/28(日) 18:26:59 ID:c3y+5C1V
アーニャは黙ってライを待つしかできない。
「いや〜、あの時のアーニャは凄かったな…」
「うぅ……」
アーニャはできるだけライに対して優位な立場でいたいと考えている。
どんな状況でも自分はライの上でありたいのだ。それは恋人になってから更に強く感じるようになったが、逆に恋人になってからこういう隙が出るようになった。
「ぼろぼろと泣いて……後でジノに聞いたけど、モルドレッドのせいにしたんだよね」
「うぅ〜…」
だからアーニャはこの力関係は非常に嫌う。
アーニャもからかう、という行為ができたらと何度も思うが実行できた事は無い。
しかも、こうやって構ってもらえる事を喜ぶ自分がいる。
先ほどのキスはライからだが、基本的にはアーニャからねだってする程、アーニャはライに甘えている。
その事実が、アーニャは気に入らない。
(何で……私はライなんかを好きになったんだろう…?)
「嫌いにならないで……だっけ?」
「ライ!」
ついに我慢できなくなったアーニャはライに飛びかかる。
それをライは笑いながら受け止め、そして2人は重なった。
何の見栄えも無い部屋に溢れる2つの笑顔。
2つの幸せ。2つの愛。2つの記憶。。
これは2人の記憶の旅の、ほんの1幕。
幸福と愛を絡み合わせ、2人は記憶を紡いでいく。
いつまでも、どこまでも。
――願わくば、2人の愛は永遠に
支援!
325 :
記憶の旅:2008/09/28(日) 18:28:17 ID:c3y+5C1V
記憶の旅U〜The everlasting〜
「とまあ、こんな風にアーニャは可愛かったんだよ」
父は一息ついて、机にあるカップに紅茶を注ぐ。
「おかあさんはテレやさん?」
ナナリーの問いに、紅茶で喉を潤した後父は頷いた。
「そう。それなのに甘えん坊なんだ」
「甘えんぼうはナナリーといっしょ?」
「そうだね。まあ、アーニャは今でも甘えん坊なままだけど」
「うん!おかあさんはおとうさんに甘えてばっかり!」
「本当にそう思うよ。……まあ、そこが可愛いんだけど」
(こんなこと、お母さんに聞かれたらどうするんだろう……)
黙って会話を聞いていたルルーシュはそう思った。
照れ屋な母の事だ。父に何らかの制裁を加えるだろう。少し楽しみであったりする。
「ルルーシュ」
「な、何も言ってないよ!言わないし!」
「おとうさん、つぎは〜?」
「はいはい、次はね……この頃のアーニャお母さんのお話だ」
(ほっ……)
しかし、父が話し始めようとしたところで、ドアが開いた。
「ライ様、お時間でございます」
庭師のジェレミアだ。
歪な仮面を左顔面に付けた、謎の庭師。
何故か自分とナナリーにはとんでもなく優しいのを、いつもルルーシュは疑問に思ってる。
「そうか……じゃあジェレミア、後よろしく」
「は?」
支援
支援
328 :
記憶の旅:2008/09/28(日) 18:30:04 ID:c3y+5C1V
首をかしげるジェレミアに、父はアルバムを渡した。
「思い出話。ルルーシュが生まれた頃の話でもしてやってくれ」
「は!?」
そう言って父は部屋を後にした。
残されたのは、ルルーシュとナナリーとアルバムを手に呆然とする庭師。
ナナリーはとことこジェレミアの側に寄り、
「次のお話〜」
「む!?」
非情にもナナリーのお願い攻撃がジェレミアに繰り出される。
慌てて彼はルルーシュに助けを求めて視線を向けるが、
「ナナリー、呪文だ」
「うん!」
「ルルーシュ様!?」
ジェレミアは叫んでばかりだな、と苦笑しつつ、ルルーシュはナナリーと共に父から教わった呪文を紡ぐ。
「ルルーシュ・アールストレイムが――」
「ナナリー・アールストレイムが――」
そこからは声を重ねる。もうジェレミアは先が分かっているのか、顔面をひきつらせていた。
「「――命じる。お話しして!!」」
その言葉を聞いたジェレミアは、うなだれて言った。
「イエス、ユア マジェスティ……」
支援!
色々トラブったけど、これで投下終了よ!
読んでくれてありがと。一応礼を言っておくわ。
ふぇ?もう一度?い、言うわけないじゃない、ばか!
……え?支援してくれた人にも言わなきゃだめ?
分かったわよ、もぅ…………だいすき。
……な、何でもないわ!ありがとって言っただけじゃない!ちゃんと聞いてなさいよね!ふん!
〜Ascension Throne Britannia/Zero Requiem Era:記憶の旅〜
【a.t.b.2017】
12/〜 <ブラックリベリオン>
【a.t.b.2018】
☆4/20 エル・アライメン攻防戦:The everlasting
告白?:????
☆7/15 仕事終わりの一時:The everlasting
【a.t.b.2019/z.r.e.1】
???? ゼロレクイエム
【a.t.b.2030/z.r.e.12】
4/5 アルバム:LOVE & HISTORY
>>330 GJ
アーニャと同じくらい卿がかわいく見えたのは多分俺だけでしょう
さて、40分より投下大丈夫でしょうか
あ、エル・アライメン4/20だた…
なんか色々変だがそのうちテキストファイルで訂正しますね。
パソコンが直ってから……orz
オール・ハイル・もっふー!
>>330 なんでツンデレやねん!
ピンクもふもふ卿、GJでした!
アーニャよりもジェレミアが出てきて嬉しかった異端な俺。
というかライが話をしてるのにアーニャ視点な謎。
でもアーニャが可愛いから気にならない。
次回は語り手、ジェレミアですか? 期待せざるを得ないです!
貴公の次の投下を挙げて全力でお待ちしております!
>>330 乙でGJよ!
投下してくれてありがとうなんて言わないんだからね!
ちょっとアーニャ可愛すぎよ!なんなのこの子!
素直になれないからってモルドレッドに頭突きなんて!
何気にジノがいい感じで株が急上昇よ!
子ルルと子ナナの呪文と庭師オレンジに涙がぶわって。ぶわって。
この口調で書くとツンデレっていうより、オネエに見えるのはなんでかしらね!
次回の投下も楽しみにしていてよ!もう一度、GJ!
鳥間違ってないかな…?
それでは投下しますね
注意点
・最終回の感動に合わせて大丈夫かよくわからないギャグ
・ライが空気になりつつある件
・ドロデアさんのイメージ崩壊注意
・ノネットさんはどこですか
・後のこりのツーとファイブとエイトはどこですか
・カップリングはライアニャモニカ
・タイトルは円卓戦争
・保管庫の円卓会議の設定をフル活用してます
支援
337 :
円卓戦争:2008/09/28(日) 18:46:32 ID:/4xxO4AQ
二人の、少女が居た
一人の少女の名前は、アーニャ・アールストレイム
もうひとりの名前は、モニカ・クルシェフスキー
内気なブログ少女と、明るく元気な少女
ナイトオブラウンズの番号は、6と12とかなり離れている
正反対の性格・番号だが、いくつかの共通点があった
番号がかけ離れているとはいえ、ナイトオブラウンズであること
CVが後藤邑子(代表作:ハ○ヒのみ○る Q○Aのリ○ル)であること
そして―――共に同じ相手が好きであること
支援!
「あー超お腹減ったし♪」
「ジノ、気持ち悪いよ」
「ちょ、少しイメージチェンジしただけなのに!ライ、お前酷くないか!?」
「…もうすぐ会議の時間なんだから少しは静かにしたほうが…」
「わかってるってスザク、…しかし、今回もまた集まりが悪いな…」
「…いつもの事って言うしか無いのが…ねぇ…」
PM 13:50分
この日、ナイトオブラウンズはちょっとした会議がある
…お菓子を食べて近況報告をするというどうでもいい会議だが
というか最早井戸端会議のレベルである
「…おはよう、ライ、スザク」
「…おはようの時間じゃないような気がするけど、おはようアーニャ」
「って、俺は!?」
「…ああ、居たの」
「ひでぇ!」
「…相変わらずジノに手厳しいね」
「スザク!何か言ってやってくれよ!」
「…でもそれでいい気もしてきた」
「スザクぅ!」
こんな光景も特に珍しくは無い
頬を染めて、挨拶をするアーニャ、それに答えるライ
ハブられるジノ、気づかぬまま止めを刺すスザク
…幸せな、毎日であった
支援
支援
342 :
円卓戦争:2008/09/28(日) 18:49:36 ID:/4xxO4AQ
「ラーイー!」
「…ってうわっ!…だから毎回毎回突進してこないでよモニカ…」
「えぇー…楽しいのに…」
「…やりすぎなければいいと思うよ、モニカ」
「つまりやりすぎなきゃいいのね!ありがとうスザク!」
「…俺は完全に無視か」
「あら、居たの…ジーノ」
「『ー』は要らねぇっての!」
少女が突進をして抱きついてくるのに、全く慌てないライ
これが天性の女たらしというものなのか、某姫(男)みたいに撃墜されて宇宙に散れ
…いや、だからこそ、少女たちは精一杯のアプローチをするのだが
そして
「(ガチャッ)ん、もう来てたのか」
「こんにちは、ノネットさん」
「よぉ、ライ」
「ルキアーノさんまで…ってあれ?ヴァルトシュタイン卿は?」
「ビスマルク?…さぁ?」
「定例会議に遅れるなんて珍しいな…ヴァルトシュタイン卿なら大抵1時間前には来てるってのに」
「…ついに倒れたか?」
「…ありうる」
「…人を勝手に病人にするな!」
「「うぉあっ!?」」
支援!
344 :
円卓戦争:2008/09/28(日) 18:51:14 ID:/4xxO4AQ
遅れて入って来たのは、ノネット・エニアグラム…とルキアーノ・ブラットリー
そしてナイトオブワンであり会議の主催であるビスマルク・ヴァルトシュタイン
三人ともラウンズの中ではかなり古株に入る人間だ
特にノネットはもう…うわなにをするやめ
「…で、ドロデアは来てないのか?」
「さぁ?また自宅警備でもしてるんじゃないのか?」
「…というか、本人の目の前じゃないからって酷いですねそれ」
「そうですよ、また多分ネットゲームをしてるだけですよ」
「スザク…フォローになってない」
「…しかし、あいつは約束は果たす人間だ…」
「…ヴァルトシュタイン卿、それがどう関係あるんですか…?」
「…よくわからんが約束の人物が働き始めたのだ」
「…なるほど」
「…そこでだ、モニカ、ライ、すまんがドロデアを呼んできてくれぬか
多分いつもの部屋に居るだろうしな」
特に変なところも無い普通の会話だが、意味は全く違う
何故なら…
(…こんなところか?)
(いいねぇいいねぇ、最っ高ですよヴァルトシュタイン卿。これで条件はクリアされたも同然)
(ありがとうございます!ヴァルトシュタイン卿!)
こういう考えの人間が3人居るからである
支援
346 :
円卓戦争:2008/09/28(日) 18:53:05 ID:/4xxO4AQ
発端は、丁度モニカの相談にルキアーノとビスマルクが乗っている時の事
『…ライが、好き…と?』
『青春してるねぇ…』
『…で、でも、…いくらアプローチしても、全然気づいてくれなくて…』
『まぁ…ライは仕方が無いか…』
『ギャルゲの主人公だからな…』
『そんなメタ発言しないで、何かいい方法とかは無いんですか!?』
『…なら、ドロデア卿にも協力してもらおうか』
『…?どういうことですか?ブラットリー卿』
『上手く二人きりになる口実を作ることが出来る
その時に…告白、するとかだな』
『こ、告白!?…で、でも…今の関係を壊したくないし…』
『…そういえば、アーニャもライの事が…』
『ふぇっ!?』
『…いい具合にトライアングラーしてますねぇ…』
そして、現在
(…アーニャには、負けない!)
(青春というものは見ていて飽きないねぇ…)
(…マリアンヌ様とライが接触しては不味いからな…色んな意味で)
一人はただ単に楽しんでいるだけ、一人は主君に対する忠義でこの恋路を応援している
しかし、条件はクリアされた。後は、思いを伝えるだけである。
…だが、そうは行かなかった
支援!
348 :
円卓戦争:2008/09/28(日) 18:54:16 ID:/4xxO4AQ
「…私も…行く」
(何ィ!?)
(…アーニャって、こんなに積極的だった…?)
(マリアンヌ様?…ではないか、…まさかッ!)
(…クククッ、慌てふためいているな…)
(ノネットすげぇ!何でわかるんだ!?)
(ルキアーノの様子がおかしかったからだ、いつもの3倍はニヤニヤしていた)
(…失礼な様な気がするんですが)
(そんなことよりも、後はアーニャがモニカより上手く動けば…)
(大丈夫だっての、その辺は俺がしっかり抑えた)
(…頑張ってね、アーニャ!)
…こちらにも、応援団?が居るのである
(…誰?失敗フラグを立てたのは)
(…ルキアーノだ、…だが、やはりノネットが敵とは)
(これは、少し厄介かもしれませんねぇ…)
睨み合う両者
…達人同士の決着が一瞬でつくように、両者の心の中で、見えない攻防が繰り広げられているのだ。
(…あれ?何でこんなに空気が淀んでいるんだろうか…)
全部お前のせいだこのフラグ一級建築士
支援
「…いいわよ、アーニャ」
(…少しでも仲がいい所を見せて、付け入る隙が無いって所を見せてあげるわ)
「…じゃあ、ライ、行こう」
(負けない…絶対に…)
「…じゃあ、連れてきますね」
(何でこんなにピリピリしてるんだろう…?でも何とかしないと…)
2人の少女が心の中で攻防を繰り返し
その中心の少年がちょっとした恐怖を見た中、
本来の目的であるネトゲ廃人で自宅警備員であるドロテア・エルンストを呼びに行った
そして、3人が居なくなった会議場では
「…へぇ、エニアグラム卿も色々と企んでるわけですか」
「ルキアーノ、お前も色々と企んでいるな…」
「まぁ…人の恋路の邪魔はしない方がいいですよ」
「…お前こそな」
と、首謀者2名が静かに争い、
「…大変だな、柩木卿」
「…ヴァルトシュタイン卿こそ」
良識派2名がため息を付いていた
「…って俺は!?」
あ、忘れてた
支援!
352 :
円卓戦争:2008/09/28(日) 18:58:58 ID:/4xxO4AQ
「……」
「……」
「…ね、ねぇ、二人とも……」
「…」
「…」
無言でライの腕に抱きつくアーニャとモニカ
普通の人が見たらスケコマシが二人の女の子とイチャつきやがって氏ね
某悲しーみのー向こーうーへと のBGMをバックに氏ね と思うだろうが相手はライである
恐らくライを知っている人に聞けば必ず「ライだから仕方が無い」と言うであろう
しかし当の本人は全く違う、むしろある種の恐怖を感じていた
(…ライは渡さない、アーニャには絶対に…)
(…そろそろライがこの状況を何とかしようと動くはず…)
(何この沈黙…)
「…ねぇ、そろそろ腕から離れてくれないかな?歩きにくいんだけど…」
(まず二人を腕から放してから色々考えよう…)
「ええ?…いいじゃない別に…」
(…まぁ、ライだからこういう反応すると思ってたけど…)
「…わかった」
(来たッ!R2完ッ!)
「…ア、アーニャがそういうなら…」
(ここで変な抵抗をすると後で何か言われるかも知れない…一度引いたほうがいいわね)
支援
354 :
円卓戦争:2008/09/28(日) 19:01:14 ID:/4xxO4AQ
腕から離れ、携帯を片手に持ちブログを更新するアーニャ
今後の為とは言え仕方なく離れるモニカ
いい加減に空気になりつつある主人公ライ
…この3人は今回の『ドロテアを連れて来る』という目的を覚えているのだろうか
「…ひやぁっ!」
「アーニャ!?…大丈夫?」
と、ブログを更新していたアーニャが転んだ
……その表情は微妙に笑っていたのはきっと気のせいだろう、うん、気のせいだ
「…うん」
「…ブログを更新しながら歩いてるからよ」
「モニカの言うとおりだよ、少しは…」
「嫌」
「…危ないから」
「嫌」
「…仕方が無いな…じゃ、手を握ってて」
「!?」
「…わかった」
(計 画 通 り !)
(くっ…アーニャ…貴方って人は…!)
携帯を持つ片手でガッツポーズを取るアーニャ
そしてかなり悔しそうなモニカ
…手は掴めてもライの心までは掴め無い事をこの二人は完全に忘れている
というか当のライ本人は
(…早くドロテアさんと合流してこの空気を何とかしないと…)
と、別のことを考えていたりする
支援!
356 :
円卓戦争:2008/09/28(日) 19:03:00 ID:/4xxO4AQ
そしてこの奇妙な空気の中、3人はドロデアの部屋までたどり着いた
「…ドロテアさーん、今日はヴァルトシュタイン卿の定例会議ですよー」
「ビスマルクが?…面倒だ、それに今は経験値3倍の時間なんだ、邪魔をするな」
「ヴァルトシュタイン卿との約束はー?」
「くっ…それを出すかお前は…少し待ってろ」
「…今日は素直ですね」
「…約束だからな」
あっさり了解したドロテア
…ちなみにあっさりと行った理由は2つある
ひとつはビスマルクとの約束
そしてもうひとつが…
(…アーニャが居るとはな…)
(ノネットあたりも敵なのよね…どうすればいい?)
(…素直にアタックをするべきかも知れん…少し待っていろ)
モニカ応援団(仮)だからである
「…じゃあさっさと行くか、ライ」
「行きましょうか、…ほらアーニャ、ちゃんと握ってないとまた転ぶよ?」
「…うん…」
(ってなんだこの空気は…)
(上手く入る隙が無いわ…本当にどうすればいいの?)
(…ここは軽く揺さぶりをかけてみるか…)
支援
358 :
円卓戦争:2008/09/28(日) 19:05:46 ID:/4xxO4AQ
「…ライ、お前は相変わらずギャルゲの主人公っぷりを発揮してるな…」
「藪から棒に何言ってるんですかドロテアさん、第一そのギャルゲって一体何ですか」
「…わからんなら気にするな、私が言いたいのは唯一つ
『女の子を2人も侍らせているが、どっちが好きなのか』ってことだ」
「「!?」」
核心を突く一言
互いに怖くて中々言い出せなかった一言
…しかし、この言葉に意味は無い
「侍らせる…?というよりかは二人とも好きですよ
モニカもアーニャも、ドロテアさんや…ラウンズの皆が」
「…ありがとう」
「あ、あははは…」
「…あー、テンプレ通りの解答ありがとう」
「え、どういうことですか?」
「…気にするな」
…恋愛感情すら持っていないので、この言葉に意味は無い
好きだ、ということも友達としてである
…いや、この話の最初からそんな反応だったか
(…これ、決着つくのか?)
支援!
360 :
円卓戦争:2008/09/28(日) 19:08:05 ID:/4xxO4AQ
「ドロテアさん呼んできましたよ」
「ああ、すまぬな…ってどうした3人とも」
「さぁ…僕にはよく分かりませんが…」
「…何でもない」
「あ、うん…わかってたんだけどね…」
「…お前はどっかの鍵主人公か?…いや、向こうのほうが幾らかマシか…」
「で、モニカ、ライには…」
「……ブラットリー卿?今それに触れたらあなたを殺しますよ?」
「モニカ?何物騒な事を…」
「…いや、すまなかった、何か色々と」
「ルキアーノさんが謝った!?」
「そこまで驚く事か!?」
「…コホン!では、今日集まって貰った経緯を説明しよう」
そして始まった円卓会議(仮)
…無論、ライ以外誰も
(先程ビスマルクを慰めたスザクも)話を聞いていないが
支援
362 :
円卓戦争:2008/09/28(日) 19:10:26 ID:/4xxO4AQ
(アーニャ、一体何があったんだい?)
(…ドロデアがライに私とモニカどっちが好きかって聞いた)
(…あー、もう言うな、わかった)
(…あのフラグ一級建築士め…ここまで来るともう犯罪だぞ…?)
(まぁ、次があるさ、私も協力するしな)
(俺もだ、出来る限り協力するぜ)
(僕も手伝うよ)
(ノネット…スザク…ジェノバ…ありがとう)
(ジェノバって誰だよ!?)
(モニカ、何があった?)
(…私から説明しよう、私がライにモニカとアーニャどっちが好きかって聞いたら…)
(もういい、皆まで言わなくていい。…しっかしあの全身フラグ男に惚れるなんて、モニカも…)
(吸血鬼から血を絞り取ったら何が残るのかしら?)
(…いや、悪かった、冗談だ冗談、とにかく次の方法を考えないと…)
(…次の方法とか以前にモニカとアーニャ…ライはどっちにも友達で終わりそうなのは私だけか?)
(それは言っちゃあいけないお約束だ、ドロテア)
支援!
364 :
円卓戦争:2008/09/28(日) 19:12:20 ID:/4xxO4AQ
「……全く話を聞いておらんな」
「いつも大変ですねヴァルトシュタイン卿」
「…お前だけが話を聞いてくれるが
同時に話を聞かない理由がお前にあるというのが複雑だな…」
「へ?僕が?」
「…いや、何でもない、それよりラウンズに皇帝陛下の言伝があるのだが…」
「(サッ)何ですかヴァルトシュタイン卿、ついに戦争!?イヤッホォウ!」
「(サッ)ルキアーノ、お前はトマトジュースでも飲んでいろ」
「(サッ)おっ、皇帝陛下直々とは珍しい」
「(サッ)…何だろう、もしかして…ギアス関連か?」
「(サッ)ま た 仕 事 か。…そろそろ積んでるソフトを消化しないとと思っていたのにな…」
「(サッ)…チャンス…かな?」
「…(携帯操作中)」
「何故この時だけ反応が早いのだ!?…では、皇帝陛下より言伝だ…」
その言葉に、ある者は悲しみ、ある者は喜び、
そしてある者達は本格的な戦いに入っていった…
―――そう、その戦いは…後に、『円卓戦争』と呼ばれる闘争である
支援
366 :
おまけ:2008/09/28(日) 19:13:36 ID:/4xxO4AQ
次回予告
「先に私と!」
「…私が先…」
「…じゃあさ、3人で行こうか」
「「え?」」
交差する恋心
「人呼んで…ドロテア・スペシャル!
今日の私は…阿修羅をも凌駕する存在だ!ジノ!」
「アンタって人はぁぁぁぁぁぁ!」
対峙する機体
「…シャルル、正気かい?」
「兄さん…常識は、打ち破る為にあるのですよ…」
暗躍する兄弟
「…これは一体なんだい?」
「…お呪い」
「アーニャもお呪いをしたのね…私もだけど」
「ってこんなピンポイントなお呪いがあるわけ無いって!」
そして―――二人の少女は、一人の少年に対して攻撃(アタック)を仕掛ける
その先に待つものは……?
正直半分くらい嘘ですけどね!
支援!
368 :
修羅場の人:2008/09/28(日) 19:16:25 ID:/4xxO4AQ
ということで投下終了
…正直やってしまった感がぬぐいきれない作品
感想つけ難そうだなこれ
ってか所々ドロデアになってる…
…実は初期の段階ではリーライナもこの戦いに入れる予定でしたが
ラウンズじゃないので取り外しました
もし入ってたらスーパーゴットゥーザ大戦になっていたでしょう
…後予告書いた割には全然ネタがないんです
それではまた
>>368 修羅場の人卿、GJでした!
なんというメタ発言のオンパレード!
ジノの扱いが完全にギャグキャラwwwあとドロテアもwww
()は小声で話しているという解釈でOK?
所々のネタに笑いましたw
貴方の次の投下を全力でお待ちしております!
30分ごろに投下いいかい?
支援するよ
372 :
萌は文化:2008/09/28(日) 20:32:55 ID:+2SwkIhp
では感謝して時間で投下しますよ
久しぶりです魔法少女ライマーユニーシリーズ
最終回の見た後に投下する作品じゃねぇよ
でも空気読まずいくよ
タイトルは『魔法少女ライマーユニーR ブリタニア暗黒四天王編 〜 敵か味方か? 真・月下マン!? 〜』
注意点
・最高に世界観、キャラともにぶち壊れてますので気をつけて
・久々のギャグで調子が取り戻せずかなり荒いです
余暇へ
最初に謝る
すみませんすみませんすみませんすみませんすみません
月下マンについて好き勝手やりすぎましたすみません
では投下
支援
支援
375 :
萌は文化:2008/09/28(日) 20:36:13 ID:+2SwkIhp
行政特区日本にあるとあるビルの一室。
ここでは魔法少女ライマーユニー出演者募集に当選した者達への説明会がおこなわれることとなっていた。
「えっと、席は…ここか」
当選して説明会に来ていたジノは入口でもらった番号の書かれた紙を見ながら自分の席を探していた。
「ラッキー。一番前じゃねぇか」
嬉々として席に向かうジノ。
「ん? アーニャじゃないか。お前も当選してたのか」
自分の席に向かう途中、珍しくそわそわしながら席に座っているアーニャを発見したジノはアーニャにわかるように手を振った。
「……ジノ!」
これまた珍しくビクッと驚き、アーニャは振り向いた。
「なんだ、アーニャお前緊張してるのか?」
ジノが言うとまたまたアーニャは珍しく頬をほんのり紅くした。
「う、うん。今日は……特別。ライ様に会えるかもしれないし……」
まるで初めてのデートで恋人が来るの待つ乙女のようにアーニャはもじもじと恥ずかしそうに言った。
「おお! 確かに、それじゃあ、もしかしたらライマーユニーに会えるかも…」
「判断が鈍いわよジノ!!」
「グェ!!」
支援
377 :
萌は文化:2008/09/28(日) 20:38:34 ID:+2SwkIhp
ライマーユニーに会えるかもしれないと喜ぶジノだったが、突然現れたモニカのタックルによって派手に吹っ飛ばされた。
「アーニャは緊張してるけど、私はもう興奮しっぱなしよ! ライ様が望むなら私は公共の面前で○○や○○されてもかまわない!」
モニカの発言は破廉恥すぎるため一部伏せ字にさせていただきました。
ご了承ください。
「ライ様は、そんなことしない…!」
キッと鋭い眼光でアーニャはモニカを睨みつけた。
「フッ、わかってるわよ。例えよ例え。私はそれくらいライ様のことを愛してるって例えよ」
あはは、と笑い幸せそうにその場でクルクルと回るモニカ。
「な、何しやがるモニカ…」
モニカへ文句を言いながら腰をさすり、ゆっくりとジノは立ち上がった。
「うるさぁーい! にわかのクセに一番前なんて! 私なんか一番後ろなのよ! うわーん!」
「グバァ!!」
モニカは悔しそうにジノに一発拳を入れ、泣きながら走り去って行った。
「……な、殴るか泣くかどっちかにしろよな。ったく」
これ以上モニカに関わるとロクな目にあわないと判断したジノはフラフラになりながら自分の席へ向かった。
「あったあった。お?」
「……ん?」
モニカはっちゃけすぎw
支援
379 :
萌は文化:2008/09/28(日) 20:40:29 ID:+2SwkIhp
ジノの番号札のついたイスの隣には星刻が座っていた。
星刻と目が会ったジノはお互い無言で席に着いた。
「あんた、見たところ中華連邦の人かい?」
「そうだとしたらなんだ? それに貴様は見たところナイトオブラウンズのようだが?」
2人の間に緊迫した空気が張り詰めた。
「ああ、そうだ。だがここは行政特区日本だし、別にあんたとやり合うつもりはない。ここに居るってことはあんたもライマーユニーが好きなんだろ? 気にせずお互い仲良くしようぜ」
スッと右手を差し出すジノ。
しかし、星刻は腕を組んだまま動かなかった。
「断る」
「何!」
やはりナイトオブラウンズと中華連邦は相容れないのか?
ジノは鋭く星刻を睨みつけた。
「お前は何でここに居る?」
「何でって……ライマーユニーが好きだからに決まってるだろ!」
怒りに身を震わせ、ジノは立ち上がり拳を握った。
「ならば我らに言葉など必要ない。ましてや仲良くしようなんて言葉はな」
「!?」
「我々は皆、ライマーユニーが好きだという同じ志しを持つ同士。言葉など必要ない、数多の戦場を駆け抜けた同士。言わば家族と言っても過言ではない。違うか? ナイトオブラウンズよ」
かっこいいのかかっこよくないのかよくわからない支援
381 :
萌は文化:2008/09/28(日) 20:43:13 ID:+2SwkIhp
星刻の言葉にジノは衝撃を受けた。
同時に、星刻の言葉の真意を理解出来ていなかった自分を恥じた。
「そ、そうだったな。あんたの言う通りだ。仲良くする必要なんてない。すでに私達は同士なのだからな…」
するとジノと星刻の2人は互いに右手を差し出した。
「皆、今すぐ席につけ! 今から説明会を開始するぞ!」
2人が固い握手を交わしていると正面のモニターの前にゼロがマイクを片手に登場した。
「諸君、よく来たな。私の名はゼロ。知っての通り黒の騎士団のトップだ。書類審査を通った諸君らは特別な存在だ。早速説明に行きたいところだが、その前にまずはこちらを見て欲しい」
パチンとゼロが指を鳴らすと照明が落ち、ゼロの背後のモニターに映像が映し出された。
支援
383 :
萌は文化:2008/09/28(日) 20:46:31 ID:+2SwkIhp
『魔法少女ライマーユニーR ブリタニア暗黒四天王編 敵か味方か? 真・月下マン!?』
「まあ、味方なんだがな」
「開始1秒でネタバレ発言!?」
ソファでゴロゴロしながらいきなり爆弾発言するゼロ。
ある意味斬新である。
「おい、ポストにこんな手紙が入ってたぞ」
「?」
C.Cがポストから持って来たハガキ見て、ライは驚きの表情を浮かべた。
「こ、これは…!」
場面は一気に飛んで富士樹海。
「本当にここでいいのか?」
「うん、手紙にはここが指定されていたよ」
ハガキを片手にキョロキョロと辺りを見渡すライマーユニー。
「しかし、人質の命が惜しくば富士樹海来いとは……そもそもなんで人質が整理するのだ?」
「さあな、井上は家にいたし、カレンも無事だそうだから人質が整理するとは思えないが…」
ゼロとC.Cが話していると突然地響きがなり響いた。
「な、なんだ!?」
すると地面が割れ、中から巨大なピラミッドのようなものが現れた。
その天辺には十字架に貼り付けにされた卜部と、くノ一コスプレをした咲世子が立っていた。
「フフフ、よく来ましたねゼロ。そして以下略の方々」
支援
385 :
萌は文化:2008/09/28(日) 20:49:47 ID:+2SwkIhp
腕組みをしながら主役なのにライマーユニーを以下略で済ます咲世子。
「ブリタニア暗黒四天王! メイド in ジャパンの咲世子!!」
「くだらない! なんてくだらない異名なんだ!」
咲世子の異名にライマーユニーは大声でツッコんだ。
「で、あの十字架に貼り付けのあいつは誰だ?」
興味なさげに卜部を指差すC.C
「知らん」
「知らない」
「「ええ!!」」
即答するライマーユニーとゼロに咲世子と卜部の声が重なった。
「ゼロ! 月下マンだよ月下マン! お前の親友月下マンだよ!」
「その通りですよ! わざわざ人質として利用するために助けて治療した月下マンですよ!」
人質としての生かしてきた価値が無くなるのを恐れた咲世子と卜部は慌てて月下マンであることを3人に伝えた。
「な、何!! 月下マンだと!!」
月下マンが人質にとられたことによりゼロの言葉から動揺が見え始めた。
っていうか親友なのに月下マンの正体は知らなかったようだ。
「フッ、やっとわかりましたか。さあ、月下マンの命が惜しくばゼロの命を差し出しなさい!」
月下マンが人質にとられ動揺したゼロを見てホッとした咲世子は月下マンの命とゼロの命の交換を要求した。
支援
387 :
萌は文化:2008/09/28(日) 20:52:21 ID:+2SwkIhp
「グッ、一体どうすれば…」
「ゼロ……」
親友の命と自分の命という天秤が揺れ動くゼロ。
ライマーユニーはそれを黙って見てることしか出来なかった。
「ゼロ! 私のことは気にするな! 思いっきり戦え!」
我が身のことなど顧みない立派な発言をする卜部。
「わかったそうしよう!」
「ええ!」
「即答!?」
即、了承するゼロに咲世子や卜部は驚愕した。
「ちょっとゼロ! 早いよ! 見捨てるの早いよ!」
卜部を可哀想に思い一応、説得を試みるライマーユニー。
するとゼロはマントをなびかせ腕を組んだ。
「月下マンは死んだ、もういない! だけど私の背中に、この胸に、一つなって生き続ける!」
「台詞はかっこいいけどやってることは最低だ!」
マントをなびかせて格好いいセリフで卜部こと月下マンを見捨てたゼロ。
「ちょっと待てゼロ! 私は一応戦闘要員だぞ! 私を助けたほうがこれからの戦いに有利だぞ!」
あまりにも簡単に見捨てられた卜部は最早、なりふり構わず必死にゼロの説得に挑戦する。
「それなら大丈夫だ」
「「「何!?」」」
突然空から全身真っ黒な月下マンが現れ、ライマーユニー達の前に着地をした。
ゼロひでぇw
支援
389 :
萌は文化:2008/09/28(日) 20:55:10 ID:+2SwkIhp
「かつては力に溺れ悪となったこの身。だがライマーユニーとの戦いで私は正義の心を取り戻した。そう、私の名は……真・月下マン!!」
突然現れた黒い月下マンは高らかにそう宣言をした。
「お前! まさか藤堂か!?」
「ああ、その通りだゼロよ。かつては力に溺れC.Cに洗脳されてしまった私だがC.Cが正義になったことで私の洗脳も解けたのだ」
なんと真・月下マンの正体はかつての敵藤堂であった。
「藤堂、お前は…」
かつて洗脳し、藤堂を自分の配下にしていたC.Cは真・月下マンの前に1歩出た。
「何も言うな。元々悪に落ちたのは私自身が未熟だったからだ。それに今のあなたは同じ志しを持つ戦友。お互い水に流そうではないか」
「……そうか」
どうやら真・月下マンはC.Cを恨んではいないようだ。
それがわかるとC.Cは無言で咲世子達の方に体を向けた。
「師匠! 生きてたんですね。お助けください!」
ゼロに見捨てられ涙目の卜部は真・月下マンに助けを請う。
「師匠?」
「ああ、元々は藤堂が月下マンで卜部はそれを受け継いだだけなのだ」
「へぇー、実はそんな設定があったんだ」
ふむふむと感心するライマーユニー。
390 :
萌は文化:2008/09/28(日) 20:58:27 ID:+2SwkIhp
「後付けだがな」
「そこは黙っとこうよC.C」
助けを請う卜部の前に真・月下マンはゆっくりと前に出た。
「卜部よ。私が来たからにはお前の存在価値は無価値だ。だからお前はここで退場してくれ! 月下マンが2人居るとキャラ被るからな」
「なぁ!!」
まさかのキャラ被るから消えろ宣言を受ける卜部。
ついに全てに見捨てられた卜部。
そんな卜部を哀れに感じたのか咲世子は無言で卜部の拘束を解いた。
「大丈夫ですか? 可哀想に……悪いこと言いませんからブリタニアに来ませんか?」
可哀想すぎて救いの手を差し伸べる咲世子。
「ふ、ふふ、ふふふ、友を失い、尊敬する人物に存在を否定された………自分はどうすればいい?」
「……卜部様?」
卜部の様子がおかしい。
卜部の体が小刻みに震えている。
「こんな世界、滅んでしまえばいい!」
そう叫ぶと卜部は月下マンへと変身した。
「な、何をする気だ月下マン!?」
ただごとではないことを察したゼロは月下マンに問う。
「私を否定する世界など私が否定してやる! 集え! 月下マン達よ!」
支援
392 :
萌は文化:2008/09/28(日) 21:03:40 ID:+2SwkIhp
「な、何!?」
「こ、これは!?」
気が付くとライマーユニー達の周りを、異常なまでの人数の月下マン達(エキストラの方々)が包囲していた。
その数は、映画マト○ックスの最終決戦の時のグラサンエージェントくらいの人数だ。
「さあ、来い! 世界の最後を見せてやろうではないか」
月下マン(卜部)がパチンと指を鳴らすと月下マン(卜部)に向かって沢山の月下マンが飛んで来た。
「まさか!? 月下マンはあれをする気か!?」
「あれ? あれとは……うわっ!」
真・月下マンの言葉に気を取られていたライマーユニーは飛んで来た月下マンに弾き飛ばされて木に激突した。
「お姉ちゃん!」
C.Cが心配でライマーユニーに駆け寄る。
「……っ! なんだあれは!?」
ライマーユニーが顔を上げると月下マン(卜部)の元で一つの塊になって行く月下マン達が映った。
なんというかグロテスク。
「合体? 融合? これは一体?」
「ま、まさかこれは…!」
叫ぶC.Cとついていけないライマーユニー。
そしてついに全ての月下マンの融合が終わった。
「フハハハ! 見たかこれが月下マンの真の存在意義!」
393 :
萌は文化:2008/09/28(日) 21:06:32 ID:+2SwkIhp
月下マン(卜部)が高笑いをすると月下マン達の塊は形をグロテスクに変え、虫と人が混ざり合ったような富士山と同じくらい巨大な月下マンとなった。
「な、なんだこいつは!?」
ライマーユニーが叫ぶ。
「そう、こいつが月下マン達の真の力。月下マン・インセクトだぁ!!」
月下マン(卜部)は巨大なキモイ月下マンこと、月下マン・インセクトの肩で叫ぶ。
「ま、まさか解放してしまったのかあれを!」
「なんてことだ! これでは世界が滅ぶぞ!」
真剣な雰囲気で緊張感漂わせて叫ぶ原因その1のゼロと原因その2の真・月下マン。
「まさか! 卜部がコアだったとは!?」
「…………誰か説明してくれ」
同じく深刻そうに叫ぶC.Cと超展開についていけないライマーユニー。
「ポカーン」
そんな中、今回初登場なのに置いてけぼりな咲世子はただただ放心状態だった。
支援
395 :
萌は文化:2008/09/28(日) 21:09:59 ID:+2SwkIhp
場面変わって暗黒ブリタニアの本拠地
「まさか! あれが動いたのか! これでは、早すぎる!」
「どうなさいますか皇帝?」
「とりあえず今は身を引け。咲世子に帰還命令を出せ」
「了解しました」
黒い影の2人はそう言うと再び画面は月下マン(卜部)に
「ハハハ! 見てれよ世界め! こんな世界などこの月下マン・インセクトで徹底的に破壊してやる。フハハハ!!」
続く
次回予告
ナレーション(ディートハルト)「悲しみによりまさかの凶行に出た月下マン。月下マンの狂気により、世界は崩壊の道がたどって行く。ライマーユニーはこの急展開を止められるのか?
そして魔法少女ライマーユニーは新章突入!
次回 魔法少女ライマーユニーR2
〜 世界崩壊編 フレイヤの悲劇 〜
をお楽しみに」
396 :
萌は文化:2008/09/28(日) 21:13:41 ID:+2SwkIhp
映像が終わると皆、呆然としていた。
「こ、これは…」
ぷるぷるて震えて指差す星刻。
「これは来週公開予定の魔法少女ライマーユニーの最新作だ」
「な、なんと!?」
あまりの驚きに会場内はざわめき始める。
「諸君らはこれの次回作に出演してもらうかもしれないのだ。これを見てしっかりイメージしてくれ。では次はライマーユニーに挨拶してもらおうか」
ゼロがそう言うと会場内のテンションが急激に高まった。
「うおお! ついに、ついに生のライマーユニーが!?」
「そこをどけ貴様ら!! 私はライマーユニーに用があるのだ!」
「キャー! ライマーユニーちゃん!!」
ジノが絶叫していると後ろの席に居たルキアーノとモニカ、その他色んな人達が一気にゼロが立つステージ近くまで集まって来た。
「ってブラッドリー卿! そう言えばあんたも当選してたんだったな」
「当たり前さ。だってライマーユニーに会えるのだからね」
人混みにもみくちゃにされながら2人は会話をした。
「ぬぅ、これではライマーユニーが見えん」
1人出遅れた星刻は悔しそうに人混みの後ろで途方にくれていた。
「待て貴様ら! 下がれ! コラ! 止めろ! ステージに上るな
支援
398 :
萌は文化:2008/09/28(日) 21:19:07 ID:+2SwkIhp
あまりの熱狂っぷりに困り果てるゼロ。
すると…
「静かにしないか馬鹿者が!! これではライマーユニーが出て来れないだろう!!」
ライマーユニー命と書かれたはちまきとハッピを着たビスマルクがステージに群がる連中に怒鳴りつけた。
「ナイトオブワン!?」
「ヴァルトシュタイン卿まで来てたのか…」
緊張のあまり出遅れたアーニャと実は来ていたノネットは驚きビスマルクを見た。
「ライマーユニーを困らせたいだけなら今すぐ帰れ! 貴様らにライマーユニーを愛する資格などない!」
そう叫ぶとあまりの気迫に皆、自分の席へと戻って行った。
「フッ、ナイトオブワンか。礼を言うぞ」
皆席に戻るとゼロはビスマルクに向かって言った。
「いいえ、ライマーユニー親衛隊プレミアム番号4の私としては当然ですよ」
ビスマルクは頭を下げ、自分の席へ座った。
「親衛隊プレミアム番号4だと! 私ですら6だと言うのに…」
「マジでか!? 私は11番だぞ」
悔しげな星刻とジノ。
ちなみにライマーユニー親衛隊プレミアムとは黒の騎士団公式ファンクラブの中でも選ばれた人物しか入れないらしい。
399 :
萌は文化:2008/09/28(日) 21:21:17 ID:+2SwkIhp
ちなみに親衛隊プレミアムのNo.5までは
No.1 ジェレミア
No.2 皇帝
No.3 ギルフォード
No.5 ルキアーノ
である
「ではライマーユニーに出て来てもら……ん、何?」
当然ステージにC.Cが上り、ゼロにそっと耳打ちをして去って行った。
「ふむ、申し訳ないがライマーユニーは現在渋滞に巻き込まれ遅れてるらしい。仕方ないので変わりにこちらを見てもらおうか。来月公開予定の劇場版 狂王の2作目だ」
おぉー、と歓声が響くと部屋の照明が落ちた。
400 :
萌は文化:2008/09/28(日) 21:22:29 ID:+2SwkIhp
おまけ
皇帝「ヌアッハハハハ! あやつめ、やりおったな!!」
V.V「ああ、出演者募集に落ちたんだね」
皇帝「ヌアッハハハハ!」
V.V「まあまあ、今日公開のライマーユニーの新作を見に行こうよ」
皇帝「あやつめ、やりおったな!!」
V.V「そうそう、今度ライ様がアッシュフォード学園で公演会開くらしいから見に行かない? 皇帝特権使ってさ」
皇帝「オールハイルブリタァァァニァァァア!!」
V.V「よし決まったね」
401 :
萌は文化:2008/09/28(日) 21:26:36 ID:+2SwkIhp
中途半端だけど以上で終了
余暇へ
ごめんなさい
アニメ本編終わって少し寂しいね
投下もギャグも久々すぎて感覚がまだもどらない
荒いな、ホント荒いね
今回はリハビリです
では支援ありがとうございました
GJです!
なんというかどこからつっこんでいいのかwwww
アニメ本編終わって寂しいですね。
まさか最後があんな事になるとは…
40分くらいから投下したいのですが支援お願いできますか?
GJ!
皇帝wwwもうなにもつっこめないwww
ブリタニアおわってるwwww
次回も楽しみにまっていますww
支援しまーす
2155までなら支援します
405 :
R.R.:2008/09/28(日) 21:45:22 ID:4MkphNHo
それじゃTVギアス終了記念の投稿です。
ロスカラ初SS&このスレ初投稿です。
タイトル「終わる旅、続く旅」
カップリングライ×C.C.
総レス約10
備考
最終話後の話なのでネタバレ注意
No.1ジェレミアかよ!
>>399 萌は文化卿、GJでした!
シンクーが一見カッコいいセリフを……なんだ、この無駄なカッコよさはw
始まった瞬間ネタバレする番組てwww
不覚にもメイドinジャパンで吹きましたw
アッサリ見捨てられる月下マンに俺、涙目w
そして、現れる真・月下マンww 更には月下マン・インセクトwww
笑いが止まらないぜ!
ラスト皇帝wwwww
全力を挙げて貴公の次の投下をお待ちしております!
……なんてこったorz
割りこんじまうとは……申し訳ない
408 :
R.R.:2008/09/28(日) 21:47:26 ID:4MkphNHo
皇歴2018年。
過去の事件で死亡したとされていた新聖ブリタニア帝国第11皇子にして第17皇位継承者、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアは突如ブリタニア帝国第99代皇帝として即位。
抵抗していた者達を倒し、事実上の世界の独裁者となった。
しかしその2ヶ月後、かつて黒の騎士団というテロリストを率いていたゼロなる人物が出現。
公衆の面前でルルーシュ皇帝を刺し殺す。―――なおゼロは仮面と全身を覆う黒衣が特徴のため誰なのか特定する事はできなかった。また、ルルーシュこそがゼロであったとする情報もあるが真偽は不明―――
その場にいた者達を解放し、同じく解放されたナナリー・ヴィ・ブリタニアと終生まで協力し、世界を平和にした。
これが後世の歴史が説明する、この世界で最も動乱が激しかった時代の物語である。
しかし物事を冷静に解明できる後世では当時の情報が不足し、幾つかの説明ができない部分もある。
ゼロとは何者なのか、ルルーシュはどうやって皇帝になったのか、彼の思惑は本当に独裁だったのか、―――彼の側近であった銀髪の少年と緑髪の少女はどこに行ったのか。
これは後世が証明できなかった二人のその後のちょっとした物語。
支援
しえん
支援
412 :
R.R.:2008/09/28(日) 21:50:42 ID:4MkphNHo
終わる旅、続く旅
「粗末なベッドだな」
あまり立派とはいえないホテルの一室でC.C.が言う。
「仕方ないだろ、ここは田舎なんだから」
その文句に僕は反論する。
ゼロとなったスザクによるルルーシュ殺害、いやゼロレクイエムから数ヶ月。
彼の側近であった僕達は二人で旅をしていた。
「だからと言ってこれはないだろ。もっと豪華なベッドを私は要求するぞ」
まだ続く文句をはいはいと流す。
確かにこのベッド…いや、寝床は酷い。しかも僕達は二人なのにベッドは一つだ。お金を節約するためだけど。
だが寝られる部屋があるだけまだマシだった。
今までは僕達を探す追っ手から逃げるためホテルを使う余裕なんてなかった。
一週間以上ずっと野宿だったのも珍しくない。
最近では追っ手も少なくなってきた。スザクか、それとも彼から事情を聞いたナナリーが止めてくれたのだろう。
そのため質素ながらもホテルを使う余裕もできた。
―――スザク、ルルーシュ…
大切な人、そしてこれから二度と会う事はできないだろう人達に思いを馳せる。
今でも簡単に思い出せるあの時の事を。
しえん
414 :
R.R.:2008/09/28(日) 21:52:55 ID:4MkphNHo
「いや、お前は駄目だ。ライ」
「そうだよ。これは僕が…いや僕達がやらなきゃいけない事なんだ」
僕の提案は一瞬で二人に拒絶された。
僕の提案、僕がルルーシュに変装してスザクに殺される、または僕がゼロとなってルルーシュを殺す。
全てを失い、それでも前に進みボロボロになっていく二人を見たくなかった。
だから本来ならこの時代にいない僕が犠牲になる。世界の明日を作るため、自分の明日を失おうとする彼らの代わりになる。そうしようとした。
「本来ここにいないお前だからこそ、お前には生きていてもらいたい…そしてこれは最初からここにいる俺達の手で決着をつけなければならないんだ」
自分の明日を失っても、世界と僕の明日を作ると言ったルルーシュ。
「僕達は今まで自分の都合だけで世界を壊してきた。だから今度は僕達が世界の部品になる。ライ、君にはその世界の完成を見届けてほしいんだ」
自分が世界を見る事ができなくなっても、僕に見届けてほしいと言ったスザク。
その気持ちが痛いほどわかった。僕自身が二人にそうしてほしいと思っていたから。だから、それ以上言っても絶対に意見を曲げない事がわかってしまった。
だから誓った。三人で。
「俺は世界に生きる人々の未来を作るため世界の敵となる」
「僕は世界のため自らを世界に組み込む」
「僕は君達の世界を見届けるため君達の世界から外れる」
三人で同時に拳を突き出し合わせる。
これが―――
「「「約束だ」」」
―――僕達三人の永遠に消える事のないギアス。
支援
416 :
R.R.:2008/09/28(日) 21:54:35 ID:4MkphNHo
「一つ聞いていいかい、C.C.」
「なんだ?」
就寝時間になり僕達はベッドに入った。そこまではいい。だが、
「なんで僕達は同じベッドで寝てるんだ?」
そう、これはいわゆる添い寝だ。
普段なら「男は床で寝ろ」と豪語するC.C.が何の因果か僕にベッドで寝ろとすすめてきたのが三分前。
さすがに久しぶりのベッドで仮にも女であるC.C.を差し置いて男である僕が寝るのはどうかと思ったがあまりにすすめてくるので入ったのが一分前。
僕がべッドに入った瞬間にC.C.も潜り込んできて僕の中で停止した時間が約一分で今に至る。
「なんだ、嬉しくないのか?せっかく一緒に添い寝してやるというのに。役得だろう。ほれほれ」
身体を僕に寄せてくる。いや、あの…胸が当たって…
「当てているんだ、と言えば満足か?」
少なくとも僕は満足しない。
「つまり押し付けるだけじゃダメだと言うのか。スケベな奴め」
「なんでそう言う事になるんだ!」
ベッドに入って数十分。もしかしたら一時間たっているかもしれない。
横にいるC.C.は動かない。寝ているのか、何か考えているのかもわからない。
僕は静かになった事で騒ぐ前に考えていた事を再び思い出していた。
彼らとの約束通り、世界の行く末を見届けるために僕はC.C.と共に旅をしている。その事自体には後悔も迷いもない。
だが他に消えない考えがあった。
支援
しえん
419 :
R.R.:2008/09/28(日) 21:57:17 ID:4MkphNHo
―――世界のために和解できた友を殺したスザク
―――最後の瞬間に兄の思いを理解し、戻ってこない現実に泣き叫ぶナナリー
―――自分も泣きたい衝動を必死に堪え、彼のために彼を突き放したカレン
―――契約者の最後を傍で看取れず、涙を流したC.C.
そして―――
「ルルーシュは幸せだったんだろうか?」
自身を悪に仕立て上げ最後まで悪として討たれたルルーシュ。
彼の願いである世界平和が実現されつつある事を考えればこの上ないハッピーエンド。ルルーシュ自身が望んだ結果。
だがその世界にルルーシュはいない。
彼は多くの人々に傷を残し、見えない形で幸せを与えた。
かつての僕やユーフェミア殿下のように後世まで語り継がれるであろう『狂王』として逝ってしまった。
何が正しかったのか?何が悪かったのか?他に選択はなかったのか?
自ら世界から外れた僕は今更考えてもどうしようもない事を考える事しかできない。
ルルーシュ、君は―――
「その答えはお前が見つけるのだろう」
ルルーシュではない。C.C.?
「あいつが幸せだったのかなんてあいつにしかわからん。それはお前だってわかっているだろ」
疑問ではなく断定。
そうだ。僕は人の心を読む事なんてできない。ルルーシュが死に際に思ったのは何なのかわからない。今までも、これからも。
「だからお前が考え、そう思うしかない。その答えを探すのを任されたのは私でもナナリーでも枢木スザクでもない。ルルーシュ自身がお前に望んだんだ」
「…そうだね、それが僕の義務であり願いなのだから」
支援
支援
422 :
R.R.:2008/09/28(日) 21:59:58 ID:4MkphNHo
「それにあいつは誰にどういうふうに思われていたかなんて気にしない。お前達にだけ真実が伝わっていれば満足するだろう」
「…なんで僕が考えていた事がわかるんだ?」
僕は口には出していないはず。まさかマオみたいに心を除くギアスが使えるようになったのか?
「ここ何ヶ月も同じ事を、しかもウジウジと考えている童貞坊やの事など簡単にわかる。私はお前の何倍も生きている魔女だぞ」
「そうだね。確かにそれしか考えていなかった気がする」
「全く。ルルーシュもそうだったがお前もくだらん事で悩みすぎだ」
初めてC.C.を見る。暗がりだからよく見えなかったが彼女は笑っている気がした。
「そうかもそれない。だからC.C.」
少し空いた距離に手を差し出す。因みに距離は寝る時に何とか空けてもらった。
「これからも僕が迷いそうな時はそうやって背中をおしてくれるかい?」
少しC.C.の空気が変わった。驚いているのか、今回はわからない。
それでいい。
彼女の事はこれから知っていけばいいんだから。
「…しょうがない奴だな。お前がここまで情けないとは思わなかったぞ」
どこか呆れたような口調。
でも、
「だからこそ私が傍にいてやらなければな」
やっぱり笑っているような声で彼女は僕と手を交わした。
支援!
しえん
425 :
R.R.:2008/09/28(日) 22:02:14 ID:4MkphNHo
翌日。
ホテルから出て僕達は歩き始める。
「これからどうするんだ。また当てのない逃避行でもするのか?」
何故かはわからないが髪形を三つ編みにしたC.C.が言う。
一応これからどうするかは考えている。
「ジェレミアさんの所に行ってみようと思うんだ」
「あの蜜柑男の?」
ジェレミアさんはあれから行方不明になったが最後にとった連絡によると田舎でオレンジ畑を耕しているらしい。
「うん。でもどうやって行こうか…」
場所こそわかっているが僕達には徒歩しか移動手段がない。普通に歩いていったらどれくらいかかるか…
「お前、そんな事も考えていなかったのか。本当にだらしない奴だな」
溜め息を吐きながらC.C.が言う。だらしないって意味が違うし、君にだけは言われたくない。
そのままC.C.は何かを探すように周りを見る。そしてある物に目が止まった。
「あれに乗るぞ」
「あれって馬!?」
C.C.が指さしたのは馬、と言うより馬車だった。
しかも農家らしい飼い主もいる。
「一緒に乗せてもらえばよかろう」
つまりヒッチハイクか。
「昔は車なんてなかったからああやって移動する事も少なくなかったんだぞ」
それはわかる。と言うより僕も車がない時代の生まれだし。
でも迷惑ではないだろうか。
「何事もやってみなければわからん。行くぞ」
そう言って彼女は僕の手を引っ張って馬車に向かって歩いていった。
支援
427 :
R.R.:2008/09/28(日) 22:04:27 ID:4MkphNHo
空はどこまでも青い
道はどこまでも続いている
歴史は青くはないし、いつ途切れるかもわからない
それでも―――
―――ルルーシュ、君の答えと世界の行く末は僕が必ず確かめる。
―――だから見守っていてくれ。
―――僕と彼女を。そして世界中の人々を。
空の向こうでルルーシュが笑っているのが見えた。
支援!
429 :
名無し:2008/09/28(日) 22:07:01 ID:JnBgD/kT
支援( ^o^)/
430 :
R.R.:2008/09/28(日) 22:08:44 ID:4MkphNHo
投下終了です。
あー、初めてなんで緊張しました。
最初は見た後はルルーシュ死んで茫然自失でした。
それで30分ぐらいたってようやくこのSS書き始めました。
自分の感想をライに代弁してもらいました。
ルルーシュ…君は本当によくやったよ…
感想、批評遠慮なくお願いします。
GJ
ライC良いよライC。
私も復帰したらキスシーンがないライC書きたい。
ルルーシュの死は私も驚きましたが、ツケが返ってきたのでしょうね。
世界のためとはいえ彼のやってきたことは悪行ですから。
最初に言っておく、割り込みごめん。
>>430 R.R.卿、初投下乙&GJでした!
最終回の後日談をこんなカタチでカキあげたのですか。
三人の誓い……切ないですね。
C.C.もなんかいいかんじでしたね。
貴方が次に投下するのを全力でお待ちしてます!
>>430 GJ
ロスカラ2が出たらホントにこんなEDありそうですね
最終回の寂しさにライが自然に馴染んでていい感じでした
こんな感じで私もナナリーED版を………僕には無理だorz
てか本編が中途半端にジェレアニャエンドになってライアニャss減ったりしないだろうか…
個人的には一番好きなCPなんだがな…こうなったらもっふー卿に頼るしか(ry
ライアニャ人口は割と多いから大丈夫さ
それよりもっとライセシ人口を(ry
こんばんわ…。
もし、予約の人いないようなら、23時ごろ投下したいのですが、大丈夫でしょうか?
きょろきょろ…。
しえんするお
支援のロードを突き進む!!
ありがとうございます。
では…少し早いけど始めますね。
支援お願いします。
タイトル「合流した後に…その7 完結」
カップリング「なし」
ジャンル「ホラー」か「シリアス」で…。
注意点
R指定出来そうな残虐描写らしきものあり。
オリジナル設定。オリジナルキャラあり。
以上の点で問題ある人は、スルーお願いいたします。
本編9レス+終了宣言1レスの合計10レスの予定です。
なお、投下は2分前後ごとに行う予定ですので、5分超えた場合は、トラブル発生と思っていただいて結構です。
その際は、再度投下しなおします。
支援
「う〜んっ……ここは……」
私は周りを見回した。
白い壁に白いカーテン、そして光の注ぐ窓…。
病院?
私は頭を軽く振る。
まだ、頭の奥で鈍い痛みが走るが後はなんとか大丈夫みたい。
身体の方も異常はなさそう。
少し擦り傷と打撲があるくらいみたい…。
でも…なぜ…ここに?
私は…確か……井上さんに呼ばれて…。
まだはっきりしない頭で、私はゆっくりと記憶の糸をたどり返していく。
そう…あれは…2週間近くぶりに井上さんから電話があったんだった。
二人とも忙しくてなかなか会えないけど、今度ゆっくり遊びにいらっしゃいって言ってたっけ…。
なんでもこっちの方に部屋借りたって言われて…。
で…遊びに行って…。
そこから記憶があいまいになる。
そして…私は教えられる。
あまりにもショックな現実を…。
合流した後に…その7 完結
sien
私が意識を取り戻した後、いろいろと事情調書を受けた。
そして、聞かされたことは、ライが井上さんに殺され、井上さん自身も精神に支障をきたし廃人のようになってしまっているという事だった。
前後の流れは、井上さん自身から聞き出せないためになんとも言えないらしい。
ただ、治安警察が踏み込んだ時には、部屋の床一面に血が飛び散り、絶命したライの肉を貪り食っていた井上さんがいたという話だった。
そして、バスルームで失神していた私が発見され、病院に担ぎ込まれたという…。
「どうして…こんな事になっちゃってるんだろう…」
最愛の人と信頼できる先輩を同時に失い、私には枕に顔を埋め泣く事しか出来なかった。
病院から退院し、1週間が過ぎた。
合衆国日本建国の英雄であり、黒の騎士団双璧の一人と言われたライの死は、混乱を抑えるためブリタニア軍の暗殺と発表された。
また、井上さんは重傷とされ、隔離施設へ送られていた。
すべては闇の中へと隠されていく。
そして、発表の翌日に行われたライ追悼のゼロの演説が放送されるとその反響は大きく、多くの日本人が打倒ブリタニアと心に誓い立ち上がっていた。
しかし、私はその様を冷めた目でしか見る事は出来なかった。
一部ではあるが真実を知ってしまっていたから…。
結局、いろんな大きな情報も真相はこんなものなのかもしれない…。
私は、そんなことをぼんやりと考えてその日を過ごした。
しかし、翌日、そんな私に1つの小包が届く。
宛名のない小包は気味が悪かったが、何か惹かれるものがあり受け取ると中を開けた。
そこには1冊の日記帳が入っていた。
ぱらりとページをめくる…。
それは…井上さんの日記帳だった。
私は、それをゆっくりと読み始めた…。
事件の真相を知る為に…。
支援
その日記帳には、井上さんのライへの熱い思いが綴られていた。
「井上さん…ライの事…」
それなのに自分は、無邪気にライの事を相談していたのだ。
辛かったんだろう…。
悲しかったんだろう…。
それでも彼女は…私に…。
だが…ある日から、書き方ががらりと変わっていった。
その日とは…そうカレンがライに告白した日だ。
そして、その日を境に日記には、支離滅裂な言葉が目立ち始める。
悲しみや悩みといった内容から、憎しみと恨みが増え始る。
私は、背筋がぞーっとする思いだった。
心の壊れていく様を日記という媒体で目のあたりにする。
その恐怖が、私を襲ってくる。
だが、私は見る事をやめることは出来なかった。
まるで魅入られたかのようだった。
そして…最後のページには、こう書かれていた。
「カレン…貴方にライくんは、渡さない…。
彼の身も心も私がもらっていくわ。
貴方は一人生き残って寂しく悲しみに溺れるがいい…。
かっての私のように…。
貴方みたいな女には、それがお似合いよ…。
私は、彼の心と思い出で幸せに生きていくから…」
支援!
乱れきった字で書かれたその文には、私への嘲りと侮辱に満ち溢れていた。
それを読んだ時、私の心の中で何かが弾け、湧き上がった。
弾けたものは、哀れみと同情。
そして湧き上がったものは、憎しみ…。
そして怒り…。
そう…。
そうなんだ…。
井上さん…私を殺さなかったのは…そういう事なんだ…。
うふっ…ふふふふふふふふっ…。
自然と口から笑いが漏れる。
そう・・そういうつもりなんだ。
いいわ…。
貴方の思い通りにはさせない…。
貴方なんか…幸せにさせないから…。
私は、日記帳を閉じるとナイフを仕込んだ愛用のポーチを持ち立ち上がった。
ある決意を秘めて…。
支援
日記帳を読み終わって3時間後。
隔離施設の一室に私はいた。
目の前には、井上さんがいる。
彼女は、虚ろな表情のまま枕をクッションにして寄りかかるようにベッドに座っていた。
「井上さん…日記読みましたよ…」
そう声をかけても反応しない。
そう…彼女の精神はここにはもうないのだから…。
自分の世界に入りきり、ライと今でも楽しく過ごしているのだろう。
だが…私は…それさえ許せない…。
憎しみが、怒りが私を支配する。
「ふっ…貴方だけを幸せになんかさせないわ…。死んで…井上さん…」
ポーチに仕込んだナイフを出して斬りつけようとする。
だが、その時だ。
何にも反応しないはずの井上さんの首が私の方を向いたのは…。
そして、ぎろりと私を視線に捕らえる。
支援!
怖すぎです
支援
「ひっ…」
思わず、ひるむ。
それほどに狂気じみた動きだった。
「ひひひひ…。いい殺気だねぇ…。お譲ちゃん」
井上さんの口を使ってまったく違うものが話しかけてくるような感じさえしてくるほど違和感のある声が部屋に響く…。
「な…なにっ…」
恐怖に捕らえられ、その場に崩れ落ち座り込んでしまう。
「この女もいい媒体だったけど、心を閉ざしちまったらもう駄目だねぇ…」
「な、何言ってるのよ…」
震える声で文句を言うが、膝がガタガタと震えている。
「いいねぇ…。あんたなら長く持ちそうだ…。あんたに決めようかね」
恐怖に押しつぶされそうになり、逃げようとするものの、足は振るえ立ち上がることさえ出来ない。
そして、その視線から目を離すことも出来ないでいた。
「ひひひひ…、我、フォン・ユンツトが命じる。我を受け入れよ…」
目が紅く怪しく光る。
そして…私は気を失った。
なんてNice boat.
「ふひひひひ…。いい、いいよ…この女は…。また遊べそうだねぇ…。
さぁ、また…悲しみと不安を糧に、怒りと恨みの祭りを始めるとするかねぇ…」
カレンの中に入り込んだ人格は、そうつぶやくとここで起こった出来事の記憶を消し去って心の奥底に入り込んでいった…。
かって、井上と呼ばれた女性に行った事と同じように…。
「あれっ…私…どうしたんだろう…」
気を取り戻した私は、周りをきょろきょろして状況を把握しょうとする。
そうだ…。
私は…怒りに駆られて…。
床に転がっているナイフを仕込んだポーチを拾い上げる。
さっきまでの怒りがすーっと引いていく。
井上さん…きっと寂しかったんだね。
そう思うと彼女へ憐れみすら感じられる。
私はそのまま立ち去ろうとした。
支援
その時、私の中に現れたもう一人の私が囁く。
−いいの?彼女を許して…。
えっ?!
私は戸惑う…。
−貴方の最愛の人を殺したのよ。そして、自分だけは自分の世界に閉じこもって幸せになっているのよ。
でも…。
−悔しくはないの?貴方は不幸になって悲しみに暮れているのに…。
ああ…。
−やはり…罰を与えないと…。そう思うでしょ?
あああああ……。
私の心を黒い怒りという闇が塗りつぶしていく。
−さぁ…やるのよ…。
アァアァァァァア嗚呼ああ…。
私は、もう一人の声に従うかのようにポーチから刃を出すとゆっくりと振り上げていく。
−さぁ…、さぁ…、さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………。
そして、私は腕を振り下ろした…。
紅い…。
とっても紅いものが…飛び散った…。
アア…ナンテキレイナ…紅…。
私は、ふとそう思ってしまっていた。
そう…そして悪夢は決して終わらない…。
悪夢は…連鎖していく…。
他の人を巻き込んで…。
人の意識に乗り移るギアスを持つフォン・ユンツトがいなくならない限り…。
悲しみと不安を糧に怒りと憎しみの宴を楽しむナイトメアがいる限り……決して終わらない…。
《完》
支援!
これで「合流した後に…」完結でございます。
皆様、長々とありがとうございました。
まぁ、最後のこの話は、蛇足的なものですが、折角なのでギアスを使ってホラーっぽくやってみました。
いかがだったでしょうか?
次は「蒼天の騎士」シリーズか、新作でお会いしましょう。
本当にどうもありがとうございました。
>>458 あしっど・れいん卿、乙でしたー!
怖っ!
この一言に尽きます。
なんかギアスのせいにしてる様にも見えますが、それが怖さを引き立ててもいますね。
貴方の次の投下を全力でお待ちしましょう!
あしっど・れいん卿GJでした!
…怖すぎです。
下手なホラー漫画よりずっとホラーです
卿の次回の投下を全力でお待ちしております!
>>458
GJ!ひえええええええ!!
BADENDでも見てしまいますた
本来こういうのは苦手なんですがね……
それでも見てしまうなあ……
これもまたアリだと思ってしまう自分がいたりします……
次回の投下お待ちいたしております全力で!!
自分も最終回の勢いに乗って投下しますがよろしいでしょうか?
GJ。そして・・・
こええええええええええ!!!!
この一言につきますね。((;゚Д゚)ガクガクブルブル
まじ怖かった・・・。
前回の続きを投下いたします。
ああっと。支援します
あしっど・れいん卿GJ!
あ〜怖かったw
秋なのに真冬の空気を感じてしまいましたよ
今日は日曜日か、KOUSEI卿は来てくれるのだろうか…
ってきてんじゃん!?
支援しますorz
おお!KOUSEI卿リアルタイムで見られるのは初めてww
てことで支援します
あれ?どうされました?
他にはいなかったと思いますが?
あ、ほんとだorz
ちゃんと見てませんでした すみませんorz
どっちにしても支援しますぜ!
>>461卿がいらっしゃったと思います。
今反応がないのは投下準備中だからかと
ふたりの支援、自分も支援させていただきます
475 :
カズト:2008/09/28(日) 23:43:39 ID:jy6Y0/HT
タイトル「追憶の旅路 第八章 決戦への序曲」
注意点
・実質完全オリジナルです
・カレンがライの過去編を精神体という形で見ております
・オリキャラ多数
さすがにオリジナルすぎるので
あらすじ
ブリタニアの辺境の国の皇子
ライエル=スメラギ=フォン=ブリタニア
彼は「魔法使い」からギアスを授けられ
着実に王への道を歩んでゆく
その中で大切な人も失ってしまった
「北の蛮族」と同国内の隣国
両面の敵を相手にライは戦う
いつか来る悲劇を知らずに……
支援
よしきた支援
478 :
カズト:2008/09/28(日) 23:46:29 ID:jy6Y0/HT
次の日、ロベルト皇子の国葬が煌びやかに執り行われた
参列者の貴族達は、ロベルトの死を悼みながら涙を流した……表面上は……
ライにとっても、時間の無駄以外の何物でもなかった……
対して海堂の葬式は命が先頭に立ち、慎ましやかに
できうる限りの日本式で行われた……
参列者は国民が多くを占め彼の人気の高さを証明していた
強さと信念を兼ね備えた者ならではである
献花も多く、部下をはじめ心から涙を流している者も数多く居た
ライは海堂の遺品の中から、鍛錬の型に使っていた日本刀の大小を形見分けに貰った
ライも涙を流しながら心の中で自分を責めた……ボクガコロシタヨウナモノダ……と
しかし、時間は待ってくれないのだ
悲しむ間も無く、急ぎ軍を再編成した
ライもまた海堂の部下である仙沢を副官につけ、旅団長として隣国に出征する事になった……
「皆の者!大義は我らにある!!進め!!我が国から「北の蛮族」を追い出せ!!」
オオオオオオオオオオオオオオオオ!!
隣国との戦は有利に進んでいた
援軍の「北の蛮族」は精強な兵士の死兵による正面突破であるが、それゆえに単純であった
死兵の発見報告を受け、防御地点まで退却、馬防柵を用い、弓隊と砲兵で迎え撃ち、さらに騎馬隊で敵の横腹を急襲する事で、圧倒的に勝利した
テントに数十名の捕虜となった者達がいる、見張りの兵には「僕に絶対の忠誠を誓え」というギアスをかけた……本来は必要は無いのだが、ギアスの秘密を守るためである
彼らに「何も聞かぬように耳栓をしろ」と命じた、この者達は「工作員」を仕込む作業には
常に追従させる事となる
支援
支援
481 :
カズト:2008/09/28(日) 23:50:11 ID:jy6Y0/HT
そして、捕虜には「我が国と全面戦争状態になったら、反旗を翻し同士討ちしろ」
と「国に帰ったら隠密裏に町の破壊工作をしろ」のそれぞれ二つのタイプのギアスをかけ解放した
命が皇帝から隣国討伐の勅令を受けた事により軍の士気は高まっていた
海堂への手向けの意味合いも大きかった
また隣国から敵の町を拠点として征圧したのだった
例によって、ライが町を視察する
「ひどい有様だ……奴らは壊す事しか知らないのか!」
隣国がすでに「北の蛮族」に取り込まれ彼らの実効支配を受けていたのを知っていた
町の建物は荒れ果て、死体が転がり、浮浪者があふれていた
海堂が死んだ事も手伝ってか
ライの心は彼らに対する憎悪で満たされつつあった……
そして、隣国を征伐するのにそれほど時間がかからなかった……
「皆の者!!よくやった!!だがこれで戦いが終わったわけではない!!
我は戦い続ける!!「北の蛮族」を倒し、皆の平穏を勝ち取る日まで!!
オールハイル!!ブリタニア!!」
「オールハイル!!ブリタニア!!」
「オールハイル!!ブリタニア!!」
「オールハイル!!ブリタニア!!」
「オールハイル!!ブリタニア!!」
支援
支援
484 :
カズト:2008/09/28(日) 23:52:46 ID:jy6Y0/HT
勝利の中でライを称える兵士達の歓声と民衆の「北の蛮族」への憎しみが入り混じっていた
ライは感じていた……いずれ来る「北の蛮族」との全面戦争への予感を……
「ライ……」
カレンは感じていた……破滅へのカウントダウンが始まっているのを……
支援
支援
487 :
カズト:2008/09/28(日) 23:56:13 ID:jy6Y0/HT
ウラバナシF
L・Lは指を鳴らす!!
パチッ!!
……しばらくの沈黙、何も起きない……
「……っ!?」何度も指を鳴らす!!パチッ!パチッ!!
ニヤリと「魔法使い」は笑う
「呼んでるよ……」そう言って何かをL・Lに投げる……
「……っ!!」それは自分の「守護者」の生首だった……
L・Lは身構えた!!「魔法使い」から撃つ出されるボウガンの矢をかわす!!
「くっ……」矢が切れたようだ……マントの中から矢を装填しようとする!!
L・Lはそれを見て「魔法使い」に向かう!!
(組み伏せて気絶させる!!縛り付けて、コードを押し付ける!!)
向かってきたL・Lに対し、ニヤリと笑う……芝居だった!!
実は、まだ矢が残ってたボウガンを向けた!!
ヒュン!!ヒュッ!!
「……っが!!がああああああああああああ!!」
L・Lの両太腿にボウガンの矢が食い込んだ!!
いかに「不死者」とて痛みを感じないわけではない
「この私をこれほどまでに不愉快にさせるなんて……
一体何年ぶりだろうね……!!人の感情はもう……失ったと思ったのに!!」
「魔法使い」は不快感を露にし、L・Lに殺気を放った!!
ガタガタガタ……L・Lは本能で恐怖を感じ取った!!
(か、勝てない……こいつには……)即座に両手で矢を抉り出し逃げる!!
ヒュウッ!!「魔法使い」は口笛を吹く
ヒュンッ!奴とは別に、左側から矢が飛んでくる!!
L・Lはそれでも逃げる!!「魔法使い」は思いどうりの方向に逃げていくL・Lを追って行く……
支援
489 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/09/28(日) 23:58:44 ID:dQU/6RbS
支援
490 :
カズト:2008/09/28(日) 23:59:51 ID:jy6Y0/HT
ハァ……ハァハァ……
逃げて逃げ続けて、巨木に手を置くL・L……自分を追う足音が聞こえる……
傷は再生能力で完治しつつある……
「うん、そっちのルートに行ったね……」そう言って、皮肉交じりに指を鳴らした……
パチッ!!
L・Lの地面が二つに分かれた!!いや偽装されたビニールシートだった!!
「えっ!?」反射的に踏鞴を踏んでしまった
ズブズブ……L・Lの前に突如、底なし沼が現れた!!
靴を捨て跳ぶ事が、助かる最終期限だったが、足首まで埋まってしまった!
L・Lの顔が青ざめた!!もう既にチェックメイトだという事に!!
いかに「不死者」とて、呼吸ができなければ活動できるものではない
L・Lは「永遠に生き続ける地獄」から「永遠に死に続ける恐怖」をリアルに感じた!!
「あ……あああああああ!!た、助けて!!お願い!!」
「君は最低で最悪な不死者だよ……私の契約者に手を出すとはね……目的は「退屈しのぎ」って所だね……」
図星を突かれ、心臓がより早い鼓動を脈打った!!
情報からライエル皇子がギアス使いという事は、予測できたが
契約した「コード所有者」が、まさかこんな恐ろしい相手とは予想の範疇外だった
「た、助けて……も、もう240年も生きているのよ!!こうでもしなきゃつらいのよ!!」
「ふうん……それで?」呆れた口調でL・Lの必死の声を鼻で笑った……
「コードを受け取るから助けて!!」胸まで浸かりもう既に半狂乱だった……
「たったそれだけ?私はねえ……250年あたりから、数えるのが馬鹿らしくなったんだよねえ……いいじゃないか君……そんなにも生きて、そんなに感情が出せるんだから……
君は世界を汚すだけの醜い存在だよ……さよなら……」
「魔法使い」は恐怖に顔を歪めながら沈んでいくL・Lを見つめ続けた……
「……様どうなさいましょうか?」影達が尋ねる
「うん、三日ほど放置して引き上げて……コードを貰って殺す……」
そしてそれは三日後、実行に移されたのだった……
「とりあえず、不安材料は取り除いたよ……後は君次第だよ……
君が最後の希望だからね……」
支援
支援
493 :
カズト:2008/09/29(月) 00:06:23 ID:vx1Ru5Oc
以上投下終了です
即席であらすじを書いたので
宣言から投下が遅れました
不死者ってああやって倒すしかないですよね
最終回まさかこれほどとはなあ
第一期の第一回から
この終幕までのエネルギーはなぜ感じる事ができたのでしょうかねえ
本編が終わって、この刷れも収束に向かうと思いましたが
新人さんも来られているようなので、まだ書き続けられそうです
カズト卿、GJでした!
ビニールシートは時代的に無いんじゃ……
倒し方、ナ○ト……
怒り、憎しみで戦うライのいく先が気になります。
貴方の次の投下を全力でお待ちしております!
>>493 カズト卿GJ!
これからカレンはライの世界の終りを見てしまうんですね
次も楽しみ待ってます
>>493 お疲れ様でした。
しかし…よく思いつきますね。(褒めてます。
私には…無理だぁ…。
すごいですよ。
この調子でがんばってください。
最後になりますがGJでした。
497 :
カズト:2008/09/29(月) 00:30:04 ID:vx1Ru5Oc
>>494
しまったそれは考えてなかった!!
御指摘ありがとうございました
助かったあ
修正依頼
>>490
ビニールシート→布
では、すみません。前回の続きを投下させていただきます。
支援します
支援
しえん
<オリキャラ。オリ設定注意!>
○ターン7『紅 と 青』Bパート
「領事館に黒の騎士団がいない!?」
ロイが執務椅子から立ち上がりながら聞き返すと、携帯電話の先のジノはいつもより低い声で『ああ』と答えた。
『今、確認したんだが、領事館の中には黒の騎士団はいない。ここの責任者の話では昨夜の内に黙って出て行ったそうだ』
黒の騎士団が領事館から消えた。その事実が意味するものは一つしか無かった。
ロイは己の中に巻き起こった小さな焦りを、これまた小さな息と共に吐き出す。
とにかく、少しでも早く気分を落ち付けるよう努めた。
行動は焦ってもいい。ただし、思考まで焦らせると、ロクな事にならない。それをロイはよく知っていた。
「そうか、ここにきて黒の騎士団が動いたとなると……」
『どっちだと思う?』
ジノが尋ねたのは、黒の騎士団がナナリー総督を狙うとしたら、空港か、それともそれ以外かという事だ。
ロイは、少し視線を下げて考え込んだ後、
「……今の状況では判断しかねる。ただ、黒の騎士団が空港ではなく空で大アヴァロンを襲うのなら――」
『ポイントT−2031だろうな』
ジノ達もすでに空で黒の騎士団が大アヴァロンを襲うをしたら。という話し合いをしていたのか、彼はロイが予想していたのと同じポイントをサラリと言った。
『すでにスザクが大アヴァロンに連絡して、進路を変更してもらっている。そんで……』
「分かった。今エリア11には空中戦ができるKMFは僕たちの機体しかない。空港の事はここの駐留軍に任せて、僕達ラウンズは――」
『出撃だな。ポイントT−2031で奴らがのんびり待ち伏せをしていたら、やってくるのは自分たちラウンズ部隊ってことだ。じゃあ、こっちはこのまま格納庫に向かう』
「ああ。じゃあ、また後で」
そして、ロイは電話を切った。
「……」
携帯電話を懐にしまうと、ロイはすぐに執務机の上にある通信機に手を伸ばした。先ほど、T−2031に偵察機を飛ばすよう指示した部署に連絡を入れると、すぐに女性のオペレーターが応答した。
「私だ。先ほど飛ばした偵察機からの連絡は」
オペレーターの返事はすぐだった。
『偵察機は指示されたエリアに到着し、現在索敵中です。今のところ、不審な機影は確認できません』
支援
「そうか……では引き続きそのエリアの捜索を。そこには黒の騎士団が向かっている可能性が高い。鳥一匹見逃さないつもりで探して下さい」
『イエス・マイ・ロード』
聞きなれた返答を最後に、ロイは受話器をあえてゆっくりと置いた。誰にであれ、自分が少しながらも焦っている事を知られたくないという心理が働いたからかもしれない。
「……来るのか、ゼロ」
ロイは踵をかえし、早足で政庁地下にある格納庫に向かった。
○
ロイが白いパイロットスーツに着替え、政庁地下にある格納庫に入ると、技術少佐の階級章をつけた男が近寄ってきて敬礼をした。
「クラブ、S兵装で準備完了しております!」
「行けるかな?」
「いつでも!」
「ありがとう」
ロイは笑顔で応じて、男の横を通りすぎ、奥に進む。
広い格納庫では優秀な整備士達が所狭しと駆け回っている。そして、それら見下ろす鋼鉄の青い騎士の姿があった。
ロイ・キャンベル専用KMF“ランスロット・クラブ”。
ロイは傍に備え付けてあったタラップに足をかけ、早足で一気に昇るとコックピットに滑り込んだ。
懐から青いキーを取り出し、それを差込口に取り付けて、“クラブ”に読み込ませる。ロード。暗証番号入力。確認。認証終了。またロード。
一通りの操作を終えると、目の前のモニターに、“クラブ”の起動を知らせる表示が出た。
「んっ?」
その時、通信を知らせる電子音が鳴った。
一瞬、偵察機が黒の騎士団を発見した。という報告かと思ったが、違った。
『キャンベル卿』
通信を繋げると、ウィンドウに映ったのはギルフォードだった。その背景を見るに、どうやらKMFのコックピットにいるようだった。
ロイは分厚いレンズの奥で眉をピクリと上げた。
「ギルフォード卿。出撃したのですか?」
『はい、私たちは枢木卿から連絡を受け、キャンベル卿に乗せていただいたアヴァロンから出撃し、現在T−2031に向かっています。ですが……こちらが先行して飛ばした偵察機によると、そのポイントでは黒の騎士団を確認できません』
「それは本当ですか」
『はい』
ギルフォードは小さく頷いた。
支援
ロイはそれを聞いて、新たに通信を繋ぐ。ウィンドウに現れた女性オペレーターに、「私だ。こちらが飛ばした偵察機はどうなっている」と尋ねる。
『駄目です。不審な船一隻見つかりません』
オペレーターからは相変わらずの答えが返ってきた。
(どうゆうことだ……)
ロイは通信を切り、眼鏡の奥で瞳を細めた。
二つの偵察機でこれだけ探して見つからないとなると、本当にそのエリアに黒の騎士団はいないのだろう。
しかし、このタイミングで姿を消したという事は、黒の騎士団はなんらかのアクションを起こそうとしていると見て間違いない。
(本当に空中戦などやるつもりがないのか? となると中華連邦の領事館を出てエリア11のどこかで、空港を襲うべく息を潜めているのか……)
それならば自分たちラウンズは無駄足を踏もうとしている。いや、そもそも無駄足を踏む事も見越して、このエリアの駐留軍を悪戯に動かさず、ラウンズのみで出撃しようとしているわけではあるが。なにも完全に無駄足と判明したのなら、出撃する必要性がそもそも無い。
(ここは動かず、大人しくエリア11で残った方がいいだろうか……)
そんな事を考え始めた時、
『おい、どうした。早く出ようぜロイ』
いつの間にか領事館から帰ってきたらしい。ジノから通信が入った。すでに専用のKMFである“トリスタン”に騎乗しているようで、その姿は白い軍服ではなくパイロットスーツだった。
『ロイ。総督が危ないんじゃないの?』
続いて、同じく白いパイロットスーツに身を包んで、すでに“モルドレッド”のコックピットにいるアーニャからも通信が入る。
ロイは、ならスザクも帰ってきてるのか? と思って、コックピットから辺りを見渡すと、格納庫端にあるV−TOL機に乗り込もうとする白い影が見えた。スザクだった、だがどうもその足取りがおかしい。
その様子はいつもキビキビと歩くスザクにしては全体的に弱々しく見える。
「? スザクはどこか怪我でもしたのか?」
ジノとアーニャに尋ねると、二人は画面上でなにやら意味深な視線を交わらせた後、ジノが気まずそうに言った。
『実は……スザクの奴。むこうの武官とやり合ってさ』
「やりあった!?」
ロイは思わず声を張り上げ、ジノが映る画面に体を近づけた。
支援!
支援
2出して欲しいねぇ
「どういう事だジノ! あれほど外交問題は起こさないようにと――」
『ケンカを売ってきたのは向こう。ちなみに怪我をしたのはスザクだけ』
アーニャが遠慮気味に口を挟む。そんな彼女をロイはキッと睨んだ。
「ケンカ売ってきたからって、それを全部買ってどうするんだ!」
『でも……』
眉をひそめるアーニャ。見かねてジノが助け舟を出す。
『大丈夫だ。ナイトオブスリーの名にかけて、絶対に外交問題にはならないと約束する。とりあえず経緯は後で説明するから今は私を信じてくれ』
「……」
真剣な表情で言われて、ロイは少し間を置いてから「分かったよ」と納得してないながらもこの時ばかりは頷いた。
今、こんな言い合いをしている暇は無いのだ。
ジノは『ありがとう』と前置きしてから続けた。
『よし、じゃあ話を戻すぞ。と言っても一体全体どうなってるんだ? 黒の騎士団はポイントT−2031にいるんだろう。違うのか?』
ロイはチラリとギルフォードを見やり、お互い、困った顔を合わせた後、その視線を画面のジノに向けた。
「実は……僕とギルフォード卿が飛ばした偵察機によると、そのポイントには黒の騎士団どころか、不審な船一隻無いそうだ」
『海中もか?』
「ああ、海中もだ」
ジノの眉間に深い皺ができた。
『じゃあ、なにか。黒の騎士団はやっぱり空中戦なんかやる気がなくて、実は空港を襲うべく息を潜めている可能性もあるわけか』
「そのとおりだ。ただ、空港の防備は完璧だ。いくら黒の騎士団の戦力が多少充実したからといって、そこを襲うというのはあまり考えられない」
空港及び、空港から政庁までのルートの防備に穴は無い。なにせ、あの警護担当のラウンズであるモニカも太鼓判を押したほどだ。ここで、ナナリー総督を襲うのは空中で大アヴァロンを襲うよりはるかに困難だ。
黒の騎士団が脱出を考えず自殺的な行為に出たとしても、である。
すると、話を聞いていたアーニャが、相変わらず集中していなかったら聞き逃してしまうような静かな声で言った。
『じゃあ、どうする。T−2031に向かうのはやめて、大アヴァロンと合流する?』
ジノが『ふむ……』迷いながらもその案に頷いた。
支援
支援
『そうだな。その方が確実かもしれない。ポイントT−2031以外で黒の騎士団が大アヴァロンを襲う事は無いと思うが、ありえないわけじゃ無いしな。ロイ。お前はどう思う』
ロイは水を向けられて、唇に指を当てて考え込んだ。
黒の騎士団がなんらかの行動を取ろうとしていることは間違いない。その黒の騎士団の目的が何であるかは別として、今この場で一番に優先されるのはナナリー総督の安全だ。なら、
「……そうだね。そうしよう。その方が確実だ。アプソン将軍はいい顔しないだろうけど。僕達が護衛につけば総督の安全は保障される。スザクにもそう伝えよう」
そしてロイはチラリと先ほどのV−TOLを見る。
スザクの乗せたV−TOLは緩やかに地面で旋回し、今にも発進する所だった。
ロイはスザクに通信を繋ごうと、そのスイッチに手を伸ばした。
『大アヴァロンはルート変更してるから、合流するのに結構時間がかかりそう』
ふいにアーニャがポツリと言った。
それを聞いて、ロイはスイッチに向かっていた指をピタリと止めた。
(ルートを変更している? 時間がかかる?)
ロイの頭の中で、火が入り、何かの計算がめぐるましく行われ始めた。
ルート変更。それによって起こされた合流時間の増加。
(……いや、待てよ、まさか)
一つ一つ、絡まっていた糸が解けていくような感覚をロイは感じていた。それは、どんどん進み、やがて糸は全てほどけ……。
『結構っていっても、それほどかかんないだろう。とりあえず黒の騎士団が空で襲ってくるっていう可能性はポイントT−2031の線が消えた以上、ほとんど無くなったんだ。自分達は総督がこのエリアに到着する前に合流して護衛につけばいい――』
「そうか! そういう事か!」
唐突にロイはジノの言葉を遮って叫んだ。その行動に呆気に取られている三人の騎士を尻目に、ロイはスザクのV−TOL機に通信を繋げた。
スザクはすぐに応じた。ウィンドウから、少し顔色の悪いスザクが現れた。
『なんだいロイ。僕は今から発進――』
ロイはスザクの言葉を待たずに尋ねた。
「スザク! 君は大アヴァロンにルートを変更するように指示したらしいけど、それは南のルートか!?」
支援
支援
スザクは、ロイにしては珍しい強い言い様に面食らって、一瞬呆気にとられたようだが、すぐに頷いて口を開いた。
『えっ、うん。黒の騎士団が大アヴァロンに襲い掛かるのならポイントT−2031以外ありえなかったから、そこを南に迂回するように連絡した』
なんて事だ。とロイは内心で呟いた。
ただ、スザクの判断は間違っていない。おそらく、ロイでもスザクの立場ならそうしただろう。
そう分かってはいても、ロイはスザクの取った行動に歯噛みせずにはいられなかった。
それはしてはいけない事だった。
(間違っていた。僕はゼロを甘く見ていた……)
黒の騎士団に都合が良い場所。それは大アヴァロンの予定ルート上でいえばポイントT−2031しかなかった。しかし、今その大アヴァロンは予定のルートを変更して大きく南に迂回している。つまり、
できたのだ。
ポイントT−2031より黒の騎士団に都合が良く、更に本来の大アヴァロンの予定ルートから外れているがためにブリタニアにとって危険度が増す都合の悪い場所が。
自分たちはルートを変更“した”のではない。間接的にゼロにルートを変更“させられた”のだ。
「失態だ!」
ロイは拳を強く握り締め、自分の膝を思い切り叩いた。
『ロイ?』
『キャンベル卿?』
アーニャとギルフォードが驚いて不思議そうに尋ねてくる。
ロイは、すぐに顔を上げた。
「ギルフォード卿はすぐに部隊を引き返して下さい! そして“アヴァロン”と共にアプソン将軍と合流を!」
『はっ? ……あ、いや、まさか』
ここでギルフォードは一連の仕組みに気付いた様子だった。
『おいおい。一体どういう事だ? 俺達は今帰ってきたばかりで状況が良く飲み込めないんだが』
そう言うジノに、ロイは告げた。
「一杯食わされたんだ! 黒の騎士団は大アヴァロンが進路を変更した先にいる!」
『!』
聞いていたスザクの顔も画面上でハッとした。
その隣のジノが、信じられん。といった様子で、
『ちょっと待て。じゃあ何か。黒の騎士団は俺達が大アヴァロンのルートを変更すると読んでたっていうのか? その上で、待ち伏せをしたと?』
「そうだ」
ロイは頷いた。
『……もしかして、マズイ?』
支援
アーニャが首を傾げた。しかし、この場合、もしかしなくてもマズかった。
○
「凄い、本当にこっちに来た」
紅月カレンはそう内心で呟きながらレーダー上で捕捉した大アヴァロンの編隊を、半ば信じられないといった様子で眺めていた。
V−TOLで吊るされた紅蓮弐式のコックピットの中。カレンは未だ敵の出現に呆けながらも、戦闘の開始が近いのを無意識にも感じているのか、体だけは自然と操縦桿のグリップの握り具合を確認している。
「まさか本当に、ブリタニアがルートを変更するなんて……」
ゼロに『我々はナナリー総督のアヴァロンが、通る予定の無いポイントで待ち伏せする』とミーティングで聞かされた時は耳を疑ったものだが……。
カレンはフッと下を向いて微笑んだ。
(流石です、ゼロ……。ライ、私たちが守るべきゼロは健在よ)
『うわ、本当に来たよ。にわかに信じられなかったけど』
『こういう先読みに関しては、我らがリーダーは流石というより無いな』
『……しかし、偶然かもしれない』
朝比奈、仙波、千葉の声が紅蓮の通信を通して呟いた。やはり、四聖剣のメンバーもこの目の前に広がる事実に、興奮半分、驚き半分と言った感じのようだった。他の団員達も同じで皆一様に驚きの言葉を掛け合っている。
『ゼロが来ると言ったのなら来る』
その時、少々浮き足立った団員達を諌めるような重い声が響いた。
黒の騎士団の戦術的要。藤堂鏡志朗だった。色々な意味で気持ちが昂ぶっている団員達の中で唯一、波の無い海、澄んだ湖のような静けさを醸し出しながら、触れれば切れるような鋭い瞳を更に尖らせて、前方の獲物を眺めている。
『ゼロを信じ。我らは刃を振るう。それだけだ。皆、準備はいいな』
「承知」「了解」各々返事を返す。
『では、ゼロ……』
そして、藤堂はゼロに言葉を譲った。
受け取ったゼロは通信機を通して全団員に呼びかける。
『黒の騎士団よ! 目標はナナリー総督を確保することだ。絶対にナナリー総督に傷を付けるなよ! いいか! 絶対にだ!』
先ほどよりすこし大きな声で、団員たちが返事を返す。
カレンも返事をした後、迷い無くアヴァロンの編隊をにらみつけた。
ゼロに従う事に迷いは無い。
支援
ゼロは、いや、ルルーシュは言った。必ずライを助け出すと。ルルーシュはライの親友。カレンが信じた男の親友なのだ。信用できない道理は無い。
(ゼロの道は私が切り開く)
それが、ライを助け出す事にも繋がる。
そして、紅蓮を吊るしたV−TOLはナナリーを乗せたアヴァロンに向かって加速していった。
○
戦闘は始まった。計算によるとギルフォード卿が少し早くラウンズ部隊より駆けつけられるはずだが……。
『ギルフォード卿が大アヴァロンに到着したみたいだ』
ジノの言葉に、ロイはモニター越しに広がる青い海を睨みながら「そうか」と答えた。
ギルフォード卿に遅れる事五分。ロイ達4人のラウンズは大急ぎでナナリー総督の乗る大アヴァロンに向かっていた。
だが、フロートシステムの加速についてこれないスザクのV−TOLが少し遅れている。
「僕達もあと五分ぐらいでたどり着く。二人とも準備はいいかい」
『ああ、問題ない。“トリスタン”はご機嫌だ』
『“モルドレッド”も大丈夫』
ロイは小さく頷き、そして同僚達に告げた。
「よし、じゃあ僕とジノが前に出る。アーニャは後方で援護」
『援護?』
すると、アーニャが眉をひそめながら聞き返してきた。
「不満かい?」
ロイはまた聞き返す。基本、ラウンズ同士に順序は無く、命令口調であろうとそれはあくまで提案になる。
ラウンズの命令をラウンズが従う道理は無い。ただ、基本この三人で組む時はロイが指示を出す事が多いため、自然とロイの口調は命令のそれになる。
『……』
しかし、ロイのその提案に対して、アーニャは声に出して嫌だ。とは言わないまでも、相当に不満のようだった。
なぜなら、通信画面に映る彼女のその小ぶりな顔には――見事に不満の色しか無かったからだ。
ロイがそんなアーニャにかけるべき言葉に困っていると、
『俺もその意見に賛成だ』
と、ジノが口を挟んだ。
ロイも素早く思考をまとめて口を開く。
「敵にはあの紅蓮弐式がいる。あいつの輻射波動に装甲は関係ない。だから、動きの遅い――」
画面に映るアーニャの眉がピクリと動き、さらに不満の色が充満していく。
ロイは(しまった……)と内心舌打ちし、慌てて言い直す。
支援
「僕達の中では動きの遅い――」
『ロイは』
アーニャはロイの言葉に被せるように言った。
『私があの赤いのに負けると思ってるの?』
今度は不満にムッとした怒りの色を混ぜた顔でこちらを見るアーニャ。どうやら不満を充満させた上に怒りも充電させてしまったようだった。
「……」
失言だった。言い方も悪かった。基本的に“アーニャ”はロイのいう事をよく聞いてくれるが、ひとたびそれが“ナイトオブシックス”となれば話は別だ。
彼女はプライドも誇りも実力も一人前の騎士であり、その戦い方には彼女なりの美学もある。それらをロイは結果的に傷つける形になった。
「いや、そうじゃないんだアーニャ」
『そうとしか聞こえない』
ピシャリと言われて、ロイが冷や汗を垂らしながら、口を閉じる。
なぜか、猛烈にいけないことをしてしまった気分になった。どうも、ロイは女性に怒られるということが苦手だった。
かつて、そのロイの性格を見抜き、
「弁舌と交渉術でシュナイゼル殿下に賞賛され、さらに中華連邦、EUでは影で相当に評価されている英傑も、女の前ではただの雄」という評価をさもおかしそうに下したのシュナイゼルの副官カノン・マルディーニだった。
ちなみに、シュナイゼルはそれを聞いて「なるほど、確かに君の女性関係を見ているとそう思えてしまうね。でも分かるよ。私も、所詮は男の一人なのだから」と珍しく愉快そうに笑っていた。
『まぁまぁ、アーニャ。ロイはお前が心配なのさ』
ジノが軽い口調で口を挟んだ。
『弱いから心配って事?』
画面の中でジノに視線を移すアーニャ。ジノは肩をすくめた。
『分かってやれよアーニャ』
『何を』
『お前が大切だから、心配なのさ』
『大切だから?』
「……ジノ」
ロイは小さくため息をついた。ジノが何か上手い事を言ってアーニャをなだめてくれる事を期待したのだが、そんな抽象的かつ当たり前な理由でアーニャが納得すれば苦労は無い。
そもそも心配だったらジノに対してもスザクに対してもしている、このメンバーはロイにとってかけがえの無い仲間、友達なのだから。
ロイは全く持って役に立たない友を、少々恨めしげに見やった後、正直気が重かったが、しぶしぶアーニャに向き直った。
支援
「あのねアーニャ。ジノが言ったのもあるけど、特性と相性の問題でね――」
『分かった。援護に回る』
「………………へっ?」
ロイはそのアーニャの子供のような素直な返答に、目を丸くした。そんなロイを尻目にアーニャはどこか満足そうな表情で言った。
『うん。大切なら仕方がない』
その言葉を最後に、通信の窓が閉じる。同時に“モルドレット”が“クラブ”と“トリスタン”からスイっと離れた。
どうやら本当に援護に回るらしい。
「……」
ロイがその様子を呆然と眺めていると、ジノがクックックと笑った。
『ロイ。お前もまだまだ修業が足りないな』
「? な、なんの? っていうかジノ。今何か魔法使った?」
ロイが聞くと、ジノは『いやいや』と顔の前で手を振った。
『アーニャは以前からから切なくも甘酸っぱい魔法にかかってるんだって。そこん所はどう思うのかな、わが友は』
「甘酸っぱ……って何だって?」
訳が分からない。といった様子で尋ねると、ジノはそんな友人の様子をさもおかしそうに眺め、また静かに笑った。
『分かんない? まっ、天然なのも魅力の一つなんだろうな』
「て、天然……」
『まぁいいか。さてそろそろ作戦区域だ。引き締めようぜ。ラウンズが四人もいて総督が捕われたらシャレになんないだろ』
「……分かったよ」
ジノには色々聞きたい事があったが、ロイはとりあえず今は戦闘に集中する事にした。
○
「フロートに追いつけない!」
紅月カレンは憎々しげに、空を飛び回る“ヴィンセント”を睨みつけた。
戦局は、明らかに黒の騎士団にとって不利な状況に傾いていた。
大アヴァロンの対空攻撃を掻い潜り、取り付いたまでは順調だった。しかし、ギルフォード率いる、KMFの新装備フロートシステムを搭載した部隊が救援に駆けつけてからは、カレン達黒の騎士団は空を舞う巨人に振り回され、苦境に立たされていた。
すでに、味方の“無頼”は何機か倒されている。
「ええい!」
紅蓮が左腕のグレネードを乱射する。しかし、当たらない。“ヴィンセント”は焦るカレンを嘲笑うかのように、スイと避けて、破壊力を伴った弾は青い空に消えていく。
機動性が違いすぎる!
支援
カレンは歯噛みしながら無駄と分かりつつも、射撃を続けるしかなかった。地では無類の強さを発揮した野獣も、空を飛ぶ鳥には爪が届かないのだ。
『カレン隊長! このままでは――』
その時、カレンの部下が乗る“無頼”からの通信が唐突に途切れた。カレンが不審に思ってその仲間の方に目を向けると。
「!」
赤黒い閃光が、“無頼”のその脚部を貫いていた。“無頼”は“下半身”を完全に破壊され、壊れた人形のように崩れ落ちる。
「江島!」
カレンが、仲間の撃破を目の当たりにし部下の名を叫ぶ。そして、その光線が放たれた先を見る前に、
『う、うわぁああ!』
もう一機の“無頼”が同じ赤黒く細い閃光に貫かれて大破した。
カレンはすぐに首を回した。
「南さん!」
そう、呼びかけるが返事は無い。緊急脱出のイジェクション・シートが飛び出したので、命に別状はないだろう。
(一瞬の内に二機も!?)
カレンが驚いたまま視線を前に向けると、
「なっ、まさかあんな距離から!?」
遠く離れた空には、身の丈以上もある細長い砲身を肩に抱えた青いランスロットの姿があった。
何度か資料で見たことがある。搭乗者がスザクではないランスロット。“ランスロット・クラブ”だった。
○
『ひゅ〜。この距離から命中とは。凄いな“クラブ”の新兵器は』
通信機越しに、ジノの感嘆の声が漏れた。
可変ハドロンブラスター狙撃モード。“クラブ”の可変ライフル以上の射程距離を誇るこの兵器は、主人であるロイの期待に寸分違わず、しっかりと応えた。
ロイからも“無頼”二機のイジェクション・シートが確認できた。人を殺さず機体だけを倒す。“青い聖騎士”の名の通り、慈悲深き戦法だった。
(それにしても、地上兵器であるKMFで大アヴァロンに奇襲、か……)
ギルフォード卿からその旨を伝える連絡を受けたとき、ロイは純粋に(なるほど、その手があったか)と感心した。
空を飛ぶ鳥も、その身に取り付いた虫や植物の種を自由には落とせない。
(勉強になったよ。ゼロ)
そう、心内で敵に賞賛の言葉を送り、ロイは細長く展開した可変ハドロンブラスターを長距離モードから待機モードにした。
すでにこちらの位置はバレた。
支援
狙撃というものは、こちらの位置が知られてなくて初めて意味を成すものだ。すぐに身を隠せるジャングルや市街地なら話は別だが、空では隠れる事もできない。
『紅蓮は残しておいたのかロイ、気が利くな』
ジノの言葉にロイはハッとした。
「え、あっ、いや。そうだね、今なら確実に撃墜できたのに。僕とした事が……」
判断ミスだった。敵のKMF三機を捕捉し、その中にあの黒の騎士団のエース“紅蓮弐式”も入っていた。
今は確実に撃墜できるタイミングだった。それなのに、ロイが撃ったのは二機の“無頼”だった。たかが量産機である。
「無頼ではなく紅蓮をオトすべきだった……」
そう悔しげにロイが呟くと、紅蓮はこちらの射線から逃げるように、大アヴァロンの装甲の影に隠れる。
だが、ジノはそんなロイのミスを咎める様子も無く、むしろご機嫌な様子で言った。
『何言ってるんだ。あの紅蓮をあっさり落としたらつまらないだろう。よし、あいつは俺に任せてくれ』
ロイは「いや」と首を振る。
「責任は僕が取ろう。君は“月下”の方を」
『あっ、おい!』
ロイはジノの制止を聞かず、“クラブ”のフロートを加速させた。空を進む機体。
(ナナリー総督も心配だけど。まずは黒の騎士団を壊滅させる)
そうしないと、安全にナナリー総督を連れ出すのも難しい。
時間の勝負だった。見る限り大アヴァロンのフロートは停止状態。サブシステムでなんとか浮遊している状態で、そう長くはもたないだろう。
もっとも、大アヴァロンのフロートが損傷しているというのもおかしな話だった。黒の騎士団はおそらくこの大アヴァロンの鹵獲を考えていたはずだ。
「っ、アプソン将軍……」
ロイは煙のあがるフロートを拡大表示させて、憎々しげにその名を呟いた。おそらく、アプソン将軍自身がこの大アヴァロンのフロートを傷つけたのだろう。
(敵に渡すぐらいなら。とでも思ったのか、愚かな……)
本当は、アプソン将軍はそんな事など考えず、ただの衝動的な行為の結果、この大アヴァロンのフロートは損傷したのだが。それは愚かどころかただの馬鹿と言える行為であり、いくら聡明なロイでもその事実に思い当たる事はなかった。
支援
いや、思い当たる必要も無かった。思い当たった所で、ロイの中のアプソン将軍の評価が愚かな将軍から、馬鹿な将軍に変わるだけの話である。
ロイの視界に大アヴァロンの白い装甲がグングンと大きくなる。そして、その一角に、あいつはいた。
「これが、紅蓮弐式か……」
ロイは改めて、敵のエース機を観察する。
肉食獣を思わせる機動。猛禽類を彷彿とさせる外見。まるで紅い野獣だ。
「……さて」
どう攻撃を仕掛けるか。
あのように、大アヴァロンに取りつかれたら、可変ライフルや可変ハドロンブラスターはもちろん使えない。
この大アヴァロンからナナリー総督が脱出した事が確実になるまで、少なくともこの戦艦を海に叩き落すわけにはいかなかった。
となると、選択肢は一つしかない。
ロイは旋回しつつ、二振りのMVSを抜く。鞘から解放されたショートソードタイプのMVSは主人の攻撃の意志に呼応するように、断続的な唸りをあげはじめた。
「まずは、小手調べだ」
滑空するように接近。
紅蓮は動かない。牽制の射撃も無い。こちらが、近接武器を手にした以上、その土俵に上がってやるとでも言わんばかりにどっしりと構えている。
(へぇ、黒の騎士団のエースは女だったはずだけど……)
並の男以上に肝が座っているようだった。
ロイは紅蓮の懐に滑り込むように着地し、その赤い装甲を断ち切ろうと左右の剣を振るう。
無駄の無い剣筋。二本の剣がまるで獲物を追い詰める猟犬のように連携し、追い詰め、そして“紅蓮弐式”を切り裂こうと食い下がる。
それを“紅蓮弐式”は俊敏な機動で全て躱した。
ロイの口元に、楽しげな歪みが生まれた。
「やる……しかし!」
“クラブ”は剣を振るう手を止めなかった。触れれば切れるその刃が何度か紅い装甲を削り取る。
紅蓮は“クラブ”の疾風の如き攻撃を嫌がって、後方に跳躍した。ロイはすかさず追撃する。
すると距離を空けた“紅蓮弐式”はすぐに地を蹴り、身の丈程もある大きな右腕の振り上げて突進してきた。
――輻射波動か
ロイは情報部のデータベースで見たことがあった。
巨大な爪で相手をわしづかみにし、そこから破壊の衝撃を叩き込む必殺の武器。しかし……。
(当たらなければ、どうという事は無い)
支援
ロイは迫る禍々しい指のような爪を冷静に眺め、タイミングよく操縦桿を操作して初撃をかわす。しかし、紅い野獣の攻撃はそれだけでは終わらなかった。
今度はこちらが受けに回る番だった。
“紅蓮弐式”はその場でステップを踏みながら“ランスロット”や、“クラブ”特有のスピード感のあるダンスのような優雅な機動ではなく、どこか野生的な機敏さを持って、突発的な足払いを織り交ぜた、爪の連続攻撃を繰り出してくる。
“クラブ”はそれらをその場から一歩も引かずにかわし、凌ぎ続ける。
スピードもパワーもあるが、読みやすく単純な攻撃をするパイロットだ。というのがロイの第一印象だった。
とはいえ“紅蓮弐式”のパワーは“クラブ”と同等かそれ以上。力強く繰り出された爪や攻撃が青い装甲をかすめるたびに、風圧が装甲を抜けてコックピットまで届く気さえする。
それに“読み易い攻撃”といっても決して“読める攻撃”では無いわけで、しだいにロイの額に冷たい汗が浮かぶのも無理は無かった。しかし、攻められ、下がり、押されれば“紅蓮弐式”のパワーで一気にねじ伏せられる可能性がある。
だからロイは引かない。いや、引けない。引いたらむしろやられる。
しかし、ロイとてこのままずっと受け手に回るつもりは微塵もない。
やがて、攻め疲れたのか“紅蓮弐式”の攻撃の鋭さがふいに緩んだ。
どんな力強い暴風を伴う台風も、いずれ通り過ぎ納まる。そういう事だ。
ロイは、ここぞとばかりに操縦桿を一気に前に倒した。
フロートが火を吹き、青い機体が前に奔る。次の瞬間。“クラブ”が“紅蓮弐式”を体当たりで吹っ飛ばした。
確かに、“紅蓮弐式”のパワーは“クラブ”以上だが、フロートがあれば話は別だ。このブリタニアのテクノロジーが結集された装備は黒の騎士団の最新鋭機を単純なパワーでたやすく圧倒した。
よろめく“紅蓮弐式”。その様子をロイは淡々と眺め、“クラブ”に双剣を握り直させ、グリップを確認する。
――終わりだ。
今度はフロートではなく大アヴァロンの装甲をつたってランドスピナーで飛び出す“クラブ”。
“紅蓮弐式”は完全に死に体。“クラブ”があと数歩踏み込めば、剣のエリアに入る。そしたら切り伏せて終わりだ。
支援
しえん
ごめん。落ちる・・・
あとは頼んだ・・・
しかし、今にも“クラブ”の勝利が確定しようとしたその瞬間。コックピット内に赤い光を伴ってアラームが鳴り響いた。
ロイは驚き、咄嗟に剣先を止めて、フロートを使い“紅蓮弐式”と距離を取る。
そして、周りを確認する。アラームが鳴った原因はほどなく分かった。
「なっ――」
ロイはとんでもない事態に驚愕し、言葉を失った。
『おいおいおいおい!』
いつの間にか四聖剣の朝比奈、仙波を撃墜していたジノも、ロイと同じ事実に気付いたようで、通信機越しに驚きの声を上げた。
目前に薄い紫の装甲が視界いっぱいに迫っていた。
大アヴァロンの護衛を務めていた小アヴァロンが制御を失って、こちらに近寄ってきているのだ。このままでは、ぶつかって……。
『ロイ!』
「分かってる!」
ロイとジノはその掛け声で、お互いがやるべき事を理解した。
大アヴァロンも小アヴァロンも損傷が激しく、その上、フロートのエンジンも止まって、どちらもサブシステムで何とか浮遊している状態。回避は不可能。となれば、外部的な圧力によって小アヴァロンの軌道を逸らすしかない。
ジノは小アヴァロンに“トリスタン”を向け。ロイは再び、“クラブ”の可変ハドロンブラスター狙撃モードを展開する。
しかし、どちらも頭によぎる不安は同じだった。
――やれるか、砲撃戦用ではないこの機体で。
“クラブ”の可変ハドロンブラスター狙撃モードは貫通力はあるが破壊力が心もとない。“トリスタン”の例の武器も調整中で使用不可能。絶望的なまでの火力不足。
しかし、やるしかなかった。この大アヴァロンには命をかけても守らなくてはならない人物。ナナリー総督が乗っているのだ。
騎士二人が覚悟を決めたその時――。
巨大な熱量の塊が空を切る音の後、どこからとも無く赤黒い閃光が飛来した。その赤黒い閃光は大アヴァロンのブリッジをかすめ、“クラブ”と“トリスタン”の中間を少々“トリスタン”寄りに抜け、今にも突っ込もうとしていた小アヴァロンに伸びて激突。
一拍置いて、小アヴァロンには炎があがり、艦は爆発炎上。霧散した。その熱量が周りにいる人間の肌を、爆発の光が視界を焼いた。
その様子を戦闘中の誰もが――黒の騎士団も、ギルフォードもただ呆然と眺めていた。そんな中、ロイとジノだけが、軽くフッと笑みを浮かべた。
『相変わらずだなモルドレッドのやることは』
「ああ、ちょっと。もとい、かなり心臓に悪かったけどね」
『なんだ、ビビったのか?』
「う〜ん。ビビったというかなんというか、ヒヤリとした」
そして、ロイは遠い空で浮かぶ“モルドレッド”に通信を開いた。
開いた画面に映ったアーニャは自慢げにえっへん、と胸を張っているように見えた。いかにも褒めて褒めてといったオーラを醸し出しているようにも感じた。
その仕草を見て、ロイはまた軽く笑った。
「よくやったアーニャ。でもシュタルケハドロン砲はもう使わないようにしよう。君の腕を疑うわけじゃ無いけど万が一ナナリー総統を巻き込んだらマズイし、それに……今、結構“トリスタン”が際どかった。一瞬ヒヤリとしたよ」
『えっ?』
それを聞いてジノが思わず声を上げた。どうやら、あちらのコックピットからでは、赤黒い閃光が“トリスタン”の下、結構ギリギリを抜けていったのが見えなかったらしい。
すると、
『大丈夫。ロイには絶対に当てない』
アーニャはまた、だから大丈夫。とでも言いたげに胸を張った。
『ば、馬鹿アーニャ! “トリスタン”にも絶対当てるなよ!』とジノが怒るのも無理は無かった。
『紅 と 青』Bパート 終わり。Cパートに続く。
投下終了です。
支援感謝です。毎度、こんな深夜にお付き合いしていただき本当にありがとうございます……。
いや〜今週のコードギアス面白かったです。
見てない人もいると思うのでネタバレは慎みますが、ゼロレクイエムの正体を見て、意識していなかったにしろ、主人公をライではなくてロイというキャラクターを作り、それを主人公としたのは正解だったなぁと感じました。
とりあえず、これでようやく最終回までの簡単なプロットもできましたし、あとは私の体力とやる気だけですね。
とまぁそんな事は置いておいて、次のCパートで(このターンを終われれば)小説の一巻に達します。
最初は、ここまで続くとは予想できませんでした。最初の蒼月のライだけの短編で終わらすつもりだったのですが、いつの間にやらR2介入ものに。これも支援と感想で私を支えてくださった皆様のお陰でございます。
ここまできたら、何かしらの終わりを付けるまでは続けていきたいと思いますので、今後ともこの拙い文章にお付き合い下さるよう、どうかよろしくお願いいたします。
では、また来週〜。
KOUSEI 卿、相も変らぬGJでした、卿の作品は何時も何時も楽しませてもらっています。
しかし卿の描かれるアーニャはロイ命と言う感じでほんとにカワイイですな、ロイの台詞に
一喜一憂してる感じが微笑ましいです。
次回の更新を心待ちにさせて頂きます。
>>541 緊迫してるのにロイ、ジノ、アーニャの会話は和むw
歴戦の戦士の余裕ってやつですかね?
それにしてもついにロイと黒の騎士団の対決ですか…どういった方向に進むのか今から本当に楽しみです!
どのくらい楽しみかといえば保管庫のKOUSEI卿の作品全部一気読みしたくらい楽しみですw
卿や他の方の作品を読んでいると、また書きたくなってきました!
この作品の最終回までお付き合いしますよ。
GJでした!
って!コテハンが付いてる?なぜだ!?
すいません、失礼しましたorz
>>541 KOUSEI卿、GJでした!
ゼロの能力を知ったロイ、それがこの先どう影響するのか楽しみです!
カレンとの戦い……燃えるけどどこか哀しい。
そしてやっぱりどこか三枚目なジノがいいw
貴方の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
>>541 KOUSEI卿、お待ちしていました。支援!
オリキャラ……確かにそうですねw彼は“ラ”イではなく“ロ”イなんですから。
まぁ、今まで不可思議な偶然が多々ありましたがww
本編は終りましたが、この物語がどんな結末を迎えるのか楽しみです。
来週の日曜も楽しみにしています!
>>546 すいません、やっちゃいましたorz
何をどう間違えたんだか…
>>541 クラブvs紅蓮のガチバトルが熱いですね
戦闘時のカレン側心理描写がいずれある事を期待します
ジノが格好よくも三枚目な感じや、ゼロの才覚をロイがみとめるあたりが心地いいですw
小説ネタが随所に活かされているのも、個人的には嬉しいところです
ロイアニャとライカレの行く末が楽しみでもあり、恐くもありますね
本編にはまったく関係ない部分ですが、
>>540のナナリー総統の文字を見て、
デスラー総統(古っw)を連想してしまいなんかツボに入ったw
>>543-544 いや、むしろこの場合、#を間違えてトリバレしている方が問題では?
次から変えないとイカンですよ!
遅ればせながらKOUSEI卿GJでした。
「少々トリスタン寄りに」てところで笑わせていただきました。
相変わらずシリアスな場面でのちょっとした笑いどころを加えるのがむちゃくちゃ上手いですねww
本編が終わっちゃったのでそれを準拠しているシリーズを読むのが唯一の救いなのです……
卿の次回の投下を全力でお待ちしております!
みなさんありがとうございます。やっぱ感想多いと純粋に嬉しいです。
>>549 ご指摘ありがとうございます。
確かに総統になってる。
っていうかナナリー総統ってなんだよ俺w
旧○イツ軍服を身にまとい、民衆の前に立って握りこぶしで演説するナナリー総統。
強硬に、そして毅然たるたいどで“平和路線”を貫くナナリー総統。
逆らったら、怖い親衛隊SS(シュナイゼル・スザク)にフルボッコされるわけか。
うん、ちょっと書いてみたい気もするがやめておこう。
>>551 ドイツ軍人らしい青い運命卿が書いてしまう未来をオレサマのギアスが感じとったお。
最近すっかり音沙汰なくなったけど。
553 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/09/29(月) 17:33:11 ID:Zgjds3Gz
正直なところ、馴れ合い気持ち悪いな
自画自賛だったり、マンセーばっか
気持ち悪いとか思うなら、正直見なければいいと思う。
本人の精神衛生のためにも・・・。
荒らしはスルー汁
20:50頃から投下します。
本文・あとがき合わせて10レス分です。
557 :
名無し:2008/09/29(月) 20:42:08 ID:ffzQtYtu
支援( ^o^)/
558 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/09/29(月) 20:43:34 ID:VK2moYoR
>>557 なあ坊主、とりあえずsageようや。な?
559 :
558:2008/09/29(月) 20:44:18 ID:VK2moYoR
orz
>>559 かっこいい事言っといて自分がageてどうするw
では、そろそろ投下します。
『虫食い同好会』シリーズです。
作者:余暇
タイトル:ドン・ウー出陣
(注意)
・色々カオスです。
・ウー様、星刻、南、藤堂ファンの方、ごめんなさい。
・こっちのリーライナさんは人間です、たぶん。
本文・あとがき合わせて10レス分です。
『ドン・ウー、出陣』
「はああああ!」
「うおおおお!」
模擬戦場の瓦礫が音を立てて崩れる。その向こうには、星刻とドン・ウーがいた。
「ふう、いい汗をかいた。ありがとう星刻、大分慣れてきたよ。この分なら、近いうちに出られそうだよ。」
「いや、礼を言われるほどでもない。貴公が努力する姿は、私にとっても励みになるのでな。
だが、困ったな。先ほどから練習している我らの同時攻撃、何かが足りんのだ。」
そう、二人はコンビネーション技を開発していたのだが、星刻が望むような形にはなっていなかった。
「すまない、僕が未熟なばかりに。」
「いや、貴公の責任ではない。何かこう、我らの間に隔たりがあるというか、吹っ切れないものがあるのだ。
もっと心を一つにすることができるはずなのだが……。」
「その答え、俺が教えてやろうか?」
「誰だ!」
二人が見上げた向こう、瓦礫の山のてっぺんに、太陽をバックにして一人の男が立っていた。
その男は瓦礫の山から降りてくると、二人の前に立った。
「お前たち二人が、いや、俺たち三人にしかできない技を俺は知っている。
どうだ、俺と手を組まないか?ドン・ウー、そして黎星刻。」
「貴様、何故我らの名を……!」
「おっと、そう身構えるなよ。俺はプラント団に協力したいだけだ。お前たちの力になりたい、ともに歩みたいんだ。」
(この男、何を考えている。瞳の奥に闇が見え隠れしている気がするが、私の考え過ぎだろうか。いずれにせよ、用心せねば。)
星刻は、突然目の前に現れた男に対して、ただならぬ気配を感じ取っていた。
全力で支援します!
「ところで、三人にしかできない技って、どんな技なんだい?すごく興味がある。」
「フフフ、ノリがいいなドン・ウー。試してみるか?」
その男の眼鏡の奥にある瞳が、妖しく光る。
「ドン・ウー、こいつは危険だ。禍々しい気を放っている。」
「星刻、人を疑うのは良くないよ。まずは彼の言うとおりにしてみようよ。さあ、教えておくれ。」
「フッ、いいだろう。」
星刻はまだ警戒していたが、三人によるトレーニングが始まった。
一時間後。
「おお、これはすごいな。」
「信じられん、先ほどまでとはケタ違いだ。」
ドン・ウーと星刻は、完成した新技の威力に驚いていた。
「気に入ってもらえたかな?さあ、どうする?俺を仲間にするか、しないか。」
「だが、この方法はこれ以上先に踏み込めば、人としての道を踏み外しそうな気が……。」
星刻はまだ迷っていたが、ドン・ウーは既に心を決めていた。
「大丈夫さ星刻、僕たちはプラント団としての、人としての誇りを失うことは決してないさ。そんな気がするんだ。」
「『そんな気がする』などと、不確定な状態で…」
「では君、これからよろしく頼むよ。ところで、名前は?」
星刻の忠告を無視して、ドン・ウーはその男に協力を求めた。
「俺は南佳高という者だ。こちらこそよろしく。」
ドン・ウーと南は、握手を交わした。
(南佳高。この男、何を考えている……。)
星刻はいまだ信用できず、南が不審な行動をとれば、即座に彼を斬り捨てることにした。
「……暇だ。」
ここは虫食い同好会のアジト。卜部さんはこの日、暇を持て余していた。
何故かと言えば、今は冬で虫がいないから。ていうか、前回と同じパターンだし。
「仕方がないでしょう、冬なんですから。」
このやりとり、一体何度目だろう。いい加減飽きてきた。
「ねえライ、あなたはどうして変身できるようになったの?」
カレンが僕に尋ねてきた。不思議に思うのも無理はない、僕自身も最初は信じられなかったから。
「つい最近なんだけど、夢の中に誰かが出てきて、『力を与える』って言うんだ。
そして目が覚めたら、変身できるようになってた。」
「ふうん、不思議な話ね。」
そこへ、リーライナさんが緑茶を持って現れた。
「ライさん、緑茶をどうぞ。皆さんも召し上がってください、ういろうもありますよ。」
そして、みんなでティータイムとなった。ういろうって、おいしいんだな。気に入った。
「へえ、リーライナさんって日本通なんだ。」
スザクが感心している。それは僕も思っていた。
「いかんな、仮面をかぶったままでは食べられん。」
ゼロが緑茶とういろうを前にして、困惑している。そのういろう、もらってもいいかい?
「私と先輩は、エリア11の士官学校に通っていましたから。その時偶然緑茶を知ったんですけど、先輩がすごく気に入っちゃって。」
マリーカがリーライナさんに代わって説明する。なるほど、納得。
「でも本当においしい緑茶ね。アンタなかなかわかってるじゃない。」
リーライナさんが緑茶好きだとわかってからというもの、カレンとリーライナさんは仲がいい。相変わらず僕の取り合いはするけど。
その時だった。外から声が聞こえてきた。
「月下マンよ、今日こそ引導を渡しに来たぞ!」
「この声は星刻さん!隊長殿、行くぞ!」
星刻さんの声を聞くや否や、卜部さんは飛び出していった。そして僕たちも、すぐに後を追った。
「初めまして月下マン。そして、グランド月下マン。」
外へ出ると、星刻さんの隣に、高貴そうな服装に緑の仮面をかぶった男がいた。
誰だ、何だか印象が薄そうだな。
「僕の名前はドン・ウー。プラント団の首領だよ。」
ええっ、これが首領!?印象薄すぎるし、威厳が感じられないぞ。
プラント団全体に危なっかしい印象があったのは、彼のせいか?
(この声……、まさかオデュッセウス兄上!?あのプラント団とかいうふざけた集団は、あなたが創られたのですか。道理で……。)
ゼロは何か、仮面の奥で納得しているようだった。
「君たちを倒す前に、紹介したい同志がいるんだ。さあ、出ておいで。」
ドン・ウーが声をかけると、ある人物が姿を見せた。その姿に、僕とゼロ、そしてカレンは言葉を失った。
「南!?どうして君がここにいるんだ!」
「貴様、私を裏切ったか!」
「嘘……。南さんが敵だったなんて。」
すると南は、ニヤリと笑った。
「ふっ、勘違いするな。俺は今でも黒の騎士団の一員だ、お前たちを裏切ったわけじゃない。
ただ、もっと俺の主張を広く知ってもらいたくてな。そう、それは……。」
そう言うと南は上着を脱ぎ捨て、Tシャツ姿になった。その前面には、神楽耶様の姿がプリントされていた。
いつの間にそんな物作ったんだよ!
「ロリの素晴らしさをアピールして、世界に広めたいんだ!」
その瞬間、世界が止まった。聞かなければ良かった。
sien
支援。
続いてドン・ウーと星刻さんも、Tシャツ姿になった。天子様がプリントされた、お揃いのTシャツだ。
いろんな意味で痛過ぎて、目も当てられない。
「俺は植物も守りたい。だがそれは、花を愛でるロリッ娘を見て萌えたいからだ!だから、邪魔な月下マンは倒す!」
南、そんなに熱く演説しないでくれ。もうそんな君を見たくないんだ。
「僕も、天子と仲良くなりたいんだ。」
「……我が忠義は、天子様のために。だがここまでする必要があるのか?」
二人ともやめてくれ。ドン・ウーはともかく、星刻さんまで。
迷っているうちに戻ってきた方がいいと思いますよ。
「くっ、ロリコンどもめ。貴様たちの好きにさせてたまるか!」(このままではナナリーが、このバカどもの標的にされてしまう!)
ゼロは既にけんか腰だ。まあ、ナナリーの命運がかかっているからな。
「あの、先輩。『ロリッ娘』って何ですか?」
マリーカがリーライナさんに尋ねた。
「ああ、あなたのことよ。だから気をつけなさい、食べられるわよ。」
「ひっ、私食べられちゃうんですか!?」
リーライナさんがロクでもない返答をして、マリーカが青ざめた。そこまでしなくてもいいでしょうに。
「さあ、行くぞ!変身、無頼マン!」
南はポーズをとり、変身した。君も変身できるのか、って無頼かよ。僕たちの中に入ると、すごい型落ち感があるな。
「では僕も、変身!」
ドン・ウーも変身した。そして現れたのは、金色のスーツに身を包んだ彼だった。
「変身、ヴィンセントマン!」
ええっ、首領なのに量産機!?せめて何か専用機にしろよ、カッコつかないなあ。
支援
『うわあっ、僕の、僕のヴィンセントがー!返してよ、僕のヴィンセントを返してよ!』(byロロ)
『ふっ、まだ己の相棒のために流せる涙があるか。私など、とっくに涙も枯れ果てた……。』(by藤堂さん)
ロロ、かわいそうに。こっちで出番がないばかりに。ていうか、藤堂さんが何だかやさぐれているんですけど。
「報国変身、月下マン!」
「変身、グランド月下マン・月下フォーム!」
「Z・E・R・O・ゼーロー!」
卜部さん、僕、ゼロはそれぞれ変身した。
「変身、シェンフーマン!一気にカタをつける!」
星刻さんも変身し、ロリコン三人衆が左腕を上に掲げた。三人の左腕が輝き始める。
「「「奥義・ロリコン同盟拳!!」」」
その瞬間、ものすごいエネルギー波が僕たちを飲み込んだ。
(ドドォーン!)
「ふっ、終わったな。」
「でも、何だかあっけなかったね。僕の見せ場が…」
「いや、まだだ!何かいるぞ!」
シェンフーマンが示す先には、ゼロが立っていた。彼は光輝くシールドに覆われている。
ちなみに僕たちは彼に守られ、全員無傷だ。
「バ、バカな!防がれただと!?」
「甘いな、南。これこそ、『魔神零式』を改良した『魔神零式改』の能力、絶対守護領域だ!
貴様たちの攻撃は、私の前では無力!」
そう、『魔神零式』は改良を加えられ、蜃気楼をモデルにした『魔神零式改』へと進化していたのだ。
支援
支援w
「さあ、これでチェックメイトだ。拡散構造相転移砲!」
「大変身、斬月マン!必殺・斬月マンフラッシュ!」
「大変身、フュージョン・フォーム!輻射ライフル・パワーMAX!」
僕たち三人の最大奥義が、ロリコンたちを襲った。
「「「ぐわーっ!」」」
三人は吹き飛び、星になった。僕たちは勝利したのだ。今回ばかりはゼロに感謝だ。
「ねえ、ライ。これから南さんとはどう関わればいいの?あんな特殊な趣味を知ってしまったら、私……。」
「カレン。君は南が敵に回ったことは触れないんだね……。」
戦闘終了後、僕たちはお茶会の続きをしていた。話題の中心はあの三人組だ。
(俺がナナリーを守る、必ず!)
ゼロは戦う決意を固めた。僕も協力しよう。
「でも結局の所、ロリって何だい?」
スザク、君は知らない方がいい。頼むから汚れないでくれ。
「先輩、どうしましょう。私、食べられちゃいます!」
「まあ、これから急成長するのを期待するしかないわね。」
リーライナさん、マリーカを守ろうとして下さいよ。
「星刻さん。アンタがロリコンだろうが、俺はアンタを救う!」
卜部さんも決意を新たにしていた。……あれ?確かロリコンって、三人組じゃなかった?いや、二人だっけ。
思ったよりあっけなくて、よく覚えていない。まあ、どっちでもいいや。
支援
ここはプラント団アジト。ドロテア、モニカ、ニーナは、南に疑惑の目を向けていた。
「ドン・ウー様、このような男を我々に相談もなく引き入れるなど、危険です!」
「そうですよ。星刻も何故止めなかったの!」
「この人、目が怖いです。」
彼女たちは、南を仲間にするのに否定的だ。すると、ドン・ウーが立ち上がって言った。
「僕がプラント団の首領だ。首領の名に懸けて、南は裏切らないと誓おう。
絶対に強力な味方になってくれるから、信じてくれないか?」
「ドン・ウー様がそこまでおっしゃるなら……。」
「仕方ないですね、どうなっても知りませんよ。」
「大丈夫かな?」
彼女たちは、渋々ながら南の加入を認めた。
「ありがとう、ドン・ウー。ロリッ娘のためにも、植物を守ろう。」
「ああ、よろしく頼むよ。」
「これも天子様のため、やむを得ん。」
ドン・ウー、南、星刻は互いの手を合わせた。それを見た彼女たちは、こう思った。
「「「あ、もう手遅れかもしれない……。」」」
『ロリコンマスター・南が加入したプラント団。さらなる迷走が確実なプラント団に、明日はあるのか。
そして、月下マンたちはこのカオスに、どう立ち向かうのか。次回、ご期待下さい。日本、万歳!』(by藤堂さん)
『わあ、藤堂さんカッコいい!ナレーションっていいかもしれない!』(byロロ)
支援!
おまけ「ナレーション組・裏の顔」
ナレーション終了後。
「藤堂さん、お疲れ様です。」
「ああ、ロロとか言ったな。自分の愛機を奪われた気分はどうだ?こんな地獄はないだろう?」
「………!」
ロロは魅入られていた。「奇跡の藤堂」の裏に隠された、闇の顔に。
愛機・斬月を奪われたことによる地獄を乗り越えた男に。
「藤堂さん、僕はあなたと一緒にいたい。同じ苦しみを分かち合える、同志として!」
「フッ、良かろう。ならば、本編では本来のキャラクターでナレーションをしろ。
そしてこのおまけコーナーでは、ダークサイド全開だ。何故ならこのコーナーは、我ら兄弟の独壇場だからな。」
その時、ロロの顔色が変わった。
「き、兄弟?僕が、あなたの兄弟?」
「そうだ、私を兄と呼んでもいいぞ。R2では偽物とはいえ、兄がいたのだろう?」
「あ、ありがとうございます!兄さん、いえ、兄上!僕は、どこまでもついていきます!」
「さてと、地獄の果てには何があるかな?」
ダークサイド全開のこの二人、最早別人である。かくしておまけコーナーは、ナレーター兄弟の独壇場と化した。
支援
以上です、支援ありがとうございました。
タイトルはウー様なのに、あまり目立たないという不思議。
いや、そうでもないかw
>>401 萌は文化卿
気にせず、どんどんやって下さい。
おまけwww
>>580 余暇卿、GJでした!
南wwwウー様www機体がww そしてナレーションwww
ロリコン同盟拳はもはやアレ過ぎるw
魔神零式改がスゴイwww
ナレーター兄弟の活躍に全力で期待!
貴方の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
>>580 何たるカオスwwwww
濃い南が出てきて、いまいち影の薄いウー様の影がどんどん薄くなるww
もうTシャツとか、ほんとに勘弁してwww
GJでした!
あとナレーターのダークサイド二人組の行く先もカオスっぽいww
次回の投下も楽しみにしています!
こんばんわ。
22時10分ごろに投下よろしいでしょうか?
どうぞ、支援がいるなら支援します。
ありがとうございます。
本編9〜10レス+終了1レスの合計で10〜11レスの予定です。
支援よろしくお願いいたします。
了解の支援
では、投下します。
支援よろしくお願いいたします。
タイトル「蒼天の騎士 18話 悪夢の始まり」
カップリング「なし」
ジャンル「シリアス」
○注意点○
このSSは、オリジナル展開の為、アニメとは違う話になっています。
また、ナイトメアや設定なども本編とは違う解釈やオリジナルの部分が多々あります。
それらが駄目な方は、スルーをお願いいたします。
本編9〜10レス+終了1レスの合計で10〜11レスの予定です。
なお、投下は2分前後ごとに行う予定ですので、5分超えた場合は、トラブル発生と思っていただいて結構です。
その際は、再度投下しなおします。
支援
支援
式根島、AM11:05
ゆっくりとグレートブリタニアを中心とした大艦隊が近づいてくる。
大小あわせれば20隻近い飛行母艦が並んで移動する様子は壮大なものだ。
それと同時に強大な威圧感を感じる。
これらに搭載されているナイトメアだけでも100機近いだろう。
やろうと思えば、小国1つぐらいなら攻略できるのではなかろうか。
そんな思いを抱いて艦隊が近づいて来るのを見つめていた。
その時だ。
グレートブリタニアを中心に黒い閃光が球状に広がり、艦隊を包んでいく。
「なっ…」
その光景に僕は見入ってしまう。
なんて綺麗な黒の光なんだ…。
ち、違う僕は何を考えている。
「シ、シュナイゼル殿下っ…これはっ…」
そう言うつもりだったが、僕の背中でバチッという音が響き、僕の意識を闇が覆っていく。
そして意識が闇に包まれる直前に見たものは、今まで見た事の無いほどの歪んだ笑いを浮かべたシュナイゼルとスタンガンを持った無表情の彼の副官カノ
ンの姿だった。
蒼天の騎士(18) 悪夢の始まり
支援!
同日、AM03:45(トウキョウ AM10:45)
EU戦線の最前線、見張り所…
「どうせ、休戦中なんだから気にするな…」
カードゲームに夢中の兵士達。
「そうだよなぁ…。こっちには、ナイトオブラウンズ二人に戦姫コーネリア様もいるしな」
「そうそう。EUの連中、今頃ぶるって降伏の準備してたりしてな。ひゃははは…」
「よっしゃー、それ当たりだわ…。次の酒代稼がせてもらうぜ」
「なにーーっ…。くそっ…今度は負けないぜぇ…」
だが、彼らはその日の賭けの負けも勝ちも手にする事は出来なかった。
なぜなら、秘密裏に進入したEUの特殊部隊の攻撃で建物ごと吹き飛んでしまったのだから…。
そして、防衛ラインの一角が崩れると同時にEUの総攻撃が始まった。
不意を突かれたヨーロッパ戦線のブリタニア軍は、大混乱に陥り総崩れとなる。
そして、前の戦闘の勝利で手に入れた領土の半分と部隊の4分の1をわずか1時間で失う事となった。
支援
同日、行政特区日本管理局…
EUの総攻撃。
この情報が行政特区日本のナナリー総督の手元に届いたのは、午前11時であった。
しかし、この情報の対応は、ミス・ローマイヤーなどのサポートがあり的確な指示を出すことが出来た。
だが、それから30分後に送られてきた情報にナナリーは絶句した。
皇帝陛下の部隊の消滅と式根島のブリタニア軍基地の壊滅。
それがもたらされた情報だった。
「ミ、ミス・ローマイヤー…間違いないのですか?」
信じられず聞き返すナナリー。
「間違いございません、ナナリー様。シュナイゼル殿下からの暗号通信では、それだけしか…」
実際、ミス・ローマイヤーにしてもこの情報は信じられなかった。
おそらくシュナイゼル殿下からの暗号通信でなければ、誤報としか扱わなかっただろう。
「ライさんの事は…」
「何も……おそらくは……」
その言葉が、ナナリーを追い詰める。
ぐらぐらと意識が回り、思考が止まりかける。
現実を拒絶したがっている黒い靄が心を覆い尽くそうとしていく。
その圧迫感に車椅子の少女は、簡単に意識を手放した。
EUの総攻撃が始まったという情報は、ニュースとして報道されたが、もう1つの皇帝率いる艦隊の消滅と式根島のブリタニア基地の壊滅は一部の関係者以外知らされることはなかった。
国内的にも国外的にも簡単に報道できる内容ではなかったためだ。
その為、皇帝陛下の視察は延期という事になり、行政特区日本とエリア11管理局は表面上落ち着いているように見える。
だが、内部では混乱に近いことが起こっていた。
ブリタニア皇帝の行方不明も問題ではあったが、何より行政特区と管理局を影から支えていた最重要人物であるライ・エニアグラムの不在が大きかった。
そして、さらに追い討ちをかけるかのように総督であるナナリーが倒れ、混乱に拍車をかけていた。
それでも大きな混乱になっていないのは、行政特区日本人代表の皇神楽耶とジェレミア副団長が手を回して収拾した結果であった。
支援!
「くっ…」
カレンは、自分の力のなさを嘆かずにいられなかった。
確かに戦闘になれば彼女は一騎当千のナイトメア・パイロットたが、政治に関してはただの素人に過ぎない。
自分の出来る事のなさを痛感してしまう。
また、ライが行方不明という情報は彼女の耳にも届いていたが、彼女は諦めなかった。
ライは必ず生きている。
そして、私たちの元にきっと戻ってくる。
そう信じた。
そうなると自分の役割が見えてくる。
後は、自分に出来ることをやるだけ…。
そう決意すると行動に移った。
副騎士団の統率と治安部隊との連携、さらに式根島に調査部隊の派遣など副団長が行政で手が回らない部分のフォローを行っていった。
そして、彼女はもう一つの大切な役割を行う為、ナナリーの部屋を訪ねた。
「気分はどう?ナナリー…」
カレンさんが私の手を握って聞いてきた。
その手の暖かさが私のふらつく心を包み込んでくれそうな気がする。
「駄目ですね…私…」
「どうしてそう思うのかしら?」
やさしくカレンさんが私に聞き返してくる。
その声は、手から伝わる温かさと同じく包み込むような優しさに満ちていた。
「だって、ライさんが行方不明だというのに…」
言いかける私の言葉をカレンさんの言葉が途中でさえぎった。
「はい。そこまで…」
「え?!」
「ナナリー…間違っているわよ」
一呼吸をあけて彼女は言い切る。
支援
「ライは生きているわ」
その言葉には、大きなものが詰まっていた。
それは彼女の彼を思う気持ち…。
そして、彼女の彼を信頼する心…。
なんて強い…そして、なんてすばらしい絆なんだろう…。
私は、カレンさんのそのたった一言に感動して心が震えると同時に自分の不甲斐なさに情けなくなった。
そんな私の心がわかるのかもしれない。
カレンさんがやさしく続けて言う。
「実は、私もナナリーと同じだったのよ…。前の時は…」
苦笑しているのだろう。
微かに笑い声が聞こえるような気がする。
「ほら、1年前、表向きは黒の騎士団のライは処刑されたって報道されたでしょ…。
あの時は、もうすごかったんだから…。寝込むぐらいじゃすまなかったわよぉ…。
人生終わったって思って、死のうとさえ思ったわ」
辛い記憶のはずなのに、カレンさんの言葉は明るかった。
「でもね、死ねなくて、復讐の為に戦うと思うまで半年以上かかったかな…」
まるで遠い昔話をするかのようにその言葉に悲しみの色はない。
「そしたら…生きてたりするのよね…ライったら…。ほんと、あの時はまいっちゃったわ」
あはははは…と笑うカレンさん。
「それで、再会して暫くして愚痴ったのよ…。
死んだと思ってたのに生きてるなんてずるい。私の決心とかどうしてくれるのよってね」
私は、彼女の話に心を奪われ、無心で聞いていた。
「そしたらさ…なんと言ったと思う?」
想像が出来ず首を横に振る。
「「別れ際に言っただろ、僕は死なないってさ」だって…。もう呆れかえるやら、拍子抜けするやら…すっかり毒気抜かれちゃってさ」
笑い出すカレンさんにつられ、自然と私も笑っていた。
支援!
支援したほうがいい?
「ライさんらしいです。なんか…」
「そうでしょ?」
「はいっ」
「だから…信じて待とうよ…ライを…。そして、彼の帰ってくるここを守ろう…。ね…ナナリー」
そうだわ。
辛いのは私だけじゃない。
カレンさんもきっと辛いんだ。
でも彼を信じている。信じて待っている…。
そう…私もライさんを信じなきゃ…。
それに、私は一人じゃない…。
カレンさんやいろんな人たちが支えてくれている。
それに決意したではないか…。
お兄様や大切な人たちに見られて恥ずかしくない選択をしたいと…。
「ありがとう…カレンさん」
私は、ゆっくりと…だけど力強く答えた。
「私もライさんを信じ、彼の大切な居場所を守りながら待ちます。だから、私に力を貸してください」
「当たり前よ、ナナリー。任せて…」
カレンさんが私をぎゅっと抱きしめてくれる。
そして、私はなぜカレンさんの温もりや言葉に優しさを感じ、心が落ち着くのか気が付く…。
あ…ライさんと同じなんだ…。
私の大好きな…ライさんと…。
支援
支援
Uの総攻撃と皇帝率いる艦隊の消滅、式根島のブリタニア基地の壊滅の情報がもたらされて3日が経過した。
EU戦線の方は、最初の奇襲こそ大ダメージをうけたブリタニアではあったが、建て直しに成功すると戦線は膠着しにらみ合いの状況になっていた。
もっとも、皇帝が不在の今、進撃を命令できる人物がいないため、防戦しか出来ないというのが正しいのではあったのだが…。
そして、皇帝を初めとする皇族の行方は未だに掴めないままであった。
今残っている皇族といえば、EUの動きを察知して式根島から本国に向かっていて助かった宰相の第二皇子シュナイゼルとヨーロッパ戦線の司令官に赴任した第三皇女コーネリア。
そして、エリア11の総督であるナナリー皇女殿下ぐらいのものであった。
あまりにも急なこの出来事にブリタニア本国は、大騒ぎになり混乱を極めているらしい。
もっとも、シュナイゼルの手腕で公にはなっていないようではあったが…。
また、ライトオブラウンズもナイトオブワンのビスマルク卿が皇帝陛下と一緒に行方不明の為、動きが取れなくなっていた。
そして、式根島のブリタニア基地の壊滅の調査は、本国から派遣された部隊とエリア11からはカレン自らが部隊を率いて現地に赴き調査を行ったがわかる事はあまりにも少なかった。
支援!
支援
冒頭EU?
支援
「ふう…なんなのよ…このやられ方は…」
カレンは、基地の敷地内にぼっかりと半円状に空いた空間のふちに立つとため息をついた。
かってその場所には、基地施設があったはずなのだ…。
その部分だけが綺麗に切り取られたようになくなっている。
「まいったなぁ…。どこから手を付けていいのか考えられないわね…これは…」
仕方ないので、無事な敷地内を捜索してまわる。
それぐらいしか出来る事はないだろう。
部下達にも伝達し、何か発見があれば些細な事でも即時連絡するようにと念を押す。
そして、何か痕跡がないか捜索を開始する。
捜索開始から2時間が経ち、滑走路付近まで来たカレンは滑走路の脇にある草むらの中から光るものを発見した。
それは傷だらけになっていたが、騎士の正装に使われているあおい色のボタンのようだった。
あれ?このボタン…どこかで…。
そのボタンを指で掴み何度もいろんな方向から見直す。
必死になって記憶の中を探る…。
あおいボタン…。
あお…。青…。蒼…。
「あっ…」
そうだ、これはライの騎士正装のボタンだ…。
間違いない…。
確か式根島に向かう時、着ていたはずだ。
そして、そのボタンをじっくりと確認する。
そのボタンは、傷だらけにはなっていたが、爆風などで痛んだ形跡はない。
また、血がついているようでもなかった。
ただ、地面に倒れた際、引っかかり傷つき服から外れたという感じだった。
よしっ…。ライは、あのへんなものに巻き込まれていない。
たったそれだけではあったが彼の生きている可能性がより高くなった事は間違いない。
そう…それだけでも今のカレンにとっては朗報だった。
ライ、待ってて…。
戻ってこれないようなら、私が見つけてあげるから…。
だから…。
だから…絶対に生きてなさいよっ…ライっ…。
支援
支援
支援
以上で終了です。
支援ありがとうございました。
しかし…もう一つの続きものの影響で、ダークな方に走りそうになるのを必死で抑えるので精一杯という感じが…。(苦笑
さらに雰囲気掴むため時間かかってしまったというのも大きかったかな。
1つの事やり始めるとそっちにのめりこんでしまい、切り替え下手なんですよねぇ。
でも、このシリーズもなんとかして完結させたいので、皆様、次のときも支援よろしくお願いいたします。
えっと…冒頭・・EUです。
コピペ失敗してしまいました。がっくし…。
さらに・・ミスが…。
>>590 切れてますね…。変な風に…。
つなげて下さい。
>>604 また、ライトオブラウンズもナイトオブワンのビスマルク卿
↓
また、ナイトオブラウンズもナイトオブワンのビスマルク卿
うううー・・・見直したはずなんですけどね…何度も…。
すみません…。
修正お願いします。
>>612 あしっど・れいん卿、GJでした!
冒頭の黒い球体……何なんだろうか。
ナナリーとカレンのやり取りを見て心が癒されました。
見付かるライのボタン、その行方、安否は如何に!?
と、いう訳で
貴方の次の投下を全力でお待ちしております!
>>612 あしっど・れいん卿、GJでした
一瞬ライの騎士団かと思った
ナナリーをなぐさめるカレンがよかったです。
良いオお姉さんぽくて
19話たのしみにしています。
40分ぐらいに投下します。
了解しました、支援がいるなら支援をします。
617 :
食卓:2008/09/29(月) 23:43:53 ID:iLf020t0
タイトル「Orange+Pink+Blue」
・最終回を見て1番印象に残ったシーンから考えた妄想です。
・2〜3レス程度の短い奴です
・カップリングはなし
とある国の田舎町。
町民の殆どが農業で生計を立てている比較的平和なその町に、最近妙な3人組が引っ越してきた。
1人は左目の辺りに妙な仮面をつけた男、1人はピンク色の髪の少女、最後の1人は銀髪に青い瞳の青年。
親子にも兄弟にも見えない彼らは、その町の外れにある廃屋を改装し住居とし、何処から出したのか多額の資金で周辺の野原を買い取り、オレンジ畑を開拓しそれで生計を立て始めた。
それからおよそ1ヶ月、出来の良いオレンジが噂になり彼らの作るオレンジは引く手数多となり、彼らの生活と経営は順調に軌道に乗っていた。
これはそんな奇妙な3人組のある日の風景。
Orange+Pink+Blue
「ふぅ」
青く晴れた空の下、自分達の経営するオレンジ畑の中、今日も収穫に勤しんでいた男は流れる汗を拭い空を見上げた。
騎士として栄光の道を進み、記憶が無い間の失態よって転落し、ある組織によって改造され、新たな主の下でその覇道に仕え、その主の死を経て彼は現在農園の経営者の1人。
(何度思い返しても、我が人生ながら不思議なものだ)
何度繰り返したか分からない自分の軌跡、そんなことを考えていると、
「ジェレミアさん」
名前を呼ばれ振り返るとそこには共同経営者の少女がいた。
殆ど裸の身体の上にオーバーオールを羽織っただけという露出が高い服装にも拘らず、その肌は白く、彼女が汗を掻いている姿を見たことがジェレミアはなかった。
「そろそろお昼。準備もできてる」
相変わらず無表情で坦々と喋る彼女だが、長らく共に暮らし本当の彼女を知る彼にはそんなことは気にならなかった。
「もうそんな時間か。ではアーニャ、一息入れるとしよう」
梯子を降りながら被っている麦藁帽子を脱ぐジェレミアにアーニャは小さく頷いた。
他愛のない会話をしながら2人は畑の中を歩く。
「近所のマーリンさんがこの前のお礼にってアップルパイを焼いてきてくれた」
「ほぅそうか。彼女の焼くパイは実に美味いからな、今度お礼をせねば」
「お礼にお礼をするの?」
「善意には全力で感謝をする。それが人の生き方だと私は思う」
「…そうなの?」
「そうなのだよ」
大げさに頷くジェレミアを見て、アーニャはふと今の自分の状況を考える。
時折消えたりずれたりする記憶を内包しながら歳を重ね、最年少でラウンズに入り多くの戦争を潜り抜け、そんな中で青い眼をした彼と出会い、その彼と色々あった末恋人となり、恋人と記憶を戻してくれた恩人と今現在農園を経営している自分。
数ヶ月前にナイトメアで戦い、自分を破った相手と肩を並べて歩く。
過去の自分が見たら果たしてどんな顔をするだろうか。
でも、
(本当に楽しい、毎日が)
自身ですら気付かぬうちにこぼれた笑みは、歳相応の少女のもので実に可愛らしかった。
「おかえり、アーニャ、ジェレミアさん。昼食の支度は出来てるよ」
農園脇の大樹の陰に敷かれたシートの上に昼食を広げて彼は座っていた。
「ありがとう、ライ」
「いつもすまんな、ライ」
農園の仕事は主にジェレミアが収穫、アーニャが収穫したオレンジをトラクターに連結されたトレーラーに運び、ライが運転、修理など機械全般を担当していた。
「いいですよこのくらい。さ、貰ったパイが冷めないうちに食べましょう」
ジェレミア、アーニャ、ライの3人はそれぞれ座り
「「「いただきます」」」
今日もまた3人で昼食を摂る。
あの日、1人の友がもう1人の友を殺した日。
反逆者として処刑場へと護送されていた僕とアーニャ、その護送を指揮していたジェレミアさん。
彼らの辿る道を知っていた僕にはとても辛く悲しい日となった。
その後、みんなはそれぞれの道を歩み始め、世界は少しずつだが優しくなっいる。
僕は学園、騎士団、軍、様々な方面から勧誘を受けたがどれも断り身の回りの整理だけ済ませ、眼前の2人と一緒にここへ来た。
ジェレミアさんはあの2人に最後まで付き合い、忠義を果たした騎士は1人の男としてここから新たな人生を歩み始めた。
記憶の戻ったアーニャは軍を退役、帰る家も無くなり恩人の誘いを受け僕と一緒にここへ来た。
ゴッドバルト、アールストレイム、エス・ブリタニア。それぞれ姓(いえ)を無くした3人が集い何とも奇妙な家族が結成された。
国を失い、妹と母を失い、記憶を失い、友を失い、大切な人すらも失いかけた僕は最後に今と明日を手に入れた。
僕らが、世界がこれからどんな道を辿るのかは分からない。
それでも今はこの時を堪能しながら生きていこう。
世界の終わりで生まれた光は――――――
「あ…」
「涼しい」
「心地よい」
――――――今、風の中に。
621 :
食卓:2008/09/30(火) 00:01:22 ID:iLf020t0
以上です。短か過ぎた気もしますが読了ありがとうございました。
放送は終っても、LCR2が出るまで投下は終らない…そうですよね?ギアス先生
>>621 食卓の騎士卿、GJでした!
三人の奇妙な人生。
三人のどこかほのぼのとした生活。
それらが分かりやすく見てとれる良いSSでした!
貴方の次の投下を全力でお待ちしております!
>>621 GJ!短い中にも、ゆったりした時間が感じ取れる作品でした。
>>621 遅ればせながらも食卓の騎士卿GJでした!
もしロスカラのR2verが出たらこんな感じのEDもありそうだな〜なんて思ってしまうほどありそうなエピソードですね。
このssは続きあるんですかね?出来れば読みたいなぁ…
卿の次回の投下を全力でお待ちしております!
>>621 GJです。ものすごくほのぼのとしたEDですね。
ただ1ヶ月で収穫できるオレンジって?もともとレンジ畑だったんですか?
626 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/09/30(火) 16:28:44 ID:Sig2PMiv
627 :
食卓:2008/09/30(火) 19:32:36 ID:udefJE1F
>>625 そこまで考えて無かったです。
引っ越してきて改装だの畑作りなどしてから1ヵ月後と思っていただければ…それでも無理があるような
>>624 本編のラストの場面なつもりなんで続きはないです。
いちおう前日談みたいなのはありますが、長くなるし諸事情により文面になるかどうかは不明です。
今日は静かだな……。
それはさておき、21:55頃より投下します。
本文・あとがき合わせて12レス分あるので、
できれば支援の方をお願いします。
支援します
支援します。
支援出来そうなら致します
支援は……充分か、感想を書きます。
ありがとうございます、では投下します。
『僕と妖精さん』シリーズです。
作者:余暇
タイトル:妖精さんと我慢
カップリング:ライ×リーライナ
(設定と注意)
・特派編スザクEND後
・リーライナ、マリーカ、咲世子は妖精さん。
・ほんわか・ゆるゆるラブストーリーで突っ走ります。
本文・あとがき合わせて12レス分あります。
『妖精さんと我慢』
「この栗饅頭、とてもおいしいですね。」
マリーカが上機嫌で栗饅頭を頬張る。僕が政庁から戻ると、自室にリーライナさんとマリーカが来ていた。
そしてすぐに、お茶会が始まった。
「そうでしょう?私、個人的に栗が好きなのよ。だから栗饅頭にはこだわってみたの。」
「へえ、リーライナさんは栗が好きなんですか。」
二人との他愛のない会話は、僕を大いに和ませてくれた。彼女たちもすごく楽しそうだし、
本当に彼女たちに会えて良かったと思う。思うのだが……。
「リーライナさん、その栗饅頭、何個目ですか?」
僕は、リーライナさんが栗饅頭を食べるのを、少し驚きの目で見ていた。
「んう?まだ三つ目ですよ。」
せめて飲み込んでから話して下さい、答えをせかす気はありませんから。
「でも先輩、いくら好きだからって、食べ過ぎじゃないですか?」
「堅いこと言わないの。甘い物は別腹って言うでしょ?栗が好きなんだし、いいじゃない。」
よほど栗が好きなんだな、この人は。しかし最近はお茶会続きで、随分と甘い物を食べている気がする。
そしてこっちでは、もう戦闘らしい戦闘も起きていないし、訓練ぐらいでしか体を動かす機会がない。
よって僕も自然な成り行きで、ベルトの穴を一つ分緩めなければならなくなった。さすがにあれはショックだった。
「うーん、甘くておいしい。栗饅頭、最高!」
リーライナさんの場合は…いや、よそう。女性に体重の話を振るのはさすがに失礼だ。
それに、見えない所でちゃんとカロリー消費しているのかもしれないし。
支援
そしてその日の夜、リーライナの部屋にて。
「そ、そんな……。」
風呂から上がったリーライナは、体重計の上で絶句した。
「2kgも増えてる。私は大丈夫だと思っていたのに。」
最近はライの部屋でお茶会をする機会が増えたため、必然的に甘い物を食べる量が増えていた。
だが彼女はこれまであまり太った経験がなく、体重を気にすることはなかったのだ。
「うーん、二の腕は…つまめるか。お腹周りも、ちょっと危険かも。」
体に巻いていたバスタオルを外し、彼女は自分の二の腕や腹部を触っていた。外見からは太っているようには見えない。
むしろ平均的なブリタニア人女性と比較すると、かなり理想的な体型である。だが彼女は、体重が増えたという事実のみに固執していた。
「これ以上太れば危険よね。パイロットスーツが入らなくなるとか、持っていた服を着られなくなるとか。でもそれ以上に、
ライさんに嫌われるかもしれない。この間学園で見た生徒会長さんとか赤髪の女の人とか、彼の周りにいる女性はみんなスタイルが良かった。
彼女たちに負けないためには、このままではいけないわ!」
裸のままリーライナは拳を握りしめ、一つの決意を固めた。
「ダイエットしなくちゃ!まずは甘い物を控えないとね。でもライさんやマリーカを巻き込むわけにはいかないから、
お茶会の時は私だけ我慢ね。後は、食事の量を減らしてみるか。運動量も増やさないとダメかな。……ハックシュン!うう、まずは服を着よう。」
こうして、リーライナのダイエットが始まった。
支援
そして翌日、ライの部屋にて。
「……リーライナさん、これは一体?」
テーブルの上に置かれたお菓子を見て、僕とマリーカは首を傾げていた。僕とマリーカの前には水ようかん、
リーライナさんの前にはおかきが置かれていた。甘さという点において、明らかに違う。
「えーと、今日は個人的に甘い物は食べたくない気分なんです。ですから、二人はそちらの水ようかんを食べて下さい。私はおかきにしますから。」
「でも先輩、本当にいいんですか?何だか悪いですよ。」
「いいのよ。気にしないで食べてちょうだい。」
戸惑うマリーカをよそに、リーライナさんはおかきを食べ始めた。僕たちは何も言えず、戸惑いながらも水ようかんを食べ始めた。
うむ、甘くておいしい。
「………。」
何だ、リーライナさんからものすごいプレッシャーを感じる。
(マリーカ、君も感じるのかい?このプレッシャーを。)
(はい。先輩のこの気迫、作戦の時以上です。)
僕とマリーカは、アイコンタクトで無言の会話を交わす。ナイトメアに騎乗している時以上とは、やはりこれは尋常ではない。
(うう、おいしそうに食べるじゃない。人の気も知らないで。いやいや、二人を巻き込むわけにはいかない。
これは私自身の問題なんだから、私が誘惑に負けなければいいのよ。でもやっぱり、おいしそう……。)
「リーライナさん、どうかしたんですか?そんな真剣な表情で見られると、ものすごく気になるんですけど。」
「先輩、正直言って怖いです……。」
「へっ!?ああ、ごめんなさい。どうか気になさらず、どんどん食べて下さい。」
結局、リーライナさんはお茶会の間、ずっと僕とマリーカにプレッシャーを与え続けた。正直、落ち着かなかった。
支援
その夜、リーライナの部屋にて。
「うう、レタスだけというのは、正直辛いわね。」
リーライナの夕食はレタスのみ。カロリーが気になり、あまり食べる気にならなかったのだ。
「朝食はある程度食べないと一日が辛いしなあ。甘い物を控えればいいだけなのかもしれないけど、
本当に甘い物だけが原因なのかわからないし。もっと食を細らせた方がいいのかな。
今までそんなこと考えたこともなかったから、わからないよ。」
その時、リーライナのお腹が鳴った。
「ああ、お腹すいた。でも、食べたらまた太るかもしれないし、ここは我慢しなきゃ。」
彼女は空腹を紛らせるため、早めに就寝した。
そして翌日、リーライナは朝食を食べなかった。昨夜はあまり寝付けず、寝坊しかけたというのもあったが、
体重のことがあまりにも気になっていた。
「先輩、顔色悪いですよ。大丈夫ですか。」
マリーカが心配そうに見つめる。
「ええ、大丈夫よ。ちょっと朝ごはんを食べそこなっただけ。」
「もう、ちゃんと食事はしっかり摂らないとダメですよ。集中力が切れて危ないですから。」
「ごめん、あなたに叱られるなんて、本当に何してるのかしらね。」
リーライナは自嘲気味に笑った。
だがその翌日も、リーライナはあまり食べなかった。少し足元がおぼつかない彼女を見て、マリーカはある予感がした。
「先輩、まさかダイエットですか?先輩はその必要はないのに、そんなに無理をしたら…」
「あなたには関係ないでしょ、ほっといてちょうだい!」
そう言うと、リーライナは去っていった。
(やっぱりそうか。でもこのままだと先輩、いつか倒れちゃう。そうだ、ライさんにお願いしてみよう。
あの人なら、何とかしてくれるはずだわ。)
支援
その日の午後、僕の部屋に一人の来客があった。それはマリーカだった。
「リーライナさんがダイエット?」
「はい。このところ全然食事を摂っていないみたいで、今朝なんか足元が少しおぼつかなくて。
私もやめるように言ったんですけど、聞き入れてもらえなくて。」
もしかしてこの二日間姿を見せないのは、空腹で力が出ないからなのか?空腹だと何もやる気が起きないし、もしかすると彼女もそうなのかも。
「でもあの人の場合、ダイエットが必要とは思えないんだけど。」
「私もそう思います。でも女性は一般的に、ちょっとした体重の増減に一喜一憂したり、体型を気にする人が多いんです。私の周りもそうですから。」
なるほど、女性って難しいな。僕には到底理解できない。
「それでライさんにお願いがあるんです。先輩にダイエットをやめるように言ってもらえませんか。
ライさんに言われれば、きっと先輩も納得すると思うんです。」
「えっ、僕が彼女を?でもどうすればいいんだ、うまく説得できる自信なんてないよ。」
男の僕に、女性にダイエットをやめさせるなんてことができるのか?
「大丈夫ですよ、先輩がダイエットを始めた一因は、多分ライさんですから。」
何だって?僕のせいでリーライナさんがダイエットを始めた?さっぱりわからない。
「マリーカ、僕が彼女に何かしたと言うのかい?ダイエットを決意させるような何かを。」
「直接何かをしたとは思いませんけど、何らかの影響はあると思います。それでは、なるべく早くにお願いしますね。
思っていることを伝えれば、きっと大丈夫ですから。」
そう言うと、マリーカは帰っていった。よくわからないが、リーライナさんが心配だ。今夜にでも呼び出してみるか。
(これでよし。先輩は多分、ライさんのことが好き。ライさんに嫌われたくなくて、無理なダイエットを始めたんだと思う。
きっとあの人は先輩の体型以外を見てくれる人。それを伝えてくれれば、きっとうまくいくわ。)
支援
そして夜、僕は緑茶を飲んでいた。そして、
「はぁ、『緑茶うめぇ』。」
リーライナさんを呼び出した。すると彼女は向かい側のソファに現れた。ソファに横たわってぐったりする様は、いつもの彼女とはかけ離れていた。
「あれ、ライさん?こんばんは、どうしたんですか?あ、今からお茶会を開きたいんですね、すぐに準備を…」
「待った、今日はお茶会じゃないんです。マリーカから聞きましたよ、無理なダイエットをしているそうですね。」
「……もう、あの子ったら余計なことを。」
ソファから起き上がったリーライナさんが、顔をしかめる。
「彼女、心配していましたよ。それで、あなたのダイエットをやめさせるよう、お願いされたんです。
僕もあなたが心配なんです。そんなにフラフラしていたら、いつか本当に倒れますよ。そもそも、原因は何ですか?」
すると彼女は視線をそらした。
「あの子に何て言われたか知りませんけど、私は大丈夫です。それに、理由が何だっていいじゃないですか。男の人にはわかりませんよ。」
「わからないかもしれませんけど、そんな姿を見たら心配ですよ。」
「本当に大丈夫ですから、気にしないで…」
途中まで言うと、彼女はソファに倒れ込んだ。僕は急いで彼女のそばに寄った。
「リーライナさん、大丈夫ですか!?しっかりして下さい!」
「お腹…すいた……。」
やはりそれが彼女の本音か。まったく、つまらない意地を張るんだから。
「少し待っていて下さい、何か作ってきますから。」
僕は台所へ向かうと、お粥を作った。極度の空腹時に刺激の強い物を食べると、胃に悪いかもしれないと思ったからだ。
支援
「ご馳走様でした。はー、生き返った。」
その後、リーライナさんは素直にお粥を食べてくれた。やはり空腹には勝てなかったらしい。
「すみませんでした、ご迷惑かけて。」
しょんぼりしながら、彼女は僕に謝った。どうやら反省はしているらしい。
「でも良かったですよ、ちゃんと食べてくれて。しっかり食べないと本当に命に関わりますから、
もう無理なダイエットはダメですよ。あと、マリーカにもちゃんと謝るんですよ。」
「はい、わかりました。本当にすみませんでした。」
リーライナさんがさらに小さくなって謝った。別に、そんなに責めているつもりはないのだが。
「まあ、わかってもらえたならいいです。それと、聞かせて下さい。何故ダイエットを始めたんですか?
マリーカは、僕にも原因があるって言っていましたけど。」
「ええっ!?あの子ったら、本当に余計なことをペラペラと!」
リーライナさんが頭を抱えた。そして渋々ながら語り始めた。
「最近甘い物を食べ過ぎて、太っちゃったんです。このままだと持っている服が着られなくなると思って、ダイエットを始めたんです。
でもどうやったらいいかわからなくて、まずは甘い物を控えて、食事も少なめにしたんです。
そのうち、これだけでは足りないと思うようになって、ほとんど物を口にしなくなって。」
「また随分と無茶なことを……。でもそれだけだと、僕が原因の中に含まれませんけど。」
すると彼女は、顔が耳まで真っ赤になった。そして、か細い声で僕に尋ねた。
「そ、それはその。あの…笑わない?」
「……?え、ええ、約束します。」
やがて彼女は、一呼吸置いて言った。
「ライさんに、嫌われたくなかったからです。」
「……はい?」
僕は間抜けな声を出した。つまり彼女は、自分が太ると僕に嫌われると思っていたのか?
どうしてそうなるのか、さっぱりわからない。
支援
「だって、この間一緒にいた生徒会長さんや赤い髪の女の人は、すごくスタイルがいいじゃないですか。
他にも綺麗な人たちがライさんに近寄っていたし、何だか女として負けたくなかったんです。
それにライさんも男だし、やっぱり胸が大きくて、スタイルがいい人が好みなのかなって思ったんです。」
僕は言葉もなかった。百歩譲って、ミレイさんやカレンに対抗意識を燃やすのはいいとしよう。
だが、いつの間に僕がナイスバディ好きになったんだ。いや、だからと言って小さい人に興味があるわけではないが、誤解されては困る。
僕は、本心を話すことにした。
「リーライナさん、僕は女性を外見のスタイルだけでは判断しませんよ。それと、どういう体型が好きというのもありません、本当です。
ですから、僕があなたを嫌いになる理由は、この世界には存在しません。」
「ほ、本当ですか?もし、私が太ったりしても嫌いになりませんか?」
リーライナさんが、おそるおそる尋ねる。僕は首を横に振った。
「嫌いになるわけがありませんよ、いや、嫌いになんかなれません。リーライナさんは明るくて元気で、心の優しい人だ。
僕はあなたを見ていると、心が落ち着くし、元気が出てくるんです。あなたは、ありのままのあなたでいて下さい。
僕は、そんなあなたが好きなんです。」
「へ……?」
突如、リーライナさんが放心状態になった。僕は何か変なことを言ったか?
「す、好き?私が、好き?」
「ええ、そうですけど?それが何か…」
「ボンッ」と音を立てるようにリーライナさんの頭がオーバーヒートして、彼女は気を失ってしまった。
「あれーっ!?リ、リーライナさーん!」
何なんだ、一体どうしたんだ。
支援
「うーん、ここは?」
リーライナさんは、ベッドの上で目を覚ました。僕は上から、彼女の顔を覗き込む。
「良かった、気がついたんですね。急に気を失うからびっくりしました。」
「す、すみません、ちょっと動揺しちゃって。と、ところで、さっきの『好き』って言葉は本当ですか?」
ああ、さっきの話か。確認したいのかな。
「ええ、本当ですよ。僕はあなたが好きです。あなただけじゃない。学園のみんなも、軍の人たちも、マリーカも、
みんな心から守りたいと思える大切な人たちです。だから、みんなのことが好きです。」
「……へ?『好き』って、そっちの意味だったんですか?」
リーライナさんがキョトンとしている。『そっち』ってどっちだ?
「アハハ……。そうですよね、期待し過ぎですよね。みんなが大切で好きって意味で言ったんですものね。
朴念仁のライさんが、そう簡単にあっちの感情に目覚めるわけがないですよね。」
今、さりげなく酷いことを言われた気がするんだが。
「ライさん、ありがとうございました。おかげで救われた気がします。また前向きに頑張っていこうと思います。それじゃ、失礼しまーす!」
リーライナさんは笑顔で帰っていった。えーと、これで良かったのか?
支援
そしてリーライナの部屋。
「ライさんのバカー!変な期待持たせるなー!」
リーライナは、風呂の中で絶叫した。
「あんな紛らわしい言い方されたら、勘違いするに決まってるじゃない。あの人、かなりの天然ね。
でも、マリーカも応援してくれるって言っていたし、順調ね。」
彼女は部屋に戻ってすぐにマリーカに電話をして、今朝の非礼と、今まで心配をかけさせたことを詫びた。
その時マリーカは、ライに対するリーライナの気持ちに気づいており、自分も応援したいと伝えてきた。
「徐々に包囲網は狭まっている感じね。あとは、自分次第か。彼をもっとその気にさせるには、自分を磨かないとね。
やっぱり、魅力的な女でいたいもの。」
そして彼女は、浴室を出た。
「思えば、この体重計が始まりだったのよね。」
彼女は今、体重計の前に立っている。そして、その上に足を乗せようとしたが……。
「あれ?目盛りがずれてる。0kgじゃなくて、2kgで止まってる。てことは……。」
彼女は目盛りを修正してから、体重計に乗った。
「やっぱり、今までと変わってない!なーんだ、そういうことだったのかー。」
彼女は体重計から飛び降りると、鏡に自分の全身を映した。
「うん、太ってない。でも、これからはもう少し気をつけよう。好きな物は食べるけど、ちゃんと運動してカロリー消費しないと。
そしてもっと綺麗になろう。いつかきっと、ライさんに『愛してる』って言ってもらうためにもね。」
そして翌日、ライの部屋。
「先輩、本当に栗饅頭が好きですね。」
お茶会の最中、栗饅頭を食べるリーライナさんを見て、マリーカが呟いた。
「つい昨日までは、ライさんに嫌われたくないからって…」
「わーっ、もう言うな!それに、もうさんざん謝ったじゃない。その話はもう終わり、わかった?」
すっかり元気になったリーライナさんは、食べるのをやめない。今までの反動か?
「でも先輩、あまり食べ過ぎても…」
「わかってるわよ、マリーカ。これからは量に気をつけるから。もっと運動もする。
だって、もっと魅力的な女でいたいもの。そう、どこかの鈍感な誰かさんのためにね。」
「そうですか、鈍感な人がお相手だと大変ですね。」
そう言うと、リーライナさんは僕にウインクをして、マリーカは微笑みながら僕を見た。
「あ、あの。鈍感な人って誰ですか?そして何故、僕を見るんです?」
「「さあ、何ででしょうねー♪」」
次回予告 『妖精さんとコスプレ』
咲世子の提案により、コスプレでライにアピールすることになったリーライナ。
だがいつの間にか、それはライやマリーカも巻き込んだ撮影会へとなっていく……。
支援
656 :
余暇:2008/09/30(火) 22:40:02 ID:uiIz84WR
以上です、支援ありがとうございました。さる食らったので、あとがきは携帯からにしました。
>>656 余暇卿、GJでした!
ほのぼの感が最高です!
ダイエット……うーむ、やっぱイマイチわかんないや。
リーライナの恋の行方を見守りながら
貴方の次の投下を全力でお待ちしております!
>>656 ああ…今回も癒されました。
しかし…ライの天然は、女殺しの最強スキルなのかもしれないと思ってしまいました。
そして、次回は…コスプレですかっ…。
こ、これは期待せねばっ…。
GJでしたっ。
次…次も無茶苦茶期待してます。
ええ…期待しますとも…。
なお、23時10分頃に投下したいのですが、皆様支援お願いできるでしょうか?
合計で10〜11レスの予定です。
支援表記ありがとうございます。
時間ですのでよろしくお願いいたします。
タイトル「思いを君に…その1」
カップリング「なし」
ジャンル「ラブコメ」かなぁ…。
○注意点○
このSSでは、話はライの視点で進みますが、ライはあくまでサブキャラに近い扱いになっています。
それが駄目な方は、スルーをお願いいたします。
本編9〜10レス+終了1レスの合計で10〜11レスの予定です。
なお、投下は2分前後ごとに行う予定ですので、5分超えた場合は、トラブル発生と思っていただいて結構です。
その際は、再度投下しなおします。
支援
支援
思いを君に… その1
「ねぇ…ライくん、ちょっといいかしら…」
月下の整備が終わり、事務処理をする為に格納庫から出ようとするところを井上さんから呼び止められる。
「どうしたんですか?」
すごく真剣な表情である。
「あのさ…ちょっと聞きたい事あるんだけど…いい?」
「あ、構いませんけど…何でしょう?」
僕も井上さんの真剣な表情が気になって足を止め聞き返す。
「実はね…今度入ってきた新人がね……どうも玉城らラブみたいなのよ…。どう思う?」
「………」
「聞いてる? ライくん…」
「えーーーーーーーーーーーーっ」
一呼吸ほど遅れて反応したのはワザとではない。
思考が言われた事を理解されるまでそれだけかかったのだ。
支援!
「ほ、本当なんですかっ…それは…」
僕は聞き返す。
あの玉城である。
あの…玉城を好きって……物好きにもほどがある。
確かに意外と相手を思いやったり、いろいろ世話を焼いたりと決して悪い人ではない。
実際、僕もカレンとの喧嘩の時の仲裁や相談で世話になったこともある。
だけど…あの玉城ですよ…。
調子がよくて口ばかり、怠け者で仕事をサボってばかりの努力をしない遊び人…。
友人としてはいいと思うが、恋愛対象としては…どうしたものか…。
そんな評価が騎士団の女性陣にも定着しているとばかり思っていた。
「それがね…マジっぽいのよ。私もさっき本人に軽く探りを入れたんだけど…ねぇ…」
井上さんが溜息をついて続ける。
「もう…当てられちゃってさぁ……ぐったりよ…」
あー…こういう色恋沙汰では騎士団では随一の情報と分析を持つ井上さんがこれである…。
間違いなく…玉城ラブなのだろう。
支援
支援
「で…その娘は誰なんです?」
ちょっと興味が沸いてきて聞いてみる。
「ほら…あの子よ。オペレーター希望の…双葉綾芽ちゃん」
あー…あの娘か…。
おさげがよく似合うおとなしそう感じの…。
「意外ですね…」
「ライくんもそう思うでしょ…」
二人でひそひそ話しをしていると僕を呼ぶ声がする。
「ねぇ〜ライ〜、なにやってんのよぉ〜。整備終わったんならお茶しょうよ〜」
呼んでいたのは、僕の彼女であり、心強いパートナーのカレンだった。
「ちょうどよかったわ。ねぇねぇ…カレンさぁ、双葉綾芽ちゃんって知ってる?」
「ふにゃ…?、双葉綾芽ちゃん?」
ちょっと考え込んでいるカレン。
あー…今の「ふにゃ」は可愛かった気がする…。うん…。
マイメモリーに焼付けておかねば…。
そんなことを僕が考えていると、思い当たったのかカレンがうなづき答える。
「あー、もしかして…オペレーターの…」
「そうそう…」
「おとなしくていい娘みたいでしたけど、何かあったんですか?」
興味津々で聞いてくる。
支援!
支援
うむー…やっぱり女の子はこういううわさ話は大好きのようだねぇ…。
僕も影で何言われてんだろう…。
ふと不安になった。
そんな僕をおかまいなしに二人は話し込んでいる。
「えーーーーっ、それ本当なんですかっ…。信じられないですよぉ…」
うむ…。
カレン、僕もその意見に賛成だよ。
思わず同意してうなづいてしまう。
「騙されてるんじゃないんですか?」
おいおい…。
そこまで言うのかよ…。
僕が思わず苦笑していると、井上さんが答える。
「私もそう思ったのよ…。だから、真実の玉城の姿を教えたの…」
そこでため息を入れる井上さん。
さっきの当てられた事を思い出したのだろう。
ご愁傷様である。
っていうか…貴方もなんですかっ。
思わず玉城に同情してしまう。
「そしたら…頬染めて人間臭くていいと思います…だってさー。ほんと…勘弁してよ…」
「「うわー…」」
思わず僕もカレンも苦笑してしまう。
下手に熱くノロケられるよりこっちの方がきつい…。
それも健気な片思いなので余計である。
「でもさ…ここまで健気だと応援しちゃいたくなってくるのが人情なのよねぇ…」
にたりと笑って宣言する井上さん。
来たよ…来た来た…。
騎士団一の恋愛世話焼き姉御魂が…。
支援
「「あはははは…」」
かってに燃え上がる井上さんを見て、二人して苦笑する。
こうなったら…ゼロでさえも止められない。
まぁ、そのおかけで僕もカレンと付き合うことが出来たわけだし…。
それに玉城には世話になったこともちょこっとはあるしね…。
「いいですよ。手伝いますよ、井上さん」
僕は一人燃える井上さんにそう答える。
「あら、めずらしーっ。ライが言われる前に協力するなんて…」
カレンが意外そうな反応で僕を見る。
「まぁ、玉城にはいろいろ世話になったこともあるし…。それに…」
「それに?」
「この機会を逃すと玉城にいい人なんて出来ないかもしれないし…」
我ながら酷い言い方ではある。
僕も他人のことは言えないなぁ…。
カレンは、僕の言い方が面白かったのか、笑いながら答える。
「そうよね…その通りよ。いいわ、私も手伝う」
そんな僕らを井上さんは、うれしそうに見ている。
「ありがとうねぇ、二人とも。がんばって二人を絶対くっつけちゃいましょう〜!!」
いや…無理やりは…ちょっと拙いのでは…。
そう思って突っ込もうと思ったが、言いかけて諦めた。
駄目だ…。
言っても止められない…。
「お〜♪」
あー…カレンまで…。
仕方ない…。腹をくくるか…。
そう考えをまとめると僕も賛同の声を上げた。
支援!
支援
まずは、玉城本人にいろいろ当たってみる事にした。
女性の好みとかいろいろ事前調査が必要なのである。
もちろん担当は…僕…。
井上さんは、誤解されたら嫌だもの…と言って、さっさと離脱。
カレンは、他の男性と話し込むっていうのは僕の気分がよくないので却下である。
ちなみに本人に「なぜ私が駄目なの?」と聞かれ、そう答えたらカレンは真っ赤になって照れていた。
さらに、井上さんからはお熱い事で…と冷やかされるおまけ付・・・。
僕的には本音を言っただけなんだけどなぁ……。
まぁ、それはさておき…作戦開始だ…。
支援
支援
「えっとー、ちょっと聞きたいことあるんだけどいいかな?」
僕がそう声をかけると、玉城はうれしそうだった。
「おうおう、ゼロの次に親友のライの頼みとあらば答えなくてはなるまい」
実に楽しそうに芝居がかった言い方で答えてくる。
しかし、いつ親友になったのだろう…。
そう突っ込みたかったが、話が進まなくなる可能性がとても(いや…100%かな…)高そうだったのでスルーすることにした。
「それはありがたいな…。実は…ちょっとここでは話しづらいことなんだ」
「ふむふむ…」
考え込んだポーズをとる玉城。
いやぁ…似合ってないね…本当に…。
「よし…」
何やら考えがまとまったようだ。
僕をじっと見て…うなづいている。
「仕事終わったら付き合ってやるから、それでいいよな?」
「ああ…かまわないけど…」
僕がそう答えるとうれしそうにバンバンと背中を叩く。
いやぁ…結構痛いんだけど…。
そう思ったが苦笑いで誤魔化す。
「よしーーっ。18時に呼びに来るからな…。いいか…絶対だからな…」
そう念を押され、僕は頷くしかなかった。
すごく嫌な予感がするのを考えないようにして…。
支援!
そして…18時…。
「うぉーーーいっ…ライっ…いくぞぉーーーーっ」
ジャストぴったしに玉城が来ると有無を言わせず僕は連行されていった。
井上さんやカレンの哀れな生贄を見送るような視線と表情で見送られながら…。
二人ともっ…頼むからそれはやめてくれーーーーーーっ…。
「ど、何処に行くつもりなんですかっ…」
「よくぞ聞いてくれたっ…親友っ…」
僕の肩に手を回すと引きずるように移動しながら答える。
もちろん、最高級の笑顔で…。
「男同士がいろいろ相談すると言ったら…」
「言ったら?」
にたりっ…。
ああ…なんか地雷踏んだかもしれない…。
後悔が心を過ぎる。
支援
「飲みに行くにきまってるじゃないかっ!!」
「…やっぱりーーーーっ…」
予想通りの答えに僕は呆れ返ってしまう。
「駄目ですよ…。僕は未成年ですっ」
なんとか逃げるための口実を作って反撃をかける。
しかし、玉城はそんな僕の反撃を読んでいたのか、にたりと笑う。
「記憶ないのに未成年ってのはおかしくないか?」
「ぐっ…」
しまったーっ…。
次の口実を考えねば…。
だが、こういうことになると玉城は百戦錬磨の策士だった。
僕が言い出した事を次々と言い負かしていく。
もっとも、そのほとんどが屁理屈だったが、その勢いと雰囲気に推されてしまう。
そして15分後、僕は完膚なきまでに叩きのめされ、玉城の軍門に下るしか手はなかった。
なんか…すっごく屈辱的だ…。
くそぉーーーっ…。
「よっしゃーっ。今夜は俺のおごりだかんな。じゃんじゃん飲むぞぉーーーっ」
「ひぇーーーーっ…」
僕は引きずられるように1軒目の店に連れ込まれた。
《次回に続く…》
支援!
ここで今回は終了です。
前作が、もう書くたびに精神的疲労に陥る問題作だったので、今回は気軽な気持ちとノリで書いています。
(今のところは…ですが・・・)
今回のメインは、皆の愛する欲望にまみれた少年のような心を持つ玉城真一郎です。
そして、お相手はR2から登場のオペレーター3人娘の一人、双葉綾芽ちゃん。
なんでこんな取り合わせ思いついたかというと、最終回の愚痴る玉城の傍で見守っているシーンがあって…。
おおおーっ、これはいいかもと思って書き始めたのが最初です。
で、お節介役は、前回のホラー&昼ドラで散々壊して愛着のわきまくってる井上さん&カレンのお二人…www
もちろん、吾らがライくんも巻き込まれてしまいますし、物語はライ視点で展開予定ですのでご安心を…。
さてさて…二人の仲はどうなるのでしょう…。
先のことを考えず、思いつきだけで書き始めましたが、こんなのあってもいいかなーとか思っていいよね?
たまには玉城にもいい目みさせてあげようよwwww
もっとも…先がどうなるか未定ですけどね。
すみません…。修正箇所ありです。(がっくし…
>>663 どうも玉城らラブみたいなのよ…。どう思う?」
↓
どうも玉城にラブみたいなのよ…。どう思う?」
すみません…。トーマス様よろしくお願いいたします。
支援
>>685 GJ。なんつーか、玉城はやっぱり玉城だなw
この後、ライはどうなるんだろう。まあロクな目にあわないだろうな、一緒にいるのが玉城だしw
続きをお待ちしています。
余談ですが、冒頭から井上さんが出てきた瞬間に、
「あっ、ライが刺される!」と身構えたのは、自分だけでいい。
あっちの井上さん、インパクトが強すぎたんだ……。
>>685 あしっど・れいん卿、GJでした!
玉城がメインだと……素晴らしい!
あの軽さとか時々男前なチンピラなかんじがいいよね。
玉城への恋、それは実るのか否か。
大変期待して待たせていただきますね。
貴方の次の投下を全力を挙げて待っています!
24:10に投下予定です
合計11レスほどなので支援をお願いします
支援いたします
こんばんは!毎度ありがとうございます、ピザーライです
今日もSSをお持ちしました
今回もコードギアス REGAIN COLORSの続きとなります
それでは、注意をよく読んでお召し上がりください
注意点
ギアス編からR2のお話にライを登場させています
ライを中心にするため本編の一部をカットしている場合があります
合計は約11レスとなります
第16話「偽りの転校生」
中華連邦の事件が終わり、数日が過ぎた。
「今日からこの学園に転入することになりました、ライです。よろしくお願いします」
教壇の前でライは一礼をする。それに対して女生徒の黄色い悲鳴が起こった。
手はず通りルルーシュのクラスにライは転入することになっていた。
「それじゃあ、席は一番後ろへ」
ヴィレッタの言葉に頷くとライは席に着いた。
休み時間はライへの質問などで大勢の生徒(主に女子)が集まった。
ライはそれを嫌がることなく笑いながらそれに答えていた。
その後、ライは昼食時にルルーシュや生徒会メンバーと共に食事を取ることになった。
「会長、何で俺が彼を連れてこないといけなかったんですか」
ルルーシュはそう言いながらミレイへと話しかける。
「そうですよ、会長。私なんか皆に睨まれたんですよ!」
ルルーシュはライを連れてくるのにシャーリーにも手伝ってもらったが、シャーリーはとんだ災難だ。
ルルーシュにライと美形を2人も連れて昼食の裏庭に行くのだ、目立ちもするだろう。
「いいじゃない、私だって噂の美形転校生見てみたいんだもの。
それにしてもあなただったとはね〜。この前会った後、どこのクラスにもいなくてビックリしたわ」
「えっと、実は急な転校が決まって少し不安だったから下見も兼ねて・・・・・」
「一緒にいた彼女は?」
「あ、あれは知り合いの子でこっちの学園にはいないんです」
ライはどうにか前に学園で会ったときのことをうまく誤魔化した。
「なるほどね〜。下見を兼ねて制服を着て学園に潜入する・・・・・中々やるわね〜」
そうやってミレイは呟くとうんと頷いた。
「決めた!ライ、あなたを生徒会メンバーに入れるわ!」
「会長、いいんですか?そんなにメンバーを増やして」
「別にジノやアーニャの2人を加えたところで1人増えようが、別に良いじゃない」
「はぁ、知りませんよ。ホント」
ルルーシュはわざと溜め息を付く。
「ランペルージ君だっけ?僕は構わないから大丈夫だよ」
「ルルーシュでいいさ、ただこの生徒会ってのは色々と普通じゃないから気をつけてくれ」
(俺に未だにゼロの疑いが掛けられている以上・・・・・・)
(僕がルルーシュと最初から親しくしているところを見せるわけにはいかない)
お互いが初対面だということを見せ付けなければいけないのだ。
学園の監視しているヴィレッタたちはもうこちらの手の内。
ライに関してはギアスを使えばどうとでもなるが、用心するに越したことはない。
「それじゃあ、ライ。放課後になったら生徒会室に案内するよ」
「ありがとう、ルルーシュ」
そうやって2人は笑いながら握手をした。
支援
「ライのおかげでデートのキャンセルが増えた・・・・・助かったよ」
「でも、この予定だけを見るとサイテーな男だよね」
ライは未だにルルーシュに残っているデートの予定を見ながら呟いた。
「それは咲世子が勝手にやったことです!」
「でも咲世子さんは天然みたいだからルルーシュのミスでもあるけどね」
「否定できないな」
ロロの言葉にライが返し、ルルーシュは肩を竦めながらも同意した。
そうやって笑い合うライとルルーシュをロロは面白くなさそうに見ていた。
「・・・・・・僕は先にクラブハウスに戻るよ。後はよろしく」
そう言うとライは監視室から出て行った。
「ねぇ、兄さん。僕のことあの人避けてないかな?」
「そうか?」
「うん、最初に声を掛けた時に一瞬身構えたんだ」
「それはいきなりお前が声を掛けたからだろう?」
「それならいいけど・・・・・」
ライでも一度殺されかけた人物に対してすぐに打ち解けられるわけがない。
そうやって構えをライは取ってしまうのは癖のようなものだ。
自分がロロに殺されかけたことはルルーシュには教えなかった。
教えても多分得になるようなことはないからだ。余計なことは言わない方がいい。
しばらくはそんなことが続くだろうとライは思った。
だが、ロロのルルーシュに対する感情は素直に本物だと信じることが出来る。
それならば出来るだけ彼と仲良くなるようにしないととライは考えるのだった。
支援
支援
「ふぅ」
ライは部屋に戻るとベッドに仰向けに倒れこんだ。
久しぶりの学園での生活ということで色々と緊張して疲れてしまったらしい。
しかし、それはライにとって心が安らぐ時間になっていた。
「でも、こんなことしていていいのかな」
本当は政庁に捕らえられているであろうカレンを助けに行こうと思ったが、ルルーシュに止められた。
いくらギアスがあるとはいえ自分のギアスはいつ暴走するか分からない爆弾でもある。
それにギアスだけでカレンを助けられるわけもない。
ルルーシュに策が浮かぶまでライは自分を押さえることにした。ルルーシュも同じ気持ちなのだからと。
「スザクのことだからカレンを殺すようなことはないだろうけど・・・・・」
ライは窓から見える空を見ながら小さく溜め息を付いた。
「何だか静かだな。C.C.の憎まれ口が恋しくなりそうだ」
そうやって口に出してライは笑った。
しかし、昔のようにC.C.がこの部屋にいた時のことを思い出すと居てほしいかどうか迷ってしまうライだった。
支援
ライが転入して数日が経った。
生徒会のメンバーとしてライはすぐに全員と打ち解けていた。
そして、ルルーシュたちもライが昔からいたかのように接していた。
「な〜んか、ライがいると安心できるのよね」
そう言うミレイの言葉に生徒会メンバーは全員同じ気持ちだった。
まるでライは昔の自分たちを知っているように感じることが多かった。
そのことに誰も疑問を持つものがいなかった。それを全員が当たり前のように感じていたのだから。
ライはジノやアーニャとも何度も話をした。2人とも敵ではあるが、学園の中では少なくとも友達だと感じた。
ジノのお馬鹿な話にライがツッコミを入れるのをアーニャが記録したりと中々楽しい時間を過ごした。
まるで昔の頃に戻った感覚がライにはあった。
しかし、そんな学園生活はやはり長く続くものではなかった。
「ふぅ、少し遅くなっちゃったかな。今日は早く帰って・・・・・・・っ!?」
クラブハウスへと向かう途中、一瞬の殺気と共に左右から放たれる拳と蹴りを両手で押さえていた。
「ほら、俺の言ったとおりだろ」
「そうみたい」
その声を聞き、ライは心の中で舌打ちをした。
支援
「何をするんだ。ジノ、アーニャ、危ないじゃないか」
「大丈夫。止めるって分かってたしな」
「止められなかったらそのまま病院送り」
ジノとアーニャは拳と蹴りを下ろす。
こんな状況だが、2人の調子は生徒会室の時と何ら変わらない。
「・・・・・・・どういうつもりなんだ?」
ライは自分の戦士としての顔を出すことなく2人へと話しかける。
「いや、お前って俺たちと同じ気がするんだよな」
「同じ?」
「そう、戦ってきた・・・・・・殺し合いをしてきた目だ」
さすがナイトオブラウンズといったところだろう。
そういう部分においても彼らは敏感なのだろう。強敵が誰なのかそういう嗅覚が鋭いのだ。
少し油断しすぎていたのかもしれない。
「そんなわけないだろう?僕はただの学生だ、剣術とかは習ってたけどさ」
「俺たち・・・・・いや、私たちもそれなりに本気だった。生半可じゃ止められないはずなんだが?」
確かに未だにライの腕には痺れが残っている。
バトレーに筋肉や骨格などを強化されてさえ、この威力だ。普通の学生が止められるわけがない。
「だから何なんなのかな?そんな学生がいちゃいけないのかい?」
「うお、確かにそう言われると困るな」
そう言いながらもジノは笑顔だ。その表情に敵意は見えない。
「・・・・・調べる?」
「いくら何でもそれはひどくないかな?」
アーニャの言葉にライは顔には出さずに反論を言った。
ここで怪しまれて調べられては自分がここにいることはマイナスでしかなくなるのだ。
下手をすれば転入の件でヴィレッタたちを取り込んでいたことがバレてしまう。
支援
「まぁ、確かにそれだけで調べるには色々と問題があるな」
「というか、僕を何だと思っているんだよ。ナイトオブラウンズの蹴りと拳を止めた学生ってだけだよ?」
「あははははは、それはそれで色々と問題はあるぞ」
ライの言葉にジノは笑うばかりだ。
「それに目で判断するのも確かな証拠じゃないよ?」
「そうかもしれない。だが、それに関しては私は自信がある、君は弱い人間だ」
「・・・・・・・・」
「意味が分かるってところかな?益々興味が出てきたよ。そうだ、弱い人間だから強い、私はそう思っている」
「前振りはもういいから、はっきり言ってくれないかな?」
「そうだな。ライ、君は少なくとも学生じゃない。戦ってきた人間だ」
ジノの目つきが変わりライを見る。ライも敢えてそれを受けた。
それに対してジノは口の端を持ち上げる。
しかし、次の瞬間にはジノの雰囲気が変わりいつものジノに戻っていた。
sien
「俺たちはライを調べる。だが、それじゃ面白くない」
「・・・・・・は?」
ジノの言葉にライは驚いてしまう。その様子にジノは笑って話しかけてくる。
「俺たちと勝負して勝ったらライ、君の事は調べない」
「・・・・・・・どうして?」
「よく考えたらここでは俺やアーニャは学生だ。少なくともライの友人だ。
だからこそ、フェアな勝負をしたほうが・・・・・学生らしいだろう?」
そうやってニヤリと笑うジノにライはポカンとしてしまう。
アーニャはというと変わらず携帯を弄っているが、興味深そうに2人を見ている。
どうやら勝負という言葉に反応しているようだ。
「一体、どういった勝負を?」
「・・・・・・格闘?」
「それはこっちが不利だな。多分、俺たちよりライのほうがそういう分野は強い
スザク辺りがいい勝負なんじゃないか?」
「・・・・・・ナイトメア?」
「アーニャ、と・り・あ・え・ず、ライは学生なんだぞ?乗れるわけがない。
それにナイトメアだと俺たちのほうが有利だろうからな」
勝負事といったらそんなものしか浮かばないアーニャにライは頭が痛くなりそうだった。
しかし、ジノも一般常識には欠けているものがあり、中々思いつかなかった。
支援
そんな時だった。
何やら黄色い悲鳴と悲痛な叫び声が聞こえてきた。
ライやジノたちもそちらのほうを見るとルルーシュが女子たちに追いかけられていた。
どうやらやっとデートから帰ってきていたらしい。
「あ、シャー・・・・・リー・・・・・?」
ライは自分の目の前を通るシャーリーに声を掛けようとしてやめた。
声を掛けられる雰囲気ではなかったのだ。
その顔はかなり怒っているのが分かった、よくカレンがそんな顔をしていたのを覚えている。
触らぬ神に崇りなし、とはこういうものなのだ。
彼女はルルーシュを突き飛ばすとその前に仁王立ちをした。
「今度はどなたとお約束かしら?」
「いや、それは・・・・・」
「賭け事だけじゃなく女遊びまで・・・・こんな情けない」
そんな2人の様子を見てライは天を仰いでしまう。
本当の事を知っているが、それを話せるわけもない。
このままだとルルーシュもシャーリーも可哀想な結果になってしまう。
「シャ、シャーリー、落ち着いて」
とりあえず今はこの情けない自分の友達を助けるしかない。
こと恋愛に置いては鈍感すぎるルルーシュなのだ。
これ以上何か言わせてシャーリーの機嫌を損ねるわけにはいかない。
支援
「ライ君はルルーシュの味方をするっていうの!」
「い、いや、そういうわけじゃないよ?」
味方で入ったつもりだったが、シャーリーの剣幕に咄嗟にライは否定してしまう。
「じゃあ、何で間に入ってくるの!」
「それは・・・・・」
「私はルルーシュと話してるの!ライ君とは関係ないでしょう!」
「そんなことない!」
ライの大きな言葉にシャーリーは驚いてしまう。ルルーシュも目を丸くしていた。
いつも優しそうに自分たちを見ていたライではなかった。
「シャーリーもルルーシュも大事な友達だ!だから・・・・・喧嘩して欲しくないんだ」
「ライ君」
「ね?シャーリー、ちゃんとルルーシュと仲直りを・・・・・」
「そ、そうだ!これ、昨日ちゃんと話さなかったお詫びに・・・・・」
そう言ってルルーシュは買ってきていた洋服をシャーリーへと渡そうとする。
それを見たシャーリーに青筋が立っていた。
(ルルーシュ、君は馬鹿か!せっかく収まったんだぞ!)
ライはそう言おうと思ったが、もう遅かった。
支援
712 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/01(水) 00:47:58 ID:wdLLc0oj
規制にかかったかな?支援
「お詫び?あの事を物で片付けようっていうの!」
「誤解だ!俺はただ謝りたくて・・・・」
「謝る〜?」
溜め息を付いたライはジノたちの元へと戻っていく。
「いいの?あれ」
「いいんだ、もう僕じゃフォロー出来ないし・・・・・」
アーニャに聞かれたが、ライは力なく首を横に振った。
こうなってしまっては自分が出て行っても意味はないのだ。あの余計な一言さえなければ。
今のルルーシュを見るとあれがゼロなのかと思ってしまうと悲しく見えてくる。
正直に言ってこのルルーシュは情けなさ過ぎるのだ。
そう考えていた時だった。
「ル〜〜〜〜ック!!」
その声に上を見上げるとクラブハウスのテラスにスポットライトに照らされたミレイが立っていた。
変な帽子を被っているのが、特徴的だった。
しかし、いつの間にスポットライトを用意していたのだろうか?
「決めました!私の卒業イベント!名付けてキューピッドの日!」
それはいつもの会長の会長による会長の・・・・・ではなく生徒のためのイベントだった。
ちなみにルルが渡したのはチャイナドレスですww
支援
全力で支援
以上です!いかがでしたでしょうか?
やっぱりジノやアーニャなんかはライを怪しく思うのではないかと考えました
次はラブ・アタックのお話ですね、やっと本編の半分に差し掛かります
R2が終わってしまいましたが、これまで通りこのお話の完結を目指します
支援ありがとうございました!それでは、また次の配達で!
>>717 乙。なんか今回はライが空気だったような・・・。ノネットさんの攻撃なら100%防げなかっただろうな・
>>717 ピザの配達人卿、GJでした! 今回も美味しくいただきました!
まぁ、自分を殺しかけた人とすぐには仲良く出来ませんよね。
……でも、ライなら結構すぐに仲良くなりそうな不思議。
流石ラウンズ、でも疑った人間に攻撃仕掛けるってww
常識とかいう問題じゃねぇwww
キューピットの日に全身全霊を持って期待してます。
貴公の次の配達を全力でお待ちしております!
支援、そして大至急お代わりの配達をww
はじめましてB.B.と申します。
r2最終回すごかったですね。
本編終わっちゃったんで、今は早くロスカラ2を作ってほしくて仕方ないです。
そんな中、24話あたりから勝手に妄想してきた、妄想ロスカラ2も最終回である程度方向性決まったんで、今から投下しようとおもいます。
文才とかルルーシュの運動神経レベルですが、これから支援していただけると嬉しいです
支援したほうがよさそうですか?
支援ありがとうございます。
タイトル、
”俺式ロスカラ続編〜騎士団カレンルート〜”
カップリングは常にライカレのつもりです。
では、
「CCどうした!」
彼女に触れた瞬間、様々な意志やなくなっていた僕の記憶がながれてきた。
「うぅっ、頭がいたい、それに僕は、、、」
これは、暴走か!? ルルーシュとユフィがあぶない!
そう確信的に感じたので急いでダールトンにギアスをかけ、奥へ走っていった。
ユフィは銃をもって 日本人を殺さなければと言っている。
遅かった。
「ユーフェミア、やめ」
だが僕がギアスをかけようとすると、パンと乾いた音が鳴り足の激痛に思わず声をあげてしまう。
「日本人を皆殺しにしなければならなくなったの。じゃましないでください。」
「ま、て…ゼロは、そんなこと、望んでいない。」
パン 今度は脇腹に。
そしてかけていくユーフェミアに最後のチャンスだと感じ声を振り絞る。
支援
「まて! 僕には半分日本の血が流れている。だから…」 パン
「君は、、、一人も、」
パン
「殺しちゃ、、、、」
パン
もうどこを撃たれたのか分からない鎖骨や胸周りがとにかく痛くて大きな声を出せない。
「ハーフなら殺せませんわね。」
ルルーシュには僕と同じ悲しみを味わいさせたくなかったな………
これじゃ、狂王と呼ばれていたころとなにも変われてないじゃないか。
「ライ!!」
「 ルル、ーシュ…ごめん、止められ…なく、て…僕は、先輩、失格だ…ね。はは…」
「バカ、もうしゃべるな。」
「僕は…大丈夫だ。それより、彼、女を。」
わかったとうなずいてゼロは無線を取り出し走りながら全員に向けて発信した。
「ラクシャータ! ライが撃たれた。重傷だ。直ちに応急処置の準備を!」
「嘘ッ………」
カレンが絶句しする
「ゼロ、中で何が起きている!?」
と藤堂が聞くがスルーして
「黒の騎士団、全員戦闘準備を!」
とだけ号令をかける!ゼロが廊下から会場に出た時、パンと音が聞こえた
支援
「黒の騎士団全員に告ぐ。ユーフェミアの特区日本は我々をおびき出すための卑劣な罠だった。
玉城はライの救出後一切の戦闘をさけ帰還しろ。場所はステージ奥の廊下の先だ」
ルルーシュは逃げ足のはやい玉城を適任と即座に判断し、ルルーシュのガウェインに乗せるには
CCをおろさなければならない上、体力的にも時間がかかってしまうからだ。
「待ってゼロ 私も」
ダメだ。お前は一機でも多くの敵ナイトメアを破壊しろ。
「でもっ!」
「いうことを聞け!これ以上犠牲を増やすな」
カレンはしゅんとなったが、次の瞬間には憎しみと決意に満ちた目をした。
「待っていろ、ブリタニアのお人形お姫様…」
支援
僕は段々と痛みを感じだしてきた体のおかげで眠りから醒める事ができた。
あたりは真っ暗だけれど腰の辺りから寝息が聞こえる。
僕の手を握ったまま寝ているそれは騎士団の制服を着たカレンだった。
近くのゴミ箱の中にはガーゼやら使い終わった包帯やらがたくさんあり見るだけで自分の重傷さがよくわかる
あんなに撃たれたのに急所は無事で本当によかったと思える。 ふと、時計をみると特区日本のあれから
1日半も寝ていた事がわかった。 心配かけちゃったな………僕はカレンが起きないように手を解き、
彼女をソファーに運ぶ事は今の体ではできなかったので、毛布をかけて、杖をとり部屋を出てみた。
廊下はいつもより暗くて、いつも夜遅くまで聞こえてくる玉城の騒がしい声すら聞こえない。
嵐の前の静けさか……いつもの深夜の黒の騎士団はいつもと違った感じがしたがすぐに理由を思いついた。
やはり、ユーフェミアがああなった以上、決戦を早期に仕掛けなければならないのはかんたんにわかる。
しかしこんな体では決戦においては戦力にならないのも当たり前である。
僕はどうすればいいのだろうと考えていると後ろからCCが現れた。
「ルルーシュの事はすまなかった。」
CCはそのまま僕を見つめてる
「あの時彼女を止められてれば、」
「ふっ、何をいうかと思えば、それはうぬぼれだな。」
CCがいつもの人を小ばかにするような目になった。
支援
しかしすぐに真面目な眼差しに切り替えて言葉を続けた
「あの時のお前の判断は結果的に何もしないのと同じばかりか、お前という戦力が
一時的に失われるマイナスな結果を生んだ。結果的にはお前の行動は大失敗だな。」
嫌味のはずなのに、CCの声はどこかやさしかった。
「だが お前は王の孤独に反逆しようとした。」
「でも、失敗した。」
「なら次は失敗したくないと思っただろ?」
「当たり前だ、彼には僕みたいにまだ全てを失ったわけではないし、その悲しみを味わせたくない。」
「ふっ その思いは確実に伝わっている。悲しい運命に抗い幸せを望む姿はあいつの心に刻みついたはずだ。
王の力にまつわる呪われた宿命を差し引けば、あれが最善の行動であり最善の結果だ。
だから、うちの坊やを責めるならまだしも、自分で自分を責めるな。」
いつも、最後の最後にしかだしてくれない救いの手。その愛しむような目はすべてから不安を解消してくれるような気がした。
普段からこうであってくれたらといつも思う。
久しぶりにありがとうCCと笑顔で言うことができた気がする。
支援
支援
「CC、君は寝なくて大丈夫なのか?」
「寝付けなくてな。お前が添い寝してくれれば寝られるかもしれん。」
「その調子なら明日は大丈夫そうだね。」「あぁ 私は魔女だからな。」
次の朝、ゼロから聞いた僕のこれからの仕事は、中華連邦で療養した後、
急遽決戦から降りてもらったラクシャータと合流しランスロットのフロートユニットに
対抗する飛翔滑走翼のテストパイロットとして活動するというものだった。
僕は黙ってゼロの話を聞きながら長い間会えなくなるであろうカレンのことを考えていた。
格納庫にはカレンがいて、機体の最終調整をしているようだ。
ただ、となりにあったはずの青い僕の機体がなかっただけなのにすごい寂しく感じた。
「ライ!もう歩いて平気なの?」
「あぁ カレンが看病してくれたおかげでね」
と笑ってみせた。
けれどカレンはじっと僕を見つめているそれは何か深い決心を感じることができた。
「私はあなたをあんなにしたブリタニアを絶対許さない。」
「カレン、そのことなんだけどあれは、」
支援
支援
あれは、誰も悪かったわけではない。けれど、どう言いえばいいか分からない。何を伝えて何を隠すかを考えていると
まってといきなり制してきた
「私はブリタニアに対する復讐心はないとはいえない。むしろ今までは復讐心がほとんどの戦っていた理由かもしれない。
でも あなたが撃たれていろいろ考えたの。 私のような悲しい思いをしてる人は私だけではないのは知ってる。
でも、ブリタニア人だってそういう思いをしてる事はわかってるつもりだった。
けど私はゼロの命令をただ受けて人を殺してただけ。あなたが撃たれた今なら
この悲しみを断ち切るために頑張ろと思えるの。人を殺す事で人を悲しみから救うなんて矛盾してるけどこれが私の答え。
だからこの決戦で私自身にけじめをつけたいの。真実も大切だけど私自身が考えた事に嘘はないから。」
「わかった。カレン、君は立派だ。だけどこれだけは言わせてもらう。」
カレンの目は優しく僕を見つめてくれていた。
「僕も君と会えて変われた。だから今回は必ず生きて帰ってきてくれ。東京は今までで一番大変な戦場になるはずだ。
危ないと思ったら逃げてくれ。これはただ僕個人としての願いだけど。」
「わかったわ」
そう言い終わったときカレンは手を僕の頬へ伸ばし、キスをしてくれた。
最初、彼女が何をしてくれたのか理解できなかったが、感じる感触のぬくもりを感じていつの間にか目を閉じていた。
支援
支援
今回の分は以上です。
よろしければ、近いうちに続きを投下できたらと考えています。
最後にこの場でスレ汚し、及び支援の方々にお礼させてもらいます。m(-_‐)m
支援!
猿かな?
>>740 お疲れ様でした。やはり黒の騎士団ルートはライカレですねww
ただ、時間軸が微妙に気になりました
特区の事件の後すぐに政庁を襲撃しましたよね?
オリジナル展開にするのでしょうか?それとも僕の気のせいかな・・・
指摘ありがとうございます。
ただ、重傷者がその日に意識取り戻すのもどうかとおもったので適当な時間をあけさせてもらいました。
矛盾すいませんでした。
>>740 B.B.卿、初投下乙&GJでした!
止められぬ悲劇、目覚めたが戦場には出れぬライ。
中華連邦へと向かい、ブラックリベリオンの結果を知ればどう思うのか……
貴方がどのように物語を紡ぐのか非常に楽しみです!
貴公の次の投下を全力でお待ちしております!
745 :
リバティー:2008/10/01(水) 17:43:04 ID:WnCE43T1
新参ものですが、ss投稿します。
よろしくお願いします。
題名「sb Re;Re;」
分類「シリアス」
カップリング「カレン」
25話の話です。
17時50分より開始たいと思います
支援しますか?
747 :
リバティー:2008/10/01(水) 17:51:36 ID:WnCE43T1
できるのであれば支援お願いしますwww
なにしろ初めてなので・・
では、開始させていただきます。
「未練はある、だから未練はない。お前がいなくなる時にC.C.に残した台詞。不思議と同じ気持ちなんだ。消える前のお前と…」
それが、ゼロレクイエムの計画に反対している僕にルルーシュが言った言葉だった。
「だから…君は外側から世界を見て、ゼロでは救えない人達を救ってくれ」
スザクも同じ考えのようだ
僕はこの二人を前に何も言えなくなってしまった…
ゼロレクイエムは僕がやればいいのに…
「お前はよくやってくれた…だから……ゼロも狂王も、もう演じなくていいんだよ…ライ」
「そうだよ…馬鹿なことを考えるのは止めてくれ。これは、僕達がやらなきゃいけないことなんだ。」
考えまで読まれていたらしい。でも、彼らを世界の犠牲にするわけにはいかない
言葉でねじ曲げられないのなら…
「ライが命じる…ゼロレクイエムはッ…」
その瞬間、スザクとルルーシュが動いた。
「対策済みさ、ライ」
まるで僕がどう動くか読まれていたように、瞬時にスザクに押さえられた
「やはりか…お前がこの答を出すことは俺が想定した46パターンに入っていた。
特にこのケースは確率が高かった…お前にギアスを使うのは不本意だが……」
「やっぱり君たちにはかなわないな」
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる…」
支援
749 :
リバティー:2008/10/01(水) 17:55:21 ID:WnCE43T1
皇帝世界統一後…
日本で皇帝に逆らった者達の公開処刑が行われていた。
そこには、黒の騎士団、さらに、ブリタニア皇族であるシュナイゼル、ナナリー、そしてルルーシュの姿があった。
狂王ライ 彼が世界を手に入れていた。
全ての人々が恐怖していた。ブリタニアに…そして、この狂王に……。
人々が死刑にざわつき始めたその時、一人の騎士が現れる
「スザクッ」「クルルギ…」「正義の皇帝ルルーシュ様の騎士の…」
クルルギスザク 元皇帝ルルーシュの騎士であり、ラウンズを超えるラウンズ ナイト オブ ゼロ
皇帝がライに代わってから姿を消したとされていた。
彼が、人とは思えない速さで狂王に向かう。
ナイトメアから銃弾が彼に向け放たれるが全て避け、向かって移動してくる。
彼を迎え撃ちにジェレミアが前へでた。
「撃つなッ私が相手をする。」
だが、それは一瞬の出来事だった…ジェレミアが放つ剣撃を避け、肩を踏み台に彼が狂王のもとへ飛び上がったのだ。
「ゆけ…可憐の騎士よ」
スザクが狂王に対して剣を構えたその時、狂王の考えに気づいたのか、一部の死刑囚達が叫び声をあげ始めた。
「スザクッ!!いや、やめて…やめて」「これは、まさかッ」「ライッ!」
スザク君は英雄になるんだ…世界の敵、狂王ライから世界世界を救った救世主として
あぁ、時がとても遅く流れて感じる……この一突きで世界は大きく動く、
ルルーシュの筋書き通りなら世界は話し合いと言う一つのテーブルにつける。
これで、僕の役目も終わり…あとは君たちにまかせるよ。
ルルーシュ、スザク、ナナリー、黒の騎士団、生徒会のみんな、そして、カレン………みんな大好きだ。
「ぐは゛ッ」
スザクの剣がライの胸を突き刺す
そして、狂王と呼ばれた男が下へと落ちていく…
「狂王ライは死んだぞ、人質を解放しろ!!」
「ライッ!いゃぁあ゛あ゛」
カレンが狂ったように叫びだす。
「あれ、これは…僕は」
「これは一体どうなっている」
スザクとルルーシュに異変が起こった。
「記憶が飛んでる…お前、あの時ッ」
支援
751 :
リバティー:2008/10/01(水) 17:57:00 ID:WnCE43T1
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「やっぱり君たちにはかなわないな」
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる…ゼロレクイエムは俺達がやるッ納得しろ!!」
「あぁ、わかった。納得した。」
「ルルーシュ…これで」
「あぁ、このくらいのギアスで十分だろう」
「ルルーシュ…スザク…君達にゼロレクイエムはさせない…これだけはゆずれないんだ」
「ギアスがきかないのかッ!?!」
「お前!…まさかッ…」
ルルーシュがその部屋にいた人物に目をやる
「ジェレミア…貴様ぁ…」
「ギアスキャンセラー!?!」
「申し訳ありませんルルーシュ様、しかしこれはあなた様の為」
「スザクッ!」
ルルーシュが声を挙げるが、この部屋の兵は僕のギアスにかかってる…チェックメイトだ。
「ライが命じる…君達はゼロレクイエムが終了するまで私の言う役目をはたせッ!」
「あぁ、わかった」二人がほとんど声を揃えて言った。
ルルーシュ、君にこの役目をやらせるわけにはいかない。狂った王は二人もいらない…
今までの罪を償うのであれば、君は正義の王になれ……
それにしても疲れた…彼らの油断、ジェレミアの裏切り、ギアスキャンセラー…これがそろって初めて出来た。
それでも確率は5分だったが…
「ありがとう。ジェレミア」
「いえ、あなた様の覚悟とルルーシュ様、そして世界のことを考えれば………ではこれから…」
「なってやるさ…世界を壊す狂った王に……」
しかし、本当に大変なのはこれからだ……
これから、超合衆国に参加しに行かなくてはならない。僕が新たに王になったことの報告もふくめて…
そして…手に入れなければならない…国を…世界を…
ラウンズ、シュナイゼル、…そしてカレンを敵に回してでも…
「ルルーシュ…スザク…すまない」
支援
753 :
リバティー:2008/10/01(水) 17:58:31 ID:WnCE43T1
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ライ死ぬな…死なないでくれッ!!」
「ライさんッ!ライさん…」
「ライ、僕は…俺は…」
ルルーシュ、ナナリー、スザクが狂王と恐れられた男に近づく
「ルルーシュ…君は世界を壊し、世界をつくると言った…その世界に君がいなきゃ…ぐッ……だめだろ…?
僕はかつて…国を壊すことしか出来なかった…そして今、僕が世界を壊した…僕は壊すことしか出来ないから…
ハァッハァ…だから君達が世界をつくれ…
もともと君が立てたゼロレクイエムだ…その後も責任をとれ…君達ならやれるだろ?」
僕は今出来るだけの笑顔をつくって言った。
「なに勝手なこといってんのよ…あなたがいなきゃ私…」
カレンが大粒の涙を流しながらこちらに近づいてきた。
気のせいか顔がぼやけて見える。声もかすれている…これは悪いこと…をし…たな
「はは…そうか……ごめ…ん」
「ライッッッッッ…」
「いや、いぁやッいゃぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!!!!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ねぇライあれから世界は随分とマシになったわ…戦争に向いてたエネルギーは、今危害や貧困に振り向けられている。
いろんな憎しみや悪事はほとんどあなたひとりにおしつけられて…
みんなダモクレスと言うシステムより名前のある一人のがわかりやすかったってことかしら、調子のいい話よね。
でもだからこそみんなは過去に捕らわれず先に進めるのかもしれない…
ルルーシュも、スザクも、ナナリーも、黒の騎士団のみんなだって…
あなたのせいで毎日寝る間も惜しんで世界の為に動いてるのよ?
ルルーシュなんか少しの移動も走ってるのよ。
あのルルーシュがよ?笑っちゃうでしょ?
結局、私以外は先に進んじゃたみたい……私はまだあなたがいないと先に進めそうにないから…
ライ…………好き……
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
支援
755 :
リバティー:2008/10/01(水) 18:01:40 ID:WnCE43T1
以上で今回の投稿は終了です。
ありがとうございました。
これで完結ではなく一応続きがあるので
いづれまた投稿させてもらいますww
失礼しましたww
支援ありがとうございました。。。
支援 sageようぜ・・・
>>740 はじめまして。そして乙です。
ロスカラ続編すか。ギアス篇でなくカレンEDで書く辺り愛情が感じられて素晴らしいw
続きを期待してます。
>>755 はじめまして。そして乙です。
これは俺も考えた考えたw書く技量なかっただけにこうして読めるのは嬉しいです。
って続くんですね。楽しみにしてます。
あとsageた方がよろしいかと。
758 :
リバティー:2008/10/01(水) 18:13:28 ID:WnCE43T1
ご迷惑をお掛けして申し訳ないです。。。
sageとはどうすれば?
すいません2chあんま書き込まないのでよくわからないです。。。
ほんとすいません。
すぐやりますので・・・
メール欄に半角でsageと入力
760 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/01(水) 18:15:14 ID:aWBUEOZy
>>755 乙です。自分も妄想した話の展開で面白かったです。続き期待してます。
以下、気になった点
ーーでは無く――にされた方が宜しいかと思います。
。が有ったり無かったりで少し違和感を感じました。
sageはmeil欄にsageと入れればいいですよ。
言った本人がsage忘れ・・・。
すいませんです。
お詫びも兼ねて、20分に投下よろしいでしょうか?
762 :
リバティー:2008/10/01(水) 18:18:39 ID:WnCE43T1
支援します
有り難うございます。ではその前に例の如く注意書き等を少々。
タイトル 〜 紅の目覚め 〜
カップリング ライ←カレン
前作 〜 胎動(後編) 〜 の続きになります。
以下注意点
●前半暗く、後半明るめ。
●ライ本人は出てきません。
●C.C.の性格がイマイチ掴めて無いような気がします。
では、投下行きます。
支援
薄暗い部屋の中、一人の女がソファーの上で頭からシーツを被り、両膝を抱えて僅かに生気を感じさせる瞳で画面を流れる映像を見つめていた。
女の名前は紅月カレン。騎士団のエースにして双璧の一翼を担う者。
以前の彼女は、湖のような色の瞳に強い光を宿した勝ち気な性格の持ち主だったが、今は見る影も無かった。
瞳に宿る光は弱々しく、湖から流れた川の後が痛々しい。その川は干上がる事無く、時折流れ落ちては彼女の両腕に小さな雫を作る。
カレンはそれを拭う事もせず、両腕に力を込めると、ただ静かに肩を震わせながら画面を見つめ続けていた。
それは、恐らく彼女の人生で最も幸せだった頃の映像。画面の中の彼女は、振袖を着て幸せそうに笑っていた。
その隣に居る――灰銀色の髪をした、カレンにとって最愛とも言える男――ライもまた、同じように屈託の無い笑顔を画面に居る自分に向けている。
それが、今の自分に向けられる事が無い事をカレンは知っていた。何故なら、ライはもう居ないのだから……。
〜 紅の目覚め 〜
敵からの逃亡を避ける為に潜伏生活を続けて、はや1ヶ月。カレンは寝ても覚めてもライの事ばかりを考えていた。
だが、優しく自分の名前を呼ぶ声も、大好きだったあの笑顔を見る事も、二度と出来ない。
あの日、卜部から告げられた言葉に対して、カレンは一瞬何を言われたのか分からないといったような表情を浮かべた。
そして、次の瞬間、その場に崩れ落ちるように倒れ込んでしまった。
それは、本来の勝ち気で男勝りな彼女を知っている仲間達からすれば、信じられない事だった。
てっきり怒りを露にして、直ぐにでも探しに向かうと思っていたからだ。
だが、敬愛する上司が一度は疑ったクラスメートで、ずっと自分を騙していた事。
そして、ライもゼロの正体を知っていて、ずっとそれを黙っていた事。カレンはライが自分に隠し事をするなど信じられなかった。
支援
会いたかった、会って理由を聞きたかった。あの時の彼女を支えていたのはそれだけ。
だが、卜部から伝えられた言葉が兄の件と重なった時、カレンは二度とライの声を聞く事も、ましてや会う事も出来ないと思ってしまった。
それは防衛本能とでも言うべきなのだろうか。
その瞬間、突きつけられた事実に耐えられなくなったカレンの思考回路は、自我が崩壊する前に意識を断ち切ってしまったのだ。
意識を取り戻した時、カレンは夢であって欲しいと願ったが、所詮は無駄な願いだった。目覚めてもライは何処にも居なかった。
再び突き付けられた残酷な現実に、己の半身を失ったかのような喪失感に襲われたカレンは、それから暫くの間、何も口にせず誰とも口を聞かず、ただ塞ぎ込んでいた。
しかし、今の彼女は当初と違いその事実から目を背けないでいた。少し前ならば、この映像を見る事さえも出来なかったであろうに。
そう、彼女は受け入れつつあったのだ。生死不明など単なる言葉遊び。実際は違うのかもしれないが、兄は帰って来なかった。
その前例があったカレンにとって、それは死亡という言葉と同じ事。では、兄の時はどうしたか。受け入れて前に進んだ。
ならば、今度は彼を背負おう、彼の分も戦おうと。だがそれはとても辛い事で、カレンは幾度と無く挫折しそうになった。
が、既に心に決めたのだ。どれ程涙を流そうと、心が悲鳴を上げようと。その度に思うのだ。彼はそんな弱い私を望むだろうかと。
だから眼を背けない。そう誓った彼女は、まるでライを心に焼き付けるかのように、食い入るように画面を見つめ続ける。
だが、思いは潰える事無く、画面の中でライが微笑むだけで、声を聞くだけで、胸が張り裂けそうな痛みに襲われる。
しかし、その痛みは徐々ではあったが、確実に和らいできていた。
――あと、もう少しかもしれない。
カレンは自分に言い聞かせるように胸の痛みと必死に戦いながら、ただひたすら映像を見続ける。
すると、突然背後で扉が開いたかと思うと、食事を乗せたトレイを持った緑髪の女が入って来た。
「おい、昼食だぞ」
「……そこに置いといて」
そう言うと、カレンは画面を見つめたまま腕だけを動かして、自身の座っているソファーの横にある机を指し示す。
支援
その仕草を見た女は、
「相変わらずだな。私はお前の奴隷ではないのだが?」
「…………」
軽口を込めて言った女の抗議も、今のカレンには届いていない。よしんば届いていたとしても、今の様に無視するだろう。
「全く……」
女は呟くように言った後、机にトレイを置くとカレンの横顔をそっと見つめた。
――もう少しのようだな。
そこには以前女が見た時とは違った彼女の姿があった。瞳に見えた絶望の色は消え、唇の血色も戻りつつある。
それらはまだ弱々しかったが、確実に力が戻りつつあるように見えた。
その事に、若干の満足感と安堵感を抱いた女は、――ちゃんと食べろよ――と、珍しく柔らかい口調でそう告げると、
空になった朝食を乗せたトレイを手に部屋を後にした。
―――――――――――――――――
女は部屋を出た所で、長身痩躯の男に声を掛けられた。
「C.C.紅月の様子はどうだ?」
「卜部か……」
緑髪の女、C.C.は男の名前だけ口にすると、踵を返して歩き出した。部屋の前で話すのは控えるべきと判断したのだろう。
それを分かっている卜部も黙って後に続く。
暫く歩き別の部屋に入ると、数名の隊員が所在無さげに佇んでいた。
彼らは、部屋に入って来た二人に対して一斉に視線を注ぐが、C.C.はそんな彼らを無視して、部屋の一番奥、上座にある椅子に座る。
すると、卜部や他の隊員達も彼女に続くかのように、無言で皆それぞれ思い思いの場所に腰掛けていく。
彼らが全員座るのを確認した後、C.C.は開口一番カレンの状況を口にした。
支援
「以前よりは大分落ち着いているな。食事もちゃんと摂るようになった」
その言葉に、それまで暗い雰囲気だった部屋の空気がパッと明るくなる。しかし、
「だが、復帰は未だ無理か」
卜部の独り言のような呟きに、C.C.は不承不承ではあったが、コクリと首を縦に振った。それにつられるように部屋の空気も重く沈む。
それは、最早幾度となく繰り返された事だったが、C.C.はこれが嫌いだった。まるで自分が空気を悪くしているように思えたからだ。
これまでは、このように暗い雰囲気のまま時間だけが過ぎてゆき、誰も一言も発する事無く、皆重い足取りで部屋を後にするのだが、
今回は若干ではあるが状況が違った。
その事を、此処に居る者の中で自分だけが知っている事に、C.C.はちょっとした優越感を抱きながら続きを話す。
「しかし、決心しつつあるようだぞ?」
その言葉に、皆が一斉に注目する。だが、誰も何も問い掛けはしない。
ただ、無言で続きを促すかのような、期待の篭った眼差しを向けて来ると、C.C.はそれを心地よいと思いながら続ける。
「結納、あの時の映像を見れるようになっているしな」
それを聞いた何人かの隊員――主に女性だったが――は、カレンの心中を理解したようで、薄らと涙を浮かべていた。
だが、やはり理解出来ない者も中には居るようで、そんな連中を代表するかのように、怪訝な顔を浮かべた卜部が問う。
「それで決心がつくものなのか?」
「心に刻もうとしているのだ。もう暫くは黙って待ってやろう。全く、この私を待たせるなど、後にも先にもこれっきりにして欲しいものだがな」
C.C.は、そんな彼をまるで子供を見るかのような表情で見た後、小言を言うように語るがその言葉に棘は無い。
すると、部屋の空気も僅かではあるが再び明るくなった。C.C.は、その事に満足感を覚えながらも更に続ける。
「しかし、あれだけで決心が付くかどうか疑問だな。何か後一押しあれば好転するやもしれないが……」
「あと一押し、か……」
そんなC.C.の何気ない一言に反応した卜部は、そう呟くと顎に手をやって何かを考えるような素振りを見せた。
だが、その仕草を見逃さなかったC.C.は、ニヤリと笑いながら問い掛ける。
支援
「何だそれは?まるで、あると言っているようなものだな?」
「いや、まあ……あるにはあるが、刺激が強すぎる気がしてな」
その様子に卜部は苦笑を浮かべながら、頭を少し掻くと、視線を床に落としながらも素直にそう答えた。
卜部は彼女のこの表情が少し苦手だった。それに、C.C.に隠し事をすると危険な気もしていた。
特に、それがライやカレン絡みとなると命さえ危ういような気が。
彼女を救助した時も、ライの事を伝えたのは卜部だった。最後にライと話したのは他ならぬ自分自身。
それは、ライを救えなかった事に対する、卜部なりの贖罪の意味もあったからだ。
だが、ライの最後を伝えた時、彼女から返って来た言葉はたった一言――カレンには伝えるな――だった。
しかし、時既に遅く話してしまった事を伝えると、胸ぐらを掴まれて凍り付くような瞳で凄まれたのだ。
その時のC.C.の気迫は、四聖剣として数々の修羅場を潜って来た卜部にとっても心底肝を冷やすもので、それを思い出した彼の背中に冷たい何かが伝う。
一方C.C.は、いつまで経っても続きを話そうとしない卜部を見咎めた。
「あるのなら出せ。早く復帰出来る可能性があるのなら、今は多少の荒療治でも行うべきだろう?」
その言葉にハッとなった卜部は、慌てた様子でC.C.に顔を向けるが、待っていたのは凍り付いた瞳で、再び肝を冷やす。
すると、C.C.はそんな彼の心中を察したのだろうか。
「で、それは何なのだ?」
突如として、瞳を和らげると穏やかな口調で問い掛けた。所謂、飴と鞭と言うやつだろうか。
「彼の……最後の……通信記録だ」
冷気から解放された卜部が辿々しい口調でそう告げると、
「代わり映えのしない映像より、余程刺激的だな」
その答えにC.C.はほぅと言った表情を見せてそう答えた後、僅かに口元をつり上げると右手を突き出した。
「それを私に寄越せ。カレンに聞かせる」
「だが……」
「紅蓮を操縦出来るのはカレンだけだ。最大戦力の復帰は、早ければ早いに越した事は無い」
支援
卜部は、果たして聞かせても良いのだろうかと口籠ったが、C.C.の言う事が正論だと言う事も分かっていた。
このままでは、藤堂を初めとした捕われの身となっている仲間達を救う前に、追跡部隊に全員やられてしまう危険性があった。
そうなった場合、紅蓮が有ると無いとでは、立てれる作戦や戦況が全く変わってくるからだ。
「分かった」
意を決した様子で、卜部は懐から小型のレコーダーを取り出すと、静かに机の上に置いた。
C.C.はそれを眺めながら、暫しの間、何かを考え込むかのように無言でいたが、暫くすると無言で再生ボタンを押そうと手を伸ばす。
「ま、待ってくれ……今、聞くのか?」
C.C.の動きを見た卜部が慌てて止めようとの彼女の手を掴むが、それが不愉快だったのか、素早くその手を振り払うと冷めた視線をぶつけながら言った。
「何か問題があるのか?」
だが、卜部は何も答えず視線を逸らすと押し黙ってしまった。C.C.は不思議に思って他の隊員にも視線を移すが、彼らも同じく無言でいた。
皆、ライが最後に何を言ったのか気にならない筈が無いというのに。その事を不審に思ったC.C.が確認するかの様に問い掛ける。
「ここに居る者で聞いていない者は?」
「オープンチャンネルだった。あの時、あの場所に居た人間は全員が聞いている。勿論、この場所に居る全員は当然聞いた」
「では、聞いていないのは私とカレンだけか」
卜部から知らされた事実に対して、C.C.は不満げな表情を露わにする。
彼女は、自分が秘密を持つ事は容認させようとするが、他者に秘密を持たれるのは嫌う傾向があった。
「出来れば、俺達の居ない場所で聞いてもらいたいんだが」
「断る」
懇願にも似た卜部の言葉を、C.C.はお返しとばかりにバッサリと切り捨てると、再生ボタンを押した。
――我ながら卑怯な事だとは思うが……済まないな、ライ。お前を利用する事になる。
そして、C.C.はそう心の中で呟くと、静かに瞳を閉じて聞き入った。
支援
それは何故か。騎士団の団結はゼロが居ない事でボロボロだったのだ。
既に数名の脱退者も出ており、ここに居る隊員もいつ抜けるか分からない状況。更に、このままではカレンの復帰には今暫く時間が掛かる。
彼女としても、これ以上の戦力低下は避けたかったのだ。だからこそ、結束を高める為と言うべきだろうか。
再び聞かせる事で、全員に罪の意識を背負わせて繋ぎ止めようとしたのだ。
レコーダーからは悲痛とも力強いとも言える言葉が流れる。それはC.C.をもってしても、思わず眉間に皺を寄せさせるに十分なものだった。
そうして、最後に何かをぶつける様な激しい音が聞こえて音声は終わった。
C.C.が静かに瞳を開けると、隊員達は皆、悲痛な面持ちでいた。唇を噛み締めて、悲しみに耐える者。女性隊員の中には、両手を覆って啜り泣く者も居る。
卜部でさえも、拳を握りしめて肩を震わせていた。彼らでさえもこうなのだ。今のカレンに聞かせたらどうなるのだろうか。
C.C.は、刺激が強すぎるどころでは無いかもしれないとも思ったが、同時にこうも思った。
――カレンなら、耐えるやもしれん。
それは何の根拠も無い事だったが、咄嗟にそう思ってしまった。第六感とでも言うべきか。
それに、聞かせるべきか悩むくらいなら、いっその事、自分の勘に賭けてみるのも悪くないと思うと、意を決したC.C.は
レコーダーを手に取って無言で立ち上がると部屋を後にする。
そんな彼女の後を追う者は誰も居らず、卜部はただ祈る事しか出来なかった。
―――――――――――――――――
「入るぞ」
C.C.はドアを軽くノックした後、そう問い掛けたが返事は無い。だが、いつもの事だと割り切っていた彼女だ。特に気にした様子も無く部屋の中に入る。
「まだ何か様なの?」
入って来た事に対して、カレンはC.C.の方に振り向く事無く、映像を見ながら淡々とした口調で問い掛けてきた。
だが、C.C.はお返しとばかりに無視すると部屋の電気を付けた。
支援
猿になりました
時間置いて投下します
すいません
そろそろ投下出来るかな?
レス数書き忘れすいません。残り6レス程度になります。
書き込めて支援頂けるなら投下します。
支援・・・・
「消してよ」
カレンは若干の苛立ちを含んだ声色で言い放つが、またしても無視する。
そしてC.C.は無言で真向かいのソファーに腰掛けると、今度はモニターを消した。
「何するのよっ!!」
カレンはそう言うと、怒気を孕んだ口調で言いながら睨みつけてきた。だが、C.C.は全く動じる事無く、平然とした態度でもって問い掛けた。
「いつまでそうしているつもりだ?」
「あんたには関係無い」
「残念ながら大いに関係がある。あまり長い間待ってやれん。だから、特効薬を持って来た」
「薬なんて要らないわ」
食いつきそうな言葉を投げ掛けるが、相変わらず見向きもしない。まだ、足りないかと思ったC.C.は更に続ける。
「お前にとっては、そうなるかもしれん。だが、逆に毒になるかもしれんな」
流石に、毒という言葉には若干の興味を示したのか、カレンは続きを促すかのようにじっと見つめる。
それに気を良くしたC.C.は最後の餌をちらつかせた。
「ライの最後の通信記録だ」
カレンの瞳が大きく見開かれた。C.C.は釣れた事に満足したようで、口元を僅かに釣り上げて笑みを作りながら問い掛ける。
「聞きたいか?」
それに対して、カレンは静かに首を縦に振った。C.C.は無言で懐からレコーダーを取り出すと、カレンはひったくるようにしてそれを奪った。
そうして、両手でそれを包み込んで静かに胸に抱くと顔を伏せる。それを見たC.C.は満足げな表情を浮かべるが、カレンは強い口調で命じるように告げた。
「出ていって!!」
その言葉には承服しかねたC.C.だったが、今は無駄に言い争いをするべきでは無いと判断すると、無言で部屋を後にした。
扉が閉まると、顔を上げたカレンはレコーダーを無言で眺め続けた後、スイッチを押そうとする。が、震えて動かす事が出来ない。
モニターの映像は幾度と無く見続け、ライの姿や声にはある程度は慣れた。
しかし、この中にある声は今まで一度も聞いていない声が、ライの最後の声が入っている。
彼が最後に何を言ったのか、気にならない訳が無い。しかし、恐ろしかったのだ。聞けば自分がどうにかなってしまいそうで。
そこで、C.C.が言った毒の意味がやっと分かった。聞かないという手も確かにある。だが、それならば拒むべきだった。
しかし、もう自分は受け取ってしまった。今更、聞かないという選択肢を取る事は出来る筈もない。
暫しの間、カレンは自分の中に巣食う恐怖と必死に戦い続ける。
――聞かないと駄目!私には聞く義務がある!
何度も自分に言い聞かせるかのように、心の内で必死に叫びながら恐怖を押さえ込もうとする。
すると、そう思う度に彼女の瞳に僅かではあるが光が戻り、以前に近い輝きを取り戻した時、彼女の決意は固まった。
手の震えは僅かに残ってはいたものの遮られる程ではなかった。そうして、カレンは静かにスイッチを押した。
そこから流れて来るライの声に、カレンの身体は一瞬ビクッと震える。その後、湖は決壊したかの如く、止め処なく涙が溢れて頬を伝う。
だが、カレンはそれを拭う事無く、何度も何度も聞き返す。彼からの愛しているとの言葉。そして、自分ならゼロを連れ戻してくれるとの信頼の言葉を。
カレンはレコーダーを両手で必死に握り締めながら、何時までも聞き続けていた。
―――――――――――――――――
「入るぞ」
夕食を乗せたトレイを手に、C.C.は再びドアを軽くノックした後、毎度の台詞を扉に向かって問い掛けたが、相変わらず返事は無い。
先程までなら、特に気にする必要も無いのだが今回は勝手が違った。
――まさか、毒になってしまったか!?
彼女にしては、珍しく慌てた様子で部屋に駆け込むように入ると、彼女の瞳に飛び込んで来たのは胡坐をかいて昼食をがっつくように食べているカレンの姿だった。
その女らしさの欠片も無い姿を見て、普段なら弄るには絶好の機会であったにも関わらず、この時彼女は何も言わなかった。
代わりに、自然と笑みが溢れる。
――やっとお目覚めか。
「C.C.これじゃ全然足りないわ」
部屋に入って来た自分に対して、空になったトレイを突き出すと、不満げな表情を浮かべたカレンが話し掛けてきた。
支援
対してC.C.はすぐにいつもの表情に戻して言い返す。
「なら、これも食べろ」
「……ありがと」
お返しとばかりに夕食が乗ったトレイを目の前に突き出されたカレンは、少し気恥ずかしそうな表情で受け取ると食べ始める。
そんな彼女の様子をC.C.は向かいのソファーに腰掛けると、笑みを浮かべたまま見続けていた。
「どうやら、薬になったようだな?」
暫くして、C.C.はカレンの食事が終わった後、確認するかのように問い掛けたが、主導権を握ろうといった魂胆だろうか、カレンはそれに答える事無く問い返した。
「C.C.。あなたはゼロの正体を知っていたの?」
――そうか、バレたのか。
そう思うと、C.C.はさしたる驚きも見せず、淡々とした口調で答える。
「ああ、知っていた」
「なら、ギアスの事も知ってるわよね?」
カレンは探るかのような視線を向けてながら問い掛ける。
その問いに、C.C.は表情にこそ出さなかったが、内心驚いていた。――そこまで知っているのか――と。
そうして、シラを切るのは無駄と判断すると戯けた様子で告げた。
「分かった。何が知りたい?」
「ルルーシュが私やライ、それに他の皆にギアスを掛けたかのかと言う事よ」
「待て、何故ライの事が出て来る?」
「ライもゼロの正体がルルーシュだと知っていたわ」
「そうか、そこまで知っていたか。だが、私の知る限りルルーシュはライに関してはギアスは掛けていない。
あいつがライの前で仮面を取った時、私も其処に居合わせたからな。」
そう言うとC.C.はその時の様子を思い出したのか、どこか懐かしむような表情を浮かべながら続ける。
「その時、ライは自分にギアスを掛けるように頼んだが、あいつはそれを拒否した。あの時は、随分と甘い連中だと思ったものだ」
「ま、待って!!ライはギアスの事も知っていたの?」
カレンは大層驚いた様子で身を乗り出して尋ねたが、C.C.は普段のようにシレッとした様子で続けた。
「知っていたも何も、あいつも持っていたからな。ライのギアスもルルーシュと同じ、絶対遵守のギアスだった」
「絶対…遵守?」
「どんな相手であろうと、いかなる命でも従わせる事が出来る力だ」
「そんなっ!!」
何かを言いかけたカレンの心に疑問が浮かぶ。その言葉を最後に、カレンは押し黙ってしまった。
それを見たC.C.は、カレンが何を思ったか直ぐに感じ取ったようで、悪戯っぽい笑みを浮かべると、顔を青くして呆然としているカレンに問い掛ける。
「今、何を思った?」
「ライも……私に……ギアスを掛けたのかと」
その答えに、――それだけじゃないだろう?――と、内心突っ込みながら更に問う。
「ほぅ、どんな?」
「そ、それは……」
C.C.の更なる追求に、これ以上を目を見て答える事が出来なくなったカレンは、思わず顔を伏せた。
そこで、いつの間にか主導権を奪われていた事に気付いたが後の祭り。その様子をC.C.は楽しそうに見つめる。
――面白い。やはりこうでなくてはな。
最近、こういう事が出来る相手が居なかった彼女にとって、これはささやかな楽しみ。趣味はあまり良くないが。
「当ててやろう。大方、好きになるように命じたのではと思ったのだろう?やれやれ、ライの事を疑ったか……」
「そんなっ!!」
思わず顔を上げて否定しようとしたカレンだったが、直ぐにまた俯いてしまった。図星だったのだから仕方が無い。
だが、C.C.は容赦が無かった。まるで、今までの鬱憤を晴らすかのように追求の手を緩めない。
「疑ったのだな?」
畳み掛けるかのようなC.C.の問いに、カレンは俯いたまま、僅かにコクりと頷いた。
やっと認めた事に対して、C.C.はやれやれといった様子で首を振ると、今度は一転して安心させるかのように静かに語る。
どうやら、今はこれくらいで勘弁しておいてやろうと判断したらしい。
「なら、断言してやろう。もし、そう命じられたらのなら、今の様に疑う事など出来ない。お前のライに対する思いは本物だと言う事だ」
その言葉に、カレンはバッと顔を上げて、一瞬嬉しそうな表情を浮かべたが、思い直す。目の前に居る相手はあのC.C.だ。
簡単に信じるのはどうかと思ったカレンは、直に怪しむような表情を浮かべながら問い掛ける。
「本当に?」
「疑り深いな。それに、お前は散々嫉妬していただろう?ギアスに掛かっていれば、ああいう事も出来ないからな。信じろ」
C.C.は、己の彼女に対する行いから自業自得だとは思いつつも、ジト目で抗議の声を上げた。
――良かった。本物だったんだ。
カレンは、自分の想いが偽りでは無いと知らされた事に安堵感を覚えると、左手を胸に当てて、それに右手を静かに重ねた。
そんなカレンの様子を他所に、C.C.は話を続ける。
「ライについては……最早、聞く事は出来ないが、ルルーシュなら可能だ。世間的にゼロは死んだ事になっているが、ルルーシュは生きているからな」
そう言うとC.C.は懐から数枚の写真を取り出して机に広げた。その写真に映っていたのは、学生服姿のルルーシュだった。
隣には栗色の髪をした謎の少年が映っている。
その写真をカレンは繁繁と見つめた後、疑問を口にした。
「どういう事?」
「今のあいつは全てを忘れているのさ。記憶を書き換えられてな」
「記憶を書き換えるなんて、そんな事どうやって?」
そこでカレンはハッとなった。そんな人知を越えたような事が出来る事に、一つだけ心当たりがあったからだ。
それを認めたC.C.は静かに肯定する。
「想像した通りだ」
「ブリタニアにも、ギアスを使う人間が?」
「ああ、一人心当たりがある」
そう言うとC.C.は険しい表情を浮かべたまま、何かを思い出すかのように視線を虚空に向けながら続ける。
支援
「今のルルーシュは餌だ。私達を誘き寄せる為のな」
――正確には、私を、だが。
そう思いながら、再び視線をカレンに向けると、緊迫感のある面持ちで告げた。
「今の学園は、完全にブリタニアの支配下にあるようだ。ここに飛び込むのは一筋縄ではない」
それを受けてカレンも以前のような戦士の顔つきになって応じる。
「虎穴に入らずんば虎児を得ずというやつね。でも、虎穴というよりは獅子の口だけど」
「ついでに言うと、虎児では無く魔王だ。まあ、坊やである事に違いは無いがな」
緊張した面持ちではあるが、互いにそう軽口を飛ばした後、
「いつ取り戻すの?」
と、カレンは何なら今すぐにでも構わないと言った風な口ぶりで尋ねる。それを聞いたC.C.は、内心喜びながらもあくまで冷静な口調で制する。
「まだ準備も何も整っていない。暫くは無理だな。これから色々と動いてもらうぞ?」
「分かったわ」
少々不満げな表情を浮かべながらも了解したカレンを見て、C.C.は立ち上がると出口に向かって振り向く事無く告げた。
「連中にも早く顔を見せてやれ。心配していたからな」
「ええ。C.C.……ありがとう」
カレンからのお礼をC.C.は横顔だけ向けてフッと笑うと部屋を後にした。
C.C.が去った後、一人部屋に残ったカレンは、全身の血が滾るのを感じて静かに瞳を閉じる。そして想う。
散って逝った兄や仲間達の為、そして何よりもライの分まで戦おうと。ライが最後に言った言葉。
自分ならゼロを連れて来てくれるとの言葉を胸に、例え片翼になろうとも、悲しみを背負ってでも彼女は再び羽ばたく事を決意した。
「一緒に助け出そうね、ライ」
カレンは左手にはめた指輪に向ってそう静かに呟くと、C.C.を追い駆けるように部屋を出ていった。
今はまだ、彼女の決意が揺らぐ事は無いだろう。しかし、あの言葉。
――虎穴に入らずんば虎児を得ず――
確かにその通りであり、彼女達の比喩は正しいと言える。
だが一つだけ、最も重要な事が一つだけ抜けていた。
いや、正確には彼女達はまだ知らなかった。その獅子が灰銀色の姿をしている事を。
支援DA!
以上で投下終了です。何かもう色々とご迷惑お掛けしました。すいません。
支援ありがとうございました。
WRYYYYYYY!!
GJ!!
良かった!!
ただ一言、GJと言わせていただきます
>>755 リバティー卿、初投下乙&GJでした!
……泣けんでぇ!
居ないはずの人間だからこその犠牲になることを選んだライ。
残された人の悲しみは計り知れないでしょうね。
どの様に続くのか、期待しつつ
貴方の次の投下を全力でお待ちしております!
>>792 ライカレ厨卿、GJ!!! でした!!!!!
俺の涙腺崩壊しました!
読んださ、ハラァ、いっぱいだ。
悲しみを乗り越え、立ち上がるカレン。
彼女の行く先に待つものは!?
私は、貴公の次の投下を全力を挙げて待機せよ!
ならばこそ、オール・ハイル・ライカレ厨ーーー!!!
796 :
リバティー:2008/10/01(水) 20:51:42 ID:WnCE43T1
20時55分から投稿を開始します。。
題名「sb Re;Re;」
分類「シリアス」
カップリング「カレン」の続きです。
指摘されたのでーーから――に変えました
指摘ありがとうございました。
支援します。あとsageましょうよw
798 :
リバティー:2008/10/01(水) 20:57:04 ID:WnCE43T1
題名「sb Re;Re;Re;」
分類「シリアス」
カップリング「カレン」
すいませんでした。。。。
では、開始します
「ルルーシュ様・・・そろそろ休まれたほうが・・・」
部屋にこもり、20時間近く休まず仕事をしているルルーシュにジェレミアが重い口を開いた。
「ジェレミアぁぁ・・・貴様があの時、ギアスキャンセラーなど使わなければ、
こんなことはしてなかったんだよッ!」
「も、申し訳ありません・・でした。」
ジェレミアの言葉に我に返ったルルーシュが申し訳なそうに話はじめた。
「すまなかった・・・感謝してるよ。お前にも・・・ッッ・・ライにも・・
今、こうしてナナリーと暮らせるのも、・・・俺が生きていられるのも・・・
世界が今こうなっていることも・・全部ッ・・・
だから、俺はアイツが動かしてくれたこの世界を・・・少しでもよくしなくてはいけないんだよ
それがアイツに対するせめてもの・・・」
「ルルーシュ様・・・」
「大丈夫だジェレミア。いまから休むから席をはずしてくれ」
「わかりました。」
ゼロレクイエムの後からライのことを知る多くは世界のためにとそれぞれの仕事に没頭していた。
ルルーシュもその一人だ。
しかし、ライの話が出たり、仕事が捗らなくなると自分の不甲斐なさ、ライへの申し訳なさを感じ、
感情的になることが多々あった。
ジェレミアが出で行くと、代わりにC.C.が部屋に入ってきた。
「仕事の八つ当たりか?なさけないな、お前は。」
「わかっている。」「ライのことまだひきずっているのか?」
「あの時俺が・・・ギアスにかかってなければ・・・・アイツは・・・
俺は、アイツにまた狂王を演じさせてしまった・・・2度目の悪夢を与えてしまったんだよ・・
悔いるところは多いが・・・アイツがくれたこの命でこの世界の多くの人を笑顔にしてみせよう。
やってやるさ。それが俺の罰だからな。」
「ほう。ではお前に一つ褒美をやろう。」
「褒美?」「あぁ、褒美だ」
支援
800 :
リバティー:2008/10/01(水) 21:01:19 ID:WnCE43T1
―――――――――――――――――――――――――――――――――
あの日からカレンは部屋もろくに出ず一日中考えていた。
最後の戦いでどちらにつけばよかったのか?
本当にシュナイゼル側でよかったのか?
もし、彼の方についてたら彼を救えたのではないか?
どこで、どう選択を間違えてしまったのか?
ゼロの正体がばれて二人が出てった時?
皇帝になったライとアッシュフォード学園で会ったとき?
それとももっと前?
考えれば考えるほどわからなくなる。
考えれば考えるほど涙が出てくる。
「私はバカだ・・・」
世界はいい方向に動き始めてるはずなのに・・・
私の人生はこんなにもつまらないものだったのか?
彼が黒の騎士団を去ってからというもの私の心に大きな穴があいたようだった。
次に彼を見たときには彼は変わり果てていた・・・
狂王 まさにその言葉がぴったりだった・・・やさしいはずの彼が何故?
そして、彼がやろうとしてきたことに気づいたのが刺される直前・・・・
あまりに遅すぎた・・・心に空いた穴は広がる一方だった・・・
もう、何日も泣いたはずなのに涙が止まらない・・・・
支援
802 :
リバティー:2008/10/01(水) 21:03:30 ID:WnCE43T1
ブゥーブゥブブブ ブゥーブゥブブブ
携帯電話がさっきから何度もバイブしてるが全くとる気はしない。
10分くらい経っただろうか。今度はインターフォンが鳴った。
「カレンッカレン」
かすかに声も聞こえる。そして、どんどんインターフォンのペースが速くなる。
流石に頭にきたカレンが勢いよくドアを開けると
「ル、ルルーシュ!?!」
どこから走って来たのだろうかルルーシュは汗をだらだらとたらしており、しゃべるのもやっとの
状態だった
「ハァ・・・ハァ、ハァ・・・や・・はり出てきたか・・計画・ハァ・・通りだな」
「私を怒らしてってこと?」
機嫌が悪いカレンがルルーシュを睨みつける
睨まれていることに気づいたルルーシュがあわてて話し出した。
「カレン・・・・ハァ・・・ハァ・・実は」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「くそッ・・・いったい誰が・・」
スザクは日本の代表になっていた。つまり、旧友の二人がお互いに国の代表になっていたのだ。
そして、初めての共同活動(裏向きにだが)が、狂王 ライの遺体捜索
このことは一部の人間しか知らされていない。もちろんカレンには知らされていなかった。
彼女がこのことを知ったらとてもじゃないが平常ではいられないだろう。
支援
804 :
リバティー:2008/10/01(水) 21:06:49 ID:WnCE43T1
ライが刺された後、ほとんどの一般市民がルルーシュたちの助けに入り、ライと離されてしまったのだ。
もちろんすぐに近づき、彼を運ぼうとするが、何故か離れる一方だった。
そして、彼は人ごみに埋もれ、人ごみがおさまった頃には彼はいなくなっていた。
狂王の遺体だ。恨みを持ってるものが、海に捨てたのかもしれない。もしかすると、裏で取引に使われてるのかもしれない。
燃やされてるかもしれない。バラバラにされてるのかもしれない。
そんな考えが浮かぶたびに、スザクは胸が苦しくなった。
彼が世界を動かしたんだ。それは彼が受けていい仕打ちじゃない。
それにしても手がかりがなすぎる・・・
一部の人間とはいえ、黒の騎士団幹部、中華連邦のシンクーたち、ナイトオブラウンズで捜索してるにもかかわらず、
手がかりがないのはおかしい・・・ライ・・・・・・
「どうした?ルルーシュ」
ルルーシュから連絡が入った。
「スザク、喜べ。ライの捜索は打ち切りだ。」
いつもなら、怒ってやる台詞だったが電話越しのルルーシュの声が余りに嬉しそうなので聞いてみることにした。
「何か・・あったのか?」
「あぁ、大事な話がある。こちらに来てくれ。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
支援
806 :
リバティー:2008/10/01(水) 21:11:08 ID:WnCE43T1
以上で今回の投稿は終了です。。
ありがとうございました。。。
支援ありがとうございましたww
>>806 乙でした
いい所で切られたw
続きが楽しみです
以下、気になった点を一つ
支援感謝の文面にwを使うのは避けた方が良いと思いました
あくまで主観ですが、何か支援してくれた人を笑っているように感じてしまったので
次回投下を楽しみにしてます
>>806 GJです。くそういい所で切られたw
1日に2回投下とは素晴らしい。続きを楽しみに待ってます。
>>806 リバティー卿、本日二回目の投下、乙でしたー!
また、続きが気になるところでw
遺体が無い、それが意味する所は何か……期待させていただきマス!
貴方の次の投下を全力で待っています!
こんばんわ。
今夜もやってきました。
予約なければ、投下したいのですが、支援お願いできるでしようか?
合計で10〜11レスの予定です。
811 :
名無し:2008/10/01(水) 23:03:15 ID:D8zHj0xZ
支援( ^o^)/
812 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/01(水) 23:03:40 ID:zDRkb/7z
支援します
支援表示ありがとうございます。
よろしくお願いいたします。
タイトル「思いを君に…その2」
カップリング「カレン×ライ」
ジャンル「ほのぼの」
○注意点○
このSSでは、かなりハッチャケてます。
そういうノリが駄目な方は、スルーをお勧めします。
本編9〜10レス+終了1レスの合計で10〜11レスの予定です。
なお、投下は2分前後ごとに行う予定ですので、5分超えた場合は、トラブル発生と思っていただいて結構です。
その際は、再度投下しなおします。
814 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/01(水) 23:05:08 ID:zDRkb/7z
支援
思いを君に…その2
翌日の朝…。
「うっぷっ…」
無茶苦茶気分が悪いです。
ええ、悪いですとも…。
「大丈夫?ライくん…」
井上さんが薬と水を持ってきてくれる。
「ありがとうございます。助かります…」
それを受け取り、薬を水で流し込む。
「何やってんだか…」
呆れ顔で僕を見ているカレン。
「で…どうだったの?」
興味津々で聞いてくる井上さん。
実に楽しそうですね…貴方は…。
くらくらすると同時に頭の奥で鈍痛が響くのをなんとか我慢してゆっくりと結果報告を開始する。
「1軒目は、玉城の行きつけの居酒屋だったんですけど、なかなか話題に持っていけなくて…」
申し訳なさそうに言っているのだが、どうも人によって解釈は違うようだ。
「ふむふむ。さすがライくん。わかってるじゃないのっ。
やっぱ、ある程度酔って、思考が鈍くなった時に聞きださないと本音はわかんないからねぇ…」
井上さん…なんか…かってにすっごくいい方向に解釈されてるんですけど…。
まぁいいや…。話を続けよう…。
なんせ最近、スルーする技能を収得したから…。
(諦めとも言いますが…。)
支援
「で…2軒目は、コスぶれパブとか言うところで…」
そこまで言った途端、黙っておとなしく聞いていたカレンの形相が変わった。
ぴくりと眉が動き釣り上がっていく。
「こ、コスぷれ…ぱぶぅぅぅぅぅぅぅっ…」
ぎろりんっ…。
ひいいいぃぃっ…。
身体が身の危険を感じて怯える。
「怒らないから…きちぃぃぃんとぉぉぉおはなしっぃぃぃ!!らぁいいいいいっ…。」
「はいっっっっ…」
その怒気に圧倒され、思わず背を伸ばし直立不動になってしまう僕…。
それと、もうすでに怒ってると思うんですけど…カレンさん…。
…という突っ込みは命が惜しいのでしない。
そう、絶対に…。
もう怒鳴られて罵られて叩かれるのを覚悟で次の言葉を待つ。
「で…どうだったのよ…」
心なしかさっきほどよりもかなりというか、とてつもなくトーンが下がった気がする。
「え?!」
「だからっ、どうだったのよって聞いてんのよっ」
…あれ?
「えーっと…」
なんかおかしい…。
「だからっ…どういうのがよかったのよっ…」
そこまで言われ、ピンときた。
つまり、怒りもあるが興味もあるってことか…。
そう思ってよく見ると怒った風に見せてはいるものの、真っ赤になって照れているのを誤魔化しているようにも見える。
なんか…かわいい…。
これはこれで…趣がある…。
マイメモリーに焼き付けておかねば…。
おっと、いかんいかん…。
顔がニヤケそうになってしまった。
今は怒られてる最中だった。
そういうことにしとこう…。
「えーっと…いろいろあったけど…」
「いろいろねぇ…」
本人としては、興味ない風に言ってるつもりなんだろうけど、もろに興味深々って見えてしまうんですけど…カレンさん…。
さらに横を見ると井上さんもそれがわかっているのか、ニヤついて静観しているだけだ。
なるほど・・・どうりで突っ込みがないわけだ。
よし…こうなったら、はっきり言ったほうがいいか…。
そう決心する。
「バニーが…よかったかなぁ……」
僕は、その時に見たコスプレのなかでも特に印象に残ったやつの名前をあげた。
カレンがより真っ赤になる。
あ…、自分で想像したな…。
うんうん…かわいい、かわいい…。
「ライは…ああいうのが好きなんだ…」
なんか自分に言い聞かせて確認しているようにそう呟くと僕を睨みつけるように見つめる。
「ライっ…」
「は、はいっ?」
すごい真剣な…それでいて必死になっているようにも見える表情。
「今度は……私が…バニー…見せてあげるから…もう…そんな所には行かないで…」
すっごく小さな声でそう言った。
「えっ…」
思わず、自分の耳を疑う。
そして、真っ赤になって俯いているカレンを見て、今言われた意味を実感した。
「うんっ。わかった…カレンっ」
僕は、そんなカレンがたまらなく可愛く思えて無意識のうちに抱きしめていた。
カレンも何も言わず抱きしめ返してくる。
ああ…こういうのって…幸せというのだろうか…。
つくづく実感してしまう。
生きててよかった…。
そう思って浸りきっていた僕の思考を咳払いが現実に引き戻す。
「んん〜っ。お二人とも…お熱いのはいいけどさ…そういうのはここでやったらいい迷惑よ…。特に一人身の人には…」
ニヤニヤしてワザとらしく大きな声で言う井上さん。
我に返って周りを見渡すと黒の騎士団団員の好奇な視線が僕らに集中していた。
あー……。
い、いかん・・・場所を考えてなかったっ・・・。
弾かれたように離れて二人して真っ赤になって押し黙る。
支援
「まぁ、お熱いのはそれぐらいで・・・。ライくん続きを・・・」
十分に楽しんだのだろう。
井上さんが、話の先を聞いてくる。
「あ・・・そうでした」
僕は我に返って、話の続きを始める。
カレンも僕の話に耳を傾けているようだ。
「で・・・2軒目のお店で、なんとなく聞き出せたんですよ」
「「おおーーっ・・・」」
二人は小さく喝采する。
「で・・・好きなタイプですが…」
「うんうん・・・」
二人が耳を立てる。
うーーん・・・そこまで期待していると可哀想な気がしてしまうが真実を述べるしかない。
「すぐヤラしてくれる女だそうです」
「「・・・・・・」」
しばしの沈黙が流れる。
そして、二人は同時に声をあげていた。
「「さいてぇーーーーーーーーーっ」」
ああ・・・やっぱり…。
僕もそう思いましたよ…ええ、聞いた時は・・・。
「だからっ・・・男なんてぇっ・・・」
井上さんがぶちぶち言っている。
それにカレンも頷きながら同意している。
だけど、ここまではっきりと文句言われるとすっごく立場ないんですけど……僕も一応男だし…。
あっ、いかんいかん…続きを報告しないと…。
流れに流されてしまっている。
もってけ、支援
「えーっとですね…話続けていいですか?」
「「あー…」」
二人とも本来の目的を思い出してくれたらしい。
「それだけだと…あまりにも曖昧なんで詳しく聞いたんですよ…」
すると井上さんが僕の背中をばちんっと叩いて言う。
「さすがっ、ライくんっ…。君はえらいっ…」
いやぁ…褒められるのはいいんですけど…背中痛いですよ…井上さん。
そう思いつつ、報告を続けていく。
「で…玉城が言った好みをまとめるとこんな感じですね」
そう言って簡単に好みを言っていく。
本当は、もっと聞き出すのに時間がかかったのだが時間の無駄なので省略する。
だって、本当に本題と関係ない無駄話ばっかだもん。
「まず、髪が肩ぐらいの長さで…」
「「ふむふむ」」
「胸が大きい…」
「「………」」
二人が沈黙し、井上さんが舌打ちしながら呟く。
「あのスケベがぁ…」
あー…聞こえない、聞こえない…。
僕もどちらかというと大きいほうが好きだから…。
「で…気が強いんだけど、世話好きで…」
「「うんうん」」
「友人みたいに気楽に付き合えるって感じの女性だそうです」
「「ふーーん…」」
僕が言い終わると、二人とも黙り込む。
モザイクシエン
「えらい具体的よね…」
僕が思ったことをカレンが口にする。
「そうだろう…僕もそう思ったんだ…」
二人で考え込む。
なぜか、井上さんは沈黙…。
で…閃く。
カレンも同じく思いついたのだろう…。
お互い目で確認し、井上さんの方を振り向いた。
「これって…」
僕らの視線を受けても沈黙を続ける井上さん。
あらら…すっごくいやそうな顔…。
「あのー…井上さん?」
恐る恐るカレンが声をかける。
「嫌…」
「「え?!」」
「ぜぇぇぇぇぇぇったいぃぃぃぃぃっ…いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ……」
もう力一杯否定しましたよ…この人は…。
それどころか、目に涙まで浮かべている。
そこまで…。
なんかわかる気がする。
ごめん玉城…。
支援八極式
二人してかける言葉が見つからず、黙り込んでいると井上さんがぶつぶつと独り言を言い始める。
本人は、気がついてないんだろうな…こういう時は…。
「嫌だぁ…。嫌だよぉ…。私、ライくんが好きなのに…あんなのに好かれるなんて……最悪だわ」
え…?!
今、しれーっと不味い事呟きませんでしたか…井上さん。
横を見るとカレンの表情が固まっている。
あー…聞こえたな…これは…。
僕は、被害にあわないよう一歩後ろに下がる。
触らぬなんとかに祟りなしというではないか…。
で…下がってすぐに、怒気を含んだカレンの声が井上さんに問いかけられた。
「今…すっごく興味深い事言いましたよね…井上さん」
その言葉にハッとしてあわてる井上さん。
やっぱり無意識のうちに口に出していたようだ。
「あー…えーっと…何かしら…カレン」
あー…そんなに慌てたら駄目ですよ。
しれーっと言わないと…。
でも、難しいんですよねぇ…こういう場合は…。
僕も経験ありますから…。
それも何度も…。
「だから…今、面白いこと口にしましたよね…」
おー…沸点上昇!
「えーっとね…あれはね…」
「あれは…なんですか?」
じりじりと追い詰めるカレン。
輻射支援
「そ、そう、そうよ、ライくんみたいな人が好きなのにって言いたかったのよ。うんうん…」
おっ、うまい逃げだ。
思わず感心してしまう。
今度使わせてもらおう。
さすがに、呆れ返ったのだろう。
「わかりました。そういうことにしておきます」
カレンは、そこで追い詰めることを止めた。
まぁ、いつも姉のように慕っているからなぁ…井上さんの事。
だから、聞かなかったことにするつもりなのだろう。
ああ…麗しき姉妹愛。
あー…正確にいうと違うか…。
でも、似たようなものだからなぁ・・・井上さんとカレンの関係って・・・。
ともかく、カレンの発言にホッとする井上さん。
だが、さすがはカレン。
釘を刺すことを忘れなかった。
「ライは、私のですからね。たとえ井上さんでも…」
そこで一呼吸入れる。
「手を出したら…こ・ろ・し・ま・すから…」
ひぇー…目がマジですよ…。
井上さんもさすがにまずいと思ったのだろう。
「ええ…も、もちろんよ。わかってるって…」
そう言って笑って誤魔化していた。
《次回に続く…》
支援YO☆
831 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/02(木) 00:07:11 ID:pYSvH4Tq
今回は、ここで終了となります。
最後に猿が出ました。
あう…。
支援ありがとうございました。
またよろしくお願いいたします。
えー、ぶっちゃけ、玉城メインと言いながら、出てませんね(爆
相手役なんて、名前だけ・・・。
すみません…。
次回は、出番増やします。
ライ視点なんで、難しいですねぇ・・・。
まぁ、現時点では、どういう結果になるか決めかねているので、皆さんはのんびり楽しんでいただければと思います。
>今度使わせてもらおう ……ちょっと待てwww
>>831 あしっど・れいん卿、GJでした!
うん、玉城がさいてーなおっさんだww
一瞬修羅場キター、と思った僕の思考、自重しろ。
貴方の次の投下を全力でお待ちしております!
>>831 GJ!井上さん、そこまで嫌がることないでしょうに……。玉城が不憫だw
あとカレンが怖いよ、それとライ、どさくさに紛れて言い訳の勉強するなw
次回をお待ちしています。
あ、それとSSスレ通算800作目おめでとうございます。保管庫のトップで告知されてましたよ。
ライとアーニャが好きすぐる…
>>834 その気持ちをSSにすればよいーよいーょぃー(エンドレス
そこまで嫌ですか井上さん。
憐れ玉城ww支援
800記念に・・・
「ねぇねぇ聞いた?カレン」
「なにをです?井上さんっ」
「なんでも800を踏んだ記念にトーマス卿がお部屋を新規で1つ作るって噂になっているのよ・・・」
「えーっ、そうなんですかっ・・・。トーマス卿、太っ腹ですね」
そこまで言ってふと思いつくカレン。
「でも、私はもうあるんですけど・・・」
「ふふふ・・・。私は、まだないのよね・・・」
「あーーっ・・・だから機嫌がいいんですね」
「そうなのよぉ〜。聞いてよぉ、カレン。
カレンやアーニャはいいわよぉ。メインキャラだし・・・。
それにセシルさんは根強い人気があるし、私と同じおねーさまキャラだもの・・・。でも・・・」
そこまで言って一呼吸いれ、力を込めて続ける。
「でぇもぉぉぉぉ・・・アリシア・ローマイヤの部屋には納得できないのよっ・・・」
ぷるぷると拳が振るえ、悔し涙さえ流している。
「ううう・・・ロストカラーズに出てこないサブキャラなのにっ・・・。もう、悔しくて、悔しくて・・・」
不憫に思ったのかカレン、井上さんをいい子、いい子して頭を撫でる。
「よしよし・・・」
とてもじゃないが、「死んでしまったからじゃないんですか?」とは言えないなと思いながら・・・。
「だからっ…私、今回のチャンスにかけているのっ・・・」
「わかりましたっ。井上さんっ…。私も影ながら応援させていただきます」
カレンの両手をひしっと握る井上さん。
なんか、嬉し涙なんか流している。
「ありかとーーっ・・・カレンっ・・・。私、がんばるわ」
その時だった・・・。
「ふふふふぁっはははははははは・・・。甘いな井上っ」
下品な高笑いの共に現れたのは、玉城だった。
「800を踏んだのは、俺がメインのSSなんだぜっ。もちろん、俺の部屋に決まってるじゃねーかよぉ」
実に自信満々である。
どうやら、初主演で天狗になっているようだ。
「あんた・・・馬鹿だ馬鹿だと思っていたけど、本当にどうしょうもない馬鹿だったという事がよーくわかったわ」
「なんだとぉ・・・」
井上さんの売り言葉に、喧嘩を買う玉城。
「だって・・・。メインといいながら出番少ないじゃないの・・・」
「ぐっ・・・・」
「それに、V.V以外の男性キャラで部屋もらえるとは思えないわ」
「あー・・・確かに・・・」
「ぐぅぅぅぅっ・・・・」
ぐうの音もでず、黙り込む玉城。
「ちくしょーーーっ、おぼえてやがれーーーっ・・・」
そう叫んで逃げ出した。
「ふふっ・・・勝ったっ!!これで800勝0敗っ・・・」
「玉城・・・弱すぎ・・・」
「ふふふ・・・これで心置きなくトーマス卿に迫って部屋をお願いできるわ」
「まさに身体を張ってますね、あはははは・・・・」
乾いた笑いをするカレン。
メインの人気キャラでよかったわ。
つくづくそう思うのであった。
なお、後にこの新規部屋の噂話が、とてつもない嘘八百とわかり、井上さんが無茶苦茶落ち込んだのは言うまでもない。
ちゃんちゃん〜♪
以上です。
朝起きて、寝る前に投下したSSの感想チェックしょうかと思ったら・・・えらいことに・・・。
というわけで、ねぼけ頭を酷使してなんとか書いてみました。
楽しんでいただければ、幸いです。
なお・・・部屋の話はあくまでネタです。
トーマス卿、すみません・・・。
出来てね?
部屋
あしっど・れいん卿、乙でしたー
玉城wwwww
ホントに出来てるみたいですね。
やったぜ! 井上さん!
貴方の次の投下を全力でお待ちしております!
ww
帰ってきて・・・びっくり・・・。
部屋できてるし・・・さらに「管理人の回線規制に伴う警告とお知らせ」の中の項目見てさらにびっくり・・・。
恐れ入りました。
トーマス卿の徹底さに脱帽です。
静かだな…
たまにはこういう日もありますよ。
投下したいけど、書きかけだし・・・。
俺も。明日には投下できそう。
期待して待つことにします!しかし最近職人さんのバイオリズムが似てきたような気がw
じゃあ久しぶりに投下してもいい?
もうお呼びでないかもしれないけど
何を仰る。どなたであってもお待ちしてました、だぜ。支援します。
是非にお願い致します
それじゃあ40分から投下しまする
誤字チェックとか色々投下準備してきま〜す
じゃあこちらも準備します。支援は出来そうにないけど……。
いつの間にか40分すぎてました。申し訳ない
今回は本編終わったあとの後日談です
登場人物に関してはまぁ、本編不遇の彼です。ロスカラでも不遇…といえるか
一部本編最終回での設定とかみ合わないところがあります。そこだけ注意を
本文・あとがきで11レスです
それではおねがいします
こっこれは……支援しなければ!
支援
キタか、ならば全力で支援だ!
■ ヤクソク ■
かつて、戦争があった。
多くの命が奪われ、同じだけの思い出が失われた。そして今、ここには人の行き交う街が蘇った。
あれから重ねた年月は半世紀以上。
わたしはかつてエリア11と呼ばれた国、トウキョウ租界と呼ばれたこの街に足を踏み入れた。
合衆国日本。そのかつての首都、トウキョウ市。
──革命がなって、平和がもたらされれば、いずれ理念は官僚主義と大衆によって飲み込まれていく───
そう言ったのは誰だったか…。
“普通の国”となった日本もまた、他の国々のように矛盾や歪みに悩まされていると聞く。
とはいえ、世界は平和を享受していた。
大きな紛争はない。戦火が大地を覆うことも、今は、ない。
『人が人である以上、世界に歪みが存在するのは致し方ないのかもしれないのだろう』
空港からリムジンバスに乗り、トウキョウ市内に向かう。
車窓から見える街の姿は、ここが昔大きな戦場となった地だとは思えないものだ。
広がるビルの林、よく舗装された道路。街路樹はよく手入れされているようで、行き交う車も多い。
『だが、それもあとしばらく走れば……』
わたしがそう思い浮かべたその瞬間、計算したかのようなタイミングで視界が広ける。
「グラウンド・ゼロだ!」
思わず声を発した乗客がいた。
それは戦争の傷跡というにはあまりにも巨大な爪痕。半径20kmにも及ぼうかという巨大なクレーター。
フレイヤ──領域制限爆縮兵器というその兵器はこの地に生きていた数千万の……、
わたしは頭を振った。
その命、その未来を奪った存在。それを産み落としたがゆえの業に慟哭した女性をわたしは知っている。
クレーター外周部をバスは走る。
日本の復興は目覚ましいものであった。
国家としての復興に10年。先進国として他の国家を牽引するようになるまでに20年。
30年もかかった? そうではない。この国はたった30年でそこまで駆け上がった、のだ。
経済不況に陥った今現在においても合衆国連合の主要なポストにある立場は変わらない。
支援
支援
仕事柄、日本の企業と付き合うことも多いわたしだったが、これまでこの国に降り立つことはなかった。
あの戦争の後に本国へと戻ってからこの地に立つのは今日が初めてだ。
当時トウキョウ租界に居留していた多くのブリタニア人と同じように「二度と思い出したくない場所」だからという理由ではない。
ここに来たかった。
この地に降り立ちたかった。
あの時の約束を果たしたかったのだ。
それがたとえ、もう決して果たされる事のない約束なのだとしても。
やがて、バスがターミナルに到着した。
・
「じゃあ、お父さんとはトウキョウ市平和記念公園で六時に待ち合わせでいいのね?」
娘の声は弾んでいたが、その口調はなんでそんな場所で? と言わんばかりだった。
トウキョウ市平和記念公園。
トウキョウ市中心部からやや離れた場所。グラウンドゼロの外周に隣接するその場所こそがわたしの旅の目的地だった。そのことは娘も妻も知らないことだ。
「お前たちはどうするんだい?」
「お母さんと彼と三人でシンジュクに行くわ。お昼はお父さんの分の予約も済ませていたのよ?」
恨めしげに言う娘にすまんすまんと笑って誤魔化し、わたしはそれじゃあまたあとで、と電話を切った。
切れた電話機を片手に「また笑ってごまかすんだから!」と不満をたれる娘の顔が目に浮かぶ。
「さて……」
わたしはターミナルの売店で買い求めたガイド本を広げるが、
「いまいちわかりにくいな」
ガイド本などは大概そのようなものではある。この本も目的の場所までの道案内の用を足すには力不足のようだ。
わたしは再びターミナルの中へと足を向けようとした。観光案内所ででも道を聞こうと。その時。
「Hey,Mr. To which?(旦那さん、どちらまで?)」
日本人らしい陽気な感じのタクシー運転手が路上からこちらに手を振っていた。
支援
全力で支援!
・
「去年の終戦60周年式典はそりゃあ大賑わいでしたよ」
第一印象と違わず、運転手は陽気で話好きな男だった。
その後は景気も悪くて、中々いい話がないんですがね…と、運転手はゆっくりとハンドルを切りながら今の政府がいかにやる気がないか、昔がどんなによかったかを熱弁している。
「それでも戦争やってるよりはいいですよ」
「それはそうですよ。平和が一番!」
あっははは…と笑い声を上げ、運転手は車を停止させた。
「赤信号です。止まりますよ」
「えぇ」
今現在トウキョウ市の中心は比較的フレイヤの影響が少なかった港湾部に移っているという。
そこから離れる平和記念公園のある区画は近付くにつれ、行き交う車も少なくなり、どこか寂しげな様相をかもし出すようになってきていた。
「今の季節は御参りにくる人も比較的少なくってですね。もう少し後の時期なら修学旅行の学生やらで賑わうんですが」
わたしの表情からおしはかったのだろうか。運転手が説明をしてくれた。
「30年前の戦後脱却宣言の後、首都機能移転とか色々あってこの街も寂しくなったんだそうですよ」
「運転手さんはその頃の生まれですか?」
「えぇ」と運転手は答えた。
「首都移転のころはまだ鼻タレでしてね。大人ばっかりが大騒ぎしてて、何を騒いでいるのかわからんような、そんな調子でしたよ」
「戦争で大変な思いをされて、また戦場となって。そこからこんな立派な国をお作りになったのだから、日本の方はエライです。尊敬しますよ」
エヘヘヘヘと運転手は照れたように鼻をかき、車を出発させた。
信号は青になっていた。
・
支援
支援
支援!
帰りはどうなさるので? と聞く運転手に身内と待ち合わせているからと答え、わたしは車を降りた。
『思いのほか時間がかかったな』
グラウンドゼロを迂回するせいでターミナルからはタクシーででも以前の倍以上の時間がかかる。もう正午をとうに過ぎていた。
──トウキョウ市平和記念公園───
ブリタニアとの戦争の後の省みられる事のなかった死者を。ブラックリベリオンの際の、第二次トウキョウ決戦の際の……それら人々を慰霊する目的で作られた墓苑だ。
そこは昔、わたしたちが青春を謳歌した場所。かつてのアッシュフォード学園の今現在の姿でもある。
わたしは公園の中を歩き続けた。
「違うなぁ。見覚えのあるものが何一つない……」
ゆっくり30分程かけて公園内を巡ってみたが、そこに記憶に残る風景は何一つ見出せなかった。
わたしは手近なところにあったベンチに腰掛けた。
──ケジメ…って言うんですかねぇ。区切りのようなものが人生には必要なんでしょうねぇ。
先ほどの運転手の言葉が蘇る。
──うちの親父は戦中派でしてね。その頃のことはほとんど何も話さないまま逝っちまったんですが…、一度だけ酔っ払ってその頃の話をしたことがあるんですよ。
それはわたし自身共感を覚える話だった。
彼の父親はいいかげんな人物だったそうだが、時折切なそうな顔をして空を見上げることがあったという。
彼の父がつぶやいた言葉。
──俺はまだやれる。やれるってのによォ…──
何がやれるのか。何をやれなかったのか。子供であった彼に推し量ることはできなかったそうだ。ただ、そのときの父が何かに足掻いているかのように見えたと語った。
彼が語る父親の姿にわたしは自分を重ねていた。
成し遂げたい思いを、夢を、それを願うこともできない無力感。お前にはできないと言われているかのような焦燥感。まだやれる。やれるんだ!
「だけど」
世界を相手に戦う者。その世界を守るために戦う者。自分がそれらの人々の間に入っていけるはずがないことを、なにより自分自身がよくわかっていた。
──凄いよねぇ、うちの生徒会メンバーが世界を相手に戦っているなんて──
あの時、そう、思わず嫌味ですかと言ってしまったあの時。わたしは内心しまったと思った。そんなことを言うつもりではなかったのにと。
「だけど」
支援
──ううん、頑張った──
頑張るだけじゃ……と自分の無力を嘆いたわたしに告げられた言葉はそれだった。
「だけど」
救われた思い。なのに心のどこかに何かが刺さったままだ、挟まったままだ、そこにとどまり動かないままなのだ。
そんな思いを60年抱えて生きてきた。
──この気持ちが晴れない限り、俺の戦争は終わらねェんだろうなぁ。
フジ上空での最終決戦に従軍したという運転手の父親の言葉はそのままわたしの慨嘆でもあった。
「きっとわたしの学生時代も終わらないんだろうなぁ」
“何か”を抱えたまま迎えた60年目。
ここに来ただけで何が変わるわけではないとわかっていながら、わたしはここに足を向けずにはいられなかった。
わたしは自動販売機で買い求めた缶ジュースを開け、喉に流し込んだ。
日差しが少し和らいだような気がした。
・
・
・
誰かが身体を揺らしている。名前を呼ぶ声が聞こえる。
『いつの間にか寝ていたのか?』それにしても、わたしを呼ぶのは誰だ?
「ほら、早く起きなよ。風邪ひいちゃうよ」
「わかったよ。起きるってば、スザク」
そう言いつつも起き上がろうとせずにのろのろしているわたしにスザクは呆れたようにため息をついた。
──スザク?!
「リヴァル、いいかげんに起きないと約束に間に合わないぞ!」
また別の声が聞こえてくる。「ルルーシュ!」スザクが声の主に答える。
──ルルーシュにスザク?! わたしは慌てて上体を起こした。
支援!
すでに空は濃紺。星が瞬いている。街灯がベンチで寝ていたわたしを照らしている。
「やっと起きたか。この寝ぼすけめ」
呆れたように声をかけるルルーシュをスザクが小突く。
「普段リヴァルを足扱いして、連れ回して疲れさせているのは誰だい?」
それは違うとルルーシュは抗弁した。あれは俺がリヴァルに連れまわされているんだと。
変わらない二人。あの頃のままの二人。
「…なぁ、おい。ルルーシュ、スザク」
かすれたわたしの声に学生服の二人は、あの当時のままの姿の二人は揃ってわたしの方を向いた。
「いけない、いけない。ルルーシュのせいで遅れちゃうよ。リヴァル、早く行こう。間に合わないよ」
「間に合わない? なにに?」
二人がため息をつく。
「約束を忘れたのか?」
「約束を忘れちゃったの?」
スザクがわたしの手を引っ張って起こす。「さぁ行くぞ」とルルーシュが振り返って歩き出した。
見覚えのある風景。辺りはあの頃のままのアッシュフォード学園にかわっていた。
ここはどこだ?(アッシュフォード学園に違いない)
この二人は誰だ?(ルルーシュにスザクだ。間違いない)
わたしは一体誰なんだ? (リヴァル・カルデモンド。わたしの名前だ)
そのとき、わたしはスザクに引っ張られる自分の腕を見た。
黒い布地、金の縁取り。それはまさしくアッシュフォード学園の制服だ。そしてあの頃のわたし。学生だったころの、青年だったころのわたしの手。
「いったいいつの間に。それにお前たちも、この場所も。どうなっているんだよ!」
思わず声をあげるわたしに二人は微笑むばかり。
舗装された並木道を歩き、階段を駆け上がる。
わかる。ここを上って右手にまがる。すぐに左斜め前の道をまっすぐ行けば───
支援
「あぁ………」
思わず息をついた。
クラブハウスだ。あの楽しい日々を、永遠に続くとさえ思えた懐かしい日々を過ごしたクラブハウス!
わたしを引っ張るルルーシュとスザク。その先には……みんながいる。
「三人ともおっそーーーいっ!」
シャーリーが
「約束なんだから、時間は守らなきゃだめでしょ」
カレンが
「まぁまぁ、こうしてみんな揃ったんだから。もっちろん遅刻したリヴァルはあとでロケット花火の刑に処するということで!」
ミレイ会長がかわらぬままに出迎える。
「そういうの、ミレイちゃん好きそうだよね」
ニーナもいる。みんないる。みんながいる!
ロロが駆け寄る。
「兄さん、準備出来てるよ。すぐに始められるから」
その向こうには車椅子の少女と咲世子さんがいる。
車椅子の少女?
………………………………!
そうだ、あれはナナリーだ。ルルーシュの妹。可愛いわたしたちの妹。
「さっ、全員集合したところではじめよーかっ」
会長の号令の下みんなが動き出す。
ロロが出際良く筒を地面に並べ始め、シャーリーが、カレンが束をみんなに配る。
「これって……」
「そ。花火よ!」
支援!
渡された花火を手に取る。
そうだ、約束だ。この場所でもう一度みんなで花火をしようと。絶対にしようと誓った約束。
もう、果たされることはないとそう思っていた約束。
開始の合図は打ち上げ花火の一斉点火だ。夜空に色とりどりの華が開く。
それと時を同じくしてルルーシュとスザクの放つロケット花火がわたしを襲った。
「うわっ、熱ッ! 熱ッ!!」
それを見てカラカラと笑う会長たち。
負けずにわたしもロケット花火に点火してスザクに向けて放つ。
「うわあっ!?」
花火は彼の頭をかすめて飛んでいった。たまらずしりもちをつくスザク。
「惜しかったですね。もうちょっとで直撃だったのに」
おいおい、とロロに突っ込みを入れるシャーリー。
まぁ、いいじゃないか、とルルーシュは笑った。
「撃っていいのは、撃たれる覚悟のあるヤツだけだからな」
わたしはルルーシュの方へ向きなおった。
「ほおぉ、良い事言った! ルルーシュ君。つまり君も俺に撃たれる覚悟があるってことだよな!」
ギクっとした顔をするルルーシュ。間髪入れず、わたしは彼にむけてロケット花火を乱れ撃つ。
それらを回避しようとしたものの、引っくり返るルルーシュ。そんなルルーシュにみんなが笑い声を上げる。
「ルルーシュって知識だけで実戦には弱いんだよな〜」
わたしも笑う。笑って、笑って、そして、もう一度空を見上げた。
夜空に光の華が今も咲いている。咲き誇って、果たされた約束を祝福するかのように輝いていた。
「もう一度、ここで花火をしようって約束、だったな」
その時にはもう、わたしは気が付いていた。
「夢、なんだよな。そうなんだろう?」
つぶやく言葉が彼に届いていると信じた。
「俺さ、幸せだよ。お前たちが戦ってくれたから。世界を平和にしてくれたから」
だけど、
支援
支援
「だけど、ずっと思っていた。俺一人蚊帳の外かよって。俺を馬鹿にしやがてって。俺にはお前たちと一緒にいることさえ許されないのかって」
頭を横に振る。
「いいんだ。ありがとう、覚えていてくれて。ありがとう、約束を果たしてくれて」
──ありがとう、友達でいてくれて───
誰かが身体を揺らしている。名前を呼ぶ声が聞こえる。
『いつの間にか寝ていたのか?』それにしても、わたしを呼ぶのは誰だ?
「お父さん、起きて! 風邪ひいちゃうよ!」
「わかったよ。起きるってば、スザク」
渋々目を開くと空はすでに濃紺の星空。吹く風も秋の訪れを感じさせる冷たさだ。
「スザク? お父さん、寝ぼけているの?」
わたしを呼び、揺り起こしたのは娘だった。
「もう、こんなところで寝込んじゃって! 公園だってもうしばらくしたら閉園の時間なんだよ」
時間はもうじき7時になろうとしているところだ。まさかこんな時間まで寝込んでしまうとは。
それにしても……と思った。
「よくここがわかったね」
わたしが座っていた………訂正しよう。寝込んでいたベンチは公園の中ほどの奥まった場所にある。
日が暮れて暗くなった今時分では見つけるのも一苦労のはずだ。
「教えてくれたのよ」
娘はこともなげに言った。
「可愛い感じの男の子だったわ。ちょっとレトロっぽい感じの学生服を着た銀髪の男の子」
この辺の学校の生徒さんなのかしら…皆まで聞かず、わたしは跳ねるように起き上がり、立ち上がって辺りを見回した。
「いないわよ〜、ここに男性が寝ていますよって教えてくれたあと、すぐいなくなっちゃ………」
言いかけた言葉を飲み込んで、娘はわたしを凝視した。「お父さん、どうしたの?」
支援!
支援
すでに涙腺が…
sien
ミレイさんかニーナかは問題ではない
支援
もう、何も聞こえなかった。
「おおおおぉぉぉぉぉッ……………」
うずくまり、地面に手を付いて、わたしは唸るように泣き声をあげる。
「おおぉぉぉ、うおおおぉぉぉぉッ」
「ちょっと、お父さん?! お父さん?」
そうだ、彼だ。彼なのだ。“夢”のなかにただ一人現れなかったアイツ。わたしたちの友達。
「いるんだろう! そこにいるんだろう! 聞こえているんだろう!!」
叫ぶ。涙を飛ばしながらわたしは叫ぶ。
「俺は幸せだぞ! みんなのおかげで、お前のおかげで、今日まで幸せに生きてこれたぞ! これからも生きていける!」
涙と嗚咽で声がかすれたかもしれない。だが、それでもいい。
「見えるだろう? 俺の娘だ。こんなに立派に育ったんだ。今度結婚する! 俺も直におじいちゃんだ!」
とりすがる娘を指して言う。
「俺はさ、皆と毎日楽しくやっていければそれだけで良かったんだって思っていた。でもさ」
心配そうによりそう娘を制止してわたしは呼びかける。
涙で喉がつまる。声が出ない。ダメだ。伝えなければならない。約束を果たしてくれた彼に、この気持ちを。
「思ったんだ。それはずっと今日と言う日に閉じこもったまま歩き出さないことだって。そうじゃない、俺がお前たちと一緒にいたかったのは昨日でも今日でもない、明日なんだって」
──ありがとう、俺の友達───
ただその一言を伝えることのなんと難しいことか。
「ありがとう……、俺たちに明日をくれて。……ありがとう」
駆け寄ってくる足音は妻だろうか。わたしはただありがとうと続けた。
流れる涙と共に、痞えていた何かが流れ落ちていくのを感じながら。
木陰よりその場をそっと離れる人影は黒地に金の縁取りの学生服をまとった若い青年だった。
優しく降りそそぐ月の光がそのくすんだ銀髪に照りかえる。
振り返らないのは冷たいからではない。胸の奥で友達に祝福の言葉を贈りつつ、彼は………彼も………。
その日、その時、60年の間続いたある二人の“青年”の戦争がようやく終わりを告げた。
支援
支援
リヴァルの娘にもフラグが…
支援
【ぎあすあとがき劇場 マリアンヌ様がみてる】
投下終了と同時に部屋の戸がドガーンと吹っ飛び、マリアンヌ様が飛び込んできた。
「ねぇねぇ、あおちゃん」
──うわぁ! デタァ!!?
と、わたし。
「デタァはないでしょ。デタァは。それにしても……ずいぶんおみかぎりだったのね」
わたしは俯いて、ボソッと答えた
──まぁ、わたしにも人並みに落ち込むことくらいあるんですよ。それなりに。
マリアンヌ様はため息一つをつくと、わたしの顔をガシっと掴み、強引にこちらに向けた。首の筋が伸びちゃうよ!などとは言わない。
「頑張れ…頑張れあおちゃん。私の娘…」
わたしは………まぁ、いいや。
──それ、他の人のセリフですよ。ていうか、誰が誰の娘なんですか。
よし。声は震えていない。わたしはわたしの声に感謝した。
「いーのよ。今夜はわたしがあなたのお母さん。わたしが決めたんだから、決定よ!!」
わたしは思った。
しんみりしてる時にしんみりした話を書くものではないと。
明日はお母さんに電話してみようかな。
パソコンの電源を落としてから考えよう。
笑顔でいっぱいのマリアンヌ様をみて思った。
──凹んでいるところをどこかで見られていたのかもなぁ。
マリアンヌ様が見てるなんてタイトルですものね、と。
思いっきり涙腺が緩んだのに、オチ付きかよ!!
GJ!!支援!!!
ちょっと顔洗って涙の跡を流してくる
以上です
本編最終回の後日談にさえ出してもらえなかったリヴァル…
ロスカラでは他に攻略できたキャラがいない場合でのENDキャラという不遇なリヴァル…
そんな扱いに反逆するつもりで書きました。気に入ってもらえたらいいな
ライがなんで60年たっても昔のままかとか、“夢”を見せる事ができるのかとか、そこは察してください
ちなみにわたしの中では彼の奥さんはミレイさんでもニーナでもないんだな、これが
目薬点して泣いて赤くなった目の回復に努める
>>891 GJ!!
何度でも言おう、GJ!!
ただ、この涙が止まらないのだけはどうにかしてくれ!ちくしょう!
花火のところからずっとContinued Storyが頭の中で流れっぱなしだ!
GJ、お疲れ様でした。お呼びでない?とんでもない!そういうノイズの方が「お呼びでない」ですよ。
次回の投下を心より楽しみにしております!
オール・ハイル・BLUEDESTINY!
>>891 BLUEDESTINY卿、受けよ! GJの嵐!!!
貴方のSSに憧れた! この気持ち……まさしく愛だ!!!
目頭が、熱いです……あぁ、なんかいいねぇー……
もう一度、GJでした!
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
>>891 GJ。納得させられるリヴァルの回想録。
ライが60年間年を取らないのは、C.C.からコードを継承したからでいいのでは?
あ、あれ
なんか感動雰囲気真っ最中みたいですけど微妙なの投下していいかのな?
感動しました!
蚊帳の外だったリヴァルのこと、果たされなかった約束のこと。
いい材料から本当にいい調理をなさいましたね。
あのラストを見るのには勇気が要りますが、本編をまた見直したくなりました。
本当にGJでした!
しかし、忘却ED関連なのかコード継承なのか、こちらのライの設定背景等も凄く気になります。
そのあたりの解釈も個々で補完なのですね、分かります。
はっ、すでに473KBと
皆様、容量が規定の数値に達しましたので、次スレ建設を試みます。では暫し失礼致します。
あ、じゃあ次スレで投下します
すいません、弾かれました。どなたかお願いいたします。
じゃあ、俺がやる
俺もダメだった。他の人お願いします
では、私が
規制厳しいのね
>891
ガチ泣きでした。
ひたすらに突き進む彼らを引き戻すことも一緒に進むことも出来なかった彼だけど
でも頑張った 頑張ったよ!!あああもう。どうしてくれようこの涙。
>>891 乙です!
もう途中から涙がぼろぼろと
リヴァルはたしかに蚊帳の外だったかもしれない
だけど彼もまた歴史の流れの中で必死に戦い続けたんでしょうね
>>897 新スレも建てたことですし
入るならコチラに投下してはいかがでしょうか?
もう容量おーばーかな?
緑茶ウメー
埋め
埋め
埋め
埋め
埋め
埋め
ume
埋めていいのは埋められる覚悟がある奴だけだ!
みんなが僕を埋めますように
梅
ume
優しい埋めでありますように。
スレを埋めきるのがこんなに大変なんて……!!
やっぱり凄いや、僕の兄さんは
ウメレクイエム
埋め
いや、やめて! もう埋めないであげて、苦しませないで。 478 KB 、478 KB ー
お母さん、お母さん
埋め
俺はスレを埋め、スレを建てる…
その埋め、確かに受け取った!
なぁ、埋めってギアスに似てないか?自分一人だけでは出来ない事を……何だったかな?
みんな大好きだろ?埋め立てって奴が
わたしは埋め立てだけでよかったのに!
埋めのない明日なんてっ!
埋めの力はスレを孤独にする。…ふふ、少しだけ違ったかな?
俺だけかな?今回の埋め立てに疲れてるのは。
今まで犠牲になったスレの為にも俺は立ち止まる訳にはいかない。故に俺は埋めるしかないんだ。
埋め
埋め
埋め
いいのか? 公表するぞ、オレンジを!
オレンジを公表されたくなければ……
全力で埋めろ!
(・ωひ)
散々埋め立てて、ボロ雑巾のようにDAT落ちにしてやる!
ume
またここでスレを埋めよう
埋め
埋め
埋め
埋め
埋め
埋め
埋め
埋め
許しは請わないよ。埋めだろう、俺達は。
埋め
埋め
埋め
埋め
埋め
埋め
道理なき埋めなどに!
埋め
埋め
埋め
スレを埋めるのはルルーシュのギアスか、それとも…
お前にとって大事なものとは、なんだ?
そう、ライアニャだ
なのに書けない…orz
ならばこのスレ、全力で埋めよ!!
埋め
受けよ! 忠義の埋め!!!
ライアニャ!ライアニャ!ライアニャ!
未練はある、だが未練はない
埋め
ライミレ ライミレ
埋め
ライアニャ!ライアニャ!
兄さんは埋め好きだから……
埋め
埋め
ウメー
まだ埋まってなかったのか…
何回生まれ変わっても
またこのスレの埋めをする
980!
条件は全てクリアされた!
これで、26スレは落ちる!
ume
うめ
うめ
うめ
うめ
うめ
うめ
うめ
うめ
ume
うめ
うめ
うめ
うめ
うめ
やらしいトーマス卿でありますように
必殺の梅
1000ならロスカラ2発売決定
1001 :
1001:
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。